JP2023506545A - アゴメラチンを含有する経粘膜治療システム - Google Patents
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Abstract
本発明は、治療有効量のアゴメラチンを含む粘膜付着性層構造を含むアゴメラチンの経粘膜投与のための経粘膜治療システム、例えば、処置方法において使用するためのアゴメラチン経粘膜治療システム、かかるアゴメラチン経粘膜治療システムを適用することを含む処置方法、及びかかる経粘膜治療システムの製造プロセスに関する。【選択図】図8a
Description
本発明は、体循環へのアゴメラチンの経粘膜投与のための経粘膜治療システム、ならびにその製造プロセス、処置方法、及び使用に関する。
活性剤アゴメラチン(N-(2-(7-メトキシ-1-ナフチル)エチル)アセトアミド)は、Les Laboratoires Servierが開発したメラトニン作動性抗うつ薬である。化学構造は、メラトニンのものと非常に類似している。
MT1及びMT2受容体を刺激するメラトニン作動薬として、アゴメラチンは、メラトニンのように、概日リズムの同期を媒介することができる。ただし、メラトニンに加えて及び対照的に、アゴメラチンは、5-HT2B/5-HT2C拮抗薬でもあり、セロトニン作動性5HT2C受容体を遮断すると、前頭前野でドーパミン及びノルエピネフリンの放出が促進される。予期しない相乗作用が、MT1/MT2アゴニズム及び5HT2C拮抗作用で観察されており、この相乗効果がアゴメラチンの抗うつ作用及び特有の臨床プロファイルを説明すると考えられている。
アゴメラチンは、Valdoxan(登録商標)、Melitor(登録商標)及びThymanax(登録商標)の商品名で欧州にて承認されており、大うつ病性障害(MDD)の処置に適応されている。現在入手可能な形態は、25mgの用量を含有するフィルム錠剤であり、これは就寝時に服用される1錠の初期用量で処方され、改善が見られない場合は用量を2倍にする選択肢がある。アゴメラチンは、上記の作用機序を持つ市場で唯一の抗うつ薬である。
経口アゴメラチンは、主にシトクロムCYP1A2を介して、広範な初回通過及び全身代謝を受ける。アゴメラチンは経口でよく吸収されるが(>80%)、全体的なバイオアベイラビリティは非常に低く(5%未満)、顕著な個体間変動を伴う。最大血漿濃度に到達するまで時間ならびに排出半減期t1/2は両方とも約1~2時間であり、定常状態では、分布容積は35リットルであり、血漿タンパク結合は95%である。
他の抗うつ薬と比較すると、アゴメラチンは、より急速に効果を発揮するようであり(通常は1週間以内)、他の抗うつ薬で一般的に知られている主要な副作用、例えば体重増加、性機能障害、抗コリン作用症状及び心毒性は軽減されるように見える。ただし、アゴメラチンは、肝毒性のリスクを有するがそのメカニズムは不明瞭なままであり、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALAT)及び/またはアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(ASAT)値の増加として現れ、いくつかの例外的な症例では、転帰は致命的であったまたは肝移植を必要とした。加えて、肝機能障害は、アゴメラチン曝露の大幅な増加に関連していることも報告されており、健常対象と比較して中等度の肝機能障害のある患者では、最大140倍のAUC及びcmax値が観察された。
Servier及びNovartisは、アゴメラチンの舌下剤形を確立するために尽力したが、これはおそらく初回通過代謝及びそれに関連する上に概説した欠点(低い経口バイオアベイラビリティ及び肝毒性)を回避するためであり、1及び2mg(Servier)または0.5及び1mgのアゴメラチン舌下錠(Novartis)を用いたプラセボ対照無作為化試験が行われた。2008/2009年のServier治験に関して公開されている結果はない。Novartisの研究は、2011/2011に開始し、アゴメラチン舌下錠の有効性はプラセボよりも優れておらず、少なくとも肝臓毒性は少ないことが示されたが、明確な用量反応関係性がなかったという点で、本質的には失敗に終わった。治験が失敗した理由の1つは、口腔粘膜に投与したときにアゴメラチンによって引き起こされた顕著な刺激性の感覚であったようである。結果として、FDAは、MDDの処置において他の活性物質よりも優れているにもかかわらず、米国ではこの薬の承認を与えないことを決定した。
Servierからのいくつかの特許出願は、「口腔内分散性」製剤とも呼ばれるような新規剤形、例えば錠剤を提供する最初のアプローチが、3分未満またはさらには1分未満などの数分の急速な崩壊を達成することを目的としたことを示しており、これはおそらく、放出の非常に速い開始を得て、可能な限り経腸送達及び肝臓の初回通過効果の関連する不利益を回避するためである。より最近のアプローチは、口腔内のアゴメラチン濃度を、刺すような感覚を制限するのに十分に低い濃度に保つために、口の中でよりゆっくりと溶解または崩壊することを目的とする、吸引される錠剤などの頬側製剤を含んだ。ただし、これは、錠剤が患者によって時期尚早に、すなわち、すべての活性物質が放出される前に飲み込まれるリスクを負う。次に、活性物質の大部分がしばらくして放出され、活性物質を含まないプラセボコアのみが残って、患者が時期尚早に飲み込んだとしても活性物質放出がほぼ完了していることを保証するように、例えば、プラセボコアを含む二層または多層錠剤が提案された。
それにもかかわらず、これらの口腔内分散性製剤は、刺激性の感覚を引き起こすアゴメラチンによって誘導される可能性のある患者のコンプライアンスの問題を完全に解決していないようであり、時期尚早な錠剤の嚥下は防止されていないが、その効果のみが軽減されている。意図しない錠剤嚥下のタイミングによっては、不完全な活性物質放出は依然としてリスクである。加えて、長期間にわたって錠剤を吸引することは、患者が邪魔な物体を口腔内に保持しなければならないことを意味し、これは患者のコンプライアンスに関して不利である。最後に、かかる口腔内分散性製剤の薬物送達機序は、唾液に最初に溶解する(開放系)活性物質に依存し、これが、薬物濃度及び結果として薬物送達の制御が非常に難しい理由である。これらすべての理由のために、現在、上に概説した従来の経口錠剤以外にアゴメラチン製剤が市場に出回っていない可能性がある。
経粘膜治療システム、または経粘膜送達システム(一部では頬側パッチとも呼ばれる)は、1つまたは複数の薄層からなり、これらは口腔の粘膜に適用され、付着して、一定期間にわたって薬物を送達する。口腔内に適用するための薄フィルムの形態の剤形は、「経口薄フィルム」またはOTFと呼ばれることもあるが、OTFは、必ずしも粘膜に付着することを意図しているわけではない。経粘膜治療システムでは、活性物質は溶解性層に含有され、フィルムが粘膜に付着するため、活性物質送達は、経粘膜治療システムから粘膜への直接的な活性物質放出、及び上に概説した口腔内分散性製剤のように、唾液への溶解を介した間接的な活性物質送達との組み合わせによって達成される。開放系に固有の間接的な活性物質送達を防止するために、バッキング層を採用してよく、これは、活性物質含有層を、口腔の残りの部分、特に環境の唾液から保護するのに役立つ。いずれの場合でも、OTFは、粘膜に付着したフィルムが口腔内を自由に動き回らないため、及びフィルムが通常一度適用されると患者が知覚できないほど十分に薄いため、口の中に邪魔な物体があるという負の感覚を引き起こさないという点で、吸引されることを意図とした口腔内分散性製剤と比較して有利である。
ただし、経粘膜治療システムは、比較的新しい形態の薬物送達であり、製剤技術に関する知識が限られていることを意味する。OTFによる経粘膜送達のための適切な剤形を製剤化することは、考慮されるべき多くの側面及び解決されるべき問題のために困難である。かかる経粘膜治療システムの主な要件は、適切な挙動及び崩壊の時間と組み合わせた、良好な付着力及び活性物質の透過である。また、触覚、すなわち口の中での良好な感触、ならびに適用前のフィルムの安定性(すなわち、破砕性が低い)も重要である。アゴメラチンの溶解度が低いため、物質の配合が困難であり、上に概説したように、鍵となる問題は、活性物質が口腔内で引き起こす刺激的感覚に対処することである。加えて、アゴメラチンは主に概日リズムの再同期に使用されるため、望ましい薬物放出プロファイルは、薬物送達の急速な初期増加と、それに続く一晩のみの、好ましくは漸減放出である。
現在まで、市販されているアゴメラチン経粘膜治療システムはなく、かかるアゴメラチン経粘膜治療システムに関する研究または調査を本出願人は知らない。
要約すると、経口ならびに舌下投与経路の欠点を克服したアゴメラチンの代替投与が大いに必要とされている。上に概説したように、経粘膜治療システムは、これらの不利な点に対処することができるだろう。
ゆえに、当該技術分野では、アゴメラチン経粘膜治療システムが必要とされている。
本発明の目的は、現在のアゴメラチン投与の上述の欠点を克服したアゴメラチンの代替投与として、アゴメラチン経粘膜治療システムを提供することである。
ゆえに、本発明の目的は、特に高い透過速度を提供する、ゆえに治療有効用量を達成するのに十分であるアゴメラチンの経粘膜投与のためのアゴメラチン経粘膜治療システムを提供することである。
本発明のさらなる目的は、急速な初期増加を伴う薬物放出プロファイルを提供し、例えば就寝直前の投与に適切な一晩の適用を可能にするアゴメラチンの経粘膜投与のためのアゴメラチン経粘膜治療システムを提供することである。
本発明のさらなる目的はまた、粘膜またはそうでなければ口腔内に刺激的感覚を引き起こさない、アゴメラチンの経粘膜投与のためのアゴメラチン経粘膜治療システムを提供することである。
本発明の別の目的は、例えば、初期のみならず経時的に、粘膜への適切な付着力を提供する、アゴメラチンの経粘膜投与のためのアゴメラチン経粘膜治療システムを提供することである。
本発明のさらなる目的の1つは、例えば、崩壊時間に関してのみならず、経粘膜治療システムの完全性(複数の層が存在する場合に、層が時期尚早にバラバラにならない)に関しても適切な崩壊挙動を提供する、アゴメラチンの経粘膜投与のためのアゴメラチン経粘膜治療システムを提供することである。
本発明の別の目的は、経口投与と比較した場合、肝毒性及び個体間変動が減少し、バイオアベイラビリティが増加する、アゴメラチンの経粘膜投与のためのアゴメラチン経粘膜治療システムを提供することである。
また、本発明の1つの目的は、良好な触覚、すなわち口内での良好な感触を提供する、アゴメラチンの経粘膜投与のためのアゴメラチン経粘膜治療システムを提供することである。
本発明のさらなる目的は、サイズ及び厚さの観点からの好都合な適用及び取り扱いの必要性に従い、良好な患者コンプライアンスを提供する及び/または、製造が簡単で費用対効果が高い、アゴメラチンの経粘膜投与のためのアゴメラチン経粘膜治療システムを提供することである。
これら及び他の目的は、粘膜付着性層構造を含むアゴメラチンの経粘膜投与のための経粘膜治療システムに関する一態様に従う、本発明によって達成され、前記粘膜付着性層構造は、
A)
i)アゴメラチン;及び
ii)溶解性フィルム形成剤を含むアゴメラチン含有層を含む。
A)
i)アゴメラチン;及び
ii)溶解性フィルム形成剤を含むアゴメラチン含有層を含む。
本発明のある特定の実施形態によれば、本発明に従う経粘膜治療システムは、処置方法において使用するためのものであり、好ましくは大うつ病を処置する方法において使用するためのものである。
他の実施形態によれば、本発明は、処置方法、特に、大うつ病を処置する方法に関し、本発明に従う経粘膜治療システムをヒト患者の粘膜に適用することを含む。
さらに他の実施形態によれば、本発明は、処置のための、好ましくは大うつ病を処置するための医薬品の製造のための本発明の経粘膜治療システムの使用に関する。
さらに別の特定の態様によれば、本発明は、アゴメラチン含有層の製造プロセスに関し、本プロセスは、
i)少なくともアゴメラチン及び溶解性フィルム形成剤を溶媒中で組み合わせて、コーティング組成物を得る;
ii)コーティング組成物を剥離ライナー上にコーティングする;ならびに
iii)コーティングされたコーティング組成物を乾燥させて、アゴメラチン含有層を形成するステップを含む。
i)少なくともアゴメラチン及び溶解性フィルム形成剤を溶媒中で組み合わせて、コーティング組成物を得る;
ii)コーティング組成物を剥離ライナー上にコーティングする;ならびに
iii)コーティングされたコーティング組成物を乾燥させて、アゴメラチン含有層を形成するステップを含む。
ある特定の実施形態によれば、本発明はまた、かかる製造プロセスによって得ることができるアゴメラチンの経粘膜投与のための経粘膜治療システムに関する。
ある特定の実施形態によれば、本発明はまた、粘膜付着性層構造を含むアゴメラチンの経粘膜投与のための経粘膜治療システムも関し、前記粘膜付着性層構造は、少なくとも
A)
i)3~10重量%のアゴメラチン;
ii)溶解性フィルム形成剤;
iii)5~15重量%の脂肪酸;
iv)0.1~2重量%の1つまたは複数の甘味料;及び
v)0.2~2.0重量%の香味剤を含むアゴメラチン含有層を含み、
溶解性ポリマーは、ポリビニルピロリドン及びヒドロキシプロピルセルロースからなる群から選択され、
アゴメラチン含有層の面積重量は、100~150g/m2の範囲である。
A)
i)3~10重量%のアゴメラチン;
ii)溶解性フィルム形成剤;
iii)5~15重量%の脂肪酸;
iv)0.1~2重量%の1つまたは複数の甘味料;及び
v)0.2~2.0重量%の香味剤を含むアゴメラチン含有層を含み、
溶解性ポリマーは、ポリビニルピロリドン及びヒドロキシプロピルセルロースからなる群から選択され、
アゴメラチン含有層の面積重量は、100~150g/m2の範囲である。
本発明の意味の範囲内で、「経粘膜治療システム」または「経粘膜送達システム」という用語は、活性剤(アゴメラチン)が、口腔の粘膜への適用による経粘膜送達を介して体循環に投与されるシステムを指し、患者の粘膜に適用され、粘膜付着性層構造中に治療有効量のアゴメラチンを含み、任意に、アゴメラチン含有粘膜付着性層構造の上部に追加のオーバーレイを含む、個別の投薬ユニット全体を指す。粘膜付着性層構造は、剥離ライナー(取り外し可能な保護層)上に位置し得、ゆえに、経粘膜治療システムは、剥離ライナーをさらに含み得る。本発明の意味の範囲内で、「経粘膜治療システム」という用語は、特に、マイクロポレーションを含む方法と同様の活性物質輸送を除く、受動的経粘膜送達を提供するシステムを指す。また、必ずしも粘膜付着性ではなく、唾液中で非常に速く崩壊することを意図するある特定の経口薄フィルム(「フラッシュウェーハ」と呼ばれることもある)とは対照的に、経腸送達は、経粘膜治療システムでは完全に意図されていない。
本発明の意味の範囲内で、「アゴメラチン含有粘膜付着性層構造」または「治療有効量のアゴメラチンを含有する粘膜付着性層構造」という用語は、投与中にアゴメラチンの放出面積を提供する活性剤含有構造を指す。任意の追加のオーバーレイは、経粘膜治療システムの全体的なサイズを増加させるが、放出面積は増加させない。アゴメラチン含有粘膜付着性層構造は、少なくとも1つのアゴメラチン含有層を含む。
本発明の意味の範囲内で、「治療有効量」という用語は、経粘膜治療システムによって患者に投与された場合、25mg経口アゴメラチンの1回投与で得られる血中レベルと比較したときに同様の範囲(例えば、AUCとして測定して、約10%~約1000%の)アゴメラチン血中レベルを提供するのに十分な経粘膜治療システムにおける活性剤の量を指す。
本発明の意味の範囲内で、「活性物質」及び「活性剤」などの用語、ならびに「アゴメラチン」という用語は、任意の医薬的に許容可能な化学的及び形態学的形態ならびに物理的状態のアゴメラチンを指す。これらの形態には、限定されないが、アゴメラチンの、その遊離、解離または任意の会合形態、例えば、水和物、溶媒和物など、ならびに微小化形態、結晶形態、及び特にその多形形態の1つ、及び/またはアモルファス形態であり得る粒子の形態、ならびに前述の形態のいずれかの任意のハイブリッド型形態のアゴメラチンまたはそれらの混合物が含まれる。アゴメラチンは、溶媒などの媒体中に含有される場合、溶解もしくは分散し得るか、または部分的に溶解及び部分的に分散し得る。
アゴメラチンが経粘膜治療システムの製造において特定の形態で使用されると言及される場合、これは、この形態のアゴメラチンとアゴメラチン含有自己付着性層構造の他の成分との間の相互作用を排除しないため、活性物質は最終的な経粘膜治療システムに別の形態において存在する。これは、アゴメラチンが遊離、解離形態で含まれている場合でも、最終的な経粘膜治療システムには、水和物もしくは溶媒和物の形態で存在し得るか、または、その多形形態の1つで含まれている場合には、アモルファス形態で最終的な経粘膜治療システムに存在し得ることを意味する。別途指示されない限り、特に粘膜付着性層構造中のアゴメラチンの量は、経粘膜治療システムの製造中に経粘膜治療システムに含まれるアゴメラチンの量に関連し、遊離形態のアゴメラチンに基づいて計算される、すなわち、アゴメラチンが0.1mmolの量で含まれる場合、自己付着性層構造中のアゴメラチンの量は、本発明の意味の範囲内で、24.3mgと見なされ(アゴメラチンの分子量は243g/molである)、これは、アゴメラチンが、製造中に経粘膜治療システムにその遊離形態または任意の会合形態で含まれていたかどうかにかかわらない。
経粘膜治療システムの製造中に経粘膜治療システムに含まれるアゴメラチン出発材料は、粒子の形態であり得る。アゴメラチンは、例えば、分散及び/または溶解した、粒子の形態で粘膜付着性層構造中に存在し得る。
本発明の意味の範囲内で、「粒子」という用語は、個別の粒子を含む固体の粒子状材料であり、その寸法がその材料と比較してごくわずかであるものを指す。特に、粒子は、アモルファス及び結晶質材料を含む、プラスチック/変形可能な固体を含む固体である。
本発明の意味の範囲内で、「分散する」という用語は、出発材料(例えば、アゴメラチン)が完全に溶解していないステップまたはステップの組み合わせを指す。本発明の意味での分散は、出発材料の溶解度(例えば、コーティング組成物中のアゴメラチンの溶解度)に応じて、出発材料(例えば、アゴメラチン粒子)の一部の溶解を含む。
経粘膜治療システムには、主に2つのタイプがある、すなわち、バッキング層を使用するものと使用しないものである。導入の背景技術のセクションでも概説したように、バッキング層を使用しない開放系型の経粘膜治療システムの活性物質送達は、常に、付着部位の粘膜を通した経粘膜治療システムから直接送達、及び経粘膜治療システムから唾液へ、及び唾液から粘膜を通した活性物質の溶解を介した間接送達の組み合わせであるだろう。異なる送達経路の割合は、主に、活性物質の溶解度及び経粘膜治療システムの崩壊時間などの要因に依存する。経粘膜治療システムの溶解度が高く、崩壊が速いほど、唾液への溶解は、付着部位の粘膜への直接送達よりも好ましくなるだろう。かかる間接送達は、活性物質が全身的に放出される粘膜表面積のいくつかの要因による実際的な増加を提供するという大きな利点を有する。一方で、唾液への溶解は、活性物質濃度、ゆえに最終的な送達量を制御することが困難であること、及び唾液の意図しない嚥下による経腸送達のリスクがあり得ることを意味する。特にアゴメラチンに関しては、これはまた、潜在的に刺激的感覚を提供することが証明されている活性物質が口腔全体に自由に溶解するという問題を有する。
バッキング層を使用する経粘膜治療システムは、まったく異なるアプローチを有する、すなわち、かかるシステムでは、(パッチの実際のサイズへの)薬物放出面積における制限の喪失は、送達経路を直接経粘膜送達に制限することと引き換えに許容され、これははるかに良好に制御することができる。ゆえに、本発明の意味では、「バッキング層」は、経粘膜治療システム内に含有される(少なくとも実質的な量の)活性物質の唾液への溶解を防止することができる経粘膜治療システム内の任意の層である。かかるバッキング層は、非溶解性、または経時的に溶解可能であることができる。後者の場合、バッキング層が溶解するのにかかる時間は、少なくとも、(実質的な量の)活性物質が粘膜を通して送達されるのにかかる時間と同じ長さである。
これに関連して、経粘膜治療システムの層のいずれか(例えば、バッキング層、活性物質含有層)に関して、及びフィルムへと流延した場合のフィルム形成剤に関して、「溶解」、「溶解性」、「溶解する」などの用語は、非常に広く理解されたく、分子を溶媒に化学的に溶解するという厳密な化学的意味ではない。「溶解した」材料が液体(例えば唾液)中を自由に動き回ることができ、その結果、当該層の下に存在するもの(すなわち、粘膜接触層が溶解した場合は粘膜、または例えば、活性物質含有層の前にバッキング層が溶解した場合は、活性物質含有層)が「溶解した」材料以外の液体にアクセス可能になる限り、当該層の固体状態の液体状態への変換、例えば分散、懸濁液の形成、フィルムのゲル化及びより小さな部分へのゲルの崩壊などはいずれも、本発明の意味で「溶解」と見なされなければならない。好ましい実施形態では、その意味は、分子を溶媒に溶解するという通常の化学的意味に限定される。活性剤アゴメラチン、または任意の賦形剤などの物質自体に関する「溶解する」という用語は、分子を溶媒に溶解するという通常の化学的意味で引き続き使用されることに留意されるべきである。例えば、溶解形態のアゴメラチンは、分散形態のアゴメラチンを明らかに含まない。フィルム形成剤自体は、経粘膜治療システムの製造中に、一般的な化学的意味での溶解形態(例えば、分散されていない、小部分のゲルの形態など)でコーティング組成物中に存在することができるが、フィルム形成剤がフィルムへと流延される場合、かかるフィルムを「溶解すること」はまた、フィルムのゲル化及びゲルのより小さな部分のゲルへの崩壊を含む。
活性剤含有層は、例えば、溶媒含有コーティング組成物をコーティングして乾燥させた後に得られる最終的な、固化層である。活性剤含有層はまた、所望の面積重量を提供するために、同じ組成物の2つ以上のかかる固化層(例えば、乾燥層)を積層することによって製造され得る。活性剤含有層は、粘膜付着性(粘膜付着性層の形態)であり得るか、または経粘膜治療システムは、十分な付着力を提供するために粘膜付着性の追加の粘膜接触層を含み得る。特に、活性剤含有層は、粘膜付着性層である。
本発明の意味の範囲内で、「粘膜付着性」という用語は、特に、粘膜に及び粘膜と接触すると付着するが、乾燥状態のときには、好ましくは非粘着性であり、例えば、指で触れることができる、例えば、意図せずに指の皮膚に付着することなく、口腔への適用のために操作することができる材料を指す。粘膜付着性層は、粘膜と接触したとき、「自己付着性」である、すなわち、典型的には固定のためにさらなる補助が必要とされないように粘膜への付着力を提供する。付着強度は、好ましくは口腔内の典型的な動きが、粘膜に付着した粘膜付着層を変位させるのに十分ではないほどに強い。「粘膜付着性」層構造は、粘膜付着性活性剤含有層の形態で、または追加の層、すなわち粘膜付着性粘膜接触層の形態で提供され得る粘膜接触のための粘膜付着性層を含む。粘膜付着性オーバーレイは、付着力を向上させるためにさらに採用され得る。
本発明の意味の範囲内で、「粘膜接触層」という用語は、投与中に患者の粘膜と直接接触する経粘膜治療システム中に含まれる層を指す。経粘膜治療システムが粘膜接触層を含む場合、他の層は、粘膜と接触せず、必ずしも粘膜付着特性を有しない。放出面積は、活性剤含有層の面積によって提供される。粘膜接触層を使用して、付着力を増強し得る。追加の粘膜接触層及び活性剤含有層のサイズは通常、同一の広がりを有し、放出領域に相当する。
本発明の意味の範囲内で、「面積重量」という用語は、g/m2単位で提供される、特定の層、例えば、活性剤含有層の乾燥重量を指す。面積重量値は、製造時の変動のために、±10%、好ましくは±7.5%の許容誤差の対象となる。
別途指示されない場合、「%」は、重量%を指す。
本発明の意味の範囲内で、「ポリマー」という用語は、1つまたは複数のモノマーを重合することによって得られるいわゆる繰り返し単位からなる任意の物質を指し、1種類のモノマーからなるホモポリマー及び2種類以上のモノマーからなるコポリマーを含む。ポリマーは、線状ポリマー、星形ポリマー、櫛形ポリマー、ブラシ形ポリマーなどの任意の構造のもの、コポリマーの場合には任意のモノマー配列のもの、例えば、交互、統計的、ブロックコポリマー、またはグラフトポリマーであり得る。最小分子量は、ポリマーの種類に応じて変動し、当業者に公知である。ポリマーは、例えば、2,000ダルトン超、好ましくは5,000ダルトン超、より好ましくは10,000ダルトン超の分子量を有し得る。これに対応して、2,000ダルトン未満、好ましくは5,000ダルトン未満、またはより好ましくは10,000ダルトン未満の分子量を有する化合物は、通常、オリゴマーと呼ばれる。
本発明の意味の範囲内で、「架橋剤」という用語は、ポリマー内に含有される官能基を架橋することができる物質を指す。
本発明の意味の範囲内で、「粘膜付着性オーバーレイ」という用語は、アゴメラチン含有粘膜付着性層構造の上に位置し、活性剤を含まず、活性剤含有構造よりも面積が大きく、粘膜に付着する追加の面積を提供するが、活性剤の放出面積は提供しない、粘膜付着性層を指す。それにより、経粘膜治療システムの全体的な付着特性が増強される。
本発明に従う経粘膜治療システムは、インビトロ透過試験で測定される、ある特定のパラメータによって特徴決定することができる。
インビトロ透過試験は、ヒトまたは動物粘膜を用いて、好ましくは400μmの厚さ及びインタクトなバリア機能を備えた採皮された分層ブタ粘膜を用いて、リン酸緩衝液pH5.5または7.4を受容媒体(37℃)として用いて、受容媒体が、例えば、60体積%のリン酸緩衝液(pH5.5)、30体積%のジプロピレングリコール及び10体積%のアセトニトリルを含み得るように、最大40体積%の有機溶媒、例えば、エタノール、アセトニトリル、イソプロパノール、ジプロピレングリコール、PEG400を添加するまたは添加しない。
別途指示されない場合、インビトロ透過試験は、400μmの厚さ及びインタクトなバリア機能を備えた採皮された分層ブタ粘膜(食道粘膜)を用いて、リン酸緩衝液pH7.4を受容媒体(37℃)として用いて行われる。受容媒体に透過した活性物質の量は、試料体積を採取することによってUV光度検出器を用いたHPLC法を使用して規則的間隔で決定される。透過した活性物質の測定された量は、最後の2つの試料採取時点の間で透過した量に関連し、それまでに透過した総量には関連しない。
ゆえに、本発明の意味の範囲内で、「透過量」というパラメータは、μg/cm2単位で提供され、放出の面積あたりのある特定の経過時間での試料間隔で透過した活性物質の量に関連する。例えば、受容媒体に透過した活性物質の量が、例えば、0、2、4、8、12、及び24時間時点で測定された上記の通りのインビトロ透過試験では、活性物質の「透過量」は、例えば、8時間時点~12時間時間の試料間隔にわたって提供され得、12時間時点での測定結果に相当する。
透過量は、ある特定の時点で透過した活性物質の累積量に相当する「累積透過量」としても提供され得る。例えば、受容媒体に透過した活性物質の量が、例えば、0、2、4、8、12、及び24時間時点で測定された上記の通りのインビトロ透過試験では、12時間時点での活性物質の「累積透過量」は、0時間時点~2時間時点、2時間時点~4時間時点、4時間時点~8時間時点、及び8時間時点~12時間時点の透過量の合計に相当する。
本発明の意味の範囲内で、ある特定の経過時間でのある特定の試料間隔に関する「粘膜透過速度」というパラメータは、μg/(cm2 h)単位で提供され、μg/cm2単位で上記の通りのインビトロ透過試験によって測定される前記試料間隔での透過量を、前記試料間隔の時間で割ることによって計算される。例えば、受容媒体に透過した活性物質の量が、例えば、0、2、4、8、12、及び24時間時点で測定された上記の通りのインビトロ透過試験における粘膜透過速度、12時間時点での「粘膜透過速度」は、4時間で割った8時間時点~12時間時点の試料間隔での透過量として計算される。
「累積粘膜透過速度」は、累積透過量を経過時間で割ることによってそれぞれの累積透過量から計算することができる。例えば、受容媒体に透過した活性物質の量が、例えば0、2、4、8、12、及び24時間時点で測定された上記の通りのインビトロ透過試験では、12時間時点での「累積粘膜透過速度」は、12時間で割った12時間時点の累積透過量(上記参照のこと)として計算される。
本発明の意味の範囲内で、透過量及び粘膜透過速度(ならびに累積透過量及び累積粘膜透過速度)という上のパラメータは、3回のインビトロ透過試験実験から計算された平均値を指す。
本発明に従う経粘膜治療システムはまた、インビボ臨床研究で測定されるある特定のパラメータによっても特徴決定することができる。
本発明の意味の範囲内で、「投与」という用語は、患者の口腔粘膜への剤形、すなわち経粘膜治療システムの適用を指し、その後、アゴメラチン含有層構造が溶解するまで粘膜上に維持される。
MDDの典型的な継続処置では、薬物投与の頻度は、治療有効血漿濃度を維持するために十分に高く保たれる。2つの剤形投与間の間隔は、投薬間隔とも呼ばれ、適宜調整される必要がある。本発明の意味の範囲内で、「投薬間隔」という用語は、2つの連続する投与間の期間、すなわち、経粘膜治療システムが患者の口腔粘膜に適用される2つの連続する時点間の間隔を指す。血漿濃度を常に治療レベルに維持するために、経粘膜治療システムは、前の経粘膜治療システムの活性剤含有層が溶解したらすぐに、またはその直後に交換されなければならず、その時点で新しい治療システムが適用される。かかる様式(24時間一定の血漿レベル)では、投薬間隔は、活性剤含有層の崩壊時間にほぼ相当し、例えば、6時間、8時間、または12時間であり得る。この期間の後、経粘膜治療システムの活性剤含有層が溶解し、任意の残留物(例えば、非溶解性のバッキング層)が口腔から除去され、新しい経粘膜治療システムが適用される。ゆえに、12時間の投薬間隔により、24時間処置で1日2回の経粘膜治療システム交換様式が可能となる。
ただし、アゴメラチンを用いた継続処置に関しては、経粘膜治療システムは、通常、1日1回(24時間の投薬間隔)、好ましくは就寝時に投与され、崩壊時間は、好ましくは投薬間隔よりも短くなるだろう。経粘膜治療システムは、特に、薬物の作用発現の遅延を考慮に入れるために、就寝する少し(例えば、5~30分)前に患者の粘膜に適用され得る。アゴメラチンの場合、治療レベルでの血漿濃度の24時間維持は必要ではないように思われるか、または概日リズムの再同期には禁忌でさえあり得るため、前の経粘膜治療システムの活性剤含有層が溶解したらすぐに、例えば、翌朝、別の経粘膜治療システムを適用する必要はなく、そのため、患者は、その後、例えば、一日中、経粘膜治療システムを適用する必要がない。
本発明の意味の範囲内で、「室温」という用語は、実験が実施される実験室内で見られる改変されていない温度を指し、通常、15~35℃、好ましくは約18~25℃の範囲内である。
本発明の意味の範囲内で、「患者」という用語は、処置の必要性を示唆する特定の1つまたは複数の症状の臨床兆候を呈した対象、病態に対して防止的または予防的に処置される対象、または処置すべき病態の診断を受けた対象を指す。
本発明の意味の範囲内で、「薬物動態パラメータ」という用語は、例えば、健常ヒト対象へのアゴメラチン経粘膜治療システムの単回投与または複数回投与によって、臨床研究で得られた血漿曲線、例えば、Cmax、Ct及びAUCt1-t2を説明するパラメータを指す。個々の対象の薬物動態パラメータは、算術平均及び幾何平均、例えば、平均Cmax、平均AUCt、及び平均AUCINF、ならびに追加の統計値、例えばそれぞれの標準偏差及び標準誤差、最小値、最大値、及び値のリストがランク付けされる場合には中間値(中央値)を使用して要約される。本発明の文脈では、薬物動態パラメータ、例えば、Cmax、Ct及びAUCt1-t2は、算術平均値または幾何平均値を指し、好ましくは幾何平均値を指す。臨床研究においてある特定の経粘膜治療システムについて得られた絶対平均値が、研究毎にある程度異なることを不可能にすることはできない。研究間の絶対平均値の比較を可能にするために、参照製剤、例えば、将来的には本発明に基づく任意の製品が内部標準として使用され得る。前の研究と後の研究におけるそれぞれの参照製品の放出面積あたりのAUCの比較を使用して、補正係数を取得して、研究毎の差を考慮に入れることができる。
本発明に従う臨床研究とは、International Conference for Harmonization of Clinical Trials(ICH)ならびにすべての適用可能な地域のGood Clinical Practices(GCP)及び規制に完全に準拠して行われた研究を指す。
本発明の意味の範囲内で、「健常ヒト対象」という用語は、55kg~100kgの範囲の体重及び18~29の範囲の体質量指数(BMI)、ならびに血圧などの正常な生理学的パラメータを有する男性または女性対象を指す。本発明の目的のための健常ヒト対象は、ICHの推奨に基づき、それに従う、選択基準及び除外基準に従って選択される。
本発明の意味の範囲内で、「対象集団」という用語は、少なくとも10名の個別の健常ヒト対象を指す。
本発明の意味の範囲内で、「幾何平均」という用語は、元のスケールに逆変換された対数変換データの平均を指す。
本発明の意味の範囲内で、「算術平均」という用語は、すべての観測値の合計を総観測数で割ったものを指す。
本発明の意味の範囲内で、「AUC」というパラメータは、血漿濃度-時間曲線下面積に相当する。AUC値は、血液循環に吸収される活性剤の量の合計に比例し、それゆえに、バイオアベイラビリティの尺度になる。
本発明の意味の範囲内で、「AUCt1-t2」というパラメータは、(ng/mL)h単位で提供され、t1時間時点からt2時間時点までの血漿濃度-時間曲線下面積に関し、線形台形法によって計算される。
本発明の意味の範囲内で、「Cmax」というパラメータは、(ng/mL)単位で提供され、活性剤の観察された最大血漿濃度に関する。
本発明の意味の範囲内で、「Ct」というパラメータは、(ng/mL)単位で提供され、t時間時点で観察された活性剤の血漿濃度に関する。
本発明の意味の範囲内で、「tmax」というパラメータは、時間数単位で提供され、Cmax値に到達する時点に関する。言い換えれば、tmaxは、観察された最大血漿濃度の時点である。
本発明の意味の範囲内で、「tlag」というパラメータは、時間数単位で提供され、投与時間(経粘膜治療システムの場合、経粘膜治療システムが最初に口腔粘膜に適用される時間、すなわち、t=0)及び測定可能な血漿濃度の出現時間との間の遅延に関する。tlagは、測定可能な(すなわち、非ゼロ)活性剤血漿濃度が得られる最初の時点の平均算術値として概算され得るか、または中央値によって表される。
本発明の意味の範囲内で、「平均血漿濃度」という用語は、(ng/mL)単位で提供され、各時点での活性剤、例えば、アゴメラチンの個々の血漿濃度の平均である。
本発明の意味の範囲内で、「コーティング組成物」という用語は、バッキング層または剥離ライナー上にコーティングされて乾燥時に活性剤含有層を形成することができる、溶媒中の薬物含有層のすべての成分を含む組成物を指す。
本発明の意味の範囲内で、コーティング組成物の調製の文脈、例えば、活性剤などのコーティング組成物の成分を溶解すること、における「溶解する」という用語は、肉眼で確認した際に、透明でいかなる粒子も含有しない溶液を得るプロセスを指す。
本発明の意味の範囲内で、「溶媒」という用語は、好ましくは揮発性有機液体、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、酢酸エチル、塩化メチレン、ヘキサン、n-ヘプタン、ヘプタン、トルエン及びそれらの混合物である、任意の液体物質を指す。
本発明の意味の範囲内で、別途特定されない限り、「約」という用語は、開示される量の±10%の量を指す。いくつかの実施形態では、「約」という用語は、開示される量の±5%の量を指す。いくつかの実施形態では、「約」という用語は、開示される量の±2%の量を指す。
経粘膜治療システムの構造
本発明は、アゴメラチンを含有する粘膜付着性層構造を含むアゴメラチンの経粘膜投与のための経粘膜治療システムに関する。
本発明は、アゴメラチンを含有する粘膜付着性層構造を含むアゴメラチンの経粘膜投与のための経粘膜治療システムに関する。
粘膜付着性層構造は、治療有効量のアゴメラチンを含有し、i)アゴメラチン及びii)溶解性フィルム形成剤を含むアゴメラチン含有層を含む。
ゆえに、アゴメラチンの経粘膜投与のための経粘膜治療システムは、治療有効量のアゴメラチンを含有する粘膜付着性層構造を含み、前記粘膜付着性層構造は、
A)
i)アゴメラチン;及び
ii)溶解性フィルム形成剤を含むアゴメラチン含有層を含む。
A)
i)アゴメラチン;及び
ii)溶解性フィルム形成剤を含むアゴメラチン含有層を含む。
本発明の経粘膜治療システムは、送達される薬物量が治療有効用量を可能にするのに十分であることを確実にするために、特に高い活性物質送達の達成を試みる。導入セクションで詳細に概説したように、経粘膜治療システムから粘膜への直接的な活性物質放出と唾液への溶解を介した間接的な活性物質送達によるものとの組み合わせによって活性物質送達が達成される、いわゆる開放系は、高い活性物質透過速度の点で特に有利である。
ゆえに、本発明のある特定の実施形態では、経粘膜治療システムは、バッキング層を含まない。上に概説したように、本発明の意味におけるバッキング層は、経粘膜治療システム内に含有される(少なくとも実質的な量の)活性物質の唾液への溶解を防止することができる経粘膜治療システム内の任意の層である。ゆえに、特定の実施形態では、バッキング層が溶解するのにかかる時間は、少なくとも(実質的な量の)活性物質が粘膜を通って送達されるのにかかる時間と同じ、例えば、活性物質含有層が溶解するのにかかる時間と同じ長さである。ゆえに、ある特定の実施形態では、バッキング層は、経粘膜治療システムをヒト患者に投与した際、15分未満、10分未満、または5分未満で溶解しない。いくつかの実施形態では、バッキング層は、水、人工もしくは天然唾液、または任意の他の水性媒体に、37℃及び150rpmにて、30分未満、15分未満、または10分未満で完全に溶解しない。
いくつかの特定の実施形態では、粘膜付着性層構造は、
B)粘膜接触層、及び
C)装飾層から選択される1つまたは複数のさらなる層をさらに含み得る。
B)粘膜接触層、及び
C)装飾層から選択される1つまたは複数のさらなる層をさらに含み得る。
ゆえに、特定の実施形態では、本発明に従う粘膜付着性層構造は、追加の粘膜接触層を含む。他の実施形態では、本発明に従う粘膜付着性層構造は、追加の粘膜接触層を含まない。かかる実施形態では、しかしまた特定の他の実施形態では、アゴメラチン含有層は、粘膜付着性であり得る。追加の粘膜接触層は、存在する場合、粘膜付着性であり、投与中、粘膜付着性層構造と患者の粘膜との間に(改善した)付着力を提供する。粘膜接触層は、活性剤含有層のすぐ下に提供され、ゆえに投与中、粘膜とアゴメラチン含有層との間に付着性層を形成する。製造の利便性及び全体的なパッチサイズの制限を考慮して、アゴメラチン含有層のサイズ及び粘膜接触層のサイズは、好ましくは同一の広がりを有する。
上に示したように、粘膜付着性層構造は、装飾層も含み得る。別の実施形態では、粘膜付着性層構造は、装飾層を含まない。
粘膜接触層とは対照的に、装飾層は、アゴメラチン含有層の上に位置し、(必ずしも)粘膜に接触することを意図しない。
結果として、いくつかの特定の実施形態では、粘膜付着性層構造は、
B)粘膜接触層、及び
C)装飾層から選択される1つまたは複数のさらなる層をさらに含み得、
さらなる層はアゴメラチン含有層に隣接し、
粘膜接触層及び装飾層は、両方とも存在する場合、アゴメラチン含有層に反対側で隣接する。
B)粘膜接触層、及び
C)装飾層から選択される1つまたは複数のさらなる層をさらに含み得、
さらなる層はアゴメラチン含有層に隣接し、
粘膜接触層及び装飾層は、両方とも存在する場合、アゴメラチン含有層に反対側で隣接する。
装飾層は、着色または刷り込みなどの装飾的手段を提供し得るか、または経粘膜治療システムの投与中に患者がアゴメラチン含有層に触れることを単に防止し得る。かかる保護機能のためには、装飾層がアゴメラチン含有層を完全に覆うことが好ましい。ゆえに、ある特定の実施形態では、粘膜付着性層構造は装飾層をさらに含み、アゴメラチン含有層のサイズ及び装飾層のサイズは同一の広がりを有するか、または装飾層はアゴメラチン含有層よりもサイズが大きく、表面積が拡張している。
一方で、装飾層はバッキング層と混同されるべきではない。それは装飾層の機能ではなく、装飾層が、活性物質の唾液への放出を妨害する場合には、実際に望ましくないだろう。ゆえに、装飾層は、活性物質の唾液への溶解を妨害しないように十分速く溶解し、ある特定の実施形態では、装飾層は、水、人工もしくは天然唾液、または任意の他の水性媒体に、37℃及び150rpmにて、3分未満、1分未満、または30秒未満で溶解する。
しかしながら、製造の容易さ及びまた簡潔さの観点から、経粘膜治療システムのための洗練された解決策は、アゴメラチン含有層が経粘膜治療システム自体である場合である。言い換えると、ある特定の好ましい実施形態では、本発明の経粘膜治療システムは、粘膜接触層も装飾層も含まず、特に、粘膜付着性層構造は、単純にアゴメラチン含有層からなり得る。
ゆえに、本発明のある特定の実施形態によれば、経粘膜治療システムは、粘膜付着性オーバーレイをさらに含み得るか、または粘膜付着性オーバーレイを含まず、好ましくは粘膜付着性オーバーレイを含まない。この粘膜付着性オーバーレイは、特に、アゴメラチン含有粘膜付着性層構造よりも大きく、経粘膜治療システム全体の付着特性を増強するためにそれに付着される。前記粘膜付着性オーバーレイの面積は、経粘膜治療システムの全体的なサイズを増加させるが、放出面積は増加させない。粘膜付着性オーバーレイは、ヒドロキシエチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロースの群から選択される粘膜付着性ポリマーまたは粘膜付着性ポリマー混合物を含み、これらは、活性剤含有粘膜付着性層構造に含まれる任意の溶解性フィルム形成剤と同一または異なる場合がある。
上にも概説したように、経粘膜治療システムは、1つまたは複数の薄層からなり、ゆえに、ある特定の実施形態では、経粘膜治療システムは、フィルムの形態である。かかるフィルムは、円形、長方形または正方形の形状を有し得る。
フィルムは、好ましくはある程度の厚さを有する。そうでなければ、必要な量の活性物質を組み込むことが困難であり、非常に薄いフィルムは、特に均一な厚さを提供することに関して製造が容易ではない。ゆえに、ある特定の実施形態では、経粘膜治療システムは、少なくとも25g/m2、好ましくは少なくとも35g/m2、またはより好ましくは少なくとも40g/m2の面積重量を有する薄フィルムの形態である。または、厚くすると、経粘膜治療システムは、少なくとも15μm、好ましくは少なくとも25μm、より好ましくは少なくとも35μmの層厚さを有する薄フィルムの形態である。一方で、非常に厚いフィルムは、患者によって口腔内の邪魔な物体として知覚され、ゆえに、患者のコンプライアンスの点で不利である。ゆえに、ある特定の実施形態では、経粘膜治療システムは、300g/m2、好ましくは250g/m2以下、またはより好ましくは200g/m2以下の面積重量を有する薄フィルムの形態である。または、厚さに関しては、経粘膜治療システムは、550μm未満、好ましくは400μm未満、より好ましくは300μm未満の層厚さを有する薄フィルムの形態である。好ましい実施形態では、経粘膜治療システムは、25~300g/m2、好ましくは35~250g/m2、もしくはより好ましくは40~200g/m2の面積重量を有するか、または15~550μm、好ましくは25~400μm、より好ましくは35~300μmの層厚さを有する薄フィルムの形態である。
本発明に従う経粘膜治療システムは、通常、それ以上の保護手段を伴わずに、継ぎ目密封パウチに貯蔵される。ただし、粘膜付着性層構造は、取り外し可能な保護層(剥離ライナー)上に位置してもよく、これは、患者の口腔の粘膜に適用される直前に除去される。ゆえに、経粘膜治療システムは、剥離ライナーをさらに含む場合と含まない場合がある。剥離ライナーによって保護された経粘膜治療システムもまた、通常、継ぎ目密封パウチに貯蔵される。この包装は、小児にとって安全であり得る、及び/または高齢者にとって使いやすいものであり得る。
アゴメラチン含有層
上により詳細に概説したように、本発明に従う経粘膜治療システムは、アゴメラチン含有層を含む粘膜付着性層構造を含む。
上により詳細に概説したように、本発明に従う経粘膜治療システムは、アゴメラチン含有層を含む粘膜付着性層構造を含む。
さらに、アゴメラチン含有層は、
i)アゴメラチン;及び
ii)溶解性フィルム形成剤を含む。
i)アゴメラチン;及び
ii)溶解性フィルム形成剤を含む。
アゴメラチン含有層の面積重量は、活性物質の量を決定する要因の1つである。十分な量の活性剤を得るためにはある程度の厚さが必要であり、また、非常に薄い層を、特に十分な精度でコーティングすることは困難である。一方で、厚い層は、口腔内に不快感を引き起こし得るだけでなく、製造が困難であり、所望の放出プロファイルに対して溶解するのに時間がかかりすぎる結果となり得る。考慮した結果、アゴメラチン含有層は、少なくとも25g/m2、より好ましくは少なくとも35g/m2、もしくは最も好ましくは少なくとも40g/m2の面積重量を有するか、または300g/m2以下、より好ましくは250g/m2以下、もしくは最も好ましくは200g/m2以下の面積重量を有するか、または25~300g/m2、より好ましくは35~250g/m2、もしくは最も好ましくは40~200g/m2の面積重量を有することが好ましい。アゴメラチン含有層の厚さに関しては、アゴメラチン含有層は、少なくとも15μm、好ましくは少なくとも25μm、より好ましくは少なくとも35μmの層厚さを有するか、または550μm未満、好ましくは400μm未満、より好ましくは300μm未満の層厚さを有することが好ましい。
本発明では特に好ましいものである(上を参照されたい)バッキング層を含まない開放系経粘膜治療システムでは、活性物質送達は、上で説明したように直接及び間接送達の組み合わせによって制御され、これが、好ましい実施形態では、放出面積、すなわちアゴメラチン含有層の表面積が有効用量の制御においてわずかな役割を担う理由である。しかしながら、パッチが粘膜から時期尚早に剥離しないことを確実にするため、また非常に厚いフィルムを使用する必要なく十分な量の活性物質を含めることができるようにするために、ある特定の最小サイズが必要である。一方で、放出面積が大きすぎる場合、経粘膜治療システムはサイズが巨大になり、適用及び着用が不快になり、患者のコンプライアンスが低下する。これを考慮して、本発明のある特定の実施形態では、経粘膜治療システムは、少なくとも0.1cm2、好ましくは少なくとも0.2cm2、もしくはより好ましくは少なくとも0.5cm2の放出面積を有するか、または10cm2以下、好ましくは7cm2以下、もしくはより好ましくは5cm2以下の放出面積を有するか、または0.1~10cm2、好ましくは0.2~7cm2、もしくはより好ましくは0.5~5cm2の放出面積を有する。
上にも概説したように及び理論に拘束されることを望まないが、経粘膜治療システムに含まれる十分な量の活性剤は、良好なインビトロ透過などの、本発明に従う経粘膜治療システムのある特定の有利な特徴を達成するために必要であると考えられる。一方で、活性物質の量が多すぎると、アゴメラチンが溶解した形で存在する場合に活性物質の再結晶化などの望ましくない貯蔵安定性の問題だけでなく、薬物濃度が高すぎるために口腔内に潜在的な刺激的感覚をもたらし得る。経粘膜治療システムに含有されるアゴメラチンの量は、アゴメラチン含有層の濃度及び/または面積重量を調整することによって2通りに制御できる。面積重量に関する詳細は、上に概説した通りである。濃度に関しては、アゴメラチン含有層は、少なくとも1重量%のアゴメラチン、好ましくは少なくとも2重量%のアゴメラチン、より好ましくは少なくとも3重量%のアゴメラチンを含むか、またはアゴメラチン含有層は、25重量%以下のアゴメラチン、好ましくは20重量%以下のアゴメラチン、より好ましくは10重量%以下のアゴメラチンを含むか、またはアゴメラチン含有層は、1~25重量%以下のアゴメラチン、好ましくは2~20重量%以下のアゴメラチン、より好ましくは3~10重量%以下のアゴメラチンを含む。
ゆえに、本発明のある特定の実施形態では、アゴメラチン含有層は、放出領域あたり、少なくとも0.1mg/cm2、好ましくは少なくとも0.2mg/cm2、もしくはより好ましくは少なくとも0.4mg/cm2のアゴメラチンを含むか、またはアゴメラチン含有層は、2.0mg/cm2以下、好ましくは1.5mg/cm2以下、もしくはより好ましくは1.2mg/cm2以下のアゴメラチンを含むか、またはアゴメラチン含有層は、0.1~2.0mg/cm2、好ましくは0.2~1.5mg/cm2、もしくはより好ましくは0.4~1.2mg/cm2のアゴメラチンを含む。
活性物質の量に関しては、粘膜付着性層構造は、少なくとも0.1mg、好ましくは少なくとも0.2mg、もしくはより好ましくは少なくとも0.4mgのアゴメラチン、または20mg以下、好ましくは15mg以下、もしくはより好ましくは10mg以下のアゴメラチン、または0.1mg~20mg、好ましくは0.2mg~15mg、もしくはより好ましくは0.4mg~10mgのアゴメラチンを含み得る。
上により詳細に概説したように、アゴメラチン含有層の正しい溶解挙動は、送達経路を制御するために非常に重要である。経粘膜治療システムの崩壊が速いほど、唾液への溶解は、付着部位の粘膜への直接送達よりも好ましくなるだろう。特に高い透過速度を達成することが本発明の目的の1つであるため、粘膜全体を薬物送達に利用することができる間接送達は非常に重要であり、直接送達よりも好ましい。これは、経粘膜治療システムが、比較的迅速に崩壊するべきであることを意味する。ゆえに、粘膜付着性層構造は、例えば、水、人工もしくは天然唾液、または任意の他の水性媒体に、37℃及び150rpmにて、5時間未満、好ましくは3時間未満、より好ましくは2時間未満で溶解し得る。一方で、溶解が速すぎると、活性物質の実質的な部分を意図せずに飲み込むリスクが高くなる。いわゆる「フラッシュウェーハ」は、経腸送達を達成するために非常に速く崩壊するように設計されたフィルムであり、嚥下は意図的である(錠剤と比較した場合により容易である)。ゆえに、経粘膜治療システムは、その送達メカニズムによってフラッシュウェーハとは異なり、通常、フラッシュウェーハよりも溶解するのに時間がかかる。活性物質としてのアゴメラチンの特定の状況では、刺激的感覚のリスクがあるため、高濃度の活性物質も望ましくない。これは、溶解が好ましくは速すぎない別の理由である。ゆえに、粘膜付着性層構造は、例えば、水、人工もしくは天然唾液、または任意の他の水性媒体に、37℃及び150rpmにて、30秒超、よ好ましくは1分超、より好ましくは2分超で溶解し得る。好ましい実施形態では、粘膜付着性層構造は、水、人工もしくは天然唾液、または任意の他の水性媒体に、37℃及び150rpmにて、30秒超5時間未満、好ましくは1分超3時間未満、より好ましくは2分超2時間未満で溶解する。
アゴメラチン含有層が粘膜に直接付着できることが好ましいため、本発明のある特定の好ましい実施形態では、アゴメラチン含有層は粘膜付着性である。
以下でさらに詳細に理解され得るように、ある特定の実施形態では、アゴメラチン含有層を調製するためのコーティング組成物は、溶媒としてエタノールを使用するが、水は使用しないことが好ましい。ゆえに、本発明に従うアゴメラチン含有層は、アゴメラチン、溶解性フィルム形成剤、及びエタノールを含むコーティングされたコーティング組成物を乾燥させることによって、取得可能であり得る(及び/または取得される)。一方で、ある特定の溶解性フィルム形成剤は、水への溶解度が高いが、他の溶媒への溶解度は限られている。ゆえに、溶媒として水を使用することにも利点があり、それが、アゴメラチン含有層が、アゴメラチン、溶解性フィルム形成剤、及び水を含むコーティングされたコーティング組成物を乾燥させることによって取得可能であり得る(及び/または取得される)理由である。エタノール及び水の組み合わせも可能である、すなわち、アゴメラチン含有層は、アゴメラチン、溶解性フィルム形成剤、エタノール及び水を含むコーティングされたコーティング組成物を乾燥させることによっても取得可能であり得る(及び/または取得される)。水の量に関しては、アゴメラチン含有層は、50重量%未満、または20重量%未満、または10重量%未満、または5重量%未満の水を含むコーティングされたコーティング組成物を乾燥させることによって取得可能であり得る(及び/または取得される)。
アゴメラチン含有層の、その組成に関する安定性を考慮すると、アゴメラチン含有層は、貯蔵時に組成物を蒸発させる及び変化させるリスクがある揮発性構成物を含まないことが好ましい。ゆえに、ある特定の実施形態では、アゴメラチン含有層は、実質的に揮発性溶媒を含まない。この意味での揮発性溶媒は、C1~C3直鎖及び分岐鎖アルコール、酢酸エチル、ヘキサン、n-ヘプタン、及びそれらの任意の混合物からなる群され得る。経粘膜治療システムが口腔内に適用されることを考慮すると、揮発性溶媒には、特に、消化されるべきではない溶媒、例えばメタノール、酢酸エチル、ヘキサン、n-ヘプタン、及びそれらの混合物が含まれる。特に、アゴメラチン含有層は、5重量%以下、好ましくは3重量%以下、より好ましくは1重量%以下の揮発性溶媒を含む。
アゴメラチンは水への溶解度が低いため、アゴメラチン含有層の実質的な量の水は、活性物質が溶解状態で存在する場合に再結晶化のリスクを有する。ゆえに、ある特定の実施形態では、アゴメラチン含有層は、実質的に水を含まない、例えば、12重量%以下、8重量%以下、5重量%以下、または4重量%以下の水を含む。
アゴメラチン
本発明によれば、粘膜付着性層構造は、アゴメラチンを治療有効量で含有し、粘膜付着性層構造は、アゴメラチン含有層を含む。
本発明によれば、粘膜付着性層構造は、アゴメラチンを治療有効量で含有し、粘膜付着性層構造は、アゴメラチン含有層を含む。
本発明によれば、活性剤アゴメラチンは、経粘膜治療システム、特にアゴメラチン含有層に、任意の形態で、すなわち、その遊離、解離、もしくは任意の会合形態、例えば水和物、溶媒和物などで、ならびに微小化形態、結晶形態、及び特にその多形形態の1つ、及び/またはアモルファス形態であり得る粒子の形態、ならびに前述の形態のいずれかの任意のハイブリッド型形態またはそれらの混合物にて存在し得るが、アゴメラチンが遊離、解離形態で存在することが好ましい。
さらに、ある特定の実施形態では、アゴメラチンは、アゴメラチン含有層に、溶解形態、分散形態、結晶形態、特にその多形形態の1つ、アモルファス形態で、水和物、溶媒和物、前述の形態のいずれかのハイブリッド型形態またはそれらの混合物として含まれる。
ある特定の実施形態では、アゴメラチン含有層は、アゴメラチンを、溶解形態、分散形態、結晶形態、特にその多形形態の1つ、アモルファス形態で、水和物、溶媒和物、前述の形態のいずれかのハイブリッド型形態またはそれらの混合物として組み込むことにより、取得することができる(及び/または取得される)。
アゴメラチン含有層中のアゴメラチンは、(完全に)溶解し得るか、またはアゴメラチン含有層は、好ましくはその遊離、解離形態のアゴメラチンから構成されるアゴメラチン粒子を含み得、その結果、アゴメラチンは分散形態で存在する。言うまでもなく、アゴメラチンが分散形態で存在する場合、アゴメラチン含有層はそれでもなお、アゴメラチン含有層(例えば、飽和または過飽和)における活性物質の溶解度に応じて、溶解形態でアゴメラチンを含み得る。
好ましい実施形態では、アゴメラチンは完全に溶解する、例えば、アゴメラチン含有層中の少なくとも90モル%、好ましくは少なくとも95モル%、より好ましくは少なくとも98モル%または最も好ましくは少なくとも99モル%のアゴメラチンが、溶解形態で存在する。アゴメラチン含有層が、アゴメラチン結晶を含まないことも好ましい。
上に概説するように、経粘膜治療システム中のアゴメラチンの量は、活性物質の良好な放出にとって重要であると考えられており、例えば、アゴメラチン濃度によって調整することができる。ゆえに、ある特定の実施形態では、アゴメラチン含有層中のアゴメラチンの濃度は、アゴメラチン含有層の1~25重量%のアゴメラチン、好ましくは2~20重量%のアゴメラチン、より好ましくは3~10重量%のアゴメラチンの範囲である。
ある特定の実施形態では、アゴメラチンは、定量的HPLCによって決定される場合、少なくとも95%の、好ましくは少なくとも98%の、より好ましくは少なくとも99%の純度を有する。定量的HPLCは、UV検出を用いる逆相HPLCで行われ得る。具体的には、HPLCが均一濃度で行われる場合、以下の条件を使用することができる:
カラム:RPオクタデシル相
XTerra RP18 100mm×3.9mm;3.5μmまたは均等物
移動相:0.06モルKH2PO4緩衝液/アセトニトリル(60:40;v:v);pH2.5
勾配:均一濃度
フラックス:1.0ml
注入体積:20μL
カラム温度:23℃
波長:229nm及び275nm
実行時間:5分間
カラム:RPオクタデシル相
XTerra RP18 100mm×3.9mm;3.5μmまたは均等物
移動相:0.06モルKH2PO4緩衝液/アセトニトリル(60:40;v:v);pH2.5
勾配:均一濃度
フラックス:1.0ml
注入体積:20μL
カラム温度:23℃
波長:229nm及び275nm
実行時間:5分間
本発明に従う経粘膜治療システムは、アゴメラチン含有量ならびにアゴメラチン分解に関して改善された安定性を有利に示す。
ゆえに、ある特定の実施形態では、アゴメラチン含有層は、初期に(すなわち、製造直後、例えば、1週間以内に)、アゴメラチン含有層中に含まれるアゴメラチンの理論量の少なくとも95%、好ましくは少なくとも97%、より好ましくは少なくとも98%、さらにより好ましくは少なくとも99%の量のアゴメラチンを含む。アゴメラチンの理論量は、コーティング組成物に使用されるアゴメラチンの量、ならびに試験された経粘膜治療システムのコーティングされた及び乾燥させたアゴメラチン含有層の(実際の)面積重量から計算される。
アゴメラチン含有層はまた、初期に、0.5%未満、好ましくは0.2%未満、より好ましくは0.1%未満、さらにより好ましくは0.05%未満のアゴメラチン関連分解物質の総量を含有し得る。
ある特定の他の実施形態では、本発明に従う経粘膜治療システムは、貯蔵時に安定している、すなわち、それらは、初期のアゴメラチン含有量値を維持し得るか、または少量の分解産物を提示し得、それは、以下の通りである。
かかる実施形態のうちの1つでは、アゴメラチン含有層は、25℃及び60%相対湿度にて少なくとも3か月間、好ましくは少なくとも6か月間、より好ましくは少なくとも9か月間、最も好ましくは少なくとも12か月間貯蔵された後、アゴメラチン含有層中に含まれるアゴメラチンの理論量の少なくとも95%、好ましくは少なくとも97%、より好ましくは少なくとも98%、さらにより好ましくは少なくとも99%の量のアゴメラチンを含有する。
アゴメラチン含有層はまた、25℃及び60%相対湿度にて少なくとも3か月間、好ましくは少なくとも6か月間、より好ましくは少なくとも9か月間、最も好ましくは少なくとも12か月間貯蔵された後、0.5%未満、好ましくは0.2%未満、より好ましくは0.1%未満、さらにより好ましくは0.05%未満のアゴメラチン関連分解物質の総量を含有し得る。
かかる実施形態のうちの1つでは、アゴメラチン含有層は、40℃/75%RHで少なくとも3か月間、好ましくは少なくとも6か月間貯蔵された後、アゴメラチン含有層中に含まれるアゴメラチンの理論量の少なくとも95%、好ましくは少なくとも97%、より好ましくは少なくとも98%、さらにより好ましくは少なくとも99%の量のアゴメラチンを含有する。
アゴメラチン含有層はまた、40℃/75%RHで少なくとも3か月間、好ましくは少なくとも6か月間貯蔵された後、0.5%未満、好ましくは0.2%未満、より好ましくは0.1%未満、さらにより好ましくは0.05%未満のアゴメラチン関連分解物質の総量を含有し得る。
アゴメラチン含有量及びアゴメラチン関連分解物質の総量、ならびに付着力及び剥離力を決定するための方法は、好ましくは実施例9a及び9cについて記載した通りに実施される。
溶解性フィルム形成剤
上に概説したように、本発明に従う経粘膜治療システムは、溶解性フィルム形成剤を含むアゴメラチン含有層を含む粘膜付着性層構造を含む。
上に概説したように、本発明に従う経粘膜治療システムは、溶解性フィルム形成剤を含むアゴメラチン含有層を含む粘膜付着性層構造を含む。
この溶解性フィルム形成剤は、それが乾燥状態に保たれている限り、アゴメラチン含有層の十分な粘着を提供する。ある特定の実施形態によれば、溶解性フィルム形成剤はまた、一度湿ると、すなわち、粘膜と接触したときに、粘膜への十分な付着力を提供し得る。かかる実施形態では、しかしまた一般に、溶解性フィルム形成剤は、粘膜付着性ポリマーから選択され得る。
フィルム形成剤は、アゴメラチン含有層の溶解挙動に対する主要な制御である。これが、フィルム形成剤が「溶解性」である理由である。これは、ある特定の具体的な実施形態では、溶解性フィルム形成剤が、30~100g/m2、または50g/m2の面積重量を有するフィルムに流延された場合、水、人工もしくは天然唾液、または任意の他の水性媒体に、37℃及び150rpmにて、5時間未満、好ましくは3時間未満、より好ましくは2時間未満、最も好ましくは1時間未満で溶解する事を意味する。溶解性フィルム形成剤はまた、30~100g/m2、または50g/m2の面積重量を有するフィルムに流延された場合、水、人工もしくは天然唾液、または任意の他の水性媒体に、37℃及び150rpmにて、5秒超、好ましくは30秒超、より好ましくは1分超、最も好ましくは2分超で溶解し得る。注目すべきことに、溶解性フィルム形成剤はまた、30~100g/m2、または50g/m2の面積重量を有するフィルムに流延された場合、5秒超5時間未満、好ましくは30秒超3時間未満、より好ましくは1分超2時間未満、最も好ましくは2分超1時間未満で溶解し得る。
本発明に従う溶解性フィルム形成剤として好適なフィルム形成剤は、例えば、ポリマー、例えばポリビニルピロリドン(BASFからKollidon(登録商標)30Fとして市販されている)、メチルセルロース(ColorconからMethocel(登録商標)として市販されている)、エチルセルロース(ColorconからEthocel(登録商標)として市販されている)、ヒドロキシエチルセルロース(Ashland IndustriesからNatrosol(登録商標)250Lとして市販されている)、ヒドロキシプロピルセルロース(Ashland IndustriesからKlucel(登録商標)として市販されている)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロースとしても知られ、Shin-EtsuからPharmacoat(登録商標)として市販されている)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(カルボキシメチルセルロースの非架橋ナトリウム塩、CMCまたはカルメロースとも呼ばれ、Ashland IndustriesからBlanose(登録商標)として市販されている)、ポリエチレングリコール-ポリ酢酸ビニル-及びポリビニルカプロラクタムベースのグラフトコポリマー(BASFからSoluplus(登録商標)として市販されている)、ポリビニルアルコール(KurarayからMowiol(登録商標)4-88として市販されている)、ポリビニルアルコール-ポリエチレングリコールコポリマー(BASFからKollicoat(登録商標)IRとして市販されている)、ポリビニルピロリドン-ポリ酢酸ビニルコポリマー(コポビドンとも呼ばれ、BASFからKollidon(登録商標)VA64として市販されている)、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、メタクリル酸-メチルメタクリレートコポリマー(EvonikからEudragit(登録商標)L100、Eudragit(登録商標)L12,5、Eudragit(登録商標)S100及びEudragit(登録商標)S12,5として市販されている)、及びメタクリル酸-エチルメタクリレートコポリマー(EvonikからEudragit(登録商標)L100-55及びEudragit(登録商標)L30D55として市販されている)、ならびに天然フィルム形成剤、例えばシェラック、ペクチン、ゼラチン、アルギン酸塩、プルラン及びデンプン誘導体、ならびにそれらの任意の混合物からなる群から選択される。
溶解性フィルム形成剤は、アゴメラチン含有層に十分な粘着を提供することができるだけでなく、好ましくは患者が、アゴメラチン含有層に触れて操作して、例えば、それを指に付着させることなく、それを口腔粘膜に適用できるように、乾燥状態では粘着性ではないフィルムを提供することもできるべきである。加えて、溶解性フィルム形成剤は、アゴメラチン含有層の溶解挙動に対する主要な制御であり、これは、速すぎても遅すぎてもいけないので、溶解性フィルム形成剤は、好ましくは、水性媒体、具体的には、唾液、または単純には水に、可溶性、分散性、またはそうでなければ崩壊性である。一方で、製造の容易さに関して及び水を含まない製造プロセス(これは、結晶体、または活性剤の再結晶化を回避するという点で有利である)を可能にするために、C1~C3アルコール、特にエタノールなどの他の溶媒に可溶性であるフィルム形成剤も好ましい。それゆえ、フィルム形成剤が、水及びエタノールの両方に可溶性であることが特に好ましいが、溶解度が高いと、アゴメラチン含有層の溶解が迅速になりすぎる可能性がある。ゆえに、フィルム形成剤の選択は、簡単な作業ではない。
本発明者らは、驚くべきことに、上記を考慮して、ポリマー、例えばポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリエチレングリコール-ポリ酢酸ビニル-及びポリビニルカプロラクタムベースのグラフトコポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール-ポリエチレングリコールコポリマー、ポリビニルピロリドン-ポリ酢酸ビニルコポリマー、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、ならびにそれらの任意の混合物が、溶解性フィルム形成剤に好ましいことを見出した。溶解性フィルム形成剤に特に好ましいのは、ポリマー、例えばポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリエチレングリコール-ポリ酢酸ビニル及びポリビニルカプロラクタムベースのグラフトコポリマー、ポリビニルピロリドン-ポリ酢酸ビニルコポリマー、ならびにそれらの任意の混合物であり、最も好ましくは、溶解性フィルム形成剤は、ヒドロキシプロピルセルロースもしくはポリビニルピロリドン、またはそれらの混合物である。
ヒドロキシプロピルセルロースは、AshlandからKlucel(商標)のブランド名で市販されており、いくつかのグレードで提供されている。
グレードは、分子量MW(GPCサイズ排除クロマトグラフィーで測定)及びブルックフィールド粘度(25℃、LVF、水分不含)によって異なり、次の通りである。
HFグレードは、1,150,000のMW及び1500~3000(水中1%)のブルックフィールド粘度を有し、
MFグレードは、850,000のMW及び4000~6500(水中2%)のブルックフィールド粘度を有し、
GFグレードは、370,000のMW及び150~400(水中2%)のブルックフィールド粘度を有し、
JFグレードは、140,000のMW及び150~400(水中5%)のブルックフィールド粘度を有し、
LFグレードは、95,000のMW及び75~150(水中5%)のブルックフィールド粘度を有し、
EFグレードは、80,000のMW及び300~600(水中10%)のブルックフィールド粘度を有し、
ELFグレードは、40,000のMW及び150~300(水中10%)のブルックフィールド粘度を有する。
HFグレードは、1,150,000のMW及び1500~3000(水中1%)のブルックフィールド粘度を有し、
MFグレードは、850,000のMW及び4000~6500(水中2%)のブルックフィールド粘度を有し、
GFグレードは、370,000のMW及び150~400(水中2%)のブルックフィールド粘度を有し、
JFグレードは、140,000のMW及び150~400(水中5%)のブルックフィールド粘度を有し、
LFグレードは、95,000のMW及び75~150(水中5%)のブルックフィールド粘度を有し、
EFグレードは、80,000のMW及び300~600(水中10%)のブルックフィールド粘度を有し、
ELFグレードは、40,000のMW及び150~300(水中10%)のブルックフィールド粘度を有する。
ゆえに、ある特定の実施形態では、ヒドロキシプロピルセルロースは、30,000~1,500,000の分子量(GPCサイズ排除クロマトグラフィーによって測定)を有し、より好ましくは、ヒドロキシプロピルセルロースは、
35,000~45,000間、特に40,000
75,000~85,000間、特に80,000
90,000~100,000間、特に95,000
130,000~150,000間、特に140,000
350,000~400,000間、特に370,000、
800,000~900,000間、特に850,000、
1,100,000~1,200,000間、特に1,150,000から選択される分子量(GPCサイズ排除クロマトグラフィーによって測定)を有する。特に好ましいのは、75,000~85,000間、特に、80,000の分子量(GPCサイズ排除クロマトグラフィーによって測定)を有するヒドロキシプロピルセルロースである。
35,000~45,000間、特に40,000
75,000~85,000間、特に80,000
90,000~100,000間、特に95,000
130,000~150,000間、特に140,000
350,000~400,000間、特に370,000、
800,000~900,000間、特に850,000、
1,100,000~1,200,000間、特に1,150,000から選択される分子量(GPCサイズ排除クロマトグラフィーによって測定)を有する。特に好ましいのは、75,000~85,000間、特に、80,000の分子量(GPCサイズ排除クロマトグラフィーによって測定)を有するヒドロキシプロピルセルロースである。
ポリビニルピロリドンは、好ましくは可溶性ポリビニルピロリドンである。
「可溶性ポリビニルピロリドン」という用語は、少なくともエタノール中、好ましくは水、ジエチレングリコール、メタノール、n-プロパノール、2-プロパノール、n-ブタノール、クロロホルム、塩化メチレン、2-ピロリドン、マクロゴール400、1,2プロピレングリコール、1,4ブタンジオール、グリセロール、トリエタノールアミン、プロピオン酸及び酢酸中でも10%超可溶性であるポリビニルピロリドン、別名、ポビドンを指す。市販のポリビニルピロリドンの例としては、BASFが提供するKollidon(登録商標)12 PF、Kollidon(登録商標)17 PF、Kollidon(登録商標)25、Kollidon(登録商標)30、及びKollidon(登録商標)90 F、またはポビドンK90Fが挙げられる。Kollidon(登録商標)の異なるグレードが、ポリビニルピロリドングレードの平均分子量を反映するK値に関して定義されている。Kollidon(登録商標)12 PFは、公称K値12に相当するK値範囲10.2~13.8を特徴とする。Kollidon(登録商標)17 PFは、公称K値17に相当するK値範囲15.3~18.4を特徴とする。Kollidon(登録商標)25は、公称K値25に相当するK値範囲22.5~27.0を特徴とし、Kollidon(登録商標)30は、公称K値30に相当するK値範囲27.0~32.4を特徴とする。Kollidon(登録商標)90 Fは、公称K値90に相当するK値範囲81.0~97.2を特徴とする。好ましいKollidon(登録商標)グレードは、Kollidon(登録商標)12 PF、Kollidon(登録商標)30、及びKollidon(登録商標)90 Fである。ポリビニルピロリドンのすべてのグレード及びタイプについて、過酸化物の量がある特定の制限範囲内であることが好ましく、特に、過酸化物の量は、500ppm以下、より好ましくは150ppm以下、最も好ましくは100ppm以下である。
本発明の意味の範囲内で、「K値」という用語は、「ポビドン」についての欧州薬局方(Ph.Eur.)及びUSPモノグラフに従って水中のポリビニルピロリドンの相対粘度から計算された値を指す。
ゆえに、ある特定の実施形態では、ポリビニルピロリドンは、
9~15、好ましくは10.2~13.8、
15~20、好ましくは15.3~18.4、
20~27、好ましくは22.5~27.0、
27~35、好ましくは27.0~32.4、及び
75~110、好ましくは81.0~97.2、
からなる範囲の群から選択される範囲内のK値を有するポリビニルピロリドンまたはそれらの任意の混合物から選択され、より好ましくは27.0~32.4または81.0~97.2の範囲内のK値を有するポリビニルピロリドン及びそれらの任意の混合物であり、最も好ましくは81.0~97.2の範囲内のK値を有するポリビニルピロリドンである。
9~15、好ましくは10.2~13.8、
15~20、好ましくは15.3~18.4、
20~27、好ましくは22.5~27.0、
27~35、好ましくは27.0~32.4、及び
75~110、好ましくは81.0~97.2、
からなる範囲の群から選択される範囲内のK値を有するポリビニルピロリドンまたはそれらの任意の混合物から選択され、より好ましくは27.0~32.4または81.0~97.2の範囲内のK値を有するポリビニルピロリドン及びそれらの任意の混合物であり、最も好ましくは81.0~97.2の範囲内のK値を有するポリビニルピロリドンである。
アゴメラチン含有層に十分な粘着を提供できるようにするために、ある特定量の溶解性フィルム形成剤が含まれるべきである。ゆえに、ある特定の好ましい実施形態では、溶解性フィルム形成剤の量は、少なくとも65重量%、より好ましくは少なくとも75重量%、最も好ましくは少なくとも85重量%である。一方で、溶解性フィルム形成剤の量はまた、98重量%以下、94重量%以下、または90重量%以下であり得る。ある特定の実施形態では、溶解性フィルム形成剤の量は、アゴメラチン含有層の65~98重量%、75~94重量%、または80~90重量%の範囲である。
かかるフィルム形成剤は、アゴメラチン含有層中の溶解性フィルム形成剤として存在し得るが、任意のオーバーレイに含有されてもよい。
さらなる添加剤
本発明に従う経粘膜治療システムのアゴメラチン含有層は、脂肪酸、甘味料、香味剤、着色剤、透過促進剤、可溶化剤、可塑剤、保湿剤、崩壊剤、乳化剤、抗酸化剤、安定剤、緩衝試薬及びさらなるフィルム形成剤からなる群から選択されるさらなる賦形剤または添加剤を含み得る。
本発明に従う経粘膜治療システムのアゴメラチン含有層は、脂肪酸、甘味料、香味剤、着色剤、透過促進剤、可溶化剤、可塑剤、保湿剤、崩壊剤、乳化剤、抗酸化剤、安定剤、緩衝試薬及びさらなるフィルム形成剤からなる群から選択されるさらなる賦形剤または添加剤を含み得る。
かかる添加剤は、アゴメラチン含有層中に、添加剤1種あたりアゴメラチン含有層の0.001~15重量%の量で存在し得る。ある特定の実施形態では、すべての添加剤の総量は、アゴメラチン含有層の0.001~25重量%である。以下、特定の添加剤の量の範囲が提供される場合、かかる範囲は、個々の添加剤あたりの量を指す。
医薬製剤において、製剤成分が、それらの物理化学的及び生理学的特性に従って、及びそれらの機能に従ってカテゴリー分けされることに留意されるべきである。これは、特に、製剤成分のあるカテゴリーに分類される物質または化合物が、別のカテゴリーへの分類から除外されないことを意味する。例えば、ある特定のポリマーは、結晶化阻害剤であり得るが、粘着付与剤でもあり得る。いくつかの物質は、例えば、典型的な軟化剤であり得ると同時に、透過促進剤として作用し得る。当業者であれば、自身の一般知識に基づいて、ある特定の物質または化合物が製剤成分のどのカテゴリー(複数可)に属するかを決定することができる。以下に、賦形剤及び添加剤の詳細を提供するが、これらが排他的であると理解されるべきではない。本明細書に明確に列記されていない他の物質も本発明に従って使用され得、製剤成分の1つのカテゴリーに明確に列記されている物質及び/または化合物は、本発明の意味において別の製剤成分としての使用から除外されない。
アゴメラチンの潜在的な刺痛または刺激効果を考慮すると、味をマスクもしくは改変することができる物質、またはアゴメラチンの効果を軽減する可能性のある物質が、特に好ましい。例えば、研究者は、ある特定の脂肪酸が、痛み/痒みなどのカプサイシン誘発性効果を軽減し得ることを示している。
ゆえに、ある特定の好ましい実施形態では、アゴメラチン含有層は、脂肪酸、甘味料、及び香味剤からなる群から選択される1つまたは複数の賦形剤をさらに含む。
脂肪酸は、特に、4~24個の炭素原子を含む飽和または不飽和、線状または分枝状カルボン酸であり得、特に、カプリル酸、ミリストレイン酸、パルミトール酸、サピエン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、リノール酸、リノエライジン酸、α-リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、エルカ酸及びドコサヘキサエン酸からなる群から選択され得る。特に好ましいのは、オレイン酸またはリノール酸である。
量に関しては、アゴメラチン含有層は、好ましくは、1つまたは複数の脂肪酸を、少なくとも1重量%、より好ましくは少なくとも3重量%、より好ましくは少なくとも4重量%の量で含む。アゴメラチン含有層はまた、1つまたは複数の脂肪酸を、15重量%以下、好ましくは12重量%以下、より好ましくは10重量%以下の量で含み得る。最後に、アゴメラチン含有層はまた、1つまたは複数の脂肪酸を、1~15重量%、好ましくは3~12重量%、より好ましくは4~10重量%の量で含み得る。
ある特定の好ましい実施形態では、アゴメラチン含有層は、サッカロース、グルコース、フルクトース、ソルビトール、マンニトール、イソマルト、マルチトール、ラクチトール、キシリトール、エリスリトール、スクラロース、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、シクラメート、ネオヘスペリジン、ネオテーム、ステビオールグリコシド、タウマチン及びサッカリンナトリウムからなる群から選択される1つまたは複数の天然または人工甘味料を含む。特に好ましくは、アゴメラチン含有層は、サッカロース、スクラロース及びサッカリンナトリウムからなる群から選択される1つまたは複数の天然または人工甘味料を含む。かかる特に好ましい実施形態では、すなわち、アゴメラチン含有層が、スクラロース、サッカロース及びサッカリンナトリウムからなる群から選択される1つまたは複数の天然または人工甘味料を含む場合、甘味料の量は、各々、少なくとも0.05重量%、好ましくは少なくとも0.1重量%、より好ましくは少なくとも0.3重量%である、及び/または2.0重量%以下、好ましくは1.5重量%以下、より好ましくは1.0重量%以下である、及び/または0.05~2.0重量%、好ましくは0.1~1.5重量%、より好ましくは0.3~1.0重量%である。
また好ましい実施形態では、アゴメラチン含有層は、バニリン、サリチル酸メチル、メントール、マンザネート、ジアセチル、アセチルプロピオニル、アセトイン、酢酸イソアミル、ベンズアルデヒド、シンナムアルデヒド、プロピオン酸エチル、アントラニリン酸メチル、リモネン、デカジエン酸エチル、ヘキサン酸アリル、エチルマルトール、2,4-ジチアペンタン、エチルバニリン及びユーカリプトールからなる群から選択される1つまたは複数の天然または人工香味剤、ならびに香味剤組成物、例えばペパーミントフレーバーを含む。バニリン、サリチル酸メチル、メントール、ペパーミントフレーバー及びユーカリプトールが特に好ましい。かかる特に好ましい実施形態では、すなわち、アゴメラチン含有層が、バニリン、サリチル酸メチル、メントール、ペパーミントフレーバー及びユーカリプトールからなる群から選択される1つまたは複数の香味剤を含む場合、香味剤の量は、各々、少なくとも0.1重量%、好ましくは少なくとも0.3重量%、より好ましくは少なくとも0.4重量%である、及び/または10重量%以下、好ましくは6重量%以下、より好ましくは4重量%以下である、及び/または0.1~10重量%、好ましくは0.3~6重量%、より好ましくは0.4~4重量%である、あるいは量は、合計で、少なくとも0.1重量%、好ましくは少なくとも0.5重量%、より好ましくは少なくとも0.7重量%である、及び/または15重量%以下、好ましくは10重量%以下、より好ましくは8重量%以下である、及び/または0.1~15重量%、好ましくは0.5~10重量%、より好ましくは0.7~8重量%である。好適な香味剤はまた、Mane社から市販されており、リンゴ、カラメル、チョコレート、レモン、ミントなどの調性によって識別されるものはいずれも、本発明で香味剤として使用することができる。
ある特定の実施形態では、アゴメラチン含有層は、1つまたは複数の着色剤を含む。医薬/食品用途での使用に好適な任意の着色剤、特に米国FDAまたは欧州機関EFSA/EMAにより使用が認められている着色剤を含めることができる。かかる着色剤は、例えば、二酸化チタン、ブリリアントブルーFCF、インディゴカーマイン、ファストグリーンFCF、エリスロシン、アルラレッドAC、タルトラジン及びサンセットイエローFCF、クルクミン、リボフラビン、リボフラビン-5’-ホスフェート、キノリンイエロー、オレンジイエローS、コチニール、カルミン酸、アゾルビン、カルモイシン、アマランス、ポンソー4R、コチニールレッドA、パテントブルーV、インジゴチン、クロロフィル、クロロフィリン、クロロフィル及びクロロフィリンの銅錯体、グリーンS、プレーンカラメル、苛性亜硫酸カラメル、アンモニアカラメル、サルファイトアンモニアカラメル、ブリリアントブラックBN、ブラックPN、植物性カーボン、ブラウンHT、カロテン、アナトー、ビキシン、ノルビキシン、パプリカ抽出物、カプサンシアン、カプソルビン、リコペン、ベータ-アポ-8’-カロテナール、ルテイン、カンタキサンチン、ビートルートレッド、ベタニン、アントシアニン、炭酸カルシウム、酸化鉄及び水酸化鉄、アルミニウム、銀、金及びリソールルビンBKからなる群から選択され得る。
アゴメラチン含有層は、上の溶解性フィルム形成剤について開示されたものに加えて、1つまたは複数のさらなるフィルム形成剤を含み得る。かかるさらなるフィルム形成剤は、溶解性フィルム形成剤について以前に開示されたものとは異なる。1つまたは複数のさらなるフィルム形成剤は、アゴメラチン含有層に、各々、少なくとも2重量%、好ましくは少なくとも5重量%、より好ましくは少なくとも10重量%の量、及び/または40重量%以下、好ましくは30重量%以下、より好ましくは25重量%以下の量、及び/または2~40重量%、好ましくは5~30重量%、より好ましくは10~25重量%の量、及び/または合計で、少なくとも5重量%、好ましくは少なくとも15重量%、より好ましくは少なくとも20重量%の量、または40重量%以下、好ましくは30重量%以下、より好ましくは25重量%以下の量、及び/または5~40重量%、好ましくは15~30重量%、より好ましくは20~25重量%の量で含まれ得る。
ある特定の実施形態では、アゴメラチン含有層は、1つまたは複数の可溶化剤を含む。好適な可溶化剤は、例えば、脂肪酸でエステル化されたエトキシル化ソルビタン、例えばポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート及びポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(Tween 80またはポリソルベート80として市販されている)、ベニバナオレオソーム、プロパンジオールならびにポリエトキシル化ヒマシ油からなる群から選択され得る。かかる可溶化剤は、アゴメラチン含有層に、各々、少なくとも0.3重量%、好ましくは少なくとも0.5重量%、より好ましくは少なくとも1.0重量%の量、及び/または5重量%以下、好ましくは4重量%以下、より好ましくは3重量%以下の量、及び/または0.3~5重量%、好ましくは0.5~4重量%、より好ましくは1.0~3重量%の量で含まれ得る。
アゴメラチン含有層はまた、1つまたは複数の乳化剤を含み得る。かかる乳化剤は、例えば、大豆レシチン、リン酸ナトリウム、脂肪酸のモノグリセリド及びジグリセリド、ステアロイル乳酸ナトリウム、モノグリセリド及びジグリセリドのジアセチル酒石酸エステル、ならびにポリエトキシル化水素化ヒマシ油(BASFからChremophor RH 40として市販されている)からなる群から選択され得る。乳化剤は、例えば、アゴメラチン含有層に、各々、少なくとも1重量%、好ましくは少なくとも3重量%、より好ましくは少なくとも5重量%の量、及び/または25重量%以下、好ましくは20重量%以下、より好ましくは15重量%以下の量、及び/または1~25重量%、好ましくは3~20重量%、より好ましくは5~15重量%の量で含まれ得る。
特定の実施形態では、アゴメラチン含有層は、1つまたは複数の可塑剤を含む。1つまたは複数の可塑剤は、単糖類、二糖類、オリゴ糖類及び多糖類、ならびに誘導体、例えばソルビトール(CargillからSorbidex(商標)として市販されている)、ポリエチレングリコール、トリアセチン、クエン酸トリエチル、プロピレングリコール、グリセロール及び中鎖トリグリセリドからなる群から選択され得る。アゴメラチン含有層は、1つまたは複数の可塑剤を、各々、少なくとも0.5重量%、好ましくは少なくとも1重量%、より好ましくは少なくとも5重量%の量、及び/または25重量%以下、好ましくは20重量%以下、より好ましくは15重量%以下の量、及び/または0.5~25重量%、好ましくは1~20重量%、より好ましくは5~15重量%の量で含み得る。
アゴメラチン含有層はまた、透過促進剤を含み得る。一実施形態では、アゴメラチン含有層は、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(トランスクトール)、ジプロピレングリコール、レブリン酸、2,5-ジメチルイソソルビド(ドチゾール)、乳酸ラウリル、乳酸、ジメチルエチレン尿素、N,N-ジエチル-メタ-トルアミド(DEET)、プロピレングリコールモノカプリレート、2-メトキシ-4-(プロプ-2-エン-1-イル)フェノール及びラウロカプラムからなる群から選択される透過促進剤を含む。かかる透過促進剤は、アゴメラチン含有層に、各々、少なくとも1重量%、好ましくは少なくとも2重量%、より好ましくは少なくとも5重量%の量、及び/または20重量%以下、好ましくは15重量%以下、より好ましくは10重量%以下の量、及び/または1~20重量%、好ましくは2~15重量%、より好ましくは5~10重量%の量で含まれ得る。
一方で、透過促進剤と見なされ得るある特定の化合物は好ましくない。ゆえに、いくつかの実施形態では、アゴメラチン含有層は、胆汁酸、胆汁酸塩、胆汁酸誘導体、アシルカルニチン、ドデシル硫酸ナトリウム、ジメチルスルホキシド、ラウリル硫酸ナトリウム、テルペン、シクロデキストリン、シクロデキストリン誘導体、サポニン、サポニン誘導体、キトサン、EDTA、クエン酸、及びサリチル酸塩からなる群から選択される透過促進剤を、5重量%超、好ましくは1重量%超、より好ましくは0.2重量%超、最も好ましくは0.1重量%超の量で含まない。
本発明に従うアゴメラチン含有層は、pH調節剤を含み得る。好ましくは、pH調節剤は、それぞれ、モノトロパ酸及びポリトロパ酸(mono- and polytropic acid)、一酸塩基、二酸塩基及び三酸塩基、弱酸塩基及びその共役塩基の混合物を含む緩衝液、アミン誘導体、無機アルカリ誘導体、塩基性及び酸性官能性を有するポリマーから選択される。
放出特性
本発明に従う経粘膜治療システムは、特に夜間に、ある特定量のアゴメラチンを体循環に経粘膜的に投与するように設計されている。
本発明に従う経粘膜治療システムは、特に夜間に、ある特定量のアゴメラチンを体循環に経粘膜的に投与するように設計されている。
本発明の経粘膜治療システムの投与は、一般に及び好ましくは、(最終的に存在する剥離ライナーの除去後)粘膜付着性層構造をヒト患者の口腔の粘膜に適用すること、及びそれを溶解するまで粘膜上に維持することからなる。適用部位は、頬側、舌下、歯肉または口蓋であり得る、すなわち、好ましい実施形態では、経粘膜治療システムの投与は、粘膜付着性層構造を、頬側、舌下、歯肉または口蓋粘膜、好ましくヒト患者の口腔の頬側粘膜に適用すること、及びそれを溶解するまで粘膜上に維持することからなる。
本発明の特定の実施形態では、上記の通りに本発明に従う経粘膜治療システムは、ブタ食道粘膜を用いて測定した場合に、1時間後に10μg/cm2-hr~150μg/cm2-hrのアゴメラチンの粘膜透過速度を提供する。
ある特定の実施形態では、本発明に従う経粘膜治療システムは、ブタ食道粘膜を用いて測定した場合に、8時間にわたって、少なくとも0.02mg/cm2、好ましくは少なくとも0.05mg/cm2、より好ましくは少なくとも0.1mg/cm2、及び/または0.5mg/cm2以下、好ましくは0.4mg/cm2以下、より好ましくは0.3mg/cm2以下、及び/または0.02mg/cm2~0.5mg/cm2、好ましくは0.05mg/cm2~0.4mg/cm2、より好ましくは0.1mg/cm2~0.3mg/cm2のアゴメラチンの累積放出を提供する。
処置方法/医学的使用
本発明の特定の態様によれば、本発明に従う経粘膜治療システムは、処置方法、特に、ヒト患者を処置する方法において使用するためのものである。別の態様によれば、本発明は、処置方法に関し、本発明に従う経粘膜治療システムは、ヒト患者に投与される。さらに別の態様では、本発明は、処置のための、好ましくはヒト患者の処置のための医薬品の製造のための本発明の経粘膜治療システムの使用に関する。
本発明の特定の態様によれば、本発明に従う経粘膜治療システムは、処置方法、特に、ヒト患者を処置する方法において使用するためのものである。別の態様によれば、本発明は、処置方法に関し、本発明に従う経粘膜治療システムは、ヒト患者に投与される。さらに別の態様では、本発明は、処置のための、好ましくはヒト患者の処置のための医薬品の製造のための本発明の経粘膜治療システムの使用に関する。
患者の大多数、つまり古典的な気分障害(大うつ病、双極性障害のうつ病期、または全般性不安障害)に苦しむ患者の80%以上は、睡眠-覚醒サイクル及び睡眠構造の乱れを示す。特徴的に、入眠困難(入眠潜時の増加)とそれに続く断続的な睡眠は、著しい日中の眠気をもたらし、それにより日常生活で適切に機能する能力がさらに損なわれ、悪循環が確立する。うつ病に関しては、特定の処置ガイドラインはないが、利用可能なオプションは一般に、うつ病及び睡眠障害が双方向の関係を共有するという前提に基づいているため、一方の状態の処置が成功すると、もう一方の状態も相互に利益を受けることになる。
近年、概日リズムの乱れ、つまり体温及び血圧などの核となる生理学的機能だけでなく、非常に複雑な神経伝達物質の反応を1日の時間に固定する「体内時計」の適応障害及び機能障害が、治療上の注意を必要とする大うつ病性障害の主な要因であることが明らかになっている。視交叉上核、松果体、及びそれが生成する神経ホルモン(メラトニン)の間の連結の機能不全が、これらの現象の主な原因として示唆されている。メラトニンは、交代制勤務に関連する時差ぼけ及び不眠症を処置するための「非光性概日リズム再同期剤」として強く提唱され(そして販売され)、メラトニンの抗うつ作用及び抗不安作用について多くが公表されている。メラトニンの経口バイオアベイラビリティは低いため、合成メラトニン受容体アゴニストが調査されている。その中で最も顕著なのはアゴメラチンである。
アゴメラチンはうつ病の処置に関して承認されているが、双極性障害、全般性不安障害、スミス-マゲニス症候群、脳室周囲白質軟化症及びOCDなどの他の適応症の処置が提案されている。
ゆえに、ある特定の実施形態では、本発明に従う経粘膜治療システムは、好ましくは大うつ病を処置する方法において使用するためのものである。同様に、ある特定の他の実施形態では、本発明は、大うつ病を処置する方法に関し、本発明に従う経粘膜治療システムは、ヒト患者に投与される。さらに他の実施形態では、本発明は、大うつ病を処置するための医薬品の製造のための本発明の経粘膜治療システムの使用に関する。
うつ病、または大うつ病、別名、大うつ病性障害の処置には、うつ病/MDD患者における状態、例えば大うつ病エピソード、不安症状、睡眠-覚醒サイクル障害、日中の眠気及び不眠症(MDD患者の大多数、すなわち、80%以上が不眠症と組み合わせたうつ病に苦しんでいる)の処置を含み得る。他の実施形態では、処置は一般に、双極性障害、全般性不安障害、スミス-マゲニス症候群、脳室周囲白質軟化症、またはOCDの処置も指し得る。
上に概説したように、経粘膜送達は、初回通過効果を回避し、ゆえに、本発明に従う経粘膜治療システムは、経口アゴメラチン剤形とは異なり、肝毒性のリスクが低い。ゆえに、処置される患者群に関して制限はない。処置には、少なくとも軽度または少なくとも中等度の肝機能障害のある患者を含む、肝機能障害を伴うまたは伴わないヒト患者の処置が含まれる。
また、ある特定の実施形態では、本発明の経粘膜治療システムを用いた処置は、同等の経口用量のアゴメラチンと比較して、少なくとも1つのアゴメラチン関連副作用の軽減を提供する。上に概説したように、ある特定の具体的な実施形態では、かかるアゴメラチン関連副作用は、肝毒性である。同等の経口用量のアゴメラチンとの比較は、アゴメラチンの実質的に同じ血漿曝露をもたらす用量の経粘膜及び経口アゴメラチンを使用する際の臨床研究における副作用の発生率及び強度の比較として理解されるべきである。同等の経口用量のアゴメラチンと比較して、少なくとも1つのアゴメラチン関連副作用の発生率は、少なくとも約30%、好ましくは少なくとも約40%、より好ましくは少なくとも約70%、最も好ましくは少なくとも約80%低下し得る、及び/または同等の経口用量のアゴメラチンと比較して、少なくとも1つのアゴメラチン関連副作用の強度は低下し得る。副作用の強度は、例えば、「軽度」、「中等度」または「重度」の強度を示すスケールで副作用を分類することによって決定され得、強度の低下は、強度中央値を比較することによって定量化され得る。
上の態様及び実施形態について概説した処置のいずれにおいても、経粘膜治療システムは、好ましくは、粘膜付着性層構造をヒト患者の口腔の粘膜に適用することによって投与され、溶解するまで粘膜上に維持される。好ましい実施形態では、経粘膜治療システムは、粘膜付着性層構造をヒト患者の口腔の頬側、舌下、歯肉または口蓋粘膜に適用することによって投与され、溶解するまで粘膜上に維持される。さらに好ましい実施形態では、経粘膜治療システムは、就寝前の夕方または夜間に投与される。
別の実施形態では、本発明に従う経粘膜治療システムはまた、同等の経口用量のアゴメラチンと比較して、患者における、少なくとも1つのアゴメラチン関連副作用を軽減する方法において使用するためのものであり得る。
本発明はまた、経口アゴメラチン療法で処置されている患者における少なくとも1つのアゴメラチン関連副作用を軽減する方法に関し、本方法は、
a)経口アゴメラチン療法を中止すること;及び
b)本発明に従う経粘膜治療システムを、ヒト患者の口腔の粘膜に投与することを含み、経粘膜治療システムは、同等の経口用量のアゴメラチンと比較して、少なくとも1つのアゴメラチン関連副作用の軽減を提供する。
a)経口アゴメラチン療法を中止すること;及び
b)本発明に従う経粘膜治療システムを、ヒト患者の口腔の粘膜に投与することを含み、経粘膜治療システムは、同等の経口用量のアゴメラチンと比較して、少なくとも1つのアゴメラチン関連副作用の軽減を提供する。
かかる方法では、経粘膜治療システムは、経口アゴメラチン療法によって本来提供されるアゴメラチンの量と同等の量のアゴメラチンを送達し得る。
製造プロセス
本発明はさらに、経粘膜治療システムで使用するためのアゴメラチン含有層、及び該アゴメラチン含有層を含む対応する粘膜付着性層構造、及び対応する経粘膜治療システムの製造プロセスに関する。
本発明はさらに、経粘膜治療システムで使用するためのアゴメラチン含有層、及び該アゴメラチン含有層を含む対応する粘膜付着性層構造、及び対応する経粘膜治療システムの製造プロセスに関する。
本発明によれば、アゴメラチン含有層の製造プロセスは、
i)少なくともアゴメラチン及び溶解性フィルム形成剤を溶媒中で組み合わせて、コーティング組成物を得る;
ii)コーティング組成物を剥離ライナー上にコーティングする;ならびに
iii)コーティングされたコーティング組成物を乾燥させて、アゴメラチン含有層を形成するステップを含む。
i)少なくともアゴメラチン及び溶解性フィルム形成剤を溶媒中で組み合わせて、コーティング組成物を得る;
ii)コーティング組成物を剥離ライナー上にコーティングする;ならびに
iii)コーティングされたコーティング組成物を乾燥させて、アゴメラチン含有層を形成するステップを含む。
かかるプロセスでは、好適な溶解性フィルム形成剤は、前述のものと同じである。ゆえに、ある特定の実施形態では、溶解性フィルム形成剤は、50g/m2の面積重量を有するフィルムに流延された場合、水、人工もしくは天然唾液、または任意の他の水性媒体に、37℃及び150rpmにて、5時間未満、好ましくは3時間未満、より好ましくは2時間未満、最も好ましくは1時間未満、及び/または5秒超、好ましくは30秒超、より好ましくは1分超、最も好ましくは2分超、及び/または5秒超5時間未満、好ましくは30秒超3時間未満、より好ましくは1分超2時間未満、最も好ましくは2分超1時間未満で溶解する。
溶解性フィルム形成剤はまた、ポリマー、例えばポリビニルピロリドン、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリエチレングリコール-ポリ酢酸ビニル-及びポリビニルカプロラクタムベースのグラフトコポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール-ポリエチレングリコールコポリマー、ポリビニルピロリドン-ポリ酢酸ビニルコポリマー、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、メタクリル酸-メチルメタクリレートコポリマー、及びメタクリル酸-エチルメタクリレートコポリマー、天然フィルム形成剤、例えばシェラック、ペクチン、ゼラチン、アルギン酸塩、プルラン及びデンプン誘導体、ならびにそれらの任意の混合物からなる群から選択され得る。溶解性フィルム形成剤は、好ましくは、ポリマー、例えばポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリエチレングリコール-ポリ酢酸ビニル-及びポリビニルカプロラクタムベースのグラフトコポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール-ポリエチレングリコールコポリマー、ポリビニルピロリドン-ポリ酢酸ビニルコポリマー、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、ならびにそれらの任意の混合物からなる群から選択され、より好ましくは、ポリマー、例えばポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリエチレングリコール-ポリ酢酸ビニル-及びポリビニルカプロラクタムベースのグラフトコポリマー、ポリビニルピロリドン-ポリ酢酸ビニルコポリマー、ならびにそれらの任意の混合物からなる群から選択される。
特定の実施形態では、溶解性フィルム形成剤は、ヒドロキシプロピルセルロース、好ましくは、50,000~1,500,000の分子量を有するヒドロキシプロピルセルロースであり得、より好ましくは、溶解性フィルム形成剤は、80,000、95,000、370,000または1,150,000の分子量を有するヒドロキシプロピルセルロースである。
他の特定の実施形態では、溶解性フィルム形成剤は、ポリビニルピロリドンであり、好ましくは、可溶性ポリビニルピロリドンから選択され、特に、
9~15、好ましくは10.2~13.8、
15~20、好ましくは15.3~18.4、
20~27、好ましくは22.5~27.0、
27~35、好ましくは27.0~32.4、及び
75~110、好ましくは81.0~97.2からなる範囲の群から選択される範囲内のK値を有するポリビニルピロリドンから選択される。
9~15、好ましくは10.2~13.8、
15~20、好ましくは15.3~18.4、
20~27、好ましくは22.5~27.0、
27~35、好ましくは27.0~32.4、及び
75~110、好ましくは81.0~97.2からなる範囲の群から選択される範囲内のK値を有するポリビニルピロリドンから選択される。
この製造プロセスでは、ステップi)において、アゴメラチンが溶解してまたは分散して、コーティング組成物が得られ得る。
アゴメラチンは水への溶解度が乏しく、ゆえに再結晶化するリスクがあるため、水を使用しないことが好ましい。ゆえに、好ましい実施形態では、溶媒は、水を、5重量%超、好ましくは2重量%超、より好ましくは1重量%超、最も好ましくは0.5重量%超の量で含まない。一方で、異なる溶媒で使用される溶解性フィルム形成剤の溶解度に応じて、水を使用することが有利である場合がある。ゆえに、いくつかの実施形態では、溶媒は、水を含む。
ゆえに、上記のプロセスにおいて、溶媒は、好ましくは、メタノール、エタノール、イソプロパノール及びそれらの混合物から選択されるアルコール性溶媒を含み、より好ましくは、溶媒は、エタノールを含むか、またはエタノールからなる。
アゴメラチン含有層の溶解性フィルム形成剤及び他の構成物の選好は、上に概説した通りである。ゆえに、一実施形態では、ステップi)は、少なくともアゴメラチン、溶解性フィルム形成剤、ならびに脂肪酸、甘味料、及び香味剤からなる群から選択される1つまたは複数の賦形剤を、溶媒中で組み合わせて、コーティング組成物を得ることからなる。また、ステップi)において、アゴメラチンは、溶解形態、分散形態、結晶形態、特にその多形形態の1つ、アモルファス形態で、水和物、溶媒和物、前述の形態のいずれかのハイブリッド型形態またはそれらの混合物として組み合わされ得る。
ステップiii)において、乾燥は、好ましくは、1回または複数回のサイクルで、室温にて及び/または40~90℃、より好ましくは60~80℃の温度にて行われる。
アゴメラチン含有層を含む粘膜付着性層構造及び対応する経粘膜治療システムは、例えば、当業者に公知のように、一次包装材料のパウチに密封することによって、個々の経粘膜治療システム及びパッケージングを打ち抜くなどのさらなる製造ステップを使用して、上に概説したプロセスを使用して製造することができる。かかるさらなるステップは、好ましくは前の章で説明されているような粘膜付着性層構造または経粘膜治療システムをもたらす。
本発明は、特に、上記のプロセスによって取得可能な(及び/または取得される)アゴメラチン含有層ならびに粘膜付着性層構造及び経粘膜治療システムに関する。
これより、添付の実施例を参照して本発明をより完全に説明する。ただし、以下の説明が例証にすぎず、決して本発明を制限するものと解釈されるべきはないことが理解されるべきである。組成物中の成分の量または面積重量に関して実施例で提供される数値は、製造時の変動のために、わずかに変動し得る。
実施例1A~1F
コーティング組成物
実施例1a~1fのアゴメラチン含有コーティング組成物の製剤を、下の表1.1に要約する。表1.1にも示されるように、製剤は重量パーセントに基づく。
コーティング組成物
実施例1a~1fのアゴメラチン含有コーティング組成物の製剤を、下の表1.1に要約する。表1.1にも示されるように、製剤は重量パーセントに基づく。
第1のコーティング組成物(アゴメラチン含有層)の調製
実施例1a~1fに関しては、第1のビーカーにアゴメラチンを充填した。およそ3分の1のエタノール、ユーカリプトール、メントール、サリチル酸メチル、ノバミントフレッシュペパーミント、コリファーRH 40、FD&C赤色40号、スクラロースを加え、次に撹拌した。ポリビニルピロリドンを撹拌下で加えた。第2のビーカーに蒸留水を充填した。ポリソルベート80を加え、次に混合物を撹拌した。残りのエタノールを撹拌下で加えた。2つのビーカーの内容物を撹拌下で混合して、目に見える結晶性沈殿を伴うわずかに赤色の溶液を得た。
実施例1a~1fに関しては、第1のビーカーにアゴメラチンを充填した。およそ3分の1のエタノール、ユーカリプトール、メントール、サリチル酸メチル、ノバミントフレッシュペパーミント、コリファーRH 40、FD&C赤色40号、スクラロースを加え、次に撹拌した。ポリビニルピロリドンを撹拌下で加えた。第2のビーカーに蒸留水を充填した。ポリソルベート80を加え、次に混合物を撹拌した。残りのエタノールを撹拌下で加えた。2つのビーカーの内容物を撹拌下で混合して、目に見える結晶性沈殿を伴うわずかに赤色の溶液を得た。
第2のコーティング組成物(バッキング層)の調製
実施例1b~1fに関しては、ビーカーにエタノールを入れ、次に撹拌した。エチルセルロース及びヒマシ油を撹拌下で加えて、わずかに不透明な混合物を得た。
実施例1b~1fに関しては、ビーカーにエタノールを入れ、次に撹拌した。エチルセルロース及びヒマシ油を撹拌下で加えて、わずかに不透明な混合物を得た。
結果得られたバッキング組成物を、ポリエステルフィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム、片面シリコン処理、厚さ75μm、これは剥離ライナーとして機能し得る)上にコーティングし、およそ約10分間室温にて及び20分間70℃にて乾燥させた。コーティング厚さは、20.9g/m2(実施例1b、1e及び1f)及び20.8g/m2(実施例1c及び1d)の面積重量をもたらした。
剥離ライナーを除去してから、バッキング層にアゴメラチン含有コーティングに適用した。
第1のコーティング組成物のコーティング
結果得られた実施例1aのアゴメラチン含有第1のコーティング組成物を、ポリエステルフィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム、片面シリコン処理、厚さ75μm、これは剥離ライナーとして機能し得る)上にコーティングし、およそ5分間室温にて及び10分間50℃にて乾燥させた(実施例1a)。実施例1aに関しては、乾燥フィルムが、最終的なアゴメラチン含有粘膜付着性層構造である。
結果得られた実施例1aのアゴメラチン含有第1のコーティング組成物を、ポリエステルフィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム、片面シリコン処理、厚さ75μm、これは剥離ライナーとして機能し得る)上にコーティングし、およそ5分間室温にて及び10分間50℃にて乾燥させた(実施例1a)。実施例1aに関しては、乾燥フィルムが、最終的なアゴメラチン含有粘膜付着性層構造である。
コーティング厚さは、57.9g/m2(実施例1a)の面積重量をもたらした。
結果得られた実施例1b~1fのアゴメラチン含有第1のコーティング組成物を、乾燥したバッキング層の上にコーティングし、それぞれ、およそ5分間室温にて、10分間50℃にて、及び4分間90℃にて(実施例1b及び実施例1f)、およそ5分間室温にて及び10分間50℃にて(実施例1c)、およそ6分間室温にて、12分間50℃にて、及び4分間90℃にて(実施例1d)、ならびにおよそ5分間室温にて、10分間50℃にて、及び2分間90℃にて(実施例1e)乾燥させた。
コーティング厚さは、それぞれ、アゴメラチン含有層に関して、57.9g/m2(実施例1a)、53.9g/m2(実施例1b)、34.9g/m2(実施例1c)、72.1g/m2(実施例1d)、50.5g/m2(実施例1e)、及び53.4g/m2(実施例1f)の面積重量をもたらした。
経粘膜治療システムの調製(すべての実施例に関する)
次に、個々の経粘膜治療システムを、アゴメラチン含有粘膜付着性層構造から打ち抜いた。これは、OTFが、その物理的特性のみに基づいて、粘膜に十分に付着しない場合に、及び/またはアゴメラチン含有層が、無駄を避ける目的で、顕著な角部を有する(正方形または長方形の形状)場合に有利である。次に、経粘膜治療システムを打ち抜き、当該技術分野で慣行されているように、例えば、窒素ガスを流すことによって、保護雰囲気下で、一次包装材料のパウチ内に密封する。
次に、個々の経粘膜治療システムを、アゴメラチン含有粘膜付着性層構造から打ち抜いた。これは、OTFが、その物理的特性のみに基づいて、粘膜に十分に付着しない場合に、及び/またはアゴメラチン含有層が、無駄を避ける目的で、顕著な角部を有する(正方形または長方形の形状)場合に有利である。次に、経粘膜治療システムを打ち抜き、当該技術分野で慣行されているように、例えば、窒素ガスを流すことによって、保護雰囲気下で、一次包装材料のパウチ内に密封する。
粘膜透過速度の測定
実施例1a~1fに従って調製された経粘膜治療システムの透過量及び対応する粘膜透過速度は、ブタ粘膜(食道粘膜)を使用してOECDガイドライン(2004年4月13日採択)に従ったインビトロ実験によって決定した。すべての経粘膜治療システムに関して、ダーマトームを使用して、インタクトなバリア機能を備えた、400μmの厚さの粘膜を調製した。経粘膜治療システムから0.798cm2の面積のダイカットを打ち抜き、粘膜に適用し、経粘膜治療システムを伴う粘膜の上面を人工唾液に浸した(下面は受容媒体と接触しており、上面は1.145cm2の粘膜面積に区画化されている)。37±1℃の温度での受容媒体(リン酸緩衝液pH7.4)におけるアゴメラチン透過量を測定し、対応する粘膜透過速度を計算した。結果は、表1.2及び図1aに示す。
実施例1a~1fに従って調製された経粘膜治療システムの透過量及び対応する粘膜透過速度は、ブタ粘膜(食道粘膜)を使用してOECDガイドライン(2004年4月13日採択)に従ったインビトロ実験によって決定した。すべての経粘膜治療システムに関して、ダーマトームを使用して、インタクトなバリア機能を備えた、400μmの厚さの粘膜を調製した。経粘膜治療システムから0.798cm2の面積のダイカットを打ち抜き、粘膜に適用し、経粘膜治療システムを伴う粘膜の上面を人工唾液に浸した(下面は受容媒体と接触しており、上面は1.145cm2の粘膜面積に区画化されている)。37±1℃の温度での受容媒体(リン酸緩衝液pH7.4)におけるアゴメラチン透過量を測定し、対応する粘膜透過速度を計算した。結果は、表1.2及び図1aに示す。
アゴメラチンの利用率
7時間時点でのアゴメラチンの利用率を、7時間時点での累積透過量及び初期アゴメラチン含有量に基づいて計算した。結果を、表1.3及び図1bに示す。
7時間時点でのアゴメラチンの利用率を、7時間時点での累積透過量及び初期アゴメラチン含有量に基づいて計算した。結果を、表1.3及び図1bに示す。
インビトロ実験は、良好な粘膜透過速度及び良好な利用率を示す。特に、バッキング層を伴わない実施例1aは、バッキング層を伴う実施例と比較した場合、活性物質の放出が有利に速いことを示す。実施例1b~1dは、面積重量が増加すると(ゆえに活性物質の量が増加すると)、透過速度も増加することを示す。同様に、活性物質の濃度を変化させることによって活性物質の量を増加させることもまた、透過速度の増加につながる(実施例1e及び1f)。
実施例2
透過試料の調製
実施例2では、天然唾液における純粋なアゴメラチンの粘膜透過速度を、実施例1a及び3aの経粘膜治療システムに対して決定した。ゆえに、実施例2では、経粘膜治療システムの代わりに、アゴメラチン含有溶液を、300μlの天然唾液中0.877mgのアゴメラチンから調製した。
透過試料の調製
実施例2では、天然唾液における純粋なアゴメラチンの粘膜透過速度を、実施例1a及び3aの経粘膜治療システムに対して決定した。ゆえに、実施例2では、経粘膜治療システムの代わりに、アゴメラチン含有溶液を、300μlの天然唾液中0.877mgのアゴメラチンから調製した。
粘膜透過速度の測定
実施例1a(いくらかの結晶性物質を含有する)、3a(結晶を含まない)ならびに上記のアゴメラチン溶液(実施例2)に従って調製された経粘膜治療システムの透過量及び対応する粘膜透過速度を、ブタ粘膜(食道粘膜)を使用してOECDガイドライン(2004年4月13日採択)に従ったインビトロ実験によって決定した。すべての経粘膜治療システムに関して、ダーマトームを使用して、インタクトなバリア機能を備えた、400μmの厚さの粘膜を調製した。実施例1a及び3aに関しては、経粘膜治療システムから0.798cm2の面積のダイカットを打ち抜き、粘膜に適用した。経粘膜治療システムを伴う粘膜の上面を300μlの天然唾液に浸した(下面は受容媒体と接触しており、上面は1.595cm2の粘膜面積に区画化されている)。実施例2に関しては、経粘膜治療システムを適用して天然唾液を加える代わりに、上記の透過試料を粘膜に直接適用し(これも1.595cm2の面積を有する)、粘膜面積あたりのAPI含有量を、約0.55mg/cm2とした。37±1℃の温度での受容媒体(リン酸緩衝液pH7.4)におけるアゴメラチン透過量を測定し、対応する粘膜透過速度を計算した。結果を、表2.1及び図2aに示す。
実施例1a(いくらかの結晶性物質を含有する)、3a(結晶を含まない)ならびに上記のアゴメラチン溶液(実施例2)に従って調製された経粘膜治療システムの透過量及び対応する粘膜透過速度を、ブタ粘膜(食道粘膜)を使用してOECDガイドライン(2004年4月13日採択)に従ったインビトロ実験によって決定した。すべての経粘膜治療システムに関して、ダーマトームを使用して、インタクトなバリア機能を備えた、400μmの厚さの粘膜を調製した。実施例1a及び3aに関しては、経粘膜治療システムから0.798cm2の面積のダイカットを打ち抜き、粘膜に適用した。経粘膜治療システムを伴う粘膜の上面を300μlの天然唾液に浸した(下面は受容媒体と接触しており、上面は1.595cm2の粘膜面積に区画化されている)。実施例2に関しては、経粘膜治療システムを適用して天然唾液を加える代わりに、上記の透過試料を粘膜に直接適用し(これも1.595cm2の面積を有する)、粘膜面積あたりのAPI含有量を、約0.55mg/cm2とした。37±1℃の温度での受容媒体(リン酸緩衝液pH7.4)におけるアゴメラチン透過量を測定し、対応する粘膜透過速度を計算した。結果を、表2.1及び図2aに示す。
アゴメラチンの利用率
7時間時点でのアゴメラチンの利用率を、7時間時点での累積透過量及び初期アゴメラチン含有量に基づいて計算した。結果を、表2.2及び図2bに示す。
7時間時点でのアゴメラチンの利用率を、7時間時点での累積透過量及び初期アゴメラチン含有量に基づいて計算した。結果を、表2.2及び図2bに示す。
インビトロ実験は、良好な粘膜透過速度及び十分な利用率を示す。
実施例3A~3H
コーティング組成物
実施例3a~3hのアゴメラチン含有コーティング組成物の製剤を、下の表3.1及び3.2に要約する。表3.1及び3.2にも示すように、製剤は重量パーセントに基づく。
コーティング組成物
実施例3a~3hのアゴメラチン含有コーティング組成物の製剤を、下の表3.1及び3.2に要約する。表3.1及び3.2にも示すように、製剤は重量パーセントに基づく。
第1のコーティング組成物(アゴメラチン含有層)の調製
実施例3aに関しては、ビーカーにアゴメラチンを充填した。エタノール、ユーカリプトール、メントール、サリチル酸メチル、ノバミントフレッシュペパーミント、コリファーRH 40、FD&C赤色40号、スクラロース、及びポリソルベート80を加え、次に混合物を撹拌した。ポリビニルピロリドンを撹拌下で加えて、約2.5時間撹拌した後、透明な、赤色の溶液を得た。
実施例3aに関しては、ビーカーにアゴメラチンを充填した。エタノール、ユーカリプトール、メントール、サリチル酸メチル、ノバミントフレッシュペパーミント、コリファーRH 40、FD&C赤色40号、スクラロース、及びポリソルベート80を加え、次に混合物を撹拌した。ポリビニルピロリドンを撹拌下で加えて、約2.5時間撹拌した後、透明な、赤色の溶液を得た。
実施例3b~3hに関しては、同じコーティング組成物をアゴメラチン含有層に使用し、これは以下の通りに調製した:ビーカーにアゴメラチンを充填した。エタノール、メントール、ユーカリプトール、サリチル酸メチル、コリファーRH 40、FD&C赤色40号、スクラロース、及びポリソルベート80を加え、次に混合物を撹拌した。透明な溶液が得られた。ポリビニルピロリドンを加え、一晩撹拌した後、ノバミントフレッシュペパーミントを撹拌下で滴下して加えて、透明な、赤色の溶液を得た。
第2のコーティング組成物(バッキング層)の調製
実施例3cに関しては、ビーカーにエチルセルロースを充填した。エタノールを加え、次に混合物を撹拌した。ヒマシ油を撹拌下で加えて、わずかに不透明な混合物を得た。
実施例3cに関しては、ビーカーにエチルセルロースを充填した。エタノールを加え、次に混合物を撹拌した。ヒマシ油を撹拌下で加えて、わずかに不透明な混合物を得た。
実施例3e~3hに関しては、ビーカーにエタノールを充填した。精製水、及びKollidonを加え、次に混合物を撹拌して、溶液を得た。Eudragit及びグリセロールを撹拌下で加えて、透明な混合物を得た。実施例3f及び3gに関しては、水酸化ナトリウム溶液を加えて、上の表3.2に示されるようなpHをもたらした。
結果得られた実施例3c及び3e~3hの第2のコーティング組成物を、ポリエステルフィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム、片面シリコン処理、厚さ75μm、これは剥離ライナーとして機能し得る)にコーティングし、それぞれ、およそ10分間室温にて及び20分間70℃にて(実施例3c)、ならびにおよそ5分間室温にて、10分間35℃にて、及び2分間80℃にて(実施例3e~3h)乾燥させた。コーティング厚さは、それぞれ、12.3g/m2(実施例3c)、26.8g/m2(実施例3e)、26.0g/m2(実施例3f)、20.5g/m2(実施例3g)及び22.9g/m2(実施例3h)の面積重量をもたらした。実施例3dに関しては、15μm厚さの市販のポリエチレンテレフタレートフィルムを、バッキング層として使用した。
第1のコーティング組成物のコーティング
結果得られた実施例3a及び3bのアゴメラチン含有第1のコーティング組成物を、ポリエステルフィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム、片面シリコン処理、厚さ75μm、これは剥離ライナーとして機能し得る)にコーティングし、それぞれ、およそ15分間室温にて及び5分間70℃にて(実施例3a)、またはおよそ5分間室温にて、10分間50℃にて、及び2分間90℃にて(実施例3b)乾燥させた。実施例3a及び3bに関しては、乾燥フィルムが、最終的なアゴメラチン含有粘膜付着性層構造である。
結果得られた実施例3a及び3bのアゴメラチン含有第1のコーティング組成物を、ポリエステルフィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム、片面シリコン処理、厚さ75μm、これは剥離ライナーとして機能し得る)にコーティングし、それぞれ、およそ15分間室温にて及び5分間70℃にて(実施例3a)、またはおよそ5分間室温にて、10分間50℃にて、及び2分間90℃にて(実施例3b)乾燥させた。実施例3a及び3bに関しては、乾燥フィルムが、最終的なアゴメラチン含有粘膜付着性層構造である。
結果得られた実施例3c及び3e~3hのアゴメラチン含有第1のコーティング組成物を、乾燥したバッキング層の上にコーティングし、およそ5分間室温にて、10分間50℃にて、及び2分間90℃にて(実施例3c及び3e~3h)乾燥させた。
コーティング厚さは、それぞれ、55.4g/m2(実施例3a)及び50.0g/m2(3b、3c及び3e~3h)の面積重量をもたらした。3dのコーティングプロセスは、コーティング組成物が15μm厚さのポリエチレンテレフタレートフィルム上にコーティングされたことを除いて、実施例3b、3c及び3e~3hのプロセスと同じであり、ゆえにバッキング層(ポリエチレンテレフタレートフィルム)を伴う経粘膜治療システムが得られた。
経粘膜治療システムの調製
実施例3b、3c及び3e~3hの経粘膜治療システムは、バッキング層をアゴメラチン含有層に積層することによって調製した。剥離ライナーを除去してから積層した。
実施例3b、3c及び3e~3hの経粘膜治療システムは、バッキング層をアゴメラチン含有層に積層することによって調製した。剥離ライナーを除去してから積層した。
さらなるステップ(例えば、個々のデバイスを打ち抜く)は、実施例1の通りに実施した。
粘膜透過速度の測定
実施例3a~3hに従って調製された経粘膜治療システムの透過量及び対応する粘膜透過速度は、ブタ粘膜(食道粘膜)を使用してOECDガイドライン(2004年4月13日採択)に従ったインビトロ実験によって決定した。すべての経粘膜治療システムに関して、ダーマトームを使用して、インタクトなバリア機能を備えた、400μmの厚さの粘膜を調製した。経粘膜治療システムから0.522cm2の面積のダイカットを打ち抜き、粘膜に適用し、経粘膜治療システムを伴う粘膜の上面を人工唾液に浸した(下面は受容媒体と接触しており、上面は1.145cm2の粘膜面積に区画化されている)。37±1℃の温度での受容媒体(リン酸緩衝液pH7.4)におけるアゴメラチン透過量を測定し、対応する粘膜透過速度を計算した。結果を、表3.3及び3.4ならびに図3a及び3bに示す。
実施例3a~3hに従って調製された経粘膜治療システムの透過量及び対応する粘膜透過速度は、ブタ粘膜(食道粘膜)を使用してOECDガイドライン(2004年4月13日採択)に従ったインビトロ実験によって決定した。すべての経粘膜治療システムに関して、ダーマトームを使用して、インタクトなバリア機能を備えた、400μmの厚さの粘膜を調製した。経粘膜治療システムから0.522cm2の面積のダイカットを打ち抜き、粘膜に適用し、経粘膜治療システムを伴う粘膜の上面を人工唾液に浸した(下面は受容媒体と接触しており、上面は1.145cm2の粘膜面積に区画化されている)。37±1℃の温度での受容媒体(リン酸緩衝液pH7.4)におけるアゴメラチン透過量を測定し、対応する粘膜透過速度を計算した。結果を、表3.3及び3.4ならびに図3a及び3bに示す。
アゴメラチンの利用率
6時間時点でのアゴメラチンの利用率を、6時間時点での累積透過量及び初期アゴメラチン含有量に基づいて計算した。結果を、表3.5及び図3cに示す。
6時間時点でのアゴメラチンの利用率を、6時間時点での累積透過量及び初期アゴメラチン含有量に基づいて計算した。結果を、表3.5及び図3cに示す。
インビトロ実験は、良好な粘膜透過速度及び良好な利用率を示す。
実施例4A~4F
コーティング組成物
実施例4a~4fのアゴメラチン含有コーティング組成物の製剤を、下の表4.1及び4.2に要約する。表4.1及び4.2にも示すように、製剤は重量パーセントに基づく。
コーティング組成物
実施例4a~4fのアゴメラチン含有コーティング組成物の製剤を、下の表4.1及び4.2に要約する。表4.1及び4.2にも示すように、製剤は重量パーセントに基づく。
第1のコーティング組成物(アゴメラチン含有層)の調製
実施例4aに関しては、ビーカーにアゴメラチンを充填した。エタノール、メントール、ユーカリプトール、サリチル酸メチル、コリファーRH 49、FD&C赤色40号、スクラロース、及びポリソルベート80を加え、次に混合物を撹拌した。ポリビニルピロリドン及びノバミントフレッシュペパーミントを撹拌下で加えて、ビスコース混合物を得た。
実施例4aに関しては、ビーカーにアゴメラチンを充填した。エタノール、メントール、ユーカリプトール、サリチル酸メチル、コリファーRH 49、FD&C赤色40号、スクラロース、及びポリソルベート80を加え、次に混合物を撹拌した。ポリビニルピロリドン及びノバミントフレッシュペパーミントを撹拌下で加えて、ビスコース混合物を得た。
実施例4bに関しては、ビーカーにエタノールを充填した。ユーカリプトール、メントール、サリチル酸メチル、コリファーRH 49、FD&C赤色40号、スクラロース、及びポリソルベート80を加え、次に混合物を撹拌した。ヒドロキシプロピルセルロース、ノバミントフレッシュペパーミント、及びアゴメラチンを撹拌下で加えて、ビスコース混合物を得た。
実施例4cに関しては、ビーカーにエタノールを充填した。ユーカリプトール、メントール、サリチル酸メチル、ノバミントフレッシュペパーミント、コリファーRH 49、FD&C赤色40号、スクラロース、及びポリソルベート80を加え、次に混合物を撹拌した。Soluplus、ミグリオール812、及びアゴメラチンを撹拌下で加えて、低粘度の混合物を得た。
実施例4d、4e、及び4fに関しては、ビーカーにアゴメラチンを充填した。エタノール、ユーカリプトール、メントール、サリチル酸メチル、ノバミントフレッシュペパーミント、コリファーRH 49、FD&C赤色40号、スクラロース、及びポリソルベート80を加え、次に混合物を撹拌した。ポリビニルピロリドンを撹拌下で加えて、ビスコース混合物を得た。
第2のコーティング組成物(バッキング層)の調製
実施例4e及び4fに関しては、ビーカーにエタノールを充填した。精製水及びFD&C青色1号を加え、次に混合物を撹拌した。Kollidon、Eudragit、及びグリセロールを撹拌下で加えて、混合物を得た。
実施例4e及び4fに関しては、ビーカーにエタノールを充填した。精製水及びFD&C青色1号を加え、次に混合物を撹拌した。Kollidon、Eudragit、及びグリセロールを撹拌下で加えて、混合物を得た。
結果得られた実施例4e及び4fの第2のコーティング組成物を、ポリエステルフィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム、片面シリコン処理、厚さ75μm、これは剥離ライナーとして機能し得る)上にコーティングし、およそ5分間室温にて、10分間35℃にて、及び2分間80℃にて乾燥させた。コーティング厚さは、47.4g/m2の面積重量をもたらした。
付着性組成物の調製
実施例4eに関しては、ビーカーにエタノールを充填した。精製水及びメントールを加え、次に混合物を撹拌した。ヒドロキシエチルセルロース、ヒマシ油、及びポリソルベート80を撹拌下で加えて、不透明な混合物を得た。
実施例4eに関しては、ビーカーにエタノールを充填した。精製水及びメントールを加え、次に混合物を撹拌した。ヒドロキシエチルセルロース、ヒマシ油、及びポリソルベート80を撹拌下で加えて、不透明な混合物を得た。
実施例4fに関しては、ビーカーにエタノールを充填した。メントールを加え、次に混合物を撹拌した。ヒドロキシプロピルセルロース及びヒマシ油を撹拌下で加えて、ビスコース混合物を得た。
結果得られた実施例4e及び4fの付着性組成物を、上のバッキング層の上にコーティングし、およそ5分間室温にて、10分間50℃にて、及び2分間90℃にて乾燥させた。コーティング厚さは、それぞれ、25.2g/m2(実施例4e)及び23.5g/m2(実施例4f)の面積重量をもたらした。付着性バッキング層から1.1cm2のサイズのダイカットを打ち抜いた。
第1のコーティング組成物のコーティング
結果得られた実施例4a~4fのアゴメラチン含有コーティング組成物を、ポリエステルフィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム、片面シリコン処理、厚さ75μm、これは剥離ライナーとして機能し得る)にコーティングし、それぞれ、およそ5分間室温にて、10分間50℃にて、及び2分間90℃にて(実施例4a~4c)ならびにおよそ5分間室温にて、15分間50℃にて、及び2分間90℃にて(実施例4d~4f)乾燥させた。コーティング厚さは、それぞれ、49.5g/m2(実施例4a)、48.6g/m2(実施例4b)、58.5g/m2(実施例4c)、及び115.4g/m2(実施例4d、実施例4e、及び実施例4f)の面積重量をもたらした。
結果得られた実施例4a~4fのアゴメラチン含有コーティング組成物を、ポリエステルフィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム、片面シリコン処理、厚さ75μm、これは剥離ライナーとして機能し得る)にコーティングし、それぞれ、およそ5分間室温にて、10分間50℃にて、及び2分間90℃にて(実施例4a~4c)ならびにおよそ5分間室温にて、15分間50℃にて、及び2分間90℃にて(実施例4d~4f)乾燥させた。コーティング厚さは、それぞれ、49.5g/m2(実施例4a)、48.6g/m2(実施例4b)、58.5g/m2(実施例4c)、及び115.4g/m2(実施例4d、実施例4e、及び実施例4f)の面積重量をもたらした。
実施例4a~4dに関しては、乾燥フィルムが、最終的なアゴメラチン含有粘膜付着性層構造である。実施例4e及び4fに関しては、乾燥フィルムから0.28cm2のサイズのダイカットを打ち抜き、バッキング層がアゴメラチン含有層のすべての側面に均一に延るように、付着性バッキング層の上記のダイカットと積層させて、アゴメラチン含有粘膜付着性層構造を得た。
経粘膜治療システムの調製
実施例1を参照されたい。
実施例1を参照されたい。
粘膜透過速度の測定
実施例4a~4eに従って調製された経粘膜治療システムの透過量及び対応する粘膜透過速度は、ブタ粘膜(食道粘膜)を使用してOECDガイドライン(2004年4月13日採択)に従ったインビトロ実験によって決定した。すべての経粘膜治療システムに関して、ダーマトームを使用して、インタクトなバリア機能を備えた、400μmの厚さの粘膜を調製した。実施例4a~4dの経粘膜治療システムから打ち抜かれた、0.522cm2の面積のダイカット、ならびに実施例4e及び4fの上記のアゴメラチン含有粘膜付着性層構造を、粘膜に適用し、経粘膜治療システムを伴う粘膜の上面を人工唾液に浸した(下面は受容媒体と接触しており、上面は1.145cm2の粘膜面積に区画化されている)。37±1℃の温度での受容媒体(リン酸緩衝液pH7.4)におけるアゴメラチン透過量を測定し、対応する粘膜透過速度を計算した。結果を、表4.3及び図4aに示す。
実施例4a~4eに従って調製された経粘膜治療システムの透過量及び対応する粘膜透過速度は、ブタ粘膜(食道粘膜)を使用してOECDガイドライン(2004年4月13日採択)に従ったインビトロ実験によって決定した。すべての経粘膜治療システムに関して、ダーマトームを使用して、インタクトなバリア機能を備えた、400μmの厚さの粘膜を調製した。実施例4a~4dの経粘膜治療システムから打ち抜かれた、0.522cm2の面積のダイカット、ならびに実施例4e及び4fの上記のアゴメラチン含有粘膜付着性層構造を、粘膜に適用し、経粘膜治療システムを伴う粘膜の上面を人工唾液に浸した(下面は受容媒体と接触しており、上面は1.145cm2の粘膜面積に区画化されている)。37±1℃の温度での受容媒体(リン酸緩衝液pH7.4)におけるアゴメラチン透過量を測定し、対応する粘膜透過速度を計算した。結果を、表4.3及び図4aに示す。
アゴメラチンの利用率
6時間時点でのアゴメラチンの利用率を、6時間時点での累積透過量及び初期アゴメラチン含有量に基づいて計算した。結果を、表4.4及び図4bに示す。
6時間時点でのアゴメラチンの利用率を、6時間時点での累積透過量及び初期アゴメラチン含有量に基づいて計算した。結果を、表4.4及び図4bに示す。
インビトロ実験は、良好な粘膜透過速度及び十分な利用率を示す。特に、粘膜透過は、バッキング層を備えた同じ製剤と比較して驚くほど高い(実施例4e及び4fと比較した実施例4d)。また、ヒドロキシプロピルセルロースがポリビニルピロリドンと同様の性能を有することも示し(実施例4a及び4bを参照されたい)、これはバッキング層を備えたシステムよりもなお良好であり、これは活性物質含有量が2倍を超える(実施例4a及び4b対4e及び4f)。
実施例5A~5D
コーティング組成物
実施例4b及び5a~5dのアゴメラチン含有コーティング組成物の製剤を、上の表4.1及び下の表5.1に要約する。表4.1及び5.1にも示されるように、製剤は重量パーセントに基づく。
コーティング組成物
実施例4b及び5a~5dのアゴメラチン含有コーティング組成物の製剤を、上の表4.1及び下の表5.1に要約する。表4.1及び5.1にも示されるように、製剤は重量パーセントに基づく。
第1のコーティング組成物(アゴメラチン含有層)の調製
実施例5a及び5bに関しては、ビーカーにアゴメラチンを充填した。バニラフレーバー、エタノール、スクラロース、サッカリンNa、オレイン酸、FD&C黄色5号、ヒドロキシプロピルセルロースを加え、次に混合物を撹拌して、透明な混合物を得た。
実施例5a及び5bに関しては、ビーカーにアゴメラチンを充填した。バニラフレーバー、エタノール、スクラロース、サッカリンNa、オレイン酸、FD&C黄色5号、ヒドロキシプロピルセルロースを加え、次に混合物を撹拌して、透明な混合物を得た。
実施例5cに関しては、ビーカーにアゴメラチンを充填した。ポリビニルアルコールを加え、混合物を撹拌して、白色の混合物を得た。
第2のコーティング組成物(バッキング層)の調製
実施例5b及び5cに関しては、それぞれ、ビーカーに精製水またはエタノールを充填した。FD&C赤色40号及びヒドロキシプロピルセルロースを撹拌下で加えて、不透明な混合物を得た。
実施例5b及び5cに関しては、それぞれ、ビーカーに精製水またはエタノールを充填した。FD&C赤色40号及びヒドロキシプロピルセルロースを撹拌下で加えて、不透明な混合物を得た。
実施例5dに関しては、ビーカーにエタノールを充填した。精製水及びFD&C青色1号を加え、次に混合物を撹拌した。Kollidon、Eudragit、及びグリセロールを撹拌下で加えて、混合物を得た。
結果得られた実施例5b、5c及び5dの第2のコーティング組成物を、ポリエステルフィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム、片面シリコン処理、厚さ75μm、これは剥離ライナーとして機能し得る)にコーティングし、それぞれ、およそ15分間40℃にて及び15分間70℃にて(実施例5b)ならびにおよそ10分間室温にて、15分間40℃にて、及び10分間70℃にて(実施例5c)ならびにおよそ5分間室温にて、10分間35℃にて、及び2分間80℃にて(実施例5d)乾燥させた。コーティング厚さは、それぞれ、105.1g/m2(実施例5b)、99.6g/m2(実施例5c)及び78.3g/m2(実施例5d)の面積重量をもたらした。実施例5cに関しては、乾燥バッキング層から0.8cm2のサイズのダイカットを打ち抜いた。
付着性組成物の調製
実施例5dに関しては、ビーカーにエタノールを充填した。精製水及びメタノールを加え、次に混合物を撹拌した。ヒドロキシエチルセルロース、ヒマシ油、及びポリソルベート80を撹拌下で加えて、均一な混合物を得た。
実施例5dに関しては、ビーカーにエタノールを充填した。精製水及びメタノールを加え、次に混合物を撹拌した。ヒドロキシエチルセルロース、ヒマシ油、及びポリソルベート80を撹拌下で加えて、均一な混合物を得た。
結果得られた実施例5dの付着性組成物を、上のバッキング層の上にコーティングし、およそ5分間室温にて、10分間50℃にて、及び2分間90℃にて乾燥させた。コーティング厚さは、95.6g/m2(実施例5d)の面積重量をもたらした。
付着性バッキング層から0.8cm2のサイズのダイカットを打ち抜いた。
第1のコーティング組成物のコーティング
結果得られた実施例5a、5c及び5dのアゴメラチン含有コーティング組成物を、ポリエステルフィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム、片面シリコン処理、厚さ75μm、これは剥離ライナーとして機能し得る)にコーティングし、それぞれ、およそ10分間室温にて、15分間40℃にて、及び10分間70℃にて(実施例5a)ならびに5分間70℃にて(実施例5c)、ならびにおよそ5分間室温にて、15分間50℃にて、及び2分間90℃にて(実施例5d)乾燥させた。実施例5aに関しては、乾燥フィルムが、最終的なアゴメラチン含有粘膜付着性層構造である。実施例5c及び5dに関しては、乾燥フィルムから0.28cm2のサイズのダイカットを打ち抜き、バッキング層がアゴメラチン含有層のすべての側面に均一に延るように、バッキング層のまたは付着性バッキング層の上記のダイカットと積層させて、アゴメラチン含有粘膜付着性層構造を得た。
結果得られた実施例5a、5c及び5dのアゴメラチン含有コーティング組成物を、ポリエステルフィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム、片面シリコン処理、厚さ75μm、これは剥離ライナーとして機能し得る)にコーティングし、それぞれ、およそ10分間室温にて、15分間40℃にて、及び10分間70℃にて(実施例5a)ならびに5分間70℃にて(実施例5c)、ならびにおよそ5分間室温にて、15分間50℃にて、及び2分間90℃にて(実施例5d)乾燥させた。実施例5aに関しては、乾燥フィルムが、最終的なアゴメラチン含有粘膜付着性層構造である。実施例5c及び5dに関しては、乾燥フィルムから0.28cm2のサイズのダイカットを打ち抜き、バッキング層がアゴメラチン含有層のすべての側面に均一に延るように、バッキング層のまたは付着性バッキング層の上記のダイカットと積層させて、アゴメラチン含有粘膜付着性層構造を得た。
結果得られた実施例5bのアゴメラチン含有第1のコーティング組成物を、乾燥したバッキング層の上にコーティングし、およそ10分間室温にて、15分間40℃にて、及び10分間70℃にて乾燥させた。
コーティング厚さは、それぞれ、95.7g/m2(実施例5a)、95.9g/m2(実施例5b)、82.9g/m2(実施例5c)、及び115.4g/m2(実施例5d)の面積重量をもたらした。
経粘膜治療システムの調製
実施例1を参照されたい。
実施例1を参照されたい。
粘膜透過速度の測定
実施例4bならびに5a~5dに従って調製した経粘膜治療システムの透過量及び対応する粘膜透過速度を、ブタ粘膜(食道粘膜)を使用してOECDガイドライン(2004年4月13日採択)に従ったインビトロ実験によって決定した。すべての経粘膜治療システムに関して、ダーマトームを使用して、インタクトなバリア機能を備えた、400μmの厚さの粘膜を調製した。経粘膜治療システムから打ち抜かれた、0.28cm2(実施例4b)及び0.8cm2(実施例5a及び5b)の面積のダイカット、ならびに実施例5c及び5dの上記のアゴメラチン含有粘膜付着性層構造を、粘膜に適用し、経粘膜治療システムを伴う粘膜の上面を人工唾液に浸した(下面は受容媒体と接触しており、上面は1.145cm2の粘膜面積に区画化されている)。37±1℃の温度での受容媒体(リン酸緩衝液pH7.4)におけるアゴメラチン透過量を測定し、対応する粘膜透過速度を計算した。結果を、表5.2及び図5aに示す。
実施例4bならびに5a~5dに従って調製した経粘膜治療システムの透過量及び対応する粘膜透過速度を、ブタ粘膜(食道粘膜)を使用してOECDガイドライン(2004年4月13日採択)に従ったインビトロ実験によって決定した。すべての経粘膜治療システムに関して、ダーマトームを使用して、インタクトなバリア機能を備えた、400μmの厚さの粘膜を調製した。経粘膜治療システムから打ち抜かれた、0.28cm2(実施例4b)及び0.8cm2(実施例5a及び5b)の面積のダイカット、ならびに実施例5c及び5dの上記のアゴメラチン含有粘膜付着性層構造を、粘膜に適用し、経粘膜治療システムを伴う粘膜の上面を人工唾液に浸した(下面は受容媒体と接触しており、上面は1.145cm2の粘膜面積に区画化されている)。37±1℃の温度での受容媒体(リン酸緩衝液pH7.4)におけるアゴメラチン透過量を測定し、対応する粘膜透過速度を計算した。結果を、表5.2及び図5aに示す。
アゴメラチンの利用率
6時間時点でのアゴメラチンの利用率を、8時間時点での累積透過量及び初期アゴメラチン含有量に基づいて計算した。結果を、表5.3及び図5bに示す。
6時間時点でのアゴメラチンの利用率を、8時間時点での累積透過量及び初期アゴメラチン含有量に基づいて計算した。結果を、表5.3及び図5bに示す。
インビトロ実験は、良好な粘膜透過速度及び十分な利用率を示す。すべての製剤は良好な透過挙動を示すが、実施例4b(放出面積0.28cm2、粘膜面積1.145cm2)を、実施例5a及び5b(放出面積0.8cm2、粘膜面積1.145 cm2)の比較により、開放系での透過に利用可能な総粘膜面積の重要な役割が実証される。
実施例6A~6D
コーティング組成物
実施例6a~6dのアゴメラチン含有コーティング組成物の製剤を、下の表6.1に要約する。表6.1にも示されるように、製剤は重量パーセントに基づく。
コーティング組成物
実施例6a~6dのアゴメラチン含有コーティング組成物の製剤を、下の表6.1に要約する。表6.1にも示されるように、製剤は重量パーセントに基づく。
コーティング組成物の調製
実施例6a~6cに関しては、ビーカーにアゴメラチンを充填した。バニラフレーバー、エタノール、スクラロース、サッカリンNa、及びオレイン酸(実施例6b及び6c)を加え、次に混合物を撹拌した。ヒドロキシプロピルセルロースを撹拌下で加えて、透明な溶液を得た。
実施例6a~6cに関しては、ビーカーにアゴメラチンを充填した。バニラフレーバー、エタノール、スクラロース、サッカリンNa、及びオレイン酸(実施例6b及び6c)を加え、次に混合物を撹拌した。ヒドロキシプロピルセルロースを撹拌下で加えて、透明な溶液を得た。
実施例6dに関しては、ビーカーにアゴメラチンを充填した。バニラフレーバー、エタノール、スクラロース、サッカリンNa、及びオレイン酸を加え、次に混合物を撹拌した。二酸化チタン及びヒドロキシプロピルセルロースを撹拌下で加えて、白色の混合物を得た。
コーティング組成物のコーティング
結果得られた実施例6a~6dのアゴメラチン含有コーティング組成物を、ポリエステルフィルム(片面シリコン処理、厚さ75μm、これは剥離ライナーとして機能し得る)上にコーティングし、およそ10分間室温にて、15分間40℃にて、及び10分間70℃にて乾燥させた。コーティング厚さは、それぞれ、93.8/m2(実施例6a)、93.6g/m2(実施例6b)、94.3g/m2(実施例6c)、及び98.3g/m2(実施例6d)の面積重量をもたらした。乾燥フィルムは、追加のバッキング層とさらに積層されておらず、それゆえ、最終的なアゴメラチン含有粘膜付着性層構造である。
結果得られた実施例6a~6dのアゴメラチン含有コーティング組成物を、ポリエステルフィルム(片面シリコン処理、厚さ75μm、これは剥離ライナーとして機能し得る)上にコーティングし、およそ10分間室温にて、15分間40℃にて、及び10分間70℃にて乾燥させた。コーティング厚さは、それぞれ、93.8/m2(実施例6a)、93.6g/m2(実施例6b)、94.3g/m2(実施例6c)、及び98.3g/m2(実施例6d)の面積重量をもたらした。乾燥フィルムは、追加のバッキング層とさらに積層されておらず、それゆえ、最終的なアゴメラチン含有粘膜付着性層構造である。
経粘膜治療システムの調製
実施例1を参照されたい。
実施例1を参照されたい。
粘膜透過速度の測定
実施例6a~6dに従って調製された経粘膜治療システムの透過量及び対応する粘膜透過速度は、ブタ粘膜(食道粘膜)を使用してOECDガイドライン(2004年4月13日採択)に従ったインビトロ実験によって決定した。すべての経粘膜治療システムに関して、ダーマトームを使用して、インタクトなバリア機能を備えた、400μmの厚さの粘膜を調製した。経粘膜治療システムから0.524cm2の面積のダイカットを打ち抜き、粘膜に適用し、経粘膜治療システムを伴う粘膜の上面を人工唾液に浸した(下面は受容媒体と接触しており、上面は1.145cm2の粘膜面積に区画化されている)。37±1℃の温度での受容媒体(リン酸緩衝液pH7.4)におけるアゴメラチン透過量を測定し、対応する粘膜透過速度を計算した。結果を、表6.2及び図6aに示す。
実施例6a~6dに従って調製された経粘膜治療システムの透過量及び対応する粘膜透過速度は、ブタ粘膜(食道粘膜)を使用してOECDガイドライン(2004年4月13日採択)に従ったインビトロ実験によって決定した。すべての経粘膜治療システムに関して、ダーマトームを使用して、インタクトなバリア機能を備えた、400μmの厚さの粘膜を調製した。経粘膜治療システムから0.524cm2の面積のダイカットを打ち抜き、粘膜に適用し、経粘膜治療システムを伴う粘膜の上面を人工唾液に浸した(下面は受容媒体と接触しており、上面は1.145cm2の粘膜面積に区画化されている)。37±1℃の温度での受容媒体(リン酸緩衝液pH7.4)におけるアゴメラチン透過量を測定し、対応する粘膜透過速度を計算した。結果を、表6.2及び図6aに示す。
アゴメラチンの利用率
6時間時点でのアゴメラチンの利用率を、6時間時点での累積透過量及び初期アゴメラチン含有量に基づいて計算した。結果を、表6.3及び図6bに示す。
6時間時点でのアゴメラチンの利用率を、6時間時点での累積透過量及び初期アゴメラチン含有量に基づいて計算した。結果を、表6.3及び図6bに示す。
インビトロ実験は、良好な粘膜透過速度及び十分な利用率を示す。これらの実施例は、アゴメラチン濃度が低くても十分な透過挙動を得ることができること、及びヒドロキシプロピルセルロースの性能が、ポリビニルピロリドンの性能に匹敵することを示す。また、ある特定量の脂肪酸も透過速度を増加させるように見えることを示す(実施例6a及び6cと比較して実施例6bを参照されたい)。
実施例7A~7G
コーティング組成物
実施例4b及び6b~6dのアゴメラチン含有コーティング組成物の製剤を、上の表4.1及び6.1に要約する。実施例7a~7gのアゴメラチン含有コーティング組成物の製剤を、下の表7.1及び7.2に要約する。これらの表にも示されるように、製剤は重量パーセントに基づく。
コーティング組成物
実施例4b及び6b~6dのアゴメラチン含有コーティング組成物の製剤を、上の表4.1及び6.1に要約する。実施例7a~7gのアゴメラチン含有コーティング組成物の製剤を、下の表7.1及び7.2に要約する。これらの表にも示されるように、製剤は重量パーセントに基づく。
第1のコーティング組成物(アゴメラチン含有層)の調製
実施例7gの第1のコーティング組成物は、実施例4bのそれと同様に調製した。
実施例7gの第1のコーティング組成物は、実施例4bのそれと同様に調製した。
実施例7a~7cに関しては、ビーカーにアゴメラチンを充填した。エタノールを加え、次に混合物を撹拌した。それぞれ、ポビドンK90及びポビドンK30(実施例7a)、ヒドロキシプロピルセルロース(実施例7b)、及びポビドンK90(実施例7c)を撹拌下で加えて、ビスコース混合物を得た。
実施例7dに関しては、ビーカーにアゴメラチンを充填した。ポリビニルアルコールを加え、混合物を撹拌して、白色の混合物を得た。
実施例7eに関しては、ビーカーにポリビニルアルコールを充填した。精製水を加え、次に混合物を撹拌し、95℃に加熱した。バニラフレーバー、スクラロース、サッカリンNa、オレイン酸、及びアゴメラチンを撹拌下で加えて、ビスコース混合物を得た。
実施例7fに関しては、ビーカーにアゴメラチンを充填した。エタノール、バニラフレーバー、スクラロース、サッカリンNa、オレイン酸、及びFD&C黄色5号を加え、次に混合物を撹拌した。ヒドロキシプロピルセルロースを撹拌下で加えて、ビスコース混合物を得た。
第1のコーティング組成物のコーティング
結果得られた実施例7a~7fのアゴメラチン含有コーティング組成物を、ポリエステルフィルム(片面シリコン処理、厚さ75μm、これは剥離ライナーとして機能し得る)上にコーティングし、およそ10分間室温にて、15分間40℃にて、及び10分間70℃にて(実施例7a~7c及び7f)ならびに5分間70℃にて(実施例7d)ならびに15分間70℃にて(実施例7e)乾燥させた。コーティング厚さは、104.4/m2(実施例7a)、103.2g/m2(実施例7b)、100.7g/m2(実施例7c)、82.9g/m2(実施例7d)、98.4g/m2(実施例7e)、及び95.7g/m2(実施例7f)の面積重量をもたらした。
結果得られた実施例7a~7fのアゴメラチン含有コーティング組成物を、ポリエステルフィルム(片面シリコン処理、厚さ75μm、これは剥離ライナーとして機能し得る)上にコーティングし、およそ10分間室温にて、15分間40℃にて、及び10分間70℃にて(実施例7a~7c及び7f)ならびに5分間70℃にて(実施例7d)ならびに15分間70℃にて(実施例7e)乾燥させた。コーティング厚さは、104.4/m2(実施例7a)、103.2g/m2(実施例7b)、100.7g/m2(実施例7c)、82.9g/m2(実施例7d)、98.4g/m2(実施例7e)、及び95.7g/m2(実施例7f)の面積重量をもたらした。
結果得られた実施例7gのアゴメラチン含有コーティング組成物を、ポリエステルフィルム(片面シリコン処理、厚さ75μm、これは剥離ライナーとして機能し得る)上にコーティングし、およそ5分間室温にて、15分間50℃にて、及び2分間90℃にて乾燥させた。コーティング厚さは、115.4g/m2の面積重量をもたらした。
乾燥したアゴメラチン含有層から0.28cm2のサイズのダイカットを打ち抜いた。
第2のコーティング組成物(バッキング層)の調製
実施例7a~7d及び7g(同じバッキング層)に関して、ならびに実施例7e及び7f(同じバッキング層)に関しては、ビーカーにバニラフレーバーを充填した。スクラロース、サッカリン、オレイン酸、エタノール、精製水、FD&C赤色、ならびにポリエチレングリコール(実施例7a~7d及び7g)及びグリセロール(実施例7e及び7f)をそれぞれ加え、次に混合物を撹拌した。Kollidon及びEudragitを撹拌下で加えて、透明な溶液を得た。
実施例7a~7d及び7g(同じバッキング層)に関して、ならびに実施例7e及び7f(同じバッキング層)に関しては、ビーカーにバニラフレーバーを充填した。スクラロース、サッカリン、オレイン酸、エタノール、精製水、FD&C赤色、ならびにポリエチレングリコール(実施例7a~7d及び7g)及びグリセロール(実施例7e及び7f)をそれぞれ加え、次に混合物を撹拌した。Kollidon及びEudragitを撹拌下で加えて、透明な溶液を得た。
結果得られた第2のコーティング組成物を、ポリエステルフィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム、片面シリコン処理、厚さ75μm、これは剥離ライナーとして機能し得る)上にコーティングし、およそ10分間室温にて、15分間40℃にて、及び5分間70℃にて乾燥させた。コーティング厚さは、それぞれ、92.2g/m2(7a~7d及び7g)及び81.2g/m2(実施例7e及び7f)の面積重量をもたらした。
乾燥したバッキング層から0.8cm2のサイズのダイカットを打ち抜いた。
経粘膜治療システムの調製
実施例7a~7d及び7gに関しては、アゴメラチン含有層のダイカットを、バッキング層がアゴメラチン含有層のすべての側面に均一に延るように、少量の23.5%エタノール性PVP90溶液を使用してそれぞれのバッキング層のダイカットに接着して、次に積層して、アゴメラチン含有粘膜付着性層構造を得た。実施例7e及び7fに関しては、またバッキング層がアゴメラチン含有層のすべての側面に均一に延るように、乾燥フィルムをそれぞれのバッキング層と積層して、アゴメラチン含有粘膜付着性層構造を得た。
実施例7a~7d及び7gに関しては、アゴメラチン含有層のダイカットを、バッキング層がアゴメラチン含有層のすべての側面に均一に延るように、少量の23.5%エタノール性PVP90溶液を使用してそれぞれのバッキング層のダイカットに接着して、次に積層して、アゴメラチン含有粘膜付着性層構造を得た。実施例7e及び7fに関しては、またバッキング層がアゴメラチン含有層のすべての側面に均一に延るように、乾燥フィルムをそれぞれのバッキング層と積層して、アゴメラチン含有粘膜付着性層構造を得た。
さらなるステップ(例えば、個々のデバイスを打ち抜く)は、実施例1の通りに実施した。
粘膜透過速度の測定
実施例4b、6b~6d、及び7a~7gに従って調製された経粘膜治療システムの透過量及び対応する粘膜透過速度は、ブタ粘膜(食道粘膜)を使用してOECDガイドライン(2004年4月13日採択)に従ったインビトロ実験によって決定した。すべての経粘膜治療システムに関して、ダーマトームを使用して、インタクトなバリア機能を備えた、400μmの厚さの粘膜を調製した。上記のアゴメラチン含有粘膜付着性層構造を粘膜に適用し、経粘膜治療システムを伴う粘膜の上面を人工唾液に浸した(下面は受容媒体と接触しており、上面は1.145cm2の粘膜面積に区画化されている)。37±1℃の温度での受容媒体(リン酸緩衝液pH7.4)におけるアゴメラチン透過量を測定し、対応する粘膜透過速度を計算した。結果を、表7.3及び7.4ならびに図7a及び7bに示す。
実施例4b、6b~6d、及び7a~7gに従って調製された経粘膜治療システムの透過量及び対応する粘膜透過速度は、ブタ粘膜(食道粘膜)を使用してOECDガイドライン(2004年4月13日採択)に従ったインビトロ実験によって決定した。すべての経粘膜治療システムに関して、ダーマトームを使用して、インタクトなバリア機能を備えた、400μmの厚さの粘膜を調製した。上記のアゴメラチン含有粘膜付着性層構造を粘膜に適用し、経粘膜治療システムを伴う粘膜の上面を人工唾液に浸した(下面は受容媒体と接触しており、上面は1.145cm2の粘膜面積に区画化されている)。37±1℃の温度での受容媒体(リン酸緩衝液pH7.4)におけるアゴメラチン透過量を測定し、対応する粘膜透過速度を計算した。結果を、表7.3及び7.4ならびに図7a及び7bに示す。
アゴメラチンの利用率
4時間時点でのアゴメラチンの利用率を、4時間時点での累積透過量及び初期アゴメラチン含有量に基づいて計算した。結果を、表7.5及び図7cに示す。
4時間時点でのアゴメラチンの利用率を、4時間時点での累積透過量及び初期アゴメラチン含有量に基づいて計算した。結果を、表7.5及び図7cに示す。
インビトロ実験は、良好な粘膜透過速度及び十分な利用率を示す。これらの実施例は、アゴメラチン濃度が低くても十分な透過挙動を得ることができること、及びヒドロキシプロピルセルロース及びポリビニルアルコールの性能が、ポリビニルピロリドンの性能に匹敵することを示す(実施例7b、7c及び7dを参照されたい)。
実施例8A~8C
コーティング組成物
実施例4b、8a、及び8bのアゴメラチン含有コーティング組成物の製剤を、上の表4.1及び下の8.1に要約する。表4.1及び8.1にも示されるように、製剤は重量パーセントに基づく。
コーティング組成物
実施例4b、8a、及び8bのアゴメラチン含有コーティング組成物の製剤を、上の表4.1及び下の8.1に要約する。表4.1及び8.1にも示されるように、製剤は重量パーセントに基づく。
第1のコーティング組成物(アゴメラチン含有層)の調製
実施例8a~8cに関しては、ビーカーにアゴメラチンを充填した。エタノール、ユーカリプトール、メントール、サリチル酸メチル、ノバミントフレッシュペパーミント、コリファーRH 40、スクラロース、FD&C赤色40号、及びポリソルベート80を加え、次に混合物を撹拌した。ポビドンを撹拌下で加えて、ビスコース混合物を得た。
実施例8a~8cに関しては、ビーカーにアゴメラチンを充填した。エタノール、ユーカリプトール、メントール、サリチル酸メチル、ノバミントフレッシュペパーミント、コリファーRH 40、スクラロース、FD&C赤色40号、及びポリソルベート80を加え、次に混合物を撹拌した。ポビドンを撹拌下で加えて、ビスコース混合物を得た。
第1のコーティング組成物のコーティング
結果得られた実施例8a~8cのアゴメラチン含有コーティング組成物を、ポリエステルフィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム、片面シリコン処理、厚さ75μm、これは剥離ライナーとして機能し得る)上にコーティングし、およそ10分間室温にて、15分間50℃にて、及び2分間90℃にて乾燥させた。コーティング厚さは、109.7g/m2の面積重量をもたらした。
結果得られた実施例8a~8cのアゴメラチン含有コーティング組成物を、ポリエステルフィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム、片面シリコン処理、厚さ75μm、これは剥離ライナーとして機能し得る)上にコーティングし、およそ10分間室温にて、15分間50℃にて、及び2分間90℃にて乾燥させた。コーティング厚さは、109.7g/m2の面積重量をもたらした。
実施例8aに関しては、乾燥フィルムが、最終的なアゴメラチン含有粘膜付着性層構造である。実施例8b及び8cに関しては、乾燥したアゴメラチン含有層から1.6cm2のサイズのダイカットを打ち抜いた。
第2のコーティング組成物(バッキング層)の調製
実施例8bに関しては、ビーカーにエタノールを充填した。FD&C緑色3号を加え、次に混合物を撹拌した。エチルセルロースN50F、ヒマシ油、及びグリセロールを撹拌下で加えて、混合物を得た。
実施例8bに関しては、ビーカーにエタノールを充填した。FD&C緑色3号を加え、次に混合物を撹拌した。エチルセルロースN50F、ヒマシ油、及びグリセロールを撹拌下で加えて、混合物を得た。
実施例8cの第2のコーティング組成物は、上の実施例5dと同様に調製した。
結果得られた第2のコーティング組成物を、ポリエステルフィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム、片面シリコン処理、厚さ75μm、これは剥離ライナーとして機能し得る)上にコーティングし、およそ10分間室温にて及び20分間70℃にて(実施例8b)ならびにおよそ5分間室温にて、10分間35℃にて、及び2分間80℃にて乾燥させた。コーティング厚さは、それぞれ、19.2g/m2(実施例8b)及び78.3g/m2(実施例8c)の面積重量をもたらした。
付着性組成物の調製
ビーカーにエタノールを充填した。精製水及びメントールを加え、次に混合物を撹拌した。ヒドロキシエチルセルロース、ヒマシ油、及びポリソルベート80を撹拌下で加えて、均一な混合物を得た。
ビーカーにエタノールを充填した。精製水及びメントールを加え、次に混合物を撹拌した。ヒドロキシエチルセルロース、ヒマシ油、及びポリソルベート80を撹拌下で加えて、均一な混合物を得た。
結果得られた付着性組成物を、乾燥したバッキング層の上にコーティングし、およそ5分間室温にて、10分間50℃にて、及び2分間90℃にて乾燥させた。コーティング厚さは、それぞれ、42.9g/m2(実施例8b)及び95.7g/m2(実施例8c)の面積重量をもたらした。5.5cm2のサイズのダイカットを、乾燥した付着性バッキング層から打ち抜いた。
経粘膜治療システムの調製
実施例8b及び8cに関しては、乾燥フィルムをそれぞれの付着性バッキング層と積層して、アゴメラチン含有粘膜付着性層構造を得た。
実施例8b及び8cに関しては、乾燥フィルムをそれぞれの付着性バッキング層と積層して、アゴメラチン含有粘膜付着性層構造を得た。
さらなるステップ(例えば、個々のデバイスを打ち抜く)は、実施例1の通りに実施した。
ゲッチンゲンミニブタを使用したインビボ研究
アゴメラチンの送達を評価するために、ゲッチンゲンミニブタ(雌、約6~7か月、研究開始時の体重は、13.8~14.3kg)を使用したインビボ実験を実施した。4匹のミニブタを使用した。上記の通りに調製した、実施例8a、8b及び8cの経粘膜治療システムを、実施例8a及び8bについては各々1匹の動物、実施例8cについては2匹の動物の頬粘膜に投与した(1システム/動物)。経粘膜治療システムの総装着時間は4時間であった(4時間後、適用領域を洗浄して、経粘膜治療システムの潜在的な残留物を除去した)。実施例8aでは残留物は観察されず、バッキングを伴う実施例8b及び8cではわずかな残留物が観察された。
アゴメラチンの送達を評価するために、ゲッチンゲンミニブタ(雌、約6~7か月、研究開始時の体重は、13.8~14.3kg)を使用したインビボ実験を実施した。4匹のミニブタを使用した。上記の通りに調製した、実施例8a、8b及び8cの経粘膜治療システムを、実施例8a及び8bについては各々1匹の動物、実施例8cについては2匹の動物の頬粘膜に投与した(1システム/動物)。経粘膜治療システムの総装着時間は4時間であった(4時間後、適用領域を洗浄して、経粘膜治療システムの潜在的な残留物を除去した)。実施例8aでは残留物は観察されず、バッキングを伴う実施例8b及び8cではわずかな残留物が観察された。
研究中、ミニブタは鎮静下で維持した。
経粘膜治療システムの適用後、8つの時点で血液試料を採取した。試料は、0(処置前)、0.5、1、1.5、2、4(検査項目除去の直前)、5及び8時間時点で採取した。血漿試料の分析は、OECDの優良試験所基準(1997年に改訂)の原則に準拠して実施した。これらの原則は、他の国際GLP規制に遵奉する。
ミニブタ血漿中のアゴメラチン濃度は、検証済みの液液抽出とそれに続くLC-MS/MSを使用して決定した。処置開始前に採取した試料はすべて、定量限界(0.100ng/mL)未満であると測定された。
測定されたアゴメラチン血漿濃度を、表8.2に要約し、図8aに示す。
加えて、OTFの除去直後、適用及びOTF適用側の洗浄後4時間後の、粘膜の状態を肉眼で測定し、2015年7月28日に採択された化学物質の試験に関するOECDガイドライン第404号:「急性皮膚刺激性/腐食性」に従った以下のスコアスキームに基づいてDraizeスコアを取得した。
経粘膜治療システムを除去してから4時間後、どの製剤も刺激を示さなかった(表8.2を参照されたい)。
最大血漿濃度は、処置開始後2~4時間で測定し、バッキングを伴う実施例8b及び8cに従うOTFでは9.0~11.8ng/mLの範囲ならびにバッキングを伴わない実施例8aに従うOTFでは57.2ng/mLであった。バッキングを伴わない実施例8aに従う経粘膜治療システムの非常に高いPKデータを達成することができた。これは、APIを口腔全体の粘膜を通して送達することを可能にする開放系によって説明することができる。バッキング層を含むシステムと比較してパッチサイズ及び/または活性物質濃度を減少させることができるため、高い送達速度は依然として高度に有利である。バッキング層を伴う経粘膜治療システムは、透過面積が1.6cm2に制限されるが、4時間にわたって、より低いがそれでも高い透過性を示す。アゴメラチンは、より高いPKデータで経粘膜治療システムの除去の4時間後に定量化可能であったため、潜在的な残留アゴメラチンは粘膜内にある可能性がある。
実施例9A~9F
コーティング組成物
実施例4b及び9a~9fのアゴメラチン含有コーティング組成物の製剤を、上の表4.1及び下の表9.1に要約する。表4.1及び9.1にも示されるように、製剤は重量パーセントに基づく。
コーティング組成物
実施例4b及び9a~9fのアゴメラチン含有コーティング組成物の製剤を、上の表4.1及び下の表9.1に要約する。表4.1及び9.1にも示されるように、製剤は重量パーセントに基づく。
第1のコーティング組成物(アゴメラチン含有層)の調製
TiO2溶液に関しては、ビーカーに2.80gのTiO2を充填した。オレイン酸を加え、次に混合物を撹拌して、TiO2溶液を得た。
TiO2溶液に関しては、ビーカーに2.80gのTiO2を充填した。オレイン酸を加え、次に混合物を撹拌して、TiO2溶液を得た。
実施例9b、9c及び9dに関しては、ビーカーにバニラフレーバーを充填した。スクラロース、サッカリンNa、エタノール、ヒドロキシプロピルセルロースGF、ヒドロキシプロピルセルロースEF、カルボポール溶液、及びアゴメラチンを加え、次に混合物を撹拌した。TiO2溶液を撹拌下で加えて、ビスコース混合物を得た。
実施例9aに関しては、ビーカーにバニラフレーバーを充填した。スクラロース、サッカリンNa、アゴメラチン、及びエタノールを加え、次に混合物を撹拌した。TiO2溶液及びヒドロキシプロピルセルロースを撹拌下で加えて、ビスコース混合物を得た。
実施例9e及び9fに関しては、ビーカーにバニラフレーバーを充填した。スクラロース、サッカリンNa、及びエタノールを加え、次に混合物を撹拌した。カルボポール溶液、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、アゴメラチン、及びTiO2溶液を撹拌下で加えて、ビスコ-ス混合物を得た。
第1のコーティング組成物のコーティング
結果得られたアゴメラチン含有コーティング組成物を、ポリエステルフィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム、片面シリコン処理、厚さ75μm、これは剥離ライナーとして機能し得る)上にコーティングし、およそ10分間室温にて、15分間40℃にて、及び10分間70℃にて乾燥させた。コーティング厚さは、それぞれ、117.0g/m2(実施例9a~9d)、123.5g/m2(実施例9e)、及び117.5g/m2(実施例9f)の面積重量をもたらした。
結果得られたアゴメラチン含有コーティング組成物を、ポリエステルフィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム、片面シリコン処理、厚さ75μm、これは剥離ライナーとして機能し得る)上にコーティングし、およそ10分間室温にて、15分間40℃にて、及び10分間70℃にて乾燥させた。コーティング厚さは、それぞれ、117.0g/m2(実施例9a~9d)、123.5g/m2(実施例9e)、及び117.5g/m2(実施例9f)の面積重量をもたらした。
実施例9a及び9bに関しては、乾燥フィルムが、最終的なアゴメラチン含有粘膜付着性層構造である。実施例9dに関しては、乾燥したアゴメラチン含有層から0.28cm2のサイズのダイカットを打ち抜いた。
第2のコーティング組成物(バッキング層)の調製
実施例9c~9fに関しては、ビーカーにバニラフレーバーを充填した。スクラロース、サッカリンNa、オレイン酸、FD&C赤色40号、エタノール、及び精製水を、次に混合物を撹拌した。ヒドロキシプロピルセルロース及びヒドロキシエチルセルロースを撹拌下で加えて、ビスコース混合物を得た。
実施例9c~9fに関しては、ビーカーにバニラフレーバーを充填した。スクラロース、サッカリンNa、オレイン酸、FD&C赤色40号、エタノール、及び精製水を、次に混合物を撹拌した。ヒドロキシプロピルセルロース及びヒドロキシエチルセルロースを撹拌下で加えて、ビスコース混合物を得た。
結果得られたバッキング組成物を、乾燥したアゴメラチン含有層の上(実施例9c、9e及び9fの場合)またはポリエステルフィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム、片面シリコン処理、厚さ75μm、これは剥離ライナーとして機能し得る)上に2回コーティングし、およそ10分間室温にて、15分間50℃にて、及び10分間80℃にて乾燥させた。コーティング厚さは、382g/cm2(実施例9c)、272.2g/m2(実施例9d)または388.1g/m2(実施例9e及び9f)の総面積重量(アゴメラチン含有層及びバッキング層)をもたらした。
実施例9c、9e及び9fに関しては、乾燥した層から0.28cm2のサイズのダイカットを打ち抜いて、アゴメラチン含有粘膜付着性層構造を得た。
実施例9dに関しては、バッキング層から0.28cm2のサイズのダイカットを打ち抜いて、バッキング層がアゴメラチン含有層のすべての側面に均一に延るように、少量の第2のコーティング組成物を介してそれぞれのアゴメラチン含有層に接着させて、アゴメラチン含有粘膜付着性層構造を得た。
経粘膜治療システムの調製
実施例1を参照されたい。
実施例1を参照されたい。
粘膜透過速度の測定
実施例4b、及び9a~9fに従って調製された経粘膜治療システムの透過量及び対応する粘膜透過速度は、ブタ粘膜(食道粘膜)を使用してOECDガイドライン(2004年4月13日採択)に従ったインビトロ実験によって決定した。すべての経粘膜治療システムに関して、ダーマトームを使用して、インタクトなバリア機能を備えた、400μmの厚さの粘膜を調製した。実施例9a及び9bの経粘膜治療システムから打ち抜かれた0.28cm2の面積のダイカット、ならびに上記のアゴメラチン含有粘膜付着性層構造を、粘膜に適用し、経粘膜治療システムを伴う粘膜の上面を人工唾液に浸した(下面は受容媒体と接触しており、上面は1.145cm2の粘膜面積に区画化されている)。37±1℃の温度での受容媒体(リン酸緩衝液pH7.4)におけるアゴメラチン透過量を測定し、対応する粘膜透過速度を計算した。結果を、表9.2及び9.3ならびに図9aに示す。
実施例4b、及び9a~9fに従って調製された経粘膜治療システムの透過量及び対応する粘膜透過速度は、ブタ粘膜(食道粘膜)を使用してOECDガイドライン(2004年4月13日採択)に従ったインビトロ実験によって決定した。すべての経粘膜治療システムに関して、ダーマトームを使用して、インタクトなバリア機能を備えた、400μmの厚さの粘膜を調製した。実施例9a及び9bの経粘膜治療システムから打ち抜かれた0.28cm2の面積のダイカット、ならびに上記のアゴメラチン含有粘膜付着性層構造を、粘膜に適用し、経粘膜治療システムを伴う粘膜の上面を人工唾液に浸した(下面は受容媒体と接触しており、上面は1.145cm2の粘膜面積に区画化されている)。37±1℃の温度での受容媒体(リン酸緩衝液pH7.4)におけるアゴメラチン透過量を測定し、対応する粘膜透過速度を計算した。結果を、表9.2及び9.3ならびに図9aに示す。
アゴメラチンの利用率
4時間時点でのアゴメラチンの利用率を、4時間時点での累積透過量及び初期アゴメラチン含有量に基づいて計算した。結果を、表9.4、図9cに示す。
4時間時点でのアゴメラチンの利用率を、4時間時点での累積透過量及び初期アゴメラチン含有量に基づいて計算した。結果を、表9.4、図9cに示す。
インビトロ実験は、良好な粘膜透過速度及び良好な利用率を示す。これらの実施例は、バッキング層を伴わない開放系が、バッキング層を伴うものと比較した場合、増加した活性物質送達を提供することを再び実証する。
貯蔵安定性の測定
長期貯蔵安定性試験を、実施例9a~9cに関して、異なる試験条件下、すなわち、25℃及び60%相対湿度(RH)、ならびに40℃及び75%RHでの貯蔵下で実施した。試料を、経粘膜治療システムから、25℃及び60%RHでの貯蔵の3、6、9及び12か月後、ならびに40℃及び75%RHでの貯蔵の3及び6か月後に採取し、エタノール及び水含有量を決定し、アゴメラチンの量、ならびに様々な潜在的な分解物質を、試験した経粘膜治療システムの(実際の)面積重量から計算されたアゴメラチン含有量に基づいて、特定の定量的HPLC法により決定した。結果を、表9.5~9.8ならびに図9c及び図9dに示す。
長期貯蔵安定性試験を、実施例9a~9cに関して、異なる試験条件下、すなわち、25℃及び60%相対湿度(RH)、ならびに40℃及び75%RHでの貯蔵下で実施した。試料を、経粘膜治療システムから、25℃及び60%RHでの貯蔵の3、6、9及び12か月後、ならびに40℃及び75%RHでの貯蔵の3及び6か月後に採取し、エタノール及び水含有量を決定し、アゴメラチンの量、ならびに様々な潜在的な分解物質を、試験した経粘膜治療システムの(実際の)面積重量から計算されたアゴメラチン含有量に基づいて、特定の定量的HPLC法により決定した。結果を、表9.5~9.8ならびに図9c及び図9dに示す。
安定性データは、初期及び貯蔵安定性が、アゴメラチンの量(特に貯蔵後に残っているアゴメラチンの量に関して)ならびに潜在的な分解物質の合計の両方に関して、実施例9a及び89cについて優れていることを示す。
溶解実験10
上により詳細に概説したように、溶解性フィルム形成剤は、好ましくは、水などの水性媒体に溶解性、分散性、またはそうでなければ崩壊性であり、一方で、例えば、エタノールに溶解性であるフィルム形成剤もまた好ましい。
上により詳細に概説したように、溶解性フィルム形成剤は、好ましくは、水などの水性媒体に溶解性、分散性、またはそうでなければ崩壊性であり、一方で、例えば、エタノールに溶解性であるフィルム形成剤もまた好ましい。
潜在的なフィルム形成剤の溶解挙動を観察するために、水、エタノールまたは1:1水/エタノール混合物中のポリマーの10重量%(+/-0.1%ポイント)混合物を調製し、溶解挙動を記録した。粘度ならびに他の観察結果を記録した。結果は、下の表10.1に要約する。
吸水実験11
ある特定の溶解性フィルム形成剤は、吸湿性の挙動を呈する。経時的な吸水性を評価するために、異なるコーティング組成物を調製し、コーティング組成物をコーティングし、コーティングされた層を乾燥させることによってフィルムを得た。フィルムは、開放して、または継ぎ目密封パウチに包装して、室温にて7日間貯蔵した。コーティングされたフィルムの詳細な組成、乾燥条件、及び得られた結果を、下の表11.1に示す。
ある特定の溶解性フィルム形成剤は、吸湿性の挙動を呈する。経時的な吸水性を評価するために、異なるコーティング組成物を調製し、コーティング組成物をコーティングし、コーティングされた層を乾燥させることによってフィルムを得た。フィルムは、開放して、または継ぎ目密封パウチに包装して、室温にて7日間貯蔵した。コーティングされたフィルムの詳細な組成、乾燥条件、及び得られた結果を、下の表11.1に示す。
本発明は、特に、以下のさらなる項目に関する。
1.粘膜付着性層構造を含むアゴメラチンの経粘膜投与のための経粘膜治療システムであって、前記粘膜付着性層構造が、
A)
i)アゴメラチン;及び
ii)溶解性フィルム形成剤を含むアゴメラチン含有層を含む、前記経粘膜治療システム。
A)
i)アゴメラチン;及び
ii)溶解性フィルム形成剤を含むアゴメラチン含有層を含む、前記経粘膜治療システム。
2.前記溶解性フィルム形成剤が、30~100g/m2、または50g/m2の面積重量を有するフィルムに流延された場合、水、人工もしくは天然唾液、または任意の他の水性媒体に、37℃及び150rpmにて、5時間未満、3時間未満、2時間未満もしくは1時間未満、または5秒超、30秒超、1分超、もしくは2分超、または5秒超5時間未満、30秒超3時間未満、1分超2時間未満、もしくは2分超1時間未満で溶解する、項目1に記載の経粘膜治療システム。
3.前記溶解性フィルム形成剤が、ポリマー、例えばポリビニルピロリドン、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリエチレングリコール-ポリ酢酸ビニル-及びポリビニルカプロラクタムベースのグラフトコポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール-ポリエチレングリコールコポリマー、ポリビニルピロリドン-ポリ酢酸ビニルコポリマー、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、メタクリル酸-メチルメタクリレートコポリマー、及びメタクリル酸-エチルメタクリレートコポリマー、ならびに天然フィルム形成剤、例えばシェラック、ペクチン、ゼラチン、アルギン酸塩、プルラン及びデンプン誘導体、ならびにそれらの任意の混合物からなる群から選択される、項目1または2に記載の経粘膜治療システム。
4.前記溶解性フィルム形成剤が、ポリマー、例えばポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリエチレングリコール-ポリ酢酸ビニル-及びポリビニルカプロラクタムベースのグラフトコポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール-ポリエチレングリコールコポリマー、ポリビニルピロリドン-ポリ酢酸ビニルコポリマー、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、ならびにそれらの任意の混合物からなる群から選択される、項目3に記載の経粘膜治療システム。
5.前記溶解性フィルム形成剤が、ポリマー、例えばポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリエチレングリコール-ポリ酢酸ビニル及びポリビニルカプロラクタムベースのグラフトコポリマー、ポリビニルピロリドン-ポリ酢酸ビニルコポリマー、ならびにそれらの任意の混合物からなる群から選択される、項目4に記載の経粘膜治療システム。
6.前記溶解性フィルム形成剤が、ヒドロキシプロピルセルロースである、項目5に記載の経粘膜治療システム。
7.前記溶解性フィルム形成剤が、50,000~1,500,000の分子量を有するヒドロキシプロピルセルロースである、項目6に記載の経粘膜治療システム。
8.前記溶解性フィルム形成剤が、80,000、95,000、370,000または1,150,000の分子量を有するヒドロキシプロピルセルロースである、項目7に記載の経粘膜治療システム。
9.前記溶解性フィルム形成剤が、ポリビニルピロリドンである、項目5に記載の経粘膜治療システム。
10.前記ポリビニルピロリドンが、可溶性ポリビニルピロリドンから選択される、項目9に記載の経粘膜治療システム。
11.前記ポリビニルピロリドンが、
9~15、好ましくは10.2~13.8、
15~20、好ましくは15.3~18.4、
20~27、好ましくは22.5~27.0、
27~35、好ましくは27.0~32.4、及び
75~110、好ましくは81.0~97.2からなる範囲の群から選択される範囲内のK値を有するポリビニルピロリドンから選択される、項目9に記載の経粘膜治療システム。
9~15、好ましくは10.2~13.8、
15~20、好ましくは15.3~18.4、
20~27、好ましくは22.5~27.0、
27~35、好ましくは27.0~32.4、及び
75~110、好ましくは81.0~97.2からなる範囲の群から選択される範囲内のK値を有するポリビニルピロリドンから選択される、項目9に記載の経粘膜治療システム。
12.前記溶解性フィルム形成剤の量が、前記アゴメラチン含有層の、少なくとも65重量%、少なくとも75重量%もしくは少なくとも85重量%であるか、または前記溶解性フィルム形成剤の量が、98重量%以下、94重量%以下もしくは90重要%以下であるか、または前記溶解性フィルム形成剤の量が、65~98重量%、75~94重量%、もしくは80~90重量%の範囲である、項目1~11のいずれか1つに記載の経粘膜治療システム。
13.前記アゴメラチン含有層が、少なくとも1重量%のアゴメラチン、少なくとも2重量%のアゴメラチン、または少なくとも3重量%のアゴメラチンを含む、項目1~12のいずれか1つに記載の経粘膜治療システム。
14.前記アゴメラチン含有層が、25重量%以下のアゴメラチン、20重量%以下のアゴメラチン、または10重量%以下のアゴメラチンを含む、項目1~13のいずれか1つに記載の経粘膜治療システム。
15.前記アゴメラチン含有層が、1~25重量%以下のアゴメラチン、2~20重量%以下のアゴメラチン、または3~10重量%以下のアゴメラチンを含む、項目1~14のいずれか1つに記載の経粘膜治療システム。
16.前記アゴメラチン含有層が、脂肪酸、甘味料、香味剤、着色剤、透過促進剤、可溶化剤、可塑剤、保湿剤、崩壊剤、乳化剤、抗酸化剤、安定剤、緩衝試薬及びさらなるフィルム形成剤からなる群から選択される1つまたは複数の賦形剤をさらに含む、項目1~15のいずれか1つに記載の経粘膜治療システム。
17.前記アゴメラチン含有層が、脂肪酸、甘味料、及び香味剤からなる群から選択される1つまたは複数の賦形剤をさらに含む、項目16に記載の経粘膜治療システム。
18.前記脂肪酸が、4~24個の炭素原子を含む飽和または不飽和、線状または分枝状カルボン酸であり、特に、カプリル酸、ミリストレイン酸、パルミトール酸、サピエン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、リノール酸、リノエライジン酸、α-リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、エルカ酸及びドコサヘキサエン酸からなる群から選択される、項目17に記載の経粘膜治療システム。
19.前記脂肪酸が、オレイン酸またはリノール酸である、項目18に記載の経粘膜治療システム。
20.前記アゴメラチン含有層が、1つまたは複数の脂肪酸を、少なくとも1重量%、少なくとも3重量%もしくは少なくとも4重量%の量、または15重量%以下、12重量%以下、もしくは10重量%以下の量、または1~15重量%、3~12重量%、もしくは4~10重量%の量で含む、項目16~19のいずれか1つに記載の経粘膜治療システム。
21.前記アゴメラチン含有層が、サッカロース、グルコース、フルクトース、ソルビトール、マンニトール、イソマルト、マルチトール、ラクチトール、キシリトール、エリスリトール、スクラロース、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、シクラメート、ネオヘスペリジン、ネオテーム、ステビオールグリコシド、タウマチン及びサッカリンナトリウムからなる群から選択される1つまたは複数の天然または人工甘味料を含む、項目16に記載の経粘膜治療システム。
22.前記アゴメラチン含有層が、サッカロース、スクラロース及びサッカリンナトリウムからなる群から選択される1つまたは複数の天然または人工甘味料を含む、項目21に記載の経粘膜治療システム。
23.前記アゴメラチン含有層が、スクラロース、サッカロース及びサッカリンナトリウムからなる群から選択される1つまたは複数の天然または人工甘味料を、各々、少なくとも0.05重量%、少なくとも0.1重量%もしくは少なくとも0.3重量%の量、または2.0重量%以下、1.5重量%以下もしくは1.0重量%以下の量、または0.05~2.0重量%、0.1~1.5重量%、もしくは0.3~1.0重量%の量で含む、項目22に記載の経粘膜治療システム。
24.前記アゴメラチン含有層が、バニリン、サリチル酸メチル、メントール、マンザネート、ジアセチル、アセチルプロピオニル、アセトイン、酢酸イソアミル、ベンズアルデヒド、シンナムアルデヒド、プロピオン酸エチル、アントラニリン酸メチル、リモネン、デカジエン酸エチル、ヘキサン酸アリル、エチルマルトール、2,4-ジチアペンタン、エチルバニリン及びユーカリプトールからなる群から選択される1つまたは複数の天然または人工香味剤、ならびに香味剤組成物、例えばペパーミントフレーバーを含む、項目16に記載の経粘膜治療システム。
25.前記アゴメラチン含有層が、バニリン、サリチル酸メチル、メントール、ペパーミントフレーバー及びユーカリプトールからなる群から選択される1つまたは複数の香味剤を、
各々、少なくとも0.1重量%、少なくとも0.3重量%もしくは少なくとも0.4重量%の量、または10重量%以下、6重量%以下、もしくは4重量%以下の量、または0.1~10重量%、0.3~6重量%、もしくは0.4~4重量%の量で、あるいは
合計で、少なくとも0.1重量%、少なくとも0.5重量%もしくは少なくとも0.7重量%の量、または15重量%以下、10重量%以下、もしくは8重量%以下の量、または0.1~15重量%、0.5~10重量%、もしくは0.7~8重量%の量で含む、項目24に記載の経粘膜治療システム。
各々、少なくとも0.1重量%、少なくとも0.3重量%もしくは少なくとも0.4重量%の量、または10重量%以下、6重量%以下、もしくは4重量%以下の量、または0.1~10重量%、0.3~6重量%、もしくは0.4~4重量%の量で、あるいは
合計で、少なくとも0.1重量%、少なくとも0.5重量%もしくは少なくとも0.7重量%の量、または15重量%以下、10重量%以下、もしくは8重量%以下の量、または0.1~15重量%、0.5~10重量%、もしくは0.7~8重量%の量で含む、項目24に記載の経粘膜治療システム。
26.前記アゴメラチン含有層が、二酸化チタン、ブリリアントブルーFCF、インディゴカーマイン、ファストグリーンFCF、エリスロシン、アルラレッドAC、タルトラジン及びサンセットイエローFCF、クルクミン、リボフラビン、リボフラビン-5’-ホスフェート、キノリンイエロー、オレンジイエローS、コチニール、カルミン酸、アゾルビン、カルモイシン、アマランス、ポンソー4R、コチニールレッドA、パテントブルーV、インジゴチン、クロロフィル、クロロフィリン、クロロフィル及びクロロフィリンの銅錯体、グリーンS、プレーンカラメル、苛性亜硫酸カラメル、アンモニアカラメル、サルファイトアンモニアカラメル、ブリリアントブラックBN、ブラックPN、植物性カーボン、ブラウンHT、カロテン、アナトー、ビキシン、ノルビキシン、パプリカ抽出物、カプサンシアン、カプソルビン、リコペン、ベータ-アポ-8’-カロテナール、ルテイン、カンタキサンチン、ビートルートレッド、ベタニン、アントシアニン、炭酸カルシウム、酸化鉄及び水酸化鉄、アルミニウム、銀、金及びリソールルビンBKからなる群から選択される1つまたは複数の着色剤を含む、項目16に記載の経粘膜治療システム。
27.前記アゴメラチン含有層が、1つまたは複数のさらなるフィルム形成剤を含み、前記さらなるフィルム形成剤が、溶解性フィルム形成剤とは異なる、項目16に記載の経粘膜治療システム。
28.前記アゴメラチン含有層が、1つまたは複数のさらなるフィルム形成剤を、
各々、少なくとも2重量%、少なくとも5重量%もしくは少なくとも10重量%の量、または40重量%以下、30重量%以下、もしくは25重量%以下の量、または2~40重量%、5~30重量%、もしくは10~25重量%の量で、あるいは
合計で、少なくとも5重量%、少なくとも15重量%もしくは少なくとも20重量%の量、または40重量%以下、30重量%以下、もしくは25重量%以下の量、または5~40重量%、15~30重量%、もしくは20~25重量%の量で含む、項目27に記載の経粘膜治療システム。
各々、少なくとも2重量%、少なくとも5重量%もしくは少なくとも10重量%の量、または40重量%以下、30重量%以下、もしくは25重量%以下の量、または2~40重量%、5~30重量%、もしくは10~25重量%の量で、あるいは
合計で、少なくとも5重量%、少なくとも15重量%もしくは少なくとも20重量%の量、または40重量%以下、30重量%以下、もしくは25重量%以下の量、または5~40重量%、15~30重量%、もしくは20~25重量%の量で含む、項目27に記載の経粘膜治療システム。
29.前記アゴメラチン含有層が、脂肪酸でエステル化されたエトキシル化ソルビタン、例えばポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート及びポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ベニバナオレオソーム、プロパンジオールならびにポリエトキシル化ヒマシ油からなる群から選択される1つまたは複数の可溶化剤を含む、項目16に記載の経粘膜治療システム。
30.前記アゴメラチン含有層が、1つまたは複数の可溶化剤を、各々、少なくとも0.3重量%、少なくとも0.5重量%もしくは少なくとも1.0重量%の量、または5重量%以下、4重量%以下、もしくは3重量%以下の量、または0.3~5重量%、0.5~4重量%、もしくは1.0~3重量%の量で含む、項目29に記載の経粘膜治療システム。
31.前記アゴメラチン含有層が、大豆レシチン、リン酸ナトリウム、脂肪酸のモノグリセリド及びジグリセリド、ステアロイル乳酸ナトリウム、モノグリセリド及びジグリセリドのジアセチル酒石酸エステル、ならびにポリエトキシル化水素化ヒマシ油からなる群から選択される1つまたは複数の乳化剤を含む、項目16に記載の経粘膜治療システム。
32.前記アゴメラチン含有層が、1つまたは複数の乳化剤を、各々、少なくとも1重量%、少なくとも3重量%もしくは少なくとも5重量%の量、または25重量%以下、20重量%以下、もしくは15重量%以下の量、または1~25重量%、3~20重量%、もしくは5~15重量%の量で含む、項目31に記載の経粘膜治療システム。
33.前記アゴメラチン含有層が、単糖類、二糖類、オリゴ糖類及び多糖類、ならびに誘導体、例えばソルビトール、ポリエチレングリコール、トリアセチン、クエン酸トリエチル、プロピレングリコール、グリセロール及び中鎖トリグリセリドからなる群から選択される1つまたは複数の可塑剤を含む、項目16に記載の経粘膜治療システム。
34.前記アゴメラチン含有層が、1つまたは複数の可塑剤を、各々、少なくとも0.5重量%、少なくとも1重量%もしくは少なくとも5重量%の量、または25重量%以下、20重量%以下、もしくは15重量%以下の量、または0.5~25重量%、1~20重量%、もしくは5~15重量%の量で含む、項目33に記載の経粘膜治療システム。
35.前記アゴメラチン含有層が、胆汁酸、胆汁酸塩、胆汁酸誘導体、アシルカルニチン、ドデシル硫酸ナトリウム、ジメチルスルホキシド、ラウリル硫酸ナトリウム、テルペン、シクロデキストリン、シクロデキストリン誘導体、サポニン、サポニン誘導体、キトサン、EDTA、クエン酸、及びサリチル酸塩からなる群から選択される透過促進剤を、0.1重量%超、0.2重量%超、1重量%超または5重量%超の量で含まない、項目1~34のいずれか1つに記載の経粘膜治療システム。
36.前記アゴメラチン含有層が、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコール、レブリン酸、2,5-ジメチルイソソルビド、乳酸ラウリル、ジメチルエチレン尿素、N,N-ジエチル-メタ-トルアミド、プロピレングリコールモノカプリレート、2-メトキシ-4-(プロプ-2-エン-1-イル)フェノール、乳酸及びラウロカプラムからなる群から選択される透過促進剤を含む、項目1~35のいずれか1つに記載の経粘膜治療システム。
37.前記アゴメラチン含有層が、透過促進剤を、各々、少なくとも1重量%、少なくとも2重量%もしくは少なくとも5重量%の量、または20重量%以下、15重量%以下、もしくは10重量%以下の量、または1~20重量%、2~15重量%、もしくは5~10重量%の量で含む、項目16~36のいずれか1つに記載の経粘膜治療システム。
38.前記アゴメラチン含有層が、実質的に水を含まない、項目1~37のいずれか1つに記載の経粘膜治療システム。
39.前記アゴメラチン含有層が、12重量%以下、8重量%以下、5重量%以下、または4重量%以下の水を含む、項目38に記載の経粘膜治療システム。
40.前記アゴメラチン含有層が、揮発性溶媒を実質的に含まず、
前記揮発性溶媒が、C1~C3直鎖及び分岐鎖アルコール、酢酸エチル、ヘキサン、n-ヘプタン、及びそれらの任意の混合物からなる群から選択される、項目1~39のいずれか1つに記載の経粘膜治療システム。
前記揮発性溶媒が、C1~C3直鎖及び分岐鎖アルコール、酢酸エチル、ヘキサン、n-ヘプタン、及びそれらの任意の混合物からなる群から選択される、項目1~39のいずれか1つに記載の経粘膜治療システム。
41.前記アゴメラチン含有層が、5重量%以下、3重量%以下、または1重量%以下の揮発性溶媒を含む、項目40に記載の経粘膜治療システム。
42.前記アゴメラチン含有層が、前記アゴメラチン、前記溶解性フィルム形成剤、及びエタノールを含むコーティングされたコーティング組成物を乾燥させることによって取得可能である、項目1~41のいずれか1つに記載の経粘膜治療システム。
43.前記アゴメラチン含有層が、前記アゴメラチン、前記溶解性フィルム形成剤、及び水を含むコーティングされたコーティング組成物を乾燥させることによって取得可能である、項目1~42のいずれか1つに記載の経粘膜治療システム。
44.前記アゴメラチン含有層が、前記アゴメラチン、前記溶解性フィルム形成剤、エタノール及び水を含むコーティングされたコーティング組成物を乾燥させることによって取得可能である、項目42または43に記載の経粘膜治療システム。
45.前記アゴメラチン含有層が、50重量%未満、または20重量%未満、または10重量%未満、または5重量%未満の水を含むコーティングされたコーティング組成物を乾燥させることによって取得可能である、項目42~44のいずれか1つに記載の経粘膜治療システム。
46.前記アゴメラチン含有層が、少なくとも25g/m2、少なくとも35g/m2、もしくは少なくとも40g/m2の面積重量を有するか、または300g/m2以下、250g/m2以下、もしくは200g/m2以下の面積重量を有するか、または25~300g/m2、35~250g/m2、もしくは40~200g/m2の面積重量を有する、項目1~45のいずれか1つに記載の経粘膜治療システム。
47.前記アゴメラチン含有層が、少なくとも0.1mg/cm2、少なくとも0.2mg/cm2、もしくは少なくとも0.4mg/cm2のアゴメラチンを含むか、または前記アゴメラチン含有層が、2.0mg/cm2以下、1.5mg/cm2以下、もしくは1.2mg/cm2以下のアゴメラチンを含むか、または前記アゴメラチン含有層が、0.1~2.0mg/cm2、0.2~1.5mg/cm2、もしくは0.4~1.2mg/cm2のアゴメラチンを含む、項目1~46のいずれか1つに記載の経粘膜治療システム。
48.前記アゴメラチンが、前記アゴメラチン含有層に、溶解形態、分散形態、結晶形態、特にその多形形態の1つ、アモルファス形態で、水和物、溶媒和物、前述の形態のいずれかのハイブリッド型形態またはそれらの混合物として含まれる、項目1~47のいずれか1つに記載の経粘膜治療システム。
49.前記アゴメラチン含有層が、前記アゴメラチンを、溶解形態、分散形態、結晶形態、特にその多形形態の1つ、アモルファス形態で、水和物、溶媒和物、前述の形態のいずれかのハイブリッド型形態またはそれらの混合物として組み込むことにより取得可能である、項目1~48のいずれか1つに記載の経粘膜治療システム。
50.前記アゴメラチン含有層中の前記アゴメラチンが、溶解しているか、または分散形態で存在する、項目1~49のいずれか1つに記載の経粘膜治療システム。
51.前記アゴメラチン含有層中の前記アゴメラチンが、分散形態で存在する、項目50に記載の経粘膜治療システム。
52.前記アゴメラチン含有層中の前記アゴメラチンが、溶解している、項目50に記載の経粘膜治療システム。
53.前記アゴメラチン含有層中の前記アゴメラチンの少なくとも90モル%、好ましくは少なくとも95モル%、より好ましくは少なくとも98モル%、最も好ましくは少なくとも99モル%が、溶解形態で存在する、項目1~52のいずれか1つに記載の経粘膜治療システム。
54.前記アゴメラチン含有層が、アゴメラチン結晶を含まない、項目1~53のいずれか1つに記載の経粘膜治療システム。
55.前記アゴメラチンが、定量的HPLCによって決定して、少なくとも95%、好ましくは少なくとも98%、より好ましくは少なくとも99%の純度を有する、項目1~54のいずれか1つに記載の経粘膜治療システム。
56.前記粘膜付着性層構造が、
B)粘膜接触層、及び
C)装飾層から選択される1つまたは複数のさらなる層をさらに含み、
前記さらなる層が前記アゴメラチン含有層に隣接し、
前記粘膜接触層及び前記装飾層が、両方とも存在する場合、前記アゴメラチン含有層に反対側で隣接する、項目1~55のいずれか1つに記載の経粘膜治療システム。
B)粘膜接触層、及び
C)装飾層から選択される1つまたは複数のさらなる層をさらに含み、
前記さらなる層が前記アゴメラチン含有層に隣接し、
前記粘膜接触層及び前記装飾層が、両方とも存在する場合、前記アゴメラチン含有層に反対側で隣接する、項目1~55のいずれか1つに記載の経粘膜治療システム。
57.前記粘膜付着性層構造が、粘膜接触層を含まない、項目56に記載の経粘膜治療システム。
58.前記粘膜付着性層構造が、粘膜接触層をさらに含み、前記粘膜接触層が、粘膜付着性である、項目56に記載の経粘膜治療システム。
59.前記粘膜付着性層構造が、粘膜接触層をさらに含み、
前記アゴメラチン含有層のサイズ及び前記粘膜接触層のサイズが、同一の広がりを有する、項目56または58に記載の経粘膜治療システム。
前記アゴメラチン含有層のサイズ及び前記粘膜接触層のサイズが、同一の広がりを有する、項目56または58に記載の経粘膜治療システム。
60.前記粘膜付着性層構造が、装飾層を含まない、項目56~59のいずれか1つに記載の経粘膜治療システム。
61.前記粘膜付着性層構造が、装飾層をさらに含み、
前記装飾層が、前記経粘膜治療システムの投与中に前記患者が前記アゴメラチン含有層に触れることを防止する、項目56~59のいずれか1つに記載の経粘膜治療システム。
前記装飾層が、前記経粘膜治療システムの投与中に前記患者が前記アゴメラチン含有層に触れることを防止する、項目56~59のいずれか1つに記載の経粘膜治療システム。
62.前記粘膜付着性層構造が、装飾層をさらに含み、
前記アゴメラチン含有層のサイズ及び前記装飾層のサイズが同一の広がりを有するか、または前記装飾層が前記アゴメラチン含有層よりもサイズが大きく、表面積が拡張している、項目56~59及び61のいずれか1つに記載の経粘膜治療システム。
前記アゴメラチン含有層のサイズ及び前記装飾層のサイズが同一の広がりを有するか、または前記装飾層が前記アゴメラチン含有層よりもサイズが大きく、表面積が拡張している、項目56~59及び61のいずれか1つに記載の経粘膜治療システム。
63.前記装飾層が、水、人工もしくは天然唾液、または任意の他の水性媒体に、37℃及び150rpmにて、3分未満、1分未満、または30秒未満で溶解する、項目56~59、61及び62のいずれか1つに記載の経粘膜治療システム。
64.前記粘膜付着性層構造が、前記アゴメラチン含有層からなる、項目1~55のいずれか1つに記載の経粘膜治療システム。
65.前記アゴメラチン含有層が、粘膜付着性である、項目1~64のいずれか1つに記載の経粘膜治療システム。
66.前記粘膜付着性層構造が、アゴメラチンを治療有効量で含有する、項目1~65のいずれか1つに記載の経粘膜治療システム。
67.前記粘膜付着性層構造が、少なくとも0.1mg、少なくとも0.2mg、もしくは少なくとも0.4mgのアゴメラチンを含むか、または前記アゴメラチン含有層が、20mg以下、15mg以下、もしくは10mg以下のアゴメラチンを含むか、または前記アゴメラチン含有層が、0.1mg~20mg、0.2mg~15mg、もしくは0.4mg~10mgのアゴメラチンを含む、項目1~66のいずれか1つに記載の経粘膜治療システム。
68.前記粘膜付着性層構造が、水、人工もしくは天然唾液、または任意の他の水性媒体に、37℃及び150rpmにて、30秒超5時間未満、または1分超4時間未満、または2分超3時間未満、または4分超2時間未満で溶解する、項目1~67のいずれか1つに記載の経粘膜治療システム。
69.前記経粘膜治療システムが、少なくとも0.1cm2、少なくとも0.2cm2、もしくは少なくとも0.5cm2の放出領域を有するか、または10cm2以下、7cm2以下、もしくは5cm2以下の放出領域を有するか、または0.1~10cm2、0.2~7cm2、もしくは0.5~5cm2の放出領域を有する、項目1~68のいずれか1つに記載の経粘膜治療システム。
70.前記経粘膜治療システムが、バッキング層を含まず、
前記バッキング層が、前記経粘膜治療システムをヒト患者に投与した際、15分未満、10分未満、または5分未満で溶解しない、項目1~69のいずれか1つに記載の経粘膜治療システム。
前記バッキング層が、前記経粘膜治療システムをヒト患者に投与した際、15分未満、10分未満、または5分未満で溶解しない、項目1~69のいずれか1つに記載の経粘膜治療システム。
71.前記経粘膜治療システムが、バッキング層を含まず、
前記バッキング層が、水、人工もしくは天然唾液、または任意の他の水性媒体に、37℃及び150rpmにて、30分未満、15分未満、または10分未満で完全に溶解しない、項目1~70のいずれか1つに記載の経粘膜治療システム。
前記バッキング層が、水、人工もしくは天然唾液、または任意の他の水性媒体に、37℃及び150rpmにて、30分未満、15分未満、または10分未満で完全に溶解しない、項目1~70のいずれか1つに記載の経粘膜治療システム。
72.前記経粘膜治療システムが、バッキング層を含まない、項目1~71のいずれか1つに記載の経粘膜治療システム。
73.剥離ライナーをさらに含む、項目1~72のいずれか1つに記載の経粘膜治療システム。
74.前記経粘膜治療システムが、剥離ライナーを含まない、項目1~65のいずれか1つに記載の経粘膜治療システム。
75.前記経粘膜治療システムが、フィルムの形態である、項目1~74のいずれか1つに記載の経粘膜治療システム。
76.前記経粘膜治療システムが、少なくとも25g/m2、少なくとも35g/m2、もしくは少なくとも40g/m2の面積重量、または300g/m2以下、250g/m2以下、もしくは200g/m2以下の面積重量、または25~300g/m2、35~250g/m2、もしくは40~200g/m2の面積重量を有する、薄フィルムの形態である、項目75に記載の経粘膜治療システム。
77.前記経粘膜治療システムが、円形、長方形、または正方形の形状を有するフィルムの形態である、項目1~76のいずれか1つに記載の経粘膜治療システム。
78.前記経粘膜治療システムの前記投与が、前記粘膜付着性層構造をヒト患者の口腔の粘膜に適用すること、及びそれを溶解するまで前記粘膜上に維持することからなる、項目1~77のいずれか1つに記載の経粘膜治療システム。
79.前記経粘膜治療システムの前記投与が、前記粘膜付着性層構造をヒト患者の口腔の頬側、舌下、歯肉または口蓋粘膜に適用すること、及びそれを溶解するまで前記粘膜上に維持することからなる、項目78に記載の経粘膜治療システム。
80.前記経粘膜治療システムが、ブタ食道粘膜で測定した場合に、1時間後に10μg/cm2-hr~150μg/cm2-hrのアゴメラチンの粘膜透過速度を提供する、項目1~79のいずれか1つに記載の経粘膜治療システム。
81.前記経粘膜治療システムが、ブタ食道粘膜を用いて測定した場合に、8時間にわたって、少なくとも0.02mg/cm2、少なくとも0.05mg/cm2もしくは少なくとも0.1mg/cm2、または0.5mg/cm2以下、0.4mg/cm2以下、もしくは0.3mg/cm2以下、または0.02mg/cm2~0.5mg/cm2、0.05mg/cm2~0.4mg/cm2、もしくは0.1mg/cm2~0.3mg/cm2のアゴメラチンの累積放出を提供する、項目1~80のいずれか1つに記載の経粘膜治療システム。
82.ヒト患者を処置する方法において使用するための、項目1~81のいずれか1項に記載の経粘膜治療システム。
83.大うつ病を処置する方法において使用するための、項目82に記載の経粘膜治療システム。
84.処置方法において使用するためのものであり、
前記経粘膜治療システムが、前記粘膜付着性層構造をヒト患者の口腔の粘膜に適用することによって投与され、溶解するまで前記粘膜上に維持される、項目82または83に記載の経粘膜治療システム。
前記経粘膜治療システムが、前記粘膜付着性層構造をヒト患者の口腔の粘膜に適用することによって投与され、溶解するまで前記粘膜上に維持される、項目82または83に記載の経粘膜治療システム。
85.処置方法において使用するためのものであり、
前記経粘膜治療システムが、前記粘膜付着性層構造をヒト患者の口腔の頬側、舌下、歯肉または口蓋粘膜に適用することによって投与され、溶解するまで前記粘膜上に維持される、項目84に記載の経粘膜治療システム。
前記経粘膜治療システムが、前記粘膜付着性層構造をヒト患者の口腔の頬側、舌下、歯肉または口蓋粘膜に適用することによって投与され、溶解するまで前記粘膜上に維持される、項目84に記載の経粘膜治療システム。
86.処置方法において使用するためのものであり、
前記経粘膜治療システムが、就寝前の夕方または夜間に投与される、項目82~85のいずれか1つに記載の経粘膜治療システム。
前記経粘膜治療システムが、就寝前の夕方または夜間に投与される、項目82~85のいずれか1つに記載の経粘膜治療システム。
87.処置方法であって、
項目1~81のいずれか1つに記載の経粘膜治療システムが、
ヒト患者に投与される、前記方法。
項目1~81のいずれか1つに記載の経粘膜治療システムが、
ヒト患者に投与される、前記方法。
88.項目1~81のいずれか1つに記載の経粘膜治療システムが、
ヒト患者に投与される、項目88に記載の大うつ病を処置する方法。
ヒト患者に投与される、項目88に記載の大うつ病を処置する方法。
89.項目1~81のいずれか1つに記載の経粘膜治療システムが、
前記粘膜付着性層構造をヒト患者の口腔の粘膜に適用することによって投与され、溶解するまで前記粘膜上に維持される、項目88または89に記載の処置方法。
前記粘膜付着性層構造をヒト患者の口腔の粘膜に適用することによって投与され、溶解するまで前記粘膜上に維持される、項目88または89に記載の処置方法。
90.項目1~82のいずれか1つに記載の経粘膜治療システムが、
前記粘膜付着性層構造をヒト患者の口腔の粘膜、特に、頬側、舌下、歯肉または口蓋粘膜に適用することによって投与され、溶解するまで前記粘膜上に維持される、項目89に記載の処置方法。
前記粘膜付着性層構造をヒト患者の口腔の粘膜、特に、頬側、舌下、歯肉または口蓋粘膜に適用することによって投与され、溶解するまで前記粘膜上に維持される、項目89に記載の処置方法。
91.前記経粘膜治療システムが、就寝前の夕方または夜間に投与される、項目87~90のいずれか1つに記載の処置方法。
92.アゴメラチン含有層の製造プロセスであって、
i)少なくともアゴメラチン及び溶解性フィルム形成剤を溶媒中で組み合わせて、コーティング組成物を得る;
ii)前記コーティング組成物を剥離ライナー上にコーティングする;ならびに
iii)前記コーティングされたコーティング組成物を乾燥させて、アゴメラチン含有層を形成するステップを含む、前記製造プロセス。
i)少なくともアゴメラチン及び溶解性フィルム形成剤を溶媒中で組み合わせて、コーティング組成物を得る;
ii)前記コーティング組成物を剥離ライナー上にコーティングする;ならびに
iii)前記コーティングされたコーティング組成物を乾燥させて、アゴメラチン含有層を形成するステップを含む、前記製造プロセス。
93.ステップi)において、前記アゴメラチンが溶解している、項目92に記載のプロセス。
94.ステップi)において、前記アゴメラチンが分散している、項目92に記載のプロセス。
95.前記溶媒が、メタノール、エタノール、イソプロパノール及びそれらの混合物から選択されるアルコール性溶媒を含む、項目92~94のいずれか1つに記載のプロセス。
96.前記溶媒が、エタノールを含むか、またはエタノールからなる、項目95に記載のプロセス。
97.前記溶媒が、水を含む、項目92~95のいずれか1つに記載のプロセス。
98.前記溶媒が、水を、5重量%超、2重量%超、1重量%超または0.5重量%超の量で含まない、項目92~96のいずれか1つに記載のプロセス。
99.乾燥が、40~90℃、または60~80℃の温度にて行われる、項目92~98のいずれか1つに記載のプロセス。
100.ステップi)が、少なくともアゴメラチン、溶解性フィルム形成剤、ならびに脂肪酸、甘味料、及び香味剤からなる群から選択される1つまたは複数の賦形剤を、溶媒中で組み合わせて、コーティング組成物を得ることからなる、項目92~99のいずれか1つに記載のプロセス。
101.前記溶解性フィルム形成剤が、50g/m2の面積重量を有するフィルムに流延された場合、水、人工もしくは天然唾液、または任意の他の水性媒体に、37℃及び150rpmにて、5時間未満、3時間未満、2時間未満、もしくは1時間未満、または5秒超、30秒超、1分超、もしくは2分超、または5秒超5時間未満、30秒超3時間未満、1分超2時間未満、もしくは2分超1時間未満で溶解する、項目92~100のいずれか1つに記載のプロセス。
102.前記溶解性フィルム形成剤が、ポリマー、例えばポリビニルピロリドン、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリエチレングリコール-ポリ酢酸ビニル-及びポリビニルカプロラクタムベースのグラフトコポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール-ポリエチレングリコールコポリマー、ポリビニルピロリドン-ポリ酢酸ビニルコポリマー、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、メタクリル酸-メチルメタクリレートコポリマー、及びメタクリル酸-エチルメタクリレートコポリマー、天然フィルム形成剤、例えばシェラック、ペクチン、ゼラチン、アルギン酸塩、プルラン及びデンプン誘導体、ならびにそれらの任意の混合物からなる群から選択される、項目92~101のいずれか1つに記載の経粘膜治療システム。
103.前記溶解性フィルム形成剤が、ポリマー、例えばポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリエチレングリコール-ポリ酢酸ビニル-及びポリビニルカプロラクタムベースのグラフトコポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール-ポリエチレングリコールコポリマー、ポリビニルピロリドン-ポリ酢酸ビニルコポリマー、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、ならびにそれらの任意の混合物からなる群から選択される、項目102に記載のプロセス。
104.前記溶解性フィルム形成剤が、ポリマー、例えばポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリエチレングリコール-ポリ酢酸ビニル及びポリビニルカプロラクタムベースのグラフトコポリマー、ポリビニルピロリドン-ポリ酢酸ビニルコポリマー、ならびにそれらの任意の混合物からなる群から選択される、項目103に記載のプロセス。
105.前記溶解性フィルム形成剤が、ヒドロキシプロピルセルロースである、項目104に記載のプロセス。
106.前記溶解性フィルム形成剤が、50,000~1,500,000の分子量を有するヒドロキシプロピルセルロースである、項目105に記載のプロセス。
107.前記溶解性フィルム形成剤が、80,000、95,000、370,000または1,150,000の分子量を有するヒドロキシプロピルセルロースである、項目106に記載のプロセス。
108.前記溶解性フィルム形成剤が、ポリビニルピロリドンである、項目104に記載のプロセス。
109.前記ポリビニルピロリドンが、可溶性ポリビニルピロリドンから選択される、項目108に記載のプロセス。
110.前記ポリビニルピロリドンが、
9~15、好ましくは10.2~13.8、
15~20、好ましくは15.3~18.4、
20~27、好ましくは22.5~27.0、
27~35、好ましくは27.0~32.4、及び
75~110、好ましくは81.0~97.2からなる範囲の群から選択される範囲内のK値を有するポリビニルピロリドンから選択される、項目108または109に記載のプロセス。
9~15、好ましくは10.2~13.8、
15~20、好ましくは15.3~18.4、
20~27、好ましくは22.5~27.0、
27~35、好ましくは27.0~32.4、及び
75~110、好ましくは81.0~97.2からなる範囲の群から選択される範囲内のK値を有するポリビニルピロリドンから選択される、項目108または109に記載のプロセス。
111.ステップ1)において、前記アゴメラチンが、溶解形態、分散形態、結晶形態、特にその多形形態の1つ、アモルファス形態で、共結晶として、水和物、溶媒和物、前述の形態のいずれかのハイブリッド型形態またはそれらの混合物として組み合わされる、項目92~110のいずれか1つに記載のプロセス。
112.アゴメラチンの経粘膜投与のための経粘膜治療システムであって、項目92~111のいずれか1つに記載の製造プロセスによって取得可能である、前記経粘膜治療システム。
113.粘膜付着性層構造を含むアゴメラチンの経粘膜投与のための経粘膜治療システムであって、前記粘膜付着性層構造が、少なくとも
A)
i)3~10重量%のアゴメラチン;
ii)溶解性フィルム形成剤、ならびに
iii)5~15重量%の脂肪酸、
iv)0.1~2重量%の1つまたは複数の甘味料、及び
v)0.2~2.0重量%の香味剤を含むアゴメラチン含有層を含み、
前記溶解性フィルム形成剤が、ポリビニルピロリドン及びヒドロキシプロピルセルロースからなる群から選択され、
前記アゴメラチン含有層の面積重量が、100~150g/m2の範囲である、前記経粘膜治療システム。
A)
i)3~10重量%のアゴメラチン;
ii)溶解性フィルム形成剤、ならびに
iii)5~15重量%の脂肪酸、
iv)0.1~2重量%の1つまたは複数の甘味料、及び
v)0.2~2.0重量%の香味剤を含むアゴメラチン含有層を含み、
前記溶解性フィルム形成剤が、ポリビニルピロリドン及びヒドロキシプロピルセルロースからなる群から選択され、
前記アゴメラチン含有層の面積重量が、100~150g/m2の範囲である、前記経粘膜治療システム。
Claims (16)
- 粘膜付着性層構造を含むアゴメラチンの経粘膜投与のための経粘膜治療システムであって、前記粘膜付着性層構造が、
A)
i)アゴメラチン;及び
ii)溶解性フィルム形成剤を含むアゴメラチン含有層を含む、前記経粘膜治療システム。 - 前記溶解性フィルム形成剤が、30~100g/m2、または50g/m2の面積重量を有するフィルムに流延された場合、水、人工もしくは天然唾液、または任意の他の水性媒体に、37℃及び150rpmにて、5時間未満、3時間未満、2時間未満もしくは1時間未満、または5秒超、30秒超、1分超、もしくは2分超、または5秒超5時間未満、30秒超3時間未満、1分超2時間未満、もしくは2分超1時間未満で溶解する、請求項1に記載の経粘膜治療システム。
- 前記溶解性フィルム形成剤が、ポリマー、例えばポリビニルピロリドン、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリエチレングリコール-ポリ酢酸ビニル-及びポリビニルカプロラクタムベースのグラフトコポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール-ポリエチレングリコールコポリマー、ポリビニルピロリドン-ポリ酢酸ビニルコポリマー、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、メタクリル酸-メチルメタクリレートコポリマー、及びメタクリル酸-エチルメタクリレートコポリマー、及び天然フィルム形成剤、例えばシェラック、ペクチン、ゼラチン、アルギン酸塩、プルラン及びデンプン誘導体、及びそれらの任意の混合物からなる群から選択される、及び/または
前記溶解性フィルム形成剤の量が、前記アゴメラチン含有層の、少なくとも65重量%、少なくとも75重量%もしくは少なくとも85重量%であるか、もしくは前記溶解性フィルム形成剤の量が、98重量%以下、94重量%以下もしくは90重要%以下であるか、もしくは前記溶解性フィルム形成剤の量が、65~98重量%、75~94重量%、もしくは80~90重量%の範囲である、請求項1または2に記載の経粘膜治療システム。 - 前記アゴメラチン含有層が、少なくとも1重量%のアゴメラチン、少なくとも2重量%のアゴメラチン、もしくは少なくとも3重量%のアゴメラチンを含む、及び/または
前記アゴメラチン含有層が、25重量%以下のアゴメラチン、20重量%以下のアゴメラチン、もしくは10重量%以下のアゴメラチンを含む、及び/または
前記アゴメラチン含有層が、1~25重量%以下のアゴメラチン、2~20重量%以下のアゴメラチン、もしくは3~10重量%以下のアゴメラチンを含む、及び/または
前記アゴメラチン含有層中の前記アゴメラチンが、溶解しているか、もしくは分散形態で存在する、及び/または
前記アゴメラチン含有層が、アゴメラチン結晶を含まない、請求項1~3のいずれか1項に記載の経粘膜治療システム。 - 前記アゴメラチン含有層が、脂肪酸、甘味料、香味剤、着色剤、透過促進剤、可溶化剤、可塑剤、保湿剤、崩壊剤、乳化剤、抗酸化剤、安定剤、緩衝試薬及びさらなるフィルム形成剤からなる群から選択される1つもしくは複数の賦形剤をさらに含み、
特に、前記脂肪酸が、4~24個の炭素原子を含む飽和もしくは不飽和、線状もしくは分枝状カルボン酸であり、特に、カプリル酸、ミリストレイン酸、パルミトール酸、サピエン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、リノール酸、リノエライジン酸、α-リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、エルカ酸及びドコサヘキサエン酸からなる群から選択される、及び/または
特に、前記アゴメラチン含有層が、サッカロース、グルコース、フルクトース、ソルビトール、マンニトール、イソマルト、マルチトール、ラクチトール、キシリトール、エリスリトール、スクラロース、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、シクラメート、ネオヘスペリジン、ネオテーム、ステビオールグリコシド、タウマチン及びサッカリンナトリウムからなる群から選択される1つもしくは複数の天然もしくは人工甘味料を含む、及び/または
特に、前記アゴメラチン含有層が、バニリン、サリチル酸メチル、メントール、マンザネート、ジアセチル、アセチルプロピオニル、アセトイン、酢酸イソアミル、ベンズアルデヒド、シンナムアルデヒド、プロピオン酸エチル、アントラニリン酸メチル、リモネン、デカジエン酸エチル、ヘキサン酸アリル、エチルマルトール、2,4-ジチアペンタン、エチルバニリン及びユーカリプトールからなる群から選択される1つまたは複数の天然もしくは人工香味剤、ならびに香味剤組成物、例えばペパーミントフレーバーを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の経粘膜治療システム。 - 前記アゴメラチン含有層が、実質的に水を含まない、及び/または
前記アゴメラチン含有層が、12重量%以下、8重量%以下、5重量%以下、もしくは4重量%以下の水を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の経粘膜治療システム。 - 前記アゴメラチン含有層が、
前記アゴメラチン、前記溶解性フィルム形成剤、及びエタノール、もしくは
前記アゴメラチン、前記溶解性フィルム形成剤、及び水、及び/または
前記アゴメラチン、前記溶解性フィルム形成剤、エタノール及び水を含むコーティングされたコーティング組成物を乾燥させることによって取得可能である、及び/または
前記アゴメラチン含有層が、50重量%未満、もしくは20重量%未満、もしくは10重量%未満、もしくは5重量%未満の水を含むコーティングされたコーティング組成物を乾燥させることによって取得可能である、請求項1~6のいずれか1項に記載の経粘膜治療システム。 - 前記アゴメラチン含有層が、少なくとも25g/m2、少なくとも35g/m2、もしくは少なくとも40g/m2の面積重量を有するか、または300g/m2以下、250g/m2以下、もしくは200g/m2以下の面積重量を有するか、または25~300g/m2、35~250g/m2、もしくは40~200g/m2の面積重量を有する、請求項1~7のいずれか1項に記載の経粘膜治療システム。
- 前記粘膜付着性層構造が、粘膜接触層を含むか、もしくは含まない、及び/または
前記粘膜付着性層構造が、装飾層を含むか、もしくは含まない、及び/または
前記経粘膜治療システムが、バッキング層を含まず、前記バッキング層が、特に、前記経粘膜治療システムをヒト患者に投与した際、15分未満、10分未満、もしくは5分未満で溶解しない、請求項8に記載の経粘膜治療システム。 - 前記粘膜付着性層構造が、水、人工もしくは天然唾液、または任意の他の水性媒体に、37℃及び150rpmにて、30秒超5時間未満、または1分超4時間未満、または2分超3時間未満、または4分超2時間未満で溶解する、請求項1~9のいずれか1項に記載の経粘膜治療システム。
- 前記経粘膜治療システムが、ブタ食道粘膜で測定した場合に、1時間後に10μg/cm2-hr~150μg/cm2-hrのアゴメラチンの粘膜透過速度を提供する、及び/または
前記経粘膜治療システムが、ブタ食道粘膜を用いて測定した場合に、8時間にわたって、少なくとも0.02mg/cm2、少なくとも0.05mg/cm2もしくは少なくとも0.1mg/cm2、または0.5mg/cm2以下、0.4mg/cm2以下、もしくは0.3mg/cm2以下、または0.02mg/cm2~0.5mg/cm2、0.05mg/cm2~0.4mg/cm2、もしくは0.1mg/cm2~0.3mg/cm2のアゴメラチンの累積放出を提供する、請求項1~10のいずれか1項に記載の経粘膜治療システム。 - ヒト患者を処置する方法において使用するための、請求項1~11のいずれか1項に記載の経粘膜治療システム。
- 処置方法であって、
請求項1~11のいずれか1項に記載の経粘膜治療システムが、
ヒト患者に投与される、前記方法。 - 前記処置方法が、大うつ病を処置する方法である、及び/または
前記経粘膜治療システムが、前記粘膜付着性層構造をヒト患者の口腔の粘膜、特に、頬側、舌下、歯肉もしくは口蓋粘膜に適用することによって投与され、溶解するまで前記粘膜上に維持される、及び/または
前記経粘膜治療システムが、就寝前の夕方もしくは夜間に投与される、請求項12に記載の経粘膜治療システムまたは請求項13に記載の処置方法。 - アゴメラチン含有層の製造プロセスであって、
i)少なくともアゴメラチン及び溶解性フィルム形成剤を溶媒中で組み合わせて、コーティング組成物を得る;
ii)前記コーティング組成物を剥離ライナー上にコーティングする;ならびに
iii)前記コーティングされたコーティング組成物を乾燥させて、前記アゴメラチン含有層を形成するステップを含む、前記製造プロセス。 - 粘膜付着性層構造を含むアゴメラチンの経粘膜投与のための経粘膜治療システムであって、前記粘膜付着性層構造が、少なくとも
A)
i)3~10重量%のアゴメラチン;
ii)溶解性フィルム形成剤、ならびに
iii)5~15重量%の脂肪酸、
iv)0.1~2重量%の1つまたは複数の甘味料、及び
v)0.2~2.0重量%の香味剤を含むアゴメラチン含有層を含み、
前記溶解性フィルム形成剤が、ポリビニルピロリドン及びヒドロキシプロピルセルロースからなる群から選択され、
前記アゴメラチン含有層の面積重量が、100~150g/m2の範囲である、前記経粘膜治療システム。
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