[0001] 本願は、2020年5月15日に中国国家知識産権局に出願された「ヘッド・アップ表示装置、表示方法及び表示システム」と題する中国特許出願No. 202010413441.Xに対する優先権を主張しており、同出願の全体は参照により本件に援用される。
[0002] 技術分野
本願は、ヘッド・アップ表示技術の分野に関連し、特にヘッド・アップ表示装置、表示方法、及び表示システムに関連する。
[0003] ヘッド・アップ表示(Head-Up Display,HUD)装置が車両に適用され始めている。運転中に、ドライバーは視線を計器パネルに移動させることを必要とせず、その結果、ドライバーは、車両の様々な計器情報に注意を払いながら、正常な運転を確実にすることができる。更に、ドライバーが、道路状況、SMSメッセージ、電話の呼、及び電子メールのような他の情報を得ることを可能にするために、異なる結像距離を得ることが可能なヘッド・アップ表示装置、即ちマルチ・スクリーン・ヘッド・アップ表示装置が設計されることを必要とする。
[0004] 図1は、既存のデュアル・スクリーン・ヘッド・アップ表示装置を示す。ヘッド・アップ表示装置は、第1の投影モジュール01、第2の投影モジュール02、透過拡散板03、偏光ビーム・スプリッタ04、フリー・フォーム・ミラー05、及び減衰機構06を含む。即ち、第1の画像情報を搬送し且つ第1の投影モジュール01によって生成された光ビームは、透過拡散板03を用いて偏光ビーム・スプリッタ04に投影され、直線偏光の2つのビームに分割される。一方の光ビームは減衰機構06を照射し、他方の光ビームはフリー・フォーム・ミラー05を照射し、フロントガラス07へ反射され、反射によって、人間の眼に入る第1の画像を形成し、遠い距離の画像A1を形成する。第2の投影モジュール02は、第2の画像情報を偏光ビーム・スプリッタ04に投影し;光ビームはフリー・フォーム・ミラー05を照射し、フロントガラス07へ反射され、反射によって、人間の眼に入る第2の画像を形成し、近い距離の画像A2を形成する。
[0005] しかしながら、図1に示すヘッド・アップ表示装置は、2つの投影モジュール(二重光学機械構造と言及されてもよい)を用いて、対応する生成された画像を偏光ビーム・スプリッタへ送信し、その結果、ドライバーは、遠い距離の画像A1に表示された情報と近い距離の画像A2に表示された情報とを眺める。マルチ・スクリーン表示が実行されることを必要とする場合、複数の投影モジュールが要求されており、技術的問題は、ヘッド・アップ表示装置全体の構造が複雑である、ということである。
[0006] 本願は、ヘッド・アップ表示装置、表示方法、及び表示システムを提供しており、主に、マルチ・スクリーン表示を実現することが可能であり且つシンプルな構造を有するヘッド・アップ表示装置を提供することを主に意図している。
[0007] 上記の目的を達成するために、本願では以下の技術的解決策が使用される。
[0008] 第1の態様によれば、本願はヘッド・アップ表示装置であって、複数の異なる焦点距離を有するマルチ・フォーカス画像生成ユニットと、光拡散スクリーンと、光学結像ユニットとを含むヘッド・アップ表示装置を提供し、マルチ・フォーカス画像生成ユニットは複数の画像を生成するように構成され、複数の画像の焦点面は異なる位置にあり、光拡散スクリーンは、マルチ・フォーカス画像生成ユニットの画像面に配置され、マルチ・フォーカス画像生成ユニットにより生成された複数の画像を受信し、複数の画像の光ビームを拡散させるように構成されている。光学結像ユニットは、光拡散スクリーンに投影された複数の画像を結像させ、異なる結像距離の複数の画像を形成するように構成されている。
[0009] 本願で提供されるヘッド・アップ表示装置では、マルチ・フォーカス画像生成ユニットは、複数の焦点距離を有し、複数の画像を生成することが可能であり、複数の画像の焦点面は、異なる位置にある。このように、異なる焦点面を有する複数の画像は、光拡散スクリーンによって拡大され、次いで、光拡散スクリーンに投影された複数の拡大された画像は、光学結像ユニットによって結像され、異なる結像距離を有する複数の画像を形成し、それによって、マルチ・スクリーン表示を実現する。異なる焦点距離を有する複数の画像生成ユニットを用いてマルチ・スクリーン表示を実現する既存の技術と比較すると、1つのマルチ・フォーカス画像生成ユニットが、異なる焦点距離を有する複数の画像生成ユニットに取って代わっている。従って、本願で提供されるヘッド・アップ表示装置は、シンプルな構造を有し、大幅に減少した体積を有する。
[0010] 第1の態様の可能な実装において、ヘッド・アップ表示装置は更に時間シーケンス制御ユニットを含み、時間シーケンス制御ユニットは、マルチ・フォーカス画像生成ユニットにより生成される複数の画像のうちの1つが切り替えられる時点と、複数の焦点距離のうちの1つが切り替えられる時点とを制御するように構成され、その結果、複数の画像のうちの1つが切り替えられる時点と焦点距離のうちの1つが切り替えられる時点とが等しくなり且つ人間の眼の反応時間以下になる。時間シーケンス制御ユニットは、マルチ・フォーカス画像生成ユニットにより生成される画像のうちの1つが切り替えられる時点を制御し、且つマルチ・フォーカス画像生成ユニットの焦点距離のうちの1つが切り替えられる時点を制御するように構成されている。マルチ・フォーカス画像生成ユニットにより生成された画像のうちの1つが切り替えられる時点と、マルチ・フォーカス画像生成ユニットの焦点距離のうちの1つが切り替えられる時点とは等しく、且つ人間の眼の反応時間以下である。このようにして、マルチ・スクリーン表示は同時に存在していると感じられる。例えば、マルチ・フォーカス画像生成ユニットが、第1の時点で計器情報を表示し、切り替えた後の第2の時点でナビゲーション情報を表示する場合、第1の時点と第2の時点の間の時間差は人間の眼の反応時間以下であるので、最終的に、計器情報とナビゲーション情報は人間の眼の前で同時に表示される。
[0011] 第1の態様の可能な実装において、マルチ・フォーカス画像生成ユニットは画像生成素子と空間光変調器を含み、画像生成素子は、複数の画像を生成するように構成され、時間シーケンス制御ユニットは、画像生成素子により生成される複数の画像のうちの1つが切り替えられる時点を制御するように構成されている。空間光変調器は、画像生成素子と光拡散スクリーンとの間の光路に配置される。空間光変調器は、異なる時点で異なる位相情報を、画像生成素子により生成された画像の光学波に乗せ、その結果、異なる時点で画像生成素子により生成された複数の画像は異なる焦点距離に対応している。時間シーケンス制御ユニットは、位相情報が切り替えられる時点を制御するように構成されており、位相情報が切り替えられる時点は、画像のうちの1つが切り替えられる時点に等しい。画像生成素子によって生成された画像の光学波に、空間光変調器によって乗せられる位相情報は、画像生成素子の焦点距離を変更するように変更される。位相情報が切り替えられる時点と、画像のうちの1つが切り替えられる時点は、人間の目の反応時間以下であり、その結果、マルチ・スクリーン表示は同時に存在していると感じられる。
[0012] 第1の態様の可能な実装において、マルチ・フォーカス画像生成ユニットは、画像生成素子とズーム液体レンズを含み、画像生成素子は複数の画像を生成するように構成されており、時間シーケンス制御ユニットは、画像生成素子により生成される複数の画像のうちの1つが切り替えられる時点を制御するように構成されている。ズーム液体レンズは、画像生成素子と光拡散スクリーンとの間の光路に配置される。異なる時点におけるズーム液体レンズの光放出面の曲率は異なり、その結果、異なる時点で画像生成素子により生成された複数の画像は異なる焦点距離に対応している。時間シーケンス制御ユニットは、曲率が切り替えられる時点を制御するように構成されており、曲率が切り替えられる時点は、画像のうちの1つが切り替えられる時点に等しい。画像生成素子の焦点距離は、ズーム液体レンズの光放出面の曲率を変化させることによって変更される。曲率が切り替えられる時点と、画像のうちの1つが切り替えられる時点は両方とも、人間の眼の反応時間以下であり、その結果、マルチ・スクリーン表示は同時に存在していると感じられる。
[0013] 第1の態様の可能な実装において、マルチ・フォーカス画像生成ユニットは、画像生成素子と、固定焦点レンズと、第1の駆動ユニットとを含み、画像生成素子は複数の画像を生成するように構成されており、時間シーケンス制御ユニットは、画像生成素子により生成される複数の画像のうちの1つが切り替えられる時点を制御するように構成されている。固定焦点レンズは、画像生成素子と光拡散スクリーンとの間の光路に配置される。第1の駆動ユニットは固定焦点レンズに接続されており、第1の駆動ユニットは、固定焦点レンズを、異なる時点で異なる位置へ動かすように駆動し、その結果、異なる時点で画像生成素子により生成された複数の画像は異なる焦点距離に対応している。時間シーケンス制御ユニットは、位置のうちの1つが切り替えられる時点を制御するように構成されており、位置のうちの1つが切り替えられる時点は、画像のうちの1つが切り替えられる時点に等しい。画像生成素子の焦点距離は、第1の駆動ユニットを使用して、固定焦点レンズを画像生成素子に対して動かすように駆動することによって、変更される。位置のうちの1つが切り替えられる時点と、画像のうちの1つが切り替えられる時点は両方とも、人間の眼の反応時間以下であり、その結果、マルチ・スクリーン表示は同時に存在すると感じられる。
[0014] 第1の態様の可能な実装において、固定焦点レンズは移動局に設けられ、第1の駆動ユニットは伸縮自在のシリンダを含み、伸縮自在のシリンダは移動局に接続される。伸縮自在のシリンダを使用して、移動局を、画像生成素子の結像光路に沿って動かすように駆動することによって、固定焦点レンズは移動するように駆動される。
[0015] 第1の態様の可能な実装において、ヘッド・アップ表示装置は、第2の駆動ユニットを更に含み、第2の駆動ユニットは、光拡散スクリーンに接続されており、第2の駆動ユニットは、光拡散スクリーンを、マルチ・フォーカス画像生成ユニットにより生成される画像の画像面へ動かすように制御する。特定の実装の際に、マルチ・フォーカス画像生成ユニットが第1の焦点長を有する場合、第2の駆動ユニットは、光拡散スクリーンを、マルチ・フォーカス画像生成ユニットの対応する第1の画像面へ移動させるように駆動して、マルチ・フォーカス画像生成ユニットによって投影された画像を受信することが可能である。マルチ・フォーカス画像生成ユニットが第2の焦点距離を有する場合、第2の駆動ユニットは、更に、光拡散スクリーンを、マルチ・フォーカス画像生成ユニットの対応する第2の画像面へ移動するように駆動する。即ち、第2の駆動ユニットは、光拡散スクリーンを、マルチ・フォーカス画像生成ユニットの結像光路に沿って動かすように駆動し、マルチ・フォーカス画像生成ユニットの結像を異なる時点で受け取る。
[0016] 第1の態様の可能な実装において、光拡散スクリーンはサポート・プラットフォーム上に配置され、第2の駆動ユニットは駆動モーターを含み、サポート・プラットフォームは駆動モーターに接続され、駆動モーターは、サポート・プラットフォームを、マルチ・フォーカス画像生成ユニットの結像光路に沿って移動するように駆動することが可能である。駆動モーターは、サポート・プラットフォームを動かすように駆動し、光拡散スクリーンを動かすように構成されている。この構造はシンプルであり、且つ実装に便利である。
[0017] 第1の態様の可能な実装において、マルチ・フォーカス画像生成ユニットは、画像生成素子と空間光変調器を含み、画像生成素子は、複数の画像生成エリアを有する。空間光変調器は画像生成素子と光拡散スクリーンとの間の光路に配置される。空間光変調器は複数の変調エリアを有し、各々の変調エリアは1つの画像生成エリアに対応しており、複数の変調エリアは、異なる位相情報を、対応する画像生成エリアで生成された画像の光学波に乗せ、その結果、同じ時点で画像生成素子により生成された複数の画像は異なる焦点距離に対応している。画像生成素子は複数の画像生成エリアを有し、同一の時点で複数の画像を生成することができ、空間光変調器は、複数の画像生成エリアと1対1で対応する複数の変調エリアを有する。複数の変調エリアによって、対応する画像生成エリアで生成された画像の光学波に乗せられる位相情報は相違する。このようにして、同じ時点で生成された複数の画像は、異なる焦点距離に対応し、それによってマルチ・スクリーン表示を同時に実現することができる。
[0018] 第1の態様の可能な実装において、マルチ・フォーカス画像生成ユニットは、画像生成素子とズーム液体レンズを含み、画像生成素子は複数の画像生成エリアを有する。ズーム液体レンズは、画像生成素子と光拡散スクリーンとの間の光路に配置される。ズーム液体レンズは複数のレンズ・エリアを有し、各々のレンズ・エリアは1つの画像生成エリアに対応しており、複数のレンズ・エリアの光放出面の曲率は異なり、その結果、同じ時点で画像生成素子により生成された複数の画像は異なる焦点距離に対応している。画像生成素子は、複数の画像生成エリアを有し、同一の時点で複数の画像を生成することができ、ズーム液体レンズは、複数の画像生成エリアに1対1で対応する複数のレンズ・エリアを有する。複数のレンズ・エリアの光放出面の曲率は相違する。このようにして、同じ時点で生成された複数の画像は、異なる焦点距離に対応し、それによって、マルチ・スクリーン表示を同時に実現することができる。
[0019] 第1の態様の可能な実装において、ヘッド・アップ表示装置は、複数の光拡散スクリーンを含み、各々の光拡散スクリーンは、マルチ・フォーカス画像生成ユニットによって生成された画像の1つの画像面に対応し、異なる光拡散スクリーンは、異なる画像面に位置する。複数の光拡散スクリーンが使用され、その結果、複数の光拡散スクリーンは、マルチ・フォーカス画像生成ユニットによって生成された複数の画像の画像面と1対1に対応させて配置され、マルチ・フォーカス画像生成ユニットの結像を受け取る。
[0020] 第1の態様の可能な実装において、ナノ散乱コーティング又は液晶分子冷却コーティングが光拡散スクリーンの散乱面に形成されている。ナノ散乱コーティングと液晶分子冷却コーティングが、光拡散スクリーンの散乱面に形成され、光拡散スクリーンの散乱面の粗さを低減し、その結果、光学結像ユニットにより拡大された画像は、ぼやけたエッジ、明らかなノイズ、粒状感を持たない。
[0021] 第1の態様の可能な実装において、光拡散スクリーンは、ガラス・セラミックから形成されている。拡散は、ガラス・セラミックス中の微結晶分子を用いて実施される。微結晶分子はナノメートル・スケールにおけるものであり、光学結像ユニットによって拡大された後に、画像は明らかなノイズや粒状感を有しておらず、それにより高度に精密なディスプレイを形成する。
[0022] 第1の態様の可能な実装において、光学結像ユニットは、非球面反射器、非球面反射器と凸面ミラー、又は非球面反射器と凹面ミラーを含む。
[0023] 第2の態様によれば、本願はヘッド・アップ表示装置に関する表示方法を提供し、本方法はヘッド・アップ表示装置に適用されることが可能であり、ヘッド・アップ表示装置は、マルチ・フォーカス画像生成ユニットと、光拡散スクリーンと、光学結像ユニットとを含む。表示方法は:
[0024] マルチ・フォーカス画像生成ユニットが、複数の画像を生成するステップであって、マルチ・フォーカス画像生成ユニットは複数の異なる焦点距離を有し、複数の画像の焦点面は異なる位置にある、ステップ;
マルチ・フォーカス画像生成ユニットの画像面に配置された光拡散スクリーンが、マルチ・フォーカス画像生成ユニットにより生成された複数の画像を受信し、複数の画像の光ビームを拡散させるステップ;及び
光学結像ユニットが、光拡散スクリーンに投影された複数の画像を結像させ、異なる結像距離の複数の画像を形成するステップを含む。
[0025] 本願で提供されるヘッド・アップ表示装置に関する表示方法において、マルチ・フォーカス画像生成ユニットは複数の異なる焦点距離を有し、複数の画像を生成することが可能である。複数の画像の焦点面は異なる位置にあり、光拡散スクリーンが、マルチ・フォーカス画像生成ユニットにより生成された複数の画像を受信し、複数の画像の光ビームを拡散させる。光学結像ユニットが、光拡散スクリーンに投影された複数の画像を結像させ、異なる結像距離の複数の画像を形成し、これによりマルチ・スクリーン表示を実現する。本願で提供されるヘッド・アップ表示方法において、マルチ・スクリーン表示は、異なる焦点距離を有する画像生成ユニットを使用することにより実現される。異なる焦点距離を有する複数の画像生成ユニットを用いてマルチ・スクリーン表示を実現する既存の技術と比較すると、1つのマルチ・フォーカス画像生成ユニットが、異なる焦点距離を有する複数の画像生成ユニットに取って代わっている。
[0026] 第2の態様の可能な実装において、ヘッド・アップ表示装置は時間シーケンス制御ユニットを更に含み、表示方法は更に:時間シーケンス制御ユニットが、マルチ・フォーカス画像生成ユニットにより生成される複数の画像のうちの1つが切り替えられる時点と、複数の焦点距離のうちの1つが切り替えられる時点とを制御し、その結果、複数の画像のうちの1つが切り替えられる時点と焦点距離のうちの1つが切り替えられる時点とが等しくなり且つ人間の眼の反応時間以下になる、ステップを含む。時間シーケンス制御ユニットは、画像のうちの1つが切り替えられる時点と焦点距離のうちの1つが切り替えられる時点とを制御するために使用される。画像のうちの1つが切り替えられる時点と焦点距離のうちの1つが切り替えられる時点は等しく、人間の眼の反応時間以下である。このようにして、マルチ・スクリーン表示は同時に存在すると感じられる。
[0027] 第2の態様の可能な実装において、マルチ・フォーカス画像生成ユニットは画像生成素子と空間光変調器を含み、画像生成素子は、複数の画像を生成するように構成されている。表示方法は更に:空間光変調器が、異なる時点で異なる位相情報を、画像生成素子により生成された画像の光学波に乗せ、その結果、異なる時点で画像生成素子により生成された複数の画像は異なる焦点距離に対応しているステップを含む。時間シーケンス制御ユニットは、画像生成素子により生成された画像のうちの1つが切り替えられる時点と、位相情報が切り替えられる時点とを制御し、位相情報が切り替えられる時点は、画像のうちの1つが切り替えられる時点に等しい。画像生成素子によって生成された画像の光学波に、空間光変調器によって乗せられる位相情報は、画像生成素子の焦点距離を変更するように変更される。位相情報が切り替えられる時点と、画像のうちの1つが切り替えられる時点は両方とも、人間の目の反応時間以下であり、その結果、マルチ・スクリーン表示は同時に存在していると感じられる。
[0028] 第2の態様の可能な実装において、マルチ・フォーカス画像生成ユニットは、画像生成素子とズーム液体レンズを含み、画像生成素子は複数の画像を生成するように構成されている。表示方法は更に:異なる時点におけるズーム液体レンズの光放出面の曲率は異なり、その結果、異なる時点で画像生成素子により生成された複数の画像は異なる焦点距離に対応しているステップを含む。時間シーケンス制御ユニットは、画像生成素子により生成される複数の画像のうちの1つが切り替えられる時点と、曲率が切り替えられる時点とを制御し、曲率が切り替えられる時点は、画像のうちの1つが切り替えられる時点に等しい。画像生成素子の焦点距離は、ズーム液体レンズの光放出面の曲率を変化させることによって変更される。曲率が切り替えられる時点と、画像のうちの1つが切り替えられる時点は両方とも、人間の眼の反応時間以下であり、その結果、マルチ・スクリーン表示は同時に存在していると感じられる。
[0029] 第2の態様の可能な実装において、マルチ・フォーカス画像生成ユニットは、画像生成素子と、固定焦点レンズと、第1の駆動ユニットとを含み、画像生成素子は複数の画像を生成するように構成されており、第1の駆動ユニットは固定焦点レンズに接続されている。表示方法は更に:第1の駆動ユニットが、固定焦点レンズを、異なる時点で異なる位置へ動かすように駆動し、その結果、異なる時点で画像生成素子により生成された複数の画像は異なる焦点距離に対応しているステップを含む。時間シーケンス制御ユニットは、画像生成素子により生成される複数の画像のうちの1つが切り替えられる時点と、位置のうちの1つが切り替えられる時点とを制御し、位置のうちの1つが切り替えられる時点は、画像のうちの1つが切り替えられる時点に等しい。画像生成素子の焦点距離は、第1の駆動ユニットを使用して、固定焦点レンズを画像生成素子に対して動かすように駆動することによって、変更される。焦点距離が切り替えられる時点と、画像のうちの1つが切り替えられる時点は両方とも、人間の眼の反応時間以下であり、その結果、マルチ・スクリーン表示は同時に存在すると感じられる。
[0030] 第2の態様の可能な実装において、光拡散スクリーンは、第2の駆動ユニットに接続される。表示方法は、更に、マルチ・フォーカス画像生成ユニットの焦点距離が変換される場合に、第2の駆動ユニットが、光拡散スクリーンを、マルチ・フォーカス画像生成ユニットによって生成された画像の画像面の方へ移動するように、制御するステップを含む。第2の駆動ユニットは、光拡散スクリーンを駆動して動かし、異なる位置で画像面上の画像を受け取るために使用される。
[0031] 第2の態様の可能な実装において、第2の駆動ユニットが、光拡散スクリーンを、マルチ・フォーカス画像生成ユニットにより生成される画像の画像面へ動かすように制御するステップは:
前記マルチ・フォーカス画像生成ユニットの焦点距離に基づいて、前記ヘッド・アップ表示装置の結像距離Vを決定するステップであって、結像距離Vは光学結像ユニットの結像面と光学結像ユニットの光学中心との間の距離であり、光拡散スクリーンの中心と光学結像ユニットの光学中心との間の距離Sは、次の式
に従って計算され、ここで、fは光学結像ユニットの焦点距離である、ステップ;及び
第2の駆動ユニットが、光拡散スクリーンを、光学結像ユニットの光学中心までの距離がSである位置へ動かすステップを含む
[0032] 光拡散スクリーンが第2の駆動ユニットに接続されている場合、即ち、第2の駆動ユニットが光拡散スクリーンを動かすように駆動する場合、前述の方法は、光拡散スクリーンが移動して至る位置を決定し、第2の駆動ユニットは光拡散スクリーンを駆動して動かすために使用される。
[0033] 第2の態様の可能な実装において、ヘッド・アップ表示装置は複数の光拡散スクリーンを含み、各々の光拡散スクリーンは、マルチ・フォーカス画像生成ユニットによって生成された画像の1つの画像面に対応している。表示方法は更に:マルチ・フォーカス画像生成ユニットにより生成された画像を、対応する光拡散スクリーンに投影するステップを含む。
[0034] 第2の態様の可能な実装において、マルチ・フォーカス画像生成ユニットは、画像生成素子と空間光変調器を含み、画像生成素子は、複数の画像生成エリアを有する。空間光変調器は複数の変調エリアを有し、各々の変調エリアは1つの画像生成エリアに対応している。表示方法は更に、複数の画像生成エリアで画像を同時に生成するステップであって、複数の変調エリアは、異なる位相情報を、対応する画像生成エリアで生成された画像の光学波に乗せ、その結果、同じ時点で画像生成素子により生成された複数の画像は異なる焦点距離に対応している、ステップを含む。画像生成素子は複数の画像生成エリアを有し、同一の時点で複数の画像を生成することができ、空間光変調器は、複数の画像生成エリアと1対1で対応する複数の変調エリアを有する。複数の変調エリアによって、対応する画像生成エリアで生成された画像の光学波に乗せられる位相情報は相違する。このようにして、同じ時点で生成された複数の画像は、異なる焦点距離に対応し、それによってマルチ・スクリーン表示を同時に実現することができる。
[0035] 第2の態様の可能な実装において、マルチ・フォーカス画像生成ユニットは、画像生成素子とズーム液体レンズを含み、画像生成素子は複数の画像生成エリアを有する。ズーム液体レンズは複数のレンズ・エリアを有し、各々のレンズ・エリアは1つの画像生成エリアに対応している。表示方法は、複数の画像生成エリアで画像を同時に生成し、その結果、同じ時点で画像生成素子により生成された複数の画像は異なる焦点距離に対応しているステップを含む。画像生成素子は、複数の画像生成エリアを有し、同一の時点で複数の画像を生成することができ、ズーム液体レンズは、複数の画像生成エリアに1対1で対応する複数のレンズ・エリアを有する。複数のレンズ・エリアの光放出面の曲率は相違する。このようにして、同じ時点で生成された複数の画像は、異なる焦点距離に対応し、それによって、マルチ・スクリーン表示を同時に実現することができる。
[0036] 第2の態様の可能な実装において、空間光変調器により、画像生成素子により生成された画像の光学波に乗せられる位相情報は、画像生成素子の焦点距離を変換するためのフレネル位相情報であり;
フレネル位相のm番目のリングの半径rmは、rm=√(2mfλ)であり、
λは画像生成素子により生成された画像の光学波の波長であり、fはフレネル位相と同等なフレネル・レンズの焦点距離である。
[0037] 第3の態様によれば、本願は更に表示システムを提供し、表示システムは、第1の態様又は第1の態様の任意の実装におけるヘッド・アップ表示装置及びリフレクタを含み、リフレクタは、光学結像ユニットの結像光路に配置されている。
[0038] 本願で提供される表示システムによれば、ヘッド・アップ表示装置は、第1の態様の任意の1つの実装におけるヘッド・アップ表示装置を使用する。従って、本願のこの実施形態で提供される表示システムは、マルチ・スクリーン表示を形成するように、異なる結像距離を有する画像を形成することができる。ヘッド・アップ表示装置は、単一の光学機械構造(1つのマルチ・フォーカス画像生成ユニット)であり、シンプルな構造を有する。更に、表示システムは、前述の技術的解決策においてヘッド・アップ表示装置と同じ技術的問題を解決し且つ同じ期待される効果を達成することができる。
[0039] 第3の態様の可能な実施形態において、ヘッド・アップ表示装置は車両に設けられ、リフレクタは車両に設けられたフロントガラスである。
[0040] 図1は、従来技術におけるヘッド・アップ表示装置の構造の概略図である。
[0041] 図2は、本願の実施形態による車両に適用されるヘッド・アップ表示装置の構造の概略図である。
[0042] 図3は、本願の実施形態によるヘッド・アップ表示装置の構造の概略図である。
[0043] 図4は、本願の実施形態によるヘッド・アップ表示装置の構造のブロック図である。
[0044] 図5は、本願の実施形態による空間光変調器によるマルチ・フォーカス画像生成ユニットの焦点距離を変更する原理の概略図である。
[0045] 図6aは、本願の実施形態によるズーム液体レンズによるマルチ・フォーカス画像生成ユニットの焦点距離を変更する原理の概略図である。
[0046] 図6bは、本願の実施形態によるズーム液体レンズの構造の概略図である。
[0047] 図7は、本願の実施形態による固定焦点レンズによるマルチ・フォーカス画像生成ユニットの焦点距離を変更する原理の概略図である。
[0048] 図8は、本願の実施形態による、ピラミッド状画像を複数のパートに分割する構造の概略図である。
[0049] 図9は、本願の実施形態によるヘッド・アップ表示装置における複数の光拡散スクリーンの構造の概略図である。
[0050] 図10は、本願の実施形態によるヘッド・アップ表示装置の構造の概略図である。
[0051] 図11は、本願の実施形態による画像生成素子における複数の画像生成エリアの構造の概略図である。
[0052] 図12は、本願の実施形態による空間光変調器によるマルチ・フォーカス画像生成ユニットの焦点距離を変更する原理の概略図である。
[0053] 図13は、本願の実施形態によるズーム液体レンズによるマルチ・フォーカス画像生成ユニットの焦点距離を変更する原理の概略図である。
[0054] 図14は、本願の実施形態による空間光変調器によるマルチ・フォーカス画像生成ユニットの焦点距離を変更する原理の概略図である。
[0055] 図15は、本願の実施形態によるズーム液体レンズによるマルチ・フォーカス画像生成ユニットの焦点距離を変更する原理の概略図である。
[0056] 図16は、本願の実施形態による光拡散スクリーンの構造の概略図である。
[0057] 図17は、本願の実施形態による光拡散スクリーンの構造の概略図である。
[0058] 図18は、本願の実施形態によるヘッド・アップ表示装置の表示方法のフロー・ブロック図である。 [0059] 参照番号: 01-第1の投影モジュール; 02-第2の投影モジュール; 03-透過拡散板; 04-偏光ビーム・スプリッタ; 05-フリー・フォーム・ミラー; 06-減衰機構; A1-遠距離画像; A2-近距離画像; 1-マルチ・フォーカス画像生成ユニット; 101-画像生成素子; 102-焦点距離変換素子; 1021-空間光変調器; 1021A-第1の変調エリア; 1021B-第2の変調エリア; 1022-ズーム液体レンズ; 1022A-第1のレンズ・エリア; 1022B-第2のレンズ・エリア; 1023-固定焦点レンズ; 2-光拡散スクリーン; 21-ナノ散乱コーティング; 22-液晶分子冷却コーティング; 201-第1の光拡散スクリーン; 202-第2の光拡散スクリーン; 3-光学結像ユニット; 4-時間シーケンス制御ユニット; 5-フロントガラス; 61-第1の画像; 62-第2の画像; 7-光放出面; 8-永久磁石; 9-コイル; 10-駆動キャビティ 11-光キャビティ
[0060] 本願の実施形態は、ヘッド・アップ表示装置、表示方法、及び表示システムに関連する。以下、ヘッド・アップ表示装置、表示方法、及び表示システムを、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
[0061] 一態様によれば、本願の実施形態は、マルチ・スクリーン表示を実現することが可能であり且つシンプルな構造を有するヘッド・アップ表示装置を提供する。図2及び図3を参照すると、ヘッド・アップ表示装置は、マルチ・フォーカス画像生成ユニット1、光拡散スクリーン2、及び光学結像ユニット3を含む。マルチ・フォーカス画像生成ユニット1は、複数の異なる焦点距離を有するものであり、複数の画像を生成するように構成されており、複数の画像の焦点面は、異なる位置に配置される(図3に示すマルチ・フォーカス画像生成ユニット1は、第1の焦点面F1と第2の焦点面F2を有する)。光拡散スクリーン2は、マルチ・フォーカス画像生成ユニット1の画像面に配置されるものであり、マルチ・フォーカス画像生成ユニット1によって生成された複数の画像を受信し、複数の画像の光ビームを拡散させるように構成されている。光学結像ユニット3は、光拡散スクリーン2に投影された複数の画像を結像させて、異なる結像距離を有する複数の画像を形成するように構成されている(図3は、第1の結像距離V1を有する第1の画像61と、第2の結像距離V2を有する第2の画像62とを形成することを示す)。焦点面は、マルチ・フォーカス画像生成ユニットの光軸に対して垂直であり且つ焦点を含む面である。画像面は、マルチ・フォーカス画像生成ユニットによって生成される画像の結像面であり、焦点面と画像面は、異なる空間位置に配置されてもよいし、又は同じ空間位置に配置されてもよい。
[0062] ヘッド・アップ表示装置は、複数の異なる焦点距離を有するマルチ・フォーカス画像生成ユニットを使用し、マルチ・フォーカス画像生成ユニットは、複数の画像を生成することができる。複数の画像の焦点面は、異なる位置に配置される。このように、複数の画像の画像面もまた、異なる位置にも配置され、その結果、マルチ・フォーカス画像生成ユニットによって生成された画像を受信し、受信した画像を増幅する光拡散スクリーンは、光学的画像生成ユニットから異なる距離を有する。図3を参照すると、式
に従って、fは光学結像ユニット3の焦点距離であり、Sは光学結像ユニット3の光学中心と光拡散スクリーン2の中心との間の距離、及びVは光学結像ユニット3の結像距離である。その式によれば、光拡散スクリーンと光学結像ユニットとの間の相対距離が異なる場合、光結像ユニットの結像距離は異なる。従って、複数の異なる焦点距離を有するマルチ・フォーカス画像生成ユニットは、マルチ・スクリーン表示を実現するために使用されることが可能である。
[0063] 本願のこの実施形態では、1つのマルチ・フォーカス画像生成ユニット1が設けられているので、焦点距離を変更することによって、マルチ・スクリーン表示が実現される。従来技術の図1に示す構造と比較すると、ヘッド・アップ表示装置全体の構造がシンプルになっている。これに対応して、ヘッド・アップ表示装置の体積も小さくなり、小型化設計の要件が満たされる。
[0064] 以下、マルチ・スクリーン表示を実現する具体的な実装を説明する。
[0065] 実装1
図4を参照すると、ヘッド・アップ表示装置は時間シーケンス制御ユニット4を更に含んでいる。マルチ・フォーカス画像生成ユニットは、一度に1つの画像を生成し、1つの画像は1つの焦点距離に対応する。時間シーケンス制御ユニット4は、マルチ・フォーカス画像生成ユニット1によって生成された複数の画像のうちの1つが切り替えられる時点と、複数の焦点距離のうちの1つが切り替えられる時点とを制御するように構成され、その結果、複数の画像のうちの1つが切り替えられる時点と、焦点距離のうちの1つが切り替えられる時点とは等しくなり、且つ、人間の眼の反応時間以下となる。
[0066] 例えば、第1の時点において、マルチ・フォーカス画像生成ユニットは第1の画像を生成し、第1の画像は第1の焦点距離に対応する。第2の時点において、マルチ・フォーカス画像生成ユニットは第2の画像を生成し、第2の画像は第2の焦点距離に対応する。時間シーケンス制御ユニットは、第1の画像と第2の画像が切り替えられる時点、及び第1の焦点距離と第2の焦点距離が切り替えられる時点を制御する。画像のうちの1つが切り替えられる瞬間と焦点距離のうちの1つが切り替えられる瞬間の両方とも、人間の眼の反応時間以下である。即ち、画像のうちの1つが切り替えられる瞬間と焦点距離のうちの1つが切り替えられる瞬間は非常に短く、人間の眼によって識別することはできない。このようにして、デュアル・スクリーン表示は同時に形成されていると感じられる。
[0067] 人間工学によれば、人間の眼の反応時間は約0.2秒ないし0.25秒であることに留意すべきである。
[0068] 実装2
マルチ・フォーカス画像生成ユニットは、複数の画像を同時に生成し、複数の異なる焦点距離を同時に有する。複数の画像は、異なる焦点距離に対応する。このようにして、マルチ・スクリーン表示が同時に形成される。
[0069] 例えば、ある時点において、マルチ・フォーカス画像生成ユニットは第1の画像と第2の画像を同時に生成し、第1の画像は第1の焦点距離に対応し、第2の画像は第2の焦点距離に対応し、その時点で二重スクリーン表示が人間の眼に見えている。
[0070] 実装3
ヘッド・アップ表示装置は、時間シーケンス制御ユニット4を更に含む。マルチ・フォーカス画像生成ユニットは、複数の画像を同時に生成し、同時に複数の異なる焦点距離を有し、複数の画像は異なる焦点距離に対応する。時間シーケンス制御ユニット4は、マルチ・フォーカス画像生成ユニット1によって生成された複数の画像のうちの1つが切り替えられる時点と、複数の焦点距離のうちの1つが切り替えられる時点とを制御するように構成され、その結果、画像のうちの1つが切り替えられる時点と、焦点距離のうちの1つが切り替えられる時点とは等しくなり、且つ、人間の眼の反応時間以下となる。
[0071] 例えば、第1の時点において、マルチ・フォーカス画像生成ユニットは、第1の画像と第2の画像を同時に生成し、第1の画像は第1の焦点距離に対応し、第2の画像は第2の焦点距離に対応する。第2の時点において、マルチ・フォーカス画像生成ユニットは、第3の画像と第4の画像を同時に生成し、第3の画像は第3の焦点距離に対応し、第4の画像は第4の焦点距離に対応する。時間シーケンス制御ユニットは、第1の画像と第3の画像とが切り替えられる時点と、第1の焦点距離と第3の焦点距離とが切り替えられる時点とを制御し、第2の画像と第4の画像とが切り替えられる時点と、第2の焦点距離と第4の焦点距離とが切り替えられる時点とを制御する。画像のうちの1つが切り替えられる瞬間と焦点距離のうちの1つが切り替えられる瞬間の両方とも、人間の眼の反応時間以下である。即ち、画像のうちの1つが切り替えられる瞬間と焦点距離のうちの1つが切り替えられる瞬間は非常に短く、人間の眼によって識別することはできない。このようにして、4スクリーン表示が同時に形成されていると感じられる。
[0072] 3つの実装を明確に説明するために、先ず実装1を詳細に説明し、次いで実装2を詳細に説明し、最後に実装3を詳細に説明する。
[0073] 実装1の関連する解決手段
[0074] 図3を参照すると、マルチ・フォーカス画像生成ユニット1の焦点距離がF1である場合、マルチ・フォーカス画像生成ユニット1によって生成された第1の画像が、光拡散スクリーン2及び光学結像ユニット3を通過した後、結像距離V1の第1の画像61が形成される。マルチ・フォーカス画像生成ユニット1の焦点距離がF2である場合、マルチ・フォーカス画像生成ユニット1によって生成された第2の画像が、光拡散スクリーン2及び光学結像ユニット3を通過した後、結像距離V2の第2の画像62が形成され、図面では二重スクリーン表示が示されている。類推により、マルチ・フォーカス画像生成ユニットにN個の焦点距離が存在する場合(Nは2より大きな整数)、対応するN個のスクリーン表示が形成される。特定の実装の際に、第1の画像がナビゲーション画像情報である場合、第1の結像は対応するガイダンス画像情報を表示し、第2の画像が計器画像情報である場合、第2の画像は対応する計器画像情報を表示する。第1の画像を第2の画像に切り替える時間、及び焦点距離F1を焦点距離F2に切り替える時間は、人間の眼の反応時間以下である。従って、ガイダンス画像情報と計器画像情報が人間の眼に同時に表示される。
[0075] 図2を参照すると、マルチ・フォーカス画像生成ユニット1は、画像生成素子101と焦点距離変換素子102とを含んでいる。画像生成素子101は、複数の画像を生成するように構成されており、時間シーケンス制御ユニット4は、画像生成素子101によって生成された複数の画像のうちの1つが切り替えられる時点を制御するように構成されている。時間シーケンス制御ユニット4は、焦点距離変換素子102を制御して、画像生成素子101の焦点距離を変換するように構成され、その結果、マルチ・フォーカス画像生成ユニットは複数の異なる焦点距離を有する。
[0076] 焦点距離変換素子102の構成は、3つの実施形態を用いて以下に説明及び記述される複数の場合を有する。
[0077] 実施形態1
図5を参照すると、焦点距離変換素子は空間光変調器1021を含む。空間光変調器1021は、画像生成素子と光拡散スクリーンとの間の光路上に配置される。空間光変調器1021は、異なる時点で異なる位相情報を、画像生成素子101によって生成された画像の光学波に乗せ、その結果、異なる時点で画像生成素子101によって生成された複数の画像は、異なる焦点距離に対応している。時間シーケンス制御ユニットは、位相情報が切り替えられる時点を制御し、位相情報が切り替えられる時点は、画像のうちの1つが切り替えられる時点に等しい。
[0078] 図5に示されるように、第1の時点において、空間光変調器1021によって、画像生成素子によって生成された画像の光学波に乗せられた位相情報が第1の位相情報であり、画像生成素子によって生成された画像の焦点距離がF1である場合、画像は第1の画像面で結像される。空間光変調器によって、画像生成素子によって生成された画像の光学波に乗せられた位相情報が第2の位相情報であり、画像生成素子によって生成された画像の焦点距離がF2である場合、画像は第2の画像面で結像される。第1の時点と第2の時点との間の時間差は、人間の眼の反応時間以下である(即ち、第1の位相情報と第2の位相情報が切り替えられる瞬間、及び第1の画像と第2の画像が切り替えられる瞬間は、人間の眼の反応時間以下である)。このようにして、二重スクリーン表示が人間の眼に見える。空間光変調器によって、画像生成素子によって生成された画像の光学波に乗せられた第1の位相情報と第2の位相情報とが異なる場合、焦点距離のサイズ、焦点面の位置、及び画像面の位置は変更される、ということをこの図から知ることができる。
[0079] 空間光変調器は、マイクロレンズ・アレイに基づく空間光変調器であってもよいし、又は液晶空間光変調器であってもよい。例えば、エルコス(Liquid crystal on silicon, LCoS)空間光変調器は、画素の電圧値を変えて、画像生成素子の光学波を変調し、画像生成素子の焦点距離を変えることにより、各ピクセルの変調を実現する。
[0080] 位相情報は、空間光変調器によって切り替えられ且つ画像生成素子によって生成された画像の光学波に乗せられる瞬間は、人間の目の反応時間以下であり、その結果、マルチ・スクリーン表示が同時に存在していると感じられる。
[0081] 実施形態2
図6a及び図6bを参照すると、焦点距離変換素子はズーム液体レンズ1022を含む。ズーム液体レンズ1022は、画像生成素子と光拡散スクリーンとの間の光路に配置される。異なる時点におけるズーム液体レンズの光放出面の曲率は異なり、その結果、異なる時点で画像生成素子によって生成される複数の画像は、異なる焦点距離に対応する。時間シーケンス制御ユニットは、曲率が切り替えられる時点を制御するように構成されており、曲率が切り替えられる時点は、画像のうちの1つが切り替えられる時点に等しい。
[0082] 図6bは、ズーム液体レンズの構造の概略図である。駆動キャビティ10は光キャビティ11と通じており、即ち、駆動キャビティ10内の液体と光キャビティ11内の液体は、2つのキャビティの間で流れることが可能である。光キャビティ11内の液体が変化すると、光放出面7の表面張力が変化し、その結果、光放出面7の曲率が変化する。永久磁石8とコイル9は、光キャビティ11内の液体と駆動キャビティ10内の液体の間での流れを起こすように構成された動力源を形成する。
[0083] 図6bに示されるように、第1の時点において、コイル9が第1の電流に接続された後、コイル9によって生成される磁界は、永久磁石8によって生成される磁界とは異なり、永久磁石8は下方に引き寄せられ、その結果、駆動キャビティ10の容積が小さくなり、駆動キャビティ10内の液体が光キャビティ11へ流れ込み、光放出面7の変形が、第1の湾曲(実線で示されているもの)を形成することを引き起こし、その結果、ズーム液体レンズの焦点距離はF1となる。第2の時点において、コイル9が第2の電流に接続された後、コイル9によって生成される磁界は、永久磁石8によって生成される磁界とは異なり、永久磁石8は下方に引き寄せられ、その結果、駆動キャビティ10の容積が小さくなり、駆動キャビティ10内の液体が光キャビティ11へ流れ込み、光放出面7の変形が、第2の湾曲(破線で示されているもの)を形成することを引き起こし、その結果、ズーム液体レンズの焦点距離はF2となる。第2の電流の値は、第1の電流の値より大きい。第1の時点と第2の時点との間の時間差は、人間の眼の反応時間以下である(即ち、第1の湾曲と第2の湾曲が切り替えられる瞬間、及び第1の画像と第2の画像が切り替えられる瞬間は、人間の眼の反応時間以下である)。このようにして、二重スクリーン表示が人間の眼に見える。ズーム液体レンズの光放出面の曲率が異なる場合、焦点距離のサイズ、焦点面の位置、画像面の位置は変更される、ということをこの図から知ることができる。
[0084] 実施形態3
図7を参照すると、焦点距離変換素子は、固定焦点レンズ1023と、第1の駆動ユニット(図示されていない)とを含んでいる。固定焦点レンズは、画像生成素子と光拡散スクリーンとの間の光路上に配置される。第1の駆動ユニットは、固定焦点レンズに接続されており、時間シーケンス制御ユニットは、第1の駆動ユニットを制御して、固定焦点レンズを、異なる時点で異なる位置へ移動させるように構成されており、異なる時点で画像生成素子によって生成される複数の画像は異なる焦点距離に対応している。
[0085] 図7に示されるように、第1の時点において、第1の駆動ユニットが固定焦点レンズを第1の位置(破線で示される)へ移動させるように駆動すると、画像形成素子によって生成された第1の画像の焦点距離はF1となり、第1の画像の結像は第1の画像面上で行われる。第2の時点において、第1の駆動ユニットが固定焦点レンズを第2の位置(実線で示される)に移動させるように駆動すると、画像生成素子によって生成された第2の画像の焦点距離はF2となり、第2の画像の結像は第2の画像面上で行われる。第1の時点と第2の時点の間の時間差は、人間の眼の反応時間以下である(第1の位置と第2の位置が切り替えられる瞬間と、第1の画像と第2の画像が切り替えられる瞬間とは、人間の眼の反応時間以下である)。このようにして、二重スクリーン表示が人間の眼に見える。固定焦点レンズが異なる位置へ移動する場合、マルチ・フォーカス画像生成ユニットの焦点距離のサイズ、焦点面の位置、及び画像面の位置は変更される、ということをこの図から知ることができる。
[0086] 実施形態3の第1の駆動ユニットは、複数の構造を有する。例えば、第1の駆動ユニットは駆動モーターを含み、駆動モーターは固定焦点レンズに接続されて、固定焦点レンズを駆動して動かす。別の例では、第1の駆動ユニットは、伸縮自在のシリンダを含み、伸縮自在のシリンダは、固定焦点レンズに接続されて、固定焦点レンズを駆動して動かす。固定焦点レンズを動かすように駆動することが可能な如何なる構造も、本願の保護範囲内にある。
[0087] 固定焦点レンズは、移動局に配置されてもよく、第1の駆動ユニットは、移動局に接続されて、移動局を駆動して動かし、固定焦点レンズを駆動して移動させる。固定焦点レンズは、一般にガラス材料で構成されており、第1の駆動ユニットは、固定焦点レンズに直接的に接続されており、比較的高い接続構造を必要とする。従って、固定焦点レンズは移動局に設けられる。
[0088] 前述の3つの実施形態は、焦点距離変換素子の幾つかの実装として使用されているだけであり、画像生成素子の焦点距離は、別の実装で変更されてもよい。
[0089] マルチ・フォーカス画像生成ユニットの焦点距離はしょっちゅう変換されるので、マルチ・フォーカス画像生成ユニットによって生成される画像の画像面の位置もしょっちゅう変化し、光拡散スクリーン2は、マルチ・フォーカス画像生成ユニットの画像をリアル・タイムで受信することが可能であることを必要とする。光拡散スクリーン2は、以下の2つの実装構造を有する。
[0090] 実施形態1
図2及び図3を参照すると、ヘッド・アップ表示装置は、更に、第2の駆動ユニット(図示されていない)を含み、第2の駆動ユニットは、光拡散スクリーンに接続され、第2の駆動ユニットは、光拡散スクリーンを、マルチ・フォーカス画像生成ユニットによって生成された画像の画像面の方へ動かすように制御する。図3において、実線は、マルチ・フォーカス画像生成ユニットが第1の焦点距離F1を有する場合に、光拡散スクリーンが第1の画像面上に配置されることを示す。図3において、破線は、マルチ・フォーカス画像生成ユニットが第2の焦点距離F2を有する場合に、光拡散スクリーンが第2の画像面上に配置されることを示す。
[0091] 即ち、第2の駆動ユニットは、光拡散スクリーンを、マルチ・フォーカス画像生成ユニットの結像光路に沿って(図3ではP方向に)動かすように駆動し、様々な時点でマルチ・フォーカス画像生成ユニットの結像を受け取るようにする。
[0092] また、第2の駆動ユニットは、マルチ・フォーカス画像生成ユニットの結像光路に沿って連続的に動くように、光拡散スクリーンを駆動することが可能である。この設計では、次の技術的効果を更に達成することができる:図8を参照すると、ピラミッドが撮像されることを必要とする場合に、ピラミッド像は複数のパートに分割される(図では、12個のパートが示されている)。マルチ・フォーカス画像生成ユニットは、一度に1つの画像パートを表示し、そのパートは、ピラミッドの上から下へ連続的に切り替わり、画像の2つのパートそれぞれの焦点距離は連続的に変えられる。第2の駆動ユニットは、光拡散スクリーンを、連続的に動かすように駆動し、その結果、人間の眼に見える最終的なピラミッド像は3次元構造で現れ、これは深度情報を有し、ユーザーの体験を向上させる。
[0093] 実施形態2
図9を参照すると、複数の光拡散スクリーンが存在しており、各々の光拡散スクリーンは、マルチ・フォーカス画像生成ユニットによって生成される画像のうちの1つの画像面に対応し、異なる光拡散スクリーンは、異なる画像面上に配置されている。
[0094] 即ち、複数の光拡散スクリーンが存在し、各々の光拡散スクリーンは固定されており、各々の光拡散スクリーンは対応する画像面上に配置される。例えば、図9に示されるヘッド・アップ表示装置は、第1の光拡散スクリーン201と第2の光拡散スクリーン202とを含む。第1の光拡散スクリーン201は、マルチ・フォーカス画像生成ユニットの焦点距離がF1である画像面の位置に配置され、第2の光拡散スクリーン202は、マルチ・フォーカス画像生成ユニットの焦点距離がF2である画像面の位置に配置される。
[0095] 図3に示される可動光拡散スクリーン構造は、図9に示す複数の固定光拡散スクリーン構造よりも、より単純な構造を有し、より少ない空間を占める。従って、本件は、好ましくは、第2の駆動ユニットを使用して、光拡散スクリーンを駆動して動かすことによって実施される
[0096] 実装2の関連する解決手段
[0097] 図10を参照すると、マルチ・フォーカス画像生成ユニット1は、画像生成素子101と焦点距離変換素子102を有し、画像生成素子101は、複数の画像生成エリアを有する(図10及び図11は、第1画像生成エリアP1及び第2画像生成エリアP2を示す)。焦点距離変換素子102は、複数の画像生成エリアの焦点距離を同時に変更するように構成されており、その結果、複数の画像生成エリアは異なる焦点距離を有する。
[0098] 焦点距離変換素子102の構成は、2つの実施形態を用いて以下に説明及び記述される複数の場合を有する。
[0099] 実施形態1
図12を参照すると、焦点距離変換素子102は空間光変調器1021を含む。空間光変調器は、画像生成素子と光拡散スクリーンとの間の光路上に配置される。空間光変調器は複数の変調エリアを有し、各々の変調エリアは1つの画像生成エリアに対応し、複数の変調エリアは、対応する画像生成エリアで生成された画像の光学波に、異なる位相情報を乗せ、その結果、同じ時点で画像生成素子によって生成された複数の画像は、異なる焦点距離に対応する。
[0100] 図12に示されるように、空間光変調器は、第1の変調エリア1021Aと第2の変調エリア1021Bとを含み、第1の変調エリア1021Aは第1の画像生成エリアP1に対応し、第2の変調エリア1021Bは第2の画像生成エリアP2に対応する。第1の画像生成エリアP1によって生成された第1の画像の光波に、第1の変調エリア1021Aによって乗せられた位相情報が、第1の位相情報である場合、第1の画像生成エリアP1によって生成された第1の画像の焦点距離はF1となり、第1の画像の結像は第1の画像面上で行われる。同時に、第2の画像生成エリアP2によって生成された第2の画像の光波に、第2の変調エリア1021Bによって乗せられた位相情報が、第2の位相情報である場合、第2の画像生成エリアP2によって生成された第2の画像の焦点距離はF2となり、第2の画像の結像は第2の画像面上で行われる。第1の変調エリア1021A及び第2の変調エリア1021Bにより、対応する画像生成エリアによって生成された画像に乗せられた光学波の第1の位相情報及び第2の位相情報が異なる場合、焦点距離のサイズ、焦点面の位置、及び画像面の位置は変更され、マルチ・スクリーン表示を同時に実現できる、ということをこの図から知ることができる。
[0101] 実施形態2
図13を参照すると、焦点距離変換素子102はズーム液体レンズ1022を含んでいる。ズーム液体レンズ1022は、画像生成素子と光拡散スクリーンとの間の光路上に配置される。ズーム液体レンズ1022は複数のレンズ・エリアを有し、各々のレンズ・エリアは1つの画像生成エリアに対応し、複数のレンズ・エリアの光放出面の曲率は異なり、その結果、同時に画像生成素子によって生成される複数の画像は、異なる焦点距離に対応する。
[0102] 図13に示されるように、ズーム液体レンズ1022は、第1のレンズ・エリア1022Aと第2のレンズ・エリア1022Bを含み、第1のレンズ・エリア1022Aは第1の画像生成エリアP1に対応し、第2のレンズ領域1022Bは第2の画像生成エリアP2に対応する。第1のレンズ・エリア1022Aの光放出面の曲率は第1の曲率であり、第1の画像生成エリアP1によって生成された第1の画像の焦点距離はF1であり、その結果、第1の画像の結像は第1の画像面上で行われる。同時に、第2のレンズ・エリア1022Bの光放出面の曲率は第2の曲率であり、第2の画像生成エリアP2によって生成された第2の画像の焦点距離はF2であり、その結果、第2の画像の結像は第2の画像面上で行われる。第1のレンズ・エリア1022Aと第2のレンズ・エリア1022Bの曲率が異なる場合、焦点距離のサイズ、焦点面の位置、画像面の位置は変更され、マルチ・スクリーン表示を同時に実現できる、ということをこの図から知ることができる。
[0103] 一部の実装では、複数の光拡散スクリーンが存在し、各々の光拡散スクリーンは、マルチ・フォーカス画像生成ユニットによって生成される画像の1つの画像面に対応し、異なる光拡散スクリーンは、異なる画像面上に配置される。
[0104] 即ち、複数の光拡散スクリーンが存在し、各々の光拡散スクリーンは固定され、各々の光拡散スクリーンは対応する画像面上に配置される。
[0105] 実装3の関連する解決手段
[0106] マルチ・フォーカス画像生成ユニットは、画像生成素子と焦点距離変換素子を含み、画像生成素子は複数の画像生成エリアを有し、焦点距離変換素子は、複数の画像生成エリアの焦点距離を同時に変調するように構成され、その結果、複数の画像生成エリアは異なる焦点距離を有する。また、ヘッド・アップ表示装置は時間シーケンス制御ユニットを更に含み、時間シーケンス制御ユニットは、画像生成エリアで生成された画像のうちの1つが切り替えられる時点と焦点距離のうちの1つが切り替えられる時点とを制御するように構成されており、その結果、複数の画像のうちの1つが切り替えられる時点と焦点距離のうちの1つが切り替えられる時点とは等しく、且つ、人間の眼の反応時間以下である。
[0107] 焦点距離変換素子102の構成は、2つの実施形態を用いて以下に説明及び記述される複数の場合を有する。
[0108] 実施形態1
図14を参照すると、焦点距離変換素子は空間光変調器1021を含んでいる。空間光変調器は、画像生成要素と光拡散スクリーンとの間の光路上に配置される。空間光変調器は複数の変調エリアを有し、各々の変調エリアは1つの画像生成エリアに対応し、複数の変調エリアは、対応する画像生成エリアで生成された画像の光学波に、異なる位相情報を乗せ、その結果、同じ時点で画像生成素子によって生成された複数の画像は、異なる焦点距離に対応する。更に、時間シーケンス制御ユニットは、画像生成エリアを制御し、異なる時点の異なる位相情報を、画像生成エリアによって生成された画像の光学波に乗せ、その結果、異なる時点で画像生成エリアによって生成された複数の画像は異なる焦点距離に対応する。
[0109] 図14に示されるように、空間光変調器は第1の変調エリア1021Aと第2の変調エリア1021Bを含み、第1の変調エリア1021Aは第1の画像生成エリアP1に対応し、第2の変調エリア1021Bは第2の画像生成エリアP2に対応する。
第1の時点において、第1の画像生成エリアP1によって生成された第1の画像の光波に、第1の変調エリア1021Aによって乗せられた位相情報が、第1の位相情報である場合、第1の画像生成エリアP1によって生成された第1の画像の焦点距離はF1となり、第1の画像の結像は第1の画像面上で行われる。
第1の時点において、第2の画像生成エリアP2によって生成された第2の画像の光波に、第2の変調エリア1021Bによって乗せられた位相情報が、第2の位相情報である場合、第2の画像生成エリアP2によって生成された第2の画像の焦点距離はF2となり、第2の画像の結像は第2の画像面上で行われる。
第2の時点において、第1の画像生成エリアP1によって生成された第3の画像の光波に、第1の変調エリア1021Aによって乗せられた位相情報が、第3の位相情報である場合、第1の画像生成エリアP1によって生成された第3の画像の焦点距離はF3となり、第3の画像の結像は第3の画像面上で行われる。
第2の時点において、第2の画像生成エリアP2によって生成された第4の画像の光波に、第2の変調エリア1021Bによって乗せられた位相情報が、第4の位相情報である場合、第2の画像生成エリアP2によって生成された第4の画像の焦点距離はF2となり、第4の画像の結像は第4の画像面上で行われる。
第1の時点と第2の時点の間の時間差は人間の眼の反応時間以下である(第1の位相情報と第3の位相情報が切り替えられる時点と、第2の位相情報と第4の位相情報が切り替えられる時点と、第1の画像と第2の画像が切り替えられる時点は、人間の眼の反応時間以下である)。このようにして、4スクリーン表示が人間の眼に見える。
[0110] 実施形態2
図15を参照すると、焦点距離変換素子102はズーム液体レンズ1022を含む。ズーム液体レンズ1022は、画像生成素子と光拡散スクリーンの間の光路上に配置される。ズーム液体レンズ1022は複数のレンズ・エリアを有し、各々のレンズ・エリアは1つの画像生成エリアに対応し、複数のレンズ・エリアの光放出面の曲率は異なり、その結果、同時に画像生成素子によって生成された複数の画像は、異なる焦点距離に対応する。また、時間シーケンス制御ユニットは画像生成エリアを制御する。異なる時点における複数のレンズ・エリアの光放出面の曲率は異なり、その結果、異なる時点における画像生成エリアによって生成される複数の画像は、異なる焦点距離に対応する。
[0111] 図15に示されるように、ズーム液体レンズ1022は第1のレンズ・エリア1022Aと第2のレンズ・エリア1022Bを含み、第1のレンズ・エリア1022Aは第1の画像生成エリアP1に対応し、第2のレンズ・エリア1022Bは第2の画像生成エリアP2に対応する。
第1の時点において、第1のレンズ・エリア1022Aの光放出面の曲率は第1の曲率であり、第1の画像生成エリアP1によって生成される第1の画像の焦点距離はF1であり、その結果、第1の画像の結像は第1の画像面上で行われる。
第1の時点において、第2のレンズ・エリア1022Bの光放出面の曲率は第2の曲率であり、第2の画像生成エリアP2によって生成される第2の画像の焦点距離はF2であり、その結果、第2の画像の結像は第2の画像面上で行われる。
第2の時点において、第1のレンズ・エリア1022Aの光放出面の曲率は第3の曲率であり、第1の画像生成エリアP1によって生成される第3の画像の焦点距離はF3であり、その結果、第3の画像の結像は第3の画像面上で行われる。
第2の時点において、第2のレンズ・エリア1022Bの光放出面の曲率は第4の曲率であり、第2の画像生成エリアP2によって生成される第4の画像の焦点距離はF2であり、その結果、第4の画像の結像は第4の画像面上で行われる。
第1の時点と第2の時点の間の時間差は人間の眼の反応時間である(第1の曲率と第3の曲率が切り替えられる時点、第2の曲率と第4の曲率が切り替えられる時点、第1の画像と第2の画像が切り替えられる時点は、人間の眼の反応時間以下である)。このようにして、4スクリーン表示が人間の眼に見える。
[0112] 一部の実装では、複数の光拡散スクリーンが存在し、各々の光拡散スクリーンは第2の駆動ユニットに接続され、第2の駆動ユニットは、光拡散スクリーンを制御して、マルチ・フォーカス画像生成ユニットによって生成された画像の画像面の方に動かす。
[0113] 例えば、図14に示す構造は、それぞれ第1の光拡散スクリーンと第2の光拡散スクリーンである2つの光拡散スクリーンを含み、それぞれ第2の駆動ユニットAと第2の駆動ユニットBである2つの第2の駆動ユニットが存在している。第2の駆動ユニットAは、第1の画像面と第3の画像面との間を動くように第1の光拡散スクリーンを駆動し、第2の駆動ユニットBは、第2の画像面と第4の画像面との間を動くように第2の拡散スクリーンを駆動することができる。
[0114] 以上、第2の駆動ユニットに対して実施される可能性のある特定の構造を説明したが、ここで再び詳細は説明されない。
[0115] 前述の実装1、実装2、及び実装3では、散乱面に配置された凹凸構造を利用することによって、光拡散スクリーンが、拡散反射を実現するために使用されている。しかしながら、既存の光拡散スクリーンの散乱面の粗さは大きく、基本的には数十ミクロンのスケールである。従って、このようにして形成された画像は、ぼやけたエッジや、明らかな粒状感を有し、高度に精密な表示を実現することはできない。
[0116] 例えば、図16を参照すると、視覚体験を改善するために、本願のこの実施形態で提供される光拡散スクリーン2の散乱面に、ナノ散乱コーティング21が形成されており、ナノ散乱コーティング21のナノ粒子のサイズは、ほぼミクロン・スケールに近く、光拡散スクリーンの表面粗さを減少させる。別の例として、図17を参照すると、液晶分子冷却コーティング22が、光拡散スクリーン2の散乱面に形成されている。液晶分子冷却コーティングは、光拡散スクリーンの散乱面の粗さを低減するために、光拡散スクリーンの散乱面に形成されており、その結果、光学結像ユニットによって拡大された画像は、ぼやけたエッジ、明らかなノイズ、及び粒状感を有しない。別の例として、光拡散スクリーンは、ガラス・セラミックスで構成されている。拡散は、ガラス・セラミックスの微結晶分子を用いて実現される。微結晶分子はナノメートル・スケールにおけるものであり、光学結像ユニットによって拡大された後に、画像は明らかなノイズや粒状感を有しておらず、高度に精密な表示を形成する。
[0117] 光学結像ユニット3は、複数の実装可能な構造を有する。例えば、光学結像ユニット3は非球面反射器を含む。別の例では、光学結像ユニット3は、積層された凸状ミラーと非球面反射器とを含む。別の例では、光学結像ユニット3は、積層された凹面ミラーと非球面反射器とを含む。確かに、光学結像ユニット3は、代替的に、別の光学素子を含んでもよい。光学結像ユニットの具体的な構造は、本願では限定されておらず、何れの構造も本願の保護範囲内にある。
[0118] 別の態様によれば、本願の実施形態は表示システムを更に提供し、ここで、表示システムは、リフレクタと、前述の実施形態で提供されたヘッド・アップ・表示装置とを含み、リフレクタは光学結像ユニットの結像光路上に配置される。即ち、ヘッド・アップ表示装置の光学結像素子によって形成された画像は、リフレクタを使用することによって人間の眼に反映されることが可能である。
[0119] 表示システムは駆動デバイスに設けられても良いし、或いは表示システムは教師デバイスに設けられても良い。
[0120] 表示システムが駆動デバイスに設けられている場合、フロントガラスがリフレクタとして使用されることが可能であり、又はリフレクタが単独で配置されることが可能である。本件は、好ましくは、フロントガラスをリフレクタとして使用する。
[0121] 前述の実施形態で提供されたヘッド・アップ表示装置は表示システムで使用され、ヘッド・アップ表示装置における画像生成ユニットは、マルチ・フォーカス画像生成ユニット、即ち複数の異なる焦点距離を有し且つ複数の画像を生成するものである。このようにして、マルチ・スクリーン表示を実現することができ、表示システムは、シンプルな構造とそれに対応する減少した体積を有する単一の光学機械構造(1つのマルチ・フォーカス画像生成ユニット)である。
[0122] 更に別の態様によれば、本願の実施形態は、ヘッド・アップ表示装置のための表示方法を更に提供する。図18を参照すると、表示方法は以下を含んでいる:
[0123] S01.マルチ・フォーカス画像生成ユニットが、複数の画像を生成し、マルチ・フォーカス画像生成ユニットは複数の異なる焦点を有し、複数の画像の焦点面は異なる位置にある。
[0124] S02.マルチ・フォーカス画像生成ユニットの画像面に配置された光拡散スクリーンが、マルチ・フォーカス画像生成ユニットにより生成された複数の画像を受信し、複数の画像の光ビームを拡散させる。
[0125] S03.光学結像ユニットが、光拡散スクリーンに投影された複数の画像を結像させ、異なる結像距離の複数の画像を形成する。
[0126] 即ち、表示方法における画像生成ユニットはマルチ・フォーカス画像生成ユニットであり、マルチ・フォーカス画像生成ユニットは複数の画像を生成することが可能であり、複数の画像の焦点面は、異なる位置にある。このように、異なる焦点結像距離を有する複数の画像が形成され、マルチ・スクリーン表示が実現される。異なる焦点距離を有する複数の画像生成ユニットを用いてマルチ・スクリーン表示を実現する既存の技術と比較すると、1つのマルチ・フォーカス画像生成ユニットが、異なる焦点距離を有する複数の画像生成ユニットに取って代わっている。
[0127] 表示方法は、同時にマルチ・スクリーン表示を実現するために、以下の3つの実装で実現されることが可能である。以下、3つの実装を別々に説明する。
[0128] 第1の実装
[0129] この実装において、ヘッド・アップ表示装置は時間シーケンス制御ユニットを更に含む。表示方法は更に:時間シーケンス制御ユニットが、マルチ・フォーカス画像生成ユニットにより生成される複数の画像のうちの1つが切り替えられる時点と、複数の焦点距離のうちの1つが切り替えられる時点とを制御し、その結果、複数の画像のうちの1つが切り替えられる時点と焦点距離のうちの1つが切り替えられる時点とが等しくなり且つ人間の眼の反応時間以下になる、ステップを含む。
[0130] 時間シーケンス制御ユニットは、画像のうちの1つが切り替えられる時点と、焦点距離のうちの1つが切り替えられる時点とを制御し、その結果、画像のうちの1つが切り替えられる時点と焦点距離のうちの1つが切り替えられる時点とは、人間の眼の反応時間以下になる。即ち、画像のうちの1つが切り替えられる瞬間と焦点距離のうちの1つが切り替えられる瞬間は非常に短く、人間の眼によって識別することはできない。このようにして、人間の眼はマルチ・スクリーン表示が同時に存在していると感じる。
[0131] 一部の実施形態では、マルチ・フォーカス画像生成ユニットは、画像生成素子とズーム液体レンズを含む。一部の他の実施形態では、焦点画像生成ユニットは画像生成素子とズーム液体レンズを含む。一部の他の実施形態では、マルチ・フォーカス画像生成ユニットは、画像生成素子、固定焦点レンズ、及び第1の駆動ユニットを含む。画像生成素子は、複数の画像を生成することができる。時間シーケンス制御ユニットは、画像生成素子によって生成された複数の画像のうちの1つが切り替えられる時点を制御し、画像生成素子の画像のうちの1つが切り替えられる時点は、人間の眼の反応時間以下である。空間光変調器、ズーム液体レンズ、固定焦点レンズ、及び第1の駆動ユニットは、画像生成要素の焦点距離を変更するように構成される。
[0132] マルチ・フォーカス画像生成ユニットが画像生成素子と空間光変調器を含む場合、表示方法は:空間光変調器が、画像生成素子によって生成された画像の光波に、異なる時点で異なる位相情報を乗せ、その結果、異なる時点で画像生成素子によって生成された複数の画像は、異なる焦点距離に対応する。時間シーケンス制御ユニットは、画像生成素子によって生成される画像のうちの1つが切り替えられる時点と、位相情報が切り替えられる時点を制御し、位相情報が切り替えられる時点は画像のうちの1つが切り替えられる時点に等しい。画像生成素子の焦点距離を変化させるために、画像生成素子によって生成された画像の光学波に、異なる位相情報が異なる時点で乗せられ、最終的には、異なる時点で画像生成素子によって生成された複数の画像は異なる焦点距離に対応する。位相情報が切り替えられる瞬間は、画像のうちの1つが切り替えられる瞬間に等しく、人間の眼の反応時間以下である。このようにして、人間の目はマルチ・スクリーン表示が同時に存在していると感じる。
[0133] マルチ・フォーカス画像生成ユニットが、画像生成素子とズーム液体レンズを含む場合に、表示方法は:異なる時点におけるズーム液体レンズの光放出面の曲率は異なり、その結果、異なる時点で画像生成素子によって生成される複数の画像は、異なる焦点距離に対応するステップを含む。時間シーケンス制御ユニットは、画像生成素子によって生成される画像のうちの1つが切り替えられる時点と、曲率が切り替えられる時点とを制御し、曲率が切り替えられる時点は、画像のうちの1つが切り替えられる時点に等しい。異なる時点におけるズーム液体レンズの光放出面の曲率は異なり、これは画像生成素子の焦点距離を変化させることが可能であり、最終的に、異なる時点で画像生成素子によって生成される複数の画像は、異なる焦点距離に対応する。曲率が切り替えられる瞬間は、画像のうちの1つが切り替えられる瞬間に等しく、人間の眼の反応時間以下である。このようにして、人間の眼はマルチ・スクリーン表示が同時に存在していると感じる。
[0134] マルチ・フォーカス画像生成ユニットが、画像生成素子と、固定焦点レンズと、固定焦点レンズに接続された第1の駆動ユニットとを含む場合、表示方法は:第1の駆動ユニットが、固定焦点レンズを、異なる時点で異なる位置へ動かすように駆動し、その結果、異なる時点で画像生成素子により生成された複数の画像は異なる焦点距離に対応しているステップを含む。時間シーケンス制御ユニットは、画像生成素子により生成される複数の画像のうちの1つが切り替えられる時点と、位置のうちの1つが切り替えられる時点とを制御し、位置のうちの1つが切り替えられる時点は、画像のうちの1つが切り替えられる時点に等しい。第1の駆動ユニットは、固定焦点レンズを異なる時点で異なる位置へ動かすように駆動して、画像生成素子の焦点距離を変更し、最終的に、異なる時点で画像生成素子によって生成される複数の画像は、異なる焦点距離に対応する。固定焦点レンズの位置のうちの1つが切り替えられる時点は、画像のうちの1つが切り替えられる時点に等しく、且つ、人間の眼の反応時間以下である。このようにして、人間の眼はマルチ・スクリーン表示が同時に存在していると感じる。
[0135] この実装では、光拡散スクリーンは、第2の駆動ユニットに接続されている。表示方法は、更に、マルチ・フォーカス画像生成ユニットの焦点距離が変換される場合に、第2の駆動ユニットが、光拡散スクリーンを、マルチ・フォーカス画像生成ユニットによって生成された画像の画像面の方へ移動するように、制御するステップを含む。
[0136] 第2の駆動ユニットが光拡散スクリーンを駆動して移動させるプロセスにおいて、光拡散スクリーンが移動して至る位置が、決定されることを必要とする。従って、第2の駆動ユニットが、複数の焦点画像生成ユニットによって生成される画像の画像面の方に移動するように、光拡散スクリーンを制御することは:
[0137] S11.マルチ・フォーカス画像生成ユニットの焦点距離に基づいて、ヘッド・アップ表示装置の結像距離Vを決定する。結像距離Vは光学結像ユニットの結像面と光学結像ユニットの光学中心との間の距離である。
[0138] S12.次いで、次の式
に従って、光拡散スクリーンの中心と光学結像ユニットの光学中心との間の距離Sを計算する。ここで、fは光学結像ユニットの焦点距離である。
[0139] S13.第2の駆動ユニットが、光拡散スクリーンを、光学結像ユニットの光学中心までの距離がSである位置へ動かすように駆動する。
[0140] 光学結像ユニットが決定された後、光拡散スクリーンと光学結像ユニットの間の距離と、光学結像ユニットの結像距離とは、
を満たしている。従って、光拡散スクリーンが移動して至る位置は、この式に従って決定することが可能である。
[0141] この実装では、ヘッド・アップ表示装置は、更に、複数の光拡散スクリーンを含み(即ち、第2の駆動ユニットは含まれない)、各々の光拡散スクリーンは、マルチ・フォーカス画像生成ユニットによって生成される画像の1つの画像面に対応する。表示方法は、更に:異なる時点でマルチ・フォーカス画像生成ユニットによって生成された画像を、対応する光拡散スクリーンに投影するステップを含む。
[0142] 第2の実装
[0143] この実施形態では、マルチ・フォーカス画像生成ユニットは、複数の画像を同時に生成し、複数の異なる焦点距離を有し、マルチ・スクリーン表示を同時に実現する。
[0144] 一部の実施形態では、マルチ・フォーカス画像生成ユニットは、画像生成素子と空間光変調器を含む。一部の他の実施形態では、焦点画像生成ユニットは、画像生成素子とズーム液体レンズを含む。画像生成素子は、複数の画像生成エリアを有し、複数の画像を同時に生成することができる。
[0145] マルチ・フォーカス画像生成ユニットが、画像生成素子と空間光変調器を含む場合に、空間光変調器は複数の変調エリアを有し、各々の変調エリアは1つの画像生成エリアに対応している。表示方法は:複数の画像生成エリアで画像を同時に生成するステップを含み、複数の変調エリアは、異なる位相情報を、対応する画像生成エリアで生成された画像の光学波に乗せ、その結果、同じ時点で画像生成素子により生成された複数の画像は異なる焦点距離に対応している。各々の変調エリアは、対応する画像生成エリアによって生成された画像の光学波に、同じ時点で異なる位相情報を乗せ、その結果、複数の画像生成エリアは異なる焦点距離を有し、マルチ・スクリーン表示が同時に実現される。
[0146] マルチ・フォーカス画像生成ユニットが、画像生成素子とズーム液体レンズを含む場合に、ズーム液体レンズは複数のレンズ・エリアを有し、各々のレンズ・エリアは1つの画像生成エリアに対応している。表示方法は:複数の画像生成エリアで画像を同時に生成し、その結果、同じ時点で画像生成素子により生成された複数の画像は異なる焦点距離に対応しているステップを含む。複数のレンズ・エリアの光放出面の曲率は相違し、その結果、複数の画像生成エリアは異なる焦点距離を有し、マルチ・スクリーン表示が同時に実現される。
[0147] 画像生成素子は複数の画像生成エリアを有し、空間光変調器は複数の変調エリアを有し、ズーム液体レンズは複数のレンズ・エリアを有するので、複数の対応する光拡散スクリーンも配置され、各々の光拡散スクリーンは、マルチ・フォーカス画像生成ユニットによって生成された画像の1つの画像面に対応する。表示方法は更に:マルチ・フォーカス画像生成ユニットによって同時に生成された画像を、対応する光拡散スクリーンに投影するステップを含む。
[0148] 更に、空間光変調器が、画像生成素子により生成された画像の光学波に、位相情報を乗せる場合、フレネル位相情報が、画像生成素子の焦点距離を変換するために乗せられても良い。
[0149] フレネル位相のm番目のリングの半径rmは、rm=√(2mfλ)であり、λは画像生成素子により生成された画像の光学波の波長であり、fはフレネル位相と同等なフレネル・レンズの焦点距離である。
[0150] 第3の実装
[0151] この実装では、マルチ・フォーカス画像生成ユニットは、複数の画像を同時に生成し、複数の異なる焦点距離を有する。ヘッド・アップ表示装置は時間シーケンス制御ユニットを更に含む。時間シーケンス制御ユニットは、マルチ・フォーカス画像生成ユニットによって生成された複数の画像のうちの1つが切り替えられる時点と、複数の焦点距離のうちの1つが切り替えられる時点とを制御するように構成され、その結果、複数の画像のうちの1つが切り替えられる時点と、焦点距離のうちの1つが切り替えられる時点とは等しく、且つ人間の眼の反応時間以下であり、マルチ・スクリーン表示を同時に実現する。
[0152] 一部の実施形態では、マルチ・フォーカス画像生成ユニットは画像生成素子と空間光変調器を含む。一部の他の実施形態では、焦点画像生成ユニットは画像生成素子とズーム液体レンズを含む。画像生成素子は、複数の画像生成エリアを有し、複数の画像を同時に生成することができる。
[0153] マルチ・フォーカス画像生成ユニットが、画像生成素子と空間光変調器を有する場合、空間光変調器は複数の変調エリアを有し、各々の変調エリアは1つの画像生成エリアに対応する。表示方法は:複数の画像生成エリアにおいて画像を同時に生成するステップを含み、複数の変調エリアは、対応する画像生成エリアで生成された画像の光波に、異なる位相情報を乗せ、その結果、同時に画像生成素子によって生成された複数の画像は、異なる焦点距離に対応している。また、時間シーケンス制御ユニットは、画像生成エリアによって生成された画像のうちの1つが切り替えられる時点と、変調エリアにおける位相情報が切り替えられる時点とを制御し、画像のうちの1つが切り替えられる時点と、位相情報が切り替えられる時点とは等しく、且つ人間の眼の反応時間以下である。
[0154] マルチ・フォーカス画像生成ユニットが、画像生成素子とズーム液体レンズを含む場合に、ズーム液体レンズは複数のレンズ・エリアを有し、各々のレンズ・エリアは1つの画像生成エリアに対応する。表示方法は、複数の画像生成エリアで画像を同時に生成し、複数のレンズ・エリアの光放出面の曲率は異なり、その結果、同時に画像生成素子によって生成される複数の画像は異なる焦点距離に対応する。また、時間シーケンス制御ユニットは、画像生成エリアによって生成される画像のうちの1つが切り替えられる時点と、レンズ・エリアの曲率が切り替えられる時点とを制御し、画像のうちの1つが切り替える時点と、曲率が切り替えられる時点とは等しく、且つ人間の眼の反応時間以下である。
[0155] この実装では、複数の光拡散スクリーンが存在する可能性があり、各々の光拡散スクリーンは1つの第2の駆動ユニットに接続される。第2の駆動ユニットが光拡散スクリーンを駆動して動かす位置は、上述したとおりであり、ここでは再び説明されない。
[0156] この実装では、空間光変調器は、画像生成素子の焦点距離を変換するように、画像生成素子によって生成された画像の光学波に、フレネル位相情報を乗せることができる。
[0157] 本明細書の説明において、説明された特定の特徴、構造、材料、又は性質は、任意の1つ以上の実施形態又は実施例において、適切な方法で組み合わせられることが可能である。
[0158] 前述の説明は、本願の単なる具体的な実装であるに過ぎず、本願の保護範囲を制限するようには意図されていない。本願に開示された技術的範囲内で当業者が容易に理解することが可能な如何なる変形や置換も、本願の保護範囲に含まれるものとする。従って、本願の保護範囲はクレームの保護範囲に従うものとする。
[0002] 技術分野
本願は、ヘッド・アップ表示技術の分野に関連し、特にヘッド・アップ表示装置、表示方法、及び表示システムに関連する。
[0003] ヘッド・アップ表示(Head-Up Display,HUD)装置が車両に適用され始めている。運転中に、ドライバーは視線を計器パネルに移動させることを必要とせず、その結果、ドライバーは、車両の様々な計器情報に注意を払いながら、正常な運転を確実にすることができる。更に、ドライバーが、道路状況、SMSメッセージ、電話の呼、及び電子メールのような他の情報を得ることを可能にするために、異なる結像距離を得ることが可能なヘッド・アップ表示装置、即ちマルチ・スクリーン・ヘッド・アップ表示装置が設計されることを必要とする。
[0004] 図1は、既存のデュアル・スクリーン・ヘッド・アップ表示装置を示す。ヘッド・アップ表示装置は、第1の投影モジュール01、第2の投影モジュール02、透過拡散板03、偏光ビーム・スプリッタ04、フリー・フォーム・ミラー05、及び減衰機構06を含む。即ち、第1の画像情報を搬送し且つ第1の投影モジュール01によって生成された光ビームは、透過拡散板03を用いて偏光ビーム・スプリッタ04に投影され、直線偏光の2つのビームに分割される。一方の光ビームは減衰機構06を照射し、他方の光ビームはフリー・フォーム・ミラー05を照射し、フロントガラス07へ反射され、反射によって、人間の眼に入る第1の画像を形成し、遠い距離の画像A1を形成する。第2の投影モジュール02は、第2の画像情報を偏光ビーム・スプリッタ04に投影し;光ビームはフリー・フォーム・ミラー05を照射し、フロントガラス07へ反射され、反射によって、人間の眼に入る第2の画像を形成し、近い距離の画像A2を形成する。
[0005] しかしながら、図1に示すヘッド・アップ表示装置は、2つの投影モジュール(二重光学機械構造と言及されてもよい)を用いて、対応する生成された画像を偏光ビーム・スプリッタへ送信し、その結果、ドライバーは、遠い距離の画像A1に表示された情報と近い距離の画像A2に表示された情報とを眺める。マルチ・スクリーン表示が実行されることを必要とする場合、複数の投影モジュールが要求されており、技術的問題は、ヘッド・アップ表示装置全体の構造が複雑である、ということである。
[0006] 本願は、ヘッド・アップ表示装置、表示方法、及び表示システムを提供しており、主に、マルチ・スクリーン表示を実現することが可能であり且つシンプルな構造を有するヘッド・アップ表示装置を提供することを主に意図している。
[0007] 上記の目的を達成するために、本願では以下の技術的解決策が使用される。
[0008] 第1の態様によれば、本願はヘッド・アップ表示装置であって、複数の異なる焦点距離を有するマルチ・フォーカス画像生成ユニットと、光拡散スクリーンと、光学結像ユニットとを含むヘッド・アップ表示装置を提供し、マルチ・フォーカス画像生成ユニットは複数の画像を生成するように構成され、複数の画像の焦点面は異なる位置にあり、光拡散スクリーンは、マルチ・フォーカス画像生成ユニットの画像面に配置され、マルチ・フォーカス画像生成ユニットにより生成された複数の画像を受信し、複数の画像の光ビームを拡散させるように構成されている。光学結像ユニットは、光拡散スクリーンに投影された複数の画像を結像させ、異なる結像距離の複数の画像を形成するように構成されている。
[0009] 本願で提供されるヘッド・アップ表示装置では、マルチ・フォーカス画像生成ユニットは、複数の焦点距離を有し、複数の画像を生成することが可能であり、複数の画像の焦点面は、異なる位置にある。このように、異なる焦点面を有する複数の画像は、光拡散スクリーンによって拡大され、次いで、光拡散スクリーンに投影された複数の拡大された画像は、光学結像ユニットによって結像され、異なる結像距離を有する複数の画像を形成し、それによって、マルチ・スクリーン表示を実現する。異なる焦点距離を有する複数の画像生成ユニットを用いてマルチ・スクリーン表示を実現する既存の技術と比較すると、1つのマルチ・フォーカス画像生成ユニットが、異なる焦点距離を有する複数の画像生成ユニットに取って代わっている。従って、本願で提供されるヘッド・アップ表示装置は、シンプルな構造を有し、大幅に減少した体積を有する。
[0010] 第1の態様の可能な実装において、ヘッド・アップ表示装置は更に時間シーケンス制御ユニットを含み、時間シーケンス制御ユニットは、マルチ・フォーカス画像生成ユニットにより生成される複数の画像のうちの1つが切り替えられる時点と、複数の焦点距離のうちの1つが切り替えられる時点とを制御するように構成され、その結果、複数の画像のうちの1つが切り替えられる時点と焦点距離のうちの1つが切り替えられる時点とが等しくなり且つ人間の眼の反応時間以下になる。時間シーケンス制御ユニットは、マルチ・フォーカス画像生成ユニットにより生成される画像のうちの1つが切り替えられる時点を制御し、且つマルチ・フォーカス画像生成ユニットの焦点距離のうちの1つが切り替えられる時点を制御するように構成されている。マルチ・フォーカス画像生成ユニットにより生成された画像のうちの1つが切り替えられる時点と、マルチ・フォーカス画像生成ユニットの焦点距離のうちの1つが切り替えられる時点とは等しく、且つ人間の眼の反応時間以下である。このようにして、マルチ・スクリーン表示は同時に存在していると感じられる。例えば、マルチ・フォーカス画像生成ユニットが、第1の時点で計器情報を表示し、切り替えた後の第2の時点でナビゲーション情報を表示する場合、第1の時点と第2の時点の間の時間差は人間の眼の反応時間以下であるので、最終的に、計器情報とナビゲーション情報は人間の眼の前で同時に表示される。
[0011] 第1の態様の可能な実装において、マルチ・フォーカス画像生成ユニットは画像生成素子と空間光変調器を含み、画像生成素子は、複数の画像を生成するように構成され、時間シーケンス制御ユニットは、画像生成素子により生成される複数の画像のうちの1つが切り替えられる時点を制御するように構成されている。空間光変調器は、画像生成素子と光拡散スクリーンとの間の光路に配置される。空間光変調器は、異なる時点で異なる位相情報を、画像生成素子により生成された画像の光学波に乗せ、その結果、異なる時点で画像生成素子により生成された複数の画像は異なる焦点距離に対応している。時間シーケンス制御ユニットは、位相情報が切り替えられる時点を制御するように構成されており、位相情報が切り替えられる時点は、画像のうちの1つが切り替えられる時点に等しい。画像生成素子によって生成された画像の光学波に、空間光変調器によって乗せられる位相情報は、画像生成素子の焦点距離を変更するように変更される。位相情報が切り替えられる時点と、画像のうちの1つが切り替えられる時点は、人間の目の反応時間以下であり、その結果、マルチ・スクリーン表示は同時に存在していると感じられる。
[0012] 第1の態様の可能な実装において、マルチ・フォーカス画像生成ユニットは、画像生成素子とズーム液体レンズを含み、画像生成素子は複数の画像を生成するように構成されており、時間シーケンス制御ユニットは、画像生成素子により生成される複数の画像のうちの1つが切り替えられる時点を制御するように構成されている。ズーム液体レンズは、画像生成素子と光拡散スクリーンとの間の光路に配置される。異なる時点におけるズーム液体レンズの光放出面の曲率は異なり、その結果、異なる時点で画像生成素子により生成された複数の画像は異なる焦点距離に対応している。時間シーケンス制御ユニットは、曲率が切り替えられる時点を制御するように構成されており、曲率が切り替えられる時点は、画像のうちの1つが切り替えられる時点に等しい。画像生成素子の焦点距離は、ズーム液体レンズの光放出面の曲率を変化させることによって変更される。曲率が切り替えられる時点と、画像のうちの1つが切り替えられる時点は両方とも、人間の眼の反応時間以下であり、その結果、マルチ・スクリーン表示は同時に存在していると感じられる。
[0013] 第1の態様の可能な実装において、マルチ・フォーカス画像生成ユニットは、画像生成素子と、固定焦点レンズと、第1の駆動ユニットとを含み、画像生成素子は複数の画像を生成するように構成されており、時間シーケンス制御ユニットは、画像生成素子により生成される複数の画像のうちの1つが切り替えられる時点を制御するように構成されている。固定焦点レンズは、画像生成素子と光拡散スクリーンとの間の光路に配置される。第1の駆動ユニットは固定焦点レンズに接続されており、第1の駆動ユニットは、固定焦点レンズを、異なる時点で異なる位置へ動かすように駆動し、その結果、異なる時点で画像生成素子により生成された複数の画像は異なる焦点距離に対応している。時間シーケンス制御ユニットは、位置のうちの1つが切り替えられる時点を制御するように構成されており、位置のうちの1つが切り替えられる時点は、画像のうちの1つが切り替えられる時点に等しい。画像生成素子の焦点距離は、第1の駆動ユニットを使用して、固定焦点レンズを画像生成素子に対して動かすように駆動することによって、変更される。位置のうちの1つが切り替えられる時点と、画像のうちの1つが切り替えられる時点は両方とも、人間の眼の反応時間以下であり、その結果、マルチ・スクリーン表示は同時に存在すると感じられる。
[0014] 第1の態様の可能な実装において、固定焦点レンズは移動局に設けられ、第1の駆動ユニットは伸縮自在のシリンダを含み、伸縮自在のシリンダは移動局に接続される。伸縮自在のシリンダを使用して、移動局を、画像生成素子の結像光路に沿って動かすように駆動することによって、固定焦点レンズは移動するように駆動される。
[0015] 第1の態様の可能な実装において、ヘッド・アップ表示装置は、第2の駆動ユニットを更に含み、第2の駆動ユニットは、光拡散スクリーンに接続されており、第2の駆動ユニットは、光拡散スクリーンを、マルチ・フォーカス画像生成ユニットにより生成される画像の画像面へ動かすように制御する。特定の実装の際に、マルチ・フォーカス画像生成ユニットが第1の焦点長を有する場合、第2の駆動ユニットは、光拡散スクリーンを、マルチ・フォーカス画像生成ユニットの対応する第1の画像面へ移動させるように駆動して、マルチ・フォーカス画像生成ユニットによって投影された画像を受信することが可能である。マルチ・フォーカス画像生成ユニットが第2の焦点距離を有する場合、第2の駆動ユニットは、更に、光拡散スクリーンを、マルチ・フォーカス画像生成ユニットの対応する第2の画像面へ移動するように駆動する。即ち、第2の駆動ユニットは、光拡散スクリーンを、マルチ・フォーカス画像生成ユニットの結像光路に沿って動かすように駆動し、マルチ・フォーカス画像生成ユニットの結像を異なる時点で受け取る。
[0016] 第1の態様の可能な実装において、光拡散スクリーンはサポート・プラットフォーム上に配置され、第2の駆動ユニットは駆動モーターを含み、サポート・プラットフォームは駆動モーターに接続され、駆動モーターは、サポート・プラットフォームを、マルチ・フォーカス画像生成ユニットの結像光路に沿って移動するように駆動することが可能である。駆動モーターは、サポート・プラットフォームを動かすように駆動し、光拡散スクリーンを動かすように構成されている。この構造はシンプルであり、且つ実装に便利である。
[0017] 第1の態様の可能な実装において、マルチ・フォーカス画像生成ユニットは、画像生成素子と空間光変調器を含み、画像生成素子は、複数の画像生成エリアを有する。空間光変調器は画像生成素子と光拡散スクリーンとの間の光路に配置される。空間光変調器は複数の変調エリアを有し、各々の変調エリアは1つの画像生成エリアに対応しており、複数の変調エリアは、異なる位相情報を、対応する画像生成エリアで生成された画像の光学波に乗せ、その結果、同じ時点で画像生成素子により生成された複数の画像は異なる焦点距離に対応している。画像生成素子は複数の画像生成エリアを有し、同一の時点で複数の画像を生成することができ、空間光変調器は、複数の画像生成エリアと1対1で対応する複数の変調エリアを有する。複数の変調エリアによって、対応する画像生成エリアで生成された画像の光学波に乗せられる位相情報は相違する。このようにして、同じ時点で生成された複数の画像は、異なる焦点距離に対応し、それによってマルチ・スクリーン表示を同時に実現することができる。
[0018] 第1の態様の可能な実装において、マルチ・フォーカス画像生成ユニットは、画像生成素子とズーム液体レンズを含み、画像生成素子は複数の画像生成エリアを有する。ズーム液体レンズは、画像生成素子と光拡散スクリーンとの間の光路に配置される。ズーム液体レンズは複数のレンズ・エリアを有し、各々のレンズ・エリアは1つの画像生成エリアに対応しており、複数のレンズ・エリアの光放出面の曲率は異なり、その結果、同じ時点で画像生成素子により生成された複数の画像は異なる焦点距離に対応している。画像生成素子は、複数の画像生成エリアを有し、同一の時点で複数の画像を生成することができ、ズーム液体レンズは、複数の画像生成エリアに1対1で対応する複数のレンズ・エリアを有する。複数のレンズ・エリアの光放出面の曲率は相違する。このようにして、同じ時点で生成された複数の画像は、異なる焦点距離に対応し、それによって、マルチ・スクリーン表示を同時に実現することができる。
[0019] 第1の態様の可能な実装において、ヘッド・アップ表示装置は、複数の光拡散スクリーンを含み、各々の光拡散スクリーンは、マルチ・フォーカス画像生成ユニットによって生成された画像の1つの画像面に対応し、異なる光拡散スクリーンは、異なる画像面に位置する。複数の光拡散スクリーンが使用され、その結果、複数の光拡散スクリーンは、マルチ・フォーカス画像生成ユニットによって生成された複数の画像の画像面と1対1に対応させて配置され、マルチ・フォーカス画像生成ユニットの結像を受け取る。
[0020] 第1の態様の可能な実装において、ナノ散乱コーティング又は液晶分子冷却コーティングが光拡散スクリーンの散乱面に形成されている。ナノ散乱コーティングと液晶分子冷却コーティングが、光拡散スクリーンの散乱面に形成され、光拡散スクリーンの散乱面の粗さを低減し、その結果、光学結像ユニットにより拡大された画像は、ぼやけたエッジ、明らかなノイズ、粒状感を持たない。
[0021] 第1の態様の可能な実装において、光拡散スクリーンは、ガラス・セラミックから形成されている。拡散は、ガラス・セラミックス中の微結晶分子を用いて実施される。微結晶分子はナノメートル・スケールにおけるものであり、光学結像ユニットによって拡大された後に、画像は明らかなノイズや粒状感を有しておらず、それにより高度に精密なディスプレイを形成する。
[0022] 第1の態様の可能な実装において、光学結像ユニットは、非球面反射器、非球面反射器と凸面ミラー、又は非球面反射器と凹面ミラーを含む。
[0023] 第2の態様によれば、本願はヘッド・アップ表示装置に関する表示方法を提供し、本方法はヘッド・アップ表示装置に適用されることが可能であり、ヘッド・アップ表示装置は、マルチ・フォーカス画像生成ユニットと、光拡散スクリーンと、光学結像ユニットとを含む。表示方法は:
[0024] マルチ・フォーカス画像生成ユニットが、複数の画像を生成するステップであって、マルチ・フォーカス画像生成ユニットは複数の異なる焦点距離を有し、複数の画像の焦点面は異なる位置にある、ステップ;
マルチ・フォーカス画像生成ユニットの画像面に配置された光拡散スクリーンが、マルチ・フォーカス画像生成ユニットにより生成された複数の画像を受信し、複数の画像の光ビームを拡散させるステップ;及び
光学結像ユニットが、光拡散スクリーンに投影された複数の画像を結像させ、異なる結像距離の複数の画像を形成するステップを含む。
[0025] 本願で提供されるヘッド・アップ表示装置に関する表示方法において、マルチ・フォーカス画像生成ユニットは複数の異なる焦点距離を有し、複数の画像を生成することが可能である。複数の画像の焦点面は異なる位置にあり、光拡散スクリーンが、マルチ・フォーカス画像生成ユニットにより生成された複数の画像を受信し、複数の画像の光ビームを拡散させる。光学結像ユニットが、光拡散スクリーンに投影された複数の画像を結像させ、異なる結像距離の複数の画像を形成し、これによりマルチ・スクリーン表示を実現する。本願で提供されるヘッド・アップ表示方法において、マルチ・スクリーン表示は、異なる焦点距離を有する画像生成ユニットを使用することにより実現される。異なる焦点距離を有する複数の画像生成ユニットを用いてマルチ・スクリーン表示を実現する既存の技術と比較すると、1つのマルチ・フォーカス画像生成ユニットが、異なる焦点距離を有する複数の画像生成ユニットに取って代わっている。
[0026] 第2の態様の可能な実装において、ヘッド・アップ表示装置は時間シーケンス制御ユニットを更に含み、表示方法は更に:時間シーケンス制御ユニットが、マルチ・フォーカス画像生成ユニットにより生成される複数の画像のうちの1つが切り替えられる時点と、複数の焦点距離のうちの1つが切り替えられる時点とを制御し、その結果、複数の画像のうちの1つが切り替えられる時点と焦点距離のうちの1つが切り替えられる時点とが等しくなり且つ人間の眼の反応時間以下になる、ステップを含む。時間シーケンス制御ユニットは、画像のうちの1つが切り替えられる時点と焦点距離のうちの1つが切り替えられる時点とを制御するために使用される。画像のうちの1つが切り替えられる時点と焦点距離のうちの1つが切り替えられる時点は等しく、人間の眼の反応時間以下である。このようにして、マルチ・スクリーン表示は同時に存在すると感じられる。
[0027] 第2の態様の可能な実装において、マルチ・フォーカス画像生成ユニットは画像生成素子と空間光変調器を含み、画像生成素子は、複数の画像を生成するように構成されている。表示方法は更に:空間光変調器が、異なる時点で異なる位相情報を、画像生成素子により生成された画像の光学波に乗せ、その結果、異なる時点で画像生成素子により生成された複数の画像は異なる焦点距離に対応しているステップを含む。時間シーケンス制御ユニットは、画像生成素子により生成された画像のうちの1つが切り替えられる時点と、位相情報が切り替えられる時点とを制御し、位相情報が切り替えられる時点は、画像のうちの1つが切り替えられる時点に等しい。画像生成素子によって生成された画像の光学波に、空間光変調器によって乗せられる位相情報は、画像生成素子の焦点距離を変更するように変更される。位相情報が切り替えられる時点と、画像のうちの1つが切り替えられる時点は両方とも、人間の目の反応時間以下であり、その結果、マルチ・スクリーン表示は同時に存在していると感じられる。
[0028] 第2の態様の可能な実装において、マルチ・フォーカス画像生成ユニットは、画像生成素子とズーム液体レンズを含み、画像生成素子は複数の画像を生成するように構成されている。表示方法は更に:異なる時点におけるズーム液体レンズの光放出面の曲率は異なり、その結果、異なる時点で画像生成素子により生成された複数の画像は異なる焦点距離に対応しているステップを含む。時間シーケンス制御ユニットは、画像生成素子により生成される複数の画像のうちの1つが切り替えられる時点と、曲率が切り替えられる時点とを制御し、曲率が切り替えられる時点は、画像のうちの1つが切り替えられる時点に等しい。画像生成素子の焦点距離は、ズーム液体レンズの光放出面の曲率を変化させることによって変更される。曲率が切り替えられる時点と、画像のうちの1つが切り替えられる時点は両方とも、人間の眼の反応時間以下であり、その結果、マルチ・スクリーン表示は同時に存在していると感じられる。
[0029] 第2の態様の可能な実装において、マルチ・フォーカス画像生成ユニットは、画像生成素子と、固定焦点レンズと、第1の駆動ユニットとを含み、画像生成素子は複数の画像を生成するように構成されており、第1の駆動ユニットは固定焦点レンズに接続されている。表示方法は更に:第1の駆動ユニットが、固定焦点レンズを、異なる時点で異なる位置へ動かすように駆動し、その結果、異なる時点で画像生成素子により生成された複数の画像は異なる焦点距離に対応しているステップを含む。時間シーケンス制御ユニットは、画像生成素子により生成される複数の画像のうちの1つが切り替えられる時点と、位置のうちの1つが切り替えられる時点とを制御し、位置のうちの1つが切り替えられる時点は、画像のうちの1つが切り替えられる時点に等しい。画像生成素子の焦点距離は、第1の駆動ユニットを使用して、固定焦点レンズを画像生成素子に対して動かすように駆動することによって、変更される。焦点距離が切り替えられる時点と、画像のうちの1つが切り替えられる時点は両方とも、人間の眼の反応時間以下であり、その結果、マルチ・スクリーン表示は同時に存在すると感じられる。
[0030] 第2の態様の可能な実装において、光拡散スクリーンは、第2の駆動ユニットに接続される。表示方法は、更に、マルチ・フォーカス画像生成ユニットの焦点距離が変換される場合に、第2の駆動ユニットが、光拡散スクリーンを、マルチ・フォーカス画像生成ユニットによって生成された画像の画像面の方へ移動するように、制御するステップを含む。第2の駆動ユニットは、光拡散スクリーンを駆動して動かし、異なる位置で画像面上の画像を受け取るために使用される。
[0031] 第2の態様の可能な実装において、第2の駆動ユニットが、光拡散スクリーンを、マルチ・フォーカス画像生成ユニットにより生成される画像の画像面へ動かすように制御するステップは:
前記マルチ・フォーカス画像生成ユニットの焦点距離に基づいて、前記ヘッド・アップ表示装置の結像距離Vを決定するステップであって、結像距離Vは光学結像ユニットの結像面と光学結像ユニットの光学中心との間の距離であり、光拡散スクリーンの中心と光学結像ユニットの光学中心との間の距離Sは、次の式
に従って計算され、ここで、fは光学結像ユニットの焦点距離である、ステップ;及び
第2の駆動ユニットが、光拡散スクリーンを、光学結像ユニットの光学中心までの距離がSである位置へ動かすステップを含む
[0032] 光拡散スクリーンが第2の駆動ユニットに接続されている場合、即ち、第2の駆動ユニットが光拡散スクリーンを動かすように駆動する場合、前述の方法は、光拡散スクリーンが移動して至る位置を決定し、第2の駆動ユニットは光拡散スクリーンを駆動して動かすために使用される。
[0033] 第2の態様の可能な実装において、ヘッド・アップ表示装置は複数の光拡散スクリーンを含み、各々の光拡散スクリーンは、マルチ・フォーカス画像生成ユニットによって生成された画像の1つの画像面に対応している。表示方法は更に:マルチ・フォーカス画像生成ユニットにより生成された画像を、対応する光拡散スクリーンに投影するステップを含む。
[0034] 第2の態様の可能な実装において、マルチ・フォーカス画像生成ユニットは、画像生成素子と空間光変調器を含み、画像生成素子は、複数の画像生成エリアを有する。空間光変調器は複数の変調エリアを有し、各々の変調エリアは1つの画像生成エリアに対応している。表示方法は更に、複数の画像生成エリアで画像を同時に生成するステップであって、複数の変調エリアは、異なる位相情報を、対応する画像生成エリアで生成された画像の光学波に乗せ、その結果、同じ時点で画像生成素子により生成された複数の画像は異なる焦点距離に対応している、ステップを含む。画像生成素子は複数の画像生成エリアを有し、同一の時点で複数の画像を生成することができ、空間光変調器は、複数の画像生成エリアと1対1で対応する複数の変調エリアを有する。複数の変調エリアによって、対応する画像生成エリアで生成された画像の光学波に乗せられる位相情報は相違する。このようにして、同じ時点で生成された複数の画像は、異なる焦点距離に対応し、それによってマルチ・スクリーン表示を同時に実現することができる。
[0035] 第2の態様の可能な実装において、マルチ・フォーカス画像生成ユニットは、画像生成素子とズーム液体レンズを含み、画像生成素子は複数の画像生成エリアを有する。ズーム液体レンズは複数のレンズ・エリアを有し、各々のレンズ・エリアは1つの画像生成エリアに対応している。表示方法は、複数の画像生成エリアで画像を同時に生成し、その結果、同じ時点で画像生成素子により生成された複数の画像は異なる焦点距離に対応しているステップを含む。画像生成素子は、複数の画像生成エリアを有し、同一の時点で複数の画像を生成することができ、ズーム液体レンズは、複数の画像生成エリアに1対1で対応する複数のレンズ・エリアを有する。複数のレンズ・エリアの光放出面の曲率は相違する。このようにして、同じ時点で生成された複数の画像は、異なる焦点距離に対応し、それによって、マルチ・スクリーン表示を同時に実現することができる。
[0036] 第2の態様の可能な実装において、空間光変調器により、画像生成素子により生成された画像の光学波に乗せられる位相情報は、画像生成素子の焦点距離を変換するためのフレネル位相情報であり;
フレネル位相のm番目のリングの半径rmは、rm=√(2mfλ)であり、
λは画像生成素子により生成された画像の光学波の波長であり、fはフレネル位相と同等なフレネル・レンズの焦点距離である。
[0037] 第3の態様によれば、本願は更に表示システムを提供し、表示システムは、第1の態様又は第1の態様の任意の実装におけるヘッド・アップ表示装置及びリフレクタを含み、リフレクタは、光学結像ユニットの結像光路に配置されている。
[0038] 本願で提供される表示システムによれば、ヘッド・アップ表示装置は、第1の態様の任意の1つの実装におけるヘッド・アップ表示装置を使用する。従って、本願のこの実施形態で提供される表示システムは、マルチ・スクリーン表示を形成するように、異なる結像距離を有する画像を形成することができる。ヘッド・アップ表示装置は、単一の光学機械構造(1つのマルチ・フォーカス画像生成ユニット)であり、シンプルな構造を有する。更に、表示システムは、前述の技術的解決策においてヘッド・アップ表示装置と同じ技術的問題を解決し且つ同じ期待される効果を達成することができる。
[0039] 第3の態様の可能な実施形態において、ヘッド・アップ表示装置は車両に設けられ、リフレクタは車両に設けられたフロントガラスである。
[0040] 図1は、従来技術におけるヘッド・アップ表示装置の構造の概略図である。
[0041] 図2は、本願の実施形態による車両に適用されるヘッド・アップ表示装置の構造の概略図である。
[0042] 図3は、本願の実施形態によるヘッド・アップ表示装置の構造の概略図である。
[0043] 図4は、本願の実施形態によるヘッド・アップ表示装置の構造のブロック図である。
[0044] 図5は、本願の実施形態による空間光変調器によるマルチ・フォーカス画像生成ユニットの焦点距離を変更する原理の概略図である。
[0045] 図6aは、本願の実施形態によるズーム液体レンズによるマルチ・フォーカス画像生成ユニットの焦点距離を変更する原理の概略図である。
[0046] 図6bは、本願の実施形態によるズーム液体レンズの構造の概略図である。
[0047] 図7は、本願の実施形態による固定焦点レンズによるマルチ・フォーカス画像生成ユニットの焦点距離を変更する原理の概略図である。
[0048] 図8は、本願の実施形態による、ピラミッド状画像を複数のパートに分割する構造の概略図である。
[0049] 図9は、本願の実施形態によるヘッド・アップ表示装置における複数の光拡散スクリーンの構造の概略図である。
[0050] 図10は、本願の実施形態によるヘッド・アップ表示装置の構造の概略図である。
[0051] 図11は、本願の実施形態による画像生成素子における複数の画像生成エリアの構造の概略図である。
[0052] 図12は、本願の実施形態による空間光変調器によるマルチ・フォーカス画像生成ユニットの焦点距離を変更する原理の概略図である。
[0053] 図13は、本願の実施形態によるズーム液体レンズによるマルチ・フォーカス画像生成ユニットの焦点距離を変更する原理の概略図である。
[0054] 図14は、本願の実施形態による空間光変調器によるマルチ・フォーカス画像生成ユニットの焦点距離を変更する原理の概略図である。
[0055] 図15は、本願の実施形態によるズーム液体レンズによるマルチ・フォーカス画像生成ユニットの焦点距離を変更する原理の概略図である。
[0056] 図16は、本願の実施形態による光拡散スクリーンの構造の概略図である。
[0057] 図17は、本願の実施形態による光拡散スクリーンの構造の概略図である。
[0058] 図18は、本願の実施形態によるヘッド・アップ表示装置の表示方法のフロー・ブロック図である。 [0059] 参照番号: 01-第1の投影モジュール; 02-第2の投影モジュール; 03-透過拡散板; 04-偏光ビーム・スプリッタ; 05-フリー・フォーム・ミラー; 06-減衰機構; A1-遠距離画像; A2-近距離画像; 1-マルチ・フォーカス画像生成ユニット; 101-画像生成素子; 102-焦点距離変換素子; 1021-空間光変調器; 1021A-第1の変調エリア; 1021B-第2の変調エリア; 1022-ズーム液体レンズ; 1022A-第1のレンズ・エリア; 1022B-第2のレンズ・エリア; 1023-固定焦点レンズ; 2-光拡散スクリーン; 21-ナノ散乱コーティング; 22-液晶分子冷却コーティング; 201-第1の光拡散スクリーン; 202-第2の光拡散スクリーン; 3-光学結像ユニット; 4-時間シーケンス制御ユニット; 5-フロントガラス; 61-第1の画像; 62-第2の画像; 7-光放出面; 8-永久磁石; 9-コイル; 10-駆動キャビティ 11-光キャビティ
[0060] 本願の実施形態は、ヘッド・アップ表示装置、表示方法、及び表示システムに関連する。以下、ヘッド・アップ表示装置、表示方法、及び表示システムを、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
[0061] 一態様によれば、本願の実施形態は、マルチ・スクリーン表示を実現することが可能であり且つシンプルな構造を有するヘッド・アップ表示装置を提供する。図2及び図3を参照すると、ヘッド・アップ表示装置は、マルチ・フォーカス画像生成ユニット1、光拡散スクリーン2、及び光学結像ユニット3を含む。マルチ・フォーカス画像生成ユニット1は、複数の異なる焦点距離を有するものであり、複数の画像を生成するように構成されており、複数の画像の焦点面は、異なる位置に配置される(図3に示すマルチ・フォーカス画像生成ユニット1は、第1の焦点面F1と第2の焦点面F2を有する)。光拡散スクリーン2は、マルチ・フォーカス画像生成ユニット1の画像面に配置されるものであり、マルチ・フォーカス画像生成ユニット1によって生成された複数の画像を受信し、複数の画像の光ビームを拡散させるように構成されている。光学結像ユニット3は、光拡散スクリーン2に投影された複数の画像を結像させて、異なる結像距離を有する複数の画像を形成するように構成されている(図3は、第1の結像距離V1を有する第1の画像61と、第2の結像距離V2を有する第2の画像62とを形成することを示す)。焦点面は、マルチ・フォーカス画像生成ユニットの光軸に対して垂直であり且つ焦点を含む面である。画像面は、マルチ・フォーカス画像生成ユニットによって生成される画像の結像面であり、焦点面と画像面は、異なる空間位置に配置されてもよいし、又は同じ空間位置に配置されてもよい。
[0062] ヘッド・アップ表示装置は、複数の異なる焦点距離を有するマルチ・フォーカス画像生成ユニットを使用し、マルチ・フォーカス画像生成ユニットは、複数の画像を生成することができる。複数の画像の焦点面は、異なる位置に配置される。このように、複数の画像の画像面もまた、異なる位置にも配置され、その結果、マルチ・フォーカス画像生成ユニットによって生成された画像を受信し、受信した画像を増幅する光拡散スクリーンは、光学的画像生成ユニットから異なる距離を有する。図3を参照すると、式
に従って、fは光学結像ユニット3の焦点距離であり、Sは光学結像ユニット3の光学中心と光拡散スクリーン2の中心との間の距離、及びVは光学結像ユニット3の結像距離である。その式によれば、光拡散スクリーンと光学結像ユニットとの間の相対距離が異なる場合、光結像ユニットの結像距離は異なる。従って、複数の異なる焦点距離を有するマルチ・フォーカス画像生成ユニットは、マルチ・スクリーン表示を実現するために使用されることが可能である。
[0063] 本願のこの実施形態では、1つのマルチ・フォーカス画像生成ユニット1が設けられているので、焦点距離を変更することによって、マルチ・スクリーン表示が実現される。従来技術の図1に示す構造と比較すると、ヘッド・アップ表示装置全体の構造がシンプルになっている。これに対応して、ヘッド・アップ表示装置の体積も小さくなり、小型化設計の要件が満たされる。
[0064] 以下、マルチ・スクリーン表示を実現する具体的な実装を説明する。
[0065] 実装1
図4を参照すると、ヘッド・アップ表示装置は時間シーケンス制御ユニット4を更に含んでいる。マルチ・フォーカス画像生成ユニットは、一度に1つの画像を生成し、1つの画像は1つの焦点距離に対応する。時間シーケンス制御ユニット4は、マルチ・フォーカス画像生成ユニット1によって生成された複数の画像のうちの1つが切り替えられる時点と、複数の焦点距離のうちの1つが切り替えられる時点とを制御するように構成され、その結果、複数の画像のうちの1つが切り替えられる時点と、焦点距離のうちの1つが切り替えられる時点とは等しくなり、且つ、人間の眼の反応時間以下となる。
[0066] 例えば、第1の時点において、マルチ・フォーカス画像生成ユニットは第1の画像を生成し、第1の画像は第1の焦点距離に対応する。第2の時点において、マルチ・フォーカス画像生成ユニットは第2の画像を生成し、第2の画像は第2の焦点距離に対応する。時間シーケンス制御ユニットは、第1の画像と第2の画像が切り替えられる時点、及び第1の焦点距離と第2の焦点距離が切り替えられる時点を制御する。画像のうちの1つが切り替えられる瞬間と焦点距離のうちの1つが切り替えられる瞬間の両方とも、人間の眼の反応時間以下である。即ち、画像のうちの1つが切り替えられる瞬間と焦点距離のうちの1つが切り替えられる瞬間は非常に短く、人間の眼によって識別することはできない。このようにして、デュアル・スクリーン表示は同時に形成されていると感じられる。
[0067] 人間工学によれば、人間の眼の反応時間は約0.2秒ないし0.25秒であることに留意すべきである。
[0068] 実装2
マルチ・フォーカス画像生成ユニットは、複数の画像を同時に生成し、複数の異なる焦点距離を同時に有する。複数の画像は、異なる焦点距離に対応する。このようにして、マルチ・スクリーン表示が同時に形成される。
[0069] 例えば、ある時点において、マルチ・フォーカス画像生成ユニットは第1の画像と第2の画像を同時に生成し、第1の画像は第1の焦点距離に対応し、第2の画像は第2の焦点距離に対応し、その時点で二重スクリーン表示が人間の眼に見えている。
[0070] 実装3
ヘッド・アップ表示装置は、時間シーケンス制御ユニット4を更に含む。マルチ・フォーカス画像生成ユニットは、複数の画像を同時に生成し、同時に複数の異なる焦点距離を有し、複数の画像は異なる焦点距離に対応する。時間シーケンス制御ユニット4は、マルチ・フォーカス画像生成ユニット1によって生成された複数の画像のうちの1つが切り替えられる時点と、複数の焦点距離のうちの1つが切り替えられる時点とを制御するように構成され、その結果、画像のうちの1つが切り替えられる時点と、焦点距離のうちの1つが切り替えられる時点とは等しくなり、且つ、人間の眼の反応時間以下となる。
[0071] 例えば、第1の時点において、マルチ・フォーカス画像生成ユニットは、第1の画像と第2の画像を同時に生成し、第1の画像は第1の焦点距離に対応し、第2の画像は第2の焦点距離に対応する。第2の時点において、マルチ・フォーカス画像生成ユニットは、第3の画像と第4の画像を同時に生成し、第3の画像は第3の焦点距離に対応し、第4の画像は第4の焦点距離に対応する。時間シーケンス制御ユニットは、第1の画像と第3の画像とが切り替えられる時点と、第1の焦点距離と第3の焦点距離とが切り替えられる時点とを制御し、第2の画像と第4の画像とが切り替えられる時点と、第2の焦点距離と第4の焦点距離とが切り替えられる時点とを制御する。画像のうちの1つが切り替えられる瞬間と焦点距離のうちの1つが切り替えられる瞬間の両方とも、人間の眼の反応時間以下である。即ち、画像のうちの1つが切り替えられる瞬間と焦点距離のうちの1つが切り替えられる瞬間は非常に短く、人間の眼によって識別することはできない。このようにして、4スクリーン表示が同時に形成されていると感じられる。
[0072] 3つの実装を明確に説明するために、先ず実装1を詳細に説明し、次いで実装2を詳細に説明し、最後に実装3を詳細に説明する。
[0073] 実装1の関連する解決手段
[0074] 図3を参照すると、マルチ・フォーカス画像生成ユニット1の焦点距離がF1である場合、マルチ・フォーカス画像生成ユニット1によって生成された第1の画像が、光拡散スクリーン2及び光学結像ユニット3を通過した後、結像距離V1の第1の画像61が形成される。マルチ・フォーカス画像生成ユニット1の焦点距離がF2である場合、マルチ・フォーカス画像生成ユニット1によって生成された第2の画像が、光拡散スクリーン2及び光学結像ユニット3を通過した後、結像距離V2の第2の画像62が形成され、図面では二重スクリーン表示が示されている。類推により、マルチ・フォーカス画像生成ユニットにN個の焦点距離が存在する場合(Nは2より大きな整数)、対応するN個のスクリーン表示が形成される。特定の実装の際に、第1の画像がナビゲーション画像情報である場合、第1の結像は対応するガイダンス画像情報を表示し、第2の画像が計器画像情報である場合、第2の画像は対応する計器画像情報を表示する。第1の画像を第2の画像に切り替える時間、及び焦点距離F1を焦点距離F2に切り替える時間は、人間の眼の反応時間以下である。従って、ガイダンス画像情報と計器画像情報が人間の眼に同時に表示される。
[0075] 図2を参照すると、マルチ・フォーカス画像生成ユニット1は、画像生成素子101と焦点距離変換素子102とを含んでいる。画像生成素子101は、複数の画像を生成するように構成されており、時間シーケンス制御ユニット4は、画像生成素子101によって生成された複数の画像のうちの1つが切り替えられる時点を制御するように構成されている。時間シーケンス制御ユニット4は、焦点距離変換素子102を制御して、画像生成素子101の焦点距離を変換するように構成され、その結果、マルチ・フォーカス画像生成ユニットは複数の異なる焦点距離を有する。
[0076] 焦点距離変換素子102の構成は、3つの実施形態を用いて以下に説明及び記述される複数の場合を有する。
[0077] 実施形態1
図5を参照すると、焦点距離変換素子は空間光変調器1021を含む。空間光変調器1021は、画像生成素子と光拡散スクリーンとの間の光路上に配置される。空間光変調器1021は、異なる時点で異なる位相情報を、画像生成素子101によって生成された画像の光学波に乗せ、その結果、異なる時点で画像生成素子101によって生成された複数の画像は、異なる焦点距離に対応している。時間シーケンス制御ユニットは、位相情報が切り替えられる時点を制御し、位相情報が切り替えられる時点は、画像のうちの1つが切り替えられる時点に等しい。
[0078] 図5に示されるように、第1の時点において、空間光変調器1021によって、画像生成素子によって生成された画像の光学波に乗せられた位相情報が第1の位相情報であり、画像生成素子によって生成された画像の焦点距離がF1である場合、画像は第1の画像面で結像される。空間光変調器によって、画像生成素子によって生成された画像の光学波に乗せられた位相情報が第2の位相情報であり、画像生成素子によって生成された画像の焦点距離がF2である場合、画像は第2の画像面で結像される。第1の時点と第2の時点との間の時間差は、人間の眼の反応時間以下である(即ち、第1の位相情報と第2の位相情報が切り替えられる瞬間、及び第1の画像と第2の画像が切り替えられる瞬間は、人間の眼の反応時間以下である)。このようにして、二重スクリーン表示が人間の眼に見える。空間光変調器によって、画像生成素子によって生成された画像の光学波に乗せられた第1の位相情報と第2の位相情報とが異なる場合、焦点距離のサイズ、焦点面の位置、及び画像面の位置は変更される、ということをこの図から知ることができる。
[0079] 空間光変調器は、マイクロレンズ・アレイに基づく空間光変調器であってもよいし、又は液晶空間光変調器であってもよい。例えば、エルコス(Liquid crystal on silicon, LCoS)空間光変調器は、画素の電圧値を変えて、画像生成素子の光学波を変調し、画像生成素子の焦点距離を変えることにより、各ピクセルの変調を実現する。
[0080] 位相情報は、空間光変調器によって切り替えられ且つ画像生成素子によって生成された画像の光学波に乗せられる瞬間は、人間の目の反応時間以下であり、その結果、マルチ・スクリーン表示が同時に存在していると感じられる。
[0081] 実施形態2
図6a及び図6bを参照すると、焦点距離変換素子はズーム液体レンズ1022を含む。ズーム液体レンズ1022は、画像生成素子と光拡散スクリーンとの間の光路に配置される。異なる時点におけるズーム液体レンズの光放出面の曲率は異なり、その結果、異なる時点で画像生成素子によって生成される複数の画像は、異なる焦点距離に対応する。時間シーケンス制御ユニットは、曲率が切り替えられる時点を制御するように構成されており、曲率が切り替えられる時点は、画像のうちの1つが切り替えられる時点に等しい。
[0082] 図6bは、ズーム液体レンズの構造の概略図である。駆動キャビティ10は光キャビティ11と通じており、即ち、駆動キャビティ10内の液体と光キャビティ11内の液体は、2つのキャビティの間で流れることが可能である。光キャビティ11内の液体が変化すると、光放出面7の表面張力が変化し、その結果、光放出面7の曲率が変化する。永久磁石8とコイル9は、光キャビティ11内の液体と駆動キャビティ10内の液体の間での流れを起こすように構成された動力源を形成する。
[0083] 図6bに示されるように、第1の時点において、コイル9が第1の電流に接続された後、コイル9によって生成される磁界は、永久磁石8によって生成される磁界とは異なり、永久磁石8は下方に引き寄せられ、その結果、駆動キャビティ10の容積が小さくなり、駆動キャビティ10内の液体が光キャビティ11へ流れ込み、光放出面7の変形が、第1の湾曲(実線で示されているもの)を形成することを引き起こし、その結果、ズーム液体レンズの焦点距離はF1となる。第2の時点において、コイル9が第2の電流に接続された後、コイル9によって生成される磁界は、永久磁石8によって生成される磁界とは異なり、永久磁石8は下方に引き寄せられ、その結果、駆動キャビティ10の容積が小さくなり、駆動キャビティ10内の液体が光キャビティ11へ流れ込み、光放出面7の変形が、第2の湾曲(破線で示されているもの)を形成することを引き起こし、その結果、ズーム液体レンズの焦点距離はF2となる。第2の電流の値は、第1の電流の値より大きい。第1の時点と第2の時点との間の時間差は、人間の眼の反応時間以下である(即ち、第1の湾曲と第2の湾曲が切り替えられる瞬間、及び第1の画像と第2の画像が切り替えられる瞬間は、人間の眼の反応時間以下である)。このようにして、二重スクリーン表示が人間の眼に見える。ズーム液体レンズの光放出面の曲率が異なる場合、焦点距離のサイズ、焦点面の位置、画像面の位置は変更される、ということをこの図から知ることができる。
[0084] 実施形態3
図7を参照すると、焦点距離変換素子は、固定焦点レンズ1023と、第1の駆動ユニット(図示されていない)とを含んでいる。固定焦点レンズは、画像生成素子と光拡散スクリーンとの間の光路上に配置される。第1の駆動ユニットは、固定焦点レンズに接続されており、時間シーケンス制御ユニットは、第1の駆動ユニットを制御して、固定焦点レンズを、異なる時点で異なる位置へ移動させるように構成されており、異なる時点で画像生成素子によって生成される複数の画像は異なる焦点距離に対応している。
[0085] 図7に示されるように、第1の時点において、第1の駆動ユニットが固定焦点レンズを第1の位置(破線で示される)へ移動させるように駆動すると、画像形成素子によって生成された第1の画像の焦点距離はF1となり、第1の画像の結像は第1の画像面上で行われる。第2の時点において、第1の駆動ユニットが固定焦点レンズを第2の位置(実線で示される)に移動させるように駆動すると、画像生成素子によって生成された第2の画像の焦点距離はF2となり、第2の画像の結像は第2の画像面上で行われる。第1の時点と第2の時点の間の時間差は、人間の眼の反応時間以下である(第1の位置と第2の位置が切り替えられる瞬間と、第1の画像と第2の画像が切り替えられる瞬間とは、人間の眼の反応時間以下である)。このようにして、二重スクリーン表示が人間の眼に見える。固定焦点レンズが異なる位置へ移動する場合、マルチ・フォーカス画像生成ユニットの焦点距離のサイズ、焦点面の位置、及び画像面の位置は変更される、ということをこの図から知ることができる。
[0086] 実施形態3の第1の駆動ユニットは、複数の構造を有する。例えば、第1の駆動ユニットは駆動モーターを含み、駆動モーターは固定焦点レンズに接続されて、固定焦点レンズを駆動して動かす。別の例では、第1の駆動ユニットは、伸縮自在のシリンダを含み、伸縮自在のシリンダは、固定焦点レンズに接続されて、固定焦点レンズを駆動して動かす。固定焦点レンズを動かすように駆動することが可能な如何なる構造も、本願の保護範囲内にある。
[0087] 固定焦点レンズは、移動局に配置されてもよく、第1の駆動ユニットは、移動局に接続されて、移動局を駆動して動かし、固定焦点レンズを駆動して移動させる。固定焦点レンズは、一般にガラス材料で構成されており、第1の駆動ユニットは、固定焦点レンズに直接的に接続されており、比較的高い接続構造を必要とする。従って、固定焦点レンズは移動局に設けられる。
[0088] 前述の3つの実施形態は、焦点距離変換素子の幾つかの実装として使用されているだけであり、画像生成素子の焦点距離は、別の実装で変更されてもよい。
[0089] マルチ・フォーカス画像生成ユニットの焦点距離はしょっちゅう変換されるので、マルチ・フォーカス画像生成ユニットによって生成される画像の画像面の位置もしょっちゅう変化し、光拡散スクリーン2は、マルチ・フォーカス画像生成ユニットの画像をリアル・タイムで受信することが可能であることを必要とする。光拡散スクリーン2は、以下の2つの実装構造を有する。
[0090] 実施形態1
図2及び図3を参照すると、ヘッド・アップ表示装置は、更に、第2の駆動ユニット(図示されていない)を含み、第2の駆動ユニットは、光拡散スクリーンに接続され、第2の駆動ユニットは、光拡散スクリーンを、マルチ・フォーカス画像生成ユニットによって生成された画像の画像面の方へ動かすように制御する。図3において、実線は、マルチ・フォーカス画像生成ユニットが第1の焦点距離F1を有する場合に、光拡散スクリーンが第1の画像面上に配置されることを示す。図3において、破線は、マルチ・フォーカス画像生成ユニットが第2の焦点距離F2を有する場合に、光拡散スクリーンが第2の画像面上に配置されることを示す。
[0091] 即ち、第2の駆動ユニットは、光拡散スクリーンを、マルチ・フォーカス画像生成ユニットの結像光路に沿って(図3ではP方向に)動かすように駆動し、様々な時点でマルチ・フォーカス画像生成ユニットの結像を受け取るようにする。
[0092] また、第2の駆動ユニットは、マルチ・フォーカス画像生成ユニットの結像光路に沿って連続的に動くように、光拡散スクリーンを駆動することが可能である。この設計では、次の技術的効果を更に達成することができる:図8を参照すると、ピラミッドが撮像されることを必要とする場合に、ピラミッド像は複数のパートに分割される(図では、12個のパートが示されている)。マルチ・フォーカス画像生成ユニットは、一度に1つの画像パートを表示し、そのパートは、ピラミッドの上から下へ連続的に切り替わり、画像の2つのパートそれぞれの焦点距離は連続的に変えられる。第2の駆動ユニットは、光拡散スクリーンを、連続的に動かすように駆動し、その結果、人間の眼に見える最終的なピラミッド像は3次元構造で現れ、これは深度情報を有し、ユーザーの体験を向上させる。
[0093] 実施形態2
図9を参照すると、複数の光拡散スクリーンが存在しており、各々の光拡散スクリーンは、マルチ・フォーカス画像生成ユニットによって生成される画像のうちの1つの画像面に対応し、異なる光拡散スクリーンは、異なる画像面上に配置されている。
[0094] 即ち、複数の光拡散スクリーンが存在し、各々の光拡散スクリーンは固定されており、各々の光拡散スクリーンは対応する画像面上に配置される。例えば、図9に示されるヘッド・アップ表示装置は、第1の光拡散スクリーン201と第2の光拡散スクリーン202とを含む。第1の光拡散スクリーン201は、マルチ・フォーカス画像生成ユニットの焦点距離がF1である画像面の位置に配置され、第2の光拡散スクリーン202は、マルチ・フォーカス画像生成ユニットの焦点距離がF2である画像面の位置に配置される。
[0095] 図3に示される可動光拡散スクリーン構造は、図9に示す複数の固定光拡散スクリーン構造よりも、より単純な構造を有し、より少ない空間を占める。従って、本件は、好ましくは、第2の駆動ユニットを使用して、光拡散スクリーンを駆動して動かすことによって実施される
[0096] 実装2の関連する解決手段
[0097] 図10を参照すると、マルチ・フォーカス画像生成ユニット1は、画像生成素子101と焦点距離変換素子102を有し、画像生成素子101は、複数の画像生成エリアを有する(図10及び図11は、第1画像生成エリアP1及び第2画像生成エリアP2を示す)。焦点距離変換素子102は、複数の画像生成エリアの焦点距離を同時に変更するように構成されており、その結果、複数の画像生成エリアは異なる焦点距離を有する。
[0098] 焦点距離変換素子102の構成は、2つの実施形態を用いて以下に説明及び記述される複数の場合を有する。
[0099] 実施形態1
図12を参照すると、焦点距離変換素子102は空間光変調器1021を含む。空間光変調器は、画像生成素子と光拡散スクリーンとの間の光路上に配置される。空間光変調器は複数の変調エリアを有し、各々の変調エリアは1つの画像生成エリアに対応し、複数の変調エリアは、対応する画像生成エリアで生成された画像の光学波に、異なる位相情報を乗せ、その結果、同じ時点で画像生成素子によって生成された複数の画像は、異なる焦点距離に対応する。
[0100] 図12に示されるように、空間光変調器は、第1の変調エリア1021Aと第2の変調エリア1021Bとを含み、第1の変調エリア1021Aは第1の画像生成エリアP1に対応し、第2の変調エリア1021Bは第2の画像生成エリアP2に対応する。第1の画像生成エリアP1によって生成された第1の画像の光波に、第1の変調エリア1021Aによって乗せられた位相情報が、第1の位相情報である場合、第1の画像生成エリアP1によって生成された第1の画像の焦点距離はF1となり、第1の画像の結像は第1の画像面上で行われる。同時に、第2の画像生成エリアP2によって生成された第2の画像の光波に、第2の変調エリア1021Bによって乗せられた位相情報が、第2の位相情報である場合、第2の画像生成エリアP2によって生成された第2の画像の焦点距離はF2となり、第2の画像の結像は第2の画像面上で行われる。第1の変調エリア1021A及び第2の変調エリア1021Bにより、対応する画像生成エリアによって生成された画像に乗せられた光学波の第1の位相情報及び第2の位相情報が異なる場合、焦点距離のサイズ、焦点面の位置、及び画像面の位置は変更され、マルチ・スクリーン表示を同時に実現できる、ということをこの図から知ることができる。
[0101] 実施形態2
図13を参照すると、焦点距離変換素子102はズーム液体レンズ1022を含んでいる。ズーム液体レンズ1022は、画像生成素子と光拡散スクリーンとの間の光路上に配置される。ズーム液体レンズ1022は複数のレンズ・エリアを有し、各々のレンズ・エリアは1つの画像生成エリアに対応し、複数のレンズ・エリアの光放出面の曲率は異なり、その結果、同時に画像生成素子によって生成される複数の画像は、異なる焦点距離に対応する。
[0102] 図13に示されるように、ズーム液体レンズ1022は、第1のレンズ・エリア1022Aと第2のレンズ・エリア1022Bを含み、第1のレンズ・エリア1022Aは第1の画像生成エリアP1に対応し、第2のレンズ領域1022Bは第2の画像生成エリアP2に対応する。第1のレンズ・エリア1022Aの光放出面の曲率は第1の曲率であり、第1の画像生成エリアP1によって生成された第1の画像の焦点距離はF1であり、その結果、第1の画像の結像は第1の画像面上で行われる。同時に、第2のレンズ・エリア1022Bの光放出面の曲率は第2の曲率であり、第2の画像生成エリアP2によって生成された第2の画像の焦点距離はF2であり、その結果、第2の画像の結像は第2の画像面上で行われる。第1のレンズ・エリア1022Aと第2のレンズ・エリア1022Bの曲率が異なる場合、焦点距離のサイズ、焦点面の位置、画像面の位置は変更され、マルチ・スクリーン表示を同時に実現できる、ということをこの図から知ることができる。
[0103] 一部の実装では、複数の光拡散スクリーンが存在し、各々の光拡散スクリーンは、マルチ・フォーカス画像生成ユニットによって生成される画像の1つの画像面に対応し、異なる光拡散スクリーンは、異なる画像面上に配置される。
[0104] 即ち、複数の光拡散スクリーンが存在し、各々の光拡散スクリーンは固定され、各々の光拡散スクリーンは対応する画像面上に配置される。
[0105] 実装3の関連する解決手段
[0106] マルチ・フォーカス画像生成ユニットは、画像生成素子と焦点距離変換素子を含み、画像生成素子は複数の画像生成エリアを有し、焦点距離変換素子は、複数の画像生成エリアの焦点距離を同時に変調するように構成され、その結果、複数の画像生成エリアは異なる焦点距離を有する。また、ヘッド・アップ表示装置は時間シーケンス制御ユニットを更に含み、時間シーケンス制御ユニットは、画像生成エリアで生成された画像のうちの1つが切り替えられる時点と焦点距離のうちの1つが切り替えられる時点とを制御するように構成されており、その結果、複数の画像のうちの1つが切り替えられる時点と焦点距離のうちの1つが切り替えられる時点とは等しく、且つ、人間の眼の反応時間以下である。
[0107] 焦点距離変換素子102の構成は、2つの実施形態を用いて以下に説明及び記述される複数の場合を有する。
[0108] 実施形態1
図14を参照すると、焦点距離変換素子は空間光変調器1021を含んでいる。空間光変調器は、画像生成要素と光拡散スクリーンとの間の光路上に配置される。空間光変調器は複数の変調エリアを有し、各々の変調エリアは1つの画像生成エリアに対応し、複数の変調エリアは、対応する画像生成エリアで生成された画像の光学波に、異なる位相情報を乗せ、その結果、同じ時点で画像生成素子によって生成された複数の画像は、異なる焦点距離に対応する。更に、時間シーケンス制御ユニットは、画像生成エリアを制御し、異なる時点の異なる位相情報を、画像生成エリアによって生成された画像の光学波に乗せ、その結果、異なる時点で画像生成エリアによって生成された複数の画像は異なる焦点距離に対応する。
[0109] 図14に示されるように、空間光変調器は第1の変調エリア1021Aと第2の変調エリア1021Bを含み、第1の変調エリア1021Aは第1の画像生成エリアP1に対応し、第2の変調エリア1021Bは第2の画像生成エリアP2に対応する。
第1の時点において、第1の画像生成エリアP1によって生成された第1の画像の光波に、第1の変調エリア1021Aによって乗せられた位相情報が、第1の位相情報である場合、第1の画像生成エリアP1によって生成された第1の画像の焦点距離はF1となり、第1の画像の結像は第1の画像面上で行われる。
第1の時点において、第2の画像生成エリアP2によって生成された第2の画像の光波に、第2の変調エリア1021Bによって乗せられた位相情報が、第2の位相情報である場合、第2の画像生成エリアP2によって生成された第2の画像の焦点距離はF2となり、第2の画像の結像は第2の画像面上で行われる。
第2の時点において、第1の画像生成エリアP1によって生成された第3の画像の光波に、第1の変調エリア1021Aによって乗せられた位相情報が、第3の位相情報である場合、第1の画像生成エリアP1によって生成された第3の画像の焦点距離はF3となり、第3の画像の結像は第3の画像面上で行われる。
第2の時点において、第2の画像生成エリアP2によって生成された第4の画像の光波に、第2の変調エリア1021Bによって乗せられた位相情報が、第4の位相情報である場合、第2の画像生成エリアP2によって生成された第4の画像の焦点距離はF2となり、第4の画像の結像は第4の画像面上で行われる。
第1の時点と第2の時点の間の時間差は人間の眼の反応時間以下である(第1の位相情報と第3の位相情報が切り替えられる時点と、第2の位相情報と第4の位相情報が切り替えられる時点と、第1の画像と第2の画像が切り替えられる時点は、人間の眼の反応時間以下である)。このようにして、4スクリーン表示が人間の眼に見える。
[0110] 実施形態2
図15を参照すると、焦点距離変換素子102はズーム液体レンズ1022を含む。ズーム液体レンズ1022は、画像生成素子と光拡散スクリーンの間の光路上に配置される。ズーム液体レンズ1022は複数のレンズ・エリアを有し、各々のレンズ・エリアは1つの画像生成エリアに対応し、複数のレンズ・エリアの光放出面の曲率は異なり、その結果、同時に画像生成素子によって生成された複数の画像は、異なる焦点距離に対応する。また、時間シーケンス制御ユニットは画像生成エリアを制御する。異なる時点における複数のレンズ・エリアの光放出面の曲率は異なり、その結果、異なる時点における画像生成エリアによって生成される複数の画像は、異なる焦点距離に対応する。
[0111] 図15に示されるように、ズーム液体レンズ1022は第1のレンズ・エリア1022Aと第2のレンズ・エリア1022Bを含み、第1のレンズ・エリア1022Aは第1の画像生成エリアP1に対応し、第2のレンズ・エリア1022Bは第2の画像生成エリアP2に対応する。
第1の時点において、第1のレンズ・エリア1022Aの光放出面の曲率は第1の曲率であり、第1の画像生成エリアP1によって生成される第1の画像の焦点距離はF1であり、その結果、第1の画像の結像は第1の画像面上で行われる。
第1の時点において、第2のレンズ・エリア1022Bの光放出面の曲率は第2の曲率であり、第2の画像生成エリアP2によって生成される第2の画像の焦点距離はF2であり、その結果、第2の画像の結像は第2の画像面上で行われる。
第2の時点において、第1のレンズ・エリア1022Aの光放出面の曲率は第3の曲率であり、第1の画像生成エリアP1によって生成される第3の画像の焦点距離はF3であり、その結果、第3の画像の結像は第3の画像面上で行われる。
第2の時点において、第2のレンズ・エリア1022Bの光放出面の曲率は第4の曲率であり、第2の画像生成エリアP2によって生成される第4の画像の焦点距離はF2であり、その結果、第4の画像の結像は第4の画像面上で行われる。
第1の時点と第2の時点の間の時間差は人間の眼の反応時間である(第1の曲率と第3の曲率が切り替えられる時点、第2の曲率と第4の曲率が切り替えられる時点、第1の画像と第2の画像が切り替えられる時点は、人間の眼の反応時間以下である)。このようにして、4スクリーン表示が人間の眼に見える。
[0112] 一部の実装では、複数の光拡散スクリーンが存在し、各々の光拡散スクリーンは第2の駆動ユニットに接続され、第2の駆動ユニットは、光拡散スクリーンを制御して、マルチ・フォーカス画像生成ユニットによって生成された画像の画像面の方に動かす。
[0113] 例えば、図14に示す構造は、それぞれ第1の光拡散スクリーンと第2の光拡散スクリーンである2つの光拡散スクリーンを含み、それぞれ第2の駆動ユニットAと第2の駆動ユニットBである2つの第2の駆動ユニットが存在している。第2の駆動ユニットAは、第1の画像面と第3の画像面との間を動くように第1の光拡散スクリーンを駆動し、第2の駆動ユニットBは、第2の画像面と第4の画像面との間を動くように第2の光拡散スクリーンを駆動することができる。
[0114] 以上、第2の駆動ユニットに対して実施される可能性のある特定の構造を説明したが、ここで再び詳細は説明されない。
[0115] 前述の実装1、実装2、及び実装3では、散乱面に配置された凹凸構造を利用することによって、光拡散スクリーンが、拡散反射を実現するために使用されている。しかしながら、既存の光拡散スクリーンの散乱面の粗さは大きく、基本的には数十ミクロンのスケールである。従って、このようにして形成された画像は、ぼやけたエッジや、明らかな粒状感を有し、高度に精密な表示を実現することはできない。
[0116] 例えば、図16を参照すると、視覚体験を改善するために、本願のこの実施形態で提供される光拡散スクリーン2の散乱面に、ナノ散乱コーティング21が形成されており、ナノ散乱コーティング21のナノ粒子のサイズは、ほぼミクロン・スケールに近く、光拡散スクリーンの表面粗さを減少させる。別の例として、図17を参照すると、液晶分子冷却コーティング22が、光拡散スクリーン2の散乱面に形成されている。液晶分子冷却コーティングは、光拡散スクリーンの散乱面の粗さを低減するために、光拡散スクリーンの散乱面に形成されており、その結果、光学結像ユニットによって拡大された画像は、ぼやけたエッジ、明らかなノイズ、及び粒状感を有しない。別の例として、光拡散スクリーンは、ガラス・セラミックスで構成されている。拡散は、ガラス・セラミックスの微結晶分子を用いて実現される。微結晶分子はナノメートル・スケールにおけるものであり、光学結像ユニットによって拡大された後に、画像は明らかなノイズや粒状感を有しておらず、高度に精密な表示を形成する。
[0117] 光学結像ユニット3は、複数の実装可能な構造を有する。例えば、光学結像ユニット3は非球面反射器を含む。別の例では、光学結像ユニット3は、積層された凸状ミラーと非球面反射器とを含む。別の例では、光学結像ユニット3は、積層された凹面ミラーと非球面反射器とを含む。確かに、光学結像ユニット3は、代替的に、別の光学素子を含んでもよい。光学結像ユニットの具体的な構造は、本願では限定されておらず、何れの構造も本願の保護範囲内にある。
[0118] 別の態様によれば、本願の実施形態は表示システムを更に提供し、ここで、表示システムは、リフレクタと、前述の実施形態で提供されたヘッド・アップ・表示装置とを含み、リフレクタは光学結像ユニットの結像光路上に配置される。即ち、ヘッド・アップ表示装置の光学結像素子によって形成された画像は、リフレクタを使用することによって人間の眼に反映されることが可能である。
[0119] 表示システムは駆動デバイスに設けられても良いし、或いは表示システムは教師デバイスに設けられても良い。
[0120] 表示システムが駆動デバイスに設けられている場合、フロントガラスがリフレクタとして使用されることが可能であり、又はリフレクタが単独で配置されることが可能である。本件は、好ましくは、フロントガラスをリフレクタとして使用する。
[0121] 前述の実施形態で提供されたヘッド・アップ表示装置は表示システムで使用され、ヘッド・アップ表示装置における画像生成ユニットは、マルチ・フォーカス画像生成ユニット、即ち複数の異なる焦点距離を有し且つ複数の画像を生成するものである。このようにして、マルチ・スクリーン表示を実現することができ、表示システムは、シンプルな構造とそれに対応する減少した体積を有する単一の光学機械構造(1つのマルチ・フォーカス画像生成ユニット)である。
[0122] 更に別の態様によれば、本願の実施形態は、ヘッド・アップ表示装置のための表示方法を更に提供する。図18を参照すると、表示方法は以下を含んでいる:
[0123] S01.マルチ・フォーカス画像生成ユニットが、複数の画像を生成し、マルチ・フォーカス画像生成ユニットは複数の異なる焦点を有し、複数の画像の焦点面は異なる位置にある。
[0124] S02.マルチ・フォーカス画像生成ユニットの画像面に配置された光拡散スクリーンが、マルチ・フォーカス画像生成ユニットにより生成された複数の画像を受信し、複数の画像の光ビームを拡散させる。
[0125] S03.光学結像ユニットが、光拡散スクリーンに投影された複数の画像を結像させ、異なる結像距離の複数の画像を形成する。
[0126] 即ち、表示方法における画像生成ユニットはマルチ・フォーカス画像生成ユニットであり、マルチ・フォーカス画像生成ユニットは複数の画像を生成することが可能であり、複数の画像の焦点面は、異なる位置にある。このように、異なる焦点結像距離を有する複数の画像が形成され、マルチ・スクリーン表示が実現される。異なる焦点距離を有する複数の画像生成ユニットを用いてマルチ・スクリーン表示を実現する既存の技術と比較すると、1つのマルチ・フォーカス画像生成ユニットが、異なる焦点距離を有する複数の画像生成ユニットに取って代わっている。
[0127] 表示方法は、同時にマルチ・スクリーン表示を実現するために、以下の3つの実装で実現されることが可能である。以下、3つの実装を別々に説明する。
[0128] 第1の実装
[0129] この実装において、ヘッド・アップ表示装置は時間シーケンス制御ユニットを更に含む。表示方法は更に:時間シーケンス制御ユニットが、マルチ・フォーカス画像生成ユニットにより生成される複数の画像のうちの1つが切り替えられる時点と、複数の焦点距離のうちの1つが切り替えられる時点とを制御し、その結果、複数の画像のうちの1つが切り替えられる時点と焦点距離のうちの1つが切り替えられる時点とが等しくなり且つ人間の眼の反応時間以下になる、ステップを含む。
[0130] 時間シーケンス制御ユニットは、画像のうちの1つが切り替えられる時点と、焦点距離のうちの1つが切り替えられる時点とを制御し、その結果、画像のうちの1つが切り替えられる時点と焦点距離のうちの1つが切り替えられる時点とは、人間の眼の反応時間以下になる。即ち、画像のうちの1つが切り替えられる瞬間と焦点距離のうちの1つが切り替えられる瞬間は非常に短く、人間の眼によって識別することはできない。このようにして、人間の眼はマルチ・スクリーン表示が同時に存在していると感じる。
[0131] 一部の実施形態では、マルチ・フォーカス画像生成ユニットは、画像生成素子とズーム液体レンズを含む。一部の他の実施形態では、多重焦点画像生成ユニットは画像生成素子とズーム液体レンズを含む。一部の他の実施形態では、マルチ・フォーカス画像生成ユニットは、画像生成素子、固定焦点レンズ、及び第1の駆動ユニットを含む。画像生成素子は、複数の画像を生成することができる。時間シーケンス制御ユニットは、画像生成素子によって生成された複数の画像のうちの1つが切り替えられる時点を制御し、画像生成素子の画像のうちの1つが切り替えられる時点は、人間の眼の反応時間以下である。空間光変調器、ズーム液体レンズ、固定焦点レンズ、及び第1の駆動ユニットは、画像生成要素の焦点距離を変更するように構成される。
[0132] マルチ・フォーカス画像生成ユニットが画像生成素子と空間光変調器を含む場合、表示方法は:空間光変調器が、画像生成素子によって生成された画像の光波に、異なる時点で異なる位相情報を乗せ、その結果、異なる時点で画像生成素子によって生成された複数の画像は、異なる焦点距離に対応する。時間シーケンス制御ユニットは、画像生成素子によって生成される画像のうちの1つが切り替えられる時点と、位相情報が切り替えられる時点を制御し、位相情報が切り替えられる時点は画像のうちの1つが切り替えられる時点に等しい。画像生成素子の焦点距離を変化させるために、画像生成素子によって生成された画像の光学波に、異なる位相情報が異なる時点で乗せられ、最終的には、異なる時点で画像生成素子によって生成された複数の画像は異なる焦点距離に対応する。位相情報が切り替えられる瞬間は、画像のうちの1つが切り替えられる瞬間に等しく、人間の眼の反応時間以下である。このようにして、人間の目はマルチ・スクリーン表示が同時に存在していると感じる。
[0133] マルチ・フォーカス画像生成ユニットが、画像生成素子とズーム液体レンズを含む場合に、表示方法は:異なる時点におけるズーム液体レンズの光放出面の曲率は異なり、その結果、異なる時点で画像生成素子によって生成される複数の画像は、異なる焦点距離に対応するステップを含む。時間シーケンス制御ユニットは、画像生成素子によって生成される画像のうちの1つが切り替えられる時点と、曲率が切り替えられる時点とを制御し、曲率が切り替えられる時点は、画像のうちの1つが切り替えられる時点に等しい。異なる時点におけるズーム液体レンズの光放出面の曲率は異なり、これは画像生成素子の焦点距離を変化させることが可能であり、最終的に、異なる時点で画像生成素子によって生成される複数の画像は、異なる焦点距離に対応する。曲率が切り替えられる瞬間は、画像のうちの1つが切り替えられる瞬間に等しく、人間の眼の反応時間以下である。このようにして、人間の眼はマルチ・スクリーン表示が同時に存在していると感じる。
[0134] マルチ・フォーカス画像生成ユニットが、画像生成素子と、固定焦点レンズと、固定焦点レンズに接続された第1の駆動ユニットとを含む場合、表示方法は:第1の駆動ユニットが、固定焦点レンズを、異なる時点で異なる位置へ動かすように駆動し、その結果、異なる時点で画像生成素子により生成された複数の画像は異なる焦点距離に対応しているステップを含む。時間シーケンス制御ユニットは、画像生成素子により生成される複数の画像のうちの1つが切り替えられる時点と、位置のうちの1つが切り替えられる時点とを制御し、位置のうちの1つが切り替えられる時点は、画像のうちの1つが切り替えられる時点に等しい。第1の駆動ユニットは、固定焦点レンズを異なる時点で異なる位置へ動かすように駆動して、画像生成素子の焦点距離を変更し、最終的に、異なる時点で画像生成素子によって生成される複数の画像は、異なる焦点距離に対応する。固定焦点レンズの位置のうちの1つが切り替えられる時点は、画像のうちの1つが切り替えられる時点に等しく、且つ、人間の眼の反応時間以下である。このようにして、人間の眼はマルチ・スクリーン表示が同時に存在していると感じる。
[0135] この実装では、光拡散スクリーンは、第2の駆動ユニットに接続されている。表示方法は、更に、マルチ・フォーカス画像生成ユニットの焦点距離が変換される場合に、第2の駆動ユニットが、光拡散スクリーンを、マルチ・フォーカス画像生成ユニットによって生成された画像の画像面の方へ移動するように、制御するステップを含む。
[0136] 第2の駆動ユニットが光拡散スクリーンを駆動して移動させるプロセスにおいて、光拡散スクリーンが移動して至る位置が、決定されることを必要とする。従って、第2の駆動ユニットが、複数の焦点画像生成ユニットによって生成される画像の画像面の方に移動するように、光拡散スクリーンを制御することは:
[0137] S11.マルチ・フォーカス画像生成ユニットの焦点距離に基づいて、ヘッド・アップ表示装置の結像距離Vを決定する。結像距離Vは光学結像ユニットの結像面と光学結像ユニットの光学中心との間の距離である。
[0138] S12.次いで、次の式
に従って、光拡散スクリーンの中心と光学結像ユニットの光学中心との間の距離Sを計算する。ここで、fは光学結像ユニットの焦点距離である。
[0139] S13.第2の駆動ユニットが、光拡散スクリーンを、光学結像ユニットの光学中心までの距離がSである位置へ動かすように駆動する。
[0140] 光学結像ユニットが決定された後、光拡散スクリーンと光学結像ユニットの間の距離と、光学結像ユニットの結像距離とは、
を満たしている。従って、光拡散スクリーンが移動して至る位置は、この式に従って決定することが可能である。
[0141] この実装では、ヘッド・アップ表示装置は、更に、複数の光拡散スクリーンを含み(即ち、第2の駆動ユニットは含まれない)、各々の光拡散スクリーンは、マルチ・フォーカス画像生成ユニットによって生成される画像の1つの画像面に対応する。表示方法は、更に:異なる時点でマルチ・フォーカス画像生成ユニットによって生成された画像を、対応する光拡散スクリーンに投影するステップを含む。
[0142] 第2の実装
[0143] この実施形態では、マルチ・フォーカス画像生成ユニットは、複数の画像を同時に生成し、複数の異なる焦点距離を有し、マルチ・スクリーン表示を同時に実現する。
[0144] 一部の実施形態では、マルチ・フォーカス画像生成ユニットは、画像生成素子と空間光変調器を含む。一部の他の実施形態では、焦点画像生成ユニットは、画像生成素子とズーム液体レンズを含む。画像生成素子は、複数の画像生成エリアを有し、複数の画像を同時に生成することができる。
[0145] マルチ・フォーカス画像生成ユニットが、画像生成素子と空間光変調器を含む場合に、空間光変調器は複数の変調エリアを有し、各々の変調エリアは1つの画像生成エリアに対応している。表示方法は:複数の画像生成エリアで画像を同時に生成するステップを含み、複数の変調エリアは、異なる位相情報を、対応する画像生成エリアで生成された画像の光学波に乗せ、その結果、同じ時点で画像生成素子により生成された複数の画像は異なる焦点距離に対応している。各々の変調エリアは、対応する画像生成エリアによって生成された画像の光学波に、同じ時点で異なる位相情報を乗せ、その結果、複数の画像生成エリアは異なる焦点距離を有し、マルチ・スクリーン表示が同時に実現される。
[0146] マルチ・フォーカス画像生成ユニットが、画像生成素子とズーム液体レンズを含む場合に、ズーム液体レンズは複数のレンズ・エリアを有し、各々のレンズ・エリアは1つの画像生成エリアに対応している。表示方法は:複数の画像生成エリアで画像を同時に生成し、その結果、同じ時点で画像生成素子により生成された複数の画像は異なる焦点距離に対応しているステップを含む。複数のレンズ・エリアの光放出面の曲率は相違し、その結果、複数の画像生成エリアは異なる焦点距離を有し、マルチ・スクリーン表示が同時に実現される。
[0147] 画像生成素子は複数の画像生成エリアを有し、空間光変調器は複数の変調エリアを有し、ズーム液体レンズは複数のレンズ・エリアを有するので、複数の対応する光拡散スクリーンも配置され、各々の光拡散スクリーンは、マルチ・フォーカス画像生成ユニットによって生成された画像の1つの画像面に対応する。表示方法は更に:マルチ・フォーカス画像生成ユニットによって同時に生成された画像を、対応する光拡散スクリーンに投影するステップを含む。
[0148] 更に、空間光変調器が、画像生成素子により生成された画像の光学波に、位相情報を乗せる場合、フレネル位相情報が、画像生成素子の焦点距離を変換するために乗せられても良い。
[0149] フレネル位相のm番目のリングの半径rmは、rm=√(2mfλ)であり、λは画像生成素子により生成された画像の光学波の波長であり、fはフレネル位相と同等なフレネル・レンズの焦点距離である。
[0150] 第3の実装
[0151] この実装では、マルチ・フォーカス画像生成ユニットは、複数の画像を同時に生成し、複数の異なる焦点距離を有する。ヘッド・アップ表示装置は時間シーケンス制御ユニットを更に含む。時間シーケンス制御ユニットは、マルチ・フォーカス画像生成ユニットによって生成された複数の画像のうちの1つが切り替えられる時点と、複数の焦点距離のうちの1つが切り替えられる時点とを制御するように構成され、その結果、複数の画像のうちの1つが切り替えられる時点と、焦点距離のうちの1つが切り替えられる時点とは等しく、且つ人間の眼の反応時間以下であり、マルチ・スクリーン表示を同時に実現する。
[0152] 一部の実施形態では、マルチ・フォーカス画像生成ユニットは画像生成素子と空間光変調器を含む。一部の他の実施形態では、焦点画像生成ユニットは画像生成素子とズーム液体レンズを含む。画像生成素子は、複数の画像生成エリアを有し、複数の画像を同時に生成することができる。
[0153] マルチ・フォーカス画像生成ユニットが、画像生成素子と空間光変調器を有する場合、空間光変調器は複数の変調エリアを有し、各々の変調エリアは1つの画像生成エリアに対応する。表示方法は:複数の画像生成エリアにおいて画像を同時に生成するステップを含み、複数の変調エリアは、対応する画像生成エリアで生成された画像の光波に、異なる位相情報を乗せ、その結果、同時に画像生成素子によって生成された複数の画像は、異なる焦点距離に対応している。また、時間シーケンス制御ユニットは、画像生成エリアによって生成された画像のうちの1つが切り替えられる時点と、変調エリアにおける位相情報が切り替えられる時点とを制御し、画像のうちの1つが切り替えられる時点と、位相情報が切り替えられる時点とは等しく、且つ人間の眼の反応時間以下である。
[0154] マルチ・フォーカス画像生成ユニットが、画像生成素子とズーム液体レンズを含む場合に、ズーム液体レンズは複数のレンズ・エリアを有し、各々のレンズ・エリアは1つの画像生成エリアに対応する。表示方法は、複数の画像生成エリアで画像を同時に生成し、複数のレンズ・エリアの光放出面の曲率は異なり、その結果、同時に画像生成素子によって生成される複数の画像は異なる焦点距離に対応する。また、時間シーケンス制御ユニットは、画像生成エリアによって生成される画像のうちの1つが切り替えられる時点と、レンズ・エリアの曲率が切り替えられる時点とを制御し、画像のうちの1つが切り替える時点と、曲率が切り替えられる時点とは等しく、且つ人間の眼の反応時間以下である。
[0155] この実装では、複数の光拡散スクリーンが存在する可能性があり、各々の光拡散スクリーンは1つの第2の駆動ユニットに接続される。第2の駆動ユニットが光拡散スクリーンを駆動して動かす位置は、上述したとおりであり、ここでは再び説明されない。
[0156] この実装では、空間光変調器は、画像生成素子の焦点距離を変換するように、画像生成素子によって生成された画像の光学波に、フレネル位相情報を乗せることができる。
[0157] 本明細書の説明において、説明された特定の特徴、構造、材料、又は性質は、任意の1つ以上の実施形態又は実施例において、適切な方法で組み合わせられることが可能である。
[0158] 前述の説明は、本願の単なる具体的な実装であるに過ぎず、本願の保護範囲を制限するようには意図されていない。本願に開示された技術的範囲内で当業者が容易に理解することが可能な如何なる変形や置換も、本願の保護範囲に含まれるものとする。従って、本願の保護範囲はクレームの保護範囲に従うものとする。