JP2023529720A - Ｙ字型分岐点分流装置の製造方法及びｙ字型分岐点分流システムの展開方法 - Google Patents

Abstract

分岐点動脈瘤を治療する分流装置が提供され、装置は、複数のワイヤ要素を備えるワイヤステントフレームを含み、ワイヤステントが近位肢と２本の遠位肢とを備え、近位肢と２本の遠位肢がワイヤステントフレームのクロッチで収束する。複数のワイヤ要素は、一緒に編組されてもよい。分流装置は、実質的にＹ字型又はＴ字型であってもよい。分流装置は、２つの管状分流装置を使用してＹ字型分流装置を作ることによって製造されてもよい。【選択図】図１

Description

関連出願の相互参照

本出願は、米国仮特許出願（出願番号第６３／０３６，７１１号、出願日２０２０年６月９日、発明の名称「Methods of Manufacturing a Y-Shaped Branch Point Flow Diversion Device and Methods of Deploying a Y-Shaped Branch Point Flow Diversion System」）の優先権を主張し、その内容は、全体が参照により本明細書に組み込まれる。

本開示の分野は、一般に医療機器に関し、特に、広頸（ワイドネック）動脈瘤及び紡錘状動脈瘤の治療に使用され得る分流装置に関する。

Pipeline（登録商標）塞栓装置及びSurpass Streamline（登録商標）分流器等の分流装置は、一般的には頭蓋内動脈瘤の治療に使用される、堅く編組された細いワイヤ要素から構成されるステント様装置である。これらの装置は血管内で用いられ、血流を動脈瘤から離れるようにそらして動脈瘤血栓症を誘発することで動脈瘤を治療する。これにより動脈瘤の破裂を防ぎ、最終的には動脈瘤を徐々に縮小させ閉塞させることができる。加えて、紡錘状動脈瘤（すなわち画定可能なネックのない動脈瘤）に使用するとき、分流装置は、親動脈と連続する平滑な内皮被覆チャネルの再構成を促進する可能性がある。分流装置は血液を動脈瘤から離れるように向けるが、細いワイヤ編組設計が適度な血流を通すことにより、治療される動脈瘤に隣接する重要な小さい動脈側枝の開存性を維持することができる。

大きな頭蓋内動脈瘤（直径１０～２５ｍｍの範囲）及び特に巨大な頭蓋内動脈瘤（直径２５ｍｍを超えるもの）は、多くの場合、広頸（ドーム対ネック直径比が２未満）であるか、又は紡錘状である。一般的には、大動脈瘤及び巨大動脈瘤は、その治療に使用される治療法（例えば開頭手術又は他の血管内技術）にかかわらず、閉塞率、破裂率、生存率が悪い。細く編組されたステント装置を使用して血流を動脈瘤から離れるようにそらすことにより、観血的手術及び、血管内ステント又はバルーンリモデリングの補助を伴う又は伴わないコイル塞栓術等の他の従来の血管内技術と比較して、有望な治療結果が得られている。

分岐点動脈瘤を示す。 分岐点動脈瘤に位置決めされた例示的な分流装置を示す。 本開示の一実施形態による、分岐点動脈瘤に位置決めされたＹ字型分流装置を示す。 Ｙ字型分流装置を展開してから３～６ヵ月後の、分岐点動脈瘤に位置決めされた図３のＹ字型分流装置を示す。 本開示の一実施形態によるＹ字型分流装置を示す。 本開示の一実施形態によるＹ字型分流装置を示す。 本開示の一実施形態によるＹ字型分流装置を作るために、第１の管状分流装置に孔又は丸い切り抜きを開ける工程を示す。 本開示の一実施形態によるＹ字型分流装置を作るために、図７の第１の管状分流装置の孔を通して第２の管状分流装置を挿入する様子を示す。 第１の管状分流装置と第２の管状分流装置とで形成されたＹ字型分流装置を示す。 本開示の一実施形態によるＹ字型分流装置を作るために、図８の第２の管状分流装置に孔又は丸い切り抜きを開ける工程の断面図である。 本開示の一実施形態による、図９のＹ字型分流装置の自由ワイヤ端部を溶接する工程の断面図である。 本開示の一実施形態による、カテーテルに展開されたＹ字型分流装置を示す。 本開示の一実施形態による、非拘束構成にあるＹ字型分流装置の遠位肢の詳細側面図である。 本開示の一実施形態による、拘束構成にあるＹ字型分流装置の遠位肢の詳細側面図である。 本開示の一実施形態による、分岐点動脈瘤に展開されているＹ字型分流装置を示す。 本開示の一実施形態による、Ｙ字型分流装置が拘束構成にある、分岐点動脈瘤に展開されているＹ字型分流装置を示す。 本開示の一実施形態による、Ｙ字型分流装置が非拘束構成にある、分岐点動脈瘤に展開されているＹ字型分流装置を示す。 本開示の一実施形態による、分岐点動脈瘤に位置決めされたＹ字型分流装置を示す。 Ｙ字型分流装置を展開してから３～６ヵ月後の、分岐点動脈瘤に位置決めされた図１７のＹ字型分流装置を示す。 本開示の一実施形態による、Ｙ字型分流装置の２本の遠位肢のうちの一方に配置される遠位ポリマーフードを示す。 本開示の一実施形態による、Ｙ字型分流装置の２本の遠位肢のうちの一方を拘束している遠位ポリマーフードを示す。 本開示の一実施形態による、図２０の遠位ポリマーフードを裂いて開き、Ｙ字型分流装置の遠位肢を解放する様子を示す。 本開示の一実施形態によるＹ字型分流展開装置を示す。 図２２のＹ字型分流展開装置の断面図である。 図２２のＹ字型分流装置のガイドカテーテルの断面端面図である。 図２２のＹ字型分流装置のガイドカテーテルの断面端面図である。 本開示の一実施形態による、円周フラップによって拘束されているＹ字型分流装置の２本の遠位肢のうちの一方の側面詳細図である。 円周フラップに拘束されていない図２７のＹ字型分流装置の２本の遠位肢のうちの一方の側面詳細図である。 本開示の一実施形態による、分岐点動脈瘤におけるＹ字型分流装置の展開を示す。 装置を拡張及び前方短縮して分岐点動脈瘤を治療する、図２８のＹ字型分流装置の展開を示す。 本開示の一実施形態による、遠位肢の周りにコイル状に巻かれたワイヤによって送達マイクロカテーテル又は可撓性ハイポチューブの遠位端部に固定及び拘束されている、Ｙ字型分流装置の２本の遠位肢のうちの一方を示す。 図３０のＹ字型分流装置の遠位肢の剥離を示す。 本開示の一実施形態による、遠位肢の周りにコイル状に巻かれたワイヤによって送達マイクロカテーテル又は可撓性ハイポチューブの遠位端部に固定及び拘束されている、Ｙ字型分流装置の２本の遠位肢のうちの一方を示す。 図３２のＹ字型分流装置の遠位肢の剥離を示す。

本明細書における開示は、非限定的かつ非網羅的である例示的な実施形態を説明するものである。図に描かれているそのような例示的な実施形態のうちの特定のものを参照する。

図面を参照して、このセクションでは、特定の実施形態とその詳細な構造及び動作について説明する。本明細書で説明する実施形態は、例示のためにのみ記載され、限定するものではない。説明した構成、構造、特性及び動作方法は、１つ以上の実施形態において任意の適切な様式で組み合わされてもよい。本明細書の開示を考慮すると、当業者は、様々な実施形態が１つ以上の具体的な詳細を伴わずに、又は他の方法、構成要素、材料等を用いて実施できることを認識するであろう。明瞭さと簡潔さのために、特定の実施形態の構成要素の又はステップの特定の態様は、そのような詳細が本明細書の教示に照らして当業者に明らかであるような、及び／又はそのような詳細が実施形態のより関連のある態様の理解を不明瞭にするような、過度の詳細なしに提示される。

管状編組ワイヤ分流装置は、自己拡張型の可撓性血管内インプラントであり、世界中で何十万人もの脳動脈瘤患者に使用され、大きな成功を収めている。これらの管状分流器（Pipeline（登録商標）及びSurpass Streamline（登録商標）装置）は、側壁動脈瘤を通る血流を迂回させ、これらを縮小及び閉塞させる。しかし、交差するワイヤ間の隙間から少量の血流が通るため、重要な脳側枝の開存性を十分に維持できる。動脈瘤は外科的クリッピング及びコイル塞栓術でも治療されることがあるが、これらの技術はいずれも動脈瘤の再疎通の遅れに悩まされる。

他の新しい装置、例えばＷＥＢ（登録商標）塞栓システムは、動脈瘤嚢内で分流を作り出すように設計されている。しかし、他の嚢内装置と同様に、装置の設置中に動脈瘤を穿孔するリスクがある。

主要な分岐点に位置する特定の動脈瘤は、分流器では容易に治療することができない。図１は、２本の流出動脈１８、１９を有する血管１４の分岐点１２に位置する動脈瘤１０を示している。図１は、側枝１５も示している。図２は、管状編組ワイヤ分流装置２０で治療されている分岐点動脈瘤１０を示している。動脈瘤ネック１６が管状編組ワイヤ分流装置２０によって完全に密閉されていないため、動脈瘤１０の嚢に血流が流れることができてしまい、したがって、動脈瘤１０が開存状態に保たれてしまう。

図３～図４は、２本の遠位肢１０２、１０３が分岐点１２の２つの流出動脈１８、１９に延在する、編組ワイヤで作製されたＹ字型分流装置１００で分岐点動脈瘤１０を縮小する過程を示す。図３は、分岐点１２で展開及び拡張した分流装置１００を示す。分流装置１００は、動脈瘤１０への血流を停滞させるが、側枝の開存性を維持し得る。６か月ほどの期間後、動脈瘤１０は、図４に示すように縮小し得る。

Ｙ字型分流装置１００を使用する一例としては、図１に示すような前大脳動脈のＡ２セグメントの間の接合部、内側前頭枝及び脳梁周囲動脈の起点における広頸動脈瘤があり得る。内側前頭枝及び脳梁周囲動脈の起点に２本の遠位分流肢１０２、１０３が位置決めされると、近位肢１０１がＡ２セグメント内に展開される。分流により、動脈瘤腔１０内の流れを停滞させ（ｄｅａｄ－ｅｎｄ ｓａｃｋ、行き止まりの嚢）、最終的にこの構造を退縮させる可能性がある。Ｙ字型分流装置１００の使用が有用であり得る他の例としては、ＩＣＡ末端広頸動脈瘤の脳底先端部があろう。

図５Ａ及び図５Ｂは、分枝点広頸動脈瘤分流装置の実施形態を示す。図５Ａ及び図５Ｂの分流装置は、脳動脈等の動脈分岐点に適用されてもよい。図５Ａは、近位肢１０１と、２本の遠位肢１０２及び１０３と、を有する実質的にＹ字型であり得る分流装置１００を示す。遠位肢１０２、１０３は、近位肢１０１に対して角度を有してもよい。いくつかの実施形態では、分流装置１００は、２本の遠位肢１０２及び１０３が近位肢１０１に対して実質的に垂直であるという点で、Ｙ字型よりもＴ字型であってもよい。遠位肢１０２、１０３の角度は、１５度から９０度の間であってもよい。

Ｙ字型分流装置１００は、ワイヤステントフレームを備えてもよい。ワイヤステントフレームは、複数のワイヤ要素１０５を有する編組ワイヤ装置の形態であってもよい。Ｙ字構造のための編組ワイヤ設計は、セル径０．５ｍｍ未満の無数の小さな閉鎖ワイヤセルを有する自己拡張型織ニチノール製ワイヤ設計であってもよく、これは、分岐点動脈瘤内の流れを停滞させるほど十分小さいが、図１の側枝１５のような側枝及び穿孔器の開存を維持するのに十分な流れを可能にするであろう。いくつかの実施形態では、ワイヤ要素１０５の直径は、０．００１インチ（０．０２５４ｍｍ）より大きくてもよい。いくつかの実施形態では、ワイヤ要素１０５は、直径が０．０００８から０．００１７インチの間で、約７５％のクロム－コバルト合金と２５％の白金－タングステン合金のワイヤで作製されてもよい。各肢１０１、１０２及び１０３のワイヤの数は、４０～８０本であってもよい。分流装置１００の２本の肢１０２及び１０３は、広頸嚢状動脈瘤１０の下で遠位分枝血管１８、１９に延在してもよい（図２～図４参照）。分流装置１００の近位肢１０１は、分流装置１００を分岐点動脈瘤１０の近位親血管１４内に固定してもよい。いくつかの実施形態では、Ｙ字型分流装置１００は、自己拡張型であってもよい。

図５Ｂは、ジグザグの自己拡張型ワイヤステント（例えば、ニチノールから作製され、ワイヤ径が約０．００１インチの）を形成する複数のワイヤ要素１０５′を備えるＹ字型分流装置１００′を示す。ワイヤ要素１０５′は、近位肢１０１′と、遠位肢１０２′及び１０３′とを形成する。

Ｙ字型分流装置１００は、多くの異なる方法で作製されてもよい。例えばＹ字型分流装置１００は、単層の編組ワイヤによる編組工程を利用してマンドレル上に作製されてもよく、Ｙ字型分流装置１００は一体形成である。いくつかの実施形態では、追加の編組ワイヤの層を利用してもよい。別の工程としては、一対の管状編組ワイヤ分流装置を利用して、Ｙ字型分流装置１００を形成することであろう。

図７～図１３は、２つの管状編組ワイヤ分流装置を使用してＹ字型分流装置１００を製造又は作製する工程を示す。この工程は、第１の管状編組ワイヤ分流装置１１０と第２の管状編組ワイヤ分流装置１２０から始まる。各管状編組ワイヤ分流装置１１０、１２０は、一緒に編組された４８本のワイヤを備えてもよい。しかし、上述のように、ワイヤの数は、４０本から８０本の間で変化してもよい。ワイヤの大部分はコバルト－クロム合金から作製される。いくつかの実施形態では、４本のワイヤごとに、放射線不透過性の白金－タングステン材料を形成して作製される。

図７は、鋭利な端部３２を有する切込装置３０（例えば金属管）を用いて第１の編組ワイヤ分流装置１１０に作られた孔１１２又は丸い切り抜きを示す。孔１１２は、第１の装置１１０の遠位端部１１４から所定の距離に配置される。第１の装置１１０の内腔にプラスチックチューブ４０を入れ、第１の装置１１０を支持する。切込装置３０の鋭利な端部３２は、第１の装置１１０に押し付けられ、回転して第１の装置１１０に孔１１２を切り込む。プラスチックチューブ４０は、第１の装置１１０に孔１１２を切り込むときに、第１の装置１１０に対する支持体として機能する。孔１１２は、他の方法で形成されてもよい。孔１１２の直径は、拡張した第１の装置１１０及び／又は第２の装置１２０の直径と実質的に同じであってもよい。いくつかの実施形態では、孔１１２の直径は、拡張した第１の装置１１０の直径よりも小さい。いくつかの実施形態では、孔１１２の直径は、拡張した第１の装置１１０の直径よりも大きい。

図８は、第２の装置１２０が第１の装置１１０に挿入され、第１の装置１１０の孔１１２から引き出される様子を示す。第１の装置１１０に孔１１２を開けた後、第１の装置１１０からプラスチックチューブ４０を取り外してもよい。プラスチックチューブ４０又は別のプラスチックチューブを第２の装置１２０の内腔に入れ、第２の装置１２０を第１の装置１１０の内腔に挿入し、第１の装置１１０の孔１１２から出すと、図８に示すようなＹ字型分流装置１００が形成され得る。ここで、Ｙ字型分流装置１００は、近位肢１０１と、２本の遠位肢１０２、１０３と、を含む。近位肢１０１は、第１の装置１１０と第２の装置１２０とが互いに重なり合っていることから２つの層を備え、遠位肢１０２、１０３は、それぞれ単層のみを有する。

図９は、第２の装置１２０に作られた孔１２２又は丸い切り抜きの断面図である。切込装置３０は、第１の装置１１０の遠位端部１１４と切込装置３０の鋭利な端部に挿入される。切込装置３０を回転させることで、第２の装置１２０に孔１２２を開ける。プラスチックチューブ４０は、切込工程中、第２の装置１２０内に維持されて、切込装置３０を支持する。第２の装置１２０の孔１２２は、第１の装置１１０の遠位部分（例えば遠位肢１０３）の内腔と一致する。

図１０は、第２の装置１２０に切り抜き１２２を作った後の、Ｙ字型分流装置１００の断面図である。切り抜き１２２の完成後、孔１１２、１２２を切り込みして作られた任意の自由ワイヤ端部を、レーザスポット溶接を用いて互いに接合し、自由ワイヤ端部を隣接するワイヤに溶接してもよい。また、他の適切な方法を使用して、自由ワイヤ端部を結合してもよい。自由端部を隣接するワイヤに結合（例えば溶接）することで、Ｙ字型分流装置１００の安定性と強度をさらに高める。いくつかの実施形態では、レーザスポット溶接は、顕微鏡下で行われてもよい。

図１１は、カテーテル２００又は可撓性ハイポチューブに拘束されたＹ字型分流装置１００を示す。カテーテル２００は、Ｙ字型分流装置１００の遠位端部１１４、１２４（図１２及び図１３参照）を含み、遠位肢１０２、１０３を、ガイドワイヤを介して分岐点の遠位動脈に誘導する。遠位肢１０２、１０３は、遠位オリーブ２１０によって拘束されている。

いくつかの実施形態では、Ｙ字型分流装置１００はアンカーステント１３０を含んでもよい。アンカーステント１３０は、ガイドワイヤ１３２に取り付けられ、遠位肢１０２、１０３のうちの一方の遠位端部１１４、１２４から前方に延在する。図１１を参照すると、アンカーステント１３０は、一般的に管状の自己拡張型メッシュ構造体である。アンカーステント１３０は、ガイドワイヤ１３２が取り付けられる支柱先端部１３６に合体する複数のコネクタ支柱１３４を含む。また、いくつかの実施形態では、アンカーステント１３０は、コネクタ支柱１３４とは反対側の端部に放射線不透過性マーカーを含んでもよい。使用時には、アンカーステント１３０は、Ｙ字型分流装置１００を所定の位置に固定する手段を提供して、動脈瘤１０への適切な治療が確実に行われるようにする。アンカーステント１３０に関する追加情報は、米国特許第１０，０２２，２５１号に記載されており、その内容は、全体が参照により本明細書に組み込まれる。

図１２及び図１３は、遠位オリーブ２１０によって拘束されていないＹ字型分流装置１００の遠位肢１０２、１０３のうちの一方の詳細図である。微小ワイヤ２２０又はポリビニルアルコール（ＰＶＡ）ケーブルが、遠位肢１０２、１０３の遠位端部１１４、１２４付近のワイヤ要素１０５間の隙間を通過し得る。図１３は、遠位オリーブ２１０によって拘束されているＹ字型分流装置１００の遠位肢１０２、１０３のうちの一方の詳細図である。ワイヤ／ケーブル２２０は、遠位肢１０２、１０３を折り畳むように締め付けられる。ワイヤ２１２を使用して、遠位肢１０２、１０３の遠位端部１１４、１２４を拘束してもよい。ワイヤ２１２は、ワイヤ要素１０５の隙間の間に織り込まれてもよい。図示の実施形態では、ワイヤ２１２は遠位端部１１４、１２４のみに存在するが、ワイヤ２１２は遠位肢１０２、１０３に沿って巻き付き、延在してもよい。このワイヤ／ケーブル２２０は、機械的又は電解的に解放することができ、それによって遠位肢を拡張させることができる。

図１４～図１８は、Ｙ字型分流装置１００を入れて分岐点動脈瘤１０を治療する工程を示す。図１４は、大きな広頸分枝点動脈瘤１０を示す。追跡可能な４－５フレンチ頭蓋内誘導カテーテル等のカテーテル２００によって、Ｙ字型分流装置１００が所定の位置まで進められる。Ｙ字型分流装置１００の両遠位肢１０２、１０３内から、０．０１４インチアンカー交換ワイヤ等の一対のガイドワイヤ１３２、１４２が展開され、Ｙ字型分流装置１００の送達中に特別な支持を提供する。いくつかの実施形態では、ガイドワイヤ１３２、１４２は、アンカーステント１３０、１４０に結合されたアンカー交換ワイヤであってもよい。Ｙ字型分流装置１００の遠位肢１０２、１０３は、ガイドワイヤ１３２、１４２に沿って所定の位置まで進められ、各遠位肢１０２、１０３は、遠位オリーブ２１０によって拘束されている。

図１５は、Ｙ字型分流装置１００の遠位肢１０２、１０３の遠位オリーブ２１０が剥離し、遠位肢１０２、１０３が拡張し始めた様子を示す。図１６は、各遠位肢１０２、１０３が完全に拡張した様子を示す。拡張後、ガイドワイヤ１３２、１４２及びアンカーステント１３０、１４０は、内径０．０２１インチのマイクロカテーテル２５０を通して回収されてもよい。図１６は、アンカーステント１４０が取り外され、アンカーステント１３０が取り外されている途中の様子を示す。

図１７は、分岐点動脈瘤１０に展開されたＹ字型分流装置１００を示す。図１８は、Ｙ字型分流装置１００が展開されてから３～６ヵ月後の動脈瘤１０の縮小を示す。

いくつかの実施形態では、Ｙ字型分流装置１００の編組ワイヤ要素１０５は、手術後にアスピリンのみを必要とする抗血小板／抗血栓薬で被覆することができる。

上記のＹ字型分流装置１００は、末梢動脈瘤を治療する用途も考えられるかもしれないが、分枝点冠動脈及び他の動脈狭窄、並びに胆管狭窄、特に胆管癌（放射性同位体イットリウムＹ－９０を装置に組み込んで放射線療法を提供してもよい）を治療するためのステントとしての用途も考えられる。また、気管支樹の分岐点狭窄にも有用な可能性がある。

Ｙ字型分流装置１００の遠位肢１０２、１０３は、超低プロファイルバルーン血管形成カテーテルに取り付けられた０．０１４インチのワイヤを介して挿入されてもよい。カテーテルは、被覆可撓性ハイポチューブから構成されてもよい。いくつかの実施形態では、遠位バルーン直径は、１．５ｍｍ以下であろう。

いくつかの実施形態では、Ｙ字型分流装置１００の遠位肢１０２、１０３は、フード２３０によって拘束されてもよい。図１９は、カテーテル２００に取り付けられた遠位ポリマーフード２３０を示す。遠位ポリマーフード２３０は、ＰＶＡ、ポリテトラフルオロエチレン（ＰＴＦＥ）等から作製されてもよい。遠位ポリマーフード２３０は、バルーンが膨張するときに分裂するゾーンとしてフード２３０に沿って延在する、多数の微小穿孔のライン２３２を備えてもよい。穿孔のライン２３２は、フード２３０の長手方向にあってもよい。Ｙ字型分流装置１００は、Ｙ字型分流装置１００の各遠位肢１０２、１０３に対して１つずつの、フード２３０のペアを備えてもよい。

図２０は、遠位フード２３０の下に入れたＹ字型分流装置１００の遠位肢１０２、１０３の伸張及び圧縮された遠位端部１１４、１２４を示し、遠位フード２３０は次いで、Ｙ字型分流装置１００の遠位端部に収縮包装されて、Ｙ字型分流装置１００を拘束状態でロックする。

Ｙ字型分流装置１００が所定の位置まで来ると、バルーンは生理食塩水又は造影剤で膨張し、穿孔のライン２３２に沿ってポリマーフード２３０を裂いて開く。このようにして、Ｙ字型分流装置１００の遠位肢１０２、１０３は、図２１に示すように拡張することができる。

図２２は、Ｙ字型分流展開システム３００を示す。システム３００は、４－５フレンチガイドカテーテル３１０内に配置されている。システム３００は、一対の０．０１４インチのガイドワイヤ１３２、１４２の上に展開され、ガイドワイヤ１３２、１４２は、Ｙ字型分流装置１００の各遠位肢１０２、１０３に配置され、各血管１８、１９に配置される。各遠位肢１０２、１０３は、遠位肢１０２、１０３を拘束したままにする円周フラップ２４０（遠位オリーブ２１０と同様）を有していてもよい。円周フラップ２４０は、ＰＴＦＥ、ＰＶＡ又は他の類似材料から作製されてもよい。Ｙ字型分流装置１００のクロッチ１０６（例えば、遠位肢１０２、１０３が収束する場所）に放射線不透過性マーカー１０４を配置してもよい。システム３００は、装置を展開するための４フレンチプッシャーカテーテル３２０を備える。

図２３は、Ｙ字型分流展開システム３００の断面図である。Ｙ字型分流装置１００の各遠位肢１０２、１０３は、４－５フレンチガイドカテーテル３１０内の１．５フレンチカテーテル３３０の上に配置されている。図２４は、４－５フレンチガイドカテーテル３１０の断面図である。システム３００は、Ｙ字型分流装置１００の近位肢１０１を抱え込む４フレンチプッシャーカテーテル３２０の外側にゴム製のカフ３４０を備える。図２５は、円周フラップ２４０と重なる遠位肢１０２、１０３のうちの一方の断面図である。

図２６は、Ｙ字型分流装置１００の遠位肢１０２、１０３のうちの一方の側面詳細図である。Ｙ字型分流装置１００の遠位肢１０２、１０３は、Ｙ字型分流装置１００を静止させたまま１．５フレンチカテーテルを前方に押すことによって解放される。円周フラップ２４０は、図２７に示すように遠位方向に反転するように構成されており、１．５フランスカテーテルを取り外すことができる。Ｙ字型分流装置１００の近位肢１０１は、図２８及び図２９に示すように、Ｙ字型分流装置１００を静止させたまま保持しながら５フレンチガイドカテーテル２００を引き抜くことによって解放される。Ｙ字型分流装置１００を分岐点動脈瘤１０に展開すると、その後数ヶ月にわたって動脈瘤１０が退縮し、閉塞する。

図３０～３３は、Ｙ字型分流展開システム４００の別の実施形態を示す。図３０は、遠位肢１０２、１０３の周りにコイル状に巻かれたワイヤ４２０によって送達マイクロカテーテル又は可撓性ハイポチューブ４１０の遠位端部４１２に固定及び拘束されている、遠位肢１０２、１０３のうちの一方を示す。Ｙ字型分流装置展開システム４００は、ワイヤ４２０のペアを備えてもよく、一方のワイヤが対応する遠位肢１０２、１０３の周りに巻かれている。ワイヤ４２０は、ニチノールから作製されてもよく、直径は０．０００５インチ未満である。ワイヤ４２０は、遠位肢１０２、１０３の周りに８回から２０回の間で巻かれてもよい。ワイヤ４２０は、遠位被覆ハイポチューブ４１０の外径とほぼ同径のバネとして作用し得る。ワイヤ４２０は、Ｙ字型分流装置１００の遠位肢１０２、１０３の周りにぴったりと巻き付くことで、遠位肢１０２、１０３を拘束し、中心のハイポチューブ４１０からの伸張及び剥離を防ぐ。

図３１は、分岐点動脈瘤１０におけるＹ字型分流装置１００の剥離を示す。剥離を誘発するために、拘束された分流器の遠位端部１１４、１２４のすぐ遠位にあるハイポチューブ４１０に取り付けられたワイヤ４２０又はニチノールバネを、トルク装置を使用してハイポチューブ４１０の近位端部に時計回りのトルクを加えることによって装置から回し取る。ワイヤ４２０（例えばコイル）は、Ｙ字型分流装置１００の遠位肢１０２、１０３から螺合を外され、遠位で分岐する。ワイヤ４２０又はコイルは、内部カテーテル３３０の取り外しが困難にならないよう、内部カテーテル３３０の外側を抱え込む。

代替的に、ワイヤ４２０又はニチノールバネは、図３２及び図３３に示すように、拘束された装置の下又は遠位のいずれかで、ハイポチューブ４１０内の開口部４３２を通って内腔から出るハイポチューブ４１０の長さに沿った細いニチノールワイヤ４３０（又はおそらく細いケブラーケーブル）上に牽引力を掛けることによって、Ｙ字型分流装置１００の拘束された遠位肢から引き離されてもよい。ワイヤ４２０又はバネにさらなる安定性が必要な場合は、ワイヤ４２０又はバネを遠位ハイポチューブ４１０に貼付し、電解的に剥離させることができる。

本明細書の任意の１つの部分に開示された主題は、そのような組み合わせが相互に排他的又は動作不能でない限り、本明細書の１つ以上の他の部分の主題と組み合わせることができることを意図している。加えて、本明細書で説明された概念の多くの変形、拡張及び修正が可能である。

上記で使用された用語及び説明は、例示のためにのみ記載され、限定することを意味するものではない。当業者は、本発明の基本原理から逸脱することなく、上述の実施形態の詳細について多くの変形を行うことができることを認識するであろう。

Claims (21)

1. 第１の管状分流装置の遠位端部から所定の距離で、前記第１の管状分流装置に第１の孔を切り込むステップであって、前記第１の管状分流装置が複数の編組ワイヤを備える、ステップと、
   第２の管状分流装置を内腔に挿入し、前記第１の管状分流装置の前記第１の孔から出すステップであって、前記第２の管状分流装置が複数の編組ワイヤを備える、ステップと、
   前記第２の管状分流装置に第２の孔を切り込むステップであって、前記第２の管状分流装置の前記第２の孔が、前記第１の管状分流装置の遠位部分の前記内腔と一致する、ステップと、を含む、分流装置の製造方法。
   方法。
2. 前記分流装置が、近位肢と２本の遠位肢とを備えて実質的にＹ字型を形成する、請求項１に記載の方法。
3. 前記分流装置が、近位肢と２本の遠位肢とを備えて実質的にＴ字型を形成する、請求項１に記載の方法。
4. 前記分流装置の前記近位肢が２層の編組ワイヤを備え、前記２本の遠位肢が単層の編組ワイヤを備える、請求項２に記載の方法。
5. 前記第１の管状分流装置及び前記第２の管状分流装置のための前記複数の編組ワイヤの数が、４０本から８０本の間である、請求項１に記載の方法。
6. 前記第１の管状分流装置及び前記第２の管状分流装置のための前記複数の編組ワイヤの４本のワイヤごとに、放射線不透過性材料から作製される、請求項１に記載の方法。
7. 前記２本の遠位肢が収束する位置に放射線不透過性マーカーを置くステップをさらに含む、請求項４に記載の方法。
8. 前記第１の管状分流装置及び前記第２の管状分流装置に前記孔を切り込むことによって作られたワイヤの自由端部を互いに溶接するステップをさらに含む、請求項１に記載の方法。
9. ガイドカテーテルと、
   前記ガイドカテーテル内に配置された２本の内部カテーテルと、
   前記ガイドカテーテル内に拘束構成で配置された拡張可能なＹ字型分流装置と、を備える、Ｙ字型分流装置を展開するシステムであって、
   前記Ｙ字型分流装置が、複数のワイヤ要素を備えるワイヤステントフレームを備え、
   前記ワイヤステントが、近位肢と２本の遠位肢とを備え、
   前記近位肢と前記２本の遠位肢が、前記ワイヤステントフレームのクロッチで収束し、
   前記２本の内部カテーテルは、拘束された前記近位肢内に配置され、
   前記２本の内部カテーテルは、それぞれ前記２本の遠位肢のうちの一方に配置される、システム。
10. フードのペアをさらに備え、
    前記フードの各一方が前記Ｙ字型分流装置の前記２本の遠位肢のうちの一方の対応する遠位端部の周りに配置されて、前記Ｙ字型分流装置の前記遠位肢を拘束する、請求項９に記載のシステム。
11. 各フードが、複数の長手方向の穿孔のラインを備え、
    前記複数の長手方向の穿孔のラインが、前記Ｙ字型分流装置の各遠位肢の各遠位端部で膨張バルーンが膨張するときに、前記２本の遠位肢の各々の前記遠位端部を分割及び解放するように構成される、請求項１０に記載のシステム。
12. フラップのペアをさらに備え、
    前記フラップの各一方が前記Ｙ字型分流装置の前記２本の遠位肢のうちの一方の対応する遠位端部の周りに配置されて、前記Ｙ字型分流装置の前記遠位肢を拘束する、請求項９に記載のシステム。
13. 各フラップが、対応する内部カテーテルの遠位端部に結合されている、請求項１２に記載のシステム。
14. ワイヤのペアをさらに備え、
    前記ワイヤの各一方が前記Ｙ字型分流装置の前記２本の遠位肢の対応する遠位肢の周囲に巻き付けられて、前記Ｙ字型分流装置の前記２本の遠位肢を拘束する、請求項９に記載のシステム。
15. 前記ワイヤの近位端部が前記２本の内部カテーテルのうちの一方内に配置され、
    前記ワイヤの遠位端部が、前記内部カテーテルの開口部及び対応する遠位肢の隙間を通って出て、
    前記Ｙ字型分流装置の前記対応する遠位肢に巻き付いている、請求項１４に記載のシステム。
16. 各ワイヤが、８回から２０回の間で前記Ｙ字型分流装置の前記対応する遠位肢に巻き付いている、請求項１４に記載のシステム。
17. 前記ワイヤのペアがニチノールで作られている、請求項１４に記載のシステム。
18. 前記ガイドカテーテル内に配置されるプッシャーカテーテルをさらに備え、
    前記２本の内部カテーテルの近位端部が前記プッシャーカテーテルに結合されている、請求項９に記載のシステム。
19. プッシャーカテーテルの遠位端部が、前記Ｙ字型分流装置の前記近位肢の近位端部の周りに配置されたカフを備える、請求項９に記載のシステム。
20. 前記Ｙ字型分流装置が、単層の編組されたワイヤ要素による一体形成である、請求項９に記載のシステム。
21. 前記分流装置の前記近位肢が２層の編組ワイヤ要素を備え、前記２本の遠位肢が単層の編組ワイヤ要素を備える、請求項９に記載のシステム。
    

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