JP2023502059A - Mcpd形成の補助的な脱ガムによる防止 - Google Patents

Mcpd形成の補助的な脱ガムによる防止 Download PDF

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Abstract

トリアシルグリセリド油中のモノクロロプロパンジオール(MCPD)又はモノクロロプロパンジオールエステル(MCPDE)の形成を予防又は低減するための方法を提供する。【選択図】 なし

Description

本発明は、油の精製に関する。特に、本発明は、精製油からモノクロロプロパンジオールエステル(MCPDE)を低減又は完全に除去するためのトリアシルグリセリド油の改良された脱ガム及び機械による精製に関する。
[背景技術]
3-ハロゲン-1,2-プロパンジオール、特に3-モノクロロ-1,2-プロパンジオール(3-MCPD)は、食品中の既知の不純物である(Food Addit.Contam.(2006)23:1290-1298)。例えば、複数の研究が、3-MCPDは高用量で投与された場合にラットにとって発癌性であり得ることを示している(Evaluation of Certain Food Additives and Contaminants,World Health Organisation,Geneva,Switzerland(1993)267-285;lnt.J.Toxicol.(1998)17:47)。
3-MCPDは、当初、酸加水分解植物性タンパク質で発見された(acid-HVP;Z.Lebensm.-Unters.Forsch.(1978)167:241-244)。より最近では、精製食用油は、3-MCPDを脂肪酸エステル形態で含有し得るが、遊離3-MCPDは非常に少量であることが判明した(Food Addit.Contam.(2006)23:1290-1298)。欧州食品安全機関(EFSA)は、毒性の観点から、3-MCPDエステルを遊離3-MCPDと同等に扱うことを推奨している(欧州食品安全機関(2008))。
アシルグリセリドの塩素化は、非常に高温で、例えば、油が真空(3~7mbar)下で最大260~270℃まで加熱され得る油精製プロセスの最終工程中、すなわち脱臭中に、起こり得ることが報告されている。これは、MCPDの脂肪酸エステルの形成をもたらし得る。
MCPDエステルの効率的な低減の手段は限定的であり、植物油精製産業に課題が提起されている。現在、精製油中の3-MCPDの存在を慎重にモニターし、EFSAの勧告への完全準拠を確実なものとするために、3-MCPD含量が所定の閾値を上回る油は廃棄されている。
3-MCPDは、商業に重要な多くの精製油中、例えば、植物油中で生じ得るため、油精製中に生じるそのような不純物を除去及び/又は回避する改良された方法が、特に必要とされている。
[発明の概要]
本発明者らは、油の精製プロセス中のMCPD及びMCPDエステル(モノエステル及びジエステルを含むMCPDE)の形成を、実質的に低減又は予防できる方法を開発した。
この方法の原理は、特定の粗油中に存在するリン脂質成分及びろう成分の精製作用との併用精製プロセスを使用して、リン脂質及び/又はろうのない油(例えば、パーム)を精製することができるというものである。この方法は、別の低リン脂質油の精製を改良するために、粗油又はそれらのガム抽出物の高いリン脂質含有量及び/又はろう含有量を利用する。
結果として、塩素源として機能する可能性のある不溶性及び水溶性の塩素又は塩化物含有物質は油の水性及び沈殿画分中に濃縮され、したがって、精製される油から分離することができる。分離は、遠心分離、沈降、濾過、又は従来の脱ガム又は他の精製プロセスなどの機械的処理によって起こり得る。本発明の方法は、パーム油、パームステアリン、パームオレイン、及びそれらの様々な画分、パーム核油、ココナッツ油、ヒマワリ油、高オレインヒマワリ油、及びそれらの変種、キャノーラ/菜種油、トウモロコシ油、大豆油、魚油、藻類油、酵母から得られる油、真菌から得られる油、カカオバター、及びそれらの任意の混合物又はブレンドが挙げられるが、これらに限定されない、粗又は部分的に精製された(例えば、遠心分離、脱ガム、又は脱色された)トリアシルグリセロール(トリアシルグリセリドとも呼ばれる)油に適用することができる。
機械的処理は、任意の他の精製工程、精製工程、又は脱臭工程の前、間、又はその後のいずれかにおける、遠心分離及び/又は沈降を含み得る。
脱ガム工程は、水脱ガム、酸脱ガム、それらの組み合わせ、乾式脱ガム、塩基脱ガム、化学精製、又はそれらの組み合わせを含み得る。
塩素の潜在的な供給源は、除去されると、油精製の加熱工程中のMCPD、MCPDモノエステル、及びMCPDジエステルなどの塩素化化合物の形成にはもはや利用不能になる。それにより、塩素担持物質が少ない生成油が得られ、精製油は、MCPD及びMCPDEが低減された又は含まれない精製油を生成することを目的として、熱処理及び脱臭などの様々な精製手順に供され得る。
図1は、MCPDE濃度を示す図である。 図2は、MCPD濃度を示す図である。 図3は、蓄積係数としてのMCPDの比を示す図である。 図4は、MCPDE濃度を示す図である。 図5は、MCPDの蓄積を示す図である。 図6は、MCPDE濃度を示す図である。 図7は、3-MCPDの濃度を示す図である。 図8は、3-MCPDの相対存在量を示す図である。 図9は、3-MCPDの濃度を示す図である。 図10は、3-MCPDの濃度を示す図である。 図11は、3-MCPDの濃度を示す図である。 図12は、3-MCPDの濃度を示す図である。 図13は、3-MCPDの濃度を示す図である。 図14は、3-MCPDの濃度を示す図である。
本発明の方法の更なる効果は、油の脱臭においてより低い温度を使用することを可能にすることであり、それは、
1)トランス脂肪酸形成を低減すること(高温でのトランス脂肪酸(trans fat)形成は、Baley’s industrial oil and fat products;Sixth Edition;Volume 5 Edible Oil and Fat Products:Processing Technologies;Chapter 8 Deodorization;section 3.Refined oil quality,subsection 3.2Fat isomerization and degradation productsにて報告されている)。
2)グリシジルエステルの形成を低減すること(Comprehensive Reviews in Food Science and FoodSafety;vol.16,263-281;2017における「Glycidyl fatty acid esters in refined edible oils:a review on formation,occurrence,analysis,and elimination methods」のGEの除去方法の概要を参照されたい)の両方である。
したがって、一態様では、本発明は、トリアシルグリセリド油中のモノクロロプロパンジオール(MCPD)又はモノクロロプロパンジオールエステル(MCPDE)の形成を予防又は低減するための方法であって、
(a)トリアシルグリセリド油を、
1.補助油であって、トリアシルグリセリド油よりも高いリン脂質含有量及び/又はろう含有量を有する、補助油、及び/又は
2.油からのガム抽出物と混和する工程と、
(b)トリアシルグリセリド油混和物を脱ガムし、及び/又は任意選択的に不溶性成分を結晶化させる工程と、
(c)任意選択的に、不溶性成分及び結晶化成分を、
1.トリアシルグリセリド油混和物に遠心力を加えることによって、及び/又は
2.不溶性成分及び結晶化成分を重力によって沈降させることによって、
トリアシルグリセリド油混和物から濃縮する工程と、
(d)不溶性成分及び結晶化成分をトリアシルグリセリド油混和物から分離し、及び/又は任意選択的に、脱ガム、物理的精製、化学的精製、中和、エステル交換、脱色、脱ろう、及び分画から選択される1つ以上のプロセスを適用する工程と、
(e)トリアシルグリセリド油混和物に熱処理を適用する工程と、を含む、方法を提供する。
いくつかの実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、植物油、動物油、魚油、酵母油、真菌又は藻類油、好ましくは植物油である。原料トリアシルグリセリド油は、本方法の工程(a)で混和される前のトリアシルグリセリド油を指す。
いくつかの実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、パーム油又はパーム油から得られた画分である。
いくつかの実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、魚油又は魚油から得られた画分である。
いくつかの実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、粗油である。
いくつかの実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、遠心分離、沈降、濾過、洗浄、脱ろう、分画、脱ガム、脱色、若しくは脱臭のいずれか、又はこれらの任意の組み合わせによって精製された、部分的に精製された油又は油混合物である。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、酸を使用せずに水脱ガムされている。酸は、リン酸、クエン酸、硫酸、ギ酸、又は酢酸であり得る。
いくつかの実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、粗及び部分的に精製された油の混合物である。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、脱色されている。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、漂白土と接触している。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、漂白土と混合されている。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、少なくとも0.01重量%、好ましくは少なくとも0.1重量%、より好ましくは少なくとも0.5重量%の漂白土で脱色されている。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、少なくとも0.01重量%、好ましくは少なくとも0.1重量%、より好ましくは少なくとも0.5重量%の漂白土と接触している。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、少なくとも0.01重量%、好ましくは少なくとも0.1重量%、より好ましくは少なくとも0.5重量%の漂白土と混合されている。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は漂白土と混合されており、漂白土は油から除去されている。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は漂白土と混合されており、漂白土は工程a)の前に油から除去されない。
一実施形態では、工程(a)の混和は、原料トリアシルグリセリド油及び補助油の融解温度よりも高い温度まで加熱する工程、及び/又は混合物を均質化する工程を含む。
一実施形態では、工程(a)の混和は、原料トリアシルグリセリド油及び補助油を、原料トリアシルグリセリド油及び補助油の融解温度よりも高い温度でインキュベートする工程、及び/又は混合物を均質化する工程を含む。
一実施形態では、工程(a)の混和は、原料トリアシルグリセリド油、及び、油からのガム抽出物の、融解温度よりも高い温度まで加熱する工程、及び/又は混合物を均質化する工程を含む。
一実施形態では、油のガム抽出物を、混和工程(a)の前に、100℃又は120℃又は140℃又は160℃又は180℃又は200℃を超える温度まで加熱する。
一実施形態では、補助油を、混和工程(a)の前に、100℃又は120℃又は140℃又は160℃又は180℃又は200℃を超える温度まで加熱する。
一実施形態では、工程(a)の混和物を、工程(b)の前に、100℃又は120℃又は140℃又は160℃又は180℃又は200℃を超える温度まで加熱する。
一実施形態では、油のガム抽出物、又は補助油、又は工程a)の混和物を、少なくとも1分間インキュベートする。
一実施形態では、工程(a)の混和物を、工程(b)の前に、1バール又は3バール又は5バールより高い圧力下、閉鎖容器内で加熱する。
一実施形態では、結晶化プロセス及び不溶性成分の析出を促進するために、工程(b)において、混和物を、20℃、又は10℃、又は5℃、又は4℃、又は0℃、又はゼロ℃未満の(sub-zero)温度まで冷却する。
一実施形態では、油のガム抽出物は、添加された酸を全く含まない。
別の実施形態では、工程(b)の脱ガムプロセスは、油に全く酸を添加せず、添加された酸を全く含まない水を添加することによって行われる。
一実施形態では、油のガム抽出物を、使用前に分画する。
別の実施形態では、油のガム抽出物を、使用前に精製する。
一実施形態では、工程(a)の混和は、原料トリアシルグリセリド油及び油から得られたガム抽出物を、原料トリアシルグリセリド油及びガムの融解温度よりも高い温度でインキュベートする工程、及び/又は混合物を均質化する工程を含む。
一実施形態では、工程(a)の混和物の温度は、原料トリアシルグリセリド油の融点よりも少なくとも10℃高い温度又は補助油の融点よりも少なくとも10℃高い温度のどちらか高い方に調整され、該温度は、好ましくは工程(a)から工程(d)まで調整される。
一実施形態では、工程(a)の混和物の温度は、原料トリアシルグリセリド油の融点よりも少なくとも20℃高い温度又は補助油の融点よりも少なくとも20℃高い温度のどちらか高い方に調整され、該温度は、好ましくは工程(a)から工程(d)まで調整される。
一実施形態では、工程(a)の混和物の温度は、原料トリアシルグリセリド油の融点よりも少なくとも30℃高い温度又は補助油の融点よりも少なくとも30℃高い温度のどちらか高い方に調整され、該温度は、好ましくは工程(a)から工程(d)まで調整される。
一実施形態では、工程(d)の混和物の温度は、原料トリアシルグリセリド油の融点よりも少なくとも10℃高い温度又は補助油の融点よりも少なくとも10℃高い温度のどちらか高い方に調整される。
一実施形態では、工程(d)の混和物の温度は、原料トリアシルグリセリド油の融点よりも少なくとも20℃高い温度又は補助油の融点よりも少なくとも20℃高い温度のどちらか高い方に調整される。
一実施形態では、工程(d)の混和物の温度は、原料トリアシルグリセリド油の融点よりも少なくとも30℃高い温度又は補助油の融点よりも少なくとも30℃高い温度のどちらか高い方に調整される。
いくつかの実施形態では、不溶性成分及び結晶化成分は、濾過、デカンテーション、遠心分離、ポンピング、及び排液のうちの1つ以上によってトリアシルグリセリド油混和物から分離される。
いくつかの実施形態では、油のガム抽出物は、沈殿、結晶化及び沈降、及び遠心分離のうちの1つ以上によって得られる。
いくつかの実施形態では、油のガム抽出物は、水脱ガム、及び酸脱ガムのうちの1つ以上によって得られる。
いくつかの実施形態では、油のガム抽出物は、水-酸脱ガムによって得られる。
いくつかの実施形態では、油のガム抽出物は、添加された酸を全く含まない水を使用する水脱ガムによって得られる。
いくつかの実施形態では、油のガム抽出物は、水脱ガム、酸脱ガム、酸脱ガム、水-酸脱ガム、スーパー脱ガム、TOP脱ガム、UF脱ガム、有機精製、乾式脱ガム、苛性精製、沈殿、結晶化及び沈降、並びに遠心分離のうちの1つ以上によって得られる。
いくつかの実施形態では、不溶性成分は、例えば、微粒子、分離された液滴、エマルジョン、懸濁液、及び沈殿物を含む。
別の実施形態では、熱処理は脱臭(例えば、蒸気蒸留又は短行程蒸留による)である。
別の実施形態では、熱処理は閉鎖容器内で実施される。
一実施形態では、熱処理工程は、不要な成分を除去する。不要な成分は、色顔料、遊離脂肪酸、モノグリセリド、微量汚染物質及び/又は臭いであり得る。
一実施形態では、本発明は、モノクロロプロパンジオール(MCPD)の形成を予防又は低減するための方法を提供する。
一実施形態では、本発明は、モノクロロプロパンジオールエステル(MCPDE)の形成を予防又は低減するための方法を提供する。
一実施形態では、工程(a2)が実施され、次いで工程(a1)が実施される。
一実施形態では、工程(a1)が実施され、次いで工程(a2)が実施される。
一実施形態では、熱処理を適用することは、150~300℃の範囲、より好ましくは160~290℃又は160~240℃の範囲の温度に、好ましくは少なくとも30分間、油を曝露することを含む。
一実施形態では、熱処理を適用することは、140~200℃の範囲内の温度に、油を曝露することを含む。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、パーム油である。一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、パーム油であり、熱処理工程は、油を160~290℃の範囲の温度に曝露することを含む。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、魚油である。一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は魚油であり、熱処理工程は、油を140~220℃の範囲の温度に曝露することを含む。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油はヒマワリ油であり、熱処理工程は、油を160~240℃の範囲の温度に曝露することを含む。
一実施形態では、モノクロロプロパンジオール(MCPD)又はモノクロロプロパンジオールエステル(MCPDE)の量は、熱処理工程(e)の後に測定される。
一実施形態では、モノクロロプロパンジオール(MCPD)又はモノクロロプロパンジオールエステル(MCPDE)の量は、熱処理工程(e)の後に測定され、モノクロロプロパンジオール(MCPD)又はモノクロロプロパンジオールエステル(MCPDE)の量は、同じプロトコルを使用して精製されるが補助油又はガム抽出物を使用しない熱処理をした油と比較して、少なくとも30%低減される。
一実施形態では、工程(e)の熱処理された油中のMCPDEの量は、直接LC-MSによって測定される場合、少なくとも2分の1(by a factor of two)に低減される。
一実施形態では、工程(a)の原料トリアシルグリセリド油は、粗トリアシルグリセリド油である。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、工程(a)の前に脱ガムされていない。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、工程(a)の前に脱ガムされている。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、工程(a)の前に脱色されていない。一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、工程(a)の前に分画されていない。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、工程(a)の前に脱ガムされている。一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、工程(a)の前に脱色されている。一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、工程(a)の前に分画されている。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、工程(a)の前に中和されている。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、工程(a)の前に中和されていない。
好ましい実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、工程(a)の前に脱臭されていない。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、工程(a)の前に予備洗浄に供される。一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、工程(a)の前に予備精製に供される。一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、工程(a)の前に水素化に供される。一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、工程(a)の前にエステル交換に供される。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、植物油、動物油、魚油又は藻類油である。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、粗パーム油であり、工程(a)から開始する方法が適用される。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、分画された粗パーム油であり、工程(a)から開始する方法が適用される。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、粗パーム核油であり、工程(a)から開始する方法が適用される。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、分画された粗パーム核油であり、工程(a)から開始する方法が適用される。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、粗ココナッツ油であり、工程(a)から開始する方法が適用される。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、分画された粗ココナッツ油であり、工程(a)から開始する方法が適用される。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、藻類、又は酵母、又は真菌から得られる油であり、工程(a)から開始する方法が適用される。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、粗魚油である。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、粗藻類油である。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、粗真菌油である。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、粗酵母油である。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、粗種子油であり、工程(a)から開始する方法が適用される。例えば、粗種子油は、ヒマワリ油、キャノーラ/菜種油、トウモロコシ油であり得る。
好ましい実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、植物油であり、好ましくは、植物油は、パーム油、ヒマワリ油、トウモロコシ油、キャノーラ油、大豆油、トウモロコシ油、ココナッツ油、パーム核油、及びカカオバターからなる群から選択される。一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、パーム油である。
一実施形態では、補助油は、粗ヒマワリ油又はその高オレイン変種である。
一実施形態では、補助油は、粗大豆油又はその高オレイン変種である。
一実施形態では、補助油は、粗菜種油又はその高オレイン変種である。
一実施形態では、ガム抽出物は、粗菜種油又はその高オレイン変種から得られる。
一実施形態では、ガム抽出物は、粗大豆油又はその高オレイン変種から得られる。
一実施形態では、ガム抽出物は、粗ヒマワリ油又はその高オレイン変種から得られる。
一実施形態では、補助油は、加熱時に、原料トリアシルグリセリド油よりも10倍少ない、又は3倍少ない、又は2倍少ないMCPDを発生する。
一実施形態では、熱処理された補助油は、10ppm未満、又は3ppm未満、又は1ppm未満、又は0.5ppm未満、又は0.2ppm未満のMCPDを発生する。一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、0.5~25%(w/w%)の遊離脂肪酸含有量、又は1~12%(w/w%)の遊離脂肪酸含有量、又は3~7%(w/w%)の遊離脂肪酸含有量を有する。
別の実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、少なくとも0.5重量%、好ましくは1重量%、より好ましくは3重量%の遊離脂肪酸含有量を有する。別の実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、25%(w/w%)未満、好ましくは15%(w/w%)未満、より好ましくは10%(w/w%)未満の遊離脂肪酸含有量を有する。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、水酸化ナトリウム若しくは水酸化カリウムなどの任意のアルカリと、又は水酸化ナトリウム若しくは水酸化カリウムを含む任意の生成物、例えば苛性ソーダ、苛性カリ、と混合されていない。別の実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、任意の水酸化アンモニウム又は任意のアンモニウム塩と混合されていない。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、塩、例えばナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩と混合されていない。ナトリウム塩の例としては、塩化ナトリウム、次亜塩素酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、ギ酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、リン酸ナトリウムが挙げられる。
別の実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、1000ppm未満のセッケン含有量を有する。別の実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、20ppm未満のセッケン含有量を有する。別の実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、セッケンを含まない。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、酸性化されていない、又は酸脱ガムに供されていない。
別の実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、195Da未満の酸と混合されていない。好ましい実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、195Da未満の、無水形態を有する酸と混合されていない。
別の実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、195Da未満の酸を、0.01%を超える量で含まない。別の実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、195Da未満の無水形態を有する酸を、0.01%を超える量で含まない。
別の実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、logP<1を有する酸を、0.01%を超える量で含まない。別の実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、酸性度pKa1<5を有する酸を、0.01%を超える量で含まない。
別の実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、リン酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ホウ酸、次亜塩素酸(hypochloric acid)、及び塩酸のいずれか1つを実質的に含まない。本明細書で使用する場合、水酸化ナトリウムは、苛性ソーダ又はアルカリを意味し得、水酸化カリウムは、アルカリカリを意味し得る。
別の実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、リン酸、クエン酸、塩化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、リン酸塩、ポリリン酸塩、酢酸、無水酢酸、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸ナトリウム、ホウ酸、次亜塩素酸、塩酸、及びタンニン酸のうちのいずれか1つを実質的に含まない。
別の実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、任意の添加されたイオン性、カチオン性、及びアニオン性の界面活性剤を実質的に含まない。別の実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、ソルビタンエステル又はポリグリセロールエステルなどの任意の乳化剤を実質的に含まない。
別の実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、Bailey’s Industrial Oil and Fat Products-6th edition,page2236 in Chapter Emulsifiers for the food industry-Table4,page262]に列挙される任意の添加剤、例えばスクロース、グリコール、プロピレングリコール、及び/又はラクチレートを実質的に含まない。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、水脱ガム又は湿式脱ガムに供されていない。
別の実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、1%未満、又は0.5%未満、又は0.3%未満の含水率を有し、一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、1%未満、又は0.3%未満、又は0.1%未満の含水率を有する。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、中和された魚油である。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、中和された藻類油である。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、中和された真菌油である。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、中和された酵母油である。
好ましい実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、水と全く混和されておらず、0.5%未満の含水率を有する。
別の実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、添加された水を含まない。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、0.01%未満の漂白用粘土含有量を有する。別の実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、漂白用粘土と混合されていない。別の実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、漂白用粘土を含まない。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、脱色されていない。別の実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は脱ガムされていない。別の実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は中和されていない。
別の実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、添加された結晶化剤、例えば溶媒を含まない。そのような溶媒としては、ヘキサン、アセトン並びに[The Lipid Handbook-Third Edition;edited by Frank D.Gunstone;Chapter4.4.2.]及び[Bailey’s Industrial Oil and Fat Products-6th edition,Chapter 12]に記載される洗浄剤又は[Omar et al Journal of Oil Palm Research Vol.27(2)June 2015 p.97-106]に記載されるソルビタンエステル若しくはポリグリセロール脂肪酸エステルが挙げられ得る。原料トリアシルグリセリド油は、粗パーム油であり得る。
別の実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、脱ろうされていない。
別の実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、添加された物質、例えば脱ガム剤、中和剤、添加剤、溶媒、塩、シーディング剤、酸、塩基、又は緩衝剤を含まない。
別の実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、粗パーム油であり、添加された物質、例えば脱ガム剤、中和剤、添加剤、溶媒、塩、シーディング剤、酸、塩基、又は緩衝液を含まない。
一実施形態では、脱ガム工程(b)は、リン酸、クエン酸、塩化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、リン酸塩、ポリリン酸塩、酢酸、無水酢酸、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸ナトリウム、ホウ酸、次亜塩素酸、塩酸、及びタンニン酸のうちのいずれか1つを使用する。
一実施形態では、脱ガム工程(b)は、水を使用する。
一実施形態では、脱ガム工程(b)は、水を、リン酸、クエン酸、塩化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、リン酸塩、ポリリン酸塩、酢酸、無水酢酸、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸ナトリウム、ホウ酸、次亜塩素酸、塩酸、及びタンニン酸のうちのいずれか1つと組み合わせて使用する。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、遠心分離によって不溶性材料から予備精製される。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、10%(w/w%)未満の結晶化トリアシルグリセロール含有量を有する。別の実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、5%(w/w%)未満の結晶化トリアシルグリセロール含有量を有する。一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、2%(w/w%)未満の結晶化トリアシルグリセロール含有量を有する。一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、0.5%(w/w%)未満の結晶化トリアシルグリセロール含有量を有する。
本明細書で使用する場合、結晶化トリアシルグリセロールは、固体トリアシルグリセロール又は脂肪の固形部分を指す。油脂の固形脂肪含有量は、パルス核磁気共鳴によって特定することができる[Bailey’s Industrial Oil and Fat Products-6th edition,page175 Chapter5.2.1.]。
別の実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、20℃、15℃、又は10℃未満に冷却されていない。
一実施形態では、本方法は、工程(e)の後に以下の工程のうちの1つ以上を更に含む:
(f)物理的又は化学的精製、脱ガム、中和、及び脱色からなる群から選択される1つ以上のプロセス;
(g)任意選択的に、工程(f)の生成物を脱臭する工程であって、好ましくは、脱臭が真空蒸気脱臭である、工程;及び
(h)任意選択的に、工程(f)及び工程(g)の生成物を分画する工程。
別の態様では、本発明の方法によって得ることができる精製トリアシルグリセリド油が提供される。
一実施形態では、熱処理された精製油中のモノクロロプロパンジオールエステル(MCPDE)の量は、同じプロトコルを介して精製されるが補助油又はそのガムを使用しない熱処理油と比較して、2分の1低減される。
一実施形態では、熱処理された精製油中のモノクロロプロパンジオールエステル(MCPDE)の量は、同じプロトコルを介して精製されるが補助油又はそのガムを使用しない熱処理油と比較して、少なくとも30%低い。
一実施形態では、熱処理された精製油中のモノクロロプロパンジオールエステル(MCPDE)の量は、同じプロトコルを介して精製されるが補助油又はそのガムを含まない熱処理油と比較して少なくとも50%低い。
食品製品の製造に使用するための、本発明による精製トリアシルグリセリド油も提供される。
本発明による精製トリアシルグリセリド油を使用することによって製造される食品製品も提供される。
[発明を実施するための形態]
本明細書で使用する場合、用語「含む(comprising)」、「含む(comprises)」、及び「を含む(comprised of)」は、「含む(including)」又は「含む(includes)」と同義であり、他を包含し得るもの又は非限定的なものであり、追加の、列挙されていない部材、要素、又は工程を除外しない。「含む(comprising)」、「含む(comprises)」、及び「含む(comprised of)」という用語はまた、「含む(consisting of)」、「含む(containing)」、又は「含む(contains)」という用語を含む。
混和
本明細書で使用する場合、「混和」という用語は、結果として生じる混和物の均質性を高めるために、2つ以上の成分を容器(例えば、ベッセル、リザーバ、チューブ、タンク、コンテナ、バイアル、又はポット)内で一緒に混合するプロセスを指す。混合は、撹拌(agitation)、撹拌(stirring)、超音波処理、混合、高剪断混合、及び/又は振盪を含むいくつかの様々な一般的な慣行のうちの1つ又は組み合わせを含み得、任意選択的に、例えば、成分の可溶化を向上させ、及び/又は融解し、両方の成分が液体であることを確実にするために加熱を伴う。
精製
精製は、原料トリアシルグリセリド油から、塩素/塩化物担持汚染物質(モノクロロプロパンジオール(MCPD)又はモノクロロプロパンジオールエステル(MCPDE)の形成に必要な塩素源として機能し得る物質)を含有する可能性がある油の不溶性画分を除去するのに特に好適である。本明細書全体を通して使用される原料トリアシルグリセリド油は、本発明の方法の工程(a)又は工程(h)に供される直前のトリアシルグリセリド油を意味すると解釈される。
本発明の方法は、原料トリアシルグリセリド油を、油精製中の塩素の活性源となり得る塩化物/塩素担持物質を含有する油の不溶性、水溶性、析出画分を、原料油(例えば、粗油)から物理的に除去する処理に供するものである。この処理は、特定の粗油中に存在するリン脂質及びろう成分の精製作用を利用して、リン脂質及び/又はろうが少ないこれらの油を精製するための併用精製プロセスに基づく。この方法では、粗油又はそのガム抽出物のリン脂質含有量及び/又はろう含有量が高いことを利用して、別の低リン脂質油の精製を向上させる。
その結果、塩素源として機能し得る不溶性、沈殿性、結晶性、及び水溶性の塩素又は塩化物含有物質は、油の水性、ガム、及び沈殿画分中に濃縮され、したがって精製される油から分離することができる。分離は、遠心分離、沈降、濾過、又は従来の脱ガム又は他の精製プロセスなどの機械的処理によって起こり得る。本発明の方法は、パーム油、パームステアリン、パームオレイン、及びそれらの様々な画分、パーム核油、ココナッツ油、ヒマワリ油、トウモロコシ油、高オレインヒマワリ油、及びそれらの変種、キャノーラ/菜種油、大豆油、魚油、藻類油、酵母から得られる油、真菌から得られる油、カカオバター、及びそれらの任意の混合物又はブレンドが挙げられるが、これらに限定されない、粗油の又は部分的に精製されたトリアシルグリセロール(トリアシルグリセリドとも呼ばれる)油に適用することができる。
トリアシルグリセリド油混合物からの不溶性成分及び結晶化成分の分離は、濾過及び/又はデカンテーション及び/又は遠心分離及び/又はポンピング及び/又は排液を介して起こり得る。
脱ガム工程は、水脱ガム、酸脱ガム、それらの組み合わせ、乾式脱ガム、塩基脱ガム、化学精製、又はそれらの組み合わせを含み得る。
3-ハロゲン-1,2-プロパンジオール、特に3-モノクロロ-1,2-プロパンジオール(3-MCPD)は、食品中の既知の不純物である(Food Addit.Contam.(2006)23:1290-1298)。例えば、複数の研究が、3-MCPDは高用量で投与された場合にラットにとって発癌性であり得ることを示している(Evaluation of Certain Food Additives and Contaminants,World Health Organisation,Geneva,Switzerland(1993)267-285;lnt.J.Toxicol.(1998)17:47)。しかしながら、精製された食用油は、3-MCPDをその脂肪酸エステル形態で含有し得る一方で、非常に少量の遊離3-MCPDのみを含有し得ることも発見された(Food Addit.Contam.(2006)23:1290-1298)。欧州食品安全機関(EFSA)は、毒性の観点から、3-MCPDエステルを遊離3-MCPDと同等に扱うことを推奨している(欧州食品安全機関(2008))。
脱ハロゲン化反応は、熱プロセス中に生じ得ることが周知である。例えば、高温(例えば、270℃まで)での植物性油の脱臭中に豊富である十分な活性化エネルギーが投入された際に、塩素は、塩化水素(ガス)として化学成分で残存することが示されている。本発明者らは、塩化水素が、トリアシルグリセリド油精製プロセスの出発材料、例えば植物材料中に元来存在する塩素含有化合物由来で、油精製中に発生し得ると考えている。
実際に、MCPD生成反応は指数関数的に増加し(150℃超)、短時間で完了することが示唆されている。
理論に束縛されるものではないが、機構的には、MCPDジエステルは、ほとんどの植物性油中の全グリセリドの約88%~95%で存在するトリアシルグリセリド(TAG)の末端エステル基のプロトン化、すなわち、油精製中に発生した塩化水素との相互作用によるプロトン化を介して、油精製中に形成され得ることが示唆される。次いで、形成されたオキソニウムカチオンは、分子内再配置、続く塩化物イオンの求核置換を受け、遊離脂肪酸及びMCPDジエステルが放出され得る。
本発明の方法の使用を通じて除去されると、潜在的な塩素源は、油精製の加熱工程中のMCPDエステルなどの塩素化化合物の形成にはもはや利用不能になる。それによって、熱処理、例えば脱臭を伴う、様々な精製工程に供されたときの、モノクロロプロパンジオール(MCPD)又はモノクロロプロパンジオールエステル(MCPDE)の発生量が、精製されていない精製トリアシルグリセリド油と比較して低減された、精製生成油が得られる。
別の実施形態では、モノクロロプロパンジオールエステル(MCPDE)及びMCPD量は、補助油又はそのガムを含まない精製された原料トリアシルグリセリド油と比較して、精製及び熱処理されたトリアシルグリセリド油中で少なくとも30%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、又は99%低減される。
本発明の方法を使用して生成された精製油は、例えば、3ppm未満、1ppm未満、0.5ppm未満、0.3ppm未満、又は好ましくは0.1ppm未満のMCPDを含有し得る。
当該技術分野で周知のプロトコルを使用して、MCPDEの量を容易に分析することができる。例えば、本実施例に示すように、液体クロマトグラフィー/質量分析(LC/MS)に基づくアプローチは、MCPDEの濃度を分析するのに好適である。
一実施形態では、本発明の方法の工程(a)に投入される原料トリアシルグリセリド油は、粗トリアシルグリセリド油である。
本明細書で使用する場合、用語「粗油」は、未精製油を指し得る。例えば、いくつかの実施形態では、本発明の方法の工程(a)に投入される原料トリアシルグリセリド油は、精製、脱ガム、脱色、及び/又は分画されていない。好ましい実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、工程(a)の前に脱臭されていない。
いくつかの実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、工程(a)の前に予備洗浄などの予備加工に供される。しかしながら、工程(a)の前に原料トリアシルグリセリド油に実施される任意のプロセスは、好ましくは、トリアシルグリセリド油を100℃、150℃、200℃、又は250℃よりも高い温度まで加熱することを伴わない。いくつかの実施形態では、トリアシルグリセリド油は、工程(a)の前に予備精製、分画、水素化、及び/又はエステル交換に供される。
トリアシルグリセリド油
「トリアシルグリセリド」という用語は、「トリアシルグリセロール」及び「トリグリセリド」と同義的に使用することができる。これらの化合物では、グリセロールの3つのヒドロキシル基は各々、脂肪酸によってエステル化されている。本発明の方法を使用して精製され得る油は、トリアシルグリセリドを含み、当該油としては、植物油、動物油、魚油、藻類油、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
好ましい実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は植物油である。例えば、植物油としては、ヒマワリ油、コーン油、キャノーラ油、大豆油、ココナッツ油、パーム油、パーム核油、及びカカオバターが挙げられる。
別の実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、パーム油、又はパームオレイン、パームステアリン、中融点画分などの分画パーム油である。
好ましい実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、粗植物油である。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、単細胞生物から得られる。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、魚から得られる。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、藻類から得られる。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、真菌から得られる。
一実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、酵母から得られる。
別の好ましい実施形態では、原料トリアシルグリセリド油は、粗パーム油、又は粗パームオレイン、粗パームステアリン、粗中融画点分などの分画粗パーム油である。
一実施形態では、植物油は、粗パーム油である。一実施形態では、植物油は、粗トウモロコシ油である。一実施形態では、植物油は、粗ヒマワリ油である。一実施形態では、植物油は、コールドプレスされた粗キャノーラ油である。一実施形態では、植物油は、粗大豆油である。
好ましい実施形態では、植物油は、少なくとも部分的に溶媒抽出されている。好ましくは、溶媒は、n-ヘキサン、又は2-プロパノール及びn-ヘキサンの混合物である。
粗トリアシルグリセリド油
パーム油の場合、粗油は、パーム果実の異なる部分から、例えば、中果皮として既知である果実の果肉から、及びまた果実の種子又は核からも生成され得る。粉砕果実からの粗パーム油(CPO)の抽出は、例えば90~140℃の範囲の温度下で実施することができる。
他の場合では、例えば、ヒマワリ粗油は、圧搾によって、溶媒抽出によって、又はそれらの組み合わせによって生成され、例えば、Gotor&Rhazi in Oilseeds&fats Crops and lipids 2016(DOI:10.1051/ocl/2016007)に記載されている。
精製油
本明細書で使用する場合、「精製された」という用語は、油の品質を改良する、熱処理を含む方法に供された油を指し得る。この熱処理は、蒸気蒸留又は短行程蒸留を含む脱臭工程であり得る。そのような熱処理は、150~300℃の範囲、より一般的には160~260℃又は160~240℃の範囲で実施することができる。
ガム
本明細書で使用する場合、「ガム」という用語は、貯蔵、冷却、又は酸及び/若しくは水の添加時に植物性油が放出する、スラッジ、ミール粒子の堆積不純物、結晶化ろう、沈殿物、糖脂質、糖、及び主なリン脂質及びリン脂質ベースの析出物を、指し得る。ガムは、水脱ガム、酸脱ガム、酸脱ガム、水-酸脱ガム、スーパー脱ガム、TOP脱ガム、UF脱ガム、有機精製、乾式脱ガム、苛性精製、沈殿、結晶化及び沈降、並びに遠心分離のうちの1つ以上によって、油から除去され得る[Chapter 6 Enzymatic degumming by Ch.Dayton&F.Galhardo in Green Vegetable Oil Processing]。
ガム抽出物
本明細書で使用する場合、「ガム抽出物」という用語は、油又はその画分若しくは成分のいずれかから得られるガムを指し得る。
レシチン
本明細書で使用する場合、「レシチン」という用語は、「ガム」の水溶性画分を指し得る。したがって、「ガム」という用語は、「レシチン」及び「リゾレシチン」を含む。
熱処理
本明細書で使用する場合、「熱処理」という用語は、150~300℃の範囲、より一般的には160~260℃又は160~240℃の範囲の温度に油を曝露することを指し得る。熱処理は、脱臭中の工業的設定(蒸気蒸留又は短行程蒸留)中に行われるように、閉鎖容器若しくはアンプル内で、又は真空及び/若しくは蒸気と組み合わせて実施され得る。
塩素及び塩化物
塩素は、記号Cl及び原子番号17を有する化学元素である。塩素は、イオン性(例えば、塩化ナトリウム)及び共有結合性(例えば、ポリ塩化ビニル)の両方の形態で広範囲の物質に見出すことができる。したがって、「塩素」及び「塩化物」という用語は、両方とも、様々な形態の塩素元素を含有する物質を指す。
本明細書で使用する場合、「塩素含有」、「塩化物含有」、「有機塩素」、「塩素供与体」という用語は、全て、任意の形態で塩素元素を含む物質を指す。この形態は、イオン性、極性共有結合性、又は共有結合性のいずれであってもよい。
塩素又は塩化物担持物質
本明細書で使用する場合、「塩素又は塩化物担持物質」という用語は、任意の形態で塩素元素を含む物質を指す。この形態は、イオン性、極性共有結合性、又は共有結合性のいずれであってもよい。
塩素供与体
本明細書で使用する場合、「塩素供与体」という用語は、任意の形態で塩素元素を含み、例えば、塩酸、次亜塩素酸塩、塩化物アニオンであるがこれらに限定されない任意の形態で塩素を放出し得る物質を指す。
酸性度及びpH
化学的性質において、pHは、水性溶液が、どの程度酸性又は塩基性であるかを記述するために使用される尺度である。同様に、本明細書で使用する場合、「pH」という用語及び「酸性度」という用語は、油試料中の遊離酸含有量を指す。例えば、油とリン酸とを混合する場合、そのpHを低下させると考えることができる。同様に、水酸化ナトリウムを油に添加する中和工程は、油のpHを上昇させると考えることができる。
融解温度
本明細書で使用する場合、用語「融解温度」は、100kPaの圧力下で固体の状態が固体から液体へと変化する温度を指し得る。例えば、融解温度は、100kPaの圧力下で2℃/分で加熱したときに、固体の状態が固体から液体へと変化する温度であり得る。
当業者は、トリアシルグリセリド油の融解温度を特定するための好適な方法を容易に選択することができる。
例えば、融解温度の分析のための装置は、加熱ブロック、又は透明窓(例えば、Thiele管)及び拡大鏡を有する油浴からなり得る。固体の試料を薄いガラス管に入れ、これを加熱ブロック内に配置して、又は油浴中に浸漬して、その後徐々に加熱してもよい。固体の融解を観察し、関連する融解温度を記録することができる。
高度に複雑なトリアシルグリセロール組成物を含む油脂の場合、スリップ融点による方法が、一般的に使用される基準である(AOCS公式法Cc3-25)。
遠心分離
本明細書で使用する場合、「遠心分離」という用語は、容器及びその内容物に遠心力を作用させるため、油を内容物として含む容器を急速に回転させることを指し得る。
一実施形態では、遠心分離は、油が液体状態にある高温で行われる。この温度は、パーム油については、30℃、40℃、50℃、60℃、70℃、80℃、100℃又はそれ以上、パームステアリンについては、50℃、60℃、80℃、100℃又はそれ以上、パームオレインについては、15℃、20℃又はそれ以上、ヒマワリ油、キャノーラ油/菜種油、トウモロコシ油を含む種子油については、5℃以上であり得る。
好ましい実施形態では、温度は、パーム油については30℃~80℃、好ましくは35℃~70℃であり得る。好ましい実施形態では、温度は、ヒマワリ油については5℃~20℃であり得る。好ましい実施形態では、遠心分離速度は、15分間にわたって少なくとも15,000gである。
沈降
本明細書で使用する場合、「沈降する」又は「沈降」という用語は、油容器を動きのない又は実質的に動きのない環境に置くことを指し、好ましくは、少なくとも4時間、6時間、1日、2日、1週間、又は1か月であり得る一定期間にわたって撹乱が回避される。
一実施形態では、油容器を、固定された動きのない環境に静置し、例えば、粗ヒマワリ油又は粗大豆油に関して、少なくとも5ヶ月間の期間にわたって撹乱を回避する。一実施形態では、粗油は、沈降前に少なくとも60℃まで加熱される。
一実施形態では、油容器を、固定された動きのない環境に静置し、例えばコールドプレスされた粗キャノーラ油に関して、少なくとも4日間の期間にわたって撹乱を回避する。
セッケン
本明細書で使用する場合、「セッケン」という用語は、界面活性剤特性を有する物質から生成される様々な洗浄及び潤滑用製品を指し得る。
植物性油精製の文脈及び本文脈では、「セッケン」という用語は、負に帯電した脱プロトン化脂肪酸と、正に帯電した対イオン、例えばナトリウムカチオン又はカリウムカチオンとによって形成される脂肪酸の塩であるアルカリカルボキシレートを表すために使用される。[Bailey’s Industrial Oil and Fat Products-6th edition,page3084-Soap raw materials and their processing page105;Wikipedia]
アルカリ精製の実践に関する文献において周知であるように、遊離脂肪酸は、アルカリ、例えば水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムと反応して、そのようなセッケンを形成する[The Lipid Handbook-Third Edition;edited by Frank D.Gunstone;page178,191]。
更なる精製
不溶性油成分がそれらの塩素供与体物質と共に本発明の方法によって枯渇されることから、任意の後続の精製プロセス中の加熱が、MCPDEなどの望ましくない塩素化化合物の著しい生成を引き起こすことがなくなる。
精製、脱ガム、脱色、脱臭及び分画を行うためのプロセスは、当該技術分野において周知である。
例として、植物性油などの植物油の精製は、典型的には、物理的精製又は化学的精製を含む。
持続可能性の向上を目的とした試みでは、油精製所において、植物油処理ラインが、エネルギー消費の最小化(エコノミザー)及び廃棄物の低減のために、過去数十年にわたって改修されている。しかしながら、これら2つの精製プロセスの工程は、本質的に変化していない。
物理的精製は、本質的に、化学的精製の短縮された形態であり、1973年にパーム油精製の好ましい方法として導入された。この精製は、投入する油を酸で前処理(脱ガム)し、吸着性漂白用粘土を通過させて洗浄し、次いで水蒸気蒸留を行う、3工程連続操作であり得る。このプロセスにより、後続の脱酸、脱臭、及びパーム油に固有のカロテノイド(すなわち、粗油は、他の植物性油とは異なり、色が濃い赤色である)の分解を可能にする。物理的精製における中和工程の欠如を考慮すると、物理的精製所から製造された精製脱色(RB)油は、粗油中に見出されるものとほぼ同じ遊離脂肪酸(FFA)濃度を有する。
化学精製所からの中和脱色(NB)油及びRBパーム油は、全ての他の態様における、予備脱臭されたものと同等である。
熱脱色ユニットの操作は、油精製プロセスにおける損失の主な原因であり、濾過後の油量が20~40%減少する。プロセスは、典型的には約30~45分間持続し、典型的には、27~33mbarの真空下、95~110℃の温度で行われる。
次いで、熱脱色された油は、脱臭塔に送られる前に、溶解ガス及び水分の除去を補助する脱気装置への配管に、経路を変更してもよい。
脱色工程は、油を加熱すること、及び吸着性漂白用粘土を通過させることによって油を洗浄することを含んでもよい。
脱臭工程は、水蒸気蒸留を含んでもよい。
当業者は、開示される本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書に開示される本発明の全ての特徴を組み合わせることができることを理解されたい。
本発明の好ましい特徴及び実施形態を、非限定的な例によってこれより記述する。
本発明の実施では、特に指示がない限り、当業者の能力の範囲内のものである、化学、生化学、分子生物学、微生物学、及び免疫学の従来技術を用いる。かかる技術は文献で説明されている。例えば、Sambrook,J.,Fritsch,E.F.and Maniatis,T.(1989)Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd Edition,Cold Spring Harbor Laboratory Press;Ausubel,F.M.et al.(1995 and periodic supplements)Current Protocols in Molecular Biology,Ch.9,13 and 16,John Wiley & Sons;Roe,B.,Crabtree,J.and Kahn,A.(1996)DNA Isolation and Sequencing:Essential Techniques,John Wiley & Sons;Polak,J.M.and McGee,J.O’D.(1990)In Situ Hybridization:Principles and Practice,Oxford University Press;Gait,M.J.(1984)Oligonucleotide Synthesis:A Practical Approach,IRL Press、並びに、Lilley,D.M.and Dahlberg,J.E.(1992)Methods in Enzymology:DNA Structures Part A:Synthesis and Physical Analysis of DNA,Academic Pressを参照されたい。これらの全般的なテキストの各々は、本明細書に参照により組み込まれる。
[実施例]
実施例で使用される分析手順
試料調製
油試料を注入前に段階的に希釈した。
1)まず、各試料100μLをバイアル瓶に移し、900μLのn-ヘキサン:アセトン(1:1v/v)の混合物を添加した。試料を5~10秒間ボルテックスした。
2)第2の工程では、50μLのこの溶液を、950μLのアセトンと混合することによって更に希釈した。得られた溶液を5~10秒間ボルテックスした。
3)この後者の溶液100μLを、90μLのメタノール及び10μLの内部標準混合溶液と混合した。(内部標準混合溶液は、2ng/μLの濃度で、メタノールに溶解した以下の安定した同位体標識化合物を含んでいる:1-オレオイル2-リノレオイル3-クロロプロパンジオール-(OL)、1-2-ジパルミトイル3-クロロプロパンジオール-(PP)、1-パルミトイル2-オレオイル3-クロロプロパンジオール-(PO)、1-パルミトイル2-リノレオイル3-クロロプロパンジオール-(PL)。
LC条件
超高速液体クロマトグラフィーを、シリカ系オクタデシル相(Waters Acquity HSS C18、1.7μm;2.1×150mm)を備えるWaters Acquity H-クラスシステムを使用して実施した。適用された溶媒勾配を表3に要約する。
Figure 2023502059000001
表3.適用されたLC勾配の詳細(溶媒Aは、メタノール中1mMのギ酸アンモニウムであり、溶媒Bはイソプロパノール中100μMのギ酸アンモニウムであった)。
MS条件
モノクロロプロパンジオール(MCPD)エステルのモニタリングは、ThermoFisher高分解能質量分析計(Orbitrap Elite Hybrid)を使用して実施した。このプラットフォームは、約2ppmの作業質量精度での高選択質量分析を可能にした。MCPDエステルをESI陽イオンモード(ESI)でモニターした。これらの条件下で、観察されたMCPDエステルイオンは、[M+NH及び[M+Na]付加体であった。
データの解説
MCPDEの相対的定量は、最初に、[M+NH及び[M+Na]付加体のイオンクロマトグラムをそれぞれのm/z値で10ppmの質量範囲(mass window)にて抽出し、次いで、得られたピーク面積を対応するクロマトグラフィー保持時間で積分することによって実施した。モニターされたMPCDEの略語は以下の通りである:PP:ジパルミトイルMCPDエステル;PO:パルミトイル-オレイルMCPDエステル;OO:ジオレイルMCPDエステル;OL:オレイル-リノレイルMCPDエステル;LL:ジリノレイルMCPDエステル;PL:パルミトイル-リノレイルMPCDエステル。
全ての実験について、PP、PO、OO、OL、PL、及びLL MCPDのピーク高さを合計し、1000を掛け、上記の4つの安定した同位体標識内部標準のピーク高さで割った。これは、調査された試料における相対的なMCPDE濃度の容易かつ迅速な比較及び視覚化を可能にした。
試料のアンプル熱処理
この粗油試料の熱処理を、Thermo Scientific Heraeusオーブン(シリーズ6100)において、230℃で2時間、窒素下、密閉したガラスアンプル内で実施した。ガラスアンプルは、ブンゼンガスバーナーを使用してガラス製のパスツール・ピペットから製造した。これらの条件は、食用油の脱臭中に使用される熱条件を再現するために選択された。
実施例1及び2
工業的に生成した粗パーム油
工業的に生成した粗パーム油は、Nutriswiss(Lyss,Switzerland)から購入した。油を、低減試験の後、遠心分離による予備精製に供した。
6Lの粗パーム油を、水浴中80℃まで加熱することによって融解した。手動で振盪することによって油を均質化した。1Lのアリコートを1Lポリプロピレン管(Sorvall 1000mL)に移し、Thermo Scientific Heraeus Cryofuge 8500i遠心分離器内にて40℃で、8000gで15分間遠心分離した。更なる試験には、沈殿物不含の上部90%(v/v%)の油を使用した。
圧搾ヒマワリ油
ヒマワリ種子を、家庭用電気油圧搾機(OP700,Rommelsbacher,Germany)を使用して圧搾して、圧搾油及び残りの固体残留物(ケーキ)を得た。次いで、圧搾した油を、オーブン内で、65℃で濾紙(Whatman 595 1/2)を通して濾過した。
水酸脱ガム
個々の粗パーム油、圧搾粗ヒマワリ油、及びそれらの1:1混合物を、油を80℃まで加熱することによって脱ガムし、次いで、リン酸≧85%を油の0.02%(v/v%)の量で添加した。混合物を、80℃、1500rpmで5分間剪断した(Silverson LM-5A)。水を添加(混合物の2%(v/v%))した後、温度を80℃に維持しながら5分間剪断(Silverson LM-5A)を行った。15000g及び40℃で15分間、遠心分離した(Centrifuge 5804R,Eppendorf,VWR International GmbH,Switzerland)。上部90%(v/v%)の脱ガムした液相を更なる作業に使用した。
得られた脱ガムした粗パーム油:粗ヒマワリ油の1:1混合物及び個別に脱ガムしたパーム油とヒマワリ油の1:1混合物を、MCPDEの形成をシミュレートするため上記のようにアンプル内で熱処理し、それに応じてMCPDE含有量についてLC-MSにより分析した。脱ガムプロセス中の粗ヒマワリ油の効果は、図1に示される観察されたMCPDE濃度によって実証される。脱ガム工程の前に混合された混合物は、脱ガム工程後に混合された混合物よりも2倍低いMCPD濃度を示した。
更に、この有益な効果は、ヒマワリ油が粗油であり脱ガムされていない場合にのみ観察可能であった。粗パーム油を脱ガム済みのヒマワリ油の存在下で脱ガムに供した場合、脱ガムしていない粗ヒマワリ油を含有した混合物と比較して、2倍高いMCPD濃度が観察された(図2を参照)。これは、実際に、粗ヒマワリ油のガム画分が、油混合物のMCPD含有量の低減として観察される効果に関与することを示唆している。
実施例3
工業的に生成した粗パーム油
工業的に生成した粗パーム油は、Nutriswiss(Lyss,Switzerland)から購入した。油を、低減試験の後、遠心分離による予備精製に供した。
6Lの粗パーム油を、水浴中80℃まで加熱することによって融解した。手動で振盪することによって油を均質化した。1Lのアリコートを1Lポリプロピレン管(Sorvall 1000mL)に移し、Thermo Scientific Heraeus Cryofuge 8500i遠心分離器内にて40℃で、8000gで15分間遠心分離した。更なる試験には、沈殿物不含の上部90%(v/v%)の油を使用した。
市販の1,2-ジトリコサノイル-sn-グリセロール-3-ホスホコリン(cat.n.850372P)は、Avanti Polar Lipids Inc.(Alabaster,Alabama,US)製であった。飽和長鎖脂肪アシル鎖は、それぞれ23個の炭素原子を含有する。
沈殿物不含の粗パーム油の10mLアリコートに、0.4%(w/w%)の1,2-ジトリコサノイル-sn-グリセロール-3-ホスホコリンを添加した。混合物を90℃に15分間加熱し、ボルテックスして均質化させた。次いで、混合物を15000g、40℃で15分間遠心分離した(Centrifuge 5804R,Eppendorf,VWR International GmbH,Switzerland)。熱処理及びその後のLC-MS分析のために、上部10%(v/v%)と、固体を含む下部10%(v/v%)とを採取した。
一方、「データの解説」の項において上述したように計算したMCPD濃度は、1,2-ジトリコサノイル-sn-グリセロール-3-ホスホコリンの添加、結晶化、及び遠心分離により、相対MCPDシグナルが71.7(ホスホコリンを0%添加した参照試料)から39(ホスホコリンを0.4%添加)まで減少したことを示す。
更に、MCPDシグナルの抽出後、上部10体積%と下部10体積%の間で観察された蓄積係数としてのMCPDの比を計算した。この蓄積係数は、ホスホコリンを0%添加した(参照)又はホスホコリンを0.4%添加した、遠心分離されたパーム油について、図3に示される。その結果、1,2-ジトリコサノイル-sn-グリセロール-3-ホスホコリンの添加、結晶化、及び遠心分離により、油から塩素源をより効果的に下相に濃縮し、これにより上相をより効率的に精製することができることが示された。
実施例4
工業的に生成した粗パーム油
工業的に生成した粗パーム油は、Nutriswiss(Lyss,Switzerland)から購入した。油を、低減試験の後、遠心分離による予備精製に供した。
6Lの粗パーム油を、水浴中80℃まで加熱することによって融解した。手動で振盪することによって油を均質化した。1Lのアリコートを1Lポリプロピレン管(Sorvall 1000mL)に移し、Thermo Scientific Heraeus Cryofuge 8500i遠心分離器内にて40℃で、8000gで15分間遠心分離した。更なる試験には、沈殿物不含の上部90%(v/v%)の油を使用した。
圧搾ヒマワリ油
ヒマワリ種子を、家庭用電気油圧搾機(OP700,Rommelsbacher,Germany)を使用して圧搾して、圧搾油及び残りの固体残留物(ケーキ)を得た。次いで、圧搾した油を、オーブン内で、65℃で濾紙(Whatman 595 1/2)を通して濾過した。
水酸脱ガム
油を80℃まで加熱し、次いで、リン酸≧85%を、油の0.02%(v/v%)の量で添加した。次いで、油を、80℃、1500rpmで5分間剪断した(Silverson LM-5A)。水を添加(混合物の2体積%)した後、温度を80℃に維持しながら15分間、混合物を剪断した(Silverson LM-5A)。15000g、40℃で15分間、遠心分離した(Centrifuge 5804R,Eppendorf,VWR International GmbH,Switzerland)。上部90%(v/v%)の脱ガムした液相を更なる作業に使用した。
500mLの圧搾された粗ヒマワリは、湿式酸脱ガムに供された。添加されたヒマワリガム抽出物の量と最終的に観察されたMCPD濃度に対する低減効果との間の用量反応関係を調査するため、上記回収されたガム相を用い湿式酸脱ガム前の粗パーム油に様々な量でガムアリコートを添加した。
2mL、10mL、及び30mLの粗ヒマワリ油に対応するヒマワリガムアリコートを採取した。次いで、これらのガムを、脱ガム前の粗パーム油10mLアリコートに添加した。これは、0.2体積相当量、1体積相当量、及び3体積相当量のガム添加量に相当する。
次いで、得られた混合物は、上記と同じ湿式酸脱ガムプロセス、及びその後の熱処理、及びLC-MS分析に供された。
熱処理した油で観察されたMCPD濃度から、実際に脱ガムプロセス前にヒマワリガムを添加すると、MCPDの形成が減少することが確認され、この効果は用量反応関係を示す。
実施例5
工業的に生成した粗魚油
工業的に生成した粗魚油は、Sofonil S.A.(Manno,Switzerland)から入手した。
圧搾ヒマワリ油
ヒマワリ種子を、家庭用電気油圧搾機(OP700,Rommelsbacher,Germany)を使用して圧搾して、圧搾油及び残りの固体残留物(ケーキ)を得た。次いで、圧搾した油を、オーブン内で、65℃で濾紙(Whatman 595 1/2)を通して濾過した。
AOCS公式法による総MCPDの分析
試料をSGS(SGS Germany GmbH,Hamburg,Germany)に提出し、AOCS Cd 29b-13法で分析し、遊離型2-MCPD及び3-MCPDと、それぞれのエステル化(結合)型との合計を求めた。
補助油としての圧搾ヒマワリ油の有益な効果は、以下に述べるように、4種類の魚油含有試料で研究された。
粗魚油
粗魚油の10mLアリコートを60℃で30分間平衡化し、次いで15000g、40℃で15分間、遠心分離した(Centrifuge 5804R,Eppendorf,VWR International GmbH,Switzerland)。熱処理及びその後のSGSでのMCPD分析のために、上部10%(v/v%)及び下部10%(v/v%)を採取した。
固体粗魚油と圧搾粗ヒマワリ油との混合物
粗魚油を15000g、室温で15分間、遠心分離し(Centrifuge 5804R,Eppendorf,VWR International GmbH,Switzerland)、得られた固体画分を分離し、更なる作業に使用した。粗魚油のこの固体画分を、圧搾粗ヒマワリと1:1の割合で混合し、80℃まで加熱し、10秒間ボルテックスすることによって均質化した。得られた混合物を室温まで放冷し、周囲温度で1ヶ月間保管した。次いで、混合物を15000g、室温で15分間、遠心分離し(Centrifuge 5804R,Eppendorf,VWR International GmbH,Switzerland)、混合物の、分離された固体画分及び液体画分を得た。
固体粗魚油と圧搾粗ヒマワリ油との混合物から得られた液体画分及び固体画分
固体粗魚油と圧搾粗ヒマワリ油との混合物から得られた上記の得られた液体画分及び固体画分を45℃で平衡化して、試料の完全な融解を可能にした。次いで、試料を15000g、40℃で15分間遠心分離した(Centrifuge 5804R,Eppendorf,VWR International GmbH,Switzerland)。熱処理及びその後のSGSでのMCPD分析のために、各試料の上部10%(v/v%)及び下部10%(v/v%)の画分を採取した。
図5の結果から、粗製魚油を遠心分離に供した場合、上相で3.8ppmの3-MCPD、下相で4.9ppmの3-MCPDが検出されるという、弱い効果しか観察できなかったことが示される。これは、下相において約1.3倍の蓄積に相当する。
しかし、粗魚油の固体画分を圧搾粗ヒマワリ油と混合する場合、液体画分と固体画分では非常に異なるMCPD濃度が観察され、それぞれ1.2ppmと4.7ppmの3-MCPDであった。これは、液体と固体画分の間で蓄積倍率が4(accumulation factor of 4)であることを示唆している(図5の2番目のバーを参照)。この結果はまた、MCPDの供給源が固相で大部分濃縮され、液相が精製されたことも示唆している。
この蓄積効果が遠心分離そのものに由来するものであることを実証するために、両画分を45℃まで加熱して固体画分を完全に融解させ、上記のように遠心分離に供した。予想通り、液体画分から得られた上相及び下相は、それぞれ1.1ppmと1.1ppmであり、同じ3-MCPD濃度を示していた。しかしながら、固体画分から得られた上相及び下相は、それぞれ2.8ppmと7.6ppmの3-MCPD濃度を示した。これは下相の蓄積倍率が2.7であることに相当し(図5の4番目のバーを参照)、実際に遠心分離によってMCPDの前駆体が下相において濃縮されたことが確認された。
実施例6
脱色パーム油に対する補助脱ガムの効果
LC-MS分析手順は、上記の実施例の項の始めに記載のように実施した。
工業的に生成した粗パーム油
工業的に生成した粗パーム油は、Nutriswiss(Lyss,Switzerland)から購入した。油を、遠心分離による予備精製に供した。5Lの工業用粗パーム油を、水浴中60℃で30分間平衡化し、次いで手動で振盪することによって激しく均質化した。40mLのアリコートを50mLのFalcon(登録商標)チューブに移し、15000g、40℃で15分間遠心分離した(Centrifuge 5804R,Eppendorf,VWR International GmbH,Switzerland)。各Falcon(登録商標)チューブから36mLのアリコートに相当する沈殿物不含の上部90%(v/v%)を採取し、合わせて更なる作業に使用した。
圧搾ヒマワリ油
ヒマワリ種子を、家庭用電気油圧搾機(OP700,Rommelsbacher,Germany)を使用して圧搾して、圧搾油及び残りの固体残留物(ケーキ)を得た。次いで、圧搾した油を、オーブン内で、65℃で濾紙(Whatman 595 1/2)を通して濾過した。
ヒマワリ油からのガムの生成
圧搾粗ヒマワリ油を、まず油を80℃まで加熱し、次いで0.02%(v/v%)のリン酸(≧85%グレード)を添加することによって脱ガムした。混合物を、Silverson LM-5Aミキサー内で、80℃、1500rpmで5分間剪断した。次いで、2体積%の水を添加し、この混合物を80℃に維持しながら5分間更に剪断した。次いで、混合物を40mLのFalconチューブに移し、15000g、40℃で15分間遠心分離した(Centrifuge 5804R,Eppendorf,VWR International GmbH,Switzerland)。油の上部90%(v/v%)を取り出し、チューブの底に析出したガムを含む下部の4mLの液相を、更なる作業のために「ガム」として使用した。
パーム油の水酸脱ガム
油を80℃まで加熱し、次いで、リン酸≧85%を、油の0.02体積%の量で添加した。次いで、油を、80℃、1500rpmで2分間剪断した(Silverson LM-5A)。水を添加(混合物の2体積%)した後、温度を80℃に維持しながら2分間、混合物を剪断した(Silverson LM-5A)。15000g、40℃で15分間、遠心分離した(Centrifuge 5804R,Eppendorf,VWR International GmbH,Switzerland)。上部90%(v/v%)の脱ガムした液相を更なる作業に使用した。
脱ガムしたパーム油の脱色
脱ガムしたパーム油を、水浴中85℃で加熱した0.5Lのロータリーエバポレーター用丸底フラスコに移し、1%の漂白土(Tonsil 112FF)を添加した。フラスコを240rpmで回転させ、温度を上昇させ、95℃で保持し、50mbarで20分間、真空にした。最後に、Whatmanフィルター8umを使用して、真空Millipore濾過装置を介して油を濾過した。得られた脱色されたパーム油を、上記のように熱処理及びLC-MS分析に供した。
脱色パーム油の補助脱ガム
ヒマワリガムのパーム油への添加
ガムは、上記のようにヒマワリ油から得た。次いで、2体積相当量のヒマワリガムを脱色パーム油に添加した。この場合、この添加は、500mLのヒマワリ油から得られたヒマワリガムを250mLの脱色パーム油に添加することに相当した。混合物を、Silverson LM-5A内で、80℃、1500rpmで2分間剪断することにより均質化した。
ヒマワリガムと脱色パーム油との混合物の水酸脱ガム
ヒマワリガム及び脱色パーム油を含有する混合物を80℃まで加熱し、次いで、リン酸≧85%を0.02体積%の量で添加した。次いで、混合物を、80℃、1500rpmで2分間剪断した(Silverson LM-5A)。水を添加(混合物の2体積%)した後、温度を80℃に維持しながら2分間、混合物を剪断した(Silverson LM-5A)。15000g、40℃で10分間、遠心分離した(Centrifuge 5804R,Eppendorf,VWR International GmbH,Switzerland)。上部90%(v/v%)の脱ガムした液相を取り出し、上記のように熱処理及びLC-MS分析に供した。
これらの脱色熱処理油において観察されたMCPDジエステル濃度から、実際に脱色プロセス後のヒマワリガムの添加を含む補助脱ガムが、MCPDの形成の減少をもたらすことが確認された(図6)。
実施例7~11について、アンプル加熱、分析手順、及びLC-MS分析のデータ解釈については、上記のとおりに見出すことができる。指示がある場合は、試料は、AOCS公式のCd 29b-13法による確証的分析のために、外部研究所SGS(SGS Germany GmbH,Hamburg,Germany)に送られた。この方法により、遊離型2-MCPD及び3-MCPDと、それぞれのエステル化(結合)型との合計を求めた。
実施例7
第2の補助脱ガムの効果
この実施例の重要な工程は、以下のように要約される。
Figure 2023502059000002
工業的に生成した粗パーム油
工業的に生成した粗パーム油は、Nutriswiss(Lyss,Switzerland)から購入した。油を、遠心分離による予備精製に供した。5Lの工業用粗パーム油を、水浴中60℃で30分間平衡化し、次いで手動で振盪することによって激しく均質化した。50mLのFalcon(登録商標)チューブに40mLのアリコートを移し、15000g、40℃で15分間遠心分離した(Centrifuge 5804R,Eppendorf,VWR International GmbH,Switzerland)。36mLのアリコートに相当する沈殿物不含の上部80体積%を各Falcon(登録商標)チューブから採取し、合わせて更なる作業に使用した。
圧搾ヒマワリ油
ヒマワリ種子を、家庭用電気油圧搾機(OP700,Rommelsbacher,Germany)を使用して圧搾して、圧搾油及び残りの固体残留物(ケーキ)を得た。次いで、圧搾した油を、室温で濾紙(Whatman 595 1/2)を通して濾過した。
ヒマワリ油からのガムの生成
圧搾粗ヒマワリ油を、まず油を80℃まで加熱し、次いで0.02%(v/v%)のリン酸(≧85%グレード)を添加することによって脱ガムした。混合物を、Silverson LM-5Aミキサー内で、80℃、1500rpmで5分間剪断した。次いで、2体積%の水を添加し、この混合物を80℃に維持しながら5分間更に剪断した。次いで、混合物を40mLのFalconチューブに移し、15000g、40℃で15分間遠心分離した(Centrifuge 5804R,Eppendorf,VWR International GmbH,Switzerland)。油の上部95%(v/v%)を取り出し、チューブの底部に析出したガムを含む残りの下相を、更なる作業のために「ガム」として使用した。
パーム油の水酸脱ガム
油を80℃まで加熱し、次いで、リン酸≧85%を、油の0.02体積%の量で添加した。次いで、油を、80℃、1500rpmで2分間剪断した(Silverson LM-5A)。水を添加(混合物の2体積%)した後、温度を80℃に維持しながら2分間、混合物を剪断した(Silverson LM-5A)。15000g、40℃で15分間、遠心分離した(Centrifuge 5804R,Eppendorf,VWR International GmbH,Switzerland)。上部90%(v/v%)の脱ガムした液相を更なる作業に使用した。
第1の補助脱ガム工程
脱ガムしたパーム油へのヒマワリガムの添加
ガムは、上記のようにヒマワリ油から得た。次いで、2体積相当量のヒマワリガムを酸-水脱ガムしたパーム油に添加した。この場合、この添加は、80mLのヒマワリ油から得られたヒマワリガムを40mLの脱ガムしたパーム油に添加することに相当した。混合物を、Silverson LM-5A内で、80℃、5000rpmで4分間剪断することにより均質化した。
ヒマワリガムとパーム油との混合物の水酸脱ガム
ヒマワリガム及び酸-水脱ガムパーム油を含有する上記混合物を80℃まで加熱し、次いで、リン酸≧85%を0.02体積%の量で添加した。次いで、混合物を、80℃、5000rpmで2分間剪断した(Silverson LM-5A)。水を添加(混合物の2体積%)した後、温度を80℃に維持しながら2分間、混合物を剪断した(Silverson LM-5A)。15000g、40℃で15分間、遠心分離した(Centrifuge 5804R,Eppendorf,VWR International GmbH,Switzerland)。上部90%(v/v%)の脱ガムした液相(補助脱ガムしたパーム油)を脱色のために取り出した。
漂白用粘土の洗浄
3gの粘土(w/w)を97gのMilli-Q水と混合し、手動で振盪し、次いで4500gで10分間遠心分離し、水を除去し、これを3回連続して行った。次いで、湿った粘土を50℃のオーブン内で一晩乾燥させた。
補助脱ガムしたパーム油の脱色
補助脱ガムしたパーム油を、水浴中85℃で加熱した0.25Lのロータリーエバポレーター用丸底フラスコに移し、あらかじめ洗浄及び乾燥させた2%の漂白土(Tonsil 112FF)を添加した。フラスコを240rpmで回転させ、温度を上昇させ、95℃で保持し、50mbarで20分間、真空にした。最後に、Whatmanフィルター8umを使用して、真空Millipore濾過装置を介して油を濾過した。
脱色パーム油の脱色後補助脱ガム
ヒマワリガムのパーム油への添加
ガムは、上記のようにヒマワリ油から得た。次いで、2体積相当量のヒマワリガムを脱色パーム油に添加した。この場合、この添加は、80mLのヒマワリ油から得られたヒマワリガムを40mLの脱色パーム油に添加することに相当した。混合物を、Silverson LM-5A内で、80℃、5000rpmで4分間剪断することにより均質化した。混合物を、Silverson LM-5A内で、80℃、5000rpmで30分間剪断することにより均質化し、次いでThermo Scientific Heraeusオーブン(シリーズ6100)内で、165℃で1時間加熱した。この熱処理は、MCPDの形成をまだ誘発しないことに留意されたい。
ヒマワリガムと脱色パーム油との混合物の水酸脱ガム及び洗浄
ヒマワリガム及び脱色パーム油を含有する混合物を80℃まで加熱し、次いで、リン酸≧85%を0.02体積%の量で添加した。次いで、混合物を、80℃、5000rpmで2分間剪断した(Silverson LM-5A)。水を添加(混合物の2体積%)した後、温度を80℃に維持しながら2分間、混合物を剪断した(Silverson LM-5A)。15000g、40℃で15分間、遠心分離した(Centrifuge 5804R,Eppendorf,VWR International GmbH,Switzerland)。更なる洗浄のために、上部90%(v/v%)の脱ガムした液相を取り出した。混合物を80℃まで加熱し、水を添加(混合物の2体積%)した後、温度を80℃に維持しながら2分間、5000rpmで混合物を剪断した(Silverson LM-5A)。15000g、40℃で15分間、遠心分離した(Centrifuge 5804R,Eppendorf,VWR International GmbH,Switzerland)。洗浄の最後の工程のために、上部90%(v/v%)を取り出した。混合物を80℃まで加熱し、水を添加(混合物の2体積%)した後、温度を80℃に維持しながら2分間、5000rpmで混合物を剪断した(Silverson LM-5A)。15000g、40℃で15分間、遠心分離した(Centrifuge 5804R,Eppendorf,VWR International GmbH,Switzerland)。上部90%(v/v%)の液相(脱色後補助脱ガムしたパーム油)を乾燥、脱色、アンプル熱処理、及びLC-MS分析のために取り出した。
油の乾燥
油を、水浴中85℃で加熱した0.5L、0.2Lのロータリーエバポレーター用丸底フラスコに移した。フラスコを240rpmで回転させ、温度を上昇させ、95℃で保持し、15mbarで20分間、真空にした。
2回補助脱ガムしたパーム油の第2の脱色
脱色後補助脱ガムしたパーム油を、水浴中85℃で加熱した0.25Lのロータリーエバポレーター用丸底フラスコに移し、あらかじめ洗浄及び乾燥させた2%の漂白土(Tonsil 112FF)を添加した。フラスコを240rpmで回転させ、温度を上昇させ、95℃で保持し、50mbarで20分間、真空にした。最後に、Whatmanフィルター8umを使用して、真空Millipore濾過装置を介して油を濾過した。
3-MCPDの絶対濃度は、SGSの実験室でのAOCS公式Cd29b-13法によって決定された。図7に示される結果は、第2の脱色後補助脱ガムを乾燥とともに適用することが、この場合には約0.7ppmの低減に相当する3-MCPDの約50%の減少をもたらすことを示す。この効果は、試料を第2の最終的な脱色プロセスに供した場合にわずかに低下するものの維持され、この場合には約0.5ppmの低減に相当する3-MCPDの約30%の減少を維持する(図7の3列目を参照)。
実施例8
洗浄と組み合わせた二重補助脱ガムの効果
この実施例の重要な工程は、以下のように要約される。
Figure 2023502059000003
工業的に生成した粗パーム油
工業的に生成した粗パーム油は、Nutriswiss(Lyss,Switzerland)から購入した。油を、遠心分離による予備精製に供した。5Lの工業用粗パーム油を、水浴中60℃で30分間平衡化し、次いで手動で振盪することによって激しく均質化した。40mLのアリコートを50mLのFalcon(登録商標)チューブに移し、15000g、40℃で15分間遠心分離した(Centrifuge 5804R,Eppendorf,VWR International GmbH,Switzerland)。各Falcon(登録商標)チューブから36mLのアリコートに相当する沈殿物不含の上部80%(v/v%)を採取し、合わせて更なる作業に使用した。
圧搾ヒマワリ油
ヒマワリ種子を、家庭用電気油圧搾機(OP700,Rommelsbacher,Germany)を使用して圧搾して、圧搾油及び残りの固体残留物(ケーキ)を得た。次いで、圧搾した油を、濾紙(Whatman 595 1/2)を通して濾過した。
ヒマワリ油からのガムの生成
圧搾粗ヒマワリ油を、まず油を80℃まで加熱し、次いで2%(v/v%)の水を添加することによって脱ガムした。混合物を、Silverson LM-5Aミキサー内で、80℃、1500rpmで10分間剪断した。次いで、混合物を40mLのFalconチューブに移し、15000g、40℃で15分間遠心分離した(Centrifuge 5804R,Eppendorf,VWR International GmbH,Switzerland)。油の上部95%(v/v%)を取り出し、チューブの底部に析出したガムを含む残りの下相を、更なる作業のために「ガム」として使用した。
パーム油の水脱ガム
油を80℃まで加熱し、水を、油の2体積%の量で添加した。次いで、油を、80℃、1500rpmで4分間剪断した(Silverson LM-5A)。15000g、40℃で15分間、遠心分離した(Centrifuge 5804R,Eppendorf,VWR International GmbH,Switzerland)。上部90%(v/v%)の脱ガムした液相を更なる作業に使用した。
第1の補助脱ガム工程
脱ガムしたパーム油へのヒマワリガムの添加
ガムは、上記のようにヒマワリ油から得た。次いで、2体積相当量のヒマワリガムを水脱ガムしたパーム油に添加した。この場合、この添加は、80mLのヒマワリ油から得られたヒマワリガムを40mLの水脱ガムしたパーム油に添加することに相当した。混合物を、Silverson LM-5A内で、80℃、5000rpmで30分間剪断することにより均質化し、次いでThermo Scientific Heraeusオーブン(シリーズ6100)内で、165℃で1時間加熱した。この熱処理は、MCPDの形成をまだ誘発しないことに留意されたい。
ガム-パーム油混合物の脱ガム及び洗浄
この熱処理後、試料を40℃の水浴中10分間冷却し、次いで15000g、40℃で15分間遠心分離に供した(Centrifuge 5804R,Eppendorf,VWR International GmbH,Switzerland)。更なる作業のために、上部90%(v/v%)の液相(補助脱ガムしたパーム油)を取り出した。
上記混合物を80℃まで加熱し、次いで、リン酸≧85%を0.02体積%の量で添加した。次いで、混合物を、80℃、5000rpmで2分間剪断した(Silverson LM-5A)。水を添加(混合物の2体積%)した後、温度を80℃に維持しながら2分間、混合物を剪断した(Silverson LM-5A)。15000g、40℃で15分間、遠心分離した(Centrifuge 5804R,Eppendorf,VWR International GmbH,Switzerland)。更なる洗浄のために、上部90%(v/v%)の脱ガムした液相を取り出した。混合物を80℃まで加熱し、水を添加(混合物の2体積%)した後、温度を80℃に維持しながら2分間、5000rpmで混合物を剪断した(Silverson LM-5A)。15000g、40℃で15分間、遠心分離した(Centrifuge 5804R,Eppendorf,VWR International GmbH,Switzerland)。洗浄の最後の工程のために、上部90%(v/v%)を取り出した。混合物を80℃まで加熱し、水を添加(混合物の2体積%)した後、温度を80℃に維持しながら2分間、5000rpmで混合物を剪断した(Silverson LM-5A)。15000g、40℃で15分間、遠心分離した(Centrifuge 5804R,Eppendorf,VWR International GmbH,Switzerland)。更なる作業のために、上部90%(v/v%)の液相(補助脱ガムした洗浄したパーム油)を取り出した。
漂白用粘土の洗浄
3gの粘土(w/w)を97gのMilli-Q水と混合し、手動で振盪し、次いで4500gで10分間遠心分離し、水を除去し、これを3回連続して行った。次いで、湿った粘土を50℃のオーブン内で一晩乾燥させた。
補助脱ガムしたパーム油の脱色
補助脱ガムしたパーム油を、水浴中85℃で加熱した0.25Lのロータリーエバポレーター用丸底フラスコに移し、あらかじめ洗浄及び乾燥させた2%の漂白土(Tonsil 112FF)を添加した。フラスコを240rpmで回転させ、温度を上昇させ、95℃で保持し、50mbarで20分間、真空にした。最後に、Whatmanフィルター8umを使用して、真空Millipore濾過装置を介して油を濾過した。
脱色したパーム油の第2の脱色後補助脱ガム
この工程は、以前の補助脱ガム及び洗浄工程の繰り返しであるが、第1の脱色後のものである。
ヒマワリガムのパーム油への添加
ガムは、上記のようにヒマワリ油から得た。次いで、2体積相当量のヒマワリガムを脱色パーム油に添加した。この場合、この添加は、80mLのヒマワリ油から得られたヒマワリガムを40mLの脱色パーム油に添加することに相当した。混合物を、Silverson LM-5A内で、80℃、5000rpmで4分間剪断することにより均質化した。混合物を、Silverson LM-5A内で、80℃、5000rpmで30分間剪断することにより均質化し、次いでThermo Scientific Heraeusオーブン(シリーズ6100)内で、165℃で1時間加熱した。この熱処理は、MCPDの形成をまだ誘発しないことに留意されたい。
ヒマワリガムと脱色パーム油との混合物の水酸脱ガム及び洗浄
ヒマワリガム及び脱色パーム油を含有する混合物を80℃まで加熱し、次いで、リン酸≧85%を0.02体積%の量で添加した。次いで、混合物を、80℃、5000rpmで2分間剪断した(Silverson LM-5A)。水を添加(混合物の2体積%)した後、温度を80℃に維持しながら2分間、混合物を剪断した(Silverson LM-5A)。15000g、40℃で15分間、遠心分離した(Centrifuge 5804R,Eppendorf,VWR International GmbH,Switzerland)。更なる洗浄のために、上部90%(v/v%)の脱ガムした液相を取り出した。混合物を80℃まで加熱し、水を添加(混合物の2体積%)した後、温度を80℃に維持しながら2分間、5000rpmで混合物を剪断した(Silverson LM-5A)。15000g、40℃で15分間、遠心分離した(Centrifuge 5804R,Eppendorf,VWR International GmbH,Switzerland)。洗浄の最後の工程のために、上部90%(v/v%)を取り出した。混合物を80℃まで加熱し、水を添加(混合物の2体積%)した後、温度を80℃に維持しながら2分間、5000rpmで混合物を剪断した(Silverson LM-5A)。15000g、40℃で15分間、遠心分離した(Centrifuge 5804R,Eppendorf,VWR International GmbH,Switzerland)。上部90%(v/v%)の液相(二重補助脱ガムし、脱色したパーム油)を乾燥、脱色、アンプル熱処理、及びLC-MS分析のために取り出した。
油の乾燥
油を、水浴中85℃で加熱した0.5L又は0.2Lのロータリーエバポレーター用丸底フラスコに移した。フラスコを240rpmで回転させ、温度を上昇させ、95℃で保持し、15mbarで20分間、真空にした。
2回補助脱ガムしたパーム油の第2の脱色
脱色後補助脱ガムしたパーム油を、水浴中85℃で加熱した0.25Lのロータリーエバポレーター用丸底フラスコに移し、あらかじめ洗浄及び乾燥させた2%の漂白土(Tonsil 112FF)を添加した。フラスコを240rpmで回転させ、温度を上昇させ、95℃で保持し、50mbarで20分間、真空にした。最後に、Whatmanフィルター8umを使用して、真空Millipore濾過装置を介して油を濾過した。
これらの乾燥、脱色、熱処理された油で観察されたMCPDジエステル濃度は、2回の補助脱ガム工程とその間の脱色工程の適用により、乾燥試料の3-MCPDの約77%の減少を示す(図8)。この効果は、試料を第2の最終的な脱色プロセスに供した場合にわずかに低下するものの維持され、3-MCPDの約71%の減少を維持する(図8の3列目を参照)。
同じ試料について、SGSの実験室でのAOCS公式Cd29b-13法によって3-MCPDの絶対濃度を決定した。図9に示される結果から、第2の脱色後補助脱ガムを乾燥とともに適用することが、この場合には約1.2ppmの低減に相当する3-MCPDの約67%の減少をもたらすことが確認される。この効果は、試料を第2の最終的な脱色プロセスに供した場合にわずかに低下するものの維持され、この場合には約1.1ppmの低減に相当する3-MCPDの約61%の減少を維持する(図9の3列目を参照)。
実施例9
洗浄と組み合わせた無酸補助脱ガムの効果
この実施例の重要な工程は、以下のように要約される。
Figure 2023502059000004
工業的に生成した粗パーム油
工業的に生成した粗パーム油は、Nutriswiss(Lyss,Switzerland)から購入した。油を、遠心分離による予備精製に供した。5Lの工業用粗パーム油を、水浴中60℃で30分間平衡化し、次いで手動で振盪することによって激しく均質化した。40mLのアリコートを50mLのFalcon(登録商標)チューブに移し、15000g、40℃で15分間遠心分離した(Centrifuge 5804R,Eppendorf,VWR International GmbH,Switzerland)。各Falcon(登録商標)チューブから36mLのアリコートに相当する沈殿物不含の上部80%(v/v%)を採取し、合わせて更なる作業に使用した。
圧搾ヒマワリ油
ヒマワリ種子を、家庭用電気油圧搾機(OP700,Rommelsbacher,Germany)を使用して圧搾して、圧搾油及び残りの固体残留物(ケーキ)を得た。次いで、圧搾した油を、濾紙(Whatman 595 1/2)を通して濾過した。
ヒマワリ油からのガムの生成
圧搾粗ヒマワリ油を、まず油を80℃まで加熱し、次いで2%(v/v%)の水を添加することによって脱ガムした。混合物を、Silverson LM-5Aミキサー内で、80℃、1500rpmで10分間剪断した。次いで、混合物を40mLのFalconチューブに移し、15000g、40℃で15分間遠心分離した(Centrifuge 5804R,Eppendorf,VWR International GmbH,Switzerland)。油の上部95%(v/v%)を取り出し、チューブの底部に析出したガムを含む残りの下相を、更なる作業のために「ガム」として使用した。
パーム油の水脱ガム
油を80℃まで加熱し、水を、油の2体積%の量で添加した。次いで、油を、80℃、1500rpmで4分間剪断した(Silverson LM-5A)。15000g、40℃で15分間、遠心分離した(Centrifuge 5804R,Eppendorf,VWR International GmbH,Switzerland)。上部90%(v/v%)の脱ガムした液相を更なる作業に使用した。
補助脱ガム
ヒマワリガムの脱ガムしたパーム油への添加
ガムは、上記のようにヒマワリ油から得た。次いで、2体積相当量のヒマワリガムを水脱ガムしたパーム油に添加した。この場合、この添加は、80mLのヒマワリ油から得られたヒマワリガムを40mLの水脱ガムしたパーム油に添加することに相当した。混合物を、Silverson LM-5A内で、80℃、5000rpmで30分間剪断することにより均質化し、次いでThermo Scientific Heraeusオーブン(シリーズ6100)内で、165℃で1時間加熱した。この熱処理は、MCPDの形成をまだ誘発しないことに留意されたい。
ガム-パーム油混合物の脱ガム及び洗浄
この熱処理後、試料を40℃の水浴中10分間冷却し、次いで15000g、40℃で15分間遠心分離に供した(Centrifuge 5804R,Eppendorf,VWR International GmbH,Switzerland)。更なる作業のために、上部90%(v/v%)の液相(補助脱ガムしたパーム油)を取り出した。
混合物を80℃まで加熱し、水を添加(混合物の2体積%)した後、温度を80℃に維持しながら2分間、5000rpmで混合物を剪断した(Silverson LM-5A)。15000g、40℃で15分間、遠心分離した(Centrifuge 5804R,Eppendorf,VWR International GmbH,Switzerland)。更なる作業のために、上部90%(v/v%)を取り出し、この洗浄プロセスを更に2回繰り返した。
油の乾燥
油を、水浴中85℃で加熱した0.5L又は0.2Lのロータリーエバポレーター用丸底フラスコに移した。フラスコを240rpmで回転させ、温度を上昇させ、95℃で保持し、15mbarで20分間、真空にした。
漂白用粘土の洗浄
3gの粘土(w/w)を97gのMilli-Q水と混合し、手動で振盪し、次いで4500gで10分間遠心分離し、水を除去し、これを3回連続して行った。次いで、湿った粘土を50℃のオーブン内で一晩乾燥させた。
脱ガムしたパーム油の脱色
補助脱ガムしたパーム油を、水浴中85℃で加熱した0.25Lのロータリーエバポレーター用丸底フラスコに移し、あらかじめ洗浄及び乾燥させた2%の漂白土(Tonsil 112FF)を添加した。フラスコを240rpmで回転させ、温度を上昇させ、95℃で保持し、50mbarで20分間、真空にした。最後に、Whatmanフィルター8umを使用して、真空Millipore濾過装置を介して油を濾過した。
3-MCPDの絶対濃度は、SGSの実験室でのAOCS公式Cd29b-13法によって決定された。図10に示される結果から、無酸補助脱ガムを乾燥とともに適用することが、この場合には約0.7ppmの低減に相当する3-MCPDの約42%の減少をもたらすことが確認される。この効果は、試料を脱色プロセスに供した場合に維持され、この場合には約0.8ppmの低減に相当する3-MCPDの約47%の減少を維持する(図10の3列目を参照)。
実施例10
粗魚油中の補助沈降
工業的に生成した粗魚油
工業的に生成した粗魚油は、Sofonil S.A.(Manno,Switzerland)から入手した。
圧搾ヒマワリ油
ヒマワリ種子を、家庭用電気油圧搾機(OP700,Rommelsbacher,Germany)を使用して圧搾して、圧搾油及び残りの固体残留物(ケーキ)を得た。次いで、圧搾した油を、オーブン内で、65℃で濾紙(Whatman 595 1/2)を通して濾過した。
ヒマワリ油からの沈殿したガムの生成
圧搾粗ヒマワリ油を室温で4週間静置し、貯蔵ボトルの底部に沈殿物層を発生させた。油の上部90%を取り出し、沈殿物に富む下部10%を、「沈殿したヒマワリガム」として更なる作業のために使用した。使用直前に、沈殿したヒマワリガムを、Thermo Scientific Heraeusオーブン(シリーズ6100)内で30分間165℃まで加熱し、次いで、40℃の水浴中15分間冷却した。
沈殿したヒマワリガムによる粗魚油の補助沈降
粗魚油の9mLアリコートを1mLの熱処理された沈殿したヒマワリガムと混合した。混合物を水浴中80℃まで15分間加熱し、手動で振盪した。次いで、混合物を室温で3週間保管した。
この保管後、混合物を水浴中45℃で15分間平衡化し、次いで15000g、40℃で15分間、遠心分離した(Centrifuge 5804R,Eppendorf,VWR International GmbH,Switzerland)。熱処理及びその後のMCPD分析のために、上部10%(v/v%)、中央部80%、及び下部10%(v/v%)を採取した。
3-MCPDの絶対濃度は、SGSの実験室でのAOCS公式Cd29b-13法によって決定された。図11に示す結果から、下部10%相では油の残りの部分の2倍を超える3-MCPDが発生しており、これによりMCPD前駆体が下部相に蓄積されていることが確認された。このことは、油の上部10%及び中央部80%が、元の原料油と比較して約1ppm低い3-MCPD濃度を示すという結果によって補完される。
実施例11
粗魚油の補助沈降の加速
工業的に生成した粗魚油
工業的に生成した粗魚油は、Sofonil S.A.(Manno,Switzerland)から入手した。
圧搾ヒマワリ油
ヒマワリ種子を、家庭用電気油圧搾機(OP700,Rommelsbacher,Germany)を使用して圧搾して、圧搾油及び残りの固体残留物(ケーキ)を得た。次いで、圧搾した油を、オーブン内で、65℃で濾紙(Whatman 595 1/2)を通して濾過した。
ヒマワリ油からの沈殿ガムの生成
圧搾粗ヒマワリ油を室温で4週間静置し、貯蔵ボトルの底部に沈殿物層を発生させた。油の上部90%を取り出し、沈殿物に富む下部10%を、「沈殿したヒマワリガム」として更なる作業のために使用した。使用直前に、沈殿したヒマワリガムを、Thermo Scientific Heraeusオーブン(シリーズ6100)内で30分間165℃まで加熱し、次いで、40℃の水浴中15分間冷却した。
沈殿したヒマワリガムによる粗魚油の補助沈降の加速
粗魚油の9mLアリコートを1mLの熱処理された沈殿したヒマワリガムと混合した。混合物を水浴中80℃まで15分間加熱し、手動で振盪した。次いで、混合物を6℃の温度で1週間保管した。
この保管後、混合物を水浴中45℃で15分間平衡化し、次いで15000g、40℃で15分間、遠心分離した(Centrifuge 5804R,Eppendorf,VWR International GmbH,Switzerland)。熱処理及びその後のMCPD分析のために、上部10%(v/v%)、中央部80%、及び下部10%(v/v%)を採取した。
3-MCPDの絶対濃度は、SGSの実験室でのAOCS公式Cd29b-13法によって決定された。図12に示す結果から、下部10%相では油の残りの部分の約2倍の3-MCPDが発生し、これによりMCPD前駆体が下部相に蓄積されていることが確認された。
アンプル加熱及び分析手順の説明は、上記のとおりに見出すことができる。
実施例12
乾燥油における2工程の補助脱ガムの効果
この実施例の重要な工程は、以下の概略図に要約される。
Figure 2023502059000005
工業的に生成した粗パーム油
工業的に生成した粗パーム油は、Nutriswiss(Lyss,Switzerland)から購入した。油を、遠心分離による予備精製に供した。5Lの工業用粗パーム油を、水浴中60℃で30分間平衡化し、次いで手動で振盪することによって激しく均質化した。40mLのアリコートを50mLのFalcon(登録商標)チューブに移し、15000g、40℃で15分間遠心分離した(Centrifuge 5804R,Eppendorf,VWR International GmbH,Switzerland)。各Falcon(登録商標)チューブから36mLのアリコートに相当する沈殿物不含の上部90体積%を採取し、合わせて更なる作業に使用した。
圧搾ヒマワリ油
ヒマワリ種子を、家庭用電気油圧搾機(OP700,Rommelsbacher,Germany)を使用して圧搾して、圧搾油及び残りの固体残留物(ケーキ)を得た。次いで、圧搾した油を、室温で濾紙(Whatman 595 1/2)を通して濾過した。
ヒマワリ油からのガムの生成
圧搾粗ヒマワリ油を、まず室温で2体積%の水を添加することによって脱ガムした。混合物を、Silverson LM-5Aミキサー内で、室温、1500rpmで10分間剪断した。次いで、混合物を40mLのFalconチューブに移し、室温で30分間静置し、次いで、15000g、室温で15分間遠心分離した(Centrifuge 5804R,Eppendorf,VWR International GmbH,Switzerland)。油の上部90%(v/v%)を取り出し、チューブの底部に析出したガムを含む残りの下相を、更なる作業のために「ガム」として使用した。
パーム油の水脱ガム
油を80℃まで加熱し、次いで、80℃まで加熱した2体積%の水を添加した。次いで、油を、80℃、1500rpmで4分間剪断した(Silverson LM-5A)。15000g、40℃で15分間、遠心分離した(Centrifuge 5804R,Eppendorf,VWR International GmbH,Switzerland)。上部90%(v/v%)の脱ガムした液相を更なる作業に使用した。
1工程の水洗浄を含む補助脱ガム
ガムは、上記のようにヒマワリ油から得た。次いで、2体積相当量のヒマワリガムを水脱ガムしたパーム油に添加した。この場合、この添加は、80mLのヒマワリ油から得られたヒマワリガムを40mLの脱ガムしたパーム油に添加することに相当した。混合物を、Silverson LM-5A内で、80℃、5000rpmで30分間剪断することにより均質化し、次いでThermo Scientific Heraeusオーブン(シリーズ6100)内で、165℃で1時間、10分間隔で10秒間手動で振盪しながら、閉鎖ガラス容器内で加熱した。この熱処理は、MCPDの形成をまだ誘発しないことに留意されたい。
加熱後、混合物を、室温で5分間保持し、その後、室温の水浴に10分間入れることにより冷却した。次いで、混合物を40℃で10分間平衡化し、15000g、40℃で15分間遠心分離した(Centrifuge 5804R,Eppendorf,VWR International GmbH,Switzerland)。上部90%(v/v%)の脱ガムした液相を取り出し、更なる作業に使用した。
次の工程では、脱ガムした液相の上部90%に2%(v/v%)の水を添加した。次に、混合物を、80℃、5000rpmで4分間剪断し(Silverson LM-5A)、40℃で10分間平衡化した。次いで、15000g、40℃で15分間、遠心分離した(Centrifuge 5804R,Eppendorf,VWR International GmbH,Switzerland)。上部90%(v/v%)の脱ガム/洗浄した液相(補助脱ガムしたパーム油)を更なる作業のために取り出した。
油の乾燥
油を、水浴中95℃で加熱した0.2Lのロータリーエバポレーター用丸底フラスコに移した。フラスコを240rpmで回転させ、20mbarで20分間、真空にした。
上記の概略図に従って得られた試料を、SGSの実験室でのAOCS公式Cd29b-13法による分析に供した。図13に示される結果から、脱色プロセスを全く行わずに補助脱ガムを適用することが、この場合には約1.7ppmの低減に相当する乾燥油中の3-MCPDの約55%の減少をもたらすことが確認される。補助脱ガムを繰り返すと、更に大きな効果が観察され、3-MCPDの最終濃度が0.93ppmに達した(図13の「二重(補助脱ガム/乾燥)油」列を参照)。
実施例13
脱色と組み合わせた単回及び二重補助脱ガムの効果
この実施例の重要な工程は、以下の概略図に要約される。
Figure 2023502059000006
工業的に生成した粗パーム油
工業的に生成した粗パーム油は、Nutriswiss(Lyss,Switzerland)から購入した。油を、遠心分離による予備精製に供した。5Lの工業用粗パーム油を、水浴中60℃で30分間平衡化し、次いで手動で振盪することによって激しく均質化した。40mLのアリコートを50mLのFalcon(登録商標)チューブに移し、15000g、40℃で15分間遠心分離した(Centrifuge 5804R,Eppendorf,VWR International GmbH,Switzerland)。各Falcon(登録商標)チューブから36mLのアリコートに相当する沈殿物不含の上部90体積%を採取し、合わせて更なる作業に使用した。
圧搾ヒマワリ油
ヒマワリ種子を、家庭用電気油圧搾機(OP700,Rommelsbacher,Germany)を使用して圧搾して、圧搾油及び残りの固体残留物(ケーキ)を得た。次いで、圧搾した油を、室温で濾紙(Whatman 595 1/2)を通して濾過した。
ヒマワリ油からのガムの生成
圧搾粗ヒマワリ油を、まず室温で2体積%の水を添加することによって脱ガムした。混合物を、Silverson LM-5Aミキサー内で、室温、1500rpmで10分間剪断した。次いで、混合物を40mLのFalconチューブに移し、室温で30分間静置し、次いで、15000g、室温で15分間遠心分離した(Centrifuge 5804R,Eppendorf,VWR International GmbH,Switzerland)。油の上部90%(v/v%)を取り出し、チューブの底部に析出したガムを含む残りの下相を、更なる作業のために「ガム」として使用した。
パーム油の水脱ガム
油を80℃まで加熱し、次いで、80℃まで加熱した2体積%の水を添加した。次いで、油を、80℃、1500rpmで4分間剪断した(Silverson LM-5A)。15000g、40℃で15分間、遠心分離した(Centrifuge 5804R,Eppendorf,VWR International GmbH,Switzerland)。上部90%(v/v%)の脱ガムした液相を更なる作業に使用した。
1工程の水洗浄を含む補助脱ガム
ガムは、上記のようにヒマワリ油から得た。次いで、2体積相当量のヒマワリガムを水脱ガムしたパーム油に添加した。この場合、この添加は、80mLのヒマワリ油から得られたヒマワリガムを40mLの脱ガムしたパーム油に添加することに相当した。混合物を、Silverson LM-5A内で、80℃、5000rpmで30分間剪断することにより均質化し、次いでThermo Scientific Heraeusオーブン(シリーズ6100)内で、165℃で1時間、10分間隔で10秒間手動で振盪しながら、閉鎖ガラス容器内で加熱した。この熱処理は、MCPDの形成をまだ誘発しないことに留意されたい。
加熱後、混合物を、室温で5分間保持し、その後、室温の水浴に10分間入れることにより冷却した。次いで、混合物を40℃で10分間平衡化し、15000g、40℃で15分間遠心分離した(Centrifuge 5804R,Eppendorf,VWR International GmbH,Switzerland)。上部90%(v/v%)の脱ガムした液相を取り出し、更なる作業に使用した。
次の工程では、脱ガムした液相の上部90%に2%(v/v%)の水を添加した。次に、混合物を、80℃、5000rpmで4分間剪断し(Silverson LM-5A)、40℃で10分間平衡化した。次いで、15000g、40℃で15分間、遠心分離した(Centrifuge 5804R,Eppendorf,VWR International GmbH,Switzerland)。上部90%(v/v%)の脱ガム/洗浄した液相(補助脱ガムしたパーム油)を更なる作業のために取り出した。
油の乾燥
油を、水浴中95℃で加熱した0.2Lのロータリーエバポレーター用丸底フラスコに移した。フラスコを240rpmで回転させ、20mbarで20分間、真空にした。
漂白用粘土の洗浄
3gの粘土(w/w)を97gのMilli-Q水と混合し、手動で振盪し、次いで4500gで10分間遠心分離し、水をピペッティングにより除去し、これを3回連続して行った。次いで、湿った粘土を50℃のオーブン内で24時間乾燥させた
補助脱ガムしたパーム油の脱色
補助脱ガムしたパーム油を、水浴中95℃で加熱した0.2Lのロータリーエバポレーター用丸底フラスコに移し、あらかじめ洗浄及び乾燥させた2重量%の漂白土(Tonsil 112FF)を添加した。フラスコを240rpmで回転させ、50mbarで20分間、真空にした。最後に、Whatmanフィルター8umを使用して、真空Millipore濾過装置を介して油を濾過した。
上記の概略図に従って得られた試料を、SGSの実験室でのAOCS公式Cd29b-13法による分析に供した。図14に示される結果から、補助脱ガムを脱色プロセスと組み合わせて適用することが、この場合には約1.4ppmの低減に相当する3-MCPDの約60%の減少をもたらすことが確認される。補助脱ガム及び脱色を連続して繰り返すと、最も大きな効果が観察され、3-MCPDの最終濃度が0.64ppmに達した(図14の「二重(補助脱ガム/脱色)油」列Eを参照)。後者については、約73%の低減に相当する(列AとEを参照)。
上記明細書で言及した全ての刊行物は、本明細書に参照により組み込まれる。本発明に開示する方法、使用及び生成物の様々な修正及び変更は、本発明の範囲及び主旨から逸脱することなく、当業者には明白である。本発明は、特定の好ましい実施形態に関連して開示されているが、特許請求される本発明は、このような特定の実施形態に過度に限定されるべきではないことを理解されたい。実際、当業者には自明であり、本発明を実施するために開示された様式の種々の改変は以下の特許請求の範囲の範囲内であることを意図している。

Claims (16)

  1. トリアシルグリセリド油中のモノクロロプロパンジオール(MCPD)又はモノクロロプロパンジオールエステル(MCPDE)の形成を予防又は低減するための方法であって、
    (a)前記トリアシルグリセリド油を、
    1.補助油であって、前記トリアシルグリセリド油よりも高いリン脂質含有量及び/又はろう含有量を有する、補助トリグリセリド油、及び/又は
    2.油からのガム抽出物と混和する工程と、
    (b)前記トリアシルグリセリド油混和物を脱ガムし、及び/又は任意選択的に不溶性成分を結晶化させる工程と、
    (c)任意選択的に、前記不溶性成分及び結晶化成分を、
    1.前記トリアシルグリセリド油混和物に遠心力を加えることによって、及び/又は
    2.前記不溶性成分及び結晶化成分を重力によって沈降させることによって、
    前記トリアシルグリセリド油混和物から濃縮する工程と、
    (d)不溶性成分及び結晶化成分を前記トリアシルグリセリド油混和物から分離し、及び/又は任意選択的に、脱ガム、物理的精製、化学的精製、中和、エステル交換、脱色、脱ろう、及び分画から選択される1つ以上のプロセスを適用する工程と、
    (e)前記トリアシルグリセリド油混和物に熱処理を適用する工程と、を含む、方法。
  2. 前記トリアシルグリセリド油が、植物油、動物油、魚油、酵母油、真菌又は藻類油、好ましくは植物油である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記トリアシルグリセリド油が、パーム油又はパーム油から得られた画分である、請求項1及び2に記載の方法。
  4. 前記原料トリアシルグリセリド油が、魚油又は魚油から得られた画分である、請求項1又は2に記載の方法。
  5. 前記原料トリアシルグリセリド油が、粗油である、請求項1~4に記載の方法。
  6. 前記不溶性成分及び結晶化成分が、濾過、デカンテーション、遠心分離、ポンピング、及び排液のうちの1つ以上によって、前記トリアシルグリセリド油混和物から分離される、請求項1~5に記載の方法。
  7. 前記ガム抽出物が、沈殿、結晶化及び沈降、並びに遠心分離のうちの1つ以上によって得られる、請求項1~6に記載の方法。
  8. 前記ガム抽出物が、水脱ガム及び酸脱ガムのうちの1つ以上によって得られる、請求項1~7に記載の方法。
  9. 前記原料トリアシルグリセリド油が粗パーム油であり、工程(a2)の前記ガム抽出物がヒマワリ油から得られるガム抽出物である、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 工程(a)の前記原料トリアシルグリセリド油が、水及び/又は酸、塩基、若しくは塩と混合されたトリアシルグリセリド油である、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 工程(a1)の前記補助油が、ヒマワリ油、トウモロコシ油、キャノーラ油、大豆油、又はそれらの高オレイン変種である、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 工程(a2)の前記ガム抽出物が、ヒマワリ油、トウモロコシ油、キャノーラ油、大豆油、菜種油、又はそれらの高オレイン変種から得られる、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 前記原料トリアシルグリセリド油が、混和前に脱ガムされている、及び/又は中和されている、及び/又は脱色されている、請求項1~12のいずれかに記載の方法。
  14. 前記原料トリアシルグリセリド油が、混和前に、10%(w/w%)未満の結晶化トリアシルグリセロール含有量を有する、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 前記原料トリアシルグリセリド油が、混和前に、添加されたイオン性、カチオン性、及びアニオン性の界面活性剤及び/又は添加剤を含まない、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
  16. 請求項1~15のいずれか一項に記載の方法によって得ることができる精製トリアシルグリセリド油。
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