JP2023529477A - ポリ(エーテルケトンケトン)ポリマーのブレンド - Google Patents

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Abstract

本発明は、ポリ(エーテルケトンケトン)(PEKK)ポリマーのブレンドに関し、特に、従来のPEKKポリマーよりも融点が低いながらも高い結晶性及び速い結晶化挙動を維持する、第1のT/I比を有する主成分量の第1の求核型PEKKと第1のT/I比よりも高い第2のT/I比を有する副成分量の第2のPEKKとから構成される特定のブレンド;その製造方法、並びに様々な分野でのその使用に関する。【選択図】なし

Description

本出願は、2020年6月11日出願の米国仮特許出願第63/038,100号及び2020年9月2日出願の欧州特許出願公開第20194026.9号の優先権を主張するものであり、これらの出願のそれぞれの全内容は、あらゆる目的のために参照により本明細書に援用される。
本発明は、ポリ(エーテルケトンケトン)(PEKK)ポリマーのブレンドに関し、特に、従来のPEKKポリマーよりも融点が低いながらも高い結晶性及び速い結晶化挙動を維持する特定のブレンド、及びその製造方法、並びに様々な分野でのその使用に関する。
ポリ(エーテルケトンケトン)(「PEKK」)ポリマーは、比較的極限条件で使用されてきた十分に確立されている材料である。特に、PEKKポリマーの高い結晶性及び高い融点のため、それらは優れた熱的、物理的、及び機械的特性を有する。そのような特性のため、PEKKポリマーは、航空宇宙及び石油ガス掘削を含むがそれらに限定されない広範囲の要求の厳しい用途状況においてのみならず、複合材料構造体の熱可塑性マトリックスとしても望ましい。
特に、約70/30の公称T/Iモル比を有するPEKKは、熱可塑性連続繊維複合材料用の十分に確立された実績のあるマトリックス樹脂であり、これは複数の供給業者から調達することができ、フェノキシ末端芳香族モノマー上のイソ/テレフタル酸クロリドの混合物のフリーデル-クラフツ支援型のAl含有ルイス酸触媒による求電子的置換を本質的に含む求電子的プロセス、又はジヒドロキシ及びジフルオロベンゾイル含有芳香族化合物及び/若しくはヒドロキシル-フルオロベンゾイル含有芳香族化合物の重縮合を本質的に含む求核ルートのいずれかにより製造することができる。それぞれの微細構造における合成経路の必然的な特徴に起因する明らかな相違はあるものの、「求電子型」PEKK(「ePEKK」)と「求核型」PEKK(「nPEKK」)は、共に、複合材料ラミネートパネル及び予め含浸されたシート及びテープに基づく他のコンソリデーションされた物品(プリプレグ)に対して強度、剛性、耐熱性、及び耐薬品性の優れた組み合わせを付与する。
それにもかかわらず、PEKKポリマーの利益の多くを提供する同じ高い結晶性及び高い融点はまた、加工において困難さを与える。そのため、そのようなPEKKポリマーを、特に複合材料構造体において製造及び使用する業界では、より容易且つ寛容な製造、エネルギーの節約、及びより迅速な製造サイクル時間を可能にする、より低い融点(T)のPEKK代替物を提供することが求められている。実際、公称T/Iが約70/30であるPEKKのTは約340℃である。半結晶性熱可塑性樹脂が融点よりも少なくとも約40℃高い溶融加工温度を必要とすることを考慮すると、このPEKKに基づく複合材料を適切に製造するためには、プラスチック温度が少なくとも380℃に到達する必要がある。したがって、溶融製造温度を下げるためにPEKKポリマーのTを下げる必要があり、場合によっては360℃更にはそれより低い温度での溶融加工を可能にする必要がある。したがって、このような長い間感じられてきた工業的要求によって課せられた制約の1つは、PEKKの他の全ての有利な特性に有害な影響を与えることなしに、最大330℃のTを有する一方で、更に(i)PEKKポリマーの所定のT/I比の先行技術の組成で観察される温度よりもTに近い温度で結晶化が起こり、且つ(ii)材料が溶融物から20℃/分の速度で冷却されたときに、その後の加熱で実質的に更に「低温」結晶化が起こらないような、速い結晶化速度(結晶化温度、Tによって示される)を与えるPEKK材料を提供することであり、この「低温」結晶化が起こらないことは、急速サイクル溶融製造において、「成形したままの状態の」材料が冷却時に既にその固有の結晶化を全て発現し、その後の熱への暴露(例えばその使用中)で内部張力、歪み、又は他の望まれない現象の原因となり得るさらなる結晶化現象を起こさないことを示す。加えて、及びおそらくより重要なことには、複合材料が部品の使用期間中にその完全な化学的及び環境的耐性を発揮できることを保証するためには、従来の製造冷却サイクル中に完全に結晶化することが必要である。
ポリアリールエーテルケトンポリマーの特性を変更するためのブレンドに基づくアプローチが、先行技術において追求されてきた。
このシナリオ内で、米国特許出願公開第2015/0259530号明細書には、それによって定義された「低温結晶化温度」を下げることを目的としたブレンドが記載されている。結晶化と融解との間の大きな温度ウインドウの利用可能性が3D印刷の重要なプロセスパラメータとして保持されているため、そのように提供されるブレンドの目的は、したがって、実際の融解相転移の前に、加熱時に結晶化が起こる温度を下げることである。この文献では、靭性、結晶性、及び熱的能力のバランス実現するために、様々なT/I比及び粘度のPEKKコポリマーを配合することが提案されており、その結果意図した3D印刷加工性が提供されている。これは、KEPSTAN(登録商標)の商品名で市販されている2つの求電子型PEKKのブレンドを例示しており、これらはT/I含有量が大幅に異なる(20モル%のT%含有量差)。それによって提供される解決手段の意図された目的と一致するそのようなブレンドは、使用される個々のe-PEKKはT/I比が大幅に異なり、共結晶化挙動をある程度妨げるようなものであるが、「低温結晶化」挙動を有することが示されている。実際、これにより例示されたブレンドは、10℃/分で融解から冷却された後、更に加熱されるとゼロでない結晶化発熱を有することが示され(それにより「低温結晶化」と呼ばれる)、そのため、非常に遅い冷却速度にもかかわらず、ブレンドは、それらの結晶化速度がある程度妨げられていることのしるしとして、更に結晶化する能力を依然として示す。
その結果、そのようなブレンドは付加製造分野での使用に有用性が見出されているものの、この材料は非常に長い処理時間加熱された造形チャンバー内に留まることが意図されており、そのようなブレンドは、可塑性複合材料、特に高速サイクルによって製造される複合材料部品のマトリックスとして効果的に使用されるための上に挙げた要件を満たさない。
本発明は、PEKK組成物中の所定の総テレ/イソ(T/I)比で見込まれるよりも高い、大幅に増加した結晶化速度及び結晶性レベルと、低い融点とが組み合わされたPEKK組成物を提供する。組成物は、求核プロセスによって製造された第1のPEKKを、以下で詳述する適切な量の第2のPEKK及び任意選択的な無機造核剤とブレンドして、PEKK組成物のT/I含有量で見込まれるよりも高い結晶化速度を示す一方で330℃以下のTを有利に示すPEKK組成物に到達させることによって得られる。これらの組成物は、25J/g以上の融解熱によって証明される実用レベルの結晶性も示す。この組成物は、複合材料製造のための速い製造サイクル時間と、より低いエネルギー消費を伴う改善された経済性とを兼ね備えている。これらの組成物における高いレベルの結晶性は、それらを利用する複合材料構造体において堅牢な耐薬品性を保証する。これらの組成物、それらの特性を達成する方法、及び熱可塑性複合材料用途におけるそれらの最終用途は、本出願の主題である。
本発明は、
- 繰り返し単位(R)と繰り返し単位(R)とを含み、単位(R)の第1のモル含有率[(Tlow)]と単位(R)の第1のモル含有率[(Ilow)]とを有する、主成分量の第1のPEKKポリマー[ポリマー(PEKKlow)]であって、
Figure 2023529477000001
及び
Figure 2023529477000002
であり、
第1のT/I比[(T/I)low]が
Figure 2023529477000003
で定義され、
繰り返し単位(R)が、式(T):
Figure 2023529477000004
で表され、
繰り返し単位(R)が、式(I):
Figure 2023529477000005
で表され、
式中、
- 各R及びRは、それぞれの場合において、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、エーテル、チオエーテル、カルボン酸、エステル、アミド、イミド、アルカリ金属又はアルカリ土類金属スルホネート、アルキルスルホネート、アルカリ金属又はアルカリ土類金属ホスホネート、アルキルホスホネート、アミン及び第四級アンモニウムからなる群から独立して選択され、
- 各i及びjは、それぞれの場合において、0~4の範囲の独立して選択される整数である、
第1のPEKKポリマー[ポリマー(PEKKlow)];並びに
- 前記繰り返し単位(R)と前記繰り返し単位(R)とを含み、単位(R)の第2のモル含有率[(Thigh)]と単位(R)の第2のモル含有率[(Ihigh)]とを有する、副成分量の第2のPEKKポリマー[ポリマー(PEKKhigh)]であって、
Figure 2023529477000006
及び
Figure 2023529477000007
であり、
第2のT/I比[(T/I)high]が
Figure 2023529477000008
で定義される、第2のPEKKポリマー[ポリマー(PEKKhigh)];
を含有する組成物[組成物(C)]であって、
ポリマー(PEKKlow)が求核型PEKKであり;
PEKKlowの(T/I)lowがPEKKhighの(T/I)highよりも小さく;
以下の不等式:
high-Tlow≦17モル%
を満たす、組成物[組成物(C)]を提供する。
本発明の組成物は、有利には以下の特徴を有する:
・330℃以下の融点(T);
・25J/gを超える融解熱(ΔH);
・2回目のDSC加熱スキャンにおける加熱時の結晶化ピーク(「低温結晶化ピーク」)がない;
・2回目のDSC加熱スキャンで決定された融点(℃単位のT)と1回目のDSC冷却スキャンで決定された結晶化温度(℃単位のT)との関係が以下の不等式を満たす:
≧1.3716×T-190℃
(式中、T、T、ΔH、及び低温結晶化ピークの不存在は、20℃/分の加熱及び冷却速度を適用して、30℃から400℃までのスイープで、ASTM D3418-03、E1356-03、E793-06、E794-06標準に準拠して示差走査熱量計(DSC)によって測定される)。
本発明は、更に、特に複合材料構造体中に熱可塑性マトリックスを含む、様々な使用分野における上で詳述した組成物の使用に関する。
バブルチャートであり、バブルの中心は、比較のPEKKコポリマー(白いバブル)と本発明のブレンド(黒いバブル)の両方についてのT(℃)の関数としてのT(℃)のプロットを示しており、バブルのサイズはΔH(J/g)を表し、更に前記バブルのラベルとして明示的に提供されている。
前述したように、本発明の組成物はポリマー(PEKKlow)とポリマー(PEKKhigh)を含み、これらはまとめてポリマー(PEKK)と呼ばれる。前述したように、ポリマー(PEKK)は、上で詳述した式(T)及び(I)によって表される繰り返し単位(R)及び繰り返し単位(R)をそれぞれ含む。
一実施形態によれば、R及びRは、上の式(T)及び(I)の各位置において、1つ以上のヘテロ原子;スルホン酸及びスルホネート基;ホスホン酸及びホスホネート基;アミン及び四級アンモニウム基を任意選択的に含むC~C12部位からなる群から独立して選択される。
別の実施形態によれば、i及びjは、各R及びR基についてゼロである。換言すれば、繰り返し単位(R)及び(R)は共に無置換である。この実施形態によれば、繰り返し単位(R)及び(R)は、それぞれ式(T’)及び(I’)で表される:
Figure 2023529477000009
別の実施形態によれば、ポリマー(PEKK)は、上で詳述した繰り返し単位(R)及び繰り返し単位(R)を、ポリマー(PEKK)の総モル数を基準として合わせて少なくとも50モル%の量で含む。
ポリマー(PEKK)は、上で詳述した繰り返し単位(R)及び繰り返し単位(R)とは異なる少量の繰り返し単位を含むことができ、これは、Ar-C(O)-Ar基(Ar及びAr’は、互いに同じであるか異なり、芳香族基である)を含む繰り返し単位(RPAEK)からなる群から選択することができる。繰り返し単位(RPAEK)は、通常、以下の式(J-A)~式(J-O)からなる群から選択することができる:
Figure 2023529477000010
Figure 2023529477000011
Figure 2023529477000012
(式中、
互いに等しいか又は異なるR’のそれぞれは、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、エーテル、チオエーテル、カルボン酸、エステル、アミド、イミド、アルカリ又はアルカリ性土類金属スルホネート、アルキルスルホネート、アルカリ又はアルカリ性土類金属ホスホネート、アルキルホスホネート、アミン及び第四級アンモニウムからなる群から選択され;
j’は、ゼロ又は0~4の整数である)。
繰り返し単位(RPAEK)において、それぞれのフェニレン部分は独立して、繰り返し単位中でR’と異なる他の部分に対して1,2-、1,4-又は1,3-結合を有してもよい。好ましくは、前記フェニレン部分は1,3-又は1,4-結合を有し、より好ましくは1,4-結合を有する。
更に、繰り返し単位(RPAEK)において、j’は、出現ごとにゼロである、すなわち、フェニレン部分は、ポリマーの主鎖における結合を可能にするもの以外の置換基を全く有さない。
好ましい繰り返し単位(RPAEK)は、したがって、以下の式(J’-A)~(J’-O)のものから選択される:
Figure 2023529477000013
Figure 2023529477000014
上述した繰り返し単位(R)及び(R)とは異なる繰り返し単位(RPAEK)を含むポリマー(PEKK)を使用することができるが、通常、好ましいポリマー(PEKK)は、前記繰り返し単位(R(RPAEK)の量が限定されており、ポリマー(PEKK)の総モル数を基準として最大40モル%、より好ましくは最大30モル%、より好ましくは最大20モル%、更に好ましくは最大10モル%、更に最も好ましくは最大5モル%であるものが好ましいことが理解される。
したがって、一実施形態によれば、ポリマー(PEKK)中の少なくとも60モル%、少なくとも70モル%、少なくとも80モル%、少なくとも90モル%、少なくとも95モル%、少なくとも99モル%、又は実質的に全ての繰り返し単位が、上述した繰り返し単位(R)及び(R)であり、このモル%はポリマー(PEKK)中の総モル数を基準とする。「実質的に全て」という表現は、ポリマー(PEKK)の繰り返し単位を構成することに関連して使用される場合、少量の疑似的な/欠陥のある繰り返し単位が、例えば1モル%未満の量で、好ましくは0.5モル%未満の量で、より好ましくは0.1モル%未満の量で存在する可能性があることを示すことが意図されている。ポリマー(PEKK)中に繰り返し単位(R)及び(R)以外の繰り返し単位が検出されない場合、このポリマーは、全ての単位が単位(R)及び(R)であるポリマー(PEKK)として認められ、これは本発明の好ましい実施形態である。
ポリマー(PEKKlow)は求核型PEKKであり、これはポリマー(PEKKlow)がジヒドロキシ及びジフルオロベンゾイル含有芳香族化合物及び/又はヒドロキシルフルオロベンゾイル含有芳香族化合物の重縮合によって製造されることを意味する。ポリマー(PEKKlow)の求核型特性は、通常100ppmを超える、好ましくは200ppmを超える、更に好ましくは300ppmを超える量のフッ素の存在によって特に証明される。このような有機的に結合したフッ素は、フッ素含有モノマーの使用の必然的な特徴である。ポリマー(PEKKlow)の求核型特性の更なる証拠は、Al残基が実質的に存在しないこと、すなわちAl含有量が通常50ppm未満、好ましくは25ppm未満、より好ましくは10ppm未満であることによって示される。Al及びFの含有量は、AlについてのICP-OES分析及びフッ素についての燃焼イオンクロマトグラフィーなどの元素分析によって簡便に決定することができる。
その求核型特性のため、ポリマー(PEKKlow)は低揮発分であることも特徴とする。揮発分の量は、ASTM D3850法に従って熱重量分析(TGA)を使用して決定することができ;所定量の揮発性物質(例えば1重量%又は2重量%)が試料を離れる温度Tは、10℃/分の加熱速度を用いて窒素下で試料を30℃から800℃まで徐々に加熱することによって決定される。1重量%の熱分解温度はT(1%)と呼ばれる。本発明の一実施形態では、ポリマー(PEKKlow)は、10℃/分の加熱速度を用いて窒素下で30℃から800℃まで加熱する、ASTM D3850に従った熱重量分析で測定されたとき、少なくとも500℃、好ましくは少なくとも505℃、より好ましくは少なくとも510℃のT(1%)を有する。
出願人は、驚くべきことに、本発明の有利な効果が、少なくともポリマー(PEKKlow)が上述した特に有利な特徴(F含有量、Al含有量、T(1%))を有する求核型PEKKである場合のみに、及び好ましくはポリマー(PEKKlow)及びポリマー(PEKKhigh)が共に求核型PEKKであり、したがってポリマー(PEKKhigh)もポリマー(PEKKlow)に関して上で説明した有利な特徴(F含有量、Al含有量、T(1%))を有する場合のみに達成できることを見出した。この理論に拘束されるものではないが、出願人は、求核的合成経路によって達成されるポリマー(PEKK)の特異な微細構造(特に稀ではあるが求電子的合成経路で起こり得る「位置選択的な」エラー及び/又は分岐現象がないことなど)が、本発明のブレンドが達成する特異的な有利な熱挙動の実現を可能にすると考えている。
前述したように、本発明の組成物において、PEKKlowの(T/I)lowはPEKKhighの(T/I)highよりも低く;ポリマー(PEKKlow)は、好ましくは少なくとも50/50、好ましくは少なくとも54/46、より好ましくは少なくとも56/44、最も好ましくは少なくとも57/43の(T/I)low、及び/又は最大64/36、好ましくは最大63/37、より好ましくは最大62/38の(T/I)lowを有する。57/43~62/38に含まれる(T/I)lowを有するポリマー(PEKKlow)が本発明のブレンドでの使用に特に有利であることが見出された。
前述したように、ポリマー(PEKKhigh)も、好ましくは求核型PEKKであり、これは、ポリマー(PEKKhigh)も、ジヒドロキシ及びジフルオロベンゾイル含有芳香族化合物及び/又はヒドロキシルフルオロベンゾイル含有芳香族化合物の重縮合によって生成されることを意味し、したがって有利には、通常100ppmを超える、好ましくは200ppmを超える、更に好ましくは300ppmを超えるフッ素含有量、及び/又は通常50ppm未満、好ましくは25ppm未満、より好ましくは10ppm未満のAl含有量を有する。
ポリマー(PEKKhigh)は、好ましくは少なくとも65/35、好ましくは少なくとも66/34、より好ましくは少なくとも67/33の(T/I)high、及び/又は最大75/25、好ましくは最大73/27、より好ましくは最大72/28の(T/I)highを有する。67/33~72/28に含まれる(T/I)highを有するポリマー(PEKKhigh)が本発明のブレンドでの使用に特に有利であることが見出された。
更に、本発明の組成物では、以下の不等式が満たされる:Thigh-Tlow≦17モル%。したがって、特定のTlowを有する具体的なポリマー(PEKKlow)の選択に応じて、適切なポリマー(PEKKhigh)のThighの選択はその結果制限され、逆もまた同様である。この理論に束縛されるものではないが、出願人は、ポリマーPEKKのT単位の割合が適度に異なる場合にのみ、本発明のブレンドの有利な熱的特性の最終的な原因の基礎となる共結晶化現象が達成され得ると考えている。
更に、本発明の組成物のポリマー(PEKKlow)及びポリマー(PEKKhigh)においては、好ましくはThigh-Tlow≦16モル%、より好ましくはThigh-Tlow≦15モル%である。ポリマー(PEKKlow)及びポリマー(PEKKhigh)は、通常Thigh-Tlow≧3モル%、より好ましくはThigh-Tlow≧4モル%、更に好ましくはThigh-Tlow≧5モル%となるようにそのT含有量が異なることが更に理解される。
high-Tlowが約10~約13モル%となるようにポリマー(PEKKlow)とポリマー(PEKKhigh)を用いることで、有利な特性を有するブレンドが特に得られた。
組成物は、主成分量のポリマー(PEKKlow)と副成分量のポリマー(PEKKhigh)を含む。「主成分量」及び「副成分量」という表現は、一般に理解される意味を有する。すなわち、ポリマー(PEKKlow)の量がポリマー(PEKKhigh)の量を超えることを意味する。
通常、本発明の組成物中のポリマー(PEKKlow)とポリマー(PEKKhigh)との間の重量比は、有利には少なくとも60/40、好ましくは少なくとも65/35、より好ましくは少なくとも70/30、更に好ましくは少なくとも75/25、及び/又は最大99/1、好ましくは最大97/3、更に好ましくは最大96/4である。
前述したように、本発明の組成物は、有利には以下を備える:
・330℃以下の融点(T);
・25J/gを超える融解熱(ΔH);
・2回目のDSC加熱スキャンにおける加熱時の結晶化ピーク(「低温結晶化ピーク」)がない;
・2回目のDSC加熱スキャンで決定された融点(℃単位のT)と1回目のDSC冷却スキャンで決定された結晶化温度(℃単位のT)との関係が以下の不等式を満たす:
≧1.3716×T-190℃
(式中、T、T、ΔH、及び低温結晶化ピークの不存在は、20℃/分の加熱及び冷却速度を適用して、300℃から400℃までのスイープで、ASTM D3418-03、E1356-03、E793-06、E794-06標準に準拠して示差走査熱量計(DSC)によって測定される)。
低温結晶化ピークの存在/不存在の決定に関する限り、融解開始温度に先行する0.5J/gを超える発熱ピークが2回目の加熱スキャンでDSCによって検出されない場合、これは低温結晶化ピークが存在しないことを表すことが理解される。通常、本発明の組成物では、2回目の加熱スキャンでDSCによって発熱ピークが実質的に検出されず、これは、機器の感度限界内で検出可能なエネルギーの放出が観察されないことを意味する。
使用の対象分野に応じて、本発明の組成物(C)の分子量を調整することができる。特に、組成物(C)が複合材料構造体の熱可塑性マトリックスとして使用されることが特に意図されている場合、組成物(C)の分子量は、340~360℃の温度で実施例で定義される8.4kgのピストン荷重下でASTM D1238に従って測定されるMFIが60~120g/10分の範囲で得られるように調整されることが通常理解される。
更に、特に組成物(C)が多層アセンブリにおける結合層(別名バインダーフィルム)として使用されることが意図されている場合、組成物(C)の分子量は、340~360℃の温度で実施例で定義される8.4kgのピストン荷重下でASTM D1238に従って測定されるMFIが15~50g/10分の範囲で得られるように調整される。
特定の実施形態によれば、本発明の組成物は、1.3~2.5の電気陰性度(ε)を有する元素の少なくとも1種の窒化物(NI)を更に含む。
電気陰性度値(ε)は、特に「Handbook of Chemistry and Physics」、CRC Press、第64版、B-65~B-158頁に記載されている。
本発明の文脈内で、「少なくとも1種の窒化物(NI)」という表現は、1種以上の窒化物(NI)を意味することを意図する。窒化物(NI)の混合物を、本発明の目的のために有利に使用することができる。
1.3~2.5の電気陰性度(ε)を有する元素の窒化物(NI)の非限定的な例は、特に「Handbook of Chemistry and Physics」、CRC Press、第64版、B-65~B-158頁に記載されている。カッコ内の記号は、CRC Handbookによって該当窒化物に属するとされるものであり、一方、εは、窒化物が誘導される元素の電気陰性度を意味する。本発明の目的に好適な1.3~2.5の電気陰性度(ε)を有する元素の窒化物(NI)は、とりわけ、窒化アルミニウム(AlN、a45、ε=1.5)、窒化アンチモン(SbN、a271、ε=1.9)、窒化ベリリウム(Be、b123、ε=1.5)、窒化ホウ素(BN、b203、ε=2.0)、窒化クロム(CrN、c406、ε=1.6)、窒化銅(CuN、c615、ε=1.9)、窒化ガリウム(GaN、g41、ε=1.6)、二窒化三ゲルマニウム(Ge、g82、ε=1.8)、四窒化三ゲルマニウム(Ge、g83、ε=1.8)、窒化ハフニウム(HfN、h7、ε=1.3)、FeN(i151、ε=1.8)及びFeN又はFe(i152、ε=1.8)のような窒化鉄、窒化水銀(Hg、m221、ε=1.9)、窒化ニオブ(n109、ε=1.6)、窒化ケイ素(Si、s109、ε=1.8)、窒化タンタル(TaN、t7、ε=1.5)、窒化チタン(Ti、t249、ε=1.5)、二窒化タングステン(WN、t278、ε=1.7)、窒化バナジウム(VN、v15、ε=1.6)、窒化亜鉛(Zn、z50、ε=1.6)及び窒化ジルコニウム(ZrN、z105、ε=1.4)である。
本発明の組成物における使用に好ましい窒化物(NI)は、好ましくは少なくとも1.6、より好ましくは少なくとも1.8、及び/又は好ましくは最大2.2の電気陰性度を有する元素の窒化物である。
その上、窒化物(NI)は好ましくは、元素周期表の族IIIa、IVa、IVb、Va、Vb、VIa、VIb、VIIb及びVIIIから選ばれる元素の窒化物から、より好ましくは元素周期表の族IIIaの元素の窒化物から選ばれる。
窒化物(NI)が窒化ホウ素である場合に特に良好な結果が得られ、これは好ましい窒化物(NI)である。
窒化ホウ素の異なる結晶形態の中でも、本実施形態による組成物において六方晶窒化ホウ素を使用することが好ましい。
通常、窒化物(NI)の平均粒径は、有利には30μm以下、好ましくは20μm以下、より好ましくは18μm以下、より好ましくは10μm以下である、及び/又は好ましくは少なくとも0.05μm、少なくとも0.1μm、より好ましくは少なくとも0.2μm以上、少なくとも1μm以上である。
窒化物(NI)の平均粒度は、好ましくは1μm~20μm、より好ましくは2μm~18μm、より好ましくは2μm~10μmである。
約2.5μmの窒化物(NI)の平均粒度が特に良好な結果を与えた。特に、そのような平均粒度を有する窒化ホウ素が特に有効であることが見出された。
窒化物(NI)の平均粒度は、例えばMalvern社製のそれぞれの装置(Mastersizer Micro又は3000)を用いる光散乱法(動的又はレーザー)によって、又はDIN 53196に従ってふるい分析を用いて測定することができる。
これら又は別の実施形態によれば、本発明の組成物は、ポリマー(PEKKlow)及びポリマー(PEKKhigh)に加えて、及び場合によっては窒化物(NI)に加えて、1種以上の追加の成分を含み得る。
そのような成分は、特に、着色剤、顔料、光安定剤、熱安定剤、酸化防止剤、酸捕捉剤、加工助剤、結晶化造核剤、内部潤滑剤及び/又は外部潤滑剤、難燃剤、煙抑制剤、帯電防止剤、ブロッキング防止剤、熱及び電気及び磁気伝導性材料(すなわち誘導加熱に役立ち得る材料)、並びに強化用繊維質添加剤及び強化用非繊維質添加剤からなる群から有利に選択することができる。
これらの上述した任意選択的な成分は当業者に広く知られている。
着色剤の非限定的な例としては、水溶性染料、油溶性染料、非水溶性着色レーキ、及びこれらの混合物を挙げることができる。
顔料の非限定的な例としては、二酸化チタン、硫化亜鉛、及び酸化亜鉛を挙げることができる。
光安定剤の非限定的な例としては、UV吸収剤及びヒンダードアミン光安定剤を挙げることができる。
酸化防止剤の非限定的な例としては、有機ホスファイト及びホスホナイトを挙げることができる。
導電性添加剤の非限定的な例としては、カーボンブラック及びカーボンナノフィブリルを挙げることができる。
強化用繊維質添加剤の非限定的な例としては、ガラス繊維、炭素繊維、及びウォラストナイトを挙げることができる。
ポリマー組成物(C)中に任意選択的に含まれるガラス繊維は、Additives for Plastics Handbook,2ndedition,John Murphyの第5.2.3章、43~48頁に記載されているようなチョップドストランドA型、E型、C型、D型、S型、T型及びR型ガラス繊維からなる群から選択することができる。前記ガラス繊維は、円形断面又は非円形断面(楕円形若しくは長方形の断面など)を有し得る。使用されるガラス繊維が円形の横断面を有する場合、それらは好ましくは、3~30μmの、特に好ましくは5~12μmの平均繊維直径を有する。円形断面の異なる種類のガラス繊維は、それらが製造されるガラスのタイプに応じて市場で入手可能である。
本明細書で使用される「炭素繊維」という用語は、黒鉛化された、部分的に黒鉛化された及び黒鉛化されていない炭素強化繊維又はそれらの混合物を含むことが意図されている。本発明に有用な炭素繊維は、例えば、レーヨン、ポリアクリロニトリル(PAN)、芳香族ポリアミド又はフェノール樹脂などの異なるポリマー前駆体の熱処理及び熱分解によって有利に得ることができる。本発明に有用な炭素繊維は、ピッチ系材料から得ることもできる。「グラファイト繊維」という用語は、炭素繊維の高温熱分解(2000℃超)によって得られる炭素繊維を指すことが意図されており、炭素原子は、グラファイト構造と同様の方法で配置される。本発明に有用な炭素繊維は、好ましくは、PAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、グラファイト繊維及びこれらの混合物から構成される群から選択される。カーボンナノファイバー並びに単層及び多層カーボンナノチューブも、本発明の組成物の一部としての強化用添加剤として使用することができる。
強化用非繊維質添加剤の非限定的な例としては、タルク、マイカ、カオリン、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、炭酸マグネシウムを挙げることができる。使用できる強化用非繊維質添加剤には、グラファイト及びグラフェン(ナノグラファイト又はグラファイトナノプレートレット、GNPと呼ばれる場合もある)も含まれる。
特定の実施形態によれば、ポリマー(PEKKlow)及びポリマー(PEKKhigh)の総重量は、本発明の組成物(C)の総重量を基準として、有利には60重量%以上、好ましくは70重量%以上、より好ましくは80重量%以上、より好ましくは85重量%以上、最も好ましくは90重量%以上である。
特定の実施形態によれば、本発明の組成物(C)は、ポリマー(PEKKlow)及びポリマー(PEKKhigh)以外に他のポリアリールエーテルケトンポリマー[ポリマー(PAEK)]を含まない。言い換えると、これらの実施形態による本発明の組成物(C)は、通常、ポリマー(PEKKlow)でもポリマー(PEKKhigh)でもない、繰り返し単位の50モル%超がAr-C(O)-Ar’基を含む繰り返し単位(R PAEK)であるポリマー(Ar及びAr’は、互いに同じであるか異なり、芳香族基である)を実質的に含まない。ポリマー(PAEK)の繰り返し単位(R PAEK)は、ポリマー(PEKK)の任意選択的な繰り返し単位(RPAEK)に関して既に上述したものと同じ特徴を有する。
使用される場合、本発明の組成物(C)中の窒化物(NI)の総重量は、組成物(C)の総重量を基準として、有利には少なくとも約0.1重量%、通常少なくとも約0.2重量%、好ましくは少なくとも約0.3重量%、より好ましくは少なくとも約0.5重量%、及び/又は最大約10重量%、好ましくは最大約8重量%、より好ましくは最大約5重量%、更に好ましくは最大約3重量%である。
追加の任意選択的な成分が本発明の組成物(C)中に存在する場合、組成物(C)の総重量を基準とした任意選択的な成分の総重量は、組成物(C)の総重量を基準として有利には0.1重量%以上、好ましくは0.5重量%以上、より好ましくは1重量%以上、更に好ましくは2重量%以上、及び/又は30重量%以下、好ましくは20重量%未満、より好ましくは10重量%未満、更に好ましくは5重量%未満である。
特定の実施形態によれば、本発明の組成物(C)は、上述したポリマー(PEKKlow)とポリマー(PEKKhigh)とから本質的になる。本発明の目的のためには、表現「から本質的になる」は、列挙されたものとは異なる任意の追加の成分が、組成物の有利な特性を実質的に変更しないように、組成物(C)の総重量を基準として最大1重量%、好ましくは最大0.5重量%の量で存在することを意味すると理解されるべきである。
別の実施形態によれば、本発明の組成物(C)は、上述したポリマー(PEKKlow)と、ポリマー(PEKKhigh)と、窒化物(NI)とから本質的になる。
更に別の実施形態によれば、本発明の組成物(C)は、ポリマー(PEKKlow)と、ポリマー(PEKKhigh)と、上で列挙した窒化物(NI)以外の1種以上の追加的な成分とから本質的になる。これらの実施形態によれば、組成物(C)は、上述した窒化物(NI)を含んでいてもよい。
組成物(C)は、望まれる配合に応じて、ポリマー(PEKKlow)、ポリマー(PEKKhigh)を、場合によっては窒化物(NI)及び/又は上述した任意の任意選択的な追加の成分と共によく混合することを含む様々な方法によって調製することができる。例えば、乾式(又は粉体)ブレンド、懸濁液若しくはスラリー混合、溶液混合、溶融混合、又はこれらの任意の組み合わせを使用することができる。本明細書における組成物(C)の「他の構成要素」には、ポリマー(PEKKlow)及びポリマー(PEKKhigh)に加えて、組成物(C)において望まれる任意の他の構成要素が含まれ、場合によっては窒化物(NI)又は上で列挙した任意の追加的な任意選択的な成分が含まれる。
組成物(C)は、可溶化の温度で液体である媒体中で、ポリマー(PEKKlow)及びポリマー(PEKKhigh)を、場合によっては他の成分と一緒に可溶化することを含む方法によって調製することができる。実際には、そのような可溶化は、ジフェニルスルホン、ベンゾフェノン、4-クロロフェノール、2-クロロフェノール、及びメタ-クレゾールのうちの少なくとも1つを有利に含み得る前記液体媒体中で、ポリマー(PEKKlow)及びポリマー(PEKKhigh)を加熱することを伴い得る。ポリマー(PEKKlow)及びポリマー(PEKKhigh)を効果的に可溶化するための適切な液体媒体は、123℃より上で液体であるジフェニルスルホン(DPS)、又は主成分量のDPSを含む有機溶媒のブレンドである。DPSが使用される場合、混合は、少なくとも250℃、好ましくは少なくとも275℃、より好ましくは少なくとも300℃の温度で加熱することによって達成される。ポリマー(PEKKlow)及びポリマー(PEKKhigh)を約330℃の温度でDPSに可溶化する場合に良好な結果が得られた。
本発明の組成物(C)は、液体/固体分離、結晶化、抽出などを含む標準的な技術によって液体媒体から回収することができる。
DPSが使用される場合、液体DPS中の可溶化されたポリマー(PEKKlow)及びポリマー(PEKKhigh)は、固体を得るためにDPSの融点未満に冷却され、この固体を、場合によっては粉砕後、アセトンと水の混合物で抽出し、場合によっては水性媒体ですすぎ洗いし、最後に乾燥することで、本発明の組成物が得られる。
代替形態として、本発明の組成物(C)は、例えば溶融混合、又は紛体ブレンドと溶融混合との組み合わせによって製造することができる。紛体ブレンドは、ポリマー(PEKKlow)及びポリマー(PEKKhigh)、並びに任意選択的な他の成分が粉末形態で供給される場合に実行可能である。典型的には、上で詳述したポリマー(PEKKlow)とポリマー(PEKKhigh)との紛体ブレンドは、特にヘンシェル型ミキサー及びリボンミキサーなどの高強度ミキサーを使用して行うことができる。
ポリマー(PEKKlow)及びポリマー(PEKKhigh)及び任意選択的な他の成分を溶融混錬することによって、並びに/又は上述した粉末混合物を更に溶融混錬することによって、本発明の組成物を製造することも可能である。同方向回転及び逆回転押出機、単軸押出機、コニーダ、ディスクパックプロセッサー及び他の様々なタイプの押出装置などの従来の溶融混錬装置を使用することができる。好ましくは、押出機、より好ましくは二軸押出機を使用することができる。
必要ならば、配合スクリューの設計、例えば、フライトピッチ及び幅、クリアランス、長さならびに運転条件は、上で詳述されたような粉末混合物若しくは原料を有利にも完全に融解させるのに、及び異なる原料の均質な分配を有利にも得るのに十分な熱及び力学的エネルギーが提供されるように有利に選択されるであろう。バルクポリマー成分とフィラー成分との間で最適な混合が達成されると、本発明の組成物(C)のストランド押出物を得ることが有利に可能である。そのようなストランド押出物は、ペレット又はビーズの形態で組成物(C)を得るために、水スプレー用いてコンベヤ上でしばらく冷却した後、例えば回転切断ナイフによって細断することができる。したがって、組成物(C)のペレット又はビーズは、その後部品又は複合材料の製造のために更に使用することができ、或いは粉末製造技術のための粉末組成物(C)を得るために粉砕することができる。
造形品及び製造方法
本発明の追加の実施形態は、本発明の組成物(C)を含む造形品及び前記造形品の製造方法である。
造形品は、1つ以上の部品を含み得る。造形品が単一部品である場合、単一部品は、好ましくは、本発明の組成物(C)から構成される。
代わりに、造形品は、2つ以上の部品から構成され得、その1つ以上は、好ましくは、本発明の組成物(C)から構成される。造形品の2つ以上の部品が組成物(C)を含む場合、各部品は、本明細書に記載の同じポリマー組成物又は異なるポリマー組成物を含み得る。
造形品の総重量を基準とした本発明の組成物(C)の重量は、好ましくは、1%超、5%超、10%超、好ましくは15%超、20%超、30%超、40%超、50%超、60%超、70%超、80%超、90%超、95%超、99%超である。
本発明の組成物(C)は、多様な用途に有用な物品の製造に好適であり得る。例えば、本明細書に記載の本発明の組成物(C)の驚くべき有利な特性のため、本発明の組成物(C)は、ハイブリッド車及び電気自動車のマグネットワイヤコーティングなどの自動車用途における;抽出ツール、ダウンホールケーブルコーティングなどのための構造部品などの石油及びガス用途における;モバイル電子機器の構造構成要素(例えばフレームワークやハウジング)としての;構造及び輸送用途向けの熱可塑性複合材料の熱可塑性マトリックスとしての;特に金属表面、(熱可塑性)複合材料ラミネート表面、アラミドフィルム表面、プリプレグ表面などを接合するための、ラミネートを一体に融着するためのバインダーフィルム又は接着剤としての;腐食防止及び耐摩耗性のための金属基材上の静電粉体塗装における;並びに多様な用途向けの付加製造によって製造された部品における;使用に特に適している。
用語「携帯電子機器」は、便利に運ばれ、且つ例えば無線接続又は携帯ネットワーク接続により、データを交換し/データへのアクセスを提供しながら様々な場所で使用されるように設計されている任意の電子機器を意味することが意図される。携帯電子機器の代表的な例には、携帯電話、携帯情報端末、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、ラジオ、カメラ及びカメラ付属品、時計、計算機、音楽プレーヤー、全地球測位システム受信機、ポータブルゲーム機、ハードドライブ並びに他の電子記憶デバイスなどが含まれる。
造形品は、シール、特にシールリング、好ましくはバックアップシールリング、ファスナーなどの取付部品;スナップフィット部品;相互可動部品;機能要素、操作要素;追跡要素;調整要素;キャリア要素;フレーム要素;フィルム;スイッチ;コネクタ;ワイヤ、ケーブル;ベアリング、ハウジング、コンプレッサーバルブ及びコンプレッサープレートなどのコンプレッサー構成要素、シャフト、シェル又はピストンなどの多数の物品のリストから選択することができる。
特に、本発明の組成物(C)は、ワイヤ又はケーブルのコーティングとして、携帯電子機器の構造部品として、又は付加製造によって製造される部品としての使用に非常によく適している。したがって、例示的な実施形態は、上述したポリマー組成物を使用する付加製造法により少なくとも一部が製造された造形品も含む。そのような造形品は、埋め込み可能な医療用デバイス、歯科人工装具並びに航空宇宙産業及び自動車産業におけるブラケット及び複雑な造形部品などの様々な最終用途において使用することができる。
特に、本発明の組成物(C)は、連続繊維強化複合材料の熱可塑性マトリックスとしての使用によく適している。
別の実施形態では、本発明の組成物(C)は、基材間の満足な接着を保証するために、第1の基材と第2の基材との間にそれらと接触して配置された結合層の形態で使用するのに有用であり、前記基材は、特に金属基材、熱可塑性複合材料基材、アラミドフィルム基材、プリプレグ基材であってもよい。
本明細書に記載の造形品は、本発明の組成物(C)から、射出成形、押出成形、圧縮成形、付加製造(三次元(3D)印刷とも呼ばれ、造形品は、3D物体又は3D部品と呼ばれる場合もある)、コーティング、連続繊維含浸及び連続繊維複合材料の積層/コンソリデーション又は他の成形技術によって製造することができる。
いくつかの実施形態では、造形品又はその部品を製造する方法は、本発明の組成物(C)の圧縮成形又は射出成形の工程及びその後のコンソリデーションの工程を含む。
いくつかの実施形態では、造形品又は造形品若しくはその一部を製造する方法は、コーティングの工程を含む。例えば、本発明の組成物(C)は、任意の適切なコーティング方法を使用することにより、好ましくはワイヤの周りに押出コーティングしてコーティングされたワイヤ、好ましくはコーティングされたマグネットワイヤを形成することにより、コーティングとしてワイヤに塗布することができる。
例示的な実施形態はまた、付加製造によって造形品を作製する方法に関し、ここで、造形品は、「部品材料」とも呼ばれる本発明のポリマー組成物(C)から印刷される。本方法は、以下に記載されるとおりポリマー組成物から造形品の層を印刷することを含む。
付加製造システムは、1つ以上の付加製造技術によって造形体のデジタル表現から造形体を印刷するか又は他の方法で構築するために使用される。商業的に利用可能な付加製造技術の例としては、押出ベースの技術、選択的レーザー焼結、粉末/バインダー噴射、電子ビーム融解及びステレオリソグラフィプロセスが挙げられる。これらの技術のそれぞれについて、造形体のデジタル表現が最初に水平多層にスライスされる。それぞれの層について、工具経路が次にもたらされ、それが、所与の層を印刷するように特定の付加製造システムに命令を与える。
例えば、押出ベースの付加製造システムにおいて、造形品は、ポリマー組成物のストリップを押し出し、隣接させることによって層ごとに造形品のデジタル表現から印刷され得る。ポリマー組成物は、システムの印刷ヘッドにより運ばれる押出先端部を通して押し出され、x-y面での圧盤上に一連の道として堆積される。押し出された材料は、前に堆積された材料と融合し、冷えるにつれて固化する。基材に対する印刷ヘッドの位置は、z軸(x-y面に垂直の)に沿って次に増分され、このプロセスが繰り返されて、デジタル表現に類似する造形品を形成する。押出ベースの付加製造システムの一例は、融解フィラメント製造法(FFF)であり、これは、熱溶解積層法(FDM)としても知られている。ペレット付加製造(PAM)は、原料をペレットとして印刷できる3D印刷方法の一例である。
別の例として、粉末ベースの付加製造システムにおいて、レーザーが、粉末を局部的に焼結させて固体部品にするために用いられる。造形品は、粉末の層を順次堆積し、引き続き画像をその層上へ焼結させるためのレーザパターンによってもたらされる。粉末ベースの付加製造システムの例は、選択的レーザー焼結(SLS)である。
別の例として、炭素繊維複合材料造形品は、連続繊維強化熱可塑性樹脂印刷(FRTP)法を用いて作製することができる。この方法は、熱溶解積層法(FDM)に基づいており、繊維と樹脂との組み合わせを印刷する。
複合材料の製造方法
追加の例示的な実施形態は、強化繊維に本明細書に記載の本発明の組成物(C)のマトリックスを含浸させることを含む複合材料の製造方法、及びそれから得られる複合材料に関する。
例えば、ポリマーマトリックスで少なくとも部分的に含浸された繊維のシート又はテープの形態でプライを形成するために、本発明の組成物(C)のマトリックスで繊維を含浸できる様々な方法を使用することができ、その際のマトリックスは、例えば、粉体塗装、フィルム積層、押出、引抜成形、水性スラリー及び溶融含浸など、溶融形態又は粒子形態のいずれかである。本明細書で使用される場合、「テープ」は、ストライプ材料の単一の軸に沿って整列された、長手方向に延びる強化繊維を有する材料のストライプを意味する。
マトリックスが含浸された繊維のプライを互いに隣接して配置して、プリプレグなどのコンソリデーションされていない複合ラミネートを形成することができる。ラミネートの繊維強化層は、それぞれの繊維強化を互いに対して選択された方向に配置することができる。
プライは、手動又は自動で、例えば、「ピックアンドプレース」ロボティクス(robotics)を使用した自動テープ敷設(layup)によって、或いは事前に含浸された繊維のトウを加熱して、型に又はマンドレル上で圧縮する高度な繊維配置によって積み重ねられて、所望の物理的寸法及び繊維配向を有する複合ラミネートを形成することができる。
コンソリデーションされていないラミネートの層は、典型的には、完全に一緒に融合されておらず、コンソリデーションされていない複合ラミネートは、例えば、X線顕微鏡断層撮影法によって測定される、20体積%超の大きい空孔含有量を示し得る。複合材料ラミネートのコンソリデーション前の複合材料ラミネート取り扱いを可能にする中間工程として、ラミネートを安定させて層が互いに対して動くことを防止するために、例えば複合材料「ブランク」を形成するために、熱及び/又は圧力がかけられてもよく、或いは音波振動融着が使用されてもよい。
そのように形成された複合材料ラミネートを、その後、典型的には例えばモールド内で熱及び圧力を複合材料ラミネートにかけることでコンソリデーションして、成形された繊維強化熱可塑性マトリックス複合材料製品を形成する。必要に応じて、本発明の組成物(C)から製造された結合層を、コンソリデーションされていないラミネートの層を接着するために使用することができる。そのような結合層は、本発明の組成物(C)から製造された自立膜として提供することができ、或いは組み立てられてからコンソリデーションされることになるコンソリデーションされていない複合材料ラミネートの層の表面の少なくとも1つにコーティングされたコーティングの形態で提供されてもよい。
本明細書で使用される場合、「コンソリデーション」は、マトリックス材料が軟化され、複合ラミネートの層が一緒にプレスされ、空気、水分、溶媒及び他の揮発性物質がラミネートから押し出され、複合ラミネートの隣接するプライが一緒に融合して、固くてまとまりのある物品を形成するプロセスである。理想的には、コンソリデーションされた複合材料物品は、X線顕微鏡断層撮影法によって測定される、最小の、例えば5体積%未満、より典型的には2体積%未満の空隙率を示す。
本発明の複合材料は、好ましくは、複合材料の重量を基準として20~80重量%の強化繊維と80~20重量%の本発明の組成物(C)のマトリックスとを含む。
アセンブリの製造方法
追加の例示的な実施形態は、第1の基材層と第2の基材層とを含むアセンブリの製造方法であって、本発明の組成物(C)から作製された結合層を、前記第1の基材と前記第2基材との間に接触させて配置することを含む製造方法、及びそれから得られるアセンブリに関する。
結合層によって結合された基材層の一方又は両方は、例えばシート又は薄膜であってよい。基材層は、例えば、金属、プラスチック(熱可塑性又は熱硬化性樹脂)、セラミック、又はガラス、又は上述した複合材料を特に含む複合材料などの任意の適切な材料から構成することができる。薄膜又はシートの厚さは、適切に選択することができ、例えば約0.01~約10mmとすることができる。
プラスチック基材層に含まれ得る適切な結晶性及び/又は高温熱可塑性樹脂としては、限定するものではないが、ポリアリールエーテルケトン(結晶性ポリエーテルケトン(PEK)、結晶性ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、結晶性ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリエーテルエーテルエーテルケトン(PEEEK)、ポリエーテルエーテルケトンケトン(PEEKK)、ポリエーテルケトンエーテルエーテルケトン(PEKEKK)、及びポリエーテルケトンケトンケトン(PEKKK)など)、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリールエーテル、ポリカーボネート、液晶ポリマー、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリーレン(ポリフェニレン)、ポリアミド、ポリフタルアミド、ポリ芳香族エステルなどが挙げられる。
別の実施形態では、第1の基材層又は第2の基材層のいずれか少なくとも1つは金属、例えば金属シートや箔などである。基材は、鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、金、銀などの任意の適切な金属又は金属合金から構成されていてもよい。
本発明のアセンブリは、特に基材層の構成要素が溶融加工可能な熱可塑性樹脂である場合、フィルム、プレート、シート、チューブ、又は共押出によって従来得ている任意の他の形状を含む任意の従来の形態への共押出によって製造することができる。
圧縮成形、間欠的に一致させたダイコンソリデーション(intermittent matched die consolidation)、ダブルベルトプレスコンソリデーション、複合材料ロール成形、トランスファー成形、及び他のそのような技術も、本発明に関連して利用することができる。例えば、アセンブリは、(目的の結合層に対応する)本発明の組成物(C)から製造されたシート又はフィルムを第1の基材層と第2の基材層との間に配置し、少なくとも1つの層を十分に軟化させてこれを流動させ隣接する層と密着させるのに有効な温度で、得られた「サンドイッチ」を加熱し、それによりアセンブリが冷却されたときに接着結合を形成することによって作製することができる。典型的には、結合層と基材層との間で達成される接着度を高めるために、「サンドイッチ」に圧力を加えることが望ましい。特定の望まれる形状又は外形を得るためにアセンブリの熱成形が行われてもよい。
本発明のアセンブリは、そのようなラミネート又は複合材料が従来使用されている、又は使用が提案されている任意の最終用途で使用することができる。代表的な用途としては、航空宇宙/航空機、自動車及び他の車両、ボート、機械、重機、貯蔵タンク、パイプ、スポーツ用品、工具、生物医学デバイス(人体に埋め込まれるデバイスなど)、建築部材、風力ブレードなどのための複合材料及びラミネート(二次元及び三次元のパネル及びシートなど)が挙げられる。
参照により本明細書に援用されるいずれかの特許、特許出願及び刊行物の開示が、それが用語を不明確にし得る程度まで本出願の記載と矛盾する場合、本記載が優先するものとする。
ここで、本開示を以下の実施例に関連してより詳細に記載するが、それらの目的は、例示的であるにすぎず、本開示の範囲を限定することを意図しない。
セクションI:PEKKポリマーの合成及び溶液ブレンドによって製造される例示的な組成物
以下の実施例は、PEKKコポリマーの合成、並びにその熱的特性及び機械的特性を実証する。
原材料
1,2-ジクロロベンゼン、塩化テレフタロイル、塩化イソフタロイル、3,5-ジクロロベンゾイルクロリド、塩化アルミニウム(AlCl)、メタノールは、Sigma Aldrichから購入した。
1,4-ビス(4-フェノキシベンゾイル)ベンゼンは、IN特許193687(1999年6月21日に出願、参照により本明細書に組み込まれる)に従って調製した。
ジフェニルスルホン(ポリマーグレード)(純度99.8%)は、Provironから調達した。
炭酸ナトリウム、軽灰は、Solvay S.A.,Franceから調達し、使用前に乾燥させた。その粒径は、そのd90が130μmであるようなものであった。
90<45μmを有する炭酸カリウムは、Armand productsから調達し、使用前に乾燥させた。
塩化リチウム(無水粉末)は、Acrosから調達した。
NaHPO・2HO及びNaHPOは、Sigma-Aldrichから購入した。
1,4-ビス(4’-フルオロベンゾイル)ベンゼン(1,4-DFDK)及び1,3ビス(4’-フルオロベンゾイル)ベンゼン(1,3-DFDK)は、Gilbらの米国特許第5,300,693号明細書(1992年11月25日に出願、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)の実施例1に従ってフルオロベンゼンのフリーデルクラフツアシル化により調製した。1,4-DFDKの一部は、米国特許第5,300,693号明細書に記載されている通りにクロロベンゼン中での再結晶により精製し、1,4-DFDKの一部は、DMSO/エタノール中での再結晶により精製した。DMSO/エタノール中での再結晶により精製した1,4-DFDKを重合反応における1,4-DFDKとして使用して、以下で記載するPEKKを製造し、クロロベンゼン中で再結晶した1,4-DFDKを1,4-ビス(4’-ヒドロキシベンゾイル)ベンゼン(1,4-BHBB)の前駆体として使用した。
1,4-BHBB及び1,3-ビス(4’-ヒドロキシベンゾイル)ベンゼン(1,3-BHBB)を、Hackenbruchらの米国特許第5,250,738号明細書(1992年2月24日出願、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)の実施例1に記載の手順に従い、それぞれ1,4-DFDK及び1,3-DFDKの加水分解により製造した。これらをDMF/エタノール中で再結晶化することにより精製した。
メルトフローインデックスの決定
メルトフローインデックスは、ASTM D1238に従って、3.8kgの荷重を用いて、指示された温度(材料の融点に応じて340~380℃)で決定した。荷重8.4kgの最終的なMFIは、得られた値に2.35を掛けることによって得た。
ガラス転移温度、融点及び融解熱の決定
ガラス転移温度T(半値法を使用した中点)及び融点Tは、ASTM D3418-03、E1356-03、E793-06、E794-06、更に以降の詳細に従って、示差走査熱量計(DSC)における2回目の加熱スキャンで決定した。本発明で使用される手順の詳細を以下に示す:キャリアガスとして窒素(純度99.998%、50mL/分)を用いてTA Instruments DSC Q20を使用した。温度及び熱流量較正は、インジウムを使用して行った。試料サイズは5~7mgであった。密閉されたパンを使用した。重量は±0.01mgで記録した。加熱サイクルは以下の通りである:
・1回目の加熱スキャン:20.00℃/分で30.00℃から400.00℃、400.00℃で1分間等温、
・1回目の冷却スキャン:20.00℃/分で400.00℃から30.00℃、1分間等温、
・2回目の加熱スキャン:20.00℃/分で30.00℃から400.00℃、400.00℃で1分間等温。
融点Tは、2回目の加熱スキャンでの融解吸熱のピーク温度として決定した。融解エンタルピーは、2回目の加熱スキャンで測定し、T超から吸熱の終点を超える温度まで引かれた線形ベースラインの上の面積として取得した。結晶化温度(T)は、1回目の冷却スキャンでの結晶化発熱のピーク温度として決定した。低温結晶化の存在の可能性は、2回目の加熱スキャンから決定した:0.5J/gを超える発熱熱流が見られたときに、吸熱融解ピークの開始前の発熱の存在が明確に確認された。
ICP-OESによるポリマー組成物中のアルミニウムなどの元素不純物の決定
きれいで乾燥した白金るつぼを分析天びんに置き、天びんをゼロにした。ポリマー試料の半分から3グラムをボートに量り取り、その重量を0.0001gまで記録した。試料の入ったるつぼをマッフル炉(Thermo Scientific Thermolyne F6000 Programmable Furnace)に入れた。炉を525℃に徐々に加熱し、その温度で10時間保持して試料を乾式灰化した。灰化後、炉温を室温に冷却し、炉からるつぼを取り出し、フュームフード内に配置した。灰を希塩酸中に溶解した。ポリエチレン製ピペットを使用して、この溶液を25mLの体積フラスコに移した。るつぼは、約5mLの超純水(R<18MΩcm)を用いて2回すすぎ洗い、定量的移動を実行するために洗浄液を体積フラスコに添加した。超純水をフラスコ内に計25mLとなるまで添加した。フラスコの上部に栓をして、内容物が確実に混ざるまで振とうした。
ICP-OES分析は、誘導結合プラズマ発光分光器Perkin-Elmer Optima 8300デュアルビューを使用して実施した。発光分光器は、0.0~10.0mg/Lの検体濃度を備えるNISTトレーサブル多要素混合標準物質の組を使用して較正した。48の検体のそれぞれについて、0.9999より優れた相関係数を備える濃度範囲で線形較正曲線を得た。標準物質は、機器安定性を保証するために10の試料毎の前後に実施した。結果は、3回の実験の平均値として報告した。試料中の元素不純物の濃度は、下記の式を用いて計算した:A=(B*C)/(D)
(ここで:
A=試料中の元素の濃度、mg/kg(=重量ppm)、
B=ICP-OESによって分析された溶液中の元素、mg/L、
C=ICP-OESによって分析された溶液の体積、mL、
D=この手順で使用されたグラムでの試料重量)。
燃焼イオンクロマトグラフィー法によるポリマー中のフッ素濃度の決定
燃焼イオンクロマトグラフィー(IC)分析のために、清浄な予備焼成した乾燥セラミック試料ボートを分析天秤の上に置き、天秤をゼロにした。約20mgのポリマー試料をボートに量り取り、重量を0.0001gまで記録した。試料の入ったボートを、入口温度900℃、出口温度1000℃に設定した燃焼炉に入れた。燃焼した試料とアルゴンキャリアガスは、18.2MΩの超純水を通過し、伝導度検出器を備えたICシステムに自動的に注入される。
燃焼IC分析は、Dionex IonPac AS19 ICカラム及びガードカラム(又は同等物)を備えたDionex ICS 2100ICシステム、50mAに設定されたDionex CRD 200 4mmサプレッサー、並びにGA-210ガス吸収ユニットHF-210炉、及びABC-210ボートコントローラー(全てMitsubishi Analytech製)を使用して行った。
この方法の溶離グラジエントは以下の通りである:
0~10分:10mMのKOH
10~15分:20mMのKOHまで着実に一定の増加
15~30分:20mMのKOH
機器は、Fについて0.1~3.0mg/Lの分析物濃度で、AllTechによって供給されたNISTトレーサブルの7個のアニオン混合物からの3点較正を使用して較正した。各分析対象ついて0.9999より優れた相関係数を有する濃度の全範囲で線形較正曲線を得た。試料を分析する前に、機器が正確に動作していることを確認するために対照試料を分析した。試料中のアニオンの濃度は、下記の式を用いて計算した:
A=(B*C)/(D):
A=試料中の元素の濃度、mg/kg
B=ICによって分析された溶液中のアニオン、mg/L、
C=ICによって分析された溶液の体積、mL、
D=この手順で使用した試料重量、mg
比較調製実施例1T/I=72/28の求電子型PEKK(e-PEKK)の調製
撹拌機、乾燥N注入管、反応媒体中に差し込まれている熱電対、及び凝縮器を備えた2000mLの4口反応フラスコに、1000gの1,2-ジクロロベンゼンと40.63gの1,4-ビス(4-フェノキシベンゾイル)ベンゼンを導入した。次いで、乾燥窒素スイープ下、7.539gのテレフタロイルクロリド、9.716gのイソフタロイルクロリド及び0.238gのベンゾイルクロリドを反応混合物に加えた。次いで、反応器を-5℃に冷却し、温度を5℃未満に保ちながら、塩化アルミニウム(AlCl)71.88gをゆっくりと加えた。反応を5℃で10分間保持し、次いで混合物の温度を5℃/分で90℃に上げた。反応混合物を90℃で30分間保持し、次いで30℃に冷却した。30℃で、250gのメタノールをゆっくりと添加して温度を60℃未満に維持した。添加終了後、反応混合物を2時間撹拌し続け、次いで30℃に冷却した。その後、固体をブフナー上で濾過することによって除去した。更なるメタノール188gで湿ったケークをフィルター上ですすいだ。次いで、湿ったケークをビーカー内でメタノール440gで2時間再スラリー化した。ポリマー固体をブフナー漏斗で再度濾過し、メタノール188gで湿ったケークをフィルター上ですすいだ。この固体を、塩酸水溶液470g(3.5重量%)で2時間スラリー化した。次いで、ブフナーでの濾過により固体を除去した。更なる水280gで、湿ったケークをフィルター上ですすいだ。次いで、湿ったケークを、0.5N水酸化ナトリウム水溶液250gでビーカーにおいて2時間再スラリー化した。次いで、水475gを用いてビーカーにおいて、湿ったケークを再スラリー化し、ブフナー漏斗で濾過した。最後の水洗工程を更に3回繰り返した。その後、ポリマーを、6.6重量%のNaHPO.2HO及び3.3重量%のNaHPOを含有する0.75gの水溶液でスラリー化し、次いで、180℃の真空オーブンで12時間乾燥させる。メルトフローインデックス(360℃、8.4kg)は82.g/10分であった。
Figure 2023529477000015
比較調製実施例2~4:異なる分子量の、T/I=60/40及び82/18のe-PEKK
実施例1と同じ手順に従ったが、以下の表に示されている量の試薬を用いた。
表1:比較調製実施例2~4
調製実施例5:求核型PEKK(n-PEKK)71/29低MVの合成
撹拌機、N注入管、反応媒体中に入れられた熱電対を備えるClaisenアダプター、並びに凝縮器及びドライアイストラップ付きのDean-Starkトラップを備えた500mLの4口反応フラスコに、112.50gのジフェニルスルホン(DPS)、23.054gの1,3-BHBB、16.695 gの1,4-BHBB、及び41.292gの1,4-DFDKを導入した。フラスコ内容物を真空下で排気し、次いで(10ppm未満のOを含む)高純度窒素で満たした。次いで、反応混合物を一定の窒素パージ(60mL/分)下に置いた。反応混合物を270℃までゆっくり加熱した。270℃で、13.725gのNaCO及び0.078gのKCOを60分かけて粉末ディスペンサーから反応混合物に添加した。添加の終了時、反応混合物を1℃/分で310℃まで加熱した。310℃で2分後に1.107gの1,4-DFDKを、反応器において窒素パージを保ちながら反応混合物に添加した。5分後、0.741gの塩化リチウムを反応混合物に添加した。10分後、別の0.402gの1,4-DFDKを反応器に添加し、反応混合物を15分間温度に保った。15gのジフェニルスルホンを反応混合物に更に追加充填し、これを撹拌下で15分間保持した。
次いで、反応器内容物を反応器からステンレス鋼受皿に注ぎ込み、冷却した。固形物を砕き、2mmスクリーンを通してアトリションミルで摩砕した。ジフェニルスルホン及び塩をpH1~12のアセトンと水との混合物から抽出した。最後の洗浄のために、0.67gのNaHPO・2HO及び0.62gのNaHPOを1200mLのDI水に溶解した。粉末を次に反応器から取り出し、真空下120℃で12時間乾燥させ、72gの黄色の粉末を得た。
調製実施例6~13:可変のT/I及び/又は異なる溶融粘度(MV)を有する求核型PEKK(n-PEKK)の合成
実施例5と同じ手順に従ったが、以下の表に示されている量の試薬を用いた。
Figure 2023529477000016
Figure 2023529477000017
様々なPEKKの溶液ブレンドの基本手順
撹拌機、N注入管、反応媒体中に入れられた熱電対を備えるClaisenアダプター、及び凝縮器を備えた500mLの4口反応フラスコに、235.00gのジフェニルスルホン(DPS)と任意選択的な窒化ホウ素を入れた(表3を参照)。フラスコの内容物を330℃までゆっくりと加熱した。330℃で、表3に示した割合のポリマー粉末のブレンド100gを、フレックスチューブを介して溶融したDPSにゆっくりと添加した。添加の最後に、撹拌速度を上げてよく混合し、混合物を330℃で更に1時間保持した。
次いで、反応器内容物を反応器からステンレス鋼受皿に注ぎ込み、冷却した。固形物を砕き、2mmスクリーンを通してアトリションミルで摩砕した。ジフェニルスルホンを混合物からアセトンと水を用いて抽出した。最後の洗浄のために、0.67gのNaHPO・2HO及び0.62gのNaHPOを1200mLのDI水に溶解した。その後、粉末を反応器から取り出し、真空下120℃で12時間乾燥させ、90~95gの黄色の粉末を得た。
Figure 2023529477000018
異なるT/I比を有するコポリマー(実施例7~13)及びn-PEKKの溶液ブレンド(実施例17~21)の熱特性(20℃/分で400℃までのDSC)が表4に示されている。前記表において、Tはガラス転移温度であり、Tmは融点であり、Tは結晶化温度であり、式 1は不等式:T≧1.3716*T-190℃であり;式1のT*min は上記不等式を満たすように、測定されたTmに対応する理論上の最小Tであり、Tmin=1.3716*T-190℃として計算される。表4では、測定されたT≧Tminのとき、或いは測定されたT≧1.3716*T-190℃のとき、式1の基準を満たしたとしてY(合格)と表記されている。低温結晶化試験では、0.5J/gを超える発熱が測定されたときは「Y(不合格)」と表記され、検出可能な発熱が測定されなかったときは試験結果が「N(合格)」と表記されている。
Figure 2023529477000019
上で収集されたデータによって示されるように、より低い融点を有するコポリマーPEKK自体は、一般的に結晶性が低く、低温結晶化挙動を示し、遅い結晶化速度の指標としてTとTとの間に大きなギャップを有しており(そのため式1に当てはまらない)、より高い融点を有するコポリマーPEKK自体は、本質的に加工性が不十分であり、適切な結晶性を有しているものの、同様に遅い結晶化速度の指標としてTとTとの間に大きなギャップを有している(そのため式1に当てはまらない)。対照的に、図1にも示されている上のデータは、本発明によるブレンドが、同じTを有するコポリマーよりも高いTを有し、融解熱ΔHが25J/gを超えること、すなわち許容できる高い結晶性を有していることを十分に実証している。その結果、既に説明したように、これは、本発明のブレンドが、より速い結晶化速度(より高いTによって証明される)及び適切な最終結晶割合(ΔHによって証明される)と組み合わされた改善された処理(330℃未満に保たれるその低いTによって証明される)のより優れた組み合わせに達することを可能にすることを意味する。全体として、本発明によるブレンドは以下のことを示す:
・T<330℃
・融解熱ΔH>25J/g
・2回目の加熱スキャンで低温結晶化ピークなし
・下記式を満たすT
≧1.3716*T-190℃ [式1]
(T及びTは上で示した意味を有する)。
以下の表5に示されているデータは、求核型PEKKが使用される一方で、これらの有利な効果はブレンドによってのみ達成されることを更に実証している。表5は、ePEKKのブレンドで得られた不満足な結果に対する実施例14(実施例6のnPEKKと実施例5のnPEKKとのブレンド)で得られた性能を比較している。
Figure 2023529477000020
以下の表5に示されているデータは、求核型PEKKが使用される一方で、これらの有利な効果はブレンドによってのみ達成されることを更に実証している。表5は、酷似しているePEKKのブレンドで得られた、特に実施例16C(85%の実施例2CPのePEKK T/I=60/40と15%の実施例1CPのePEKK T/I=71/28とのブレンド)で得られた不満足な結果に対する実施例14(実施例6のnPEKK T/I=58/42と15%の実施例5のnPEKK T/I=71/29とのブレンド)で得られた性能を比較している。実施例16Cでは、得られた結晶性が低すぎ(19J/g)、結晶化速度が遅いことの指標として低温結晶化現象が起こる。実施例15Cも若干欠陥を有しており、これは融点と結晶化温度との間のギャップが広すぎて効果的な結晶化ができないためであり、使用されるPEKKの求核型の性質が最適化された特性の折り合いを実現するための鍵であることの明確な証拠である。
溶融ブレンドによる本発明の組成物調製のための基本手順
以下の一連の実施例における組成物を、二軸押出機内で溶融ブレンドすることによって調製した。これらの詳細は以下で詳しく記載される。PEKK出発物質は、n-PEKKポリマーであった。その調製は上に記載されている。
原材料:
n-PEKK 実施例6Pより:T/I=58/42 高MV
n-PEKK 実施例7Pより:T/I=58/42 低MV
n-PEKK 実施例9Pより:T/I=61/39
n-PEKK 実施例5Pより:T/I=71/29
PEEK:KT-880UFP、Solvay Specialty Polymersから市販されている低粘度グレードのPEEKポリマー。これは、長さ3.175mm、長さ0.5mm、入口角120度のキャピラリーダイを使用して、400℃の温度及び10001/sのせん断速度でASTM D3835に準拠して測定した場合に、0.12~0.18kPa-sの範囲の溶融粘度を有する。
窒化ホウ素:Boronid(登録商標)S1-SF、3M Corporationから市販されている六方晶窒化ホウ素グレード
ブレンドの調製
このセクションで説明する全ての組成物は、長さ対直径の比(L/D)が30のLeistritz 18mm二軸同方向回転噛み合い押出機を使用して、溶融ブレンドすることによって調製した。全て粉末形態又はペレット形態のいずれかである成分を、それぞれの場合において、以降の実施例の表に示される組成比に従って最初にタンブルブレンドした。タンブルブレンドは約20分間行い、続いて上述した押出機を使用して溶融混錬した。押出機は、6つのバレル区域を有し、バレル区域2~6が加熱された。コンパウンドから水分及び考えられるあらゆる残留揮発分をストリッピングするために、混錬中にバレル区域5で25in Hgを超える真空レベルで真空ベントした。押出物は、いずれの場合もコンベヤベルト上でストランド状にし、空冷し、ペレタイザーに供給し、そこで直径約3mm、長さ約3mmのペレットに切断した。他の混錬条件は以下の通りであった:バレル区域2~6及びダイ区域を360℃に加熱した。押出機は、約200rpmのスクリュー速度で運転し、スループット速度は約6lb/hrであった。
表6:別のポリアリールエーテルケトンポリマーの添加と比較した、実施例5PのPEKKを添加したPEKK(実施例9P)T/I=61/39のブレンドを示す実施例
Figure 2023529477000021
表7:本発明によるPEKK(実施例6P)T/I=58/42とPEKK(実施例5P)とのブレンド及び比較としての単一のPEKKへの窒化ホウ素の添加を示す実施例
Figure 2023529477000022
表8:窒化ホウ素あり又はなしでのPEKK(実施例5P)を用いたPEKK(実施例7P)T/I=58/42の変性を示す本発明による実施例
Figure 2023529477000023
表9:本発明によるPEKK(実施例7P)T/I=58/42とPEKK(実施例5P)とのブレンドを示す実施例
Figure 2023529477000024
Figure 2023529477000025

Claims (15)

  1. 組成物[組成物(C)]であって、
    - 繰り返し単位(R)と繰り返し単位(R)とを含み、単位(R)の第1のモル含有率[(Tlow)]と単位(R)の第1のモル含有率[(Ilow)]とを有する、主成分量の第1のPEKKポリマー[ポリマー(PEKKlow)]であって、
    Figure 2023529477000026
    及び
    Figure 2023529477000027
    であり、
    第1のT/I比[(T/I)low]が
    Figure 2023529477000028
    で定義され、
    繰り返し単位(R)が、式(T):
    Figure 2023529477000029
    で表され、
    繰り返し単位(R)が、式(I):
    Figure 2023529477000030
    で表され、
    式中:
    - 各R及びRは、それぞれの場合において、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、エーテル、チオエーテル、カルボン酸、エステル、アミド、イミド、アルカリ金属又はアルカリ土類金属スルホネート、アルキルスルホネート、アルカリ金属又はアルカリ土類金属ホスホネート、アルキルホスホネート、アミン及び第四級アンモニウムからなる群から独立して選択され、及び
    - 各i及びjは、それぞれの場合において、0~4の範囲の独立して選択される整数である、
    第1のPEKKポリマー[ポリマー(PEKKlow)];並びに
    - 前記繰り返し単位(R)と前記繰り返し単位(R)とを含み、単位(R)の第2のモル含有率[(Thigh)]と単位(R)の第2のモル含有率[(Ihigh)]とを有する、副成分量の第2のPEKKポリマー[ポリマー(PEKKhigh)]であって、
    Figure 2023529477000031
    及び
    Figure 2023529477000032
    であり、
    第2のT/I比[(T/I)high]が
    Figure 2023529477000033
    で定義される、第2のPEKKポリマー[ポリマー(PEKKhigh)];
    を含有する組成物[組成物(C)]であって、
    ポリマー(PEKKlow)が求核型PEKKであり;
    PEKKlowの前記(T/I)lowがPEKKhighの前記(T/I)highよりも小さく;
    以下の不等式:
    high-Tlow≦17モル%
    を満たす、組成物[組成物(C)]。
  2. 前記組成物が以下を備える、請求項1に記載の組成物(C):
    ・330℃以下の融点(T);
    ・25J/gを超える融解熱(ΔH);
    ・2回目のDSC加熱スキャンにおける加熱時の結晶化ピーク(「低温結晶化ピーク」)がない
    ・2回目のDSC加熱スキャンで決定された融点(℃単位のT)と1回目のDSC冷却スキャンで決定された結晶化温度(℃単位のT)との関係が以下の不等式を満たす:
    ≧1.3716×T-190℃
    (式中、T、T、ΔH、及び低温結晶化ピークの不存在は、20℃/分の加熱及び冷却速度を適用して、30℃から400℃までのスイープで、ASTM D3418-03、E1356-03、E793-06、E794-06標準に準拠して示差走査熱量計(DSC)によって測定される)。
  3. 前記繰り返し単位(R)及び(R)がそれぞれ式(T’)及び(I’)で表される、請求項1又は2に記載の組成物(C):
    Figure 2023529477000034
  4. 前記ポリマー(PEKKlow)及び前記ポリマー(PEKKhigh)がまとめてポリマー(PEKK)と呼ばれ、
    - 前記ポリマー(PEKK)が繰り返し単位(R)及び繰り返し単位(R)を、少なくとも60モル%、少なくとも70モル%、少なくとも80モル%、少なくとも90モル%、少なくとも95モル%、少なくとも99モル%の合計量で含むか、前記ポリマー(PEKK)中の実質的に全ての繰り返し単位が、繰り返し単位(R)及び(R)であり、前記モル%は前記ポリマー(PEKK)中の総モル数を基準とする;及び/又は
    - ポリマー(PEKK)が、繰り返し単位(R)及び繰り返し単位(R)とは異なる少量の繰り返し単位を含むことができ、それが以下の式(J-A)~式(J-O):
    Figure 2023529477000035
    Figure 2023529477000036
    Figure 2023529477000037
    (式中、
    互いに等しいか又は異なるR’のそれぞれは、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、エーテル、チオエーテル、カルボン酸、エステル、アミド、イミド、アルカリ又はアルカリ性土類金属スルホネート、アルキルスルホネート、アルカリ又はアルカリ性土類金属ホスホネート、アルキルホスホネート、アミン及び第四級アンモニウムからなる群から選択され;
    j’は、ゼロ又は0~4の整数である)
    からなる群から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物(C)。
  5. - 前記ポリマー(PEKKlow)が、100ppmを超える、好ましくは200ppmを超える、更に好ましくは300ppmを超える量のフッ素を含み、及び/又は50ppm未満、好ましくは25ppm未満、より好ましくは10ppm未満の量のAlを含み、Al及びFの含有量は、AlについてのICP-OES分析及びフッ素についての燃焼イオンクロマトグラフィーなどの元素分析によって決定される;及び/又は
    - 前記ポリマー(PEKKlow)が、10℃/分の加熱速度を用いて窒素下で30℃から800℃まで加熱する、ASTM D3850に従った熱重量分析で測定されたとき、少なくとも500℃、好ましくは少なくとも505℃、より好ましくは少なくとも510℃の1重量%の熱分解温度T(1%)を有する;
    請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物(C)。
  6. - 前記ポリマー(PEKKlow)が、少なくとも50/50、好ましくは少なくとも54/46、より好ましくは少なくとも56/44、最も好ましくは少なくとも57/43の(T/I)lowを有し;及び/又は最大64/36、好ましくは最大63/37、より好ましくは最大62/38の(T/I)lowを有し、更に好ましくは、前記ポリマー(PEKKlow)は、57/43~62/38の(T/I)lowを有する;及び/又は
    - 前記ポリマー(PEKKhigh)が、少なくとも65/35、好ましくは少なくとも66/34、より好ましくは少なくとも67/33の(T/I)highを有し;及び/又は最大75/25、好ましくは最大73/27、より好ましくは最大72/28の(T/I)highを有し、更に好ましくは、前記ポリマー(PEKKhigh)は、67/33~72/28に含まれる(T/I)highを有する;及び/又は
    - ポリマー(PEKKlow)とポリマー(PEKKhigh)が、Thigh-Tlow≦16モル%、より好ましくはThigh-Tlow≦15モル%になるようなものである、及び/又はThigh-Tlow≧3モル%、より好ましくはThigh-Tlow≧4モル%、更に好ましくはThigh-Tlow≧5モル%になるようなものである;
    請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物(C)。
  7. 前記ポリマー(PEKKhigh)が求核型PEKKであり、通常100ppmを超える、好ましくは200ppmを超える、更に好ましくは300ppmを超えるフッ素含有量、及び/又は通常50ppm未満、好ましくは25ppm未満、より好ましくは10ppm未満のAl含有量を有し、Al及びFの含有量は、AlについてのICP-OES分析及びフッ素についての燃焼イオンクロマトグラフィーなどの元素分析によって決定される、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物(C)。
  8. ポリマー(PEKKlow)とポリマー(PEKKhigh)との間の重量比が少なくとも60/40、好ましくは少なくとも65/35、より好ましくは少なくとも70/30、更に好ましくは少なくとも75/25である、及び/又は最大99/1、好ましくは最大97/3、更に好ましくは最大96/4である、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物(C)。
  9. - 1.3~2.5の電気陰性度(ε)を有する元素の少なくとも1種の窒化物(NI)を更に含む;及び/又は
    - 着色剤、顔料、光安定剤、熱安定剤、酸化防止剤、酸捕捉剤、加工助剤、造核剤、内部潤滑剤及び/又は外部潤滑剤、難燃剤、煙抑制剤、帯電防止剤、ブロッキング防止剤、熱及び電気及び磁気伝導性材料(すなわち誘導加熱に役立ち得る材料)、強化用繊維質添加剤及び強化用非繊維質添加剤からなる群から選択される、窒化物(NI)とは異なる1種以上の追加の成分を更に含む;
    請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物(C)。
  10. ポリマー(PEKKlow)及びポリマー(PEKKhigh)の総重量が、本発明の組成物(C)の総重量を基準として、60重量%以上、好ましくは70重量%以上、より好ましくは80重量%以上、より好ましくは85重量%以上、最も好ましくは90重量%以上である;及び/又は
    - 組成物(C)はポリマー(PEKKlow)及びポリマー(PEKKhigh)以外に他のポリアリールエーテルケトンポリマー[ポリマー(PAEK)]を含まず、ポリマー(PAEK)は、ポリマー(PEKKlow)でもポリマー(PEKKhigh)でもない、前記繰り返し単位の50%モル超がAr-C(O)-Ar’基を含む繰り返し単位(R PAEK)であるポリマー(Ar及びAr’は、互いに同じであるか異なり、芳香族基である)である;及び/又は
    - ポリマー(PEKKlow)とポリマー(PEKKhigh)とから本質的になる;又は
    - 使用される場合、前記組成物(C)中の前記窒化物(NI)の総重量が、前記組成物(C)の総重量を基準として少なくとも約0.1重量%、通常少なくとも約0.2重量%、好ましくは少なくとも約0.3重量%、より好ましくは少なくとも約0.5重量%、及び/又は最大約10重量%、好ましくは最大約8重量%、より好ましくは最大約5重量%、更に好ましくは最大約3重量%である;
    請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物(C)。
  11. ポリマー(PEKKlow)、ポリマー(PEKKhigh)を、場合によっては他の成分と共に混合することを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物(C)の製造方法であって、前記混合が、乾式(又は粉体)ブレンド、懸濁液若しくはスラリー混合、溶液混合、溶融混合、又はこれらの任意の組み合わせによって行われ得る、方法。
  12. 請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物(C)を含む造形品。
  13. 射出成形、押出成形、圧縮成形、付加製造、コーティング、連続繊維含浸及び連続繊維複合積層/コンソリデーション又はこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つによって組成物(C)を加工することを含む、請求項12に記載の造形品の製造方法。
  14. 請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物(C)のマトリックスで強化繊維を含浸することを含む、複合材料の製造方法。
  15. 第1の基材層と第2の基材層とを含むアセンブリの製造方法であって、請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物(C)から作製された結合層を、前記第1の基材と前記第2基材との間に接触させて配置することを含む製造方法。
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