JP2023526796A - ビール様飲料を製造するためのシングルサーブカプセル - Google Patents

Abstract

本発明は、第１の区画及び第２の区画を含む少なくとも２つの区画を備えたカプセルに関し、第１の区画は、エタノール含量が０～１０％ＡＢＶでタンパク質を０．１～２５重量％含有する水溶液を５～３０ｍＬ含み、第２の区画は、エタノールを２０～９９．９重量％、水を０～６０重量％、並びに、イソアルファ酸類、水素化イソアルファ酸類、フルポン類及びこれらの組合せから選択されるホップ酸を３０～２，０００ｍｇ／ｋｇ含有するアルコール溶液を５～５０ｍＬ含み、ここで、エタノールと水を合わせると前記アルコール溶液の少なくとも８０重量％である。このカプセルは、通常のビールと同様の泡立ちのあるホップ添加アルコール飲料の製造に好適に使用できる。このような飲料を製造するために、カプセルの内容物を炭酸水と混合して、例えばグラスに供給する。

Description

本発明は、ビール様飲料を製造するためのシングルサーブカプセルに関する。より具体的には、本発明は、内容物を炭酸水と混合して泡立ちのあるホップ添加アルコール飲料を生産できるカプセルに関する。

シングルサーブカプセルは、第１の区画及び第２の区画を含む少なくとも２つの区画を備える。第１の区画は、エタノール含量が０～１０％ＡＢＶでタンパク質を０．１～２５重量％含有する水溶液を含む。第２の区画は、エタノールを２０～９９．９重量％、水を０～６０重量％、並びに、イソアルファ酸類、水素化イソアルファ酸類、フルポン類及びこれらの組合せから選択されるホップ酸を３０～２，０００ｍｇ／ｋｇ含有するアルコール溶液を含み、ここで、エタノールと水を合わせると前記アルコール溶液の少なくとも８０重量％である。

さらに、本発明は、前記カプセルから泡立ちのあるホップ添加アルコール飲料を製造する方法であって、
・シングルサーブカプセルを飲料製造装置に配置すること；
・第１の区画から水溶液を放出させること；
・第２の区画からアルコール溶液を放出させること；
・放出された水溶液、放出されたアルコール溶液、水及び二酸化炭素を混合して、ホップ添加アルコール飲料を生産すること；
・ホップ添加アルコール飲料を注いで泡立ちのあるホップ添加アルコール飲料を製造すること；
を含む方法に関する。

ビールの醸造に使用する４つの基本的な原料は、大麦麦芽、ホップ、酵母及び水である。大麦麦芽と添加物がデンプンを提供する。デンプンはマッシング中に発酵される糖類に変換される。酵母発酵中、これらの糖類はアルコールに変換される。大麦麦芽に由来するタンパク質と添加物は起泡剤として機能し、ビールが注がれる際の安定な泡立ち形成を可能にする。

醸造工程では、ホップは、煮沸の最初の段階で醸造物に苦味を付与するために投入され、煮沸の最終段階で香りと風味のために追加される。ホップはつるに似た植物Humulus lupulusの円錐形の雌花である。ホップは収穫された後、乾燥して、ペレット、プラグ、抽出物に加工されるか、円錐形のままである。最も重要なホップ化合物はホップ酸で、アルファ酸類（又はフムロン類）及びベータ酸類（又はルプロン類）に区別できる。アルファ酸類もベータ酸類も、ホップが添加されたビールの苦味の原因ではない。麦汁の煮沸中のアルファ酸類の熱異性化が、ビールのホップ由来の苦味の主な原因であるイソアルファ酸類を生成する。

ビールの耐光性は、イソアルファ酸類を水素化して苦味のあるジヒドロ、テトラヒドロ及びヘキサヒドロイソアルファ酸類を生成することで改善されることが知られている。酸化されたベータ酸類、特にフルポン類を使用して、ビールにホップ由来の苦味を付与できることも知られている。

濃縮シロップから炭酸飲料を製造し供給する家庭用機器、例えばSodastream（登録商標）の人気が急速に増加している。これらの機器は、水を炭酸化し、これを香味入りシロップと混合することで、炭酸飲料を作り出す。これらの機器が提供する高い融通性と利便性を考慮すると、この方法で製造できる飲料の品揃えを拡充して、より複雑なフレーバーの組成物も含めることが望ましい。

濃縮物から飲料を製造することの利点は、当技術分野において認識されている。しかし、適切な物理化学的安定性を有し、品質が良好な泡立ちのあるホップ添加アルコール飲料を製造するために好適に使用できる濃縮物の生産は、困難な課題である。

粉末の再構成によるディスペンサーでの冷たい飲料の調製は、通常、混合工程で粉末が有効に溶解しないという欠点がある。このため、得られる飲料の品質が低下し、ディスペンサー内に残留物が蓄積して損傷を与えることにつながる。

液体の飲料濃縮物は、非常に迅速に希釈でき、残留物を残さないという利点がある。しかし、十分な物理的かつ化学的安定性を有する液体飲料濃縮物を提供することは困難である。ビール様飲料を製造する濃縮液では、十分に安定で、泡立ちが安定した味の良い飲料を再構成によって形成できる濃縮液を提供することは特に困難である。濃縮液の安定性は、溶質（例．タンパク質、糖類、ホップ酸類）の沈殿及び／又は溶質間（例．エタノールと酸）の反応によって悪影響を受ける可能性がある。

米国特許出願公開第2016/0230133号は、アルコール飲料から濃縮物を製造する方法であって、
・少なくともいくらかの水とアルコールを、膜を通過させて透過液の一部とし、アルコール飲料の他の成分は膜を通過させず保持液の一部とする、アルコール飲料を膜処理すること；
・前記保持液中の水を凍結させて氷を形成すること；並びに
・前記保持液から氷を除去して水分量を減少させ、固形物濃度が少なくとも３０％でアルコール濃度が２０％以下の飲料濃縮物を形成すること；
を含む方法を記載している。

米国特許出願公開第2016/0073673号は、ビール風味の飲料の製造に有用な飲料前駆物質を記載しており、前記飲料前駆物質は、化合物の第１のグループから選択される少なくとも１つの香味化合物、化合物の第２のグループから選択される少なくとも１つの香味化合物、及び化合物の第３のグループから選択される少なくとも１つの化合物を含み、前記化合物の第１のグループは、3-メチルブタノール、2-メチルブタノール、2,3-ブタンジオン、バニリン、2-メチルプロパノール、3-メチルブタナール、2,3-ペンタンジオン、2-メチルプロパナール、2-メチルブタナール、フラネオール、2-アミノアセトフェノン、フルフラール及びエチルフラネオールからなり、前記第２のグループは、2-フェニルエタノール、2-フェニル酢酸、酢酸2-フェニルエチル、フェニルアセトアルデヒド、ミルセン、ゲラニオール、β-シトロネロール、リナロールからなり、前記第３のグループは、ホップ抽出物、テトライソ抽出物１０％、ロー（rho）イソ抽出物１０％、異性化ホップ抽出物３０％、シスイソフモロン（cis-isohumolone）、トランスイソフモロン、シスイソコフムロン、トランスイソコフムロン、イソアドフムロン、コムルチフィドールグリコシド（comultifidolglycoside）からなり、前記飲料前駆物質は、水、エタノール及び／又はウォッカと混合可能で、醸造、発酵又は蒸留を行うことなくビール風味の飲料を形成する。

米国特許出願公開第2016/0280455号は、液体が飲料製造装置によって使い捨てパッケージに供給される飲料を製造するための飲料形成装置の使い捨てパッケージを記載しており、前記使い捨てパッケージは、底壁と、底壁から上方に延び、その中にフレーバー媒体を有する内部空間を画定する管状の側壁を含む不浸透性で破裂可能なカプセルを含む。前記フレーバー媒体は、ビール、ワイン、スパークリングワイン、サイダー、ウィスキー、ジン、ベルモット、ラム酒、テキーラ及び／又はアルコール混合飲料の、香り、味及び／又は口当たりを有することができる。

国際公開第2017/167865号は、濃縮物が液体で、動粘度が最大４０．１０^３ｍＰａ・ｓ、真の抽出物密度が少なくとも２．６°Ｐ、アルコール含量が少なくとも１体積％であることを特徴とする、麦芽系飲料濃縮物又は発酵飲料濃縮物を含むシングルサーブ容器に関する。この特許出願は、
ａ．麦芽系飲料濃縮物が含まれる第１のシングルサーブ容器を準備する工程；
ｂ．エタノール濃度７５体積％以上のエタノール溶液が入った第２のシングルサーブ容器を準備する工程；
ｃ．液体希釈剤の供給源を準備する工程；
ｄ．前記希釈剤の供給源の一部を、前記第２のシングルサーブ容器の内容物と混合して、アルコール含量が３０体積％以下の中間液体混合物を得る工程；
ｅ．前記第１のシングルサーブ容器の内容物を、前記中間液体混合物、場合によっては更に前記液体希釈剤と混合して飲料を得る工程；
を含む、飲料を得る方法も記載している。

本発明者らは、通常のビールと同様の泡立ちのあるホップ添加アルコール飲料を製造するために好適に使用できるカプセルを開発した。このような飲料を製造するために、カプセルの内容物を炭酸水と混合して、例えばグラスに供給する。

本発明のカプセルは、第１の区画及び第２の区画を含む少なくとも２つの区画を備え、第１の区画は、エタノール含量が０～１０％ＡＢＶでタンパク質を０．１～２５重量％含有する水溶液を５～３０ｍＬ含み、第２の区画は、エタノールを２０～９９．９重量％、水を０～６０重量％、並びに、イソアルファ酸類、水素化イソアルファ酸類、フルポン類及びこれらの組合せから選択されるホップ酸を３０～２，０００ｍｇ／ｋｇ含有するアルコール溶液を５～５０ｍＬ含み、ここで、エタノールと水を合わせると前記アルコール溶液の少なくとも８０重量％である。

品質が良好なホップ添加アルコール飲料の製造に必要な他の成分からエタノールとホップ酸を分離することで、本発明の利点が実現される。エチルエステル（例．酢酸エチル）の形成による香味の変化、並びに／又は、タンパク質及び／若しくは糖類の沈殿による濁りの形成が回避される。さらに、水に溶けにくいホップ酸の沈殿を、ホップ酸をアルコール溶液に溶解させることで防止する。言い換えると、水とタンパク質を一方に、エタノールとホップ酸をもう一方に分けることで、水溶液とアルコール溶液の両者が非常に安定である。

本発明は、また、本発明のカプセルを製造する方法であって、
・液体水性組成物とタンパク質性の起泡剤の供給源を混合して水溶液を生産すること、ここで、前記タンパク質性の起泡剤の供給源は、タンパク質性の起泡剤を、固形分の重量で少なくとも３重量％含有する；
・液体アルコール組成物とホップ酸の供給源を混合して、アルコール溶液を生産すること、ここで、前記液体アルコール組成物はエタノールを少なくとも３０重量％及び水を６０重量％以下含有し、エタノールと水を合わせると前記液体アルコール組成物の少なくとも８０重量％であり、前記ホップ酸の供給源は、イソアルファ酸類、水素化イソアルファ酸類、フルポン類及びこれらの組合せから選択されるホップ酸を少なくとも１０重量％含有する：
・第１の区画及び第２の区画を含む少なくとも２つの区画を備えたカプセルを準備すること；
・水溶液をカプセルの第１の区画に入れること；
・アルコール溶液をカプセルの第２の区画に入れること；並びに、
・カプセルの第１及び第２の区画を閉じること；
を含む方法に関する。

品質が良好な泡立ちのあるホップ添加アルコール飲料は、本発明のシングルサーブカプセルを使用して、
・シングルサーブカプセルを飲料製造装置に配置すること；
・第１の区画から水溶液を放出させること；
・第２の区画からアルコール溶液を放出させること；
・放出された水溶液、放出されたアルコール溶液、水及び二酸化炭素を混合して、ホップ添加アルコール飲料を生産すること；
・ホップ添加アルコール飲料を供給して泡立ちのあるホップ添加アルコール飲料を生産すること；
により製造できる。

図１は、本発明によるシングルサーブカプセルの断面図を示す。 図２は、本発明によるシングルサーブカプセルが配置された飲料製造装置を示す。

本発明の１つの側面は、泡立ちのあるホップ添加アルコール飲料製造用のシングルサーブカプセルであって、前記カプセルは第１の区画及び第２の区画を含む少なくとも２つの区画を備え、前記第１の区画は、エタノール含量が０～１０％ＡＢＶでタンパク質を０．１～２５重量％含有する水溶液を５～３０ｍＬ含み、前記第２の区画は、エタノールを２０～９９．９重量％、水を０～６０重量％、並びに、イソアルファ酸類、水素化イソアルファ酸類、フルポン類及びこれらの組合せから選択されるホップ酸を３０～２，０００ｍｇ／ｋｇ含有するアルコール溶液を５～５０ｍＬ含み、ここで、エタノールと水を合わせると前記アルコール溶液の少なくとも８０重量％である、シングルサーブカプセルに関する。

用語「カプセル」は、本明細書では、本発明による２種の液体成分を別々に収容するのに好適な、区画化された容器を指す。

用語「シングルサーブ」は、本明細書では、「一分量」又は「一回分量」の同義語であり、１回分の再構成された泡立ちのあるホップ添加アルコール飲料を製造するのに十分な量の水溶液及びアルコール溶液を含むカプセルを指す。通常、１回分の飲料は、１２０ｍｌ～１０００ｍｌである。好ましくは、１回分の飲料は、１８０ｍｌ～３００ｍｌである。

本明細書における酸の濃度は、別段の指示がない限り、溶解したこれらの酸の塩、及びこれらの同じ酸と塩の解離形態も含む。

用語「イソアルファ酸類」は、本明細書では、イソフムロン、イソアドフムロン、イソコフムロン、プレ－イソフムロン、ポスト－イソフムロン及びこれらの組合せの群から選択される物質を指す。用語「イソアルファ酸類」は、異なる立体異性体（シス－イソアルファ酸類及びトランス－イソアルファ酸類）を包含する。イソアルファ酸類は極めて苦く、推定閾値は水中でおよそ６ｐｐｍである。

用語「水素化イソアルファ酸類」は、ジヒドロ－イソアルファ酸類、テトラヒドロ－イソアルファ酸類、ヘキサヒドロ－イソアルファ酸及びこれらの組合せから選択される物質を指す。

用語「フルポン類」は、本明細書では、コフルポン、n-フルポン、アドフルポン及びこれらの組合せから選択される物質を指す。フルポン類は、ホップのベータ酸類の酸化生成物である。

用語「アミルアルコール類」は、本明細書では式Ｃ_５Ｈ_１２Ｏのアルコールを指す。

水溶液又はアルコール溶液中の成分の濃度は、検量線を使用して、ガスクロマトグラフィー及び／又は高圧液体クロマトグラフィーによって好適に決定できる。検量線は、分析物の濃度が減少するように変化させた標準溶液のセットを調製して作成する。各溶液について、検出器の応答（ＦＩＤ、ＭＳ、ＭＳ-ＭＳなど）を測定する。検量線は、分析物の濃度に対する検出器の応答をプロットすることで得られる。

水溶液のタンパク質含量は、ＥＢＣ法９．９．１に記載されているケルダール法で好適に測定できる。

本発明のシングルサーブカプセルは、２つ以上の区画を備えていてもよい。最も好ましくは、カプセルは２つの区画を備え、一方は水溶液を含み、他方はアルコール溶液を含む。

好ましい態様では、本発明のカプセルは、隔壁によって隔てられた、水溶液を収容する第１の区画及びアルコール溶液を収容する第２の区画を含む少なくとも２つの区画を備える容器を含み、これらの区画は、例えば密封ホイル又は蓋によって閉じられる。

好ましくは、シングルサーブカプセルの第１の区画は、７～２８ｍＬ、より好ましくは１０～２５ｍＬ、最も好ましくは１５～２３ｍＬの水溶液を収容する。

シングルサーブカプセルの第２の区画は、好ましくは７～４０ｍＬ、より好ましくは９～３５ｍＬ、最も好ましくは１０～３２ｍＬのアルコール溶液を収容する。

第１の区画及び第２の区画の内部容積の合計は、好ましくは６０ｍＬを超えず、より好ましくは前記容積は１２～５０ｍＬであり、更により好ましくは１５～４５ｍＬであり、最も好ましくは前記容積は４０ｍＬを超えない。

本発明の水溶液及びアルコール溶液の重量比は、好ましくは６：１～１：１で、より好ましくは４：１～１．１：１で、最も好ましくは３：１～１．２：１で、カプセルに収容する。

本発明のある態様では、カプセルの第１の区画に含まれる水溶液は、液体水性組成物とタンパク質の供給源及び場合によっては追加の成分を混合した液体である。

別の態様では、水溶液は、ビール濃縮物、特に、ナノ濾過、逆浸透、正浸透及び／又は凍結濃縮によってビール（ノンアルコールビールを含む）から水及び／又はエタノールを除去することで得たビール濃縮物である。

水溶液及び／又はアルコール溶液は、好ましくは、黄色、オレンジ色、赤色、茶色及びそれらの組合せから選択される着色剤を含有する。特に好ましい態様では、水溶液は、好ましくは、黄色、オレンジ色及びそれらの組合せから選択される着色剤を含有する。

好ましくは、着色剤はリボフラビン、カロチン類、麦芽の抽出物、クルクミン、ルテイン、カルタミン及びそれらの組合せから選択される。より好ましくは、着色剤は麦芽の抽出物であり、最も好ましくは麦芽抽出物のカラメルである。

水溶液のＥＢＣ色単位は、好ましくは６～７９、より好ましくは８～５７、最も好ましくは８～３３である。

水溶液のエタノール含量は、好ましくは８％ＡＢＶを超えず、より好ましくは５％ＡＢＶを超えず、最も好ましくは２％ＡＢＶを超えない。

水溶液の２０℃におけるｐＨは、好ましくは５．５未満であり、より好ましくはｐＨは３．０～５．０であり、更により好ましくは３．５～４．５であり、最も好ましくは３．７～４．３である。

好ましい態様では、水溶液は、少なくとも１種の酸味料を５０～２，０００ｍｍｏｌ／Ｌ、より好ましくは８０～１，２００ｍｍｏｌ／Ｌ重量％、最も好ましくは１００～１，０００ｍｍｏｌ／Ｌ含有する。

好ましくは、少なくとも１種の酸味料は、乳酸、クエン酸、酢酸、プロピオン酸、グルコン酸、リンゴ酸、酒石酸、フマル酸、コハク酸、アジピン酸、フマル酸、塩酸、リン酸、これらの酸の塩及びそれらの組合せである。より好ましくは、少なくとも１種の酸味料はクエン酸、グルコン酸、乳酸、これらの酸の塩及びそれらの組合せから選択される。最も好ましくは、少なくとも１種の酸味料はクエン酸、グルコン酸、これらの酸の塩及びそれらの組合せから選択される。

本発明のカプセルは、魅力的な泡立ちのホップ添加アルコール飲料の製造に使用できる。水溶液中のタンパク質は、再構成された炭酸飲料を注ぐ際の泡立ちの形成に寄与する。タンパク質は、再構成された炭酸飲料を注いだ直後に泡立ちが崩壊するのを防ぐことで、泡立ちを更に安定化する。好ましくは、水溶液は、タンパク質性の起泡剤を０．０５～１０重量％、より好ましくは０．１～５重量％、最も好ましくは０．２～３重量％含有する。

好ましくは、タンパク質性の起泡剤は、脂質輸送タンパク質１（ＬＴＰ１）、ホルデイン、カゼイン、小麦タンパク質、卵白タンパク質、ホエータンパク質、大豆タンパク質、エンドウ豆タンパク質、Ｚタンパク質、これらのタンパク質の加水分解物及びそれらの組合せから選択される。

好ましい態様では、水溶液は、ＬＴＰ１、ホルデイン、タンパク質Ｚ４、タンパク質Ｚ７及びそれらの組合せから選択されるタンパク質性の起泡剤を含む。更により好ましくは、タンパク質性の起泡剤は、ＬＴＰ１、タンパク質Ｚ４、タンパク質Ｚ７及びそれらの組合せから選択される。本発明の方法で使用するＬＴＰ１は、好ましくは大麦から得られる。Ｚタンパク質、特にタンパク質Ｚ４及びタンパク質Ｚ７は、好ましくは穀物から、より好ましくは麦芽から、最も好ましくは大麦麦芽から得られる。

好ましい態様では、タンパク質性の起泡剤は麦芽の抽出物に由来する。特に好ましい態様では、着色剤及びタンパク質性の起泡剤の両者は、１種以上の麦芽の抽出物に由来する。

水溶液中の固形分の好ましくは２０～７０重量％、より好ましくは３０～６５重量％、最も好ましくは４０～６０重量％が、麦芽抽出物の固形分である。

水溶液の水分量は、好ましくは５０～９８重量％、より好ましくは６０～９６重量％、最も好ましくは７０～９４重量％である。

好ましい態様では、水溶液は、マルトース、ショ糖、乳糖、ブドウ糖、果糖及びそれらの組合せから選択される糖類を３～５０重量％、より好ましくは５～３０重量％、最も好ましくは６～２０重量％含有する。

水溶液中の糖類は、デンプン加水分解物、特にかなりの量のマルトース及び／又はブドウ糖を含有するデンプン加水分解物として好適に提供してもよい。

好ましくは、水溶液は、マルトースを０．５～２０重量％、より好ましくは１～１８重量％、更により好ましくは２～１６重量％、最も好ましくは４～１５重量％含有する。

好ましくは、水溶液は、ブドウ糖を０．５～２５重量％、より好ましくは０．８～１５重量％、更により好ましくは１．０～１２重量％、最も好ましくは１．２～１０重量％含有する。

水溶液は、水溶性繊維を好ましくは３～５０重量％、より好ましくは６～４５重量％、最も好ましくは１２～４０重量％含有する。これらの水溶性繊維は、再構成飲料の口当たりに好ましい影響を与えるので、有利には水溶液に含まれる。使用してもよい水溶性繊維の例には、デキストリン（難消化性マルトデキストリンを含む）、イヌリン及びポリデキストロースが含まれる。好ましくは、水溶性繊維は、デキストリン及びポリデキストロースから選択される。特に好ましい態様では、使用する水溶性繊維は、重合度が４～１０のデキストリンである。

好ましい態様では、水溶液は、ペクチン類、アルギン酸塩、キサンタンゴム、ジェランゴム、カルボキシメチルセルロース、ローカストビーンゴム、カラギーナン類及びそれらの組合せから選択される泡安定剤を、０．０５～１．０重量％、より好ましくは０．１～０．５重量％、最も好ましくは０．２～０．４重量％含有する。

特に好ましい態様では、水溶液は、ペクチン類、アルギン酸塩及びそれらの組合せから選択される泡安定剤を、０．０５～１．０重量％、より好ましくは０．１～０．５重量％、最も好ましくは０．２～０．４重量％含有する。

水溶液は、溶存二酸化炭素を、好ましくは０～２ｍｇ／Ｌ、より好ましくは０～１ｍｇ／Ｌ、最も好ましくは０～０．５ｍｇ／Ｌ含有する。

ホップ酸の乏しい水溶性の観点から、水溶液は、イソアルファ酸類、水素化アルファ酸類、フルポン類及びこれらの組合せから選択されるホップ酸を、０～１００ｍｇ／Ｌ、好ましくは０～３０ｍｇ／Ｌ、より好ましくは０～１０ｍｇ／Ｌ含有することが好ましい。

イソアルファ酸類、水素化アルファ酸類及び酸化されたアルファ酸類（フルポン類）は、消費者に評価されるビール香味の心地よい苦味に寄与する。好ましい態様では、アルコール溶液は、イソアルファ酸類、水素化アルファ酸類、フルポン類及びこれらの組合せから選択されるホップ酸を、１０～１，０００ｍｇ／Ｌ、より好ましくは２５～５００ｍｇ／Ｌ、最も好ましくは５０～２００ｍｇ／Ｌ含有する。

特に好ましい態様では、アルコール溶液は、イソアルファ酸類を１０～１，０００ｍｇ／Ｌ、より好ましくは２５～５００ｍｇ／Ｌ、最も好ましくは５０～２００ｍｇ／Ｌ含有する。

イソアルファ酸類は、異性化されたホップ抽出物として好適に提供してもよい。好ましくは、アルコール溶液は、異性化されたホップ抽出物を１０～１０，０００ｍｇ／Ｌ、より好ましくは５０～２，０００ｍｇ／Ｌ、最も好ましくは２５０～１，０００ｍｇ／Ｌ含有する。

カプセルの第２の区画のアルコール溶液は、エタノールを好ましくは少なくとも３０重量％、より好ましくは少なくとも４０重量％、更により好ましくは少なくとも５０重量％、最も好ましくは少なくとも６０重量％含有する。

エタノールと水を合わせると、好ましくはアルコール溶液の少なくとも８５重量％、より好ましくは９０～９９．９重量％である。

アルコール溶液は、好ましくは、酢酸エチル、ヘキサン酸エチル、吉草酸エチル、酢酸イソアミル及びそれらの組合せから選択される香味エステルを１０～８００ｍｇ／Ｌ、より好ましくは２０～６００ｍｇ／Ｌ、最も好ましくは５０～４００ｍｇ／Ｌ含有する。これらの香味エステルは、再構成飲料にビールを連想させる望ましいフレーバーを付与する。

別の好ましい態様では、アルコール溶液は、アミルアルコール類を５０～４，０００ｍｇ、より好ましくは１００～３，０００ｍｇ、更により好ましくは２５０～２，０００ｍｇ含有する。

本発明のカプセルに利用されるアルコール溶液は、アルコール飲料の脱アルコール、好ましくはビールの脱アルコールで得られるエタノールを好適に含んでいてもよい。

ビールからアルコールを除去するために、通常、減圧蒸留を使用する。このようにして得た蒸留液は、エタノール、水及びさまざまな揮発性のビール香味物質を含有する。その蒸留液は、本発明のカプセルのアルコール溶液に有利に利用してもよい。用語「減圧蒸留」は、本明細書では「減圧蒸発」も包含する。

したがって、好ましい態様では、アルコール溶液は、アルコール含有ビールの蒸留による脱アルコールで得た蒸留液を含む。最も好ましくは、アルコール溶液は、このような蒸留液からなる、又はこのような蒸留液の水性希釈物である。

蒸留による脱アルコールで得られる蒸留液は、通常、酢酸エチル、酢酸イソアミル、アミルアルコール類、フェニルエチルアルコール及び酢酸フェニルエチルなどの揮発性のビール香味物質を含有する。

好ましくは、アルコール溶液は、エタノール１ｋｇ当たり、５０～２，０００ｍｇ、より好ましくは７０～１，５００ｍｇ、更により好ましくは９０～１，２００ｍｇ、最も好ましくは１００～８００ｍｇの酢酸エチルを含む。

好ましくは、アルコール溶液は、エタノール１ｋｇ当たり、５～２００ｍｇ、より好ましくは７～１５０ｍｇ、更により好ましくは９～１２０ｍｇ、最も好ましくは１０～８０ｍｇの酢酸イソアミルを含む。

好ましい態様では、アルコール溶液は、エタノール１ｋｇ当たり、４００～５，０００ｍｇ、より好ましくは６００～４，０００ｍｇ、更により好ましくは７００～３，５００ｍｇ、最も好ましくは８００～３，０００ｍｇのアミルアルコール類を含有する。

別の好ましい態様では、アルコール溶液は、エタノール１ｋｇ当たり、８～２４０ｍｇ、より好ましくは１１～１７０ｍｇ、更により好ましくは１３～１４０ｍｇ、最も好ましくは１５～１００ｍｇのフェニルエチルアルコールを含有する。

好ましくは、アルコール溶液は、エタノール１ｋｇ当たり、２～５０ｍｇ、より好ましくは３～４０ｍｇ、更により好ましくは３．５～３２ｍｇ、最も好ましくは４～２５ｍｇの酢酸フェニルエチルを含有する。

好ましい態様では、アルコール溶液は、エタノール含有液、好ましくはこれまでに説明したエタノール含有蒸留液を、イソアルファ酸類、水素化イソアルファ酸類、フルポン類及びこれらの組合せから選択されるホップ酸と混合することで製造する。更により好ましくは、アルコール溶液は、エタノール含有液をイソアルファ酸類と混合することで製造する。イソアルファ酸類は、事前に異性化したホップ抽出物の形態で、好適に提供してもよい。

本発明の別の側面は、本発明のカプセルを製造する方法であって、
・液体水性組成物とタンパク質性の起泡剤の供給源を混合して水溶液を生産すること、ここで、前記タンパク質性の起泡剤の供給源は、タンパク質性の起泡剤を、固形分の重量で、少なくとも３重量％含有する；
・液体アルコール組成物とホップ酸の供給源を混合して、アルコール溶液を生産すること、ここで、前記液体アルコール組成物はエタノールを少なくとも３０重量％及び水を６０重量％以下含有し、エタノールと水を合わせると前記液体アルコール組成物の少なくとも８０重量％であり、前記ホップ酸の供給源は、イソアルファ酸類、水素化イソアルファ酸類、フルポン類及びこれらの組合せから選択されるホップ酸を少なくとも１０重量％含有する；
・第１の区画及び第２の区画を含む少なくとも２つの区画を備えたカプセルを準備すること；
・水溶液をカプセルの第１の区画に入れること；
・アルコール溶液をカプセルの第２の区画に入れること；並びに、
・カプセルの第１及び第２の区画を閉じること；
を含む方法に関する。

タンパク質性の起泡剤の供給源に含まれるタンパク質性の起泡剤は、好ましくは、これまでに説明したタンパク質性起泡剤である。

この方法で使用するタンパク質性の発泡剤の供給源は、好ましくは、タンパク質性の起泡剤を、固形分の重量で、少なくとも４重量％、より好ましくは少なくとも５重量％、より好ましくは少なくとも１０重量％含有する。

特に好ましい態様では、本発明で使用するタンパク質性の起泡剤の供給源は、麦芽の抽出物である。

最も好ましくは、タンパク質性物質の供給源は麦芽の抽出物である。麦芽抽出物は、タンパク質性の起泡剤（例．ＬＴＰ１タンパク質及び／又はＺタンパク質）に加えて、色を提供できるという利点がある。

別の好ましい態様によれば、この方法は、着色剤と液体水性組成物及び／又は液体アルコール組成物を混合することを含み、前記着色剤はリボフラビン、カロチン類、麦芽の抽出物、クルクミン、ルテイン、カルタミン及びそれらの組合せから選択される。より好ましくは、着色剤は麦芽抽出物であり、最も好ましくは着色剤は麦芽抽出物のカラメルである。着色剤は、液体水性組成物と混合することが好ましい。

好ましくは、この方法は、乳酸、クエン酸、酢酸、プロピオン酸、グルコン酸、リンゴ酸、酒石酸、フマル酸、コハク酸、アジピン酸、フマル酸、これらの酸の塩及びそれらの組合せから選択される少なくとも１種の酸味料と液体水性組成物を混合することを含む。より好ましくは、少なくとも１種の酸味料はクエン酸、グルコン酸、乳酸、これらの酸の塩及びそれらの組合せから選択される。最も好ましくは、少なくとも１種の酸味料はクエン酸、グルコン酸、これらの酸の塩及びそれらの組合せから選択される。

この方法では、水性液体組成物は、好ましくは、マルトース、ショ糖、乳糖、ブドウ糖及び果糖から選択される１種以上の糖類と混合する。より好ましくは、水溶液は、マルトース及び／又はブドウ糖を、固形分の重量で、少なくとも５重量％、より好ましくは少なくとも１０重量％、最も好ましくは１５～１００重量％含有する加水分解されたデンプン成分と混合する。

この方法の別の有利な態様では、水性液体組成物は、水溶性繊維の供給源と混合する。使用してもよい水溶性繊維の例には、デキストリン（難消化性マルトデキストリンを含む）、イヌリン及びポリデキストロースが含まれる。好ましくは、水溶性繊維は、デキストリン及びポリデキストロースから選択される。特に好ましい態様では、使用する水溶性繊維は、重合度が４～１０のデキストリンである。好ましくは、水溶性繊維の供給源は、水溶性繊維を少なくとも２０重量％、より好ましくは少なくとも４０重量％、最も好ましくは少なくとも５０重量％含有する。

この方法は、好ましくは、ペクチン類、アルギン酸塩、キサンタンゴム、ジェランゴム、カルボキシメチルセルロース、ローカストビーンゴム、カラギーナン類及びそれらの組合せから選択される泡安定剤と、水性液体組成物を混合することを含む。特に好ましい態様では、泡安定剤は、ペクチン類、アルギン酸塩及びそれらの組合せから選択される。

この方法で使用するホップ酸の供給源は、イソアルファ酸類、水素化イソアルファ酸類、フルポン類及びこれらの組合せから選択されるホップ酸を、好ましくは少なくとも１５重量％、より好ましくは１８～８０重量％含有する。最も好ましくは、ホップ酸の供給源は、イソアルファ酸類を少なくとも１０重量％、より好ましくは１５～８０重量％含有する。

この方法で使用するホップ酸の供給源は、好ましくはホップ抽出物であり、最も好ましくは異性化されたホップ抽出物である。

特に好ましい態様では、この方法の液体アルコール組成物は、アルコール飲料の脱アルコールによって、より好ましくはビールの脱アルコールによって得られる。液体アルコール組成物は、好ましくは、減圧蒸留によるアルコール飲料の脱アルコールで得られる。より好ましくは、液体アルコール組成物は、アルコール入りビールの脱アルコールで得られる。ビールの脱アルコールで得られる液体アルコール組成物は、特に減圧蒸留でアルコールを除去する場合、顕著な量のビールの香味エステル類（特に酢酸エチル、ヘキサン酸エチル、吉草酸エチル及び酢酸イソアミル）と高級アルコール（特にn-プロパノール、イソブタノール、アミルアルコール、イソアミルアルコール、2-フェニルエタノール）を含有する。

本発明の更に別の側面は、泡立ちのあるホップ添加アルコール飲料を製造する方法であって、
・本発明によるシングルサーブカプセルを、飲料製造装置に配置すること；
・第１の区画から水溶液を放出させること；
・第２の区画からアルコール溶液を放出させること；
・放出された水溶液、放出されたアルコール溶液、水及び二酸化炭素を混合して、ホップ添加アルコール飲料を生産すること；
・ホップ添加アルコール飲料を注いでして泡立ちのあるホップ添加アルコール飲料を製造すること；
を含む方法に関する。

水溶液とアルコール溶液の放出は、同時であってもよく、いかなる順序であれ、順次であってもよい。

放出された水性液体と水の混合は、少なくとも部分的には、例えばカプセルの第１の区画を水で洗い流すことにより、前記区画内で行ってもよい。この洗い流す水は、既に、二酸化炭素及び／又はアルコール溶液を含んでいてもよい。同様に、放出されたアルコール性液体と水の混合は、少なくとも部分的には、例えばカプセルの第１の区画を水又は二酸化炭素及び／若しくは水溶液を含有する水で洗い流すことにより、前記区画内でおこなってもよい。

水溶液、アルコール溶液、水及び二酸化炭素の混合は、さまざまな方法で行うことができる。

特に好ましい態様では、まず水と二酸化炭素を混和して炭酸水を生産し、炭酸水の一部と放出されたアルコール溶液を混合して炭酸化アルコール溶液を生産し、炭酸水の残りと放出された水溶液を混合して希釈した炭酸水溶液を生産し、かつ、前記炭酸化アルコール溶液と前記希釈した炭酸水溶液を混合して、ホップ添加アルコール飲料を生産する。

更に好ましい態様では、水と二酸化炭素を混和して炭酸水を生産し、その後、前記炭酸水を放出されたアルコール溶液と混合して、最終的に本発明の放出された水溶液と混合する炭酸化アルコール溶液を生産する。

別の好ましい態様では、まず水と放出されたアルコール溶液を混和することで希釈したアルコール溶液を生産し、その後、二酸化炭素を混和して、最終的に本発明の放出された水溶液と混合する炭酸化アルコール溶液を生産する。

更に別の好ましい態様では、水、二酸化炭素及び放出されたアルコール溶液を単一の工程で混合して炭酸化アルコール溶液を生産し、その後、放出された水溶液を混和する。

好ましくは、炭酸水は、溶存二酸化炭素を１～８ｇ／Ｌ、より好ましくは２～７ｇ／Ｌ、含有する。

好ましい態様では、飲料製造装置は、水タンク及び加圧二酸化炭素を収容する容器を備える。

図１は、アルミニウムのシートで構成された、全体的な形状が底部にリム（３０）を有する円錐台であるボディ（２０）を含むシングルサーブカプセル（１０）を示す。ボディ（２０）の小さな端は、鈍角円錐（２１）である。

リム（３０）は、ホイル（４０）の周囲をボディを挟んで締め付けることによって形成され、ボディ（２０）とホイル（４０）を熱封止することでカプセル（１０）を密封する。ホイル（４０）は、アルミニウムで構成されていてもよい。

カプセル（１０）は、分割壁（７０）によって隔てられた、第１の区画（５０）と第２の区画（６０）を有する。大きな第１の区画（５０）は、本発明の水溶液（５１）を収容し、小さな第２の区画（６０）はアルコール溶液（６１）を収容する。

鈍角円錐（２１）は、第１の区画（５０）を画定する部分に脆弱化凹部（２２）を含む。鈍角円錐（２１）は、第２の区画（６０）を画定する部分に脆弱化凹部（２３）を更に含有する。

ホイル（４０）は、第１の区画（５０）を画定する部分に複数の脆弱化セクション（４１）を、第２の区画（６０）を画定する部分に脆弱化凹部（４２）を有する。

使用の際に、管状注入口が脆弱化凹部（２２）及び（２３）の両者を穿刺し、管状放出口がホイルにおける脆弱化セクション（４１）及び（４２）を貫通する。次いで、管状注入口から第１の区画（５０）及び第２の区画（６０）に注入された炭酸水が、第１の区画（５０）からは水溶液（５１）を、第２の区画（６０）からはアルコール溶液（６１）を、生産溝を通って洗い流す。

図２は、図１に示したシングルサーブカプセルを使用して泡立ちのあるホップ添加アルコール飲料を製造する装置（１０）を示す。装置は、装置（１０）の機械的及び電子的構成要素を格納するハウジング（１１）を含む。ハウジング（１１）は、プラスチック及び／又は金属で形成できる。

装置（１０）は、電源（２０）、及び、装置を稼動し装置の機能（例．計量分配するホップ添加アルコール飲料の体積、温度及び／又はアルコール含量）を制御できる制御システム（３０）を備える。計量分配ユニット（５０）の下に配置された空のグラス（４０）も示されている。

装置（１０）は、給水栓（６０）の形態の水の供給源及び冷却ユニット（７０）も有する。装置（１０）は、加圧二酸化炭素が入ったシリンダー（８０）、炭酸化ユニット（９０）、混合ユニット（１００）及び２区画シングルサーブカプセル（１２０）の置き場所（１１０）を更に有する。

シングルサーブカプセル（１２０）は、本発明の水溶液（１２３）を収容する第１の区画（１２１）及びアルコール溶液（１２４）を収容する第２の区画（１２２）を含む。区画（１２１、１２２）は、ホイル（１２５）によって密封される。

装置（１０）は、シングルサーブカプセル（１２０）の第１の及び第２の区画（１２１、１２２）の上端及び下端を開放する手段を含む。

使用の際に、消費者は、装置（１０）の置き場所（１１０）にシングルサーブカプセル（１２０）を載置できる。次いで、消費者は、制御システム（３０）を使用して装置（１０）を稼動させ、計量分配ユニット（５０）からグラス（４０）にホップ添加アルコール飲料が計量分配され、泡立ち（４２）のあるホップ添加アルコール飲料（４１）が生産されるのを待つことができる。

装置（１０）を稼動させると、栓（６０）からの水とシリンダー（８０）からの加圧二酸化炭素が、炭酸化ユニット（９０）で計量分配される。水は、炭酸化ユニット（９０）に向かう途中で、冷却ユニット（７０）によって冷却される。炭酸化ユニット（９０）で適量の水と二酸化炭素が混合されると、炭酸水が炭酸化ユニット（９０）から放出され、シングルサーブカプセル（１２０）を通過して混合ユニット（１００）に流れる。炭酸化ユニット（９０）からの炭酸水の流れは２つの流路をたどり、一方の流路は、シングルサーブカプセル（１２０）の第１の区画（１２１）を通過し、他方の流路は、シングルサーブカプセル（１２０）の第２の区画（１２３）を通過する。

シングルサーブカプセル（１２０）を通過する間に、炭酸水は、水溶液（１２３）及びアルコール溶液（１２４）を混合ユニット（１００）に洗い流す。混合ユニット（１００）では、炭酸水、洗い流された水溶液及び洗い流されたアルコール溶液を密接に混合して、透明なホップ添加アルコール飲料を生産する。

次いで、ホップ添加アルコール飲料が、混合ユニット（１００）から計量分配ユニット（５０）を経由し、泡立ちを形成してグラス（４０）に放出される。

図１では、シングルサーブカプセル（１２０）は、一方が水溶液を収容し、他方がアルコール溶液を収容する、２つの別々のカプセルによって置きかえてもよいことが理解される。

本発明は、以下の非限定的な実施例によって更に説明される。

実施例１
本発明によるシングルサーブカプセルを、２つの区画を含むカプセルを使用して製造した。一方の区画（区画Ａ）の内部容積は１８ｍＬで、他方の区画（区画Ｂ）の内部容積は５０ｍＬである。

水溶液を、表１に示す組成に基づいて製造した。

エタノール含量が２１．６％ＡＢＷのアルコール溶液を表２に示す組成に基づいて製造した。

１５ｍＬの水溶液をカプセルの区画Ａに入れた。さらに、４５ｍＬのアルコール溶液を区画Ｂに入れた。充填後、これらの区画を柔軟なホイルで密封した。

シングルサーブカプセルの内容物を炭酸水（溶存二酸化炭素６．５ｇ／Ｌ）と混合して、総量を２５０ｍＬとした。

得られた飲料の泡立ちは安定していた。訓練されたビールテイスティングのパネルがこの飲料を評価し、好評であった。見解に多少にばらつきがあったが、飲料の味は普通のビールと同じであることには全員同意した。パネルが気づいた通常のビールとの主な違いは、飲料の色が淡いことであった。

実施例２
本発明によるシングルサーブカプセルを、２つの区画を含むカプセルを使用して製造する。一方の区画（区画Ａ）の内部容積は１２ｍＬで、他方の区画（区画Ｂ）の内部容積は３３ｍＬである。

水溶液を、表３に示す組成に基づいて製造する。

エタノール含量が３３．１％ＡＢＷのアルコール溶液を表４に示す組成に基づいて製造する。

１０ｍＬの水溶液をカプセルの区画Ａに入れる。さらに、３０ｍＬのアルコール溶液を区画Ｂに入れる。充填後、これらの区画を柔軟なホイルで密封する。

シングルサーブカプセルの内容物を炭酸水（溶存二酸化炭素６ｇ／Ｌ）と混合して、総量を２５０ｍＬとする。

このようにして得た飲料は、味と外観がピルスナーに似ている。

実施例３
５％ＡＢＶのホップ無添加ラガーを、減圧蒸留（Schmidt-Bretten, Bretten, Germany－供給：５ｈＬ／時；蒸気流量：１００ｋｇ／時；放出口圧力：３．５ｂａｒ；減圧設定：９０ｍｂａｒ；放出口温度：３℃）で脱アルコールした。得られた脱アルコールビールは、エタノール含量が０．０１％ＡＢＶであった。

脱アルコール中に生じた蒸留液を収集し、分析した。結果を表５に示す。

脱アルコールしたホップ無添加ラガーを、以下の装置を使用して、ナノ濾過により濃縮した。

構造

Ａ（全長）＝１０１６ｍｍ
Ｂ（ＡＴＤ直径）＝１００．３ｍｍ
Ｃ（接続直径）＝１９．１ｍｍ
Ｄ_Ｆ（コアチューブ延長－供給側）＝２６．７ｍｍ
Ｄ_Ｃ（コアチューブ延長－濃縮側）＝２６．７ｍｍ

最大動作限界
・圧力：８０ｂａｒ
・温度：２８℃
・圧力低下：０．７ｂａｒ
・供給流量：３．６ｍ^３／時
・塩素濃度：＜０．１ｐｐｍ
・供給水ＳＤＩ（１５分）：５．０
・供給水濁度：１．０ＮＴＵ
・供給水ｐＨ：３．０～１０．０
・透過液に対する濃縮液の最大比：５：１

濾過運転
ビールの循環は、ピストンポンプで行った。このポンプの能力は１ｍ^３／時で、最大吐出圧力は２０～８０ｂａｒである。試験ユニットは、およそ３０ｂａｒに制限し、設定点が４０ｂａｒの過圧リリーフ弁で保護した。

最初の透過液の生産は、１５ｂａｒ前後の圧力（浸透圧）で開始した。

合計１００Ｌのビールを濾過し、８４．６Ｌの透過液及び１６．１Ｌの濃縮液を得た。濃縮係数は、１００／１５．４＝６．５であった。

このようにして得たビール濃縮物の組成を、表６に示す。

ビール濃縮液の表面張力は４６ｍＮ／ｍであった。

比較例Ａ
アルコール含量が５．０％ＡＢＶでイソアルファ酸類の含量が１９ｍｇ／Ｌの市販のホップ添加ラガービールを、実施例３と同じ装置を使用して、ナノ濾過により濃縮した。

最初の透過液の生産は、４ｂａｒ前後の圧力（浸透圧）で開始した。合計２００Ｌのビールを濾過し、１７２．３Ｌの透過液及び２７．７Ｌの濃縮物を得た。濃縮係数は、２００／２７．７＝７．２であった。

このようにして得たホップ添加アルコール入りビール濃縮物は濁っており、エタノール含量が４．７１％ＡＢＶ、比重が１．８２９８（２０°Ｐ）及び表面張力が３９．７ｍＮ／ｍであった。濃縮物はイソアルファ酸類を７８．７ｍｇ／Ｌ含有しており、これは、イソアルファ酸類の４２．５％がナノ濾過中に失われたことを意味する。

実施例４
比較例Ａのビール濃縮液及び実施例３のビール濃縮物に、表７に示す希釈剤を添加することで、濃縮係数６（すなわち、元のホップ無添加ラガーの６倍濃縮）に標準化した。

製造後、試料を０℃で７日間維持した。続いて、Sigrist光度計を使用して、散乱角２５度及び９０度における試料の濁度を０℃で測定した（３回）。結果の平均を表８にＥＢＣ単位で示す。

これらの結果は、イソアルファ酸類のビール濃縮物への添加が、おそらくはイソアルファ酸類の沈殿の結果として、濁りを引き起こすことを示した。

試料Ａ、Ｂ、Ｃ及びＤの一部を３０℃及び４０℃で３カ月間保存し、その期間中、エチルエステルの濃度、濁度及び色を観察する。

試料Ｂ及びＤは、他の試料よりも安定であることが判明した。試料Ｂ及びＤとは異なり、試料Ａ及びＣは、保存期間中に、エチルエステルが大幅に形成されていた。

実施例５
脱アルコールしたホップ無添加ラガー及びアルコール入り蒸留液を、実施例３と同じ方法で生産する。

ポリエステル（ＰＥＴ）支持材料上にポリアミド膜層を含む薄膜複合体で作製した逆浸透フラットシート濾過膜（ＲＯ９０、ex Alfa Laval、動作圧力５～２５ｂａｒ）を使用して、脱アルコールしたホップ無添加ビールを逆浸透で濃縮する。この膜は、２０００ｐｐｍ ＮａＣｌにおいて、９ｂａｒ及び２５℃で測定すると、除去率が少なくとも９０％である。

実施例６
本発明によるシングルサーブカプセルを、２つの区画を含むカプセルを使用して製造する。一方の区画（区画Ａ）の内部容積は２０ｍＬで、他方の区画（区画Ｂ）の内部容積は３５ｍＬである。

実施例３のアルコール入り蒸留液を、事前に異性化したホップ抽出物と混合して、イソアルファ酸類を２１０ｍｇ／Ｌ含有する溶液を生産する。

ホップ抽出物を含有する濃縮アルコール溶液１８ｍＬを、カプセルの区画Ａに入れる。さらに、実施例３のビール濃縮液３２ｍＬを、区画Ｂに入れる。充填後、区画を柔軟なホイルによって密封する。

実施例７
脱アルコールしたホップ無添加ラガーを、実施例３に記載のとおりに、ナノ濾過によって濃縮した。このようにして得たビール濃縮物（濃縮物Ａ）を、３０℃及び４０℃で加速保存した。エタノールの濃度を５重量％とした同じ濃縮物（濃縮物Ｂ）について、同じ保存試験を行った。

保存試験の前及び３か月保存後に、ビール香味物質の濃度を測定した。分析結果を表９に示す。

実施例８
エタノール含量５体積％のラガービールを、比較例Ａに記載のとおりに、ナノ濾過により濃縮した。この濃縮物（濃縮物Ａ）について、３０℃及び４０℃で加速保存試験を行った。

保存試験の前及び３カ月後に、ビール香味物質の濃度を測定した。分析結果を表１０に示す。

実施例９
ビール濃縮物３２ｍＬを、アルコール溶液１１．４ｍＬ及び炭酸水（Royal Club（商標）ソーダ水, the Netherlands）２０５ｍＬと混合して、２つの再構成ビールを製造した。

再構成ビールの製造に使用したビール濃縮物及びアルコール溶液の組成を、表１１に示す。

再構成ビールＡは完全に透明で、泡立ちが見事で、心地よい苦味であった。再構成ビールＢは、いくらかの沈殿を有していた。

Claims (15)

1. 泡立ちのあるホップ添加アルコール飲料製造用のシングルサーブカプセルであって、
   前記カプセルは第１の区画及び第２の区画を含む少なくとも２つの区画を備え、
   前記第１の区画は、エタノール含量が０～１０％ＡＢＶでタンパク質を０．１～２５重量％含有する水溶液を５～３０ｍＬ含み、
   前記第２の区画は、エタノールを２０～９９．９重量％、水を０～６０重量％、並びに、イソアルファ酸類、水素化イソアルファ酸類、フルポン類及びこれらの組合せから選択されるホップ酸を５０～２，０００ｍｇ／ｋｇ含有するアルコール溶液を５～５０ｍＬ含み、ここで、エタノールと水を合わせると前記アルコール溶液の少なくとも８０重量％である、
   シングルサーブカプセル。
2. 前記水溶液及び／又は前記アルコール溶液は、黄色、オレンジ色、赤色、茶色及びそれらの組合せから選択される着色剤を含有する、請求項１に記載のシングルサーブカプセル。
3. 前記着色剤はリボフラビン、カロチン類、カラメル、麦芽の抽出物、クルクミン、ルテイン、カルタミン及びそれらの組合せから選択される、請求項２に記載のシングルサーブカプセル。
4. 前記水溶液のＥＢＣ色単位は６～７９である、請求項１～３のいずれか一項に記載のシングルサーブカプセル。
5. 前記水溶液のｐＨは５．５未満である、請求項１～４のいずれか一項に記載のシングルサーブカプセル。
6. 前記水溶液は、乳酸、クエン酸、酢酸、プロピオン酸、グルコン酸、リンゴ酸、酒石酸、フマル酸、コハク酸、アジピン酸、フマル酸、塩酸、リン酸、これらの酸の塩及びそれらの組合せから選択される酸味料を５０～２，０００ｍｍｏｌ／Ｌ含有する、請求項１～５のいずれか一項に記載のシングルサーブカプセル。
7. 前記水溶液は、０．０５～１０重量％のタンパク質性の起泡剤を含有する、請求項１～６のいずれか一項に記載のシングルサーブカプセル。
8. 前記タンパク質性の起泡剤は、ＬＴＰ１、ホルデイン、カゼイン、小麦タンパク質、卵白タンパク質、ホエータンパク質、大豆タンパク質、エンドウ豆タンパク質、Ｚタンパク質、これらのタンパク質の加水分解物及びそれらの組合せから選択される、請求項７に記載のシングルサーブカプセル。
9. 前記水溶液は、マルトース、ショ糖、乳糖、ブドウ糖、果糖及びそれらの組合せから選択される糖類を３～５０重量％含有する、請求項１～８のいずれか一項に記載のシングルサーブカプセル。
10. 前記水溶液は水溶性繊維を３～５０重量％含有する、請求項９に記載のシングルサーブカプセル。
11. 前記水溶液は、ペクチン類、アルギン酸塩、キサンタンゴム、ジェランゴム、カルボキシメチルセルロース、ローカストビーンゴム、カラギーナン類及びそれらの組合せから選択される泡安定剤を０．０５～１．０重量％含有する、請求項１～１０のいずれか一項に記載のシングルサーブカプセル。
12. 前記アルコール溶液が、酢酸エチル、ヘキサン酸エチル、吉草酸エチル、酢酸イソアミル及びそれらの組合せから選択されるビールの香味エステルを１０～８００ｍｇ／Ｌ含有する、請求項１～１１のいずれか一項に記載のシングルサーブカプセル。
13. 前記第１及び第２の区画の内部容積の合計は６０ｍＬを超えない、請求項１～１２のいずれか一項に記載のシングルサーブカプセル。
14. 請求項１～１３のいずれか一項に記載のシングルサーブカプセルを製造する方法であって、
    ・液体水性組成物とタンパク質性の起泡剤の供給源を混合して前記水溶液を生産すること、ここで、前記タンパク質性の起泡剤の供給源は、タンパク質性の起泡剤を固形分の重量で少なくとも３重量％含有する；
    ・液体アルコール組成物とホップ酸の供給源を混合して、前記アルコール溶液を生産すること、ここで、前記液体アルコール組成物はエタノールを少なくとも３０重量％及び水を６０重量％以下含有し、エタノールと水を合わせると前記液体アルコール組成物の少なくとも８０重量％であり、前記ホップ酸の供給源は、イソアルファ酸類、水素化イソアルファ酸類、フルポン類及びこれらの組合せから選択されるホップ酸を少なくとも１０重量％含有する；
    ・第１の区画及び第２の区画を含む少なくとも２つの区画を備えたカプセルを準備すること；
    ・前記水溶液を前記カプセルの第１の区画に入れること；
    ・前記アルコール溶液を前記カプセルの第２の区画に入れること；並びに、
    ・前記カプセルの第１及び第２の区画を閉じること；
    を含む、方法。
15. 泡立ちのあるホップ添加アルコール飲料を製造する方法であって、
    ・請求項１～１３のいずれか一項に記載のシングルサーブカプセルを、飲料製造装置に配置すること；
    ・前記第１の区画から前記水溶液を放出させること；
    ・前記第２の区画から前記アルコール溶液を放出させること；
    ・前記放出された水溶液、前記放出されたアルコール溶液、水及び二酸化炭素を混合して、ホップ添加アルコール飲料を生産すること；
    ・前記ホップ添加アルコール飲料を供給して泡立ちのあるホップ添加アルコール飲料を製造すること；
    を含む、方法。

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