JP2023526948A - 高温洗浄によるmcpd形成の防止 - Google Patents

高温洗浄によるmcpd形成の防止 Download PDF

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Abstract

トリアシルグリセリド油中のモノクロロプロパンジオール(MCPD)又はモノクロロプロパンジオールエステル(MCPDE)の形成を防止又は低減するための方法であって、(a)トリアシルグリセリド油を液体と混和して混和物を形成する工程であって、上記液体が、水、酸溶液、塩基溶液、リン脂質溶液、及び界面活性剤溶液のうちの1種以上から選択される、工程と、(c)1.混和物を均質化しながら加熱すること、及び2.混和物を加熱すること、のうちの1つ以上を実施する工程と、(d)混和物を100℃未満に冷却する工程と、(f)不溶性水相及び結晶化した成分を混和物から分離し、及び/又は脱ガム、物理的精製、化学的精製、中和、エステル交換、脱色、脱ろう、及び分画から選択される1つ以上のプロセスを混和物に適用する工程と、(g)混和物に熱処理を適用する工程と、を含む、方法が提供される。【選択図】 なし

Description

発明の詳細な説明
[技術分野]
本発明は、油の浄化に関する。特に、本発明は、精製油からモノクロロプロパンジオールエステル(MCPDE)を低減又は完全に除去するために改良された、トリアシルグリセリド油の洗浄浄化に関する。
[背景技術]
3-ハロゲン-1,2-プロパンジオール、特に3-モノクロロ-1,2-プロパンジオール(3-MCPD)は、食品中の既知の不純物である(Food Addit.Contam.(2006)23:1290-1298)。例えば、複数の研究が、3-MCPDは高用量で投与された場合にラットにとって発がん性であり得ることを示している(Evaluation of Certain Food Additives and Contaminants,World Health Organisation,Geneva,Switzerland(1993)267-285;lnt.J.Toxicol.(1998)17:47)。
3-MCPDは、当初、酸加水分解された植物性タンパク質で発見された(acid-HVP;Z.Lebensm.-Unters.Forsch.(1978)167:241-244)。より最近では、精製食用油は、3-MCPDを脂肪酸エステル形態で含有し得るが、遊離3-MCPDは非常に少量であることが判明した(Food Addit.Contam.(2006)23:1290-1298)。欧州食品安全機関(EFSA)は、毒性の観点から、3-MCPDエステルを遊離3-MCPDと同等に扱うことを推奨している(欧州食品安全機関(2008))。
アシルグリセリドの塩素化は、非常に高温で、例えば、油が真空(3~7mbar)下で最大260~270℃まで加熱され得る油精製プロセスの最終工程中、すなわち脱臭中に、起こり得ることが報告されている。これは、MCPDの脂肪酸エステルの形成をもたらし得る。
MCPDエステルの効率的な低減の手段は限定的であり、植物油精製産業に課題が提起されている。現在、EFSAの勧告への完全準拠を確実なものとするために、精製油中の3-MCPDの存在が慎重にモニターされ、3-MCPD含有量が所定の閾値を上回る油は廃棄されている。
3-MCPDは、商業に重要な多くの精製油中、例えば、植物油中で生じ得るため、油精製中に生じるそのような不純物を除去及び/又は回避する改良された方法が、特に必要とされている。
[発明の概要]
本発明者らは、油の精製プロセス中のMCPD及びMCPDエステル(モノエステル及びジエステルを含むMCPDE)の形成を、実質的に低減又は防止できる方法を開発した。
この方法の原理は、水の標準的な1バールでの沸点(100℃)を上回る加熱条件下での水洗浄化プロセスを用いることで油と水の共可溶化を増大させ、それによって、洗浄有効性を改良し、粗油又は漂白用粘土のいずれかから生じる塩素から油を浄化し得るというものである。このように、本方法は、加熱条件下で塩素の拡散が加速されることを利用して、水洗浄の有効性を改良する。
結果として、塩素源として機能する可能性のある不溶性及び水溶性の塩素又は塩化物含有物質は油の水性画分中に濃縮され、したがって、精製される油から分離することができる。分離は、遠心分離、沈降、濾過、又は従来の脱ガム又は他の精製プロセスなどの機械的処理によって起こり得る。本発明の方法は、パーム油、パームステアリン、パームオレイン、及びそれらの様々な画分、パーム核油、ココナッツ油、ヒマワリ油、高オレインヒマワリ油、及びそれらの変種、キャノーラ/菜種油、トウモロコシ油、大豆油、魚油、藻類油、酵母から得られる油、真菌から得られる油、カカオバター、及びこれらの任意の混合物又はブレンドが挙げられるが、これらに限定されない、粗油又は部分的に精製された(例えば、遠心分離、脱ガム、又は脱色された)トリアシルグリセロール(トリアシルグリセリドとも呼ばれる)油に適用することができる。
機械的処理は、任意の他の浄化工程、精製工程、又は脱臭工程の前、間、又はその後のいずれかにおける、遠心分離及び/又は沈降を含み得る。
脱ガム工程は、水脱ガム、酸脱ガム、乾式脱ガム、塩基脱ガム、化学精製、又はこれらの組み合わせを含み得る。
塩素の潜在的な供給源は、除去されると、油精製の加熱工程中のMCPD、MCPDモノエステル、及びMCPDジエステルなどの塩素化化合物の形成にはもはや利用不能になる。それにより、塩素担持物質が少ない生成油が得られ、浄化油は、MCPD及びMCPDEが低減された又は含まれない精製油を生成することを目的として、熱処理及び脱臭などの様々な精製手順に供され得る。
本発明の方法の更なる効果は、油の脱臭においてより低い温度を使用することを可能にすることであり、それは、
1)トランス脂肪酸形成を低減すること(高温でのトランス脂肪酸(trans fat)形成は、Baley’s industrial oil and fat products;Sixth Edition;Volume 5 Edible Oil and Fat Products:Processing Technologies;Chapter 8 Deodorization;section 3.Refined oil quality,subsection 3.2Fat isomerization and degradation productsにて報告されている)、及び
2)グリシジルエステルの形成を低減すること(”Glycidyl fatty acid esters in refined edible oils:a review on formation,occurrence,analysis,and elimination methods”Comprehensive Reviews in Food Science and FoodSafety;vol.16,263-281;2017のGEの排除方法の概要を参照されたい)の両方をもたらす。
したがって、一態様では、本発明は、トリアシルグリセリド油中のモノクロロプロパンジオール(MCPD)又はモノクロロプロパンジオールエステル(MCPDE)の形成を防止又は低減するための方法であって、
(a)原料トリアシルグリセリド油を液体と混和して混和物を形成する工程であって、当該液体が、水、酸溶液、塩基溶液、リン脂質溶液、及び界面活性剤溶液のうちの1種以上から選択される、工程と、
(b)任意選択的に、上記混和物を均質化する工程と、
(c)
1.混和物を均質化しながら加熱すること、及び
2.上記混和物を加熱すること、
のうちの1つ以上を実施する工程と、
(d)混和物を100℃未満に冷却する工程と、
(e)任意選択的に、
1.混和物に遠心力を加えることによって、及び/又は
2.混和物中の不溶性成分及び結晶化した成分を重力によって沈降させることによって、
不溶性成分及び結晶化した成分を混和物から濃縮する工程と、
(f)不溶性水相及び結晶化した成分を混和物から分離し、及び/又は脱ガム、物理的精製、化学的精製、中和、エステル交換、脱色、脱ろう、及び分画から選択される1つ以上のプロセスを混和物に適用する工程と、
(g)混和物に熱処理を適用する工程と、
を含む、方法を提供する。
いくつかの実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、植物油、動物油、魚油、酵母油、真菌又は藻類油、好ましくは植物油である。原料トリアシルグリセリド油は、本方法の工程(a)で液体と混和される前のトリアシルグリセリド油を指す。
一実施形態では、工程(a)の液体は水である。
「混和物」という用語は、原料トリアシルグリセリド油及びその後、均質化、加熱、冷却、浄化、結晶化、遠心分離、沈降、脱色、他の成分との混合、精製などの任意の技術的工程によって得られた油に、工程(a)の液体を添加した後に得られる混合物を指す。
いくつかの実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、パーム油又はパーム油から得られた画分である。
いくつかの実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、魚油又は魚油から得られた画分である。
いくつかの実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、粗油である。
いくつかの実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、遠心分離、沈降、濾過、洗浄、脱ろう、分画、脱ガム、脱色、若しくは脱臭のいずれか、又はこれらの任意の組み合わせによる浄化を受けた、部分的に精製された油又は油混合物である。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、酸を使用せずに水脱ガムされている。酸としては、リン酸、クエン酸、硫酸、ギ酸、又は酢酸が挙げられる。
いくつかの実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、粗油と部分的に精製された油との混合物である。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、脱色されたものである。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、漂白土と接触させたものである。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、漂白土と混合したものである。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、少なくとも0.01%(w/w)、好ましくは少なくとも0.1%(w/w)、より好ましくは少なくとも0.5%(w/w)の漂白土で脱色されたものである。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、少なくとも0.01%(w/w)、好ましくは少なくとも0.1%(w/w)、より好ましくは少なくとも0.5%(w/w)の漂白土と接触させたものである。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、少なくとも0.01%(w/w)、好ましくは少なくとも0.1%(w/w)、より好ましくは少なくとも0.5%(w/w)の漂白土と混合したものである。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は漂白土と混合されており、漂白土は油から除去されたものである。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は漂白土と混合されており、漂白土は油から除去されたものではない。その場合、トリアシルグリセリド油と漂白土との混合物は、更なる浄化工程に供される。
一実施形態では、工程(c)は、100℃又は120℃又は140℃又は160℃又は180℃又は200℃を超える温度まで加熱することを含む。
一実施形態では、工程(c)は、1バール又は3バール又は5バールより高い圧力下、閉鎖容器内で加熱することを含む。
一実施形態では、工程(a)の混和は、原料トリアシルグリセリド油を、原料トリアシルグリセリド油の融解温度よりも高い温度でインキュベートすること、及び/又は混和物を均質化することを含む。
一実施形態では、工程(a)の混和物温度は、原料トリアシルグリセリド油の融点を少なくとも10℃超える温度に調整される。
一実施形態では、工程(a)の混和物温度は、原料トリアシルグリセリド油の融点を少なくとも20℃超える温度に調整される。
一実施形態では、工程(a)の混和物温度は、原料トリアシルグリセリド油の融点を少なくとも30℃超える温度に調整される。
一実施形態では、工程(d)の混和物温度は、原料トリアシルグリセリド油の融点を少なくとも10℃超える温度に調整される。
一実施形態では、工程(d)の混和物温度は、原料トリアシルグリセリド油の融点を少なくとも20℃超える温度に調整される。
一実施形態では、工程(d)の混和物温度は、原料トリアシルグリセリド油の融点を少なくとも30℃超える温度に調整される。
いくつかの実施形態では、工程(f)の水相は、デカンテーション、遠心分離、沈降、ポンピング、及び排液のうちの1つ以上によってトリアシルグリセリド油混和物から分離される。
いくつかの実施形態では、不溶性成分は、例えば、微粒子、分離された液滴、エマルジョン、懸濁液、及び沈殿物を含む。
別の実施形態では、熱処理は、脱臭(例えば、蒸気蒸留又は短行程蒸留による)によって実施される。
別の実施形態では、工程(c)の熱処理は、閉鎖容器内で実施される。
一実施形態では、本発明は、モノクロロプロパンジオール(MCPD)の形成を防止又は低減するための方法を提供する。
一実施形態では、本発明は、モノクロロプロパンジオールエステル(MCPDE)の形成を防止又は低減するための方法を提供する。
一実施形態では、工程(a)が実施され、次いで工程(c1)が実施される。
一実施形態では、工程(a)が実施され、次いで工程(c2)が実施される。
一実施形態では、工程(a)が実施され、次いで工程(c1)及び工程(c2)が実施される。
一実施形態では、工程(a)が実施され、次いで工程(c2)及び工程(c1)が実施される。
一実施形態では、工程(b)が実施され、次いで工程(c1)が実施される。
一実施形態では、工程(b)が実施され、次いで工程(c2)が実施される。
一実施形態では、工程(b)が実施され、次いで工程(c1)及び工程(c2)が実施される。
一実施形態では、工程(b)が実施され、次いで工程(c2)及び工程(c1)が実施される。
一実施形態では、工程(c)において熱処理を適用することは、120~220℃の範囲、より好ましくは140~200℃又は160~180℃の範囲の温度に油を曝露することを含む。好ましくは、熱処理は、少なくとも2分間、より好ましくは少なくとも20分間適用される。
一実施形態では、工程(c)において熱処理を適用することは、140~200℃の範囲内の温度に油を曝露することを含む。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、パーム油である。一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、パーム油であり、工程(c)における熱処理工程は、140~220℃の範囲の温度に油を曝露することを含む。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、魚油である。一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は魚油であり、工程(c)における熱処理工程は、140~220℃の範囲の温度に油を曝露することを含む。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油はヒマワリ油であり、工程(c)における熱処理工程は、140~220℃の範囲の温度に油を曝露することを含む。
一実施形態では、モノクロロプロパンジオール(MCPD)又はモノクロロプロパンジオールエステル(MCPDE)の量は、熱処理工程(g)の後に測定される。
一実施形態では、モノクロロプロパンジオール(MCPD)又はモノクロロプロパンジオールエステル(MCPDE)の量は、熱処理工程(g)の後に測定され、モノクロロプロパンジオール(MCPD)又はモノクロロプロパンジオールエステル(MCPDE)の量は、浄化していないが熱処理をした油と比較して、少なくとも30%低減される。
一実施形態では、工程(g)の熱処理された油中のMCPDEの量は、直接LC-MSによって測定される場合、少なくとも2分の1に低減される。
一実施形態では、工程(a)の原料トリアシルグリセリド油は、粗トリアシルグリセリド油である。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、工程(a)の前に脱ガムされていない。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、工程(a)の前に脱ガムされている。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、工程(a)の前に脱色されていない。一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、工程(a)の前に分画されていない。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、工程(a)の前に脱ガムされている。一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、工程(a)の前に脱色されている。一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、工程(a)の前に分画されている。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、工程(a)の前に中和されている。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、工程(a)の前に中和されていない。
好ましい実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、工程(a)の前に脱臭されていない。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、工程(a)の前に予備洗浄に供される。一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、工程(a)の前に予備精製に供される。一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、工程(a)の前に水素化に供される。一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、工程(a)の前にエステル交換に供される。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、植物油、動物油、魚油又は藻類油である。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、粗パーム油であり、工程(a)から開始する方法が適用される。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、分画された粗パーム油であり、工程(a)から開始する方法が適用される。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、粗パーム核油であり、工程(a)から開始する方法が適用される。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、分画された粗パーム核油であり、工程(a)から開始する方法が適用される。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、粗ココナッツ油であり、工程(a)から開始する方法が適用される。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、分画された粗ココナッツ油であり、工程(a)から開始する方法が適用される。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、藻類、又は酵母、又は真菌から得られる油であり、工程(a)から開始する方法が適用される。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、粗魚油である。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、粗藻類油である。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、粗真菌油である。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、粗酵母油である。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、粗種子油であり、工程(a)から開始する方法が適用される。例えば、粗種子油は、ヒマワリ油、キャノーラ/菜種油、トウモロコシ油であり得る。
好ましい実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、植物油であり、好ましくは、植物油は、パーム油、ヒマワリ油、トウモロコシ油、キャノーラ油、大豆油、トウモロコシ油、ココナッツ油、パーム核油、及びカカオバターからなる群から選択される。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、0.5~25%(w/w%)の遊離脂肪酸含有量、又は1~12%(w/w%)の遊離脂肪酸含有量、又は3~7%(w/w%)の遊離脂肪酸含有量を有する。
別の実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、少なくとも0.5%(w/w%)、好ましくは1%(w/w%)、より好ましくは3%(w/w%)の遊離脂肪酸含有量を有する。別の実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、25%(w/w%)未満、好ましくは15%(w/w%)未満、より好ましくは10%(w/w%)未満の遊離脂肪酸含有量を有する。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、水酸化ナトリウム若しくは水酸化カリウムなどの任意のアルカリと、又は水酸化ナトリウム若しくは水酸化カリウムを含む任意の生成物(例えば苛性ソーダ、苛性カリ)と、混和されていない。別の実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、任意の水酸化アンモニウム又は任意のアンモニウム塩と混和されていない。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、塩、例えばナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩と混和されていない。ナトリウム塩の例としては、塩化ナトリウム、次亜塩素酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、ギ酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、リン酸ナトリウムが挙げられる。
別の実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、1000ppm未満のセッケン含有量を有する。別の実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、20ppm未満のセッケン含有量を有する。別の実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、セッケンを含まない。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、酸性化されていない、又は酸脱ガムに供されていない。
別の実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、195Da未満の酸と混和されていない。好ましい実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、195Da未満の無水形態を有する酸と混和されていない。
別の実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、195Da未満の酸を、0.01%を超える量で含まない。別の実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、195Da未満の無水形態を有する酸を、0.01%を超える量で含まない。
別の実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、logP<1を有する酸を、0.01%を超える量で含まない。別の実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、酸性度pKa1<5を有する酸を、0.01%を超える量で含まない。
別の実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、リン酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ホウ酸、次亜塩素酸(hypochloric acid)、及び塩酸のいずれか1つを実質的に含まない。本明細書で使用する場合、水酸化ナトリウムは、苛性ソーダ又はアルカリを意味し得、水酸化カリウムは、アルカリカリを意味し得る。
別の実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、リン酸、クエン酸、塩化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、リン酸塩、ポリリン酸塩、酢酸、無水酢酸、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸ナトリウム、ホウ酸、次亜塩素酸、塩酸、及びタンニン酸のうちのいずれか1つを実質的に含まない。
別の実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、任意の添加されたイオン性、カチオン性、及びアニオン性の界面活性剤を実質的に含まない。別の実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、ソルビタンエステル又はポリグリセロールエステルなどの任意の乳化剤を実質的に含まない。
別の実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、Bailey’s Industrial Oil and Fat Products-6th edition,page2236 in Chapter Emulsifiers for the food industry-Table4,page262]に列挙される任意の添加剤、例えばスクロース、グリコール、プロピレングリコール、及び/又はラクチレートを実質的に含まない。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、水脱ガム又は湿式脱ガムに供されていない。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、1%未満、又は0.3%未満、又は0.1%未満の含水率を有する。
別の実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、0.1%超、又は0.5%超、又は1%超、又は3%超の水と混和される。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、中和された魚油である。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、中和された藻類油である。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、中和された真菌油である。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、中和された酵母油である。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、0.01%未満の漂白用粘土含有量を有する。別の実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、漂白用粘土と混和されていない。別の実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、漂白用粘土を含まない。
別の実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、添加された結晶化剤、例えば溶媒を含まない。そのような溶媒としては、ヘキサン、アセトン並びに[The Lipid Handbook-Third Edition;edited by Frank D.Gunstone;Chapter4.4.2.]及び[Bailey’s Industrial Oil and Fat Products-6th edition,Chapter 12]に記載される洗浄剤又は[Omar et al Journal of Oil Palm Research Vol.27(2)June 2015 p.97-106]に記載されるソルビタンエステル若しくはポリグリセロール脂肪酸エステルが挙げられ得る。原料トリアシルグリセリド油は、粗パーム油であり得る。
別の実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、添加された物質、例えば脱ガム剤、中和剤、添加剤、溶媒、塩、シーディング剤、酸、塩基、又は緩衝剤を含まない。
別の実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、粗パーム油であり、添加された物質、例えば脱ガム剤、中和剤、添加剤、溶媒、塩、シーディング剤、酸、塩基、又は緩衝液を含まない。
一実施形態では、工程(a)で使用される水は、リン酸、クエン酸、塩化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、リン酸塩、ポリリン酸塩、酢酸、無水酢酸、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸ナトリウム、ホウ酸、次亜塩素酸、塩酸、及びタンニン酸のうちのいずれか1つが添加されている。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、遠心分離によって不溶性材料から予備浄化される。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、10%(w/w%)未満の結晶化トリアシルグリセロール含有量を有する。別の実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、5%(w/w%)未満の結晶化トリアシルグリセロール含有量を有する。一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、2%(w/w%)未満の結晶化トリアシルグリセロール含有量を有する。一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、0.5%(w/w%)未満の結晶化トリアシルグリセロール含有量を有する。
本明細書で使用する場合、結晶化トリアシルグリセロールは、固体トリアシルグリセロール又は脂肪の固形部分を指す。油脂の固形脂肪含有量は、パルス核磁気共鳴によって特定することができる[Bailey’s Industrial Oil and Fat Products-6th edition,page175 Chapter5.2.1.]。
別の実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、20℃、15℃、又は10℃未満に冷却されていない。
別の態様では、本発明の方法によって得ることができる浄化トリアシルグリセリド油が提供される。
一実施形態では、工程(g)の熱処理された浄化油中のモノクロロプロパンジオールエステル(MCPDE)の量は、浄化していないが熱処理された油と比較して少なくとも30%低い。
一実施形態では、工程(g)の熱処理された浄化油中のモノクロロプロパンジオールエステル(MCPDE)の量は、浄化していないが熱処理された油と比較して少なくとも50%低い。
食品製品の製造に使用するための、本発明による浄化トリアシルグリセリド油も提供される。
本発明による浄化トリアシルグリセリド油を使用することによって製造される食品製品も提供される。
実施例1、実施例3、及び実施例4の重要な工程を、概略図として要約した図である。 パーム油の2工程高温洗浄の効果である。MCPDジエステルの濃度低減が、LC-MSデータによって実証されている。 パーム油の2工程高温洗浄の効果である。全体的な3-MCPDの濃度低減が、GC-MSデータ(AOCS法)によって実証されている。 実施例2の重要な工程を、概略図として要約した図である。 既に脱色されたパーム油の高温洗浄の効果である。MCPDジエステルの濃度低減が、LC-MSデータによって実証されている。 既に脱色されたパーム油の高温洗浄の効果である。全体的な3-MCPDの濃度低減が、GC-MSデータ(AOCS法)によって実証されている。 SGSの実験室でのAOCS公式Cd29b-13法による試料分析の結果であり、脱色プロセスを全く行わずに高温水洗浄を適用することは、乾燥油中の3-MCPD低減をもたらすことが確認される。 SGSの実験室でのAOCS公式Cd29b-13法による試料分析の結果であり、高温水洗浄を脱色プロセスと組み合わせて適用することは、3-MCPD低減をもたらすことが確認される。
[発明を実施するための形態]
本明細書で使用する場合、用語「含む(comprising)」、「含む(comprises)」、及び「を含む(comprised of)」は、「含む(including)」又は「含む(includes)」と同義であり、他を包含し得るもの又は非限定的なものであり、追加の、列挙されていない部材、要素、又は工程を除外しない。「含む(comprising)」、「含む(comprises)」、及び「含む(comprised of)」という用語はまた、「含む(consisting of)」、「含む(containing)」、又は「含む(contains)」という用語を含む。
浄化
浄化は、原料トリアシルグリセリド油から、塩素/塩化物担持汚染物質(モノクロロプロパンジオール(MCPD)又はモノクロロプロパンジオールエステル(MCPDE)の形成に必要な塩素源として機能し得る物質)を含有する可能性がある油の不溶性画分を除去するのに特に好適である。本明細書全体を通して使用される原料トリアシルグリセリド油は、本発明の方法の工程(a)に供される直前のトリアシルグリセリド油を意味すると解釈される)。
本発明の方法は、原料トリアシルグリセリド油を、油精製中の塩素の積極的な発生源となり得る塩化物/塩素担持物質を含有する油の水溶性析出画分を、原料油(例えば、粗油)から物理的に除去する処理に供する。当該処理は、水の標準的な1バールでの沸点(100℃)を上回る加熱条件下で、油と水の共可溶化を増大させて、それによって、洗浄有効性を改良し、粗油又は漂白用粘土のいずれかから生じる塩素から油を浄化することを利用する、改良された浄化プロセスをベースとする。このように、本方法は、加熱条件下で塩素の拡散が加速されることを利用して、水洗浄の有効性を改良する。このプロセスの温度は、MCPDエステルの形成が開始する閾値未満でなければならないことが重要であることに留意されたい。この後者は、加熱時間、油の種類及び塩素含有量に応じた閾値である。一般的な出発点として、165℃で60分の処理は、MCPDエステルの形成が、本明細書に適用されるLC-MS法によってまだ検出不可能な条件であることが証明された。
その結果、塩素源として機能し得る不溶性、沈殿性、結晶性、及び水溶性の塩素又は塩化物含有物質は、油の水性画分及び結晶化した画分中に濃縮され、したがって精製される油から分離することができる。分離は、遠心分離、沈降、濾過、又は従来の脱ガム又は他の精製プロセスなどの機械的処理によって起こり得る。本発明の方法は、パーム油、パームステアリン、パームオレイン、及びそれらの様々な画分、パーム核油、ココナッツ油、ヒマワリ油、トウモロコシ油、高オレインヒマワリ油、及びそれらの変種、キャノーラ/菜種油、大豆油、魚油、藻類油、酵母から得られる油、真菌から得られる油、カカオバター、及びこれらの任意の混合物又はブレンドが挙げられるが、これらに限定されない、粗油の又は部分的に精製されたトリアシルグリセロール(トリアシルグリセリドとも呼ばれる)油に適用することができる。
トリアシルグリセリド油混和物からの不溶性水相及び結晶化した成分の分離は、濾過及び/又はデカンテーション及び/又は遠心分離及び/又は沈降及び/又はポンピング及び/又は排液を介して起こり得る。
3-ハロゲン-1,2-プロパンジオール、特に3-モノクロロ-1,2-プロパンジオール(3-MCPD)は、食品中の既知の不純物である(Food Addit.Contam.(2006)23:1290-1298)。例えば、複数の研究が、3-MCPDは高用量で投与された場合にラットにとって発がん性であり得ることを示している(Evaluation of Certain Food Additives and Contaminants,World Health Organisation,Geneva,Switzerland(1993)267-285;lnt.J.Toxicol.(1998)17:47)。しかしながら、精製された食用油は、3-MCPDをその脂肪酸エステル形態で含有し得る一方で、非常に少量の遊離3-MCPDのみを含有し得ることも発見された(Food Addit.Contam.(2006)23:1290-1298)。欧州食品安全機関(EFSA)は、毒性の観点から、3-MCPDエステルを遊離3-MCPDと同等に扱うことを推奨している(欧州食品安全機関(2008))。
脱ハロゲン化反応は、熱プロセス中に生じ得ることが周知である。例えば、高温(例えば、270℃まで)での植物性油の脱臭中に豊富である十分な活性化エネルギーが投入された際に、塩素は、塩化水素(ガス)として化学成分で残存することが示されている。本発明者らは、トリアシルグリセリド油精製プロセスの原料、例えば植物材料中に元来存在する塩素含有化合物に由来して、油精製中に塩化水素が発生し得ると考えている。
理論に束縛されるものではないが、機構的には、MCPDジエステルは、ほとんどの植物性油中の全グリセリドの約88%~95%で存在するトリアシルグリセリド(TAG)の末端エステル基のプロトン化、すなわち、油精製中に発生した塩化水素との相互作用によるプロトン化を介して、油精製中に形成され得ることが示唆される。次いで、形成されたオキソニウムカチオンは、分子内再配置、続く塩化物イオンの求核置換を受け、遊離脂肪酸及びMCPDジエステルが放出され得る。
本発明の方法の使用を通じて除去されると、潜在的な塩素源は、油精製の加熱工程中のMCPDエステルなどの塩素化化合物の形成にはもはや利用不能になる。それによって、熱処理、例えば脱臭を伴う、様々な精製工程に供されたときの、モノクロロプロパンジオール(MCPD)又はモノクロロプロパンジオールエステル(MCPDE)の発生量が、浄化されていない精製トリアシルグリセリド油と比較して低減された、浄化生成油が得られる。
別の実施形態では、モノクロロプロパンジオールエステル(MCPDE)及びMCPDの量は、浄化及び熱処理されたトリアシルグリセリド油中では、熱処理のみが行われ浄化されていない原料トリアシルグリセリド油と比較して、少なくとも30%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、又は99%低減される。
本発明の方法を使用して生成された精製油は、例えば、3ppm未満、1.5ppm未満、1ppm未満、0.5ppm未満、0.3ppm未満、又は好ましくは0.1ppm未満のMCPDを含有し得る。
当該技術分野で周知のプロトコルを使用して、MCPDEの量を容易に分析することができる。例えば、本実施例に示すように、液体クロマトグラフィー/質量分析(LC/MS)に基づくアプローチは、MCPDEの濃度を分析するのに好適である。
一実施形態では、本発明の方法の工程(a)に投入される原料トリアシルグリセリド油は、粗トリアシルグリセリド油である。
本明細書で使用する場合、用語「粗油」は、未精製油を指し得る。例えば、いくつかの実施形態では、本発明の方法の工程(a)に投入される原料トリアシルグリセリド油は、精製、脱ガム、脱色、及び/又は分画されていない。好ましい実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、工程(a)の前に脱臭されていない。
いくつかの実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、工程(a)の前に予備洗浄などの予備加工に供される。しかしながら、工程(a)の前に原料トリアシルグリセリド油に実施される任意のプロセスは、好ましくは、トリアシルグリセリド油を100℃、150℃、200℃、又は250℃よりも高い温度まで加熱することを伴わない。いくつかの実施形態では、トリアシルグリセリド油は、工程(a)の前に予備精製、分画、水素化、及び/又はエステル交換に供される。
トリアシルグリセリド油
「トリアシルグリセリド」という用語は、「トリアシルグリセロール」及び「トリグリセリド」と同義的に使用することができる。これらの化合物では、グリセロールの3つのヒドロキシル基は各々、脂肪酸によってエステル化されている。本発明の方法を使用して浄化され得る油は、トリアシルグリセリドを含み、当該油としては、植物油、動物油、魚油、藻類油、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
好ましい実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は植物油である。例えば、植物油としては、ヒマワリ油、コーン油、キャノーラ油、大豆油、ココナッツ油、パーム油、パーム核油、及びカカオバターが挙げられる。
別の実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、パーム油、又はパームオレイン、パームステアリン、中融点画分などの分画パーム油である。
好ましい実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、粗植物油である。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、単細胞生物から得られる。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、魚から得られる。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、藻類から得られる。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、真菌から得られる。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、酵母から得られる。
別の好ましい実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、粗パーム油、又は粗パームオレイン、粗パームステアリン、粗中融画点分などの分画粗パーム油である。
一実施形態では、植物油は、粗パーム油である。一実施形態では、植物油は、粗トウモロコシ油である。一実施形態では、植物油は、粗ヒマワリ油である。一実施形態では、植物油は、コールドプレスされた粗キャノーラ油である。一実施形態では、植物油は、粗大豆油である。
好ましい実施形態では、植物油は、少なくとも部分的に溶媒抽出されている。好ましくは、溶媒は、n-ヘキサン、又は2-プロパノールとn-ヘキサンとの混合物である。
粗トリアシルグリセリド油
パーム油の場合、粗油は、パーム果実の異なる部分から、例えば、中果皮として既知である果実の果肉から、及びまた果実の種子又は核からも生成され得る。粉砕果実からの粗パーム油(CPO)の抽出は、例えば90~140℃の範囲の温度下で実施することができる。
他の場合では、例えば、ヒマワリ粗油は、圧搾によって、溶媒抽出によって、又はそれらの組み合わせによって生成され、例えば、Gotor&Rhazi in Oilseeds&fats Crops and lipids 2016(DOI:10.1051/ocl/2016007)に記載されている。
精製油
本明細書で使用する場合、「精製された」という用語は、油の品質を改良する、熱処理を含む方法に供された油を指し得る。この熱処理は、蒸気蒸留又は短行程蒸留を含む脱臭工程であり得る。そのような熱処理は、150~300℃の範囲、より一般的には160~260℃又は160~240℃の範囲で実施することができる。
ガム
本明細書で使用する場合、「ガム」という用語は、貯蔵、冷却、又は酸及び/若しくは水の添加時に植物性油が放出する、スラッジ、ミール粒子の堆積不純物、結晶化ろう、沈殿物、糖脂質、糖、及び主なリン脂質及びリン脂質ベースの析出物を、指し得る。ガムは、水脱ガム、酸脱ガム、酸脱ガム、水-酸脱ガム、スーパー脱ガム、TOP脱ガム、UF脱ガム、有機精製、乾式脱ガム、苛性精製、沈殿、結晶化及び沈降、並びに遠心分離のうちの1つ以上によって、油から除去され得る[Chapter 6 Enzymatic degumming by Ch.Dayton&F.Galhardo in Green Vegetable Oil Processing]。
ガム抽出物
本明細書で使用する場合、「ガム抽出物」という用語は、油又はその画分若しくは成分のいずれかから得られるガムを指し得る。
レシチン
本明細書で使用する場合、「レシチン」という用語は、「ガム」の水溶性画分を指し得る。したがって、「ガム」という用語は、「レシチン」及び「リゾレシチン」を含む。
熱処理
本明細書で使用する場合、「熱処理」という用語は、150℃~300℃の範囲、より一般的には160℃~260℃又は160℃~240℃の範囲の温度に油を曝露することを指し得る。熱処理は、脱臭中の工業的設定(蒸気蒸留又は短行程蒸留)中に行われるように、閉鎖容器若しくはアンプル内で、又は真空及び/若しくは蒸気と組み合わせて実施され得る。
塩素及び塩化物
塩素は、記号Cl及び原子番号17を有する化学元素である。塩素は、イオン(例えば、塩化ナトリウム)及び共有結合(例えば、ポリ塩化ビニル)の両方の形態で広範囲の物質に見出すことができる。したがって、「塩素」及び「塩化物」という用語は、両方とも、様々な形態の塩素元素を含有する物質を指す。
本明細書で使用する場合、「塩素含有」、「塩化物含有」、「有機塩素」、「塩素供与体」という用語は、全て、任意の形態で塩素元素を含む物質を指す。この形態は、イオン性、極性共有結合性、又は共有結合性のいずれであってもよい。
塩素又は塩化物担持物質
本明細書で使用する場合、「塩素又は塩化物担持物質」という用語は、任意の形態で塩素元素を含む物質を指す。この形態は、イオン性、極性共有結合性、又は共有結合性のいずれであってもよい。
塩素供与体
本明細書で使用する場合、「塩素供与体」という用語は、任意の形態で塩素元素を含み、例えば、塩酸、次亜塩素酸塩、塩化物アニオンであるがこれらに限定されない任意の形態で塩素を放出し得る物質を指す。
酸性度及びpH
化学的性質において、pHは、水性溶液が、どの程度酸性又は塩基性であるかを記述するために使用される尺度である。同様に、本明細書で使用する場合、「pH」という用語及び「酸性度」という用語は、油試料中の遊離酸含有量を指す。例えば、油とリン酸とを混合する場合、そのpHを低下させると考えることができる。同様に、水酸化ナトリウムを油に添加する中和工程は、油のpHを上昇させると考えることができる。
融解温度
本明細書で使用する場合、用語「融解温度」は、100kPaの圧力下で固体の状態が固体から液体へと変化する温度を指し得る。例えば、融解温度は、100kPaの圧力下で2℃/分で加熱したときに、固体の状態が固体から液体へと変化する温度であり得る。
当業者は、トリアシルグリセリド油の融解温度を特定するための好適な方法を容易に選択することができる。
例えば、融解温度の分析のための装置は、加熱ブロック、又は透明窓(例えば、Thiele管)及び拡大鏡を有する油浴からなり得る。固体の試料を薄いガラス管に入れ、これを加熱ブロック内に配置して、又は油浴中に浸漬して、その後徐々に加熱してもよい。固体の融解を観察し、関連する融解温度を記録することができる。
高度に複雑なトリアシルグリセロール組成物を含む油脂の場合、スリップ融点による方法が、一般的に使用される基準である(AOCS公式法Cc3-25)。
遠心分離
本明細書で使用する場合、「遠心分離」という用語は、容器及びその内容物に遠心力を作用させるため、油を内容物として含む容器を急速に回転させることを指し得る。
一実施形態では、遠心分離は、油が液体状態にある高温で行われる。この温度は、パーム油については、30℃、40℃、50℃、60℃、70℃、80℃、100℃又はそれ以上、パームステアリンについては、50℃、60℃、80℃、100℃又はそれ以上、パームオレインについては、15℃、20℃又はそれ以上、ヒマワリ油、キャノーラ油/菜種油、トウモロコシ油を含む種子油については、5℃以上であり得る。
好ましい実施形態では、温度は、パーム油については30℃~80℃、好ましくは35℃~70℃であり得る。好ましい実施形態では、温度は、ヒマワリ油については5℃~20℃であり得る。好ましい実施形態では、遠心分離速度は、15分間にわたって少なくとも15,000gである。
沈降
本明細書で使用する場合、「沈降する」又は「沈降」という用語は、油容器を動きのない又は実質的に動きのない環境に置くことを指し、好ましくは、少なくとも4時間、6時間、1日、2日、1週間、又は1か月であり得る一定期間にわたって撹乱が回避される。
一実施形態では、油容器を、固定された動きのない環境に静置し、例えば、粗ヒマワリ油又は粗大豆油に関して、少なくとも5ヶ月間の期間にわたって撹乱を回避する。一実施形態では、粗油は、沈降前に少なくとも60℃まで加熱される。
一実施形態では、油容器を、固定された動きのない環境に静置し、例えばコールドプレスされた粗キャノーラ油に関して、少なくとも4日間の期間にわたって撹乱を回避する。
セッケン
本明細書で使用する場合、「セッケン」という用語は、界面活性剤特性を有する物質から生成される様々な洗浄及び潤滑用製品を指し得る。
植物性油精製の文脈及び本文脈では、「セッケン」という用語は、負に帯電した脱プロトン化脂肪酸と、正に帯電した対イオン、例えばナトリウムカチオン又はカリウムカチオンとによって形成される脂肪酸の塩であるアルカリカルボキシレートを表すために使用される。[Bailey’s Industrial Oil and Fat Products-6th edition,page3084-Soap raw materials and their processing page105;Wikipedia]
アルカリ精製の実践に関する文献において周知であるように、遊離脂肪酸は、アルカリ、例えば水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムと反応して、そのようなセッケンを形成する[The Lipid Handbook-Third Edition;edited by Frank D.Gunstone;page178,191]。
更なる精製
水溶性成分及び析出油成分がそれらの塩素供与体物質と共に本発明の方法によって枯渇されることから、任意の後続の精製プロセス中の加熱が、MCPDEなどの望ましくない塩素化化合物の著しい生成を引き起こすことがなくなる。
精製、脱ガム、脱色、脱臭及び分画を行うためのプロセスは、当該技術分野において周知である。
例として、植物性油などの植物油の精製は、典型的には、物理的精製又は化学的精製を含む。
持続可能性の向上を目的とした試みでは、油精製所において、植物油処理ラインが、エネルギー消費の最小化(エコノミザー)及び廃棄物の低減のために、過去数十年にわたって改修されている。しかしながら、これら2つの精製プロセスの工程は、本質的に変化していない。
物理的精製は、本質的に、化学的精製の短縮された形態であり、1973年にパーム油精製の好ましい方法として導入された。この精製は、投入する油を酸で前処理(脱ガム)し、吸着性漂白用粘土を通過させて洗浄し、次いで水蒸気蒸留を行う、3工程連続操作であり得る。このプロセスにより、後続の脱酸、脱臭、及びパーム油に固有のカロテノイド(すなわち、粗油は、他の植物性油とは異なり、色が濃い赤色である)の分解を可能にする。物理的精製における中和工程の欠如を考慮すると、物理的精製所から製造された精製脱色(RB)油は、粗油中に見出されるものとほぼ同じ遊離脂肪酸(FFA)濃度を有する。
化学精製所からの中和脱色(NB)油及びRBパーム油は、全ての他の態様における、予備脱臭されたものと同等である。
熱脱色ユニットの操作は、油精製プロセスにおける損失の主な原因であり、濾過後の油量が20~40%減少する。プロセスは、典型的には約30~45分間持続し、典型的には、27~33mbarの真空下、95~110℃の温度で行われる。
次いで、熱脱色された油は、脱臭塔に送られる前に、溶解ガス及び水分の除去を補助する脱気装置への配管に、経路を変更してもよい。
脱色工程は、油を加熱すること、及び吸着性漂白用粘土を通過させることによって油を洗浄することを含んでもよい。
脱臭工程は、水蒸気蒸留を含んでもよい。
当業者は、開示される本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書に開示される本発明の全ての特徴を組み合わせることができることを理解されたい。
本発明の好ましい特徴及び実施形態を、非限定的な例によってこれより記述する。
本発明の実施では、特に指示がない限り、当業者の能力の範囲内のものである、化学、生化学、分子生物学、微生物学、及び免疫学の従来技術を用いる。かかる技術は文献で説明されている。例えば、Sambrook,J.,Fritsch,E.F.and Maniatis,T.(1989)Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd Edition,Cold Spring Harbor Laboratory Press;Ausubel,F.M.et al.(1995 and periodic supplements)Current Protocols in Molecular Biology,Ch.9,13 and 16,John Wiley&Sons;Roe,B.,Crabtree,J.and Kahn,A.(1996)DNA Isolation and Sequencing:Essential Techniques,John Wiley&Sons;Polak,J.M.and McGee,J.O’D.(1990)In Situ Hybridization:Principles and Practice,Oxford University Press;Gait,M.J.(1984)Oligonucleotide Synthesis:A Practical Approach,IRL Press、並びに、Lilley,D.M.and Dahlberg,J.E.(1992)Methods in Enzymology:DNA Structures Part A:Synthesis and Physical Analysis of DNA,Academic Pressを参照されたい。これらの全般的なテキストの各々は、本明細書に参照により組み込まれる。
[実施例]
実施例で使用される分析手順
LC-MSによるMCPDEの相対的定量化
試料調製
油試料を注入前に段階的に希釈した。
1)まず、各試料100μLをバイアル瓶に移し、900μLのn-ヘキサン:アセトン(1:1v/v)の混合物を添加した。試料を5~10秒間ボルテックスした。
2)第2の工程では、50μLのこの溶液を、950μLのアセトンと混合することによって更に希釈した。得られた溶液を5~10秒間ボルテックスした。
3)この後者の溶液100μLを、90μLのメタノール及び10μLの内部標準混合溶液と混合した。(内部標準混合溶液は、2ng/μLの濃度で、メタノールに溶解した以下の安定した同位体標識化合物を含んでいた:1-オレオイル2-リノレオイル3-クロロプロパンジオール-(OL)、1-2-ジパルミトイル3-クロロプロパンジオール-(PP)、1-パルミトイル2-オレオイル3-クロロプロパンジオール-(PO)、1-パルミトイル2-リノレオイル3-クロロプロパンジオール-(PL)。
LC条件
超高速液体クロマトグラフィーを、シリカ系オクタデシル相(Waters Acquity HSS C18、1.7μm;2.1×150mm)を備えるWaters Acquity H-クラスシステムを使用して実施した。適用された溶媒勾配を表3に要約する。
Figure 2023526948000001

表3.適用されたLC勾配の詳細(溶媒Aは、メタノール中1mMのギ酸アンモニウムであり、溶媒Bはイソプロパノール中100μMのギ酸アンモニウムであった)。
MS条件
モノクロロプロパンジオール(MCPD)エステルのモニタリングは、ThermoFisher高分解能質量分析計(Orbitrap Elite Hybrid)を使用して実施した。このプラットフォームは、約2ppmの作業質量精度での高選択質量分析を可能にした。MCPDエステルをESI陽イオンモード(ESI)でモニターした。これらの条件下で、観察されたMCPDエステルイオンは、[M+NH及び[M+Na]付加体であった。
データの解説
MCPDEの相対的定量は、最初に、[M+NH及び[M+Na]付加体のイオンクロマトグラムをそれぞれのm/z値で10ppmの質量範囲(mass window)にて抽出し、次いで、得られたピーク面積を対応するクロマトグラフィー保持時間で積分することによって実施した。
全ての実験について、PP、PO、OOMCPDのピーク面積を合計し、それぞれの安定した同位体標識内部標準ピーク面積の合計で除算した。これは、調査された試料における相対的なMCPDE濃度の容易かつ迅速な比較及び視覚化を可能にした。
AOCS公式法による総MCPDの分析
指示がある場合は、試料は、AOCS公式Cd29b-13法による確証的分析のために、外部研究所SGS(SGS Germany GmbH,Hamburg,Germany)に送られた。上記方法は、ガスクロマトグラフィー質量分析法(GC-MS)に基づく。この方法により、遊離型2-MCPD及び3-MCPDと、それぞれのエステル化(結合)型との合計を求めた。
試料のアンプル熱処理
この粗油試料の熱処理を、Thermo Scientific Heraeusオーブン(シリーズ6100)において、230℃で2時間、窒素下、密閉したガラスアンプル内で実施した。ガラスアンプルは、ブンゼンガスバーナーを使用してガラス製のパスツール・ピペットから製造した。これらの条件は、食用油の脱臭中に使用される熱条件を再現するために選択された。
実施例1:パーム油の高温水洗浄の効果
この実施例の重要な工程は、図1の概略図に要約されている。
工業的に生成した粗パーム油
工業的に生成した粗パーム油は、Nutriswiss(Lyss,Switzerland)から購入した。油を、低減試験の後、遠心分離による予備浄化に供した。
6Lの粗パーム油を、水浴中80℃まで加熱することによって融解した。手動で振盪することによって油を均質化した。1Lのアリコートを1Lポリプロピレン管(Sorvall 1000mL)に移し、Thermo Scientific Heraeus Cryofuge 8500i遠心分離器内にて40℃、8000gで15分間遠心分離した。更なる試験には、沈殿物不含の上部90%(v/v%)の油を使用した。
パーム油の水脱ガム
油を80℃まで加熱し、水を、油の2体積%の量で添加した。次いで、油を、80℃、1500rpmで4分間剪断した(Silverson LM-5A)。15000g、40℃で15分間、遠心分離した(Centrifuge 5804R,Eppendorf,VWR International GmbH,Switzerland)。上部90%(v/v%)の脱ガムした液相を更なる作業に使用した。
水脱ガムしたパーム油の高温水洗浄(連続2回実行)
4%(v/v%)の水を、水脱ガムしたパーム油に添加した。混合物を、Silverson LM-5A内で、80℃、5000rpmで30分間剪断することにより均質化し、次いでThermo Scientific Heraeusオーブン(シリーズ6100)内で、165℃で1時間加熱した。この熱処理は、本明細書で使用されるLC-MS法によって検出可能なMCPDの形成をまだ誘導しないことに留意されたい。
この熱処理後、試料を室温で30分間冷却し、次いで40℃の水浴に10分間入れ、次いで15000g、40℃で15分間の遠心分離に供した(Centrifuge 5804R,Eppendorf,VWR International GmbH,Switzerland)。更なる作業のために、上部90%(v/v%)の液相(補助脱ガムしたパーム油)を取り出した。
混合物を80℃まで加熱し、水を添加(混合物の2体積%)した後、温度を80℃に維持しながら2分間、5000rpmで混合物を剪断した(Silverson LM-5A)。15000g、40℃で15分間、遠心分離した(Centrifuge 5804R,Eppendorf,VWR International GmbH,Switzerland)。更なる作業のために、上部90%(v/v%)を取り出し、この洗浄プロセスを更に2回繰り返した。
油の乾燥
油を、水浴中85℃で加熱した0.5L又は200mLのロータリーエバポレーター用丸底フラスコに移した。フラスコを240rpmで回転させ、温度を上昇させ、50mbarで20分間真空にしながら、95℃で保持した。
MCPDEの形成をシミュレートするために、上記のように得られた油試料をアンプル内で熱処理し、それに応じてMCPDE含有量についてLC-MSによる分析を行った。結果を図2に示す。
40%を超えるMCPDE低減の効果が図2に示されている。図は、参照油で検出されたMCPDE濃度を100%として、高温水洗浄プロセスによって浄化された油中のMCPDE濃度を示す。
3-MCPDの絶対濃度は、SGSの実験室でのAOCS公式Cd29b-13法を用いたGC-MSによって決定された。図3に示される結果から、高温水洗浄を適用することが、この場合には約0.7ppmの低減に相当する3-MCPDの約40%の減少をもたらすことが確認される。
実施例2-既に脱色された油に適用した場合の高温水洗浄の効果(連続する脱色と高温水洗浄との間の相乗効果)
この実施例の重要な工程は、図4の概略図に要約されている。
シナリオ1及び2の両方に高温水洗浄及び脱色工程が含まれるが、順序が逆である。更に、シナリオ2は、油から残留水を除去し、適切な比較を可能にするための最終乾燥工程を含む。
予備浄化した投入油の調製
工業的に生成した粗パーム油は、Nutriswiss(Lyss,Switzerland)から購入した。
6Lの粗パーム油を、水浴中80℃まで加熱することによって融解した。手動で振盪することによって油を均質化した。1Lのアリコートを1Lポリプロピレン管(Sorvall 1000mL)に移し、Thermo Scientific Heraeus Cryofuge 8500i遠心分離器内にて40℃で、8000gで15分間遠心分離した。更なる試験には、沈殿物不含の上部90%(v/v%)の油を使用した。
パーム油の水脱ガム
油を80℃まで加熱し、水を、油の2体積%の量で添加した。次いで、油を、80℃、1500rpmで4分間剪断した(Silverson LM-5A)。15000g、40℃で15分間、遠心分離した(Centrifuge 5804R,Eppendorf,VWR International GmbH,Switzerland)。上部90%(v/v%)の脱ガムした液相を更なる作業に使用した。
水脱ガムしたパーム油の高温洗浄
4%(v/v%)の水を、水脱ガムしたパーム油に添加した。混合物を、Silverson LM-5A内で、80℃、5000rpmで30分間剪断することにより均質化し、次いでThermo Scientific Heraeusオーブン(シリーズ6100)内で、165℃で1時間加熱した。この熱処理は、MCPDの形成をまだ誘発しないことに留意されたい。
この熱処理後、試料を室温で30分間冷却し、次いで40℃の水浴に10分間入れ、次いで15000g、40℃で15分間遠心分離に供した(Centrifuge 5804R,Eppendorf,VWR International GmbH,Switzerland)。更なる作業のために、上部90%(v/v%)の液相(補助脱ガムしたパーム油)を取り出した。
混合物を80℃まで加熱し、水を添加(混合物の2体積%)した後、温度を80℃に維持しながら2分間、5000rpmで混合物を剪断した(Silverson LM-5A)。15000g、40℃で15分間、遠心分離した(Centrifuge 5804R,Eppendorf,VWR International GmbH,Switzerland)。更なる作業のために、上部90%(v/v%)を取り出し、この洗浄プロセスを更に2回繰り返した。
図4に示し、以下で更に説明するように、この予備浄化したパーム油を2つのアリコートに分割し、それぞれ低減シナリオ1及び2の投入油として使用した。
図4の低減シナリオ1の実験詳細
高温水洗浄
4%(v/v%)の水を、水脱ガムして脱色したパーム油に添加した。混合物を、Silverson LM-5A内で、80℃、5000rpmで30分間剪断することにより均質化し、次いでThermo Scientific Heraeusオーブン(シリーズ6100)内で、165℃で1時間加熱した。この熱処理は、MCPDの形成をまだ誘発しないことに留意されたい。
この熱処理後、試料を室温で30分間冷却し、次いで40℃の水浴に10分間入れ、次いで15000g、40℃で15分間の遠心分離に供した(Centrifuge 5804R,Eppendorf,VWR International GmbH,Switzerland)。更なる作業のために、上部90%(v/v%)の液相を取り出した。
混合物を80℃まで加熱し、水を添加(混合物の2体積%)した後、温度を80℃に維持しながら2分間、5000rpmで混合物を剪断した(Silverson LM-5A)。15000g、40℃で15分間、遠心分離した(Centrifuge 5804R,Eppendorf,VWR International GmbH,Switzerland)。更なる作業のために、上部90%(v/v%)を取り出し、この洗浄プロセスを更に2回繰り返した。
漂白用粘土の洗浄
3gの粘土(w/w)を97gのMilli-Q水と混合し、手動で振盪し、次いで4500gで10分間遠心分離し、水を除去し、これを3回連続して行った。次いで、湿った粘土を50℃のオーブン内で一晩乾燥させた。
脱色
上記の高温水洗浄したパーム油を、水浴中85℃で加熱した0.25Lのロータリーエバポレーター用丸底フラスコに移し、あらかじめ洗浄及び乾燥させた2重量%の漂白土(Tonsil 112FF)を添加した。フラスコを240rpmで回転させ、温度を上昇させ、50mbarで20分間真空にしながら95℃で保持した。最後に、Whatmanフィルター8umを使用して、真空Millipore濾過装置を介して油を濾過した。
図4の低減シナリオ2の実験詳細
予備浄化した投入油を、水浴中85℃で加熱した0.25Lのロータリーエバポレーター用丸底フラスコに移し、あらかじめ洗浄及び乾燥させた2%の漂白土(Tonsil 112FF)を添加した。フラスコを240rpmで回転させ、温度を上昇させ、50mbarで20分間真空にしながら95℃で保持した。最後に、Whatmanフィルター8umを使用して、真空Millipore濾過装置を介して油を濾過した。
脱色油の高温水洗浄
4%(v/v%)の水を、上記の脱色したパーム油に添加した。混合物を、Silverson LM-5A内で、80℃、5000rpmで30分間剪断することにより均質化し、次いでThermo Scientific Heraeusオーブン(シリーズ6100)内で、165℃で1時間加熱した。この熱処理は、MCPDの形成をまだ誘発しないことに留意されたい。
この熱処理後、試料を室温で30分間冷却し、次いで40℃の水浴に10分間入れ、次いで15000g、40℃で15分間の遠心分離に供した(Centrifuge 5804R,Eppendorf,VWR International GmbH,Switzerland)。更なる作業のために、上部90%(v/v%)の液相を取り出した。
混合物を80℃まで加熱し、水を添加(混合物の2体積%)した後、温度を80℃に維持しながら2分間、5000rpmで混合物を剪断した(Silverson LM-5A)。15000g、40℃で15分間、遠心分離した(Centrifuge 5804R,Eppendorf,VWR International GmbH,Switzerland)。更なる作業のために、上部90%(v/v%)を取り出し、この洗浄プロセスを更に2回繰り返した。
油の乾燥
油を、水浴中85℃で加熱した0.5L又は200mLのロータリーエバポレーター用丸底フラスコに移した。フラスコを240rpmで回転させ、温度を上昇させ、50mbarで20分間真空にしながら、95℃で保持した。
MCPDEの形成をシミュレートするために、上記のように得られた試料をアンプル内で熱処理し、それに応じてMCPDE含有量についてLC-MSによる分析を行った。結果を図5に示す。
シナリオ2は、シナリオ1と比較して、約36%のMCPDE低減をもたらし、脱色プロセス後の高温水洗浄実施の効果を示した。この効果は、SGSの実験室でのAOCS公式Cd29b-13法を用いたGC-MSアプローチによっても確認されている。
この後者を図6に示す。図は、シナリオ2で測定された3-MCPDの絶対濃度がシナリオ1と比較して40%低いことを示し、これは高温水洗浄が脱色プロセス後に実施された場合の0.7ppmを超える低減効果に相当する。
アンプル加熱及び分析手順の説明は、上記のとおりに見出すことができる。
実施例3
乾燥油での2工程高温水洗浄の効果
この実施例の重要な工程は、図1の(b)の概略図に要約されている。
工業的に生成した粗パーム油
工業的に生成した粗パーム油は、Nutriswiss(Lyss,Switzerland)から購入した。油を、遠心分離による予備浄化に供した。5Lの工業用粗パーム油を、水浴中60℃で30分間平衡化し、次いで手動で振盪することによって激しく均質化した。40mLのアリコートを50mLのFalcon(登録商標)チューブに移し、15000g、40℃で15分間遠心分離した(Centrifuge 5804R,Eppendorf,VWR International GmbH,Switzerland)。各Falcon(登録商標)チューブから36mLのアリコートに相当する沈殿物不含の上部90体積%を採取し、合わせて更なる作業に使用した。
パーム油の水脱ガム
油を80℃まで加熱し、次いで、80℃まで加熱した2体積%の水を添加した。次いで、油を、80℃、1500rpmで4分間剪断した(Silverson LM-5A)。15000g、40℃で、15分間遠心分離した(Centrifuge 5804R,Eppendorf,VWR International GmbH,Switzerland)。上部90%(v/v%)の脱ガムした液相を更なる作業に使用した。
高温水洗浄
18体積%の水を、水脱ガムしたパーム油に添加した。混合物を、Silverson LM-5A内で、80℃、5000rpmで30分間剪断することにより均質化し、次いでThermo Scientific Heraeusオーブン(シリーズ6100)に入れた閉鎖ガラス容器内で、10分間隔で10秒間手動で振盪しながら、165℃で1時間、加熱した。この熱処理は、MCPDの形成をまだ誘発しないことに留意されたい。
加熱後、混合物を、室温で5分間保持し、その後、室温の水浴に10分間入れることにより冷却した。次いで、混合物を40℃で10分間平衡化し、15000g、40℃で15分間遠心分離した(Centrifuge 5804R,Eppendorf,VWR International GmbH,Switzerland)。上部90%(v/v%)の脱ガムした液相を取り出し、更なる作業に使用した。
次の工程では、脱ガムした液相の上部90%に2%(v/v%)の水を添加した。次に、混合物を、80℃、5000rpmで4分間剪断し(Silverson LM-5A)、40℃で10分間平衡化した。次いで、15000g、40℃で15分間、遠心分離した(Centrifuge 5804R,Eppendorf,VWR International GmbH,Switzerland)。上部90%(v/v%)を、更なる作業用に取り出した。
油の乾燥
油を、水浴中95℃で加熱した0.2Lのロータリーエバポレーター用丸底フラスコに移した。フラスコを240rpmで回転させ、20mbarで20分間、真空にした。
上記の概略図に従って得られた試料を、SGSの実験室でのAOCS公式Cd29b-13法による分析に供した。図7に示される結果から、脱色プロセスを全く行わずに高温水洗浄を適用することは、この場合には約1.9ppmの低減に相当する乾燥油中の3-MCPDの約60%の減少をもたらすことが確認される。高温水洗浄を繰り返すと、更に大きな効果が観察され、3-MCPDの最終濃度が0.89ppmに達した(図7の「二重(高温水洗浄)乾燥油」列を参照)。
実施例4
脱色と組み合わせた単回及び二重高温水洗浄の効果
この実施例の重要な工程は、図1の(c)に要約されている。
工業的に生成した粗パーム油
工業的に生成した粗パーム油は、Nutriswiss(Lyss,Switzerland)から購入した。油を、遠心分離による予備浄化に供した。5Lの工業用粗パーム油を、水浴中60℃で30分間平衡化し、次いで手動で振盪することによって激しく均質化した。40mLのアリコートを50mLのFalcon(登録商標)チューブに移し、15000g、40℃で15分間遠心分離した(Centrifuge 5804R,Eppendorf,VWR International GmbH,Switzerland)。各Falcon(登録商標)チューブから36mLのアリコートに相当する沈殿物不含の上部90体積%を採取し、合わせて更なる作業に使用した。
パーム油の水脱ガム
油を80℃まで加熱し、次いで、80℃まで加熱した2体積%の水を添加した。次いで、油を、80℃、1500rpmで4分間剪断した(Silverson LM-5A)。15000g、40℃で15分間、遠心分離した(Centrifuge 5804R,Eppendorf,VWR International GmbH,Switzerland)。上部90%(v/v%)の脱ガムした液相を更なる作業に使用した。
高温水洗浄
18体積%の水を、水脱ガムしたパーム油に添加した。混合物を、Silverson LM-5A内で、80℃、5000rpmで30分間剪断することにより均質化し、次いでThermo Scientific Heraeusオーブン(シリーズ6100)に入れた閉鎖ガラス容器内で、10分間隔で10秒間手動で振盪しながら、165℃で1時間、加熱した。この熱処理は、MCPDの形成をまだ誘発しないことに留意されたい。
加熱後、混合物を、室温で5分間保持し、その後、室温の水浴に10分間入れることにより冷却した。次いで、混合物を40℃で10分間平衡化し、15000g、40℃で15分間遠心分離した(Centrifuge 5804R,Eppendorf,VWR International GmbH,Switzerland)。上部90%(v/v%)の脱ガムした液相を取り出し、更なる作業に使用した。
次の工程では、脱ガムした液相の上部90%に2%(v/v%)の水を添加した。次に、混合物を、80℃、5000rpmで4分間剪断し(Silverson LM-5A)、40℃で10分間平衡化した。次いで、15000g、40℃で15分間、遠心分離した(Centrifuge 5804R,Eppendorf,VWR International GmbH,Switzerland)。上部90%(v/v%)の脱ガム/洗浄した液相(補助脱ガムしたパーム油)を更なる作業のために取り出した。
油の乾燥
油を、水浴中95℃で加熱した0.2Lのロータリーエバポレーター用丸底フラスコに移した。フラスコを240rpmで回転させ、20mbarで20分間、真空にした。
漂白用粘土の洗浄
3gの粘土(w/w)を97gのMilli-Q水と混合し、手動で振盪し、次いで4500gで10分間遠心分離し、水をピペッティングにより除去し、これを3回連続して行った。次いで、湿った粘土を50℃のオーブン内で24時間乾燥させた
「高温水洗浄した」パーム油の脱色
「高温水洗浄した」パーム油を、水浴中90℃で加熱した0.2Lのロータリーエバポレーター用丸底フラスコに移し、あらかじめ洗浄及び乾燥させた2重量%の漂白土(Tonsil 112FF)を添加した。フラスコを240rpmで回転させ、50mbarで20分間、真空にした。最後に、Whatmanフィルター8umを使用して、真空Millipore濾過装置を介して油を濾過した。
上記の概略図に従って得られた試料を、SGSの実験室でのAOCS公式Cd29b-13法による分析に供した。図8に示される結果から、高温水洗浄を脱色プロセスと組み合わせて適用することが、この場合には約1.3ppmの低減に相当する3-MCPDの約55%の減少をもたらすことが確認される(列Aと列Dを参照)。高温水洗浄と脱色とを連続して繰り返すと、最も大きな効果が観察され、3-MCPDの最終濃度が0.88ppmに達した(図8の「二重(高温水洗浄/脱色)油」列Eを参照)。後者については、約63%の減少に相当する(列AとEを参照)。
上記明細書で言及した全ての刊行物は、参照により本明細書に援用される。本発明に開示する方法、使用及び生成物の様々な修正及び変更は、本発明の範囲及び主旨から逸脱することなく、当業者には明白である。本発明は、特定の好ましい実施形態に関連して開示されているが、特許請求される本発明は、このような特定の実施形態に過度に限定されるべきではないことを理解されたい。実際、本発明を実施するために開示された様式の種々の改変は、当業者には自明であり、以下の特許請求の範囲の範囲内であることを意図している。

Claims (12)

  1. トリアシルグリセリド油中のモノクロロプロパンジオール(MCPD)又はモノクロロプロパンジオールエステル(MCPDE)の形成を防止又は低減するための方法であって、
    (a)原料トリアシルグリセリド油を液体と混和して混和物を形成する工程であって、前記液体が、水、酸溶液、塩基溶液、リン脂質溶液、及び界面活性剤溶液のうちの1種以上から選択される、工程と、
    (b)任意選択的に、前記混和物を均質化する工程と、
    (c)
    1.均質化しながら前記混和物を加熱すること、及び
    2.前記混和物を加熱すること、
    のうちの1つ以上を実施する工程と、
    (d)前記混和物を100℃未満に冷却する工程と、
    (e)任意選択的に、
    1.前記混和物に遠心力を加えることによって、及び/又は
    2.前記混和物中の不溶性成分及び結晶化した成分を重力によって沈降させることによって、
    前記不溶性成分及び結晶化した成分を前記混和物から濃縮する工程と、
    (f)不溶性水相及び結晶化した成分を前記混和物から分離し、及び/又は脱ガム、物理的精製、化学的精製、中和、エステル交換、脱色、脱ろう、及び分画から選択される1つ以上のプロセスを前記混和物に適用する工程と、
    (g)前記混和物に熱処理を適用する工程と、
    を含む、方法。
  2. 工程(a)の前記液体が、水である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記トリアシルグリセリド油が、植物油、動物油、魚油、酵母油、真菌又は藻類油、好ましくは植物油である、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記トリアシルグリセリド油が、パーム油又はパーム油から得られた画分である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記原料トリアシルグリセリド油が、魚油又は魚油から得られた画分である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記原料トリアシルグリセリド油が、粗油である、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記不溶性成分及び結晶化した成分が、濾過、デカンテーション、遠心分離、ポンピング、及び排液のうちの1つ以上によって、前記トリアシルグリセリド油混和物から分離される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記原料トリアシルグリセリド油が、脱色された油である、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記原料トリアシルグリセリド油が、混和工程(a)の前に脱ガムされている、及び/又は中和されている、及び/又は脱色されている、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記工程(c)が、100℃又は120℃又は140℃又は160℃又は180℃又は200℃を超える温度に加熱することを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記工程(c)が、1バール又は3バール又は10バールより高い圧力下、閉鎖容器内で加熱することを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 請求項1~11のいずれか一項に記載の方法によって得ることができる浄化トリアシルグリセリド油。

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