JP2023508259A - 運搬機器 - Google Patents
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Abstract
より効率的な動作を可能にする平面モーターの形の運搬機器1を提示するために、本発明では、第一と第二のコイルグループSG1,SG2の駆動コイルAS1,AS2が異なる磁界影響コイル特性を有することと、第一のコイルグループSG1の駆動コイルAS1と協力して動作する運搬ユニットの駆動磁石4が、第二のコイルグループSG2の駆動コイルAS2と協力して動作する駆動磁石4と異なる磁界影響磁石特性を有することとの中の一つ以上によって、運搬ユニットが、異なる効率、異なる最大の力及び異なる精度の中の一つ以上を有する二つの主移動方向H1,H2に移動可能であり、この少なくとも一つの運搬セグメント2は、運搬機器1の動作時に運搬ユニットに作用する荷重力の第一の主移動方向H1への力の成分が、この荷重力の第二の主移動方向H2への力の成分よりも大きくなるように、水平姿勢と異なる姿勢で配置され、この荷重力が、少なくとも運搬ユニットの運搬ユニット重力を含むと規定される。
Description
本発明は、運搬面を形成する少なくとも1つの運搬セグメントと、この運搬面内を少なくとも二次元的に2つの主移動方向に移動可能な少なくとも1つの運搬ユニットとを備えた平面モーターの形の運搬機器であって、この運搬セグメントには、第一の主移動方向を定義する複数の駆動コイルから成る第一のコイルグループが配置されるとともに、第二の主移動方向を定義する複数の駆動コイルから成る第二のコイルグループが配置され、第一のコイルグループの駆動コイルが、運搬ユニットを第一の主移動方向に動かすために、少なくとも運搬ユニットの駆動磁石の一部と電磁気的に協力して動作するように、制御ユニットによって駆動可能であるとともに、第二のコイルグループの駆動コイルが、運搬ユニットを第二の主移動方向に動かすために、少なくとも運搬ユニットの駆動磁石の一部と電磁気的に協力して動作するように、制御ユニットによって駆動可能であり、第一と第二のコイルグループの駆動コイルが、異なる磁場の影響を及ぼすコイル特性を有することと、第一のコイルグループの駆動コイルと協力して動作する運搬ユニットの駆動磁石が、第二のコイルグループの駆動コイルと協力して動作する駆動磁石と異なる磁場の影響を及ぼす磁石特性を有することとの中の1つ以上によって、駆動ユニットが、異なる効率、異なる最大の力及び異なる精度の中の1つ以上を有する2つの主移動方向に移動可能である運搬機器に関する。更に、本発明は、そのような運搬機器を動作させる方法に関する。
平面モーターは、基本的に従来技術により周知である。特許文献1は、例えば、そのような平面モーターの基本的な構造と機能形態を開示している。平面モーターは、主に運搬面を形成する固定子を有し、1つ又は複数の運搬ユニットが、その運搬面内を少なくとも二次元的に移動することができる。その固定子は、通常1つ又は複数の運搬セグメントから構成されている。運搬面内において運搬ユニットを移動させるために、固定子の(1つ又は複数の運搬セグメントの)磁界と運搬ユニットの磁界が協力して動作することによって、運搬ユニットに作用する駆動力を発生させている。所定の移動方向への運搬ユニットの動きを実現するためには、それらの磁界の中の少なくとも一方、即ち、固定子の磁界及び/又は運搬ユニットの磁界を運搬ユニットの動きに追随するように時間的に変化させなければならない。しかし、大抵は一方の磁界、通常は固定子の磁界だけが時間的に変化して、それぞれ(運搬ユニットにおける)他方の磁界は、一般的に一定である、即ち、時間的に変化しない。
時間的に変化する磁界は、例えば、運搬ユニットにも、固定子、特に、運搬セグメントにも配置できるコイル(電磁石)によって発生させることができる。それらのコイルは、多くの場合駆動コイルとも呼ばれる。時間的に変化しない、即ち、一定の磁界は、典型的には、永久磁石を用いて発生させている。多くの場合、それらの構成部品は駆動磁石と呼ばれる。それらも、平面モーターの実施構成に応じて、運搬ユニットにも、運搬セグメントにも配置することができる。より簡単な駆動のために、駆動コイルは、多くの場合、平面モーターの運搬セグメントに配置され、駆動磁石が運搬ユニットに配置されている。
駆動コイルは、可動磁界を所望の移動方向に発生させるために、通常は制御ユニットによって駆動される。運搬ユニットには、その可動磁界と協力して動作する駆動磁石が、少なくとも二次元に分散して配置されており、その結果、運搬ユニットに対する駆動力及び浮上力を発生させることができる。その浮上力によって、運搬ユニットを一定の位置に保持することができて、即ち、例えば、運搬ユニットと運搬セグメントの間に空隙を作るか、或いは設定して維持することができて、追加的に作用する駆動力によって、運搬ユニットを所望の移動方向に動かすことができるとともに、傾転力又は傾転モーメントを発生させることができる。平面モーターに関して特徴的な運搬ユニットの二次元の動きを実現可能にするためには、運搬セグメントと運搬ユニットの磁界の二次元の協力動作が必要であり、2つの磁界の中の一方を少なくとも2つの次元において、或いは2つの磁界を(それぞれ他方の次元に対して相補的に)少なくとも1つの次元において時間的に変化させなければならない。その場合、駆動コイルと駆動磁石は、有利には、運搬面によって規定される軸に沿った一次元の動き以外に、運搬面内における運搬ユニットのより複雑な二次元の動きも可能であるように配置されている。
平面モーターは、例えば、製造プロセスにおける運搬機器として利用することができ、複雑な運動プロファイルによって非常に柔軟な運搬プロセスを実現することができる。特許文献2及び3には、例えば、運搬機器としての平面モーターのそのような用途が示されている。
そのような平面モーターの固定子は、駆動コイルの異なる配列を有することができるとともに、運搬ユニットにおける駆動磁石の配列も同じく非常に異なるようにすることができる。特許文献1には、例えば、複数の重なり合ったコイル面から成る固定子の複層構造を備えた平面モーターが開示されている。境界を接するコイル面内の駆動コイルは、運搬ユニットが移動できる2つの主移動方向を形成するために、互いに直交している。それにより、平均すると、コイル面は、運搬ユニットの駆動磁石から異なる間隔を有する。その結果、2つの主移動方向における平面モーターの効率が異なることとなる。その状況を正すために、運搬ユニットの駆動磁石からより遠く離れた方のコイル面における駆動コイルに、より近い方のコイル面の駆動コイルよりも大きなコイル電流を加えて、駆動力を発生させることが提案されている。
非特許文献1には、2つのコイル面の積層配列を備えた平面モーターが開示されている。運搬ユニットの磁石からの間隔が異なることから生じる異なる効率を均すために、2つのコイル面に対して異なる強さの駆動コイルを使用することが提案されている。
J.M.M., Rovers, et. al, 2013. Design and measurements of the Double Layer Planar Motor. In: International Electric Machines & Drives Conference. Chicago, 12-15.05.2013. IEEE
Jansen, J. W., 2007. Magnetically levitated planar actuator with moving magnets. in: electromechanical analysis and Design Eindhoven: Technische Universiteit Eindhoven DOI: 10.6100/IR630846
以上のことから、本発明の課題は、運搬機器のより効率的な動作を可能にする平面モーターの形の運搬機器及び平面モーターの形の運搬機器を動作させる方法を提示することである。
この課題は、本発明に基づき、運搬機器の動作時に運搬ユニットに作用する荷重力の第一の主移動方向への力の成分が、この荷重力の第二の主移動方向への力の成分よりも大きくなるように、この少なくとも1つの運搬セグメントが、水平姿勢と異なる姿勢で配置されて、この荷重力が、少なくとも運搬ユニットの運搬ユニット重力を含むことによって解決される。
本運搬機器の有利な実施形態は、従属請求項2~9に提示されている。
更に、本課題は、請求項10に基づく方法によって解決される。本方法の有利な実施形態は、従属請求項11~14に提示されている。
以下において、本発明の有利な実施形態の例を模式的に本発明を限定しない形で図示する図面1a~6を参照して、本発明を詳しく説明する。
図1a~1cには、平面モーターの形の運搬機器1の実施例が簡略化して図示されている。この場合、図1aが、運搬機器1を平面図で図示し、図1bと1cが、運搬機器1を側面図で図示している。この運搬機器1は、固定子として、運搬面3を形成する少なくとも1つの運搬セグメント2と、この運搬面3内を少なくとも二次元的に2つの主移動方向H1,H2に移動可能な少なくとも1つの運搬ユニットTEとを有する。本発明の範囲内において、運搬面3とは、運搬セグメント2の大きさと形状によって決定される、運搬セグメント2の平坦な表面であると理解する。ここでは、運搬面3が、例えば、水平に配置されている。図1aには、簡略化のために、1つの運搬セグメント2だけが図示されているが、当然のことながら、より大きな運搬面3を形成するために、多数の運搬セグメント2を(異なる形で)互いに接して並べることもできる。それによって、運搬機器1は、モジュール式に構成することができ、形状と面積の大きさが異なる運搬面3を実現することができる。しかし、当然のことながら、このモジュール式構造は、任意選定であり、単一の構造グループの形の単一の運搬セグメント2だけを配備することもできる。この運搬セグメント2の運搬面3内において、当然のことながら、複数の運搬ユニットTEも、異なる運搬ユニットTEも同時に互いに独立して動かすことができる。
運搬セグメント2には、第一の主移動方向H1を定義する、複数の駆動コイルAS1から成る第一のコイルグループSG1と、第二の主移動方向H2を定義する、複数の駆動コイルAS2から成る第二のコイルグループSG2とが配置されている。第一のコイルグループSG1の駆動コイルAS1は、ここでは、X軸に沿って延びる、運搬ユニットTEの移動に関する第一の主移動方向H1を形成するために、所定の方向に、ここでは、X方向に順番に配置されている。第二のコイルグループSG2の駆動コイルAS2は、ここでは、Y軸に沿って延びる、運搬ユニットTEに関する第二の主移動方向H2を形成するために、所定の方向に、ここでは、Y方向に順番に配置されている。有利には、第一と第二のコイルグループSG1,SG2の駆動コイルAS1,AS2は、図1aに図示されている通り、2つの主移動方向H1,H2が互いに直交するように互いに相対的に配置されている。しかし、当然のことながら、主移動方向H1,H2のそれ以外の相対的な配置構成、例えば、主移動方向H1,H2の間の直角と異なる角度も考えられる。
第一のコイルグループSG1の駆動コイルAS1と第二のコイルグループSG2の駆動コイルAS2は、ここでは、それぞれ従来通り巻回された縦長のコイルとして構成されている。第一のコイルグループSG1の駆動コイルAS1は、それぞれY方向への長手方向延伸部LAS1と、それに対して相対的に短い、X方向への横方向延伸部QAS1とを有し、その横方向延伸部QAS1の方向に、ここでは、X方向に順番に配置されている。駆動コイルASiの横方向延伸部QASiは、典型的には、その駆動コイルと協力して動作する磁石グループMGiの駆動磁石4の磁極ピッチTiと、駆動コイルASiの巻線形態、即ち、例えば、集中的な巻線形態(単一歯巻線)であるのか、分散した巻線形態であるのかとの中の1つ以上に依存する。これらの巻線形態は、従来技術で周知である。それにより、第一のコイルグループSG1の駆動コイルAS1が順番に配置された方向は、運搬ユニットTEの移動に関する第一の主移動方向H1を定義する。第一のコイルグループSG1の駆動コイルAS1は、所謂「長いコイル」として構成されている。それは、その長手方向延伸部LAS1が、各方向(ここでは、Y方向)における運搬ユニットTEの延伸部よりも大きいこと、ここでは、例えば、運搬ユニットTEの運搬ユニット幅BTEよりも長いことを意味する。図示された例では、長手方向延伸部LAS1は、Y方向における運搬セグメント2の拡がりとほぼ同じ大きさになる。それにより、基本的にY方向における如何なる場所でも、X方向、即ち、第一の主移動方向H1への運搬ユニットTEの動きが可能である。
第二のコイルグループSG2の駆動コイルAS2は、同じく、ここでは、第一のコイルグループSG1の駆動コイルAS1の長手方向延伸部LAS1よりも小さな長手方向延伸部LAS2を有する。この第二のコイルグループSG2の駆動コイルAS2の長手方向延伸部LAS2は、ここでは、X方向に延びる。また、第二のコイルグループSG2の駆動コイルAS2は、ここでは、Y方向において、それぞれ長手方向延伸部LAS2に対して相対的に小さな横方向延伸部QAS2を有する。横方向延伸部QAS2は、ここでは、第一のコイルグループSG1の駆動コイルAS1の横方向延伸部QAS1とほぼ同じ大きさであるが、より大きくするか、或いはより小さくすることもできる。第二のコイルグループSG2の駆動コイルAS2は、同じく、その横方向延伸部QAS2の方向に、ここでは、Y方向に順番に配置されている。それにより、第二のコイルグループSG2の駆動コイルAS2が順番に配置されている方向は、運搬ユニットTEの移動に関する第二の主移動方向H2を定義する。
第二のコイルグループSG2の駆動コイルAS2は、所謂「短いコイル」として構成されている。それは、長手方向延伸部LAS2が、各方向(ここでは、X方向)における運搬ユニットTEの延伸部と、ここでは、例えば、運搬ユニットTEの運搬ユニット長LTEと同じ大きさであるか、或いはそれよりも小さいことを意味する。しかし、それにも関わらず運搬面3内全体において、第二の主移動方向H2への運搬ユニットTEの動きを可能にするために、第二のコイルグループSG2の駆動コイルAS2が、X方向に複数の列で、ここでは、例えば、三列で並んで配置されている。しかし、全く同様に、その逆の配置も、即ち、第二の主移動方向H2に対して「長い」コイルを配置し、第一の主移動方向H1に対して「短い」コイルを配置することも可能である。2つの主移動方向H1,H2に対して、それぞれ「長い」コイルを使用することも、或いはそれぞれ「短い」コイルを使用することもできる。例えば、コストの節約に関して、2つのコイルグループSG1,SG2に対して同形の駆動コイルAS1=AS2を使用するのが有利であるとすることができる。
しかし、当然のことながら、図示された実施構成は、単なる例であると理解すべきであり、当業者は、コイルグループSG1,SG2のそれ以外の配列及び/又は駆動コイルのそれ以外の構造形態を規定することもできる。例えば、周知の手法により、所謂PCBコイルを使用することができる。この場合、「PCB」とは、「Printed Circuit board」を表し、コイルが直に回路基板に統合されていることを意味する。両方の実施構成は、従来技術で周知であり、そのため、ここでは、詳しい説明は行わない。コイルグループSG1,SG2の互いのそれ以外の相対的な配列及び/又は運搬セグメント2に対するそれ以外の相対的な配列も考えられるか、更に別の主移動方向Hiを形成する駆動コイルASiから成る更に別のコイルグループSGiを配備することができるか、或いはその両方である。しかし、最も一般的なケースでは、それぞれ複数の駆動コイルAS1,AS2から成る2つの異なる向きのコイルグループSG1,SG2で十分であり、各コイルグループSG1,SG2が1つの主移動方向H1,H2を定義する。しかし、有利には、これらの少なくとも2つの主移動方向H1,H2は、図示されている通り、互いに直交し、それによって、運搬セグメント2を構造的により簡単に構築することができる。
更に、複数の運搬セグメント2から構成される運搬面3のモジュール式構造に関して、運搬セグメント2が、それぞれ正方形又は長方形の運搬面3を有することも有利である。そして、これらの運搬セグメント2は、簡単に互いに接して並べることができ、その結果、運搬セグメント2のそれぞれの第一の主移動方向H1が、それぞれ境界を接する運搬セグメント2の第一の主移動方向H1に対して平行に、或いは直角に延びる。それで運搬面3は、複数の運搬セグメント2から簡単かつ柔軟に構成することができる。この場合、境界を接する運搬セグメント2が、必ずしも互いに一直線に並ぶ必要はなく、ずらすことも可能である。
図示された運搬機器1を用いて、例えば、運搬セグメント2の運搬面3内において、2つの主移動方向H1,H2への運搬ユニットTEのほぼ制限されない動きが可能である。この場合、運搬ユニットTEは、例えば、それぞれX軸に沿ってのみ、或いはY軸に沿ってのみ動かすことができる。しかし、当然のことながら、運搬ユニットTEは、2つの主移動方向H1,H2に、例えば、図1aの運搬ユニットTEで示される通り、運搬面3内に在るX座標とY座標による二次元の移動パスBPに沿って同時に動かすことができる。運搬セグメント2と各運搬ユニットTEの相応の構造的な実現形態において、周知の手法で、それ以外の4つの運動自由度(高さ方向Zにおける並進運動と3つの軸X,Y,Zの周りの回転)を少なくとも限定的に使用することもできる。
この運搬機器1には、図1aに示されている通り、運搬セグメント2の駆動コイルAS1,AS2を駆動することができる制御ユニット5も配備されている。この制御ユニット5は、例えば、上位の設備制御ユニット6と接続するか、或いはそれに統合することもできる。複数の運搬セグメント2が運搬機器1に配備されている場合、運搬セグメント2又は運搬セグメント2のグループ毎に、それぞれ(図示されていない)セグメント制御ユニットを配備することと、制御ユニット5に統合することもできるコイル制御ユニットを駆動コイルASi毎に配備することとの中の1つ以上も可能である。この制御ユニット5及び/又は設備制御ユニット6によって、例えば、運搬機器1を統合可能な設備の所定の製造プロセスに応じて、運搬ユニットTEの移動パスBPを予め与えることができる。
前述した通り、この運搬機器1では、当然のことながら、複数の運搬ユニットTEを同時に互いに独立して動かすことができる。そして、制御ユニット5及び/又は設備制御ユニット6は、例えば、運搬ユニットTEの互いの衝突及び/又は運搬されている物体との衝突を防止するために、運搬ユニットTEの移動進路を互いに同期させるか、或いは互いに同調させる役割を果たす。制御ユニット5では、個々の運搬ユニットTEの所望の移動パスを実現する制御プログラムが作動する。制御ユニット5又は設備制御ユニット6は、例えば、移動パスBPの計画を策定するプラニングモジュールPLMと接続することもできる。このプラニングモジュールPLMは、例えば、実際に構築する運搬機器1、特に、運搬面3を、例えば、仮想的に実装したコンピュータであるとすることができる。
この少なくとも1つの運搬ユニットTEには、運搬ユニットTEを動かすために、少なくとも2つのコイルグループSG1,SG2の駆動コイルAS1,AS2と電磁気的に協力して動作する複数の駆動磁石4が配置されている。そのために、運搬ユニットTEは、図1bで分かる通り、通常本体部分9を有し、その(運搬面3の方を向いた)下側には、駆動磁石4が配置されている。図1aでは、駆動磁石4の配列を見ることができるように、本体部分9が、それぞれ大部分破断された形で図示されている。
図示された例では、2つの第一の磁石グループMGaと2つの第二の磁石グループMGbが運搬ユニットTEに配置されている。運搬機器1を動作させるためには、基本的に運搬ユニットTE当たり単一の第一の磁石グループMGaと単一の第二の磁石グループMGbでも十分である。しかし、当然のことながら、運搬ユニットTE当たり3つ以上の第一の磁石グループMGaと3つ以上の第二の磁石グループMGbを配備することもできる。等しくない数の第一と第二の磁石グループMGa,MGb、例えば、2つの第一の磁石グループMGaと1つの第二の磁石グループMGbも考えられる。これらの磁石グループMGa,MGbには、それぞれ所定の配列方向に所定の磁極ピッチTa,Tbで順番に配置された、異なる磁化方向の複数の駆動磁石4が配備されている。ここでは、第一の磁石グループMGaの配列方向がX方向と一致し、第二の磁石グループMGbの配列方向がY方向と一致する。それにより、これらの配列方向は、主移動方向H1,H2と同様に互いに直交する。有利には、磁石グループMGa,MGbの配列方向は、出来る限り効率的に電磁気的な力を発生できるように、主移動方向H1,H2に対して出来る限り平行に延びる。図示された例では、運搬ユニットTEにおける駆動磁石4の周知の一次元配列であるが、図4a~4dに基づき更に詳しく説明する通り、同じく周知の二次元配列も可能である。
運搬面3内において運搬ユニットTEを動かすために、第一と第二の駆動コイルAS1,AS2を制御ユニット5によって個々に駆動する(電流を流す)ことができる。そのために場合によっては必要となるパワーエレクトロニクス機器を制御ユニット5又は運搬セグメント2に配置することができる。第一の駆動コイルAS1を相応に時間的にずらして駆動することによって、基本的な可動磁界を第一の主移動方向H1に発生させている。この第一の主移動方向H1における可動磁界は、第一の主移動方向H1への各運搬ユニットTEの所与の運動状態を設定する駆動力を発生させるために、例えば、加速、定速又は停止状態までの減速のために、概ね第一の磁石グループMGaの駆動磁石4と電磁気的に協力して動作する。同様に、第二の駆動コイルAS2を時間的にずらして駆動することによって、基本的な可動磁界を第二の主移動方向H2に発生させており、この可動磁界は、運搬ユニットTEを第二の主移動方向H2に動かす駆動力を発生させるために、概ね第二磁石グループMGbの駆動磁石4と電磁気的に協力して動作する。駆動コイルAS1,AS2の駆動に応じて、可動磁界の重なり合いが生じ、それによって、所望の通り、運搬ユニットTEを運搬面3内の所与の二次元の移動パスBPに沿って動かすことができる。
運搬面3内の主移動方向H1,H2におけるほぼ無制限の2つの並進運動自由度の外に、運搬面3に対する法線方向、ここでは、Z軸の方向における運搬ユニットTEの限定的な並進運動も可能である。運搬セグメント2の図示された配置構成では、Z軸は、水平な運搬面3に対して垂直である。コイルグループSG1,SG2の駆動コイルAS1,AS2とそれと協力して動作する第一及び第二の磁石グループMGa,MGbの配列及び構造的な実施形態に応じて、3つの空間軸X,Y,Zの周りの運搬ユニットTEの限定的な回転も可能である。
前述した通り、磁石グループMGa,MGbの互いに境界を接する駆動磁石4は、異なる磁化方向を有し、(ここでは、それぞれ駆動磁石4の中心からその隣の駆動磁石4の中心までの)所定の磁極ピッチTa,Tbで互いに間隔を開けて配置されている。一般的に、磁極ピッチTi内において、磁石グループMGiにより生成される磁界の向きが180°交番する。この場合、所望の磁極ピッチTiで磁界を発生させるのに必要な駆動磁石4の間隔は、磁石グループMGi内の駆動磁石4の配列にも、特に、隣り合う駆動磁石4の間の生じるかもしれない隙間の隙間幅、隣り合う駆動磁石4の磁化方向(例えば、180°逆向き又はハルバッハ配列)及び駆動磁石4の磁石幅MBiにも依存する。ハルバッハ配列では、例えば、磁石グループMGiのそれぞれ最も外側の駆動磁石4が、例えば、それぞれ間に在る駆動磁石4の磁石幅MBiの半分を有するのが有利であるとすることができる。
これは、例えば、図1aで運搬ユニットTEにおける斜線を付けられた駆動磁石4と斜線を付けられていない駆動磁石4によって示される通り、それぞれ磁石のN極とS極が交番し、それが隣り合う駆動磁石4の180°回転した配列に相当することを意味することができる。境界を接する駆動磁石4の磁化方向がそれぞれ互いに90°回転した周知のハルバッハ配列も有利であることが分かっている。この場合、「磁極ピッチTa,Tb」とは、それぞれ配列方向に隣り合う磁化方向(N極/S極)が逆である2つの駆動磁石4の間の間隔であると理解されたい。駆動磁石4が(配列方向に)同じ磁石幅MBを有し、隣り合う駆動磁石4が180°回転した配向方向を有し、駆動磁石4が互いに直に境界を接する(これは一般的なケースである)場合、磁極ピッチTa,Tbが、それぞれの磁石幅MBa、MBbと一致する。これらの磁極ピッチTa,Tb及び磁石幅MBa,MBbは、例えば、図4aと図4cの運搬ユニットTEに表示されている。
動作時に、運搬セグメント2の運搬面3と運搬ユニットTEの磁石グループMGa,MGbの駆動磁石4の間には、図1bで明らかな通り、空隙Lが設けられる。有利には、運搬セグメント2に、有利には、磁気伝導性のカバー層を配備して、その下に在る駆動コイルAS1,AS2を外部の影響から遮蔽するとともに、ほぼ滑らかな運搬面3を形成することができる。このカバー層は、その下に在る駆動コイルAS1,AS2の配列を見ることができるように、図1aでは部分的に破断された形で表示されている。同様に、当然のことながら、運搬ユニットTEにも、駆動磁石4を覆うカバー層を配備することができる。そして、空隙Lが、カバー層と各運搬ユニットTEの駆動磁石4の間に拡がる。この空隙Lを作るとともに、特に、維持するために、駆動コイルAS1,AS2と駆動磁石4が、動作時に、周知の手法で(主移動方向H1,H2への動きに必要な)駆動力を発生させるためだけでなく、ここでは、Z方向に浮上力FSを発生させるためにも協力して動作する。この浮上力FSは、運搬ユニットTEの静止状態においても、空隙Lを発生させて、維持するために作用する。運搬セグメント2の図1aと1bに図示されたほぼ水平の取付姿勢以外に、当然のことながら、図5bに図示されている通りの傾いた面の形の傾斜した取付姿勢も考えられる。図5cによるほぼ垂直の取付姿勢も可能である。当然のことながら、運搬セグメント2のそれ以外の任意の取付姿勢も可能である。
この場合、以下において、図5a~eに基づく更に詳しく説明する通り、運搬ユニットTEに作用する、並びに重力FGに、場合によっては重力方向に生じるプロセス力FP(例えば、運搬されている物体Oの重力や、場合によっては、運搬機器1の処理ステーションでの作業プロセスのために運搬ユニットTEに作用する追加的な作業プロセス力)に対して逆向きの電磁気的に発生される力の如何なる部分も浮上力と呼ばれる。それにより、浮上力FSは、絶対値に関して、ほぼ重力FGと(重力方向における)プロセス力FPのベクトル和に等しく、その結果、空隙を維持することで、運搬ユニットTEの静的な平衡状態が達成される。運搬ユニットTEの運動状態の変化(例えば、定速、加速、減速など)を引き起こす、電磁気的に発生される力の如何なる部分も、或いはプロセス力FPが重力方向に作用しない場合に、運搬ユニットTEを停止状態に維持するために、浮上力FSに追加して適用しなければならない如何なる部分も駆動力と呼ばれる。運搬面3内の二次元の動き以外に、高さ方向、即ち、運搬面3に対する法線方向における運搬ユニットTEの或る程度の動きも可能である。駆動コイルAS1,AS2の相応の駆動によって、限定された範囲内で空隙Lを増減することができ、それによって、図1bの運搬ユニットTEにおいて両方向矢印で示されている通り、運搬ユニットTEを高さ方向に、ここでは、Z方向に動かすことができる。この場合、高さ方向において提供可能な動きの遊びスペースの大きさは、基本的に運搬機器1の構造的な実施形態に、特に、駆動コイルAS1,AS2と駆動磁石4の最大限に発生可能な磁界と、運搬ユニットTEの重量及び荷重とに依存する。運搬機器1の大きさと設計に応じて、高さ方向において提供可能な移動範囲は、例えば、数mmから数cmの範囲内であるとすることができる。
更に、第一と第二のコイルグループSG1,SG2の駆動コイルAS1,AS2が、異なる磁場の影響を及ぼすコイル特性を有することと、第一のコイルグループSG1の駆動コイルAS1と主に協力して動作する運搬ユニットTEの駆動磁石4(ここでは、第一の磁石グループ)が、第二のコイルグループSG2の駆動コイルAS2と主に協力して動作する駆動磁石4(ここでは、第二の磁石グループMGb)と異なる磁場の影響を及ぼす磁石特性を有することとの中の1つ以上であると規定される。それによって、異なる効率μH1≠μH2、異なる最大の力及び異なる精度の中の1つ以上を有する2つの主移動方向H1,H2に駆動ユニットTEを動かすことができる。
この場合、「磁場の影響を及ぼすコイル特性」とは、駆動コイルASiが発生する磁界、特に、磁束に影響を及ぼすことができる、駆動コイルASiの変更可能な構造パラメータ又はエネルギーパラメータであると理解する。それには、例えば、駆動コイルASiと協力して動作する運搬ユニットTEの駆動磁石4からのその駆動コイルの法線方向における平均コイル間隔Si(図1b)、コイルグループSGiの隣り合う駆動コイルASiのコイルピッチTASi、駆動コイルASiの導体抵抗、駆動コイルASiに印加可能な最大コイル電流、駆動コイルASiの巻線数及び駆動コイルASiのコイルの幾何学的形状が挙げられる。この「コイルの幾何学的形状」とは、特に、運搬面3に対して平行な駆動コイルASiの長手方向延伸部LASiと横方向延伸部QASi、並びに図1bの駆動コイルAS2において示されている通り、運搬面3に対して法線方向における駆動コイルASiのコイルの高さhASiであると理解する。更に、巻線形態、即ち、集中的な巻線であるのか、分散した巻線であるのかも、駆動コイルASiのコイルの幾何学的形状に影響を及ぼす。運搬ユニットTEの駆動磁石4の「磁場の影響を及ぼす磁石特性」とは、例えば、駆動磁石4の残留磁束、駆動磁石4とそれと協力して動作する駆動コイルASiの間の相対的な向き、駆動磁石4の磁極ピッチTi及び駆動磁石の磁石の幾何学的形状であると理解する。磁石の幾何学的形状は、例えば、図1bと図3dに図示されている通り、特に、磁石の長さLMi、磁石の幅MBi及び磁石の高さHMiと関連する。
以下において、磁場の影響を及ぼす磁石特性及び/又は磁場の影響を及ぼすコイル特性を用いて、運搬機器1の主移動方向Hiに電磁気的な力を発生させる効率μHiが如何にして向上できるのかに関する幾つかの措置の例を列挙する。当然のことながら、複数の磁石特性及び/又はコイル特性を変えることもできる。
駆動磁石4と駆動コイルASiの間の相対的な方向設定は、出来る限り、駆動コイルASiの導体の向きが駆動磁石4によって発生される磁界と直交するように実行すべきである。これは、現実の実施形態において、例えば、縦長の駆動コイルASi及び長手方向延伸部LASiに対して出来る限り平行に配置された、その駆動コイルと協力して動作する磁石グループMGiの縦長の駆動磁石4を使用することによって達成される(例えば、図1aを参照)。更に、コイルグループSGi(例えば、SG1)の駆動コイルASiと、主にそれぞれ別のコイルグループSGi(例えば、SG2)の駆動コイルASiと協力して動作する磁石グループMGi(例えば、MGb)との間の相対的な向きは、発生する結合効果が僅かとなるか、或いは無くなるように、出来る限り直交すべきである。これは、図1aの例では、例えば、第二の磁石グループMGbの駆動磁石4が第一のコイルグループSG1の駆動コイルASiの横方向延伸部QAS1に対して出来る限り平行に配置されることによって達成される。磁束密度が法線方向の間隔に対して指数関数的に低下するので、駆動コイルASiの導体とそれと協力して動作する駆動磁石4の間の(図示された例では、平均コイル間隔Siに等しい)間隔は、出来る限り小さくすべきである。
駆動コイルASiの導体抵抗は、出来る限り小さくすべきである。導体抵抗を低減する手法は、例えば、駆動コイルASiの所謂「オーバーラップ長」を出来る限り大きくするようにすること及び/又は駆動コイルASiの導体の横断面を増大させることである。この場合、「オーバーラップ長」は、駆動磁石4の磁界の影響範囲内に在る、導体の部分である。有利には、「オーバーラップ長」は、出来る限り導体又は駆動コイルASiの延伸部全体と一致すべきである。駆動力/浮上力を発生させるために複数の導体が使用される場合(これは、一般的に、駆動コイルASiの使用によって実現される)、高い銅充填率(銅充填率の定義は、基本的に周知であり、コイルの横断面積全体に対するコイルの個々の導体の横断面積の合計の比率にほぼ等しい)が有利である。導体の抵抗率は温度と共に上昇するので、例えば、排熱により温度を低下させることによって、導体の効率を増大させることができる。
運搬ユニットTEに対して(移動方向にも、高さ方向にも)発生可能な最大の力は、例えば、駆動コイルASiに印加可能な(ほぼパワーエレクトロニクスにより制限される)最大のコイル電流とコイルの幾何学的形状及び巻線数の中の1つ以上とによって調節することができる。運搬ユニットTEの位置決め精度は、例えば、コイルピッチTASiの大きさによって調節することができる。このコイルピッチTASiは、例えば、図1aの第二のコイルグループSG2の駆動コイルAS2において示されている通り、隣り合う駆動コイルASiの間隔、一般的にはコイル軸の間の間隔を表す。このことから、運搬ユニットTEを動かす効率μHi、運搬ユニットTEに対して発生可能な最大の力及び/又は運搬ユニットTEを動かす位置決め精度に影響を及ぼすことができる多様なパラメータが存在することが分かる。当然のことながら、駆動コイルASiの磁場の影響を及ぼすコイル特性と駆動磁石4の磁場の影響を及ぼす磁石特性の全て又は出来る限り多くを最適化することを追求することができる。しかし、多くの場合、これは、例えば、費用効率の理由から、可能でないか、或いは望まれていない。例えば、費用の理由から、第一のコイルグループSG1の駆動コイルAS1と第二のコイルグループSG2の駆動コイルAS2に対して構造的に同じ実施形態のコイルを使用するのが有利であるとすることができ、それによって、例えば、駆動コイルAS1,AS2の平均コイル間隔が異なる(S1≠S2)場合に、ほぼ自動的に効率の違いが得られる。以下において、図1a~1cに基づき、単なる例として、駆動コイルAS1,AS2の異なる平均コイル間隔S1≠S2を取り上げ、その際、2つの主移動方向H1,H2における残る磁場の影響を及ぼすコイル特性と磁場の影響を及ぼす磁石特性は等しいとする。
第一のコイルグループSG1の駆動コイルAS1は、運搬面3に対する法線方向(ここでは、Z方向)に、第一の磁石グループMGaから第一の平均コイル間隔S1を開けて配置され、第二のコイルグループSG2の駆動コイルAS2は、運搬面3に対する法線方向に、第二の磁石グループMGbから第一の平均コイル間隔S1に対して相対的により大きな第二の平均コイル間隔S2を開けて配置されている。それにより、Z方向において、第一のコイルグループSG1の駆動コイルAS1が、第一の磁石グループMGaの駆動磁石4に対して、第二の磁石グループMGaの駆動磁石4に対する第二のコイルグループSG2の駆動コイルAS2よりも近くに在る。図1bに図示された例では、2つのコイルグループSG1,SG2が重なり合って配置されている。
この場合、平均コイル間隔S1,S2は、各駆動コイルAS1,AS2のコイル中心からZ方向に見る向きで計測される。これらの駆動コイルAS1,AS2は、各運搬ユニットTEと運搬セグメント2の間の擾乱性の磁気的な引力を防止するために、有利には、鉄心の無い形で実現されており、所謂「空芯コイル」とも呼ばれる。図1aと1bに図示された例では、駆動コイルAS1,AS2は、従来通り巻回されたほぼ楕円形の縦長のコイルとして実現されており、それぞれコイル軸が運搬面3に対する法線方向を向いている。しかし、駆動コイルAS1,AS2は、所謂「PCBコイル」として実現することもできる。しかし、各コイルグループSG1,SG2の駆動コイルAS1,AS2は、図1cに図示されている通り、例えば、第一の駆動コイルAS1から成る複数の第一のコイル面SE1と第二の駆動コイルAS2から成る複数の第二のコイル面SE2による層形態で運搬面3に対する法線方向に重なり合った形で運搬セグメント2に配置することができる。
図1cの左側の例では、4つの第一のコイル面SE1から成るコイルブロックと4つの第二のコイル面SE2から成るコイルブロックが重なり合った形で運搬セグメント2に配置されている。図1cの右側の図では、それぞれ4つの第一のコイル面SE1と4つの第二のコイル面SE2がZ方向に交番する形で運搬セグメント2に配置されている。この場合、平均コイル間隔S1,S2は、それぞれZ方向における運搬面3からのコイル面SE1,SE2の平均的な間隔であり、次の式が成り立ち、
第一のコイルグループSG1の駆動コイルAS1は、同じ構造的な制約条件(同一の幾何学的形状(長さ、幅、高さ)、同じ巻線数など)と同じエネルギー的な制約条件(同じ最大電流又は電圧など)において、第二のコイルグループSG2の駆動コイルAS2と同じ(最大)磁界を発生させる。運搬ユニットTEにおける磁石グループMGa,MGbは、ほぼ同形(同じ幾何学的形状(磁石の長さ、磁石の幅、磁石の高さ)、同じ数の駆動磁石4、同じ磁極ピッチTi、同じ磁化方向、同じ磁界強度など)に実現されており、その結果、磁石グループMGa,MGbは、ほぼ同じ大きさの磁界を発生させて、その磁界が、駆動コイルAS1,AS2が発生する磁界と協力して動作していた。しかしながら、第一のコイルグループSG1の駆動コイルAS1が、第一の磁石グループMGaの駆動磁石4に対して、平均して第二の磁石グループMGbの駆動磁石4に対する第二のコイルグループSG2の駆動コイルAS2よりも近くに在ることによって、そのことが、第一の主移動方向H1に電磁気的な力を発生させる効率を第二の主移動方向H2よりも大きくしていた。それは、駆動力の発生にも、浮上力の発生にも関連する。それによって、周知の通り、第二の主移動方向H2よりも大きな効率が第一の主移動方向H1において得られていた。
図2a~2eには、運搬セグメント2における第一と第二のコイルグループSG1,SG2の駆動コイルAS1,AS2の配列の異なる手法が模式的に図示されている。図2aと2bは、第一と第二のコイルグループSG1,SG2が同じ面内に配置された所謂「単層」又は単層の変化形態を図示している。図2cと2eは、前に図1bと1cに基づき説明した通り、第一と第二のコイルグループSG1,SG2が高さ方向に重なり合って積層された形で配置された所謂「複層」又は複層の構造形態を図示している。「二重層」の構造形態では、例えば、2つの重なり合って配置された駆動コイルAS1,AS2の層が配備されている。この場合、運搬面3に対する法線方向において、第一のコイルグループSG1の駆動コイルAS1が、運搬面3に対して第二のコイルグループSG2の駆動コイルAS2よりも近くに在るので、(より高い効率(μH1>μH2)を有する)第一の主移動方向H1がほぼ自動的に得られる(そうでなければ、磁場の影響を及ぼすコイル特性と磁場の影響を及ぼす磁石特性が同じになる)。
「単層」の構造形態は、一般的に、2つの等価の主移動方向H1,H2を有する運搬機器1に使用される。ここでは、第一と第二のコイルグループSG1,SG2の駆動コイルAS1,AS2は、それぞれ運搬面3に対して同じコイル間隔S1=S2を有する。そうではなく磁場の影響を及ぼすコイル特性と磁場の影響を及ぼす磁石特性が同じ場合、2つの主移動方向H1,H2に対してほぼ同じ効率μH1=μH2が得られる。しかし、前述した通り、コイル間隔Si以外に、それ以外の多くの磁場の影響を及ぼすコイル特性と磁場の影響を及ぼす磁石特性も存在し、それを変えることによって、効率μH1,μH2を変えることができる。そのため、基本的には、「単層」の構造形態においても、例えば、2つの磁石グループMGa,MGbの駆動磁石4の異なる磁極ピッチTa≠Tb及び/又は2つの磁石グループMGa,MGbの駆動磁石4の磁石の異なる幾何学的形状によって、2つの主移動方向H1,H2の異なる効率μH1≠μH2を作り出すことが考えられる。
図2aには、2つのコイルグループSG1,SG2の駆動コイルAS1,AS2の所謂「矢筈」配列が図示されている。ここでは、図2b~2eの別の実施形態と異なり、2つの主移動方向H1,H2が運搬セグメント2の縁に対して平行に(ここでは、XとY方向に)延びるのではなく、それに対して傾斜して延びている。それに関する詳細は、例えば、非特許文献2に開示されている。図2cには、第一のコイルグループSG1にも、第二のコイルグループSG2にも「長い」駆動コイルAS1,AS2が配備された「二重層」の実施構成が図示されている。図2dは、図1aと同様に、第一のコイルグループSG1における「長い」駆動コイルAS1と第二のコイルグループSG2における「短い」駆動コイルAS2から成る実施構成を図示している。図2eは、第一のコイルグループSG1における「短い」駆動コイルAS1と第二のコイルグループSG2における「長い」駆動コイルAS2から成る例を図示している。
図3a~fと図4a~dには、運搬ユニットTEにおける駆動磁石4の異なる配列が模式的に図示されている。基本的に、所謂「一次元配列」(図3a~3f)と「二次元配列」の間を区別する。既に詳しく説明した通り、一次元配列では、それぞれ第一の主移動方向H1(ここでは、X軸)に関する複数の駆動磁石4から成る少なくとも1つの第一の磁石グループMGaと第二の主移動方向H2(ここでは、Y軸)に関する複数の駆動磁石4から成る少なくとも1つの第二の磁石グループMGbとが配備されている。これらの磁石グループMGa,MGbは、それぞれ所定の配列方向に(ここでは、MGaではX方向に、MGbではY方向に)順番に配置された所定の数の駆動磁石4、特に、永久磁石を有する。この場合、隣り合う駆動磁石4は、異なる磁化方向を有する。例えば、隣り合う駆動磁石4の磁化方向を互いに180°回転させることができる、即ち、斜線を付けた駆動磁石4と斜線を付けていない駆動磁石4により示される通り、磁石のN極とS極を交番させた形で回転させることができる。しかし、既に述べた通り、磁石グループMGiの駆動磁石4を周知のハルバッハ配列で配置することもでき、その場合、例えば、磁化方向(N極とS極)が逆の駆動磁石4の間に、それに対して磁化方向が90°回転した駆動磁石4がそれぞれ配備されている。このハルバッハ配列は、磁石グループMGiの一方の側(有利には、運搬面3の方を向いた側)における磁束がそれと反対側の磁束よりも大きくなるとの利点を有する。例えば、図8に図示されている通り、磁石グループMGiのそれぞれ最も外側の駆動磁石4が、磁石グループMGiの間に在る駆動磁石4よりも短い、特に、半分の磁石幅MBiを有する場合、磁石グループMGiの磁界の特に有利な正弦形状の磁界パターンを達成することができる。このハルバッハ配列は、従来技術で周知であり、そのため、ここでは、更なる詳細を省略する。
この二次元配列では、異なる磁化方向の個々の駆動磁石4が、ほぼチェス盤形態で運搬ユニットTEに配置されている。この場合、異なる磁化方向の駆動磁石4が、2つの配列方向(ここでは、XとY方向)に、それぞれ交番してずれた形で配置されている。この場合、2つの方向は、有利には、互いに2つの主移動方向H1,H2と同様の方向を向いている、即ち、例えば、互いに直交する。多数の異なる配列手法が得らえることが直ぐに分かり、一次元配列の最も一般的な変化形態が図3a~3fに図示され、二次元配列の最も一般的な変化形態が図4a~4dに図示されている。この二次元配列では、第一の磁石グループMGaが一方の方向に(例えば、X方向に)配置された駆動磁石4に相当し、第二の磁石グループMGbがそれぞれ他方の方向に(例えば、Y方向に)交番して配置された駆動磁石4に相当する。それにより、この二次元配列では、磁石グループMGa,MGbが、一次元配列の場合のように別個に在るのではなく、駆動磁石4が第一の磁石グループMGaの部分にも、第二の磁石グループMGbの部分にもなっている。
例えば、運搬セグメント2での「単層」配列のコイルグループSG1,SG2(図2aと2b)において(そうでなければ駆動コイルAS1,AS2の磁場の影響を及ぼすコイル特性が同じである場合に)運搬ユニットTEの異なる効率μH1,μH2、異なる最大の力及び異なる位置決め精度の中の1つ以上を達成するために、既に述べた通り、運搬ユニットTEの駆動磁石4の磁場の影響を及ぼす磁石特性を変えることもできる。1つの手法は、例えば、第一の磁石グループMGaの磁極ピッチTaが、例えば、一次元配列に関しては図3dと3fに図示され、二次元配列に関しては図4cと4dに図示されている通り、第二の磁石グループMGbの磁極ピッチTbと異なることである。第一のコイルグループSG1の駆動コイルAS1が第二のコイルグループSG2の駆動コイルAS2よりも小さなコイル間隔S1を有する、図1a~1cに図示された運搬セグメント2の「複層」の実施構成において、運搬ユニットTEの磁石グループMGa,MGbにおいて異なる磁極ピッチTa≠Tbを規定する場合でも、有利には、(第一のコイルグループSG1と協力して動作する)第一の磁石グループMGaの磁極ピッチTaを第二の磁石グループMGbの磁極ピッチTbよりも小さくする。そのため、駆動磁石4が発生する磁界が磁極ピッチTiの増大に応じてZ方向に関して益々運搬セグメント2内に侵入するので、これは有利である。従って、より大きな磁極ピッチTiを有する磁石グループMGiが、より遠く離れたコイルグループSGiの駆動コイルASiとより効率的に協力して動作することとなる。
冒頭で言及した通り、従来技術では、これまで、提供可能な電磁気力に関して、出来る限り同等の主移動方向を達成するために、2つの主移動方向H1,H2の効率の違いを補償することを追求していた。それに対して、本発明では、以下において、詳しく説明する通り、2つの主移動方向H1,H2の効率の違いを目的通りに利用している。
運搬ユニットTEの空隙L、即ち、浮上状態を維持するためには、重力に対抗する方向への(第一の磁石グループMGaの駆動磁石4との駆動コイルAS1の電磁気的な協力した動作と第二の磁石グループMGbの駆動磁石4との駆動コイルAS2の電磁気的な協力した動作とによって発生される)浮上力FSが、運搬ユニットTEの重力FGと(重力方向に)場合によっては生じる一定のプロセス力FPを相殺することが必要である。図5a~5eに図示されている通り、運搬機器1の運搬セグメント2の設置状況に応じて、この浮上力FSは、必ずしも運搬セグメント2の運搬面3に対して法線方向に作用しない。
水平の設置状況(図5a)では、浮上力FSは、運搬セグメント2の運搬面3に対して法線方向に(ここでは、Z軸の方向に垂直に)作用し、垂直の設置状況(図5c~5e)では、浮上力FSは、運搬セグメント2の運搬面3に対してほぼ平行に作用する。図5aの運搬セグメント2が水平な面からY軸の周りにのみ傾斜角α=90°だけ傾斜すると、浮上力FSは、例えば、図5cから分かる通り、X軸の方向にのみ、それにより、同時に第一の主移動方向H1にのみ作用する。水平と垂直の間の設置状況(図5b)では、運搬セグメント2の傾斜角αに応じて、浮上力FSのそれに対応した成分(X方向へのFSxとZ方向へのFSz)が生じる。当然のことながら、同様のことが、図5aの運搬セグメント2が水平な面からX軸の周りにのみ傾斜角βだけ傾斜した(図示されていない)場合のYZ平面に関しても成り立つ。例えば、傾斜角β=90°における浮上力FSは、同様にY軸の方向にのみ、それにより、第二の主移動方向H2にのみ作用する。
図5dには、運搬セグメント2が運搬面3に対する平面図で図示されている。ここでは、運搬セグメント2の運搬面3は、(図5cと同様に)水平からY軸の周りを傾斜角α=90°だけ傾斜している。更に、運搬セグメント2が、運搬面3と直交する高さ軸、ここでは、Z軸の周りを回転角γだけ回転しており、この回転角γは、長方形、特に、正方形の運搬面3の下側と水平面の間で計測される。それによって、浮上力FSは、(ここでは、同時に第一の主移動方向H1と一致する)X方向への力の成分FSxと(ここでは、同時に第二の主移動方向H2と一致する)Y方向への力の成分FSyに分けられる。当然のことながら、同様のことが、運搬セグメント2がX軸の周りを傾斜角βだけ傾斜するとともに、更にZ軸の周りを回転角γだけ回転した(図示されていない)場合にも成り立つ。
図5eの例では、運搬セグメント2が図5dと同様の方向に向けられている。しかし、更に、運搬ユニットTEが、運搬セグメント2に対して、運搬面3と直交する高さ軸(Z軸)の周りを相対角φだけ回転している。それによって、2つのコイルグループSG1,SG2の駆動コイルAS1,AS2と協力して動作する駆動磁石4の磁場の影響を及ぼす磁石特性が変化する。図示された例では、2つの主移動方向H1,H2の割り当て(より大きな効率μH1>μH2を有する第一の主移動方向H1のX方向への割り当てとより小さな効率μH2<μH1を有する第二の主移動方向H2のY方向への割り当て)は、確かに変わっていないが、駆動磁石4と駆動コイルAS1,AS2の間の最適でない方向設定のために、2つの効率μH1,μH2が、図5dの配置構成と比べて低下している。しかし、場合によっては、駆動コイルAS1,AS2の磁場の影響を及ぼすコイル特性と駆動磁石4の磁場の影響を及ぼす磁石特性に応じて、運搬ユニットTEを相対角φだけ回転させることは、主移動方向H1,H2を逆にする、即ち、例えば、(μH1>μH2で)H2がX方向に、H1がY方向になることを引き起こす可能性もある。
一般的に、Y軸の周りの傾斜角α、X軸の周りの傾斜角β及びZ軸の周りの回転角γの中の1つ以上による運搬セグメント2の水平姿勢と異なる姿勢の場合、浮上力FSのそれに対応する成分である第一の主移動方向H1へのFSH1(ここでは、X方向へのFSx)、第二の主移動方向H2へのFSH2(ここでは、Y方向へのFSy)及びZ方向へのFSzが、これらの角度α,β,γに応じて生じる。それにより、この浮上力FSは、運搬ユニットTEの重量により引き起こされる重力FGと、例えば、図5aに示される通り、運搬される物体Oにより発生されるか、運搬機器1の(図示されていない)処理ステーションで実行される運搬ユニットTEに対する作業プロセスに起因して作用するか、或いはその両方である重力方向に場合によっては生じるプロセス力FPの力の成分とを相殺する。それにより、浮上力FSによって、運搬セグメント2に対して相対的な運搬ユニットTEの位置を動作時に一定に保持することができる。冒頭で述べた通り、高さ方向(ここでは、Z方向)への運搬ユニットTEの或る程度の動きも実行することができ、これは、駆動コイルAS1,AS2の相応の制御によって達成することができる。
運搬面3に対して法線方向、ここでは、Z方向への浮上力FSの力の成分FSz(例えば、図5bを参照)は、一般的に、第一のコイルグループSG1の駆動コイルAS1によっても、第二のコイルグループSG2の駆動コイルAS2によっても作り出すことができる。運搬セグメント2がY軸の周りに角度αだけ傾斜している場合、浮上力FSの第一の主移動方向H1への力の成分FSH1(ここでは、X方向へのFSx)は、一般的に第一のコイルグループSG1の駆動コイルAS1によってのみ作り出される。当然のことながら、同様のことが、運搬セグメント2がX軸の周りに傾斜角βだけ傾斜している(図示されていない)場合における浮上力FSの第二の主移動方向H2への力の成分FSH2(ここでは、Y方向へのFSy)に関しても成り立つ。この場合、力の成分FSH2は、一般的に、第二のコイルグループSG2の駆動コイルSG2によってのみ作り出される。2つの軸X,Yの周りに角度α,βだけ傾斜している場合、浮上力FSは、角度α,βに応じて、力の成分FSH1,FSH2(或いは、ここでは、FSx,FSy)により駆動コイルAS1,AS2に分けられる。当然のことながら、同じことが、X軸及び/又はY軸の周りの傾斜と高さ軸、ここでは、Z軸の周りに回転角γだけ運搬セグメント2を追加的に回転させる場合にも成り立つ。
効率μH1を有する主移動方向H1とそれに対して相対的により小さな効率μH2<μH1を有する第二の主移動方向H2(及び/又は第二の主移動方向H2に対して相対的により大きな最大の力を有する第一の主移動方向H1)により運搬セグメント2が非対称的に設計されている場合に出来る限り効率的な動作を達成するために、本発明では、運搬機器1の動作時に運搬ユニットTEに作用する荷重力の主移動方向H1への力の成分が、この荷重力FBの第二の主移動方向H2への力の成分よりも大きくなると規定される。この場合、荷重力は、少なくとも運搬ユニットTEの運搬ユニット重力FGを含む。
しかし、この荷重力FBは、更に、プロセス力FPも含むことができ、このプロセス力FPは、又もや運搬ユニットTEで運搬される物体Oの物体重力及び/又は少なくとも一時的に作業プロセス中に運搬ユニットTEに作用する作業プロセス力を包含することができる。例えば、この運搬機器1では、運搬ユニットTE又は運搬ユニットTEで運搬される物体Oに対して作業プロセスを実行する少なくとも1つの(図示されていない)処理ステーションを備えることができ、この作業プロセスの実行中に、少なくとも一時的に、作業プロセス力がプロセス力FPの一部として運搬ユニットTEに作用する可能性がある。この場合、作業プロセス力は、当然のことながら、運搬ユニットTEに対して空間内の任意の方向に作用する可能性が有り、それに対して、物体重力は重力方向に作用する。従って、荷重力が主に第一の主移動方向H1に加わるように、運搬セグメント2が処理ステーションに対して相対的に配置されるのが有利であるとすることができる。一般的に、荷重力は、プロセス力FPと運搬ユニットTEの重力FGのベクトル和に等しく、ここで、プロセス力FPは、作業プロセス力及び/又は物体重力を含む。
有利には、運搬セグメント2の水平でない姿勢では、運搬セグメント2の傾斜は、第一の主移動方向H1に加わる荷重力FBの力の成分が、第二の主移動方向H2に加わる荷重力FBの力の成分よりも少なくとも5%大きくなるように、有利には、少なくとも10%、特に有利には、少なくとも20%大きくなるように定められる。例えば、運搬セグメント2の傾斜は、例えば、運搬セグメント2が水平からY軸の周りに角度α=90°だけ傾斜している図5cに図示されている通り、第一の主移動方向H1が水平に対して90°±45°の角度となるように定められる。この場合、荷重力に等しい、運搬ユニットTEの重力FGとプロセス力FPのベクトル和が垂直に作用し、それにより、第一の主移動方向H1に100%作用する。
運搬機器1の制御ユニット5(図1aを参照)は、有利には、第一の主移動方向H1に加わる荷重力の力の成分に対抗して作用する第一の主移動方向H1への電磁気的な力の成分を発生させるように、運搬ユニットTEの駆動磁石4と協力して動作する第一のコイルグループSG1の駆動コイルAS1を駆動するとともに、第二の主移動方向H2に加わる荷重力の力の成分に対抗して作用する第二の主移動方向H2への電磁気的な力の成分を発生させるように、運搬ユニットTEの駆動磁石4と協力して動作する第二のコイルグループSG2の駆動コイルAS2を駆動するように構成される。
図5a~図5eに図示された例では、(運搬ユニットTEの重力FGとプロセス力FPから成る)荷重力が、例えば、重力方向にのみ作用する。従って、運搬セグメント2は、第一の主移動方向H1に電磁気的に発生される浮上力FSの力の成分FSH1(図5b~5eでのX方向への力の成分FSx)が、第二の主移動方向H2への浮上力FSの力の成分FSH2(図5dと5eでのY方向への力の成分FSy、図5bと5cでは、運搬セグメント2がY軸の周りにのみ傾斜しているので、第二の主移動方向H2への力の成分FSH2又はY方向のFSyは存在しない)よりも大きくなるように、水平姿勢と異なる姿勢で配置されている。それによって、この運搬セグメント2の有利な方向設定に基づき、第一の主移動方向H1の駆動コイルAS1が第二の主移動方向H2の駆動コイルAS2よりも大きな浮上力FSの成分を発生させることが達成されて、それにより、運搬セグメント2が傾斜した(水平でない)設置状況を有する運搬機器1に対して、特に効率的な動作を達成することができる。
プロセス力FPが、物体Oの物体重力を除いて、外部から運搬ユニットTEに作用する作業プロセス力を含まない、図示された例では、それは、重力方向(ここでは、Z方向)が出来る限り運搬セグメント2の第一の主移動方向H1と一致するように、Y軸の周りの傾斜角α、X軸の周りの傾斜角β及びZ軸の周りの回転角γの中の1つ以上が定められることを意味する。この場合、有利には、運搬セグメント2の傾斜(角度α,β,γ)は、第一の主移動方向H1への浮上力FSの力の成分FSH1が、第二の主移動方向H2への浮上力FSの力の成分FSH2よりも少なくとも5%、有利には、少なくとも10%、特に有利には、少なくとも20%大きくなるように定められる。それにより、第一の主移動方向H1への浮上力FSの力の成分FSH1が第二の主移動方向H2への浮上力FSの力の成分FSH2に対して相対的に大きくなる程、運搬機器1の動作の効率を少なくとも或る程度まで向上させることができる。浮上力FSが完全に第一の主移動方向H1に加わる場合、それは、例えば、図5cの配置構成に、即ち、運搬セグメント2がY軸の周りにのみ傾斜角α=90°だけ傾斜している構成に相当する。しかし、この場合、運搬機器1の動作時に生じて、コイル電流の二乗に比例する駆動コイルAS1,AS2のオーム損失も考慮すべきである。例えば、浮上力FSの全部又はほぼ全部が、(例えば、図5cの配置構成のように)第一の主移動方向H1の駆動コイルAS1によって作り出される場合、駆動コイルAS1におけるコイル電流は、第二の主移動方向H2の駆動コイルAS2におけるコイル電流と比べて比較的大きくなる。これは、駆動コイルASiでのオーム損失が高い比率で上昇するので、荷重力FBがほぼ完全に第一の主移動方向H1に作用するにも関わらず、運搬機器1の効率を向上できないか、或いはより小さな程度でしか向上できないことを意味する可能性がある。従って、運搬機器の出来る限り効率的な動作のためには、本発明の意味での運搬セグメント2の傾斜を第一の主移動方向H1に有利なように、しかし或る程度までしか有利なように定めるのが有利であるとすることができる。このことから、運搬セグメント2の有利な傾斜の決定が駆動コイルAS1,AS2の具体的な構造形態にも依存することが分かる。そのため、所定の傾斜の決定は、用途に応じて当業者の裁量に委ねられる。
図6には、運搬機器1の別の有利な実施形態が運搬面3に対する平面図で図示されている。この運搬機器は、図1a~図1cによる実施形態にほぼ等しく、そのため、ここでは、主要な相違点だけを取り上げる。ここでは、運搬機器1の固定子は、少なくとも1つの運搬ユニットTEが移動可能な運搬面3を共に形成する複数の、特に、4つの同様の運搬セグメント2を有する。しかし、これらの運搬セグメント2は、図1aの実施形態と異なり、長方形に構成されるのではなく、それぞれ菱形の形状を有する。同様に、この少なくとも1つの運搬ユニットTEは、運搬面3に投影される運搬ユニットTEの面が菱形の形状に形成されるように構成されている。しかし、当然のことながら、運搬ユニットは、例えば、図3a~図4dに基づき説明した通り、長方形に構成することもできる。第一の主移動方向H1は、例えば、菱形形状の運搬面3の第一の縁K1と直交することができ、第二の主移動方向H2は、その第一の縁K1と境界を接する、菱形形状の運搬面3の第二の縁K2と直交することができる。これらの運搬セグメント2は、それぞれ第一の縁K1と第二の縁K2が、互いに菱形の角度ω<90°で配置されて、菱形形状を形成するように構成されている。図6に図示されている通り、それぞれ対向する辺は、平行に延びている。
既に詳しく説明した通り、2つの主移動方向H1,H2の方向が、コイルグループSG1,SG2の駆動コイルAS1,AS2の配列から得られる。図1aの例と同様に、図示された例では、第一と第二のコイルグループSG1,SG2の駆動コイルAS1,AS2が、それぞれ長手方向延伸部LAS1,LAS2と、それと直交する、それに対して相対的により短い横方向延伸部QAS1,QAS2とを有する長いコイルとして構成されている。この場合、異なる磁場の影響を及ぼすコイル特性を達成するために、第一のコイルグループSG1の駆動コイルAS1が、例えば、運搬面3に対して法線方向(ここでは、Z方向)において、第二のコイルグループSG2の駆動コイルAS2よりも運搬面3の近くに存在することができる。それにより、第一の主移動方向H1は、第一の駆動コイルAS1の長手方向延伸部LAS1に対して直角に、ここでは、運搬セグメント2の第一の縁K1に対して法線方向に延びている。第二の主移動方向H2は、第二の駆動コイルAS2の長手方向延伸部LAS2に対して直角に、ここでは、運搬セグメント2の第二の縁K2に対して法線方向に延びている。従って、図示された例では、第二の主移動方向H2は、第一の主移動方向H1に対して菱形の角度ωで延びている。この菱形の形状は、有利には、主移動方向H1,H2の間の所望の角度が90°よりも小さいケースに対して規定することができる。(例えば、図1aの)運搬セグメント2の形状が長方形の場合、これは、確かに同様に可能であるが、その場合、長手方向延伸部が長方形の運搬面3の縁に対してもはや平行に延びないように、主移動方向H1,H2の中の少なくとも一方の駆動コイルAS1,AS2が配置されなければならず、それは、構造的により負担がかかる。
この運搬ユニットTEには、又もやそれぞれ異なる磁化方向の複数の駆動磁石4から成る第一の磁石グループMGaと第二の磁石グループMGbが配置されている。この場合、駆動磁石4の配置は、図6に図示されているように、複数の縦長の駆動磁石4から成る一次元配列の形で行うことができる(これに関しては、図3a~3fも参照)。しかし、当然のことながら、又もや駆動磁石4のチェス盤形態の配列から成る二次元配列も可能である(例えば、図4a~4dを参照)。これらの一次元と二次元の配列は、既に詳しく説明したため、ここでは、更なる詳細を省略する。この場合、図6の例では、第一の磁石グループMGaは、有利には、第一の磁石グループMGaの駆動磁石4の長手方向が出来る限り第一の主移動方向H1に対して法線方向に延びるように配置されている。同様に、第二の磁石グループMGbは、有利には、第二の磁石グループMGbの駆動磁石4の長手方向が出来る限り第二の主移動方向H2に対して法線方向に延びるように配置されている。運搬ユニットTEの動きから、特に、高さ軸(ここでは、Z軸)の周りの運搬ユニットTEの回転によって、当然のことながら、例えば、既に図5eに基づき説明した通り、2つの主移動方向H1,H2の効率μH1,μH2を低減させる可能性のある変位が又もや発生し得る。しかし、磁石グループMGa,MGbが同じ磁場の影響を及ぼす磁石特性を有する場合、それによって、2つの主移動方向H1,H2の割り当ては変わらない。
既に詳しく説明した本発明による運搬セグメント2の配置構成は、当然のことながら、図6の実施例に関しても成り立ち、そのため、ここでは、詳しい説明を省略する。従って、4つの運搬セグメント2から成る固定子は、有利には、運搬機器1の動作時に運搬ユニットTEに作用する荷重力FBの第一の主移動方向H1への力の成分が、この荷重力FBの第二の主移動方向H2への力の成分よりも大きくなるように、水平姿勢と異なる姿勢で配置される。この荷重力FBが、例えば、運搬ユニットTEの重力FGと場合によっては、運搬される物体Oの物体重力だけを含む場合、図6の運搬セグメント2は、例えば、第一の主移動方向H1が水平に対して90°±45°の角度となるように配置することができる。荷重力が作業プロセス力も含む場合、当然のことながら、作業プロセス力の大きさと方向に応じて、運搬セグメント2の別の有利な配置構成を得ることもできる。
Claims (14)
- 運搬面(3)を形成する少なくとも1つの運搬セグメント(2)と、この運搬面(3)内を少なくとも二次元的に2つの主移動方向(H1,H2)に動かすことが可能な少なくとも1つの運搬ユニット(TE)とを備えた、平面モーターの形の運搬機器(1)であって、
この運搬セグメント(2)には、第一の主移動方向(H1)を定義する、駆動コイル(AS1)から成る第一のコイルグループ(SG1)が配置されるとともに、第二の主移動方向(H2)を定義する、駆動コイル(AS2)から成る第二のコイルグループ(SG2)が配置され、
第一のコイルグループ(SG1)の駆動コイル(AS1)は、第一の主移動方向(H1)に運搬ユニット(TE)を動かすために、少なくとも運搬ユニット(TE)の駆動磁石(4)の一部と電磁気的に協力して動作するように、制御ユニット(5)によって駆動可能であり、第二のコイルグループ(SG2)の駆動コイル(AS2)は、第二の主移動方向(H2)に運搬ユニット(TE)を動かすために、少なくとも運搬ユニット(TE)の駆動磁石(4)の一部と電磁気的に協力して動作するように、制御ユニット(5)によって駆動可能であり、
第一と第二のコイルグループ(SG1,SG2)の駆動コイル(AS1,AS2)が異なる磁場の影響を及ぼすコイル特性を有することと、第一のコイルグループ(SG1)の駆動コイル(AS1)と協力して動作する運搬ユニット(TE)の駆動磁石(4)が、第二のコイルグループ(SG2)の駆動コイル(AS2)と協力して動作する駆動磁石(4)と異なる磁場の影響を及ぼす磁石特性を有することとの中の1つ以上によって、運搬ユニット(TE)が、異なる効率(μH1>μH2)、異なる最大の力及び異なる精度の中の1つ以上を有する2つの主移動方向(H1,H2)に移動可能である、
運搬機器において、
この少なくとも1つの運搬セグメント(2)は、運搬機器(1)の動作時に運搬ユニット(TE)に作用する荷重力(FB)の第一の主移動方向(H1)への力の成分が、この荷重力(FB)の第二の主移動方向(H2)への力の成分よりも大きくなるように、水平姿勢と異なる姿勢で配置され、この荷重力(FB)が、少なくとも運搬ユニット(TE)の運搬ユニット重力を含むことを特徴とする運搬機器。 - 請求項1に記載の運搬機器(1)において、
前記の運搬セグメント(2)の傾斜は、前記の荷重力(FB)の第一の主移動方向(H1)に加わる力の成分が前記の荷重力(FB)の第二の主移動方向(H2)への成分よりも少なくとも5%、有利には、少なくとも10%、特に有利には、少なくとも20%大きくなるように定められることを特徴とする運搬機器。 - 請求項1又は2に記載の運搬機器(1)において、
前記の荷重力(FB)が、少なくとも一時的に運搬ユニット(TE)に作用するプロセス力(FP)を含み、このプロセス力(FP)が、運搬ユニット(TE)で運搬される物体(O)の物体重力及び/又は少なくとも一時的に作業プロセス中に運搬ユニット(TE)に作用する作業プロセス力を包含することを特徴とする運搬機器。 - 請求項3に記載の運搬機器(1)において、
運搬ユニット(TE)又は運搬ユニット(TE)で運搬される物体(O)に対して作業プロセスを実行する少なくとも1つの処理ステーション(PSi)が配備されて、作業プロセスの実行中に、少なくとも一時的に、作業プロセス力が、プロセス力(FP)の一部として運搬ユニット(TE)に作用することを特徴とする運搬機器。 - 請求項1~4のいずれか1項に記載の運搬機器(1)において、
前記の少なくとも1つの運搬セグメント(2)が菱形の形状の運搬面(3)を形成するように菱形の形状に構成されることと、
前記の少なくとも1つの運搬ユニット(TE)の運搬面(3)に投影される面が菱形の形状に構成されることとの中の1つ以上を特徴とする運搬機器。 - 請求項5に記載の運搬機器(1)において、
第一の主移動方向(H1)が、前記の菱形の形状の運搬面(3)の第一の縁(K1)と直交することと、
第二の主移動方向(H2)が、前記の菱形の形状の運搬面(3)の第一の縁(K1)と境界を接する第二の縁(K2)と直交することとを特徴とする運搬機器。 - 請求項1~6のいずれか1項に記載の運搬機器(1)において、
磁場の影響を及ぼすコイル特性として、運搬ユニット(TE)の駆動磁石(4)から法線方向におけるコイルグループ(SG1,SG2)の駆動コイル(AS1,AS2)の平均コイル間隔(S1)、コイルグループ(SG1,SG2)の駆動コイル(AS1,AS2)の導体抵抗、コイルグループ(SG1,SG2)の駆動コイル(AS1,AS2)の最大コイル電流、コイルグループ(SG1,SG2)の駆動コイル(AS1,AS2)の巻線数及び駆動コイル(AS1,AS2)のコイルの幾何学的な形状の中の1つ以上が規定されることと、
運搬ユニット(TE)の駆動磁石(4)の磁場の影響を及ぼす磁石特性として、駆動磁石(4)の残留磁束、駆動磁石(4)とコイルグループ(SG1,SG2)の駆動コイル(AS1,AS2)の間の相対的な向き、駆動磁石(4)の磁極ピッチ(Ta,Tb)及び駆動磁石(4)の磁石の幾何学的な形状の中の1つ以上が規定されることとの中の1つ以上を特徴とする運搬機器。 - 請求項1~7のいずれか1項に記載の運搬機器(1)において、
前記の制御ユニット(5)は、前記の荷重力(FB)の第一の主移動方向(H1)に加わる力の成分に対抗して作用する第一の主移動方向(H1)への電磁気的な力の成分(FSH1)を発生させるように、運搬ユニット(TE)の駆動磁石(4)と協力して動作する第一のコイルグループ(SG1)の駆動コイル(AS1)を駆動するとともに、前記の荷重力(FB)の第二の主移動方向(H2)に加わる力の成分に対抗して作用する第二の主移動方向(H2)への電磁気的な力の成分(FSH2)を発生させるように、運搬ユニット(TE)の駆動磁石(4)と協力して動作する第二のコイルグループ(SG2)の駆動コイル(AS2)を駆動することを特徴とする運搬機器。 - 請求項1~8のいずれか1項に記載の運搬機器(1)において、
前記の第一と第二のコイルグループ(SG1,SG2)の駆動コイル(AS1,AS2)が、それぞれ長手方向延伸部(LAS1,LAS2)と、それに対して直交するとともに、それに対して相対的により小さな横方向延伸部(QAS1,QAS2)とを備えた長いコイルとして構成され、第一の主移動方向(H1)が、第一の駆動コイル(AS1)の長手方向延伸部(LAS1)に対して直角に延びるとともに、第二の主移動方向(H2)が、第二の駆動コイル(AS2)の長手方向延伸部(LAS2)に対して直角に延びることを特徴とする運搬機器。 - 運搬面(3)を形成する少なくとも1つの運搬セグメント(2)と、この運搬面(3)内を少なくとも二次元的に2つの主移動方向(H1,H2)に動かされる少なくとも1つの運搬ユニット(TE)とを備えた平面モーターの形の運搬機器(1)を動作させる方法であって、
この運搬セグメント(2)には、第一の主移動方向(H1)を定義する、複数の駆動コイル(AS1)から成る第一のコイルグループ(SG1)が配置されるとともに、第二の主移動方向(H2)を定義する、複数の駆動コイル(AS2)から成る第二のコイルグループ(SG2)が配置されて、この運搬ユニット(TE)には、駆動磁石(4)が配置されており、
第一のコイルグループ(SG1)の駆動コイル(AS1)が、第一の主移動方向(H1)に運搬ユニット(TE)を動かすために、少なくとも運搬ユニット(TE)の駆動磁石(4)の一部と電磁気的に協力して動作するとともに、第二のコイルグループ(SG2)の駆動コイル(AS2)が、第二の主移動方向(H2)に運搬ユニット(TE)を動かすために、少なくとも運搬ユニット(TE)の駆動磁石(4)の一部と電磁気的に協力して動作し、
第一と第二のコイルグループ(SG1,SG2)の駆動コイル(AS1,AS2)に対して異なる磁場の影響を及ぼすコイル特性が規定されることと、第一のコイルグループ(SG1)の駆動コイル(AS1)と協力して動作する運搬ユニット(TE)の駆動磁石(4)に対して、第二のコイルグループ(SG2)の駆動コイル(AS2)と協力して動作する駆動磁石(4)と異なる磁場の影響を及ぼす磁石特性を規定することとの中の1つ以上によって、運搬ユニット(TE)が、異なる効率(μH1>μH2)、異なる最大の力及び異なる精度の中の1つ以上を有する2つの主移動方向(H1,H2)に動かされる、
方法において、
この少なくとも1つの運搬セグメント(2)は、運搬ユニット(TE)に作用する荷重力(FB)の第一の主移動方向(H1)への力の成分が、この荷重力(FB)の第二の主移動方向(H2)への力の成分よりも大きくなるように、水平姿勢と異なる姿勢で配置されて、この荷重力(FB)が、少なくとも運搬ユニット(TE)の運搬ユニット重力を含むことを特徴とする方法。 - 請求項10に記載の方法において、
前記の荷重力(FB)の第一の主移動方向(H1)に加わる力の成分が、この荷重力(FB)の第二の主移動方向(H2)への力の成分よりも少なくとも5%、有利には、少なくとも10%、特に有利には、少なくとも20%大きくなるように、運搬セグメント(2)の傾斜が定められることを特徴とする方法。 - 請求項10又は11に記載の方法において、
前記の荷重力(FB)が、少なくとも一時的に運搬ユニット(TE)に作用するプロセス力(FP)を含み、このプロセス力(FP)が、運搬ユニット(TE)で運搬される物体(O)の物体重力及び/又は少なくとも一時的に作業プロセス中に運搬ユニット(TE)に作用する作業プロセス力を包含することを特徴とする方法。 - 請求項12に記載の方法において、
運搬ユニット(TE)が、運搬ユニット(TE)又は運搬ユニット(TE)で運搬される物体(O)に対して作業プロセスを実行する処理ステーションの領域内へ動かされて、この作業プロセスの実行中に、少なくとも一時的に、作業プロセス力が運搬ユニット(TE)に作用することを特徴とする方法。 - 請求項10~13のいずれか1項に記載の方法において、
第一のコイルグループ(SG1)の駆動コイル(AS1)が、前記の荷重力(FB)の第一の主移動方向(H1)に加わる力の成分に対抗して作用する第一の主移動方向(H1)への電磁気的な力の成分(FSH1)を発生させるように、運搬ユニット(TE)の駆動コイル(4)と協力して動作するとともに、第二のコイルグループ(SG2)の駆動コイル(AS2)が、前記の荷重力(FB)の第二の主移動方向(H2)に加わる力の成分に対抗して作用する第二の主移動方向(H2)への電磁気的な力の成分(FSH2)を発生させるように、運搬ユニット(TE)の駆動コイル(4)と協力して動作することを特徴とする方法。
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