JP2023503302A - スピン凝集した神経系マイクロスフェアおよびその応用 - Google Patents

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Abstract

本発明は、多能性幹細胞(PSC)を培養する工程と、PSCを神経系幹前駆芽細胞に分化させる工程と、神経系幹前駆芽細胞を凝集させて、神経系マイクロスフェアを形成する工程と、神経系マイクロスフェアの神経系幹前駆芽細胞をさらに成熟させる工程と、神経系マイクロスフェアを収集する工程と、を含む、神経系マイクロスフェアを取得するための方法に関する。

Description

本発明は、概して、ヒト胚性幹細胞などの幹細胞の分野に関する。幹細胞由来神経系細胞を取得するための方法が提供される。詳細には、神経系細胞を含む幹細胞由来神経系マイクロスフェアを取得するための方法が提供される。
様々な病態の治療にヒト多能性幹細胞を使用する見通しは非常に有望であると考えられる。治療には、パーキンソン病および脳卒中などの神経学的状態の細胞置換療法が含まれる。しかしながら、かかる治療が実行可能になるためには、中枢神経システム(CNS)にそれらを送達するための幹細胞由来産物を人工的に産生するためのインビトロ方法の開発が必要である。
ヒト多能性幹細胞(hPSC)を神経系統に分化させるプロセスは、2D接着培養様式において非常に効率的で堅牢なプロセスとなっている。このために、hPSCは、典型的には、まず有糸分裂hPSCから有糸分裂神経幹細胞または神経系前駆幹細胞(NPSC)に分化し、次にこれらを(任意に)最小有糸分裂または有糸分裂後中間前駆体、放射状グリアまたは神経芽細胞段階(集合的にNB細胞)、最後に最終的に分化する有糸分裂後ニューロンに分化することによって、発生を再現するいくつかの段階を経る。神経系前駆幹細胞または芽細胞(NSPBC)から2Dのニューロンへの分化は、ニューロンの純度が高い培養物を生じさせ、これらの培養物は、ニューロン間の広範な神経突起伸長および相互接続性によって特徴付けられる。しかしながら、これらの培養物は、本質的に、物理的性質によって、構築的/物理的に脆弱なネットワークである。三次元構造でニューロンを産生する三次元懸浮遊培養工程を含むいくつかのプロトコルが存在するが、これらはしばしば有糸分裂神経系細胞のニッチを含む低効率で行われ、典型的には非常に大きく、CNSへの移植には適さない。
広範な神経突起の成長、接続性、および脆弱性により、細胞死の劇的なレベルを生じさせることなく、CNSへの送達のために二次元接着性ニューロン培養物を物理的に操作、収集、または濃縮することは不可能となる。例えば細胞療法の目的で、CNS内に追加のニューロンを配置するための主な方法は、神経性幹前駆細胞(NSPC)および/または神経芽細胞の調製物を移植し、インビボでニューロンに分化を進めることを可能にすることである。NSPCは、最終的な分化ニューロンの脆弱な構造を有しておらず、酵素および/またはキレート剤で解離し、単一(または2個~10個の細胞クラスター)細胞浮遊液として濃縮して、神経外科手術に必要な細い直径の外科用送達装置に積載することができる。次いで、分化はインビボでニューロンおよび最終的な分化細胞型に進行するが、このプロセスは完了するまでに数日から数ヶ月を要し、これをインビトロで促進および誘導するために使用される外因性因子は、CNSに容易に送達することができず、成人の脳には存在しないか、最小限しか存在しないため、容易に制御することができない。
NSPBCのCNSへの移植にはいくつかの問題がある。CNSに送達されるNSPBC調製物は、完全にまたは実質的に有糸分裂細胞で構成されており、これらは、過剰な増殖または潜在的な腫瘍形成に関して安全上のリスクを提起する。さらに、神経系細胞療法のための主要な投与の方法は、ニューロンの宿主回路ネットワークへの機能的統合を介したものである。有糸分裂神経系幹細胞調製物は、移植細胞の機能的統合が達成される前に、インビボでニューロンへのさらなる分裂および分化を受けなければならず、このプロセスは、移植のずっと後に生じる。NSPCもまた多能性であり、それらが生成し得るいくつかの最終的な細胞型を有する。NSPCは、インビトロまたはインビボのいずれかでニューロンなどの最終的な細胞型に成熟され得る。神経系幹細胞分化プロセスの制御は、所望のサブタイプの高度に均質な最終的な分化集団を確保するために必要である。インビトロでは、このプロセスは、開始未分化細胞(hPSC)から最終/有糸分裂後段階(すなわちニューロン)までずっと、タンパク質および小分子で細胞を処理することによって、開始から終了までその全体で制御することができ、高純度の培養物をもたらす。インビボ分化の効率は、比較すると劇的に低い。インビボでの分化を制御することの難しさは、出生後の中枢神経システムがNSC療法の移植部位である結果である。詳細には、移植後に脳は閉鎖され、分化促進分子は移植細胞に容易に送達することができない(隣接する成人組織への付随的効果なく)。成人の脳は、分化を誘導するための発生シグナルを産生せず、分化を制御する発生ニッチ、誘導合図、または化学勾配を保有しない。
ニューロスフェアは、ヒト多能性幹細胞(hPSC)に対する神経系分化プロトコルの出現以来広く使用されている培養様式の一種であり、主にNSCおよび前駆体細胞から成る。ニューロスフェアは非常にサイズが大きく、典型的には数千の細胞を含み、数百マイクロメートル、またはさらに数ミリメートルの直径であり、常に浮遊状態で培養され、多くの場合、それらはhPSC自体から形成されるため、時間の経過とともに高レベルの細胞分裂およびサイズ増加を経験する。特にこれらのサイズの寸法は、外科用装置内に適合し、患者の脳に送達するのには適していない。ニューロスフェアをニューロンに分化させるためには、これは現在、インビボでの解離および移植、または二次元細胞外マトリックスコーティングインビトロシステムへのスフェア全体または解離したスフェアの再播種のいずれかを必要とする。ニューロスフェアのサイズが大きいため、ニューロスフェア全体を播種すると、付着不良が生じ、したがってこれらの細胞を維持する上で技術的課題が生じる。
現在、NSCをニューロン(高純度、>80%のニューロン)に成熟させるすべてのインビトロ方法は、細胞外マトリックス(ECM)との接触を必要とする。NSCの解離単層2D培養物または再播種もしくは解離ニューロスフェア全体は、神経突起形成およびニューロン分化のために細胞外マトリックス(ECM)の追加を必要とする。
ニューロスフェアなどの神経系統細胞を含むスフェアを生成するための代替的アプローチが存在する。しかしながら、これらはいくつかの点で異なる:典型的には、それらは、一定の寸法のスフェアを生成せず、不均一な細胞組成物を有するスフェアを生成し、より大きな寸法のスフェアをもたらす自発的凝集によって生成される。自発的に凝集したスフェアおよびスピン凝集したスフェアは、典型的には、約200~1000μmの直径で、スフェア当たり>1000個および最大10,000個の細胞が播種され、約70~120μm(げっ歯類の場合)または900~1100μm(ヒトの場合)のカニューレを介した細胞溶液の体積の送達の標準的な方法を使用してCNSに送達するにはサイズが大きすぎると報告されている。これらのより大きなサイズは、それらの不均一な細胞の性質およびかかる大きなサイズの細胞構造における栄養素の拡散に関する問題のために、通常、スフェアの中心に壊死性コアを有する。神経系目的のためのスピン凝集法の事例はほとんど報告されておらず、すべて、出発物質としてhPSCを使用する。出発物質としてhPSCを使用する場合、これらのスピン法はパターン化/分化およびインビトロ培養を必要とし、大きなニューロスフェアをもたらす。上述の課題に対処する方法が存在する。特許文献1は、細胞をニューロンに培養および分化させるためのカスタムカプセル化技術および特殊なバイオリアクターによって、細胞外マトリックスタンパク質および溶液の層内にネストされた細胞の小さなクラスターとして3Dで分化の全体または一部を実行することにより、生存能力を損なうことなくニューロンをインビボに配置することを記載している。しかしながら、特許文献1に従った方法は、高機能のカスタムバイオプリンティング機械を必要とし、細胞外マトリックスおよび少なくともカプセル化の残存物を含む最終生成物を提供する。これは、患患者に安全な治療を提供することを目的とする場合、医薬品の観点からは望ましくない。
したがって、本発明の目的は、前述の課題を克服すること、特に、患者への送達に好適である純粋な幹細胞系ニューロン産物を得るための単純な方法を提供することである。
国際公開第2018096278号
上記に概説した目的は、本発明の態様によって達成される。加えて、本発明はまた、例示的な実施形態の開示から明らかになるであろうさらなる課題を解決することができる。
本発明の第1の態様は、神経系幹前駆芽細胞(neural stem precursor blast cells)を提供する工程と、神経系幹前駆芽細胞を凝集させて、神経系マイクロスフェア(neural microsphere)を形成する工程と、神経系マイクロスフェアの神経系幹前駆芽細胞をさらに成熟させる工程と、を含む、神経系マイクロスフェアを取得するための方法を提供することである。一実施形態では、神経系幹前駆芽細胞を提供することは、多能性幹細胞(PSC)を培養する工程と、PSCを神経系幹前駆芽細胞に分化させる工程と、を含む。したがって、本発明の一態様は、前述の方法に従って取得可能な神経系細胞を含む神経系マイクロスフェアに関する。本発明のさらなる態様は、医薬品として使用するための神経系マイクロスフェアに関する。詳細には、それは神経系状態の治療のための神経系マイクロスフェアの使用に関する。本発明の一実施形態では、神経系マイクロスフェアの神経系細胞は、パーキンソン病の治療に使用するためのドーパミン作動性前駆体細胞などの中脳ニューロンである。
本発明は、制御されたスピン凝集などの凝集を介して、最小(例えば、外因性細胞外マトリックス成分またはヒドロゲルもしくはアルギン酸塩などの他の生体材料を必要としない)および静的非接着状態で神経系マイクロスフェアをインビトロで形成するための方法を提供し、それにより、CNS移植のための送達装置への直接的な積載に好適な、制御された最小サイズの最終的な分化子孫(特にニューロン)の生成が可能となる。したがって、従来の二次元培養法とは異なり、本発明は、細胞外マトリックスの存在下または細胞外マトリックス内に埋め込まれる培養を必要とせず、したがって、細胞を、最小限の条件で神経系細胞または他の最終的な細胞型に成熟させることを可能にする、より純粋で単純化された方法である。本発明による、従来の2D培養方法と比較した神経系マイクロスフェアの1つの利点は、より小さなサイズである。しかしながら、神経系細胞を神経系マイクロスフェアに凝集させる方法は、神経系細胞が神経系マイクロスフェアで実質的に神経突起の過剰な成長なしに成熟する条件を提供する。それにより、神経系マイクロスフェアは、通常、ヒト脳に移植された場合に、低い生存率、および統合するための低い能力を有し、拡張された分離不可能な網目にのみ存在する成熟の神経系細胞を含む。しかしながら、神経系マイクロスフェアの成熟神経系細胞は、異なる環境に移ると、それらの特性および神経突起を形成する能力を維持する。これにより、ニューロンの宿主回路ネットワークへの非常に迅速な機能的統合が可能になり、脳への生着後の神経突起の形成が直ちに生じる。したがって、本発明は、CNSへの移植のためにそれらの最終的な運命に成熟した神経系細胞を提供するという主要な課題を克服する。これは、CNSに送達される調製物は、完全にまたは実質的に有糸分裂後細胞で構成されており、これらは、過剰な増殖または潜在的な腫瘍形成に関して安全上のリスクをほとんどもたらさないため、患者の安全性を著しく改善する。さらに、本発明の方法は、インビトロで/ヒトの操作者による完全な分化プロセスの制御を可能にし、これにより、所望のサブタイプの高度に均質な最終分化集団が保証される。これにより、NSC療法の移植部位である出生後の中枢神経システムの結果である、インビボでの分化および成熟の制御の難しさを克服する。最後に、成熟したニューロンの生着は、療法を目的とする細胞を患者に直ちに提供し、したがって、移植された細胞の機能的統合が達成される前に、移植後長期間にわたって生じるプロセスである、有糸分裂神経系幹細胞のニューロンへのインビボでのさらなる分裂および分化にかかる時間を排除する。
本発明は、PSCを分化させて、分化細胞を取得する工程と、分化細胞を凝集させて、細胞を含む幹細胞系マイクロスフェア(stem cell-based microsphere)を形成する工程と、幹細胞系マイクロスフェアの細胞をさらに成熟させる工程と、を含む、幹細胞系マイクロスフェアを取得するための方法におけるより一般的な態様をさらに提供する。本発明者らは、本方法が、任意の胚葉の幹細胞系マイクロスフェアを取得するのに適用可能であることを見出した。特に、本発明者らは、それぞれ心筋細胞および膵島様細胞を含むマイクロスフェアを取得することによって本方法を示した。本発明者らは、本発明の方法に従って取得される幹細胞系マイクロスフェアのより小さなサイズおよび均質な性質が、凍結保存およびその後の解凍時に生存率が増加した細胞系産物をもたらすことを見出した。
図1~13は、3つの主要なCNS系統のhPSC由来NSPBCの特性を示す。図1は、分化の19日間後のインビトロ(DIV)でのDAPI(A、D)、OTX2(B)、PAX6(C)、およびSOX2(E)について染色された背側前脳NSPCの代表的な免疫蛍光画像を示す。スケールバー:100μm。図2は、SOX2(A)、OTX2(A、B)、PAX6(B、C)、SOX1(C)、OCT3/4(D)、およびNanog(D)に対する抗体を使用したフローサイトメトリーによってDIV19で分析した背側前脳NSPCの代表的なドットプロットを示す。数字は、各四分円における事象の割合を表す。図3は、2~5個の背側前脳分化にわたるフローサイトメトリーによって決定された、マーカーPAX6、OTX2、SOX1、およびSOX2(平均+標準偏差)を発現する細胞の割合を要約する棒グラフを示す。図4は、背側前脳NSPC(A)および標準的な2D様式で成熟したニューロン(B)の代表的な位相差画像を示す。図5は、DIV16でDAPI(A)、FOXA2(B)、およびOTX2(C)について染色された腹側中脳NSPCの代表的な免疫蛍光画像を示す。スケールバー:100μm。図6は、SOX2(A)、FOXA2(B)、OTX2(B、C)、およびPAX6(C)に対する抗体を使用したフローサイトメトリーによってDIV16で分析した腹側中脳NSPCの代表的なヒストグラム(A)およびドットプロット(B、C)を示す。(A)の数字は、SOX2陰性および陽性事象の割合を示す。(B)および(C)の数字は、各四分円における事象の割合を表す。図7は、多能性マーカーOCT3/4およびNanogに対する抗体を使用したフローサイトメトリーによって分析されたhPSC(A)および腹側中脳NSPC(B)の代表的なドットプロットを示す。数字は、各四分円における事象の割合を表す。図8は、DIV16での腹側中脳NSPCの単一細胞RNAシークエンシング(scRNA-seq)解析から得られたベン図を示す。ベン図は、遺伝子SOX2、NES、MKI67、およびDCX(A)またはPOU5F1(すなわち、OCT4)、Nanog、CD9、およびPODXL1(B)のうちの1つ以上を発現する細胞の割合を示す。図9は、DIV16での腹側中脳NSPCおよびDIV26でのNBCのscRNA-seq解析から得られたt-SNEプロット(A、C)およびベン図(B、D)における、遺伝子SOX2およびASCL1の発現を示す。図10は、DIV16(A、B)での腹側中脳NSPC、ならびにDAPI(A、C、E)、ベータIIIチューブリン(B、D)、およびチロシンヒドロキシラーゼ(F)で染色されたDIV40(C~F)までの標準的な2D形式で成熟したニューロンの代表的な免疫蛍光画像を示す。スケールバー:100μm。図11は、DIV14でのDAPI(A、D)、NKX6.1(B)、およびOTX2(D)について染色された腹側後脳/脊髄NSPCの代表的な免疫蛍光画像を示す。スケールバー:100μm。図12は、SOX2(A)、OTX2(A、B)、およびNKX6.1(B)に対する抗体を使用したフローサイトメトリーによってDIV19で分析された腹側後脳/脊髄NSPCの代表的なドットプロットを示す。数字は、各四分円における事象の割合を表す。図13は、ナノストリング分析によって決定されたhPSC(黒色の棒)およびhPSC由来背側前脳(FB、線状の棒)、腹側中脳(MB、ドットの棒)、および腹側後脳/脊髄(HB-SC、白色の棒)NSPCにわたる、CNS系統特異的遺伝子EN1、FOXA2、LMX1A、OTX2、NKX6.1、およびPAX6の相対的発現を示す。 図14~22は、神経系マイクロスフェア形成および非接着性静的培養の例を示す。図14は、神経系マイクロスフェア形成(A)および静的非接着培養(B)手順、ならびにインビトロでの播種および接着培養(C)、凍結保存(D)、移植(E)を含む潜在的なアプリケーションの概略図を示す。図15は、形成の2日後のマイクロウェル内のマイクロスフェアの代表的な低倍率(A、B)および高倍率(A’、B’)の位相差画像を示す。マイクロスフェアは、DIV28で100個(A)および500個(B)の背側前脳NSPBCから作製された。スケールバー:200μm。図16は、形成から32日後のマイクロウェル内のマイクロスフェアの代表的な位相差画像を示す。マイクロスフェアは、DIV28で100個(A)および500個(B)の背側前脳NSPBCから作製された。スケールバー:200μm。図17は、形成から6日後のマイクロウェル内のマイクロスフェアの代表的な低倍率(A、B)および高倍率(A’、B’)の位相差画像を示す。マイクロスフェアは、DIV34で100個(A)および500個(B)の背側前脳NSPBCから作製された。スケールバー:200μm。図18は、形成から2日後のマイクロウェル内のマイクロスフェアの代表的な低倍率(A~D)および高倍率(A’~D’)の位相差画像を示す。マイクロスフェアは、スピン凝集によって(A~C)、またはマイクロウェルに遠心分離せずに重力のみで細胞を沈降させることによって(D)のいずれかによって、DIV16で50個(A)、100個(B)、500個(C)、および150個(D)の腹側中脳NSPBCから作製された。スケールバー:200μm。図19は、形成から24日後のマイクロウェル内のマイクロスフェアの代表的な低倍率(A~C)および高倍率(A’~C’)の位相差画像を示す。マイクロスフェアは、DIV16で50個(A)、100個(B)、および500個(C)の腹側中脳NSPBCから作製された。スケールバー:200μm。図20は、形成の3日後のマイクロウェル内のマイクロスフェアの代表的な位相差画像を示す。マイクロスフェアは、DIV26で100個(A)および500個(B)の腹側中脳NSPBCから作製された。スケールバー:200μm。図21は、形成の10日後のマイクロウェル内のマイクロスフェアの代表的な低倍率(A、B)および高倍率(A’、B’)の位相差画像を示す。マイクロスフェアは、DIV26で100個(A)および500個(B)の腹側中脳NSPBCから作製された。スケールバー:200μm。図22は、形成の2日後のマイクロウェル内のマイクロスフェアの代表的な低倍率(A)および高倍率(A’)の位相差画像を示す。マイクロスフェアは、DIV20で100個の腹側後脳/脊髄NSPBCから作製された。スケールバー:200μm。 図23~25は、神経系マイクロスフェアのサイズ測定値を示す。図23は、2つの異なる実験(A)および成熟段階(B)にわたって、100個または500個の前脳NSPBCから作製されたマイクロスフェアの直径の変動を示すバイオリンプロットを示す。図24は、3つの異なる実験(A)および2つの成熟段階(B)にわたって、50個、100個、または500個の中脳NSPBCから作製されたマイクロスフェアの直径の変動を示すバイオリンプロットを示す。図25は、100個の後脳/脊髄NSPBCから作製されたマイクロスフェアの直径の変動を示すバイオリンプロットを示す。 図26~44は、静的非接着培養の異なる段階での神経系マイクロスフェアの組成および成熟を示す。図26は、ラミニン基質上に播種し、ニューロン成熟培地中で培養した48時間後のマイクロスフェアの代表的な低倍率(A~D)および高倍率(A’~D’)の位相差画像を示す。マイクロスフェアは、DIV28で100個の前脳NSPBCから作製され、DIV30(A、A’)、DIV40(B、B’)、DIV60(C、C’)、およびDIV80(D、D’)で播種された。スケールバー:100μm。図27は、ラミニン基質上に播種し、ニューロン成熟培地中で培養した48時間後のマイクロスフェアの代表的な低倍率(A、B)および高倍率(A’、B’)の位相差画像を示す。マイクロスフェアを、DIV34で100個または500個の前脳NSPBCから作製し、DIV40で播種した。スケールバー:100μm。図28は、100個の前脳NSPBCから作製され、DIV30(A~C)またはDIV60(D~F)でラミニン基質上に播種し、DAPI(A、D)、SOX2(B、E)、およびベータIIIチューブリン(C、F)について染色した、マイクロスフェアの代表的な免疫蛍光画像を示す。スケールバー:100μm。図29は、500個の前脳NSPBCから作製され、DIV30(A~C)またはDIV60(D~F)でラミニン基質上に播種し、DAPI(A、D)、SOX2(B、E)、およびベータIIIチューブリン(C、F)について染色した、マイクロスフェアの代表的な免疫蛍光画像を示す。スケールバー:100μm。図30は、100個の前脳NSPBCから作製され、DIV30(A~C)またはDIV60(D~F)でラミニン基質上に播種し、DAPI(A、D)、TBR1(B、E)、およびBRN2(C、F)について染色した、マイクロスフェアの代表的な免疫蛍光画像を示す。スケールバー:100μm。図31は、ラミニン基質上に播種し、ニューロン成熟培地中で培養した48時間後のマイクロスフェアの代表的な低倍率(A~E)および高倍率(E’)の位相差画像を示す。マイクロスフェアは、DIV16で50個の中脳NSPBCから作製され、DIV18(A)、DIV25(B)、DIV30(C)、DIV35(D)、およびDIV40(E、E’)で播種した。スケールバー:100μm。図32は、ラミニン基質上に播種し、ニューロン成熟培地中で培養した48時間後のマイクロスフェアの代表的な低倍率(A~E)および高倍率(E’)の位相差画像を示す。マイクロスフェアは、DIV16で100個の中脳NSPBCから作製され、DIV18(A)、DIV25(B)、DIV30(C)、DIV35(D)、およびDIV40(E、E’)で播種した。スケールバー:100μm。図33は、ラミニン基質上に播種し、ニューロン成熟培地中で培養した48時間後のマイクロスフェアの代表的な低倍率(A~E)および高倍率(E’)の位相差画像を示す。マイクロスフェアは、DIV16で500個の中脳NSPBCから作製され、DIV18(A)、DIV25(B)、DIV30(C)、DIV35(D)、およびDIV40(E、E’)で播種した。スケールバー:100μm。図34は、50個の中脳NSPBCから作製され、DIV18(A~C)またはDIV35(D~F)でラミニン基質上に播種し、DAPI(A、D)、SOX2(B、E)、およびベータIIIチューブリン(C、F)について染色した、マイクロスフェアの代表的な免疫蛍光画像を示す。スケールバー:100μm。図35は、100個の中脳NSPBCから作製され、DIV18(A~C)またはDIV35(D~F)でラミニン基質上に播種し、DAPI(A、D)、SOX2(B、E)、およびベータIIIチューブリン(C、F)について染色した、マイクロスフェアの代表的な免疫蛍光画像を示す。スケールバー:100μm。図36は、500個の中脳NSPBCから作製され、DIV18(A~C)またはDIV35(D~F)でラミニン基質上に播種し、DAPI(A、D)、SOX2(B、E)、およびベータIIIチューブリン(C、F)について染色した、マイクロスフェアの代表的な免疫蛍光画像を示す。スケールバー:100μm。図37は、50個(黒丸、太字フォント)または100個(白四角、通常フォント)の中脳NSPBCのいずれかから作製され、DIV18、DIV25、DIV30、DIV35、またはDIV40で播種し、48時間培養した、マイクロスフェア内のSOX2陽性細胞(平均±標準偏差)の割合を示す。グラフ上に列挙される数字は、平均値を表す。図38は、100個の中脳NSPBCから作製され、DIV18(A、B)またはDIV35(D、E)でラミニン基質上に播種し、DAPI(A、D)およびKi-67(B、E)について染色した、マイクロスフェアの代表的な免疫蛍光画像を示す。スケールバー:100μm。図39は、50個(黒丸、太字フォント)または100個(白四角、通常フォント)の中脳NSPBCのいずれかから作製され、DIV18、DIV25、DIV30、DIV35、またはDIV40で播種し、48時間培養した、マイクロスフェア内のKi-67陽性細胞(平均±標準偏差)の割合を示す。グラフ上に列挙される数字は、平均値を表す。図40は、100個の中脳NSPBCから作製され、DIV18(A、B)またはDIV35(D、E)のラミニン基質上に播種し、DAPI(A、D)、FOXA2(B、E)、およびチロシンヒドロキシラーゼ(C、F)について染色した、マイクロスフェアの代表的な免疫蛍光画像を示す。スケールバー:100μm。図41は、50個(黒丸、太字フォント)または100個(白四角、通常フォント)の中脳NSPBCのいずれかから作製され、DIV18、DIV25、DIV30、DIV35、またはDIV40で播種し、48時間培養した、マイクロスフェア内のFOXA2陽性細胞(平均±標準偏差)の割合を示す。グラフ上に列挙される数字は、平均値を表す。図42は、100個の中脳NSPBCから作製され、DIV18(A、B)またはDIV35(D、E)でラミニン基質上に播種し、DAPI(A、D)、OTX2(B、E)、およびNEUN(C、F)について染色した、マイクロスフェアの代表的な免疫蛍光画像を示す。スケールバー:100μm。図43は、50個(黒丸、太字フォント)または100個(白四角、通常フォント)の中脳NSPBCのいずれかから作製され、DIV18、DIV25、DIV30、DIV35、またはDIV40で播種し、48時間培養した、マイクロスフェア内のOTX2陽性細胞(平均±標準偏差)の割合を示す。グラフ上に列挙される数字は、平均値を表す。図44は、50個(黒丸、太字フォント)または100個(白四角、通常フォント)の中脳NSPBCのいずれかから作製され、DIV18、DIV25、DIV30、DIV35、またはDIV40で播種し、48時間培養した、マイクロスフェア内のNEUN陽性細胞(平均±標準偏差)の割合を示す。グラフ上に列挙される数字は、平均値を表す。 図45は、凍結保存前(A、A’)および凍結保存後(B、B’)の中脳マイクロスフェアの代表的な低倍率(A、B)および高倍率(A’、B’)の位相差画像を示す。マイクロスフェアは、DIV35で新鮮に播種されるか、DIV35で凍結保存され、解凍時に播種され、48時間培養された。スケールバー:100μm。 図46~48は、神経系マイクロスフェアの調製および移植を示す。図46は、移植手順を模倣したDIV35で、薄く引かれたガラス毛細管を通過し、ラミニン基質上に播種し、48時間培養した、中脳細胞の代表的な低倍率(A~C)および高倍率(A’~C’)の位相差画像を示す。細胞は、NSPBCの移植の標準的な手順を模倣した単一細胞浮遊液を取得するために、25分間(A、A’)または90分間(B、B’)アキュターゼで解離された標準的な2Dニューロン培養物から、または100個の中脳NSPBCから作製されたインタクトなマイクロスフェアから取得した。スケールバー:100μm。図47は、移植手順を模倣したDIV35で、薄く引かれたガラス毛細管を通過し、ラミニン基質上に播種し、48時間培養し、DAPI(A、C、E)およびNEUN(B、D、F)で染色した、中脳細胞の代表的な免疫蛍光画像を示す。細胞は、NSPBCの移植の標準的な手順を模倣した単一細胞浮遊液を取得するために、25分間(A、A’)または90分間(B、B’)アキュターゼで解離された標準的な2Dニューロン培養物から、または100個の中脳NSPBCから作製されたインタクトなマイクロスフェアから取得した。スケールバー:100μm。図48は、100個の中脳NSPBCから作製された、hPSC由来マイクロスフェアの線条体内移植の4週間後(A、A’、B、B’)および8週間後(C、C’、D、D’)に取得されたラット脳冠状切片の画像を示す。切片は、DAPI(A、A’、C、C’)およびヒト特異的NCAM(B、B’、D、D’)の免疫組織化学によって染色した。低倍率画像(A~D)は、同側半球を示し、高倍率画像(A’~D’)は、移植領域を示す。 図49~57は、hPSC由来膵島様細胞から成るマイクロスフェアの例を示す。図49は、NKX6.1(A~D)、グルカゴン(E~H)、およびc-ペプチド(A~H)に対する抗体を使用したフローサイトメトリーによって分析したhPSC由来膵島様細胞の代表的なドットプロットを示す。数字は、各四分円における事象の割合を表す。細胞は、DIV29(A、E)での凝集体形成前、ならびに自発的クラスター(B、F)およびマイクロスフェア(C、D、G、H)の形成後に単一細胞浮遊液として分析した。図50は、多能性マーカーOCT3/4およびNanogに対する抗体を使用してDIV25(C)およびDIV29(D)でフローサイトメトリーによって分析したhPSC(A)およびhPSC由来膵島様細胞(B)の代表的なドットプロットを示す。数字は、各四分円における事象の割合を表す。図51は、形成の2日後のマイクロウェル内のマイクロスフェアの代表的な低倍率(A、B)および高倍率(A’、B’)の位相差画像を示す。マイクロスフェアは、500個(A)および1000個(B)のhPSC由来膵島様細胞から作製された。スケールバー:200μm。図52は、浮遊培養におけるhPSC由来膵島様細胞の自発的凝集によって形成されたクラスター(A)、および1000個のhPSC由来膵島様細胞の制御されたスピン凝集によって形成されたマイクロスフェア(B)の代表的な位相差画像を示す。スケールバー:200μm。図53は、浮遊培養におけるhPSC由来膵島様細胞の自発的凝集によって形成されたクラスター(A)、および500個または1000個(C)のhPSC由来膵島様細胞(B)の制御されたスピン凝集によって形成されたマイクロスフェア(B)のバイオレップ分析からのマスク画像を示す。スケールバー:500μm。図54は、自発的凝集クラスター(黒色の棒)、および500個(縞模様の棒)または1000個(ドットの棒)のhPSC由来膵島様細胞から作製されたマイクロスフェアのバイオレップ分析によって決定されたサイズ分布を示す。図55は、マイクロスフェア形成の48時間後に、500個または1000個のhPSC由来膵島様細胞から作製された、マイクロスフェアの直径の変動を示すバイオリンプロットを示す。図56は、凍結保存前(A)および凍結保存後(B)のマイクロスフェアの代表的な位相差画像を示す。マイクロスフェアは、1000個のhPSC由来膵島様細胞から作製された。スケールバー:200μm。図57は、制御されたマイクロスフェアまたは自発的形成クラスターのいずれかとして凝集体に統合された、播種細胞の数を、総数(A)およびパーセント収率(B)で表す棒グラフを示す。 図58~69は、hPSC由来心筋細胞様細胞から成るマイクロスフェアの例を示す。図58は、心臓トロポニンTに対する抗体を使用したフローサイトメトリーによって分析した、hPSC由来心筋細胞様細胞および未分化hPSCの代表的なヒストグラムを示す。心筋細胞様細胞は、分化8日目の3D凝集体(DIV8)から取得され、マイクロスフェア形成前の単一細胞浮遊液として分析された。図59は、Oct3/4に対する抗体を使用したフローサイトメトリーによって分析した、hPSC由来心筋細胞様細胞および未分化hPSCの代表的なヒストグラムを示す。細胞は、マイクロスフェア形成前8日目(DIV8)および分化0日目(DIV0)にそれぞれ3D凝集体から取得された単一細胞浮遊液として分析された。図60は、自動クラスター分析によって分化(DIV8)8日目に取得された心筋細胞様細胞の代表的なサイズ分布を示す。図61-1および61-2は、形成から2日後のマイクロウェル内のマイクロスフェアの代表的な低倍率(A、B、C、D、E)および高倍率(A’、B’、C’、D’、E’)の位相差画像を示す(DIV10)。マイクロスフェアは、クラスター当たり50個(A、A’)、150個(B、B’)、500個(C、C’)、1000個(D、D’)、または1500個(E、E’)の細胞数で、凍結保存されたhPSC由来心筋細胞細胞(DIV8)から作製され得た。スケールバー:250μm。図62は、形成から7日後のマイクロウェル内のマイクロスフェアの代表的な倍率位相差画像を示す(DIV15)。マイクロスフェアは、25個、50個、100個、および500個のhPSC由来心筋細胞様細胞から作製された。スケールバー:200μm。図63は、100個、250個、500個、1000個、または1500個のいずれかのhPSC由来心筋細胞様細胞の制御されたスピン凝集によって形成されたマイクロスフェアからの自動バイオレップ分析によって決定された、pIEQ/mL(A)および平均球直径(B)として表示された細胞質量を示す。図64は、凝集2日後に100個(A)、250個(B)、500個(C)、1000個(D)、または1500個(E)のいずれかのhPSC由来心筋細胞様細胞から作製されたマイクロスフェアの自動バイオレップ分析によって決定された、200μlの試料体積に基づく、示された直径ビンの絶対粒子数を示す(DIV10)。図65は、凝集2日後の100個、250個、500個、1000個、または1500個のhPSC由来心筋細胞様細胞の各測定から形成されたマイクロスフェアの相対的なサイズ分布を示す(DIV10)。図66は、3D浮遊培養プロセス(DIV8)からのhPSC由来心筋細胞様細胞の自発的形成凝集体、および100個、250個、500個、1000個、または1500個のhPSC由来心筋細胞様細胞の制御されたスピン凝集によって形成されたマイクロスフェアのバイオレップ分析からのマスク画像を示す。スケールバー:500μm。図67は、ラミニン521上に24時間播種し、NKX2.5(B、E)およびサルコメアアクチニン(C、F)に対して染色した、100個(A、B、C)および500個(D、E、F)の細胞の代表的なマイクロスフェアを示す。核は、DAPI(A、D)を使用して対比染色した。スケールバー:200μm。図68は、凍結保存前および凍結保存後の多能性幹細胞由来心筋細胞を含むマイクロスフェアの位相差画像を示す。マイクロスフェアは、凍結保存された単一細胞(DIV8)からの空洞当たり1000個の細胞から形成され、3日後に凍結保存された(DIV11)。スケールバー:250μm。図69は、シリンジ針(G30)を介した押出の前および後のマイクロスフェアの位相差画像を示す。マイクロスフェアは、8日目に空洞当たり50個または100個の細胞から形成し(DIV8)、採取して、マイクロスフェア形成の7日後に同様に押出された(DIV15)。スケールバー:200μm。
別段の定めのない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本発明の実践は、別段の指示がない限り、当業者に公知の化学、生化学、生物物理学、分子生物学、細胞生物学、遺伝学、免疫学、および薬理学の従来の方法を用いる。
すべての見出しおよび小見出しが、本明細書では便宜上使用されているだけであり、決して本発明を限定するものとして解釈されるべきではないことに留意されたい。
本明細書で提示する任意およびすべての例または例示的な語句(例えば「など(such as)」)の使用は、単に本発明をより明瞭にするという意図しかなく、別段の請求がない限り、本発明の範囲を制限するものではない。
一般的な定義
本出願全体を通して、細胞を分化させるためのプロセスを指す場合の「方法」および「プロトコル」という用語は、互換的に使用され得る。本明細書で使用される場合、「a」または「an」または「the」は、1つまたは複数を意味し得る。本明細書に別段の示唆がない限り、単数形で提示される用語は、複数の状況も含む。また、本明細書で使用される場合、「および/または」は、関連する列挙された項目のうちの1つ以上のうちのいずれかおよびすべての可能な組み合わせ、ならびに代替(「または」)で解釈される場合の組み合わせの欠如を指し、かつそれらを包含する。さらに、本発明はまた、本発明のいくつかの実施形態では、本明細書に記載される任意の特徴または特徴の組み合わせが除外または省略され得ることも企図する。
本明細書で使用される場合、プロトコルに関する「日」および同様にインビトロでの日(DIV)という用語は、特定の工程を実施するための特定の時間を指す。
一般的に、かつ別段の定めのない限り、「0日目」は、プロトコルの開始を指し、これは例えば、幹細胞をプレーティングすること、または幹細胞をインキュベーターに移すこと、または幹細胞の移植前に、現在の細胞培養培地中の幹細胞を化合物と接触することによるが、これらに限定されない。典型的には、プロトコルの開始は、未分化幹細胞を別の細胞培養培地および/または容器に移すことにより、例えば、限定されないが、プレーティングもしくはインキュベートすることにより、および/または未分化幹細胞を、分化プロセスが開始されるような方法で未分化幹細胞に影響を及ぼす化合物と最初に接触することによって、行われる。
1日目、2日目などの「X日目」に言及する場合、これは、0日目のプロトコル開始に関連するものである。当業者は、別段の指定がない限り、工程を実施するための正確な日時が変動し得ることを認識するであろう。したがって、「X日目」は、±10時間、±8時間、±6時間、±4時間、±2時間、または±1時間などの時間範囲を包含するよう意図される。
本明細書で使用される場合、「約X日目~約Y日目から」というフレーズは、ある事象が開始される日を指す。このフレーズは、その事象が開始し得る日の間隔を提供する。例えば、「細胞が約3日目~約5日目に分化因子と接触する」場合、これは、すべての選択肢:「細胞が約3日目から分化因子と接触する」、「細胞が約4日目から分化因子と接触する」、および「細胞が約5日目から分化因子と接触する」を包含するものとして解釈される。したがって、このフレーズは、3日目~5日目の間にのみ起こる事象として解釈されるべきではない。これは、「約X日目~約Y日目まで」というフレーズに準用する。
以下、本発明による方法は、非限定的な実施形態および実施例によってより詳細に記載される。幹細胞由来神経系細胞を含むマイクロスフェアを取得するための方法が提供される。したがって、方法は、幹細胞の使用においてオフセットされる。
「幹細胞」は、分化能および増殖能(特に自己複製能力)を有するが、分化能を維持する未分化細胞として理解されるべきである。幹細胞は、分化能に従って、多能性幹細胞、多分化能性幹細胞、単能性幹細胞、およびこれらに類するものなどの亜集団を含む。本明細書で使用される場合、「多能性幹細胞」(PSC)という用語は、インビトロで培養することができ、3つの胚葉(外胚葉、中胚葉、内胚葉)および/または胚外組織(多能性)に属する任意の細胞系統に分化する能力を有する幹細胞を指す。本明細書で使用される場合、「多能性幹細胞」という用語は、すべての種類ではないが、複数の種類の組織または細胞に分化する能力を有する幹細胞を意味する。本明細書で使用される場合、「単能性幹細胞」という用語は、特定の組織または細胞に分化する能力を有する幹細胞を意味する。多能性幹細胞は、受精卵、クローン胚、生殖幹細胞、組織中の幹細胞、体細胞、およびこれらに類するものから誘導され得る。多能性幹細胞(PSC)の例としては、胚性幹細胞(ESC)、EG細胞(胚性胚細胞)、誘導多能性幹細胞(iPSC)、およびこれらに類するものが含まれる。間葉系幹細胞(MSC)から得られるミューズ細胞(多系統分化ストレス耐性細胞)、および生殖細胞(例えば、精巣)から産生されるGS細胞も、多能性幹細胞に包含される。本明細書で使用される場合、誘導多能性幹細胞(iPS細胞またはiPSCとしても公知)という用語は、成体細胞から直接生成することができる一種の多能性幹細胞を意味する。多能性関連遺伝子の特定のセットの産物の導入によって、成体細胞は、多能性幹細胞に変換され得る。胚性幹細胞はまた、例えば、WO2003/046141に記載されるような単為生殖性物に由来してもよい。胚性幹細胞は、単一の割球から、または胚を破壊することなく取得された内部細胞塊を培養することによって産生され得る。胚性幹細胞は、所与の組織から入手可能であり、市販されている。好ましくは、本発明の方法および産物は、hPSC、すなわち、誘導多能性幹細胞または単為生殖生物を含む胚性幹細胞のいずれかに由来する幹細胞に基づく。本明細書で使用される場合、「幹細胞」という用語はまた、直接的な変換(分化転換とも称される)または順方向プログラミングによって取得される細胞を包含することを意味し、同一性および主要制御因子遺伝子の過剰発現、または同一性および主要制御因子遺伝子をオンにする特定の小分子の送達を介して、任意の細胞型が神経系幹前駆体細胞(NSPC)に変換される。本明細書で使用される場合、「小型で移動可能な様式」という用語は、典型的に、単一細胞浮遊液または少数の細胞の小さなクラスター、NSPBCにのみ適用される手順、またはマイクロスフェア自体に関連する培養物を指す。
幹細胞に由来する神経系マイクロスフェアを取得するためのプロトコル
本発明の一般的な態様では、神経系幹前駆芽細胞を提供する工程と、神経系幹前駆芽細胞を凝集させて、神経系マイクロスフェアを形成する工程と、神経系マイクロスフェアの神経系幹前駆芽細胞をさらに成熟させる工程と、を含む、神経系マイクロスフェアを取得するための方法が提供される。一実施形態では、神経系幹前駆芽細胞を提供する工程は、PSCを神経系幹前駆芽細胞に分化させる工程を含む。一実施形態では、神経系幹前駆芽細胞を提供する工程は、PSCを培養する最初の工程をさらに含む。
本発明によれば、「神経系マイクロスフェア」は、神経系細胞を含む三次元クラスターを形成する細胞組織として定義される。「マイクロスフェア」という用語は、実質的に定義された境界を有する細胞によって形成されたスフェア状構造を意味する。当業者は、細胞のクラスターが本質的に三次元空間において完全に円形の幾何学的形状を形成することは決してないことを容易に認識するであろう。クラスターは、例えば、スフェロイド様構造で伸長するか、または特定の領域で突出または陥没し得る。用語「クラスター」および「凝集」は、互換的に使用されてもよく、隣接する細胞が互いに近接および/または直接接触するように一緒にグループ化され、隣接する細胞がクラスターの三次元構造を維持するように互いに親和性を有する、複数の細胞を指す。「マイクロスフェア」という用語はさらに、クラスターが、マイクロメートルで測定された、例えば350μm未満の直径を有するスフェア状構造を形成する複数の細胞を含むことを意味する。
本明細書で使用される場合、「神経系」という用語は、神経システムを指す。本明細書で使用される場合、「神経系細胞」という用語は、細胞型を模倣する細胞を指し、それは、当然ながら外胚葉の胚葉、より詳細には、神経外胚葉の一部であり、神経幹細胞からニューロンに至るまで、すなわち神経系幹前駆体細胞段階および神経系芽細胞段階などの細胞段階など、この生殖層内の発達の任意の段階の細胞を包含することを意味する。したがって、神経系細胞に言及する特定の実施形態は、例えば、神経系幹前駆細胞のみ、または神経系芽細胞のみ、またはそれらの混合物を含む実施形態に等しく適用され得る。神経細胞は、胚性幹細胞および誘導多能性幹細胞、ならびに他の多能性細胞(すなわち、単為生殖性幹細胞)に由来し、直接変換(分化転換とも呼ばれる)方法を介して誘導され得る。
本明細書で使用される場合、「神経系幹前駆体細胞」(NSPC)という用語は、1つ以上の細胞型に自己複製、増殖、および/または分化する能力を有する細胞を指す。したがって、神経系前駆体細胞は、単能性、二能性、または多能性であり得る。したがって、神経系幹前駆体細胞(NSPC)は有糸分裂であり、典型的には、最終的にニューロンおよびグリア細胞、ならびに髄膜細胞を含むCNS内に存在する他の細胞型に分化する。
本明細書で使用される場合、「神経系芽細胞」(NBC)という用語は、神経系幹前駆体細胞(NSCP)よりもさらに分化し、典型的にはさらに分化する(すなわち、ニューロンに)能力を有し、自己複製せず、有糸分裂後の神経系細胞を指す。
「神経系幹前駆芽細胞」(NSPBC)という用語は、本明細書では、典型的にSOX2、NES、PAX6、SOX1、OTX2、OTX1、NKX6.1、FOXA2、もしくはLMX1Aなどの転写因子を発現するNSCおよびNPC、または典型的にTBR2、もしくはSOX4、もしくはASCL1などの転写因子を発現する神経系芽細胞(NBC)を含むNSC、神経系前駆細胞、または神経系前駆体細胞(集合的にNPCと呼ばれる)のいずれかの純粋な集団、あるいはこれらの細胞型のいずれかの混合集団を集合的に記載するために使用される。
本明細書で使用される場合、「ニューロン」および「神経細胞」という用語は、有糸分裂後、典型的には多能性幹細胞から神経活動電位を伝達することができる特殊な細胞に完全に発達/最終的に分化した神経系細胞を指すために互換的に使用され得る。神経系細胞を「有糸分裂」と称する場合、分裂/増殖プロセスにある、またはそうすることができる増殖性細胞を意味する。したがって、神経系細胞を「有糸分裂後」と称する場合、分裂/増殖できない細胞を意味する。
本発明による神経系細胞は、前脳、中脳、後脳などに特異的な細胞などの特定の局所的同一性を有し得る。本明細書で使用される場合、「前脳」という用語は、皮質および線条体を含む構造を生じさせる神経系管およびCNSの吻側領域を指す。本明細書で使用される場合、「中脳」という用語は、黒質を含む構造を生じさせる神経管およびCNS(吻側-尾側軸上)の内側領域を指す。本明細書で使用される場合、「後脳」および「脊髄」という用語は、峡部形成体に対して尾側にある神経系管の尾側領域を指す。
本発明による方法は、典型的には、一連の工程によって定義される。本明細書で使用される場合、方法に関する「工程」という用語は、何かが取り組んでいる、および/または動作が実施される段階として理解されるべきである。実施される工程および/または取り組んでいる工程が、同時および/または順次および/または連続的である場合が、当業者によって理解されるであろう。
幹細胞の神経系細胞への分化
PSCを培養する工程において、細胞は、上記で言及された任意の好適な供給源から得られてもよい。「培養」という用語は、PSCが細胞培養培地中で培養され、それらが現在の発達状態での生存に好適であることを意味する。幹細胞を培養することは、通常、幹細胞を、新しい基質上に播種すること、またはインキュベーター中で懸濁することなどによって、異なる環境へと移すことを暗示する。当業者は、幹細胞がかかる移動に対して脆弱であり、手順が注意を必要とすること、および幹細胞を元の細胞培養培地中で維持することが、細胞培養培地を分化プロセスにより適した別の細胞培養培地で置き換える前に、細胞のより持続可能な移動を促進し得ることを認識するであろう。
多能性幹細胞を神経系幹前駆芽細胞に分化させる工程は、多能性幹細胞を外胚葉胚葉の細胞に発達させるための任意の好適な方法によるものであり得る。当業者は、こうした分化プロセスに利用可能な適切な方法を認識するであろう。神経系幹前駆芽細胞は現在、2つの主要な方法によって得ることができ、1つ目が多能性幹細胞を追加の外因性化合物と接触することを介した多能性幹細胞の神経系幹前駆体細胞(NSPC)への従来の分化を介する、または直接的な変換(分化転換とも称される)もしくは順方向プログラミングを介して、同一性および主要制御因子遺伝子の過剰発現、または同一性および主要制御因子遺伝子をオンにする特定の小分子の送達を介して、任意の細胞型が神経系幹前駆体細胞(NSPC)に変換され、これらの方法の例は、Zhang et al.,Sudhof“Rapid Single-Step Induction of Functional Neurons from Human Pluripotent Stem Cells”2013、およびVierbuchen et al.,Wernig“Direct conversion of fibroblasts to functional neurons by defined factors”2010に示される。
本明細書で使用される場合、「分化」という用語は、例えば、未成熟状態から低い未成熟状態へ、または未成熟状態から成熟状態へ、細胞が未分化状態または意図された分化状態とは異なる状態から特定の分化状態に進行するプロセスを広く指し、これは、方法の実施中に継続的に生じ得る。多能性幹細胞に関する「分化」という用語は、細胞が未分化状態から特定の分化状態へ、すなわち、未成熟状態から低い未成熟状態または成熟状態へと進行するプロセスを指す。細胞相互作用および成熟における変化は、細胞が未分化細胞のマーカーを失うまたは分化した細胞のマーカーを得るときに生じる。単一マーカーの損失または獲得は、細胞が「成熟または完全に分化」されたことを示し得る。効率的な二次元プロトコルが利用可能な細胞型の例は、(a)前脳皮質グルタミン酸作動性ニューロン(Shi,Kirwan et al.2012)、(b)中脳ドーパミン作動性ニューロン(Niclis,Gantner et al.2017)、(c)後脳セロトニン作動性ニューロン(Lu,Zhong et al.2016)、および(d)脊髄運動ニューロン(Amoroso,Croft et al.2013)を含む、CNSの4つの主要ドメインに及ぶ。PSCを神経系幹前駆芽細胞に分化させる工程に必要な時間は、使用されるプロトコルに依存する。当業者は、分化の進行および神経系細胞がどの段階に発達したかを決定することができるであろう。分化の進行を決定することは、特定の発現マーカーの分析によって、または特定の段階で、これを視覚的に評価することができる。
一実施形態では、PSCは、二次元培養で分化される。さらなる実施形態では、PSCは、最初に基質上に播種される。一実施形態では、基質は、細胞外マトリックスを含む。さらなる実施形態では、基質は、ポリ-L-リジン、ポリ-D-リジン、ポリ-オルニチン、ラミニン、フィブロネクチン、および/またはコラーゲン、および/またはそれらの断片を含む。より詳細な実施形態では、ラミニンまたはその断片は、ラミニン-111、ラミニン521、およびラミニン511から成る群から選択される。
別の実施形態では、PSCは、浮遊培養で分化される。
一実施形態では、細胞の少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、または99%は、神経系幹前駆芽細胞を凝集させて、神経系マイクロスフェアを形成する工程の前の神経系幹前駆芽細胞である。
一実施形態では、PSCは、初期の神経系前駆体細胞から若いニューロンに至るまでの段階で、神経系幹前駆芽細胞に分化される。詳細には、一実施形態では、PSCは、初期の神経系前駆体細胞、後期の神経系前駆体細胞、神経芽球、および若いニューロンを含む群から選択される段階で、神経系幹前駆芽細胞に分化される。一実施形態では、PSCは、約3日~約40日、好ましくは約5日~30日で、神経幹系前駆芽細胞に分化される。神経系幹前駆芽細胞を腹側中脳神経系幹前駆芽細胞に分化させるための実施形態では、多能性幹細胞は、約8日~約22日、より好ましくは約10日~約20日、より好ましくは約12日~約18日、さらにより好ましくは約14日~約17日、なおさらにより好ましくは約16日分化される。皮質神経系幹前駆芽細胞に分化させるための別の実施形態では、細胞は、約7日~約35日、好ましくは15日~約30日、より好ましくは約20日~約30日、例えば、約25日~約28日分化される。一実施形態では、神経系幹前駆芽細胞は、SOX2、NES、KI67、およびDCXを含む群から選択される1つ以上のマーカーを発現するように、一定期間分化される。特異的な局所的同一性を有する神経系幹前駆芽細胞は、典型的には1つ以上のマーカーを発現する。したがって、一実施形態では、神経系幹前駆芽細胞は、PAX6、OTX2、SOX1、NKX6.1、NKX2.1、LMX1、ISL1、EBF1、OLIG2、FOXA2、EOMES、およびPDGFRaを含む群から選択される1つ以上のマーカーを発現する。
多能性幹細胞が神経系幹前駆芽細胞に分化すると、それらは凝集の工程に供されて、神経系マイクロスフェアを形成する。好ましい実施形態では、神経系幹前駆芽細胞の少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、または99%は、外胚葉系統、好ましくは神経外胚葉に沿っており、多能性ではなく、神経系幹前駆芽細胞を凝集させて、神経系マイクロスフェアを形成する工程で最終的に分化しない。
一実施形態では、PSCが、一定期間分化され、それによって神経系幹前駆芽細胞の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%、または100%が、凝集の工程の前に、多能性ではなくなる。一実施形態では、PSCが、一定期間分化され、それによって神経系幹前駆芽細胞の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%、または100%が、凝集の工程の前に、マーカーOCT-3/4、NANOG、SOX2、CD9、SSEA3、SSEA4、TRA160、およびTRA180のうちの1つ以上を発現しない。「凝集の工程の前」とは、細胞がある段階まで発達し、それによって凝集時に所与の特性を有することを意味する。
単一細胞浮遊液への解離
さらなる実施形態では、方法は、神経系幹前駆芽細胞を凝集させる工程の前に、神経系幹前駆芽細胞を単一細胞浮遊液に解離する工程をさらに含む。当業者は、生存率を確保するために、神経系幹前駆芽細胞を解離するための好適な技法を認識するであろう。一実施形態では、神経系幹前駆芽細胞は、酵素的にまたはキレート化することによって解離される。一実施形態では、神経系幹前駆芽細胞は、神経系幹前駆芽細胞を解離剤と接触することによって解離される。解離剤の非限定的な例には、アキュターゼ、トリプシン、trypleSelect、コラゲナーゼ、ディスパーゼ、ベルセン、EDTA、および/またはReLeSRが含まれる。細胞の解離がストレスを引き起こし得ることはよく認識されており、したがって、一実施形態では、神経系幹前駆芽細胞は、解離する工程の前に、神経幹前駆細胞をROCK阻害剤と接触する。一実施形態では、神経系幹前駆芽細胞は、神経系幹前駆芽細胞を解離する工程の後に、例えば、約12時間~約72時間、好ましくは約24時間~約48時間、ROCK阻害剤と接触する。ROCK阻害剤の使用は、解離誘導性アポトーシスを抑制することが示されている。したがって、特定の実施形態では、ROCK阻害剤は、解離および/または凝集工程の間に添加される。一実施形態では、ROCK阻害剤の濃度は、約0.1μM~約30μM、好ましくは約1μM~約10μMである。一実施形態では、ROCK阻害剤は、Y-27632である。本明細書で使用される場合、「Y-27632」は、CAS番号129830-38-2を有するトランス-4-(1-アミノエチル)-N-(4-ピリジル)-シクロヘキサン-カルボキサミドジヒドロクロリドを指す。
一実施形態では、方法は、神経系幹前駆芽細胞を凝集させる工程の前に、静的非接着培養において神経系マイクロスフェアを維持するのに好適なウェル中に神経系幹前駆芽細胞を播種する追加の工程を含む。「播種」という用語は、単一細胞浮遊液などの細胞を、マイクロウェルなどの細胞凝集に適した容器に移すことを意味する。
一実施形態では、約1000個、900個、800個、700個、600個、500個、400個、300個、200個、または150個未満の神経系幹前駆芽細胞が各マイクロウェルに播種され、好ましくはマイクロウェル当たり約500個未満の神経系幹前駆芽細胞がマイクロウェルに播種され、より好ましくは約250個未満の神経系幹前駆芽細胞がマイクロウェルに播種される。
さらなる実施形態では、約2個、5個、10個、15個、20個、25個、30個、35個、40個、45個、50個、75個、または100個を超える神経系幹前駆芽細胞がマイクロウェルに播種され、好ましくは約50個を超える神経系幹前駆芽細胞がマイクロウェルに播種され、さらにより好ましくは約100個を超える神経系幹前駆芽細胞がマイクロウェルに播種される。
さらなる実施形態では、約10個~約1000個の神経系幹前駆芽細胞、好ましくは約50個~約500個の神経系幹前駆芽細胞、より好ましくは約50~約250個の神経系幹前駆芽細胞、さらにより好ましくは約100~約250個の神経系幹前駆芽細胞が、マイクロウェルに播種される。
細胞凝集およびマイクロスフェア形成
神経系幹前駆芽細胞を凝集させて、神経系マイクロスフェアを形成する工程は、細胞がクラスターを形成する限り、受動的または能動的に実施され得る。したがって、一実施形態では、神経系幹前駆芽細胞は、単一細胞浮遊液中の神経系幹前駆芽細胞の重力沈降によって凝集させる。別の実施形態では、神経系幹前駆芽細胞は、単一細胞浮遊液中の神経系幹前駆芽細胞のスピン凝集によって凝集する。かかる実施形態では、スピン凝集は、神経系幹前駆芽細胞を神経系マイクロスフェアへと形成する。一実施形態では、スピン凝集は、遠心分離による。より詳細な実施形態では、遠心力は、約5g~約800g、好ましくは約100g~約400gである。一実施形態では、神経系幹前駆芽細胞は、細胞浮遊液として添加され、静止状態に置かれ、それにより、浮遊液中の細胞が重力によってマイクロウェルに沈降し、その後凝集体を形成することを可能にする。
本発明による方法全体を通して、細胞は、適用される分化プロトコルに応じて細胞の二次元または三次元培養のいずれかを支持する任意の適切な細胞培養容器内で維持され得る。本明細書で使用される場合、「細胞培養容器」という用語は、培養中の細胞の成長および増殖を支持するように特別に設計された容器として定義される。容器は、サイズ、形状、コーティング、および蓋の有無で変動し得る。細胞培養容器の非限定的な例には、細胞培養皿、チューブ、ウェル、およびフラスコが含まれる。
神経系幹前駆芽細胞を凝集させる工程では、細胞培養容器は、神経系マイクロスフェアの形成に対応しなければならず、細胞はそれに移され得る。一実施形態では、神経系幹前駆芽細胞は、解離後の神経系マイクロスフェアの形成に対応する細胞培養容器に播種される。一実施形態では、方法は、神経系幹前駆芽細胞を凝集させる工程の前に、神経系マイクロスフェアを維持するのに十分に好適な細胞培養に神経系幹前駆芽細胞を移す追加の工程を含む。さらなる実施形態では、細胞培養ウェルは、静的非接着培養において神経系マイクロスフェアを維持するのに好適である。本明細書で使用される場合、「ウェル」という用語は、静的非接着培養において維持される単一マイクロスフェアに好適な空間を意味する。「静的非接着培養」という用語は、細胞が表面に接着されず、培地溶液中に懸濁されるが、動きを使用しない状態に置かれ、重力が細胞を定位置に保持する唯一の手段であることを意味する。細胞培養容器は、親収容として機能するウェルを含み得、任意にマイクロウェルと呼ばれる1つ以上の追加の小さなウェルを含む。したがって、一実施形態では、細胞培養ウェルは、マイクロウェルである。本明細書で使用される場合、「マイクロウェル」という用語は、WO2008/106771に記載されるウェルを指す。本出願全体を通して、細胞培養容器は「マイクロウェル」と呼ばれ得る。これは制限として解釈されるべきではない。マイクロウェルに言及する本明細書に提示される実施形態は、必要な変更を加えて、別の好適な細胞培養容器に等しく適用され得る。一実施形態では、静的非接着培養において神経系マイクロスフェアを維持するのに十分に好適な細胞培養は、低細胞付着特性を有する表面を有する。「低細胞付着特性」とは、材料が細胞との接着に対して低親和性を有し、該材料上でのそれらの直接的な結合および成長を妨げることを意味する。これに加えて、一実施形態では、低細胞付着特性を有する表面は、低接着プラスチックおよび/または低接着剤で処理されたプラスチックである。前述の特性を備えたマイクロウェルは、容易に入手可能である。好適なマイクロウェルは、EP2230014およびWO2008/106771に記載される。
一実施形態では、複数の神経系マイクロスフェアは、例えば、浮遊培養で神経系幹前駆芽細胞を最初に分化および増殖させ、個々のマイクロウェルで複数の神経系マイクロスフェアの形成を可能にするマルチウェルに移すことによって、同時に取得される。
一実施形態では、方法は、神経系幹前駆芽細胞を凝集させる工程の前に、神経系幹前駆芽細胞を収集し、静的非接着培養において神経系マイクロスフェアを維持するのに好適なウェル中に神経系幹前駆芽細胞を播種する追加の工程を含む。
好ましい実施形態では、マイクロウェルなどの細胞培養容器は、低細胞付着特性を特徴とする。かかる特性は、プラズマガスに曝されていない未処理プラスチックに典型的であり、これは典型的には、ヒドロキシルおよびカルボキシルなどの酸素含有官能基を追加して、疎水性のプラスチック表面を修飾し、それによって表面をより親水性にする。本発明者らは、細胞培養容器の低付着特性は、それがプラスチックへのマイクロスフェアの付着および神経突起の成長を防止し、そうでなければ細胞を遊走するのを可能とし、成熟プロセスを促進すると考えている。好ましい実施形態では、1つの神経系マイクロスフェアのみが各ウェルで培養される。
さらに、一実施形態では、細胞培養容器は、細胞外マトリックス成分でコーティングされていない。したがって、好ましい実施形態では、細胞培養容器の表面は、細胞外マトリックスを含まない。
一実施形態では、神経系幹前駆芽細胞を凝集させて、神経系マイクロスフェアを形成する工程は、約5個から約1000個の神経系幹前駆芽細胞を凝集させることを含む。一実施形態では、約1000個、900個、800個、700個、600個、500個、400個、300個、250個、または150個未満の神経系幹前駆芽細胞が凝集し、好ましくは約500個未満の神経系幹前駆芽細胞が凝集する。一実施形態では、約5個、10個、15個、20個、25個、30個、35個、40個、45個、50個、75個、または100個を超える神経系幹前駆芽細胞が凝集し、好ましくは約50個を超える神経系幹前駆芽細胞が凝集し、さらにより好ましくは約100個を超える神経系幹前駆芽細胞が凝集する。さらなる実施形態では、約10個~約1000個の神経系幹前駆芽細胞、好ましくは約50個~約500個の神経系幹前駆芽細胞、より好ましくは約100個~約500個の神経系幹前駆芽細胞が凝集して、神経系マイクロスフェアを形成する。
神経系マイクロスフェアの成熟
好ましい実施形態では、神経系マイクロスフェアの神経系幹前駆芽細胞は、神経系マイクロスフェアを収集する任意の工程の前に、さらなる成熟を可能とする。本明細書で使用される場合、「成熟する」という用語は、特定の胚葉に向かってすでに初期分化を経た幹細胞のさらなる発達を意味する。「成熟」および「成熟を可能にする」という用語はまた、細胞のさらなる分化とみなされ得る。成熟は典型的には、決定的な細胞型に対する前駆体細胞または前駆細胞のさらなる発達である。細胞型の成熟に応じて、細胞培養培地を交換する、および生存可能な状態を確保するなどによる、細胞の単純な維持を必要とする。細胞の成熟はまた、決定的な細胞型へのさらなる発達を促進するために、細胞をさらなる化合物または因子に曝露することを必要とし得る。本明細書で使用される場合、多能性段階から決定的な細胞型への細胞の細胞発達は、マイクロスフェアの形成前の「分化」、およびマイクロスフェアの形成後の「成熟」と称される。マイクロスフェアの形成のタイミングに応じて、決定的な細胞型に向けた細胞の発達は、マイクロスフェアの形成の前または後に起こり得る。
好ましい実施形態では、神経系幹前駆芽細胞は、静的非接着培養でさらに成熟する。したがって、神経系マイクロスフェアは、神経系幹前駆芽細胞のさらなる成熟のために、静的非接着培養で維持される。
一実施形態では、神経系幹前駆芽細胞は、ニューロンへのさらなる成熟を可能とする。一実施形態では、神経系マイクロスフェアの神経系幹前駆芽細胞は、少なくとも約2.5日~約200日、好ましくは約3日~約180日、より好ましくは約5日~約150日、より好ましくは約10日~約120日、より好ましくは約10日~約100日、より好ましくは約10日~約60日、より好ましくは約15日~約50日、より好ましくは約15日~約40日で、さらなる成熟を可能とする。一実施形態では、神経系マイクロスフェアの神経系幹前駆芽細胞は、約200、190、180、170、160、150、140、130、120、110、100日以内で、さらなる成熟を可能とする。一実施形態では、神経系マイクロスフェアの神経系幹前駆芽細胞は、少なくとも約2.5、3、5、8、10、または15日、好ましくは少なくとも約15日で、さらなる成熟を可能とする。当業者は、異なる神経系細胞型が、特に適用されるプロトコルに応じて、成熟のために異なる時間を必要とすることを認識するであろう。腹側中脳神経系幹前駆芽細胞を取得するための特定の実施形態では、細胞は、ニューロンに約10日~約30日、好ましくは約16日~約19日で、さらなる成熟を可能とする。皮質神経系幹前駆芽細胞を取得するための特定の別の実施形態では、細胞は、ニューロンに約25日~約40日、好ましくは約25日~約35日、より好ましくは約32日で、さらなる成熟を可能とする。一実施形態では、ニューロンは、DCX、NEUN、INA、ベータチューブリン、微小管関連タンパク質、TH、GABA、vGLUT、およびChATを含む群から選択される1つ以上のマーカーを発現する。一実施形態では、ニューロンは、SOX2、KI67、およびNESを含む群から選択される1つ以上のマーカーを発現しない。
分化法によるNSPBCの生成は、これらの細胞の非常に均質な集団を、特定の領域同一性で産生することができる。
腹側中脳NSPBCへの分化の例は、Nolbrant et al.,Kirkeby”Generation of high-purity human ventral midbrain dopaminergic progenitors for in vitro maturation and intracerebral transplantation”2017、Kriks et al.,Studer“Dopamine neurons derived from human ES cells efficiently engraft in animal models of Parkinson’s disease”2011、およびDoi et al.,Takahashi“Isolation of Human Induced Pluripotent Stem Cell-Derived Dopaminergic Progenitors by Cell Sorting for Successful Transplantation”2014による出版物に見出される。
背側前脳/脳外套NSPBCへの分化の例は、Shi et al.,Livesey“Human cerebral cortex development from pluripotent stem cells to functional excitatory synapses”2011、およびEspuny-Camacho et al.,Vanderhaegen“Pyramidal Neurons Derived from Human Pluripotent Stem Cells Integrate Efficiently into Mouse Brain Circuits In Vivo”2012による出版物に見出される。
後脳/脊髄NSPBCへの分化の例は、Du et al.,Zhang“Generation and expansion of highly pure motor neuron progenitors from human pluripotent stem cells”2014、Amaroso et al.,Wichterle”Accelerated High-Yield Generation of Limb-Innervating Motor Neurons from Human Stem Cells”2013、Butts et al.,McDevitt“V2a interneuron differentiation from mouse and human pluripotent stem cells”2019による出版物に見出される。
一実施形態では、スモールマザーズアゲインストデカペンタプレジック(SMAD)タンパク質シグナル伝達の阻害剤は、スモールマザーズアゲインストデカペンタプレジック(SMAD)タンパク質シグナル伝達の前述の阻害剤の組み合わせなどであるがこれらに限定されない2つ以上の化合物を含む。当業者は、スモールマザーズアゲインストデカペンタプレジック(SMAD)タンパク質シグナル伝達の個々の阻害剤の濃度が、個々の阻害剤と類似の効果を得るためにそれに応じて調節される必要があり得ることを認識するであろう。
腹側中脳ドーパミン神経系幹前駆細胞の仕様の実施形態では、SMAD阻害剤に曝されたPSCは、スモールマザーズアゲインストデカペンタプレジック(SMAD)タンパク質シグナル伝達の阻害剤と接触する。
一実施形態では、PSCは、ソニックヘッジホッグ(SHH)作動薬、例えば、SHHまたはSAG、CHIR99021、FGF8、FGF2、レチノイン酸、BDNF、GDNF、dcAMP、DAPT、およびアスコルビン酸(AA)から成る群から選択される1つ以上の化合物と接触する。
一実施形態では、PSCは、ソニックヘッジホッグ(SHH)作動薬、例えば、SHHまたはSAGと接触する。一実施形態では、PSCは、WNT活性化因子またはGSK3阻害剤、例えば、CHIR99021と接触する。一実施形態では、PSCは、線維芽細胞成長因子(FGF)8と接触する。
前脳外套/皮質神経系幹前駆芽細胞の仕様の実施形態では、PSCは、(SMAD)タンパク質シグナル伝達経路の阻害剤と約0~10日接触し、次にFGF2と約7~9日接触し、基礎神経系培地でさらに9~12日培養される。
フィルタリング、収集、凍結保存
一実施形態では、神系マイクロスフェアは、凝集の工程の後に収集される。詳細には、神経系マイクロスフェアは、神経系マイクロスフェアの神経系幹前駆芽細胞をさらに成熟させる工程の後に収集される。「収集する」とは、神経系マイクロスフェアを、貯蔵またはその後の使用に好適な容器に移動または回収することを意味する。これは、凍結保存または投与のためであり得る。
一実施形態では、方法は、収集した神経系マイクロスフェアを凍結保存する追加の工程を含む。いくつかの凍結保護剤が市販されており、任意の好適な凍結保護剤が使用され得る。
一実施形態では、方法は、取得された神経系マイクロスフェアをインビトロ二次元培養に移す追加の工程をさらに含む。さらなる実施形態では、方法は、神経系マイクロスフェアの神経突起を伸長させる追加の工程をさらに含む。
一実施形態では、方法は、取得された神経系マイクロスフェアを患者に移植する追加の工程をさらに含む。別の実施形態では、方法は、取得された神経系マイクロスフェアを齧歯動物などの動物に移植する追加の工程を含む。
一実施形態では、方法は、凝集前に単一細胞浮遊液をフィルタリングする追加の工程をさらに含む。例えば、細胞浮遊液の遠心分離の前にフィルタリングする工程を追加することにより、単一細胞または所望の寸法の凝集体のみがさらに成熟することを保証する。一実施形態では、方法は、神経系マイクロスフェアをフィルタリングする追加の工程をさらに含む。この工程は、神経系マイクロスフェアの形成後に行われ、所望のサイズよりも大きい任意の最適ではない神経系マイクロスフェアを除去する。
本発明の一実施形態では、神経系マイクロスフェアを取得するための方法は、PSCを培養する工程と、PSCを神経系幹前駆芽細胞に分化させる工程と、任意に神経系幹前駆芽細胞をフィルタリングする工程と、神経系幹前駆芽細胞を凝集させて、神経系マイクロスフェアを形成する工程と、神経系マイクロスフェアの神経系幹前駆芽細胞をさらに成熟させる工程と、任意に神経系マイクロスフェアをフィルタリング工程と、神経系マイクロスフェアを収集する工程と、任意に神経系マイクロスフェアを凍結保存する工程と、を含む。
神経系マイクロスフェアの特徴
本発明の別の態様は、神経系マイクロスフェアに関する。詳細には、神経系マイクロスフェアは、本明細書に記載される方法に従って取得可能である。より詳細には、神経系マイクロスフェアは、本明細書に記載の方法のうちのいずれかに従って取得される。一実施形態では、神経系マイクロスフェアは、インビトロである。「インビトロ」という用語は、神経系マイクロスフェアがヒトまたは動物の身体の外側に提供され維持されることを意味する。一実施形態では、神経系細胞は、非天然である。「非天然」という用語は、多能性幹細胞に由来するが、ヒト起源であり得る神経系マイクロスフェアが、自然界には存在しない人工構築物であることを意味する。一般に、幹細胞療法の分野では、ヒト身体の細胞にできるだけ似た細胞を提供することが目的である。しかしながら、多能性幹細胞が胚性および胎児期に受ける発達を、成熟細胞がヒト身体の天然細胞と区別できない程度まで模倣することは、可能とならないかもしれない。本質的に、本発明の一実施形態では、神経系マイクロスフェアの神経細系胞は、人工である。本明細書で使用される場合、「人工」という用語は、自然界で天然に存在するが、天然に存在しない構築物に改変された材料を含み得る。これは、人体の細胞を模倣する非天然細胞に分化する、ヒト幹細胞を含む。好ましくは、神経系マイクロスフェアの神経系細胞は、幹細胞由来である。より好ましくは、神経系細胞は、多能性幹細胞に由来する幹細胞である。さらなる実施形態では、神経系細胞は、ヒト胚性幹細胞(hESC)および/またはヒト誘導多能性幹細胞(hiPSC)に由来する幹細胞である。
以下では、神経系マイクロスフェアの特徴をより詳細に記載する。このように、神経系マイクロスフェアは、幹細胞由来神経系細胞の非天然構造を形成する人工構造物である。本発明の一般的な実施形態では、神経系マイクロスフェアは、外胚葉系統の細胞を含む。さらなる実施形態では、神経系マイクロスフェアは、外胚葉系統の有糸分裂後の細胞を含む。より詳細な実施形態では、外胚葉系統は、神経外胚葉系統である。
いかなる特定の理論に拘束されることなく、神経細胞は互いに自然な親和性を有し、低接着性の静止環境において、神経細胞がスフェア状形状を形成することを可能にする、緊密な網目様構造を形成すると考えられる。
一実施形態では、神経系マイクロスフェアの直径は、約300、250、200、150、100、90、80、70、60、50、40、または30μm未満、好ましくは250μm未満である。一実施形態では、神経系マイクロスフェアの直径は、約1.5、10、15、20、25、30、35、40、または45μmよりも大きく、好ましくは10μmよりも大きい。さらに、一実施形態では、神経系マイクロスフェアの直径は、約10μm~約300μm、好ましくは約10μm~約250μm、好ましくは約10μm~約150μm、より好ましくは約10μm~約100μm、より好ましくは約10μm~約55μm、より好ましくは約10μm~約50μm、より好ましくは約20μm~約50μm、より好ましくは約30μm~約50μmである。当業者は、神経系マイクロスフェアが完全なスフェアを形成しないことを認識するであろう。しかしながら、前述の方法に従って取得可能なマイクロスフェアの性質は、顕微鏡を使用して容易に直径を確立できるスフェア状構造を自然に形成する。一実施形態では、マイクロスフェアは、形状がスフェア状である。当業者であれば、生細胞から構成されるマイクロスフェアは理想的なスフェア形状を形成しないが、細胞の凝集体は外観上スフェア状であることを認識するであろう。したがって、マイクロスフェアは、実質的にスフェア状の形状とみなされ得る。神経系マイクロスフェアが実質的にスフェア体を形成するので、直径および体積は、極軸を長軸および短軸の平均として決定することによって計算することができ、これは、可能な限り最も丸い形状を想定することにより、各集合体の不規則性を本質的に最小化する。
前述の方法を用いて、本発明者らは、マイクロスフェアの全体積が神経系細胞から成る神経系マイクロスフェアを提供することを目的としている。当業者は、本発明によるマイクロスフェアが生細胞を含み、これが産物に変動性を本質的に導入することを認識するであろう。特に、細胞は、異なる段階の間に増殖または収縮することによってサイズを変化させてもよく、マイクロスフェア内の細胞数は、増殖またはアポトーシスのために一定ではない場合がある。死細胞が分解され、細胞膜が破壊され、細胞が破裂し、細胞内容物が放出され得る。細胞はまた、発生の異なる段階の間に細胞物質を分泌し得る。したがって、神経系細胞を含むか、または神経系細胞から成るマイクロスフェアはまた、神経系細胞に由来する細胞材料を含み得ることが理解されるべきである。したがって、一実施形態では、マイクロスフェアの全体積が、神経系細胞および任意に神経系細胞に由来する細胞材料から成る神経系マイクロスフェアが提供される。本明細書で使用される場合、「神経系細胞に由来する細胞材料」という用語は、分泌タンパク質または他の分子を意味し、死細胞に由来する細胞破片を含む。生細胞を含むマイクロスフェアの前述の性質により、マイクロスフェア産物はまた、神経系マイクロスフェアとして定義されてもよく、マイクロスフェアの全体積は、実質的に神経系細胞から成る。これに加えて、一実施形態は、マイクロスフェアの全体積が、実質的に神経系細胞および任意に神経系細胞に由来する細胞材料から成る神経系マイクロスフェアに関する。
一実施形態では、神経系マイクロスフェアの体積の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、または100%は、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%の神経系細胞を含む。一実施形態では、神経系マイクロスフェアの体積の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、または100%は、神経系細胞および任意に神経系細胞に由来する細胞材料を含み、好ましくは神経系マイクロスフェアの体積の少なくとも90%は、神経系細胞および任意に神経系細胞に由来する細胞材料を含み、より好ましくは神経系マイクロスフェアの体積の少なくとも95%は、神経系細胞および任意に神経系細胞に由来する細胞材料を含む。好ましい実施形態では、神経系マイクロスフェアの体積は、実質的に神経系細胞から成る。一実施形態では、神経系マイクロスフェアの少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、または100%は、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%の神経系細胞から成る。したがって、一実施形態では、神経系マイクロスフェアの体積は、実質的に神経系細胞および任意に神経系細胞に由来する細胞材料から成る。一実施形態では、神経系マイクロスフェアの少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、または100%は、神経系細胞および任意に神経系細胞に由来する細胞材料から成り、好ましくは神経系マイクロスフェアの少なくとも90%は、神経系細胞および任意に神経系細胞に由来する細胞材料から成り、より好ましくは神経系ミマイクロスフェアの少なくとも95%は、神経系細胞および任意に神経系細胞に由来する細胞材料から成る。
一実施形態では、神経系マイクロスフェア全体の神経系細胞の分布は、均質である。一実施形態では、神経系マイクロスフェア全体の神経系細胞の分布は、同一である。再び、当業者は、生細胞を含む産物の固有変動性を認識するであろう。したがって、神経系マイクロスフェア全体の神経系細胞の分布は、実質的に均質であるとも呼ばれる場合があるか、または一実施形態では、神経系マイクロスフェア全体の神経系細胞の分布は、実質的に同一であると呼ばれ得、「実質的に」という用語は、マイクロスフェア内の細胞の分布を指す場合など、細胞材料に関連して使用される場合に、産物に固有のある程度の変動性を伴って理解されるべきである。好ましい実施形態では、神経系マイクロスフェアは、内腔を含まない。「内腔」という用語は、神経系細胞および任意に神経系細胞に由来する細胞材料によって占められていない、神経系マイクロスフェア内の中空空間を意味する。かかる内腔は、培養培地などの液体を含む水性であり得る。本明細書で使用される場合、「内腔」という用語は、3細胞以上のサイズを有する中空空間として定義される。
一実施形態では、神経系マイクロスフェアは、神経系細胞で少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、または99%飽和される。別の実施形態では、神経系マイクロスフェアは、神経系細胞および任意に神経系細胞に由来する細胞材料で少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、または99%飽和される。
一実施形態では、神経系マイクロスフェアは、約5個~約1000個の神経系細胞、好ましくは約30個~約500個の神経細胞、より好ましくは約50個~約250個の神経系細胞を含む。一実施形態では、神経系マイクロスフェアは、約1000個、900個、800個、700個、600個、500個、400個、300個、200個、150個、または100個未満の神経系細胞、好ましくは約500個未満の神経系細胞、より好ましくは約250個未満の神経系細胞を含む。一実施形態では、約5個、10個、15個、20個、25個、30個、35個、40個、45個、または50個を超える神経系細胞、好ましくは約50個を超える神経系細胞。
一実施形態では、神経系細胞の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%または100%が生存可能であり、好ましくは神経系細胞の少なくとも50%が生存可能であり、好ましくは神経系細胞の少なくとも70%が生存可能であり、好ましくは神経系細胞の少なくとも90%が生存可能である。本明細書で使用される場合、細胞に関して「生存可能」という用語は、細胞がアポトーシスなどの細胞死を経たことがない、および/または経ていないことを意味する。当業者は、細胞死が、成長または発達の正常かつ制御された部分として生じることを認識するであろう。したがって、神経系マイクロスフェアの神経系細胞の一部が、細胞死を経験している可能性がある。本発明のマイクロスフェアの特徴は、より小さなサイズであり、これは、スフェアのコアでの細胞の実質的な壊死を防ぎ、典型的には、約1,000ミクロンなどのより大きな直径を有するスフェアで顕著である。
好ましい実施形態では、神経系マイクロスフェアは、神経系細胞以外の細胞を約50%、40%、30%、20%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、または1%未満で含み、好ましくは神経系マイクロスフェアは、神経系細胞以外の細胞を約10%未満、より好ましくは神経系細胞以外の細胞を5%未満、さらにより好ましくは神経系細胞以外の細胞を1%未満で含む。さらにより好ましい実施形態では、神経系マイクロスフェアは、神経系細胞以外の細胞を含まない。したがって、好ましい実施形態では、神経系マイクロスフェアは、神経系細胞から成る。
一実施形態では、神経系細胞の少なくとも10%は、ニューロンである。一実施形態では、神経系細胞はニューロンであり、神経系細胞の少なくとも60%、70%、80%、90%、または95%は、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%のニューロンマーカーNEUNを発現する。
一実施形態では、神経系細胞の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、100%は、有糸分裂後神経系統細胞であり、好ましくは神経系統細胞の少なくとも70%は、有糸分裂後神経系統細胞であり、より好ましくは神経系統細胞の80%は、有糸分裂後であり、さらにより好ましくは神経系統細胞の90%は、有糸分裂後である。一実施形態では、有糸分裂後神経系統細胞は、ニューロンである。
典型的には、本発明によれば、有糸分裂神経細胞の大部分を含む神経系マイクロスフェアは、中間産物となる。本発明者らは、主に有糸分裂後神経系統細胞を含む神経系マイクロスフェアの治療的適用性が、分裂能力を有し、最終的な成熟細胞になることからさらに遠い細胞を有する産物よりも好ましいと予想する。一実施形態では、ニューロンは、DCX、NEUN、INA、ベータチューブリン、微小管関連タンパク質、TH、GABA、vGLUT、ChATから成る群から選択されるマーカーを発現する。詳細には、一実施形態では、神経系細胞は、THを発現する。一実施形態では、ニューロンは、SOX2、KI67またはNESを含む群から選択される1つ以上のマーカーを発現しない。一実施形態では、ニューロンは、後脳-脊髄ニューロンである。別の実施形態では、ニューロンは、前脳ニューロンである。別の実施形態では、ニューロンは、中脳ニューロンである。
一実施形態では、神経系細胞は、NEUNを発現し、SOX2を発現しない。一実施形態では、神経系細胞は、FOXA2およびNEUNを共発現する。一実施形態では、神経系細胞の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、または95%は、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%のマーカーFOXA2およびLMX1Aを共発現する。さらなる実施形態では、マーカーFOXA2およびLMX1Aを共発現する神経系細胞の少なくとも50%は、マーカーPITX3をさらに共発現する。かかる細胞は、パーキンソン病の治療に好適であると考えられる。一実施形態では、神経系細胞は、ドーパミン作動性前駆細胞である。一実施形態では、神経系細胞は、BRN2およびTBR1を共発現する。好ましい実施形態では、神経系マイクロスフェアは、外因性細胞外マトリックスを実質的に含まない。より好ましい実施形態では、神経系マイクロスフェアは、外因性細胞外マトリックスを含まない。本明細書で使用される場合、「外因性」という用語は、神経系マイクロスフェアに追加された、すなわち細胞自体によって産生されない任意の物質を意味する。神経系細胞は、例えば、細胞外マトリックスを自然に産生し得、これは次に神経系マイクロスフェアの一部を形成し得る。しかしながら、好ましい実施形態では、神経系マイクロスフェアの神経系細胞は、外因性細胞外マトリックスと接触せず、外因性細胞外マトリックスは、神経系マイクロスフェアの一部を形成しない。同様に、好ましい実施形態では、神経系マイクロスフェアは、外因性ヒドロゲルを実質的に含まない。より好ましい実施形態では、神経系マイクロスフェアは、外因性ヒドロゲルを含まない。本明細書で使用される場合、「ヒドロゲル」という用語は、コラーゲンおよびゼラチンなどのタンパク質、ならびにデンプン、アルギン酸塩、およびアガロースなどの多糖類を含み得る天然ポリマーを指す。したがって、一実施形態では、ヒドロゲルは、コラーゲン、ゼラチン、デンプン、アルギン酸塩、およびアガロースから成る群から選択される。一実施形態では、神経系マイクロスフェアは、外因性アルギン酸塩を実質的に含まない。好ましい実施形態では、神経系マイクロスフェアは、外因性アルギン酸塩を含まない。
一実施形態では、神経系マイクロスフェアは、囲まれていない。一実施形態では、神経系細胞は、囲まれていない。本明細書で使用される場合、「囲まれる」という用語は、神経系細胞および/または神経系マイクロスフェアが、細胞外マトリックスまたはヒドロゲルなどの外因性材料の層によって囲まれていないことを意味する。好ましい実施形態では、神経系細胞は、神経系マイクロスフェアの表面に直接曝される。「直接曝される」とは、神経系マイクロスフェアの神経系細胞の最も外側の層が、神経系マイクロスフェアの近くに来るものと直接接触し得ることを意味する。これは、外側の囲みが神経系マイクロスフェアの近くに来るであろう他の細胞または大きな分子との直接接触を防ぐであろう、囲まれた神経系マイクロスフェアとは異なると理解されるべきである。したがって、一実施形態では、神経系マイクロスフェアの表面は、神経系細胞を含む。一実施形態では、神経系マイクロスフェアの表面は、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、または99%の神経系細胞、好ましくは少なくとも約50%の神経系細胞、より好ましくは少なくとも約80%の神経系細胞を含む。したがって、一実施形態では、神経系マイクロスフェアは、神経系細胞の外層を含む。一実施形態では、外層は、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、または100%の神経系細胞、好ましくは少なくとも約50%の神経系細胞、より好ましくは少なくとも約80%の神経系細胞を含む。本明細書で使用される場合、神経系マイクロスフェアに関連する「外層」および「表面」という用語は、互換的に使用され得、神経系マイクロスフェアの表面を形成する神経系細胞、すなわち、他の神経系細胞によって完全に囲まれていないが、部分的に周囲に曝されている神経系細胞を指す。好ましい実施形態では、神経系マイクロスフェアの外層は、神経系細胞から成る。
一実施形態では、80%、90%、または95%未満、またはいずれの神経系細胞も、神経系マイクロスフェアから放射状に1つを超えて神経系細胞直径に伸びる神経突起を形成していない。これは、マイクロウェル内の静止マイクロスフェアを顕微鏡で観察するか、または除去して別の容器に移動させることのいずれかによって決定され得る。本本明細書で使用される場合、「神経突起」という用語は、軸索または樹状突起などであるがこれらに限定されない、神経細胞(ニューロン)の本体からの任意の突起を意味する。「放射状に伸びる」という用語は、神経突起が神経系マイクロスフェアの表面から外向きに突出していること、例えば、周囲の培地に伸びていることを意味する。神経系マイクロスフェアの神経系細胞は、神経系マイクロスフェアの内側の網目で神経突起を形成すると考えられる。特定の理論に拘束されることなく、低接着表面を有する細胞培養容器内で神経系マイクロスフェアを静的状態に維持すると、神経系マイクロスフェアから放射状に伸びる神経突起の形成が制限されると考えられる。これはまた、マイクロスフェア内の神経突起を抑制し、表面への接着が起こらないため、マイクロスフェア新しい状態への容易な輸送および移動、すなわち、インビトロでの再播種または外科用装置を介したCNSへの送達が可能になる。しかしながら、本発明者らは、神経系細胞が依然として神経突起の成長および伸長が可能であることを示した。本発明の一実施形態では、ニューロンの少なくとも50%が、神経突起の付着および成長を支持するように作製された二次元培養システムにおいてインビトロで播種した後、約120分以内に神経系マイクロスフェアから放射状に伸びる神経突起を形成する;図3および4を参照されたい。
神経系マイクロスフェアは、神経突起の付着および成長を支持するヒトまたはマウスのラミニン、マトリゲル、または類似の他の細胞外マトリックスでコーティングされたプラスチックプレートまたはフラスコにマイクロスフェアを移すことにより、それらの神経突起の付着および成長の特性を試験することができる。マイクロスフェアは、この手順で細胞の生存率および神経系線維の成長を支持するために、適切な培地で培養する必要がある。
組成物および投与
本発明の別の態様は、神経系マイクロスフェアを含む組成物に関する。
一実施形態では、組成物は、医薬としての使用のためのものである。さらなる実施形態では、組成物は、パーキンソン病、脳卒中、外傷性脳損傷、脊髄損傷、ハンチントン病、認知症、アルツハイマー病、およびニューロンが失われるまたは機能不全となる他の神経学的状態を含む群から選択される神経系状態の治療のためのものである。1つの特定の実施形態では、組成物は、神経系マイクロスフェアを含み、神経系マイクロスフェアの神経系細胞は、パーキンソン病の治療のためのニューロン、特にドーパミン作動性細胞である。一実施形態では、神経学的状態の治療のために投与される組成物は、患者当たりの治療当たり約1000個のマイクロスフェア~約100,000個のマイクロスフェアを含む。パーキンソン病の治療のための実施形態では、組成物は、約1000個のマイクロスフェアから約50,000個のマイクロスフェアを含み、各マイクロスフェアは、約50個の細胞から約500個の細胞を含む。
組成物の一実施形態では、神経系マイクロスフェアの平均直径は、300、250、200、150、130、100、80、70、65、60、または50μm未満、好ましくは250μm未満である。組成物の一実施形態では、神経系マイクロスフェアの直径は、300、250、200、150、130、100、80、70、65、60、または50μm未満、好ましくは250μm未満である。一実施形態では、神経系マイクロスフェアの平均直径は、50μm~250μmである。
別の態様は、本発明の以前の態様による組成物を含む容器に関する。
別の態様では、本発明は、前述の実施形態のいずれかによる神経系マイクロスフェアを含む凍結保存された組成物を提供する。
別の態様は、神経系マイクロスフェアまたはその組成物の投与を含む神経学的状態の治療のための方法に関する。特定の実施形態では、方法は、パーキンソン病、脳卒中、外傷性脳損傷、脊髄損傷、ハンチントン病、認知症、アルツハイマー病、およびニューロンが失われるまたは機能不全となる他の神経学的状態の治療のためのものである。一実施形態では、神経学的状態の治療は、神経系マイクロスフェアの投与を含む。さらなる実施形態では、投与は、神経系マイクロスフェアのCNSへの移植による。さらに別の実施形態では、CNSへの投与は、神経系マイクロスフェアを注射するための手段を含む送達装置を使用して実施される。一実施形態では、神経系マイクロスフェアを注射するための手段は、針であり、針の直径は、約0.1mm~約2mm、好ましくは約0.5mm~約1mmである。
別の態様は、神経系マイクロスフェアの投与のための針の前処理の方法に関し、針は、抗接着溶液で予めコーティングされている。抗接着溶液の例は、STEMCELL Technologies(https://www.stemcell.com/aggrewell-rinsing-solution.html#section-overview)によって提供される抗接着濯ぎ溶液である。一実施形態では、針は、抗接着溶液で充填される。さらなる実施形態では、針は、抗接着溶液のために空にされた後、Ca2+およびMg2+を含まないHBSSで洗浄される。
マイクロスフェアプロトコルの一般的な適用
本発明による幹細胞系マイクロスフェアを提供するための方法は、他の胚葉の細胞にも適用可能である。本発明者らは、それぞれ心筋細胞および膵島様細胞を含む幹細胞系マイクロスフェアを首尾よく取得した。
したがって、本発明の一態様は、本明細書に記載の方法、詳細には、PSCを分化させ、分化細胞を取得する工程と、分化細胞を凝集させて、細胞を含む幹細胞系マイクロスフェアを形成する工程と、幹細胞系マイクロスフェアの細胞がさらに成熟することを可能にする工程と、を含む、幹細胞系マイクロスフェアを取得するための方法の一般的な適用に関する。
「幹細胞系マイクロスフェア」という用語は、幹細胞に由来する細胞を含む、以前に定義されたマイクロスフェアと理解されるべきである。「分化細胞」という用語は、細胞が未分化状態から特定の分化状態へ、すなわち未成熟状態から低い未成熟状態へと進行するプロセスを経たか、または経ている細胞を意味する。典型的には、「分化細胞」はそれらの最終的な運命に完全に成熟しておらず、したがって、分化細胞は、かかる最終的な運命にさらに成熟するために、さらなる成熟工程を経ることができる。細胞は、内胚葉、外胚葉、中胚葉の3つの異なる胚葉を含む任意の型の細胞に分化され得る。前述の定義および実施形態は、同様に、準用され、この一般的な態様に適用され得る。これには、単一細胞浮遊液、凝集などに関する前述の詳細が含まれる。一実施形態では、方法は、凝集の工程の前に、分化細胞を単一細胞浮遊液に解離するさらなる工程を含む。以下の場合、一実施形態では、分化細胞は、スピン凝集によって凝集する。好ましい実施形態では、細胞は、凝集の工程の前に、静的非接着培養で維持される。好ましい実施形態では、細胞は、凝集の工程の前に、低細胞付着特性を有する表面を含むウェル内に維持される。
一実施形態では、10個~1000個の分化細胞が凝集させて、細胞系マイクロスフェアを形成する。一実施形態では、細胞系マイクロスフェアの細胞は、外胚葉系統の細胞であり、細胞系マイクロスフェアの直径は、50~250マイクロメートルである。一実施形態では、細胞系マイクロスフェアの細胞は、内胚葉系統のものであり、細胞系マイクロスフェアの直径は、30~350マイクロメートルである。
本方法の一実施形態では、PSCが、一定期間分化され、それによって分化細胞の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%、または100%が、凝集の工程の前に、多能性ではなくなる。一実施形態では、PSCが、一定期間分化され、それによって分化細胞の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%、または100%が、凝集の工程の前に、マーカーOCT-3/4、NANOG、SOX2、CD9、SSEA3、SSEA4、TRA160、およびTRA180のうちの1つ以上を発現しない。一実施形態では、PSCは、分化細胞を凝集させる前に、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、または10日、好ましくは少なくとも2日、より好ましくは少なくとも5日、さらにより好ましくは少なくとも10日分化される。
神経系細胞を含むマイクロスフェア
特定の実施形態では、幹細胞系マイクロスフェアの細胞は、外胚葉細胞であり、PSCは、分化細胞を凝集させる前に10~35日分化される。外胚葉細胞を含む幹細胞系マイクロスフェアは、前述のような神経系マイクロスフェアを含む。さらなる実施形態では、幹細胞系マイクロスフェアの細胞は、背側前脳外套神経系細胞であり、PSCは、分化細胞を凝集させる前に20~35日分化される。別の実施形態では、幹細胞系マイクロスフェアの細胞は、腹側中脳細胞であり、PSCは、分化細胞を凝集させる前に10~25日分化される。別の実施形態では、幹細胞系マイクロスフェアの細胞は、腹側後脳および/または脊髄細胞であり、PSCは、分化細胞を凝集させる前に5~25日分化される。
一実施形態では、細胞系マイクロスフェアの細胞は、外胚葉であり、10個~1000個の分化細胞、好ましくは100個~500個の分化細胞、より好ましくは100個~250個の分化細胞が凝集させて、細胞系マイクロスフェアを形成する。
神経系マイクロスフェアの意図される1つの用途は、パーキンソン病の治療である。かかる治療には、異所性移植の場合は線条体、同所性移植の場合は黒質と呼ばれる患者の脳の領域にドーパミン作動性細胞を投与する必要があることが広く認識されている。その領域の神経系細胞は、マーカーFOXA2、LMX1A、およびPITX3の共発現によって特徴付けられる。したがって、パーキンソン病の治療には、かかる細胞を用いたマイクロスフェアが予期される。一したがって、本発明の実施形態は、神経系マイクロスフェアに関し、神経系細胞の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、または95%は、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%のマーカーFOXA2およびLMX1Aを共発現する。さらなる実施形態では、マーカーFOXA2およびLMX1Aを共発現する神経系細胞の少なくとも50%は、マーカーPITX3をさらに共発現する。
特定の実施形態は、パーキンソン病の治療のための神経系マイクロスフェアに関し、神経系マイクロスフェアは、約100個~約500個の神経系細胞を含み、神経系細胞の少なくとも80%は、FOXA2、LMX1A、およびTHを共発現し、神経系マイクロスフェアの直径は、約50~約250μmの範囲であり、神経系マイクロスフェアの体積の少なくとも90%は、神経系細胞から成り、神経系マイクロスフェア内の神経系細胞の分布は、同一であり、神経系マイクロスフェアは、外因性細胞外マトリックスおよび外因性ヒドロゲルを含まない。
心筋細胞を含むマイクロスフェア
特定の実施形態では、幹細胞系マイクロスフェアの細胞は、中胚葉細胞であり、PSCは、分化細胞を凝集させる前に5~10日分化される。さらなる実施形態では、幹細胞系マイクロスフェアの細胞は、心筋細胞であり、PSCは、分化細胞を凝集させる前に5~10日分化される。「心筋細胞」とは、心臓器官の主要な構成要素である中胚葉系統の細胞であり、細胞は、NKX2.5などのマーカーを発現すると理解される。
一実施形態では、細胞系マイクロスフェアの細胞は、中胚葉であり、50個~3000個の分化細胞が凝集させて、細胞系マイクロスフェアを形成し、好ましくは500個~1500個の分化細胞が凝集する。
一実施形態では、細胞系マイクロスフェアは、350μm未満の直径である。
膵島様細胞を含むマイクロスフェア
特定の実施形態では、幹細胞系マイクロスフェアの細胞は、内胚葉細胞であり、PSCは、分化細胞を凝集させる前に10~20日分化される。さらなる実施形態では、幹細胞系マイクロスフェアの細胞は、膵島様細胞であり、PSCは、分化細胞を凝集させる前に10~20日分化される。「膵島様細胞」とは、膵島の構成要素であり、典型的にはC-ペプチド、NKX6.1、およびグルカゴンなどのマーカーを発現する内胚葉系統の細胞と理解される。
一実施形態では、細胞系マイクロスフェアの細胞は、内胚葉であり、50個~3000個の分化細胞が凝集して、細胞系マイクロスフェアを形成し、好ましくは500個~1500個の分化細胞が凝集する。
一実施形態では、細胞系マイクロスフェアは、350μm未満の直径である。
特定の実施形態
本発明の態様がここで、以下の非限定的な実施形態によってさらに記載される:
1.神経系マイクロスフェアを取得するための方法であって、
-神経系幹前駆芽細胞を提供する工程と、
-神経系幹前駆芽細胞を凝集させて、神経系マイクロスフェアを形成する工程と、
-神経系マイクロスフェアの神経系幹前駆芽細胞をさらに成熟させる工程と、を含む、方法。
2.神経系マイクロスフェアが、神経系マイクロスフェアの神経系幹前駆芽細胞をさらに成熟させる工程後に収集される、先行する実施形態に記載の方法。
3.神経系幹前駆芽細胞を提供することが、
-PSCを神経系幹前駆芽細胞に分化させる工程を含む、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
4.神経系幹前駆芽細胞を提供することが、PSCを培養する最初の工程を含む、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
5.神経系幹細胞前駆芽細胞を、ニューロンにさらに成熟させる、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
6.PSCが、約3日~約40日、好ましくは約5日~約30日で、神経系幹前駆芽細胞に分化される、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
7.PSCが、約8日~約25日、好ましくは約10日~約20日、より好ましくは約12日~約18日、より好ましくは約14日~約17日、さらにより好ましくは約16日で、腹側中脳神経系幹前駆芽細胞に分化される、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
8.PSCが、約20日~約35日、好ましくは約25日~約30日、より好ましくは約28日間で、皮質神経系幹前駆芽細胞に分化される、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
9.PSCが、一定期間分化され、それによって神経系幹前駆芽細胞の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%、または100%が、凝集の工程の前に、多能性ではなくなる、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
10.PSCが、一定期間分化され、それによって神経系幹前駆芽細胞の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%、または100%が、凝集の工程の前に、マーカーOCT-3/4、NANOG、SOX2、CD9、SSEA3、SSEA4、TRA160、およびTRA180のうちの1つ以上を発現しない、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
11.神経系幹前駆芽細胞が、SOX2、NES、KI67、ASCL1、TBR2、DCX PAX6、OTX2、SOX1、NKX6.1、NKX2.1、ISL1、EBF1、OLIG2、LMX1、FOXA2、EOMES、およびPDGFRaを含む群から選択される1つ以上のマーカーを発現する、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
12.神経系幹前駆芽細胞の少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、または99%が、外胚葉系統、好ましくは神経外胚葉に沿っており、多能性ではなく、神経系幹前駆芽細胞を凝集させて、神経系マイクロスフェアを形成する工程で最終的に分化しない、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
13.神経系マイクロスフェアの神経系幹前駆芽細胞を、約2.5日~約200日、好ましくは約3日~約180日、より好ましくは約5日~約150日、より好ましくは約10日~約120日、より好ましくは約10日~約100日、より好ましくは約10日~約60日、より好ましくは約15日~約50日、より好ましくは約15日~約40日で、さらに成熟させる、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
14.神経系マイクロスフェアの神経系幹前駆芽細胞を、約200、190、180、170、160、150、140、130、120、110、100日以内で、さらに成熟させる、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
15.神経系マイクロスフェアの神経系幹前駆芽細胞を、少なくとも約2.5、3、5、8、10、または15日、好ましくは少なくとも約15日で、さらに成熟させる、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
16.神経系幹前駆芽細胞を、腹側中脳神経幹前駆芽細胞に分化され、ニューロンへと約10日~約30日、好ましくは約16日~約19日で、さらに成熟させる、実施形態1~7および11~15のいずれか1つに記載の方法。
17.神経系幹前駆芽細胞を、皮質神経系幹前駆芽細胞に分化させ、ニューロンへと約25日~約40日、好ましくは約25日~約35日、より好ましくは約32日で、さらに成熟させる、実施形態1~6および8~15のいずれか1つに記載の方法。
18.ニューロンが、DCX、NEUN、INA、ベータチューブリン、微小管関連タンパク質、TH、GABA、vGLUT、およびChATを含む群から選択される1つ以上のマーカーを発現する、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
19.ニューロンが、SOX2、KI67、およびNESを含む群から選択される1つ以上のマーカーを発現しない、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
20.PSCが、二次元培養物において分化される、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
21.PSCが、最初に基質上に播種される、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
22.基質が、細胞外マトリックスを含む、実施形態21に記載の方法。
23.基質が、ポリ-L-リジン、ポリ-D-リジン、ポリ-オルニチン、ラミニン、フィブロネクチン、および/またはコラーゲン、および/またはそれらの断片を含む、実施形態22に記載の方法。
24.ラミニンまたはその断片が、ラミニン-111、ラミニン-521、およびラミニン-511から成る群から選択される、実施形態23に記載の方法。
25.PSCが、浮遊培養で分化される、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
26.神経系幹前駆芽細胞を凝集させる工程の前に、神経系幹前駆芽細胞を単一細胞浮遊液に解離する工程を含む、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
27.神経系幹前駆芽細胞が、酵素的にまたはキレート化することによって解離される、実施形態26に記載の方法。
28.神経系幹前駆芽細胞が、神経系幹前駆芽細胞を解離剤と接触することによって解離される、実施形態27に記載の方法。
29.解離剤が、アキュターゼ、トリプシン、trypleSelect、コラゲナーゼ、ディスパーゼ、ベルセン、EDTA、およびReLeSRを含む群から選択される、実施形態28に記載の方法。
30.神経系幹前駆芽細胞が、神経系幹前駆芽細胞を解離する工程の後に、例えば、約12時間~約72時間、好ましくは約24時間~約48時間、ROCK阻害剤と接触する、実施形態26~29のいずれか1つに記載の方法。
31.神経系幹前駆芽細胞が、神経系幹前駆芽細胞を解離する工程の前に、ROCK阻害剤と接触する、実施形態26~30のいずれか1つに記載の方法。
32.ROCK阻害剤が、Y-27632である、実施形態30および31もいずれか1つに記載の方法。
33.凝集前に単一細胞浮遊液をフィルタリングする追加の工程を含む、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
34.神経系幹前駆芽細胞が、静的非接着培養でさらに成熟する、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
35.神経系幹前駆芽細胞を凝集させる工程の前に、静的非接着培養において神経系マイクロスフェアを維持するのに好適なウェル中に神経系幹前駆芽細胞を播種する追加の工程を含む、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
36.約1000個、900個、800個、700個、600個、500個、400個、300個、200個、または150個未満の神経系幹前駆芽細胞が、ウェルに播種され、好ましくはマイクロウェル当たり約500個未満の神経系幹前駆芽細胞が、ウェルに播種され、より好ましくは約250個未満の神経系幹前駆芽細胞が、ウェルに播種される、実施形態35に記載の方法。
37.約2個、5個、10個、15個、20個、25個、30個、35個、40個、45個、50個、75個、または100個を超える神経系幹前駆芽細胞が、ウェルに播種され、好ましくは約50個を超える神経系幹前駆芽細胞が、ウェルに播種され、より好ましくは約100個を超える神経系幹前駆芽細胞が、ウェルに播種される、実施形態35および36のいずれか1つに記載の方法。
38.約10個~約1000個の神経系幹前駆芽細胞、好ましくは約50個~約500個の神経系幹前駆芽細胞、より好ましくは約50~約250個の神経系幹前駆芽細胞、さらにより好ましくは約100~約250個の神経系幹前駆芽細胞が、マイクロウェルに播種される、実施形態35~37のいずれか1つに記載の方法。
39.静的非接着培養において神経系マイクロスフェアを維持するのに好適なウェルは、マイクロウェルである、実施形態35~38のいずれか1つに記載の方法。
40.静的非付着培養において神経系マイクロスフェアを維持するのに十分に好適な細胞培養は、低細胞付着特性を有する表面を有する、実施形態35~39のいずれか1つに記載の方法。
41.低細胞付着特性を有する表面は、低接着プラスチックおよび/または低接着剤で処理されたプラスチックである、実施形態40に記載の方法。
42.ウェルの表面が、細胞外マトリックスを含まない、実施形態35~41のいずれか1つに記載の方法。
43.神経系幹前駆芽細胞が、単一細胞浮遊液中の神経系幹前駆芽細胞の重力沈降によって凝集させる、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
44.神経系幹前駆芽細胞が、単一細胞浮遊液中の神経系幹前駆芽細胞のスピン凝集によって凝集する、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
45.スピン凝集が、神経系幹前駆芽細胞を神経系マイクロスフェアへと形成する、実施形態44に記載の方法。
46.スピン凝集が、遠心分離による、実施形態44および45のいずれか1つに記載の方法。
47.遠心力が、約5g~約800g、好ましくは約100g~約400gである、実施形態44~46のいずれか1つに記載の方法。
48.約10個~約1000個の神経系幹前駆芽細胞が、凝集する、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
49.約1000個、900個、800個、700個、600個、500個、400個、300個、250個、または150個未満の神経系幹前駆芽細胞が凝集し、好ましくは約500個未満の神経系幹前駆芽細胞が凝集する、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
50.約5個、10個、15個、20個、25個、30個、35個、40個、45個、50個、75個、または100個を超える神経系幹前駆芽細胞が凝集し、好ましくは約50個を超える神経系幹前駆芽細胞が凝集し、さらにより好ましくは約100個を超える神経系幹前駆芽細胞が凝集する、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
51.約10個~約1000個の神経系幹前駆芽細胞、好ましくは約50個~約500個の神経系幹前駆芽細胞、より好ましくは約100個~約500個の神経系幹前駆芽細胞が凝集する、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
52.神経系マイクロスフェアが、神経系幹前駆芽細胞のさらなる成熟のために、静的非接着培養で維持される、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
53.PSCが、スモールマザーズアゲインストデカペンタプレジック(SMAD)タンパク質シグナル伝達の阻害剤と接触する、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
54.PSCが、ソニックヘッジホッグ(SHH)作動薬、例えば、SHHまたはSAGと接触する、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
55.PSCが、WNT活性化因子またはGSK3阻害剤、例えば、CHIR99021と接触する、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
56.PSCが、線維芽細胞成長因子(FGF)8と接触する、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
57.PSCが、アスコルビン酸と接触する、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
58.PSCが、BDNFと接触する、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
59.神経系幹前駆芽細胞が、細胞がGDNFと接触することによってさらに成熟する、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
60.神経系幹前駆芽細胞が、細胞がdcAMPと接触することによってさらに成熟する、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
61.神経系幹前駆芽細胞が、細胞がDAPTと接触することによってさらに成熟する、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
62.神経系幹前駆芽細胞が、細胞がFGF2と接触することによってさらに成熟する、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
63.神経系幹前駆芽細胞が、細胞がレチノイン酸と接触することによってさらに成熟する、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
64.神経系マイクロスフェアを凍結保存するための追加の工程を含む、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
65.取得された神経系マイクロスフェアをインビトロ二次元培養に移す追加の工程をさらに含む、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
66.神経系マイクロスフェアの神経突起伸長をインビトロ二次元培養に移す追加の工程をさらに含む、実施形態65に記載の方法。
67.取得された神経系マイクロスフェアを患者に移植する追加の工程を含む、実施形態1~64のいずれか1つに記載の方法。
68.神経系マイクロスフェアを取得するための方法であって、
-PSCを培養する工程と、
-PSCを神経系幹前駆芽細胞に分化させる工程と、
-任意に神経系幹前駆芽細胞をフィルタリングする工程と、
-神経系幹前駆芽細胞を凝集させて、神経系マイクロスフェアを形成する工程と、
-神経系マイクロスフェアの神経系幹前駆芽細胞をさらに成熟させる工程と、
-任意に神経系マイクロスフェアをフィルタリング工程と、
-神経系マイクロスフェアを収集する工程と、
-任意に神経系マイクロスフェアを凍結保存する工程と、を含む、方法。
69.神経系細胞を含む、神経系マイクロスフェア。
70.神経系マイクロスフェアが、実施形態1~64または68のいずれかに記載の方法に従って取得可能である、実施形態69に記載の神経系マイクロスフェア。
71.神経系マイクロスフェアが、実施形態1~64または68のいずれかに記載の方法に従って取得される、実施形態69に記載の神経系マイクロスフェア。
72.神経系マイクロスフェアが、インビトロである、実施形態69~71のいずれか1つに記載の神経系マイクロスフェア。
73.神経系細胞が、非天然である、実施形態69~72のいずれか1つに記載の神経系マイクロスフェア。
74.神経系細胞が、人工である、実施形態69~73のいずれか1つに記載の神経系マイクロスフェア。
75.神経系細胞が、幹細胞由来である、実施形態69~74のいずれか1つに記載の神経系マイクロスフェア。
76.神経系細胞が、多能性幹細胞に由来する幹細胞である、実施形態69~75のいずれか1つに記載の神経系マイクロスフェア。
77.神経系細胞が、ヒト胚性幹細胞(hESC)またはヒト誘導多能性幹細胞(hiPSC)に由来する幹細胞である、実施形態69~76のいずれか1つに記載の神経系マイクロスフェア。
78.神経系マイクロスフェアの直径が、約300、250、200、150、100、90、80、70、60、50、40、または30μm未満、好ましくは約250μm未満である、実施形態69~77のいずれか1つに記載の神経系マイクロスフェア。
79.神経系マイクロスフェアの直径が、約1、5、10、15、20、25μmより大きく、好ましくは10μmよりも大きい、実施形態69~78のいずれか1つに記載の神経系マイクロスフェア。
80.神経系マイクロスフェアの直径が、約10μm~約300μm、好ましくは約10μm~約250μm、好ましくは約10μmから約150μm、より好ましくは約10μm~約100μm、より好ましくは約10μm~約55μm、より好ましくは約10μm~約50μm、より好ましくは約20μm~約50μm、より好ましくは約30μm~約50μmである、実施形態69~79のいずれか1つに記載の方法。
81.神経系マイクロスフェアが、実質的にスフェアの形状である、実施形態69~80のいずれか1つに記載の神経系マイクロスフェア。
82.神経系マイクロスフェアが、神経系細胞で少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、または99%飽和される、実施形態69~81のいずれか1つに記載の神経系マイクロスフェア。
83.神経系マイクロスフェアが、神経系細胞および任意に神経系細胞に由来する細胞材料で少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、または99%飽和される、実施形態69~81のいずれか1つに記載の神経系マイクロスフェア。
84.神経系マイクロスフェアが、約5個~約1000個の神経系細胞、好ましくは約30個~約500個の神経細胞、より好ましくは約50個~約250個の神経系細胞を含む、実施形態69~83のいずれか1つに記載の神経系マイクロスフェア。
85.神経系マイクロスフェアが、約1000個、900個、800個、700個、600個、500個、400個、300個、200個、150個、または100個未満の神経系細胞、好ましくは約500個未満の神経系細胞、より好ましくは約250個未満の神経系細胞を含む、実施形態69~84のいずれか1つに記載の神経系マイクロスフェア。
86.神経系マイクロスフェアが、約5個、10個、15個、20個、25個、30個、35個、40個、45個、または50個を超える神経系細胞、好ましくは約50個を超える神経系細胞を含む、実施形態69~85のいずれか1つに記載の神経系マイクロスフェア。
87.神経系細胞の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%または100%が生存可能であり、好ましくは神経系細胞の少なくとも50%が生存可能であり、好ましくは神経系細胞の少なくとも70%が生存可能であり、好ましくは神経系細胞の少なくとも90%が生存可能である、実施形態69~86のいずれか1つに記載の神経系マイクロスフェア。
88.神経系マイクロスフェアの表面が、神経系細胞を含む、実施形態69~87のいずれか1つに記載の神経系マイクロスフェア。
89.神経系マイクロスフェアの表面が、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、または99%の神経系細胞、好ましくは少なくとも約50%の神経系細胞、より好ましくは少なくとも約80%の神経系細胞を含む、実施形態88に記載の神経系マイクロスフェア。
90.神経系マイクロスフェアの表面が、神経系細胞から成る、実施形態69~89のいずれか1つに記載の神経系マイクロスフェア。
91.神経系細胞が、神経系マイクロスフェアの表面に直接曝される、実施形態69~90のいずれか1つに記載の神経系マイクロスフェア。
92.神経系マイクロスフェアが、神経系細胞の外層を含む、実施形態69~91のいずれか1つに記載の神経系マイクロスフェア。
93.神経系マイクロスフェアの外層が、神経系細胞を含む、実施形態69~92のいずれか1つに記載の神経系マイクロスフェア。
94.外層が、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、または99%の神経系細胞、好ましくは少なくとも約50%の神経系細胞、より好ましくは少なくとも約80%の神経系細胞を含む、実施形態92および93のいずれか1つに記載の神経系マイクロスフェア。
95.神経系マイクロスフェアの外層が、神経系細胞から成る、実施形態69~94のいずれか1つに記載の神経系マイクロスフェア。
96.神経系細胞が、囲まれていない、実施形態69~95のいずれか1つに記載の神経系マイクロスフェア。
97.神経系マイクロスフェアが、囲まれていない、実施形態69~96のいずれか1つに記載の神経系マイクロスフェア。
98.神経系マイクロスフェアの体積の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、または100%が、神経系細胞を含み、好ましくは神経系マイクロスフェアの体積の少なくとも90%が、神経系細胞を含み、より好ましくは神経系マイクロスフェアの体積の少なくとも95%が、神経系細胞を含む、実施形態69~97のいずれか1つに記載の神経系マイクロスフェア。
99.神経系マイクロスフェアの体積の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、または100%が、神経系細胞および任意に神経系細胞に由来する細胞材料を含み、好ましくは神経系マイクロスフェアの体積の少なくとも90%は、神経系細胞および任意に神経系細胞に由来する細胞材料を含み、より好ましくは神経系マイクロスフェアの体積の少なくとも95%は、神経系細胞および任意に神経系細胞に由来する細胞材料を含む、実施形態69~97のいずれか1つに記載の神経系マイクロスフェア。
100.少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、または100%の神経系マイクロスフェアが、神経系細胞から成り、好ましくは神経系マイクロスフェアの少なくとも90%が、神経系細胞から成り、より好ましくは神経系マイクロスフェアの少なくとも95%が、神経系細胞から成る、実施形態69~99のいずれか1つに記載の神経系マイクロスフェア。
101.神経系マイクロスフェアの少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、または100%が、神経系細胞および任意に神経系細胞に由来する細胞材料から成り、好ましくは神経系マイクロスフェアの少なくとも90%が、神経系細胞および任意に神経系細胞に由来する細胞材料から成り、より好ましくは神経系ミマイクロスフェアの少なくとも95%が、神経系細胞および任意に神経系細胞に由来する細胞材料から成る、実施形態69~99のいずれか1つに記載の神経系マイクロスフェア。
102.神経系マイクロスフェア全体の神経系細胞が、実質的に均質である、実施形態69~101のいずれか1つに記載の神経系マイクロスフェア。
103.神経系マイクロスフェアの体積が、神経系細胞から成る、実施形態69~102のいずれか1つに記載の神経系マイクロスフェア。
104.神経系マイクロスフェアの体積が、神経系細胞および任意に神経系細胞に由来する細胞材料から成る、実施形態69~102のいずれか1つに記載の神経系マイクロスフェア。
105.神経系マイクロスフェア内の神経系細胞の分布が、同一である、実施形態69~104のいずれか1つに記載の神経系マイクロスフェア。
106.神経系マイクロスフェアが、内腔を含まない、実施形態69~105のいずれか1つに記載の神経系マイクロスフェア。
107.神経系マイクロスフェアが、外因性細胞外マトリックスを含まない、実施形態69~106のいずれか1つに記載の神経系マイクロスフェア。
108.マイクロスフェアが、外因性ヒドロゲル、実施形態69~107のいずれか1つに記載の神経系マイクロスフェア。
109.神経系マイクロスフェアが、神経系細胞以外の細胞を約50%、40%、30%、20%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、または1%未満で含み、好ましくは神経系マイクロスフェアは、神経系細胞以外の細胞を約10%未満で含む、実施形態69~108のいずれか1つに記載の神経系マイクロスフェア。
110.神経系マイクロスフェアが、神経系細胞から成る、実施形態69~109のいずれか1つに記載の神経系マイクロスフェア。
111.神経系細胞が、NEUNを発現し、SOX2を発現しない、実施形態69~110のいずれか1つに記載の神経系マイクロスフェア。
112.神経系細胞が、FOXA2およびNEUNを共発現する、実施形態69~111のいずれか1つに記載の神経系マイクロスフェア。
113.神経系細胞が、THを発現する、実施形態69~112のいずれか1つに記載の神経系マイクロスフェア。
114.神経系細胞が、BRN2またはTBR1を発現する、実施形態69~113のいずれか1つに記載の神経系マイクロスフェア。
115.少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または95%の神経系細胞が、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%のマーカーFOXA2およびLMX1Aを共発現する、実施形態69~114のいずれか1つに記載の神経系マイクロスフェア。
116.マーカーFOXA2およびLMX1Aを共発現する神経系細胞の少なくとも20%が、マーカーPITX3をさらに共発現する、実施形態115に記載の神経系マイクロスフェア。
117.神経系細胞の少なくとも10%が、ニューロンである、実施形態69~116に記載の神経系マイクロスフェア。
118.神経系細胞が、ニューロンであり、神経系細胞の少なくとも60%、70%、80%、90%、または95%が、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%のニューロンマーカーNEUNを発現する、実施形態69~117に記載の神経系マイクロスフェア。
119.ニューロンが、後脳-脊髄ニューロンである、実施形態117および118のいずれか1つに記載の神経系マイクロスフェア。
120.ニューロンが、前脳ニューロンである、実施形態117~119のいずれか1つに記載の神経系マイクロスフェア。
121.ニューロンが、中脳ニューロンである、実施形態117~119のいずれか1つに記載の神経系マイクロスフェア。
122.ニューロンが、DCX、NEUN、INA、ベータチューブリン、微小管関連タンパク質、TH、GABA、vGLUT、およびChATから成る群から選択されるマーカーを発現する、実施形態117~121のいずれか1つに記載の神経系マイクロスフェア。
123.ニューロンが、SOX2、KI67、およびNESを含む群から選択されるマーカーのうちの1つ以上を発現しない、実施形態69~122のいずれか1つに記載の神経系マイクロスフェア。
124.神経系細胞の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、100%が、有糸分裂後神経系統細胞であり、好ましくは神経系細胞の少なくとも70%が、有糸分裂後神経系統細胞であり、好ましくは神経系細胞の80%が、有糸分裂後であり、好ましくは神経系統細胞の90%が、有糸分裂後である、実施形態69~123のいずれか1つに記載の神経系マイクロスフェア。
125.神経系細胞が、ドーパミン作動性前駆細胞である、実施形態69~124のいずれか1つに記載の神経系マイクロスフェア。
126.神経系細胞が、DCX、NEUN、INA、ベータチューブリン、微小管関連タンパク質、TH、GABA、vGLUT、およびChATから成る群から選択されるマーカーを発現する、実施形態69~125のいずれか1つに記載の神経系マイクロスフェア。
127.80%、90%、または95%未満、またはいずれの神経系細胞も、神経系マイクロスフェアから放射状に1つを超えて神経系細胞直径に伸びる神経突起を形成していない、実施形態69~126のいずれか1つに記載の神経系マイクロスフェア。
128.ニューロンの少なくとも50%が、二次元培養システムにおいてインビトロで播種した後、約120分以内に神経系マイクロスフェアから放射状に伸びる神経突起を形成する、実施形態69~127のいずれか1つに記載の神経系マイクロスフェア。
129.医薬として使用するための、実施形態69~128のいずれか1つに記載の神経系マイクロスフェア。
130.パーキンソン病、脳卒中、外傷性脳損傷、脊髄損傷、ハンチントン病、認知症、アルツハイマー病、およびニューロンが失われるまたは機能不全となる他の神経学的状態の治療のための、実施形態69~128のいずれか1つに記載の神経系マイクロスフェア。
131.実施形態69~128のいずれか1つに記載の神経系マイクロスフェアの投与を含む、神経学的状態を治療するための方法。
132.パーキンソン病、脳卒中、外傷性脳損傷、脊髄損傷、ハンチントン病、認知症、アルツハイマー病、およびニューロンが失われるまたは機能不全となる他の神経学的状態の治療のための、実施形態131に記載の方法。
133.投与が、神経系マイクロスフェアのCNSへの移植による、実施形態131および132のいずれか1つに記載の方法。
134.CNSへの投与が、神経系マイクロスフェアを注射するための手段を含む送達装置を使用して実施される、実施形態133に記載の方法。
135.神経系マイクロスフェアを注射するための手段は、針であり、針の直径は、約0.1mm~約2mmである、実施形態134に記載の方法。
136.実施形態69~128のいずれか1つに記載の神経系マイクロスフェアを含む、組成物。
137.神経系マイクロスフェアの平均直径が、300、250、200、150、130、100、80、70、65、60、または50μm未満、好ましくは250μm未満である、実施形態136に記載の組成物。
138.神経系マイクロスフェアの直径は、300、250、200、150、130、100、80、70、65、60、または50μm未満、好ましくは250μm未満である、実施形態136および137のいずれか1つに記載の組成物。
139.神経系マイクロスフェアの平均直径が、50μm~250μmである、実施形態136~138のいずれか1つに記載の組成物。
140.医薬として使用するための、実施形態69~128のいずれか1つに記載の神経系マイクロスフェアを含む、組成物。
141.パーキンソン病、脳卒中、外傷性脳損傷、脊髄損傷、ハンチントン病、認知症、アルツハイマー病、およびニューロンが失われるまたは機能不全となる他の神経学的状態の治療のための、実施形態69~128のいずれか1つに記載の神経系マイクロスフェアを含む、組成物。
142.実施形態136~141のいずれか1つに記載の組成物を含む、容器。
143.実施形態136~141のいずれか1つに記載の神経系マイクロスフェアを含む、凍結保存された組成物。
144.幹細胞系マイクロスフェアを取得するための方法であって、
-PSCを分化させ、分化細胞を取得する工程と、
-分化細胞を凝集させて、幹細胞系マイクロスフェアを形成する工程と、
-幹細胞系マイクロスフェアの分化細胞をさらに成熟させる工程と、を含む、方法。
145.PSCが、一定期間分化され、それによって分化細胞の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%、または100%が、凝集の工程の前に、多能性ではなくなる、実施形態144に記載の方法。
146.PSCが、一定期間分化され、それによって分化細胞の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%、または100%が、多能性ではなくなり、凝集の工程の前に、マーカーOCT-3/4、NANOG、CD9、SSEA3、SSEA4、TRA160、およびTRA180のうちの1つ以上を表現しない、実施形態144~145のいずれか1つに記載の方法。
147.凝集工程の前に、分化細胞を単一細胞浮遊液に解離するさらなる工程を含む、実施形態144~146のいずれか1つに記載の方法。
148.PSCが、分化細胞を凝集させる前に、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、または10日、好ましくは少なくとも2日、より好ましくは少なくとも5日、さらにより好ましくは少なくとも10日間分化される、実施形態144~147のいずれか1つに記載の方法。
149.幹細胞系マイクロスフェアの細胞が、外胚葉細胞であり、PSCが、分化細胞を凝集させる前に10~35日間分化される、実施形態148に記載の方法。
150.幹細胞系マイクロスフェアの細胞が、背側前脳外套神経系細胞であり、PSCが、分化細胞を凝集させる前に20~35日分化される、実施形態149に記載の方法。
151.幹細胞系マイクロスフェアの細胞が、腹側中脳細胞であり、PSCが、分化細胞を凝集させる前に10~25日分化される、実施形態149に記載の方法。
152.幹細胞系マイクロスフェアの細胞が、腹側後脳および/または脊髄細胞であり、PSCが、分化細胞を凝集させる前に5~25日分化される、実施形態149に記載の方法。
153.幹細胞系マイクロスフェアの細胞が、中胚葉細胞であり、PSCが、分化細胞を凝集させる前に5~10日分化される、実施形態148に記載の方法。
154.幹細胞系マイクロスフェアの細胞が、心筋細胞であり、PSCが、分化細胞を凝集させる前に5~10日分化される、実施形態153に記載の方法。
155.幹細胞系マイクロスフェアの細胞が、内胚葉細胞であり、PSCが、分化細胞を凝集させる前に10~20日分化される、実施形態148に記載の方法。
156.幹細胞系マイクロスフェアの細胞が、膵島様細胞であり、PSCが、分化細胞を凝集させる前に10~20日分化される、実施形態155に記載の方法。
157.10個~1000個の分化細胞が凝集して、細胞系マイクロスフェアを形成する、実施形態144~156のいずれか1つに記載の方法。
158.細胞系マイクロスフェアの細胞が、外胚葉であり、50個~1000個の分化細胞、好ましくは100個~500個の分化細胞、より好ましくは100個~250個の分化細胞が、凝集して、細胞系マイクロスフェアを形成する、実施形態149~152のいずれか1つに記載の方法。
159.細胞系マイクロスフェアの細胞が、中胚葉であり、50個~3000個の分化細胞が凝集して、細胞系マイクロスフェアを形成し、好ましくは500個~1500個の分化細胞が凝集する、実施形態153~154のいずれか1つに記載の方法。
160.細胞系マイクロスフェアの細胞が、内胚葉であり、50個~3000個の分化細胞が、凝集して、細胞系マイクロスフェアを形成し、好ましくは500個~1500個の分化細胞が、凝集する、実施形態155~156のいずれか1つに記載の方法。
161.細胞系マイクロスフェアの細胞が、外胚葉または内胚葉系統のものであり、細胞系マイクロスフェアの直径が、30~350マイクロメートルである、実施形態144~160のいずれか1つに記載の方法。
162.分化細胞が、スピン凝集によって凝集する、実施形態144~161のいずれか1つに記載の方法。
163.細胞が、凝集の工程の前に、静的非接着培養で維持される、実施形態144~162のいずれか1つに記載の方法。
164.細胞が、凝集の工程の前に、低細胞付着特性を有する表面を含むウェル内に維持される、実施形態144~163のいずれか1つに記載の方法。
以下は、本発明を実施するための非限定的な実施例である。
実施例1:神経系マイクロスフェア方法
第一に、細胞外マトリックスまたは他の添加剤を含まない、前分化したが最終的な分化をしていない細胞(すなわち、神経系幹細胞)から成る神経系マイクロスフェアの形成、およびそれらの最終的な細胞運命(すなわち、ニューロン)への成熟について簡単に記載し、以下の通りである:
1.2Dまたは3D形式のいずれかでhPSCを分化することによって取得されたNSPBCの培養物を、酵素、キレート剤、または類似の分子を使用して単一細胞浮遊液に解離する。細胞浮遊液は、凍結保存されたNSPBCを解凍することによっても取得することができる。
2.NSPBC浮遊液は、受動的な重力または遠心力による沈降後、各マイクロウェルが、発生した細胞死を考慮して調整された数で、5個~1000個の細胞の範囲の細胞の総数を含むように、十分な濃度および細胞の総数でマイクロウェル付きのプラスチック製品に移した。
3.NSPBC懸濁液およびプレートは、遠心力によって細胞がマイクロウェルの中央底、典型的には50~400gで収集されるのを確実にするのに十分な速度で遠心分離することが好ましい。
4.静的非接訳状態でのマイクロスフェアプレートの培養により、細胞浮遊液が単一クラスターまたはマイクロスフェアに接着することを可能にする。
5.マイクロウェル内の細胞濃縮物は、マイクロウェル当たり、接着した生細胞のクラスターが、中枢神経系(CNS)送達装置への積載および脳への移植のために実現可能であるため、≦250μmの直径である、十分な数の細胞を含む必要がある。
6.有糸分裂NSPBCの大部分が有糸分裂後ニューロンなどの最終的な分化細胞型に成熟するまでの長期間(2~200日)の静的非接着条件での培養によるマイクロスフェア細胞の最終的な成熟
7.付着および神経突起伸長のためのインビトロ2D培養への最終的な成熟マイクロスフェアの移行、または生着のためのインビボ(すなわち、CNSへの)移植
8.移植装置および細胞培養プラスチック製品を付着防止溶液で予めコーティングし、マイクロスフェアがガラス、プラスチック、または他の表面に接着するのを防止する。
第二に、細胞外マトリックスまたは他の添加剤を含まない神経系マイクロスフェアの形成を、本発明に含まれるデータを生成するために使用したアッセイおよび技法を支持するための方法論とともに、拡張してより詳細に記載した。これは以下の通りである:
ヒト多能性幹細胞の維持:ヒト胚性幹細胞(hESC)株RC17(Roslin)および3053(Novo Nordisk株)を、ヒトラミニン-521マトリックス(0.7~1.2μg/cm;Biolamina)でコーティングされた培養器具上でペニシリンおよびストレプトマイシンを補充したiPS Brew培地(Miltenyi)中で培養した。RC17細胞株は、<32継代に維持し、3053細胞株は、それぞれ12および14継代のストックから<30継代で使用した。培地は毎日交換し、細胞は4~6日ごとにEDTA 0.5mM(Thermo Fisher)で継代した。培養物を37℃、湿度95%、および5% COレベルで維持した。すべての細胞培養物は、慣例的な試験によりマイコプラズマ陰性を確認した。
腹側中脳ドーパミン作動性ニューロン分化:細胞を、確立されたプロトコル(Nolbrant et al.,2017;Kirkeby et al.,2016)に従って分化させた。簡潔に述べると、hESCを70~90%のコンフルエントまで増殖させ、次いで0.5mMのEDTAを用いて解離して、約2個~10個の細胞の小さな凝集体を生成した。細胞を、ヒトラミニン-111(1.2μg/cm;BioLamina)でコーティングした細胞培養フラスコまたはプレートに1×10個の細胞/cmで播種し、直ちに分化培地と接触させた。細胞を、インビトロ(DIV)で0~8日N2系培地;SMAD阻害剤SB431542(10μM;Miltenyi)、神経誘導のためのNoggin(100ng/mL;Miltenyi)、腹側運命のためSonic Hedgehog C24II(SHH;500ng/mL;Miltenyi)、尾状化を促進するためGSK3β阻害剤CHIR99021(CHIR;3053については0.5μMおよび0.6μM RC17;Miltenyi)を補充した、50% DMEM/F12+Glutamax(Gibco)50% Neurobasal(Gibco)、1% N2補充CTS(Thermo Fisher)、5% GlutaMAX(Thermo Fisher)、0.2%ペニシリンストレプトマイシン(P/S;Thermo Fisher)に曝露した。N2系培地は、DIV9~11の線維芽細胞増殖因子8b(FGF8b;100ng/mL;Miltenyi)を補充した。DIV11で細胞をアキュターゼ(Innovative Cell Technologies)で解離し、10μMのrock阻害剤Y27632(Tocris)を補充したDIV11~16培地(FGF8b(100ng/mL)、L-アスコルビン酸(AA;200μM;Sigma)、ヒト脳由来神経栄養因子(BDNF;20ng/mL;Miltenyi)を補充したNeurobasal、2% B27補充ビタミンAなしCTS(Thermo Fisher)、5% GlutaMAX、0.2% P/S)でヒトラミニン-111(10 1.2μg/cm)をコーティングした細胞培養フラスコまたはプレートに0.8×10個の細胞/mを播種した。DIV16で細胞をアキュターゼ(Innovative Cell Technologies)で解離し、マイクロスフェア形成に使用するか、凍結保存するか、または長期接着培養のために、10μM ROCK阻害剤Y27632(Tocris)を含むDIV16培地でヒトラミニン-111(1.2μg/cm)でコーティングした細胞培養フラスコ/プレートに0.155×10個の細胞/cmで再播種し、NSPBCがニューロンに成熟することを可能した。DIV16以降から、細胞を、AA(200μM)、BDNF(20ng/mL)、ヒトグリア由来神経栄養因子(GDNF;20ng/mL;R&D Systems)、ジブチリル-cAMP(cAMP;500μM;Sigma)、およびnotch阻害剤DAPT(10μM;R&D Systems)を補充したB27-系培地で培養した。
背側前脳皮質グルタミン酸作動性ニューロン分化:細胞を、確立されたプロトコル(Shi et al.2011;Shi et al 2012)に従って分化させた。hESCを播種し、ラミニン-521(1.2μg/cm)、BioLamina)でコーティングした培養器具で培養し、95~100%コンフルエントな単層を形成させ、分化培地に曝露した。DIV0-10から、細胞を、N2/B27系培地:SMAD阻害剤SB431542(10μM;Miltenyi)、およびLDN-193189(100nM、Tocris)を補充した、50% DMEM/F12+Glutamax(Gibco)50% Neurobasal(Gibco)、2% B27補充ビタミンA CTS(Thermo Fisher)、1% N2補充CTS(Thermo Fisher)、5% GlutaMAX(Thermo Fisher)、0.2%ペニシリンストレプトマイシン(P/S;Thermo Fisher)、1% NEAA(Gibco)、0,089% β-メルカプトエタノール(Gibco)で培養した。DIV10で、細胞を、0.5mMのEDTAで解離し、1:2比率で継代した。N2/B27系培地を、DIV11~18の線維芽細胞成長因子b(20ng/mL;R&D)で補充した。DIV18で、細胞を、0.5mMのEDTAで解離し、凍結保存または1:2比率で継代した。DIV19以降から、細胞を、N2/B27系培地で培養した。マイクロスフェアを、DIV27および34で生成した。
神経系マイクロスフェア形成および静的非接着培養および分化:AggreWell(商標)24ウェルプレート(Stem Cell Technologies)は、各ウェルが400μm×400μmの1200マイクロウェルを含むものであり、マイクロスフェア形成および静的非接着培養に使用した。まず、AggreWellsを、プラスチックへの細胞接着を防止するために、製造元の指示に従って抗接着溶液(Stem Cell Technologies)で前処理した。マイクロスフェアを、マイクロスフェアの所望するサイズ(例えば、100個の細胞から成るマイクロスフェアを生成するための1.2x10^6個の細胞/ウェル)に応じて、1mLの好適な濃度のNSPBC単一細胞(または2個~10個の細胞の小さなクラスター)浮遊液をAggreWellsに移すことによって生成した。次に、細胞を、200~400gで5分間の遠心分離による遠心力によってマイクロウェルに沈降させるか、または通常の重力で受動的に沈降させた。プレートを、標準的な細胞培養インキュベーター内で、37℃、5% CO、95%湿度で維持した。播種後24~48時間以内に、細胞は、均一なスフェア状マイクロスフェアに自発的に凝集した。培地交換を、2~3日ごとに培地の半分を手動で除去し、新しい培地を追加することによって実施した。マイクロスフェアを、形成後最大>50日間、マイクロウェル内の静的非接着培養で維持した。マイクロスフェアの収穫/採取を、AggreWellの培養培地を上下に静かにピペッティングしてマイクロスフェアを浮遊させ、抗接着溶液で予めコーティングしたチューブに浮遊液を収集することによって実施した。マイクロスフェアの組成、成熟、および繊維成長能力を評価するために、マイクロスフェアを、ポリ-L-オルニチン/ラミニン-521でコーティングしたプレートに播種し、接着培養で48~72時間維持した。
免疫細胞化学:細胞を、4%パラホルムアルデヒド(Alfa Aesar)で10分間固定した。非特異的抗体結合は、細胞をPADT緩衝液;Ca2+およびMg2+(Gibco)を含まず0.02%アジ化ナトリウム溶液(Ampliqon)を含むリン酸緩衝生理食塩水(PBS)、0.5% Triton X-100(Sigma)、および5%ロバ血清(Jackson Labs)と30分インキュベートすることによって遮断し、その後室温で一次抗体と一晩インキュベートした。細胞を、Ca2+およびMg2+を含まないPBSで3回洗浄し、PADT緩衝液で10分遮断し、光から保護して、フルオロフォア標識二次抗体と室温で2時間インキュベートした。次に、細胞をDAPI(10μg/mL)で、室温で5分対比染色し、Ca2+およびMg2+を含まないPBSで3回洗浄し、0.02%アジ化ナトリウムを補充したCa2+およびMg2+を含まないPBS中で4℃で貯蔵した。画像を、CellSensソフトウェア(Olympus)を使用して、Olympus IX-81またはOlympus IX2-UCB顕微鏡で捕捉した。一次抗体:FOXA2(1:100、SantaCruz)、OTX2(1:500、R&D)、SOX2(1:300、R&D)、Ki-67(1:250、Invitrogen)、チロシンヒドロキシラーゼ(1:500、Pel-Freez)、NEUN(1:500、Abcam)、BRN2(1:100、Santa Cruz)、TBR1(1:200、Abcam)、PAX6(1:500、Abcam)、ベータ-IIIチューブリン(1:1500、Promega and Abcam)。二次抗体:ロバ抗マウスIgG AF488/AF555(1:800、Thermo Fisher)、ロバ抗ヤギIgG AF488/AF555(Thermo Fisher)、ロバ抗-ウサギIgG AF555/AF488/AF647(1:800、Thermo Fisher)。
神経系マイクロスフェア組成の定量分析:免疫細胞化学(ICC)の定量的分析を、2つの複製ウェルから無作為に選択した画像野、各ウェルの3つの異なる視野(n=3~6実験)で実施した。各視野について、関連するチャネルの画像(405nm、488nm、555nm、647nm)を、Olympus IX-81またはOlympus IX2-UCB顕微鏡およびCellSensソフトウェア(Olympus)を使用して10倍の倍率で取得した。核マーカー(SOX2、NEUN、Ki-67、FOXA2、OTX2)の定量化を、Photoshop(Adobe)で手動でカウントすることによって行い、DAPIとオーバーラップする明確な核シグナルを示す細胞は、特定のマーカーに対して陽性であるとみなした。
マイクロスフェア直径測定:マイクロウェル内のマイクロスフェアの画像は、マイクロスフェア形成の48~72時間後に、静的成熟培養物に沿った追加の時点で、4倍および10倍対物レンズを使用して取得した。マイクロスフェア直径を、CellSensソフトウェア(Olympus)の水平測定ツールを使用して4倍画像で測定した。バイオリンプロットを生成し、GraphPad Prismバージョン8で平均および標準偏差(SD)を計算した。
NSPBCおよび神経系マイクロスフェアの凍結保存:NSPBC接着培養物を、アキュターゼまたはEDTA(0.5mM)で単一細胞浮遊液に解離させ、遠心分離によりペレット化し、凍結保護溶液(STEM-CELLBANKER(登録商標)、Zenoaq)中に再浮遊させ、冷結保存バイアルに移し、CoolCell(登録商標)容器(Corning)中で-80℃の冷凍庫に一晩入れ、翌日に気相液体窒素貯蔵に移した。マイクロスフェアの凍結保存のために、マイクロスフェアを培養培地を上下に穏やかにピペッティングすることによって浮遊状態にし、抗接着溶液で予めコーティングしたチューブに浮遊液を収集することにより、マイクロスフェアをマイクロウェルから収集した。次に、マイクロスフェアを、40~100gで1分遠心分離することによりチューブの底に穏やかに沈降させ、B27(10%)、N2(2%)、BDNF(80ng/mL)、GDNF(80ng/mL)、およびDMSO(10%)を補充した神経基礎培地から成る凍結保護溶液、または市販の凍結保護剤のいずれかで、約4800個のマイクロスフェア/mL(100個の細胞/マイクロスフェア)または1200個のマイクロスフェア/mL(500個の細胞/マイクロスフェア)の濃度に再懸濁した。次いで、マイクロスフェア懸濁液を冷結保存バイアル(0.5mL/バイアル)に移し、-80℃の冷凍庫内のCoolCell(登録商標)容器(Corning)に一晩入れ、翌日気相液体窒素貯蔵に移した。
NSPCおよび神経系マイクロスフェアの移植のためのガラス毛細管引:PC-100プラー(Narishige group)を毛細管引に使用した。マイクロスフェアの移植では、通常NSPCで使用されるよりも広い内径の毛細管を、60℃でガラスをゆっくりと引くことによって生成した。これらの毛細管の内径は<250μmであった。
成体ヌードラットへのNSPCおよび神経系マイクロスフェアの脳内移植:すべての動物を、欧州連合の指令による制限の下で実施した。ラットは、hPSC由来腹側中脳NSPC(DIV16)または中脳NSPCの同じバッチから生成し、静的非接着培養でさらに14~16日成熟させた神経系マイクロスフェア(DIV30~32)のいずれかの定位手術によって線条体への片側注射を受けた。合計4匹のラットに、100,000個の腹側中脳NSPCを移植し、移植後4週で犠牲にした。合計で13匹のラットが、Kirkebyら(Kirkeby et al,Cell Stem Cell,2017)によって記載された座標を使用して、1μL/沈着物の2つの沈着物で送達された100,000個の細胞に対応する片側用量のマイクロスフェア(100個の細胞/マイクロスフェア)を受けた。マイクロスフェアを移植したラットを、移植後4週(n=6)または移植後8週(n=7)で犠牲にした。移植のために、マイクロスフェアを、抗接着溶液で予め処理した0.5mLチューブに採集し、200gで1分遠心分離してペレット化し、約500個のマイクロスフェア/μL(すなわち、約50,000個の細胞/μL)の濃度でCa2+およびMg2+を含まないHankの緩衝生理食塩水(HBSS)中に再浮遊させ、氷上に置いた。任意の細胞調製または移植手順の前に、ガラス毛細管、ピペットチップ、および他のプラスチック製品を、抗接着溶液で予めコーティングした。
免疫組織化学および組織学:ラットを灌流固定し、脳を収集し、4%PFAで24時間固定し、30%のスクロース溶液中で凍結保存した。次に、脳を、1:10または1:12の連続で35μmの厚さの凍結スレッジミクロトームで冠状に切片化した。免疫組織化学を、遊離浮遊切片で実施し、すべての洗浄工程を、Ca2+およびMg2+を含まない0.02%アジ化ナトリウムを含むPBSで行った。非特異的抗体の結合を遮断するために、切片を3回洗浄した、次にPADT緩衝液中で、室温で30分インキュベートした。次に切片を、PADT中で希釈した一次抗体とともに室温で一晩インキュベートした。切片を、Ca2+およびMg2+を含まない0.02%アジ化ナトリウムを含むPBSで2回洗浄し、PADT遮断溶液で30分インキュベートし、次に光から保護して、フルオロフォア複合二次抗体と室温で2時間インキュベートした。最後に、切片をDAPI(10μg/mL)で、室温で15分対比染色し、Ca2+およびMg2+を含まないPBSで3回洗浄した。次に、染色した切片をゼラチンコーティングしたスライドガラスに乗せ、カバーをPVA-DABCOでスリップさせ、透明なネイルポリッシュで密封し、光から保護して4℃で貯蔵した。一次抗体:FOXA2(1:100、SantaCruz)、OTX2(1:400、R&D)、SOX2(1:200、R&D)、Ki-67(1:200、Invitrogen)、チロシンヒドロキシラーゼ(1:500、Pel-Freez)、NEUN(1:400、Abcam)、NCAM(1:500、Santa Cruz)、およびヒト核抗原(HNA)(1:100、Abcam)。二次抗体:ロバ抗マウスIgG AF488/AF555(1:600、Thermo Fisher)、ロバ抗ヤギIgG AF488/AF555(1:600、Thermo Fisher)、ロバ抗ウサギIgG AF555/AF488/AF647(1:600、Thermo Fisher)。
フローサイトメトリーおよび統計分析:凍結保存したNSPCを解凍し、0.5%ヒト血清アルブミン(HSA)を含むHBSS-/-に再懸濁し、NucleoCounter NC-200でカウントし、光から保護された室温で15分間、固定可能なバイオレット生存率色素(10個の細胞当たり1μL、Invitrogen)で染色し、次にBD転写因子緩衝液セット(BD Biosciences)を使用して、製造元の指示に従って固定および透過処理を行った。次に、固定細胞を蛍光性複合抗体で染色し、試料をBD LSR FortessaまたはBD FACSymphony(BD Biosciences)で取得した。fcsファイルをエクスポートし、FlowJo 10.5.03で分析した。ゲートは、未染色対照、蛍光マイナス1(FMO)対照、または生物学的陰性対照試料に基づいて設定した。抗体:FOXA2(1:320、Miltenyi)、OTX2(1:320、Miltenyi)、SOX2(1:40、BD)、SOX1(1:320、Miltenyi)、NKX6.1(1:640、BD)、OCT3/4(1:10、BD)、Nanog(1:1920、Biolegend)。
転写アッセイ:単一細胞RNAシークエンシングでは、NSPBC培養物をアキュターゼで単一細胞浮遊液に解離し、3000個~10000個の細胞を10X Genomics Chromium Platformを使用して処理し、NextSeq550でシークエンシングした。バルクRNA評価のために、RNAを、NanoStringによって分析された急速凍結細胞ペレットから抽出した。
統計分析:統計分析を、Prism 8.0.2(GraphPad Software Inc.,San Diego,CA,USA)を使用して実施した。バイオリンプロットを除くすべてのグラフを、平均±標準偏差(SD)として表した。
参考資料:
Kirkeby A,Nolbrant S,Tiklova K,Heuer A,Kee N,Cardoso T,Ottosson DR,Lelos MJ,Rifes P,Dunnett SB,Grealish S,Perlmann T,Parmar M.Predictive Markers Guide Differentiation to Improve Graft Outcome in Clinical Translation of hESC-Based Therapy for Parkinson’s Disease.Cell Stem Cell.2017 Jan 5;20(1):135-148.doi:10.1016/j.stem.2016.09.004.Epub 2016 Oct 27.
実施例2:神経系マイクロスフェア生成の入力細胞として使用するための前脳、中脳、および脊髄NSPBCへのhPSCの分化および特性評価
発生中の胚は、外胚葉、中胚葉、および内胚葉の3つの主要な胚葉系統に分けられる。中枢神経系(CNS)は外胚葉内で形成され、このプロセスにおいて細胞は神経同一性を獲得する。神経分化は、すべての系統と同様に、細胞は通常、増殖、有糸分裂、自己複製、および多能性を特徴とする未成熟な表現型を最初に獲得するという連続的な方法で進行し、発生時間の経過とともに、細胞は通常、これらの特性を失い、有糸分裂後となり、自己複製が不能となり、潜在的ではなくなり、この時点で最終的に分化しているとみなされる。このプロセスは神経系統においてよく観察され、初期の発達段階では、細胞は非常に多能性の神経幹/前駆細胞(NSPC)として分類され、自己複製して、細胞自体だけでなく細胞の多数の亜系統(すなわち、多くのクラスのニューロン、異なる型の星状細胞および希突起膠細胞)を生じさせることができる。発生および分化において、インビトロNSPCは減少し、典型的には神経芽細胞(NBC)または放射状グリア細胞または中間前駆細胞と呼ばれ、通常は単能性であり、限られた範囲でのみ自己複製することができる、子孫中間細胞型によって置換される。NBCは最終的に、ニューロンまたは星状細胞などの最終的な分化細胞型を生じさるが、これはさらに分化することはできず、ニューロンの場合は増殖または自己再生することができない。
神経系細胞のこれらの段階への分化は、インビトロで達成され、観察された哺乳動物神経発達を複製し、CNSの3つの主要領域すべてで観察されている。hPSCは、CNSの3つの主要領域すべて、前脳、中脳、および後脳/脊髄に分化することができ、これらのプロトコルでは、hPSCからNSPC、NBC、ニューロンの段階へ広範囲に記録されている。例えば、高純度プロトコルは、皮質グルタミン酸作動性ニューロン系統の背側前脳細胞(Shi et al 2011;Shi et al 2012)、ドーパミン作動性ニューロン系統の腹側中脳細胞(Kirkeby et al 2012,Nolbrant et al Parmar 2017)、および運動ニューロン系統の腹側脊髄細胞(Amaroso et al 2013;Du et al 2015)を明示するために記載されている。
図1~4および13は、前脳マイクロスフェアの形成に使用したhPSC由来背側前脳皮質NSPBCのインビトロ特性評価を示す。皮質NSPBCへの分化は、広範なNSPCマーカーSOX2(図1D~E)、ならびに皮質特異的NSPCマーカーPAX6およびOTX2(図1A~C)の免疫細胞化学的発現によって示される。細胞は、皮質NSPCマーカーSOX2、OTX2、PAX6、およびSOX1を発現することを示したフローサイトメトリーによって、細胞が背側前脳皮質系統であることをさらに確認し(図2、3)、細胞は、>90% SOX2+/OTX2+(図2A、3)、>90% PAX6+/OTX2+(図2B、3)、>90% PAX6+/SOX1+(図2C、3)であり、予想通り、OCT3/4およびNANOGなどの多能性のマーカーは発現していなかった(図2D、3)。皮質NSPCは典型的なロゼット形態を有し、そこでは、細胞は円形の配向に配置され(図4A)、これは、前述のSOX2/PAX6/OTX2のマーカーに加えて、継代またはCNSへの移植のために単一細胞浮遊液に解離できる細胞の増殖状態および表現型を示す(Shi et al 2011;Espuny-Camacho et al 2013;Espuny-Camacho et al 2018)。mRNA転写産物の測定値は、この分化から産生されたNSPCにおける局所CNS同一性の獲得をさらに示し、詳細には、EN1、FOXA2、LMX1A、NKX6.1の非存在を伴うPAX6およびOTX2の転写物の上方制御は、背側前脳CNSの局所関与を示す(図13)。前脳NSPCは、このプロトコルおよび系統で、背側前脳皮質中間前駆細胞/放射状グリア細胞型を示す遺伝子TBR2でNBCにさらに分化することができ、これはDIV25以降で最高レベルで発現され(参照のShi et al 2011の図1B)、さらにニューロンに成熟される(図4B)。
図5~10および13は、中間脳マイクロスフェアの形成に使用される腹側中脳NSPBCへのhPSCのインビトロでの分化を示す。腹側中脳NSPBCへの分化は、広範なNSPCマーカーSOX2を96.5%(図6A)で発現することによって示され、腹側中脳特異的NSPCマーカーFOXA2およびOTX2は、それぞれ96.7%および93.6%であり、非腹中脳マーカーPAX6は同時に非存在であった(図6B、C)。腹側中脳NSPCは、このマーカー群FOXA2/OTX2/ SOX2に基づく増殖状態を示し(図5~6)、これらのDIV16細胞の単一細胞RNAシークエンシング(scRNA-seq)によって明確に例示され、それらはかなりの程度、NES、DCX、増殖マーカーMKI67などの他のNSPCマーカーから成っていることを示す(図8A)。腹側中脳の局所的同一性および増殖状態のこれらのNSPCマーカーは、広く報告されている継代またはCNSへの移植のために単一細胞浮遊液に分離できる細胞型を定義する(Kriks et al 2011;Kirkeby et al 2012;Niclis et al.,2016;Gantner et al 2020)。中脳NSPBCは多能性マーカーを発現すべきではなく、フローサイトメトリーを用いたタンパク質レベルでの分析は、DIV16でこれらの中脳NSPCは、重要なマーカーOCT3/4またはNANOGを発現せず、重要なことに共発現が陽性対照hPSCとは対照的に(図7A)、検出されなかったことを示した(図7B)。これは、腹側中脳NSPCが主要な多能性マーカーPOU5F1(別名OCT3/4)、NANOG、CD9、およびPODXLを共発現しなかったことを示すscRNA-seq分析によって転写レベルで確認された(図8B)。mRNA転写産物の測定値は、この分化から産生されたDIV16 NSPCにおける局所腹側中脳CNS同一性の獲得、特にPAX6の非存在を伴うFOXA2、OTX2、およびLMX1Aの転写物の上方制御を示す(図13)。分化のDIV16では、腹側中脳培養物はNSPCから成り、NSPCマーカーSOX2のほぼ完全な発現および腹側中脳NBCマーカーASCL1の非存在によって見られるように、NBCを含有しなかった(図9A;Arenas et al 2015)。重要なことに、これらのNSPCは、DIV26で>30%の細胞が、NBCマーカーASCL1を発現することが観察されたように、NBC段階にさらに分化させることができた(図9B)。
図11~13は、後脳/脊髄マイクロスフェアの形成に使用されるhPSCの腹側後脳/脊髄NSPBCへのインビトロでの分化を示す。腹側後脳/脊髄NSPBCへの分化は、細胞の>80%での広範なNSPCマーカーSOX2の発現(図12A)および細胞の>72.5%での腹側脊髄NSPCマーカーNKX6.1の発現によって示された(図11A~B、12B)。NSPBCが尾側神経管同一性であり、したがって後脳/脊髄系統であるためには、それらは、免疫細胞化学およびフローサイトメトリーによって示されたように、前脳-中脳NSPCマーカーOTX2の非存在を同時有さなければならない(図11C~D、12A~B)。腹側後脳/脊髄NSPCは、増殖状態を特徴とし、継代またはCNSへの移植のために単一細胞浮遊液に解離することができる(Amoroso et al.,2013;Du et al.,2015)。mRNA転写産物の測定値は、この分化から産生されたNSPCにおける局所CNS同一性の獲得をさらに示し、詳細には、PAX6、LMX1A、OTX2、およびEN1の非存在を伴うFOXA2およびNKX6.1の転写産物の上方制御は、腹側後脳/脊髄CNSの局所関与を示す(図13)。
参考資料:
2011.Nature Neuroscience.Shi et al.,Livesey.Human cerebral cortex development from pluripotent stem cells to functional excitatory synapses
2011.Nature.Kriks et al Studer.Dopamine neurons derived from human ES cells efficiently engraft in animal models of Parkinson’s disease
2012.Nature Protocols.Shi et al Livesey.Directed differentiation of human pluripotent stem cells to cerebral cortex neurons and neural networks
2012.Cell Reports.Kirkeby et al Parmar.Generation of Regionally Specified Neural Progenitors and Functional Neurons from Human Embryonic Stem Cells under Defined Conditions
2013.Cell Reports.Espuny-Camacho et al Vanderhaeghen.Pyramidal Neurons Derived from Human Pluripotent Stem Cells Integrate Efficiently into Mouse Brain Circuits In Vivo
2013.Journal of Neuroscience.Mackenzie W.Amoroso et al.,Hynek Wichterle.Accelerated High-Yield Generation of Limb-Innervating Motor Neurons from Human Stem Cells
2015.Nature Communications.Du et al.,Zhang.Generation and expansion of highly pure motor neuron progenitors from human pluripotent stem cells.
2016.Stem Cell Translational Medicine.Niclis et al Parish.Efficiently Specified Ventral Midbrain Dopamine Neurons From Human Pluripotent Stem Cells Under Xeno-Free Conditions Restore Motor Deficits in Parkinsonian Rodents
2017.Nature Protocols.Nolbrant et al.,Kirkeby.Generation of high-purity human ventral midbrain dopaminergic progenitors for in vitro maturation and intracerebral transplantation.
2015.Development.Arenas,Denham Villaescusa.How to make a dopamine neuron.
2018.Cell Reports.Espuny-Camacho et al Vanderhaeghen.Human Pluripotent Stem-Cell-Derived Cortical Neurons Integrate Functionally into the Lesioned Adult Murine Visual Cortex in an Area-Specific Way
2020.Cell Stem Cell.Gantner et al Parish.Viral Delivery of GDNF Promotes Functional Integration of Human Stem Cell Grafts in Parkinson’s Disease
実施例3:標準的な2D手順でNSPBCをニューロンに分化させると、分離または輸送できない脆弱な培養物が産生される
NSPBCをある状態から別の状態に移す一般な方法は、接着または浮遊NSPBCを単一細胞浮遊液に解離させることである。これを行うために、実施例2に記載のインビトロNSPBCを、接着/結合タンパク質を破壊するか、または細胞間および/またはそれらが接着している表面間の分子結合を破壊する、キレート剤または酵素的解離剤で処理し、それらを単一細胞浮遊液または少数の細胞のクラスターに解離させた。分離剤の例には、アキュターゼ、トリプシン、EDTA、コラゲナーゼ、ディスパーゼなどが含まれる。このプロセスは、NSPBCに対して、最終的な運命への継続的な分化またはCNSへの移植のために定期的に行われており、背側前脳細胞(Shi et al.,2011;Espuny-Camacho et al.,2018)、腹側中脳(Kriks et al 2011;Kirkeby et al 2012;Niclis et al.,2016;Gantner et al 2020)、および腹側脊髄(Amaroso et al.,2013;Du et al.,2015)を含むすべてのCNS系統について報告されている
この最終的な継代および最終的な細胞型への分化は、前述のプロトコルによって前脳、中脳、および脊髄からのニューロンについて記載されており、マイクロスフェアの生成に使用されるNSPBCが、標準的な条件下でニューロンを生成する能力を有することを本発明者らが示している。詳細には、前脳NSPBCは、グルタミン酸作動性ニューロン同一性のニューロンに2D接着培養でさらに分化することができ、脆弱で密接に絡み合う、酵素的に解離することができないすべてのニューロンに典型的な広範な神経突起線維を発達させ(図4B)、TBR1およびBRN2などの皮質グルタミン酸作動性ニューロンのマーカーを発現する(Shi et al.,2011)。さらに、腹側中脳NSPBCは、前述した標準的な2D培養方法論(Kriks et al.,2011;Nolbrant et al.,2017)に従って、最終的なニューロンの運命にさらに分化することができ、細胞は、脆弱で密接に絡み合う、ベータ-III-チューブリンなどの汎ニューロンマーカーを発現する広範な神経突起線維を発達させ(図10C、D)、そのうちのいくつかは、チロシンヒドロキシラーゼ(TH)の染色によって示されるように、腹側中脳ドーパミン作動性ニューロンである(図10E、F)。さらに、腹側脊髄NSPBCは、腹側脊髄運動ニューロン同一性のニューロンにさらに分化することができ、脆弱で密接に絡み合う、酵素的に解離することができないすべてのニューロンに典型的な広範な神経突起線維を発達させ(図11E)、HB9およびISL1などの腹側運動ニューロンのマーカーを発現する(Amaroso et al.,2013;Du et al.,2015)。
これらのプロトコルから、および分野全体に由来するニューロンは、逆に解離せず、これは、NSPBCに非存在のニューロンの細胞体から伸びる神経突起の構造上の脆弱性によるものであり、図4(前脳)および図10(中脳)および図11(脊髄)は、形態学的および免疫細胞化学的レベルでこれらの明確な対比を示す。有糸分裂後ニューロンを、成長する状態(2D接着単層または3D神経系スフェアまたは3Dオルガノイドのいずれであっても)から採取したときに、その生存能力を維持する化合物または特殊な機器を追加せずに有糸分裂後のニューロンを「小型で輸送可能な」形式にパッケージ化する方法を記述した文献報告または発明はない。ニューロン自体を解離して小型で輸送可能な様式を生成しようとする本発明者らの試みは、この細胞型の顕著な脆弱性および喪失を観察した。ニューロンおよび他の最終的な細胞型(すなわち、星状細胞および髄膜細胞)に対して濃縮された最終的な分化腹側中脳培養物は、記載される2D接着培養条件で公開されるプロトコルの約DIV35~40で取得される(図10C~F、Nolbrant et al.,2017)。これらの培養物を、37℃で解離酵素アキュターゼとともにインキュベートし、単一細胞浮遊液または少数の細胞の小さなクラスターを作製しようと試みた。標準的な持続時間(25分)の間、アキュターゼで処理したニューロンに富む培養物は、ニューロンに対して有害であることが示された単一細胞および小さなクラスターの混合物をもたらした(図46A、A’)。これは、生存する培養物がほとんどの神経突起、すなわちニューロン(解離中のそれらの死および喪失を示す)が枯渇し、神経突起を有しない非ニューロン細胞型に濃縮された、再播種によって示された(図46A、A’)。観察されたどの神経突起も、その体細胞から遠くまで放射しない短い長さのために、NBCまたは新しく生まれた若いニューロンから発散するようであった(図46A、A’)。25分インキュベートしても、これらの伸長した接着2D培養物の多数の厚く多層の領域を破壊するには不十分であり、再播種後に増殖する細胞数の増加から明らかなように、神経系細胞培養物全体を単一細胞浮遊液または小さなクラスターに処理するには、より長いアキュターゼインキュベーション手順(90分)が必要であった(図46B)。しかしながら、90分のインキュベーションは、ニューロンに対しても有害であることが示された。これは、生存する培養物がほとんどの神経突起、すなわちニューロン(解離中のそれらの死および喪失を示す)が枯渇し、神経突起を有さない非ニューロン細胞型に濃縮された、再播種によって示された(図46B、B’)。観察されたどの神経突起も、その体細胞から遠くまで放射しない短い長さのために、NBCまたは新しく生まれた若いニューロンから発散するようであった(図46B、B’)。これらの観察結果は、DIV35解離培養物中の有糸分裂後神経核マーカーNEUNに対する免疫染色によってさらに明らかであり、これは、短い期間(25分、図47A、B)または長い期間(90分、図47C、D)の間、アキュターゼインキュベーションに供されたかどうかにかかわらず、再播種時にNEUN+核をほぼ完全に欠いていた。これは、マトリックスなしでの静的非接着培養によって最終的な神経系細胞の運命に分化することができる神経系マイクロスフェア(実施例4~6に記載)とは全く対照的である(図46C、C’)。マイクロスフェアは、解離を必要とせずに2D接着状態に戻るように再播種することができ、表面に迅速にコロニー形成し、増殖性NSPBCの兆候を示さず(図46C、C’)、ニューロンマーカーNEUNに富む(図47E~F)膨大な数の神経突起を産生することが見られた。
参考資料:
2011.Nature.Kriks et al Studer.Dopamine neurons derived from human ES cells efficiently engraft in animal models of Parkinson’s disease
2011.Nature Neuroscience.Shi et al.,Livesey.Human cerebral cortex development from pluripotent stem cells to functional excitatory synapses
2012.Nature Protocols.Shi et al Livesey.Directed differentiation of human pluripotent stem cells to cerebral cortex neurons and neural networks
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2013.Cell Reports.Espuny-Camacho et al Vanderhaeghen.Pyramidal Neurons Derived from Human Pluripotent Stem Cells Integrate Efficiently into Mouse Brain Circuits In Vivo
2013.Journal of Neuroscience.Mackenzie W.Amoroso et al.,Hynek Wichterle.Accelerated High-Yield Generation of Limb-Innervating Motor Neurons from Human Stem Cells
2015.Nature Communications.Du et al.,Zhang.Generation and expansion of highly pure motor neuron progenitors from human pluripotent stem cells.
2016.Stem Cell Translational Medicine.Niclis et al Parish.Efficiently Specified Ventral Midbrain Dopamine Neurons From Human Pluripotent Stem Cells Under Xeno-Free Conditions Restore Motor Deficits in Parkinsonian Rodents
2017.Nature Protocols.Nolbrant et al.,Kirkeby.Generation of high-purity human ventral midbrain dopaminergic progenitors for in vitro maturation and intracerebral transplantation.
2018.Cell Reports.Espuny-Camacho et al Vanderhaeghen.Human Pluripotent Stem-Cell-Derived Cortical Neurons Integrate Functionally into the Lesioned Adult Murine Visual Cortex in an Area-Specific Way
実施例4:再現性のある形態およびサイズを有する神経系マイクロスフェアの形成
ニューロンを小さな小型の様式で物理的に動かす能力を提供し、それらの生存能力を維持する発明は、生物医学研究に大きな利点を提供する。かかる発明の利点は、NSPBC移植とは対照的にニューロン移植がいくつかの利点を提供し得る細胞置換療法のためのCNSへの移植の文脈で最もよく見られる。例えば、ニューロン移植は、有糸分裂後の細胞集団を患者に送達し、これは、有糸分裂およびしばしば高度に増殖するNSPBCの表現型と比較して、腫瘍形成および癌様増殖特性のリスクが低い。移植ニューロンはまた、移植されたニューロンがすでに神経突起を有しており、単に機能回復のために宿主標的を神経支配しなければならないため、神経回路回復が目標である場合、より速い生体内回復を促進するために理論化されており、NSPBCは、宿主標的を神経支配し始める前に、ニューロンにさらに分化し、神経突起を発達させる必要がある。さらに、ニューロンの移植は、hPSCから最終的な細胞型(すなわち、ニューロン)への完全な分化プロトコルをインビトロで実施することが可能であり、ヒトオペレーターによる分化手順の完全なプロセス制御が可能となる。対照的に、NSPBCの移植は、最終的な細胞運命への分化手順の最終段階がインビボで発生し、ヒトオペレーターによって制御されないことを意味し、これは、インビトロ由来ニューロンと比較して移植由来のニューロンの貧弱で可変的なインビボ純度の根底にあると考えられる(Kriks et al,2011;de Luzy et al,2019;Kirkeby et al,2017)。
本明細書に記載の本発明は、多能性または単能性NSPBCをマイクロスフェアと称される様式にパッケージ化する方法を詳述し、これは、それらの最終的な細胞運命(すなわち、ニューロン)への分化が可能となるが、これらのニューロンを小型で輸送可能な形式にして、新しい条件、例えば、2D接着培養条件(図26~27、31~33)、脳神経外科用の移植装置を通過するか(図46C、C’、47E~F)、またはかかる装置を使用してCNSに移植(図47)することへ移行することが可能である特性も有する。神経系マイクロスフェアを生成するためのプロセスは以下の通りであり、概略図(図14)に要約されている。まず、hPSCに由来する予め分化させたNSPBCを単一細胞に解離し、定量化した。マイクロスフェア形成に使用される入力NSPBCは、実施例2に記載したように、CNSの主要な領域に及んだ。正確な量のNSPBCを、細胞付着を防止するために抗接着溶液(Stem Cell Technologies)でコーティングしたウェル当たり1200個のマイクロウェルを含有するAggrewell(商標)400マイクロウェル24ウェルプレート(Stem Cell Technologies)に移し、製造元の指示に従って調製した。遠心力を適用して、細胞をマイクロウェルの底の中心点に、およびマイクロスフェアを形成する目的で互いに近接して駆動するようにした(図15~22)。遠心力の代わりに、受動的な環境重力が、類似の神経系マイクロスフェアを生成した凝集の目的で、細胞をマイクロウェルの底に向けるより単純な方法として、代わりに使用され得る(図18D)。
NSPCから形成された神経系マイクロスフェアは、前脳、中脳、後脳/脊髄のCNS系統全体で、形成直後に形態が一貫していることが見られた。特に、すべてのマイクロウェルは、すべての場合において、使用したCNS系統全体でそれらの中心に位置し、最小限の細胞死(死は細胞および物質であり、マイクロスフェア内になく、破片の雲を形成する)を伴うスフェア状形態の個々のマイクロスフェアを含むことが見られた(図15~22)。さらに、マイクロスフェアの外周部を画定する、しっかりと圧縮された健康な神経外胚葉を示す明確で鋭い境界が、前脳マイクロスフェア(図15~図17)、中脳マイクロスフェア(図18~21)、および後脳/脊髄マイクロスフェア(図22)で見られた。ウェル当たりの個々のマイクロスフェア形成の同じ特性、最小限の細胞死、および鋭い境界は、50個の細胞(図18A)、100個の細胞(図15A、18B、22)、または500個の細胞(図15B、17B、18C)を含む様々な数の細胞でマイクロウェルを播種することによって形成された、異なるサイズのマイクロスフェアの範囲にわたる群内で観察された。
NSPC神経系マイクロスフェアの一貫したかつ再現性のある物理的様式は、形成直後の直径で測定し、CNSの系統全体で観察された一貫したサイズに反映された。詳細には、DIV27前脳NSPCは、播種後48~72時間で、変動がほとんどなく、直径が52.19±3.95μm(平均±標準偏差)(100個の細胞/マイクロスフェア)および90.23±6.24μm(500個の細胞/マイクロスフェア)の狭い範囲のミマイクロスフェアを生成した(図23)。DIV16中脳NSPCも同様に、播種後48時間で、形態学的変化がほとんどなく、直径が37.61±4.51μm(50個の細胞/マイクロスフェア)、48.67±4.11μm(100個の細胞/マイクロスフェア)、および91.24±5.65μm(500個の細胞/マイクロスフェア)の狭い範囲のマイクロスフェアを生成し(図24)、後脳/脊髄同一性のDIV20 NSPCは、播種後48時間で、変動がほとんどなく、直径が71.81±2.47μm(100個の細胞/マイクロスフェア)の狭い範囲のマイクロスフェアを生成した(図25)。
NSPC、特にNBCよりもさらに分化した細胞型は、プロセシングおよび神経系マイクロスフェアの生成にも適合することが示された。これは、マイクロスフェア生成の入力細胞として、実施例2で記載したDIV34前脳TBR2濃縮皮質NBCおよびDIV26中脳ASLC1濃縮NBCを含む一連のCNS系統NBCを使用することによって示された。これらのNBCマイクロスフェアはまた、形成直後(図17、20)および静的非接着培養期間後(図21)、明確な輪郭を描写する外周/境界および一貫した寸法を有する、小さくて一貫した寸法の個々のスフェロイドクラスターを生成することも見られた。さらに、マイクロスフェア調製のためのそれらの従順性を示すNBC神経系マイクロスフェア形成後にほとんど細胞死/破片が観察され、DIV34で、NBCで前脳系統で示され、DIV40で100個の細胞(図17A)および500個の細胞サイズ(図17B)で観察された。これは、DIV26で形成され、100個の細胞サイズ(図20A)および500個の細胞サイズ(図20B)のマイクロスフェアでDIV30で観察された中脳系統NBCでも示された。
参考資料:
2011.Nature.Kriks et al Studer.Dopamine neurons derived from human ES cells efficiently engraft in animal models of Parkinson’s disease
2019.Journal of Neuroscience.de Luzy et al Parish.Isolation of LMX1a Ventral Midbrain Progenitors Improves the Safety and Predictability of Human Pluripotent Stem Cell-Derived Neural Transplants in Parkinsonian Disease
Kirkeby A,Nolbrant S,Tiklova K,Heuer A,Kee N,Cardoso T,Ottosson DR,Lelos MJ,Rifes P,Dunnett SB,Grealish S,Perlmann T,Parmar M.Predictive Markers Guide Differentiation to Improve Graft Outcome in Clinical Translation of hESC-Based Therapy for Parkinson’s Disease.Cell Stem Cell.2017 Jan 5;20(1):135-148.doi:10.1016/j.stem.2016.09.004.Epub 2016 Oct 27.
実施例5:神経系マイクロスフェアの静的非接着培養は、NSPBCを最終的なニューロン運命に分化させ、ニューロンの物理的移動を促進する
CNSの主要な領域に及ぶ実施例2および4に記載したNSPBCから形成された神経系マイクロスフェアは、直ちに除去されなかったが、数日から数週間の間、最終的な細胞運命(主にニューロン)にさらに分化するために、静的非接着条件でマイクロウェルで培養した。皮質前脳および腹側中脳系統のさらなる分化について選択したインビトロ(DIV)での日数の間隔は異なり、前脳についてはインビトロで53日(DIV27~80)、腹側中脳系統についてはインビトロで24日(DIV16~40)であり、これは、インビトロ2D分化プロトコルに記載され(Shi et al.,2011;Kirkeby et al.,2016)、本発明者らによって確認されたこれらの系統の成熟速度の違いを補正するためである(図4、10)。これらの差異は、様々な神経系統の異なる発達時間枠を反映し、実施例5および実施例6の成功結果は、神経新生の異なる速度および特性を有するCNSの明らかに異なる領域にわたるマイクロスフェア発明の多様性を実証するであろう。
神経系マイクロスフェアを分化するための非接着静的培養の期間にわたって、明らかな形態学的差異は観察されず、100個の細胞サイズ(図15A、16A)および500個の細胞サイズ(図15B、16B)の両方でDIV27~DIV60に分化した前脳皮質マイクロスフェア、ならびに50個の細胞サイズ(図18A、19A)、100個の細胞サイズ(図18B、19B)および500個の細胞サイズ(図18C、19C)の両方でDIV16~DIV40に分化した腹側中脳マイクロスフェアで観察したように、一貫した寸法の各マイクロウェル内に個々のスフェア状の細胞クラスターを維持し、外周/境界を明確に描写し、細胞死を最小限に抑えながら、小さいままであった。加えて、NBCが、100個の細胞サイズ(図21A)および500個の細胞サイズ(図21B)の両方のサイズで、DIV26(図17)でマイクロスフェア形成に使用され、DIV36で静的非接着培養条件で最終的な運命にさらに分化した場合に、マイクロスフェアの形態は一貫したままであり、したがって、入力NBCおよびNSPCで使用するためのマイクロスフェア発明の堅牢性が示された。
マイクロスフェアの形態およびサイズに明らかな変化がないことは、典型的には未分化hPSCで開始される他の報告された3D培養および分化の方法論とは対照的に、本発明の重要な態様である最終的な細胞運命(すなわち、ニューロン)を獲得するためにさらに分化する関与された前分化細胞型(すなわち、NSPBC)を示す。hPSCを用いて開始されたかかる報告された手順は、劇的に増殖し、多くの場合、数千もしくは数万の細胞から成る神経系スフェアまたはオルガノイドと称される大きなスフェアを生成する。これらは、その広範な成長およびサイズのために継代を必要とすることが多く、これらの大きな構造を介した栄養素の拡散が困難なため、不健康な壊死性コアを含むことが多く、それらは、本発明とは異なり、それらが解離されない限り、細胞補充療法に使用される狭い外科用装置を通してインタクトに移植することができないような大きなサイズである(Denham et al.,2012;Niclis et al.,2013;Ebert et al.,2013;Lancaster et al.,2013;Jo et al.,2016)。
静的非接着培養期間にわたる最小限の形態学的変化の観察を、経時的なマイクロスフェア直径の測定によって確認した。前脳NSPCマイクロスフェアは、DIV30での形成直後の直径52.19±3.95μm(平均±標準偏差)および90.23±6.24μmから、DIV60での53.49±3.26μm(100個の細胞/マイクロスフェア)および99.03±5.95μm(500個の細胞/マイクロスフェア)までわずかに、最小限に増加した(図23)。同様に、中脳NSPCマイクロスフェアは、DIV18での形成直後の直径37.61±4.51μm(平均±標準偏差)(50個の細胞/マイクロスフェア)および48.67±4.11μm(100個の細胞/マイクロスフェア)および91.24±5.65μm(500個の細胞/マイクロスフェア)から、DIV40での41.79±3.53μm(50個の細胞/マイクロスフェア)および57.55±4.73μm(100個の細胞/マイクロスフェア)および111.62±6.18μm(500個の細胞/マイクロスフェア)までわずかに、最小限に増加した(図24)。静的非付着培養および成熟の期間にわたるマイクロスフェアのサイズにおけるわずかな差異は、入力細胞が予め分化され、特定の神経領域同一性に関与し、それらが最終的に分化される点に近いという事実を反映し、これは、本発明の好ましい設定であり、高度に増殖性で完全に未分化/多能性hPSCで開始される、前述のスフェア状分化プロトコルと比較してかなりの差がある。静的非付着培養の期間にわたるマイクロスフェアサイズのわずかな変化はまた、発生する成長を相殺するために他のプロトコルで使用される、スフェアの解離および継代の追加の労力および複雑さの必要性を排除する(Ebert et al.,2013)。
静的非接着培養条件での一貫した形態およびマイクロスフェアのサイズの前述の観察は、実際には、最終的な細胞の運命(すなわち、ニューロン)を獲得する関与する前分化系統細胞(すなわち、NSPBC)を提示するという本発明者らの仮説をより理解および確認するために、マイクロスフェアを収集し、評価のために神経系細胞が存在するインビボ環境に類似する2Dインビトロに長期的に移行させ、詳細には、マイクロスフェアを、ポリ-L-オルニチンおよびラミニン-521でコーティングされた培養器具に播種した。マイクロスフェアは、標準的な手持ち式ピペットを用いた単純な手動ピペッティングによってマイクロウェルから収集し、静的非接着培養条件は、解離剤の必要がなく、マイクロスフェアがマイクロウェル表面領域に付着または神経支配されていないことを意味する。
静的非接着培養期間(DIV27~80)の期間にわたる前脳神経系マイクロスフェアの2Dシステムへの長期的な播種は(およびこれらの条件下での48~72時間の培養後)、本発明の利点を強調する収集および輸送にもかかわらず、細胞がNSPBC状態から最終的な分化ニューロン状態に進行したことを形態学的に明らかにし、これは、播種されたマイクロスフェアからの遊走による段階的な喪失、および神経突起伸長の増加などの特徴によって証明された(図26、27)。100個の細胞前脳NSPCマイクロスフェアがDIV27で形成された直後に、それらをDIV30で播種し、マイクロスフェア構造の喪失につながるマイクロスフェアからの細胞の遊走を特徴とするように、ほとんどがNSPBCから成ることが見られた(図26A)。さらに、観察された細胞は、小さな切断繊維、単極性構造、およびそれらが播種された点から遠く離れた遊走を伴うNBCを想起させた(図26A’)。前脳マイクロスフェアをDIV40へさらに分化させると、細胞が成熟し、スフェア状の特異なマイクロスフェア構造がより良好に保持され、マイクロスフェアの中心から長い神経突起が放射状に広がることが明らかになったが(図26B)、より近接な倍率では、いくつかの遊走性NBC細胞が観察可能であり、マイクロスフェアが、明確に描写された外周および構造を有しない(図26B’)。前脳マイクロスフェアをDIV60へさらに分化させると、スフェア状の特異なマイクロスフェア構造がより良好に保持され、マイクロスフェアの中心から長い神経突起が放射状に広がることから、マイクロスフェア内の細胞は大部分が最終的な分化ニューロンであることが明らかになった(図26C)。より綿密な検討により、遊走性NBC細胞はほとんどないことが明らかになった(図26C’)。前脳マイクロスフェアをDIV80へさらに分化させると、スフェア状の特異なマイクロスフェア構造が完全に保持され、マイクロスフェアの中心から長い神経突起が放射状に広がることから、マイクロスフェア内の細胞は外見的に完全に最終的な分化ニューロンであることが明らかになった(図26D)。より綿密な検討により、マイクロスフェアから発散する遊走性NBC細胞は示されなかった(図26D’)。DIV34で形成され、DIV40で播種した前脳NBCマイクロスフェアは、100個の細胞サイズ(図27A、A’)および500個の細胞サイズ(図27B、B’)の両方のマイクロスフェアでのマイクロスフェアコアから放出された、明らかな神経突起の生成によって見られるように、細胞完全性およびニューロンの能力を損なうことなく、収集および移動の能力も保持することが観察された。
静的非接着培養期間(DIV16~40)の期間にわたる中脳神経系マイクロスフェアの2D培養の長期的な播種は(およびこれらの条件下での48~72時間の培養後)、本発明の利点を強調する収集および移動にもかかわらず、細胞がNSPBC状態から最終的な分化ニューロン状態に進行したことを形態学的に明らかにし、これは、50個の細胞サイズ(図31)、100個の細胞サイズ(図32)、および500個の細胞サイズのマイクロスフェア(図33)の播種されたマイクロスフェアからの遊走による段階的な喪失、および神経突起伸長の増加などの特徴によって証明された。中脳NSPCマイクロスフェアがDIV16で形成された直後に、それらをDIV18で播種し、マイクロスフェア構造の完全な喪失および完全に平坦な単層をもたらすマイクロスフェアからの細胞の遊走を特徴とするように、ほとんどがNSPBCから成ることが見られた(図26A)。さらに、観察された細胞は、大きな細胞体および平坦な形態を有するNSPBCを想起させ、存在する場合、線維は繊維が小さく、切断されており、稀な単極性細胞からであり、播種された点から離れた細胞の遊走であった(図31A、32A、33A)。中脳マイクロスフェアをDIV25およびDIV30へさらに分化させると、細胞が成熟し、スフェア状の特異なマイクロスフェア構造がいくらか保持され、マイクロスフェアの中心から長い神経突起が放射状に広がることが明らかになったが、遊走性NBC細胞が観察可能であり、マイクロスフェアが、明確に描写された外周および構造を有しない(図31B~C、32B~C、33B~C)。中脳マイクロスフェアをDIV35へさらに分化させると、スフェア状の特異なマイクロスフェア構造がより良好に保持され、マイクロスフェアの中心から放射状に広がる多くの長い神経突起が観察され、遊走性NBC細胞がほとんど見られなかったことから、マイクロスフェア内の細胞は外見的に主に最終的な分化ニューロンであることが明らかになった(図31D、32D、33D)。中脳マイクロスフェアをDIV40へさらに分化させると、スフェア状の特異なマイクロスフェア構造がより強く保持され、マイクロスフェアの中心から長い神経突起が放射状に広がることから、マイクロスフェア内の細胞はほぼ完全に最終的な分化ニューロンであることが明らかになった(図31E、32E、33E)。より綿密な検討により、マイクロスフェアから発散する遊走性NBC細胞があった場合でもごくわずかであることが示された(図31E’、32E’、33E’)。
静的非接着培養条件において、マイクロウェルへの付着の証拠を示さなかったこと、例えば、これらの培養条件のかなりの期間にもかかわらず、時間の経過とともに前脳マイクロスフェア(図15~16)および時間の経過とともに中脳マイクロスフェア(図18~19)で見られる、マイクロスフェアからマイクロウェル表面へ、および/または互いに神経突起の成長が存在しないことに留意すべきである。これは、明細書の実施例5で上述した接着2D条件への解離剤なしでの物理的移動後の神経突起の容易な産生によって示されるように、マイクロスフェア内のニューロンの欠如によるものではなく、以下の実施例6の免疫細胞化学的評価からもたらされる。
参考資料:
2012.Frontiers in Cellular Neuroscience.Denham,M et al.,Thompson,L.H.(2012).Neurons derived from human embryonic stem cells extend long-distance axonal projections through growth along host white matter tracts after intra-cerebral transplantation.
2013.Frontiers in Cellular Neuroscience.Niclis et al.,Cram.Characterization of forebrain neurons derived from late-onset Huntington’s disease human embryonic stem cell lines
2013.Stem Cell Research.Ebert et al.,Svendsen.EZ spheres A stable and expandable culture system for the generation of pre-rosette multipotent stem cells from human ESCs and iPSCs.
2013.Nature.Lancaster et al.,Knoblich.Cerebral organoids model human brain development and microcephaly
2016.Cell Stem Cell.Jo et al.,Ng.Midbrain-like Organoids from Human Pluripotent Stem Cells Contain Functional Dopaminergic and Neuromelanin-Producing Neurons
実施例6:神経系マイクロスフェア組成および成熟の長期的特性評価
NSPBCから作製された神経系マイクロスフェアを、神経系細胞の維持および成熟に好適な培地中で、長期間(最大>50日)マイクロウェルプレート内の静的非接着培養で保持し、マイクロスフェアを含む細胞が、ニューロンに分化することが判明した。このプロセスは、SOX2およびKi-67などの主要な汎CNS NSPCマーカーの下方制御と関連し、後者は特に増殖中の細胞を標識する。これらのマーカーを、DIV18、25、30、35、および40でポリ-L-オルニチン/ラミニン-521でコーティングしたプレートにマイクロスフェアを播種し、48時間後に免疫細胞化学分析を実施することによって、経時的にモニターした。マイクロスフェア形成(DIV30)の直後に、DIV27で前脳NSPBCから作製されたマイクロスフェアの構成細胞は、NSPCマーカーSOX2を高度に発現することが示されたが(図28B、29B)、この発現は、前脳ニューロンの成熟のための静的非接着培養条件において経時的に減少し、DIV60ではほとんど検出されなかった(図28E、29E)。この傾向は、マイクロスフェアが100個または500個のNSPBCから作製されたかとは無関係に観察された。さらに、前脳マイクロスフェアは、背側前脳グルタミン酸作動性ニューロンで選択的に発現されるマーカーTBR1およびBRN2を発現することが観察された(図30)。
同様に、形成48時間後(DIV18)、腹側中脳マイクロスフェアは、マイクロスフェアが50個、100個、または500個の細胞から作製されたかに関係なく、主にマーカーSOX2(図34~37)およびKi-67(図38、39)を発現する細胞から成ることが示された。前脳神経マイクロスフェアで観察されたように、これらのマーカーを発現する細胞の割合は経時的に減少した。詳細には、DIV18で腹側中脳マイクロスフェアは、69.31±16.43%(平均±標準偏差)(50個の細胞/マイクロスフェア)および74.47±10.91%(100個の細胞/マイクロスフェア)SOX2(図37)および41.32±16.6%(50個の細胞/マイクロスフェア)および28.94±11.12%(100個の細胞/マイクロスフェア)Ki-67(図39)が発現された。予想通り、これらのレベルは時間の経過とともに徐々に低下し、DIV40では、細胞の12.40±6.57%(50個の細胞/マイクロスフェア)および12.73±5.03%(100個の細胞/マイクロスフェア)がSOX2を発現し(図37)、細胞の4.19±8.00%(50個の細胞/マイクロスフェア)および0.78±0.95%(100個の細胞/マイクロスフェア)がKi-67を発現した(図39)。腹側中脳系統特異的NSPCマーカーOTX2は、DIV18で細胞の69.02±10.47%(50個の細胞/マイクロスフェア)および72.70±12.72%(100個の細胞/マイクロスフェア)から、DIV40で4.38±3.83%(50個の細胞/マイクロスフェア)および4.61±4.36%(100個の細胞/マイクロスフェア)に減少することも見られた(図42、43)。この傾向は、NSPBCおよびドーパミンニューロンの両方で一貫して発現されると予想された腹側中脳系統特異的マーカーFOXA2は観察されず(図40)、FOXA2は、DIV18で73.22±1.00%(50個の細胞/マイクロスフェア)および82.71±7.37%(100個の細胞/マイクロスフェア)、ならびにDIV40で62.21±12.25%(50個の細胞/マイクロスフェア)および63.89±3.54%(100個の細胞/マイクロスフェア)で発現された(図41)。NSPC関連マーカーを発現する神経系マイクロスフェアにおける細胞の割合は経時的に減少したが、すべてのニューロン(例えば、ベータ-IIIチューブリンおよびNEUN)(図34~36、42、44)または腹側中脳ドーパミン作動性ニューロン(例えば、チロシンヒドロキシラーゼ)(図40)などのニューロンの特定のサブタイプを標識することが公知であるマーカーを発現する細胞の割合は徐々に増加した。例えば、形成後48時間(DIV18)の中脳マイクロスフェアには、汎ニューロンマーカーNEUNを発現する0.54±0.43%(50個の細胞/マイクロスフェア)および0.21±0.29%(100個の細胞/マイクロスフェア)の細胞しか含まれていないことが示されたが、DIV40では、この数は64.95±10.62%(50個の細胞/マイクロスフェア)および54.76±9.09%(100個の細胞/マイクロスフェア)に増加し、マイクロスフェアを構成する細胞が実際にNSPBCからニューロンに成熟していることを示す。
実施例7:神経系マイクロスフェアの凍結保存
hPSC由来細胞療法産物の本質的特性は、細胞を凍結保存して長期貯蔵し、臨床現場への配布を可能にする能力である。したがって、静的非接着培養で最終的な神経系細胞型に部分的または完全に成熟した後の神経系マイクロスフェアを凍結保存することができることが非常に望ましい。スフェア/クラスターを凍結保存しようとする場合の典型的な課題は、おそらくスフェア/クラスターのコアへの凍結保護溶液の浸透が不十分なための解凍時の不良な生存および分解である。この問題は、サイズが均一で、凍結防止剤が構造全体に浸透できるほど十分に小さいマイクロスフェアを生成することによって克服され得る。これを実験的に試験するために、100個の細胞/マイクロスフェアおよび500個の細胞/マイクロスフェアの神経系マイクロスフェアを、分化を開始した後16日のインビトロ(DIV)で中脳NSPBCから生成し、実施例5に記載されるようにマイクロウェル内でさらに19日成熟させた。DIV35で、マイクロスフェアを培養培地を上下に穏やかにピペッティングし、マイクロスフェアを浮遊液にし、マイクロスフェアがプラスチックに固着するのを防止するために、マイクロウェルを予めコーティングするのに使用される抗接着溶液(Stem Cell Technologies)で予め被覆したチューブに浮遊液を収集することにより、マイクロスフェアをマイクロウェルから収集した。次いで、マイクロスフェアを、40gで1分間遠心分離することによってチューブの底に穏やかに沈降させ、B27(10%)、N2(2%)、BDNF(80ng/mL)、GDNF(80ng/mL)、およびDMSO(10%)を補充した神経基礎培地から成る凍結保護溶液、または市販の凍結保護剤(STEM-CELLBANKER(登録商標)、Zenoaq)のいずれかで、約4800個のマイクロスフェア/mL(100個の細胞/マイクロスフェア)または1200個のマイクロスフェア/mL(500個の細胞/マイクロスフェア)の濃度に再浮遊させた。次に、マイクロスフェア浮遊液を冷結保存バイアル(0.5mL/バイアル)に移し、-80℃の冷凍庫内のCoolCell(登録商標)容器(Corning)に一晩置き、翌日、気相液体窒素貯蔵に移した。凍結保存したマイクロスフェアを神経系成熟培地に解凍し、40gで1分間遠心分離することによってチューブの底に穏やかに沈降させ、神経系成熟培地に再浮遊させ、ポリL-オルニチン(Sigma)/ラミニン-521(Biolamina)でコーティングした96ウェルプレートに播種し、48時間培養した。凍結保存したマイクロスフェアは、同じバッチから新鮮に播種されたマイクロスフェア(図45A、A’)と比較して、そのサイズおよびスフェア状形態(図45B、B’)を維持することが示された。同様に、新鮮および凍結保存したスフェアの両方が、播種後48時間以内に神経突起を伸長した(図45)。観察された効果は、使用した凍結保護剤とは無関係であった。これらの結果をまとめると、マイクロスフェアを構成する神経系細胞が凍結保存プロセスを生き延び、神経系細胞療法としてのそれらの適用に不可欠である神経突起を伸長する能力を保持したことを示す。
実施例8:神経系マイクロスフェアの移植
神経系マイクロスフェアの1つの用途は、脳内移植を介した細胞補充療法である。主に有糸分裂後のニューロンから成るhPSC由来の神経マイクロスフェアが移植を生き延び、宿主脳組織内の移植片を形成することができることを示す概念実証を、齧歯動物で取得した。まず、インビトロ実験を実施して、剪断力によって損傷されることなく、また毛細管を詰まらせることなく、移植に使用される薄いガラス毛細管を通過する神経系マイクロスフェアの能力を試験した。まず、ガラス毛細管およびプラスチックチューブを、ガラスまたはプラスチック表面にマイクロスフェアが固着するのを防止するために、抗接着溶液(Stem Cell Technologies)で予めコーティングした。毛細管およびチューブを、抗接着溶液で充填し、空にし、使用前にCa2+およびMg2+を含まないでHBSSで洗浄した。100個の細胞のマイクロスフェアを、分化を開始した後16日のインビトロ(DIV)でhPSC由来の中脳NSPBCから生成し、実施例5に記載されるようにマイクロウェル内でさらに19日成熟させた。DIV35で、培養培地を上下に穏やかにピペッティングしてマイクロスフェアを浮遊状態にし、予めコーティングしたチューブに浮遊液を収集することにより、マイクロスフェアをマイクロウェルから収集した。マイクロスフェアを、40~200gで1分遠心分離することにより、チューブの底に穏やかに沈降させ、神経成熟培地に500個のマイクロスフェア/μL(すなわち、50,000個の細胞/μL)の濃度に再懸濁した。次に、濃縮マイクロスフェア溶液を、移植設定を模倣する毛細管に通し、その後、実施例5に記載されるように、ポリ-L-オルニチン(Sigma)/ラミニン-521(Biolamina)でコーティングした96ウェルプレートに播種した。神経系マイクロスフェアの真の価値および適用性を証明するために、中脳NSPBCの同じバッチからの接着成熟培養によって生成された同齢の2D神経培養物を、同じ手順で行った。2Dニューロンを、接着培養で成長したNSPBCを移植する際の典型的な手順である、まず培養プレートから剥離し、アキュターゼとのインキュベーションによって単一細胞浮遊液に解離した。2Dニューロンを、NSPBCを解離するために通常必要な最大時間である25分、またはこれらの繊維密度の高いニューロン培養物を単一浮遊液に適切に解離するために必要な時間である90分のいずれかでアキュターゼに曝露し、400gで10分スピンダウンし、50,000個の細胞/μLの濃度で神経成熟培地に再懸濁した。次いで、ニューロン単一細胞浮遊液を毛細管に通し、マイクロスフェアに沿って96ウェルプレートに播種した。播種後48時間で、マイクロスフェアは実質的な神経突起の伸長を示し(図46C、C’)、免疫細胞化学分析により、ニューロンマーカーNEUNを発現することを示し(図47E、F)、マイクロスフェア内のニューロンの大きな生存、および剪断力によって誘導されたわずかな害を示した。比較すると、2Dニューロン培養から取得された細胞は、繊維の増殖が著しく少なく(図A、A’、B、B’)、かつわずかなNEUN発現しか示さず(図47A~D)、ニューロンのごく一部だけが手順を生き延びたが、大部分のニューロンは解離のプロセス中または剪断力のために失われたことを示唆している。結果として、典型的な2D神経培養物(図4B、10、11E)とは著しく異なる形態を示した播種した細胞の大部分は、おそらく残存NSPBCまたは潜在的グリア前駆細胞の可能性が高い。インビトロ実験に続いて、中脳同一性の神経系マイクロスフェアを、インビボでの概念の最初の証明を生成するために、成体ヌードラットの線条体の片側に移植した。100個の中脳NSPBC細胞から作製されたマイクロスフェアを上述のようにDIV30で収集し、Ca2+およびMg2+を含まないHBSS中に、約500個のマイクロスフェア/μL(すなわち、約50,000個の細胞/μL)の溶液に濃縮し、氷上に置いた。マイクロスフェアは、インビトロ試験に使用したものと同一の引かれたガラス毛細管を備えたハミルトンシリンジを使用して、2μL/沈着物の2つの沈着物で脳内に送達した。外科手術の前に、ガラス毛細管を、マイクロスフェアがガラス表面に接着するのを防止し、収率を最大化するために、上述のように抗接着溶液(Stem Cell Technologies)で予めコーティングした。移植したラットを犠牲にし、それらの脳を移植後4週および8週で免疫細胞化学によって分析し(図48)、両方の時点で、線条体に生存可能な移植片が観察された。さらに、マイクロスフェア移植片は、NCAMに対するヒト特異的抗体で染色した場合、強力で特異的なシグナルを示し、hPSC由来ニューロンから成ることを示した(図48 B’、B’、D、D’)。
実施例9:hPSC由来膵島様細胞から成るマイクロスフェア
インスリン産生ベータ細胞および他の内分泌細胞型を含むhPSC由来膵島様細胞クラスターを使用した細胞置換は、糖尿病患者のための有望な療法である。かかる細胞を生成するプロセスにおける現在の課題の中には、再現性、スケール、および細胞を凍結保存する能力がある。膵島様細胞は、典型的には、3D培養システムのhPSCから生成され、膵島様クラスターの大きなスケールの生成を可能にするが、クラスターの凍結保存は、比較的大きく、サイズが不均一である可能性があり、凍結保護溶液がクラスターに適切に浸透してコアの細胞を保護することができないため、課題である。これは、クラスターを単一細胞に解離することによって現在解決され、その後、凍結保存され、解凍時に自発的クラスター形成によって再凝集され得る。しかしながら、この手順では収率が低下し、一方で、代替として、クラスターの代わりに単一細胞の移植は、典型的には細胞の生存不良をもたらし、したがってインビボでの転帰不良をもたらす。本発明は、これらの課題に対処するものであり、分化細胞を均一なサイズ制御されたマイクロスフェアに形成することによって、細胞のインタクトなクラスターの凍結保存を可能にするほど十分に小さく、収率および再現性が著しく改善される。これを実験的に試験するために、専有3D浮遊培養プロトコル(US2014/234963、US2012/135519、US2015/247123、WO2020/7998、US2019/085295、WO2004/3292、US2020/199540、Funa et al,Cell Stem Cell,2015)を使用してhPSCを分化させることにより、膵島様細胞を取得した。膵島様細胞同一性は、分化開始後インビトロで(DIV)29日目にフローサイトメトリー分析によって確認し、DIV29は、c-ペプチドおよびNKX6.1を共発現する推定上ベータ様細胞(56.8%、図49A)、ならびにc-ペプチドおよびグルカゴンを共発現する推定上アルファ様細胞の少ない割合を示す(4.69%、図49E)。多能性マーカーOCT3/4およびNanogは、この段階ではもはや検出されなかった(図50)。分化のこの段階で、hPSC由来膵島様細胞クラスターは、典型的には、単一細胞浮遊液に解離され、凍結保存され、その後解凍され、移植などの下流用途のために再凝集される。新鮮または凍結保存された単一細胞のいずれかの再凝集は、標準的なアプローチである懸濁液中の自発的凝集によって、または500個もしくは1000個の細胞から成るマイクロスフェアへの単一細胞のスピン凝集によって実施した。マイクロスフェアを形成するために、正確な量のhPSC由来膵島様細胞を、細胞付着を防止するために抗接着溶液(Stem Cell Technologies)でコーティングしたウェル当たり1200個のマイクロウェルを含有するAggrewell(商標)400 24ウェルプレート(Stem Cell Technologies)に移し、製造元の指示に従って調製した。遠心力を適用して、細胞をマイクロウェルの底の中心点に、およびマイクロスフェアを形成する目的で互いに近接して駆動するようにした。細胞は、膵島様細胞の維持および成熟に適した培地中でマイクロウェルで培養し、播種のみ10μMでY27632を添加した。48時間のインキュベーション後、細胞は、明確に描写された外周/境界を有する、小さくて一貫した寸法の個々のスフェロイドクラスターに凝集することが示された(図51、52)。マイクロスフェアの直径を、マイクロスフェア形成の48時間後にマイクロウェル内のマイクロスフェアの位相差画像およびCellSensソフトウェアを使用して測定し(図51)、直径が、500個および1000個の細胞から作製されたマイクロスフェアについて、それぞれ80.10±4.51μm(平均±標準偏差)および103.89±3.74μmであることを示した(図55)。これらの測定値は、再凝集の48時間後にマイクロウェルから収集したマイクロスフェアのBiorep分析によって確認し(図53、54、55)、マイクロスフェアは、形状およびサイズが均一であることが示され、500個の細胞から作製されたマイクロスフェアの大部分(84.6%)が、50~100μmの範囲の直径を有し、一方、1000個の細胞から作製されたマイクロスフェアの大部分(91.3%)が、101~150μmの範囲の直径を有していた(図54)。同時に実施したフローサイトメトリー分析は、浮遊培養における標準的な自発的再凝集ではなく、マイクロスフェア形成による再凝集が、主要な系統マーカーc-ペプチド、NKX6.1、およびグルカゴンの発現に実質的な影響を及ぼさなかったことを示し(図49B~D、F-H)、マイクロスフェアが実際にアルファおよびベータ様細胞の相対的な比率を維持することができたことを示す。さらに、マイクロスフェアは凍結保存が可能であることが証明された。1000個のhPSC由来膵島様細胞のマイクロスフェアを、DIV31でマイクロウェルから収集し、凍結保護溶液(STEM-CELLBANKER(登録商標)、Zenoaq)中で凍結させた。解凍時に、マイクロスフェアを浮遊培養で24時間維持し、一定のサイズのスフェアとしてインタクトなままであった(図56)。hPSC由来膵島様細胞の再凝集過程の課題の1つは、典型的には、実質的な細胞損失および低い収率と関連していることであり、しかしながら、細胞をスピン凝集マイクロスフェアに再凝集することによって、収量は、浮遊培養での自発的クラスター形成後の29.6%から、それぞれ500個および1000個の細胞から成るマイクロスフェアの形成後の63.9%および72.2%に増加した(図57)。
参考資料:
Funa NS,Schachter KA,Lerdrup M,Ekberg J,Hess K,Dietrich N,Honore C,Hansen K,Semb H.β-Catenin Regulates Primitive Streak Induction through Collaborative Interactions with SMAD2/SMAD3 and OCT4.Cell Stem Cell.2015 Jun 4;16(6):639-52.doi:10.1016/j.stem.2015.03.008.Epub 2015 Apr 23.
US2014234963 EFFICIENT INDUCTION OF DEFINITIVE ENDODERM FROM PLURIPOTENT STEM CELLS
US2012135519 INDUCED DERIVATION OF SPECIFIC ENDODERM FROM HPS CELL-DERIVED DEFINITIVE ENDODERM
US2015247123 GENERATION OF PANCREATIC ENDODERM FROM PLURIPOTENT STEM CELLS USING SMALL MOLECULES
WO20207998 GENERATION OF PANCREATIC ENDODERM FROM STEM CELL DERIVED DEFINITIVE ENDODERM
US2019085295 GENERATION OF FUNCTIONAL BETA CELLS FROM HUMAN PLURIPOTENT STEM CELL-DERIVED ENDOCRINE PROGENITORS
WO20043292 GENERATION OF FUNCTIONAL BETA CELLS FROM HUMAN PLURIPOTENT STEM CELL-DERIVED ENDOCRINE PROGENITORS
US2020199540 ENRICHMENT OF NKX6.1 AND C-PEPTIDE CO-EXPRESSING CELLS DERIVED IN VITRO FROM STEM CELLS
実施例10:中胚葉(心筋細胞)マイクロスフェア生成の方法
ヒト多能性幹細胞由来の心筋様細胞および他の中胚葉誘導体は、細胞療法、薬物および毒性試験、ならびに疾患および発生を研究するための適切なモデルのための有望な細胞源を表す。hPSC由来心筋細胞を使用する補充療法によって心筋組織を再生することを目的とする現在の細胞療法アプローチは、心臓への移植後の細胞の不十分な送達、保持および生着によって妨げられている(Hastings et al,Adv Drug Deliv Rev,2015;Feyen et al,Adv Drug Deliv Rev,2016)。心臓マイクロスフェアの適用は、初代心臓スフェアおよび心臓前駆細胞に関する研究から示されるように、心筋におけるマイクロスフェアの保持能力の改善により、これらの課題を克服し得る(Cho et al,Mol Ther,2012;Trac et al,Circ Res,2019)。ここでは、生体材料および/または細胞外マトリックス成分の使用がなく、任意にインビトロでの長期成熟とそれに続くスフェアの採取および細胞剥離および/または解離試薬の使用とは独立した、スフェア融合のリスクを最小限に抑えた、ヒト多能性幹細胞由来の心筋細胞様細胞からサイズ制御された心臓マイクロスフェアを生成および維持するための代替方法を開示する。
インビトロで心筋細胞を生成するために、ヒト胚性幹細胞株XF3053を、それぞれの製造元の指示に従ってLN521(BioLamina)でのStemMACS(商標)iPS-Brew XF(Miltenyi)中のフィーダーフリー条件下で維持した。細胞を、アキュターゼ(Stem Cell Technologies)を使用して3~4日ごとに継代し、Tフラスコ(Nunc)に1.6~2.4x10個の細胞/cmで10μM Y-27632(Sigma)を添加したStemMACS(商標)iPS-BrewXFに播種した。細胞株は、本研究全体を通してマイコプラズマ汚染および核型異常について陰性であるとして試験した。心筋細胞を、修正3D分化プロトコルを適用して生成した(Kempf et al,Nat Protoc,2015;Halloin et al,Stem Cell Reports,2109)。簡潔に述べると、細胞を6ウェル浮遊プレート(Greiner)または125mlシェーカーフラスコ(Corning)に接種し、10μM Y-27632を補充したStemMACS(商標)iPS-Brew XF中で0.16x10個の細胞/mLで凝集体を形成し、軌道振盪装置(Infors Celltron)で70rpmに維持した。48時間後、4~6μM CHIR99021(Tocris)を24時間、続いて2μM Wnt-C59(Tocris)を24時間、インスリン(Life Technologies)を含まない2% B27を補充したRPMI1640培地または0.2mg/mL L-アスコルビン酸2-リン酸(Sigma)およびAlbix(Albumedix)を補充したRPMI1640培地を使用して、分化を誘導した(0日目、DIV0と称される)。細胞を、5日目(DIV5)以降、2% B27および0.2mg/mL L-アスコルビン酸2-リン酸(Sigma)を補充したRPMI1640に保持した。細胞を、8日目(DIV8)にSTEMdiff(商標)心筋細胞支持培地(Stem Cell Technologies)またはアキュターゼを使用して8分解離させ、さらなる特性評価および再凝集実験を行った。いくつかの実験では、解離した心筋細胞を凍結保護溶液(STEM-CELLBANKER(登録商標)、Zenoaq)を使用して凍結保存し、その後の再凝集のために液体窒素に貯蔵した。
心筋細胞の再凝集のために、ウェル当たり1200個の空洞を含むAggrewell(商標)400マイクロウェル24プレート(Stem Cell Technologies)を製造元の指示に従って調整し、分化の8日後(DIV8)に取得した心筋細胞を播種し、2% B27(Life Technology、カタログ番号17504)、0.2mg/mlアスコルビン酸-2-リン酸(Sigma、カタログ番号A8960)および10μM Y-27632(Sigma、カタログ番号Y27632-Y0503)を補充した2ml RPMI1640培地(Gibco、カタログ番号21875-034)中の空洞当たりの細胞数を示す。凝集体は、培地を3~4日ごとに交換して、最終的な採取までマイクロウェル内で維持した。
0日目(DIV0)および8日目(DIV8)での試料を、AF647複合OCT3/4(BD、カタログ番号560329;希釈率1:100)およびPE複合心臓トロポニンT(BD、カタログ番号564767;1:200)についてフローサイトメトリー分析に供した。簡潔に述べると、アキュターゼ(Stem Cell Technologies)を使用した解離により取得された単一細胞を、4%ホルムアルデヒド(VWR)中で30~45分間固定し、0.2% Triton X-100(Sigma)および5%ロバ血清(NovusBio)を補充したPBSを使用して、室温で30分間透過処理および染色した。1% BSA(Miltenyi)を補充したPBS中で各工程間で細胞を洗浄し、800gで3分間遠心分離した。試料をLSRFortessa(商標)フローサイトメーター(BD)で分析し、FlowJoソフトウェア(バージョン10.7)を使用して処理した。
クラスターサイズ分析は、自動膵島細胞カウンター(biorep)で200μlの試料を使用して実施し、各サンプルは技術的な繰り返しとして少なくとも2回測定した。pIEQは、デジタル画像分析法に基づく細胞質量の測定値を表す(Buchwald et al,Cell Transplant,2016)。IPNは、200μlの試料で示されたサイズの絶対スフェア数を示す。平均凝集体直径は、ウェルの表面積をスフェア凝集体形状をとる粒子の数で割って計算された直径に基づいて計算した。
参考資料:
Buchwald P,Bernal A,Echeverri F,Tamayo-Garcia A,Linetsky E,Ricordi C.Fully Automated Islet Cell Counter(ICC)for the Assessment of Islet Mass,Purity,and Size Distribution by Digital Image Analysis.Cell Transplant.2016 Oct;25(10):1747-1761.
Cho HJ,Lee HJ,Youn SW,Koh SJ,Won JY,Chung YJ,Cho HJ,Yoon CH,Lee SW,Lee EJ,Kwon YW,Lee HY,Lee SH,Ho WK,Park YB,Kim HS.Secondary sphere formation enhances the functionality of cardiac progenitor cells.Mol Ther.2012 Sep;20(9):1750-66.
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Halloin C,Schwanke K,Lobel W,Franke A,Szepes M,Biswanath S,Wunderlich S,Merkert S,Weber N,Osten F,de la Roche J,Polten F,Christoph Wollert K,Kraft T,Fischer M,Martin U,Gruh I,Kempf H,Zweigerdt R.Continuous WNT Control Enables Advanced hPSC Cardiac Processing and Prognostic Surface Marker Identification in Chemically Defined Suspension Culture.Stem Cell Reports.2019 Oct 8;13(4):775.
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Trac D,Maxwell JT,Brown ME,Xu C,Davis ME.Aggregation of Child Cardiac Progenitor Cells Into Spheres Activates Notch Signaling and Improves Treatment of Right Ventricular Heart Failure.Circ Res.2019 Feb 15;124(4):526-538.
実施例11:幹細胞由来心筋細胞から成るマイクロスフェア
心筋細胞分化効率は、図58に示すように、純度が概して90% cTNT+を上回る、8日間の分化(DIV8)後の心臓トロポニンT(cTNT)に対するフローサイトメトリーによって確認した。この段階では、フローサイトメトリーにより同日に分析した<0.1% OCT3/4+によって示されるように、細胞は本質的に残された未分化細胞がなかった(図59)。浮動3D凝集体は、比較的広範なサイズ分布を示し、凝集体の60%が200~400μmの直径を有し、5.8%が400μmを上回った(図60)。
凝集体は、実施例10に記載されるように解離し、空洞当たり50個、150個、500個、1000個、または1500個の細胞(図61-1および図61-2)、または空洞当たり25個、50個、100個、または500個の細胞(図62)のマイクロスフェア形成に供された。スフェアの自動クラスター分析は、空洞当たりに播種された細胞数の増加に伴い、mL当たりの細胞質量の明らかな増加(図63A)、および100個の細胞で<80μmから1500個の細胞で>160μmの範囲のスフェア直径の予想される増加(図63B)を示した。特に、個々の条件のサイズ分布により、均一なサイズのクラスターが確認され、100個の細胞では100μmを下回る直径を有する90.7%のクラスターをもたらし、250個の細胞では51~200μmの範囲の97%のスフェア、1000個の細胞では151~200μmの範囲の75%のスフェアであった(図64および図65)。対照凝集体(3D分化からのデフォルトのDIV8凝集体)と比較したサイズの減少および均一性は、図66に示すバイオレップ分析から取得した画像から確認した。
形成されたマイクロスフェアの心筋細胞の同一性および純度を確認するために、スフェアの代表的な条件(100個および500個の細胞/マイクロスフェア)を、2% B27を補充したRPMI培地中で24時間ラミニン521上に播種し、続いて、心筋細胞特異的マーカーNKX2.5およびサルコメアアクチニンの免疫蛍光染色に供した(図67)。
まとめると、データは、マイクロ空洞ごとに播種されたわずか25個の細胞~1500個の細胞までの範囲の細胞数の広範な範囲で、心臓マイクロスフェアのサイズ制御された形成、およびマイクロスフェアの融合を伴わずに長期間維持できる個々のスフェアの形成を示す。特に、各条件は、スフェアサイズにおいて非常に狭い分布をもたらし、それによって、凝集体系3D分化プロセスから取得されるスフェアの定義および制御されたサイズ変更を可能にする。マイクロスフェアは、さらなる成熟目的およびその後の移植研究のために、融合することなく、長期間維持することができる。
実施例12:心臓マイクロスフェアの凍結保存および送達
細胞系療法におけるさらなる制限は、製造プロセスにおける長期貯蔵および適切な保持工程の欠如である。部分的にまたは完全に成熟した心筋細胞マイクロスフェアの凍結保存は、最終的なマイクロスフェア医薬品の適切な保持工程を提供する。ここでは、ヒト幹細胞由来心筋マイクロスフェアの凍結保存を可能にする方法を開示する。このために、1000個のhESC由来心筋細胞様細胞のマイクロスフェアを、B27(2%)、L-アスコルビン酸2-リン酸(0.21mg/mL)、および10μM Y-27632(10μM)を補充したRPMI1640培地から成る再凝集培地中にDIV8心筋細胞の凍結保存された単一細胞からAggrewell(商標)マイクロウェルに播種することによって生成した。3日間の再凝集後、マイクロスフェアを、Aggrewell内の周囲の浮遊液中に穏やかにピペッティングすることにより、マイクロスフェアを再浮遊させた。マイクロスフェア浮遊液をチューブに移し、スフェアを素早く沈降させ、培地を除去した。マイクロスフェアを、凍結保護溶液(STEM-CELLBANKER(登録商標)、Zenoaq)中に約1200個のマイクロスフェア/mLの濃度に再浮遊させ、冷結保存バイアルに移した。バイアルをCoolCell(登録商標)容器に移し、24時間-80℃に置き、長期貯蔵のために液体窒素中に移した。
凍結保存されたマイクロスフェアを、DNAse I(50μg/mL)を補充した再凝集培地中で解凍した。マイクロスフェアを、250gで3分間スピンダウンし、DNAse I(50μg/mL)を補充した再凝集培地中に再浮遊させた。マイクロスフェアを6ウェル浮遊プレートに播種し、軌道振盪装置(Infors Celltron)で70rpmに維持した。解凍されたマイクロスフェアは、凍結保存の4日後に同様の細胞形態およびスフェア形態を示した(図68)。特に、解凍後24時間以内に定期的な鼓動が観察された。
本発明は、スフェア融合のリスクを最小限に抑えながら、数週間および数ヶ月の長期間にわたる個々の心臓マイクロスフェアの維持を可能にする。これにより、マイクロスフェアが、遊離浮遊培養(Correia et al,Biotechnol bioeng,2018)で維持され、融合しやすい以前のアプローチと比較して、マイクロスフェアの完全性に影響を与えることなく、細いシリンジ針(例えば、典型的な内径がそれぞれ210μmおよび159μmのG27またはG30針)を適用する制御された細胞注射に特に好適である。さらに、本明細書に記載の連続的なマイクロスフェア培養の方法は、注射可能であるという利点を伴って、操作された心臓組織(Tiburcy et al,Circulation,2017)と同様の3D環境で心筋細胞の連続的な成熟を可能にする。これにより、サイズ制御された成熟心臓組織の制御された細胞送達が、注射前の細胞間相互作用を破壊する必要性なしに、実行可能となる。その結果、マイクロスフェアでのG30シリンジ針を介した細胞押出の実現可能性を確認した。特に、50個および100個の多能性幹細胞由来心筋細胞様細胞から形成された心臓マイクロスフェアに対して、凝固または抵抗の変化の兆候のない十分に制御された押出を行い(図69)、インビボ適用のためのマイクロスフェア送達のための最適な特性が確認された。
参考資料:
Correia C,Koshkin A,Duarte P,Hu D,Carido M,Sebastiao MJ,Gomes-Alves P,Elliott DA,Domian IJ,Teixeira AP,Alves PM,Serra M.3D aggregate culture improves metabolic maturation of human pluripotent stem cell derived cardiomyocytes.Biotechnol Bioeng.2018 Mar;115(3):630-644.
Tiburcy M,Hudson JE,Balfanz P,Schlick S,Meyer T,Chang Liao ML,Levent E,Raad F,Zeidler S,Wingender E,Riegler J,Wang M,Gold JD,Kehat I,Wettwer E,Ravens U,Dierickx P,van Laake LW,Goumans MJ,Khadjeh S,Toischer K,Hasenfuss G,Couture LA,Unger A,Linke WA,Araki T,Neel B,Keller G,Gepstein L,Wu JC,Zimmermann WH.Defined Engineered Human Myocardium With Advanced Maturation for Applications in Heart Failure Modeling and Repair.Circulation.2017 May 9;135(19):1832-1847.
本発明のある特定の特徴が本明細書に例示および記載されているが、ここで、多くの修正、置換、変更、および均等物が当業者に想到されるであろう。したがって、添付の特許請求の範囲が、本発明の真の趣旨の範囲内にあるこうしたすべての修正および変更を網羅することを意図していることが理解されるべきである。

Claims (15)

  1. 幹細胞系マイクロスフェアを取得するための方法であって、
    -PSCを分化させて、分化細胞を取得する工程と、
    -前記分化細胞を凝集させて、幹細胞系マイクロスフェアを形成する工程と、
    -前記幹細胞系マイクロスフェアの分化細胞をさらに成熟させる工程と、を含む、方法。
  2. 前記PSCを、前記分化細胞を凝集させる前に少なくとも2日間分化させる、請求項1に記載の方法。
  3. 前記凝集の工程の前に、前記PSCを、一定期間分化し、それによって前記分化細胞の少なくとも50%が多能性ではなくなるようにする、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記分化細胞を、スピン凝集によって凝集させる、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記幹細胞系マイクロスフェアを、低細胞付着特性の環境で成熟させる、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 神経系マイクロスフェアを取得するための方法であって、
    -PSCを神経系幹前駆芽細胞に分化させる工程と、
    -前記神経系幹前駆芽細胞を凝集させて、神経系マイクロスフェアを形成する工程と、
    -前記神経系マイクロスフェアの神経系幹前駆芽細胞をさらに成熟させる工程と、を含む、方法。
  7. 前記神経系幹前駆芽細胞を凝集させる工程の前に、静的非接着培養において神経系マイクロスフェアを維持するのに好適なウェル中に前記神経系幹前駆芽細胞を播種する追加の工程を含む、請求項6に記載の方法。
  8. 前記ウェルが、低細胞付着特性を有するマイクロウェルである、請求項7に記載の方法。
  9. 約5個~約1000個の神経系幹前駆芽細胞を、凝集させる、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記神経系幹前駆芽細胞を凝集させる工程の前に、前記PSCを、一定期間分化し、それによって前記神経系幹前駆芽細胞の少なくとも50%が多能性ではなくなるようにする、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 幹細胞由来神経系細胞を含む神経系マイクロスフェアであって、前記神経系マイクロスフェアの直径が、約250μm未満であり、前記神経系マイクロスフェアの体積の少なくとも90%が、神経系細胞を含む、神経系マイクロスフェア。
  12. 約5個~約1000個の神経系細胞を含む、請求項11に記載の神経系マイクロスフェア。
  13. 前記神経系マイクロスフェアの表面が、神経系細胞から成る、請求項11または12に記載の神経系マイクロスフェア。
  14. 前記神経系マイクロスフェアが、外因性細胞外マトリックスを含まず、および/または外因性ヒドロゲルを含まない、請求項11~13のいずれか一項に記載の神経系マイクロスフェア。
  15. 神経学的状態の治療に使用するための、請求項11~14のいずれか一項に記載の神経系マイクロスフェア。
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