JP2023523919A - ヒト化抗ヒトcd89抗体及びその使用 - Google Patents

ヒト化抗ヒトcd89抗体及びその使用 Download PDF

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Abstract

本開示は、ヒトCD89発現細胞上のヒトCD89の細胞外部分(ヒトFcaRI)に結合することができ、抗体が当該細胞に結合されるとき、ヒトIgAのヒトCD89への結合を防止する、ヒト化抗体を説明する。本開示はまた、特定の疾患との闘いにおけるかかる抗体の使用を説明する。【選択図】なし

Description

本発明は、抗体の分野及びかかる抗体の使用に関する。本抗体は、ヒトIgAのヒトCD89への結合を防止するのに特に有用である。本抗体は、ヒトエフェクター細胞を標的とするのに特に有用である。
免疫グロブリンのFc部分(FcR)の受容体は、様々な型の免疫細胞上に存在し、免疫系の体液性枝と細胞性枝との間の連結を提供する。抗体とFcRとの間の相互作用は、抗原特異的認識特性でFcRを発現する細胞を提供する。相互作用は、エンドサイトーシス、ファゴサイトーシス、トランスサイトーシス、エキソサイトーシス、スーパーオキシド生成、抗体依存性細胞傷害性、及びサイトカイン炎症性媒介因子の放出のうちの様々な応答を開始することができる。免疫グロブリンの受容体及び免疫応答におけるそれらの役割は、広範囲にわたって調査されている。
現在、抗体定常領域の5つのクラス、すなわち、IgG、IgA、IgD、IgE、及びIgMが認識されている。IgAは、先天性免疫系において役割を果たす。それは、微生物及び外来タンパク質が粘膜表面に侵入するのを防ぐことに関与する。IgAはまた、毒素及び感染性生物を中和することもできる。更に、IgAは抗炎症特性を有し、IgG誘発性サイトカイン放出及びファゴサイトーシスなどの機能を阻害することができる。
抗体定常領域の異なるクラスは、異なるFc受容体と相互作用することができる。IgAと結合することができるFc受容体は、CD89である。ヒトCD89は、ヒトIgA1及びヒトIgA2の重鎖定常領域に結合することができる。CD89は、グリコシル化膜貫通受容体であり、FcαRIとしても既知である。CD89は、2つの細胞外ドメイン、EC1及びEC2、膜貫通ドメイン、及び細胞内ドメインを有する。IgAとCD89との相互作用は、EC1細胞外ドメインによって媒介される。参照配列については、NP_001991.1(免疫グロブリンαFc受容体アイソフォーム前駆体)を参照する。参照は、ヒトCD89遺伝子/タンパク質を同定するためだけに行われる。本明細書に記載のヒトCD89をデータベースエントリの特定の配列に限定することを意図するものではない。ヒトCD89の天然バリアントは、本発明の範囲内である。組換えヒトCD89はまた、IgAに結合することができ、かつ本明細書に記載される抗体に結合することができる場合、本発明の範囲内でもある。CD89は、好中球、好酸球、並びにほとんどの単球及びマクロファージを含む骨髄系細胞の細胞表面上に存在する。しかしながら、受容体は、肥満細胞及び腸マクロファージ上には現れない。CD89の発現は、構成的であり、IgAリガンドの存在に依存しないことが見出されている。
CD89は、単量体IgA、重合体IgA及びIgA複合体と相互作用することができる。単量体IgAはCD89に一過性に結合するが、一方で重合体IgA及びIgA複合体はCD89に貪欲に結合すると考えられている。CD89は、炎症促進応答及び抗炎症応答の両方において役割を果たすことができる。IgA結合に応答するために、受容体は、大部分がFcRγ鎖の二量体形態である別の因子と会合する必要がある。リガンドのCD89への結合は、様々な生物学的プロセスを開始することができる。CD89へのリガンドの結合によって促進される細胞機能はまた、関連するFcRγ鎖にも依存する。
細胞上のCD89受容体の架橋は、IgA抗体、IgA免疫複合体、又は抗CD89抗体の結合によって達成され得る。架橋は、状況に応じて、特に結合に応じて、正及び負の効果を有し得る免疫応答を引き起こす。CD89特異的抗体は、免疫応答を調節するためのツール/薬剤として使用され得る。例えば、慢性炎症性疾患に罹患している個体は、免疫応答を阻害する方法から利益を得ることができる。CD89受容体は、好中球、好酸球、単球及びマクロファージを含む様々な細胞型上で発現する。特に、CD89発現細胞に関連する疾患及び/又はIgA関連疾患に罹患している個体は、CD89抗体での治療から利益を得ることができる。現在、好中球に関与する疾患に対する既知の治療はない。
一態様では、本開示は、ヒトCD89の細胞外部分に結合することができるヒト化抗ヒトCD89抗体であって、アミノ酸配列:
EVQLLESGGG LVQPGGSLRL SCAASGLTFS SYGMSWVRQA PGKGLEXVXTIXGXGDITYY PDSVKGRFTI SRDNSKNTLY LQMNSLRAED TAVYYCARDY DYDYAMDYWG QGTLVTVSS
を含む、重鎖可変領域であって、式中、
が、L又はWであり
が、A又はSであり
が、N、Sであり
が、Q、T、又はNであり、
当該重鎖可変領域が、X、X、X、及びX以外の位置に、指示されたアミノ酸配列に関して、0、1、2、又は3個のアミノ酸バリエーション、挿入、欠失、置換、付加、又はそれらの組み合わせを含む、重鎖可変領域と、
アミノ酸配列:
DIQMTQSPSS LSASVGDRVT ITCRASQDII NYLNWYQQKP GKZKLLIYY TSRLHSGVPS RFSGSGSGTDZ TLTISSLQP EDFATYZCQQ GKTLPYTFGQ GTKLEIK
を含む、軽鎖可変領域であって、式中、
が、A又はTであり
が、V又はPであり
が、Y又はFであり
が、Y又はFであり、
当該軽鎖可変領域が、Z、Z、Z及びZ以外の位置に、指示されたアミノ酸配列に関して、0、1、2、又は3個のアミノ酸バリエーション、挿入、欠失、置換、付加、又はそれらの組み合わせを含む、軽鎖可変領域と、を含む、ヒト化抗ヒトCD89抗体を提供する。
好ましい実施形態では、Xは、Lであり、Xは、Aであり、Xは、Sであり、Xは、Tであり、Zは、Aであり、Zは、Vであり、Zは、Yであり、ZはYである。
別の好ましい実施形態では、Xは、Lであり、Xは、Aであり、Xは、Sであり、Xは、Qであり、Zは、Aであり、Zは、Vであり、Zは、Yであり、ZはYである。
一態様では、本開示は、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又は付加を有する配列番号138又は139のアミノ酸配列を有する重鎖と、0、1、2、3、4、5、6、7、又は8個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又は付加を有する配列番号122のアミノ酸配列を有する軽鎖を含む、ヒトCD89の細胞外部分に結合することができる、抗体を提供する。
本明細書に記載の抗体は、ヒトCD89発現細胞上のヒトCD89の細胞外部分に結合することができ、かつ、抗体が当該細胞に結合されるとき、ヒトIgAのヒトCD89への結合を防止することができる。
更なる態様では、本明細書に記載の抗体は、ヒトCD89発現HEK293F細胞上のヒトCD89の細胞外部分に結合することができる。ヒトCD89発現HEK293F細胞のブダペスト条約寄託は、寄託者がLeibniz-Institut DSMZ-Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH(DSMZ)、Braunschweig,Germanyでの293F CG89クローン2を参照の下、Depositor Swiss Pharma International AG、Waldmannstr.8,8001 Zurich,Switzerlandによって寄託され、アクセッション番号:DSM ACC3341を有する。
一態様では、本開示は、本明細書で開示の抗体又は本明細書で開示の抗原結合断片をコードする核酸分子(複数可)を提供する。本明細書で開示の可変領域、好ましくは、本明細書に記載のヒト化抗ヒトCD89抗体の重鎖可変領域及び/又は軽鎖可変領域をコードする核酸も提供される。
一態様では、本開示は、本明細書に記載の核酸分子を含むベクターを提供する。一態様では、本明細書で開示の抗体、核酸分子(複数可)、及び/又はベクターを含む細胞(宿主細胞)を提供する。好ましくは、宿主細胞は哺乳動物細胞、昆虫細胞、植物細胞、細菌細胞又は酵母細胞である。より好ましくは、宿主細胞は、ヒト細胞である。好ましくは、宿主細胞は、ハイブリドーマ細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、NSO細胞、又はPER-C6(商標)細胞(European Collection of Cell Cultures(ECACC)96022940、WO1997/000326、Pau et al.,2001.Vaccine 19:2716-2721)である。
一態様では、本開示は、本明細書で開示の抗体の産生方法を提供する。本方法は、好ましくは、抗体の採取を含む。好ましくは、抗体は、細胞を使用して産生され、当該細胞から採取される。好ましくは、当該細胞は、ハイブリドーマ細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、NSO細胞、又はPER-C6(商標)細胞である。別の好ましい実施形態では、抗体は、合成的に産生される。
本開示の一態様は、開示の抗体若しくはその抗原結合断片、核酸、及び/又は細胞を含む、医薬組成物を提供する。好ましくは、本明細書で開示の組成物又は抗体若しくはその抗原結合断片は、薬剤の製造において使用するためのものである。好ましくは、薬剤は、慢性炎症性疾患の治療又は予防のためのものである。
一態様では、本開示は、慢性炎症性疾患の治療を必要とする対象に、治療有効量の本明細書で開示の抗体若しくはその抗原結合断片、核酸分子又はベクター又は医薬組成物を投与することを含む、対象における慢性炎症性疾患の治療のための方法を提供する。
一態様では、本開示は、慢性炎症性疾患の治療における使用のための抗体又はその抗原結合断片を提供する。
一態様では、本開示は、抗体を提供し、その抗体は、ヒトCD89発現細胞上のヒトCD89の細胞外部分に結合し得るか又は結合し、かつ、抗体が当該細胞に結合されるとき、ヒトIgAのヒトCD89への結合を防止し得るか、又は防止し、かつ、37℃での一晩のインキュベーション後に、当該細胞の細胞生存性を60%超低減させない。本明細書で好ましく言及される、37℃での一晩のインキュベーション後の生存性又は発現の変化は、好ましくは、同じ条件だが当該抗体を含まない条件下でインキュベーションされた場合の対照値に対する変化を指す。当該生存性実験は、好ましくは、無血清培地などの好適な培地中で実施される。
更なる態様では、本開示は、抗体を提供し、その抗体は、ヒトCD89発現細胞上のヒトCD89の細胞外部分に結合し得、かつ、抗体が当該細胞に結合されるとき、ヒトIgAのヒトCD89への結合を防止し得、かつ、同じ条件だが当該抗体を含まない条件下でインキュベーションされた同じ細胞と比較して、37℃での一晩のインキュベーション後に当該細胞のホスファチジルセリン発現を20%超増加させない。
一態様では、本開示は、抗体を提供し、その抗体は、ヒトCD89発現細胞上のヒトCD89の細胞外部分に結合し得、かつ、抗体がNaNの非存在下、37℃で当該細胞に結合されるとき、ヒトIgAのヒトCD89への結合を防止し得、かつ、NaNの存在下、4℃で当該細胞に結合されるとき、単量体ヒトIgA又は熱凝集IgAを置換し得ない。
一態様では、本開示は、抗体を提供し、その抗体は、ヒトCD89発現細胞上のヒトCD89の細胞外部分に結合し得、かつ、抗体が当該細胞に結合されるとき、ヒトIgAのヒトCD89への結合を防止し得、かつ、ヒトCD89のアミノ酸22~46がカニクイザルCD89のアミノ酸22~46と交換されている組換えヒトCD89分子に20%以下で結合する。
一態様では、本開示は、抗体を提供し、その抗体は、ヒトCD89発現細胞上のヒトCD89の細胞外部分に結合し得、かつ、抗体が当該細胞に結合されるとき、ヒトIgAのヒトCD89への結合を防止し得、かつ、ヒトCD89のアミノ酸47~71がカニクイザルCD89のアミノ酸47~71と交換されているキメラヒトCD89分子に20%以下で結合する。
一態様では、本開示は、抗体を提供し、その抗体は、ヒトCD89発現細胞上のヒトCD89の細胞外部分に結合し得、かつ、抗体が当該細胞に結合されるとき、ヒトIgAのヒトCD89への結合を防止し得、かつ、ヒトCD89のアミノ酸72~96がカニクイザルCD89のアミノ酸72~96と交換されているキメラヒトCD89分子に20%以下で結合する。
一態様では、本開示は、抗体を提供し、その抗体は、ヒトCD89発現細胞上のヒトCD89の細胞外部分に結合し得、かつ、抗体が当該細胞に結合されるとき、ヒトIgAのヒトCD89への結合を防止し得、かつ、ヒトCD89のアミノ酸97~121がカニクイザルCD89のアミノ酸97~121と交換されているキメラヒトCD89分子への結合が20%以下に低減したものである。
一態様では、本開示は、抗体を提供し、その抗体は、ヒトCD89発現細胞上のヒトCD89の細胞外部分に結合し得、かつ、抗体が当該細胞に結合されるとき、ヒトIgAのヒトCD89への結合を防止し得、かつ、ヒトCD89のアミノ酸58、59、73、74、76、106、及び107がカニクイザルCD89のそれぞれアミノ酸58、59、73、74、76、106、及び107と交換されているキメラヒトCD89分子に20%以下で結合する。
一態様では、本開示は、0、1、又は2個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又は付加を有する配列番号29~31のCDR1、CDR2、及びCDR3配列を有する重鎖可変領域と、0、1、又は2個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又は付加を有する配列番号32~34のCDR1、CDR2、CDR3配列を有する軽鎖可変領域を含む、ヒトCD89の細胞外部分に結合し得る、抗体を提供する。
更なる態様では、本開示は、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又は付加を有する配列番号27のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又は付加を有する配列番号28のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域と、を含む、ヒトCD89の細胞外部分に結合し得る、抗体を提供する。
一態様では、本開示は、0、1、又は2個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又は付加を有する配列番号45~47のCDR1、CDR2、及びCDR3配列を有する重鎖可変領域と、0、1、又は2個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又は付加を有する配列番号48~50のCDR1、CDR2、CDR3配列を有する軽鎖可変領域と、を含む、ヒトCD89の細胞外部分に結合し得る、抗体を提供する。
更なる態様では、本開示は、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又は付加を有する配列番号43のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又は付加を有する配列番号44のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域と、を含む、ヒトCD89の細胞外部分に結合し得る、抗体を提供する。
一態様では、本開示は、0、1、又は2個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又は付加を有する配列番号69~71のCDR1、CDR2、及びCDR3配列を有する重鎖可変領域と、0、1、又は2個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又は付加を有する配列番号72~74のCDR1、CDR2、CDR3配列を有する軽鎖可変領域と、を含む、ヒトCD89の細胞外部分に結合し得る、抗体を提供する。
更なる態様では、本開示は、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又は付加を有する配列番号67のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又は付加を有する配列番号68のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域と、を含む、ヒトCD89の細胞外部分に結合し得る、抗体を提供する。
一態様では、本開示は、0、1、又は2個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又は付加を有する配列番号77~79のCDR1、CDR2、及びCDR3配列を有する重鎖可変領域と、0、1、又は2個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又は付加を有する配列番号80~82のCDR1、CDR2、CDR3配列を有する軽鎖可変領域と、を含む、ヒトCD89の細胞外部分に結合し得る、抗体を提供する。
更なる態様では、本開示は、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又は付加を有する配列番号75のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又は付加を有する配列番号76のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域と、を含む、ヒトCD89の細胞外部分に結合し得る、抗体を提供する。
一態様では、本開示は、0、1、又は2個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又は付加を有する配列番号53~55のCDR1、CDR2、及びCDR3配列を有する重鎖可変領域と、0、1、又は2個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又は付加を有する配列番号56~58のCDR1、CDR2、CDR3配列を有する軽鎖可変領域と、を含む、ヒトCD89の細胞外部分に結合し得る、抗体を提供する。
更なる態様では、本開示は、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又は付加を有する配列番号51のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又は付加を有する配列番号52のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域と、を含む、ヒトCD89の細胞外部分に結合し得る、抗体を提供する。
一態様では、本開示は、ヒトCD89の細胞外部分に結合し得る抗体を提供し、好ましくは、抗体はCD89のEC1細胞外ドメインに結合し得る。
フローサイトメトリーを使用したHEK293F細胞上の膜結合全長ヒトCD89へのマウス抗ヒトCD89抗体(上清)の結合。破線は、バックグラウンド(すなわち、マウス抗ヒトCD89抗体の結合なし)を表す。平均±SD(n=2)を示す。 HEK293F細胞上のrhuCD89(A、ELISA)又は膜結合ヒトCD89(B、FACS)への血清ヒトIgAの結合に対するマウス抗ヒトCD89抗体(上清)の効果。平均±SD(n=2)を示す。 HEK293F細胞上のrhuCD89(A、ELISA)又は膜結合ヒトCD89(B、FACS)への精製されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体の結合の特徴。平均±SD(n=2)を示す。 HEK293F細胞上のrhuCD89(A、ELISA)又は膜結合ヒトCD89(B、FACS)への血清ヒトIgAの結合に対する精製されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体の効果。HEK293F細胞上の膜結合ヒトCD89への分泌ヒトIgAの結合(C)に対する精製されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体の効果。平均±SD(n=2)を示す。 HEK293F細胞上のrhuCD89(A、ELISA)又は膜結合ヒトCD89(B、FACS)への血清ヒトIgAの結合に対する精製されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体の効果。HEK293F細胞上の膜結合ヒトCD89への分泌ヒトIgAの結合(C)に対する精製されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体の効果。平均±SD(n=2)を示す。 HEK293F細胞上のrhuCD89(A、ELISA)又は膜結合ヒトCD89(B、FACS)への血清ヒトIgAの結合に対する精製されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体の効果。HEK293F細胞上の膜結合ヒトCD89への分泌ヒトIgAの結合(C)に対する精製されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体の効果。平均±SD(n=2)を示す。 (A、C)膜結合ヒトCD89発現HEK293F細胞への非凝集又は熱凝集血清ヒトIgAの結合の防止、(B、D)その細胞に以前に飽和した非凝集又は熱凝集血清ヒトIgAの置換、並びに(E)その細胞における細胞死(細胞生存性及びホスファチジルセリン発現)の誘発に対する、精製されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体(10μg/mLで)の効果。CD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体の効果を、(A、B)代謝不活性条件下(すなわち、NaNの存在下、冷周囲温度(4℃)で)、及び(C、D、E)代謝活性条件下(すなわち、NaNの非存在下、生理学的周囲温度(37℃)で)調査した。平均±SD(n=2)を示す。 (A、C)膜結合ヒトCD89発現HEK293F細胞への非凝集又は熱凝集血清ヒトIgAの結合の防止、(B、D)その細胞に以前に飽和した非凝集又は熱凝集血清ヒトIgAの置換、並びに(E)その細胞における細胞死(細胞生存性及びホスファチジルセリン発現)の誘発に対する、精製されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体(10μg/mLで)の効果。CD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体の効果を、(A、B)代謝不活性条件下(すなわち、NaNの存在下、冷周囲温度(4℃)で)、及び(C、D、E)代謝活性条件下(すなわち、NaNの非存在下、生理学的周囲温度(37℃)で)調査した。平均±SD(n=2)を示す。 (A、C)膜結合ヒトCD89発現HEK293F細胞への非凝集又は熱凝集血清ヒトIgAの結合の防止、(B、D)その細胞に以前に飽和した非凝集又は熱凝集血清ヒトIgAの置換、並びに(E)その細胞における細胞死(細胞生存性及びホスファチジルセリン発現)の誘発に対する、精製されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体(10μg/mLで)の効果。CD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体の効果を、(A、B)代謝不活性条件下(すなわち、NaNの存在下、冷周囲温度(4℃)で)、及び(C、D、E)代謝活性条件下(すなわち、NaNの非存在下、生理学的周囲温度(37℃)で)調査した。平均±SD(n=2)を示す。 (A、C)膜結合ヒトCD89発現HEK293F細胞への非凝集又は熱凝集血清ヒトIgAの結合の防止、(B、D)その細胞に以前に飽和した非凝集又は熱凝集血清ヒトIgAの置換、並びに(E)その細胞における細胞死(細胞生存性及びホスファチジルセリン発現)の誘発に対する、精製されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体(10μg/mLで)の効果。CD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体の効果を、(A、B)代謝不活性条件下(すなわち、NaNの存在下、冷周囲温度(4℃)で)、及び(C、D、E)代謝活性条件下(すなわち、NaNの非存在下、生理学的周囲温度(37℃)で)調査した。平均±SD(n=2)を示す。 (A、C)膜結合ヒトCD89発現HEK293F細胞への非凝集又は熱凝集血清ヒトIgAの結合の防止、(B、D)その細胞に以前に飽和した非凝集又は熱凝集血清ヒトIgAの置換、並びに(E)その細胞における細胞死(細胞生存性及びホスファチジルセリン発現)の誘発に対する、精製されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体(10μg/mLで)の効果。CD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体の効果を、(A、B)代謝不活性条件下(すなわち、NaNの存在下、冷周囲温度(4℃)で)、及び(C、D、E)代謝活性条件下(すなわち、NaNの非存在下、生理学的周囲温度(37℃)で)調査した。平均±SD(n=2)を示す。 HEK293F細胞上の膜結合ヒトCD89への非凝集(A)又は熱凝集(B)血清ヒトIgAの結合の防止/阻害に対する、プロトタイプ商業用マウス抗ヒトCD89抗体のクローンMIP8a、クローンA59及びクローンA3の効果。平均±SD(n=2)を示す。 エクスビボヒト好中性顆粒球(A、5人の異なる健常なドナーからの平均±SD)、HEK293F細胞(B、平均±SD(n=2))、及び単球U937細胞(C、平均±SD(n=2))上の膜結合ヒトCD89への精製されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体(10μg/mLで)の結合。 ヒトCD89発現エクスビボ初代ヒト好中性顆粒球による血清ヒトIgAコーティングラテックスビーズのファゴサイトーシスに対する、精製されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体の効果。破線は、IgAコーティングビーズのみ(すなわち、抗体を添加しない)のファゴサイトーシスを表す。平均±SD(n=2)は、3人の異なる健常なドナー(1、2、及び3)から示される。 ヒトCD89発現エクスビボ初代ヒト好中性顆粒球による血清ヒトIgAコーティングラテックスビーズのファゴサイトーシスに対する、精製されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体の効果。破線は、IgAコーティングビーズのみ(すなわち、抗体を添加しない)のファゴサイトーシスを表す。平均±SD(n=2)は、3人の異なる健常なドナー(1、2、及び3)から示される。 ヒトCD89発現エクスビボ初代ヒト好中性顆粒球による血清ヒトIgAコーティングラテックスビーズのファゴサイトーシスに対する、精製されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体の効果。破線は、IgAコーティングビーズのみ(すなわち、抗体を添加しない)のファゴサイトーシスを表す。平均±SD(n=2)は、3人の異なる健常なドナー(1、2、及び3)から示される。 (A、平均±SD(n=3))ヒトCD89発現エクスビボ初代ヒト好中性顆粒球の血清ヒトIgAコーティングセファロースビーズ誘発性二次元遊走、及び(B、平均±SD(n=3))その細胞に対する対応する上清由来の走化性活性、及び(C、n=1)その細胞からの対応する上清由来の化学誘引性LTB4レベルに対する精製されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体(20μg/mLで)の効果。破線は、(A)二次元の顆粒球の遊走、(B)顆粒球の走化性、及び(C)IgAでコーティングセファロースビーズのみによって誘発された顆粒球のLTB4産生を表す(すなわち、抗体の添加なし)。(A)、(B)及び(C)のデータは、3人の健常なドナー(1、2、及び3)から示される。ND=決定されない。 (A、平均±SD(n=3))ヒトCD89発現エクスビボ初代ヒト好中性顆粒球の血清ヒトIgAコーティングセファロースビーズ誘発性二次元遊走、及び(B、平均±SD(n=3))その細胞に対する対応する上清由来の走化性活性、及び(C、n=1)その細胞からの対応する上清由来の化学誘引性LTB4レベルに対する精製されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体(20μg/mLで)の効果。破線は、(A)二次元の顆粒球の遊走、(B)顆粒球の走化性、及び(C)IgAでコーティングセファロースビーズのみによって誘発された顆粒球のLTB4産生を表す(すなわち、抗体の添加なし)。(A)、(B)及び(C)のデータは、3人の健常なドナー(1、2、及び3)から示される。ND=決定されない。 (A、平均±SD(n=3))ヒトCD89発現エクスビボ初代ヒト好中性顆粒球の血清ヒトIgAコーティングセファロースビーズ誘発性二次元遊走、及び(B、平均±SD(n=3))その細胞に対する対応する上清由来の走化性活性、及び(C、n=1)その細胞からの対応する上清由来の化学誘引性LTB4レベルに対する精製されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体(20μg/mLで)の効果。破線は、(A)二次元の顆粒球の遊走、(B)顆粒球の走化性、及び(C)IgAでコーティングセファロースビーズのみによって誘発された顆粒球のLTB4産生を表す(すなわち、抗体の添加なし)。(A)、(B)及び(C)のデータは、3人の健常なドナー(1、2、及び3)から示される。ND=決定されない。 (A、平均±SD(n=3))ヒトCD89発現エクスビボ初代ヒト好中性顆粒球の血清ヒトIgAコーティングセファロースビーズ誘発性二次元遊走、及び(B、平均±SD(n=3))その細胞に対する対応する上清由来の走化性活性、及び(C、n=1)その細胞からの対応する上清由来の化学誘引性LTB4レベルに対する精製されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体(20μg/mLで)の効果。破線は、(A)二次元の顆粒球の遊走、(B)顆粒球の走化性、及び(C)IgAでコーティングセファロースビーズのみによって誘発された顆粒球のLTB4産生を表す(すなわち、抗体の添加なし)。(A)、(B)及び(C)のデータは、3人の健常なドナー(1、2、及び3)から示される。ND=決定されない。 (A、平均±SD(n=3))ヒトCD89発現エクスビボ初代ヒト好中性顆粒球の血清ヒトIgAコーティングセファロースビーズ誘発性二次元遊走、及び(B、平均±SD(n=3))その細胞に対する対応する上清由来の走化性活性、及び(C、n=1)その細胞からの対応する上清由来の化学誘引性LTB4レベルに対する精製されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体(20μg/mLで)の効果。破線は、(A)二次元の顆粒球の遊走、(B)顆粒球の走化性、及び(C)IgAでコーティングセファロースビーズのみによって誘発された顆粒球のLTB4産生を表す(すなわち、抗体の添加なし)。(A)、(B)及び(C)のデータは、3人の健常なドナー(1、2、及び3)から示される。ND=決定されない。 (A、平均±SD(n=3))ヒトCD89発現エクスビボ初代ヒト好中性顆粒球の血清ヒトIgAコーティングセファロースビーズ誘発性二次元遊走、及び(B、平均±SD(n=3))その細胞に対する対応する上清由来の走化性活性、及び(C、n=1)その細胞からの対応する上清由来の化学誘引性LTB4レベルに対する精製されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体(20μg/mLで)の効果。破線は、(A)二次元の顆粒球の遊走、(B)顆粒球の走化性、及び(C)IgAでコーティングセファロースビーズのみによって誘発された顆粒球のLTB4産生を表す(すなわち、抗体の添加なし)。(A)、(B)及び(C)のデータは、3人の健常なドナー(1、2、及び3)から示される。ND=決定されない。 (A、平均±SD(n=3))ヒトCD89発現エクスビボ初代ヒト好中性顆粒球の血清ヒトIgAコーティングセファロースビーズ誘発性二次元遊走、及び(B、平均±SD(n=3))その細胞に対する対応する上清由来の走化性活性、及び(C、n=1)その細胞からの対応する上清由来の化学誘引性LTB4レベルに対する精製されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体(20μg/mLで)の効果。破線は、(A)二次元の顆粒球の遊走、(B)顆粒球の走化性、及び(C)IgAでコーティングセファロースビーズのみによって誘発された顆粒球のLTB4産生を表す(すなわち、抗体の添加なし)。(A)、(B)及び(C)のデータは、3人の健常なドナー(1、2、及び3)から示される。ND=決定されない。 (A、平均±SD(n=3))ヒトCD89発現エクスビボ初代ヒト好中性顆粒球の血清ヒトIgAコーティングセファロースビーズ誘発性二次元遊走、及び(B、平均±SD(n=3))その細胞に対する対応する上清由来の走化性活性、及び(C、n=1)その細胞からの対応する上清由来の化学誘引性LTB4レベルに対する精製されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体(20μg/mLで)の効果。破線は、(A)二次元の顆粒球の遊走、(B)顆粒球の走化性、及び(C)IgAでコーティングセファロースビーズのみによって誘発された顆粒球のLTB4産生を表す(すなわち、抗体の添加なし)。(A)、(B)及び(C)のデータは、3人の健常なドナー(1、2、及び3)から示される。ND=決定されない。 (A、平均±SD(n=3))ヒトCD89発現エクスビボ初代ヒト好中性顆粒球の血清ヒトIgAコーティングセファロースビーズ誘発性二次元遊走、及び(B、平均±SD(n=3))その細胞に対する対応する上清由来の走化性活性、及び(C、n=1)その細胞からの対応する上清由来の化学誘引性LTB4レベルに対する精製されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体(20μg/mLで)の効果。破線は、(A)二次元の顆粒球の遊走、(B)顆粒球の走化性、及び(C)IgAでコーティングセファロースビーズのみによって誘発された顆粒球のLTB4産生を表す(すなわち、抗体の添加なし)。(A)、(B)及び(C)のデータは、3人の健常なドナー(1、2、及び3)から示される。ND=決定されない。 (A)ヒトCD89発現エクスビボ初代ヒト好中性顆粒球への血清ヒトIgAの結合、及び(B)その好中性顆粒球からのそれらの対応する血清ヒトIgA媒介性ラクトフェリン産生(脱顆粒マーカー)に対する精製されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体の効果。破線は、(A)顆粒球の結合、(B)IgAコーティングプレートのみによって(すなわち、抗体の添加なしで)誘発されたそれらの対応するラクトフェリン産生を表す。平均±SD(n=2)は、(A)、(B)中の3人の健常なドナー(1、2、及び3)から示される。 (A)ヒトCD89発現エクスビボ初代ヒト好中性顆粒球への血清ヒトIgAの結合、及び(B)その好中性顆粒球からのそれらの対応する血清ヒトIgA媒介性ラクトフェリン産生(脱顆粒マーカー)に対する精製されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体の効果。破線は、(A)顆粒球の結合、(B)IgAコーティングプレートのみによって(すなわち、抗体の添加なしで)誘発されたそれらの対応するラクトフェリン産生を表す。平均±SD(n=2)は、(A)、(B)中の3人の健常なドナー(1、2、及び3)から示される。 (A)ヒトCD89発現エクスビボ初代ヒト好中性顆粒球への血清ヒトIgAの結合、及び(B)その好中性顆粒球からのそれらの対応する血清ヒトIgA媒介性ラクトフェリン産生(脱顆粒マーカー)に対する精製されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体の効果。破線は、(A)顆粒球の結合、(B)IgAコーティングプレートのみによって(すなわち、抗体の添加なしで)誘発されたそれらの対応するラクトフェリン産生を表す。平均±SD(n=2)は、(A)、(B)中の3人の健常なドナー(1、2、及び3)から示される。 (A)ヒトCD89発現エクスビボ初代ヒト好中性顆粒球への血清ヒトIgAの結合、及び(B)その好中性顆粒球からのそれらの対応する血清ヒトIgA媒介性ラクトフェリン産生(脱顆粒マーカー)に対する精製されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体の効果。破線は、(A)顆粒球の結合、(B)IgAコーティングプレートのみによって(すなわち、抗体の添加なしで)誘発されたそれらの対応するラクトフェリン産生を表す。平均±SD(n=2)は、(A)、(B)中の3人の健常なドナー(1、2、及び3)から示される。 (A)ヒトCD89発現エクスビボ初代ヒト好中性顆粒球への血清ヒトIgAの結合、及び(B)その好中性顆粒球からのそれらの対応する血清ヒトIgA媒介性ラクトフェリン産生(脱顆粒マーカー)に対する精製されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体の効果。破線は、(A)顆粒球の結合、(B)IgAコーティングプレートのみによって(すなわち、抗体の添加なしで)誘発されたそれらの対応するラクトフェリン産生を表す。平均±SD(n=2)は、(A)、(B)中の3人の健常なドナー(1、2、及び3)から示される。 (A)ヒトCD89発現エクスビボ初代ヒト好中性顆粒球への血清ヒトIgAの結合、及び(B)その好中性顆粒球からのそれらの対応する血清ヒトIgA媒介性ラクトフェリン産生(脱顆粒マーカー)に対する精製されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体の効果。破線は、(A)顆粒球の結合、(B)IgAコーティングプレートのみによって(すなわち、抗体の添加なしで)誘発されたそれらの対応するラクトフェリン産生を表す。平均±SD(n=2)は、(A)、(B)中の3人の健常なドナー(1、2、及び3)から示される。 HEK293F細胞上の膜結合ヒトCD89に対する、PEコンジュゲート商業用マウス抗CD89抗体クローンMIP8a(A、CD89/IgA遮断剤)、クローンA59(B、CD89/IgA非遮断剤)、及びクローンA3(C、CD89/IgA非遮断剤)との非標識の精製されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体(10μg/mLで)の交差競合。平均±SD(少なくともn=2)を示す。 HEK293F細胞上の膜結合ヒトCD89に対する、PEコンジュゲート商業用マウス抗CD89抗体クローンMIP8a(A、CD89/IgA遮断剤)、クローンA59(B、CD89/IgA非遮断剤)、及びクローンA3(C、CD89/IgA非遮断剤)との交差競合の非標識の精製されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体の詳細な分析。平均±SD(少なくともn=2)を示す。 HEK293F細胞上の膜結合ヒトCD89に対する、PEコンジュゲート商業用マウス抗CD89抗体クローンMIP8a(A、CD89/IgA遮断剤)、クローンA59(B、CD89/IgA非遮断剤)、及びクローンA3(C、CD89/IgA非遮断剤)との交差競合の非標識の精製されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体の詳細な分析。平均±SD(少なくともn=2)を示す。 HEK293F細胞上の膜結合ヒトCD89に対する、PEコンジュゲート商業用マウス抗CD89抗体クローンMIP8a(A、CD89/IgA遮断剤)、クローンA59(B、CD89/IgA非遮断剤)、及びクローンA3(C、CD89/IgA非遮断剤)との交差競合の非標識の精製されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体の詳細な分析。平均±SD(少なくともn=2)を示す。 (A)野生型ヒトCD89、野生型ウシFcγ2R、及びそれら由来のキメラヒト/ウシFcR構築物の概略図。 (B)HEK293F細胞上の膜結合ヒト全長CD89(「ヒトEC1-EC2-CD89」、すなわち、
Figure 2023523919000001
)、膜結合キメラヒトEC1-CD89/ウシEC2-Fcγ2R(「ヒトEC1-CD89」、すなわち、
Figure 2023523919000002
)、膜結合キメラウシEC1-Fcγ2R/ヒトEC2-CD89(「ヒトEC2-CD89」、すなわち、
Figure 2023523919000003
)、及び膜結合ウシ全長Fcγ2R(「ウシFcγ2R」、すなわち、
Figure 2023523919000004
)へのウサギ抗ヒトCD89ポリクローナル抗体及び非凝集又は熱凝集血清ヒトIgAの結合(n=1)。
(C)HEK293F細胞上の膜結合ヒト全長CD89(「ヒトEC1-EC2-CD89」)、膜結合キメラヒトEC1-CD89/ウシEC2-Fcγ2R(「ヒトEC1-CD89」)、膜結合キメラウシEC1-Fcγ2R/ヒトEC2-CD89(「ヒトEC2-CD89」)、及び膜結合ウシ全長Fcγ2R(「ウシFcγ2R」)への精製されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体の結合(n=1)。灰色の点線は、バックグラウンド(すなわち、マウス抗ヒトCD89抗体の結合なし)を表す。 (A)膜結合カニクイザル全長CD89へのウサギ抗ヒトCD89ポリクローナル抗体、及び非凝集又は熱凝集血清ヒトIgAの結合。(B)膜結合カニクイザル全長CD89への精製されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体の結合。灰色の点線は、バックグラウンド(すなわち、マウス抗ヒトCD89抗体の結合なし)を表す。 (A)野生型ヒトCD89、野生型カニクイザルCD89、及びそれら由来のキメラヒト/カニクイザルCD89構築物の概略図。 (B)HEK293F細胞上の膜結合ヒト全長CD89(「ヒトEC1-CD89」、すなわち、
Figure 2023523919000005
)、膜結合キメラヒト/カニクイザルCD89ホットスポット(「ΔThr58、Gln59、ΔArg73、Arg74、Lys76、ΔHis106、Tyr107ヒトEC1-CD89」、すなわち、
Figure 2023523919000006
)、膜結合キメラヒト/カニクイザルCD89-I(「ΔGln22-Lys46ヒトEC1-CD89」、すなわち、
Figure 2023523919000007
)、膜結合キメラヒト/カニクイザルCD89-II(「ΔIle47-Ile71ヒトEC1-CD89」、すなわち、
Figure 2023523919000008
)、膜結合キメラヒト/カニクイザルCD89-III(「ΔGly72-Gly96ヒトEC1-CD89」、すなわち、
Figure 2023523919000009
)、膜結合キメラヒト/カニクイザルCD89-IV(「ΔArg97-Gly121ヒトEC1-CD89」、すなわち、
Figure 2023523919000010
)、及び膜結合キメラカニクイザル全長CD89(「カニクイザルEC1-CD89」、すなわち、
Figure 2023523919000011
)へのウサギ抗ヒトCD89ポリクローナル抗体及び非凝集又は熱凝集血清ヒトIgAの結合(n=1)。
(C)HEK293F細胞上の膜結合ヒト全長CD89(「ヒトEC1-CD89」)、膜結合キメラヒト/カニクイザルCD89ホットスポット(「ΔThr58、Gln59、ΔArg73、Arg74、Lys76、ΔHis106、Tyr107ヒトEC1-CD89」)、膜結合キメラヒト/カニクイザルCD89-I(「ΔGln22-Lys46ヒトEC1-CD89」)、膜結合キメラヒト/カニクイザルCD89-II(「ΔIle47-Ile71ヒトEC1-CD89」)、膜結合キメラヒト/カニクイザルCD89-III(「ΔGly72-Gly96ヒトEC1-CD89」)、膜結合キメラヒト/カニクイザルCD89-IV(「ΔArg97-Gly121ヒトEC1-CD89」)、及び膜結合キメラカニクイザル全長CD89(「カニクイザルEC1-CD89」)への精製されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体の結合(n=1)。灰色の破線は、バックグラウンド(すなわち、マウス抗ヒトCD89抗体の結合なし)を表す。 HEK293F細胞上のrhuCD89(A、ELISA)又は膜結合ヒトCD89(B、FACS)への精製されたCD89/IgA遮断キメラマウス/ヒト抗ヒトCD89抗体の結合の特徴。平均±SD(n=2)を示す。 HEK293F細胞上の膜結合ヒトCD89への非凝集(A)又は熱凝集(B)血清ヒトIgAの結合に対する、精製されたCD89/IgA遮断キメラマウス/ヒト抗ヒトCD89抗体の効果。HEK293F細胞上の膜結合ヒトCD89への分泌ヒトIgAの結合(C)に対する、精製されたCD89/IgA遮断キメラマウス/ヒト抗ヒトCD89抗体の効果。平均±SD(n=2)を示す。 HEK293F細胞上の膜結合ヒトCD89への非凝集(A)又は熱凝集(B)血清ヒトIgAの結合に対する、精製されたCD89/IgA遮断キメラマウス/ヒト抗ヒトCD89抗体の効果。HEK293F細胞上の膜結合ヒトCD89への分泌ヒトIgAの結合(C)に対する、精製されたCD89/IgA遮断キメラマウス/ヒト抗ヒトCD89抗体の効果。平均±SD(n=2)を示す。 HEK293F細胞上の膜結合ヒトCD89への非凝集(A)又は熱凝集(B)血清ヒトIgAの結合に対する、精製されたCD89/IgA遮断キメラマウス/ヒト抗ヒトCD89抗体の効果。HEK293F細胞上の膜結合ヒトCD89への分泌ヒトIgAの結合(C)に対する、精製されたCD89/IgA遮断キメラマウス/ヒト抗ヒトCD89抗体の効果。平均±SD(n=2)を示す。 エクスビボヒト好中性顆粒球上の膜結合ヒトCD89への精製されたCD89/IgA遮断キメラマウス/ヒト抗ヒトCD89抗体(10μg/mLで)の結合(3人の異なる健常なドナーからの平均±SD)。 ヒトCD89発現エクスビボ初代ヒト好中性顆粒球による血清ヒトIgAコーティングラテックスビーズのファゴサイトーシスに対する、精製されたCD89/IgA遮断キメラマウス/ヒト抗ヒトCD89抗体の効果。破線は、IgAコーティングビーズのみ(すなわち、抗体を添加しない)のファゴサイトーシスを表す。平均±SD(n=2)は、3人の異なる健常なドナー(1、2、及び3)から示される。 ヒトCD89発現エクスビボ初代ヒト好中性顆粒球による血清ヒトIgAコーティングラテックスビーズのファゴサイトーシスに対する、精製されたCD89/IgA遮断キメラマウス/ヒト抗ヒトCD89抗体の効果。破線は、IgAコーティングビーズのみ(すなわち、抗体を添加しない)のファゴサイトーシスを表す。平均±SD(n=2)は、3人の異なる健常なドナー(1、2、及び3)から示される。 ヒトCD89発現エクスビボ初代ヒト好中性顆粒球による血清ヒトIgAコーティングラテックスビーズのファゴサイトーシスに対する、精製されたCD89/IgA遮断キメラマウス/ヒト抗ヒトCD89抗体の効果。破線は、IgAコーティングビーズのみ(すなわち、抗体を添加しない)のファゴサイトーシスを表す。平均±SD(n=2)は、3人の異なる健常なドナー(1、2、及び3)から示される。 (A、平均±SD(n=3))ヒトCD89発現エクスビボ初代ヒト好中性顆粒球の血清ヒトIgAコーティングセファロースビーズ誘発性二次元遊走、及び(B、平均±SD(n=3))その細胞に対する対応する上清由来の走化性活性、及び(C、平均±SD(n=2)その細胞からの対応する上清由来の化学誘引性LTB4レベルに対する精製されたCD89/IgA遮断キメラマウス/ヒト抗ヒトCD89抗体(20μg/mLで)の効果。破線は、(A)二次元の顆粒球の遊走、(B)顆粒球の走化性、及び(C)IgAでコーティングセファロースビーズのみによって誘発された顆粒球のLTB4産生を表す(すなわち、抗体の添加なし)。データは、2(B)~3((A)及び(C))人の健常なドナー(1、2、及び3)から示される。 (A、平均±SD(n=3))ヒトCD89発現エクスビボ初代ヒト好中性顆粒球の血清ヒトIgAコーティングセファロースビーズ誘発性二次元遊走、及び(B、平均±SD(n=3))その細胞に対する対応する上清由来の走化性活性、及び(C、平均±SD(n=2)その細胞からの対応する上清由来の化学誘引性LTB4レベルに対する精製されたCD89/IgA遮断キメラマウス/ヒト抗ヒトCD89抗体(20μg/mLで)の効果。破線は、(A)二次元の顆粒球の遊走、(B)顆粒球の走化性、及び(C)IgAでコーティングセファロースビーズのみによって誘発された顆粒球のLTB4産生を表す(すなわち、抗体の添加なし)。データは、2(B)~3((A)及び(C))人の健常なドナー(1、2、及び3)から示される。 (A、平均±SD(n=3))ヒトCD89発現エクスビボ初代ヒト好中性顆粒球の血清ヒトIgAコーティングセファロースビーズ誘発性二次元遊走、及び(B、平均±SD(n=3))その細胞に対する対応する上清由来の走化性活性、及び(C、平均±SD(n=2)その細胞からの対応する上清由来の化学誘引性LTB4レベルに対する精製されたCD89/IgA遮断キメラマウス/ヒト抗ヒトCD89抗体(20μg/mLで)の効果。破線は、(A)二次元の顆粒球の遊走、(B)顆粒球の走化性、及び(C)IgAでコーティングセファロースビーズのみによって誘発された顆粒球のLTB4産生を表す(すなわち、抗体の添加なし)。データは、2(B)~3((A)及び(C))人の健常なドナー(1、2、及び3)から示される。 (A、平均±SD(n=3))ヒトCD89発現エクスビボ初代ヒト好中性顆粒球の血清ヒトIgAコーティングセファロースビーズ誘発性二次元遊走、及び(B、平均±SD(n=3))その細胞に対する対応する上清由来の走化性活性、及び(C、平均±SD(n=2)その細胞からの対応する上清由来の化学誘引性LTB4レベルに対する精製されたCD89/IgA遮断キメラマウス/ヒト抗ヒトCD89抗体(20μg/mLで)の効果。破線は、(A)二次元の顆粒球の遊走、(B)顆粒球の走化性、及び(C)IgAでコーティングセファロースビーズのみによって誘発された顆粒球のLTB4産生を表す(すなわち、抗体の添加なし)。データは、2(B)~3((A)及び(C))人の健常なドナー(1、2、及び3)から示される。 (A、平均±SD(n=3))ヒトCD89発現エクスビボ初代ヒト好中性顆粒球の血清ヒトIgAコーティングセファロースビーズ誘発性二次元遊走、及び(B、平均±SD(n=3))その細胞に対する対応する上清由来の走化性活性、及び(C、平均±SD(n=2)その細胞からの対応する上清由来の化学誘引性LTB4レベルに対する精製されたCD89/IgA遮断キメラマウス/ヒト抗ヒトCD89抗体(20μg/mLで)の効果。破線は、(A)二次元の顆粒球の遊走、(B)顆粒球の走化性、及び(C)IgAでコーティングセファロースビーズのみによって誘発された顆粒球のLTB4産生を表す(すなわち、抗体の添加なし)。データは、2(B)~3((A)及び(C))人の健常なドナー(1、2、及び3)から示される。 (A、平均±SD(n=3))ヒトCD89発現エクスビボ初代ヒト好中性顆粒球の血清ヒトIgAコーティングセファロースビーズ誘発性二次元遊走、及び(B、平均±SD(n=3))その細胞に対する対応する上清由来の走化性活性、及び(C、平均±SD(n=2)その細胞からの対応する上清由来の化学誘引性LTB4レベルに対する精製されたCD89/IgA遮断キメラマウス/ヒト抗ヒトCD89抗体(20μg/mLで)の効果。破線は、(A)二次元の顆粒球の遊走、(B)顆粒球の走化性、及び(C)IgAでコーティングセファロースビーズのみによって誘発された顆粒球のLTB4産生を表す(すなわち、抗体の添加なし)。データは、2(B)~3((A)及び(C))人の健常なドナー(1、2、及び3)から示される。 (A、平均±SD(n=3))ヒトCD89発現エクスビボ初代ヒト好中性顆粒球の血清ヒトIgAコーティングセファロースビーズ誘発性二次元遊走、及び(B、平均±SD(n=3))その細胞に対する対応する上清由来の走化性活性、及び(C、平均±SD(n=2)その細胞からの対応する上清由来の化学誘引性LTB4レベルに対する精製されたCD89/IgA遮断キメラマウス/ヒト抗ヒトCD89抗体(20μg/mLで)の効果。破線は、(A)二次元の顆粒球の遊走、(B)顆粒球の走化性、及び(C)IgAでコーティングセファロースビーズのみによって誘発された顆粒球のLTB4産生を表す(すなわち、抗体の添加なし)。データは、2(B)~3((A)及び(C))人の健常なドナー(1、2、及び3)から示される。 (A、平均±SD(n=3))ヒトCD89発現エクスビボ初代ヒト好中性顆粒球の血清ヒトIgAコーティングセファロースビーズ誘発性二次元遊走、及び(B、平均±SD(n=3))その細胞に対する対応する上清由来の走化性活性、及び(C、平均±SD(n=2)その細胞からの対応する上清由来の化学誘引性LTB4レベルに対する精製されたCD89/IgA遮断キメラマウス/ヒト抗ヒトCD89抗体(20μg/mLで)の効果。破線は、(A)二次元の顆粒球の遊走、(B)顆粒球の走化性、及び(C)IgAでコーティングセファロースビーズのみによって誘発された顆粒球のLTB4産生を表す(すなわち、抗体の添加なし)。データは、2(B)~3((A)及び(C))人の健常なドナー(1、2、及び3)から示される。 ヒトCD89発現エクスビボ初代ヒト好中性顆粒球からの血清ヒトIgA媒介性ラクトフェリン産生(脱顆粒マーカー)に対する、精製されたCD89/IgA遮断キメラマウス/ヒト抗ヒトCD89抗体の効果。破線は、IgAコーティングプレートのみによって(すなわち、抗体を添加しない)誘発されたラクトフェリン産生を表す。平均±SD(n=2)は、2人の健常なドナー(1及び2)から示される。 ヒトCD89発現エクスビボ初代ヒト好中性顆粒球からの血清ヒトIgA媒介性ラクトフェリン産生(脱顆粒マーカー)に対する、精製されたCD89/IgA遮断キメラマウス/ヒト抗ヒトCD89抗体の効果。破線は、IgAコーティングプレートのみによって(すなわち、抗体を添加しない)誘発されたラクトフェリン産生を表す。平均±SD(n=2)は、2人の健常なドナー(1及び2)から示される。 ヒトCD89発現HEK293F細胞のブダペスト条約寄託物は、アクセッション番号:DSM ACC3341及び識別参照:293F CD89クローン2である。寄託形式:(A)元の寄託の場合の受理証(B)生存性状態。 ヒトCD89発現HEK293F細胞のブダペスト条約寄託物は、アクセッション番号:DSM ACC3341及び識別参照:293F CD89クローン2である。寄託形式:(A)元の寄託の場合の受理証(B)生存性状態。 ヒトCD89発現エクスビボ初代ヒト好中性顆粒球による血清ヒトIgAコーティングラテックスビーズ誘発性NET放出に対する精製されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体の効果。破線は、IgAコーティングビーズのみによって誘発された(すなわち、抗体を添加しない)NET放出を表す。平均±SD(n=3)は、8人の異なる健常なドナー(1~8)から示される。 プライミングされていない及びLPSプライミングされた膜結合ヒトCD89発現エクスビボ初代ヒト好中性顆粒球における細胞死(ヨウ化プロピジウム(PI)のパーセンテージ)の誘発に対する、精製されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体の効果。平均±SD(n=1又は2)は、3人の健常なドナー(1、2、及び3)から示される。 HEK293F細胞上のrhuCD89(A、ELISA)及び膜結合ヒトCD89(B、FACS)への、CD89/IgA遮断ヒト化抗ヒトCD89抗体10E7(すなわち、ヒト定常IgG4/κ領域を組み合わせたCD89/IgA遮断マウス抗ヒト抗体10E7のVH及びVL領域に由来するヒト化VH1、2、3及びVL1、2、3、4バージョン)の(上清)の結合の特徴。CD89/IgA遮断キメラ抗ヒトCD89抗体10E7(すなわち、キマーIgG4/κ)を参照として使用した。平均±SD(n=2)を示す。 HEK293F細胞上のrhuCD89(A、ELISA)及び膜結合ヒトCD89(B、FACS)への精製されたCD89/IgA遮断「CDR2脱アミド修復」(すなわち、VH3SQVL3 10E7及びVH3STVL3 10E7)ヒト化抗ヒトCD89抗体10E7バージョンVH3SQVL3及びVH3STVL3(すなわち、ヒト定常IgG4κ領域を組み合わせたCD89/IgA遮断マウス抗ヒト抗体10E7のVH及びVL領域に由来するヒト化VH3及びVL3バージョン)の結合の特徴。CD89/IgA遮断キメラ抗ヒトCD89抗体10E7(すなわち、キマーIgG4/κ 10E7)を参照として使用した。平均±SD(n=2)を示す。 HEK293F細胞上の膜結合ヒトCD89への血清ヒトIgA(A)及び分泌ヒトIgA(B)の結合に対する、精製されたCD89/IgA遮断「CDR2脱アミド修復」(すなわち、VH3SQVL3 10E7及びVH3STVL3 10E7)ヒト化抗ヒトCD89抗体10E7バージョンVH3SQVL3及びVH3STVL3(すなわち、ヒト定常IgG4κ領域を組み合わせたCD89/IgA遮断マウス抗ヒト抗体10E7のVH及びVL領域に由来するヒト化VH3及びVL3バージョン)の効果。CD89/IgA遮断キメラ抗ヒトCD89抗体10E7(すなわち、キマーIgG4/κ 10E7)を参照として使用した。平均±SD(n=2)を示す。 エクスビボヒト好中性顆粒球上の膜結合ヒトCD89への精製されたCD89/IgA遮断「CDR2脱アミド修復」ヒト化IgG4/カッパ抗ヒトCD89モノクローナル抗体10E7バージョンVH3SQVL3及びVH3STVL3(10μg/mLで)の結合(3人の異なる健常なドナーからの平均±SD)。 膜結合ヒトCD89発現エクスビボ初代ヒト好中性顆粒球による血清ヒトIgAコーティングラテックスビーズのファゴサイトーシスに対する、精製されたCD89/IgA遮断「CDR2脱アミド修復」ヒト化IgG4/カッパ抗ヒトCD89モノクローナル抗体10E7バージョンVH3SQVL3及びVH3STVL3の効果。破線は、IgAコーティングビーズのみ(すなわち、抗体を添加しない)のファゴサイトーシスを表す。平均±SD(n=2)は、3人の異なる健常なドナー(1、2、及び3)から示される。 膜結合ヒトCD89発現エクスビボ初代ヒト好中性顆粒球による血清ヒトIgAコーティングラテックスビーズのファゴサイトーシスに対する、精製されたCD89/IgA遮断「CDR2脱アミド修復」ヒト化IgG4/カッパ抗ヒトCD89モノクローナル抗体10E7バージョンVH3SQVL3及びVH3STVL3の効果。破線は、IgAコーティングビーズのみ(すなわち、抗体を添加しない)のファゴサイトーシスを表す。平均±SD(n=2)は、3人の異なる健常なドナー(1、2、及び3)から示される。 膜結合ヒトCD89発現エクスビボ初代ヒト好中性顆粒球による血清ヒトIgAコーティングラテックスビーズのファゴサイトーシスに対する、精製されたCD89/IgA遮断「CDR2脱アミド修復」ヒト化IgG4/カッパ抗ヒトCD89モノクローナル抗体10E7バージョンVH3SQVL3及びVH3STVL3の効果。破線は、IgAコーティングビーズのみ(すなわち、抗体を添加しない)のファゴサイトーシスを表す。平均±SD(n=2)は、3人の異なる健常なドナー(1、2、及び3)から示される。 膜結合ヒトCD89発現エクスビボ初代ヒト好中性顆粒球からの血清ヒトIgA媒介性ラクトフェリン産生(脱顆粒マーカー)に対する、精製されたCD89/IgA遮断「CDR2脱アミド修復」ヒト化IgG4/カッパ抗ヒトCD89モノクローナル抗体10E7バージョンVH3SQVL3及びVH3STVL3の効果。破線は、IgAコーティングプレートのみによって(すなわち、抗体を添加しない)誘発されたラクトフェリン産生を表す。平均±SD(n=2)は、5人の健常なドナー(1~5)から示される。 膜結合ヒトCD89発現エクスビボ初代ヒト好中性顆粒球からの血清ヒトIgA媒介性ラクトフェリン産生(脱顆粒マーカー)に対する、精製されたCD89/IgA遮断「CDR2脱アミド修復」ヒト化IgG4/カッパ抗ヒトCD89モノクローナル抗体10E7バージョンVH3SQVL3及びVH3STVL3の効果。破線は、IgAコーティングプレートのみによって(すなわち、抗体を添加しない)誘発されたラクトフェリン産生を表す。平均±SD(n=2)は、5人の健常なドナー(1~5)から示される。 膜結合ヒトCD89発現エクスビボ初代ヒト好中性顆粒球からの血清ヒトIgA媒介性ラクトフェリン産生(脱顆粒マーカー)に対する、精製されたCD89/IgA遮断「CDR2脱アミド修復」ヒト化IgG4/カッパ抗ヒトCD89モノクローナル抗体10E7バージョンVH3SQVL3及びVH3STVL3の効果。破線は、IgAコーティングプレートのみによって(すなわち、抗体を添加しない)誘発されたラクトフェリン産生を表す。平均±SD(n=2)は、5人の健常なドナー(1~5)から示される。 膜結合ヒトCD89発現エクスビボ初代ヒト好中性顆粒球からの血清ヒトIgA媒介性ラクトフェリン産生(脱顆粒マーカー)に対する、精製されたCD89/IgA遮断「CDR2脱アミド修復」ヒト化IgG4/カッパ抗ヒトCD89モノクローナル抗体10E7バージョンVH3SQVL3及びVH3STVL3の効果。破線は、IgAコーティングプレートのみによって(すなわち、抗体を添加しない)誘発されたラクトフェリン産生を表す。平均±SD(n=2)は、5人の健常なドナー(1~5)から示される。 膜結合ヒトCD89発現エクスビボ初代ヒト好中性顆粒球からの血清ヒトIgA媒介性ラクトフェリン産生(脱顆粒マーカー)に対する、精製されたCD89/IgA遮断「CDR2脱アミド修復」ヒト化IgG4/カッパ抗ヒトCD89モノクローナル抗体10E7バージョンVH3SQVL3及びVH3STVL3の効果。破線は、IgAコーティングプレートのみによって(すなわち、抗体を添加しない)誘発されたラクトフェリン産生を表す。平均±SD(n=2)は、5人の健常なドナー(1~5)から示される。 (A)インビボLABDマウスモデルの実験設定及びCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体10E7での治療レジメン。 (B)注射部位での抗マウスコラーゲンXVIIヒトIgA抗体誘発性ヒトCD89発現マウス好中性顆粒球の流入に対する精製されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体10E7のインビボ効果。平均±SDを示す。黒色の円及び黒色の四角は、それぞれ、各個々のマウスの左耳におけるPBS注射及び右耳における抗マウスコラーゲンXVIIヒトIgA注射を表す。*P<0.05(両側対応なしのスチューデントのt検定)、ns=有意ではない。
本開示は、ヒトCD89発現細胞上のヒトCD89の細胞外部分(ヒトFcαRI)に結合し得る抗体を記載する。本明細書に記載の抗体は、抗体が当該細胞に結合されるとき、ヒトIgAのヒトCD89への結合を防止するのに有用である。CD89受容体に結合し得るいくつかの抗体が生成されている。CD89のEC1ドメインに結合するモノクローナル抗体は、IgA結合を遮断することができるが、EC2ドメインに結合する抗体は、IgAが受容体に結合することを防止しないと考えられる。CD89上のIgA結合部位を特異的に干渉する抗体は当該技術分野において既知である。例えば、Morton et al.,J.Exp.Med.1999 Jun 7;189(11):1715-22及びShen L.A.,J Leukoc Biol.1992 Apr;51(4):373-8に記載されるMIP8a、2D11又はMY43。MIP8aは、ヒトCD89に結合し、マウスIgG1定常領域を有するマウスモノクローナル抗体である。CD89に結合し得る抗体、例えば、MIP8aは、好中球死を誘発し得る(Wehrli et al.,J Immunol.2014 Dec 1;193(11):5649-59)。
一態様では、本発明は、新たなヒト化抗体を提供し、その抗体は、ヒトCD89発現細胞上のヒトCD89の細胞外部分(ヒトFcαRI)に結合し得、かつ、抗体が細胞に結合されるとき、ヒトIgAのヒトCD89への結合を防止し得る。
一態様では、本発明は、新たな抗体を提供し、その抗体は、ヒトCD89発現細胞上のヒトCD89の細胞外部分(ヒトFcαRI)に結合し得、かつ、抗体が細胞に結合されるとき、ヒトIgAのヒトCD89への結合を防止し得、かつ、抗体MIP8aと比較してヒトCD89発現細胞への細胞死の誘発がより少ない。
「抗体」という用語は、典型的には、2つの同一のポリペプチド鎖対からなる免疫グロブリン分子を指し、各対は、1つの「重」(H)鎖、及び1つの「軽」(L)鎖を有する。ヒト軽鎖は、カッパ(κ)及びラムダ(λ)として分類される。重鎖は、ミュー、デルタ、ガンマ、アルファ、又はイプシロンとして分類され、抗体のアイソタイプは、それぞれ、IgM、IgD、IgG、IgA、及びIgEとして定義される。各重鎖は、重鎖可変領域(本明細書ではHCVR又はVHと略される)及び重鎖定常領域からなる。IgD、IgG、及びIgAの重鎖定常領域は、3つのドメイン、CH1、CH2、及びCH3からなり、IgM及びIgEの重鎖定常領域は、4つのドメイン、CH1、CH2、CH3、及びCH4からなる。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書ではLCVR又はVLと略される)及び軽鎖定常領域からなる。軽鎖定常領域は、1つのドメイン、CLからなる。抗体の定常領域は、免疫系の様々な細胞(例えば、エフェクター細胞)を含む宿主組織又は因子への免疫グロブリンの結合を媒介し得る。VH及びVL領域は、相補性決定領域(CDR)と称される超可変領域へと更に細分することができ、フレームワーク領域(FR)と称される、より保存された領域が点在する。各VH及びVLは、アミノ末端からカルボキシ末端へと以下の順序で配置された3つのCDR及び4つのFRからなる:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4。軽鎖及び重鎖の可変領域は、一緒に抗体結合部位を形成し、エピトープに対する特異性を定義する。抗体における領域又はドメインにアミノ酸を割り当てるための様々な方法が当該技術分野で既知である。周知の方法としては、Kabat法及びChothia法が挙げられる(Kabat Sequences of Proteins of Immunological Interest(National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1987 and 1991)、Chothia et al.Conformations of immunoglobulin hypervariable regions in Nature 1989;342(6252):877-83)。本開示の各領域又はドメインへのアミノ酸の割り当ては、Kabatの定義に従う。
「抗体」という用語は、マウス抗体、ヒト化抗体、脱免疫化抗体、ヒト抗体及びキメラ抗体、並びに単量体抗体の二量体、三量体、又はより高次の多量体などの抗体の多量体形態である抗体を包含する。抗体はまた、単一特異性、二重特異性又は多重特異性抗体、及び必要な特異性の抗原認識部位を含む免疫グロブリン分子の任意の他の修飾された構成を包含する。また、非抗体部分に連結又は取り付けられている抗体も包含する。更に、「抗体」という用語は、抗体を産生する任意の特定の方法によって限定されない。例えば、モノクローナル抗体、組換え抗体、及びポリクローナル抗体を含む。本発明は、本明細書に記載の抗体を提供する。更に、本発明は、本明細書で開示の抗体の一部、誘導体、及び/又は類似体を提供する。部分、誘導体及び/又は類似体は、必ずしも量ではなく、同種のもので抗体の抗原結合特性を保持する。部分及び/又は誘導体の非限定的な例としては、抗原結合部分であり、典型的には抗体の1つ以上の可変ドメインを含有する抗体の一部が挙げられる。非限定的な例は、様々なFab断片である。部分はまた、いわゆる単一ドメイン抗体断片であり得る。単一ドメイン抗体断片(sdAb、開発者であるAblynxによってナノボディと呼ばれる)は、単一モノマー可変抗体ドメインを有する抗体断片である。抗体全体と同様に、特異的抗原に選択的に結合することができる。12~15kDaの分子量しかない単一ドメイン抗体断片は、2つの重タンパク質鎖及び2つの軽鎖からなる一般的な抗体(150~160kDa)よりもはるかに小さく、Fab断片(約50kDa、1つの軽鎖及び半分の重鎖)及び一本鎖可変断片(約25kDa、1つの軽鎖及び1つの重鎖である2つの可変領域)よりも更に小さい。単一ドメイン抗体自体は、通常の抗体よりもはるかに小さくはない(典型的には90~100kDaである)。単一ドメイン抗体断片は、主にラクダ科に見られる重鎖抗体から操作され、これらはVHH断片(Nanobodies(登録商標))と呼ばれる。一部の魚類はまた、重鎖のみの抗体(IgNAR、「免疫グロブリン新抗原受容体」)を有し、VNAR断片と呼ばれる単一ドメイン抗体断片を得ることができる。代替アプローチは、ヒト又はマウス由来の一般的な免疫グロブリンG(IgG)由来の二量体可変ドメインをモノマーに分割することである。単一ドメイン抗体の研究のほとんどは現在、重鎖可変ドメインに基づいているが、軽鎖に由来するナノボディが標的エピトープに特異的に結合することも示されている。抗体部分の非限定的な例は、抗体又はその等価物の重鎖及び/又は軽鎖の可変ドメインを含有する。そのような部分の非限定的な例は、VHH、ヒトドメイン抗体(dAb)及びユニボディである。好ましい抗体部分又は誘導体は、少なくとも本明細書に記載の抗体の重鎖及び軽鎖の可変ドメインを有する。誘導体又は部分である非限定的な例は、F(ab)断片及び単鎖Fv断片である。二重特異性抗体の機能部分は、二重特異性抗体の抗原結合部分、又は結合部分の誘導体及び/若しくは類似体を含む。
「単鎖抗体」(scFv)は、VHドメインに連結されたVLドメインを含む単一のポリペプチド鎖を有し、VLドメイン及びVHドメインは、一価分子を形成するように対形成される。単鎖抗体は、当該技術分野において既知の方法に従って調製され得る(例えば、Bird et al.,(1988)Science 242:423-426及びHuston et al.,(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:5879-5883を参照されたい)。「ダイアボディ」は、2つの鎖を有し、各鎖は、短いペプチドリンカーによって接続された同じポリペプチド鎖上の軽鎖可変領域に接続された重鎖可変領域を含み、同じ鎖上の2つの領域は、互いに対形成しないが、他方の鎖上の相補ドメインと対形成して二重特異性分子を形成する。ダイアボディの調製方法は、当該技術分野において既知である(例えば、Holliger P.et al.,(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6444-6448、及びPoljak R.J.et al.,(1994)Structure 2:1121-1123を参照されたい)。ドメイン抗体(dAb)は、抗体の重鎖又は軽鎖のいずれかの可変領域に対応する、抗体の小さい機能的結合単位である。ドメイン抗体は、細菌、酵母、及び哺乳動物細胞系において良好に発現される。ドメイン抗体の更なる詳細及びその産生方法は、当該技術分野で既知である(例えば、米国特許第6,291,158号、同第6,582,915号、同第6,593,081号、WO04/003019及びWO03/002609を参照されたい)。ナノボディは、抗体の重鎖に由来する。ナノボディは、典型的には、単一の可変ドメイン及び2つの定常ドメイン(CH2及びCH3)を含み、元の抗体の抗原結合能力を保持する。ナノボディは、当該技術分野で既知の方法によって調製され得る(例えば、米国特許第6,765,087号、米国特許第6,838,254号、WO06/079372を参照されたい)。ユニボディは、IgG4抗体の1つの軽鎖及び1つの重鎖を有する。ユニボディは、IgG4抗体のヒンジ領域を除去することによって作製され得る。ユニボディの更なる詳細及びそれらの調製方法は、WO2007/059782に見出され得る。
抗体に対する類似体のリストは毎年増加している。可変ドメインの配列及び多くの異なる抗体の3D構造に関する現在の広範な知識により、当業者は、本発明の抗体を、1つ又は他の抗体類似体、部分又は誘導体に変換することができる。
結合分子に加えて、本発明の分子は、ポリエチレングリコール(PEG)、ヒト血清アルブミン、グリコシル化基、脂肪酸及びデキストランなどの、分子のインビボ半減期を増加させるための部分を更に含み得る。かかる更なる部分は、当該技術分野で周知の方法を使用して結合部分とコンジュゲートされてもよく、又はそうでなければ結合部分と組み合わされてもよい。
本明細書に記載の抗体の可変ドメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)も提供される。CARは、新しい特異性(典型的には、抗体の抗原結合部分又はその誘導体)と、標的細胞に対する免疫細胞とを組み合わせる、操作された受容体である。受容体は、異なる供給源(1つ以上のキメラ抗原受容体を発現するように遺伝子改変されたTリンパ球(CAR、例えば、Eshhar、米国特許第7,741,465号、Eshhar、米国特許出願公開第2012/0093842号を参照されたい)由来の部分の融合であるため、キメラと呼ばれる。いくつかの実施形態では、本明細書で開示の抗体は、活性化合物、例えば、毒素にカップリングされ得る。更に、開示の抗体又は抗原結合断片は、標識、例えば、蛍光タンパク質、化学標識、有機色素、着色粒子又は酵素にカップリングされ得る。本明細書で開示の抗体は、薬物にカップリングされて、抗体-薬物コンジュゲート(ADC)を形成し得る。本発明は、抗体類似体、抗体部分、及び抗体誘導体の分子が他の分子にカップリング又は組み込まれる場合も、抗体類似体、抗体部分、及び抗体誘導体を提供する。
いくつかの実施形態では、本明細書で開示の抗体は、キメラ抗体である。「キメラ抗体」という用語は、ヒト及びマウスなどの2つの異なる種に由来するアミノ酸配列、典型的には、マウス可変領域(重鎖及び軽鎖由来)及びヒト定常領域(重鎖及び軽鎖)の組み合わせを含む抗体を指す。かかるキメラ抗体を生成する非限定的な例は、実施例(実施例6)に記載される。このキメラ抗体において、マウスIgG1/カッパ定常領域は、ヒトIgG/カッパ定常ドメインと交換される。
好ましい実施形態では、本明細書で開示の抗体は、ヒト化抗体である。「ヒト化抗体」という用語は、非ヒト動物抗体からのCDRの一部又は全てを含有し、一方で抗体のフレームワーク及び定常領域がヒト抗体配列に由来するアミノ酸残基を含有する抗体を指す。ヒト化抗体は、典型的には、マウス抗体由来のCDRをヒトフレームワーク配列に移植し、続いて、供給源抗体由来の対応するマウス残基に対する特定のヒトフレームワーク残基の逆置換によって産生される。ヒト化抗体はまた、非ヒト起源の抗体のアミノ酸配列及びプロテインデザインラボ(PDL)技術(米国特許第569376号、米国特許第5693671号、米国特許第5585089号)を使用してインシリコで生成され得る。ヒト化抗体の利点は、マウスの対応物と比較してインビボ耐容性が増加することである。
「脱免疫化抗体」という用語はまた、典型的には、1つ以上の可変領域において、免疫原性を低減させる目的で、ヒトT細胞及び/又はB細胞エピトープを構成する高い傾向を有する1つ以上のエピトープが除去されている非ヒト起源の抗体を指す。エピトープのアミノ酸配列は、完全に又は部分的に除去され得る。しかしながら、典型的には、アミノ酸配列は、エピトープを構成するアミノ酸のうちの1つ以上を1つ以上の他のアミノ酸に置換することによって改変され、それによってアミノ酸配列をヒトT細胞及び/又はB細胞エピトープを構成しない配列に変化させる。アミノ酸は、場合によっては、対応するヒト可変重鎖又は可変軽鎖における対応する位置に存在するアミノ酸によって置換される。
好ましい実施形態では、本明細書で開示の抗CD89抗体は、ヒト化されている。
本明細書では、「脱アミド修復された」アミノ酸配列に言及する場合、脱アミド化が起こりやすいアミノ酸が、脱アミド化が起こりにくいか、又は脱アミノ化が起こりやすくないアミノ酸に置き換えられるアミノ酸配列を指すように意図される。脱アミド化は、アミノ酸のアスパラギン又はグルタミンの側鎖中のアミド官能基が除去されるか、又は別の官能基に変換される化学反応である。典型的には、アスパラギン(Asn)は、アスパラギン酸又はイソアスパラギン酸に変換される。グルタミン(Gln)は、グルタミン酸又はピログルタミン酸に変換される可能性がある。Asn-Gly部位は最も脱アミド化が起こりやすく、アスパラギンはグルタミンと比較して容易に脱アミド化される。アスパラギン及び/又はグルタミンの脱アミド化は、抗体の構造、並びにその安定性及び/又は機能を変化させ得る。抗体では、この反応は、抗体構造、安定性又は機能(すなわち、抗体-抗原結合)を変化させる可能性があり、抗体分解をもたらせる可能性があるので、望ましくない。脱アミド化が起こりやすい抗体可変領域におけるアミノ酸を予測することができる(Sydow et al.PLoS ONE 2014; 9(6):e100736)。したがって、脱アミド化のリスクがある残基が同定され、次いで、これらの部位は、脱アミド化が起こりやすいアミノ酸を、脱アミド化が起りにくいアミノ酸で置き換えることによって修復され得る。
好ましい実施形態では、本明細書で開示のヒト化抗CD89抗体は、脱アミド修復されている。好ましい一実施形態では、脱アミド化が起こりやすいアスパラギンは、セリン(S)、トレオニン(T)、又はグルタミン(Q)アミノ酸で置き換えられる。
いくつかの実施形態では、本明細書で開示の抗体は、ヒト抗体である。「ヒト抗体」という用語は、ヒト免疫グロブリン配列のみのアミノ酸配列からなる抗体を指す。ヒト抗体は、マウス、マウス細胞、又はマウス細胞に由来するハイブリドーマにおいて産生される場合、マウスの炭水化物鎖を含有してもよい。ヒト抗体は、当該技術分野で既知の様々な方式で調製され得る。キメラ、ヒト化、脱免疫化、及びヒト抗体は、本発明の範囲内である。
ヒトCD89に結合し得る抗体は、通常、抗体結合に使用される条件下で受容体に結合する。抗体及びヒトCD89受容体を、抗体結合に好適な条件下で互いに接触させる場合、抗体はヒトCD89受容体に結合する。抗体は、番号DSM ACC3341で寄託されたHEK293F細胞上に発現した膜結合ヒトCD89に結合するが、一方で抗体は、細胞膜上にヒトCD89を発現しないHEK293F細胞に顕著に結合しない。ヒトCD89発現細胞への抗体の結合は、当業者に既知の方法によって検出され得る。例えば、蛍光標識を担持する二次抗体を使用することにより、フローサイトメトリー(FACS)を使用して標識された細胞を測定する。
CD89は、IgAに結合し得るFc受容体である。その受容体は、FcαRIとしても知られている。ヒトCD89は、ヒトIgA1及びヒトIgA2の重鎖定常領域に結合することができる。CD89は、グリコシル化膜貫通受容体であり、2つの細胞外ドメイン、EC1及びEC2、膜貫通ドメイン、及び細胞内ドメインを有する。IgAとCD89との相互作用は、EC1細胞外ドメインによって媒介される。参照配列については、NP_001991.1(免疫グロブリンαFc受容体アイソフォーム前駆体)を参照する。参照は、ヒトCD89遺伝子/タンパク質を同定するためだけに行われる。本明細書に記載のヒトCD89をデータベースエントリの特定の配列に限定することを意図するものではない。IgAに結合し得、本明細書に記載の抗体に結合し得るヒトCD89の天然バリアントは、本発明の範囲内である。組換えヒトCD89はまた、IgAに結合することができ、かつ本明細書に記載される抗体に結合することができる場合、本発明の範囲内でもある。
CD89は、好中球、好酸球、並びにほとんどの単球及びマクロファージを含む骨髄系細胞の細胞表面上に存在する。受容体は、肥満細胞及び腸マクロファージ上には現れない。CD89の発現は、構成的であり、IgAリガンドの存在に依存しないことが見出されている。「ヒトCD89発現細胞」という用語は、ヒトCD89を発現する細胞を指す。例示的な細胞は、好中球、好酸球、単球、及び/又はマクロファージである。
細胞上のCD89受容体の架橋は、IgA抗体、IgA免疫複合体、又は抗CD89抗体の結合によって達成され得る。IgAの結合は、正及び負の効果を有し得る免疫応答を引き起こし得る。
「細胞外」という用語は、文字通り、細胞の外側を意味する。「細胞外部分」という用語は、細胞膜の外側にある分子の部分を指す。分子のこの部分は、細胞の外側の他の分子との相互作用に利用可能であり得る。ヒトCD89受容体は、2つの細胞外ドメイン、すなわち、EC1及びEC2を有する。これらのドメインは、細胞の外側の分子、例えば、IgA抗体と相互作用し得る。IgAは、ヒトCD89受容体のEC1ドメインに結合することが知られている。
ヒトCD89発現細胞は、ヒトCD89分子を発現する細胞である。好ましくは、分子は、細胞の細胞膜上に存在する。ヒトCD89を発現する細胞の例は、好中球、好酸球、単球、及び/又はマクロファージであるが、これらに限定されない。更に、細胞膜上にヒトCD89を発現する修飾HEK293F細胞株を番号:DSM ACC3341で寄託している。
「結合を防止すること」という用語は、IgAがヒトCD89受容体と相互作用するのを防止する本明細書で開示の抗体又はその抗原結合断片の能力を指す。抗CD89抗体又はその抗体断片がヒトCD89受容体に結合している場合、IgAはもはやヒトCD89受容体に結合することができない。好ましくは、本明細書で開示の抗CD89抗体の結合は、ヒトCD89受容体へのIgAの結合の能力を、少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、又は少なくとも90%、遮断又は低減させる。IgAのCD89への結合の防止又は遮断又は低減は、好ましくは、実施例に記載の方法で測定される。好ましくは、CD89発現細胞を使用する。好ましくは、当該細胞は、ヒトCD89を安定に発現している。目的の抗体は、CD89発現細胞に対して滴定される。続いて、細胞をIgAとともにインキュベーションする。洗浄後、細胞に結合したIgAをIgAに対する標識抗体、好ましくは蛍光標識抗体を使用して検出した。ヒトCD89発現細胞の膜上のIgAの結合を、フローサイトメーター(FACS)を使用して測定することができる。結合したIgAの量は、滴定された抗体の遮断能力を示す。特定の抗体濃度でIgAの結合が少ないことは、抗体の強力な遮断能力を示す。好ましい方法が、結果が図4a及び図4bに示されている実施例において記載されている。ヒトCD89コーティングウェル上又はヒトCD89発現HEK293F細胞上で試験抗体を滴定することが好ましい。次いで、遮断容量は、滴定曲線をMIP8aなどの陽性対照で得られた曲線と比較することによって容易に決定される。遮断パーセンテージは、通常、その他は同一の条件下でのMIP8aの遮断と比較した場合、パーセンテージとして与えられる。試験抗体及び対照抗体MIP8aの結合の割合の比較は、試験抗体がその遮断能の少なくとも90%に調度達する抗体の濃度で行うのが好ましい。図4bでは、これは、おおよそ1ug/mlの抗体濃度である。この実施例では、抗体8F3の遮断パーセンテージは、約((800-200)/800)×100=約75%であると算出される。抗体16D6の遮断パーセンテージは、約((800-450)/800)×100=約45%であると算出される。CD89に結合しない対照IgG1は、典型的には、IgAのCD89への結合を防止しない。
免疫グロブリンAは、とりわけ血液中及び漿液粘膜分泌物中に見られる抗体アイソタイプである。ヒトIgAは、2つのサブクラス、すなわち、IgA1及びIgA2を有し、単量体及び二量体形態で産生され得る。二量体形態は、最も一般的な形態である。二量体IgAの分泌形態は、分泌IgAとも称される。IgAの分泌形態は、FcαRIへの結合において部分的に立体的に妨げられる。これは、sIgAのFcαRI結合部位のいくつかが、腸内腔へのsIgAの分泌を補助する切断された重合体Ig受容体(切断後に分泌構成要素と呼ばれる)の切片によって不明瞭であるためである。重合体受容体に結合する前に、二量体IgA(dIgA)は単量体IgAとほぼ同じ親和性でFcαRIに結合する。「熱凝集IgA」という用語は、IgAを加熱することによって形成されるIgAの複合体を指す。これらの凝集体は、免疫複合体、例えば、循環免疫複合体を模倣することができる。熱凝集IgA複合体は、当業者に既知の任意の方法によって産生され得る。
「細胞死」という用語は、生体細胞がその機能を遂行しなくなる事象を指す。細胞死は、様々な原因、例えば、アポトーシス、プログラム細胞死、有糸分裂災害、虚血性細胞死及び/又は免疫原性細胞死から生じ得る。「細胞生存性」という用語は、代謝、成長、複製、何らかの形態の応答性、及び適応性などの特定の機能を実施する細胞の能力に関する。細胞死及び細胞生存性は、当業者に既知の多数の好適なアッセイ、例えば、MultiTox-Glo又はMultiTox-Fluor多重細胞傷害性アッセイ(Promega、Madison,Wisconsin)、又は生死細胞アッセイ(Abcam、Cambridge,Massachusetts)によって評価され得る。色素排除法は、死細胞を決定するための手段として頻繁に使用される。トリパンブルーなどの色素は、生細胞の膜を容易に通過しないが、細胞膜の完全性を維持することができない死細胞には入る。細胞の生存性を決定するための好適な方法は、実施例のセクションに記載される。
CD89上のIgA結合部位を特異的に干渉する抗体は当該技術分野において既知である。例えば、Morton et al.,J.Exp.Med.1999 Jun 7;189(11):1715-22及びShen L.A.,J Leukoc Biol.1992 Apr;51(4):373-8に記載されるMIP8a、2D11又はMY43。MIP8aは、ヒトCD89に結合し、マウスIgG1定常領域を有するマウスモノクローナル抗体である。MIP8aは、Wehrli et al.,J Immunol.2014 Dec 1;193(11):5649-59に記載されているように、好中球の死を誘発することが示されている。
一態様では、本開示は、ヒトCD89の細胞外部分に結合することができるヒト化抗ヒトCD89抗体であって、アミノ酸配列:
EVQLLESGGG LVQPGGSLRL SCAASGLTFS SYGMSWVRQA PGKGLEXVXTIXGXGDITYY PDSVKGRFTI SRDNSKNTLY LQMNSLRAED TAVYYCARDY DYDYAMDYWG QGTLVTVSS
を含む、重鎖可変領域であって、式中、
が、L又はWであり
が、A又はSであり
が、N、Sであり
が、Q、T、又はNであり、
当該重鎖可変領域が、X、X、X、及びX以外の位置に、指示されたアミノ酸配列に関して、好ましくは0~3個、好ましくは0~2個、好ましくは0~1個及び好ましくは0個のアミノ酸バリエーション、挿入、欠失、置換、付加、又はそれらの組み合わせを含む、重鎖可変領域と、
アミノ酸配列:
DIQMTQSPSS LSASVGDRVT ITCRASQDII NYLNWYQQKP GKZKLLIYY TSRLHSGVPS RFSGSGSGTD ZTLTISSLQP EDFATYZCQQ GKTLPYTFGQ GTKLEIK
を含む、軽鎖可変領域であって、式中、
が、A又はTであり
が、V又はPであり
が、Y又はFであり
が、Y又はFであり、
当該軽鎖可変領域が、Z、Z、Z、及びZ以外の位置に、指示されたアミノ酸配列に関して、好ましくは0~3個、好ましくは0~2個、好ましくは0~1個及び好ましくは0個のアミノ酸バリエーション、挿入、欠失、置換、付加、又はそれらの組み合わせを含む、軽鎖可変領域と、を含む、抗体を提供する。
いくつかの実施形態では、X、X、X、及びXは、L、A、S、及びT、又はL、A、S、及びQ、又はL、A、N、及びN、又はW、A、N、及びN、又はW、S、N、及びNであり、Z、Z、Z、及びZは、A、V、Y、及びYである。
他の実施形態では、X、X、X、及びXは、L、A、N、及びN、又はW、A、N、及びN、又はW、S、N、及びNであり、Z、Z、Z、及びZは、A、P、F、及びYである。
更なる実施形態では、X、X、X、及びXは、L、A、N、及びN、又はW、A、N、及びN、又はW、S、N、及びNであり、Z、Z、Z、及びZは、A、P、Y、及びYである。
更なる実施形態では、X、X、X、及びXは、L、A、N、及びN、又はW、A、N、及びN、又はW、S、N、及びNであり、Z、Z、Z、及びZは、T、V、Y、及びFである。
好ましい実施形態では、X、X、X及びXは、L、A、S、及びTであり、Z、Z、Z及びZは、A、V、Y、及びYである。別の好ましい実施形態では、X、X、X及びXは、L、A、S、及びQであり、Z、Z、Z及びZは、A、V、Y、及びYである。
好ましい実施形態では、本明細書に開示の抗ヒトCD89抗体は、アミノ酸配列EVQLLESGGG LVQPGGSLRL SCAASGLTFS SYGMSWVRQA PGKGLELVAT IXGXGDITYY PDSVKGRFTI SRDNSKNTLY LQMNSLRAED TAVYYCARDY DYDYAMDYWG QGTLVTVSSであって、
当該重鎖可変領域が、X、及びX以外の位置に、指示されたアミノ酸配列に関して、好ましくは0~3個、好ましくは0~2個、好ましくは0~1個及び好ましくは0個のアミノ酸バリエーション、挿入、欠失、置換、付加、又はそれらの組み合わせを含む、アミノ酸配列と、
0、1、2、又は3個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又は付加を含む、配列番号122のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と、を含む。
好ましい実施形態では、Xは、Sであり、Xは、Tである。
別の好ましい実施形態では、Xは、Sであり、Xは、Qである。
本明細書で開示の重鎖は、10個、好ましくは9個、好ましくは8個、好ましくは7個、好ましくは6個、好ましくは5個、好ましくは4個、好ましくは3個、好ましくは2個、好ましくは1個、好ましくは0個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又は付加を含む。当該0~10個のアミノ酸挿入、欠失、置換又は付加のうちの3個以下が、重鎖可変領域に存在する。本明細書で開示の重鎖可変領域は、3個、好ましくは2個、好ましくは1個、好ましくは0個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又は付加を含む。好ましい実施形態では、当該0~3個のアミノ酸挿入、欠失、置換は、X、X、X、及びX以外の位置に存在し、重鎖可変領域におけるアミノ酸挿入、欠失、置換、又は付加は、存在する場合、フレームワーク領域にある。重鎖可変領域におけるアミノ酸挿入、欠失、置換、又は付加は、存在する場合、好ましくは、重鎖可変領域の5位のロイシン(L)、19位のアルギニン(R)、40位のアラニン(A)、42位のグリシン(G)、44位のグリシン(G)、75位のセリン(S)、84位のアスパラギン(N)、87位のアルギニン(R)、88位のアラニン(A)、93位のバリン(V)、及び114位のロイシン(L)から選択されるアミノ酸挿入、欠失、置換、又は付加ではない。
本明細書で開示の軽鎖は、8個、好ましくは7個、好ましくは6個、好ましくは5個、好ましくは4個、好ましくは3個、好ましくは2個、好ましくは1個、好ましくは0個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又は付加を含む。当該0~8個のアミノ酸挿入、欠失、置換又は付加のうちの5個以下が、軽鎖定常領域に存在し、3個以下が軽鎖可変領域に存在する。本明細書で開示の軽鎖可変領域は、3個、好ましくは2個、好ましくは1個、好ましくは0個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又は付加を含む。好ましい実施形態では、当該0~3個のアミノ酸挿入、欠失、置換又は付加は、Z、Z、Z、及びZ以外の位置に存在し、軽鎖可変領域におけるアミノ酸挿入、欠失、置換、又は付加は、存在する場合、フレームワーク領域にある。軽鎖可変領域におけるアミノ酸挿入、欠失、置換又は付加は、存在する場合、好ましくは、軽鎖可変領域の8位のプロリン(P)、15位のバリン(V)、18位のアルギニン(R)、22位のトレオニン(T)、41位のグリシン(G)、42位のリジン(K)、70位のアスパラギン酸(D)、72位のトレオニン(T)、75位のイソロイシン(I)、77位のセリン(S)、79位のグルタミン(Q)、80位のグルタミン(Q)、83位のトレオニン(T)、及び100位のグルタミン(Q)から選択されるアミノ酸挿入、欠失、置換又は付加ではない。
一態様では、本開示は、0、1、2、又は3個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又は付加を有する配列番号138のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、0、1、2、又は3個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又は付加を有する配列番号122のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域と、を含む、ヒトCD89に結合するヒト化抗体を提供する。
更なる態様では、本開示は、CD89に結合するヒト化抗体を提供し、抗体は、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個のアミノ酸挿入、欠失、置換又は付加を有する配列番号142のアミノ酸配列を有する重鎖であって、重鎖の可変領域に3個以下、好ましくは2個以下、好ましくは1個以下、好ましくは0個のアミノ酸挿入、欠失、置換又は付加が存在する重鎖と、0、1、2、3、4、5、6、7、又は8個のアミノ酸挿入、欠失、置換又は付加を有する配列番号136のアミノ酸配列を有する軽鎖であって、軽鎖の可変領域に好ましくは3個以下、好ましくは2個以下、好ましくは1個以下、好ましくは0個のアミノ酸挿入、欠失、置換又は付加が存在する軽鎖と、を含む。好ましくは、ヒトCD89の細胞外部分に結合し得る当該ヒト化抗体は、配列番号142のアミノ酸配列を有する重鎖と、配列番号136のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域と、を含む。これらの特徴を有する例示的な抗体は、抗体10E7 VH3STVL3である。
一態様では、本開示は、0、1、2、又は3個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又は付加を有する配列番号139のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、0、1、2、又は3個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又は付加を有する配列番号122のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域と、を含む、ヒトCD89に結合するヒト化抗体を提供する。
更なる態様では、本開示は、CD89に結合するヒト化抗体を提供し、抗体は、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個のアミノ酸挿入、欠失、置換又は付加を有する配列番号143のアミノ酸配列を有する重鎖であって、重鎖の可変領域に3個以下、好ましくは2個以下、好ましくは1個以下、好ましくは0個のアミノ酸挿入、欠失、置換又は付加が存在する重鎖と、0、1、2、3、4、5、6、7、又は8個のアミノ酸挿入、欠失、置換又は付加を有する配列番号136のアミノ酸配列を有する軽鎖であって、軽鎖の可変領域に好ましくは3個以下、好ましくは2個以下、好ましくは1個以下、好ましくは0個のアミノ酸挿入、欠失、置換又は付加が存在する軽鎖と、を含む。好ましくは、ヒトCD89の細胞外部分に結合し得る当該ヒト化抗体は、配列番号143のアミノ酸配列を有する重鎖と、配列番号136のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域と、を含む。これらの特徴を有する例示的な抗体は、抗体10E7 VH3SQVL3である。
一つでは、本開示は、0、1、2、又は3個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又は付加を有する配列番号119のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、0、1、2、又は3個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又は付加を有する配列番号122のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域と、を含む、ヒトCD89に結合するヒト化抗体を提供する。
更なる態様では、本開示は、CD89に結合するヒト化抗体を提供し、抗体は、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個のアミノ酸挿入、欠失、置換又は付加を有する配列番号133のアミノ酸配列を有する重鎖であって、重鎖の可変領域に3個以下、好ましくは2個以下、好ましくは1個以下、好ましくは0個のアミノ酸挿入、欠失、置換又は付加が存在する重鎖と、0、1、2、3、4、5、6、7、又は8個のアミノ酸挿入、欠失、置換又は付加を有する配列番号136のアミノ酸配列を有する軽鎖であって、軽鎖の可変領域に好ましくは3個以下、好ましくは2個以下、好ましくは1個以下、好ましくは0個のアミノ酸挿入、欠失、置換又は付加が存在する軽鎖と、を含む。好ましくは、ヒトCD89の細胞外部分に結合し得る当該ヒト化抗体は、配列番号133のアミノ酸配列を有する重鎖と、配列番号136のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域と、を含む。これらの特徴を有する例示的な抗体は、抗体10E7 VH3VL3である。
一態様では、本開示は、0、1、2、又は3個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又は付加を有する配列番号119のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、0、1、2、又は3個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又は付加を有する配列番号123のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域と、を含む、ヒトCD89に結合するヒト化抗体を提供する。
更なる態様では、本開示は、CD89に結合するヒト化抗体を提供し、抗体は、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個のアミノ酸挿入、欠失、置換又は付加を有する配列番号133のアミノ酸配列を有する重鎖であって、重鎖の可変領域に3個以下、好ましくは2個以下、好ましくは1個以下、好ましくは0個のアミノ酸挿入、欠失、置換又は付加が存在する重鎖と、0、1、2、3、4、5、6、7、又は8個のアミノ酸挿入、欠失、置換又は付加を有する配列番号137のアミノ酸配列を有する軽鎖であって、軽鎖の可変領域に好ましくは3個以下、好ましくは2個以下、好ましくは1個以下、好ましくは0個のアミノ酸挿入、欠失、置換又は付加が存在する軽鎖と、を含む。好ましくは、ヒトCD89の細胞外部分に結合し得る当該ヒト化抗体は、配列番号133のアミノ酸配列を有する重鎖と、配列番号137のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域と、を含む。これらの特徴を有する例示的な抗体は、抗体10E7 VH3VL4である。
一態様では、本開示は、0、1、2、又は3個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又は付加を有する配列番号117のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、0、1、2、又は3個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又は付加を有する配列番号120のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域と、を含む、ヒトCD89に結合するヒト化抗体を提供する。
更なる態様では、本開示は、CD89に結合するヒト化抗体を提供し、抗体は、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個のアミノ酸挿入、欠失、置換又は付加を有する配列番号131のアミノ酸配列を有する重鎖であって、重鎖の可変領域に3個以下、好ましくは2個以下、好ましくは1個以下、好ましくは0個のアミノ酸挿入、欠失、置換又は付加が存在する重鎖と、0、1、2、3、4、5、6、7、又は8個のアミノ酸挿入、欠失、置換又は付加を有する配列番号134のアミノ酸配列を有する軽鎖であって、軽鎖の可変領域に好ましくは3個以下、好ましくは2個以下、好ましくは1個以下、好ましくは0個のアミノ酸挿入、欠失、置換又は付加が存在する軽鎖と、を含む。好ましくは、ヒトCD89の細胞外部分に結合し得る当該ヒト化抗体は、配列番号131のアミノ酸配列を有する重鎖と、配列番号134のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域と、を含む。これらの特徴を有する例示的な抗体は、抗体10E7 VH1VL1である。
一態様では、本開示は、0、1、2、又は3個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又は付加を有する配列番号117のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、0、1、2、又は3個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又は付加を有する配列番号121のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域と、を含む、ヒトCD89に結合するヒト化抗体を提供する。
更なる態様では、本開示は、CD89に結合するヒト化抗体を提供し、抗体は、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個のアミノ酸挿入、欠失、置換又は付加を有する配列番号131のアミノ酸配列を有する重鎖であって、重鎖の可変領域に3個以下、好ましくは2個以下、好ましくは1個以下、好ましくは0個のアミノ酸挿入、欠失、置換又は付加が存在する重鎖と、0、1、2、3、4、5、6、7、又は8個のアミノ酸挿入、欠失、置換又は付加を有する配列番号135のアミノ酸配列を有する軽鎖であって、軽鎖の可変領域に好ましくは3個以下、好ましくは2個以下、好ましくは1個以下、好ましくは0個のアミノ酸挿入、欠失、置換又は付加が存在する軽鎖と、を含む。好ましくは、ヒトCD89の細胞外部分に結合し得る当該ヒト化抗体は、配列番号131のアミノ酸配列を有する重鎖と、配列番号135のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域と、を含む。これらの特徴を有する例示的な抗体は、抗体10E7 VH1VL2である。
一態様では、本開示は、0、1、2、又は3個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又は付加を有する配列番号117のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、0、1、2、又は3個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又は付加を有する配列番号122のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域と、を含む、ヒトCD89に結合するヒト化抗体を提供する。
更なる態様では、本開示は、CD89に結合するヒト化抗体を提供し、抗体は、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個のアミノ酸挿入、欠失、置換又は付加を有する配列番号131のアミノ酸配列を有する重鎖であって、重鎖の可変領域に3個以下、好ましくは2個以下、好ましくは1個以下、好ましくは0個のアミノ酸挿入、欠失、置換又は付加が存在する重鎖と、0、1、2、3、4、5、6、7、又は8個のアミノ酸挿入、欠失、置換又は付加を有する配列番号136のアミノ酸配列を有する軽鎖であって、軽鎖の可変領域に好ましくは3個以下、好ましくは2個以下、好ましくは1個以下、好ましくは0個のアミノ酸挿入、欠失、置換又は付加が存在する軽鎖と、を含む。好ましくは、ヒトCD89の細胞外部分に結合し得る当該ヒト化抗体は、配列番号131のアミノ酸配列を有する重鎖と、配列番号136のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域と、を含む。これらの特徴を有する例示的な抗体は、抗体10E7 VH1VL3である。
一態様では、本開示は、0、1、2、又は3個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又は付加を有する配列番号117のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、0、1、2、又は3個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又は付加を有する配列番号123のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域と、を含む、ヒトCD89に結合するヒト化抗体を提供する。
更なる態様では、本開示は、CD89に結合するヒト化抗体を提供し、抗体は、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個のアミノ酸挿入、欠失、置換又は付加を有する配列番号131のアミノ酸配列を有する重鎖であって、重鎖の可変領域に3個以下、好ましくは2個以下、好ましくは1個以下、好ましくは0個のアミノ酸挿入、欠失、置換又は付加が存在する重鎖と、0、1、2、3、4、5、6、7、又は8個のアミノ酸挿入、欠失、置換又は付加を有する配列番号137のアミノ酸配列を有する軽鎖であって、軽鎖の可変領域に好ましくは3個以下、好ましくは2個以下、好ましくは1個以下、好ましくは0個のアミノ酸挿入、欠失、置換又は付加が存在する軽鎖と、を含む。好ましくは、ヒトCD89の細胞外部分に結合し得る当該ヒト化抗体は、配列番号131のアミノ酸配列を有する重鎖と、配列番号137のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域と、を含む。これらの特徴を有する例示的な抗体は、抗体10E7 VH1VL4である。
一態様では、本開示は、0、1、2、又は3個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又は付加を有する配列番号118のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、0、1、2、又は3個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又は付加を有する配列番号120のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域と、を含む、ヒトCD89に結合するヒト化抗体を提供する。
更なる態様では、本開示は、CD89に結合するヒト化抗体を提供し、抗体は、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個のアミノ酸挿入、欠失、置換又は付加を有する配列番号132のアミノ酸配列を有する重鎖であって、重鎖の可変領域に3個以下、好ましくは2個以下、好ましくは1個以下、好ましくは0個のアミノ酸挿入、欠失、置換又は付加が存在する重鎖と、0、1、2、3、4、5、6、7、又は8個のアミノ酸挿入、欠失、置換又は付加を有する配列番号134のアミノ酸配列を有する軽鎖であって、軽鎖の可変領域に好ましくは3個以下、好ましくは2個以下、好ましくは1個以下、好ましくは0個のアミノ酸挿入、欠失、置換又は付加が存在する軽鎖と、を含む。好ましくは、ヒトCD89の細胞外部分に結合し得る当該ヒト化抗体は、配列番号132のアミノ酸配列を有する重鎖と、配列番号134のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域と、を含む。これらの特徴を有する例示的な抗体は、抗体10E7 VH2VL1である。
一態様では、本開示は、0、1、2、又は3個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又は付加を有する配列番号118のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、0、1、2、又は3個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又は付加を有する配列番号121のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域と、を含む、ヒトCD89に結合するヒト化抗体を提供する。
更なる態様では、本開示は、CD89に結合するヒト化抗体を提供し、抗体は、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個のアミノ酸挿入、欠失、置換又は付加を有する配列番号132のアミノ酸配列を有する重鎖であって、重鎖の可変領域に3個以下、好ましくは2個以下、好ましくは1個以下、好ましくは0個のアミノ酸挿入、欠失、置換又は付加が存在する重鎖と、0、1、2、3、4、5、6、7、又は8個のアミノ酸挿入、欠失、置換又は付加を有する配列番号135のアミノ酸配列を有する軽鎖であって、軽鎖の可変領域に好ましくは3個以下、好ましくは2個以下、好ましくは1個以下、好ましくは0個のアミノ酸挿入、欠失、置換又は付加が存在する軽鎖と、を含む。好ましくは、ヒトCD89の細胞外部分に結合し得る当該ヒト化抗体は、配列番号132のアミノ酸配列を有する重鎖と、配列番号135のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域と、を含む。これらの特徴を有する例示的な抗体は、抗体10E7 VH2VL2である。
一態様では、本開示は、0、1、2、又は3個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又は付加を有する配列番号118のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、0、1、2、又は3個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又は付加を有する配列番号122のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域と、を含む、ヒトCD89に結合するヒト化抗体を提供する。
更なる態様では、本開示は、CD89に結合するヒト化抗体を提供し、抗体は、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個のアミノ酸挿入、欠失、置換又は付加を有する配列番号132のアミノ酸配列を有する重鎖であって、重鎖の可変領域に3個以下、好ましくは2個以下、好ましくは1個以下、好ましくは0個のアミノ酸挿入、欠失、置換又は付加が存在する重鎖と、0、1、2、3、4、5、6、7、又は8個のアミノ酸挿入、欠失、置換又は付加を有する配列番号136のアミノ酸配列を有する軽鎖であって、軽鎖の可変領域に好ましくは3個以下、好ましくは2個以下、好ましくは1個以下、好ましくは0個のアミノ酸挿入、欠失、置換又は付加が存在する軽鎖と、を含む。好ましくは、ヒトCD89の細胞外部分に結合し得る当該ヒト化抗体は、配列番号132のアミノ酸配列を有する重鎖と、配列番号136のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域と、を含む。これらの特徴を有する例示的な抗体は、抗体10E7 VH2VL3である。
一態様では、本開示は、0、1、2、又は3個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又は付加を有する配列番号118のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、0、1、2、又は3個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又は付加を有する配列番号123のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域と、を含む、ヒトCD89に結合するヒト化抗体を提供する。
更なる態様では、本開示は、CD89に結合するヒト化抗体を提供し、抗体は、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個のアミノ酸挿入、欠失、置換又は付加を有する配列番号132のアミノ酸配列を有する重鎖であって、重鎖の可変領域に3個以下、好ましくは2個以下、好ましくは1個以下、好ましくは0個のアミノ酸挿入、欠失、置換又は付加が存在する重鎖と、0、1、2、3、4、5、6、7、又は8個のアミノ酸挿入、欠失、置換又は付加を有する配列番号137のアミノ酸配列を有する軽鎖であって、軽鎖の可変領域に好ましくは3個以下、好ましくは2個以下、好ましくは1個以下、好ましくは0個のアミノ酸挿入、欠失、置換又は付加が存在する軽鎖と、を含む。好ましくは、ヒトCD89の細胞外部分に結合し得る当該ヒト化抗体は、配列番号132のアミノ酸配列を有する重鎖と、配列番号137のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域と、を含む。これらの特徴を有する例示的な抗体は、抗体10E7 VH2VL4である。
一態様では、本開示は、0、1、2、又は3個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又は付加を有する配列番号119のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、0、1、2、又は3個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又は付加を有する配列番号120のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域と、を含む、ヒトCD89に結合するヒト化抗体を提供する。
更なる態様では、本開示は、CD89に結合するヒト化抗体を提供し、抗体は、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個のアミノ酸挿入、欠失、置換又は付加を有する配列番号133のアミノ酸配列を有する重鎖であって、重鎖の可変領域に3個以下、好ましくは2個以下、好ましくは1個以下、好ましくは0個のアミノ酸挿入、欠失、置換又は付加が存在する重鎖と、0、1、2、3、4、5、6、7、又は8個のアミノ酸挿入、欠失、置換又は付加を有する配列番号134のアミノ酸配列を有する軽鎖であって、軽鎖の可変領域に好ましくは3個以下、好ましくは2個以下、好ましくは1個以下、好ましくは0個のアミノ酸挿入、欠失、置換又は付加が存在する軽鎖と、を含む。好ましくは、ヒトCD89の細胞外部分に結合し得る当該ヒト化抗体は、配列番号133のアミノ酸配列を有する重鎖と、配列番号134のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域と、を含む。これらの特徴を有する例示的な抗体は、抗体10E7 VH3VL1である。
一態様では、本開示は、0、1、2、又は3個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又は付加を有する配列番号119のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、0、1、2、又は3個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又は付加を有する配列番号121のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域と、を含む、ヒトCD89に結合するヒト化抗体を提供する。
更なる態様では、本開示は、CD89に結合するヒト化抗体を提供し、抗体は、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個のアミノ酸挿入、欠失、置換又は付加を有する配列番号133のアミノ酸配列を有する重鎖であって、重鎖の可変領域に3個以下、好ましくは2個以下、好ましくは1個以下、好ましくは0個のアミノ酸挿入、欠失、置換又は付加が存在する重鎖と、0、1、2、3、4、5、6、7、又は8個のアミノ酸挿入、欠失、置換又は付加を有する配列番号135のアミノ酸配列を有する軽鎖であって、軽鎖の可変領域に好ましくは3個以下、好ましくは2個以下、好ましくは1個以下、好ましくは0個のアミノ酸挿入、欠失、置換又は付加が存在する軽鎖と、を含む。好ましくは、ヒトCD89の細胞外部分に結合し得る当該ヒト化抗体は、配列番号133のアミノ酸配列を有する重鎖と、配列番号135のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域と、を含む。これらの特徴を有する例示的な抗体は、抗体10E7 VH3VL2である。
一態様では、本明細書で開示のヒト化抗体は、配列番号94のアミノ酸配列を有する重鎖及び配列番号99のアミノ酸配列を有する軽鎖を含むキメラ抗体と比較して、ヒトCD89の細胞外部分に対する高い親和性を有する。
一態様では、本発明は、抗体を提供し、その抗体は、ヒトCD89発現細胞上のヒトCD89の細胞外部分(ヒトFcαRI)に結合し得、かつ、抗体が細胞に結合されるとき、ヒトIgAのヒトCD89への結合を防止し得、かつ、抗体MIP8aと比較してヒトCD89発現細胞における細胞死の誘発がより少ない。好ましくは、本抗体は、抗体MIP8aと比較して細胞死の誘発が10%少ない。より好ましくは、本抗体は、抗体MIP8aと比較して細胞死の誘発が20%少ない。より好ましくは、本抗体は、抗体MIP8aと比較して細胞死の誘発が40%少ない。本抗体の細胞死を誘発する特性は、好ましくは、番号:DSM ACC3341で寄託されたヒトCD89発現HEK293F細胞を使用して決定される。
標的化されたエフェクター細胞は、抗ヒトCD89抗体の結合後に溶解され得る。本明細書で開示の抗体は、標的細胞の広範囲の細胞死又は溶解を引き起こすことなく、ヒトCD89を発現する標的細胞に有用である。かかる特徴は、標的細胞を生きたまま維持するのに有用である。生存細胞は、おそらく変化したシグナル伝達によって、CD89抗体の結合に応答し得る。CD89発現細胞を生存させると、本明細書で開示の抗体の遮断特性によるCD89へのIgA結合の欠如に応答し得る。本明細書で開示の抗体を有する細胞は、IgAに依存しない他の刺激、病原体、及び/又は免疫作用への応答に利用可能であり得る。
いくつかの実施形態では、本開示は、抗体を提供し、その抗体は、ヒトCD89発現細胞上のヒトCD89の細胞外部分に結合し得、かつ、当該抗体が当該細胞に結合されるとき、ヒトIgAのヒトCD89への結合を防止し得、かつ、37℃での一晩のインキュベーション後に、当該細胞の細胞生存性を60%超低減させない。好ましくは、当該細胞への抗体の結合は、37℃での一晩のインキュベーション後に当該細胞の細胞生存性を50%超、又は40%超、又は30%超、又は20%超、又は10%超、又はそれ以下低減させない。抗体の細胞生存を保護する特性は、好ましくは、番号:DSM ACC3341で寄託されたヒトCD89発現HEK293F細胞を使用して決定される。
細胞は、通常37℃で培養される。細胞に対する刺激の効果は、直接又はインキュベーション期間後に見られる場合がある。いくつかの刺激は、効果が見える前に細胞シグナル伝達を必要とする。「37℃での一晩のインキュベーション」という用語は、細胞が一晩刺激とともにインキュベーションされることを示す。一晩とは、例えば12~16時間又は8~24時間を意味し得、その後、細胞の特徴、例えば、細胞生存性又はホスファチジルセリン発現が測定される。
いくつかの実施形態では、本開示は、抗体を提供し、その抗体は、ヒトCD89発現細胞上のヒトCD89の細胞外部分に結合し得、かつ、当該抗体が当該細胞に結合されるとき、ヒトIgAのヒトCD89への結合を防止し得、かつ、37℃での一晩のインキュベーション後に、当該細胞のホスファチジルセリン発現を20%超増加させない。好ましくは、当該細胞への抗体の結合は、37℃での一晩のインキュベーション後に当該細胞のホスファチジルセリン発現を20%超、より好ましくは10%超、より好ましくは5%超増加させない。ホスファチジルセリン発現に対する抗体の効果は、好ましくは、番号:DSM ACC3341で寄託されたヒトCD89発現HEK293F細胞を使用して決定される。
ホスファチジルセリンは、リン脂質であり、細胞膜の構成要素である。細胞シグナル伝達において役割を果たし、細胞死及びアポトーシスと相関している。細胞膜におけるホスファチジルセリンの発現は、細胞死のマーカーとして使用され得る。細胞膜におけるホスファチジルセリンの発現は、当業者に既知の方法によって測定され得る。ホスファチジルセリンは、細胞膜の細胞質(内)側に向いて活発に保持される。しかしながら、細胞がアポトーシスを受けると、ホスファチジルセリンはもはや細胞質側に制限されなくなる。代わりに、両側の間で急速に交換されている。ホスファチジルセリン発現は、典型的には、細胞膜の外向き表面上のホスファチジルセリンを検出することによって決定される。ホスファチジルセリンのレベルは、対照細胞、例えば、未処理細胞と比較され得る。例示的な方法は、実施例のセクションに詳細に記載されている。
ホスファチジルセリンの発現は、抗ホスファチジルセリン抗体を用いて細胞をインキュベーションすることによって決定され得る。並行して、細胞は、陰性対照、例えば、抗ヒトCD19抗体とともにインキュベーションされてもよい。細胞を洗浄及び固定した後、膜ホスファチジルセリン発現を、フローサイトメーター(FACS)を使用して測定することができる。
いくつかの実施形態では、抗体が提供され、その抗体は、ヒトCD89発現細胞上のヒトCD89の細胞外部分に結合し得、抗体がNaNの非存在下、37℃で当該細胞に結合されるとき、ヒトIgAのヒトCD89への結合を防止し得、かつ、NaNの存在下、4℃で90%超当該細胞に結合されるとき、単量体ヒトIgA又は熱凝集IgAを置換し得ない。IgA置換に対する抗体の効果は、好ましくは、番号:DSM ACC3341で寄託されたヒトCD89発現HEK293F細胞を使用して決定される。
好ましい実施形態では、当該抗体は、ヒト化抗体である。
アジ化ナトリウムは、4℃の低温と組み合わせて、細胞の代謝活性を阻害するために使用される。アジ化ナトリウムは、ミトコンドリア呼吸の可逆的阻害剤である。細胞の代謝活性の阻害は、細胞のミトコンドリア呼吸の低下を指す。いくつかの実施形態では、本明細書で開示の抗体は、代謝が阻害されている細胞上で、ヒトIgAを90%超置換し得ない。
一実施形態では、本開示は、組換えヒトCD89分子に20%以下で結合する、抗体を提供し、ヒトCD89のアミノ酸22~46がカニクイザルCD89のアミノ酸22~46と交換されているが、抗体は、ヒトCD89発現細胞上のヒトCD89の細胞外部分に結合し得、かつ、抗体が細胞に結合されるとき、ヒトIgAのヒトCD89への結合を防止し得る。好ましくは、本抗体は、当該組換えヒトCD89分子に10%以下で結合する。これらの特徴を有する例示的な抗体は、抗体20B4である。このCD89分子内で置換されるアミノ酸Gln22~Lys46は、CD89(配列番号23)のEC1ドメインの部分である。いくつかの実施形態では、当該抗体の当該細胞への結合は、MIP8aと比較した場合、ヒトCD89発現細胞における細胞死の誘発がより少ない。いくつかの実施形態では、当該抗体の当該細胞への結合は、37℃での一晩のインキュベーション後に当該細胞の細胞生存性を60%超低減させない。いくつかの実施形態では、当該抗体の当該細胞への結合は、37℃での一晩のインキュベーション後に、当該細胞のホスファチジルセリン発現を20%超増加させない。
IgA系は、ヒト、マウス、及びウサギを含む様々な種間で異なる。例えば、ヒトCD89遺伝子の同定されたマウスホモログは存在しない。CD89ホモログは、ラット及びウシで同定されている。本開示は、ヒトCD89を発現するヒト細胞及びキメラCD89分子を発現するヒト細胞上のCD89に結合する抗体の実施例を含む。ヒト/カニクイザルのキメラCD89分子は、ヒトCD89分子の部分及びカニクイザルCD89の部分を有する。部分は、一般的なタンパク質構造が無傷のまま維持されるように組み合わされる。
カニクイザル(Macaca fascicularis)CD89遺伝子は、ヒトCD89と同様のイントロン/エクソン構造を有し、ヒト遺伝子と86%の相同性を示す(Rogers et al.2004,Immunology)。カニクイザルCD89の対応するアミノ酸とのヒトCD89のアミノ酸の置換を使用して、抗体の特異性及び交差反応性を試験することができる。カニクイザルCD89での置換は、抗ヒトCD89抗体のエピトープの同定に寄与し得る。
一実施形態では、本開示は、キメラCD89分子に20%以下で結合する、抗体を提供し、ヒトCD89のアミノ酸47~71がカニクイザルCD89のアミノ酸47~71と交換されているが、抗体は、ヒトCD89発現細胞上のヒトCD89の細胞外部分に結合し得、かつ、抗体が当該細胞に結合されるとき、ヒトIgAのヒトCD89への結合を防止し得る。好ましくは、本抗体は、当該組換えヒトCD89分子に10%以下で結合する。好ましくは、本抗体は、当該組換えヒトCD89分子に5%以下で結合する。これらの特徴を有する例示的な抗体は、抗体20B4、8F3、30C7、及び16D6である。アミノ酸Ile47~Ile71は、CD89(配列番号24)のEC1ドメインの部分である。IgAは、CD89受容体のこの部分に結合し得る。したがって、CD89受容体のこの部分に結合する抗体は、IgAとCD89との相互作用を潜在的に干渉する。
一実施形態では、本開示は、キメラCD89分子に20%以下で結合する、抗体を提供し、ヒトCD89のアミノ酸72~96がカニクイザルCD89のアミノ酸72~96と交換されているが、抗体は、ヒトCD89発現細胞上のヒトCD89の細胞外部分に結合し得、かつ、抗体が当該細胞に結合されるとき、ヒトIgAのヒトCD89への結合を防止し得る。好ましくは、本抗体は、当該組換えヒトCD89分子に10%以下で結合する。好ましくは、本抗体は、当該組換えヒトCD89分子に5%以下で結合する。これらの特徴を有する例示的な抗体は、抗体8F3、10E7、及び16D6である。アミノ酸Gly72~Gly96は、CD89(配列番号25)のEC1ドメインの部分である。EC1ドメインのこの部分は、F-Gループを含むと考えられ、それは、細胞膜に近い位置にEC1の底部に位置すると予測される。
一実施形態では、本開示は、キメラCD89分子への結合が20%以下低減しない抗体を提供し、ヒトCD89のアミノ酸97~121がカニクイザルCD89のアミノ酸97~121と交換され、かつ、抗体は、ヒトCD89発現細胞上のヒトCD89の細胞外部分に結合し得、かつ、抗体が当該細胞に結合されるとき、ヒトIgAのヒトCD89への結合を防止し得る。好ましくは、当該組換えヒトCD89分子への抗体の結合は、10%以下低減しない。これらの特徴を有する例示的な抗体は、抗体20B4、8F3、30C7、10E7及び16D6である。アミノ酸Arg97~Gly121は、CD89(配列番号26)のEC1ドメインの部分である。例えば、MIP8a抗体は、EC1ドメインのこの部分に結合し得る。
一実施形態では、本開示は、キメラCD89分子に20%以下で結合する、抗体を提供し、ヒトCD89のアミノ酸58、59、73、74、76、106、及び107がカニクイザルCD89のそれぞれアミノ酸58、59、73、74、76、106、及び107と交換されているが、抗体は、ヒトCD89発現細胞上のヒトCD89の細胞外部分に結合し得、かつ、抗体が当該細胞に結合されるとき、ヒトIgAのヒトCD89への結合を防止し得る。好ましくは、本抗体は、当該組換えヒトCD89分子に10%以下で結合する。好ましくは、本抗体は、当該組換えヒトCD89分子に5%以下で結合する。これらの特徴を有する例示的な抗体は、抗体8F3、10E7、及び16D6である。アミノ酸Thr58及びGln59は、ヒトIgA-CD89結合に関連すると考えられている。
いくつかの実施形態では、当該抗体の当該細胞への結合は、MIP8aと比較した場合、ヒトCD89発現細胞における細胞死の誘発がより少ない。いくつかの実施形態では、当該抗体の当該細胞への結合は、37℃での一晩のインキュベーション後に当該細胞の細胞生存性を60%超低減させない。いくつかの実施形態では、当該抗体の当該細胞への結合は、37℃での一晩のインキュベーション後に、当該細胞のホスファチジルセリン発現を20%超増加させない。
本明細書に記載の抗体は、ヒトCD89発現HEK293F細胞上のヒトCD89の細胞外部分に結合し得る。膜結合ヒトCD89を発現する例示的なHEK293F細胞は、番号:DSM ACC3341でブダペスト条約に従って寄託されている。これらのHEK293F細胞は、その細胞表面でヒトCD89を安定に発現している。好ましくは、これらの細胞を使用することにより、ヒトCD89を標的とする異なる抗体の効果を比較することができる。好ましくは、CD89抗体の結合後に細胞死を受けた細胞のパーセンテージを研究することである。ヒトCD89を安定して発現する細胞株を使用することは、典型的には、細胞間の発現の差を低減し、一過性にトランスフェクションされた細胞と比較した場合、実験条件のより良い比較を可能にする。
本開示の一態様は、0、1、又は2個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又は付加を有する配列番号29~31のCDR1、CDR2、及びCDR3配列を有する重鎖可変領域と、0、1、又は2個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又は付加を有する配列番号32~34のCDR1、CDR2、及びCDR3配列を有する軽鎖可変領域と、を含む、ヒトCD89に結合する抗体を提供する。好ましくは、ヒトCD89の細胞外部分に結合し得る抗体は、配列番号29~31のCDR1、CDR2、及びCDR3配列を有する重鎖可変領域と、配列番号32~34のCDR1、CDR2、及びCDR3配列を有する軽鎖可変領域と、を含む。
更なる態様では、本開示は、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又は付加を有する配列番号27のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又は付加を有する配列番号28のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域と、を含む、ヒトCD89に結合する抗体を提供する。好ましい実施形態では、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個のアミノ酸挿入、欠失、置換又は付加は、軽鎖及び/又は重鎖可変領域のフレームワーク領域に位置する。好ましくは、ヒトCD89の細胞外部分に結合し得る抗体は、配列番号27のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、配列番号28のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域と、を含む。これらの特徴を有する例示的な抗体は、抗体8F3である。これらのCDRを有する抗体は、CD89のEC1ドメインにおけるエピトープ、特に、配列番号24及び配列番号25の配列の一部分に結合し得る。
一態様では、本開示は、0、1、又は2個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又は付加を有する配列番号45~47のCDR1、CDR2、及びCDR3配列を有する重鎖可変領域と、0、1、又は2個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又は付加を有する配列番号48~50のCDR1、CDR2、及びCDR3配列を有する軽鎖可変領域と、を含む、ヒトCD89に結合する抗体を提供する。好ましくは、ヒトCD89の細胞外部分に結合し得る抗体は、配列番号45~47のCDR1、CDR2、及びCDR3配列を有する重鎖可変領域と、配列番号48~50のCDR1、CDR2、及びCDR3配列を有する軽鎖可変領域と、を含む。
更なる態様では、本開示は、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又は付加を有する配列番号43のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又は付加を有する配列番号44のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域と、を含む、ヒトCD89に結合する抗体を提供する。好ましい実施形態では、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個のアミノ酸挿入、欠失、置換又は付加は、軽鎖及び/又は重鎖可変領域のフレームワーク領域に位置する。好ましくは、ヒトCD89の細胞外部分に結合し得る抗体は、配列番号43のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、配列番号44のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域と、を含む。これらの特徴を有する例示的な抗体は、抗体10E7である。これらのCDRを有する抗体は、CD89のEC1ドメインにおけるエピトープ、特に、配列番号25の配列の一部分に結合し得る。
一態様では、本開示は、0、1、又は2個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又は付加を有する配列番号69~71のCDR1、CDR2、及びCDR3配列を有する重鎖可変領域と、0、1、又は2個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又は付加を有する配列番号72~74のCDR1、CDR2、及びCDR3配列を有する軽鎖可変領域と、を含む、ヒトCD89に結合する抗体を提供する。好ましくは、ヒトCD89の細胞外部分に結合し得る抗体は、配列番号69~71のCDR1、CDR2、及びCDR3配列を有する重鎖可変領域と、配列番号72~74のCDR1、CDR2、及びCDR3配列を有する軽鎖可変領域と、を含む。
更なる態様では、本開示は、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又は付加を有する配列番号67のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又は付加を有する配列番号68のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域と、を含む、ヒトCD89に結合する抗体を提供する。好ましい実施形態では、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個のアミノ酸挿入、欠失、置換又は付加は、軽鎖及び/又は重鎖可変領域のフレームワーク領域に位置する。好ましくは、ヒトCD89の細胞外部分に結合し得る抗体は、配列番号67のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、配列番号68のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域と、を含む。これらの特徴を有する例示的な抗体は、抗体20B4である。これらのCDRを有する抗体は、CD89のEC1ドメインにおけるエピトープ、特に、配列番号23及び配列番号24の配列の一部分に結合し得る。
一態様では、本開示は、0、1、又は2個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又は付加を有する配列番号77~79のCDR1、CDR2、及びCDR3配列を有する重鎖可変領域と、0、1、又は2個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又は付加を有する配列番号80~82のCDR1、CDR2、及びCDR3配列を有する軽鎖可変領域と、を含む、ヒトCD89に結合する抗体を提供する。好ましくは、ヒトCD89の細胞外部分に結合し得る抗体は、配列番号77~79のCDR1、CDR2、及びCDR3配列を有する重鎖可変領域と、配列番号80~82のCDR1、CDR2、及びCDR3配列を有する軽鎖可変領域と、を含む。
更なる態様では、本開示は、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又は付加を有する配列番号75のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又は付加を有する配列番号76のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域と、を含む、ヒトCD89に結合する抗体を提供する。好ましい実施形態では、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個のアミノ酸挿入、欠失、置換又は付加は、軽鎖及び/又は重鎖可変領域のフレームワーク領域に位置する。好ましくは、ヒトCD89の細胞外部分に結合し得る抗体は、配列番号75のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、配列番号76のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域と、を含む。これらの特徴を有する例示的な抗体は、抗体30C7である。これらのCDRを有する抗体は、CD89のEC1ドメインにおけるエピトープ、特に、配列番号24の配列の一部分に結合し得る。
一態様では、本開示は、0、1、又は2個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又は付加を有する配列番号53~55のCDR1、CDR2、及びCDR3配列を有する重鎖可変領域と、0、1、又は2個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又は付加を有する配列番号56~58のCDR1、CDR2、及びCDR3配列を有する軽鎖可変領域と、を含む、ヒトCD89に結合する抗体を提供する。好ましくは、ヒトCD89の細胞外部分に結合し得る抗体は、配列番号53~55のCDR1、CDR2、及びCDR3配列を有する重鎖可変領域と、配列番号56~58のCDR1、CDR2、及びCDR3配列を有する軽鎖可変領域と、を含む。
更なる態様では、本開示は、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又は付加を有する配列番号51のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又は付加を有する配列番号52のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域と、を含む、ヒトCD89に結合する抗体を提供する。好ましい実施形態では、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個のアミノ酸挿入、欠失、置換又は付加は、軽鎖及び/又は重鎖可変領域のフレームワーク領域に位置する。好ましくは、ヒトCD89の細胞外部分に結合し得る抗体は、配列番号51のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、配列番号52のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域と、を含む。これらの特徴を有する例示的な抗体は、抗体16D6である。これらのCDRを有する抗体は、CD89のEC1ドメインにおけるエピトープ、特に、配列番号24及び配列番号25の配列の一部分に結合し得る。
本明細書で配列によって言及される抗体の細胞への結合は、MIP8aと比較した場合、ヒトCD89発現細胞において、より少ない細胞死を誘発することができる。いくつかの実施形態では、当該抗体の当該細胞への結合は、37℃での一晩のインキュベーション後に当該細胞の細胞生存性を60%超低減させない。いくつかの実施形態では、当該抗体の当該細胞への結合は、37℃での一晩のインキュベーション後に、当該細胞のホスファチジルセリン発現を20%超増加させない。
0、1、又は2個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又は付加を有する配列番号37~39のCDR1、CDR2、及びCDR3配列を有する重鎖可変領域と、0、1、又は2個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又は付加を有する配列番号40~42のCDR1、CDR2、及びCDR3配列を有する軽鎖可変領域と、を含む、ヒトCD89に結合する抗体が提供される。
好ましい実施形態は、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又は付加を有する配列番号35のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又は付加を有する配列番号36のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域と、を含む、ヒトCD89に結合する抗体を提供する。好ましい実施形態では、アミノ酸挿入、欠失、置換又は付加は、軽鎖及び/又は重鎖可変領域のフレームワーク領域に位置する。これらの特徴を有する例示的な抗体は、抗体9H7である。
一実施形態は、0、1、又は2個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又は付加を有する配列番号61~63のCDR1、CDR2、及びCDR3配列を有する重鎖可変領域と、0、1、又は2個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又は付加を有する配列番号64~66のCDR1、CDR2、及びCDR3配列を有する軽鎖可変領域と、を含む、ヒトCD89に結合する抗体を提供する。
好ましい実施形態は、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又は付加を有する配列番号59のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又は付加を有する配列番号60のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域と、を含む、ヒトCD89に結合する抗体を提供する。好ましい実施形態では、アミノ酸挿入、欠失、置換又は付加は、軽鎖及び/又は重鎖可変領域のフレームワーク領域に位置する。これらの特徴を有する例示的な抗体は、抗体26D6である。
本開示の抗CD89抗体又はその抗原結合断片は、好ましくは、本明細書に記載の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む。かかる抗体は、良好な特徴を有する。もちろん、その中の1つ以上のアミノ酸を修飾することによって、かかる元の抗体のバリアントを生成することが可能である。かかるバリアントの多くは、当該元と比較した場合に、多かれ少なかれ同様に挙動するであろう。かかるバリアントもまた、本開示の範囲に含まれる。
バリアントは、元の抗体の配列に関してアミノ酸置換、挿入、欠失、又は付加を有し得る。アミノ酸置換は、別のアミノ酸とのアミノ酸の交換である。好ましくは、アミノ酸は、同様の化学的特性を有するアミノ酸によって予め配置されており、これは多くの場合、保存的置換と呼ばれる。アミノ酸欠失は、配列からの1つ以上のアミノ酸の欠失をもたらす。アミノ酸挿入は、配列中に1つ以上の追加のアミノ酸をもたらす。アミノ酸付加は、アミノ酸配列の開始又は終了時に1つ以上のアミノ酸をもたらす。
かかる修飾の非限定的な例は、グルタメートの代わりにピログルタメートを含む抗体である。かかる修飾の他の非限定的な例は、当該元の抗体と比較した場合に1つ以上のアミノ酸の挿入、欠失、反転及び/又は置換である。好ましくは、アミノ酸置換、挿入、欠失、又は付加は、可変ドメインのCDRの外側である。好ましくは、アミノ酸の置換、挿入、欠失、又は付加は、可変領域のフレームワーク領域内及び/又は抗体の定常領域においてである。バリアントのCD89結合は、本明細書に記載されるように試験され得る。
いくつかの実施形態では、本発明の抗体の定常領域は、IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4抗体などのIgG、IgA、IgD、IgE、又はIgM抗体の定常領域である。定常領域は、定常領域に特異的な特性を付与するためのアミノ酸置換などの修飾を含み得る。例えば、半分子の交換に対して抗体をより安定にするためのIgG4ヒンジ領域の変異。他の修飾は、抗体の半減期に影響を及ぼし、グリコシル化部位を追加又は除去し、産生を改善し、大規模発酵槽で産生される抗体産物の均質性を改善するなどである。
本発明の抗体は、好ましくは、マウスIgG1、補体活性化若しくはFc受容体相互作用を低減若しくは防止するために定常領域で変異されたヒトIgG1、又はヒトIgG4、若しくは他のIgG4分子との半分子の交換を防止するために変異されたヒトIgG4である。好ましい実施形態では、本明細書で開示の抗体は、ヒト化IgG4、又は他のIgG4分子との半分子の交換を防止するために変異されたヒト化IgG4、又は補体活性化若しくはFc受容体相互作用を低減若しくは防止するために定常領域で変異されたヒト化IgG1である。
本明細書で開示の抗体の定常領域におけるいくつかのバリエーションが許容される。典型的には、約0~10個のアミノ酸置換が定常領域において許容される。多くの場合、10個超のアミノ酸変化が許容される。本発明の抗体は、天然に生じる重鎖定常領域(CH1-CH2-CH3)に関して、0~15個、好ましくは0~10個、より好ましくは0~5個、より好ましくは5、4、3、2、1、又は0個のアミノ酸置換を有する重鎖定常領域(CH1-CH2-CH3)を有し得る。かかる抗体は、天然に生じる軽鎖定常領域に対して、0~5個、好ましくは5、4、3、2、1、又は0個のアミノ酸置換を有する軽鎖定常領域を有し得る。
IgG4におけるいくつかのバリエーションは、天然に生じ、及び/又は得られる抗体の免疫学的特性を変更することなく許容される。IgG4定常領域又は変異IgG1定常領域を有する抗体は、抗体の薬理学的特性の少なくともほとんどを有するが、補体には結合せず、したがって、その結合する細胞のインビボでの枯渇を誘発しないであろう。好ましくは、当該定常領域は、ヒト抗体の定常領域(キメラ)である。
好ましくは、当該定常領域は、補体活性化が欠損している領域であり、好ましくは、ヒトIgG定常領域又は変異ヒトIgG定常領域である。好ましい実施形態では、本明細書で開示の当該ヒト化抗体は、IgG4又はIgG1アイソタイプを有する。
本明細書で開示の抗体及びその抗原結合断片によるCD89結合は、当業者に既知の多数の好適なアッセイで確認され得る。かかるアッセイは、例えば、親和性アッセイ、例えば、ウェスタンブロット、ラジオイムノアッセイ、FACS、及びELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)を含む。実施例(例えば、実施例2(a))は、CD89結合を測定するために使用され得る多くのアッセイのうちのいくつか、及びヒトCD89に対する抗体の相対的結合親和性を決定する方法を詳細に説明する。
「結合分子」という用語は、(1)抗体、(2)抗体の抗原結合断片、及び(3)抗体の誘導体を包含し、それぞれ本明細書で定義される。「CD89に結合する」又は「CD89を(に)結合し得る」又は「CD89に結合すること」という用語は、本明細書で定義されるように、インビトロアッセイ、例えば、BIAcore(商標)(表面プラズモン共鳴)又はOctet(登録商標)(生体層干渉法)におけるヒトCD89受容体への結合分子の結合を指す。結合分子は、約1×10-6M以下、約1×10-7M以下、約1×10-8M以下、約1×10-9M以下、約1×10-10M以下、約1×10-11M以下、又は約1×10-12M以下の結合親和性(K)を有する。当該結合は特異的であることが好ましく、CD89又はそのエピトープが結合分子によって特異的に結合されることを意味する。親和性は、特定の抗原又はエピトープへの結合の強度の評価基準である。特異的に結合すること、又は「特異的に認識すること」は、本明細書において、最大でも1×10E-6M、好ましくは最大でも1×10E-7M、1×10E-M、又は最も好ましくは最大でも1×10E-9Mの親和性(K)で結合するものとして定義される。
本明細書に以下に記載されるように、本明細書に記載されるヒト化抗ヒトCD89抗体のKは、好ましくは、1.4nM未満、1.3nM未満、1.2nM未満、1.1nM未満、又は1nM未満などの1.5nM未満である。このKは、約1.7nMである親マウス抗体のKと比較した場合、驚くほど小さい。
「K」という用語は、特定の抗体-抗原相互作用の平衡解離定数を指し、リガンド(抗体など)とタンパク質(CD89など)との間の結合親和性を説明するために使用される。平衡解離定数が小さいほど、リガンドはより緊密に結合するか、又はリガンドとタンパク質との間の親和性が高い。Kは、表面プラズモン共鳴及び生体層干渉法に基づくアッセイによって測定され得る。「抗CD89抗体」という用語は、本明細書で定義されるように、CD89、好ましくはヒトCD89に結合し得る抗体を指す。
「Kon」及び「Koff」という用語は、それぞれ、その標的タンパク質(CD89など)からの会合(オン速度)及び解離(オフ速度)に対するリガンド(抗体など)の速度定数を指す。「Kon」は、リガンド(抗体など)がその標的タンパク質(CD89など)に結合する速度を特徴付け、「Koff」は、リガンド(抗体など)がその標的タンパク質(CD89など)から解離する速度を特徴付ける。
本明細書で開示の抗体及びその抗原結合断片のCD89受容体とIgAとの相互作用を遮断する能力は、当業者に既知の多数の好適なアッセイで確認され得る。かかるアッセイは、例えば、親和性アッセイELISA及びFACSを含む。提示される実施例(例えば、実施例2(b))は、多くのアッセイのうちの2つ、FACS及びELISAを詳細に説明し、これらは、CD89受容体へのIgAの結合を遮断する抗CD89抗体の能力を試験するために使用され得る。
ELISAアッセイを用いて抗体のIgA遮断特徴を試験するために、組換えCD89をプレート上にコーティングする。続いて、コーティングプレートは、非特異的結合を防止するために遮断緩衝液を使用して遮断される。組換えCD89を有するプレートを、目的の抗体及び/又はハイブリドーマ上清とともにインキュベーションする。続いて、IgAをCD89を有するウェルに添加する。洗浄した後、結合したIgAの量をELISA技術を使用して測定する。結合IgAの量は、試験した抗体の遮断能力を示し、それによってIgAの少ない結合は、抗体の強力な遮断能力を示す。また、CD89発現細胞を使用して、FACSアッセイによる抗体のIgA遮断特徴を試験し得る。好ましくは、当該細胞は、ヒトCD89を安定に発現している。CD89発現細胞を、目的の抗体又は目的のハイブリドーマ上清とともにインキュベーションする。続いて、細胞をIgAとともにインキュベーションする。洗浄した後、細胞に結合したIgAを、IgAに対する二次抗体、好ましくは蛍光二次抗体を使用して標識した。ヒトCD89発現細胞の膜上のIgAの結合を、フローサイトメーター(FACS)を使用して測定することができる。結合IgAの量は、試験した抗体の遮断能力を示し、それによってIgAの少ない結合は、抗体の強力な遮断能力を示す。
本明細書で開示の精製抗ヒトCD89抗体が、先にヒトCD89に飽和したIgAを置き換えることができるかどうかを分析するために、当業者は、いくつかの既知の好適なアッセイを使用することができる。好適な試験方法のうちの1つは、実施例のセクションに開示される。このアッセイでは、IgAをCD89発現細胞に結合させる。その後、抗CD89抗体を細胞に添加する。細胞に依然として結合しているIgAの量を、FACS分析で測定し得る。アッセイについては、実施例2に詳細に記載されている。このアッセイ及び他のアッセイを使用して、抗ヒトCD89抗体によるヒトIgA置換を測定し得る。置換は、代謝活性細胞を使用して(例えば、37℃で一晩インキュベーションした)、又は代謝不活性細胞を使用して(例えば、アジ化ナトリウムの存在下で4℃でインキュベーションした)、測定され得る。
更なる態様では、本開示は、本明細書で開示の抗体又は本明細書で開示の抗原結合断片をコードする核酸分子(複数可)を提供する。本明細書で開示の可変領域をコードする核酸分子もまた提供される。本開示において使用される核酸は、典型的には、リボ核酸(RNA)又はデオキシリボ核酸(DNA)であるが、排他的ではない。遺伝コードに基づいて、当業者は、本明細書で開示の抗体バリアントをコードする核酸配列を決定することができる。遺伝コードの縮退に基づいて、64個のコドンを使用して、20個のアミノ酸及び翻訳末端シグナルをコードし得る。当業者に既知であるように、異なる生物におけるコドン使用バイアスは、遺伝子発現レベルに影響を及ぼす可能性がある。所望の核酸が発現される生物に応じて、コドン使用を最適化するために、様々な計算ツールが当業者に利用可能である。
更なる態様では、本開示は、本明細書に記載の核酸配列分子を含むベクターを提供する。本明細書で使用される「ベクター」という用語は、異種核酸配列を宿主細胞に導入することができるプラスミド、バクテリオファージ、又は動物ウイルスなどの核酸分子を指す。本発明によるベクターは、宿主細胞において異種核酸配列によってコードされる本発明の抗体の発現又は産生を可能にする。本発明によって使用されるベクターは、例えば、動物ウイルスに由来し、その例としては、ワクシニアウイルス(修飾ワクシニアウイルスAnkara、MVAなどの減衰誘導体を含む)、ニューカッスル病ウイルス(NDV)、アデノウイルス又はレトロウイルスが挙げられるが、これらに限定されない。本発明によるベクターは、好ましくは、選択された宿主細胞における本発明による抗体の転写の開始に好適なプロモーターを含む発現カセットを含む。真核宿主細胞における本発明によるポリペプチドの発現に好適なプロモーターの例としては、βアクチンプロモーター、免疫グロビンプロモーター、5SRNAプロモーター、又は哺乳動物宿主のためのサイトメガロウイルス(CMV)、ラウス肉腫ウイルス(RSV)及びシミアンウイルス40(SV40)プロモーターなどのウイルス由来プロモーターが挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書で開示の核酸分子(複数可)が細胞内で発現される場合、細胞は、本開示に従って抗体を産生し得る。したがって、一実施形態では、本開示による抗体、核酸分子(複数可)、及び/又はベクターを含む細胞が提供される。宿主細胞は、哺乳動物細胞、昆虫細胞、植物細胞、細菌細胞又は酵母細胞であり得る。当該細胞は、好ましくは動物細胞、好ましくは哺乳動物細胞、最も好ましくはヒト細胞である。宿主細胞として好適な哺乳動物細胞株の例としては、ハイブリドーマ細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、NSO細胞、又はPER-C6(商標)細胞が挙げられる。本開示の目的のための好適な細胞は、当該抗体及び/又は当該核酸を含むことができ、好ましくは産生することができる任意の細胞である。本開示は、当該細胞を含む細胞培養物を更に包含する。
「宿主細胞」という用語は、本明細書に記載の抗ヒトCD89抗体を発現する発現ベクターが導入された細胞を指す。該用語は、特定の対象細胞のみならず、かかる細胞の子孫も包含する。環境影響又は変異のいずれかにより特定の修飾が連続した世代で生じ得るため、かかる子孫は親細胞と同一ではない場合があるが、依然として「宿主細胞」という用語の範囲内に含まれる。
本明細書で開示の抗体は、当業者に既知の任意の方法によって産生され得る。好ましい実施形態において、抗体は、細胞を使用して産生され、好ましくは、細胞は、ハイブリドーマ細胞、CHO細胞、NS0細胞、又はPER-C6(商標)細胞である。特定の好ましい実施形態において、当該細胞はCHO細胞であり、好ましくは、当該細胞は無血清培地中で培養される。これは、当該抗体を当該培養物から採取することを含む。抗体は、好ましくは培地から精製され、好ましくは、当該抗体は、親和性精製される。代替的に、当該抗体は、合成的に生成され得る。
様々な機関及び企業が、例えば臨床使用のための抗体の大規模産生のための細胞株を開発してきた。これらの細胞はまた、タンパク質の産生などの他の目的にも使用される。タンパク質及び抗体の工業的規模の産生のために開発された細胞株は、本明細書では更に、工業的細胞株と称される。したがって、本開示の好ましい実施形態は、当該抗体の大規模な産生のために開発された細胞株の使用を提供する。
本発明による抗体は、治療的使用及び非治療的使用において有利に使用され得るいくつかの活性を示す。特に、本発明による抗体は、個体の治療に有用である。好ましくは、本発明の抗体は、免疫関連疾患の治療又は免疫関連疾患に対する予防に有用である。いくつかの実施形態において、本発明による抗体は、好ましくは療法、好ましくはヒト療法において使用される。いくつかの実施形態において、本明細書で開示の抗体は、研究目的のために使用され得る。例えば、インビトロ実験、細胞培養、有機型培養及びインビボモデルにおいて。
慢性炎症性疾患(CID)の治療又は予防のための方法も記載されている。CIDの例は、例えば、潰瘍性大腸炎又はクローン病などの炎症性腸疾患(IBD)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、アレルギー性及び非アレルギー性鼻炎、セリアック病などの食物アレルギー、並びに線形IgA水疱性疾患又は疱疹状皮膚炎などの皮膚疾患である。CIDにおいて観察される組織破壊に寄与する共通の特徴のうちの1つは、多形核細胞、より具体的には好中球及び/又は好酸球の局所蓄積である。多形核細胞は、その細胞質に顆粒が存在することによって特徴付けられる白血球である。
IgAのその受容体CD89への結合は、最終的に多形核細胞の遊走、蓄積及び浸潤をもたらす免疫細胞の活性化を含む事象のカスケードを引き起こし得る。IgA-免疫複合体によるCD89の架橋が好中球を強力に動員し活性化するため、異常なIgAの存在は炎症促進性応答の悪化をもたらし、組織損傷をもたらす可能性がある。これは、IgA腎症、ヘノッホ-シェーライン(Henoch-Schonlein)紫斑病、強直性脊椎炎、シェーグレン症候群、アルコール性肝硬変、セリアック疾患、喘息、IBD、関節リウマチ、線形IgA水疱性疾患、及び疱疹状皮膚炎などの血清(自己)IgAレベルの増加によって特徴付けられる異なるCIDにおいて役割を果たし得る(Aleyd et al.Immunol Rev 2015;268:123-138)。IgAとその受容体CD89との間の結合を干渉することは、シグナル伝達カスケード及び多形核細胞の蓄積を阻害し得る。したがって、CIDは、有効量の本発明の抗体を、かかる治療を必要とする患者に投与することによって治療又は予防され得る。IgAと好中球などの多形核細胞上の受容体との間の相互作用を遮断することで、炎症反応を停止させ得る。したがって、CID患者は、本明細書で開示の抗体を使用する治療から利益を得ることができる。
本発明は、炎症性疾患に罹患している対象の治療のための方法であって、当該対象に、治療有効量の本明細書で開示の抗体を投与することを含む、方法を提供する。炎症性疾患に罹患している対象の治療のための薬剤の調製のための方法もまた提供される。本開示は、IgAとCD89との間の結合を遮断することによって、免疫細胞の活性化を予防する方法を記載する。
本開示は、本明細書で開示の抗体若しくはその抗原結合断片、若しくはそれらをコードする核酸を含む医薬組成物、又は本明細書で開示の抗体若しくはその抗原結合断片、若しくはそれらをコードする核酸を含む細胞を更に含む。本発明によるポリペプチド又はその薬学的に許容される塩、並びに少なくとも1つの薬学的に許容される担体、希釈剤、及び/若しくは賦形剤を含む、医薬組成物が提供される。かかる組成物は、薬剤としての使用に特に好適である。組成物は、液体、半固体及び固体剤形などの任意の好適な形態であり得る。選択される製剤の用量及びスケジュールは、当業者によって周知である標準的な手順によって決定され得る。かかる手順は、動物モデルを形成する投薬スケジュールを外挿及び推定すること、並びに、次いでヒト臨床用量範囲研究における最適投薬量を決定することを含む。医薬組成物における投薬量は、所望の放出及び薬理学的特徴などのいくつかの因子に応じて変化する。
本明細書で使用される場合、「対象」は、ヒト又は動物である。対象には、ヒト、ブタ、フェレット、アザラシ、ウサギ、ネコ、イヌ、ウシ、及びウマなどの哺乳動物、並びにニワトリ、アヒル、ガチョウ、及びシチメンチョウなどの鳥類が含まれるが、これらに限定されない。本発明の好ましい実施形態では、対象は、哺乳動物である。特に好ましい実施形態では、対象は、ヒトである。
抗体の「抗原結合断片」という用語は、抗体が同じ抗原(すなわち、ヒトCD89)に結合する能力を保持する全長抗体の1つ以上の部分を指す。「抗原結合断片」という用語はまた、非共有会合若しくは共有会合によって形成されるより大きな分子の一部分である抗体の部分、又は1つ以上の追加の分子実体を有する抗体部分のものも包含する。追加の分子実体の例は、四量体scFv分子を作製するために使用され得る、ストレプトアビジンコア領域などのアミノ酸、ペプチド、又はタンパク質を含む(Kipriyanov et al.Hum Antibodies Hybridomas 1995;6(3):93-101)。例示的な抗原結合断片は、抗体のVH及び/又はVLである。抗原結合断片には、Fab、F(ab’)、F(ab’)、相補性決定領域(CDR)断片、単鎖抗体(scFv)、二価単鎖抗体、及び他の抗原認識免疫グロブリン断片が含まれる。いくつかの例では、本明細書中で使用される「抗体」という用語は、その抗原結合断片も含むと理解され得る。
「ヒト抗体」という用語は、ヒト免疫グロブリン配列のみのアミノ酸配列からなる抗体を指す。ヒト抗体は、マウス、マウス細胞、又はマウス細胞に由来するハイブリドーマにおいて産生される場合、マウスの炭水化物鎖を含有してもよい。ヒト抗体は、当該技術分野で既知の様々な方式で調製され得る。
「エピトープ」という用語は、抗体若しくはT細胞受容体に特異的に結合することができるか、又はそうでなければ分子と相互作用することができる抗原の部分を指す。「エピトープ」は、当該技術分野では「抗原決定基」とも称される。エピトープは、概して、アミノ酸、炭水化物、又は糖側鎖などの分子の化学的に活性な表面基からなる。エピトープは、「線形」又は「非線形/立体配座」であり得る。所望のエピトープが決定されると(例えば、エピトープマッピングによって)、そのエピトープに対する抗体が生成され得る。抗体の生成及び特徴付けはまた、所望のエピトープについての情報を提供し得る。この情報から、次いで、例えば、交差競合研究を実施して、互いに競合的に結合する抗体、すなわち、抗原への結合を競合する抗体を見出すことによって、同じエピトープに結合するものについて抗体をスクリーニングすることが可能である。
本明細書で使用される場合、「含む」及びその活用は、その非限定的な意味で使用され、単語に続く項目が含まれることを意味するが、具体的に言及されない項目は除外されない。加えて、「~からなる」という動詞は、「~から本質的になる」に置き換えられてもよい。これは、本明細書に定義される化合物又は補助化合物が、具体的に同定された構成要素以外の追加の構成要素を含み得ることを意味し、当該追加の構成要素は、本発明の固有の特徴を変更しない。
「a」及び「an」という冠詞は、本明細書では、冠詞の文法的目的語の1つ又は2つ以上(すなわち、少なくとも1つ)を指すために使用される。例として、「要素(an element)」は、1つの要素又は2つ以上の要素を意味する。
「およそ」又は「約」という単語は、数値と関連して使用される場合(およそ10、約10)、好ましくは、値が、値の1%より多い、又は少ない10の所与の値であり得ることを意味する。
本明細書で使用される場合、「治療」、「治療する」、及び「治療すること」という用語は、本明細書に記載の疾患若しくは障害、又はそれらの1つ以上の症状の逆転、緩和、発症の遅延、又は進行の阻害を指す。いくつかの実施形態において、治療は、1つ以上の症状が発症した後に施され得る。他の実施形態では、治療は、症状の不在下で施され得る。例えば、治療は、症状の発症前に(例えば、症状の履歴に照らして、及び/又は遺伝子若しくは他の感受性因子に照らして)感染しやすい個体に施され得る。症状が解消した後も、例えば、それらの再発を予防又は遅延させるために、治療を継続することもできる。
明確さ及び簡潔な説明の目的のために、同一又は別個の実施形態の一部として特徴が本明細書に記載される。しかしながら、本発明の範囲は、記載された特徴の全て又はいくつかの組み合わせを有する実施形態を含み得ることが理解されるであろう。
本明細書において引用されている全ての特許及び参考文献は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
本発明は、以下の実施例において更に説明される。これらの実施例は、本発明の範囲を限定するものではなく、単に本発明を明確にするために役立つ。
実施例1.CD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89モノクローナル抗体の生成
(a).免疫化のための表面ヒトCD89を一過性に発現するHEK293F細胞の生成
ヒト全長CD89タンパク質(Swiss-Prot番号P24071.1、配列番号1を参照されたい)をコードするcDNAを、哺乳動物発現のために最適化し、GENEART、Regensburg,Germanyによって合成した(配列番号2を参照されたい)。このcDNAを、pcDNA3.1由来の発現プラスミド中でサブクローニングした。この全長ヒトCD89プラスミドを、FreeStyle(商標)293発現システム(Life Technologies)を使用してFreeStyle(商標)293F細胞(Life Technologies)に一過性にトランスフェクションした。2日後、これらのHEK293F細胞を採取し、滅菌リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で洗浄し、PBS中
Figure 2023523919000012
生細胞/mLで等分し、-80℃で保管して、細胞溶解物を得た。保管前に、1:20希釈フィコエリトリン(PE)コンジュゲートマウス抗ヒトCD89抗体(クローンMIP8a、BioRad)を使用して、トランスフェクションされたHEK293F細胞上のヒトCD89表面発現をフローサイトメトリーで確認した。
(b).スクリーニングのための表面ヒトCD89を安定的に発現するHEK293F細胞の生成
ヒト全長CD89タンパク質(Swiss-Prot番号P24071.1、配列番号1を参照されたい)をコードするcDNAを、哺乳動物発現のために最適化し、GENEART、Regensburg,Germanyによって合成した(配列番号2を参照されたい)。このcDNAを、pcDNA3.1由来の発現プラスミド中でサブクローニングした。この全長ヒトCD89プラスミドを、FreeStyle(商標)293発現システム(Life Technologies)を使用してFreeStyle(商標)293F細胞(Life Technologies)にトランスフェクションした。125μg/mLのG418/ジェネティシン(Gibco)を使用して、安定してヒト全長CD89がトランスフェクションされたHEK293F細胞クローン番号2を選択した。1:20希釈PEコンジュゲートマウス抗ヒトCD89抗体(クローンMIP8a、BioRad)を使用して、トランスフェクションされたHEK293F細胞上のヒトCD89表面発現をフローサイトメトリーで確認した。
(c).マウス抗ヒトCD89モノクローナル抗体の免疫化及び生成
4匹のBALB/cマウス(雌、6~8週齢、Charles River Laboratories)に、
Figure 2023523919000013
の水中油型乳化Sigma Adjuvant System(登録商標)(SAS、Sigma)中の組換えC末端ポリヒスチジンタグ化ヒト細胞外CD89ドメイン(NCBI Ref SEQ NP_001991.1、Sino Biological Inc)及びヒトCD89を、一過性にトランスフェクションされたHEK293F細胞溶解物(上記の実施例1(a)を参照されたい)を0日目に皮下注射し、各マウスに、25μgの250μLのSASと混合した250μLのPBS中の組換えヒトCD89及びヒトCD89をトランスフェクションされたHEK293F細胞溶解物(5x10個の生存膜結合CD89発現細胞から調製)を注射した。14日目及び28日目に、水中油型乳化SAS中の組換えヒトCD89及びヒトCD89を一過性にトランスフェクションされたHEK293F細胞溶解物での皮下注射によって、これら4匹のマウスの抗体応答を強化し、各マウスに、250μLのSASと混合した250μLのPBS中の25μgの組換えヒトCD89及びヒトCD89をトランスフェクションされたHEK293F細胞溶解物(5×10個の生存膜結合CD89発現細胞から調製された)を注射した。最後に、2匹のマウス(マウス番号3及び番号4)に、42日目及び43日目にアジュバントなしの組換えヒトCD89及びヒトCD89をトランスフェクションされたHEK293F細胞溶解物を腹腔内注射し、各マウスに、200μLのPBS中の20μgの組換えヒトCD89及びヒトCD89をトランスフェクションされたHEK293F細胞溶解物(4×10個の生存膜結合CD89発現細胞から調製された)を注射した。加えて、2匹のマウス(マウス番号1及び番号2)に、77日目及び78日目にアジュバントなしの組換えヒトCD89及びヒトCD89をトランスフェクションされたHEK293F細胞溶解物を腹腔内注射し、各マウスに、200μLのPBS中の20μgの組換えヒトCD89及びヒトCD89をトランスフェクションされたHEK293F細胞溶解物(4×10個の生存膜結合CD89発現細胞から調製された)を注射した。46日目(融合Iの場合、マウス番号3及び番号4)又は81日目(融合IIの場合、マウス番号1及び番号2)に、これらの免疫化マウス由来の脾細胞を、以下に記載されるように標準的なハイブリドーマ技術(Kohler and Milstein in Nature 1975,256:495によって最初に記載された)を使用して、SP2/0-Ag14骨髄腫細胞(DSMZ)と融合させた。簡潔に述べると、免疫化されたマウスを屠殺した。脾臓から脾細胞を摘出し、GlutaMax培地(SF培地、Invitrogen)を含む無血清opti-MEM(登録商標)Iで洗浄した。対数増殖するSP2/0-Ag14骨髄腫細胞をSF培地で洗浄し、脾細胞に添加して、5:1の脾細胞対骨髄腫細胞の比を得た。次いで、細胞をペレット化し、上清を除去した。次いで、1mlのポリエチレングリコール4000(Merck)の37%(v/v)溶液を60秒間にわたって滴下し、その後、細胞を37℃で更に60秒間インキュベーションした。次いで、8mlのSF培地、続いて、5mlのGlutaMax/10%(v/v)ウシ胎児血清(FCS、Bodinco)を含むopti-MEM(登録商標)Iを穏やかに撹拌しながらゆっくりと添加した。室温(RT)で30分後、細胞をペレット化し、GlutaMax/10%FCSを含むopti-MEM(登録商標)Iで洗浄して残留ポリエチレングリコールを除去し、最後にアミノプテリン選択培地、すなわち、50×Hybri-Max(商標)アミノプテリン(デノボDNA合成阻害剤、Sigma)を補充したGlutaMax/10%FCSを含むopti-MEM(登録商標)I中、1ウェル当たり0.1×10細胞/200μLの濃度で播種した。7日目からアミノプテリン選択培地を2~3日ごとに補給し、12~14日目にGlutaMax/10%FCSを含むopti-MEM Iに置き換えた。
(d).マウス抗ヒトCD89モノクローナル抗体の存在についてのスクリーニング
各融合後12~14日目から、増殖するハイブリドーマ由来の上清を、標的タンパク質として組換えC末端ポリヒスチジンタグ化ヒト(細胞外)CD89(rhuCD89、Sino Biological)を用いるELISAを使用して、IgGクラスのマウス抗ヒトCD89抗体(すなわち、「低親和性」IgMとは対照的な「高親和性」IgG)の存在についてスクリーニングした。この目的のために、rhuCD89を、PBS中0.5μg/mL(25ng/50μL/ウェル)で、半区域96ウェルEIAプレート(Corning)を使用して、4~8℃で16~24時間の間コーティングした。PBS/0.05%のTween20で十分に洗浄した後、プレートをPBS/0.05%のTween20/1%のウシ血清アルブミン(BSA、Roche)で、室温で1時間遮断した。続いて、プレートを50μLの未希釈ハイブリドーマ上清/ウェルで、室温で1時間インキュベーションした。並行して、50μLの培養培地(GlutaMax/10%のFCSを含むopti-MEM(登録商標)I)及び10μg/mL(培地中で希釈)のマウス抗ヒトCD89抗体クローンMIP8a(BioRad)50μLを、それぞれ陰性対照及び陽性対照として実行した。PBS/0.05%のTween20で十分に洗浄した後、rhuCD89に対する抗体の結合を、室温で1時間、1:5,000に希釈されたホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)コンジュゲートヤギ抗マウスIgGFcγ特異的抗体(Jackson ImmunoResearch)、続いて比色検出のためのTMB基質(Invitrogen)のすぐに使用可能な溶液を用いて決定した。1MのHSOを添加した後、マイクロプレートリーダー(iMark、BioRad)を使用して、450nmの波長(655nmの参照波長)でrhuCD89に対する抗体の結合(光学密度)を測定した。
融合後12~14日目から、増殖するハイブリドーマ由来の上清もまた、標的タンパク質として膜結合ヒトCD89を用いるFACSを使用して、IgGクラスのマウス抗ヒトCD89抗体(すなわち、「低親和性」IgMとは対照的な「高親和性」IgG)の産生について、スクリーニングし、確認した。この目的のために、安定したヒト全長CD89をトランスフェクションされたHEK293F細胞(クローン番号2、上記実施例1(b)を参照されたい)を50μg/mLのヒトIgG(可能なFcγ受容体を遮断する、Sigma)を補充した0.1%のBSA(Sigma)/0.05%のNaNを含有する氷冷PBS(PBS/BSA/NaN)中に、10×10細胞/mLで4℃で10分間置いた。次いで、10μL/チューブ(すなわち、0.1×10細胞)のこれらの細胞を100μLの未希釈ハイブリドーマ上清/チューブとともに4℃で30分間インキュベーションした。並行して、100μLの培養培地(GlutaMax/10%のFCSを含むopti-MEM(登録商標)I)、10μg/mLのマウスIgG1アイソタイプ対照(BD Biosciences)100μL、10μg/mLのマウスIgG2aアイソタイプ対照(BD Biosciences)100μLを陰性対照として実行し、10μg/mLのマウス抗ヒトCD89抗体クローンMIP8a(BioRad)100μLを陽性対照として実行した。トランスフェクションされていない(すなわち、膜結合ヒトCD89発現について陰性)野生型(WT)HEK293F細胞も陰性対照細胞として実行して、抗体特異性を決定した。PBS/BSA/NaNで十分に洗浄した後、続いて細胞を1:200に希釈したPEコンジュゲートヤギ抗マウスIgGFcγ特異的抗体(Jackson ImmunoResearch)とともに4℃で30分間インキュベーションした。PBS/BSA/NaNで十分に洗浄した後、細胞を、PBS/BSA/NaN中の2%ホルムアルデヒド中で、4℃で30分間固定した。膜ヒトCD89に対する抗体の結合(幾何平均蛍光強度)をフローサイトメーター(FACSCalibur、BD Biosciences)を使用して測定した。
二重CD89陽性(すなわち、ELISAでrhuCD89+(データは示さない)及びFACSで膜CD89+HEK293F細胞(図1))ハイブリドーマを増殖させ、凍結保存した。これらの二重CD89陽性ハイブリドーマ由来の上清は、トランスフェクションされていない(すなわち、膜結合ヒトCD89発現について陰性)WT HEK293F細胞との反応性を示さなかった。図1に示されるように、このアプローチにより、21個のマウス抗ヒトCD89特異的抗体産生ハイブリドーマを得た。続いて、これらのマウス抗ヒトCD89特異的抗体産生ハイブリドーマの上清を、その受容体CD89上の血清ヒトIgAの結合を遮断する能力について試験した(以下の実施例1(e)を参照されたい)。
(e).CD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89モノクローナル抗体の存在についてのスクリーニング
血清ヒトIgAのヒトCD89への結合に対するマウス抗ヒトCD89抗体の効果を分析するために、ELISA及びFACS分析を使用することによって、血清ヒトIgAとヒトCD89との相互作用を立体的に妨げるマウス抗ヒトCD89抗体の能力を決定した。
ELISA:rhuCD89を、PBS中0.5μg/mL(25ng/50μL/ウェル)で、半区域96ウェルEIAプレート(Corning)を使用して、4~8℃で16~24時間の間コーティングした。PBS/0.05%のTween20で十分に洗浄した後、プレートをPBS/0.05%のTween20/1%のBSA(Roche)で、室温で1時間遮断した。続いて、プレートを25μLの未希釈ハイブリドーマ上清/ウェルで、室温で30時間インキュベーションした。並行して、25μLの培養培地(GlutaMax/10%のFCSを含むopti-MEM(登録商標)I)及び20μg/mL(培地中で希釈)のマウス抗ヒトCD89抗体クローンMIP8a(BioRad)25μLを、それぞれ陰性対照及び陽性対照として実行した。この後(すなわち、洗浄せずに)、2μg/mL(培養培地中で希釈)の精製されたヒト(血清由来)IgA(Bethyl Laboratories)25μLをこれらのウェルに添加し、室温で更に30分間インキュベーションした。PBS/0.05%のTween20で十分に洗浄した後、rhuCD89に対する血清ヒトIgAの結合を、1μg/mLのビオチンコンジュゲートF(ab’)2断片抗ヒトヤギ血清IgAα鎖特異的抗体(Jackson ImmunoResearch)で、室温で1時間測定した。PBS/0.05%のTween20で十分に洗浄した後、1:10,000に希釈したHRPコンジュゲートストレプトアビジン((Jackson ImmunoResearch)を添加し、室温で1時間インキュベーションし、続いて比色検出のためのTMB基質(Invitrogen)のすぐに使用可能な溶液を添加した。1MのHSOを添加した後、マイクロプレートリーダー(iMark、BioRad)を使用して、450nmの波長(655nmの参照波長)でrhuCD89に対する血清ヒトIgAの結合(光学密度)を測定した。
FACS:安定したヒト全長CD89をトランスフェクションされたHEK293F細胞(クローン番号2、上記実施例1(b)を参照)を、0.1%BSA(Sigma)/0.05%NaNを含有する氷冷PBS(PBS/BSA/NaN)中に10×10細胞/mLで置いた。次いで、10μL/チューブ(すなわち0.1×10細胞)のこれらの細胞を、50μLの未希釈ハイブリドーマ上清/チューブとともに4℃で30分間インキュベーションした。並行して、50μLの培養培地(GlutaMax/10%FCSを有するopti-MEM(登録商標)I)、20μg/mLのマウスIgG1アイソタイプ対照(BD Biosciences)50μL、及び20μg/mLのマウスIgG2aアイソタイプ対照(BD Biosciences)50μLを陰性対照として実行し、20μg/mLのマウス抗ヒトCD89抗体クローンMIP8a(BioRad)50μLを陽性対照として実行した。この後(すなわち、洗浄せずに)、20μg/mL(培養培地中で希釈)の精製されたヒト(血清由来)IgA(Bethyl Laboratories)50μLをこれらの細胞に添加し、4℃で更に30分間インキュベーションした。PBS/BSA/NaNで十分に洗浄した後、膜ヒトCD89に対する血清ヒトIgAの結合を、30分間4℃で、5μg/mLのビオチンコンジュゲートF(ab’)2断片ヤギ抗ヒト血清IgAα鎖特異的抗体(Jackson ImmunoResearch)を用いて決定した。PBS/BSA/NaNで十分に洗浄した後、1:200に希釈したPEコンジュゲートストレプトアビジン(Jackson ImmunoResearch)を添加し、4℃で30分間インキュベーションした。PBS/BSA/NaNで十分に洗浄した後、細胞をPBS/BSA/NaN中の2%ホルムアルデヒド中で、4℃で30分間固定した。膜ヒトCD89に対する血清ヒトIgAの結合(幾何平均蛍光強度)を、フローサイトメーター(FACSCalibur、BD Biosciences)を使用して測定した。
図2Aに示すように、マウス抗ヒトCD89特異的抗体産生ハイブリドーマ(すなわち、8F3、9H7、10E7、26D6、20B4、及び30C7)由来の21個の調査された上清のうちの6個は、血清ヒトIgAのrhuCD89への結合の強力な/完全な遮断を示したが、マウス抗ヒトCD89特異的抗体産生ハイブリドーマ(すなわち、16D6)由来の21個の調査された上清のうちの1個は、血清ヒトIgAのrhuCD89への結合の中間/部分的な遮断を示した。参照目的のために、精製されたマウス抗ヒトCD89抗体クローンMIP8a、既知のCD89/IgA遮断剤(Zhang et al.Clin Exp Immunol 2000;121:106-111)を並行して実行し、血清ヒトIgAのrhuCD89への結合の強力/完全な遮断を示した。
図2Bに示すように、マウス抗ヒトCD89特異的抗体産生ハイブリドーマ(すなわち、8F3、9H7、10E7、26D6、20B4、及び30C7)由来の21個の調査された上清のうちの6個は、血清ヒトIgAの膜結合ヒトCD89への結合の強力な/完全な遮断を示したが、マウス抗ヒトCD89特異的抗体産生ハイブリドーマ(すなわち、16D6)由来の21個の調査された上清のうちの1個は、血清ヒトIgAの膜結合ヒトCD89への結合の中間/部分的な遮断を示した。参照目的のために、精製されたマウス抗ヒトCD89抗体クローンMIP8a(BioRad)、既知のCD89/IgA遮断剤(Zhang et al.Clin Exp Immunol 2000;121:106-111)を並行して実行し、血清ヒトIgAの膜結合ヒトCD89への結合の強力/完全な遮断を示した。
プロテインGカラム(GE Healthcare)を使用して、上記のCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89特異的抗体産生ハイブリドーマの上清からマウス抗体を精製した。IsoStrip(商標)マウスモノクローナル抗体アイソタイピングキット(Roche)を使用して、重鎖及び軽鎖をアイソタイプクラスについて分類し、全ての精製されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89特異的抗体(すなわち、8F3、9H7、10E7、16D6、26D6、20B4、及び30C7)がIgG1/κであることが見出された。加えて、LAL発色エンドポイントアッセイ(Hycult Biotech)を使用してLPSレベルを決定し、全ての精製されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89特異的抗体(すなわち、8F3、9H7、10E7、16D6、26D6、20B4、及び30C7)は、<0.005EU LPS/μgのマウスIgGを含有した。続いて、実施例2及び3に記載されるように、これらの精製されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89特異的抗体を、ヒトCD89に対する相対的結合親和性、ヒトCD89への血清ヒトIgAの結合に対する遮断効果、及びヒトCD89発現初代ヒト好中性顆粒球による血清ヒトIgA媒介性ファゴサイトーシス、及び血清ヒトIgA媒介性遊走に対する遮断効果について詳細に試験した。加えて、実施例4に記載されるように、これらの精製されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89特異的抗体の優れた特異性を、既知の商業用CD89/IgA遮断及び非遮断マウス抗ヒトCD89特異的抗体との交差競合によって、ヒトCD89/ウシFcγ2Rドメインマッピングによって、カニクイザルCD89に対する異種間結合によって、及びヒト/カニクイザルCD89エピトープマッピングによって調査した。
実施例2.CD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89モノクローナル抗体の結合特徴付け
(a).ヒトCD89に対するCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体の相対的結合親和性
ヒトCD89に対する精製されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体の相対的結合親和性を決定するために、ELISA及びFACS分析を使用した。
ELISA:rhuCD89を、PBS中0.5μg/mL(25ng/50μL/ウェル)で、半区域96ウェルEIAプレート(Corning)を使用して、4~8℃で16~24時間の間コーティングした。PBS/0.05%のTween20で十分に洗浄した後、プレートをPBS/0.05%のTween20/1%のBSA(Roche)で、室温で1時間遮断した。続いて、プレートを50μLの滴定された(遮断緩衝液中)精製されたマウス抗ヒトCD89抗体/ウェルで、室温で1時間インキュベーションした。並行して、50μLの滴定された(遮断緩衝液中)精製されたマウス抗ヒトCD89抗体クローンMIP8a(BioRad)を陽性対照として実行した。PBS/0.05%のTween20で十分に洗浄した後、rhuCD89に対する抗体の結合を、室温で1時間、1:5,000に希釈されたホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)コンジュゲートヤギ抗マウスIgGFcγ特異的抗体(Jackson ImmunoResearch)、続いて比色検出のためのTMB基質(Invitrogen)のすぐに使用可能な溶液を用いて決定した。1MのHSOを添加した後、マイクロプレートリーダー(iMark、BioRad)を使用して、450nmの波長(655nmの参照波長)でrhuCD89に対する抗体の結合(光学密度)を測定した。
FACS:安定したヒト全長CD89をトランスフェクションされたHEK293F細胞(クローン番号2、上記実施例1(b)を参照されたい)を、50μg/mLのヒトIgG(可能なFcγ受容体を遮断する、Sigma)を補充した0.1%のBSA(Sigma)/0.05%NaNを含有する氷冷PBS(PBS/BSA/NaN)中に、10×10細胞/mLで4℃で10分間置いた。次いで、10μL/チューブ(すなわち、0.1×10細胞)のこれらの細胞を100μLの滴定された(PBS/BSA/NaN中)精製されたマウス抗ヒトCD89抗体/チューブとともに4℃で30分間インキュベーションした。並行して、100μLの滴定された(PBS/BSA/NaN中)精製されたマウスIgG1アイソタイプ対照(BD Biosciences)及び100μLの滴定された(PBS/BSA/NaN中)精製されたマウス抗ヒトCD89抗体クローンMIP8a(BioRad)を、それぞれ陰性対照及び陽性対照として実行した。PBS/BSA/NaNで十分に洗浄した後、続いて細胞を1:200に希釈したPEコンジュゲートヤギ抗マウスIgGFcγ特異的抗体(Jackson ImmunoResearch)とともに4℃で30分間インキュベーションした。PBS/BSA/NaNで十分に洗浄した後、細胞を、PBS/BSA/NaN中の2%ホルムアルデヒド中で、4℃で30分間固定した。膜ヒトCD89に対する抗体の結合(幾何平均蛍光強度)をフローサイトメーター(FACSCalibur、BD Biosciences)を使用して測定した。
図3Aに示すように、全ての精製されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89特異的抗体は、rhuCD89に用量依存的に結合した。それらの結合プロファイルに基づいて、以下の相対的親和性ランキングが見出された(高い親和性から低い親和性まで):9H7=26D6=20B4>8F3=10E7=30C7(=MIP8a)>16D6。参照目的のために、精製されたマウス抗ヒトCD89抗体クローンMIP8a、既知のCD89/IgA遮断剤(Zhang et al.Clin Exp Immunol 2000;121:106-111)を並行して実行し、また、rhuCD89への用量依存的結合も示した。
図3Bに示すように、全ての精製されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89特異的抗体は、膜ヒトCD89に用量依存的に結合した。それらの結合プロファイルに基づいて、以下の相対的親和性ランキングが見出された(高い親和性から低い親和性まで):9H7=26D6=20B4(=MIP8a)>8F3=10E7=30C7>16D6、これはELISAに見出された相対的親和性ランキングと一致した。参照目的のために、精製されたマウス抗ヒトCD89抗体クローンMIP8a、既知のCD89/IgA遮断剤(Zhang et al.Clin Exp Immunol 2000;121:106-111)を並行して実行し、また、膜ヒトCD89への用量依存的結合も示した。
(b).CD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体のCD89/IgA遮断能力の程度
精製されたマウス抗ヒトCD89抗体のCD89/IgA遮断の程度を分析するために、ヒトIgAとヒトCD89との相互作用を立体的に妨げる精製されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体の能力を、ELISA及びFACS分析を使用して決定した。
ELISA:rhuCD89を、PBS中0.5μg/mL(25ng/50μL/ウェル)で、半区域96ウェルEIAプレート(Corning)を使用して、4~8℃で16~24時間の間コーティングした。PBS/0.05%のTween20で十分に洗浄した後、プレートをPBS/0.05%のTween20/1%のBSA(Roche)で、室温で1時間遮断した。続いて、プレートを25μLの滴定された(遮断緩衝液中)精製されたマウス抗ヒトCD89抗体/ウェルで、室温で30時間インキュベーションした。並行して、25μLの滴定された(遮断緩衝液中)精製されたマウス抗ヒトCD89抗体クローンMIP8a(BioRad)を陽性対照として実行した。この後(すなわち、洗浄せずに)、2μg/mL(遮断緩衝液中で希釈)の精製されたヒト(血清由来)IgA(Bethyl Laboratories)25μLをこれらのウェルに添加し、室温で更に30分間インキュベーションした。PBS/0.05%のTween20で十分に洗浄した後、rhuCD89に対する血清ヒトIgAの結合を、1μg/mLのビオチンコンジュゲートF(ab’)2断片抗ヒトヤギ血清IgAα鎖特異的抗体(Jackson ImmunoResearch)で、室温で1時間測定した。PBS/0.05%のTween20で十分に洗浄した後、1:10,000に希釈したHRPコンジュゲートストレプトアビジン((Jackson ImmunoResearch)を添加し、室温で1時間インキュベーションし、続いて比色検出のためのTMB基質(Invitrogen)のすぐに使用可能な溶液を添加した。1MのHSOを添加した後、マイクロプレートリーダー(iMark、BioRad)を使用して、450nmの波長(655nmの参照波長)でrhuCD89に対する血清ヒトIgAの結合(光学密度)を測定した。
FACS:安定したヒト全長CD89をトランスフェクションされたHEK293F細胞(クローン番号2、上記実施例1(b)を参照されたい)を、50μg/mLのヒトIgG(可能なFcγ受容体を遮断する、Sigma)を補充した0.1%のBSA(Sigma)/0.05%NaNを含有する氷冷PBS(PBS/BSA/NaN)中に、10×10細胞/mLで4℃で10分間置いた。次いで、10μL/チューブ(すなわち、0.1×10細胞)のこれらの細胞を50μLの滴定された(PBS/BSA/NaN中)精製されたマウス抗ヒトCD89抗体/チューブとともに4℃で30分間インキュベーションした。並行して、50μLの滴定された(PBS/BSA/NaN中)精製されたマウスIgG1アイソタイプ対照(BD Biosciences)及び50μLの滴定された(PBS/BSA/NaN中)精製されたマウス抗ヒトCD89抗体クローンMIP8a(BioRad)を、それぞれ陰性対照及び陽性対照として実行した。この後(すなわち、洗浄せずに)、20μg/mL(PBS/BSA/NaN中で希釈)の精製されたヒト(血清由来)IgA(Bethyl Laboratories)50μLをこれらの細胞に添加し、4℃で更に30分間インキュベーションした。PBS/BSA/NaNで十分に洗浄した後、膜ヒトCD89に対する血清ヒトIgAの結合を、30分間4℃で、5μg/mLのビオチンコンジュゲートF(ab’)2断片ヤギ抗ヒト血清IgAα鎖特異的抗体(Jackson ImmunoResearch)を用いて、決定した。PBS/BSA/NaNで十分に洗浄した後、1:200に希釈したPEコンジュゲートストレプトアビジン(Jackson ImmunoResearch)を添加し、4℃で30分間インキュベーションした。PBS/BSA/NaNで十分に洗浄した後、細胞をPBS/BSA/NaN中の2%ホルムアルデヒド中で、4℃で30分間固定した。膜ヒトCD89に対する血清ヒトIgAの結合(幾何平均蛍光強度)を、フローサイトメーター(FACSCalibur、BD Biosciences)を使用して測定した。
図4Aに示すように、全ての精製されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89特異的抗体は、rhuCD89への血清ヒトIgAの結合を用量依存的に防止した。それらのCD89/IgA遮断プロファイルに基づいて、以下のランキングが見出された(強いCD89/IgA遮断の程度から弱いCD89/IgA遮断の程度へ):9H7=26D6=20B4>8F3=10E7=30C7(=MIP8a)>16D6。興味深いことに、これらの調査した精製されたマウス抗ヒトCD89抗体の、rhuCD89への血清ヒトIgA結合を立体的に遮断する程度(本実施例)と、rhuCD89に対するそれらのそれぞれの相対的結合親和性(上記実施例2(a)を参照されたい)との間には、強い正の関係があるようであった。参照目的のために、精製されたマウス抗ヒトCD89抗体クローンMIP8a、既知のCD89/IgA遮断剤(Zhang et al.Clin Exp Immunol 2000;121:106-111)を並行して実行し、また、血清ヒトIgAのrhuCD89への結合の用量依存的遮断も示した。
図4Bに示すように、全ての精製されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89特異的抗体は、膜ヒトCD89への血清ヒトIgAの結合を用量依存的に防止した。それらのCD89/IgA遮断プロファイルに基づいて、以下のランキングが見出された(強いCD89/IgA遮断の程度から低いCD89/IgA遮断の程度へ):9H7=26D6=20B4(=MIP8a)>8F3=10E7=30C7>16D6、これはELISAに見出されたCD89/IgA遮断の程度と一致した。興味深いことに、これらの調査した精製されたマウス抗ヒトCD89抗体の、膜ヒトCD89への血清ヒトIgA結合を立体的に遮断する程度(本実施例)と、膜ヒトCD89に対するそれらのそれぞれの相対的結合親和性(上記実施例2(a)を参照されたい)との間には、強い正の関係があるようであった。参照目的のために、精製されたマウス抗ヒトCD89抗体クローンMIP8a、既知のCD89/IgA遮断剤(Zhang et al.Clin Exp Immunol 2000;121:106-111)を並行して実行し、また、血清ヒトIgAの膜ヒトCD89への結合の用量依存的遮断も示した。
精製されたマウス抗ヒトCD89抗体のCD89/IgA遮断の程度を分析するために、分泌ヒトIgAとヒトCD89との相互作用を立体的に妨げる精製されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体の能力をFACS分析を使用して決定した。
安定したヒト全長CD89をトランスフェクションされたHEK293F細胞(クローン番号2、上記実施例1(b)を参照)を、0.1%BSA(Sigma)/0.05%NaNを含有する氷冷PBS(PBS/BSA/NaN)中に10×10細胞/mLで置いた。次いで10μL/チューブ(すなわち、0.1×10細胞)のこれらの細胞を、50μLの滴定された(PBS/BSA/NaN中)精製されたマウス抗ヒトCD89抗体/チューブとともに、又はそれを含まずに、4℃で30分間インキュベーションした。並行して、50μLの滴定された(PBS/BSA/NaN中)精製されたマウス抗ヒトCD89抗体クローンMIP8a(BioRad)を陽性対照として実行した。この後(すなわち、洗浄せずに)、0.16μM(PBS/BSA/NaN中で希釈)の精製されたヒト(初乳由来)IgA(BioRad)50μLをこれらの細胞に添加し、4℃で更に30分間インキュベーションした。PBS/BSA/NaNで十分に洗浄した後、膜ヒトCD89に対する分泌ヒトIgAの結合を、30分間4℃で、5μg/mLのビオチンコンジュゲートF(ab’)2断片ヤギ抗ヒト血清IgAα鎖特異的抗体(Jackson ImmunoResearch)を用いて決定した。PBS/BSA/NaNで十分に洗浄した後、1:200に希釈したPEコンジュゲートストレプトアビジン(Jackson ImmunoResearch)を添加し、4℃で30分間インキュベーションした。PBS/BSA/NaNで十分に洗浄した後、細胞をPBS/BSA/NaN中の4%ホルムアルデヒド中で、4℃で30分間固定した。膜ヒトCD89に対する分泌ヒトIgAの結合(幾何平均蛍光強度)を、フローサイトメーター(FACSCalibur、BD Biosciences)を使用して測定した。
図4Cに示すように、全ての精製されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89特異的抗体は、膜ヒトCD89への分泌ヒトIgAの結合を用量依存的に防止した。それらのCD89/IgA遮断プロファイルに基づいて、以下のランキングが見出された(強いCD89/IgA遮断の程度から低いCD89/IgA遮断の程度へ):9H7=26D6=20B4(=MIP8a)>8F3=10E7=30C7>16D6、これはFACSに見出された血清ヒトIgAを使用したCD89/IgA遮断の程度と一致した(4B)。興味深いことに、これらの調査した精製されたマウス抗ヒトCD89抗体の、膜ヒトCD89への分泌ヒトIgA結合を立体的に遮断する程度(本実施例)と、膜ヒトCD89に対するそれらのそれぞれの相対的結合親和性(上記実施例2(a)を参照されたい)との間には、強い正の関係があるようであった。参照目的のために、精製されたマウス抗ヒトCD89抗体クローンMIP8a、既知のCD89/IgA遮断剤(Zhang et al.Clin Exp Immunol 2000;121:106-111)を並行して実行し、また、分泌ヒトIgAの膜ヒトCD89への結合の用量依存的遮断も示した。
ヒトCD89は、単量体ヒトIgAに対する低/中程度の親和性
Figure 2023523919000014
を有する受容体であることが記載されているが、ヒトIgA免疫複合体は、ヒトCD89に貪欲に結合する(Bakema et al.Immunol Rev 2011;4:612-624)。ヒトIgA免疫複合体を模倣するために、ヒト(血清由来)IgA(Bethyl Laboratories)を63℃で30分間加熱し、室温まで冷却し、続いて4℃、12000×gで2分間遠心分離して、任意の不溶性タンパク質沈殿を除去した。この熱凝集(血清由来)ヒトIgAを、サイズ排除クロマトグラフィー分析を使用して非凝集(血清由来)ヒトIgAと比較し、熱凝集ヒトIgAが、
Figure 2023523919000015
の単量体、
Figure 2023523919000016
二量体、及び
Figure 2023523919000017
の四量体以上の多量体ヒトIgAからなるが、非凝集ヒトIgAは、
Figure 2023523919000018
の単量体、
Figure 2023523919000019
の二量体、及び
Figure 2023523919000020
の三量体ヒトIgAからなることを実証した。次いで、この熱凝集血清ヒトIgA対非凝集血清ヒトIgAと膜結合ヒトCD89との相互作用を立体的に妨げる発明者らの精製されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体の能力を、FACS分析を用いて決定した(以下を参照されたい)。
安定したヒト全長CD89をトランスフェクションされたHEK293F細胞(クローン番号2、上記実施例1(b)を参照されたい)を、50μg/mLのヒトIgG(可能なFcγ受容体を遮断する、Sigma)を補充した0.1%のBSA(Sigma)/0.05%NaNを含有する氷冷PBS(PBS/BSA/NaN)中に、10×10細胞/mLで、4℃で10分間置いた。次いで、10μL/チューブ(すなわち0.1×10細胞)のこれらの細胞を、20μg/mL(PBS/BSA/NaN中)の精製されたマウス抗ヒトCD89抗体50μLとともに、又はそれを含まずに、4℃で30分間インキュベーションした。並行して、20μg/mL(PBS/BSA/NaN中)の精製されたマウスIgG1アイソタイプ対照(BD Biosciences)50μL及び20μg/mL(PBS/BSA/NaN中)の精製されたマウス抗ヒトCD89抗体クローンMIP8a(周知のCD89/IgA遮断剤(Zhang et al.Clin Exp Immunol 2000;121:106-111)、BioRad)50μLを、それぞれ陰性対照及び陽性対照として実行した。更に、20μg/mL(PBS/BSA/NaN中)の精製されたマウス抗ヒトCD89抗体クローンA59(周知のCD89/IgA非遮断剤(Monteiro et al.J Immunol 1992;148:1764-1770)、BD Biosciences)50μL、及び20μg/mL(PBS/BSA/NaN中)の精製マウス抗ヒトCD89抗体クローンA3(周知のCD89/IgA非遮断剤(Monteiro et al.J Immunol 1992;148:1764-1770)、Santa Cruz Biotechnology)50μLを、追加の陰性対照として実行した。この後(すなわち、洗浄せずに)、20μg/mL(PBS/BSA/NaN中で希釈)の精製された非凝集又は熱凝集ヒト(血清由来)IgA(Bethyl Laboratories)50μLをこれらの細胞に添加し、4℃で更に30分間インキュベーションした。PBS/BSA/NaNで十分に洗浄した後、膜ヒトCD89に対する非凝集又は熱凝集血清ヒトIgAの結合を、30分間4℃で、5μg/mLのビオチンコンジュゲートF(ab’)2断片ヤギ抗ヒト血清IgAα鎖特異的抗体(Jackson ImmunoResearch)を用いて決定した。PBS/BSA/NaNで十分に洗浄した後、1:200に希釈したPEコンジュゲートストレプトアビジン(Jackson ImmunoResearch)を添加し、4℃で30分間インキュベーションした。PBS/BSA/NaNで十分に洗浄した後、細胞をPBS/BSA/NaN中の2%ホルムアルデヒド中で、4℃で30分間固定した。膜ヒトCD89に対する非凝集又は熱凝集血清ヒトIgAの結合(幾何平均蛍光強度)を、フローサイトメーター(FACSCalibur、BD Biosciences)を使用して測定した。
図5Aに示すように、発明者らの全ての精製されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89特異的抗体は、非凝集血清ヒトIgAで見出されるのと同様の程度に、熱凝集血清ヒトIgAの膜ヒトCD89への結合を防止した。参照目的のために、精製されたマウス抗ヒトCD89抗体クローンMIP8a、既知のCD89/IgA遮断剤(Zhang et al.Clin Exp Immunol 2000;121:106-111)を並行して実行し、また、非凝集血清ヒトIgAで見出されるのと同様の程度に、熱凝集血清ヒトIgAの膜ヒトCD89への結合の遮断も示した。驚くべきことに、両方とも周知のCD89/IgA非遮断剤(Monteiro et al.J Immunol 1992;148:1764-1770)である、精製されたマウス抗ヒトCD89抗体クローンA59及びクローンA3は、非凝集血清ヒトIgAで見出されるのと同様の程度で、熱凝集血清ヒトIgAの膜ヒトCD89への結合の部分的
Figure 2023523919000021
遮断を示した。
まとめると、これらの結果により、CD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89特異的抗体8F3、9H7、10E7、16D6、26D6、20B4、及び30C7が、膜ヒトCD89への単量体、二量体、三量体、四量体、又はより高次の多量体血清ヒトIgA(すなわち、非凝集及び熱凝集IgA)及び二量体分泌ヒトIgAの結合を防止したことが実証された。要約については、表1A(すなわち、血清ヒトIgA遮断)を参照されたい。
(c).CD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体による血清ヒトIgAの置換
精製されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体が、ヒトCD89へ先に飽和した血清ヒトIgAを置換することができたかどうかを分析するために、精製されたマウス抗ヒトCD89抗体が、HEK293F細胞上の膜結合ヒトCD89への血清ヒトIgAの置換に対する効果を、FACS分析を用いて決定した。
安定したヒト全長CD89をトランスフェクションされたHEK293F細胞(クローン番号2、上記実施例1(b)を参照されたい)を、50μg/mLのヒトIgG(可能なFcγ受容体を遮断する、Sigma)を補充した0.1%のBSA(Sigma)/0.05%NaNを含有する氷冷PBS(PBS/BSA/NaN)中に、10×10細胞/mLで、4℃で10分間置いた。次いで、10μL/チューブ(すなわち0.1×10細胞)のこれらの細胞を、20μg/mL(PBS/BSA/NaN中)の精製された非凝集又は熱凝集ヒト(血清由来)IgA(Bethyl Laboratories)50μLとともに、4℃で30分間インキュベーションした。この後(すなわち、洗浄せずに)、20μg/mL(PBS/BSA/NaN中)の精製されたマウス抗ヒトCD89抗体50μLをこれらの細胞に添加し、4℃で更に30分間インキュベーションした。並行して、20μg/mL(PBS/BSA/NaN中)の精製されたマウスIgG1アイソタイプ対照(BD Biosciences)50μL及び20μg/mL(PBS/BSA/NaN中)の精製されたマウス抗ヒトCD89抗体クローンMIP8a(周知のCD89/IgA遮断剤(Zhang et al.Clin Exp Immunol 2000;121:106-111)、BioRad)50μLを、それぞれ陰性対照及び陽性対照として実行した。更に、20μg/mL(PBS/BSA/NaN中)の精製されたマウス抗ヒトCD89抗体クローンA59(周知のCD89/IgA非遮断剤(Monteiro et al.J Immunol 1992;148:1764-1770)、BD Biosciences)50μL、及び20μg/mL(PBS/BSA/NaN中)の精製マウス抗ヒトCD89抗体クローンA3(周知のCD89/IgA非遮断剤(Monteiro et al.J Immunol 1992;148:1764-1770)、Santa Cruz Biotechnology)50μLを、追加の陰性対照として実行した。PBS/BSA/NaNで十分に洗浄した後、膜ヒトCD89に対する非凝集又は熱凝集血清ヒトIgAの結合を、30分間4℃で、5μg/mLのビオチンコンジュゲートF(ab’)2断片ヤギ抗ヒト血清IgAα鎖特異的抗体(Jackson ImmunoResearch)を用いて決定した。PBS/BSA/NaNで十分に洗浄した後、1:200に希釈したPEコンジュゲートストレプトアビジン(Jackson ImmunoResearch)を添加し、4℃で30分間インキュベーションした。PBS/BSA/NaNで十分に洗浄した後、細胞をPBS/BSA/NaN中の2%ホルムアルデヒド中で、4℃で30分間固定した。膜ヒトCD89に対する非凝集又は熱凝集血清ヒトIgAの結合(幾何平均蛍光強度)を、フローサイトメーター(FACSCalibur、BD Biosciences)を使用して測定した。
図5Bに示すように、発明者らの全ての精製されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89特異的抗体は、先に飽和した膜ヒトCD89上の非凝集血清ヒトIgAを様々な程度に置換した。それらの血清ヒトIgA置換の程度に基づいて、以下のランキングが見出された(強いヒトIgA置換の程度から弱いヒトIgA置換の程度へ):9H7=26D6(=MIP8a)>20B4>30C7>8F3=10E7>16D6。参照目的のために、精製されたマウス抗ヒトCD89抗体クローンMIP8a、既知のCD89/IgA遮断剤(Zhang et al.Clin Exp Immunol 2000;121:106-111)を並行して実行し、また、先に飽和した膜ヒトCD89上の非凝集血清ヒトIgAを置き換えた。対照的に、両方とも周知のCD89/IgA非遮断剤(Monteiro et al.J Immunol 1992;148:1764-1770)である、精製されたマウス抗ヒトCD89抗体クローンA59及びクローンA3は、先に飽和した膜ヒトCD89上の非凝集血清ヒトIgAを置き換えなかった。
図5Bに示すように、発明者らの全ての精製されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89特異的抗体(16D6を除く)はまた、先に飽和した膜ヒトCD89上の熱凝集血清ヒトIgAを、様々な程度に、及び非凝集血清ヒトIgAで見出されるのとわずかに小さい程度に置き換えた。それらの血清ヒトIgA置換の程度に基づいて、以下のランキングが見出された(強いヒトIgA置換の程度から弱いヒトIgA置換の程度へ):9H7=26D6(=MIP8a)>20B4>30C7>8F3=10E7。参照目的のために、精製されたマウス抗ヒトCD89抗体クローンMIP8a、既知のCD89/IgA遮断剤(Zhang et al.Clin Exp Immunol 2000;121:106-111)を並行して実行し、また、非凝集血清ヒトIgAで見られるのとわずかに少ない程度ではあるが、先に飽和した膜ヒトCD89上の非凝集血清ヒトIgAを置き換えた。対照的に、両方とも周知のCD89/IgA非遮断剤(Monteiro et al.J Immunol 1992;148:1764-1770)である、精製されたマウス抗ヒトCD89抗体クローンA59及びクローンA3は、先に飽和した膜ヒトCD89上の熱凝集血清ヒトIgAを置き換えなかった。
これらの結果により、CD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89特異的抗体8F3、9H7、10E7、(16D6)、26D6、20B4、及び30C7が、先に飽和した膜ヒトCD89上の単量体、二量体及び三量体血清ヒトIgA(すなわち、非凝集IgA)の置換、並びに、少し低い程度で、四量体又はより高次の多量体血清ヒトIgA(すなわち、熱凝集IgA)の置換を示したことが実証された。要約については、表1Aを参照されたい。
Figure 2023523919000022
全ての上記の実験(上記の実施例2(b)及び実施例2(c)を参照されたい)は、(フローサイトメトリー)代謝不活性条件下(すなわち、寒冷な周囲温度(4℃)で、及び抗体が受容体に結合した後の抗体-抗原複合体のキャッピング、脱落、及び内在化を防止するミトコンドリア呼吸の可逆的阻害剤である、NaNの存在によって)で実施されたため、以下のとおり、代謝(活性)条件下で、膜結合ヒトCD89との非凝集及び熱凝集ヒト血清IgAの相互作用を立体的に妨げる発明者らの精製されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体の能力を調査した。
ヒトIgA遮断設定:安定したヒト全長CD89をトランスフェクションされたHEK293F細胞(クローン番号2、上記実施例1(b)を参照されたい)を、125μg/mLのG418/ジェネティシン(Gibco)を補充したFreeStyle(商標)293培養培地(Life Technologies)中に、1.70×10細胞/mLで、4℃で置いた。次いで、400μL/チューブ(すなわち0.7×10細胞)のこれらの細胞を、100μg/mL(FreeStyle(商標)293培養培地中)の精製されたマウス抗ヒトCD89抗体50μLとともに、又はそれを含まずに、4℃で30分間インキュベーションした。並行して、100μg/mL(FreeStyle(商標)293培養培地中)の精製されたマウスIgG1アイソタイプ対照(BD Biosciences)50μL及び100μg/mL(FreeStyle(商標)293培養培地中)の精製されたマウス抗ヒトCD89抗体クローンMIP8a(周知のCD89/IgA遮断剤(Zhang et al.Clin Exp Immunol 2000;121:106-111)、BioRad)50μLを、それぞれ陰性対照及び陽性対照として実行した。更に、100μg/mL(FreeStyle(商標)293培養培地中)の精製されたマウス抗ヒトCD89抗体クローンA59(周知のCD89/IgA非遮断剤(Monteiro et al.J Immunol 1992;148:1764-1770)、BD Biosciences)50μL、及び100μg/mL(PBS/BSA/NaN中)の精製マウス抗ヒトCD89抗体クローンA3(周知のCD89/IgA非遮断剤(Monteiro et al.J Immunol 1992;148:1764-1770)、Santa Cruz Biotechnology)50μLを、追加の陰性対照として実行した。この後(すなわち、洗浄せずに)、100μg/mL(FreeStyle(商標)293培養培地中)の精製された非凝集又は熱凝集ヒト(血清由来)IgA(Bethyl Laboratories)50μLを、これらの細胞に添加し、37℃で更に24時間、5%COインキュベーター内でインキュベーションした。PBS/BSA/NaNで十分に洗浄した後、膜ヒトCD89に対する非凝集又は熱凝集血清ヒトIgAの結合を、30分間4℃で、5μg/mLのビオチンコンジュゲートF(ab’)2断片ヤギ抗ヒト血清IgAα鎖特異的抗体(Jackson ImmunoResearch)を用いて決定した。PBS/BSA/NaNで十分に洗浄した後、1:200に希釈したPEコンジュゲートストレプトアビジン(Jackson ImmunoResearch)を添加し、4℃で30分間インキュベーションした。PBS/BSA/NaNで十分に洗浄した後、細胞をPBS/BSA/NaN中の2%ホルムアルデヒド中で、4℃で30分間固定した。膜ヒトCD89に対する非凝集又は熱凝集血清ヒトIgAの結合(幾何平均蛍光強度)を、フローサイトメーター(FACSCalibur、BD Biosciences)を使用して測定した。
ヒトIgA置換設定:安定したヒト全長CD89をトランスフェクションされたHEK293F細胞(クローン番号2、上記実施例1(b)を参照されたい)を、125μg/mLのG418/ジェネティシン(Gibco)を補充したFreeStyle(商標)293培養培地(Life Technologies)中に、1.70×10細胞/mLで、4℃で置いた。次いで、400μL/チューブ(すなわち0.7×10細胞)のこれらの細胞を、100μg/mL(FreeStyle(商標)293培養培地中)の精製された非凝集又は熱凝集ヒト(血清由来)IgA(Bethyl Laboratories)50μLとともに、4℃で30分間インキュベーションした。この後(すなわち、洗浄せずに)、100μg/mL(FreeStyle(商標)293培養培地中)の精製されたマウス抗ヒトCD89抗体50μLをこれらの細胞に添加し、37℃で更に24時間、5%COインキュベーター内でインキュベーションした。並行して、100μg/mL(FreeStyle(商標)293培養培地中)の精製されたマウスIgG1アイソタイプ対照(BD Biosciences)50μL及び100μg/mL(FreeStyle(商標)293培養培地中)の精製されたマウス抗ヒトCD89抗体クローンMIP8a(周知のCD89/IgA遮断剤(Zhang et al.Clin Exp Immunol 2000;121:106-111)、BioRad)50μLを、それぞれ陰性対照及び陽性対照として実行した。更に、100μg/mL(FreeStyle(商標)293培養培地中)の精製されたマウス抗ヒトCD89抗体クローンA59(周知のCD89/IgA非遮断剤(Monteiro et al.J Immunol 1992;148:1764-1770)、BD Biosciences)50μL、及び100μg/mL(PBS/BSA/NaN中)の精製マウス抗ヒトCD89抗体クローンA3(周知のCD89/IgA非遮断剤(Monteiro et al.J Immunol 1992;148:1764-1770)、Santa Cruz Biotechnology)50μLを、追加の陰性対照として実行した。PBS/BSA/NaNで十分に洗浄した後、膜ヒトCD89に対する非凝集又は熱凝集血清ヒトIgAの結合を、30分間4℃で、5μg/mLのビオチンコンジュゲートF(ab’)2断片ヤギ抗ヒト血清IgAα鎖特異的抗体(Jackson ImmunoResearch)を用いて決定した。PBS/BSA/NaNで十分に洗浄した後、1:200に希釈したPEコンジュゲートストレプトアビジン(Jackson ImmunoResearch)を添加し、4℃で30分間インキュベーションした。PBS/BSA/NaNで十分に洗浄した後、細胞をPBS/BSA/NaN中の2%ホルムアルデヒド中で、4℃で30分間固定した。膜ヒトCD89に対する非凝集又は熱凝集血清ヒトIgAの結合(幾何平均蛍光強度)を、フローサイトメーター(FACSCalibur、BD Biosciences)を使用して測定した。
図5Cに示すように、精製されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89特異的抗体8F3、9H7、10E7、26B6、20B4、及び30C7は、代謝活性条件下で、膜ヒトCD89への非凝集及び熱凝集血清ヒトIgA結合を強力に阻害した。精製されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89特異的抗体16D6は、膜ヒトCD89へ結合する非凝集血清ヒトIgAの結合の部分的遮断を示したが、マウス抗ヒトCD89抗体16D6は、代謝活性条件下で膜ヒトCD89へ結合する熱凝集血清ヒトIgAの結合を遮断することができなかった。参照目的のために、精製されたマウス抗ヒトCD89抗体クローンMIP8a、既知のCD89/IgA遮断剤(Zhang et al.Clin Exp Immunol 2000;121:106-111)を並行して実行し、また、代謝活性条件下で、膜ヒトCD89へ結合する非凝集及び熱凝集血清ヒトIgAの結合の強力な遮断も示した。驚くべきことに、両方とも周知のCD89/IgA非遮断剤(Monteiro et al.J Immunol 1992;148:1764-1770)である、精製されたマウス抗ヒトCD89抗体クローンA59及びクローンA3は、膜ヒトCD89へ結合する非凝集血清ヒトIgAの結合の部分的遮断を示したが、マウス抗ヒトCD89抗体クローンA59及びクローンA3は、代謝活性条件下で膜ヒトCD89へ結合する熱凝集血清ヒトIgAの結合を遮断することができなかった。
図5Dに示すように、精製されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89特異的抗体8F3、9H7、10E7、26B6、20B4、及び30C7は、代謝活性条件下で、先に飽和した膜ヒトCD89上の非凝集及び熱凝集血清ヒトIgAを強力に置き換えた。精製されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89特異的抗体16D6は、先に飽和した膜ヒトCD89上の非凝集血清ヒトIgAを部分的に置き換えることができたが、マウス抗ヒトCD89抗体16D6は、代謝活性条件下で、先に飽和した膜ヒトCD89上の熱凝集血清ヒトIgAを置き換えることができなかった。参照目的のために、精製されたマウス抗ヒトCD89抗体クローンMIP8a、既知のCD89/IgA遮断剤(Zhang et al.Clin Exp Immunol2000;121:106-111)を並行して実行し、また、代謝活性条件下で、先に飽和した膜ヒトCD89上の非凝集及び熱凝集血清ヒトIgA結合を強力に置き換えた。驚くべきことに、両方とも周知のCD89/IgA非遮断剤(Monteiro et al.J Immunol 1992;148:1764-1770)である、精製されたマウス抗ヒトCD89抗体クローンA59及びクローンA3は、先に飽和した膜ヒトCD89上の非凝集血清ヒトIgAを部分的に置き換えることができたが、マウス抗ヒトCD89抗体クローンA59及びクローンA3は、代謝活性条件下で、先に飽和した膜ヒトCD89上の熱凝集血清ヒトIgAを置き換えることができなかった。
これらの結果により、CD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89特異的抗体8F3、9H7、10E7、26D6、20B4、及び30C7が、代謝活性条件下での膜ヒトCD89に対する単量体、二量体及び三量体血清ヒトIgA(すなわち、非凝集IgA)、並びに、四量体又はより高次の多量体血清ヒトIgA(すなわち、熱凝集IgA)の結合を阻害することが実証された。加えて、CD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89特異的抗体8F3、9H7、10E7、26D6、20B4、及び30C7はまた、代謝活性条件下で、先に飽和した膜ヒトCD89上の単量体、二量体及び三量体血清ヒトIgA(すなわち、非凝集IgA)、並びに四量体又はより高次の多量体血清ヒトIgA(すなわち、熱凝集IgA)を置き換えた。要約については、表1Bを参照されたい。
Figure 2023523919000023
CD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体クローンMIP8aは、CD89発現ヒト好中性顆粒球においてヒト細胞死を誘発すると記載されている(Wehrli et al.J Immunol 2014,193:5649-5659)。炎症性微小環境に応じて、カスパーゼ依存性(典型的にはアポトーシス中に観察される)又はカスパーゼ非依存性(非アポトーシス)細胞死は、二価マウス抗ヒトCD89抗体クローンMIP8aへの曝露によって、これらのヒト好中性顆粒球において誘発された。したがって、生成されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体8F3、9H7、10E7、16D6、26D6、20B4、及び30C7のヒトCD89媒介性細胞死に対する効果を、標的細胞として安定したヒト全長CD89をトランスフェクションされたHEK293F細胞を使用して調査した。
安定したヒト全長CD89をトランスフェクションされたHEK293F細胞(クローン番号2、上記実施例1(b)を参照されたい)を、125μg/mLのG418/ジェネティシン(Gibco)を補充したFreeStyle(商標)293培養培地(Life Technologies)中に、1.25×10細胞/mLで、4℃で置いた。次いで、400μL/チューブ(すなわち0.5×10細胞)のこれらの細胞を、100μg/mL(FreeStyle(商標)293培養培地中)の精製されたマウス抗ヒトCD89抗体50μLとともに、又はそれを含まずに、4℃で30分間インキュベーションした。並行して、100μg/mL(FreeStyle(商標)293培養培地中)の精製されたマウスIgG1アイソタイプ対照(BD Biosciences)50μL及び100μg/mL(FreeStyle(商標)293培養培地中)の精製されたマウス抗ヒトCD89抗体クローンMIP8a(周知のCD89/IgA遮断剤(Zhang et al.Clin Exp Immunol 2000;121:106-111)、BioRad)50μLを、それぞれ陰性及び陽性細胞死誘発対照として実行した。更に、100μg/mL(FreeStyle(商標)293培養培地中)の精製されたマウス抗ヒトCD89抗体クローンA59(周知のCD89/IgA非遮断剤(Monteiro et al.J Immunol 1992;148:1764-1770)、BD Biosciences)50μL、及び100μg/mL(PBS/BSA/NaN中)の精製マウス抗ヒトCD89抗体クローンA3(周知のCD89/IgA非遮断剤(Monteiro et al.J Immunol 1992;148:1764-1770)、Santa Cruz Biotechnology)50μLを、追加の対照として実行した。続いて(すなわち、洗浄せずに)、50μLのFreeStyle(商標)293培養培地をこれらの細胞に添加し、更に24時間、5%COインキュベーター内で37℃でインキュベーションした。この24時間のインキュベーション後、細胞を0.02%トリパンブルー(Sigma-Aldrich)で染色して、生細胞と死細胞を区別した。この場合、生細胞のパーセンテージを、Burker血球計を使用してカウントした。加えて、PBS/BSA/NaNで十分に洗浄した後、アポトーシス又は細胞死のマーカーとして知られている細胞膜におけるリン脂質ホスファチジルセリンの発現を、10μg/mL(PBS/BSA/NaN中)のAlexa Fluor(登録商標)488コンジュゲートマウス抗ホスファチジルセリン抗体(Merck Millipore)で、30分間4℃で決定した。並行して、Alexa Fluor(登録商標)488コンジュゲートマウス抗ヒトCD19抗体(BD Biosciences)を陰性対照として実行した。PBS/BSA/NaNで十分に洗浄した後、細胞をPBS/BSA/NaN中の2%ホルムアルデヒド中で、30分間、4℃で固定した。膜ホスファチジルセリン発現(幾何平均蛍光強度)を、フローサイトメーター(FACSCalibur、BD Biosciences)を使用して測定した。
図5Eに示すように、精製されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89特異的抗体9H7及び26B6は、ヒトCD89発現HEK293F細胞において細胞死を引き起こし、それはマウス抗ヒトCD89特異的抗体の両方での処理後、細胞生存性の減少(トリパンブルー排除アッセイによって測定される)及びホスファチジルセリン発現レベルの増加によって例証された。予想どおり、商業用CD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体クローンMIP8aは、これらのヒトCD89発現HEK293F細胞においても細胞死を誘発し、この細胞死誘発は、マウス抗ヒトCD89特異的抗体9H7及び26B6で見出されたものと同等であった。驚くべきことに、精製されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89特異的抗体8F3、10E7、16D6、20B4、及び30C7は、これらのヒトCD89発現HEK293F細胞において顕著な細胞死を誘発せず、商業用CD89/IgA非遮断マウス抗ヒトCD89抗体クローンA59及びクローンA3も誘発しなかった。
これらの結果により、CD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89特異的抗体9H7及び26B6は、膜ヒトCD89発現細胞において細胞死を誘発したが、CD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89特異的抗体8F3、10E7、16D6、20B4、及び30C7は、膜ヒトCD89発現細胞において細胞死を誘発しなかったことが実証された。
(d).商業用プロトタイプマウス抗ヒトCD89抗体のCD89/IgA遮断能力の程度
ヒトCD89は、短い細胞質尾部、膜貫通領域、及び2つの細胞外(EC)Ig様ドメインからなる。短いドメイン間ヒンジ領域によって、これらの2つのIg様ECドメインは、互いに約90°の角度で折り畳まれる(Ding et al.J Biol Chem 2003;278:27966-27970)。ヒトCD89上のヒトIgAの結合部位は、膜遠位Ig様EC1ドメインにあり、膜近位Ig様EC2ドメインにはない(Wines et al.J Immunol 1999;162:2146-2153、Morton J Exp Med 1999;189:1715-1722、Lu et al.Protein Sci 2014;23:378-386)。したがって、ヒトCD89のEC1ドメインに結合するマウス抗ヒトCD89抗体は、ヒトCD89上のヒトIgA結合を遮断することができるが、ヒトCD89のEC2ドメインに結合するマウス抗ヒトCD89抗体は、ヒトCD89上のヒトIgA結合を遮断することができないことが、概して、認められている(Morton et al.Arch Immunol Ther Exp 2001;49:217-229、Bakema et al.Immunol Rev 2011;4:612-624)。より具体的には、プロトタイプCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体クローンMIP8aは、ヒトCD89のEC1ドメイン内のエピトープを認識し(Lu et al.Protein Sci 2014;23:378-386)、プロトタイプCD89/IgA非遮断マウス抗ヒトCD89抗体クローンA59及びA3は、ヒトCD89のEC2ドメイン内(Morton J Exp Med 1999;189:1715-1722)、及びヒトCD89のEC1-EC2ドメインの境界内のエピトープをそれぞれ認識する(Morton J Exp Med 1999;189:1715-1722)。
驚くべきことに、精製された周知のCD89/IgA非遮断薬(Monteiro et al.J Immunol 1992;148:1764-1770)マウス抗ヒトCD89抗体クローンA59及びクローンA3(10μg/mLで調査した場合)は、膜ヒトCD89へ結合する非凝集及び熱凝集血清ヒトIgAの両方の結合の部分的だが顕著な
Figure 2023523919000024
遮断を示した(上の実施例2(b)を参照されたい)。したがって、FACS分析を使用することによって、血清ヒトIgAと膜結合ヒトCD89との相互作用を立体的に妨げためにマウス抗ヒトCD89抗体クローンA59及びクローンA3をより詳細に調査した。
安定したヒト全長CD89をトランスフェクションされたHEK293F細胞(クローン番号2、上記実施例1(b)を参照されたい)を、50μg/mLのヒトIgG(可能なFcγ受容体を遮断する、Sigma)を補充した0.1%のBSA(Sigma)/0.05%NaNを含有する氷冷PBS(PBS/BSA/NaN)中に、10×10細胞/mLで4℃で10分間置いた。次いで、10μL/チューブ(すなわち、0.1×10細胞)のこれらの細胞を50μLの滴定された(PBS/BSA/NaN中)精製されたマウス抗ヒトCD89抗体クローンA59(BD Biosciences)及びクローンA3(Santa Cruz Biotechnology)とともに4℃で30分間インキュベーションした。並行して、50μLの滴定された(PBS/BSA/NaN中)精製されたマウスIgG1アイソタイプ対照(BD Biosciences)及び50μLの精製された(PBS/BSA/NaN中)マウス抗ヒトCD89抗体クローンMIP8a(BioRad)を、それぞれ陰性対照及び陽性対照として実行した。この後(すなわち、洗浄せずに)、20μg/mL(PBS/BSA/NaN中で希釈)の精製された非凝集又は熱凝集ヒト(血清由来)IgA(Bethyl Laboratories)50μLをこれらの細胞に添加し、4℃で更に30分間インキュベーションした。PBS/BSA/NaNで十分に洗浄した後、膜ヒトCD89に対する非凝集又は熱凝集血清ヒトIgAの結合を、30分間4℃で、5μg/mLのビオチンコンジュゲートF(ab’)2断片ヤギ抗ヒト血清IgAα鎖特異的抗体(Jackson ImmunoResearch)を用いて決定した。PBS/BSA/NaNで十分に洗浄した後、1:200に希釈したPEコンジュゲートストレプトアビジン(Jackson ImmunoResearch)を添加し、4℃で30分間インキュベーションした。PBS/BSA/NaNで十分に洗浄した後、細胞をPBS/BSA/NaN中の2%ホルムアルデヒド中で、4℃で30分間固定した。膜ヒトCD89に対する非凝集又は熱凝集血清ヒトIgAの結合(幾何平均蛍光強度)を、フローサイトメーター(FACSCalibur、BD Biosciences)を使用して測定した。
図6A及び6Bに示されるように、マウス抗ヒトCD89特異的抗体クローン59及びA3の両方は、膜ヒトCD89へ結合する非凝集及び熱凝集血清ヒトIgAの結合を部分的に用量依存的に阻害し(すなわち、最大
Figure 2023523919000025
60%の阻害)、一方でそれらの対応するマウスIgG1アイソタイプ対照は、膜ヒトCD89へ結合する非凝集及び熱凝集血清ヒトIgAの結合に対するいかなる効果も欠いており、マウス抗ヒトCD89特異的抗体クローン59及びA3のCD89/IgA相互作用に対する阻害効果が特異的であったことを実証した。参照目的のために、精製されたマウス抗ヒトCD89抗体クローンMIP8a、既知のCD89/IgA遮断剤(Zhang et al.Clin Exp Immunol 2000;121:106-111)を並行して実行し、非凝集及び熱凝集血清ヒトIgAの膜ヒトCD89への結合の用量依存的で完全な防止を示した。
これらの結果により、ヒトCD89のEC2ドメイン内のエピトープを認識するプロトタイプ抗体(Morton J Exp Med 1999;189:1715-1722)、及びヒトCD89のEC1-EC2ドメインの境界内のエピトープを認識するプロトタイプ抗体(Morton J Exp Med 1999;189:1715-1722)である、マウス抗ヒトCD89特異的抗体クローン59及びA3が、それぞれ、膜ヒトCD89への単量体、二量体、三量体、四量体、又はより高次の多量体血清ヒトIgA(すなわち、非凝集及び熱凝集IgA)の結合を特異的で部分的に阻害することができることが実証された。おそらく、マウス抗ヒトCD89特異的抗体クローン59及びA3は、EC2ドメイン又はEC1-EC2境界に結合した後、(ヒトCD89上のIgA結合部位(すなわち、EC1ドメイン)を認識する抗ヒトCD89抗体による立体障害とは対照的に)ヒトCD89への血清ヒトIgAの結合が「有利」又は最適でなくなるような様式で、膜ヒトCD89の折り畳みを変化させる可能性がある。
実施例3.エクスビボヒトCD89発現初代ヒト好中性顆粒球を使用したCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89モノクローナル抗体の生物学的特徴付け
(a).ヒトCD89発現初代ヒト好中性顆粒球に対するCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体の結合
ヒトCD89発現初代ヒト好中性顆粒球に対する精製されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体の結合を決定するために、FACS分析を使用した。
初代ヒト好中性顆粒球を、Lymphoprep(商標)(Axis-Shield)勾配遠心分離、続くNHCl溶解緩衝液中での赤血球の溶解を使用して、健常なドナー(インフォームドコンセント後)の末梢血から単離した。比較のために、安定したヒト全長CD89をトランスフェクションされたHEK293F細胞(クローン番号2、上記実施例1(b)を参照されたい)、及びヒトCD89発現単球性U937細胞株(RT Urbanus博士、Department of Haematology,University Medical Centre Utrecht,NLからの寛大な贈り物)を並行して調査した。PBSで洗浄した後、顆粒球を、50μg/mLのヒトIgG(可能なFcγ受容体を遮断する、Sigma-Aldrich)を補充した0.1%のBSAを含有する氷冷PBS(Sigma-Aldrich、PBS/BSA)中に、10×10細胞/mLで、4℃で10分間置いた。次いで、10μL/チューブ(すなわち0.1×10細胞)のこれらの細胞を、10μg/mL(PBS/BSA中)の精製されたマウス抗ヒトCD89抗体100μLとともに、4℃で30分間インキュベーションした。並行して、10μg/mL(PBS/BSA中)の精製されたマウスIgG1アイソタイプ対照(Biolegend)100μLを陰性対照として実行し、10μg/mL(PBS/BSA中)の精製されたマウス抗ヒトCD89抗体クローンMIP8a(BioRad)、10μg/mL(PBS/BSA中)のクローンA59(BD Biosciences)、10μg/mL(PBS/BSA中)のクローンA3(Santa Cruz Biotechnology)100μLを陽性対照として実行した。PBS/BSAで十分に洗浄した後、続いて細胞を1:200に希釈したPEコンジュゲートヤギ抗マウスIgGFcγ特異的抗体(Jackson ImmunoResearch)とともに4℃で30分間インキュベーションした。PBS/BSAで十分に洗浄した後、細胞を、PBS/BSA中の2%ホルムアルデヒド中で、4℃で30分間固定した。エクスビボヒト好中性顆粒球由来の膜ヒトCD89に対する抗体の結合(幾何平均蛍光強度)をフローサイトメーター(シアン、BeckmanCoulter)を使用して測定した。
図7Aに示すように、発明者らの全ての精製されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89特異的抗体(10μg/mLで)は、複数のドナー(n=5)から単離されたエクスビボヒト好中性顆粒球由来の膜ヒトCD89に結合した。好中性顆粒球に対するそれらの結合プロファイルに基づいて、以下のランキングが見出された(高い結合強度から低い結合強度へ):9H7=26D6(=MIP8a)>10E7=30C7=20B4(=A59=A3)>8F3=16D6、HEK293F細胞由来の膜全長ヒトCD89に対するこれらの精製されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89特異的抗体(10μg/mLで)で見出された結合ランキング(図7Bを参照されたい)、すなわち8F3=9H7=10E7=26D6=20B4=30C7(=MIP8a=A59=A3)>16D6とは予想外に顕著に異なっていた。加えて、単球U937細胞由来の膜ヒトCD89に対する精製されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89特異的抗体(10μg/mLで)で見出された結合ランキング(図7Cを参照されたい)、すなわち9H7=26D6(=MIP8a)>10E7=30C7(=A59=A3)>8F3=16D6=20B4は、エクスビボ好中性顆粒球由来の膜ヒトCD89への精製されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89特異的抗体(10μg/mLで)で見出される前述の結合ランキングと類似しているように思われる(20B4を除く)。
これらの結果により、CD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89特異的抗体8F3、9H7、10E7、16D6、26D6、20B4、及び30C7が、エクスビボヒト好中性顆粒球由来の膜ヒトCD89、HEK293F細胞由来の膜ヒト全長CD89、及び単球U937細胞由来の膜ヒトCD89上のエピトープを認識したことが実証された。しかしながら、これらのCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89特異的抗体で見出される結合ランキングは、エクスビボヒトCD89発現ヒト好中性顆粒球(高い結合強度から低い結合強度へ、9H7=26D6(=MIP8a)>10E7=30C7=20B4(=A59=A3)>8F3=16D6)対ヒト全長CD89発現HEK293F細胞(高い結合強度から低い結合強度へ、8F3=9H7=10E7=26D6=20B4=30C7(=MIP8a=A59=A3)>16D6)をこの比較研究における標的細胞とし使用した場合、顕著に異なり、これは、これらの細胞上で複数の膜ヒトCD89アイソフォームを認識(を欠如)する可能性があることを示唆した。実際、初代ヒト好中性顆粒球及び単球は、全長CD89(FcαRIa.1とも呼ばれる)とは別に、ヒトCD89の2つの代替的なスプライシングバリアント転写産物を発現することが知られており(Patry at al.J Immunol 1996;156:4442-4448、Pleass et al.Biochem J 1996;318:771-777、Togo et al.FEBS Letters 2003;535:20-209)、(1)ヒトCD89のEC2ドメイン(Gly195~Thr216、Swiss-Prot番号P24071.2)の一部(FcαRIa.2又はΔ66EC2と呼ばれる)、又は(2)ヒトCD89のEC2ドメイン全体(Gly121~Thr216、Swiss-Prot番号P24071.3)(FcαRIa.3又はΔEC2と呼ばれる)を欠いている。10μg/mLのマウス抗ヒトCD89特異的抗体8F3、9H7、10E7、16D6、26D6、20B4、及び30C7は、同様の程度に(低親和性抗体16D6を除く、上記の実施例2(a)も参照されたい)、HEK293F細胞(全長ヒトCD89バージョンのみを発現する)に結合したが、初代ヒト好中性顆粒球(全長ヒトCD89、ΔEC2、及び少ない程度ではΔ66EC2バージョンを発現する)への10μg/mLのマウス抗ヒトCD89特異的抗体8F3、10E7、16D6、20B4、及び30C7の結合(ヒトCD89のEC2ドメイン内(Morton J Exp Med 1999;189:1715-1722)及びヒトCD89のEC1-EC2ドメインの境界内のエピトープをそれぞれ認識するヒトIgA非遮断剤クローンA59及びA3のように(Morton J Exp Med 1999;189:1715-1722))は、10μg/mLのマウス抗ヒトCD89特異的抗体9H7及び26D6(ヒトCD89のEC1ドメイン内のエピトープを認識するヒトIgA遮断剤MIP8aのように(Lu et al.Protein Sci 2014;23:378-386))よりも顕著に低かったため、(1)マウス抗ヒトCD89特異的抗体8F3、10E7、16D6、20B4、及び30C7が、ヒトCD89のEC2ドメイン若しくはEC1-EC2ドメインの境界内のいずれかのエピトープを認識するか(EC2ドメインの欠如により代替的スプライシングバリアントFcαRIa.3に結合できないヒトIgA非遮断剤クローンA59及びA3のように)、又は(完全長ヒトCD89/FcαRIa.1の「正常な」タンパク質折り畳みとは対照的に)これらの代替的スプライシングバリアントの「異常な」タンパク質折り畳みによりヒトCD89の代替的スプライシングバリアント(すなわち、FcαRIa.2及び/又はFcαRIa.3)ではアクセスできないEC1ドメイン内のエピトープを認識すること、並びに(2)マウス抗ヒトCD89特異的抗体9H7及び26D6は、(ヒトIgA遮断剤MIP8aのように)ヒトCD89のEC1ドメイン内のエピトープを認識することを示唆している。興味深いことに、代替的スプライシングバリアントFcαRIa.3(又はΔEC2)は、血清由来ヒトIgAへの結合を欠くが、このスプライシングバリアントには、EC1ドメイン全体(すなわち、ヒトCD89上のIgA結合部位)が存在し、これは、この代替的スプライシングバリアントFcαRIa.3の「異常な」タンパク質折り畳み(全長ヒトCD89/FcαRIa.1の「正常な」タンパク質折り畳みとは対照的である)を示す。更に、全長ヒトCD89は、インサイドアウトシグナル伝達のために、2つの異なる立体配座、すなわち、ヒトCD89の不活性状態対活性状態を形成する可能性が高い(Brandsma et al.Immunol Rev 2015,268:74-87)。その結果、不活性ヒトCD89は、ヒトIgAに対する低親和性結合を示すが、活性ヒトCD89は、ヒトIgAに対する高親和性結合を示す(Bracke et al.Blood 2001;97:3478-3483)。したがって、全長ヒトCD89の立体配座変化/状態(インサイドアウトシグナル伝達時)は、エクスビボヒト好中性顆粒球上の全長ヒトCD89に対する、発明者らが生成したCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89特異的抗体の差次的結合をもたらす可能性がある。
一致して、完全長のヒトCD89、ΔEC2及びΔ66EC2バージョンを発現することも知られている単球U937細胞に対して、10μg/mLのマウス抗ヒトCD89特異的抗体8F3、10E7、16D6、20B4、及び30C7の結合(ヒトCD89のEC2ドメイン内(Morton J Exp Med 1999;189:1715-1722)及びヒトCD89のEC1-EC2ドメインの境界内のエピトープをそれぞれ認識する非遮断剤クローンA59及びA3のように(Morton J Exp Med 1999;189:1715-1722))は、10μg/mLのマウス抗ヒトCD89特異的抗体9H7及び26D6の結合(ヒトCD89のEC1ドメイン内のエピトープを認識する遮断剤MIP8aのように(Lu et al.Protein Sci 2014;23:378-386))よりも顕著に低かった(Patry at al.J Immunol 1996;156:4442-4448、Togo et al.FEBS Letters 2003;535:20-209)。
これらの結果により、また、CD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89特異的抗体8F3、9H7、10E7、16D6、26D6、20B4、及び30C7は、エこれらの抗体が全ての5人の調査されたドナーから単離されたヒト好中性顆粒球に明確に結合しているため、クスビボヒト好中性顆粒球由来の膜ヒトCD89上の非多形エピトープを認識したことを実証した。
(b).CD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89モノクローナル抗体を使用した、ヒトCD89発現初代ヒト好中性顆粒球による血清ヒトIgA媒介性ファゴサイトーシスの遮断
精製されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体の生物学的活性を分析するために、生成されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体の、ヒトCD89発現初代ヒト好中性顆粒球による血清ヒトIgAコーティングラテックスビーズのファゴサイトーシスを阻害する能力を決定した。
初代ヒト好中性顆粒球を、Lymphoprep(商標)(Axis-Shield)勾配遠心分離、続くNHCl溶解緩衝液中での赤血球の溶解を使用して、健常なドナー(インフォームドコンセント後)の末梢血から単離した。PBS中で洗浄した後、10%の熱不活性化FCS(Sigma-Aldrich)を補充したRPMI1640(Gibco)中に2.0×10細胞/mLで顆粒球を再懸濁した。次いで、100μL/ウェル(すなわち、96ウェルの平底プレート中に0.2×10細胞、Greiner)のこれらの細胞を、滴定された(RPMI/10%FCS中)精製されたマウス抗ヒトCD89抗体とともに4℃で20分間インキュベーションした。並行して、滴定された(RPMI/10%FCS中)精製されたマウスIgG1アイソタイプ対照(Biolegend)を陰性対照として実行し、滴定された(RPMI/1%FCS中)精製されたマウス抗ヒトCD89抗体クローンMIP8a(BioRad)、クローンA59(BD Biosciences)及びクローンA3(Santa Cruz Biotechnology)を対照として実行した。この後(すなわち、洗浄せずに)、1.2μLの精製されたヒト(血清由来)IgA(MP Biomedicals)コーティング蛍光ラテックスビーズ(1μmサイズ及びカルボキシレート修飾ポリスチレン、Sigma-Aldrich)を、1:60の細胞対ビーズ比でこれらの細胞に添加し(調製物IgAビーズ、Aleyd et al.J Immunol 2014;192:2374-2383を参照されたい)、37℃で更に30分間インキュベーションした。並行して、1:60の細胞対ビーズ比でBSA(Sigma-Aldrich)コーティング蛍光ラテックスビーズを陰性対照として実行した(調製物BSAビーズ、Aleyd et al.J Immunol 2014;192:2374-2383を参照されたい)。RPMI/10%FCS中で洗浄し、PBS/0.1%BSA(Sigma-Aldrich)中で再懸濁した後、フローサイトメーター(シアン、Beckman Coulter)を使用して、エクスビボヒト好中性顆粒球上の膜ヒトCD89によって、蛍光ラテックスビーズの血清ヒトIgA媒介性ファゴサイトーシス(Aleyd et al.J Immunol 2014;192:2374-2383に従って食細胞指数を計算するために使用される幾何平均蛍光強度)を測定した。
図8に示すように、いくつかのドナーごとのバリエーションが観察されたが、全ての精製されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89特異的抗体は、3人の健常な個体から単離された膜ヒトCD89発現エクスビボ初代ヒト好中性顆粒球における血清ヒトIgA媒介性ファゴサイトーシスを用量依存的に阻害した。それらの血清ヒトIgA媒介性ファゴサイトーシス阻害の程度に基づいて、以下のランキングが見出された(強いIgA媒介性ファゴサイトーシス阻害の程度から低いIgA媒介性ファゴサイトーシス阻害の程度へ):8F3=9H7=10E7=26D6=30C7(=MIP8a)>20B4>16D16。参照目的のために、精製されたマウス抗ヒトCD89抗体クローンMIP8a、既知のCD89/IgA遮断剤(Zhang et al.Clin Exp Immunol 2000;121:106-111)を並行して実行し、また、いくつかのドナーごとのバリエーションが観察されたが、3人の健常な個体から単離されたヒトCD89発現エクスビボ初代ヒト好中球顆粒球における血清ヒトIgA媒介性ファゴサイトーシスの用量依存的阻害を示した。対照的に、両方とも周知のCD89/IgA非遮断剤(Monteiro et al.J Immunol 1992;148:1764-1770)である、精製されたマウス抗ヒトCD89抗体クローンA59及びクローンA3は、3人の健常な個体から単離された膜ヒトCD89発現エクスビボ初代ヒト好中性顆粒球において、血清ヒトIgA媒介性ファゴサイトーシスの阻害を全く示さないか、ほとんど示さないか、又は弱く示した。
これらの結果により、CD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89特異的抗体8F3、9H7、10E7、16D6、26D6、20B4、及び30C7が、膜ヒトCD89発現エクスビボ初代ヒト好中性顆粒球のヒトIgA媒介性ファゴサイトーシスを阻害したことが実証された。要約については、表2を参照されたい。
Figure 2023523919000026
(c).CD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89モノクローナル抗体を使用した、ヒトCD89発現初代ヒト好中性顆粒球からの血清ヒトIgA媒介性走化性、及び血清ヒトIgA媒介性ロイコトリエンB4産生の遮断
精製されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体の生物学的活性を分析するために、生成されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体の、ヒトCD89発現初代ヒト好中性顆粒球からの(1)血清ヒトIgA媒介性遊走、(2)血清ヒトIgA媒介性走化性、及び(3)血清ヒトIgA媒介性好中球-化学誘引物質ロイコトリエンB4(LTB4)産生を阻害する能力を決定した。
二次元(2-D)遊走アッセイ:初代ヒト好中性顆粒球を、Lymphoprep(商標)(Axis-Shield)勾配遠心分離、続くNHCl溶解緩衝液中での赤血球の溶解を使用して、健常なドナー(インフォームドコンセント後)の末梢血から単離した。次いで、これらの初代ヒト好中性顆粒球を1μMの蛍光カルセインAM(Molecular Probes)で、37℃で30分間標識した。洗浄後、これらのカルセインAM標識顆粒球を、10%の熱不活化FCS(Sigma-Aldrich)を補充したRPMI1640(Gibco)中に2.5×10細胞/mLで再懸濁し、続いて100μLのカルセインAM標識顆粒球(すなわち、96ウェルの平底プレート中に0.25×10細胞/ウェル、Greiner)を20μg/mL(RPMI/10%FCS中)の精製されたマウス抗ヒトCD89抗体とともに4℃で20分間インキュベーションした。並行して、20μg/mL(RPMI/10%FCS中)の精製されたマウスIgG1アイソタイプ対照(Biolegend)を陰性対照として実行し、20μg/mL(RPMI/10%FCS中)の精製されたマウス抗ヒトCD89抗体クローンMIP8a(BioRad)、クローンA59(BD Biosciences)及びクローンA3(Santa Cruz Biotechnology)を対照として実行した。その後、1ウェル当たり150μLのRPMI/10%FCSを添加し、細胞を10分間放置して再び単層とした。この後(すなわち、洗浄せずに)、10μLの精製されたヒト(血清由来)IgA(MP Biomedicals)コーティングセファロース4Bビーズ(90μmサイズ及びシアノゲンブロミド活性化、GE Healthcare)を、これらの細胞の単層(調製物3μg/mLのIgAビーズ、Van der Steen et al.Gastroentorol 2009;137:2018-2029を参照されたい)に穏やかに添加し、37℃で更に40分間インキュベーションした。並行して、BSA(Sigma-Aldrich)コーティングセファロース4Bビーズを陰性対照として実行した(調製物3μg/mLのBSAビーズ、Van der Steen et al.Gastroentorol 2009;137:2018-2029を参照されたい)。次いで、上清を収集し、走化性アッセイ及びLBT4 ELISAに使用し(以下を参照)、セファロースビーズを洗浄して、非結合/非遊走カルセインAM標識顆粒球を除去した。続いて、顆粒球を0.2%(w/v)のヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド(Sigma-Aldrich)緩衝液中で、室温で30分間溶解し、蛍光光度計(FLUOstar/POLARstar、BMG Labtech)を使用して、96ウェルの平底プレート(Greiner)中で放出されたカルセインAM(IgA結合/遊走顆粒球の数を反映する)を測定した。IgA結合/遊走エクスビボヒト好中性顆粒球の数を、溶解カルセインAM標識顆粒球の既知の数(すなわち、0~0.3×10細胞/ウェル)での標準曲線を使用して定量化した。
走化性アッセイ:初代ヒト好中性顆粒球を、Lymphoprep(商標)(Axis-Shield)勾配遠心分離、続くNHCl溶解緩衝液中での赤血球の溶解を使用して、健常なドナー(インフォームドコンセント後)の末梢血から単離した。次いで、これらの初代ヒト好中性顆粒球を1μMの蛍光カルセインAM(Molecular Probes)で、37℃で30分間標識した。洗浄後、これらのカルセインAM標識顆粒球を、10%の熱不活化FCS(Sigma-Aldrich)を補充したRPMI1640(Gibco)中に1.0×10細胞/mLで再懸濁した。走化性を測定するために、ボイデンチャンバー(Neuro Probe)の下部区画のウェルに、IgAでコーティングセファロースビーズ刺激初代ヒト好中性顆粒球(すなわち、別の健常なドナー由来、上記を参照されたい)由来の29μLの上清を充填した。並行して、RPMI/10%FCS培地のみ及び精製された1又は10nMのLTB4(RPMI中、Sigma-Aldrich)を、それぞれ陰性及び陽性対照として実行した。その後、下部区画を3μmの孔径のポリビニルピロリドンコーティングポリカーボネートフィルター(Neuro Probe)で覆い、続いて上部区画をBoydenチャンバの下部区画に組み立てた。この後、50μLのカルセインAM標識顆粒球(すなわち、0.05×10細胞/ウェル)を上部区画のウェルに添加した。37℃で40分間インキュベーションした後、上部区画から下部区画のウェルに向かうエクスビボヒト好中性顆粒球の走化性を決定した。この場合、下部区画の顆粒球を、0.1%(w/v)のヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド(Sigma-Aldrich)緩衝液中で、室温で30分間溶解し、蛍光光度計(FLUOstar/POLARstar、BMG Labtech)を使用して、96ウェルの平底プレート(Greiner)中で放出されたカルセインAM(走化性顆粒球の数を反映する)を測定した。IgAコーティングセファロースビーズ誘発性走化性エクスビボヒト好中性顆粒球の数を、溶解カルセインAM標識顆粒球の既知の数(すなわち、0~0.05×10細胞/ウェル)での標準曲線を使用して定量化した。
LTB4 ELISA:IgAでコーティングセファロースビーズ刺激エクスビボヒト好中性顆粒球由来の上清中のLTB4レベルを測定した(上記参照)。この目的のために、商業用LTB4競合ELISAキット(R&D Systems)を、製造業者の指示に従って使用した。
図9Aに示すように、いくつかのドナーごとのバリエーションが観察されたが、発明者らの全ての20μg/mLの精製されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89特異的抗体は、3人の健常な個体から単離された膜ヒトCD89発現エクスビボ初代ヒト好中性顆粒球の血清ヒトIgAコーティングセファロースビーズ媒介性遊走を阻害した。参照目的のために、精製されたマウス抗ヒトCD89抗体クローンMIP8a、既知のCD89/IgA遮断剤(Zhang et al.Clin Exp Immunol 2000;121:106-111)を並行して実行し、また、いくつかのドナーごとのバリエーションが観察されたが、3人の健常な個体から単離された膜ヒトCD89発現エクスビボ初代ヒト好中性顆粒球の血清ヒトIgAコーティングセファロースビーズ媒介性遊走の阻害を示した。対照的に、両方とも周知のCD89/IgA非遮断剤(Monteiro et al.J Immunol 1992;148:1764-1770)である、精製されたマウス抗ヒトCD89抗体クローンA59及びクローンA3は、膜ヒトCD89発現エクスビボ初代ヒト好中性顆粒球の血清ヒトIgAコーティングセファロースビーズ媒介性遊走の高度に変動した(すなわち、なし、弱い、又は中間)阻害を示した。
図9Bに示すように、いくつかのドナーごとのバリエーションが観察されたが、発明者らの全ての20μg/mLの精製されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89特異的抗体は、3人の健常な個体から単離された膜ヒトCD89発現エクスビボ初代ヒト好中性顆粒球の血清ヒトIgAコーティングセファロースビーズ媒介性走化性を阻害した。参照目的のために、精製されたマウス抗ヒトCD89抗体クローンMIP8a、既知のCD89/IgA遮断剤(Zhang et al.Clin Exp Immunol 2000;121:106-111)を並行して実行し、また、いくつかのドナーごとのバリエーションが観察されたが、3人の健常な個体から単離された膜ヒトCD89発現エクスビボ初代ヒト好中性顆粒球の血清ヒトIgAコーティングセファロースビーズ媒介性走化性の阻害を示した。対照的に、両方とも周知のCD89/IgA非遮断剤(Monteiro et al.J Immunol 1992;148:1764-1770)である、精製されたマウス抗ヒトCD89抗体クローンA59及びクローンA3は、膜ヒトCD89発現エクスビボ初代ヒト好中性顆粒球の血清ヒトIgAコーティングセファロースビーズ媒介性走化性の高度に変動した(すなわち、なし、中間、又は強い)阻害を示した。
図9Cに示すように、いくつかのドナーごとのバリエーションが観察されたが、発明者らの全ての20μg/mLの精製されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89特異的抗体は、3人の健常な個体から単離された膜ヒトCD89発現エクスビボ初代ヒト好中性顆粒球の血清ヒトIgAコーティングセファロースビーズ媒介性化学誘引性LTB4産生を阻害した。参照目的のために、精製されたマウス抗ヒトCD89抗体クローンMIP8a、既知のCD89/IgA遮断剤(Zhang et al.Clin Exp Immunol 2000;121:106-111)を並行して実行し、また、いくつかのドナーごとのバリエーションが観察されたが、3人の健常な個体から単離された膜ヒトCD89発現エクスビボ初代ヒト好中性顆粒球による血清ヒトIgAコーティングセファロースビーズ媒介性化学誘引性LTB4産生の阻害を示した。驚くべきことに、両方とも周知のCD89/IgA非遮断剤(Monteiro et al.J Immunol 1992;148:1764-1770)である、精製されたマウス抗ヒトCD89抗体クローンA59及びクローンA3はまた、膜ヒトCD89発現エクスビボ初代ヒト好中性顆粒球による血清ヒトIgAコーティングセファロースビーズ媒介性化学誘引性LTB4産生の阻害を示した。
これらの結果により、CD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89特異的抗体8F3、9H7、10E7、16D6、26D6、20B4、及び30C7が、膜ヒトCD89発現エクスビボ初代ヒト好中性顆粒球の血清ヒトIgA媒介性遊走、走化性、及び化学誘引性LTB4放出を阻害したことが実証された。要約については、表3及び4を参照されたい。
Figure 2023523919000027
Figure 2023523919000028
(d).CD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89モノクローナル抗体を使用した、ヒトCD89発現初代ヒト好中性顆粒球に対する血清ヒトIgA結合及び血清ヒトIgA媒介性ラクトフェリン産生の遮断
精製されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体の生物学的活性を分析するために、生成されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体の、(1)ヒトCD89発現初代ヒト好中性顆粒球と血清ヒトIgAとの相互作用を立体的に妨げる能力、及び(2)ヒトCD89発現初代ヒト好中性顆粒球からの血清ヒトIgA媒介ラクトフェリン産生を阻害する能力を決定した。
初代ヒト好中性顆粒球を、Lymphoprep(商標)(Axis-Shield)勾配遠心分離、続くNHCl溶解緩衝液中での赤血球の溶解を使用して、健常なドナー(インフォームドコンセント後)の末梢血から単離した。次いで、これらの初代ヒト好中性顆粒球を1μMの蛍光カルセインAM(Molecular Probes)で、37℃で30分間標識した。洗浄後、これらのカルセインAM標識顆粒球を、10%の熱不活化FCS(Sigma-Aldrich)を補充したRPMI1640(Gibco)中に2.0×10細胞/mLで再懸濁し、続いて100μLのカルセインAM標識顆粒球(すなわち、0.2×10細胞/ウェル)を滴定された(RPMI/10%FCS中)精製されたマウス抗ヒトCD89抗体とともに4℃で20分間インキュベーションした。並行して、滴定された(RPMI/10%FCS中)精製されたマウスIgG1アイソタイプ対照(Biolegend)を陰性対照として実行し、滴定された(RPMI/10%FCS中)精製されたマウス抗ヒトCD89抗体クローンMIP8a(BioRad)、クローンA59(BD Biosciences)及びクローンA3(Santa Cruz Biotechnology)を対照として実行した。この後(すなわち、洗浄せずに)、100μLのこれらの細胞(すなわち、0.2×10細胞/ウェル)を96ウェルの平底ELISAプレート(Nunc-Immuno MaxiSorp)に添加した。このプレートは、10μg/mLの精製されたヒト(血清由来)IgA(MP Biomedicals)を100μL/ウェル、又は10μg/mLのBSA(陰性対照として使用される、Sigma-Aldrich)を100μL/ウェルのいずれかで、前もってコーティングされた。37℃で30分間インキュベーションした後、上清(180μL/ウェル)を採取して、非結合顆粒球を除去し、これらの上清を(いくつかの遠心クリアランスステップ後に)使用して、ラクトフェリン産生レベルを測定した(脱顆粒マーカーとして使用、以下を参照されたい)。プレートを洗浄した後、顆粒球を0.2%(w/v)のヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド(Sigma-Aldrich)緩衝液中で、室温で30分間溶解し、蛍光光度計(FLUOstar/POLARstar、BMG Labtech)を使用して、96ウェルの平底プレート(Greiner)中で放出されたカルセインAM(IgA結合顆粒球の数を反映する)を測定した。IgA結合エクスビボヒト好中性顆粒球の数を、溶解カルセインAM標識顆粒球の既知の数(すなわち、0~0.3×10細胞/ウェル)での標準曲線を使用して定量化した。
プレート結合血清ヒトIgAで刺激した初代ヒト好中性顆粒球の上清中のラクトフェリン産生(脱顆粒の程度を表す)を測定した(上記参照)。このため、96ウェルの平底ELISAプレート(Nunc-Immuno MaxiSorp)を、100μL/ウェルのウサギ抗ヒトラクトフェリン抗体(1:5000、Sigma-Aldrich)で、16~24時間、4~8℃でコーティングした。PBS/0.05%Tween20で十分に洗浄した後、プレートを、200μL/ウェルのPBS/0.05%Tween20/0.5%BSA(Sigma-Aldrich)で、室温で1時間遮断した。次いで、プレートを100μL/ウェルの上清とともに、1;2の希釈(遮断緩衝液中)で、1時間37℃でインキュベーションした。PBS/0.05%Tween20で十分に洗浄した後、プレートを、アルカリホスファターゼ標識ウサギ抗ヒトラクトフェリン検出抗体(1:2500、MP Biomedicals)とともに、37℃で1時間インキュベーションした。P-ニトロフェニルホスフェート(Sigma-Aldrich)を添加した後、マイクロプレートリーダー(iMArk、Bio-Rad)で、405nmの波長で光学密度を測定した。精製されたヒトラクトフェリン(Sigma-Aldrich)を標準物質として使用して、血清ヒトIgA刺激エクスビボヒト好中性顆粒球によって放出されるラクトフェリンの量を計算した。
図10Aに示すように、いくつかのドナーごとのバリエーションが観察されたが、発明者らの全ての精製されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89特異的抗体(16D6を除く)は、3人の健常な個体から単離されたヒトCD89発現エクスビボ初代ヒト好中性顆粒球の血清ヒトIgAへの結合を用量依存的に阻害した。それらの阻害の程度基づいて、以下のランキングが見出された(強い阻害度から低い阻害度へ):9H7=10E7=26D6=30C7(=MIP8a)> 8F3>20B4。参照目的のために、精製されたマウス抗ヒトCD89抗体クローンMIP8a、既知のCD89/IgA遮断剤(Zhang et al.Clin Exp Immunol 2000;121:106-111)を並行して実行し、また、いくつかのドナーごとのバリエーションが観察されたが、3人の健常な個体から単離されたヒトCD89発現エクスビボ初代ヒト好中性顆粒球の血清ヒトIgAへの結合に対する用量依存的阻害を示した。対照的に、両方とも周知のCD89/IgA非遮断剤(Monteiro et al.J Immunol 1992;148:1764-1770)である、精製されたマウス抗ヒトCD89抗体クローンA59及びクローンA3は、3人の健常な個体から単離されたヒトCD89発現エクスビボ初代ヒト好中性顆粒球の血清ヒトIgAへの結合に対して阻害を示さなかった。
図10Bに示すように、いくつかのドナーごとのバリエーションが観察されたが、発明者らの全ての精製されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89特異的抗体(16D6を除く)は、3人の健常な個体から単離されたヒトCD89発現エクスビボ初代ヒト好中球顆粒球によるIgA媒介性ラクトフェリン産生を用量依存的に阻害した。それらの阻害の程度基づいて、以下のランキングが見出された(強い阻害度から低い阻害度へ):9H7=10E7=26D6=30C7(=MIP8a)>8F3>20B4。興味深いことに、これらの調査した精製されたマウス抗ヒトCD89抗体の、ヒト好中性顆粒球による血清ヒトIgA媒介性ラクトフェリン産生を阻害する程度は、ヒトCD89発現ヒト好中性顆粒球の血清ヒトIgAへの結合に対するそれぞれの阻害の程度を反映した(図10Bを図10Aと比較する)。参照目的のために、精製されたマウス抗ヒトCD89抗体クローンMIP8a、既知のCD89/IgA遮断剤(Zhang et al.Clin Exp Immunol 2000;121:106-111)を並行して実行し、また、いくつかのドナーごとのバリエーションが観察されたが、3人の健常な個体から単離されたヒトCD89発現エクスビボ初代ヒト好中球顆粒球によるIgA媒介性ラクトフェリン産生の用量依存的阻害を示した。対照的に、両方とも周知のCD89/IgA非遮断剤(Monteiro et al.J Immunol 1992;148:1764-1770)である、精製されたマウス抗ヒトCD89抗体クローンA59及びクローンA3は、3人の健常な個体から単離されたヒトCD89発現エクスビボ初代ヒト好中性顆粒球によるIgA媒介性ラクトフェリン産生の阻害を示さなかった。
これらの結果により、CD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89特異的抗体8F3、9H7、10E7、26D6、20B4、及び30C7が、ヒトCD89発現エクスビボ初代ヒト好中性顆粒球の血清ヒトIgAへの結合、及びそれらの対応するIgA媒介ラクトフェリン産生(脱顆粒マーカー)を阻害したことが実証された。要約については、表5を参照されたい。
Figure 2023523919000029
(e).CD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89モノクローナル抗体を使用した、ヒトCD89発現初代ヒト好中性顆粒球からの血清ヒトIgA媒介性好中性細胞外トラップ(NET)の遮断
精製されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体の生物学的活性を分析するために、生成されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体の、ヒトCD89発現初代ヒト好中性顆粒球からの血清ヒトIgA媒介NETの放出を阻害する能力を決定した。
初代ヒト好中性顆粒球を、Lymphoprep(商標)(Axis-Shield)勾配遠心分離、続くNHCl溶解緩衝液中での赤血球の溶解を使用して、複数の健常なドナー(インフォームドコンセント後)の末梢血から単離した。PBS中で洗浄した後、10%の熱不活性化FCS(Sigma-Aldrich)を補充したRPMI1640(Gibco)中に0.5×10細胞/mLで顆粒球を再懸濁した。次いで、1.0×10細胞/200μL/ウェル(96ウェルU底プレート中(Greiner))を20μg/mLの精製されたマウス抗ヒトCD89抗体とともに4℃で20分間インキュベーションした。並行して、精製されたマウスIgG1アイソタイプ対照(Biolegend)を陰性対照として実行した。この後(すなわち、洗浄せずに)、3.0μLの精製されたヒト(血清由来)IgA(MP Biomedicals)コーティング非蛍光ラテックスビーズ(0.9μmサイズ及びカルボキシレート修飾ポリスチレン、Sigma-Aldrich)を、1:300の細胞対ビーズ比でこれらの細胞に添加し(調製物IgAビーズ、Aleyd et al.J Immunol 2014;192:2374-2383を参照されたい)、37℃で更に30分間インキュベーションした。並行して、1:300の細胞対ビーズ比でBSA(Sigma-Aldrich)コーティング非蛍光ラテックスビーズを陰性対照として実行した(調製物BSAビーズ、Aleyd et al.J Immunol 2014;192:2374-2383を参照されたい)。この後、10%熱不活性化FCS(Sigma-Aldrich)を補充したRPMI1640(Gibco)中で細胞を2回洗浄し、続いてこれらの細胞を1.0×10細胞/200μL/ウェルで96ウェルの平底黒色プレート(FLUOTRAC(商標)200、Greiner)に移し、37℃で更に3時間インキュベーションした。示される場合、100μg/mLのDNAseIを添加した。次いで、2.5μg/mLのSYTOX(登録商標)グリーン(Invitrogen)を添加することによって細胞外DNAの放出を調査した。蛍光強度を、蛍光光度計(FLUOstar/POLARstar、BMG Labtech)を使用して測定した。
図23に示すように、いくつかのドナーごとのバリエーションが観察されたが、発明者らの全ての精製されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89特異的抗体は、8人の健常な個体から単離されたヒトCD89発現エクスビボ初代ヒト好中球顆粒球からの血清ヒトIgA媒介性NETの放出を阻害した。
これらの結果により、CD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89特異的抗体8F3、9H7、10E7、16D6、26D6、20B4、及び30C7が、ヒトCD89発現エクスビボ初代ヒト好中性顆粒球からのヒトIgA媒介性NET放出を阻害したことが実証された。
(f).CD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89モノクローナル抗体を使用した、ヒトCD89発現初代ヒト好中性顆粒球における細胞死の誘発
CD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体クローンMIP8aは、CD89発現ヒト好中性顆粒球においてヒト細胞死を誘発すると記載されている(Wehrli et al.J Immunol 2014,193:5649-5659)。炎症性微小環境に応じて、カスパーゼ依存性(典型的にはアポトーシス中に観察される)又はカスパーゼ非依存性(非アポトーシス)細胞死は、二価マウス抗ヒトCD89抗体クローンMIP8aへの曝露によって、これらのヒト好中性顆粒球において誘発された。したがって、生成されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体8F3、9H7、10E7、16D6、26D6、20B4、及び30C7のヒトCD89媒介性細胞死に対する効果を、標的細胞として非プライミング(非炎症性状態を模倣する)及びLPSプライミング(炎症性状態を模倣する)ヒトCD89発現初代ヒト好中性顆粒球を使用して調査した。
初代ヒト好中性顆粒球を、Lymphoprep(商標)(Axis-Shield)勾配遠心分離、続くNHCl溶解緩衝液中での赤血球の溶解を使用して、複数の健常なドナー(インフォームドコンセント後)の末梢血から単離した。PBS中で洗浄した後、10%の熱不活性化FCS(Sigma-Aldrich)を補充したRPMI1640(Gibco)中に2.0×10細胞/mLで顆粒球を再懸濁した。次いで、これらの細胞を、プライミングしないか、又は5分間37℃でLPSプライミングした(100ng/mLのE.coli0111:B4由来のUltrapure LPS、Invivogen)。洗浄後、これらの顆粒球を、10%の熱不活性化FCS(Sigma-Aldrich)を補充したRPMI1640(Gibco)中に2.0×10細胞/mLで再懸濁し、続いて250μLの顆粒球(すなわち、96ウェルの平底プレート中に0.5×10細胞/ウェル、Falcon)を、10μg/mLの精製されたマウス抗ヒトCD89抗体と10μg/mLの架橋ヤギ抗マウスIgG特異的抗体(Southern Biotech)とを組み合わせて、37℃で5時間インキュベーションした。並行して、精製されたマウスIgG1アイソタイプ対照(Biolegend)及び精製されたマウス抗ヒトCD89抗体クローンMIP8a(BioRad)を、それぞれ陰性対照及び陽性対照として実行した。0.1%BSAを含有する氷冷PBS(Sigma-Aldrich、PBS/BSA)で十分に洗浄した後、顆粒球を、3μMの赤色蛍光DNA対比染色ヨウ化プロピジウムで、30~60分間4℃で染色した。PBS/BSAで十分に洗浄した後、細胞をPBS/BSA中の2%ホルムアルデヒド中で30分間4℃で固定した。エクスビボヒト好中性顆粒球における細胞死のパーセンテージ(プロピジウムヨウ化物染色に基づく)を、フローサイトメーター(FACSCalibur又はFortessa、BD Biosciences)を使用して決定した。
図24に示すように、発明者らの全ての精製されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89特異的抗体及び商業用CD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体クローンMIP8aは、3人の健常な個体から単離した非プライミングヒトCD89発現エクスビボ初代ヒト好中性顆粒球において細胞死を引き起こさなかった。対照的に、商業用CD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体クローンMIP8aは、いくつかのドナーごとのバリエーションが観察されたが、LPSプライミングされたヒトCD89発現エクスビボ初代ヒト好中球顆粒球において顕著な細胞死を誘発したが、発明者らの全ての精製されたマウス抗ヒトCD89/IgA遮断マウスCD89特異的抗体は、LPSプライミングされたヒトCD89発現エクスビボ初代ヒト好中球顆粒球において細胞死を引き起こさなかった。
これらの結果により、CD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89特異的抗体8F3、9H7、10E7、16D6、26D6、20B4、及び30C7が、非炎症性(すなわち、非プライミング後)条件及び炎症性(すなわち、LPSプライミング後)条件下で、ヒトCD89発現エクスビボ初代ヒト好中性顆粒球における細胞死を誘発しなかったことが実証された。
(g).CD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89モノクローナル抗体10E7を使用して、実験的に誘発されたヒトIgA媒介性自己免疫性皮膚障害線形IgA水疱性疾患の遮断
精製されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体10E7の生物学的活性を分析するために、生成されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体10E7の、実験的に誘発されたヒトIgA媒介性自己免疫性皮膚障害線形IgA水疱性疾患(LABD)を阻害する能力を決定した。
LABDは、IgA自己抗体と関連する慢性皮膚疾患であり、これは、CD89発現好中性顆粒球が優勢な、高密度の炎症性浸潤を伴う亜表皮水疱によって特徴付けられる(Van der Steen et al.J Immunol 2012;189:1594-1601)。LABD患者において、線形IgA沈着は、典型的には、真皮-表皮接合部に見られ、これらのIgA自己抗体は、主に、ヒトCD89の架橋を介して持続的な好中性顆粒球動員を誘発する膜貫通ヘミデスモソーム抗原BP180/コラーゲンXVIIに対して向けられる(Otten et al.Curr mol Med 2014;14:69-95)。結果として、CD89発現好中性顆粒球の一定の活性化(すなわち、活性酸素種及び炎症促進性サイトカイン産生による)及び浸潤(すなわち、局所化学誘引物質LTB4放出による)は、LABD患者において、重度の組織損傷及び症状の悪化を引き起こす。
インビボLABDマウスモデル:マウスCD89ホモログを欠く二重トランスジェニックヒトCD89/ヒトIgA(Tg huCD89/huIgA)マウスにおいて、ヒトCD89の発現、調節、ヒトIgAとの相互作用、及び機能は、ヒト状況を模倣する(Van Egmond et al,Blood 1999;93:4387-4394)。これらのTg huCD89/huIgA(均等に分布した雌及び雄)マウスは、循環マウス好中性顆粒球上に膜ヒトCD89を発現させており(Van Egmond et al,Blood 1999;93;4387-4394)、そのマウスに、0、2、4、6、8、10、及び12日目に、7mg/mL(Prof.Dr.M.van Egmond,Dept Molecular Cell Biology and Immunology、VUmc,Amsterdam,NL)の抗マウスコラーゲンXVIIヒトIgA(自己)抗体10μLを右耳に、又はPBS10μLを左耳に、皮下注射した。精製されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体10E7処置を伴った、又は伴わない注射部位でのヒトCD89発現マウス好中性顆粒球の流入を、監視した。この目的のために、1.5mg/mLの精製されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体10E7 100μLを、7日目及び11日目に腹腔内に注射した(処置レジメンについては、図31Aを参照されたい)。並行して、1.5mg/mLのマウスIgG1アイソタイプ対照(Biolegend)100μLを陰性対照として実行した。14日目に、マウスを屠殺し、耳を切除し、続いて、液体窒素中でスナップ凍結した。これらの耳組織標本を凍結切片化し(6μm)、アセトン中で10分間室温で固定した。次いで、これらの空気乾燥した凍結切片を、1:400に希釈したAlexa Fluor(登録商標)488コンジュゲートラット抗マウスLy-6G(GR-1染色、好中性顆粒球マーカー、eBioscience)で、室温で1時間インキュベーションした。PBSで洗浄した後、1μg/mLのDAPI(Invitrogen)を使用して、5分間、室温で核を対比染色した。耳全体の画像を取得するためのタイルスキャンは、以下の設定でVectra Polaris顕微鏡を使用して実施された。DAPI MSI 0.43ms、FITC 81.70ms、及び20倍の倍率。凍結切片のGR-1染色をImageJ/Fijiソフトウェアを使用して分析した。マウスの耳の総面積(μm)及び特異的GR-1染色の面積(μm)を測定した。定量は、GR-1面積(μm)を総面積(μm)で割ったものとして算出した。以下の式を使用して、GR-1/総面積比を決定した。
Figure 2023523919000030
図31Bに示されるように、精製されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89特異的抗体10E7は、注射部位で抗マウスコラーゲンXVIIヒトIgA抗体誘発性ヒトCD89発現マウス好中性顆粒球流入を有意に阻害した(P<0.05)。
これらの結果により、CD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89特異的抗体10E7が、Tg huCD89/huIgAマウスにおける実験的に誘発されたインビボヒトIgA媒介性ヒトCD89発現マウス好中性顆粒球流入を阻害したことが実証された。
実施例4.CD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89モノクローナル抗体によって認識されるヒトCD89エピトープ及びCD89ドメインの特徴付け
(a).ヒトCD89に対する、PEコンジュゲート商業用マウス抗CD89抗体クローンMIP8a(CD89/IgA遮断剤)、クローンA59(CD89/IgA非遮断剤)、及びクローンA3(CD89/IgA非遮断剤)との非標識CD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体の交差競合
精製されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体の良好な特異性を分析するために、生成されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体よって認識される位置を、既知のCD89/IgA遮断剤である精製されたマウス抗ヒトCD89抗体クローンMIP8a(Zhang et al.Clin Exp Immunol 2000;121:106-111)、既知のCD89/IgA非遮断剤である精製されたマウス抗ヒトCD89抗体クローンA59(Monteiro et al.J Immunol 1992;148:1764-1770)、及び既知のCD89/IgA非遮断剤である精製されたマウス抗ヒトCD89抗体クローンA3(Monteiro et al.J Immunol 1992;148:1764-1770)とのクロス競合によって決定した。
ヒトCD89は、短い細胞質尾部、膜貫通領域、及び2つの細胞外(EC)Ig様ドメインからなる。短いドメイン間ヒンジ領域によって、これらの2つのIg様ECドメインは、互いに約90°の角度で折り畳まれる(Ding et al.J Biol Chem 2003;278:27966-27970)。ヒトCD89上のヒトIgAの結合部位は、膜遠位Ig様EC1ドメインにあり、膜近位Ig様EC2ドメインにはない(Wines et al.J Immunol 1999;162:2146-2153、Morton J Exp Med 1999;189:1715-1722、Lu et al.Protein Sci 2014;23:378-386)。したがって、ヒトCD89のEC1ドメインに結合するマウス抗ヒトCD89抗体は、ヒトCD89上のヒトIgA結合を遮断することができるが、ヒトCD89のEC2ドメインに結合するマウス抗ヒトCD89抗体は、ヒトCD89上のヒトIgA結合を遮断することができないことが、概して、認められている(Morton et al.Arch Immunol Ther Exp 2001;49:217-229、Bakema et al.Immunol Rev 2011;4:612-624)。より具体的には、プロトタイプCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体クローンMIP8aは、ヒトCD89のEC1ドメイン内のエピトープを認識し(Lu et al.Protein Sci 2014;23:378-386)、プロトタイプCD89/IgA非遮断マウス抗ヒトCD89抗体クローンA59及びA3は、ヒトCD89のEC2ドメイン内(Morton J Exp Med 1999;189:1715-1722)、及びヒトCD89のEC1-EC2ドメインの境界内のエピトープをそれぞれ認識する(Morton J Exp Med 1999;189:1715-1722)。生成された精製されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体の、膜ヒトCD89に対する周知のCD89/IgA遮断及び非遮断マウス抗ヒトCD89抗体(すなわち、クローンMIP8a、クローンA59、及びクローンA3)と競合する能力を、FACS分析によって決定した。
安定したヒト全長CD89をトランスフェクションされたHEK293F細胞(クローン番号2、上記実施例1(b)を参照されたい)を、50μg/mLのヒトIgG(可能なFcγ受容体を遮断する、Sigma)を補充した0.1%のBSA(Sigma)/0.05%NaNを含有する氷冷PBS(PBS/BSA/NaN)中に、10×10細胞/mLで、4℃で10分間置いた。次いで、10μL/チューブ(すなわち0.1×10細胞)のこれらの細胞を、10μg/mL(PBS/BSA/NaN中)の精製されたマウス抗ヒトCD89抗体100μLとともに、又はそれを含まずに、4℃で30分間インキュベーションした。並行して、10μg/mL(PBS/BSA/NaN中)の精製されたマウスIgG1アイソタイプ対照(BD Biosciences)100μLを陰性対照として実行し、10μg/mL(PBS/BSA/NaN中)の精製されたマウス抗ヒトCD89抗体クローンMIP8a(BioRad)、10μg/mL(PBS/BSA/NaN中)のクローンA59(BD Biosciences)、10μg/mL(PBS/BSA/NaN中)のクローンA3(Santa Cruz Biotechnology)100μLを陽性対照として実行した。この後(すなわち、洗浄せずに)、5μLの未希釈PEコンジュゲートマウス抗ヒトCD89抗体クローンMIP8a(BioRad)、クローンA59(BD Biosciences)、及びクローンA3(Santa Cruz Biotechnology)をこれらの細胞に添加し、4℃で更に30分間インキュベーションした。PBS/BSA/NaNで十分に洗浄した後、細胞をPBS/BSA/NaN中の2%ホルムアルデヒド中で、4℃で30分間固定した。膜ヒトCD89に対するPEコンジュゲートマウス抗ヒトCD89抗体クローンMIP8a、クローンA59、及びクローンA3の結合(幾何平均蛍光強度)を、フローサイトメーター(FACSCalibur、BD Biosciences)を使用して測定した。
図11Aに示すように、10μg/mLの非標識の精製されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89特異的抗体9H7、26D6、及び30C7でのプレインキュベーションは、膜ヒトCD89に対する商業用PEコンジュゲートCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体クローンMIP8aの後続結合を完全に(>90%)遮断したが、10μg/mLの非標識の精製されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89特異的抗体8F3、10E7、16D6、及び20B4でのプレインキュベーションは、膜ヒトCD89に対する商業用PEコンジュゲートCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体クローンMIP8aの後続結合を遮断しなかった(<25%)。参照目的のために、10μg/mLの非標識の精製されたマウス抗ヒトCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体クローンMIP8aでのプレインキュベーションもまた、膜ヒトCD89に対するそのPEコンジュゲート抗体対応物の後続結合を完全に(>90%)遮断したが、10μg/mLの非標識の精製された周知のマウス非遮断CD89/IgA抗ヒトCD89抗体クローンA59及びA3でのプレインキュベーションは、膜ヒトCD89に対する商業用PEコンジュゲートCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体クローンMIP8aの後続結合を遮断しなかった(<25%)。
図11Bに示すように、10μg/mLの非標識の精製されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89特異的抗体9H7、26D6、及び20B4でのプレインキュベーションは、膜ヒトCD89に対する商業用PEコンジュゲートCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体クローンA59の後続結合を部分的に(
Figure 2023523919000031
55~65%)遮断したが、10μg/mLの非標識の精製されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89特異的抗体8F3、10E7、16D6、及び30C7でのプレインキュベーションは、膜ヒトCD89に対する商業用PEコンジュゲートCD89/IgA非遮断マウス抗ヒトCD89抗体クローンA59の後続結合を遮断しなかった(<25%)。参考のために、10μg/mLの非標識の精製されたCD89/IgA非遮断マウス抗ヒトCD89抗体クローンA59でのプレインキュベーションは、膜ヒトCD89に対するそのPEコンジュゲート抗体対応物の後続結合を完全に(>90%)遮断した。更に、10μg/mLの非標識の精製された周知のCD89/IgA非遮断マウス抗ヒトCD89抗体クローンA3でのプレインキュベーションも、膜ヒトCD89に対する商業用PEコンジュゲートCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体クローンA59の後続結合を完全に(>90%)遮断したが、10μg/mLの非標識の精製された周知のCD89/IgA非遮断マウス抗ヒトCD89抗体MIP8aでのプレインキュベーションは、膜ヒトCD89に対する商業用PEコンジュゲートCD89/IgA非遮断マウス抗ヒトCD89抗体クローンA59の後続結合を部分的に遮断した(
Figure 2023523919000032
50%)。
図11Cに示すように、10μg/mLの非標識の精製されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89特異的抗体9H7、26D6、及び20B4でのプレインキュベーションは、膜ヒトCD89に対する商業用PEコンジュゲートCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体クローンA3の後続結合を部分的に(
Figure 2023523919000033
55~65%)遮断したが、10μg/mLの非標識の精製されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89特異的抗体8F3、10E7、16D6、及び30C7でのプレインキュベーションは、膜ヒトCD89に対する商業用PEコンジュゲートCD89/IgA非遮断マウス抗ヒトCD89抗体クローンA3の後続結合を遮断しなかった(<25%)。参考のために、10μg/mLの非標識の精製されたCD89/IgA非遮断マウス抗ヒトCD89抗体クローンA3でのプレインキュベーションは、膜ヒトCD89に対するそのPEコンジュゲート抗体対応物の後続結合を完全に(>90%)遮断した。更に、10μg/mLの非標識の精製された周知のCD89/IgA非遮断マウス抗ヒトCD89抗体クローンA59でのプレインキュベーションも、膜ヒトCD89に対する商業用PEコンジュゲートCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体クローンA3の後続結合を完全に(>90%)遮断したが、10μg/mLの非標識の精製された周知のCD89/IgA非遮断マウス抗ヒトCD89抗体MIP8aでのプレインキュベーションは、膜ヒトCD89に対する商業用PEコンジュゲートCD89/IgA非遮断マウス抗ヒトCD89抗体クローンA3の後続結合を部分的に遮断した(
Figure 2023523919000034
55%)。
上記の交差競合の程度を分析するために、(10μg/mLのみを使用するのとは対照的に)滴定された交差競合する非標識の精製されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89特異的抗体でのプレインキュベーションも実施し、続いて、安定したヒト全長CD89をトランスフェクションされたHEK293F細胞(クローン番号2、上記実施例1(b)を参照されたい)を使用して、PEコンジュゲートされたマウス抗ヒトCD89抗体クローンMIP8a、クローンA59、及びクローンA3でのインキュベーションを実施した。
図12Aに示すように、全ての「MIP8a」交差競合する非標識の精製されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89特異的抗体(すなわち、9H7、26D6、及び30C7)は、膜ヒトCD89に対する商業用PEコンジュゲートCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体クローンMIP8aの結合を用量依存的に遮断した。それらの「MIP8a」交差競合プロファイルに基づいて、以下のランキングが見出された(強力な「MIP8a-PE」遮断の程度から低い「MIP8a-PE」遮断の程度へ):9H7=26D6(=MIP8a)>30C7。要約については、表6を参照されたい。
図12Bに示すように、全ての「A59」交差競合する非標識の精製されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89特異的抗体(すなわち、9H7、26D6、及び20B4)は、膜ヒトCD89に対する商業用PEコンジュゲートCD89/IgA非遮断マウス抗ヒトCD89抗体クローンA59の結合を用量依存的に遮断した。それらの「A59」交差競合プロファイルに基づいて、以下のランキングが見出された(強力な「A59-PE」遮断の程度から低い「A59-PE」遮断の程度へ):(A59=A3)>9H7=26D6=20B4(=MIP8a)。要約については、表6を参照されたい。
図12Cに示すように、全ての「A3」交差競合する非標識の精製されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89特異的抗体(すなわち、9H7、26D6、及び20B4)は、膜ヒトCD89に対する商業用PEコンジュゲートCD89/IgA非遮断マウス抗ヒトCD89抗体クローンA3の結合を用量依存的に遮断した。それらの「A3」交差競合プロファイルに基づいて、以下のランキングが見出された(強力な「A3-PE」遮断の程度から低い「A3-PE」遮断の程度へ):(A59=A3)>9H7=26D6=20B4(=MIP8a)。要約については、表6を参照されたい。
Figure 2023523919000035
これらの結果により、CD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89特異的抗体8F3、10E7、16D6、20B4、及び30C7は、それらの交差競合プロファイルが、これらの商業用マウス抗ヒトCD89抗体で得られた交差競合プロファイルと顕著に異なるため、商業用マウス抗ヒトCD89抗体クローンMIP8a、クローンA59、又はクローンA3によって認識されるヒトCD89エピトープとは異なるヒトCD89エピトープに結合したことが実証された。更に、これらの結果により、CD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89特異的抗体8F3、10E7、及び16D6(同一の交差競合プロファイルを持つ3つの抗体)対群としてのCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89特異的抗体9H7及び26B6(同一の交差競合プロファイルを持つ両方の抗体)対CD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89特異的抗体20B4対CD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89特異的抗体30C7は、それらの交差競合プロファイルが顕著に異なっていたため、同一ではないCD89エピトープに結合したことが実証された。加えて、これらの結果により、群としてのCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89特異的抗体9H7及び26B6(両方とも同一のクロスコンペイトプロファイルを有する抗体)対商業用マウス抗ヒトCD89抗体クローンMIP8aは、それらの交差競合プロファイルが同一であるため、類似のCD89エピトープに結合するようであったことが実証された。これらの結果により、また、CD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89特異的抗体8F3、10E7、及び16D6は、それらの交差競合プロファイルが同一であるため、類似のCD89エピトープに結合するようであったことが実証された。最後に、これらの結果により、CD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89特異的抗体9H7及び26B6は、それらの交差競合プロファイルが同一であるため、類似のCD89エピトープに結合するようであったことが実証された。
(b).膜全長ヒトCD89及び様々な膜キメラヒトCD89/ウシFcγ2R構築物へのCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体の結合(ヒトCD89のEC1対EC2ドメインマッピング)
精製されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体の良好な特異性を分析するために、生成されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体によって認識されるエピトープの位置をドメインマッピングによって決定した。HEK293F細胞の表面上で発現された、ヒトCD89のEC1ドメイン又はEC2ドメインに結合するCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体の能力を、FACS分析によって決定した。
構造的に、ヒトCD89及びウシFcγ2Rは、非常に相同であり、互いに密接に関連している(Ravetch et al.Annu Rev Immunol 1991;9:457-492、Zhang et al.J Immunol 1995;155:1534-1541)。したがって、キメラヒト/ウシ受容体は、これらの2つの受容体タンパク質間でIg様EC1及びEC2ドメインを交換することによって設計された(図13Aも参照されたい)。機能的には、ヒトCD89及びウシFcγ2Rは、ヒトCD89がヒトIgAに結合するがウシIgG2に結合しないのに対して、ウシFcγ2RはウシIgG2に結合し、ヒトIgAに結合しないという点で完全に異なる。以下のヒトCD89構築物を生成し、一過性に発現させた。(1)ヒトCD89のIg様EC1及びIg様EC2ドメインの両方を含有した(配列番号1を参照されたい)膜全長ヒトCD89構築物、したがって「ヒトEC1-EC2-CD89」と表記され、(2)ウシFcγ2R構築物のIg様EC2ドメインと組み合わせたヒトCD89の膜キメラIg様EC1ドメイン(配列番号3及び配列番号4を参照されたい、すなわち、ウシ膜貫通細胞内領域、又はヒト膜貫通細胞内領域とそれぞれ組み合わせた)、したがって「ヒトEC1-CD89」と表記され、及び(3)ヒトCD89のIg様EC2ドメインと組み合わせたウシFcγ2Rの膜キメラIg様EC1ドメイン構築物(配列番号7を参照されたい)、したがって「ヒトEC2-CD89」と表記される。更に、膜全長ウシFcγ2R構築物も生成し、これは、ウシFcγ2RのIg様EC1及びIg様EC2ドメインの両方を含有し(配列番号9を参照されたい)、したがって、「ウシFcγ2R」として表記される。上述の「ヒトEC1-EC2-D89」、「ヒトEC1-CD89」、「ヒトEC2-CD89」、及び「ウシFcγ2R」構築物をコードするcDNAを、哺乳動物発現のために最適化し、GENEART、Regensburg,Germanyによって合成した(それぞれ、配列番号2、5、6、8、及び10を参照されたい)。これらのcDNAを、pcDNA3.1由来の発現プラスミド中でサブクローニングした。
FreeStyle(商標)293発現系(Invitrogen)を使用して、FreeStyle(商標)293F細胞(Invitrogen)に、「ヒトCD89」、「ヒトEC1-CD89」、「ヒトEC2-CD89」、及び「ウシFcγ2R」構築物を一過性にトランスフェクションした。48時間及び/又は72時間後、トランスフェクションされた細胞上の前述のキメラヒト/ウシ受容体へのCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体の結合をFACS分析によって分析した。この目的のために、一過性にトランスフェクションされたHEK293F細胞を、50μg/mLのヒトIgG(Fcγ受容体を遮断する、Sigma)を補充した0.1%のBSA(Sigma)/0.05%NaNを含有する氷冷リン酸緩衝生理食塩水(PBS/BSA/NaN)中に、10×10細胞/mLで、4℃で10分間置いた。次いで、10μL/チューブ(すなわち0.1×10細胞)のこれらの細胞を、10μg/mL(PBS/BSA/NaN中)の精製されたマウス抗ヒトCD89抗体100μLとともに、又はそれを含まずに、4℃で30分間インキュベーションした。並行して、10μg/mL(PBS/BSA/NaN中)の精製されたマウスIgG1アイソタイプ対照(BD Biosciences)100μLを陰性対照として実行し、10μg/mL(PBS/BSA/NaN中)の精製されたマウス抗ヒトCD89抗体クローンMIP8a(BioRad)、クローンA59(BD Biosciences)、クローンA3(Santa Cruz Biotechnology)100μLを陽性対照として実行した。PBS/BSA/NaNで十分に洗浄した後、続いて細胞を1:200に希釈したPEコンジュゲートヤギ抗マウスIgGFcγ特異的抗体(Jackson ImmunoResearch)とともに4℃で30分間インキュベーションした。PBS/BSA/NaNで十分に洗浄した後、細胞を、PBS/BSA/NaN中の2%ホルムアルデヒド中で、4℃で30分間固定した。抗体の結合をフローサイトメーター(モデルFACSCalibur、BD Biosciences)を使用して測定した。
上記のCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体のキメラヒト/ウシ受容体への結合以外に、これらのキメラヒト/ウシ受容体の(1)膜表面発現レベル及び(2)適切な折り畳みも、これらの一過性トランスフェクション細胞上で調査した。この場合、一過性にトランスフェクションされたHEK293F細胞を、50μg/mLのヒトIgG(Fcγ受容体を遮断する、Sigma)を補充した0.1%のBSA(Sigma)/0.05%NaNを含有する氷冷リン酸緩衝生理食塩水(PBS/BSA/NaN)中に、10×10細胞/mLで、4℃で10分間置いた。次いで、10μL/チューブ(すなわち、0.1×10細胞)のこれらの細胞を、(1)2.5μg/mL(PBS/BSA/NaN中)の精製されたウサギ抗ヒトCD89ポリクローナル抗体(Sino Biologial)100μLとともに、又はそれを含まずに、及び(2)10μg/mL(PBS/BSA/NaN中で希釈)の精製された非凝集又は熱凝集ヒト(血清由来、上記実施例2(b)を参照されたい)IgA(Bethyl Laboratories)100μLとともに、又はそれを含まずに、4℃で30分間インキュベーションした。PBS/BSA/NaNで十分に洗浄した後、膜ヒトCD89に対する(1)ウサギ抗ヒトCD89ポリクローナル抗体、及び(2)非凝集又は熱凝集血清ヒトIgAの結合を、それぞれ5μg/mLの1:200の希釈FITCコンジュゲートF(ab’)2断片ヤギ抗ウサギIgG重鎖/軽鎖特異的抗体(Jackson ImmunoResearch)、及びビオチンコンジュゲートF(ab’)2断片ヤギ抗ヒト血清IgAα鎖特異的抗体(Jackson ImmunoResearch)で、30分間4℃で測定した。PBS/BSA/NaNで十分に洗浄した後、1:200に希釈したPEコンジュゲートストレプトアビジン(Jackson ImmunoResearch)を添加し、4℃で30分間インキュベーションした。PBS/BSA/NaNで十分に洗浄した後、細胞を、PBS/BSA/NaN中の2%ホルムアルデヒド中で、4℃で30分間固定した。膜キメラヒト/ウシ受容体に対する(1)ウサギ抗ヒトCD89ポリクローナル抗体、及び(2)非凝集又は熱凝集血清ヒトIgAの結合を、フローサイトメーター(モデルFACSCalibur、BD Biosciences)を使用して測定した。
図13Bに示すように、全てのキメラヒトCD89/ウシFcγ2R受容体(すなわち、「ヒトEC1-CD89」及び「ヒトEC2-CD89」の2つのバージョン)及び全長ヒトCD89は、ウサギ抗ヒトCD89ポリクローナル抗体がこれらの細胞上に結合することによって証明されるように、一過性にトランスフェクションされた細胞の膜表面上に発現された。更に、これらの膜発現ヒトキメラCD89/ウシFcγ2R受容体(すなわち、「ヒトEC1-CD89」の2つのバージョン)及び全長ヒトCD89は、非凝集及び熱凝集血清ヒトIgAの両方の結合によって証明されるように、適切なタンパク質折り畳みを示すようであった。予想どおり、EC1ドメイン(すなわち、ヒトCD89上のIgA結合部位)を欠く、キメラヒトCD89/ウシFcγ2R受容体「ヒトEC2-CD89」は、非凝集及び熱凝集血清ヒトIgAに結合しなかった。予想どおり、ウサギ抗ヒトCD89ポリクローナル抗体、非凝集及び熱凝集血清ヒトIgAは、モックをトランスフェクションされた細胞にも、全長ウシFcγ2Rをトランスフェクションされた細胞にも結合しなかった。
図13Cに示すように、発明者らの全ての精製されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89特異的抗体(すなわち、8F3、9H7、10E7、16D6、26D6、20B4、及び30C7)は、トランスフェクションされた293F細胞において、「ヒトEC1-CD89」の両方のバージョンへの結合を示し、「ヒトEC2-CD89」への結合は示さなかった。更に、発明者らの全ての精製されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89特異的抗体(すなわち、8F3、9H7、10E7、16D6、26D6、20B4、及び30C7)は、全長ヒトCD89「ヒトEC1-EC2-CD89)をトランスフェクションされた細胞への結合を示したが、モックをトランスフェクションされた細胞又は全長ウシFcγ2Rをトランスフェクションされた細胞への結合は示さなかった。予想どおり、ヒトCD89のEC1ドメイン内のエピトープを認識する精製された周知のCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体クローンMIP8a(Lu et al.Protein Sci 2014;23:378-386)は、「ヒトEC1-CD89」の両方のバージョンに結合し、「ヒトEC2-CD89」に結合しないことを示したが、ヒトCD89のEC2ドメイン内のエピトープを認識する精製された周知のCD89/IgA非遮断マウス抗ヒトCD89抗体クローンA59(Morton J Exp Med 1999;189:1715-1722)は、「ヒトEC2-CD89」に結合し、「ヒトEC1-CD89」に結合しないことを示した。驚くべきことに、ヒトCD89のEC1及びEC2ドメインの両方の部分に依存するエピトープを認識する、精製された周知のCD89/IgA非遮断マウス抗ヒトCD89抗体クローンA3(Morton J Exp Med 1999;189:1715-1722)は、「ヒトEC2-CD89」に結合し、「ヒトEC1-CD89」には結合しなかった。最後に、これら全ての調査した商業用マウス抗ヒトCD89スペックフィック抗体は、全長ヒトCD89「ヒトEC1-EC2-CD89)をトランスフェクションされた細胞への結合を示したが、モックをトランスフェクションされた細胞又は全長ウシFcγ2Rをトランスフェクションされた細胞への結合は示さなかった。
これらの結果により、発明者らの全てのCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体8F3、9H7、10E7、16D6、26D6、20B4、及び30C7は、ヒト全長CD89のEC1ドメイン内の線形及び/又は非線形/立体配座エピトープ(すなわち、Gln22~Gly121、Swiss-Prot番号P24071.1)を認識するようであったことが実証された。
(c).膜カニクイザル全長CD89へのCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体の結合
発明者らの精製されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体の多種交差反応性を分析するために、生成されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体の、HEK293F細胞の表面上に発現された全長カニクイザルCD89に結合する能力を、FACS分析によって決定した。
カニクイザルCD89タンパク質(配列番号11、NCBI参照配列XP_005590398.1を参照されたい)をコードするcDNAを、哺乳動物発現のために最適化し、GENEART、Regensburg,Germanyによって合成した(配列番号12を参照されたい)。このcDNAを、pcDNA3.1由来の発現プラスミド中でサブクローニングした。
FreeStyle(商標)293発現系(Invitrogen)を使用して、FreeStyle(商標)293F細胞(Invitrogen)にカニクイザル全長CD89を一過性にトランスフェクションした。48時間及び/又は72時間後、トランスフェクションされた細胞上の表面カニクイザルCD89へのCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体の交差反応をFACS分析によって分析した。この目的のために、一過性にトランスフェクションされたHEK293F細胞を、50μg/mLのヒトIgG(Fcγ受容体を遮断する、Sigma)を補充した0.1%のBSA(Sigma)/0.05%NaNを含有する氷冷リン酸緩衝生理食塩水(PBS/BSA/NaN)中に、10×10細胞/mLで、4℃で10分間置いた。次いで、10μL/チューブ(すなわち0.1×10細胞)のこれらの細胞を、10μg/mL(PBS/BSA/NaN中)の精製されたマウス抗ヒトCD89抗体100μLとともに、又はそれを含まずに、4℃で30分間インキュベーションした。並行して、10μg/mL(PBS/BSA/NaN中)の精製されたマウスIgG1アイソタイプ対照(BD Biosciences)100μLを陰性対照として実行し、10μg/mL(PBS/BSA/NaN中)の精製されたマウス抗ヒトCD89抗体クローンMIP8a(BioRad)、クローンA59(BD Biosciences)、クローンA3(Santa Cruz Biotechnology)100μLを陽性対照として実行した。PBS/BSA/NaNで十分に洗浄した後、続いて細胞を1:200に希釈したPEコンジュゲートヤギ抗マウスIgGFcγ特異的抗体(Jackson ImmunoResearch)とともに4℃で30分間インキュベーションした。PBS/BSA/NaNで十分に洗浄した後、細胞を、PBS/BSA/NaN中の2%ホルムアルデヒド中で、4℃で30分間固定した。抗体の結合をフローサイトメーター(モデルFACSCalibur、BD Biosciences)を使用して測定した。
上記のCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体のカニクイザル全長CD89への結合以外に、カニクイザル全長CD89の(1)膜表面発現レベル及び(2)適切な折り畳みも、これらの一過性トランスフェクション細胞上で調査した。このため、一過性にトランスフェクションされたHEK293F細胞を、50μg/mLのヒトIgG(Fcγ受容体を遮断する、Sigma)を補充した0.1%のBSA(Sigma)/0.05%NaNを含有する氷冷リン酸緩衝生理食塩水(PBS/BSA/NaN)中に、10×10細胞/mLで、4℃で10分間置いた。次いで、10μL/チューブ(すなわち、0.1×10細胞)のこれらの細胞を、(1)2.5μg/mL(PBS/BSA/NaN中)の精製されたウサギ抗ヒトCD89ポリクローナル抗体(Sino Biologial)100μLとともに、又はそれを含まずに、及び(2)10μg/mL(PBS/BSA/NaN中で希釈)の精製された非凝集又は熱凝集ヒト(血清由来、上記実施例2(b)を参照されたい)IgA(Bethyl Laboratories)100μLとともに、又はそれを含まずに、4℃で30分間インキュベーションした。PBS/BSA/NaNで十分に洗浄した後、膜カニクイザルCD89に対する(1)ウサギ抗ヒトCD89ポリクローナル抗体、及び(2)非凝集又は熱凝集血清ヒトIgAの結合を、それぞれ5μg/mLの1:200の希釈FITCコンジュゲートF(ab’)2断片ヤギ抗ウサギIgG重鎖/軽鎖特異的抗体(Jackson ImmunoResearch)、及びビオチンコンジュゲートF(ab’)2断片ヤギ抗ヒト血清IgAα鎖特異的抗体(Jackson ImmunoResearch)で、30分間4℃で測定した。PBS/BSA/NaNで十分に洗浄した後、1:200に希釈したPEコンジュゲートストレプトアビジン(Jackson ImmunoResearch)を添加し、4℃で30分間インキュベーションした。PBS/BSA/NaNで十分に洗浄した後、細胞を、PBS/BSA/NaN中の2%ホルムアルデヒド中で、4℃で30分間固定した。膜カニクイザルCD89に対する(1)ウサギ抗ヒトCD89ポリクローナル抗体、及び(2)非凝集又は熱凝集血清ヒトIgAの結合を、フローサイトメーター(モデルFACSCalibur、BD Biosciences)を使用して測定した。
図14Aに示すように、全長カニクイザルCD89は、これらの細胞に対する交差反応ウサギ抗ヒトCD89ポリクローナル抗体の結合によって証明されるように、一過性にトランスフェクションされた細胞の膜表面上で発現された。更に、この膜発現全長カニクイザルCD89は、交差反応性非凝集及び熱凝集血清ヒトIgAの両方の結合によって証明されるように、適切なタンパク質折り畳みを示しているようであった。
図14Bに示すように、精製されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89特異的抗体16D6及び30C7は、トランスフェクションされた293F細胞上のカニクイザル全長CD89に対する中間/弱い交差反応性を示した。精製されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体8F3、9H7、10E7、26D6、及び20B4は、トランスフェクションされた293F細胞上のカニクイザル全長CD89を認識しなかった。商業用の精製されたマウス抗ヒトCD89特異的抗体クローンA59及びクローンA3は、トランスフェクションされた293F細胞上のカニクイザル全長CD89に対して強力な交差反応性を示したが、商業用の精製されたマウス抗ヒトCD89特異的抗体クローンMIP8aは、カニクイザル全長CD89に対して少しの結合も示さなかった。
これらの結果により、マウス抗ヒトCD89抗体16D6及び30C7が、おそらくカニクイザル全長CD89のEC1ドメインにおける、線形及び/又は非線形/立体配座エピトープを認識するようであったことが実証された。
全長カニクイザルCD89タンパク質の予測アミノ酸配列(Met1~Lys287、NCBI参照配列:XP_005590398.1)は、全長ヒトCD89タンパク質のアミノ酸配列(Met1~Lys287、Swiss-Prot番号P24071.1)と86%の相同性を示し、カニクイザルCD89の細胞外領域の予測アミノ酸配列(すなわち、Gln22~Asn227、NCBI参照配列:XP_005590398.1)は、細胞外領域ヒトCD89タンパク質のアミノ酸配列(すなわち、Gln22~Asn227、Swiss-Prot番号P24071.1)と83%の相同性を示す。より詳細には、カニクイザルCD89タンパク質のEC1ドメイン(すなわち、Gln22~Gly121、NCBI参照配列:XP_005590398.1)、短いヒンジ領域(すなわち、Leu122~Lys125)、EC2ドメイン(すなわち、Pro126~Asn220)、及び膜近位「リンカー」領域(すなわち、Arg221~Asn227)の予測アミノ酸配列は、それぞれ、ヒトCD89タンパク質の対応するアミノ酸配列と72%、100%、93%、及び85%の相同性を示す。
発明者らの生成されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体8F3、9H7、10E7、16D6、26D6、20B4、及び30C7が、ヒト全長CD89のEC1ドメイン(すなわち、Gln22~Gly121、Swiss-Prot番号P24071.1)内の線形及び/又は非線形/立体配座エピトープを認識するようであることを考慮すると(上記実施例4(b)を参照されたい)、発明者らのCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体の大部分(すなわち、8F3、9H7、10E7、26D6、及び20B4)が、トランスフェクション293F細胞上の全長カニクイザルCD89の低相同(すなわち、72%のアミノ酸配列)のEC1ドメイン(すなわち、Gln22~Gly121、NCBI参照配列:XP_005590398.1)と交差反応しない。
(d).様々な膜キメラヒトCD89/カニクイザルCD89構築物へのCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体の結合(ヒトCD89のEC1ドメイン内のエピトープマッピング)
精製されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体の良好な特異性を分析するために、生成されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体によって認識されるエピトープをエピトープマッピングによって決定した。HEK293F細胞の表面上で発現された、ヒトCD89のEC1ドメイン内のエピトープに結合するCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体の能力を、FACS分析によって決定した。
構造的に、全長ヒトCD89及び全長カニクイザルCD89は、高度に相同であり(すなわち、アミノ酸配列、上記実施例4(c)も参照されたい)、互いに密接に関連している(Rogers et al.Immunol 2004、113:178-186)。しかしながら、全てがヒトCD89のEC1ドメインを有するエピトープを認識した(上記実施例4(b)を参照されたい)、発明者らの生成されたCD89/IgA遮断マウスCD89抗体は、カニクイザルCD89のEC1ドメインと異種間反応性がない(すなわち、8F3、9H7、10E7、26D6、及び20B4)か、弱い異種間反応性(すなわち、30C7)か、又は中間の異種間反応性(すなわち、16D6)のいずれかを示した(上記実施例4(c)を参照されたい)。したがって、キメラヒトCD89/カニクイザルCD89受容体を、ヒトCD89のEC1ドメイン由来の部分(すなわち、25アミノ酸長のペプチド)を、カニクイザルCD89のEC1ドメインからの相互の対応物と交換することによって設計し(図15Aも参照されたい)、発明者らの生成したCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体によって認識される、ヒトCD89のEC1ドメイン内の重要な領域を決定した。機能的には、ヒトCD89及びカニクイザルCD89は、ヒトCD89及びカニクイザルCD89の両方がヒト血清IgAに結合する点で類似している(上記実施例4(c)を参照されたい)。以下のヒトCD89構築物を生成し、一過性に発現させた。(1)ヒトCD89の全長EC1ドメインを含有する膜全長ヒトCD89構築物(配列番号1を参照されたい)、したがって「ヒトEC1-CD89」と表記され、(2)カニクイザルCD89のEC1ドメイン由来の相互Gln22~Arg46と交換されたヒトCD89のEC1ドメイン由来のGln22~Lys46からなる膜キメラヒトCD89/カニクイザルCD89構築物(I)(配列番号13を参照されたい)、したがって「ΔGln22-Lys46ヒトEC1-CD89」と表記され、(3)カニクイザルCD89のEC1ドメイン由来の相互Ile47~Arg71と交換されたヒトCD89のEC1ドメイン由来のIle47~Ile71からなる膜キメラヒトCD89/カニクイザルCD89構築物(II)(配列番号15を参照されたい)、したがって、「ΔIle47-Ile71ヒトEC1-CD89」と表記され、(4)カニクイザルCD89のEC1ドメイン由来の相互Asp72~Gly96と交換されたヒトCD89のEC1ドメイン由来のGly72~Gly96からなる膜キメラヒトCD89/カニクイザルCD89構築物(III)(配列番号17を参照されたい)、したがって、「ΔGly72-Gly96ヒトEC1-CD89」と表記され、及び(5)カニクイザルCD89のEC1ドメイン由来の相互Arg97~Gly121と交換されたヒトCD89のEC1ドメイン由来のArg97~Gly121からなる膜キメラヒトCD89/カニクイザルCD89構築物(IV)(配列番号19を参照されたい)、したがって、「ΔArg97-Gly121ヒトEC1-CD89」と表記される。また、膜全長カニクイザルCD89構築物は、ヒトカニクイザルCD89の全長EC1ドメインを含有し(配列番号11参照)、したがって「カニクイザルEC1-CD89」と表記される。
長さが25アミノ酸の連続したペプチド(すなわち、構築物I~IV、上記を参照)のEC1ドメイン部分を交換することに加えて、ヒトCD89上でアミノ酸残基(ホットスポット)に接触するヒトIgA(Herr et al,Nature 2003;423:614-620、Bakema et al.Immunol Rev 2011;4:612-624、Lu et al.Protein Sci 2014;23:378-386に従って)もまた、カニクイザルCD89のEC1ドメイン由来の相互アミノ酸と交換した(図15Aも参照されたい)。この目的のために、以下のキメラヒトCD89/カニクイザルCD89構築物を生成し、一過性に発現させた。カニクイザルCD89のEC1ドメイン由来の相互Ile58、Trp59、Glu73、Lys74、Gly76、Leu106、及びSer107と交換したヒトCD89のEC1ドメイン由来のThr58、Gln59、Arg73、Arg74、Lys76、His106、及びTyr107からなる膜キメラヒトCD89/カニクイザルCD89構築物(配列番号21を参照されたい)、したがって、「ΔThr58、Gln59;ΔArg73、Arg74、Lys76;ΔHis106、Tyr107ヒトEC1-CD89」(ホットスポット)と表記される。
上述の「ヒトEC1-CD89」、「ΔGln22-Lys46ヒトEC1-CD89」、「ΔIle47-Ile71ヒトEC1-CD89」、「ΔGly72-Gly96ヒトEC1-CD89」、「ΔArg97-Gly121ヒトEC1-CD89」、「ΔThr58、Gln59;ΔArg73、Arg74、Lys76;ΔHis106、Tyr107ヒトEC1-CD89」(ホットスポット)、及び「カニクイザルEC1-CD89」構築物をコードするcDNAを、哺乳動物発現のために最適化し、GENEART、Regensburg, Germanyにより合成した(それぞれ、配列番号2、14、16、18、20、22、及び12を参照されたい)。これらのcDNAを、pcDNA3.1由来の発現プラスミド中でサブクローニングした。
FreeStyle(商標)293発現系(Invitrogen)を使用して、FreeStyle(商標)293F細胞(Invitrogen)に、「ヒトEC1-CD89」、「ΔGln22-Lys46ヒトEC1-CD89」、「ΔIle47-Ile71ヒトEC1-CD89」、「ΔGly72-Gly96ヒトEC1-CD89」、「ΔArg97-Gly121ヒトEC1-CD89」、「ΔThr58、Gln59;ΔArg73、Arg74、Lys76;ΔHis106、Tyr107ヒトEC1-CD89」(ホットスポット)、及び「カニクイザルEC1-CD89」構築物を一過性にトランスフェクションした。48時間後、トランスフェクションされた細胞上の前述のキメラヒトCD89/カニクイザルCD89構築物に対するCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体の結合をFACS分析によって分析した。この目的のために、一過性にトランスフェクションされたHEK293F細胞を、50μg/mLのヒトIgG(Fcγ受容体を遮断する、Sigma)を補充した0.1%のBSA(Sigma)/0.05%NaNを含有する氷冷リン酸緩衝生理食塩水(PBS/BSA/NaN)中に、10×10細胞/mLで、4℃で10分間置いた。次いで、10μL/チューブ(すなわち0.1×10細胞)のこれらの細胞を、10μg/mL(PBS/BSA/NaN中)の精製されたマウス抗ヒトCD89抗体100μLとともに、又はそれを含まずに、4℃で30分間インキュベーションした。並行して、10μg/mL(PBS/BSA/NaN中)の精製されたマウスIgG1アイソタイプ対照(BD Biosciences)100μLを陰性対照として実行し、10μg/mL(PBS/BSA/NaN中)の精製されたマウス抗ヒトCD89抗体クローンMIP8a(BioRad)、クローンA59(BD Biosciences)、クローンA3(Santa Cruz Biotechnology)100μLを陽性対照として実行した。PBS/BSA/NaNで十分に洗浄した後、続いて細胞を1:200に希釈したPEコンジュゲートヤギ抗マウスIgGFcγ特異的抗体(Jackson ImmunoResearch)とともに4℃で30分間インキュベーションした。PBS/BSA/NaNで十分に洗浄した後、細胞を、PBS/BSA/NaN中の2%ホルムアルデヒド中で、4℃で30分間固定した。抗体の結合をフローサイトメーター(モデルFACSCalibur、BD Biosciences)を使用して測定した。
上記のCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体のキメラヒトCD89/カニクイザルCD89構築物への結合以外に、これらのキメラヒトCD89/カニクイザルCD89構築物の(1)膜表面発現レベル及び(2)適切な折り畳みも、これらの一過性トランスフェクション細胞上で調査した。この場合、一過性にトランスフェクションされたHEK293F細胞を、50μg/mLのヒトIgG(Fcγ受容体を遮断する、Sigma)を補充した0.1%のBSA(Sigma)/0.05%NaNを含有する氷冷リン酸緩衝生理食塩水(PBS/BSA/NaN)中に、10×10細胞/mLで、4℃で10分間置いた。次いで、10μL/チューブ(すなわち、0.1×10細胞)のこれらの細胞を、(1)2.5μg/mL(PBS/BSA/NaN中)の精製されたウサギ抗ヒトCD89ポリクローナル抗体(Sino Biologial)100μLとともに、又はそれを含まずに、及び(2)10μg/mL(PBS/BSA/NaN中で希釈)の精製された非凝集又は熱凝集ヒト(血清由来、上記実施例2(b)を参照されたい)IgA(Bethyl Laboratories)100μLとともに、又はそれを含まずに、4℃で30分間インキュベーションした。PBS/BSA/NaNで十分に洗浄した後、膜ヒトCD89に対する(1)ウサギ抗ヒトCD89ポリクローナル抗体、及び(2)非凝集又は熱凝集血清ヒトIgAの結合を、それぞれ5μg/mLの1:200の希釈FITCコンジュゲートF(ab’)2断片ヤギ抗ウサギIgG重鎖/軽鎖特異的抗体(Jackson ImmunoResearch)、及びビオチンコンジュゲートF(ab’)2断片ヤギ抗ヒト血清IgAα鎖特異的抗体(Jackson ImmunoResearch)で、30分間4℃で測定した。PBS/BSA/NaNで十分に洗浄した後、1:200に希釈したPEコンジュゲートストレプトアビジン(Jackson ImmunoResearch)を添加し、4℃で30分間インキュベーションした。PBS/BSA/NaNで十分に洗浄した後、細胞を、PBS/BSA/NaN中の2%ホルムアルデヒド中で、4℃で30分間固定した。膜キメラヒトCD89/カニクイザルCD89構築物に対する(1)ウサギ抗ヒトCD89ポリクローナル抗体、及び(2)非凝集又は熱凝集血清ヒトIgAの結合を、フローサイトメーター(モデルFACSCalibur、BD Biosciences)を使用して測定した。
図15Bに示すように、全てのキメラヒトCD89/カニクイザルCD89カンストラクト(すなわち、「ΔGln22-Lys46ヒトEC1-CD89」、「ΔIle47-Ile71ヒトEC1-CD89」、「ΔGly72-Gly96ヒトEC1-CD89」、「ΔArg97-Gly121ヒトEC1-CD89」及び、「ΔThr58、Gln59;ΔArg73、Arg74、Lys76;ΔHis106、Tyr107ヒトEC1-CD89」(ホットスポット))並びに全長ヒトCD89及び全長カニクイザルCD89は、これらの細胞上のウサギ抗ヒトCD89ポリクローナル抗体の結合によって証明されるように、一過的にトランスフェクションされた細胞の膜表面上に発現された。更に、膜発現キメラヒトCD89/カニクイザルCD89構築物「ΔGln22-Lys46ヒトEC1-CD89」、「ΔGly72-Gly96ヒトEC1-CD89」、及び「ΔArg97-Gly121ヒトEC1-CD89」並びに全長ヒトCD89及び全長カニクイザルCD89は、非凝集及び熱凝集血清ヒトIgAの両方に結合した。対照的に、膜発現キメラヒトCD89/カニクイザルCD89構築物「ΔIle47-Ile71ヒトEC1-CD89」及び「ΔThr58、Gln59;ΔArg73、Arg74、Lys76;ΔHis106、Tyr107ヒトEC1-CD89」(ホットスポット)は、非凝集及び熱凝集血清ヒトIgAへの結合を示さなかった。
これらの結果により、血清ヒトIgAはヒトCD89のEC1ドメイン内のアミノ酸配列Ile47~Ile71(すなわち、IQCQAIREAYLTQLMIIKNSTYREI、配列番号24を参照されたい)に結合し、及びこのIle47~Ile71アミノ酸配列内のアミノ酸残基Thr58及びGln59は、血清ヒトIgAが「ΔThr58、Gln59;ΔArg73、Arg74、Lys76;ΔHis106、Tyr107ヒトEC1-CD89」(ホットスポット)構築物への結合を示さなかったため、この血清ヒトIgA/ヒトCD89相互作用にとって重要なようであったことが実証された。要約については、表7を参照されたい。
図15Cに示すように、かつ予想されるように(上記実施例4(c)を参照されたい)、発明者らの全ての精製CD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89特異的抗体(すなわち、8F3、9H7、10E7、16D6、26D6、20B4、及び30C7)は、全長ヒトCD89への強力な結合を示したが、全長カニクイザルCD89への結合を示さないか(すなわち、8F3、9H7、10E7、26D6、及び20B4)、弱い結合(すなわち、30C7)、又は中間の結合(すなわち、16D6)を示した。予想されるように(上記実施例4(c)を参照されたい)、商業用マウス抗ヒトCD89抗体クローンMIP8aもまた、全長ヒトCD89に強い結合を示したが、全長カニクイザルCD89には結合しなかった。予想されるように(上記実施例4(c)を参照されたい)、商業用マウス抗ヒトCD89抗体クローンA59及びクローンA3は、全長ヒトCD89及び全長カニクイザルCD89の両方に強力な結合を示した。要約については、表7を参照されたい。
図15Cに示すように、発明者らの精製されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89特異的抗体8F3は、「ΔGln22-Lys46ヒトEC1-CD89」及び「ΔArg97-Gly121ヒトEC1-CD89」構築物への強力な結合を示したが、それぞれ、「ΔIle47-Ile71ヒトEC1-CD89」及び「ΔGly72-Gly96ヒトEC1-CD89」構築物への中間の結合を示すか又は結合を示さなかった。これは、マウス抗ヒトCD89抗体8F3が、ヒトCD89のEC1ドメイン内のアミノ酸配列Ile47~Ile71及びGly72~Gly96における線形又は非線形/立体配座エピトープを認識したことを示した(すなわち、それぞれ、IQCQAIREAYLTQLMIIKNSTYREI及びGRRLKFWNETDPEFVIDHMDANKAG、配列番号24及び25を参照されたい)。これらのアミノ酸配列Ile47~Ile71及びGly72~Gly96内のアミノ酸残基Thr58、Gln59、Arg73、Arg74、及びLys76は、マウス抗ヒトCD89抗体8F3が、「ΔThr58、Gln59;ΔArg73、Arg74、Lys76;ΔHis106、Tyr107ヒトEC1-CD89」(ホットスポット)構築物への結合を示さなかったため、マウス抗ヒトCD89抗体8F3のヒトCD89への結合に重要であるようであった。要約については、表7を参照されたい。
図15Cに示すように、発明者らの精製されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89特異的抗体9H7は、「ΔGln22-Lys46ヒトEC1-CD89」、「ΔIle47-Ile71ヒトEC1-CD89」、及び「ΔGly72-Gly96ヒトEC1-CD89」構築物への強力な結合を示したが、「ΔArg97-Gly121ヒトEC1-CD89」構築物への弱い結合を示し、これは、マウス抗ヒトCD89抗体9H7が、ヒトCD89のEC1ドメイン内のアミノ酸配列Arg97~Gly121(すなわち、RYQCQYRIGHYRFRYSDTLELVVTG、配列番号26を参照されたい)における線形又は非線形/立体配座エピトープを認識したことを示した。このアミノ酸配列Arg97~Gly121内のアミノ酸残基His106及びTyr107は、マウス抗ヒトCD89抗体9H7が、「ΔThr58、Gln59;ΔArg73、Arg74、Lys76;ΔHis106、Tyr107ヒトEC1-CD89」(ホットスポット)構築物への弱い結合を示したため、マウス抗ヒトCD89抗体9H7のヒトCD89への結合に重要であるようであった。要約については、表7を参照されたい。
図15Cに示すように、発明者らの精製されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89特異的抗体10E7は、「ΔGln22-Lys46ヒトEC1-CD89」、「ΔIle47-Ile71ヒトEC1-CD89」、及び「ΔArg97-Gly121ヒトEC1-CD89」構築物への強力な結合を示したが、「ΔGly72-Gly96ヒトEC1-CD89」構築物への弱い結合を示し、これは、マウス抗ヒトCD89抗体10E7が、ヒトCD89のEC1ドメイン内のアミノ酸配列Gly72~Gly96(すなわち、GRRLKFWNETDPEFVIDHMDANKAG、配列番号25を参照されたい)における線形又は非線形/立体配座エピトープを認識したことを示した。このアミノ酸配列Gly72~Gly96内のアミノ酸残基Arg73、Arg74、及びLys76は、マウス抗ヒトCD89抗体10E7が、「ΔThr58、Gln59;ΔArg73、Arg74、Lys76;ΔHis106、Tyr107ヒトEC1-CD89」(ホットスポット)構築物への結合を示さなかったため、マウス抗ヒトCD89抗体10E7のヒトCD89への結合に重要であるようであった。要約については、表7を参照されたい。
図15Cに示すように、発明者らの精製されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89特異的抗体16D6は、「ΔGln22-Lys46ヒトEC1-CD89」及び「ΔArg97-Gly121ヒトEC1-CD89」構築物への強力な結合を示したが、それぞれ、「ΔIle47-Ile71ヒトEC1-CD89」及び「ΔGly72-Gly96ヒトEC1-CD89」構築物への中間又は弱い結合を示した。これは、マウス抗ヒトCD89抗体16D6が、ヒトCD89のEC1ドメイン内のアミノ酸配列Ile47~Ile71及びGly72~Gly96における線形又は非線形/立体配座エピトープを認識したことを示した(すなわち、それぞれ、IQCQAIREAYLTQLMIIKNSTYREI及びGRRLKFWNETDPEFVIDHMDANKAG、配列番号24及び25を参照されたい)。これらのアミノ酸配列Ile47~Ile71及びGly72~Gly96内のアミノ酸残基Thr58、Gln59、Arg73、Arg74、及びLys76は、マウス抗ヒトCD89抗体16D6が、「ΔThr58、Gln59;ΔArg73、Arg74、Lys76;ΔHis106、Tyr107ヒトEC1-CD89」(ホットスポット)構築物への結合を示さなかったため、マウス抗ヒトCD89抗体16D6のヒトCD89への結合に重要であるようであった。要約については、表7を参照されたい。
図15Cに示すように、発明者らの精製されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89特異的抗体26D6は、「ΔGln22-Lys46ヒトEC1-CD89」、「ΔIle47-Ile71ヒトEC1-CD89」、及び「ΔGly72-Gly96ヒトEC1-CD89」構築物への強力な結合を示したが、「ΔArg97-Gly121ヒトEC1-CD89」構築物への弱い結合を示し、これは、マウス抗ヒトCD89抗体26D6が、ヒトCD89のEC1ドメイン内のアミノ酸配列Arg97~Gly121(すなわち、RYQCQYRIGHYRFRYSDTLELVVTG、配列番号26を参照されたい)における線形又は非線形/立体配座エピトープを認識したことを示した。このアミノ酸配列Arg97~Gly121内のアミノ酸残基His106及びTyr107は、マウス抗ヒトCD89抗体26D6が、「ΔThr58、Gln59;ΔArg73、Arg74、Lys76;ΔHis106、Tyr107ヒトEC1-CD89」(ホットスポット)構築物への中間の結合を示したため、マウス抗ヒトCD89抗体26D6のヒトCD89への結合に重要であるようであった。要約については、表7を参照されたい。
図15Cに示すように、発明者らの精製されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89特異的抗体20B4は、「ΔGly72-Gly96ヒトEC1-CD89」及び「ΔArg97-Gly121ヒトEC1-CD89」構築物への強力な結合を示したが、それぞれ、「ΔGln22-Lys46ヒトEC1-CD89」及び「ΔIle47-Ile71ヒトEC1-CD89」構築物への中間の結合を示すか又は結合を示さなかった。これは、マウス抗ヒトCD89抗体20B4が、ヒトCD89のEC1ドメイン内のアミノ酸配列Gln22~Lys46及びIle47~Ile71における線形又は非線形/立体配座エピトープを認識したことを示した(すなわち、それぞれ、QEGDFPMPFISAKSSPVIPLDGSVK及びIQCQAIREAYLTQLMIIKNSTYREI、配列番号23及び24を参照されたい)。このアミノ酸配列Ile47~Ile71内のアミノ酸残基Thr58及びGln59は、マウス抗ヒトCD89抗体20B4が、「ΔThr58、Gln59;ΔArg73、Arg74、Lys76;ΔHis106、Tyr107ヒトEC1-CD89」(ホットスポット)構築物への強い結合を示したため、マウス抗ヒトCD89抗体20B4のヒトCD89への結合に重要であるようであった。要約については、表7を参照されたい。
図15Cに示すように、発明者らの精製されたCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89特異的抗体30C7は、「ΔGln22-Lys46ヒトEC1-CD89」、「ΔGly72-Gly96ヒトEC1-CD89」、及び「ΔArg97-Gly121ヒトEC1-CD89」構築物への強力な結合を示したが、「ΔIle47-Ile71ヒトEC1-CD89」構築物への結合を示さなかった。これは、マウス抗ヒトCD89抗体30C7が、ヒトCD89のEC1ドメイン内のアミノ酸配列Ile47~Ile71(すなわち、それぞれ、IQCQAIREAYLTQLMIIKNSTYREI、配列番号25を参照されたい)における線形又は非線形/立体配座エピトープを認識したことを示した。このアミノ酸配列Ile47~Ile71内のアミノ酸残基Thr58及びGln59は、マウス抗ヒトCD89抗体30C7が、「ΔThr58、Gln59;ΔArg73、Arg74、Lys76;ΔHis106、Tyr107ヒトEC1-CD89」(ホットスポット)構築物への中間の結合を示したため、マウス抗ヒトCD89抗体30C7のヒトCD89への結合に重要であるようであった。要約については、表7を参照されたい。
図15Cに示すように、精製された周知のマウス抗ヒトCD89/IgA遮断抗体クローンMIP8aは、「ΔGln22-Lys46ヒトEC1-CD89」、「ΔIle47-Ile71ヒトEC1-CD89」、及び「ΔGly72-Gly96ヒトEC1-CD89」構築物への強力な結合を示したが、「ΔArg97-Gly121ヒトEC1-CD89」構築物への結合を示さなかった。これは、マウス抗ヒトCD89抗体クローンMIP8aが、ヒトCD89のEC1ドメイン内のアミノ酸配列Arg97~Gly121(すなわち、RYQCQYRIGHYRFRYSDTLELVVTG、配列番号26を参照されたい)における直線的又は非直線的/立体構造的エピトープを認識したことを示した。このアミノ酸配列Arg97~Gly121内のアミノ酸残基His106及びTyr107は、マウス抗ヒトCD89抗体クローンMIP8aが、「ΔThr58、Gln59;ΔArg73、Arg74、Lys76;ΔHis106、Tyr107ヒトEC1-CD89」(ホットスポット)構築物への中間の結合を示したため、マウス抗ヒトCD89抗体クローンMIP8aのヒトCD89への結合に重要であるようであった。要約については、表7を参照されたい。
図15Cに示されるように、かつ予想されるように、ヒトCD89のEC2ドメイン内のエピトープを認識する、精製された既知のCD89/IgA非遮断マウス抗ヒトCD89抗体クローンA59及びクローンA3(上記実施例4(b)を参照されたい)は、ヒトEC2ドメインがこれらの構築物のいずれにおいても変化しなかったため、全ての調査されたヒトキメラCD89/カニクイザルCD89構築物に強力な結合を示した。要約については、表7を参照されたい。
Figure 2023523919000036
実施例5.CD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89モノクローナル抗体の分子遺伝学的特徴付け
CD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体8F3、9H7、10E7、16D6、26D6、20B4、及び30C7を産生するハイブリドーマ細胞をPBSで洗浄し、5×10細胞を含有するマイクロバイアルに等分し、-80℃でペレットとして保管した。これらの細胞ペレットを使用して、RNeasy Mini Isolation Kit(QIAGEN)を使用することによってRNAを単離した。RNA濃度を決定し(A260nm)、RNAを-80℃で保管した。逆転写酵素によって、cDNAを、RevertAid(商標)H Minus First Strand cDNA Synthesis Kit(Fermentas)を使用して2μgのRNAから合成し、-80℃で保管した。アイソタイプマウスIgG1/カッパに基づいて、マウス抗ヒトCD89特異的抗体8F3、9H7、10E7、16D6、26D6、20B4、及び30C7の可変(V)領域を増幅するために、表8に示すプライマーを設計した。
Figure 2023523919000037
プライマー385、386、387、389、及び391は、マウス抗体の軽鎖のシグナルペプチドとアニーリングするように設計されたセンスプライマーであり、プライマー394及び605は、マウスκ軽鎖の定常領域とアニーリングするアンチセンスプライマーである。プライマー609は、マウスVL領域のマウスフレームワーク1(FR1)とアニーリングする退縮プライマーである。プライマー405、407、409、410、及び412は、マウス抗体の重鎖のシグナルペプチドとアニーリングするセンスプライマーであり、プライマー416は、重鎖マウスIgG1の定常領域とアニーリングするように設計されたアンチセンスプライマーである。表8に示すプライマーの組み合わせを使用して、様々なPCRを実行した。生成されたPCR産物を、pCR(商標)-Blunt II-TOPO(登録商標)ベクター中にサブクローニングした。続いて、クローニングされた挿入物を配列決定した。
重鎖及び軽鎖配列反応からそれぞれ合計4及び5のCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89特異的抗体8F3の有益な配列を得た。この情報に基づいて、マウス抗ヒトCD89抗体8F3のVH及びVL領域のコンセンサスアミノ酸配列を決定し、それぞれ、配列番号27及び28に記載されている。マウス抗ヒトCD89抗体8F3のVH及びVL領域のCDRのアミノ酸配列は、それぞれ、配列番号29~31及び32~34に記載されている。
重鎖及び軽鎖の両方の配列反応から、CD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89特異的抗体9H7の合計4個の有益な配列を得た。この情報に基づいて、マウス抗ヒトCD89抗体9H7のVH及びVL領域のコンセンサスアミノ酸配列を決定し、それぞれ、配列番号35及び36に記載されている。マウス抗ヒトCD89抗体9H7のVH及びVL領域のCDRのアミノ酸配列は、それぞれ、配列番号37~39及び40~42に記載されている。
重鎖及び軽鎖の両方の配列反応から、CD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89特異的抗体10E7の合計4個の有益な配列を得た。この情報に基づいて、マウス抗ヒトCD89抗体10E7のVH及びVL領域のコンセンサスアミノ酸配列を決定し、それぞれ、配列番号43及び44に記載されている。マウス抗ヒトCD89抗体10E7のVH及びVL領域のCDRのアミノ酸配列は、それぞれ、配列番号45~47及び48~50に記載されている。
重鎖及び軽鎖の両方の配列反応から、CD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89特異的抗体16D6の合計4個の有益な配列を得た。この情報に基づいて、マウス抗ヒトCD89抗体16D6のVH及びVL領域のコンセンサスアミノ酸配列を決定し、それぞれ、配列番号51及び52に記載されている。マウス抗ヒトCD89抗体16D6のVH及びVL領域のCDRのアミノ酸配列は、それぞれ、配列番号53~55及び56~58に記載されている。
CD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89特異的抗体26D6から重鎖及び軽鎖の両方の配列反応の合計4個の有益な配列を得た。この情報に基づいて、マウス抗ヒトCD89抗体26D6のVH及びVL領域のコンセンサスアミノ酸配列を決定し、それぞれ、配列番号59及び60に記載されている。マウス抗ヒトCD89抗体26D6のVH及びVL領域のCDRのアミノ酸配列は、それぞれ、配列番号61~63及び64~66に記載されている。
重鎖及び軽鎖配列反応からそれぞれ合計4及び6のCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89特異的抗体20B4の有益な配列を得た。この情報に基づいて、マウス抗ヒトCD89抗体20B4のVH及びVL領域のコンセンサスアミノ酸配列を決定し、それぞれ、配列番号67及び68に記載されている。マウス抗ヒトCD89抗体20B4のVH及びVL領域のCDRのアミノ酸配列は、それぞれ、配列番号69~71及び72~74に記載されている。
重鎖及び軽鎖の両方の配列反応から、CD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89特異的抗体30C7の合計4個の有益な配列を得た。この情報に基づいて、マウス抗ヒトCD89抗体30C7のVH及びVL領域のコンセンサスアミノ酸配列を決定し、それぞれ、配列番号75及び76に記載されている。マウス抗ヒトCD89抗体30C7のVH及びVL領域のCDRのアミノ酸配列は、それぞれ、配列番号77~79及び80~82に記載されている。
実施例6.CD89/IgA遮断キメラマウス/ヒトIgG4/カッパ(すなわち、マウス定常IgG1/カッパドメインを定常ヒトIgG4/カッパドメインと交換する)抗ヒトCD89モノクローナル抗体の生成
CD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体の決定されたマウスV領域(上記実施例5を参照されたい)に基づいて、CD89/IgA遮断キメラマウス/ヒト抗ヒトCD89抗体バージョンを生成するように設計が作成された。この目的のために、Cricetulus griseusに最適化されたcDNA配列、配列番号83(キメラマウス/ヒト重IgG4鎖8F3をコードする)、配列番号84(キメラマウス/ヒト重IgG4鎖10E7をコードする)、配列番号85(キメラマウス/ヒト重IgG4鎖16D6をコードする)、配列番号86(キメラマウス/ヒト重IgG4鎖20B4をコードする)、及び配列番号87(キメラマウス/ヒト重IgG4鎖30C7をコードする)、並びに配列番号88(キメラマウス/ヒト軽κ鎖8F3をコードする)、配列番号89(キメラマウス/ヒト軽κ鎖10E7をコードする)、配列番号90(キメラマウス/ヒト軽κ鎖16D6をコードする)、及び配列番号91(キメラマウス/ヒト軽κ鎖20B4をコードする)、及び配列番号92(キメラマウス/ヒト軽κ鎖30C7をコードする)をGENEART(Regensburg,Germany)で注文し、これはヒトシグナルペプチド、それに続くヒト安定化IgG4定常領域に連結されたマウスVH鎖(すなわち、S239P、Angal et al in Mol.Immunol.,Vol.30,No.1,pp.105-108,1993による)、又はそれに続くヒトカッパ定常領域に連結されたマウスVL鎖のいずれかをコードした。好適な制限酵素を使用して、生成されたcDNAをpcDNA3.1由来発現プラスミド中にサブクローニングした。続いて、FreeStyle(商標)293発現系(Invitrogen)を使用して、キメラ抗体を293-F細胞(Invitrogen)において一過性に発現させた。発現されたCD89/IgA遮断キメラ抗ヒトCD89抗体を、従来の親和性クロマトグラフィープロテインAカラムを使用して、上清から精製した。その後、LAL発色エンドポイントアッセイ(Hycult Biotech)を使用してLPSレベルを決定し、発明者らの全ての精製されたCD89/IgA遮断キメラマウス/ヒト抗ヒトCD89特異的抗体(すなわち、8F3、10E7、16D6、20B4、及び30C7)は、<0.001EU LPS/μgのキメラIgGを含有した。
キメラアミノ酸配列については、配列番号93(キメラマウス/ヒト重IgG4鎖8F3)、配列番号94(キメラマウス/ヒト重IgG4鎖10E7)、配列番号95(キメラマウス/ヒト重IgG4鎖16D6)、配列番号96(キメラマウス/ヒト重IgG4鎖20B4)、及び配列番号97(キメラマウス/ヒト重IgG4鎖30C7)、並びに配列番号98(キメラマウス/ヒト軽κ鎖8F3)、配列番号99(キメラマウス/ヒト軽κ鎖10E7)、配列番号100(キメラマウス/ヒト軽κ鎖16D6)、配列番号101(キメラマウス/ヒト軽κ鎖20B4)、及び配列番号102(キメラマウス/ヒト軽κ鎖30C7)を参照されたい。
実施例7.CD89/IgA遮断キメラマウス/ヒト抗ヒトCD89抗体の結合特徴付け
(a).ヒトCD89に対するCD89/IgA遮断キメラマウス/ヒト抗ヒトCD89抗体の相対的結合親和性
ヒトCD89に対する精製されたCD89/IgA遮断キメラマウス/ヒト抗ヒトCD89抗体の相対的結合親和性を決定するために、ELISA及びFACS分析を使用した。
ELISA:rhuCD89を、PBS中0.5μg/mL(25ng/50μL/ウェル)で、半区域96ウェルEIAプレート(Corning)を使用して、4~8℃で16~24時間の間コーティングした。PBS/0.05%のTween20で十分に洗浄した後、プレートをPBS/0.05%のTween20/1%のBSA(Roche)で、室温で1時間遮断した。続いて、プレートを、50μLの(遮断緩衝液中の)精製されたキメラマウス/ヒト抗ヒトCD89抗体/ウェルとともに、及びそれを含まずに、室温で1時間インキュベーションした。PBS/0.05%のTween20で十分に洗浄した後、rhuCD89に対する抗体の結合を、室温で1時間、1:5,000に希釈されたホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)コンジュゲートヤギ抗ヒトIgGFcγ特異的抗体(Jackson ImmunoResearch)、続いて比色検出のためのTMB基質(Invitrogen)のすぐに使用可能な溶液を用いて決定した。1MのHSOを添加した後、マイクロプレートリーダー(iMark、BioRad)を使用して、450nmの波長(655nmの参照波長)でrhuCD89に対する抗体の結合(光学密度)を測定した。比較のために、マウス抗ヒトCD89抗体対応物を並行して実行し、それらの結合を実施例2(a)に記載のとおりに監視した。
FACS:安定したヒト全長CD89をトランスフェクションされたHEK293F細胞(クローン番号2、上記実施例1(b)を参照されたい)を、50μg/mLのヒトIgG(可能なFcγ受容体を遮断する、Sigma)を補充した0.1%のBSA(Sigma)/0.05%NaNを含有する氷冷PBS(PBS/BSA/NaN)中に、10×10細胞/mLで4℃で10分間置いた。次いで、10μL/チューブ(すなわち、0.1×10細胞)のこれらの細胞を100μLの滴定された(PBS/BSA/NaN中)精製されたマウス抗ヒトCD89抗体/チューブとともに、又はそれを含まずに、4℃で30分間インキュベーションした。並行して、10μg/mL(PBS/BSA/NaN中)の精製されたヒトIgG4アイソタイプ対照抗体(Opdivo(登録商標)、Bristol-Myers Squibb)100μLを、陰性対照として実行した。PBS/BSA/NaNで十分に洗浄した後、続いて細胞を1:200に希釈したPEコンジュゲートヤギ抗ヒトIgGFcγ特異的抗体(Jackson ImmunoResearch)とともに4℃で30分間インキュベーションした。PBS/BSA/NaNで十分に洗浄した後、細胞を、PBS/BSA/NaN中の2%ホルムアルデヒド中で、4℃で30分間固定した。膜ヒトCD89に対する抗体の結合(幾何平均蛍光強度)をフローサイトメーター(FACSCalibur、BD Biosciences)を使用して測定した。比較のために、マウス抗ヒトCD89抗体対応物を並行して実行し、それらの結合を実施例2(a)に記載のとおりに監視した。
図16Aに示すように、全ての精製されたCD89/IgA遮断キメラマウス/ヒト抗ヒトCD89特異的抗体は、rhuCD89に用量依存的に結合した。それらの結合プロファイルに基づいて、以下の相対的親和性ランキングが見出された(高い親和性から低い親和性まで):20B4>8F3=10E7=30C7>16D6。比較及び一致のために、それらのマウス抗ヒトCD89抗体対応物は、同様の相対的親和性ランキング、すなわち、20B4>8F3=10E7=30C7>16D6を示した。より具体的には、キメラマウス/ヒト抗ヒトCD89抗体20B4、8F3、10E7、30C7、及び16D6は、それぞれ以下、9、31、16、22、及び108ng/mLの相対的親和性(すなわち、最大半量結合EC50)をもたらし、一方、対応するマウス抗ヒトCD89抗体20B4、8F3、10E7、30C7、及び16D6は、それぞれ13、52、20、29、及び119ng/mLの相対的親和性をもたらし、これは、キメラ化プロセス中に、rhuCD89に対するキメラマウス/ヒト抗ヒトCD89抗体20B4、8F3、10E7、30C7、及び16D6の結合親和性が変化しないままであるようであることを示した。
図16Bに示すように、全ての精製されたCD89/IgA遮断キメラマウス/ヒト抗ヒトCD89特異的抗体は、膜ヒトCD89に用量依存的に結合した。それらの結合プロファイルに基づいて、以下の相対的親和性ランキングが見出された(高い親和性から低い親和性まで):20B4>30C7>8F3=10E7>16D6。比較のために、それらのマウス抗ヒトCD89抗体対応物は、わずかに異なる相対的親和性ランキング、すなわち、20B4>8F3=10E7=30C7>16D6を示した。より具体的には、キメラマウス/ヒト抗ヒトCD89抗体20B4、8F3、10E7、30C7、及び16D6は、それぞれ以下、296、1321、1251、615、及び1789ng/mLの相対的親和性(すなわち、最大半量結合EC50)をもたらし、一方、対応するマウス抗ヒトCD89抗体20B4、8F3、10E7、30C7、及び16D6は、それぞれ260、714、637、484、及び1622ng/mLの相対的親和性をもたらし、これは、(1)膜結合型CD89に対するキメラマウス/ヒトマウス抗ヒトCD89抗体20B4、30C7、及び16D6の結合親和性は、キメラ化プロセス中に変化しないままのようであったこと、並びに(2)膜結合CD89に対するキメラマウス/ヒトマウス抗ヒトCD89抗体8F3及び10E7の結合親和性は、キメラ化プロセス中にわずかに減少するようであったことを示した。
(b).CD89/IgA遮断キメラマウス/ヒト抗ヒトCD89抗体のCD89/IgA遮断能力の程度
精製されたキメラマウス/ヒト抗ヒトCD89抗体のCD89/IgA遮断の程度を分析するために、血清ヒトIgAとヒトCD89との相互作用を立体的に妨げる精製されたCD89/IgA遮断キメラマウス/ヒト抗ヒトCD89抗体の能力を、FACS分析を使用して決定した。
安定したヒト全長CD89をトランスフェクションされたHEK293F細胞(クローン番号2、上記実施例1(b)を参照されたい)を、50μg/mLのヒトIgG(可能なFcγ受容体を遮断する、Sigma)を補充した0.1%のBSA(Sigma)/0.05%NaNを含有する氷冷PBS(PBS/BSA/NaN)中に、10×10細胞/mLで4℃で10分間置いた。次いで、10μL/チューブ(すなわち、0.1×10細胞)のこれらの細胞を、50μLの滴定された(PBS/BSA/NaN中)精製されたキメラマウス/ヒト抗ヒトCD89抗体/チューブとともに4℃で30分間インキュベーションした。並行して、50μLの滴定された(PBS/BSA/NaN中)精製されたマウス抗ヒトCD89抗体クローンMIP8a(周知のCD89/IgA遮断剤(Zhang et al.Clin Exp Immunol 2000;121:106-111)、BioRad)を、陽性対照として実行した。更に、20μg/mL(PBS/BSA/NaN中)の精製されたマウス抗ヒトCD89抗体クローンA59(周知のCD89/IgA非遮断剤(Monteiro et al.J Immunol 1992;148:1764-1770)、BD Biosciences)50μL、及び20μg/mL(PBS/BSA/NaN中)の精製マウス抗ヒトCD89抗体クローンA3(周知のCD89/IgA非遮断剤(Monteiro et al.J Immunol 1992;148:1764-1770)、Santa Cruz Biotechnology)50μLを、陰性対照として実行した。この後(すなわち、洗浄せずに)、20μg/mL(PBS/BSA/NaN中で希釈)の精製された非凝集又は熱凝集(上記実施例2(b)を参照されたい)ヒト(血清由来)IgA(Bethyl Laboratories)50μLをこれらの細胞に添加し、4℃で更に30分間インキュベーションした。PBS/BSA/NaNで十分に洗浄した後、膜ヒトCD89に対する血清ヒトIgAの結合を、30分間4℃で、5μg/mLのビオチンコンジュゲートF(ab’)2断片ヤギ抗ヒト血清IgAα鎖特異的抗体(Jackson ImmunoResearch)を用いて決定した。PBS/BSA/NaNで十分に洗浄した後、1:200に希釈したPEコンジュゲートストレプトアビジン(Jackson ImmunoResearch)を添加し、4℃で30分間インキュベーションした。PBS/BSA/NaNで十分に洗浄した後、細胞をPBS/BSA/NaN中の2%ホルムアルデヒド中で、4℃で30分間固定した。膜ヒトCD89に対する非凝集又は熱凝集血清ヒトIgAの結合(幾何平均蛍光強度)を、フローサイトメーター(FACSCalibur、BD Biosciences)を使用して測定した。
図17A及び17Bに示すように、全ての精製されたCD89/IgA遮断キメラマウス/ヒト抗ヒトCD89特異的抗体は、膜ヒトCD89への非凝集及び熱凝集血清ヒトIgA結合を用量依存的に防止した。それらのCD89/IgA遮断プロファイルに基づいて、以下のランキングが見出された(強いCD89/IgA遮断の程度から低いCD89/IgA遮断の程度へ):20B4>30C7>8F3=10E7>16D6。興味深いことに、これらの調査したキメラマウス/ヒト抗ヒトCD89抗体の、膜ヒトCD89への血清ヒトIgA結合を立体的に遮断する程度(本実施例)と、膜ヒトCD89に対するそれらのそれぞれの相対的結合親和性(上記実施例7(a)を参照されたい)との間には、強い正の関係があるようであった。参照目的のために、マウス抗ヒトCD89抗体クローンMIP8a、既知のCD89/IgA遮断剤(Zhang et al.Clin Exp Immunol 2000;121:106-111)を並行して実行し、また、血清ヒトIgAの膜ヒトCD89への結合の用量依存的遮断も示した。加えて、マウス抗ヒトCD89特異的抗体クローン59及びA3は、膜ヒトCD89への非凝集及び熱凝集血清ヒトIgA結合を、用量依存的に部分的に阻害し(すなわち、最大
Figure 2023523919000038
の阻害)、これらの2つの周知のCD89/IgA非遮断剤を使用して、発明者らの先の結果を確認した(上記の実施例2(d)を参照されたい)。
精製されたキメラマウス/ヒト抗ヒトCD89抗体のCD89/IgA遮断の程度を分析するために、分泌ヒトIgAとヒトCD89との相互作用を立体的に妨げる精製されたCD89/IgA遮断キメラマウス/ヒト抗ヒトCD89抗体の能力を、FACS分析を使用して決定した。
安定したヒト全長CD89をトランスフェクションされたHEK293F細胞(クローン番号2、上記実施例1(b)を参照)を、0.1%BSA(Sigma)/0.05%NaNを含有する氷冷PBS(PBS/BSA/NaN)中に10×10細胞/mLで置いた。次いで10μL/チューブ(すなわち、0.1×10細胞)のこれらの細胞を、50μLの滴定された(PBS/BSA/NaN中)精製されたキメラマウス/ヒト抗ヒトCD89抗体/チューブとともに、又はそれを含まずに、4℃で30分間インキュベーションした。並行して、50μLの滴定された(PBS/BSA/NaN中)精製されたマウス抗ヒトCD89抗体クローンMIP8a(BioRad)を陽性対照として実行した。この後(すなわち、洗浄せずに)、0.20μM(PBS/BSA/NaN中で希釈)の精製されたヒト(初乳由来)IgA(BioRad)50μLをこれらの細胞に添加し、4℃で更に30分間インキュベーションした。PBS/BSA/NaNで十分に洗浄した後、膜ヒトCD89に対する分泌ヒトIgAの結合を、30分間4℃で、5μg/mLのビオチンコンジュゲートF(ab’)2断片ヤギ抗ヒト血清IgAα鎖特異的抗体(Jackson ImmunoResearch)を用いて決定した。PBS/BSA/NaNで十分に洗浄した後、1:200に希釈したPEコンジュゲートストレプトアビジン(Jackson ImmunoResearch)を添加し、4℃で30分間インキュベーションした。PBS/BSA/NaNで十分に洗浄した後、細胞をPBS/BSA/NaN中の4%ホルムアルデヒド中で、4℃で30分間固定した。膜ヒトCD89に対する分泌ヒトIgAの結合(幾何平均蛍光強度)を、フローサイトメーター(FACSCalibur、BD Biosciences)を使用して測定した。
図17Cに示すように、全ての精製されたCD89/IgA遮断キメラマウス/ヒト抗ヒトCD89特異的抗体は、膜ヒトCD89への分泌ヒトIgAの結合を用量依存的に防止した。それらのCD89/IgA遮断プロファイルに基づいて、以下のランキングが見出された(強いCD89/IgA遮断の程度から低いCD89/IgA遮断の程度へ):20B4>30C7>8F3=10E7>16D6、これはFACSに見出された血清ヒトIgAを使用したCD89/IgA遮断の程度と一致した(図17A及び17Bを参照されたい)。興味深いことに、これらの調査した精製されたマウス抗ヒトCD89抗体の、膜ヒトCD89への分泌ヒトIgA結合を立体的に遮断する程度(本実施例)と、膜ヒトCD89に対するそれらのそれぞれの相対的結合親和性(上記実施例7(a)を参照されたい)との間には、強い正の関係があるようであった。参照目的のために、精製されたマウス抗ヒトCD89抗体クローンMIP8a、既知のCD89/IgA遮断剤(Zhang et al.Clin Exp Immunol 2000;121:106-111)を並行して実行し、また、分泌ヒトIgAの膜ヒトCD89への結合の用量依存的遮断も示した。
まとめると、これらの結果により、CD89/IgA遮断キメラマウス/ヒト抗ヒトCD89特異的抗体8F3、10E7、16D6、20B4、及び30C7が、膜ヒトCD89への単量体、二量体、三量体、四量体、又はより高次の多量体血清ヒトIgA(すなわち、非凝集及び熱凝集IgA)及び二量体分泌ヒトIgAの結合を防止したことが実証された。
実施例8.エクスビボヒトCD89発現初代ヒト好中性顆粒球を使用したCD89/IgA遮断キメラマウス/ヒト抗ヒトCD89モノクローナル抗体の生物学的特徴付け
(a).ヒトCD89発現初代ヒト好中性顆粒球に対するCD89/IgA遮断キメラマウス/ヒト抗ヒトCD89抗体の結合
ヒトCD89発現初代ヒト好中性顆粒球に対する精製されたCD89/IgA遮断キメラマウス/ヒト抗ヒトCD89抗体の結合を決定するために、FACS分析を使用した。
初代ヒト好中性顆粒球を、Lymphoprep(商標)(Axis-Shield)勾配遠心分離、続くNHCl溶解緩衝液中での赤血球の溶解を使用して、健常なドナー(インフォームドコンセント後)の末梢血から単離した。PBS中で洗浄した後、顆粒球を、50μg/mLのヒトIgG(可能なFcγ受容体を遮断する、Sigma-Aldrich)を補充した0.1%BSAを含有する氷冷PBS(Sigma-Aldrich、PBS/BSA)中に10×10細胞/mLで4℃で10分間置いた。次いで、10μL/チューブ(すなわち、0.1×10細胞)のこれらの細胞を、10μg/mL(PBS/BSA中)のキメラマウス/ヒト抗ヒトCD89特異的抗体(すなわち、8F3、10E7、16D6、20B4、及び30C7)100μLとともに、又はそれを含まずに、4℃で30分間インキュベーションした。並行して、10μg/mL(PBS/BSA中)の精製されたヒトIgG4アイソタイプ対照抗体(Opdivo(登録商標)、Bristol-Myers Squibb)100μLを、陰性対照として実行した。PBS/BSAで十分に洗浄した後、続いて、細胞を1:100に希釈したフルオレセインイソチオシアネートコンジュゲートマウス抗ヒトIgG4特異的抗体(Sigma-Aldrich)とともに、4℃で30分間インキュベーションした。PBS/BSAで十分に洗浄した後、細胞を、PBS/BSA中の2%ホルムアルデヒド中で、4℃で30分間固定した。エクスビボヒト好中性顆粒球由来の膜ヒトCD89に対する抗体の結合(幾何平均蛍光強度)をフローサイトメーター(シアン、BeckmanCoulter)を使用して測定した。
図18に示すように、発明者らの全ての精製されたCD89/IgA遮断キメラマウス/ヒト抗ヒトCD89抗体(10μg/mLで)は、複数のドナーから単離されたエクスビボヒト好中性顆粒球由来の膜ヒトCD89に結合した(n=3)。好中性顆粒球に対するそれらの結合プロファイルに基づいて、以下のランキングが見出された(高い結合強度から低い結合強度へ):8F3=10E7=30C7=20B4>16D6。
これらの結果により、また、発明者らのCD89/IgA遮断キメラマウス/ヒト抗ヒトCD89抗体8F3、10E7、16D6、20B4、及び30C7は、これらの抗体が全ての3人の調査されたドナーから単離されたヒト好中性顆粒球に明確に結合しているため、エクスビボヒト好中性顆粒球由来の膜ヒトCD89上の非多形エピトープを認識したことが実証された。
(b).CD89/IgA遮断キメラマウス/ヒト抗ヒトCD89モノクローナル抗体を使用した、ヒトCD89発現初代ヒト好中性顆粒球による血清ヒトIgA媒介性ファゴサイトーシスの遮断
精製されたCD89/IgA遮断キメラマウス/ヒト抗ヒトCD89抗体の生物学的活性を分析するために、生成されたCD89/IgA遮断キメラマウス/ヒト抗ヒトCD89抗体の、ヒトCD89発現初代ヒト好中性顆粒球による血清ヒトIgAコーティングラテックスビーズのファゴサイトーシスを阻害する能力を決定した。
初代ヒト好中性顆粒球を、Lymphoprep(商標)(Axis-Shield)勾配遠心分離、続くNHCl溶解緩衝液中での赤血球の溶解を使用して、健常なドナー(インフォームドコンセント後)の末梢血から単離した。PBS中で洗浄した後、10%の熱不活性化FCS(Sigma-Aldrich)を補充したRPMI1640(Gibco)中に2.0×10細胞/mLで顆粒球を再懸濁した。次いで、100μL/ウェル(すなわち、96ウェルの平底プレート中に0.2×10細胞、 Greiner)のこれらの細胞を、滴定された(RPMI/10%FCS中)精製されたキメラマウス/ヒト抗ヒトCD89抗体(すなわち、8F3、10E7、16D6、20B4、及び30C7)とともに4℃で20分間インキュベーションした。この後(すなわち、洗浄せずに)、1.2μLの精製されたヒト(血清由来)IgA(MP Biomedicals)コーティング蛍光ラテックスビーズ(1μmサイズ及びカルボキシレート修飾ポリスチレン、Sigma-Aldrich)を、1:60の細胞対ビーズ比でこれらの細胞に添加し(調製物IgAビーズ、Aleyd et al.J Immunol 2014;192:2374-2383を参照されたい)、37℃で更に30分間インキュベーションした。並行して、1:60の細胞対ビーズ比でBSA(Sigma-Aldrich)コーティング蛍光ラテックスビーズを陰性対照として実行した(調製物BSAビーズ、Aleyd et al.J Immunol 2014;192:2374-2383を参照されたい)。RPMI/10%FCS中で洗浄し、PBS/0.1%BSA(Sigma-Aldrich)中で再懸濁した後、フローサイトメーター(シアン、Beckman Coulter)を使用して、エクスビボヒト好中性顆粒球上の膜ヒトCD89によって、蛍光ラテックスビーズの血清ヒトIgA媒介性ファゴサイトーシス(Aleyd et al.J Immunol 2014;192:2374-2383に従って食細胞指数を計算するために使用される幾何平均蛍光強度)を測定した。比較のために、商業用マウス抗ヒトCD89抗体クローンMIP8a、クローンA59及びクローンA3を、実施例3(b)に記載されるように並行して実行した。
図19に示すように、いくつかのドナーごとのバリエーションが観察されたが、全ての精製されたCD89/IgA遮断キメラマウス/ヒト抗ヒトCD89特異的抗体は、3人の健常な個体から単離された膜ヒトCD89発現エクスビボ初代ヒト好中性顆粒球における血清ヒトIgA媒介性ファゴサイトーシスを用量依存的に阻害した。それらの血清ヒトIgA媒介性ファゴサイトーシス阻害の程度に基づいて、以下のランキングが見出された(強いIgA媒介性ファゴサイトーシス阻害の程度から低いIgA媒介性ファゴサイトーシス阻害の程度へ):8F3=10E7=30C7>20B4>16D16。
これらの結果により、CD89/IgA遮断キメラマウス/ヒト抗ヒトCD89特異的抗体8F3、10E7、16D6、20B4、及び30C7は、膜ヒトCD89発現エクスビボ初代ヒト好中性顆粒球のヒトIgA媒介性ファゴサイトーシスを阻害したことが実証された。
(c).CD89/IgA遮断キメラマウス/ヒト抗ヒトCD89モノクローナル抗体を使用した、ヒトCD89発現初代ヒト好中性顆粒球からの血清ヒトIgA媒介性走化性、及び血清ヒトIgA媒介性ロイコトリエンB4産生の遮断
精製されたCD89/IgA遮断キメラマウス/ヒト抗ヒトCD89抗体の生物学的活性を分析するために、生成されたCD89/IgA遮断キメラマウス/ヒト抗ヒトCD89抗体の、ヒトCD89発現初代ヒト好中性顆粒球からの(1)血清ヒトIgA媒介性遊走、(2)血清ヒトIgA媒介性走化性、及び(3)血清ヒトIgA媒介性好中球-化学誘引物質ロイコトリエンB4(LTB4)産生を阻害する能力を決定した。
二次元(2-D)遊走アッセイ:初代ヒト好中性顆粒球を、Lymphoprep(商標)(Axis-Shield)勾配遠心分離、続くNHCl溶解緩衝液中での赤血球の溶解を使用して、健常なドナー(インフォームドコンセント後)の末梢血から単離した。次いで、これらの初代ヒト好中性顆粒球を1μMの蛍光カルセインAM(Molecular Probes)で、37℃で30分間標識した。洗浄後、これらのカルセインAM標識顆粒球を、10%の熱不活化FCS(Sigma-Aldrich)を補充したRPMI1640(Gibco)中に2.5×10細胞/mLで再懸濁し、続いて、100μLのカルセインAM標識顆粒球(すなわち、96ウェルの平底プレート中で0.25×10細胞/ウェル、Greiner)を20μg/mL(RPMI/10%FCS中)の精製されたキメラマウス/ヒト抗ヒトCD89抗体(すなわち、8F3、10E7、16D6、20B4、及び30C7)とともに4℃で20分間インキュベーションした。並行して、20μg/mL(RPMI/10%FCS中)の精製されたヒトIgG4アイソタイプ対照(Sigma-Aldrich)を陰性対照として実行した。その後、1ウェル当たり150μLのRPMI/10%FCSを添加し、細胞を10分間放置して再び単層とした。この後(すなわち、洗浄せずに)、10μLの精製されたヒト(血清由来)IgA(MP Biomedicals)コーティングセファロース4Bビーズ(90μmサイズ及びシアノゲンブロミド活性化、GE Healthcare)を、これらの細胞の単層(調製物3μg/mLのIgAビーズ、Van der Steen et al.Gastroentorol 2009;137:2018-2029を参照されたい)に穏やかに添加し、37℃で更に40分間インキュベーションした。並行して、BSA(Sigma-Aldrich)コーティングセファロース4Bビーズを陰性対照として実行した(調製物3μg/mLのBSAビーズ、Van der Steen et al.Gastroentorol 2009;137:2018-2029を参照されたい)。次いで、上清を収集し、走化性アッセイ及びLBT4 ELISAに使用し(以下を参照)、セファロースビーズを洗浄して、非結合/非遊走カルセインAM標識顆粒球を除去した。続いて、顆粒球を0.2%(w/v)のヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド(Sigma-Aldrich)緩衝液中で、室温で30分間溶解し、蛍光光度計(FLUOstar/POLARstar、BMG Labtech)を使用して、96ウェルの平底プレート(Greiner)中で放出されたカルセインAM(IgA結合/遊走顆粒球の数を反映する)を測定した。IgA結合/遊走エクスビボヒト好中性顆粒球の数を、溶解カルセインAM標識顆粒球の既知の数(すなわち、0~0.3×10細胞/ウェル)での標準曲線を使用して定量化した。比較のために、商業用マウス抗ヒトCD89抗体クローンMIP8a、クローンA59及びクローンA3を、実施例3(c)に記載されるように並行して実行した。
走化性アッセイ:初代ヒト好中性顆粒球を、Lymphoprep(商標)(Axis-Shield)勾配遠心分離、続くNHCl溶解緩衝液中での赤血球の溶解を使用して、健常なドナー(インフォームドコンセント後)の末梢血から単離した。次いで、これらの初代ヒト好中性顆粒球を1μMの蛍光カルセインAM(Molecular Probes)で、37℃で30分間標識した。洗浄後、これらのカルセインAM標識顆粒球を、10%の熱不活化FCS(Sigma-Aldrich)を補充したRPMI1640(Gibco)中に1.0×10細胞/mLで再懸濁した。走化性を測定するために、ボイデンチャンバー(Neuro Probe)の下部区画のウェルに、IgAでコーティングセファロースビーズ刺激初代ヒト好中性顆粒球(すなわち、別の健常なドナー由来、上記を参照されたい)由来の29μLの上清を充填した。並行して、RPMI/10%FCS培地のみ及び精製された1又は10nMのLTB4(RPMI中、Sigma-Aldrich)を、それぞれ陰性及び陽性対照として実行した。その後、下部区画を3μmの孔径のポリビニルピロリドンコーティングポリカーボネートフィルター(Neuro Probe)で覆い、続いて上部区画をBoydenチャンバの下部区画に組み立てた。この後、50μLのカルセインAM標識顆粒球(すなわち、0.05×10細胞/ウェル)を上部区画のウェルに添加した。37℃で40分間インキュベーションした後、上部区画から下部区画のウェルに向かうエクスビボヒト好中性顆粒球の走化性を決定した。この場合、下部区画の顆粒球を、0.1%(w/v)のヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド(Sigma-Aldrich)緩衝液中で、室温で30分間溶解し、蛍光光度計(FLUOstar/POLARstar、BMG Labtech)を使用して、96ウェルの平底プレート(Greiner)中で放出されたカルセインAM(走化性顆粒球の数を反映する)を測定した。IgAコーティングセファロースビーズ誘発性走化性エクスビボヒト好中性顆粒球の数を、溶解カルセインAM標識顆粒球の既知の数(すなわち、0~0.05×10細胞/ウェル)での標準曲線を使用して定量化した。
LTB4 ELISA:IgAでコーティングセファロースビーズ刺激エクスビボヒト好中性顆粒球由来の上清中のLTB4レベルを測定した(上記参照)。この目的のために、商業用LTB4競合ELISAキット(R&D Systems)を、製造業者の指示に従って使用した。
図20Aに示すように、いくつかのドナーごとのバリエーションが観察されたが、発明者らの全ての20μg/mLの精製されたCD89/IgA遮断キメラマウス/ヒト抗ヒトCD89特異的抗体(16D6を除く)は、3人の健常な個体から単離された膜ヒトCD89発現エクスビボ初代ヒト好中性顆粒球の血清ヒトIgAコーティングセファロースビーズ媒介性遊走を阻害した。
図20Bに示すように、いくつかのドナーごとのバリエーションが観察されたが、発明者らの全ての20μg/mLの精製されたCD89/IgA遮断キメラマウス/ヒト抗ヒトCD89特異的抗体(16D6を除く)は、2人の健常な個体から単離された膜ヒトCD89発現エクスビボ初代ヒト好中性顆粒球の血清ヒトIgAコーティングセファロースビーズ媒介性走化性を阻害した。
図20Cに示すように、いくつかのドナーごとのバリエーションが観察されたが、発明者らの全ての20μg/mLの精製されたCD89/IgA遮断キメラマウス/ヒト抗ヒトCD89特異的抗体(16D6を除く)は、3人の健常な個体から単離された膜ヒトCD89発現エクスビボ初代ヒト好中性顆粒球による血清ヒトIgAコーティングセファロースビーズ媒介性化学誘引性LTB4産生を阻害した。
これらの結果により、CD89/IgA遮断キメラマウス/ヒト抗ヒトCD89特異的抗体8F3、10E7、20B4、及び30C7は、膜ヒトCD89発現エクスビボ初代ヒト好中性顆粒球の血清ヒトIgA媒介性遊走、走化性、及び化学誘引性LTB4放出を阻害したことが実証された。
(d).CD89/IgA遮断キメラマウス/ヒト抗ヒトCD89モノクローナル抗体を使用した、ヒトCD89発現初代ヒト好中性顆粒球による血清ヒトIgA媒介性ラクトフェリン産生の遮断
精製されたCD89/IgA遮断キメラマウス/ヒト抗ヒトCD89抗体の生物学的活性を分析するために、生成されたCD89/IgA遮断キメラマウス/ヒト抗ヒトCD89抗体の、ヒトCD89発現初代ヒト好中性顆粒球からの血清ヒトIgA媒介性ラクトフェリン産生を阻害する能力を決定した。
初代ヒト好中性顆粒球を、Lymphoprep(商標)(Axis-Shield)勾配遠心分離、続くNHCl溶解緩衝液中での赤血球の溶解を使用して、健常なドナー(インフォームドコンセント後)の末梢血から単離した。次いで、これらの初代ヒト好中性顆粒球を1μMの蛍光カルセインAM(Molecular Probes)で、37℃で30分間標識した。洗浄後、これらのカルセインAM標識顆粒球を、10%の熱不活化FCS(Sigma-Aldrich)を補充したRPMI1640(Gibco)中に2.0×10細胞/mLで再懸濁し、続いて100μLのカルセインAM標識顆粒球(すなわち、0.2×10細胞/ウェル)を、滴定された(RPMI/10%FCS中)精製されたキメラマウス/ヒト抗ヒトCD89抗体(すなわち、8F3、10E7、16D6、20B4、及び30C7)とともに4℃で20分間インキュベーションした。この後(すなわち、洗浄せずに)、100μLのこれらの細胞(すなわち、0.2×10細胞/ウェル)を96ウェルの平底ELISAプレート(Nunc-Immuno MaxiSorp)に添加した。このプレートは、10μg/mLの精製されたヒト(血清由来)IgA(MP Biomedicals)を100μL/ウェル、又は10μg/mLのBSA(陰性対照として使用される、Sigma-Aldrich)を100μL/ウェルのいずれかで、前もってコーティングされた。37℃で30分間インキュベーションした後、上清(180μL/ウェル)を採取して、非結合顆粒球を除去し、これらの上清を(いくつかの遠心クリアランスステップ後に)使用して、ラクトフェリン産生レベルを測定した(脱顆粒マーカーとして使用、以下を参照されたい)。比較のために、商業用マウス抗ヒトCD89抗体クローンMIP8a、クローンA59及びクローンA3を、実施例3(d)に記載されるように並行して実行した。
プレート結合血清ヒトIgAで刺激した初代ヒト好中性顆粒球の上清中のラクトフェリン産生(脱顆粒の程度を表す)を測定した(上記参照)。このため、96ウェルの平底ELISAプレート(Nunc-Immuno MaxiSorp)を、100μL/ウェルのウサギ抗ヒトラクトフェリン抗体(1:5000、Sigma-Aldrich)で、16~24時間、4~8℃でコーティングした。PBS/0.05%Tween20で十分に洗浄した後、プレートを、200μL/ウェルのPBS/0.05%Tween20/0.5%BSA(Sigma-Aldrich)で、室温で1時間遮断した。次いで、プレートを100μL/ウェルの上清とともに、1;2の希釈(遮断緩衝液中)で、1時間37℃でインキュベーションした。PBS/0.05%Tween20で十分に洗浄した後、プレートを、アルカリホスファターゼ標識ウサギ抗ヒトラクトフェリン検出抗体(1:2500、MP Biomedicals)とともに、37℃で1時間インキュベーションした。P-ニトロフェニルホスフェート(Sigma-Aldrich)を添加した後、マイクロプレートリーダー(iMArk、Bio-Rad)で、405nmの波長で光学密度を測定した。精製されたヒトラクトフェリン(Sigma-Aldrich)を標準物質として使用して、血清ヒトIgA刺激エクスビボヒト好中性顆粒球によって放出されるラクトフェリンの量を計算した。
図21に示すように、いくつかのドナーごとのバリエーションが観察されたが、発明者らの全ての精製されたCD89/IgA遮断キメラマウス/ヒト抗ヒトCD89特異的抗体(16D6を除く)は、2人の健常な個体から単離されたヒトCD89発現エクスビボ初代ヒト好中球顆粒球によるIgA媒介性ラクトフェリン産生を用量依存的に阻害した
これらの結果により、CD89/IgA遮断キメラマウス/ヒト抗ヒトCD89特異的抗体8F3、10E7、20B4、及び30C7は、ヒトCD89発現エクスビボ初代ヒト好中性顆粒球によるIgA媒介性ラクトフェリン産生(脱顆粒マーカー)を阻害したことが実証された。
実施例9.CD89/IgA遮断ヒト化IgG4/カッパ抗ヒトCD89モノクローナル抗体10E7の生成
CD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体10E7の決定されたマウスV領域(上記実施例5を参照されたい)に基づいて、CD89/IgA遮断ヒト化抗ヒトCD89抗体10E7バージョンを生成した。
CD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体10E7のインシリコヒト化可変重鎖配列(3)及びヒト化可変軽鎖配列(4)を、PDL技術を使用して得た(Panorama Research Institute、Sunnyvale,CA,USAにより実施)。CD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体10E7のヒト化可変重鎖及び可変軽鎖アミノ酸配列については、配列番号117(VH1)、118(VH2)、119(VH3)、120(VL1)、121(VL2)、122(VL3)、及び123(VL4)を参照されたい。
この設計の後、Cricetulus griseus最適化cDNA配列、配列番号124、125、126(全長ヒト化重IgG4鎖10E7バージョン、すなわち、それぞれ、VH1、VH2、VH3をコード)及び配列番号127、128、129、130(全長ヒト化軽κ鎖10E7バージョン、すなわち、それぞれ、VL1、VL2、VL3、VL4をコード)を、GENEART(Regensburg,Germany)で注文し、これは、ヒトシグナルペプチド、それに続くヒト安定化IgG4定常領域に連結されたヒト化可変重鎖(すなわち、S239P、Angal et al in Mol.Immunol.,Vol.30,No.1,pp.105-108,1993による)、又はそれに続くヒトカッパ定常領域に連結されたヒト化可変軽鎖のいずれかをコードした。好適な制限酵素を使用して、生成されたcDNAをpcDNA3.1由来発現プラスミド中にサブクローニングした。続いて、CD89/IgA遮断ヒト化抗ヒトCD89抗体10E7バージョンを、FreeStyle(商標)293発現系(Invitrogen)を使用して293-F細胞(Invitrogen)において一過性に発現させた。これらの発現されたCD89/IgA遮断ヒト化抗ヒトCD89抗体10E7バージョンを含有する上清を、従来のELISA及びフローサイトメトリーを使用して、それぞれ、rhuCD89及び膜結合ヒトCD89に対する結合について調べた(実施例10、以下を参照されたい)。
このようにして、CD89/IgA遮断ヒト化抗ヒトCD89抗体10E7の12個のヒト化バージョン、すなわち、VH1VL1、VH1VL2、VH1VL3、VH1VL4、VH2VL1、VH2VL2、VH2VL3、VH2VL4、VH3VL1、VH3VL2、VH3VL3、及びVH3VL4が生成された。
CD89/IgA遮断ヒト化抗ヒトCD89抗体10E7のヒト化アミノ酸配列については、配列番号131、132、133(全長ヒト化重IgG4鎖10E7バージョン、すなわち、それぞれ、VH1、VH2、VH3をコード)、及び配列番号134、135、136、137(全長ヒト化軽κ鎖10E7バージョン、すなわち、それぞれ、VL1、VL2、VL3、VL4をコード)を参照されたい。
実施例10.CD89/IgA遮断ヒト化IgG4/カッパ抗ヒトCD89モノクローナル抗体10E7の結合特徴付け
(a).ヒトCD89に対するCD89/IgA遮断ヒト化IgG4/カッパ抗ヒトCD89モノクローナル抗体10E7バージョンの相対的結合親和性
ヒトCD89に対するCD89/IgA遮断ヒト化IgG4/カッパ抗ヒトCD89モノクローナル抗体10E7バージョンの相対的結合親和性を決定するために、ELISA及びFACS分析を使用した。
ELISA:rhuCD89を、PBS中0.5μg/mL(50ng/100μL/ウェル)で、96ウェルMaxiSorpプレート(NUNC)を使用して、4~8℃で16~24時間の間コーティングした。PBS/0.05%のTween20で十分に洗浄した後、プレートをPBS/0.05%のTween20/1%のBSA(Roche)で、室温で1時間遮断した。続いて、プレートを100μLで滴定された(FreeStyle(商標)293発現培地中(Invitrogen))、及び滴定されずにインキュベーションした。上清中の抗体濃度(実施例9を参照)を、プロテインAバイオセンサーチップと組み合わせた生体層干渉法Octet(登録商標)装置を使用することによって、内部ヒトIgG4κ標準物質に対して、室温で1時間、ヒト化抗ヒトCD89抗体10E7/ウェルで予め決定した。キメラ抗ヒトCD89抗体10E7(実施例6を参照されたい)を、参照目的のために並行して実行した。PBS/0.05%のTween20で十分に洗浄した後、rhuCD89に対する抗体の結合を、室温で1時間、1:5,000に希釈されたホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)コンジュゲートヤギ抗ヒトIgGFcγ特異的抗体(Jackson ImmunoResearch)、続いて比色検出のためのTMB基質(Invitrogen)のすぐに使用可能な溶液を用いて決定した。1MのHCLを添加した後、マイクロプレートリーダー(Synergy HTX、BioTek)を使用して、450nmの波長(655nmの参照波長)でrhuCD89に対する抗体の結合(光学密度)を測定した。
FACS:安定したヒト全長CD89をトランスフェクションされたHEK293F細胞(クローン番号2、上記実施例1(b)を参照されたい)を、50μg/mLのヒトIgG(可能なFcγ受容体を遮断する、Sigma)を補充した0.1%のBSA(Sigma)/0.05%NaNを含有する氷冷PBS(PBS/BSA/NaN)中に、10×10細胞/mLで4℃で10分間置いた。次いで、10μL/チューブ(すなわち、0.1×10細胞)のこれらの細胞を、100μLの滴定された(FreeStyle(商標)293発現培地(Invitrogen)中、上清中の抗体濃度(実施例9を参照されたい)は、プロテインAバイオセンサーチップと組み合わせて生体層干渉法Octet(登録商標)装置を使用することにより、内部ヒトIgG4κ標準に対して事前に決定された)ヒト化抗ヒトCD89抗体10E7/チューブとともに、及びそれを含まずに、4℃で30分間インキュベーションした。キメラ抗ヒトCD89抗体10E7(実施例6を参照されたい)を、参照のために並行して実行した。PBS/BSA/NaNで十分に洗浄した後、続いて細胞を1:200に希釈したPEコンジュゲートヤギ抗ヒトIgGFcγ特異的抗体(Jackson ImmunoResearch)とともに4℃で30分間インキュベーションした。PBS/BSA/NaNで十分に洗浄した後、細胞を、PBS/BSA/NaN中の4%ホルムアルデヒド中で、4℃で30分間固定した。膜ヒトCD89に対する抗体の結合(幾何平均蛍光強度)をフローサイトメーター(FACSCalibur、BD Biosciences)を使用して測定した。
図25Aに示すように、全てのCD89/IgA遮断ヒト化IgG4/カッパ抗ヒトCD89モノクローナル抗体10E7バージョン(すなわち、VH1VL1、VH1VL2、VH1VL3、VH1VL4、VH2VL1、VH2VL2、VH2VL3、VH2VL4、VH3VL1、VH3VL2、VH3VL3、及びVH3VL4)及びCD89/IgA遮断キメラIgG4/カッパ抗ヒトCD89モノクローナル抗体10E7は、rhuCD89に用量依存的に結合した。CD89/IgA遮断キメラIgG4/カッパ抗ヒトCD89モノクローナル抗体10E7(すなわち、参照)及びCD89/IgA遮断ヒト化IgG4/カッパ抗ヒトCD89モノクローナル抗体10E7バージョンのVH3VL3及びVH3VL4は、類似したS字形滴定曲線を示し、これは、rhuCD89に対するそれらの結合親和性が類似していることを示したが(最大半量結合
Figure 2023523919000039
)、CD89/IgA遮断ヒト化IgG4/カッパ抗ヒトCD89モノクローナル抗体10E7バージョンのVH1VL1、VH1VL2、VH1VL3、VH1VL4、VH2VL1、VH2VL2、VH2VL3、VH2VL4、VH3VL1、及びVH3VL2は、顕著に低い結合親和性を示し、これは、より低い最大光学密度シグナル又は類似していない結合親和曲線によって例証された。
図25Bに示すように、全てのCD89/IgA遮断ヒト化IgG4/カッパ抗ヒトCD89モノクローナル抗体10E7バージョン(すなわち、VH1VL1、VH1VL2、VH1VL3、VH1VL4、VH2VL1、VH2VL2、VH2VL3、VH2VL4、VH3VL1、VH3VL2、VH3VL3、及びVH3VL4)及びCD89/IgA遮断キメラIgG4/カッパ抗ヒトCD89モノクローナル抗体10E7は、膜ヒトCD89に用量依存的に結合した。CD89/IgA遮断キメラIgG4/カッパ抗ヒトCD89モノクローナル抗体10E7(すなわち、参照)及びCD89/IgA遮断ヒト化IgG4/カッパ抗ヒトCD89モノクローナル抗体10E7バージョンのVH3VL3及びVH3VL4は、類似したS字形滴定曲線を示し、これは、膜ヒトCD89に対するそれらの結合親和性が類似していることを示したが(最大半量結合
Figure 2023523919000040
)、CD89/IgA遮断ヒト化IgG4/カッパ抗ヒトCD89モノクローナル抗体10E7バージョンのVH1VL1、VH1VL2、VH1VL3、VH1VL4、VH2VL1、VH2VL2、VH2VL3、VH2VL4、VH3VL1、及びVH3VL2は、顕著に低い結合親和性を示し、これは、より低い最大蛍光シグナル又は類似していない結合親和曲線によって例証された。
この上清スクリーニング後、CD89/IgA遮断ヒト化IgG4/カッパ抗ヒトCD89モノクローナル抗体10E7 VH3VL3を選択した。しかしながら、CD89/IgA遮断抗ヒトCD89モノクローナル抗体10E7の可変重鎖におけるCDR2(配列番号46を参照)は、脱アミド化が起こりやすい2つの脱アミド化「アスパラギン-グリシン」(「Asn-Gly」)モチーフを含む(Sydow et al.PLoS ONE 2014;9(6):e100736)。脱アミド化は、アミノ酸アスパラギンの側鎖中のアミド官能基が別の官能基に変換される化学反応である。典型的には、アスパラギンは、アスパラギン酸又はイソアスパラギン酸に変換される。抗体では、この反応は、抗体構造、安定性又は機能(すなわち、抗体-抗原結合)を変化させる可能性があり、抗体分解をもたらせる可能性があるため、深刻な危険因子を形成し得る。したがって、CD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体10E7のインシリコ「CDR2脱アミド修復」ヒト化可変重鎖配列を、Fv構造モデルを使用して取得した(Applied Protein Services、Lonza Biologics、Cambridge,UKによって実施された)。この詳細な評価に基づいて、VH:Asn52及びVH:Asn54は、(1)(VH3SQ)それぞれ、VH:Ser52及びVH:Gln54の組み合わせ、及び(2)(VH3ST)それぞれ、VH:Ser52及びVH:Thr54の組み合わせで置換された。CD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89抗体10E7の「CDR2脱アミド修復」ヒト化可変重鎖アミノ酸配列については、配列番号138(VH3SQ)及び139(VH3ST)を参照されたい。
この設計の後、Cricetulus griseus最適化cDNA配列、配列番号140、141(完全長「CDR2脱アミド修復」ヒト化重IgG4鎖10E7バージョン、すなわち、それぞれ、VH3SQ、VH3STをコード)及び配列番号129(完全長ヒト化軽κ鎖10E7バージョン、すなわち、VL3をコード)を、GENEART(Regensburg,Germany)で注文し、これは、ヒトシグナルペプチド、それに続くヒト安定化IgG4定常領域に連結された「CDR2脱アミド修復」ヒト化可変重鎖(すなわち、S239P、Angal et al in Mol.Immunol.,Vol.30,No.1,pp.105-108,1993による)、又はそれに続くヒトカッパ定常領域に連結されたヒト化可変軽鎖のいずれかをコードした。好適な制限酵素を使用して、生成されたcDNAをpcDNA3.1由来発現プラスミド中にサブクローニングした。続いて、CD89/IgA遮断ヒト化抗ヒトCD89抗体10E7バージョンを、FreeStyle(商標)293発現系(Invitrogen)を使用して293-F細胞(Invitrogen)において一過性に発現させた。上清を採取した後、CD89/IgA遮断「CDR2脱アミド修復」ヒト化抗ヒトCD89抗体10E7バージョンのVH3SQVL3及びVH3STVL3を、従来の親和性クロマトグラフィープロテインAカラムを使用して精製し、続いて、従来のELISA及びフローサイトメトリーを使用して、rhuCD89及び膜結合ヒトCD89に対する結合を調査した(以下の実施例10(b)を参照されたい)。加えて、LAL発色エンドポイントアッセイ(Hycult Biotech)を使用してLPSレベルを決定し、CD89/IgA遮断「CDR2脱アミド修復」ヒト化抗ヒトCD89抗体10E7バージョンVH3SQVL3及びVH3STVL3は、<0.002EU LPS/μgのヒト化IgGを含有した。
このようにして、CD89/IgA遮断ヒト化抗ヒトCD89抗体10E7の2つの「CDR2脱アミド修復」ヒト化バージョン、すなわち、VH3SQVL3及びVH3STVL3を生成した。
CD89/IgA遮断ヒト化抗ヒトCD89抗体10E7の「CDR2脱アミド修復」ヒト化アミノ酸配列については、配列番号142、143(完全長「CDR2脱アミド修復」ヒト化重IgG4鎖10E7バージョン、すなわち、それぞれ、VH3SQ、VH3STをコード)、及び配列番号136(完全長ヒト化軽κ鎖10E7バージョン、すなわち、VL3についてコード)を参照されたい。
(b).ヒトCD89に対するCD89/IgA遮断「CDR2脱アミド修復」ヒト化IgG4/カッパ抗ヒトCD89モノクローナル抗体10E7バージョンVH3SQVL3及びVH3STVL3の相対的結合親和性
ヒトCD89に対するCD89/IgA遮断「CDR2脱アミド修復」ヒト化IgG4/カッパ抗ヒトCD89モノクローナル抗体10E7バージョンVH3SQVL3及びVH3STVL3の相対的結合親和性を決定するために、ELISA及びFACS分析を使用した。
ELISA:rhuCD89(10414-H08H、Sino Biological,Inc)を、PBS中0.5μg/mL(50ng/100μL/ウェル)で、96ウェルMaxiSorpプレート(NUNC)を使用して、4~8℃で16~24時間の間コーティングした。PBS/0.05%のTween20で十分に洗浄した後、プレートをPBS/0.05%のTween20/1%のBSA(Roche)で、室温で1時間遮断した。続いて、プレートを、100μLの滴定された(PBS/BSA/NaN中)精製された「CDR2脱アミド修復」ヒト化抗ヒトCD89抗体10E7/ウェルとともに、及びそれを含まずに1時間、室温でインキュベーションした。キメラ抗ヒトCD89抗体10E7(実施例6を参照されたい)を、参照目的のために並行して実行した。PBS/0.05%のTween20で十分に洗浄した後、rhuCD89に対する抗体の結合を、室温で1時間、1:5,000に希釈されたホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)コンジュゲートヤギ抗ヒトIgGFcγ特異的抗体(Jackson ImmunoResearch)、続いて比色検出のためのTMB基質(Invitrogen)のすぐに使用可能な溶液を用いて決定した。1MのHCLを添加した後、マイクロプレートリーダー(Synergy HTX、BioTek)を使用して、450nmの波長(655nmの参照波長)でrhuCD89に対する抗体の結合(光学密度)を測定した。
FACS:安定したヒト全長CD89をトランスフェクションされたHEK293F細胞(クローン番号2、上記実施例1(b)を参照されたい)を、50μg/mLのヒトIgG(可能なFcγ受容体を遮断する、Sigma)を補充した0.1%のBSA(Sigma)/0.05%NaNを含有する氷冷PBS(PBS/BSA/NaN)中に、10×10細胞/mLで4℃で10分間置いた。次いで、10μL/チューブ(すなわち、0.1×10細胞)のこれらの細胞を、100μLの滴定された(PBS/BSA/NaN中)精製された「CDR2脱アミド化修復」ヒト化抗ヒトCD89抗体10E7/チューブとともに、及びそれを含まずに、4℃で30分間インキュベーションした。キメラ抗ヒトCD89抗体10E7(実施例6を参照されたい)を、参照目的のために並行して実行した。PBS/BSA/NaNで十分に洗浄した後、続いて細胞を1:200に希釈したPEコンジュゲートヤギ抗ヒトIgGFcγ特異的抗体(Jackson ImmunoResearch)とともに4℃で30分間インキュベーションした。PBS/BSA/NaNで十分に洗浄した後、細胞を、PBS/BSA/NaN中の4%ホルムアルデヒド中で、4℃で30分間固定した。膜ヒトCD89に対する抗体の結合(幾何平均蛍光強度)をフローサイトメーター(FACSCalibur、BD Biosciences)を使用して測定した。
図26Aに示すように、「CDR2脱アミド修復」ヒト化IgG4/カッパ抗ヒトCD89モノクローナル抗体10E7バージョンVH3SQVL3及びVH3STVL3の両方、並びにキメラIgG4/カッパ抗ヒトCD89モノクローナル抗体10E7が、rhuCD89へ用量依存的に結合した。CD89/IgA遮断キメラIgG4/カッパ抗ヒトCD89モノクローナル抗体10E7(すなわち、参照)及びCD89/IgA遮断「CDR2脱アミド修復」ヒト化IgG4/カッパ抗ヒトCD89モノクローナル抗体10E7バージョンVH3SQVL3及びVH3STVL3は、同様のS字形滴定曲線を示し、これは、プレートに結合したrhuCD89に対するそれらの結合親和性が類似していることを示した(最大半量結合
Figure 2023523919000041
)。
図26Bに示すように、「CDR2脱アミド修復」ヒト化IgG4/カッパ抗ヒトCD89モノクローナル抗体10E7バージョンVH3SQVL3及びVH3STVL3の両方、及びキメラIgG4/カッパ抗ヒトCD89モノクローナル抗体10E7が、膜ヒトCD89へ用量依存的に結合した。驚くべきことに、CD89/IgA遮断キメラIgG4/カッパ抗ヒトCD89モノクローナル抗体10E7(すなわち、参照)及びCD89/IgA遮断「CDR2脱アミド修復」ヒト化IgG4/カッパ抗ヒトCD89モノクローナル抗体10E7バージョンVH3SQVL3及びVH3STVL3は、異なるS字形滴定曲線を示し、これは、CD89/IgA遮断「CDR2脱アミド修復」ヒト化IgG4/カッパ抗ヒトCD89モノクローナル抗体10E7バージョンVH3SQVL3及びVH3STVL3のヒト膜CD89に対する結合親和性が、CD89/IgA遮断キメラIgG4/カッパ抗ヒトCD89モノクローナル抗体
Figure 2023523919000042
(最大半量結合
Figure 2023523919000043
)よりも高かったこと(最大半量結合EC50 600ng/mL)を示した。要約すると、CD89/IgA遮断「CDR2脱アミド修復」ヒト化IgG4/カッパ抗ヒトCD89モノクローナル抗体10E7バージョンVH3SQVL3及びVH3STVL3の両方は、「CDR2脱アミド修復」プロセス中に膜結合ヒトCD89に対する結合親和性を増加させるようであった。
(c).CD89/IgA遮断「CDR2脱アミド修復」ヒト化IgG4/カッパ抗ヒトCD89モノクローナル抗体10E7バージョンVH3SQVL3及びVH3STVL3のCD89/IgA遮断能力の程度
精製された「CDR2脱アミド修復」ヒト化IgG4/カッパ抗ヒトCD89モノクローナル抗体10E7バージョンVH3SQVL3及びVH3STVL3のCD89/IgA遮断の程度を分析するために、精製されたCD89/IgA遮断「CDR2脱アミド修復」ヒト化IgG4/カッパ抗ヒトCD89モノクローナル抗体10E7バージョンのVH3SQVL3及びVH3STVL3の、血清又は分泌ヒトIgAとヒトCD89との相互作用を立体的に妨げる能力を、FACS分析を用いて決定した。
安定したヒト全長CD89をトランスフェクションされたHEK293F細胞(クローン番号2、上記実施例1(b)を参照)を、0.1%BSA(Sigma)/0.05%NaNを含有する氷冷PBS(PBS/BSA/NaN)中に10×10細胞/mLで置いた。次いで、10μL/チューブ(すなわち、0.1×10細胞)のこれらの細胞を、50μLの滴定された(PBS/BSA/NaN中)精製されたCD89/IgA遮断「CDR2脱アミド修復」ヒト化IgG4/カッパ抗ヒトCD89モノクローナル抗体10E7バージョンVH3SQVL3及びVH3STVL3/チューブとともに、又はそれを含まずに、4℃で30分間インキュベーションした。並行して、50μLの滴定された(PBS/BSA/NaN中)精製されたキメラ抗ヒトCD89抗体10E7(実施例6を参照されたい)を、参照目的で実行した。この後(すなわち、洗浄せずに)、0.20μM(PBS/BSA/NaN中で希釈)の精製されたヒト血清由来IgA(Bethyl Laboratories)又は0.16μM(PBS/BSA/NaN中で希釈)の精製された初乳由来IgA(BioRad)50μLを、これらの細胞に添加し、4℃で更に30分間インキュベーションした。PBS/BSA/NaNで十分に洗浄した後、膜ヒトCD89に対する血清ヒトIgA又は分泌ヒトIgAの結合を、30分間4℃で、5μg/mLのビオチンコンジュゲートF(ab’)2断片ヤギ抗ヒト血清IgAα鎖特異的抗体(Jackson ImmunoResearch)を用いて、決定した。PBS/BSA/NaNで十分に洗浄した後、1:200に希釈したPEコンジュゲートストレプトアビジン(Jackson ImmunoResearch)を添加し、4℃で30分間インキュベーションした。PBS/BSA/NaNで十分に洗浄した後、細胞をPBS/BSA/NaN中の4%ホルムアルデヒド中で、4℃で30分間固定した。膜ヒトCD89に対する血清ヒトIgA又は分泌ヒトIgAの結合(幾何平均蛍光強度)を、フローサイトメーター(FACSCalibur、BD Biosciences)を使用して測定した。
図27A及び27Bに示すように、「CDR2脱アミド修復」ヒト化IgG4/カッパ抗ヒトCD89モノクローナル抗体10E7バージョンVH3SQVL3及びVH3STVL3の両方、並びにCD89/IgA遮断キメラIgG4/カッパ抗ヒトCD89モノクローナル抗体10E7は、用量依存的に、膜ヒトCD89への血清及び分泌ヒトIgAの結合を防止した。驚くべきことに、CD89/IgA遮断キメラIgG4/カッパ抗ヒトCD89モノクローナル抗体10E7(すなわち、参照)、及びCD89/IgA遮断「CDR2脱アミド修復」ヒト化IgG4/カッパ抗ヒトCD89モノクローナル抗体10E7バージョンのVH3SQVL3及びVH3STVL3の両方は、異なる阻害滴定曲線を示し、これは、「CDR2脱アミド修復」ヒト化IgG4/カッパ抗ヒトCD89モノクローナル抗体10E7バージョンのVH3SQVL3及びVH3STVL3の両方によるCD89/IgA阻害(血清ヒトIgA及び分泌ヒトIgAについて、それぞれ最大半量阻害
Figure 2023523919000044
)が、CD89/IgA遮断キメラIgG4/カッパ抗ヒトCD89モノクローナル抗体10E7(血清ヒトIgA及び分泌ヒトIgAについて、それぞれ最大半量阻害
Figure 2023523919000045
)よりも強かったことを示した。要約すると、「CDR2脱アミド修復」ヒト化IgG4/カッパ抗ヒトCD89モノクローナル抗体10E7バージョンのVH3SQVL3及びVH3STVL3の両方は、「CDR2脱アミド修復」プロセス中にCD89/IgA遮断能の程度を増加させるようであり、これは、膜結合ヒトCD89に対する結合親和性の増加と一致した(上記実施例10(b)を参照されたい)。
まとめると、これらの結果により、CD89/IgA遮断「CDR2脱アミド修復」ヒト化IgG4/カッパ抗ヒトCD89モノクローナル抗体10E7バージョンVH3SQVL3及びVH3STVL3は、単量体血清ヒトIgA及び二量体分泌ヒトIgAの膜ヒトCD89への結合を防止したことが実証された。
(d).ヒトCD89に対するCD89/IgA遮断「CDR2脱アミド修復」ヒト化IgG4/カッパ抗ヒトCD89モノクローナル抗体10E7バージョンVH3SQVL3及びVH3STVL3の平衡解離定数(K
ヒトCD89に対するCD89/IgA遮断「CDR2脱アミド修復」ヒト化IgG4/カッパ抗ヒトCD89モノクローナル抗体10E7バージョンVH3SQVL3及びVH3STVL3の平衡解離定数(K)を決定するために、BLI/Octet(登録商標)ベースの分析を使用した。
ビオチン化した(PierceのN-ヒドロキシスクシンイミド-ビオチンを使用して)精製された「CDR2脱アミド修復」ヒト化抗ヒトCD89抗体10E7バージョンVH3SQVL3及びVH3STVL3を、PBS/0.1%BSA/0.02%Tween20(pH7.4)中に2.5μg/mLで、30℃で5分間、ストレプトアビジンバイオセンサーチップ(ForteBio)上に充填した。続いて、0nM(ベースラインのドリフトを監視するための参照試料)及び0.31~20nM(PBS/0.1%BSA/0.02%Tween20中、2倍希釈ステップ)の単量体組換えC末端ポリヒスチジンタグ化ヒト(細胞外)CD89分析物(rhuCD89(10414-H08H、Sino Biological,Inc)の会合を、30℃で5分間測定し、続いて、Octet(登録商標)RED96装置(ForteBio)を使用して、30℃で20分間の解離相を測定した。ビオチン化した(PierceからのN-ヒドロキシスクシンイミド-ビオチンを使用して)精製されたマウス及びキメラ抗ヒトCD89抗体10E7の対応物(それぞれ、実施例2及び実施例6を参照されたい)を比較目的で試験した。平衡解離定数(K)は、Octet(登録商標)RED96ソフトウェア(ForteBio)における1:1のLangmuir結合モデルを使用して決定された。
「CDR2脱アミド修復」ヒト化IgG4/カッパ抗ヒトCD89モノクローナル抗体10E7バージョンのVH3SQVL3及びVH3STVL3の両方、キメラIgG4/カッパ抗ヒトCD89モノクローナル抗体10E7、並びにマウス抗ヒトCD89モノクローナル抗体10E7は、可溶性単量体rhuCD89に対する高い親和性結合を示した。驚くべきことに、CD89/IgA遮断「CDR2脱アミド修復」ヒト化IgG4/カッパ抗ヒトCD89モノクローナル抗体10E7バージョンのVH3SQVL3及びVH3STVL3の両方は、CD89/IgA遮断キメラIgG4/カッパ抗ヒトCD89モノクローナル抗体10E7の結合親和性(すなわち、1.28nMのK値)及びCD89/IgA遮断マウス抗ヒトCD89モノクローナル抗体10E7の結合親和性(すなわち、1.67nMのK値)よりも、可溶性単量体rhuCD89へのより高い結合親和性(すなわち、それぞれ0.82nM及び0.92nMのK値)を示した。
まとめると、CD89/IgA遮断「CDR2脱アミド修復」ヒト化IgG4/カッパ抗ヒトCD89モノクローナル抗体10E7バージョンVH3SQVL3及びVH3STVL3の両方は、「CDR2脱アミド修復」プロセス中に可溶性単量体rhuCD89に対する結合親和性を増加させるようであった。要約については、表9を参照されたい。
Figure 2023523919000046
実施例11.エクスビボヒトCD89発現初代ヒト好中性顆粒球を使用した、CD89/IgA遮断「CDR2脱アミド修復」ヒト化IgG4/カッパ抗ヒトCD89モノクローナル抗体10E7バージョンVH3SQVL3及びVH3STVL3の生物学的特徴付け
(a).ヒトCD89発現初代ヒト好中性顆粒球に対するCD89/IgA遮断「CDR2脱アミド修復」ヒト化IgG4/カッパ抗ヒトCD89モノクローナル抗体10E7バージョンVH3SQVL3及びVH3STVL3の結合
ヒトCD89発現初代ヒト好中性顆粒球に対する精製されたCD89/IgA遮断「CDR2脱アミド修復」ヒト化IgG4/カッパ抗ヒトCD89モノクローナル抗体10E7バージョンのVH3SQVL3及びVH3STVL3の結合を決定するために、FACS分析を使用した。
初代ヒト好中性顆粒球を、Lymphoprep(商標)(Axis-Shield)勾配遠心分離、続くNHCl溶解緩衝液中での赤血球の溶解を使用して、健常なドナー(インフォームドコンセント後)の末梢血から単離した。PBS中で洗浄した後、顆粒球を、0.1%BSAを含有する氷冷PBS(Sigma-Aldrich;PBS/BSA)中の10x10細胞/mLに置いた。次いで、10μL/チューブ(すなわち、0.1×10細胞)のこれらの細胞を、10μg/mL(PBS/BSA中)の精製された「CDR2脱アミド修復」ヒト化抗ヒトCD89抗体10E7 100μLとともに、又はそれを含まずに、4℃で30分間インキュベーションした。並行して、10μg/mL(PBS/BSA中)の精製ヒトIgG4アイソタイプ対照抗体(Sigma-Aldrich)100μLを陰性対照として実行した。更に、10μg/mL(PBS/BSA中)の精製されたキメラ抗ヒトCD89抗体10E7(実施例6を参照されたい)100μLを、参照目的のために実行した。PBS/BSAで十分に洗浄した後、続いて、細胞を1:200に希釈したビオチンコンジュゲートマウス抗ヒトIgG4特異的抗体(Invitrogen)とともに、4℃で30分間インキュベーションした。PBS/BSAで十分に洗浄した後、細胞を1:200に希釈したPEコンジュゲートストレプトアビジン(Jackson ImmunoResearch)とともに、4℃で30分間インキュベーションした。PBS/BSAで十分に洗浄した後、細胞を、PBS/BSA中の2%ホルムアルデヒド中で、4℃で30分間固定した。エクスビボヒト好中性顆粒球由来の膜ヒトCD89に対する抗体の結合(幾何平均蛍光強度)をフローサイトメーター(Attune、Thermo Fisher)を使用して測定した。
図28に示すように、精製されたCD89/IgA遮断「CDR2脱アミド修復」ヒト化IgG4/カッパ抗ヒトCD89モノクローナル抗体10E7バージョンVH3SQVL3及びVH3STVL3(10μg/mLで)の両方は、複数のドナーから単離されたエクスビボヒト好中性顆粒球由来の膜ヒトCD89に結合した(n=3)。
これらの結果により、またCD89/IgA遮断「CDR2脱アミド修復」ヒト化IgG4/カッパ抗ヒトCD89モノクローナル抗体10E7バージョンVH3SQVL3及びVH3STVL3は、これらの抗体が全ての3人の調査されたドナーから単離されたヒト好中性顆粒球に明確に結合しているため、エクスビボヒト好中性顆粒球由来の膜ヒトCD89上の非多形エピトープを認識したことが実証された。
(b).CD89/IgA遮断「CDR2脱アミド修復」ヒト化IgG4/カッパ抗ヒトCD89モノクローナル抗体10E7バージョンVH3SQVL3及びVH3STVL3を使用して、ヒトCD89発現初代ヒト好中性顆粒球による血清ヒトIgA媒介性ファゴサイトーシスを遮断する
精製されたCD89/IgA遮断「CDR2脱アミド修復」ヒト化IgG4/カッパ抗ヒトCD89モノクローナル抗体10E7バージョンVH3SQVL3及びVH3STVL3の生物学的活性を分析するために、生成されたCD89/IgA遮断「CDR2脱アミド修復」ヒト化IgG4/カッパ抗ヒトCD89モノクローナル抗体10E7バージョンのVH3SQVL3及びVH3STVL3の、ヒトCD89発現初代ヒト好中性顆粒球による血清ヒトIgAコーティングラテックスビーズのファゴサイトーシスを阻害する能力を決定した。
初代ヒト好中性顆粒球を、Lymphoprep(商標)(Axis-Shield)勾配遠心分離、続くNHCl溶解緩衝液中での赤血球の溶解を使用して、健常なドナー(インフォームドコンセント後)の末梢血から単離した。PBS中で洗浄した後、10%の熱不活性化FCS(Sigma-Aldrich)を補充したRPMI1640(Gibco)中に2.0×10細胞/mLで顆粒球を再懸濁した。次いで、100μL/ウェル(すなわち、96ウェルの平底プレート中に0.2×10細胞、Greiner)のこれらの細胞を、滴定された(RPMI/10%FCS中)精製された「CDR2脱アミド修復」ヒト化抗ヒトCD89抗体10E7とともに、4℃で20分間インキュベーションした。並行して、精製されたヒトIgG4アイソタイプ対照抗体(Sigma-Aldrich)を陰性対照として実行した。加えて、10μg/mL(PBS/BSA中)の精製されたキメラ抗ヒトCD89抗体10E7(実施例6を参照されたい)を、参照目的のために実行した。この後(すなわち、洗浄せずに)、1.2μLの精製されたヒト(血清由来)IgA(MP Biomedicals)コーティング蛍光ラテックスビーズ(1μmサイズ及びカルボキシレート修飾ポリスチレン、Sigma-Aldrich)を、1:60の細胞対ビーズ比でこれらの細胞に添加し(調製物IgAビーズ、Aleyd et al.J Immunol 2014;192:2374-2383を参照されたい)、37℃で更に30分間インキュベーションした。並行して、1:60の細胞対ビーズ比でBSA(Sigma-Aldrich)コーティング蛍光ラテックスビーズを陰性対照として実行した(調製物BSAビーズ、Aleyd et al.J Immunol 2014;192:2374-2383を参照されたい)。RPMI/10%FCS中で洗浄し、PBS/0.1%BSA(Sigma-Aldrich)中で再懸濁した後、フローサイトメーター(Fortessa、BD Biosciences)を使用して、エクスビボヒト好中性顆粒球上の膜ヒトCD89によって、蛍光ラテックスビーズの血清ヒトIgA媒介性ファゴサイトーシス(Aleyd et al.J Immunol 2014;192:2374-2383に従って食細胞指数を計算するために使用される幾何平均蛍光強度)を測定した。
図29に示すように、いくつかのドナーごとのバリエーションが観察されたが、精製されたCD89/IgA遮断「CDR2脱アミド修復」ヒト化IgG4/カッパ抗ヒトCD89モノクローナル抗体10E7バージョンVH3SQVL3及びVH3STVL3の両方は、3人の健常な個体から単離された膜ヒトCD89発現エクスビボ初代ヒト好中性顆粒球における血清ヒトIgA媒介性ファゴサイトーシスを用量依存的に阻害した。
これらの結果により、CD89/IgA遮断「CDR2脱アミド修復」ヒト化IgG4/カッパ抗ヒトCD89モノクローナル抗体10E7バージョンVH3SQVL3及びVH3STVL3は、膜ヒトCD89発現エクスビボ初代ヒト好中性顆粒球のヒトIgA媒介性ファゴサイトーシスを阻害したことが実証された。
(c).CD89/IgA遮断「CDR2脱アミド修復」ヒト化IgG4/カッパ抗ヒトCD89モノクローナル抗体10E7バージョンVH3SQVL3及びVH3STVL3を使用して、ヒトCD89発現初代ヒト好中性顆粒球からの血清ヒトIgA媒介性ラクトフェリン産生を遮断する
精製されたCD89/IgA遮断「CDR2脱アミド修復」ヒト化IgG4/カッパ抗ヒトCD89モノクローナル抗体10E7バージョンVH3SQVL3及びVH3STVL3の生物学的活性を分析するために、生成されたCD89/IgA遮断キメラマウス/ヒト抗ヒトCD89抗体の、ヒトCD89発現初代ヒト好中性顆粒球からのラクトフェリン産生を阻害する能力を決定した。
初代ヒト好中性顆粒球を、Lymphoprep(商標)(Axis-Shield)勾配遠心分離、続くNHCl溶解緩衝液中での赤血球の溶解を使用して、健常なドナー(インフォームドコンセント後)の末梢血から単離した。次いで、10%の熱不活化FCS(Sigma-Aldrich)を補充したRPMI1640(Gibco)中に、これらの初代ヒト好中性顆粒球を2.0×10細胞/mLで再懸濁し、続いて100μLの顆粒球(すなわち、0.2×10細胞/ウェル)を、滴定された(RPMI/10%FCS中)精製されたCD89/IgA遮断「CDR2脱アミド修復」ヒト化IgG4/カッパ抗ヒトCD89モノクローナル抗体10E7バージョンVH3SQVL3及びVH3STVL3とともに、4℃で20分間インキュベーションした。並行して、滴定された(RPMI/10%FCS中)精製されたヒトIgG4アイソタイプ対照抗体(Sigma-Aldrich)を陰性対照として実行した。更に、滴定された(RPMI/10%FCS中)精製されたキメラ抗ヒトCD89抗体10E7(実施例6を参照されたい)を、参照目的のために実行した。この後(すなわち、洗浄せずに)、100μLのこれらの細胞(すなわち、0.2×10細胞/ウェル)を96ウェルの平底ELISAプレート(Nunc-Immuno MaxiSorp)に添加した。このプレートは、10μg/mLの精製されたヒト(血清由来)IgA(MP Biomedicals)を100μL/ウェル、又は10μg/mLのBSA(陰性対照として使用される、Sigma-Aldrich)を100μL/ウェルのいずれかで、前もってコーティングした。37℃で30分間インキュベーションした後、上清(180μL/ウェル)を採取して、非結合顆粒球を除去し、これらの上清を(いくつかの遠心クリアランスステップ後に)使用して、ラクトフェリン産生レベルを測定した(脱顆粒マーカーとして使用、以下を参照されたい)。比較のために、商業用マウス抗ヒトCD89抗体クローンMIP8aを、実施例3(d)に記載されるように並行して実行した。
プレート結合血清ヒトIgAで刺激した初代ヒト好中性顆粒球の上清中のラクトフェリン産生(脱顆粒の程度を表す)を測定した(上記参照)。このため、96ウェルの平底ELISAプレート(Nunc-Immuno MaxiSorp)を、100μL/ウェルのウサギ抗ヒトラクトフェリン抗体(1:5000、Sigma-Aldrich)で、16~24時間、4~8℃でコーティングした。PBS/0.05%Tween20で十分に洗浄した後、プレートを、200μL/ウェルのPBS/0.05%Tween20/0.5%BSA(Sigma-Aldrich)で、室温で1時間遮断した。次いで、プレートを100μL/ウェルの上清とともに、1;2の希釈(遮断緩衝液中)で、1時間37℃でインキュベーションした。PBS/0.05%Tween20で十分に洗浄した後、プレートを、アルカリホスファターゼ標識ウサギ抗ヒトラクトフェリン検出抗体(1:2500、MP Biomedicals)とともに、37℃で1時間インキュベーションした。P-ニトロフェニルホスフェート(Sigma-Aldrich)を添加した後、マイクロプレートリーダー(iMArk、Bio-Rad)で、405nmの波長で光学密度を測定した。精製されたヒトラクトフェリン(Sigma-Aldrich)を標準物質として使用して、血清ヒトIgA刺激エクスビボヒト好中性顆粒球によって放出されるラクトフェリンの量を計算した。
図30に示すように、いくつかのドナーごとのバリエーションが観察されたが、精製されたCD89/IgA遮断「CDR2脱アミド修復」ヒト化IgG4/カッパ抗ヒトCD89モノクローナル抗体10E7バージョンVH3SQVL3及びVH3STVL3の両方は、5人の健常な個体から単離されたヒトCD89発現エクスビボ初代ヒト好中性顆粒球による血清ヒトIgA媒介性ラクトフェリン産生を用量依存的に阻害した。
これらの結果により、CD89/IgA遮断「CDR2脱アミド修復」ヒト化IgG4/カッパ抗ヒトCD89モノクローナル抗体10E7バージョンVH3SQVL3及びVH3STVL3は、ヒトCD89発現エクスビボ初代ヒト好中性顆粒球によるIgA媒介性ラクトフェリン産生(脱顆粒マーカー)を阻害したことが実証された。
本発明の特定の態様
態様1.抗体であって、ヒトCD89発現細胞上のヒトCD89の細胞外部分(ヒトFcαRI)に結合することができ、かつ、抗体が当該細胞に結合されるとき、ヒトIgAのヒトCD89への結合を防止することができ、かつ、抗体MIP8aと比較した場合、当該ヒトCD89発現細胞における細胞死の誘発がより少ない、抗体。
態様2.抗体であって、ヒトCD89発現細胞上のヒトCD89の細胞外部分に結合することができ、かつ、抗体が当該細胞に結合されるとき、ヒトIgAのヒトCD89への結合を防止することができ、かつ、37℃での一晩のインキュベーション後に当該細胞の細胞生存性を60%超低減させない、抗体。
態様3.抗体であって、ヒトCD89発現細胞上のヒトCD89の細胞外部分に結合することができ、かつ、抗体が当該細胞に結合されるとき、ヒトIgAのヒトCD89への結合を防止することができ、かつ、37℃での一晩のインキュベーション後に当該細胞のホスファチジルセリン発現を20%超増加させない、抗体。
態様4.抗体であって、ヒトCD89発現細胞上のヒトCD89の細胞外部分に結合することができ、かつ、当該抗体が当該細胞に結合されるとき、ヒトIgAのヒトCD89への結合を防止することができ、かつ、ヒトCD89のアミノ酸22~46がカニクイザルCD89のアミノ酸22~46と交換されている組換えヒトCD89分子に20%以下で結合する、抗体。
態様5.抗体であって、ヒトCD89発現細胞上のヒトCD89の細胞外部分に結合することができ、かつ、抗体が当該細胞に結合されるとき、ヒトIgAのヒトCD89への結合を防止することができ、かつ、ヒトCD89のアミノ酸47~71がカニクイザルCD89のアミノ酸47~71と交換されているキメラヒトCD89分子に20%以下で結合する、抗体。
態様6.抗体であって、ヒトCD89発現細胞上のヒトCD89の細胞外部分に結合することができ、かつ、抗体が当該細胞に結合されるとき、ヒトIgAのヒトCD89への結合を防止することができ、かつ、ヒトCD89のアミノ酸72~96がカニクイザルCD89のアミノ酸72~96と交換されているキメラヒトCD89分子に20%以下で結合する、抗体。
態様7.抗体であって、ヒトCD89発現細胞上のヒトCD89の細胞外部分に結合することができ、かつ、当該抗体が当該細胞に結合されるとき、ヒトIgAのヒトCD89への結合を防止することができ、かつ、ヒトCD89のアミノ酸97~121がカニクイザルCD89のアミノ酸97~121と交換されているキメラヒトCD89分子への結合が20%以下に低減したものである、抗体。
態様8.抗体であって、ヒトCD89発現細胞上のヒトCD89の細胞外部分に結合することができ、かつ、当該抗体が当該細胞に結合されるとき、ヒトIgAのヒトCD89への結合を防止することができ、かつ、ヒトCD89のアミノ酸58、59、73、74、76、106、及び107がカニクイザルCD89のそれぞれアミノ酸58、59、73、74、76、106、及び107と交換されているキメラヒトCD89分子に20%以下で結合する、抗体。
態様9.細胞が、ヒトCD89発現HEK293F細胞(番号DSM ACC3341で寄託)である、態様1~8のいずれか1つに記載の抗体。
態様10.抗体であって、0、1、又は2個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又は付加を有する配列番号29~31のCDR1、CDR2、及びCDR3配列を有する重鎖可変領域と、0、1、又は2個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又は付加を有する配列番号32~34のCDR1、CDR2、CDR3配列を有する軽鎖可変領域と、を含む、ヒトCD89の細胞外部分に結合することができる、抗体。
態様11.抗体であって、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又は付加を有する配列番号27のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又は付加を有する配列番号28のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域と、を含む、ヒトCD89の細胞外部分に結合することができる、抗体。
態様12.抗体であって、0、1、又は2個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又は付加を有する配列番号45~47のCDR1、CDR2、及びCDR3配列を有する重鎖可変領域と、0、1、又は2個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又は付加を有する配列番号48~50のCDR1、CDR2、CDR3配列を有する軽鎖可変領域と、を含む、ヒトCD89の細胞外部分に結合することができる、抗体。
態様13.抗体であって、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又は付加を有する配列番号43のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又は付加を有する配列番号44のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域と、を含む、ヒトCD89の細胞外部分に結合することができる、抗体。
態様14.抗体であって、0、1、又は2個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又は付加を有する配列番号69~71のCDR1、CDR2、及びCDR3配列を有する重鎖可変領域と、0、1、又は2個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又は付加を有する配列番号72~74のCDR1、CDR2、CDR3配列を有する軽鎖可変領域と、を含む、ヒトCD89の細胞外部分に結合することができる、抗体。
態様15.抗体であって、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又は付加を有する配列番号67のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又は付加を有する配列番号68のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域と、を含む、ヒトCD89の細胞外部分に結合することができる、抗体。
態様16.抗体であって、0、1、又は2個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又は付加を有する配列番号77~79のCDR1、CDR2、及びCDR3配列を有する重鎖可変領域と、0、1、又は2個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又は付加を有する配列番号80~82のCDR1、CDR2、CDR3配列を有する軽鎖可変領域と、を含む、ヒトCD89の細胞外部分に結合することができる、抗体。
態様17.抗体であって、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又は付加を有する配列番号75のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又は付加を有する配列番号76のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域と、を含む、ヒトCD89の細胞外部分に結合することができる、抗体。
態様18.抗体であって、0、1、又は2個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又は付加を有する配列番号53~55のCDR1、CDR2、及びCDR3配列を有する重鎖可変領域と、0、1、又は2個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又は付加を有する配列番号56~58のCDR1、CDR2、CDR3配列を有する軽鎖可変領域と、を含む、ヒトCD89の細胞外部分に結合することができる、抗体。
態様19.抗体であって、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又は付加を有する配列番号51のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又は付加を有する配列番号52のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域と、を含む、ヒトCD89の細胞外部分に結合することができる、抗体。
配列の説明
配列番号1:
全長ヒトCD89のアミノ酸配列(Swiss-Prot番号P24071.1、aa287)
配列表フリーテキスト1
Figure 2023523919000047
Ding et al.J Biol Chem 2003;278:27966-27970による、シグナルペプチド(aa配列1-21)、Ig様EC1ドメイン(aa配列22-121)、短いヒンジ領域(aa配列122-125)、Ig様EC2ドメイン(aa配列126-220)、及び膜近位「リンカー」領域(aa配列221-227)、続いて膜貫通ドメイン(aa配列228-246)、及び短い細胞質尾部(aa配列247-287)からなる、細胞外ドメイン(aa配列22-227)。
配列番号2:
完全長ヒトCD89タンパク質をコードするcDNA配列(哺乳動物発現のために最適化)
配列表フリーテキスト2
Figure 2023523919000048
配列番号3:
ヒトCD89由来のEC1及びウシFcγ2R由来のEC2(ウシTM及びウシIC)を含むキメラFcRのアミノ酸配列
配列表フリーテキスト3
Figure 2023523919000049
ヒトCD89由来のシグナルペプチド(aa配列1~21)、ヒトCD89由来のEC1ドメイン(aa配列22~121)、及びウシFcγ2R由来のEC2ドメイン(aa配列122~232)からなる、キメラヒト/ウシFcR細胞外ドメイン(aa配列22~232)、ウシFcγ2R由来の膜貫通ドメイン及び短い細胞質尾部(aa配列233~266)。
配列番号4:
ヒトCD89由来のEC1及びウシFcγ2R由来のEC2(ヒトTM及びヒトIC)を含むキメラFcRのアミノ酸配列
配列表フリーテキスト4
Figure 2023523919000050
ヒトCD89由来のシグナルペプチド(aa配列1~21)、ヒトCD89由来のEC1ドメイン(aa配列22~121)、及びウシFcγ2R由来のEC2ドメイン(aa配列122~232)からなる、キメラヒト/ウシFcR細胞外ドメイン(aa配列22~232)、ヒトCD89由来の膜貫通ドメイン(aa配列233~251)及びヒトCD89由来の短い細胞質尾部(aa配列252~292)。
配列番号5:
ヒトCD89由来のEC1及びウシFcγ2R由来のEC2を含むキメラFcRをコードするcDNA配列(ウシTM及びウシIC、哺乳動物発現のために最適化)
配列表フリーテキスト5
Figure 2023523919000051
配列番号6:
ヒトCD89由来のEC1及びウシFcγ2R由来のEC2を含むキメラFcRをコードするcDNA配列(ヒトTM及びヒトIC、哺乳動物発現のために最適化)
配列表フリーテキスト6
Figure 2023523919000052
配列番号7:
ウシFcγ2R由来のEC1、及びヒトCD89(ヒトTM&ヒトIC)由来のEC2を含むキメラFcRのアミノ酸配列
配列表フリーテキスト7
Figure 2023523919000053
Ding et al.J Biol Chem 2003;278:27966-27970による、ウシFcγ2R由来のシグナルペプチド(aa配列1~23)、ウシFcγ2R由来のEC1ドメイン(aa配列24~119)、ヒトCD89由来の短いヒンジ領域(aa配列120~123)、ヒトCD89由来のEC2ドメイン(aa配列124~218)、及びヒトCD89由来の膜近位「リンカー」領域(aa配列219-225)からなる、キメラウシ/ヒトFcR細胞外ドメイン(aa配列24~225)、続いて、ヒトCD89由来の膜貫通ドメイン(aa配列 226~244)、及びヒトCD89由来の短い細胞質尾部(aa配列245~285)。
配列番号8
ウシFcγ2RのEC1及びヒトCD89のEC2を含む、キメラFcRキメラFcRをコードするcDNA配列(哺乳動物発現のために最適化)
配列表フリーテキスト8
Figure 2023523919000054
配列番号9:
全長ウシFcγ2Rのアミノ酸配列(Swiss-Prot番号Q28109、aa264)
配列表フリーテキスト9
Figure 2023523919000055
シグナルペプチド(aa配列1~23)、Ig様EC1ドメイン(aa配列24~119)、及びIg様EC2ドメイン(aa配列120~230)からなる細胞外ドメイン(aa配列24~230)、続いて膜貫通ドメイン及び短い細胞質尾部(aa配列231~264)。
配列番号10:
全長ウシFcγ2Rタンパク質をコードするcDNA配列(哺乳動物発現のために最適化)
配列表フリーテキスト10
Figure 2023523919000056
配列番号11:
全長カニクイザルCD89のアミノ酸配列(NCBI参照配列:XP_005590398.1、aa287)
配列表フリーテキスト11
Figure 2023523919000057
配列番号12:
全長カニクイザルCD89をコードするcDNA配列(哺乳動物発現のために最適化)
配列表フリーテキスト12
Figure 2023523919000058
配列番号13:
ヒトCD89由来のEC1部分(Gln22~Lys46)を、カニクイザルCD89由来のEC1部分(Gln22~Arg46)と交換することによる、キメラCD89のアミノ酸配列
配列表フリーテキスト13
Figure 2023523919000059
Ding et al.J Biol Chem 2003;278:27966-27970による、ヒトCD89由来のシグナルペプチド(aa配列1~21)、カニクイザルCD89由来のIg様EC1ドメイン部分(aa配列22~46、NCBI参照配列:XP_005590398.1)、ヒトCD89由来のIg様EC1ドメイン部分(aa配列47~121、Swiss-Prot番号P24071.1)、ヒトCD89由来の短いヒンジ領域(aa配列122~125)、ヒトCD89由来のIg様EC2ドメイン部分(aa配列126~220)、及びヒトCD89由来の膜近位「リンカー」領域(aa配列221~227)からなるキメラヒト/カニクイザルCD89細胞外ドメイン(aa配列22~227)、続いて、ヒトCD89由来の膜貫通ドメイン部分(aa配列228~246)、及びヒトCD89由来の短い細胞質尾部(aa配列247~287)。
配列番号14:
ヒトCD89由来のEC1部分(Gln22~Lys46)を、カニクイザルCD89由来のEC1部分(Gln22~Arg46)と交換することによる、キメラCD89をコードするcDNA配列(哺乳動物発現のために最適化)
配列表フリーテキスト14
Figure 2023523919000060
配列番号15:
ヒトCD89由来のEC1部分(Ile47~Ile71)を、カニクイザルCD89由来のEC1部分(Ile47~Arg71)と交換することによる、キメラCD89のアミノ酸配列
配列表フリーテキスト15
Figure 2023523919000061
Ding et al.J Biol Chem 2003;278:27966-27970による、ヒトCD89由来のシグナルペプチド(aa配列1~21)、ヒトCD89由来のIg様EC1ドメイン部分(aa配列22~46、Swiss-Prot番号P24071.1)、カニクイザルCD89由来のIg様EC1ドメイン部分(aa配列47~71、NCBI参照配列:XP_005590398.1)、ヒトCD89由来のIg様EC1ドメイン部分(aa配列48~121、Swiss-Prot番号P24071.1)、ヒトCD89由来の短いヒンジ領域(aa配列122~125)、ヒトCD89由来のIg様EC2ドメイン部分(aa配列126~220)、及びヒトCD89由来の膜近位「リンカー」領域(aa配列221~227)からなるキメラヒト/カニクイザルCD89細胞外ドメイン(aa配列22~227)、続いて、ヒトCD89由来の膜貫通ドメイン部分(aa配列228~246)、及びヒトCD89由来の短い細胞質尾部(aa配列247~287)。
配列番号16:
ヒトCD89由来のEC1部分(Ile47~Ile71)を、カニクイザルCD89由来のEC1部分(Ile47~Arg71)と交換することによる、キメラCD89をコードするcDNA配列(哺乳動物発現のために最適化)
配列表フリーテキスト16
Figure 2023523919000062
配列番号17:
ヒトCD89由来のEC1部分(Gly72~Gly96)を、カニクイザルCD89由来のEC1部分(Asp72~Gly96)と交換することによる、キメラCD89のアミノ酸配列
配列表フリーテキスト17
Figure 2023523919000063
Ding et al.J Biol Chem 2003;278:27966-27970による、ヒトCD89由来のシグナルペプチド(aa配列1~21)、ヒトCD89由来のIg様EC1ドメイン部分(aa配列22~71、Swiss-Prot番号P24071.1)、カニクイザルCD89由来のIg様EC1ドメイン部分(aa配列72~96、NCBI参照配列:XP_005590398.1)、ヒトCD89由来のIg様EC1ドメイン部分(aa配列97~121、Swiss-Prot番号P24071.1)、ヒトCD89由来の短いヒンジ領域(aa配列122~125)、ヒトCD89由来のIg様EC2ドメイン部分(aa配列126~220)、及びヒトCD89由来の膜近位「リンカー」領域(aa配列221~227)からなるキメラヒト/カニクイザルCD89細胞外ドメイン(aa配列22~227)、続いて、ヒトCD89由来の膜貫通ドメイン部分(aa配列228~246)、及びヒトCD89由来の短い細胞質尾部(aa配列247~287)。
配列番号18:
ヒトCD89由来のEC1部分(Gly72~Gly96)を、カニクイザルCD89由来のEC1部分(Asp72~Gly96)と交換することによる、キメラCD89をコードするcDNA配列(哺乳動物発現のために最適化)
配列表フリーテキスト18
Figure 2023523919000064
配列番号19:
ヒトCD89由来のEC1部分(Arg97~Gly121)を、カニクイザルCD89由来のEC1部分(Arg97~Gly121)と交換することによる、キメラCD89のアミノ酸配列
配列表フリーテキスト19
Figure 2023523919000065
Ding et al.J Biol Chem 2003;278:27966-27970による、ヒトCD89由来のシグナルペプチド(aa配列1~21)、ヒトCD89由来のIg様EC1ドメイン部分(aa配列22~96、Swiss-Prot番号P24071.1)、及びカニクイザルCD89由来のIg様EC1ドメイン部分(aa配列97~121、NCBI参照配列:XP_005590398.1)、ヒトCD89由来の短いヒンジ領域(aa配列122~125)、ヒトCD89由来のIg様EC2ドメイン部分(aa配列126~220)、及びヒトCD89由来の膜近位「リンカー」領域(aa配列221~227)からなるキメラヒト/カニクイザルCD89細胞外ドメイン(aa配列22~227)、続いて、ヒトCD89由来の膜貫通ドメイン部分(aa配列228~246)、及びヒトCD89由来の短い細胞質尾部(aa配列247~287)。
配列番号20:ヒトCD89由来のEC1部分(Arg97~Gly121)を、カニクイザルCD89由来のEC1部分(Arg97~Gly121)と交換することによる、キメラCD89をコードするcDNA配列(哺乳動物発現のために最適化)
配列表フリーテキスト20
Figure 2023523919000066
配列番号21:
ヒトCD89由来のEC1部分内のIgAと接触するアミノ酸残基(Thr58、Gln59、Arg73、Arg74、Lys76、His106、及びTyr107)を、カニクイザルCD89由来のEC1部分由来の相互アミノ酸(Ile58、Trp59、Glu73、Lys74、Gly76、Leu106、及びSer107)と交換することによる、キメラCD89のアミノ酸配列
配列表フリーテキスト21
Figure 2023523919000067
Ding et al.J Biol Chem 2003;278:27966-27970による、ヒトCD89由来のシグナルペプチド(aa配列1~21)、ヒトCD89由来のIg様EC1ドメイン部分(aa配列22~121、Swiss-Prot番号P24071.1)、カニクイザルCD89由来のIg様EC1ドメイン部分由来のIle58、Trp59、Glu73、Lys74、Gly76、Leu106、及びSer107を除く(NCBI参照配列:XP_005590398.1)、ヒトCD89由来の短いヒンジ領域(aa配列122~125)、ヒトCD89由来のIg様EC2ドメイン部分(aa配列126~220)、及びヒトCD89由来の膜近位「リンカー」領域(aa配列221~227)からなるキメラヒト/カニクイザルCD89細胞外ドメイン(aa配列22~227)、続いて、ヒトCD89由来の膜貫通ドメイン部分(aa配列228~246)、及びヒトCD89由来の短い細胞質尾部(aa配列247~287)。
配列番号22:
ヒトCD89由来のEC1部分内のIgAと接触するアミノ酸残基(Thr58、Gln59、Arg73、Arg74、Lys76、His106、及びTyr107)を、カニクイザルCD89由来のEC1部分由来の相互アミノ酸(Ile58、Trp59、Glu73、Lys74、Gly76、Leu106、及びSer107)と交換することによる、キメラCD89をコードするcDNA配列(哺乳動物発現のために最適化)
配列表フリーテキスト22
Figure 2023523919000068
配列番号23:
ヒトCD89のEC1部分内のアミノ酸配列I(Gln22~Lys46)
配列表フリーテキスト23
Figure 2023523919000069
配列番号24:
ヒトCD89のEC1部分内のアミノ酸配列II(Ile47~Ile71)
配列表フリーテキスト24
Figure 2023523919000070
配列番号25:
ヒトCD89のEC1部分内のアミノ酸配列III(Gly72~Gly96)
配列表フリーテキスト25
Figure 2023523919000071
配列番号26:
ヒトCD89のEC1部分内のアミノ酸配列IV(Arg97~Gly121)
配列表フリーテキスト26
Figure 2023523919000072
配列番号27:
マウス抗ヒトCD89特異的抗体8F3の重鎖可変領域のコンセンサスアミノ酸配列
配列表フリーテキスト27
Figure 2023523919000073
配列番号28:
マウス抗ヒトCD89特異的抗体8F3の軽鎖可変領域のコンセンサスアミノ酸配列
配列表フリーテキスト28
Figure 2023523919000074
マウス抗ヒトCD89特異的抗体8F3の相補性決定領域(CDR):配列番号29~34
配列番号29:
アミノ酸配列 8F3の重鎖CDR1
配列表フリーテキスト29
Figure 2023523919000075
配列番号30:
アミノ酸配列 8F3の重鎖CDR2
配列表フリーテキスト30
Figure 2023523919000076
配列番号31:
アミノ酸配列 8F3の重鎖CDR3
配列表フリーテキスト31
Figure 2023523919000077
配列番号32:
アミノ酸配列 8F3の軽鎖CDR1
配列表フリーテキスト32
Figure 2023523919000078
配列番号33:
アミノ酸配列 8F3の軽鎖CDR2
配列表フリーテキスト33
Figure 2023523919000079
配列番号34:
アミノ酸配列 8F3の軽鎖CDR3
配列表フリーテキスト34
Figure 2023523919000080
配列番号35:
マウス抗ヒトCD89特異的抗体9H7の重鎖可変領域のコンセンサスアミノ酸配列
配列表フリーテキスト35
Figure 2023523919000081
配列番号36:
マウス抗ヒトCD89特異的抗体9H7の軽鎖可変領域のコンセンサスアミノ酸配列
配列表フリーテキスト36
Figure 2023523919000082
マウス抗ヒトCD89特異的抗体9H7の相補性決定領域(CDR):配列番号37~42
配列番号37:
アミノ酸配列 9H7の重鎖CDR1
配列表フリーテキスト37
Figure 2023523919000083
配列番号38:
アミノ酸配列 9H7の重鎖CDR2
配列表フリーテキスト38
Figure 2023523919000084
配列番号39:
アミノ酸配列 9H7の重鎖CDR3
配列表フリーテキスト39
Figure 2023523919000085
配列番号40:
アミノ酸配列 9H7の軽鎖CDR1
配列表フリーテキスト40
Figure 2023523919000086
配列番号41:
アミノ酸配列 9H7の軽鎖CDR2
配列表フリーテキスト41
Figure 2023523919000087
配列番号42:
アミノ酸配列 9H7の軽鎖CDR3
配列表フリーテキスト42
Figure 2023523919000088
配列番号43:
マウス抗ヒトCD89特異的抗体10E7の重鎖可変領域のコンセンサスアミノ酸配列
配列表フリーテキスト43
Figure 2023523919000089
配列番号44:
マウス抗ヒトCD89特異的抗体10E7の軽鎖可変領域のコンセンサスアミノ酸配列
配列表フリーテキスト44
Figure 2023523919000090
マウス抗ヒトCD89特異的抗体10E7の相補性決定領域(CDR):配列番号45~50
配列番号45:
アミノ酸配列 10E7の重鎖CDR1
配列表フリーテキスト45
Figure 2023523919000091
配列番号46:
アミノ酸配列 10E7の重鎖CDR2
配列表フリーテキスト46
Figure 2023523919000092
配列番号47:
アミノ酸配列 10E7の重鎖CDR3
配列表フリーテキスト47
Figure 2023523919000093
配列番号48:
アミノ酸配列 10E7の軽鎖CDR1
配列表フリーテキスト48
Figure 2023523919000094
配列番号49:
アミノ酸配列 10E7の軽鎖CDR2
配列表フリーテキスト49
Figure 2023523919000095
配列番号50:
アミノ酸配列 10E7の軽鎖CDR3
配列表フリーテキスト50
Figure 2023523919000096
配列番号51:
マウス抗ヒトCD89特異的抗体16D6の重鎖可変領域のコンセンサスアミノ酸配列
配列表フリーテキスト51
Figure 2023523919000097
配列番号52:
マウス抗ヒトCD89特異的抗体16D6の軽鎖可変領域のコンセンサスアミノ酸配列
配列表フリーテキスト52
Figure 2023523919000098
マウス抗ヒトCD89特異的抗体16D6の相補性決定領域(CDR):配列番号53~58
配列番号53:
アミノ酸配列 16D6の重鎖CDR1
配列表フリーテキスト53
Figure 2023523919000099
配列番号54:
アミノ酸配列 16D6の重鎖CDR2
配列表フリーテキスト54
Figure 2023523919000100
配列番号55:
アミノ酸配列 16D6の重鎖CDR3
配列表フリーテキスト55
Figure 2023523919000101
配列番号56:
アミノ酸配列 16D6の軽鎖CDR1
配列表フリーテキスト56
Figure 2023523919000102
配列番号57:
アミノ酸配列 16D6の軽鎖CDR2
配列表フリーテキスト57
Figure 2023523919000103
配列番号58:
アミノ酸配列 16D6の軽鎖CDR3
配列表フリーテキスト58
Figure 2023523919000104
配列番号59:
マウス抗ヒトCD89特異的抗体26D6の重鎖可変領域のコンセンサスアミノ酸配列
配列表フリーテキスト59
Figure 2023523919000105
配列番号60:
マウス抗ヒトCD89特異的抗体26D6の軽鎖可変領域のコンセンサスアミノ酸配列
配列表フリーテキスト60
Figure 2023523919000106
マウス抗ヒトCD89特異的抗体26D6の相補性決定領域(CDR):配列番号61~66
配列番号61:
アミノ酸配列 26D6の重鎖CDR1
配列表フリーテキスト61
Figure 2023523919000107
配列番号62:
アミノ酸配列 26D6の重鎖CDR2
配列表フリーテキスト62
Figure 2023523919000108
配列番号63:
アミノ酸配列 26D6の重鎖CDR3
配列表フリーテキスト63
Figure 2023523919000109
配列番号64:
アミノ酸配列 26D6の軽鎖CDR1
配列表フリーテキスト64
Figure 2023523919000110
配列番号65:
アミノ酸配列 26D6の軽鎖CDR2
配列表フリーテキスト65
Figure 2023523919000111
配列番号66:
アミノ酸配列 26D6の軽鎖CDR3
配列表フリーテキスト66
Figure 2023523919000112
配列番号67:
マウス抗ヒトCD89特異的抗体20B4の重鎖可変領域のコンセンサスアミノ酸配列
配列表フリーテキスト67
Figure 2023523919000113
配列番号68:
マウス抗ヒトCD89特異的抗体20B4の軽鎖可変領域のコンセンサスアミノ酸配列
配列表フリーテキスト68
Figure 2023523919000114
マウス抗ヒトCD89特異的抗体20B4の相補性決定領域(CDR):配列番号69~74
配列番号69:
アミノ酸配列 20B4の重鎖CDR1
配列表フリーテキスト69
Figure 2023523919000115
配列番号70:
アミノ酸配列 20B4の重鎖CDR2
配列表フリーテキスト70
Figure 2023523919000116
配列番号71:
アミノ酸配列 20B4の重鎖CDR3
配列表フリーテキスト71
Figure 2023523919000117
配列番号72:
アミノ酸配列 20B4の軽鎖CDR1
配列表フリーテキスト72
Figure 2023523919000118
配列番号73:
アミノ酸配列 20B4の軽鎖CDR2
配列表フリーテキスト73
Figure 2023523919000119
配列番号74:
アミノ酸配列 20B4の軽鎖CDR3
配列表フリーテキスト74
Figure 2023523919000120
配列番号75:
マウス抗ヒトCD89特異的抗体30C7の重鎖可変領域のコンセンサスアミノ酸配列
配列表フリーテキスト75
Figure 2023523919000121
配列番号76:
マウス抗ヒトCD89特異的抗体30C7の軽鎖可変領域のコンセンサスアミノ酸配列
配列表フリーテキスト76
Figure 2023523919000122
マウス抗ヒトCD89特異的抗体30C7の相補性決定領域(CDR):配列番号77~82
配列番号77:
アミノ酸配列 30C7の重鎖CDR1
配列表フリーテキスト77
Figure 2023523919000123
配列番号78:
アミノ酸配列 30C7の重鎖CDR2
配列表フリーテキスト78
Figure 2023523919000124
配列番号79:
アミノ酸配列 30C7の重鎖CDR3
配列表フリーテキスト79
Figure 2023523919000125
配列番号80:
アミノ酸配列 30C7の軽鎖CDR1
配列表フリーテキスト80
Figure 2023523919000126
配列番号81:
アミノ酸配列 30C7の軽鎖CDR2
配列表フリーテキスト81
Figure 2023523919000127
配列番号82:
アミノ酸配列 30C7の軽鎖CDR3
配列表フリーテキスト82
Figure 2023523919000128
配列番号83:
キメラマウスVH 8F3ヒト重IgG4鎖をコードするcDNA配列
配列表フリーテキスト83
Figure 2023523919000129
配列番号84:
キメラマウスVH 10E7及びヒト定常重IgG4鎖をコードするcDNA配列
配列表フリーテキスト84
Figure 2023523919000130
配列番号85:
キメラマウスVH 16D6及びヒト定常重IgG4鎖をコードするcDNA配列
配列表フリーテキスト85
Figure 2023523919000131
配列番号86:
キメラマウスVH 20B4及びヒト定常重IgG4鎖をコードするcDNA配列
配列表フリーテキスト86
Figure 2023523919000132
配列番号87:
キメラマウスVH 30C7ヒト重IgG4鎖をコードするcDNA配列
配列表フリーテキスト87
Figure 2023523919000133
配列番号88:
キメラマウスVL 8F3 ヒト軽カッパ鎖をコードするcDNA配列
配列表フリーテキスト88
Figure 2023523919000134
配列番号89:
キメラマウスVL 10E7 ヒト軽カッパ鎖をコードするcDNA配列
配列表フリーテキスト89
Figure 2023523919000135
配列番号90:
キメラマウスVL 16D6 ヒト軽カッパ鎖をコードするcDNA配列
配列表フリーテキスト90
Figure 2023523919000136
配列番号91:
キメラマウスVL 20B4 ヒト軽カッパ鎖をコードするcDNA配列
配列表フリーテキスト91
Figure 2023523919000137
配列番号92:
キメラマウスVL 30C7 ヒト軽カッパ鎖をコードするcDNA配列
配列表フリーテキスト92
Figure 2023523919000138
配列番号93:
キメラマウスVH 8F3 ヒト重IgG4鎖のアミノ酸配列
配列表フリーテキスト93
Figure 2023523919000139
配列番号94:
キメラマウスVH 10E7 ヒト重IgG4鎖のアミノ酸配列
配列表フリーテキスト94
Figure 2023523919000140
配列番号95:
キメラマウスVH 16D6 ヒト重IgG4鎖のアミノ酸配列
配列表フリーテキスト95
Figure 2023523919000141
配列番号96:
キメラマウスVH 20B4 ヒト重IgG4鎖のアミノ酸配列
配列表フリーテキスト96
Figure 2023523919000142
配列番号97:
キメラマウスVH 30C7 ヒト重IgG4鎖のアミノ酸配列
配列表フリーテキスト97
Figure 2023523919000143
配列番号98:
キメラマウスVL 8F3 ヒト軽カッパ鎖のアミノ酸配列
配列表フリーテキスト98
Figure 2023523919000144
配列番号99:
キメラマウスVL 10E7 ヒト軽カッパ鎖のアミノ酸配列
配列表フリーテキスト99
Figure 2023523919000145
配列番号100:
キメラマウスVL 16D6 ヒト軽カッパ鎖のアミノ酸配列
配列表フリーテキスト100
Figure 2023523919000146
配列番号101:
キメラマウスVL 20B4 ヒト軽カッパ鎖のアミノ酸配列
配列表フリーテキスト101
Figure 2023523919000147
配列番号102:
キメラマウスVL 30C7 ヒト軽カッパ鎖のアミノ酸配列
配列表フリーテキスト102
Figure 2023523919000148
配列番号103:PCRプライマー
配列表フリーテキスト103
Figure 2023523919000149
配列番号104:PCRプライマー
配列表フリーテキスト104
Figure 2023523919000150
配列番号105:PCRプライマー
配列表フリーテキスト105
Figure 2023523919000151
配列番号106:PCRプライマー
配列表フリーテキスト106
Figure 2023523919000152
配列番号107:PCRプライマー
配列表フリーテキスト107
Figure 2023523919000153
配列番号108:PCRプライマー
配列表フリーテキスト108
Figure 2023523919000154
配列番号109:PCRプライマー
配列表フリーテキスト109
Figure 2023523919000155
配列番号110:PCRプライマー
配列表フリーテキスト110
Figure 2023523919000156
配列番号111:PCRプライマー
配列表フリーテキスト111
Figure 2023523919000157
配列番号112:PCRプライマー
配列表フリーテキスト112
Figure 2023523919000158
配列番号113:PCRプライマー
配列表フリーテキスト113
Figure 2023523919000159
配列番号114:PCRプライマー
配列表フリーテキスト114
Figure 2023523919000160
配列番号115:PCRプライマー
配列表フリーテキスト115
Figure 2023523919000161
配列番号116:PCRプライマー
配列表フリーテキスト116
Figure 2023523919000162
配列番号117:
ヒト化抗ヒトCD89抗体10E7重鎖可変領域VH1のアミノ酸配列
配列表フリーテキスト117
Figure 2023523919000163
配列番号118:
ヒト化抗ヒトCD89抗体10E7重鎖可変領域VH2のアミノ酸配列
配列表フリーテキスト118
Figure 2023523919000164
配列番号119:
ヒト化抗ヒトCD89抗体10E7重鎖可変領域VH3のアミノ酸配列
配列表フリーテキスト119
Figure 2023523919000165
配列番号120:
ヒト化抗ヒトCD89抗体10E7軽鎖可変領域VL1のアミノ酸配列
配列表フリーテキスト120
Figure 2023523919000166
配列番号121:
ヒト化抗ヒトCD89抗体10E7軽鎖可変領域VL2のアミノ酸配列
配列表フリーテキスト121
Figure 2023523919000167
配列番号122:
ヒト化抗ヒトCD89抗体10E7軽鎖可変領域VL3のアミノ酸配列
配列表フリーテキスト122
Figure 2023523919000168
配列番号123:
ヒト化抗ヒトCD89抗体10E7軽鎖可変領域VL4のアミノ酸配列
配列表フリーテキスト123
Figure 2023523919000169
配列番号124:
ヒト化VH1をカバーする抗ヒトCD89抗体10E7のヒト化IgG4鎖をコードするcDNA配列
配列表フリーテキスト124
Figure 2023523919000170
配列番号125:
ヒト化VH2をカバーする抗ヒトCD89抗体10E7のヒト化IgG4鎖をコードするcDNA配列
配列表フリーテキスト125
Figure 2023523919000171
配列番号126:
ヒト化VH3をカバーする抗ヒトCD89抗体10E7のヒト化IgG4鎖をコードするcDNA配列
配列表フリーテキスト126
Figure 2023523919000172
配列番号127:
ヒト化VL1をカバーする抗ヒトCD89抗体10E7のヒト化カッパ鎖をコードするcDNA配列
配列表フリーテキスト127
Figure 2023523919000173
配列番号128:
ヒト化VL2をカバーする抗ヒトCD89抗体10E7のヒト化カッパ鎖をコードするcDNA配列
配列表フリーテキスト128
Figure 2023523919000174
配列番号129:
ヒト化VL3をカバーする抗ヒトCD89抗体10E7のヒト化カッパ鎖をコードするcDNA配列
配列表フリーテキスト129
Figure 2023523919000175
配列番号130:
ヒト化VL4をカバーする抗ヒトCD89抗体10E7のヒト化カッパ鎖をコードするcDNA配列
配列表フリーテキスト130
Figure 2023523919000176
配列番号131:
ヒト化VH1をカバーする抗ヒトCD89抗体10E7のヒト化IgG4鎖をコードするアミノ酸配列
配列表フリーテキスト131
Figure 2023523919000177
配列番号132:
ヒト化VH2をカバーする抗ヒトCD89抗体10E7のヒト化IgG4鎖をコードするアミノ酸配列
配列表フリーテキスト132
Figure 2023523919000178
配列番号133:
ヒト化VH3をカバーする抗ヒトCD89抗体10E7のヒト化IgG4鎖をコードするアミノ酸配列
配列表フリーテキスト133
Figure 2023523919000179
配列番号134:
ヒト化VL1をカバーする抗ヒトCD89抗体10E7のヒト化カッパ鎖をコードするアミノ酸配列
配列表フリーテキスト134
Figure 2023523919000180
配列番号135:
ヒト化VL2をカバーする抗ヒトCD89抗体10E7のヒト化カッパ鎖をコードするアミノ酸配列
配列表フリーテキスト135
Figure 2023523919000181
配列番号136:
ヒト化VL3をカバーする抗ヒトCD89抗体10E7のヒト化カッパ鎖をコードするアミノ酸配列
配列表フリーテキスト136
Figure 2023523919000182
配列番号137:
ヒト化VL4をカバーする抗ヒトCD89抗体10E7のヒト化カッパ鎖をコードするアミノ酸配列
配列表フリーテキスト137
Figure 2023523919000183
配列番号138:
「CDR2脱アミド修復」ヒト化抗ヒトCD89抗体10E7重鎖可変領域VH3SQのアミノ酸配列
配列表フリーテキスト138
Figure 2023523919000184
配列番号139:
「CDR2脱アミド修復」ヒト化抗ヒトCD89抗体10E7重鎖可変領域VH3STのアミノ酸配列
配列表フリーテキスト139
Figure 2023523919000185
配列番号140:
ヒト化VH3SQをカバーする抗ヒトCD89抗体10E7の「CDR2脱アミド修復」ヒト化IgG4鎖をコードするcDNA配列
配列表フリーテキスト140
Figure 2023523919000186
配列番号141:
ヒト化VH3STをカバーする抗ヒトCD89抗体10E7の「CDR2脱アミド修復」ヒト化IgG4鎖をコードするcDNA配列
配列表フリーテキスト141
Figure 2023523919000187
配列番号142:
ヒト化VH3SQをカバーする抗ヒトCD89抗体10E7の「CDR2脱アミド修復」ヒト化IgG4鎖をコードするアミノ酸配列
配列表フリーテキスト142
Figure 2023523919000188
配列番号143:
ヒト化VH3STをカバーする抗ヒトCD89抗体10E7の「CDR2脱アミド修復」ヒト化IgG4鎖をコードするアミノ酸配列
配列表フリーテキスト143
Figure 2023523919000189

Claims (16)

  1. ヒトCD89の細胞外部分に結合することができるヒト化抗ヒトCD89抗体であって、アミノ酸配列:
    EVQLLESGGG LVQPGGSLRL SCAASGLTFS SYGMSWVRQA PGKGLEXVXT IXGXGDITYY PDSVKGRFTI SRDNSKNTLY LQMNSLRAED TAVYYCARDY DYDYAMDYWG QGTLVTVSS
    を含む、重鎖可変領域であって、式中、
    が、L又はWであり
    が、A又はSであり
    が、N、Sであり
    が、Q、T、又はNであり、
    前記重鎖可変領域が、X、X、X、及びX以外の位置に、指示されたアミノ酸配列に関して、0、1、2、又は3個のアミノ酸バリエーション、挿入、欠失、置換、付加、又はそれらの組み合わせを含む、重鎖可変領域と、
    アミノ酸配列:
    DIQMTQSPSS LSASVGDRVT ITCRASQDII NYLNWYQQKP GKZKLLIYY TSRLHSGVPS RFSGSGSGTD ZTLTISSLQP EDFATYZCQQ GKTLPYTFGQ GTKLEIK
    を含む、軽鎖可変領域であって、式中、
    が、A又はTであり
    が、V又はPであり
    が、Y又はFであり
    が、Y又はFであり、
    前記軽鎖可変領域が、Z、Z、Z及びZ以外の位置に、指示されたアミノ酸配列に関して、0、1、2、又は3個のアミノ酸バリエーション、挿入、欠失、置換、付加、又はそれらの組み合わせを含む、軽鎖可変領域と、を含む、ヒト化抗ヒトCD89抗体。
  2. 前記重鎖可変領域が、脱アミド修復されている、請求項1に記載のヒト化抗ヒトCD89抗体。
  3. 前記重鎖可変領域が、アミノ酸配列:
    EVQLLESGGG LVQPGGSLRL SCAASGLTFS SYGMSWVRQA PGKGLELVAT ISGXGDITYY PDSVKGRFTI SRDNSKNTLY LQMNSLRAED TAVYYCARDY DYDYAMDYWG QGTLVTVSSを含み、式中、Xが、Q、T、又はNであり、
    軽鎖可変領域が、指示されたアミノ酸配列に関して、0、1、2、又は3個のアミノ酸バリエーション、挿入、欠失、置換、付加、又はそれらの組み合わせを含む、配列番号122のアミノ酸配列を含む、請求項1又は2に記載のヒト化抗ヒトCD89抗体。
  4. 前記抗体が、IgG1又はIgG4アイソタイプを有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の抗体。
  5. 前記抗体が、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又は付加を有する配列番号142又は143のアミノ酸配列を有する重鎖と、0、1、2、3、4、5、6、7、8個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又は付加を有する配列番号136のアミノ酸配列を有する軽鎖と、を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のヒト化抗ヒトCD89抗体。
  6. 前記抗体が、配列番号94のアミノ酸配列を有する重鎖と、配列番号99のアミノ酸配列を有する軽鎖と、を含む、キメラ抗体と比較して、前記ヒトCD89の細胞外部分に対するより高い親和性を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の抗体。
  7. 前記抗体が前記細胞に結合されるとき、前記抗体が、ヒトCD89発現細胞上のヒトCD89の細胞外部分に結合することができ、かつ、ヒトIgAのヒトCD89への結合を防止することができる、請求項1~6のいずれか一項に記載の抗体。
  8. 前記細胞が、ヒトCD89発現HEK293F細胞(番号DSM ACC3341で寄託)である、請求項7に記載の抗体。
  9. 請求項1~8のいずれか一項に記載の抗体又はそれらの抗原(ヒトCD89)結合断片をコードする、核酸分子。
  10. 請求項1~8のいずれか一項に記載の抗体の可変領域をコードする、核酸分子。
  11. 請求項9又は10に記載の核酸分子を含む、ベクター。
  12. 請求項1~8に記載の抗体、請求項9及び10のいずれか一項に記載の核酸分子、並びに/又は請求項11に記載のベクターを含む、細胞であって、哺乳動物細胞、昆虫細胞、植物細胞、細菌細胞、又は酵母細胞、より好ましくは、ヒト細胞である、細胞。
  13. 請求項1~8のいずれか一項に記載の抗体を産生する方法であって、前記方法が、前記抗体の採取を含み、前記抗体が、好ましくは、細胞を使用して産生され、かつ細胞から採取され、前記細胞が、好ましくは、ハイブリドーマ細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、NSO細胞、又はPER-C6(商標)細胞である、方法。
  14. 請求項1~8のいずれか一項に記載の抗体若しくはそれらの抗原結合断片、請求項9及び10のいずれか一項に記載の核酸分子、並びに/又は請求項11に記載のベクターを含む、医薬組成物。
  15. 慢性炎症性疾患の治療又は予防に使用するための、請求項1~8に記載の抗体若しくはそれらの抗原結合断片、請求項9及び10のいずれか一項に記載の核酸分子、並びに/又は請求項11に記載のベクター。
  16. 対象における慢性炎症性疾患の治療のための方法であって、慢性炎症性疾患の治療を必要とする前記対象に、治療有効量の、請求項1~8に記載の抗体若しくはそれらの抗原結合断片、請求項9及び10のいずれか一項に記載の核酸分子、並びに/又は請求項11に記載のベクターを投与することを含む、方法。
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