JP2023519813A - 2-[(4s)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル]-3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4h-キナゾリン-4-イル]酢酸ナトリウム三水和物の結晶形を製造する方法 - Google Patents

2-[(4s)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル]-3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4h-キナゾリン-4-イル]酢酸ナトリウム三水和物の結晶形を製造する方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル]-3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]酢酸ナトリウム三水和物の結晶形を調製する効果的な方法に関する。【選択図】なし

Description

本発明は、2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル]-3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]酢酸ナトリウム三水和物の結晶形を調製する効果的な方法に関する。
サイトメガロウイルス(CMV)は、固形臓器移植及び同種造血幹細胞移植の後に重大な病的状況と予防可能な死亡を引き起こす、よく見られる日和見感染症である。
(S)-(+)-{8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル]-3-[2-メトキシ-5-トリフルオロメチル)フェニル]-3,4-ジヒドロキナゾリン-4-イル}酢酸又は2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル]-3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]酢酸は、レテルモビル(letermovir)として知られている。抗ウイルス剤として、特にヒトサイトメガロウイルス(HCMV)によって引き起こされる感染症と闘うために、国際公開第2004/096778号で開発された。2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル]-3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]酢酸の塩は、結晶形又は非晶質形で得られる(国際公開第2013/127971A1号)。特に、レテルモビルのナトリウム塩又はカルシウム塩のいくつかは、主に非晶質形で得られる。レテルモビルのナトリウム塩の場合、いくつかの結晶性のナトリウム水和物も得られる。
しかし、独立請求項から明らかなように、2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル]-3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]酢酸ナトリウム三水和物の結晶形を製造する効果的な方法が、依然として必要である。
1つの態様では、本発明は、アルコール、特にメタノール又はエタノールを本質的に含まない、式(I)
Figure 2023519813000001
の結晶性の2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル]-3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]酢酸ナトリウム三水和物に関する。アルコール、特にメタノール又はエタノールは、前記結晶性の2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル]-3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]酢酸ナトリウム三水和物の調製のいずれのステップにも関与しない。これにより、前記アルコールを含有しない生成物がもたらされる。
別の態様では、本発明は、式(I)の2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル]-3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]酢酸ナトリウム三水和物の結晶形を製造する方法であって、
Figure 2023519813000002
以下のステップ:
ステップ1)酢酸(C-C)アルキル及び(C-C)ジアルキルエーテルの混合物中の2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル]-3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]酢酸の溶液を用意することであって、酢酸(C-C)アルキル:(C-C)ジアルキルエーテルのモル比が0.3M~0.7Mの濃度で1:1~1:3であり、溶液の温度が好ましくは30℃~60℃の範囲にある溶液を用意すること、
ステップ2)2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル]-3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]酢酸含有量に対して、1.0~2.0モル当量の水酸化ナトリウム水溶液を、ステップ1から生じる溶液に加えて混合物を得ること、
ステップ3)ステップ2から生じる混合物を30℃~60℃の範囲の温度で少なくとも30分間撹拌して、固体化合物を含有する懸濁液を得ること、
ステップ4)固体化合物をステップ3から生じる懸濁液から分離すること、並びに
ステップ5)ステップ4から生じる固体化合物を30℃~60℃の範囲の温度で少なくとも1時間乾燥させて、結晶性の2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル]-3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]酢酸ナトリウム三水和物を得ること
を含む方法に関する。
先行技術の方法では、レテルモビルのナトリウム塩を別途製造する必要があり、次に前記ナトリウム塩をメタノール又はエタノールなどの水性アルコール中で1週間処理した後、結晶性固体を得て、濾別していた。本開示では、先行技術の前記結晶性固体は、レテルモビルナトリウム三水和物ではなく、レテルモビルの、アルコールと水との混合の溶媒和物の形態であることが証明されている。
溶媒としてメタノールが使用された場合、図1に示されるように、2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル]-3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]酢酸ナトリウムメタノール一水和物の結晶形が形成された。前記結晶性レテルモビルナトリウムメタノール一水和物のX線構造データを表1に載せる。
溶媒としてエタノールが使用された場合、図2に示されるように、2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル]-3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]酢酸ナトリウムエタノール一水和物の結晶形が形成された。前記結晶性レテルモビルナトリウムエタノール一水和物のX線構造データを表2に載せる。
得られた前記結晶、すなわち、レテルモビルナトリウムメタノール一水和物及びレテルモビルナトリウムエタノール一水和物は、図4に示される結晶性の2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル]-3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]酢酸ナトリウム三水和物への変換のために室温及び周囲湿度で2週間乾燥させる必要がある。
また、共溶媒として水の使用は、レテルモビルナトリウム三水和物の形成をもたらさない。したがって、水を共溶媒として使用する先行技術において、レテルモビルナトリウム塩三水和物を製造する方法で成功したものはない。
本発明では、開発及び最適化の間に以下のパラメーターが試験される。
-溶媒/貧溶媒比
-貧溶媒の添加(添加の速度と時機)
-API濃度
-NaOHの添加(直接又は水に溶かして)
-水量
-反応時間
-反応温度
-種結晶の接種(任意選択)
上記の本発明の方法により、式(I)の結晶性の2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル]-3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]酢酸ナトリウム三水和物は、水を共溶媒として使用することによって直接得られる。
本発明の方法は以下の技術的利点を有する。
-2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル]-3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]酢酸ナトリウム三水和物を、レテルモビル塩基から直接調製することができる。
-プロセス全体が比較的短い反応時間(4時間+乾燥に15時間)で済む。
-プロセスにより、レテルモビルナトリウム三水和物が直接得られる(他の遷移形態なし)。
-プロセスは再現性があり、規模を大きくすることが可能である。
別の態様では、本発明は、前記結晶性の2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル]-3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]酢酸ナトリウム三水和物を含む医薬組成物及び前記医薬組成物の調製の方法に関する。
「含む」という用語は、「からなる」という意味も包含し、例えば、前記メンバーを含むメンバーの群は、これらのメンバーのみからなるメンバーの群も包含することが留意される。
本明細書で使用される「室温」という用語は、「標準室温」という用語と同義であり、19℃~26℃の温度を指す。例えば、「室温に懸濁液を冷却すること」は、「19℃~26℃の範囲の温度に懸濁液を冷却すること」を意味する。
本明細書で使用される場合、「結晶」という用語は、X線を回折する分子の三次元規則的配列を指す。
本明細書で使用される場合、「単位胞」という用語は、基本的な平行六面体形状ブロックを指す。結晶の全体積は、そのようなブロックの規則的なアセンブリによって構成され得る。各単位胞は、パターンの単位を完全に表現したものであり、その繰り返しが結晶を形づくる。
本明細書で使用される場合、「空間群」という用語は、結晶の対称要素の配置を指す。
本明細書で使用される場合、「非対称ユニット」という用語は、結晶中の繰り返し全体を作り出すために使用できる最小限の原子座標のセットを指す。
「多形」という用語は、固体状態で2つ以上の結晶形態で存在し得る、レテルモビルのカリウム塩又はその溶媒和物の特定の結晶形態(すなわち、結晶格子の構造)を指す。
本明細書で使用される場合、「溶媒和物」という用語は、溶媒分子との配位を通して複合体を形成する化合物、特に2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル]-3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]酢酸ナトリウム三水和物の形態を指す。水和物は、配位が水と起こる溶媒和物の特殊な形態である。
本明細書で使用される場合、「(C-C)アルキル」という用語は、1~6個からなる炭素原子の飽和、直鎖又は分枝鎖の炭化水素基を指し、すなわち、「(C-C)アルキル」という用語は、-CH、-C、-C、-C、-C11、-C13の直鎖炭化水素基、又は-CH(CH、-CH-CH(CH、-CH(CH)-C、-C(CH、-CH(CH)-C、-CH-CH(CH)-C、-CH(CH)-CH(CH、-C(CH-C、-CH-C(CH、-CH(C、-C-CH(CH、-C-CH(CH、-C-CH(CH)-C、-CH(CH)-C、-CH-CH(CH)-C、-CH(CH)-CH-CH(CH、-CH(CH)-CH(CH)-C、-CH-CH(CH)-CH(CH、-CH-C(CH-C、-C(CH-C、-C(CH-CH(CH、-C-C(CH、若しくは-CH(CH)-C(CHの分子鎖炭化水素基を指す。
本明細書で使用される場合、「ジアルキルエーテル」という用語は、式R-O-Rの基を指し、式中、R基はそれぞれアルキルである。
本発明の範囲内では、「によって得られる」及び「によって得ることができる」という用語は、同じ意味を有し、交換可能に使用される。
本発明の範囲内では、「当量」という用語は、「モル当量」を意味すると理解される。
本明細書で使用される場合、「アルコール、特にメタノール又はエタノールを本質的に含まない」という用語は、単位胞中の1モル%未満、好ましくは0.5モル%未満、より好ましくは0.3モル%未満のアルコールの含有量を指す。
本明細書で使用される場合、「乾燥粉末」という用語は、最終的に分割された薬物又は化学物質の混合物を、内服又は外用を意図した乾燥形態で含有する固体剤形を指す。そして、不均一混合物中の分割された薬物又は化学物質は、互いに物理化学的相互作用、例えば会合又は凝集を少しも示さない。
本明細書で使用される場合、「治療」又は「治療すること」という用語は、治療薬、すなわち、レテルモビルのナトリウム塩の三水和物(単独若しくは別の薬剤との組み合わせ)の対象への適用若しくは投与、又はHCMV感染症、HCMV感染症の症状、若しくはHCMV感染症を発症する可能性を治癒(cure)、治癒(heal)、緩和(alleviate)、緩和(relieve)、改変(alter)、改善(remedy)、改善(ameliorate)、改善(improve)又は影響(affect)することを目的とする、HCMV感染症、HCMV感染症の症状、若しくはHCMV感染症を発症する可能性を有する対象に由来する単離組織若しくは細胞株への治療薬の適用若しくは投与として定義される。そのような治療は、ゲノム薬理学の分野から得られた知識に基づいて、特異的に調整又は改変することができる。
本明細書で使用される場合、「予防する」、「予防すること」又は「予防」という用語は、障害若しくは疾患の発症がなかった場合には、障害若しくは疾患が発症しないこと、又は障害若しくは疾患の発症が既にあった場合には、さらなる障害若しくは疾患の進行がないことを意味する。また、障害又は疾患に関連する症状の一部又はすべてを予防する能力も考慮される。疾患の予防(Prevention)はまた、疾患の予防(prophylaxis)を包含する。
本明細書で使用される場合、「対象」という用語は、ヒト又は非ヒト哺乳類を指す。非ヒト哺乳動物としては、例えば、ヒツジや、ウシ、ブタ、ネコ、イヌ及びネズミ哺乳動物などの家畜及びペットが挙げられる。好ましくは、対象はヒトである。
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される」という用語は、化合物の生物学的活性又は特性を損なわず、比較的非毒性である担体又は希釈剤などの材料を指す。すなわち、その材料は、望ましくない生物学的作用を引き起こすこともなく、それが含有される組成物のいずれの成分とも有害な方法で相互作用することもなく、対象に投与することができる。
好ましくは、本発明の方法では、酢酸(C-C)アルキルは、酢酸メチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル又は酢酸ブチル、若しくは前述のものの混合物であり、(C-C)ジアルキルエーテルは、ジイソプロピルエーテル、メトキシペンタン、又はメチルtert-ブチルエーテル(MTBE)、若しくは前述のものの混合物である。より好ましくは、酢酸(C-C)アルキルは酢酸イソプロピルであり、(C-C)ジアルキルエーテルはジイソプロピルエーテルである。
好ましくは、本明細書に記載の方法のステップ1では、2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル]-3-[2-メトキシ-5-(トリ-フルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]酢酸の溶液の濃度は0.3M~0.6Mの範囲にある。
好ましくは、本明細書に記載の方法のステップ2では、水酸化ナトリウム水溶液中の水酸化ナトリウムの濃度は、5M~30Mの範囲、より好ましくは10M~30Mの範囲、さらにより好ましくは10M~27Mの範囲、最も好ましくは15M~25Mの範囲にある。
好ましくは、本明細書に記載の方法のステップ2では、2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル]-3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]酢酸含有量に対して1.1~1.5モル当量の水酸化ナトリウムが、水溶液として、5M~30Mの範囲、より好ましくは10M~30Mの範囲、さらにより好ましくは10M~27Mの範囲、最も好ましくは15M~25Mの範囲の水酸化ナトリウムの濃度で加えられる。
好ましくは、本明細書に記載の方法のステップ3では、混合物は40℃~60℃の範囲の温度で1~6時間撹拌される。より好ましくは、混合物は45℃~55℃の範囲の温度で1~6時間撹拌される。より好ましくは、混合物は50℃の温度で1~6時間撹拌される。好ましくは、ステップ3では、混合物は40℃~60℃の範囲の温度で2~5時間撹拌される。より好ましくは、混合物は45℃~55℃の範囲の温度で2~5時間撹拌される。より好ましくは、混合物は50℃の温度で2~5時間撹拌される。好ましくは、ステップ3では、混合物は45℃~55℃の範囲の温度で3~4時間撹拌される。より好ましくは、混合物は45℃~55℃の範囲の温度で3~4時間撹拌される。より好ましくは、混合物は50℃の温度で3~4時間撹拌される。
1つの実施形態では、本発明の方法のステップ3はさらに、撹拌された懸濁液を毎時60K以下の冷却速度で室温に冷却し、冷却された懸濁液を濾過して固体化合物を得て、任意選択で、固体化合物を、ステップ1で使用された(C-C)ジアルキルエーテルと同一である(C-C)ジアルキルエーテルで洗浄する後続のステップを含む。
好ましい実施形態では、酢酸(C-C)アルキルは、酢酸メチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル又は酢酸ブチル、若しくはそれらの混合物であり、(C-C)ジアルキルエーテルは、ジイソプロピルエーテル、メトキシペンタン、又はメチルtert-ブチルエーテル、若しくはそれらの混合物であり、好ましくは、酢酸(C-C)アルキルは酢酸イソプロピルであり、(C-C)ジアルキルエーテルはジイソプロピルエーテルであり、より好ましくは、酢酸(C-C)アルキルは酢酸イソプロピルであり、(C-C)ジアルキルエーテルはジイソプロピルエーテルであり、酢酸イソプロピル:ジアルキルエーテルのモル比は1:2である。
1つの実施形態では、固体化合物は、本明細書に記載の方法のステップ5において、10hPa未満の減圧下で乾燥される。好ましい実施形態では、固体化合物は、本明細書に記載の方法のステップ5において、約2~3hPaで50℃にて15時間乾燥される。
したがって、特に好ましい実施形態では、本発明の別の態様は、以下のステップを含む、式(I)の2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル]-3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]酢酸ナトリウム三水和物の結晶形を製造する方法に関する。
ステップ1)酢酸イソプロピルとジイソプロピルエーテルの混合物中の2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル]-3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]酢酸の溶液を用意することであって、酢酸イソプロピル:ジイソプロピルエーテルのモル比が、0.3M~0.6Mの濃度範囲で1:1~1:3であり、溶液の温度が30℃~60℃の範囲にある溶液を用意すること、
ステップ2)2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル]-3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]酢酸含有量に対して、水酸化ナトリウム水溶液中の水酸化ナトリウムは15M~25Mの濃度を有する、1.1~1.5モル当量の水酸化ナトリウム水溶液を、ステップ1から生じる溶液に加え、混合物を得ること、
ステップ3)ステップ2から生じる混合物を50℃の温度で3~4時間撹拌して固体化合物を含有する懸濁液を得ること、
ステップ4)撹拌された懸濁液を毎時60K以下の冷却速度で室温に冷却し、冷却された懸濁液を濾過して固体化合物を得て、固体化合物をジイソプロピルエーテルで洗浄すること、並びに
ステップ5)ステップ4から生じる固体化合物を30℃~60℃の範囲の温度で少なくとも1時間乾燥させて、結晶性の2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル]-3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]酢酸ナトリウム三水和物を得ること。
本明細書に記載の方法の別の実施形態では、ステップ2は、
2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル]-3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]酢酸ナトリウム三水和物の種結晶を、ステップ1で形成された2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル]-3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]酢酸の総重量に対して、0.5~1重量%の量で溶液に接種すること
をさらに含む。
別の実施形態では、本発明は、以下の追加の後続ステップをさらに含む、式(I)の2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル]-3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]酢酸ナトリウム三水和物の結晶形を製造する方法に関する。
ステップ6)ステップ5)から生じる結晶性の2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル]-3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]酢酸ナトリウム三水和物を、微粒子化又はナノミル化して(nanomiling)、微粒子化された、結晶性の2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル]-3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]酢酸ナトリウム三水和物を含む医薬組成物を得ること。
好ましい実施形態では、微粒子化又はナノミル化された(nanomilled)、結晶性の2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル]-3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]酢酸ナトリウム三水和物は、0.3~1000μmの範囲の粒径を有し、粒度分布は、好ましくはd(0.1)1~100μm、d(0.5)30~250μm及びd(0.9)100~800μmで画定され、より好ましくはd(0.1)2~50μm、d(0.5)25~100μm、d(0.9)200~600μmで画定される。
本明細書に開示の方法では、前記結晶性の2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル]-3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]酢酸ナトリウム三水和物は、六方晶系、R3の空間群、及びa=28.22Å、b=28.22Å、c=9.97Å、α=90±3°、β=90±3°、及びγ=120±3°の単位胞寸法を有する。
本明細書に開示の方法では、前記結晶性の2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル]-3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]酢酸ナトリウム三水和物のX線回折パターンは、6.2°、9.5°、12.4°、15.6°、18.0°、19.0°、21.0°、22.5°及び26.8°の2θ角の値を含み、前記2θ角の値は、正規偏差が±0.1°である。
本明細書に開示の方法の好ましい実施形態では、前記結晶性の2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル]-3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]酢酸ナトリウム三水和物のX線回折パターンは、6.2°、9.5°、11.3°、12.4°、12.9°、15.6°、16.5°、16.8°、18.0°、19.0°、20.0°、21.0°、21.6°、21.9°、22.5°、22.8°、23.6°、25.0°、25.2°、26.0°、26.8°、27.3°、27.5°及び26.8°の2θ角の値を含み、前記2θ角の値は、正規偏差が±0.1°である。
上記方法のいずれか1つによって得られた結晶性の2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル]-3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]酢酸ナトリウム三水和物の純度は、HPLCで測定して、少なくとも98%、好ましくは99%、より好ましくは99.5%、最も好ましくは99.9%である。
別の態様では、本発明は、本明細書に記載の方法によって得ることができる2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル]-3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]酢酸ナトリウム三水和物に関する。
好ましい実施形態では、本明細書に記載の方法によって得ることができる2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル]-3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]酢酸ナトリウム三水和物は、エタノールを本質的に含まない。
前記結晶性の2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル]-3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]酢酸ナトリウム三水和物は、様々な多形で存在し得る。多形は、溶解性、安定性、及び生物学的利用能などの実質的に異なる物理化学的特性を有し得る同一の化合物の異なる結晶形である。多形性が薬物挙動に影響を与え得るため、原薬の多形性の評価は、製剤研究において重要な役割を果たす。例えば、原薬の溶解の速度は、最終生成物の生物学的利用能に影響を与える。そして溶解度は原薬の多形性に依存する。異なる多形は異なる溶解度を有し得るため、対応する医薬品製剤は異なる生物学的利用能を有し得る。
多形を調べるのには、様々な方法を使用することができる。そのような方法としては、顕微鏡法、IR分光法、ラマン分光法、固体NMR、TGA、DSC、XRPD、PDF及び他の技術が挙げられる。異なる技術の組み合わせを適用することができる。特に、PXRDは、多形を調べるための強力な技術である。X線は、結晶中のビームと面の間の角度がブラッグの条件を満たす場合にのみ、結晶から反射される。結晶中には起こり得る面が無数にある。各分子の反復は独自の反射のセットを与え、したがって、スペクトルとして記録できる独自のパターンを生み出す。
しかし、従来のXRPD解析では,材料の平均構造、例えば平均位置、変位パラメーター及び占有率が得られ、材料中の局所的な乱れについての情報を提供することができない。この目的のために、所与の原子からある特定の距離にある原子を見つける確率を与える対分布関数(PDF)を使用することができる。PDFは、全散乱回折パターンのフーリエ正弦変換であり、平均原子間距離、構造の乱れ又は歪み、及び平均配位特性に関する情報を提供する。したがって、PDFは、従来のPXRD分析では識別できない同じ化合物の異なる固体形態を識別することができる。特に、異なる程度の乱れによって特徴付けられる様々な非晶質形は、PDF解析によって決定することができる(Boetker et al.Pharmaceutics 2012,4,93-103)。
医薬組成物
別の態様では、本発明は、本明細書に記載の式(I)による2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル]-3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]酢酸ナトリウム三水和物を含む医薬組成物に関する。
好ましい実施形態では、この医薬組成物は、乾燥粉末である。
別の好ましい実施形態では、本発明による医薬組成物は、エタノールを本質的に含まない。
別の態様では、本発明は、以下の後続の追加ステップをさらに含む、2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル]-3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]酢酸ナトリウム三水和物を含む医薬組成物を調製するための明細書に開示の方法に関する。
ステップ6)ステップ5)から生じる結晶性の2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル]-3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]酢酸ナトリウム三水和物を、微粒子化又はナノミル化して、微粒子化された結晶性の2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル]-3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]酢酸ナトリウム三水和物を含む医薬組成物を得ること。
別の好ましい実施形態では、本発明の方法は、少なくとも1つの薬学的に許容される担体、賦形剤及び/又は希釈剤を、ステップ6)から生じる結晶性の2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル]-3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]酢酸ナトリウム三水和物に加える追加の後続ステップを含む。
薬学的に許容される担体、賦形剤及び/又は希釈剤として、好ましくはラクトース、デンプン、スクロース、セルロース、ステアリン酸マグネシウム、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、タルク、マンニトール、エチルアルコール(液体充填カプセル剤)のような不活性担体などの担体を使用することができる;好適な結合剤としては、デンプン、ゼラチン、天然糖類、トウモロコシ甘味料、アカシアなどの天然及び合成ゴム、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール及びワックス、スクロースなどの糖、コムギ、トウモロコシ、米、及びジャガイモに由来するデンプン、アカシア、ゼラチン及びトラガカントなどの天然ゴム、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム及びアルギン酸アンモニウムカルシウムなどの海藻の誘導体、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム及びヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのセルロース材料、ポリビニルピロリドン、及びケイ酸アルミニウムマグネシウムなどの無機化合物が挙げられる;ホウ酸、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、又はステアリン酸カリウム、ステアリン酸、高融点ワックスなどの潤滑剤、並びに塩化ナトリウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ポリエチレングリコール及びD,L-ロイシンなどの他の水溶性潤滑剤;デンプン、メチルセルロース、グアーガム、カルボキシメチルデンプンナトリウムなどの加工デンプン、ローカストビーン、カラヤ、グアー、トラガカント及びアガーなどの天然及び合成ゴム、メチルセルロース及びカルボキシメチルセルロースナトリウムなどのセルロース誘導体、微結晶セルロース、クロスカラメロースナトリウムなどの架橋微結晶セルロース、アルギン酸及びアルギン酸ナトリウムなどのアルギン酸塩類、ベントナイトなどのクレイ、及び発泡性混合物などの崩壊剤(崩壊剤);着色剤、甘味料、香味料、防腐剤;滑剤は、例えば二酸化ケイ素及びタルクである;好適な吸着剤は、クレイ、酸化アルミニウムであり、好適な希釈剤は、非経口注射用の水又は水/プロピレングリコール溶液、ジュース(juice)、ラクトース、スクロース、マンニトール及びソルビトールなどの糖、コムギ、トウモロコシ、米、及びジャガイモに由来するデンプン、並びに微結晶セルロースなどのセルロースである。
本発明の医薬組成物は、公知の方法で、好適な投与量レベルで、従来の固体又は液体担体又は希釈剤及び従来の薬学的に作られたアジュバント中に調製することができる。好ましい製剤は、経口適用に適する。それらの投与形態としては、例えば、丸剤、錠剤、フィルム錠剤、コーティング錠剤、カプセル剤、粉末、及びデポジットが挙げられる。
さらに、本発明はまた、皮膚、皮内、胃内、皮内、血管内、静脈内、筋肉内、腹腔内の、鼻腔内の、膣内、頬内、経皮、直腸、皮下、舌下、局所、又は経皮適用を含む非経口適用のための医薬製剤も包含し、それらの製剤は、典型的なビヒクル及び/又は希釈剤に加えて、2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル]-3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]酢酸ナトリウム三水和物を含有する。
本発明による2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル]-3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]酢酸ナトリウム三水和物を有効成分(active ingredient)として含有する本発明による医薬組成物は、典型的に、意図された投与の形態に関して、すなわち、錠剤、カプセル剤(固体充填、半固体充填又は液体充填のいずれか)、溶解用粉末、押出成形物、デポジット、ゲル、エリキシル剤、分散性顆粒、シロップ、懸濁液、及び同種のものの形態での経口投与に対して選択され、且つ従来薬学的に行われていることと一致する好適な担体材料とともに投与されることになる。例えば、錠剤又はカプセル剤の形態で経口投与する場合、有効薬物成分は、経口の非毒性の薬学的に許容される担体、好ましくは、ラクトース、デンプン、スクロース、セルロース、ステアリン酸マグネシウム、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、タルク、マンニトール、エチルアルコール(液体充填カプセル剤)及び同種のもののような不活性担体と組み合わせることができる。さらに、好適な結合剤、潤滑剤、崩壊剤及び着色剤もまた、錠剤又はカプセル剤に組み込むことができる。粉末及び錠剤は、有効成分として、式(I)の本発明の2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル]-3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]酢酸ナトリウム三水和物を、約5~約95重量%含有することできる。
好適な結合剤には、デンプン、ゼラチン、天然糖、トウモロコシ甘味料、アカシアなどの天然及び合成ゴム、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール並びにワックスが挙げられる。好適な潤滑剤には、ホウ酸、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム及び同種のものが挙げられる。好適な崩壊剤としては、デンプン、メチルセルロース、グアーガム及び同種のものが挙げられる。甘味料及び香味料並びに防腐剤も適宜含めることができる。崩壊剤、希釈剤、潤滑剤、結合剤などについては、以下により詳細に論じる。
さらに、本発明の医薬組成物は、成分又は有効成分のうちのいずれか1つ又は複数の速度制御放出を可能にする徐放性形態で製剤化されて、治療効果、例えば抗ヒスタミン活性及び同種のものなどを最適化することができる。持続放出に適した剤形としては、異なる崩壊速度の層若しくは有効成分を含浸させた徐放性ポリマーマトリックスを有し、錠剤形態に成形された錠剤、又はそのような含浸又はカプセル化された多孔性ポリマーマトリックスを含有するカプセル剤が挙げられる。
液体形態の製剤としては、溶液、懸濁液、及び乳液が挙げられる。例として、非経口注射用、又は経口溶液、懸濁液、若しくは乳液のための甘味料及び不透明化剤の添加用の水又は水/プロピレングリコール溶液が挙げられる。液体形態の製剤はまた、鼻腔内投与用溶液を包含し得る。吸入に適したエアゾール製剤は、粉末形態の溶液及び固体を含んでよく、不活性圧縮ガス、例えば窒素などの薬学的に許容される担体と組み合わせて存在し得る。坐剤を調製するためには、ココアバターのような脂肪酸グリセリドの混合物など、低融点脂肪又はワックスを最初に溶かし、次いで、活性成分を、例えば撹拌することによって、その中に均質に分散させる。次いで、溶けた均質な混合物を都合のよい大きさの鋳型に流し込み、冷まし、それによって固化させる。
また、固体形態の製剤も含まれ、それは、使用の直前に、経口又は非経口投与のいずれかのための液体形態の製剤に変換されることが意図されている。そのような液体形態としては、溶液、懸濁液、及び乳液が挙げられる。
2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル]-3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]酢酸ナトリウム三水和物はまた、経皮的にも送達することができる。経皮組成物は、クリーム、ローション、エアゾール及び/又は乳液の形態を有することができ、この目的のために当該技術分野で公知のマトリックス型又はリザーバー型の経皮パッチに含めることができる。
本明細書に記載のカプセルという用語は、有効成分を含む組成物を保持又は含有するための、例えばメチルセルロース、ポリビニルアルコール、又は変性ゼラチン若しくはデンプンで作られた特定の容器又は筐体を指す。硬い殻のカプセルは典型的に、骨や豚の皮膚に由来する比較的高いゲル強度のゼラチンを混ぜて作られる。カプセル自体は、少量の染料、不透明化剤、可塑剤及び/又は保存剤を含有することができる。錠剤下では、有効成分を好適な希釈剤とともに含む圧縮又は成形された固体剤形が理解される。錠剤は、湿式造粒、乾式造粒によって、又は当業者に周知の圧縮によって得られた混合物又は造粒物の圧縮によって調製することができる。
経口ゲルは、親水性の半固体マトリックス中に分散又は可溶化された有効成分を指す。溶解用粉末は、例えば水又はジュースに懸濁できる有効成分及び好適な希釈剤を含有する粉末混合物を指す。
好適な希釈剤は、通常、組成物又は剤形の大部分を構成する物質である。好適な希釈剤としては、ラクトース、スクロース、マンニトール、及びソルビトールなどの糖、コムギ、トウモロコシ、米、及びジャガイモに由来するデンプン、並びに微結晶セルロースなどのセルロースが挙げられる。組成物中の希釈剤の量は、全組成物の約5~約95%重量%、好ましくは約25~約75重量%、より好ましくは約30~約60重量%の範囲であることができる。
崩壊剤という用語は、医薬品の薬学的に活性のある成分の分解(崩壊)及び放出を助けるために組成物に添加される材料を指す。好適な崩壊剤としては、デンプン、カルボキシメチルデンプンナトリウムなどの「冷水可溶性」加工デンプン、ローカストビーン、カラヤ、グアー、トラガカント及び寒天などの天然及び合成ゴム、メチルセルロースやカルボキシメチルセルロースナトリウムなどのセルロース誘導体、微結晶セルロース、及びクロスカメロースナトリウムなどの架橋微結晶セルロース、アルギン酸やアルギン酸ナトリウムなどのアルギン酸塩、ベントナイトなどのクレイ、及び発泡性混合物が挙げられる。組成物中の崩壊剤の量は、組成物の約2~約20重量%、より好ましくは約5~約10重量%の範囲であることができる。
結合剤は、粉末粒子を一緒に結合又は「接着」し、顆粒を形成することによってそれらを凝集させる物質であり、したがって製剤中の「接着剤」として機能する。結合剤は、希釈剤又は増量剤に既に存在する凝集強さを強める。好適な結合剤としては、スクロースなどの糖、コムギ、トウモロコシ、米、ジャガイモに由来するデンプン、アカシア、ゼラチン及びトラガカントなどの天然ゴム、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム及びアルギン酸アンモニウムカルシウムなどの海藻の誘導体、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム及びヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのセルロース材料、ポリビニルピロリドン、及びケイ酸アルミニウムマグネシウムなどの無機化合物が挙げられる。組成物中の結合剤の量は、組成物の約2~約20重量%、好ましくは約3~約10重量%、より好ましくは約3~約6重量%の範囲であることができる。
潤滑剤は、錠剤の顆粒などが圧縮された後に、摩擦や摩耗を減少させることによって、モールド又はダイから外すことを可能にするために剤形に加えられる物質の類を指す。好適な潤滑剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、又はステアリン酸カリウムなどの金属ステアリン酸塩、ステアリン酸、高融点ワックス、並びに塩化ナトリウムや、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、D,L-ロイシンなどの他の水溶性潤滑剤が挙げられる。潤滑剤は、顆粒の表面に存在しなければならないので、通常は圧縮前の一番最後のステップで添加される。組成物中の潤滑剤の量は、組成物の約0.2~約5重量%、好ましくは組成物の約0.5~約2重量%、より好ましくは組成物の約0.3~約1.5重量%の範囲であることができる。
滑剤は、医薬組成物の成分の粘結を防止し、顆粒の流れ特性を向上させ、その結果流れが滑らかで均質になる。好適な滑剤としては、二酸化ケイ素及びタルクが挙げられる。組成物中の滑剤の量は、最終組成物の約0.1~約5重量%、好ましくは約0.5~約2重量%の範囲であることができる。
着色剤は、組成物又は剤形に着色をもたらす賦形剤である。そのような賦形剤は、粘土又は酸化アルミニウムなどの好適な吸着剤に吸着された食品グレードの色素を含むことができる。着色剤の量は、組成物の約0.1~約5重量%、好ましくは約0.1~約1重量%であることができる。
本発明のナトリウムレテルモビル三水和物は、ヘルペスウイルス科グループの代表的なもの(ヘルペスウイルス)に対して、とりわけサイトメガロウイルス(CMV)に対して、特にヒトサイトメガロウイルス(HCMV)に対して抗ウイルス効果を呈する。したがって、それらは、疾患、特にウイルスによる感染症、特に本明細書に記載のウイルス及びそれらによって引き起こされる感染症を治療及び予防する方法における使用に適する。「ウイルス感染症」という用語は、ウイルスによる感染症だけでなく、ウイルスによる感染症によって引き起こされる疾患も意味すると理解される。
別の態様では、本発明は、本明細書に記載の方法によって得ることができる医薬組成物に関する。
別の好ましい実施形態では、前記医薬組成物は、少なくとも1つの薬学的に許容される担体、賦形剤及び/又は希釈剤を、結晶性の2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル]-3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]酢酸ナトリウム三水和物に加える後続の追加ステップをさらに含む前記方法によって得ることができる。
好ましい実施形態では、前記医薬組成物は、結晶性の2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル]-3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]酢酸ナトリウム三水和物を含み、前記結晶性の2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル]-3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]酢酸ナトリウム三水和物の粒径は、0.3~1000μmの範囲にあり、粒度分布は、好ましくはd(0.1)1~100μm、d(0.5)30~250μm及びd(0.9)100~800μmで画定され、より好ましくは、粒度分布は、d(0.1)2~50μm、d(0.5)25~100μm、d(0.9)200~600μmで画定される。
パラメーターd(0.1)は、試料のすべての粒子の合計の10%を通過させる単一の概念的なふるいのメッシュサイズを指す。したがって、d(0.1)=2~100μmは、試料中の最小粒子の10%を画定する粒径範囲の上限が2μm~100μmであることを意味する。したがって、全粒子の10%はd(0.1)以下の粒径を有し、この場合、それらの粒子は、最大粒径が2μm~100μmであることを意味する。
したがって、パラメーターd(0.5)は、試料のすべての粒子の合計の50%を通過させる単一の概念的なふるいのメッシュサイズを指す。したがって、d(0.5)=30~250μmは、より小さい粒子を含有する試料の概念的な半分を画定する粒径範囲の上限が30μm~250μmであることを意味する。したがって、すべての粒子の合計の50%はd(0.5)以下の粒径を有し、この場合、それらの粒子は最大粒径が30μm~250μmであることを意味する。
したがって、パラメーターd(0.9)は、試料のすべての粒子の合計の90%を通過させる、すなわち、試料の10%のみが保持される単一の概念的なふるいのメッシュサイズを指す。したがって、d(0.9)=100~800μmは、試料中の最大粒子の10%を画定する粒径範囲の下限が100μm~800μmであることを意味する。したがって、すべての粒子の90%はd(0.9)以下の粒径を有し、この場合、それら粒子は最大粒径が100μm~800μmであることを意味する。
好ましくは、本発明の医薬組成物に使用される抗ウイルス剤は、ヘルペスウイルス科のウイルス、特にサイトメガロウイルス(CMV)、特にヒトサイトメガロウイルス(HCMV)に対して有効である。
好ましくは、前記医薬組成物は、薬学的に許容される担体、賦形剤及び/又は希釈剤をさらに含む。
前記医薬組成物は、好ましくは経口投与又は静脈内投与される。
本発明の2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル]-3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]酢酸ナトリウム三水和物は、ヘルペスウイルス科グループの代表的なもの(ヘルペスウイルス)に対して、とりわけサイトメガロウイルス(CMV)に対して、特にヒトサイトメガロウイルス(HCMV)に対して抗ウイルス効果を呈する。したがって、本発明は、疾患、特にウイルスによる感染症、特に本明細書に記載のウイルス及びそれらによって引き起こされる感染症を治療及び予防する方法における使用に適する。「ウイルス感染症」という用語は、ウイルスによる感染症だけでなく、ウイルスによる感染症によって引き起こされる疾患も意味すると理解される。
したがって、本発明の別の態様は、サイトメガロウイルス、特にヒトサイトメガロウイルスによって引き起こされる、及び/又はそれに関連する疾患の治療及び/又は予防の方法に使用するための、結晶性の2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル]-3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]酢酸ナトリウム三水和物を含む医薬組成物に関する。
さらに、本発明は、疾患、特にウイルス感染症、好ましくはヒトサイトメガロウイルス(HCMV)感染症又はヘルペスウイルス科グループの別のメンバーによる感染症の治療及び/又は予防のための医薬品の調製のための、結晶性の2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル]-3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]酢酸ナトリウム三水和物を含む医薬組成物に関する。
さらに、本発明は、前記対象に、治療有効量の結晶性の2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル]-3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]酢酸ナトリウム三水和物を含む医薬組成物を投与することを含む、サイトメガロウイルス(CMV)、特にヒトサイトメガロウイルス(HCMV)に関連する、及び/又はそれによって引き起こされる疾患、又はヘルペスウイルス科グループの別のメンバーによる感染症を治療及び/又は予防する方法を提供する。
「有効量」という用語は、そのような処置を必要とする対象に投与されたとき、以下に充分な化合物の量を意味する。
(i)特定の疾患、病態若しくは障害を治療又は予防すること、
(ii)特定の疾患、病態若しくは障害の1つ又は複数の症状を減弱、寛解、若しくは消失させること、又は
(iii)本明細書に記載の特定の疾患、病態若しくは障害の1つ又は複数の症状の発症を予防する又は遅延させること。
2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル]-3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]酢酸ナトリウム三水和物の量は、特定の化合物、疾患状態及びその重症度、治療を必要とする対象の固有性(例えば体重)などの因子によって異なることになるが、当業者によって慣習的に決定することができる。
略語
h 時間
DSC 示差走査熱量測定
HPLC 高圧液体クロマトグラフィー
min. 分
NMR 核磁気共鳴
PDF ペア分布関数
TGA 熱重量分析
PXRD 粉末X線回折
図1は、レテルモビルナトリウムメタノール一水和物の結晶構造を示す。 図2は、レテルモビルナトリウムエタノール一水和物の結晶構造を示す。 図3は、SCXRDシミュレーションによるレテルモビルナトリウムメタノール一水和物(水)溶媒和物(赤)、SCXRDシミュレーションによるレテルモビルナトリウムエタノール一水和物(水)溶媒和物(青)及びバルクのPXRDパターン(黒)のPXRD比較を示す。 図4は、本発明によるレテルモビルナトリウム三水和物(黒)、濾過後1時間風乾したレテルモビルナトリウムエタノール一水和物(水)溶媒和物(青)及び濾過後2週間風乾したレテルモビルナトリウム三水和物(赤)のPXPD比較を示す。 図5は、レテルモビルナトリウム三水和物の結晶構造を示す。熱楕円体は、50%の確率レベルにおける電子密度の設定で示されている。 図6は、3つのレテルモビルアニオンによって形成された三量体複合体を示す。
以下の実施例は、本発明の好ましい実施形態を示すために含まれる。以下の実施例に開示の技術は、本発明の実施において良好に機能することを発明者が発見した技術を表し、したがって、その実施のための好ましい形態を構成すると考えることができることが、当業者によって理解されるべきである。しかし、当業者は、本開示に照らして、開示されている特定の実施形態において多くの変更を行うことができ、それでも本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、同様又は類似の結果を得ることができることを理解すべきである。
本発明の種々の態様のさらなる変更及び代替実施形態は、本明細書に照らして当業者に明らかであろう。したがって、本明細書は、例示的なものとしてのみ解釈されるべきであり、本発明を実施する一般的な方法を当業者に教示することを目的とする。本明細書に示され、説明される本発明の形態は、実施形態の例としてとらえられることを理解されるべきである。要素及び材料は、本明細書に図示及び記載されたものと置き換えることができ、部品及び工程は逆にすることができ、本発明の特定の特徴は独立して利用することができ、これらすべては、本発明のこの明細書の利益を享受した後に当業者に明らかであろう。以下の請求項に記載される本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本明細書に記載される要素に変更を加えることができる。
使用機器
粉末X線回折分析(PXRD):約20mgの試料をポリアセテートの2つの箔を使用して標準的な試料ホルダー中で調製した。試料をさらに処理することなく、受け取った状態で分析した。D8 Advanceシリーズ 2θ/θ粉末回折システムでCuKα1線(1.54060Å)を使用し、室温にて透過ジオメトリで粉末回折パターンを取得した。そのシステムには、VÅNTEC-1単一光子計数PSD、ゲルマニウムモノクロメーター、90位置自動交換装置試料ステージ、固定発散スリット及びラジアルソーラーを備える。X線ビームの発生のための発生器強度は、40mA及び40kVを設定する。プログラムを使用して、DIFFRACとXRD Commander V.2.5.1によるデータ収集、及びEVA V.14.0.0.0(Bruker-AXS 1996-2007)による評価を行った。4~40°の範囲において2θ(ステップサイズ0.049°)でパターンを30分間測定して収集した。
プロトン核磁気共鳴スペクトロスコピー(1H-NMR):Bruker Avance 400 Ultrashield NMRスペクトロメーターで重水素化DMSO(DMSO-d6)中でプロトン核磁気共鳴分析を記録した。8~10mgの試料を0.7mLの重水素化溶媒に溶かしてスペクトルを取得した。
示差走査熱量測定分析(DSC):DSC分析を、56点Au-AuPdサーモパイルFRS5センサーを持つMettler Toledo DSC822で記録した。約2~3mgの試料を(MX5 Mettler Toledoマイクロバランスを用いて)ピンホール蓋付きの40μLアルミニウムるつぼに秤量し、窒素(50mL/分)下において30℃から300℃に10℃/分及び/又は20℃/分で加熱した。プログラムは、以下のものを使用した:ソフトウェアSTAReによるデータ収集と評価。
熱重量分析(TGA):熱重量分析を、バランスMT1型のMettler Toledo TGA/SDTA851で記録した。約3~4mgの試料を、(MX5 Mettler Toledoマイクロバランスを用いて)ピンホール蓋付きの40μLアルミニウムるつぼに秤量し、窒素(10mL/分)下において30℃から300℃まで10℃/分で加熱した。プログラムは、以下のものを使用した:ソフトウェアSTAReによるデータ収集と評価。
単結晶X線回折(SCXRD):
測定結晶は、操作用の保護油としてペルフルオロポリエーテルに浸し、不活性な条件下で調製した。結晶構造解析は、APPEX 2 4K CCD面積検出器を具備したApex DUO Kappa4軸ゴニオメーター、MoKα線(0.71073Å)を用いたMicrofocus Source E025 IuS、モノクロメーターとしてQuazar MX多層Optics及びOxford Cryosystems低温装置Cryostream 700plus(T=-173℃)を使用して結晶構造の決定を実施した。全球データ収集はωスキャン及びφスキャンを使用した。プログラムは、以下のものを使用した:データ収集APEX-2(APEX II v2014.9-0.Bruker(2014)によるデータ収集、Bruker AXS Inc.、米国ウィスコンシン州マディソン)、データ削減Bruker Saint(Bruker SAINT+バージョンV8.35A.Bruker(2013)によるデータ削減、Bruker AXS Inc.、米国ウィスコンシン州マディソン)V/.60A、及び吸収補正SADABS(SADABS:V2014/5 Bruker(2001).Bruker AXS Inc.、米国ウィスコンシン州マディソン、Blessing,Acta Cryst.(1995)A51 33-38)。
構造解析及び微細化:結晶構造解析は、コンピュータープログラムSHELXT(SHELXT;Sheldrick,G.M.Acta Cryst.2015 A71, 3-8)を用いて達成した。可視化は、SHELXle(SHELXle;C.B.Huebschle,G.M.Sheldrick&B.Dittrich;J.Appl.Cryst.(2011)44,1281-1284)プログラムを用いて行った。続いて、欠失原子を差分フーリエ合成により位置決定し、原子リストに加えた。測定されたすべての強度を用いたF2についての最小二乗精密化は、プログラムSHELXL 2015(SHELXL;Sheldrick,G.M.Acta Cryst.2015 C71,3-8.SHELXT.)を使用して実施した。すべての非水素原子を、非等方原子変位パラメーターを含めて精密化した。
比較例01:2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシ-フェニル)ピペラジン-1-イル]-3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]酢酸の一ナトリウム塩
(米国特許出願公開第2015/0038514(A1)号明細書の実施例1に相当)
333.1gの2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル]-3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]酢酸を、2000mLの三口フラスコ中でエタノールとジイソプロピルエーテルの混合物(1:1)1300mLに溶かす。21.9g(546.84mmol)のNaOHを固体として溶液に加える。この混合物を内部温度50℃に25分間加熱し、それにより、透明なオレンジ色の溶液が得られる。得られた溶液をこの温度で3時間撹拌し、1時間後には既に薄い懸濁液が形成されている。次いで、反応混合物を、冷却速度3℃/時で10時間、20℃の内部温度に冷却し、次いで、この温度でさらに5時間撹拌する。反応混合物の全量を真空下で約750mLまで減らし、そのようにして得られた懸濁液を20℃で2時間撹拌する。次に、得られた反応混合物に250mLのジイソプロピルエーテルを10分間かけて加え、混合物をさらに2時間撹拌する。得られる結晶性生成物を吸引装置で吸い取り、各回ジイソプロピルエーテル250mLで2回洗浄し、真空乾燥キャビネット内で20℃、160mbarで20時間乾燥させる。次いで、そのようにして得られた結晶性固体をIR乾燥機で90℃にて10分間乾燥させ、次いで真空乾燥キャビネットで60℃にてさらに16時間乾燥させる。そのようにして、計274.4g(86%の理論収率)の所望の結晶性ナトリウム塩が得られる。
比較例02:2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル]-3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]酢酸の一ナトリウム塩の三水和物の製造
(米国特許出願公開第2015/0038514(A1)号明細書の実施例2の改変)
比較例1から得られた2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル]-3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]酢酸のナトリウム塩の約300mgを1mLのメタノール又はエタノール(4%の水を含有)に懸濁し、25℃で1週間振盪する。得られた結晶を濾別し、残渣を室温及び周囲湿度で2週間乾燥させる。得られた残渣は、三水和物としての標題化合物に相当する。
得られた固体を、それぞれの所与の溶媒中で20℃にて1週間振盪した後、濾別し、以下の結晶が得られた。
溶媒としてメタノールを使用した場合、図1に示されるように、2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル]-3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]酢酸ナトリウムメタノール一水和物の結晶が得られた。前記結晶性レテルモビルナトリウムメタノール一水和物のX線構造データを表1に載せる。
溶媒としてエタノールを使用した場合、図2に示されるように、2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル]-3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]酢酸ナトリウムエタノール一水和物の結晶が得られた。前記結晶性レテルモビルナトリウムエタノール一水和物のX線構造データを表2に載せる。
非対称ユニットは、1つのアニオン分子、1つのナトリウムカチオン、1つの水分子及び1つのエタノール分子を含む。ナトリウムカチオンに配位している水とエタノール分子は2つの位置(比60:40)で構造が乱れている。この化合物は、キラル空間群R3で結晶化するが、絶対構造の決定は行うことができなかった。エタノールを使用することによって得られた構造は、メタノールを使用して得られた構造と等構造である。構造はR値が4.75%の高品質である。
図3は、(SCXRDシミュレーションからの)両方の溶媒和物のPXRDパターンとバルクのPXRDパターンの比較を示す。3つの試料は非常に類似したパターンを有する(同形)。
前記得られた結晶、すなわち結晶性の2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル]-3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]酢酸ナトリウムメタノール一水和物又は結晶性の2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル]-3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]酢酸ナトリウムエタノール一水和物は、図4に示されるように、結晶性の2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル]-3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]酢酸ナトリウム三水和物に変換させるために、室温及び周囲湿度で2週間乾燥させる必要がある。
Figure 2023519813000003
Figure 2023519813000004
実施例01:結晶性のナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル]-3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]酢酸三水和物の直接調製及び最適化実験
1.開発、2グラムスケール
2グラムスケールでの開発を反応チューブで行った。これまでの結果に照らして、NaOHを濃縮水溶液として加え、貧溶媒の添加を制御した。
貧溶媒としては、ジイソプロピルエーテルを実施反応における主な貧溶媒として選択した。
溶媒:先行技術(国際公開第2013/127971号)に従って行った比較例02で証明されているように、レテルモビルナトリウムは、特にメタノールやエタノールなどのアルコールとの間で相当数の溶媒和物を形成する。したがって、本開発では、ナトリウム三水和物以外の溶媒和物の生成を促進する可能性のあるアルコール及び他の溶媒の使用は除外した。
他のパラメーター
開発及び最適化の間に、以下のパラメーターを変えた。
-溶媒/貧溶媒比
-貧溶媒の添加(添加の速度とタイミング)
-API濃度
-NaOHの添加(直接又は水に溶かして)
-水量
-反応時間
-反応温度
-結晶種の接種
行った実験の概要は表3で見ることができる。結果は、水量の減少が反応の結果に良い影響を与えるようであることを示唆する。貧溶媒の添加の速度はこの手順に有意な影響を与えないようである。得られた収率は概して、平均~低値であった。ジイソプロピルエーテルは最も信頼できる貧溶媒であることがわかったが、すべての溶媒で同等の結果がもたらされる。
方法論変数に依存する実験結果に基づいて、最も重要な反応パラメーターを一連の最適化実験のために選択した。
Figure 2023519813000005
2.さらなる最適化
開発実験の結果から、以下の重要な因子の要点をまとめた。
-API濃度
-溶媒/貧溶媒比
-貧溶媒の添加
-水量
最適化は、容易にスケールアップできる強固な方法論を得ることを目的とした。そこで、10g~20gのスケールで実験を、EasyMax(商標)を使用して行った。結果は表4で見ることができる。EasyMax(商標)で行った実験により、小スケールでは観察されなかったいくつかの問題が明らかになった。
Figure 2023519813000006
以下のパラメーターを最適化した。
-より濃縮したNaOH溶液を使用した(水中1g/mL)。NaOHを過剰に(1.5モル当量)加えた。
-より濃縮したAPI溶液を使用した(約0.33g/mL)。
-撹拌速度は中速から高速であった(撹拌不良は、油、樹脂及び二相系の形成につながり得る)。
-ジイソプロピルエーテルを様々な時間及び速度で加えたが、結果に目に見える改善はなかった。
-NaOH添加前にAPIを溶媒/貧溶媒混合物に溶解することによって反応を能率化した。
-任意選択で、レテルモビルナトリウム三水和物沈殿をより良好に誘導するために、初期溶液と塩基に0.5重量%のレテルモビルナトリウム三水和物結晶種を接種した。
-最適化された反応条件では、酢酸イソプロピルが最も好適な溶媒であることがわかった。その使用は、高結晶性のレテルモビルナトリウム三水和物を定量的な収率でもたらす。
最適化したパラメーターに基づいて、レテルモビルナトリウム三水和物の一般的な手順を概説する。
2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル]-3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]酢酸(レテルモビル)を、酢酸イソプロピルとジイソプロピルエーテルの1:2混合物に50℃で溶かす(最終API濃度:0.33g/mL)。次いで、1.5モル当量のNaOH(1g/mL水溶液)を加え、その溶液にレテロモビルナトリウム三水和物A(1~0.5%重量/重量)を接種し、50℃で4時間撹拌する。次いで、懸濁液を徐々に冷却する(1時間で50℃から20℃に)。反応器の内容物を真空下で濾過し、ジイソプロピルエーテルで3回洗浄し、減圧下(2~3hPa)において50℃で15時間乾燥させる。白色の緻密な粉末(レテルモビルナトリウム三水和物)が得られる。
レテルモビルナトリウムエタノール一水和物(水)及びレテルモビルナトリウム三水和物の技術的特徴を以下にまとめる。
Figure 2023519813000007
実施例02.500gスケールでの2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル]-3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]酢酸ナトリウム三水和物の調製
499gの2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル]-3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]酢酸を、酢酸イソプロピルとジイソプロピルエーテルの1:2(0.75L/1.5L)混合物に50℃で溶かし、続いて約1.5当量のNaOH(水溶液、1g/mL、50mL)を加え、その溶液に、2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル]-3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]酢酸ナトリウム三水和物(塩基に関して0.5~1%重量/重量)を種晶添加した。懸濁液を50℃で4時間撹拌する(撹拌速度:150rpm、ガラスアンカーシャフト)。最初の1時間以内に大量の白色固体が析出する。反応器を徐々に冷却し(1時間で50℃から20℃)、その内容物を真空下で濾過し、ジイソプロピルエーテルで3回洗浄する。得られた白色固体を減圧(2~3mBar)下、50℃で15時間乾燥させる。
510gの2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル]-3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]酢酸ナトリウム三水和物が得られている。
実施例03.レテルモビルナトリウム三水和物の単結晶の調製
酢酸イソプロピル/ジイソプロピルエーテル混合物中の濃縮レテルモビルナトリウム溶液の部分蒸発によって結晶を得た。
非対称単位には、1分子のアニオン型レテルモビル、ナトリウムカチオン及び3分子の水が入っている。非対称単位の内容を図5に示す(乱れた原子は省略)。水分子は77:23、67:33及び63:37の比で2つの位置でそれぞれ乱れている。また、CF3基は63:37の比で2つの方向に乱れている。三水和物は高度に対称な三方晶系空間群R3に結晶化し、三量体複合体を形成し、その中で3つのレテルモビルアニオンは、ナトリウムカチオンと水分子が含有されるチャネルを形成する(図6)。負電荷をもつカルボン酸塩がチャネル内にあり、ナトリウムカチオンと相互作用する。
Figure 2023519813000008

Claims (23)

  1. 式(I)の2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル]-3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]酢酸ナトリウム三水和物の結晶形を製造する方法であって、
    Figure 2023519813000009
    以下のステップ:
    ステップ1)酢酸(C-C)アルキル及び(C-C)ジアルキルエーテルの混合物中の2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル]-3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]酢酸の溶液を用意することであって、酢酸(C-C)アルキル:(C-C)ジアルキルエーテルのモル比が0.3M~0.7Mの濃度範囲で1:1~1:3であり、溶液の温度が好ましくは30℃~60℃の範囲にある溶液を用意すること、
    ステップ2)2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル]-3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]酢酸含有量に対して、1.0~2.0モル当量の水酸化ナトリウム水溶液を、ステップ1から生じる前記溶液に加えて混合物を得ること、
    ステップ3)ステップ2から生じる前記混合物を30℃~60℃の範囲の温度で少なくとも30分間撹拌して、固体化合物を含有する懸濁液を得ること、
    ステップ4)前記固体化合物を、ステップ3から生じる前記懸濁液から分離すること、並びに
    ステップ5)ステップ4から生じる前記固体化合物を30℃~60℃の範囲の温度で少なくとも1時間乾燥させて、結晶性の2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル]-3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]酢酸ナトリウム三水和物を得ること
    を含む方法。
  2. ステップ2の前記水酸化ナトリウム水溶液中の前記水酸化ナトリウムの濃度が、5M~30Mの範囲、より好ましくは10M~30Mの範囲にある、請求項1に記載の方法。
  3. 2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル]-3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]酢酸含有量に対して1.1~1.5モル当量の水酸化ナトリウムが、ステップ2において、水溶液として、10M~30Mの範囲の水酸化ナトリウムの濃度で加えられる、請求項1又は2に記載の方法。
  4. ステップ3がさらに、
    前記撹拌された懸濁液を毎時60K以下の冷却速度で室温に冷却すること、
    前記冷却された懸濁液を濾過して固体化合物を得ること、及び
    任意選択で、前記固体化合物を、ステップ1で使用された前記(C-C)ジアルキルエーテルである前記(C-C)ジアルキルエーテルで洗浄すること
    を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記酢酸(C-C)アルキルが、酢酸メチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル若しくは酢酸ブチル、又はそれらの混合物であり、前記(C-C)ジアルキルエーテルが、ジイソプロピルエーテル、メトキシペンタン、若しくはメチルtert-ブチルエーテル、又はそれらの混合物であり、好ましくは、前記酢酸(C-C)アルキルが酢酸イソプロピルであり、前記(C-C)ジアルキルエーテルがジイソプロピルエーテルであり、より好ましくは、前記酢酸(C-C)アルキルが酢酸イソプロピルであり、前記(C-C)ジアルキルエーテルがジイソプロピルエーテルであり、酢酸イソプロピル:ジアルキルエーテルのモル比が1:2である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
  6. ステップ1において、2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル]-3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]酢酸の前記溶液の濃度が、0.3M~0.6Mである、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
  7. ステップ5において、前記固体化合物を乾燥させることが、10hPa未満、好ましくは約2~3hPaの減圧下で50℃にて15時間行われる、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
  8. ステップ2が、
    前記溶液を、2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル]-3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]酢酸ナトリウム三水和物の種結晶で、ステップ1で得られた2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル]-3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]酢酸の総重量に対して0.5~1重量%の量で接種すること
    をさらに含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 追加の後続ステップ:
    ステップ6)ステップ5から生じる前記結晶性の2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル]-3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]酢酸ナトリウム三水和物を微粒子化又はナノミル化して、微粒子化された結晶性の2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル]-3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]酢酸ナトリウム三水和物を含む医薬組成物を得ること
    をさらに含み、
    粒径が0.3~1000μmの範囲にあり、粒度分布が、d(0.1)1~100μm、d(0.5)30~250μm及びd(0.9)100~800μmで画定される
    請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 追加の後続ステップ:
    ステップ7)少なくとも1つの薬学的に許容される担体、賦形剤及び/又は希釈剤を、前記結晶性の2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル]-3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]酢酸ナトリウム三水和物に加えること
    をさらに含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 請求項1~10のいずれか一項に記載された前記方法によって得ることができる、式(I)
    Figure 2023519813000010
    の結晶性の2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル]-3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]酢酸ナトリウム三水和物。
  12. エタノールを本質的に含まない、請求項11に記載の結晶性の2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル]-3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]酢酸ナトリウム三水和物。
  13. 六方晶系、R3の空間群、並びにa=28.22Å、b=28.22Å、c=9.97Å、α=90±3°、β=90±3°、及びγ=120±3°の単位胞寸法を有する、請求項11又は12に記載の結晶性の2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル]-3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]酢酸ナトリウム三水和物。
  14. 六方晶系、R3の空間群、並びにa=28.22Å、b=28.22Å、c=9.97Å、α=90±3°、β=90±3°、及びγ=120±3°の単位胞寸法を有する、結晶性の2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル]-3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]酢酸ナトリウム三水和物。
  15. X線回折パターンが、6.2°、9.5°、12.4°、15.6°、18.0°、19.0°、21.0°、22.5°及び26.8°の2θ角の値を含み、前記2θ角の値が±0.1°の正規偏差を有する、請求項11~14のいずれか一項に記載の結晶性の2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル]-3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]酢酸ナトリウム三水和物。
  16. 請求項11~15のいずれか一項に記載された前記結晶性の2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル]-3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]酢酸ナトリウム三水和物を含む、医薬組成物。
  17. 乾燥粉末である、請求項16に記載の医薬組成物。
  18. エタノールを本質的に含まない、請求項16又は17に記載の医薬組成物。
  19. 静脈内投与に適した、請求項16~18のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  20. 経口投与に適した、請求項16~18のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  21. 疾患、特にウイルス感染症、好ましくはヒトサイトメガロウイルス(HCMV)感染症又はヘルペスウイルス科グループの別のメンバーによる感染症の治療及び/又は予防の方法に使用するための、請求項16~20のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  22. 疾患、特にウイルス感染症、好ましくはヒトサイトメガロウイルス(HCMV)感染症又はヘルペスウイルス科グループの別のメンバーによる感染症の治療及び/又は予防のための医薬品を製造するための、請求項16~20のいずれか一項に記載された医薬組成物の使用。
  23. 請求項16~20のいずれか一項に記載された前記医薬組成物を、感染症の治療を必要とするヒト又は動物に投与するステップを含む、ヒト及び動物におけるウイルス感染症、好ましくはヒトサイトメガロウイルス(HCMV)感染症又はヘルペスウイルス科グループの別のメンバーによる感染症を治療及び/又は予防するための方法。
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