JP2023521493A - 高純度酸化マグネシウムを製造する方法 - Google Patents

高純度酸化マグネシウムを製造する方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、塩化マグネシウムを酸化マグネシウムに転化する方法であって、塩化マグネシウム溶液を、300~475℃の温度で噴霧乾燥工程に付して、酸化マグネシウムが10~80重量%、及びヒドロキシ塩化マグネシウムと塩化マグネシウムとの合計が20~90重量%を含む噴霧乾燥生成物の形成をもたらすこと、該噴霧乾燥工程の該生成物を、水の存在下、焙焼器における600~900℃の温度で焙焼工程に付して、MgOが少なくとも98重量%、及びヒドロキシ塩化マグネシウムと塩化マグネシウムとの合計が2重量%未満を含む生成物の形成をもたらすこと、ここで、MgO、ヒドロキシ塩化マグネシウム及び塩化マグネシウムの百分率は、MgO、ヒドロキシ塩化マグネシウム及び塩化マグネシウムの合計で計算される、前記方法に関する。本発明の方法の生成物は、総固体生成物で計算される、MgOが少なくとも98重量%、及びヒドロキシ塩化マグネシウムと塩化マグネシウムとの合計が2重量%未満を含むことが好ましい。本発明はまた、該本発明に従う方法によって得られることができる高純度酸化マグネシウムに関する。【選択図】なし

Description

本発明は、塩化マグネシウム溶液から高純度酸化マグネシウムを製造する方法に関する。本発明はまた、発酵工程、分離工程、及び塩化マグネシウム溶液を高純度酸化マグネシウムに転化する為の工程を含む統合プロセスに関する。
発酵を通じてカルボン酸を製造する方法が、当該技術分野において知られている。これらの方法において、発酵培地のpHを所望される値に保つ為、塩基がしばしば添加される。このことは、カルボン酸が塩、例えばマグネシウム塩、の形態で得られることをもたらす。該カルボン酸を回収する際には、塩溶液、例えばマグネシウム塩溶液が得られ、これは更なる処理を必要とする。好ましくは、該塩溶液は、該発酵のより早い工程への再利用にとって好適な物質を形成するように処理される。特に、該塩溶液を処理して、該発酵におけるpH制御の為に使用されることができる塩基を形成することが好ましい。
例えば、国際公開第00/17378号パンフレットは、乳酸を製造する方法であって、発酵プロセスにおいて乳酸マグネシウム溶液が調製される、上記方法を記載する。該乳酸マグネシウム溶液は、HClで酸性化されて、塩化マグネシウム溶液中に乳酸を含む溶液を産生する。該乳酸は、該溶液から回収される。得られた塩化マグネシウム溶液は、該塩化マグネシウムを水と反応させて、酸化マグネシウム粉末及び塩酸を産生する為、少なくとも500℃の温度での熱加水分解工程にそれを付することによって処理されうる。該熱加水分解反応にとって必要とされる熱は、燃料をその場で燃焼することによって供給される。
国際公開第2013/025106号パンフレットは、カルボン酸のマグネシウム塩をHClで酸性化して酸及び塩化マグネシウム溶液を形成する工程と、沈殿を通じて該溶液から該酸を単離する工程とを含むプロセスを通じた、カルボン酸を製造する方法を記載する。該塩化マグネシウム溶液は、熱分解を通じて処理されうることが示されている。
国際公開第2013/093028号パンフレットは、カルボン酸のマグネシウム塩をHClで酸性化して酸及び塩化マグネシウム溶液を形成する工程と、抽出及びそれに続く逆抽出を通じて該溶液から該酸を単離する工程とを含むプロセスを通じた、カルボン酸を製造する方法を記載する。該塩化マグネシウム溶液は、熱分解を通じて処理されうることが示されている。
上に引用された文献において、該塩化マグネシウム溶液は、該溶液を熱分解工程に供することによって処理され、ここで、塩化マグネシウムは該溶液に由来する水と反応して、固体酸化マグネシウムと、水及びHClを含むガス流とを形成する。
これらの文献に記載されている該熱分解プロセスの問題点は、噴霧乾燥工程から回収された酸化マグネシウムが、それを直接的に又は水酸化マグネシウムへの転化後に該発酵プロセスへと再利用するには、純度が不十分でありうることである。より具体的には、酸化マグネシウム含量中の塩化物含量が非常に高く、該塩化物が該発酵プロセスに有害な影響を及ぼしうることが見出されている。
例えば、塩化マグネシウム溶液が、噴霧乾燥装置における500~600°の温度で噴霧乾燥工程に付された場合、酸化マグネシウム含有量が97重量%であり、残部が塩化マグネシウム及びヒドロキシ塩化マグネシウムである生成物が形成されることが見出されている。この文脈において、発酵中に酸化マグネシウム(又はその誘導体である水酸化マグネシウム)が、形成されるカルボン酸1モル当たり1モルのマグネシウムというオーダーの量で該プロセスに添加されることに注意すべきである。これは、該酸化マグネシウム中の汚染物質が微量であっても、発酵培地には相当量含まれることを意味する。
従って、当該技術分野において、塩化マグネシウム溶液から高純度酸化マグネシウムを製造する方法に対する必要性が存在する。本発明は、そのような方法を提供する。
本発明は、塩化マグネシウムを酸化マグネシウムに転化する方法であって、
塩化マグネシウム溶液を、噴霧乾燥装置における300~475℃の温度で噴霧乾燥工程に付して、酸化マグネシウム10~80重量%、及びヒドロキシ塩化マグネシウムと塩化マグネシウムとの合計20~90重量%を含む噴霧乾燥生成物の形成をもたらすこと、
該噴霧乾燥工程の該生成物を、水の存在下、焙焼器における600~900℃の温度で焙焼工程に付して、MgOが少なくとも98重量%、及びヒドロキシ塩化マグネシウムと塩化マグネシウムとの合計が2重量%未満を含む生成物の形成をもたらすこと、ここで、MgO、ヒドロキシ塩化マグネシウム、及び塩化マグネシウムの百分率は、これら3つの化合物の合計で計算される、
の工程を含む、上記方法に関する。
比較的穏やかな噴霧乾燥工程と高温焙焼工程との組み合わせが、高純度の酸化マグネシウムを効率的な様式で得ることを可能にすることが見出された。本発明及びその具体的な実施態様に由来する更なる利点が、更なる記載内容から明らかとなるであろう。
より具体的には、300~475℃の噴霧乾燥温度及びそれに続く600~900℃の温度での焙焼を伴う、本発明に従う方法は、MgOが少なくとも98重量%、及びヒドロキシ塩化マグネシウムと塩化マグネシウムとの合計が2重量%未満を含む生成物の形成をもたらすことが見出されており、ここでMgO、ヒドロキシ塩化マグネシウム、及び塩化マグネシウムの百分率は、これら3つの化合物の合計で計算される。500~600℃の温度で実行される噴霧乾燥工程の生成物は、塩化物含有量がかなり低くなっており、同じ条件下で焙焼工程に付された場合、同じ塩化物含有量の酸化マグネシウム生成物が得られる。驚くべきことに、300~475℃での噴霧乾燥から得られる生成物は、その塩化物含有量こそ高いものの、500~600℃での噴霧乾燥から得られる生成物と同じ条件下で高純度MgOに転化されることができるようである。本発明の方法において、該噴霧乾燥工程の生成物は、いかなる中間工程、例えば洗浄工程又は再水和工程、も伴わずに、直接的に該焙焼工程に供給される。
なお、高純度酸化マグネシウムの製造は、発酵プロセスの文脈外においてまた説明されている。例えば、中国特許出願公開第110015671号明細書は、ビショファイト(bischofite)(MgCl・6HO)が、650~750℃でのビショファイト溶液の噴霧乾燥によって脱水されて、無水塩化マグネシウムを形成した後、該無水塩化マグネシウムがロータリーキルンにおいて水と反応させられて酸化マグネシウムを生成する、高純度酸化マグネシウムを製造する方法を記載する。従って、この文献において、該噴霧乾燥工程は、本発明に従う方法よりもはるかに高い温度で実行され、並びに無水塩化マグネシウムを製造する為に使用され、しかし、該塩化マグネシウムを特定量の酸化マグネシウム及び(ヒドロ)塩化マグネシウム(magnesium(hydro)chloride)を含有する生成物に部分的に転化する為に使用されていない。中国特許出願公開第100417596号明細書は、塩化マグネシウム水和物が、密閉された熱分解ストーブにおける400~600℃の温度での熱分解工程に0.5~3時間付される、高純度酸化マグネシウムを製造する方法を記載する。生成物は、水性不純物を除去する為に、水による洗浄工程に付される。この工程において、該MgOはMg(OH)に転化される。固液分離工程の後、該生成物は、500~700℃の温度で焙焼工程に1.5~3.5時間付される。
本方法が、以下においてより詳細に説明される。
これ以降、以下の図を参照するが、それらに限定されたり、又はそれらによって限定されたりしない。
図1は、本発明に従う方法を示す。 図2は、発酵工程と組み合わせた本発明に従う方法を示す。 図3は、カルボン酸の製造の為の統合プロセスにおける、本発明に従う方法を示す。
本発明に従う方法における第1の工程は、塩化マグネシウム溶液を、噴霧乾燥装置における300~475℃の温度で噴霧乾燥工程に付して、総固体生成物で計算される、酸化マグネシウム10~80重量%、及びヒドロキシ塩化マグネシウムと塩化マグネシウムとの合計20~90重量%を含む噴霧乾燥生成物の形成をもたらす工程である。
該第1の工程が、塩化マグネシウム溶液を、噴霧乾燥装置における300~475℃の温度で噴霧乾燥工程に付して、酸化マグネシウム30~80重量%、ヒドロキシ塩化マグネシウムと塩化マグネシウムとの合計20~70重量%を含む噴霧乾燥生成物の形成をもたらすことを包含することが好ましい。
本発明に従う方法における該噴霧乾燥工程に付される該塩化マグネシウム溶液は、一般的に5~48重量%、特に15~48重量%、の塩化マグネシウム濃度を有する。該塩化マグネシウム溶液が、低い濃度、例えば5重量%未満又は15重量%未満、を有する場合、該噴霧乾燥工程において蒸発されるべき水の量が多くなる為、エネルギーの観点から本方法は魅力的でなくなる。その一方で、48重量%超の塩化マグネシウム濃度では、噴霧乾燥ノズルにおける塩化マグネシウムの析出のリスクが存在する。一般的に、該塩化マグネシウム溶液は、該ノズルにおける塩化マグネシウムの析出が発生することを伴わずに、可能な限り高い濃度を有することが好ましい。それ故に、該塩化マグネシウム溶液は、18~48重量%、特には23~48重量%、より特には30~48重量%、更により特には35~47重量%の塩化マグネシウム濃度を有することが好ましい。
本発明に従う方法において使用される該塩化マグネシウム溶液は、その目的が高い純度を有する酸化マグネシウムを調製することである為、塩化マグネシウム及び水以外の他の化合物を限られた量しか含有しないことが好ましい。より特には、該塩化マグネシウム溶液は、少なくとも95重量%、特には少なくとも98重量%、より特には少なくとも99重量%の塩化マグネシウム及び水を含有することが好ましい。
該噴霧乾燥工程に供給される該塩化マグネシウム溶液の温度は重要ではなく、室温~140℃で変動しうる。該噴霧乾燥工程におけるより少ないエネルギー消費をもたらす為、より高い温度及びより濃縮された塩化マグネシウム溶液が好ましい。より高い温度は、例えば高温のガス又は高温の液体を使用する熱交換工程において該溶液を加熱することによって、当該技術分野において既知の様式で得られることができる。該噴霧乾燥工程に供給される該塩化マグネシウム溶液は、50~140℃、特には70~135℃、より特には90~130℃の温度を有することが好ましくありうる。
該塩化マグネシウム溶液は、噴霧乾燥装置における300~475℃、好ましくは350~450℃、の温度で噴霧乾燥工程に供給される。噴霧乾燥の方法及び装置は、当該技術分野において知られている。噴霧乾燥装置において、噴霧乾燥される供給物は噴霧塔に供給され、ノズルを通じて噴霧されて小さい液滴を形成する。該液滴は高温のガス中を落下し、その過程で水分の蒸発のもと固体化する。更に、塩化マグネシウムは部分的に酸化マグネシウムに転化される。
本発明に従う方法において、該噴霧乾燥工程は、300~475℃、好ましくは350~450℃、の温度で実行される。温度は、該噴霧乾燥ノズルの場所で決定される。温度が低過ぎる場合、塩化マグネシウムの酸化マグネシウムへの転化は不十分になる。温度が高過ぎる場合、過度に多くの塩化マグネシウムが形成され得、これが最終生成物の純度に有害な影響を及ぼすことになる。温度は、350~450℃、特には375~450℃、より特には375~420℃にあることが好ましい。ここに示されている温度は、ガスの温度である。
該噴霧乾燥装置における滞留時間は、該液滴が該ノズルから離れた瞬間から該固体粒子が該ユニットの底部に到達する瞬間までの時間として定義され、一般的に1~60秒、特には3~30秒にある。滞留時間は、該噴霧塔の高さ、並びに該噴霧塔に供給されるあらゆるガス流の流速及び方向によって支配される。
該噴霧乾燥工程において得られる所定の転化率は、上記転化率を得る為に好適な温度及び滞留時間の組み合わせを選択することによって得られることができる。より高い温度及びより長い滞留時間が、より高い転化率をもたらすことになる。共通の一般的知識及び本明細書の教示に基づいて、所望される転化率を達成する為に好適な滞留時間及び温度の組み合わせを決定することは、当業者がなしうる範囲内である。
該噴霧乾燥装置の構成に左右されるが、該粒子が焙焼器に移動させられる前に、該噴霧乾燥器の底部における一定の滞留時間を有しうる。該噴霧乾燥器の底部における一定の滞留時間は、おそらくは該粒子が該高温のガスと集中的に接触していない為、転化率に実質的な影響を及ぼさないことが見出されている。しかしながら、該粒子は、処理効率の理由から、60分以下、特には30分以下、より特には15分以下、又は10分以下、又は5分以下、の該噴霧乾燥器の底部における滞留時間を有することが一般的に好ましい。
該噴霧乾燥工程において、必要な温度及び気流を供給する為、ガスが該ユニットに供給される。該ガスの性質は重要ではない。一般的に、高温の燃焼ガスが、例えば天然ガス、バイオガス、水素、又は合成ガスの燃焼によって供給される。ガスはまた、該ユニットから取り出される。該ユニットから取り出されるガスは、塩化マグネシウムの酸化マグネシウムへの分解によって生成されたHClを含有する。該ユニットから取り出されるガスはまた、該粒子から蒸発させられた水分を含有する。
該噴霧乾燥工程は、総固形分量で計算される、酸化マグネシウム10~80重量%、特には30~80重量%、並びにヒドロキシ塩化マグネシウムと塩化マグネシウムとの合計が20~90重量%、特には20~70重量%、を含む固体粒子を生成する。酸化マグネシウムへの転化率が低過ぎる場合、第2の工程において少なくとも98重量%の酸化マグネシウムへの転化率を達成することができなくなる。酸化マグネシウムへの転化率が80重量%超である場合、プロセス効率が影響を及ぼされることになる。該噴霧乾燥工程からの該生成物は、総固形分量で全て計算される、酸化マグネシウム40~80重量%、及びヒドロキシ塩化マグネシウムと塩化マグネシウムとの合計20~60重量%、特には酸化マグネシウム45~75重量%、及びヒドロキシ塩化マグネシウムと塩化マグネシウムとの合計25~55重量%、より特には酸化マグネシウム50~70重量%、及びヒドロキシ塩化マグネシウムと塩化マグネシウムとの合計30~50重量%、更により特には酸化マグネシウム55~70重量%、及びヒドロキシ塩化マグネシウムと塩化マグネシウムとの合計45~30重量%、を含むことが好ましい。転化率は、好適な噴霧乾燥温度及び滞留時間を選択することによって決定されることができる。
該噴霧乾燥工程からの該生成物は、水の存在下、焙焼器における600~900℃の温度で焙焼工程に付されて、MgOが少なくとも98重量%、及びヒドロキシ塩化マグネシウムと塩化マグネシウムとの合計が2重量%未満を含む生成物の形成をもたらす(これら3つの化合物の合計で計算される)。600℃未満の温度は、妥当な時間枠内で必要な転化率を得るには十分ではない。より高い温度が、所望される転化率を得る為に必要な時間を短縮することになる為、温度は、少なくとも700℃、特には少なくとも750℃、であることが好ましい。900℃よりも高い温度は、高いエネルギー入力を必要とすることになる為、一般的には商業的な観点から魅力的でない。更に、該生成物の反応性がより低くなる。該焙焼器における温度は、850℃以下であることが好ましくありうる。
該ユニットにおける滞留時間は、所望される転化率が所望される温度で得られるように選択される。当業者には明らかである通り、より低い温度は、所望される転化率を得る為に、より長い滞留時間を必要とすることになる。一般的に、該焙焼器における滞留時間は、10分間~4時間、より具体的には15分間~2時間、幾つかの実施態様においては30分間~90分間とされる。共通の一般的知識及び本明細書の教示に基づいて、所望される転化率を達成する為に好適な滞留時間及び温度の組み合わせを決定することは、当業者がなしうる範囲内である。
該焙焼工程は、塩化マグネシウム及びヒドロキシ塩化マグネシウムの酸化マグネシウムへの反応を可能とする為に、水の存在下で実行される。水の量は、該反応が生じることを可能とするのに十分な水が存在する限り、重要ではない。過剰な水分は、焙焼ガスで簡単に除去されることになる。一般的な範囲として、該焙焼工程に供給される該焙焼ガスの組成で計算される、0.1~50モル%の水、特には0.1~15モル%の水、より特には0.1~10モル%の水、の値が言及されうる。
該焙焼工程において、必要な温度を供給する為、ガスが該ユニットに供給される。該ガスの性質は重要ではない。一つの実施態様において、高温の燃焼ガスが、例えば天然ガス、バイオガス、水素、及び合成ガスの燃焼からもたらされて供給される。この供給源の利点は、ガス流が本質的に水を含有していることである。ガスはまた、該ユニットから取り出される。該ユニットから取り出されるガスは、該(ヒドロキシル)塩化マグネシウム(magnesium(hydroxyl)chloride)の酸化マグネシウムへの分解によって生成されるHClを、該ユニットを離れるガスの組成で計算される、例えば0.3~5モル%の量で含有する。
本発明に従う方法から得られる生成物は、MgOが少なくとも98重量%、及びヒドロキシ塩化マグネシウムと塩化マグネシウムとの合計が2重量%未満を含む(これら3つの成分の合計で計算される)。本発明に従う方法は、例えばMgOが少なくとも98.5重量%、及びヒドロキシ塩化マグネシウムと塩化マグネシウムとの合計が1.5重量%未満、又は更にはMgOが少なくとも99重量%、及びヒドロキシ塩化マグネシウムと塩化マグネシウムとの合計が1重量%未満を含む、更により高い純度の酸化マグネシウムを製造することが可能である(これら3つの成分の合計で計算される)。
出発物質の組成に左右されるが、該固体生成物は、更なる汚染物質を含有しうる。しかしながら、MgO、ヒドロキシ塩化マグネシウム及び塩化マグネシウムの合計が、該固体生成物の少なくとも95重量%、特には少なくとも98重量%、より特には少なくとも99重量%を占めることが好ましい。該固体生成物が、固体生成物で計算される、MgOが少なくとも98重量%、及びヒドロキシ塩化マグネシウムと塩化マグネシウムとの合計が2重量%未満を含むことが特には好ましい。本発明に従う方法が、総固体生成物で計算される、例えばMgOが少なくとも98.5重量%、及びヒドロキシ塩化マグネシウムと塩化マグネシウムとの合計が1.5重量%未満、又は更にMgOが少なくとも99重量%、及びのヒドロキシ塩化マグネシウムと塩化マグネシウムとの合計が1重量%未満を含む、更により高い純度の酸化マグネシウムを製造することが特には好ましい。
本発明に従う方法は、比較的狭い粒度分布を有する酸化マグネシウム生成物粒子をもたらすことが見出されている。粒度分布は、D値、D10、D50、及びD90によって特徴付けられることができる。D10は、試料の質量の10%がこの値を下回る直径を伴う粒子で構成される直径である。D50は、試料質量の50%がこの値を下回る直径を有し、試料質量の50%がこの値を上回る直径を有する直径である。D90は、試料質量の90%がこの値を下回る直径を有する直径である。D値は、当該技術分野において既知の方法、例えば飽和MgO溶液中の該生成物の分散液に対するレーザ回折、によって決定されることができる。
一つの実施態様において、本発明に従う方法によって得られる粒子は、0.5~20ミクロンにある、特には2~10ミクロンにある、D50を有する。
本発明に従う方法によって得られる酸化マグネシウムは、クエン酸反応性によって定量されることができるように、高い反応性を有する。より特には、該酸化マグネシウムは、75~400秒、好ましくは100~350秒、具体的には150~300秒にあるクエン酸反応性を有する。クエン酸反応性は、以下のように決定される。指示薬としてフェノールフタレイン(30mg)を含有する、0.4eq/L又は25.61g/Lのクエン酸溶液が調製される。該酸溶液は、30℃で少なくとも1時間振盪された。1±0.01gの粉末状のMgO試料が、30℃の該酸溶液50mlに移され、スラリーの色が白からピンクに変わるまで振盪された。該スラリーが色を変えるのに掛かった時間がクエン酸反応性である。この方法は、E.M. van der Merwe, Hydration of medium reactive industrial magnesium oxide with magnesium acetate, thermogravimetric study, Journal of Thermal Analysis and Calorimetry, Vol 77 (2004) 49-56に記載されているものに類似している。
本発明はまた新規な酸化マグネシウム生成物であって、下記のパラメータによって特徴付けられるに関する:
該酸化マグネシウム生成物は、総固体生成物で計算される、MgOが少なくとも98重量%、及びヒドロキシ塩化マグネシウムと塩化マグネシウムとの合計が2重量%未満、特には、総固体生成物で計算される、MgOが少なくとも98.5重量%、及びヒドロキシ塩化マグネシウムと塩化マグネシウムとの合計が1.5重量%未満、より特には、総固体生成物で計算される、MgOが少なくとも99重量%、及びヒドロキシ塩化マグネシウムと塩化マグネシウムとの合計が1重量%未満を含む。
該酸化マグネシウム生成物は、0.5~20ミクロンにある、特には2~10ミクロンにある、D50を有する。
該酸化マグネシウム生成物は、75~400秒、好ましくは100~350秒、具体的には150~300秒、にあるクエン酸反応性を有する。
該生成物は好ましくは、0.5重量%未満の、MgO、ヒドロキシ塩化マグネシウム及び塩化マグネシウム以外の他の成分、特には0.1重量%未満の他の成分を含む。該新規酸化マグネシウム生成物は、その高い純度及び反応性の観点において、様々な用途にとって魅力的である。
噴霧乾燥及び焙焼装置は、当該技術分野において知られており、且つ本明細書において更なる説明を必要としない。噴霧乾燥領域及び焙焼領域の両方を含む装置もまた、当該技術分野において知られている。例えば、米国特許第6214310号明細書及び米国特許出願公開第2002/0159946号明細書を参照する。
米国特許第6214310号明細書は、鉄鋼の製造において使用されるピックリング酸の再生に焦点を当てている。それは、噴霧乾燥領域において金属塩の部分的転化が起こり、焙焼領域において最終的な転化が生じる方法を記載する。該噴霧乾燥領域は、500~600℃の温度で運転される。塩化マグネシウムの転化は記載されておらず、該噴霧乾燥領域における転化率は規定されていない。
米国特許出願公開第2002/0159946号明細書は、金属塩溶液が噴霧され、第1の段階で水が蒸発させられて、金属塩粒子を形成する噴霧焙焼方法を記載する。その後、該金属塩粒子は、該塩を酸化物に転化する為、転化段階において低温で加熱される。
本発明に従う方法は、高い純度及び低い塩化物含有量を伴う酸化マグネシウムを産生し、これは、カルボン酸の製造の為の発酵プロセスにおける中和剤としての使用にとって好適である。従って、本発明はまた、本発明に従う方法を通じて得られる酸化マグネシウムを用いる発酵を通じてカルボン酸を製造する方法に関する。本発明はまた、発酵工程、分離工程、及び塩化マグネシウム溶液を高純度酸化マグネシウムに転化し、該酸化マグネシウムを中和剤として発酵培地に対して直接的に又は水酸化マグネシウムへの転化後に供給する為の工程を含む統合プロセスに関する。これらの実施態様が、以下においてより詳細に説明されるであろう。
一つの実施態様において、本発明は、カルボン酸を製造する方法であって、
塩化マグネシウム溶液を、噴霧乾燥装置における300~475℃、好ましくは350~450℃、の温度で噴霧乾燥工程に付して、酸化マグネシウム10~80重量%、特には30~80重量%、及びヒドロキシ塩化マグネシウムと塩化マグネシウムとの合計20~90重量%、特には20~70重量%、を含む噴霧乾燥生成物の形成をもたらす工程と、該噴霧乾燥工程の該生成物を、水の存在下、焙焼器における600~900℃の温度で焙焼工程に付して、MgOが少なくとも98重量%、及びヒドロキシ塩化マグネシウムと塩化マグネシウムとの合計が2%未満を含む酸化マグネシウム生成物(百分率は、上に規定されたように計算される)の形成をもたらす工程とを含む方法によって、塩化マグネシウムを酸化マグネシウムに転化すること;
MgOが少なくとも98重量%、及びヒドロキシ塩化マグネシウムと塩化マグネシウムとの合計が2%未満を含む該酸化マグネシウム生成物(百分率は、上に規定されたように計算される)を、そのまま又は該酸化マグネシウム生成物を水と反応させることによる水酸化マグネシウムへの転化工程の後に、中和剤として発酵工程に供給すること、ここで、該発酵工程は、発酵培地において微生物によって炭素源を発酵させて、カルボン酸を形成し、該カルボン酸が該中和剤によって少なくとも一部が転化され、カルボン酸マグネシウム塩の形成をもたらす工程を含む
の工程を含む、上記方法に関する。
該発酵工程中に添加されるマグネシウム塩基の量は、一般的に、カルボン酸1モル当たり0.1~4モルのマグネシウム塩基、より具体的には、カルボン酸1モル当たり0.2~2モルのマグネシウム塩基にある。
上に示されたように、本発明に従う方法によって得られる該生成物酸化マグネシウムは、そのまま使用されることができる。それはまた、水との反応による水酸化マグネシウムへの転化後に使用することもできる。水との反応を通じて酸化マグネシウムを水酸化マグネシウムに転化する該工程は、当該技術分野において既知の方法によって実行されることができる。
従って、上述された方法は、カルボン酸マグネシウムを含む発酵培地を産生する。本発明に従う方法はまた、
該カルボン酸マグネシウムを酸性化工程に付すこと、ここで、該カルボン酸マグネシウムは、水性環境においてHClと接触されて、カルボン酸と塩化マグネシウムとを含む水性混合物を形成する、
カルボン酸と塩化マグネシウムとを含む該水性混合物を分離工程に付して、カルボン酸を含む流出液と、塩化マグネシウム水性溶液とを形成すること
の更なる工程を含むことができる。
該分離工程から得られる該塩化マグネシウム溶液は、本発明に従う方法に供給されることができる。しかしながら、一般的に、該分離工程から得られた該塩化マグネシウム水性溶液は、比較的低い濃度を有することになる。それ故に、該分離工程から得られた該塩化マグネシウム水性溶液を、水が蒸発させられる1回以上の濃縮工程に付して、より濃縮された溶液をもたらし、これが該噴霧乾燥工程に供給されることが好ましくありうる。一つの実施態様において、10~30重量%の塩化マグネシウム濃度を有する塩化マグネシウム水性溶液が、水が蒸発させられる濃縮工程に付されて、15~48重量%、特には35~47重量%、の塩化マグネシウム濃度を有する濃縮された塩化マグネシウム溶液をもたらした後、これが該噴霧乾燥工程に供給される。
該1回以上の濃縮工程は、当該技術分野において既知の方法によって実行されることができ、これらは、本明細書において更なる説明を必要としない。
上に説明されたように、HCl含有ガス流が、該噴霧乾燥工程及び該焙焼工程から回収される。一つの実施態様において、これらのユニットの一方又は両方に由来する該HClの少なくとも一部が、該酸性化工程に供給され、ここで、カルボン酸マグネシウムが、水性環境においてHClと接触されて、カルボン酸と塩化マグネシウムとを含む水性混合物を形成する。該HClは、気体形態にて、該酸性化工程に供給されることができる。しかしながら、該HCl含有ガス流からHClを水に吸収させてHCl水性溶液を形成し、該HCl水性溶液を該酸性化工程に供給することも可能である。
該塩化マグネシウム溶液の処理に対して追加的な、統合プロセスにおける様々な工程が、以下に説明されるであろう。
第1の工程において、炭素源が発酵工程に付されてカルボン酸を形成し、ここで、該発酵工程は、発酵ブロスにおいて微生物によって炭素源を発酵させてカルボン酸を形成すること、並びに酸化マグネシウム及び水酸化マグネシウムから選択されるマグネシウム塩基を添加することによって、該カルボン酸の少なくとも一部を中和し、それによって、カルボン酸マグネシウムを得ること、の工程を含む。
カルボン酸の製造の為の発酵プロセスは、当該技術分野において知られており、且つ本明細書において更なる説明を必要としない。生成されることになる所望される酸、炭素源及び利用可能な微生物に応じて、共通の一般的知識を使用して、好適な発酵プロセスを選択することは、当業者がなしうる範囲内である。
該発酵プロセスの生成物は発酵ブロスであり、これは、カルボン酸マグネシウム、バイオマス、並びに任意的に更なる成分、例えば糖、タンパク質、及び塩のような不純物、を含む水性液体である。
所望される場合、該発酵ブロスは、更なる処理の前に、バイオマス除去工程、例えば濾過工程、に付されうる。これは一般的に、生成物の品質を向上させる為に好ましい。生成されるカルボン酸に応じて、別の中間工程は、バイオマス除去の前、該除去の後、又は該除去と同時の、該発酵ブロスからの固体反応生成物、例えばカルボン酸マグネシウム、の分離、及び、任意的に該カルボン酸マグネシウムを洗浄工程に付すことでありうる。
生成されるカルボン酸に応じて、別の中間工程は、該発酵ブロスを濃縮工程に付して、酸性化の前に、組成物中のカルボン酸マグネシウムの濃度を上昇させることでありうる。この工程は、バイオマス除去の前、該除去の後、又は該除去と同時に実行されうる。
他の中間工程、例えば精製工程、は、当業者に明らかである通り、所望に応じて実行されうる。
本発明に従う統合プロセスにおける次の工程は、該カルボン酸マグネシウムを酸性化工程に付すこと(酸性化工程として表される場合もある)であり、ここで、該カルボン酸マグネシウムは、水性環境においてHClと接触されて、カルボン酸と塩化マグネシウムとを含む水性混合物を形成する。
この工程が実現されることができる様々な方法がある。
該酸性化工程は典型的には、該カルボン酸塩を酸性のHCl溶液と接触させることによって行われる。しかしながら、幾つかの実施態様において、該カルボン酸塩を気体HClと接触させることがまた可能でありうる。
該カルボン酸塩は、固体形態及び/又は溶解形態でありうる。一つの実施態様において、該カルボン酸塩は、固体形態で用意される。この場合、該酸性化工程は、該カルボン酸塩を酸性溶液と接触させることによって行われる。従って、固体形態のカルボン酸塩から該水性混合物を調製する利点は、非常に高いカルボン酸濃度、例えば少なくとも15重量%、特には少なくとも25%、であり、例えば50重量%まで、又は例えば40重量%までの濃度、を得られることができることである。
該カルボン酸塩はまた、典型的に水性溶液の一部として、溶解形態でありうる。この場合、該酸性化工程は、該カルボン酸塩を酸性溶液又は酸性気体と接触させることによって行われることができる。
該酸性化工程はまた、カルボン酸及びカルボン酸塩の混合物に対して行われうる。そのような混合物は例えば、低pH発酵において得られうる。該混合物は例えば、水性懸濁物でありうる。
該カルボン酸塩の酸性化が、それを酸性のHCl溶液と接触させることによって行われる場合、それは好ましくは、可能な限り高い酸濃度を有する。そのような高い酸濃度は、高いカルボン酸濃度を有する水性混合物をもたらすことになり、これは望ましい。それ故に、該酸性溶液は、該酸性溶液の総重量に基づいて、少なくとも5重量%、より好ましくは少なくとも10重量%、更により好ましくは少なくとも20重量%、の酸を含む。
酸性化は典型的に、過剰な酸を使用して行われる。該過剰分は好ましくは、得られる水性混合物が高度に酸性でないように小さく、これは、そのような混合物を更に処理する観点において望ましくない可能性がある。例えば、使用される酸の該過剰分は、結果としてもたらされる水性混合物が2以下のpH、好ましくは0~1のpH、を有するものでありうる。
気体HClが使用される場合、該気体HClをカルボン酸塩溶液又は懸濁物と接触させることによって、該気体HClが接触されうる。特に、HCl気体は、該溶液又は懸濁物を通して吹き込まれうる。
好ましくは、酸性化は75℃以下の温度で行われる。より高い温度では、高温での酸性環境という過酷な条件に機器を適応させることは不経済になる。
該酸性化工程は、カルボン酸と塩化マグネシウムとを含む水性液体の形成をもたらす。この水性液体は、任意的に中間処理工程、例えば濃縮工程、が実行された後に、分離工程に付される。
好適な分離工程が、当該技術分野において知られている。使用される工程の性質は、該酸の性質及び特性に左右される。
該カルボン酸が、該水性液体中において全体又は一部が固体として存在する場合、分離は、従来の固液分離方法、例えば濾過、遠心分離等、を使用して生じることができる。
該カルボン酸が、該水性液体中において全体又は一部が別個の有機相として存在する場合、分離は、従来の液液分離方法、例えばデカンテーション、沈降分離、遠心分離、プレートセパレーター、コアレッサー、及びハイドロサイクロン、を使用して生じることができる。分離効率を向上させる為、抽出溶媒が添加されうる。異なる方法及び装置の組み合わせがまた使用されうる。
該カルボン酸が該水性液体中に溶解して存在する場合、分離は、例えば好適な抽出溶媒での抽出を使用して生じることができる。
本発明に従う方法において抽出溶媒が存在する場合、該抽出溶媒(抽出剤としても表されうる)は、実質的に水と混和しない。抽出溶媒の使用は、該分離工程中の、抽出剤及びカルボン酸を含む液体有機層と、溶解した塩化マグネシウムを含む水性層とを含む、二相系の形成をもたらす。
好適な抽出溶媒の例は、脂肪族及び芳香族炭化水素、例えばアルカン及び芳香族化合物、ケトン、並びにエーテルである。様々な化合物の混合物が又使用されうる。
好適な脂肪族アルカンの例は、C5~C10直鎖状、分岐状、又は環状アルカン、例えばオクタン、ヘキサン、シクロヘキサン、2-エチル-ヘキサン及びヘプタン、である。
好適な芳香族化合物の例は、C6~C10芳香族化合物、例えばトルエン、キシレン及びエチルベンゼン、である。
好適なケトンの例は、本発明において、C5+ケトン、より特にはC5~C8ケトン、である。C5+は、少なくとも5個の炭素原子を有するケトンを表す。C9+ケトンの使用はあまり好ましくない。メチル-イソブチル-ケトン(MIBK)の使用は、特には魅力的であることが見出されている。
好適なエーテルの例は、C3~C6エーテル、例えばメチルtert-ブチルエーテル(MTBE)及びジエチルエーテル(DEE)、である。
抽出後、該カルボン酸は、所望に応じて、該抽出溶媒から分離されることができる。一つの実施態様において、これは、該抽出溶媒を蒸発によって除去することによって行われることができる。別の実施態様において、該カルボン酸は、水又は別の水性液体での抽出によって該抽出溶媒から回収されることができる。
該塩からの該カルボン酸の分離後、該カルボン酸は、所望に応じて処理されることができる。更なる処理工程の例は、精製工程、例えば、洗浄、活性炭処理、再結晶、蒸留及び濾過のうちの1以上、である。該カルボン酸が乳酸である場合、それは、ラクチド及びPLAに転化されることができる。
従って、本発明はまた、カルボン酸を製造する方法であって、
炭素源を発酵工程に付してカルボン酸を形成すること、ここで、該発酵工程は、発酵ブロスにおいて微生物によって炭素源を発酵させてカルボン酸を形成すること、並びに、酸化マグネシウム及び水酸化マグネシウムから選択されるマグネシウム塩基を添加することによって、該カルボン酸の少なくとも一部を中和し、それによって、カルボン酸マグネシウムを得ることの工程を含む、
該カルボン酸マグネシウムを酸性化工程に付すこと、ここで、該カルボン酸マグネシウムは、水性環境においてHClと接触されて、カルボン酸と塩化マグネシウムとを含む水性混合物を形成する、
カルボン酸と塩化マグネシウムとを含む該水性混合物を分離工程に付して、カルボン酸と、それから分離された塩化マグネシウム溶液とをもたらすこと、
該塩化マグネシウム溶液を、300~475℃の温度で噴霧乾燥工程に付して、酸化マグネシウム10~80重量%、及びヒドロキシ塩化マグネシウムと塩化マグネシウムとの合計20~90重量%を含む噴霧乾燥生成物の形成をもたらすこと、
該噴霧乾燥工程の該生成物を、水の存在下、焙焼器における600~900℃の温度で焙焼工程に付して、MgOが少なくとも98重量%、及びヒドロキシ塩化マグネシウムと塩化マグネシウムとの合計が2重量%未満を含む生成物の形成をもたらすこと、ここで、MgO、ヒドロキシ塩化マグネシウム及び塩化マグネシウムの百分率は、MgO、ヒドロキシ塩化マグネシウム及び塩化マグネシウムの合計で計算される、
の工程を含む、上記方法に関する。
当業者には明らかである通り、本明細書に記載された更なる工程及び実施態様が、本方法にまた適用される。
製造される該カルボン酸の性質は、本発明に従う統合プロセスにとって重要ではない。
一つの実施態様において、該カルボン酸は、少なくとも2個、しかし8個以下の炭素原子を含むモノトリカルボン酸、ジトリカルボン酸又はトリカルボン酸(C2~C8カルボン酸)である。一つの実施態様において、該カルボン酸は、乳酸、コハク酸、プロピオン酸、3-ヒドロキシプロピオン酸、2-ヒドロキシ酪酸、3-ヒドロキシ酪酸、及び4-ヒドロキシ酪酸、クエン酸、フマル酸、イタコン酸、アジピン酸、アクリル酸、レブリン酸、マレイン酸、2,5-フランジカルボン酸、マンデル酸、リンゴ酸、並びに酒石酸からなる群から選択される。好ましくは、該カルボン酸は、乳酸、コハク酸、プロピオン酸、3-ヒドロキシプロピオン酸、2-ヒドロキシ酪酸、3-ヒドロキシ酪酸、及び4-ヒドロキシ酪酸、並びにクエン酸からなる群から選択される。
一つの実施態様において、該カルボン酸は、2~6個の炭素原子を有するモノカルボン酸から選択される。一つの実施態様において、2~6個の炭素原子を有する該モノカルボン酸は、ヒドロキシル基を含有しない。この群の中で、好適な酸の例は、プロピオン酸、アクリル酸、酪酸、及び吉草酸である。
別の実施態様において、該モノカルボン酸は、少なくとも1つのヒドロキシル基を含有する。この群の中で、一つの実施態様において、乳酸、グリコール酸、3-ヒドロキシプロピオン酸、2-ヒドロキシ酪酸、3-ヒドロキシ酪酸、及び4-ヒドロキシ酪酸の群から該酸を選択することが好ましくありうる。別の実施態様において、この群の中で、グリコール酸、3-ヒドロキシプロピオン酸、並びに2-ヒドロキシ酪酸、3-ヒドロキシ酪酸、及び4-ヒドロキシ酪酸の群から該酸を選択することが好ましくありうる。更なる実施態様において、該酸は乳酸であることが好ましくありうる。
別の実施態様において、該カルボン酸は、ポリカルボン酸、より特には少なくとも2個、しかし6個以下の炭素原子を含むジ又はトリカルボン酸(C2~6カルボン酸)、である。一つの実施態様において、該ポリカルボン酸は、コハク酸、クエン酸、フマル酸、イタコン酸、アジピン酸、マレイン酸、2,5-フランジカルボン酸、リンゴ酸、及び酒石酸からなる群から選択される。好ましくは、該ポリカルボン酸は、コハク酸、クエン酸、フマル酸、イタコン酸、アジピン酸、及び2,5-フランジカルボン酸からなる群から選択される。該ポリカルボン酸は、特にはコハク酸、フマル酸、イタコン酸、及び2,5-フランジカルボン酸から選択されうる。
本発明の様々な観点が、以下に説明される図によって説明されるが、本発明はそれらに限定されたり、又はそれらによって限定されたりしない。
図1は、本発明に従う方法を示す。図1において、塩化マグネシウム溶液が、ライン(1)を通じて噴霧乾燥装置(2)に供給される。高温のガス流がライン(3)を通じて供給され、HCl含有ガス流がライン(4)を通じて取り出される。該噴霧乾燥器において、該塩化マグネシウム溶液は、酸化マグネシウム10~80重量%、特には30~80重量%、及びヒドロキシ塩化マグネシウムと塩化マグネシウムとの合計20~90重量%、特には20~70重量%、を含む噴霧乾燥生成物に転化される。該噴霧乾燥生成物は、ライン(5)を通じて該噴霧乾燥器から取り出され、焙焼器(6)に供給される。高温のガス流がライン(7)を通じて焙焼器(6)に供給され、HCl含有ガス流がライン(8)を通じて取り出される。所望される場合、ライン(8)を通じて該焙焼器(6)から取り出されたHCl含有ガスが、部分的又は完全に噴霧乾燥装置(2)に供給されることができる。
該焙焼器からの生成物は、酸化マグネシウムが少なくとも98重量%、及びヒドロキシ塩化マグネシウムと塩化マグネシウムとの合計が2重量%未満を含み、ライン(9)を通じて取り出される。
図2は、図1に示されている本発明に従う方法と、発酵プロセスとの組み合わせを示す。図2において、ライン(9)を通じて該焙焼器から取り出される該酸化マグネシウム生成物は、発酵ユニット(10)に供給される。これは、直接的に、又は図示されていないユニットにおける水との反応による該酸化マグネシウム生成物の水酸化マグネシウムへの転化後に行われることができる。発酵ユニット(10)には、図示されていないラインを通じて、炭素源及び任意的に更なる成分、例えば栄養素、を供給される。発酵ユニット(10)における発酵工程において、炭素源は、発酵ブロスにおいて微生物によって発酵されて、カルボン酸を形成する。該カルボン酸の少なくとも一部が、該焙焼器から得られた該マグネシウム生成物であるマグネシウム塩基によって、直接的に又は水酸化マグネシウムへと転化された後に中和される。マグネシウム塩基の存在下における該発酵プロセスは、カルボン酸マグネシウムを含む発酵培地をもたらし、これはライン(11)を通じて発酵ユニット(10)から取り出される。
図3は、図2に示されている方法に基づく、本発明に従う更なる統合プロセスを示す。図3の該プロセスにおいて、カルボン酸マグネシウム塩を含む該発酵培地は、ライン(11)を通じて酸性化工程(12)に供給される。中間工程、例えばバイオマス除去又は濃縮、が実行されうるが、図示されていない。該酸性化工程(12)において、該カルボン酸マグネシウムは、水性環境においてHClと接触されて、カルボン酸と塩化マグネシウムとを含む水性混合物を形成する。該HClは、ライン(13)を通じて供給される。図において、ライン(13)を通じて供給される該HClは、ライン(4)を通じて噴霧乾燥器(1)から得られるHClと、ライン(8)を通じて焙焼器(6)から得られるHClとの組み合わせである。これらの流れのうちの1つだけを使用すること、又は該流れを該酸性化工程(12)に別々に供給することもまた可能であることは明らかであろう。該HClは、該噴霧乾燥器(1)及び/又は該焙焼器(6)から直接的に得られるHCl含有ガス流の形態で供給されうる。それはまた、該HCl含有ガス流を水性液体(例えば、水)に吸収させることによって得られる水性溶液の形態で供給されうる。これは、吸収工程(図示されていない)において生じることになる。
カルボン酸及び塩化マグネシウムを含む該水性混合物は、ライン(14)を通じて分離工程(15)に供給される。該分離工程は、上述されたように実行されうる。分離工程(15)は、カルボン酸を含む流出液及び塩化マグネシウム溶液をもたらす。該生成物カルボン酸は、ライン(16)を通じて取り出される。該塩化マグネシウム溶液は、ライン(1)を通じて取り出され、図1の文脈で上に説明されたように、該噴霧乾燥器に供給される。
当業者には明らかである通り、該噴霧乾燥器又は焙焼器において生成された該HClの一部のみを該酸性化工程に供給することが可能であり、且つ/又は他の供給源からのHClを供給することも可能である。同様に、該焙焼器において生成された該酸化マグネシウム生成物の一部のみを該発酵工程に供給することが可能であることは、明らかであろう。
本発明に従う方法において、様々な工程の好ましい実施態様が、相互に排他的である場合を除き、組み合わせられることができることは、当業者には明らかであろう。
本発明は、以下の実施例によって更に説明されるが、それらに限定されたり、又はそれらによって限定されたりしない。
実施例1:本発明に従う方法
37~43重量%の塩化マグネシウム溶液が、噴霧乾燥器に供給され、350~420℃の温度で噴霧乾燥され、噴霧乾燥された。噴霧乾燥工程からの生成物は、酸化マグネシウム50重量%、及び塩化マグネシウム及びヒドロキシ塩化マグネシウムの合計50重量%を含有した。
該噴霧乾燥工程からの該生成物は、800℃での焙焼工程に30分間付されて、総固体生成物で計算される、酸化マグネシウム99.2重量%、及び塩化マグネシウム及びヒドロキシ塩化マグネシウムの合計0.8重量%を含有する生成物をもたらした。
例2:比較例の方法
37~43重量%の塩化マグネシウム溶液が、噴霧乾燥器に供給され、500℃の温度で噴霧乾燥された。噴霧乾燥工程からの生成物は、酸化マグネシウム97重量%、及び塩化マグネシウム及びヒドロキシ塩化マグネシウムの合計3重量%を含有した。従って、この生成物は必要とされる純度を有していなかった。
少なくとも98重量%の、必要とされる純度を有する酸化マグネシウム生成物を得る為に、800℃での焙焼工程を30分間実行し、酸化マグネシウム99.2重量%、及び塩化マグネシウム及びヒドロキシ塩化マグネシウムの合計0.8重量%を含有する生成物をもたらすことが必要であることが分かった。
従って、本発明に従う実施例1と例2との比較は、500℃での噴霧乾燥が、所望される純度を得るには不十分であり、噴霧乾燥と、該噴霧乾燥工程における所定の転化率を伴う焙焼との組み合わせが、該噴霧乾燥工程におけるより低い温度、従ってより低いエネルギー消費の使用を可能とすることを示す。

Claims (16)

  1. 塩化マグネシウムを酸化マグネシウムに転化する方法であって、
    塩化マグネシウム溶液を、300~475℃の温度で噴霧乾燥工程に付して、酸化マグネシウム10~80重量%、及びヒドロキシ塩化マグネシウムと塩化マグネシウムとの合計20~90重量%を含む噴霧乾燥生成物の形成をもたらすこと、
    該噴霧乾燥工程の該生成物を、水の存在下、焙焼器における600~900℃の温度で焙焼工程に付して、MgOが少なくとも98重量%、及びヒドロキシ塩化マグネシウムと塩化マグネシウムとの合計が2重量%未満を含む生成物の形成をもたらすこと、ここで、MgO、ヒドロキシ塩化マグネシウム及び塩化マグネシウムの百分率は、MgO、ヒドロキシ塩化マグネシウム及び塩化マグネシウムの合計で計算される、
    前記方法。
  2. 上記の第1の工程は、塩化マグネシウム溶液を、噴霧乾燥装置における350~450℃の温度で噴霧乾燥工程に付して、酸化マグネシウム30~80重量%。及びヒドロキシ塩化マグネシウムと塩化マグネシウムとの合計20~70重量%を含む噴霧乾燥生成物の形成をもたらす工程である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記噴霧乾燥工程に付される該塩化マグネシウム溶液が、5~48重量%、好ましくは15~48重量%、特には18~48重量%、より特には23~48重量%、さらにより特には30~48重量%、なおより特には35~47重量%、の塩化マグネシウム濃度を有する、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 噴霧乾燥が、375~450℃、特には375~420℃、の温度で行われる、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記噴霧乾燥工程からの前記生成物が、総固形分量に基づいて全て計算される、酸化マグネシウム40~80重量%、及びヒドロキシ塩化マグネシウムと塩化マグネシウムとの合計20~60重量%、特には酸化マグネシウム45~75重量%、及びヒドロキシ塩化マグネシウムと塩化マグネシウムとの合計25~55重量%、より特には酸化マグネシウム50~70重量%、及びヒドロキシ塩化マグネシウムと塩化マグネシウムとの合計30~50重量%、更により特には酸化マグネシウム55~70重量%、及びヒドロキシ塩化マグネシウムと塩化マグネシウムとの合計45~30重量%、を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記焙焼器における温度が、700℃~850℃、特には750~850℃、である、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記焙焼工程からの前記生成物が、MgO、ヒドロキシ塩化マグネシウム及び塩化マグネシウムの合計で計算される、MgOが少なくとも98.5重量%、及びヒドロキシ塩化マグネシウムと塩化マグネシウムとの合計が1.5重量%未満、若しくは更にMgOが少なくとも99重量%、及びヒドロキシ塩化マグネシウムと塩化マグネシウムとの合計が1重量%未満を含み、前記焙焼工程からの前記生成物が、総固形分量で計算される、MgOが少なくとも98重量%、及びヒドロキシ塩化マグネシウムと塩化マグネシウムとの合計が2重量%未満、好ましくはMgOが少なくとも98.5重量%、及びヒドロキシ塩化マグネシウムと塩化マグネシウムとの合計が1.5重量%未満、若しくはMgOが少なくとも99重量%、及びヒドロキシ塩化マグネシウムと塩化マグネシウムとの合計が1重量%未満を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 酸化マグネシウム生成物であって、下記のパラメータによって特徴付けられる:
    該酸化マグネシウム生成物は、総固体生成物で計算される、MgOが少なくとも98重量%、及びヒドロキシ塩化マグネシウムと塩化マグネシウムとの合計が2重量%未満、特には、MgOが少なくとも98.5重量%、及びヒドロキシ塩化マグネシウムと塩化マグネシウムとの合計が1.5重量%未満、より特には、MgOが少なくとも99重量%、及びヒドロキシ塩化マグネシウムと塩化マグネシウムとの合計が1重量%未満を含む、
    該酸化マグネシウム生成物は、0.5~20ミクロンにある、特には2~10ミクロンにある、D50を有し、
    該酸化マグネシウム生成物は、75~400秒、好ましくは100~350秒、具体的には150~300秒、にあるクエン酸反応性を有する。
  9. カルボン酸の製造方法であって、発酵プロセスにおける中和剤として請求項8に記載の酸化マグネシウム、又は請求項1~7のいずれか1項に記載の方法によって得られうる酸化マグネシウム、又は請求項1~7のいずれか1項に記載の方法によって得られた酸化マグネシウムを、そのまま若しくは前記酸化マグネシウム生成物を水と反応させることによる水酸化マグネシウムへの転化工程の後に用意すること、ここで、発酵工程は、発酵培地において微生物によって炭素源を発酵させて、カルボン酸を形成し、該カルボン酸が該中和剤によって少なくとも一部が転化され、カルボン酸マグネシウム塩の形成をもたらす、前記方法。
  10. 該カルボン酸マグネシウムを酸性化工程に付すこと、ここで、該カルボン酸マグネシウムは、水性環境においてHClと接触されて、カルボン酸と塩化マグネシウムとを含む水性混合物を形成する、
    カルボン酸と塩化マグネシウムとを含む該水性混合物を分離工程に付して、カルボン酸を含む流出液と、塩化マグネシウム水性溶液とを形成すること
    の工程を更に含む、請求項9に記載の方法。
  11. 前記分離工程の後、前記カルボン酸が精製工程、例えば、洗浄、活性炭処理、再結晶、蒸留、及び濾過から選択される精製工程、に付される、請求項10に記載の方法。
  12. バイオマス除去工程が、前記発酵工程と前記酸性化工程との間に行われる、請求項10又は11に記載の方法。
  13. 前記噴霧乾燥工程及び前記焙焼工程のうちの1以上において生成されたHClの少なくとも一部が、前記酸性化工程に提供される、請求項10~12のいずれか1項に記載の方法。
  14. 前記カルボン酸が、少なくとも2個、しかし8個以下の炭素原子を含むモノカルボン酸、ジカルボン酸又はトリカルボン酸であり、特に、乳酸、コハク酸、2,5-フランジカルボン酸から選択される、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
  15. 前記カルボン酸が乳酸であり、該乳酸はその後、ラクチド又はポリラクチドに転化
    される、請求項10~14のいずれか1項に記載の方法。
  16. カルボン酸を製造する方法であって、
    炭素源を発酵工程に付してカルボン酸を形成すること、ここで、該発酵工程は、発酵ブロスにおいて微生物によって炭素源を発酵させてカルボン酸を形成すること、及び、酸化マグネシウム及び水酸化マグネシウムから選択されるマグネシウム塩基を添加することによって、該カルボン酸の少なくとも一部を中和し、それによって、カルボン酸マグネシウムを得ることの工程を含む、
    該カルボン酸マグネシウムを酸性化工程に付すこと、ここで、該カルボン酸マグネシウムは、水性環境においてHClと接触されて、カルボン酸と塩化マグネシウムとを含む水性混合物を形成すること、
    カルボン酸と塩化マグネシウムとを含む該水性混合物を分離工程に付して、カルボン酸と、それから分離された塩化マグネシウム溶液とをもたらすこと、
    該塩化マグネシウム溶液を、300~475℃の温度で噴霧乾燥工程に付して、酸化マグネシウム10~80重量%、及びヒドロキシ塩化マグネシウムと塩化マグネシウムとの合計20~90重量%を含む噴霧乾燥生成物の形成をもたらすこと、
    該噴霧乾燥工程の該生成物を、水の存在下、焙焼器における600~900℃の温度で焙焼工程に付して、MgOが少なくとも98重量%、及びヒドロキシ塩化マグネシウムと塩化マグネシウムとの合計が2重量%未満を含む生成物の形成をもたらすこと、ここで、MgO、ヒドロキシ塩化マグネシウム及び塩化マグネシウムの百分率は、MgO、ヒドロキシ塩化マグネシウム及び塩化マグネシウムの合計で計算される、
    の工程を含む、前記方法。
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