JP2023525269A - コロナウイルス感染の調節及び治療のためのパラポックスウイルス - Google Patents

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Abstract

本発明は、コロナウイルス感染の治療及びパラポックスウイルスを投与することによるそのような感染のための対象の調製に関する。この治療は、免疫系がウイルスと闘うのを助け、それによってコロナウイルス疾患の症状を予防し、改善することである。

Description

発明の分野
本発明は、コロナウイルス感染の治療、及びパラポックスウイルスを投与することによるそのような感染のための対象の調製に関する。この治療は、免疫系がウイルスと闘うのを助け、それによってコロナウイルス疾患の症状を予防し、改善することである。
発明の背景
コロナウイルスはエンベロープをもつプラスセンス一本鎖RNAウイルスであり、哺乳類や鳥類に疾患を引き起こす。ヒトでは、かぜなどの呼吸器感染症を引き起こすが、SARSやMERSコロナウイルスなどの一部のウイルスは致死的になる。新しいコロナウイルスは世界中の様々な地域で周期的に出現する。SARS-CoV(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス)は2002年に発生し、流行中に916人が死亡し、死亡率は約12%であった。MERS-CoV(中東呼吸器症候群コロナウイルス)が2012年に出現し、死亡例は543例、死亡率は約39%であった。
近年、中国武漢市でSARS-CoV-2と呼ばれるコロナウイルスの集団発生が始まり、世界中に広がっている。SARS-CoV-2、COVID-19(コロナウイルス疾患2019)による疾患は、2020年3月11日にWHOによりパンデミックであると宣言された。COVID-19の重症度は無症候性又は軽度から重度まで様々であり、臨床的に明らかな感染症を有する患者のかなりの部分が重度の疾患を発症する。死亡率は国によって異なり、2%~3%と考えられているが、全症例数は不明であるため、真の死亡率は不明である。SARS-CoV-2は、SARS-CoV及びMERS-CoVよりも死亡率が低いようであるが、感染性が高く、世界中に広がっているようであり、2020年5月6日までに約366万人が確認され、25万7,000人が死亡しており、おそらくはさらに多くの確認されていない死亡例が確認されている。COVID-19の知識は不完全であり、進化している。
コロナウイルスの流行が繰り返されていることから、これらのウイルスは自然発生的に出現し、容易に拡散し、健康問題のみならず劇的な社会的・経済的影響を含め、人間の生命に重大な影響を及ぼすことが示されている。従って、予防及び治療に対する医学的ニーズは非常に高い。しかし、コロナウイルスは突然変異を起こし、しばしば組換えを起こすことが知られているため、コロナウイルスは疾患制御のための継続的な課題となっている。現在、ヒトコロナウイルス感染を予防又は治療するワクチンも抗ウイルス薬も入手できない。コロナウイルスに対する効果について、世界中で膨大な数の抗ウイルス薬が試験されており、有望な候補は失敗している。
予期せぬことに、本発明者らは、パラポックスウイルスが、コロナウイルス感染のための対象のコンディショニング及び治療に有用であることを見出した。パラポックスウイルスovis(PPVO)はヤギ及びヒツジにおいて急性皮膚感染を引き起こし、ヒトにおいて重篤な疾患を引き起こさないが、ヒトにおいて複雑な先天性及び適応性免疫応答を誘導し、HBV(WO2019/048640A1)のようないくつかの特異的ウイルスによる感染を治療する。しかし、パラポックスウイルスによって誘導される免疫応答は複雑であり、一般的にウイルス感染の治療には必ずしも有用ではない。従って、パラポックスウイルスは、コロナウイルス感染のための対象のコンディショニング及び治療に有用であるとは期待できなかった。
発明の概要
第1の態様において、本発明は、(i)コロナウイルス感染のために対象をコンディショニング(conditioning)し、又は(ii)対象におけるコロナウイルス感染を治療するのに使用するためのパラポックスウイルス剤に関する。第2の態様において、本発明は、パラポックスウイルス剤及びコロナウイルス剤を含む組成物又はキットに関する。第3の態様において、本発明は、本発明による医療用パラポックスウイルス剤を含む医薬組成物又はキットに関する。ここで、医薬組成物又はキットは、パラポックスウイルス剤、好ましくはさらなる医薬(medicament)を含む。
不活化パラポックスウイルス(iPPVO)の刺激は、組み合わせアプローチによって増強されたSARS-CoV-2に対する抗ウイルス活性を誘導した。全血培養物をiPPVO+/-5μg/ml ConAで刺激した。ConAを添加しなかった場合、代わりにPBSを添加した。iPPVO溶媒+/-ConA又はPBS+/-ConAをそれぞれ対照とした。5μl/ml ConAを共刺激として試験した。培養物を3日間インキュベートし、上清を回収した。上清をVero-eGFP細胞に移し、2~4時間後にSARS-CoV-2に感染させ、それぞれの上清試料の抗ウイルス活性を測定し、5日間インキュベートした。生細胞の測定としてのeGFP蛍光を、ImageJソフトウエアを用いて分析した。ウイルスを添加しなかった細胞対照の平均値を陽性対照(CC平均値)とし、100%とした(上の点線を参照)。SARS-CoV2に感染させたが、処理しなかった細胞は、生きた細胞を最大限に破壊し、平均ウイルスコントロール(VC平均)として与えた陰性対照として機能した。試料の抗ウイルス活性は、陽性対照CCの平均値と比較して算出し、%で表示した。 iPPVO D1701及びiPPVO NZ2は、SARS-CoV-2に対する抗ウイルス活性を刺激する。全血培養をiPPVOで刺激した。iPPVO溶媒を陰性対照とした。iPPVO D1701を陽性対照とした。培養物を3日間インキュベートし、上清を回収した。上清をVero-eGFP細胞に移し、2~4時間後にSARS-CoV-2に感染させ、それぞれの上清試料中に存在する抗ウイルス活性を測定し、5日間インキュベートした。それぞれの上清中のサイトカインの抗ウイルス活性によりSARS-CoV-2に対して保護された生細胞のための尺度としてのeGFP蛍光を、ImageJソフトウエアを用いて測定した。陽性対照の抗ウイルス活性を100%に設定した(上の点線を参照)。試料の抗ウイルス活性を陽性対照と比較して算出し、%で表した。下の点線は陰性対照の値を示す。 iPPVO NZ2で処理したハムスターの感染性SARS-CoV-2粒子の肺力価。各ドットは、各群の動物を表す。水平線は平均を表す。 iPPVO D1701で処理し、SARS-CoV-2に感染させたマウスの生存。人道的エンドポイントに達した動物を安楽死させた。読みやすさを向上させるために、重なり線は部分的にオフセットされる。統計学的評価はLog-rank(Mantel-Cox)検定により行い、はp≦0.05で有意差を示した。 iPPVO D1701で処理し、SARS-CoV-2に感染させたマウスの体重。人道的エンドポイントに達した動物を安楽死させ、十字(†)で表示した。データは平均値±標準誤差で表示する。統計的評価は多重t検定(Holm-Sidak補正)により行い、**はp≦0.01で有意差を示した。 iPPVO D1701で処理し、SARS-CoV-2に感染させたマウスの臨床スコア。人道的エンドポイントに達した動物を安楽死させ、十字(†)で表示した。データは平均値±標準誤差で表示する。統計的評価は、多重t検定(Holm-Sidak補正)、及び**により、それぞれp≦0.05及びp≦0.01で有意差を示した。 マウスの肺及び脳におけるSARS-CoV-2ウイルス量の定量。データ点は、各群の幾何平均を用いた各動物のウイルスコピー数を表す。各点は1つのマウスを表します。iPPVO投与マウス(左)のウイルス量の減少は、プラセボ対照群(右)の1/2であった。データの統計的評価は、プラセボ対照と比較してMann-Whitney U検定により実施した(ns:有意ではない、**:p≦0.01)。
発明の詳細な説明
本発明を以下に詳細に説明する前に、本発明は、本明細書に記載される特定の方法、プロトコル、及び試薬に限定されるものではなく、これらが変化し得ることを理解されたい。また、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態のみを説明する目的で使用され、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される本発明の範囲を限定することを意図しないことも理解されるべきである。別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。
好ましくは、本明細書中で使用される用語は、「生物工学用語の多言語集:(IUPAC勧告)」、Leuenberger、H.G.W、Nagel、B.及びKolbl、H.eds(1995),Helvetica Chimica Acta,CH-4010 Basel,Switzerlandに記載されるように定義される。
本明細書の本文中には、いくつかの文献が引用されている。本明細書に引用される各文献(すべての特許、特許出願、科学刊行物、製造業者の仕様、説明書等を含む)は、上述のものであれ下記のものであれ、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
以下、本発明の要素について説明する。これらの要素は、特定の実施形態で列挙されるが、それらは、任意の方法で、任意の数で組み合わされて、追加の実施形態を生成することができることが理解されるべきである。種々の説明された実施例及び好ましい実施形態は、本発明を明示的に説明された実施形態のみに限定するものと解釈されるべきではない。この説明は、明示的に説明された実施形態を、開示された及び/又は好ましい要素の任意の数と組み合わせる実施形態を支持し、包含するものと理解されるべきである。さらに、文脈上別段の指示がない限り、本出願に記載されたすべての要素の置換及び組み合わせは、本出願の明細書によって開示されたものとみなされるべきである。
本明細書及び以下の特許請求の範囲を通して、文脈上別異の解釈が必要とされない限り、用語「含む」及び「含む」及び「含む」などの変形は、整数又は工程の記載された整数又は工程又はグループを含むことを意味するが、整数又は工程又は工程の他の整数又は工程又はグループを除外することは意味しないものと理解されるべきである。好ましい実施形態では、「含む」は、「含む」を意味することができる。本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用されるように、単数形「a」、「an」、及び「the」は、その内容が明確に別段の指示をしない限り、複数の基準を含む。
第1の態様において、本発明は、(i)コロナウイルス感染のために対象をコンディショニングするか、又は(ii)対象におけるコロナウイルス感染を治療するのに使用するためのパラポックスウイルス剤に関する。
パラポックスウイルス剤
パラポックスウイルスは、好ましい態様において、パラポックスウイルスovis(PPVO)である。これには、任意のPPVO株、好ましくは、国際ウイルス分類学委員会(ICTV)によって分類される種PPVOの任意の株が含まれる。例示的な菌株は、NZ2、NZ7、NZ10、D1701、OV/20、OV/7、OV/C2、OV/mi-90、OV-Torino、SAOO、Bo29、orf11、Greek orf菌株155、及びGreek orf菌株176である。好ましい菌株は、NZ2及びD1701、特にNZ2である。
パラポックスウイルス剤は、好ましい実施形態において、
(a)パラポックスウイルス自体若しくはその断片、又は
(b)(a)をコードする遺伝情報を含む物質である。
より好ましい実施形態では、
(i)生パラポックスウイルス粒子、
(ii)不活化パラポックスウイルスビリオン,
(iii)(i)又は(ii)の断片,
(iv)(i)から(iii)までのいずれかをコードする核酸、
(v)(iv)の核酸を含むベクター、又は
(vi)(iv)の核酸又は(v)のベクターを含む細胞である。
生パラポックスウイルスビリオンは弱毒化されても、されていなくてもよい。弱毒化パラポックスウイルスビリオン、例えば、vegf-e及び/又はgifのような毒性遺伝子を欠くビリオンは、当技術分野で公知である。断片は免疫系によって認識され得、好ましくは免疫応答を刺激し得(すなわち、それは抗原であり、好ましくは免疫原である)、任意の断片であり得るが、好ましくはヒトパターン認識受容体(PRR)によって結合される断片である(例えば、Tlr9)。1つの実施形態において、パラポックスウイルス断片はパラポックスウイルスタンパク質である。
例示的な断片は、(断片の前の括弧内の例示的なコード配列(NZ2株を表す配列番号3のヌクレオチド位置))である:(3~539)ORFL1、(781~449)ORFL2r、(1933~1664)ORFL3r、(3269~2790)ORFL4r、(2799~3851)ORFL5、(2962~3753)ORFL6、(3784~3122)ORFL7r、(4341~4129)ORFL8r、(4904~4428)ORF1ar、(6517~4970)ORF1r、(8042~6684)ORF2r、(9989~8070)ORF3r、(11195~10062)ORF4r、(11493~11227)ORF5r、(11802~12038)ORF6、(12358~12080)ORF7r、(13980~12364)ORF8r、(14826~14053)ORF9ar、(15080~15394)ORF10、(16838~15423)ORF11r、(19021~16847)ORF12r、(19704~19156)ORF13r、(20314~19736)ORF14r、(20401~22101)ORF15、(22125~22940)ORF6、(23003~23866)ORF17、(26908~23873)ORF18r、(26926~27213)ORF19、(27626~27216)ORF20r、(29754~27616)ORF21r、(32217~29800)ORF22r、(33380~32418)ORF23r、(33602~33393ORF24r、(34466~33612)ORF25r、(34735~34502)ORF26r、(35905~34739)ORF27r、(37194~35905)ORF28r、(37200~39248)ORF29;41037~39229)ORF30r、(41374~42066)ORF31、(42336~41731)ORF32r、(42407~41997)ORF33r、(42410~43765)ORF34、(43770~43958)ORF35、(43980~44534)ORF36、(45727~44537)ORF37r、(45760~46557)ORF38、(46567~47568)ORF39、(47572~48303)ORF40、(48352~48621)ORF41、(49887~48634)ORF42r、(49917~50793)ORF43、(50719~51102)ORF44、(51059~51511)ORF44a、(51584~52591)ORF45、(52509~53066)ORF46、(53523~53023)ORF47r、(53607~57473)ORF48、(58070~57528)ORF49r、(57700~58662)ORF50、(59674~58673)ORF51r、(62089~59678)ORF52r、(62198~62881)ORF53、(62909~63862)ORF55、(63858~64271)ORF56、(64309~66831)ORF57、(67266~66799)ORF58r、(67803~67273)ORF58ar、(67915~68607)ORF59、(68624~70984)ORF60、(70994~72898)ORF61、(72938~73507)ORF62、(73540~74211)ORF63、(76120~74207)ORF64r、(76749~76186)ORF65r、(77698~76799)ORF66r、(79343~77709)ORF67r、(79816~79367)ORF68r、(80529~79858)ORF69r、(80774~80529ORF70r、(82815~80788)ORF71r、(83835~82834)ORF72r、(83874~85583)ORF73、(85535~84402)ORF74r、(88096~85574)ORF75r、(87759~88667)ORF76、(88920~88642)ORF77r、(91652~88938)ORF78r、(91667~92674)ORF79、(93466~92681)ORF80r、(93761~93486)ORF81r、(94060~93788)ORF82r、(94238~94080)ORF83r、(94508~94242)ORF84r、(95571~94498)ORF85r、(96187~95600)ORF86r、(96202~97665)ORF87、(97915~97643)ORF88r、(98251~99537)ORF89、(99537~99974)ORF90、(100001~101140)ORF91、(101168~104650ORF92、(106354~104795)ORF93r、(107947~106400)ORF94r、(108256~107990)ORF95r、(108719~108300)ORF96r、(109679~108738)ORF97r、(109861~109682)ORF98r、(110830~10033)ORF99r、(110208~110417)ORF100、(110469~110651)ORF100a、(110915~111397)ORF101、(111419~111913ORF102、(111949~112485)ORF103、(112593~113450)ORF104、(113323~112967)ORFI05r、(113526~114152)ORF106、(114199-~115236)ORF107、(115353~115787ORF108、(115859o116551)ORF109、(116729~117523)ORF110、(117572~117114)ORF111r、(117423~118085)ORF12、(118968~118375)ORF114r、(118508~119119)ORF’115、(119588~120202)ORF116、(120314~21231)ORF117、(121380~123920)ORF118、(121288~122256)ORF119、(122350~123924)ORF120、(123962~125566)ORF121、(125193~124591)ORF122r、(125689~123935ORF123r、(123839~123297)ORF123ar、(125652~126170)ORF124、(126121~125699)ORF125r、(126279~127769)ORF126、(127851~128408)ORF127、(128520~130076)ORF128、(130105~131700)ORF129、(131790~133283)ORF130、(133246~133920)ORF131、(133972~134370)ORF132、(134418~134693)ORF133a、(134402~134992)ORFR1、(134853~134419)ORFR2r、(135628~135897)ORFR3、(136780~137112)ORFR4、及び(137558~137022)ORFR5r。断片のグループは、上述の例示的断片、すなわち、別のパラポックスウイルス(例えば、上述の種又は株)の相同的断片の相同体を含む。それはまた、上記に列挙された例示的断片の機能的変異体(機能は、一般的に上述の断片に対して定義されるようなものである)を含む。従って、断片の群は、少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有する変異体を含む。
不活化パラポックスウイルスビリオンは、エンベロープウイルスを不活化するのに適した当該技術分野で知られている任意の手段によって、例えば物理的不活化(例えば、熱、具体的には低温殺菌、又は紫外線への曝露)又は化学的不活化(例えば、低pH、界面活性剤、エチレンイミン、二成分エチレンイミン、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、2,2’-ジチオジピリジン、又はベータ-プロピオラクトンなどの不活化剤への曝露による)によって得ることができる。好ましい実施形態では、不活化パラポックスウイルス粒子は、エチレンイミネオル二成分エチレンイミン不活化ビリオン、好ましくは二成分エチレンイミン不活化ビリオンである。
パラポックスウイルス剤は、異種性(すなわち、パラポックスウイルスではない)抗原をコードする遺伝情報(DNA又はRNA)及び/又は免疫モジュレーターを含んでもよく、あるいは異種性抗原及び/又は免疫モジュレーターをコードする遺伝情報を含んでもよい。1つの実施形態において、それは、異種抗原をコードする遺伝情報を含まないが、場合により、免疫モジュレーターをコードする遺伝情報を含む。
好ましい態様において、パラポックスウイルス剤は、野生型パラポックスウイルスである。好ましくは、それはPPVOビリオンであり、より好ましくは不活化されたPPVOビリオンである。
使用モード
パラポックスウイルス剤は、単独で、又は、(i)コロナウイルス感染のために対象をコンディショニングするか、又は(ii)対象におけるコロナウイルス感染を治療するためのさらなる治療レジメンと組み合わせて使用することができる。
好ましい態様において、コンディショニング及び治療の両方において、さらなる治療レジメンは、コロナウイルス剤を投与することを含むことができる。
具体的には、コンディショニングのために、さらなる治療レジメンは、さらなる免疫刺激剤(例えば、アジュバント、TLRアゴニスト、PRR、例えば、RIG-I、MDA5及びLGP2を含むRIG-I様受容体などのサイトゾルPRR、又はマイトジェン、特にフィトヘマグルチニン(PHA)、コンカナバリン(Con)A、小麦胚芽凝集素(WGA)、アメリカヤマゴボウマイトジェン(PWM)などのT細胞マイトジェン又は活性化因子、レクチン又は抗CD3抗体又は抗原結合断片、又はPWM、リポ多糖類(LPS)などのB細胞マイトジェン又はアクチベーター、抗CD40抗体又はその抗原結合断片、又は抗(B細胞抗原受容体)抗体又はその抗原結合断片である。免疫刺激剤は、好ましくは、抗ウイルス細胞状態を促進する。具体的には、治療のために、さらなる治療レジメンは、コロナウイルスに感染した、又はコロナウイルス疾患を有する対象の治療に適した1種以上のさらなる医薬及び/又は1種以上のさらなる治療(非医薬/薬物治療)を投与することを含むことができる。1種以上のさらなる医薬は、好ましくは、さらなる免疫刺激剤(上に例示した)、抗ウイルス剤、抗生物質、アジュバント、グルココルチコイド、降圧剤(例えば、ACE阻害剤)、血糖降下剤、抗ショック薬、及びコロナウイルス疾患の1つ又は複数の症状を治療するのに適した、及び/又は1つ又は複数のさらなる治療に付随するのに適した薬物(例えば、鎮痛剤、鎮静剤、解熱剤、抗炎症剤、例えば、IL-10、咳止め薬、免疫抑制剤など)からなる群から選択される。1つ以上のさらなる治療は、好ましくは、酸素療法及び体外臓器支持(ECOS)からなる群から選択される。酸素療法は、受動的(すなわち、対象の呼吸に依存する)であっても能動的(すなわち、対象の呼吸に依存せずに酸素を肺に送達する)であってもよい。受動療法は非加圧酸素療法と加圧酸素療法である。能動療法は、機械的換気及び体外膜型人工肺(ECMO、ECOSの特定の形態でもある)である。ECOSの例としては、ECMO、持続的腎代替療法(CRRT)、血液濾過(HF)及び血液灌流(HP)、例えば炎症性サイトカインを除去するためのもの、及び左室補助が挙げられる。
コンディショニング及び治療のためのさらなる医薬の特定の例は、イベルメクチン、TMPRSS2阻害剤(例えば、塩化アンモニウム、セリンプロテアーゼ阻害剤カモスタットメシル酸塩)(場合によりCatB/L阻害剤(例えば、E-64d)を伴う)、ファビピラビル、ピモディビル、バロキサビル(場合によりマルボキシルを伴う)、IL-6ブロッカー(例えば、サリルマブ、トシリズマブ)、サリルマブ、ジティブクマブ、ロピナビル(場合によりリトナビルを友舞う)、クロロキン、ヒドロキシクロロキン、レムデシビル、α-ケトアミド(例えば、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル又はα-ケトアミド13b)、サリドマイド、マラビロック、テノホビル(場合によりジソプロキシルを伴う)、ドルテグラビル、ネルフィナビル、ラルテグラビル、チプラナビル、I型インターフェロン(IFN-I、具体的にはIFN-β1)である。好ましい例は、レムデシビル及びサリドマイドである。
パラポックスウイルス剤は、静脈内、筋肉内、経口、非経口、局所、皮内、又は皮下経路を含むがこれらに限定されない任意の経路によって投与することができる。具体的な実施形態では、気道、好ましくは下気道、より好ましくは肺に直接投与することができる(肺送達)。このように、エーロゾルとして、及び/又は吸入によって投与することができる。
パラポックスウイルス剤(実際には、さらなる免疫刺激剤、さらなる医薬、及びコロナウイルス剤を含む、本明細書中に記載される全ての薬剤)の用量は、当業者によって決定され得る薬学的に有効な用量である。例えば、薬剤がビリオン(生又は不活化)である場合、それは10~1010の粒子であり得る。投与量は、例えば、12週間未満、6週間未満、4週間未満、2週間未満、又は1週間未満の期間にわたって、1回又は複数回投与することができる。
コロナウイルス
コロナウイルスは、好ましい態様において、α-コロナウイルス又はβ-コロナウイルスである。より好ましくは、それは呼吸器コロナウイルス、すなわち呼吸器疾患を引き起こすコロナウイルスである。α-コロナウイルスの例は、HCoV-229E及びCoV-NL63であり、β-コロナウイルスの例は、SARS-CoV、SARS-CoV-2、MERS-CoV、HCoV-HKU1及びHCoV-OC43である。コロナウイルスは、MERS又はSARSコロナウイルスであることが好ましく、好ましくは、SARSコロナウイルスは、国際ウイルス分類学委員会(ICTV)によって分類される種「重症急性呼吸器症候群関連コロナウイルス」のウイルスである。最も好ましい実施形態では、SARS-CoV-2である。
当業者は、コロナウイルスが突然変異し、SARS-CoV-2の新株が毎日分離され、461株が2020年4月6日までに分離されたことを認識している。したがって、配列の定義に関して、本発明の好ましいウイルスは、配列番号1(2019年アウトブレイク「重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2分離株Wuhan-Hu-1」、NCBI Reference Sequence NC 045512.2、2020年3月30日バージョン)、又は少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は好ましくは少なくとも99%配列同一性のその変異体を含むか又はそれからなるゲノムを有する。あるいは、又はそれに加えて、本発明の好ましいウイルスは、配列番号2(153ゲノムアセンブリのSARS-CoV-2コンセンサス配列)に従う配列、又はその変異体を含み、又はそれからなるゲノムを有し、少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有する。この変異体は、国際ウイルス分類学委員会(ICTV)によってSARS-CoV-2株として分類されることが好ましい。
コロナウイルス剤
コロナウイルス剤は、一般に、コロナウイルス感染を治療するのに適した薬剤である。それは、(a)コロナウイルス自体又はその断片であって、免疫応答(例えば、抗原、好ましくは免疫原)によって認識され、好ましくは刺激するもの、(b)(a)をコードする遺伝情報を含む薬剤、又は(c)細胞内でのコロナウイルスによる細胞の感染又はコロナウイルスの複製を妨害する薬剤(治療状況下では:コロナウイルスに感染した対象に有効量を投与して、コロナウイルスによる細胞の感染又は細胞内でのコロナウイルスの複製を妨害することができる)であり得る。コロナウイルス剤は、好ましくは、以下からなる群から選択される:
(i)不活化コロナウイルス、
(ii)コロナウイルスの抗原性、好ましくは免疫原性断片(例えば、スパイクタンパク質又はその断片)、
(iii)(i)又は(ii)をコードする核酸、
(iv)(iii)の核酸を含むベクター、
(v)(iii)の核酸又は(iv)のベクターを含む細胞、
(vi)コロナウイルス又はその断片、好ましくはエンベロープに結合する抗体又はその抗原結合断片、
(vii)ヌクレオチド/ヌクレオシド類似体、好ましくはコロナウイルス特異的、
(viii)コロナウイルス特異的RNAi分子
(ix)コロナウイルスタンパク質と対象タンパク質との間のタンパク質-タンパク質相互作用部位(PPI)に結合する小分子、抗体又はその抗原結合断片、ならびに
(x)コロナウイルス感染から、好ましくはコロナウイルス疾患から回復した対象の血漿。
コロナウイルスは、上記パラポックスウイルスについて記載したように不活化することができる。
(ix)のPPIは、好ましくは、SARS-CoV-2タンパク質又は別のコロナウイルスのその相同体と、次の中から選択された主題タンパク質(各主題タンパク質のUniprotタンパク質IDは<以下に列挙する> HUMANである)との相互作用である。
-SARS-CoV2 E及びAP3B1、BRD4、BRD2、CWC27、ZCH18又はCTL2;
-SARS-CoV2M及びMPPB、YIF1A、AT1B1、ACADM、ETFA、STOM、VKGC、VATA、PSMD8、REEP5、MPPA、ANO6、PREP、ZNT9、FAKD5、ZNT7、GCP3、COQ8B、SAAL1、REEP6、INT4、ODC、GCP2、SYTM、RTN4、FA8A1、AASS、AKP8L、AAR2又はBZW2;
-SARS-CoV2N及びU3IP2、PABP1、CSK22、CSK2B、G3BP1、PABP4、LARP1、FA98A、SNIP1、RENT1、MOV10、G3BP2、DDX21、RBM28又はRL36;
-SARS-CoV2スパイク及びACE2、GOGA7又はZDHC5;
-SARS-CoV2 nsp1及びDPOLA、PRI1、PRI2、DPOA2、GT251又はPKP2;
-SARS-CoV2 nsp10及びAP2A2、ALR、ERGI1、AP2M1又はGRPE1;
-SARS-CoV2 nsp11及びTBCA;
-SARS-CoV2 nsp12及びSBNO1、BCKD、AKAP8、MYCB2、SLU7、RIPK1、UBP2L、TYSD1、PDZ11、PRC2B、UBAP2、ZN318、CRTC3、UBP54、Z3H7A、LAR4B、RBM41、HTF4、PPIL3又はPKHA5;
-SARS-CoV2 nsp13及びTBKB1、CTRO、HSBP1、PCNT、FR1OP、KAP2、KAPCA、KAP3、RADI、CENPF、TLE1、TLE3、TLE5、GOGA3、GOGA2、GOGB1、GRAP1、CE350、MYOME、CP135、CEP68、CNTRL、RB6I2、GCC2、CLIP4、NIN、CE112、MIPO1、UBP13、GCC1、JKIP1、CK5P2、AKAP9、GORS1、FYCO1、CA050、CP250、TBK1、HOOK1又はNINL;
-SARS-CoV2 nsp14及びAGAL、IMDH2又はSIR5;
-SARS-CoV2 nsp15 NTF2、ARF6又はRNF41;
-SARS-CoV2 nsp2及びS27A2、IF4E2、NCPR、GDS1、WASC4、FKB15又はGGYF2;
-SARS-CoV2 nsp4及びIDE、TIM10、ALG11、PO210、TIM29、DJC11、T10B又はTIM9;
-SARS-CoV2 nsp5及びHDAC2;
-SARS-CoV2 nsp5_C145A及びGPX1又はTRM1;
-SARS-CoV2 nsp6及びATP5L、VAS1、SGMR1又はAT133;
-SARS-CoV2 nsp7及びADAS、CYB5B、ACSL3、NB5R3、RALA、COMT、RAB5C、RAB7A、RAB8A、RAB2A、RAB10、RAB14、RHOA、RAB1A、GBB1、GBG5、LMAN2、MOGS、TOIP1、MARC1、QSOX2、HS2ST、NDUF2、SCPDL、SCRB1、NAT14、DCAKD、F162A、TIM14、SELS、PGES2又はRAB18;
-SARS-CoV2 nsp8及びMPP10、SRP72、ATE1、NSD2、SRP19、SRP54、RT25、DDX10、LARP7、MEPCE、NGDN、EXOS8、SYNM、NOL10、CCD86、SPCS、EXOS5、EXOS3、AATF、HECD1、RT02、RT05、EXOS2又はRT27;
-SARS-CoV2 nsp9及びT2FB、FBN1、FBN2、NU214、NUP62、DCAF7、IF4H、NUP54、MIB1、NEK9、ZN503、NUP88、NUP58、MAT2B又はFBLN5;
-SARS-CoV2 orf10及びPPT1、CUL2、MA7D1、THTPA、ZY11B、TIM8B、RBX1、ELOC又はELOB;
-SARS-CoV2 orf3a及びHMOX1、TRI59、AR6P6、VPS39、CLCC1、VPS11、SUN2又はALG5;
-SARS-CoV2又はf3b及びSTML2;
-SARS-CoV2 orf6及びNUP98、RAE1L又はMTCH1;
-SARS-CoV2又はf7a及びHEAT3又はMDN1;
-SARS-CoV2 orf8及びPLOD2、TOR1A、STC2、TPA、ITB1、CISD3、CO6A1、PVR、DNMT1、LYOX、PCSK6、INHBE、NPC2、MFGM、OS9、NPTX1、PLGT2、PLGT3、ERO1B、PLD3、FXRD2、CHSS2、PUSL1、EMC1、GGH、ERLEC、I17RA、NGLY1、H6ST2、SDF2、NEUR1、GDF15、TM2D3、ERP44、EDEM3、SIL1、OFUT1、SMOC1、PKHF2、FXL12、UGGG2、CHPF2、ATS1、HYOU1、FKBP7、ADAM9又はFKB10;
-SARS-CoV2 orf9b及びNHRF1、CHM2A、CSDE1、TOM70、MARK3、MARK2、DPH5、DCTP1、MARK1、PTBP2又はBAG5;
-SARS-CoV2 orf9c及びUBXN8、GPAA1、WFS1、MRP1、PAR2、SCAP、D19L1、SGMR2、ZNT6、TAPT1、ERMP1、NLRX1、RETR3、PIGO、FACR2、ECSIT、ALG8、TM39B、GHITM、ACAD9、NFIP2、BCS1、CIA30、TMED5、NDUB9又はPIGS。
PPI部位に対する抗体又はその抗原結合断片は、通常の方法によって生成することができる。例えば、相互作用するタンパク質の1つに対する抗体又はその抗原結合断片を作製し、次に、相互作用を妨害するためにスクリーニングすることができる。
(ix)の小分子は、好ましくは、ロラタジン、ダウノルビシン、ミドスタウリン、ポナチニブ、シルミタセルチブ、バルプロ酸、ハロペリドール、メトホルミン、ミガラスタット、S-ベラパミル、インドメタシン、ルキソリチニブ、ミコフェノール酸、エンタカポン、リバビリン、E-52862、メリメポディブ、RVX-208、XL413、AC-55541、アピシジン、AZ3451、AZ8838、バフィロマイシンA1、CCT 365623、GB110、H-89、JQ1、PB28、PD-144418、RS-PPCC、TMCB、UCPH-101、ZINC1775962367、ZINC4326719、ZINC4511851、ZINC95559591、4E2RCat、ABBV-744、カモスタット、カプトプリル、CB5083、クロラムフェニコール、クロロキン、PI4K-IIIβ阻害剤化合物10(Rutaganira, F. U. et al., J. Med. Chem. 59, 1830-1839 (2016))、シクロフィリリン阻害剤化合物2(Mackman, R. L. et al., J. Med. Chem. 61, 9473-9499 (2018))、CPI-0610、ダブラフェニブ、DBeQ、dBET6、IHVR-19029、リネゾリド、リシノプリル、ミノキシジル、ML240、MZ1、ナファモスタット、ペボネディスタット、PS3061、ラパマイシン(シロリムス)、サングリフェリンA、サパニセルチブ(INK128/MlN128)、FK-506(タクロリムス)、テルナチン4(DA3)、チゲサイクリン、トミボセルチブ(eFT-508)、Verdinexor、WDB002、Azacitidine、Selinexor、Zotatifin(eFT226)。からなる群から選択される。
コロナウイルス感染症
コロナウイルス感染は、対象の少なくとも1つの細胞へのコロナウイルスの侵入及び少なくとも1つの細胞におけるその複製によって定義される。好ましくは、感染症は、気道の感染症であり、例えば、上気道(鼻及び鼻腔、副鼻腔、咽頭、ならびに声帯より上の喉頭の部分(コード))、及び下気道(声帯、気管、気管支、細気管支、及び呼吸細気管支、肺胞管、肺胞嚢及び肺胞を含む肺の下の喉頭の部分)である。より好ましくは、それは下気道の感染であり、最も好ましくは肺の感染である(1つ以上の呼吸細気管支、肺胞管、肺胞嚢及び肺胞を含む)。感染は、さらに、少なくとも1つのコロナウイルス-抗原特異的免疫因子、好ましくはB細胞、濾胞ヘルパーT細胞(TFH細胞)、活性化CD4T細胞及びCD8T細胞(特にCD38HLA-DR)、IgM抗体、及びIgG抗体からなる群から選択される少なくとも1つのコロナウイルス-抗原-特異的免疫因子の存在によって免疫学的に特徴付けることができる。あるいは、又はそれに加えて、好ましくは血液中又は上記の感染部位(最も好ましくは肺)において、コロナウイルス特異的サイトカインプロファイルによって免疫学的に特徴付けることができる。これらのプロフィールは、例えば、肺から組織試料を採取し、それをコロナウイルスに感染させ、サイトカインの発現を決定することによって、過度の負担なしに、当業者によって決定することができる。コロナウイルス特異的サイトカインプロファイルの例は、(a)SARS-CoVについては、IFN-I(例えば、IFN-β)、IFN-II(IFN-γ)、IFN-III(IFN-λ1、IFN-λ2、及びIFN-λ3)、IL-1ベータ、IL-6、IL-12、IL-8、MCP-1、MIP-1アルファ、RANTES、CXCL1、CXCL2、CXCL5、及びCXCL9のうちの1つ以上、好ましくは全ての上方制御、好ましくCXCL10の上方制御なし;(b)SARS-CoV-2については、IL-6、MCP-1、CXCL1、CXCL5、及び/又はCXCL10のうちの1つ以上、好ましく全ての上方制御、好ましくはいずれのIFN、及び/又はIL-1ベータ、IL-12、IL-8、MIP-1アルファ、RANTES、CXCL2、及びCXCL9のいずれか1つ又は全ての上方制御なし。
好ましい対象はヒトである。本発明者らの最良の知識によれば、コロナウイルスはすべてのヒトに等しく感染するが、コロナウイルス感染の危険因子がある:
(i)最近(潜伏期間内、すなわち過去27、24、19日以内、好ましくは14(CDC、NHC)又は10(WHO)日以内)に、コロナウイルス感染が進行中の地域で存在するか、又はそこから移動する。この地域は、WHOによって決定された「影響を受ける地域」であることが望ましい。「最近」とは、コロナウイルスの潜伏期間内、好ましくは過去27日以内、24日以内、好ましくは19日以内、より好ましくは14日間、最も好ましくは10日間を意味し得る。
(ii)コロナウイルスに感染した者、特にコロナウイルス疾患の症状が一以上ある者との接触。「接触」とは、ヒトの呼吸液滴に暴露されることを意味する(例えば、空気中の呼吸液滴の範囲内、又はヒトが触れた表面に接触するか、又は呼吸液滴によって暴露される)。
(iii)危険性の高い職業に従事していること。通常、一般公衆との接触(上記のように定義されている)を定期的に(例えば、少なくとも毎日、又は少なくとも週1回)必要とする。例えば、医療専門家、特に病院であること、ケアワーカー(例えば、小児や高齢者)であること、小売労働者(例えば、スーパーマーケットや薬局で働くこと)である。
コロナウイルス感染は、対象にコロナウイルス疾患の症状を引き起こすこともあれば、引き起こさないこともある。用語「コロナウイルス感染」及び「コロナウイルス疾患」は、本明細書において、少なくとも1つのコロナウイルス疾患症状の存在によって区別される。感染が少なくとも1つのコロナウイルス疾患の症状を伴わない限り、それは無症候性(前症候性を含む)である。本明細書中で使用される用語「コロナウイルス疾患」は、コロナウイルス感染及びコロナウイルス疾患の少なくとも1つの症状(本明細書中では「症候性感染」とも呼ばれる)の存在を必要とする。
コロナウイルスの症状には、乾いた咳、発熱(37.8℃以上)、鼻水及び/又は鼻づまり、疲労、呼吸困難、肺炎、臓器(心臓、肺、肝臓及び/又は腎臓など)の不全、喉のかゆみ、頭痛、関節痛、吐き気、下痢、震え、リンパ球減少症、嗅覚の喪失及び/又は味覚の喪失が含まれる。好ましくは、コロナウイルス疾患は、2つ以上、3つ以上、又は4つ以上の症状の存在を特徴とし、好ましくは、1つ又は2つ以上の乾いた咳嗽、発熱(37.8℃以上)、呼吸困難、嗅覚の喪失及び/又は味覚の喪失を含む。
コロナウイルス疾患は、好ましくは呼吸器疾患(例えば、SARS又はMERS)、より好ましくはCovid-19である。コロナウイルス疾患は軽症(重症ではない)の場合もあれば、重症の場合もある。軽度の経過は、コロナウイルス疾患の1つ以上の軽度の症状(すなわち、重度の症状なし)の存在を特徴とする。軽度の症状は、乾いた咳、軽度の発熱(37.8℃以上から40℃未満)、鼻水及び/又は鼻づまり、疲労、喉のかゆみ、頭痛、関節痛、吐き気、下痢、震え、リンパ球減少症、嗅覚の喪失及び味覚の喪失からなる群から選択される。重篤な症状は、呼吸困難、特に急性呼吸窮迫症候群、肺炎、臓器不全(心臓、肺、肝臓、腎臓など)、高熱(≧40℃)からなる群から選択される。重度の経過は、(i)コロナウイルス疾患の1つ以上の重篤な症状の存在、(ii)入院の必要性、特に集中治療室(ICU)への入院の必要性、及び/又は酸素療法の必要性(上記定義)、特に呼吸マスク(人工呼吸器とも呼ばれる)、及び/又は(iii)対象の死亡の1つ以上によって臨床的に特徴付けられる。入院の必要性は、肺炎の臨床的又は放射線学的証拠、急性呼吸窮迫症候群、及び/又は少なくとも発熱及び持続性の咳嗽(痰を伴う又は伴わない)、特に持続性の咳嗽(例えば、少なくとも3日間)を含む2つ以上の症状の1つ以上を特徴とする。ICU入室の必要性は、重度の肺炎及び/又は1つ以上の重度の合併症を特徴とする。重度の肺炎は、頻呼吸(生後2ヵ月未満:60回以上/分;生後2~11ヵ月:50回以上/分;1~5歳:40回以上/分;5歳以上:30回以上/分)、呼吸困難、及び/又は不十分な酸素化を特徴とする(例えば、SpOは成人で93%以下、小児で90%以下)。重度の合併症は、治療しないと致死的となる合併症で、敗血症性ショック、急性呼吸窮迫症候群、臓器不全などがある。あるいは、又はそれに加えて、重度の経過は、免疫学的に、例えば、サイトカインストーム、特に肺の存在又は発生によって特徴付けることができる。コロナウイルス・サイトカインストームは、IL-2、IL-7、TNF-α、MIP-1α、MCP-1、G-CSF及び/又はCXCL10の1つ以上の増加(感染しているが無症候性の対象に対して、好ましくは潜伏期間後、又はそのような対象の平均又は平均)によって、好ましくは過炎症を特徴とし、この増加は、過剰及び/又は制御されていないと特徴付けることができる。特に、サイトカインストームはCovid-19サイトカインストームである。さらに、サイトカインストームは、好ましくは、上述の感染症(その好ましい部分を含む)に関して定義されるような気道内である。
コロナウイルス疾患は、年齢又は既存の状態にかかわらず、いかなる対象においても重度の経過をとることができるが、それにもかかわらず、コロナウイルス疾患の重度の経過をとる危険因子は、以下を含む:
(i)年齢、例えば40、50、60、70、80歳以上で、年齢とともにリスクが増大する;
(ii)男性;
(iii)喫煙;及び
(iii)1つ以上の共存症を有し、好ましくは心血管疾患、糖尿病、呼吸器疾患(特に慢性)、高血圧、AIDS、癌、肝疾患、腎疾患及び肺疾患からなる群から選択される。危険因子としての特定の共存症は呼吸器疾患である。
対象の調整
対象のコンディショニングは、本発明の医学的使用をもたらす免疫調節によって得られる、コロナウイルス感染のために対象を調製することを意味する。また、「予備的(preparatory)治療」、「予防的(prophylactic)治療」、又は本発明に起因する疾患に関しては、「予防的(preventative)治療」又は「予防的(preventive)治療」と称することもできる。これは必ずしもコロナウイルス感染を予防することを意図したものではない。したがって、対象はまだコロナウイルスに感染していない。
したがって、コンディショニングは、1つ以上の免疫学的効果を有することができ、又は(好ましくは)、1つ以上の臨床効果を有することができ、両方とも対象が感染された後である。これらの免疫学的効果は、好ましくは、以下からなる群から選択される:
(I-i)対象又は対象の一部におけるコロナウイルス-抗原-特異的免疫因子(上記定義)の1つ以上の数を増加させ、
(I-ii)対象又は対象の一部におけるコロナウイルス複製を阻害(すなわち、減少又は停止)すること、
(I-ii)対象又は対象の一部におけるコロナウイルス量を減少させること。
(I-iv)対象又は対象の一部において、コロナウイルス特異的サイトカインプロファイル又はサイトカインストーム(上記定義)を予防又は改善すること。
ここで、対象の部分は、好ましくは気道(上気道又は好ましくは下気道、より好ましくは肺)である。(I-ii)は(I-i)よりも好ましく、(I-iii)は(I-ii)よりも好ましい。さらに(I-ii)は、(I-i)を含むことができ、(I-iii)は、(I-i)及び/又は(I-ii)を含むことができる。(I-iv)は一般に望ましい。
臨床効果は、好ましくは、以下からなる群から選択される:
(C-i)伝染性を低下させ、
(C-ii)コロナウイルス疾患の発症を遅らせ、
(C-iii)コロナウイルス疾患の1つ以上の予想的な症状、好ましくは1つ以上の予想的な重症コロナウイルス疾患の症状の程度を軽減し、
(C-iv)コロナウイルス疾患の1つ以上の症状、好ましくはコロナウイルス疾患の1つ以上の重症症状を予防し、
(C-v)コロナウイルス疾患の重症化を予防し、
(C-vi)コロナウイルス疾患を予防する。
したがって、(C-ii)は(C-i)よりも好ましく、(C-iii)は(C-ii)よりも好ましく、(C-iv)はよりも(C-iii)よりも好ましく、(C-v)は(C-iv)よりも好ましく、(C-vi)は(C-v)よりも好ましい。
予想的な症状とは、まだ症状が現れていないが、現れることもあれば、現れることもある症状のことである。したがって、予想的な症状の程度の減少は、症状の予防的治療を意味する。
従って、パラポックスウイルス剤は、コロナウイルスにまだ感染していない対象における(I-i)~(I-iv)及び/又は(C-i)~(C-vi)の1つ以上において使用することができる。換言すれば、パラポックスウイルス剤は、(I-i)~(I-iv)及び/又は(C-i)~(C-vi)の1つ以上を達成するために、有効量の投与時に能力を有する。
好ましい態様において、条件づけされる対象は、コロナウイルス感染を発症するための1つ以上の危険因子、及び/又はコロナウイルス疾患の重度の経過を有するための1つ以上の危険因子によって特徴付けられる。
別の実施形態では、コンディショニングされる対象は、以下に記載される本発明の対応するさらなる態様による方法によって選択される。
対象の治療
コロナウイルス感染症(すなわち、感染した対象)の治療は、必ずしもコロナウイルス疾患を治療又は予防することを意味しないが、コロナウイルス感染症を治療又は予防することが好ましい。このように、治療は、無症候性感染(すなわち、症状を有さない感染対象)又はコロナウイルス疾患(すなわち、1つ以上の症状を有する感染対象)であり得る。
治療は、1つ以上の免疫学的効果を有することができ、又は(好ましくは)1つ以上の臨床効果を有することができる。これらの免疫学的効果は、好ましくは、上記のコンディショニング、無症候性感染又は疾患のいずれかについて定義されるように定義される。無症候性感染に対する臨床効果は、好ましくは、前述のコンディショニングのために定義されるように、(C-i)~(C-vi)からなる群から選択される。症候性感染(すなわち、コロナウイルス疾患)に対する臨床効果は、好ましくは、以下からなる群から選択される:
(C-i)、(C-vi)、両方は前述のコンディショニングのために定義され,
(C-ii)コロナウイルス疾患の1つ以上の(又は理想的にはすべての)症状を改善し、
(C-iii)コロナウイルス疾患の1つ以上の(又は理想的にはすべての)さらなる症状の予防、及び
(C-ix)は、コロナウイルス疾患の重度の経過を改善し、好ましくは予防する。
したがって、「さらなる症状」とは、まだ症候性感染を特徴づけていない症状である。
したがって、パラポックスウイルス剤は、コロナウイルスに感染した対象における(I-i)~(I-iv)及び/又は(C-i)~(C-ix)の1つ以上において使用することができる。換言すれば、パラポックスウイルスは、(I-i)から(I-iv)及び/又は(C-i)から(C-ix)の1つ以上を達成するために、有効量を投与すると、その能力を有する。好ましい態様において、パラポックスウイルス剤は、コロナウイルス疾患の予防又は治療に使用される。
上述のように、治療対象の対象は無症候性であってもよい。あるいは、治療される対象は、コロナウイルス疾患を有し得る。コロナウイルス疾患を有する対象は、いかなる重篤な症状も有さないことがあり、例えば、1つ又は複数の軽度の症状しか有さない。別の実施形態では、それは、コロナウイルス疾患の重度の経過((iii)死亡を除く;好ましくは、(i)1つ以上の重度の症状)を有し得る。好ましい実施形態において、治療される対象(例えば、コロナウイルス疾患の重度の経過をすでに有する対象を除き、前記対象のいずれか)は、コロナウイルス疾患の重度の経過を有するための1つ以上の危険因子によって特徴付けられる。
さらなる好ましい実施形態において、対象は、以下のうちの少なくとも1つによって特徴付けられる:
(i)肺にサイトカインストームがなく、サイトカインストームがまったくないことが望ましい;
(ii)75歳以下、70歳以下、好ましくは65歳以下、より好ましくは18~65歳以下、及び/又は
(iii)HSコアが169以下、好ましくは150以下、130以下又は110以下であること。
好ましくは、対象は、(ii)及び/又は(iii)、(ii)及びHSコア169以下、又は(iii)及び18~65歳を特徴とする。
HSコアは、コロナウイルス疾患と類似したサイトカインストーム・プロファイルを伴う過炎症症候群(Pehta et al., The Lancet Vol 395 March 28, 2020)である二次性血球貪食性リンパ組織球増加症(sHLH)の存在の可能性を生み出す。169を超えるHScoreはsHLHに対して93%の感度と86%の特異度を示す。HScoreは次の基準を使用して計算される:体温(<38.4℃:0ポイント、38.4~39.4℃:33ポイント、>39.4℃:49ポイント)、臓器肥大(なし:0ポイント、肝腫大又は脾腫:23ポイント、肝腫大及び脾腫:38ポイント)、血球減少症の数(1つの血統;0ポイント、2つの血統:24ポイント、3つの血統:34ポイント)、トリグリセリド(<1.5mmol/l:0ポイント、1.5~4.0mmol/l:44ポイント、>4.0mmol/l:64ポイント)、フィブリノーゲン(>2.5g/L:0ポイント、≦2.5g/L:30ポイント)、フェリチン(<2000ng/ml:0ポイント、2000~60000ng/ml:35ポイント、>6000ng/ml:50ポイント)、血清アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(<30IU/L:0点、≧30IU/L:19点)、骨髄吸引液での血球貪食(なし:0点、はい:35ポイント)、及び既知の免疫抑制†(いいえ:0ポイント、はい:18ポイント)。ヘモグロビン濃度が9.2g/dL以下(≦5.71mmol/L)、白血球数が5000個/mm以下、血小板数が11万個/mm以下、又はこれらの基準をすべて組み合わせたものと定義する。†HIV陽性又は長期免疫抑制療法(例えば、1種以上のグルココルチコイド、シクロスポリン及び/又はアザチオプリン)を受けている。
別の実施形態では、治療される対象は、以下に記載される本発明の対応するさらなる態様による方法によって選択される。
さらなる医学的使用
さらなる医学的使用態様において、本発明は、対象(i)コロナウイルス感染を有する対象、又は(ii)コロナウイルス感染を発症する1つ以上の危険因子及び/又はコロナウイルス疾患の重篤な経過を有する1つ以上の危険因子を特徴とする、抗ウイルス(好ましくは抗コロナウイルス)細胞状態を促進する医薬として使用するパラポックスウイルス剤に関する。
一実施形態において、コロナウイルス感染を発症するための1つ以上の危険因子は、上記で定義された因子(i)及び(ii)から選択される。
別の実施形態では、コロナウイルス疾患の重度の経過を有するための1つ以上の危険因子は、上述のように、少なくとも(ii)及び(iii)、又は(ii)及び(iv)を含むか、又は呼吸器疾患(特に慢性)及び肺疾患から選択される少なくとも共存症を含む。さらに、対象の年齢は、好ましくは、少なくとも60歳、少なくとも70歳、又はより好ましくは少なくとも80歳である。
「抗ウイルス細胞状態を促進する」という語句は、宿主防御タンパク質をコードする細胞性抗ウイルス遺伝子の転写の促進を意味し、例えば、IFN-α及び/又はβによって促進される。好ましくは、それは、細胞内でのウイルス複製を阻害(すなわち、少なくとも減少)し、及び/又はアポトーシスを誘導し(細胞内でのさらなるウイルス複製を防止するため)、より好ましくは、それは、医薬によって抗ウイルス細胞状態が促進されなかった細胞と比較して、感染細胞によって放出された感染性ビリオンの量を減少させる。それによって、ウイルスの増殖を停止させるか、少なくとも遅らせる。「促進する」には、誘導(例えば、抗ウイルス状態にない細胞)及び強化(すなわち、増強)(例えば、既に抗ウイルス状態にある細胞)が含まれる。これに限定されるものではないが、前者は、コロナウイルス感染を有さない(まだ)対象、例えば、前述の1つ以上の危険因子によって特徴付けられる対象に好ましく、後者は、コロナウイルス感染を有する対象に好ましい。
治療方法
本発明は、さらに、以下の方法に関する。
(ii)コロナウイルス感染を発症するための1つ以上の危険因子、及び/又はコロナウイルス疾患の重度の経過を有するための1つ以上の危険因子によって特徴付けられる、(i)コロナウイルス感染を有する対象に、パラポックスウイルス剤を投与する方法。
(ii)コロナウイルス感染を発症するための1つ以上の危険因子、及び/又はコロナウイルス疾患の重度の経過を有するための1つ以上の危険因子によって特徴付けられる、(i)コロナウイルス感染を有する対象における抗ウイルス(好ましくは抗コロナウイルス)細胞状態を促進する方法であって、パラポックスウイルス剤を対象に投与することを含む方法。
(i)コロナウイルス感染のために対象をコンディショニングするか、又は(ii)対象におけるコロナウイルス感染を治療するための方法であって、パラポックスウイルス剤を対象に投与することを含む方法。
対象においてコロナウイルス疾患を治療する方法であって、前記対象にパラポックスウイルス剤を投与する工程を含む方法。
以下に記載される定義及び実施形態、特に「本発明の定義及びさらなる実施形態」のヘッダーの下で説明される実施形態は、本発明の第1の態様に適用される。
第2の態様において、本発明は、パラポックスウイルス剤及びコロナウイルス剤を含む組成物又はキットに関する。
好ましい実施形態において、組成物又はキットは、1つ以上の薬学的に許容される希釈剤、担体、及び/又は保存剤をさらに含み;及び/又はそれは医薬組成物又はキットである。薬学的に許容される希釈剤、担体、及び/又は保存剤は、以下に記載され、それに加えて、パラポックスウイルス、特に不活化パラポックスウイルス、又はこの培地の凍結乾燥物を構造的に維持するのに適した(例えば、水性)培地を含んでもよい。具体的には、組成物又はキットは、本明細書に記載される本発明の医療用途のいずれかのためであってもよい。
組成物は、上記で定義したように、任意の投与経路のために処方することができる。また、パラポックスウイルス剤及びコロナウイルス剤の同時又は別々の投与のため、又は同時又は別々の放出のために製剤化することもできる。
好ましい実施形態において、キットは、第2の態様の組成物を含む。
別の実施形態では、キットは、好ましくは本明細書に記載される医療用途に従った、パラポックスウイルス剤及びコロナウイルス剤、又は第2の態様の組成物の使用のための説明書を備えたリーフレットを含む。
第1の態様に関して記載された定義及び実施形態は、適用可能な限り、第2の態様にも適用される。また、以下に記載される定義及び実施形態、特に「本発明の定義及びさらなる実施形態」のヘッダーの下で記載される実施形態は、第2の態様の組成物又はキットに適用される。
第3の態様において、本発明は、本明細書に記載される本発明の医療用途のいずれかのための医薬組成物又はキットに関する。ここで、医薬組成物又はキットは、パラポックスウイルス剤、好ましくは、さらなる医薬を含む。医薬組成物は、通常、1つ以上の薬学的に許容される希釈剤、担体、及び/又は保存剤を含む。
好ましい態様において、キットは、第3の態様の組成物を含む。
別の実施形態では、キットは、パラポックスウイルス剤及びさらなる医薬の使用のための説明書を備えたリーフレット、又は第3の態様の組成物を含み、好ましくは、本明細書に記載の医療用途による。
第1及び第2の態様(例えば、製剤)に関して記載された定義及び実施形態は、それらが適用可能な限り、第3の態様にも適用される。また、以下に記載される定義及び実施形態、特に「本発明の定義及びさらなる実施形態」のヘッダーの下で記載される実施形態は、第3の態様の組成物又はキットに適用される。
さらなる態様において、本発明は、本明細書に記載される本発明の医療用途のいずれかのために対象を選択する方法に関し、本方法は、(i)対象におけるサイトカインストームの存在又は非存在を決定する工程、及び(ii)サイトカインストームが存在しない場合に対象を選択する工程を含む。
一実施形態では、工程(i)は、対象のHSコアを決定する工程を含み、工程(ii)は、HSコアが169以下である場合に対象を選択する工程を含む。
別の実施形態では、工程(i)は、対象の生物学的試料において、過炎症の1つ以上の徴候を検出することを含み、工程(ii)は、過炎症の徴候が検出可能でない場合、対象を選択することを含む。その中の過炎症は、IL-2、IL-7、TNF-α、MIP-1α、MCP-1、G-CSF及び/又はXCL10のうちの1以上の、あるいはIL-6、フェリチン、血小板数及び/又は赤血球沈降速度(ESR)のうちの1以上の(感染しているが無症候性の対象に対して、好ましくは潜伏期間後、又は複数のそのような対象の平均(average)又は平均(mean)))上昇したレベル、例えば、過剰及び/又は制御不能レベルである。生物学的試料は、好ましくは、血液又は血液由来の試料(例えば、血漿又は血清)、痰、唾液、及び肺由来の試料(例えば、気管支洗浄、気管支肺胞洗浄、気管支ブラッシング、及び気管支擦過を含む気管支鏡によって)からなる群から選択される。
第4の態様の方法は、好ましくはエクスビボ法である。
第1、第2、及び第3の態様に関して記載された定義及び実施形態は、適用可能な限り、第4の態様にも適用される。また、以下に説明する定義及び実施形態、特にヘッダー「本発明の定義及びさらなる実施形態」の下で説明する定義及び実施形態は、第4の態様の方法に適用される。
ディスクレーマー
選択実施形態では、以下のディスクレーマーの1つ以上が本発明に適用される:
-パラポックスウイルスはイヌジステンパーウイルス(CDV)ではなく、
-コロナウイルスはブタ流行性下痢ウイルス(PEDV)ではなく、及び/又は
-対象はブタ(雌ブタ及び子ブタを含むブタ)ではない。
本発明の定義及びさらなる実施形態
明細書は、以下に定義される一定の意味を有する、様々な用語及び語句を使用する。好ましい意味は、本明細書に記載される本発明の態様の好ましい実施形態として解釈されるべきである。したがって、それら及び以下に記載されるさらなる実施形態は、本発明の態様の任意の実施形態、及び上述される本発明の態様の任意の好ましい実施形態と組み合わせることができる。
ポリヌクレオチド配列の文脈における用語「同一」又は「同一の」は、最大一致のために整列されたときに同一である2つの配列中の残基の数を指す。具体的には、2つの配列の配列同一性パーセントは、2つのアラインメントされた配列間の正確なマッチの数を、より短い配列の長さで割って、100を掛けたものである。2つの配列を整列させるために使用することができる整列ツールは、当業者に周知であり、例えば、ワールドワイドウェブ上で入手することができ、Needle(EMBOSS)(https://www.ebi.ac.uk/Tools/psa/emboss needle/)、MUSCLE(http://www.ebi.ac.uk/Tools/msa/muscle/)、MAFFT(http://www.ebi.ac.uk/Tools/msa/mafft/)又はWATER(http://www.ebi.ac.uk/Tools/psa/Emboss Water/))が挙げられる。2つの配列間のアラインメントは、デフォルトパラメータ設定を用いて行うことができ、例えば、Needleでは、好ましくはMATRIX:BLOSUM62、Gapオープン:10.0、Gap伸長:0.5、MAFFTについては、好ましくはMatrix:Blosum62、Gapオープン1.53、Gap伸長0.123、WATERポリヌクレオチドについては、好ましくはMATRIX:DNAFULL、Gap Open:10.0、Gap伸長0.5、及びWATERポリペプチドについては、好ましはMATRIX:BLOSUM62、Gapオープン:10.0、Gap伸長:0.5が挙げられる。当業者は、満足のいくアラインメントを生成するために、いずれかの配列にギャップを導入することが必要であることを理解する。「最良の配列アラインメント」は、最小数のギャップを有する一方で、アラインメントされた同一残基の最大数を生成するアラインメントとして定義される。好ましくは、それは、アラインメント中の全ての配列中の全ての残基を含むグローバルアラインメントである。
用語「変異体」は、一般に、ポリヌクレオチドの修飾されたバージョン、例えば、突然変異を指し、したがって、ポリヌクレオチドの1つ以上のヌクレオチドが突然変異され得る。 一般に、変異体は、機能的であり、例えば、ウイルスが宿主細胞に感染することができるウイルスに関して意味する。機能性は、一般に、変種が由来するポリヌクレオチドについて記載されているものである。「突然変異」は、ヌクレオチド置換、欠失及び/又は挿入(「及び」は、複数の突然変異が存在する場合に適用され得る)であり得る。好ましくは、それは置換である。
用語「抗原」は、抗体、B細胞受容体及び/又はT細胞受容体によって結合することができる任意の物質、例えば、タンパク質又はペプチドを指す。抗原は、好ましくは少なくとも8個のアミノ酸を含み、より好ましくは8個から17個のアミノ酸を含む少なくとも1個のエピトープを含む。エピトープは、T細胞及び/又はB細胞エピトープであり得る。T細胞エピトープは、抗原提示細胞の表面に提示することができるエピトープであり、そこでMHC分子に結合する。ヒトでは、プロ抗原提示細胞はMHCクラスIIペプチドを提示するように特殊化しているが、有核体細胞のほとんどはMHCクラスIペプチドを提示する。MHCクラスI分子によって提示されるT細胞エピトープは、典型的には、長さが8~11アミノ酸の間のペプチドであるが、一方、MHCクラスII分子は長いペプチド、例えば、長さが13~17アミノ酸を提示する。B細胞エピトープは、B細胞による天然抗原の表面上の三次元構造として認識されるエピトープである。エピトープは、インシリコツール、例えば、IEDB分析リソースのオンラインBor T細胞予測ツールを用いて予測することができる。
用語「免疫原」は、免疫応答を誘導することができる抗原を指す。
本明細書で使用される「パターン認識受容体」又は「PRR」とは、病原体に特異的な病原体関連分子パターン(PAMP)及び/又は細胞損傷又は死の間に放出される宿主細胞の成分に特異的な損傷関連分子パターン(DAMP)を検出する生殖細胞系にコードされた宿主センサを指す。PRRは、膜結合型PRR(細胞表面PRR)でもサイトゾルPRRでもよい。
「アジュバント」とは、抗原/免疫原に対する免疫応答の質及び/又は強度を、抗原単独の投与と比較して、加速、延長及び/又は増強し、従って、必要な抗原/免疫原の量、及び/又は関心のある抗原/免疫原に対する適切な免疫応答を生成するために必要な注射の頻度を減少させる物質である。本発明による組成物に関して使用できるアジュバントの例は、水酸化アルミニウム(ミョウバン)のゲル状沈殿物;AlPO;アルヒドロゲル;グラム陰性菌の外膜からの細菌生成物、特にモノホスホリル脂質A(MPLA)、リポ多糖類(LPS)、ムラミルジペプチド及びそれらの誘導体;フロイントの不完全アジュバント;リポソーム、特に中性リポソーム、組成物及び任意にサイトカインを含むリポソーム;非イオン性ブロック共重合体;ISCOMATRIXアジュバント(Drane etal.,2007);CpGジヌクレオチド(CpGモチーフ)を含む非メチル化DNA、特にホスホロチオエート(PTO)骨格を有するCpG ODN(CpG PTO ODN)、又はホスホジエステル(PO)骨格を有するCpG ODN(CpG PO ODN);合成リポペプチド誘導体、特にPamCys;リポアラビノマンナン;ペプチドグリカン;ザイモサン;熱ショックタンパク質(HSP)、特にHSP70;dsRNA及びその合成誘導体、特にPolyI:C;ポリカチオン性ペプチド、特にポリ-L-アルギニン;タキソール;フィブロネクチン;フラジェリン;イミダゾキノリン;アジュバント活性を有するサイトカイン、特にGM-CSF、インターロイキン-(IL-)2、IL-6、IL-7、IL-18、I型及びII型インターフェロン、特にIFN-γ、TNF-α;25-ジヒドロキシビタミンD3(カルシトリオール);及び合成オリゴペプチド、特にMHC-II提示ペプチドである。ポリオキシエチレン(POE)及びポリオキシプロピレン(POP)を含有する非イオンブロックポリマー、例えばPOE-POP-POEブロック共重合体をアジュバントとして使用することができる(Newmanら、1998)。このタイプのアジュバントは、活性成分として核酸を含む組成物に対して特に有用である。
用語「組換え体」は、特に、そのゲノム中に異種ポリヌクレオチド配列を含むように修飾されたウイルスを指す。
用語「免疫モジュレーター」は、対象における免疫応答を誘導、増強、抑制及び/又は弱めることによって免疫系を調節又は正常化するために使用される薬物(「及び」とは、免疫系のある部分が選択的に誘導又は増強され、他の部分が選択的に抑制又は弱化されることを意味する)を指す。例は、サイトカイン、サイトカイン受容体の非サイトカインアゴニスト又はアンタゴニスト(例えば、抗体又は小化合物)、抗体又は小化合物結合(好ましくは中和)サイトカイン、及び可溶性サイトカイン受容体(例えば、サイトカインを捕捉するための)である。それは抗原を含まない。
本明細書で使用される「ベクター」という用語は、当業者に知られている任意のベクターを含み、プラスミドベクター、コスミドベクター、ファージベクター、例えば、ラムダファージ、ウイルスベクター、例えばアデノウイルス(Ad)ベクター、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター、アルファウイルスベクター(例えば、ベネズエラウマ脳炎ウイルス(VEE)、シンドビスウイルス(SIN)、セムリキ森林ウイルス(SFV)、VEE-SINキメラ)、ヘルペスウイルスベクター、麻疹ウイルスベクター、ポックスウイルスベクター(ワクシニアウイルス、改変ワクシニアウイルスアンカラ(MVA)、NYVAC(ワクシニアのコペンハーゲン株由来)、及びアビポックスベクター:カナリア痘(ALVAC)及び鶏痘(FPV)ベクター)、及び水疱性口内炎ウイルスベクター、又はウイルス様粒子が含まれる。本明細書で使用される場合、用語「ウイルス様粒子」又は「VLP」は、複製しない空のウイルス殻を指す。VLPは、一般に、カプシド、コート、シェル、表面及び/又はエンベロープタンパク質と呼ばれるタンパク質などの1つ以上のウイルスタンパク質から構成されるが、これらに限定されない。ウイルスは、ウイルスの細胞侵入に関与する機能性ウイルスタンパク質を含み、効率的な細胞侵入を保証する。特定のVLPを製造する方法は、当技術分野において公知である。
用語「マイトジェン」は、細胞分裂を開始させる薬剤、例えば、ペプチド又はタンパク質を指す。用語「細胞活性化剤」は、例えば、T細胞受容体又はB細胞受容体などの細胞受容体に結合し架橋するペプチド又はタンパク質などの薬剤を指す。
用語「ヌクレオシド類似体」とは、核酸類似体及び糖を含有するヌクレオシドを指す。用語「ヌクレオチド類似体」は、1~3個のリン酸を有する核酸類似体、糖及びリン酸基を含むヌクレオチドを指す。用語「核酸アナログ」は、それが異なる塩基対形成及び/又は塩基積層特性を有するように改変された1つ以上のリン酸骨格、ペントース糖及び/又はヌクレオベースを有する点で、RNA及びDNAと構造的に類似する化合物を指す。例としては、ペプチド核酸(PNA)、モルホリノ及びロック核酸(LNA)、ならびにグリコール核酸(GNA)及びトレオース核酸(TNA)が挙げられる。
用語「RNAi分子」は、標的配列特異的な様式でmRNA分子を中和することができる分子を指す。例としては、dsRNA、miRNA及びsiRNAが挙げられる。
本発明による薬剤の投与のための特別な好ましい薬学的形態は、注射可能な使用に適した形態であり、無菌の水溶液又は分散液及び無菌の注射可能な溶液又は分散液の即時調製のための無菌粉末を含む。典型的には、そのような溶液又は分散液は、溶媒又は分散媒体を含み、例えば、水緩衝水溶液、例えば、生体適合性緩衝液、エタノール、ポリオール、例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、それらの適切な混合物、界面活性剤又は植物油が挙げられる。注入又は注射溶液は、抗菌剤又は抗真菌剤のような保存剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸又はチオマーザールの添加を含むが、これらに限定されない、任意の数の技術分野で認められた技術によって達成することができる。さらに、糖又は塩のような等張剤、特に塩化ナトリウムを注入又は注射溶液に混入することができる。
本発明の好ましい希釈剤は、水、生理学的に許容される緩衝液、生理学的に許容される緩衝塩溶液又は塩溶液である。本発明による薬品の種々の薬学的形態で用いることができる添加剤は、以下の非限定的リストから選択することができる:
a)結合剤、例えば、ラクトース、マンニトール、結晶性ソルビトール、二塩基性リン酸塩、リン酸カルシウム、糖類、微結晶性セルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドンなど、
b)潤滑剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸、水素添加植物油、ロイシン、グリセリド及びステアリルフマル酸ナトリウム、
c)崩壊剤、例えば、デンプン、クロスカラメロース、ナトリウムメチルセルロース、寒天、ベントナイト、アルギン酸、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドンなど。
用語「薬学的に許容される担体」は、薬物投与の選択性、有効性、及び/又は安全性を改善するのに役立つ任意の基質を指す。このような担体は、全身循環中への薬物の放出を制御するために使用することができる。これは、長期間にわたる薬物のゆっくりとした放出(典型的には拡散)によって、又はpHの変化、熱の印加、光による活性化などの刺激によって薬物の標的での放出が誘発されることによって達成される。担体はまた、水溶性及び/又は膜透過性が低い多くの薬物の薬物動態特性、特に生物学的利用能を改善するために使用することができる。様々な薬物担体系が開発され、研究されている。例としては、リポソーム、ポリマーミセル、ミクロスフェア、ナノ粒子、ナノファイバー、タンパク質-薬物結合体、赤血球、ビロソーム及びデンドリマーが挙げられる。薬物を担体に結合させる異なる方法を用いることができ、これには、吸着、バルク構造への統合、カプセル化、及び共有結合が含まれる。
本発明の範囲から逸脱することなく、本発明の様々な変更及び変形が当業者に明らかであろう。本発明は、特定の好ましい実施形態に関連して説明されてきたが、請求された本発明は、そのような特定の実施形態に不当に限定されるべきではないことを理解されたい。実際、関連分野の当業者にとって自明な、本発明を実施するための説明されたモードの種々の変更は、本発明によってカバーされることが意図されている。
本発明は、以下の実施例によって説明され、本発明の範囲を単に例示的であり、限定的ではないと解釈される。
実施例1
目的
コロナウイルスに対する不活化パラポックスウイルスorf(iPPVO)ビリオンの抗ウイルス活性を試験すること。PPVOビリオンは、免疫系の先天性及び適応性アームを刺激する。
アプローチ
全血では、APC(抗原提示細胞)がiPPVOビリオンを取り込み、それが活性化されサイトカインが放出される。その結果、NK細胞と同様にT細胞も活性化され、NK細胞も増殖し始め、サイトカインを放出する。インキュベーションの3日後、細胞を遠心分離し、サイトカインのような可溶性因子を含む上清を回収する。これらの上清を、コロナウイルスに対するそれらの活性についてアッセイする。
試験物質
-D1701株のiPPVO(Pfizerから入手可能);2mlの水に再構成された230IFN単位
-iPPVOベヒクル(PPVO緩衝液のみ、すなわちウイルスを含まない)、陰性対照
-PBS、陰性対照
-コンカバリン(Con)A、共刺激、原液1mg/ml PBS=10×(5μg/mlでウェルに使用)
追加材料
-健康なドナーの全血:Sarstedt Monovette、Li-ヘパリンで新鮮に採取した全血9ml
-全血インキュベーション用培地:1%GlutaMAX(商標)及び0.25mLのヘパリン-ナトリウム(5000U)を添加したRPMI(500mL)
-コロナウイルスアッセイの細胞:VeroE6-EGFPは、10%v/v熱不活化FCS及び5mLの重炭酸ナトリウム7.5%をDMEMに添加して調製した増殖培地中で増殖させ、T150ボトル中で培養し、1/4を週2回分裂させた。Pen-strepを直接T150ボトルに1/100希釈で添加した。
-コロナウイルスアッセイ培地:2%v/v熱不活化FCS及び5mL重炭酸ナトリウム7.5%をDMEMに添加して調製した。
試料の調製
96ウェル丸底プレートのウェルあたり:全血インキュベーション用120μl細胞培地+20μlのConA又はPBS+20μlのiPPVO、iPPVOベヒクル又はPBS+40μlの全血。
プレートを37℃、5%COで72時間インキュベートし、次に230gで5分間遠心分離した。上清を新しい96ウェルプレートに分注した(プレートレイアウトを維持)。試料プレートをさらに使用するまで-80℃で凍結した。
コロナウイルスアッセイ
試料(上記のように調製した試験物質)の希釈液:Greiner Bio One 655090プレートのウェルに100μLのアッセイ培地を添加し、15μLをウェルから再度除去した(このアッセイの対照のためのウェル:ウイルス複製及び細胞への影響を制御するウイルス制御(VC)及びウイルスなしの細胞生存率を制御するための細胞制御(CC)を除く)。15μLの培地を除去したウェルに、試料プレートのウェルから15μLを添加した。
細胞懸濁液の調製:T150ボトル中のVeroE6-EGFPのコンフルエント培養(単層)をDPBSで洗浄し、10mLのトリプシン0.25%トリプシン/EDTAを添加した。ボトルを室温で1分間インキュベートし、2mLを除いてトリプシン/EDTAを除去した。次に、37℃で15分間インキュベートし、インキュベート後、細胞を10mLのアッセイ培地に再懸濁し、Cell Strainer(FALCON CAT NO 352350)に通し、クルターを用いて計数した(10mL中10μLの3試料を計数した)。次に、3000細胞を50μLのアッセイ培地に再懸濁し、細胞懸濁液50μLをGreinerプレートの各ウェルに播種した。
アッセイ:上記のように調製した細胞懸濁液を有するプレートを一晩(37℃/5%CO)インキュベートし、その後、SARS-CoV-2(株BetaCoV/Belgium/GHB-03021/2020、ストック力価4.8×10 TCID50/ml)を、200μl/ウェル(3000細胞/ウェル)中の1/200,0000の最終希釈で、全てのウェル(細胞対照ウェルを除く)に添加し、MOIは0.016 TCID50/cellとした。プレートを37℃/5%COで5日間インキュベートし、その後、全ウェル蛍光、HCI(高濃度イメージング)及びImageJソフトウエアを用いてGFPシグナルを測定した。EGFP発現の低下は、ウイルス誘発性細胞変性活性のマーカーである。Ivensら(Journal of Virological Methods 129,2005,56-63)も参照されたい。
結果
結果を図1に示す。コロナウイルスに感染していない細胞(CC平均)は生存し、eGFPを発現した。コロナウイルス(VC平均)に感染した細胞は死亡し、eGFP発現は検出されなかった。PBS及びiPPVOベヒクル単独の結果は、VC平均とほぼ同じであった。PBS及びiPPVOベヒクル単独は、予想されるように、細胞生存率、すなわちコロナウイルスに対する影響を示さなかった。また、5μg/mlのConA単独(PBS中)はeGFP発現を保持せず、PBS中のConA単独との比較で示されるように、iPPVOベヒクルと共に投与した場合にもeGFP発現に影響を及ぼさなかった。iPPVO D1701単独(PBSにおいて)も、細胞生存率に明白な正の効果を有し、iPPVO D1701を5μg/ml ConAと組み合わせて使用した場合(それ自体はこの濃度でeGFP発現に影響を示さなかった)、eGFP発現はさらに増加した。したがって、iPPVOとConAは相乗的に作用する。
これらの結果は、コロナウイルスの複製及び増殖を防御し、それによりさらなる細胞の感染を阻害する抗ウイルス細胞状態を促進するパラポックスウイルスの有効性を示す。この効果は、相乗的に作用する、すなわち、iPPVOの効力が組合せアプローチにおいて増強される、ConAのような免疫刺激剤を添加することによって改善することができる。
実施例2
目的
実施例1に示した原理証明がパラポックスウイルス全般に適用されるかどうかを、さらにパラポックスウイルス株のコロナウイルスに対する抗ウイルス活性を試験することによって決定すること。
アプローチ
実施例1を参照されたい。
試験物質
-NZ2株のiPPVO(2種類のエチレンイミン、BEIにより化学的に不活化)、内名AIC649、1×10の凍結乾燥ビリオンを1ml水で再構成される
-D1701株のiPPVO、実施例1参照
-iPPVO溶媒、陰性対照、実施例1参照
さらなる材料、試料の調製、コロナウイルスアッセイ
実施例1を参照されたい。iPPVO及びiPPVO溶媒を単独で使用した。実施例1において細胞生存率を増加させることが示されたiPPVO D1701を、実施例2において陽性対照として使用した。
結果
結果を図2に示す。実施例1で有効であることが示されたiPPVO D1701を、陽性対照及び100%ベンチマークとして使用した。陰性対照との比較により示されるように、PPVO株D1701及びNZ2はいずれもコロナウイルスに対して活性である。従って、コロナウイルスに対して効果的な抗ウイルス細胞状態の促進は、実施例1で試験した株のみならず、パラポックスウイルスの一般的な特徴である。
実施例3
目的
パラポックスウイルス添加のタイミングを調べること、具体的には、実施例1及び2に示すパラポックスウイルスの抗ウイルス活性が、異なる時点で上清をコロナウイルスアッセイの細胞に添加することによってどのように調節されるかを決定すること。
アプローチ
実施例1及び2を参照されたい。ただし、試料プレートの上清をコロナウイルスアッセイの細胞に加えるための異なる時点(SARS-CoV-2によるVeroE6-EGFP細胞の感染前又は感染後)。
試験物質
-NZ2株のiPPVO、実施例2参照
-D1701株のiPPVO、実施例1参照
-iPPVO溶媒、陰性対照、実施例1参照
-ConA、実施例1参照
さらなる材料、試料の調製、コロナウイルスアッセイ
実施例1及び2を参照されたい。全血をiPPVO又はiPPVO溶媒(単独又はConAとの併用)とインキュベートした。コロナウイルス(SARS-CoV-2)でVeroE6-EGFP細胞を感染させる前後の異なる時点で上清を作製し、添加した。
実施例4
目的
さらなる組合せアプローチを試験すること、具体的には、実施例1、2及び3に示されるパラポックスウイルスの抗ウイルス活性の強度が、さらなる組合せパートナー、例えば、本明細書に記載されるような免疫刺激剤又は抗ウイルス剤を用いた組合せアプローチにおいて増強され得ることを確認すること。これには、パラポックスウイルス及び組合せパートナーの添加(血液試料へのパラポックスウイルスの添加及び血液試料への組合せ、又はコロナウイルスアッセイの細胞への直接的な組合せ)のタイミング、すなわち、互いに関連して、及びパラポックスウイルス及び組合せパートナーと比較してコロナウイルスを添加するタイミングを調査することが含まれる。また、パラポックスウイルス及び配合パートナーの濃度の影響も試験する。
アプローチ
実施例1、2、及び3を参照されたい。ただし、コロナウイルスアッセイの細胞(VeroE6-EGFP細胞にSARS-CoV-2を感染させる前又は後)に試料プレートの上清(パラポックスウイルス及び/又はコンビネーションパートナーで処理した血液)を添加するための異なる時点、及びコロナウイルスアッセイの細胞(上清添加及び/又はSARS-CoV-2添加の前又は後)にコンビネーションパートナーを添加するための異なる時点(まだ血液試料に添加していない場合)を有する。
試験物質
-NZ2株のiPPVO、実施例2参照
-D1701株のiPPVO、実施例1参照
-iPPVO溶媒、陰性対照、実施例1参照
-ConA、実施例1(コンビネーションパートナー対象)参照
-サリドマイド(コンビネーションパートナー)
-レムデシバー(コンビネーションパートナー)
さらなる材料、試料の調製、コロナウイルスアッセイ
実施例1及び2を参照されたい。全血をiPPVO又はiPPVO溶媒(単独又は1つ以上の組み合わせパートナーとの組み合わせ)とインキュベートした。上清を、コロナウイルス(SARS-CoV-2)でVeroE6-EGFP細胞を感染させる前後の異なる時点で添加した。血液試料のインキュベーションに使用されない1つ以上の組合せパートナーを、異なる時点で、VeroE6-EGFP細胞に添加した(上清及びコロナウイルスの両方の前、両者の後、又は両者の間)。コンビネーションパートナーの異なる濃度を使用した。
実施例5
目的
ハムスターモデルの肺におけるコロナウイルスの感染性ウイルス負荷に対するパラポックスウイルスの影響を調査する。
アプローチ
Boudewijnsら(STAT2 signaling as double-edged sword restricting viral dissemination but driving severe pneumonia in SARS-CoV-2 infected hamsters. bioRxiv 2020, 2020.04.23.056838)が記載したSARS-CoV-2のハムスター感染モデルを用いる。6匹のハムスターを腹腔内(i.p.)経路で、SARS-CoV-2感染の1日前にiPPVOの1.6×10のVPで処置する。6匹のハムスターからなる第2群には、代わりにiPPVO溶媒(プラセボ対照)を投与する。感染に対しては、ハムスターをケタミン/キシラジン/アトロピンで麻酔し、SARS-CoV-2(50μL中1.89×10のTCID50)を鼻腔内接種する。感染後4日目(π)に、ハムスターを500μLの致死性(ペントバルビタールナトリウム200mg/mL、ベトキノールSA)の腹腔内注射により安楽死させる。肺を採取し、感染性ウイルスをエンドポイントウイルス滴定により定量する。有効性は、感染後4日目の均質化肺組織中のウイルス量に基づいて決定する。
動物
シリアン・ゴールデン・ハムスター、雌、6~10週齢
SARS-Cov-2
SARS-Cov-2株BetaCov/Belgium/GHB-03021/2020(EPI ISL 109 407976|2020-02-03)は、2020年2月初めに中国武漢から帰国した無症候性であることが確認されたRT-qPCR患者から採取した鼻咽頭スワブから回収された。系統解析により、原型Wuhan-Hu-1 2019-nCoV(GenBank系統112番号MN908947.3)株との密接な関係を確認した。感染性ウイルスを、HuH7及びVero E6細胞上での連続継代により単離した(Boudewijnsら、前出);継代6ウイルスを、本明細書に記載の研究に使用した。ウイルスストックの力価は、Reed及びMuench法(前出)によりVero E6細胞上でのエンドポイント希釈により決定した。
試験物質
-NZ2のiPPVO株、実施例2参照
-iPPVOベヒクル(PPVOバッファーのみ、すなわちウイルスなし)
エンドポイントウイルス滴定
肺組織を、350μL最小必須培地中のビーズ破壊(プレセリー)を用いてホモジナイズし、遠心分離(10,000rpm、5分、4℃)して、細胞残渣をペレット化した。感染性SARS-CoV-2粒子を定量するために、96ウェルプレート中のコンフルエントVero E6細胞でエンドポイント滴定を行った。ウイルス力価はReed及びMuench法(Reed and Muench,The American Journal of Hygiene,1938,27(3):p.493-497)及びリンデンバッハ計算器を用いて算出した。組織1mgあたり50%組織培養感染量(TCID50)で表した。
結果
iPPVOによる予防的処置は、肺内の感染性SARS-CoV-2粒子数を減少させた:プラセボ投与ハムスターのTCID50/mg肺組織の平均値は、iPPVO投与ハムスターと比較して6.3×10と測定され、TCID50/mg肺組織は2.1×10であった。図3を参照されたい。
実施例6
目的
マウスモデルにおけるコロナウイルス感染に対するパラポックスウイルスの影響を検討する。
アプローチ
10匹のマウスに、コロナウイルス感染前に100μlのiPPVO(500μlの供給緩衝液に溶解した1バイアル、これは1×10ウイルス粒子(VP)/動物の投与量に等しい)を静脈内接種する。第2群のマウス10匹を感染対照群(100μlのiPPVO緩衝液を静脈内接種)とする。投与1日後、両群のマウスをイソフルラン麻酔下(3%イソフルランの吸入)で鼻腔内に感染させ、全容積50μlのSARS-CoV-2(ドイツ分離株)900フォーカス形成単位(FFU)を用いた。マウスを毎日スコア化する。感染後10日目に安楽死が行われる。初期の安楽死は、臨床スコアによって決定された人道的エンドポイントに達したマウスに対して実施される。処置に対する反応は、臨床スコア(感染の臨床症状)及び体重減少によって評価される。また、肺及び脳でSARS-CoV-2負荷量を測定する。
動物
トランスジェニックK18-hACE2マウス
試験物質
-D1701のiPPVO株、実施例1参照
-iPPVOベヒクル(PPVOバッファーのみ、すなわちウイルスなし)
臨床スコアの決定
臨床スコアは、以下の表1に従い、各臨床パラメータのスコアを加えて決定した。1つの臨床パラメータ(人道的エンドポイント)について、臨床スコア>20又はスコア>20に達した時点で動物を安楽死させた。
Figure 2023525269000001
Figure 2023525269000002
臓器ウイルス量の決定
臓器を2mlのPBS中でホモジナイズした。QIAampウイルスRNA Mini Kit(Qiagen)を用いて、140μlのホモジネートからウイルスRNAを単離した。 RT-qPCR反応は、TaqMan(登録商標)Fast Virus 1-Step Master Mix(サーモフィッシャー)及び5μlの単離RNAを鋳型として用いて行った。合成SARS-CoV2-RNAを、ウイルスコピー数を得るための定量標準として用いた。
結果
iPPVO処置及びSARS-CoV-2感染マウスの生存率は、10日後に未処置マウスと比較して有意に高く、対照群の20%と比較してiPPVO処置群では40%であった。また、死亡率も遅延した。図4を参照されたい。
これに伴い、iPPVO投与群では体重減少及び臨床徴候/症状の発現が遅延した。SARS-CoV-2感染後4~6日で、体重は対照群と比較してiPPVO処置マウスでより高く、臨床スコアはより低かった。7日目には、対照群のマウスが安楽死させられ、人道的エンドポイントに達した。すなわち、SARS-CoV-2感染により最も影響を受けたマウスであった。これらのマウスは安楽死させた後のデータポイントには含まれなかったため、対照群の平均値には7日目以降の健康なマウスのみを含めた。7日目及び8日目に、iPPVO投与群のマウスはヒトのエンドポイントに達し、安楽死させなければならなかった。体重及び臨床スコアは、投与群及び対照群(9日目及び10日目)の生存マウスで同様であった。図5及び6を参照されたい。
SARS-CoV-2ウイルス量は、感染マウスの両肺(対照群と比較して16倍)及び脳(プラセボと比較して664倍)で劇的に減少した。図7を参照されたい。
全体として、これらのデータは、SARS-CoV-2感染マウスの臨床転帰に対するPPVO処置の有益な効果を明確に示しており、症状の発現の遅れや疾患の軽度の経過など、SARS-CoV-2感染患者の臨床状態の改善を示唆している。

Claims (15)

  1. (i)コロナウイルス感染のために対象をコンディショニング(conditioning)するか、又は(ii)対象におけるコロナウイルス感染を治療するのに使用するためのパラポックスウイルス剤。
  2. パラポックスウイルスがパラポックスウイルス・オヴィウス(Parapoxvirus ovis)(PPVO)である、請求項1に記載の使用するためのパラポックスウイルス剤。
  3. パラポックスウイルス剤が、
    (a)パラポックスウイルス自体若しくはその断片、又は
    (b)(a)をコードする遺伝情報を含む薬剤、
    であり、好ましくはパラポックスウイルス剤は不活化PPVOビリオンである、請求項1又は2に記載の使用するためのパラポックスウイルス剤。
  4. コロナウイルスがSARSコロナウイルスである、請求項1~3のいずれか1項に記載の使用するためのパラポックスウイルス剤。
  5. コロナウイルスが、SARS-CoV-2、又は配列番号1若しくは2と少なくとも80%の配列同一性を有するその変異体である、請求項1~4のいずれか1項に記載の使用するためのパラポックスウイルス剤。
  6. コンディショニングされる対象が、コロナウイルス感染を発症するための1つ以上の危険因子、及び/又はコロナウイルス疾患の重度の経過を有するための1つ以上の危険因子によって特徴付けられる、請求項1~5のいずれか1項に記載の使用するためのパラポックスウイルス剤。
  7. 治療される対象が無症候性である、請求項1~5のいずれか1項に記載の使用するためのパラポックスウイルス剤。
  8. 治療される対象がコロナウイルス疾患、好ましくはCovid-19を有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の使用のためのパラポックスウイルス剤。
  9. 対象が、コロナウイルス疾患の重度の症状を有さないか又は重度の経過を有する、請求項8に記載の使用するためのパラポックスウイルス剤。
  10. 用途が、(i)又は(ii)のためのさらなる治療レジメンの投与を含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の使用するためのパラポックスウイルス剤。
  11. (i)のためのさらなる治療レジメンが、コロナウイルス剤及び/又は免疫刺激剤を投与することを含み、(ii)のためのさらなる治療レジメンが、コロナウイルス剤、1種以上のさらなる医薬、及び/又は1種以上のさらなる非薬物治療を投与することを含む、請求項10に記載の使用するためのパラポックスウイルス剤。
  12. コロナウイルス剤が、
    (a)コロナウイルス自体又はその断片、
    (b)(a)をコードする遺伝情報を含む約字、及び
    (c)コロナウイルスに感染した対象にその有効量を投与することにより、コロナウイルスによる細胞の感染又は細胞内におけるコロナウイルスの複製を妨げることができる薬剤
    からなる群から選択され;
    さらなる医薬が、免疫刺激剤、抗ウイルス剤、抗生物質、アジュバント、グルココルチコイド、降圧薬、血糖降下薬、抗ショック薬、及びコロナウイルス疾患の1以上の症状を治療するのに適した薬剤からなる群から選択され;及び/又は
    1種以上のさらなる治療が、好ましくは、酸素療法及び体外臓器補助(ECOS)からなる群から選択される、請求項11に記載の使用するためのパラポックスウイルス剤。
  13. パラポックスウイルスが、コロナウイルスに感染した対象にその有効量を投与することにより、
    (i)1つ以上のコロナウイルス-抗原特異的免疫因子の数を増加させ、
    (ii)コロナウイルス複製を阻害し、
    (iii)コロナウイルス量を減少させる、及び/又は
    (iv)コロナウイルス特異的サイトカインプロファイル又はサイトカインストームを予防又は改善することができる、請求項1~12のいずれか1項に記載の使用するためのパラポックスウイルス剤。
  14. パラポックスウイルス剤、好ましくは請求項3に記載のパラポックスウイルス剤、及びコロナウイルス剤、好ましくは請求項12に記載のコロナウイルス剤を含む組成物又はキット。
  15. (i)コロナウイルス感染のために対象をコンディショニングするか、又は(ii)対象におけるコロナウイルス感染を治療するのに使用するための医薬組成物又はキットであって、該医薬組成物又はキットが、パラポックスウイルス剤、好ましくは請求項3に記載のパラポックスウイルス剤、好ましくはさらなる医薬、より好ましくは請求項12に定義されるさらなる医薬を含む、医薬組成物又はキット。
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