JP2023517296A - 光開始剤エマルション - Google Patents
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Abstract
本発明は、2種以上のホスフィンオキシド光開始剤の濃縮液体ブレンドの水性エマルション、特に異なる活性化メカニズムを有する光開始剤を含むブレンドに関する。これらのブレンドは、エチレン型不飽和化合物又は不飽和ポリマー分散体又はエマルションを含む放射線硬化性組成物においてコーティング、インク、ラッカー、ワニス、封止材、接着剤、成形品又は3D印刷品を得るために使用することができる。
Description
本発明は、2種以上のホスフィンオキシド光開始剤の濃縮液体ブレンドの水性エマルション、特に異なる活性化メカニズムを有する光開始剤を含むブレンドに関する。これらのブレンドは、コーティング、インク、ラッカー、ワニス、封止材、接着剤、成形品又は3D印刷品を得るためにエチレン型不飽和化合物又は不飽和ポリマー分散体又はエマルションを含む放射線硬化性組成物において使用することができる。
88702
エチレン型不飽和化合物を含有する放射線硬化性組成物は、紫外(UV)光等の放射線への曝露によって重合することができる。迅速で効果的な硬化のために、光開始剤がしばしば使用される。光開始剤は光子を用いる放射でラジカル種を形成し、不飽和基のフリーラジカル重合を開始し、材料の固化(硬化)に引き起こす。
エチレン型不飽和化合物を含有する放射線硬化性組成物は、紫外(UV)光等の放射線への曝露によって重合することができる。迅速で効果的な硬化のために、光開始剤がしばしば使用される。光開始剤は光子を用いる放射でラジカル種を形成し、不飽和基のフリーラジカル重合を開始し、材料の固化(硬化)に引き起こす。
光開始剤は、一般にそれらの作用様式に依存する2つのクラス:ラジカル光開始剤及び陽イオン性光開始剤に分けられる。陽イオン性光開始剤はしばしば、塩、例えばヨードニウム、スルホニウム塩である。これらの塩が、例えばUV光に照射されると、それらは、ホモリシスの結合開裂を受けラジカルを形成し、プロトン供与体と反応してブレンステッド酸又はルイス酸を得る。次いで、生じた酸は重合を開始させる。ラジカル光開始剤は、作用の2つの異なる様式を取ることができ、作用様式によってノーリッシュI型及びノーリッシュII型光開始剤として分類される。ノーリッシュI型光開始剤は、放射線に曝露されると切断し、不飽和化合物の重合を開始させることができるラジカル種を生成する。ノーリッシュII型光開始剤は、放射線への曝露で断片化しないので、通常、共開始剤が存在しなければラジカル鎖重合を開始しない化合物である。放射線への曝露で、II型光開始剤と共開始剤との間の相互作用によって、UV硬化性樹脂の重合を開始させることができるラジカル種の発生を引き起こす。幾つかのラジカル光開始剤は、2つの異なる光活性部分を含み、ノーリッシュI型及びノーリッシュII型活性の両方を示し得る。この場合、放射線への曝露で、一方の部分は2つのラジカル断片に切断されることがあり、他方は原子の引抜きによってラジカルに転換されることがある。
光開始剤の組合せは、例えばUS 2008/0199797(Sacripanteら)に記載されているように、提供することができ、これは、Irgacure(登録商標)184(1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニルケトン)及びLucirin(登録商標)TPO-L(エチル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィナート)の組合せ(両方がノーリッシュI型光開始剤)を1つの選択肢として含む1種又は複数の光開始剤を含むトナー組成物に関する。
Omnirad 819DW(ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシド)は、一般にポリエステル/ポリスチレン系の硬化において使用される光開始剤である。それは、WO 2008/003601(Ciba Speciality Chemicals Holding Inc.社)に記載されているように他のI型ノーリッシュ光開始剤と組み合わせて使用することができ、これは中程度の濃度の光開始剤を有する制御された粒径の水性ポリマー分散体に関する。光開始剤は固体ポリマー状担体に分散され、したがって、即座に利用可能な液体状態ではない。
しかしながら、公知の光開始剤系(それらは一般に分散体である)は、特にポリウレタン分散体又はヒドロゲル等の水性ポリマー系において安定性を欠くことがわかり、これらの用途においてそれらの使用の低減又は阻害を来している。
したがって、硬化性組成物、殊に水性ポリマー分散体又はエマルションの硬化において、光開始剤安定化成分を必要としなくてもよく、公知の系と比べて硬化性能を維持又は改善しつつ使用することができる光開始剤を提供することは望ましい。本発明は、この問題の少なくとも幾つかの態様を克服又は改善するように意図される。
驚いたことに、少なくとも2種のホスフィンオキシド光開始剤の液体ブレンドの乳化によって市場を主導する製品と匹敵する、又はより良好な硬化性(表面及び深部の硬化速度の観点で)を有する安定な光開始剤配合物を提供することができることがわかった。
「Continuous Liquid Interface Production of 3D Objects,」 Science 347巻、6228号、1349~1352頁(2015年3月20日)
本発明の第1の態様は、水性相に分散した有機相を含むエマルションであって、有機相が、第1のホスフィンオキシド光開始剤及び第2のホスフィンオキシド光開始剤を含むホスフィンオキシド光開始剤の液体ブレンドを含み、有機相が、有機相の質量に対して少なくとも40質量%のホスフィンオキシド光開始剤を含む、エマルションである。
別の本発明の態様は、本発明のエマルション及びエチレン型不飽和化合物を含む放射線硬化性組成物である。
本発明のなお別の態様は、本発明のエマルション及び不飽和ポリマー分散体又はエマルションを含む放射線硬化性組成物である。
本発明はまた、本発明の放射線硬化性組成物を含む、コーティング、インク、ラッカー、ワニス、封止材、接着剤、成形物又は3D印刷組成物に関する。
本発明の別の態様は、特にUV、近紫外線、可視光、赤外線、及び/又は近赤外線放射、又は電子線等の放射線に組成物を曝露することによって本発明の組成物を硬化する工程を含む硬化材料を調製する方法である。
別の本発明の態様は、本発明の組成物を硬化することにより得られた硬化材料である。
本発明のなお別の態様は、有機相を水性相中で分散させてエマルションを形成する工程であって、有機相が、第1のホスフィンオキシド光開始剤及び第2のホスフィンオキシド光開始剤を含むホスフィンオキシド光開始剤の液体ブレンドを含み、有機相が、有機相の質量に対して少なくとも40質量%のホスフィンオキシド光開始剤を含む、工程;並びにエマルションを、1種若しくは複数のエチレン型不飽和化合物と、又は不飽和ポリマー分散体若しくはエマルションと組み合わせる工程を含む、本発明による組成物を調製する方法である。
本発明はまた、コーティング、インク、ラッカー、ワニス、封止材、接着剤、成形品又は3D印刷品の調製のための本発明による組成物の使用に関する。
定義
本出願において、用語「1つ(a/an)を含む」とは「1つ又は複数を含む」ことを意味する。
本出願において、用語「1つ(a/an)を含む」とは「1つ又は複数を含む」ことを意味する。
特に断りがなければ、化合物又は組成物における質量%は、化合物、組成物のそれぞれの質量に基づいて表現される。
用語≪Xは実質的にYを含まない≫とは、Xが、Xの質量に対して10質量%未満、特に5質量%未満、とりわけ1質量%未満、殊に0.1質量%未満のYを含むことを意味する。
用語≪エチレン型不飽和化合物≫とは、重合性炭素-炭素二重結合を含む化合物を意味する。重合性炭素-炭素二重結合は、重合反応において別の炭素-炭素二重結合と反応することができる炭素-炭素二重結合である。重合性炭素-炭素二重結合には一般に、アクリラート(シアノアクリラートを含む)、メタクリラート、アクリルアミド、メタクリルアミド、スチレン、マレアート、フマラート、イタコナート、アリル、プロペニル、ビニル及びそれらの組合せが含まれ、好ましくはアクリラート、メタクリラート及びビニルから選択され、より好ましくはアクリラート及びメタクリラートから選択される。フェニル環の炭素-炭素二重結合は重合性炭素-炭素二重結合とみなされない。
用語「(メタ)アクリラート基」とは、アクリラート基(-O-CO-CH=CH2)及びメタクリラート基(-O-CO-C(CH3)=CH2)を包含する。一実施形態において、(メタ)アクリラートはアクリラートである。別の実施形態において、(メタ)アクリラートはメタクリラートである。
用語≪アルキル≫は、式-CnH2n+1の一価飽和脂環式炭化水素基を意味する。アルキルは直鎖状でも分岐であってもよい。≪C1~C20アルキル≫は、1~20個の炭素原子を有するアルキルを意味する。アルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル及びヘキシルを含む。
用語≪アルキルアリール≫とは、アリール基で置換されたアルキルを意味する。≪C7~C20アルキルアリール≫は、7~20個の炭素原子を有するアルキルアリールを意味する。アルキルアリール基の一例はベンジル(-CH2-フェニル)である。
用語≪ハロゲン≫はCl、Br及びIから選択される原子を意味する。
用語≪アルキレン≫は、式-CnH2n-の二価飽和脂環式炭化水素基を意味する。アルキレンは直鎖状であっても分岐であってもよい。≪C1~C20アルキレン≫は、1~20個の炭素原子を有するアルキレンを意味する。
用語≪アルケニル≫は一価不飽和脂環式炭化水素基を意味する。アルケニルは直鎖状であっても分岐であってもよい。≪C2~C20アルケニル≫は、2~20個の炭素原子を有するアルケニルを意味する。
用語≪シクロアルキル≫とは、環を含む一価飽和脂環式炭化水素基を意味する。≪C3~C8シクロアルキル≫は、3~8個の炭素原子を有するシクロアルキルを意味する。シクロアルキル基の例としては、シクロペンチル、シクロヘキシル及びイソボルニルを含む。
用語≪アルコキシ≫は、式-O-アルキルの基を意味する。
用語≪アリール≫は芳香族炭化水素基を意味する。≪C6~C12アリール≫は、6~12個の炭素原子を有するアリールを意味する。
用語≪ヘテロアリール≫は、O、N、S及びそれらの混合物等のヘテロ原子を含む芳香族基を意味する。≪C5~C9ヘテロアリール≫は、5~9個の炭素原子を有するヘテロアリールを意味する。
用語≪ポリオール≫は、少なくとも2個のヒドロキシル基を含む化合物を意味する。
用語≪ポリエステル≫は、少なくとも2個のエステル結合を含む化合物を意味する。
用語≪ポリエーテル≫は、少なくとも2個のエーテル結合を含む化合物を意味する。
用語≪ポリカルボナート≫は、少なくとも2個の炭酸結合を含む化合物を意味する。
用語≪ポリエステルポリオール≫は、少なくとも2個のヒドロキシル基を含むポリエステルを意味する。
用語≪ポリエーテルポリオール≫は、少なくとも2個のヒドロキシル基を含むポリエーテルを意味する。
用語≪ポリカルボナートポリオール≫は、少なくとも2個のヒドロキシル基を含むポリカルボナートを意味する。
用語≪炭化水素基≫は、炭素及び水素原子からなる基を意味する。特に断りがなければ、炭化水素基は、いずれのヘテロ原子(O、N又はS)によって置換もされず割り込まれもしない。炭化水素基は、直鎖状又は分岐、飽和又は不飽和、脂肪族、脂環式又は芳香族であってもよい。
用語≪ヒドロキシル基≫は-OH基を意味する。
用語≪アミン≫は、-NRaRb基(ここで、Ra及びRbは独立してH又はC1~C6アルキルである)を意味する。用語≪第一級アミン≫は-NH2基を意味する。用語≪第二級アミン≫は、-NHRa基(RaはC1~C6アルキルである)を意味する。用語≪第三級アミン≫は、-NRaRb基(Ra及びRbは独立してC1~C6アルキルである)を意味する。
用語≪カルボン酸≫は-COOH基を意味する。
用語≪イソシアナート基≫は-N=C=O基を意味する。
用語≪エステル結合≫は-C(=O)-O-又はO-C(=O)-結合を意味する。
用語≪エーテル結合≫は-O-結合を意味する。
用語≪カルボナート結合≫は-O-C(=O)-O-結合を意味する。
用語≪ウレタン又はカルバマート≫は-NH-C(=O)-O-又はO-C(=O)-NH-結合を意味する。
用語≪アミド結合≫は-C(=O)-NH-又はNH-C(=O)-結合を意味する。
用語≪尿素結合≫は-NH-C(=O)-NH-結合を意味する。
用語≪ポリイソシアナート≫は、少なくとも2個のイソシアナート基を含む化合物を意味する。
用語≪脂肪族≫は非芳香族非環式化合物を意味する。それは直鎖状又は分岐、飽和又は不飽和であってもよい。それは、例えば、アルキル、ヒドロキシル、ハロゲン(Br、Cl、I)、イソシアナート、カルボニル、アミン、カルボン酸、-C(=O)-OR'、-C(=O)-O-C(=O)-R'(各R'は独立してC1~C6アルキルである。)から選択される1つ又は複数の基によって置換されていてもよい。それは、エーテル、エステル、アミド、ウレタン、尿素及びそれらの混合物から選択される1つ又は複数の結合を含んでいてもよい。
用語≪脂環式≫は、いかなる環も含まない化合物を意味する。
用語≪脂環式≫は非芳香族環式化合物を意味する。用語≪脂肪族≫について定義されたように、それは1つ又は複数の基によって置換されていてもよい。用語≪脂肪族≫について定義されたように、それは1つ又は複数の結合を含んでいてもよい。
用語≪芳香族≫は、ヒュッケルの芳香族性則に従う芳香環を含む化合物、特にフェニル基を含む化合物を意味する。用語≪脂肪族≫について定義されるように、それは1つ又は複数の基によって置換されていてもよい。用語≪脂肪族≫について定義されるように、それは1つ又は複数の結合を含んでいてもよい。
用語≪飽和≫は、いかなる二重又は三重炭素-炭素結合も含まない化合物を意味する。
用語≪不飽和≫は、二重又は三重炭素-炭素結合、特に二重炭素-炭素結合を含む化合物を意味する。
用語≪任意選択で置換されている≫は、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アルキルアリール、ハロアルキル、ヒドロキシル、ハロゲン、イソシアナート、ニトリル、アミン、アミド、カルボン酸、-C(=O)-R'-C(=O)-OR'、-C(=O)NH-R'、-NH-C(=O)R'、-O-C(=O)-NH-R'、-NH-C(=O)-O-R'、-C(=O)-O-C(=O)-R'及びSO2-NH-R'(各R'は独立してアルキル、アリール及びアルキルアリールから選択される、任意選択で置換されている基である。)から選択される1個又は複数の基によって置換された化合物を意味する。
用語≪3D用品≫は、3D印刷によって得られた三次元物体を意味する。
エマルション
本発明のエマルションは、水性相に分散した有機相を含む。
本発明のエマルションは、水性相に分散した有機相を含む。
水性相は水を含む液体である。前記液体は、例えばエタノール等の、水と混和性の有機溶媒を更に含んでいてもよい。しかしながら、水性相は、好ましくは、実質的に有機溶媒を含まない。
有機相は液体である。したがって、本発明のエマルションは、水性相に分散した有機相の液体小滴に相当し得る。一実施形態において、小滴は、1,500nm未満、特に200~1,250nm、特に500~1,000nmの数平均粒径(d50)を示してもよい。小滴の数平均粒径は動的光散乱又はレーザー回折によって決定されてもよい。
分散体及びコロイド懸濁液は、固体又は半固体有機相を有するので、本発明のエマルションに包含されないことは理解されるはずである。
エマルションは、有利には扱う容易さを提供し、例えば、エマルション系中に微粒子物質がないので、塗布中にインクジェットノズル等の分注設備の目詰まりするリスクは際立って低減される。更に、エマルションは、系にそれほど破壊的でないので硬化されるポリマー系と、特に水性配合物と混合するのがより容易であり、保管中に系のより大きな安定性をもたらす。
有機相は、ホスフィンオキシド光開始剤の液体ブレンドを含む。前記有機相は、界面活性剤及び緩衝剤等の他の成分を更に含んでいてもよい。
有機相は、主として、ホスフィンオキシド光開始剤及び任意選択で界面活性剤及び添加剤から構成されてもよい。したがって、光開始剤は、非反応性溶媒等の有機担体及び/又はエチレン型不飽和化合物中に溶解されなくてもよい。一実施形態において、有機相は、非反応性溶媒及び/又はエチレン型不飽和化合物を実質的に含まない。
有機相は、有機相の質量に対して少なくとも40質量%、特に50~100質量%、とりわけ55~90質量%、殊に60~80質量%のホスフィンオキシド光開始剤を含む。
一実施形態において、有機相は、ホスフィンオキシド光開始剤並びに任意選択で界面活性剤及び添加剤から本質的になる。有機相は、有機相の質量に対して60質量%未満、特に0~50質量%、とりわけ10~45質量%、殊に20~40質量%の界面活性剤及び添加剤を含んでいてもよい。
本発明のエマルションは、主としてホスフィンオキシド光開始剤、水並びに任意選択で界面活性剤及び添加剤から構成されてもよい。一実施形態において、エマルションは、エマルションの質量に対して少なくとも20質量%、特に22~60質量%、とりわけ少なくとも25質量%~55質量%、殊に30~50質量%のホスフィンオキシド光開始剤を含む。
有機相に含まれるホスフィンオキシド光開始剤のブレンドは、液体である。本明細書において使用される場合、用語「液体」とは、室温(20~25℃)でそれ自身の質量の下で流れる物質を意味する。液体ブレンドは、2種の液体ホスフィンオキシド光開始剤を混合することによって、又は液体ホスフィンオキシド光開始剤中、又は液体形態である光開始剤ブレンド中で固体ホスフィンオキシド光開始剤を溶解することによって得ることができる。代替として、ブレンドは共融混合物であってもよい。用語「共融混合物」とは、特定の比でブレンドされた場合、液体を形成する、2種以上の固体化合物の混合物を意味する。
ホスフィンオキシド光開始剤のブレンドは、第1のホスフィンオキシド光開始剤及び第2のホスフィンオキシド光開始剤を含む。第1及び第2のホスフィンオキシド光開始剤は互いに別個である。ブレンドは、第1のホスフィンオキシド光開始剤の混合物及び/又は第2のホスフィンオキシド光開始剤の混合物を含んでいてもよい。
本明細書において使用される場合、用語「ホスフィンオキシド」とは、以下の式の基:
を含む化合物を指す。
本明細書において使用される場合、用語「光開始剤」とは、放射線に曝露された場合、反応性種(フリーラジカル、陽イオン又は陰イオン)を発生する化合物を指す。
ホスフィンオキシド光開始剤は、ラジカル光開始剤、すなわち放射線に曝露された場合、ラジカルを発生する化合物である。ラジカル光開始剤は、2つの異なる作用様式を取ることができ、作用様式によってノーリッシュI型及びノーリッシュII型光開始剤として分類される。
本明細書において使用される場合、ノーリッシュI型及びノーリッシュII型活性に関する用語「活性」とは、ノーリッシュ光開始及び類似した反応に関係するように意図される。例えば、本発明の範囲内のノーリッシュI型活性を有する光開始剤は、UV光に曝露したら元の光開始剤の2つのラジカル断片への開裂反応を特徴とする光開始剤である。ノーリッシュII型活性を有する開始剤については、UV光への曝露は、水素等の原子の引抜きをもたらしてラジカルを発生させる。
ホスフィンオキシド光開始剤のブレンドは、I型活性を有する1種を超えるホスフィンオキシド光開始剤及び/又はII型活性を有する1種を超えるホスフィンオキシド誘導体を含んでいてもよい。2種を超えるホスフィンオキシドの存在はエマルションを安定させ得るが、しかしながら、一方の光開始剤は他方に容易に乳化又は溶解するので第3又は更なるホスフィンオキシド光開始剤が必要とされないことはよくあることである。更に、ブレンドは、ノーリッシュII型活性のみを示す、又は、II型及びI型ノーリッシュ光開始の両方の活性中心を含むハイブリッド活性を示す光開始剤を含んでいてもよい。したがって、ノーリッシュII型活性を有するホスフィンオキシド誘導体はまた、ノーリッシュI型活性を示してもよい。更に、一般には必要でないが、更なる光開始剤の存在は排除されず、そういうものとして、1種又は複数の非ホスフィンオキシド光開始剤が、例えば光開始剤を安定させるか、又はより広い活性範囲を提供するために存在してもよい。しかしながら、光開始剤ブレンドが、ノーリッシュI型活性を有する1種のみのホスフィンオキシド誘導体及びノーリッシュII型活性を有する1種のみのホスフィンオキシド誘導体を含むことはよくあることである。これは、副反応の可能性を低減させて、硬化性組成物、特に水性不飽和ポリマー分散体又はエマルションとの組合せの前及び後ともに保管中安定である単純な配合物を提供する。
一実施形態において、第1のホスフィンオキシド光開始剤は、ノーリッシュI型活性及び/又はノーリッシュII型活性を有していてもよい。特に、第1のホスフィンオキシド光開始剤はノーリッシュI型活性を有していてもよい。
一実施形態において、第2のホスフィンオキシド光開始剤は、ノーリッシュI型活性及び/又はノーリッシュII型活性を有していてもよい。一実施形態において、第2のホスフィンオキシド光開始剤は、ノーリッシュII型活性又はノーリッシュI型及びノーリッシュII型活性の両方を有していてもよい。別の実施形態において、第2のホスフィンオキシド光開始剤はノーリッシュI型活性を有していてもよい。
特に、第1のホスフィンオキシド光開始剤はノーリッシュI型活性を有していてもよく、第2のホスフィンオキシド光開始剤はノーリッシュII型活性又はノーリッシュI型及びノーリッシュII型活性の両方を有していてもよい。
代替として、第1のホスフィンオキシド光開始剤はノーリッシュI型活性を有していてもよく、第2のホスフィンオキシド光開始剤はノーリッシュI型活性を有していてもよい。
1種又は複数のホスフィンオキシド光開始剤が、アシルホスフィンオキシド、例えばモノアシルホスフィンオキシド、又はジアシル(又はビスアシル)ホスフィンオキシドであるという事例はあり得る。しばしば、ホスフィンオキシド光開始剤の少なくとも1つはモノアシルホスフィンオキシドである。一般により大きいジアシル類似体と比較した場合、モノアシルホスフィンオキシドの使用はそれらのより大きな溶解性により有利になり得る。
本明細書において使用される場合、用語「モノアシルホスフィンオキシド」とは、以下の式:
の基を含む化合物を意味し、リン原子に直接に結合した-C(=O)-基は他にない。
用語「ジアシルホスフィンオキシド」とは、以下の式:
の基を含む化合物を意味し、リン原子に直接に結合した-C(=O)-基は他にない。
第1のホスフィンオキシド光開始剤は、モノアシルホスフィンオキシド、ジアシルホスフィンオキシド及びそれらの混合物、特にモノアシルホスフィンオキシドから選択されてもよい。
一実施形態において、第1のホスフィンオキシド光開始剤は、液体モノアシルホスフィンオキシド、液体ジアシルホスフィンオキシド及びそれらの混合物、特に液体モノアシルホスフィンオキシドから選択されてもよい。
第2のホスフィンオキシド光開始剤は、モノアシルホスフィンオキシド、ジアシルホスフィンオキシド及びそれらの混合物、特にモノアシルホスフィンオキシドから選択されてもよい。
一実施形態において、第2のホスフィンオキシド光開始剤は、液体又は固体モノアシルホスフィンオキシド、液体又は固体ジアシルホスフィンオキシド及びそれらの混合物、特に液体又は固体モノアシルホスフィンオキシドから選択されてもよい。
特定の実施形態において、第1のホスフィンオキシド光開始剤及び第2のホスフィンオキシド光開始剤は、両方ともモノアシルホスフィンオキシドである。
加えて又は代替として、1種又は複数のホスフィンオキシド光開始剤はホスフィナートであってもよい。
本明細書において使用される場合、用語「ホスフィナート」とは、以下の式:
の基を有する化合物を意味し、リン原子に直接に結合した-O-基は他にない。
ホスフィナートが低融点を有し、室温で液体であり得るので、ホスフィナートの使用は特に有利である。ホスフィナートを含有するブレンドは、したがって扱うこと及び安定なエマルションへ変換することがより容易であり得る。
特に、ホスフィナートはアルキルホスフィナートであってもよい。
本明細書において使用される場合、用語「アルキルホスフィナート」とは、以下の式:
(式中、Alkはアルキル、特にC1~C6アルキル、とりわけエチルである)の基を有する化合物を意味する。
第1のホスフィンオキシド光開始剤はホスフィナートであってもよい。
第2のホスフィンオキシド光開始剤はホスフィナートであってもよい。
特定の実施形態において、第1のホスフィンオキシド光開始剤及び第2のホスフィンオキシド光開始剤は、両方ともホスフィナートであってもよい。
有利には、モノアシルホスフィン基及びホスフィナート基は、同じ部分中で組み合わせてモノアシルホスフィナートを得ることができる。本明細書において使用される場合、用語「モノアシルホスフィナート」とは、以下の式:
の基を有する化合物を意味する。
第1のホスフィンオキシド光開始剤はモノアシルホスフィナートであってもよい。
第2のホスフィンオキシド光開始剤はモノアシルホスフィナートであってもよい。
代替として、ジアシルホスフィン基及びホスフィナート基は、同じ部分中で組み合わせてジアシルホスフィナートを得ることができる。本明細書において使用される場合、用語「ジアシルホスフィナート」とは、以下の式:
の基を有する化合物を意味する。
第1のホスフィンオキシド光開始剤はジアシルホスフィナートであってもよい。
第2のホスフィンオキシド光開始剤はジアシルホスフィナートであってもよい。
特定の実施形態において、第1のホスフィンオキシド光開始剤及び第2のホスフィンオキシド光開始剤は両方ともジアシルホスフィナートであってもよい。
一実施形態において、第1のホスフィンオキシド光開始剤は、式Ia:
(式中、R1はC1~C5アルキルから選択され、R2は芳香族基を含む)によって表すことができる。
特に、R1はメチル、エチル及びn-プロピルから選択されてもよい。
好ましくは、R1はメチル又はエチルであり、更により好ましくはR1はエチルである。そのような選択は、合成の容易さ及び即座の利用可能性に有利に結びつく。
特に、R2は、以下に示すような2,4,6-トリメチルフェニル官能基を含む。
この構造において、波線によって印づけされた1位は、単結合を通して式Iaのアシル(C(=O))基に直接に連結されてもよい。R3は、一般に水素、C1~C5アルキル、及びCO-R4(ここで、R4はC1~C5アルキル、フェニル又はベンジルを含む)から選択される。一実施形態において、R3は水素であり、その結果、R2が2,4,6-トリメチルフェニルとなる。代替として、R3は-C(=O)-Phであってもよい。官能基のこの組合せによって、正確に調整された波長で良好な反応性を有する光開始剤化合物を提供する。
特に好ましい実施形態において、第1のホスフィンオキシド光開始剤は、エチル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィナートであり、これはまたSpeedCure TPO-Lとして公知であり、以下の式IIによって表される:
Speedcure TPO-Lは有利には室温(20~25℃)で液体であり、第2のホスフィンオキシド光開始剤を溶解するのに使用することができる。Speedcure TPO-LはノーリッシュI型活性を有し、高い表面及び深部硬化速度を提供する。
代替として、第1のホスフィンオキシド光開始剤はポリマー状TPO-Lであってもよい。ポリマー状T-POLの一例はIGM Resins社によって商品名Omnipol TPの下で販売されている。
別の実施形態において、第1のホスフィンオキシド光開始剤は式Ib:
(式中、Xは、-O-(C1~C18アルキル)、-O(-CH2-CH2-O)n-H、-O(-CH2-CH2-O)n-(C1~C6アルキル)、-(CH2)m-C(=O)-O-(C1~C18アルキル)、-(CH2)m-C(=O)-(O-CH2-CH2)n-OH、及び(CH2)m-C(=O)-(O-CH2-CH2)n-(C1~C6アルキル)であり;
mは独立して1~10であり;
nは独立して1~20である)によって表される液体BAPOであってもよい。
mは独立して1~10であり;
nは独立して1~20である)によって表される液体BAPOであってもよい。
別の実施形態において、第1のホスフィンオキシド光開始剤はビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)(2,4,4-トリメチルペンチル)ホスフィンオキシドであってもよい。
第2のホスフィンオキシド光開始剤は2つの光活性単位を含んでいてもよい。第1の光活性単位はノーリッシュI型活性を有していてもよく、放射線に曝露されると2つのラジカル断片へ切断され得る。第2の光活性単位はノーリッシュII型活性を有していてもよく、放射線に曝露されると原子(すなわち水素原子)の引抜きによってラジカルに転換され得る。
例えば、第2のホスフィンオキシド光開始剤は、式-P(=O)-C(=O)-の第1のホスフィンオキシド光活性単位、好ましくは式-P(=O)-C(=O)-Ar1-の第1のアシルホスフィンオキシド光活性単位及び第1の光活性単位とは別個である式-C(=O)-Ar2の第2の芳香族ケトン光活性単位を有してもよく、Ar1及びAr2は独立して任意選択で置換されているアリール、好ましくは、任意選択で置換されているフェニルである。好ましい実施形態において、第2の芳香族ケトン光活性単位は、第1のアシルホスフィンオキシド光活性単位のアリール基に共有結合(すなわち直接結合用いて)し、特に式-P(=O)-C(=O)-Ar1-C(=O)-Ar2-の部分を形成してもよい。このことで、有利には同じ分子中で異なる光吸収波長を有する2つの光活性単位の存在をもたらす。芳香族ケトン光活性単位において、光活性は、いわゆる2型メカニズム、第三級アミン等の適切な相乗剤からのプロトン引抜きのメカニズムによる。これによって、(OP)-(C=O)結合の切断によって発生したフリーラジカルを含む1型メカニズムであるホスフィンオキシド光活性単位において、ラジカル形成プロセスより酸素阻害に対してはるかに敏感ではないラジカル形成のプロセスを引き起こす。
一実施形態において、第2のホスフィンオキシド光開始剤は以下の式III:
(式中、R4は、C1~20アルキル、C7~C20アルキルアリール又は任意選択で置換されているフェニル又はポリフェニルであり;
R5、R6、R7及びR8は、独立して水素、ハロゲン、C1~20アルキル、-OR9又はCF3であり、R5、R6、R7及びR8基のうちの2つは、O、S又はNR10によって割り込まれてもよいC1~20アルキレンを一緒に形成してもよく;
R9は水素、C1~20アルキル、C2~20アルケニル、C3~C8シクロアルキル、フェニル、ベンジル、或いは1回若しくは2回以上O若しくはSによって割り込まれ、無置換であるか、又はOH及び/又はSHによって置換されたC2~20アルキルであり;
R10は水素、フェニル、C1~12アルキル、或いは1回若しくは2回以上O若しくはSによって割り込まれ、無置換であるか、又はOH及び/又はSHによって置換されたC2~12アルキルであり;
R11及びR12は、独立してC1~C20アルキル、C1~C20アルコキシ、C2~20アルケニル、C3~C8シクロアルキル、C6~C12アリール、C7~C20アルキルアリール及びC5~C9ヘテロアリールから選択される任意選択で置換されている基であり;
A及びBは独立して結合、-(CH2)n-又はC(=O)-であり;
nは1~10である)を有する。
R5、R6、R7及びR8は、独立して水素、ハロゲン、C1~20アルキル、-OR9又はCF3であり、R5、R6、R7及びR8基のうちの2つは、O、S又はNR10によって割り込まれてもよいC1~20アルキレンを一緒に形成してもよく;
R9は水素、C1~20アルキル、C2~20アルケニル、C3~C8シクロアルキル、フェニル、ベンジル、或いは1回若しくは2回以上O若しくはSによって割り込まれ、無置換であるか、又はOH及び/又はSHによって置換されたC2~20アルキルであり;
R10は水素、フェニル、C1~12アルキル、或いは1回若しくは2回以上O若しくはSによって割り込まれ、無置換であるか、又はOH及び/又はSHによって置換されたC2~12アルキルであり;
R11及びR12は、独立してC1~C20アルキル、C1~C20アルコキシ、C2~20アルケニル、C3~C8シクロアルキル、C6~C12アリール、C7~C20アルキルアリール及びC5~C9ヘテロアリールから選択される任意選択で置換されている基であり;
A及びBは独立して結合、-(CH2)n-又はC(=O)-であり;
nは1~10である)を有する。
特に、R4はC1~12アルキル、ベンジル又は任意選択で置換されているフェニルであってもよい。とりわけ、R4はフェニルであってもよい。
特に、R5、R6及びR7は独立して水素、ハロゲン、C1~12アルキル又はC1~C12アルコキシであってもよい。とりわけ、R5、R6及びR7は独立して水素、Cl、メチル又はメトキシであってもよい。殊に、R5、R6及びR7はメチルであってもよい。
特に、R8は水素であってもよい。
特に、R11及びR12は独立してC1~C12アルキル、C1~C12アルコキシ又は任意選択で置換されているフェニルであってもよい。
特にA及びBは、独立して結合又はC(=O)-であってもよい。
とりわけ、-A-R11及び-B-R12は、独立してフェニル、メトキシ、エトキシ、トリメチルペンチル又は式IVの基:
(式中、R4a、R5a、R6a、R7a及びR8aはそれぞれ、R4、R5、R6、R7及びR8として上に定義される通りである)であってもよい。
殊に、-A-R11はフェニルであり、-B-R12はフェニル、メトキシ、エトキシ、トリメチルペンチル又は上に定義されるような式IVの基である。
好ましい実施形態において、第2のホスフィンオキシド光開始剤は式III:
(式中、
R4はC1~12アルキル、ベンジル又は任意選択で置換されているフェニルであり;
R5、R6及びR7は独立して水素、ハロゲン、C1~12アルキル又はC1~C12アルコキシであり;
R8は水素であり;
R11及びR12は独立してC1~C12アルキル、C1~C12アルコキシ又は任意選択で置換されているフェニルであり;
A及びBは独立して結合又はC(=O)-である)によるものである。
(式中、
R4はC1~12アルキル、ベンジル又は任意選択で置換されているフェニルであり;
R5、R6及びR7は独立して水素、ハロゲン、C1~12アルキル又はC1~C12アルコキシであり;
R8は水素であり;
R11及びR12は独立してC1~C12アルキル、C1~C12アルコキシ又は任意選択で置換されているフェニルであり;
A及びBは独立して結合又はC(=O)-である)によるものである。
特に好ましい実施形態において、第2のホスフィンオキシド光開始剤は式III
(式中、
R4はフェニルであり;
R5、R6及びR7は独立して水素、Cl、メチル又はメトキシであり;
R8は水素であり;
-A-R11及び-B-R12は、独立してフェニル、メトキシ、エトキシ、トリメチルペンチル又は上に定義されるような式IVの基である)によるものである。
(式中、
R4はフェニルであり;
R5、R6及びR7は独立して水素、Cl、メチル又はメトキシであり;
R8は水素であり;
-A-R11及び-B-R12は、独立してフェニル、メトキシ、エトキシ、トリメチルペンチル又は上に定義されるような式IVの基である)によるものである。
第2のホスフィンオキシド光開始剤は、特に、以下の化合物:
及びそれらの混合物から選択されてもよい。
特に好ましい第2のホスフィンオキシド光開始剤は、以下から選択される化合物
及びそれらの混合物である。
特に好ましい実施形態において、第2のホスフィンオキシド光開始剤は、エチル(3-ベンゾイル-2,4,6-トリメチルベンゾイル)(フェニル)ホスフィナートであり、また以下の式V:
によって表されるSpeedCure XKmとしても公知である。
SpeedCure XKmはノーリッシュI型及びノーリッシュII型活性の両方を有し、高い表面及び深部硬化速度を提供する。
特に好ましい実施形態において、第1のホスフィンオキシド光開始剤は式IIの化合物であり、第2のホスフィンオキシド光開始剤は式Vの化合物であり、優れた硬化速度を提供する。
第1のホスフィンオキシド光開始剤の第2のホスフィンオキシド光開始剤に対する質量比は、10:1~1:10の範囲にあってもよい。しかしながら、第2のホスフィンオキシド光開始剤より多くの第1のホスフィンオキシド光開始剤を含むことは、LED光源を使用して光開始が引き起こされ得るように活性化波長を調整するので有益となり得る。したがって、第1のホスフィンオキシド光開始剤の第2のホスフィンオキシド光開始剤に対する質量比は、10:1~1:1、特に7:1~3:1、とりわけ約5:1(例えば11:2~9:2)の範囲にあってもよい。これらの比で、特に比が7:1~3:1の範囲にある場合、良好な硬化速度が様々な基材について観察される。
本発明のエマルションは界面活性剤及び/又は添加剤、特に、レオロジー改質剤、pH調整剤及びそれらの混合物から選択される添加剤を更に含んでいてもよい。
本発明のエマルションは、界面活性剤の混合物を含んでいてもよい。エマルション用の安定化成分の存在は本発明にとって必須でないが、それは、第1のホスフィンオキシド光開始剤及び第2のホスフィンオキシド光開始剤から形成されたエマルションを「安定させる」ために、界面活性剤が含まれることであってもよい。界面活性剤は一般に、当技術分野で周知であり、水性系において即座に分散性の安定な水中油型エマルションを提供するために選択される。界面活性剤は、陽イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤及びそれらの混合物、特に非イオン界面活性剤から選択されてもよい。特に、界面活性剤は、ポリソルベート(Tween)、アルキルポリグリコールエーテル、アルキルフェノールポリグリコールエーテル、スルホコハク酸塩、ポリングリセリンエステル、エトキシ化アルコール(Brij)、ソルビタンエステル(Span)、C6~C20アルキルスルファート又はスルホナート、任意選択で置換されているジフェニルオキシドジスルホナート、C6~C20アルキルエーテルスルファート又はスルホナート、任意選択でエトキシ化スルホコハク酸モノエステル又はジエステル、C6~C20アルキルホスフェート又はホスホナート、C6~C20アルキルエーテルホスファート又はホスホナート、エトキシ化脂肪族アルコール(2~100の範囲のエトキシ単位数を有するC10~C40)、エトキシプロポキシコポリマー(EO-POコポリマー)並びにそれらの混合物及びそれらの組合せから選択されてもよい。とりわけ、界面活性剤は、ソルビタン、ポリソルベート及びそれらの混合物、例えばソルビタンモノラウラート、ポリソルベート60及びそれらの混合物から選択されてもよい。多くの場合、ソルビタンモノラウラート及びポリソルベート60の両方が存在する。
レオロジー改質剤、例えばアクリル酸及びメタクリル酸のホモポリマー及びコポリマー、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース、及びヒドロキシエチルセルロースが存在してもよい。レオロジー改質剤は、沈澱又はクリーミングからエマルション不安定性を阻止するのに使用されてもよい。
pH調整剤、例えば水酸化ナトリウム、ソーダ灰、ケイ酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、ライムを含むアルカリ、硫酸及び塩酸が存在してもよい。
組成物
エチレン型不飽和化合物を含む組成物
本発明の第2の態様において、本発明のエマルション及びエチレン型不飽和化合物を含む放射線硬化性組成物が提供される。
エチレン型不飽和化合物を含む組成物
本発明の第2の態様において、本発明のエマルション及びエチレン型不飽和化合物を含む放射線硬化性組成物が提供される。
放射線硬化性組成物は、放射線硬化性組成物の質量に対して1~20質量%、特に2~15質量%、とりわけ5~10質量%の本発明によるエマルションを含んでいてもよい。
一実施形態において、本発明の放射線硬化性組成物は(メタ)アクリラート官能化化合物を含む。放射線硬化性組成物は、(メタ)アクリラート官能化化合物の混合物を含んでいてもよい。(メタ)アクリラート官能化化合物は、1分子当たり1個又は複数の(メタ)アクリラート官能基を有する有機化合物として記載されてもよい。(メタ)アクリラート官能化化合物は、フリーラジカル反応又は陰イオン性反応、特に紫外線又は電子線照射によって開始される反応に関与することができる。そのような反応は重合又は硬化をもたらし、それによって(メタ)アクリラート官能化化合物は重合したマトリックス又はポリマー鎖の一部になり得る。本発明の様々な実施形態において、(メタ)アクリラート官能化化合物は、1分子当たり1、2、3、4、5個以上の(メタ)アクリラート官能基を含有していてもよい。異なる数の(メタ)アクリラート基を含有する幾つかの(メタ)アクリラート官能化化合物の組合せは、本発明の硬化性組成物に利用されてもよい。
本発明の硬化性組成物は、したがって紫外線又は電子線照射への曝露によって開始されるフリーラジカル及び/又は陰イオン重合(硬化)を受けることができる、1個又は複数の(メタ)アクリラート官能性化合物を含んでいてもよい。(メタ)アクリラート官能化化合物は、オリゴマー若しくはモノマー、又はオリゴマー及びモノマーの組合せであってもよい。
一実施形態において、エチレン型不飽和化合物は、1種又は複数の(メタ)アクリラート官能化モノマー、1種又は複数の(メタ)アクリラート官能化オリゴマー及びそれらの混合物から選択されてもよい。
本明細書において使用される場合、用語「(メタ)アクリラート官能化モノマー」は、(メタ)アクリラート基、特にアクリラート基を含むモノマーを意味する。用語「(メタ)アクリラート官能化オリゴマー」とは、(メタ)アクリラート基、特にアクリラート基を含むオリゴマーを意味する。
以下のタイプの(メタ)アクリラート官能化化合物のいずれもが、例えば、本発明の硬化性組成物において用いられてもよい:モノマー、例えば脂肪族モノアルコールの(メタ)アクリラートエステル、アルコキシ化脂肪族モノアルコールの(メタ)アクリラートエステル、脂肪族ポリオールの(メタ)アクリラートエステル、アルコキシ化脂肪族ポリオールの(メタ)アクリラートエステル、芳香環含有アルコールの(メタ)アクリラートエステル、及びアルコキシ化芳香環含有アルコールの(メタ)アクリラートエステル;及びオリゴマー、例えばエポキシ(メタ)アクリラート、ポリエーテル(メタ)アクリラート、ウレタン(メタ)アクリラート、ポリエステル(メタ)アクリラート、それらのアミン変性及びスルフィド変性誘導体;及びそれらの組合せ。
一実施形態において、エチレン型不飽和化合物は、(メタ)アクリラート官能化モノマーを含む。エチレン型不飽和化合物は、(メタ)アクリラート官能化モノマーの混合物を含んでいてもよい。
(メタ)アクリラート官能化モノマーは、600g/mol未満の、特に100~550g/mol、とりわけ200~500g/molの分子量を有していてもよい。
(メタ)アクリラート官能化モノマーは、1~6個の(メタ)アクリラート基、特に1~3個の(メタ)アクリラート基、とりわけ1~3個のアクリラート基を有していてもよい。
(メタ)アクリラート官能化モノマーは、異なる官能基を有する(メタ)アクリラート官能化モノマーの混合物を含んでいてもよい。例えば、(メタ)アクリラート官能化モノマーは、1分子当たり単一のアクリラート又はメタクリラート基を含む(メタ)アクリラート官能化モノマー(本明細書において「モノ(メタ)アクリラート官能化化合物」とも称される)及び1分子当たり2個以上、好ましくは2又は3個のアクリラート及び/又はメタクリラート基を含む(メタ)アクリラート官能化モノマーの混合物を含んでいてもよい。
一実施形態において、(メタ)アクリラート官能化モノマーは、モノ(メタ)アクリラート官能化モノマーを含む。モノ(メタ)アクリラート官能化モノマーは、有利には反応性希釈剤として機能し、本発明の組成物の粘度を低減することができる。
適切なモノ(メタ)アクリラート官能化モノマーの例は、脂肪族アルコールのモノ-(メタ)アクリル酸エステル(ここで、脂肪族アルコールは直鎖、分岐又は脂環式であってもよく、モノアルコール、ジアルコール又はポリアルコールであってもよいが、ただし1個のヒドロキシル基のみが(メタ)アクリル酸でエステル化されるものとする);芳香族アルコール(アルキル化フェノールを含むフェノール等)のモノ-(メタ)アクリル酸エステル;アルキルアリールアルコール(ベンジルアルコール等の)のモノ-(メタ)アクリル酸エステル;、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコール等のオリゴマー及びポリマーグリコールのモノ-(メタ)アクリル酸エステル;グリコール及びオリゴグリコールのモノアルキルエーテルのモノ-(メタ)アクリル酸エステル;アルコキシ化(例えば、エトキシ化及び/又はプロポキシ化)脂肪族アルコールのモノ-(メタ)アクリル酸エステル(ここで、脂肪族アルコールは直鎖、分岐又は脂環式であってもよく、モノアルコール、ジアルコール又はポリアルコールであってもよいが、ただしアルコキシ化脂肪族アルコールの1個のヒドロキシル基のみが(メタ)アクリル酸でエステル化されるものとする);アルコキシ化(例えば、エトキシ化及び/又はプロポキシ化)芳香族アルコール(アルコキシ化フェノール等の)のモノ-(メタ)アクリル酸エステル;カプロラクトンモノ(メタ)アクリラート等を含むが、これらに限定されない。
以下の化合物は、本発明の硬化性組成物において使用するために適しているモノ(メタ)アクリラート官能化モノマーの特定の例である:メチル(メタ)アクリラート;エチル(メタ)アクリラート;n-プロピル(メタ)アクリラート;n-ブチル(メタ)アクリラート;イソブチル(メタ)アクリラート;n-ヘキシル(メタ)アクリラート;2-エチルヘキシル(メタ)アクリラート;n-オクチル(メタ)アクリラート;イソオクチル(メタ)アクリラート;n-デシル(メタ)アクリラート;n-ドデシル(メタ)アクリラート;トリデシル(メタ)アクリラート;テトラデシル(メタ)アクリラート;ヘキサデシル(メタ)アクリラート;2-ヒドロキシ-エチル(メタ)アクリラート;2-及び3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリラート;2-メトキシエチル(メタ)アクリラート;2-エトキシエチル(メタ)アクリラート;2-及び3-エトキシプロピル(メタ)アクリラート;テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリラート;アルコキシ化テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリラート;2-(2-エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリラート;シクロヘキシル(メタ)アクリラート;グリシジル(メタ)アクリラート;イソデシル(メタ)アクリラート;2-フェノキシエチル(メタ)アクリラート;ラウリル(メタ)アクリラート;アルコキシ化フェノール(メタ)アクリラート;アルコキシ化ノニルフェノール(メタ)アクリラート;環状トリメチロールプロパンホルマール(メタ)アクリラート;イソボルニル(メタ)アクリラート;トリシクロデカンメタノール(メタ)アクリラート;tert-ブチルシクロヘキサノール(メタ)アクリラート;トリメチルシクロヘキサノール(メタ)アクリラート;ジエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリラート;ジエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリラート;ジエチレングリコールモノブチルエーテル(メタ)アクリラート;トリエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリラート;エトキシ化ラウリル(メタ)アクリラート;メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリラート;ヒドロキシルエチル-ブチルウレタン(メタ)アクリラート;3-(2-ヒドロキシアルキル)オキサゾリジノン(メタ)アクリラート;及びそれらの組合せ。
一実施形態において、(メタ)アクリラート官能化モノマーは、1分子当たり2個以上の(メタ)アクリラート基を含有する(メタ)アクリラート官能化モノマーを含んでいてもよい。
1分子当たり2個以上の(メタ)アクリラート基を含有する適切な(メタ)アクリラート官能化モノマーの例は、ポリアルコール(1分子当たり2個以上、例えば、2~6個のヒドロキシル基を含有する有機化合物)のアクリラート及びメタクリル酸エステルを含む。適切なポリアルコールの特定の例としては、C2~20アルキレングリコール(C2~10アルキレン基を有するグリコールが好ましくあり得、炭素鎖は分岐であってもよい);例えば、エチレングリコール、トリメチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、テトラメチレングリコール(1,4-ブタンジオール)、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,12-ドデカンジオール、シクロヘキサン-1,4-ジメタノール、ビスフェノール、及び水素化ビスフェノール、並びにそれらのアルコキシ化(例えば、エトキシ化及び/又はプロポキシ化)誘導体、ジエチレングリコール、グリセリン、アルコキシ化グリセリン、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、アルコキシ化トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、アルコキシ化ジトリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、アルコキシ化ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトール、アルコキシ化ジペンタエリトリトール、シクロヘキサンジオール、アルコキシ化シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、アルコキシ化シクロヘキサンジメタノール、ノルボルネンジメタノール、アルコキシ化ノルボルネンジメタノール、ノルボルナンジメタノール、アルコキシ化ノルボルナンジメタノール、芳香環含有ポリオール、シクロヘキサン-1,4-ジメタノールエチレンオキシド付加体、ビスフェノールエチレンオキシド付加体、水素化ビスフェノールエチレンオキシド付加体、ビスフェノールプロピレンオキシド付加体、水素化ビスフェノールプロピレンオキシド付加体、シクロヘキサン-1,4-ジメタノールプロピレンオキシド付加体、糖アルコール及びアルコキシ化糖アルコールを含む。そのような多価アルコールは、完全に又は部分的にエステル化((メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル無水物、(メタ)アクリ
ロイルクロライド等と)されていてもよいが、ただしそれらが1分子当たり少なくとも2個の(メタ)アクリラート官能基を含むものとする。本明細書において使用される場合、用語「アルコキシ化」は、1個又は複数のオキシアルキレン部分(例えば、オキシエチレン及び/又はオキシプロピレン部分)を含有する化合物を指す。オキシアルキレン部分は、一般構造-RO-(ここで、Rは-CH2CH2-又はCH2CH(CH3)-等の二価脂肪族部分である)に対応する。例えば、アルコキシ化化合物は1分子当たり1~30オキシアルキレン部分を含有していてもよい。
ロイルクロライド等と)されていてもよいが、ただしそれらが1分子当たり少なくとも2個の(メタ)アクリラート官能基を含むものとする。本明細書において使用される場合、用語「アルコキシ化」は、1個又は複数のオキシアルキレン部分(例えば、オキシエチレン及び/又はオキシプロピレン部分)を含有する化合物を指す。オキシアルキレン部分は、一般構造-RO-(ここで、Rは-CH2CH2-又はCH2CH(CH3)-等の二価脂肪族部分である)に対応する。例えば、アルコキシ化化合物は1分子当たり1~30オキシアルキレン部分を含有していてもよい。
例示的な1分子当たり2個以上の(メタ)アクリラート基を含有する適切な(メタ)アクリラート官能化モノマーは、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリラート;トリエチレングリコールジ(メタ)アクリラート;エチレングリコールジ(メタ)アクリラート;テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリラート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリラート;1,4-ブタンジオールジアクリラート;1,4-ブタンジオールジメタクリラート;ジエチレングリコールジアクリラート;ジエチレングリコールジメタクリラート、1,6-ヘキサンジオールジアクリラート;1,6-ヘキサンジオールジメタクリラート;ネオペンチルグリコールジアクリラート;ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリラート;ポリエチレングリコール(600)ジメタクリラート(ここで600は、ポリエチレングリコール部分のおよその数平均分子量を指す);ポリエチレングリコール(200)ジアクリラート;1,12-ドデカンジオールジメタクリラート;テトラエチレングリコールジアクリラート;トリエチレングリコールジアクリラート、1,3-ブチレングリコールジメタクリラート、トリプロピレングリコールジアクリラート、ポリブタジエンジアクリラート;メチルペンタンジオールジアクリラート;ポリエチレングリコール(400)ジアクリラート;エトキシ化2ビスフェノールAジメタクリラート;エトキシ化3ビスフェノールAジメタクリラート;エトキシ化3ビスフェノールAジアクリラート;シクロヘキサンジメタノールジメタクリラート;シクロヘキサンジメタノールジアクリラート;エトキシ化10ビスフェノールAジメタクリラート(ここで、「エトキシ化」に続く数字は1分子当たりのオキシアルキレン部分の平均数である);ジプロピレングリコールジアクリラート;エトキシ化4ビスフェノールAジメタクリラート;エトキシ化6ビスフェノールAジメタクリラート;エトキシ化8ビスフェノールAジメタクリラート;アルコキシ化ヘキサンジオールジアクリラート;アルコキシ化シクロヘキサンジメタノールジアクリラート;ドデカンジアクリラート;エトキシ化4ビスフェノールAジアクリラート;エトキシ化10ビスフェノールAジアクリラート;ポリエチレングリコール(400)ジメタクリラート;ポリプロピレングリコール(400)ジメタクリラート;ジアクリル酸金属;変性ジアクリル酸金属;ジメタクリル酸金属;ポリエチレングリコール(1000)ジメタクリラート;メタクリラート化ポリブタジエン;プロポキシ化2ネオペンチルグリコールジアクリラート;エトキシ化30ビスフェノールAジメタクリラート;エトキシ化30ビスフェノールAジアクリラート;アルコキシ化ネオペンチルグリコールジアクリラート;ポリエチレングリコールジメタクリラート;1,3-ブチレングリコールジアクリラート;エトキシ化2ビスフェノールAジメタクリラート;ジプロピレングリコールジアクリラート;エトキシ化4ビスフェノールAジアクリラート;ポリエチレングリコール(600)ジアクリラート;ポリエチレングリコール(1000)ジメタクリラート;トリシクロデカンジメタノールジアクリラート;プロポキシ化2ネオペンチルグリコールジアクリラート等のプロポキシ化ネオペンチルグリコールジアクリラート;アルコキシ化脂肪族アルコールのジアクリラート;トリメチロールプロパントリメタクリラート;トリメチロールプロパントリアクリラート;トリス(2-ヒドロキシ-エチル)イソシアヌラートトリアクリラート;エトキシ化20トリメチロールプロパントリアクリラート;ペンタエリトリトールトリアクリラート;エトキシ化3トリメチロールプロパントリアクリラート;プロポキシ化3トリメチロールプロパントリアクリラート;エトキシ化6トリメチロールプロパントリアクリラート;プロポキシ化6トリメチロールプロパントリアクリラート;エトキシ化9トリメチロールプロパントリアクリラート;アルコキシ化三官能性アクリラートエステル;三官能性メタクリル酸エステル;三官能性アクリラートエステル;プロポキシ化3グリセリルトリアクリラート;プロポキシ化5.5グリセリルトリアクリラート;エトキシ化15トリメチロールプロパントリアクリラート;三官能性リン酸エステル;三官能性アクリル酸エステル;ペンタエリトリトールテトラアクリラート;ジ-トリメチロールプロパンテトラアクリラート;エトキシ化4ペンタエリトリトールテトラアクリラート;ペンタエリトリトールポリオキシエチレンテトラアクリラート;ジペンタエリトリトールペンタアクリラート;及びペンタアクリラートエステルを含んでいてもよい。
本発明の硬化性組成物は、硬化性組成物の総質量に対して10~80質量%、特に15~75質量%、とりわけ20~70質量%の(メタ)アクリラート官能化モノマーを含んでいてもよい。
一実施形態において、エチレン型不飽和化合物は、(メタ)アクリラート官能化オリゴマーを含む。エチレン型不飽和化合物は、(メタ)アクリラート官能化オリゴマーの混合物を含んでいてもよい。
(メタ)アクリラート官能化オリゴマーは、本発明の硬化性組成物を使用して調製される硬化ポリマーの種々の属性の中でも、可撓性、強度及び/又は弾性率を高めるために選択されてもよい。
(メタ)アクリラート官能化オリゴマーは、1~18個の(メタ)アクリラート基、特に2~6個の(メタ)アクリラート基、とりわけ2~6個のアクリラート基を有していてもよい。
(メタ)アクリラート官能化オリゴマーは、600g/molと等しいか又はそれを超える、特に800~15,000g/mol、とりわけ1,000~5,000g/molの数平均分子量を有していてもよい。
特に、(メタ)アクリラート官能化オリゴマーは、(メタ)アクリラート官能化ウレタンオリゴマー(また時には「ウレタン(メタ)アクリラートオリゴマー」、「ポリウレタン(メタ)アクリラートオリゴマー」又は「カルバマート(メタ)アクリラートオリゴマー」とも称される)、(メタ)アクリラート官能化エポキシオリゴマー(また時には「エポキシ(メタ)アクリラートオリゴマー」とも称される)、(メタ)アクリラート官能化ポリエーテルオリゴマー(また時には「ポリエーテル(メタ)アクリラートオリゴマー」とも称される)、(メタ)アクリラート官能化ポリジエンオリゴマー(また時には「ポリジエン(メタ)アクリラートオリゴマー」とも称される)、(メタ)アクリラート官能化ポリカルボナートオリゴマー(また時には「ポリカルボナート(メタ)アクリラートオリゴマー」とも称される)、及び(メタ)アクリラート官能化ポリエステルオリゴマー(また時には「ポリエステル(メタ)アクリラートオリゴマー」とも称される)並びにそれらの混合物からなる群から選択されてもよい。
好ましくは(メタ)アクリラート官能化オリゴマーは、(メタ)アクリラート官能化ウレタンオリゴマー、より好ましくはアクリラート官能化ウレタンオリゴマーを含む。
有利には、(メタ)アクリラート官能化オリゴマーは、2個の(メタ)アクリラート基を有する(メタ)アクリラート官能化ウレタンオリゴマー、より好ましくは2個のアクリラート基を有するアクリラート官能化ウレタンオリゴマーを含む
例示的なポリエステル(メタ)アクリラートオリゴマーは、アクリル酸若しくはメタクリル酸のヒドロキシル基末端ポリエステルポリオールとの反応生成物、又はそれらの混合物若しくは合成等価体を含む。反応プロセスは、特にポリエステルポリオールが二官能性である事例において、ポリエステルポリオールのすべて又は基本的にすべてのヒドロキシル基が(メタ)アクリラート化されるように行われてもよい。ポリエステルポリオールは、ポリヒドロキシル官能性成分(特に、ジオール)、及びポリカルボン酸官能性化合物(特に、ジカルボン酸及び無水物)の重縮合反応によって製造することができる。官能性ポリヒドロキシル及びポリカルボン酸官能性成分は、それぞれ、直鎖状、分岐、脂環式又は芳香族構造を有することができ、個々に又は混合物として使用することができる。
適切なエポキシ(メタ)アクリラートの例は、アクリル酸若しくはメタクリル酸又はそれらの混合物の、エポキシ樹脂(ポリグリシジルエーテル又はエステル)との反応生成物を含む。エポキシ樹脂は、特に、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールFジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールSジグリシジルエーテル、エポキシノボラック樹脂、水素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水素化ビスフェノールFジグリシジルエーテル、水素化ビスフェノールSジグリシジルエーテル、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3',4'-エポキシシクロヘキサンカルボキシラート、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル-5,5-スピロ-3,4-エポキシ)シクロヘキサン-1,4-ジオキサン、ビス(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)アジパート、ビニルシクロヘキセンオキシド、4-ビニルエポキシシクロヘキサン、ビス(3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシルメチル)アジパート、3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシル-3',4'-エポキシ-6'-メチルシクロヘキサンカルボキシラート、メチレンビス(3,4-エポキシシクロヘキサン)、ジシクロペンタジエンジエポキシド、エチレングリコールのジ(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、エチレンビス(3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシラート)、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコール、プロピレングリコール及びグリセロール等の脂肪族多価アルコールに1個又は複数のアルキレンオキシドの添加によって得られるポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテル、脂肪族長鎖二塩基酸のジグリシジルエステル、脂肪族高級アルコールのモノグリシジルエーテル、フェノール、クレゾール、ブチルフェノールのモノグリシジルエーテル又はこれらの化合物へのアルキレンオキシドの添加によって得られるポリエーテルアルコール、高級脂肪酸
のグリシジルエステル、エポキシ化大豆油、エポキシブチルステアリン酸、エポキシオクチルステアリン酸、エポキシ化アマニ油、エポキシ化ポリブタジエン等から選択されてもよい。
のグリシジルエステル、エポキシ化大豆油、エポキシブチルステアリン酸、エポキシオクチルステアリン酸、エポキシ化アマニ油、エポキシ化ポリブタジエン等から選択されてもよい。
適切なポリエーテル(メタ)アクリラートオリゴマーは、アクリル酸若しくはメタクリル酸、又はそれらの合成等価体又は混合物の、ポリエーテルポリオール(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール又はポリテトラメチレングリコール等)であるポリエーテロールとの縮合反応生成物を含むが、これらに限定されない。適切なポリエーテロールは、エーテル結合及び末端水酸基を含有する直鎖状又は分岐物質であってもよい。ポリエーテロールは、スターター分子を用いてテトラヒドロフラン又はアルキレンオキシド(例えば、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシド)等の環状エーテルの開環重合によって調製することができる。適切なスターター分子は、水、ポリヒドロキシル官能性材料、ポリエステルポリオール及びアミンを含む。
本発明の硬化性組成物において使用するのに適しているポリウレタン(メタ)アクリラートオリゴマー(また時には「ウレタン(メタ)アクリラートオリゴマー」とも称される)は、脂肪族、脂環式及び/又は芳香族ポリエステルポリオール及びポリエーテルポリオール、並びに脂肪族、脂環式及び/又は芳香族ポリエステルジイソシアナート、並びに(メタ)アクリラート末端基で封鎖したポリエーテルジイソシアナートに基づくウレタンを含む。適切なポリウレタン(メタ)アクリラートオリゴマーは、例えば、脂肪族ポリエステル系ウレタンジアクリラート及びテトラアクリラートオリゴマー、脂肪族ポリエーテル系ウレタンジアクリラート及びテトラアクリラートオリゴマー、並びに脂肪族ポリエステル/ポリエーテル系ウレタンジアクリラート及びテトラアクリラートオリゴマーを含む。
ポリウレタン(メタ)アクリラートオリゴマーは、脂肪族、脂環式及び/又は芳香族ポリイソシアナート(例えば、ジイソシアナート、トリイソシアナート)を、OH基末端ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカルボナートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリオルガノシロキサンポリオール(例えば、ポリジメチルシロキサンポリオール)、若しくはポリジエンポリオール(例えば、ポリブタジエンポリオール)、又はそれらの組合せと反応させてイソシアナート官能化オリゴマーを形成し、次いでこれは、ヒドロキシエチルアクリラート又はヒドロキシエチルメタクリラート等のヒドロキシル官能化(メタ)アクリラートと反応させて末端(メタ)アクリラート基を与えることにより調製されてもよい。例えば、ポリウレタン(メタ)アクリラートオリゴマーは、1分子当たり2、3、4個以上の(メタ)アクリラート官能基を含有していてもよい。当技術分野において公知のように、添加の他の順序もまた、ポリウレタンに(メタ)アクリラートを調製するために実施されてもよい。例えば、ヒドロキシル官能化(メタ)アクリラートは、最初にポリイソシアナートと反応させてイソシアナート官能化(メタ)アクリラートを得てもよく、次いで、これは、OH基末端ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカルボナートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリジメチルシロキサンポリオール、ポリブタジエンポリオール、又はそれらの組合せと反応させてもよい。なお別の実施形態において、最初にポリイソシアナートを、前述のタイプのポリオールのいずれかを含むポリオールと反応させて、イソシアナート官能化ポリオールを得てもよく、これは、その後ヒドロキシル官能化(メタ)アクリラートと反応させてポリウレタン(メタ)アクリラートを得る。代替として、成分はすべて同時に組み合わせ、反応させてもよい。
適切なアクリル酸(メタ)アクリラートオリゴマー(また時には当技術分野において「アクリル酸オリゴマー」とも称される)は、1個又は複数の(メタ)アクリラート基で官能化されたオリゴマーアクリル骨格を有する物質(それはオリゴマーの末端にあってもアクリル骨格の側鎖にあってもよい)として記載することができるオリゴマーを含む。アクリル骨格は、アクリルモノマーの繰り返し単位で構成されたホモポリマー、ランダムコポリマー又はブロックコポリマーであってもよい。アクリルモノマーは、C1~C6アルキル(メタ)アクリラート等の任意のモノマー(メタ)アクリラート、並びにヒドロキシル、カルボン酸及び/又はエポキシ基を有する(メタ)アクリラート等の官能化(メタ)アクリラートであってもよい。アクリル(メタ)アクリラートオリゴマーは、当技術分野で公知の任意の手順を使用して、少なくともその一部がヒドロキシル、カルボン酸及び/又はエポキシ基で官能化されたモノマー(例えば、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリラート、(メタ)アクリル酸、グリシジル(メタ)アクリラート)をオリゴマー化すること等によって、官能化オリゴマー中間体を得、次いで、これを1個又は複数の(メタ)アクリラート含有反応体と反応させて所望の(メタ)アクリラート官能基を導入して調製されてもよい。
前述のタイプのオリゴマーのいずれも、当技術分野で公知の以下の手順に従ってアミン又はスルフィド(例えばチオール)を用いて変性することができる。そのようなアミン変性及びスルフィド変性オリゴマーは、例えば、ベースオリゴマー中に存在する比較的少ない割合(例えば、2~15%)の(メタ)アクリラート官能基をアミン(例えば、第二級アミン)又はスルフィド(例えば、チオール)と反応させることによって調製することができ、変性させる化合物は、マイケル付加反応において(メタ)アクリラートの炭素-炭素二重結合に付加する。
本発明の硬化性組成物は、硬化性組成物の総質量に対して10~80質量%、特に15~75質量%、とりわけ20~70質量%の(メタ)アクリラート官能化オリゴマーを含んでいてもよい。
一実施形態において、エチレン型不飽和化合物は、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシル化(メタ)アクリラート又はPEG系(メタ)アクリラート等の親水性モノマー;及び多官能性(メタ)アクリラート等の架橋剤を含む。
エチレン型不飽和化合物のそのような組合せを含む組成物は、特に例えば以下に記載のように3D印刷/ステレオリソグラフィー(SLA)プロセスを使用することにより、ヒドロゲルを得るためによく適合し得る。
本発明の硬化性組成物は陽イオン重合性化合物を更に含んでいてもよい。本発明の組成物は陽イオン重合性化合物の混合物を含んでいてもよい。
組成物が陽イオン重合性化合物を含む場合、組成物は、ハイブリッドフリーラジカル/陽イオン性組成物、すなわちフリーラジカル重合及び陽イオン重合による硬化である組成物であってもよい。
用語「陽イオン重合性化合物」は、陽イオン性メカニズムによって重合する重合官能基、例えば電子供与基で置換された複素環式基又は炭素-炭素二重結合を含む化合物を意味する。陽イオン重合メカニズムにおいて、陽イオン性開始剤は陽イオン重合性化合物に電荷を移し、次いで、反応性になり、別の陽イオン重合性化合物との反応によって鎖の成長を引き起こす。
陽イオン重合性化合物は、エポキシ官能化化合物、オキセタン、オキソラン、環状アセタール、環状ラクトン、チイラン、チエタン、スピロオルトエステル、(メタ)アクリラート以外のエチレン型不飽和化合物、それらの誘導体及びそれらの混合物から選択されてもよい。
好ましい実施形態において、陽イオン重合性化合物は、エポキシ官能化化合物、オキセタン及びそれらの混合物、特に、芳香族エポキシ官能化化合物、脂環式エポキシ官能化化合物、オキセタン及びそれらの混合物から選択されてもよい。
陽イオン重合することができる適切なエポキシ官能化化合物は、例えば、アルキルカルボン酸残基、アルキルシクロアルキルカルボン酸残基及びジアルキルジカルボン酸残基等のカルボン酸の残基を含むものを含む、グリシジルエーテル、特にモノ-、ジ-、トリ-及びポリグリシジルエーテル化合物並びに脂環式エーテル化合物である。例えば、エポキシ官能化化合物は、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールFジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールSジグリシジルエーテル、エポキシノボラック樹脂、水素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水素化ビスフェノールFジグリシジルエーテル、水素化ビスフェノールSジグリシジルエーテル、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3',4'-エポキシシクロヘキサンカルボキシラート、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル-5,5-スピロ-3,4-エポキシ)シクロヘキサン-1,4-ジオキサン、ビス(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)アジパート、ビニルシクロヘキセンオキシド、4-ビニルエポキシシクロヘキサン、ビス(3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシルメチル)アジパート、3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシル-3',4'-エポキシ-6'-メチルシクロヘキサンカルボキシラート、メチレンビス(3,4-エポキシシクロヘキサン)、ジシクロペンタジエンジエポキシド、エチレングリコールのジ(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、エチレンビス(3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシラート)、エポキシヘキサヒドロジオクチルフタラート、エポキシヘキサヒドロ-ジ-2-エチルヘキシルフタラート、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコール、プロピレングリコール及びグリセロール等の脂肪族多価アルコールに1個又は複数のアルキレンオキシドの添加によって得られるポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテル、脂肪
族長鎖二塩基酸のジグリシジルエステル、脂肪族高級アルコールのモノグリシジルエーテル、フェノール、クレゾール、ブチルフェノールのモノグリシジルエーテル又はこれらの化合物へのアルキレンオキシドの添加によって得られるポリエーテルアルコール、高級脂肪酸のグリシジルエステル、エポキシ化ダイズ油、エポキシブチルステアリン酸、エポキシオクチルステアリン酸、エポキシ化アマニ油、エポキシ化ポリブタジエン等であってもよい。
族長鎖二塩基酸のジグリシジルエステル、脂肪族高級アルコールのモノグリシジルエーテル、フェノール、クレゾール、ブチルフェノールのモノグリシジルエーテル又はこれらの化合物へのアルキレンオキシドの添加によって得られるポリエーテルアルコール、高級脂肪酸のグリシジルエステル、エポキシ化ダイズ油、エポキシブチルステアリン酸、エポキシオクチルステアリン酸、エポキシ化アマニ油、エポキシ化ポリブタジエン等であってもよい。
陽イオン重合することができる適切なオキセタンは、トリメチレンオキシド、3,3-ジメチルオキセタン、3,3-ジクロロメチルオキセタン、3-エチル-3-フェノキシメチルオキセタン、及びビス(3-エチル-3-メチルオキシ)ブタン、3-エチル-3-オキセタンメタノールを含む。
陽イオン重合することができる適切なオキソランは、テトラヒドロフラン及び2,3-ジメチルテトラヒドロフランを含む。
陽イオン重合することができる適切な環状アセタールは、トリオキサン、1,3-ジオキソラン、及び1,3,6-トリオキサンシクロオクタンを含む。
陽イオン重合することができる適切な環状ラクトンはβ-プロピオラクトン及びε-カプロラクトンを含む。
陽イオン重合することができる適切なチイランは、エチレンスルフィド、1,2-プロピレンスルフィド及びチオエピクロロヒドリンを含む。
陽イオン重合することができる適切なチエタンは3,3-ジメチルチエタンを含む。
陽イオン重合することができる適切なスピロオルトエステルは、エポキシ化合物及びラクトンの反応によって得られる化合物である。
陽イオン重合することができる(メタ)アクリラート以外の適切なエチレン型不飽和の化合物は、ビニルエーテル、例えばエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル及びトリメチロールプロパントリビニルエーテル;脂肪族ビニルモノマー、例えばビニルシクロヘキサン;オレフィン、例えばイソブチレン;ジエン、例えばブタジエン;ビニルアルキルエーテル;ビニル芳香族モノマー、例えばスチレン及びアルキルスチレン;不飽和ポリマー、例えばポリブタジエン;上記有機物の誘導体等を含み;そのうちの少なくとも幾つかもまたフリーラジカルメカニズムによって重合性であり得る。
組成物が陽イオン重合性化合物を含む場合、陽イオン性光開始剤が有利にも存在し得る。
適切な陽イオン性光開始剤は、化学線等の照射に曝露されると、硬化性組成物中でモノマー及びオリゴマー(存在する場合)の陽イオン重合する有機物質の反応を開始させる陽イオン(例えば、ブレンステッド酸又はルイス酸)を形成する任意のタイプの光開始剤を含む。例えば、陽イオン性光開始剤は、陽イオン性部分及び陰イオン性部分から構成されていてもよい。光開始剤分子の陽イオン性部分は、UV照射の吸収の原因となり得るが、分子の陰イオン性部分はUV吸収後に強酸になる。
特に、陽イオン性光開始剤は、弱い求核性の陰イオンとのオニウム塩、例えば、ハロニウム塩、ヨードニウム塩(例えば、ビス(4-t-ブチルフェニル)ヨードニウムパーフルオロ-1-ブタンスルホナート等のジアリールヨードニウム塩)又はスルホニウム塩(例えば(トリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモン酸塩等のトリアリールスルホニウム塩);スルホキソニウム塩;ジアゾニウム塩;メタロセン塩;及びそれらの混合物から選択されてもよい。
陽イオン性光開始剤の量は、硬化性組成物の総質量に対して0質量%~5質量%、特に0.1質量%~3質量%、とりわけ0.5~2質量%であってもよい。
不飽和ポリマー分散体又はエマルションを含む組成物
本発明の第3の態様において、本発明のエマルション及び不飽和ポリマー分散体又はエマルションを含む放射線硬化性組成物が提供される。
本発明の第3の態様において、本発明のエマルション及び不飽和ポリマー分散体又はエマルションを含む放射線硬化性組成物が提供される。
本明細書において使用される場合、用語「不飽和ポリマー分散体又はエマルション」とは、エチレン型不飽和ポリマーを含む分散体又はエマルションを意味する。
不飽和ポリマー分散体又はエマルションは水性ポリマー分散体又はエマルションであってもよい。一実施形態において、不飽和ポリマー分散体は、ポリウレタン分散体(PUD)、アクリル分散体及びそれらの混合物、特にPUDである。一実施形態において、不飽和ポリマーエマルションは不飽和ポリエステルエマルションである。一実施形態において、不飽和ポリマーエマルションは、上に定義されるような(メタ)アクリラート官能化オリゴマーのエマルション、特に(メタ)アクリラート官能化ウレタンオリゴマー、(メタ)アクリラート官能化エポキシオリゴマー、(メタ)アクリラート官能化ポリエーテルオリゴマー、(メタ)アクリラート官能化ポリジエンオリゴマー、(メタ)アクリラート官能化ポリカーボナートオリゴマー、(メタ)アクリラート官能化ポリエステルオリゴマー及びそれらの混合物から選択される(メタ)アクリラート官能化オリゴマーのエマルションである。
放射線硬化性組成物は、放射線硬化性組成物の質量に対して1~40質量%、特に5~30質量%、とりわけ10~25質量%の本発明のエマルションを含んでいてもよい、
本明細書において使用される場合、用語「ポリウレタン分散体」とは、ポリウレタンポリマー又はポリウレタンアクリラートコポリマー等のポリウレタンコポリマーを含む分散体を意味する。
ポリウレタン分散体は、典型的にはまずポリウレタンプレポリマーを形成することにより生成され、これは、後続の鎖延長反応を受けることができるイソシアナート(NCO)基等の末端基を含む。ポリウレタンプレポリマーは有機溶媒又は反応性希釈剤を用いて希釈されてもよい。稀釈は、有利にはプレポリマーの粘度を低減して水中でのその後続の分散を容易にする。プレポリマーは、水中での分散の前又は後に鎖延長反応を受けてポリマー鎖の長さを上げる及び/又はポリウレタンに追加の官能基を付加することができる。
一実施形態において、ポリウレタン分散体は、ポリウレタンポリマー及び任意選択で反応性希釈剤を含む。ポリウレタンポリマーはエチレン型不飽和基を有していてもよい。ポリウレタンポリマーは、少なくとも1種のイソシアナート末端エチレン型不飽和ポリウレタンプレポリマー(P)を、少なくとも2個のイソシアナート反応性基を有する鎖延長剤(E)を用いて鎖延長することによって形成されてもよい。
プレポリマー(P)は以下の反応により形成されてもよい:
(A)少なくとも1種のエチレン型不飽和を含有する、好ましくは活性水素含有(メタ)アクリラートから選択される1種又は複数のイソシアナート反応性成分;
(B)1種又は複数のポリイソシアナート、好ましくはジイソシアナート;
(C)イオン性基、可能性としてイオン性基又は親水性エーテル基、好ましくは酸性基に由来するイオン性基を含有する1種又は複数のイソシアナート反応性成分、特に、2個のイソシアナート反応性基を有し、とりわけ2個のOH基を有する前記成分(C);並びに
(D)任意選択で、成分(A)、(B)、(C)及び(D)のモル比が末端イソシアナート基を含むポリウレタンプレポリマーをもたらすような、好ましくは2個のイソシアナート反応性基、特にOHを有する、成分(A)又は成分(C)以外の1種又は複数のイソシアナート反応性成分。
(A)少なくとも1種のエチレン型不飽和を含有する、好ましくは活性水素含有(メタ)アクリラートから選択される1種又は複数のイソシアナート反応性成分;
(B)1種又は複数のポリイソシアナート、好ましくはジイソシアナート;
(C)イオン性基、可能性としてイオン性基又は親水性エーテル基、好ましくは酸性基に由来するイオン性基を含有する1種又は複数のイソシアナート反応性成分、特に、2個のイソシアナート反応性基を有し、とりわけ2個のOH基を有する前記成分(C);並びに
(D)任意選択で、成分(A)、(B)、(C)及び(D)のモル比が末端イソシアナート基を含むポリウレタンプレポリマーをもたらすような、好ましくは2個のイソシアナート反応性基、特にOHを有する、成分(A)又は成分(C)以外の1種又は複数のイソシアナート反応性成分。
成分(A)は、(A1)少なくとも1個の、好ましくは1~5個の(メタ)アクリラート基を有するモノアルコール、及び任意選択で(A2)少なくとも1個の、好ましくは1~4個の(メタ)アクリラート基を有するジオールを含むポリオール成分であってもよい。エチレン型不飽和含有成分(A)は、ポリエステル(メタ)アクリラート、エポキシ(メタ)アクリラート、ポリエーテル(メタ)アクリラート、ウレタン(メタ)アクリラート、ヒドロキシを有する(メタ)アクリラート(例えば、前記アルキレンポリオールのジポリオールエーテルから結果として得られたポリオールのアルコキシ化又は部分的(メタ)アクリルエステルであってもよいアルキレンポリオールの部分的(メタ)アクリルエステル等の)及びそれらの組合せから選択されてもよい。
成分(C)は酸性基及びその塩を有するジオールであってもよい。酸性基は、カルボン酸(-COOH)基、カルボキシラート(-COO-)基、ホスホン酸(-P(=O)(OH)2)基、ホスホナート(-P(=O)(OR)2)基、スルホン酸(-S(=O)2OH)基、スルホナート(-S(=O)2OR)基、ホスファート(-O-P(=O)(OR)2)基から選択されてもよく、各Rは独立して対イオン、水素原子、又は任意選択で置換されているヒドロカルビルである。
成分(D)は、モノマー又はオリゴマーのモノアルコール又はポリオール、好ましくはジオールであってもよい。とりわけ、成分(D)は、ポリエーテル又はポリエステルジオール等のオリゴマーである。
鎖延長剤(E)は、ポリオール及び/又はポリアミンから、好ましくはジオール及び/又はジアミン、更により好ましくはジアミンから選択されてもよい。
反応性希釈剤(F)は、ポリウレタンプレポリマーの調製において希釈剤として、及びポリウレタン分散体の形成時にポリウレタンプレポリマーを希釈するために使用され得る1種又は複数のエチレン型不飽和基を有する化合物であってもよい。それは、化学線硬化ステップ中に分散したポリウレタンのアクリラート基とのフリーラジカル反応によって反応し得る。ポリウレタンプレポリマーに添加された場合、反応性希釈剤は、ポリウレタンプレポリマーの粘度制御に使用されてもよい。反応性希釈剤(F)は、分散体の固体含有率に対して約10質量%~約90質量%、好ましくは10~50質量%を占めてもよい。
別の実施形態において、ポリウレタン分散体はポリウレタンアクリラートコポリマーを含む分散体(またPUA分散体とも称される)であってもよい。ポリウレタンアクリラートコポリマーは、上に定義されるようなイソシアナート末端エチレン型不飽和ポリウレタンプレポリマー(P)を、1~20、好ましくは4~12個の炭素原子を有するモノアルコールとの(メタ)アクリル酸のエステル等の(メタ)アクリラートモノマーと反応させることにより得ることができる。
本明細書において使用される場合、用語「アクリル分散体」とは、アクリルポリマー又はアクリルコポリマーを含む分散体を意味する。アクリルポリマー又はコポリマーは、エチレン型不飽和残基を含む。
本明細書において使用される場合、用語「不飽和ポリエステルエマルション」とは、不飽和ポリエステルを含むエマルションを意味する。
本明細書において使用される場合、用語「(メタ)アクリラート官能化オリゴマーのエマルション」とは、(メタ)アクリラート官能化オリゴマーを含むエマルションを意味する。
(メタ)アクリラート官能化オリゴマーのエマルションは、界面活性剤、特にポリマー状両親媒性界面活性剤(保護コロイド)を用いて水中で1種又は複数の(メタ)アクリラート官能化オリゴマーを乳化することにより得ることができる。
第2及び第3の態様の組成物間で共通の特徴
本発明の硬化性組成物は添加剤を含んでいてもよい。硬化性組成物は、添加剤の混合物を含んでいてもよい。
本発明の硬化性組成物は添加剤を含んでいてもよい。硬化性組成物は、添加剤の混合物を含んでいてもよい。
特に、添加剤は、増感剤、アミン相乗剤、抗酸化剤/光安定剤、光遮断剤/吸収剤、重合禁止剤、泡止め剤、流動剤又はレベリング剤、色素、顔料、分散剤(湿潤剤、界面活性剤)、スリップ剤、充填剤、連鎖移動剤、チキソトロピー剤、つや消し剤、衝撃修飾剤、ワックス、それらの混合物、及びコーティング、封止材、接着剤、成形物、3D印刷又はインク工芸で従来通りに使用される他の添加剤から選択されてもよい。
硬化性組成物は増感剤及び/又はアミン相乗剤を含んでいてもよい。
増感剤は、より長波長に光開始剤の感度を拡大するために本発明の硬化性組成物において導入されてもよい。例えば、増感剤は、光開始剤より長い又はより短い波長の光を吸収し得て、光開始剤にエネルギーを移し、その基底状態に戻ることができる。
適切な増感剤の例としては、ベンゾフェノン、アントラセン、チオキサントン(2-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、1-クロロ-4-プロポキシチオキサントン)、キサントン、アントロン、アントラキノン(2-エチルアントラキノン)、ジベンゾスベロン及びカルバゾールを含む。
硬化性組成物中の増感剤の濃度は、使用される光開始剤に依存して変動する。しかし、典型的には、硬化性組成物は、硬化性組成物の総質量に対して0質量%~5質量%、特に0.1質量%~3質量%、とりわけ0.5~2質量%の増感剤を含むように配合される。
アミン相乗剤は、ノーリッシュII型光開始剤と相乗的に作用するために及び/又は酸素阻害を低減するために本発明の硬化性組成物に導入されてもよい。アミン相乗剤は典型的には第三級アミンである。ノーリッシュII型光開始剤と共に使用される場合、第三級アミンは、光開始剤の励起3重項状態のための活性水素供与体部位を提供し、それによって反応性アルキルアミノラジカルを生成し、続いて重合を開始することができる。また、第三級アミンは、酸素及びフリーラジカルの間の反応によって形成される反応性のないペルオキシ種を反応性アルキルアミノラジカルに変換することができ、このようにして硬化への酸素の効果を低減する。
適切なアミン相乗剤の例は、トリエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン等の低分子量の第三級アミン(すなわち、200g/mol未満の分子量を有する)を含む。他のタイプのアミン相乗剤は、アミノベンゾアート又はアミン変性アクリラート(アクリラート官能化モノマー及び/又はオリゴマーによって担持されたアクリラート基の一部への第二級アミンのマイケル付加によって形成されたアクリラート化アミン)である。アミノベンゾアートの例は、エチル-4-(N,N'-ジメチルアミノ)ベンゾアート(EDB)、2-n-ブトキシエチル4-(ジメチルアミノ)ベンゾアート(BEDB)を含む。市販されているアミン変性アクリラートオリゴマーの例としては、すべてArkema社から入手可能なCN3705、CN3715、CN3755、CN381及びCN386を含む。また、ポリマー状又は多重のアミノバージョンも適切である。
硬化性組成物中のアミン相乗剤の濃度は、使用される化合物のタイプに依存して変動する。典型的には、しかしながら、硬化性組成物は、硬化性組成物の総質量に対して0質量%~25質量%、特に0.1質量%~10質量%、とりわけ0.5~5質量%のアミン相乗剤を含むように配合される。
硬化性組成物は安定剤を含んでいてもよい。
安定剤は、適当な貯蔵安定性及び保存寿命を与えるために本発明の硬化性組成物において導入されてもよい。有利には、1種又は複数のそのような安定剤は、硬化性組成物を調製するために、硬化性組成物のエチレン型不飽和成分の加工の間に望ましくない反応に対して保護するために使用される方法の各段階で存在する。本明細書において使用される場合、用語「安定剤」とは、化学線のない状態において組成物中に存在する化学線硬化性官能基の反応又は硬化を遅らせ又は阻止する化合物又は物質を意味する。しかしながら、化学線に曝露された場合に、組成物がそのままで硬化することができるように(すなわち、安定剤は組成物の放射線硬化を阻止しない)、安定剤の量及びタイプを選択することが有利である。典型的には、本発明の目的に有効な安定剤は、フリーラジカル安定剤(すなわち、フリーラジカル反応の阻害によって機能する安定剤)として分類される。
(メタ)アクリラート官能化化合物に関連する当技術分野で公知の安定剤のいずれもが本発明において利用されてもよい。キノンは、本発明の文脈において用いることができる特に好ましいタイプの安定剤を表す。本明細書において使用される場合、用語「キノン」とは、キノン及びヒドロキノンの両方、並びにそれらのエーテル、例えばヒドロキノンのモノアルキル、モノアリール、モノアラルキル及びビス(ヒドロキシアルキル)エーテルを含む。ヒドロキノンモノメチルエーテルは利用することができる適切な安定剤の例である。当技術分野で公知の他の安定剤、例えば、BHT及び誘導体、ホスファイト化合物、フェノチアジン(PTZ)、トリフェニルアンチモン及びスズ(II)塩もまた使用することができる。
硬化性組成物中の安定剤の濃度は、使用のために選択される特定の安定剤又は安定剤の組合せに、また所望の安定化の程度、及び硬化性組成物中の成分の、安定剤のない状態での分解への感受性に依存して変動する。典型的には、しかし、硬化性組成物は5~5000ppmの安定剤を含むように配合される。本発明のある特定の実施形態によると、硬化性組成物を製造するために用いられる方法の各段階中の反応混合物は、少なくとも幾らかの安定剤、例えば、少なくとも10ppmの安定剤を含有している。
硬化性組成物は光遮断剤(時には光吸収剤と称される)を含んでいてもよい。
硬化性組成物が硬化性組成物の光硬化を含む三次元印刷方法において樹脂として使用される場合、光遮断剤の導入は特に有利である。光遮断剤は、例えば非反応性の顔料及び染料を含む三次元印刷工芸において公知の任意のそのような物質であってもよい。光遮断剤は、例えば可視光線遮断剤又はUV光遮断剤であってもよい。適切な光遮断剤の例は、二酸化チタン、カーボンブラック及び有機紫外線吸収剤、例えば、ヒドロキシベンゾフェノン、ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール、オキサニリド、ヒドロキシフェニルトリアジン、スーダンI、ブロモチモールブルー、2,2'-(2,5-チオフェンジイル)ビス(5-tert-ブチルベンゾキサゾール(販売名「Benetex OB Plus」の下で販売)及びベンゾトリアゾール紫外線吸収剤を含むが、これらに限定されない。
特定の用途に対して所望され又は好適であり得る場合、光遮断剤の量は変動してもよい。概して言えば、硬化性組成物が光遮断剤を含有する場合、それは、硬化性組成物の質量に対して0.001~10質量%の濃度で存在する。
有利には、本発明の硬化性組成物は、溶媒なしの、すなわち、いかなる非反応性揮発性物質(大気圧で、150℃以下の沸点を有する物質)も含まないように配合されてもよい。例えば、本発明の硬化性組成物は、非反応性溶媒をほとんど又は全く含有しなくてもよく、例えば硬化性組成物の総質量に対して10%未満又は5%未満又は1%未満の、又は更には0%の非反応性溶媒を含み得る。本明細書において使用される場合、非反応性溶媒という用語は、本明細書において記載の硬化性組成物を硬化するのに使用される化学線に曝露される場合、反応しない溶媒を意味する。
本発明の他の有利な実施形態によると、硬化性組成物は1つの成分又は1つの部分のシステムとして使用可能なように配合される。すなわち、硬化性組成物は直接硬化され、硬化前に別の成分又は第2の部分と組み合わせられない。(例えば、米国特許出願公開第2017/0260418 A1号に定義されるようなアミンモノマー)。
本発明の好ましい実施形態において、硬化性組成物は25℃で液体である。本発明の様々な実施形態において、本明細書において記載の硬化性組成物は、ブルックフィールド粘度計、モデルDV-IIを使用し25℃でスピンドル27を使用して測定して(典型的には粘度に応じて20~200rpmの間で変動するスピンドル速度を用いて)、10,000mPa.s(cP)未満、又は5,000mPa.s(cP)未満、又は4,000mPa.s(cP)未満、又は3,000mPa.s(cP)未満、又は2,500mPa.s(cP)未満、又は2,000mPa.s(cP)未満、又は1,500mPa.s(cP)未満、又は1,000mPa.s(cP)未満又は更に500mPa.s(cP)未満の粘度を有するように配合される。本発明の有利な実施形態において、硬化性組成物の粘度は、25℃で200~5,000mPa.s(cP)、又は200~2,000mPa.s(cP)、又は200~1,500mPa.s(cP)、又は200~1,000mPa.s(cP)である。比較的高い粘度であれば、硬化性組成物が25℃を超えて加熱される用途において、例えば、加熱される樹脂の大桶を有する機械を用いる三次元印刷作業等において満足な性能を与えることができる。
本明細書において記載の硬化性組成物は、フリーラジカル重合、陽イオン重合又は他のタイプの重合によって硬化にかけられる組成物であってもよい。特定の実施形態において、硬化性組成物は光硬化される(すなわち、光、特に可視光線又はUV光等の化学線への曝露によって硬化される)。
本発明の硬化性組成物は有利には水ベースであってもよい。実際に、水性(水ベース)系は本発明のエマルションの組込みから最も大きな利益を導き出す。
本発明の硬化性組成物は、インク、コーティング、封止材、接着剤、成形物又は3D印刷組成物、特に3D印刷組成物であってもよい。
硬化性組成物としての最終使用の用途は、インク、コーティング、接着剤、付加製造用樹脂(3D印刷樹脂等)、成形樹脂、封止材、複合材、帯電防止層、電子用途、再利用可能材料、刺激を検出し応答することができるスマート材料、包装材料、パーソナルケア用品、農業で使用される用品、水若しくは食品加工、又は畜産、及び生体力学的材料を含むがこれらに限定されない。したがって、本発明の硬化性組成物は、生物学的適合性の用品の製造において有用性を見出す。そのような用品は、例えば、高い生物学的適合性、低い細胞毒性及び/又は低い抽出物を示し得る。
本発明による組成物は、特に、以下の方法による硬化生成物及び3D印刷品を得るために使用することができる。
硬化生成物及び3D印刷品の調製の方法
本発明による硬化生成物の調製の方法は、本発明の組成物を硬化する工程を含む。特に、組成物は、放射線に組成物を曝露することによって硬化することができる。とりわけ、組成物は、UV、近紫外線、可視光、赤外線及び/又は近赤外放射線、又は電子線に組成物を曝露することによって硬化することができる。
本発明による硬化生成物の調製の方法は、本発明の組成物を硬化する工程を含む。特に、組成物は、放射線に組成物を曝露することによって硬化することができる。とりわけ、組成物は、UV、近紫外線、可視光、赤外線及び/又は近赤外放射線、又は電子線に組成物を曝露することによって硬化することができる。
硬化は、硬化性組成物にエネルギーを供給することにより例えば硬化性組成物を加熱することによって加速又は促進され得る。このように、硬化生成物は、硬化によって形成された硬化性組成物の反応生成物とみなされてもよい。硬化性組成物は、化学線への曝露によって部分的に硬化され、部分的に硬化された用品を加熱することによって更なる硬化が達成されてもよい。例えば、硬化性組成物(例えば、3D印刷品)から形成された用品は、40℃~120℃の温度で5分~12時間の期間、加熱されてもよい。
硬化の前に、硬化性組成物は、任意の公知の従来方式で例えば、噴霧、ナイフコーティング、ロールコーティング、流延、ドラムコーティング、浸漬等、及びそれらの組合せによって基材表面に塗布されてもよい。転写工程を使用する間接塗布もまた使用されてもよい。基材は、任意の工業的に適切な基材、例えば、金属、紙、板紙、ガラス、プラスチック材料、複合材、木材、革、セラミック、石材及びそれらの組合せであってもよい。有利には、基材は木質表面であってもよい。実際、本発明の組成物は、木材への、優れた封止及び固化する効果を有し、その耐久性を改善する。
接着剤として使用された場合、硬化性組成物は2つの基材の間に配置され次いで硬化され、硬化された組成物は、それによって基材を一緒に結合して接着用品を提供することができる。本発明による硬化性組成物はまた、塊で形成され硬化されてもよい(例えば、硬化性組成物が適切な型に流延され、次いで硬化されてもよい)。
本発明の方法を用いて得られた硬化生成物は、コーティング、インク、ラッカー、ワニス、封止材、接着剤、成形品又は3D印刷品であってもよい。特に、硬化生成物は3D印刷品であってもよい。
3D印刷品は、特に、本発明の組成物を用いて3D用品を印刷する工程を含む3D印刷品の調製のための方法を用いて得ることができる。特に、方法は、層毎に又は連続的に3D用品を印刷する工程を含んでいてもよい。
本発明による硬化性組成物の複数の層は、基材表面に塗布されてもよく;複数の層が同時に硬化されてもよく(例えば1回の放射線量への曝露によって)、又は、各層は、硬化性組成物の追加の層の塗布の前に引き続いて硬化されてもよい。
本明細書において記載される硬化性組成物は、三次元印刷塗布において樹脂として使用することができる。三次元(3D)印刷(また付加製造とも称される)は、3Dデジタルモデルが構造材料の付加成長によって製造される方法である。3D印刷物体は、3D物体の断面に対応する2次元(2D)層又は薄片の順次構造によって物体のコンピュータ支援設計(CAD)データを利用することにより作製される。ステレオリソグラフィー(SL)は、液体樹脂が放射線への選択的曝露によって固化されて各2D層を形成する付加製造の1つのタイプである。放射線は、電磁波又は電子線の形態とすることができる。最も一般に適用されるエネルギー源は、紫外線、可視光又は赤外線である。
ステレオリソグラフィー及び他の光硬化性3D印刷方法は、光硬化性樹脂の各層を照射して所望の用品を形成するために典型的には低い強度の光源を適用する。その結果、光硬化性樹脂重合反応速度論及び印刷品のグリーン強度は、特定の光硬化性樹脂が、照射されたら、十分に重合(硬化)し、3D印刷方法及び後加工によってその一体性を保持するのに十分なグリーン強度を有するかの重要な判定条件である。
本発明の硬化性組成物は、すなわち、3D印刷技法を使用する三次元用品を製造する際に使用するための組成物である3D印刷樹脂配合物として特に有用である。そのような三次元用品は独立/自立していてもよく、本質的に、本発明による硬化された組成物からなってもよいか、又はそれからなっていてもよい。三次元用品はまた、そのような硬化された組成物以外の1種又は複数の材料(例えば、金属成分又は熱可塑性成分又は無機充填剤又は繊維質補強材)で構成された少なくとも1つの追加成分に加えて、本質的に、先に挙げた硬化組成物からなり、又はそれからなる少なくとも1つの成分を含む複合材であってよい。本発明の硬化性組成物は、特にデジタル光印刷(DLP)において有用であるが、本発明の硬化性組成物を使用して、他のタイプの三次元(3D)印刷方法(例えば、SLA、インクジェット、多重インクジェット印刷、圧電印刷、化学線硬化押出物、及びゲル堆積印刷)が実施されてもよい。本発明の硬化性組成物は、本発明の硬化性組成物から形成された用品のための足場又は支持体として機能する別の材料と一緒に三次元印刷作業に使用されてもよい。
このように、本発明の硬化性組成物は、三次元物体の構造がステップ毎又は層毎の方式で実行される方法を含む、様々なタイプの三次元の組立て又は印刷技法の慣行において有用である。そのような方法において、層形成は、可視光、UV又は他の化学線の放射等の照射への曝露の作用の下での硬化性組成物の凝固(硬化)によって実行されてもよい。例えば、新しい層は、成長している物体の上面、又は成長している物体の底面で形成されてもよい。本発明の硬化性組成物はまた、有利には、方法が連続的に実行される付加製造による三次元物体の製造の方法において用いられてもよい。例えば、物体は液体界面から生成されてもよい。このタイプの適切な方法は、時には当技術分野で「連続液体界面(又は中間相)生成物(又は印刷)」(「CLIP」)方法と称される。そのような方法は、例えば、その全体内容はその全体がすべての目的のために参照によって本明細書に組み込まれる、WO 2014/126830; WO 2014/126834; WO 2014/126837;及びTumblestonら、「Continuous Liquid Interface Production of 3D Objects,」 Science 347巻、6228号、1349~1352頁(2015年3月20日)に記載される。
ステレオリソグラフィーが酸素透過性のビルド窓を超えて行われる場合、本発明による硬化性組成物を使用する用品の製造は、CLIP手順において窓と、製造されている硬化用品の表面との間の硬化性組成物の薄い未硬化層である、酸素を含む「デッドゾーン」を作製することによって可能になり得る。そのような方法において、硬化(重合)が分子状酸素の存在によって阻害される硬化性組成物が使用され;そのような阻害は、典型的には、例えばフリーラジカルメカニズムによって硬化することができる硬化性組成物において観察される。所望のデッドゾーン厚さは、光子束及び硬化性組成物の光学的性質及び硬化性等の様々な制御パラメーターの選択により維持することができる。CLIPプロセスは、液体形態に維持された硬化性組成物の浴より下の酸素透過性の、化学線(例えば、UV)の透明窓を通して化学線(例えば、UV)画像(それらは例えばデジタル光加工撮像装置によって作成されてもよい)の連続的な配列の投影により進む。進行する(成長する)用品より下の液体界面は、窓の上に作られたデッドゾーンによって維持される。硬化用品は、デッドゾーンの上の硬化性組成物浴から連続的に引き出され、追加量の硬化性組成物を浴に供給することにより補充されて硬化され、成長している用品に組み込まれる硬化性組成物の量を補うことができる。
別の実施形態において、硬化性組成物は、大桶からそれを供給することではなく印字ヘッドからそれを放出することにより供給される。このタイプの方法は一般にインクジェット又はマルチジェットの3D印刷と称される。インクジェットの印字ヘッドのすぐ後ろに搭載された1種又は複数のUV硬化供給源は、それがビルド面基材又は先に塗布された層に塗布されたら直後に硬化性組成物を硬化する。2つ以上の印字ヘッドは、各層の異なる領域に異なる組成物を塗布させる方法で使用することができる。例えば異なるカラー又は異なる物理的性質の組成物を、変動する組成物の3D印刷された部材を作るために同時に塗布することができる。通常の使用法において、支持材料-後にこれは後加工の間に取り除かれるは、所望の3D印刷された部材を作製するのに使用される組成物と同時に堆積する。印字ヘッドは、約25℃から約100℃までの温度で作動することができる。硬化性組成物の粘度は印字ヘッドの作動温度で30mPa.s未満である。
3D印刷品の調製の方法は、以下の工程を含んでいてもよい:
a)本発明による硬化性組成物の第1の層を表面へ供給(例えば、コーティング)する工程;
b)第1の層を少なくとも部分的に硬化して硬化した第1の層を与える工程;
c)硬化した第1の層の上に硬化性組成物の第2の層を供給(例えば、コーティング)する工程;
d)第2の層を少なくとも部分的に硬化して、硬化した第1の層に接着した硬化した第2の層を与える工程;及び
e)工程c)及びd)を所望の回数繰り返して三次元用品を構築する工程。
a)本発明による硬化性組成物の第1の層を表面へ供給(例えば、コーティング)する工程;
b)第1の層を少なくとも部分的に硬化して硬化した第1の層を与える工程;
c)硬化した第1の層の上に硬化性組成物の第2の層を供給(例えば、コーティング)する工程;
d)第2の層を少なくとも部分的に硬化して、硬化した第1の層に接着した硬化した第2の層を与える工程;及び
e)工程c)及びd)を所望の回数繰り返して三次元用品を構築する工程。
硬化工程は、幾つかの事例において、硬化性組成物中に存在する成分に依存する任意の適切な手段によって行われてもよいが、本発明のある特定の実施形態において、硬化は、有効量の照射、特に化学線(例えば、電子線照射、UV照射、可視光線等)に硬化される層を曝露することにより達成される。形成される三次元用品は熱硬化を果たすために加熱されてもよい。
したがって、様々な実施形態において、本発明は、以下の工程を含む方法を提供する:
a)本発明による硬化性組成物の第1の層を、表面へ液体形態で供給(例えば、コーティング)する工程;
b)第1の層を化学線に画像様に曝露して第1の曝露された画像化断面を形成する工程であって、照射が、曝露領域の層の少なくとも部分的な硬化を引き起こすのに十分な強度及び継続期間である、工程;
c)先に曝露された画像化断面の上に硬化性組成物の追加の層を供給(例えば、コーティング)する工程;
d)追加の層を化学線に画像様に曝露して追加の画像化断面を形成する工程であって、照射が曝露領域の追加の層の少なくとも部分的な硬化を引き起こし、先に曝露された画像化断面に追加の層の接着を引き起こすのに十分な強度及び継続期間である、工程;
e)工程c)及びd)を所望の回数繰り返して三次元用品を構築する工程。
a)本発明による硬化性組成物の第1の層を、表面へ液体形態で供給(例えば、コーティング)する工程;
b)第1の層を化学線に画像様に曝露して第1の曝露された画像化断面を形成する工程であって、照射が、曝露領域の層の少なくとも部分的な硬化を引き起こすのに十分な強度及び継続期間である、工程;
c)先に曝露された画像化断面の上に硬化性組成物の追加の層を供給(例えば、コーティング)する工程;
d)追加の層を化学線に画像様に曝露して追加の画像化断面を形成する工程であって、照射が曝露領域の追加の層の少なくとも部分的な硬化を引き起こし、先に曝露された画像化断面に追加の層の接着を引き起こすのに十分な強度及び継続期間である、工程;
e)工程c)及びd)を所望の回数繰り返して三次元用品を構築する工程。
3D用品が印刷された後、それは1つ又は複数の後加工工程にかけられてもよい。後加工工程は、以下の工程、任意の印刷支持構造の除去、残余の樹脂を取り除くために水及び/又は有機溶媒を用いる洗浄、並びに熱処理を使用する後硬化及び/又は同時に若しくは順次の化学線の1つ又は複数から選択することができる。後加工工程は、新たに印刷された用品を、その意図した用途に使用される準備ができている仕上がった機能的な用品に転換するのに使用されてもよい。
本発明の方法を用いて得られる、硬化生成物及び3D印刷品は、本明細書において以降に記載される。
硬化生成物及び3D印刷品
本発明の硬化生成物は、本発明の組成物を硬化することにより、又は本発明の方法に従って得られる。
本発明の硬化生成物は、本発明の組成物を硬化することにより、又は本発明の方法に従って得られる。
硬化生成物は、コーティング、インク、ラッカー、ワニス、封止材、接着剤、成形品又は3D印刷品であってもよい。特に、硬化生成物は3D印刷品であってもよい。
組成物の調製の方法
本発明の更なる態様において、有機相を水性相中で分散させてエマルションを形成する工程であって、有機相が、第1のホスフィンオキシド光開始剤及び第2のホスフィンオキシド光開始剤を含むホスフィンオキシド光開始剤の液体ブレンドを含み、有機相が、有機相の質量に対して少なくとも40質量%、特に50~100質量%、とりわけ少なくとも55~90質量%、殊に60~80質量%のホスフィンオキシド光開始剤を含む、工程;並びにエマルションを、1種若しくは複数のエチレン型不飽和化合物と、又は不飽和ポリマー分散体若しくはエマルションと組み合わせる工程を含む、本発明による組成物を調製する方法が提供される。
本発明の更なる態様において、有機相を水性相中で分散させてエマルションを形成する工程であって、有機相が、第1のホスフィンオキシド光開始剤及び第2のホスフィンオキシド光開始剤を含むホスフィンオキシド光開始剤の液体ブレンドを含み、有機相が、有機相の質量に対して少なくとも40質量%、特に50~100質量%、とりわけ少なくとも55~90質量%、殊に60~80質量%のホスフィンオキシド光開始剤を含む、工程;並びにエマルションを、1種若しくは複数のエチレン型不飽和化合物と、又は不飽和ポリマー分散体若しくはエマルションと組み合わせる工程を含む、本発明による組成物を調製する方法が提供される。
光開始剤のエマルションが不飽和ポリマー分散体又はエマルションと混合される場合、この方法は、著しく単純なプロセスによって、追加の安定化成分を必要とせず安定なブレンドを提供する。
使用
本発明の組成物は、コーティング、インク、ラッカー、ワニス、封止材、接着剤、成形品又は3D印刷品の調製のために使用されてもよい。
本発明の組成物は、コーティング、インク、ラッカー、ワニス、封止材、接着剤、成形品又は3D印刷品の調製のために使用されてもよい。
他に明示しない限り、記載の整数のそれぞれは、当業者によって理解されるのと同じようにいかなる他の整数と組み合わせて使用されてもよい。更に、本発明の態様はすべて、その態様に関連して記載されている特徴を好ましくは「含む」が、特許請求の範囲において概説されるそれらの特徴から「なる」、又は「本質的になる」ことができることがとりわけ意図される。更に、すべての用語は、とりわけ本明細書において定義されない限り、当技術分野で一般に理解されている意味を与えられるように意図される。
更に、本発明の検討において、逆に明示されない限り、パラメーターの認められる範囲の上限又は下限に対する代替値の開示は、代替値のうちの大小の間に存在する前記パラメーターの各中間値が、またそれ自体パラメーターについて可能な値として開示されるという黙示的な表明として解釈されるべきである。
更に、他に明示しない限り、本出願において現れる数値はすべて、「約」という用語によって修飾されていると理解されるべきである。
本発明がより容易に理解され得るように、それは、図、及び、以降で特定の実施例を参照して更に説明される。
材料
エマルションAは、以下の表において与えられる原料の高剪断混合によって得られた(質量%はエマルションの質量に基づく):
エマルションAは、以下の表において与えられる原料の高剪断混合によって得られた(質量%はエマルションの質量に基づく):
エマルションBは、以下の表において与えられた原料の高剪断混合によって得られた(質量%はエマルションの質量に基づく):
エマルションCは、以下の表において与えられた原料の高剪断混合によって得られた。(質量%はエマルションの質量に基づく):
エマルションDは、以下の表において与えられた原料の高剪断混合によって得られた。(質量%はエマルションの質量に基づく):
エマルションEは、以下の表において与えられた原料の高剪断混合によって得られた。(質量%はエマルションの質量に基づく):
Omnirad 819DW(IGM Resins社)は、脱イオン水中にビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシド、及びカルボン酸ポリマーのアルカリ塩、ポリビニルアルコール又は変性ポリアクリラートを含む市場を主導する光開始剤分散体である。ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシドはI型光開始剤であり、アルカリ塩は分散安定剤として働く。
UCECOAT 2805(Allnex社)水中の低い移行アクリラート化ポリウレタン分散体。それは良好な伸び特性、及び水を乳化剤なしで相溶性にしておく。
UCECOAT 2806(Allnex社)水中の低移行性アクリラート化ポリウレタン分散体。それは、粘度が非常に低く、低い表面張力及び良好な水溶解性を有する。
SpeedCure XKm(Lambson - Arkema社)-エチル(3-ベンゾイル-2,4,6-トリメチルベンゾイル)(フェニル)ホスフィナート、固体ハイブリッドノーリッシュI型/II型光開始剤。
SpeedCure TPO-L(Lambson - Arkema社)-エチル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィナート、液体ノーリッシュI型光開始剤
(登録商標)73(Lambson - Arkema社)-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパノン、液体ノーリッシュI型光開始剤。
SpeedCure(登録商標)MBF(Lambson - Arkema社)-メチルベンゾイルフォルマート、液体ノーリッシュII型光開始剤。
SpeedCure(登録商標)TPO(Lambson - Arkema社)-ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、固体ノーリッシュI型光開始剤。
SpeedCure(登録商標)BPO(Lambson - Arkema社)-フェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-ホスフィンオキシド、固体ノーリッシュI型光開始剤。
方法論
光開始剤(エマルション又は比較の分散体)をポリウレタン系樹脂と混合して均質溶液を形成した。Kハンドコーターを使用して標準黒色及び白色紙(Leneta 3NT-31)に少量の試料を12μm厚でコーティングした。基材を10m/分で水銀灯又はLEDランプのベルトに通した。指触乾燥によって表面硬化を点検し、親指をねじって深部硬化を点検した。肉眼によって硬化前後に色を点検し比較した。
光開始剤(エマルション又は比較の分散体)をポリウレタン系樹脂と混合して均質溶液を形成した。Kハンドコーターを使用して標準黒色及び白色紙(Leneta 3NT-31)に少量の試料を12μm厚でコーティングした。基材を10m/分で水銀灯又はLEDランプのベルトに通した。指触乾燥によって表面硬化を点検し、親指をねじって深部硬化を点検した。肉眼によって硬化前後に色を点検し比較した。
(実施例1)
エマルションAのOmnirad 819DWとの比較
PUD系(ポリウレタン分散体)樹脂系UCECOAT 2806中、様々な濃度(UCECOAT 2806の質量に対して1.0質量%、2.4質量%、5.0質量%及び10.0質量%のエマルションA又はOmnirad 819DW)でエマルションA及びOmnirad 819DWの硬化性能を水銀灯の下で試験した。
エマルションAのOmnirad 819DWとの比較
PUD系(ポリウレタン分散体)樹脂系UCECOAT 2806中、様々な濃度(UCECOAT 2806の質量に対して1.0質量%、2.4質量%、5.0質量%及び10.0質量%のエマルションA又はOmnirad 819DW)でエマルションA及びOmnirad 819DWの硬化性能を水銀灯の下で試験した。
外観
濃度は、硬化樹脂の臭気又は視覚的な外観に影響がなかった。
濃度は、硬化樹脂の臭気又は視覚的な外観に影響がなかった。
表面硬化
低い光開始剤濃度(1.0質量%)で、エマルションAはOmnirad 819DWと同様の表面硬化性能を示す。濃度を2.5質量%から10質量%に増加させると、エマルションAはOmnirad 819DWより速い硬化速度を示す。更に、エマルションAは20℃及び60℃で樹脂中で安定だったが、一方Omnirad 819DWを含む樹脂において樹脂から相分離が観察された。
低い光開始剤濃度(1.0質量%)で、エマルションAはOmnirad 819DWと同様の表面硬化性能を示す。濃度を2.5質量%から10質量%に増加させると、エマルションAはOmnirad 819DWより速い硬化速度を示す。更に、エマルションAは20℃及び60℃で樹脂中で安定だったが、一方Omnirad 819DWを含む樹脂において樹脂から相分離が観察された。
図1において、Omnirad 819DW及びエマルションAは1~5%装填レベルで同様の表面硬化速度を示す。光開始剤装填パーセントを10%に増加させると、エマルションAはOmnirad 819DWより2倍速く硬化する。
エマルションAは、Omnirad 819DWと匹敵する摩擦に対する抵抗力を提示することがわかった(MEK往復摩擦試験)。
深部硬化
図2は、エマルションAが1%のレベルで、1%のOmnirad 819DWに匹敵する深部硬化速度を示すことを示す。しかしながら、光開始剤濃度を1%から10%に増加させると、エマルションAの深部硬化速度は、2m/分から10m/分に著しく増加する。エマルションA及びOmnirad 819DWの両方は2.5%装填レベルで同じ深部硬化速度を示す。より高い光開始剤濃度(5~10%)で、エマルションAはより速い深部硬化速度を与える。
図2は、エマルションAが1%のレベルで、1%のOmnirad 819DWに匹敵する深部硬化速度を示すことを示す。しかしながら、光開始剤濃度を1%から10%に増加させると、エマルションAの深部硬化速度は、2m/分から10m/分に著しく増加する。エマルションA及びOmnirad 819DWの両方は2.5%装填レベルで同じ深部硬化速度を示す。より高い光開始剤濃度(5~10%)で、エマルションAはより速い深部硬化速度を与える。
安定性
エマルションAは、Omnirad 819DWよりUCECOAT 2806中で良好な安定性を示す。5質量%のエマルションA又はOmnirad 819DWと組み合わせたUCECOAT 2806は、褐色瓶中1週間60℃で保管した。エマルションAを含む樹脂系に相分離はなかったが、一方ガラス瓶内の分離によって示されるようにOmnirad 819DWは不安定であった(参照:図3)。20℃で保管した試料としては同様の結果が一週間後に観察された。図4において、安定性の結果は、エマルションAがOmnirad 819DWより安定であることを示す。
エマルションAは、Omnirad 819DWよりUCECOAT 2806中で良好な安定性を示す。5質量%のエマルションA又はOmnirad 819DWと組み合わせたUCECOAT 2806は、褐色瓶中1週間60℃で保管した。エマルションAを含む樹脂系に相分離はなかったが、一方ガラス瓶内の分離によって示されるようにOmnirad 819DWは不安定であった(参照:図3)。20℃で保管した試料としては同様の結果が一週間後に観察された。図4において、安定性の結果は、エマルションAがOmnirad 819DWより安定であることを示す。
エマルションB、C、D及びEは、またポリウレタン分散体中で優れた安定性(相分離はない)を示す。
(実施例2)
他の光開始剤ブレンドとのエマルションAの比較
様々な光開始剤エマルション系を配合して樹脂系UCECOAT 2806又はUCECOAT 2805中の異なる光開始剤エマルション系の硬化性能の比較をした(Table 1(表6))。光開始剤系濃度(5質量%)、硬化速度(10m/分)及び光源を制御した。光重合が完了した後、MEK往復摩擦を使用して試料を試験した。
他の光開始剤ブレンドとのエマルションAの比較
様々な光開始剤エマルション系を配合して樹脂系UCECOAT 2806又はUCECOAT 2805中の異なる光開始剤エマルション系の硬化性能の比較をした(Table 1(表6))。光開始剤系濃度(5質量%)、硬化速度(10m/分)及び光源を制御した。光重合が完了した後、MEK往復摩擦を使用して試料を試験した。
上で検討したように、水銀灯下硬化で、Omnirad 819DWは深部硬化で少し遅い硬化速度を示す。しかし、他の試料はすべて、表面硬化及び深部硬化の両方で同様の硬化速度(図5)を、並びにMEK往復摩擦試験で比較可能な性能を有する。
これは、光開始剤ブレンド中に存在するノーリッシュII型ホスフィンオキシド誘導体を有するという利点を明白に例証する。
図6及び図7は、LEDランプ(それぞれUCECOAT 2806中の365nm及び395nm)の下での表面及び深部硬化を示し、エマルションAがエマルションBより速く硬化する。エマルション3及びOmnirad 819DWの表面硬化が十分に完了していなかったので(すなわち、硬化速度は、両試料とも0.5m/分より遅い)、20回通し後硬化を停止した。有効な硬化が得られた場合には、MEK往復摩擦試験結果としての差異はなかった。
このことは、エマルションAがよく硬化するが、エマルションCはそうではないので、ホスフィンI型開始剤がないと硬化を遅らせることを示す。更に、エマルションB及びOmnirad 819DWに対してエマルションAの改善された硬化速度は、光開始剤ブレンドの一部としてII型ホスフィンオキシド誘導体を使用する利益を示す。
図8及び図9は、エマルションAがホスフィンII型開始剤を含有しないOmnirad 819DWより著しく速い表面硬化を有し、なお比較可能な深部硬化を保持することを示す(それぞれUCECOAT 2805中の365nm及び395nm)。
更に、MEK摩擦性能が、UCECOAT 2805中のエマルションAはOmnirad 819DWより著しく良好であった。365nmで、エマルション4について、コーティングを貫通するのに必要な摩擦の数は2回であり、395nmでは、3回の摩擦の数がコーティングを貫通するのに必要であった。
上記の結果は、また光開始において光源波長の周知の重要性を示す。
(実施例3)
Omnirad 819DW分散体との、エマルションA、D及びEの比較
樹脂系UCECOAT 2806においてエマルションA、D及びE並びに比較分散体Omnirad 819DWの硬化性能を決定した。光開始剤系濃度(UCECOAT 2806の質量に対して2%、5%及び10質量%)を変動させた。下表及び図10に結果を示す:
Omnirad 819DW分散体との、エマルションA、D及びEの比較
樹脂系UCECOAT 2806においてエマルションA、D及びE並びに比較分散体Omnirad 819DWの硬化性能を決定した。光開始剤系濃度(UCECOAT 2806の質量に対して2%、5%及び10質量%)を変動させた。下表及び図10に結果を示す:
本発明によるエマルションA、D及びEは、比較分散体Omnirad 819 DWと同等又はより良好な硬化性能を示す。しかし、本発明によるエマルションは、Omnirad 819 DWとは違い、安定性の問題を起こしにくい。
(実施例4)
アミン相乗剤の添加
エマルションA、D及びE並びに比較分散体Omnirad 819DWの硬化性能を、アミン相乗剤(UCECOAT 2806の質量に対して15質量%のアミン変性アクリラートCN3715)を含む樹脂系UCECOAT 2806において決定した。光開始剤系濃度(UCECOAT 2806の質量に対して2%、5%及び10質量%)を変動させた。下表及び図11に結果を示す:
アミン相乗剤の添加
エマルションA、D及びE並びに比較分散体Omnirad 819DWの硬化性能を、アミン相乗剤(UCECOAT 2806の質量に対して15質量%のアミン変性アクリラートCN3715)を含む樹脂系UCECOAT 2806において決定した。光開始剤系濃度(UCECOAT 2806の質量に対して2%、5%及び10質量%)を変動させた。下表及び図11に結果を示す:
アミン相乗剤の添加は、エマルションA及びEの硬化速度を上げる。
本発明の方法及び装置は様々な様式で実施することができるが、そのうちの少数のみが上記に例証され記載されたことを認識するだろう。
Claims (33)
- 水性相に分散した有機相を含むエマルションであって、有機相が、第1のホスフィンオキシド光開始剤及び第2のホスフィンオキシド光開始剤を含むホスフィンオキシド光開始剤の液体ブレンドを含み、有機相が、有機相の質量に対して少なくとも40質量%、特に50~100質量%、とりわけ少なくとも55~90質量%、殊に60~80質量%のホスフィンオキシド光開始剤を含む、エマルション。
- エマルションの質量に対して少なくとも20質量%、特に22~60質量%、とりわけ少なくとも25質量%~55質量%、殊に30~50質量%のホスフィンオキシド光開始剤を含む、請求項1に記載のエマルション。
- 第1のホスフィンオキシド光開始剤がノーリッシュI型活性及び/又はノーリッシュII型活性、特にノーリッシュI型活性を有する、請求項1又は2に記載のエマルション。
- 第2のホスフィンオキシド光開始剤が、ノーリッシュI型活性及び/又はノーリッシュII型活性、特にノーリッシュI型活性及びノーリッシュII型活性を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載のエマルション。
- 第1のホスフィンオキシド光開始剤がモノアシルホスフィンオキシドである、請求項1から4のいずれか一項に記載のエマルション。
- 第2のホスフィンオキシド光開始剤が、モノアシルホスフィンオキシド、ジアシルホスフィンオキシド及びそれらの混合物、特にモノアシルホスフィンオキシドから選択される、請求項1から5のいずれか一項に記載のエマルション。
- 第1のホスフィンオキシド光開始剤がホスフィナート基を有する、請求項1から6のいずれか一項に記載のエマルション。
- 第2のホスフィンオキシド光開始剤がホスフィナート基を有する、請求項1から7のいずれか一項に記載のエマルション。
- R1がメチル、エチル及びn-プロピルから選択される、請求項6に記載のエマルション。
- 第2のホスフィンオキシド光開始剤が以下の式III:
R4は、C1~20アルキル、C7~C20アルキルアリール又は任意選択で置換されているフェニル若しくはポリフェニルであり;
R5、R6、R7及びR8は、独立して水素、ハロゲン、C1~20アルキル、-OR9又はCF3であり、R5、R6、R7及びR8基のうちの2つは、O、S又はNR10によって割り込まれてもよいC1~20アルキレンを一緒に形成してもよく;
R9は水素、C1~20アルキル、C2~20アルケニル、C3~C8シクロアルキル、フェニル、ベンジル、或いは1回若しくは2回以上O若しくはSによって割り込まれ、無置換であるか、又はOH及び/若しくはSHによって置換されたC2~20アルキルであり;
R10は水素、フェニル、C1~12アルキル、或いは1回若しくは2回以上O若しくはSによって割り込まれ、無置換であるか、又はOH及び/若しくはSHによって置換されたC2~20アルキルであり;
R11及びR12は、独立してC1~C20アルキル、C1~C20アルコキシ、C2~20アルケニル、C3~C8シクロアルキル、C6~C12アリール、C7~C20アルキルアリール及びC5~C9ヘテロアリールから選択される任意選択で置換されている基であり;
A及びBは独立して結合、-(CH2)n-又はC(=O)-であり;
nは1~10である)によって表される、請求項1から12のいずれか一項に記載のエマルション。 - R4がC1~12アルキル、ベンジル又は任意選択で置換されているフェニルであり;
R5、R6及びR7は独立して水素、ハロゲン、C1~12アルキル又はC1~C12アルコキシであり;
R8は水素であり;
R11及びR12は独立してC1~C12アルキル、C1~C12アルコキシ又は任意選択で置換されているフェニルであり;
A及びBは独立して結合又は-C(=O)-である、請求項13に記載のエマルション。 - 第1のホスフィンオキシド光開始剤の第2のホスフィンオキシド光開始剤に対する質量比が、10:1~3:1、特に7:1~3:1、とりわけ11:2~9:2の範囲である、請求項1から17のいずれか一項に記載のエマルション。
- 界面活性剤及び任意選択で添加剤、特にレオロジー改質剤、pH調整剤及びそれらの混合物から選択される添加剤を更に含む、請求項1から18のいずれか一項に記載のエマルション。
- 請求項1から19のいずれか一項に記載のエマルション及びエチレン型不飽和化合物を含む放射線硬化性組成物。
- 請求項1から19のいずれか一項に記載のエマルション及び不飽和ポリマー分散体又はエマルションを含む放射線硬化性組成物。
- 不飽和ポリマー分散体又はエマルションが、ポリウレタン分散体、アクリル分散体、不飽和ポリエステルエマルション又は(メタ)アクリラート官能化オリゴマー及びそれらの混合物のエマルション、特に不飽和ポリマー分散体又はエマルションがポリウレタン分散体である、請求項21に記載の放射線硬化性組成物。
- 水ベースである、請求項20から22のいずれか一項に記載の放射線硬化性組成物。
- コーティング、インク、ラッカー、ワニス、封止材、接着剤、成形物又は3D印刷組成物である、請求項20から23のいずれか一項に記載の放射線硬化性組成物。
- 硬化生成物を調製する方法であって、特にUV、近紫外線、可視光、赤外線及び/又は近赤外照射に、又は電子線に組成物を曝露することによって請求項20から24のいずれか一項に記載の組成物を硬化する工程を含む方法。
- 硬化生成物が、コーティング、インク、ラッカー、ワニス、封止材、接着剤、成形品又は3D印刷品、特に3D印刷品である、請求項25に記載の方法。
- 3D印刷品の調製のためであり、請求項20から24のいずれか一項に記載の組成物を用いて、特に層毎に又は連続的に3D用品を印刷する工程を含む、請求項25又は26に記載の方法。
- 請求項20から24のいずれか一項に記載の組成物を硬化させることにより得られた硬化生成物。
- 組成物が表面で硬化される、請求項28に記載の硬化生成物。
- 表面が木質表面である、請求項29に記載の硬化生成物。
- インク、コーティング、封止材、接着剤、成形品又は3D印刷品、特に3D印刷品である、請求項28から30のいずれか一項に記載の硬化生成物。
- 有機相を水性相中で分散させてエマルションを形成する工程であって、有機相が、第1のホスフィンオキシド光開始剤及び第2のホスフィンオキシド光開始剤を含むホスフィンオキシド光開始剤の液体ブレンドを含み、有機相が、有機相の質量に対して少なくとも40%、特に50~100%、とりわけ少なくとも55~90%、殊に60~80質量%のホスフィンオキシド光開始剤を含む、工程;並びにエマルションを、1種若しくは複数のエチレン型不飽和化合物と、又は不飽和ポリマー分散体若しくはエマルションと組み合わせる工程を含む、請求項20から24のいずれか一項に記載の組成物を調製する方法。
- コーティング、インク、ラッカー、ワニス、封止材、接着剤、成形品又は3D印刷品の調製のための、請求項20から24のいずれか一項に記載の組成物の使用。
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