JP2023503167A - Ahr阻害剤およびその使用 - Google Patents

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Abstract

本発明は、AHR阻害剤、その製剤および単位剤形、ならびにその使用方法を提供する。本発明は、AHR阻害剤である(R)-N-(2-(5-フルオロピリジン-3-イル)-8-イソプロピルピラゾロ[1,5-a][1,3,5]トリアジン-4-イル)-2,3,4,9-テトラヒドロ-1H-カルバゾール-3-アミン(化合物A)の製剤および剤形、ならびにそれらの使用方法に関する。本発明は、本明細書に記載される製剤または単位剤形を投与するステップを含む、がんを処置するための方法を提供する。

Description

関連出願への相互参照
本出願は、米国特許法§119(e)の下、2019年11月26日に出願の米国仮出願第62/940,514号および2020年10月28日出願の米国仮出願第63/106,530号の利益を主張し、それら米国仮出願の各々の内容の全体が参照により本明細書に組み込まれている。
発明の技術分野
本発明は、AHR阻害剤である(R)-N-(2-(5-フルオロピリジン-3-イル)-8-イソプロピルピラゾロ[1,5-a][1,3,5]トリアジン-4-イル)-2,3,4,9-テトラヒドロ-1H-カルバゾール-3-アミン(化合物A)の製剤および剤形、ならびにそれらの使用方法に関する。
発明の背景
アリール炭化水素受容体(AHR)は、リガンドに結合すると、細胞質から核に転座して、アリール炭化水素受容体核トランスロケーター(ARNT)とヘテロ二量体を形成する、リガンド活性化核内転写因子である(Stevens, 2009)。AHR-ARNT複合体は、ダイオキシン応答配列(DRE)を含有する遺伝子に結合して転写を活性化する。多数の遺伝子がAHRによって調節される。最も十分に証明されている遺伝子には、シトクロムP450(CYP)遺伝子、CYP1B1およびCYP1A1が含まれる(Murray,2014)。
複数の内因性および外因性リガンドが、AHRに結合してこれを活性化することが可能である(Shinde and McGaha, 2018;Rothhammer, 2019)。AHRに対する内因性リガンドの1つは、キヌレニンであり、これは、インドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ1(IDO1)およびトリプトファン2,3-ジオキシゲナーゼ(TDO2)によって、前駆体であるトリプトファンから産生する。がんの多くが、IDO1および/またはTDO2を過剰発現し、高レベルのキヌレニンをもたらす。キヌレニンまたは他のリガンドによるAHRの活性化により、複数の免疫モジュレート遺伝子の遺伝子発現が改変され、生得免疫系内および適応免疫系内の両方において免疫制御をもたらす(Opitz,2011)。AHRの活性化は、エフェクターT細胞よりも、調節性T細胞(Treg)へのナイーブなT細胞の分化をもたらす(Funatake, 2005;Quintana2008)。活性化されたAHRは、CD8+T細胞に対して、プログラム細胞死タンパク質1(PD-1)を上方調節し、その細胞傷害活性を低下させることが最近示された(Liu,2018)。骨髄性細胞では、AHR活性化は、樹状細胞表面の寛容原性表現型に至る(Vogel, 2013)。さらに、AHR活性化は、腫瘍マクロファージにおいて、NF-κBを抑制するKLF4の発現を推進して、CD8+T細胞機能を遮断するCD39発現を促進する(Takenaka,2019)。
AHRの活性化により、成長中の腫瘍の免疫細胞認識および該腫瘍への攻撃が阻止されるので、AHR媒介性免疫制御は、がんにおいてある役割を果たす(Murray, 2014;Xue, 2018;Takenaka, 2019)。
発明の概要
本発明のAHR阻害剤である(R)-N-(2-(5-フルオロピリジン-3-イル)-8-イソプロピルピラゾロ[1,5-a][1,3,5]トリアジン-4-イル)-2,3,4,9-テトラヒドロ-1H-カルバゾール-3-アミン(化合物A)の製剤および単位剤形は、がんの処置において、ある特定の利点を有することが見出された。
したがって、一態様では、本発明は、化合物Aまたは薬学的に許容されるその塩を含む製剤を提供する。別の態様では、本発明は、化合物Aまたは薬学的に許容されるその塩を含む単位剤形を提供する。別の態様では、本発明は、本明細書に記載される製剤または単位剤形を投与するステップを含む、がんを処置するための方法を提供する。
一部の実施形態では、本発明は、患者においてがんを処置するための方法であって、患者に、治療有効量の化合物Aまたは薬学的に許容されるその塩を投与するステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、本明細書において提供される方法は、患者に、約200~1600mgの化合物Aまたは薬学的に許容されるその塩を毎日、投与するステップを含む。一部の実施形態では、本明細書において提供される方法は、化合物Aまたは薬学的に許容されるその塩を、1日1回、または1日2回、または1日3回、または1日4回、投与するステップを含む。
一部の実施形態では、本発明は、患者においてがんを処置するための方法であって、患者に、化合物Aの治療有効量の代謝産物、または薬学的に許容されるその塩もしくはそのプロドラッグを投与するステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、化合物Aの代謝産物は、化合物Bもしくは化合物C、または薬学的に許容されるそれらの塩である。
一部の実施形態では、がんは、本明細書に記載されるものから選択される。一部の実施形態では、がんは、以下に限定されないが、膀胱がんおよびすべての移行上皮癌を含む尿路上皮癌;頭頚部扁平上皮癌;以下に限定されないが、ぶどう膜黒色腫を含む黒色腫;以下に限定されないが、卵巣がんの漿液性サブタイプを含む卵巣がん;以下に限定されないが、明細胞型腎細胞癌サブタイプを含む腎細胞癌;子宮頚がん;以下に限定されないが、胃がんを含む胃腸管/胃(GIST)がん;非小細胞肺がん(NSCLC);急性骨髄性白血病(AML);および食道がんから選択される。
一部の実施形態では、患者は、組織学的に確認された固形腫瘍を有する患者であって、処置医師によって適切と考えられたすべての標準治療中にもしくはその後に進行した局所再発性または転移性疾患を有する、あるいは標準処置の候補者ではない、上記の患者である。
一部の実施形態では、患者は、尿路上皮癌および尿路上皮癌の組織学的確認を有し、ならびに/または処置医師によって適切と考えられたすべての標準治療(例えば、白金含有レジメンおよびチェックポイント阻害剤を含む)中にもしくはその後に進行した切除不能な局所再発性もしくは転移性疾患を有し、あるいは標準処置の候補者ではない。
図1は、化合物Aの遊離塩基に関するサーモグラムを図示する。 図1は、化合物Aの遊離塩基に関するサーモグラムを図示する。
図2は、化合物Aのヘミマレイン酸塩に関するサーモグラムを図示する。 図2は、化合物Aのヘミマレイン酸塩に関するサーモグラムを図示する。
図3は、結晶性化合物Aの遊離塩基およびヘミマレイン酸塩のXRPDディフラクトグラムを図示する。
図4は、結晶性化合物Aの遊離塩基、ヘミマレイン酸塩、およびその後にそれらをジェットミル粉砕した物質の重ね合わせたXRPDディフラクトグラムを図示する。 図4は、結晶性化合物Aの遊離塩基、ヘミマレイン酸塩、およびその後にそれらをジェットミル粉砕した物質の重ね合わせたXRPDディフラクトグラムを図示する。
図5は、結晶性化合物Aの遊離塩基、ヘミマレイン酸塩、およびその後にそれらをジェットミル粉砕した物質の重ね合わせたDSCサーモグラムを図示する。 図5は、結晶性化合物Aの遊離塩基、ヘミマレイン酸塩、およびその後にそれらをジェットミル粉砕した物質の重ね合わせたDSCサーモグラムを図示する。
図6は、化合物Aの遊離塩基およびその後にジェットミル粉砕した物質のPSDを図示する。
図7は、化合物Aのマレイン酸塩およびその後にジェットミル粉砕した物質のPSDを図示する。
図8は、化合物Aの遊離塩基、ヘミマレイン酸塩およびその後にジェットミル粉砕した物質の重ね合わせた固有の溶出を図示する。 図8は、化合物Aの遊離塩基、ヘミマレイン酸塩およびその後にジェットミル粉砕した物質の重ね合わせた固有の溶出を図示する。
図9は、化合物Aの遊離塩基の実現可能性SDIのMDSCサーモグラムを図示する。 図9は、化合物Aの遊離塩基の実現可能性SDIのMDSCサーモグラムを図示する。
図10は、化合物Aのマレイン酸塩の実現可能性SDIのMDSCサーモグラムを図示する。 図10は、化合物Aのマレイン酸塩の実現可能性SDIのMDSCサーモグラムを図示する。
図11は、化合物Aの実現可能性SDIのXRPDディフラクトグラムを図示する。
図12は、バルク結晶性化合物Aと比較した、化合物Aの実現可能性SDIに関する非沈降溶出データを図示する。 図12は、バルク結晶性化合物Aと比較した、化合物Aの実現可能性SDIに関する非沈降溶出データを図示する。
図13は、化合物AのリードSDI製剤に関するRHの関数としてのTgを図示する。
図14は、化合物AのリードSDI製剤に関するt=0でのアッセイ、不純物データを図示する。
図15は、4週間の安定後の化合物AのSDIのXRPDディフラクトグラムを図示する。
図16は、10週間の安定後の40:60の化合物A:HPMCAS-M SDIのXRPDディフラクトグラムを図示する。
図17は、4週間の安定後の、バルク結晶APIと比べた、25:70:5の化合物A:HPMCAS-L:TPGSに関するアッセイ、不純物データの重ね合わせたクロマトグラムを図示する。
図18は、4週間の安定後の、バルク結晶APIと比べた、40:60の化合物A:PVP-VAに関するアッセイ、不純物データの重ね合わせたクロマトグラムを図示する。
図19は、4週間の安定後の、バルク結晶APIと比べた、40:60の化合物A:HPMCAS-Mに関するアッセイ、不純物データの重ね合わせたクロマトグラムを図示する。
図20は、4週間の安定後の、バルク結晶APIと比べた、25:75の化合物A:HPMCP-HP55に関するアッセイ、不純物データの重ね合わせたクロマトグラムを図示する。
図21は、4週間の安定後の、バルク結晶APIと比べた、40:60の化合物A:HPMCP-HP55に関するアッセイ、不純物データの重ね合わせたクロマトグラムを図示する。
図22は、10週間の安定後の、バルク結晶APIと比べた、40:60の化合物A:HPMCAS-Mに関するアッセイ、不純物データの重ね合わせたクロマトグラムを図示する。
図23は、化合物Aの実証SDIに関するMDSCサーモグラムを図示する。
図24は、化合物Aの実証SDIのXRPDディフラクトグラムを図示する。
図25は、化合物AのFB錠剤の実証バッチ(220mg/gの一般造粒)のプロセスフローチャートを図示する。 図25は、化合物AのFB錠剤の実証バッチ(220mg/gの一般造粒)のプロセスフローチャートを図示する。 図25は、化合物AのFB錠剤の実証バッチ(220mg/gの一般造粒)のプロセスフローチャートを図示する。
図26は、実現可能性およびスケールアップの間に作製した50mgおよび150mgの化合物A:HPMCAS-M錠剤に関する、A.打錠性、B.圧縮率、C.圧縮性およびD.崩壊プロファイルを図示する。 図26は、実現可能性およびスケールアップの間に作製した50mgおよび150mgの化合物A:HPMCAS-M錠剤に関する、A.打錠性、B.圧縮率、C.圧縮性およびD.崩壊プロファイルを図示する。
図27は、100RPMにおける化合物Aのプロトタイプ錠剤に関する、非沈降溶出データを図示する。
図28は、150→250RPMにおける化合物Aのプロトタイプ錠剤に関する、非沈降溶出データを図示する。
図29は、化合物AのSDDが、カニクイザルにおいて良好な経口曝露を実現することを図示する。
図30A-30Bは、化合物Aが、ヒトドナーに由来する全血中の、CYP1B1の基底およびキヌレニン誘発性活性化を阻害することを実証する。
図31は、マウス肝臓および脾臓における、化合物AによるVAG539媒介性mRNA誘導の用量依存的阻害を図示する。
図32は、57Bl/6マウスにおける、B16-IDO1腫瘍成長に対する、化合物A、抗PD-1抗体、および化合物Aと抗PD-1抗体との併用療法の効果を実証する。
図33は、BALB/cJマウスにおける、CT26.WT腫瘍成長に及ぼす、化合物A、抗PD-1抗体、および化合物Aと抗PD-1抗体との併用療法の効果を実証する。
図34は、CT26.WTマウスモデルにおける生存率に及ぼす、化合物A、抗PD-1抗体、および化合物Aと抗PD-1抗体との併用療法の効果を実証する。
発明の詳細な説明
1.本発明のある特定の実施形態の一般的な記載
化合物Aは、AHRを標的とし、これを選択的に阻害するよう設計されている、新規な合成低分子阻害剤である。AHR遺伝子シグネチャによって決定される高レベルのAHRシグナル伝達を有する複数の腫瘍タイプが存在することが見出されている。高レベルのキヌレニンおよび他のリガンドによって引き起こされる高レベルのAHR活性化、ならびに免疫抑制腫瘍微小環境(TME)の推進におけるその役割により、AHRは、複数のがんのタイプにおける魅力的な治療標的になる。いかなる特定の理論によっても拘泥されることを望むものではないが、膀胱がんは、一部の実施形態では、1)AHR標的遺伝子は、正常な膀胱組織に比べ、膀胱がんにおいて高度に示差的に発現されること、2)膀胱がん患者では、AHR標的遺伝子の過剰発現は全生存率の不良と相関していることが見出されていること、3)15種の異なる腫瘍タイプにわたるAHR免疫組織化学腫瘍マイクロアレイ(TMA)分析により、膀胱がんは、最高レベルのAHRタンパク質発現量、および活動性AHRシグナル伝達の指標であるAHR核内局在化を有することが明らかになったことが見出されたこと、および4)cBioportalによって、膀胱がんの約7%~22%がAHR遺伝子増幅を内包することを含めた複数の理由のため、AHR阻害剤による処置に対する指標となり得る。
化合物Aは、経口投与される治療剤として開発された選択的AHRアンタゴニストである。化合物Aは、ヒトおよびげっ歯類の細胞系において、AHR活性を潜在的に阻害し(約35~150nMの最大半数阻害濃度[IC50])、他の受容体、輸送体およびキナーゼよりもAHRに対して非常に選択的である。ヒトT細胞アッセイでは、化合物Aは、活性化されたT細胞状態を誘導する。化合物Aは、CYP1A1およびインターロイキン(IL)-22遺伝子発現を阻害し、IL-2およびIL-9などの炎症誘発性サイトカインの増加をもたらす。
化合物Aの非臨床的安全性は、ラットおよびサルにおける28日間の優良試験所規範(GLP)検討を含めた、げっ歯類および非げっ歯類の種において、一連の薬理学的な単回用量および反復用量での毒性学検討において評価されている。ヒトへの潜在的関連性のこのような検討における注目すべき知見は、嘔吐、緩い糞便、脱水、体重減少、非腺性胃潰瘍形成および浮腫(ラット)、精巣上体腔における精細管変性およびデブリ(ラット)、最大で11%のQTc長期化(サル)および胸腺重量および皮質リンパ球の低下(サル)を含む。ラットにおける精巣の変化を除き、投与を停止して2週間後に、すべての変化が解決されたか、または解決に向かった。これらの検討からの非臨床的安全性評価は、ヒトにおける化合物Aの臨床評価を支持する。この検討に関する化合物Aの計画された初期用量は、化合物Aの非臨床安全性データの評価に基づいて、200mgを1日1回(QD)である。1日1回(QD)の、200mg、400mg、800mgおよび1200mgの用量が、重症な有害事象(SAE)を有さないヒト患者において試験されている。
したがって、一部の実施形態では、本発明は、患者において、膀胱がんなどのがんを処置するための方法であって、患者に、治療有効量の化合物Aまたは薬学的に許容されるその塩を投与するステップを含む方法を提供する。
したがって、一部の実施形態では、本発明は、患者において膀胱がんを処置するための方法であって、患者に、治療有効量の化合物Aまたは薬学的に許容されるその塩を投与するステップを含む方法を提供する。
一部の実施形態では、本発明は、患者において、膀胱がんなどのがんを処置するための方法であって、患者に、化合物Aの治療有効量の代謝産物、または薬学的に許容されるその塩もしくはそのプロドラッグを投与するステップを含む方法を提供する。
一部の実施形態では、本発明は、患者において固形腫瘍を処置するための方法であって、患者に、治療有効量の化合物Aまたは薬学的に許容されるその塩を投与するステップを含む方法を提供する。
実施形態では、本発明は、患者において固形腫瘍を処置するための方法であって、患者に、化合物Aの治療有効量の代謝産物、または薬学的に許容されるその塩もしくはそのプロドラッグを投与するステップを含む方法を提供する。
一部の実施形態では、本発明は、化合物Aまたは薬学的に許容されるその塩を含む、本明細書に記載される製剤および単位剤形を提供する。
2.定義
本明細書で使用される場合、用語「化合物A」とは、AHR阻害剤である、式:
Figure 2023503167000001
の(R)-N-(2-(5-フルオロピリジン-3-イル)-8-イソプロピルピラゾロ[1,5-a][1,3,5]トリアジン-4-イル)-2,3,4,9-テトラヒドロ-1H-カルバゾール-3-アミンを指す。一部の実施形態では、化合物Aまたは薬学的に許容されるその塩は、アモルファスである。一部の実施形態では、化合物Aまたは薬学的に許容されるその塩は、結晶形で存在する。
本明細書で使用される場合、「化合物Aの代謝産物」とは、代謝後の化合物Aの中間体または最終生成物を指す。一部の実施形態では、化合物Aの代謝産物は、式:
Figure 2023503167000002
(化合物B)の化合物、または薬学的に許容されるその塩である。一部の実施形態では、化合物Aの代謝産物は、式:
Figure 2023503167000003
(化合物C)の化合物、または薬学的に許容されるその塩である。
本明細書で使用される場合、用語「そのプロドラッグ」とは、代謝後に、列挙されている化合物を生成する化合物を指す。一部の実施形態では、化合物Aの代謝産物のプロドラッグは、代謝後に化合物Aの代謝産物を生成する化合物である。一部の実施形態では、化合物Aの代謝産物のプロドラッグは、代謝後に化合物Bを生成する化合物、またはその薬学的に許容される塩である。一部の実施形態では、化合物Aの代謝産物のプロドラッグは、代謝後に化合物Cを生成する化合物、またはその薬学的に許容される塩である。
本明細書で使用される場合、用語「薬学的に許容される塩」とは、過度の毒性、刺激、アレルギー反応などがなく、ヒトおよび下等動物の組織に接触させて使用するのに好適であり、かつ妥当な利益/リスク比に見合う、妥当な医療的判断の範囲内にある塩を指す。薬学的に許容される塩は、当分野において周知である。例えば、S.M.Bergeらが、参照により本明細書に組み込まれている、J. Pharmaceutical Sciences, 1977, 66, 1-19に薬学的に許容される塩を詳細に記載している。本発明の化合物の薬学的に許容される塩は、好適な無機酸および有機酸、ならびに無機塩基および有機塩基から誘導されるものを含む。薬学的に許容される非毒性の酸付加塩の例は、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸および過塩素酸などの無機酸、または酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸もしくはマロン酸などの有機酸と共に形成される、またはイオン交換などの当分野において使用されている他の方法を使用することによる、アミノ基の塩である。他の薬学的に許容される塩には、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、硫酸水素塩、ホウ酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、カンファースルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、二グルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩(pectinate)、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩などが含まれる。
適切な塩基から誘導される塩には、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムおよびN(C1~4アルキル)の塩が含まれる。代表的なアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩には、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどが含まれる。さらに薬学的に許容される塩には、適切な場合、非毒性のアンモニウム、第四級アンモニウム、およびハロゲン化物イオン、水酸化物イオン、カルボン酸イオン、硫酸イオン、リン酸イオン、硝酸イオン、低級アルキルスルホン酸イオンおよびアリールスルホン酸イオンなどの対イオンを使用して形成されるアミン陽イオンが含まれる。
特に明記しない限り、本明細書において図示されている構造は、該構造のすべての異性(例えば、鏡像異性、ジアステレオマーおよび幾何異性(または立体構造))体、例えば、各不斉中心に関してRおよびS立体配置、ZおよびE二重結合異性体、ならびにZおよびE立体配座異性体を含むことがやはり意図されている。したがって、本化合物の単一立体化学異性体、ならびに鏡像異性体、ジアステレオマーおよび幾何異性体(または立体構造体)の混合物が、本発明の範囲内にある。特に明記しない限り、本発明の化合物のすべての互変異性体が、本発明の範囲内にある。さらに、特に明記しない限り、本明細書において図示されている構造は、1種または複数種の同位体に富む原子が存在することしか違いのない化合物も含まれることがやはり意図される。例えば、重水素もしくはトリチウムによる水素の置き換え、または13Cもしくは14Cに富む炭素による炭素の置き換えを含めた本構造を有する化合物が、本発明の範囲内にある。このような化合物は、例えば、分析用ツールとして、生物学的アッセイにおけるプローブとして、または本発明による治療剤として有用である。
本明細書で使用される場合、用語「約」または「ほぼ」は、所与の値または範囲の20%以内にある意味を有する。一部の実施形態では、用語「約」は、所与の値の20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%または1%の範囲内にあることを指す。
3.例示的な方法および使用の説明
一部の実施形態では、本発明は、患者において、膀胱がんなどのがんを処置するための方法であって、患者に、治療有効量の化合物Aまたは薬学的に許容されるその塩を投与するステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、膀胱がんは尿路上皮癌である。
一部の実施形態では、本発明は、患者において膀胱がんを処置するための方法であって、患者に、治療有効量の化合物Aまたは薬学的に許容されるその塩を投与するステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、膀胱がんは尿路上皮癌である。
一部の実施形態では、本発明は、患者において膀胱がんを処置するための方法であって、患者に、化合物Aの治療有効量の代謝産物、または薬学的に許容されるその塩もしくはそのプロドラッグを投与するステップを含む方法を提供する。
一部の実施形態では、本発明は、患者において膀胱がんを処置するための方法であって、患者に、治療有効量の化合物B、または薬学的に許容されるその塩もしくはそのプロドラッグを投与するステップを含む方法を提供する。
一部の実施形態では、本発明は、患者において膀胱がんを処置するための方法であって、患者に、治療有効量の化合物C、または薬学的に許容されるその塩もしくはそのプロドラッグを投与するステップを含む方法を提供する。
一部の実施形態では、本発明は、患者において固形腫瘍を処置するための方法であって、患者に、治療有効量の化合物Aまたは薬学的に許容されるその塩を投与するステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、固形腫瘍は、局所進行性または転移性固形腫瘍である。一部の実施形態では、固形腫瘍は、肉腫、癌腫またはリンパ腫である。
一部の実施形態では、本発明は、患者において固形腫瘍を処置するための方法であって、患者に、化合物Aの治療有効量の代謝産物、または薬学的に許容されるその塩もしくはそのプロドラッグを投与するステップを含む方法を提供する。
一部の実施形態では、本発明は、患者において固形腫瘍を処置するための方法であって、患者に、治療有効量の化合物B、または薬学的に許容されるその塩もしくはそのプロドラッグを投与するステップを含む方法を提供する。
一部の実施形態では、本発明は、患者において固形腫瘍を処置するための方法であって、患者に、治療有効量の化合物C、または薬学的に許容されるその塩もしくはそのプロドラッグを投与するステップを含む方法を提供する。
一部の実施形態では、固形腫瘍は、局所進行性または転移性固形腫瘍である。一部の実施形態では、固形腫瘍は、肉腫、癌腫またはリンパ腫である。
一部の実施形態では、本発明は、患者に治療有効量の化合物A、または薬学的に許容されるその塩、それらの代謝産物を投与するステップを含む、患者においてがんを処置するための方法であって、がんが、尿路上皮癌;頭頚部扁平上皮癌;黒色腫;卵巣がん;腎細胞癌;子宮頚がん;胃腸管/胃(GIST)がん;非小細胞肺がん(NSCLC);急性骨髄性白血病(AML);および食道がんから選択される、方法を提供する。
一部の実施形態では、本発明は、患者に治療有効量の化合物B、または薬学的に許容されるその塩もしくはそのプロドラッグを投与するステップを含む、患者においてがんを処置するための方法であって、がんが、尿路上皮癌;頭頚部扁平上皮癌;黒色腫;卵巣がん;腎細胞癌;子宮頚がん;胃腸管/胃(GIST)がん;非小細胞肺がん(NSCLC);急性骨髄性白血病(AML);および食道がんから選択される、方法を提供する。
一部の実施形態では、本発明は、患者に治療有効量の化合物C、または薬学的に許容されるその塩もしくはそのプロドラッグを投与するステップを含む、患者においてがんを処置するための方法であって、がんが、尿路上皮癌;頭頚部扁平上皮癌;黒色腫;卵巣がん;腎細胞癌;子宮頚がん;胃腸管/胃(GIST)がん;非小細胞肺がん(NSCLC);急性骨髄性白血病(AML);および食道がんから選択される、方法を提供する。
一部の実施形態では、がんは、尿路上皮癌である。一部の実施形態では、尿路上皮癌は、膀胱がんである。一部の実施形態では、尿路上皮癌は、移行上皮癌である。
一部の実施形態では、がんは、頭頚部扁平上皮癌である。
一部の実施形態では、がんは、黒色腫である。一部の実施形態では、黒色腫は、ぶどう膜黒色腫である。
一部の実施形態では、がんは卵巣がんである。一部の実施形態では、卵巣がんは、卵巣がんの漿液性サブタイプである。
一部の実施形態では、がんは、腎細胞癌である。一部の実施形態では、腎細胞癌は、明細胞型腎細胞癌サブタイプである。
一部の実施形態では、がんは子宮頚がんである。
一部の実施形態では、がんは、胃腸管/胃(GIST)がんである。一部の実施形態では、がんは、胃がんである。
一部の実施形態では、がんは、非小細胞肺がん(NSCLC)である。一部の実施形態では、MSCLCは、進行性および/または転移性NSCLCである。
一部の実施形態では、がんは、食道がんである。
本明細書において提供される方法の一部の実施形態では、本方法は、患者に、約200~1600mgの化合物Aまたは薬学的に許容されるその塩を毎日、投与するステップを含む。
本明細書で使用される場合、用語「処置(treatment)」、「処置する(treat)」および「処置すること(treating)」とは、本明細書に記載される通り、疾患もしくは障害、または1つもしくは複数のそれらの症状を反転させる、軽減する、それらの発病を遅延させる、またはそれらの進行を阻害することを指す。一部の実施形態では、処置は、1つまたは複数の症状が発症した後に行われてもよい。他の実施形態では、処置は、症状の非存在下で行われてもよい。例えば、処置は、症状の発病前に、感受性の高い個体に行われてもよい(例えば、症状歴に照らし合わせる、および/または遺伝的もしくは他の感受性因子に照らし合わせる)。処置はまた、症状が解決した後に、例えば、その再発を予防または遅延させるために、継続されてもよい。
本明細書で使用される場合、「予防を必要とする」、「処置を必要とする」または「それを必要とする」患者または対象は、適切な医療実践者(例えば、ヒトの場合、医師、看護師またはナースプラクティショナー;非ヒト哺乳動物の場合、獣医師)の判断によって、所与の処置または治療から妥当な利益を受けるヒトを指す。
「治療有効量」または「治療的に有効な投与量」の、化合物Aなどの薬物または治療剤とは、単独でまたは別の治療剤と組み合わせて使用した場合に、がんなどの疾患の発病から患者または対象を保護する薬物の任意の量、または疾患症状の重症度の低下、疾患無症状期間の頻度および期間の増大、または疾患罹患による損傷もしくは障害の予防によって証明される疾患の後退を促進する薬物の任意の量のことである。治療剤が疾患後退を促進する能力は、臨床試験の間のヒト対象などにおいて、熟練実践者に公知の様々な方法を使用して、ヒトでの有効性を予測する動物モデルシステムにおいて、またはin vitroアッセイにおける薬剤の活性をアッセイすることによって評価することができる。
好ましい実施形態では、化合物Aなどの薬物の治療有効量は、がんをなくす点までがんの後退を促進する。用語「がんの後退を促進する」は、有効量の薬物を単独でまたは抗新生物剤と組み合わせて投与すると、腫瘍成長またはサイズの低下、腫瘍の壊死、少なくとも1つの疾患症状の重症度の低下、疾患無症状期間の頻度および期間の増大、または疾患罹患による損傷もしくは障害の予防をもたらすことを意味する。さらに、処置に関連する用語「有効な」および「有効性」は、薬理学的有効性および生理的安全性の両方を含む。薬理学的有効性とは、薬物が患者におけるがんの後退を促進する能力を指す。生理的安全性とは、薬物の投与に起因する、毒性のレベル、または細胞、臓器および/もしくは生物のレベルでの他の有害生理的作用(有害作用)を指す。
本明細書で使用される場合、用語「治療利益」または「治療法から利益を得る」とは、全生存、無増悪生存、部分奏効、完全奏効および全奏効率のうちの1つまたは複数の改善を指し、がんもしくは腫瘍の成長またはサイズの低下、疾患症状の重症度の低下、疾患無症状期間の頻度および期間の増大、または疾患罹患による損傷もしくは障害の予防をやはり含むことができる。
用語「患者」は、本明細書で使用される場合、動物、好ましくは哺乳動物、および最も好ましくはヒトを意味する。
用語「対象」とは、本明細書で使用される場合、用語「患者」と同じ意味を有する。
一部の実施形態では、患者は、18歳またはそれより上である。
一部の実施形態では、患者は、組織学的に確認された固形腫瘍を有する患者であって、処置医師によって適切と考えられたすべての標準治療中にもしくはその後に進行した局所再発性または転移性疾患を有する、あるいは標準処置の候補者ではない、上記の患者である。
一部の実施形態では、患者は、尿路上皮癌および尿路上皮癌の組織学的確認を有し、ならびに/または処置医師によって適切と考えられたすべての標準治療(例えば、白金含有レジメンおよびチェックポイント阻害剤を含む)中にもしくはその後に進行した切除不能な局所再発性もしくは転移性疾患を有し、あるいは標準処置の候補者ではない。
一部の実施形態では、患者は、尿路上皮癌を有し、尿路上皮癌の組織学的確認を有し、ならびに、処置医師によって適切と考えられたすべての標準治療(例えば、白金含有レジメンおよびチェックポイント阻害剤を含む)中にまたはその後に進行した切除不能な局所再発性または転移性疾患を有し、あるいは標準処置の候補者ではない。
一部の実施形態では、患者は、いくつかの様々な過去の処置レジメンを受けている。一部の実施形態では、患者は、現場の治療責任医師/放射線学によって評価される、RECIST v1.1により測定可能な疾患を有する。一部の実施形態では、以前に放射線照射した領域に位置する病変は、このような病変において進行していることが実証された場合、測定可能と見なされる。
一部の実施形態では、患者は、複数のコア生検に対して安全に利用可能になり得る腫瘍を有する。一部の実施形態では、患者は、2週間、全身性細胞傷害性化学療法を受けていない。一部の実施形態では、患者は、6週間、全身性ニトロソ尿素または全身性マイトマイシン-Cを受けていない。一部の実施形態では、患者は、3週間、生物学的治療法(例えば、抗体)を受けていない。
一部の実施形態では、患者は、本明細書に記載される製剤および単位剤形の投与前の7日以内に測定された絶対好中球数(ANC)が≧1500/μLを有する。一部の実施形態では、患者は、本明細書に記載される製剤および単位剤形の投与前の7日以内に測定されたヘモグロビンが>8g/dLを有する。一部の実施形態では、患者は、本明細書に記載される製剤および単位剤形の投与前の7日以内に測定された血小板数が>80,000/μLを有する。一部の実施形態では、患者は、本明細書に記載される製剤および単位剤形の投与前の7日以内に測定された血清クレアチニンが≦1.5×正常上限(ULN)、またはクレアチニンレベルが>1.5×施設ULN(Cockcroft-Gault式を使用)を有する患者の場合、クレアチニンクリアランスが≧50mL/分を有する。一部の実施形態では、患者は、本明細書に記載される製剤および単位剤形の投与前の7日以内に測定された血清総ビリルビンが≦1.5×ULN、または総ビリルビンレベルが>1.5×ULNを有する患者の場合、直接的なビリルビンが≦ULNを有する。一部の実施形態では、患者は、本明細書に記載される製剤および単位剤形の投与前の7日以内に測定された、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)およびアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)が≦2.5×ULN(または、肝臓の腫瘍転移が存在する場合、≦5×ULN)を有する。一部の実施形態では、患者は、PTまたはaPTTが、抗血液凝固剤の所期使用の治療範囲内にある限り、対象が、抗凝固療法を受けていない場合、本明細書に記載される製剤および単位剤形の投与前の7日以内に測定された、凝固:≦1.5×ULNを有する。
一部の実施形態では、患者は、臨床的に不安定な中枢神経系(CNS)腫瘍または脳転移を有していない(誤解を回避するため、患者は、安定なおよび/または無症候性のCNS腫瘍転移を有し得る)。一部の実施形態では、患者は、以前の治療のために、すべてのAEから≦グレード1またはベースラインにまで回復していない患者ではない。一部の実施形態では、患者は、≦グレード2の神経障害を有する。一部の実施形態では、患者は、疾患修飾剤、コルチコステロイドまたは免疫抑制薬を使用して過去2年間に、全身性処置を必要とする、活動中の自己免疫疾患を有する患者ではない(誤解を回避するため、患者は、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)を使用していてもよい)。
一部の実施形態では、患者は、本処置前の2週間以内に、コルチコステロイド(毎日、>10mgのプレドニゾンに相当)または他の免疫抑制薬による連続的な全身性処置を必要とする何らかの状態を有する患者ではない(一部の実施形態では、活動性の臨床的に深刻な[すなわち、重症な]自己免疫疾患の非存在下では、1日あたり最大で10mgのプレドニゾン相当の吸入または局所ステロイドおよび生理学的補充量が患者に許される)。一部の実施形態では、患者は、緩和のために許可された病変(処置後の非標的病変と見なされる)の局所照射およびホルモン除去を除く、任意の他の同時抗新生物剤処置を有する患者ではない。一部の実施形態では、患者は、制御されていないまたは生命を脅かす症候性合併症(公知の症候性ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、症候性活動中のB型もしくはC型肝炎、または活動中の結核を含む)を有する患者ではない。一部の実施形態では、患者は、現在の処置の3週間以内の大きな手術を受けた患者でも、現在の処置の前の手術の合併症からの不十分な治癒または回復を有する患者でもない。一部の実施形態では、患者は、現在の処置の2週間以内に、前もって放射線治療を受けた患者ではない。一部の実施形態では、患者は、放射線に関連する毒性から回復し、コルチコステロイドを必要とせず、放射線による肺臓炎を有していない対象とすることができる。一部の実施形態では、非CNS疾患への緩和的放射線[≦2週間の放射線治療]のために、1週間のウォッシュアウトが許可される。一部の実施形態では、患者は、以前にAHR阻害剤処置を受けた患者ではない。一部の実施形態では、患者は、最近の3年以内に、全身性処置を必要とする、潜在的に生命を脅かす第2の悪性腫瘍を有する患者ではない。一部の実施形態では、患者は、化合物Aの吸収を有意に低下させることになる、経口摂取を制限する医療的問題、または胃腸管機能の損傷を有する患者ではない。
一部の実施形態では、患者は、臨床的に深刻な(すなわち、活動性)心血管疾患:脳血管事故/脳卒中(現在の処置の<6か月前)、心筋梗塞(現在の処置の<6か月前)、不安定狭心症、うっ血性心不全(≧ニューヨーク心臓協会分類クラスII)、あるいは薬品を必要とする任意の新しい不安定なもしくは深刻な不整脈、または検討時にECGの解釈を妨げる恐れのある他のベースライン不整脈(例えば、脚ブロック)を含めた、催不整脈リスクを高める恐れのある任意の状態(例えば、低カリウム血症、徐脈、心臓ブロック)の存在を有する患者ではない。
一部の実施形態では、患者は、スクリーニングECG時に、QTcFが男性の場合、>450msec、および女性の場合、>470msecを有していない。一部の実施形態では、患者は、QTcFが>450msecを有する脚ブロックを有していない。一部の実施形態では、QTcFの既知の延長を伴う安定した用量の併用薬(例えば、選択的セロトニン再取り込み阻害剤である抗うつ薬)を服用している男性患者は、QTcFが>470mseを有していない。
一部の実施形態では、患者は、現在の処置の間に、強力なCYP3A阻害剤を同時に使用していない。一部の実施形態では、強力なCYP3A阻害剤は、アプレピタント、クラリスロマイシン、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ネファゾドン、ポサコナゾール、テリスロマイシン、ベラパミルおよびボリコナゾールからなる群から選択される。
一部の実施形態では、患者は、現在の処置の間に、強力なCYP3A誘発因子を同時に使用していない。一部の実施形態では、強力なCYP3A誘発因子は、フェニトイン、リファンピン、カルバムアゼピン、セイヨウオトギリ、ボセンタン、モダフィニルおよびナフシリンからなる群から選択される。
一部の実施形態では、患者が、現在の処置の前に≧5の半減期以内に他の薬品に移行することができない限り、強力なCYP3A4/5阻害剤を服用しない。
一部の実施形態では、患者は、CYP3A4/5、CYP2C8、CYP2C9、CYP2B6のみを介して代謝される、またはこれらの感受性の高い基質であり、かつ狭い治療域を有する併用薬を服用しない。一部の実施形態では、CYP3A4/5、CYP2C8、CYP2C9、CYP2B6のみを介して代謝される、またはこれらの感受性の高い基質であり、かつ狭い治療域を有する薬品は、レパグリニド、ワルファリン、フェニトイン、アルフェンタニル、シクロスポリン、ジエルゴタミン、エルゴタミン、フェンタニル、ピモジド、キニジン、シロリムス、エファビレンツ、ブプロピオン、ケタミン、メタドン、プロポフォール、トラマドールおよびタクロリムスからなる群から選択される。
一部の実施形態では、患者は、p-グリコタンパク質または乳がん耐性タンパク質(BCRP)輸送体の基質であり、かつ狭い治療域を有する併用薬を服用しない。一部の実施形態では、p-グリコタンパク質または乳がん耐性タンパク質(BCRP)輸送体の基質であり、かつ狭い治療域を有する薬品は、ダビガトラン、ジゴキシン、フェキソフェナジン(e)、ロスバスタチンおよびスルファサラジンからなる群から選択される。
一部の実施形態では、患者は、全身療法を必要とする活動性感染を有していない。一部の実施形態では、患者は、現在の処置前に、妊娠検査に陽性な、妊娠可能な女性(woman of child-bearing potential:WOCBP)ではない。一部の実施形態では、患者は、現在の処置の計画期間内に、授乳していないか、または子供を妊娠するまたは父親になることが予期されない。
一部の実施形態では、本発明の方法は、本明細書に記載される製剤を経口投与するステップを含む。一部の実施形態では、本発明の方法は、本明細書に記載される単位剤形を投与するステップを含む。一部の実施形態では、本発明の方法は、本明細書に記載される製剤または単位剤形を患者に毎日、投与するステップを含む。
一部の実施形態では、本発明の方法は、患者に、約100~2000mgの化合物Aまたは薬学的に許容されるその塩を毎日、投与するステップを含む。一部の実施形態では、本発明の方法は、患者に、約150~1800mgの化合物Aまたは薬学的に許容されるその塩を毎日、投与するステップを含む。一部の実施形態では、本発明の方法は、患者に、約200~1600mgの化合物Aまたは薬学的に許容されるその塩を毎日、投与するステップを含む。一部の実施形態では、本発明の方法は、患者に、約200mgの化合物Aまたは薬学的に許容されるその塩を毎日、投与するステップを含む。一部の実施形態では、本発明の方法は、患者に、約400mgの化合物Aまたは薬学的に許容されるその塩を毎日、投与するステップを含む。一部の実施形態では、本発明の方法は、患者に、約600mgの化合物Aまたは薬学的に許容されるその塩を毎日、投与するステップを含む。一部の実施形態では、本発明の方法は、患者に、約800mgの化合物Aまたは薬学的に許容されるその塩を毎日、投与するステップを含む。一部の実施形態では、本発明の方法は、患者に、約1200mgの化合物Aまたは薬学的に許容されるその塩を毎日、投与するステップを含む。一部の実施形態では、本発明の方法は、患者に、約1600mgの化合物Aまたは薬学的に許容されるその塩を毎日、投与するステップを含む。一部の実施形態では、本発明の方法は、本明細書に記載される製剤または単位剤形を1日1回、投与するステップを含む。一部の実施形態では、本発明の方法は、本明細書に記載される製剤または単位剤形を1日2回、投与するステップを含む。一部の実施形態では、本発明の方法は、本明細書に記載される製剤または単位剤形を1日3回、投与するステップを含む。一部の実施形態では、本発明の方法は、本明細書に記載される製剤または単位剤形を1日4回、投与するステップを含む。
一部の実施形態では、患者が、1日あたり約1200mgの化合物Aまたは薬学的に許容されるその塩の投与を受ける場合、投与は、1日2回つまりBID、すなわち約600mg用量を個別に2回となる。一部の実施形態では、患者が、1日あたり約1200mgの化合物Aまたは薬学的に許容されるその塩の投与を受ける場合、投与は、1日3回つまりTID、すなわち約400mg用量を個別に3回となる。一部の実施形態では、患者が、1日あたり約1200mgの化合物Aまたは薬学的に許容されるその塩の投与を受ける場合、投与は、1日4回つまりQID、すなわち約300mg用量を個別に4回となる。
一部の実施形態では、患者が、1日あたり約1600mgの化合物Aまたは薬学的に許容されるその塩の投与を受ける場合、投与は、1日2回つまりBID、すなわち約800mg用量を個別に2回となる。一部の実施形態では、患者が、1日あたり約1600mgの化合物Aまたは薬学的に許容されるその塩の投与を受ける場合、投与は、1日3回つまりTID、すなわち約533mg用量を個別に3回となる。一部の実施形態では、患者が、1日あたり約1600mgの化合物Aまたは薬学的に許容されるその塩の投与を受ける場合、投与は、1日4回つまりQID、すなわち約400mg用量を個別に4回となる。
一部の実施形態では、本発明の方法は、本明細書に記載される製剤または単位剤形を投与するステップであって、2回の連続投与の間が約4~24時間となる、ステップを含む。一部の実施形態では、2回の連続投与の間が、約4、6、8、12、18または24時間である。
一部の実施形態では、本発明の方法は、患者に本明細書に記載される製剤または単位剤形を投与するステップであって、化合物Aの血漿中濃度が、約11,200ng/mLまたはそれ未満となる、ステップを含む。一部の実施形態では、本発明の方法は、患者に本明細書に記載される製剤または単位剤形を投与するステップであって、化合物Aの血漿中濃度が、約9,520ng/mLもしくはそれ未満、約8,400ng/mLもしくはそれ未満、または約7,280ng/mLもしくはそれ未満となる、ステップを含む。一部の実施形態では、本発明の方法は、患者に本明細書に記載される製剤または単位剤形を投与するステップであって、化合物Aの血漿中濃度が、約5,600ng/mLまたはそれ未満となる、ステップを含む。一部の実施形態では、本発明の方法は、患者に本明細書に記載される製剤または単位剤形を投与するステップであって、化合物Aの血漿中濃度が、約5,000ng/mLまたはそれ未満となる、ステップを含む。一部の実施形態では、本発明の方法は、患者に本明細書に記載される製剤または単位剤形を投与するステップであって、化合物Aの血漿中濃度が、約4,000ng/mLまたはそれ未満となる、ステップを含む。一部の実施形態では、本発明の方法は、患者に本明細書に記載される製剤または単位剤形を投与するステップであって、化合物Aの血漿中濃度が、約3,000ng/mLまたはそれ未満となる、ステップを含む。一部の実施形態では、本発明の方法は、患者に本明細書に記載される製剤または単位剤形を投与するステップであって、化合物Aの血漿中濃度が、約2500ng/mL、約2250ng/mL、約2000ng/mL、約1750ng/mL、約1500ng/mL、約1250ng/mL、約1000ng/mL、約750ng/mLまたは約500ng/mLとなる、ステップを含む。一部の実施形態では、本発明の方法は、患者に本明細書に記載される製剤または単位剤形を投与するステップであって、化合物Aの血漿中濃度が、約500ng/mLまたはそれ未満となる、ステップを含む。
一部の実施形態では、本発明の方法は、患者に本明細書に記載される製剤または単位剤形を投与するステップであって、化合物Aの血漿AUCが、約188,000ng*時/mLまたはそれ未満となる、ステップを含む。一部の実施形態では、本発明の方法は、患者に本明細書に記載される製剤または単位剤形を投与するステップであって、化合物Aの血漿AUCが、約159,800ng*時/mLもしくはそれ未満、約141,000ng*時/mLもしくはそれ未満、または約122,200ng*時/mLもしくはそれ未満となる、ステップを含む。一部の実施形態では、本発明の方法は、患者に本明細書に記載される製剤または単位剤形を投与するステップであって、化合物Aの血漿AUCが、約94,000ng*時/mLまたはそれ未満となる、ステップを含む。
一部の実施形態では、本発明の方法は、患者に、約100~2000mgの化合物Aの代謝産物、または薬学的に許容されるその塩もしくはそのプロドラッグを毎日、投与するステップを含む。一部の実施形態では、本発明の方法は、患者に、約150~1800mgの化合物Aの代謝産物、または薬学的に許容されるその塩もしくはそのプロドラッグを毎日、投与するステップを含む。一部の実施形態では、本発明の方法は、患者に、約200~1600mgの化合物Aの代謝産物、または薬学的に許容されるその塩もしくはそのプロドラッグを毎日、投与するステップを含む。
一部の実施形態では、本発明の方法は、患者に、約200mgの化合物Aの代謝産物、または薬学的に許容されるその塩もしくはそのプロドラッグを毎日、投与するステップを含む。一部の実施形態では、本発明の方法は、患者に、約400mgの化合物Aの代謝産物、または薬学的に許容されるその塩もしくはそのプロドラッグを毎日、投与するステップを含む。一部の実施形態では、本発明の方法は、患者に、約600mgの化合物Aの代謝産物、または薬学的に許容されるその塩もしくはそのプロドラッグを毎日、投与するステップを含む。一部の実施形態では、本発明の方法は、患者に、約800mgの化合物Aの代謝産物、または薬学的に許容されるその塩もしくはそのプロドラッグを毎日、投与するステップを含む。一部の実施形態では、本発明の方法は、患者に、約1000mgの化合物Aの代謝産物、または薬学的に許容されるその塩もしくはそのプロドラッグを毎日、投与するステップを含む。一部の実施形態では、本発明の方法は、患者に、約1200mgの化合物Aの代謝産物、または薬学的に許容されるその塩もしくはそのプロドラッグを毎日、投与するステップを含む。一部の実施形態では、本発明の方法は、患者に、約1600mgの化合物Aの代謝産物、または薬学的に許容されるその塩もしくはそのプロドラッグを毎日、投与するステップを含む。一部の実施形態では、本発明の方法は、化合物Aの代謝産物、または薬学的に許容されるその塩もしくはそのプロドラッグを含む製剤または単位剤形を1日1回、投与するステップを含む。一部の実施形態では、本発明の方法は、化合物Aの代謝産物、または薬学的に許容されるその塩もしくはそのプロドラッグを含む製剤または単位剤形を1日2回、投与するステップを含む。一部の実施形態では、本発明の方法は、化合物Aの代謝産物、または薬学的に許容されるその塩もしくはそのプロドラッグを含む製剤または単位剤形を1日3回、投与するステップを含む。一部の実施形態では、本発明の方法は、化合物Aの代謝産物、または薬学的に許容されるその塩もしくはそのプロドラッグを含む製剤または単位剤形を1日4回、投与するステップを含む。
一部の実施形態では、患者が、1日あたり約1200mgの化合物Aの代謝産物、または薬学的に許容されるその塩もしくはそのプロドラッグの投与を受ける場合、投与は、1日2回つまりBID、すなわち約600mg用量を個別に2回となる。一部の実施形態では、患者が、1日あたり約1200mgの化合物Aの代謝産物、または薬学的に許容されるその塩もしくはそのプロドラッグの投与を受ける場合、投与は、1日3回つまりTID、すなわち約400mg用量を個別に3回となる。一部の実施形態では、患者が、1日あたり約1200mgの化合物Aの代謝産物、または薬学的に許容されるその塩もしくはそのプロドラッグの投与を受ける場合、投与は、1日4回つまりQID、すなわち約300mg用量を個別に4回となる。
一部の実施形態では、患者が、1日あたり約1600mgの化合物Aの代謝産物、または薬学的に許容されるその塩もしくはそのプロドラッグの投与を受ける場合、投与は、1日2回つまりBID、すなわち約800mg用量を個別に2回となる。一部の実施形態では、患者が、1日あたり約1600mgの化合物Aの代謝産物、または薬学的に許容されるその塩もしくはそのプロドラッグの投与を受ける場合、投与は、1日3回つまりTID、すなわち約533mg用量を個別に3回となる。一部の実施形態では、患者が、1日あたり約1600mgの化合物Aの代謝産物、または薬学的に許容されるその塩もしくはそのプロドラッグの投与を受ける場合、投与は、1日4回つまりQID、すなわち約400mg用量を個別に4回となる。
一部の実施形態では、本発明の方法は、化合物Aの代謝産物、または薬学的に許容されるその塩もしくはそのプロドラッグを含む製剤または単位剤形を投与するステップであって、2回の連続投与の間が約4~24時間となる、ステップを含む。一部の実施形態では、化合物Aの代謝産物、または薬学的に許容されるその塩もしくはそのプロドラッグを含む製剤または単位剤形の2回の連続投与の間は、約4時間、約6時間、約8時間、約12時間、約18時間または約24時間ある。
一部の実施形態では、本発明は、膀胱がんなどの固形腫瘍および/またはがんを処置するための、化合物Aもしくは薬学的に許容されるその塩、またはそれらの製剤もしくは単位剤形の使用を提供する。一部の実施形態では、化合物Aまたは薬学的に許容されるその塩の製剤または単位剤形は、本明細書に記載される通りである。一部の実施形態では、本発明は、膀胱がんなどの固形腫瘍および/またはがんを処置するための、化合物Aの代謝産物、または薬学的に許容されるその塩もしくはそのプロドラッグの使用を提供する。一部の実施形態では、本発明は、がんの処置のための本明細書に記載される製剤または単位剤形の製造における、化合物Aの代謝産物、または薬学的に許容されるその塩もしくはそのプロドラッグの使用を提供する。一部の実施形態では、膀胱がんなどの固形腫瘍および/またはがんを有する患者は、本明細書に記載される通りである。
4.例示的な製剤および剤形の説明
一部の実施形態では、本発明は、化合物Aもしくは薬学的に許容されるその塩を含む製剤および/または単位剤形を提供する。一部の実施形態では、本発明の化合物Aの製剤は、化合物Aまたは薬学的に許容されるその塩を含む、噴霧乾燥中間体(spray dried intermediate:SDI)製剤である。一部の実施形態では、本発明の化合物Aの単位剤形は、化合物Aまたは薬学的に許容されるその塩を含む錠剤である。一部の実施形態では、本発明の錠剤は、即時放出(IR)錠剤である。
一部の実施形態では、本発明の錠剤は、化合物Aの遊離塩基を含む。一部の実施形態では、本発明のSDI製剤は、化合物Aの遊離塩基を含む。一部の実施形態では、化合物Aの遊離塩基は、アモルファスである。一部の実施形態では、化合物Aの遊離塩基は、結晶形で存在する。
一部の実施形態では、本発明の錠剤は、化合物Aの薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、本発明のSDI製剤は、化合物Aの薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、化合物Aの薬学的に許容される塩は、アモルファスである。一部の実施形態では、化合物Aの薬学的に許容される塩は、結晶形で存在する。
一部の実施形態では、本発明の錠剤は、化合物Aのヘミマレイン酸塩を含む。一部の実施形態では、本発明のSDI製剤は、化合物Aのヘミマレイン酸塩を含む。一部の実施形態では、化合物Aのヘミマレイン酸塩は、アモルファスである。一部の実施形態では、化合物Aのヘミマレイン酸塩は、結晶形で存在する。
一部の実施形態では、本発明の錠剤は、噴霧乾燥によって製造される、化合物Aまたは薬学的に許容されるその塩のアモルファス固体分散体を含む。一部の実施形態では、提供される本発明の分散体含有錠剤は、化合物Aの経口生体利用率を増強する。
一部の実施形態では、本発明の錠剤は、薬学的に許容されるポリマーを含む。一部の実施形態では、本発明のSDI製剤は、薬学的に許容されるポリマーを含む。一部の実施形態では、薬学的に許容されるポリマーは、ポリビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー(PVP-VA)である。一部の実施形態では、薬学的に許容されるポリマーは、ヒプロメロース(HPMC)である。一部の実施形態では、薬学的に許容されるポリマーは、ヒプロメロースフタレート(HPMCP-55)である。一部の実施形態では、薬学的に許容されるポリマーは、ヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステルMGグレード(HPMCAS-M)である。一部の実施形態では、薬学的に許容されるポリマーは、ヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステルLGグレード(HPMCAS-L)である。一部の実施形態では、薬学的に許容されるポリマーは、ビタミンE TPGS(TPGS)である。一部の実施形態では、薬学的に許容されるポリマーは、微結晶性セルロース(MCC)である。
一部の実施形態では、SDI製剤は、約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90または95重量%の化合物Aまたは薬学的に許容されるその塩を含む。一部の実施形態では、SDI製剤は、約10~75重量%の化合物Aまたは薬学的に許容されるその塩を含む。一部の実施形態では、SDI製剤は、約10~70、15~65、15~60、20~55、20~50、25~45または25~40重量%の化合物Aまたは薬学的に許容されるその塩を含む。
一部の実施形態では、SDI製剤は、約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90または95重量%の薬学的に許容されるポリマーを含む。一部の実施形態では、SDI製剤は、約5~95、10~90、15~85、20~85、25~85、30~80、35~80、40~80、45~75、50~75、55~75または60~75重量%の薬学的に許容されるポリマーを含む。一部の実施形態では、SDI製剤中の薬学的に許容されるポリマーは、PVP-VA、HPMC、HPMCP-55、HPMCAS-M、TPGSおよびHPMCAS-Lから選択される。一部の実施形態では、SDI製剤は、約60~75重量%のPVP-VA、HPMC、HPMCP-55、HPMCAS-MおよびHPMCAS-Lから選択される薬学的に許容されるポリマーを含む。一部の実施形態では、SDI製剤は、約5重量%のTPGSを含む。
一部の実施形態では、本発明は、約40:60(重量%)の化合物Aまたは薬学的に許容されるその塩:HPMCAS-Lを含む、SDI製剤を提供する。一部の実施形態では、本発明は、約25:75(重量%)の化合物Aまたは薬学的に許容されるその塩:HPMCAS-Lを含む、SDI製剤を提供する。
一部の実施形態では、本発明は、約40:60(重量%)の化合物Aまたは薬学的に許容されるその塩:HPMCAS-Mを含む、SDI製剤を提供する。一部の実施形態では、本発明は、約25:75(重量%)の化合物Aまたは薬学的に許容されるその塩:HPMCAS-Mを含む、SDI製剤を提供する。一部の実施形態では、本発明は、約40:60(重量%)の化合物Aの遊離塩基:HPMCAS-Mを含む、SDI製剤を提供する。
一部の実施形態では、本発明は、約40:60(重量%)の化合物Aまたは薬学的に許容されるその塩:PVP-VAを含む、SDI製剤を提供する。一部の実施形態では、本発明は、約25:75(重量%)の化合物Aまたは薬学的に許容されるその塩:PVP-VAを含む、SDI製剤を提供する。
一部の実施形態では、本発明は、約40:60(重量%)の化合物Aまたは薬学的に許容されるその塩:HPMCPを含む、SDI製剤を提供する。一部の実施形態では、本発明は、約25:75(重量%)の化合物Aまたは薬学的に許容されるその塩:HPMCPを含む、SDI製剤を提供する。
一部の実施形態では、本発明は、約40:60(重量%)の化合物Aまたは薬学的に許容されるその塩:HPMCを含む、SDI製剤を提供する。一部の実施形態では、本発明は、約25:75(重量%)の化合物Aまたは薬学的に許容されるその塩:HPMCを含む、SDI製剤を提供する。
一部の実施形態では、本発明は、約25:70:5(重量%)の化合物Aまたは薬学的に許容されるその塩:HPMCAS-L:Vit E TPGSを含む、SDI製剤を提供する。
一部の実施形態では、本発明は、約25:70:5(重量%)の化合物Aまたは薬学的に許容されるその塩:HPMCAS-M:Vit E TPGSを含む、SDI製剤を提供する。
一部の実施形態では、本発明は、約25:70:5(重量%)の化合物Aまたは薬学的に許容されるその塩:PVP-VA:Vit E TPGSを含む、SDI製剤を提供する。
一部の実施形態では、本発明のSDI製剤は、以下の実施例1に記載されるものから選択される。一部の実施形態では、本発明のSDI製剤は、表20~22、26、29および45に列挙されているものから選択される。一部の実施形態では、本発明のSDI製剤は、非沈降溶出において、表20に記載されるおおよその範囲のCmaxFaSSIF、C210および/またはAUC35-210FaSSIFを実現する。一部の実施形態では、本発明のSDI製剤は、高湿度条件において、表21に記載されるおおよその範囲のTgを実現する。一部の実施形態では、本発明のSDI製剤は、表22に記載される不純物プロファイルを実現する。一部の実施形態では、本発明のSDI製剤は、表26および29に記載されるものから選択される不純物プロファイルを有する、40:60重量%の化合物A:HPMCAS-Mである。一部の実施形態では、本発明のSDI製剤は、表45に記載される濃度およびAUCの範囲において、表45に列挙されているものから選択される。
一部の実施形態では、本発明は、表15に記載されるおおよそのDx値の粒子サイズ分布(PSD)を有する、化合物Aの遊離塩基またはヘミマレイン酸塩を提供する。一部の実施形態では、化合物Aの遊離塩基は、約8.27umのDx(10)となるPSDを有する。一部の実施形態では、化合物Aの遊離塩基は、約88.0umのDx(50)となるPSDを有する。一部の実施形態では、化合物Aの遊離塩基は、約245umのDx(90)となるPSDを有する。一部の実施形態では、化合物Aの遊離塩基は、約0.83umのDx(10)となるPSDを有する。一部の実施形態では、化合物Aの遊離塩基は、約3.3umのDx(50)となるPSDを有する。一部の実施形態では、化合物Aの遊離塩基は、約13.0umのDx(90)となるPSDを有する。一部の実施形態では、化合物Aのヘミマレイン酸塩は、約3.25umのDx(10)となるPSDを有する。一部の実施形態では、化合物Aのヘミマレイン酸塩は、約18.4umのDx(50)となるPSDを有する。一部の実施形態では、化合物Aのヘミマレイン酸塩は、約213.0umのDx(90)となるPSDを有する。一部の実施形態では、化合物Aのヘミマレイン酸塩は、約0.62umのDx(10)となるPSDを有する。一部の実施形態では、化合物Aのヘミマレイン酸塩は、約1.8umのDx(50)となるPSDを有する。一部の実施形態では、化合物Aのヘミマレイン酸塩は、約9.0umのDx(90)となるPSDを有する。
一部の実施形態では、本発明は、40:60w/w%の化合物A:HMPCAS-Mの噴霧乾燥分散体(SDD)を提供する。一部の実施形態では、40:60w/w%の化合物A:HMPCAS-M SDDは、レーザー回折によって測定すると、Dv10が約3.9umのPSDを有する。一部の実施形態では、40:60w/w%の化合物A:HMPCAS-M SDDは、レーザー回折によって測定すると、Dv50が約12.9umのPSDを有する。一部の実施形態では、40:60w/w%の化合物A:HMPCAS-M SDDは、レーザー回折によって測定すると、Dv90が約43.3umのPSDを有する。一部の実施形態では、40:60w/w%の化合物A:HMPCAS-M SDDは、レーザー回折によって測定すると、D[4,3]が約20.7umのPSDを有する。一部の実施形態では、40:60w/w%の化合物A:HMPCAS-M SDDは、熱分析(MDSC)によって測定すると、約99.3℃の平均Tgを有する。
一部の実施形態では、本発明の錠剤は、本発明のSDI製剤、および薬学的に許容される賦形剤または担体を含む。一部の実施形態では、本発明の錠剤は、約25~85重量%の本発明のSDI製剤を含む。一部の実施形態では、本発明の錠剤は、約25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80または85重量%の本発明のSDI製剤を含む。一部の実施形態では、本発明の錠剤は、約30~80、35~75、40~70、45~70、50~65または55~65重量%の本発明のSDI製剤を含む。
一部の実施形態では、本発明の錠剤は、約5~30重量%のMCCを含む。一部の実施形態では、本発明の錠剤は、約5、10、15、20、25または30重量%のMCCを含む。一部の実施形態では、本発明の錠剤は、約10~25重量%または10~20重量%のMCCを含む。一部の実施形態では、本発明の錠剤は、約11.5、15.5、16.5、19.5または20.5重量%のMCCを含む。
一部の実施形態では、本発明の錠剤は、充填剤を含む。一部の実施形態では、充填剤は、マンニトールおよびラクトース、またはそれらの水和物から選択される。一部の実施形態では、充填剤は、ラクトース一水和物である。一部の実施形態では、錠剤は、約10~25重量%の充填剤を含む。一部の実施形態では、錠剤は、約10、15、20または25重量%の充填剤を含む。一部の実施形態では、錠剤は、約15~20重量%の充填剤を含む。一部の実施形態では、錠剤は、約15.5、16.5、19.5または20.5重量%の充填剤を含む。
一部の実施形態では、本発明の錠剤は、崩壊剤を含む。一部の実施形態では、崩壊剤は、クロスカルメロースナトリウム(Ac-Di-Sol)である。一部の実施形態では、錠剤は、約0.5~10重量%の崩壊剤を含む。一部の実施形態では、錠剤は、約0.5、2、4、6、8または10重量%の崩壊剤を含む。一部の実施形態では、錠剤は、約0.5~4重量%の崩壊剤を含む。一部の実施形態では、錠剤は、約1、2または4重量%の崩壊剤を含む。
一部の実施形態では、本発明の錠剤は、増粘剤を含む。一部の実施形態では、増粘剤は、Cab-O-Silである。一部の実施形態では、錠剤は、約0.5~5重量%の増粘剤を含む。一部の実施形態では、錠剤は、約0.5、1、1.5、2、3、4または5重量%の増粘剤を含む。一部の実施形態では、錠剤は、約0.5~1.5重量%の増粘剤を含む。一部の実施形態では、錠剤は、約2重量%の増粘剤を含む。
一部の実施形態では、本発明の錠剤は、フマル酸ステアリルナトリウムを含む。一部の実施形態では、錠剤は、約0.5~5重量%のフマル酸ステアリルナトリウムを含む。一部の実施形態では、錠剤は、約0.5、1、1.5、2、3、4または5重量%のフマル酸ステアリルナトリウムを含む。一部の実施形態では、錠剤は、約0.5~1.5重量%のフマル酸ステアリルナトリウムを含む。一部の実施形態では、錠剤は、約1重量%のフマル酸ステアリルナトリウムを含む。
一部の実施形態では、本発明の錠剤は、結合剤を含む。一部の実施形態では、結合剤は、HPC Nisso SSL SFPである。一部の実施形態では、錠剤は、約0.5~8重量%の結合剤を含む。一部の実施形態では、錠剤は、約0.5、1、1.5、2、3、4、5、6、7または8重量%の結合剤を含む。一部の実施形態では、錠剤は、約3~5重量%の結合剤を含む。一部の実施形態では、錠剤は、約4重量%の結合剤を含む。
一部の実施形態では、本発明は、沈降溶出試験において、約10分間で全放出を有するIR錠剤を提供する。沈降溶出試験の一例は、本明細書に記載される。一部の実施形態では、本発明のIR錠剤は、沈降溶出試験において、約9、8、7、6または5分間で全放出を有する。一部の実施形態では、本発明のIR錠剤は、沈降溶出試験において、約4分間で全放出を有する。一部の実施形態では、本発明のIR錠剤は、沈降溶出試験において、約3分間で全放出を有する。一部の実施形態では、本発明のIR錠剤は、沈降溶出試験において、約2分間で全放出を有する。一部の実施形態では、本発明のIR錠剤は、沈降溶出試験において、約1分間で全放出を有する。
一部の実施形態では、本発明の錠剤は、以下に限定されないが、結合剤、充填剤、希釈剤、崩壊剤、湿潤剤、滑沢剤、流動促進剤、着色剤、色素-移動阻害剤、甘味剤、着香剤、乳化剤、懸濁化剤および分散剤、保存剤、溶媒、非水性液体、有機酸および二酸化炭素源を含む、1種もしくは複数種の薬学的に許容される賦形剤または担体を含む。一部の実施形態では、本発明のIR錠剤は、以下に限定されないが、デンプン、糖、微結晶性セルロース、希釈剤、造粒剤、滑沢剤、結合剤および崩壊剤を含む、1種もしくは複数種の薬学的に許容される賦形剤または担体を含む。一部の物質が、医薬組成物において1つ超の目的を果たすことが当業者によって理解される。例えば、一部の物質は、圧縮後に錠剤を一緒に保持する一助となる結合剤となるが、錠剤が一旦、目標送達部位に到達すると、錠剤がばらばらに崩れる一助となる崩壊剤にもなる。使用する賦形剤の選択および量の選択は、経験および標準手順の考慮および当分野において利用可能な参考文献に基づいて、製剤科学者によって容易に決定することができる。
ある特定の実施形態では、本発明の錠剤は、標準的な当分野において認識されている錠剤加工手順および装置を使用して製造される。ある特定の実施形態では、錠剤を形成するための方法は、本明細書において提供される固体形態を単独で、あるいは例えば担体、添加物、ポリマーなどの1種もしくは複数種の賦形剤または担体と組み合わせて含む、粉末の結晶組成物および/または粒状組成物の直接圧縮である。ある特定の実施形態では、直接圧縮の代替として、本錠剤は、湿式造粒法または乾式造粒法を使用して調製することができる。ある特定の実施形態では、錠剤は、湿っているか、またはそうではない場合、加工しやすい物質から始め、圧縮するよりもむしろ、鋳型成形される。ある特定の実施形態では、圧縮および造粒技法が使用される。一部の実施形態では、本発明の錠剤は、以下の実施例1に記載されるプロセスを使用して製造される。
好適な結合剤には、以下に限定されないが、とりわけ、デンプン(バレイショデンプン、トウモロコシデンプンおよびアルファ化デンプンを含む)、ゼラチン、糖(スクロース、グルコース、デキストロースおよびラクトースを含む)、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ワックス、ならびに天然および合成ガム、例えば、アカシア、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン(PVP)、セルロースポリマー(ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、カルボキシメチルセルロースなどを含む)、veegum、カルボマー(例えば、carbopol)、ナトリウム、デキストリン、グアーガム、水素化植物油、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、マルトデキストリン、ポリメタクリレート、ポビドン(例えば、KOLLIDON、PLASDONE)、微結晶性セルロースが含まれる。結合剤にはまた、例えば、アカシア、寒天、アルギン酸、カルボマー(cabomer)、カラゲナン、酢酸フタル酸セルロース、セラトニア、キトサン、粉砂糖、コポビドン、デクストレート、デキストリン、デキストロース、エチルセルロース、ゼラチン、ベヘン酸グリセリル、グアーガム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルデンプン、ヒプロメロース、イヌリン、ラクトース、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、マルトデキストリン、マルトース、メチルセルロース、ポロキサマー、ポリカルボフィル、ポリデキストロース、ポリエチレンオキシド、ポリメチルアクリレート、ポビドン、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デンプン、アルファ化デンプン、ステアリン酸、スクロースおよびゼインが含まれる。
微結晶性セルロースの好適な形態には、以下に限定されないが、AVICEL-PH-101、AVICEL-PH-103 AVICEL RC-581、AVICEL-PH-105(FMC Corporation、Marcus Hook、Pa.)およびそれらの混合物として販売されている物質を含む。ある実施形態では、具体的な結合剤は、AVICEL RC-581として販売されている、微結晶性セルロースおよびカルボキシメチルセルロースナトリウムの混合物である。好適な無水もしくは低水分賦形剤または添加物は、AVICEL-PH-103(商標)およびデンプン1500LMを含む。
好適な充填剤には、以下に限定されないが、タルク、炭酸カルシウム(例えば、粒状または粉末)、微結晶性セルロース、粉末セルロース、デクストレート、カオリン、マンニトール、ケイ酸、ソルビトール、デンプン、アルファ化デンプンおよびそれらの混合物が含まれる。
ある特定の実施形態では、本発明の錠剤は、1種または複数種の希釈剤を含む。好適な希釈剤には、とりわけ、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、ラクトース、セルロース、カオリン、マンニトール、塩化ナトリウム、乾燥デンプン、微結晶性セルロース(例えば、AVICEL)、マイクロファインセルロース、アルファ化デンプン、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、糖、デクストレート、デキストリン、デキストロース、リン酸水素カルシウム二水和物、第三リン酸カルシウム、カオリン、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、マルトデキストリン、マンニトール、ポリメタクリレート(例えば、EUDRAGIT)、塩化カリウム、塩化ナトリウム、ソルビトールおよびタルクが含まれる。希釈剤にはまた、例えば、アルギン酸アンモニウム、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、酢酸セルロース、圧縮糖、粉砂糖、デクストレート、デキストリン、デキストロース、エリスリトール、エチルセルロース、フルクトース、フマル酸、パルミトステアリン酸グリセリル、イソマルト、カオリン、ラクチトール(lacitol)、ラクトース、マンニトール、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、マルトデキストリン、マルトース、中鎖トリグリセリド、微結晶性セルロース、微結晶性シリコン化セルロース、粉末セルロース、ポリデキストロース、ポリメチルアクリレート、シメチコン、アルギン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ソルビトール、デンプン、アルファ化デンプン、スクロース、スルホブチルエーテル-ベータ-シクロデキストリン、タルク、トラガカント、トレハロースおよびキシリトールが含まれる。
好適な崩壊剤には、以下に限定されないが、寒天;ベントナイト;メチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースなどのセルロース;木材製品;海綿;陽イオン交換樹脂;アルギン酸;グアーガムおよびVeegum HVなどのガム;柑橘搾りかす;クロスカルメロースなどの架橋セルロース;クロスポビドンなどの架橋ポリマー;架橋デンプン;炭酸カルシウム;デンプングリコール酸ナトリウムなどの微結晶性セルロース;ポラクリリンカリウム;トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、タピオカデンプンおよびアルファ化デンプンなどのデンプン;クレイ;アライン(align);およびそれらの混合物が含まれる。
一部の実施形態では、本発明の錠剤は、1種または複数種の滑沢剤を含む。好適な滑沢剤には、以下に限定されないが、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、鉱物油、軽質鉱物油、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、ポリエチレングリコール、他のグリコール、ステアリン酸、ラウリル硫酸ナトリウム、タルク、水素化植物油(例えば、ピーナッツ油、綿実油、ヒマワリ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油およびダイズ油)、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸エチル、ラウリン酸エチル、寒天およびそれらの混合物が含まれる。さらなる滑沢剤には、例えば、syloidシリカゲル(AEROSIL200、W.R.Grace Co.(Baltimore、Md.)により製造)、合成シリカの凝固エアロゾル(Degussa Co.(Plano、Tex.)によって上市)、CAB-O-SIL(Cabot Co.(Boston、Mass.)により販売されている発熱性二酸化ケイ素製品)およびそれらの混合物が含まれる。
一部の実施形態では、本発明の錠剤は、1種または複数種の流動促進剤を含む。好適な流動促進剤には、以下に限定されないが、コロイド状二酸化ケイ素(CAB-O-SIL)およびアスベスト不含タルクが含まれる。
一部の実施形態では、本発明の錠剤は、1種または複数種の着色剤を含む。好適な着色剤には、以下に限定されないが、承認されている保証された水溶性FD&C色素、およびアルミナ水和物上に懸濁させた水不溶性FD&C色素、およびレーキ顔料、ならびにそれらの混合物のいずれかが含まれる。レーキ顔料は、重金属酸化物の水和物に水溶性色素を吸着させることによる組合せ物であり、色素を不溶性形態にする。
一部の実施形態では、本発明の錠剤は、1種または複数種の着香剤を含む。好適な着香剤は、以下に限定されないが、果実などの植物から抽出された天然の風味剤、ならびにペパーミントおよびサリチル酸メチルなどの心地よい味覚を生じる化合物の合成ブレンドを含む。
ある特定の実施形態では、本発明の錠剤は、1種または複数種の甘味剤を含む。好適な甘味剤は、以下に限定されないが、スクロース、ラクトース、マンニトール、シロップ、グリセリン、ならびにサッカリンおよびアスパルテームなどの人工甘味剤を含む。
ある特定の実施形態では、本発明の錠剤は、1種または複数種の乳化剤を含む。好適な乳化剤には、以下に限定されないが、ゼラチン、アカシア、トラガカント、ベントナイト、およびポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(TWEEN(登録商標)20)、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート80(TWEEN(登録商標)80)およびオレイン酸トリエタノールアミンなどの界面活性剤が含まれる。
ある特定の実施形態では、本発明の錠剤は、1種または複数種の懸濁化剤および分散剤を含む。好適な懸濁化剤および分散剤は、以下に限定されないが、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ペクチン、トラガカント、Veegum、アカシア、カルボメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびポリビニルピロリドンを含む。
ある特定の実施形態では、本発明の錠剤は、1種または複数種の保存剤を含む。好適な保存剤には、以下に限定されないが、グリセリン、メチルパラベンおよびプロピルパラベン、安息香酸(benzoic add)、安息香酸ナトリウムおよびアルコールが含まれる。
ある特定の実施形態では、本発明の錠剤は、1種または複数種の湿潤剤を含む。好適な湿潤剤には、以下に限定されないが、モノステアリン酸プロピレングリコール、モノオレイン酸ソルビタン、モノラウリン酸ジエチレングリコールおよびポリオキシエチレンラウリルエーテルが含まれる。
ある特定の実施形態では、本発明の錠剤は、1種または複数種の溶媒を含む。好適な溶媒には、以下に限定されないが、グリセリン、ソルビトール、エチルアルコールおよびシロップが含まれる。
ある特定の実施形態では、本発明の錠剤は、1種または複数種の非水性液体を含む。エマルションに利用される好適な非水性液体には、以下に限定されないが、鉱物油および綿実油が含まれる。
ある特定の実施形態では、本発明の錠剤は、1種または複数種の有機酸を含む。好適な有機酸には、以下に限定されないが、クエン酸および酒石酸が含まれる。
ある特定の実施形態では、本発明の錠剤は、1種または複数種の二酸化炭素源を含む。好適な二酸化炭素源には、以下に限定されないが、炭酸水素ナトリウムおよび炭酸ナトリウムが含まれる。
ある特定の実施形態では、本発明の錠剤は、複数の圧縮錠剤、腸溶コーティング錠剤または糖コーティング錠剤もしくはフィルムコーティング錠剤とすることができる。腸溶コーティング錠剤は、胃酸の作用に耐性を示すが、腸で溶解または崩壊する物質によってコーティングされた圧縮錠剤であり、こうして、胃の酸性環境から活性成分を保護する。腸溶コーティング剤には、以下に限定されないが、脂肪酸、脂肪、サリチル酸フェニル、ワックス、シェラック、アンモニア処理シェラック(ammoniated shellac)および酢酸フタル酸セルロースが含まれる。糖コーティング錠剤は、不快な味または臭いを覆い隠し、および錠剤の酸化からの保護に有益となり得る、糖コーティング剤によって囲まれた圧縮錠剤である。フィルムコーティング錠剤は、水溶性物質の薄層またはフィルムによりコーティングされた圧縮錠剤である。フィルムコーティング剤には、以下に限定されないが、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリエチレングリコール4000および酢酸フタル酸セルロースが含まれる。フィルムコーティング剤は、糖コーティング剤と同じ一般特徴を付与することができる。多重圧縮錠剤は、層状錠剤および押し圧コーティング錠剤または乾燥コーティング錠剤を含めた、1回超の圧縮サイクルによって作製される圧縮錠剤である。
本発明の錠剤は、粉末形態、結晶形態または粒状形態の活性成分から単独で、または結合剤、崩壊剤、制御放出ポリマー、滑沢剤、希釈剤および/もしくは着色剤を含めた、本明細書に記載される1種もしくは複数種の担体または賦形剤と組み合わせて調製することができる。
本発明の錠剤の構成成分は、粒内または粒外とすることができる。一部の実施形態では、錠剤は、粒内化合物A、HPMCAS-M、微結晶性セルロース、ラクトース一水和物、コロイド状二酸化ケイ素、クロスカルメロースナトリウムおよびフマル酸ステアリルナトリウムを含む。一部の実施形態では、錠剤は、粒外微結晶性セルロースおよびフマル酸ステアリルナトリウムを含む。一部の実施形態では、本発明は、以下の配合を有する錠剤を提供する。
Figure 2023503167000004
一部の実施形態では、本発明の錠剤は、約10~250mgの化合物Aを含む。一部の実施形態では、本発明の錠剤は、約10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240または250mgの化合物Aを含む。一部の実施形態では、本発明の錠剤は、約25~200mgの化合物Aを含む。一部の実施形態では、本発明の錠剤は、約50~150mgの化合物Aを含む。
一部の実施形態では、本発明の錠剤は、以下の実施例1に記載されるものから選択される。一部の実施形態では、本発明の錠剤は、表35、36および40に列挙されているものから選択される。
5.がんを処置するための方法および使用
一部の実施形態では、本発明は、患者においてがんを処置するための方法であって、患者に本明細書に記載される製剤を経口投与するステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、本発明は、患者においてがんを処置するための方法であって、患者に本明細書に記載される単位剤形を経口投与するステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、本発明は、患者においてがんを処置するための方法であって、患者に本明細書に記載される錠剤を経口投与するステップを含む方法を提供する。
本明細書に記載される方法および使用を使用して処置されるがんまたは増殖性障害または腫瘍には、以下に限定されないが、血液学的がん、リンパ腫、骨髄腫、白血病、神経学的がん、皮膚がん、乳がん、前立腺がん、結腸直腸がん、肺がん、頭頚部がん、胃腸がん、肝臓がん、膵臓がん、泌尿生殖器のがん、骨がん、腎がんおよび血管がんが含まれる。
本明細書に記載される方法および使用を使用して処置されるがんは、以下に限定されないが、膀胱がんおよびすべての移行上皮癌を含む尿路上皮癌;頭頚部扁平上皮癌;以下に限定されないが、ぶどう膜黒色腫を含む黒色腫;以下に限定されないが、卵巣がんの漿液性サブタイプを含む卵巣がん;以下に限定されないが、明細胞型腎細胞癌サブタイプを含む腎細胞癌;子宮頚がん;以下に限定されないが、胃がんを含む胃腸管/胃(GIST)がん;非小細胞肺がん(NSCLC);急性骨髄性白血病(AML);および食道がんから選択することができる。
一部の実施形態では、がんは、尿路上皮癌である。一部の実施形態では、がんは、膀胱がんである。一部の実施形態では、がんは、移行上皮癌である。一部の実施形態では、がんは、頭頚部扁平上皮癌である。一部の実施形態では、がんは、黒色腫である。一部の実施形態では、がんは、ぶどう膜黒色腫である。一部の実施形態では、がんは、卵巣がんである。一部の実施形態では、がんは、卵巣がんの漿液性サブタイプである。一部の実施形態では、がんは、腎細胞癌である。一部の実施形態では、がんは、明細胞型腎細胞癌サブタイプである。一部の実施形態では、がんは、子宮頚がんである。一部の実施形態では、がんは、胃腸管/胃(GIST)がんである。一部の実施形態では、がんは、胃がんである。一部の実施形態では、がんが、非小細胞肺がん(NSCLC)である。一部の実施形態では、がんは、進行性および/または転移性NSCLCである。一部の実施形態では、がんは、食道がんである。
がんには、一部の実施形態では、非限定的に、白血病(例えば、急性白血病、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、急性骨髄芽球性白血病、急性前骨髄球性白血病、急性骨髄単球性白血病、急性単球性白血病、急性赤白血病、慢性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ球性白血病)、真性多血症、リンパ腫(例えば、ホジキン病または非ホジキン病)、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、多発性骨髄腫、重鎖病、ならびに肉腫および癌腫(例えば、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉種、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮種(lymphangioendotheliosarcoma)、滑膜種、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸癌、膵臓がん、乳がん、卵巣がん、前立腺がん、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、脂腺癌、乳頭状癌、乳頭腺癌、嚢胞腺癌、髄様癌、気管支原性癌、腎細胞癌、肝細胞腫、胆管癌、絨毛癌、精上皮腫、胎生期癌、ウィルムス腫瘍、子宮頚がん、子宮がん、精巣がん、肺癌、小細胞肺癌、膀胱癌、上皮性癌、神経膠腫、星状細胞腫、多形膠芽細胞腫(GBM、神経膠芽腫としても知られている)、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽細胞腫、聴神経鞘腫、乏突起神経膠腫、神経鞘腫、神経線維肉腫、髄膜腫、黒色腫、神経芽細胞腫および網膜芽細胞腫)などの固形腫瘍が含まれる。
一部の実施形態では、がんは、神経膠腫、星状細胞腫、多形膠芽細胞腫(GBM、神経膠芽腫としても知られている)、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽細胞腫、聴神経鞘腫、乏突起神経膠腫、神経鞘腫、神経線維肉腫、髄膜腫、黒色腫、神経芽細胞腫または網膜芽細胞腫が含まれる。
一部の実施形態では、がんは、聴神経鞘腫、星状細胞腫(例えば、グレードI-毛様細胞性星状細胞腫、グレードII-低悪性度星状細胞腫、グレードIII-形成性星状細胞腫またはグレードIV-神経膠芽腫(GBM))、脊索腫、CNSリンパ腫、頭蓋咽頭腫、脳幹神経膠腫、上衣腫、混合性神経膠腫、視神経膠腫、上衣下腫、髄芽腫、髄膜腫、転移性脳腫瘍、乏突起神経膠腫、下垂体腫瘍、原始神経外胚葉性(PNET)腫瘍または神経鞘腫である。一部の実施形態では、がんは、脳幹神経膠腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、若年性毛様細胞性星状細胞腫(JPA)、髄芽腫、視神経膠腫、松果体腫瘍、原始神経外胚葉性腫瘍(PNET)またはラブドイド腫瘍などの、成人よりも子供に一般的に多く見出されるタイプである。一部の実施形態では、患者は成人ヒトである。一部の実施形態では、患者は、子供または小児患者である。
がんには、別の実施形態では、非限定的に、中皮腫、肝胆道(肝管および胆管)、骨がん、膵臓がん、皮膚がん、頭部または頚部のがん、皮膚または眼内黒色腫、卵巣がん、結腸がん、直腸がん、肛門部のがん、胃がん(Gastric Cancer)、胃腸管(胃、結腸直腸および十二指腸)、子宮がん、卵管癌、子宮内膜癌、子宮頸癌、膣癌、外陰癌、ホジキン病、食道がん、小腸がん、内分泌系のがん、甲状腺がん、副甲状腺がん、副腎がん、軟部組織肉腫、尿道がん、陰茎がん、前立腺がん、精巣がん、慢性または急性白血病、慢性骨髄性白血病、リンパ球性リンパ腫、膀胱がん、腎臓または尿管のがん、腎細胞癌、腎盂癌、非ホジキンリンパ腫、脊髄軸椎腫瘍(spinalaxis tumor)、脳幹神経膠腫、下垂体腺腫、副腎皮質がん、胆嚢がん、多発性骨髄腫、胆管細胞癌、線維肉腫、神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫、または1つもしくは複数の上記のがんの組合せが含まれる。
一部の実施形態では、がんは、肝細胞癌、卵巣がん、卵巣上皮がんまたは卵管がん;乳頭状漿液嚢胞腺癌または子宮体部漿液性腺癌(UPSC);前立腺がん;精巣がん;胆嚢がん;肝臓胆管癌;軟部組織および骨滑膜肉腫;横紋筋肉腫;骨肉腫;軟骨肉腫;ユーイング肉腫;未分化甲状腺がん;副腎皮質腺腫;膵臓がん;膵管腺癌または膵臓腺癌;胃腸管/胃(GIST)がん;リンパ腫;頭頚部の扁平上皮癌(SCCHN);唾液腺がん;神経膠腫または脳がん;神経線維腫症1型関連悪性末梢神経鞘腫瘍(MPNST);ワルデンシュトレームマクログロブリン血症;または髄芽腫から選択される。
一部の実施形態では、がんは、肝細胞癌(HCC)、肝芽腫、結腸がん、直腸がん、卵巣がん、卵巣上皮がん、卵管がん、乳頭状漿液嚢胞腺癌、子宮体部漿液性腺癌(UPSC)、肝臓胆管癌、軟部組織および骨滑膜肉腫、横紋筋肉腫、骨肉腫、未分化甲状腺がん、副腎皮質腺腫、膵臓がん、膵管腺癌、膵臓腺癌、神経膠腫、神経線維腫症1型関連悪性末梢神経鞘腫瘍(MPNST)、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症または髄芽腫から選択される。
一部の実施形態では、がんは、肉腫、癌腫またはリンパ腫などの固形腫瘍である。固形腫瘍は、嚢腫または液状領域を通常、含まない、組織の異常な塊を一般に含む。一部の実施形態では、がんは、腎細胞癌または腎臓がん;肝細胞癌(HCC)または肝芽腫または肝臓がん;黒色腫;乳がん;直腸結腸癌または結腸直腸がん;結腸がん;直腸がん;肛門がん;非小細胞肺がん(NSCLC)または小細胞肺がん(SCLC)などの肺がん;卵巣がん、卵巣上皮がん、卵巣癌または卵管がん;乳頭状漿液嚢胞腺癌または子宮体部漿液性腺癌(UPSC);前立腺がん;精巣がん;胆嚢がん;肝臓胆管癌;軟部組織および骨滑膜肉腫;横紋筋肉腫;骨肉腫;軟骨肉腫;ユーイング肉腫;未分化甲状腺がん;副腎皮質癌;膵臓がん;膵管腺癌または膵臓腺癌;胃腸管/胃(GIST)がん;リンパ腫;頭頚部の扁平上皮癌(SCCHN);唾液腺がん;神経膠腫または脳がん;神経線維腫症1型関連悪性末梢神経鞘腫瘍(MPNST);ワルデンシュトレームマクログロブリン血症;または髄芽腫から選択される。
一部の実施形態では、がんは、腎細胞癌、肝細胞癌(HCC)、肝芽腫、直腸結腸癌、結腸直腸がん、結腸がん、直腸がん、肛門がん、卵巣がん、卵巣上皮がん、卵巣癌、卵管がん、乳頭状漿液嚢胞腺癌、子宮体部漿液性腺癌(UPSC)、肝臓胆管癌、軟部組織および骨滑膜肉腫、横紋筋肉腫、骨肉腫、軟骨肉腫、未分化甲状腺がん、副腎皮質癌、膵臓がん、膵管腺癌、膵臓腺癌、神経膠腫、脳がん、神経線維腫症1型関連悪性末梢神経鞘腫瘍(MPNST)、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症または髄芽腫から選択される。
一部の実施形態では、がんは、肝細胞癌(HCC)、肝芽腫、結腸がん、直腸がん、卵巣がん、卵巣上皮がん、卵巣癌、卵管がん、乳頭状漿液嚢胞腺癌、子宮体部漿液性腺癌(UPSC)、肝臓胆管癌、軟部組織および骨滑膜肉腫、横紋筋肉腫、骨肉腫、未分化甲状腺がん、副腎皮質癌、膵臓がん、膵管腺癌、膵臓腺癌、神経膠腫、神経線維腫症1型関連悪性末梢神経鞘腫瘍(MPNST)、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症または髄芽腫腫から選択される。
一部の実施形態では、がんは、肝細胞癌(HCC)である。一部の実施形態では、がんは、肝芽腫である。一部の実施形態では、がんは、結腸がんである。一部の実施形態では、がんは、直腸がんである。一部の実施形態では、がんは、卵巣がんまたは卵巣癌である。一部の実施形態では、がんは、卵巣上皮がんである。一部の実施形態では、がんは、卵管がんである。一部の実施形態では、がんは、乳頭状漿液嚢胞腺癌である。一部の実施形態では、がんは、子宮体部漿液性腺癌(UPSC)である。一部の実施形態では、がんは、肝臓胆管癌である。一部の実施形態では、がんは、軟部組織および骨滑膜肉腫である。一部の実施形態では、がんは、横紋筋肉腫である。一部の実施形態では、がんは、骨肉腫である。一部の実施形態では、がんは、未分化甲状腺がんである。一部の実施形態では、がんは、副腎皮質癌である。一部の実施形態では、がんは、膵臓がんまたは膵管腺癌である。一部の実施形態では、がんは、膵臓腺癌である。一部の実施形態では、がんは、神経膠腫である。一部の実施形態では、がんは、悪性末梢神経鞘腫瘍(MPNST)である。一部の実施形態では、がんは、神経線維腫症-1関連性MPNSTである。一部の実施形態では、がんは、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症である。一部の実施形態では、がんは、髄芽腫である。
一部の実施形態では、がんは、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、副腎皮質癌、肛門がん、虫垂がん、非定型奇形腫様/ラブドイド腫瘍、基底細胞癌、胆管がん、膀胱がん、骨がん、脳腫瘍、星状細胞腫、脳および脊髄腫瘍、脳幹神経膠腫、中枢神経系非定型奇形腫様/ラブドイド腫瘍、中枢神経系胎児性腫瘍、乳がん、気管支腫瘍、バーキットリンパ腫、カルチノイド腫瘍、原発不明な癌、中枢神経系のがん、子宮頚がん、小児がん、脊索腫、慢性リンパ球性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性骨髄増殖性障害、結腸がん、結腸直腸がん、頭蓋咽頭腫、皮膚T細胞リンパ腫、非浸潤性乳管癌(DCIS)、胎児性腫瘍、子宮内膜がん、上衣芽細胞腫、上衣腫、食道がん、鼻腔神経芽細胞腫、ユーイング肉腫、頭蓋外胚細胞腫瘍、性腺外胚細胞腫瘍、肝外胆管がん、眼がん、骨の線維性組織球腫、胆嚢がん、胃がん(Stomach Cancer)、消化管カルチノイド腫瘍、胃腸管間質腫瘍(GIST)、胚細胞腫瘍、卵巣胚細胞腫瘍、妊娠性絨毛腫瘍、神経膠腫、有毛細胞白血病、頭頚部がん、心臓がん、肝細胞がん、組織球増殖症、ランゲルハンス細胞がん、ホジキンリンパ腫、下咽頭がん、眼内黒色腫、膵島細胞腫瘍、カポジ肉腫、腎臓がん、ランゲルハンス細胞組織球症、喉頭がん、白血病、口唇がんおよび口腔がん、肝臓がん、非浸潤性小葉癌(LCIS)、肺がん、リンパ腫、AIDS関連リンパ腫、マクログロブリン血症、男性の乳がん、髄芽腫、髄様上皮腫、黒色腫、メルケル細胞癌、悪性中皮腫、原発不明転移性扁平上皮性頚部がん、NUT遺伝子関与正中管癌、口のがん、多発性内分泌腫瘍症候群、多発性骨髄腫/プラズマ細胞新生物、菌状息肉腫、骨髄異形成症候群、骨髄異形成/脊髄増殖性新生物、慢性骨髄性白血病(CML)、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄腫、多発性骨髄腫、慢性骨髄増殖性障害、鼻腔がん、副鼻腔がん、鼻咽腔がん、神経芽細胞腫、非ホジキンリンパ腫、非小細胞肺がん、口内がん、口腔がん、口唇がん、中咽頭がん、骨肉腫、卵巣がん、膵臓がん、乳頭腫症、傍神経節腫、副鼻腔がん、鼻腔がん、副甲状腺がん、陰茎がん、咽頭がん(PharyngealCancer)、褐色細胞腫、中間型松果体実質腫瘍、松果体芽腫、下垂体腫瘍、形質細胞腫瘍、胸膜肺芽腫、乳がん、原発性中枢神経系(CNS)リンパ腫、前立腺がん、直腸がん、腎細胞がん、明細胞型腎細胞癌、腎盂がん、尿管がん、移行上皮がん、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、唾液腺がん、肉腫、セザリー症候群、皮膚がん、小細胞肺がん、小腸がん、軟組織肉腫、扁平上皮癌、原発不明の扁平頚部がん、頭頚部の扁平上皮癌(HNSCC)、胃がん、テント上原始神経外胚葉性腫瘍、T細胞リンパ腫、精巣がん、咽頭がん(ThroatCancer)、胸腺腫、胸腺癌、甲状腺がん、腎盤および尿管の移行上皮がん、トリプルネガティブ乳がん(TNBC)、妊娠性絨毛腫瘍、原発不明、小児の希少がん、尿道がん、子宮がん、子宮肉腫、ワルデンストレームマクログロブリン血症またはウィルムス腫瘍である。
ある特定の実施形態では、がんは、膀胱がん、乳がん(TNBCを含む)、子宮頚がん、結腸直腸がん、慢性リンパ球性白血病(CLL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、食道腺癌、神経膠芽腫、頭頚部がん、白血病(急性および慢性)、低悪性度神経膠腫、肺がん(腺癌、非小細胞肺がんおよび扁平上皮癌を含む)、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫(NHL)、黒色腫、多発性骨髄腫(MM)、卵巣がん、膵臓がん、前立腺がん、腎がん(腎明細胞癌および乳頭状腎細胞癌を含む)および胃がんから選択される。
一部の実施形態では、がんは、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、結腸直腸がん、多発性骨髄腫、急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、膵臓がん、肝臓がん、肝細胞がん、神経芽細胞腫、他の固形腫瘍または他の血液学的がんである。
一部の実施形態では、がんは、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、結腸直腸がん、多発性骨髄腫またはAMLである。
本発明は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)関連固形腫瘍、ヒトパピローマウイルス(HPV)-16ポジティブな治癒不能固形腫瘍および成人T細胞白血病を含めた、ウイルス関連がんの診断、予後および処置のための方法および組成物をさらに特徴とし、これらのウイルス関連がんは、ヒトT細胞性白血病ウイルスI型(HTLV-I)により引き起こされ、白血病細胞におけるHTLV-Iのクローン統合を特徴とするCD4+T細胞白血病の侵襲性の高い形態(clinicaltrials.gov/ct2/show/study/NCT02631746におけるワールドワイドウェブを参照されたい)、および胃がん、鼻咽頭癌、子宮頚がん、膣がん、外陰がん、頭頚部の扁平上皮癌およびメルケル細胞癌におけるウイルス関連腫瘍である(clinicaltrials.gov/ct2/show/study/NCT02488759のワールドワイドウェブを参照されたい;やはりまたclinicaltrials.gov/ct2/show/study/NCT0240886のワールドワイドウェブ;clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT02426892のワールドワイドウェブを参照されたい)。
一部の実施形態では、本明細書に記載される方法または使用は、がんもしくは腫瘍が成長することまたは広がることを阻害する、あるいは低減する、あるいは停止する。一部の実施形態では、腫瘍またはがんは、腫瘍のさらなる成長を停止する、低減するまたは阻害することによって処置される。一部の実施形態では、がんまたは腫瘍は、がんまたは腫瘍のサイズ(例えば、体積または質量)を、処置前のがんまたは腫瘍のサイズに比べて、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%縮小することによって、本明細書に記載される方法または使用を使用して処置される。一部の実施形態では、がんまたは腫瘍は、患者におけるがんまたは腫瘍の量を、処置前の腫瘍の量に比べて、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%減少させることによって、本明細書に記載される方法または使用を使用して処置される。
一部の実施形態では、腫瘍は、腫瘍のさらなる成長を停止することにより処置される。一部の実施形態では、腫瘍は、腫瘍のサイズ(例えば、体積または質量)を処置前の腫瘍のサイズに比べて、少なくとも5%、10%、25%、50%、75%、90%または99%を低下させることにより処置される。一部の実施形態では、腫瘍は、患者における腫瘍の量を処置前の腫瘍の量に比べて、少なくとも5%、10%、25%、50%、75%、90%または99%低減することにより処置される。
一部の実施形態では、本明細書に記載される方法または使用を使用して処置される患者は、化合物Aまたは薬学的に許容されるその塩の投与後、少なくとも約1か月、少なくとも約2か月、少なくとも約3か月、少なくとも約4か月、少なくとも約5か月、少なくとも約6か月、少なくとも約7か月、少なくとも約8か月、少なくとも約9か月、少なくとも約10か月、少なくとも約11か月、少なくとも約1年、少なくとも約18か月、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年または少なくとも約5年の無増悪生存を示す。一部の実施形態では、本明細書に記載される方法または使用を使用して処置される患者は、化合物Aまたは薬学的に許容されるその塩の投与後、少なくとも約1か月、少なくとも約2か月、少なくとも約3か月、少なくとも約4か月、少なくとも約5か月、少なくとも約6か月、少なくとも約7か月、少なくとも約8か月、少なくとも約9か月、少なくとも約10か月、少なくとも約11か月、少なくとも約1年間、少なくとも約14か月、少なくとも約16か月、少なくとも約18か月、少なくとも約20か月、少なくとも約22か月、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年または少なくとも約5年の全生存を示す。一部の実施形態では、本明細書に記載される方法または使用を使用して処置される患者は、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%または約100%の客観的奏効率(ORR)を示す。
一部の実施形態では、本明細書に記載される方法または使用を使用して処置される患者は、化合物Aの代謝産物、または薬学的に許容されるその塩もしくはそのプロドラッグの投与後、少なくとも約1か月、少なくとも約2か月、少なくとも約3か月、少なくとも約4か月、少なくとも約5か月、少なくとも約6か月、少なくとも約7か月、少なくとも約8か月、少なくとも約9か月、少なくとも約10か月、少なくとも約11か月、少なくとも約1年、少なくとも約18か月、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年または少なくとも約5年の無増悪生存を示す。一部の実施形態では、本明細書に記載される方法または使用を使用して処置される患者は、化合物Aの代謝産物、または薬学的に許容されるその塩もしくはそのプロドラッグの投与後、少なくとも約1か月、少なくとも約2か月、少なくとも約3か月、少なくとも約4か月、少なくとも約5か月、少なくとも約6か月、少なくとも約7か月、少なくとも約8か月、少なくとも約9か月、少なくとも約10か月、少なくとも約11か月、少なくとも約1年間、少なくとも約14か月、少なくとも約16か月、少なくとも約18か月、少なくとも約20か月、少なくとも約22か月、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年または少なくとも約5年の全生存を示す。一部の実施形態では、本明細書に記載される方法または使用を使用して処置される患者は、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%または約100%の客観的奏効率(ORR)を示す。
以下の実施例は、例示目的のために提示されているに過ぎず、本発明を制限するものと決して解釈されるべきではない。
本発明の例示的な実施形態
実施形態1. 化合物A
Figure 2023503167000005
または薬学的に許容されるその塩、および薬学的に許容されるポリマーを含む噴霧乾燥中間体(SDI)製剤。
実施形態2. 化合物Aの遊離塩基を含む、実施形態1のSDI製剤。
実施形態3. 化合物Aのヘミマレイン酸塩を含む、実施形態1のSDI製剤。
実施形態4. 前記薬学的に許容されるポリマーが、PVP-VA、HPMC、HPMCP-55、HPMCAS-M、TPGS、HPMCAS-LおよびMCCから選択される、実施形態1~3のいずれか1つのSDI製剤。
実施形態5. 約25~40重量%の化合物Aまたは薬学的に許容されるその塩を含む、実施形態1~4のいずれか1つのSDI製剤。
実施形態6. 前記薬学的に許容されるポリマーが、約60~75重量%である、実施形態1~5のいずれか1つのSDI製剤。
実施形態7. 40:60(重量%)の化合物Aの遊離塩基:HPMCAS-Mを含む、実施形態1~6のいずれか1つのSDI製剤。
実施形態8. 実施形態1~7のいずれか1つのSDI製剤を含む、単位剤形。
実施形態9. 前記SDI製剤が、約55~65重量%の前記単位剤形である、実施形態8の単位剤形。
実施形態10. 即時放出(IR)錠剤である、実施形態8または9の単位剤形。
実施形態11. マンニトールおよびラクトースから選択される充填剤をさらに含む、実施形態8~10のいずれか1つの単位剤形。
実施形態12. 崩壊剤Ac-Di-Solをさらに含む、実施形態8~11のいずれか1つの単位剤形。
実施形態13. 増粘剤Cab-O-Silをさらに含む、実施形態8~12のいずれか1つの単位剤形。
実施形態14. フマル酸ステアリルナトリウムをさらに含む、実施形態8~13のいずれか1つの単位剤形。
実施形態15. 結合剤HPC Nisso SSL SFPをさらに含む、実施形態8~14のいずれか1つの単位剤形。
実施形態16. 沈降溶出試験において約3分間での全放出を有する、実施形態8~15のいずれか1つの単位剤形。
実施形態17. 患者においてがんを処置するための方法であって、前記患者に、治療有効量の実施形態1~7のいずれか1つのSDI製剤、または実施形態8~16のいずれか1つの単位剤形を投与するステップを含む、方法。
実施形態18. 前記がんが膀胱がんである、実施形態17の方法。
実施形態19. 前記がんが固形腫瘍である、実施形態17の方法。
実施形態20. 前記がんが、血液学的がん、リンパ腫、骨髄腫、白血病、神経学的がん、皮膚がん、乳がん、前立腺がん、結腸直腸がん、肺がん、頭頚部がん、胃腸がん、肝臓がん、膵臓がん、泌尿生殖器のがん、骨がん、腎がんおよび血管がんから選択される、実施形態17の方法。
実施形態21. 前記がんが、尿路上皮癌;頭頚部扁平上皮癌;黒色腫;卵巣がん;腎細胞癌;子宮頚がん;胃腸管/胃(GIST)がん;非小細胞肺がん(NSCLC);急性骨髄性白血病(AML);および食道がんから選択される、実施形態17の方法。
実施形態22. 前記がんが尿路上皮癌である、実施形態21の方法。
実施形態23. 前記尿路上皮癌が膀胱がんである、実施形態22の方法。
実施形態24. 前記尿路上皮癌が移行上皮癌である、実施形態22の方法。
実施形態25. 前記がんが頭頚部扁平上皮癌である、実施形態21の方法。
実施形態26. 前記がんが黒色腫である、実施形態21の方法。
実施形態27. 前記黒色腫がぶどう膜黒色腫である、実施形態26の方法。
実施形態28. 前記がんが卵巣がんである、実施形態21の方法。
実施形態29. 前記卵巣がんが、卵巣がんの漿液性サブタイプである、実施形態28の方法。
実施形態30. 前記がんが腎細胞癌である、実施形態21の方法。
実施形態31. 前記腎細胞癌が明細胞型腎細胞癌サブタイプである、実施形態30の方法。
実施形態32. 前記がんが子宮頚がんである、実施形態21の方法。
実施形態33. 前記がんが、胃腸管/胃(GIST)がんである、実施形態21の方法。
実施形態34. 前記がんが、胃がんである、実施形態33の方法。
実施形態35. 前記がんが、非小細胞肺がん(NSCLC)である、実施形態21の方法。
実施形態36. 前記NSCLCが、進行性および/または転移性NSCLCである、実施形態35の方法。
実施形態37. 前記がんが食道がんである、実施形態21の方法。
実施形態38. 前記方法が、前記患者に、約200~1600mgの化合物Aまたは薬学的に許容されるその塩を毎日、投与するステップを含む、実施形態17~37のいずれか1つの方法。
実施形態39. 前記方法が、前記患者に、約200mgの化合物Aまたは薬学的に許容されるその塩を毎日、投与するステップを含む、実施形態17~38のいずれか1つの方法。
実施形態40. 前記方法が、前記患者に、約400mgの化合物Aまたは薬学的に許容されるその塩を毎日、投与するステップを含む、実施形態17~38のいずれか1つの方法。
実施形態41. 前記方法が、前記患者に、約600mgの化合物Aまたは薬学的に許容されるその塩を毎日、投与するステップを含む、実施形態17~38のいずれか1つの方法。
実施形態42. 前記方法が、前記患者に、約800mgの化合物Aまたは薬学的に許容されるその塩を毎日、投与するステップを含む、実施形態17~38のいずれか1つの方法。
実施形態43. 前記方法が、前記患者に、約1200mgの化合物Aまたは薬学的に許容されるその塩を毎日、投与するステップを含む、実施形態17~38のいずれか1つの方法。
実施形態44. 前記方法が、前記患者に、約1600mgの化合物Aまたは薬学的に許容されるその塩を毎日、投与するステップを含む、実施形態17~38のいずれか1つの方法。
化合物Aは、例えば、それらの内容の全体が参照により本明細書に組み込まれている、WO2018195397およびUS20180327411に記載される、当業者に公知の方法によって調製することができる。
略称の一覧
Figure 2023503167000006
Figure 2023503167000007
Figure 2023503167000008

(実施例1)
化合物Aの製剤の調製および単位投与量
1.物質および方法
製剤および単位投与量は、化合物AのFBまたはヘミマレイン酸塩を使用して調製する。
噴霧乾燥固体分散体向けに見込まれる賦形剤、ならびに錠剤開発および製造は、公定グレードまたは米国薬局方グレートとした。検討の主要部分に利用した賦形剤および装置の全一覧を以下に列挙する。溶液または固体分散体の組成物百分率は、別段の指定がない限り、重量:重量基準に基づいて記載する。
表1.物質および装置
Figure 2023503167000009
Figure 2023503167000010
2.方法
化合物Aの遊離塩基およびヘミマレイン酸塩、その後の噴霧乾燥中間体(SDI)、ならびに錠剤は、以下の分析実験:変調示差走査熱量測定(MDSC)、X線粉末回折(XRPD)、ガスクロマトグラフィーヘッドスペースサンプリング(GC-HS)による残留溶媒、走査型電子顕微鏡法(SEM)、偏光光学顕微鏡法(PLM)、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によるアッセイおよび不純物、Karl Fisher滴定(KF)による水分含量、動的水蒸気吸着(DVS)および非沈降溶出のうちの1つまたは複数を使用して物性評価した。
2.1.示差走査熱量測定(DSC)
DSCは、変調モードまたは傾斜モードのどちらかで操作したTA instruments Refrigerated Cooling System90を装備したTA Instruments Discovery DSC2500示差走査熱量測定器を使用して行った。DSCは、化合物Aの遊離塩基およびヘミマレイン酸塩の熱力学的事象および特徴、ならびにその後のSDIを測定するために使用した。観察した事象には、ガラス転移温度(Tg)、冷却結晶化(Tc)(溶融温度よりも低い温度における結晶化事象として定義される)、および溶融温度(Tm)が含まれる。非気密性アルミニウム製パンにSDI試料を入れ、5~200℃の温度範囲にわたり、2.0℃/分の一定速度で加熱した。測定の経過にわたり、不活性雰囲気を確保するために、50mL/分の窒素流によってこの系をパージした。化合物Aの遊離塩基およびヘミマレイン酸塩は、化合物Aの遊離塩基の場合、最大で215℃まで、および化合物Aのヘミマレイン酸塩の場合、最大で185℃まで、10℃/分の加熱速度を用いる標準DSCによって最初に分析した。アモルファスAPIは、Refrigerated Cooling System90を使用して、液化した化合物Aを急速にクエンチすることによって首尾よく生成した。得られたアモルファスAPIは、変調DSCによって分析した。DSC分析パラメーターの要約は、表2および表3に見出すことができる。
表2.DSC分析パラメーター
Figure 2023503167000011
表3.MDSC分析パラメーター
Figure 2023503167000012
2.2.X線粉末回折(XRPD):
XRPDは、噴霧乾燥物質の結晶化度を評価するため、Rigaku Miniflex 6G X線回折計を使用して行った。アモルファス物質は、結晶性物質において観察される離散性ピークの存在しない、「アモルファスハロー」回折パターンを与える。単色化Cu Kα放射線を試料に放射し、連続走査モードで、5°と40°との間で分析した。分析の間、好ましい配向効果を最小限にするため試料を回転した。XRPD分析パラメーターの要約は、表4に見出すことができる。
表4.XRPD分析パラメーター
Figure 2023503167000013
2.3.走査型電子顕微鏡(SEM)による粒子の幾何形状
粉末を接着性炭素コーティング試料のスタブ上に分散させて、Cressington 108 Autoを使用して金の薄膜導電層でコーティングすることによってSEM試料を調製した。試料は、高真空モードで操作した、Everhart-Thornley(二次電子)検出器を装備したFEI Quanta 200 SEMを使用して分析した。定性的な粒子の幾何形状分析を行うため、様々な倍率の顕微鏡写真をキャプチャした。スポットサイズ、作業距離および加速電圧を含めた実験パラメーターを試料毎に様々にして、最良のイメージング条件を得て、各SEM顕微鏡写真の見出しで資料化する。
2.4.光回折による粒子サイズ分布(PSD)
SDI試料の粒子サイズ分布は、Aero Sユニット(Malvern Instruments)を用いるマスターサイザー3000を使用するレーザー回折によって求めた。1.0mmのホッパー間隔を有する標準ベンチャー分注器(venture disperser)に約100mgの試料を加え、次に、分散システムに供給した。レーザー掩蔽レベルを0.1~10.0%に維持するため、80~90%の供給速度を調節した。2.0barの圧縮空気を使用して、光学セルから試料粒子を輸送してこれを懸濁させた。5秒の測定時間を使用し、バックグラウンド測定は、空気を使用して10秒間、行った。粉末の粒子サイズ分布を物性評価ために、Dv10、Dv50およびDv90の直径を使用した。例えば、Dv50とは、試料の体積の50%が、それより小さな粒子からなる直径のことである。
2.5.HPLCによるアッセイおよび不純物分析
SDI試料のアッセイおよび不純物は、HPLC法(表5)の実験を使用して評価した。この方法は、以前に観察した不純物の線形応答、選択性および分離を実証する。化合物Aの場合、RTは約15.1分である。
表5.アッセイおよび不純物分析に関するHPLCパラメーター
Figure 2023503167000014
2.6.ガスクロマトグラフィーヘッドスペースサンプリングによる残留溶媒
SDIの残留溶媒含有量は、二次乾燥後にGC-HSによって測定した。測定は、Agilent7697Aヘッドスペースサンプラーを装備したHP 6890 series GCを使用して行った。6%シアノプロピルフェニル94%ジメチルポリシロキサGCカラムを備えた30m×0.32mm×1.8μのキャピラリーカラムをこの試験に使用した。GC試料は、4mLのジメチルスルホキシド(DMSO)に約100mgの試料を溶解することによって調製した。GC-HS法(DM-123)は、この段階で薬物製品に使用した。このGC法のパラメーターを表6にまとめる。
表6:GC-HS法のパラメーター
Figure 2023503167000015
2.7.固有溶出成績
ミル粉砕したAPI試料および入手したままのAPI試料を秤量し、3,000psiにおいて60秒間、液圧プレスを使用して圧縮成形体に圧縮した。圧縮成形体を固有溶出装置に装着し、米国薬局方溶出装置を使用して、0.5%Tween80溶液250mL中、37℃、100rpmにおいて二連で溶出検討を行った。5分間の間隔で5~40分間、各溶出容器から選択した時点に一定分量(1.0mL)の溶出媒体を採取する。各試料を14,000rpmで3分間、遠心分離にかけ、上清を試料とし、HPLC分析するための希釈液により希釈した(表7)。化合物Aの保持時間は約1.5分である。
表7.溶出分析に関するHPLCパラメーター
Figure 2023503167000016
2.8.非沈降溶出性能
両方のAPI形態に関するin vitroでの薬物の溶出性能、および各SDIを2段階の「胃移動」非沈降溶出試験(表8)によって評価し、この試験は、試料における胃および腸への曝露の両方に対するpHおよび胆汁塩濃度を疑似してアッセイを行うものである。予め秤量したSDI粉末を、媒体(例えば、4.0mLの媒体と共に10秒間のボルテックス混合による)中に短時間で懸濁させて、米国薬局方タイプ2ミニ容器(100mLの全容器体積)において、100rpmで撹拌しながら(パドル)予め加熱した(37℃)、50mLの体積の0.1N HCl(水溶液)(疑似胃液またはSGF、pHは約1.0、ペプシンまたは胆汁酸塩を含まない)に移した。胃のpHに曝露して30分後、等量のPBSで緩衝化した、2×濃縮絶食時疑似腸液(FaSSIF)をSGFに加え、100mLの全量中、FaSSIF(2.24mg/mLのSIF粉末(元)(Biorelevant Inc.)を含有する100mM PBS)中の最終pHを6.8にする。疑似胃への移行前およびその後の選択した時点に一定分量(1.0mL)の溶出媒体を採取し、未溶解固体をペレット化するよう遠心沈降(13,000rpm)し、上清をサンプリングして適切な希釈液でさらに希釈し、好適なHPLC法を利用し、API全薬物濃度(例えば、溶液中の遊離薬物およびコロイド状/ポリマー結合薬物)を求める。添加したFaSSIFの体積分を調節し、胃への移行の前に抜き取ったサンプリング体積分を占めるようにする(通常、4×1.0mL)。最初の化合物AのAPI測定およびSDI溶出試料は、HPLC法を利用して求めた(表7)。
表8.非沈降溶出試験のパラメーター
Figure 2023503167000017
2.9.溶出媒体の調製
水中の0.5%(w/w)のTween80:すべての溶出試料に必要なTween80の重量を求める。この重量に基づいて、好適なクラスAのビーカーに好適な量のTween80を秤量し、10%体積分の水を加えて、Tween80を溶解する。ビーカーに残りの水を移し、十分に混合する。
疑似胃液(SGF):すべての溶出試料に必要なSGFの体積を求める。この体積に基づき、好適なクラスAのメスシリンダーまたはメスフラスコ中、H2Oで1.0N HCl 10×を希釈する。十分に混合し、pH紙を使用して、pHの概数を検査する。観察されるpHは、1.0~1.1であるべきである。
PBS緩衝液(200mM):すべての溶出試料に必要な緩衝液の体積を求める。この体積に基づいて、200mMol/L NaClおよび200mMol/L Na2HPO4を秤量し、適切なサイズの容器に移す。この容器に、適切な体積のH2Oを加える。塩が完全に溶解するまで、この溶液に音波処理する。必要な場合、リン酸または1.0N NaOHを用いてpH8.9±0.1に調節する。
FaSSIF媒体(4.48mg/mL):上記のPBS媒体に、200mMのPBS 1mLあたり、4.48mgのSIF粉末を加える。十分に混合し、すべてのSIFが溶液中に存在するまで、磁気撹拌子を用いて撹拌する。使用前に室温で2時間、静置し、次に、溶出試験を行うため、37℃まで予め加熱する。FaSSIFを調製した日に使用しない場合、冷蔵庫(2~8℃)に最大、4日間、保管する。使用する少なくとも2時間前に冷蔵庫から取り出し、この溶液が使用前に、37℃に到達したことを確認する。
2.10.バルク密度およびタップ密度の分析
錠剤ブレンドは、米国薬局方<616>「タップ密度-方法I」に従い、バルク密度およびタップ密度を評価した。対応する底板を伴う100mLのガラス製円筒を試料のすべてに使用した。ERWEKA SVMタップ密度試験器を利用して分析を行い、300タップ/分の速度でタップした。
2.11.錠剤摩損度
錠剤摩損度は、Pharmatron FT 2摩損度試験器を利用し、米国薬局方<1216>によって求めた。25rpmのドラム回転速度を合計回転時間4分間で使用した。米国薬局方方法に従い、摩損度に関する許容される損失量は、≦1.0重量%である。
2.12.崩壊
Varian VK-100崩壊装置を利用し、米国薬局方<701>「崩壊」に従い、崩壊を評価した。この装置は、1000mLの低型ビーカー、および先端部が開放した透明のチューブを6本備えるバスケットラックアセンブリからなる。ビーカーに、RO水750mLを入れ、温度を37℃(±2℃)に維持した。バスケットを1分間あたり29~32回のサイクル頻度で完全に浸漬し、最後に目視可能な錠剤物質がバスケットを通過したときの錠剤の崩壊時間を記録した。
2.13.錠剤硬度および引張強度
錠剤硬度は、Natoli硬度試験器(S/N1403029)を利用して、米国薬局方<1217>「錠剤の破断荷重」に従い試験した。それは破壊的過程となるので、錠剤の破壊力を評価する前に、錠剤厚さおよび重量を測定した。自動化破壊装置に錠剤を置き、錠剤硬度をキログラム力/キロポンド(kp)で測定した。
標準的な円形凹型(standard round concave:SRC)錠剤に関する引張強度を以下の式に基づいて計算した:
Figure 2023503167000018
(式中、P=破壊荷重、D=錠剤幅、t=錠剤厚さ、W=帯厚さ)(K.G. Pittand M.G. Heasley. "Determination of the tensile strength of elongatedtablets." Powder Technology, vol. 238 (2013) pp. 169-175.)
2.14.ジェットミル粉砕
生体利用率を増大させる試みで、化合物AのFBのAPIとAPIのヘミマレイン酸塩の形態の両方に、空気ジェット微粒子化技法(別名、ジェットミル粉砕)を使用する粒子サイズの低下を施した。APIのジェットミル粉砕により、表面積対体積の比が増大し、曝露の増大をもたらす。ジェットミル粉砕したAPIに関する製造プロセスが、以下のフロー略図に記載されており、製造パラメーターは、表9に列挙されている。
Figure 2023503167000019
表9. バルク化合物AのFBおよびヘミマレイン酸塩のジェットミル粉砕に関するパラメーターおよび収率
Figure 2023503167000020

2.15.ふるい分析による粒子サイズ分布
粒子サイズ分布は、米国薬局方<786>に類似したふるいがけ分析法によって求めた。RO-TAP RX-29-Eシーブシェーカー(W.S.Tyler)を利用して、物質を評価した。利用したスクリーンおよび操作パラメーターを、以下の表10に見出すことができる。
表10.ふるいがけ分析法による、粒子サイズ分布分析に関する装置およびパラメーター
Figure 2023503167000021
3.結果および議論
3.1.化合物分析および特性評価
化合物Aの両方の形態の熱的特性をDSCとMDSCの両方によって測定した。標準モードの傾斜実験の間、鋭い吸熱溶融事象(Tm)が、遊離塩基の場合、206℃で、および塩形態の場合、液相中での分解の観察を伴って、170℃で観察された。各々のTgは、液体急冷技法により測定し、その溶融温度を超えて加熱し、急速に冷却して、アモルファス状態の溶融物質を捕捉した。得られた試料をMDSCによって分析し、遊離塩基の場合、165℃に明確な結晶化ピークおよび182℃に溶融事象を伴って、95℃のTgが観察され、様々な多形へ変換したことを示している(図1/表11)。ヘミマレイン酸塩は、考えられる分解の兆候を示し、180℃まで結晶化または溶融が観察されずに、より広いガラス転移およびノイズの多いベースラインを示し、Tgは83℃で測定された(図2/表11)。これは、遊離塩基および塩形態の場合のTm/Tg比がそれぞれ、1.30および1.24となり、中程度の物理的安定性であることを示している。
表11. 化合物Aの遊離塩基の熱的特性の要約
Figure 2023503167000022
結晶性化合物Aのどちらの形態の回折パターンも、XRPDを使用して行った(図3)。バルクAPIの固有回折パターンは、結晶性物質であることを示しており、熱分析に一致する。
バルクAPI粒子の両方の形態の表面幾何形状を、走査型電子顕微鏡を使用して物性評価した(SEM画像は提示していない)。遊離塩基APIの幾何形状は、ドルージ(drusy)を有する高アスペクト比の円柱状直交粒子からなる一方、マレイン酸塩は、同様の粒子形態を有しており、より小さく、かつ凝集しているだけである。
3.2.有機溶解度
化合物AのFBおよびヘミマレイン酸塩形態の有機溶解度は、一般的な噴霧乾燥溶媒中、目視で決定した(表12)。遊離塩基APIは、アセトン中では、2.0%超える溶解度となること、および試験した他の溶媒中では、2.0%未満の溶解度となることを実証した。ヘミマレイン酸塩は、アセトンに非常に可溶性である(6.00~7.50%の間)。十分なAPI溶解度および残留アセトンのICH限界値(すなわち、クラス3の溶媒は、5,000ppm)に基づいて、アセトンを噴霧乾燥溶媒として選択した。
表12.目視で決定した有機溶媒におけるバルク化合物Aの溶解度
Figure 2023503167000023
ND=決定せず
3.3.水溶解度
バルクAPIの溶解度を、様々なバイオリレバント媒体中で行った。少量のAPIを媒体に懸濁させて、最大で24時間の期間、室温で連続的に撹拌した。試料を遠心分離して未溶解固体をペレット化し、得られた上清をサンプリングして希釈し、溶出試料の分析のために求めた短期間アッセイ法を利用するHPLCによって分析した。結果が以下の表13に列挙されている。どちらの形態も胃への溶解度に乏しいことが示され、マレイン酸塩は、腸媒体では1桁高い溶解度を示す。
表13. HPLCによって測定したバイオリレバント媒体中のバルク化合物Aの遊離塩基およびマレイン酸塩の溶解度
Figure 2023503167000024
3.4.ジェットミル粉砕したAPIの物性評価
ジェットミル粉砕の結果は、化合物Aの遊離塩基またはマレイン酸塩の結晶形態または熱力学特性に影響を及ぼさないように思われる(図4および5)。SEM顕微鏡写真は、両方の形態の場合の粒子サイズの明確な低下、およびPSDデータを示しており、これは、どちらもサイズ分布が低下したこと、およびやはりバイモーダル分布でなくなったことを示している(以下の図6~7および表14)。
表14. 化合物Aの遊離塩基、マレイン酸塩およびその後にジェットミル粉砕した物質のPSD
Figure 2023503167000025
ジェットミル粉砕したAPI対入手したままのAPIの固有の溶出性能を行い、粒子サイズの低下による溶出の何らかの向上を観察した。以下の図8および表15は、固有の溶出結果を示す。ジェットミル粉砕過程は、どちらのAPI形態に関しても、固有の溶解速度を増大することはなく、粒子サイズの低下は、化合物Aの生体利用率の増大に向かわせる実現可能な経路ではないことを示している。マレイン酸塩は、媒体、0.5%Tween80(水溶液)へのその溶解度が増大するため、遊離塩基よりかなり成績がよかった。
表15. 化合物Aの遊離塩基、マレイン酸塩およびその後にジェットミル粉砕した物質の固有溶出データ
Figure 2023503167000026
Figure 2023503167000027
3.5.計算による(in silico)モデル化
分子モデル化活動は、Quadrant2(登録商標)プラットフォームを利用して行い、化合物Aに関する特異的な薬物-薬物および薬物-ポリマー相互作用を評価した。モデル化法は、高レベルの量子力学計算から、一連のプログラムを使用した分子力学および分子動力学にまでに及んだ。この研究の目的は、可溶化した医薬製品中間体に含ませる適切なポリマーを選択するための合理的な基礎が得られるよう、化合物Aと公定GRASポリマーとの間の薬物-薬物および薬物-ポリマーの分子レベルの相互作用を検討することであった。この理論的根拠は、分子記述子および特異的な薬物-ポリマー相互作用エネルギーに基づく。
3.5.1.結合記述子
薬物およびポリマー分子に関する結合「記述子」を使用して、薬物-薬物および薬物-ポリマーの分子間結合相互作用に関する潜在的部位を特定した。使用される記述子のタイプには、水素結合ドナー(HBD)、水素結合アクセプター(HBA)、芳香族(AR)および疎水性(HPh)が含まれる。
薬物-薬物および薬物-ポリマーの分子間結合相互作用に関する潜在的な部位をさらに解明するために、低エネルギーコンフォメーションの表面積比較を行った。この方法は、分子間結合(例えば、薬物とポリマーとの間の結合)に利用可能な記述子ベースの表面積の全体的な推定をもたらす。
in silicoモデル化から、化合物Aは、HPMCAS、HPMC、PVP VA、HPMCP HP-55、PVP K30およびEudragit L100-55と有利な相互作用があると判定された。化合物AのMDSCは、1.30となるTm/Tg比(K/K)をもたらした。Tm/Tg比は、分子の結晶格子エネルギーおよびその再結晶化傾向の強力な指標であり、SDI分散体が特定の薬物:ポリマー比において安定となる、製剤設計空間の指標を提供する。過去のTm/Tg比の経験およびin silico分子動力学相互作用に基づいて、25%および40%の薬物搭載時のSDI製剤を実現可能性SDIの製造の候補にした。
3.6.固体分散ポリマーに焦点を絞ったスクリーニング
3.6.1.噴霧乾燥製剤の製造
13種のプロトタイプの化合物A:ポリマー分散製剤(遊離塩基と塩のAPI形態の両方を含む)を実現可能性スクリーニングに選択した。これらの製剤は、89:11のアセトン:H2Oから噴霧したHPMC含有SDIを除いて、純粋アセトンから噴霧乾燥した。SDIおよび回収収率のまとめは、以下の表16に見出すことができる。
Figure 2023503167000028
3.6.2.実現可能性SDI物性評価
最初のSDI製剤を、X線粉末回折(XRPD)、走査型電子顕微鏡(SEM)、変調示差走査熱量測定(MSDC)、ヘッドスペースガスクロマトグラフィー(GC-HS)およびin vitro溶出試験によって物性評価した。
GC-HSを使用して、二次乾燥後の化合物AのSDI物質からの残留アセトンを測定した。すべての製剤中の残留溶媒は、医薬品規制調和国際会議(ICH)によって説明されているアセトン限界値(5000ppm)未満であった。表17は、8種の製剤に関する残留アセトンの結果を示している。
表17. 二次乾燥後の化合物Aの実現可能性SDIに関するGCヘッドスペース結果の要約(定量限界値(LOQ)=200ppm)
Figure 2023503167000029
MDSCによる熱分析は、すべての分散体が単一Tgを有することを示しており(図9および10)、良好な均質性を有する密に混合したアモルファス固体分散体であること(表18)、およびいずれのSDIでも溶融事象は観察されなかったことを示している。これらの比較的高いガラス遷移温度は、良好な物理的安定性の指標となり、すなわち、長期保管中にAPIが再結晶する傾向は低い。長期的な物理的安定性を確保するために、SDIは、ガラス分散体中の薬物の移動度が非常に低くなるように、所与の条件において、Tgより十分に低く保管されるべきである。
表18. 化合物Aの実現可能性SDIのMDSCデータ。
Figure 2023503167000030
Figure 2023503167000031
XRPDによる最初の特性評価は、SDIがアモルファス分散体であること、およびSDIディフラクトグラムに結晶ピークが観察されなかったことを示している(図11)。
走査型電子顕微鏡を使用してSDI粒子の表面幾何形状を特徴付けた(SEM画像は、提示していない)。滑らかな表面を有する球体全体および崩壊した球体からなる、典型的なSDI幾何形状が観察された。結晶性物質は、いかなる試料にも観察されなかった。
実現可能性SDIおよび結晶性化合物Aの溶出性能は、非沈降溶出試験で試験した(図12および表19)。この実験の設計は、順序をランク付けし、リード製剤を選択することである。すべてのSDI製剤は、腸媒体での薬物溶出および持続性の増大をもたらし、25:70:5の化合物A:HPMCAS-L:TPGSは、過飽和の最大増加を示したが、最終時点に崩れた。胃の溶解度は、SDI間では低く、胃の溶出レベルとその後の腸での溶出レベルとの間に相関関係は観察されなかった。マレイン酸塩の2種のSDIは、バルクマレイン酸塩よりも優れていたが、かなり低い性能発揮物であり、前に進めるために選択しなかった。
表19. バルク結晶性化合物Aと比較した、化合物Aの実現可能性SDIの非沈降溶出データ
Figure 2023503167000032
Figure 2023503167000033
1Cmax FaSSIF= FaSSIFに移行した後の最大薬物濃度
2C210 = FaSSIFへの移行後の180分時の薬物濃度
3AUC35-210 FaSSIF = FaSSIFへの移行後の35~210分間の曲線下面積
リードSDIは、物理的特性も考慮しながら、主に溶出性能に基づいて選択した。5種のSDIを選択し、これを加速安定状態に置いて、HPLCによるアッセイ、不純物分析、および%相対湿度の関数としてのTgを行う。リード製剤は、25:70:5の化合物A:HPMCAS-L:TPGS、40:60の化合物A:PVP-VA、40:60の化合物A:HPMCAS-M、ならびに25%および40%の化合物A:HPMCP-HP55とする。
リードSDIのTgの抑制を、高湿度(32.8%、50%および75.3%のRH)条件においてTgを測定することによって評価した。試料は、気密パンに密封してMDSCによって分析する前に、高湿度条件、周囲温度で18時間、保管した。結果は、相対湿度(RH)の関数として図13および表20に報告する。すべてのリードSDI製剤(HPMCAS-HおよびPVP VA64分散体)は、高湿度条件では低いTgを有しており、SDIの十分に長期間の物理的安定性を得るため、保存的包装(すなわち、乾燥剤、ホイル-ホイルシールなど)が必要になると予測される。すべてのICH条件での開放包装中の長期的な物理的安定性を確保するため、SDIは、75%RHにおいて50℃より高い、理想的には75%RHにおいて60℃より高いTgを有することが望ましい。
表20. 化合物AのリードSDI製剤に関する%RHの関数としてのTg
Figure 2023503167000034
HPLCによるリードSDIのアッセイおよび不純物分析は、項目2.2に記載したHPMC法を利用してt=0に行った。すべてのSDIは、バルクAPIと比較すると、類似の不純物プロファイルを示しており、噴霧乾燥過程の間、最小限の分解も起こらなかったことを示している。HPMCPのSDIはどちらも、フタル酸に起因する、RRT0.27に大きな非常に早い溶出ピークがあることを示した(表21および図14)。
表21. 化合物AのリードSDI製剤に関するt=0でのアッセイ、不純物データ
Figure 2023503167000035
3.6.3.実現可能性SDI加速安定性
化合物AのリードSDI製剤の物理的安定性および化学的安定性を迅速に評価するため、この分散体を、安定性プロトコールRD-ST-19-919に従って、開放包装では、25℃/60%RHで、ならびに開放包装および密閉包装では、40℃/75%RHで、4週間、エージングした。外観によって物理的安定性および化学的安定性に関して、XRPDによってアモルファス特性に関して、およびHPLCによってアッセイおよび不純物についてSDIを評価した。4週間の安定性データに基づいて、40:60の化合物A:HPMCAS-Mを錠剤開発およびGMP活動へと前に進める候補とし、開放および密閉して40℃/75%RHにおける10週間の第2の時点でのみ分析した。
エージング済みSDIの外観試験により、安定性検討を通じて、湿度および温度が高い場合でさえも、すべてがオフホワイト色の粉末のままであったことが明らかになった(以下の表22)。
表22. 4~10週間の安定後の化合物AのリードSDIの目視による外観
Figure 2023503167000036
Figure 2023503167000037
エージング後のSDI試料のXRPD分析により、すべてのSDI製剤が、4週間後に検出可能な結晶性物質を含まないアモルファス状態のままであることが示される(図15)。10週間後、40:60の化合物A:HPMCAS-Mもやはり、アモルファス分散体のままであった(図16)。
エージング後のSDI試料のアッセイおよび不純物分析により、密閉条件では最小限の成長を示したが、開放条件では、有意な分解が観察され、防湿包装が必要である可能性が高いことが示された(図17~21および表23~27)。
表23. 4週間の安定後の、バルク結晶APIと比べた、25:70:5の化合物A:HPMCAS-L:TPGSSDIに関するアッセイ、不純物データ
Figure 2023503167000038
Figure 2023503167000039
表24. 4週間の安定後の、バルク結晶APIと比べた、40:60の化合物A:PVP-VA SDIに関するアッセイ、不純物データ
Figure 2023503167000040
表25. 4週間の安定後の、バルク結晶APIと比べた、40:60の化合物A:HPMCAS-Mに関するアッセイ、不純物データ
Figure 2023503167000041
Figure 2023503167000042
表26. 4週間の安定後の、バルク結晶APIと比べた、25:75の化合物A:HPMCP-HP55に関するアッセイ、不純物データ
Figure 2023503167000043
Figure 2023503167000044
表27. 4週間の安定後の、バルク結晶APIと比べた、40:60の化合物A:HPMCP-HP55 SDIに関するアッセイ、不純物データ
Figure 2023503167000045
先に述べた通り、40:60の化合物A:HPMCAS-Mは、10週間の安定後に、アッセイ、つまり不純物によって物性評価した。開放条件の試料は、最も留意すべきことにRRT0.85において、かなりの不純物の増加を示す。密閉条件の試料は、不純物の有意な増加を示さず、水分媒介性分解経路があることを示しており、熱分解はそれほど懸念されない(表28および図22)。
表28. 10週間の安定後の、バルク結晶APIと比べた、40:60の化合物A:HPMCAS-MSDIに関するアッセイ、不純物データ
Figure 2023503167000046

3.7.SDI実証バッチ
3.7.1.SDI実証バッチの製造
実現可能性SDIから調製した化合物AのSDI懸濁液のPK性能、ならびにin vitroでの溶出性能および4週間の安定性プルデータに基づいて、40:60の化合物AのFB:HPMCAS-MをリードSDI製剤としての候補にし、錠剤製剤の開発のために前に進めた。実証バッチは、パイロットスケールでのGLPに準拠して製造した。
3.7.2.SDI実証バッチの物性評価
乾燥実証SDI製剤を、X線粉末回折(XRPD)、走査型電子顕微鏡(SEM)、変調示差走査熱量測定(MSDC)、ヘッドスペースガスクロマトグラフィー(GC-HS)およびHPLCによるアッセイ、すなわち不純物の特徴付けを行った。HPLCによるアッセイ、すなわち不純物はまた、噴霧溶液および湿潤SDIに対しても行い、過度な溶液または湿潤SDIの待機時間中に発生するいずれの潜在的な化学的分解も観察した。
GC-HS分析を使用して、二次乾燥後に化合物AのSDI物質から残留するアセトンを測定し、「湿潤SDI」を二次乾燥する前にサンプルを採取し、さらなる時点において、経時的なSDIからのアセトンの除去を示す乾燥曲線を作成した。残留溶媒は、わずか2時間後にICHの限界値を下回り、18.5時間後には検出されなかった。表29は、実証バッチSDIに関する残留アセトンの結果を示す。
表29. 二次乾燥後の化合物Aの実証SDIに関するGC-HS乾燥曲線データの要約
Figure 2023503167000047
MDSCによって行った熱分析を、気密パンおよび非気密パンの両方を用いて湿潤SDIに対して、同様に完全に乾燥した物質および噴霧乾燥チャンバから採取したSDIに対して行い、可塑剤として作用する残留溶媒含有によるTgの抑制を観察した。気密結果は、残留アセトンによりTgが80℃に抑制されたことを示しており、これは、物理的安定性の懸念レベルではない。他のすべてのMDSC試料は、以前のデータと同様のTgを示した(以下の図23および表30)。
表30. 化合物Aの実証バッチSDIのMDSCデータ
Figure 2023503167000048
XRPDによる特性評価は、高レベルのアセトンへの長時間の曝露による潜在的な何らかの物理的安定性の問題を観察するためにも、湿潤SDIで行った。結果は、実証SDIがアモルファス分散体のままであること、および結晶ピークが観察されなかったことを示す(図24)。
実証バッチ湿潤SDI粒子の表面幾何形状を、走査型電子顕微鏡を使用して物性評価した。滑らかな表面を有する球体全体および崩壊した球体からなる、典型的なSDI幾何形状が観察された。乾燥曲線全体を通していずれの試料でも結晶性物質は観察されず、これは、高レベルのアセトンの存在下で低レベルの結晶化は起こらないことを示している。
周囲温度においていくつかの時点にわたり、実証バッチSDIの噴霧溶液安定性を行った。噴霧溶液中で8日後、不純物の成長は観察されなかった(以下の表31)。
表31. 化合物Aの実証バッチSDIに関する噴霧溶液の安定性データ
Figure 2023503167000049
湿潤SDIの化学安定性は、噴霧溶液のデータと非常に類似した結果を示し、7日間にわたって不純物の成長は観察されなかった(以下の表32)。
表32. 化合物Aの実証バッチSDIに関する湿潤SDIの安定性データ
Figure 2023503167000050
Figure 2023503167000051
乾燥実証バッチSDIの完全な物性評価を捕捉した。
3.8.経口固形剤形の開発
3.8.1.プロトタイプの錠剤製剤の開発
錠剤は、50および150mgの強度で製造した。錠剤製剤の最適化は、製剤変数:%SDI搭載量、崩壊剤のタイプおよび濃度、結合剤の存在、使用する充填剤のタイプ、使用するMCCのグレードを考慮して行った。製品の最適化中に最適化した錠剤の品質属性は、破断荷重、崩壊時間、圧縮性および圧縮率とした。
表33は、実現可能性に関して評価したブレンドの製剤組成を要約する。
表33. 化合物AのFB:HPMCAS-Mの錠剤製剤*
Figure 2023503167000052

* K9-983-22-F2の製造において式計算の誤りがあった;このデータを含めない。
Ac-Di-Solの一部を粒外に添加した影響を検討するため、ロット番号K9-983-26-F5に由来するブレンドをさらに加工し、65%および55%のSDI搭載量のブレンドロットK9-983-33-1およびK9-983-34-2にした(表34)。K9-983-33-1の場合、より高い(65%)SDI搭載量を有するものと同様に、一層速い崩壊時間と共に、圧縮圧に対してより低い破断荷重となる傾向が観察された。これらのバッチの%摩損度を比較すると、これらの錠剤はSDI搭載量が多いほど、摩損度試験に対して、低い圧縮力において、高い損失率(約20%)を有することが観察された。これらの結果を組み合わせると、錠剤中のSDI搭載量を増加すると、結合力がより弱い錠剤になることを暗示する。したがって、55%のSDI搭載量をこの製剤の場合の最適であると判定した。製剤K9-983-37およびK9-983-38において、粒内にAc-Di-solをすべて添加すること、および崩壊剤としてKollidon CL-Fを添加することを検討した。Ac-Di-Sol含有物をすべて粒内添加に置き換えると、同等の崩壊時間をもたらしたが、崩壊剤をKollidon CL-Fに置き換えると、圧縮力の増加に伴って崩壊時間が不均衡に増大し、300MPaの圧力で圧縮した錠剤は、まったく崩壊しなかった。
表34. 化合物AのFB:HPMCAS-Mプロトタイプ錠剤製剤
Figure 2023503167000053

3.8.2.リード製剤のスケールアップおよび実証バッチの製造
実現可能性バッチからの結果に基づいて、製剤ブレンドK9-983-37を回転式プレス器にスケールアップした。一般的な造粒の実証バッチ製造に関する全プロセスフローチャートを図25に提示する。
造粒および最終ブレンドに関する粒子サイズ分析を表35に列挙する。最終ブレンドは、19.18%の細粒度を有した。この乾式造粒法は、ハウスナー比を1.81から1.38に低下させて、このブレンドを高密度化し、バルク密度を0.32g/ccから0.58g/ccに向上させることによって、ブレンドの流動特性を改善させた(表36)。最終ブレンドの特性評価に基づいて、錠剤の圧縮に有利と判定した。
表35. 化合物Aの実証バッチ220mg/gの一般的な造粒製造過程での粒子サイズ分布
Figure 2023503167000054
Figure 2023503167000055
表36. 化合物Aの実証バッチ220mg/gの一般的な造粒製造過程でのブレンドの物性評価
Figure 2023503167000056
錠剤強度のマスター式が、以下の表37に示されている。
表37. 化合物Aの錠剤50mgおよび150mgに関するマスター配合。ロット:K9-983-58、62
Figure 2023503167000057
Figure 2023503167000058

スケールアップバッチは、各錠剤強度に関する錠剤圧縮プロファイルを生成するために、実証バッチ前に製造した。図26は、リード実現可能性バッチ(150mg)向けに構築した圧縮プロファイルと比較した、両方の錠剤強度に関する圧縮プロファイルを実証する異なるグラフを図示している。圧縮率とは、加圧下で体積低下を受けるブレンドの能力のことである。図26Aを見ると、200MPaの圧縮圧まで、スケールアップ時の錠剤製剤と実現可能性バッチの両方に、錠剤の多孔度の着実な低下が観察され、良好なブレンド圧縮率となることを示している。一方、圧縮性とは、ブレンドを圧縮して特定の強度の圧縮成形体にする能力のことである。図26Bを見ると、150mgの錠剤の場合、より低い引張強度における実現可能性バッチ錠剤は、スケールアップバッチよりもわずかに多孔性が高い。これは、バッチに使用される製造装置の違いに起因する可能性がある。実現可能性バッチ用の単一ステーションプレス器から実証バッチ用の回転式プレス器に変更すると、エアポケットがなくなり、粒子の再配置が改善され、充填が一層密になることによって、一層強い圧縮成形体をもたらすことができる。圧縮圧の増加時に錠剤の引張強度をプロットした打錠性のグラフ上の線(図26C)は、150mgの錠剤強度の場合、実現可能性バッチとスケールアップバッチの両方が重なる。
回転式プレス器で製造した錠剤(両方の錠剤サイズ)の場合の崩壊時間は、単一ステーションプレス器で製造されたものと比較して増大した。より大きなサイズの錠剤の加工の変更は、錠剤プレス器の違いと共に、観察された崩壊時間の違いの原因となり得る。
生成した圧縮プロファイルに基づいて、150MPaの圧縮圧を両方の強度の錠剤の製造の候補とした。錠剤は、プロセス全体を通して、5分ごとに、重量(g)、厚さ(mm)および破断荷重(kP)をモニタリングした。バッチの最後に、%摩損度および崩壊に関してバルクサンプリングを行った。
50mgの錠剤(K9-983-58)の総合的な特性(表38)により、150MPaの圧縮圧で圧縮すると、崩壊時間が約1分、破断荷重が10~13kP、および摩損度が0.00%を有する錠剤になることが分かった。125~175MPaの圧縮圧範囲により、許容される特性を有する錠剤が生成した。150mgの錠剤の場合、錠剤の崩壊時間は圧縮圧の変化に敏感であることが分かった。約125MPaでの錠剤の圧縮時には、崩壊時間の低下(約1分まで)が観察された。150~175MPaの圧縮圧の範囲内で錠剤を圧縮すると、許容される錠剤特性を有する錠剤が生成した。これらの錠剤は、1~2分の崩壊時間、23~26kPの破断荷重、および0.029%の摩損度を有した。
表38. 化合物Aの錠剤、50mg、ロット:K9-983-58および150mg、ロット:K9-983-61の実証製造に関する複合試験
Figure 2023503167000059
Figure 2023503167000060
3.9.化合物A錠剤の分析による物性評価
プロトタイプの錠剤製剤は、非沈降溶出によって物性評価した。プロトタイプ錠剤の溶出性能は、非沈降溶出試験で試験した(図27および表39)。すべての錠剤は、その親SDI、とりわけ50mgの錠剤と比較してかなり低い溶出レベルで機能し、この錠剤製剤は錠剤内に含まれるSDIの全放出、およびその後の溶出をすることができないことを示している。
表39.100RPMにおける化合物Aのプロトタイプ錠剤に関する非沈降溶出データ
Figure 2023503167000061
非沈降溶出試験中の薬物放出を増加させる試みで、パドル速度を150RPMまで向上し、210分の印のつけた時点に250RPMの無限スピンを加えた(以下の図28および表40)。このパドル速度の向上により、150mgの錠剤の場合、非常に類似した溶出プロファイルが達成されたが、50mgの錠剤は、依然として非常に低い状態で、無限スピンに起因する効果は観察されなかった。
表40. 150→250RPMにおける化合物Aのプロトタイプ錠剤に関する非沈降溶出データ
Figure 2023503167000062
SDDは、カニクイザルにおいて良好な経口曝露を実現した。表41および図29を参照されたい。
表41. カニクイザルにおけるSDD経口曝露
Figure 2023503167000063

4.結論
化合物AのSDIおよび錠剤は、物理化学的特性およびin vitroでの溶出性能試験に基づくと、結晶性APIと比較した場合、大幅に強化されたin vivoでの曝露を実現するはずである。40:60の化合物A:HPMCAS-M SDIを含有する50mgおよび150mgの両方の錠剤は、即時放出錠剤に首尾よく製剤化された。製剤の有効性を評価するために、in vivo研究および臨床試験を行う。
(実施例2)
化合物A単独、およびPDx阻害剤と組み合わせた効力および有効性を実証する非臨床検討
非臨床的薬理学
in vitro薬理学
化合物Aの効力および作用機序を決定するために、細胞系および一次免疫細胞における一連の細胞アッセイを実施した。
マウスおよびラット細胞系における化合物Aのin vitro活性
AHRアゴニスト刺激後の2種のげっ歯類のヘパトーマ細胞系におけるCyp1A1酵素活性の変化を測定することにより、AHR依存性Cyp1A1遺伝子発現を阻害する化合物Aの能力をin vitroで試験した。マウスHepa1.6およびラットH411Eヘパトーマ細胞を、それぞれ、AHRアゴニストであるVAF347およびL-キヌレニンにより、複数の濃度の化合物Aの存在下で24時間、処置した。続いて、P450-Gloアッセイを使用してCyp1A1酵素活性を測定することにより、Cyp1A1発現の阻害を評価した。2μMのVAF347により処置したマウスHepa1.6細胞では、化合物Aは、Cyp1A1のAHR依存的発現を濃度依存的に阻害し、平均IC50は36nMであった。100μMのL-キヌレニンにより処置したラットのヘパトーマH411E細胞では、化合物Aは、AHR依存的Cyp1A1発現を濃度依存的に阻害し、IC50は151nMであった。
ヒト細胞株における化合物Aおよび代謝産物のin vitro活性
HepG2 DRE-Lucレポーター細胞系におけるAHR媒介性転写活性化に対する化合物Aの阻害活性を試験するためにin vitro実験を実施した。このヒトヘパトーマ細胞系は、AHR応答性DREエンハンサーエレメントの制御下でルシフェラーゼレポーター遺伝子を安定的に発現する(Han, 2004)。HepG2 DRE-Lucレポーター細胞を80nMのVAF347で処置して、AHRを活性化した。化合物Aは、VAF347で刺激したルシフェラーゼの発現を濃度依存的に阻害し、IC50は91nM(n=2)であった。
ヒトの化合物Aの代謝産物である化合物Bおよび化合物Cの阻害活性もまた、HepG2 DRE-Luc細胞系で求めた。レポーター細胞は、80nMのVAF347および複数の濃度の各代謝産物により刺激した。化合物Aの代謝産物のどちらも、濃度依存的にAHR依存性ルシフェラーゼ発現を効果的に阻害することが示された。化合物BのIC50は、23nMであった一方、化合物CのIC50は、213nMであった(どちらも、n=2)。
カニクイザルの末梢血単核球細胞における化合物Aのin vitro活性
非げっ歯類の毒種の活性を評価するために、AHR依存的遺伝子発現に及ぼす化合物Aの効果をカニクイザルの末梢血単核球細胞(PBMC)で評価した。カニクイザルのPBMCをex vivoで化合物Aにより処置し、AHR依存的遺伝子CYP1B1およびAHRの遺伝子発現を、Quantigene Plex(QGP)カスタムパネルを使用して定量した。化合物Aは、濃度依存的にAHR標的遺伝子Cyp1B1およびAHRを阻害し、IC50値は、それぞれ6nMおよび30nMとなり、非ヒト霊長類種のPBMCにおいてAHR阻害があることを実証している。
ヒトT細胞および全血における化合物Aのin vitro活性
AHRは、免疫細胞において重要な役割を果たしており、その阻害は、免疫抑制を逆転させて、T細胞を活性化することが提唱されている。化合物AがAHR依存的CYP1A1発現およびサイトカイン産生を阻害する能力を初代ヒトT細胞で評価した。AHRは、免疫抑制サイトカインIL-22の発現を直接、調節する。健常ドナーPBMCから単離したヒトT細胞を、CD3/CD28四量体により活性化し、化合物Aと共に24時間インキュベートした。RNA単離および定量的逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応によるCYP1A1を分析するために、細胞ペレットを処理した。サイトカイン分析アッセイの場合、CD3/CD28活性化T細胞を化合物Aで処置し、Meso Scale Discovery V-plex IL-22プレートを使用してIL-22のレベルを分析するために、48時間後に培養物の上清を採集した。化合物Aは、CYP1A1の発現量を濃度依存的に減少させることにより、活性化ヒトT細胞におけるAHR依存的遺伝子発現を阻害した。IC50は63nMであると求まった。化合物Aはまた、活性化T細胞によるIL-22分泌を濃度依存的に阻害し、IC50値は7nMとなった。
ヒト免疫細胞における基底発現およびリガンド活性化AHR依存性遺伝子発現に及ぼす化合物Aの効果をさらに検討するため、2名の健常なヒトドナーからの血液試料を20μMのL-キヌレニンの存在下または非存在下で化合物Aにex vivoで曝露させて、AHRを活性化した。24時間後、細胞のCYP1B1遺伝子発現を評価した。AHR活性化のない全血試料では、CYP1B1発現量の基底レベルは、両方のドナーにおいて化合物Aの処置によって阻害された(図30A)。化合物Aはまた、2名の異なるドナーからの処置済み全血において、AHRリガンドL-キヌレニン誘発性CYP1B1を阻害した(図30B)。どちらのドナーでも、>0.5μMの濃度での化合物Aは、基底状態およびリガンド活性化状態下で、CYP1B1遺伝子発現量が50%を超えて阻害した。
in vivo薬理学
キヌレニンまたは他のリガンドによるAHRの活性化により、複数の免疫モジュレート遺伝子の遺伝子発現が改変され、生得免疫系内および適応免疫系内の両方において免疫制御をもたらす(Opitz, 2011)。このAHRの活性化により、成長中の腫瘍の免疫細胞認識および該腫瘍への攻撃を阻止するので、AHR媒介性免疫制御は、がんにおいてある役割を果たす(Murray,2014;Xue, 2018;Takenaka, 2019)。複数の腫瘍モデルにおける、薬力学的検討およびTGIでのAHRの標的阻害を実証するために、化合物Aを単剤として、およびチェックポイント阻害剤である抗PD-1と組み合わせて使用し、in vivo検討を実施した。
マウスの肝臓および脾臓における化合物Aの薬力学
肝臓および脾臓におけるAHR依存性遺伝子発現の阻害に及ぼす化合物Aの薬力学的効果をC57BL/6マウスで検討した。この検討では、AHRは、活性アゴニストVAF347のプロドラッグであるVAG539をマウスに経口投与することによって活性化した(Hauben, 2008)。
C57BL/6雌マウスを、ビヒクルまたは30mg/kgのAHRアゴニストであるVAG539を強制経口投与することによって処置した。一部のマウスでは、5、10および25mg/kgでの化合物Aの経口投与の直後にVAG539を投与した。投与後4時間および10時間にマウスを犠牲にして、RNAを抽出し、CYP1A1の遺伝子発現およびハウスキーピング遺伝子であるマウスグリセルアルデヒド3-リン酸デヒドロゲナーゼを定量した。肝臓および脾臓組織に関する各用量群のCYP1A1 mRNA発現レベルを対照群に対して正規化した。
30mg/kgのVAG539を単独投与した後、肝臓におけるAHR依存性CYP1A1の発現量は、処置後、4時間で895倍、および10時間で132倍に増加した。肝臓におけるCYP1A1 mRNAの発現量の増加は、化合物Aとの同時投与によって用量依存的に阻害された(図2)。VAG539によって誘発されたCYP1A1 mRNA増加の完全な阻害は、25mg/kgの化合物Aの用量で観察された。VAG539によるCYP1A1発現の誘発は、マウス脾臓では一層低く、処置後、4時間で12.9倍および10時間で1.8倍に向上した。化合物AとVAG539との同時投与は、脾臓におけるCYP1A1 mRNA誘発の用量依存的阻害をもたらし、マウスを25mg/kgの化合物Aで処置した場合、4時間で完全な阻害が達成された(図31)。この検討は、マウスの肝臓および脾臓において、化合物AによるAHRの用量依存的阻害および標的阻害があることを実証する。
B16-IDO1同所性マウス黒色腫がんモデルにおける抗PD-1抗体(BioXcell RMP1-14)と組み合わせた化合物Aの活性
同所性黒色腫のC57Bl/6マウス同系モデルにおいて、化合物Aの処置単独および抗PD-1抗体(BioXcell RMP1-14)と組み合わせた腫瘍成長に及ぼす影響を決定した。B16-F10マウス黒色腫腫瘍細胞は、トリプトファンをキヌレニンに異化し、それによってAHRを活性化することが知られているIDO1を過剰発現するよう操作された(Holmgaard, 2015)。
C57Bl/6雌マウスに、B16-IDO1腫瘍細胞を皮内接種した。腫瘍が一旦、確立すると、動物をビヒクル、化合物A、抗PD-1抗体、または抗PD-1抗体と化合物Aとを組み合わせて処置した。化合物A(25mg/kg)を12日間、1日1回(QD)、経口投与した一方、抗PD-1抗体(250μg/マウス)を、合計で5用量を、3日ごとに腹腔内(IP)投与した。
抗PD-1抗体の投与は、ビヒクル対照群と比較して、51.4%(p=0.025)のTGIをもたらした。化合物Aと抗PD-1抗体とを組み合わせると、ビヒクルと比較して86%(p=0.0001)、および抗PD-1抗体単剤療法群と比較して71.2%(p=0.0109)という有意なTGIをもたらし、これらは1匹にCRをもたらした(図32)。これらのデータは、黒色腫のマウスモデルにおけるTGIに対する化合物Aと抗PD-1抗体との複合効果であることを実証している。
CT26.WTマウス結腸直腸がんモデルを有するマウスにおける腫瘍成長および宿主生存に及ぼす化合物A単独および抗PD-1抗体(BioXcell RMP1-14)との組合せの効果
単剤化合物A、および抗PD-1抗体(BioXcell RMP1-14)と組み合わせた化合物AのTGIおよび腫瘍生存率に及ぼす影響を、結腸直腸がんのCT26.WT同系モデルで評価した。Balb/cJ雌マウスに腫瘍細胞を皮下接種し、接種して4日後に化合物A(10mg/kgまたは25mg/kg)またはビヒクルをQDで合計53用量を経口投与した。同時に、抗PD-1抗体(10mg/kg)を1週間に2回、合計で5用量をIP投与した。
単剤としての化合物Aは、ビヒクル対照群と比較して有意なTGIをもたらした。10mg/kgおよび25mg/kgの化合物Aの経口投与により、ビヒクル処置マウスと比較して、それぞれ39.8%(p=0.0061)および40.9%(p=0.0015)のTGIをもたらした。抗PD-1抗体のIP投与により、ビヒクル処置マウスと比較して72.1%(p≦0.0001)のTGIをもたらした。10mg/kgまたは25mg/kgの化合物Aと抗PD-1抗体とを組み合わせると、ビヒクル処置マウスと比較して、それぞれ72.9%(p≦0.0001)および86.5%(p≦0.0001)という有意なTGIをもたらした(図33)。25mg/kgの化合物Aと抗PD-1抗体との組合せは、10匹中7匹のマウスにおいて完全奏効(CR)をもたらした(CR判定後、>95日で腫瘍の再チャレンジが始まった)一方、単剤療法としての抗PD-1抗体は4匹にCRをもたらした。その結果、25mg/kgの化合物Aと抗PD-1抗体との組合せは、抗PD-1抗体の単独療法よりも生存利益を示した(図34)。10mg/kgの化合物Aと抗PD-1抗体との組合せもまた、2匹のマウスにおいてCRをもたらした。
化合物Aと抗PD-1抗体とを組み合わせて処置したマウスにおいてCRの出現後、≧95日において、レスポンダー動物に、CT26.WT細胞を再チャレンジした。腫瘍形成の陽性対照として、5匹のナイーブマウスもまた、CT26.WT細胞を注入した。細胞接種をして21日後に、すべてのナイーブマウスガ腫瘍を有したが、抗PD-1抗体単独群または10mg/kgの化合物Aおよび抗PD-1抗体群に由来するCRマウスでは腫瘍増殖は検出されなかった。25mg/kgの化合物Aおよび抗PD-1抗体群では、1つのCRが、小さな腫瘍(>104mm)を有し、7匹のCRのうちの6匹が、いかなる腫瘍の検出可能な腫瘍成長を有さず、CT26.WT細胞に対するT細胞メモリ細胞が存在することを実証している。
これらの検討は、化合物Aの抗腫瘍活性が免疫チェックポイント遮断阻害剤と相乗作用して、その活性を増強することを示している。
(実施例3)
局所進行性または転移性固形腫瘍および尿路上皮癌を有する患者における経口アリール炭化水素受容体(AHR)阻害剤である化合物Aの第1相の非盲検の用量漸増および拡大研究。
1.目的:
一次:
・ 最大耐量(MTD)を決定し、化合物Aの用量制限毒性(DLT)を特徴付けること。
・ 化合物Aの推奨される第2相用量(RP2D)の決定において、急性および慢性毒性を含む、化合物Aの追加の安全性および耐容性を評価すること。
二次:
・ 化合物Aおよび任意の主要な活性代謝産物のPKを評価および特徴付けること
・ 化合物Aの処置による疾患応答を評価すること
・ 採集した対の腫瘍生検における化合物Aの薬力学的免疫効果を評価すること
探索:
・ 対の採血および対の腫瘍生検におけるAHR標的遺伝子発現に及ぼす化合物Aの薬力学的効果を評価すること
・ 対の採血における末梢免疫細胞およびケモカイン/サイトカインに及ぼす化合物Aの薬力学的効果を評価すること
・ 腫瘍または血液中の候補ベースラインバイオマーカーを評価して、化合物Aの処置と応答または耐性との間の関係をよりよく理解すること
2.エンドポイント:
一次:
・ 修正毒性確率間隔(mTPI-2)設計に従って、許容可能と考えられる用量の特定
・ 安全性エンドポイント:総合的な有害事象(AE)の頻度、グレード別、検討処置への関係、発症時間、事象の期間、解決の期間および投与された併用薬
二次:
・ 半減期(t1/2)、血漿中濃度-時間曲線下面積(AUC)、および最大観測血漿中濃度(Cmax)を含めた、化合物AのPKパラメーターの決定
・ RECIST1.1による予備抗腫瘍活性エンドポイント:客観的奏効率(ORR)、無増悪生存(PFS)、処置期間(DOT)、疾患制御率(DCR)、奏効期間(DOR)。尿路上皮癌を有する患者の場合、治験責任医師の自由裁量で、追加の抗腫瘍エンドポイントにはiRECISTによる評価が含まれる。
・ 免疫薬力学的エンドポイント:以下に限定されないが、化合物Aによる処置前および処置中に採集した腫瘍生検における腫瘍浸潤性細胞傷害性T細胞の特徴付けを含む。
探索:
・ 検討薬物処置後の血液細胞および腫瘍組織におけるAHR標的遺伝子発現の変化
・ 以下に限定されないが、検討薬物処置後の循環ヘルパーT細胞、細胞傷害性T細胞および調節性単球を含む、免疫細胞タイプの変化
・ 以下に限定されないが、AHR、IDO1およびTDO2タンパク質の発現、AHR標的遺伝子発現、および免疫応答の遺伝子発現プロファイリングを含めた、ベースライン腫瘍バイオマーカーの相関関係
検討設計
これは、進行性固形腫瘍および尿路上皮癌を有する患者に経口投与された化合物Aの安全性、耐容性、PK、薬力学および予備的な抗腫瘍活性を評価するための、ファーストインヒューマン(first-in-human:FIH)、シングルアーム、用量漸増および拡大検討である。対象の登録および継続的な安全性の評価は、mTPI-2設計によって案内される(Guo, 2017)。用量漸増およびディエスカレーションの決定は、登録検討治験責任医師およびスポンサーから構成される安全審査委員会(SRC)によって行われる。予備的な抗腫瘍活性の証拠を評価するため、Simonの2段階設計(Simon,1989)を使用する。
28日間のベースラインスクリーニング期間(-28日目~-1日目;腫瘍走査評価のための14日間のスクリーニング期間、および一部の例では、処置前の生検を含む)の後に、単回投与導入期間(最大7日)が続き、食事を伴わない化合物AのPKを評価する。単回投与導入期間のために、スポンサーによって別段の指示またはスポンサーとの話し合いがない限り、絶食状態は、化合物Aを服用して2時間後に、単回用量の前夜の深夜から、水および薬品を除いて固形食も液体もないことと定義される。処置期間の間、対象は、化合物Aを毎日服用する前に、≧6グラムの脂肪を含む食事を摂取するように指示を受けるが、それ以外の場合は通常の食事を維持するべきである。治療群は、摂食状態での化合物Aの毎日の経口投与を含む。このスケジュールに予定されている中断はない。しかし、検討中にさまざまな評価を計画するために、3週間の処置(すなわち、21日ごと)が、1サイクルの治療に相当する。対象は、疾患進行、許容できない毒性または同意の撤回まで処置を続けることができる。少なくとも、30日間および90日間の経過観察のための訪問は、最後の検討薬物投与からそれぞれ30日後および90日(±7日)後に行うべきである。この期間中に代替療法が開始された場合、代替療法の最初の投与の前に、30日間および/または90日間の経過観察のための訪問を実施すべきである。
アーカイブ腫瘍組織を収集して、尿路上皮癌を有する患者における、化合物Aに対する疾患応答の予測バイオマーカーとして腫瘍AHR核局在化を探索することができる。尿路上皮癌を有する患者は、スクリーニング期間の前にAHR核局在化評価に同意することができる。患者の評価が陽性となる患者を優先する。事前スクリーニング期間中は、この評価に時間制限(すなわち、時間枠)は存在しない。アーカイブ腫瘍組織は、スポンサーと別段の話し合いがない限り、登録から1年以内に使用するべきである。
毒性は、米国国立がん研究所有害事象(AE)共通用語規準(NCI-CTCAE)v5.0に従って評価する。DLT事象は、本明細書において定義する。AEを評価し、化合物Aの安全性および耐容性を評価するため、検査値(本明細書において指定される、化学、血液学、凝固、甲状腺機能および尿検査)、バイタルサインおよび12誘導三連心電図(ECG)を取得する。
約30%の目標DLT率を有する修正毒性確率間隔(mTPI-2)設計(Guo,2017)を、化合物AのRP2Dを決定するための用量漸増および確認に適用する。200mg QDから毎日1600mgまで計画された化合物Aのいくつかの用量レベルを探索する。開始用量が不耐容性と思われる場合、化合物Aのディエスカレーション用量も利用可能である。すべての用量漸増およびディエスカレーションの決定は、最初の21日間(サイクル1)の所与の用量におけるDLTの発生に基づき、SRCによって行われる。いずれの時点でも、DLT事象が許容できない毒性閾値を超えると、その用量レベルで処置されているすべての対象の化合物Aの用量を少なくする。対象が利益を受け続けており、重症な処置中に発生した有害事象(TEAE)を伴わない場合、その対象は、治験責任医師およびスポンサーとの間で議論した後に、同じ用量で化合物Aの追加用量を服用することが許可されることがある。
用量漸増中、各用量において、最低3名の患者が必要である。DLTの集積率および発生に応じて、それらの患者の最後が21日間のDLT評価期間を完了するまで、3、4、5または6名の患者が、新しい用量ごとに登録されてもよい。mTPI-2の設計に基づいて、ある用量で登録されているが、DLT評価に関してまだ完全に評価可能ではない患者の数は、その用量が許容できない程度の毒性があると考えられる前に、DLTを発症するリスクがある残りの患者の数を超えてはいけない。一般に、3~14名の患者を所与の用量レベルで登録することができる。新しい用量コホートの各々における最初の2名の患者への化合物Aの投与は、最低15時間ずらす。化合物Aの血漿曝露が、霊長類においてQTcの増加が認められる11,200ng/mLのCmaxもしくは188,000ng*時/mLのAUCの75%またはそれ以内(すなわち、Cmaxが8,400ng/mLまたはAUCが141,000ng*時/mL)のレベルに到達するいずれの時点でも、用量漸増段階は、前の用量の50%に制限する。
14名の患者が許容できると判明した選択用量のいずれかで処置された後、用量漸増および安全性の確認の拡大を終了する。ある用量を持ち越すよう選択する前に、データの全体を検討し、RP2Dを決定するために、漸増計画は、この検討全体で現れるPK、薬力学および安全性データに基づいて調整することができる。
MTDを決定するために使用される対象集団は、検討の最小安全性評価要件を満たしている、および/またはDLTを経験した対象を含む。
化合物Aおよびその主要な活性代謝産物の血漿中PKを特徴付けるため、連続血液試料を取得する。最初のサンプリング戦略は、この化合物の予測されるヒトPKに基づく。PKを評価する過程において、代替的なサンプリングスキームの方が得られる情報が多いと判断された場合、血液とPKのために得た採血の全量が増加しない場合が、そのような代替のサンプリングスキームを行ってもよい。さらに、最初のサンプリングスキームが、不必要に集中すると考えられる場合、試料の総数はいずれの時間でも少なくしてもよい。
開始用量およびそれより高い任意の用量は、薬理学的に活性な範囲に近い、またはその範囲にあると予測されるので、各対象は、二次的および探索的薬力学エンドポイントのために採血および腫瘍生検を受ける必要がある。AHR標的関与を確認するために、血液および腫瘍組織の試料を使用する。個々の対象は、スポンサーによる話し合いおよび事前の合意があると、腫瘍生検の要件を免除され得る。最初のサンプリング戦略は、この化合物の予測されるヒト薬力学に基づく。薬力学を評価する過程において、代替的なサンプリングスキームの方が得られる情報が多いと判断された場合、血液、薬力学のために得た採血および腫瘍生検の総量が増加しない場合は、代替のサンプリングスキームを行うことができる。さらに、最初のサンプリングスキームが、不必要に集中すると考えられる場合、試料の総数はいずれの時間でも少なくすることができる。
この検討の一次エンドポイントは安全性および耐容性であるが、化合物Aに関連し得る予備的な抗腫瘍活性を、コンピュータ断層撮影(CT)または磁気共鳴画像法(MRI)により腫瘍サイズの変化を測定することによって評価する。腫瘍評価は、臨床的兆候および/または症状に基づく進行がない限り、応答評価基準固形腫瘍バージョン1.1(RECIST1.1)を使用して、最初の6か月間の8週間ごとの処置が完了した後に行う。尿路上皮癌を有する対象の場合、治験責任医師の自由裁量で、免疫RECIST(改訂)に従い、追加の腫瘍評価を実施してもよい。6か月を超える治療を受けている対象は、12週間ごとの処置が完了した後、定期的に腫瘍評価の実施を受ける。
尿路上皮癌を有する患者において、予備的な抗腫瘍活性の証拠を評価するため、Simonの2段階設計(Simon, 1989)を使用する。予備RP2Dで処置された14名の対象のうちの11~14名の対象が、尿路上皮癌を有すると予期されるが、必要に応じて、尿路上皮癌を有する最低11名の有効性評価可能な対象を可能にするよう、追加の対象を登録することができる。第2の段階に進めるために、尿路上皮癌を有するこれらの最初の11~14名の対象において、少なくとも1つの応答が必要であると思われ、この場合、尿路上皮癌を有する追加の対象を登録して、28名の対象のコホートを完了する。これらの28名の対象のうち合計で4つの応答があることは、アルファ=0.05またはそれ未満の奏効率のヌル仮説を除く0.05、片側検定でのこのような対象の集団では、この設計に基づいた、薬物のさらなる検討が必要であることを示す。期待される奏効率は0.20である。この設計の検出率は約0.80~0.83である。スポンサーは、予期される登録率に基づいて、段階1および段階2の間で登録を一時停止しないよう選択してもよい。
組み入れるための主要な診断基準:
1.患者≧18歳。
2.患者は、組織学的に確認された固形腫瘍を有する患者であって、処置医師によって適切と考えられたすべての標準治療中にもしくはその後に進行した局所再発性または転移性疾患を有する、あるいは標準処置の候補者ではない、上記の患者。
3.用量拡大相に登録されることになる尿路上皮癌を有する患者の場合、患者は、尿路上皮癌の組織学的確認を有していなければならず、そして処置医師によって適切と考えられたすべての標準治療(例えば、白金含有レジメンおよびチェックポイント阻害剤を含む)中にまたはその後に進行した切除不能な局所再発性もしくは転移性疾患を有していなければならない、あるいは標準処置の候補者ではない。これまでの処置レジメンの数に制限はない。
4.現場の治療責任医師/放射線学によって評価される、RECIST v1.1により測定可能な疾患を有する。以前に放射線照射した領域に位置する病変は、このような病変において進行が実証された場合、測定可能と見なされる。
5.腫瘍は、複数のコア生検に対して安全に利用可能になり得、スポンサーと話し合わない限り、患者は処置前および処置中に利用可能なアーカイブ生検および新たに得られた生検から組織を提供することを受け入れている。
6.根底にある悪性腫瘍を処置するための以前の治療の最後の用量からの時間(他の治験治療を含む):
a. 全身性細胞傷害性化学療法:≧以前のレジメンの最新サイクルの期間(全身性ニトロソ尿素または全身性マイトマイシン-Cの場合の6週間を除いて、すべての場合に最低で2週間)。
b. 生物学的治療法(例えば、抗体):≧3週間;
c. 低分子治療法:≧5×半減期。
7.米国東海岸がん臨床試験グループ(ECOG)パーフォーマンスステータスが、0~1を有する。
8.適切な臓器は、以下の通り機能する。検体は、検討処置の開始前の7日以内に採集しなければならない。
a. 絶対好中球数(ANC)≧1500/μL;
b. ヘモグロビン>8g/dL;
c. 血小板数>80,000/μL;
d. 血清クレアチニンが≦1.5×正常上限(ULN)、またはクレアチニンレベルが>1.5×施設ULN(Cockcroft-Gault式を使用)を有する患者の場合、クレアチニンクリアランスが≧50mL/分である。
e. 血清総ビリルビン≦1.5×ULN、または総ビリルビンレベル>1.5×ULNを有する患者の場合、直接ビリルビン≦ULN;
f. アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)およびアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)≦2.5×ULN(または、肝臓の腫瘍転移が存在する場合、≦5×ULN);
g. 凝固:PTまたはaPTTが、抗血液凝固剤の所期使用の治療的範囲内にある限り、対象が、抗凝固療法を受けていない場合、≦1.5×ULN。
9.妊娠の可能性が存在する場合、男性と女性の両方の患者に対して、非常に効果的な避妊。
10.書面のインフォームドコンセントを提供し、検討プロトコールおよび計画された外科手順を順守する能力および意欲のある患者。
除外に関する主要な診断基準
1.臨床的に不安定な中枢神経系(CNS)腫瘍または脳転移(安定なおよび/または無症候性のCNS転移は許容)。
2.以前の治療のためにすべてのAEから≦グレード1またはベースラインまで回復しなかった患者(≦グレード2の神経障害を有する患者は、スポンサーとの話し合いの後に適格となることがある)。
3.過去2年間に、疾患修飾剤、コルチコステロイドまたは免疫抑制薬の使用による全身処置を必要とした活動性自己免疫疾患を有する;非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)は許可される。
4.検討処置の最初の用量の2週間以内に、コルチコステロイド(毎日、>10mgのプレドニゾンに相当)または他の免疫抑制薬のどちらかによる、連続的な全身性処置を必要とする何らかの状態(活動性の臨床的に深刻な[すなわち、重症な]自己免疫疾患の非存在下では、1日あたり最大で10mgのプレドニゾン相当の吸入または局所ステロイドおよび生理学的補充量が許される)。
5.許可された緩和のための病変の局所照射(処置後の非標的病変と考えられる)およびホルモン除去を除く、任意の他の同時抗新生物剤処置または治験剤。
6.制御されていないまたは生命を脅かす症候性合併症(公知の症候性ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、症候性活動性肝炎BまたはCまたは活動性結核を含む)。
7.開始試験処置の3週間以内に大きな手術を受けた、または開始試験処置前の手術の合併症からの不十分な治癒もしくは回復を有する。
8.検討処置の開始から2週間以内に、以前の放射線療法を受けた。対象は、すべての放射線関連毒性から回復していなければならず、コルチコステロイドを必要としてはならず、そして放射線肺臓炎を有していてはならない。非CNS疾患への緩和的放射線照射[≦2週間の放射線治療]には、1週間のウォッシュアウトを許可する。
9.スポンサー許可のないこれまでのAHR阻害剤による処置。
10.過去3年以内に全身処置を必要とする、または処置応答の評価を妨げると思われる、生命を脅かす可能性のある二次悪性腫瘍。
11.化合物Aの吸収を有意に低下させることが予期される、経口摂取を制限する医療的問題、または胃腸管機能の損傷。
12.臨床的に深刻な(すなわち、活動性の)心血管疾患:脳血管事故/脳卒中(登録前の<6か月前)、心筋梗塞(登録前の<6か月前)、不安定狭心症、うっ血性心不全(≧ニューヨーク心臓協会分類クラスII)、あるいは薬品を必要とする任意の新しい不安定なもしくは深刻な心不整脈、または検討時にECGの解釈を妨げる恐れのある他のベースライン不整脈(例えば、脚ブロック)を含めた、催不整脈リスクを高める恐れのある任意の状態(例えば、低カリウム血症、徐脈、心臓ブロック)の存在。スクリーニングECG時に、QTcFが男性の場合、>450msecおよび女性の場合、>470msecを有する患者が除外される。脚ブロックを有するいずれの患者も、QTcF>450msecの場合、除外される。QTcFの長期化が知られている安定した用量の併用薬(例えば、選択的セロトニン再取り込み阻害剤である抗うつ薬)を服用している男性は、QTcF>470msecの場合のみ除外される。
13.強力なCYP3A4/5阻害剤(例えば、アプレピタント、クラリスロマイシン、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ネファゾドン、ポサコナゾール、テリスロマイシン、ベラパミルおよびボリコナゾール)または誘発因子(例えば、フェニトイン、リファンピン、カルバマゼピン、セイヨウオトギリ、ボセンタン、モダフィニルおよびナフシリン)を服用している患者は、投与前に≧5の半減期以内に他の薬品に移行することができない限り、本検討から除外する。検討に対する強力なCYP3A阻害剤または誘導因子となる薬物の併用は避けるべきである。
14.CYP3A4/5、CYP2C8、CYP2C9、CYP2B6、p-グリコタンパク質または乳がん耐性タンパク質(BCRP)トランスポーターのみを介して代謝される、またはこれらの感受性の高い基質であり、かつ治療域が狭い(例えば、レパグリニド、ワルファリン、フェニトイン、アルフェンタニル、シクロスポリン、ジエラゴタミン、エラゴタミン、フェンタニル、ピモジド、キニジン、シロリムス、エファビレンツ、ブプロピオン、ケタミン、メタドン、プロポフォール、トラマドールおよびタクロリムス)併用薬を服用している患者は、それらの使用に関して注意が払われ、可能な場合、許容される代替物の提供を受けるべきである。
15.全身療法を必要とする活動性感染を有する。
16.処置前に、妊娠検査に陽性な、妊娠可能な女性(WOCBP)。
17.スクリーニング訪問から始まり、検討処置の最後の用量から120日後まで、本検討の予測期間内に授乳中であるか、または妊娠が予期されるか、または子供の父親になる。
対象数(計画):
約50名の患者が本検討に登録されることが予想される。本検討の全体的なサンプルサイズは、化合物Aの観察されたDLTプロファイルに依存する。RP2Dを確認するために14名の対象を含める予定をしている5番目の計画用量に到達する前に、それぞれ3名の対象の4つの用量レベルを含めた、用量漸増のための26名の対象の目標サンプルサイズを計画する。
予備RP2Dにおける14名の対象のうち、11~14名の対象が尿路上皮癌を有すると予期される(しかし、尿路上皮癌を有する最低11名の有効性評価可能な対象を可能にするよう、追加の対象を登録することができる)。Simonの2段階の最初の段階のサンプルサイズは、RP2Dにおいて処置された用量漸増期からの尿路上皮癌を有する対象のサブセットに基づく。Simonの2段階からの全サンプルサイズは、28名の対象となろう。
検討薬物に関連するAE以外の理由のために、DLT期間中に処置から離脱した対象を交換する。
処置群および期間:
単回投与導入期間
単回投与導入期間の間、対象は、処置期間に入る前に、割り当てた用量レベルにおいて、絶食状態で単回用量化合物Aにより処置される。単回投与導入期間のために、スポンサーによって別段の指示またはスポンサーとの話し合いがない限り、絶食状態は、この用量を服用して2時間後に、単回用量の前夜の深夜から、水および薬品を除いて固形食または液体がないことと定義される。事象のスケジュール(SoE)に示されている通り、PKサンプリングを行い、摂食時と絶食時の化合物Aの投与を比較する。
処置期間
処置のサイクルは、3週間毎、つまりq3wと定義する。
化合物Aは、200mg QDの用量で開始し、最初に摂食状態で経口(PO)投与される(すなわち、化合物Aを毎日服用する前に≧6グラムの脂肪を含む食事を摂取してから30分以内であるが、そうでない場合、下痢、吐き気または嘔吐などのAEを管理するために修正を必要としない限り、通常の食事を維持すべきである)。探索される化合物Aの予備的な連続用量レベルには、400mg QD、800mg QD、1200mg QD、および毎日、投与されるq12hで800mgとして投与される1600mgが含まれる。1200mgを超える用量は、合計用量が2つの用量間に均等に分割されるよう、q12hで投与することが期待される(例えば、1600mgの用量は、800mgをq12hとして投与される)。実現可能性の問題が生じた場合(例えば、錠剤数を摂取するのが困難な場合)、またはPKが化合物Aの曝露の不均衡な増加を示す場合、用量は1日2回(BIDまたはq12h)、1日3回(TIDまたはq8h)または1日4回(QIDまたはq6h)に分割することができる。化合物Aの用量を50mg QD未満に低下する必要がある対象はいずれも、処置が中止される。継続的な処置が不耐容性と思われる場合、代替計画(例えば、2週間のオン/1週間のオフ、または3週間のオン/1週間のオフ)を探索することができる。
化合物Aの臨床的なPK、薬力学、実現可能性(例えば、1回に摂取することができる錠剤の最大数を超える)、または安全性の評価が、1日1回(QD)以外の投与頻度をもたらすことが望ましいことになり得ることを示唆する場合、対象の新しいコホートを、これまでに評価された、およびMTD未満またはこれに等しい化合物Aの1日あたりの最高合計用量に登録することができる。対象のこの新しいコホートでは、24時間にわたり投与される同じ合計用量が、利用可能なPKプロファイルデータ(例えば、1200mgの用量は、400mgのTIDまたはq8hで投与することができる)に応じて、1日3回(TIDまたはq8h)または1日4回(QIDまたはq6h)のレジメンとして投与される。用量のこのような分割が、十分に耐容される場合、この検討に登録されたすべての新しい対象において、このような分割された投与により、用量漸増を再開することができる。いずれの時でも、BID投与は、計画された用量におけるものを含め、q12h投与、またはq8h投与によるTID、またはq6h投与によるQIDと交換することができる。
対象は、最初に、抗催吐剤による予防処置を受けない。しかし、DLTを定義する前に、確立された化合物A関連の吐き気および/または嘔吐を処置するために抗催吐剤を使用してもよい。グレード1または2の下痢は、標準用量のロペルアミドにより処置することができる。
化合物Aに関連する炎症は、用量の制限が証明されない限り、全身性コルチコステロイドにより処置されない。
追加の用量調整およびモニタリング計画は、プロトコールに記載される。
各対象の検討期間には、本検討に含めるためのスクリーニング期間、処置期間を開始する前の最大で7日間および2日間以上の化合物Aに対する食物の影響を評価するための単回投与導入期間、3週間ごとに繰り返される化合物Aの処置サイクルの治療単位(すなわち、21日間)、処置を終了して30日間の経過観察のための訪問、および処置を終了して90日間の経過観察/検討訪問の終了が含まれる。対象は、疾患進行、許容できない毒性、または同意の撤回まで処置を継続することができ、最後の検討薬物の投与後、最低30日間および90日間の経過観察のための訪問が続く。iRECISTを使用する、疾患進行を超えた処置は、治験責任医師の自由裁量で尿路上皮癌を有する患者に利用可能である。
予期される登録期間は、段階1の終わりまで29か月(用量漸増)および段階2の終わりまで30か月(予備的な抗腫瘍効果)である。
試験の中断日時は、すべての対象が16週間の治療を完了したか、または検討処置を中止したかのどちらか一方の日時として定義する。臨床的利益を実証し続ける対象は、疾患進行またはこの検討からの自発的な離脱まで、化合物Aの処置を受けること適格性がある。検討処置は、疾患進行またはこの検討からの自発的な離脱に関係なく、研究処置の2年後に終了する。検討処置は、本検討の延長、責任ある保健当局および倫理委員会による承認を必要とするロールオーバー検討により、またはスポンサーの自由裁量による別の機構を通じて提供することができる。
統計上の考慮事項:
サンプルサイズの決定:
本検討の全体的なサンプルサイズは、化合物Aの観察されたDLTプロファイルに依存する。用量漸増のための26名の対象、および用量拡大のための67名の対象の目標サンプルサイズを計画する。
Simonの2段階の最初の段階のサンプルサイズは、Simonの2段階設計のための選択された拡大用量で処置された用量漸増期からの尿路上皮癌対象のサブセットに基づく。尿路上皮癌を有する少なくとも14名の患者を、選択された拡大用量で登録する。Simonの2段階設計からの合計サンプルサイズは、尿路上皮癌を有する28名の対象である。
具体的には、尿路上皮癌を有する11~14名の最初の対象における、少なくとも1つの応答があること、およびアルファ=0.05またはそれ未満の奏効率のヌル仮説を除く0.05、片側検定でのこのような対象の集団では、この設計に基づいて本薬物のさらなる検討を示すよう、28名の対象のうち合計で4つの応答があることが必要であると思われる。期待される奏効率は0.20である。この設計の検出率は約0.80~0.83である。スポンサーは、予期される登録率に基づいて、段階1および段階2の間で登録を一時停止しないよう選択してもよい。
結果
摂食状態において、200mg、400mg、800mgおよび1200mg(QDつまり1日1回)の化合物Aからなる、それぞれ3名の対象を含む用量コホートは、薬物に関連する重症ないかなる有害事象(SAE)なしで完了した。
暫定コホートの薬物動態を、親(化合物A)および2種の活性代謝産物(化合物Bおよび化合物C)に関して評価した。3つの分析対象(化合物A、化合物B、化合物C)のすべてに対して観察された用量の増加に伴う曝露の増大。PKは、3つの分析対象のすべてについて、サイクル2の1日目(C2D1)には、比例用量よりも高いように思われる。定常状態のPKが、8日目までに3つの分析対象すべてに達成された。化合物Bの代謝産物の比は、200mgを超える投与量のコホートでは、C2D1に向上する。200mgを超える反復投与で観察された化合物Bの蓄積。化合物BのAUC(曲線下面積)は化合物Aよりも大きく、400mgおよび800mgにおいて、2/3の対象に反復投与する。理論によって拘泥または制限されることを望むものではないが、排出速度により、CYP1A1の標的阻害を介して化合物Bの蓄積に寄与する可能性が高い動力学が制限される。
C2D1における化合物Bと化合物Aとの比は、400mgの用量と比較して800mgの用量ではほぼ同じであった(親の1.3~1.4倍)。化合物Cと化合物Aとの比もまた、800mgの用量では、400mgの用量で観察されたものと同様であった(親のAUC15~20%)。
これらの結果に基づくと、化合物Bおよび化合物Cは、(化合物Aに加えて)曝露および効力に基づいた「活性な」代謝産物と見なすことができる。化合物Bの場合、AUC0-24、つまり24時間後の曝露は、親化合物である化合物Aと同様またはそれより大きい。化合物BのIC50は、親化合物である化合物Aの約4倍、大きい。
AHR標的遺伝子の薬力学(PD)モジュレートを、全血アッセイで分析した。AHR標的遺伝子であるCYP1B1の発現の強力な阻害が、200mg、400mgおよび800mgのコホートにおいて、すべての対象に観察された。
本発明者らは、本発明のいくつかの実施形態を記載しているが、本発明者らの基本的な実施例は、本発明の化合物および方法を利用する他の実施形態を提供するために改変されてもよい。したがって、本発明の範囲は、例として表されている特定の実施形態によってよりもむしろ、本出願および特許請求の範囲によって規定されることが理解される。

Claims (24)

  1. 化合物A
    Figure 2023503167000064
    または薬学的に許容されるその塩、および薬学的に許容されるポリマーを含む、噴霧乾燥中間体(SDI)製剤。
  2. 化合物Aの遊離塩基を含む、請求項1に記載のSDI製剤。
  3. 化合物Aのヘミマレイン酸塩を含む、請求項1に記載のSDI製剤。
  4. 前記薬学的に許容されるポリマーが、PVP-VA、HPMC、HPMCP-55、HPMCAS-M、TPGS、HPMCAS-LおよびMCCから選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載のSDI製剤。
  5. 約25~40重量%の化合物Aまたは薬学的に許容されるその塩を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のSDI製剤。
  6. 前記薬学的に許容されるポリマーが、約60~75重量%である、請求項1~5のいずれか一項に記載のSDI製剤。
  7. 40:60(重量%)の化合物Aの遊離塩基:HPMCAS-Mを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のSDI製剤。
  8. 請求項1~7のいずれか一項に記載のSDI製剤を含む、単位剤形。
  9. 前記SDI製剤が、約55~65重量%の前記単位剤形である、請求項8に記載の単位剤形。
  10. 即時放出(IR)錠剤である、請求項8または9に記載の単位剤形。
  11. マンニトールおよびラクトースから選択される充填剤をさらに含む、請求項8~10のいずれか一項に記載の単位剤形。
  12. 崩壊剤Ac-Di-Solをさらに含む、請求項8~11のいずれか一項に記載の単位剤形。
  13. 増粘剤Cab-O-Silをさらに含む、請求項8~12のいずれか一項に記載の単位剤形。
  14. フマル酸ステアリルナトリウムをさらに含む、請求項8~13のいずれか一項に記載の単位剤形。
  15. 結合剤HPC Nisso SSL SFPをさらに含む、請求項8~14のいずれか一項に記載の単位剤形。
  16. 沈降溶出試験において、約3分間で全放出を有する、請求項8~15のいずれか一項に記載の単位剤形。
  17. 患者においてがんを処置するための方法であって、前記患者に、治療有効量の請求項1~7のいずれか一項に記載のSDI製剤、または請求項8~16のいずれか一項に記載の単位剤形を投与するステップを含む、方法。
  18. 前記がんが、血液学的がん、リンパ腫、骨髄腫、白血病、神経学的がん、皮膚がん、乳がん、前立腺がん、結腸直腸がん、肺がん、頭頚部がん、胃腸がん、肝臓がん、膵臓がん、泌尿生殖器のがん、骨がん、腎がんおよび血管がんから選択される、請求項17に記載の方法。
  19. 前記がんが、
    尿路上皮癌、例えば、膀胱がんまたは移行上皮癌;
    頭頚部扁平上皮癌;
    黒色腫、例えば、ぶどう膜黒色腫;
    卵巣がん、例えば、卵巣がんの漿液性サブタイプ;
    腎細胞癌、例えば、明細胞型腎細胞癌サブタイプ;
    子宮頚がん;
    胃腸管/胃(GIST)がん、例えば、胃がん;
    非小細胞肺がん(NSCLC)、例えば、進行性および/または転移性NSCLC;
    急性骨髄性白血病(AML);および
    食道がん
    から選択される、請求項17に記載の方法。
  20. 前記方法が、前記患者に、約200~1600mg(例えば、約200mg、約400mg、約600mg、約800mg、約1000mg、約1200mgまたは約1600mg)の化合物A、または薬学的に許容されるその塩を毎日投与するステップを含む、請求項17~19のいずれか一項に記載の方法。
  21. 患者におけるがんを処置するための、治療有効量の請求項1~7のいずれか一項に記載のSDI製剤、または請求項8~16のいずれか一項に記載の単位剤形の使用。
  22. 前記がんが、血液学的がん、リンパ腫、骨髄腫、白血病、神経学的がん、皮膚がん、乳がん、前立腺がん、結腸直腸がん、肺がん、頭頚部がん、胃腸がん、肝臓がん、膵臓がん、泌尿生殖器のがん、骨がん、腎がんおよび血管がんから選択される、請求項21に記載の使用。
  23. 前記がんが、
    尿路上皮癌、例えば、膀胱がんまたは移行上皮癌;
    頭頚部扁平上皮癌;
    黒色腫、例えば、ぶどう膜黒色腫;
    卵巣がん、例えば、卵巣がんの漿液性サブタイプ;
    腎細胞癌、例えば、明細胞型腎細胞癌サブタイプ;
    子宮頚がん;
    胃腸管/胃(GIST)がん、例えば、胃がん;
    非小細胞肺がん(NSCLC)、例えば、進行性および/または転移性NSCLC;
    急性骨髄性白血病(AML);および
    食道がん
    から選択される、請求項21に記載の使用。
  24. 前記SDI製剤または前記単位剤形が、約200~1600mg(例えば、約200mg、約400mg、約600mg、約800mg、約1000mg、約1200mgまたは約1600mg)の化合物A、または薬学的に許容されるその塩を含み、かつ、毎日投与される、請求項21~23のいずれか一項に記載の使用。
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