JP2023516155A - ダブラフェニブ、erk阻害剤及びraf阻害剤又はpd-1阻害剤を含む三重の医薬品の組合せ - Google Patents

ダブラフェニブ、erk阻害剤及びraf阻害剤又はpd-1阻害剤を含む三重の医薬品の組合せ Download PDF

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Abstract

本発明は、ダブラフェニブ、Erk阻害剤及びRAF阻害剤を含む医薬品の組合せ;それを含む医薬組成物;並びにMAPK経路阻害が有益である状態の処置又は予防、例えば癌の処置においてこのような組合せ及び組成物を使用する方法に関する。

Description

本発明は、
(i)ダブラフェニブ若しくはその薬学的に許容される塩、Erk阻害剤(ERKi)、例えば4-(3-アミノ-6-((1S,3S,4S)-3-フルオロ-4-ヒドロキシシクロヘキシル)ピラジン-2-イル)-N-((S)-1-(3-ブロモ-5-フルオロフェニル)-2-(メチルアミノ)エチル)-2-フルオロベンズアミド(「化合物(Compound)A」若しくは「化合物(compound)A」)若しくはその薬学的に許容される塩及びRAF阻害剤、例えばN-(3-(2-(2-ヒドロキシエトキシ)-6-モルホリノピリジン-4-イル)-4-メチルフェニル)-2-(トリフルオロメチル)-イソニコチンアミド(「化合物C」)若しくはその薬学的に許容される塩;又は
(ii)ダブラフェニブ若しくはその薬学的に許容される塩、Erk阻害剤(ERKi)、例えば4-(3-アミノ-6-((1S,3S,4S)-3-フルオロ-4-ヒドロキシシクロヘキシル)ピラジン-2-イル)-N-((S)-1-(3-ブロモ-5-フルオロフェニル)-2-(メチルアミノ)エチル)-2-フルオロベンズアミド(「化合物(Compound)A」若しくは「化合物(compound)A」)若しくはその薬学的に許容される塩及びPD-1阻害剤、例えばスパルタリズマブ
を含む医薬品の組合せ;並びにそれを含む医薬組成物;それを含む商業的パッケージ;並びにMAPK経路阻害が有益である状態の処置又は予防、例えば癌の処置においてこのような組合せ及び組成物を使用する方法に関する。本発明は、結腸直腸癌(CRC)、例えばBRAF機能獲得型結腸直腸癌を含むこのような状態又は癌の処置における使用のためのこのような組合せも提供する。
MAPK経路は、細胞増殖、分化及び生存を推進する重要なシグナル伝達カスケードである。この経路の調節不全は、腫瘍化の多くの例の根底にある。MAPK経路の異常なシグナル伝達又は不適当な活性化は、複数の腫瘍タイプにおいて示されており、RAS及びBRAFにおける活性化変異を含めたいくつかの別個の機序を通して起こり得る。MAPK経路は、ヒト癌において多くの場合に変異しており、KRAS及びBRAF変異は、最も頻度が高い(概ね30%)。RAS変異、特に機能獲得型変異は、全ての癌の9~30%において検出されており、KRAS変異は、最も蔓延している(86%)。
細胞外シグナル調節キナーゼ(ERK)は、細胞及び細胞内小器官への細胞外シグナルの伝達に関与しているシグナル伝達キナーゼの1つのクラスである。ERK1及びERK2は、広範囲の活性をレギュレートすることに関与しており、ERK1/2カスケードの調節不全は、神経変性疾患、発育異常疾患、糖尿病及び癌を含めた種々の病態をもたらすことが公知である。そのシグナル伝達カスケードにおけるERK1/2の上流の活性化変異は、全ての癌の半分超について関与していると考えられるため、癌におけるERK1/2の役割は、特に重要である。さらに、過剰なERK1/2活性は、癌でも見出され、ここで、上流の構成成分は、変異しておらず、これは、ERK1/2シグナル伝達が、変異性活性化を伴わない癌においてでさえ発癌において役割を果たしていることを示唆する。ERK経路は、腫瘍細胞移動及び浸潤を制御することも示されており、このように転移と関連し得る。
プログラム死1(PD-1)タンパク質は、T細胞レギュレーターの拡張されたCD28/CTLA-4ファミリーの阻害性メンバーである。PD-1への結合によってT細胞活性化を下方制御することが示されているPD-1についての2つのリガンドである、PD-L1(B7-H1)及びPD-L2(B7-DC)が同定されている。PD-L1は、種々のヒト癌において豊富である。PD-1は、TCRシグナルを負に調節する免疫抑制タンパク質として公知である。PD-1及びPD-L1間の相互作用は、免疫チェックポイントとして作用し得、これは、例えば、腫瘍浸潤リンパ球の減少、T細胞受容体介在性増殖の減少及び/又は癌性細胞による免疫回避をもたらし得る。免疫抑制は、PD-L1又はPD-L2とのPD-1の局所相互作用を阻害することによって逆転させることができ;PD-1とPD-L2との相互作用もブロックされるとき、その効果は、相加的である。
免疫応答の調節における免疫チェックポイント経路の重要性を考慮すれば、免疫系を活性化する新規な組合せ療法を開発する必要性が存在する。特定の癌を患っている患者についての予後は、芳しくないままである。処置に対する耐性が頻繁に発生し、全ての患者が利用可能な処置に応答するとは限らない。例えば、BRAF変異を有する進行性結腸直腸癌を患っている患者についての生存中央値は、12カ月未満である。このように、より良好な臨床成績を達成する、癌を患っている患者のための新規な治療を開発することは、重要である。より良好な耐容性を示し、且つ/又は耐久性のある抗腫瘍応答を実現する処置の選択肢も望まれる。
本発明の三重の組合せ(i)ダブラフェニブ;Erk阻害剤、例えば化合物A及びRAF阻害剤、例えば化合物C;又は(ii)ダブラフェニブ、Erk阻害剤、例えば化合物A及びPD-1阻害剤、例えばスパルタリズマブは、これらに限定されないが、乳癌、胆管癌、唾液腺癌、結腸直腸癌、黒色腫、非小細胞肺癌、卵巣癌及び甲状腺癌を含めた、MAPK経路の異常な活性からもたらされる疾患又は障害の処置のための治療として使用することができる。ダブラフェニブ、Erk阻害剤、例えば化合物A及びRAF阻害剤、例えば化合物C又はダブラフェニブ、Erk阻害剤、例えば化合物A及びPD-1阻害剤、例えばスパルタリズマブの三重の組合せは、BRAF機能獲得型又はBRAF V600E/D/K変異体である進行性又は転移性結腸直腸癌を含めた結腸直腸癌(CRC)の処置において特に有用である。
本発明は、
(a)構造:
Figure 2023516155000001

を有するN-(3-(5-(2-アミノピリミジン-4-イル)-2-(tert-ブチル)チアゾール-4-イル)-2-フルオロフェニル)-2,6-ジフルオロベンゼンスルホンアミド(ダブラフェニブ)又はその薬学的に許容される塩;
(b)構造:
Figure 2023516155000002

を有する4-(3-アミノ-6-((1S,3S,4S)-3-フルオロ-4-ヒドロキシシクロヘキシル)ピラジン-2-イル)-N-((S)-1-(3-ブロモ-5-フルオロフェニル)-2-(メチルアミノ)エチル)-2-フルオロベンズアミド(化合物A)又はその薬学的に許容される塩;及び
(c)構造:
Figure 2023516155000003

を有するN-(3-(2-(2-ヒドロキシエトキシ)-6-モルホリノピリジン-4-イル)-4-メチルフェニル)-2-(トリフルオロメチル)-イソニコチンアミド(化合物C)又はその薬学的に許容される塩
を含む医薬品の組合せを提供する
本発明は、
(a)構造:
Figure 2023516155000004

を有するN-(3-(5-(2-アミノピリミジン-4-イル)-2-(tert-ブチル)チアゾール-4-イル)-2-フルオロフェニル)-2,6-ジフルオロベンゼンスルホンアミド(ダブラフェニブ)又はその薬学的に許容される塩;
(b)構造:
Figure 2023516155000005

を有する4-(3-アミノ-6-((1S,3S,4S)-3-フルオロ-4-ヒドロキシシクロヘキシル)ピラジン-2-イル)-N-((S)-1-(3-ブロモ-5-フルオロフェニル)-2-(メチルアミノ)エチル)-2-フルオロベンズアミド(化合物A)又はその薬学的に許容される塩;及び
(c)PD-1阻害剤
を含む医薬品の組合せを提供する。
本発明のさらなる態様において、PD-1阻害剤は、PDR001(スパルタリズマブ;Novartis)、ニボルマブ(Bristol-Myers Squibb)、ペムブロリズマブ(Merck&Co)、ピジリズマブ(CureTech)、MEDI0680(Medimmune)、REGN2810(Regeneron)、TSR-042(Tesaro)、PF-06801591(Pfizer)、BGB-A317(Beigene)、BGB-108(Beigene)、INCSHR1210(Incyte)又はAMP-224(Amplimmune)から選択される。
本発明のさらなる態様において、PD-1阻害剤は、PDR001(スパルタリズマブ)である。
(i)ダブラフェニブ若しくはその薬学的に許容される塩、化合物A若しくはその薬学的に許容される塩及び化合物C若しくはその薬学的に許容される塩、又は(ii)ダブラフェニブ若しくはその薬学的に許容される塩、化合物A若しくはその薬学的に許容される塩及びPD-1阻害剤、例えばスパルタリズマブの医薬品の組合せは、本明細書において「本発明の組合せ」としても言及される。
癌の処置において使用するための、例えば乳癌、胆管癌、唾液腺癌、結腸直腸癌、黒色腫、非小細胞肺癌、卵巣癌及び甲状腺癌から選択される癌において使用するための本発明の組合せが提供される。
例えば、乳癌、胆管癌、唾液腺癌、結腸直腸癌、黒色腫、非小細胞肺癌、卵巣癌及び甲状腺癌から選択される癌における使用のための、(i)ダブラフェニブ若しくはその薬学的に許容される塩、化合物A若しくはその薬学的に許容される塩及び化合物C若しくはその薬学的に許容される塩、又は(ii)ダブラフェニブ若しくはその薬学的に許容される塩、化合物A若しくはその薬学的に許容される塩及びPD-1阻害剤、例えばスパルタリズマブの医薬品の組合せが提供される。
BRAF機能獲得型又はBRAF V600E/D/K変異体である結腸直腸癌(進行性又は転移性結腸直腸癌を含む)の処置において使用するための、(i)ダブラフェニブ若しくはその薬学的に許容される塩、化合物A若しくはその薬学的に許容される塩及び化合物C若しくはその薬学的に許容される塩、又は(ii)ダブラフェニブ若しくはその薬学的に許容される塩、化合物A若しくはその薬学的に許容される塩及びPD-1阻害剤、例えばスパルタリズマブの組合せも提供される。
本明細書においてまた提供するのは、BRAF機能獲得型又はBRAFV600E/D/K変異体である、結腸直腸癌(進行性又は転移性結腸直腸癌を含む)の処置において使用するための本発明の組合せである。
本発明の組合せの別の実施形態では、ダブラフェニブ又はその薬学的に許容される塩と、化合物A又はその薬学的に許容される塩と、化合物C又はその薬学的に許容される塩とは、同じ製剤中に存在する。
本発明の組合せの別の実施形態では、ダブラフェニブ又はその薬学的に許容される塩と、化合物A又はその薬学的に許容される塩と、化合物C又はその薬学的に許容される塩とは、別々の製剤中に存在する。
別の実施形態では、本発明の組合せは、同時又は(任意の順序の)順次投与のためのものである。
別の実施形態では、本発明は、癌の処置を、それを必要とする対象において行う方法であって、対象に治療的有効量の本発明の組合せを投与することを含む方法を提供する。
方法のさらなる実施形態では、癌は、乳癌、胆管癌、唾液腺癌、結腸直腸癌、黒色腫、非小細胞肺癌、卵巣癌及び甲状腺癌から選択される。
さらなる実施形態では、本発明は、乳癌、胆管癌、唾液腺癌、結腸直腸癌、黒色腫、非小細胞肺癌、卵巣癌及び甲状腺癌から選択される癌を処置するための医薬の製造における使用のための本発明の組合せを提供する。
別の実施形態では、本発明の組合せを含む医薬組成物又は商業用パッケージ(例えば、パーツのキット)を提供する。
さらなる実施形態では、医薬組成物は、1種又は複数の薬学的に許容される添加剤をさらに含む。
HT29腫瘍細胞移植後26日目にマウスを処置群に無作為化した。処置は、26日目に開始し、腫瘍細胞移植後39日目まで続けた。腫瘍寸法及び体重は、無作為化のとき及び研究期間についてその後週2回収集した。無作為化後の日数に対する処置群の最初からの腫瘍体積(A)又は体重変化パーセント(B)をグラフ化する。群毎にN=9匹のマウスで、39日目に一元配置分散分析(ANOVA)チューキー多重比較検定を使用して腫瘍体積変化についての有意差を計算した(p<0.05、ビヒクル、単剤及び二重の組合せに対するダブラフェニブ+化合物A+トラメチニブ処置群について)。 HT29腫瘍細胞移植後28日目にマウスを処置群に無作為化した。処置は、28日目に開始し、腫瘍細胞移植後52日目まで続けた。腫瘍寸法及び体重は、無作為化のとき及び研究期間についてその後週2回収集した。無作為化後の日数に対する処置群の最初からの腫瘍体積(A)又は体重変化パーセント(B)をグラフ化する。n=4である未処置の対照群を除いて群毎にN=7匹のマウスで、52日目に一元配置分散分析(ANOVA)チューキー多重比較検定を使用して有意差を計算した(p<0.0001、未処置の対照に対する両方の組合せ処置群について)。 HCOX1329腫瘍移植後12日目にマウスを処置群に無作為化した。処置は、12日目に開始し、腫瘍移植後38日目(ビヒクル)、62日目(ダブラフェニブ+化合物A+トラメチニブ)又は67日目(ダブラフェニブ+トラメチニブ及びダブラフェニブ+トラメチニブ+セツキシマブ)まで続けた。腫瘍寸法及び体重は、無作為化のとき及び研究期間についてその後週2回収集した。無作為化後の日数に対する処置群の最初からの腫瘍体積(A)又は体重変化パーセント(B)をグラフ化する。n=4であるダブラフェニブ+化合物A+トラメチニブ群を除いて群毎にN=5匹のマウスで、38日目に一元配置分散分析(ANOVA)チューキー多重比較検定を使用して有意差を計算した(ダブラフェニブ+トラメチニブに対するダブラフェニブ+化合物A+トラメチニブについてp=0.005及びダブラフェニブ+トラメチニブ+セツキシマブに対するダブラフェニブ+化合物A+トラメチニブについてp=0.04)。
本明細書の上記及び下記で使用される一般用語は、好ましくは、本開示に関連して、他に示さない限り、下記の意味を有し、より一般の用語が使用される場合には常に、互いに独立に、より特定の定義によって置き換えられるか又はそのままであり、このように本発明のより詳細な実施形態を定義し得る。
「ダブラフェニブ」は、BRAF(V600E)、BRAF(V600K)及びBRAF(V600G)変異を阻害することができるV600における変異BRAFの選択的阻害剤である、N-(3-(5-(2-アミノピリミジン-4-イル)-2-(tert-ブチル)チアゾール-4-イル)-2-フルオロフェニル)-2,6-ジフルオロベンゼンスルホンアミドである(N-{3-[5-(2-アミノ-4-ピリミジニル)-2-(1,1-ジメチルエチル)-1,3-チアゾール-4-イル]-2-フルオロフェニル}-2,6-ジフルオロベンゼンスルホンアミド;Tafinlar(登録商標);及びN-{3[5-(2-アミノ-4-ピリミジニル)-2-(1,1-ジメチルエチル)-1,3-チアゾール-4-イル]-2-フルオロフェニル}-2,6ジフルオロベンゼンスルホンアミド、メタンスルホン酸塩としても公知である)。
「セツキシマブ」は、転移性結腸直腸癌、転移性非小細胞肺癌及び頭頸部癌の処置のために使用される上皮成長因子受容体(EGFR)阻害剤である。セツキシマブは、転移性CRCの処置においてイリノテカンと組み合わせた使用又は単独療法として承認された、上皮成長因子受容体を標的とするIgG1モノクローナル抗体である。セツキシマブは、静脈内注入によって与えられるキメラ(マウス/ヒト)モノクローナル抗体である。
「化合物A」は、細胞外シグナル調節キナーゼ(ERK)1/2の阻害剤である。「化合物A」は、4-(3-アミノ-6-((1S,3S,4S)-3-フルオロ-4-ヒドロキシシクロヘキシル)ピラジン-2-イル)-N-((S)-1-(3-ブロモ-5-フルオロフェニル)-2-(メチルアミノ)エチル)-2-フルオロベンズアミドである。化合物Aの特に好ましい塩は、その塩酸塩である。
「化合物C」、N-(3-(2-(2-ヒドロキシエトキシ)-6-モルホリノピリジン-4-イル)-4-メチルフェニル)-2-(トリフルオロメチル)-イソニコチンアミドは、BRAF及びCRAFタンパク質キナーゼのATP競争的阻害剤である。
PD-1阻害剤という用語は、PDR001を含む。PDR001は、参照によりその全体が組み込まれる「Antibody Molecules to PD-1 and Uses Thereof」という名称の2015年7月30日に公開された米国特許出願公開第2015/0210769号明細書において記載されている抗PD-1抗体分子であるスパルタリズマブとして公知である。
さらなる抗PD-1抗体分子は、下記を含む:
MDX-1106、MDX-1106-04、ONO-4538、BMS-936558又はOPDIVO(登録商標)としても公知であるニボルマブ(Bristol-Myers Squibb)。ニボルマブ(クローン5C4)及び他の抗PD-1抗体は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許第8,008,449号明細書及び国際公開第2006/121168号パンフレットにおいて開示されている;
ラムブロリズマブ、MK-3475、MK03475、SCH-900475又はKEYTRUDA(登録商標)としても公知であるペムブロリズマブ(Merck&Co)。ペムブロリズマブ及び他の抗PD-1抗体は、参照によりその全体が組み込まれるHamid,O.et al.(2013)New England Journal of Medicine 369(2):134-44、米国特許第8,354,509号明細書及び国際公開第2009/114335号パンフレットにおいて開示されている;
CT-011としても公知であるピジリズマブ(CureTech)。ピジリズマブ及び他の抗PD-1抗体は、参照によりその全体が組み込まれるRosenblatt,J.et al.(2011)J Immunotherapy 34(5):409-18、米国特許第7,695,715号明細書、米国特許第7,332,582号明細書及び米国特許第8,686,119号明細書において開示されている;
AMP-514としても公知であるMEDI0680(Medimmune)。MEDI0680及び他の抗PD-1抗体は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許第9,205,148号明細書及び国際公開第2012/145493号パンフレットにおいて開示されている;
AMP-224(B7-DCIg(Amplimmune)、例えば参照によりその全体が組み込まれる国際公開第2010/027827号パンフレット及び国際公開第2011/066342号パンフレットにおいて開示されている;
REGN2810(Regeneron);PF-06801591(Pfizer);BGB-A317又はBGB-108(Beigene);INCSHR01210又はSHR-1210としても公知であるINCSHR1210(Incyte);ANB011としても公知であるTSR-042(Tesaro);並びに例えば参照によりその全体が組み込まれる国際公開第2015/112800号パンフレット、国際公開第2016/092419号パンフレット、国際公開第2015/085847号パンフレット、国際公開第2014/179664号パンフレット、国際公開第2014/194302号パンフレット、国際公開第2014/209804号パンフレット、国際公開第2015/200119号パンフレット、米国特許第8,735,553号明細書、米国特許第7,488,802号明細書、米国特許第8,927,697号明細書、米国特許第8,993,731号明細書及び米国特許第9,102,727号明細書において記載されているものを含めたさらなる公知の抗PD-1抗体。
用語「対象」又は「患者」は、本明細書において使用する場合、癌又は癌と直接的若しくは間接的に関与している任意の障害を患うか又は苦しめられ得る動物を含むことを意図する。対象の例は、哺乳動物、例えばヒト、類人猿、サル、イヌ、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ネコ、マウス、ウサギ、ラット及びトランスジェニックなヒトではない動物を含む。一実施形態では、対象は、ヒト、例えば癌を患っているか、癌を患う危険性があるか又は潜在的に癌を患い得るヒトである。
用語「処置する」又は「処置」は、本明細書において使用する場合、対象において少なくとも1つの症状を緩和、低減若しくは軽減するか、又は疾患の進行の遅延をもたらす処置を含む。例えば、処置は、障害の1つ又はいくつかの症状の減少又は障害、例えば癌の完全な根絶であり得る。本開示の意味において、用語「処置する」は、発症を抑止し、遅延させ(すなわち疾患の臨床徴候前の期間)、且つ/又は疾患を発生若しくは悪化させる危険性を低減させることも意味する。
用語「含む」及び「含める」は、他に断らない限り、本明細書において、それらの拡張可能及び非限定的な意味で使用される。
本発明の記載に関連して(特に下記の特許請求の範囲に関連して)、用語「1つの(a)」、及び「1つの(an)」、及び「その」並びに同様の参照対象は、本明細書において他に示さない限り又は文脈によって明らかに矛盾しない限り、単数及び複数の両方を包含すると解釈される。複数形が化合物、塩などについて使用される場合、これは、単一の化合物、塩なども意味すると考えられる。
「組合せ」、又は「と組み合わせた」、又は「との同時の投与」及び同様のものにより、治療又は治療剤が同時に物理的に混合若しくは投与され、且つ/又は一緒の送達のために配合されなければならないことを暗示することを意図されないが、送達のこれらの方法は、本明細書に記載されている範囲内である。これらの組合せにおける治療剤は、1つ又は複数の他のさらなる治療又は治療剤と併行的に、その前又はその後に投与することができる。治療剤又は治療プロトコルは、任意の順序で投与することができる。一般に、各薬剤は、その薬剤のために決定した用量及び/又はタイムスケジュールで投与される。この組合せにおいて利用されるさらなる治療剤は、単一の組成物中で一緒に投与され得るか、又は異なる組成物中で別々に投与され得ることがさらに認識される。一般に、組み合わせて利用されるさらなる治療剤は、それらが個々に利用されるレベルを超えないレベルで利用されることが予想される。一部の実施形態では、組み合わせて利用されるレベルは、単剤治療法として利用されるものより低い。
投与量又は用量を本明細書において「約」で特定の量として記載するとき、実際の投与量又は用量は、記述した量から10%まで、例えば5%まで変化し得る。「約」のこの使用は、所与の用量又は剤形中の正確な量が、投与された化合物のインビボでの効果に実質的に影響を与えることなく、様々な理由のために意図する量から僅かに異なり得ることを認識する。治療化合物の用量又は投与量が本明細書において引用される場合、その量は、その遊離形態又は非溶媒和形態での治療化合物の量を指すことを当業者は理解する。
語句「治療有効量」は、本明細書において使用する場合、任意の医療処置に適用可能な合理的な利益/リスク比で、動物(ヒトを含めた)における細胞の少なくとも亜集団においていくらかの所望の治療効果を生じさせるために有効な化合物、材料又は本発明の化合物を含む組成物の量を意味する。
語句「薬学的に許容される」は、本明細書において、正しい医学的判断の範囲内において、過剰な毒性、刺激作用、アレルギー応答又は他の問題若しくは合併症を伴わずに人間及び動物の組織と接触させて使用するのに適し、合理的な利益/リスク比と釣り合うそれらの化合物、材料、組成物及び/又は剤形を指すために用いられる。
本発明の組合せであるダブラフェニブ、化合物A及び化合物C又はスパルタリズマブは、化合物の標識されていない形態及び同位体的に標識された形態を表すことも意図する。同位体標識化合物は、選択された原子質量又は質量数を有する原子によって置き換えられた1個又は複数の原子を有する。ダブラフェニブ、化合物A及び化合物C又はスパルタリズマブ中に組み込むことができる同位体の例は、水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素及び塩素の同位体、例えばそれぞれH、H、11C、13C、14C、15N、18F、31P、32P、35S、36Cl、123I、124I、125Iを含む。本発明は、例えば、その中に放射性同位体、例えばH及び14C又は非放射性同位体、例えばH及び13Cが存在する、同位体的に標識されたダブラフェニブ、化合物A及び化合物C又はスパルタリズマブを含む。同位体的に標識されたダブラフェニブ、化合物A及び化合物C又はスパルタリズマブは、代謝研究(14Cによる)、反応速度論研究(例えば、H若しくはHによる)、検出若しくはイメージング技術、例えば薬物若しくは基質組織分布アッセイを含むポジトロン放出断層撮影(PET)若しくは単光子放射型コンピューター断層撮影法(SPECT)において又は患者の放射性処置において有用である。特に、18Fで標識されたダブラフェニブ、化合物A又は化合物C又はスパルタリズマブは、PET又はSPECT研究のために特に望ましいことがあり得る。本発明の同位体標識された化合物は、一般に、当業者に公知の従来の技術により、又は適当な同位体標識された試薬を使用して添付の実施例において記載されているものと類似のプロセスにより調製することができる。
さらに、より重い同位体、特に重水素(すなわちH又はD)による置換は、より大きい代謝安定性、例えばインビボでの半減期の増加、又は投与必要量の低減、又は治療指数における改善に起因する特定の治療上の利益をもたらし得る。重水素は、これに関連して、ダブラフェニブ、化合物A又は化合物C又はスパルタリズマブの置換基と見なされることが理解される。このようなより重い同位体、特に重水素の濃度は、同位体濃縮因子によって定義することができる。本明細書で使用される場合、用語「同位体濃縮因子」とは、同位体存在度と、指定同位体の天然存在度との間の比を意味する。ダブラフェニブ、化合物A又は化合物C又はスパルタリズマブの置換基が重水素と示される場合、こうした化合物は、少なくとも3500(それぞれ指定された重水素原子における52.5%重水素の取り込み)、少なくとも4000(60%重水素の取り込み)、少なくとも4500(67.5%重水素の取り込み)、少なくとも5000(75%重水素の取り込み)、少なくとも5500(82.5%重水素の取り込み)、少なくとも6000(90%重水素の取り込み)、少なくとも6333.3(95%重水素の取り込み)、少なくとも6466.7(97%重水素の取り込み)、少なくとも6600(99%重水素の取り込み)又は少なくとも6633.3(99.5%重水素の取り込み)のそれぞれ指定された重水素原子についての同位体濃縮因子を有する。
ダブラフェニブは、RAF阻害活性を有する経口的に生物が利用可能な小分子である。化合物Aは、ERK阻害活性を有する経口的に生物が利用可能な小分子である。これは、細胞外シグナル調節キナーゼ1及び2(ERK1/2)の阻害剤である。化合物Cは、B/C-RAF阻害活性を有する経口的に生物が利用可能な小分子である。スパルタリズマブは、PD-1へのプログラム死-リガンド1(PD-L1)及びプログラム死-リガンド2(PD-L2)の結合をブロックする高親和性リガンド遮断ヒト化抗プログラム死-1(PD-1)IgG4抗体である。
一実施形態では、本発明の医薬品の組合せに関して、N-(3-(5-(2-アミノピリミジン-4-イル)-2-(tert-ブチル)チアゾール-4-イル)-2-フルオロフェニル)-2,6-ジフルオロベンゼンスルホンアミド(ダブラフェニブ)又はその薬学的に許容される塩;4-(3-アミノ-6-((1S,3S,4S)-3-フルオロ-4-ヒドロキシシクロヘキシル)ピラジン-2-イル)-N-((S)-1-(3-ブロモ-5-フルオロフェニル)-2-(メチルアミノ)エチル)-2-フルオロベンズアミド(化合物A)又はその薬学的に許容される塩;及びN-(3-(2-(2-ヒドロキシエトキシ)-6-モルホリノピリジン-4-イル)-4-メチルフェニル)-2-(トリフルオロメチル)-イソニコチンアミド(化合物C)又はその薬学的に許容される塩を含む医薬品の組合せである。
さらなる実施形態では、N-(3-(5-(2-アミノピリミジン-4-イル)-2-(tert-ブチル)チアゾール-4-イル)-2-フルオロフェニル)-2,6-ジフルオロベンゼンスルホンアミド(ダブラフェニブ)又はその薬学的に許容される塩、4-(3-アミノ-6-((1S,3S,4S)-3-フルオロ-4-ヒドロキシシクロヘキシル)ピラジン-2-イル)-N-((S)-1-(3-ブロモ-5-フルオロフェニル)-2-(メチルアミノ)エチル)-2-フルオロベンズアミド(化合物A)又はその薬学的に許容される塩及びN-(3-(2-(2-ヒドロキシエトキシ)-6-モルホリノピリジン-4-イル)-4-メチルフェニル)-2-(トリフルオロメチル)-イソニコチンアミド(化合物C)又はその薬学的に許容される塩は、別々に、同時に又は逐次的に任意の順序で投与される。
さらなる実施形態では、医薬品の組合せは、経口投与のためのものである。
医薬品の組合せのさらなる実施形態では、N-(3-(5-(2-アミノピリミジン-4-イル)-2-(tert-ブチル)チアゾール-4-イル)-2-フルオロフェニル)-2,6-ジフルオロベンゼンスルホンアミド(ダブラフェニブ)は、経口剤形におけるものである。
医薬品の組合せのさらなる実施形態では、4-(3-アミノ-6-((1S,3S,4S)-3-フルオロ-4-ヒドロキシシクロヘキシル)ピラジン-2-イル)-N-((S)-1-(3-ブロモ-5-フルオロフェニル)-2-(メチルアミノ)エチル)-2-フルオロベンズアミド(化合物A)は、経口剤形におけるものである。
医薬品の組合せのさらなる実施形態では、N-(3-(2-(2-ヒドロキシエトキシ)-6-モルホリノピリジン-4-イル)-4-メチルフェニル)-2-(トリフルオロメチル)-イソニコチンアミド(化合物C)は、経口剤形におけるものである。
別の実施形態では、(上記の実施形態のいずれかにおいて記載するような)医薬品の組合せ及び少なくとも1種の薬学的に許容される担体を含む医薬組成物又は商業的パッケージである。
別の実施形態では、癌の処置における使用のための、(上記の実施形態のいずれかにおいて記載するような)医薬品の組合せ又は(上記の実施形態において記載するような)医薬組成物若しくは商業的パッケージである。
さらなる実施形態では、癌は、乳癌、胆管癌、結腸直腸癌(CRC)、黒色腫、非小細胞肺癌、卵巣癌及び甲状腺癌から選択される。
さらなる実施形態では、癌は、進行性又は転移性結腸直腸癌である。
さらなる実施形態では、癌は、BRAF機能獲得型CRC又はBRAF V600E、V600D若しくはV600K CRCである。
別の実施形態では、癌の処置のための医薬の製造のための、上記の実施形態のいずれかによる医薬品の組合せ又は上記の実施形態による医薬組成物若しくは商業的パッケージの使用である。
さらなる実施形態では、癌は、乳癌、胆管癌、結腸直腸癌、黒色腫、非小細胞肺癌、卵巣癌及び甲状腺癌から選択され、任意選択で、癌は、進行性又は転移性結腸直腸癌であり、任意選択で、癌は、BRAF機能獲得型CRC又はBRAF V600E、V600D若しくはV600K CRCである。
別の実施形態では、乳癌、胆管癌、結腸直腸癌、黒色腫、非小細胞肺癌、卵巣癌及び甲状腺癌から選択される癌を処置する方法であって、それを必要とする患者に、上記の実施形態のいずれかの1つによる医薬品の組合せ若しくは商業的パッケージ又は上記の実施形態による医薬組成物を投与することを含む方法である。
さらなる実施形態では、結腸直腸癌は、進行性又は転移性結腸直腸癌である。
さらなる実施形態では、結腸直腸癌は、BRAF機能獲得型CRC又はBRAF V600E、V600D若しくはV600K CRCである。
さらなる実施形態では、N-(3-(5-(2-アミノピリミジン-4-イル)-2-(tert-ブチル)チアゾール-4-イル)-2-フルオロフェニル)-2,6-ジフルオロベンゼンスルホンアミド(ダブラフェニブ)は、1日当たり約1~約150mg(例えば、1日当たり1mg、2mg、5mg、10mg、50mg、100mg又は150mg)の用量で経口的に投与される。
さらなる実施形態では、N-(3-(5-(2-アミノピリミジン-4-イル)-2-(tert-ブチル)チアゾール-4-イル)-2-フルオロフェニル)-2,6-ジフルオロベンゼンスルホンアミド(ダブラフェニブ)は、75mg、BIDの用量で経口的に投与される。
さらなる実施形態では、4-(3-アミノ-6-((1S,3S,4S)-3-フルオロ-4-ヒドロキシシクロヘキシル)ピラジン-2-イル)-N-((S)-1-(3-ブロモ-5-フルオロフェニル)-2-(メチルアミノ)エチル)-2-フルオロベンズアミド(化合物A)は、1日当たり約50~約200mgの用量(例えば、1日当たり約50mg、75mg、100mg、125mg、150mg、175mg又は200mgの用量)で経口的に投与される。
さらなる実施形態では、4-(3-アミノ-6-((1S,3S,4S)-3-フルオロ-4-ヒドロキシシクロヘキシル)ピラジン-2-イル)-N-((S)-1-(3-ブロモ-5-フルオロフェニル)-2-(メチルアミノ)エチル)-2-フルオロベンズアミド(化合物A)は、100mg、QDの用量で経口的に投与される。
さらなる実施形態では、4-(3-アミノ-6-((1S,3S,4S)-3-フルオロ-4-ヒドロキシシクロヘキシル)ピラジン-2-イル)-N-((S)-1-(3-ブロモ-5-フルオロフェニル)-2-(メチルアミノ)エチル)-2-フルオロベンズアミド(化合物A)は、200mg、QDの用量で経口的に投与される。
さらなる実施形態では、N-(3-(2-(2-ヒドロキシエトキシ)-6-モルホリノピリジン-4-イル)-4-メチルフェニル)-2-(トリフルオロメチル)-イソニコチンアミド(化合物C)は、1日当たり約100mg、又は1日当たり約200mg、又は1日当たり約300mg~1日当たり約400mgの用量で経口的に投与される。
さらなる実施形態では、N-(3-(2-(2-ヒドロキシエトキシ)-6-モルホリノピリジン-4-イル)-4-メチルフェニル)-2-(トリフルオロメチル)-イソニコチンアミド(化合物C)は、200mg、BIDの用量で経口的に投与される。
一実施形態では、本発明の医薬品の組合せに関して、N-(3-(5-(2-アミノピリミジン-4-イル)-2-(tert-ブチル)チアゾール-4-イル)-2-フルオロフェニル)-2,6-ジフルオロベンゼンスルホンアミド(ダブラフェニブ)又はその薬学的に許容される塩;4-(3-アミノ-6-((1S,3S,4S)-3-フルオロ-4-ヒドロキシシクロヘキシル)ピラジン-2-イル)-N-((S)-1-(3-ブロモ-5-フルオロフェニル)-2-(メチルアミノ)エチル)-2-フルオロベンズアミド(化合物A)又はその薬学的に許容される塩;及びPD-1阻害剤又はその薬学的に許容される塩を含む医薬品の組合せである。
さらなる実施形態では、N-(3-(5-(2-アミノピリミジン-4-イル)-2-(tert-ブチル)チアゾール-4-イル)-2-フルオロフェニル)-2,6-ジフルオロベンゼンスルホンアミド(ダブラフェニブ)又はその薬学的に許容される塩、4-(3-アミノ-6-((1S,3S,4S)-3-フルオロ-4-ヒドロキシシクロヘキシル)ピラジン-2-イル)-N-((S)-1-(3-ブロモ-5-フルオロフェニル)-2-(メチルアミノ)エチル)-2-フルオロベンズアミド(化合物A)又はその薬学的に許容される塩及びPD-1阻害剤又はその薬学的に許容される塩は、別々に、同時に又は逐次的に任意の順序で投与される。
別の実施形態では、PD-1阻害剤は、抗PD-1抗体分子である。
さらなる実施形態では、PD-1阻害剤は、参照によりその全体が組み込まれる「Antibody Molecules to PD-1 and Uses Thereof」という名称の2015年7月30日に公開された米国特許出願公開第2015/0210769号明細書において記載されているような抗PD-1抗体分子である。一部の実施形態では、抗PD-1抗体分子は、BAP049-クローンE又はBAP049-クローンBである。
さらなる実施形態では、抗PD-1抗体分子は、スパルタリズマブ(PDR001)である。
一実施形態では、抗PD-1抗体分子は、表1において示すか、又は表1において示すヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列を含む重鎖及び軽鎖可変領域(例えば、表1において開示されているBAP049-クローン-E又はBAP049-クローン-Bの重鎖及び軽鎖可変領域配列)からの少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ又は6つの相補性決定領域(CDR)(又は集合的にCDRの全て)を含む。一部の実施形態では、CDRは、Kabatの定義に従う(例えば、表1において示すような)。一部の実施形態では、CDRは、Chothiaの定義に従う(例えば、表1において示すような)。一部の実施形態では、CDRは、Kabat及びChothia両方の合わせたCDRの定義に従う(例えば、表1において示すような)。一実施形態では、VH CDR1のKabat及びChothia CDRの組合せは、アミノ酸配列GYTFTTYWMH(配列番号541)を含む。一実施形態では、CDRの1つ又は複数(又は集合的にCDRの全て)は、表1において示すか、又は表1において示すヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列に対して1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ又はそれを超える変化、例えばアミノ酸置換(例えば、保存的アミノ酸置換)又は欠失を有する。
一実施形態では、抗PD-1抗体分子は、配列番号501のVHCDR1アミノ酸配列、配列番号502のVHCDR2アミノ酸配列及び配列番号503のVHCDR3アミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH);並びに配列番号510のVLCDR1アミノ酸配列、配列番号511のVLCDR2アミノ酸配列及び配列番号512のVLCDR3アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)(それぞれ表1において開示されている)を含む。
一実施形態では、抗体分子は、配列番号524のヌクレオチド配列によってコードされるVHCDR1、配列番号525のヌクレオチド配列によってコードされるVHCDR2及び配列番号526のヌクレオチド配列によってコードされるVHCDR3を含むVH;並びに配列番号529のヌクレオチド配列によってコードされるVLCDR1、配列番号530のヌクレオチド配列によってコードされるVLCDR2及び配列番号531のヌクレオチド配列によってコードされるVLCDR3(それぞれ表1において開示されている)を含むVLを含む。
一実施形態では、抗PD-1抗体分子は、配列番号506のアミノ酸配列又は配列番号506と少なくとも85%、90%、95%若しくは99%又はそれを超えて同一のアミノ酸配列を含むVHを含む。一実施形態では、抗PD-1抗体分子は、配列番号520のアミノ酸配列又は配列番号520と少なくとも85%、90%、95%若しくは99%又はそれを超えて同一のアミノ酸配列を含むVLを含む。一実施形態では、抗PD-1抗体分子は、配列番号516のアミノ酸配列又は配列番号516と少なくとも85%、90%、95%若しくは99%又はそれを超えて同一のアミノ酸配列を含むVLを含む。一実施形態では、抗PD-1抗体分子は、配列番号506のアミノ酸配列を含むVH及び配列番号520のアミノ酸配列を含むVLを含む。一実施形態では、抗PD-1抗体分子は、配列番号506のアミノ酸配列を含むVH及び配列番号516のアミノ酸配列を含むVLを含む。
一実施形態では、抗体分子は、配列番号507のヌクレオチド配列又は配列番号507と少なくとも85%、90%、95%若しくは99%又はそれを超えて同一のヌクレオチド配列によってコードされるVHを含む。一実施形態では、抗体分子は、配列番号521若しくは517のヌクレオチド配列又は配列番号521若しくは517と少なくとも85%、90%、95%若しくは99%又はそれを超えて同一のヌクレオチド配列によってコードされるVLを含む。一実施形態では、抗体分子は、配列番号507のヌクレオチド配列によってコードされるVH及び配列番号521又は517のヌクレオチド配列によってコードされるVLを含む。
一実施形態では、抗PD-1抗体分子は、配列番号508のアミノ酸配列又は配列番号508と少なくとも85%、90%、95%若しくは99%又はそれを超えて同一のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。一実施形態では、抗PD-1抗体分子は、配列番号522のアミノ酸配列又は配列番号522と少なくとも85%、90%、95%若しくは99%又はそれを超えて同一のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。一実施形態では、抗PD-1抗体分子は、配列番号518のアミノ酸配列又は配列番号518と少なくとも85%、90%、95%若しくは99%又はそれを超えて同一のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。一実施形態では、抗PD-1抗体分子は、配列番号508のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号522のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。一実施形態では、抗PD-1抗体分子は、配列番号508のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号518のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
一実施形態では、抗体分子は、配列番号509のヌクレオチド配列又は配列番号509と少なくとも85%、90%、95%若しくは99%又はそれを超えて同一のヌクレオチド配列によってコードされる重鎖を含む。一実施形態では、抗体分子は、配列番号523若しくは519のヌクレオチド配列又は配列番号523若しくは519と少なくとも85%、90%、95%若しくは99%又はそれを超えて同一のヌクレオチド配列によってコードされる軽鎖を含む。一実施形態では、抗体分子は、配列番号509のヌクレオチド配列によってコードされる重鎖及び配列番号523又は519のヌクレオチド配列によってコードされる軽鎖を含む。
本明細書に記載されている抗体分子は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許出願公開第2015/0210769号明細書に記載されているベクター、宿主細胞及び方法によって作製することができる。
Figure 2023516155000006
Figure 2023516155000007
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Figure 2023516155000011
Figure 2023516155000012
Figure 2023516155000013
Figure 2023516155000014
医薬品の組合せのさらなる実施形態では、N-(3-(5-(2-アミノピリミジン-4-イル)-2-(tert-ブチル)チアゾール-4-イル)-2-フルオロフェニル)-2,6-ジフルオロベンゼンスルホンアミド(ダブラフェニブ)は、経口剤形におけるものである。
医薬品の組合せのさらなる実施形態では、4-(3-アミノ-6-((1S,3S,4S)-3-フルオロ-4-ヒドロキシシクロヘキシル)ピラジン-2-イル)-N-((S)-1-(3-ブロモ-5-フルオロフェニル)-2-(メチルアミノ)エチル)-2-フルオロベンズアミド(化合物A)は、経口剤形におけるものである。
別の実施形態では、(上記の実施形態のいずれかにおいて記載するような)医薬品の組合せ及び少なくとも1種の薬学的に許容される担体を含む医薬組成物又は商業的パッケージである。
別の実施形態では、癌の処置における使用のための、(上記の実施形態のいずれかにおいて記載するような)医薬品の組合せ又は(上記の実施形態において記載するような)医薬組成物若しくは商業的パッケージである。
さらなる実施形態では、癌は、乳癌、胆管癌、結腸直腸癌(CRC)、黒色腫、非小細胞肺癌、卵巣癌及び甲状腺癌から選択される。
さらなる実施形態では、癌は、進行性又は転移性結腸直腸癌である。
さらなる実施形態では、癌は、BRAF機能獲得型CRC又はBRAF V600E、V600D若しくはV600K CRCである。
別の実施形態では、癌の処置のための医薬の製造のための、上記の実施形態のいずれかによる医薬品の組合せ又は上記の実施形態による医薬組成物若しくは商業的パッケージの使用である。
さらなる実施形態では、癌は、乳癌、胆管癌、結腸直腸癌、黒色腫、非小細胞肺癌、卵巣癌及び甲状腺癌から選択され、任意選択で、癌は、進行性又は転移性結腸直腸癌であり、任意選択で、癌は、BRAF機能獲得型CRC又はBRAF V600E、V600D若しくはV600K CRCである。
別の実施形態では、乳癌、胆管癌、結腸直腸癌、黒色腫、非小細胞肺癌、卵巣癌及び甲状腺癌から選択される癌を処置する方法であって、それを必要とする患者に、上記の実施形態のいずれかの1つによる医薬品の組合せ若しくは商業的パッケージ又は上記の実施形態による医薬組成物を投与することを含む方法である。
さらなる実施形態では、結腸直腸癌は、進行性又は転移性結腸直腸癌である。
さらなる実施形態では、結腸直腸癌は、BRAF機能獲得型CRC又はBRAF V600E、V600D若しくはV600K CRCである。
さらなる実施形態では、N-(3-(5-(2-アミノピリミジン-4-イル)-2-(tert-ブチル)チアゾール-4-イル)-2-フルオロフェニル)-2,6-ジフルオロベンゼンスルホンアミド(ダブラフェニブ)は、1日当たり約1~約150mg(例えば、1日当たり1mg、2mg、5mg、10mg、50mg、100mg又は150mg)の用量で経口的に投与される。
さらなる実施形態では、4-(3-アミノ-6-((1S,3S,4S)-3-フルオロ-4-ヒドロキシシクロヘキシル)ピラジン-2-イル)-N-((S)-1-(3-ブロモ-5-フルオロフェニル)-2-(メチルアミノ)エチル)-2-フルオロベンズアミド(化合物A)は、1日当たり約50~約200mgの用量(例えば、1日当たり約50mg、75mg、100mg、125mg、150mg、175mg又は200mgの用量)で経口的に投与される。
さらなる実施形態では、PD-1阻害剤は、約300~400mgの用量で投与される。
さらなる実施形態では、PD-1阻害剤は、3週間に1回又は4週間に1回投与される。
別の実施形態では、PD-1阻害剤は、約300mgの用量で3週間に1回投与される。
別の実施形態では、PD-1阻害剤は、約400mgの用量で4週間に1回投与される。
薬理学及び有用性
RAS/RAF/MEK/ERK又はマイトジェン活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)経路は、例えば、成長因子受容体チロシンキナーゼからの上流の細胞シグナルを統合し、細胞増殖、分化及び生存の調整をする重要なシグナル伝達カスケードである。MAPKシグナル伝達経路は、最も一般に遺伝子のRASファミリーのメンバーの変異を介してヒト癌において頻繁に調節不全となる。これらの変異は、GTP結合状態を促進し、RAS活性をもたらし、これは、RAF、MEK及びERKタンパク質の活性化を引き起こす。RAS変異は、結腸直腸、肺及び膵臓癌を含めた複数の癌タイプにおいて見出される。
RAF(急速進行性線維肉腫)は、レトロウイルス癌遺伝子として発見されたセリン-トレオニンタンパク質キナーゼである。タンパク質のRAFファミリー(ARAF、BRAF、CRAF)は、活性化されたRASのすぐ下流でシグナルを送る。活性化されたGTP結合RASは、サイトゾルの不活性なRAF単量体を形質膜にリクルートし、ここで、RAFは、GTP-RASに結合し、それによりRAFのホモ二量体化及びヘテロ二量体化を促進する。RAFの二量体化は、立体配座変化を促進し、これは、触媒的に活性化されたRAFをもたらす。活性化されたRAF二量体は、MEK1/2(マイトジェン活性化タンパク質キナーゼとしても公知である)タンパク質をリン酸化及び活性化し、これにより、それに続いて細胞外シグナル調節キナーゼ(ERK1/2)をリン酸化及び活性化する。ERKは、複数の転写因子を含めた種々の基質をリン酸化し、それにより増殖、代謝、移動及び生存を含むいくつかの重要な細胞活動を調節する。そのシグナル伝達カスケードにおけるERK1/2の上流の活性化変異は、全ての癌の半分超について関与していると考えられるため、癌におけるERK1/2の役割は、特に重要である。
MAPK経路におけるいずれかのステップにおける活性化の調節不全は、腫瘍化をもたらす。活性化BRAF変異は、癌の概ね7%において見出すことができ、V600Eは、BRAFにおける観察された変異の90%超の割合を占める。V600E変異は、BRAFの活性部位を曝露させるグルタミン酸置換にバリンをコードし、RASと無関係である単量体又は二量体としてその恒常的な活性化を可能とした。活性RAFの阻害剤、例えばベムラフェニブ、ダブラフェニブ及びエンコラフェニブは、50~70%の全応答率(ORR)を伴って、BRAF V600E転移性黒色腫において劇的な活性を示した。V600E黒色腫におけるこれらの阻害剤の成功は、癌細胞における発癌性を駆動するものであるRAFの変異体単量体形態に結合し、阻害する能力に由来する。しかし、野生型BRAFを発現している癌細胞において又はV600E駆動癌を有する患者の正常細胞において、阻害剤、例えばベムラフェニブは、RAFシグナル伝達を逆説的に活性化する。単量体RAF阻害剤の存在下でのMAPK経路シグナル伝達の複雑さは、そのBRAF V600E依存性黒色腫細胞が死滅する一方、野生型BRAFを含有する正常な表皮細胞が過剰増殖する患者において強調される。野生型細胞におけるRAFのこの逆説的な活性化は、RAF二量体の1つのプロトマーへの阻害剤の結合によって誘発される。これは、第2のプロトマーへの阻害剤結合を防止する立体配座変化をもたらし、二量体の第2のRAFプロトマーのトランス活性化が結果として起こる。RAF及びMEKを標的とした組合せ療法によるMAPK経路の逐次ノードにおける阻害は、正常細胞におけるRAF二量体シグナル伝達を弱め、それにより転移性BRAF V600黒色腫における安全性及び臨床活性を改善させる。
BRAF V600E結腸直腸癌(CRC)における単剤RAF阻害剤又は組合せRAF/MEK阻害は、最小の活性を示し;臨床上の利点は、黒色腫において見られる活性と比較して限定される。RAF阻害剤及びMEK阻害剤に対する固有耐性及び獲得耐性がMAPK経路の複数のレベルにおいて発生する。BRAF阻害を回避するシグナル伝達フィードバック及び代替経路の複雑さは、CRCにおいて活性化されたBRAFを標的とする課題の中心となる。生理学的条件下において、変異体BRAFを介した活性化MAPKシグナル伝達は、活性化RASを介して生じたシグナルに対するERK依存性の負のフィードバックをもたらす。薬物、例えばベムラフェニブ又はダブラフェニブは、MEKを介したERKへのBRAF V600Eシグナル伝達を効果的に阻害するため、RAF阻害に対する固有耐性が顕在化するが、しかし、これにより、ERK依存性の負のフィードバックをRASシグナル伝達中に放出する。したがって、上流シグナルは、RASを活性化させることができ、BRAF V600E並びに野生型ホモ二量体及びヘテロ二量体の誘導をもたらす。薬剤、例えばダブラフェニブ及びベムラフェニブは、BRAF依存性CRC細胞においてV600E活性化単量体を阻害するため、RAS刺激RAF二量体シグナル伝達は、妨害されず、それによりBRAF V600E黒色腫において見られるものより大きい程度までのERK再活性化がもたらされ、このようにしてCRCにおける治療の有効性が限定される。
BRAF V600E CRCにおけるBRAF及びMEK阻害の圧力下において、獲得耐性が急速に発生する。例えば、MAPK阻害後に疾患の進行を経験している8人の患者からの9つの腫瘍試料の分析において、MAPK再活性化をもたらす遺伝子変化が明らかにされた。これらには、KRAS若しくはNRASにおける活性化変異、野生型(WT)NRAS若しくはKRAS若しくは変異体BRAF V600Eの増幅及びBRAF V600Eにおける遺伝子内欠失が含まれた。MAPK阻害剤の存在にも関わらず、ERKシグナル伝達の再活性化をもたらす獲得された遺伝子変化も報告されている。獲得耐性も腫瘍微小環境における相補的シグナル伝達によって生じ得る。
BRAF変異体CRCへの従前の治療的なアプローチは、化学療法及び/又は標的療法に焦点を合わせてきたが、免疫療法が果たす役割も存在する。腫瘍化中、癌細胞は、免疫チェックポイント経路を利用して、適応免疫系による検出を回避する。プログラム細胞死タンパク質-1(PD-1)のモノクローナル抗体(mAb)阻害剤及びプログラム死-リガンド1(PD-L1)免疫学的チェックポイントは、様々な固形腫瘍を有する患者において有意な抗腫瘍活性を示している。PD-1は、特に重要な免疫学的標的であり、阻害剤、例えばペムブロリズマブ及びニボルマブは、黒色腫、非小細胞肺癌(NSCLC)及び他の固形腫瘍において単剤活性を示す。
しかし、CRCは、一般に、マイクロサテライト不安定性を有する腫瘍を例外として、PD-1遮断に対して非応答性である。しかし、免疫応答を調節する小分子阻害剤の使用についての理論的根拠が存在する。癌細胞においてMAPK経路に対する遺伝的依存性を阻害する同じ治療は、免疫細胞においてシグナル伝達カスケードを阻害する。例えば、MAPK経路阻害剤、例えばBRAF及びMEK阻害剤は、腫瘍における腫瘍浸潤リンパ球を増加させることにより、リンパ球ホーミング及び機能を改善させ得ることを前臨床研究が示した。
したがって、RAF及びMEK阻害剤は、腫瘍に対する免疫応答を調節し得、このような薬剤とチェックポイント遮断との組合せは、「免疫コールド」腫瘍、例えばCRCのPD-1阻害に対する感受性を増加し得る。さらに、BRAF変異体CRCの概ね20%は、遺伝子マイクロサテライト不安定性(MSI-H:マイクロサテライト不安定性-高)によって特性決定される。MSI-H CRCにおいて、BRAF遺伝的状態に関わりなく、単剤抗PD-1治療は、30~50%の応答率と関連付けられている。さらに、腫瘍免疫細胞における標的とするMAPK阻害は、マイクロサテライト安定性及びミスマッチ修復機構欠損CRCにおける抗PD-1抗体の作用機序を補完し、それにより抗癌免疫調節を強力に増加し得る。
肺癌は、世界中の男性及び女性に影響を与える一般のタイプの癌である。NSCLCは、最も一般のタイプ(概ね85%)の肺癌であり、これらの患者の概ね70%は、診断を行った時点で進行性疾患(ステージIIIB又はステージIV)を提示している。NSCLC腫瘍の約30%は、活性化KRAS変異を含有し、これらの変異は、EGFRチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)への耐性と関連している。活性化KRAS変異は、黒色腫、膵臓癌及び卵巣癌でも頻繁に見出される。BRAF変異は、NSCLCの3%までにおいて観察されており、またEGFR変異陽性NSCLCにおいて耐性機序として説明されている。
CRCは、一般の疾患であり、2018年において、800,000件超の死亡に加えて、世界中で180万超の新規症例があると推定される(World Health Organization,Globocan 2018)。MAPK経路の成分をコードする遺伝子における変異は、一般的であり、RAS変異は、CRCの概ね50%において起こる。BRAF V600Eをコードする遺伝子における活性化変異は、CRC患者の概ね10~15%において存在し、変異BRAFは、予後不良をもたらす。V600E変異は、BRAF変異体CRCの概ね90%において起こるが、他のもの、例えばV600D又はV600K変異も見出される。
BRAF変異体CRCについての有効な処置の選択肢は、限定されている。単剤BRAF阻害剤が転移性状況において概ね70%の応答率を生じさせた黒色腫と異なり、ベムラフェニブによる転移性BRAF変異体CRCの単剤阻害は、概ね5%のORRと関連した。MAPK経路を標的とする薬剤との組合せ療法は、BRAF阻害の有効性を改良したが、成績は、依然として芳しくない。MEK阻害剤であるトラメチニブと合わせたダブラフェニブは、12%のORR及び3.5カ月の無進行生存期間(PFS)と関連した。
CRCにおいて、成長因子によって媒介される受容体チロシンキナーゼ活性化を介したRASの刺激は発癌性環境を支援する。EGFRの阻害剤は、BRAF阻害の有効性を適度に改良し;EGFR阻害剤と合わせたBRAF阻害剤は、4~22%のORR及びPFS3.2~4.2カ月と関連した。ダブラフェニブ+トラメチニブ+パニツムマブで処置された患者は、21%のORR及び4.2カ月のPFSを経験した。第III相BEACON治験において、患者を第2選択の処置又は第3選択を超える処置における3つのアームの1つに無作為化した:イリノテカン/セツキシマブ又はFOLFIRI/セツキシマブ(対照)に対するエンコラフェニブ/ビニメチニブ/セツキシマブ、エンコラフェニブ/セツキシマブ。三つ組治療を受けた患者は、26%のORR、4.3カ月のPFS及び9カ月の全生存期間(OS)を達成した。エンコラフェニブ+セツキシマブは、20%のORR及び4.2カ月のPFS及び8.4カ月のOSと関連した。両方のレジメンは、2%のORR、1.5カ月のPFS及び5.4カ月のOSと関連するイリノテカン又はFOLFIRI/セツキシマブを超える統計的に有意な改善を達成した。RAF、MEK及びEGFRシグナル伝達の合わせた阻害によって示される改善された成績は、MAPK経路内の複数のノードの阻害がBRAF V600E CRCの処置のために必要とされるという概念を支持する。
ダブラフェニブ(Tafinlar(登録商標))は、RAFキナーゼの経口的に生物が利用可能な強力で選択的な阻害剤であり、その作用機序は、アデノシン三リン酸(ATP)結合の競争的阻害と一致する。BRAFキナーゼのいくつかの変異形態を阻害するダブラフェニブの能力は濃度依存性であり、それぞれBRAF V600E、BRAF V600K及びBRAF V600D酵素について0.65nM、0.5nM及び1.84nMのインビトロでのIC50値を伴う。野生型BRAF及びCRAFキナーゼの阻害は、それぞれ3.2nM及び5.0nMのIC50値を伴って、より高い濃度を必要とする。他のキナーゼ、例えばSIK1、NEK11及びLIMK1は、より高い濃度でも阻害し得る。ダブラフェニブは、様々なBRAF V600変異陽性腫瘍の細胞成長をインビトロ及びin インビボで阻害する。
ダブラフェニブは、BRAF V600変異を有する成人患者における切除不能又は転移性黒色腫のための単剤経口処置として2013年においてFDAによって最初に承認されたが、同じ適応症について様々な他の国において承認されている。トラメチニブと組み合わせたダブラフェニブは、下記の適応症についても複数の国で承認されている(承認された適応症は、国により異なる):BRAF V600変異を有する切除不能又は転移性黒色腫を有する患者の処置;完全な切除に続くBRAF V600変異を有するステージIII黒色腫を有する患者のアジュバント処置;BRAF V600変異を有する進行性非小細胞肺癌(NSCLC)を有する患者の処置;及びBRAF V600E変異を有する局所進行性又は転移性の未分化甲状腺癌(ATC)を有する患者の処置。
ダブラフェニブの推奨用量は、150mg、BIDである(全部で300mgの1日用量に対応する)。
化合物Aは、RAF及びMEK阻害剤又は他の標的治療剤との組合せを可能とする物理的化学的特性を示す、強力な選択的及び経口的に生物が利用可能なATP競合的ERK1/2キナーゼ阻害剤である。化合物Aは、pERKシグナル伝達を効果的に阻害し、複数のMAPK活性化癌細胞及び異種移植片モデルにおいて腫瘍成長阻害を示した。重要なことに、化合物Aは、遺伝子操作された細胞系モデルにおいて示すように、RAS変異、BRAFスプライス変異体及びMEK1/2変異を含めたBRAF及びMEK阻害剤に対する耐性の複数の公知の機序を標的とする広範な有効性を示した。化合物Aを45mg~450mg、QDで患者に投薬した。
BRAF V600E CRCにおける臨床研究は、単独での又はMEK±EGFR阻害剤と組み合わせたBRAF阻害剤の活性が不十分なMAPK経路抑制によって限定され、且つ患者において耐性の機序が最初の臨床上の利点のある状況においてでさえ急速に生じることを示した。患者の腫瘍においてMAPK経路再活性化をもたらす獲得耐性機序は、RAS、BRAF又はMEKにおいて遺伝子変化が活性化されることが主に関与する。これは、MAPKシグナル伝達に対するBRAF V600E CRCの依存に脚光を当て、且つシグナル伝達経路の最も下流のポイントであるERKの阻害が上流ノードにおいて起こる耐性を回避し得ることを示唆する。
BRAF V600E細胞系中に工学処理によって導入したRAS、RAF又はMEK耐性変異の前臨床モデルは、この概念を支持した。親BRAF V600E細胞系は、BRAF、MEK、EGFR及び/又はERK阻害剤の組合せに対して感受性であった一方、KRAS、NRAS、MEK1又はMEK2耐性変異の導入は、ERK阻害剤を含有するものを除いて、全ての阻害剤の組合せに対する遺伝子操作されたBRAF V600E細胞の感受性の減少をもたらした。さらに、マウス異種移植片における以前から存在する低頻度プールされた耐性クローンの増殖は、BRAF及びMEK阻害剤と比較して、BRAF及びERK阻害剤を含有する薬物の組合せによる処置によってより効果的に抑制された。
ダブラフェニブ+化合物Aの組合せをBRAF変異体ヒト細胞系異種移植片HT29においてインビボで試験した。ダブラフェニブ+化合物Aで処置したマウスは、臨床的に関連性のある用量でのダブラフェニブ+トラメチニブと比較して同様の抗腫瘍応答を達成した(それぞれ28%T/Cに対して36%T/C)。単剤処置は、進行性疾患をもたらし、ここで、化合物Aは、54%T/Cを達成し、ダブラフェニブは、59%T/Cを達成し、トラメチニブは、48%T/Cを達成した。全てのレジメンは、有意な体重減少がないことによって判断するように耐容性を示した。これらのデータは、ダブラフェニブ+化合物Aの組合せが、BRAF変異体結腸直腸癌を有する患者においてダブラフェニブ+トラメチニブに対するものと同様の抗腫瘍活性を達成し得、診療所におけるその使用についての理論的根拠を提供することを示唆する。
BRAF、MEK及びEGFRシグナル伝達の合わせた阻害によって示される改善された成績は、MAPK経路内の複数のノードの阻害がBRAF V600CRCの処置のために必要とされるという概念を支持する。
それにも関わらず、治療に対する固有耐性及び獲得耐性は、依然として重要な課題であり、臨床成績は、依然として芳しくない。MAPKシグナル伝達のより強固な抑制を実現し、且つMAPK経路内及びMAPK経路を超える両方の耐性の機序の複雑さに取り組む組合せ療法が果たす役割が存在する。BRAF変異体CRCを特性決定するシグナル伝達の適応型の複雑さを考慮すれば、RAF及びERKを超えたタンパク質の阻害が必要とされる。一例として、218のBRAF-V600E変異CRC腫瘍の1つの研究は、高いKRAS/mTOR/AKT/4EBP1/EMT活性化によって特性決定される腫瘍の別個のサブセットを同定する一方、細胞周期調節不全は他のサブセットを特性決定した。
標的療法の組合せ、例えばBEACON治験(Kopetzら、2019年)において研究されたものによって示される進歩にも関わらず、癌細胞においてBRAF V600発癌性駆動を遮断する能力は、1.)無駄に阻害された二量体を介してシグナルを送るRAFキナーゼの適応能力によってBRAF活性を完全に抑制することができないこと、及び2.)MAPK経路内の適応機序によってだけではなく、並列シグナル伝達経路を介して刺激される進行中のERK活性化によって限定される。ダブラフェニブ、ベムラフェニブ及びエンコラフェニブは、単量体V600Eが発癌性を駆動するものであるBRAF変異体癌細胞において、BRAF活性を効果的に抑制する。しかし、これらの薬物はまた、いくつかの機序を介してERKの逆説的な活性化をもたらし得る。
BRAF及びMEKの合わせた阻害は、経路抑制を改良するが、しかし、ERKシグナル伝達の持続性は、この治療的なアプローチの限界の根底にある。MAPK経路の究極的なシグナルであるERKの遮断は、適応性上流シグナルを回避し、改善された有効性及び獲得耐性からの回復力を提供し得る。
BRAF選択的阻害剤は、恒常的に活性化された単量体BRAF V600に対して有効であるが、しかし、RAF阻害剤に対する固有耐性及び獲得耐性は、MAPK経路の複数のレベルにおいて発生する。定常状態条件下において、BRAF V600Eを介した活性化されたMAPKシグナル伝達は、活性化されたRASを介して生じたシグナルに対するERK依存性の負のフィードバックをもたらす。薬物、例えばダブラフェニブは、MEKを介したERKへの単量体BRAF V600Eシグナル伝達を効果的に阻害するため、BRAF V600CRCにおいて、RAF阻害に対する固有耐性が顕在化するが、しかし、これは、ERK依存性の負のフィードバックをRASシグナル伝達に放出する。したがって、例えば、上皮成長因子受容体(EGFR)を介した上流シグナルは、RASを活性化することができる。これは、MEKにシグナルを送るWT及びBRAF-V600E、CRAF及びBRAF-V600E並びにARAF及びBRAF-V600Eのホモ二量体及びヘテロ二量体を含めたBRAF V600E並びに野生型ホモ二量体及びヘテロ二量体の誘導をもたらす。さらに、阻害剤は、1つのみのRAFパートナーに結合する一方、他の非結合の二量体パートナーは、下流シグナル伝達を刺激することにおいて触媒活性であるように、RAF阻害剤、例えばダブラフェニブは、RAFファミリーメンバーのホモ及びヘテロ二量体化をアロステリックに促進する。
したがって、薬剤、例えばダブラフェニブは、BRAF依存性CRC細胞におけるV600E単量体を標的とし、RAS刺激二量体シグナル伝達は、妨害されないままである。これは、BRAF V600E黒色腫において見られるものより大きい程度までERK再活性化をもたらし、このようにしてCRCにおける治療の有効性が限定される。さらに、CRAFは、BRAF阻害剤処置に続いて逆説的な活性化を媒介することにおいて重要な役割を果たす。このように、CRAF及びBRAFの活性を強力に阻害するRAF阻害剤、例えば化合物Cは、BRAF変異体腫瘍及びRAS駆動適応性MAPK活性化を遮断することにおいて有効であり得る。治療への耐性におけるCRAFの役割は、三重の組合せにおいてBRAF及びCRAFの両方を阻害する薬剤を含むことについての理論的根拠の根底にある。
ダブラフェニブ+化合物A+化合物Cの三重の組合せは、BRAF V600駆動癌細胞における固有耐性及び獲得耐性の機序を固有に標的とする潜在力を利用することにより、BRAF V600E/K/D結腸直腸癌におけるMAPK経路を阻害することができる。
単剤チェックポイント遮断は、マイクロサテライト安定性CRCの処置において有効ではないが、抗PD-1抗体によるMSI-H CRCの処置は、31~50%の応答率と関連付けられている。BRAF V600E CRCの概ね21%は、MSI-H状態を示し得るが、マイクロサテライト不安定性は、この疾患におけるMAPK-標的療法に対する応答性を調節するように思われない。したがって、MSI-H BRAF V600E CRCを有する対象は、RAF/MEK/ERK標的療法又はチェックポイント遮断に応答し得る。MSI-H BRAF変異体CRCにおける発癌性BRAF及び免疫療法応答性の同時に起こる特色に取り組むことにより、MAPK経路阻害とチェックポイント遮断との組合せは、いずれかのカテゴリーの治療単独で達成される成績を改良する潜在力を有する。
さらに、標的小分子阻害剤は、免疫微小環境を調節し得る。例えば、前臨床研究は、MAPK経路阻害剤が、腫瘍における腫瘍浸潤リンパ球を増加させ、上方制御された免疫抑制性サイトカインを減少させ、且つ癌の免疫寛容に一般に対抗することにより、リンパ球ホーミング及び機能を改善させ得ることを示した。さらに、BRAF-MAPKシグナル伝達経路は、ヒト黒色腫細胞における癌免疫回避に不可欠である。したがって、RAF及びMEK阻害剤は、腫瘍に対する免疫応答を調節することができ、このような薬剤とチェックポイント遮断との組合せは、「免疫コールド」腫瘍、例えばマイクロサテライト安定性CRCの、PD-1阻害に対する感受性をさらに増加させることができる。
ダブラフェニブ+化合物A+スパルタリズマブの三重の組合せは、BRAF V600駆動癌細胞における固有耐性及び獲得耐性の機序を固有に標的とする潜在力を利用することにより、BRAF V600E/K/D結腸直腸癌におけるMAPK経路を阻害することができる。
医薬組成物
別の態様において、本発明は、1種又は複数の薬学的に許容される担体(添加物)及び/又は賦形剤と一緒に製剤化される、治療有効量のダブラフェニブ、化合物A及び化合物Cを含む薬学的に許容される組成物を提供する。以下に詳細に記載するように、本発明の医薬組成物は、経口投与のために適応させたもの、例えば水薬(水溶液又は非水溶液又は懸濁液)、錠剤、例えば口腔内頬側、舌下及び全身的吸収を標的としたもの、ボーラス、散剤、顆粒剤、舌への適用のためのペースト剤を含めて、固体又は液体形態で投与のために特に製剤化され得る。
語句「薬学的に許容される担体」は、本明細書において使用する場合、薬学的に許容される材料、組成物又はビヒクル、例えば液体若しくは固体充填剤、賦形剤、添加剤、製造助剤(例えば、滑沢剤、タルクマグネシウム、カルシウム若しくはステアリン酸亜鉛若しくはステアリン酸)又は1つの器官若しくは体の部分から別の器官若しくは体の部分に対象化合物を運搬若しくは輸送することに関与する溶媒封入材料を意味する。各担体は、製剤の他の成分と適合性であり、患者にとって傷害性でないという意味で「許容され」なくてはならない。薬学的に許容される担体としての役割を果たすことができる材料のいくつかの例は、(1)糖、例えばラクトース、グルコース及びスクロース;(2)デンプン、例えばトウモロコシデンプン及びバレイショデンプン;(3)セルロース及びその誘導体、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース及び酢酸セルロース;(4)トラガカント粉末;(5)麦芽;(6)ゼラチン;(7)タルク;(8)添加剤、例えばカカオバター及び坐剤ワックス;(9)油、例えばピーナッツ油、綿実油、サフラワー油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油及びダイズ油;(10)グリコール、例えばプロピレングリコール;(11)ポリオール、例えばグリセリン、ソルビトール、マンニトール及びポリエチレングリコール;(12)エステル、例えばオレイン酸エチル及びラウリン酸エチル;(13)寒天;(14)緩衝剤、例えば水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウム;(15)アルギン酸;(16)発熱物質を含まない水;(17)等張食塩水;(18)リンゲル液;(19)エチルアルコール;(20)pH緩衝液;(21)ポリエステル、ポリカーボネート及び/又はポリ酸無水物;並びに(22)医薬製剤において用いられる他の無毒性の適合性物質を含む。
上記で示したように、本化合物の特定の実施形態は、塩基性官能基、例えばアミノ又はアルキルアミノを含有し得、したがって薬学的に許容される酸と共に薬学的に許容される塩を形成することができる。用語「薬学的に許容される塩」は、この点において、本発明の化合物の相対的に無毒性の無機及び有機の酸付加塩を指す。これらの塩は、投与ビヒクル若しくは剤形製造プロセスにおいてインサイチューで、又はその遊離塩基の形態の本発明の精製された化合物と適切な有機酸若しくは無機酸とを別々に反応させ、それに続く精製中にこのように形成された塩を単離することによって調製することができる。代表的な塩は、臭化水素酸塩、塩酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、リン酸塩、硝酸塩、酢酸塩、吉草酸塩、オレイン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、ラウリン酸塩、安息香酸塩、乳酸塩、リン酸塩、トシル酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、ナプシル酸塩、メシル酸塩、グルコヘプトン酸塩、ラクトビオン酸塩及びラウリルスルホン酸塩などを含む。
対象化合物の薬学的に許容される塩は、例えば、無毒性の有機酸又は無機酸からの、化合物の通常の無毒性塩又は第四級アンモニウム塩を含む。例えば、こうした通常の無毒性塩は、無機酸、例えばヒドロクロリド、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸などに由来するもの;及び有機酸、例えば酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パルミチン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2-アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸などから調製した塩を含む。
他の場合、本発明の化合物は、1個又は複数の酸性官能基を含有し得、したがって薬学的に許容される塩基と共に薬学的に許容される塩を形成することができる。用語「薬学的に許容される塩」は、これらの場合、本発明の化合物の相対的に無毒性の無機及び有機の塩基付加塩を指す。これらの塩は、同様に、投与ビヒクル若しくは剤形製造プロセスにおいてインサイチューで、又はその遊離酸の形態の精製された化合物と、適切な塩基、例えば薬学的に許容される金属カチオンの水酸化物、炭酸塩若しくは炭酸水素塩、アンモニア又は薬学的に許容される有機第一級、第二級若しくは第三級アミンとを別々に反応させることによって調製することができる。代表的なアルカリ又はアルカリ土類塩は、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム及びアルミニウム塩などを含む。塩基付加塩の形成のために有用な代表的な有機アミンは、エチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペラジンなどを含む。
ダブラフェニブの特に好ましい塩は、そのメシル酸塩である。化合物Aの特に好ましい溶媒和物は、その塩酸塩である。化合物Cの特に好ましい形態は、遊離塩基結晶形態である。
また、湿潤剤、乳化剤及び潤滑剤、例えばラウリル硫酸ナトリウム及びステアリン酸マグネシウム並びに着色剤、剥離剤、コーティング剤、甘味料、香味及び芳香剤、防腐剤及び抗酸化剤が組成物に存在し得る。
薬学的に許容される抗酸化剤の例として、(1)アスコルビン酸、塩酸システイン、重硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなどの水溶性抗酸化剤;(2)パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、α-トコフェノールなどの油溶性抗酸化剤;並びに(3)クエン酸、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸などの金属キレート剤が挙げられる。
本発明の製剤は、経口、鼻内、局所(口腔及び舌下を含む)、直腸、膣及び/又は非経口投与に好適なものが挙げられる。製剤は、好都合には、単位剤形で存在し得、調剤の分野でよく知られる任意の方法により調製することができる。担体材料と組み合わせて単一の剤形を生成することができる活性成分の量は、処置を受ける宿主、投与の特定のモードによって変化する。担体材料と組み合わせて単一の剤形を生成することができる活性成分の量は、一般に、治療効果を生じさせる化合物のその量である。一般に、100パーセントのうち、この量は、活性成分の約0.1パーセント~約99パーセント、好ましくは約5パーセント~約70パーセント、最も好ましくは約10パーセント~約30パーセントの範囲である。
特定の実施形態では、本発明の製剤は、シクロデキストリン、セルロース、リポソーム、ミセル形成剤、例えば胆汁酸及びポリマー担体、例えばポリエステル及びポリ酸無水物からなる群から選択される添加剤;並びに本発明の化合物を含む。特定の実施形態では、上記の製剤は、本発明の化合物を経口的に生物が利用可能なものとする。
これらの製剤又は組成物を調製する方法は、本発明の化合物を担体、任意選択で1種又は複数の副成分と結合させるステップを含む。一般に、製剤は、本発明の化合物を液体担体若しくは微粉化した固体担体と、又はその両方と均質且つ密接に結合させ、その後、必要に応じて生成物を成形する。
経口投与に好適な本発明の製剤は、カプセル、カシェ、丸薬、錠剤、ロゼンジ(着香ベース、例えば、通常、スクロース及びアカシアガム若しくはトラガカントを用いて)、粉末、顆粒の形態、又は水性若しくは非水性液体中の溶液、懸濁液若しくは固体分散体として、又は水中油形若しくは油中水形エマルジョンとして、又はエリキシル若しくはシロップとして、又は香錠(ゼラチン及びグリセリン若しくはスクロース及びアカシアガムなどの不活性基材を用いて)及び/又はマウスウォッシュなどとして存在し得、これらは、それぞれ活性成分として所定量の本発明の化合物を含有する。本発明の化合物は、ボーラス、舐剤又はペーストとしても投与され得る。
経口投与のための本発明の固体剤形(カプセル剤、錠剤、丸剤、糖衣錠、散剤、顆粒剤、トローチ剤など)において、活性成分を1種又は複数の薬学的に許容される担体、例えばクエン酸ナトリウム若しくは第二リン酸カルシウム並びに/又は下記のいずれかと混合する:(1)充填剤又は増量剤、例えばデンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール及び/又はケイ酸;(2)結合剤、例えばカルボキシメチルセルロース、アルギネート、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース及び/又はアカシア;(3)保湿剤、例えばグリセロール;(4)崩壊剤、例えば寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモ又はタピオカデンプン、アルギン酸、特定のシリケート及び炭酸ナトリウム;(5)溶解遅延剤、例えばパラフィン;(6)吸収促進剤、例えば第四級アンモニウム化合物及び界面活性剤、例えばポロキサマー及びラウリル硫酸ナトリウム;(7)湿潤剤、例えばセチルアルコール、モノステアリン酸グリセロール及び非イオン性界面活性剤;(8)吸収剤、例えばカオリン及びベントナイトクレイ;(9)滑沢剤、例えばタルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸及びこれらの混合物;(10)着色剤;並びに(11)制御放出剤、例えばクロスポビドン又はエチルセルロース。カプセル、錠剤及び丸薬の場合、医薬組成物は、緩衝剤も含み得る。類似のタイプの固体組成物は、ラクトース又は乳糖、さらに高分子量ポリエチレングリコールなどといった賦形剤を用い、軟質及び硬質シェルゼラチンカプセルにおける充填剤としても使用され得る。
錠剤は、任意選択で1種又は複数の補助成分と一緒に圧縮又は成形によって製造することができる。圧縮錠剤は、結合剤(例えば、ゼラチン若しくはヒドロキシプロピルメチルセルロース)、潤滑剤、不活性希釈剤、防腐剤、崩壊剤(例えば、グリコール酸ナトリウムデンプン若しくは架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム)、界面活性剤又は分散剤を使用して調製することができる。成形錠剤は、不活性液体希釈剤で湿らせた粉末状化合物の混合物を好適な機械で成形することによって製造することができる。
本発明の医薬組成物の錠剤及び他の固体剤形、例えば糖衣錠、カプセル、丸薬及び顆粒)は、任意選択で、刻み目を入れられ得、コーティング及び殻(例えば、腸溶性コーティング及び医薬製剤化分野で公知の他のコーティング)を備えて調製され得る。これらは、例えば、所望の放出プロフィールを提供するための様々な割合のヒドロキシプロピルメチルセルロース、他のポリマーマトリクス、リポソーム及び/又はミクロスフェアを用いて、活性成分の徐放又は制御放出を達成するようにも製剤化され得る。これらは、急速放出のために製剤化、例えば凍結乾燥され得る。これらは、例えば、細菌保持フィルタを介した濾過により、又は使用直前に、滅菌水若しくはいくつかの他の滅菌注射用媒体中に溶解させることができる滅菌固体組成物の形態で滅菌剤を含有させることにより、滅菌することができる。これらの組成物は、任意選択で、不透明化剤も含み得、それらは、活性成分のみを又は好ましくは胃腸管の特定の部分において任意選択で遅延するように放出する組成物であり得る。使用することができる埋込用組成物の例は、ポリマー物質及びワックスを含む。活性成分は、必要に応じて、前述した賦形剤の1種又は複数を含むマイクロカプセル化形態でもあり得る。
本発明の化合物の経口投与のための液体剤形としては、薬学的に許容されるエマルジョン、マイクロエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップ及びエリキシルが挙げられる。活性成分に加えて、液体剤形は、当技術分野で一般に使用される不活性希釈剤、例えば水又は他の溶媒など、可溶化剤及び乳化剤、例えばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコールなど、油(特に綿実油、落花生油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油及びゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコール及びソルビタンの脂肪酸エステル並びにこれらの混合物を含み得る。
不活性希釈剤の他に、経口用組成物は、湿潤剤、乳化剤及び懸濁剤、甘味料、香味料、着色剤、芳香剤及び防腐剤などの補助剤を含み得る。
懸濁液は、活性化合物に加えて、懸濁剤、例えばエトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトール及びソルビタンエステル、微結晶性セルロース、メタ水酸化アルミニウム(aluminum metahydroxide)、ベントナイト、寒天及びトラガカントガム並びにこれらの混合物を含み得る。
本発明の医薬組成物に使用することができる好適な水性及び非水性担体の例として、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)及びそれらの好適な混合物、オリーブ油などの植物油、オレイン酸エチルなどの注射用有機エステルが挙げられる。適正な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティング材料の使用により、分散液の場合には要求される粒度の維持により、さらに界面活性剤の使用によって維持することができる。
これらの組成物は、防腐剤、湿潤剤、乳化剤及び分散剤などの補助剤を含有し得る。対象化合物に対する微生物の作用の予防は、様々な抗菌剤及び抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸などの含有によって確実にすることができる。また、糖、塩化ナトリウムなどの等張剤を組成物に含有させることが望ましい場合もある。
本発明の化合物が医薬品としてヒト及び動物に投与されるとき、これらは、それ自体で、又は薬学的に許容される担体と組み合わされた、例えば0.1~99%(より好ましくは、10~30%)の活性成分を含有する医薬組成物として与えることができる。
本発明の化合物及び/又は本発明の医薬組成物は、当業者に周知の通常の方法により、薬学的に許容される剤形に製剤化される。
本発明の医薬組成物中の活性成分の実際の投与レベルは、患者に対して毒性とならずに、特定の患者、組成物及び投与様式について所望の治療応答を達成する上で有効な活性成分の量を達成するために変動し得る。
選択される投与レベルは、様々な要因に応じて変動し得、こうした要因として、使用する本発明の特定の化合物又はそのエステル、塩若しくはアミドの活性、投与経路、投与時間、使用する特定の化合物の排出又は代謝速度、吸収の速度及び程度、治療期間、使用する特定の化合物と組み合わせて使用される他の薬物、化合物及び/又は材料、治療対象の患者の年齢、性別、体重、病状、健康状態及び過去の病歴並びに医療分野で公知の同様の要因が挙げられる。
当技術分野の通常の技術を有する医師又は獣医は、必要な医薬組成物の有効量を容易に決定し、処方することができる。例えば、医師又は獣医は、要望される治療効果を達成するために必要なレベルより低いレベルにおいて、医薬組成物に使用する本発明の化合物の用量を開始し、要望される効果が達成されるまで投薬量を漸増することができる。
一般に、本発明の組合せの好適な1日用量は、治療効果をもたらすのに有効な最も低い用量である各化合物の量となる。こうした有効量は、一般に、前述した要因に左右される。
別の態様において、本発明は、1種又は複数の薬学的に許容される担体(添加物)及び/又は希釈剤と一緒に製剤化された、治療有効量の上記のような対象化合物の1つ又は複数を含む薬学的に許容される組成物を提供する。
実施例1
ダブラフェニブ、化合物A及び化合物C
ダブラフェニブは、国際公開第2009/137391号パンフレットの実施例58aに従って合成される。化合物Aは、国際公開第2015/066188号パンフレットの実施例184に従って合成される。化合物Cは、国際公開第2014/151616号パンフレットの実施例1156に従って合成される。国際公開第2009/137391号パンフレット、国際公開第2015/066188号パンフレット及び国際公開第2014/151616号パンフレットは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。本明細書に記載されているダブラフェニブ、化合物A及び化合物Cの組合せの有用性は、下記の実施例において試験することによって証明することができる。
実施例2
ヌードマウスにおけるヒトBRAF変異体CRC異種移植片モデルHT29におけるMAPK経路阻害剤の組合せ有効性
ダブラフェニブ(DRB436):BRAF(V600E)、BRAF(V600K)及びBRAF(V600G)変異を阻害することができるV600における変異BRAFの選択的阻害剤。化合物A:選択的ATP競合的ERK1及びERK2キナーゼ阻害剤。化合物C:BRAF及びCRAFのATP競争的阻害剤。ダブラフェニブをpH8の脱イオン水中のビヒクル:0.5%HPMC+0.2%Tween80中でp.o.投薬した。化合物Aを、酸でpH4.0に調節したpH7.4のリン酸緩衝液中のビヒクル:0.5%HPC/0.5%Pluronic F127中でp.o.投薬した。化合物C(遊離塩基結晶形態、粉末形態)をMEPC4ビヒクル(45%Cremophor RH40+27%PEG400+18%Capmul MCM C8+10%エタノール)中でp.o.投薬した。
HT29ヒト結腸直腸癌(CRC)腫瘍細胞系は、ATCCから購入し、Novartis Cell Line Encyclopedia(CLE)細胞系収集物に含めた。系は、IMPACT-VIII PCRアッセイパネル(Research Animal Diagnostic Laboratory(RADIL),University of Missouri,Columbia,MO)においてマイコプラズマ属の種(Mycoplasma sp.)及びマウスウイルスを非含有であることが示された。5%二酸化炭素を含有する加湿雰囲気下で37℃において、EMEM(Lonza、#12-611F)+10%FBS(Gibco、#26140-079)(56℃、30分間、不活化)中に細胞を維持した。0.25%トリプシン-EDTA(Gibco、#25200-056)によって80~95%コンフルエンスで細胞を収集し、成長培地で中和し、1200rpmでの5分間の遠心分離後、それに続いて冷たいHBSS(Gibco、#14175-095)での細胞ペレットの再懸濁を行い、次いで等しい容量のMatrigel(商標)マトリックス(Corning、#354234)と混合し、10×10個の細胞/mLの最終濃度を調製した。次いで、200μl(2×10個の細胞)を雌性ヌードマウスの右側腹部の皮下に移植した。腫瘍体積は、カリパスによる測定によって決定し、式(腫瘍体積(TV)(mm)=(l×w)/2、式中、lは、腫瘍の最も長い軸であり、wは、lに垂直である)を使用して計算した。マウスを腫瘍成長及び体重について週2回モニターした。動物の満足のいく状態並びに毛づくろい及び歩行運動を含めた挙動を週2回モニターした。マウスの身体全体の健康を毎日モニターした。
HCOX1329CRC患者由来の腫瘍異種移植片(PDX)をヌードマウスにおける腫瘍スラリーの連続継代によって増殖させた。手短に言えば、従前の継代からの新鮮な腫瘍の断片を、gentleMACS Dissociator(MACS(Miltenyi Biotec、#120-005-331)を使用してホモジナイズし、組織グラインダー(Chemglass lifeSciences、#CLS-5020-085)を通過させ、PBSで希釈した。次いで、100μlの腫瘍スラリー中の4×10個の細胞を雌性ヌードマウスの右側腹部の皮下に継代7として移植した。腫瘍体積をカリパスによる測定によって決定し、式(腫瘍体積(TV)(mm)=(l×w)/2、式中、lは、腫瘍の最も長い軸であり、wは、lと直角である)を使用して計算した。マウスを腫瘍成長及び体重について週2回モニターした。動物の満足のいく状態並びに毛づくろい及び歩行運動を含めた挙動を週2回モニターした。マウスの身体全体の健康を毎日モニターした。
各モデルについての有効性研究デザインを表1、表2及び表3において記載する。試験剤を10mL/kgの用量体積投薬したが、これは、体重によって調節した。腫瘍寸法及び体重は、無作為化のとき及び研究期間についてその後週2回収集した。
Figure 2023516155000015
Figure 2023516155000016
Figure 2023516155000017
体重の変化パーセントを(BW現在-BW最初)/(BW最初)×100%として計算した。データは、処置開始の日からの平均体重変化パーセント±SEMとして提示する。
腫瘍体積:処置/対照パーセント(T/C%)値は、下記の式を使用して計算した:△T≧0である場合、T/C%=100×△T/△C;△T<0である場合、退縮%=100×△T/T最初;式中、
T=研究の最終日における薬物処置群の平均腫瘍体積;
△T=研究の最終日における薬物処置群の平均腫瘍体積-投薬の最初の日における薬物処置群の平均腫瘍体積;
最初=投薬の最初の日における薬物処置群の平均腫瘍体積;
C=研究の最終日における対照群の平均腫瘍体積;及び
△C=研究の最終日における対照群の平均腫瘍体積-投薬の最初の日における対照群の平均腫瘍体積。
全てのデータは、平均±平均値の標準誤差(SEM)として表した。腫瘍体積及び体重における変化パーセントを統計解析のために使用した。一元配置ANOVA、それに続いてチューキー多重比較検定を使用して群間比較を行った。全ての統計的評価のために、有意水準をp<0.05に設定した。
MAPK経路阻害剤の抗腫瘍有効性を、胸腺欠損のヌードマウスにおいてBRAF変異体HT29ヒトCRC異種移植片モデルを使用した2つの研究において調査した。第1の研究において(表1)、ビヒクル処置した腫瘍が処置開始の13日後に容積>1000mmを達成するまで、マウスを表1に記載したようなMAPK経路阻害剤の単剤又は組合せで処置した。移植の39日目後(処置開始の13日後)、T/C%又は退縮%を評価することによって抗腫瘍活性を決定した。処置開始の13日後の抗腫瘍活性、腫瘍体積の平均変化、体重の平均変化及び生存を表3において報告する。処置後の腫瘍体積及び体重変化を図1にプロットする。化合物A、ダブラフェニブ又はトラメチニブによる毎日の単剤処置は、ビヒクル処置群と比較したとき、それぞれ54%T/C、59%T/C又は48%T/Cを達成した。化合物A+ダブラフェニブの合わせた抗腫瘍活性(35%T/C)は、トラメチニブ+ダブラフェニブの組合せによって達成された抗腫瘍活性(28%T/C)と同様であり、両方の組合せの抗腫瘍活性は、ダブラフェニブ処置と比較したときに有意に異なった(ダブラフェニブに対するダブラフェニブ+トラメチニブについてp=0.0037;ダブラフェニブに対するダブラフェニブ+化合物Aについてp=0.03)が、トラメチニブ又は化合物A処置と比較したときに有意に異ならなかった。比較すると、化合物A+ダブラフェニブ+トラメチニブの三重の組合せは、ビヒクル、全ての単剤及びそれぞれの二重組合せ群と比較したとき、有意な(p<0.05)抗腫瘍活性(3%T/C)を達成した(表1及び図1)。全ての処置群は、2週間の研究の終わりにおいて最小の体重減少(10%未満)を伴って良好な耐容性を示し;毒性又は死亡の徴候は、観察されなかった(図1)。
第2の研究において、ダブラフェニブ+トラメチニブ+化合物Aの三重の組合せの活性をダブラフェニブ+化合物A+化合物Cの三重の組合せと比較した。処置開始の24日後にビヒクル処置された腫瘍が容積>1000mmを達成するまで、マウスを表2において記載する用量及びレジメンで処置した。抗腫瘍活性は、移植の52日目後(処置開始の24日後)にT/C%又は退縮%を評価することによって決定した。処置開始の24日後の抗腫瘍活性、腫瘍体積の平均変化、体重の平均変化及び生存を表4において報告する。
Figure 2023516155000018
Figure 2023516155000019
処置後の腫瘍体積及び体重変化を図2にプロットする。化合物A+トラメチニブ+ダブラフェニブの合わせた抗腫瘍活性(14%T/C)は、同様であり、化合物A+化合物C+ダブラフェニブによって達成される抗腫瘍活性(5%T/C)と比較したときに有意差があるとはいえなかった(p=0.38)。両方の組合せの抗腫瘍活性は、未処置の対照群と比較したときに有意に改善した(未処置の対照群に対して両方の群についてp<0.0001)(表4及び図2)。全ての処置群は、研究の終わりにおいて最小の体重減少(10%未満)を伴って良好な耐容性を示し;毒性又は死亡の徴候は、観察されなかった(図2)。
次に、MAPK経路阻害剤の抗腫瘍有効性を、胸腺欠損のヌードマウスにおけるBRAF変異患者由来のCRC異種移植片モデルHCOX1329において調査した。ビヒクル処置した腫瘍が容積>1000mmを達成するか、又はMAPK経路阻害剤の処置開始の62~67日後まで、マウスを表3において記載するようなビヒクル又はMAPK経路阻害剤の組合せで処置した。抗腫瘍活性は、移植の38日目後(処置開始の26日後)にT/C%又は退縮%を評価することによって決定したが、この時点においてビヒクルで処置したマウスを屠殺し、MAPK経路阻害剤で処置したマウスをさらに24~29日処置し、移植の62日後(ダブラフェニブ+化合物A+トラメチニブ)又は67日後(ダブラフェニブ+トラメチニブ及びダブラフェニブ+トラメチニブ+セツキシマブ)に屠殺した。処置開始の26日後の抗腫瘍活性、腫瘍体積における平均変化、体重における平均変化及び生存を表4において報告する。26~55日の処置後の腫瘍体積及び体重変化を図3にプロットする。ダブラフェニブ+トラメチニブの合わせた抗腫瘍活性(17%T/C)は、トラメチニブ+ダブラフェニブ+セツキシマブによって達成される抗腫瘍活性(13%T/C)と比較したときに同様であり、統計的に有意でなかった(p=0.68)。比較すると、化合物A+ダブラフェニブ+トラメチニブの三重の組合せは、腫瘍退縮(70%退縮)を達成したが、これは、ダブラフェニブ+トラメチニブ(p=0.005)又はダブラフェニブ+トラメチニブ+セツキシマブの組合せ(p=0.04)の両方と比較して有意に異なった(表4及び図3)。全ての処置群は、2週間の研究の終わりに最小の体重減少(10%未満)を伴って良好な耐容性を示し;毒性又は死亡の徴候は、観察されなかった(図3)。
MAPK経路阻害剤の組合せのインビボでの活性をBRAF変異体CRC腫瘍異種移植片においてプロファイルした。ヒトBRAF変異細胞系由来の異種移植片HT29において、ダブラフェニブ+トラメチニブの合わせた活性は、ダブラフェニブ+化合物Aのものと同様であり、それぞれの単剤と比較したときに適度により良好であった。比較すると、ダブラフェニブ+化合物A+トラメチニブ又はダブラフェニブ+化合物A+化合物Cの三重の組合せは、この異種移植片モデルにおいて有意な抗腫瘍活性を達成した。ヒト患者由来のBRAF変異体CRC異種移植片HCOX1329において、ダブラフェニブ+化合物A+トラメチニブの組合せは、ダブラフェニブ+トラメチニブ及びダブラフェニブ+トラメチニブ+セツキシマブの組合せより有意に活性でもあった。これらのデータは、集合的に、ダブラフェニブ+化合物A+トラメチニブ又はダブラフェニブ+化合物A+化合物Cの三重の組合せが、BRAF変異体CRC患者においてより大きくより耐久性のある応答を達成し得ることを示す。
本明細書に記載されている実施例及び実施形態は、例示のために過ぎず、それに照らした様々な改変形態又は変更形態が当業者に示唆され、本出願の趣旨及び趣旨並びに添付の特許請求の範囲内に含まれることが理解される。

Claims (19)

  1. N-(3-(5-(2-アミノピリミジン-4-イル)-2-(tert-ブチル)チアゾール-4-イル)-2-フルオロフェニル)-2,6-ジフルオロベンゼンスルホンアミド(ダブラフェニブ)又はその薬学的に許容される塩;4-(3-アミノ-6-((1S,3S,4S)-3-フルオロ-4-ヒドロキシシクロヘキシル)ピラジン-2-イル)-N-((S)-1-(3-ブロモ-5-フルオロフェニル)-2-(メチルアミノ)エチル)-2-フルオロベンズアミド(化合物A)又はその薬学的に許容される塩;及びN-(3-(2-(2-ヒドロキシエトキシ)-6-モルホリノピリジン-4-イル)-4-メチルフェニル)-2-(トリフルオロメチル)-イソニコチンアミド(化合物C)又はその薬学的に許容される塩を含む医薬品の組合せ。
  2. N-(3-(5-(2-アミノピリミジン-4-イル)-2-(tert-ブチル)チアゾール-4-イル)-2-フルオロフェニル)-2,6-ジフルオロベンゼンスルホンアミド(ダブラフェニブ)又はその薬学的に許容される塩、4-(3-アミノ-6-((1S,3S,4S)-3-フルオロ-4-ヒドロキシシクロヘキシル)ピラジン-2-イル)-N-((S)-1-(3-ブロモ-5-フルオロフェニル)-2-(メチルアミノ)エチル)-2-フルオロベンズアミド(化合物A)又はその薬学的に許容される塩及びN-(3-(2-(2-ヒドロキシエトキシ)-6-モルホリノピリジン-4-イル)-4-メチルフェニル)-2-(トリフルオロメチル)-イソニコチンアミド(化合物C)又はその薬学的に許容される塩は、別々に、同時に又は逐次的に任意の順序で投与される、請求項1に記載の組合せ。
  3. 経口投与のためのものである、請求項1又は2に記載の医薬品の組合せ。
  4. N-(3-(5-(2-アミノピリミジン-4-イル)-2-(tert-ブチル)チアゾール-4-イル)-2-フルオロフェニル)-2,6-ジフルオロベンゼンスルホンアミド(ダブラフェニブ)は、経口剤形におけるものである、請求項1~3のいずれか一項に記載の医薬品の組合せ。
  5. 4-(3-アミノ-6-((1S,3S,4S)-3-フルオロ-4-ヒドロキシシクロヘキシル)ピラジン-2-イル)-N-((S)-1-(3-ブロモ-5-フルオロフェニル)-2-(メチルアミノ)エチル)-2-フルオロベンズアミド(化合物A)は、経口剤形におけるものである、請求項1~4のいずれか一項に記載の医薬品の組合せ。
  6. N-(3-(2-(2-ヒドロキシエトキシ)-6-モルホリノピリジン-4-イル)-4-メチルフェニル)-2-(トリフルオロメチル)-イソニコチンアミド(化合物C)は、経口剤形におけるものである、請求項1~4のいずれか一項に記載の医薬品の組合せ。
  7. 請求項1~6のいずれか一項に記載の医薬品の組合せ及び少なくとも1種の薬学的に許容される担体を含む医薬組成物又は商業用パッケージ。
  8. 癌の処置において使用するための、請求項1~6のいずれか一項に記載の医薬品の組合せ又は請求項7に記載の医薬組成物若しくは商業用パッケージ。
  9. 前記癌は、乳癌、胆管癌、結腸直腸癌(CRC)、黒色腫、非小細胞肺癌、卵巣癌及び甲状腺癌から選択される、請求項8に記載の使用のための医薬品の組合せ又は医薬組成物若しくは商業用パッケージ。
  10. 前記癌は、進行性又は転移性結腸直腸癌である、請求項8に記載の使用のための医薬品の組合せ又は医薬組成物若しくは商業用パッケージ。
  11. 前記癌は、BRAF機能獲得型CRC又はBRAF V600E、V600D若しくはV600K CRCである、請求項10に記載の医薬品の組合せ。
  12. 癌の処置のための医薬の製造のための、請求項1~6のいずれか一項に記載の医薬品の組合せ又は請求項7に記載の医薬組成物若しくは商業用パッケージの使用。
  13. 前記癌は、乳癌、胆管癌、結腸直腸癌、黒色腫、非小細胞肺癌、卵巣癌及び甲状腺癌から選択され、任意選択で、前記癌は、進行性又は転移性結腸直腸癌であり、任意選択で、前記癌は、BRAF機能獲得型CRC又はBRAF V600E、V600D若しくはV600K CRCである、請求項12に記載の医薬品の組合せ又は医薬組成物の使用。
  14. 乳癌、胆管癌、結腸直腸癌、黒色腫、非小細胞肺癌、卵巣癌及び甲状腺癌から選択される癌を処置する方法であって、それを必要とする患者に、請求項1~6のいずれか一項に記載の医薬品の組合せ若しくは商業用パッケージ又は請求項7に記載の医薬組成物を投与することを含む方法。
  15. 前記結腸直腸癌は、進行性又は転移性結腸直腸癌である、請求項14に記載の方法。
  16. 前記結腸直腸癌は、BRAF機能獲得型CRC又はBRAF V600E、V600D若しくはV600K CRCである、請求項15に記載の方法。
  17. N-(3-(5-(2-アミノピリミジン-4-イル)-2-(tert-ブチル)チアゾール-4-イル)-2-フルオロフェニル)-2,6-ジフルオロベンゼンスルホンアミド(ダブラフェニブ)は、1日当たり約1~約150mgの用量で経口的に投与される、請求項14に記載の方法。
  18. 4-(3-アミノ-6-((1S,3S,4S)-3-フルオロ-4-ヒドロキシシクロヘキシル)ピラジン-2-イル)-N-((S)-1-(3-ブロモ-5-フルオロフェニル)-2-(メチルアミノ)エチル)-2-フルオロベンズアミド(化合物A)は、1日当たり約50~約200mgの用量で経口的に投与される、請求項14に記載の方法。
  19. N-(3-(2-(2-ヒドロキシエトキシ)-6-モルホリノピリジン-4-イル)-4-メチルフェニル)-2-(トリフルオロメチル)-イソニコチンアミド(化合物C)は、1日当たり約100mg、又は1日当たり約200mg、又は1日当たり約300mg~1日当たり約70mgの用量で経口的に投与される、請求項14に記載の方法。
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