JP2023512286A - 抗体の肺送達 - Google Patents

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Abstract

本発明は、抗体または抗体誘導体の肺送達に関する。【選択図】図1A

Description

本発明は、抗体または抗体誘導体の肺送達に関する。
治療抗体の高度に特異的な抗原のターゲティングは、様々な疾患の非常に有効な処置を提供することができるため、その注目度は年々劇的に高まっている。
モノクローナル抗体のような抗体の肺送達は、非経口送達の魅力的で非侵襲的な代替法となり得る。肺投与経路は、肺および非肺疾患を処置するための種々の薬物およびバイオ医薬品の局所的および全身的な送達に有効であることが証明されている。
しかしながら、抗体のようなタンパク質の肺への投与は、例えば、凝集ならびに潜在的に生物学的/治療的活性の損失および/または安全性の問題をもたらす、強い分子間/粒子間相互作用および物理化学的分解を克服するための抗体の適切な製剤が必要となるなどの多くの課題を伴う。例えば、タンパク質は、エアロゾル化に伴うせん断応力および/または温度上昇に対して敏感である可能性があり、かつ/またはエアロゾル中の気液界面において低下した安定性を示すことがあり得る。
したがって、本発明の目的は、抗体の肺送達に適し、エアロゾル化/噴霧時に抗体の安定性および活性を維持するのに役立つ製剤系を同定することであった。
一態様において、本発明は、液体製剤を含む液滴を含むエアロゾルであって、液体製剤は、
(i)抗体または抗体誘導体、
(ii)酢酸塩、ヒスチジンおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される緩衝剤、ならびに
(iii)水性媒体
を含み、
液体製剤は、約5.5またはそれ未満のpHを有する、エアロゾルに関する。
一実施形態では、抗体または抗体誘導体は、IgG1抗体または抗体誘導体である。
一実施形態では、抗体は、モノクローナル抗体である。
一実施形態では、液体製剤は、クエン酸塩を含まない。
一実施形態では、液体製剤は、約3.5から約5.5までの範囲のpHを有する。
一実施形態では、緩衝剤は酢酸塩であり、液体製剤は、約5.0未満、または約4.5未満のpHを有する。一実施形態では、緩衝剤は酢酸塩であり、液体製剤は、約3.5から約4.5未満までの間、または約3.7から約4.3までの間、または約3.8から約4.2までの間、または約3.9から約4.1までの間の範囲にあるpHを有する。一実施形態では、液体製剤は、約4.0のpHを有する。
一実施形態では、液体製剤は、界面活性剤をさらに含む。一実施形態では、界面活性剤は、ポリソルベート、ポロキサマー、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、アルキルフェノールポリオキシエチレンおよびドデシル硫酸ナトリウムからなる群から選択される。
一実施形態では、液体製剤中の界面活性剤の濃度は、約0.1%(w/v)もしくはそれ未満、または約0.05%(w/v)もしくはそれ未満である。
一実施形態では、液体製剤は、なんら界面活性剤を含まない。
一実施形態では、液体製剤は、NaClを含まない。
一実施形態では、液体製剤は、なんら非緩衝性塩を含まない。
一実施形態では、液滴は、約0.5μmから約5μmまで、約0.5μmから約4.5μmまで、約0.5μmから約4μmまで、約0.5μmから約3.5μmまで、または約0.5μmから約3μmまでの範囲の平均直径を有する。
一実施形態では、液滴は、5μm未満の平均直径を有する。一実施形態では、液滴は、4.5μm未満の平均直径を有する。一実施形態では、液滴は、4.0μm未満の平均直径を有する。一実施形態では、液滴は、3.5μm未満の平均直径を有する。一実施形態では、液滴は、3.0μm未満の平均直径を有する。
別の態様では、本発明は、液体製剤を含む液滴を含むエアロゾルを調製する方法に関し、該方法は、以下のステップ:
(i)上記定義されたような液体製剤を提供するステップ、
(ii)工程(i)で提供された液体製剤をネブライザーによって噴霧し、それによってエアロゾルを調製するステップ
を含む。
一実施形態では、ネブライザーは、メッシュネブライザーである。
一実施形態において、本方法は、ステップ(i)と(ii)との間に、以下のステップ:
(ia)ステップ(i)で提供された液体製剤を凍結乾燥させ、それによって凍結乾燥粉末を提供するステップ、および
(ib)ステップ(ia)で提供された凍結乾燥粉末に適切な量の水性媒体を添加することによって、ステップ(i)で提供された液体製剤を再構成するステップ
をさらに含む。
別の態様において、本発明は、液体製剤を含む液滴を含むエアロゾルに関し、エアロゾルは、上記定義されたような方法によって入手可能である。一実施形態では、液滴は、約0.5μmから約5μmまで、または約0.5μmから約3μmまでの範囲の平均直径を有する。
別の態様では、本発明は、抗体または抗体誘導体を対象の肺に送達する方法において使用するための、上記定義された液体製剤または上記定義されたエアロゾルに関し、エアロゾルは吸入により対象に投与され、液体製剤はネブライザーを介して吸入により対象に投与される。
一実施形態では、抗体または抗体誘導体は、IgG1抗体または抗体誘導体である。
一実施形態では、ネブライザーは、メッシュネブライザーである。
別の態様では、本発明は、対象における疾患を処置または予防する方法において使用するための上記定義される液体製剤に関し、エアロゾルは吸入により対象に投与されるか、または液体製剤がネブライザーを介して吸入により対象に投与される。
一実施形態では、疾患は、肺疾患である。
一実施形態では、ネブライザーは、メッシュネブライザーである。
別の態様では、本発明は、対象の肺に抗体または抗体誘導体を送達する方法に関し、該方法は、上記定義されたエアロゾルの有効量を吸入により対象に投与すること、または上記定義された液体製剤の有効量を、ネブライザーを介して吸入により対象に投与することを含む。
一実施形態では、抗体または抗体誘導体は、IgG1抗体または抗体誘導体である。
一実施形態では、ネブライザーは、メッシュネブライザーである。
別の態様では、本発明は、対象における疾患を処置または予防する方法に関し、上記方法は、上記定義されるエアロゾルの有効量を吸入により対象に投与すること、または上記定義される液体製剤の有効量を、ネブライザーを介して吸入により対象に投与することを含む。
一実施形態では、疾患は、肺疾患である。
一実施形態では、ネブライザーは、メッシュネブライザーである。
一実施形態において、上記で言及される肺疾患は、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺癌、嚢胞性線維症(CF)、特発性肺線維症などの間質性肺疾患(ILD)、過敏性肺炎、サルコイドーシスおよび石綿肺症、細菌感染症、ウイルス感染症、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、肺胞タンパク症(PAP)、急性気管支炎、閉塞性細気管支炎および肺高血圧症からなる群から選択される。
別の態様では、本発明は、上記定義された液体製剤を含むネブライザーに関する。
一実施形態では、ネブライザーは、メッシュネブライザーである。
別の態様では、本発明は、
(i)上記定義された液体製剤または該液体製剤の凍結乾燥により得られる粉末を含む容器、および
(ii)ネブライザー
を含むキットに関する。
一実施形態では、ネブライザーは、メッシュネブライザーである。
別の態様では、本発明は、ネブライザーによる噴霧によってエアロゾルを調製するための、上記定義された液体製剤の使用に関する。
一実施形態では、ネブライザーは、メッシュネブライザーである。
別の態様では、本発明は、抗体または抗体誘導体を含む液体製剤のネブライザーによる噴霧時に抗体または抗体誘導体の安定性を高めるための、酢酸塩、ヒスチジンおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される緩衝剤の使用に関し、緩衝剤は、噴霧前に液体製剤に含まれる。
一実施形態では、抗体または抗体誘導体は、IgG1抗体または抗体誘導体である。
一実施形態では、ネブライザーは、メッシュネブライザーである。
一実施形態では、液体製剤は、約5.5またはそれ未満のpHを有する。
一実施形態では、抗体は、モノクローナル抗体である。
一実施形態では、液体製剤は、クエン酸塩を含まない。
一実施形態では、液体製剤は、約3.5から約5.5までの範囲のpHを有する。
一実施形態では、緩衝剤は酢酸塩であり、液体製剤は、約5.0未満、または約4.5未満のpHを有する。一実施形態では、緩衝剤は酢酸塩であり、液体製剤は、約3.5から約4.5未満までの間、または約3.7から約4.3までの間、または約3.8から約4.2までの間、または約3.9から約4.1までの間の範囲にあるpHを有する。一実施形態では、液体製剤は、約4.0のpHを有する。
一実施形態では、液体製剤は、界面活性剤をさらに含む。一実施形態では、界面活性剤は、ポリソルベート、ポロキサマー、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、アルキルフェノールポリオキシエチレンおよびドデシル硫酸ナトリウムからなる群から選択される。
一実施形態では、液体製剤中の界面活性剤の濃度は、約0.1%(w/v)もしくはそれ未満、または約0.05%(w/v)もしくはそれ未満である。
一実施形態では、液体製剤は、なんら界面活性剤を含まない。
一実施形態では、液体製剤は、NaClを含まない。
一実施形態では、液体製剤は、なんら非緩衝性塩を含まない。
動的光散乱(DLS;AおよびD)、SEC(BおよびE)、フローセル顕微鏡検査(FCM;CおよびF)および目視検査(BおよびE)による、噴霧時の肺送達のための異なる緩衝系を含む製剤中の2つの抗体(mAb1およびmAb3)の安定性の分析結果を示す図である。 動的光散乱(DLS;AおよびD)、SEC(BおよびE)、フローセル顕微鏡検査(FCM;CおよびF)および目視検査(BおよびE)による、噴霧時の肺送達のための異なる緩衝系を含む製剤中の2つの抗体(mAb1およびmAb3)の安定性の分析結果を示す図である。 動的光散乱(DLS;AおよびD)、SEC(BおよびE)、フローセル顕微鏡検査(FCM;CおよびF)および目視検査(BおよびE)による、噴霧時の肺送達のための異なる緩衝系を含む製剤中の2つの抗体(mAb1およびmAb3)の安定性の分析結果を示す図である。 動的光散乱(DLS;AおよびD)、SEC(BおよびE)、フローセル顕微鏡検査(FCM;CおよびF)および目視検査(BおよびE)による、噴霧時の肺送達のための異なる緩衝系を含む製剤中の2つの抗体(mAb1およびmAb3)の安定性の分析結果を示す図である。 動的光散乱(DLS;AおよびD)、SEC(BおよびE)、フローセル顕微鏡検査(FCM;CおよびF)および目視検査(BおよびE)による、噴霧時の肺送達のための異なる緩衝系を含む製剤中の2つの抗体(mAb1およびmAb3)の安定性の分析結果を示す図である。 動的光散乱(DLS;AおよびD)、SEC(BおよびE)、フローセル顕微鏡検査(FCM;CおよびF)および目視検査(BおよびE)による、噴霧時の肺送達のための異なる緩衝系を含む製剤中の2つの抗体(mAb1およびmAb3)の安定性の分析結果を示す図である。 DLS(AおよびD)、SEC(BおよびE)、FCM(CおよびF)および目視検査(BおよびE)による、肺送達用のPS80を含む製剤中の2つの抗体(mAb1およびmAb3)の噴霧時の安定性の分析結果である。 DLS(AおよびD)、SEC(BおよびE)、FCM(CおよびF)および目視検査(BおよびE)による、肺送達用のPS80を含む製剤中の2つの抗体(mAb1およびmAb3)の噴霧時の安定性の分析結果である。 DLS(AおよびD)、SEC(BおよびE)、FCM(CおよびF)および目視検査(BおよびE)による、肺送達用のPS80を含む製剤中の2つの抗体(mAb1およびmAb3)の噴霧時の安定性の分析結果である。 DLS(AおよびD)、SEC(BおよびE)、FCM(CおよびF)および目視検査(BおよびE)による、肺送達用のPS80を含む製剤中の2つの抗体(mAb1およびmAb3)の噴霧時の安定性の分析結果である。 DLS(AおよびD)、SEC(BおよびE)、FCM(CおよびF)および目視検査(BおよびE)による、肺送達用のPS80を含む製剤中の2つの抗体(mAb1およびmAb3)の噴霧時の安定性の分析結果である。 DLS(AおよびD)、SEC(BおよびE)、FCM(CおよびF)および目視検査(BおよびE)による、肺送達用のPS80を含む製剤中の2つの抗体(mAb1およびmAb3)の噴霧時の安定性の分析結果である。 DLS(A)、SEC(B)、FCM(C)および目視検査(B)による、2つの異なるメッシュネブライザーを用いた噴霧時の肺送達用製剤中の抗体(mAb1)の安定性の分析結果である。 DLS(A)、SEC(B)、FCM(C)および目視検査(B)による、2つの異なるメッシュネブライザーを用いた噴霧時の肺送達用製剤中の抗体(mAb1)の安定性の分析結果である。 DLS(A)、SEC(B)、FCM(C)および目視検査(B)による、2つの異なるメッシュネブライザーを用いた噴霧時の肺送達用製剤中の抗体(mAb1)の安定性の分析結果である。 DLS(A)、SEC(B)、FCM(C)および目視検査(B)による、肺送達用製剤中の異なるアイソタイプ(IgG1およびIgG4)の抗体の噴霧時の安定性の分析結果を示す図である。 DLS(A)、SEC(B)、FCM(C)および目視検査(B)による、肺送達用製剤中の異なるアイソタイプ(IgG1およびIgG4)の抗体の噴霧時の安定性の分析結果を示す図である。 DLS(A)、SEC(B)、FCM(C)および目視検査(B)による、肺送達用製剤中の異なるアイソタイプ(IgG1およびIgG4)の抗体の噴霧時の安定性の分析結果を示す図である。 DLSおよびFCM(A)、SECおよび目視検査(B)ならびに追加の分析方法(B)による、肺送達用製剤中の抗体(mAb1)の噴霧時の安定性の分析結果を示す図である。 DLSおよびFCM(A)、SECおよび目視検査(B)ならびに追加の分析方法(B)による、肺送達用製剤中の抗体(mAb1)の噴霧時の安定性の分析結果を示す図である。 DLSおよびFCMによる、クエン酸塩緩衝液中に異なる濃度のPS80を含む製剤中の2つの抗体(mAb1およびmAb3)の噴霧時の安定性の分析結果を示す図である。図6Aは、mAb1の結果を示す。 図6A-1の続き。 図6A-2の続き。 図6A-3の続き。 DLSおよびFCMによる、クエン酸塩緩衝液中に異なる濃度のPS80を含む製剤中の2つの抗体(mAb1およびmAb3)の噴霧時の安定性の分析結果を示す図である。図6Bは、mAb3の結果を示す。 図6B-1の続き。 図6B-2の続き。 図6B-3の続き。 DLSおよびFCMによる、噴霧時の肺送達のためのヒスチジン緩衝液中の異なる濃度のPS80を含む製剤中の抗体(mAb1)の安定性の分析結果を示す図である。 図7-1の続き。 図7-2の続き。 図7-3の続き。
発明の詳細な説明
本発明を以下に詳細に説明する前に、本明細書に記載された特定の方法論、プロトコルおよび試薬は、変化し得るものであり、本発明はこれらに限定されないことを理解すべきである。また、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではなく、本発明は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されることも理解すべきである。特に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術的および科学的用語は、当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。好ましくは、本明細書で使用される用語は、「A multilingual glossary of biotechnological terms: (IUPAC Recommendations),Leuenberger,H.G.W,Nagel,B.およびKolbl,H.編(1995),Helvetica Chimica Acta,CH-4010 Basel,スイス)において記載されたように定義される。
本明細書の本文中では、いくつかの文献を引用する。本明細書で引用された各文献(全ての特許、特許出願、科学出版物、製造者の仕様書、説明書等を含む)は、上記または下記にかかわらず、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。本明細書のいかなる内容も、本発明が先行発明によるこのような開示に先行する権利を持たないことを認めるものと解釈されないものとする。
以下では、本発明の要素について説明する。これらの要素は、特定の実施形態と共に記載されているが、追加の実施形態を作成するために、任意の方法および任意の数で組み合わせることができることを理解するべきである。様々に記載された実施例および好ましい/特定の実施形態は、本発明を明示的に記載された実施形態のみに限定するように解釈されるべきではない。この記載は、明示的に記載された実施形態と、任意の数の開示および/または好ましい要素とを組み合わせた実施形態を支持し、包含するものと理解されるべきである。さらに、本願に記載された全ての要素の任意の順列および組み合わせは、文脈において特に示されない限り、本願の記載によって開示されたとみなされるものとする。
本明細書および添付の特許請求の範囲を通じて、文脈において特に必要としない限り、「含む(comprise)」という用語、ならびに「含む(comprises)」および「含む(comprising)」などの変形は、記載された整数もしくはステップまたは整数もしくはステップの群を含むことを意味し、他の整数もしくはステップまたは整数もしくはステップの群を除外することを意味しないものとして理解される。本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、内容が明確に他のものを指示する場合を除いて、複数の指示対象を含む。
一態様において、本発明は、液体製剤を含む液滴を含むエアロゾルであって、該液体製剤が、
(i)抗体または抗体誘導体、
(ii)酢酸塩、ヒスチジンおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される緩衝剤、ならびに
(iii)水性媒体
を含み、
液体製剤は、約5.5またはそれ未満のpHを有する、エアロゾルに関する。
一実施形態では、抗体または抗体誘導体は、IgG1抗体または抗体誘導体である。
用語「抗体」(または「免疫グロブリン」)は、一般に、ジスルフィド結合によって相互に連結された少なくとも2本の重(H)鎖および2本の軽(L)鎖を含む糖タンパク質を意味する。用語「抗体」には、モノクローナル抗体、組換え抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、および上記のいずれかの組み合わせが含まれる。各重鎖は、重鎖可変領域(VH)および重鎖定常領域(CH)で構成される。各軽鎖は、軽鎖可変領域(VL)および軽鎖定常領域(CL)で構成される。本明細書では、可変領域および定数領域を、それぞれ可変ドメインおよび定常ドメインともいう。VHおよびVL領域は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれるより保存された領域に点在する、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる超可変性の領域にさらに細分化することができる。VHおよびVLは、それぞれ3つのCDRおよび4つのFRで構成され、アミノ末端からカルボキシ末端まで、以下の順序:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4で配置されている。VHのCDRは、HCDR1、HCDR2およびHCDR3と呼ばれ、VLのCDRは、LCDR1、LCDR2およびLCDR3と呼ばれる。重鎖および軽鎖の可変領域には、抗原と相互作用する結合ドメインを含む。抗体の定常領域は、重鎖定常領域(CH)および軽鎖定常領域(CL)を含み、CHはさらに、定常ドメインCH1、ヒンジ領域、ならびに定常ドメインCH2およびCH3(アミノ末端からカルボキシ末端まで、以下の順序:CH1、CH2、CH3で配置されている)に細分化することができる。抗体の定常領域は、免疫系の様々な細胞(例えば、エフェクター細胞)および古典的補体系の第1成分(Clq)を含む宿主組織または因子への免疫グロブリンの結合を媒介し得る。
抗体は、マウス、ラット、ウサギ、モルモットおよびヒトを含むがこれらに限定されない、異なる種に由来しうる。
本明細書に記載された抗体には、IgA1またはIgA2などのIgA、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgE、IgM、およびIgDなどのアイソタイプ/クラスの抗体が含まれる。様々な実施形態において、抗体は、IgG1抗体、より詳細にはIgG1カッパまたはIgG1ラムダアイソタイプ(すなわち、IgG1、κ、λ)、IgG2a抗体(例えば、IgG2a、κ、λ)、IgG2b抗体(例えば、IgG2b、κ、λ)、IgG3抗体(例えば、IgG3、κ、λ)またはIgG4抗体(例えば、IgG4、κ、λ)である。一実施形態では、抗体は、IgG1抗体である。
本明細書で使用される用語「抗体誘導体」は、IgA、IgD、IgE、IgG、IgM、IgYまたはIgW、特にIgG1などの抗体の全体構造を有していないが、少なくともそれを含むことが特定されているドメインを含み、標的分子を依然として結合することができる分子を指す。上記誘導体は、それらの機能的な(すなわち標的結合、特に特異的標的結合)抗体断片、例えばFab2、またはこのような誘導体、例えば二価のFabの組み合わせであってもよいが、これらに限定されるものではない。また、さらなる可変ドメインのような、さらなる抗体ドメインが付加された抗体も関連する。一実施形態では、用語「抗体誘導体」は、例えば、Spiessら(J Mol Imm.2015,67:95-106)、WO2009/052081A2、Wuら(Nat.Biotechnol.,2007 25:1290-1297)、Brinkmann & Kontermann(MAbs 2017,9:182-212)およびFitzgeraldら(Mol Cancer Ther.2013,13:410-25)に記載された単鎖抗体を意味する。抗体誘導体の他の非限定的な例には、例えば、Spiessら(J Mol Imm.2015,67:95-106)に記載されたような、ナノボディ、ダイアボディ、ミニボディおよび他の形式が含まれる。用語「IgG1抗体誘導体」は、例えば、1つまたはそれ以上のIgG1特異的(配列)要素の存在のため、IgG1抗体に由来すると認識可能な抗体誘導体を意味する。
一実施形態では、抗体はモノクローナル抗体である。本明細書で使用される用語「モノクローナル抗体」は、単一分子組成の抗体分子の調製物を意味する。モノクローナル抗体は、単一の結合特異性および親和性を示す。一実施形態では、モノクローナル抗体は、不死化細胞に融合させた、非ヒト動物、例えばマウスから得られたB細胞を含むハイブリドーマによって産生される。
一般に、本明細書で使用される用語「抗体」および「抗体誘導体」は、単一特異性および多重特異性(例えば、二重特異性、三重特異性または四重特異性)抗体および抗体誘導体の両方を含む。
一実施形態では、抗体または抗体誘導体は、薬学的に活性な抗体または抗体誘導体である。本明細書で使用される用語「薬学的に活性な抗体または抗体誘導体」は、治療に適している、すなわち、疾患または障害を処置するために使用することができる抗体または抗体誘導体を意味する。一実施形態では、薬学的に活性な抗体または抗体誘導体は、治療上関連する抗原に結合する。
本発明に従って使用することができる例示的な抗体には、抗呼吸器合胞体ウイルス(RSV)抗体、抗IL-4抗体、抗IL-4受容体抗体、抗IFN-ベータ抗体、抗IL-13抗体、抗胸腺間質性リンパ球新生因子(TSLP)抗体、抗IL-1受容体抗体、抗IL-2抗体および抗TNF抗体が含まれるが、それらに限定されるわけではない。
一実施形態では、抗体濃度は、約150mg/mlから1mg/mlまで;または約150mg/mlから約5mg/mlまで;または約150mg/mlから約10mg/mlまで;または約150mg/mlから約20mg/mlまで;または約150mg/mlから約50mg/mlまでの範囲である。
一実施形態では、抗体濃度は、約120mg/mlから1mg/mlまで;または約120mg/mlから約5mg/mlまで;または約120mg/mlから約10mg/mlまで;または約120mg/mlから約20mg/mlまで;または約120mg/mlから約50mg/mlまでの範囲である。
一実施形態では、抗体濃度は、約100mg/mlから約1mg/mlまで;または約100mg/mlから約5mg/mlまで;または約100mg/mlから約10mg/mlまで;または約100mg/mlから約20mg/mlまで;または約100mg/mlから約50mg/mlまでの範囲である。
一実施形態では、抗体濃度は、約80mg/mlから1mg/mlまで;または約80mg/mlから約5mg/mlまで;または約80mg/mlから約10mg/mlまで;または約80mg/mlから約20mg/mlまで;または約80mg/mlから約50mg/mlまでの範囲である。
一実施形態では、抗体濃度は、約50mg/mlから約5mg/mlまで;または約400mg/mlから約5mg/mlまで;または約30mg/mlから約5mg/mlまで;または約20mg/mlから約5mg/mlまで;または約10mg/mlから約5mg/mlまでの範囲である。
一実施形態では、抗体濃度は、約50mg/mlから約1mg/mlまで;または約40mg/mlから約1mg/mlまで;または約30mg/mlから約1mg/mlまで;または約20mg/mlから約1mg/mlまで;または約10mg/mlから約1mg/mlまでの範囲である。
好ましい実施形態では、抗体の濃度は約150mg/mlである。別の好ましい実施形態では、抗体の濃度は約140mg/mlである。別の好ましい実施形態では、抗体の濃度は約130mg/mlである。別の好ましい実施形態では、抗体の濃度は約120mg/mlである。別の好ましい実施形態では、抗体の濃度は約110mg/mlである。好ましい実施形態では、抗体の濃度は約100mg/mlである。別の好ましい実施形態では、抗体の濃度は約90mg/mlである。別の好ましい実施形態では、抗体の濃度は約80mg/mlである。別の好ましい実施形態では、抗体の濃度は約70mg/mlである。別の好ましい実施形態では、抗体の濃度は約60mg/mlである。好ましい実施形態では、抗体の濃度は約50mg/mlである。別の好ましい実施形態では、抗体の濃度は約40mg/mlである。別の好ましい実施形態では、抗体の濃度は約30mg/mlである。別の好ましい実施形態では、抗体の濃度は約20mg/mlである。別の好ましい実施形態では、抗体の濃度は約10mg/mlである。別の好ましい実施形態では、抗体の濃度は約5mg/mlである。別の好ましい実施形態では、抗体の濃度は約1mg/mlである。
一実施形態では、液体製剤中の緩衝剤の濃度は、約1mMから約200mMまで、例えば、約5mMから約150mMまで、または約5mMから約100mMまで、または約5mMから約50mMまでの範囲である。一実施形態では、液体製剤中の緩衝剤の濃度は、約5mMから約25mMまで、例えば、約5mMから約20mMまで、または約5mMから約15mMまで、または約7.5mMから約12.5mMまでの範囲である。一実施形態では、液体製剤中の緩衝剤の濃度は約10mMである。一実施形態では、緩衝剤は酢酸塩であり、液体製剤中の酢酸塩の濃度は約1mMから約200mMまで、例えば、約5mMから約150mMまで、または約5mMから約100mMまで、または約5mMから約50mMまでの範囲である。一実施形態では、液体製剤中の酢酸塩の濃度は、約5mMから約25mMまで、例えば、約5mMから約20mMまで、または約5mMから約15mMまで、または約7.5mMから約12.5mMまでの範囲である。一実施形態では、液体製剤中の酢酸塩の濃度は、約10mMである。
一実施形態では、緩衝剤がヒスチジンであり、液体製剤中のヒスチジンの濃度は、約1mMから約200mMまで、例えば、約5mMから約150mMまで、または約5mMから約100mMまで、または約5mMから約50mMまでの範囲である。一実施形態では、液体製剤中のヒスチジンの濃度は、約5mMから約25mMまで、例えば、約5mMから約20mMまで、または約5mMから約15mMまで、または約7.5mMから約12.5mMまでの範囲である。一実施形態では、液体製剤中のヒスチジンの濃度は、約10mMである。一実施形態では、液体製剤中のヒスチジンの濃度は、約20mMである。
一実施形態では、緩衝剤として作用する酢酸塩は、例えば、酢酸と組み合わせた(すなわち、酢酸塩緩衝液の形態の)、酢酸ナトリウム(または別の適切な酢酸塩、例えば、酢酸カリウム)である。適切な酢酸塩緩衝液を調製する方法は、当業者にはよく知られている。
一実施形態では、緩衝剤として作用するヒスチジンは、例えば、ヒスチジン緩衝液の形態の、L-ヒスチジンナトリウム(または別の適切なヒスチジン塩)である。適切なヒスチジン緩衝剤を調製する方法は、当業者にはよく知られている。
一実施形態では、液体製剤は、クエン酸塩を含まない。
本明細書で使用される用語「水性媒体」(または「水性溶液」)は、水が溶媒である液体媒体または溶液を意味する。一実施形態では、水性媒体は、水、特に精製水または注射用水(WFI)である/からなる。一実施形態では、水性媒体は無菌である。一実施形態では、液体製剤は無菌である。
一実施形態では、液体製剤は、約3.5から約5.5までの範囲のpHを有する。
一実施形態では、緩衝剤は酢酸塩であり、液体製剤は、約5.0未満、または約4.5未満のpHを有する。一実施形態では、緩衝剤は酢酸塩であり、液体製剤は、約3.5から約4.5未満までの間、または約3.7から約4.3までの間、または約3.8から約4.2までの間、または約3.9から約4.1までの間の範囲にあるpHを有する。一実施形態では、液体製剤は、約4.0のpHを有する。
一実施形態では、緩衝剤は、10mMの濃度の酢酸塩であり、液体製剤は、約5.0未満、または約4.5未満のpHを有する。一実施形態では、緩衝剤は10mMの濃度の酢酸塩であり、液体製剤は、約3.5から約4.5未満までの間、または約3.7から約4.3までの間、または約3.8から約4.2までの間、または約3.9から約4.1まで間の範囲にあるpHを有する。一実施形態では、液体製剤は、約4.0のpHを有し、緩衝剤は、10mMの濃度の酢酸塩である。
一実施形態では、緩衝剤はヒスチジンであり、液体製剤は、約5.5またはそれ未満のpHを有する。一実施形態では、緩衝剤はヒスチジンであり、液体製剤は、約5.0未満、または約4.5未満のpHを有する。一実施形態では、緩衝剤はヒスチジンであり、液体製剤は、約3.5から約4.5未満までの間、または約3.7から約4.3までの間、または約3.8から約4.2までの間、または約3.9から約4.1までの間の範囲にあるpHを有する。一実施形態では、液体製剤は、約4.0のpHを有する。
一実施形態では、緩衝剤は、10mMの濃度のヒスチジンであり、液体製剤は、約5.5またはそれ未満のpHを有する。一実施形態では、緩衝剤は、10mMの濃度のヒスチジンであり、液体製剤は、約5.0未満または約4.5未満のpHを有する。一実施形態では、緩衝剤は、10mMの濃度のヒスチジンであり、液体製剤は、約3.5から約4.5未満までの間、または約3.7から約4.3までの間、または約3.8から約4.2までの間、または約3.9から約4.1までの間の範囲にあるpHを有する。一実施形態では、液体製剤は約4.0のpHを有し、緩衝剤は10mMの濃度のヒスチジンである。
一実施形態では、緩衝剤は、20mMの濃度のヒスチジンであり、液体製剤は、約5.5またはそれ未満のpHを有する。一実施形態では、緩衝剤は、20mMの濃度のヒスチジンであり、液体製剤は、約5.0未満または約4.5未満のpHを有する。一実施形態では、緩衝剤は、20mMの濃度のヒスチジンであり、液体製剤は、約3.5から約4.5未満までの間、または約3.7から約4.3までの間、または約3.8から約4.2までの間、または約3.9から約4.1までの間の範囲にあるpHを有する。一実施形態では、液体製剤は、約4.0のpHを有し、緩衝剤は、20mMの濃度のヒスチジンである。
液体製剤は、薬学的に許容され、吸入、特にネブライザーを介した吸入による投与に対する液体製剤の適合性を損なわない限り、1つまたはそれ以上の他の賦形剤を含んでもよい。適切な賦形剤は、薬局方または、例えば、REMINGTON’s PHARMACEUTICAL SCIENCES (第18版,A.R. Gennaro,編,Mack Publishing Company 1990)およびその続版)に列挙されている。本明細書で使用される「薬学的に許容される」という用語は、物質の非毒性を意味し、一実施形態では、液体製剤の活性剤の作用と相互作用することはない。
一実施形態では、液体製剤は、界面活性剤をさらに含む。
本明細書で使用される用語「界面活性剤」(または「表面活性剤」)は、2つの液体間、気体と液体との間、または液体と固体との間の表面張力(または界面張力)を低下させる化合物を意味する。一実施形態では、化合物は、気体(例えば、空気)と液体との間の表面張力(または界面張力)を低下させる。一実施形態では、界面活性剤は、非イオン性界面活性剤である。一実施形態では、界面活性剤は、ポリソルベート(例えば、ポリソルベート20またはポリソルベート80)、ポロキサマー(例えば、Pluronic(登録商標)F68として市販されているポロキサマー188、またはPluronic(登録商標)F127として市販されているポロキサマー407)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(例えば、Brij(商標)界面活性剤)、アルキルフェノールポリオキシエチレン(例えば、Triton(登録商標)X100)およびドデシル硫酸ナトリウム(SDS)である。一実施形態では、界面活性剤は、ポリソルベート80(PS80)である。
一実施形態では、液体製剤中の界面活性剤の濃度は、約0.1%(w/v)もしくはそれ未満、または約0.05%(w/v)もしくはそれ未満、例えば、約0.04%(w/v)もしくはそれ未満、または約0.03%(w/v)もしくはそれ未満、または約0.02%(w/v)もしくはそれ未満、または約0.01%(w/v)もしくはそれ未満である。一実施形態では、液体製剤中の界面活性剤の濃度は、約0.01%(w/v)未満である。
一実施形態では、液体製剤中のポリソルベートの濃度は、約0.1%(w/v)もしくはそれ未満、または約0.05%(w/v)もしくはそれ未満、例えば、約0.04%(w/v)もしくはそれ未満、または約0.03%(w/v)もしくはそれ未満、または約0.02%(w/v)もしくはそれ未満、約0.01%(w/v)もしくはそれ未満である。一実施形態では、液体製剤中のポリソルベートの濃度は、約0.01%(w/v)未満である。
一実施形態では、液体製剤中のPS80の濃度は、約0.1%(w/v)もしくはそれ未満、または約0.05%(w/v)もしくはそれ未満、例えば、約0.04%(w/v)もしくはそれ未満、または約0.03%(w/v)もしくはそれ未満、約0.02%(w/v)もしくはそれ未満、または約0.01%(w/v)もしくはそれ未満である。一実施形態では、液体製剤中のPS80の濃度は、約0.01%(w/v)未満である。
一実施形態では、液体製剤は、1つの界面活性剤のみを含む。一実施形態では、この界面活性剤はPS80である。
一実施形態では、液体製剤は、界面活性剤、例えば、上記定義されたような界面活性剤をなんら含まない。
一実施形態では、液体製剤は、NaClを含まない。
一実施形態では、液体製剤は、なんら非緩衝塩を含まない。本明細書で使用される用語「非緩衝塩」は、酸または塩基の添加時に液体製剤のpHを保持することに寄与しない、または実質的に寄与しない塩を意味する。一実施形態では、非緩衝塩は、ハロゲン塩(例えば、ClまたはBrを含む)である。一実施形態では、非緩衝塩は、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、カルシウム(Ca2+)またはマグネシウム(Mg2+)の1つまたはそれ以上のカチオンを含むハロゲン塩である。一実施形態では、非緩衝塩は、ナトリウム(Na)またはカリウム(K)の1つまたはそれ以上のカチオンを含むハロゲン塩である。さらに別の実施形態では、非緩衝塩は、NaCl、KCl、CaClおよびMgClからなる群から選択される。
一般に、エアロゾルは、空気または別の気体中の、微細な固体粒子または液滴の懸濁液である。本発明によれば、用語「エアロゾル」は、気体、例えば、空気中の、上記定義されたような液体製剤の液滴の懸濁液を意味する。
一実施形態では、液滴は、5μm未満の平均直径を有する。一実施形態では、液滴は、4.5μm未満の平均直径を有する。一実施形態では、液滴は、4.0μm未満の平均直径を有する。一実施形態では、液滴は、3.5μm未満の平均直径を有する。一実施形態では、液滴は、3.0μm未満の平均直径を有する。
一実施形態では、液滴は、約0.5μmから約5μmまでの範囲の平均直径を有する。一実施形態では、液滴は、約0.5μmから約4.5μmまでの範囲の平均直径を有する。一実施形態では、液滴は、約0.5μmから約4μmまでの範囲の平均直径を有する。一実施形態では、液滴は、約0.5μmから約3.5μmまでの範囲の平均直径を有する。一実施形態では、液滴は、約0.5μmから約3μmまでの範囲の平均直径を有する。一実施形態では、平均直径は、体積中位径(VMD;Dv50値とも呼ばれる)である。一実施形態では、VMDは、例えば、米国薬局方(USP)429に記載されるように、レーザー回折によって決定される。液滴サイズは、例えば干渉レーザー画像法(interferometric laser imaging)によって測定することもできる。結果は、使用する測定方法によって異なることもありうる。
一実施形態では、液体製剤は、緩衝剤として酢酸塩緩衝液を含み、約5.0または約4.5未満のpHを有し、5.0μm未満の平均直径を有する液滴を含む。一実施形態では、液体製剤は、緩衝剤として酢酸塩緩衝液を含み、約5.0または約4.5未満のpHを有し、約0.5μmから約5μmまでの範囲の平均直径を有する液滴を含む。一実施形態では、液体製剤は、緩衝剤として酢酸塩緩衝液を含み、約3.5から約4.5未満までの間の範囲のpHを有し、5μm未満の平均直径を有する液滴を含む。一実施形態では、液体製剤は、緩衝剤として酢酸塩緩衝液を含み、約3.5から約4.5未満までの間の範囲のpHを有し、約0.5μmから約5μmまでの範囲の平均直径を有する液滴を含む。一実施形態では、液体製剤は、緩衝剤として酢酸塩緩衝液を含み、約3.7から約4.3までの間にある、すなわちそれらの間のpHを有し、5μm未満の平均直径を有する液滴を含む。一実施形態では、液体製剤は、緩衝剤として酢酸塩緩衝液を含み、約3.7から約4.3までの間にある、すなわちそれらの間のpHを有し、約0.5μmから約5μmまでの範囲の平均直径を有する液滴を含む。一実施形態では、液体製剤は、緩衝剤として酢酸塩緩衝液を含み、約3.8から約4.2までの間にある、すなわちそれらの間のpHを有し、5μm未満の平均直径を有する液滴を含む。一実施形態では、液体製剤は、緩衝剤として酢酸塩緩衝液を含み、約3.8から約4.2までの間にある、すなわちそれらの間のpHを有し、約0.5μmから約5μmまでの範囲の平均直径を有する液滴を含む。一実施形態では、液体製剤は、緩衝剤として酢酸塩緩衝液を含み、約3.9から約4.1までの間にある、すなわちそれらの間のpHを有し、5μm未満の平均直径を有する液滴を含む。一実施形態では、液体製剤は、緩衝剤として酢酸塩緩衝液を含み、約3.9から約4.1までの間にある、すなわちそれらの間のpHを有し、約0.5μmから約5μmまでの範囲の平均直径を有する液滴を含む。別の実施形態では、液体製剤は、1つの界面活性剤のみを含む。一実施形態では、この界面活性剤はPS80である。
一実施形態では、液体製剤は、緩衝剤として酢酸塩緩衝液を含み、約5.0または約4.5未満のpHを有し、4.5μm未満の平均直径を有する液滴を含む。一実施形態では、液体製剤は、緩衝剤として酢酸塩緩衝液を含み、約5.0または約4.5未満のpHを有し、約0.5μmから約4.5μmまでの範囲の平均直径を有する液滴を含む。一実施形態では、液体製剤は、緩衝剤として酢酸塩緩衝液を含み、約3.5から約4.5未満までの範囲のpHを有し、4.5μm未満の平均直径を有する液滴を含む。一実施形態では、液体製剤は、緩衝剤として酢酸塩緩衝液を含み、約3.5から約4.5未満までの範囲のpHを有し、約0.5μmから約4.5μmまでの範囲の平均直径を有する液滴を含む。一実施形態では、液体製剤は、緩衝剤として酢酸塩緩衝液を含み、約3.7から約4.3までの間にある、すなわちそれらの間のpHを有し、4.5μm未満の平均直径を有する液滴を含む。一実施形態では、液体製剤は、緩衝剤として酢酸塩緩衝液を含み、約3.7から約4.3までの間にある、すなわちそれらの間のpHを有し、約0.5μmから約4.5μmまでの範囲の平均直径を有する液滴を含む。一実施形態では、液体製剤は、緩衝剤として酢酸塩緩衝液を含み、約3.8から約4.2までの間にある、すなわちそれらの間のpHを有し、4.5μm未満の平均直径を有する液滴を含む。一実施形態では、液体製剤は、緩衝剤として酢酸塩緩衝液を含み、約3.8から約4.2までの間にある、すなわちそれらの間のpHを有し、約0.5μmから約4.5μmまでの範囲の平均直径を有する液滴を含む。一実施形態では、液体製剤は、緩衝剤として酢酸塩緩衝液を含み、約3.9から約4.1までの間にある、すなわちそれらの間のpHを有し、4.5μm未満の平均直径を有する液滴を含む。一実施形態では、液体製剤は、緩衝剤として酢酸塩緩衝液を含み、約3.9から約4.1までの間にある、すなわちそれらの間のpHを有し、約0.5μmから約4.5μmまでの範囲の平均直径を有する液滴を含む。別の実施形態では、液体製剤は、1つの界面活性剤のみを含む。一実施形態では、この界面活性剤はPS80である。
一実施形態では、液体製剤は、緩衝剤として酢酸塩緩衝液を含み、約5.0または約4.5未満のpHを有し、4μm未満の平均を有する液滴を含む。一実施形態では、液体製剤は、緩衝剤として酢酸塩緩衝液を含み、約5.0または約4.5未満のpHを有し、約0.5μmから約4μmまでの範囲の平均直径を有する液滴を含む。一実施形態では、液体製剤は、緩衝剤として酢酸塩緩衝液を含み、約3.5から約4.5未満までの間の範囲のpHを有し、4μm未満の平均直径を有する液滴を含む。一実施形態では、液体製剤は、緩衝剤として酢酸塩緩衝液を含み、約3.5から約4.5未満までの間の範囲のpHを有し、約0.5μmから約4μmまでの範囲の平均直径を有する液滴を含む。一実施形態では、液体製剤は、緩衝剤として酢酸塩緩衝液を含み、約3.7から約4.3までの間にある、すなわちそれらの間のpHを有し、4μm未満の平均直径を有する液滴を含む。一実施形態では、液体製剤は、緩衝剤として酢酸塩緩衝液を含み、約3.7から約4.3までの間にある、すなわちそれらの間のpHを有し、約0.5μmから約4μmまでの範囲の平均直径を有する液滴を含む。一実施形態では、液体製剤は、緩衝剤として酢酸塩緩衝液を含み、約3.8から約4.2までの間にある、すなわちそれらの間のpHを有し、4μm未満の平均直径を有する液滴を含む。一実施形態では、液体製剤は、緩衝剤として酢酸塩緩衝液を含み、約3.8から約4.2までの間にある、すなわちそれらの間のpHを有し、約0.5μmから約4μmまでの範囲の平均直径を有する液滴を含む。一実施形態では、液体製剤は、緩衝剤として酢酸塩緩衝液を含み、約3.9から約4.1までの間にある、すなわちそれらの間のpHを有し、4μm未満の平均直径を有する液滴を含む。一実施形態では、液体製剤は、緩衝剤として酢酸塩緩衝液を含み、約3.9から約4.1までの間にある、すなわちそれらの間のpHを有し、約0.5μmから約4μmまでの範囲の平均直径を有する液滴を含む。別の実施形態では、液体製剤は、1つの界面活性剤のみを含む。一実施形態では、この界面活性剤はPS80である。
一実施形態では、液体製剤は、緩衝剤として酢酸塩緩衝液を含み、約5.0または約4.5未満のpHを有し、3.5μm未満の平均直径を有する液滴を含む。一実施形態では、液体製剤は、緩衝剤として酢酸塩緩衝液を含み、約5.0または約4.5未満pHを有し、約0.5μmから約3.5μmまでの範囲の平均直径を有する液滴を含む。一実施形態では、液体製剤は、緩衝剤として酢酸塩緩衝液を含み、約3.5から約4.5未満までの範囲のpHを有し、3.5μm未満の平均直径を有する液滴を含む。一実施形態では、液体製剤は、緩衝剤として酢酸塩緩衝液を含み、約3.5から約4.5未満までの範囲のpHを有し、約0.5μmから約3.5μmまでの範囲の平均直径を有する液滴を含む。一実施形態では、液体製剤は、緩衝剤として酢酸塩緩衝液を含み、約3.7から約4.3未満までの間にある、すなわちそれらの間のpHを有し、3.5μm未満の平均直径を有する液滴を含む。一実施形態では、液体製剤は、緩衝剤として酢酸塩緩衝液を含み、約3.7から約4.3までの間にある、すなわちそれらの間のpHを有し、約0.5μmから約3.5μmまでの範囲の平均直径を有する液滴を含む。一実施形態では、液体製剤は、緩衝剤として酢酸塩緩衝液を含み、約3.8から約4.2までの間にある、すなわちそれらの間のpHを有し、3.5μm未満の平均直径を有する液滴を含む。一実施形態では、液体製剤は、緩衝剤として酢酸塩緩衝液を含み、約3.8から約4.2までの間にある、すなわちそれらの間のpHを有し、約0.5μmから約3.5μmまでの範囲の平均直径を有する液滴を含む。一実施形態では、液体製剤は、緩衝剤として酢酸塩緩衝液を含み、約3.9から約4.1までの間にある、すなわちそれらの間のpHを有し、3.5μm未満の平均直径を有する液滴を含む。一実施形態では、液体製剤は、緩衝剤として酢酸塩緩衝液を含み、約3.9から約4.1までの間にある、すなわちそれらの間のpHを有し、約0.5μmから約3.5μmまでの範囲の平均直径を有する液滴を含む。別の実施形態では、液体製剤は、1つの界面活性剤のみを含む。一実施形態では、この界面活性剤はPS80である。
一実施形態では、液体製剤は、緩衝剤として酢酸塩緩衝液を含み、約5.0または約4.5未満のpHを有し、3μm未満の平均直径を有する液滴を含む。一実施形態では、液体製剤は、緩衝剤として酢酸塩緩衝液を含み、約5.0または約4.5未満のpHを有し、約0.5μmから約3μmまでの範囲の平均直径を有する液滴を含む。一実施形態では、液体製剤は、緩衝剤として酢酸塩緩衝液を含み、約3.5から約4.5未満までの間の範囲のpHを有し、3μm未満の平均直径を有する液滴を含む。一実施形態では、液体製剤は、緩衝剤として酢酸塩緩衝液を含み、約3.5から約4.5未満までの間の範囲のpHを有し、約0.5μmから約3μmまでの範囲の平均直径を有する液滴を含む。一実施形態では、液体製剤は、緩衝剤として酢酸塩緩衝液を含み、約3.7から約4.3までの間にある、すなわちそれらの間のpHを有し、3μm未満の平均直径を有する液滴を含む。一実施形態では、液体製剤は、緩衝剤として酢酸塩緩衝液を含み、約3.7から約4.3までの間にある、すなわちそれらの間のpHを有し、約0.5μmから約3μmまでの範囲の平均直径を有する液滴を含む。一実施形態では、液体製剤は、緩衝剤として酢酸塩緩衝液を含み、約3.8から約4.2までの間にある、すなわちそれらの間のpHを有し、3μm未満の平均直径を有する液滴を含む。一実施形態では、液体製剤は、緩衝剤として酢酸塩緩衝液を含み、約3.8から約4.2までの間にある、すなわちそれらの間のpHを有し、約0.5μmから約3μmまでの範囲の平均直径を有する液滴を含む。一実施形態では、液体製剤は、緩衝剤として酢酸塩緩衝液を含み、約3.9から約4.1までの間にある、すなわちそれらの間のpHを有し、3μm未満の平均直径を有する液滴を含む。一実施形態では、液体製剤は、緩衝剤として酢酸塩緩衝剤を含み、約3.9から約4.1までの間にある、すなわちそれらの間のpHを有し、約0.5μmから約3μmまでの範囲の平均直径を有する液滴を含む。別の実施形態では、液体製剤は、1つの界面活性剤のみを含む。一実施形態では、この界面活性剤はPS80である。
一実施形態では、液体製剤は、緩衝剤としてヒスチジン緩衝液を含み、約5.0または約4.5未満pHを有し、5μm未満の平均直径を有する液滴を含む。一実施形態では、液体製剤は、緩衝剤としてヒスチジン緩衝液を含み、約5.0または約4.5未満のpHを有し、約0.5μmから約5μmまでの範囲の平均直径を有する液滴を含む。一実施形態では、液体製剤は、緩衝剤としてヒスチジン緩衝液を含み、約3.5から約4.5未満までの間の範囲のpHを有し、5μm未満の平均直径を有する液滴を含む。一実施形態では、液体製剤は、緩衝剤としてヒスチジン緩衝液を含み、約3.5から約4.5未満までの間の範囲のpHを有し、約0.5μmから約5μmまでの範囲の平均直径を有する液滴を含む。一実施形態では、液体製剤は、緩衝剤としてヒスチジン緩衝液を含み、約3.7から約4.3までの間にある、すなわちそれらの間のpHを有し、5μm未満の平均直径を有する液滴を含む。一実施形態では、液体製剤は、緩衝剤としてヒスチジン緩衝剤を含み、約3.7から約4.3までの間にある、すなわちそれらの間のpHを有し、約0.5μmから約5μmまでの範囲の平均直径を有する液滴を含む。一実施形態では、液体製剤は、緩衝剤としてヒスチジン緩衝液を含み、約3.8から約4.2までの間にある、すなわちそれらの間のpHを有し、5μm未満の平均直径を有する液滴を含む。一実施形態では、液体製剤は、緩衝剤としてヒスチジン緩衝液を含み、約3.8から約4.2までの間にある、すなわちそれらの間のpHを有し、約0.5μmから約5μmまでの範囲の平均直径を有する液滴を含む。一実施形態では、液体製剤は、緩衝剤としてヒスチジン緩衝液を含み、約3.9から約4.1までの間にある、すなわちそれらの間のpHを有し、5μm未満の平均直径を有する液滴を含む。一実施形態では、液体製剤は、緩衝剤としてヒスチジン緩衝液を含み、約3.9から約4.1までの間にある、すなわちそれらの間のpHを有し、約0.5μmから約5μmまでの範囲の平均直径を有する液滴を含む。別の実施形態では、液体製剤は、1つの界面活性剤のみを含む。一実施形態では、この界面活性剤はPS80である。
一実施形態では、液体製剤は、緩衝剤としてヒスチジン緩衝液を含み、約5.0または約4.5未満のpHを有し、4.5μm未満の平均直径を有する液滴を含む。一実施形態では、液体製剤は、緩衝剤としてヒスチジン緩衝液を含み、約5.0または約4.5未満のpHを有し、約0.5μmから約4.5μmまでの範囲の平均直径を有する液滴を含む。一実施形態では、液体製剤は、緩衝剤としてヒスチジン緩衝液を含み、約3.5から約4.5未満の間の範囲のpHを有し、4.5μm未満の平均直径を有する液滴を含む。一実施形態では、液体製剤は、緩衝剤としてヒスチジン緩衝液を含み、約3.5から約4.5未満の間の範囲のpHを有し、約0.5μmから約4.5μmまでの範囲の平均直径を有する液滴を含む。一実施形態では、液体製剤は、緩衝剤としてヒスチジン緩衝液を含み、約3.7から約4.3までの間にある、すなわちそれらの間のpHを有し、4.5μm未満の平均直径を有する液滴を含む。一実施形態では、液体製剤は、緩衝剤としてヒスチジン緩衝液を含み、約3.7から約4.3までの間にある、すなわちそれらの間のpHを有し、約0.5μmから約4.5μmまでの範囲の平均直径を有する液滴を含む。一実施形態では、液体製剤は、緩衝剤として酢酸塩緩衝液を含み、約3.8から約4.2までの間にある、すなわちそれらの間のpHを有し、4.5μm未満の平均直径を有する液滴を含む。一実施形態では、液体製剤は、緩衝剤として酢酸塩緩衝液を含み、約3.8から約4.2までの間にある、すなわちそれらの間のpHを有し、約0.5μmから約4.5μmまでの範囲の平均直径を有する液滴を含む。一実施形態では、液体製剤は、緩衝剤としてヒスチジン緩衝液を含み、約3.9から約4.1までの間にある、すなわちそれらの間のpHを有し、4.5μm未満の平均直径を有する液滴を含む。一実施形態では、液体製剤は、緩衝剤としてヒスチジン緩衝液を含み、約3.9から約4.1までの間にある、すなわちそれらの間のpHを有し、約0.5μmから約4.5μmまでの範囲の平均直径を有する液滴を含む。別の実施形態では、液体製剤は、1つの界面活性剤のみを含む。一実施形態では、この界面活性剤はPS80である。
一実施形態では、液体製剤は、緩衝剤としてヒスチジン緩衝液を含み、約5.0または約4.5未満のpHを有し、4μm未満の平均直径を有する液滴を含む。一実施形態では、液体製剤は、緩衝剤としてヒスチジン緩衝液を含み、約5.0または約4.5未満のpHを有し、約0.5μmから約4μmまでの範囲の平均直径を有する液滴を含む。一実施形態では、液体製剤は、緩衝剤としてヒスチジン緩衝液を含み、約3.5から約4.5未満までの間の範囲のpHを有し、4μm未満の平均直径を有する液滴を含む。一実施形態では、液体製剤は、緩衝剤としてヒスチジン緩衝液を含み、約3.5から約4.5未満までの間の範囲のpHを有し、約0.5μmから約4μmまでの範囲の平均直径を有する液滴を含む。一実施形態では、液体製剤は、緩衝剤としてヒスチジン緩衝液を含み、約3.7から約4.3までの間にある、すなわちそれらの間のpHを有し、4μm未満の平均直径を有する液滴を含む。一実施形態では、液体製剤は、緩衝剤としてヒスチジン緩衝液を含み、約3.7から約4.3までの間にある、すなわちそれらの間のpHを有し、約0.5μmから約4μmまでの範囲の平均直径を有する液滴を含む。一実施形態では、液体製剤は、緩衝剤としてヒスチジン緩衝液を含み、約3.8から約4.2までの間にある、すなわちそれらの間のpHを有し、4μm未満の平均直径を有する液滴を含む。一実施形態では、液体製剤は、緩衝剤としてヒスチジン緩衝液を含み、約3.8から約4.2までの間にある、すなわちそれらの間のpHを有し、約0.5μmから約4μmまでの範囲の平均直径を有する液滴を含む。一実施形態では、液体製剤は、緩衝剤としてヒスチジン緩衝液を含み、約3.9から約4.1までの間にある、すなわちそれら間のpHを有し、4μm未満の平均直径を有する液滴を含む。一実施形態では、液体製剤は、緩衝剤としてヒスチジン緩衝液を含み、約3.9から約4.1までの間にある、すなわちそれら間のpHを有し、約0.5μmから約4μmまでの範囲の平均直径を有する液滴を含む。別の実施形態では、液体製剤は、1つの界面活性剤のみを含む。一実施形態では、この界面活性剤はPS80である。
一実施形態では、液体製剤は、緩衝剤としてヒスチジン緩衝液を含み、約5.0または約4.5未満のpHを有し、3.5μm未満の平均を有する液滴を含む。一実施形態では、液体製剤は、緩衝剤としてヒスチジン緩衝液を含み、約5.0または約4.5未満のpHを有し、約0.5μmから約3.5μmまでの範囲の平均直径を有する液滴を含む。一実施形態では、液体製剤は、緩衝剤としてヒスチジン緩衝液を含み、約3.5から約4.5未満までの間の範囲のpHを有し、3.5μm未満の平均直径を有する液滴を含む。一実施形態では、液体製剤は、緩衝剤としてヒスチジン緩衝液を含み、約3.5から約4.5未満までの間の範囲のpHを有し、約0.5μmから約3.5μmまでの範囲の平均直径を有する液滴を含む。一実施形態では、液体製剤は、緩衝剤としてヒスチジン緩衝液を含み、約3.7から約4.3までの間にある、すなわちそれらの間のpHを有し、3.5μm未満の平均直径を有する液滴を含む。一実施形態では、液体製剤は、緩衝剤としてヒスチジン緩衝液を含み、約3.7から約4.3までの間にある、すなわちそれらの間のpHを有し、約0.5μmから約3.5μmまでの範囲の平均直径を有する液滴を含む。一実施形態では、液体製剤は、緩衝剤としてヒスチジン緩衝液を含み、約3.8から約4.2までの間にある、すなわちそれらの間のpHを有し、3.5μm未満の平均直径を有する液滴を含む。一実施形態では、液体製剤は、緩衝剤としてヒスチジン緩衝液を含み、約3.8から約4.2までの間にある、すなわちそれらの間のpHを有し、約0.5μmから約3.5μmまでの範囲の平均直径を有する液滴を含む。一実施形態では、液体製剤は、緩衝剤としてヒスチジン緩衝液を含み、約3.9から約4.1までの間にある、すなわちそれらの間のpHを有し、3.5μm未満の平均直径を有する液滴を含む。一実施形態では、液体製剤は、緩衝剤としてヒスチジン緩衝液を含み、約3.9から約4.1までの間にある、すなわちそれらの間のpHを有し、約0.5μmから約3.5μmまでの範囲の平均直径を有する液滴を含む。別の実施形態では、液体製剤は、1つの界面活性剤のみを含む。一実施形態では、この界面活性剤はPS80である。
一実施形態では、液体製剤は、緩衝剤としてヒスチジン緩衝液を含み、約5.0または約4.5未満のpHを有し、3μm未満の平均直径を有する液滴を含む。一実施形態では、液体製剤は、緩衝剤としてヒスチジン緩衝液を含み、約5.0または約4.5未満のpHを有し、約0.5μmから約3μmまでの範囲の平均直径を有する液滴を含む。一実施形態では、液体製剤は、緩衝剤としてヒスチジン緩衝液を含み、約3.5から約4.5未満までの間の範囲のpHを有し、3μm未満の平均直径を有する液滴を含む。一実施形態では、液体製剤は、緩衝剤としてヒスチジン緩衝液を含み、約3.5から約4.5未満までの間の範囲のpHを有し、約0.5μmから約3μmまでの範囲の平均直径を有する液滴を含む。一実施形態では、液体製剤は、緩衝剤としてヒスチジン緩衝液を含み、約3.7から約4.3までの間にある、すなわちそれらの間のpHを有し、3μm未満の平均直径を有する液滴を含む。一実施形態では、液体製剤は、緩衝剤としてヒスチジン緩衝液を含み、約3.7から約4.3までの間にある、すなわちそれらの間のpHを有し、約0.5μmから約3μmまでの範囲の平均直径を有する液滴を含む。一実施形態では、液体製剤は、緩衝剤としてヒスチジン緩衝液を含み、約3.8から約4.2までの間にある、すなわちそれらの間のpHを有し、3μm未満の平均直径を有する液滴を含む。一実施形態では、液体製剤は、緩衝剤としてヒスチジン緩衝液を含み、約3.8から約4.2の間にある、すなわちそれらの間のpHを有し、約0.5μmから約3μmまでの範囲の平均直径を有する液滴を含む。一実施形態では、液体製剤は、緩衝剤としてヒスチジン緩衝液を含み、約3.9から約4.1までの間にある、すなわちそれらの間のpHを有し、3μm未満の平均直径を有する液滴を含む。一実施形態では、液体製剤は、緩衝剤としてヒスチジン緩衝液を含み、約3.9から約4.1までの間にある、すなわちそれらの間のpHを有し、約0.5μmから約3μmまでの範囲の平均直径を有する液滴を含む。別の実施形態では、液体製剤は、1つの界面活性剤のみを含む。一実施形態では、この界面活性剤はPS80である。
本発明によれば、本明細書に記載されたエアロゾルまたは液体製剤中に存在する抗体または抗体誘導体は、例えば、クエン酸塩を含む製剤中に配合されている同じ抗体または抗体誘導体と比較して、低い凝集を特徴とする。
一実施形態では、本明細書に記載されたエアロゾルまたは液体製剤中に存在する抗体または抗体誘導体は、以下の特性の1つまたはそれ以上を有する。
・本明細書に記載されたエアロゾルまたは液体製剤中に存在する抗体または抗体誘導体の多分散性指数(PDI)が、例えば、DLSによって決定されるように(例えば、本質的に実施例1に記載されるように)、0.5もしくはそれ未満、または0.4もしくはそれ未満、または0.3もしくはそれ未満、または0.2もしくはそれ未満、または0.1もしくはそれ未満である。
・本明細書に記載されたエアロゾルまたは液体製剤中に存在する抗体または抗体誘導体のモノマーの多分散性の百分率は、例えば、DLSによって決定されるように(例えば、本質的に実施例1に記載されるように)、30%もしくはそれ未満、または25%もしくはそれ未満、または20%もしくはそれ未満、または15%もしくはそれ未満である。
・本明細書に記載されたエアロゾルまたは液体製剤中に存在する抗体または抗体誘導体のモノマーの質量百分率は、例えば、DLSによって決定されるように(例えば、本質的に実施例1に記載されるように)、99.7%もしくはそれ以上、または99.8%もしくはそれ以上、または99.8%もしくはそれ以上である。
・本明細書に記載されたエアロゾルまたは液体製剤中に存在する抗体または抗体誘導体のモノマーの強度百分率は、例えば、DLSによって決定されるように(例えば、本質的に実施例1に記載されるように)、80.0%もしくはそれ以上、または85.0%もしくはそれ以上、または90.0%もしくはそれ以上、または90.0%超である。
・例えば、FCMによって決定されるように(例えば、本質的に実施例1に記載されるように)、
>2μmの粒子の数は、10000/mL未満、または7500/mL未満、または5000/mL未満、または4000/mL未満、または3000/mL未満、または2000/mL未満であり、
>10μmの粒子の数は、500/mL未満、または400/mL未満、または300/mL未満、または200/mL未満であり;そして
>25μmの粒子の数は、100/mL未満、または50/mL未満、または40/mL未満、または30/mL未満、または20/mL未満である。
別の態様において、本発明は、液体製剤を含む液滴を含むエアロゾルを調製する方法に関し、該方法は、以下のステップ:
(i)上記定義された液体製剤を提供するステップ、
(ii)ステップ(i)で提供された液体製剤を、ネブライザーを用いて噴霧し、それによってエアロゾルを調製するステップ
を含む。
一実施形態では、ネブライザーは、メッシュネブライザーである。
ネブライザーは、液体製剤をエアロゾル化し、対象の呼吸器に吸入させるために、気体中に液体を分散させることを可能にする。ネブライザーの例には、ソフトミストネブライザー、メッシュネブライザー(例えば、振動メッシュネブライザー)、ジェットネブライザーおよび超音波ネブライザーが含まれる。好適なネブライザー装置には、Aerogen(登録商標)Solo(Aerogen)、Pari eFlow(登録商標)(Pari GmbH)、Philips I-neb(商標)(Philips)、Pari LC Sprint(Pari GmbH)、AERxRTM Pulmonary Delivery System(Aradigm)およびPari LC Plus Reusable Nebulizer(Pari GmbH)が含まれる。一実施形態では、ネブライザーは、メッシュネブライザー、特に、振動メッシュネブライザーである。ネブライザーは、典型的には約1mLから約200mLまで、より典型的には1mLから20mLまでの液体製剤を含む。
一実施形態において、本方法は、ステップ(i)と(ii)との間に、以下のステップ:
(ia)ステップ(i)で提供された液体製剤を凍結乾燥させ、それによって凍結乾燥粉末を提供するステップ、および
(ib)ステップ(ia)で提供された凍結乾燥粉末に適切な量の水性媒体を添加することによって、ステップ(i)で提供された液体製剤を再構成するステップ
をさらに含む。
別の態様において、本発明は、液体製剤を含む液滴を含むエアロゾルに関し、エアロゾルは、上記定義されるような方法によって入手可能である。一実施形態では、液滴は、約0.5μmから約5μmまで、または約0.5μmから約3μmまでの範囲の平均直径を有する。
別の態様では、本発明は、抗体または抗体誘導体を対象の肺に送達する方法において使用するための、上記定義された液体製剤または上記定義されたエアロゾルに関し、エアロゾルは吸入により対象に投与され、液体製剤はネブライザーを介して吸入することによって対象に投与される。
一実施形態では、抗体または抗体誘導体は、IgG1抗体または抗体誘導体である。
一実施形態では、ネブライザーは、メッシュネブライザーである。
用語「対象」は、本発明によれば、処置のための対象、特に罹患した対象(「患者」とも呼ばれる)を意味し、ヒト、非ヒト霊長類または他の動物、特に哺乳類、例えばウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、イヌ、ネコ、ウサギまたは齧歯類、例えばマウス、ラット、モルモットおよびハムスターが含まれる。一実施形態では、対象/患者は、ヒトである。
別の態様では、本発明は、対象における疾患を処置または予防する方法において使用するための、上記定義された液体製剤に関し、エアロゾルは吸入により対象に投与され、または液体製剤はネブライザーを介して吸入により対象に投与される。
一実施形態では、疾患は、肺疾患である。
一実施形態では、ネブライザーは、メッシュネブライザーである。
本明細書で使用される用語「処置する」は、患者の健康状態を改善し、かつ/または寿命を延長(増加)させる、あらゆる処置のことである。
本発明によれば、用語「疾患」は、あらゆる病理状態、特に癌、感染性疾患、炎症性疾患、代謝性疾患、自己免疫疾患、変性疾患、アポトーシス関連疾患および移植拒絶反応のことである。
また、本発明による用語「癌」は、癌の転移を含む。「転移」とは、癌細胞が元の部位から体の別の部位に広がることを意味する。転移の形成は非常に複雑な過程であり、原発腫瘍からの悪性細胞の剥離、細胞外マトリックスへの侵入、体腔および血管に入るための内皮基底膜の貫通、次いで血液によって運ばれた後、標的器官の浸潤に依存する。最終的に、標的部位での新たな腫瘍、すなわち二次腫瘍または転移性腫瘍の増殖は、血管新生に依存する。腫瘍細胞または成分が残り、転移能を発現する可能性があるため、腫瘍転移はしばしば原発腫瘍の除去後にも発生する。一実施形態では、本発明による用語「転移」は、原発腫瘍および所属リンパ節系から離れた転移に関連する「遠隔転移」のことである。
用語「感染症」は、個体から個体へまたは生物から生物へ感染することができ、微生物因子(例えば、風邪)によって引き起こされるあらゆる疾患のことである。感染症の例としては、ウイルス性感染症、例えばエイズ(HIV)、A型肝炎、B型肝炎またはC型肝炎、ヘルペス、帯状疱疹(水痘)、風疹(風疹ウイルス)、黄熱、デング熱など、フラビウイルス、インフルエンザウイルス、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、出血性感染症(マールブルグウイルスまたはエボラウイルス)、および重症急性呼吸器症候群(SARS)、細菌感染症、例えばレジオネラ症(レジオネラ菌)、性感染症(例えばクラミジア、淋病)、胃潰瘍(ヘリコバクター)、コレラ(ビブリオ)、結核、ジフテリア、大腸菌(E.coli)、ブドウ球菌(Staphylococci)、サルモネラ菌(Salmonella)または連鎖球菌(Streptococci)(破傷風)による感染;マラリアなどの原虫病原体による感染症、睡眠病、リーシュマニア症;トキソプラズマ症、すなわちマラリア原虫(Plasmodium)、トリパノソーマ(Trypanosoma)、リーシュマニア(Leishmania)およびトキソプラズマ(Toxoplasma)による感染症;または、例えばクリプトコックスネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)、ヒストプラスマカプスラーツム(Histoplasma capsulatum)、コクシジオイデスイミチス(Coccidioides immitis)、ブラストミセスデルマティティディス(Blastomyces dermatitidis)またはカンジダアルビカンス(Candida albicans)によって引き起こされる真菌感染症が含まれる。
用語「炎症性疾患」は、組織、特に結合組織における高レベルの炎症、またはこれらの組織の変性を特徴とする、またはそれらに関連する、あらゆる疾患のことである。慢性炎症性疾患は、持続的な炎症を特徴とする医学的状態である。(慢性)炎症性疾患の例としては、セリアック病、血管炎、ループス、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、過敏性腸疾患、アテローム性動脈硬化、関節炎、強直性脊椎炎、クローン病、大腸炎、慢性活動性肝炎、皮膚炎および乾癬が含まれる。
用語「代謝性疾患」は、正常な代謝を阻害するあらゆる疾患または障害のことである。例としては、シスチン症、糖尿病、脂質異常症、甲状腺機能亢進症、甲状腺機能低下症、高脂血症、低脂血症、ガラクトース血症、ゴーシェ病、肥満およびフェニルケトン尿症が含まれる。
用語「自己免疫疾患」は、身体が自己の組織のなんらかの構成要素に対して免疫原性(すなわち免疫系)反応を起こすあらゆる疾患/障害のことである。言い換えれば、免疫系が体内のなんらかの組織またはシステムを自己として認識する能力を失い、自己を異物であるかのように自己を標的化し、攻撃する。自己免疫疾患は、主に1つの器官が影響を受けるもの(溶血性貧血および抗免疫性甲状腺炎など)と、自己免疫疾患の過程が多くの組織を通して拡散するもの(全身性エリテマトーデスなど)とに分類される。例えば、多発性硬化症は、T細胞が脳および脊髄の神経線維を包む鞘を攻撃することによって引き起こされると考えられている。その結果、協調性の喪失、脱力感、かすみ目が生じる。自己免疫疾患は当技術分野で知られており、例えば、橋本甲状腺炎、バセドウ病、ループス、多発性硬化症、関節リウマチ、溶血性貧血、抗免疫性甲状腺炎、全身性エリテマトーデス、セリアック病、クローン病、大腸炎、糖尿病、強皮症、乾癬等が含まれる。
用語「変性疾患」は、罹患した組織または器官の機能または構造が、時間とともに次第に悪化するあらゆる疾患のことである。例えば、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、ハンチントン病、黄斑変性症、多発性硬化症、筋ジストロフィー、ニーマンピック病、骨粗鬆症および関節リウマチが含まれる。
用語「アポトーシス関連疾患」は、アポトーシスの変化が関与するあらゆる疾患を指す。例としては、癌、神経疾患、例えばアルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)および脳卒中、心疾患、例えば虚血再灌流、慢性心不全、感染症ならびに自己免疫疾患が含まれる。
用語「移植拒絶反応」は、レシピエントの免疫系による移植された組織または器官による拒絶反応のことであり、最終的に移植された組織または器官を破壊することがあり得る。
用語「肺疾患(lung disease)」(本明細書では「肺疾患(pulmonary disease)」とも呼ばれる)は、一般に、対象の肺に影響を及ぼす疾患または障害のことである。一実施形態では、肺疾患は、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺癌(例えば、非小細胞肺癌)、嚢胞性線維症(CF)、間質性肺疾患(ILD)、例えば特発性肺線維症、過敏性肺炎、サルコイドーシスおよび石綿症、細菌感染症(例えば、マイコバクテリア感染症)、ウイルス感染症(例えば、インフルエンザウイルス感染症または呼吸合胞体ウイルス(RSV)感染症)、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、肺胞タンパク症(PAP)、急性気管支炎、閉塞性気管支炎および肺高血圧症からなる群から選択される。
別の態様では、本発明は、抗体または抗体誘導体を対象の肺に送達する方法に関し、該方法は、上記定義されたエアロゾルの有効量を吸入により対象に投与するか、または上記定義された液体製剤の有効量を、ネブライザーを介して吸入により対象に投与することを含む。
一実施形態では、抗体または抗体誘導体は、IgG1抗体または抗体誘導体である。
一実施形態では、ネブライザーは、メッシュネブライザーである。
本明細書で使用される用語「有効量」は、特に、「治療上有効な量」を指し、これは、特に許容できない副作用を引き起こすことなく、単独でまたはさらなる用量と一緒に所望の治療反応または所望の治療効果を達成する量である。特定の疾患または特定の状態の処置の場合、所望の反応は、特に疾患の経過の阻害に関連する。これは、疾患の進行を遅らせること、特に、疾患の進行を中断または逆転させることを含む。疾患または状態の治療における所望の反応は、また、上記疾患または上記状態の発症の遅延または発症の予防であってもよい。本明細書に記載されたエアロゾルまたは液体製剤、したがって、そこに含まれる抗体または抗体誘導体の有効量は、処置される状態、疾患の重さ、年齢、生理状態、体格および体重を含む対象の個々のパラメータ、処置の期間、付随する療法のタイプ(存在する場合)、特定の投与経路および類似の因子に依存することになる。したがって、本明細書に記載されたエアロゾルまたは液体製剤の投与された用量は、このようなパラメータのいくつかに依存し得る。対象の反応が初期用量で不十分な場合、より高い用量を使用してもよい。
別の態様では、本発明は、対象における疾患を処置または予防する方法に関し、該方法は、上記定義されたエアロゾルの有効量を吸入により対象に投与すること、または上記定義された液体製剤の有効量を、ネブライザーを介して吸入により対象に投与することを含む。
一実施形態では、疾患は、肺疾患である。
一実施形態では、ネブライザーは、メッシュネブライザーである。
別の態様において、本発明は、上記定義されたような液体製剤を含むネブライザーに関する。
一実施形態では、ネブライザーは、メッシュネブライザーである。
別の態様において、本発明は、
(i)上記定義された液体製剤または該液体製剤の凍結乾燥により得ることができる粉末を含む容器、および
(ii)ネブライザー
を含むキットに関する。
一実施形態では、ネブライザーは、メッシュネブライザーである。
本明細書で使用する場合、用語「部品のキット(略称:キット)」は、1つまたはそれ以上の容器、ネブライザー(例えば、メッシュネブライザー)、および場合によりデータキャリアを含む製造物品を指す。上記の1つまたはそれ以上の容器は、上記定義された液体製剤および/または液体製剤の凍結乾燥により得られる粉末で充填される。追加の容器は、例えば、希釈剤(例えば、水性媒体)、緩衝剤、および本明細書で定義されたさらなる試薬を含むキットに含まれ得る。上記データキャリアは、非電子データキャリア、例えば、情報リーフレット、情報シート、バーコードもしくはアクセスコードなどのグラフィックデータキャリア、または、コンパクトディスク(CD)、デジタル多用途ディスク(DVD)、マイクロチップもしくは他の半導体ベースの電子データキャリアなどの電子データキャリアであってもよい。アクセスコードは、データベース、例えば、インターネットデータベース、集中型データベース、または分散型データベースへのアクセスを可能にすることができる。上記データキャリアは、本明細書に記載されたような方法および用途におけるキットの使用に関する指示を含んでもよい。
別の態様では、本発明は、ネブライザーを用いた噴霧によってエアロゾルを調製するための、上記定義されたような液体製剤の使用に関する。
一実施形態では、ネブライザーは、メッシュネブライザーである。
別の態様では、本発明は、抗体または抗体誘導体を含む液体製剤のネブライザーによる噴霧時に抗体または抗体誘導体の安定性を高めるための、酢酸塩、ヒスチジンおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される緩衝剤の使用に関し、緩衝剤は噴霧前に液体製剤に含まれる。
一実施形態では、抗体または抗体誘導体は、IgG1抗体または抗体誘導体である。
一実施形態では、ネブライザーは、メッシュネブライザーである。
一実施形態では、用語「安定性を高める」は、抗体または抗体誘導体の凝集を防止するか、またはその程度を減少させることを指す。
一実施形態では、液体製剤は、約5.5またはそれ未満のpHを有する。
一実施形態では、抗体は、モノクローナル抗体である。
一実施形態では、液体製剤は、クエン酸塩を含まない。
一実施形態では、液体製剤は、約3.5から約5.5までの範囲のpHを有する。
一実施形態では、緩衝剤は酢酸塩であり、液体製剤は、約5.0未満、または約4.5未満のpHを有する。一実施形態では、緩衝剤は酢酸塩であり、液体製剤は、約3.5から約4.5未満までの間、または約3.7から約4.3までの間、または約3.8から約4.2までの間、または約3.9から約4.1までの間の範囲にあるpHを有する。一実施形態では、液体製剤は、約4.0のpHを有する。
一実施形態では、液体製剤は、界面活性剤をさらに含む。一実施形態では、界面活性剤は、ポリソルベート、ポロキサマー、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、アルキルフェノールポリオキシエチレンおよびドデシル硫酸ナトリウムからなる群から選択される。
一実施形態では、液体製剤中の界面活性剤の濃度は、約0.1%(w/v)もしくはそれ未満、または約0.05%(w/v)もしくはそれ未満である。
一実施形態では、液体製剤は、なんら界面活性剤を含まない。
一実施形態では、液体製剤は、NaClを含まない。
一実施形態では、液体製剤は、なんら非緩衝塩を含まない。
次に、本発明を以下の実施例を参照してさらに説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではなく、説明することを意図するものである。
実施例1:材料および方法
実施例で使用した免疫グロブリンを、以下の表1に示す。
Figure 2023512286000002
動的光散乱法(DLS)
DLS測定は、DynaPro NanoStar (Wyatt Technology)装置を用い、波長663nmのレーザーを用いて実施した。各サンプルを使い捨てのキュベット(Uvette,Eppendorf)に導入し、測定は7秒間の10回取得により行った。データはDynamics 7.1.9ソフトウエエア(Wyatt Technology)で解析し、サブミクロン領域での粒径分布を決定した。
結果は、Z平均、多分散性指数(PDI)、モノマー半径、モノマーピーク(pic)の多分散性の百分率、強度の百分率、およびモノマーの質量として表示する。
多分散性は、PDIが0.1未満の場合は低く、サンプルが多様である場合は高いとみなされる。
モノマーの多分散性の割合が15%未満の場合は、均質性のレベルが高いとみなされる。均質性のレベルが低い(多分散性の割合が30%より大きい)場合、粒子集団は著しく異なるサイズを含む、すなわち多分散であるとみなすことができる。
モノマーの質量百分率が99.8%を超える場合は凝集が低く、99.6%未満の場合は凝集度が高いとみなす。また、モノマーの強度百分率が90.0%を超える場合は凝集が低く、80.0%未満の場合は凝集が高いとみなす。
フローセル顕微鏡法(FCM)
フローセル顕微鏡測定は、Flowcell FC200-IPAC(Occhio)装置で行った。各分析は、使い捨てコーンに導入した200μLのサンプルで行う。データはCallistoソフトウェア(Occhio)で解析し、肉眼では見えない領域での粒径分布を決定した。
結果は、>2μm、>10μm、>25μmの粒子濃度(粒子/mL)として表示する。
粒子>2μmが2000/mL未満、粒子>10μmが200/mL未満、粒子>25μmが20/mL未満の場合、凝集は低いとみなす。粒子>2μmが10000/mLを超える、粒子>10μmが500/mLを超える、粒子>25μmが100/mLを超える場合、凝集が高いとみなす。
サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)
SEC測定は、超高性能クロマトグラフチェーンAgilent 1200で実施した。結果は、高分子量(HMW)の百分率で表示する。
mAb1について:測定は、0.1Mリン酸緩衝液、pH6.2で0.3MのNaClOおよびアセトニトリルで構成される移動相の流速0.3mL/分にて、24℃で行った。サンプルをバイアルに保存し、ガードカラムProsec 300S 50x7,5mm(Agilent)および2本のカラムProsec 300S 300x7.5mm(Agilent)で構成される一連のカラムに10μLを注入した。検出は280nmで行った。結果をEmpowerソフトウェアで処理した。
mAb3について:SEC測定は、超高速クロマトグラフチェーンAgilent 1200を使用して行った。測定は、50mMリン酸ナトリウム、300mM過塩素酸ナトリウム、pH7で構成される移動相の流速0.3mL/分にて、30℃で行った。サンプルをバイアルに保存し、1μLをAquity UPLC BEH200 SEC 200A、1.7μm、4.6mmX300mmカラム(Waters)に注入した。検出は280nmで行った。結果をEmpowerソフトウェアで処理した。
目視検査
目視検査は、ガラスバイアルに入れたサンプルで実施し、黒色の背景上でMLC-150冷光源(Motic)を用いて照らした。
実施例2:IgG1安定性における緩衝液およびpHの効果
本実施例は、酸性pHで酢酸塩およびヒスチジン緩衝液が、クエン酸塩緩衝液と比較して、噴霧時の凝集に対するIgG1抗体の安定性を促進することを示す。
PS80を使用せず、異なるpHの異なる緩衝液で調合した2つのIgG1免疫グロブリン(mAb1およびmAb3)を噴霧し、噴霧後の安定性を評価した。mAb1およびmAb3は、6種の異なる緩衝液/pH系:酢酸塩pH4.0、酢酸塩pH5.5、ヒスチジンpH5.5、ヒスチジンpH7.0、クエン酸塩pH5.5およびクエン酸塩pH6.5を用いて10mg/mLの濃度で調合した。緩衝液の濃度は、各系とも10mMであった。噴霧は、異なる緩衝液で調合したIgG1 2mLにおいてSolo(Aerogen)振動メッシュネブライザーを用いて行った。凝集の程度は、動的光散乱法(DLS)、フローセル顕微鏡法(FCM)、SECおよび目視検査で測定した。結果を、図1A-C(mAb1)および図1D-F(mAb3)にまとめる。
目視検査では、mAb1のクエン酸塩製剤に可視粒子が存在することが示された。DLSの結果、酢酸塩およびヒスチジン緩衝液では、特に酸性pHにおいてサブミクロン粒子への低凝集を示したのに対して、クエン酸塩製剤はろ過なしでの分析には適していなかった(サンプル中の高い粒子含有量による可能性が高い)。FCMの結果、クエン酸塩緩衝液では高い凝集が確認された。
実施例3:IgG1安定性におけるポリソルベート80(PS80)の効果
本実施例は、多量のPS80(1000ppm)がクエン酸塩緩衝液中のIgG1の噴霧時の凝集を制限するのに役立つが、mAb1のサブミクロン粒子がDLSによる定量化のレベルを超えているため完全ではないことを示している。
2つの免疫グロブリン(mAb1およびmAb3)を、異なるpHの異なる緩衝液に、ポリソルベート80(PS80)の存在下で調合した。酢酸塩、ヒスチジン、およびクエン酸塩の各緩衝液を使用し、PS80を界面活性剤として使用した。6つの異なる緩衝液/pH系:酢酸塩pH4.0、酢酸塩pH5.5、ヒスチジンpH5.5、ヒスチジンpH7.0、クエン酸塩pH5.5およびクエン酸塩pH6.5を用いて2つのIgGを10mg/mLの濃度で調製した。緩衝液の濃度は10mMを使用した。PS80を添加して製剤中1000ppmの濃度を得た。異なる緩衝液で調合したIgG1 2mLにおいてSolo(Aerogen)振動メッシュネブライザーにより噴霧を行った。凝集の程度を、動的光散乱(DLS)、フローセル顕微鏡(FCM)、SECおよび目視検査で測定した。結果を、図2A-C(mAb1)および図2D-F(mAb3)にまとめる。
目視検査では、PS80を用いたすべての製剤において、可視粒子がないことが示された。DLSの結果、クエン酸塩製剤は、おそらくサンプル中の高い粒子含有量/大きな粒子のため、ろ過なしの分析には適さないことが示された。FCMの結果は、実施例2で試験したPS80を含まない同じ製剤と比較して、より低いレベルの凝集を実証した。
実施例4:2つの異なるメッシュ振動ネブライザーを用いた噴霧
本実施例では、酢酸塩およびヒスチジン緩衝液の安定化特性を、2つの異なる振動メッシュネブライザー、すなわちSoloネブライザー(前の実施例を参照)およびPARIからのeFlowネブライザーで説明する。酢酸塩およびヒスチジン緩衝液中のIgG1抗体における安定化効果(クエン酸塩緩衝液と比較して)は、eFlowシステムでも確認した。
酢酸塩、ヒスチジンおよびクエン酸塩緩衝液を用いた。6つの緩衝液/pH系:酢酸塩pH4.0、酢酸塩pH5.5、ヒスチジンpH5.5、ヒスチジンpH7.0、クエン酸塩pH5.5およびクエン酸塩pH6.5を用いて2つのIgG1を10mg/mLの濃度で調製した。異なる緩衝液で調合した2mLのIgG1において、カスタマイズしたeFlow(PARI)振動メッシュネブライザーを用いて噴霧ストレスをかけた。凝集の程度は、動的光散乱(DLS)、フローセル顕微鏡(FCM)、SECおよび目視検査で測定した。結果を、図3A~C(mAb1)にまとめる。
実施例5:酢酸塩緩衝液pH5.5における異なるIgGアイソタイプ(IgG1およびIgG4)の安定性
本実施例は、いくつかのIgG1抗体における酸性pHの酢酸塩緩衝液の安定化効果を示す。IgG4抗体では、これらの緩衝液の安定化特性はあまり顕著ではない。
4つのIgG1(mAb1、mAb2、mAb3およびmAb4)および1つのIgG4(mAbX)を同じ製剤中で10mg/mLの濃度で(pH5.5の酢酸塩緩衝液)に噴霧ストレスを適用し、Solo(Aerogen)振動メッシュネブライザーを用いて2mLで噴霧を適用した。凝集の程度は、動的光散乱(DLS)、フローセル顕微鏡(FCM)、SECおよび目視検査を用いて測定した。結果を図4A-Cにまとめる。
目視検査では、IgG4 Xサンプルに可視粒子の存在が示された。DLSの結果により、IgG4 Xサンプルは、おそらくサンプル中の粒子のため、ろ過なしの分析に適さないことがわかった。FCM計数では、IgG4 Xサンプルでは高い凝集、および4つのIgG1サンプルでは低い凝集が確認された。
実施例6:ヒスチジンの安定化効果
本実施例は、ネブライザー使用前の医薬品の製造および長期保存を可能にする、賦形剤(ポリオールおよび非イオン性界面活性剤)を含有する製剤におけるヒスチジン緩衝液の安定化特性を示す。
IgG1抗体(mAb1)を、20mMヒスチジン緩衝液(pH6.0)中、追加の賦形剤として非イオン性界面活性剤およびポリオールを用いて20g/Lで調合し、この組み合わせにより製剤溶液に長期保存安定性が付与された。Solo(Aerogen)振動メッシュネブライザーを用いて、mAb1製剤2mLに噴霧ストレスをかけた。エアロゾルの液滴サイズを、レーザー回折測定により決定した。噴霧後に得られたVMDは4.4μmであり、ほとんどの液滴は5μm未満の直径を有した。約30%の液滴は0.5μmから3μmまでの範囲の直径を有した。凝集の程度は、動的光散乱(DLS)、フローセル顕微鏡(FCM)、SECおよび目視検査によって評価した。追加の分析法を実施した。この製剤は、2~8℃で24カ月間にわたり保存することができる。結果を、図5Aおよび図5Bにまとめる。
実施例7:クエン酸塩緩衝液中のIgG1におけるPS80濃度の効果
クエン酸塩中で噴霧されたIgG1の安定性におけるPS80濃度の効果を評価した。これに関して、噴霧ストレスを、異なる濃度のPS80を有するクエン酸塩pH5.5に調合した2つの異なるIgG1(mAb 1およびmAb 3)に適用した。0、200および1000ppmのPS80を用いた。2つのIgG1を、クエン酸塩緩衝液中で10mg/mLの濃度で調製し、PS80を目標濃度で添加した。異なる濃度のPS80を有するクエン酸塩に調合したIgG1 2mLにおいて、振動メッシュネブライザーを用いて噴霧ストレスをかけた。凝集の程度は、動的光散乱法(DLS)、フロー顕微鏡法(FCM;図6)を用いて測定した。図6から、クエン酸塩緩衝液中のIgG1が、PS80の0ppmで高い凝集レベルを示したことがわかる。クエン酸塩中でIgG1を安定化させるためには、高濃度(1000ppm)のPS80が必要であった。DLSの結果から、クエン酸塩製剤は、おそらくサンプル中の粒子のため、ろ過なしの分析に適さないことが示された。FCMの結果、0ppmのPS80では、高濃度の粒子が認められた。PS80の濃度が高くなると、mLあたりの粒子数は減少した。200ppmのPS80は、mAb 1を安定化させるのに十分ではなかった。DLSの結果は、おそらくほとんどの場合(n=5/6)、0ppmのPS80でサンプル中に粒子が含まれているために、クエン酸塩製剤がろ過なしの分析に適さないことを示している。200ppmのPS80では、凝集が観察された。1000ppmのPS80では、凝集は低い。FCMの結果、0ppmのPS80では、高濃度の粒子が認められた。200ppmおよび1000ppmのPS80の添加では、粒子の濃度が低下した。
実施例8:ヒスチジン緩衝液中のIgG1におけるPS80濃度の効果
ヒスチジン中に噴霧したIgG1の安定性におけるPS80濃度の効果を評価した。これに関して、異なる濃度のPS80を有するヒスチジンpH5.5に配合された1つのIgG1(mAb 1)に噴霧ストレスを適用した。0、50、200および1000ppmのPS80の濃度を用いた。ヒスチジン緩衝液中10mg/mLの濃度でIgG1を調製し、PS80を目標濃度で添加した。異なる濃度のPS80を有するヒスチジン中で調合されたIgG1 2mLにおいて、振動メッシュネブライザーを用いて噴霧ストレスをかけた。凝集の程度は、動的光散乱法(DLS)およびフロー顕微鏡法(FCM;図7)を用いて測定した。図7から、ヒスチジン緩衝液中のIgG1が、0ppmのPS80で中程度の凝集を示したことがかる。低濃度のPS80(50ppm)は、ヒスチジン中のIgG1を安定化させるのに十分であると考えられる。DLSの結果、0ppmのPS80では、中程度の凝集が認められた。50、200および100ppmのPS80では、凝集のレベルは低く、異なる濃度間で類似している。FCMの結果、0ppmのPS80では、中程度の濃度の粒子が認められた。50、200、および1000ppmのPS80を添加すると、比較可能な方法における粒子の濃度を下げることができた。

Claims (18)

  1. 液体製剤を含む液滴を含むエアロゾルであって
    該液体製剤は、
    (i)抗体または抗体誘導体、
    (ii)酢酸塩、ヒスチジンおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される緩衝剤、ならびに
    (iii)水性媒体
    を含み、該液体製剤は、約5.5またはそれ未満であるpHを有する、エアロゾル。
  2. 液体製剤がクエン酸塩を含まない、請求項1に記載のエアロゾル。
  3. 緩衝剤が酢酸塩であり、液体製剤が約5.0未満または約4.5未満であるpHを有する、請求項1または2に記載のエアロゾル。
  4. 液体製剤がさらに界面活性剤を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載のエアロゾル。
  5. 液体製剤中の界面活性剤の濃度が、約0.1%(w/v)もしくはそれ未満、または約0.05%(w/v)もしくはそれ未満である、請求項4記載のエアロゾル。
  6. 界面活性剤が、ポリソルベート、ポロキサマー、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、アルキルフェノールポリオキシエチレンおよびドデシル硫酸ナトリウムからなる群から選択される、請求項4または5記載のエアロゾル。
  7. 液体製剤が界面活性剤を含まない、請求項1~3のいずれか1項に記載のエアロゾル。
  8. 抗体または抗体誘導体がIgG1抗体または抗体誘導体である、請求項1~7のいずれか1項に記載のエアロゾル。
  9. 液滴が、約0.5μmから約5μmまで、約0.5μmから約4.5μmまで、約0.5μmから約4μmまで、約0.5μmから約3.5μmまで、または約0.5μmから約3μmまでの範囲の平均直径を有する、請求項1~8のいずれか1項に記載のエアロゾル。
  10. 液体製剤を含む液滴を含むエアロゾルを調製する方法であって、以下のステップ:
    (i)請求項1~8のいずれか1項に定義された液体製剤を提供するステップ、
    (ii)ステップ(i)で提供された液体製剤を、ネブライザーを用いて噴霧し、それによってエアロゾルを調製するステップ
    を含む、方法。
  11. 場合により、ステップ(i)と(ii)の間に、以下のステップ:
    (ia)ステップ(i)で提供された液体製剤を凍結乾燥させ、それによって凍結乾燥粉末を提供するステップ、および
    (ib)ステップ(ia)で提供された凍結乾燥粉末に適切な量の水性媒体を添加することにより、ステップ(i)で提供された液体製剤を再構成するステップ
    をさらに含む、請求項10に記載の方法。
  12. 液体製剤を含む液滴を含むエアロゾルであって、エアロゾルが請求項10または11に記載の方法によって得ることができる、エアロゾル。
  13. 抗体または抗体誘導体を対象の肺に送達する方法において使用するための、請求項1~9および12のいずれか1項に記載のエアロゾルまたは請求項1~8のいずれか1項に記載の液体製剤であって、エアロゾルが吸入により対象に投与されるか、または液体製剤がネブライザーを介して吸入により対象に投与される、エアロゾルまたは液体製剤。
  14. 対象の疾患を処置または予防する方法において使用するための、請求項1~9および12のいずれか1項に記載のエアロゾルまたは請求項1~8のいずれか1項に記載の液体製剤であって、エアロゾルが吸入により対象に投与されるか、または液体製剤がネブライザーを介して吸入により対象に投与されることを特徴とする液体製剤。
  15. 請求項1~8のいずれか1項に記載の液体製剤を含むネブライザー。
  16. キットであって、
    (i)請求項1~8のいずれか1項に記載の液体製剤または該液体製剤の凍結乾燥により得られる粉末を含む容器、および
    (ii)ネブライザー
    を含む、キット。
  17. ネブライザーによる噴霧によってエアロゾルを調製するための、請求項1~8のいずれか1項に記載の液体製剤の使用。
  18. 抗体または抗体誘導体を含む液体製剤のネブライザーによる噴霧時に抗体または抗体誘導体の安定性を高めるための、酢酸塩、ヒスチジンおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される緩衝剤の使用であって、緩衝剤が、噴霧前に液体製剤に含まれる、使用。
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