JP5284070B2 - 口腔内粘膜貼付製剤 - Google Patents
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このニコチン含有チューインガムの投与経路は持続型経口投与であり、薬物は口腔内粘膜だけなく消化管からも吸収されるため、消化管から吸収された薬物は肝臓で初回通過効果により代謝、分解されてしまう。また、噛み終ったチューイングガム中にも高分子に結合した薬物等が残存しやすい。そのため、喫煙時と同等のニコチン血中濃度の上昇効果を得るには、製剤中の薬物をより一層増量させることが必要となる。
口腔内粘膜に付着し、矯味剤及び可食性水溶性高分子を含有する粘膜付着層と、
前記粘膜付着層の反対側の最外層に配置され、可食性水難溶性高分子を含有する支持層と、
前記粘膜付着層と前記支持層の間に配置され、薬物、矯味剤及び可食性水溶性高分子を含有する少なくとも2つの薬物層と、
前記薬物層の間に配置され、可食性水溶性高分子及び矯味剤を含有する中間層と、
を備える、口腔内粘膜貼付製剤を提供するものである。
一方、可食性水難溶性高分子としては、デンプン、ゼラチン、トラガントガム、結晶セルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート及びポリアクリル酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。これにより、口腔内の唾液等の水分による支持層の溶解又は崩壊を抑制し、口腔内粘膜からの薬物の吸収性を高めることができる。なお、支持層は、上記した可食性水溶性高分子を更に含有していてもよい。
図1(a)は製剤10の平面図であり、図1(b)は製剤10のI−I線に沿って取られた断面図である。
図1に示す製剤10は、口腔内粘膜に付着する粘膜付着層1と、粘膜付着層1の反対側の最外層に配置された支持層2と、粘膜付着層1と支持層2の間に配置された2つの薬物層(第1の薬物層3a、第2の薬物層3b)と、これら薬物層3の間に配置された中間層4から構成されており、5層構造を有するものである。
一方、支持層2は、支持体として機能するとともに、口腔内において唾液等の水分による溶解又は崩壊を抑制する機能を有する。そのため、製剤10は、先ず口腔内粘膜に付着した粘膜付着層1から溶解が始まり、次いで第1の薬物層3a、中間層4及び第2の薬物層3bが順次溶解する。このように、支持層2により口腔内の水分との接触が遮断されているため、唾液内への薬物の放出が抑制される。その結果、消化管吸収による初回通過効果を受け難く、薬物の血中濃度を短期間で上昇させることができ、更には薬物の放出時間の調節、有効治療濃度域を保持するための薬物含量の低減が可能になる。そして、粘膜付着層1、第1の薬物層3a、中間層4、第2の薬物層3bに含まれる矯味剤と相俟って、口腔内に放出された薬物による苦味や刺激といった不快感を緩和することができる。また、支持層2により、当該製剤のブロッキング性の回避、外観上の視覚的価値や取り扱い性の向上等の効果も得られる。このような効果は、粘膜付着層、第1の薬物層、中間層、第2の薬物層及び支持層が順次積層された5層構造を採用することで、より確実に得ることができる。
円形φ12mmのサイズに裁断した試験片を採取し、それを健康な成人の口腔内粘膜に貼付後、試験片が口腔内の唾液のみで完全に崩壊するまでの時間を測定する。試験は6名のパネラーの服用に要した時間を平均し、その平均値を口腔内崩壊時間とする。
円形φ12mmのサイズに裁断した試験片を採取し、それを試験液(精製水900mL)に入れ、第15改正日本薬局方 [B]一般試験法 6.製剤試験法 6.10溶出試験法 パドル法(p.587)にしたがって、シンカーを使用し毎分50回転で試験を行う。試験開始後60分まで5分ごとに試験液を採取し、液体クロマトグラフィーにて薬物溶出率が95質量%以上となった時を水崩壊時間とする。
また、製剤の大きさは、口腔内での貼付に適した大きさであれば特に限定されないが、例えば、平面形状が円形である場合、その直径が10〜30mm程度であることが好ましい。また、その形状も口腔内での貼付に適した形状であれば特に限定されないが、例えば、円形、楕円形、方形等の形状を適宜選択することが可能であり、製剤表面はフラットであることが好ましい。
酸味剤としては、例えば、アスコルビン酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸又はそれらの塩等が例示される。これらは、単独で又は組み合わせて使用することができる。中でも、薬物の苦味や刺激といった不快感の緩和、製剤のpH安定性の観点から、酒石酸、クエン酸が特に好ましい。なお、塩の形態としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等が例示される。また、酒石酸、クエン酸及びリンゴ酸は酸無水物の形態であってもよい。
高甘度甘味剤とは、ショ糖の甘さを基準として比較される甘味度がショ糖の50倍以上である合成又は天然の砂糖代替物のことであるが、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、トレハロース及びマルチトール等の糖アルコール等の甘味度はショ糖よりも小さく、期待する甘味を得るには多量の添加が必要となる。本発明の製剤は、質量が小さいため、賦形剤や速溶性を得るための崩壊剤として糖アルコールを使用することは可能であっても、甘味を得る目的で糖アルコールを使用することは困難である。そのため、本発明に係る高甘度甘味剤には、糖アルコールは包含されないものとする。
高甘度甘味剤としては、例えば、アスパルテーム、ステビア、スクラロース、グリチルリチン酸、ソーマチン、アセスルファムカリウム、サッカリン又はそれらの塩が例示される。これらは、単独で又は組み合わせて使用することができる。中でも、薬物の苦味や刺激といった不快感の緩和の観点から、サッカリンナトリウム、スクラロースが特に好ましい。なお、塩の形態としては、アルカリ金属塩等が例示される。
清涼剤としては、例えば、ウイキョウ油、カンフル、ハッカ油、ハッカ水、ミント、ペパーミント、メントール等が例示される。これらは、単独で又は組み合わせて使用することができる。中でも、薬物の苦味や刺激といった不快感の緩和の観点から、メントールが特に好ましい。なお、メントールは、単一の光学活性体であっても、これらの混合物(例えば、ラセミ体)であってもよいが、単一の光学活性体、特にl−メントールが好ましい。
第1及び第2の薬物層中の矯味剤の各含有量は、好ましくは5〜40質量%、更に好ましくは7〜30質量%、特に好ましくは10〜20質量%である。
中間層中の矯味剤の含有量は、好ましくは3〜50質量%、更に好ましくは7〜40質量%、特に好ましくは10〜30質量%である。
単位製剤中の酸味剤の含有量は、苦味や刺激等の不快感の緩和及び製剤のpH安定性の観点から、薬物1mg当たり0.5〜3mg、更に0.75〜2.75mg、特に1〜2.5mgが好ましい。単位製剤中の高甘度甘味剤の含有量は、苦味や刺激等の不快感の緩和の観点から、薬物1mg当たり0.5〜5mg、更に0.75〜4mg、特に1〜3mgが好ましい。単位製剤中の清涼剤の含有量は、苦味や刺激等の不快感の緩和の観点から、薬物1mg当たり0.1〜2mg、更に0.2〜1.5mg、特に0.3〜1mgが好ましい。
ここで、本明細書において、「単位製剤」とは、服用に供される製剤の最小単位を意味し、例えば、一つひとつ個別包装された製剤においては、その一つの製剤であり、また形状を画定する切断線が設けられた複数個の製剤が行列状に配置されたフィルム状製剤の場合、その切断線に沿って分離された一つの製剤である。
第1及び第2の薬物層中の可食性水溶性高分子の各含有量は、好ましくは60〜85質量%、更に好ましくは65〜80質量%、特に好ましくは70〜80質量%である。
中間層中の可食性水溶性高分子の含有量は、好ましく60〜95質量%、更に好ましくは65〜93質量%、特に70〜90質量%である。
支持層中の可食性水溶性高分子の含有量は、好ましくは5〜30質量%、更に好ましくは7〜25質量%、特に9〜20質量%である。
なお、単位製剤中の可食性水溶性高分子の含有量は、好ましくは50〜80質量%、更に好ましくは55〜75質量%、特に好ましくは60〜70質量%である。
イオン化形態の場合は、その分子量から算出される換算係数を用いて使用量を補正しなければならない。例えば、ニコチン・二酒石酸塩を使用する場合、その換算係数はニコチンの分子量/ニコチン・二酒石酸塩の分子量=162.23/498.44=0.325…≒0.325となる。したがって、ニコチン・二酒石酸塩1mgは、ニコチン0.325mgに相当する。
支持層中の可食性水難溶性高分子の含有量は、好ましくは50〜80質量%、更に好ましくは55〜75質量%、特に好ましくは60〜70質量%である。
着色剤としては、当該技術分野において常用され、かつ可食性であれば特に限定されるものではないが、黄色三二酸化鉄、褐色酸化鉄、カラメル、黒酸化鉄、酸化チタン、三二酸化鉄、タール色素、アルミニウムレーキ色素、銅クロロフィリンナトリウム等が例示される。これらは、単独で又は組み合わせて使用することができる。中でも、製品の外観及び製品イメージ向上の観点から、酸化チタンやアルミニウムレーキ色素が好適に用いられる。
本発明の製剤は、公知の方法を採用して製造することが可能であり、例えば、特開2004−196784号公報、特開2004−043450号公報、特開平11−116469号公報等に記載の方法が例示される。
(1)矯味剤及び可食性水溶性高分子を含有する塗工液を樹脂フィルム上に直接塗布して所定厚さの粘膜付着層を形成する工程、
(2)工程(1)で形成された粘膜付着層上に薬物、嬌味剤及び可食性水溶性高分子を含有する塗工液を塗布して所定の厚さの第1の薬物層を有する中間製品Aを得る工程と、
(3)可食性水難溶性高分子を含有する塗工液を樹脂フィルム上に直接塗布して所定の厚さの支持層を形成する工程、
(4)工程(3)で形成された支持層上に薬物、嬌味剤及び可食性水溶性高分子を含有する塗工液を塗布して所定の厚さの第2の薬物層を有する中間製品Bを得る工程、
(5)可食性水溶性高分子及び矯味剤を含有する塗工液を樹脂フィルム上に直接塗布して所定の厚さの中間層を形成する工程、
(6)工程(5)で得られた中間層と、工程(2)で得られた中間製品Aを互いに対向するように重ね合わせて樹脂フィルムの裏面から加圧することにより、両者を相互に密着させて中間製品Cを得る工程、
(7)工程(6)で得られた中間製品Cの中間層側の樹脂フィルムのみを剥離して中間製品Dを得る工程、
(8)工程(5)で得られた中間層と、工程(4)で得られた中間製品Bの第2の薬物層を互いに対向するように重ね合わせて樹脂フィルムの裏面から加圧することにより、両者を相互に密着させて中間製品Eを得る工程、
(9)工程(8)で得られた中間製品Eの中間層側の樹脂フィルムのみを剥離して中間製品Fを得る工程、
(10)工程(7)で得られた中間製品Dの中間層と、工程(9)で得られた中間製品Fの中間層を互いに対向するように重ね合わせて樹脂フィルムの裏面から加圧することにより、両者を密着させて中間製品Gを得る工程、
(11)工程(10)で得られた中間製品Gの両側にある樹脂フィルムのうちの少なくとも一方の樹脂フィルムを剥離する工程。
塗工液の調製に使用する溶媒としては、水、アルコール、ケトン、エーテル、エステル、炭化水素、ハロゲン化炭化水素、アミド又はこれらの混合物等を特に制限なく使用できるが、中でも、水、アルコール(特に、エタノール)、エステル(特に、酢酸エチル)又はこれら溶媒を組み合わせたもの(例えば、エタノール−水混合物、エタノール−酢酸エチル混合物)が好ましく使用される。
また、工程(6)〜(11)においては、特開2004−196784号、特開2005−80838号公報に記載の圧着装置を使用することができる。この場合、圧力を0.05〜1.5MPa、圧着させるべき層の温度を30〜70℃に調整し圧着し、その後樹脂フィルムを剥離するまで0℃以下にならないように圧着時よりも10℃以上低い温度に冷却することが好ましい。
粘膜付着層、第1の薬物層、中間層、第2の薬物層及び支持層が順次積層された5層構造を有し、支持層以外の全ての層に無水クエン酸、サッカリンナトリウム及びl−メントールを含む口腔内粘膜貼付製剤(I)
水15gに無水クエン酸0.6g、サッカリンナトリウム0.6g、D−マンニトール0.6gを溶解させた。次いで、この溶液に、エタノール15gにl−メントール0.2gを溶解させた溶液を加えた後、酸化チタン1gを加えた。そして、この溶液にヒドロキシプロピルメチルセルロース7gを加え、粘膜付着層調製液を得た。
水5gにマクロゴール2.5gを混和させた。次いで、この液にエタノール20gに三二酸化鉄0.06gを分散させた溶液を加えた後、酸化チタン0.3gを加えた。そして、この溶液にヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート6.2g、ヒドロキシプロピルメチルセルロース1gを加え、支持層調製液を得た。
水30gにニコチンオイル2g、無水クエン酸1.2g、サッカリンナトリウム1.2g、D−マンニトール0.6gを溶解させた。次いで、この溶液にエタノール30gにl−メントール0.4gを溶解させた溶液を加えた。そして、この溶液にヒドロキシプロピルメチルセルロース7.3g、ヒドロキシプロピルセルロース7.3gを加え、薬物層調製液を得た。
水30gに無水クエン酸1.2g、サッカリンナトリウム1.2g、D−マンニトール3gを溶解させた。次いで、この溶液に、エタノール30gにl−メントール0.4gを溶解させた溶液を加えた。そして、この溶液にヒドロキシプロピルメチルセルロース14.2gを加え、中間層調製液を得た。
1)可食性中間製品11の製造工程
シリコーン剥離処理したポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)を塗工機巻き出し軸にセットし、ダム部に粘膜付着層調製液を供給して、PETフィルムの表面(シリコーン剥離処理していない面)に粘膜付着層調製液を塗布した後、温風にて乾燥し厚さ23μmの可食性の粘膜付着層を形成した。次いで、粘膜付着層を形成したPETフィルムを再度巻き出し軸にセットし、粘膜付着層上に薬物層調製液を塗布した後、温風にて乾燥し厚さ46μmの可食性の中間製品11を得た。
2)可食性の中間層の製造工程
両面をシリコーン剥離処理したPETフィルムを塗工機巻き出し軸にセットし、ダム部に中間層調製液を供給して、PETフィルムの表面に中間層調製液を塗布した。次いで、温風にて乾燥し厚さ23μmの可食性の中間層を形成した。
シリコーン剥離処理したポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)を塗工機巻き出し軸にセットし、ダム部に支持層調製液を供給して、PETフィルムの表面(シリコーン剥離処理していない面)に支持層調製液を塗布した後、温風にて乾燥し厚さ23μmの可食性の支持層を形成した。次いで、支持層を形成したPETフィルムを再度巻き出し軸にセットし、支持層上に薬物層調製液を塗布した後、温風にて乾燥し厚さ46μmの可食性の中間製品12を得た。
4)圧着工程
中間製品11の薬物層と、工程2)で得られた中間層とが対向するように貼り合わせ、圧着温度70℃で両者を圧着し、二つのPETフィルム間に、粘膜付着層と、薬物層と、中間層の3層構造を有する中間製品13を得た。
中間製品13の中間層側のPETフィルムのみを剥離し、中間製品14を得た。
6)圧着工程
中間製品12の薬物層と、工程2)で得られた中間層とが対向するように貼り合わせ、圧着温度70℃で両者を圧着し、二つのPETフィルム間に、支持層と、薬物層と、中間層の3層からなる中間製品15を得た。
7)樹脂フィルム剥離工程
中間製品15の中間層側のPETフィルムのみを剥離し、中間製品16を得た。
中間製品14の中間層と中間製品16の中間層とが対向するように貼り合わせ、圧着温度70℃で両者を圧着し、二つのPETフィルム間に、粘膜付着層と、薬物層と、中間層と、薬物層と、支持層からなる5層構造の中間製品17を得た。
9)樹脂フィルム剥離工程
中間製品17の支持層側のPETフィルムのみを剥離し、中間製品18を得た。
10)打ち抜き工程
中間製品18を、円形φ12mmのカッターを用いて、PETフィルムの裏面まで到達しないように打ち抜き、厚さ138μmの口腔内粘膜貼付製剤(I)を得た。
粘膜付着層、第1の薬物層、中間層、第2の薬物層及び支持層が順次積層された5層構造を有し、支持層以外の全ての層に無水クエン酸、サッカリンナトリウム及びl−メントールを含む口腔内粘膜貼付製剤(II)
水15gに無水クエン酸0.6g、サッカリンナトリウム0.6g、トレハロース0.6gを溶解させた。次いで、この溶液に、エタノール15gにl−メントール0.2gを溶解させた溶液を加えた後、酸化チタン1gを加えた。そして、この溶液にヒドロキシプロピルメチルセルロース7gを加え、粘膜付着層調製液を得た。
水5gにマクロゴール2.5gを混和させた。次いで、この液にエタノール20gに三二酸化鉄0.06gを分散させた溶液を加えた後、酸化チタン0.3gを加えた。そして、この溶液にヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート6.2g、ヒドロキシプロピルメチルセルロース1gを加え、支持層調製液を得た。
水30gにニコチンオイル2g、無水クエン酸1.2g、サッカリンナトリウム1.2gを溶解させた。次いで、この溶液にエタノール30gにl−メントール0.4gを溶解させた溶液を加えた。そして、この溶液にヒドロキシプロピルメチルセルロース7.3g、ヒドロキシプロピルセルロース7.3gを加え、薬物層調製液を得た。
水30gに無水クエン酸1.2g、サッカリンナトリウム1.2gを溶解させた。次いで、この溶液に、エタノール30gにl−メントール0.4gを溶解させた溶液を加えた。そして、この溶液にヒドロキシプロピルメチルセルロース14.2gを加え、中間層調製液を得た。
各調製液を用いて、実施例1と同様の操作により口腔内粘膜貼付製剤(II)を得た。
粘膜付着層、薬物層及び支持層が順次積層された3層構造を有し、支持層以外の全ての層に無水クエン酸、サッカリンナトリウム及びl−メントールを含む口腔内粘膜貼付製剤
水15gに無水クエン酸1.5g、サッカリンナトリウム1.5g、D−マンニトール1.5gを溶解させた。次いで、この溶液に、エタノール15gにl−メントール0.5gを溶解させた溶液を加えた後、酸化チタン2.5gを加えた。そして、この溶液にヒドロキシプロピルメチルセルロース17.5gを加え、粘膜付着層調製液を得た。
水5gにマクロゴール2.5gを混和させた。次いで、この溶液にエタノール20gに三二酸化鉄0.06gを分散させた溶液を加えた後、酸化チタン0.3gを加えた。そして、この溶液にヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート6.2g、ヒドロキシプロピルメチルセルロース1gを加え、支持層調製液を得た。
水30gにニコチンオイル2.0g、無水クエン酸1.5g、サッカリンナトリウム1.5g、D−マンニトール0.75gを溶解させた。次いで、この溶液に、エタノール30gにl−メントール0.5gを溶解させた溶液を加えた。そして、この溶液にヒドロキシプロピルメチルセルロース9.38g、ヒドロキシプロピルセルロース9.38gを加え、薬物層調製液を得た。
1)可食性中間製品101の製造工程
シリコーン剥離処理したポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)を塗工機巻き出し軸にセットし、ダム部に粘膜付着層調製液を供給して、PETフィルムの表面(シリコーン剥離処理していない面)に粘膜付着層調製液を塗布した。次いで、温風にて乾燥し厚さ58μmの可食性の粘膜付着層を形成した。次いで、粘膜付着層を形成したPETフィルムを再度巻き出し軸にセットし、粘膜付着層上に薬物層調製液を塗布した。次いで、温風にて乾燥し厚さ86μmの可食性の中間製品101を形成した。
2)可食性中間製品102の製造工程
シリコーン剥離処理したポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)を塗工機巻き出し軸にセットし、ダム部に支持層調製液を供給して、PETフィルムの表面(シリコーン剥離処理していない面)に支持層調製液を塗布した後、温風にて乾燥し厚さ23μmの可食性の支持層を形成した。次いで、支持層を形成したPETフィルムを再度巻き出し軸にセットし、支持層上に薬物層調製液を塗布した後、温風にて乾燥し厚さ52μmの可食性の中間製品102を形成した。
中間製品101と中間製品102の薬物層同士が対向するように貼り合わせ、圧着温度70℃で両者を圧着し、2つのPETフィルム間に、粘膜付着層と、薬物層と、支持層の3層構造の中間製品103を得た。
4)樹脂フィルム剥離工程
中間製品103の支持層側のPETフィルムのみを剥離し、中間製品104を得た。
5)打ち抜き工程
中間製品104を、円形φ12mmのカッターを用いて、PETフィルムの裏面まで到達しないように打ち抜き、厚さ138μmの口腔内粘膜貼付製剤を得た。
粘膜付着層、薬物層及び支持層が順次積層された3層構造を有し、薬物層のみに無水クエン酸、サッカリンナトリウム及びl−メントールを含む口腔内粘膜貼付製剤
水15gにD−マンニトール1.5gを溶解させた。次いで、この溶液に、エタノール15gを加えた後、酸化チタン2.5gを加えた。そして、この溶液にヒドロキシプロピルメチルセルロース21gを加え、粘膜付着層調製液を得た。
水30gにニコチンオイル2.0g、無水クエン酸3g、サッカリンナトリウム3g、D−マンニトール0.75gを溶解させた。次いで、この溶液に、エタノール30gにl−メントール1gを溶解させた溶液を加えた。そして、この溶液にヒドロキシプロピルメチルセルロース7.63g、ヒドロキシプロピルセルロース7.63gを加え、薬物層調製液を得た。
水5gにマクロゴール2.5gを混和させた。次いで、この溶液に、エタノール20gに三二酸化鉄0.06gを分散させた溶液を加えた後、酸化チタン0.3gを加えた。そして、この溶液にヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート6.2g、ヒドロキシプロピルメチルセルロース1gを加え、支持層調製液を得た。
各調製液を用いて、比較例1と同様の操作により口腔内粘膜貼付製剤を得た。
粘膜付着層、第1の薬物層、中間層、第2の薬物層及び支持層が順次積層された5層構造を有し、支持層以外の全ての層に無水クエン酸、サッカリンナトリウム及びl−メントールを含み、支持層は水難溶性高分子を含まない口腔内粘膜貼付製剤
水15gに無水クエン酸0.6g、サッカリンナトリウム0.6g、D−マンニトール0.6gを溶解させた。次いで、この溶液に、エタノール15gにl−メントール0.2gを溶解させた溶液を加えた後、酸化チタン1gを加えた。そして、この溶液にヒドロキシプロピルメチルセルロース7gを加え、粘膜付着層調製液を得た。
水5gにマクロゴール2.5gを混和させた。次いで、この液にエタノール20gに三二酸化鉄0.06gを分散させた溶液を加えた後、酸化チタン0.3gを加えた。そして、この溶液にヒドロキシプロピルメチルセルロース7.2gを加え、支持層調製液を得た。
水30gにニコチンオイル2g、無水クエン酸1.2g、サッカリンナトリウム1.2g、D−マンニトール0.6gを溶解させた。次いで、この溶液にエタノール30gにl−メントール0.4gを溶解させた溶液を加えた。そして、この溶液にヒドロキシプロピルメチルセルロース7.3g、ヒドロキシプロピルセルロース7.3gを加え、薬物層調製液を得た。
水30gに無水クエン酸1.2g、サッカリンナトリウム1.2g、D−マンニトール3gを溶解させた。次いで、この溶液に、エタノール30gにl−メントール0.4gを溶解させた溶液を加えた。そして、この溶液にヒドロキシプロピルメチルセルロース14.2gを加え、中間層調製液を得た。
1)可食性中間製品201の製造工程
シリコーン剥離処理したポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)を塗工機巻き出し軸にセットし、ダム部に粘膜付着層調製液を供給して、PETフィルムの表面(シリコーン剥離処理していない面)に粘膜付着層調製液を塗布した後、温風にて乾燥し厚さ23μmの可食性の粘膜付着層を形成した。次いで、粘膜付着層を形成したPETフィルムを再度巻き出し軸にセットし、粘膜付着層上に薬物層調製液を塗布した後、温風にて乾燥し厚さ46μmの可食性の中間製品201を得た。
2)可食性の中間層の製造工程
両面をシリコーン剥離処理したPETフィルムを塗工機巻き出し軸にセットし、ダム部に中間層調製液を供給して、PETフィルムの表面にに中間層調製液を塗布した。次いで、温風にて乾燥し厚さ23μmの可食性の中間層を形成した。
シリコーン剥離処理したポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)を塗工機巻き出し軸にセットし、ダム部に支持層調製液を供給して、PETフィルムの表面(シリコーン剥離処理していない面)に支持層調製液を塗布した後、温風にて乾燥し厚さ23μmの可食性の支持層を形成した。次いで、支持層を形成したPETフィルムを再度巻き出し軸にセットし、支持層上に薬物層調製液を塗布した後、温風にて乾燥し厚さ46μmの可食性の中間製品202を得た。
4)圧着工程
中間製品201の薬物層と、工程2)で得られた中間層とが対向するように貼り合わせ、圧着温度70℃で両者を圧着し、二つのPETフィルム間に、粘膜付着層と、薬物層と、中間層の3層構造を有する中間製品203を得た。
中間製品203の中間層側のPETフィルムのみを剥離し、中間製品204を得た。
6)圧着工程
中間製品202の薬物層と、工程2)で得られた中間層とが対向するように貼り合わせ、圧着温度70℃で両者を圧着し、二つのPETフィルム間に、支持層と、薬物層と、中間層の3層からなる中間製品205を得た。
7)樹脂フィルム剥離工程
中間製品205の中間層側のPETフィルムのみを剥離し、中間製品206を得た。
中間製品204の中間層と中間製品206の中間層とが対向するように貼り合わせ、圧着温度70℃で両者を圧着し、二つのPETフィルム間に、粘膜付着層と、薬物層と、中間層と、薬物層と、支持層からなる5層構造の中間製品207を得た。
9)樹脂フィルム剥離工程
中間製品207の支持層側のPETフィルムのみを剥離し、中間製品208を得た。
10)打ち抜き工程
中間製品208を、円形φ12mmのカッターを用いて、PETフィルムの裏面まで到達しないように打ち抜き、厚さ138μmの口腔内粘膜貼付製剤を得た。
各実施例及び比較例で得られた製剤を6人のパネラーが服用し、服用後の喉ごしを下記の基準で評価した。評価は、最も喉に刺激を感じなかった製剤を「1点」、最も喉に刺激を感じた製剤を「5点」とする5段階で行い、6人の評点の平均値をもって判断した。その結果を表3に示す。
また、支持層が水難溶性高分子を含まない5層型の比較例3の製剤では4.3点であることから、最外層である支持層が水難溶性高分子を含有することは、口腔内への薬物の過度な放出を抑制して薬物由来の刺激を緩和可能な点、口腔内粘膜吸収を効率的に促進する上で有効であると考えられる。
円形φ12mmのサイズに裁断した試験片を採取し、それを試験液(精製水900mL)に入れ、第15改正日本薬局方 [B]一般試験法 6.製剤試験法 6.10溶出試験法 パドル法(P587)にしたがって、シンカーを使用し毎分50回転で試験を行った。試験開始後60分まで5分ごとに試験液を採取し、液体クロマトグラフィーにて薬物溶出率が95質量%以上となった時を水崩壊時間とした。
円形φ12mmのサイズに裁断した試験片を採取し、それを健康な成人の口腔内粘膜に貼付後、試験片が口腔内の唾液のみで完全に溶解するまでの時間を測定した。試験は6名のパネラーの服用に要した時間を平均し、その値を口腔内崩壊時間とした。
2 :支持層
3 :薬物層(3a:第1の薬物層、3b:第2の薬物層)
4 :中間層
10:口腔内粘膜貼付製剤
Claims (12)
- 口腔内粘膜に付着し、矯味剤及び可食性水溶性高分子を含有する粘膜付着層と、
前記粘膜付着層の反対側の最外層に配置され、可食性水難溶性高分子を含有する支持層と、
前記粘膜付着層と前記支持層の間に配置され、薬物、矯味剤及び可食性水溶性高分子を含有する少なくとも2つの薬物層と、
前記薬物層の間に配置され、可食性水溶性高分子及び矯味剤を含有する中間層と
を備える、口腔内粘膜吸収製剤。 - 粘膜付着層、薬物層、中間層、薬物層及び支持層が順次積層された5層構造を有するものである、請求項1記載の口腔内粘膜吸収製剤。
- 前記支持層が可食性水溶性高分子を更に含有するものである、請求項1又は2記載の口腔内粘膜吸収製剤。
- 前記矯味剤が酸味剤、高甘度甘味剤及び清涼剤からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の口腔内粘膜吸収製剤。
- 前記酸味剤がアスコルビン酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸及びそれらの塩からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項4記載の口腔内粘膜吸収製剤。
- 前記高甘度甘味剤がアスパルテーム、ステビア、スクラロース、グリチルリチン酸、ソーマチン、アセスルファムカリウム、サッカリン及びそれらの塩からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項4記載の口腔内粘膜吸収製剤。
- 前記清涼剤がウイキョウ油、カンフル、ハッカ油、ハッカ水、ミント、ペパーミント及びメントールからなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項4記載の口腔内粘膜吸収製剤。
- 前記可食性水溶性高分子がヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース・ナトリウム、カルボキシメチルセルロース・カルシウム、カルボキシメチルセルロース・カリウム、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン及びアルギン酸ナトリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の口腔内粘膜吸収製剤。
- 前記可食性水難溶性高分子がデンプン、ゼラチン、トラガントガム、結晶セルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート及びポリアクリル酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の口腔内粘膜吸収製剤。
- 前記薬物がニコチンである、請求項1〜9のいずれか1項に記載の口腔内粘膜吸収製剤。
- 口腔内において2〜15分で崩壊するものである、請求項1〜10のいずれか1項に記載の口腔内粘膜吸収製剤。
- 水に対する崩壊時間が5〜25分である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の口腔内粘膜吸収製剤。
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