JP2023518504A - アルツハイマー病を治療する方法及び薬剤 - Google Patents

アルツハイマー病を治療する方法及び薬剤 Download PDF

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Abstract

本発明は、被験者に治療有効量のプラスミノーゲン活性化経路の成分を投与することを含む、アルツハイマー病を予防及び治療する方法及び薬剤を提供する。本発明はまた、プラスミノーゲン活性化経路の成分を含む薬剤、医薬組成物、製品及びキットを提供する。

Description

本発明は、臨床症状及び徴候を改善するために、被験者に有効量のプラスミノーゲン活性化経路の成分または関連化合物、例えば、プラスミノーゲン、を投与することを含む、アルツハイマー病を予防または治療する方法に関する。
アルツハイマー病(Alzheimer disease、AD)は、潜行性に発症する進行性の神経変性疾患である。臨床的には、記憶障害、失語症、失行症、失認症、視空間能力の障害、実行機能障害、及び人格や行動の変化などの全身性認知症を特徴としているが、その原因はまだ分かっていない。主な症状は、認知機能の低下、精神症状や行動障害、日常生活能力の漸進的な低下である。認知能力や身体機能の低下の程度によって3つの時期に分けられる。第1の段階は通常1~3年であり、軽度の認知症である。記憶喪失、最近の出来事の顕著な忘却;判断能力の低下、出来事の分析、思考、判断ができず、複雑な問題に対処することが困難であり;仕事や家事が不注意であり、自分で買い物や経済問題などをすることができず、社交が困難であり;まだいくつかの慣れ親しんだ日常の仕事をすることができるが、ぼんやりして新しいことに理解できず、感情的に無関心で、時々怒りっぽくて、しばしば疑わしいであり;時間的方向性障害が発生し、場所と人を方向付けることができるが、その場所の地理的な位置を把握するのが難しく、複雑な構造の視空間能力が低く;言語語彙が少なく、ネーミングが難しいこととして現れる。第2の段階は通常2~10年であり、中等度の認知症である。それは、遠くと近くの記憶の重度の障害、単純な構造の視空間能力の低下、時間及び場所の方向性障害が発生し;問題に対処し、物事の類似点と相違点を区別することにおける重度の障害;室外活動を独立して行うことができず、着替え、身の回りの衛生、外見の維持に介助が必要であり;計算不能;失語症、失行症、失認など、さまざまな神経学的症状が現れ;感情は無関心から過敏性に変化し、しばしば絶え間ない歩行、尿失禁が発生することとして現れる。第3段階は通常8~12年であり、重度の認知症の段階である。患者は介護者に完全に依存し、重度の記憶喪失があり、断片的な記憶しか持たない;日常生活で自分の世話をすることができず、失禁、無言症、四肢の硬直、身体検査では、強く握る、手探り、吸うなどの原始反射を伴う陽性の錐体路徴候が明らかになる。最終的には昏睡状態に陥り、通常は感染症などの合併症で死亡する。
現在の治療法は、主にアルツハイマー病に関連する精神病理学的症状を制御するための対症療法である。例えば、不安、動揺、不眠の症状がある場合は抗不安薬を投与し、抑うつ症状がある場合は抗うつ薬を投与し、患者の行動障害をコントロールするために抗精神病薬を投与する。また、認知機能を改善し、病気の進行を遅らせるために、神経伝達物質に作用する薬、脳血管拡張薬、脳の代謝を促進する薬などの向知性薬や認知機能を改善する薬を投与する。アルツハイマー病の治療には、他の治療法や薬剤を見つける必要がある。
本発明は研究によって、プラスミノーゲンがアルツハイマー病患者の記憶機能の回復を促進し、認知能力を改善し、アルツハイマー病の様々な臨床症状及び徴候を有意に軽減及び緩和し、アルツハイマー病を予防及び治療できることを発見した。
具体的には、本発明は下記のことに係る。
1、一態様では、本願は、プラスミノーゲン活性化経路の成分、プラスミノーゲンを直接活性化し得るか、またはプラスミノーゲン活性化経路の上流成分を活性化することによって間接的にプラスミノーゲンを活性化し得る化合物、プラスミノーゲンまたはプラスミンの活性を模倣する化合物、プラスミノーゲンまたはプラスミノーゲン活性化剤の発現をアップレギュレートすることができる化合物、プラスミノーゲン類縁体、プラスミン類縁体、tPAまたはuPA類縁体及び線維素溶解阻害剤(Fibrinolytic inhibitor)の拮抗剤から選択される1つ以上の治療有効量の化合物をアルツハイマー病の被験者に投与することを含む、アルツハイマー病を予防及び治療する方法に関する。
一態様では、本願は、プラスミノーゲン活性化経路の成分、プラスミノーゲンを直接活性化し得るか、またはプラスミノーゲン活性化経路の上流成分を活性化することによって間接的にプラスミノーゲンを活性化し得る化合物、プラスミノーゲンまたはプラスミンの活性を模倣する化合物、プラスミノーゲンまたはプラスミノーゲン活性化剤の発現をアップレギュレートすることができる化合物、プラスミノーゲン類縁体、プラスミン類縁体、tPAまたはuPA類縁体及び線維素溶解阻害剤の拮抗剤から選択される1つ以上の化合物の、アルツハイマー病を治療する薬剤の調製における使用に関する。
一態様では、本願は、プラスミノーゲン活性化経路の成分、プラスミノーゲンを直接活性化し得るか、またはプラスミノーゲン活性化経路の上流成分を活性化することによって間接的にプラスミノーゲンを活性化し得る化合物、プラスミノーゲンまたはプラスミンの活性を模倣する化合物、プラスミノーゲンまたはプラスミノーゲン活性化剤の発現をアップレギュレートすることができる化合物、プラスミノーゲン類縁体、プラスミン類縁体、tPAまたはuPA類縁体及び線維素溶解阻害剤の拮抗剤から選択される1つ以上の化合物を含む、アルツハイマー病を治療する薬剤または医薬組成物に関する。
2、前記プラスミノーゲン活性化経路の成分が、プラスミノーゲン、組換えヒトプラスミノーゲン、Lys-プラスミノーゲン、Glu-プラスミノーゲン、プラスミン、プラスミノーゲンとプラスミンの1つ以上のkringleドメイン及びプロテアーゼドメインを含むプラスミノーゲン及びプラスミン変異体並びに類縁体、ミニプラスミノーゲン(mini-plasminogen)、ミニプラスミン(mini-plasmin)、マイクロプラスミノーゲン(micro-plasminogen)、マイクロプラスミン(micro-plasmin)、delta-プラスミノーゲン、delta-プラスミン(delta-plasmin)、プラスミノーゲン活性化剤、tPA、及びuPAから選択されるものである、項1に記載の方法、使用、薬剤、または医薬組成物。
3、前記線維素溶解阻害剤の拮抗剤が、PAI-1、補体C1阻害剤、α2抗プラスミンまたはα2マクログロブリンの阻害剤、例えば、抗体である、項1に記載の方法、使用、薬剤、または医薬組成物。
4、前記化合物が、アルツハイマー病の被験者に対して、脳組織におけるアミロイドAβ40またはAβ42の分解を促進する活性、記憶機能を改善する活性、認知能力を改善する活性、地理的位置認識を改善する活性、不安または抑うつ症状を緩和する活性、脳組織におけるAβ42沈着を減少させる活性、脳組織におけるTauタンパク質の分解を促進する活性、脳組織におけるPro-BDNFの切断による成熟BDNFの形成を促進する活性、脳組織におけるBDNFの発現を促進する活性、脳組織におけるPro-NGFの切断による成熟NGFの形成を促進する活性、及び脳組織の海馬の損傷を改善する活性から選択される1つまたは複数の活性を有する、項1~3のいずれか一項に記載の方法、使用、薬剤、または医薬組成物。
5、前記化合物がプラスミノーゲンである、項1~4のいずれか一項に記載の方法、使用、薬剤、または医薬組成物。
6、前記プラスミノーゲンが、ヒト全長プラスミノーゲンまたはその保存的置換変異体である、項1~5のいずれか一項に記載の方法、使用、薬剤、または医薬組成物。
7、前記プラスミノーゲンが、配列2と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有し、且つ依然としてプラスミノーゲンのリジン結合活性またはタンパク質加水分解活性を有する、項1~5のいずれか一項に記載の方法、使用、薬剤、または医薬組成物。
8、前記プラスミノーゲンが、配列14と少なくとも80%、90%、95%、96%、97%、98%または99%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、且つ依然としてプラスミノーゲンのタンパク質加水分解活性を有する、項1~5のいずれか一項に記載の方法、使用、薬剤、または医薬組成物。
9、前記プラスミノーゲンがGlu-プラスミノーゲン、Lys-プラスミノーゲン、ミニプラスミノーゲン、マイクロプラスミノーゲン、delta-プラスミノーゲンまたはそれらの、プラスミノーゲンのタンパク質加水分解活性を保持した変異体から選択されるものである、項1~5のいずれか一項に記載の方法、使用、薬剤、または医薬組成物。
10、前記プラスミノーゲンが、配列2、6、8、10または12に示されるアミノ酸配列を含むか、または配列2、6、8、10または12に示されるアミノ酸配列の保存的置換変異体を含む、項1~5のいずれか一項に記載の方法、使用、薬剤、または医薬組成物。
11、前記化合物が、1つまたは複数の他の治療方法または薬剤と組み合わせて使用される、項1~10のいずれか一項に記載の方法、使用、薬剤、または医薬組成物。
12、前記他の治療方法が、細胞療法(幹細胞療法を含む)、支持療法、及び物理的療法を含む、項11に記載の方法、使用、薬剤、または医薬組成物。
13、前記他の薬剤が、アルツハイマー病の治療のための他の薬剤である、項11に記載の方法、使用、薬剤、または医薬組成物。
14、前記化合物が、鼻吸入、エアロゾル吸入、点鼻薬、点眼薬、点耳薬、静脈内、腹腔内、皮下、頭蓋内、髄腔内、動脈内(例えば頸動脈を介して)、及び筋肉内に投与される、項1~13のいずれか一項に記載の方法、使用、薬剤、または医薬組成物。
本願の上記いずれか1つの実施形態において、前記プラスミノゲンが配列2、6、8、10または12と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有し、且つ依然としてプラスミノーゲン活性、例えば、リジン結合活性またはタンパク質加水分解活性を有し得る。一部の実施形態において、前記プラスミノーゲンは、配列2、6、8、10または12に基づいて、1~100、1~90、1~80、1~70、1~60、1~50、1~45、1~40、1~35、1~30、1~25、1~20、1~15、1~10、1~5、1~4、1~3、1~2、1個のアミノ酸を追加、削除、及び/または置換され、かつ依然としてプラスミノーゲン活性、例えば、リジン結合活性またはタンパク質加水分解活性を有するタンパク質である。
一部の実施形態において、プラスミノーゲンはプラスミノーゲンフラグメントを含み、且つ依然としてプラスミノーゲン活性、例えば、タンパク質加水分解活性を有するタンパク質である。一部の実施形態において、プラスミノーゲンは、Glu-プラスミノーゲン、Lys-プラスミノーゲン、ミニプラスミノーゲン、マイクロプラスミノーゲン、δ-プラスミノーゲンまたはそれらのプラスミノーゲン活性、例えば、タンパク質加水分解活性を保持した変異体である。上記実施形態において、前記プラスミノーゲンは、天然または合成のヒトプラスミノーゲン、または依然としてプラスミノーゲン活性、例えば、リジン結合活性またはタンパク質加水分解活性を保持した変異体若しくはフラグメントである。一部の実施形態において、前記プラスミノーゲンは、霊長類動物またはげっ歯類動物に由来するヒトプラスミノーゲンのオルソログ、または依然としてプラスミノーゲン活性、例えば、リジン結合活性またはタンパク質加水分解活性を保持した変異体若しくはフラグメントである。一部の実施形態において、前記プラスミノーゲンのアミノ酸は配列2、6、8、10または12に示される。一部の実施形態において、前記プラスミノーゲンはヒト天然プラスミノーゲンである。
一部の実施形態において、前記被験者はヒトである。一部の実施形態において、前記被験者はプラスミノーゲンが不足、または欠乏している。一部の実施形態において、前記不足または欠乏は、先天的、継発的及び/または局所的である。
いくつかの実施形態では、前記医薬組成物は、薬学的に許容される担体と、前述の方法で使用するプラスミノーゲンとを含む。いくつかの実施形態では、前記キットは、(i)前述の方法で使用するプラスミノーゲン、及び(ii)前記プラスミノーゲンを前記被験者に送達するための部材(means)を含む、予防または治療キットであり得る。いくつかの実施形態では、前記部材は注射器またはバイアルである。いくつかの実施形態では、前記キットは、前述の方法のいずれかを実施するために前記プラスミノーゲンを前記被験者に投与することを指示するためのラベルまたはプロトコルをさらに含む。
いくつかの実施形態では、前記製品は、ラベルを含む容器と、(i)前述の方法で使用するためのプラスミノーゲンまたはプラスミノーゲンを含む医薬組成物とを含み、前記ラベルは、前述の方法のいずれかを実施するために前記プラスミノーゲンまたは組成物を前記被験者に投与することを指示する。
いくつかの実施形態では、前記キットまたは製品は、他の薬剤を含む1つまたは複数の追加の部材または容器をさらに含む。
前記方法の一部の実施形態において、前記プラスミノーゲンは全身または局所にて投与され、好ましくは、静脈内、筋肉内、皮下投与によってプラスミノーゲンを投与することで治療する。前記方法のいくつかの実施形態では、前記プラスミノーゲンは、適切なポリペプチド担体または安定剤と組み合わせて投与される。前記方法の一部の実施形態において、前記プラスミノゲンは毎日0.0001~2000mg/kg、0.001~800mg/kg、0.01~600mg/kg、0.1~400mg/kg、1~200mg/kg、1~100mg/kg、10~100mg/kg(体重1キロあたりで計算)または0.0001~2000mg/cm、0.001~800mg/cm、0.01~600mg/cm、0.1~400mg/cm、1~200mg/cm、1~100mg/cm、10~100mg/cm(体表面積平方センチメートルあたりで計算)の用量で投与し、好ましくは一回以上繰り返し、好ましくは少なくとも毎日投与する。
本発明は、本発明の実施形態に属する技術的特徴のすべての組み合わせを明確にカバーし、これらの組み合わせ後の技術構成は、上記の技術構成が別個に明確に開示されたのと同様に、本出願において明確に開示された。さらに、本発明はまた、各実施形態とそれらの要素との間の組み合わせを明確にカバーし、組み合わせ後の技術構成は、本明細書に明確に開示されている。
図1A~Bは、PBS緩衝系におけるアミロイドAβ40を溶解するプラスミノーゲンのTricine-SDS電気泳動の結果を示す図である。AはTricine-SDS-PAGEであり、BはインビトロでのAβ40溶解の定量的スキャン分析の結果である。その結果、溶媒対照群のAβ40量を100%として定義し、変化がなく、プラスミノーゲン群では、プラスミノーゲンのみを添加した場合にAβ40が部分的に分解され、プラスミノーゲン+tPA群では、プラスミノーゲンとtPAを添加した場合、Aβ40のインビトロ分解は明らかであり、溶媒対照群と比較して有意な差があった(**はP<0.01を表す)。これは、プラスミノーゲンがAβ40の分解を促進できることを示している。 図2A~Bは、ウサギ脳脊髄液中のアミロイドAβ40を溶解するプラスミノーゲンのTricine-SDS電気泳動の結果を示す図であり、レーン1とレーン4はブランク対照群であり、レーン2は溶媒群であり、レーン3はプラスミノーゲン群である。AはTricine-SDS-PAGE、BはAβ40溶解の定量的スキャン分析の結果である。その結果、溶媒対照群のAβ40の量を100%と定義し、変化がなく、プラスミノーゲン群では、プラスミノーゲンのみを添加した場合にAβ40が部分的に分解され、74.81%に分解された。これは、プラスミノーゲンがAβ40の分解を促進できることを示している。 図3A~Bは、ウサギ脳脊髄液中のヒトアミロイドAβ40に対するプラスミノーゲンの効果の結果を示す図である。AはTricine-SDS-PAGE電気泳動の図であり、BはAβ40溶解の定量的スキャン分析の結果である。その結果、溶媒対照群のAβ40の量を100%と定義し、変化がなく、プラスミノーゲン群では、プラスミノーゲンのみを添加した場合にAβ40が部分的に分解され、74.81%に分解された。これは、プラスミノーゲンがウサギの脳脊髄液中のヒトアミロイドAβ40の分解を促進できることを示している。 図4A~Bは、アルツハイマー病モデル及び正常マウス脳ホモジネートにおけるヒトアミロイドAβ40に対するプラスミノーゲンの効果の結果を示す図である。AはTricine-SDS-PAGE電気泳動の図であり、BはインビトロでのAβ40溶解の定量的スキャン分析の結果である。その結果、FADマウスの脳ホモジネートでは、投与群のアミロイドAβ40の量が溶媒対照群よりも有意に低く、その差は極めて有意であった(***はP<0.001を示す);正常マウス脳ホモジネートにおいて、投与群のヒトアミロイドAβ40の量は溶媒対照群より有意に低く、その差は極めて有意であった(P=0.001)。これは、アルツハイマー病モデル及び正常マウス脳ホモジネートにおいて、プラスミノーゲンがヒトアミロイドAβ40の分解を効果的に促進できることを示している。 図5は、プラスミノーゲン投与5日後のアルツハイマー病モデルマウスにおける自発的交替行動率(%)の統計結果を示す図である。その結果、正常な対照マウスと比較して、溶媒群のマウスの自発的交替行動率が有意に増加し、投与群のマウスの自発的交替行動率は、溶媒対照群よりも有意に低く、その統計的差は有意であり(*はP<0.05を表す)、且つ正常な対照マウスにより近かった。 図6は、プラスミノーゲン投与5日後のアルツハイマー病モデルマウスの総アーム進入回数の統計結果を示す図である。その結果、正常な対照マウスと比較して、溶媒群のマウスの総アーム進入回数は有意に減少し、プラスミノーゲン投与群のマウスの総アーム進入回数は、溶媒群のマウスよりも有意に多く、統計的差は有意であり(*はP<0.05を示す)、正常な対照マウスにより近かった。 図7は、プラスミノーゲン投与5日後のアルツハイマー病モデルマウスの総移動距離の統計結果を示す図である。その結果、正常な対照マウスと比較して、溶媒群のマウスの総運動距離は有意に減少し、プラスミノーゲン群のマウスの総運動距離は溶媒対照群のマウスよりも有意に長く、統計的差は有意であり(*はP<0.05を示す)、正常な対照マウスにより近かった。 図8A~Cは、アルツハイマー病モデルマウスにプラスミノーゲンを28日間投与した後の大脳皮質におけるAβ42染色の定量分析結果を示す図である。Aは溶媒群であり、Bは投与群であり、Cは平均光学密度の定量分析結果である。その結果、溶媒群のマウスの大脳皮質におけるAβ42の沈着レベルは、投与群よりも有意に高く、光学密度の定量分析結果の統計的差は有意であった(*はP<0.05を表す)。これは、プラスミノーゲンが、アルツハイマー病モデルマウスの大脳皮質におけるAβ42の沈着を減少させることができることを示唆している。 図9A~Bは、プラスミノーゲンを8日間投与した後のアルツハイマー病モデルマウスの脳組織ホモジネートにおけるAβ42のウエスタンブロットの結果を示す図である。Aはウエスタンブロットの代表的な画像であり、Bは光学密度の定量分析の結果である。その結果、ブランク対照群のマウスの脳ホモジネートには一定レベルのAβ42タンパク質が存在し、溶媒群のマウスの脳組織におけるAβ42のレベルは、投与群のマウスよりも有意に高く、統計P値は0.09であった。これは、プラスミノーゲンがアルツハイマー病モデルマウスの脳組織におけるAβ42のレベルを低下させることができることを示している。 図10A~Bは、正常なマウスの脳ホモジネートにおけるTauタンパク質に対するプラスミノーゲンの効果を示す図である。Aはウエスタンブロット画像であり、BはTauタンパク質バンドの光学密度の定量分析結果である。その結果、正常なマウスの脳ホモジネートでは、プラスミノーゲン群のTauタンパク質の量が溶媒対照群よりも有意に低く、その差は有意であった(*はP<005を表し、**はP<0.01を表し、***はP<0.001を表す)。これは、プラスミノーゲンが、正常なマウスの脳ホモジネートにおけるTauタンパク質の分解を促進できることを示唆している。 図11A~Bは、アルツハイマー病マウスの脳ホモジネートにおけるTauタンパク質に対するプラスミノーゲンの効果を示す図である。Aはウエスタンブロット画像であり、BはTauタンパク質バンドの光学密度の定量分析結果である。その結果、アルツハイマーマウスの脳ホモジネートでは、プラスミノーゲン群のTauタンパク質の量が溶媒対照群よりも有意に低く、その差は統計的に有意であった(*はP<005、**はP<0.01を表す)。これは、プラスミノーゲンが、アルツハイマー病マウスの脳ホモジネートのTauタンパク質の分解を促進できることを示唆している。 図12は、プラスミノーゲンを28日間投与したアルツハイマー病マウスの脳組織における異なる分子量のTauタンパク質のウエスタンブロット検出結果を示す図である。その結果、ブランク対照群のマウスの脳ホモジネートに一定のレベルの異なる分子量のTauタンパク質があり、投与群のマウスの脳組織における各分子量のTauタンパク質及び総Tauタンパク質のレベルは媒体群のマウスよりも有意に低く、2つの群の35kd、35~40kd、40kd、54kdの分子量Tauタンパク質レベル及び総Tauタンパク質レベルの統計分析P値は、0.174、0.0406、0.052、0.067、及び0.055であった。これは、プラスミノーゲンがアルツハイマーモデルマウスの脳組織においてTauタンパク質の分解を促進できることを示している。 図13A~Bは、アルツハイマー病モデルマウスの脳ホモジネートにおける組換えヒトPro-BDNFに対するプラスミノーゲンの効果を示す図である。AはSDS-PAGEの画像であり、BはSDS-PAGEにおけるPro-BDNFバンドの定量解析結果である。その結果、アルツハイマー病モデルマウスの脳ホモジネートにおいて、プラスミノーゲン投与群のPro-BDNF量は溶媒対照群より有意に低く、その差は極めて有意であった(*はP<0.05、***はP<0.001を表す)。これは、プラスミノーゲンが、アルツハイマー病モデルマウスの脳ホモジネートにおいてPro-BDNFの切断を促進できることを示唆している。 図14A~Cは、アルツハイマー病モデルマウスの脳ホモジネートにおける組換えヒトPro-BDNFに対するプラスミノーゲンの効果を示す図であり、Aはウエスタンブロットの画像であり、BはウエスタンブロットにおけるPro-BDNFバンドの光学密度(OD)値の分析結果であり、CはウェスタンブロットにおけるBDNFバンドの光学密度(OD)値の分析結果である。その結果、アルツハイマー病モデルマウスの脳ホモジネートにおいて、プラスミノーゲン投与群のPro-BDNF量は溶媒対照群より有意に低く、その差は極めて有意であった(**はP<0.01、***P<0.001を表す);プラスミノーゲン投与群のBDNF量は溶媒対照群よりも有意に高く、その差は極めて有意であった。これは、プラスミノーゲンが、アルツハイマー病モデルマウスの脳ホモジネートにおいて、Pro-BDNFの切断及び成熟BDNFの形成を促進できることを示唆している。 図15A~Dは、プラスミノーゲンを28日間投与したアルツハイマー病モデルマウスの海馬におけるBDNFの免疫組織化学染色の結果を示す図である。Aはブランク対照群であり、Bは溶媒群であり、Cは投与群であり、Dは平均光学密度の定量分析結果である。その結果、ブランク対照群のマウスの海馬が一定レベルのBDNFを発現し(矢印でマーク)、溶媒群のマウスの海馬におけるBDNFの発現は、ブランク対照群よりも有意に低く、投与群のマウスの海馬におけるBDNFの発現は溶媒群よりも有意に高く、統計的差は有意であった(*はP<0.05を表す)。これは、プラスミノーゲンがアルツハイマー病モデルマウスの海馬でBDNFの発現を促進できることを示している。 図16A~Cは、アルツハイマー病モデルマウスの脳ホモジネートにおける組換えヒトPro-NGFに対するプラスミノーゲンの効果を示す図である。Aはウェスタンブロットの画像であり、BはウェスタンブロットにおけるPro-NGFバンドの光学密度(OD)値の分析結果であり、CはウエスタンブロットにおけるNGFバンドの光学密度(OD)値の分析結果である。その結果、アルツハイマー病モデルマウスの脳ホモジネートでは、溶媒対照群に比べてプラスミノーゲン投与群のPro-NGF量が有意に低く、その差は極めて有意であった(***はP<0.001を表す);プラスミノーゲン投与群のNGF量は溶媒対照群よりも有意に高く、その差は有意であった。これは、プラスミノーゲンが、アルツハイマー病モデルマウスの脳ホモジネートにおいて、組換えヒトPro-NGFの切断及び成熟NGFの形成を促進できることを示唆している。 図17は、プラスミノーゲン投与28+7日後のアルツハイマー病モデルマウスのオープンフィールド試験の境界ゾーンにおける移動距離の割合(%)の統計結果を示す図である。その結果、ブランク対照群は境界ゾーンで一定の割合の移動距離を持っており、溶媒群マウスの境界ゾーンの移動距離の割合がブランク対照群より有意に多く、投与群マウスの境界ゾーン移動距離の割合が溶媒群より有意に小さく、しかも統計的差は有意に近かった(P=0.08)。これは、プラスミノーゲンが、アルツハイマー病モデルマウスの不安及び抑うつ行動の回復を促進できることを示唆している。 図18は、プラスミノーゲン投与28+7日後のアルツハイマー病モデルマウスのオープンフィールド試験の中心ゾーンにおける移動距離の割合(%)の統計結果を示す図である。その結果、ブランク対照群は中心ゾーンで一定の割合の移動距離を持っており、溶媒群マウスの中心ゾーンの移動距離の割合がブランク対照群より有意に小さく、投与群マウスの中心ゾーン移動距離の割合が溶媒群より有意に大きく、しかも統計的差は有意に近かった(P=0.08)。これは、プラスミノーゲンが、アルツハイマー病モデルマウスの不安及び抑うつ行動の回復を促進できることを示唆している。 図19は、プラスミノーゲン投与28+7日後のアルツハイマー病モデルマウスの高架式十字迷路試験における総移動距離の統計結果を示す図である。その結果、ブランク対照群は一定の総移動距離を持っており、溶媒群の移動距離はブランク対照群よりも有意に大きく、投与群の総移動距離は溶媒群よりも有意に小さく、その統計的差は極めて有意であり(*はP<0.05、**はP<0.01を表す)、しかもブランク対照群のマウスの総移動距離により近かった。これは、プラスミノーゲンが、アルツハイマー病モデルマウスの不安及び抑うつ行動の回復を促進できることを示唆している。 図20は、プラスミノーゲン投与28+9日後のアルツハイマー病モデルマウスの高架式十字迷路試験におけるクローズアーム移動距離の統計結果を示す図である。その結果、ブランク対照群マウスは一定のクローズアーム移動距離を持っており、溶媒群のクローズアーム移動距離はブランク対照群よりも有意に大きく、投与群のクローズアーム移動距離は溶媒群よりも有意に小さく、2つの群の間の統計的差は有意であり(*はP<0.05、**はP<0.01を表す)、しかも投与群のクローズアーム移動距離はブランク対照群により近かった。これは、プラスミノーゲンが、アルツハイマー病モデルマウスの不安及び抑うつ行動の回復を促進できることを示唆している。 図21は、プラスミノーゲン投与28+9日後のアルツハイマー病モデルマウスの高架式十字迷路試験におけるクローズアーム移動距離の割合の統計結果を示す図である。その結果、ブランク対照群マウスは一定のクローズアーム移動距離の割合を持っており、溶媒群のクローズアーム移動距離の割合はブランク対照群よりも有意に大きく、投与群のクローズアーム移動距離の割合は溶媒群よりも有意に小さく、2つの群の間の統計的差は有意であり(*はP<0.05を表す)、しかも投与群のクローズアーム移動距離の割合はブランク対照群により近かった。これは、プラスミノーゲンが、アルツハイマー病モデルマウスの不安及び抑うつ行動の回復を促進できることを示唆している。 図22は、プラスミノーゲン投与28+9日後のアルツハイマー病モデルマウスの高架式十字迷路試験におけるクローズアームエントリ回数の統計結果を示す図である。その結果、ブランク対照群マウスは一定のクローズアームエントリ回数を持っており、溶媒群のクローズアームエントリ回数はブランク対照群マウスよりも有意に多く、投与群マウスのクローズアームエントリ回数は溶媒群よりも有意に少なく、2つの群の間の統計的差は極めて有意であり(*はP<0.05、**はP<0.01を表す)、しかも投与群のクローズアームエントリ回数はブランク対照群により近かった。これは、プラスミノーゲンが、アルツハイマー病モデルマウスの不安及び抑うつ行動の回復を促進できることを示唆している。 図23は、プラスミノーゲン投与28+9日後のアルツハイマー病モデルマウスの高架式十字迷路試験におけるクローズアーム時間の統計結果を示す図である。その結果、ブランク対照群マウスは一定のクローズアーム時間を持っており、溶媒群マウスのクローズアームの滞在時間はブランク対照群マウスよりも有意に短く、投与群マウスのクローズアーム時間は溶媒群よりも有意に長く、2つの群の間の統計的差は有意であり(*はP<0.05、**はP<0.01を表す)、しかも投与群のクローズアームの滞在時間はブランク対照群により近かった。 図24は、プラスミノーゲン投与28+9日後のアルツハイマー病モデルマウスの高架式十字迷路試験におけるクローズアーム時間の割合の統計結果を示す図である。クローズアーム時間の割合とは、マウスがクローズアームに滞在した時間と記録された合計時間との比率を指す。その結果、ブランク対照群マウスは一定のクローズアーム時間の割合を持っており、溶媒群マウスのクローズアーム時間の割合はブランク対照群マウスよりも有意に低く、投与群マウスのクローズアーム時間の割合は溶媒群よりも有意に高く、2つの群の間の統計的差は有意であり(*はP<0.05、**はP<0.01を表す)、しかも投与群のクローズアーム時間の割合はブランク対照群により近かった。 図25は、プラスミノーゲン投与28+9日後のアルツハイマー病モデルマウスの高架式十字迷路試験におけるクローズアームでの平均移動速度の統計結果を示す図である。その結果、ブランク対照群マウスは一定のクローズアームでの平均移動速度を持っており、溶媒群のクローズアームでの平均移動速度はブランク対照群マウスよりも有意に大きく、投与群マウスのクローズアームでの平均移動速度は溶媒群よりも有意に小さく、2つの群の間の統計的差は極めて有意であり(**はP<0.01を表す)、しかも投与群のクローズアームでの平均移動速度はブランク対照群により近かった。これは、プラスミノーゲンが、アルツハイマー病モデルマウスの不安及び抑うつ行動の回復を促進できることを示唆している。 図26は、プラスミノーゲン投与28+9日後のアルツハイマー病モデルマウスのY迷路における自発的交替行動率の統計結果を示す図である。その結果、ブランク対照マウスと比較して、溶媒群のマウスの自発的交替行動率が有意に低下し、投与群のマウスの自発的交替行動率は、溶媒群よりも有意に高く、2つの群の間の統計的差は有意であり(*はP<0.05を表す)、しかもブランク対照群により近かった。これは、プラスミノーゲンが、アルツハイマー病モデルマウスの記憶機能の回復を促進できることを示唆している。 図27は、プラスミノーゲン投与18日後のアルツハイマー病モデルマウスの高架式十字迷路試験におけるクローズアームの移動距離の統計結果を示す図である。その結果、ブランク対照群マウスは一定のクローズアーム時の移動距離を持っており、溶媒群のクローズアームの移動距離はブランク対照群マウスよりも有意に小さく、投与群マウスのクローズアームの移動距離は溶媒群よりも有意に大きく、2つの群の間の統計的差は有意であり(**はP<0.01、***はP<0.001を表す)、しかも投与群のクローズアームの移動距離はブランク対照群により近かった。これは、プラスミノーゲンが、アルツハイマー病モデルマウスの不安及び抑うつ行動の回復を促進できることを示唆している。 図28A~Cは、プラスミノーゲンを8日間投与した後のアルツハイマー病モデルマウスの脳組織のHE染色の代表的な写真を示す図である。Aはブランク対照群であり、Bは溶媒対照群であり、Cは投与群である。その結果、ブランク対照群のマウスの海馬の組織形態が正常であり、溶媒群と比較して、投与群の海馬の組織損傷形態が有意に改善された。これは、プラスミノーゲンが、アルツハイマー病モデルマウスの海馬損傷を改善できることを示している。
発明の詳細な説明
線維素溶解系(Fibrinolytic system)は、線溶系とも呼ばれ、線維素溶解(線溶)の過程に関与する一連の化学物質からなる系であり、主にプラスミノーゲン(PLG)、プラスミン、プラスミノーゲン活性化因子、及び線維素溶解阻害剤を含む。プラスミノーゲン活性化因子には、組織型プラスミノーゲン活性化因子(t-PA)、及びウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子(u-PA)が含まれる。t-PAはセリンプロテアーゼであり、血管内皮細胞によって合成される。t-PAはプラスミノーゲンを活性化し、このプロセスは主にフィブリンで行われる。ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子(u-PA)は、尿細管上皮細胞と血管内皮細胞によって産生され、補因子としてフィブリンを必要とすることなくプラスミノーゲンを直接活性化することができる。プラスミノーゲン(PLG)は肝臓で合成される。血液が凝固すると、PLGはフィブリンネットに大量に吸着され、t-PAまたはu-PAの作用によりプラスミンに活性化されて線維素溶解を促進する。プラスミナーゼ(PL)はセリンプロテアーゼであり、フィブリンとフィブリノーゲンを分解し、様々な凝固因子V、VIII、X、VII、XI、IIなどを加水分解し、プラスミノーゲンをプラスミンに変換し、補体を加水分解するなどの作用がある。線維素溶解阻害剤には、プラスミノーゲン活性化因子阻害剤(PAI)、及びα2-抗チプラスミン(α2-AP)が含まれる。PAIには主にPAI-1とPAI-2の2つの形態があり、t-PAに1:1の比率で特異的に結合することによってt-PAを不活性化すると同時にPLGを活性化することができる。α2-APは肝臓で合成され、PLと1:1の比率で結合して複合体を形成し、それによってPL活性を阻害する。FXIIIはα2-APをフィブリンと共有結合させ、それによってPLに対するフィブリンの感受性を弱める。インビボでの線維素溶解系の活性を阻害する物質としては、PAI-1、補体C1阻害剤、α2抗プラスミン、及びα2-マクログロブリンが挙げられる。
本明細書で使用される「プラスミノーゲン活性化経路の成分」という用語は、
1、プラスミノーゲン、Lys-プラスミノーゲン、Glu-プラスミノーゲン、マイクロプラスミノーゲン(micro-plasminogen)、delta-プラスミノーゲン、それらの変異体または類縁体;
2、プラスミン及びそれらの変異体または類縁体;及び
3、プラスミノーゲン活性化剤、例えば、tPA及びuPA、ならびにtPAまたはuPAの1つ以上のドメイン(1つ以上のkringleドメイン及びタンパク質加水分解ドメインなど)を含むtPAまたはuPA変異体及び類縁体をカバーする。
上記プラスミノーゲン、プラスミン、tPA及びuPAの「変異体」は、すべての天然に存在するヒトの遺伝的変異体及びこれらのタンパク質の他の哺乳動物型、並びに、例えば、1~100、1~90、1~80、1~70、1~60、1~50、1~45、1~40、1~35、1~30、1~25、1~20、1~15、1~10、1~5、1~4、1~3、1~2、1個のアミノ酸を追加、削除、及び/または置換されてかつ依然としてプラスミノーゲン活性、プラスミン活性、tPAまたはuPA活性を有するタンパク質を含む。例えば、プラスミノーゲン、プラスミン、tPAまたはuPAの「変異体」は、例えば、1~100、1~90、1~80、1~70、1~60、1~50、1~45、1~40、1~35、1~30、1~25、1~20、1~15、1~10、1~5、1~4、1~3、1~2、1個の保存的アミノ酸によって置換されて得られるこれらのタンパク質の突然変異体を含む。
本発明の「プラスミノゲン変異体」は、配列2、6、8、10または12と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有し、且つ依然としてプラスミノーゲン活性、例えば、リジン結合活性またはタンパク質加水分解活性を有するタンパク質をカバーする。例えば、本発明の「プラスミノーゲン変異体」は、配列2、6、8、10または12に基づいて、1~100、1~90、1~80、1~70、1~60、1~50、1~45、1~40、1~35、1~30、1~25、1~20、1~15、1~10、1~5、1~4、1~3、1~2、1個のアミノ酸を追加、削除、及び/または置換し、且つ依然としてプラスミノーゲン活性、例えば、リジン結合活性またはタンパク質加水分解活性を有するタンパク質であり得る。具体的には、本発明のプラスミノーゲン変異体は、すべての天然に存在するヒトの遺伝的変異体及びこれらのタンパク質の他の哺乳動物型、並びに、例えば、1~100、1~90、1~80、1~70、1~60、1~50、1~45、1~40、1~35、1~30、1~25、1~20、1~15、1~10、1~5、1~4、1~3、1~2、1個のアミノ酸を保存的置換によって得られるこれらのタンパク質の突然変異体を含む。
本発明のプラスミノーゲンは、霊長類動物またはげっ歯類動物に由来するヒトプラスミノーゲンのオルソログ、または依然としてプラスミノーゲン活性、例えば、リジン結合活性またはタンパク質加水分解活性を保持した変異体、例えば、配列2、6、8、10または12に示されるプラスミノーゲン、例えば、配列2に示されるヒト天然プラスミノーゲンであり得る。
上記プラスミノーゲン、プラスミン、tPA及びuPAの「類縁体」はそれぞれ、プラスミノーゲン、プラスミン、tPAまたはuPAと実質的に同様の効果を与える化合物を含む。
上記プラスミノーゲン、プラスミン、tPA及びuPAの「変異体」及び「類縁体」は、1つ以上のドメイン(例えば、1つ以上のkringleドメイン及びタンパク質加水分解ドメイン)を含むプラスミノーゲン、プラスミン、tPA及びuPAの「変異体」及び「類縁体」をカバーする。例えば、プラスミノーゲンの「変異体」及び「類縁体」は、1つ以上のプラスミノーゲンドメイン(例えば、1つ以上のkringleドメイン及びタンパク質加水分解ドメイン)を含むプラスミノーゲン変異体及び類縁体、例えば、ミニプラスミノーゲン(mini-plasminogen)をカバーする。プラスミンの「変異体」及び「類縁体」は、1つ以上のプラスミンドメイン(例えば、1つまたは複数のkringleドメイン及びタンパク質加水分解ドメイン)を含むミニプラスミン(mini-plasmin)やδ-プラスミン(delta-plasmin)などのプラスミンの「変異体」及び「類縁体」をカバーする。
上記プラスミノーゲン、プラスミン、tPAまたはuPAの「変異体」または「類縁体」がそれぞれプラスミノーゲン、プラスミン、tPAまたはuPAの活性を有するかどうか、またはそれらがプラスミノーゲン、プラスミン、tPAまたはuPAと実質的に同様の効果をそれぞれ与えるかどうかは、当技術分野で知られている方法、例えば、ザイモグラフィー(enzymography)、ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)及びFACS(蛍光活性化細胞ソーティング法)を使用して、活性化されたプラスミン活性のレベルによって測定できる。例えば、次の文献に記載されている方法を参照して測定することができる。Ny,A.,Leonardsson,G.,Hagglund,A.C,Hagglof,P.,Ploplis,V.A.,Carmeliet,P. and Ny,T. (1999). Ovulation inplasminogen-deficient mice. Endocrinology 140,5030-5035;Silverstein RL, Leung LL, Harpel PC, Nachman RL (November 1984). “Complex formation of platelet thrombospondin with plasminogen. Modulation of activation by tissue activator”. J. Clin. Invest. 74 (5): 1625-33;Gravanis I, Tsirka SE (February 2008). “Tissue-type plasminogen activator as a therapeutic target in stroke”. Expert Opinion on Therapeutic Targets. 12 (2): 159-70;Geiger M, Huber K, Wojta J, Stingl L, Espana F, Griffin JH, Binder BR (Aug 1989). “Complex formation between urokinase and plasma protein C inhibitor in vitro and in vivo”. Blood. 74 (2): 722-8。
本発明の一部の実施形態において、本発明の「プラスミノーゲン活性化経路の成分」はプラスミノーゲンである。一部の実施形態において、前記プラスミノーゲンはヒト全長プラスミノーゲン、またはそのプラスミノーゲン活性(例えば、そのリジン結合活性またはタンパク質加水分解活性)を保持した保存的突然変異体である。一部の実施形態において、前記プラスミノーゲンは、Glu-プラスミノーゲン、Lys-プラスミノーゲン、ミニプラスミノーゲン、マイクロプラスミノーゲン、δ-プラスミノーゲンまたはそれらのプラスミノーゲン活性(例えば、そのリジン結合活性またはタンパク質加水分解活性)を保持した変異体である。一部の実施形態において、前記プラスミノーゲンは、天然または合成のヒトプラスミノーゲン、または依然としてプラスミノーゲン活性(例えば、そのリジン結合活性またはタンパク質加水分解活性)を保持した保存的突然変異体若しくはそのフラグメントである。一部の実施形態において、前記プラスミノーゲンは、霊長類動物またはげっ歯類動物に由来するヒトプラスミノーゲンのオルソログ、または依然としてプラスミノーゲン活性を保持した保存的突然変異体若しくはそのフラグメントである。一部の実施形態において、前記プラスミノーゲンは、配列2、6、8、10または12に示されるようなアミノ酸配列を含む。一部の実施形態において、前記プラスミノーゲンは、配列2、6、8、10または12に示されるアミノ酸配列の保存的置換配列を含む。一部の実施形態において、前記プラスミノーゲンのアミノ酸は配列2、6、8、10または12に示される。一部の実施形態において、前記プラスミノーゲンは、配列2、6、8、10または12に示されるプラスミノーゲンの保存的置換変異体である。一部の実施形態において、前記プラスミノーゲンはヒト天然プラスミノーゲンまたはその保存的変異体である。一部の実施形態において、前記プラスミノーゲンは配列2に示されるヒト天然プラスミノーゲンまたはその保存的変異体である。
「プラスミノーゲンを直接活性化できる、若しくはプラスミノーゲン活性化経路の上流成分を活性化することによってプラスミノーゲンを間接に活性化できる化合物」とは、プラスミノーゲンを直接活性化できる、若しくはプラスミノーゲン活性化経路の上流成分を活性化することによってプラスミノーゲンを間接に活性化できる任意の化合物を指し、例えば、tPA、uPA、ストレプトキナーゼ、サルプラーゼ、アルテプラーゼ、レテプラーゼ、テネクテプラーゼ、アニストレプラーゼ、モンテプラーゼ、ラノテプラーゼ、パミテプラーゼ、及びスタフィロキナーゼが挙げられる。
本発明の「線維素溶解阻害剤の拮抗薬」は、線維素溶解阻害剤の作用に拮抗し、その作用を弱め、遮断し、阻止する化合物である。前記線維素溶解阻害剤は、例えば、PAI-1、補体C1阻害剤、α2-抗プラスミン、及びα2-マクログロブリンである。前記拮抗剤は、PAI-1、補体C1阻害剤、α2-抗プラスミンもしくはα2-マクログロブリンの抗体、または、例えばPAI-1、補体C1阻害剤、α2-抗プラスミンもしくはα2-マクログロブリンの発現を遮断またはダウンレギュレートするアンチセンスRNAもしくはミニRNA、または、PAI-1、補体C1阻害剤、α2-抗プラスミンまたはα2-マクログロブリンの結合部位を占めるが、PAI-1、補体C1阻害剤、α2-抗プラスミンまたはα2-マクログロブリンの機能を持たない化合物、または、PAI-1、補体C1阻害剤、α2-抗プラスミンもしくはα2-マクログロブリンの結合ドメイン及び/または活性ドメインをブロックする化合物である。
プラスミンはプラスミノゲン活性化系(PA系)の重要な成分である。それは広スペクトルのプロテアーゼであり、細胞外マトリックス(ECM)の幾つかの成分を加水分解することができ、これらの成分はフィブリン、ゼラチン、フィブロネクチン、ラミニン及びプロテオグリカンを含む。また、プラスミンは一部のプロマトリックスメタロプロテアーゼ(pro-MMPs)を活性化させて活性のあるマトリックスメタロプロテアーゼ(MMPs)にすることができる。そのためプラスミンは細胞外タンパク加水分解作用の一つの重要な上流調節因子である。プラスミンはプラスミノゲンが二種類の生理性のPA:組織型プラスミノゲン活性化剤(tPA)またはウロキナーゼプラスミノゲン活性化剤(uPA)をタンパク質加水分解することで形成されるものである。プラスミノゲンは血漿及び他の体液中において、相対的レベルが比較的高く、従来的にはPA系の調節は主にPAsの合成及び活性レベルよって実現されると考えられている。PA系成分の合成は異なる要素によって厳格な調節を受け、例えばホルモン、成長因子及びサイトカインである。また、この他に、プラスミンとPAsの特定の生理的阻害剤が存在する。プラスミンの主な阻害剤はα2-抗プラスミン(α2-antiplasmin)である。PAsの活性は、uPAとtPAのプラスミノーゲン活性化剤阻害剤-1(PAI-1)に同時に阻害され、uPAを主に阻害するプラスミノーゲン活性化剤阻害剤-2(PAI-2)によって調節される。一部の細胞表面には直接加水分解する活性のあるuPA特異性細胞表面受容体(uPAR)がある。
プラスミノゲンは単一鎖の糖タンパクであり、791個のアミノ酸からなり、分子量は約92kDaである。プラスミノゲンは主に肝臓で合成され、大量に細胞外液に存在している。血漿中に含まれるプラスミノゲンの含有量は約2μMである。そのためプラスミノゲンは組織及び体液中のタンパク質加水分解活性の大きな潜在的な由来である。プラスミノゲンには二種類の分子の形が存在する:グルタミン酸-プラスミノゲン(Glu-plasminogen)及びリジン-プラスミノゲン(Lys-plasminogen)である。天然的に分泌され及び分解していない形のプラスミノゲンは一つのアミノ基末端(N-末端)グルタミン酸を有し、そのためグルタミン酸-プラスミノゲンと称される。しかし、プラスミンが存在する場合、グルタミン酸-プラスミノゲンはLys76-Lys77においてリジン-プラスミノゲンに加水分解される。グルタミン酸-プラスミノゲンと比較して、リジン-プラスミノゲンはフィブリンとより高い親和力を有し、さらにより高い速度でPAsによって活性化されることができる。この二種類の形のプラスミノゲンのArg560-Val561ペプチド結合はuPAまたはtPAによって切断され、これによりジスルフィド結合によって連結された二重鎖プロテアーゼプラスミンの形成をもたらす。プラスミノゲンのアミノ基末端部分は五つの相同三環を含み、即ちいわゆるkringlesであり、カルボキシル基末端部分はプロテアーゼドメインを含む。一部のKringlesはプラスミノゲンとフィブリン及びその阻害剤α2-APの特異的相互作用を介在するリジン結合部位を含む。最も新しく発見されたプラスミノゲンは38kDaのフラグメントであり、kringlel-4を含み、血管生成の有効的な阻害剤である。このフラグメントはアンギオスタチン(Angiostatin)と命名され、幾つかのプロテアーゼ加水分解プラスミノゲンから生成される。
プラスミンの主な基質はフィブリンであり、フィブリンの溶解は病理性血栓の形成を予防するキーポイントである。プラスミンはさらにECMの幾つかの成分に対する基質特異性を有し、これらの成分はラミニン、フィブロネクチン、プロテオグリカン及びゼラチンを含み、これはプラスミンがECM再建において重要な作用を有することを示している。間接的に、プラスミンはさらにMMP-1、MMP-2、MMP-3及びMMP-9を含むいくつかのプロテアーゼ前駆体を活性プロテアーゼに変換することによりECMのその他の成分を分解する。そのため、プラスミンは細胞外タンパク加水分解の重要な上流調節因子であることを提唱することがある。また、プラスミンはいくつかの潜在的な形の成長因子を活性化させる能力を有する。インビトロで、プラスミンはさらに補体系の成分を加水分解させて走化性の補体フラグメントを放出することができる。
「プラスミン」は血液中に存在する非常に重要な酵素であり、フィブリン凝塊をフィブリン分解生成物及びD-二量体に加水分解する。
「プラスミノーゲン」はプラスミンの酵素前駆体の形であり、swiss prot中の配列に基づいて、シグナルペプチドを含む天然ヒト由来プラスミノーゲンのアミノ酸配列(配列4)として計算すれば810個のアミノ酸からなり、分子量は約90kDであり、主に肝臓において合成され且つ血液中で循環できる糖タンパク質であり、該アミノ酸配列をコードするcDNA配列は配列3に示される通りである。フルサイズのプラスミノーゲンは七つのドメインを含む:C末端に位置するセリンプロテアーゼドメイン、N末端に位置するPan Apple(PAp)ドメイン及び5つのKringleドメイン(Kringle1-5)を含む。swiss prot中の配列を参照すれば、そのシグナルペプチドは残基Met1-Gly19を含み、PApは残基Glu20-Val98を含み、Kringle1は残基Cys103-Cys181を含み、Kringle2は残基Glu184-Cys262を含み、Kringle3は残基Cys275-Cys352を含み、Kringle4は残基Cys377-Cys454を含み、Kringle5は残基Cys481-Cys560を含む。NCBIデータによれば、セリンプロテアーゼドメインは残基Val581-Arg804を含む。
Glu-プラスミノーゲンは天然のフルサイズのヒトプラスミノーゲンであり、791個のアミノ酸からなる(19個のアミノ酸からなるシグナルペプチドを含まない)。該配列をコードするcDNA配列は配列1に示される通りであり、そのアミノ酸配列は配列2に示される通りである。生体内において、さらにGlu-プラスミノーゲンの76-77番目のアミノ酸の位置で加水分解することにより形成されたLys-プラスミノーゲンが存在し、例えば配列6に示されるものであり、該アミノ酸配列をコードするcDNA配列は配列5が示す通りである。Delta-プラスミノーゲン(δ-plasminogen)はフルサイズのプラスミノーゲンにKringle2-Kringle5構造の欠損が生じているフラグメントであり、Kringle1及びセリンプロテアーゼドメインしか含有せず(プロテアーゼドメイン(protease domain、PD)とも呼ばれる)、δ-プラスミノーゲンのアミノ酸配列(配列8)を報告している文献があり、該アミノ酸配列をコードするcDNA配列は例えば配列7である。ミニプラスミノーゲン(Mini-plasminogen)はKringle5及びセリンプロテアーゼドメインからなり、残基Val443-Asn791(シグナルペプチドを含まないGlu-プラスミノーゲン配列のGlu残基を開始アミノ酸とする)について文献が報告しており、そのアミノ酸配列は配列10に示される通りであり、該アミノ酸配列をコードするcDNA配列は配列9が示す通りである。しかしマイクロプラスミノーゲン(Micro-plasminogen)はセリンプロテアーゼドメインのみ含有し、そのアミノ酸配列は残基Ala543-Asn791(シグナルペプチドを含まないGlu-プラスミノーゲン配列のGlu残基は開始アミノ酸である)と文献が報告し、特許文献CN102154253Aはそれが残基Lys531-Asn791を含むと開示し(シグナルペプチドを含まないGlu-プラスミノーゲン配列のGlu残基を開始アミノ酸とする)、本特許出願において、マイクロプラスミノーゲンの配列は特許文献CN102154253Aを参照でき、そのアミノ酸配列は配列12に示される通りであり、該アミノ酸配列をコードするcDNA配列は配列11に示される通りである。
全長プラスミノーゲンの構造は、Aisinaらの論文にも記載されている(Aisina R B,Mukhametova L I.Structure and function of plasminogen/plasmin system[J].Russian Journal of Bioorganic Chemistry,2014,40(6):590-605)。Aisinaらの前記文章によれば、プラスミノーゲンにはKringle 1、2、3、4、5ドメインとセリンプロテアーゼドメイン(プロテアーゼドメイン(protease domain、PD)とも呼ばれる)が含まれ、Kringlesは、プラスミノーゲンが低分子量及び高分子量のリガンドに結合する役割(すなわち、リジン結合活性)を担っており、その結果、プラスミノーゲンがよりオープンな構成に変換され、より活性化しやすくなり、プロテアーゼドメイン(PD)は、残基Val562-Asn791であり、tPAとUPAはプラスミノーゲンのArg561-Val562位活性化結合を特異的に切断し、それによってプラスミノーゲンがプラスミンを形成できる。したがって、プロテアーゼドメイン(PD)は、プラスミノーゲンのタンパク質加水分解活性を付与する領域である。
本発明の「プラスミン」と「フィブリンプラスミン」、「繊維タンパクプラスミン」は互いに置き換えて使用でき、その意味は同じである。「プラスミノーゲン」と「フィブリンプラスミノーゲン」、「繊維タンパクプラスミノーゲン」は互いに置き換えて使用でき、その意味は同じである。
本願において、前記プラスミノーゲンの「不足」とは、被験者体内のプラスミノーゲンの含有量または活性が正常な人より低く、被験者の正常な生理学的機能に影響を及ぼすのに十分に低いことをいう。プラスミノーゲンの「欠乏」の意味は、被験者体内のプラスミノーゲンの含有量または活性が正常な人より明らかに低く、活性または発現が極微量であり、外部供給によってのみ正常な生理学的機能を維持できることである。
当業者は以下のように理解できる。本発明のプラスミノーゲンのすべての技術構成はプラスミンに適用でき、そのため、本発明に記載の技術構成はプラスミノーゲン及びプラスミンをカバーするものである。循環プロセスにおいて、プラスミノーゲンは閉鎖した非活性コンフォメーションをとるが、血栓または細胞表面に結合した際、プラスミノーゲン活性化剤(plasminogen activator,PA)の介在下において、開放性のコンフォメーションを有する活性プラスミンとなる。活性を有するプラスミンはさらにフィブリン凝塊をフィブリン分解生成物及びD-二量体に加水分解させ、これにより血栓を溶解させる。そのうちプラスミノーゲンのPApドメインはプラスミノーゲンを非活性閉鎖コンフォメーションに維持する重要なエピトープを含み、しかしKRドメインは受容体及び基質上のリジン残基と結合できるものである。プラスミノーゲン活性化剤としての酵素は、既に複数種類知られ、組織プラスミノーゲン活性化剤(tPA)、ウロキナーゼプラスミノーゲン活性化剤(uPA)、カリクレイン及び凝結因子XII(ハーゲマン因子)などを含む。
「プラスミノーゲン活性フラグメント」とは、基質のターゲット配列中のリジンに結合する活性(リジン結合活性)フラグメント、またはタンパク質加水分解機能を発揮する活性(タンパク質加水分解活性)フラグメント、またはタンパク質加水分解活性とリジン結合活性との両方を有するフラグメントを指す。本発明のプラスミノーゲンに関する技術構成は、プラスミノーゲンをプラスミノーゲン活性フラグメントに置き換える技術構成を包含する。いくつかの実施形態では、本発明に係るプラスミノーゲン活性フラグメントは、プラスミノーゲンのセリンプロテアーゼドメインを含むか、またはプラスミノーゲンのセリンプロテアーゼドメインからなる。一部の実施形態では、本発明のプラスミノーゲン活性フラグメントは、配列14を含むか、または配列14と少なくとも80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、または配列14と少なくとも80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%の同一性を有するアミノ酸配列からなる。一部の実施形態において、本発明のプラスミノーゲン活性フラグメントは、Kringle 1、Kringle 2、Kringle 3、Kringle 4、及びKringle 5から選択される1つ以上のドメインもしくはその保存的置換変異体を含むか、またはKringle 1、Kringle 2、Kringle 3、Kringle 4、及びKringle 5から選択される1つ以上のドメインまたはその保存的置換変異体からなる。いくつかの実施形態では、本発明に係るプラスミノーゲンは、上記のプラスミノーゲンの活性フラグメントを含むタンパク質を含む。
現在、血液中のプラスミノーゲン及びその活性測定方法は組織プラスミノーゲン活性化剤の活性に対する測定(t-PAA)、血漿組織プラスミノーゲン活性化剤抗原に対する測定(t-PAAg)、血漿組織プラスミノーゲン活性に対する測定(plgA)、血漿組織プラスミノーゲン抗原に対する測定(plgAg)、血漿組織プラスミノーゲン活性化剤の阻害物活性に対する測定、血漿組織プラスミノーゲン活性化剤の阻害物抗原に対する測定、血漿プラスミン-抗プラスミン複合物に対する測定(PAP)を含む。最もよく見られる測定方法は発色基質法である:測定対象(被験者)の血漿中にストレプトキナーゼ(SK)と発光基質を添加し、測定対象の血漿中のPLGはSKの作用下においてPLMとなり、後者は発光基質に作用し、それから分光光度計で測定し、吸光度の増加はプラスミノーゲンの活性と正比例の関係となる。この他にも免疫化学法、ゲル電気泳動法、免疫比濁法、放射免疫拡散法などを用いて血液中のプラスミノーゲン活性に対して測定を行うことができる。
「オーソログまたはオルソログ(ortholog)」とは異なる種どうしのホモログであり、タンパク質の相同物もDNAの相同物も含み、直系遺伝子ともいう。それは具体的に異なる種どうしの同じ祖先の遺伝子から進化して得られるタンパク質または遺伝子を言う。本発明のプラスミノーゲンはヒト天然プラスミノーゲンを含み、さらには異なる種に由来する、プラスミノーゲン活性を有するプラスミノーゲンのオーソログまたはオルソログを含む。
「保存的置換バリアント」とはそのうちの一つの所定のアミノ酸残基が改変されたがタンパク質または酵素の全体のコンフォメーション及び機能を変えないものであり、これは類似の特性(例えば酸性、アルカリ性、疎水性など)のアミノ酸で親タンパク質中のアミノ酸配列中のアミノ酸を置換するものを含むがこれらに限られない。類似の性質を有するアミノ酸は知られている通りである。例えば、アルギニン、ヒスチジン及びリジンは親水性のアルカリ性アミノ酸であり且つ互いに置き換えることができる。同じように、イソロイシンは疎水アミノ酸であり、ロイシン、メチオニンまたはバリンによって置換されることができる。そのため、機能の類似する二つのタンパク質またはアミノ酸配列の類似性は異なる可能性もある。例えば、MEGALIGNアルゴリズムに基づいて70%~99%の類似性(同一性)を有する。「保存的置換バリアント」はさらにBLASTまたはFASTAアルゴリズムに基づいて60%以上のアミノ酸同一性を有するポリペプチドまたは酵素を含み、75%以上に達すればさらによく、最も好ましくは85%以上に達し、さらには90%以上に達するのが最も好ましく、さらに天然または親タンパク質または酵素と比較して同じまたは基本的に類似する性質または機能を有する。
「分離された」プラスミノーゲンとは天然環境から分離及び/または回収されたプラスミノーゲンタンパク質である。いくつかの実施形態において、前記プラスミノーゲンは(1)90%を超える、95%を超える、または98%を超える純度(重量で計算した場合)になるまで精製し、例えばLowry法によって決まるもので、例えば99%(重量で計算した場合)を超えるまで精製する、(2)少なくともスピニングカップ配列分析装置によりN末端または内部アミノ酸配列の少なくとも15個の残基が得られる程度になるまで精製する、または(3)同質性になるまで精製する。該同質性はクマシーブリリアントブルーまたは銀染色により還元性または非還元性条件下のドデシル硫酸ナトリウムーポリアクリルアミノゲル電気泳動(SDS-PAGE)によって決まるものである。分離されたプラスミノーゲンはバイオエンジニアリング技術により組み換え細胞から製造され、さらに少なくとも一つの精製ステップで分離されたプラスミノーゲンを含む。
用語の「ポリペプチド」、「ペプチド」及び「タンパク質」は本明細書において互いに置き換えて使用でき、いかなる長さのアミノ酸の重合体を指し、遺伝的にコードされた及び非遺伝的にコードされたアミノ酸、化学的または生化学的に修飾されまたは派生したアミノ酸、及び修飾されたペプチド主鎖を有するポリペプチドを含む。該用語は融合タンパク質を含み、異種性アミノ酸配列を有する融合タンパク質を含むがこれに限られず、異種性と同種性由来のリーダー配列(N端メチオニン残基を有するあるいは有しない)を含む融合物;等々である。
参照ペプチド配列の「アミノ酸配列同一性パーセンテージ(%)」の定義は、必要に応じてギャップを導入することで最大のパーセンテージ配列の同一性を実現した後、如何なる保存的な置換も配列同一性の一部として見なさない場合、候補配列中における参照ポリペプチド配列中のアミノ酸残基と同じアミノ酸残基のパーセンテージである。パーセンテージのアミノ酸配列の同一性を測定することを目的としたアライメントは本分野の技術範囲における複数種類の方式によって実現でき、例えば公衆が入手できるコンピュータソフトウエア、例えばBLAST、BLAST-2、ALIGNまたはMegalign(DNASTAR)ソフトウエアによって実現できる。当業者は配列をアライメントするための適切なパラメータを決めることができ、該パラメータが比較対象の配列のフルサイズに対して最大比較の要求を実現するための如何なるアルゴリズムも含む。しかし、本発明の目的のために、アミノ酸配列の同一性パーセンテージは配列比較コンピュータソフトウエアALIGN-2により得られるものである。
ALIGN-2を用いることによりアミノ酸配列を比較する場合、所定のアミノ酸配列Aの所定のアミノ酸配列Bに対するアミノ酸配列同一性%(または所定のアミノ酸配列Bに対して、と、またはについてのある%のアミノ酸配列同一性を有する又は含む所定のアミノ酸配列Aともいう)は以下のように計算される:
分数X/Y×100
ここで、Xは配列アライメントプログラムALIGN-2において該プログラムのA及びBのアライメントにおいて同一でマッチングすると評価したアミノ酸残基の数であり、且つYはBにおけるアミノ酸残基の総数である。以下のように理解するべきである:アミノ酸配列Aの長さとアミノ酸配列Bの長さが等しくない場合、AのBに対するアミノ酸配列の同一性%は、BのAに対するアミノ酸配列同一性%とは異なる。特に断りのない限り、本文中において使用するすべてのアミノ酸配列同一性値%は前記の段落に記載の通りであり、ALIGN-2コンピュータプログラムによって得られるものである。
本文において使用されているように、用語の「治療」は期待される薬理及び/または生理的効果が得られることを言う。前記効果は疾患またはその症状の発生、発症を完全または一部予防すること、あるいは疾患及び/またはその症状を一部または完全軽減すること、及び/または疾患及び/またはその症状を一部または完全に治癒するものとすることができる。さらに以下を含む:(a)疾患が被験者の体内で発生することを予防し、前記被験者は疾患の要因を持っているが、該疾患を有すると診断されていない状況であること;(b)疾患を抑制し、その形成を阻害すること;及び(c)疾患及び/またはその症状を減軽し、即ち疾患及び/またはその症状の減退または消失を引き起こすこと。
用語の「個体」、「被験者」及び「患者」は本明細書中において互いに置き換えて使用でき、哺乳動物を指し、ネズミ(ラット、マウス)、ヒト以外の霊長類、ヒト、イヌ、ネコ、有蹄動物(例えばウマ、ウシ、ヒツジ、ブタ、ヤギ)などを含むがこれらに限られない。
「治療上有効量」または「有効量」とは、哺乳動物またはその他の被験者に投与して疾患の治療に用いられる際に疾患の前記予防及び/または治療を実現できるプラスミノーゲン活性化経路の成分またはその関連化合物(例えば、プラスミノーゲン)の量である。「治療上有効量」は使用するプラスミノーゲン活性化経路の成分またはその関連化合物(例えば、プラスミノーゲン)、治療しようとする被験者の疾患及び/または症状の重症度及び年齢、体重などに従って変化するものである。
本発明のプラスミノーゲンの調製
プラスミノーゲンは治療の用途に用いられるために、自然界から分離及び精製されるものでもよく、標準的な化学ペプチド合成技術によって合成することでもよい。化学的手法によりポリペプチドを合成する際、液相または固相で合成を行うことができる。固相ポリペプチド合成(SPPS)(配列のC末端アミノ酸を不溶性支持体に附着させ、順番に配列中の残りのアミノ酸を添加する)はプラスミノーゲンの化学的合成に適したものである。各種形式のSPPS、例えばFmoc及びBocは、プラスミノーゲンの合成に用いることができる。固相合成に用いられる技術は以下に記載されている:Barany及びSolid-Phase Peptide Synthesis;3-284ページ、The Peptides:Analysis,Synthesis,Biology.第二巻:Special Methods in Peptide Synthesis,Part A.,Merrifield,tら J.Am.Chem.Soc.,85:2149-2156(1963);Stewartら,Solid Phase Peptide Synthesis,2nd ed.Pierce Chem.Co.,Rockford,Ill.(1984);及びGanesan A.2006Mini Rev.Med Chem.6:3-10及びCamarero JAら 2005Protein Pept Lett.12:723-8。簡単に言えば、その上にペプチド鎖が構築されている機能性ユニットにより小さい不溶性の多孔ビーズを処理する。カップリング/脱保護の繰り返し循環後に、附着した固相の遊離N末端アミンとN保護を受けている単一のアミノ酸ユニットをカップリングさせる。それから、該ユニットを脱保護し、他のアミノ酸と連結する新しいN末端アミンを露出させる。ペプチドを固相上に固定したままにし、その後それを切除する。
標準的な組み換え方法により本発明のプラスミノーゲンを生産する。例えば、プラスミノーゲンをコードする核酸を発現ベクター中に挿入し、それと発現ベクター中の制御配列を操作可能に連結させる。発現制御配列はプロモーター(例えば天然に関連されているプロモーター、または異種由来のプロモーター)、シグナル配列、エンハンサーエレメント及び転写終了配列を含むが、これらに限られない。発現の制御はベクター中の真核プロモーターシステムとすることができ、前記ベクターは真核宿主細胞(例えばCOSまたはCHO細胞)を形質転換またはトランスフェクションさせる。一旦ベクターを適切な宿主に導入すれば、ヌクレオチド配列の高レベル発現及びプラスミノーゲンの収集及び精製に適した条件下において宿主を維持する。
適切な発現ベクターは通常宿主体内において遊離体または宿主染色体DNAの組み込む部分として複製される。通常、発現ベクターは選択マーカー(例えばアンピシリン耐性、ハイグロマイシン耐性、テトラサイクリン耐性、カナマイシン耐性またはネオマイシン耐性)を含み、インビトロで所望のDNA配列によって形質転換されたそれらの細胞に対して測定を行うことに有用である。
大腸菌(Escherichia coli)は目的抗体をコードするポリヌクレオチドをクローンするための原核宿主細胞の例である。その他の使用に適した微生物宿主は桿菌を含み、例えばバチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)及びその他の腸内細菌科(Enterobacteriaceae)、例えばサルモネラ属(Salmonella)、セラチア属(Serratia)、及び各種シュードモナス属(Pseudomonas)種である。これらの原核宿主において、発現ベクターを生成でき、通常は宿主細胞と相容する発現制御配列(例えば複製開始点)を含むものである。また、多くの公知のプロモーターが存在し、例えば乳糖プロモーターシステム、トリプトファン(trp)プロモーターシステム、β-ラクタマーゼプロモーターシステム、またはファージλ由来のプロモーターシステムである。プロモーターは一般的に発現を制御し、必要に応じて遺伝子配列を制御する場合に、転写及び翻訳を起動するために、さらにリボソームの結合位置配列などを有してもよい。
その他の微生物、例えば酵母も発現に用いることができる。酵母(例えばサッカロミセス(S.cerevisiae))及びピキア(Pichia)が適した酵母宿主細胞の例であり、そのうちの適切な担体は必要に応じて発現制御配列(例えばプロモーター)、複製開始点、終止配列など含む。典型的なプロモーターは3-ホスホグリセリン酸キナーゼ及びその他の糖分解酵素を含む。誘導型酵母プロモーターには特にアルコール脱水素酵素、イソチトクロムC、及びマルトースとガラクトースの利用のための酵素由来のプロモーターを含む。
微生物以外に、哺乳動物細胞(例えばインビトロ細胞培養物中において培養された哺乳動物細胞)も本発明の抗-Tau抗体(例えばかかる目的抗-Tau抗体をコードするポリヌクレオチド)の発現及び生成に用いることができる。例えばWinnacker,From Genes to Clones,VCH Publishers,N.Y.,N.Y.(1987)参照。適した哺乳動物宿主細胞はCHO細胞系、各種Cos細胞系、HeLa細胞、骨髄腫細胞系、及び形質転換されたB細胞またはハイブリドーマを含む。これらの細胞に用いられる発現ベクターは発現制御配列、例えば複製開始点、プロモーター、及びエンハンサー(Queenら,Immunol.Rev.89:49(1986))、及び必要とされる加工情報サイト、例えばリボソーム結合部位、RNAスプライス部位、ポリアデニル化部位、及び転写ターミネーター配列を含むことができる。適切な発現制御配列の例はウサギ免疫グロブリン遺伝子、SV40、アデノウイルス、ウシ乳頭腫ウィルス、サイトメガロウイルスなど由来のプロモーターである。Coら、J.Immunol.148:1149(1992)を参照すること。
一旦(化学または組み換え的に)合成されれば、本分野の標準的な手順、例えば硫酸アンモニウム沈殿、アフィニテイカラム、カラムクロマトグラフィー、高速液相クロマトグラフィー(HPLC)、ゲル電気泳動などにより本発明に記載のプラスミノーゲンを精製することができる。該プラスミノーゲンは基本的に純粋なものであり、例えば少なくとも約80%から85%の純度で、少なくとも約85%~90%の純度で、少なくとも約90%~95%の純度で、または98%~99%の純度またはさらに純度が高いものであり、例えば汚染物を含まず、前記汚染物は例えば細胞砕片、目的生成物以外の大分子などである。
薬物配合剤
所望の純度のプラスミノーゲン活性化経路の成分またはその関連化合物(例えば、プラスミノーゲン)と必要に応じた薬用担体、賦形剤、または安定化剤(Remington’s Pharmaceutical Sciences,第16版,Osol,A.ed.(1980))を混合して凍結乾燥製剤または水溶液を形成して治療用の配合剤を得る。許容可能な担体、賦形剤、安定化剤は所要の用量及び濃度下において被験者に対して毒性がなく、さらに例えばリン酸塩、クエン酸塩及びその他の有機酸などの緩衝剤を含む。抗酸化剤はアスコルビン酸和メチオニンを含む;防腐剤(例えばオクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド;塩化ヘキサメチレンジアミン;塩化ベンザルコニウム(benzalkonium chloride)、ベンゼトニウムクロリド;フェノール、ブタノールまたはベンジルアルコール;アルキルパラヒドロキシ安息香酸エステル、例えばメチルまたはプロピルパラヒドロキシ安息香酸エステル;ピロカテコール;レソルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;m-クレゾール);低分子量ポリペプチド(約10個より少ない残基を有するもの);タンパク質例えば血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリン;親水性重合体、例えばポリビニルピロリドン;アミノ酸、例えばグリシン、グルタミン、アスパラギン酸、ヒスチジン、アルギニンまたはリシンである;単糖、二糖及びその他の炭水化物はグルコース、マンノース、またはデキストリンを含む;キレート剤は例えばEDTAである;糖類は例えばショ糖、マンニトール、フコースまたはソルビトールである;塩形成対イオン、例えばナトリウム;金属複合体(例えば亜鉛-タンパク複合体);及び/または非イオン界面活性剤、例えばTWEENTM、PLURONICSTMまたはポリエチレングリコール(PEG)である。好ましい凍結乾燥された抗VEGF抗体製剤は、WO97/04801に記載されており、参照により本明細書に組み込まれる。
本発明の配合剤は治療を必要とする具体的な症状の必要とする一種類以上の活性化合物を含有してもよく、好ましくは活性が相補的で互いに副作用を有しないものである。
本発明のプラスミノーゲンは例えば凝集技術または界面重合によって作られるマイクロカプセル中に内包ことができ、例えば、膠質薬物輸送系(例えば、リポソーム、アルブミンミクロスフェア、マイクロエマルジョン剤、ナノ粒子及びナノカプセル)中に入れまたは粗エマルジョン状液中のヒドロキシメチルセルロースまたはゲルーマイクロカプセル及びポリ―(メタアクリル酸メチル)マイクロカプセル中に入れることができる。これらの技術はRemington′s Pharmaceutical Sciences 16th edition,Osol,A.Ed.(1980)に開示されている。
体内に投与することに用いられる本発明のプラスミノーゲン活性化経路の成分またはその関連化合物(例えば、プラスミノーゲン)は必ず無菌である必要がある。これは凍結乾燥及び再度配合する前または後に除菌濾過膜で濾過することで容易に実現できる。
本発明のプラスミノーゲン活性化経路の成分またはその関連化合物(例えば、プラスミノーゲン)は徐放製剤を調製できる。徐放製剤の適切な実例は一定の形状を有し且つ糖タンパクを含む固体の疎水性重合体の半透過マトリックスを含み、例えば膜またはマイクロカプセルである。徐放性マトリックスの実例はポリエステル、水性ゲル(例えばポリ(2-ヒドロキシエチル-メタアクリル酸エステル)(Langerら,J.Biomed.Mater.Res.,15:167-277(1981);Langer,Chem.Tech.,12:98-105(1982))またはポリ(ビニールアルコール)、ポリラクチド(米国特許3773919,EP 58,481)、L-グルタミン酸とエチル-L-グルタミン酸の共重合体(Sidman,ら,Biopolymers 22:547(1983)),分解できないエチレン-ビニルアセテート(ethylene-vinyl acetate)(Langer,ら,出所は前記と同じ)、または分解可能な乳酸-ヒドロキシ酢酸共重合体、例えばLupron DepotTM(乳酸-ヒドロキシ酢酸共重合体及びリュープロレリン(leuprolide)酢酸エステルからなる注射可能なミクロスフェア体)、及びポリD-(-)-3-ヒドロキシ酪酸を含む。重合体、例えばエチレン-酢酸エチル及び乳酸-ヒドロキシ酢酸は、持続的に分子を100日間以上放出することができ、しかしいくつかの水性ゲルがタンパク質を放出する時間は比較的短い。関連のメカニズムに応じてタンパク質を安定化させる合理的なストラテジーにより設計できる。例えば、凝集のメカニズムが硫化ジスルフィド結合の交換によって分子間S-S結合を形成することであれば、メルカプト基残基を修飾することにより、酸性溶液中から凍結乾燥させ、湿度を制御し、適切な添加剤を用いて、及び特定の重合体基質組成物を開発することで安定化を実現できる。
投与及び使用量
異なる方式、例えば鼻吸入、エアロゾル吸入、点鼻薬や点眼薬、静脈内、腹腔内、皮下、頭蓋内、髄腔内、動脈内(例えば、頸動脈を介して)、筋肉内、及び直腸内投与により本発明の薬物組成物の投与を実現できる。
胃腸外での投与に用いられる製造物は無菌水性または非水性溶液、懸濁液及び乳剤を含む。非水性溶媒の例はプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、例えばオリーブオイルのような植物油、及び注射可能な有機エステル、例えばオレイン酸エチルである。水性担体は水、アルコール性/水性溶液、乳剤または懸濁液を含み、食塩水及び緩衝媒介を含む。胃腸外媒介物は塩化ナトリウム溶液、リンガ―デキストロース、デキストロース及び塩化ナトリウム、または固定油である。静脈内媒介物は液体及び栄養補充物、電気分解補充物などを含む。されには防腐剤及びその他の添加剤、例えば抗微生物製剤、抗酸化剤、キレート剤、不活性ガスなども存在してもよい。
医療関係者は各種臨床的要素により用量案を決めることができる。例えば医学分野で公知のように、任意の患者の用量は複数の要素によって決められ、これらの要素は患者の体型、体表面積、年齢、投与される具体的な化合物、性別、投与回数及び経路、全体の健康度、及び同時に投与するその他の薬物を含む。本発明が含有するプラスミノーゲンの薬物組成物の用量の範囲は例えば被験者体重に対して毎日約0.0001~2000mg/kgであり、または約0.001~500mg/kg(例えば0.02mg/kg,0.25mg/kg,0.5mg/kg,0.75mg/kg,10mg/kg,50mg/kgなど)とすることができる。例えば、用量は1mg/kg体重または50mg/kg体重または1-50mg/kgの範囲とすることができ、または少なくとも1mg/kgである。この例示性の範囲より高いまたは低い用量もカバーされ、特に前記の要素を考慮した場合である。前記範囲中の中間用量も本発明の範囲内に含まれるものである。被験者は毎日、隔日、毎週または経験分析によって決められた任意のスケジュール表に従ってに従ってこのような用量を投与できる。例示的な用量のスケジュール表は連続数日0.01~100mg/kg投与することである。本発明の薬物の投与過程において治療効果及び安全性をリアルタイムに評価する必要がある。
製品または薬物キット
本発明の一つの実施形態は、プラスミノーゲン活性化経路の成分またはその関連化合物(例えば、プラスミノーゲン)を含む製品または薬物キットに係るものである。前記製品は好ましくひとつの容器、ラベルまたはプロトコールを含む。適切な容器はボトル、バイアル、注射器などである。容器は各種材料例えばガラスまたはプラスチックから作られることができる。前記容器は組成物を含有し、前記組成物は本発明の疾患または症状を有効に治療し且つ無菌の入口を有する(例えば前記容器は静脈輸液用パックまたはバイアルであり、皮下注射針によって貫通される栓を含む)。前記組成物中の少なくとも一種類の活性化剤がプラスミノーゲン活性化経路の成分またはその関連化合物(例えば、プラスミノーゲン)である。前記容器上にあるまたは添付されているラベルは前記組成物を本発明の病症の治療に用いられると説明するものである。前記製品はさらに薬用緩衝液を含有する第二容器を含み、前記薬用緩衝液は例えばリン酸塩緩衝の食塩水、リンガー溶液及びグルコース溶液を含む。さらには商業及び使用者の角度から見ると必要とされるその他の物質、即ちその他の緩衝液、希釈剤、濾過物、針及び注射器を含むことができる。また、前記製品は使用説明を有するプロトコルを含み、これには例えば前記組成物の使用者にプラスミノーゲン活性化経路の成分またはその関連化合物(例えば、プラスミノーゲン)の組成物及び疾患の治療に伴うその他の薬物を患者に投与することを指示することを含む。
以下の実施例で使用されるプラスミノーゲン(単にPLGという)は、ヒトドナーの血漿に由来し、以下の文書:KennethC Robbins,Louis Summaria,David Elwyn et al.Further Studies on the Purification and Characterization of Human Plasminogen and Plasmin.Journal of Biological Chemistry,1965,240(1):541-550;Summaria L,Spitz F,Arzadon L et al.Isolation and characterization of the affinity chromatography forms of human Glu- and Lys-plasminogens and plasmins.J Biol Chem.1976 Jun 25;251(12):3693-9;HAGAN JJ,ABLONDI FB,DE RENZO EC.Purification and biochemical properties of human plasminogen.J Biol Chem.1960 Apr;235:1005-10に記載された方法に基づき、プロセスを最適化し、ヒトドナー血漿から精製して得られた。ここでプラスミノーゲン単体は98%を上回った。
実施例1は、プラスミノーゲンがPBS緩衝系中でアミロイド(Aβ)の分解を促進することができることに関するものである。
Eppendorf(EP)チューブを取り、(1)ブランク対照群、(2)溶媒対照群、(3)プラスミノーゲン群、(4)プラスミノーゲン+tPA群で、各群に4つのチューブを設定した。ブランク対照群には、43.3μLの生理食塩水、16μLのプラスミノーゲン溶液(0.575mg/mL)、10μLの超純水、30.7μLのPBS緩衝液(10mM、pH7.4、Thermo Fisher、10010-031)を添加した;溶媒対照群に43.3μLAβ40(上海強耀生物科技有限公司(ChinaPeptides Co.,Ltd.,)、04010011521、1.0mg/mL)、16μL溶媒溶液(10mMクエン酸ナトリウム、2%塩酸アルギニン、3%マンニトール、pH7.4)、10μL超純水、30.7μLPBS緩衝液を添加した;プラスミノーゲン群に43.3μL Aβ40(1.0mg/mL)、16μLプラスミノーゲン溶液(0.575mg/mL)、10μL超純水、30.7μL PBS緩衝液を添加した;プラスミノーゲン+tPA群に、43.3μL Aβ40(1.0mg/mL)、8μLプラスミノーゲン溶液(1.15mg/mL)、8μL tPA溶液(1.0mg/mL)、10μLリジン溶液(0.1mM)、30.7μL PBS緩衝液を添加した。その後、37℃で3時間インキュベートした後、100μLの0.1%トリフルオロ酢酸溶液をそれぞれ加えて反応を停止させた。
Tris-Tricine-SDS-PAGEゲル調製キット(Solarbio、P1320)の説明書に従って、20%ゲルを調製した。各群のサンプルを4×ローディング緩衝液(TaKaRa、e2139)と体積比3:1で混合し、100℃で5分間加熱し、冷却して1分間遠心分離した後、20μLのサンプルを採取してローディングした。電気泳動条件は、30Vで1時間実行した後、100Vでゲルの底まで実行した。電気泳動後、ゲルをはがし、1‰のクーマシーブリリアントブルー染色液(1gのクーマシーブリリアントブルーR250を、エタノール:氷酢酸:精製水の体積比が5:2:13の混合液1000mlに溶解したもの)に置いて30分間染色した後、脱色液(精製水:氷酢酸:無水エタノール=17:2:1の体積比で混合)を用いてきれいに脱色した。ゲルをイメージングデンシトメーターで定量的にスキャンし、写真を撮った。
アミロイド(Aβ)の蓄積は、アルツハイマー病の形成における重要な要因であり、そのうち40及び42残基を含むAβ40及びAβ42は、脳の海馬及び線条体に沈着して老人斑を形成し、これがアルツハイマー病の主な原因である[1]。脳脊髄液中のAβ40及びAβ42の含量検出は、徐々に臨床的アルツハイマー病の生理学的指標になりつつある。
その結果、溶媒対照群のAβ40量を100%として定義し、変化がなく、プラスミノーゲン群では、プラスミノーゲンのみを添加した場合にAβ40が部分的に分解され、プラスミノーゲン+tPA群では、プラスミノーゲンとtPAを添加した場合、Aβ40のインビトロ分解は明らかであり、溶媒対照群と比較して有意な差があった(**はP<0.01を表す)(図1)。これは、プラスミノーゲンがPBS緩衝系中でAβ40の分解を促進できることを示している。
実施例2は、プラスミノーゲンがウサギ脳脊髄液中のアミロイド(Aβ)分解を促進できることに関するものである。
Eppendorf(EP)チューブを取り、(1)ブランク対照群、(2)溶媒対照群、(3)プラスミノーゲン群で、各群に4つのチューブを設定した。ブランク対照群には、43.3μLの生理食塩水、16μLのプラスミノーゲン溶液(0.575mg/mL)、40.7μLのウサギ脳脊髄液を添加した;溶媒対照群に43.3μL Aβ40(上海強耀生物科技有限公司(ChinaPeptides Co., Ltd.,)、04010011521、1.0mg/mL)、16μL溶媒溶液(10mMクエン酸ナトリウム、2%塩酸アルギニン、3%マンニトール、pH7.4)、40.7μLのウサギ脳脊髄液を添加した;プラスミノーゲン群に43.3μL Aβ40(1.0mg/mL)、16μLプラスミノーゲン溶液(0.575mg/mL)、40.7μLのウサギ脳脊髄液を添加した。その後、37℃で3時間インキュベートした後、100μLの0.1%トリフルオロ酢酸溶液をそれぞれ加えて反応を停止させた。
Tris-Tricine-SDS-PAGEゲル調製キット(Solarbio、P1320)の説明書に従って、20%ゲルを調製した。各群のサンプルを4×ローディング緩衝液(TaKaRa、e2139)と体積比3:1で混合し、100℃で5分間加熱し、冷却して1分間遠心分離した後、20μLのサンプルを採取してローディングした。電気泳動条件は、30Vで1時間実行した後、100Vでゲルの底まで実行した。電気泳動後、ゲルをはがし、1‰のクーマシーブリリアントブルー染色液(1gのクーマシーブリリアントブルーR250を、エタノール:氷酢酸:精製水の体積比が5:2:13の混合液1000mlに溶解した)に置いて30分間染色した後、脱色液(精製水:氷酢酸:無水エタノール=17:2:1の体積比で混合)を用いてきれいに脱色した。ゲルをイメージングデンシトメーターで定量的にスキャンし、写真を撮った。
その結果、溶媒対照群のAβ40の量を100%と定義し、変化がなく、プラスミノーゲン群では、プラスミノーゲンのみを添加した場合にAβ40が部分的に分解され、74.81%に分解された(図2)。これは、プラスミノーゲンがウサギの脳脊髄液中のAβ40の分解を促進できることを示している。
実施例3は、プラスミノーゲンがアルツハイマー病モデル及び正常マウスの脳ホモジネートにおいて、ヒトアミロイドAβ40の分解を促進することに関するものである。
11週齢のB6SJLTg(APPSwFlLon、PSEN1*M146L*L286V)6799Vas/Mmjax(FAD)(ストック番号:034840)(FADと略称)及びC57BL/6(正常)マウス4匹ずつを選択し、殺処分して全脳組織を採取し、重量を測ってからEppendorf(EP)チューブに置いて、1×PBS(Thermo Fisher、pH7.4;10010-031)を150mg組織/mL PBSで加え、4℃でホモジナイズし(1分/回、3~4回)、ホモジナイズ後、4℃(12000rpm、15min)で遠心分離し、上清の脳ホモジネートを新しいEPチューブに移した。
Eppendorf(EP)チューブを取り、(1)ブランク対照群、(2)溶媒対照群、(3)プラスミノーゲン群で、各群に5つの並列を設定した。ブランク対照群には、21.5μLの生理食塩水、4.6μLのプラスミノーゲン溶液(2mg/mL)、及び23.9μLのマウス脳ホモジネートを添加した;溶媒対照群に21.5μL Aβ40(上海強耀生物科技有限公司(ChinaPeptides Co., Ltd.,)、04010011521、1.0mg/mL)、4.6μL溶媒溶液(10mMクエン酸ナトリウム、2%塩酸アルギニン、3%マンニトール、pH7.4)、及び23.9μLのマウス脳ホモジネートを添加した;プラスミノーゲン群に21.5mL Aβ40(1.0mg/mL)、4.6μLプラスミノーゲン溶液(2mg/mL)、及び23.9μLのマウス脳ホモジネートを添加した。各群にサンプルを添加した後、37℃で6時間インキュベートした後、50μLの0.1%トリフルオロ酢酸溶液をそれぞれ加えて反応を停止させた。
Tris-Tricine-SDS-PAGEゲル調製キット(Solarbio、P1320)の説明書に従って、20%ゲルを調製した。各群のサンプルを4×ローディング緩衝液(TaKaRa、e2139)と体積比3:1で混合し、100℃で5分間加熱し、冷却して1分間遠心分離した後、20μLのサンプルを採取してローディングした。電気泳動条件は、30Vで1時間実行した後、100Vでゲルの底まで実行した。電気泳動後、ゲルをはがし、1‰のクーマシーブリリアントブルー染色液(1gのクーマシーブリリアントブルーR250を、エタノール:氷酢酸:精製水の体積比が5:2:13の混合液1000mlに溶解した)に置いて30分間染色した後、脱色液(精製水:氷酢酸:無水エタノール=17:2:1の体積比で混合)を用いてきれいに脱色した。ゲルを生体分子イメージャーで写真を撮って定量的にスキャンした。
その結果、アルツハイマー病モデルマウスの脳ホモジネートでは、プラスミノーゲン群のヒトアミロイドAβ40量は溶媒対照群に比べて有意に低く、その差は極めて有意であった(***はP<0.001=を表す);正常なマウスの脳ホモジネートでは、プラスミノーゲン群のアミロイドAβ40の量は溶媒対照群よりも有意に低く、その差は極めて有意であった(P=0.001)(図3)。これは、プラスミノーゲンがアルツハイマー病モデル及び正常マウスの脳ホモジネートにおいて、ヒトアミロイドAβ40の分解を効果的に促進できることを示している。
実施例4は、アルツハイマー病モデル及び正常マウス脳ホモジネートにおいて、プラスミノーゲンがヒトアミロイドAβ42の分解を促進することに関するものである。
11週齢のB6SJLTg(APPSwFlLon、PSEN1*M146L*L286V)6799Vas/Mmjax(FAD)(在庫番号:034840)(FADと略称)及びC57BL/6(正常)マウス4匹ずつを選択し、殺処分して全脳組織を採取し、重量を測ってからEppendorf(EP)チューブに置いて、1×PBS(Thermo Fisher、pH7.4;10010-031)を150mg組織/mL PBSで加え、4℃でホモジナイズし(1分/回、3~4回)、ホモジナイズ後、4℃(12000rpm、15min)で遠心分離し、上清の脳ホモジネートを新しいEPチューブに移した。
Eppendorf(EP)チューブを取り、(1)ブランク対照群、(2)溶媒対照群、(3)プラスミノーゲン群で、各群に5つの並列を設定した。ブランク対照群には、21.5μLの生理食塩水、4.6μLのプラスミノーゲン溶液(2mg/mL)、及び23.9μLのマウス脳ホモジネートを添加した;溶媒対照群に21.5μL Aβ42(上海強耀生物科技有限公司(ChinaPeptides Co., Ltd.,)、04010011526、1.0mg/mL)、4.6μL溶媒溶液(10mMクエン酸ナトリウム、2%塩酸アルギニン、3%マンニトール、pH7.4)、及び23.9μLのマウス脳ホモジネートを添加した;プラスミノーゲン群に21.5mL Aβ42(1.0mg/mL)、4.6μLプラスミノーゲン溶液(2mg/mL)、及び23.9μLのマウス脳ホモジネートを添加した。各群にサンプルを添加した後、37℃で6時間インキュベートした後、50μLの0.1%トリフルオロ酢酸溶液をそれぞれ加えて反応を停止させた。
Tris-Tricine-SDS-PAGEゲル調製キット(Solarbio、P1320)の説明書に従って、20%ゲルを調製した。各群のサンプルを4×ローディング緩衝液(TaKaRa、e2139)と体積比3:1で混合し、100℃で5分間加熱し、冷却して1分間遠心分離した後、20μLのサンプルを採取してローディングした。電気泳動条件は、30Vで1時間実行した後、100Vでゲルの底まで実行した。電気泳動後、ゲルをはがし、1‰のクーマシーブリリアントブルー染色液(1gのクーマシーブリリアントブルーR250を、エタノール:氷酢酸:精製水の体積比が5:2:13の混合液1000mlに溶解した)に置いて30分間染色した後、脱色液(精製水:氷酢酸:無水エタノール=17:2:1の体積比で混合)を用いてきれいに脱色した。ゲルを生体分子イメージャーで写真を撮って定量的にスキャンした。
その結果、アルツハイマー病モデルマウスの脳ホモジネートでは、プラスミノーゲン群のアミロイドAβ42の量が溶媒対照群よりも低く、重合体a、b、cの量はいずれも溶媒群より有意に低く、その差は極めて有意であった(*はP<0.05を表し、***はP<0.001=を表す);正常なマウスの脳ホモジネートにおいて、プラスミノーゲン群のアミロイドAβ42の量は溶媒対照群より有意に低く、その差は極めて有意であり(***はP<0.001=を表す)、重合体a、b、cの量はいずれも溶媒群より低く、その差は極めて有意であった(***はP<0.001=を表す(図4))。これは、プラスミノーゲンが、FAD及び正常なマウスの脳ホモジネートにおいて、ヒトアミロイドAβ42及びその重合体の分解を効果的に促進できることを示している。
実施例5は、プラスミノーゲンがアルツハイマー病モデルマウスの記憶機能の回復を促進することに関するものである。
B6SJL-Tg(APPSwFlLon,PSEN1*M146L* L286V)6799Vas/Mmjax(FADと略称)(Jackson labから購入、カタログ番号:034840)マウスは、アルツハイマー病の研究に一般的に使用されるトランスジェニックモデルマウスである。12週齢のFADメスマウス12匹を取り、体重の結果により溶媒群と投与群の2群にランダムに分け、各群で6匹とし、SJLB6(在庫番号:10012)メスマウス6匹を正常な対照群として選択した。投与群のマウスに1ml/0.1ml/匹/日でプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒群のマウスには同量の溶媒(4%アルギニン+2%グリシン溶液)を静脈注射により投与し、5日間連続投与した。正常対照群のマウスには投与をしなかった。投与開始日を1日目とし、6日目にY迷路自発交替行動実験を行った。Y迷路は、3つの同じのアームで構成されている。各アームの端には餌供給装置があり、動物の餌獲得戦略、すなわち、各アームに入る回数、時間、正しい回数、間違った回数、ルートなどのパラメーターを分析することで、実験動物の空間記憶能力が反映され、これは現在では学習及び記憶機能の評価に一般的に使用されている。この実験は齧歯類の新しい環境の探索特性を利用する。動物は前の記憶に頼って正しいアームエントリを選択しなければならない。これは、動物の空間作業記憶能力を効果的に評価することができる。実験中、動物を片方のアームの末端に置き、数分間自由に探索させ、一定期間後、正式なテストのために動物を再び迷路に入れた。動物が各アームに入った順序及び合計回数を記録し、異なるアーム(例えば、1,2,3または1,3,2)に連続して入った場合、それは1回の正しい交替(Alternation)行動として記録した。動物を一方のアームの端に置き、動物が各アームに入る順序を8分間記録した。
最大交替回数は、アームエントリ回数の合計-2であり、割合=実交替回数/最大交替回数×100%を計算し、最終的に与えられる値には、実交替回数、最大交替回数、両者の割合、動物の移動総距離及び総アーム進入回数が含まれる[2]
アルツハイマー病(AD)は、認知障害、神経変性、β-アミロイド沈着、神経原線維変化、及び神経炎症を特徴とする、潜行性に発症する進行性の神経変性疾患である[3]。FADトランスジェニックマウスは、AD治療薬の開発に一般的に使用されるモデル動物である。
自発的交替行動率
自発的交替行動率は、実交替と最大交替×100%との比である。その結果、正常な対照マウスと比較して、溶媒群のマウスの自発的交替行動率が有意に増加し、投与群マウスの自発的交替行動率が溶媒対照群よりも有意に低く、統計的差は有意であり(*はP<0.05を示す)、正常な対照マウスに近かった(図5)。
アームエントリの総回数
アームエントリの総回数とは、指定時間内にマウスがアームに進入した回数の合計である。その結果、正常対照群のマウスと比較して、溶媒群のマウスの総アーム進入回数は有意に減少し、投与群のマウスの総アーム進入回数は、溶媒対照群のマウスより有意に多く、統計的差は有意であり(*はP<0.05を表す)、正常対照マウスに近かった(図6)。
総運動距離
総移動距離は、指定された時間内のマウスの移動軌跡の合計の長さを指す。その結果、正常対照マウスと比較して、溶媒群のマウスの総移動距離は有意に減少し、投与群のマウスの総移動距離は溶媒対照群のマウスよりも有意に長く、統計的差異は有意であり(*はP<0.05を表す)、正常対照マウスにより近かった(図7)。
上記の結果は、プラスミノーゲンがアルツハイマー病モデルマウスにおける自発交替行動の回復及び記憶の回復を促進できることを示している。
実施例6は、プラスミノーゲンが、アルツハイマー病モデルマウスの大脳皮質におけるAβ42沈着を減少させることに関するものである。
8週齢のC57オスマウス20匹を取り、モデリング前に体重を測定し、体重によって異常なマウスを除外した後、すべてのマウスを溶媒群と投与群の2つの群にランダムに分け、各群10匹とした。すべてのマウスを麻酔し、マウスの定位アトラスに従って海馬の顆粒球層に位置付けし(前ハロゲンポイントの座標に従って位置付け:AP-2.0mm、ML±1.5mm、DV2.0mm)、各マウスの両側にゆっくりと微量注入し、注入速度は0.5μL/分、注入量は3μLで、アルツハイマーモデル[3]を構築するために、モデル群のマウスにAβ1-42オリゴマー溶液を注入し、モデル対照群のマウスにPBS溶液を注入した。Aβ1-42オリゴマー溶液(10μM)の調製:β-アミロイド(1-42)(上海強耀生物科技有限公司(ChinaPeptides Co., Ltd.,)、04010011521)を取り、冷ヘキサフルオロイソプロパノールを加え、濃度を1mg/mlにし、室温で3日間置いた後、45μL/チューブ、すなわち10nmol/mLに分注し、ドラフト内に一晩置き、25℃の乾燥オーブンに1時間乾燥してから-80℃で保存した。使用時は各チューブにジメチルスルホキシド溶液10μlを加えて溶解し、注入時は滅菌PBS溶液990μLを加え、4℃で24時間静置してから使用した。脳局在注射21日後、溶媒群及び投与群のマウスに投与を開始し、これを1日目とし、投与群のマウスに1mg/0.1ml/匹/日でプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒群のマウスに0.1ml/匹/日で溶媒(4%アルギニン+2%グリシン溶液)を尾静脈注射により投与し、28日間連続して投与した。29日目にマウスを殺処分し、脳を採取して10%ホルムアルデヒドで24~48時間固定した。固定された脳組織をアルコール勾配で脱水させ、キシレンで透徹化処理した後にパラフィンで包埋した。黒質を位置付けし、切片の厚さは4μmであり、切片を脱パラフィンさせ再水和してから1回水で洗った。PAPマーカーで組織を丸で囲み、3%過酸化水素で15分間インキュベートし、0.01M PBSで2回洗浄し、毎回5分間であった。5%正常ヤギ血清(Vector Laboratories,Inc.,USA)で30分間ブロッキングし、時間になったらヤギ血清を捨て、ウサギ抗マウスAβ42抗体(Abcam,ab201060)を滴下して4℃で一晩インキューベートし、0.01M PBSで2回洗浄し、毎回5分間であった。ヤギ抗ウサギIgG(HRP)抗体(Abcam)二次抗体を室温で1時間インキュベートし、0.01M PBSで2回洗浄し、毎回5分間であった。DABキット(Vector laboratories,Inc.,USA)で呈色させ、水で3回洗浄した後にヘマトキシリンで30秒対比染色して、流水で5分間すすいだ。アルコール勾配で脱水させてキシレンで透徹にし、中性ゴムに封入させ、切片を光学顕微鏡下で200倍にて観察した。
β-アミロイド(アミロイドβタンパク質、Aβ)の神経毒性効果は、アルツハイマー病の進行において主要な役割を果たす[4]
その結果、溶媒群(図8A)のマウスの大脳皮質におけるAβ42の沈着レベルは、投与群よりも有意に高く(図8B)、光学密度の定量分析結果の統計的差は有意であった(*はP<0.05を表す)(図8C)。これは、プラスミノーゲンが、アルツハイマー病モデルマウスの大脳皮質におけるAβ42の沈着を減少させることができることを示唆している。
実施例7は、プラスミノーゲンがアルツハイマー病モデルマウスの脳組織のAβ42レベルを低下させることに関するものである。
B6SJL-Tg(APPSwFlLon,PSEN1*M146L*L286V)6799Vas/Mmjaxマウス(カタログ番号:034840、Jackson Laboratoryから購入)とC57BL/6Jマウスを一回戻し交配させて子孫(B6-F1-FADと呼ぶ)を繁殖させた。16~17週齢のメスB6-F1-FADマウス18匹及び9週齢のメスC57BL/6Jマウス9匹を取った。B6-F1-FADは、体重及びY迷路試験の結果に応じて、溶媒群と投与群の2つの群にランダムに分け、各群9匹とした。9匹のC57BL/6Jをブランク対照群として使用した。群分けが完了した後、ブランク対照群のマウスと溶媒群のマウスに溶媒(4%アルギニン+2%グリシン溶液)を尾静脈注射により投与し、各マウスの注射量は5ml/kgであった。投与群のマウスにはプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、各マウスに50mg/kgの用量で8日間連続して注射した。投与後の5日後、ブランク群、溶媒群、投与群からそれぞれ7匹、7匹、6匹のマウスをランダムに選んで殺処分し、脳組織を採取し、4℃でホモジナイズし、上清であるホモジネートを取ってBCA法による総タンパク質濃度の検出及びウェスタンブロット検出を行った。
Tris-Tricine-SDS-PAGEゲル調製キット(Solarbio、P1320)の説明書に従って、16.5%ゲルを調製した。各群のサンプルを4×ローディング緩衝液(TaKaRa、e2139)と体積比3:1で均一に混合し、100℃で5分間加熱し、冷却して2分間遠心分離した後、100μgの総タンパク質を採取してローディングした。電気泳動条件は、30Vで1.5時間実行した後、100Vでゲルの底まで実行した。電気泳動後、ゲルをはがし、PVDFメンブレン(GE、A29433753)に転写し、電気泳動条件は15Vで2.5時間であった。転写したPVDFメンブレンをブロッキング溶液(5%スキムミルク液)に浸し、4℃の冷蔵庫で一晩ブロッキングし、TBST(0.01M Tris-NaCl、pH7.6緩衝液)で4回洗浄した後、ウサギ抗マウスAβ42抗体(Abcam、ab201060)を加えて室温で2時間インキュベートし、TBSTで4回洗浄し、ヤギ抗ウサギIgG(HRP)抗体(Abcam、ab6721)二次抗体を加え、室温で1時間インキュベートし、TBSTで4回洗浄した後、クリーンなイメージングプレート上にPVDFメンブレンを置き、Immobilon Western HRP Substrate(MILLIPORE、WBKLS0100)を加えて呈色させ、生体分子イメージャーで撮影し、Image Jで定量的に分析した。
その結果、ブランク対照群のマウスの脳ホモジネートには一定レベルのAβ42タンパク質が存在し、溶媒群のマウスの脳組織におけるAβ42のレベルは、投与群のマウスよりも有意に高く、統計P値は0.09であった(図9)。これは、プラスミノーゲンがアルツハイマー病モデルマウスの脳組織におけるAβ42のレベルを低下させることができることを示している。
実施例8は、プラスミノーゲンが、正常なマウスの脳ホモジネートにおいてTauタンパク質の分解を促進することに関するものである。
11~12週齢の18~25gのC57BL/6Jオスマウス4匹を選択し、殺処分して全脳組織を採取し、重量を測ってから1×PBS(Thermo Fisher、pH7.4;10010-031)を150mg組織/mL PBSで加え、4℃でホモジナイズし(1分/回、3~4回)、ホモジナイズ後、4℃(12000rpm、20min)で遠心分離し、上清の脳ホモジネートを新しいEPチューブに移した。
Eppendorf(EP)チューブを取り、(1)ブランク群、(2)ブランク対照群、(3)溶媒対照群、(4)プラスミノーゲン群で、各群に5つの並列を設定した。ブランク群には、21.5μLの生理食塩水、4.6μLの溶媒溶液(10mMクエン酸ナトリウム、2%塩酸アルギニン、3%マンニトール、pH7.4)、及び23.9μLのマウス脳ホモジネートを添加した;ブランク対照群には、21.5μLの生理食塩水、4.6μLのプラスミノーゲン溶液(0.5mg/mL)、及び23.9μLのマウス脳ホモジネートを添加した;溶媒対照群に21.5μL Tauタンパク質溶液(Nanjing GenScript Biotechnology Co., Ltd., custom-expressed human Tau protein,UniProtKB-P10636-8,1.0mg/mL)、4.6μLの溶媒溶液、及び23.9μLのマウス脳ホモジネートを添加した;プラスミノーゲン群に21.5μLのTauタンパク質溶液(1.0mg/mL)、4.6μLプラスミノーゲン溶液(0.5mg/mL)、及び23.9μLのマウス脳ホモジネートを添加した。各群にサンプルを添加した後、37℃で6時間インキュベートした後、50μLの0.1%トリフルオロ酢酸溶液をそれぞれ加えて反応を停止させた。
SDS-PAGEゲル調製キットの説明書に従って、10%ゲルを調製した。各群のサンプルを4×ローディング緩衝液(TaKaRa、e2139)と体積比3:1で混合し、100℃で5分間加熱し、冷却して2分間遠心分離した後、20μLのサンプルを採取してローディングした。電気泳動条件は、30Vで45分間実行した後、100Vでゲルの底まで実行した。電気泳動後、ゲルをはがし、活性化PVDFメンブレン(GE、A29433753)に転写し、電気泳動条件は15Vで2.5時間であった。転写したPVDFメンブレンをブロッキング溶液(5%スキムミルク液)に浸し、4℃の冷蔵庫で一晩ブロッキングし、TBST(0.01M Tris-NaCl、pH7.6緩衝液)で4回洗浄した後、ウサギ由来Tauタンパク質抗体(Abcam、ab151559)を加えて室温で2時間インキュベートし、TBSTで4回洗浄し、ヤギ抗ウサギIgG(HRP)抗体(Abcam、ab6721)二次抗体を加え、室温で1時間インキュベートし、TBSTで4回洗浄した後、クリーンなイメージングプレート上にPVDFメンブレンを置き、Immobilon Western HRP Substrate(MILLIPORE、WBKLS0100)を加えて呈色させ、生体分子イメージャーで撮影し、Image Jで定量的に分析した。
Tauタンパク質は、最も豊富な微小管関連タンパク質である。Tauタンパク質はリン酸基含有タンパク質であり、正常な成熟脳のTauタンパク質分子には2~3個のリン酸基が含まれている。アルツハイマー病(老年性認知症)患者の脳内のTauタンパク質は異常に過剰リン酸化されており、Tauタンパク質の各分子は5~9個のリン酸基を含み得、正常な生物学的機能を失う可能性がある[5]
その結果、正常なマウスの脳ホモジネートでは、プラスミノーゲン群のTauタンパク質の量が溶媒対照群よりも有意に低く、その差は有意であった(*はP<005を表し、**はP<0.01を表し、***はP<0.001を表す)(図10)。これは、プラスミノーゲンが、正常なマウスの脳ホモジネートにおけるTauタンパク質の分解を促進できることを示唆している。
実施例9は、プラスミノーゲンが、アルツハイマー病マウスの脳ホモジネートにおいてTauタンパク質の分解を促進することに関するものである。
11週齢のB6SJLTg(APPSwFlLon,PSEN1*M146L*L286V)6799Vas/Mmjax(FAD)(在庫番号:034840)(FADと略称)マウス4匹ずつを選択し、殺処分して全脳組織を採取し、重量を測ってから実施例8のように脳ホモジネートを調製してEPチューブに置いた。
Eppendorf(EP)チューブを取り、(1)ブランク群、(2)ブランク対照群、(3)溶媒対照群、(4)プラスミノーゲン群で、各群に5つの並列を設定した。ブランク群には、21.5μLの生理食塩水、4.6μLの溶媒溶液(10mMクエン酸ナトリウム、2%塩酸アルギニン、3%マンニトール、pH7.4)、及び23.9μLのマウス脳ホモジネートを添加した;ブランク対照群には、21.5μLの生理食塩水、4.6μLのプラスミノーゲン溶液(0.5mg/mL)、及び23.9μLのマウス脳ホモジネートを添加した;溶媒対照群に21.5μL Tau(Nanjing GenScript Biotechnology Co., Ltd., custom-expressed human Tau protein,UniProtKB-P10636-8,1.0mg/mL)、4.6μLの溶媒溶液、及び23.9μLのマウス脳ホモジネートを添加した;プラスミノーゲン群に21.5μLのTau(1.0mg/mL)、4.6μLプラスミノーゲン溶液(0.5mg/mL)、及び23.9μLのマウス脳ホモジネートを添加した。各群にサンプルを添加した後、37℃で6時間インキュベートした後、50μLの0.1%トリフルオロ酢酸溶液をそれぞれ加えて反応を停止させた。
SDS-PAGEゲル調製キットの説明書に従って、10%ゲルを調製した。各群のサンプルを4×ローディング緩衝液(TaKaRa、e2139)と体積比3:1で混合し、100℃で5分間加熱し、冷却して2分間遠心分離した後、20μLのサンプルを採取してローディングした。電気泳動条件は、30Vで45分間実行した後、100Vでゲルの底まで実行した。電気泳動後、ゲルをはがし、活性化PVDFメンブレン(GE、A29433753)に転写し、電気泳動条件は15Vで2.5時間であった。転写したPVDFメンブレンをブロッキング溶液(5%スキムミルク液)に浸し、4℃の冷蔵庫で一晩ブロッキングし、TBST(0.01M Tris-NaCl、pH7.6緩衝液)で4回洗浄した後、ウサギ由来Tauタンパク質抗体(Abcam、ab151559)を加えて室温で2時間インキュベートし、TBSTで4回洗浄し、ヤギ抗ウサギIgG(HRP)抗体(Abcam、ab6721)二次抗体を加え、室温で1時間インキュベートし、TBSTで4回洗浄した後、クリーンなイメージングプレート上にPVDFメンブレンを置き、Immobilon Western HRP Substrate(MILLIPORE、WBKLS0100)を加えて呈色させ、生体分子イメージャーで撮影し、Image Jで定量的に分析した。
その結果、アルツハイマー病マウスの脳ホモジネートでは、プラスミノーゲン群のTauタンパク質の量が溶媒対照群よりも有意に低く、その差は統計的に有意であった(*はP<005、**はP<0.01を表す)(図11)。これは、プラスミノーゲンが、アルツハイマー病マウスの脳ホモジネートのTauタンパク質の分解を促進できることを示唆している。
実施例10は、プラスミノーゲンがアルツハイマー病モデルマウスの脳組織のTauタンパク質レベルを低下させることに関するものである。
B6SJL-Tg(APPSwFlLon,PSEN1*M146L*L286V)6799Vas/Mmjaxマウス(カタログ番号:034840、Jackson Laboratoryから購入)とC57BL/6Jマウスを3回戻し交配させて子孫(B6-F3-FADと呼ぶ)を繁殖させた。20~25週齢のメスB6-F3-FADマウス18匹及び9週齢のC57BL/6Jメスマウス9匹を取った。B6-F3-FADは、体重及びY迷路試験の結果に応じて、溶媒群と投与群の2つの群にランダムに分け、各群9匹とした。9匹のC57BL/6Jをブランク対照群として使用した。群分けが完了した後、ブランク対照群のマウスと溶媒群のマウスに溶媒(4%アルギニン+2%グリシン溶液)を尾静脈注射により投与し、各マウスの注射量は5ml/kgであった。投与群のマウスにはプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、各マウスに50mg/kgの用量で28日間連続して注射した。投与後の7日後、各群からマウスをランダムに選んで殺処分し、脳組織を採取し、4℃でホモジナイズし、上清であるホモジネートを取ってBCA法による総タンパク質濃度の検出及びウェスタンブロット検出を行った。
SDS-PAGEゲル調製キット(Solarbio、P1320)の説明書に従って、10%ゲルを調製した。各群のサンプルを4×ローディング緩衝液(TaKaRa、e2139)と体積比3:1で均一に混合し、100℃で5分間加熱し、冷却して2分間遠心分離した後、100μgの総タンパク質を採取してローディングした。電気泳動条件は、30Vで1.5時間実行した後、100Vでゲルの底まで実行した。電気泳動後、ゲルをはがし、PVDFメンブレン(GE、A29433753)に転写し、電気泳動条件は15Vで2.5時間であった。転写したPVDFメンブレンをブロッキング溶液(5%スキムミルク液)に浸し、4℃の冷蔵庫で一晩ブロッキングし、TBST(0.01M Tris-NaCl、pH7.6緩衝液)で4回洗浄した後、ウサギ抗マウスTau抗体(Abcam、ab151559)を加えて室温で2時間インキュベートし、TBSTで4回洗浄し、ヤギ抗ウサギIgG(HRP)抗体(Abcam、ab6721)二次抗体を加え、室温で1時間インキュベートし、TBSTで4回洗浄した後、クリーンなイメージングプレート上にPVDFメンブレンを置き、Immobilon Western HRP Substrate(MILLIPORE、WBKLS0100)を加えて呈色させ、生体分子イメージャーで撮影し、Image Jで定量的に分析した。
その結果、ブランク対照群のマウスの脳ホモジネートに一定のレベルの異なる分子量のTauタンパク質があり、投与群のマウスの脳組織における各分子量のTauタンパク質及び総Tauタンパク質のレベルは媒体群のマウスよりも有意に低く、2つの群の35kd、35~40kd、40kd、54kdの分子量Tauタンパク質レベル及び総Tauタンパク質レベルの統計分析P値はそれぞれ、0.174、0.0406、0.052、0.067、及び0.055であった(図12)。これは、プラスミノーゲンがアルツハイマーモデルマウスの脳組織においてTauタンパク質の分解を促進できることを示している。
実施例11は、プラスミノーゲンが、アルツハイマー病モデルマウスの脳ホモジネートにおいてPro-BDNFの切断を促進することに関するものである。
11週齢のB6SJLTg(APPSwFlLon,PSEN1*M146L*L286V)6799Vas/Mmjax(FAD)(在庫番号:034840)(FADと略称)マウス4匹ずつを選択し、殺処分して全脳組織を採取し、上記のように脳ホモジネートを調製してEPチューブに置いた。
Eppendorf(EP)チューブを取り、(1)ブランク群、(2)ブランク対照群、(3)溶媒対照群、(4)投与群で、各群に5つの並列を設定した。ブランク群には、21.5μLの生理食塩水、4.6μLの溶媒溶液(10mMクエン酸ナトリウム、2%塩酸アルギニン、3%マンニトール、pH7.4)、及び23.9μLのマウス脳ホモジネートを添加した;ブランク対照群には、21.5μLの生理食塩水、4.6μLのプラスミノーゲン溶液(2mg/mL)、及び23.9μLのマウス脳ホモジネートを添加した;溶媒対照群に21.5μL Pro-BDNF(Nanjing GenScript Biotechnology Co., Ltd., custom-expressed,UniProtKB-P23560,1.0mg/mL)、4.6μLの溶媒溶液(クエン酸-クエン酸ナトリウム溶液)、及び23.9μLのマウス脳ホモジネートを添加した;プラスミノーゲン群に21.5mLのPro-BDNF(1.0mg/mL)、4.6μLプラスミノーゲン溶液(2mg/mL)、及び23.9μLのマウス脳ホモジネートを添加した。各群にサンプルを添加した後、37℃で6時間インキュベートした後、50μLの0.1%トリフルオロ酢酸溶液をそれぞれ加えて反応を停止させた。
SDS-PAGEゲル調製キットの説明書に従って、12%ゲルを調製した。各群のサンプルを4×ローディング緩衝液(TaKaRa、e2139)と体積比3:1で混合し、100℃で5分間加熱し、冷却して2分間遠心分離した後、20μLのサンプルを採取してローディングした。電気泳動条件は、30Vで45分間実行した後、100Vでゲルの底まで実行した。電気泳動後、ゲルをはがし、1‰のクーマシーブリリアントブルー染色液(1gのクーマシーブリリアントブルーR250を、エタノール:氷酢酸:精製水の体積比が5:2:13の混合液1000mlに溶解した)に置いて30分間染色した後、脱色液(精製水:氷酢酸:無水エタノール=17:2:1の体積比で混合)を用いてきれいに脱色した。ゲルを生体分子イメージャーで写真を撮って定量的にスキャン・分析した。
脳由来神経栄養因子(brain-derived neurotrophic factor,BDNF)は、分子量12.3kDの塩基性タンパク質であり、119個のアミノ酸残基からなり、3対のジスルフィド結合を含み、生体内で二量体化した形で存在し、BDNF前駆体の形で合成し、BDNF前駆体(Pro-BDNF)は、酵素加水分解によって切断され、成熟したBDNFを形成することができる。Pro-BDNFは、切断されて形成した成熟BDNFと相反の効果を有することが文献で報告されている。Pro-BDNFはニューロンのアポトーシスを促進し、シナプス可塑性を低下させる[6]。成熟したBDNF及びその受容体は、中枢神経系に広く分布しており、中枢神経系の発達中のニューロンの生存、分化、成長、発達に重要な役割を果たし、ニューロンが損傷を受けて死滅することを防ぎ、ニューロンの病理学的状態を改善し、損傷したニューロンの再生や分化などの生物学的効果を促進することができ、成熟した中枢神経系及び末梢神経系におけるニューロンの生存と正常な生理学的機能に必要である[7]
その結果、アルツハイマー病モデルマウスの脳ホモジネートにおいて、プラスミノーゲン投与群のPro-BDNF量は溶媒対照群より有意に低く、その差は極めて有意であった(*はP<0.05、***はP<0.001を表す)(図13)。これは、プラスミノーゲンが、アルツハイマー病モデルマウスの脳ホモジネートにおいてPro-BDNFの切断を促進できることを示唆している。
実施例12は、プラスミノーゲンが、アルツハイマー病モデルマウスの脳ホモジネートにおいてPro-BDNFの切断及び成熟BDNFの形成を促進することに関するものである。
11週齢のB6SJLTg(APPSwFlLon,PSEN1*M146L*L286V)6799Vas/Mmjax(FAD)(在庫番号:034840)(FADと略称)マウス4匹ずつを選択し、殺処分して全脳組織を採取し、上記のように脳ホモジネートを調製してEPチューブに置いた。
Eppendorf(EP)チューブを取り、(1)ブランク群、(2)ブランク対照群、(3)溶媒対照群、(4)投与群で、各群に5つの並列を設定した。ブランク群には、21.5μLの生理食塩水、4.6μLの溶媒溶液(10mMクエン酸ナトリウム、2%塩酸アルギニン、3%マンニトール、pH7.4)、及び23.9μLのマウス脳ホモジネートを添加した;ブランク対照群には、21.5μLの生理食塩水、4.6μLのプラスミノーゲン溶液(2mg/mL)、及び23.9μLのマウス脳ホモジネートを添加した;溶媒対照群に21.5μL Pro-BDNF(Nanjing GenScript Biotechnology Co., Ltd., custom-expressed,UniProtKB-P23560,1.0mg/mL)、4.6μLの溶媒溶液(クエン酸-クエン酸ナトリウム溶液)、及び23.9μLのマウス脳ホモジネートを添加した;プラスミノーゲン群に21.5mLのPro-BDNF(1.0mg/mL)、4.6μLプラスミノーゲン溶液(2mg/mL)、及び23.9μLのマウス脳ホモジネートを添加した。各群にサンプルを添加した後、37℃で6時間インキュベートした後、50μLの0.1%トリフルオロ酢酸溶液をそれぞれ加えて反応を停止させた。
SDS-PAGEゲル調製キットの説明書に従って、12%ゲルを調製した。各群のサンプルを4×ローディング緩衝液(TaKaRa、e2139)と体積比3:1で混合し、100℃で5分間加熱し、冷却して2分間遠心分離した後、20μLのサンプルを採取してローディングした。電気泳動条件は、30Vで45分間実行した後、100Vでゲルの底まで実行した。電気泳動後、ゲルをはがし、PVDFメンブレン(GE、A29433753)に転写し、電気泳動条件は15Vで2.5時間であった。転写したPVDFメンブレンをブロッキング溶液(5%スキムミルク液)に浸し、4℃の冷蔵庫で一晩ブロッキングし、TBST(0.01M Tris-NaCl、pH7.6緩衝液)で4回洗浄した後、ウサギ抗ヒトBDNF抗体(Boster Biological Technology、PB9075)を加えて室温で3時間インキュベートし、TBSTで4回洗浄し、ヤギ抗ウサギIgG(HRP)抗体(Abcam、ab6721)二次抗体を加え、室温で1時間インキュベートし、TBSTで4回洗浄した後、クリーンなイメージングプレート上にPVDFメンブレンを置き、Immobilon Western HRP Substrate(MILLIPORE、WBKLS0100)を加えて呈色させ、生体分子イメージャーで撮影し、バンド光学密度をImage Jで定量的に分析した。
その結果、アルツハイマー病モデルマウスの脳ホモジネートにおいて、プラスミノーゲン投与群のPro-BDNF量は溶媒対照群より有意に低く、その差は極めて有意であった(**はP<0.01、***P<0.001を表す);プラスミノーゲン投与群のBDNF量は溶媒対照群よりも有意に高く、その差は極めて有意であった(図14)。これは、プラスミノーゲンが、アルツハイマー病モデルマウスの脳ホモジネートにおいて、Pro-BDNFの切断及び成熟BDNFの形成を促進できることを示唆している。
実施例13は、プラスミノーゲンがアルツハイマー病モデルマウスの海馬でBDNFの発現を促進することに関する。
24週齢のC57オスマウス23匹を取り、モデリング前に体重を測定し、体重によって異常なマウスを除外した後、すべてのマウスを2つの群にランダムに分け、ブランク対照群で7匹、モデル群で16匹とした。すべてのマウスを麻酔し、実施例6のようにアルツハイマーモデル[3]を構築した。脳局在注射28日後、すべてのマウスに対して体重及びY迷路試験を行い、試験の結果に応じて、ブランク対照群及びモデル群の異常なマウスを排除し、モデル群マウスを2つの群にランダムに分け、溶媒群で6匹とし、投与群で7匹とし、ブランク対照群で6匹とした。溶媒群及び投与群のマウスに投与を開始し、これを1日目とし、投与群のマウスに1mg/0.1ml/匹/日でプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒群のマウスに0.1ml/匹/日で溶媒(4%アルギニン+2%グリシン溶液)を尾静脈注射により投与し、28日間連続して投与した。ブランク対照群マウスには投与しなかった。29日目にマウスを殺処分し、脳を採取して10%ホルムアルデヒドで24~48時間固定した。固定された脳組織をアルコール勾配で脱水させ、キシレンで透徹化処理した後にパラフィンで包埋した。黒質を位置付けし、切片の厚さは4μmであり、切片を脱パラフィンさせ再水和してから1回水で洗った。PAPマーカーで組織を丸で囲み、3%過酸化水素で15分間インキュベートし、0.01M PBSで2回洗浄し、毎回5分間であった。5%正常ヤギ血清(Vector Laboratories,Inc.,USA)で30分間ブロッキングし、時間になったらヤギ血清を捨て、ウサギ抗マウスBDNF抗体(BosterBio,PB9075)を滴下して4℃で一晩インキューベートし、0.01M PBSで2回洗浄し、毎回5分間であった。ヤギ抗ウサギIgG(HRP)抗体(Abcam)二次抗体を室温で1時間インキュベートし、0.01M PBSで2回洗浄し、毎回5分間であった。DABキット(Vector laboratories,Inc.,USA)で呈色させ、水で3回洗浄した後にヘマトキシリンで30秒対比染色して、流水で5分間すすいだ。アルコール勾配で脱水させてキシレンで透徹にし、中性ゴムに封入させ、切片を光学顕微鏡下で200倍にて観察した。
その結果、ブランク対照群(図15A)のマウスの海馬が一定レベルのBDNFを発現し(矢印でマーク)、溶媒群(図15B)のマウスの海馬におけるBDNFの発現は、ブランク対照群よりも有意に低く、投与群(図15C)のマウスの海馬におけるBDNFの発現は溶媒群よりも有意に高く、統計的差は有意であった(*はP<0.05を表す)(図15D)。これは、プラスミノーゲンがアルツハイマー病モデルマウスの海馬でBDNFの発現を促進できることを示している。
実施例14は、プラスミノーゲンが、アルツハイマー病モデルマウスの脳ホモジネートにおいてNGFの切断及び成熟NGFの形成を促進することに関するものである。
11週齢のB6SJLTg(APPSwFlLon,PSEN1*M146L*L286V)6799Vas/Mmjax(FAD)(在庫番号:034840)(FADと略称)マウス4匹ずつを選択し、殺処分して全脳組織を採取し、上記のように脳ホモジネートを調製してEPチューブに置いた。
Eppendorf(EP)チューブを取り、(1)ブランク対照群、(2)ブランク群、(3)溶媒対照群、(4)プラスミノーゲン群で、各群に5つの並列を設定した。ブランク対照群には、21.5μLの生理食塩水、4.6μLの溶媒溶液(10mMクエン酸ナトリウム、2%塩酸アルギニン、3%マンニトール、pH7.4)、及び23.9μLのマウス脳ホモジネートを添加した;ブランク群には、21.5μLの生理食塩水、4.6μLのプラスミノーゲン溶液(2mg/mL)、及び23.9μLのマウス脳ホモジネートを添加した;溶媒対照群に21.5μL Pro-NGF(Nanjing GenScript Biotechnology Co., Ltd., custom-expressed Pro-NGF,配列はUniProtKB-P01138に由来,1.0mg/mL)、4.6μLの溶媒溶液、及び23.9μLのマウス脳ホモジネートを添加した;プラスミノーゲン群に21.μLのPro-NGF溶液(1.0mg/mL)、4.6μLプラスミノーゲン溶液(2mg/mL)、及び23.9μLのマウス脳ホモジネートを添加した。各群にサンプルを添加した後、37℃で6時間インキュベートした後、50μLの0.1%トリフルオロ酢酸溶液をそれぞれ加えて反応を停止させた。
SDS-PAGEゲル調製キットの説明書に従って、15%ゲルを調製した。各群のサンプルを4×ローディング緩衝液(TaKaRa、e2139)と体積比3:1で混合し、100℃で5分間加熱し、冷却して2分間遠心分離した後、20μLのサンプルを採取してローディングした。電気泳動条件は、30Vで30分間実行した後、100Vでゲルの底まで実行した。電気泳動後、ゲルをはがし、PVDFメンブレン(GE、A29433753)に転写し、電気泳動条件は15Vで2.5時間であった。転写したPVDFメンブレンをブロッキング溶液(5%スキムミルク液)に浸し、4℃の冷蔵庫で一晩ブロッキングし、TBST(0.01M Tris-NaCl、pH7.6緩衝液)で4回洗浄した後、ウサギ抗ヒトNGF抗体(Abcam,ab52918)を加えて室温で2時間インキュベートし、TBSTで4回洗浄し、ヤギ抗ウサギIgG(HRP)抗体(Abcam、ab6721)二次抗体を加え、室温で1時間インキュベートし、TBSTで4回洗浄した後、クリーンなイメージングプレート上にPVDFメンブレンを置き、Immobilon Western HRP Substrate(MILLIPORE、WBKLS0100)を加えて呈色させ、生体分子イメージャーで撮影し、バンド光学密度をImage Jで定量的に分析した。
神経成長因子(Nerve growth factor,NGF)は、神経栄養因子ファミリーの重要なメンバーである。シグナルペプチド、リーダーペプチド、及び成熟ペプチドを含む前駆体の形でインビボで合成される。研究では、神経成長因子NGFの前駆体(Pro-NGF)が、切断されて形成するNGFと相反の役割を果たしていることが報告されている。Pro-NGFはニューロンのアポトーシスを促進することができる。成熟したNGFは、ニューロンの成長、発達、分化、生存、損傷後の修復などのプロセスの調節に関与しており、中枢及び末梢ニューロンの機能発現の調節にも重要な役割を果たしている[8]
その結果、アルツハイマー病モデルマウスの脳ホモジネートでは、溶媒対照群に比べてプラスミノーゲン投与群のPro-NGF量が有意に低く、その差は極めて有意であった(***はP<0.001を表す);プラスミノーゲン投与群のNGF量は溶媒対照群よりも有意に高く、その差は有意であった(図16)。これは、プラスミノーゲンが、アルツハイマー病モデルマウスの脳ホモジネートにおいて、Pro-NGFの切断及び成熟NGFの形成を促進できることを示唆している。
実施例15は、プラスミノーゲンが、アルツハイマー病モデルマウスの不安及び抑うつ行動の回復を促進することに関する。
C57オスマウス28匹を取り、モデリング前に体重を測定し、体重によって異常なマウスを除外した後、すべてのマウスを2つの群にランダムに分け、ブランク対照群で8匹、モデル群で20匹とした。群分けが終わった後、実施例6のようにアルツハイマーモデル[3]を構築した。脳局在注射65日後、すべてのマウスに対して水迷路試験を行い、モデル対照群はすなわちブランク対照群マウスであり、試験の結果に応じて、ブランク対照群及びモデル群の異常なマウスを排除し、モデル群マウスを2つの群にランダムに分け、溶媒群で10匹とし、投与群で10匹とし、ブランク対照群で8匹とした。群分けの後、溶媒群及び投与群のマウスに第1期の投与を開始し、投与群のマウスに50mg/kg/匹/日でプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒群及びブランク対照群のマウスに5ml/kg/匹/日で溶媒(4%アルギニン+2%グリシン溶液)を尾静脈注射により投与し、28日間連続して投与した。第1期の投与終了50日後から第2期投与を開始し、投与方法は第1期と同様にして7日間連続して投与した。第2期の投与の8日目にオープンフィールド実験を行った。
オープンフィールド実験
実験時、オープンフィールド(40×40×40cm)の底面中央にマウスを置き、撮影と計時を同時に行い、持続して5分間観察し、各マウスは3回の実験を行った。Smart Systemは、実験動物の行動を評価するための完全な使いやすいビデオ追跡システムである。軌跡、アクティビティ、特定の動作(回転、ストレッチ、摂食など)及びイベントを記録し、さまざまな分析パラメーターの計算を実行できる。この実験では、Smart3.0システムを使用して、マウスの動きを記録及び分析した。パラメーターは、境界ゾーンの総移動距離と中央ゾーンの移動距離を含む。各実験では、匂いの好みを防ぐために70%のアルコールを使用してボックスを拭いた[1]
オープンフィールド実験の設計原理は、マウスの回避に基づいている。これは、マウスが開けた場所、未知の場所、潜在的に危険な場所を恐れているため、「壁に張り付く」性質を持っていることを指す。総距離と平均速度は、マウスの自発活動を反映する主なデータと見なされ、回避は、フィールドの周辺領域(4つのコーナーと4つの側面)でのマウスの活動によって評価された。回避を反映した周囲での活動時間から判断すると、時間が短縮することは、マウスがより「冒険的」な傾向にあることを示し、中央ゾーンでの活動時間が大幅に長くなることは、回避と不安(うつ病)のレベルが低いことを示す。
境界ゾーンの移動距離の割合
境界ゾーンの移動距離の割合は、指定された時間内に境界ゾーンでのマウスの移動軌跡長さと総移動軌跡の長さとの比率である。その結果、ブランク対照群は境界ゾーンで一定の割合の移動距離を持っており、溶媒群マウスの境界ゾーンの移動距離の割合がブランク対照群より有意に多く、投与群マウスの境界ゾーン移動距離の割合が溶媒群より有意に小さく、しかも統計的差は有意に近かった(P=0.08)(図17)。これは、プラスミノーゲンが、アルツハイマー病モデルマウスの不安及び抑うつ行動の回復を促進できることを示唆している。
中心ゾーンの移動距離の割合
中心ゾーンの移動距離の割合は、指定された時間内に中心ゾーンでのマウスの移動軌跡長さと総移動軌跡の長さとの比率である。その結果、ブランク対照群は中心ゾーンで一定の割合の移動距離を持っており、溶媒群マウスの中心ゾーンの移動距離の割合がブランク対照群より有意に小さく、投与群マウスの中心ゾーン移動距離の割合が溶媒群より有意に大きく、しかも統計的差は有意に近かった(P=0.08)(図18)。これは、プラスミノーゲンが、アルツハイマー病モデルマウスの不安及び抑うつ行動の回復を促進できることを示唆している。
実施例16は、プラスミノーゲンが、アルツハイマー病モデルマウスの不安及び抑うつ行動の回復を促進することに関する。
C57オスマウス28匹を取り、モデリング前に体重を測定し、体重によって異常なマウスを除外した後、すべてのマウスを2つの群にランダムに分け、ブランク対照群で8匹、モデル群で20匹とした。群分けが終わった後、実施例6のようにアルツハイマーモデル[3]を構築した。脳局在注射65日後、すべてのマウスに対して水迷路試験を行い、モデル対照群はすなわちブランク対照群マウスであり、試験の結果に応じて、ブランク対照群及びモデル群の異常なマウスを排除し、モデル群マウスを2つの群にランダムに分け、溶媒群で10匹とし、投与群で10匹とし、ブランク対照群で8匹とした。群分けの後、溶媒群及び投与群のマウスに第1期の投与を開始し、投与群のマウスに50mg/kg/匹/日でプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒群及びブランク対照群のマウスに5ml/kg/匹/日で溶媒(4%アルギニン+2%グリシン溶液)を尾静脈注射により投与し、28日間連続して投与した。第1期の投与終了50日後から第2期投与を開始し、投与方法は第1期と同様にして9日間連続して投与した。第2期の投与終了2日後に高架式十字迷路行動実験を行った。
高架式十字迷路は、動物の新しい異なる環境の探索特性及び高くぶら下げるオープンアームへの恐怖を利用して相反する行動を形成し、動物の不安状態を調べる。高架十字迷路には1対のオープンアームと1対のクローズアームがある。齧歯類は暗所嗜好のためクローズアームで移動する傾向があるが、好奇心と探索のためにオープンアームで移動し、新しい刺激に直面すると、動物は探索する衝動と恐怖を同時に感じる。これは、探索と回避の相反する行動を引き起こし、結果として不安が生じる。抗不安薬は、オープンアームに入る回数と時間を大幅に増やすことができる。十字迷路は地面から高く、崖の上に立っているのと同じであるため、被験者に恐怖と不安を感じさせる。高架式十字迷路は、新薬の開発/スクリーニング/評価、薬理学、毒物学、予防医学、神経生物学、動物心理学、行動生物学などの複数の分野における科学研究及びコンピューター支援教育の分野で広く使用されており、医学部や科学研究機関での行動研究、特に不安やうつ病の研究における古典的な実験である。
実験の開始時に、マウスをクローズアームに向かって中央のグリッドから迷路に入れ、5分間の活動を記録した。観察指標は、オープンアームエントリの回数(2つの前足がアームに入る必要がある)、オープンアームの滞留時間、クローズアームエントリの回数、及びクローズアームの滞留時間を含む。オープンアームの滞留時間の割合、オープンアームエントリ回数の割合、及び高架式十字迷路のエントリの総数を計算した。実験が終わった後、マウスを取り出し、両腕をきれいにし、アルコールをスプレーして臭いを取り除いた。最後に、動物行動学ソフトウェアを使用してデータ分析を行った。
総移動距離
総移動距離とは、指定された記録時間内のマウスの総移動軌跡の長さを指す。その結果、ブランク対照群は一定の総移動距離を持っており、溶媒群の移動距離はブランク対照群よりも有意に大きく、投与群の総移動距離は溶媒群よりも有意に小さく、その統計的差は極めて有意であり(*はP<0.05、**はP<0.01を表す)(図19)、しかもブランク対照群のマウスの総移動距離により近かった。これは、プラスミノーゲンが、アルツハイマー病モデルマウスの不安及び抑うつ行動の回復を促進できることを示唆している。
クローズアーム移動距離
クローズアームの移動距離とは、指定された時間内のクローズアームの移動軌跡の長さを指す。その結果、ブランク対照群マウスは一定のクローズアーム移動距離を持っており、溶媒群のクローズアーム移動距離はブランク対照群よりも有意に大きく、投与群のクローズアーム移動距離は溶媒群よりも有意に小さく、2つの群の間の統計的差は有意であり(*はP<0.05、**はP<0.01を表す)(図20)、しかも投与群のクローズアーム移動距離はブランク対照群により近かった。これは、プラスミノーゲンが、アルツハイマー病モデルマウスの不安及び抑うつ行動の回復を促進できることを示唆している。
クローズアームの移動距離の割合
クローズアームの移動距離の割合とは、指定された時間内のクローズアームの移動軌跡の長さと総移動軌跡の長さとの比率を指す。その結果、ブランク対照群マウスは一定のクローズアーム移動距離の割合を持っており、溶媒群のクローズアーム移動距離の割合はブランク対照群よりも有意に大きく、投与群のクローズアーム移動距離の割合は溶媒群よりも有意に小さく、2つの群の間の統計的差は有意であり(*はP<0.05を表す)(図21)、しかも投与群のクローズアーム移動距離の割合はブランク対照群により近かった。これは、プラスミノーゲンが、アルツハイマー病モデルマウスの不安及び抑うつ行動の回復を促進できることを示唆している。
クローズアームエントリ回数
その結果、ブランク対照群マウスは一定のクローズアームエントリ回数を持っており、溶媒群のクローズアームエントリ回数はブランク対照群マウスよりも有意に多く、投与群マウスのクローズアームエントリ回数は溶媒群よりも有意に少なく、2つの群の間の統計的差は極めて有意であり(*はP<0.05、**はP<0.01を表す)(図22)、しかも投与群のクローズアームエントリ回数はブランク対照群により近かった。これは、プラスミノーゲンが、アルツハイマー病モデルマウスの不安及び抑うつ行動の回復を促進できることを示唆している。
クローズアーム時間
クローズアーム時間とは、指定された時間内でマウスがクローズアームに滞在する時間のことである。その結果、ブランク対照群マウスは一定のクローズアーム時間を持っており、溶媒群マウスのクローズアームの滞在時間はブランク対照群マウスよりも有意に短く、投与群マウスのクローズアーム時間は溶媒群よりも有意に長く、2つの群の間の統計的差は有意であり(*はP<0.05、**はP<0.01を表す)(図23)、しかも投与群のクローズアームの滞在時間はブランク対照群により近かった。これは、プラスミノーゲンが、アルツハイマー病モデルマウスの不安及び抑うつ行動の回復を促進できることを示唆している。
クローズアーム時間の割合
クローズアーム時間の割合とは、マウスがクローズアームに滞在した時間と記録された合計時間との比率を指す。その結果、ブランク対照群マウスは一定のクローズアーム時間の割合を持っており、溶媒群マウスのクローズアーム時間の割合はブランク対照群マウスよりも有意に低く、投与群マウスのクローズアーム時間の割合は溶媒群よりも有意に高く、2つの群の間の統計的差は有意であり(*はP<0.05、**はP<0.01を表す)(図24)、しかも投与群のクローズアーム時間の割合はブランク対照群により近かった。これは、プラスミノーゲンが、アルツハイマー病モデルマウスの不安及び抑うつ行動の回復を促進できることを示唆している。
クローズアームでの平均速度
クローズアームでの平均速度とは、クローズアームの移動距離とクローズアーム時間との比率を指す。その結果、ブランク対照群マウスは一定のクローズアームでの平均移動速度を持っており、溶媒群のクローズアームでの平均移動速度はブランク対照群マウスよりも有意に大きく、投与群マウスのクローズアームでの平均移動速度は溶媒群よりも有意に小さく、2つの群の間の統計的差は極めて有意であり(**はP<0.01を表す)(図25)、しかも投与群のクローズアームでの平均移動速度はブランク対照群により近かった。これは、プラスミノーゲンが、アルツハイマー病モデルマウスの不安及び抑うつ行動の回復を促進できることを示唆している。
実施例17は、プラスミノーゲンが、アルツハイマー病モデルマウスの記憶機能の回復を促進することに関する。
C57オスマウス28匹を取り、モデリング前に体重を測定し、体重によって異常なマウスを除外した後、すべてのマウスを2つの群にランダムに分け、ブランク対照群で8匹、モデル群で20匹とした。群分けが終わった後、実施例6のようにアルツハイマーモデル[3]を構築した。脳局在注射65日後、すべてのマウスに対して水迷路試験を行い、モデル対照群はすなわちブランク対照群マウスであり、試験の結果に応じて、ブランク対照群及びモデル群の異常なマウスを排除し、モデル群マウスを2つの群にランダムに分け、溶媒群で10匹とし、投与群で10匹とし、ブランク対照群で8匹とした。群分けの後、溶媒群及び投与群のマウスに第1期の投与を開始し、投与群のマウスに50mg/kg/匹/日でプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒群及びブランク対照群のマウスに5ml/kg/匹/日で溶媒(4%アルギニン+2%グリシン溶液)を尾静脈注射により投与し、28日間連続して投与した。第1期の投与終了50日後から第2期投与を開始し、投与方法は第1期と同様にして9日間連続して投与した。第2期の投与終了2日後にY迷路行動実験を行った。
その結果、ブランク対照マウスと比較して、溶媒群のマウスの自発的交替行動率が有意に低下し、投与群のマウスの自発的交替行動率は、溶媒群よりも有意に高く、2つの群の間の統計的差は有意であり(*はP<0.05を表す)、しかもブランク対照群により近かった(図26)。これは、プラスミノーゲンが、アルツハイマー病モデルマウスの記憶機能の回復を促進できることを示唆している。
実施例18は、プラスミノーゲンが、アルツハイマー病モデルマウスの不安及び抑うつ行動の回復を促進することに関する。
20~25週齢のB6SJL-Tg(APPSwFlLon、PSEN1*M146L*L286V)6799Vas/Mmjax(Jackson labから購入、カタログ番号:034840)のメスマウス18を取り、体重及びY迷路試験の結果に従って2つの群にランダムに分け、媒体群で9匹、投与群で9匹とし、同週齢のC57メスマウス9匹をブランク対照群とした。群分けの後、ブランク対照群及び溶媒群のマウスに5ml/kgで溶媒(4%アルギニン+2%グリシン溶液)を尾静脈注射により投与し、投与群のマウスに50mg/kgでプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、18日間連続して投与した。19日目に架式十字迷路行動実験を行った。
その結果、ブランク対照群マウスは一定のクローズアーム時の移動距離を持っており、溶媒群のクローズアームの移動距離はブランク対照群マウスよりも有意に小さく、投与群マウスのクローズアームの移動距離は溶媒群よりも有意に大きく、2つの群の間の統計的差は有意であり(**はP<0.01、***はP<0.001を表す)(図27)、しかも投与群のクローズアームの移動距離はブランク対照群により近かった。これは、プラスミノーゲンが、アルツハイマー病モデルマウスの不安及び抑うつ行動の回復を促進できることを示唆している。
実施例19は、プラスミノーゲンが、アルツハイマー病モデルマウスの海馬損傷を改善することに関するものである。
B6SJL-Tg(APPSwFlLon,PSEN1*M146L*L286V)6799Vas/Mmjaxマウス(カタログ番号:034840、Jackson Laboratoryから購入)とC57BL/6Jマウスを一回戻し交配させて子孫(B6-F1-FADと呼ぶ)を繁殖させた。16~17週齢のメスB6-F1-FADマウス18匹及び9週齢のメスC57BL/6Jマウス9匹を取った。B6-F1-FADは、体重及びY迷路試験の結果に応じて、溶媒群と投与群の2つの群にランダムに分け、各群9匹とした。9匹のC57BL/6Jをブランク対照群として使用した。群分けが完了した後、ブランク対照群のマウスと溶媒群のマウスに溶媒(4%アルギニン+2%グリシン溶液)を尾静脈注射により投与し、各マウスの注射量は5ml/kgであった。投与群のマウスにはプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、各マウスに50mg/kgの用量で8日間連続して注射した。投与後の5日後、マウスを殺処分し、脳組織を採取して10%中性ホルムアルデヒド溶液で24~48時間固定した。固定された脳組織をアルコール勾配で脱水させ、キシレンで透徹化処理した後にパラフィンで包埋した。切片の厚さは3μmであり、切片を脱パラフィンさせ再水和してから1回水で洗い、ヘマトキシリン及びエオジンで染色し(HE染色)、1%塩酸エタノールで分別させ、アンモニア水でブルーイングさせ、さらにアルコール勾配で脱水させて封入させ、海馬を観察するために、切片を光学顕微鏡下で200倍にて観察した。
その結果、ブランク対照群(図28A)のマウスの海馬の組織形態が正常であり、溶媒群(図28B)と比較して、投与群(図28C)の海馬の組織損傷形態が有意に改善された。これは、プラスミノーゲンが、アルツハイマー病モデルマウスの海馬損傷を改善できることを示している。
実施例20は、プラスミノーゲン療法を自発的に受けたアルツハイマー病患者における治療効果に関するものである。
以下の患者は自発的に薬を服用するためのインフォームドコンセントフォームに署名し、病院倫理委員会の承認を得た。
患者1、男性、76歳、半年前に記憶障害が起き、性格が頑固になり、記憶力及び新しいことを学ぶ能力が低下し、臨床的にアルツハイマー病と診断された。投薬計画:最初に50mgを静脈内注射し、毎日10mgを追加し、3日目から10mgを噴霧吸入した。1日1回、13日間投与を続けた。
治療効果:家族は、投薬プロセス中に患者の精神状態が徐々に改善され、応答感度が徐々に且つ有意に改善され、投薬後の患者の新しいことを学ぶ能力及び記憶能力が改善され、記憶力も改善されたと述べた。13日間の投薬後、体の全体的な感覚は約50%改善し、記憶力は約50%改善したそうである。
これは、プラスミノーゲンが、アルツハイマー病患者の記憶力、学習能力、及び精神状態を改善できることを示している。
患者2、女性、96歳である。病歴:高血圧20年以上、心臓病や糖尿病の既往なし、半年ほど前から記憶障害が起き、学習能力が低下し、思考能力及びコミュニケーション能力が低下し、怒りっぽくて無関心になり、ミニメンタルステート検査スケール(MMSE)で10点を取った。
投薬計画:噴霧と静脈内注射との併用であった。1日目に噴霧吸入3回、毎回5mg、2日目から噴霧は前と同じ、30mgから開始し、静脈内注射は、毎日10mgを追加し、7日間連続投与した。
ミニメンタルステート検査スケール(Mini-Mental State Examination Scale、MMSE)は、被験者の精神状態と認知障害の程度を包括的、正確かつ迅速に反映することができる。このスケールはシンプルで実施が容易であり、国内外で広く使用されており、認知症スクリーニングに好まれるスケールである。採点基準:スコア27~30、正常;スコア<27、認知障害;スコア21~26、軽度;スコア10~20、中程度;スコア0~9、重度。
治療効果:1.精神が向上した;2.老年性認知症の症状が改善され、記憶力が向上した;3.高齢者の不安が軽減された;4.MMSEスコアは14点であり、主に他人の指示に協力して行動する能力に反映された。投与前後のMMSEスコアを表1に示す。
これは、プラスミノーゲンが、アルツハイマー病患者のMMSEスコアを改善し、患者の記憶力、思考能力、不安、及び精神状態を改善できることを示している。
表1 投与前後のMMSEスコア
Figure 2023518504000001
患者3、女性、87歳であり、記憶力と理解力が乏しく、検査のために入院し、医師は脳梗塞と診断し、記憶力と理解力に影響があり、老年性認知症の現象が現れ、軽度の意識錯乱及び亜精神錯乱状態を示し、周囲の環境を正しく識別できず、時間と場所を混乱させ、人とのコミュニケーションに困難があり、全体的な状態スコアは10点であった。(全体的な状態スコアとして、初日に投薬を受けていない場合を10、投薬後の昨日の状態を最も重度として10、最も軽い状態を1、正常を0とする)。
投薬計画:150~250mgの静脈内注射による投与に加えて、1回10mgの噴霧吸入により投与し、4時間ごとに1回、1日3回、14日間投与を続けた。休薬1週間後、1週間投与を継続し、方法は前と同様であり、噴霧吸入量は1回15mg、4時間ごとに1回、1日3回であった。休薬1週間後、また2週間投与を継続し、隔日投与し、250mg静脈内注射により投与し、噴霧は1回15mg、4時間ごとに1回、1日3回投与した。その後、週に2回、400mg静脈内注射による投与に加えて、1回10mgの噴霧により投与し、1日2回、2週間投与に変更した。現在は、週に1回、500mgを静脈内注射による投与に加えて、1回10mg、1日2回、週に2日噴霧している。
治療の過程では、上記の症状は徐々に改善され、14日間の投薬後、患者の気分は改善され、他者とのコミュニケーションは基本的にバリアなく、記憶が回復し、時間の概念が徐々に明確になり、全体的な状態スコアは4点であった。人とのコミュニケーションの70%~80%は正しく理解でき、正確に答えることができる。人の名前を間違えることが多いが、人を特定するには問題はない。
これは、プラスミノーゲンが、患者の記憶力、コミュニケーション能力、認知能力、及び見当識能力の改善など、アルツハイマー病を改善できることを示している。
患者4、女性、91歳であり、軽度の脳萎縮と軽度の認知障害と診断された。患者の記憶スコアは投薬前に10点であり、計算能力スコアは10点であり、見当識スコアは10点であった((全体的な状態スコアとして、初日に投薬を受けていない場合を10、投薬後の昨日の状態を最も重度として10、最も軽い状態を1、正常を0とする)。
投薬計画として、50~100mgを静脈内注射により、1日1回、さらに噴霧吸入で10mg/回、1日2~3回投与した。上記のように2日に1回、13日間連続して投与した。
治療の13日後、患者は自己記憶で9点、計算能力で9点、見当識で9点を獲得した。
これは、プラスミノーゲンが、患者の認知障害、記憶能力、計算能力、見当識能力を改善できることを示している。
患者5、女性、79歳であり、4年前から記憶力の低下、機嫌の悪さなどの症状が出現し、徐々に悪化した。現在、患者は比較的静かであり、集中力が2分を超えず、言語表現が損なわれ、短期記憶が失われている。時間や場所の区別がつかず、悲しみやすく、セルフケア能力が喪失した。MMSEスコアで3点を取った。
投薬計画:最初に50mgの静脈内注射により投与し、2日ごとに50mgを追加し、14日間連続して投与し、その後は週に2回、毎回400mgで、合計30日間投与した。
投薬の4日目から、集中力と理解力がわずかに改善し、投薬7日目には理解力と注意力がさらに向上し、質問を理解して一生懸命答えようとするようになり、投薬10日目にはより多くのものや親戚を認識し、思い出すことができた。投薬14日目に、注意力は7~8分間集中することができ、起こったばかりのことについて、状態が良好であれば、記憶は6~7分間持続できた。投薬21日目に、30分間以上集中できた。投薬24日後、たった今起こったことの記憶が約1時間持続し、言語表現も豊かになり、MMSEスコアは9点であった。投薬30日後にMMSEスコアは9点であった。休薬1か月後、計算能力は改善し、MMSEスコアは8点であった。投与前後のMMSEスコアを表2に示す。
これは、プラスミノーゲンがアルツハイマー病患者のMMSEスコアを改善し、患者の記憶能力、認知能力、注意力、理解力、言語表現能力、及び計算能力を改善できることを示している。
表2 投与前後のMMSEスコア
Figure 2023518504000002
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Claims (14)

  1. プラスミノーゲン活性化経路の成分、プラスミノーゲンを直接活性化し得るか、またはプラスミノーゲン活性化経路の上流成分を活性化することによって間接的にプラスミノーゲンを活性化し得る化合物、プラスミノーゲンまたはプラスミンの活性を模倣する化合物、プラスミノーゲンまたはプラスミノーゲン活性化剤の発現をアップレギュレートすることができる化合物、プラスミノーゲン類縁体、プラスミン類縁体、tPAまたはuPA類縁体及び線維素溶解阻害剤の拮抗剤から選択される1つ以上の治療有効量の化合物をアルツハイマー病の被験者に投与することを含む、アルツハイマー病を予防及び治療する方法。
  2. 前記プラスミノーゲン活性化経路の成分が、プラスミノーゲン、組換えヒトプラスミノーゲン、Lys-プラスミノーゲン、Glu-プラスミノーゲン、プラスミン、プラスミノーゲンとプラスミンの1つ以上のkringleドメイン及びプロテアーゼドメインを含むプラスミノーゲン及びプラスミン変異体並びに類縁体、ミニプラスミノーゲン(mini-plasminogen)、ミニプラスミン(mini-plasmin)、マイクロプラスミノーゲン(micro-plasminogen)、マイクロプラスミン(micro-plasmin)、delta-プラスミノーゲン、delta-プラスミン(delta-plasmin)、プラスミノーゲン活性化剤、tPA、及びuPAから選択されるものである、請求項1に記載の方法。
  3. 前記線維素溶解阻害剤の拮抗剤が、PAI-1、補体C1阻害剤、α2抗プラスミンまたはα2マクログロブリンの阻害剤、例えば、抗体である、請求項1に記載の方法。
  4. 前記化合物が、アルツハイマー病の被験者に対して、脳組織におけるアミロイドAβ40またはAβ42の分解を促進する活性、記憶機能を改善する活性、認知能力を改善する活性、地理的位置認識を改善する活性、不安または抑うつ症状を緩和する活性、脳組織におけるAβ42沈着を減少させる活性、脳組織におけるTauタンパク質の分解を促進する活性、脳組織におけるPro-BDNFの切断による成熟BDNFの形成を促進する活性、脳組織におけるBDNFの発現を促進する活性、脳組織におけるPro-NGFの切断による成熟NGFの形成を促進する活性、及び脳組織の海馬の損傷を改善する活性から選択される1つまたは複数の活性を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記化合物がプラスミノーゲンである、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記プラスミノーゲンが、ヒト全長プラスミノーゲンまたはその保存的置換変異体である、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記プラスミノーゲンが、配列2と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有し、且つ依然としてプラスミノーゲンのリジン結合活性またはタンパク質加水分解活性を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記プラスミノーゲンが、配列14と少なくとも80%、90%、95%、96%、97%、98%または99%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、且つ依然としてプラスミノーゲンのタンパク質加水分解活性を有するタンパク質を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記プラスミノーゲンが、Glu-プラスミノーゲン、Lys-プラスミノーゲン、ミニプラスミノーゲン、マイクロプラスミノーゲン、delta-プラスミノーゲン、またはそれらの、プラスミノーゲンのタンパク質加水分解活性を保持した変異体から選択される、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
  10. 前記プラスミノーゲンが、配列2、6、8、10または12に示されるアミノ酸配列を含むか、または配列2、6、8、10または12に示されるアミノ酸配列の保存的置換変異体を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
  11. 前記化合物が、1つまたは複数の他の治療方法または薬剤と組み合わせて使用される、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記他の治療方法が、細胞療法(幹細胞療法を含む)、支持療法、及び物理的療法を含む、請求項11に記載の方法。
  13. 前記他の薬剤が、アルツハイマー病の治療のための他の薬剤である、請求項11に記載の方法。
  14. 前記化合物が、鼻吸入、エアロゾル吸入、点鼻薬、点眼薬、点耳薬、静脈内、腹腔内、皮下、頭蓋内、髄腔内、動脈内(例えば頸動脈を介して)、または筋肉内に投与される、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。


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