JP2023518140A - 緑内障手術後の瘢痕化を減少させるためのバルプロ酸の使用 - Google Patents

緑内障手術後の瘢痕化を減少させるためのバルプロ酸の使用 Download PDF

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Abstract

本発明は、緑内障手術後の瘢痕化を減少させるためのVPAの使用に関する。1つの形態では、緑内障手術は、結膜下水疱を作製することを含む緑内障濾過手術である。もう1つの形態では、緑内障手術は、結膜下腔の下に緑内障チューブシャントを移植することを含む低侵襲緑内障手術である。

Description

発明の詳細な説明
〔技術分野〕
本発明は、緑内障手術の治療におけるバルプロ酸の使用に関する。
〔背景〕
眼疾患、特に緑内障の進行を遅らせるために、結膜を含む眼の手術が頻繁に行われる。緑内障手術には、従来の緑内障濾過手術(GFS)によるもの、または、それほど侵襲的ではない、低侵襲緑内障手術によるものがある。
代表的な緑内障手術の合併症は、手術後の眼の線維化によってもたらされる。実際、緑内障手術に対する創傷治癒反応は、従来型または低侵襲型にかかわらず、最終的な転帰(outcome)として炎症および瘢痕化を含む。主に無秩序なコラーゲンからなる瘢痕の形成は、正常な血液/リンパの脈管構造を破壊するだけでなく、必然的に結膜構造を乱し、それがひいては手術後結膜の生体力学的な保護機能を損なう可能性がある。
現在、マイトマイシンC(MMC)などの添加剤は、主に瘢痕内に沈着するコラーゲンの量を減らすことを通して、手術の転帰を改善するために日常的に適用されている。これらの薬物は眼線維症の予防および緑内障手術の転帰の改善に効果的であるが、広範囲の細胞死、水疱漏出、低眼圧症、および/または眼内炎を含む、視力を脅かす合併症を引き起こすことが知られている。
さらに、眼科手術後の過剰の炎症または持続性の炎症は瘢痕化のリスクが高いため、失敗を防止するための術後管理として、他の抗炎症薬と同様に、ステロイドが全身的に、局所的に、あるいは結膜下で適用される。しかし、これらの投薬計画は、一般的に免疫抑制薬/抗炎症薬を長期間服用することを伴い、特にステロイドは、潜在的に重篤な副作用と関連する。
したがって、緑内障手術後の創傷治癒の改良法が必要とされている。
〔発明の概要〕
本発明は、これらの問題に対処しようとし、および/または緑内障手術後の創傷治癒の改善法を提供する。
第1の態様によれば、本発明は、緑内障手術後の組織変性を防止するための薬剤の製造における、バルプロ酸(VPA)の使用を提供する。
特定の態様によれば、上記組織変性を防止することは、結膜コラーゲン構造を維持することを含んでもよい。
本発明はまた、緑内障手術で形成された結膜下水疱を維持するための薬剤の製造における、VPAの使用を提供する。
特定の態様によれば、上記結膜下水疱を維持することは、結膜コラーゲン構造を維持することを含む。
任意の態様による上記VPAは、任意の適切な形態のVPAを含んでもよい。特定の態様によれば、上記VPAは、誘導体、アナログ、塩、それらのエステル、またはそれらの組み合わせを含んでもよい。例えば、上記VPAは、バルプロ酸ナトリウム、バルプロ酸カルシウム、バルプロ酸セミナトリウム、ジバルプロエクス、2-n-プロピル-3-アミノペンタン酸、2-π-プロピル-4-アミノペンタン酸、2-n-プロピル-4-ヘキシン酸、またはそれらの組み合わせを含んでもよい。
緑内障の手術は、任意の種類の緑内障手術であってもよい。特定の態様によれば、緑内障手術は、結膜下水疱を作製することを含んでもよい。例えば、上記緑内障手術は、緑内障濾過手術または低侵襲緑内障手術(MIGS)を含んでもよい。特定の態様によれば、上記緑内障手術はMIGSであってもよい。特に、上記MIGSは、結膜下腔の下に緑内障チューブシャントを移植することを含んでもよい。別の特定の態様によれば、上記緑内障手術は、アブエクステルノ(ab externo)緑内障手術またはアブインテルノ(ab interno)緑内障手術を含んでもよい。
上記緑内障手術は、代謝拮抗物質の使用を含んでもよい。上記代謝拮抗物質は、本発明の目的のための任意の適切な代謝拮抗物質であってもよい。例えば、上記代謝拮抗物質はマイトマイシンC(MMC)、5-フルオロウラシル(5FU)、またはそれらの組み合わせであってもよい。
上記緑内障手術で使用される上記代謝拮抗物質は、適切な濃度を有し得る。特定の態様によれば、上記緑内障手術で使用される上記代謝拮抗物質の濃度は、1.0mg/mL以下であってもよい。
上記VPAは、任意の適切な濃度を有し得る。例えば上記VPAは、100~1000μg/mLの濃度を有し得る。
上記薬剤は、任意の適切な手段による被験体への投与に適したものであってもよい。例えば、上記薬剤は、局所投与および/または結膜下投与に適したものであってもよい。
上記薬剤は、任意の適切な時点での投与に適したものであってもよい。特定の態様によれば、上記薬剤は、緑内障手術の直後の投与に適したものであってもよい。
別の特定の態様によれば、上記薬剤は、上記緑内障手術後の6~120ヶ月までの投与に適したものであってもよい。特に、上記薬剤は、上記緑内障手術後の少なくとも12週間、毎日投与するのに適したものであってもよい。
本発明はまた、緑内障手術後に、弱い結膜下瘢痕を形成するための薬剤の製造における、バルプロ酸(VPA)の使用を提供する。上記緑内障手術は、上述のように定義されてもよい。特に、上記緑内障手術は、緑内障チューブシャントを結膜下腔の下に移植することを含んでもよい。
特定の態様によれば、上記弱い結膜下瘢痕を形成することは、コラーゲン線維による上記緑内障チューブシャントの被包化を防止することを含んでもよい。別の特定の態様によれば、上記弱い結膜下瘢痕を形成することにより、上記緑内障チューブシャントが、その内腔を介する水流出能力を維持することが可能になり得る。
結膜下腔の下に移植された緑内障チューブシャントの被包化を防止するための薬剤の製造における、バルプロ酸(VPA)の使用も提供される。
本発明の別の態様は、緑内障チューブが結膜下腔の下に移植された後、その内腔を介する緑内障チューブの水流出能力を維持するための薬剤の製造における、バルプロ酸(VPA)の使用である。
上記緑内障手術は、代謝拮抗物質の使用を含んでもよい。上記代謝拮抗物質は、任意の適切な代謝拮抗物質であってもよい。例えば、代謝拮抗物質は、これらに限定されるものではないが、マイトマイシンC(MMC)、5-フルオロウラシル(5FU)、またはそれらの組み合わせであってもよい。代謝拮抗物質は、適切な濃度を有し得る。特定の態様によれば、上記代謝拮抗物質は、1.0mg/mL以下の濃度を有し得る。
特定の態様によれば、薬剤は、代謝拮抗物質をさらに含んでもよい。当該代謝拮抗物質は、上述の通りであってもよい。
〔図面の簡単な説明〕
本発明が完全に理解され、容易に実用的な効果のある状態とするために、ここでは、非限定的な例として単に典型的な実施形態を記載し、当該記載は、添付の例証となる図面を参照するものである。図面において:
図1は、結膜瘢痕化のマウスモデルを示す;
図2は、手術後の示された時点での、ヘマトキシリンおよびエオシン(H&E)染色、ピクロシリウスレッド染色、および第2高調波発生光(SHG)による、手術結膜のマウスモデルにおける、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)およびVPA処理されたコラーゲン構造の可視化を示す;
図3は、マウスモデルのVPA処理された手術後結膜における、コラーゲン線維の厚さの減少を示す;
図4は、コラーゲン面積比(CAR)、コラーゲン線維密度(CFD)、およびmm当たりのコラーゲン線維数によって測定された、VPA処理されたマウスモデルの手術後結膜におけるコラーゲン線維強度の減少を示す;
図5は、VPA処理されたマウスモデルの手術後結膜において、コラーゲン線維の網状化が誘発されなかったことを示す。コラーゲン構造は、コラーゲン細網化指数(collagen reticulation Index、CRI)とコラーゲン面積細網化密度(Collagen area Reticulation density、CARD)とで測定される;
図6Aは、VPAが初代ウサギ結膜線維芽細胞において定常状態のI型コラーゲン発現を阻害することを示し、図6Bは、VPAがヒトテノン結膜線維芽細胞において定常状態のI型コラーゲン発現を阻害することを示す;
図7は、PBSと比較した、手術後少なくとも28日間のウサギモデルにおけるマイクロシャントインプラントの維持におけるVPAの有効性を示す;
図8は、手術後28日目の、PBSおよびVPAで処理したウサギモデルの、共焦点顕微鏡法により画像化した、水疱(bleb)中における、嚢胞の発達および脈管構造の維持を示す;
図9は、手術後28日目の、VPAで処理したマイクロシャントインプラント手術のウサギモデルにおける、コラーゲン特性の組織学的可視化を示す;
図10は、手術後28日目の、VPAで処理したマイクロシャントインプラント手術のウサギモデルにおける、コラーゲンおよびフィブロネクチンの特性の免疫蛍光可視化を示す;
図11は、VPAで処理したマイクロシャントインプラント手術のウサギモデルにおける、線維化促進性および血管新生促進性の転写物の発現を示す;
図12は、VPAを低用量のMMCと併用した場合の、マイクロシャントインプラント手術のウサギモデルにおける、水疱形態の改善を示す;
図13は、手術後28日目の、低用量のMMCを使用した場合の、ウサギモデルの水疱における維持された脈管構造を示す;
図14は、手術後28日目の、VPAと組み合わせて、高用量および低用量のMMCで処理した、マイクロシャントインプラント手術のウサギモデルにおける、コラーゲン特性の組織学的可視化を示す;
図15は、手術後29日目の、VPAと組み合わせて、高用量および低用量のMMCで処理した、マイクロシャントインプラント手術のウサギモデルにおける、線維化促進性および血管新生促進性の転写物の発現を示す;
図16は、手術後29日目の、VPAと組み合わせて、高用量および低用量のMMCで処理した、マイクロシャントインプラント手術のウサギモデルにおける、COL1A1のタンパク質の発現を示す;
図17は、MMC、または、MMCとVPAとの併用で処理した、MIGSのウサギモデルにおける、結膜下腔へ通じるインプラントチップ(implant tip)の組織化学的可視化を示す。
〔詳細な説明〕
上で説明したように、緑内障手術の転帰改善の必要性がある。概括的な言葉でいえば、本発明は、バルプロ酸の使用による、正常な結膜組織構造の回復による緑内障手術の改善された転帰に関する。特に、本発明は、上記緑内障手術に対する不都合な反応から眼表面の機能を保護し得る。本発明はまた、次には沈着される瘢痕コラーゲンにおける破壊のレベルを減少させ得、そして手術転帰の改善をもたらし得る正常な脈管構造を保存し得る、コラーゲン構造の保存に関する。さらに、本発明は、緑内障手術中に使用される代謝拮抗物質の量/濃度の減少をもたらす。
第1の態様によれば、本発明は、緑内障手術後の組織変性を防止するための薬剤の製造におけるバルプロ酸(VPA)の使用を提供する。
本発明はまた、緑内障手術で形成された結膜下水疱を維持するための薬剤の製造におけるVPAの使用を提供する。特に、結膜下水疱を維持することは、結膜コラーゲン構造を維持することを含む。上記結膜コラーゲン構造の維持は、以下に記載されるとおりであってもよい。例えば、結膜瘢痕化を抑制することによって、水疱を維持し得る。瘢痕化は水疱の破綻につながり、それによって、緑内障手術によって低下した眼圧(IOP)が持続する。
VPAは、第一世代の抗てんかん薬として知られ、何年にもわたって臨床使用されてきた。VPAとその塩とは、双極性躁病、片頭痛などの他の神経疾患に広く処方されている。VPAは、安全性プロファイルが比較的良好であるのみならず、神経疾患に対して良好な有効性と薬剤経済学的プロファイルとを有する。
本発明の任意の態様によるVPAは、任意の適切な形態のVPAを含むことができる。特定の態様によれば、上記VPAは、VPA誘導体、VPAアナログ、VPA塩、VPAエステル、またはそれらの組み合わせを含んでもよいが、これらに限定されない。例えば、上記VPA誘導体は、ジバルプロエクス、2-n-プロピル-3-アミノペンタン酸、2-π-プロピル-4-アミノペンタン酸、またはそれらの組み合わせを含んでもよいが、これらに限定されない。上記VPAアナログは、2-n-プロピル-4-ヘキシン酸を含んでもよいが、これらに限定されない。上記VPA塩は、バルプロ酸ナトリウム、バルプロ酸カルシウム、バルプロ酸セミナトリウム、および、他のバルプロ酸アルカリ塩およびバルプロ酸アルカリ土類塩、またはそれらの組み合わせを含んでもよいが、これらに限定されない。特に、上記VPAは、バルプロ酸ナトリウムを含んでもよい。
VPAは、任意の適切な濃度を有し得る。例えば上記VPAは、100~1000μg/mLの濃度を有し得る。特に、上記VPAは、150~950μg/mL、200~900μg/mL、250~850μg/mL、300~800μg/mL、350~750μg/mL、400~700μg/mL、450~650μg/mL、500~600μg/mLの濃度を有し得る。さらに特に、上記VPAは、150~300μg/mLの濃度を有し得る。
本発明の任意の態様における緑内障手術は、任意の適切な緑内障手術であってもよい。例えば、上記緑内障手術は、緑内障濾過手術または低侵襲緑内障手術(MIGS)を含んでもよい。上記緑内障手術は、アブエクステルノ緑内障手術またはアブインテルノ緑内障手術を含んでもよい。特に、上記緑内障手術は、結膜下腔または水疱を生成することを含んでもよい。結膜下腔(subconjunctival space)/水疱(bleb)は、房水(aqueous humour)のためのリザーバの役割を果たし得る。
特定の態様によれば、上記緑内障手術は、MIGSであってもよく、結膜下腔の下に緑内障チューブシャントを移植することを含んでもよい。特に、上記緑内障手術は、アブエクステルノ緑内障手術であってもよく、緑内障濾過手術、または結膜下腔の下に緑内障チューブシャントを移植することを含んでもよいが、これらに限定されない。緑内障チューブは、当技術分野で公知の任意の適切な緑内障チューブであってもよい。特に、緑内障チューブは、PRESERFLO(登録商標)MicroShunt(以前は「InnFocus MicroShunt」として知られていた)であってもよい。PRESERFLO(登録商標)MicroShuntは、外径350μm、内腔70μmのチューブを有する、極めて可撓性のSIBS[ポリ(スチレン-ブロック-イソブチレン-ブロック-スチレン)]ポリマー製の植込み型(implantable)緑内障ドレナージデバイス(drainage device)である。それは、管が前方のチャンバー内へ移動することを防止する三角形のフィンを有する。上記デバイスは、結膜下/テノン腔の下に移植されるように設計されてもよい。PRESERFLO(登録商標)MicroShuntは、InnFocus,Inc.によって製造され、提供されている。
アブインテルノ緑内障手術は、角膜から結膜下腔の下に緑内障ステントを移植するための手術を含んでもよい。上記緑内障ステントは、当技術分野で公知の任意の適切な緑内障ステントであってもよい。特に、緑内障ステントは、アラガンのXenゲルステント(Allergan’s Xen Gel Stent)であってもよい。
特定の態様によれば、上記緑内障手術は、代謝拮抗物質の使用を含んでもよい。上記代謝拮抗物質は、上記緑内障手術における使用のための任意の適切な代謝拮抗物質であってもよい。特に、上記代謝拮抗薬は、緑内障手術中に使用されてもよい。上記代謝拮抗物質は、マイトマイシンC(MMC)、5-フルオロウラシル(5FU)、またはそれらの組み合わせを含んでもよいが、これらに限定されない。特定の態様によれば、代謝拮抗物質は、MMCであってもよい。
上記緑内障手術で使用される上記代謝拮抗物質は、適切な濃度を有し得る。例えば、緑内障手術で使用される上記代謝拮抗物質の濃度は、1.0mg/mL未満であってもよい。特に、上記代謝拮抗薬の濃度は、0.9mg/mL以下、0.5mg/mL以下、0.4mg/mL以下、0.2mg/L以下、0.1mg/L以下であってもよい。さらに特に、上記代謝拮抗物質の濃度は、0.1mg/mL以下であってもよい。
上記薬剤および/または上記VPAは、任意の適切な形態であってもよい。例えば、上記薬剤および/または上記VPAは、眼科的投与に適していてもよい。特に、上記薬剤および/または上記VPAは、結膜下、硝子体内、または局所投与に適していてもよい。上記薬剤および/または上記VPAは、結膜下注射、または、当技術分野で公知の他の眼科送達経路および/または投与形態による投与などの多種多様な眼科送達経路のために設定されてもよい。上記薬剤またはVPAは、点眼剤による投与などのために液状で調製されてもよく、または、凍結乾燥形態などの乾燥粉末形態であってもよい。
上記薬剤は、任意の適切な投薬計画に適していてもよい。したがって、上記薬剤は、任意の適切な時点での投与に適していてもよい。上記投薬計画は、様々な因子(例えば、年齢、状態、体重、性別、対象の食生活、状態の重症度、およびその他の臨床的因子)に基づくことができる。
特定の態様によれば、上記薬剤は、上記緑内障手術の直後の投与に適していてもよい。例えば、外科的事象の直後に、薬剤の単回投与が提供されてもよい。単回投与に加えて、薬剤のさらなる反復投与が提供されてもよい。特に、単回投与に加えて、毎日、毎週、隔週、毎月、および隔月投与の薬剤が提供されてもよい。上記薬剤は、上記緑内障手術後の数年間までの反復投与に適していてもよい。特に、上記薬剤は、上記緑内障手術後、1~120ヶ月、2~96ヶ月、3~72ヶ月、4~60ヶ月、5~48ヶ月、6~36ヶ月、8~24ヶ月、12~18ヶ月の反復投与に適していてもよい。さらに特に、上記薬剤は、上記緑内障手術後の4ヶ月までの反復投与に適していてもよい。
特定の態様によれば、上記薬剤は、上記緑内障手術後の6ヶ月、4ヶ月、3ヶ月、2ヶ月、1ヶ月、3週間、2週間、1週間まで、毎日投与するのに適していてもよい。特に、上記薬剤は、上記緑内障手術後の12週間まで、毎日投与するのに適していてもよい。
特定の態様によれば、組織変性を防止することは、結膜コラーゲン構造を維持することを含んでもよい。本発明の目的のために、結膜コラーゲン構造を維持することは、コラーゲン線維の厚さを約25%減少させること、および/または、コラーゲンの細網化を約30%減少させること、として定義され得る。
特に、上記結膜コラーゲン構造の維持は、コラーゲン構造の変化の抑制、および、結膜脈管構造の完全性の維持を含む。さらに特に、上記結膜コラーゲン構造の維持は、上記緑内障手術後に形成されるコラーゲン線維の平均厚さの減少を含む。上記維持は、コラーゲンの細網化における阻害をさらに含んでもよい。特に、上記維持は、コラーゲンの細網化を30%阻害することを含んでもよい。上記維持は、Vegfaの増強された発現をさらに含んでもよい。
VPAはコラーゲン線維の厚さおよびコラーゲンの細網化の減少により、緑内障手術後の創傷治癒中のコラーゲン構造の乱れを防止することができるため、結膜構造が保存され得、それにより、結膜の生体力学的特性と、血液およびリンパ管の脈管構造の支持におけるその役割と、を維持している。上記結膜構造の保存の観点から、結膜は、緑内障手術の感染に対する防護壁としても働く可能性がある。
また、上記VPAの使用により、上記緑内障手術中に使用する代謝拮抗物質の濃度を低下させることができる。これにより、代謝拮抗物質の結膜組織に対する毒性作用を大幅に低減することが可能となり、それによって、結膜組織の健康を保つことができる。
第3の態様によれば、本発明は、緑内障手術後に弱い結膜下瘢痕を形成するための薬剤の製造におけるバルプロ酸(VPA)の使用を提供する。
上記緑内障手術は、上のように定義されてもよい。特に、上記緑内障手術は、緑内障チューブシャントを結膜下腔の下に移植することを含んでもよい。
特定の態様によれば、上記弱い結膜下瘢痕を形成することは、コラーゲン線維による緑内障チューブシャントの被包化を防止することを含んでもよい。別の特定の態様によれば、上記弱い結膜下瘢痕を形成することは、上記緑内障チューブシャントが、その内腔を介する水流出能力を維持することを可能にし得る。特に、薬剤は被験体への投与に適しており、それにより、薬剤は、より小さい(減少したコラーゲン含量)およびより細いコラーゲン線維の存在を通して、より弱い結膜下瘢痕の発達をもたらし、水流出を促進し、マイクロシャントの機能を維持する好ましい水疱形態をもたらす。
上記緑内障手術は、代謝拮抗物質の使用を含んでもよい。上記代謝拮抗物質は、任意の適切な代謝拮抗物質であってもよい。例えば、上記代謝拮抗物質はマイトマイシンC(MMC)、5-フルオロウラシル(5FU)、またはそれらの組み合わせであってもよいが、これらに限定されない。上記代謝拮抗物質は、適切な濃度を有し得る。特定の態様によれば、上記代謝拮抗物質の濃度は、1.0mg/mL以下であってもよい。特に、低用量の代謝拮抗物質と併用した場合、VPAと代謝拮抗物質との組み合わせは、コラーゲン線維の長さをさらに減少させ得、それによって、形成される上記結膜下瘢痕をさらに弱くし得る。
結膜下腔の下に移植された緑内障チューブシャントの被包化を防止するための薬剤の製造における、VPAの使用も提供される。
本発明の別の態様は、緑内障チューブが結膜下腔の下に移植された後、その内腔を介する緑内障チューブの水流出能力を維持するための薬剤の製造におけるVPAの使用である。
さらなる態様によれば、本発明は、有効な量のVPAを投与することを含む、緑内障手術後の組織変性を防止する方法を提供する。
さらなる態様によれば、有効な量のVPAを投与することを含む、緑内障手術で形成された結膜下水疱を維持する方法が提供される。
本発明はまた、有効な量のVPAを投与することを含む、緑内障手術後に弱い結膜下瘢痕を形成する方法を提供する。上記緑内障手術は、上のように定義されてもよい。特に、上記緑内障手術は、緑内障チューブシャントを結膜下腔の下に移植することを含んでもよい。
特に、上記弱い結膜下瘢痕を形成することは、コラーゲン線維による上記緑内障チューブシャントの被包化を防止することを含んでもよい。別の特定の態様によれば、上記弱い結膜下瘢痕を形成することは、緑内障チューブシャントがその内腔を介する水流出能力を維持することを可能にする。
特定の態様によれば、上記薬剤は、代謝拮抗物質をさらに含んでもよい。特に、上記代謝拮抗物質は、上述の通りであってもよい。
緑内障手術の補助剤の製造におけるVPAの使用も提供される。上記補助剤は、緑内障手術によって低下したIOPを持続し得る。特に、上記VPAは、緑内障手術の補助剤として使用されてもよい。
代謝拮抗物質のみならず、上記VPAおよび緑内障手術も、上述の通りであってもよい。
本発明は、それを必要とする患者にVPAを投与することを含む、緑内障手術後の組織変性を防止する方法も提供する。
それを必要とする患者にVPAを投与することを含む、緑内障手術で形成された結膜下水疱を維持する方法も提供される。
本発明は、それを必要とする患者にVPAを投与することを含む、緑内障手術後に弱い結膜下瘢痕を形成する方法も提供する。それを必要とする患者にVPAを投与することを含む、結膜下腔の下に移植された緑内障チューブシャントの被包化を防止する方法も提供される。
本発明は、それを必要とする患者にVPAを投与することを含む、緑内障チューブが結膜下腔に移植された後、その内腔を介する緑内障チューブの水流出能力を維持する方法も提供する。
上記緑内障手術は、上述の通りであってもよい。上記VPAは、上述の通りであってもよい。
緑内障手術後の組織変性の防止に使用するためのVPAも提供される。本発明の別の態様は、緑内障手術で形成される結膜下水疱の維持に使用するためのVPAである。本発明は、緑内障手術後に弱い結膜下瘢痕を形成する際に使用するためのVPAも提供する。
本発明の別の態様は、結膜下腔の下に移植された緑内障チューブシャントの被包化を防止することに使用するためのVPAである。本発明のさらに別の態様は、緑内障チューブが結膜下腔の下に移植された後、その内腔を介する水流出能力を維持することに使用するためのVPAである。
上記緑内障手術は、上述の通りであってもよい。上記VPAは、上述の通りであってもよい。
本発明はまた、緑内障手術後の組織変性を防止するための薬剤であって、VPAを含む上記薬剤を提供する。本発明の別の態様は、緑内障手術において形成される結膜下水疱を維持するための薬剤であって、VPAを含む上記薬剤である。
緑内障手術後に弱い結膜下瘢痕を形成するための薬剤であって、VPAを含む上記薬剤も提供される。
本発明の別の態様は、結膜下腔の下に移植された緑内障チューブシャントの被包化を防止し、および/または、緑内障チューブが結膜下腔の下に移植された後、その内腔を介する緑内障チューブの水流出能力を維持するための薬剤であって、VPAを含む上記薬剤である。
上記緑内障手術は、上述の通りであってもよい。上記VPAは、上述の通りであってもよい。
ここでは発明を一般的に記載したが、例証として提供され、限定されることを意図しない。以下の実施例を参照することにより、同様のことがより容易に理解されるであろう。
〔実施例〕
[実施例1-結膜瘢痕化のマウスモデル]
図1のように結膜瘢痕化のマウスモデルを作製した。
結膜を切開して、強膜を露出させた。当該強膜では、上記切開が前方のチャンバー内まで作製された。得られた瘻は、房水が上記結膜の中および下に流出することを可能にした。縫合した結膜の下に蓄積した液体は、結膜水疱として観察された。
結膜瘢痕化のマウスモデルは、MMCを用いて実証された。このマウスは、MMCをまったく同じ方法で適用した場合、緑内障手術を受けたヒトと同様の反応を示した。
VPAがコラーゲン構造を保護する能力を有するか否かを決定するために、Xu Sら(J.Hepatol.,2014,61(2):260-269)に記載されている定量的多光子イメージングを用いて、VPAで処理した結膜瘢痕化のマウスモデルにおけるコラーゲン特性を測定した。コラーゲンmRNAの産生のピークによって示される瘢痕化の開始を、手術後7日目に測定した。コラーゲンmRNAの生産が抑制された手術後14日目に、成熟瘢痕を測定した。
7日目の瘢痕化開始中のコラーゲン構造に対するVPAの影響を検討するために、手術直後および2日目に、手術領域内に直接的に300μg/mlのVPAをマウスに注射した。14日目の成熟瘢痕におけるVPAの効果を決定するために、マウスに上のように注射して、7日目の追加注射を行った。この方法により、多光子スキャンのみならず組織学的に染色された切片においても、VPA処理された眼内のコラーゲン線維が、PBS処理された対照の眼内のコラーゲン線維よりも薄いことを、容易に観察することができた。VPAの薄化効果を示す例示的なコラーゲン線維は、図2の白い矢頭によって示される。
手術した結膜部の定量的多光子分析は、VPA処理された組織においてコラーゲンの厚さが確かに減少したことを立証した(図3)。VPA処理された結膜における、薄い、中央値の、および厚いコラーゲン線維の全レンジ(range)は、PBS処理された対照物におけるものよりも、すべて比較的薄かった。
コラーゲン強度の定量分析(図4)はまた、結膜瘢痕化のマウスモデルにおいて、VPAがコラーゲン産生を減少させたことを裏付けた。線維の数はVPA処理された組織で減少したが、パッキング密度(packing density)はPBS対照と有意に異なってはいなかった。コラーゲン面積比(CAR)として測定されたコラーゲン強度は、7日目および14日目のVPA処理された組織の両方において有意に減少した。VPA処理の状態でのコラーゲン線維密度(CFD)の有意差の欠如は、PBS対照とは異なり、コラーゲン線維がパッキングされていないことを示した。手術後に誘導されるコラーゲンの量を減少させるVPAの能力と一致して、mm当たりのコラーゲン線維の数は、両方の時点で、手術された組織において有意に減少した。
最も重要なことに、多光子分析は、目では容易に視覚化されなかったコラーゲン構造の一面を測定した。PBS処理はコラーゲンの細網化(または分岐)を増加させたが、VPA処理は、7日目のPBS処理と比較した場合、コラーゲン細網化指数(CRI)の有意な減少によって示されるように、この現象を阻害した(図5)。7日目のCRIの増加を抑制するVPAの活性は、これが創傷組織におけるコラーゲン誘導のピークの時点であるため、重要な意味を持つ。その意味するところは、その両方が病的瘢痕と関連している、過剰かつ潜在的に延長された創傷治癒の事象において、VPAが明白な組織構造の変化を防止するように作用することができるということである。14日目の成熟瘢痕におけるCRIは、未手術組織と類似している。そのため、14日目の成熟瘢痕におけるVPAの効果の欠如は、VPAが正常組織における組織の構造的完全性を変化させず、これらは過剰な瘢痕化のみに影響を及ぼすことを示唆するものとして重要である。実験的手術後のVPA処理された手術後結膜では、コラーゲン細網化は誘発されなかった。コラーゲン構造をCRIおよびコラーゲン面積細網化密度(Collagen area Reticulation density、CARD)として測定した。
ミクロンスケールで測定したこれらのデータは、VPA処理が、コラーゲン線維強度を減少させる能力に加えて、コラーゲン線維の厚さおよびコラーゲン細網化に関してコラーゲン構造の混乱を防止することを示す。したがって、VPA処理は、結膜構造の生体力学的特性の維持、および、血液およびリンパの脈管構造を支持する役割のために重要な、結膜構造を維持するための方法であり得る。
[実施例2-マイクロシャントインプラント手術およびヒトマイクロシャントインプラント手術のウサギモデル]
マイクロシャントインプラント手術のウサギモデル(PRESERFLO(登録商標)MicroShunt、Santen)に適用するため、図6に示すように、初代ウサギ結膜線維芽細胞を用いて、(1)I型コラーゲン減少における効果、および、(2)細胞増殖に対する非毒性に関して、使用するべきVPAの用量を決定した。データは、300μg/mlのVPAが、細胞増殖を妨害することなく、ウサギ結膜線維芽細胞におけるCol1a1の発現を有意に減少させるために有効な最低濃度であることを示した。
図6Aからわかるように、VPAは、初代ウサギ結膜線維芽細胞において、定常状態のI型コラーゲンの発現を阻害する。
同様に、ヒトへの適用のために、使用するべきVPAの用量を、I型コラーゲンの減少における有効性に関して、上記ウサギモデルで行ったようにして決定した。独立した3名のドナー由来のヒトテノン結膜線維芽細胞における、I型コラーゲンの発現に対するVPAの効果を調べ、結果は図6Bのとおりであった。上記ウサギモデルと同様に、300μg/mlのVPAが、細胞増殖を妨害することなく、Col1a1の発現を有意に減少させるために有効な最低濃度であることがわかる。
[実施例3-マイクロシャントインプラント手術のウサギモデルにおけるVPAの有効性]
PRESERFLO(登録商標)MicroShunt(Santen)を使用するマイクロシャントインプラント手術のウサギモデルに対して、手術直後、最初の7日間は1日1回、その後は手術後10日目、14日目、21日目に、300μg/ml VPAの合計11回の注射を行った。ウサギの眼をスリットランプ撮像(slit lamp photography)により評価した(図7)。見出されるように、PBS処理した水疱(bleb)は14日目までにすでに破綻しているが、VPAは少なくとも28日間、濾過胞(filtering bleb)を維持することに効果的であった。
共焦点顕微鏡法を使用して、水疱の外観および機能を相関させた。有意に正に相関する特徴には、嚢胞の大きさおよび脈管構造の密度/蛇行性が含まれることが知られている。
本実施例では、PBS処理された水疱は、密にパックされたコラーゲン線維および不定形な外観(amorphous-looking)の組織の背景の中にある、より小さな嚢胞を特徴とした(図8)。明白に、脈管構造は蛇行性であるように見えた。対照的に、VPA処理された水疱は、より規則的に配列され、かつ、より不定形でない、緩くパックされたコラーゲン線維に囲まれた、大きな嚢胞によって特徴づけられた。際立って、脈管構造は、VPA処理された結膜において直線状であった。これらの観察は、結膜脈管構造を維持するVPAの能力を支持し、大きな嚢胞の発達と組み合わせることで、水疱機能と生存の改善とに寄与し得ることを支持する。
結膜のコラーゲン構造を維持するVPAの能力を、組織学的解析により実証した。正常な、手術されていない結膜に対して試験した場合、PBS処理された水疱は、厚く、無秩序なコラーゲン線維を特徴とした(図9)。対照的に、VPA処理された水疱は、正常組織と比較した場合、より薄く、均一に組織化されたコラーゲン線維の配列によって特徴付けられた(図9)。これらのデータは、VPAによる処理が、溶出インプラント(eluting implant)を装着した場合に、結膜のコラーゲン構造を維持することを示唆する。したがって、VPAは、結膜の生体力学的/足場的(scaffolding)特性および防護壁の役割を維持し得る。結膜における構造的変性反応を防止することにより、VPAはそれゆえに、手術の成功を増加させ得る。
VPA処理およびPBS対照処理によるコラーゲン構造の差異を、結膜の凍結切片の免疫蛍光染色によってさらに可視化した。I型コラーゲン(COL1A1)およびフィブロネクチン(FN)に特異的な抗体は、PBS処理された結膜における、より厚いコラーゲンおよびフィブロネクチン線維の発達を確認した(図10)。対照的に、VPA処理された水疱は、両方のタンパク質の、より薄く、より拡散して分布した線維によって充満(permeated)された(図10)。これらのデータは、VPAがコラーゲンの分布と構造とだけではなく、フィブロネクチンのような他の細胞外マトリックスタンパク質のそれにも影響を及ぼすことを示唆している。フィブロネクチンは、他の機能の中でも、創傷治癒中の創面収縮(wound contraction)に関与する。過剰または太いフィブロネクチン線維の形成を防止することにより、VPAは、創傷結膜における病的なコラーゲン収縮(collagen contractures)の発生を阻止し得る。
コラーゲンおよびフィブロネクチン線維の厚さの減少は、VPA処理の状態では、より少ないコラーゲンおよびフィブロネクチンが産生され得ることを示唆する。これは、処理したウサギ結膜におけるコラーゲンおよびフィブロネクチンの転写物の量を分析することによって立証された。図11に示されるように、28日目のウサギ組織におけるこれらの遺伝子の両方の発現は、PBS対照と比較した場合、VPA処理の状態では有意に減少した。また、Smad6がVPA処理によって有意に誘導されることが立証され、Smad6の発現の変化がVPAによるCol1a1のダウンレギュレーションの機構であるという、結膜瘢痕化のマウスモデルから発見された先の知見を裏付ける。驚くべきことに、血管新生の典型的な成長因子であるVegfaの発現は、VPAで処理した組織で有意に上昇した。この知見は、共焦点顕微鏡によって可視化されたPBS対照における、より密で無秩序なコラーゲン足場の発達によって阻害され得る、手術された組織における脈管構造を維持するVPAの能力と一致する。
要約すると、マイクロシャント手術インプラントのウサギモデルは、VPA処理が、手術された組織の脈管構造のみならず、組織/コラーゲン構造も同様に保持することを示した。そしてそれゆえに、VPA処理は、正常な結膜の極めて重要な機能を維持するために使用され得る。換言すると、手術に対する変性反応を減少させ、同時に大きな嚢胞の発達を可能にすることにより、その結果、VPAは、水疱機能を改善しながら手術後の有害作用を減少させ得、そして、PRESERFLO(登録商標)MicroShuntと共に使用するための補助剤(adjunct)として有益な役割を果たし得る。
[実施例4-マイクロシャントインプラント手術のウサギモデルにおけるMMC曝露を低下させることへのVPAの有効性]
PRESERFLO(登録商標)MicroShunt(Santen)を使用するマイクロシャントインプラント手術のウサギモデルを作製し、以下の条件下で処理した:
(a) スポンジによる0.4mg/mlのMMC 1分間;
(b) スポンジによる0.1mg/mlのMMC 1分間;および、
(c) スポンジによる0.1mg/mlのMMC 1分間と、手術直後、最初の7日間は1日1回、その後は手術後10日目、14日目、21日目での、300μg/ml VPAの合計11回の注射と、の組み合わせ。
ウサギの眼をスリットランプ撮像により評価した(図12)。見出されるように、全ての水疱は、28日目までに機能的であるように見えた。しかし、上記水疱の形態は、処理条件に応じて大きく異なっていた。
0.4mg/mlでの標準的なMMC処理は、全く無血管性で嚢胞性の水疱という結果であった。処理された領域は、正常な結膜とは明瞭に一線が画されていた。脈管構造が、酸素と栄養との供給者であり、かつ、潜在的な感染に対する免疫応答も提供することを考えると、MMCを0.4mg/mlで処理することは、処理領域を高い組織変性のリスクに暴露し、かつ、感染に対する脆弱性を増加させる。
0.1mg/mlでのMMC処理は、0.4mg/mlのMMCでの処理と比較して、処理された領域における小さな無血管性領域(「Star operatorマーク」によってマークされる、図12)は28日まで明らかなままであったが、より少ない無血管性および軽度の嚢胞性の水疱を生じるという結果であった。したがって、MMC濃度を低下させた場合、この水疱では、組織変性および感染のリスクがはるかに低下した。
VPAと併用した0.1mg/mlのMMCは、処理された領域全体に浸透する、拡散した水疱および正常な血管新生という結果であった。正常な結膜組織に類似した、処理された領域は、組織変性および感染のリスクが最も低いと予想された。
共焦点顕微鏡は、0.4mg/mlのMMCでの標準的な処理は、疎なコラーゲン線維の背景の中にある大きな嚢胞(「Star operatorマーク」によってマークされる、図13)という結果であったことを明らかにした。脈管構造は検出できなかった。対照的に、0.1mg/mlのMMC単独にて処理、または、VPAと併用して処理した水疱は、より小さな嚢胞によって特徴付けられた(「Star operatorマーク」によってマークされる、図13)。後者の2つの状態では、コラーゲンマトリックス中に存在し得る如何なる差異も識別され得ないが、脈管構造は容易に可視化され得る(矢頭、図13)。これらの観察は、高用量のMMCが水疱機能に寄与する大きな嚢胞の形成を可能にすることを確証する。より低用量のMMCは、VPAによる処理でさえもサイズが知覚的に増加しない、より小さな嚢胞という結果であった。しかしながら、脈管構造の存在を保持することは、結膜の健康にとって必須である。
結膜のコラーゲン構造の維持に対するVPAのさらに微細な能力は、組織学的解析によって最も明確に示されている。標準的な0.4mg/mlのMMCで処理すると、コラーゲン線維が消失した水疱マトリックス中に大きく開けた空間(gaping space)となった(図14)。残ったコラーゲン線維は成熟した線維であり、おそらく手術前の組織から存在したものである。対照的に、より低い0.1mg/mlのMMC投与では、多数の未成熟および無秩序なコラーゲン線維が検出され得(矢頭、図14)、これは、手術された領域における、28日目までおよびそれを超えるコラーゲンの連続的な産生を示唆する。低用量のMMCをVPAと同時に適用した場合、コラーゲンネットワークは、まばらであり、主に成熟した線維から構成された(図14)。この顕著な組織学は、手術後の期間にコラーゲン産生があったが、試験されたマトリックスが主に非常に減少した、そしてより薄い成熟コラーゲン線維から構成されるように、28日目よりも前のある時点でVPAが新しい線維の産生を阻害したことを示唆している(矢頭、図14)。全体として、これらのデータは、VPAとの同時処理が、より低い用量のMMCを使用することを可能にすることを示す。その用量は、水疱の機能および完全性の観点から、マイクロシャントの有効性を維持しながら、脈管構造を保存し、そして正常組織により近いコラーゲンマトリックスを達成する。
細胞外マトリックスの異なる組織学は、処理条件によって引き起こされる遺伝子発現の差異に反映され得る。これは、処理したウサギ結膜における転写物の量を分析することによって立証された。各記号が1匹のウサギの眼を表す(n=5 全ての条件)図15に示すように、0.1mg/mlのMMCで処理した28日目のウサギ組織におけるCol1a1のmRNAの発現は、0.4mg/mlのMMC処理または0.1mg/mlのMMC+VPA処理の両方よりも有意に高く、組織学的観察を裏付けるものである。重要なことに、Col1a1転写産物の発現のレベルは0.4mg/mlのMMC処理と0.1mg/mlのMMC+VPA処理との間で同様であり、これは、後者が、コラーゲン産生の同様の減少を引き起こす際に、高いMMC用量の使用に置き換えることができることを示す。フィブロネクチン、SPARC、およびペリオスチン遺伝子を含む他の線維症関連遺伝子の発現も、VPAとの同時処理によって有意に減少した。Smad6の発現は、VPA単独と同様に変化せず、MMCとの薬物相互作用に起因する可能性が高い。
mRNAデータは、ウサギ組織におけるCOL1A1産生に対する免疫ブロット法によって立証した。各記号が1匹のウサギの眼を表す(n=5 全ての条件)図16に見られるように、手術された結膜におけるCOL1A1タンパク質のレベルは、VPAを追加した低いMMCによって処理した組織において、最低であった。このデータは、組織学的証拠と一致し得る。0.4mg/mLのMMCによって処理した組織中で測定されたコラーゲンの含量は、組織が代謝的に不活性であったため、処理後にさらなる変化なしに残存したコラーゲンを表した可能性が高い。より低用量の0.1mg/mlのMMCの場合、処理された組織は、有意に高いレベルのCol1a1の転写を示すことによって、比較的活性であるように見え(図15)、また、明らかに新しく形成された未成熟なコラーゲン線維の外観を特徴とし(図14)、沈着したコラーゲンの含量は、高いMMC用量と同様であった。特に、VPAと同時処理した場合、COL1A1のレベルは、独立したウサギ間でより一貫して低下し、0.1mg/mlのMMCの単独処理と比較した場合、有意な平均2.4倍の低下をもたらすという結果であった。この所見は、VPAとの同時療法が、組織形態を維持するだけではなく、低用量のMMC単独による処理と比較して、低下したCOL1A1レベルの維持において、より大きな一貫性を保証することを示唆する。
要約すると、VPAは、結膜瘢痕化のマウスモデルとPRESERFLO(登録商標)マイクロシャントインプラント手術のウサギモデルとの両方において、結膜コラーゲン構造を維持した。これは、マイクロシャントの外科手術的移植後の結膜の生体力学的完全性を維持するVPAの能力を強く支持するものである。さらに、VPAによる結膜脈管構造の維持は、本薬物が組織の健全な状態をも維持し得、そして感染に対する防護壁としての役割を支持し得ることを示唆する。さらに、手術した結膜における杯細胞(goblet cell)の数を維持するVPAの能力は、本薬物が、ドライアイの発達を防止し、緑内障手術の転帰を改善するために、手術前および手術促進的に(pre- and pro-operatively)使用され得ることを示す。
[実施例5-手術後の瘢痕化を減少させるための、VPAと低用量のMMCとの併用療法]
VPAが手術後の瘢痕化に及ぼす影響を調べるために、実施例4で(a)、(b)および(c)の条件下で実施および処理したように、マイクロシャントインプラント手術のウサギモデルを繰り返した。次いで、ウサギの眼を評価した。
図17は、図に示されるように処理された、MIGSのウサギモデルにおける、結膜下腔へ通じるインプラントチップの組織化学的可視化を示す。偏光下で観察したピクロシリウスレッド(pRed)染色切片は、使用した濃度にかかわらず、MMC単独で処理した組織中のインプラントを被包化している太いコラーゲン線維の存在を明らかにした。
対照的に、VPA(300μg/mL)での処理は、インプラント、特にチップを被包化する太い線維の存在を減少させた。これは、VPA処理がインプラントの被包化およびその結果生じるデバイスの故障のリスクを減少させ得ることを示す。
前述の説明は例示的な実施形態を説明したが、多くの変形が本発明から逸脱することなくなされ得ることが、関連技術の当業者によって理解されるであろう。
結膜瘢痕化のマウスモデルを示す。 手術後の示された時点での、ヘマトキシリンおよびエオシン(H&E)染色、ピクロシリウスレッド染色、および第2高調波発生光(SHG)による、手術結膜のマウスモデルにおける、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)およびVPA処理されたコラーゲン構造の可視化を示す。 マウスモデルのVPA処理された手術後結膜における、コラーゲン線維の厚さの減少を示す。 コラーゲン面積比(CAR)、コラーゲン線維密度(CFD)、およびmm当たりのコラーゲン線維数によって測定された、VPA処理されたマウスモデルの手術後結膜におけるコラーゲン線維強度の減少を示す。 VPA処理されたマウスモデルの手術後結膜において、コラーゲン線維の網状化が誘発されなかったことを示す。コラーゲン構造は、コラーゲン細網化指数(collagen reticulation Index、CRI)とコラーゲン面積細網化密度(Collagen area Reticulation density、CARD)で測定される。 VPAが初代ウサギ結膜線維芽細胞において定常状態のI型コラーゲン発現を阻害することを示す。 VPAがヒトテノン結膜線維芽細胞において定常状態のI型コラーゲン発現を阻害することを示す。 PBSと比較した、手術後少なくとも28日間のウサギモデルにおけるマイクロシャントインプラントの維持におけるVPAの有効性を示す。 手術後28日目の、PBSおよびVPAで処理したウサギモデルの、共焦点顕微鏡法により画像化した、水疱(bleb)中における、嚢胞の発達および脈管構造の維持を示す。 手術後28日目の、VPAで処理したマイクロシャントインプラント手術のウサギモデルにおける、コラーゲン特性の組織学的可視化を示す。 手術後28日目の、VPAで処理したマイクロシャントインプラント手術のウサギモデルにおける、コラーゲンおよびフィブロネクチンの特性の免疫蛍光可視化を示す。 VPAで処理したマイクロシャントインプラント手術のウサギモデルにおける、線維化促進性および血管新生促進性の転写物の発現を示す。 VPAを低用量のMMCと併用した場合の、マイクロシャントインプラント手術のウサギモデルにおける、水疱形態の改善を示す。 手術後28日目の、低用量のMMCを使用した場合の、ウサギモデルの水疱における維持された脈管構造を示す。 手術後28日目の、VPAと組み合わせて、高用量および低用量のMMCで処理した、マイクロシャントインプラント手術のウサギモデルにおける、コラーゲン特性の組織学的可視化を示す。 手術後29日目の、VPAと組み合わせて、高用量および低用量のMMCで処理した、マイクロシャントインプラント手術のウサギモデルにおける、線維化促進性および血管新生促進性の転写物の発現を示す。 手術後29日目の、VPAと組み合わせて、高用量および低用量のMMCで処理した、マイクロシャントインプラント手術のウサギモデルにおける、COL1A1のタンパク質の発現を示す。 MMC、または、MMCとVPAとの併用で処理した、MIGSのウサギモデルにおける、結膜下腔へ通じるインプラントチップ(implant tip)の組織化学的可視化を示す。

Claims (28)

  1. 緑内障手術後の組織変性を防止するための薬剤の製造における、バルプロ酸(VPA)の使用。
  2. 緑内障手術で形成された結膜下水疱を維持するための薬剤の製造における、バルプロ酸(VPA)の使用。
  3. 上記VPAは、誘導体、アナログ、塩、それらのエステル、またはそれらの組み合わせを含む、請求項1または2に記載の使用。
  4. 上記VPAは、バルプロ酸ナトリウム、バルプロ酸カルシウム、バルプロ酸セミナトリウム、ジバルプロエクス、2-n-プロピル-3-アミノペンタン酸、2-π-プロピル-4-アミノペンタン酸、2-n-プロピル-4-ヘキシン酸、またはそれらの組み合わせを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の使用。
  5. 上記緑内障手術は、緑内障濾過手術または低侵襲緑内障手術(MIGS)を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の使用。
  6. 上記MIGSは、結膜下腔の下に緑内障チューブシャントを移植することを含む、請求項5に記載の使用。
  7. 上記緑内障手術は、アブエクステルノ緑内障手術またはアブインテルノ緑内障手術を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の使用。
  8. 上記緑内障手術は、代謝拮抗物質の使用を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の使用。
  9. 上記代謝拮抗物質は、マイトマイシンC(MMC)、5-フルオロウラシル(5FU)、またはそれらの組み合わせである、請求項8に記載の使用。
  10. 上記代謝拮抗物質は、1.0mg/mL以下の濃度を有する、請求項8または9に記載の使用。
  11. 上記VPAは、100~1000μg/mLの濃度を有する、請求項1~10のいずれか1項に記載の使用。
  12. 上記薬剤は、局所投与または結膜下投与に適したものである、請求項1~11のいずれか1項に記載の使用。
  13. 上記薬剤は、上記緑内障手術の直後の投与に適したものである、請求項1~12のいずれか1項に記載の使用。
  14. 上記薬剤は、上記緑内障手術後の少なくとも12週間、毎日投与するのに適したものである、請求項1~13のいずれか1項に記載の使用。
  15. 上記薬剤は、上記緑内障手術後の3~120ヶ月までの反復投与に適したものである、請求項1~14のいずれか1項に記載の使用。
  16. 上記緑内障手術は、結膜下水疱を作製することを含む、請求項1または3~15のいずれか1項に記載の使用。
  17. 上記組織変性を防止することは、結膜コラーゲン構造を維持することを含む、請求項1および3~16のいずれか1項に記載の使用。
  18. 上記結膜下水疱を維持することは、結膜コラーゲン構造を維持することを含む、請求項2~15のいずれか1項に記載の使用。
  19. 緑内障手術後に、弱い結膜下瘢痕を形成するための薬剤の製造における、バルプロ酸(VPA)の使用。
  20. 上記緑内障手術は、緑内障チューブシャントを結膜下腔の下に移植することを含む、請求項19に記載の使用。
  21. 上記弱い結膜下瘢痕を形成することは、コラーゲン線維による上記緑内障チューブシャントの被包化を防止することを含む、請求項20に記載の使用。
  22. 上記弱い結膜下瘢痕を形成することにより、上記緑内障チューブシャントが、その内腔を介する水流出能力を維持することが可能になる、請求項20~21に記載の使用。
  23. 上記緑内障手術は、代謝拮抗物質の使用を含む、請求項19~22のいずれか1項に記載の使用。
  24. 結膜下腔の下に移植された緑内障チューブシャントの被包化を防止するための薬剤の製造における、バルプロ酸(VPA)の使用。
  25. 緑内障チューブが結膜下腔の下に移植された後、その内腔を介する上記緑内障チューブの水流出能力を維持するための薬剤の製造における、バルプロ酸(VPA)の使用。
  26. 上記薬剤は、代謝拮抗物質をさらに含む、請求項24または25に記載の使用。
  27. 上記代謝拮抗物質は、マイトマイシンC(MMC)、5-フルオロウラシル(5FU)、またはそれらの組み合わせである、請求項23または26に記載の使用。
  28. 上記代謝拮抗物質は、1.0mg/mL以下の濃度を有する、請求項23、26または27のいずれか1項に記載の使用。
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