JP2023532330A - ピリジン-3-カルボン酸2-[4-[(2,3,4-トリメトキシフェニル)メチル]ピペラジン-1-イル]エチルの結晶形態および合成方法 - Google Patents

ピリジン-3-カルボン酸2-[4-[(2,3,4-トリメトキシフェニル)メチル]ピペラジン-1-イル]エチルの結晶形態および合成方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、式(X)の化合物:TIFF2023532330000063.tif1738の多形を提供する。本発明はまた、本化合物の多形を含有する医薬組成物、および本化合物の多形を投与することによる、対象における状態を処置する方法を提供した。本組成物は、式(X)の化合物の結晶を含んでもよい。結晶は、本化合物の結晶に関して上で記載された特性のいずれかを有することができる。別の態様では、本発明は、ある状態を有する、または発症するリスクにある対象に、治療有効量の式(X)の化合物の多形を含有する組成物を投与することによる、対象における状態を処置する方法を提供する。

Description

関連出願の相互参照
本出願は、それらのそれぞれの内容が参照により組み込まれている、2020年6月30日出願の米国仮特許出願第63/046,120号および2020年6月30日出願の米国仮特許出願第63/046,123号の利益および優先権を主張する。
発明の分野
本発明は、ピリジン-3-カルボン酸2-[4-[(2,3,4-トリメトキシフェニル)メチル]ピペラジン-1-イル]エチルの結晶学的形態、および該化合物の化学合成方法に関する。
背景
心疾患は、世界的に主要な死因であり、2015年には全世界で1500万の死亡数を数える。多くの形態の心疾患において、心臓の効率の低下は、ミトコンドリアのエネルギー代謝の変化から生じる。ミトコンドリアは、グルコースおよび脂肪酸から導かれた代謝産物が酸化されて高エネルギー分子が産生される細胞内区画である。心臓における脂肪酸酸化が増加していくと、グルコース酸化は減少し、逆もまた同様である。グルコース酸化は、より効率的なエネルギー源であるが、心不全、虚血性心疾患、糖尿病性心筋症などのある特定のタイプの心疾患では、心臓ミトコンドリアにおいて脂肪酸酸化が優勢である。結果として、心臓の汲み出し能力は低下する。
IUPAC名ピリジン-3-カルボン酸2-[4-[(2,3,4-トリメトキシフェニル)メチル]ピペラジン-1-イル]エチルおよび以下の構造:
Figure 2023532330000002
を有するCV-8972は、その薬物動態プロファイルのため、心臓状態を処置または予防するための有望な治療剤候補として最近、特定された。
要約
CV-8972の結晶学的形態、およびそれを含有する組成物が、本明細書において提供される。本発明は、CV-8972の結晶が、複数の多形形態で存在すること、ならびに1つの多形である形態Aが、周囲の温度および相対湿度の条件下で最も安定であることを認識している。したがって、CV-8972の形態A結晶は、医薬組成物の製造に有用である。例えば、形態Aの多形を含有する医薬組成物は、保管または流通の間に、特別な取り扱いを必要としない。さらに、このような組成物は、他の多形または多形の混合物を含有する組成物よりも優れた効力を保持することがある。本発明はまた、形態Aなどの、CV-8972多形を使用して、対象における心臓状態を処置する方法を提供する。
本発明はまた、CV-8972の合成の方法を提供する。CV-8972を合成するこれまでのスキームは、CV-8814とも呼ばれる、2-[4-[(2,3,4-トリメトキシフェニル)メチル]ピペラジン-1-イル]エタノールの遊離塩基形態の形成、およびCV-8814の遊離塩基形態の塩酸塩への変換を必要とする。このようなスキームでは、CV-8814は、次に、CV-8972の遊離塩基形態を形成するためのニコチン酸へのカップリングのために、その遊離塩基形態に変換して戻されなければならない。本発明は、遊離塩基形態およびHCl塩形態との間でのCV-8814の可逆的変換を迂回する、CV-8972の合成スキームを提供する。本明細書において提供されるスキームでは、CV-8814の遊離塩基形態は、還元的アミノ化反応で形成され、遊離塩基生成物が、CV-8972を形成するためのニコチン酸へのカップリングのための基質として直接、使用される。本発明の合成スキームは、より少ない工程しか必要としないので、CV-8972を作製するこれまでの方法よりも単純で早く、かつ優れた収率を実現する。
態様では、本発明は、式(X)の化合物:
Figure 2023532330000003
の多形を含む結晶を提供する。
多形は、形態A、形態B、形態C、形態Dまたは形態Eとすることができる。
本結晶は、1種または複数種の他の多形を実質的に含まなくてもよい。例えば、本結晶は、形態Aの多形を含むことができ、形態B、形態C、形態Dおよび形態Eの多形を実質的に含まなくてもよい。
本結晶は、式(X)の化合物の塩酸塩を含んでもよい。本結晶は、式(X)の化合物および塩酸塩イオンを規定の化学量論比で含むことができる。本結晶は、本化合物および塩酸塩イオンを1:3の化学量論比で含むことができる。
本結晶は、式(X)の化合物の水和形態を含むことができる。本結晶は、化合物の一水和物形態を含むことができる。本結晶は、本化合物の無水形態を含むことができる。
別の態様では、本発明は、式(X)の化合物の多形を含む医薬組成物を提供する。
多形は、形態A、形態B、形態C、形態Dまたは形態Eとすることができる。
本組成物は、1種または複数種の他の多形を実質的に含まなくてもよい。例えば、本組成物は、形態Aの多形を含むことができ、形態B、形態C、形態Dおよび形態Eの多形を実質的に含まなくてもよい。
本組成物は、式(X)の化合物の塩酸塩を含んでもよい。本組成物は、式(X)の化合物および塩酸塩イオンを規定の化学量論比で含むことができる。本組成物は、本化合物および塩酸塩イオンを1:3の化学量論比で含むことができる。
本組成物は、式(X)の化合物の水和形態を含むことができる。本組成物は、本化合物の一水和物形態を含むことができる。本組成物は、本化合物の無水形態を含むことができる。
本組成物は、いずれの投与経路または投与形式向けに製剤化されてもよい。本組成物は、口内、皮膚、腸内、動脈内、筋肉内、眼内、静脈内、鼻腔内、経口、非経口、肺、直腸、皮下、局所または経皮投与向けに製剤化されてもよい。本組成物は、注射によって、または埋込式医療用装具(例えば、ステントまたは薬物溶出ステントもしくはバルーン等価物)を用いて、もしくはこの表面で投与するよう製剤化することができる。
本組成物は、単回単位投与量として製剤化されてもよい。本組成物は、分割投与量として製剤化されてもよい。
本組成物は、規定用量の本化合物を含有することができる。用量は、化合物を約10mg~約2000mg、約10mg~約1000mg、約10mg~約800mg、約10mg~約600mg、約10mg~約400mg、約10mg~約300mg、約10mg~約200mg、約25mg~約2000mg、約25mg~約1000mg、約25mg~約800mg、約25mg~約600mg、約25mg~約400mg、約25mg~約300mg、約25mg~約200mg、約50mg~約2000mg、約50mg~約1000mg、約50mg~約800mg、約50mg~約600mg、約50mg~約400mg、約50mg~約300mg、約50mg~約200mg、約100mg~約2000mg、約100mg~約1000mg、約100mg~約800mg、約100mg~約600mg、約100mg~約400mg、約100mg~約300mg、約100mg~約200mg、約200mg~約2000mg、約200mg~約1000mg、約200mg~約800mg、約200mg~約600mg、約200mg~約400mg、約200mg~約300mg、約300mg~約2000mg、約300mg~約1000mg、約300mg~約800mg、約300mg~約600mgまたは約300mg~約400mg含有することができる。用量は、本化合物を約10mg、約25mg、約50mg、約100mg、約200mg、約300mgまたは約400mg含有することができる。
本組成物は、式(X)の化合物の結晶を含んでもよい。結晶は、本化合物の結晶に関して上で記載された特性のいずれかを有することができる。
別の態様では、本発明は、ある状態を有する、または発症するリスクにある対象に、治療有効量の式(X)の化合物の多形を含有する組成物を投与することによる、対象における状態を処置する方法を提供する。
多形は、形態A、形態B、形態C、形態Dまたは形態Eとすることができる。
本組成物は、式(X)の化合物の結晶を含めた、該化合物を含む組成物に関して上で記載された特性のいずれかを有することができる。
本組成物は、いずれかの好適な投与経路または投与形式によって投与され得る。本組成物は、口内、皮膚、腸内、動脈内、経筋肉、眼内、静脈内、鼻腔内、経口、非経口、肺内、直腸内、皮下、局所的、経皮的に、注射によって、または埋込式医療用装具(例えば、ステントまたは薬物溶出ステントもしくはバルーン等価物)を用いて、もしくはこの表面に投与されてもよい。
本組成物は、単回単位投与量として投与されてもよい。本組成物は、分割投与量として投与されてもよい。
本組成物は、1日あたり1用量で投与されてもよい。本組成物は、1日あたり多回用量で投与されてもよい。本組成物は、1日あたり、2、3、4、5、6、8用量またはそれより多い用量で投与されてもよい。
本組成物は、上記の用量のいずれかなどの、規定用量の本化合物を含有することができる。
用量(単数または複数)は、規定期間にわたり投与されてよい。1回または複数の用量は、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも6週間、少なくとも8週間、少なくとも10週間、少なくとも12週間、またはそれより長い期間にわたり、毎日、投与されてよい。
状態は、心血管状態とすることができる。心血管状態は、心臓ミトコンドリア機能の改善により改善することができる、任意の状態であってもよい。疾患、障害または状態は、心血管状態であってもよい。疾患、障害または状態は、動脈瘤、狭心症、アテローム性動脈硬化、心筋症、脳血管疾患、先天性心疾患、冠動脈疾患、冠状動脈性心疾患、糖尿病性心筋症、心臓発作、心臓疾患、心不全、高血圧症、虚血性心疾患、心膜疾患、末梢動脈疾患、リウマチ性心疾患、脳卒中、一過性脳虚血発作または心臓弁膜症であってもよい。狭心症は、他の医療的介入に不応性のことがある。
状態は、リウマチ性状態とすることができる。リウマチ性状態は、急性腎臓損傷、アルコール性心筋症、狭心症(例えば、難治性狭心症、および心不全に伴う狭心症)、強直性脊椎炎、自己免疫関連肺疾患、ベーチェット病、滑液包炎、悪液質、心筋線維症、化学療法慢性疲労症候群、跛行(例えば、末梢跛行)、造影剤腎障害、チアノーゼ性心疾患、皮膚筋炎、拡張型心筋症、不平衡、線維筋痛症、虚弱、痛風、湾岸戦争症候群、心不全、肥大性心筋症、誘発性腎障害、感染性関節炎、炎症性関節炎、炎症性眼疾患、炎症性筋炎、虚血性心筋症、若年性特発性関節炎、左心室機能不全、ループス、筋ミオパチー、筋膜性疼痛症候群、筋炎、骨関節炎、顎の骨壊死、骨粗鬆症、リウマチ性多発筋痛症、多発筋炎、乾癬性関節炎、肺動脈性高血圧症、肺線維症、稀な筋疾患、関節リウマチ、サルコイドーシス、サルコペニア、強皮症、シェーグレン症候群、腱炎、耳鳴、脈管炎または目眩であり得る。
状態は、線維症とすることができる。線維症は、別の疾患、障害または状態に関連していることがある。例えば、線維症は、癒着性関節包炎、動脈瘤、狭心症、動脈硬化、関節線維症、アテローム性動脈硬化、心房線維症、心筋症、脳血管疾患、肝硬変、先天性心疾患、冠動脈疾患、冠状動脈性心疾患、クローン病、嚢胞性線維症、糖尿病性心筋症、デュピュイトラン拘縮、心内膜心筋線維症、グリア性瘢痕、心臓発作、心不全、高血圧(高血圧症)、特発性肺線維症、虚血性心疾患、ケロイド、縦隔線維症、骨髄線維症、腎性全身性線維症、陳旧性心筋梗塞、心膜疾患、末梢動脈疾患、ペーロニー病、進行性塊状線維症、肺線維症、放射線照射誘発性肺損傷、後腹膜線維症、リウマチ性心疾患、強皮症、脳卒中、全身性硬化症 一過性脳虚血発作または心臓弁膜症を含むことができるか、またはこれらに関連していることがある。
状態は、がんとすることができる。がんは、膀胱がん、脳がん、乳がん、癌腫、子宮頚がん、結腸がん、大腸がん、胃がん、膠芽腫、神経膠腫、頭頸部がん、腎臓がん、白血病、脂肪肉腫、肝臓がん、肺がん、リンパ腫、髄質芽腫、黒色腫、筋肉がん、神経芽細胞腫、乏突起星状細胞腫、乏突起神経膠腫、骨肉腫、卵巣がん、膵臓がん、傍神経節腫、前立腺がん、肉腫または甲状腺がんであってもよい。
別の態様では、本発明は、心臓リモデリングを発症した、または発症するリスクにある対象に、治療有効量の式(X)の化合物の多形を含有する組成物を投与することによる、心臓リモデリングを改変する方法を提供する。
多形は、形態A、形態B、形態C、形態Dまたは形態Eとすることができる。
本組成物は、式(X)の化合物の結晶を含めた、該化合物を含む組成物に関して上で記載された特性のいずれかを有することができる。
本組成物は、いずれかの好適な投与経路または投与形式によって投与され得る。本組成物は、口内、皮膚、腸内、眼内、静脈内、鼻腔内、経口的、非経口的、肺内、皮下、局所的、経皮的、注射によって、または埋込式医療用装具(例えば、ステントまたは薬物溶出ステントもしくはバルーン等価物)を用いて、もしくはこの表面に投与されてもよい。
本組成物は、単回単位投与量として投与されてもよい。本組成物は、分割投与量として投与されてもよい。
本組成物は、1日あたり1用量で投与されてもよい。本組成物は、1日あたり多回用量で投与されてもよい。本組成物は、1日あたり、2、3、4、5、6、8用量またはそれより多い用量で投与されてもよい。
本組成物は、上記の用量のいずれかなどの、規定用量の本化合物を含有することができる。
用量(単数または複数)は、規定期間にわたり投与されてもよい。1回または複数の用量は、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも6週間、少なくとも8週間、少なくとも10週間、少なくとも12週間、またはそれより長い期間にわたり、毎日、投与されてよい。
心臓リモデリングは、疾患、障害または状態に関連していることがある。心臓リモデリングは、心血管疾患に関連していることがある。例えば、心臓リモデリングは、異常な鎖骨下動脈、大動脈弁逆流症、大動脈弁狭窄症、動静脈奇形および瘻孔、心房中隔欠損症、房室中隔欠損症、大動脈二尖弁、心肥大、心筋症、大動脈の縮窄、完全な心臓ブロック、同心円状肥大、先天性心臓欠陥、先天性心疾患、冠動脈疾患、右心筋症、大動脈の右旋転位、糖尿病、ダイエット、重複大動脈弓、両房室弁左室挿入、両大血管右室起始、エブスタイン異常、巨大肝血管腫、心不全、高コレステロール、高拍出血液透析フィスチュラ、高血圧症、高血圧症、左心低形成症候群、右心低形成症候群、中断された大動脈弓、大動脈の左旋転位、僧帽弁逆流(左房容積の過負荷も引き起こす)、僧帽弁狭窄、心筋虚血症、肥満、流出障害、部分的な肺静脈接続異常、動脈管開存、カントレル五徴症、持続性動脈幹、圧力過負荷、肺閉鎖症、肺高血圧症、肺逆流、肺狭窄、横紋筋腫、右心室容量過負荷、シミター症候群、ショーン症候群、ファロー四徴症、総肺静脈接続異常、大血管転位症、三尖弁閉鎖症、三尖弁逆流、タバコ、アルコールまたは他の薬物の使用、心臓弁膜症、心室拡張、心室肥大、心室中隔欠損症、容量過負荷およびウルフ-パーキンソン-ホワイト症候群に関連していることがある。
別の態様では、本発明は、医薬を作製するための、式(X)の化合物の多形を含有する結晶の使用を提供する。
本使用の実施形態では、多形は、形態A、形態B、形態C、形態Dまたは形態Eである。
本使用の実施形態では、結晶は、1種または複数種の他の多形を実質的に含まない。本使用の実施形態では、結晶は、形態Aの多形を含み、形態B、形態C、形態Dおよび形態Eの多形を実質的に含まない。
本使用の実施形態では、結晶は、式(X)の化合物の塩酸塩を含む。本使用の実施形態では、結晶は、式(X)の化合物および塩化物イオンを規定の化学量論比で含む。本使用の実施形態では、結晶は、本化合物および塩化物イオンを1:3の化学量論比で含む。
本使用の実施形態では、医薬は、式(X)の化合物の水和形態を含む。本使用の実施形態では、医薬は、本化合物の一水和物形態を含む。本使用の実施形態では、医薬は、本化合物の無水形態を含む。
本使用の実施形態では、医薬は、口内、皮膚、腸内、動脈内、筋肉内、眼内、静脈内、鼻腔内、経口、非経口、肺、直腸、皮下、局所または経皮投与向けに製剤化される。本使用の実施形態では、医薬は、注射によって、または埋込式医療用装具(例えば、ステントまたは薬物溶出ステントもしくはバルーン等価物)を用いて、もしくはこの表面で投与するよう製剤化される。
本使用の実施形態では、医薬は、単回単位投与量として製剤化される。本使用の実施形態では、医薬は、分割投与量として製剤化される。
本使用の実施形態では、医薬は、本化合物を約10mg~約2000mg、約10mg~約1000mg、約10mg~約800mg、約10mg~約600mg、約10mg~約400mg、約10mg~約300mg、約10mg~約200mg、約25mg~約2000mg、約25mg~約1000mg、約25mg~約800mg、約25mg~約600mg、約25mg~約400mg、約25mg~約300mg、約25mg~約200mg、約50mg~約2000mg、約50mg~約1000mg、約50mg~約800mg、約50mg~約600mg、約50mg~約400mg、約50mg~約300mg、約50mg~約200mg、約100mg~約2000mg、約100mg~約1000mg、約100mg~約800mg、約100mg~約600mg、約100mg~約400mg、約100mg~約300mg、約100mg~約200mg、約200mg~約2000mg、約200mg~約1000mg、約200mg~約800mg、約200mg~約600mg、約200mg~約400mg、約200mg~約300mg、約300mg~約2000mg、約300mg~約1000mg、約300mg~約800mg、約300mg~約600mgまたは約300mg~約400mg含有する。本使用の実施形態では、医薬は、本化合物を約10mg、約25mg、約50mg、約100mg、約200mg、約300mgまたは約400mg含む。
別の態様では、本発明は、式(X)の化合物:
Figure 2023532330000004
を調製する方法であって、
2,3,4-トリメトキシベンズアルデヒドおよび2-(ピペラジン-1-イル)エタン-1-オールを反応させて、式(IX)の化合物:
Figure 2023532330000005
の遊離塩基形態を生成するステップ、ならびに
式(IX)の化合物の遊離塩基形態をニコチン酸と反応させて、式(X)の化合物を生成するステップ
を行うことによってなされ、
本方法は、式(IX)の化合物の塩形態を生成することを含まない、方法を提供する。
2,3,4-トリメトキシベンズアルデヒドおよび2-(ピペラジン-1-イル)エタン-1-オールを反応させるステップは、溶媒、触媒または他の化学物質のうちの1種または複数種を含むことができる。2,3,4-トリメトキシベンズアルデヒドおよび2-(ピペラジン-1-イル)エタン-1-オールを反応させるステップは、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム、酢酸および2-メチルテトラヒドロフランのうちの1種または複数種を含むことができる。
2,3,4-トリメトキシベンズアルデヒドおよび2-(ピペラジン-1-イル)エタン-1-オールを反応させるステップは、規定温度で行うことができる。2,3,4-トリメトキシベンズアルデヒドおよび2-(ピペラジン-1-イル)エタン-1-オールを反応させるステップは、約10℃~約30℃、約15℃~約30℃、約20℃~約30℃、約25℃~約30℃、約10℃~約25℃、約15℃~約25℃、約20℃~約25℃、約10℃~約20℃または約15℃~約20℃で行うことができる。
2,3,4-トリメトキシベンズアルデヒドおよび2-(ピペラジン-1-イル)エタン-1-オールを反応させるステップは、特定の溶媒、触媒または他の化学物質を含まなくてもよい。2,3,4-トリメトキシベンズアルデヒドおよび2-(ピペラジン-1-イル)エタン-1-オールを反応させるステップは、ジクロロメタンを含まなくてもよい。
式(IX)の化合物の遊離塩基形態をニコチン酸と反応させるステップは、式(X)の化合物の遊離塩基形態を生成することができる。
式(IX)の化合物の遊離塩基形態をニコチン酸と反応させるステップは、溶媒、触媒もしくは他の化学物質のうちの1種または複数種を含むことができる。式(IX)の化合物の遊離塩基形態をニコチン酸と反応させるステップは、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、4-(ジメチルアミノ)ピリジンおよびジクロロメタンのうちの1つまたは複数を含むことができる。
式(IX)の化合物の遊離塩基形態をニコチン酸と反応させるステップは、規定温度で行うことができる。式(IX)の化合物の遊離塩基形態をニコチン酸と反応させるステップは、約15℃~約30℃、約20℃~約30℃、約25℃~約30℃、約15℃~約25℃、約20℃~約25℃または約15℃~約20℃で行うことができる。
本方法は、式(X)の化合物の遊離塩基形態を式(X)の化合物の塩形態に変換するステップを含んでもよい。式(X)の化合物の塩形態は、HCl塩であってもよい。式(X)の化合物の塩形態は、一水和物であってもよい。
式(X)の化合物の遊離塩基形態を式(X)の化合物の塩形態に変換するステップは、溶媒、触媒もしくは他の化学物質のうちの1種または複数種を含むことができる。式(X)の化合物の遊離塩基形態を式(X)の化合物の塩形態に変換するステップは、HClおよびメチルエチルケトンのうちの1種または複数種を含むことができる。
式(X)の化合物の遊離塩基形態を式(X)の化合物の塩形態に変換するステップは、規定温度で行うことができる。式(X)の化合物の遊離塩基形態を式(X)の化合物の塩形態に変換するステップは、約40℃~約60℃、約45℃~約60℃、約50℃~約60℃、約55℃~約60℃、約40℃~約55℃、約45℃~約55℃、約50℃~約55℃、約40℃~約50℃、約45℃~約50℃、約40℃~約50℃、約40℃、約45℃、約50℃、約55℃または約60℃で行うことができる。
本方法は、式(X)の化合物の塩形態を第1の結晶形態から第2の結晶形態に変換するステップを含むことができる。第1および第2の結晶形態はそれぞれ、独立して、形態A、形態B、形態C、形態Dまたは形態Eとすることができる。
式(X)の化合物の塩形態を第1の結晶形態から第2の結晶形態に変換するステップは、式(X)の化合物の塩形態の溶媒を変更するステップ、および式(X)の化合物の塩形態を約60℃で温置するステップのうちの1つまたは複数を含んでもよい。
本方法は、溶媒、触媒または他の化学物質のうちの1種または複数種を使用しないで行われてもよい。本方法は、ジオキサン、酢酸エチルまたは炭酸カリウムのうちの1種または複数種を使用しないで行われてもよい。
本方法は、式(IX)の化合物の遊離塩基形態を精製するステップを含むことができる。本方法は、式(IX)の化合物の遊離塩基形態を結晶化させるステップを含むことができる。
別の態様では、本発明は、
式(1)の化合物:
Figure 2023532330000006
を、式(2)の化合物:
Figure 2023532330000007
と反応させて、式(IX)の化合物の遊離塩基形態
Figure 2023532330000008
を生成するステップ、
式(IX)の化合物の遊離塩基形態を式(3)の化合物:
Figure 2023532330000009
と反応させて、式(X)の化合物の遊離塩基形態を生成するステップ、および
式(X)の化合物の遊離塩基形態を式(X)の化合物のHCl塩に変換するステップ
を行うことにより、式(X)の化合物を調製する方法であって、
本方法は、式(IX)の化合物の塩形態を生成することを含まない、方法を提供する。
本方法は、式(IX)の化合物の遊離塩基形態を精製するステップを含むことができる。本方法は、式(IX)の化合物の遊離塩基形態を結晶化させるステップを含むことができる。
図1は、CV-8972の形態Dの多形の結晶構造の空間充填三次元モデルである。
図2は、室温における、CV-8972の形態Dの多形の結晶構造の空間充填三次元モデルである。
図3は、CV-8972の形態Aの多形の結晶構造の空間充填三次元モデルである。
図4は、出発原料CV-8972のXRPDディフラクトグラムである。
図5は、出発原料CV-8972のTGAおよびDSCサーモグラムを示す。
図6は、CV-8972の様々な形態のXRPDディフラクトグラムを示す。
図7は、出発原料CV-8972の偏光顕微鏡画像である。
図8は、動的水蒸気収着等温プロットである。
図9は、動的水蒸気収着前およびその後の、CV-8972のXRPDディフラクトグラムを示す。
図10は、CV-8972の、その無水形態および再水和形態の、XRPDディフラクトグラムを示す。
図11は、CV-8972の様々な多形のXRPDディフラクトグラムを示す。
図12は、C2234Cl(CV-8972)の単結晶の回分のPLM画像である。
図13は、単結晶回折計に使用した結晶のPLM画像を示す。
図14は、回折計の100マイクロMitegenループにマウントした結晶の画像を示す。
図15は、C2234Cl結晶の非対称単位のOrtepダイアグラムである。
図16は、C2234Cl結晶の一単位格子を示す。
図17は、C2234Cl結晶における、水素結合ネットワークおよび対イオンとの対のダイアグラムである。
図18は、C2234Cl結晶の計算および測定したXRPDダイアグラムを示す。
図19は、再結晶したCV-8972からの無水単結晶のPLM画像を示す。
図20は、ガラス線維の先端にマウントした再結晶したCV-8972からの無水単結晶の画像である。
図21は、C2232Cl結晶の非対称単位の熱振動楕円体ダイアグラムである。
図22は、C2232Cl結晶の一単位格子を示す。
図23は、C2232Cl結晶における、水素結合ネットワークおよび対イオンとの対のダイアグラムである。
図24は、C2234Cl結晶の計算および測定したXRPDダイアグラムを示す。
詳細な説明
最近特定された化合物CV-8972は、心血管状態、リウマチ性疾患、線維症およびがんを含めた、様々な状態を処置するための治療剤として有望である。IUPAC名ピリジン-3-カルボン酸2-[4-[(2,3,4-トリメトキシフェニル)メチル]ピペラジン-1-イル]エチルおよび以下の構造:
Figure 2023532330000010
を有するCV-8972は、身体内で、様々な方法でミトコンドリアのエネルギー生成を増大させる2組の生成物に代謝される。最初の反応では、この分子は、以下の構造:
Figure 2023532330000011
を有するCV-8814およびニコチン酸に開裂する。経時的に、CV-8814は、身体内でトリメタジジンに変換される。CV-8814およびトリメタジジンはどちらも、脂肪酸のベータ酸化を阻害し、したがって、一層の酸素効率の高いエネルギー源である、グルコースを酸化する方向に、ミトコンドリアの代謝をシフトさせる。ニコチン酸は、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)の合成の前駆体として働く。NADは、グルコースまたは脂肪酸のどちらが炭素源として使用されるかに関わらず、ミトコンドリア呼吸を促進して、ATP合成を推進する。したがって、in vivoにおいて、CV-8972の分解から生じる2組の生成物は、相乗的に作用して、心臓組織および他の細胞型において、ミトコンドリアでのエネルギー生成を刺激する。CV-8972およびその作用機序は、その内容が参照により本明細書に組み込まれている、米国特許第10,556,013号に記載されている。
米国特許第10,556,013号はまた、CV-8972の合成用のスキームを提供する。このスキームは、2,3,4-トリメトキシベンズアルデヒドおよび2-(ピペラジン-1-イル)エタン-1-オールの還元的アミノ化による、CV-8814の遊離塩基形態の形成を伴う。この以前の方法では、固体形態のCV-8814を単離することが困難なので、この反応の生成物は、次に、CV-8814の塩酸塩に変換される。しかし、CV-8814は、CV-8972を生成する、ニコチン酸とのエステル化反応において使用するため、変換してその遊離塩基形態に戻されなければならない。
本発明は、CV-8972の結晶が、複数の多形形態で存在することを認識する。1つの多形である形態Aは、周囲の温度および相対湿度の条件下で最も安定であり、したがって、医薬組成物の製造にとって、特定の利用性を有する。形態Aが安定性であるために、この多形を含む組成物は、治療効力を失うことなく、容易に保管されて、流通することができる。したがって、本発明は、結晶性CV-8972の多形を含有する組成物、このような組成物を作製する方法、および対象における様々な状態を処置するためにそれらを使用する方法を提供する。
CV-8972の多形
以下の実施例に記載されている通り、CV-8972の結晶は、少なくとも5種の多形形態:形態A、形態B、形態C、形態Dおよび形態Eで存在することができる。形態Aは、一水和物であり、形態B、DおよびEは、無水物である。形態Cは、精製形態で得られず、したがって、その水和状態を決定することができなかった。
結晶は、CV-8972の塩として形成され得る。例えば、結晶は、CV-8972の塩酸塩として形成され得る。
図1は、CV-8972の形態Dの多形の結晶構造の空間充填三次元モデルである。この多形は三塩酸塩であり、塩化物イオンは緑色で示されている。
図2は、室温における、CV-8972の形態Dの多形の結晶構造の空間充填三次元モデルである。この多形は三塩酸塩であり、塩化物イオンは緑色で示されている。
図3は、CV-8972の形態Aの多形の結晶構造の空間充填三次元モデルである。この多形は三塩酸塩であり、塩化物イオンは緑色で示されている。
医薬組成物
本発明は、CV-8972の多形の結晶を含む医薬組成物を提供する。例えば、本組成物は、形態A、形態B、形態C、形態Dまたは形態EのCV-8972結晶を含有することができる。本組成物は、1種または複数種の他の多形を実質的に含まなくてもよい。例えば、本組成物は、形態Aの多形を含むことができ、形態B、形態C、形態Dおよび形態Eの多形を実質的に含まなくてもよい。
CV-8972の多形を含有する組成物は、該組成物が、規定したレベルの純度で主要な多形を含有している場合、CV-8972の1種または複数種の他の多形形態を実質的に含まなくてもよい。純度は、CV-8972のより多くの多形のうちの2種の総重量の百分率としての、主要な多形の量として表すことができる。
ある特定の実施形態では、総重量とは、本組成物中のCV-8972のすべての多形の重量である。例えば、形態Aの多形を含有し、他の多形を実質的に含まない組成物は、本組成物中のCV-8972のすべての多形の規定される重量百分率で形態Aを含有することができる。例えば、本組成物は、本組成物中のCV-8972のすべての多形の、少なくとも95重量%、少なくとも96重量%、少なくとも97重量%、少なくとも98重量%、少なくとも99重量%、少なくとも99.5重量%、少なくとも99.6重量%、少なくとも99.7重量%、少なくとも99.8重量%または少なくとも99.9重量%で形態Aを含有することができる。
ある特定の実施形態では、総重量とは、本組成物中のCV-8972の選択した多形の重量である。例えば、形態Aの多形を含有し、形態Bの多形を実質的に含まない組成物は、形態AおよびBの規定される重量百分率で形態Aを含有することができる。例えば、本組成物は、本組成物中のCV-8972の形態AおよびBの、少なくとも95重量%、少なくとも96重量%、少なくとも97重量%、少なくとも98重量%、少なくとも99重量%、少なくとも99.5重量%、少なくとも99.6重量%、少なくとも99.7重量%、少なくとも99.8重量%または少なくとも99.9重量%で形態Aを含有することができる。同様に、形態Aの多形を含有し、形態BおよびCの多形を実質的に含まない組成物は、形態A、BおよびCの規定される重量百分率で形態Aを含有することができる。例えば、本組成物は、本組成物中のCV-8972の形態A、BおよびCの、少なくとも95重量%、少なくとも96重量%、少なくとも97重量%、少なくとも98重量%、少なくとも99重量%、少なくとも99.5重量%、少なくとも99.6重量%、少なくとも99.7重量%、少なくとも99.8重量%または少なくとも99.9重量%で形態Aを含有することができる。
代替としてまたはさらに、CV-8972の多形を含有する組成物は、該組成物が、規定したレベル未満のレベルで副次的な多形を含有している場合、CV-8972の1種または複数種の他の多形形態を実質的に含まなくてもよい。副次的な多形の存在は、CV-8972のより多くの多形のうちの2種の総重量の百分率としての、1種または複数種の副次的な多形の量として定義することができる。
ある特定の実施形態では、総重量とは、本組成物中のCV-8972のすべての多形の重量である。例えば、形態Aの多形を含有し、他の多形を実質的に含まない組成物は、本組成物中のCV-8972のすべての多形の規定される重量百分率で形態A以外のすべての多形を含有することがある。例えば、本組成物は、形態A以外のすべての多形を、該組成物中のCV-8972のすべての多形の5重量%未満、4重量%未満、3重量%未満、2重量%未満、1重量%未満、0.5重量%未満、0.4重量%未満、0.3重量%未満、0.2重量%未満または0.1重量%未満で含有することがある。
ある特定の実施形態では、総重量とは、本組成物中のCV-8972の選択した多形の重量である。例えば、形態Aの多形を含有し、形態Bの多形を実質的に含まない組成物は、形態AおよびBの規定される重量百分率で形態Bを含有することができる。例えば、本組成物は、形態Bを、該組成物中のCV-8972の形態AおよびBの5重量%未満、4重量%未満、3重量%未満、2重量%未満、1重量%未満、0.5重量%未満、0.4重量%未満、0.3重量%未満、0.2重量%未満または0.1重量%未満で含有することができる。同様に、形態Aの多形を含有し、形態Bおよび形態Cの多形を実質的に含まない組成物は、形態A、BおよびCの規定される重量百分率で形態BおよびCを含有することができる。例えば、本組成物は、形態BおよびCを、該組成物中のCV-8972の形態A、BおよびCの5重量%未満、4重量%未満、3重量%未満、2重量%未満、1重量%未満、0.5重量%未満、0.4重量%未満、0.3重量%未満、0.2重量%未満または0.1重量%未満で含有することができる。
本組成物は、CV-8972の多形の塩酸塩を含むことがある。本組成物は、CV-8972および塩化物イオンを規定の化学量論比で含むことができる。本組成物は、CV-8972および塩化物イオンを1:3の化学量論比で含むことができる。
本組成物は、CV-8972の水和形態を含むことができる。本組成物は、形態Aの多形などの、CV-8972の一水和物形態を含むことができる。本組成物は、形態B、形態Dまたは形態Eの多形などの、CV-8972の無水形態を含むことができる。
本組成物は、いずれの投与経路または投与形式向けに製剤化されてもよい。本組成物は、口内、皮膚、腸内、動脈内、筋肉内、眼内、静脈内、鼻腔内、経口、非経口、肺、直腸、皮下、局所または経皮投与向けに製剤化されてもよい。本組成物は、注射によって、または埋込式医療用装具(例えば、ステントまたは薬物溶出ステントもしくはバルーン等価物)を用いて、もしくはこの表面で投与するよう製剤化することができる。
本組成物は、単回単位投与量として製剤化されてもよい。本組成物は、分割投与量として製剤化されてもよい。
本組成物は、規定用量のCV-8972を含有することができる。この用量は、CV-8972を約10mg~約2000mg、約10mg~約1000mg、約10mg~約800mg、約10mg~約600mg、約10mg~約400mg、約10mg~約300mg、約10mg~約200mg、約25mg~約2000mg、約25mg~約1000mg、約25mg~約800mg、約25mg~約600mg、約25mg~約400mg、約25mg~約300mg、約25mg~約200mg、約50mg~約2000mg、約50mg~約1000mg、約50mg~約800mg、約50mg~約600mg、約50mg~約400mg、約50mg~約300mg、約50mg~約200mg、約100mg~約2000mg、約100mg~約1000mg、約100mg~約800mg、約100mg~約600mg、約100mg~約400mg、約100mg~約300mg、約100mg~約200mg、約200mg~約2000mg、約200mg~約1000mg、約200mg~約800mg、約200mg~約600mg、約200mg~約400mg、約200mg~約300mg、約300mg~約2000mg、約300mg~約1000mg、約300mg~約800mg、約300mg~約600mgまたは約300mg~約400mg含有することができる。この用量は、CV-8972を約10mg、約25mg、約50mg、約100mg、約200mg、約300mgまたは約400mg含有することができる。
CV-8972の多形を含有する医薬組成物は、錠剤、トローチ剤、ロゼンジ剤、迅速溶融剤、分散性散剤もしくは顆粒剤、またはカプセル剤などの、経口使用に好適な形態であってもよい。経口使用向けの組成物は、医薬組成物の製造について当分野において公知の任意の方法に準拠して調製することができ、このような組成物は、医薬として洗練され、かつ口当たりのよい調製物をもたらすために、甘味剤、着香剤、着色剤および保存剤から選択される、1種または複数種の作用剤を含有してもよい。錠剤は、非毒性の薬学的に許容される添加剤との混合物に多形を含有する。これらの添加剤は、例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウムまたはリン酸ナトリウムなどの不活性希釈剤;造粒剤および崩壊剤、例えば、トウモロコシデンプンまたはアルギン酸;結合剤、例えばデンプン、ゼラチンまたはアカシア、および滑沢剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、またはタルクとすることができる。医薬組成物の調製および投与は、それらのそれぞれの内容が参照により本明細書に組み込まれている、米国特許第6,214,841号および米国特許公開第2003/0232877号に議論されている。経口使用するための製剤はまた、硬質ゼラチンカプセルとして供給されてもよく、この場合、本化合物は、炭酸カルシウム、リン酸カルシウムまたはカオリンなどの不活性固体希釈剤と混合される。本製剤は、腸溶コーティング剤に本多形をカプセル封入することによって、胃腸管内でCV-8972の多形の制御放出を可能にすることができる。
分散性散剤および顆粒剤は、分散剤または湿潤剤、懸濁化剤、および1種または複数種の保存剤との混合物中で化合物を供給する。好適な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤が例示され、例えば、甘味剤、着香剤および着色剤も存在してもよい。
医薬組成物は、浸食性ポリマーを含む混合物を含有してもよく、上記の浸食性ポリマーが水性環境において該混合物の膨潤を促進する、組成物を提供する。浸食性ポリマーは、生理的に適切な時間枠内で、身体内部で分解する任意のポリマーである。浸食性ポリマーは、混合物からのCV-8972の多形の段階的な放出を促進する、他の特徴を有することができる。例えばおよび非限定的に、ポリマーは、以下:生体適合性、すなわち生存組織に有害ではないこと、親水性、吸湿性、ヒドロゲル形成傾向のうちの1つまたは複数とすることができる。
理論によって拘泥されることを望むものではないが、ポリマー含有混合物は、1つまたは複数の機構による段階的な放出を促進することができる。例えば、水分の吸収による混合物の膨潤は、混合物からのCV-8972の多形の拡散を促進することができる。ポリマーの分解はまた、CV-8972の多形が混合物から放出されることを可能にすることができる。混合物の内側と外側の間の化合物の濃度の高い勾配による浸透圧はまた、混合物からのCV-8972の多形の拡散に寄与することができる。
例えばおよび非限定的に、ポリマーは、セルロース誘導体、ゼラチン誘導体、例えば、架橋ゼラチン誘導体またはポリエステル誘導体であってもよい。
セルロースの誘導体は、直鎖β(1→4)連結したD-グルコース単位であり、各グルコース単位のヒドロキシル基の1つまたは複数に置換を含むポリマーを含む。置換基は、有機性であってもよく、または無機性であってもよく、エステル連結基またはエーテル連結基を介して、通常、結合している。セルロースエステル誘導体としては、カルボキシメチルセルロース(CMC)、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、エチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)およびメチルセルロースが挙げられる。セルロースエーテル誘導体としては、酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、プロピオン酸酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、硫酸セルロース、三酢酸セルロースおよびニトロセルロースが挙げられる。生分解性ヒドロゲルを形成するセルロースをベースとするポリマーの使用は、当分野で公知であり、例えば、その内容が参照により本明細書に組み込まれている、Sannino, et al., Biodegradable Cellulose-based Hydrogels: Design andApplications, Materials 2009, 2, 353-373; doi:10.3390/ma2020353に記載されている。
混合物は、複数のポリマー、または同じポリマーからなる複数のポリマー形態を含有してもよい。例えば、HPMCポリマー形態は、粘度、メトキシ置換度、ヒドロキシプロポキシル置換度または平均分子量を含めた、様々な物理特性が異なり得る。
HMPCポリマー形態の粘度は、溶液中のHMPCの濃度、および溶液の温度を含めた、標準条件下で試験することによって求めることができる。例えばおよび非限定的に、HPMC濃度は、1%、1.5%、2%、2.5%または3%とすることができる。例えばおよび非限定的に、溶液の温度は、15℃、16℃、17℃、18℃、19℃、20℃、21℃、22℃、23℃、24℃または25℃とすることができる。
HPMCなどのセルロース誘導体のポリマー形態は、規定粘度を有することができる。例えばおよび非限定的に、HPMCのポリマー形態は、20℃におけるポリマー形態の2%水溶液の場合、約2cP~約4cP、約4cP~約6cP、約5cP~約8cP、約12cP~約18cP、約40cP~約60cP、約80cP~約120cP、約300cP~約500cP、約1200cP~約2400cP、約2500cP~約5000cP、約9000cP~約18,000cP、約12,000cP~約24,000cP、約12,000cP~約24,000cP、約75,000cP~約150,000cP、少なくとも約2cP、少なくとも約4cP、少なくとも約5cP、少なくとも約12cP、少なくとも約40cP、少なくとも約80cP、少なくとも約300cP、少なくとも約1200cP、少なくとも約2500cP、少なくとも約9000cP、少なくとも約12,000cP、少なくとも約12,000cP、少なくとも約75,000cP、約4cP未満、約6cP未満、約8cP未満、約18cP未満、約60cP未満、約120cP未満、約500cP未満、約2400cP未満、約5000cP未満、約18,000cP未満、約24,000cP未満、約24,000cP未満または約150,000cP未満の粘度を有することができる。
HPMCなどのセルロース誘導体のポリマー形態は、グルコース単位の置換度が様々となり得る。置換度は、置換基の重量百分率として、またはグルコース単位に対する置換基のモル比として表すことができる。HPMCなどの、2つの異なる置換基を有するセルロース誘導体の場合、ポリマー形態は、各置換基に関する置換度によって記載されてもよい。
HPMCの各ポリマー形態は、規定のメトキシ置換度を独立して有することができる。例えばおよび非限定的に、メトキシ置換度は、約19%~約24%、約22%~約24%、約27%~約30%、約27%~約30%または約28%~約32%であってもよい。
HPMCの各ポリマー形態は、規定のヒドロキシプロポキシル置換度を独立して有することができる。例えばおよび非限定的に、ヒドロキシプロポキシル置換度は、約4%~約8%、約7%~約10%、約7%~約12%、約8%~約10%、約8%~約11%または約9%~約12%であってもよい。
HPMCの各ポリマー形態は、規定の平均分子量を独立して有することができる。平均分子量は、約10kDa、約13kDa、約20kDa、約26kDa、約41kDa、約63kDa、約86kDa、約110kDa、約120kDa、約140kDa、約180kDaまたは約220kDaとすることができる。
HPMCなどのポリマーの複数の形態が存在する場合、1種または複数のポリマー形態は、規定量で存在することができる。例えばおよび非限定的に、HPMCなどのポリマーは、1種のポリマー形態を、重量基準で、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%含有することができる。
医薬組成物は、CV-8972の1種または複数の多形を含む、調節放出製剤を含んでもよい。本製剤は、CV-8972の1種または複数の多形および1種または複数の浸食性ポリマーを含む混合物であって、1種または複数の浸食性ポリマーが、水性環境において該混合物の膨潤を促進する、混合物を含有する。ポリマーの吸湿特性および浸食特性のために、上記の混合物は、対象の消化管中でゆっくりと分解するヒドロゲルを形成することが可能である。したがって、上記の混合物は、血液循環へのCV-8972の多形およびその代謝産物の安定した放出を促進する。
混合物は、規定量のCV-8972の多形を含有することができる。混合物は、重量基準で、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%または少なくとも80%のCV-8972の多形を含有することができる。
混合物は、CV-8972の多形およびポリマーを規定の重量比で含有することができる。例えばおよび非限定的に、混合物は、CV-8972の多形およびポリマーを、約1:5、約1:4、約1:3、約1:2、約1:1、約3:2、約2:1、約3:1、約4:1、約5:1、約1:100~約100:1、約1:100~約50:1、約1:100~約20:1、約1:100~約10:1、約1:100~約5:1、約1:100~約2:1、約1:50~約100:1、約1:50~約50:1、約1:50~約20:1、約1:50~約10:1、約1:50~約5:1、約1:50~約2:1、約1:20~約100:1、約1:20~約50:1、約1:20~約20:1、約1:20~約10:1、約1:20~約5:1、約1:20~約2:1、約1:10~約100:1、約1:10~約50:1、約1:10~約20:1、約1:10~約10:1、約1:10~約5:1、約1:10~約2:1、約1:5~約100:1、約1:5~約50:1、約1:5~約20:1、約1:5~約10:1、約1:5~約5:1、約1:5~約2:1、約1:3~約100:1、約1:3~約50:1、約1:3~約20:1、約1:3~約10:1、約1:3~約5:1または約1:3~約2:1の重量比で含有することができる。
本医薬組成物は、特定の投与経路向けに製剤化され得る。本医薬品は、経口、経腸、静脈内または直腸投与向けに製剤化され得る。
本医薬組成物は、規定量のCV-8972の多形を含有する単位投与量として製剤化されてもよい。単位投与量は、約5mg、約10mg、約20mg、約50mg、約100mg、約200mg、約500mg、約5mg~約10mg、約5mg~約20mg、約5mg~約50mg、約5mg~約100mg、約5mg~約200mg、約5mg~約500mg、約10mg~約20mg、約10mg~約50mg、約10mg~約100mg、約10mg~約200mg、約10mg~約500mg、約20mg~約50mg、約20mg~約100mg、約20mg~約200mg、約20mg~約500mg、約50mg~約100mg、約50mg~約200mg、約50mg~約500mg、約100mg~約200mg、約100mg~約500mgまたは約200mg~約500mgのCV-8972の多形を含有することができる。
本医薬組成物は、本発明の方法に関して以下に記載されている、1つまたは複数のパラメーターに関して、規定値を生じるよう製剤化され得る。例えばおよび非限定的に、パラメーターは、Cmax、投与とCmaxの達成との間の間隔、T1/2またはAUCとすることができる。
本発明の医薬組成物は、賦形剤を含有してもよい。例えばおよび非限定的に、本組成物は、甘味剤、着香剤、着色剤または保存剤を含んでもよい。本組成物は、マンニトール、デンプンおよびステアリン酸マグネシウムのうちの1つまたは複数を含有してもよい。
CV-8972の多形の対象への投与
本発明は、CV-8972の多形を投与することによる、対象における状態を処置する方法を提供する。多形は、形態A、形態B、形態C、形態Dまたは形態Eとすることができる。CV-8972の多形は、上記の医薬組成物中で提供されてもよい。本方法のある特定の実施形態では、形態Aの多形しか提供されない。
CV-8972の多形は、いずれかの好適な投与経路または投与形式によって投与され得る。例えばおよび非限定的に、CV-8972の多形は、口内、皮膚、腸内、動脈内、経筋肉、眼内、静脈内、鼻腔内、経口、非経口、肺内、直腸内、皮下、局所的、経皮的に、注射によって、または埋込式医療用装具(例えば、ステントまたは薬物溶出ステントもしくはバルーン等価物)を用いて、もしくはこの表面に投与されてもよい。
CV-8972の多形は、投与レジメンに準拠して提供されてもよい。投与レジメンは、投与量、投与頻度または両方を含むことができる。
用量は、任意の好適な間隔で投与されてもよい。例えばおよび非限定的に、用量は、1日1回、1日2回、1日3回、1日4回、1日5回、1日6回、1日8回、48時間ごとに1回、36時間ごとに1回、24時間ごとに1回、12時間ごとに1回、8時間ごとに1回、6時間ごとに1回、4時間ごとに1回、3時間ごとに1回、2日ごとに1回、3日ごとに1回、4日ごとに1回、5日ごとに1回、毎週1回、毎週2回、毎週3回、毎週4回または毎週5回で投与されてもよい。
用量は、CV-8972の多形を含有する医薬組成物に関して上で記載された用量のいずれかなどの、心臓ミトコンドリア機能を改善するCV-8972の規定量を含有することができる。
用量は、単回投与量で投与されてもよく、すなわち、用量は、単一錠剤、カプセル剤、丸剤などとして投与されてもよい。代替的に、用量は、分割投与量で投与されてもよく、すなわち、用量は、複数の錠剤、カプセル剤、丸剤などとして投与されてもよい。
投与は、規定期間の間、継続されてもよい。例えばおよび非限定的に、用量は、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも6週間、少なくとも8週間、少なくとも10週間、少なくとも12週間またはそれより長い間、投与されてもよい。
対象は、ヒトとすることができる。対象は、心血管状態、リウマチ性状態、線維症またはがんを有するヒトとすることができる。対象は、心血管状態、リウマチ性状態、線維症またはがんを発症するリスクにあるヒトとすることができる。対象が、ある状態の診断に関する確立された基準を満たさないが、1つもしくは複数の症状、マーカー、または対象が、将来にその状態に関する診断基準を満たす可能性が高いことを示す他の因子を有する場合、その対象は、その状態を発症するリスクにあり得る。対象は、小児、新生児(newborn)、新生児(neonate)、幼児、子供、青年、プレティーン、ティーンエイジャー、成人または高齢対象とすることができる。対象は、救命救急ケア、集中ケア、新生児集中ケア、小児集中ケア、冠疾患ケア、心胸郭ケア、外科手術集中ケア、医療集中ケア、長期集中ケア、手術室、救急車、野戦病院または院外フィールド設定にいることができる。
CV-8972の多形により処置され得る状態
本発明は、CV-8972の多形を投与することによる、対象におけるある状態を処置する方法を提供する。状態は、ミトコンドリアのエネルギー生成の増大が治療利益をもたらす、任意の疾患、障害または状態とすることができる。
状態は、心臓状態であってもよい。例えば、これらに限定されないが、心臓状態は、動脈瘤、狭心症、アテローム性動脈硬化、心筋症、脳血管疾患、先天性心疾患、冠動脈疾患(CAD)、冠状動脈性心疾患、糖尿病性心筋症、心臓発作、心臓疾患、心不全、高血圧(高血圧症)、虚血性心疾患、心膜疾患、末梢動脈疾患、難治性狭心症、リウマチ性心疾患、安定狭心症、脳卒中、一過性脳虚血発作、不安定狭心症または心臓弁膜症であってもよい。
狭心症(angina pectoris)(狭心症(angina))は、通常、心臓筋肉への血流が不十分であることが理由である、胸痛または圧力である。疼痛または不快感は、胸骨後部または左側にあり、左腕、首、顎または背中の方向に広がることがある。狭心症のいくつかの分類が公知である。
労作性狭心症とも呼ばれる安定狭心症は、心筋虚血症に関連する。安定狭心症では、胸部不快感および関連症状は、ランニングまたはウォーキングなどの、ある身体活動が、通常、引き金となるが、患者が休むか、または舌下ニトログリセリンを服用すると、症状は最小限になるか、または消える。症状は、通常、活動後、数分間で弱まり、活動を再開すると再発する。症状はまた、寒い天候、胃にもたれる食事、および情動性ストレスによって誘発されることもある。
不安定狭心症は、変化または悪化する狭心症である。不安定狭心症は、以下の特徴:(1)休息時に、または最小限の労作で起こり、通常、10分を超えて続く、(2)重度であり、新たに、すなわち過去4~6週間以内に発症する、および(3)クレッシェンドパターンで、つまり、以前よりも明らかに重症で、長くまたは頻繁に発生する、のうちの少なくとも1つを有する。
微小血管性狭心症とも呼ばれる心臓シンドロームXは、血管造影時の正常な心外膜冠動脈の状況では、狭心症の様な胸部痛である。その一次原因は、未知であるが、明らかに関与している因子は、内皮機能不全であり、心臓のわずかな抵抗血管における流れを低下させることである。微小血管性狭心症は、虚血性心疾患の病態生理学の一部であり得る。
難治性狭心症は、狭心症が、(1)冠動脈疾患(CAD)の状況で起こる、(2)最適医療的治療、血管形成術またはバイパス手術を組み合わせることにより制御することができない、および(3)可逆的な心筋虚血症が症状の原因であることが臨床的に確立されている慢性状態(≧3か月の期間)である。
CV-8972の多形を投与することにより、対象における心臓効率が改善され得る。心臓効率の様々な定義が、医療文献に存在する。例えば、参照により本明細書に組み込まれている、Schipke, J.D. Cardiac efficiency, Basic Res. Cardiol. 89:207-40(1994); and Gibbs, C.L. and Barclay, C.J. Cardiac efficiency, Cardiovasc. Res.30:627-634 (1995)を参照されたい。心臓の機械的な効率の定義の1つは、左心室による心臓のエネルギー消費に対する外部への心拍出力の比である。参照により本明細書に組み込まれている、LopaschukG.D., et al., Myocardial Fatty Acid Metabolism in Health and Disease, Phys.Rev. 90:207-258 (2010)を参照されたい。別の定義は、1回心仕事量と酸素消費との間の比であり、これは、正常なヒト心臓では、20~25%の範囲である。参照により本明細書に組み込まれている、Visser,F., Measuring cardiac efficiency: is it useful? Hear Metab. 39:3-4 (2008)。別の定義は、1回排出量と平均動脈圧との比である。心臓効率のいずれの好適な定義も、本発明の化合物の効果を測定するために使用することができる。
CV-8972の多形は、リウマチ性疾患、障害または状態を処置するために使用されてもよい。本明細書において使用する場合、リウマチ性疾患、障害または状態は、関節、腱、靱帯、骨、筋肉もしくは結合組織に作用する任意の状態であるか、またはこのような組織の1つもしくは複数における疼痛を伴う。リウマチ性疾患、障害または状態は、主に、関節、腱、靱帯、骨、筋肉または結合組織に作用し得る。このような状態の例には、強直性脊椎炎、自己免疫関連肺疾患、ベーチェット病、滑液包炎、慢性疲労症候群、皮膚筋炎、線維筋痛症、痛風、湾岸戦争症候群、感染性関節炎、炎症性関節炎、炎症性眼疾患、炎症性筋炎、若年性特発性関節炎、ループス、筋膜性疼痛症候群、骨関節炎、顎の骨壊死、骨粗鬆症、リウマチ性多発筋痛症、多発筋炎、乾癬性関節炎、関節リウマチ、サルコイドーシス、強皮症、シェーグレン症候群、腱炎および脈管炎が挙げられる。
リウマチ性疾患、障害または状態は、主に、心血管系に作用し、関節、腱、靱帯、骨、筋肉または結合組織に二次的作用を有することがある。例えばおよび非限定的に、その状態は、アルコール性心筋症、動脈瘤、狭心症(難治性狭心症、および心不全の状況での狭心症を含む)、アテローム性動脈硬化、心筋線維症、心筋症、脳血管疾患、跛行(例えば、末梢跛行)先天性心疾患、冠動脈疾患、冠状動脈性心疾患、チアノーゼ性心疾患、糖尿病性心筋症、拡張型心筋症、心臓発作、心不全、高血圧(高血圧症)、肥大性心筋症、虚血性心筋症、虚血性心疾患、左心室機能不全、心膜疾患、末梢動脈疾患、リウマチ性心疾患、脳卒中、一過性脳虚血発作または心臓弁膜症とすることができる。
リウマチ性疾患、障害または状態は、稀な筋疾患であることがある。例えばおよび非限定的に、この状態は、CAV3関連性遠位型ミオパチー、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、肥大性心筋症、孤立性高CK血症、肢帯型筋ジストロフィー1C、筋ミオパチー、筋炎または波紋筋病(rippling muscle disease)とすることができる。稀な筋疾患は、BICD2、CAV3またはDMDにおける変異に関連することがある。
リウマチ性疾患、障害または状態は、糖原病であることがある。例えばおよび非限定的に、糖原病は、アルドラーゼA欠乏症、アンデルセン病、コリ病、ファンコニ-ビッケル症候群、ハース病、ラフォラ病、マッカードル病、ポンペ病、垂井病またはフォンギールケ病とすることができる。糖原病は、酸アルファ-グルコシダーゼ、アルドラーゼA、β-エノラーゼ、グルコーストランスポーター、グルコース-6-ホスファターゼ、グリコーゲン分岐酵素、グリコーゲン脱分岐酵素、グリコーゲンシンターゼ、グリコゲニン-1、肝臓グリコーゲンホスホリラーゼ、筋グリコーゲンホスホリラーゼ、筋肉乳酸デヒドロゲナーゼ、筋肉ホスホフルクトキナーゼ、筋肉ホスホグリセリン酸ムターゼ、ホスホグリセリン酸ムターゼまたはホスホリラーゼキナーゼなどの、酵素またはタンパク質の欠乏に関連し得る。糖原病は、AGL、ALDOA、ENO3、G6PC、GAA、GBE1、GLUT2、GYG1、GYS2、LDHA、PGAM2、PGAM2、PHKA1、PHKA2、PHKB、PHKG2、PKFM、PYGL、PYGMまたはSLC37A4などの遺伝子における変異に関連し得る。
リウマチ性疾患、障害または状態は、急性腎臓損傷、悪液質、化学療法誘発性腎障害、造影剤腎障害、不平衡、虚弱、肺動脈性高血圧症、肺線維症、サルコペニア、耳鳴または目眩などの、関節、腱、靱帯、骨、筋肉または結合組織に作用する別の状態のことがある。
CV-8972の多形は、線維症、または線維症に関連する疾患、障害もしくは状態を処置するために使用されてもよい。特に、本方法は、臓器または組織における線維症が、その臓器または組織によるエネルギー生成の低下に関連する、疾患、障害または状態を処置するのに有用である。線維症は、心臓、肺、肝臓、脳、心血管系、関節、胃腸管系、四肢、指、皮膚、骨髄または陰茎などの、任意の臓器または組織に作用し得る。
線維症は、別の状態に関連していることがあり、例えば、別の状態に続発することがあるか、または他の状態に至ることがある。例えばおよび非限定的に、線維症は、癒着性関節包炎、動脈瘤、狭心症、動脈硬化、関節線維症、アテローム性動脈硬化、心房線維症、心筋症、脳血管疾患、肝硬変、先天性心疾患、冠動脈疾患、冠状動脈性心疾患、クローン病、嚢胞性線維症、糖尿病性心筋症、デュピュイトラン拘縮、心内膜心筋線維症、グリア性瘢痕、心臓発作、心不全、高血圧(高血圧症)、特発性肺線維症、虚血性心疾患、ケロイド、縦隔線維症、骨髄線維症、腎性全身性線維症、陳旧性心筋梗塞、心膜疾患、末梢動脈疾患、ペーロニー病、進行性塊状線維症、肺線維症、放射線照射誘発性肺損傷、後腹膜線維症、リウマチ性心疾患、強皮症、脳卒中、全身性硬化症、一過性脳虚血発作または心臓弁膜症を含むことができるか、またはこれらに関連していることがある。
CV-8972の多形は、がんを処置するために使用されてもよい。例えばおよび非限定的に、がんは、膀胱がん、脳がん、乳がん、癌腫、子宮頚がん、結腸がん、大腸がん、胃がん、膠芽腫、神経膠腫、頭頸部がん、腎臓がん、白血病、脂肪肉腫、肝臓がん、肺がん、リンパ腫、髄質芽腫、黒色腫、筋肉がん、神経芽細胞腫、乏突起星状細胞腫、乏突起神経膠腫、骨肉腫、卵巣がん、膵臓がん、傍神経節腫、前立腺がん、肉腫または甲状腺がんであってもよい。
CV-8972の合成
本発明はまた、還元的アミノ化反応における生成物として形成されるCV-8814の遊離塩基形態が、エステル化反応における基質として直接、使用することができる、CV-8972の合成スキームを提供する。本発明は、CV-8814の遊離塩基の安定性を改善し、遊離塩基形態を結晶化させることが可能な条件の特定に一部、基づく。したがって、本明細書において提供されるスキームにより、CV-8814をその遊離塩基形態からHCl塩に変換し、次に、遊離塩基形態に戻す必要がなくなる。したがって、本発明は、CV-8972の作製に、一層、簡単で、一層、素早く、かつ一層高い収率の方法を提供する。
本発明は、式(X)の化合物:
Figure 2023532330000012
を調製する方法であって、
2,3,4-トリメトキシベンズアルデヒドおよび2-(ピペラジン-1-イル)エタン-1-オールを反応させて、式(IX)の化合物:
Figure 2023532330000013
の遊離塩基形態を生成するステップ、ならびに
式(IX)の化合物の遊離塩基形態をニコチン酸と反応させて、式(X)の化合物を生成するステップ
を行うことによってなされ、
本方法は、式(IX)の化合物の塩形態を生成することを含まない、方法を提供する。
2,3,4-トリメトキシベンズアルデヒドは、以下の構造:
Figure 2023532330000014
を有する。
2-(ピペラジン-1-イル)エタン-1-オールは、以下の構造:
Figure 2023532330000015
を有する。
ニコチン酸は、以下の構造:
Figure 2023532330000016
を有する。
2,3,4-トリメトキシベンズアルデヒドおよび2-(ピペラジン-1-イル)エタン-1-オールを反応させるステップは、溶媒、触媒または他の化学物質のうちの1種または複数種を含むことができる。2,3,4-トリメトキシベンズアルデヒドおよび2-(ピペラジン-1-イル)エタン-1-オールを反応させるステップは、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム、酢酸および2-メチルテトラヒドロフランのうちの1種または複数種を含むことができる。
2,3,4-トリメトキシベンズアルデヒドおよび2-(ピペラジン-1-イル)エタン-1-オールを反応させるステップは、規定温度で行うことができる。2,3,4-トリメトキシベンズアルデヒドおよび2-(ピペラジン-1-イル)エタン-1-オールを反応させるステップは、約10℃~約30℃、約15℃~約30℃、約20℃~約30℃、約25℃~約30℃、約10℃~約25℃、約15℃~約25℃、約20℃~約25℃、約10℃~約20℃または約15℃~約20℃で行うことができる。
2,3,4-トリメトキシベンズアルデヒドおよび2-(ピペラジン-1-イル)エタン-1-オールを反応させるステップは、特定の溶媒、触媒または他の化学物質を含まなくてもよい。2,3,4-トリメトキシベンズアルデヒドおよび2-(ピペラジン-1-イル)エタン-1-オールを反応させるステップは、ジクロロメタンを含まなくてもよい。
式(IX)の化合物の遊離塩基形態をニコチン酸と反応させるステップは、式(X)の化合物の遊離塩基形態を生成することができる。
式(IX)の化合物の遊離塩基形態をニコチン酸と反応させるステップは、溶媒、触媒もしくは他の化学物質のうちの1種または複数種を含むことができる。式(IX)の化合物の遊離塩基形態をニコチン酸と反応させるステップは、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、4-(ジメチルアミノ)ピリジンおよびジクロロメタンのうちの1つまたは複数を含むことができる。
式(IX)の化合物の遊離塩基形態をニコチン酸と反応させるステップは、規定温度で行うことができる。式(IX)の化合物の遊離塩基形態をニコチン酸と反応させるステップは、約15℃~約30℃、約20℃~約30℃、約25℃~約30℃、約15℃~約25℃、約20℃~約25℃または約15℃~約20℃で行うことができる。
本方法は、式(X)の化合物の遊離塩基形態を式(X)の化合物の塩形態に変換するステップを含むことができる。式(X)の化合物の塩形態は、HCl塩であってもよい。式(X)の化合物の塩形態は、一水和物であってもよい。
式(X)の化合物の遊離塩基形態を式(X)の化合物の塩形態に変換するステップは、溶媒、触媒もしくは他の化学物質のうちの1種または複数種を含むことができる。式(X)の化合物の遊離塩基形態を式(X)の化合物の塩形態に変換するステップは、HClおよびメチルエチルケトンのうちの1種または複数種を含むことができる。
式(X)の化合物の遊離塩基形態を式(X)の化合物の塩形態に変換するステップは、規定温度で行うことができる。式(X)の化合物の遊離塩基形態を式(X)の化合物の塩形態に変換するステップは、約40℃~約60℃、約45℃~約60℃、約50℃~約60℃、約55℃~約60℃、約40℃~約55℃、約45℃~約55℃、約50℃~約55℃、約40℃~約50℃、約45℃~約50℃、約40℃~約50℃、約40℃、約45℃、約50℃、約55℃または約60℃で行うことができる。
式(X)の化合物は、少なくとも5種の結晶形態:形態A、形態B、形態C、形態Dおよび形態Eで存在し得る。形態Aは、一水和物であり、形態B、DおよびEは、無水物である。本方法は、式(X)の化合物を第1の結晶形態から第2の結晶形態に変換するステップを含むことができる。第1および第2の結晶形態はそれぞれ、独立して、形態A、形態B、形態C、形態Dまたは形態Eとすることができる。本方法は、式(X)の化合物の、無水形態から水和形態への変換、水和形態から無水形態への変換、1つの無水形態から別の無水形態への変換、および1つの水和形態から別の水和形態への変換のうちの1つまたは複数の変換を含むことができる。
式(X)の化合物の塩形態を第1の結晶形態から第2の結晶形態に変換するステップは、式(X)の化合物の塩形態の溶媒を変更するステップ、および式(X)の化合物の塩形態を約60℃で温置するステップのうちの1つまたは複数を含んでもよい。
本方法は、溶媒、触媒または他の化学物質のうちの1種または複数種を使用しないで行われてもよい。本方法は、ジオキサン、酢酸エチルまたは炭酸カリウムのうちの1種または複数種を使用しないで行われてもよい。
本方法は、式(IX)の化合物の遊離塩基形態を精製するステップを含むことができる。本方法は、式(IX)の化合物の遊離塩基形態を結晶化させるステップを含むことができる。
(実施例1)
要約
式(X)の構造を有する、CV-8972の包括的な多形スクリーニングに着手した。出発原料のCV-8972を、X線粉末回折(XRPD)、熱重量分析(TGA)、示差走査熱量測定(DSC)、動的水蒸気収着(DVS)および偏光光学顕微鏡検査(PLM)によって特徴付けた。データは、この物質が、結晶性の性質であり、形態AのXRPDパターンと類似したXRPDパターンを有することを示した。形態Aから始めて、蒸気拡散、ゆっくりとした溶媒蒸発および冷却結晶化という方法を使用して、34種の条件下で多形/単結晶スクリーニング実験を設定した。5種の特有のXRPDパターンが観察され、これらは、形態A、形態B、形態A+C、形態Dおよび形態Eを含む。形態Aは、単結晶構造によって確認される、一水和物形態である。形態Dは無水であり、単結晶構造によってやはり確認された。形態Eは、約90℃において、形態Aの脱水により生成する無水形態である。形態Bは、個別の検討から公知の無水物である。形態Cは、本検討の間に、純粋な形態では得られず、むしろ、形態A+Cの混合物として現れた。水活性分析により、形態Eは、試験したすべての条件下で、形態Aに変換することが示された。さらに、形態Eは、周囲の温度および湿度に曝露されると、形態Aに一部が変換されることが示された。さらに、無水形態DおよびEの両方の間でのスラリー競合に起因する結果により、本実験の間、両方の形態が形態Aに変換することがやはり示された。これらの結果は、形態Aが、周囲の温度および湿度において、最も安定な形態であることを示唆する。
形態Aの特徴付け
CV-8972の出発原料を、X線粉末回折(XRPD)、熱重量分析(TGA)、示差走査熱量測定(DSC)および偏光光学顕微鏡検査(PLM)を使用して特徴付けた。
図4は、出発原料CV-8972のXRPDディフラクトグラムである。XRPD結果は、出発原料の結晶性が高いことを示唆した。出発原料と以前に公知である多形のXRPDの比較は、これが形態Aであることを示した。
図5は、出発原料CV-8972のTGAおよびDSCサーモグラムを示す。TGAサーモグラムは、緑色で示されており、DSCサーモグラムは、青色で示されている。TGAおよびDSCデータによって示される通り、約3.46%の重量減少が、分解前の150℃までに観測された。DSCは、85.3℃においてわずかな吸熱(ピーク)、および214.6℃において恐らく融解の吸熱(開始)、次いで、分解を示し、融点が131.7℃(ピーク)に観測された。
図6は、CV-8972の様々な形態のXRPDディフラクトグラムを示す。出発原料であるCV-8972を青色で示し、90℃で8時間、温置した後のCV-8972を赤色で示し、真空中、65℃で2時間、温置した後のCV-8972を紫色で示す。85.3℃におけるわずかなDSC吸熱が、多形の相転移に相当するか脱水に相当するかを見極めるために、90℃のオーブン中で8時間、CV-8972を保管した後の形態Aに対してXRPDを行った。データは、形態Aが形態Eに変換することを示した。
図7は、出発原料CV-8972の偏光顕微鏡画像である。結晶は、非常に板状の「雲母様」形態であることが、PLMによって観察された。
図8は、動的水蒸気収着等温プロットである。収着サイクルを赤色で示し、サイクル1の脱着を青色で示し、サイクル2の収着を緑色で示す。DVS結果により、CV-8972の水分取り込みが25℃および80%相対湿度(RH)において<0.2%であることが示され、出発原料が非吸湿性であることが示された。しかし、RH80%を超えると、質量変化が顕著に増大し、このことは、潮解である可能性があることを示すものである。
図9は、動的水蒸気収着前およびその後の、CV-8972のXRPDディフラクトグラムを示す。DVS前データを赤色で示し、DVS後データを青色で示す。DVS後の試料のXRPDは、弱い結晶ピークを示したが、出発原料にほとんど類似した。
図10は、CV-8972の、その無水形態および再水和形態の、XRPDディフラクトグラムを示す。出発原料からのデータを青色で示し、真空オーブン中で2時間、温置した後のデータを赤色で示し、周囲相対湿度に曝露した加熱後の物質からのデータを緑色で示す。無水状態の形態Aをモニタリングするため、65℃の真空オーブン中で2時間、置き、その後に、そのXRPD分析を行った。XRPDの結果は、このプロセスにより、この物質の新規な無水形態が生成することを示しており、形態Eと帰属した。周囲RHに曝露する場合の形態Eの再水和は、形態Aへの部分変換をもたらした。
X線粉末回折データは、非常に優先的な配向に起因して、解釈が困難であり、これによって、1つの試料調製物から次の調製物までのピーク強度の大きな変動がもたらされる。この影響を最小化するために、単結晶X線回折を使用して、結晶学的構造を取得し、優先配向が存在しない理想的な試料において観察されるはずであるX線粉末回折を計算した。
多形/単結晶スクリーニング
形態Aから始めて、スラリー変換、液体蒸気拡散、ゆっくりとした溶媒蒸発およびゆっくりとした冷却という方法を使用して、34種の条件下で多形スクリーニング実験を設定した。出発原料の溶解度の概数を室温(RT)で求めた。ほぼ2mgの重量の正確に秤量した試料を、3mLのガラス製バイアルに加えた。次に、このバイアルに、固体が溶解するまで、または全量が1mLに到達するまで、溶媒を段階的(50/50/200/700μL)に加えた。様々な溶媒中での出発原料の溶解度を表1に示す。
Figure 2023532330000017
Figure 2023532330000018
多形スクリーニングにおける溶媒選択を導くために溶解度分析からの結果を使用した。多形スクリーニング実験を、様々な結晶化または固体遷移方法を使用して行った。多形スクリーニング実験を表2に要約する。
Figure 2023532330000019
図11は、CV-8972の様々な多形のXRPDディフラクトグラムを示す。形態Aが青色で示されており、形態Bが緑色で示されており、形態Aと形態Cの混合物はネイビー色で示されており、形態Dは、オレンジ色で示されており、形態Eは、紫色で示されている。
CV-8972の様々な結晶形態が、表3に要約されている。
Figure 2023532330000020
*これらの形態の単結晶構造が入手可能であり、別の報告として提示する。
#別の報告から得られた情報
液体蒸気拡散実験を、様々な溶媒条件で行った。ほぼ15~25mgの出発原料を、3mLのバイアル中で、適切な溶媒に溶解して、濁りのない溶液を得た。次に、この溶液を、3mLの揮発性溶媒を含む20mLのバイアルに入れた。20mLのバイアルをキャップで密封し、室温に維持し、有機物の蒸気が溶液と十分な時間、相互作用することを可能にした。沈殿物をXRPD分析のために単離した。表4に液体蒸気拡散実験の結果を要約する。
Figure 2023532330000021
Figure 2023532330000022
ゆっくりとした溶媒蒸発実験を様々な条件下で行った。手短に述べると、様々な溶媒中で調製した出発原料の飽和溶液をHPLC用バイアルに加えた。この目視で濁りのない溶液を5~10個のピンホールを有するParafilm(登録商標)によって覆い、室温において溶媒蒸発を施した。固体をXRPD分析のために単離した。表5にゆっくりとした溶媒蒸発実験からの結果を要約する。
Figure 2023532330000023
2種の異なる溶媒系でゆっくりとした冷却実験を行った。約10~15mgの出発原料を2mLのガラス製バイアル中、適切な溶媒に室温で懸濁させた。この懸濁液を、次に、50℃まで加熱し、約2時間、平衡にして、ナイロン膜(細孔サイズ0.22μm)を使用してろ過した。各ろ液を5℃まで0.1℃/分の速度でゆっくりと冷却した。表6にゆっくりとした冷却実験からの結果を要約する。
Figure 2023532330000024
スラリー変換実験を、様々な溶媒系中、室温で行った。ほぼ20mgの出発原料をHPLC用バイアル中、0.1mLの溶媒に懸濁させた。懸濁液を室温で48時間、磁気により撹拌した後、残留固体をXRPD分析のために単離した。表7にスラリー変換実験からの結果を要約する。
Figure 2023532330000025
結論
形態Aは、その形態の挙動を理解するための特徴付けに成功した。34種の異なる条件における包括的な多形スクリーニングを行った。形態A、形態B、形態A+Cの混合物、形態Dおよび形態Eを含めたCV-8972の5種の多形をスクリーニングの間に特定した。形態DおよびEは無水であり、形態Aは一水和物であり、形態Bは未知の化学量論を有する水和物である。形態Cの相の起源は、純粋な形態で得られなかったので、不明である。これは常に、形態Aとの混合物として結晶化した。多形スクリーニングに基づくと、CV-8972は、複数の多形を形成する傾向を有することは明白である。現在の検討により、形態Aが、CV-8972の開発に最良の形態であること、および安定な一水和物形態であること、ならびに周囲の温度および湿度の条件下で、最も安定な形態であると結論付けられた。
機器および方法
形態Aを分析して、他の多形をスクリーニングするために出発原料を使用した。
XRPDを、SiゼロバックグラウンドホルダーでPanalytical X’Pert3 Powder XRPDを用いて行った。2θの位置を、Panalytical Si参照標準ディスクに対して較正した。XPRDに使用した機器パラメーターを、表8に一覧表示する。
Figure 2023532330000026
TGAデータを、TA Instrument社製のTA Discovery550 TGAを使用して収集した。DSCを、TA Instrument社製のTA Q2000 DSCを使用して行った。DSCをインジウム参照標準品で較正し、ニッケル参照標準品を使用してTGAを較正した。TGAおよびDSCに使用した詳細なパラメーターを表9に一覧表示する。
Figure 2023532330000027
偏光顕微鏡(PLM)写真を、室温で、Nikon DS-Fi2正立顕微鏡で捕捉した。粘度の低い顕微鏡用浸漬オイル(Resolve(登録商標))を使用して、粉末結晶を分散させた。
(実施例2)
要約
CV-8972の結晶構造を決定するために、一水和物単結晶を成長させて、好適な単結晶を、199Kにおける全結晶X線回折(SCXRD)データの収集に使用した。R値0.0303(I>2σ(I))を有する結晶構造が得られた。その構造は、この結晶形態が、一水和物三HCl塩であることを示した。
結晶成長およびSCXRD調製
ゆっくりとした冷却により、C2234Cl(CV-8972)の単結晶を得た。163.2mgの出発原料を2mLガラス製バイアルに秤量し、0.100mLの水を加えて、50℃で固体を溶解し、次に、この溶液を収穫するまで、12時間かけて10℃までゆっくりと冷却した。
図12は、C2234Cl(CV-8972)の単結晶の回分のPLM画像である。棒は100μmを表す。
図13は、単結晶回折計に使用した結晶のPLM画像を示す。棒は100μmを表す。太い針状晶を選別し、200×160×100μmの一様なブロックのサイズまで切りそろえて小さくした。この試料を低粘度クライオオイル(MiTeGen LV CryoOil(商標))を用いて100mm MiTeGen MicroLoop(商標)にマウントした。
図14は、回折計の100マイクロMitegenループにマウントした結晶の画像を示す。
単結晶構造の決定
合計で9576個のフレームを、Bruker Apex3 v2018-7.2を使用して収集した。全曝露時間は、18時間とした(曝露時間は、2θに基づいて調節した)。ナローフレームアルゴリズムを使用するBruker SAINTソフトウェアパッケージで、フレームを積分した。斜方晶単位格子を使用するデータの積分により、81.01°(0.78Åの分解能)の最大θ角まで、合計で157237個の反射が得られ、このうちの5641個が、独立しており(平均多重度27.874、完全性=99.8%、Rint=4.41%、Rsig=1.34%)、5388個(95.51%)が、2σ(F)より大きかった。a=7.8826(2)Å、b=12.4776(3)Å、c=52.3580(13)Å、体積=5149.7(2)Åとなる、最終セル定数は、11.75°<2θ<100.6°を有する20σ(I)を超える1406個の反射のXYZ重心の精密化に基づく。データを、マルチスキャン法(SADABS)を使用して、吸収効果について補正した。見かけ透過率の最小対最大値の比は、0.788であった。計算した透過係数の最小値および最大値(結晶サイズに基づく)は、0.5340および0.7160である。
この構造を解き、式単位C2234Clの場合、Z=8で、斜方晶空間群Pbcaを使用する、Olex2組み込みSHELXTLソフトウェアパッケージを使用して精密化した。非対称単位の1つは、1つの全API分子を含有する。330個の変数(抑制は0個)を使用したFに基づく最終的な異方性全行列最小二乗精密化は、観測データの場合、R=3.03%で、およびすべてのデータの場合、wR2=7.98%で収束した。適合度は1.041であった。最終差分電子密度合成の最大ピークは、0.358e-/Å3(Clから0.81Å)であり、最大のホールは、-0.438e-/Å3(Clから0.66Å)であった。水素の位置および熱振動楕円体の大部分を、騎乗モデルとして取り扱った(AFIX23、AFIX43およびAFIX137を使用)。しかし、水素結合および塩形成に関与する重要な水素原子を、いかなる拘束もなしに、自由に精密化した。最終モデルに基づくと、計算した密度は、1.400g/cmおよびF(000)、2288e-であった。表10に、C2234Cl結晶の結晶学的パラメーターを要約する。
Figure 2023532330000028
Figure 2023532330000029
図15は、C2234Cl結晶の非対称単位のOrtepダイアグラムである。C2234Cl結晶の非対称単位のOrtepダイアグラムにより、このAPIは、1:3:1(API:HCl:HO)の比が観測されたので、一水和物三HCl塩であることが実証される。
図16は、C2234Cl結晶の一単位格子を示す。
図17は、C2234Cl結晶における、水素結合ネットワークおよび対イオンとの対のダイアグラムである。このダイアグラムは、3個の塩酸塩分子が脱プロトン化されている一方、3個の窒素がプロトン化されていることを示している。水分子は、2個の塩素陰イオンを架橋するための水素結合ドナーとして働いている。表11に、C2234Cl結晶における水素結合および対イオンとの対の結晶学的測定値を要約する。
Figure 2023532330000030
等価な原子を生成するために使用した対称変換: #1: 2-X,0.5+Y,0.5-Z;#2: 0.5+X,+Y,0.5-Z;#3: 1+X,+Y,+Z;$4:1.5-X,0.5+Y,+Z
最終的なcifファイルを、Olex2をローカルで使用するPlatonを用いて確認し、8つのレベルGのアラートと共に、たった1つのレベルCのアラートだけが発見された(3個の反射が不明)。この問題を防止するため、広範なデータ収集戦略を行い、このデータセットの完全性および多重度は、それぞれ、99.8%および27.87であった。
図18は、C2234Cl結晶の計算および測定したXRPDダイアグラムを示す。計算したXRPDディフラクトグラムを赤色で示し、測定したXRPDディフラクトグラムを青色で示す。この回分の粉末X線回折を得て、Mercuryを使用してこの結晶構造に基づいて計算したパターンと比較した。実験ピークの位置および強度は、計算したパターンと良好に適合する。
機器および方法
X線強度データを、Bruker Venture X線回折計で、199.0K(Oxford Cryostream 800によって制御)において測定した。Incoatecマイクロフォーカス源(IμS3.0)による単色Cu Kα放射線(λ=1.54178Å、電圧=50kV、電流=1.1mA)をx線源として使用した。強度データを、Photon II検出器によって収集した。
偏光顕微鏡写真を、室温で、Nikon DS-Fi2正立顕微鏡で捕捉した。
XRPDを、SiゼロバックグラウンドホルダーでPanalytical X’Pert3 Powder XRPDを用いて行った。2θの位置を、Panalytical Si参照標準ディスクに対して較正した。
(実施例3)
要約
CV-8972の結晶構造を決定するため、CV-8972の無水単結晶を成長させて、102Kにおいて、全SCXRDデータの収集に好適な単結晶を使用した。R値0.0328(I>2σ(I))を有する結晶構造が得られた。その構造は、この結晶形態が、無水三HCl塩であることを示した。
結晶成長およびSCXRD調製
CV-8972の無水三HCl塩の単結晶を、MeOH溶液中のMTBEの液体蒸気拡散により得た。手短に述べると、MeOH中のCV-8972の飽和溶液を室温で取得し、2mLのガラス製バイアルに充填し、次に、これを、2mLのMTBEを有するもっと大きな20mLバイアル内に維持した。バイアルが白色の結晶性物質の存在を示すと、このバイアルを取り出した。
図19は、再結晶したCV-8972からの無水単結晶のPLM画像を示す。
図20は、ガラス線維の先端にマウントした、再結晶したCV-8972からの無水単結晶の画像である。続いて、無色結晶をSCXRD機器上にセットした。
単結晶構造の決定
無色結晶をガラス繊維の先端にマウントした。X線強度データを、102Kの温度で、オメガ/ファイスキャン技法を使用して、Incoatecマイクロフォーカス源(IμS)による単色Mo Kα放射線(λ=0.71073Å、封管)を備えるBruker D8 Quest PHOTON 100 CMOS X線回折計システムで測定した。データを、10秒間の露光時間で、1660個のフレームで収集した。結晶学的データ:C2232Cl:a=6.9940(6)Å、b=10.5742(9)Å、c=17.5786(14)Å、α=78.252(2)°、β=82.823(2)°、γ=82.476(2)°、V=1255.37(18)Å、Z=2、F.W.=524.85、μ=0.403mm-1、d=1.389g/cm、F(000)=552。
j1_aに関する結晶データおよび構造の精密化を表12に提示する。
Figure 2023532330000031
Figure 2023532330000032
j1_aに関する原子座標(×10)および等価な等方性変位パラメーター(Å×10)を表13に提示する。U(eq)を、直交したUijテンソルのトレースの3分の1として定義する。
Figure 2023532330000033
Figure 2023532330000034
j1_aに関する結合長[Å]を表14に提示する。
Figure 2023532330000035
Figure 2023532330000036
j1_aに関する角度[度]を表15に提示する。
Figure 2023532330000037
Figure 2023532330000038
Figure 2023532330000039
最大シータ角度32.02°(分解能0.67Å)まで収集した8732個の固有の反射のうち、7553個が観測された(I>2σ(I))。Mo Kα放射線の線形吸光係数は、0.403mm-1である。このデータを製造業者のSAINTソフトウェアを用いて積分し、マルチスキャン法(SADABS)を使用して、吸収効果を補正した。
その後の解および精密化を、Pentium(登録商標)コンピュータで操作したSHELXTL-2014ソリューションパッケージを使用して行った。この構造を、SHELXTL-2014ソフトウェアパッケージを使用する直接方法によって解いた。非水素原子散乱因子を、文献の表から採用した。非水素原子を、連続差分フーリエマップ計算から位置決定した。各精密化の最終サイクルでは、すべての非水素原子を異方性変位パラメーターで精密化した。差分フーリエマップから位置が決まり、適切な抑制で精密化した分子のN(1)、N(2)、N(3)原子上のH(1)、H(2)、H(3)を除き、C-H結合長をmÅと仮定し(CH基の場合、m=0.990、CH基の場合、m=0.980、Ph-H基の場合、m=0.950)、水素原子の位置の残りを計算し、それらが結合している炭素上に乗るようにした。水素原子の温度因子を、それらが結合しているC原子の等方性温度因子のn(CH、Ph-H基の場合、n=1.2であり、CHの場合、n=1.5)倍に固定した。化合物の結晶系は、三斜晶、空間群P-1(2番)であり、310個の可変パラメーターおよび7553個の観測された反射(I>2σ(I))に基づいた最終的な残りの値は、R=0.0328、wR2=0.0926であり、すべての固有の反射に関する値は、R=0.0408、wR2=0.0975である。全データの適合度指標は、1.014である。0.549から-0.459e/Åまでの範囲の、最終的な差分マップ上のピークは、化学的に重要ではない。CheckCIFプログラムによって発生したアラートをできる限り解決するよう努めている。現在の最高のアラートは、レベルGにある。
図21は、C2232Cl結晶の非対称単位の熱振動楕円体ダイアグラムである。このダイアグラムにより、この形態が、無水三HCl塩形態であることが実証される。
図22は、C2232Cl結晶の一単位格子を示す。
図23は、C2232Cl結晶における、水素結合ネットワークおよび対イオンとの対のダイアグラムである。
図24は、C2234Cl結晶の計算および測定したXRPDダイアグラムを示す。計算したXRPDディフラクトグラムを赤色で示し、測定したXRPDディフラクトグラムを緑色で示す。
この化合物は、三斜晶、空間群P-1(2番)で結晶化する。非対称単位は、式C2232Clを有する、陽イオン/陰イオン塩(無水三HCl塩)の形態の分子を1個含有する。N(1)-H(1)...Cl(3)(距離2.9634(10)を有する)、N(2)-H(2)...Cl(2)(距離2.9822(9)を有する)、N(3)-H(3)...Cl(1)(距離3.0120(9)を有する)間に、いくらかの分子内H結合が存在する可能性がある。構造の解、精密化および誘導した結果の計算を、コンピュータプログラムのSHELXTL-2014パッケージを使用して行った。中性原子散乱因子は、CromerおよびWaberの因子とし、実数および虚数の異常分散補正は、Cromerの因子とした。
(実施例4)
導入
CV-8972を、スキーム1に従い合成した。
スキーム1:
Figure 2023532330000040
Figure 2023532330000041
Figure 2023532330000042
工程1は、触媒の酢酸(AcOH)、および溶媒として2-メチルテトラヒドロフラン(2-MeTHF)の存在下、還元剤としてトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(STAB)を使用する、出発原料の2,3,4-トリメトキシベンズアルデヒドおよび2-(ピペラジン-1-イル)エタン-1-オールを使用した還元的アミノ化である。反応が完了した後に、水での後処理、MTBEへの溶媒交換およびMTBE/n-ヘプタンからの再結晶により、中間体であるCV-8814遊離塩基(CV8814遊離塩基)が形成する。
工程2では、CV-8814遊離塩基(CV8814遊離塩基)は、ジクロロメタン(DCM)溶媒中、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)および触媒の4-(ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP)の存在下、ニコチン酸との酸カップリングを受ける。水での後処理の後、CV8972遊離塩基が形成する。2-ブタノン(MEK)への溶媒交換、次いで、MEK中の濃HClへの添加によって、CV8972の一水和物中間体が形成する。
最終工程3は、60℃±5℃において、水、メタノールおよびMEKの混合物中での形態変換と、それに続いて、MEKの添加により沈殿させて、XRPD分析によれば、最終生成物CV-8972の所望の形態Aの取得である。
製造の詳細
製造の詳細を表16に提示する。
Figure 2023532330000043
生成の詳細
工程1である、CV8814遊離塩基(2493-1903-00487)の形成を、スキーム2に準拠して行った。
スキーム2:
Figure 2023532330000044
工程1に関する生成の詳細を表17に提示する。
Figure 2023532330000045
Figure 2023532330000046
1)トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(STAB;60.3kg;CHPロット番号:181-190220)および2-MeTHF(189.2kg;CHPロット番号:234-190227)を、反応器R-401に投入した。
2)R-401の内容物を撹拌し、温度を15℃±5℃に調節した。
3)2,3,4-トリメトキシベンズアルデヒド(27.5kg;CHPロット番号:275-190311、142-190212)および2-MeTHF(71.1kg:CHPロット番号:234-190227)を、反応器R-402に投入した。
4)反応器R-402の撹拌を開始した。
5)2-(ピペラジン-1-イル)エタン-1-オール(20.0kg;CHPロット番号:173-190220)および2-MeTHF(47.3kg;CHPロット番号:234-190227)を、反応器R-402に投入した。
6)反応器R-402の内容物を少なくとも5分間、撹拌した。
7)混合物の温度を25℃未満に維持しながら、酢酸(1.41kg:CHPロット番号:151-190214)を反応器R-401に投入した。
8)Tmax=14.4℃
9)混合物の温度を25℃未満に維持しながら、反応器R-402の内容物を1時間19分間かけて移した。
10)Tmax=29.2℃(温度は、添加中、範囲を超えた)。
11)反応を前に進めることを是とした。
12)R-401の内容物の温度を、20℃±5℃に調節し、20℃±5℃で少なくとも6時間、撹拌した。
13)ほぼ19時間後に、R-401の内容物をサンプリングした。
14)QCによる試料の分析によって、2,3,4-トリメトキシベンズアルデヒドのピークは検出されなかったことが示された(規格≦1.5面積%)
15)R-401の内容物の温度を15℃±5℃に調節した。
16)温度を25℃未満に維持しながら、水(247.5kg;CHPロット番号:232-190227)をR-401に投入した。
17)Tmax=14.6℃
18)R-401の内容物の温度を、20℃±5℃に調節し、この内容物を30分間、撹拌した。
19)R-401の内容物を30分間、静置した。
20)相の分離(cut)を、R-402に水層を移しながら行った。
21)MTBE(203.8kg;CHPロット番号:207-190222)をR-402に投入した。
22)R-402の内容物の温度を0℃±5℃に調節した。
23)温度を25℃未満に維持しながら、50%NaOH(68.3kg;CHPロット番号:145-190213、150-190214)をR-402に投入した。
24)Tmax=11.5℃
25)添加の完了後、R-402の内容物の温度を20℃±5℃に調節した。
26)R-402中の内容物を少なくとも30分間、撹拌し、次いで、内容物を少なくとも30分間、静置させた。
27)水層を反応器R-401に移し、有機層を反応器R-402に残しながら、相の分離を行った。
28)MTBE(61.0kg;CHPロット番号:207-190222)をR-401に投入した。
29)R-401の内容物の温度を20℃±5℃に調節した。
30)R-401中の内容物を少なくとも15分間、撹拌し、次いで、内容物を少なくとも15分間、静置した。
31)水層をドラムに移し、有機層を反応器R-401に残しながら、相の分離を行った。
32)FIOのpHは、ドラムの水層がpH=13.20であると確認した。
33)R-402内の内容物をR-401に移した。
34)20%NaCl溶液(94.4kg;NaCl:19.0kg、CHPロット番号:156-190214;水(75.9kg;CHPロット番号:232-190227)をR-401に投入し、少なくとも15分間、撹拌して、少なくとも30分間、静置した。
35)水層をドラムに移しながら、相分離を行った。
36)温度を<45℃に維持しながら、R-401中の溶液を減圧下で、全量がほぼ55Lになるまで蒸留した。
37)MTBE(61.1kg;CHPロット番号:207-190222)をR-401に投入した。
38)温度を<45℃に維持しながら、R-401中の内容物を減圧下で、全量がほぼ82Lになるまで蒸留した。
39)MTBE(61.1kg;CHPロット番号:207-190222)をR-401に投入した。
40)温度を<45℃に維持しながら、R-101中の内容物を減圧下で、全量がほぼ82Lになるまで蒸留した。
41)R-401の内容物をサンプリングして(IPC試料:2493-1903-00484-85-01)、KF分析によって溶液の水分含量を確認した。
42)KF=1.6%(規格≦0.5%)
43)MTBE(61.1kg;CHPロット番号:207-190222)をR-401に投入した。
44)温度を<45℃に維持しながら、R-101中の内容物を減圧下で、全量がほぼ82Lになるまで蒸留した。
45)R-401の内容物をサンプリングして(IPC試料:2493-1903-00484-88-01)、KF分析によって溶液の水分含量を確認した。
46)KF=0.8%(規格≦0.5%)
47)MTBE(61.1kg;CHPロット番号:207-190222)をR-401に投入した。
48)温度を<45℃に維持しながら、R-101中の内容物を減圧下で、全量がほぼ82Lになるまで蒸留した。
49)R-401の内容物をサンプリングして(IPC試料:2493-1903-00484-91-01)、KF分析によって溶液の水分含量を確認した。
50)KF=0.4%(規格≦0.5%)
51)MTBE(30.9kg;CHPロット番号:207-190222)をR-401に投入した。
52)R-401の内容物の温度を40℃±5℃に調節した。
53)温度を40℃±5℃に維持しながら、ヘプタン(56.3kg;CHPロット番号:233-190227)を8分間かけて、R-401に投入した。
54)Tmin=38.1℃
55)FIO試料(FIO試料:2493-1903-00484-100-01)を採取して、R-401中の内容物のMTBE:ヘプタンの比を観測した。比は、1.5:6.0であった。
56)R-401の内容物の温度を、少なくとも30分間かけて、28℃±5℃(目標26℃~29℃)に調節し、この温度で少なくとも30分間、撹拌した。
57)固体の形成が観察された。
58)R-401の内容物の温度を、30℃±3℃に調節し、少なくとも30分間、撹拌した。
59)温度を30℃±5℃に維持しながら、ヘプタン(56.4kg;CHPロット番号:233-190227)を24分間かけて、R-401に投入した。
60)Tmin=30.2℃。
61)R-401の内容物の温度を、30℃±3℃に調節し、少なくとも20分間、撹拌した。
62)R-401の内容物の温度を、少なくとも30分間かけて、20℃±5℃に調節し、少なくとも20分間、撹拌した。
63)R-401の内容物の温度を、少なくとも30分間かけて、5℃±5℃に調節し、少なくとも30分間、撹拌した。
64)固体をフィルター-FD-400で収集した。
65)フィルター-FD-400の内容物を冷ヘプタン(49.4kg;CHPロット番号:233-190227)により洗浄した。
66)フィルター-FD-400の内容物を、少なくとも16時間、N2流を用いて、≦25℃で真空下、乾燥した。
67)LODのため、QCにIPC試料(IPC試料:2493-1903-00484-122-01)を提出した。
・ LOD=0.20%(規格≦0.5%)
68)生成物CV-8814遊離塩基(CV8814遊離塩基)を二重に包んで、S字形状にして秤量した。
69)乾燥物質(IPC試料:2493-1903-00484-122-01)の分析:
・ 外観:白色からオフホワイトの固体
・ 重量34.0kg(78.0%収率)
・ HPLC純度=100.0%
・ 1H NMR:構造に一致する。
70)CV-8814遊離塩基(CV8814遊離塩基)の5kg分をバルク物質から取り出し、二重に包んで、S字形状にし、公開用にロット番号2493-1903-00484で確保した。
工程2の、CV8972一水和物(2479-1903-00489)の形成を、スキーム3に準拠して行った。
スキーム3:
Figure 2023532330000047
工程2aおよび2bに関する生成の詳細を表18に提示する。
Figure 2023532330000048
Figure 2023532330000049
1)ニコチン酸(17.1kg、CHPロット番号201-190222)およびDCM(153.0kg、CHPロット番号328-190326)を、反応器R-401に投入した。
2)R-401の内容物を撹拌し、温度を15±5℃に調節した。
3)CV8814遊離塩基(28.8kg、CHPロット番号2493-1903-00484)、EDC(26.7kg、CHPロット番号147-190213)、DMAP(1.70kg、CHPロット番号152-190214)およびDCM(306.6kg、CHPロット番号328-190326)を反応器R-402に投入した。
4)R-402の内容物を少なくとも20分間、撹拌した。
5)温度を25℃未満に維持しながら、R-402の内容物を少なくとも30分間かけて、R-401に移した。
6)Tmax=20.0℃
7)R-401の内容物の温度を20±5℃に調節し、少なくとも16時間、撹拌した。
8)ほぼ16時間後に、R-401の内容物をサンプリングした。
9)QCによる試料の分析によって、CV8972に対して0%(0.05%)のCV-8814遊離塩基(CV8814遊離塩基)が検出されたことが示された(規格:≦1%CV8814遊離塩基)。
10)R-401の内容物を10±5℃に調節した。
11)温度を25℃未満に維持しながら、水(29.2kg、CHPロット番号329-190326)をゆっくりと加えた。
12)Tmax=12.3℃
13)R-401の内容物の温度を20±5℃に調節し、少なくとも15分間、撹拌し、少なくとも15分間、静置した。
14)相を分離した。
15)生成物を含有する下側の有機層を、反応器R-402に移した。水層をドラムに送った。
16)水(29.0kg、CHPロット番号329-190326)をこの反応器に投入した。
17)二相混合物を15分間、撹拌し、15分間、静置した。
18)相を分離した。
19)生成物を含有する有機層を、反応器R-401に移した。水層をドラムに送った。
20)8%NaHCO水溶液(炭酸水素ナトリウム、4.0kg、CHPロット番号192-190221;水、53.2kg、CHPロット番号329-190326)を反応器に加えた。
21)混合物を少なくとも15分間、撹拌し、少なくとも15分間、静置した。
22)相を分離した。
23)生成物を含有する下側の有機層を、反応器R-402に移した。水層をドラムに送った。
24)水(29.0kg、CHPロット番号329-190326)をこの反応器に加えた。
25)混合物を少なくとも15分間、撹拌し、少なくとも15分間、静置した。
26)R-401を水(17.6kg、CHPロット番号329-190326)およびMEK(5.9kg、CHPロット番号330-190326)により清浄し、N2流で乾燥した。
27)相を分離した。
28)生成物を含有する下側の有機層を、反応器R-401に移した。水層をドラムに送った。
29)温度を45℃未満に維持しながら、R-401の内容物を約72Lまで減圧下で濃縮した。
30)Tmax=32.0℃
31)MEK(139.0kg、CHPロット番号330-190326)をR-401に投入した。
32)温度を45℃未満に維持しながら、R-401の内容物を約72Lまで減圧下で濃縮した。
33)Tmax=32.0℃
34)MEK(139.1kg、CHPロット番号330-190326)をR-401に投入した。
35)温度を45℃未満に維持しながら、R-401の内容物を約72Lまで減圧下で濃縮した。
36)Tmax=29.2℃。
37)DCM:MEK比を決定するため、FIO 1H NMRを測定した。DCM:MEK=1:214.9
38)MEK(185.5kg、CHPロット番号330-190326)をR-401に投入した。
39)MEK(208.7kg、CHPロット番号330-190326)および濃HCl(30.2kg、CHPロット番号274-190311)を、清浄済みのR-402に投入した。
40)反応器の内容物の温度を25±5℃に調節した。
41)温度を35℃未満に維持しながら、R-401の内容物を約1時間かけて、R-402に移した。
42)Tmax=27.2℃
43)R-402の内容物の温度を50±5℃まで加熱し、少なくとも1時間、撹拌した。
44)反応器の内容物の温度を2時間かけて、20±5℃に冷却した。
45)反応器の内容物を20±5℃で15時間、撹拌した。
46)固体をろ過した。
47)フィルターケーキをMEK(58.0kg、CHPロット番号330-190326)によりすすいだ。
48)フィルターケーキをMEK(58.0kg、CHPロット番号330-190326)によりすすいだ。
49)湿潤ケーキを、窒素流(nitrogen bleed)なしで、少なくとも16時間、20~25℃のトレイ乾燥器で乾燥した。
50)KFのため、QCにIPC試料(IPC試料:2479-1903-00489-87-01)を提出した。
・ 水分含量(規格:cKFにより、≦4%):3.3%
51)生成物CV8972一水和物を、二重に包み、S字形状にして秤量した。
52)乾燥物質(IPC試料:2479-1903-00489-87-01)の分析:
外観:白色からオフホワイトの固体
・ 重量:48.6kg(96.4%収率)
・ 1H NMR:構造に一致する。
・ HPLC純度(面積%):99.1%
・ FIO残留溶媒のGC分析:
2-MeTHF:ピークなし
DCM:ピークなし
MTBE:ピークなし
ヘプタン:ピークなし
MEK:343ppm
酢酸:874ppm
工程3の、CV-8972(2479-1904-00494)の形成を、スキーム4に準拠して行った。
スキーム4:
Figure 2023532330000050
Figure 2023532330000051
工程3に関する生成の詳細を表19に提示する。
Figure 2023532330000052
1)CV8972一水和物(48.5kg、CHPロット番号2479-1903-00489)、水(48.5kg、CHPロット番号329-190326)、メタノール(19.2kg、CHPロット番号379-190404)およびMEK(39.0kg、CHPロット番号330-190326)を反応器R-402にそれぞれ投入した。
2)R-402の内容物を20℃±5℃に調節し、溶液が得られるまで撹拌した。
3)R-402の内容物を0.45ミクロンのインラインフィルターに通して、R-401に移した。
4)水(24.0kg、CHPロット番号329-190326)およびメタノール(19.2kg、CHPロット番号379-190404)をR-402に投入し、0.45ミクロンのインラインフィルターに通して、R-401に移した。
5)メタノール(192.1kg、CHPロット番号379-190404)を0.45ミクロンのインラインフィルターに通して、R-401に投入した。
6)R-401の内容物の温度を60±5℃に調節した。
7)温度を60±5℃に維持しながら、MEK(899.6kg、CHPロット番号330-190326;380-190404)を、約2時間かけて、0.45ミクロンのインラインフィルターに通してR-401に投入した。
8)R-401の内容物を60±5℃で少なくとも4時間、撹拌した。
9)R-401の温度を少なくとも3時間かけて、20±5℃に調節した。
10)R-401の内容物を20±5℃で約9時間、撹拌した。
11)R-401の内容物をフィルターに送り込んだ。
12)フィルターケーキをMEK(105.4kg、CHPロット番号380-190404)によりすすいだ。
13)フィルターケーキをMEK(105.4kg、CHPロット番号380-190404)によりすすいだ。
14)湿潤ケーキを少なくとも30分間、真空によりフィルター上で乾燥した。
15)湿潤ケーキをフィルター乾燥器(filer dryer)に封入し、減圧下、≦30℃で少なくとも12時間、乾燥した。
16)KFおよび残留溶媒のGCのため、QCにIPC試料(IPC試料:2479-1904-00494-32-01)を提出した。
・ 水分含量(規格:cKFにより2.8~3.8%)=3.5%
・ 残留溶媒のGC分析(規格:MeOH≦3000ppm;MEK≦5000ppm)MeOH=215ppm;MEK=185ppm
17)生成物CV-8972を二重に包み、S字形状にして秤量した。
18)乾燥物質(IPC試料:2479-1904-00494-32-01)の分析:
・ 外観:白色からオフホワイトの固体
・ 重量=41.7kg(86.0%収率)
・ HPLC純度(面積%)=99.9%
既知不純物:
ニコチン酸:ピークなし
DMAP:ピークなし
CV8814:0.1%
2,3,4-トリメトキシベンズアルデヒド:ピークなし
トリメタジジン:ピークなし
CV-10099:ピークなし
CV-10046:ピークなし
・ XRPD:形態Aに一致
・ 塩化物イオン含有率:19.4%
・ 1H NMR:構造に一致
結論
上に提示されている結果は、CV-8972はスキーム1を使用して合成することができることを示している。出発原料である2,3,4-トリメトキシベンズアルデヒドおよび2-(ピペラジン-1-イル)エタン-1-オール、還元剤としてトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(STAB)、触媒の酢酸(AcOH)および2-メチルテトラヒドロフラン(2-MeTHF)を使用する工程1における還元的アミノ化により、水での後処理、溶媒交換および結晶化後に、HPLCによれば100.0%純度で78.0%収率のCV-8814遊離塩基(CV8814遊離塩基)が得られた。CV-8814遊離塩基(CV8814遊離塩基)5kgの分量を、公開用に合成から転用した。DCM中、EDCおよび触媒のDMAPの存在下、CV8814遊離塩基とニコチン酸との工程2のカップリングは、HPLC IPCによれば、CV8972遊離塩基への完全な変換へと進行した。MEKへの溶媒交換、およびMEK中の濃HClへの添加により、HPLCによれば99.1%純度で96.4%の収率のCV8972一水和物が得られた。工程3における最終的な形態変換は、水、メタノールおよびMEKからなる混合物中で、CV8972一水和物を60℃±5℃まで加熱し、MEKを加えて沈殿させることによって完了した。白色固体CV-8972が、XRPD分析によって確認される形態Aとして、HPLCによれば99.9%の純度で86.0%の収率で得られた。CV-8972のGMP合成の総収率は、64.7%であった。生成したCV-8972の最終的な量は、41.7kgであった。
参照による援用
本開示全体を通して、特許、特許出願、特許公報、雑誌、書籍、論文、ウェブコンテンツなどの他の文書の参照および引用がなされている。そのような文書はすべて、すべての目的で、その全体が参照により本明細書に援用される。
均等物
本明細書で引用した科学および特許文献の参照を含む本文書の完全な内容から、当業者には、本明細書において示し、記載したものに加えて、本発明の種々の変更形態および多数のそのさらなる実施形態が明白となる。本明細書における主題は、本発明の種々の実施形態およびその均等物の中に、本発明の実施に適合させることのできる重要な情報、例証、およびガイダンスを含んでいる。

Claims (41)

  1. 式(X)の化合物:
    Figure 2023532330000053
    の形態Aの多形を含む結晶。
  2. 前記結晶が、前記化合物の塩酸塩を含む、請求項1に記載の結晶。
  3. 前記結晶が、前記化合物の水和形態を含む、請求項2に記載の結晶。
  4. 前記化合物の前記水和形態が、一水和物である、請求項3に記載の結晶。
  5. 前記結晶が、形態B、形態C、形態Dおよび形態Eの多形を実質的に含まない、請求項1に記載の結晶。
  6. 式(X)の化合物:
    Figure 2023532330000054
    の形態Aの多形を含む医薬組成物。
  7. 前記組成物が、前記化合物の塩酸塩を含む、請求項6に記載の組成物。
  8. 前記組成物が、前記化合物の水和形態を含む、請求項7に記載の組成物。
  9. 前記化合物の前記水和形態が、一水和物である、請求項8に記載の組成物。
  10. 前記組成物が、形態B、形態C、形態Dおよび形態Eの多形を実質的に含まない、請求項6に記載の組成物。
  11. 前記組成物が、経口投与向けに製剤化されている、請求項6に記載の組成物。
  12. 前記組成物が、単回単位投与量として製剤化されている、請求項6に記載の組成物。
  13. 前記組成物が、分割投与量として製剤化されている、請求項6に記載の組成物。
  14. ある状態を有する、または発症するリスクにある対象に、治療有効量の式(X)の化合物:
    Figure 2023532330000055
    の形態Aの多形を含む組成物を投与するステップを含む、対象における状態を処置する方法。
  15. 前記組成物が、前記化合物の塩酸塩を含む、請求項14に記載の方法。
  16. 前記組成物が、前記化合物の水和形態を含む、請求項15に記載の方法。
  17. 前記化合物の前記水和形態が、一水和物である、請求項16に記載の方法。
  18. 前記組成物が経口投与される、請求項14に記載の方法。
  19. 前記組成物が単回単位投与量として投与される、請求項14に記載の方法。
  20. 前記状態が、動脈瘤、狭心症、アテローム性動脈硬化、心筋症、脳血管疾患、先天性心疾患、冠動脈疾患、冠状動脈性心疾患、糖尿病性心筋症、心臓発作、心疾患、心不全、高血圧症、虚血性心疾患、心膜疾患、末梢動脈疾患、リウマチ性心疾患、脳卒中、一過性脳虚血発作および心臓弁膜症からなる群から選択される、請求項14に記載の方法。
  21. 式(X)の化合物:
    Figure 2023532330000056
    を調製する方法であって、
    2,3,4-トリメトキシベンズアルデヒドおよび2-(ピペラジン-1-イル)エタン-1-オールを反応させて、式(IX)の化合物の遊離塩基形態:
    Figure 2023532330000057
    を生成するステップ、ならびに
    前記式(IX)の化合物の前記遊離塩基形態をニコチン酸と反応させて、前記式(X)の化合物を生成するステップ
    を含み、
    前記方法が、前記式(IX)の化合物の塩形態を生成することを含まない、方法。
  22. 2,3,4-トリメトキシベンズアルデヒドおよび2-(ピペラジン-1-イル)エタン-1-オールを反応させる前記ステップが、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムを含む、請求項21に記載の方法。
  23. 2,3,4-トリメトキシベンズアルデヒドおよび2-(ピペラジン-1-イル)エタン-1-オールを反応させる前記ステップが、酢酸を含む、請求項21に記載の方法。
  24. 2,3,4-トリメトキシベンズアルデヒドおよび2-(ピペラジン-1-イル)エタン-1-オールを反応させる前記ステップが、2-メチルテトラヒドロフランを含む、請求項21に記載の方法。
  25. 2,3,4-トリメトキシベンズアルデヒドおよび2-(ピペラジン-1-イル)エタン-1-オールを反応させる前記ステップが、約15℃から約25℃までで行われる、請求項21に記載の方法。
  26. 2,3,4-トリメトキシベンズアルデヒドおよび2-(ピペラジン-1-イル)エタン-1-オールを反応させる前記ステップが、ジクロロメタンを含まない、請求項21に記載の方法。
  27. 前記式(IX)の化合物の前記遊離塩基形態をニコチン酸と反応させる前記ステップが、前記式(X)の化合物の遊離塩基形態を生成する、請求項21に記載の方法。
  28. 前記式(IX)の化合物の前記遊離塩基形態をニコチン酸と反応させる前記ステップが、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドを含む、請求項27に記載の方法。
  29. 前記式(IX)の化合物の前記遊離塩基形態をニコチン酸と反応させる前記ステップが、4-(ジメチルアミノ)ピリジンを含む、請求項27に記載の方法。
  30. 前記式(IX)の化合物の前記遊離塩基形態をニコチン酸と反応させる前記ステップが、ジクロロメタンを含む、請求項27に記載の方法。
  31. 前記式(IX)の化合物の前記遊離塩基形態をニコチン酸と反応させる前記ステップが、約20℃から約25℃までで行われる、請求項27に記載の方法。
  32. 前記方法が、前記式(X)の化合物の前記遊離塩基形態を前記式(X)の化合物の塩形態に変換するステップをさらに含む、請求項27に記載の方法。
  33. 前記式(X)の化合物の前記塩形態がHCl塩である、請求項32に記載の方法。
  34. 前記式(X)の化合物の前記塩形態が一水和物である、請求項32に記載の方法。
  35. 前記式(X)の化合物の前記遊離塩基形態を前記式(X)の化合物の前記塩形態に変換する前記ステップが、HClを含む、請求項32に記載の方法。
  36. 前記式(X)の化合物の前記遊離塩基形態を前記式(X)の化合物の前記塩形態に変換する前記ステップが、メチルエチルケトンを含む、請求項32に記載の方法。
  37. 前記式(X)の化合物の前記遊離塩基形態を前記式(X)の化合物の前記塩形態に変換する前記ステップが、約50℃で行われる、請求項32に記載の方法。
  38. 前記方法が、前記式(X)の化合物の前記塩形態を第1の結晶形態から第2の結晶形態に変換するステップをさらに含む、請求項32に記載の方法。
  39. 前記式(X)の化合物の前記塩形態を前記第1の結晶形態から前記第2の結晶形態に変換する前記ステップが、前記式(X)の化合物の前記塩形態を沈殿させるステップ、前記式(X)の化合物の前記塩形態の溶媒を変更するステップ、および前記式(X)の化合物の前記塩形態を約60℃で温置するステップからなる群から選択される1つを含む、請求項38に記載の方法。
  40. 前記方法が、ジオキサン、酢酸エチルまたは炭酸カリウムの使用を含まない、請求項21に記載の方法。
  41. 式(X)の化合物:
    Figure 2023532330000058
    を調製する方法であって、
    式(1)の化合物:
    Figure 2023532330000059
    を、式(2)の化合物:
    Figure 2023532330000060
    と反応させて、式(IX)の化合物の遊離塩基形態:
    Figure 2023532330000061
    を生成するステップ
    式(IX)の化合物の前記遊離塩基形態を式(3)の化合物:
    Figure 2023532330000062
    と反応させて、前記式(X)の化合物の遊離塩基形態を生成するステップ、および
    前記式(X)の化合物の前記遊離塩基形態を前記式(X)の化合物のHCl塩に変換するステップ
    を含み、
    前記方法が、前記式(IX)の化合物の塩形態を生成することを含まない、方法。
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