JP2023510512A - 神経変性障害を治療するための間葉系幹細胞を含む組成物 - Google Patents

神経変性障害を治療するための間葉系幹細胞を含む組成物 Download PDF

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Abstract

Figure 2023510512000001
本発明は、神経変性疾患を治療するための方法又は組成物に関し、特に、本発明は、小脳の神経変性疾患を有する患者に有効成分として幹細胞を含む組成物を投与するステップを含む、小脳の神経変性疾患を治療するための方法、又は有効成分として間葉系幹細胞を含む、小脳の神経変性疾患を治療するための組成物に関する。本発明に従う間葉系幹細胞を用いる治療方法又は治療組成物は、神経炎症の低減、M1ミクログリアの阻害、M2ミクログリアの活性化、プルキンエ細胞のアポトーシスの阻害、ニューロン死滅の阻害、運動能力の改善等での卓越した効果を有し、したがって、小脳性運動失調及び多系統萎縮症をはじめとする神経変性疾患の軽減及び治療で効果的に用いることができる。
【選択図】 図5A

Description

本出願は、2020年1月8日出願の韓国特許出願第10-2020-0002758号に対する優先権を主張し、該出願はその全体が参照により本明細書中に組み入れられる。
本発明は、神経変性疾患を治療するための方法又は組成物に関し、特に、本発明は、小脳の神経変性疾患を有する患者に有効成分として間葉系幹細胞を含む組成物を投与するステップを含む、小脳の神経変性疾患を治療するための方法、又は有効成分として間葉系幹細胞を含む、小脳の神経変性疾患を治療するための組成物に関する。
小脳性運動失調(CA)及び多系統萎縮症(MSA)等の疾患は、小脳又は関連する経路を侵す病理過程により引き起こされる運動神経変性疾患である。小脳性運動失調及び多系統萎縮症は、歩行困難等の、動作の異常な協調及び平衡障害により特徴付けられる。
小脳性運動失調及び多系統萎縮症は、遺伝的欠陥、散発性の神経変性障害、後天性疾患(例えば、感染、毒性反応、アルコール、及びビタミン欠乏)、及び他の未知の原因により引き起こされる場合がある。いくつもの近年の臨床的及び前臨床的研究が、小脳炎症が、小脳性運動失調及び多系統萎縮症の進行において重要な役割を果たし得ることを実証している。例えば、ミクログリア及び星状膠細胞の活性化による炎症性分子の産生を含む神経毒性炎症性応答が、遺伝性小脳性運動失調、特に脊髄小脳性運動失調の患者及び動物モデルで観察されてきた。神経膠細胞の活性化は、炎症性分子の産生をもたらし、且つ小脳性運動失調及び多系統萎縮症の多数の動物モデルで観察されており、並びに、神経膠細胞の活性化は小脳性運動失調及び多系統萎縮症を有する患者の小脳で見出された。小脳炎症は、小脳機能不全を生じるプルキンエ細胞の喪失を誘導することが知られている。加えて、小脳は、毒物及び中毒に対して特に致死性であり、且つ後天性の小脳性運動失調及び多系統萎縮症は、ウイルス感染及び毒物曝露(アルコール、薬物、及び環境毒性)により引き起こされる炎症性応答に起因して起こり得る。しかしながら、疾患の一部の動物モデルが、これらの遺伝的原因、小脳神経毒性、及び物理的損傷に関連する小脳性運動失調及び多系統萎縮症の病因に対する研究の結果から開発されているが、in vivoで小脳性運動失調及び多系統萎縮症を研究するための好適な動物モデルがない。
小脳性運動失調及び多系統萎縮症をはじめとする神経変性疾患の基本的メカニズムは、神経細胞に対する機能的及び定量的損傷の段階的な出現である。現在、小脳性運動失調及び多系統萎縮症等の神経変性疾患は、予防又は治療することができず、極めて例外的な症例でのみ、治療及び症状軽減が可能である。
近年、間葉系幹細胞(MSC)が、その抗炎症機能、再生能、及び低い免疫反応性を理由に、神経変性疾患に対する治療候補として注目されている。ヒト間葉系幹細胞(hMSC)は、自己再生及び数種類の特殊化された細胞へと分化する能力を有する多能性細胞である。損傷した脳では、hMSCは選択的に損傷部位を標的とし、抗アポトーシス、血管新生、抗炎症、免疫修飾、及び化学誘引等の広範囲の活性を有することが公知の様々な成長因子、サイトカイン、及びケモカインを分泌する。hMSCは、アルツハイマー病、パーキンソン病、及び脳卒中等の神経学的疾患に対する治療効果を有することが知られているが、小脳の神経変性疾患の患者及び動物モデルでの間葉系幹細胞の治療効果に対しては、ほとんど情報がない。
したがって、小脳性運動失調及び多系統萎縮症をはじめとする小脳の神経変性疾患でのhMSCの作用を確認するために、本発明者らは、小脳にリポ多糖(LPS)を直接注入することにより、又は腹腔へとAra-C(シタラビン)を注入することにより、動物モデルを確立した。加えて、本発明者らは、遺伝子改変を通じた遺伝学的動物モデルであるSCA2疾患動物モデルを含む3種類の動物モデルでの、ヒト間葉系幹細胞(hMSC)の治療効果を確認しようと試みた。
本発明の目的は、小脳の神経変性疾患を有する患者に有効成分として幹細胞を含む組成物を投与するステップを含む、小脳の神経変性疾患を治療するための方法を提供することである。
本発明の別の目的は、有効成分として幹細胞を含む、小脳の神経変性疾患の症状を軽減又は治療するための組成物を提供することである。
しかしながら、本発明により達成されるべき技術的課題は、上記の課題に限定されず、言及されていない他の課題が、以下の説明から当業者により明確に理解されるであろう。
上記の課題を解決するために、本発明は、小脳の神経変性疾患を有する患者に有効成分として幹細胞を含む組成物を投与するステップを含む、小脳の神経変性疾患を治療するための方法、又は有効成分として幹細胞を含む、小脳の神経変性疾患の症状を軽減若しくは治療するための組成物を提供する。
本発明は、小脳での炎症を誘導するために動物モデルにLPSを投与することにより、又は小脳の発達を阻害するためにAra-Cを投与することにより、神経変性疾患の動物モデルを確立し、且つ第5世代を通じて遺伝的に安定化されているSCA2遺伝子改変疾患を有する動物モデルを構築した。次に、間葉系幹細胞(MSC)の治療効果を、これらの様々な病理メカニズムを有する神経変性疾患の3種類の動物モデルで実験した。
本明細書中で用いる場合、用語「小脳の神経変性疾患」とは、小脳の異常な機能に起因して、動作がぎこちなく、且つ動作間の協調がない神経学的疾患を指し、様々な医学的及び神経学的疾患又は遺伝的素因により誘導される全ての神経変性疾患を含む。本発明では、小脳の神経変性疾患としては、炎症により誘導される神経変性疾患、毒物により誘導される神経変性疾患、又は遺伝子改変により引き起こされる神経変性疾患が挙げられる。
本発明では、小脳の神経変性疾患は、小脳性運動失調又は多系統萎縮症を含む。
本明細書中で用いる場合、用語「幹細胞」とは、様々な身体組織へと分化する能力を有する未分化細胞を指し、より詳細には、いずれかの特異的細胞又は複数の機能的細胞へと分化する能力及び同じ細胞自体を繰り返し生成できる自己複製能を有する未分化細胞を含むことができる。幹細胞は胎児の発達の途中で全ての組織中で生成され、且つ成体でさえも、骨髄及び上皮組織等の、細胞が活発に置き換えられる一部の組織中に見出すことができる。
本発明の幹細胞は、成体幹細胞でもよく、成体幹細胞は、間葉系幹細胞(MSC)、間葉系間質細胞、及び多能性幹細胞からなる群より選択される少なくとも1種でもよいが、これらに限定されない。
本発明の幹細胞は、ヒト間葉系幹細胞(hMSC)でもよいが、これに限定されない。
加えて、本明細書中で用いる場合、用語「間葉系幹細胞(MSC)」とは、骨、軟骨、脂肪、神経組織、線維芽細胞、及び筋細胞等の特異的器官の細胞へと分化する前の、多能性を有する幹細胞(多能性幹細胞)を指す。間葉系幹細胞は、好ましくは、臍帯、臍帯血、骨髄、脂肪、筋肉、神経、皮膚、羊膜、絨毛膜、脱落膜、及び胎盤からなる群より選択される1つから誘導できるが、これらに限定されない。
本発明の一実施形態では、幹細胞として、同種骨髄由来間葉系幹細胞を用いた。
本発明の幹細胞を取得するために、骨髄を採取及び単離する方法により正常且つ健康なドナーから寄付される骨髄を、CSBM-A06培地を用いて1:2に希釈し、続いて、予め調製された骨髄の同量のフィコール層上に滴下注入する。これを400×gで30分間遠心分離し、得られる単球細胞層を単離し、CSBM-A06培地を用いて2回洗浄し、続いて37℃及び5%COが維持される培養条件下で培養することができる。48時間の培養後、フラスコの底部に接着していない細胞を、新規培地を交換することにより除去し、底部に接着した細胞を、3~4日間毎に1回培地を交換することにより培養する。培養された細胞が約80%まで増殖したとき、新たなフラスコへと継代培養し、培養された細胞のうちの一部を継続的に継代培養し、一部をDMSOを含有する凍結保存溶液中に懸濁し、凍結保存した。
本発明では、幹細胞の単離及び培養のために使用可能な培養培地として、10%FBSを含有する細胞培養培地を用いることができる。細胞培養培地として、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)、最小必須培地(MEM)、アルファ最小必須培地(α-MEM)、マッコイ5A培地、イーグル基礎培地、CMRL(Connaught Medical Research Laboratory)培地、グラスゴー最少必須培地、ハムF-12培地、IMDM(イスコフ改変ダルベッコ培地)、リーボビッツL-15培地、及びRPMI(ロズウェルパーク記念研究所)1640培地等の、当技術分野で通常用いられるいずれかの細胞培養培地を用いることができる。
本発明に従う幹細胞のうちの80%以上、好ましくは90%以上が、CD29、CD44、CD73、CD90又はCD105をはじめとする間葉系幹細胞陽性表面マーカーを発現し、且つ本発明に従う幹細胞のうちの5%以下、好ましくは3%以下が、CD34又はCD45をはじめとする陰性表面マーカーを発現する。
神経変性疾患を有する動物モデルの大槽へと直接移植される場合に、本発明に従う幹細胞は、小脳の抗炎症活性を誘導し、且つ炎症性サイトカイン(IL-1β又はTNFα)又は炎症性ケモカイン(MIP-1α又はMCP-1)の発現を減少させることができる。加えて、本発明に従う幹細胞は、炎症性神経膠細胞であるM1型ミクログリアの活性化を阻害し、且つ抗炎症性神経膠細胞であるM2型ミクログリアを活性化し、それにより、小脳の抗炎症活性を誘導することができる。加えて、本発明に従う幹細胞は、プルキンエ細胞の損傷を阻害し、したがって異常な行動的運動障害症状を軽減又は治療するために有用に用いることができる。本発明の組成物は、幹細胞と一緒に、多系統萎縮症等の神経変性疾患の治療効果を有する1つ又は複数の公知の有効成分をさらに含有することができる。
本発明の組成物は、治療的組成物の調製で通常用いられる適切な懸濁化剤を含むことができる。例えば、注射剤は、保存料、鎮痛剤、可溶化剤又は安定化剤等をさらに含むことができ、局所投与用製剤は、基剤、賦形剤、滑沢剤、又は保存料等をさらに含むことができる。
本明細書中で用いる場合、用語「投与」とは、いずれかの適切な方法により被験体に本発明の所与の組成物を提供することを意味する。望ましい作用のために、幹細胞の投与量は、2.0×10~1.0×10細胞/動物であり、一度に投与するか、又は単回投与若しくは反復投与のために数回に分けることができる。しかしながら、有効成分の実際の投与量は、治療される疾患、疾患の重症度、投与経路、被験体の体重、年齢、及び性別等等のいくつかの関連する因子を考慮して決定されるべきであることが理解されるべきである。したがって、投与量は、いかなる態様においても、本発明の範囲を限定することを意図されない。
本発明の組成物は、注射剤の形態でもよい。
本発明の組成物は、様々な経路により被験体に投与することができる。投与は、髄腔内、静脈内、筋内、動脈内、髄内、硬膜内、神経内、脳室内(脳室下帯)、脳血管内投与等でもよく、好ましくは、治療を必要とする被験体の硬膜へと直接移植することができるが、これに限定されない。
本明細書中で用いる場合、用語「治療」とは、小脳の神経変性疾患に関連する疾患の症状を改善することを包括的に指す。この用語は、そのような疾患を治癒すること(状態を正常被験体のものと実質的に同一にすること)、若しくは実質的に予防すること(疾患の発症を阻害するか又は遅延させること)、又はそのような疾患の状態を軽減すること(状態を改善するか又は有益に変化させること)を含むことができ、且つ小脳性運動失調及び多系統萎縮症に関連する疾患から生じる1つの症状又は症状のうちの大部分を、軽減、治癒又は予防することを含むことができるが、それらに限定されない。
加えて、本発明は、ヒト以外の動物の小脳へと炎症誘導性物質を注入するステップを含む、小脳の神経変性疾患の動物モデルを作製するための方法、及び該方法を用いて作製される疾患の動物モデルを提供する。
本発明の一実施形態では、炎症誘導性物質は、LPS(リポ多糖)でもよい。
本発明の一実施形態では、動物モデルは、シリンジを用いてマウスの小脳へとLPSを直接注入することにより作製された。好ましくは、本発明の一実施形態では、動物モデルは、マウスの小脳へと5μg/5μLの濃度でLPSを直接注入することにより調製されたが、各物質の濃度及び注入量並びに世代は、当業者の技術的知識の範囲内で、作製される動物モデルの生物種、年齢、及び体重等に応じて調節することができる。
本発明の一実施形態では、炎症誘導性物質により誘導される神経変性疾患の動物モデルは、小脳に限定される炎症性応答が、小脳にLPSを直接投与することにより活性化され、且つ炎症性環境中での小脳性運動失調の患者及び動物モデルで観察されるプルキンエ細胞の機能不全及び損傷に起因する運動失調症状が示されるものである。
本発明の一実施形態では、M1型ミクログリアの活性化がLPS注入後に誘導され、且つ小脳の神経炎症性応答が、IL-1β及びTNFα等の炎症促進性サイトカイン又はMIP-1及びMCP-1等の炎症促進性ケモカインの発現を増加させることにより誘導された。加えて、プルキンエ細胞の損傷又はアポトーシスが、LPS注入後に誘導された。
加えて、本発明は、ヒト以外の動物の小脳へと細胞分裂抑制剤(anti-miotic agent)を直接注入するステップを含む、小脳の神経変性疾患の動物モデルを作製するための方法、及び該方法を用いて作製される疾患の動物モデルを提供する。
本発明の一実施形態では、細胞分裂抑制剤は、Ara-C(シタラビン)でもよい。
本発明の一実施形態では、動物モデルは、シリンジを用いてマウスの腹腔へとAra-Cを直接注入することにより作製された。好ましくは、本発明の一実施形態では、動物モデルは、1~3日齢の動物の腹腔へと40μg/kgのAra-Cを注入することにより作製されるが、各物質の濃度及び注入量並びに世代は、当業者の技術的知識の範囲内で、作製される動物モデルの生物種、年齢、及び体重等に応じて調節することができる。
本発明の一実施形態では、細胞分裂抑制剤により誘導される神経変性疾患の動物モデルは、小脳の発達が阻害され、且つ人工的運動失調が、小脳発達が進行する前に、出生後1日目~3日目の間に連続的に(1日1回、合計3回)動物の腹腔へとAra-Cを直接投与することにより起こるものである。マウスでは、小脳発達は、14日齢後に起こる。プルキンエ細胞は胎生13日目に観察され、小脳の外顆粒層、プルキンエ細胞層、及び内顆粒層は出生後に形成される。小脳の場合、出生後に発達する唯一の器官であり、この時点で細胞分裂抑制剤を直接投与することにより、小脳成熟障害を誘導し、神経変性疾患を誘導し得る。
本発明の一実施形態では、小脳の発達がAra-C注入後に阻害されていることが解剖学的に確認され、且つ小脳の発達が阻害されていることが、小脳の染色を介して見出された。
加えて、本発明は、ヒト以外の動物で遺伝子を過剰発現又は阻害するステップを含む、遺伝学的神経変性疾患の動物モデルを作製するための方法、及び該方法を用いて作製される疾患の動物モデルを提供する。
本発明の一実施形態では、過剰発現される遺伝子はSCA2でもよい。
本発明の一実施形態では、遺伝学的動物モデルは、第5世代までC57BL/6Jマウスを繰り返し戻し交配することを介して遺伝的に安定化された疾患を有する動物モデルを利用するが、各物質の濃度及び注入量並びに世代は、当業者の技術的知識の範囲内で、作製される動物モデルの生物種、年齢、及び体重等に応じて調節することができる。
本発明の一実施形態では、遺伝子改変により引き起こされる神経変性疾患の動物モデルは、ヒトSCA2遺伝子がPcp2プロモーターへと挿入及び過剰発現されているB6D2-Tg(Pcp2-SCA2)11Plt/Jマウスであり、運動失調及びふらつき等の異常な神経学的症状が8週目から現れ、且つ24週目~27週目でプルキンエ細胞のうちの約50%が失われる動物モデルを用いることができる。
本発明に従う間葉系幹細胞を用いる治療方法又は治療組成物は、神経炎症の低減、M1ミクログリアの阻害、M2ミクログリアの活性化、プルキンエ細胞のアポトーシスの阻害、ニューロン死滅の阻害、運動能力の改善等での卓越した効果を有し、したがって、小脳性運動失調及び多系統萎縮症をはじめとする神経変性疾患の軽減及び治療で効果的に用いることができる。
LPS投与により誘導される疾患の動物モデルの構築を確認することにより取得された結果を示す図である。この結果は、LPS投与後の1日目及び7日目の小脳での、Iba1(ミクログリア)、炎症性サイトカイン(IL-1β及びTNFα)、及び炎症性ケモカイン(MCP-1及びMIP-1α)の発現レベルを確認することにより取得された結果である。Iba1:**p<0.01及び***p<0.001対CON、$$$p<0.001対PBS(7日目)、##p<0.01対PBS(1日目)。IL-1β:**p<0.01対CON、p<0.05対PBS(7日目)、##p<0.01対PBS(1d)。TNFα:**p<0.01及びp<0.05対CON。MCP-1:**p<0.01対CON(t検定分析;各実験群で、n=3)。MIP-1α:**p<0.01対CON、p<0.05対PBS(1日目)(一元配置分散分析及びテューキー事後分析;各実験群で、n=3)。 LPS投与により誘導される疾患の動物モデルの構築を確認することにより取得された結果を示す図である。この結果は、LPS投与後4週間の小脳でのプルキンエ細胞の発現レベル及びロータロッド試験を確認することにより取得された結果であり、且つ炎症により誘導される神経変性疾患の動物モデルの確立を確認することにより取得された結果である。4週間のロータロッド試験:**p<0.01及び***p<0.001対CON(t検定分析;CON、n=6;PBS、n=4;LPS、n=3)。Cal-D28K:***p<0.001対CON(一元配置分散分析及びテューキー事後分析;各実験群で、n=4)。 Ara-Cにより誘導される疾患の動物モデルの構築を確認することにより取得された結果を示す図である。この結果は、出生後1日目から3日目でのAra-Cの注入後に、NISSL、免疫染色、解剖学的形成状態、及び脳重量に関して成体未熟小脳を確認することにより取得された結果である。p<0.05(t検定分析;CON、n=4;Ara-C、n=4)。 Ara-Cにより誘導される疾患の動物モデルの構築を確認することにより取得された結果を示す図である。この結果は、Ara-Cにより誘導される疾患の動物の体重及び行動障害の改善を評価することにより取得された結果であり、且つ神経変性疾患の動物モデルの確立を確認することにより取得された結果である。***p<0.001(t検定分析;CON、n=4;Ara-C、n=4)。 遺伝子改変を通じた神経変性疾患SCA2動物モデルである、第5世代まで戻し交配することにより遺伝的安定性を確実にされている、疾患の動物モデルを確立することにより取得された結果を示す図である。 第5世代の遺伝子改変を通じた神経変性疾患SCA2動物モデルの行動的運動を評価するためのロータロッド試験を行うことにより取得された結果を示す図である。 顕微鏡により、当初の培養されたhMSC(P5以内)の紡錘状形態を観察することにより取得された結果を示す図である。 10回継代以内のhMSCの集団倍加時間(PDT)を分析することにより取得された結果を示す図である。**p<0.01及び***p<0.001対P6(一元配置分散分析及びテューキー事後分析;各実験群で、n=4)。 初期hMSCの細胞表面マーカーの発現プロファイルに関する免疫表現型決定を分析することにより取得された結果を示す図である。 hMSCの多系統分化能を確認することにより取得された結果を示す図である。 培養溶液中のhMSCで発現される神経栄養因子を確認することにより取得された結果を示す図であり、この結果は、周知の神経保護及び成長因子であるANG、BDNF、及びIGFの発現を確認することにより取得された結果である。 小脳炎症性応答がLPSにより誘導されるマウスへとhMSCを移植した後、4週間のロータロッド試験を行うことにより取得された結果を示す図である。対照群(CON)又はLPS+hMSC群及びLPS単独群又はLPS+HTS群の間の有意差は、実験期間全体を通して11週齢から現れ始めた(***p<0.001、一元配置分散分析及びテューキー事後分析;各実験群で、n=5)。 hMSCを移植した後、4週間の行動障害改善の評価を行うことにより取得された結果を示す図である。**p<0.01対CON、##p<0.01対LPS(t検定分析;各実験群で、n=5)。 hMSCの移植から7日間後にLPSに対して曝露された小脳でのIba1(ミクログリア関連)の発現レベルを確認することにより取得された結果を示す図である。p<0.05対CON、p<0.05及び##p<0.01対LPS(一元配置分散分析及びテューキー事後分析;各実験群で、n=3)。 hMSCの移植から7日間後の小脳での炎症促進性サイトカイン(IL-1β及びTNFα)の発現レベルを確認することにより取得された結果を示す図である。IL-1β:**p<0.01対CON、##p<0.01及び###p<0.001対LPS(一元配置分散分析及びテューキー事後分析;各実験群で、n=3)。TNFα:p<0.05対CON、p<0.05及び##p<0.01対LPS(一元配置分散分析及びテューキー事後分析;各実験群で、n=3)。 hMSCの移植から7日間後の小脳でのCal-D28K(プルキンエ細胞関連)の発現レベルを確認することにより取得された結果を示す図である。p<0.05対CON、p<0.05対LPS(一元配置分散分析及びテューキー事後分析;各実験群で、n=4)。 hMSCの移植から7日間後の小脳でのCD86及びCD206の発現レベルを確認することにより取得された結果を示す図である。CD86:p<0.05対CON、p<0.05及び###p<0.001対LPS(一元配置分散分析及びテューキー事後分析;各実験群で、n=3)。CD206:##p<0.01対LPS(一元配置分散分析及びテューキー事後分析;各実験群で、n=3)。 Ara-Cにより誘導される神経毒性疾患の動物モデルでの、hMSCの濃度及び投与頻度による、運動能力を改善する作用を確認することにより取得された結果を示す図である(ロータロッド試験)。 Ara-Cにより誘導される神経毒性疾患の動物モデルでの、hMSCの投与頻度による、小脳のサイズを改善する作用を確認することにより取得された結果を示す図である。***p<0.001対CON(一元配置分散分析及びテューキー事後分析;各実験群で、n=3)。 Ara-Cにより誘導される神経毒性疾患の動物モデルでの、hMSCの濃度及び投与頻度による、全身運動活性を改善する作用を比較することにより取得された結果を示す図である。p<0.05対WT、p<0.05及び##p<0.01対Ara-C(一元配置分散分析及びテューキー事後分析;各実験群で、n=3)。 Ara-Cにより誘導される神経毒性疾患の動物モデルでの、hMSCの投与頻度による、ニューロン中のタンパク質の量の増加を確認することにより取得された結果を示す図である。***p<0.001対con、###p<0.01対Ara-C(一元配置分散分析及びテューキー事後分析;各実験群で、n=3)。 Ara-Cにより誘導される神経毒性疾患の動物モデルでの、hMSCの用量及び投与頻度による、神経運動障害の改善を確認することにより取得された結果を示す図である。***p<0.001対WT、p<0.05対Ara-C(一元配置分散分析及びテューキー事後分析;各実験群で、n=3)。 遺伝子改変により引き起こされるSCA2遺伝学的疾患の動物モデルでの、hMSCの投与の用量による、運動能力を改善する作用を確認することにより取得された結果を示す図である。
<実験材料及び方法>
動物
雄性C57BL/6マウス(Daehan Biolink、Republic of Korea)及びB6D2-Tg(Pcp2-SCA2)11Plt/Jマウスを、12時間光周期を伴う制御環境で飼育し、食餌は不断給餌として与えた。全ての動物実験手順は、慶北大学校(Kyungpook National University)の動物実験倫理委員会の規則に従って行った(第KNU2016-42号)。
LPS注入により誘導される炎症性変性疾患の動物モデル及びヒト間葉系幹細胞(hMSC)の移植
炎症関連小脳性運動失調を、マウスの小脳へとリポ多糖(LPS、5μg/5μL)を直接注入することにより誘導した。具体的には、10週齢のマウスを、115mg/kgのケタミン(Yuhan、Republic of Korea)及び23mg/kgのロムパン(Rompun)(Bayer Korea、Republic of Korea)を10週齢のマウスの腹腔へと注入することにより麻酔し、続いて、定位固定装置(David Kopf Instruments、Tujunga、CA、USA)に固定した。小脳への注入のために、頭蓋骨を中央部の矢状切開を介して露出させ、続いて穿頭を行った。合計5μLのLPS(1mg/mL)又はリン酸緩衝生理食塩液(PBS)を、ハミルトンシリンジ(10μL、30G)に接続した注入ポンプ(KD Scientific、New Hope、PA、USA)を介して小脳へと注入した(ラムダに対して、AP:-0.25cm;DV:-0.25cm)。注入チューブに沿った逆流を制御するために、針を5分間留置した。
次に、LPSを注入されたマウスの頭部を、定位固定装置中で身体に向かって約90°回転させた。下層の硬膜を露出させ、続いて、hMSC(1×10細胞/20μL又は1×10細胞/20μL)を、注入ポンプに接続したハミルトンシリンジ(25μL、30G)を用いて大槽に移植した。10分間後に針を取り出し、切開部位を、シルク縫合糸を用いて縫合した。
Ara-C注入により誘導される小脳性運動失調の動物モデル及びヒト間葉系幹細胞(hMSC)の移植
細胞分裂抑制剤であるAra-Cを、マウスでの炎症とは無関係な小脳性運動失調を誘導するために用いた。具体的には、神経毒性誘導小脳性運動失調の動物モデルを、出生後1日目から3日目までのマウスに1日1回、40mg/kgの濃度でAra-Cを腹腔内投与することにより構築した。
次に、上記と同様にして、hMSC(1×10細胞/20μL又は1×10細胞/20μL)を、Ara-Cを注入されたマウスの大槽に移植した。
hMSCの単離及び幹細胞の特性の分析
ヒト骨髄サンプルを、慶北大学校Chilgok Hospitalの臨床研究審査委員会(IRB:2017-11-015-007)により承認された手順に従って、8名の健康ドナーから確保した。
単核細胞を、フィコール(Ficoll-Paque Premium;GE Healthcare Bio-Sciences AB)を用いる密度勾配遠心により骨髄から単離し、約1×10細胞/cmの密度でCSBM-A06培地(Corestem、Republic of Korea)中に播種し、続いて、10%FBS(胎児ウシ血清;Life Technologies、Grand Island、NY、USA)、2.5mM L-アラニル-L-グルタミン(Biochrom AG、Berlin、Germany)、及び1%ペニシリン-ストレプトマイシン(Biochrom AG)を用いて培養した。接着していない細胞を、新鮮培地を用いて除去し、続いて、3~4日間毎に1回、培地を交換した。70~80%コンフルエントまで増殖した細胞を第0継代と定めた(第ゼロ継代、P0)。引き続く実験の前に、第10継代(P10)まで細胞を継代培養した。
集団倍加時間(PDT):PDTは、連続的な継代培養で測定し、以下の方程式を用いて算出した:
Figure 2023510512000002

(式中、T0は細胞移植時間であり、Tは細胞回収時間であり、N0は当初の細胞数であり、且つNは回収された細胞数である)。
多系統分化アッセイ:細胞分化は、先行技術に従って誘導した。具体的には、hMSCを24ウェルプレート中で培養し、且つhMSC機能特定キット(R&D Systems、Minneapolis、MN、USA)を用いて、脂肪形成系統、骨形成系統、及び軟骨形成系統に従って分化させるために刺激した。分化後、脂肪細胞の脂肪滴をオイルレッドO染色試薬(Sigma、Saint Louis、MO、USA)を用いて可視化した。骨形成分化は、アリザリンレッド(Sigma、Saint Louis、MO、USA)を用いてカルシウム蓄積を染色することにより確認し、軟骨形成分化は、アルシアンブルー染色(Sigma、Saint Louis、MO、USA)により確認した。
免疫表現型決定:hMSCの特性を確認するために、5回継代以内の細胞を、細胞表面マーカーCD29、CD73、CD90、CD105、CD34、CD45(BD Pharmingen、Heidelberg、Germany)、及びCD44(BD Biosciences、San Diego、CA)について染色した。細胞表面マーカーの発現を、フローサイトメーター(BD FACS Canto◎II)を用いて測定し、hMSCをCD29/CD44/CD73/CD105陽性且つCD34/CD45陰性細胞として特定した。
行動試験
動物モデル行動試験のために、ロータロッド試験を、hMSC移植の1日前及びhMSC移植後の4週間にわたって週1回行い、簡略化複合表現型スコアリングシステムを、hMSC移植後の4週間毎に1回行った。
ロータロッド試験:先行文献に開示される方法に従って、運動協調及び平衡を評価するために、ロータロッド試験を用いた(Zhang MJ、Sun JJ、Qian L、Liu Z、Zhang Z、Cao W、Li W、Xu Y:Human umbilical mesenchymal stem cells enhance the expression of neurotrophic factors and protect ataxic mice.Brain Res 2011、1402:122~131)。実験マウスを、4週間にわたって週1回、回転ロッド上に注意深く置いた。回転速度を、5分間で4rpmから40rpmまで直線的に増加させ、同じ速度(40rpm)を5分間維持した。マウスが平衡を失ってロッドから落下するまでにかかる時間(潜時)、すなわち、マウスが回転ロッド上に残ることができた合計時間を記録した。筋肉疲労を防ぐために、各マウスを各実験の間に10分間休ませた。
簡略化複合表現型スコアリングシステム:LPS誘導小脳性運動失調マウスモデルでの疾患の重症度を定量的に分析するために、慣用的に公知のスコアリングシステムを、レッジ試験(ledge test)及び後肢抱込み試験と組み合わせて用いた(Guyenet SJ、Furrer SA、Damian VM、Baughan TD、La Spada AR、Garden GA:A simple composite phenotype scoring system for evaluating mouse models of cerebellar ataxia.J Vis Exp 2010)。スコアリングシステムを、14週齢のマウスで実行し、全ての試験を0~3点のスケールでランク付けし、0~6の複合表現型スコアを付加した:0のスコアは関連する表現型がないことを意味し、3のスコアは最も重度の症状を意味する。各試験を3回行った。
レッジ試験:運動平衡障害及び運動失調を、レッジ試験を通して評価した。マウスが全体的な平衡を失わずにレッジに沿って歩行した場合に0のスコアが適用され、マウスがレッジに沿って不平衡な位置で歩行した場合に1のスコアが適用され、レッジに沿って歩行している途中にマウスがよろめいた場合に2のスコアが適用され、マウスが後肢を効果的に用いることができなかった場合に3のスコアが適用された。
後肢抱込み試験:この試験は、小脳性運動失調のマウスモデルでの疾患進行のマーカーとして用いた(Chou AH、Yeh TH、Ouyang P、Chen YL、Chen SY、Wang HL:Polyglutamine-expanded ataxin-3 causes cerebellar dysfunction of SCA3 transgenic mice by inducing transcriptional dysregulation.Neurobiol Dis 2008、31:89~101)。マウスの後肢の全部が一貫して腹部から広がっていた場合に0のスコアが適用され、一方の後肢が測定時間のうちの50%超にわたって腹部に向かって縮められていた場合に1のスコアが適用され、両方の後肢が測定時間のうちの50%超にわたって腹部に向かって部分的に縮められていた場合に2のスコアが適用され、両方の後肢が測定時間のうちの50%超にわたって腹部に向かって完全に縮められていたか又は腹部に接触していた場合に3のスコアが適用された。
全身運動性試験(オープンフィールド試験):マウスを白色アクリル箱(40×40×40cm)の中央に置いた後、5分間自由に移動させ、マウスの動作をSmart映像トラッキングソフトウェア(Panlab Harvard Apparatus)を用いて測定した。
ウエスタンブロット分析
ウエスタンブロットのために、総細胞溶解物を、LPSを注入されたマウスに関して小脳虫部から、Ara-Cを注入されたマウスに関して小脳全体から調製した。小脳虫部を単離し、各組織を、溶解バッファー(58mM Tris-HCl、pH6.8;10%グリセロール;及び2%SDS)中のプロテアーゼ阻害剤カクテル(1:100、Millipore、Burlington、MA、USA)及びホスファターゼ阻害剤カクテル(1:100、Cell Signaling Technology)を用いてホモジナイズした。溶解物を遠心分離し、続いて、BCAキット(Bio-Rad Laboratories、Hercules、CA、USA)を用いてタンパク質濃度を定量化した。ゲル電気泳動を用いてタンパク質を分離し、続いて、電気泳動転写システム(Bio-Rad Laboratories)を用いてメンブレン上に転写した。メンブレンを、以下の一次抗体と共に4℃で一晩インキュベートした:抗Iba1(抗イオン化カルシウム結合性アダプター分子1、1:1500、Wako、Osaka、Japan)、抗GFAP(抗グリア線維性酸性タンパク質、1:2000、Millipore、Billerica、MA、USA)、抗TNFα(抗腫瘍壊死因子α、1:1000、Abcam、Cambridge、UK)、抗IL-1β(1β、1:1000、Abcam、Cambridge、MA、USA)、抗MCP-1(抗単球化学誘引物質タンパク質1、1:500、Abcam、Cambridge、UK)、抗MIP-1α(抗マクロファージ炎症性タンパク質1α、1:1000、R&D Systems、Minneapolis、MN、USA)、抗Cal-D28K(抗カルビンジン-D-28K、1:2000、Sigma、St.Louis、MO、USA)、抗切断型カスパーゼ-3(1:1000、Cell Signaling、Beverly、MA、USA)、抗カスパーゼ-3(1:1000、Cell Signaling、Beverly、MA、USA)、抗CD86(抗分化クラスター86、1:1000、Invitrogen、Carlsbad、CA、USA)、抗CD206(抗分化クラスター206、1:1000、R&D Systems、Minneapolis、MN、USA)、抗iNOS(抗誘導性酸化窒素シンターゼ、1:1000、Abcam、Cambridge、UK)、抗IL-10(抗インターロイキン10、1:1000、Abcam、Cambridge、MA、USA)、抗TSG-6(抗TNFα刺激遺伝子-6、1:1000、GeneTex、Irvine、CA、USA)、抗βアクチン(抗β、1:2000、Santa Cruz、CA、USA)。
次に、メンブレンをHRPコンジュゲート化二次抗体(Amersham Biosciences、Piscataway、NJ、USA)と共にインキュベートし、続いて化学発光ウエスタンブロット検出試薬(Amersham Biosciences)を用いてウエスタンブロットを行った。半定量分析のために、バンド密度を、ImageQuant LAS 500イメージャー(GE Healthcare Life Science)を用いて測定した。各タンパク質バンドの強度を、Multi Gauge V3.0ソフトウェア(Fuji Film、Tokyo、Japan)を用いて算出し、且つ対応するβアクチン(βバンド)の強度に対して標準化した。
統計解析
全ての統計解析は、SigmaPlotソフトウェア12.0(Systat Software、San Leandro、CA)を用いて行った。データは、平均±標準誤差(平均の標準誤差、SEM)として表される。統計学的有意性は、ANOVA(一元配置分散分析)及びそれに続く、群間の多重比較のためのテューキーの事後検定又は2群間の比較のためのスチューデントt検定を用いて決定した。
<実験結果>
1.炎症誘導性物質(LPS)により誘導される神経変性疾患の動物モデル
炎症により誘導される神経変性疾患の動物モデルを確立するために、炎症性神経変性のための有効物質として、LPSを小脳へと直接注入した。
図1Aのウエスタンブロット結果に示される通り、Iba1(ミクログリア)の発現は、LPS注入により経時的に有意に増加した(LPS注入後1日目:**p<0.01及び***p<0.001、LPS注入後7日目:***p<0.001対対照群、CON)。Iba1発現結果に示される通り、IL-1β及びTNFα等の炎症性サイトカインの発現レベルもまた、LPS注入後7日目に無傷の対照群と比較して2.4倍及び2.6倍まで有意に増加した(図1A;**p<0.01、p<0.05対CON)。一方で、PBSを用いて処理されたマウスでのグリア細胞及び炎症性サイトカインの発現レベルは、対照群のものと異ならなかった。
加えて、本実施例では、炎症性細胞及び間葉系幹細胞に対する化学誘引物質として知られるMIP-1α及びMCP-1等の炎症性ケモカインの産生を、LPSを注入された小脳で確認した。ウエスタンブロット分析結果(図1A)に示される通り、小脳でのMIP-1α及びMCP-1の発現は、対照群と比較してLPS注入後の1日間で有意に増加し(**p<0.01対CON)、7日間後にそこから減少した。
最終動物モデルの好適性を確認するために、マウスの運動性欠陥及びプルキンエ細胞喪失を、ロータロッド試験を通して確認した。結果として、回転ロッド上での滞留時間は、正常対照群と比較してLPS注入後1週間で有意に低下し、低下した値が4週間維持された(図1B;***p<0.001 LPS注入後2週間及び3週間対CON、**p<0.01 LPS注入後4週間対CON)。加えて、カルビンジンタンパク質は、正常対照群と比較してLPSを注入されたマウスのLPS注入後の7日目の小脳で有意に減少し、これはプルキンエ細胞の喪失を示す(図1B;***p<0.001対CON)。
2.細胞分裂抑制剤により誘導される神経変性疾患の動物モデル
細胞分裂抑制剤により誘導される神経変性疾患の動物モデルを確立するために、Ara-Cを出生後1~3日間にわたって1日1回、腹腔内注入した。
図2Aの結果に示される通り、小脳の構造、ニューロン、及びプルキンエ細胞を、組織病理学的染色を通して確認した。結果として、Ara-Cを投与された動物の小脳の発達が阻害されていることが確認され、且つ小脳のニューロン及びプルキンエ細胞が形成されていないことが確認された。
さらに、疾患動物モデルを、行動評価を通して評価した。結果として、平行、懸垂、及び歩行等、対照群と比較した行動的平衡障害があることが確認された(図2B)。
3.遺伝子改変を介した遺伝学的神経変性疾患の動物モデル
遺伝子改変を介して遺伝学的神経変性疾患の動物モデルを確立するために、マウスPcp2プロモーターへとヒトSCA2遺伝子を挿入及び過剰発現させることにより、B6D2-Tg(Pcp2-SCA2)11Plt/Jマウスを確立した。しかしながら、確保されたB6D2-Tg(Pcp2-SCA2)11Plt/Jマウスは、C57BL/6J卵子とDBA/2J精子との受精により確立された動物モデルであった。遺伝的バックグラウンドが均一でなかったので、第5世代まで交配を行い、第5世代はC57BL/6Jマウスと繰り返し戻し交配することを介して、94%の遺伝的安定性を示した。
したがって、図3Aに示される通り、遺伝的安定化を、戻し交配を介して行い、続いて、SCA2遺伝子発現を確認することにより、遺伝学的神経変性疾患の動物モデルを確立した。
さらに、図3Bの結果に示される通り、行動評価であるロータロッド試験を通して、対照群(野生型、WT)動物と比較して行動的平衡障害があることが確認された。
4.間葉系幹細胞治療剤(hMSC)の特性
骨髄から単離された間葉系幹細胞治療剤の特性を確認するために、幹細胞治療剤の特性を、形状、マーカー、及び分化能の分析を通して確認し、幹細胞の機能的特性はまた、分泌されるサイトカインも通して確認した。
最初に、hMSCの特徴を、線維芽細胞様細胞の形態、hMSC関連表面マーカーの発現パターン、及び国際細胞治療学会(ISCT)の基準に従った分化可能性により決定した。
骨髄から単離されたhMSCでは、紡錘状の線維芽細胞形状の幹細胞の元来の形状を、視覚的に確認することができた(図4A)。加えて、各継代に関するhMSCのPDTを、幹細胞の増殖能を確認するために評価した。初期継代段階でのhMSCは高い増殖能(37~51時間)を示したが、後期継代段階(第7継代後)ではhMSCの増殖能は乏しいことが確認された(図4B)。
フローサイトメトリーの結果として、初期hMSCのうちの95%以上が、CD29、CD44、CD73、CD90、及びCD105等のhMSC関連CDマーカーに関して陽性であったが、CD34及びCD45等の造血幹細胞関連CDマーカーに関しては陰性であった(図4C)。
骨髄由来hMSCの分化能を確認するために、初期段階(第2~第4継代)での幹細胞を、脂肪形成培地、骨形成培地及び軟骨形成培地中で2~4週間培養して、脂肪細胞、骨芽細胞及び軟骨細胞への分化を確認した。この確認を通じて、間葉系幹細胞の固有の特性を有する単離/生成された間葉系幹細胞治療剤が、第7継代まで幹細胞の特性を良好に維持することが見出された(図4D)。
神経変性疾患での治療効果を予測するために、神経栄養因子を特定することにより、間葉系幹細胞治療剤の分泌タンパク質を明らかにした。結果として、神経保護因子並びにニューロンの成長及び分化に密接に関連するANG、BDNF、及びIGFの発現が確認された。間葉系幹細胞治療剤は神経変性疾患に対して有益となり得ると考えられる(図4E)。
上記の結果に基づいて、第5継代以内(P1~P5)のhMSCのみを、後続の実験で用いた。
5.炎症により誘導される神経変性疾患の動物モデルでのhMSCの治療効果
髄腔内移植されたhMSCがLPSにより誘導される神経変性疾患の動物モデルで有益な作用を有するか否かを評価するために、10週齢マウスを用いて、hMSC移植後の4週間にわたって週1回、ロータロッド試験を用いて、運動協調及び平衡を評価した。対照群マウスには、低温で幹細胞を保存するために用いられる最適な保存料であるHTS(HypoThermosol)を投与した。結果として、LPS投与前には、全ての群のマウスが同様のレベルの運動協調を示したが、LPS投与後には、疾患動物は対照群と比較して徐々に低下する運動性を有することが確認された。幹細胞治療剤を低用量(1×10細胞/マウス)及び高用量(1×10細胞/マウス)で移植した場合、疾患動物の運動実行能力が、対照群と比較して有意に増強されることが確認された(図5A)。複合運動失調表現型スコアリングシステムを介して行動障害を評価した場合、間葉系幹細胞治療剤を投与された群では、行動障害が有意に改善されることが確認された(図5B)。
次に、行動指標だけでなく、炎症性応答の低下、プルキンエ細胞のアポトーシスの阻害、並びにM1型及びM2型ミクログリアの発現レベルもまた確認することにより、様々なメカニズムでの間葉系幹細胞治療剤の作用を確認した。
間葉系幹細胞治療剤の炎症性応答の低下を確認するために、LPS炎症性応答により誘導されるグリア細胞の活性化を確認した。対照群と比較して間葉系幹細胞治療剤を投与された群では、Iba1が有意に減少することが確認され(図5C)、且つ炎症性サイトカインIL-1β及びTNF-αもまた小脳で減少することも確認された(図5D)。このことは、間葉系幹細胞治療剤の抗炎症作用及び免疫調節作用により確認される。
加えて、炎症性応答により誘導されるプルキンエ細胞のアポトーシスを阻害及び保護することが可能な幹細胞治療剤の保護作用を確認した。プルキンエ細胞マーカーCal-D28Kは疾患動物の小脳では減少したが、マーカーの発現は、対照群と比較して間葉系幹細胞治療剤を投与された群では高いことが確認された(図5E)。加えて、M1型及びM2型ミクログリアの極性化での変化を確認するために、M1型マーカーとしてのCD86及びM2型マーカーとしてのCD206を特定した場合に、CD86のM1型ミクログリアが減少し、且つCD206のM2型ミクログリアが増加することが確認された(図5F)。この結果は、M1型ミクログリアが、組織再生に関連するM2型ミクログリアへと極性化することを示し、この結果は、幹細胞の二次的治療改善作用を表すことができる。
6.細胞分裂抑制剤により誘導される神経変性疾患の動物モデルでのhMSCの治療効果
細胞分裂抑制剤であるAra-Cにより誘導される小脳性運動失調の動物モデルでの低用量(2×10又は6×10細胞)での幹細胞治療剤の投与方法に従って運動能力を改善する作用を比較するために、幹細胞投与時点(10週齢)から12週間にわたって2週間毎にロータロッド試験を行い、運動協調及び平衡を評価した。本実施例では、幹細胞は、以下の4種類の様式で投与した:
(1)2×10細胞の1回投与(n=2)
(2)4週間間隔(10w、14w、18w)での2×10細胞の3回反復投与(n=3)
(3)6×10細胞の1回投与(n=3)
(4)4週間間隔(10w、14w、18w)での6×10細胞の3回反復投与(n=3)。
結果として、Ara-Cを投与された小脳性運動失調モデル(Ara-C)マウスは、正常対照群(WT)と比較して、平衡を維持することができず、ロータロッド試験で落下した。一方で、Ara-CモデルマウスにhMSCを投与した場合、投与用量及び方法による運動実行能力の強化での差異があった。具体的には、マウスに2×10細胞を投与した場合、幹細胞を投与されなかったマウスと比較して有意差はなかった。2×10細胞を繰り返し投与した場合及び6×10細胞を1回投与した場合、平衡能力は16週齢まで徐々に増加したが、その後に再び低下した。最後に、6×10細胞を繰り返し投与した場合には、平衡能力は継続的に増加することが示された(図6A)。この結果を通じて、疾患動物での間葉系幹細胞の作用に関連して、少なくとも6×10細胞を1回で又は反復して投与した場合に、行動改善作用が現れることが確認された。
加えて、解剖学的変化を確認するために、間葉系幹細胞治療剤の投与後の小脳のサイズ及び重量の変化を確認した。結果として、正常対照群(WT)と比較してAra-Cを投与された小脳性運動失調モデル(Ara-C)マウスでは小脳のサイズが有意に減少するが、幹細胞の投与後には小脳のサイズは若干増加することが確認された(図6B)。
加えて、全身運動活性を測定するために、オープンフィールド試験を行った。本実施例では、幹細胞を2種類の濃度(1×10又は1×10細胞)で1回又は繰り返し投与し、結果を比較した。具体的には、各濃度での幹細胞を、10週齢で1回投与するか又は4週間間隔で繰り返し3回投与し、続いて、22週齢で、全身運動性を、オープンフィールド試験を介して測定した。結果として、正常対照群(WT)と比較してAra-Cを投与された小脳性運動失調モデル(Ara-C)マウスでは運動性が有意に低下するが、幹細胞の投与後には運動性が増強されることが確認された。運動活性を改善する作用は、幹細胞を1回投与した場合よりも、幹細胞を繰り返し投与した場合でより顕著であり、単回投与及び反復投与の両方で、幹細胞を1×10細胞の濃度で投与した場合に、運動活性を改善する作用がより高かった(図6C)。
治療剤の作用を、タンパク質の差異によっても確認した。疾患動物での1×10細胞の濃度での間葉系幹細胞の投与後に、ニューロンタンパク質NeuN並びに神経芽細胞及びニューロン前駆細胞マーカーDCX(ダブルコルチン)の発現が有意に増加することが確認された。これは、小脳の成熟障害の改善に起因する治療効果であると考えられる(図6D)。
神経行動試験である複合表現型スコアリングシステムでは、間葉系幹細胞治療剤を2種類の濃度(1×10又は1×10細胞)で1回又は繰り返し投与し、結果を比較した。具体的には、各濃度での幹細胞を、10週齢で1回投与するか又は4週間間隔で繰り返し3回投与し、続いて、22週齢で、行動障害を改善する作用を、複合表現型スコアリングシステムを介して測定した。結果として、Ara-Cを投与された小脳性運動失調モデル(Ara-C)マウスと比較して幹細胞投与後には合計平均スコアは有意に減少し、1回投与された場合よりも繰り返し投与された場合に、且つ1×10細胞の濃度で投与された場合よりも1×10細胞の濃度で投与された場合に、神経行動症状はより軽減されることが確認された(図6E)。
7.遺伝子改変を介したSCA2神経変性疾患の動物モデルでのhMSCの治療効果
髄腔内移植されたhMSCが遺伝子改変疾患(SCA2)の動物モデルでの治療効果を有するか否かを評価するために、10週齢のマウスへのhMSCの移植後に4週間にわたって週1回ロータロッド試験を用いて、運動協調及び平衡を評価した。結果として、SCA2遺伝子突然変異動物モデルでの行動的平衡障害が確認された。加えて、間葉系幹細胞治療剤を低用量(6×10細胞/マウス)及び高用量(1×10細胞/マウス)で移植した場合に、対照群と比較して疾患動物の運動実行能力が増強されることが確認された。この結果は、遺伝学的疾患の動物モデル並びに物質により人工的に誘導された疾患の動物モデルでの間葉系幹細胞の治療効果を確認する結果であり、間葉系幹細胞治療剤が様々な病理メカニズムに対する治療効果を有することが確認された(図7)。
本発明に従う間葉系幹細胞を用いる治療方法又は治療組成物は、神経炎症の低減、M1ミクログリアの阻害、M2ミクログリアの活性化、プルキンエ細胞のアポトーシスの阻害、ニューロン死滅の阻害、運動能力の改善等での卓越した効果を有し、したがって、小脳性運動失調及び多系統萎縮症をはじめとする神経変性疾患の軽減及び治療で効果的に用いることができ、すなわち、高い産業上の利用可能性を有する。

Claims (21)

  1. 小脳の神経変性疾患を有する患者に有効成分として幹細胞を含む組成物を投与するステップを含む、小脳の神経変性疾患を治療するための方法。
  2. 前記幹細胞が成体幹細胞である、請求項1に記載の小脳の神経変性疾患を治療するための方法。
  3. 前記成体幹細胞が、間葉系幹細胞(MSC)、間葉系間質細胞、及び多能性幹細胞からなる群より選択される少なくとも1つである、請求項2に記載の小脳の神経変性疾患を治療するための方法。
  4. 前記幹細胞が小脳の抗炎症活性を誘導する、請求項1に記載の小脳の神経変性疾患を治療するための方法。
  5. 前記幹細胞が炎症性サイトカイン又は炎症性ケモカインの発現を減少させる、請求項1に記載の小脳の神経変性疾患を治療するための方法。
  6. 前記幹細胞が炎症性神経膠細胞の活性化を阻害し、且つ抗炎症性神経膠細胞を活性化する、請求項1に記載の小脳の神経変性疾患を治療するための方法。
  7. 前記幹細胞がプルキンエ細胞の損傷を阻害する、請求項1に記載の小脳の神経変性疾患を治療するための方法。
  8. 前記小脳の神経変性疾患が、炎症により誘導される神経変性疾患、毒物により誘導される神経変性疾患、及び遺伝子改変により引き起こされる神経変性疾患からなる群より選択される少なくとも1つである、請求項1に記載の小脳の神経変性疾患を治療するための方法。
  9. 前記小脳の神経変性疾患が、小脳性運動失調又は多系統萎縮症を含む、請求項1に記載の小脳の神経変性疾患を治療するための方法。
  10. 前記幹細胞のうちの90%以上が、CD29、CD44、CD73、CD90若しくはCD105を含む陽性表面マーカーを発現するか、又は前記幹細胞のうちの5%以下が、CD34若しくはCD45を含む陰性表面マーカーを発現する、請求項1に記載の小脳の神経変性疾患を治療するための方法。
  11. 前記投与が、髄腔内、静脈内、筋内、動脈内、髄内、硬膜内、神経内、脳室内及び脳血管内からなる群より選択される少なくとも1つの投与経路を介して行われる、請求項1に記載の小脳の神経変性疾患を治療するための方法。
  12. 有効成分として幹細胞を含む、小脳の神経変性疾患の症状を軽減又は治療するための組成物。
  13. 前記幹細胞が成体幹細胞である、請求項12に記載の組成物。
  14. 前記成体幹細胞が、間葉系幹細胞(MSC)、間葉系間質細胞、及び多能性幹細胞からなる群より選択される少なくとも1つである、請求項12に記載の組成物。
  15. 前記幹細胞が小脳の抗炎症活性を誘導する、請求項12に記載の組成物。
  16. 前記幹細胞が炎症性サイトカイン又は炎症性ケモカインの発現を減少させる、請求項12に記載の組成物。
  17. 前記幹細胞が炎症性神経膠細胞の活性化を阻害し、且つ抗炎症性神経膠細胞を活性化する、請求項12に記載の組成物。
  18. 前記幹細胞がプルキンエ細胞の損傷を阻害する、請求項12に記載の組成物。
  19. 前記小脳の神経変性疾患が、炎症により誘導される神経変性疾患、毒物により誘導される神経変性疾患、及び遺伝子改変により引き起こされる神経変性疾患からなる群より選択される少なくとも1つである、請求項12に記載の組成物。
  20. 前記幹細胞のうちの90%以上が、CD29、CD44、CD73、CD90若しくはCD105を含む陽性表面マーカーを発現するか、又は前記幹細胞のうちの5%以下が、CD34若しくはCD45を含む陰性表面マーカーを発現する、請求項12に記載の組成物。
  21. 前記小脳の神経変性疾患が、小脳性運動失調又は多系統萎縮症を含む、請求項12に記載の組成物。
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