JP2023505726A - 配列決定のための核酸を得る方法 - Google Patents
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Abstract
本発明は、配列決定のための腫瘍核酸を得る方法であって、エクスビボで固形腫瘍サンプルから培地中に脱落した腫瘍細胞および/または固形腫瘍サンプルの機械的破壊の間に放出された腫瘍細胞を含有する培地を提供する工程、ならびに脱落した腫瘍細胞および/または放出された腫瘍細胞から核酸を抽出する工程を含む、方法を提供する。【選択図】なし
Description
発明の分野
本発明は、患者由来の腫瘍から核酸を、特に該核酸を配列決定する目的で、取得するための方法に関する。この方法は、エクスビボ(ex vivo)で腫瘍サンプルから培地中に脱落した腫瘍細胞を含有する培地を提供する工程、および脱落した腫瘍細胞から核酸を抽出する工程を含んでなる。前記方法から得られた配列情報は、腫瘍の治療において標的化され得るクローン性ネオアンチゲン(clonal neoantigen)を同定するために使用することができる。また、本発明は、患者の癌を治療するために使用できる、該クローン性ネオアンチゲンに特異的なT細胞集団を増幅するための方法に関する。
本発明は、患者由来の腫瘍から核酸を、特に該核酸を配列決定する目的で、取得するための方法に関する。この方法は、エクスビボ(ex vivo)で腫瘍サンプルから培地中に脱落した腫瘍細胞を含有する培地を提供する工程、および脱落した腫瘍細胞から核酸を抽出する工程を含んでなる。前記方法から得られた配列情報は、腫瘍の治療において標的化され得るクローン性ネオアンチゲン(clonal neoantigen)を同定するために使用することができる。また、本発明は、患者の癌を治療するために使用できる、該クローン性ネオアンチゲンに特異的なT細胞集団を増幅するための方法に関する。
背景
腫瘍細胞の遺伝的不安定性は、しばしば、多数の突然変異の発生につながり、非同義突然変異(non-synonymous mutation)の発現は、ネオアンチゲンと呼ばれる腫瘍特異的抗原を生み出す可能性がある。ネオアンチゲンは、腫瘍細胞ゲノムの非同義突然変異により生成される、個体特異性を有する非自己タンパク質である。ネオアンチゲンは、正常な組織では発現していないため、高い免疫原性を示す。それらはCD4+およびCD8+ T細胞を活性化して免疫応答を生じさせることができるため、腫瘍の免疫療法の理想的な標的となる。バイオインフォマティクス技術の進展により、ネオアンチゲンの同定が加速されている。主要組織適合性複合体(MHC)に対するネオアンチゲンの親和性またはネオアンチゲンの免疫原性を特定しかつ予測するための様々なアルゴリズムの組み合わせは、主に全エクソームシーケンシング技術に基づいている。
腫瘍細胞の遺伝的不安定性は、しばしば、多数の突然変異の発生につながり、非同義突然変異(non-synonymous mutation)の発現は、ネオアンチゲンと呼ばれる腫瘍特異的抗原を生み出す可能性がある。ネオアンチゲンは、腫瘍細胞ゲノムの非同義突然変異により生成される、個体特異性を有する非自己タンパク質である。ネオアンチゲンは、正常な組織では発現していないため、高い免疫原性を示す。それらはCD4+およびCD8+ T細胞を活性化して免疫応答を生じさせることができるため、腫瘍の免疫療法の理想的な標的となる。バイオインフォマティクス技術の進展により、ネオアンチゲンの同定が加速されている。主要組織適合性複合体(MHC)に対するネオアンチゲンの親和性またはネオアンチゲンの免疫原性を特定しかつ予測するための様々なアルゴリズムの組み合わせは、主に全エクソームシーケンシング技術に基づいている。
腫瘍のネオアンチゲンを標的とするためには、まずネオアンチゲンを同定する必要があり、そのためには、腫瘍からの核酸を配列決定する必要がある。これには、関心対象の腫瘍から核酸を取得することが必然的に伴う。
配列決定のための前記核酸をできるだけ少量の腫瘍サンプルから取得して、残りの腫瘍をさらなる病理学的解析に、または腫瘍ネオアンチゲンを標的とし得る治療用T細胞集団の作製に利用できるようにしておくことが有利である。
したがって、当技術分野では、腫瘍のサンプルから腫瘍核酸を効率的に取得する手段が求められている。配列決定する目的で腫瘍サンプルから十分な量の核酸を取得できることが有利であり、その場合、該核酸は、ネオアンチゲン、特にクローン性ネオアンチゲンの同定を可能にするのに十分な量および質のものである。
発明の簡単な説明
本発明者らは、驚くべきことに、例えば腫瘍切除後に、固形腫瘍サンプルから培地中に脱落した細胞が、例えば癌の治療において標的化され得るネオアンチゲンを同定するために、核酸の配列決定を可能にするのに十分な適切な品質の核酸を提供することを見出した。培地中に脱落した腫瘍細胞は、腫瘍全体を代表し得るものであり、腫瘍内の遍在性またはクローン性の突然変異の大多数の検出を可能にするのに十分な配列情報を提供する可能性がある。
本発明者らは、驚くべきことに、例えば腫瘍切除後に、固形腫瘍サンプルから培地中に脱落した細胞が、例えば癌の治療において標的化され得るネオアンチゲンを同定するために、核酸の配列決定を可能にするのに十分な適切な品質の核酸を提供することを見出した。培地中に脱落した腫瘍細胞は、腫瘍全体を代表し得るものであり、腫瘍内の遍在性またはクローン性の突然変異の大多数の検出を可能にするのに十分な配列情報を提供する可能性がある。
したがって、本発明は、配列決定のための腫瘍核酸を得る方法であって、固形腫瘍サンプルから脱落した腫瘍細胞および/または該固形腫瘍サンプルの少なくとも一部の機械的破壊の間に放出された腫瘍細胞を含有する培地を提供する工程、ならびに脱落した腫瘍細胞および/または放出された腫瘍細胞から核酸を抽出する工程を含む方法を提供する。
一態様において、前記方法は、以下の工程:
(a)固形腫瘍サンプルから脱落した腫瘍細胞および/または該固形腫瘍サンプルの少なくとも一部の機械的破壊の間に放出された腫瘍細胞を含有する培地を提供する工程;
(b)脱落した腫瘍細胞および/または放出された腫瘍細胞を該培地から分離する工程;および
(c)脱落した腫瘍細胞および/または放出された腫瘍細胞から核酸を抽出する工程;
を含んでなる。
(a)固形腫瘍サンプルから脱落した腫瘍細胞および/または該固形腫瘍サンプルの少なくとも一部の機械的破壊の間に放出された腫瘍細胞を含有する培地を提供する工程;
(b)脱落した腫瘍細胞および/または放出された腫瘍細胞を該培地から分離する工程;および
(c)脱落した腫瘍細胞および/または放出された腫瘍細胞から核酸を抽出する工程;
を含んでなる。
一態様において、前記培地は、エクスビボまたはインビトロ(in vitro)で固形腫瘍サンプルから該培地中に直接脱落した腫瘍細胞を含有する。
一態様において、前記固形腫瘍は、非小細胞肺癌(NSCLC)、メラノーマ、腎臓癌、膀胱癌、頭頸部癌、および乳癌から選択される。
一態様において、前記方法は、脱落した腫瘍細胞および/または放出された腫瘍細胞から抽出された核酸を配列決定する工程を含む。一態様では、得られた配列情報は、腫瘍からクローン性ネオアンチゲンを同定するのに適している。一態様では、前記方法は、腫瘍からクローン性ネオアンチゲンを同定する工程を含む。
一態様において、前記方法は、該固形腫瘍サンプルの少なくとも一部から腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を分離する工程をさらに含み得る。該TILを選択的に増幅することで、クローン性ネオアンチゲン特異的T細胞(cNeT)の集団を作製することができる。
一態様において、前記方法は、該固形腫瘍サンプルの少なくとも一部を機械的に破壊して、機械的破壊の間に放出された腫瘍細胞から核酸を抽出する工程をさらに含み得る。一態様では、前記方法は、配列決定のための核酸を抽出する前に、該固形腫瘍サンプルを酵素的に破壊する工程を含まない。
一態様において、前記方法は、配列決定のための核酸を抽出する前に、ネガティブセレクション(negative selection)によって、例えば免疫磁気ネガティブセレクションによって、非腫瘍細胞を除去する工程を含み得る。
また、本明細書に記載の発明は、配列決定のための腫瘍核酸を提供するために、エクスビボで固形腫瘍サンプルから培地中に脱落した腫瘍細胞を使用することを包含する。
本発明はまた、対象における癌の治療に使用するためのT細胞集団を選択的に増幅する方法を提供し、この方法は、以下の工程:
(a)固形腫瘍サンプルから脱落した腫瘍細胞および/または該腫瘍サンプルの少なくとも一部の機械的破壊の間に放出された腫瘍細胞を含有する培地を提供する工程;
(b)脱落した腫瘍細胞および/または放出された腫瘍細胞から核酸を抽出する工程;
(c)脱落した腫瘍細胞および/または放出された腫瘍細胞から抽出された核酸を配列決定する工程;
(d)工程(c)で得られた配列情報を用いて、該腫瘍からのクローン性ネオアンチゲンを同定する工程;
(e)該固形腫瘍サンプルの少なくとも一部から腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を分離する工程;および
(f)該TILを、工程(d)で同定されたクローン性ネオアンチゲンを含むペプチドおよび抗原提示細胞と共培養する工程;
を含む。
(a)固形腫瘍サンプルから脱落した腫瘍細胞および/または該腫瘍サンプルの少なくとも一部の機械的破壊の間に放出された腫瘍細胞を含有する培地を提供する工程;
(b)脱落した腫瘍細胞および/または放出された腫瘍細胞から核酸を抽出する工程;
(c)脱落した腫瘍細胞および/または放出された腫瘍細胞から抽出された核酸を配列決定する工程;
(d)工程(c)で得られた配列情報を用いて、該腫瘍からのクローン性ネオアンチゲンを同定する工程;
(e)該固形腫瘍サンプルの少なくとも一部から腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を分離する工程;および
(f)該TILを、工程(d)で同定されたクローン性ネオアンチゲンを含むペプチドおよび抗原提示細胞と共培養する工程;
を含む。
別の態様では、本発明は、配列決定のための腫瘍核酸を得る方法であって、腫瘍サンプルの少なくとも一部の機械的破壊の間に該腫瘍サンプルの少なくとも一部から脱落または放出された腫瘍細胞を含有する培地を提供する工程、および好ましくは、該腫瘍細胞から核酸を抽出する工程を含む方法を提供する。
一態様では、固形腫瘍サンプルから脱落した腫瘍細胞から抽出された腫瘍核酸は、該腫瘍サンプルの少なくとも一部の機械的破壊の間に放出された腫瘍細胞から抽出された核酸と組み合わせてもよい。一態様では、抽出されて組み合わされた核酸が配列決定され得る。
発明の詳細な説明
本明細書に記載されるように、本発明は、配列決定に適した腫瘍核酸を得るための方法であって、固形腫瘍サンプルから脱落した腫瘍細胞を含有する培地を提供する工程、および脱落した腫瘍細胞から核酸を抽出する工程を含む方法を提供する。
本明細書に記載されるように、本発明は、配列決定に適した腫瘍核酸を得るための方法であって、固形腫瘍サンプルから脱落した腫瘍細胞を含有する培地を提供する工程、および脱落した腫瘍細胞から核酸を抽出する工程を含む方法を提供する。
また、固形腫瘍からの核酸を配列決定するための方法であって、この方法は、以下の工程:
(i)固形腫瘍サンプルから脱落した腫瘍細胞を含有する培地を提供する工程;および
(ii)脱落した腫瘍細胞から核酸を抽出する工程;
を含む。
(i)固形腫瘍サンプルから脱落した腫瘍細胞を含有する培地を提供する工程;および
(ii)脱落した腫瘍細胞から核酸を抽出する工程;
を含む。
用語「脱落した」(shed)は、腫瘍から剥離した腫瘍細胞を説明することを意図している。そのため、脱落した腫瘍細胞は培地中に遊離しており、固形腫瘍サンプルに直接物理的につながっていない。用語「脱落した」は、培地中に受動的に脱落する腫瘍細胞を説明することを意図しており、すなわち、それらは固形腫瘍サンプルから能動的に解離されたものではない。こうした腫瘍細胞は、通常、固形腫瘍サンプルの外表面から培地中に脱落することになる。
脱落した腫瘍細胞は、培地中に保持されている期間中に腫瘍サンプルから受動的に分離してしまう可能性がある。
一態様において、前記培地は、エクスビボで固形腫瘍サンプルから培地中に直接脱落した腫瘍細胞を含有する。
一態様では、腫瘍サンプルを本明細書に記載の培地中に一定期間保持することができ、脱落した腫瘍細胞とは、この期間中に腫瘍サンプルから解離するものである。
脱落した腫瘍細胞は、インビボ(in vivo)で原発腫瘍から血液中に放出される循環腫瘍細胞とは明確に区別される。本発明の方法で利用される脱落した腫瘍細胞は、インビトロまたはエクスビボで腫瘍サンプルを培地中に保持している間に、腫瘍サンプルから該培地中に直接脱落したものである。
本発明の一態様では、前記方法は、インビトロまたはエクスビボの方法である。
本発明の一態様では、腫瘍サンプルは、核酸の抽出前にインビトロまたはエクスビボで培養されていない。
一態様において、腫瘍サンプルは外植片培養物(explant culture)ではない。一態様では、脱落細胞は、腫瘍外植片のインビトロまたはエクスビボ培養中に脱落したものではない。一態様では、腫瘍サンプルは、インビトロまたはエクスビボ培養された腫瘍細胞ではない。一態様では、脱落細胞は、腫瘍細胞のインビトロまたはエクスビボ培養中に脱落したものではない。
一態様において、脱落細胞は、培養培地、すなわち、細胞または腫瘍外植片が培養されていた培地(例えば、培養容器内の上清培地)から回収または分離されたものではない。一態様では、該細胞は、培養容器から回収または分離されない。
一態様において、固形腫瘍サンプル自体は、核酸を抽出するために使用されない。つまり、固形腫瘍サンプル全体から核酸が抽出されることはない。一態様では、固形腫瘍サンプルは、配列決定用の核酸を抽出するためには使用されない(それゆえ、核酸の抽出には液体培地成分のみが使用される)。
一態様において、核酸抽出の前に、酵素的または他の非機械的手段による固形腫瘍サンプルの破壊はない。
別の態様において、核酸抽出の前に、機械的手段による固形腫瘍サンプルの破壊はない。一態様では、前記方法は、固形腫瘍サンプルの少なくとも一部を機械的に破壊し、機械的破壊の間に放出された腫瘍細胞から核酸を抽出する工程を含まない。したがって、核酸は、固形腫瘍サンプルが輸送および/または保持されていた培地中に脱落した腫瘍細胞からのみ抽出される。
培地
固形腫瘍サンプルを輸送、保持または保存するのに適切な培地はいずれも、本発明に従って使用してもよい。細胞の生存を維持するのに適切であれば、いずれの培地であってもよい。例えば、一態様では、該培地は、HypoThermosol(登録商標)生物保存培地(biopreservation medium)(BioLife Solutions社)であり得る。
固形腫瘍サンプルを輸送、保持または保存するのに適切な培地はいずれも、本発明に従って使用してもよい。細胞の生存を維持するのに適切であれば、いずれの培地であってもよい。例えば、一態様では、該培地は、HypoThermosol(登録商標)生物保存培地(biopreservation medium)(BioLife Solutions社)であり得る。
他の適切な培地としては、限定するものではないが、ダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)、ハムF10培地、ハムF12培地、Advanced DMEM、Advanced DMEM/F12、最少必須培地、DMEM/F-12、DMEM/F-15、ライボビッツ(Liebovitz)L-15、RPMI 1640、イスコフ改変ダルベッコ培地(IMDM)、OPTI-MEM SFM(Invitrogen社)、N2B27、MEF-CM、またはこれらの組み合わせが挙げられる。一態様では、該培地はリン酸緩衝生理食塩水(PBS)であり得る。
一態様では、該培地は、血清、例えばウシ胎児血清を含んでいてもよい。一態様では、該培地は、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%または20%のウシ胎児血清を含んでいてもよい。
一態様では、該培地は、抗生物質および/または抗真菌剤を含んでいてもよい。一態様では、該培地は、グルタミン、HEPESなどの他のサプリメント、または細胞の生存を維持するのに役立つ他の添加物を含んでいてもよい。そのような添加物は、当業者には公知であろう。
本明細書で使用する用語「培地」(medium)とは、対象由来の生物学的サンプルを含むことを意図していない。一態様では、該培地は対象由来の生物学的サンプルではなく、例えば、該培地は血液または血液分画、例えば血清、血漿、末梢血単核細胞などではない。一態様では、該培地は、唾液、リンパ液、胸水、腹水、または脳脊髄液ではない。
本明細書に記載の本発明の方法によれば、固形腫瘍サンプルは、脱落した腫瘍細胞から核酸を抽出する工程の前に、少なくとも約5分、10分、15分、30分、60分/1時間、1.5時間、2時間、2.5時間、3時間、3.5時間、4時間、4.5時間、5時間、5.5時間、6時間、6.5時間、7時間、7.5時間、8時間、8.5時間、9時間、9.5時間、10時間、10.5時間、11時間、11.5時間、12時間またはそれより長い間、本明細書に記載の培地中に保持されてもよいし、保持されていてもよい。
一態様では、固形腫瘍サンプルは、本明細書に記載の培地中に少なくとも約1時間にわたって保持されてもよいし、保持されていてもよい。
固形腫瘍サンプルは、本明細書に記載の培地中に少なくとも約3.5時間にわたって保持されてもよいし、既に保持されたものであってもよい。
輸送用培地は、腫瘍の外科的切除後に手術室から腫瘍サンプルを輸送するために使用され得る。
サンプル
本明細書で言及する「腫瘍サンプル」とは、腫瘍に由来するサンプル、または腫瘍から得られたサンプルを指す。本発明による腫瘍は固形腫瘍である。
本明細書で言及する「腫瘍サンプル」とは、腫瘍に由来するサンプル、または腫瘍から得られたサンプルを指す。本発明による腫瘍は固形腫瘍である。
腫瘍からの生検組織およびサンプルの分離は、当技術分野でよく行われており、任意の適切な方法に従って実施してもよく、そうした方法は当業者には公知である。
腫瘍サンプルは、対象由来の原発性腫瘍サンプル、腫瘍関連リンパ節サンプル、または転移部位からのサンプルであり得る。
腫瘍サンプルおよび非癌性サンプルは、当技術分野で公知の任意の方法により得ることができる。例えば、固形腫瘍サンプルは、切除を受けた癌患者から取得することができ、また、皮下注射針、パンチ生検、顕微切開、もしくはレーザーキャプチャーを用いた摘出によって得ることができる。必要であれば、対照(非癌性)サンプルを、例えば血液サンプルまたは腫瘍に隣接する正常組織から、取得してもよい。
機械的破壊
本発明の一態様では、前記方法は、固形腫瘍サンプルの少なくとも一部を機械的に破壊する工程、および機械的破壊の間に放出された腫瘍細胞から核酸を抽出する工程を含み得る。
本発明の一態様では、前記方法は、固形腫瘍サンプルの少なくとも一部を機械的に破壊する工程、および機械的破壊の間に放出された腫瘍細胞から核酸を抽出する工程を含み得る。
「放出された」(released)とは、機械的破壊の間に固形腫瘍サンプルから解離した細胞、例えば、固形腫瘍サンプルに内在する細胞を指すことを意図している。
別の態様において、本発明は、配列決定のための腫瘍核酸を得る方法であって、腫瘍サンプルの少なくとも一部の機械的破壊の間に放出された腫瘍細胞を含有する培地を提供する工程を含む方法を提供する。
本発明はまた、配列決定のための腫瘍核酸を得る方法であって、腫瘍サンプルの少なくとも一部の機械的破壊の間に該腫瘍サンプルの少なくとも一部から放出された腫瘍細胞を含有する培地を提供する工程、および該腫瘍細胞から核酸を抽出する工程を含む方法を提供する。
また、固形腫瘍からの核酸を配列決定する方法が提供され、この方法は、以下の工程:
(i)腫瘍サンプルの少なくとも一部の機械的破壊の間に該腫瘍サンプルの少なくとも一部から放出された腫瘍細胞を含有する培地を提供する工程;および
(ii)脱落した腫瘍細胞から核酸を抽出する工程;
を含む。
(i)腫瘍サンプルの少なくとも一部の機械的破壊の間に該腫瘍サンプルの少なくとも一部から放出された腫瘍細胞を含有する培地を提供する工程;および
(ii)脱落した腫瘍細胞から核酸を抽出する工程;
を含む。
一態様では、該腫瘍サンプルも該放出された細胞も、該核酸の抽出前にエクスビボで培養されない。一態様では、核酸抽出の前に、酵素的または他の非機械的手段による固形腫瘍サンプルの破壊はない。
本発明による方法は、以下の工程:
(a)固形腫瘍サンプルから放出された腫瘍細胞を含有する培地を提供する工程;
(b)放出された腫瘍細胞を該培地から分離する工程;および
(c)該腫瘍細胞から核酸を抽出する工程;
を含み得る。
(a)固形腫瘍サンプルから放出された腫瘍細胞を含有する培地を提供する工程;
(b)放出された腫瘍細胞を該培地から分離する工程;および
(c)該腫瘍細胞から核酸を抽出する工程;
を含み得る。
一態様において、前記放出された細胞は、培養培地、すなわち、細胞または腫瘍外植片が培養されていた培地(例えば、培養容器内の上清培地)から回収または分離されない。一態様では、該細胞は、培養容器から回収または分離されない。
前記機械的破壊は、当技術分野で公知の方法、例えば、腫瘍サンプルを切り刻むまたは切り裂くことによって実施してもよい。
機械的破壊の間に腫瘍細胞が放出される培地は、切断用培地と呼ぶことができる。切断用培地は、腫瘍サンプルの少なくとも一部が処理される培地(例えば、実施例2を参照のこと)、あるいは腫瘍サンプルを切断する、切り刻むおよび/または切り裂くために用いた機器を洗浄するおよび/またはすすぐもしくは洗い流すために使用される培地であり得る。
本発明で適用される機械的破壊は、腫瘍サンプルの少なくとも一部を、例えば約0.5~10mm3、約1~6mm3、または約1~3mm3の小片に切断し得る。好ましくは、機械的破壊は、腫瘍サンプルの少なくとも一部を約1~3mm3の小片に切断する。
機械的破壊は、腫瘍サンプルの少なくとも一部を少なくとも0.5、1、1.5、2、2.5、3、5、7または9mm3の小片に切断し得る。
機械的破壊は、腫瘍サンプルの少なくとも一部を少なくとも1、1.5、2または2.5mm3の小片に切断することができる。
前記機械的破壊または切断は、一般的に本明細書に記載するよりも小片にサンプルを処理することを含むホモジナイゼーション工程とは明確に区別される。例えば、ホモジナイズされたサンプルは、個々の細胞または小さな細胞クラスター(例えば1000個未満の細胞)に解離された組織を含んでもよく、その流動能力に基づいて液体サンプルまたは液化サンプルと呼ばれることがある。
一態様では、前記方法は、配列決定のための核酸の抽出の前に、固形腫瘍サンプルを酵素的に破壊する工程を含まない。
一態様では、前記方法は、配列決定のための核酸の抽出の前に、腫瘍サンプルの少なくとも一部をホモジナイズする工程を含まない。前記ホモジナイゼーションは、機械的または酵素的破壊工程であり得る。
別の態様において、エクスビボで固形腫瘍サンプルから直接培地中に脱落した腫瘍細胞から抽出された腫瘍核酸は、該腫瘍サンプルの少なくとも一部の機械的破壊の間に放出された腫瘍細胞から抽出された核酸と組み合わせてもよい。一態様では、抽出されて組み合わされた核酸が配列決定され得る。
細胞分離と核酸抽出
一態様において、本発明による方法は、本明細書に記載されるような脱落した腫瘍細胞および/または放出された腫瘍細胞を培地から分離する工程を含む。
一態様において、本発明による方法は、本明細書に記載されるような脱落した腫瘍細胞および/または放出された腫瘍細胞を培地から分離する工程を含む。
脱落した腫瘍細胞および/または放出された腫瘍細胞は、当技術分野で公知の方法を用いて培地から分離され得る。例として、本実施例に記載されるように、ろ過および/または遠心分離を用いて該細胞を分離してもよい。
一態様では、本発明による方法は、脱落した腫瘍細胞および/または放出された腫瘍細胞から核酸を抽出する工程を含む。
本明細書に記載の本発明による核酸は、DNAおよび/またはRNAであり得る。
下流の配列決定に適したDNAおよび/またはRNAなどの核酸は、当技術分野で知られた方法を用いてサンプルから分離することができる。例えば、DNAおよび/またはRNAの分離は、フェノールをベースにした抽出により行ってもよい。フェノールベースの試薬には、細胞と組織を破壊し、その後DNAまたはRNAを不純物から分離するための、変性剤とRNase阻害剤の組み合わせが含まれる。例えば、DNAzol(商標)、TRIZOL(商標)またはTRI REAGENT(商標)を用いるような抽出法を使用してもよい。DNAおよび/またはRNAは、PureLink(商標)Genomic DNA Mini KitまたはQIAGEN RNeasy(商標)法などの固相抽出法(例えば、スピンカラム)を用いて、さらに分離してもよい。分離されたRNAは、当業者に公知の方法(RT-PCR)を用いて、下流の配列決定のためのcDNAに変換してもよい。
一態様において、本発明の方法は、以下の工程:
(a)固形腫瘍サンプルから脱落した腫瘍細胞を含有する培地を提供する工程;
(b)脱落した腫瘍細胞を該培地から分離する工程;および
(c)脱落した腫瘍細胞から核酸を抽出する工程;
を含む。
(a)固形腫瘍サンプルから脱落した腫瘍細胞を含有する培地を提供する工程;
(b)脱落した腫瘍細胞を該培地から分離する工程;および
(c)脱落した腫瘍細胞から核酸を抽出する工程;
を含む。
一態様において、本発明の方法は、以下の工程:
(a)本明細書に記載されるような脱落した腫瘍細胞および/または放出された腫瘍細胞を含有する培地を提供する工程;
(b)該腫瘍細胞を該培地から分離する工程;および
(c)脱落した腫瘍細胞および/または放出された腫瘍細胞から核酸を抽出する工程;
をむ。
(a)本明細書に記載されるような脱落した腫瘍細胞および/または放出された腫瘍細胞を含有する培地を提供する工程;
(b)該腫瘍細胞を該培地から分離する工程;および
(c)脱落した腫瘍細胞および/または放出された腫瘍細胞から核酸を抽出する工程;
をむ。
一態様では、前記培地から分離された腫瘍細胞の数は、少なくとも約0.25×105、0.5×105、1×105、2×105、5×105、1×106、5×106、10×106、15×106、20×106、25×106、30×106、35×106、40×106、45×106または50×106個である。
一態様では、前記培地から分離された腫瘍細胞の数は、約0.25×105、0.5×105、1×105、2×105、5×105、1×106、5×106、10×106、15×106、20×106、25×106、30×106、35×106、40×106、45×106または50×106個超である。
一態様では、前記培地から分離された腫瘍細胞の数は、腫瘍サンプル1グラムあたり約10×106~140×106個である。
一態様では、前記培地から分離された腫瘍細胞の数は、少なくとも約1×106個である。
一態様では、前記培地から分離された腫瘍細胞の数は、約1×106個超である。
一態様では、前記培地から分離された腫瘍細胞の数は、少なくとも約1×105個である。
一態様では、前記培地から分離された腫瘍細胞の数は、約1×105個超である。
精製
固形腫瘍は、異種リンパ球亜集団、線維芽細胞、内皮細胞など、非腫瘍由来の有核細胞によって浸潤されている。浸潤している細胞の量と組成は非常に多様であって、患者によって異なり、このことが腫瘍サンプルの解析を困難にしている。さらに、混入細胞の存在は、配列決定の間に無関係なシグナルを測定することによる感度の低下につながり、場合によっては、クローン性ネオアンチゲンの同定に大きなリスクをもたらす。本実施例で示されるように、これらの不要な細胞の枯渇は、サンプルの純度を向上させ、腫瘍細胞の頻度がより高くなるため、塩基配列決定時のシグナル対ノイズ比を向上させる。
固形腫瘍は、異種リンパ球亜集団、線維芽細胞、内皮細胞など、非腫瘍由来の有核細胞によって浸潤されている。浸潤している細胞の量と組成は非常に多様であって、患者によって異なり、このことが腫瘍サンプルの解析を困難にしている。さらに、混入細胞の存在は、配列決定の間に無関係なシグナルを測定することによる感度の低下につながり、場合によっては、クローン性ネオアンチゲンの同定に大きなリスクをもたらす。本実施例で示されるように、これらの不要な細胞の枯渇は、サンプルの純度を向上させ、腫瘍細胞の頻度がより高くなるため、塩基配列決定時のシグナル対ノイズ比を向上させる。
本発明の一態様では、前記方法は、例えば配列決定のための核酸を抽出する前に、非腫瘍細胞をネガティブセレクションによって除去する工程を含んでもよい。
一態様では、ネガティブセレクションは、CD45+細胞、赤血球、血小板、顆粒球、異種リンパ球集団、線維芽細胞、内皮細胞および/または造血細胞の枯渇を含み得る。
前記ネガティブセレクションは、免疫磁気ネガティブセレクションにより実施してもよい。
免疫磁気分離は、標的細胞上の抗原に特異的な抗体でコーティングされた小さな磁化粒子またはビーズの付着による生体分子の特異的捕捉を介して、培地から細胞を効率的に分離できる実験ツールである。
免疫磁気分離では、超常磁性酸化鉄(Fe3O4)粒子に、特異抗体などの生体高分子をカップリングさせることが一般的である。
超常磁性粒子は、磁場内に置かれると磁気特性を示すが、磁場から離れると残留磁気を持たない。この技術は、ビーズ全体に磁性Fe3O4が均一に分散した、直径約2~5μmの均一な多孔質ポリスチレン球を作製するために、採用されている。これらの磁性ビーズは、薄いポリスチレンシェルでコーティングされており、このシェルは磁性材料を包み込んで、抗体などの分子の吸着またはカップリングに必要な一定の化学的表面積を提供する。
このような磁性粒子を不均質な懸濁液に添加すると、所望の標的(本発明によれば非腫瘍細胞)に結合して、磁性粒子と標的からなる複合体を形成する。磁石を使用して、標的と複合体を形成した磁性粒子を容器壁に固定化し、残りの材料を除去する。粒子-標的複合体を保持したまま、洗浄工程を容易に行うことができる。
一態様では、ネガティブセレクションのために、市販のキット、例えば、EasySep Direct Human CD45 depletion kit(StemCell社 #17898)、EasySep Direct Human PBMC Isolation kit(StemCell社 #19654)、Tumour Cell Isolation Kit(Miltenyi Biotec社 #130-108-339)および/またはEasySep Direct Human Circulating Tumour Cell (CTC) Enrichment Kit(StemCell社 #19657)のうち1以上をメーカーの指示書に従って使用してもよい。
一態様では、ネガティブセレクションは、単核細胞を分離する(例えばPBMC分離キットを使用)第1段階と、CD45+細胞を枯渇させる第2段階とを含み得る。このような方法では、段階1で赤血球、顆粒球および血小板が、段階2で造血細胞が枯渇するであろう。
一態様では、EasySep Direct Human PBMC Isolation kit(StemCell社 #19654)を用いて赤血球、血小板および顆粒球を枯渇させ、続いてEasySep Direct Human CD45 depletion kit(StemCell社 #17898)を用いて造血細胞を枯渇させてもよい。
さらなる態様では、Tumour Cell Isolation Kit(Miltenyi Biotec社 #130-108-339)を用いて、赤血球、異種リンパ球集団、線維芽細胞および内皮細胞を枯渇させてもよい。
さらなる態様では、EasySep Direct Human Circulating Tumour Cell (CTC) Enrichment Kit(StemCell社 #19657)を用いて、赤血球、血小板および造血細胞を枯渇させてもよい。
このようなキットには、細胞分離のために磁性ビーズが利用される。例えば、StemCell社製のキットでは、EasySep Direct RapidSpheres(PBMC分離キットとCTC富化キット)またはEasySep Dextran RapidSpheres(CD45枯渇)のいずれかが使用され得る。Miltenyi社製のキットでは、MACS MicroBeadsが使用される。
代替態様では、前記ネガティブセレクションは、細胞接着に基づく分離、または細胞密度もしくはサイズに基づく分離(例えば、密度勾配遠心分離またはろ過による)を用いて実施され得る。
さらなる代替態様では、混入細胞を標識することができ、蛍光色素活性化セルソーティングを用いてこれらの細胞を除去し、ネガティブな非標識画分(腫瘍細胞)を保持してもよい。
細胞は、既知の混入細胞に対するヒト系統マーカー、例えば、CD45(クローンHI30、Biolegend社 #368528)、CD31(クローンWM59、Biolegend社 #303122)、CD235a(クローンREA175、Miltenyi Biotec社 #130-120-474)および/または抗線維芽細胞マーカー(クローンREA165、Miltenyi Biotec社 #130-100-136)を用いて、フローサイトメトリーにより評価してもよい。一態様では、異なる腫瘍細胞タイプのマーカーも評価してもよく、例えば、非小細胞肺癌CD326(クローン9C4、Biolegend社 #324212)、またはメラノーマ腫瘍細胞MCSP(クローン9.2.27、BD社 #562414)+MART-1(クローンEP1422Y、Abcam社 #ab51061)+MCAM(クローンEPR3208、Abcam社 #ab75769)が腫瘍細胞のタイプに応じて評価してもよい。
配列決定
本明細書に記載されるように、本発明は、配列決定に適した核酸を提供する。
本明細書に記載されるように、本発明は、配列決定に適した核酸を提供する。
このように、本発明の一態様では、核酸が配列決定され得る。
以下で詳細に述べるように、腫瘍の配列情報は、例えばネオアンチゲンを同定するために、使用してもよい。腫瘍の配列決定とネオアンチゲンの同定は、様々な理由のために有用であり、例えばネオアンチゲンの同定は、癌患者にとって予後、診断および治療上の価値がある。ネオアンチゲンの同定は、癌患者の治療プランを作成および改良する上で価値を有し得る。
一態様において、ネオアンチゲンの同定は、癌治療法の設計と製作を促進する可能性がある。
例えば、ネオアンチゲンは、本明細書で詳細に説明するようなT細胞療法などの、細胞療法を設計するために使用され得る。さらに、ネオアンチゲンは、ワクチン接種療法、例えば腫瘍ネオアンチゲンに対するワクチン接種を前提とした療法のためのペプチドの生成に使用することができる。
その上、ネオアンチゲンは、T細胞などの細胞を分離するためにも使用され得る。例えば、ネオアンチゲンを担持したMHC複合体を用いてT細胞を分離し、そのT細胞からT細胞受容体を配列決定してもよい。したがって、ネオアンチゲンの同定は、細胞の増幅、特定のTCRの分離、またはワクチンの作成に使用できる可能性がある。
本明細書に記載の配列決定は、当技術分野で知られる任意の標準的な方法、例えば、次世代シーケンシング(NGS)、全ゲノムシーケンシング、RNAシーケンシング、または全エクソームシーケンシング(WES)によって実施することができる。
クローン性ネオアンチゲンの同定
本明細書に記載の本発明の一態様では、前記核酸の配列は、腫瘍からクローン性ネオアンチゲンを同定するために使用される。本実施例は、本発明がクローン性ネオアンチゲンの同定に適した配列情報を提供し得ることを実証する。
本明細書に記載の本発明の一態様では、前記核酸の配列は、腫瘍からクローン性ネオアンチゲンを同定するために使用される。本実施例は、本発明がクローン性ネオアンチゲンの同定に適した配列情報を提供し得ることを実証する。
「ネオアンチゲン」とは、癌細胞内での突然変異の結果として生じる腫瘍特異的抗原のことである。したがって、ネオアンチゲンは、対象の健康な細胞には発現しない。
ネオアンチゲンは、野生型の健康な細胞で発現する非変異タンパク質と比較して、癌細胞で発現するタンパク質を変化させる非サイレント変異によって生じ得る。
「突然変異」とは、同じ個体由来の健康な細胞と比較して、腫瘍細胞のヌクレオチド配列(例えば、DNAまたはRNA)に違いがあることを指す。そのヌクレオチド配列の違いは、同じ個体由来の健康な細胞では発現しないタンパク質の発現をもたらす可能性がある。
例えば、突然変異は、一塩基バリアント(SNV)、多塩基バリアント(MNV)、欠失変異、挿入変異、インデル変異、フレームシフト変異、転座、ミスセンス変異、またはアミノ酸配列の変化をもたらすスプライス部位変異(コーディング変異)であり得る。
これらの突然変異は、エクソームシーケンシング、RNA-seq、全ゲノムシーケンシングおよび/またはターゲット遺伝子パネルシーケンシングおよび/またはルーチンの単一遺伝子のサンガーシーケンシングによって特定され得る。適切な方法は当技術分野において公知である。
エクソームシーケンシングとRNA-seqについては、それぞれ、Boaら(Cancer Informatics. 2014;13(Suppl 2):67-82)およびAresら(Cold Spring Harb Protoc. 2014 Nov 3;2014(11):1139-48)に記載されている。ターゲット遺伝子パネルシーケンシングについては、例えば、Kammermeierら(J Med Genet. 2014 Nov; 51(11):748-55)およびYap KLら(Clin Cancer Res. 2014. 20:6605)の記載を参照できる。また、Meyerson et al., Nat. Rev. Genetics, 2010およびMardis, Annu Rev Anal Chem, 2013も参照されたい。また、ターゲット遺伝子シーケンシングパネルは、市販品を入手可能である(例えば、Biocompare社により要約されている(http://www.biocompare.com/ Editorial-Articles/161194-Build-Your-Own-Gene-Panels-with-These-Custom-NGS-Targeting-Tools/))。
腫瘍サンプルからのDNAおよび/またはRNAと非腫瘍サンプルからのDNAおよび/またはRNAとを比較して、ヌクレオチドの違い(例えばSNV)を特定するための配列アライメントは、当技術分野で公知の方法を用いて行ってもよい。例えば、参照サンプルと比較したヌクレオチドの違いは、Koboldtら(Genome Res. 2012; 22: 568-576)に記載された方法を用いて実施してもよい。参照サンプルは、生殖細胞系列のDNAおよび/またはRNA配列であってもよい。
一態様において、ネオアンチゲンはクローン性ネオアンチゲンであり得る。
「クローン性」ネオアンチゲンとは、クローン性突然変異から生じるネオアンチゲンのことである。クローン性突然変異は、腫瘍形成の初期に発生する突然変異であって、本質的にあらゆる腫瘍細胞内にコード化されている。「サブクローン性」ネオアンチゲンとは、サブクローン性突然変異、すなわち腫瘍形成の後期に特定の腫瘍細胞で発生し、かつその細胞の子孫である細胞のみに見られる突然変異、から生じるネオアンチゲンのことである。
このように、クローン性ネオアンチゲンは、腫瘍全体に効率的に発現しているネオアンチゲンである。サブクローン性ネオアンチゲンは、腫瘍内の細胞または領域のサブセットもしくは一部に発現しているネオアンチゲンである。「腫瘍全体に効率的に発現している」とは、サンプルとして分析される腫瘍の全領域にクローン性ネオアンチゲンが発現していることを意味し得る。
ある突然変異が「本質的にあらゆる腫瘍細胞内にコード化されている」という判断は、統計的計算に基づいており、そのため統計分析と閾値に依存していることが理解されよう。
同様に、クローン性ネオアンチゲンが「腫瘍全体に効率的に発現している」という判断も、統計的計算に基づいており、そのため統計分析と閾値に依存している。
当技術分野では、ネオアンチゲンが「クローン性」であるかどうかを判断するための様々な方法が知られている。クローン性ネオアンチゲンを同定するのに適切であれば、いずれの方法を使用してもよい。
例として、突然変異を起こした癌細胞の割合を表す癌細胞画分(CCF)は、突然変異がクローン性かサブクローン性かを判断するために使用され得る。例えば、癌細胞画分は、Landauら(Cell. 2013 Feb 14;152(4):714-26)に記載されるように、バリアントアレル頻度をコピー数および純度推定値と統合させることによって決定される。
適切には、CCF値は、分析したそれぞれの腫瘍領域内で同定された全ての突然変異について計算してもよい。1つの領域のみが使用される場合(すなわち、単一のサンプルのみ)、1セットのCCF値だけが得られる。これは、その腫瘍領域内の全ての腫瘍細胞にどのような突然変異が存在するかに関する情報を提供し、それによって、その突然変異がクローン性かサブクローン性かを判断する指標を提供するであろう。
クローン性突然変異は、癌細胞画分(CCF)≧0.75、例えば、CCF≧0.80、0.85、0.90、0.95または1.0を有する突然変異と定義され得る。サブクローン性突然変異は、CCF<0.95、0.90、0.85、0.80、または0.75を有する突然変異と定義され得る。一態様では、クローン性突然変異は、CCF≧0.95を有する突然変異として定義され、サブクローン性突然変異は、CCF<0.95を有する突然変異として定義される。別の態様では、クローン性突然変異は、CCF≧0.75を有する突然変異として定義され、サブクローン性突然変異は、CCF<0.75を有する突然変異として定義される。
上述したように、クローン性突然変異の判定は、統計分析と閾値に依存している。
一態様では、95%CCF信頼区間が≧0.75である場合、すなわち、CCFの95%信頼区間の上限が0.75以上である場合、突然変異はクローン性突然変異として定義され得る。
別の態様では、ある突然変異の癌細胞画分(CCF)が上記で定義された要求値(例えば0.95)に達するかそれを超える可能性または確率が50%超、例えば、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%またはそれを超える可能性または確率である場合に、その突然変異はクローン性であると特定され得る。
確率値は、パーセンテージまたは割合で表すことができる。この確率は事後確率(posterior probability)として定義され得る。
一態様では、突然変異は、その癌細胞画分(CCF)が≧0.95である可能性が50%を上回る場合に、クローン性であると特定され得る。
さらなる態様では、突然変異は、そのCCFが0.95を超える事後確率が0.5より大きいか小さいかに基づいて、それぞれ、クローン性またはサブクローン性と分類され得る。
別の態様では、突然変異が0.75より大きい癌細胞画分を有する確率が≧0.5である場合、その突然変異はクローン性であると特定され得る。
一態様において、クローン性ネオアンチゲンとは、腫瘍全体に遍在しているネオアンチゲンである。一態様では、クローン性ネオアンチゲンは、腫瘍の複数の領域に存在することができ、例えば、腫瘍の2、3、4、5、6、7、8、9または10の領域など、腫瘍の2つ以上の領域に存在する。クローン性ネオアンチゲンは、多領域サンプルセットに存在し得る。一態様では、クローン性ネオアンチゲンはサンプリングされた腫瘍のあらゆる領域で同定される可能性があり、すなわち、それは腫瘍に遍在している。
上述したように、クローン性ネオアンチゲンは、本質的にあらゆる腫瘍細胞内にコード化されているものであり、すなわち、ネオアンチゲンをコードする突然変異は本質的にあらゆる腫瘍細胞内に存在しており、腫瘍全体に効率的に発現されている。しかし、クローン性ネオアンチゲンは、HLAアレル(腫瘍の少なくとも一部では失われる)によってコードされたHLA分子により提示されると予測され得る。この場合、クローン性ネオアンチゲンは、実際には、本質的にあらゆる腫瘍細胞上には提示されない可能性がある。そのため、該ネオアンチゲンの提示はクローン性でないかもしれない。つまり、それは本質的にあらゆる腫瘍細胞内で提示されるわけではない。HLAの損失を予測する方法は、国際特許公開番号WO2019/012296に記載されている。
本明細書に記載の本発明の一態様では、ネオアンチゲンは本質的にあらゆる腫瘍細胞内に提示されると予測される(すなわち、ネオアンチゲンの提示はクローン性である)。
ネオアンチゲン特異的T細胞療法
本明細書で論じられるように、ネオアンチゲンは、癌治療におけるT細胞療法の標的となり得る。クローン性ネオアンチゲンなどのネオアンチゲンは、本明細書に記載の方法に従って同定することができる。
本明細書で論じられるように、ネオアンチゲンは、癌治療におけるT細胞療法の標的となり得る。クローン性ネオアンチゲンなどのネオアンチゲンは、本明細書に記載の方法に従って同定することができる。
一態様において、本明細書に記載のT細胞療法は、複数すなわち2以上のクローン性ネオアンチゲンを標的とするT細胞を含むことができる。
一態様では、クローン性ネオアンチゲンの数は2~1000である。例えば、クローン性ネオアンチゲンの数は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、50、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950または1000であってもよく、例えば、クローン性ネオアンチゲンの数は2~100であり得る。
一態様において、本明細書に記載のT細胞療法は、複数または集団(すなわち2つ以上)のT細胞を含むことができ、ここで、複数のT細胞は、あるクローン性ネオアンチゲンを認識するT細胞と、異なるクローン性ネオアンチゲンを認識するT細胞とを含む。このように、T細胞療法は、様々なクローン性ネオアンチゲンを認識する複数のT細胞を含む。
一態様では、複数のT細胞によって認識されるクローン性ネオアンチゲンの数は、2~1000である。例えば、認識されるクローン性ネオアンチゲンの数は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、50、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950または1000であってもよく、例えば、認識されるクローン性ネオアンチゲンの数は2~100であり得る。
一態様では、複数のT細胞は、同じクローン性ネオアンチゲンを認識する。
一態様では、ネオアンチゲンは、本明細書に記載されるようなサブクローン性ネオアンチゲンであってもよい。
本発明の一態様では、前記方法は、固形腫瘍サンプルの少なくとも一部から腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を分離する工程を含んでもよい。TILは、ネオアンチゲン特異的T細胞の集団を作製するために選択的に増幅され得る。
一態様において、本発明はまた、対象における癌の治療に使用するためのT細胞集団を選択的に増幅する方法を提供し、ここで、T細胞集団は、クローン性ネオアンチゲンなどのネオアンチゲンに特異的であるT細胞を含む。選択的増幅の間、1以上のネオアンチゲンに反応するT細胞は、該ネオアンチゲンに反応しない出発材料中の他のT細胞に優先して増幅される。
一態様では、前記方法は、以下の工程:
(a)本明細書に記載されるように、固形腫瘍サンプルから脱落および/または放出された腫瘍細胞を含有する培地を提供する工程;
(b)本明細書に記載されるように、脱落および/または放出された腫瘍細胞から核酸を抽出する工程;
(c)本明細書に記載されるように、脱落および/または放出された腫瘍細胞から抽出された核酸を配列決定する工程;
(d)工程(c)で得られた配列情報を用いて、該腫瘍からのネオアンチゲンを同定する工程;
(e)該固形腫瘍サンプルの少なくとも一部から腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を分離する工程;および
(f)該TILを、工程(d)で同定されたネオアンチゲンを提示する抗原提示細胞と共培養する工程;
を含み得る。
(a)本明細書に記載されるように、固形腫瘍サンプルから脱落および/または放出された腫瘍細胞を含有する培地を提供する工程;
(b)本明細書に記載されるように、脱落および/または放出された腫瘍細胞から核酸を抽出する工程;
(c)本明細書に記載されるように、脱落および/または放出された腫瘍細胞から抽出された核酸を配列決定する工程;
(d)工程(c)で得られた配列情報を用いて、該腫瘍からのネオアンチゲンを同定する工程;
(e)該固形腫瘍サンプルの少なくとも一部から腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を分離する工程;および
(f)該TILを、工程(d)で同定されたネオアンチゲンを提示する抗原提示細胞と共培養する工程;
を含み得る。
前記方法はまた、癌の治療を必要とする対象に、前記増幅したT細胞集団を投与する工程を含み得る。
一態様では、対象における癌を治療する方法が提供され、この方法は、以下の工程:
(a)本明細書に記載されるように、固形腫瘍サンプルから脱落および/または放出された腫瘍細胞を含有する培地を提供する工程;
(b)本明細書に記載されるように、脱落および/または放出された腫瘍細胞から核酸を抽出する工程;
(c)本明細書に記載されるように、脱落および/または放出された腫瘍細胞から抽出された核酸を配列決定する工程;
(d)工程(c)で得られた配列情報を用いて、該腫瘍からネオアンチゲンを同定する工程;
(e)該固形腫瘍サンプルの少なくとも一部から腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を分離する工程;
(f)該TILを、工程(d)で同定されたネオアンチゲンを提示する抗原提示細胞と共培養する工程;および
(g)該TILを該対象に投与する工程;
を含む。
(a)本明細書に記載されるように、固形腫瘍サンプルから脱落および/または放出された腫瘍細胞を含有する培地を提供する工程;
(b)本明細書に記載されるように、脱落および/または放出された腫瘍細胞から核酸を抽出する工程;
(c)本明細書に記載されるように、脱落および/または放出された腫瘍細胞から抽出された核酸を配列決定する工程;
(d)工程(c)で得られた配列情報を用いて、該腫瘍からネオアンチゲンを同定する工程;
(e)該固形腫瘍サンプルの少なくとも一部から腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を分離する工程;
(f)該TILを、工程(d)で同定されたネオアンチゲンを提示する抗原提示細胞と共培養する工程;および
(g)該TILを該対象に投与する工程;
を含む。
抗原提示細胞(APC)は、人工のAPCまたは放射線照射を受けたAPCであり得る。一態様では、APCは樹状細胞である。樹状細胞は、患者の血液から得られた単球に由来してもよく、本明細書では単球由来樹状細胞(MoDC)と呼ばれる。
代替態様では、上記方法における工程(f)は、ネオアンチゲンペプチドを担持した人工MHC複合体を用いて実施してもよい。共培養工程は、当技術分野で知られた他の任意の適切な方法、例えば、抗原提示細胞と同じ細胞増幅をもたらす人工的な提示方法を用いて、実施してもよい。
一態様では、APCは、関連するネオアンチゲンを提示するペプチドでパルスされ得る。単一の刺激剤としての、または刺激性ネオアンチゲンもしくはペプチドのプールとしての、特定された突然変異を含むペプチドでAPCをパルスしてもよい。あるいは、例えば、ネオアンチゲン配列をコードするmRNAでAPCをトランスフェクトすることによって、ネオアンチゲン配列を発現するようにAPCを改変してもよい。
T細胞は、当技術分野で周知の方法を用いて分離され得る。例えば、T細胞は、CD3、CD4またはCD8の発現に基づいて、サンプルから得られたシングルセル懸濁液から精製することができる。Ficoll-paque勾配を通過させることによって、T細胞をサンプルから富化してもよい。
T細胞の増幅は、当技術分野で公知の方法を用いて実施され得る。例えば、T細胞に分裂促進刺激を与えることが知られている条件下でエクスビボ培養することによって、T細胞を増幅してもよい。例として、IL-2などのサイトカイン、または抗CD3および/もしくはCD28などの分裂促進抗体と一緒に、T細胞を培養してもよい。
前記増幅のための他の適切な方法は、当業者に公知である。例えば、国際特許公開番号WO2019/094642には、ネオアンチゲンに反応するT細胞を増幅するためのプロトコルがいくつか記載されている。
増幅されたT細胞集団は、1以上のネオアンチゲンを標的とするT細胞の数が増加している可能性がある。例えば、本発明のT細胞集団は、対象から分離されたサンプル中のT細胞と比較して、ネオアンチゲンを標的とするT細胞の数が増加しているであろう。すなわち、このT細胞集団は、ネオアンチゲンを標的とするT細胞の割合または比率が増加していて、ネオアンチゲンを標的とするT細胞とネオアンチゲンを標的としないT細胞との集団中の比率が、ネオアンチゲンを標的とするT細胞を支持して高くなるという点で、「ネイティブ」T細胞集団(すなわち、本明細書で述べる同定および増幅工程を受けていない集団)のそれとは異なるであろう。
本発明によるT細胞集団は、少なくとも約0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95または100%の、ネオアンチゲンを標的とするT細胞を含み得る。例えば、T細胞集団は、約0.2%~5%、5%~10%、10~20%、20~30%、30~40%、40~50%、50~70%または70~100%の、ネオアンチゲンを標的とするT細胞を含み得る。一態様では、T細胞集団は、少なくとも約1、2、3、4または5%のネオアンチゲンを標的とするT細胞、例えば、少なくとも約2%または少なくとも2%のネオアンチゲンを標的とするT細胞を含む。
あるいは、T細胞集団は、約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、99.1、99.2、99.3、99.4、99.5、99.6、99.7、99.8%以下の、ネオアンチゲンを標的としないT細胞を含み得る。例えば、T細胞集団は、約95%~99.8%、90%~95%、80~90%、70~80%、60~70%、50~60%、30~50%または0~30%の、ネオアンチゲンを標的としないT細胞を含み得る。一態様では、T細胞集団は、約99、98、97、96または95%以下のネオアンチゲンを標的としないT細胞、例えば、約98%または95%以下のネオアンチゲンを標的としないT細胞を含む。
増幅されたネオアンチゲン反応性T細胞の集団は、例えばネオアンチゲンペプチドを用いることで、増幅されていないT細胞の集団よりも高い活性を示し得る。「活性」への言及は、ネオアンチゲンペプチド(例えば、増幅に使用されたペプチドに対応するペプチド)またはネオアンチゲンペプチドの混合物による再刺激に対するT細胞集団の反応を表すことができる。その反応を測定するための適切な方法は、当技術分野で公知である。例えば、サイトカイン産生が測定され得る(例えば、IL2またはIFNγの産生を測定し得る)。「より高い活性」への言及には、例えば、1~5、5~10、10~20、20~50、50~100、100~500、500~1000倍の活性増加が含まれる。一態様では、活性は1000倍を超えて高いことがある。
T細胞集団は、全てまたは主にCD8+ T細胞で構成されるか、全てまたは主にCD8+ T細胞とCD4+ T細胞との混合物で構成されるか、全てまたは主にCD4+ T細胞で構成され得る。
本明細書に記載の増幅されたT細胞集団は、例えばインサイチュ(in situ)またはエクスビボで処理した後に該処理細胞を体内に投与するため、インビトロ、エクスビボ、またはインビボで使用することができる。
増幅されたT細胞集団は、対象に再注入することが可能である。T細胞を作製し、選択し、増幅し、再注入するための適切な方法は、当技術分野で公知である。
増幅されたT細胞集団は、対象に適切な用量で投与することができる。投与レジメンは、主治医および臨床的要因によって決定され得る。1患者に対する投与量は、その患者のサイズ、体表面積、年齢、投与される特定の化合物、性別、投与時間および経路、一般的な健康状態、同時に投与される他の薬剤といった、多くの要因に左右されることが、当技術分野で認められている。
増幅されたT細胞集団の投与は、本明細書に記載のT細胞の所定数を患者に移入することを含み得る。T細胞の治療上有効な量は、少なくとも約103個、少なくとも約104個、少なくとも約105個、少なくとも約106個、少なくとも約107個、少なくとも約108個、少なくとも約109個、少なくとも約1010個、少なくとも約1011個、少なくとも約1012個、または少なくとも約1013個の細胞であり得る。
一態様において、本発明は、本明細書に記載のいずれかの方法で取得された、または取得可能な、増幅されたT細胞集団を提供する。一態様では、増幅されたT細胞集団は治療に使用することができる。一態様では、増幅されたT細胞集団を癌の治療または予防に使用することができる。
一態様では、癌の治療または予防に使用するための、本明細書に記載の増幅されたT細胞集団が提供される。
さらなる態様では、癌の治療または予防に使用するための医薬の製造における、本明細書に記載の増幅されたT細胞集団が提供される。
さらなる態様では、対象における癌を治療する方法であって、本明細書に記載の増幅されたT細胞集団を作製する工程と、同じ増幅されたT細胞集団を該対象に投与する工程とを含む方法が提供される。
対象
本発明の好ましい態様では、対象は哺乳類、好ましくはネコ、イヌ、ウマ、ロバ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、ウシ、マウス、ラット、ウサギまたはモルモットであるが、最も好ましくは対象はヒトである。
本発明の好ましい態様では、対象は哺乳類、好ましくはネコ、イヌ、ウマ、ロバ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、ウシ、マウス、ラット、ウサギまたはモルモットであるが、最も好ましくは対象はヒトである。
本明細書で定義される「治療」とは、治療前の症状と比較して、治療中の疾患の1以上の症状を軽減、緩和または除去することを指す。
「予防」(prevention)(または防止(prophylaxis))とは、疾患の症状の発症を遅らせるまたは阻止することを指す。予防は、(疾患が起こらないように)絶対的であってもよいし、一部の個体にのみまたは限られた時間だけ有効であってもよい。
適切には、癌は、卵巣癌、乳癌、子宮内膜癌、腎臓癌(腎細胞)、肺癌(小細胞、非小細胞および中皮腫)、脳腫瘍(神経膠腫、星状細胞腫、神経膠芽腫)、メラノーマ、メルケル細胞癌、淡明細胞型腎細胞癌(ccRCC)、リンパ腫、小腸癌(十二指腸および空腸)、白血病、膵臓癌、肝胆道腫瘍、胚細胞癌、前立腺癌、頭頸部癌、甲状腺癌および肉腫であり得る。
一態様では、癌は、非小細胞肺癌(NSCLC)、メラノーマ、腎臓癌、膀胱癌、頭頸部癌、および乳癌から選択される。
好ましい態様では、癌は、NSCLC、メラノーマ、および頭頸部癌から選択される。
併用療法
本明細書に記載のT細胞療法は、他の適切な療法、例えば追加の癌療法と組み合わせてもよい。特に、本明細書に記載の増幅されたT細胞組成物または集団は、免疫チェックポイント介入、共刺激性抗体、化学療法および/もしくは放射線療法、ターゲット療法、またはモノクローナル抗体療法と組み合わせて投与してもよい。
本明細書に記載のT細胞療法は、他の適切な療法、例えば追加の癌療法と組み合わせてもよい。特に、本明細書に記載の増幅されたT細胞組成物または集団は、免疫チェックポイント介入、共刺激性抗体、化学療法および/もしくは放射線療法、ターゲット療法、またはモノクローナル抗体療法と組み合わせて投与してもよい。
免疫チェックポイント分子には阻害性分子と活性化性分子の両方が含まれ、介入はどちらか一方または両方のタイプの分子に適用され得る。免疫チェックポイント阻害剤としては、例えば、PD-1阻害剤、PD-L1阻害剤、Lag-3阻害剤、Tim-3阻害剤、TIGIT阻害剤、BTLA阻害剤、およびCTLA-4阻害剤が挙げられるが、これらに限定されない。共刺激性抗体は、免疫制御受容体を介してポジティブなシグナルを伝達するものであり、ICOS、CD137、CD27、OX-40、およびGITRが含まれるが、これらに限定されない。
免疫細胞の活性阻害を防止、低減または最小化する適切な免疫チェックポイント介入の例としては、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、アテゾリズマブ、デュルバルマブ、アベルマブ、トレメリムマブ、およびイピリムマブが挙げられる。
本明細書で使用される化学療法エンティティ(chemotherapeutic entity)とは、細胞に対して破壊的なエンティティを指し、すなわち、該エンティティは細胞の生存能力を低減させるものである。化学療法エンティティは細胞毒性薬であり得る。企図される化学療法剤としては、限定するものではないが、以下が挙げられる:アルキル化剤、アントラサイクリン類、エポチロン類、ニトロソウレア類、エチレンイミン類/メチルメラミン、アルキルスルホナート類、アルキル化剤、代謝拮抗物質、ピリミジン類似体、エピポドフィロトキシン類、酵素、例えばL-アスパラギナーゼ;生物学的応答修飾因子、例えば、IFNα、IL-2、G-CSFおよびGM-CSF;白金配位錯体、例えば、シスプラチン、オキサリプラチンおよびカルボプラチン、アントラセンジオン類、置換尿素、例えばヒドロキシ尿素、メチルヒドラジン誘導体、例えばN-メチルヒドラジン(MIH)およびプロカルバジン、副腎皮質系抑制剤、例えばミトタン(o,p'-DDD)およびアミノグルテチミド;ホルモンおよび拮抗薬、例えば副腎皮質ステロイド拮抗薬(例:プレドニゾンと同等物、デキサメタゾンおよびアミノグルテチミド);プロゲスチン剤、例えば、カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、メドロキシプロゲステロン酢酸エステルおよび酢酸メゲストロール;エストロゲン剤、例えば、ジエチルスチルベストロールおよびエチニルエストラジオール同等物;抗エストロゲン剤、例えばタモキシフェン;アンドロゲン剤、例えば、プロピオン酸テストステロン、フルオキシメステロン/同等物;抗アンドロゲン剤、例えば、フルタミド、ゴナドトロピン放出ホルモン類似体およびリュープロリド;ならびに非ステロイド性抗アンドロゲン剤、例えばフルタミド。
「組み合わせて」(in combination)とは、本発明によるT細胞組成物の投与前、投与と同時、または投与後に、追加の療法を投与することを意味し得る。
また、チェックポイント遮断との組み合わせに加えて、またはその代替として、本発明のT細胞組成物は、TALENおよびCrispr/Casを含むがこれらに限定されない遺伝子編集技術を用いて、免疫チェックポイントに対してそれらを耐性にするように、遺伝子改変することができる。そのような方法は当技術分野で知られている。例えば、US20140120622を参照のこと。遺伝子編集技術を用いて、PD-1、Lag-3、Tim-3、TIGIT、BTLA、CTLA-4およびこれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない、T細胞によって発現される免疫チェックポイントの発現を防止してもよい。本明細書で論じられるT細胞は、これらの方法のいずれで改変されてもよい。
本発明によるT細胞はまた、腫瘍へのホーミングを増加させる分子を発現するように、かつ/またはサイトカイン、可溶性免疫調節受容体および/もしくはリガンドを含むがこれらに限定されない炎症性メディエーターを腫瘍微小環境に送達するように、遺伝子改変してもよい。
組成物
本明細書に記載の増幅されたT細胞集団は、組成物の形態で提供することができる。
本明細書に記載の増幅されたT細胞集団は、組成物の形態で提供することができる。
該組成物は、薬学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤をさらに含む医薬組成物であり得る。医薬組成物は、任意で、1以上のさらなる薬学的に活性なポリペプチドおよび/または化合物を含んでいてもよい。そのような製剤は、例えば、静脈内注入に適した形態であり得る。
本発明による組成物は、対象を予防または治療するのに有効な任意の量を用いて、任意の投与経路で投与される。有効量とは、疾患または状態の症状を有益に予防または改善するのに十分な組成物の量を指す。
正確な投与量は、治療される患者を考慮して、個々の医師により選択される。用法・用量は、十分なレベルの活性物質を供給するように、または対象において所望の効果を維持するように調整される。考慮され得る追加の要因には、疾患状態の重症度、例えば、肝機能、癌の進行、および/または中間期もしくは進行期の黄斑変性、年齢、体重、性別、食事、時間、投与頻度、投与経路、薬物の併用、反応感度、免疫抑制のレベル、ならびに治療に対する耐性/応答が含まれる。長時間作用型の医薬組成物は、特定の組成物の半減期およびクリアランス速度に応じて、例えば、1時間に1回、1時間に2回、3~4時間ごとに、1日1回、1日2回、3~4日ごとに、週に1回、または2週間に1回投与される。
本発明の実施形態の医薬組成物の活性物質は、投与の容易さおよび投与量の均一性のために、単位剤形として製剤化することが好ましい。本明細書で使用される「単位剤形」という表現は、治療対象の患者に適した、活性物質の物理的に離散した単位を指す。本発明の組成物の1日の総用量は、健全な医学的判断の範囲内で主治医により決定されるだろう。いずれの活性物質の場合にも、治療上有効な用量は、細胞培養アッセイで、または動物モデル、例えば、マウス、ブタ、ヤギ、ウサギ、ヒツジ、霊長類、サル、イヌ、ラクダ、もしくは高価値動物で、最初に見積もられる。また、望ましい濃度、総投与量範囲、および投与経路を確立するために、本明細書で提供される細胞ベースのモデル、動物モデル、およびインビボモデルも使用される。そのような情報を用いて、ヒトへの投与に有用な用量と経路が決定される。
治療上有効な用量とは、症状もしくは状態を改善する、または疾患もしくは状態の進行を予防する活性物質の量を指す。活性物質の治療効果および毒性は、細胞培養または実験動物を用いた標準的な薬学的手法、例えばED50(集団の50%に治療上有効な用量)およびLD50(集団の50%を致死させる用量)により、判定される。毒性と治療効果の用量比が治療指数であり、LD50/ED50の比として表される。大きな治療指数を有する医薬組成物が好適である。細胞培養アッセイおよび動物実験から得られたデータは、ヒトに使用するための投与量の範囲を定める際に使用される。
適切な薬学的に許容される担体を用いて所望の投与量で製剤化されると、本明細書で提供される医薬組成物または方法は、ヒトおよび他の哺乳動物に、例えば、皮膚腫瘍の場合は局所的に(粉剤、軟膏剤、クリーム剤、滴剤などによる)、経口的、経直腸的、粘膜、舌下、非経口的、嚢内、膣内、腹腔内、静脈内、皮下、頬側、舌下、眼内、または鼻腔内に、予防または治療目的ならびに癌関連障害または状態の重症度と性質に応じて、投与される。
医薬組成物の注射には、例えば、食道、乳房、脳、頭頸部、および前立腺の炎症の場合、炎症部位または疾患部位に直接、静脈内、皮下、筋肉内、腹腔内、または眼内注射することが含まれる。
液体剤形には、例えば、静脈内、眼内、粘膜投与用の、薬学的に許容されるエマルション剤、マイクロエマルション剤、溶液剤、懸濁液剤、シロップ剤、およびエリキシル剤があるが、これらに限定されない。少なくとも1つの活性物質に加えて、液体剤形は、当技術分野でよく使用される不活性希釈剤を潜在的に含有し、例えば、水もしくは他の溶媒;可溶化剤および乳化剤、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(特に、綿実油、落花生油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、ゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール、ソルビタンの脂肪酸エステル、およびこれらの混合物を含有する。不活性希釈剤のほかに、眼内、経口、または他の全身送達される組成物はまた、湿潤剤、乳化剤、および懸濁化剤などの補助剤をも含有する。
本明細書における医薬組成物の局所または経皮投与用の剤形としては、軟膏剤、ペースト剤、クリーム剤、ローション剤、ジェル剤、粉剤、溶液剤、スプレー剤、吸入剤、またはパッチ剤が挙げられる。活性物質は、無菌の条件下で薬学的に許容される担体と混和される。防腐剤または緩衝剤が必要になることもある。例えば、眼内または皮膚への投与経路は、水性液滴剤、ミスト剤、エマルション剤、またはクリーム剤を用いて達成される。投与は治療または予防形態で行われる。本明細書における本発明の特定の実施形態は、開示された組成物を含む移植デバイス、外科デバイス、または製品(例えば、ガーゼの包帯またはストリップ)、ならびにそのようなデバイスまたは製品を作製または使用する方法を包含する。これらのデバイスは、本明細書の組成物でコーティング、含浸、結合されてもよいし、その他の方法で処理されてもよい。
経皮パッチ剤には、目と身体への有効成分の制御された送達を提供するという追加の利点がある。そのような剤形は、化合物を適切な媒体に溶解または分配することによって作製することができる。皮膚を通過する化合物の流量(flux)を増加させるために、吸収促進剤が使用される。速度は、速度制御メンブレンを提供することによって、またはポリマーマトリックスもしくはゲルに化合物を分散させることによって制御される。
医薬組成物の注射用製剤、例えば、無菌注射用水性または油性懸濁液剤は、適切な分散剤、湿潤剤、および懸濁化剤を用いて公知技術に従って製剤化される。無菌注射用製剤はまた、無毒な非経口的に許容される希釈剤または溶媒中の無菌注射用溶液剤、懸濁液剤またはエマルション剤、例えば1,3-ブタンジオール中の溶液剤であってもよい。使用可能な許容されるビヒクルおよび溶媒の中には、水、リンゲル液(米国薬局方)、および等張塩化ナトリウム溶液がある。さらに、無菌の固定油(fixed oil)は、従来、溶媒または懸濁化媒体として利用されている。この目的のために、合成モノグリセリドまたはジグリセリドを含むブランドの固定油が使用される。また、オレイン酸などの脂肪酸も注射剤の調製に使用される。注射用製剤は、例えば、細菌保持フィルターを介するろ過により、照射により、または滅菌固体組成物の形の滅菌剤を組み込み、これを滅菌水や他の滅菌注射用媒体に溶解または分散させることにより、使用前に滅菌される。皮下注射または腫瘍内注射からの活性物質の吸収を遅らせることは、該物質の効果を延長することが観察された。非経口投与された活性物質の吸収遅延は、油性ビヒクルに該物質を溶解または懸濁させることで達成される。注射用デポ剤は、ポリラクチド-ポリグリコリドなどの生分解性ポリマー中の該物質のマイクロカプセルマトリックスを形成することによって作製される。活性物質とポリマーの比および利用した特定のポリマーの性質に応じて、活性物質の放出速度が制御される。他の生分解性ポリマーの例としては、ポリ(オルトエステル)およびポリ(酸無水物)が挙げられる。デポ注射剤はまた、体組織と適合性のあるリポソームまたはマイクロエマルションに該物質を封入することによっても調製される。
経口投与用の固体剤形としては、カプセル剤、錠剤、丸剤、粉剤、および顆粒剤が挙げられる。固体剤形では、活性物質は、少なくとも1つの不活性な薬学的に許容される賦形剤または担体、(例えば、クエン酸ナトリウム、リン酸二カルシウム)、充填剤および/または増量剤(例えば、デンプン、スクロース、グルコース、マンニトール、ケイ酸;結合剤、例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリジノン、スクロース、アカシア)、保湿剤(例えばグリセロール)、崩壊剤(例えば、寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモもしくはタピオカデンプン、アルギン酸、特定のケイ酸塩、炭酸ナトリウム)、溶解遅延剤(例えばパラフィン;吸収促進剤、例えば第4級アンモニウム化合物)、湿潤剤(例えば、セチルアルコール、モノステアリン酸グリセロール)、吸着剤(例えば、カオリン、ベントナイトクレイ)、滑沢剤(例えば、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム)およびこれらの混合物と混合される。
同様のタイプの固体組成物はまた、乳糖や高分子量PEGなどの賦形剤を用いて、軟質および硬質充填ゼラチンカプセルの充填剤として使用することもできる。錠剤、糖衣錠、カプセル剤、丸剤、および顆粒剤の固体剤形は、腸溶コーティング、徐放性コーティング、および医薬製剤の分野で知られている他のコーティングなどのコーティングおよびシェルを施して調製される。これらの固体剤形では、活性物質がスクロースまたはデンプンなどの少なくとも1つの不活性希釈剤と混和される。このような剤形には、標準的な慣行であるように、不活性希釈剤以外の追加の物質、例えば、ステアリン酸マグネシウムおよび微結晶性セルロースなどの錠剤用滑沢剤とその他の錠剤化助剤も含まれる。カプセル剤、錠剤および丸剤の場合、これらの剤形は緩衝剤を含んでいてもよい。該組成物は、好ましくは腸管の特定の部分において、場合によっては遅延された方法で、活性物質を放出する乳白剤(opacifying agent)を任意に含有する。包埋用組成物の例には、高分子物質およびワックスが含まれる。
キット
一態様において、本発明は、本明細書に記載の増幅されたT細胞集団を含むキットを提供する。
一態様において、本発明は、本明細書に記載の増幅されたT細胞集団を含むキットを提供する。
別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されているのと同じ意味を有する。Singleton, et al., DICTIONARY OF MICROBIOLOGY AND MOLECULAR BIOLOGY, 20 ED., John Wiley and Sons, New York (1994)、およびHale & Marham, THE HARPER COLLINS DICTIONARY OF BIOLOGY, Harper Perennial, NY (1991) は、当業者に、本開示で使用される用語の多くの一般的な辞書を提供する。
本開示は、本明細書に開示される例示的な方法および材料によって限定されず、本明細書に記載されるものと類似または同等の方法および材料はどれも、本開示の実施形態の実施または試験に使用することができる。数値範囲は、その範囲を定義している数値を含む。別段の指示がない限り、核酸配列は5'から3'の方向に左から右へ、アミノ酸配列はアミノからカルボキシの方向に左から右へ、それぞれ記述される。
本明細書で提供される見出しは、本明細書全体を参照することによって得られる本開示の様々な態様または実施形態を制限するものでない。したがって、すぐ下で定義される用語は、本明細書全体を参照することにより、より完全に定義される。
本明細書では、アミノ酸は、アミノ酸の名称、3文字略語、または1文字略語を用いて表記される。
本明細書で使用される「タンパク質」という用語には、タンパク質、ポリペプチド、およびペプチドが含まれる。
その他の用語の定義は、本明細書の随所に見ることができる。例示的な実施形態がより詳細に説明される前に、本開示は、説明された特定の実施形態に限定されず、当然ながら、そうしたものは変化し得る、ことを理解すべきである。また、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明するためだけのものであって、限定することを意図したものではなく、それゆえ、本開示の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定される、ことも理解すべきである。
ある範囲の値が提供される場合、その範囲の上限と下限の間の、文脈上別段の明確な指示がない限り下限の単位の10分の1までの、各介在値もまた、具体的に開示されている、ことが理解される。記載された範囲内の任意の記載値または介在値と、その記載された範囲内の任意の他の記載値または介在値との間の各小範囲は、本開示に包含される。これらの小範囲の上限および下限は、独立してその範囲に含まれることも除外されることもあり、上限および下限のいずれか一方または両方がその小範囲に含まれるか、どちらも含まれない場合の各範囲も、記載された範囲内の特に除外された上限/下限を条件として、本開示に包含される。記載された範囲が上限と下限の一方または両方を含む場合、それらの含まれる上限と下限の一方または両方を除外する範囲もまた、本開示に包含される。
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形の「a」、「an」、および「the」は、文脈上別段の明確な指示がない限り、複数の指示対象を含むことに留意する必要がある。
本明細書で使用される用語「含む」(comprising、comprises、およびcomprised of)は、「包含する」(including、includes)または「含有する」(containing、contains)と同義であり、かつ包括的またはオープンエンド(open-ended)であって、追加の、列挙されていないメンバー、要素または方法の工程を除外しない。また、用語「含む」(comprising、comprises、およびcomprised of)には、用語「からなる」(consisting of)も含まれる。
本明細書で論じられる刊行物は、本出願の出願日前のそれらの開示のためにのみ提供される。本明細書のいかなるものも、そのような刊行物が本明細書に添付された特許請求の範囲に対して先行技術を構成する、ことを認めるものと解釈されるべきではない。
さらなる態様
本発明は、以下の番号を付けた段落で定義される態様をさらに提供する:
本発明は、以下の番号を付けた段落で定義される態様をさらに提供する:
1. 配列決定のための腫瘍核酸を得る方法であって、固形腫瘍サンプルから脱落した腫瘍細胞を含有する培地を提供する工程、および脱落した腫瘍細胞から核酸を抽出する工程を含む方法。
2. 固形腫瘍からの核酸を配列決定する方法であって、以下の工程:
(i)該固形腫瘍のサンプルから脱落した腫瘍細胞を含有する培地を提供する工程;および
(ii)脱落した腫瘍細胞から核酸を抽出する工程;
を含む方法。
(i)該固形腫瘍のサンプルから脱落した腫瘍細胞を含有する培地を提供する工程;および
(ii)脱落した腫瘍細胞から核酸を抽出する工程;
を含む方法。
3. 前記腫瘍サンプルも前記脱落した細胞も、前記核酸の抽出前にエクスビボで培養されない、段落1または段落2に記載の方法。
4. 核酸抽出の前に非機械的手段による固形腫瘍サンプルの破壊がない、前記段落のいずれかに記載の方法。
5. 核酸抽出の前に酵素的または他の非機械的手段による固形腫瘍サンプルの破壊がない、段落4に記載の方法。
6. 前記方法が、以下の工程:
(a)固形腫瘍サンプルから脱落した腫瘍細胞を含有する培地を提供する工程;
(b)脱落した腫瘍細胞を該培地から分離する工程;および
(c)脱落した腫瘍細胞から核酸を抽出する工程;
を含む、前記段落のいずれかに記載の方法。
(a)固形腫瘍サンプルから脱落した腫瘍細胞を含有する培地を提供する工程;
(b)脱落した腫瘍細胞を該培地から分離する工程;および
(c)脱落した腫瘍細胞から核酸を抽出する工程;
を含む、前記段落のいずれかに記載の方法。
7. 前記培地が、エクスビボで固形腫瘍サンプルから該培地中に直接脱落した腫瘍細胞を含有する、前記段落のいずれかに記載の方法。
8. 脱落した腫瘍細胞から核酸を抽出する工程の前に、固形腫瘍サンプルが、少なくとも約5分、10分、15分、30分、60分/1時間、1.5時間、2時間、2.5時間、3時間、3.5時間、4時間、4.5時間、5時間、5.5時間、6時間、6.5時間、7時間、7.5時間、8時間、8.5時間、9時間、9.5時間、10時間、10.5時間、11時間、11.5時間、12時間またはそれより長い間、該培地中に保持されている、前記段落のいずれかに記載の方法。
9. 前記細胞が固形腫瘍サンプルの保存または輸送の間に該培地中に脱落したものである、前記段落のいずれかに記載の方法。
10. 前記方法が、配列決定のための核酸を抽出する前に、固形腫瘍サンプルを機械的に破壊する工程を含まない、前記段落のいずれかに記載の方法。
11. 固形腫瘍サンプルの少なくとも一部を機械的に破壊する工程、および機械的破壊の間に放出された腫瘍細胞から核酸を抽出する工程をさらに含む、段落1~9のいずれか1つに記載の方法。
12. 配列決定のための腫瘍核酸を得る方法であって、腫瘍サンプルの少なくとも一部の機械的破壊の間に該腫瘍サンプルの少なくとも一部から放出された腫瘍細胞を含有する培地を提供する工程、および該腫瘍細胞から核酸を抽出する工程を含む方法。
13. 固形腫瘍からの核酸を配列決定する方法であって、以下の工程:
(i)腫瘍サンプルの少なくとも一部の機械的破壊の間に該腫瘍サンプルの少なくとも一部から放出された腫瘍細胞を含有する培地を提供する工程;および
(ii)放出された腫瘍細胞から核酸を抽出する工程;
を含む方法。
(i)腫瘍サンプルの少なくとも一部の機械的破壊の間に該腫瘍サンプルの少なくとも一部から放出された腫瘍細胞を含有する培地を提供する工程;および
(ii)放出された腫瘍細胞から核酸を抽出する工程;
を含む方法。
14. 前記腫瘍サンプルも前記放出された細胞も、前記核酸の抽出前にエクスビボで培養されない、段落12または段落13に記載の方法。
15. 核酸抽出の前に非機械的手段による固形腫瘍サンプルの破壊がない、段落12~14のいずれか1つに記載の方法。
16. 核酸抽出の前に酵素的または他の非機械的手段による固形腫瘍サンプルの破壊がない、段落15に記載の方法。
17. 前記方法が、以下の工程:
(a)固形腫瘍サンプルから放出された腫瘍細胞を含有する培地を提供する工程;
(b)放出された腫瘍細胞を該培地から分離する工程;および
(c)該腫瘍細胞から核酸を抽出する工程;
を含む、前記段落のいずれかに記載の方法。
(a)固形腫瘍サンプルから放出された腫瘍細胞を含有する培地を提供する工程;
(b)放出された腫瘍細胞を該培地から分離する工程;および
(c)該腫瘍細胞から核酸を抽出する工程;
を含む、前記段落のいずれかに記載の方法。
18. 前記培地が、エクスビボで固形腫瘍サンプルから該培地中に直接放出された腫瘍細胞を含有する、段落12~17のいずれか1つに記載の方法。
19. 放出された腫瘍細胞から核酸を抽出する工程の前に、固形腫瘍サンプルが、少なくとも約5分、10分、15分、30分、60分/1時間、1.5時間、2時間、2.5時間、3時間、3.5時間、4時間、4.5時間、5時間、5.5時間、6時間、6.5時間、7時間、7.5時間、8時間、8.5時間、9時間、9.5時間、10時間、10.5時間、11時間、11.5時間、12時間またはそれより長い間、培地中に保持されている、段落12~18のいずれか1つに記載の方法。
20. 配列決定のための腫瘍核酸を得る方法であって、以下の工程:
(i)段落1~11のいずれか1つに記載の方法によって、固形腫瘍サンプルから脱落した腫瘍細胞を含有する培地を提供する工程;
(ii)段落12~20のいずれか1つに記載の方法によって、腫瘍サンプルの少なくとも一部の機械的破壊の間に該腫瘍サンプルの少なくとも一部から放出された腫瘍細胞を含有する培地を提供する工程;
(iii)工程(i)と(ii)からの該細胞から核酸を抽出する工程;
を含む方法。
(i)段落1~11のいずれか1つに記載の方法によって、固形腫瘍サンプルから脱落した腫瘍細胞を含有する培地を提供する工程;
(ii)段落12~20のいずれか1つに記載の方法によって、腫瘍サンプルの少なくとも一部の機械的破壊の間に該腫瘍サンプルの少なくとも一部から放出された腫瘍細胞を含有する培地を提供する工程;
(iii)工程(i)と(ii)からの該細胞から核酸を抽出する工程;
を含む方法。
21. 前記固形腫瘍が非小細胞肺癌(NSCLC)、メラノーマ、腎臓癌、膀胱癌、頭頸部癌、および乳癌から選択される、前記段落のいずれかに記載の方法。
22. 前記固形腫瘍がNSCLC、メラノーマ、および頭頸部癌から選択される、前記段落のいずれかに記載の方法。
23. 脱落した腫瘍細胞および/または放出された腫瘍細胞から抽出された核酸を配列決定する工程をさらに含む、前記段落のいずれかに記載の方法。
24. 得られた配列情報が前記腫瘍からのクローン性ネオアンチゲンの同定に適している、段落23に記載の方法。
25. 前記腫瘍からのクローン性ネオアンチゲンを同定する工程をさらに含む、段落24に記載の方法。
26. 前記固形腫瘍サンプルの少なくとも一部から腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を分離する工程をさらに含む、前記段落のいずれかに記載の方法。
27. 前記TILを選択的に増幅して、クローン性ネオアンチゲン特異的T細胞(cNeT)の集団を作製する、段落27に記載の方法。
28. 配列決定のための核酸の抽出前に、ネガティブセレクションによって非腫瘍細胞を除去する工程をさらに含む、前記段落のいずれかに記載の方法。
29. ネガティブセレクションが免疫磁気ネガティブセレクションを含む、段落28に記載の方法。
30. 免疫磁気ネガティブセレクションが、CD45+ 細胞、赤血球、血小板、顆粒球、異種リンパ球集団、線維芽細胞、内皮細胞および/または造血細胞の枯渇を含む、段落29に記載の方法。
31. 前記培地が、HypoThermosol、ダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)、ハムF10培地、ハムF12培地、Advanced DMEM、Advanced DMEM/F12、最少必須培地、DMEM/F-12、DMEM/F-15、ライボビッツ(Liebovitz)L-15、RPMI 1640、イスコフ改変ダルベッコ培地(IMDM)、OPTI-MEM SFM、N2B27、MEF-CM、PBS、またはこれらの組み合わせからなる群より選択され、好ましくは該培地がHypoThermosolである、前記段落のいずれかに記載の方法。
32. 配列決定に用いる腫瘍核酸を提供するための、エクスビボで固形腫瘍サンプルから培地中に脱落した腫瘍細胞の使用。
33. 配列決定に用いる腫瘍核酸を提供するための、腫瘍サンプルの少なくとも一部の機械的破壊の間に該腫瘍サンプルの少なくとも一部から放出された腫瘍細胞の使用。
34. 対象における癌の治療に使用するためのT細胞集団を選択的に増幅する方法であって、以下の工程:
(a)固形腫瘍サンプルから脱落した腫瘍細胞を含有する培地を提供する工程;
(b)脱落した腫瘍細胞から核酸を抽出する工程;
(c)脱落した腫瘍細胞から抽出された核酸を配列決定する工程;
(d)工程(c)で得られた配列情報を用いて、該腫瘍からのネオアンチゲンを同定する工程;
(e)該固形腫瘍サンプルの少なくとも一部から腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を分離する工程;および
(f)該TILを、工程(d)で同定されたネオアンチゲンを提示する抗原提示細胞と共培養する工程;
を含む方法。
(a)固形腫瘍サンプルから脱落した腫瘍細胞を含有する培地を提供する工程;
(b)脱落した腫瘍細胞から核酸を抽出する工程;
(c)脱落した腫瘍細胞から抽出された核酸を配列決定する工程;
(d)工程(c)で得られた配列情報を用いて、該腫瘍からのネオアンチゲンを同定する工程;
(e)該固形腫瘍サンプルの少なくとも一部から腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を分離する工程;および
(f)該TILを、工程(d)で同定されたネオアンチゲンを提示する抗原提示細胞と共培養する工程;
を含む方法。
35. 対象における癌の治療に使用するためのT細胞集団を選択的に増幅する方法であって、以下の工程:
(a)腫瘍サンプルの少なくとも一部の機械的破壊の間に該腫瘍サンプルの少なくとも一部から放出された腫瘍細胞を含有する培地を提供する工程;
(b)放出された腫瘍細胞から核酸を抽出する工程;
(c)放出された腫瘍細胞から抽出された核酸を配列決定する工程;
(d)工程(c)で得られた配列情報を用いて、該腫瘍からのネオアンチゲンを同定する工程;
(e)該固形腫瘍サンプルの少なくとも一部から腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を分離する工程;および
(f)該TILを、工程(d)で同定されたネオアンチゲンを提示する抗原提示細胞と共培養する工程;
を含む方法。
(a)腫瘍サンプルの少なくとも一部の機械的破壊の間に該腫瘍サンプルの少なくとも一部から放出された腫瘍細胞を含有する培地を提供する工程;
(b)放出された腫瘍細胞から核酸を抽出する工程;
(c)放出された腫瘍細胞から抽出された核酸を配列決定する工程;
(d)工程(c)で得られた配列情報を用いて、該腫瘍からのネオアンチゲンを同定する工程;
(e)該固形腫瘍サンプルの少なくとも一部から腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を分離する工程;および
(f)該TILを、工程(d)で同定されたネオアンチゲンを提示する抗原提示細胞と共培養する工程;
を含む方法。
ここで、本発明について、以下の実施例を参照して、単なる例として、説明することにする。
実施例
方法
腫瘍検体の酵素的解離(ED)または機械的解離(MD)により腫瘍細胞懸濁液を得た。腫瘍の断片を、富化手順の前に、Tumour Dissociation Kit, human(Miltenyi Biotec社 #130-095-929)コンポーネントと、gentleMACS(商標)Octo Dissociator with Heaters(Miltenyi Biotec社 #130-096-427)を使用して、酵素消化により解離した。あるいは、腫瘍検体が輸送されて機械的に処理された培地(Hypothermosol FRS保存溶液, Sigma社 #H4416)から腫瘍細胞懸濁液を得た。EDおよびMDの両細胞懸濁液を70μmストレーナー(Falcon社 #352350)に通してろ過し、血球計を用いて細胞(赤血球を含む)を数えた。富化プロセスの直前と直後に、トリパンブルー染色を用いて生細胞をカウントした。
方法
腫瘍検体の酵素的解離(ED)または機械的解離(MD)により腫瘍細胞懸濁液を得た。腫瘍の断片を、富化手順の前に、Tumour Dissociation Kit, human(Miltenyi Biotec社 #130-095-929)コンポーネントと、gentleMACS(商標)Octo Dissociator with Heaters(Miltenyi Biotec社 #130-096-427)を使用して、酵素消化により解離した。あるいは、腫瘍検体が輸送されて機械的に処理された培地(Hypothermosol FRS保存溶液, Sigma社 #H4416)から腫瘍細胞懸濁液を得た。EDおよびMDの両細胞懸濁液を70μmストレーナー(Falcon社 #352350)に通してろ過し、血球計を用いて細胞(赤血球を含む)を数えた。富化プロセスの直前と直後に、トリパンブルー染色を用いて生細胞をカウントした。
次に、450×g、室温、10分間の遠心分離で細胞をペレット化し、PBS+2%FCS+1mM EDTA中に所望の濃度で再懸濁した。細胞懸濁液は、異なる免疫磁気ネガティブセレクション法によりメーカーの指示に従って富化した:
・ EasySep Direct Human PBMC Isolation kit(StemCell社 #19654)で赤血球、血小板および顆粒球を除去し、続いてEasySep Direct Human CD45 depletion kit(StemCell社 #17898)で造血細胞を除去する。
・ Tumour Cell Isolation Kit(Miltenyi Biotec社 #130-108-339)で赤血球、異種リンパ球集団、線維芽細胞および内皮細胞を除去する。
・ EasySep Direct Human Circulating Tumour Cell (CTC) Enrichment Kit(StemCell社 #19657)で赤血球、血小板および造血細胞を除去する。
・ EasySep Direct Human PBMC Isolation kit(StemCell社 #19654)で赤血球、血小板および顆粒球を除去し、続いてEasySep Direct Human CD45 depletion kit(StemCell社 #17898)で造血細胞を除去する。
・ Tumour Cell Isolation Kit(Miltenyi Biotec社 #130-108-339)で赤血球、異種リンパ球集団、線維芽細胞および内皮細胞を除去する。
・ EasySep Direct Human Circulating Tumour Cell (CTC) Enrichment Kit(StemCell社 #19657)で赤血球、血小板および造血細胞を除去する。
分離後、富化された腫瘍細胞懸濁液の純度をフローサイトメトリーで評価したが、その際、既知の混入細胞に対するヒト系統マーカー[CD45(クローンHI30、Biolegend社 #368528)、CD31(クローンWM59、Biolegend社 #303122)、CD235a(クローンREA175、Miltenyi Biotec社 #130-120-474)および抗線維芽細胞マーカー(クローンREA165、Miltenyi Biotec社 #130-100-136)]を、非小細胞肺癌細胞[CD326(クローン9C4、Biolegend社 #324212)]またはメラノーマ腫瘍細胞[MCSP(クローン9.2.27、BD社 #562414)+MART-1(クローンEP1422Y、Abcam社 #ab51061)+MCAM(クローンEPR3208、Abcam社 #ab75769)]と共に、腫瘍細胞タイプに応じて、使用した。必要な場合は、二次AlexaFluor647標識ロバ抗ウサギIgG抗体(Biolegend社 #406414)を使用した。精製済みの腫瘍細胞は、その後のDNA抽出と全エクソームシーケンシングのために凍結された。
実施例1 - 輸送用培地(TM)
本発明者らはまず、不均質な細胞懸濁液中の腫瘍細胞頻度をフローサイトメトリーで測定する方法を確立した。腫瘍細胞マーカーの発現にはばらつきがあるため、ゲーティング戦略は既知の混入細胞を順次除外することにあった(図1A)。
本発明者らはまず、不均質な細胞懸濁液中の腫瘍細胞頻度をフローサイトメトリーで測定する方法を確立した。腫瘍細胞マーカーの発現にはばらつきがあるため、ゲーティング戦略は既知の混入細胞を順次除外することにあった(図1A)。
酵素により解離させた腫瘍検体から生細胞懸濁液を調製することは可能であるが、利用可能な組織の量により制限される。腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の分離には腫瘍の断片が必要であるため、残りの断片は通常0.1g程度である。小さな腫瘍断片の酵素的解離によって得られた細胞懸濁液中の腫瘍細胞頻度を考えると(図2A)、腫瘍細胞の推定収量は平均して100万個の閾値を下回り(図2B)、0.1gの腫瘍組織の断片に存在する腫瘍細胞は幾何平均で0.565×106個(NSCLC)および0.265×106個(メラノーマ)であることが明らかになる。これによって、腫瘍細胞の代替供給源を利用することの必要性が浮き彫りになった。
腫瘍検体が輸送される培地には、そのほとんどが外表面から脱落したものであるとはいえ、切除された腫瘍全体から脱落した細胞が含まれている。本発明者らは、下流の分析的適用に使用する腫瘍細胞の代替供給源としてこれを検討し、こうして、この目的での前記の腫瘍検体の使用を回避した。
最初に観察した、輸送用培地から得られた細胞懸濁液中の腫瘍細胞頻度は、酵素により解離させた腫瘍断片からの細胞懸濁液中よりも低い(図2Aおよび3A)。しかし、腫瘍全体から脱落した細胞の総数は多く、腫瘍細胞の頻度が低いことを考慮しても、輸送用培地からの腫瘍細胞の推定収量は、NSCLCとメラノーマの両サンプルで100万個の閾値を優に上回る(図3B)。各腫瘍タイプの幾何平均は、腫瘍組織1グラムから、平均して、3.834×106個(NSCLC)または23.9×106個(メラノーマ)の腫瘍細胞が輸送用培地に脱落すると予想できることを示している。重要なことは、細胞生存率がほとんどのサンプルで妥当なレベルに保たれており、一般的に60%を超えていることである(図3C)。
3.5時間という短い時間でも、輸送用培地に保持された腫瘍は、下流の適用例で使用するのに十分な細胞を脱落させた(図4A)。これまでのところ、時間をより長くしても、細胞の生存率に影響があるようには見えないが(図4B)、収量にはマイナスの影響があるようである。
実施例2 - 輸送用培地および切断用培地(TMおよびCM)
腫瘍検体が処理される培地(切断用培地 - CM)には、切除された腫瘍の塊全体(外面と内部の両方)から脱落した細胞が含まれている。
腫瘍検体が処理される培地(切断用培地 - CM)には、切除された腫瘍の塊全体(外面と内部の両方)から脱落した細胞が含まれている。
比較すると、TMまたはCMにおける腫瘍細胞頻度は類似しており(図5A)、予想される腫瘍細胞の収量も同様である(図5B)。NSCLCサンプルとメラノーマサンプルの間には、CMにおいてさえも、腫瘍細胞の推定収量にかなりの差があることがまだ見てとれる。
TMとCMを一緒にプールした場合、NSCLCサンプルの腫瘍細胞頻度が全体的に改善されることが観察された(図6)。興味深いことに、NSCLCサンプル(平均11.55×106細胞/グラム)とは対照的に、腫瘍組織1グラムから得られるメラノーマ腫瘍細胞の数は減少している(平均8.06×106細胞/グラム)。TM、CMおよびTM+CMの直接比較は慎重に行う必要がある。培地での輸送時間など、他の可変要因も収量に大きく影響することが示されたからである。
実施例3 - TMおよびCMの精製
図1に示したゲーティング戦略を用いると、混入細胞の頻度はかなりばらつきがあり、患者に依存していることが観察された(図7)。また、図1に示したゲーティング戦略を用いて、不要な細胞を除去した後の腫瘍細胞の頻度を推定し、試験した各キットの回収率を計算することができた。
図1に示したゲーティング戦略を用いると、混入細胞の頻度はかなりばらつきがあり、患者に依存していることが観察された(図7)。また、図1に示したゲーティング戦略を用いて、不要な細胞を除去した後の腫瘍細胞の頻度を推定し、試験した各キットの回収率を計算することができた。
試験した両キットはオリジナルの細胞懸濁液を効率的に富化し、ほとんどの富化サンプルで最終的な腫瘍細胞頻度が30%の閾値を上回った(図8A)。腫瘍細胞の収量は、試験した2つのキットで残念ながら低く、数は細胞100万個の閾値を下回った(図8B)。これは、回収率が極めて低いことで説明され(図8C)、この問題を回避するための最適化が進行中である。細胞の生存率は、試験した両方のキットで、富化後に改善された(図3C)。
まとめると、腫瘍が輸送および処理される培地は腫瘍細胞の信頼できる供給源であることが実証された。得られた細胞懸濁液は富化することができ、配列決定およびクローン性ネオアンチゲンの同定に適したレベルの純度をもたらす。
実施例4 - NSCLCおよびメラノーマ腫瘍からのTMおよびCMサンプルの配列決定
精製後、TMとCMのサンプルに次世代シーケンシングを適用した。第一に、配列データは、精製後の改善された腫瘍含有量の直交的検証を提供することになる。第二に、TMとCMのサンプル内で体細胞変異をコールする能力を判定する必要があった。
精製後、TMとCMのサンプルに次世代シーケンシングを適用した。第一に、配列データは、精製後の改善された腫瘍含有量の直交的検証を提供することになる。第二に、TMとCMのサンプル内で体細胞変異をコールする能力を判定する必要があった。
精製済みおよび未精製のTMとCMの両サンプルから得られた細胞溶解物から、QIAmp DNA Mini kit(カタログ番号51304)を用いてDNAを抽出した。これらのサンプルは、平均深度265×(範囲=224~302)の全エクソームシーケンシング(WES)を受けた。体細胞バリアントを同定し、当社独自のPELEUS(商標)バイオインフォマティクスプラットフォームを用いてサンプルの腫瘍含有量を推定した。患者1からのサンプルはNSCLC腫瘍に由来し、患者2からのサンプルはメラノーマに由来する。一致した患者の原発腫瘍からの新鮮凍結多領域サンプルは、生殖細胞系列対照として使用される患者の血液サンプル(平均深度=92×)と共に、平均深度220×まで事前に配列決定(WES)されていた。これらのサンプルはまた、PELEUS(商標)プラットフォームを用いて処理され、クローン性突然変異を同定するためのTMおよびCMサンプルの「ゴールドスタンダード」比較セットを提供した。
未精製および精製済みのTMとCMのサンプルの腫瘍含有量の推定値は、計算ツールASCAT(Van Loo et al. (PNAS, 2010, 107 (39): 16910-16915))を用いて算出した。フローサイトメトリーからの推定値と一致し、いずれの場合も、精製済みサンプルの腫瘍含有量は、未精製サンプルのそれよりも大幅に高いことがわかった(図9Aおよび9B)。この知見は、これらのサンプルで同定された体細胞突然変異のバリアントアレル頻度(VAF)を比較するとき、さらに裏付けられた(図9Cおよび9D)。該バリアントを、一次多領域データセットにおけるそれらの状態に従って分類した。プライベート突然変異は、単一の多領域サンプルにおいてのみ同定された。共有突然変異は、同じ患者からの複数のサンプルで同定されたが、全てのサンプルではなかった。最後に、遍在性突然変異は、同じ患者から得られた全ての一次領域に存在する突然変異を表し、このレポートにおいては、クローン性突然変異と呼ばれる。体細胞変異を正確に同定するためのTMおよびCMサンプルの有用性を裏付けるように、新鮮凍結領域からの突然変異が再同定され、突然変異のVAFは一般に突然変異のクラスと一致した。クローン性突然変異は通常、より高いVAFを有していた。さらに、精製済みサンプルにおけるVAFは、未精製サンプルにおけるVAFよりも高く、純度推定値の増加を裏付けていた。
TMおよびCMサンプルにおけるクローン性突然変異の検出能力を調べるために、多領域解析から得られた突然変異を、TMおよびCMサンプルで同定された突然変異と比較した。未精製サンプルでは、陽性一致率が両患者とも>95%であった(図10)。精製サンプルについては、陽性一致率は両患者とも>99%であった。これらの結果は、クローン性突然変異を同定するためのTMおよびCMサンプルの適用可能性を強く支持している。
実施例5 - TMサンプルの配列決定と解析
精製後、次世代シーケンシングをTMサンプルに適用して、TMサンプル内で体細胞変異をコールし、かつアノテーション付きクローン性突然変異を再同定する能力について調べた。このTMサンプルはNSCLC腫瘍に由来していた。
精製後、次世代シーケンシングをTMサンプルに適用して、TMサンプル内で体細胞変異をコールし、かつアノテーション付きクローン性突然変異を再同定する能力について調べた。このTMサンプルはNSCLC腫瘍に由来していた。
精製済みのTMサンプルから得られた細胞溶解物からDNAを抽出した。このサンプルについて、深度346×の全エクソームシーケンシング(WES)を行った。体細胞一塩基バリアントを、当社独自のPELEUS(商標)バイオインフォマティクスプラットフォームを用いて同定した。一致した患者の原発腫瘍からの新鮮凍結多領域サンプルについて、生殖細胞系列対照として使用される該患者の血液サンプル(深度=275×)と共に、平均深度253×まで予め配列決定(WES)していた。これらのサンプルはまた、PELEUS(商標)プラットフォームを用いて処理され、クローン性突然変異を同定するためのTMサンプルの「ゴールドスタンダード」比較セットを提供した。
バリアントを、一次多領域データセットにおけるそれらの状態に従って分類した。プライベート突然変異は、単一の多領域サンプルにおいてのみ同定された。共有突然変異は、同じ患者からの複数のサンプルで同定されたが、全てのサンプルではなかった。最後に、遍在性突然変異は、同じ患者から得られた全ての一次領域に存在する突然変異を表し、このレポートにおいては、クローン性突然変異と呼ばれる。TMサンプルにおける突然変異の検出能力を調べるために、多領域解析からの突然変異を、TMサンプルで同定された突然変異と比較した(図11)。クローン性突然変異を検出するための陽性一致率(PPA)は99%(179/180)であった。共有突然変異を検出するためのPPAは85%(71/84)であり、プライベート突然変異を検出するためのPPAは22%(87/401)であった。これらの結果は、クローン性突然変異を同定するためのTMサンプルの適用可能性を強く支持している。
実施例6 - CMサンプルの配列決定と解析
精製後、実施例5と同じ患者に由来するCMサンプルに次世代シーケンシングを適用して、CMサンプル内で体細胞変異を呼び出しかつ注釈付きクローン性突然変異を再同定する能力について調べた。このCMサンプルはNSCLC腫瘍に由来していた。
精製後、実施例5と同じ患者に由来するCMサンプルに次世代シーケンシングを適用して、CMサンプル内で体細胞変異を呼び出しかつ注釈付きクローン性突然変異を再同定する能力について調べた。このCMサンプルはNSCLC腫瘍に由来していた。
精製済みのCMサンプルから得られた細胞溶解物からDNAを抽出した。このサンプルについて、深度273×の全エクソームシーケンシング(WES)を行った。体細胞一塩基バリアントを、当社独自のPELEUS(商標)バイオインフォマティクスプラットフォームを用いて同定した。一致した患者の原発腫瘍からの新鮮凍結多領域サンプルについて、生殖細胞系列対照として使用される該患者の血液サンプル(深度=275×)と共に、平均深度253×まで予め配列決定(WES)していた。これらのサンプルもPELEUS(商標)プラットフォームを用いて処理されて、クローン性突然変異を同定するためのCMサンプルの「ゴールドスタンダード」比較セットを提供した。
バリアントを、一次多領域データセットにおけるそれらの状態に従って分類した。プライベート突然変異は、単一の多領域サンプルにおいてのみ同定された。共有突然変異は、同じ患者からの複数のサンプルで同定されたが、全てのサンプルではなかった。最後に、遍在性突然変異は、同じ患者から得られた全ての一次領域に存在する突然変異を表し、このレポートにおいては、クローン性突然変異と呼ばれる。CMサンプルにおける突然変異の検出能力を調べるために、多領域解析から得られた突然変異を、CMサンプルで同定された突然変異と比較した(図12)。クローン性突然変異を検出するための陽性一致率(PPA)は100%(180/180)であった。共有突然変異を検出するためのPPAは89%(75/84)であり、プライベート突然変異を検出するためのPPAは18%(74/401)であった。これらの結果は、クローン性突然変異を同定するためのCMの適用可能性を強く支持している。
実施例7 - 頭頸部扁平上皮癌から得られたTMサンプルの配列決定と解析
精製後、頭頸部扁平上皮癌(HNSCC)腫瘍由来のTMサンプルに次世代シーケンシングを適用して、この癌適応症からのTMサンプル内で体細胞変異を呼び出しかつ注釈付きクローン性突然変異を再同定する能力について調べた。
精製後、頭頸部扁平上皮癌(HNSCC)腫瘍由来のTMサンプルに次世代シーケンシングを適用して、この癌適応症からのTMサンプル内で体細胞変異を呼び出しかつ注釈付きクローン性突然変異を再同定する能力について調べた。
DNAを抽出し、実施例5に記載したように配列決定した(本サンプルは深度284×までのWESを受けた。一致した患者の原発腫瘍は事前に平均深度364×まで配列決定(WES)されており、また、該患者の血液サンプルも配列決定されていた(深度141×までのWES))。
バリアントを、実施例5に記載したように分類した。TMサンプルにおける突然変異の検出能力を調べるために、多領域解析からの突然変異を、TMサンプルで同定された突然変異と比較した(図13)。クローン性突然変異を検出するための陽性一致率(PPA)は100%(147/147)であった。共有突然変異を検出するためのPPAは33%(7/21)であり、プライベート突然変異を検出するためのPPAは0%(0/24)であった。これらの結果は、クローン性突然変異を同定するためのTMの適用可能性を強く支持している。
実施例8 - 頭頸部扁平上皮癌から得られたCMサンプルの配列決定と解析
精製後、実施例7で使用したのと同じHNSCC腫瘍に由来するCMサンプルに次世代シーケンシングを適用した。これは、この癌適応症からのCMサンプル内で体細胞変異をコールし、かつアノテーション付きクローン性突然変異を再同定する能力を調べるためであった。
精製後、実施例7で使用したのと同じHNSCC腫瘍に由来するCMサンプルに次世代シーケンシングを適用した。これは、この癌適応症からのCMサンプル内で体細胞変異をコールし、かつアノテーション付きクローン性突然変異を再同定する能力を調べるためであった。
DNAを抽出し、実施例6に記載したように配列決定した(本サンプルについて、深度305×までのWESを行った。一致した患者の原発腫瘍について、平均深度364×まで予め配列決定(WES)しており、また、該患者の血液サンプルも配列決定していた(深度141×までのWES))。
バリアントを、実施例6に記載したように分類した。CMサンプルにおける突然変異の検出能力を調べるために、多領域解析からの突然変異を、CMサンプルで同定された突然変異と比較した(図14)。クローン性突然変異を検出するための陽性一致率(PPA)は100%(147/147)であった。共有突然変異を検出するためのPPAは48%(10/21)であり、プライベート突然変異を検出するためのPPAは0%(0/24)であった。これらの結果は、クローン性突然変異を同定するためのCMの適用可能性を強く支持している。
Claims (22)
- 配列決定のための腫瘍核酸を得る方法であって、固形腫瘍サンプルから脱落した腫瘍細胞および/または該固形腫瘍サンプルの少なくとも一部の機械的破壊の間に放出された腫瘍細胞を含有する培地を提供する工程、ならびに脱落した腫瘍細胞および/または放出された腫瘍細胞から核酸を抽出する工程を含む、方法。
- 固形腫瘍サンプルからの核酸を配列決定する方法であって、以下の工程:
(i)該固形腫瘍サンプルから脱落した腫瘍細胞および/または該腫瘍サンプルの少なくとも一部の機械的破壊の間に放出された腫瘍細胞を含む培地を提供する工程;および
(ii)脱落した腫瘍細胞および/または放出された腫瘍細胞から核酸を抽出する工程;
を含む、方法。 - 前記腫瘍サンプルも前記脱落または放出された腫瘍細胞も、前記核酸の抽出前にエクスビボで培養されない、請求項1または請求項2に記載の方法。
- 核酸抽出の前に酵素的または他の非機械的手段による固形腫瘍サンプルの破壊がない、請求項1~3のいずれか1つに記載の方法。
- 前記方法が、以下の工程:
(a)固形腫瘍サンプルから脱落した腫瘍細胞および/または該固形腫瘍サンプルの少なくとも一部の機械的破壊の間に放出された腫瘍細胞を含有する培地を提供する工程;
(b)脱落した腫瘍細胞および/または放出された腫瘍細胞を該培地から分離する工程;および
(c)脱落した腫瘍細胞および/または放出された腫瘍細胞から核酸を抽出する工程;
を含む、請求項1~4のいずれか1つに記載の方法。 - 前記培地が、エクスビボで固形腫瘍サンプルから該培地中に直接脱落した腫瘍細胞を含む、請求項1~5のいずれか1つに記載の方法。
- 脱落した腫瘍細胞から核酸を抽出する工程の前に、固形腫瘍サンプルが、少なくとも約5分、10分、15分、30分、60分/1時間、1.5時間、2時間、2.5時間、3時間、3.5時間、4時間、4.5時間、5時間、5.5時間、6時間、6.5時間、7時間、7.5時間、8時間、8.5時間、9時間、9.5時間、10時間、10.5時間、11時間、11.5時間、12時間またはそれより長い間、該培地中に保持されている、請求項1~6のいずれか1つに記載の方法。
- 前記細胞が固形腫瘍サンプルの保存または輸送の間に培地中に脱落したものである、請求項1~7のいずれか1つに記載の方法。
- 前記方法が、配列決定のための核酸を抽出する前に、固形腫瘍サンプルを機械的に破壊する工程を含まない、請求項1~8のいずれか1つに記載の方法。
- 前記固形腫瘍が非小細胞肺癌(NSCLC)、メラノーマ、腎臓癌、膀胱癌、頭頸部癌、および乳癌から選択される、請求項1~9のいずれか1つに記載の方法。
- 前記固形腫瘍がNSCLC、メラノーマ、および頭頸部癌から選択される、請求項1~10のいずれか1つに記載の方法。
- 脱落した腫瘍細胞および/または放出された腫瘍細胞から抽出された核酸を配列決定する工程をさらに含む、請求項1~11のいずれか1つに記載の方法。
- 得られた配列情報が前記腫瘍からのクローン性ネオアンチゲンの同定に適している、請求項12に記載の方法。
- 前記腫瘍からのクローン性ネオアンチゲンを同定する工程をさらに含む、請求項13に記載の方法。
- 前記固形腫瘍サンプルの少なくとも一部から腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を分離する工程をさらに含む、請求項1~14のいずれか1つに記載の方法。
- 前記TILを選択的に増幅して、クローン性ネオアンチゲン特異的T細胞(cNeT)の集団を作製する、請求項15に記載の方法。
- 配列決定のための核酸の抽出前に、ネガティブセレクションによって非腫瘍細胞を除去する工程をさらに含む、請求項1~16のいずれか1つに記載の方法。
- ネガティブセレクションが免疫磁気ネガティブセレクションを含む、請求項17に記載の方法。
- 免疫磁気ネガティブセレクションが、CD45+ 細胞、赤血球、血小板、顆粒球、異種リンパ球集団、線維芽細胞、内皮細胞および/または造血細胞の枯渇を含む、請求項18に記載の方法。
- 前記培地が、HypoThermosol、ダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)、ハムF10培地、ハムF12培地、Advanced DMEM、Advanced DMEM/F12、最少必須培地、DMEM/F-12、DMEM/F-15、ライボビッツ(Liebovitz)L-15、RPMI 1640、イスコフ改変ダルベッコ培地(IMDM)、OPTI-MEM SFM、N2B27、MEF-CM、PBS、またはこれらの組み合わせからなる群より選択され、好ましくは該培地がHypoThermosolである、請求項1~19のいずれか1つに記載の方法。
- 配列決定に用いる腫瘍核酸を提供するための、エクスビボで固形腫瘍サンプルから培地中に脱落した腫瘍細胞および/または該腫瘍サンプルの少なくとも一部の機械的破壊の間に放出された腫瘍細胞の使用。
- 対象における癌の治療に使用するためのT細胞集団を選択的に増幅する方法であって、以下の工程:
(a)固形腫瘍サンプルから脱落した腫瘍細胞および/または該腫瘍サンプルの少なくとも一部の機械的破壊の間に放出された腫瘍細胞を含有する培地を提供する工程;
(b)脱落した腫瘍細胞および/または放出された腫瘍細胞から核酸を抽出する工程;
(c)脱落した腫瘍細胞および/または放出された腫瘍細胞から抽出された核酸を配列決定する工程;
(d)工程(c)で得られた配列情報を用いて、該腫瘍からのネオアンチゲンを同定する工程;
(e)該固形腫瘍サンプルの少なくとも一部から腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を分離する工程;および
(f)該TILを、工程(d)で同定されたネオアンチゲンを提示する抗原提示細胞と共培養する工程;
を含んでなる方法。
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