JP2023520837A - 増強された効果を有する薬剤の送達のための医薬製品 - Google Patents

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Abstract

本発明は、例えばステントまたはバルーンカテーテルなど、罹患血管と少なくとも定期的に接触する医療機器ならびに定義された溶液によりそれを被覆する方法に関する。本発明によると、再狭窄阻害剤は、4μg/mm2を超える活性物質濃度で外部表面上に配置されている。

Description

本発明は、各内腔の機械的開口術(mechanical opening)又は拡張を行った後の体内の動脈または他の導管の再狭窄をより有効に阻害するための製品の選択に関する。
過去20年において、局所適用された薬物を使用する、例えば、血管形成術、アテローム切除術、またはステント移植により損傷された動脈の再狭窄の問題は、非常に大幅に軽減された。顕著な例は、冠動脈に使用するための薬剤溶出性ステント(DES)およびパクリタキセルにより被覆された血管形成用カテーテルのバルーン(薬物被覆バルーン、DCB)である。
DESは、長期間にわたりゆっくりと送達され、例えば動脈硬化のために狭窄した(arteriosclerotically constricted)動脈の強制的拡張による血管壁損傷後に起こされる細胞増殖を阻害する非常に少ない投与量の薬物を含む。過度な細胞増殖は、動脈壁の肥厚および動脈内腔の狭窄をもたらし、したがって血流が減少する。現在利用可能なDESには、それらが永久的なインプラントであり、その構造および柔軟性について治療された動脈セグメントを永久に変化させて、その後の介入をより困難にするという欠点がある。永久的なインプラントは、現在の知識によると、移植後の余命の間、0.4%から2.0%の年間頻度の臨床事象と関連する。ステント用の好ましい薬物は、免疫抑制性マクロライドのクラスに属し、リムス物質としても公知であり、公知の薬物はラパマイシン(シロリムス)である。リムス物質により被覆されたステントは、現在、冠動脈の狭窄のほとんどの症例に使用されている。代替として、および困難な症例において、バイパス手術および、特に既にステントが備えられた血管の狭窄の場合に、DCBも利用可能である。ステントが避けられるべき場合、選択された症例において、DCBは、冠動脈の狭窄または閉塞の初期治療のためにステントの代わりにも使用され得る。末梢動脈には、バルーンカテーテルが使用されることが好ましい;ステントは、バルーンにより満足できる転帰を得ることができない場合にのみ使用される。
DCBは、腫瘍治療から公知である細胞の増殖を阻害する活性物質、最も好ましくはパクリタキセルも含む。DCBの利点は、それらが薬物を血管壁に送達するが、カテーテル自体は血管内に数秒から数分だけとどまり、次いで、短期間の治療の終了時に全体として除去されることである。血管形成術用バルーン上に元々あった薬物の一部のみが血管壁内にとどまる。血管はその元の構造および柔軟性を保持し、その機能は回復でき、将来の介入がより困難にはならない。ステント移植に対するDCBの欠点は、とりわけ、血管の断面の安定化の欠如である。バルーンによる血管内腔の拡張ならびにバルーン内の圧力の解放およびその除去の後で、血管内腔の弾性による再狭窄が稀な出来事ではない一方で、ステントは、大部分、血管壁が弾性による収縮を起こさないようにする。
増殖阻害薬物を有するコーティングバルーンカテーテルおよびコーティングステントは、治療された血管セグメントの内腔の再狭窄の頻度を明らかに低下させるが、特に末梢動脈における、現在までに得られた臨床結果は完全に満足できるものではなかった。治療の一部は所望の転帰を有さず、すなわち6~12か月未満で、薬物により被覆された製品による治療にもかかわらず、血管内腔は、別の治療が必要となる程度まで再び収縮する。この療法の失敗の頻度は平均で5~10%である。これは、治療された血管セグメントが、多くの場合、永久的に開いた状態のままではなく、初期の治療成功の後2、3年、またはそれ以上で、新たな収縮または閉塞がさらなる症状をもたらし、それにより、最善の状態では介入を繰り返すことが必要となり、より不運な場合には、それらがもはや除去できないことを意味する。
現在、マクロ環状免疫抑制剤(別名リムス物質として公知、例えば、ラパマイシンなどのシロリムス、エベロリムスなど)は、主として冠動脈用のステント上に使用される;パクリタキセルはバルーン上に使用される。より有効な活性物質を研究することが明らかであろう。この目的のために、ステントによる実験が過去に実施された(Muni N I et al.2005;Liistro and Bolognese,2003)。同様に、パクリタキセルよりはるかに有効なことがある細胞増殖抑制物質が、バルーンカテーテルのバルーン上で試験されたが、成功しなかった(Speck U et al.,J Cardiovasc Surg 2016;57:3-11)。
増殖阻害薬により被覆された複数のバルーンカテーテルが臨床試験を受け、治療された患者の全員に対して、平均で、血管内腔の狭窄は減少したが、いずれのコーティングも全患者および治療された血管部分の全てには効かなかった(Anantha-Narayanan M et al.Catheter Cardiovasc Interv.2019 Jul 1;94(1):139-148)。この主張は、治療後6~12か月の時点についてのものだった。このコーティングの所望の効果は、この時点の後で減少した。
現在までに記載されてきたDCBのいずれも、可能な限り多くの患者における、かつ長年にわたる効果の必要条件を満たさなかった。コーティングバルーンカテーテルのためのより有効な薬物は、まだ発見されていない。
この点において、血管収縮または閉塞の最小侵襲局所療法の現在の手法の効果における改善は重要であり、本発明の目的である。改善は、血管内腔の機械的拡張または回復の後で、時期尚早に新たな治療を必要とするか、または治療の初期の成功が数年後に失われる患者の比率の減少を目的としている。
したがって、本発明の目的は、特に、好ましい活性物質パクリタキセルの使用による、より信頼できる、増強された、かつ/またはより長時間持続する狭窄した血管の開放を単一の治療で得ることである。治療直後の血管壁内の活性物質(パクリタキセル)の濃度または活性物質(パクリタキセル)の量が、この目的を達成する必須条件として、かつ実験的に容易に測定可能な因子として観察および測定される。
この目的は、独立請求項の特徴を有する医療機器およびコーティング溶液によるそのコーティングにより達成される。この点について、第1の態様において、本発明は、罹患血管と少なくとも定期的に接触する医療機器であって、外部表面を有する長尺中空体を備えており、血管壁上への送達に特異的である再狭窄阻害剤を含む活性物質または活性物質混合物が外部表面上に配置された医療機器に関する。本発明によれば、活性物質または活性物質混合物は、少なくとも複数の領域で、4μg/mm超、特に5μg/mm超、特に6μg/mm以上のローディング(loading)(または面密度)で表面上に存在する。
以下の文章で、用語「外部表面」は、中空体の内径もしくは内部内腔から外方を向くか、またはその意図された使用の間に血管の内壁に向く中空体の表面を意味すると理解されるべきである。薬物またはコーティングを有する領域のサイズが異なるので、医薬製品上のローディングはμg/mm(=「ローディング密度」)で与えられる;医薬製品上の薬物の総量は「投与量/医薬製品」で与えられる。実験的または臨床的使用における投与量は、これらの製品の2つ以上を使用することにより増加させることができる。
本発明の主題は選択発明に関する。機械的方法を使用する内腔拡張後の血管狭窄の阻害のための薬物により被覆されたバルーンカテーテルは、およそ20年前に初めて研究され、およそ2003年から臨床的に証明されてきた。心臓の動脈およびいくつかの末梢血管の治療された動脈部分の再狭窄の望まれる阻害に疑う余地はないが、全患者および治療された動脈の全てに効果が観察されるわけではなく、それが長期間続くわけでもないことが認められなくてはならない。種々の活性物質、コーティング用の組成物、および被覆方法の試験にもかかわらず、この点において何も変わらなかった。
投与量を上げるなど、有効性または有効性の持続期間を改善する明らかな方法は、一部には適合性についての懸念に関して、一部には付着の困難さおよび好適な医薬製品の表面上の層の厚さのために追究されなかった。
可能性のある変数が長い間公知であったが、目的を達成するのに必要である好適な選択はまだ利用可能にされていない。
そのため、現在の実際に公知である製品は、上述の理由、すなわち適合性の懸念およびコーティング能力(充分な付着、層の厚さ、したがって使用の好適性)のため、一貫して、現在本発明において特許請求されているよりも低い投与量を有する。さらに、特許文献における、または文献における臨床使用の、活性物質3.5μg/mmを超える投与量の例はない。対照的に、動物実験を考慮すると、製造者は、元々選択され、試験された3μg/mmの投与量より低い投与量を導入してきた。
多くの刊行物は、パクリタキセルに対する警告を発し、可能かつ有用であることが分かった好ましい活性物質パクリタキセルを有する増加したコーティングおよびより高い投与量に関する本発明の教示の反対のことを実際に教示している。
驚くべきことに、DCBの作用が、バルーン材料およびコーティングの好適な選択により、信頼性があり永続的な効果の目標に近づくことが示された。この点について、標準と比較して、4μg/mmを超える、特に5μg/mmを超える、より高い活性物質密度が、血管壁との接触時間が同じ場合に著しく高い移動速度をもたらし、したがって、血管壁内のより高濃度の活性物質をもたらすと評価することは容易である。
この目的を達成するために、より高い投与量の使用が標的部位でのより多量の薬物をもたらさなくてはならず、標的組織内に導入される活性物質の量の増加は、より高い効果をもたらす。とりわけ、投与量の増加には、薬物の忍容性が良好であることが必要である。
より大きい血管の長いセグメントの治療のための直径が大きい長いバルーンは、当然ながら、小さい内腔の血管の小さいセグメントより多くの活性物質を必要とするので、バルーン上の通常の投与量はバルーン表面積に対するものである。パクリタキセル3μg/バルーン表面1mmという元々導入された投与量は、その時点で、製造可能であった滑らかなバルーンメンブレンの可能な最大のローディングであった。現在まで利用可能である製品は、かなり少ない投与量、多くの場合、活性物質パクリタキセルでわずか2μg/バルーン表面1mmしか含まない。最高量投与された製品は3.5μgのパクリタキセル/mmであった。刊行物は、使用される頻度が低いシロリムスと比べた、バルーン上の活性物質パクリタキセルの適合性に関する懸念を示すか(Wessely et al.2006)、または遠位に洗い流され、水への溶解度が低いパクリタキセルによる塞栓症のリスクを指摘する(Gongora et al.,2017)。最近、パクリタキセルにより被覆された医薬製品の使用後の死亡率増加を示唆し、パクリタキセルの投与量を低く保つための警告も示唆する研究が発表された。
高い投与量は、治療された血管の総数に対して、再び迅速に狭くなる血管の割合を減少させ、治療された血管セグメントが開放したままである期間を延ばすのに充分である投与量を意味する。パクリタキセルおよびシロリムスの場合、この投与量は、医薬製品の表面1mmあたり5μg以上、好ましくは6μg/mm以上、特に好ましくは10μg/mm以上である。
パクリタキセルによる従来のバルーンカテーテルのローディングの著しい増加が適合性を損なうであろうこと、および任意の活性物質による従来のバルーンカテーテルのローディングの著しい増加が、これらのカテーテルが患者に使用される場合、多くの技術的、薬物、および生理学的問題のために困難であることが、全てにおいて助言されている。
バルーン表面上の投与量を増加させることは、増加した量の薬物が充分良好に付着し、必要であるバルーンの折畳みの間に失われないことを前提としている。
さらに、バルーン上のより高い投与量は、より高い量/濃度の活性物質を動脈壁内にもたらすはずであるが、それは、増加した量の活性物質がバルーン表面にあまり良好に付着せず、治療部位に運ばれる間に失われ得るために、また、バルーン膨張の短期間の間の血管壁の取込み能力(take up capacity)が、その薬物に関して限定され得るために明らかではない。
それにもかかわらず、上述の目的は、それ自体が公知であるバルーンコーティングの成分と方法の新規組合せにより達成される。
考察され得る活性物質または薬物は、高度に親油性で、実質的に水不溶性であり、有効性が高い薬物であり、あらゆる組織成分に結合する。薬物は、それらのブタノール:pH7の水性緩衝液分配係数が0.5、好ましくは1、特に好ましくは5である場合、またはオクタノール:pH7の水性緩衝液分配係数が1、好ましくは10、特に好ましくは50超である場合に親油性であると記述される。代替として、または追加的に、薬物は、10%超、好ましくは50%超、特に好ましくは80%超の程度で、可逆的および/または不可逆的に、細胞成分に結合しなくてはならない。パクリタキセルおよび他のタキサン、ラパマイシンおよび関連物質、タクロリムスおよび関連物質、コルチコイド、性ホルモン(エストロゲン、エストラジオール、抗アンドロゲン)および関連物質、スタチン、エポチロン、プロブコール、プロスタサイクリン、血管新生誘導因子など、細胞増殖を阻害し、もしくはさらに炎症プロセスを阻害する物質または抗酸化物質が好ましい。物質は、好ましくは乾燥固体物質の形態で、または油状物として種々の医薬製品の表面上にある。可能な限り小さいサイズの粒子が好ましい(大多数は5μm未満、好ましくは1μm未満、特に好ましくは0.1μm未満)。結晶構造が特に好ましい。
投与量は、利用される薬物の所望の効果および有効性をねらっている。それは高くて6μg/mmにまでなり得るが、これは上限を構成しない。本発明によるコーティングでは、カテーテルをガイドするのに使用されるもののようなワイヤが使用される;圧力を使用して少なくとも短期間患部組織に対して押しつけられるニードルおよびカテーテルまたはカテーテルの一部が想定される。薬物療法に意図されるカテーテルまたはバルーンの領域の長さおよび直径は、塗布にとってあまり重要ではなく、その理由は、投与量が、活性物質μg/表面1mmで計算されるからである。一例としては、冠動脈拡張用バルーンでは、2~4mm未満の範囲の直径および1.0~4.0cmの長さが通常である。他の血管では、20mm超までの直径および20cm超までの長さのバルーンが利用され得る。被覆すべき表面は、滑らかなことも(すなわち、活性物質を受け取るための特定の構造がない)、ざらざらなことも、任意の方法で構造を備えていることもあり、特殊な表面構造は活性物質の付着に不可欠ではないが、付着を阻害しない。バルーン表面への活性物質の付着は、もっぱら、好適な溶媒および、適切な場合、付着に影響する添加剤の選択によりもたらされる。驚くべきことに、それは、非常にかつ完全に滑らかなバルーン表面にすらしっかりと結合する。
表面の全ては、さらに、製品の滑り性(glide properties)を改善する物質により被覆されているか、または被覆され得るが、それは、コーティングに使用される材料が環境に放出されることなく、コーティングが標的組織の治療のための活性物質の送達を実質的に制限することなく、表面上の血液の凝固を予防するか、または医薬製品の他の性質を改善し、したがって有効性を改善する。
そのため、本発明の一実施形態において、医療機器は、好ましくは、外部表面上に補助物質をさらに有する。
組織への取込みを改善すると同時にカテーテル、ニードル、またはワイヤの表面への良好な付着は、高度に親油性で、低水溶解度活性物質を、易水溶性マトリックス物質に組み込むことにより得られる。好適なマトリックス物質は、インビボで使用される造影剤および医学における種々の診断方法のための染料、糖および糖アルコールなどの関連物質、低分子量ポリエチレングリコール、安息香酸塩などの生体適合性有機および無機塩、サリチル酸の塩および他の誘導体などの低分子量(分子量が、5000D未満、好ましくは2000D未満)親水性物質である。ヨード系X線撮影造影剤および常磁性キレートは造影剤の例である;染料の例は、インドシアニングリーン、フルオレセイン、およびメチレンブルーである。補助物質は、また、製品の貯蔵性を改善するように機能することも、補足的薬理作用をもたらすように機能することも、品質管理のために使用されることもある。
そのため、本発明による機器の表面は、好都合には、有機的に結合したヨウ素、好ましくは、イオパミドール、イオメプロール、イオプロミド、および/またはイオヘキソール、ならびに尿素、マグネシウム塩、特にステアリン酸マグネシウム、デクスパンテノール、親油性抗酸化物質、特にノルジヒドログアイアレチン酸、レスベラトロール、および/もしくは没食子酸プロピル、またはこれらの組合せを含む補助物質を含む又はからなる。
本発明の特に好ましい実施形態において、有機的に結合したヨウ素は、少なくとも複数の領域で、0.1μg/mmから0.8μg/mm、好ましくは0.1μg/mmから0.5μg/mmの範囲のローディング密度で、外部表面上に配置されている。これは、4~6μgの活性物質/表面積のmmの範囲の活性物質に関して、およそ0.2μg/mmから1.6μg/mmまたはおよそ2%から20%ヨウ素のヨウ素含有有機物質のローディング密度に相当する。
標準的な量と比べて補助物質の減少したローディング密度が、血管壁上への活性物質の移動改善をもたらすことが示された。
さらなる実施形態において、医薬活性物質は、粒子上に吸着され得るか、または低分子量マトリックスと共に好適な医薬製品の表面に塗布され得る。やはり、好適な粒子は、フェライトおよび超音波検査用の種々の造影剤など、公知の生体適合性診断用化合物である。
バルーンカテーテルは、非常に薄いプラスチックチューブから、セグメントの長さを1から20cm超に拡大することにより形成される。次いで、拡大された非常に薄壁のバルーンメンブレンは、カテーテル軸に対して縦方向に並べられた複数の折畳みに配置され、折り畳まれた状態で、その後に広げられる領域が通常のカテーテルより最小限度だけ大きい直径を有するように、カテーテル軸の周りにしっかりと巻かれる。バルーンシースの締まった折畳みは、バルーンカテーテルが、ローディングコネクター、ガイドカテーテル、および、例えば血管の著しく狭窄した部分を問題なく通過するために不可欠である。
本発明の好ましい実施形態において、外部表面は、少なくとも複数の部分で、非弾性圧縮抵抗性メンブレンであり、メンブレンは、好ましくは上述のバルーンカテーテルのバルーンである。
好ましいカテーテル材料は、ポリアミド、ポリアミドブレンドおよびコポリマー、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンおよびコポリマーである。
特に好ましい実施形態において、メンブレン、すなわちカテーテル材料は、ポリアミド、ポリエーテルブロックアミド(PEBAX、vestamid)、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレートまたはそれらのコポリマーおよび/もしくはブレンドを含む又はからなる。
好ましい実施形態において、バルーンは、15バール超に、特に30バール超に膨張できる。これは、特に上述の材料により実現できる。
さらなる態様において、本発明は、罹患血管の治療のための医療機器を被覆するための、特に本発明による機器の製造のための溶液の使用に関する。この点について使用される溶液は、溶媒、再狭窄阻害性活性物質、および活性物質のためのマトリックスを形成する有機的に結合したヨウ素を含む補助物質を含む。本発明によると、補助物質は、有機的に結合したヨウ素を、溶液中の活性物質に対して、1.2%から12.5重量%、好ましくは2.5重量%から12.5重量%の範囲の量で含む。活性物質のローディング密度が4であると、これは、好都合には、0.1μg/mmから0.75μg/mm、好ましくは0.1μg/mmから0.5の範囲のヨウ素のローディング密度を外部表面上でもたらす。
本発明による溶液により被覆された医療機器、特にバルーンカテーテルは、従来技術の公知の被覆された機器よりも多くの活性物質を、同じ期間にわたり血管壁上に送達することが示された。
好都合には、有機的に結合したヨウ素は、イオプロミド、イオパミドール、および/またはイオメプロールとして溶液中に存在する。
本発明の好ましい実施形態において、溶液は、活性物質、特にパクリタキセルまたはシロリムスを、5mLの溶液中100mgから200mgの範囲の濃度で含む。
好適な溶媒の例は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、ジエチルエーテル、アセトン、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、水、またはこれらの混合物である。溶媒の選択は、活性物質および添加剤の溶解度、ならびに被覆すべき表面の濡れ、ならびに溶媒および粒子の蒸発後に残されるコーティングの表面に対する効果、表面に対するその付着、ならびに非常に短い接触時間での活性物質の組織内への移動の関数としてなされる。
特に好都合には、溶液は、アセトン、水、および/またはエタノールを溶媒として含み、溶媒混合物は、3%から25体積%、特に5%から15体積%の水を含む。
実験の出発点は、好ましくは、国際公開第2004/028582号、実施例7による配合物、好ましくは溶液Bである。引用されている実施例とは異なり、Ultravist 370の比率は、100μL/5mLのコーティング溶液から、5~50μL/5mLの溶液混合物に減らされた;減らされた体積のUltravistは、3.8~38.45mgのイオプロミド/150mgのパクリタキセルまたは1.85~18.5mgの有機的に結合したヨウ素/150mgのパクリタキセル、特に好ましくは5~20μLのUltravist 370/5mLの溶液混合物をもたらした。100μLのUltravist 370は、37mgの有機的に結合したヨウ素に相当する、76.9mgのX線撮影造影剤イオプロミドを含む。
パクリタキセルおよびUltravistの溶媒において、水の割合は、溶液Bを有する国際公開第2004/028582号の実施例7と比べて、1.3体積%未満から、3~25体積%に、特に好ましくは5~15体積%に上昇した。X線撮影造影剤Ultravist 370の代わりに、Ultravistに含まれている造影剤イオプロミドの水溶液が使用され得る。同様に、イオパミドールを造影剤とするIsovue(商標)370、または、イオメプロールを造影剤とするIomeron 400、または利用可能な濃度の他の同等な製品などの同等な他の造影剤が使用され得る。
塗布は、例えば、浸漬、被覆(coating)、体積測定装置(volumetric measuring devices)による塗布、または噴霧により、それぞれ異なる温度でよく、および適切な場合、雰囲気中の溶媒の蒸気飽和によるものでよい。手順は、適切な場合、異なる溶媒および補助物質も使用して複数回反復され得る。
特に好ましい実施形態において、バルーンは、特に、カニューレと共に、定義された体積の活性物質溶液により膨張した状態で被覆される。乾燥および折畳みの後で、バルーンは、乾燥潤滑剤、例えばステアリン酸マグネシウム粉末により処理され得るか、または非常に短時間、ステアリン酸マグネシウムの水性懸濁液もしくはヒト代謝において分解可能でもヒトにより排泄可能でもある別の生体適合性潤滑剤の懸濁液もしくは溶液に浸され得るか、またはこのタイプの懸濁液もしくは溶液により噴霧されるか、またはなんらかの他の方法で濡らされ得る。この工程の後で、バルーンは再び乾燥され、保護スリーブが与えられ、EOを使用して滅菌される。最終生成物は、ヒトによる使用に好適で承認される、滅菌済みの適切に包装された高投与量パクリタキセル被覆バルーンカテーテルである。
薬物または複数の薬物の支持体は、プロキシマルハンドル、ワイヤルーメンおよびリキッドルーメンを有するカテーテルシャフト、シリンジのコネクターおよびガイドワイヤの挿入ポートを有するプロキシマルハンドル、ならびにポリアミド、例えば、ポリエーテルブロックアミド(例えばPEBAXまたはvestamid)、ポリアミドブレンドおよびコポリマー、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレートから製造された、薄く、非弾性または弾性がほとんどない圧縮抵抗性メンブレンから製造された滑らかまたは構造化された表面を有する遠位のバルーンを有する、例えば、全種類の動脈、例えば、心臓内、頭蓋骨内、四肢内、または体内の他の場所の動脈の治療に好適であるサイズの従来のバルーンカテーテルである。「圧縮抵抗性」は、バルーンが破裂せずに4~30バール超に膨張できることを意味する。バルーンは、バルーンメンブレンにさらなる圧縮強度を与え、膨張したバルーンの形状を変え、膨張時にそれが接触する組織に対する効果を発揮し、例えば、それが、熱または電気パルスにより組織を傷つけ、切断し、または影響する他の材料、例えば、金属またはプラスチックから製造された要素を含み得る。
コーティングのために、活性物質が、ならびに適切な場合、補助物質および添加剤も同様に、水を添加して、または水を添加せず、有機溶媒に溶解または懸濁される。好ましい溶媒混合物は、アセトン、エタノール、および水を含む。好ましい添加剤は、イオパミドール、イオプロミド、またはイオヘキソールなどのX線撮影造影剤であるが、尿素、活性物質の20重量%以下の比率で、医薬製品の表面へのそれらの付着および標的部位でのそれらの放出に正の影響を与え、かつ/または組織内への活性物質の移動を促進するマグネシウム塩など、バルーンカテーテルを被覆するための他の従来の補助物質でもある。組織の炎症反応を緩和し、かつ/または治癒を加速させる活性物質または補助物質の添加剤が特に好ましい;例は、デクスパンテノールおよびコルチコイドである。
医薬製品上の薬物の有効性は、治療される組織への移動を改善することにより、投与量を上げずに増強され得る。これは、特に、標的部位に短期間しかとどまらない医薬製品にとって重要である。このことの例は、血管内で膨張するバルーンカテーテルであるが、膨張により血流が完全に遮断され、したがって、例えば冠動脈内、または実際に、中枢神経系に供給している動脈内では、それらは収縮されて、非常に短期間の後に除去される。バルーンカテーテルのバルーンから冠動脈の血管壁への薬物の移動は、Scheller et al.,2004の最初の発表によると、ステントが移植されていなかったか、または移植されない限り、平均でバルーン上の全投与量の8.7±4.9%であった。より最近の研究において(Speck et al.,2018)、移動は、冠動脈で7.8±3.4%およびブタの足の動脈で投与量の7.1±6.1%であると与えられた。
治療される組織に送達される活性物質の比率の増加は、新規DCBの開発における目的である。この目的のために、コーティングの組成および被覆の様式が、多くの方法で、種々のフィルムにより変えられたが、有効性の著しい改善は明らかになかった(Anantha-Narayanan M et al.Catheter Cardiovasc Interv.2019 Jul 1;94(1):139-148;Meredith IT,TCT2019)。臨床面では、バルーンカテーテルのハンドリングは、治療される血管セグメントが事前に注意深く準備され、バルーンの膨張の期間が可能な場合延びたという点で改善された。
全く驚くべきことに、薬物-組織移動が、選択されたコーティング配合物および被覆様式と組み合わせた好適なバルーンメンブレンを選択することにより改善され、動脈壁内への薬物の再現性のある高い移動をもたらすことが見出された。例えば、ポリエーテルブロックアミドメンブレン、特に商品名PEBXまたはvestamidで販売されているものと、NDGA(ノルジヒドログアイアレチン酸)および没食子酸プロピルなどの親油性抗酸化物質を有する配合物の組合せが当てはまるが、その一方で、例えば、活性物質の動脈壁内への移動の場合、他の配合物(補助物質無しまたは他の補助物質有り)は、PEBAXと、例えばナイロンメンブレンと間の差を示さなかった(実施例3、表3)。
バルーンカテーテルのメンブレンは、バルーン内の圧力が上げられる場合、異なる安定性を有する。低圧力で膨張し、血管または体腔の形状または直径に適合する、ラテックスまたはポリウレタンなどの弾性材料から製造された弾性のメンブレンが存在する。さらなる群は、例えば、狭窄した動脈を拡張させるのに使用され、およそ15、最大で20バールまでの圧力に耐えることができるナイロンまたはPEBAX(ノンコンプライアントまたはセミコンプライアント)から製造された、概して寸法安定性があるメンブレンによる、血管形成術に従来使用されているバルーンにより形成される。最後に、例えば高度石灰化血管内、または腎機能が不十分な患者の透析用の動静脈シャントにおける、非常に中実の血管狭窄では、大幅に高い圧力に耐えることができるバルーンを有するバルーンカテーテルが使用される。その拡張が高圧を要する狭窄の場合、これらは、「血管準備(vessel preparation)」の状況で高圧バルーン(およそ20~40バールまでの圧力に好適)により拡張でき、次いで、DCBによるその後の治療により、血管への創傷により刺激された過度の瘢痕形成を妨げることができる。DCBを使用することにより、内腔の再狭窄は減少する。さらに、治療の永続性は多くの場合良好ではない(Steiner K,Endovascular Today June 2016;Karnabatidis TCT 2013)。
先行する研究は、血管壁内への薬物の移動の間の膨張圧力(Bienek et al.Catheter Cardiovasc Interv.2020 Feb;95:319-328))およびその効果(Cremers et al.,Clin Res Cardiol.2012;101:385-91)が著しい影響を持たないことを示した。DCBのための低い膨張圧力(2バール)で、より高い膨張圧力(12バール)によるものと類似である内腔狭窄の阻害が動物実験で見られた。別のバルーンにより、非常に低い圧力(2バール未満)ですら、投与量の13.9±6.4%が、バルーンから血管壁内へ移動した。
被覆された高圧バルーンによる実験は反対の結果を生み出した。およそ10バールまで膨張した従来のDCBに対して、治療された動脈壁内への薬物の移動の著しい増加が観察された。非常に低い膨張圧力とより高い膨張圧力での薬物移動の間に、ならびにおよそ2バールによるバルーンとおよそ12バールによるバルーンの膨張時で薬物の効果に実質的な差異は見られなかったので、非常に高い膨張圧力によるバルーンを使用した後の血管壁内への薬物移動の観察された増加は驚くべきものであった。組織内への薬物移動の増加は、治療が困難で、大きな力でないと広げることができない血管狭窄、例えば石灰化動脈中ですら、再狭窄の著しい阻害が期待されるだろうことを意味するだろう。
好ましい用途において、バルーンカテーテルは、狭窄または閉塞した動脈を拡張させるように機能する。バルーンカテーテルは、動脈内腔の拡張直後に過度の細胞増殖により起こる再狭窄を予防するために、薬物により被覆された。このようにして薬物により被覆された最初のバルーンカテーテルの特性および治療成績は、2004年(実験的、Scheller et al.)および2007年(臨床、Scheller et al.)に発表された。その時点のコーティングでは、投与量のわずか8.7±4.9%しかバルーンから動脈組織内に移動しなかった(Scheller et al.,2004)。この動脈壁内への導入は、効果に関して決定的であり、B.Braunの現在の市販製品に対してすら大幅に高くなり得る。
[実施例1]
コーティングの変更による、被覆されたEO滅菌バルーンから治療された動脈組織内への増加するパクリタキセル(Ptx)移動(カラム6):補助物質の減少(カラム4)、コーティング溶液の含水量の増加(カラム3)、および広げられた状態でバルーンを被覆する(カラム2)。全バルーンは、およそ3μgパクリタキセル/バルーン表面1mmを有する。方法:ブタの冠動脈での実験;方法に関しては、Scheller et al.2004,Speck et al.2018を参照されたい。
Figure 2023520837000001
独国特許出願公開第10244847号明細書の実施例7Bに従って被覆したバルーンカテーテルにより、平均で活性物質パクリタキセルの8.7%が動脈壁内に移動し、選択された新たなコーティングは、血管壁内の投与量の著しく高い比率をもたらしたが(19.1~29.9%)、ここで、補助物質がないバージョン(A群)は考察されないままであり、その理由は、パクリタキセルがあり補助物質がない以前のバルーンコーティングが、再狭窄の所望の阻害を考慮すると、患者において有効性があまり高くないことが分かっていたからである。
[実施例2]
バルーン上の投与量の増加
バルーン寸法4×40から7×40mmのAcotecのバルーンカテーテルを、溶液中の活性物質に対して10体積%の水および10重量%のイオプロミドを有する組成物を使用してパクリタキセルにより被覆し、飼育ブタの内腸骨動脈または大腿動脈内で1分間膨張させた(方法に関しては、Scheller et al.2004,Speck et al.2018を参照されたい)。
カラム(1):バルーンが、異なる動脈および動脈の部分の治療のために異なる長さならびに(本明細書に記載のもの以外の用途に)異なる直径を有するか、または有し得るので、バルーン表面積に対するμg/バルーン表面1mmでのパクリタキセル(Ptx)。カラム2~4:バルーン収縮の10~40分後の、治療された動脈壁内のパクリタキセル(飼育ブタの内腸骨動脈または大腿動脈のセグメント、およそ3月齢、体重およそ25kg);カラム5:動物からの除去後のバルーン上に見られた元のパクリタキセル投与量の比率(カラム1参照)。
ライン4、カラム1:測定したバルーンカテーテルの数;カラム2~4:調査した動脈の数;カラム5:使用したバルーンの数。
ライン5、カラム2~5:各動脈において、3μg/mmバルーン表面のパクリタキセルにより被覆したバルーンを1分間膨張させ、次いで収縮させて、除去した。
ライン6、カラム2~5:各動脈において、より多くの薬物を動脈壁内に移動させるため、ライン5と同じタイプのパクリタキセルにより被覆された2つのバルーンを、同一の動脈セグメント内で順々に膨張させた。
ライン7:ライン5と同様に、1つのみの被覆されたバルーンを各動脈セグメント内で膨張させたが、これは2倍量のパクリタキセルにより被覆されていた。
Figure 2023520837000002
結果および結論:3μg/バルーン表面1mmの投与量で、組織内への薬物移動についての、このタイプのコーティングの期待値および最後にバルーン上に残った少量を測定した。血管の全く同じセグメント内で膨張させた、2つの同一カテーテルの使用は、動脈内にほぼ2倍量の薬物をもたらした。バルーンの投与量を倍増させることは、少なくとも同じ効果を有した。少なくとも2倍量の薬物が動脈壁内に移動した。これは、増加した有効性の表れと理解されるべきである。
[実施例3]
バルーンメンブレンおよびコーティングの組成の、ブタの動脈壁上へのパクリタキセルおよびシロリムスの移動に対する影響
バルーンカテーテルのバルーンを、上述の通り、パクリタキセル含有(Ptx)またはシロリムス含有配合物により、広げられた状態で被覆し、折り畳み、エチレンオキシドにより滅菌した;活性物質の減少を、止血バルブ、血液により満たされたガイドカテーテル(長さ1m)を通過させる間に、1分の血液中の滞留時間(ライン5)で測定し、ライン6~8は、ブタの冠動脈での実験の結果を示す;方法に関しては実施例(1)を参照されたい。PTCA=経皮的冠動脈形成術、Pebax=ポリエーテルブロックアミド、NDGA=ノルジヒドログアイアレチン酸、BHT=ブチルヒドロキシトルエン。
Figure 2023520837000003
結果および結論:バルーンはナイロンまたはPebaxからなり、区別がつかないほどに透明で滑らかであった。バルーンメンブレンの実質的に均質なコーティングが、およそ2から5μg/mmの範囲で得られた。全実験の平均で、投与量のおよそ10%が、止血バルブ、血液により満たされたガイドカテーテルを通過する際に、血液中の滞留時間で失われた。抗酸化物質NDGAおよび没食子酸プロピルを有する配合物からのパクリタキセルの移動は、ナイロンメンブレンから製造されたバルーン(6.0±3.4%)との直接比較と、また、文献(Scheller et al.,2004:7.9±2.6%,Speck et al.2018:7.8±3.4%)のデータとの比較の両方で、pebaxメンブレンを有するバルーンでは、投与量のおよそ30%であり、非常に高かった。これは、組織内の高いパクリタキセル濃度をもたらした(ライン8)。観察された動脈の組織内への(抗酸化物質およびpebaxバルーンと組み合わせた)活性物質パクリタキセルの、大幅に改善した移動は驚くべきものであり、このバルーンカテーテルの増強された有効性を表すものである。バルーン上に残存した投与量の比率(ライン9)は、pebaxとナイロンのバルーンの間で大きくは異ならないが、没食子酸プロピルを抗酸化物質として使用した場合はるかに小さかった。
[実施例4]
国際公開第2004/028582号の実施例7に従ったコーティングの組成、最適化:
5mLのコーティング溶液上に、81.1体積%のアセトン、8.8体積%のエタノール、0.4体積%のUltravist 370、9.7体積%の水、150mgのパクリタキセル。

Claims (14)

  1. 罹患血管と少なくとも定期的に接触する医療機器であって、前記医療機器が、外部表面を有する長尺中空体を備え、血管壁上への送達に特異的である再狭窄阻害剤を含む活性物質または活性物質混合物が前記外部表面上に配置され、前記活性物質または前記活性物質混合物が、前記表面上に、少なくとも複数の領域で、4μg/mm超、特に5μg/mm超、特に好ましくは6μg/mm以上の割合で存在することを特徴とする医療機器。
  2. 冠動脈使用のためのバルーンカテーテルおよび/またはステントであることを特徴とする、請求項1に記載の医療機器。
  3. 前記活性物質が、シロリムスまたはパクリタキセルを含む又はからなる、請求項1または2に記載の医療機器。
  4. さらに、補助物質が前記外部表面上に配置され、特に、有機的に結合したヨウ素、好ましくはイオパミドール、イオプロミド、イオメプロール、および/もしくはイオヘキソール、ならびに尿素、マグネシウム塩、特にステアリン酸マグネシウム、デクスパンテノール、親油性抗酸化物質、特にノルジヒドログアイアレチン酸、レスベラトロール、および/もしくは没食子酸プロピル、またはこれらの組合せから選択されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の医療機器。
  5. さらに、有機的に結合したヨウ素が、少なくとも複数の領域で、0.1μg/mmから0.5μg/mmの範囲のローディング密度で前記外部表面上に配置されていることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の医療機器。
  6. 前記外部表面の少なくとも複数の部分が、非弾性の圧縮抵抗性メンブレンを含み、前記メンブレンが、好ましくは、バルーンカテーテルとして構成された前記機器のバルーンとして組み立てられていることを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載の医療機器。
  7. 前記メンブレンが、ポリアミド、ポリエーテルブロックアミド、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、またはそれらのコポリマーおよび/もしくはブレンドを含む又はからなることを特徴とする、請求項6に記載の医療機器。
  8. 前記バルーンが、15バール超、特に30バール超に膨張できることを特徴とする、請求項6または7に記載の医療機器。
  9. 溶媒、再狭窄阻害性活性物質、および前記活性物質のためのマトリックスを形成する有機的に結合したヨウ素を含む補助物質を含む、罹患血管の治療のための医療機器を被覆するための溶液の使用であって、前記補助物質が、前記有機的に結合したヨウ素を、前記溶液中の前記活性物質に対して1.2%から12.5重量%、好ましくは2.5重量%から12.5重量%の範囲の濃度で含むことを特徴とする、医療機器を被覆するための溶液の使用。
  10. 前記有機的に結合したヨウ素が、イオプロミド、イオパミドール、および/またはイオメプロールとして存在することを特徴とする、請求項9に記載の使用。
  11. 前記溶液が、前記活性物質、特にパクリタキセルまたはシロリムスを、5mLの溶液中に100mgから200mgの範囲の濃度で含むことを特徴とする、請求項9または請求項10に記載の溶液の使用。
  12. 前記溶液が、アセトン、水、および/またはエタノールを前記溶媒として含み、前記溶媒が、3%から25体積%、特に5%から15体積%の水を含むことを特徴とする、請求項9から11のいずれか1項に記載の溶液の使用。
  13. 罹患血管の治療のための医療機器を被覆する方法であって、
    a.請求項9から12のいずれか1項に記載の溶液を調製する工程と、
    b.前記溶液を、好ましくは請求項1から8のいずれか1項に記載の前記機器の外部表面の少なくとも複数の領域に、体積測定装置による浸漬、噴霧、または湿潤により塗布する工程と、
    c.前記機器を乾燥させる工程と
    を順に含む方法。
  14. 前記機器が、膨張可能なバルーンを有し、工程(b)において、前記バルーンの外部表面が膨張された状態で、少なくとも複数の領域で被覆されることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
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