JP2023529262A - 白血病の経口処置のための組成物及び方法 - Google Patents

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Abstract

非腫瘍性の血液癌細胞を有する哺乳動物被験体を処置する方法が開示される。その方法は、(A)そのような哺乳動物被験体に、治療有効量のハロゲン化キサンテン、その薬学的に許容され得る塩又はC1-C4アルキルエステルを、薬学的に許容され得る水性媒体に溶解又は分散された第1の癌細胞傷害剤として投与する工程を含む。その哺乳動物被験体は、非腫瘍性の血液癌細胞の死を誘導するのに十分な時間にわたって維持される。企図される投与は、通常、繰り返される。企図される処置方法は、薬学的に許容され得る媒体に溶解又は分散された、第2の治療有効量の第2の異なって作用する癌細胞傷害剤を哺乳動物被験体に投与することとともに行うこともできる。その第2の癌細胞傷害剤は、小分子又はインタクトな抗体もしくはそのパラトープ含有部分であり得る。【選択図】 なし

Description

本発明は、白血病などの血液の癌(血液癌)を処置するための、特に小児においてそのような処置を行うための、経口治療用レジメンに関する。
成人は、血液1マイクロリットル(μL)あたり約7000個の白血球を有する。それらの白血球のうち、約65パーセントが顆粒球であり(約4500個/μL)、約30パーセントが単球であり(約2100個/μL)、約5パーセントがリンパ球である(約350個/μL)。Geyton,Textbook of Medical Physiology,Seventh ed.,W.B.Saunders Co.,Philadelphia(1986)。当然のことながら、上記の細胞数量は一般化された平均値であり、正常な患者、すなわち疾患のない患者の顆粒球数は、通常約2000~約7000個/μLである。
急性リンパ芽球性白血病(ALL)は骨髄で始まるリンパ系の血液細胞の癌であり、大量の未熟なリンパ球(リンパ芽球)が発生することを特徴とする。この疾患には基本的なタイプが2つある。1つがB細胞を冒すもの(B-ALL)であり、もう1つがT細胞を冒すもの(T-ALL)である。急性白血病として、ALLは、急速に進行し、処置せずにいると、通常、数週間から数ヶ月以内に死に至る。
ALLは、小児と成人の両方において発生し、最も高い割合が3歳~7歳に見られる。症例の約75パーセントが6歳までに発生し、40歳を超えると第2の増加が見られる。2001~2014年の米国における小児ALLの全発生率は、すべての人種/民族の群間で100万人あたり34.0例であった。
ALLは通常、はじめに、緩解をもたらすことを目的とした化学療法で処置される。その後、通常3年間にわたってさらなる化学療法が続く。全身化学療法は、中枢神経系への浸透が限定的であり得、中枢神経系はALLの再発が好発する部位であるので、通常、処置には髄腔内化学療法(脊髄注射)も含まれる。
慢性リンパ性白血病(CLL)は、骨髄がリンパ球、特にB細胞を過剰に作る癌の一種である。CLLは一般に不治と考えられているが、ほとんどの場合ゆっくり進行する。そのため、CLLの処置は、完全な治癒ではなく、その疾患及びその症状をコントロールすることに重点を置く。その人の症状又は血球数から、生活の質に影響を及ぼす可能性があるところまで当該疾患が進行していると示される場合に、CLL処置を開始する決断が下される。
CLLは、主に高齢者の疾患であり、50歳を超える人において最もよく発生し、診断時の年齢の中央値は70歳である。CLLは、あまり一般的ではないが30~39歳の人でも発症することがある。CLLの発生率は、年齢が上がるにつれて急上昇する。診断後の5年生存率は、米国ではおよそ83%である。
急性骨髄性白血病(AML)は、造血幹細胞の障害として骨髄で始まり、成人の白血病の中で最も一般的な形態である。急性骨髄性白血病は、小児と成人の両方で発生する。処置しなければ新しい白血球が作られ続けるので、AMLは体内で急速に進行し得る。
慢性骨髄性白血病(CML)は、慢性顆粒球性白血病(CGL)としても知られ、同じく骨髄で始まるが、AMLより進行が急速でない。CMLは、初期において、白血球増加、末梢血中に多数の未熟な顆粒球が存在すること、脾腫及び貧血を特徴とする。これらの未熟な顆粒球には、好塩基球、好酸球及び好中球が含まれる。また、未熟な顆粒球は、骨髄、脾臓、肝臓に蓄積し、他の組織に蓄積するときもある。この疾患を呈している患者は、1マイクロリットル(μL)あたり75,000個を超える白血球を有することが特徴的であり、その数は、500,000個/μLを超えることもある。
CMLは、米国における全白血病の約20パーセントを占める。毎年100万人あたり約15例の新規症例が報告されており、1年あたり約3,000~4,000例の新規症例が発生していることになる。この疾患は、45歳未満のヒトでは稀であるが、発生率は、65歳まで急速に上昇し、その後も上昇したままである。慢性骨髄性白血病患者の診断時からの寿命の中央値は、およそ4年である。
CML患者の約60~80パーセントは、急性転化を起こす。急性転化は、急性白血病の所見の1つである。芽細胞上に存在するある特定のマーカーによって、急性転化の際にこれらの細胞のリンパ系起源が示唆されることがある。
急性転化を処置するために使用される化学療法剤は、他の急性白血病の処置に使用されるものと同じである。例えば、急性骨髄球性白血病の処置に用いられるシタラビン及びダウノルビシンが、CMLの急性転化を処置するために使用される。急性リンパ性白血病の処置において用いられる治療レジメンであるプレドニゾン及びビンクリスチンも、CMLの急性転化を処置するために使用される。それにもかかわらず、急性転化段階のCMLのこれらの薬物療法は、他の急性白血病の処置よりもさらに成功しない。
小児における癌は、稀であり、1年あたり100万人(15歳未満)あたり140~155人という発生率である。これは、毎年7,000人に約1人の小児が癌と診断されていることになる。癌は、稀なことであるにもかかわらず、5~14歳の小児の死因では事故に次いで悪性新生物が最も多く、死亡数の23%を占める。化学療法が行われるようになる前の時代では多くが致命的であった小児癌からの生存率は、1960年代の20~30パーセントから1970年代には62パーセント、最近では83パーセントへと劇的に向上した。Saletta et al.,Transl Pediatr 3(2):156-182(2014)。
白血病は、最も一般的な小児癌であり、すべての小児(1~14歳)癌の診断の約30%を占める。急性リンパ芽球性白血病(ALL)が、小児癌の約25パーセントを占め、急性骨髄性白血病(AML)が、残りの約5パーセントを占める。Saletta et al.,Transl Pediatr 3(2):156-182(2014)
ALLの現行の処置としては、ペグ化アスパラギナーゼ、リポソームダウノルビシン、リポソームアンナマイシン(liposomal annamycin)、スフィンゴソームビンクリスチン及びリポソームシタラビンが挙げられる。AMLの場合、現行の処置としては、オールトランス-レチノイン酸(ATRA)の使用、三酸化ヒ素の使用、アントラサイクリンとATRAとの併用、及びイダルビシンと高用量シタラビンとの併用が挙げられる。ソラフェニブ(マルチキナーゼ阻害剤)とクロファラビン及びシタラビンとの併用は、第I相試験で成功しており[Inaba et al,J Clin Oncol 29:3293-3300(2011)]、Mylotarg(登録商標)として商業的に知られている、カリケアマイシン結合体化CD33抗体であるゲムツズマブオゾガミシンが有望であると示された[Zwaan et al.,Br J Haematol 148:768-776(2010)]。
小児白血病の生存率は、大幅に改善されたが、再発が、治療失敗の大きな原因となっている。小児ALL患者のおよそ15~20パーセント及びAML患者の30~40パーセントが再発し、再発ALLは、小児で4番目に多い悪性腫瘍と特定されている。
再発した小児白血病の処置としては、化学療法レジメンの強化及び骨髄移植(BMT)の使用が挙げられる。しかしながら、併用化学療法の強度を高め、第二選択薬を導入することは、累積毒性を伴うことが多く、恩恵の増加はほんのわずかである。
小児癌に対する免疫系の相互作用を理解するために重要な要素は、適用可能な動物モデルが利用可能であることである。現在の異種移植モデルは、重症複合免疫不全(SCID)マウスにおいて確立されているため、免疫系の寄与に関する情報をもたらさないので、限界がある。免疫適格性動物におけるヒト造血幹細胞の再構成などの他のアプローチは、煩雑で費用がかかり、複雑な生物学的変数をその系に持ち込むことが多い。
近年、マウス胎児をヒト腫瘍細胞に対して寛容化することによって、免疫適格性マウスにおける新規異種移植腫瘍モデルが開発された[Basel et al.,Cancer Lett.412:256-263(2018)]。このモデルは、異種移植の手法を通じて、癌性細胞と免疫系との複雑な相互作用をよりよく説明するために用いることができるので、有益である。
成人の癌性腫瘍に有用な抗癌剤群の1つは、ハロゲン化キサンテン又はその薬学的に許容される塩である。米国特許第6,331,286号、同第7,390,668号、同第7,648,695号、同第9,107,887号、同第9,808,524号、同第9,839,688号及び同第10,130,658号を参照のこと。それらのハロゲン化キサンテンのうち、ローズベンガル二ナトリウム(4,5,6,7-テトラクロロ-2’,4’,5’,7’-テトラヨードフルオレセイン二ナトリウム;RB)が、特に有効であり、容易に利用されることが見出された。
ヨウ素131で放射標識されたRBの溶液が、乳児の肝機能を計測するために臨床で用いられている[Yvart et al.,Eur J Nucl Med 6:355-359(1981)]。注射用の0.9%塩化ナトリウム水溶液中の10%w/v RB二ナトリウム滅菌溶液であるPV-10(登録商標)が、Knoxville,TNのProvectus Biopharmaceuticals,Inc.が製造するより最近の製剤である。
これまでの研究によって、PV-10(登録商標)RB二ナトリウム水溶液のRB又はその塩が、癌性細胞のリソソームに蓄積し[Wachter,et al.,Proceedings of SPIE,Multiphoton Microscopy in the Biomedical Sciences II,Periasamy,A.and So,P.T.C.(eds),Bellingham,Washington:4620:143-147(2002)]、一連の成人癌において細胞死を誘導する[Qin et al.,Cell Death Dis 8:e2584(2017);Toomey et al.,PLoS ONE 8(7):e68561(2013);Koevary et al.,Int J Physiol Pathophysiol Pharmacol 4(2):99-107(2012);Thompson et al.,Melanoma Res 18(6):405-411(2008);及びZamani et al.,J Immunotoxic 11(4):367-375(2014)]ことが示されている。
PV-10(登録商標)RB二ナトリウム水溶液は、いくつかの臨床試験において、単一の抗癌剤と、モノクローナル抗体抗癌剤との併用の両方において使用され、病巣内(IL)投与によって固形腫瘍癌に投与された。それらの治験のうちのいくつかを下記で論じる。細胞傷害剤としてPV-10(登録商標)RB二ナトリウム水溶液を単独で使用した第I相及び第II相臨床研究では、「有害事象は、主に軽度から中等度であり、処置部位に限局しており、処置に関連するグレード4又は5の有害事象は無かった」[Thompson et al.,Ann Surg Oncol 22(7):2135-2142(2015)]、及び「治療下で発現した有害事象(TEAE)は、各薬物に対して確立されていたパターンと一致し、主としてグレード1~2の注射部位反応が、PV-10(登録商標)RB二ナトリウム水溶液に起因し、グレード1~3の免疫媒介性反応が、ペンブロリズマブに起因し、重大な重複又は予想外の毒性は認められなかった...」[Agarwala et al.,J Clin Oncol 37(15)suppl 9559-9559(2019年5月26日)]と実例が報告された。このように、RBは、癌性細胞に対して毒性であるかのように見えるが、非癌性細胞に対しては無毒性である。
成人の腫瘍と小児の腫瘍では挙動が大きく異なることが多いので、RB及び類似のハロゲン化キサンテンを、小児の癌性細胞、特に小児の癌性血液細胞に対して使用したとき、それらが有効であるか否かは不明であった。RBを単独で添加するか又は公知の抗癌剤とともに添加した細胞培養における神経芽腫細胞株に対する、及びマウスにおいて確立された固形腫瘍異種移植片への病巣内注射による、それぞれ予備的なインビトロ試験及び異種移植試験が、小児の癌性細胞の殺滅を示すと本発明者及び共同研究者のうちの一人によって報告された。Swift et al.,Oncotargets Ther,12:1293-1307(2019年2月)。
さらに、腫瘍へのハロゲン化キサンテン化合物の病巣内投与は、その活性な細胞傷害剤を最も高い濃度で腫瘍に直接提供する。下記で論じる現在企図されている処置の手法では、投与は、標的の癌性血液細胞から遠位において行われることが多く、それにより、殺癌性(cancerocidal)のハロゲン化キサンテン化合物薬(剤)の有効性が弱まる可能性がある。
治療抵抗性転移性黒色腫を有する患者に対する第II相臨床試験において、PV-10(登録商標)RB二ナトリウム水溶液を病巣内注射することにより、51%という全奏効率で腫瘍退縮が誘導された[Thompson et al.,Ann Surg Oncol 22(7):2135-2142(2015)]。また、病巣内のPV-10(登録商標)RB二ナトリウム水溶液は、イントランジット又は転移性の黒色腫を有する患者に対する第II相臨床試験において、放射線療法と併用したとき、86.6%という全奏効率で有効性を示した[Foote et al.,J Surg Oncol 115(7):891-897(2017)]。
PV-10(登録商標)RB二ナトリウム水溶液の病巣内投与は、直接的な癌細胞死を誘導することに加えて、マウス研究[Qin et al.,Cell Death Dis 8:e2584(2017);Toomey et al.,PLoS ONE 8(7):e68561(2013);及びLiu et al.,Oncotarget 7(25):37893-37905(2016)]とヒト臨床試験[Lippey et al.,J Surg Oncol 114(3):380-384(2016);Ross,J Surg Oncol 109(4):314-319(2104);Liu et al.,PLoS ONE 13(4):e0196033(2018);及びBasel et al.,Cancer Lett 412:256-263(2018)]の両方において腫瘍特異的な免疫応答を誘導するとも示されている。黒色腫のマウスモデルにおいて、PV-10(登録商標)RB二ナトリウム水溶液で病巣内処置することにより、黒色腫細胞のネクローシス及び腫瘍浸潤単核リンパ球の局所的な増加が誘導された[Lippey et al.,J Surg Oncol 114(3):380-384(2016)]。
PV-10(登録商標)RB二ナトリウム水溶液は、免疫原性細胞の死を誘導して、腫瘍抗原を近傍の抗原提示細胞(APC)に放出し、抗腫瘍T細胞及び抗腫瘍B細胞の活性化を促進することが示唆された。同系マウス結腸癌モデルでは、インビトロにおいてPV-10(登録商標)RB二ナトリウム水溶液で処置された癌細胞を、同じ腫瘍を有するマウスに注射したところ、腫瘍の成長が遅くなった[Qin et al.,Cell Death Dis 8:e2584(2017)]。さらに、同系マウス黒色腫モデルでは、病巣内のPV-10(登録商標)RB二ナトリウム水溶液と抗PD-1抗体との併用処置によって、腫瘍成長が遅れ、T細胞活性化が増大した[Liu et al.,PLoS ONE 13(4):e0196033(2108)]。
2019年11月19日に出願された親出願の米国特許出願第16/688,319は、ハロゲン化キサンテン、その薬学的に許容される塩又はC-Cアルキルエステルを含む水性組成物との接触によって白血病細胞などの血液癌細胞を首尾よく処置(殺滅)できることを教示している。2021年3月26日出願の共同譲渡された米国特許出願第17/214,590は、ハロゲン化キサンテン、そのラクトン又はその薬学的に許容される塩もしくはエステルの経口投与によって、固形癌性腫瘍を首尾よく処置できることを教示している。その経口投与される薬剤は、固体又は液体の形態であり得る。
以下の開示は、企図される発明を説明し、小児及び成人の白血病の処置において、経口投与されるローズベンガルなどのハロゲン化キサンテン化合物を使用した研究の結果を提供する。
本発明は、白血病を有する哺乳動物被験体を処置する方法を企図する。その方法は、そのような哺乳動物被験体に、治療有効量のハロゲン化キサンテン(HX)、そのラクトン、薬学的に許容され得る塩又はC-Cアルキルエステルもしくは芳香族エステル(本明細書中で「HX化合物」と総称される)を、薬学的に許容され得る固体又は液体の希釈媒体に溶解又は分散された第1の白血病用細胞傷害剤として投与する工程を含む。企図される投与は、通常、繰り返される。
企図される処置方法はまた、薬学的に許容され得る媒体に溶解又は分散された、第2の治療有効量の第2の異なって作用する白血病用全身性細胞傷害剤をその同じ哺乳動物被験体に投与することとともに行うことができる。第2の白血病用全身性細胞傷害剤は、小分子、電離放射線、又はインタクトな抗体もしくはパラトープ含有抗体部分、例えば、炎症性ケモカイン活性を阻害するタンパク質性抗体分子又は免疫チェックポイント抗体であり得る。第1及び第2の白血病用細胞傷害剤は、同じもしくは異なる媒体において一緒に、又は同じもしくは異なる媒体において異なる時点において、投与され得る。第2の白血病用細胞傷害剤は、固体錠剤、カプセル剤、丸剤などとして、液体媒体において、又は静脈内注射もしくは静脈内注入として、投与され得る。
1つの態様において、約200~約1000Daの分子量を有する白血病用小分子細胞傷害剤の使用が企図される。ドキソルビシン、エトポシド及びビンクリスチンなどの、HX化合物と相乗作用を示す化合物が好ましい。インタクトな抗体又はパラトープ含有抗体部分が、白血病用細胞傷害剤の第2の群である。これらの作用物質の中で好ましいのは、免疫チェックポイント阻害剤と称されるものである[例えば、Darvin et al.,Exp Mol Med,50:165(2018)を参照のこと]。
本発明は、白血病を有する哺乳動物被験体を処置するために、薬学的に許容され得る水性媒体に溶解又は分散された第1の白血病用細胞傷害剤として、治療有効量のHX化合物を使用することも企図し、そのハロゲン化キサンテン化合物(HX化合物)は、白血病細胞の死を誘導するに十分な時間にわたってその哺乳動物被験体において維持される。さらなる実施形態において、第1の白血病用細胞傷害剤であるHX化合物は、ローズベンガル、その薬学的に許容され得る塩、ラクトン又はC-Cアルキルエステルもしくは芳香族エステルである。なおもさらなる実施形態において、HX化合物は、ローズベンガル二ナトリウム塩である。さらに、通常処置される白血病細胞は、急性B細胞リンパ芽球性白血病細胞もしくは急性T細胞リンパ芽球性白血病細胞、慢性リンパ性白血病細胞又は急性骨髄性白血病細胞である。
HX化合物の低いバイオアベイラビリティ、その薬物の初回通過損失、及び他の状況においてローズベンガル(RB)などのHX化合物について以前に報告された比較的短い循環半減期(約30分)を理由に、任意の癌、ましてや直腸結腸癌のような消化管の癌性固形腫瘍が、2021年3月26日出願の米国特許出願第17/214,590に開示されているように経口投与されたHX化合物から何らかの影響を受け得るということは、かなり予想外のことであった。したがって、水性希釈剤に溶解された薬学的に許容され得る塩の形態の、例証的なHX化合物であるローズベンガル二ナトリウムを経口投与することにより、何らの処置もない場合に直腸結腸腫瘍を発生するように特別に作出された動物において直腸結腸腫瘍の発生の進行を遅くできたことは、予想外のことであった。経口的に送達された企図されるHX化合物が、これらの特別に作出された動物において直腸結腸癌性腫瘍の形成を予防できたことは、さらに予想外のことであった。
経口投与された有効量のHX化合物が、本明細書中に開示されるように、白血病細胞も効果的に殺滅できたことは、上で論じられた理由に加え、白血病細胞が血流中並びに骨髄中において全身に分布しているという事実から、さらに予想外のことであった。したがって、相対的に濃縮されており、腫瘍の動脈から直接供給される、又は腫瘍に直接、病巣内投与することによって接触される、固形腫瘍の細胞よりも、白血病細胞は、白血病用細胞傷害性HX化合物が「見つけて」取り込まれるための、より低濃度のより拡散した標的を提供する。
本開示の一部を成す図面において。
Charles River Laboratories International,Inc.からのCB17 SCIDマウスを経口投与のローズベンガル二ナトリウムで処置したときの生存率を示しているグラフである。指数関数的に増殖中のSEM細胞(GFPで標識された2.5×10個のヒトALL細胞)を各動物の静脈内に注射し、腫瘍の確立をモニターした。4週間、腫瘍を成長させた後、マウスを無作為に3つの群に分けた。群1(n=9匹のコントロール動物)には、2週間にわたって1週間に2回、100μLのPBSを経口投与した。群2(n=8匹の処置コホートI動物)には、0.9%NaCl水溶液中に10%w/vで存在する25μLのローズベンガル二ナトリウムを最終体積が100μLとなるようにPBSに希釈したものを、2週間にわたって1週間に2回、経口投与した。群3(n=8匹の処置コホートII動物)には、最終体積が100μLとなるようにPBSに希釈した、0.9%NaCl水溶液中の12.5μLの上記10%w/vを、2週間にわたって1週間に2回、経口投与した。疾患進行のエビデンスをすべての動物においてモニターし、処置開始の120日後まで生存を追跡した。データをカプラン・マイヤー推定値として示す。50~100日の領域を調べると、X軸に最も近い線は、コントロールのデータを表しており、中央の線は、コホートII動物のデータを表しており、一番上の線は、コホートI動物のデータを示している。 いくつかの異なる研究からのデータの対数-対数プロットであり、固形腫瘍処置の評価時点までの被験体におけるHX化合物の持続時間の対数に対して、投与されたローズベンガル濃度(モル濃度)の対数をプロットしており、2021年3月26日出願の米国特許出願第17/214,590にも以前の形態として示されている。「病巣内投与」は、Thompson et al.,Melanoma Res 18:405-411(2008)に存在するデータを表しており、「Swift 2018,2019」は、Swift et al.,J Clin Oncol 36:Suppl;abstr 10557(2018)及びSwift et al.,Oncotargets Ther 12:1293-1307(2019)からのものであり、「経口ApcMin」は、米国特許出願第17/214,590において報告された研究のデータであり、「経口白血病」は、本願において提示される新しいデータである。
1つの態様において、本発明は、哺乳動物被験体に存在する白血病細胞の処置(殺滅)において使用するための、経口投与される薬学的組成物を企図する。その経口薬学的組成物中の主要な細胞傷害剤は、ハロゲン化キサンテン(HX)、そのラクトン、その薬学的に許容され得る塩、又はそのC-Cアルキルエステルもしくは芳香族エステルであり、これらは本明細書中で「HX化合物」と総称され、白血病を処置する有効量で存在する。経口投与される薬学的組成物は、固体又は液体の形態であり得る。
企図されるハロゲン化キサンテン分子には、特に好ましいローズベンガル(4,5,6,7-テトラクロロ-2’,4’,5’,7’-テトラヨードフルオレセイン;RB)、エリスロシンB、フロキシンB、4,5,6,7-テトラブロモ-2’,4’,5’,7’-テトラ-ヨードフルオレセイン、2’,4,5,6,7-ペンタクロロ-4’,5’,7’-トリヨードフルオレセイン、4,4’,5,6,7-ペンタクロロ-2’,5’,7’-トリヨードフルオレセイン、2’,4,5,6,7,7’-ヘキサクロロ-4’,5’-ジヨードフルオレセイン、4,4’,5,5’,6,7-ヘキサクロロ-2’,7’-ジヨードフルオレセイン、2’,4,5,5’,6,7-ヘキサクロロ-4’,7’-ジヨードフルオレセイン、4,5,6,7-テトラクロロ-2’,4’,5’-トリヨードフルオレセイン、4,5,6,7-テトラクロロ-2’,4’,7’-トリヨードフルオレセイン、4,5,6,7-テトラブロモ-2’,4’,5’-トリヨードフルオレセイン及び4,5,6,7-テトラブロモ-2’,4’,7’-トリヨードフルオレセインが含まれる。
上記のハロゲン化キサンテンなどの薬学的化合物と薬学的に許容され得る塩を形成する通常使用される薬学的に許容され得る酸及び塩基のリストについては、Berge,J.Pharm.Sci.1977 68(1):1-19を参照されたい。例証的なカチオンとしては、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、並びにアンモニウム、及びマグネシウム及びカルシウムなどのアルカリ土類塩が挙げられる。ローズベンガルの二ナトリウム塩が特に好ましい。
企図されるハロゲン化キサンテンのラクトン型は、合成的に形成することができ、非常に純粋なローズベンガルの好ましい前駆体である。さらに、カルボン酸型のハロゲン化キサンテン塩は、哺乳動物の胃に存在するような強酸性の水性環境に置かれると、ラクトン型を自発的に形成する。そのラクトンは、哺乳動物の胃又は同様の酸性の水性媒体中でカルボン酸型又はカルボン酸塩型から形成されるとき、単に形成されるだけでなく、十二指腸及び隣接する小腸の領域では容易に溶解しない又は十二指腸のpH値を有する水性媒体に容易に溶解しない凝集塊に凝集するとみられる。
上記のハロゲン化キサンテン化合物のうちの1つのC-Cアルキルエステルも使用でき、C、すなわちエチルエステルが好ましい。RB、エチル-レッド3(エリスロシンエチルエステル;2’,4’,5’,7’-テトラヨード-フルオレセインエチルエステル)、4,5,6,7-テトラブロモ-2’,4’,5’,7’-テトラヨード-フルオレセイン及びエチル-フロキシンB(4,5,6,7-テトラクロロ-2’,4’,5’,7’-テトラブロモ-フルオレセインエチルエステル)の各々を用いたインビトロ研究は、CCL-142腎腺癌に対して同様の抗腫瘍活性を示した。
企図される芳香族エステルは、独立して窒素、酸素又は硫黄である0、1もしくは2個のヘテロ環原子を含む、5もしくは6員芳香環(ベンジルアルコールを含む)又は5,6-もしくは6,6-縮合芳香環系を有する芳香族アルコールとHX分子との反応によって形成される。芳香族エステルが使用されるとき、それは、好ましくは、ベンジルエステル、フェニルエステル、又は2-、3-もしくは4-ピリジル(ピリジル)エステルであり、他の単環及び縮合環含有芳香族エステルも、本明細書中以後で論じられるように企図される。ベンジルエステルは、「アラルキルエステル」であると考えられることが多いが、本発明の目的では、ベンジルエステルは、芳香族エステルとみなされることが理解されるべきである。
そのような芳香族アルコールエステル部分の例証的な例を下記に示し、命名する。式中、Oは、酸素原子であり、線-Oは、環-酸素がその環の利用可能な任意の炭素からであり得ることを示し、波線を横断するO-線は、描かれているアルコキシ基が、別の分子であるエステル化されたHX分子の一部であることを示す。
Figure 2023529262000001
ローズベンガルが、好ましいHX分子であり、その二ナトリウム塩であるローズベンガル二ナトリウムが、最も好ましいHX化合物である。ローズベンガル二ナトリウムの構造式を下記に示す。
Figure 2023529262000002
上述のHX化合物を含む薬学的組成物の医薬用途のさらなる詳細は、米国特許第5,998,597号、同第6,331,286号、同第6,493,570号、同第7,390,688号、同第7,648,695号、同第8,974,363号、同第9,107,887号、同第9,808,524号、同第9,839,688号、同第10,130,658号及び同第10,471,144号(これらの開示は、その全体が参照により本明細書中に援用される)に記載されている。
投薬-図2
0.9%塩化ナトリウム含有水性媒体中の腫瘍細胞をHX化合物に曝露すると、HX化合物の不可逆的な蓄積が腫瘍のリソソームにおいて生じ、リソソームの完全性を不安定化するのに十分な濃度に達したら、免疫原性の腫瘍の自己分解を引き起こす[Wachter et al.,SPIE 4620:143-147(2002)]。これは、この細胞死の免疫原性機構が、(濃度)・(時間関数)に基づいて、ある範囲の曝露条件にわたって誘発され得ることを示唆する。ここで、細胞傷害性は、これらの2つのパラメータの積に比例する[すなわち、細胞傷害性=f([HX]・t)であり、式中、「t」は時間である]。
例えば、RBが、一連の固形腫瘍(例えば、黒色腫、肝細胞癌、乳癌)への病巣内注射によってインビボで投与されたとき、およそ30分以内におよそ25~50mg/g腫瘍組織(25~50mM)という腫瘍内のRB濃度で急性腫瘍細胞傷害性が顕われる[Thompson et al,Melanoma Res 18:405-411(2008)]。
Swiftら[Oncotargets Ther 12:1293-1307(2019)]は、およそ50~100μMの濃度のRBとインビトロにおいて96時間接触させたとき、処置抵抗性の小児固形腫瘍(神経芽細胞腫及び神経上皮腫)の細胞傷害性を示した。さらに、Swiftら[J Clin Oncol 36:Suppl;abstr 10557(2018)]は、同等の曝露において、さらなる処置抵抗性小児固形腫瘍(ユーイング肉腫、骨肉腫及び横紋筋肉腫)における細胞傷害性を示した。
継続的な経口給餌の状況におけるRBへの長期曝露は、2021年3月26日に出願された親出願である米国特許出願第17/214590に開示されているように、マウスApcMin直腸結腸腫瘍モデルにおいて結腸癌の形成を予防し(予防活性)、結腸癌を停止する(治療活性)と示された。治療での使用の場合、飲料水中の1mg/mLの濃度のRBを自由に摂取させた症候性マウスは、未処置マウスと比べて平均生存時間がおよそ38%延長した(12.3±0.5週 対 9.8±0.8週)。1日の飲料水消費率をおよそ2mL/10g体重と仮定すると、これは、およそ2mgRB/10g(200mg/kg)の消費量に相当する。
経口経路を介して水溶液として投与されたRB二ナトリウムのバイオアベイラビリティは、本発明者らが行ったマスバランス試験に基づくと、限定的であるとみられ、0.1~1パーセントと推定され得、0.2~2mg/kgという1日の全身曝露に相当する。この量が血流を介して分配され、血液量が体重のおよそ10パーセントを構成すると仮定すると、これは、血液中においてRBの推定濃度が2~20μMであることに等しい。
この同じアプローチを用いて、本願の図1に示されるデータをプロットした。このデータは、小児の急性Bリンパ芽球性白血病(ALL)腫瘍細胞株の異種移植片が確立されたCB17 SCIDマウスの生存を示し、連続した2週間にわたって1週間に2回、胃管栄養法によってRBを投与した2つの処置群のマウスについて治療活性が観察された。この経口RBのバイオアベイラビリティを1%、投与1回あたりの腸管通過時間を6時間、及び血液量を体重のおよそ10%と仮定すると、2つの処置群は、血液中において推定125~250μMのRBに対応する。
これらのデータをプロットすると、図2に図示されるように、仮定された関係(すなわち、細胞傷害性=f([HX]・t))が実験結果によって支持されることが確認された。
より重要なことには、この関数関係から、全身投与の際に抗腫瘍の治療成績を達成するのに適切な用量レベル及びスケジュールを予測することが可能になる。ApcMinモデルを用いて検討されたものと同等の長期全身処置スケジュールの場合、およそ3ヶ月間のリソソーム蓄積及び腫瘍細胞破壊を達成するのに、低マイクロモル濃度(すなわち、約10μM)の循環HX化合物で十分であるのに対して、およそ12ヶ月間にわたって腫瘍細胞破壊を達成するのに、マイクロモル濃度からマイクロモル濃度以下の濃度(すなわち、約1μM)で十分である。
逆に、この経口白血病モデルで使用されたような、より高用量レベルでの、より短い期間又は断続的な反復全身投薬でも、腫瘍破壊を達成することができる。
白血病を有する小児患者の処置などの具体的な適応症に対して、図2の関係は、当業者が医薬品開発において日常的に使用している標準的なアプローチを適用して、潜在的な安全性リスクを最小限に抑えながら治療成績を最大化する適切な用量レベル及びスケジュールを選択できることを示している。
出願第17/214590のApcMinデータ及び本願の経口白血病処置データは、RBの二ナトリウム塩の単純な製剤が、治療的に活性なレベルのRBを送達するのに十分であることを示している。しかしながら、これは、バイオアベイラビリティに関して理想的な効率よりも低い場合がある。したがって、経口送達されたHX化合物の効率的な遊離及び吸収を達成するのに適した配合を決定することは、当業者によく知られた標準的な医薬品開発の問題であり、製剤の特性を変化させることにより、溶解したHX化合物の血流への吸収が最大化するように消化管の適切な場所での遊離(崩壊、脱凝集及び溶解)を制御することによって所望のバイオアベイラビリティを達成することができる。
配合の最適化は、所望の投与スケジュールにおいて必要な全身曝露(例えば、数日程度の短期間の曝露の場合は血流中に約100μM、数ヶ月程度の中期の曝露の場合は約1~約10μM、1年程度又はそれ以上の長期間の曝露の場合は約<1μM又はそれ未満)が達成されるように用量レベル及び配合が調整されるように、吸収に関する標準的な薬物動態学的研究によって導かれ得る。
二塩基性塩の形態のHX化合物は、およそ5を超えるpHを有する溶液中に存在するのに対して、<5のpH値において、それらのHX化合物は、自然にラクトン型に変換される。二塩基性塩の形態は、水性媒体に非常に可溶性であるのに対して、ラクトン型は、水性媒体に不溶性であるので、前者は、後者に比べて高いバイオアベイラビリティを消化管において示す。したがって、消化管のpH値を適切に補うための配合の最適化は、おそらく、バイオアベイラビリティに影響を与える最も重要なパラメータである。例えば、pH値が<4である胃では、溶解したHX化合物は、速やかに不溶性のラクトン型に変換される。HX化合物は、ラクトン型になったら、ヒステリシスを示し、吸収性の塩の形態に戻るけん化を妨げて、下流のバイオアベイラビリティを遅らせるか又は阻害する。
しかしながら、腔内pH値は、胃の強い酸性から十二指腸のpH6前後に急激に上昇し、さらに小腸のpH6から回腸末端のpH約7.4に上昇する。pHは、盲腸において5.7に低下した後、直腸ではpH6.7に徐々に上昇する[pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/10421978/]。したがって、好ましいpH値が溶解性で吸収性の二塩基性塩の形態でのHX化合物の遊離を容易にする腸内遊離を達成するように薬学的製剤の技術における標準的な手段を適用することによって、バイオアベイラビリティが最適化される。
12ヶ月間の処置レジメンの場合、これらのデータは、およそ1μM(1mg/L)という目標濃度が血流中で達成されることを示している。血液量が体重のおよそ10%(すなわち、約7L)を構成する70kgの成人の場合、これは、7mgのHX化合物/日という吸収を暗に示している。バイオアベイラビリティが、投与されたHX化合物の1%に限定される場合、この目標血中濃度を達成するためには、1日あたり700mgの経口(PO)HX化合物が必要であり得る。
しかしながら、吸収を投与用量の50%に最適化することによって、必要なPO用量は、1日あたりおよそ15mgに減少する。より短い処置レジメン(すなわち、3ヶ月間)の場合、これらのデータは、およそ10μM(10mg/L)という目標血中濃度が達成されることを示している。バイオアベイラビリティが1%であると仮定すると、1日あたり7gのPOのHX化合物が必要であるのに対して、バイオアベイラビリティが50%となると、必要量が、1日あたりおよそ150mgに減少する。
企図される1つの薬学的組成物は、ハロゲン化キサンテン化合物(HX化合物)である第1の白血病用細胞傷害剤の0.1%~約20%(w/v)水性媒体(液体として)を含む。より好ましくは、その濃度は、約0.2~約10%(w/v)であり、最も好ましくは、その濃度は、約0.2~約5%(w/v)である。したがって、例えば、1日あたり150mgという上記の用量は、3mLの5%(w/v)水溶液を用いることによって容易に達成され得る。
特に好ましいハロゲン化キサンテン塩は、ローズベンガル(4,5,6,7-テトラクロロ-2’,4’,5’,7’-テトラヨードフルオレセイン)二ナトリウム(RB二ナトリウム)塩である。薬学的組成物は、治療有効量の第1の白血病用細胞傷害剤を、白血病、又はより詳細には、T-ALLもしくはB-ALLのような急性リンパ芽球性白血病(ALL)、慢性リンパ性白血病(CLL)又は急性骨髄性白血病(AML)を有するヒトなどの哺乳動物に提供するために経口投与される。
哺乳動物被験体は、通常、複数回処置される。白血病細胞を殺滅する事実及び相対量は、所与の白血病の哺乳動物被験体の状態をアッセイするための通常の手段によって明らかにされ得る。維持の持続時間とさらなる投与を行う選択との両方が、哺乳動物の種、個別の哺乳動物被験体、疾患の重症度、疾患のタイプ、被験体の年齢及び健康状態、並びに処置によって引き起こされる白血病細胞の負荷に対して観察される影響に依存し得る。これらの因子は、通常、白血病を処置する分野の熟練の医師によって対処される。
さらに、通常は、検出可能な白血病細胞を身体から取り除くことが望まれるが、必ずしもそれを行うことができるわけではない。十分な白血病細胞を殺滅して当該疾患を静穏化させること、又は白血病細胞の負荷を低減して他の治療法を行うことができるようにすることで十分なときもある。
本明細書中以後に提供されるデータは、インビトロにおけるいくつかの白血病細胞株に対してRBを使用する場合のIC50値が、1日から数日の曝露に対して約50~約100μMであることを説明している。RB二ナトリウムの分子量が、1018g/モルであることを考慮すると、上記のIC50の値は、約50~約100mgのRB/リットルと計算される。インビボ処置中に白血病細胞と接触させるために、その濃度を達成することが好ましい。
RBを用いた肝機能の古典的な静脈内(IV)診断法は、単回のIV用量として100mgのRBを投与して行われた。PV-10(登録商標)RB二ナトリウム水溶液の臨床試験において、RBは、IV送達の1500mgにおいて許容された。成人の標準的な血液量は、およそ5Lである。したがって、血中において100mg/Lを達成するために、成人患者は、およそ500mgのRBをIV投与される必要があり得、それにより、IC50値が血流中で達成される。RBが循環から迅速にクリアランスされる(t1/2が約30分である)ことに起因して、循環中のRBのピークレベルを維持するために(すなわち、最大数時間又はそれ以上にわたって)、IV投与は、持続注入を必要とし得る。
IC50値レベルでの投与は、循環している血液学的な非腫瘍性の白血病細胞すべてに対して毒性であるわけではないだろう。すなわち、IC50値ではおよそ半数の細胞だけしか影響を受けないだろう。ゆえに、RBをIC50値の倍数、最大およそ1500mg(すなわち、300μM)で投与することが好ましいことがある。
あるいは、残存する白血病の負荷に対して機能的な免疫応答を惹起するために、白血病細胞の一部だけを殺滅することで十分である場合がある。迅速に殺滅される白血病細胞が大量に存在することに起因する毒性反応(すなわち、いわゆる「腫瘍崩壊症候群」)を回避するために、後者の場合が好ましいことがある。この状況では、ハロゲン化キサンテンの白血病細胞に対する細胞傷害性が原因の白血病細胞の残屑は、カリウムなどの細胞内内容物を放出して、非特異的な細胞死を引き起こす。このプロセスは、悪性細胞に対して特異的に免疫系を活性化することもある。
先に列挙された同様に有用なハロゲン化キサンテン化合物及びそれらの薬学的に許容され得る塩は、互いに約3倍異なる分子量を有し得る(表3、米国特許第7,390,688号、カラム15~16を参照のこと)。使用されるRB以外のハロゲン化キサンテンの正確な量は、そのような各化合物及びRB又はRB二ナトリウムの公表された分子量に基づいて算出されることが好ましい。
処置を必要とし(哺乳動物被験体)、且つハロゲン化キサンテン化合物を含む薬学的組成物を投与され得る、白血病を有する哺乳動物被験体は、ヒトなどの霊長類、チンパンジーもしくはゴリラなどの類人猿、カニクイザルもしくはマカクなどのサル、ラット、マウスもしくはウサギなどの実験動物、イヌ、ネコ、ウマなどの伴侶動物、又は雌ウシもしくは雄子牛、ヒツジ、子ヒツジ、ブタ、ヤギ、ラマなどの食用動物などであり得る。
本発明の1つの態様において、経口投与用の企図されるHX化合物は、通常、滅菌された水性薬学的組成物に溶解又は分散された状態で使用される。滅菌された水道水又は別の起源からの滅菌水を使用することができる。
企図される液体薬学的組成物の特色
HX化合物は、通常、企図される水性薬学的組成物中に約0.1~約20%(w/v)で存在する。より好ましくは、その濃度は、約0.2~約10%(w/v)であり、最も好ましくは、その濃度は、約0.2~約5%(w/v)である。したがって、例えば、1日あたり150mgという上記の用量は、3mLの5%(w/v)水溶液を用いることによって容易に達成され得る。
ローズベンガル二ナトリウムなどの様々なHX化合物のバイオアベイラビリティは、まだ十分に特徴付けられていない。譲受人の1人が委託した研究では、水溶液中の14C-RBをマウスに経口投与した放射標識研究に基づくと、ローズベンガル二ナトリウムのバイオアベイラビリティは、1%未満(<1%)であると結論付けられた。pH値が<4である胃において、HX化合物は、ラクトン型である可能性が高い。胃でのラクトンへの変換は、そのHX化合物を破壊しないが、このようなラクトン型への変換は、腸での吸収に必要な可溶性塩の形態への再変換に対して動態学的及び熱力学的な障壁となり得る。
米国特許出願第17/214590で論じられている、Apcminマウスを用いた研究は、飲料水中の4mg/mLを自由に消費したそれらのマウスが、疾患の発症を停止したことを示した。それにより、それらのApcminマウスは、およそ8mg/10g/日=800mg/kg/日を消費したと理解される。その量は、そのような用量に耐えられることを示す毒性学データと一致する。例えば、食品着色料(Food Red No.105)としてのローズベンガルを調べたIto et al.,J Natl Cancer I,77:277-281(1986)では、C57BL6Nマウスに対して970mg/kg/日という用量で2年間、継続的に自由に摂取させたローズベンガルに十分耐えられることが見出されている。以前に使用された静脈内(IV)肝臓診断薬は、標準的な60kgの成人の場合の1.9mg/kgと等しい、112mgのローズベンガルをボーラスとして送達されていたが、これは、罹患をもたらすと報告されていない。
経口投与用の液体薬学的組成物は、血漿の浸透圧未満の浸透圧を有することが好ましい。血漿の浸透圧の正常な(十分な)ヒト参照範囲は、1キログラムあたり約275~299ミリオスモル(mOsm/kg)である。
より好ましくは、その組成物は、マンニトール及びデキストロースのような糖などの等張化剤(又は張度調整剤)、プロピレングリコール、グリセロール及びソルビトールなどのC-Cポリヒドロキシ化合物、塩化ナトリウムもしくは塩化カリウムなどの等張塩、並びに/又は風味及び穏やかな緩衝作用(5mmol未満の緩衝剤)のために提供され得る、クエン酸、リンゴ酸、酢酸及び他の食物の酸並びにそれらの塩などの緩衝剤以外の緩衝剤を含まない。胃及び下部消化管は、通過する材料に対して適切な張度を提供するように十分適合されており、さらなる塩及び/又は緩衝剤を必要としない。周知であるように1つ以上の薬学的に許容され得る味覚マスキング剤又は香味料は、組成物の飲用性を高めるために最大約5重量%で存在できる。
水性ビヒクル中でHX化合物の最大溶解度を得るため、及び生物学的組織との適合性を確保するためには、薬学的に許容され得る水性希釈剤のpH値が約5~約9であることが好ましい。特に好ましいpH値は、約5~約8であり、より好ましくは、約6~約7.5である。これらのpH値では、ハロゲン化キサンテンは通常、低pH値で形成されるラクトンではなく、二塩基性の形態のままである。
ローズベンガルなどのHX化合物は、2.52及び1.81というpKa値を有する二塩基性である。いくつかの企図されるハロゲン化キサンテンに対するpKa値の決定は、Batsitela et al.,Spectrochim Acta Part A 79(5):889-897(2011年9月)に見られる。
本発明において、ここでの目的が最終的に、細胞傷害濃度のハロゲン化キサンテン化合物を、白血病細胞をハロゲン化キサンテン化合物と接触できる白血病細胞環境に提供することであるので、その組成物が腫瘍に病巣内注射される場合のように、薬学的組成物中のハロゲン化キサンテン化合物の具体的な量は、重要ではないと考えられている。本明細書中の以後に提供されるデータは、ローズベンガル二ナトリウムのIC50濃度が、インビトロで培養された白血病細胞に対して約50~約100μMであることを示している。
インビトロで培養された白血病細胞を用いたときの上記で述べた結果は驚いたことに、Swift et al.,OncoTargets and Therapy 12:1-15(2019)によって報告された、培養されたSK-N-AS、SK-N-BE(2)、IMR5、LAN1、SHEP及びSK-N-SH神経芽腫細胞、SK-N-MC神経上皮腫細胞、並びに正常な初代線維芽細胞、BJ線維芽細胞及びWI38線維芽細胞のインビトロ細胞傷害性研究において得られたデータと類似のデータを提供した。その著者らは、PV-10(登録商標)RB二ナトリウム水溶液で処置された細胞に対する最大半量阻害濃度(IC50)値が、処置の96時間後において、アッセイされた神経芽細胞腫株に対しては65~85μM、及び神経上皮腫株SK-N-MCに対しては49μMであったことを報告した。その著者らは、3つの組織起源からのヒト上皮細胞に対する毒性も調べ、93~143μMというIC50値を報告した。
PV-10(登録商標)RB二ナトリウム水溶液の臨床研究において、RBは、IV送達された1500mgにおいて許容された。RBが循環から迅速にクリアランスされる(t1/2が約30分である)ことに起因して、IV投与は、単回の投与の間に、循環中のRBのピークレベルを維持するために(すなわち、最大数時間又はそれ以上にわたって)、持続注入を必要とし得る。
企図される固体薬学的組成物の特色
RBもしくはRB二ナトリウムなどのHX化合物又はRBラクトンなどのHX化合物ラクトンが、胃を通過して腸でHX化合物を放出するために腸溶コーティングされた、経口投与用の固体の薬学的組成物として投与されることがさらに企図される。HX化合物は、通常、固体の希釈媒体中に溶解されているか、又は希釈媒体に溶解もしくは希釈媒体上に分散されている。
経口投与された固体の医薬製品の哺乳動物の身体内での溶解において果たされる因子がいくつかある。それらの因子には、消化管に沿った種々の位置における薬剤の滞留時間、粒径、口から肛門までに遭遇する可能性のある体液における薬剤の個々の成分の溶解度、様々なコーティング層が存在する場合にはそれらが薬剤に適用される順序、並びに特定のコーティング層が可溶性であるpH値が含まれる。
例えば、強酸性の胃の環境(絶食状態ではpH1.5~2、摂食状態ではpH3~6)は、十二指腸において約pH6に急上昇し、回腸末端のpH7.4まで小腸に沿って上昇する。盲腸のpH値は、pH6をわずかに下回り、結腸で再び上昇して直腸でpH6.7に達する[Hua,Front Pharmacol 11:Article 524(2020年4月)]。ヒトの胃のpH値を有する水溶液にRB二ナトリウムの溶液を混合したのを観察したところ、その混合物は急速に混濁し、それまで可溶性であったRB二ナトリウムがおそらくラクトン型に凝集することが明らかになった。
胃の通過は、絶食状態で0~2時間の範囲であり得、摂食状態では最大6時間まで延長し得る。一般に、小腸の通過時間は、3~4時間前後で比較的一定と考えられているが、健康個体では2~6時間の幅があり得る。結腸の通過時間は、大きく変動することがあり、6~70時間の範囲が報告されている[Hua,Front Pharmacol 11:Article 524(2020年4月)]。
薬物が循環器系に吸収されるためには、消化管の内壁を裏打ちする上皮細胞を通過又は透過しなければならない。所与の薬物の上皮細胞による吸収を防ぐことができる細胞バリアは、細胞膜である。細胞膜は、本質的に、半透膜を形成する脂質二重層である。
純粋な脂質二重層は、一般に、無電荷の小さな溶質のみ透過させる。ゆえに、イオン性分子は帯電しているので、分子がイオン化しているか否かが吸収に影響する。溶解度は、荷電種に有利に働き、透過度は、中性種に有利に働く。
上皮細胞膜は、リン脂質二重層で構成されているので、通常、イオンは、消化管を通って受動的に拡散することができない。この二重層は、2層のリン脂質で構成されており、帯電した親水性頭部が外側を向いており、帯電していない疎水性脂肪酸鎖が、層の中央に存在する。無電荷の脂肪酸鎖は、イオン化した荷電分子に反発する。これは、イオン化した分子が、腸管膜を容易に通過できず、吸収されないことを意味する。
エステル化による化学修飾を用いることにより、溶解度を制御することができる。例えば、HX化合物のC-Cアルキルエステル及び芳香族エステルの形態は、通常、水性液体への溶解度が低く、そのイオン電荷が中性であるため、通常、カルボン酸の形態よりも腸上皮細胞によってより良好に取り込まれる。後に、消化管壁内及び血液中のエステラーゼが、これらのエステルを加水分解することにより、親薬物が放出される。
また、錠剤又はペレットへのコーティングフィルムは、一般に水性媒体中、特に胃における、組成物の溶解及び/又は崩壊の速度を低下させるバリアとして作用することができる。コーティングは、溶解が起きる場所を変更するためにも使用することができる。例えば、薬物を含む薬剤に腸溶コーティングを適用することができ、その結果、そのコーティング及び薬物は、腸の基本的な環境でのみ溶解する。消化管の腸の部分及び/又は消化管の特定の位置における薬剤からの薬物の予測可能な放出にとって有用なアプローチの1つは、事前に選択された消化管のpH値(例えば、先に述べたもの)において溶解又は崩壊するpH特異的なコーティング及びマトリックスに依存するものである。
下記の表は、標的化放出(局所処置)の目的で単独又は組み合わせで使用されてきたpH依存性ポリマーコーティングのいくつかの例を示しており、それには、いくつかのメタクリル樹脂(Eudragit(登録商標)としてEvonik Industries,AG,Essen,Germanyから商業的に入手可能)及びヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC;Methocel(商標)としてDuPont,Wilmington,DEから入手可能、及びBenecel(商標)としてAshland,Inc.,Wilmington,DEから入手可能)誘導体も含まれる。腸溶コーティングは、特定のpH値範囲において放出の引き金を引くことに加えて、組み込まれた活性な作用物質を苛酷な消化管環境(例えば、胃液、胆汁酸及び微生物分解)から保護でき、延長及び遅延された薬物放出プロファイルをもたらして、治療効率を高めることができる。
各ポリマーに対する「公開されている放出pH」値は、製造者からのものである。この「公開されている放出pH」値は、すべての組成物又は環境に対して絶対的なものではなく、本明細書中で述べられる溶解又は崩壊のためのpH値は、これらの公開された値に基づく。
Figure 2023529262000003
従来の非標的化療法は、標的部位に到達する前に薬物が全身に吸収されるため、望ましくない副作用及び低い有効性を有することがあるので、結腸での放出のために、結腸を標的とした薬物送達系が盛んに探求されている。Liu et al.,Eur.J.Pharm.Biopharm.74:311-315(2010)は、内層用の、緩衝剤を含む、Eudragit(登録商標)Sのアルカリ性水溶液、及び外層用のEudragit(登録商標)Sの有機溶液を使用することによって、二重コーティングのアプローチを採用し、7を超えるpHでの薬物溶解を加速させた。続いて、Varum et al.,Eur.J.Pharm.Biopharm.84:573-577(2013)は、この二重コーティングされた系のインビボ性能をヒトにおいて評価したところ、二重コーティングされた錠剤が、主に下部腸管において、より安定して崩壊することが実証された。
Hashem et al.,Br.J.Pharm.Res.3:420-434(2013)は、プレドニゾロンの結腸送達のために、時間依存性の系とpH依存性の系とを組み合わせたミクロスフェアを開発した。Hashemらは、Eudragit(登録商標)Sとエチルセルロースとの組み合わせを用いることによって、上部腸での薬物の早期放出を防ぎつつ、結腸へのより大きな薬物送達を達成した。
Eudracol(登録商標)は、結腸への標的化薬物送達を薬物の遅延放出かつ均一放出で提供する複合技術の別の例である。この系は、ペレットをEudragit(登録商標)RL/RS及びEudragit(登録商標)FS 30Dでコーティングすることに基づき、pH及び時間に依存した様式で結腸特異的な薬物放出をもたらす[Patel,Expert Opin.Drug Deliv.8:1247-1258(2011)]。
小腸を標的とする組成物の1つは、約60~約95重量%のフリーラジカル重合した、アクリル酸又はメタクリル酸のC-C-アルキルエステル、及び約5~約40重量%の、アルキルラジカルに酸性基を含む(メタ)アクリレートモノマーから構成される1層又は複数層の(メタ)アクリレート共重合体でコーティングされた粒状のローズベンガル(RB)でコーティングされた糖/スクロースビーズの希釈媒体を含む。
特に好適な(メタ)アクリレート共重合体は、約10~約30重量%のメタクリル酸メチル、約50~約70重量%のアクリル酸メチル及び約5~約15重量%のメタクリル酸(Eudragit(登録商標)FSタイプ)を含む。同様に好適なのは、約20~約40重量%のメタクリル酸及び約80~約60重量%のメタクリル酸メチル(Eudragit(登録商標)Sタイプ)の(メタ)アクリレート共重合体である。単語「(メタ)アクリレート」は、アクリレートモノマーとメタクリレートモノマーのいずれか又は両方を使用できることを意味するために本明細書中で使用される。
これらのコーティングポリマーは、その粒子が胃から出る前に任意のHX化合物をほとんど放出させない。十二指腸内の流体のpH値は通常、約6であり、回腸に向かって約7.4に上昇する。
通常の錠剤又はロゼンジは、高速ミキサー(DIOSNAタイプP10,Osnabruck,Germany)において混合されたラクトース(20%)と活性成分(80%;HX化合物)との混合物によって調製され得る。均一な組成物が得られるまで、ポビドン(Sigma-Aldrich International GmbH,Buchs,CH)などのポリビニルピロリドン(PVP)賦形剤を含む水溶液を少量ずつ加える。その湿った粉末混合物をふるいにかける。その後、周知であるように、それらから錠剤を作製し、乾燥させる。
その後、得られた錠剤又はロゼンジは、たいてい流動床装置を用いて、好ましくは保護性ポリマーフィルムでコーティングされる。フィルム形成ポリマーは、通常、周知のプロセスによって可塑剤及び離型剤と混合される。そのフィルム形成剤は、この場合、溶液又は懸濁液の形態であり得る。フィルム形成用の賦形剤も、同様に溶解又は懸濁され得る。有機溶媒もしくは水性溶媒又は有機分散剤もしくは水性分散剤が使用され得る。分散液を安定化するために安定剤をさらに使用できる(例えば、Tween(登録商標)80又は他の好適な乳化剤もしくは安定剤)。
離型剤の例は、モノステアリン酸グリセロールもしくは他の好適な脂肪酸誘導体、ケイ酸誘導体又はタルクである。可塑剤の例としては、プロピレングリコール、フタレート、ポリエチレングリコール、セバケート又はシトレート、並びに上記及び文献で述べられた他の物質が挙げられる。
別の好ましいタイプの薬剤は、水溶性のカプセル又はブリスターであって、そのカプセルが水又は体液において溶解又は崩壊したらすぐにHX化合物を放出する1層以上のポリマー樹脂で覆われた、ローズベンガル二ナトリウム又はローズベンガルラクトンなどのHX化合物の複数の粒子を含む水溶性のカプセル又はブリスターである。カプセルは通常、ゼラチンでできており、ジェルカプセルと称されることが多い。ゼラチンは、動物性の生成物である。菜食主義者向けのカプセルは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)でできていることが多い。
いくつかの実施形態において、HX化合物は、1以上のポリマーコートで直接積層されることにより、概して球状の形状である粒子が形成される。そのような粒子は、ビーズと称されることが多い。好ましい態様において、粒子(ビーズ)は、約90重量パーセントが20メッシュの篩(開口部=850μm)スクリーンを通り抜け、約90重量パーセントが、80メッシュの篩(開口部=180μm)スクリーン上に保持されるようなサイズにされる。
例示的なpH値感受性のコーティングポリマー樹脂は、上で論じた。コーティングポリマー樹脂のpH値感受性は、上で論じられたものなど、消化管に沿って生理的に存在するpH値に関して理解されるべきである。
他の実施形態では、概して球形の小さなコアである、糖/デンプンのシード、ノンパレル又は小球などの小さなペレットが、1層又は複数層のHX化合物及び1層以上のポリマーコーティングでコーティングされる。例証的な糖/デンプンコアは、約40メッシュの篩(425mmの開口部)スクリーンから約50メッシュの篩(300mmの開口部)スクリーンを通り抜ける糖スフェアNFであって、62.5パーセント以上且つ91.5パーセント以下のスクロース(乾燥ベースで計算される)を含み、残りは主にデンプンからなる糖スフェアNFである(USP NF 1995 2313)。
例証的な例では、100キログラム(kg)の量のローズベンガル二ナトリウム、7.1kgの量の架橋カルボキシメチルセルロース(好ましくは、クロスカルメロースナトリウムNF)、及び11.9kgの量のデンプンNFを各々半分に分け、これら3つの成分を一緒にブレンドして、2つの同一のバッチを形成する。各バッチを、Fitzpatrick Millなどの粉砕機を用いて80メッシュスクリーンに通して粉砕する。次いで、その粉砕された2つのバッチをブレンドして混合物を形成し、それを、当業者に周知の一般に認められた品質保証試験法に従って組成について試験する。
その後、上記ローズベンガル二ナトリウム混合物を3等分し、第1の部分は、そのまま残し、第2及び第3の部分は、それぞれ50パーセント、30パーセント及び20パーセントのロットに分割する。ステンレス鋼コーティングパンに、25.6kgの量の40~50メッシュの糖/デンプンのシード(例えば、糖スフェアNF)を入れる。粒子上に噴霧するために、80リットル(L)の量の5パーセントのポビドン/イソプロパノール(IPA)溶液を調製する。
コーティングパンは、糖スフェアから開始され、その上にポビドン-アルコール溶液の適用を噴霧し(1回の適用につきおよそ0.173kg)、その上に第1の部分(そのまま残された部分)のローズベンガル二ナトリウム混合物を振りかけて適用する(およそ0.32kg)。振りかけは、標準的なふるいを用いて行われる。噴霧及び振りかけの工程は、混合物の第1の部分が糖スフェアに適用され、部分的にコーティングされたスフェアのバッチを形成するまで続けられる。
次いで、部分的にコーティングされたスフェアを、2つのロットに等分し、各ロットをコーティングパンに入れる。この2つのロットの各々について別々に、ポビドン/IPA溶液の噴霧及び50パーセントのロットに分けられたローズベンガル二ナトリウム混合物の振りかけを、それらの50パーセントのロットがスフェアに適用されるまで継続する。50パーセントのロットを適用した後、必要であれば25メッシュスクリーンを用いてスフェアをふるいにかけることができる。
ポビドン/IPA溶液の噴霧と、30パーセントのロットに分けられたローズベンガル二ナトリウム混合物の振りかけを開始し、それらの30パーセントのロットがスフェアに適用されるまで継続する。コーティングされたスフェアは、25メッシュスクリーンを用いて再度ふるいにかけられ得る。
20パーセントのロットに分けた混合物を用いて、それらの20パーセントのロットがスフェアに適用されるまで、ポビドン/IPA溶液の噴霧及びローズベンガル二ナトリウム混合物の振りかけを継続する。このプロセスのこの時点において、ローズベンガル二ナトリウム混合物の全量がスフェアに適用され、約50kgの5パーセントのポビドン/IPA溶液がスフェアに適用された。
7.5パーセントのポビドン/IPA溶液を調製し、シーラントとしてスフェアに適用する。シールされたスフェアを、約1時間タンブル乾燥し、計量し、約122°F(50℃)のオーブン内に24時間置く。乾燥後、スフェアを20メッシュスクリーン及び38メッシュスクリーンのふるいにかけて、即時放出粒子(遅延型粒子に比べて迅速又は高速)を形成する。
また、上で論じたHX化合物含有スフェア又はそのカプセル(又はブリスター)を、先に論じたようにpH値感受性の腸溶コーティングポリマーでコーティングすることもでき、それらのスフェアは、消化管で放出されても、pH値が少なくとも所望の消化管の位置のものでなければ、活性成分であるHX化合物をその周囲に提供しない。
HX化合物の放出位置を制御する別のやり方は、上で論じたスフェア(HXでコーティングされた粒子)をさらにコートすることであり、それらのスフェアからのHX化合物の放出が制御され、6~10時間にわたって放出されるように、スフェアの表面にポリマー樹脂の溶解制御コートが適用される。この目的のために用いられる材料は、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル-セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ニトロセルロース、カルボキシメチル-セルロース、並びにエタクリル酸及びメタクリル酸の共重合体(Eudragit(登録商標))であり得るがこれらに限定されないか、又は他の任意のアクリル酸誘導体(Carbopol(登録商標)など)を使用することができる。
さらに、腸溶コーティング材料も、単独で、又は上記の非pH感受性コーティングと組み合わせて、使用され得る。これらの材料としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、及びあらゆるセルロースエーテルのフタル酸エステルが挙げられるが、これらに限定されない。さらに、アクリル酸誘導体(Eudragit(登録商標))のフタル酸エステル、又は酢酸フタル酸セルロースが挙げられる。
これらのコーティング材料は、表面をコーティングする際に約1.0パーセント(w/w)~約25%(w/w)の量で使用され得る。好ましくは、これらのコーティング材料は、約8.0~約12.0パーセント(w/w)で存在する。
賦形剤
薬学において通例の賦形剤は、HX化合物含有薬剤の生成において、それ自体公知の様式で使用され得る。これらの賦形剤は、コア又はコーティング剤に存在し得る。
ポリマー
糖小球又は糖スフェアへのHX化合物の接着を助ける際に接着剤として使用されるポリマー材料は、HX化合物のコーティング層が使用される場合、賦形剤であるとみなされる。そのようなポリマーの例示は、他の水溶性の薬学的に許容され得るフィルム形成ポリマー、例えば、ヒドロキシプロピルセルロースであるような、ポリビニルピロリドン及びポリビニルアルコールである。
乾燥促進剤(非粘着剤)
乾燥促進剤は、以下の特性を有する。乾燥促進剤は、比表面積が大きく、化学的に不活性であり、流動性であり、微細な粒子を含む。これらの特性のため、乾燥促進剤は、官能基として極性コモノマーを含むポリマーの粘着性を低下させる。乾燥促進剤の例は、アルミナ、酸化マグネシウム、カオリン、タルク、ヒュームドシリカ、硫酸バリウム及びセルロースである。
崩壊剤
崩壊剤は、脱凝集を助けるために経口固形剤形に加えられる。崩壊剤は、固形剤形が水分と接触したときに急速に崩壊させるために製剤化される。崩壊は、通常、溶解プロセスにおける第1の工程とみなされる。例証的な崩壊剤としては、クロスカルメロースナトリウム、内部架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、架橋ポリビニルピロリドン(クロスポビドン)及びデンプングリコール酸ナトリウムが挙げられる。
離型剤
離型剤の例は、脂肪酸又は脂肪酸アミドのエステル、脂肪族の長鎖カルボン酸、脂肪アルコール及びそれらのエステル、モンタンろう又はパラフィンろう及び金属せっけんであり、特に、モノステアリン酸グリセロール、ステアリルアルコール、グリセロールベヘン酸エステル、セチルアルコール、パルミチン酸、カルナウバろう、蜜ろうなどが挙げられるだろう。通常の相応の量は、共重合体に基づく0.05~5重量パーセント、好ましくは、0.1~3重量パーセントの範囲内である。
薬学における通例の他の賦形剤
例えば、安定剤、着色料、酸化防止剤、湿潤剤、色素、光沢剤がここで挙げられるだろう。それらは通常、加工助剤として使用され、信頼できる且つ再現性のある生成プロセス及び良好な長期貯蔵安定性を保証するために意図されている。薬学における通例のさらなる賦形剤は、ポリマーコーティングに基づく0.001重量%~10重量%、好ましくは、0.1~10重量%の量で存在し得る。
可塑剤
可塑剤として適した物質は通常、100~20,000の分子量を有し、その分子内に1つ以上の親水性基、例えば、ヒドロキシル基、エステル基又はアミノ基を含む。クエン酸、フタル酸、セバシン酸、ひまし油が好適である。さらなる好適な可塑剤の例は、クエン酸アルキルエステル、グリセロールエステル、フタル酸アルキルエステル、セバシン酸アルキルエステル、スクロースエステル、ソルビタンエステル、セバシン酸ジブチル及びポリエチレングリコール4000~20000である。好ましい可塑剤は、クエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、セバシン酸ジブチル及びセバシン酸ジエチルである。使用される量は、(メタ)アクリレート共重合体に基づく1~35、好ましくは、2~10重量%である。
全身バイオアベイラビリティの最適化
固体薬剤の組成物によって送達されるHX化合物の量は、水性組成物からの量と実質的に同じである。IC50レベルの循環RB濃度を達成するのに十分な、例証的なHX化合物としての、RBの投与は、定義上、循環しているすべての白血病細胞に対して毒性ではないだろう(すなわち、IC50では、白血病細胞のおよそ半数しか影響されないだろう)。いくつかの実施形態において、およそ1500mg(すなわち、300mM)までの、IC50レベルの倍数である量でRBを投与することが好ましいことがある。しかしながら、一方で、個々の投与の結果として、腫瘍細胞の一部だけを殺滅することで十分である場合がある。
急速に殺滅された腫瘍細胞の負荷に起因し得る毒性反応(すなわち、「腫瘍崩壊症候群」)を回避するために、後者の場合が好ましいことがある。例えば、Howard et al.,N Engl J Med 364(19):1844-1854(2011年5月12日)では、腫瘍崩壊症候群は、白血病などの血液癌を処置する医師が遭遇する最も一般的な疾患関連緊急事態であると報告されている。
下記でより詳細に論じるように、残存する白血病細胞の負荷に対して機能的な免疫応答を惹起するために、単一の処置において白血病細胞の一部だけを殺滅することも有益であり得る。RBによって惹起される機能的な免疫系応答は、少なくとも部分的に、体内に循環する、RBによって引き起こされた壊死細胞残屑の作用によって生じると考えられており、RBなどのハロゲン化キサンテンの初回投与の効果を延長することができる免疫応答を誘導する。
誘導された免疫応答が生じるのには、接触した白血病細胞の即座の殺滅よりも長い時間がかかることがある。この効果の遅れの理由は、白血病細胞を攻撃して殺滅するのに適切なB及びT細胞の集団を誘導するため、並びに、その循環が続くことで患者を再発から守ることができる持続性のメモリーT細胞を誘導するために時間が必要であるからであり得る。このような初期の遅れは、そのように誘導されたメモリー免疫細胞に起因して、被験者の生涯にわたって増強され得る。
併用処置
別の態様では、上記の薬学的組成物は、第2の異なって作用する抗白血病全身性細胞傷害剤、すなわち、作用機序がHX化合物である第1の細胞傷害剤のそれと異なる抗白血病細胞傷害剤とともに使用される。先に述べたように、ハロゲン化キサンテンは、癌細胞のリソソームに局在し、細胞周期のG1期にある細胞のパーセンテージを上昇させ、アポトーシスによる細胞死を誘導する[Swift et al.,Oncotargets Ther,12:1293-1307(2019年2月)]。
第1のタイプの第2の抗白血病全身性細胞傷害剤は、いわゆる「小分子」である。そのような小分子は、白血病細胞の殺滅において非白血病細胞よりも概して特異的であるに過ぎないという点において、半特異的な細胞毒ととらえることができる。ほぼすべての小分子抗癌剤が、企図されるHX化合物よりも白血病特異性が低く、そのレシピエント被験体に対して病的状態、禿頭症及び他の外傷を引き起こすことがあり、それは、被験体の処置レジメン離れをもたらす可能性がある。
これらの小分子は、通常、約150~約1000ダルトン(Da)、好ましくは、約250~約850Daの分子量を有する。この群の小分子には、カリケアマイシン(1368Da)、ビンブラスチン(811Da)、ビンクリスチン(825Da)、イマチニブ(494Da)、モノメチルオーリスタチン(718Da)、エトポシド(589Da)、ダウノルビシン(528Da)、ドキソルビシン(544Da)、クラドリビン(286Da)、フルダラビン(365Da)、ミトキサントロン(444Da)、6-チオグアニン(167Da)、メトトレキサート(454Da)、6-メルカプトプリン(152Da)、アザシチジン(244Da)、アンナマイシン(annamycin)(640Da)、ソラフェニブ(465Da)、クロファラビン(304Da)、シスプラチン(300Da)、イリノテカン(587Da)及びシタラビン(243Da)などの血液学的白血病を処置するために使用される小分子の多くが含まれる。上記の抗白血病小分子の1つ以上が、第2の白血病用細胞傷害剤を構成し得る。これらの小分子の多くが、それらの塩、プロドラッグ及び/又はエステル(これらは結果的に上記のそれらのおおよその値よりも大きい分子量を有する)として使用されることに注意されたい。
第2の抗白血病全身性細胞傷害剤を有する薬学的組成物は、タンパク質、洗浄剤、及び/又はポリ(エチレングリコール)[PEG]などのポリマーなどのより大きな分子に結合体化された上記の小分子も含み得る。そのような結合体は、小分子の毒性を最小限に抑えることが多く、白血病細胞に結合する抗体の使用のように送達位置を強化することが多い。さらに、小分子細胞傷害剤は、白血病細胞に特異的に結合するように及び/又は白血病細胞によってエンドサイトーシスされるように適合され得る、リポソーム、ミセル又はシクロデキストリン分子内に包まれ得る。この被包及び結合体化された小分子の群は、その活性な細胞傷害剤が小分子であるので、先に論じられた第2の全身性細胞傷害剤の小分子の群に含められる。
そのような第2の抗白血病全身性細胞傷害剤の例示は、リポソームダウノルビシン、リポソームアンナマイシン、スフィンゴソームビンクリスチン、リポソームシタラビン、ゲムツズマブオゾガミシンと呼ばれるカリケアマイシン結合体化CD33抗体、及びブレンツキシマブベドチンと呼ばれるCD30抗体とモノメチルオーリスタチンEとのキメラである。
簡潔には、リポソームは、概して球形の人工小胞であって、1つ又は2つの二重層を構成し、小分子である第2の全身性細胞傷害剤を被包して送達を補助する、コレステロール及びリン脂質分子から通常は調製される小胞である。Akbarzadeh et al.,Nanoscale Res Lett,8:102(2013)を参照のこと。
カリケアマイシンは、高分子量の小分子(1368Da)であり、結合した4つのサッカライドがベンゾチオエートS-エステル結合によって中断されたもの、ならびにDNA配列を切断するエン-ジイン基を含む。カリケアマイシンは、毒性が強すぎて単独で使用できず、ヌードマウスにおけるLD50は、320μg/kgである[DiJoseph et al.,Blood 103:1807-1814(2004)]。同様に、モノメチルオーリスタチンは、CD30(細胞膜タンパク質且つ癌マーカーであるTNFレセプターファミリーメンバー)に対する抗体への結合によって媒介される、一般的な(広範囲の)高い毒性を示し[いくつかの癌細胞株に対して<1nMのIC50;ApexBio Technology Product Catalog(2013)]、大細胞型リンパ腫及びホジキン病に対して有用と報告された[Francisco et al.,Blood 102:1458-1465(2003)]のに対して、抗CD79bモノクローナルへの結合は、NHLの3つの異種移植モデルの処置において利点を提供した[Dornan et al.,Blood 114:2721-2729(2009)]。
小分子(非タンパク質性で約1000グラム/モル未満)であるか又はより大きなタンパク質性分子である全身性抗白血病薬は、その薬が被験体の身体全体に広がるように、処置される哺乳動物被験体に投与される。静脈内投与が、薬の広がりを達成する好ましい方法の1つである。一方、イマチニブは通常、経口投与される。
白血病の処置に有用な例証的な小分子抗癌薬としては、親出願の第16/688,319において使用されたドキソルビシン、エトポシド、ビンクリスチン、シスプラチン、イリノテカン及びシタラビンが挙げられるのに対して、例示的なタンパク質性分子は、ペグアスパラギナーゼである。それらの小分子薬のうち、各々が哺乳動物被験体にIV投与され得るドキソルビシン、エトポシド及びビンクリスチンは、致死量未満のPV-10(登録商標)RB二ナトリウム水溶液による処置において相乗作用を示すとみられ、好ましい。
本明細書中で論じられる第2の白血病用全身性細胞傷害剤のいずれかの投与は、複数回試みることができることが理解されるだろう。そのような複数回の投与は、処置する医師の権限の範囲内であり、第1の白血病用細胞傷害剤であるHX化合物の投与とともに行うこともできるし、別々に行うこともできる。
小分子全身性抗白血病薬の有用な有効投与量は、FDA、国家機関又は国際機関が承認した薬のラベル情報に示された投与量である。通常、単剤療法の投与スケジュールは、初期段階の臨床試験において最大耐用量(MTD)を決定することによって設定される。次いで、そのMTD(又はそれに近い変動値)は、有効性の評価及びより詳細な安全性の評価のために、後期臨床試験に公表される。これらのMTDはしばしば、臨床試験終了後、確立された治療用量となる。しかしながら、その小分子全身性抗白血病薬は、固体又は液体製剤においてHX化合物とともに使用することが企図されているので、MTDは、通常使用される最大量であり、通常の手順に従って下方に用量設定される量である。
本発明におけるハロゲン化キサンテン療法と併用され得るいくつかの全身性抗癌(抗白血病)薬(剤)の例示的な投与スケジュールを、下記の表Aに提供する。下記に列挙される薬のいくつかは、上で定義されたような「小分子」であるのに対して、他のものは、抗体、好ましくはモノクローナル抗体などの大きなタンパク質性分子であり、炎症性ケモカイン活性を阻害することに注意されたい。それにもかかわらず、それらは、全身投与される。表Aの薬は、通常、単一の活性な作用物質として使用される。しかしながら、本明細書中以後で論じられる免疫チェックポイント阻害抗体と同様に、1つ以上のもの、特に抗体を一緒に使用することもできる。
Figure 2023529262000004
相加効果又は相乗効果があるため、本発明の併用療法及び処置方法は、一般に、下記の治療などのIV投与治療とともに使用されるとき、表Aに記載されているものなどの全身性の作用物質の典型的な投与スケジュール以下のレベルでその全身性の作用物質を使用することを許容する。しかしながら、表Aに提供された投与スケジュールは、処置を開始するための有用な指針を提供するものであり、そこから投与量を、所与の患者を担当する医師が適切と判断する量まで漸減することができる。
HX化合物と第2の抗白血病細胞傷害剤とは、一緒に投与される必要もないし、同じ投与手段で投与される必要もないことに注意されたい。したがって、第1の抗白血病細胞傷害剤であるHX化合物を投与するために丸剤又はカプセルの形態を使用することができるのに対して、イマチニブのような小分子又は大分子の第2の抗白血病剤は、IV又は経口によって投与される。当業者は、抗白血病剤を投与する様々な方法を承知している。
RB二ナトリウム水溶液中又は前記の固形剤形に存在するものなど、ハロゲン化キサンテンとの併用処置に有用な第2のタイプの第2の全身性細胞傷害剤は、特別な全身性抗白血病薬とも見なすことができる免疫チェックポイント阻害剤である。免疫チェックポイント阻害剤は、T細胞及び一部の白血病細胞などの免疫系細胞によって産生されるある特定のチェックポイントタンパク質に結合してそれを遮断する薬物である。それらのタンパク質は、遮断されないと免疫応答を阻害して、免疫応答の抑制を助け、T細胞又は他の免疫細胞が白血病細胞を殺滅しないようにする。それらの免疫チェックポイントタンパク質を遮断することにより、免疫系に対する「ブレーキ」が解除されて、免疫細胞が活性化されること及び白血病細胞を殺滅することが可能になる。
有用な免疫チェックポイント阻害剤は、好ましくは、ヒトモノクローナル抗体もしくはヒト化モノクローナル抗体又はそれらの結合部分であり、その投与により、それらのある特定のタンパク質の作用が遮断される。その遮断により、免疫系が白血病細胞を異物として認識すること、及びそれらの白血病細胞を体内から排除するのを助けることが可能になる。
例証的な免疫チェックポイント阻害剤としては、CTLA-4活性を阻止することによって免疫系のダウンレギュレーションに対抗し、ゆえに白血病に対するT細胞応答を増強するようにデザインされた、抗CTLA-4(細胞傷害性Tリンパ球関連抗原4)モノクローナル抗体であるイピリムマブ及びトレメリムマブが挙げられる。同様に、ピジリズマブ(pidilizumab)、ニボルマブ、チスレリズマブ(tislelizumab)、スパルタリズマブ(spartalizumab)、セミプリマブ(cemiplimab)、ペンブロリズマブ、カムレリズマブ(camrelizumab)、シンチリマブ(sintilimab)、トリパリマブ(toripalimab)及びドスタルリマブ(dostarlimab)などのモノクローナル抗体が、PD-1(プログラム死1)レセプターに結合して、免疫系のダウンレギュレーションに対抗し、癌性細胞に対するT細胞応答を増強する。PD-1レセプター(抗PD-1)に対する免疫チェックポイントタンパク質リガンド(抗PD-L1)を標的化する3つのモノクローナル抗体は、アテゾリズマブ、アベルマブ及びデュルバルマブである。PD-1レセプターリガンドであるPD-L1及びPD-L2に対する抗体(例えば、PD-L1に対するBMS-936559及びMEDI4736(デュルバルマブ))を用いた最初の研究も、免疫系のダウンレギュレーションの阻害及び白血病に対するT細胞応答の増強を示している。
上記の免疫チェックポイント阻害抗体は、単独でHX化合物とともに投与されたとき、並びに異なる2タイプの免疫チェックポイント阻害剤をHX化合物とともに使用して投与されたとき、有用であることが見出されている。Patel et al.,AMERICAN SOCIETY of CLINICAL ONCOLOGY(ASCO)2020 VIRTUAL SCIENTIFIC PROGRAM(2020年5月29~31日)のポスターには、抗PD-1抗体の全身投与又は抗PD-1抗体とCTLA-4抗体の両方の全身投与とともに、ローズベンガル二ナトリウムを、肝臓に転移したブドウ膜黒色腫の腫瘍内に注射して使用した研究のデータが提供された。
より最近では、チェックポイント阻害活性を有するいくつかのさらなる抗体群が特定された。それらの作用の類似性から、それらは、本明細書中で免疫チェックポイント阻害剤であるとみなされる。1つの例証的な群は、細胞表面レセプターOX40(CD134)と免疫反応して、メモリーTリンパ球及びエフェクターTリンパ球の増殖を刺激し、それによって、癌性細胞に対するT細胞媒介性免疫応答を刺激する。例示的なそのようなヒト化抗OX40モノクローナル抗体としては、現在、文献においてgsk3174998(IgG1)、ポガリズマブ(pogalizumab)(MOXR0916)、MED10562と称されているもの、及びPF-04518600(PF-8600)と命名されたヒト抗OX40 IgG2抗体が挙げられる。
別の群は、リガンドの細胞外ドメインに結合するがゆえに、T細胞の過剰活性化によって引き起こされる自己免疫を回避することによってTリンパ球を負に制御する、リンパ球活性化遺伝子3タンパク質(抗LAG-3;CD223)と免疫反応する。LAG-3は、インビボにおける重要な免疫チェックポイントであり、ヒトの免疫系においてバランスのとれた調節的役割を果たす[Shan et al.,Oncol Lett 20:207(2020)]。
LAG-3分子は、T細胞活性化のシグナル伝達経路を遮断する。しかしながら、LAG-3分子の細胞内セグメントは、CD4+T細胞の活性を制御すると見出された免疫抑制性シグナルを生成する。LAG-3は、3つのやり方でT細胞の免疫応答を制御する。第1に、LAG-3は、T細胞の負の制御を介して、T細胞の増殖及び活性化を直接阻害する。第2に、LAG-3は、制御性T細胞(Treg)の阻害機能を促進することができ、次いで、そのT細胞応答を間接的に阻害することができる。第3に、LAG-3は、抗原提示細胞(APC)の機能を制御することによって、T細胞の活性化を防ぐことができる[Joller et al.,Curr Top Microbiol Immunol 410:127-156(2017)]。
現在までに、LAG-3に対するモノクローナル抗体で、米国食品医薬品局から販売及び使用が承認されたものは知られていない。MK-4280と称されるMerckのヒト化IgG4モノクローナル抗体を用いた研究、及びレラトリマブ(relatlimab)というINN名を有するBristol Myers Squibbの別のヒト化IgG4モノクローナル抗体を用いた研究が進行中である。
なおもさらなるタイプの免疫チェックポイント阻害剤は、CD47に対するモノクローナル抗体及びマクロファージチェックポイント阻害剤であり、そのマクロファージチェックポイント阻害剤は、マクロファージ上のSIRPαレセプターによるCD47の認識を阻害し、ゆえに、マクロファージに飲み込まれるのを回避するために癌細胞が用いる「私を食べるな」というシグナルを遮断する。このモノクローナルは、INN名がマグロリマブ(magrolimab)であり、骨髄異形成症候群(MDS)を含むいくつかの血液及び固形腫瘍の悪性腫瘍において、Giliad Sciences,Inc.が開発中のものである。マグロリマブは、骨髄異形成症候群(MDS)、急性骨髄性白血病(AML)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)及び濾胞性リンパ腫の処置についてFDAからファスト・トラック指定(Fast Track Designation)を付与されている。マグロリマブは、MDS及びAMLについてFDAから、AMLについて欧州医薬品庁から、希少疾病用医薬品の指定も付与されている。
別のチェックポイントマーカーであるT細胞免疫グロブリン・ムチンドメイン3に対するモノクローナル抗体(抗TIM-3)は、白血病幹細胞の差次的発現、共阻害性T細胞コレセプターとしてのその役割、及びおそらくは抗体依存性細胞食作用(ADCP)の促進における役割に基づいてMDS及びAML治療において使用するために、サバトリマブ(sabatolimab)(以前のMBG-453)というINN名でNovartis Oncology Co.による初期開発の段階にある。TIM-3は、AML白血病前駆細胞上に発現されているが、正常な造血幹細胞上には見られず、その発現は、骨髄異形成症候群の重症度並びにAMLへの進行の可能性と相関している。現在、TIM-3抗体であるMBG-453は、第一線の骨髄異形成症候群及びAMLにおいて複数の治験が行われており、デシタビンと組み合わせて使用したとき、有望な抗白血病活性を示す。
インタクトなモノクローナル抗体、並びにそれらのパラトープ含有部分(結合部位含有部分)(例えば、Fab、Fab’、F(ab’)2及びFv領域)、並びに一本鎖ペプチド結合配列が、免疫チェックポイントタンパク質阻害剤として有用であり得る。これらの抗体の多くが、IV経路を介して投与される。インタクトなチェックポイント阻害性モノクローナル抗体は、ヒトの体内において約1~3週間の半減期を有し[例えば、Yervoy(登録商標)(イピリムマブ)ターミナルt1/2=15.4日;添付文書12/2013;Keytruda(登録商標)(ペンブロリズマブ)ターミナルt1/2=23日;添付文書03/2017]、一本鎖オリゴ又はポリペプチドは、インビボにおいてそれより短い半減期を有する傾向がある。
小分子である第2の抗白血病細胞傷害剤及びハロゲン化キサンテン化合物含有薬剤は、半減期が比較的短いので、両方の薬剤を単一の組成物又は別々の組成物として投与することができる。別々に投与する場合、両方のタイプの抗癌剤(抗白血病剤)を互いの数分以内から約3時間以内に投与することが好ましい。より好ましくは、両方を、他方の1時間未満のうちに投与する。
単語「投与」は、処置レジメンの開始を意味するために本明細書中で使用される。したがって、IV流を開始する時点のように、錠剤又は他の経口剤形を嚥下することが、処置レジメンの開始である。第1の抗白血病細胞傷害剤と第2の抗白血病細胞傷害剤の両方が、同じ単一の組成物に共に存在するとき、その単位組成物が被験体の体内に入った時点で投与が開始する。
第2の抗白血病全身性細胞傷害剤が、モノクローナル抗体などの免疫チェックポイント阻害剤である場合、ハロゲン化キサンテン化合物と第2の抗白血病細胞傷害剤である免疫チェックポイント阻害剤とは、一緒に投与してもよいし、一方を他方の前に投与してもよく、第2の抗白血病細胞傷害剤である免疫チェックポイント阻害剤は、ハロゲン化キサンテンの約1ヶ月前までに投与される。好ましくは、それら2つの抗白血病細胞傷害剤は、一緒に投与されるか、又はハロゲン化キサンテンの後、数日以内に第2の抗白血病全身性細胞傷害剤である免疫チェックポイント阻害剤が投与される。また、第2の抗白血病全身性細胞傷害剤である免疫チェックポイント阻害剤は、ハロゲン化キサンテンの約1ヶ月後にも投与され得る。
研究
マウス:
Charles Riverからの雌C17 SCIDマウス
異種移植において使用した細胞株:
まず、急性Bリンパ芽球性白血病を有する5歳女性からSEM細胞株を樹立した。その細胞株は、MLL-AFFF1遺伝子融合を有し、CDKN2A及びTP53についてヘテロ接合性であった。抗癌薬感受性研究におけるこの細胞株の有用性は、報告されている(Barretina et al.Nature 483:603-607,2012)。
指数関数的に増殖中の2.5×10個のSEM細胞[緑色蛍光タンパク質(GFP)で標識されたもの]を各動物の静脈内に注射し、腫瘍の確立をモニターした。4週間、腫瘍を成長させた後、マウスを無作為に3つの群に分けた。
群1(n=9)。コントロール
これらの動物には、2週間にわたって1週間に2回、100μLのPBSを経口投与した。
群2(n=8)。処置コホートI
これらの動物には、最終体積が100μLとなるようにPBSに希釈された25μLのPV-10(登録商標)(0.9パーセント食塩水溶液中の10%ローズベンガル二ナトリウムw/v)を、2週間にわたって1週間に2回、胃管栄養法によって経口投与した。
群3(n=8)。処置コホートII
これらの動物には、最終体積が100μLとなるようにPBSに希釈された12.5μLのPV-10(登録商標)(上で論じられたとおり)を2週間にわたって1週間に2回、胃管栄養法によって経口投与した。
疾患進行のエビデンスをすべての動物においてモニターし、処置開始の120日後まで生存を追跡した。データをカプラン・マイヤー推定値として図1に示す。
図1のグラフから分かるように、HX化合物の経口送達は、処置されたマウスの用量依存的生存率によって明確に証明される。
親出願である第16/688,319に開示されている結果は、原発性又は再発性の小児白血病を有する患者由来の、PV-10(登録商標)で処置された11個の商業的に入手可能な白血病細胞株、及び細胞培養中の2つの原発性白血病サンプルを、PV-10(登録商標)の用量を増加させて投与することによって殺滅することができたことを示した。細胞生存率は、処置の96時間後にアラマーブルーアッセイによって計測された。
PV-10(登録商標)を投与することにより、白血病細胞の生存率が、調べた11個の小児白血病細胞株(平均IC5092.8μM)及び3つの原発性白血病サンプル(平均IC50122.5μM)において濃度依存的様式及び時間依存的様式で低下した。この結果から、PV-10は、92.8μMという平均IC50値で白血病細胞株に対して細胞傷害性であり(下記の表1)、122.5μMという平均IC50値で2つの原発性白血病サンプルに対して細胞傷害性である(下記の表2)ことが示された。
Figure 2023529262000005
Figure 2023529262000006
類似の結果が、白血病細胞株CCRF-CEM、HL-60(TB)、K-562、MOLT-4、RPMI-8226及びSRを用いて別々に得られた。
これらの研究において使用されたRB二ナトリウムの濃度(IC50値に基づきおよそ10-4~約10-5モル濃度であった)で白血病細胞を完全に殺滅できたことは驚くべきことである。それでも、必要なHX化合物の濃度は、先に述べたように、本研究において経口投与によって達成されると考えられている濃度より高かった。したがって、図1のデータが示すように、未処置の白血病マウス及びより少ない量のHX化合物で処置された白血病マウスはかなり低い生存率を示したのに対して、HX化合物で処置された白血病マウスの62.5%が120日間生存したことは、さらにより驚くべきことであった。
本明細書に引用された特許、特許出願及び論文は、各々、参照により援用される。冠詞「a」及び「an」は、その冠詞の1つの又は1つより多い(すなわち、少なくとも1つの)文法上の対象物のことを指すために本明細書中で使用される。本明細書に引用された特許、特許出願及び論文は、各々、参照により援用される。
前述の説明及び例は、例証と意図されたものであって、限定と解釈されるべきではない。本発明の趣旨及び範囲内でさらに他の変形が可能であり、当業者はそれらを容易に思いつくだろう。

Claims (30)

  1. 白血病細胞を有する哺乳動物被験体を処置する方法であって、治療有効量のハロゲン化キサンテン、その薬学的に許容され得る塩、ラクトン又はC-Cアルキルエステルもしくは芳香族エステル(HX化合物)を、薬学的に許容され得る固体組成物又は液体組成物に溶解又は分散された第1の白血病用細胞傷害剤として、白血病細胞を有する前記哺乳動物被験体に経口投与する工程を含む、方法。
  2. 前記経口投与が、繰り返される、請求項1に記載の方法。
  3. 前記組成物が、固体である、請求項1に記載の方法。
  4. 前記HX化合物が、固体希釈媒体中に溶解されているか、又は固体希釈媒体中もしくは固体希釈媒体上に分散されている、請求項3に記載の方法。
  5. 前記固体組成物が、錠剤、ロゼンジ又は複数の概して球状の糖小球の形態である、請求項3に記載の方法。
  6. 前記固体組成物が、1層又は複数層の前記HX化合物でコーティングされた概して球状の糖小球を含む、請求項5に記載の方法。
  7. 前記固体組成物が、水性媒体中での前記組成物の溶解速度及び/又は崩壊速度を低下させるバリアフィルムでコーティングされている、請求項3に記載の方法。
  8. 前記バリアフィルムコーティングが、5又はそれを超える生理学的pH値において溶解及び/又は崩壊する腸溶コーティングである、請求項7に記載の方法。
  9. 前記第1の癌細胞傷害剤ハロゲン化キサンテン化合物が、ローズベンガル、その薬学的に許容され得る塩、ラクトン又はC-Cアルキルエステルもしくは芳香族エステルである、請求項1に記載の方法。
  10. 前記HX化合物が、ローズベンガル、その薬学的に許容され得る塩、ラクトン又はC-Cアルキルエステルもしくは芳香族エステルである、請求項1に記載の方法。
  11. 前記組成物が、水性液体である、請求項1に記載の方法。
  12. 前記水性液体組成物が、正常なヒトの浸透圧未満の浸透圧として存在する、請求項11に記載の方法。
  13. 前記投与工程が、薬学的に許容され得る媒体に溶解又は分散された、第2の治療有効量の、第2の異なって作用する白血病用全身性細胞傷害剤を前記哺乳動物被験体に投与することとともに行われ、前記白血病用全身性細胞傷害剤は、小分子、炎症性ケモカイン活性を阻害するタンパク質性分子、電離放射線療法、及びインタクトなチェックポイント阻害抗体又はそのパラトープ含有部分である、請求項1に記載の方法。
  14. 前記第2の白血病用細胞傷害剤が、薬学的に許容され得る固体媒体に溶解又は分散されている、請求項13に記載の方法。
  15. 前記第2の白血病用細胞傷害剤を含む前記薬学的に許容され得る固体媒体が、経口的に投与される、請求項14に記載の方法。
  16. 第2の白血病用細胞傷害剤が、電離放射線である、請求項13に記載の方法。
  17. 前記小分子が、前記第1の白血病用細胞傷害剤と相乗作用を示す、請求項13に記載の方法。
  18. 前記第2の白血病用細胞傷害剤が、薬学的に許容され得る水性媒体に溶解又は分散されている、請求項13に記載の方法。
  19. 前記第2の白血病用細胞傷害剤を含む前記薬学的に許容され得る水性媒体が、静脈内に投与される、請求項18に記載の方法。
  20. 第2の白血病用細胞傷害剤が、約150~約1000Daの分子量を有する小分子である、請求項13に記載の方法。
  21. 前記小分子が、ビンブラスチン、ビンクリスチン、イマチニブ、モノメチルオーリスタチン、エトポシド、ダウノルビシン、ドキソルビシン、クラドリビン、フルダラビン、ミトキサントロン、6-チオグアニン、メトトレキサート、6-メルカプトプリン、アザシチジン、アンナマイシン、ソラフェニブ、クロファラビン、シスプラチン、イリノテカン及びシタラビンからなる群のうちの1つ以上から選択される、請求項20に記載の方法。
  22. 前記第2の白血病用細胞傷害剤が、インタクトなモノクローナル抗体又はそのパラトープ含有部分を含む、請求項19に記載の方法。
  23. 前記インタクトなモノクローナル抗体又はそのパラトープ含有部分が、免疫チェックポイント阻害剤である、請求項22に記載の方法。
  24. 前記免疫チェックポイント阻害剤が、抗CTLA-4、抗PD-1、抗PD-L1、抗PD-L2、抗OX40、抗LAG-3、抗CD47及び抗TIM-3からなる群のうちの1つ以上から選択される1つ以上のタンパク質性材料に結合する、請求項23に記載の方法。
  25. 前記インタクトなモノクローナル抗体が、アダリムマブ、ブロダルマブ、セルトリズマブペゴール、エタネルセプト、ゴリムマブ、グセルクマブ、インフリキシマブ、イキセキズマブ、サリルマブ、セクキヌマブ及びウステキヌマブからなる群より選択される、炎症性ケモカイン活性を阻害するタンパク質性分子である、請求項22に記載の方法。
  26. 前記抗体又はそのパラトープ含有部分が、前記HX化合物の投与後に投与される、請求項19に記載の方法。
  27. 前記抗体又はそのパラトープ含有部分が、前記HX化合物の投与前に投与される、請求項19に記載の方法。
  28. 前記抗体又はそのパラトープ含有部分が、前記HX化合物の投与と同時に投与される、請求項19に記載の方法。
  29. 前記第1のHX化合物と前記第2の白血病用細胞傷害剤とが、互いの約3時間以内に同時に投与される、請求項19に記載の方法。
  30. 前記HX化合物が、ローズベンガル、その薬学的に許容され得る塩、ラクトン又はC-Cアルキルエステルもしくは芳香族エステルである、請求項13に記載の方法。
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