本発明は、蒸着に関し、より詳細には、ターゲット材料を基板にスパッタ蒸着する方法および装置に関する。
堆積とは、材料が基板上に堆積されるプロセスである。堆積の一例は、薄膜堆積であり、薄層(典型的には、ナノメ-トル付近から、又はナノメ-トルから数マイクロメ-トル又は数十マイクロメ-トルの数分の1まで)が、シリコンウェハ又はウェブのような基板上に堆積される。薄膜堆積のための一例として、物理蒸着(PVD)がある。このPVDでは、凝縮相中のターゲット材料が蒸気化されて蒸気が生成され、この蒸気が次に基板表面上に凝縮される。PVDの一例は、スパッタ蒸着であり、粒子は、イオンなどの高エネルギ-粒子による衝撃の結果、ターゲットから放出される。スパッタ蒸着の例では、アルゴンのような不活性ガスのようなスパッタガスが、低圧で真空チャンバ内に導入され、スパッタガスは、高エネルギ-電子を用いてイオン化され、プラズマが生成される。プラズマのイオンによるターゲットの衝撃は、ターゲット材料を放出し、次いで、それは、基板表面上に堆積し得る。スパッタ蒸着は、ターゲット材料を加熱する必要なしに蒸着することができ、これにより、次に、基板への熱損傷を低減または防止することができるという点で、蒸着などの他の薄膜蒸着方法に比べて利点がある。
基板は、汚染のリスクを低減するために、スパッタ蒸着を受ける前または受ける後に、乾燥ルームまたはクリーンルーム内に保管されてもよい。これにより、基板が取り扱いにくくなる可能性がある。
スパッタ蒸着の間、放出されたターゲット材料および/またはプラズマは、蒸着が行われるチャンバと相互作用するか、またはそれをコ-ティングしてもよい。これは、例えば、スパッタ蒸着プロセスがチャンバをクリ-ニングするために周期的に停止される場合、スパッタ蒸着プロセスの効率を低下させることができる。
本発明の第1の態様によれば、備えるスパッタ蒸着装置が提供される。
基板を支持するように配置された基板支持アセンブリ。
ターゲット材料の基板上へのスパッタ蒸着に使用するための少なくとも1つのスパッタターゲットを支持するように配置されたターゲット支持アセンブリ;
前記スパッタ蒸着のためのプラズマを提供するように構成されたプラズマ生成構成と、前記スパッタ蒸着後に、蒸着されたターゲット材料とともに前記基板を収容するように構成されたカートリッジであって、前記カートリッジは、前記スパッタ蒸着装置から取り外し可能であるカートリッジと、を備える、カートリッジ。
この構成により、堆積されたターゲット材料を有する基板は、基板が処理された後、スパッタ蒸着装置から、カートリッジ内で除去され得る。カートリッジは、基板を汚染から保護し、処理された基板を、他の方法よりも容易に取り扱いおよび/または保管することを可能にする。例えば、カートリッジは、クリーンルームまたはドライルーム内ではなく、従来の棚上に雰囲気に敏感な基板を保管するために使用されてもよい。
実施例では、カートリッジは、蒸着されたターゲット材料と共に基板の少なくとも一部を真空中に収容するように配置された真空チャンバを備える。これは、堆積されたターゲット材料と周囲の環境との間の相互作用によってさもなければ起こり得る、基板上の堆積されたターゲット材料の汚染及び/又は他の劣化をさらに減少させることができる。
実施例では、カートリッジは、ターゲット支持アセンブリおよび少なくとも1つのスパッタターゲットをさらに含む。このようにして、カートリッジは、スパッタ蒸着中に空乏化または変更されるスパッタ蒸着構成要素を含んでもよい。これにより、スパッタ蒸着を行う効率が向上する可能性がある。例えば、ターゲット材料を基板上に堆積させるために少なくとも1つのスパッタターゲットを使用した後、ターゲット支持アセンブリを備えるカートリッジは、少なくとも1つのスパッタターゲットおよびその上に堆積されたターゲット材料を備える基板が、スパッタ堆積装置から除去されてもよい。次いで、それ自体のターゲット支持アセンブリと、少なくとも1つのスパッタターゲットとを備える、さらなるカートリッジが、加工のために、スパッタ蒸着装置に挿入されてもよい。これは、スパッタ蒸着プロセスによって消耗された少なくとも1つのスパッタターゲットを、その後スパッタ蒸着を再開する前に補充するために、蒸着プロセスが停止される他のアプロ-チよりも、より効率的に実行することができる。これは、基板上への異なるターゲット材料のスパッタ蒸着における柔軟性をさらに提供する。例えば、基板上に堆積されるべきターゲット材料は、カートリッジを除去し、異なる材料を含む異なるスパッタターゲットを含む異なるカートリッジに置き換えることによって、直進的に変更されてもよい。
実施例では、プラズマ生成配置は、スパッタ蒸着装置の蒸着ゾ-ン内にプラズマを提供するように構成され、カートリッジは、蒸着ゾ-ンを含む。これにより、スパッタ蒸着をカートリッジ内で行うことができる。これにより、堆積ゾ-ン内のデブリ(少なくとも1つのスパッタターゲットおよび/またはプラズマのイオンから放出される材料など)と、デブリなどのスパッタ堆積装置との間の接触が、代わりにカートリッジ内に収容されてもよい。これは、スパッタ蒸着装置をクリ-ニングする必要性を低減または排除することができ、スパッタ蒸着を停止する必要がある場合がある。したがって、スパッタ蒸着の効率は改善され得る。これらの例では、プラズマ生成配置は、プラズマの生成および伝播のための電場および/または磁場を生成するように配置されてもよく、カートリッジのケーシングは、電場および/または磁場のための少なくとも部分的に透過する透過領域を備えてもよく、カートリッジの堆積ゾ-ン内でプラズマを生成する。この構成により、プラズマは、カートリッジの外側のスパッタ蒸着装置の一部内ではなく、カートリッジ内にあってもよい。プラズマとスパッタ蒸着装置との間の接触は、さらに低減されてもよく、これにより、スパッタ蒸着装置をクリ-ニングする必要性がさらに低減されてもよい。したがって、スパッタ蒸着の効率は増加し得る。カートリッジは、基板、基板支持アセンブリ、ターゲット支持アセンブリ、およびターゲット支持アセンブリによって支持される少なくとも1つのスパッタターゲットを含んでもよく、カートリッジは、スパッタ蒸着の間、真空下でシールされてもよい。このようなカートリッジでは、カートリッジは、スパッタ蒸着のための消耗品を含んでもよく、スパッタ蒸着の効率をさらに高めることができる。スパッタ蒸着中に真空下でカートリッジをシールすることによって、環境に敏感なターゲット材料の基板上への蒸着が、改善された品質で実行されてもよい。例えば、これは、ターゲット材料および/または基板と周囲環境との相互作用の速度を低下させ得る。
プラズマ生成構成が、カートリッジの堆積ゾ-ン内にプラズマを提供するように構成されるいくつかの例では、カートリッジは、プラズマのカートリッジの堆積ゾ-ンへの進入のための開口を含んでもよい。開口部は、密封可能であってもよい。これは、スパッタ蒸着のためのさらなる柔軟性を提供する。例えば、プラズマは、カートリッジの外部で生成されてもよく、その後、カートリッジに入ってもよい。プラズマ密度のようなプラズマの特性を制御することは、他の方法よりも、カートリッジの外側にプラズマを発生させることによって、より容易であり得る。したがって、これは、ターゲット材料の基板上へのスパッタ蒸着の制御を改善し得る。
実施例では、プラズマ生成配置は、スパッタ蒸着装置の蒸着ゾ-ン内でスパッタ蒸着のためのプラズマを提供するように構成され、蒸着ゾ-ンは、カートリッジの外側にある。これにより、例えば堆積ゾ-ンがカートリッジ内にある場合など、他の場合よりもコンパクトなカートリッジを提供することができる。したがって、カートリッジは、他の方法よりも効率的に貯蔵および/または輸送されてもよい。これらの例では、スパッタ蒸着装置は、その中に基板が配置された状態でカートリッジを受け入れるように配置されてもよく、スパッタ蒸着装置は、カートリッジから蒸着ゾ-ン内に基板の少なくとも一部分を運搬し、蒸着ゾ-ン内にスパッタ蒸着を提供し、スパッタ蒸着後、基板の少なくとも一部分をカートリッジ内に運搬するように配置された運搬アセンブリを備えてもよい。これにより、カートリッジのコンパクト性がさらに向上する可能性がある。例えば、輸送アセンブリを使用して、スパッタ蒸着装置内の蒸着ゾ-ン内および蒸着ゾ-ン外に基板を適切に供給することができ、これは、カートリッジ自体よりも大きくてもよい。これらの例では、スパッタ蒸着装置は、その中に少なくとも1つのスパッタターゲットが配置された状態でカートリッジを受け入れるように構成されてもよく、輸送アセンブリは、さらに、少なくとも1つのスパッタターゲットをカートリッジから蒸着ゾ-ン内に輸送して、蒸着ゾ-ン内での前記スパッタ蒸着を提供するように構成されてもよい。これは、少なくとも1つのスパッタターゲットを、処理される基板と共に設けることによって、スパッタ蒸着プロセスの効率を向上させることができる一方で、スパッタ蒸着装置内の蒸着ゾ-ンよりも小さくすることができるカートリッジのコンパクト性も向上させることができる。
実施例では、基板支持アセンブリは、前記スパッタ蒸着中に前記少なくとも1つのスパッタターゲットに対して前記基板を搬送するように配置されたコンベヤシステムを備える。コンベヤシステムは、基板が処理される速度に対する制御を改善することができ、したがって、ターゲット材料の基板上へのスパッタ蒸着に対する制御を改善することができる。コンベヤシステムは、静的基板支持体と比較して、ターゲット材料が基板上にスパッタ蒸着される速度を増加させてもよい。したがって、スパッタ蒸着の効率は改善され得る。
本発明の第2の態様によれば、スパッタ蒸着装置に挿入するためのカートリッジが提供され、該カートリッジは、基板スパッタ蒸着装置を使用して、ターゲット材料を基板上にスパッタ蒸着する際に使用するための少なくとも1つのスパッタターゲットと、前記スパッタ蒸着後に、蒸着されたターゲット材料で前記基板を保管するためのチャンバと、を備える。
このようなカートリッジは、堆積されたターゲット材料で基板を汚染から保護するために使用されてもよい。堆積されたターゲット材料を有する基板は、他の方法よりも容易に取り扱うこと及び/又は貯蔵することができる。例えば、カートリッジは、クリーンルームまたはドライルーム内ではなく、従来の棚上に雰囲気に敏感な基板を保管するために使用されてもよい。少なくとも1つのスパッタターゲットをカートリッジ内に含むことによって、スパッタ蒸着装置は、さもなければ、スパッタ蒸着をより効率的に行うことができる。例えば、ターゲット材料を基板上に堆積させるために少なくとも1つのスパッタターゲットを使用した後、ターゲット支持アセンブリを備えるカートリッジは、少なくとも1つのスパッタターゲットおよびその上に堆積されたターゲット材料を備える基板が、スパッタ堆積装置から除去されてもよい。次いで、それ自体のターゲット支持アセンブリと、少なくとも1つのスパッタターゲットとを備える、さらなるカートリッジが、加工のために、スパッタ蒸着装置に挿入されてもよい。これは、スパッタ蒸着プロセスによって消耗された少なくとも1つのスパッタターゲットを、その後スパッタ蒸着を再開する前に補充するために、蒸着プロセスが停止される他のアプロ-チよりも、より効率的に実行することができる。これは、基板上への異なるターゲット材料のスパッタ蒸着における柔軟性をさらに提供する。例えば、基板上に堆積されるべきターゲット材料は、カートリッジを除去し、異なる材料を含む異なるスパッタターゲットを含む異なるカートリッジに置き換えることによって、直進的に変更されてもよい。
いくつかの例では、チャンバは、真空の封じ込めのための密閉可能なチャンバである。これは、改良された品質で実行されるべき基板上への環境感受性ターゲット材料の堆積を可能にし得る。例えば、ターゲット材料および/または基板と周囲環境との望ましくない相互作用の速度を低減することができる。チャンバが密閉可能であるので、これはまた、柔軟性を提供する。カートリッジは、基板上へのターゲット材料の環境感受性スパッタ蒸着(例えば、チャンバが密閉され、真空下にある状態で)、または基板上への不活性または不活性ターゲット材料のスパッタ蒸着などの環境不感性スパッタ蒸着のために使用され得るからである。場合によっては、チャンバは真空チャンバであってもよく、このチャンバは、例えば、これらの構成要素が反応性である場合、チャンバ内の構成要素と周囲の環境との望ましくない相互作用をさらに低減し得る。
実施例では、チャンバは、基板と、前記スパッタ蒸着前後の少なくとも1つのスパッタターゲットとを備える。これは、スパッタ蒸着プロセスの効率をさらに向上させることができ、スパッタ蒸着プロセスは、スパッタ蒸着装置内へのカートリッジの挿入時に実行されてもよい。場合によっては、チャンバ-は、上記スパッタ蒸着中に基板および少なくとも1つのスパッタターゲットを備えることができ、これにより、スパッタ蒸着をカートリッジ内で行うことができる。これらの例では、チャンバは、前記スパッタ蒸着中に前記少なくとも1つのスパッタターゲットに対して前記基板を搬送するように配置されたコンベヤシステムを備えることができる。これは、基板が処理される速度に対する制御を改善することができ、したがって、ターゲット材料の基板上へのスパッタ蒸着に対する制御を改善することができる。コンベヤシステムは、静的基板支持体と比較して、ターゲット材料が基板上にスパッタ蒸着される速度を増加させてもよい。したがって、スパッタ蒸着の効率は改善され得る。コンベヤシステムは、ロ-ラを含んでもよい。このような場合、コンベアシステムは、「リール間」プロセス配置であってもよく、または、一部を形成してもよく、これは、基板を効率的な方法で処理してもよい。
実施例では、カートリッジは、スパッタ蒸着装置によって生成されたプラズマの進入のための開口を備える。開口部は、密封可能であってもよい。これは、スパッタ蒸着のためのさらなる柔軟性を提供する。例えば、プラズマは、カートリッジの外部で生成されてもよく、その後、カートリッジに入ってもよい。プラズマ密度のようなプラズマの特性を制御することは、他の方法よりも、カートリッジの外側にプラズマを発生させることによって、より容易であり得る。したがって、これは、ターゲット材料の基板上へのスパッタ蒸着の制御を改善し得る。
実施例において、カートリッジのケーシングは、電場および/またはスパッタ蒸着装置によって生成される磁場に対して少なくとも部分的に透過する、カートリッジ内のプラズマの生成のための透過領域を含む。これにより、堆積ゾ-ン内のデブリ(少なくとも1つのスパッタターゲットおよび/またはプラズマのイオンから放出される材料など)と、デブリなどのスパッタ堆積装置との間の接触が、代わりにカートリッジ内に収容されてもよい。これは、スパッタ蒸着装置をクリ-ニングする必要性を低減または排除することができ、スパッタ蒸着を停止する必要がある場合がある。したがって、スパッタ蒸着の効率は改善され得る。
実施例では、基板は可撓性であり、チャンバは、前記スパッタ蒸着後に、蒸着されたターゲット材料で基板を支持するリールを備える。これは、「リール間」プロセス配列を使用して、ターゲット材料の基板上へのスパッタ蒸着を容易にし得、これは、基板を効率的な方法で処理し得る。これは、追加的または代替的に、他の構成よりもコンパクトであり得る、基板を支持するための効率的な方法を提供してもよい。これらの例では、リールは、第2のリールであってもよく、カートリッジは、前記スパッタ蒸着前に基板を支持するための第1のリールを備えてもよい。これは、効率的な「リール間」蒸着プロセスの使用をさらに容易にし得る。
実施例では、カートリッジは、基板および/または少なくとも1つのスパッタターゲットをカートリッジから輸送するように配置された輸送アセンブリを備える。これにより、ターゲット材料がその上にスパッタ堆積された後、および/または少なくとも1つのターゲットの材料が空乏化された後に、基板および/または少なくとも1つのスパッタターゲットがカートリッジから容易に除去され得る。場合によっては、これにより、スパッタ蒸着がカートリッジの外部で発生することが可能になる。したがって、カートリッジは、スパッタ蒸着がカートリッジ内で行われる場合よりもコンパクトであってもよい。
例において、ターゲット材料は、エネルギ-蓄積装置の電極層又は電解質層のための材料を含む。したがって、これらの例では、カートリッジは、エネルギ-蓄積装置の製造のために使用されてもよい。
本発明の第3の態様によれば、備えるスパッタ蒸着装置が提供される。
スパッタ蒸着装置を用いてターゲット材料を基板上にスパッタ蒸着する際に使用するための基板および少なくとも1つのスパッタターゲットを含むカートリッジを支持するように構成されるカートリッジ支持組立体であって、該カートリッジがスパッタ蒸着装置から取り外し可能であるように構成されるカートリッジ支持組立体と、該スパッタ蒸着のためのプラズマを提供するように構成されるプラズマ発生装置と、を備える、カートリッジ支持組立体。
この構成により、堆積されたターゲット材料を有する基板は、基板が処理された後、スパッタ蒸着装置から、カートリッジ内で除去され得る。カートリッジは、基板を汚染から保護し、処理された基板を、他の方法よりも容易に取り扱いおよび/または保管することを可能にする。例えば、カートリッジは、クリーンルームまたはドライルーム内ではなく、従来の棚上に雰囲気に敏感な基板を保管するために使用されてもよい。第3の態様によるスパッタ蒸着装置は、このようなスパッタ蒸着プロセスを容易にすることができる。
実施例では、プラズマ生成配置は、スパッタ蒸着装置の蒸着ゾ-ン内で、該スパッタ蒸着のためのプラズマを提供するように配置され、ここで、カートリッジは、蒸着ゾ-ンを備える。これにより、スパッタ蒸着をカートリッジ内で行うことができる。これにより、堆積ゾ-ン内のデブリ(少なくとも1つのスパッタターゲットおよび/またはプラズマのイオンから放出される材料など)と、デブリなどのスパッタ堆積装置との間の接触が、代わりにカートリッジ内に収容されてもよい。これは、スパッタ蒸着装置をクリ-ニングする必要性を低減または排除することができ、スパッタ蒸着を停止する必要がある場合がある。したがって、スパッタ蒸着の効率は改善され得る。
実施例では、スパッタ蒸着装置は、基板の少なくとも一部分をカートリッジからスパッタ蒸着装置の蒸着ゾ-ンに輸送し、蒸着ゾ-ン内にスパッタ蒸着を提供するように構成され、蒸着ゾ-ンはカートリッジの外側にある輸送アセンブリと、スパッタ蒸着後、基板の少なくとも一部分をカートリッジ内に輸送するように構成された輸送アセンブリとを備える。これにより、例えば堆積ゾ-ンがカートリッジ内にある場合など、他の場合よりもコンパクトなカートリッジを提供することができる。したがって、カートリッジは、他の方法よりも効率的に貯蔵および/または輸送されてもよい。例えば、輸送アセンブリを使用して、スパッタ蒸着装置内の蒸着ゾ-ン内および蒸着ゾ-ン外に基板を適切に供給することができ、これは、カートリッジ自体よりも大きくてもよい。
輸送アセンブリは、さらに、少なくとも1つのスパッタターゲットをカートリッジから堆積ゾ-ン内に輸送し、堆積ゾ-ン内の前記スパッタ堆積を提供するように構成されてもよい。これは、少なくとも1つのスパッタターゲットを、処理される基板と共に設けることによって、スパッタ蒸着プロセスの効率を向上させることができる一方で、スパッタ蒸着装置内の蒸着ゾ-ンよりも小さくすることができるカートリッジのコンパクト性も向上させることができる。
さらなる特徴は、単なる例として与えられる以下の説明から明らかになる。これは、添付図面を参照してなされるものである。
ターゲット材料の基板上への堆積前の、実施例によるスパッタ堆積装置内への挿入のためのカートリッジの概略図である。
ターゲット材料の基板上への堆積中の図1aのカートリッジの概略図である。
ターゲット材料の基板上への堆積後の図1aおよび1bのカートリッジの概略図である。
ターゲット材料の基板上への堆積後の、さらなる実施例によるスパッタ堆積装置内への挿入のためのカートリッジの概略図である。
カートリッジが挿入された、実施例によるスパッタ蒸着装置の概略図である。
カートリッジが挿入されていない、図3aに記載のスパッタ蒸着装置の概略図である。
カートリッジが挿入された、さらなる実施例によるスパッタ蒸着装置の概略図である。
カートリッジが内部に挿入されていない、図4aによるスパッタ蒸着装置の概略図である。
さらに別の実施例によるスパッタ蒸着装置の概略図である。
実施例による装置及び方法の詳細は、図を参照しながら、以下の説明から明らかになるであろう。本説明では、説明を目的として、ある実施例の数多くの具体的な詳細が記載されている。仕様における「例」または類似の言語への言及は、例に関連して記載される特定の特徴、構造、または特徴が、少なくともその1つの例に含まれるが、必ずしも他の例には含まれないことを意味する。さらに、特定の例は、例の基礎となる概念の説明および理解を容易にするために、特定の特徴を省略するとともに、および/または必ずしも簡略化されて概略的に記載されることに留意されたい。
本明細書中の例は、ターゲット材料の基板上へのスパッタ蒸着の後に、蒸着されたターゲット材料を有する基板を収容するように構成されたカートリッジに関する。このようなカートリッジは、スパッタ蒸着後に基板を受け入れるためのスパッタ蒸着装置に挿入され、その後、スパッタ蒸着装置から除去されてもよい。カートリッジは、基板を汚染から保護し、容易に取り扱い、保管することができる。
カートリッジは、周囲の雰囲気に敏感であるか、または危険である基板(またはその一部)を保管するために使用されてもよい。例えば、基板の部分上にスパッタリング堆積されたターゲット材料の層は、層と接触する分子と反応し、層の表面特性に過度に影響を及ぼす可能性がある。しかし、基板をカートリッジ内に蓄積することによって、層がこのような分子と接触するのを防止することができる。カートリッジ内の環境条件は、より大きな空間よりも、より容易に制御され得る。例えば、圧力、温度、ガス組成などのカートリッジ内の条件は、基板の望ましくない劣化を回避または制限するように適合されてもよい。したがって、カートリッジは、クリーンルームまたはドライルーム内ではなく、従来の棚上に雰囲気に敏感な基板を保管するために使用されてもよい。さらに、カートリッジは、基板または基板上にスパッタ蒸着されたターゲット材料の層を損傷または劣化させる可能性のある汚染物質または大気条件に基板が接触することなく、その後の処理のために基板を所望の位置に輸送するために使用されてもよい。
場合によっては、ターゲット材料の基板へのスパッタ蒸着は、カートリッジ自体の内部で起こり得るが、カートリッジがスパッタ蒸着装置に挿入された状態で起こり得る。これは、ターゲット材料及び/又はプラズマとスパッタ蒸着装置との間の接触を減少させることができる。したがって、スパッタ蒸着装置は、より頻繁に清浄化されず、スパッタ蒸着の効率を向上させることができる。
カートリッジの例は、まず、このようなカートリッジが挿入され得るスパッタ蒸着装置の例を後に説明する前に説明される。本明細書に記載されるカートリッジおよびスパッタ蒸着装置は、光学コ-ティング、磁気記録媒体、電子半導体デバイス、発光ダイオ-ド(LED)、薄膜太陽電池などのエネルギ生成デバイス、および電池、例えば薄膜電池などのエネルギ蓄積デバイスの製造などの薄膜の蒸着に有用なものなど、広範な産業用途のためのプラズマベ-スのスパッタ蒸着に使用され得る。従って、本開示の文脈は、場合によっては、エネルギ-蓄積装置またはその一部の製造に関することがあるが、本明細書に記載される装置および方法は、その製造に限定されないことが理解されるであろう。
図1a~図1c(総称して図1と称する)は、実施例による、スパッタ蒸着装置に挿入するためのカートリッジ100を示す概略図である。図1aは、スパッタ蒸着前のカートリッジ100を示し、図1bは、スパッタ蒸着中のカートリッジ100を示し、図1cは、スパッタ蒸着後のカートリッジを示す。
図1において、カートリッジ100は、基板102と、スパッタ蒸着装置を使用して、ターゲット材料の基板102上へのスパッタ蒸着に使用される少なくとも1つのスパッタターゲット104と、チャンバ106とを含む。この場合のチャンバ106は、基板102と、ターゲット材料の基板上へのスパッタ蒸着の前後にある少なくとも1つのスパッタターゲット104とを含む。しかしながら、他の場合(図2の場合など)、チャンバは、スパッタ蒸着後に、蒸着されたターゲット材料とともに基板を格納するように配置されてもよい。このような場合、チャンバは、堆積前の基板も、少なくとも1つのスパッタターゲットも含む必要はない。
カートリッジ100は、例えば、スパッタ蒸着後に基板を収容するための任意の適切な容器であり、スパッタ蒸着装置に挿入するように設計されている。例えば、カートリッジ100は、スパッタ蒸着装置(基板102を含む)によって処理され、スパッタ蒸着プロセスによって空乏化またはその他の方法で変更され得る要素を含む。例えば、スパッタターゲットの材料は、スパッタ蒸着プロセスによって徐々に空乏化することができ、基板102は、ターゲット材料の層を基板102の表面に蒸着することによって変化させることができる。カートリッジ100は、カセットと称されてもよい。図1のカートリッジ100は、長方形の断面を有する立方形の形状である(図1に図示される)。この場合、カートリッジ100は、立方形のシェルを有し、中空である。これは、単なる例であるが、カートリッジ100は、他の例において他の形状を有してもよい。カートリッジ100内の中空領域は、チャンバ106に対応し、この例では、カートリッジ100のキャビティである。チャンバ106の少なくとも1つの壁は、カートリッジ100の壁(シェル、ケーシングまたはハウジングと称され得る)であってもよい。これは、図1に示されており、この図において、カートリッジ100のケーシングは、チャンバ106の周囲に対応する。他の場合には、チャンバは、例えば、カートリッジのケーシングの一部を形成しない少なくとも1つの壁を備える、カートリッジ100内の別個のチャンバであってもよい。
チャンバ106は、真空を封じ込めるための密閉可能なチャンバであってもよい。例えば、チャンバ106内の圧力は、必要に応じて、チャンバ106内に真空状態を作り出すように、適切に調整されてもよい。次いで、チャンバは、所望の圧力を維持するためにシールされてもよい。
図1において、チャンバ106は真空チャンバであり、したがって、スパッタ蒸着前、スパッタ蒸着中、およびスパッタ蒸着後の真空条件下にある。これは、例えば、基板102とチャンバ106内のガスのような分子との間の反応による、チャンバ106内の基板102の汚染を低減することができる。本明細書で言及される真空は、必ずしも完全な真空ではなく、その代わりに、基板102と他の材料との間の望ましくない相互作用を回避するか、または少なくとも著しく減少させるのに十分低い圧力、またはスパッタ蒸着に適した圧力など、圧力が大気圧よりも低い環境を指すことが理解されるべきである。例えば、スパッタ蒸着に適した低圧は、3×10-3トル以下であってもよい。チャンバ106は、ポンピングシステム(図示せず)によって適切な圧力(例えば、1×10-5トル未満)まで排気されてもよく、使用時には、アルゴンまたは窒素などのプロセスまたはスパッタガスが、スパッタ蒸着に適した圧力が達成されるような程度に(例えば、3×10-3トル)ガス供給システム(図示せず)を使用してチャンバ106内に導入されてもよい。このような場合、基板102がチャンバ106内に装填される前またはその後にチャンバ106を真空にすることができる。
他の場合には、チャンバ106は、真空条件下になくてもよく、代わりに、例えば、大気圧であってもよい。真空またはその他の方法での使用は、基板102および基板102上に堆積されるターゲット材料に依存してもよい。例えば、場合によっては、基板102および/または基板102上に堆積されるターゲット材料が不活性であったり、周囲環境内の部品と反応しにくくなったりするため、真空が必要でなくてもよい。ターゲット材料は、例えば、スパッタ蒸着が非反応性スパッタ蒸着である場合、スパッタターゲットの材料であってもよいし、それを含んでいてもよい。しかし、他の場合には、ターゲット材料は、スパッタターゲット104から放出される材料と反応性ガスなどの反応性材料との間の反応または他の相互作用によって得ることができる。これらの場合、堆積は、反応性スパッタ堆積であると考えられ、ターゲット材料は、少なくとも1つのスパッタターゲットの材料から導出されてもよい。
図1の例では、基板102は、基板のウェブであるが、他の場合には、基板は、異なる形態であってもよい。例えば、基板のウェブは、可撓性または他の方法で曲げ可能または柔軟な基板を指す。このような基板は、例えば、ロール・ツー・ロ-ル供給システムの一部として、ロ-ラの周りの基板の曲げを可能にするのに十分に柔軟であり得る。他の場合には、しかしながら、基板は、比較的剛性または非可撓性であってもよい。このような場合には、基板を曲げることなく、又は実質的な量を基板を曲げることなく、コンベアシステムによって基板を搬送することができる。
基板102は、シリコンまたはポリマ-であってもよく、または含んでいてもよい。いくつかの例では、例えば、エネルギ-蓄積装置の製造のために、基板102は、ニッケルフォイルであってもよいし、それを含んでいてもよいが、アルミニウム、銅又は鋼のようなニッケルの代わりに、又はポリエチレンテレフタレ-ト上のアルミニウムのような金属化プラスチックを含む金属化材料の代わりに、任意の適切な金属を用いることができることが理解されよう。
基板102は、基板支持システムによって支持され、この場合、(図1aに示されるように)スパッタ蒸着前に基板102を支持するための第1のリール108と(図1bおよび1cに示されるように)スパッタ蒸着後に基板102を支持するための第2のリール110とを含む。これは、単なる例であるが、他の場合には、基板102は、異なる形態の基板支持システムによって支持されてもよい。リールは、例えば、基板102が巻かれる円筒形要素であり、スプ-ルと称される場合がある。
チャンバ106はまた、コンベヤシステムを含み、この場合、基板支持システムの一部を形成する。コンベヤシステムは、スパッタ蒸着中に、少なくとも1つのスパッタターゲット104に対して基板102を搬送するように配置される。コンベアシステムは、ロ-ラのような湾曲部材を備えることができる。図1にこのような例を示す。図1において、コンベアシステムは、ドラム114と、基板102を第1リール108からドラム114上に供給又は他の方法で案内するように配置された第1のロ-ラ112と、基板102をドラム114から供給又は他の方法で案内し、第2のリール110上に案内するように配置された第2のロ-ラ116とを備える。この場合のコンベヤシステム110は、「リール・ツ-・リール」プロセス配置の一部を形成し、基板102は第1リール108から供給され、スパッタ蒸着を受け、次いで第2リール110上に供給されて、(図1cに示されるように)処理された基板の装填リールを形成する。
基板102の端部は、最初に、供給機構(図示せず)によって、第1リール108からコンベヤシステムに向かって、場合によっては、コンベヤシステムを通って案内されてもよい。供給機構は、例えば、基板102の端部をコンベアシステムを介して第2リール110上に案内する。次に、基板102のその後の移動は、コンベアシステムによって、例えば、第1リール108および第2リール110の回転に関連して行われ、第1リール108から基板102を徐々に移送し、第2リール110上に移送されてもよい。他の場合には、しかしながら、基板102の端部、又は基板102の端部に結合されたリ-ダ又は他の材料は、第2リール110によって少なくとも部分的に丸く巻かれているか又は支持されていてもよい。このような場合、カートリッジ100は、供給機構を含んでいなくてもよい。代わりに、基板102は、コンベアシステムによって、そして第1リール108、110の回転によって、第1リール108から次第に巻き出され、第2リール110に巻き出されてもよい。
コンベヤシステムは、基板102を、少なくとも1つのスパッタターゲット104に対して搬送方向D(図1bに示す)に搬送するように配置され、例えば、少なくとも1つのターゲット104の材料を含むか、またはそれから得られるターゲット材料の、基板102上へのスパッタ蒸着を提供する。搬送方向Dは、第1リール108から第2リール110までの基板102の一般的な運動方向に対応するものとみなすことができ、これは、基板102の集合的な運動方向とみなすことができる。コンベヤシステムがロ-ラ(ドラム114など)を含む場合、搬送方向Dは、ロ-ラの回転方向に対応してもよく、ロ-ラの最上点に接線で取ることができる。このような場合、コンベアシステムは、基板114をロ-ラの回転軸(この場合、ドラム114)と直交する搬送方向Dに搬送するように配置されてもよい。
図1において、カートリッジ100は、単なる例ではあるが、4つのスパッタターゲット104a~104d(総称して、符号104で参照される)を含む。スパッタターゲット104は、互いに同じ材料を含んでもよく、または、スパッタターゲット104のうちの1つ以上が、スパッタターゲット104のうちの別の1つとは異なる材料を含んでもよい。
スパッタターゲット104は、1つまたは複数のターゲット支持アセンブリ118によって支持されている。いくつかの例では、ターゲット支持アセンブリ118は、スパッタターゲット104を支持または保持する少なくとも1つのプレ-トまたは他の支持構造を含んでもよい。図1では、スパッタターゲットごとに1つのターゲット支持アセンブリが存在する。しかしながらスパッタターゲットタ・ターゲットあたりのターゲット支持アセンブリが、より多くまたはより少なくてもよい。例えば、単一のターゲット支持アセンブリは、チャンバ内のすべてのスパッタターゲットなどの複数のスパッタターゲットを支持することができる。
基板102上に堆積されたターゲット材料は、スパッタターゲット104の材料、またはスパッタターゲット104の材料とさらなる材料との相互作用によって形成される材料であってもよいし、それを含んでもよい。いくつかの例では、ターゲット材料は、エネルギ-蓄積装置の電極層又は電解質層のための材料を含む。例えば、エネルギ-蓄積装置の製造のために、ターゲット材料は、酸化リチウムコバルト、リン酸鉄リチウムまたはアルカリ金属ポリサルファイド塩のようなリチウムイオンを蓄積するのに適した材料のような、エネルギ-蓄積装置のカソ-ド層のための前駆体材料であってもよいし、含んでいてもよく、あるいは含んでいてもよく、あるいは含んでもよい。加えて、または代替的に、ターゲット材料は、リチウム金属、グラファイト、シリコンまたはインジウム錫酸化物などのエネルギ-蓄積装置のアノ-ド層のための前駆体材料であってもよく、またはそれを含んでもよく、またはそれを含んでもよい。加えて、または代替的に、ターゲット材料は、イオン伝導性であるが、また電気絶縁体である、リン酸窒化リチウム(LiPON)などの材料などの、エネルギ-蓄積装置の電解質層のための前駆体材料であってもよく、または含んでもよく、または含んでもよい。例えば、スパッタターゲットのうちの少なくとも1つの材料は、スパッタ蒸着中にチャンバ106内に供給され得る、例えばガス(窒素ガスなど)との反応を介して、基板102上にLiPONを蒸着するための前駆体材料としてLiPOであってもよく、または、LiPOを含んでもよい。
この場合のカートリッジ100は、スパッタターゲット104および基板102を格納するために使用されてもよい。スパッタターゲット104は、大気条件に敏感であってもよい。例えば、スパッタターゲット104の材料は、空気中の特定の分子と反応し得るか、または、大気圧および温度で空気中に貯蔵された場合、望ましくない相転移を受け得る。例えば、いくつかの材料(リチウムを含むものなど)は、比較的低い昇華点を有する。したがって、このような材料は、(スパッタ蒸着のための)固相中に残留するのではなく、室温で昇華を受ける可能性がある。しかしながら、カートリッジ100内の条件は、反応および/または相転移などの、カートリッジ100内のスパッタターゲット104の材料の性質における望ましくない変化を回避または制限するように構成されてもよい。カートリッジ100内の条件の制御は、全体としてのスパッタ蒸着装置の条件のような、より大きな空間内の環境条件を制御するよりも簡単であり得る。
カートリッジ100が、エネルギ蓄積装置のために基板102上に層を堆積するために使用される場合、堆積層は、例えば、層の堆積に何らかの欠陥がある場合、短絡の危険性を有し得る。例えば、電解質層の堆積における欠陥は、カソ-ド層とアノ-ド層との間に短絡回路を生じさせ得る。表面積の大きい層の積層体では、セルの容量は大きい。そのため、短絡が発生すると、熱暴走事象が発生し、材料が自然発火する可能性がある。しかしながら、カートリッジ100は、基板102上に層を堆積した後、欠陥が存在しても、層の積層の容量が熱暴走のリスクが低減されるほど十分に小さくなるように、十分に小さい表面積を有する基板102を格納してもよい。したがって、スパッタ蒸着プロセスの安全性が向上する可能性がある。
図1の例では、スパッタ蒸着は、外部ではなく、カートリッジ100内(この場合、チャンバ106内)で生じる。したがって、カートリッジ100は、スパッタ蒸着中に排出される材料を含み、それは、カートリッジ100が挿入されるスパッタ蒸着装置を被覆するのではなく、カートリッジ100内に留まり得る。したがって、これは、スパッタ蒸着装置を清浄化する必要性を回避または低減し、スパッタ蒸着装置の動作を停止させる必要性を低減することができる。これはスパッタ蒸着の効率を改善できる。
この場合、プラズマ120は、スパッタ蒸着の間(図1bに示されるように)、カートリッジ100内に閉じ込められる。プラズマ120のイオンがスパッタターゲット104に衝撃を与え、材料がスパッタターゲット104から放出される。排出された材料は、基板102がコンベアシステムによって第1リール108から第2リール110に搬送されるときに、ターゲット材料として基板102の表面上に堆積されてもよい。他の場合には、放出された材料は、ターゲット材料として基板102の表面上に堆積する前に、ガスなどのさらなる材料と相互作用してもよい。プラズマ120は、スパッタ蒸着中にカートリッジ100内で生成されてもよく、またはカートリッジ100の外部で生成され、その後、カートリッジ100内に閉じ込められてもよい。
この場合、カートリッジ100は、スパッタ蒸着装置によって生成されるプラズマの進入のための開口122を備える。図1の例では、開口122は、ドアであり、例えば、カートリッジ100への入口における移動可能なバリアである。他の場合には、しかしながら、開口は、孔または他の開口のような、異なる形態を有してもよい。このような開口は、シール可能であってもよい。例えば、開口のシールとは、所与の材料(プラズマ120など)がカートリッジ100に入るまたは出るのを防止する方法で、開口を閉じることを言う。例えば、穴にストッパを充填するか、ドアを閉位置に移動させて、例えば適当なシ-ラント又は接着剤を用いてシールすることができる。カートリッジ100のシールは、可逆的に行われ、カートリッジ100を再開できるようにしてもよい。場合によっては、アパーチャ122は、アパーチャ122を介して、スパッタ蒸着後に、基板102をカートリッジ100から取り外すことができるように構成されてもよい。他の場合には、カートリッジ100は、さらなる開口または基板102がカートリッジ100から除去され得る他の開口を含んでもよい。
実施例では、開口122は、スパッタ蒸着装置へのカートリッジ100の挿入時または挿入後に開口される。アパーチャ122が開いた状態で、カートリッジ100の遠隔で生成されたプラズマは、カートリッジ100内の基板102上にターゲット材料をスパッタ堆積するために、カートリッジ100内に入ることができ、カートリッジ内に閉じ込められる。スパッタ蒸着が停止した後、例えば、基板102が第1リール108から第2リール110に移送された後、アパーチャ122を閉じて密封することができる。したがって、これは、他の材料が続いてカートリッジ100に入るのを妨げる可能性がある。例えば、開口122は、カートリッジ100がスパッタ蒸着装置から放出される前に、閉鎖および/または密閉されてもよい。図1aおよび図1cは、閉鎖位置におけるアパーチャ122を示し、図1bは、開放位置におけるアパーチャ122を示す。
アパーチャ122の閉鎖後、カートリッジ100の圧力は、汚染を低減するために適切に調整されてもよい。例えば、カートリッジ100(またはカートリッジ100のチャンバ106)は、開口122の閉鎖後、およびスパッタ蒸着装置からカートリッジ100を除去する前に真空排気されてもよい。したがって、カートリッジ100は、スパッタ蒸着の間、真空下でシールされてもよい。次いで、アパーチャ122を再開して、例えば、さらなる処理のために、カートリッジ100から基板102を除去してもよい。しかしながら、基板102は、スパッタ蒸着の直後にカートリッジ100から除去されなくてもよい。その代わりに、基板102は、除去前にある期間、カートリッジ100内に格納されてもよい。カートリッジ100は、さらに、基板102を輸送するために使用されてもよい。例えば、基板102は、カートリッジ100内の真空条件下で(カートリッジ100のチャンバ106、またはカートリッジ100自体が真空下に保持されている場合)、まっすぐ前方に輸送され得る。カートリッジ100および/またはスパッタ蒸着装置は、スパッタ蒸着装置内にある間、またはスパッタ蒸着が発生する前後など、カートリッジ100を加圧および/または減圧するために使用され得る適切なガス結合機構を含んでもよい。
図2は、さらなる実施例によるスパッタ蒸着装置に挿入するためのカートリッジ200の概略図である。図1の対応する特徴に類似している図2の特徴には、同じ参照番号が付されているが、100だけ増分されている。対応する記述を適用する。図2は、ターゲット材料の基板202上へのスパッタ蒸着後のカートリッジ200を示す。
図2のカートリッジ200は、図1のカートリッジ100と同じであるが、ただし、図2のカートリッジ200は、スパッタ蒸着後に基板202を蓄積するための別個のチャンバ206を含む。したがって、図2のカートリッジ200の空洞124は、チャンバ206を含むが、チャンバ206は、空洞124の全体を満たさない。この場合、チャンバ206は、取り外し可能なチャンバであってもよく、これは、基板202(大型基板の一部または基板202全体であってもよい)が、スパッタ蒸着後、その中に格納された後に、カートリッジ200から取り外されてもよい。
チャンバ206は、真空を封じ込めるための密閉可能なチャンバであってもよい。例えば、チャンバ206は、例えば、スパッタ蒸着後の基板202の進入のため、および/またはチャンバ206内の余剰ガスなどの不要な材料の除去のために、少なくとも1つの開口を有していてもよい。開口は、図1のカートリッジ100の開口122と同じ、類似または異なるものであってもよい。開口は、例えば、基板202および/またはガスがチャンバ206に出入りすることを可能にするために、異なるサイズおよび/または形状を有することができる。例えば、ガスは、基板202がチャンバ206に入った後、スパッタ蒸着の後、チャンバ206から排気され、チャンバ206内に真空を生成してもよい。このようにして、基板202は、真空状態で貯蔵されてもよく、これは、例えば大気圧における層とガス分子との間の相互作用により、さもなければ起こり得る基板202上の堆積層の劣化を低減し得る。他の場合には、真空は、スパッタ蒸着前またはスパッタ蒸着中にチャンバ206内に生成されてもよい。チャンバ206内の条件は、カートリッジ200の他の領域と異なってもよい。例えば、チャンバ206は、真空を含んでもよいが、カートリッジ200の他の領域は、大気圧であってもよい。他の場合には、しかしながら、カートリッジ200内の条件は均一であってもよい。例えば、カートリッジ200(チャンバ206を含む)の空洞124は、真空下であってもよい。
図3aは、実施例によるスパッタ蒸着装置126の概略図であり、その中にカートリッジ300が挿入されている。図3aのカートリッジ300は、カートリッジ300のケーシングが、開口122ではなく、透過領域128を含むことを除いて、図1のカートリッジ100と同じである。図1のカートリッジ100の対応する特徴に類似している図3aのカートリッジ300の特徴には、同じ参照番号が付されているが、200だけ増分されており、対応する説明を適用すべきである。
図3aのスパッタ蒸着装置126は、基板302上にターゲット材料をスパッタ蒸着するためのプラズマ320を提供するように配置されたプラズマ生成配置130を備える。プラズマ発生装置130は、適切な高周波電力が高周波電源システムによって駆動され得る1つまたは複数のアンテナを含んでもよい。このようにして、誘導結合プラズマ320は、プロセスまたはスパッタガスから生成されてもよい。この場合、プロセスまたはスパッタガスは、カートリッジ300内であってもよい。例えば、カートリッジ300は、例えば、チャンバ306内のカートリッジ300内にプロセスまたはスパッタガスを提供するために、適切なガス供給システムを備えるか、またはそれに接続可能であってもよい。しかし、他の場合(図1の場合など)、プロセスまたはスパッタガスは、スパッタ蒸着装置126の他の領域内など、カートリッジの外側にあってもよい。このような場合のプラズマは、次いで、カートリッジの外部で生成され、次いで、例えば、開口を介して、カートリッジに入ることができる。このようにして、プラズマ生成装置130は、スパッタ堆積装置126の堆積ゾ-ン内にスパッタ堆積のためのプラズマ320を提供するように構成されてもよく、このスパッタ堆積ゾ-ンでは、スパッタターゲット304の材料を含む、またはそれ以外の方法で基板302上に誘導されたターゲット材料のスパッタ堆積が行われる。カートリッジ300は、この場合、堆積ゾ-ンを備える。しかしながら、図4のもののような他の例では、堆積ゾ-ンは、カートリッジの外側であってもよい。
いくつかの例では、プラズマ320は、例えば1MHz~1GHzの周波数、1MHz~100MHzの周波数、10MHz~40MHzの周波数、または約13.56MHzまたはその倍数の周波数で、1つ以上のアンテナを通る高周波電流を駆動することによって生成されてもよい。高周波電力は、プロセスまたはスパッタガスのイオン化を引き起こし、プラズマ320を生成する。
プラズマ発生配置130の1つ以上のアンテナは、細長いアンテナであってもよく、このアンテナは、スパッタ蒸着中に基板302が搬送される搬送方向Dに対して垂直に細長いものであってもよい。このような場合、細長いアンテナは、スパッタ蒸着中に、スパッタターゲット304に対して基板302を搬送するために使用されるドラム314の回転軸に平行な方向に延在してもよい。場合によっては、アンテナは、直線状であってもよく、他の場合には、アンテナは、湾曲していてもよい。例えば、アンテナは、半月形であってもよい。
図3aの例では、プラズマ発生配置130は、カートリッジ300の片側に位置し、カートリッジ300は、スパッタ蒸着装置126内に挿入される。他の例では、プラズマ生成構成は、例えば、カートリッジ300の反対側に、互いに横方向に配置される少なくとも2つのアンテナを含んでもよい。例えば、そのようなアンテナは、それぞれに対して平行に延びてもよい。これは、例えば、カートリッジ300の近傍のプラズマ320の正確な生成を可能にする。
図3のものなどの実施例におけるスパッタ蒸着装置126は、閉じ込め配置(図示せず)をさらに含んでもよい。閉じ込め構造は、使用中の基板302上へのターゲット材料のスパッタ蒸着を提供するために、プラズマ320を適切な領域に少なくとも部分的に閉じ込めるための閉じ込め磁場を提供するように構成された1つまたは複数の磁気要素を含んでもよい。例えば、閉じ込め構成は、プラズマがカートリッジの外部で生成され、その後、カートリッジ内にある実施例において、プラズマをカートリッジ内に少なくとも部分的に閉じ込めるために使用されてもよい。
図3aにおいて、スパッタ蒸着装置126は、カートリッジ300がスパッタ蒸着装置126に挿入されたときに、カートリッジ300を含む。カートリッジ300は、基板302上にターゲット材料をスパッタ蒸着した後に、蒸着されたターゲット材料とともに基板302を収容するように構成される。カートリッジ300は、スパッタ蒸着装置126から取り外し可能である。カートリッジ300は、例えば、取り外し可能であることは、スパッタ蒸着装置を損傷することなく、スパッタ蒸着装置126からカートリッジ300を排出または別様に取り出すことができることを意味する。例えば、スパッタ蒸着装置126は、スパッタ蒸着装置126からカートリッジ300を射出する射出機構を含んでもよい。
この場合、カートリッジ300のケーシングは、カートリッジ300内のプラズマ320の生成のために、電場および/またはスパッタ蒸着装置126によって生成および伝播される磁場に対して少なくとも部分的に透過性である透過領域128を含む。透過領域128は、例えば、石英を含むか、又は石英で形成される。この場合、電場および/または磁場は、プラズマ320の生成のために、プラズマ生成配置130によって生成および伝搬されてもよい。プラズマ発生配置130は、この場合、カートリッジ300の外側にある。しかしながら、電場および/または磁場は、透過領域128を介して、カートリッジ300内を伝搬してもよい。このようにして、プラズマ320は、カートリッジ300内で生成されてもよく、その中で、基板302上へのターゲット材料のスパッタ蒸着が生じる、カートリッジ300の蒸着ゾ-ンと考えられ得るものの中である。
このような例では、ガス(空気など)は、スパッタ蒸着前に、場合によっては、基板302をカートリッジ300に装填する前に、カートリッジ300から排出されてもよい。しかし、スパッタ蒸着の間、アルゴンまたは窒素などの適切なプロセスまたはスパッタガスが、カートリッジ300内のプラズマ320の生成のために、カートリッジ300内にポンプ圧送されてもよい。例えば、窒素、酸素、アンモニア、酸化窒素および/またはヘリウムのような反応性ガスが、適切な入口を介してカートリッジ300に入り、プラズマ320によってスパッタターゲット304から放出される材料と相互作用して、ターゲット材料の基板302上への反応性堆積を実行してもよい。反応性堆積の間、少なくとも1つの非反応性ガス(アルゴンなど)も、カートリッジ300に注入され得る。反応性蒸着では、蒸着ゾ-ンに注入され得る(この場合、カートリッジ300内にある)蒸着ゾ-ン内のガスは、スパッタターゲット304の放出材料と化学的に反応し得る1つ以上の化学元素および/または分子を含んでもよい。その結果、放出された材料および反応性ガスの元素および/または分子は化学的に反応し、ターゲット材料として基板302上に堆積するための1つ以上の材料を生じ得る。
この例では、透過領域128は、カートリッジ300のケーシングの全て未満にわたって延在する。例えば、透過領域128は、カートリッジ300の側部の透過窓であると考えられ得る。他の場合では、しかしながら、カートリッジ300のケーシングの全体または大部分は、そのような電場および/または磁場に対して透過性であってもよい。
図3aのスパッタ蒸着装置126は、さらに、基板302を支持するように配置された基板支持アセンブリと、ターゲット材料の基板302上へのスパッタ蒸着に使用するために、少なくとも1つのスパッタターゲット304を支持するように配置されたターゲット支持アセンブリ318とを含む。図3aのターゲット支持アセンブリ318は、電極132に電気的に接続され(図3aの破線で概略的に示す)、この電極を介して、スパッタターゲット304に関連する電磁石に電圧を印加することができる。電磁石に印加される電圧は、適切なコントロ-ラ134によって制御される。そのような制御装置134は、電磁石を流れる電流を制御するように配置されたマイクロプロセッサのようなプロセッサを含んでもよく、これは、次に、電磁石によって与えられる磁場強度を制御する。磁場の制御に関する本明細書の参照は、磁場強度を含む、磁場の任意の特徴の制御を指すとみなされてもよい。
電磁石は、ターゲットごとのバイアスを提供するように制御されてもよく、異なるそれぞれのスパッタターゲットに関連する磁場を制御することが可能になり、例えば、必要に応じて、異なるスパッタターゲットに隣接する領域にプラズマ320を閉じ込めることが可能になる。異なるスパッタターゲットに関連する磁場を制御することによって、異なるスパッタターゲットの材料の堆積を、次に、例えば、1つのスパッタターゲットの材料を別のスパッタターゲットよりも多量に堆積させるように、または別のスパッタターゲットから導出するように制御することができる。
この例では、カートリッジ300自体は、基板支持アセンブリを含み、基板支持アセンブリは、第1リール308および第2リール310、第1ロ-ラおよび第2ロ-ラ312、316、およびドラム314を備える。また、カートリッジ300は、ターゲット支持アセンブリ318と、ターゲット支持アセンブリ318によって支持される少なくとも1つのスパッタターゲット304とを含む。しかしながら、他の場合には、カートリッジの外部のスパッタ蒸着装置の領域は、基板支持アセンブリおよび/またはターゲット支持アセンブリを含んでもよい。図1を参照して説明したように、基板支持アセンブリは、スパッタ蒸着中に、少なくとも1つのスパッタターゲット304に対して基板を搬送するように配置されたコンベヤシステムを含んでもよい。
図3aの例では、基板302は、スパッタ蒸着プロセス全体を通してカートリッジ300内にある。このような例では、カートリッジ300は、スパッタ蒸着の間、真空下でシールされてもよい。これは、スパッタ蒸着中に放出される材料またはプラズマ320自体によるスパッタ蒸着装置126の汚染をさらに低減することができる。
基板302を第1リール308から第2リール310に移し替えた後、スパッタ蒸着処理を停止してもよい。例えば、プラズマ生成配置130は、オフにされてもよい。次いで、カートリッジ300は、スパッタ蒸着装置126から除去され、次いで、さらなる処理のために移送されてもよく、または保管されてもよい。スパッタ蒸着装置126からカートリッジ300を除去した後、図3aのカートリッジ300と同様であってもよい、さらなるカートリッジをスパッタ蒸着装置126に挿入してもよい。次いで、スパッタ蒸着プロセスは、さらなるカートリッジを使用して、再度実行されてもよい。このプロセスは、それぞれ異なるそれぞれのカートリッジに格納された複数の基板上にターゲット材料を堆積させるために、繰り返し実行されてもよい。スパッタ蒸着装置126は、1つのカートリッジの除去と後続のカートリッジの挿入との間に洗浄することができる。しかしながら、スパッタ堆積装置126は、カートリッジ300がスパッタ堆積プロセスの汚染成分(スパッタターゲット304、およびプラズマ320から放出される材料など)とスパッタ堆積装置126の素子(スパッタ堆積装置126のハウジング、プラズマ生成装置130、スパッタターゲットバイアスまたはプラズマ生成を制御するための電子回路、コントロ-ラ134および電極132など、および/またはプラズマを閉じ込めるための磁気素子など)との間の接触を制限することがあるため、カートリッジを備えていないスパッタ堆積装置よりも頻度が低い場合がある。
基板302上にターゲット材料をスパッタ蒸着した後、およびスパッタ蒸着装置126からその上にターゲット材料を蒸着した基板302を収容するカートリッジ300を除去した後、その後、基板302をカートリッジ300から除去することができる。例えば、基板302は、除去され、その後、エネルギ-蓄積装置に組み込まれてもよい。次いで、カートリッジ300は、補給プロセスを経てもよく、補給プロセスでは、ターゲット材料が堆積される新しい基板が、第1リール308上に搭載される。スパッタターゲット304のうちの少なくとも1つが空乏化または消耗している場合、少なくとも1つのスパッタターゲットを、補給されたスパッタターゲットと置き換えてもよい。場合によっては、スパッタターゲットのうちの少なくとも1つを、異なる材料を含むスパッタターゲットと置き換えて、カートリッジ300を、異なるターゲット材料の基板上への堆積のために再利用することができるようにしてもよい。少なくとも1つのスパッタターゲットの補給は、スパッタターゲットが大気条件に敏感である場合、例えば、スパッタターゲットがリチウムを含む場合、真空条件下で行うことができる。このような補給プロセスの間、カートリッジ300の内部は、前回のスパッタ蒸着プロセスから破片を除去するためにクリ-ニングされてもよい。しかしながら、これは、スパッタ蒸着装置126が別のカートリッジを処理するために使用されている間に実行することができ、これは、スパッタ蒸着プロセスが他の方法よりも効率的に継続することができることを意味する。
他の場合には、カートリッジ300内のスパッタターゲット304のうちの少なくとも1つは、基板302を交換または除去することなく、置換されてもよい。例えば、最初は、カートリッジ300は、アノ-ド層を基板302上に堆積するのに適したスパッタターゲットを含んでもよい。基板302上に陽極層を堆積した後、次いで、スパッタターゲット304のうちの少なくとも1つを、電解質層のための材料を含むさらなるスパッタターゲットと置き換えてもよい。次いで、カートリッジ300をスパッタ蒸着装置126に再挿入し、電解質層を陽極層上に堆積させてもよい。次いで、同様のプロセスを行って、電解質層上にカソ-ド層を堆積させて、固体電池のようなエネルギ-蓄積装置のための層の積み重ねを生成することができる。このような場合、基板302上への陽極層の堆積中に、基板302を第1リール308から第2リール310に転写することができる。続いて、基板302の搬送方向Dを逆にしてもよく、電解質層の陽極層への堆積中に、基板302を第2リール310から第1リール308に戻して転写してもよい。カソ-ド層の電解質層への堆積中に、基板を第1リール308から第2リール310に転写するために、搬送方向Dを再び反転させてもよい。ただし、これは単なる例である。それ以外の場合は、搬送方向が変わらない場合がある。このような場合には、基板302は、各層の堆積後に第2リール310から第1リール308に戻って転写されてもよい。
図3aの例では、カートリッジ300のケーシングは、透過領域128を含む。しかしながら、図3aのものと同様のスパッタ蒸着装置を、図1および2のカートリッジ100、200とともに使用してもよく、それは、透過領域128ではなく、カートリッジの蒸着ゾ-ンへのプラズマの進入のための開口122を含む。このような場合には、スパッタ蒸着プロセスの間、スパッタ蒸着装置内にカートリッジを挿入した後、およびカートリッジの開口122が開く前に、スパッタ蒸着装置126内に真空が生成されてもよい。基板上にターゲット材料を堆積した後、次いで、カートリッジの開口122を閉じ、次いで、スパッタ堆積装置を大気圧に戻してもよい。次いで、カートリッジをスパッタ蒸着装置から取り外してもよい。プラズマ320がカートリッジ300の外側ではなくカートリッジ300内で生成されるため、カートリッジ300とともに使用されるが、その必要はない場合には、図3aのスパッタ蒸着装置126内に真空が生成されてもよい。
図3bは、カートリッジが挿入されていない図3aのスパッタ蒸着装置126を概略的に示す。スパッタ蒸着装置126は、カートリッジがスパッタ蒸着装置126から取り外し可能であるように、上述したカートリッジのようなカートリッジを支持するように配置されたカートリッジ支持アセンブリ136を含む。例えば、カートリッジは、基板と、基板上のターゲット材料のスパッタ蒸着に使用するための少なくとも1つのスパッタターゲットとを含んでもよい。スパッタ蒸着装置126は、さらに、プラズマ発生装置130を含み、ターゲット材料を基板上にスパッタ蒸着するためのプラズマを提供する。
図3bの例では、スパッタ蒸着装置126は、スパッタターゲットに対して基板を搬送するように、カートリッジ300のコンベヤシステム(一旦スパッタ蒸着装置126に挿入される)を駆動する駆動機構をさらに含む。この例では、駆動機構は、駆動ロ-ラ138a~138eを含み、これら駆動ロ-ラは、第1リール108、第1ロ-ラ112、ドラム114、第2ロ-ラ116および第2リール110とそれぞれ係合して、カートリッジ300のリール、ロ-ラおよびドラムを回動させる。例えば、駆動ロ-ラ-は、カートリッジ300のリール、ロ-ラ-、およびドラムよりも小さな直径を有してもよく、その結果、駆動ロ-ラ-は、例えば適切な歯を介して、カートリッジ300のリール、ロ-ラ-、およびドラム内に適合し、それらと嵌合する。駆動ロ-ラ138a~138eのうちの1つ以上は、使用時にカートリッジ300のリール、ロ-ラおよび/またはドラムが回転する軸として機能する例えばロッドまたはピンであるスピンドルであってもよい。
図3aおよび3bのスパッタ蒸着装置126では、スパッタ蒸着がカートリッジ300内で生じる。図4aおよび4bは、スパッタ蒸着装置426のさらなる例の概略図であって、スパッタ蒸着は、カートリッジ内ではなく、カートリッジの外部で生じる。図3aおよび3bのスパッタ蒸着装置126の対応する特徴に類似している図4aおよび4bのスパッタ蒸着装置426の特徴には、同じ参照番号が付されているが、先頭にはa4が付されている。対応する記述を適用する。
スパッタ蒸着装置426は、スパッタ蒸着中にカートリッジ400が挿入された状態で、図4aに示される。スパッタ蒸着装置426は、平面図で図4aおよび図4bに示されているが、図3aおよび図3bは、異なるスパッタ蒸着装置126を断面図で示している。
図4aにおいて、カートリッジ400は、スパッタ蒸着装置426内にカートリッジ400を挿入する前の基板402を含む。基板402は、第1のリール408から、およびカートリッジ400から、スパッタ蒸着装置426の蒸着ゾ-ン内に、次第に巻き解かれ、スパッタ蒸着が生じる。この場合、スパッタ堆積装置426は、プラズマ生成装置430を含み、これは、堆積ゾ-ン内の基板402の少なくとも一部分上に、スパッタターゲット404の材料を含むか、または他の方法で誘導されたターゲット材料のスパッタ堆積を提供するように構成される。堆積ゾ-ンは、この場合、カートリッジ400の外側にある。
基板402上にターゲット材料をスパッタ蒸着した後、基板402は、カートリッジ400内に巻き戻され、第2のリール410上に巻き戻される。次いで、基板402の処理後、カートリッジ400は、処理された基板402が内部にある状態でシールされてもよい。カートリッジ400は、場合によっては、真空下でシールされてもよい。次いで、カートリッジ400は、スパッタ蒸着装置426から除去されてもよい。
例えば、このような例では、スパッタ蒸着装置426は、基板402が内部に配置された状態でカートリッジ400を受け入れるように配置されてもよく、基板402の少なくとも一部をカートリッジ400から蒸着ゾ-ン内に輸送し、蒸着ゾ-ン内(この場合、カートリッジ400の外側である)にスパッタ蒸着を提供するための輸送アセンブリ140を備えてもよい。輸送アセンブリ140は、スパッタ蒸着後、およびその上に蒸着されたターゲット材料とともに、基板402の少なくとも一部をカートリッジ400内に輸送するようにさらに配置される。図4aおよび図4bの例では、搬送アセンブリ140は、複数のロ-ラ140a~140g(総称して、搬送アセンブリ140と呼ぶ)を備える。ただし、これはあくまでも一例である。
したがって、これらの例におけるカートリッジ400は、少なくとも1つの適切な開口部を含み、基板402がカートリッジ400から出て、続いて、カートリッジ400に再び入ることを可能にしてもよい。
図4bは、その中にカートリッジが挿入されていない、図4aのスパッタ蒸着装置426を示す。図4bのスパッタ蒸着装置426は、カートリッジ支持アセンブリ436と、搬送アセンブリ140を駆動する駆動機構438とを含む。また、駆動機構438は、この場合にも第1リール408、第2リール410を駆動する。しかし、他の場合には、第1および/または第2のリール408、410は、別々に駆動されてもよい。
図4aおよび4bの例では、ターゲット支持アセンブリ404およびスパッタターゲット404は、カートリッジ400の外側として示されている。ターゲット支持アセンブリ404および/またはスパッタターゲット404は、カートリッジ400がスパッタ蒸着装置426に挿入される前であっても、カートリッジ400の外側にあってもよい。しかし、他の場合には、ターゲット支持アセンブリ404および/またはスパッタターゲット404は、スパッタ蒸着装置426へのカートリッジ400の挿入時にカートリッジ400内にあってもよい。次いで、ターゲット支持アセンブリ404および/またはスパッタターゲット404を、カートリッジ400から、およびスパッタ蒸着装置426の異なる部分に輸送してもよい。図5は、このような例を模式的に示す。図4の対応する特徴に類似している図5の特徴には、同じ参照番号が付されているが、先頭に5が付されている。対応する記述を適用する。
図5のスパッタ蒸着装置526は、スパッタ蒸着の開始前に示される。この例では、スパッタ蒸着装置526は、少なくとも1つのスパッタターゲット504がその中に配置された状態でカートリッジ500を受け入れるように配置される。スパッタ蒸着装置526は、さらに、少なくとも1つのスパッタターゲット504をカートリッジ500から蒸着ゾ-ン内に輸送し、(カートリッジ500の外側にある)蒸着ゾ-ン内にスパッタ蒸着を提供するように構成された輸送アセンブリ142を備える。輸送アセンブリ142は、基板502をカートリッジ500から搬送するように構成される輸送アセンブリ540とは別個のアセンブリであってもよく、または同じ輸送アセンブリの一部を形成してもよい。輸送アセンブリ142は、図5に概略的に示されているが、任意の適切な形態をとってもよい。例えば、搬送アセンブリ142は、少なくとも1つのさらなるロ-ラを含んでもよい。
図5において、少なくとも1つのスパッタターゲット504は、カートリッジ500から、ターゲット支持アセンブリ518上に輸送される。しかしながら、他の例では、カートリッジ500は、少なくとも1つのスパッタターゲット504およびターゲット支持アセンブリ518の両方を含んでもよい。そのような場合、少なくとも1つのスパッタターゲット504およびターゲット支持アセンブリ518は、いずれもカートリッジ500から輸送されてもよい。
少なくとも1つのスパッタターゲット504がカートリッジ500から搬出された後、図5のスパッタ蒸着装置526は、図4のスパッタ蒸着装置426と同様に配置される。したがって、スパッタ蒸着は、図4に従って記載されるように発生し得る。
スパッタ蒸着が終了した後、少なくとも1つのスパッタターゲット504および/またはターゲット支持アセンブリ518を、例えば輸送アセンブリ142によってカートリッジ500内に戻して輸送することができ、またはスパッタ蒸着装置526内に残ることができる。したがって、これらの例におけるカートリッジ500は、少なくとも1つのスパッタターゲット504および/またはターゲット支持アセンブリ518がカートリッジ500から出て、続いてカートリッジ500に再び入ることを可能にし(少なくとも1つのスパッタターゲット504および/またはターゲット支持アセンブリ518がカートリッジ500に再び入ることが望まれる場合)、少なくとも1つの適切な開口を含んでもよい。
上記の例は、例示的な例として理解されるべきである。さらなる例が想定される。例えば、図1乃至図3では、カートリッジは、第1および第2のロ-ラとドラムとを含み、これらが一緒になって、スパッタ蒸着中に基板を搬送するためのコンベヤシステムを形成する。しかし、他の例では、少なくともコンベアシステムの一部(場合によっては、コンベアシステムのすべて)が、カートリッジの外側にあり得る。例えば、スパッタ蒸着装置は、スパッタ蒸着装置内のカートリッジの挿入時にカートリッジに挿入され得る第1および第2のロ-ラおよび/またはドラムを含んでもよい。
上記の例では、カートリッジのチャンバは、真空下に保持されてもよい。場合によっては、カートリッジは複数のチャンバを有してもよく、そのうちの少なくとも1つは真空下であってもよく、スパッタ蒸着中に開放されるか、さもなければ互いに結合されてもよい。例えば、カートリッジは、スパッタターゲットを収容するためのチャンバ、およびスパッタ蒸着前および/または後に基板を収容するための少なくとも1つのさらなるチャンバを有してもよい。
任意の1つの例に関連して記載される任意の特徴は、単独で使用されてもよく、または記載される他の特徴と組み合わせて使用されてもよく、また、例のうちの任意の他の1つの特徴または任意の他の任意の組み合わせの1つ以上の特徴と組み合わせて使用されてもよいことを理解されたい。さらに、添付のクレ-ムの範囲から逸脱することなく、上述した以外の同等物および修正を採用することもできる。
本発明は堆積に関し、より具体的には、基板にターゲット材料をスパッタ堆積する方法及び装置に関する。
堆積は、材料を基板上に堆積させるプロセスである。堆積の例としては、薄膜堆積があり、薄膜堆積では、薄い層(通常、おおよそナノメートル又はナノメートルの数分の1から数マイクロメートル又は数十マイクロメートルまで)を、シリコンウエハーやウェブなどの基板上に堆積させる。薄膜堆積技術の例は、物理気相成長(PVD)であり、物理気相成長(PVD)では、凝縮相のターゲット材料を蒸発させて蒸気を生成し、次に蒸気を基板表面に凝縮させる。PVDの例は、スパッタ堆積であり、スパッタ堆積では、イオンなどのエネルギー粒子の衝突により粒子をターゲットから放出させる。スパッタ堆積の例において、アルゴンなどの不活性ガスであるスパッタガスを、低圧で真空チャンバーに導入し、エネルギー電子を使用してスパッタガスをイオン化させ、プラズマを作り出す。プラズマイオンによるターゲットへの衝突により、ターゲット材料を放出させ、続いて該ターゲット材料が基板表面上に堆積し得る。スパッタ堆積は、ターゲット材料を加熱せずにターゲット材料を堆積させることができ、結果として基板への熱損傷を低減又は防止できる点で、蒸着などの他の薄膜堆積方法よりも優れる。
汚染のリスクを減らすために、堆積を行う前又は後に、ドライルーム又はクリーンルーム内で基板を貯蔵し得る。これは基板の操作を難しくする可能性がある。
スパッタ堆積中、放出されたターゲット材料及び/又はプラズマは、堆積を実行するチャンバーと相互作用し得、又はチャンバーをコーティングし得る。これは、例えばチャンバーを清掃するためにスパッタ堆積プロセスを定期的に止める場合に、スパッタ堆積プロセスの効率を低下させる可能性がある。
本発明の第一の態様によると、スパッタ堆積装置が提供され、該スパッタ堆積装置は、
基板を支持するように配置される基板支持アセンブリと、
基板へのターゲット材料のスパッタ堆積に用いる少なくとも一つのスパッタターゲットを支持するように配置されるターゲット支持アセンブリと、
前記スパッタ堆積のために、プラズマを供給するように配置されるプラズマ生成配列と、
前記スパッタ堆積後に、堆積させたターゲット材料を有する基板を収容するように配置されるカートリッジと、を備え、該カートリッジは、スパッタ堆積装置から取り外し可能である。
この配置であると、基板を処理した後に、堆積させたターゲット材料を有する基板を、カートリッジ内でスパッタ堆積装置から取り外すことができる。カートリッジは、基板が汚染されるのを防ぎ、他のものよりも簡単に処理後の基板を操作及び/又は貯蔵することを可能にする。例えばカートリッジを、クリーンルーム又はドライルーム内ではなく、従来の棚で大気感受性の基板を貯蔵するために使用してもよい。
例において、カートリッジは、堆積させたターゲット材料を有する基板の少なくとも一部を真空中で収容するように配置される真空チャンバーを備える。これは、そうでなければ堆積させたターゲット材料と周辺環境の間の相互作用によって起こり得る、基板上に堆積させたターゲット材料の汚染及び/又は他の劣化をさらに減らすことができる。
例において、カートリッジは、ターゲット支持アセンブリと少なくとも一つのスパッタターゲットをさらに備える。このように、カートリッジが、スパッタ堆積中に使い果たされるスパッタ堆積部品又は変更されるスパッタ堆積部品を具備してもよい。これはスパッタ堆積を実行する効率を向上させ得る。例えば、基板にターゲット材料を堆積させる少なくとも一つのスパッタターゲットの使用後、ターゲット支持アセンブリ、少なくとも一つのスパッタターゲット及びターゲット材料が上に堆積している基板を含むカートリッジを、スパッタ堆積装置から取り外してもよい。次に、それ自体がターゲット支持アセンブリ及び少なくとも一つのスパッタターゲットを備えるさらなるカートリッジを、処理のためにスパッタ堆積装置に挿入してもよい。これは、その後、スパッタ堆積を再開する前に、スパッタ堆積プロセスで使い果たした少なくとも一つのスパッタターゲットを補充するために堆積プロセスを停止させる他の手法よりも、効率的に実行され得る。これは、基板への異なるターゲット材料のスパッタ堆積における柔軟性をさらにもたらす。例えば、カートリッジを取り外すこと及びカートリッジを異なる材料を含んだ異なるスパッタターゲットを備える異なるカートリッジに取り換えることによって、基板に堆積させるターゲット材料を直接変更してもよい。
例において、プラズマ生成配列は、スパッタ堆積装置の堆積領域にプラズマを供給するように配置され、カートリッジが堆積領域を含む。これは、スパッタ堆積をカートリッジ内で実行することを可能にする。これは、デブリがカートリッジ内に含まれ得るときに、堆積領域内のデブリ(少なくとも一つのスパッタターゲットから放出される材料及び/又はプラズマのイオンなど)とスパッタ堆積装置の間の接触を減らし得る。これは、スパッタ堆積を停止させる必要があり得るスパッタ堆積装置の清掃の必要性を減らすことができ、又は未然に防ぐことができる。それゆえ、スパッタ堆積の効率を向上させ得る。それらの例において、プラズマ生成配列を、プラズマの発生及び伝搬のための電場及び/又は磁場を発生させるように配置してもよく、カートリッジの堆積領域内でプラズマを発生させるために、カートリッジのケーシングが、電場及び/又は磁場を少なくとも部分的に透過する透過領域を備えてもよい。この配置を有すると、プラズマは、カートリッジ外のスパッタ堆積装置の一部内ではなく、カートリッジ内に存在し得る。プラズマとスパッタ堆積装置の接触をさらに減少させることができ、スパッタ堆積装置の清掃の必要性をさらに減少させ得る。それゆえ、スパッタ堆積の効率を向上させ得る。カートリッジは、基板、基板支持アセンブリ、ターゲット支持アセンブリ、及びターゲット支持アセンブリによって支持される少なくとも一つのスパッタターゲットを備えてもよく、カートリッジを、スパッタ堆積中に真空下で密封してもよい。そのようなカートリッジであると、カートリッジがスパッタ堆積における消耗品を具備することができ、スパッタ堆積の効率をさらに向上させ得る。スパッタ堆積中に真空下でカートリッジを密封することにより、基板への環境感受性のターゲット材料の堆積を、質を向上させて実行できる。例えばこれは、ターゲット材料及び/又は基板の周辺環境との相互作用の割合を減少させ得る。
プラズマ生成配列が、カートリッジの堆積領域内にプラズマを供給するように配置されるいくつかの例において、カートリッジは、カートリッジの堆積領域へプラズマが入るためのアパーチャーを備えてもよい。該アパーチャーは密封可能である。これは、スパッタ堆積にさらなる柔軟性をもたらす。例えばプラズマを、カートリッジの外部で発生させ、続いてカートリッジに入れてもよい。他の場所ではなくカートリッジの外部でプラズマを発生させることにより、プラズマ密度などのプラズマの性質の制御をより簡単にし得る。それゆえ、これは、基板へのターゲットのスパッタ堆積の制御を向上させ得る。
例において、プラズマ生成配列を、スパッタ堆積装置のスパッタ堆積領域内でスパッタ堆積するために、プラズマを供給するように配置してもよく、ここで、堆積領域はカートリッジの外部に存在する。これにより、例えば堆積領域がカートリッジの内側に存在する場合の他のものよりも、コンパクトなカートリッジを提供できる。それゆえ、カートリッジを、他のものよりも効率的に貯蔵及び/又は輸送することができる。これらの例において、スパッタ堆積装置を、基板が中に配置されているカートリッジを受け取るように配置してもよく、スパッタ堆積装置は、堆積領域内で前記スパッタ堆積をもたらすために、カートリッジから堆積領域に基板の少なくとも一部を輸送するように、及び前記スパッタ堆積後、基板の少なくとも一部をカートリッジ中に輸送するように配置される輸送アセンブリを備えてもよい。これは、カートリッジのコンパクトさをさらに向上させ得る。例えば、輸送アセンブリを、スパッタ堆積装置内で堆積領域に及び堆積領域から基板を適切に供給するために使用してもよく、該輸送アセンブリは、カートリッジ自体より大きくてもよい。これらの例において、スパッタ堆積装置を、少なくとも一つのスパッタターゲットが中に配置されているカートリッジを受け取るように配置してもよく、堆積領域内で前記スパッタ堆積をもたらすために、輸送アセンブリを、少なくとも一つのスパッタターゲットをカートリッジから堆積領域に輸送するようにさらに配置してもよい。これは、少なくとも一つのスパッタターゲットを処理される基板と共に供給することによって、スパッタ堆積プロセスの効率を向上させ得、その一方でカートリッジのコンパクトさも向上させ、該カートリッジが、スパッタ堆積装置内の堆積領域よりも小さくなり得る。
例において、基板支持アセンブリは、前記スパッタ堆積中に、少なくとも一つのスパッタターゲットに対して基板を運搬するように配置されるコンベアシステムを備える。コンベアシステムは、基板を処理する速度の制御を向上させ得、それゆえ、基板へのターゲット材料のスパッタ堆積における制御を向上させ得る。コンベアシステムは、固定された基板支持装置と比べて、ターゲット材料を基板にスパッタ堆積させる速度を向上させ得る。それゆえ、スパッタ堆積の効率が向上し得る。
本発明の第二の態様によると、スパッタ堆積装置に挿入するためのカートリッジが提供され、該カートリッジは、
基板と、
スパッタ堆積装置を使用する基板へのターゲット材料のスパッタ堆積で用いる少なくとも一つのスパッタターゲットと、
前記スパッタ堆積後に、堆積させたターゲット材料を有する基板を貯蔵するためのチャンバーと、を備える。
そのようなカートリッジを、堆積させたターゲット材料を有する基板を汚染から防ぐために使用してもよい。堆積させたターゲット材料を有する基板を、他のものよりも簡単に操作及び/又は貯蔵できる。例えばカートリッジを、クリーンルーム又はドライルーム内ではなく、従来の棚で大気感受性の基板を貯蔵するために使用してもよい。カートリッジ内で少なくとも一つのスパッタターゲットを含むことにより、スパッタ堆積装置は、他のものよりも効率的にスパッタ堆積を実行し得る。例えば、基板にターゲット材料を堆積させる少なくとも一つのスパッタターゲットの使用後に、ターゲット支持アセンブリ、少なくとも一つのスパッタターゲット及びターゲット材料が上に堆積している基板を含むカートリッジを、スパッタ堆積装置から取り外してもよい。次に、それ自体がターゲット支持アセンブリ及び少なくとも一つのスパッタターゲットを備えるさらなるカートリッジを、処理のためにスパッタ堆積装置に挿入してもよい。これは、その後、スパッタ堆積を再開する前に、スパッタ堆積プロセスにより使い果たした少なくとも一つのスパッタターゲットを補充するために堆積プロセスを停止させる他の手法よりも、効率的に実行され得る。これは、基板への異なるターゲット材料のスパッタ堆積における柔軟性をさらにもたらす。例えば、カートリッジを取り外すこと及びカートリッジを異なる材料を含んだ異なるスパッタターゲットを備える異なるカートリッジに取り換えることによって、基板に堆積させるターゲット材料を、直接変化させることができる。
いくつかの例において、真空を封じ込めるために、チャンバーは密封可能なチャンバーである。これは、基板への環境感受性のターゲット材料の堆積を、質を向上させて実行することを可能にし得る。例えばターゲット材料及び/又は基板と周辺環境との不必要な相互作用の割合を減少させることができる。チャンバーが密封可能であると、カートリッジを、基板へのターゲット材料の環境感受性スパッタ堆積(例えば密封されたチャンバーで真空下)又は基板への不活性ターゲット材料若しくは非反応性のターゲット材料のスパッタ堆積などの環境非感受性スパッタ堆積で使用できるため、これは柔軟性をもたらす。場合によっては、チャンバーが真空チャンバーであってもよく、例えばそれらの部品の反応性が高い場合、チャンバー内の部品と周辺環境との不必要な相互作用をさらに減少させ得る。
例において、チャンバーが、前記スパッタ堆積の前及び後に、基板及び少なくとも一つのスパッタターゲットを備えてもよい。これは、スパッタ堆積プロセスの効率をさらに向上させ得、スパッタ堆積装置にカートリッジを挿入することによって行ってもよい。場合によっては、チャンバーが、前記スパッタ堆積中に、基板及び少なくとも一つのスパッタターゲットを備えてもよく、スパッタ堆積をカートリッジ内で実行することを可能にし得る。これらの例において、チャンバーは、前記スパッタ堆積中に、少なくとも一つのスパッタターゲットに対して基板を運搬するように配置されるコンベアシステムを備えてもよい。これは、基板を処理する速度の制御を向上させ得、それゆえ、基板へのターゲット材料のスパッタ堆積の制御を向上させ得る。固定された基板支持装置に比べて、コンベアシステムは、ターゲット材料を基板にスパッタ堆積させる速度を向上させ得る。それゆえ、スパッタ堆積の効率が向上し得る。コンベアシステムは、ローラーを備えてもよい。そのような場合においては、コンベアシステムが、「リールツーリール」プロセス配置であってもよいし、又は「リールツーリール」プロセス配置の一部を形成してもよく、効率的な様式で基板を処理し得る。
例において、カートリッジは、スパッタ堆積装置によって発生させたプラズマが入るためのアパーチャーを備える。該アパーチャーは密封可能であってもよい。これは、スパッタ堆積にさらなる柔軟性をもたらす。例えばプラズマを、カートリッジの外部で発生させ、続いてカートリッジに入れてもよい。他の場所ではなくカートリッジの外部でプラズマを発生させることにより、プラズマ密度などのプラズマの性質の制御をより簡単にし得る。それゆえ、これは、基板へのターゲット材料のスパッタ堆積の制御を向上させ得る。
例において、カートリッジ内でプラズマを発生させるために、カートリッジのケーシングは、スパッタ堆積装置によって発生させた電場及び/又は磁場を少なくとも部分的に透過する透過領域を備える。これは、デブリがカートリッジ内に含まれ得るときに、堆積領域内のデブリ(少なくとも一つのスパッタターゲットから放出された材料及び/又はプラズマイオン等)とスパッタ堆積装置の間の接触を減少させ得る。これは、スパッタ堆積を停止させる必要があり得るスパッタ堆積装置の清掃の必要性を減少させ得、又は未然に防ぎ得る。それゆえ、これはスパッタ堆積の効率を向上させ得る。
例において、基板は柔軟であり、チャンバーは、前記スパッタ堆積後に、堆積させたターゲット材料を有する基板を支持するためのリールを備える。これは、「リールツーリール」プロセス配置を使用する、基板へのターゲット材料のスパッタ堆積を促進させ得、効率的な様式で基板を処理し得る。加えて又は代わりに、これは、基板を支持する効率的な様式をもたらし得、他の配置よりもコンパクトになり得る。これらの例において、前記リールは、第二のリールであってもよく、カートリッジが、前記スパッタ堆積の前に基板を支持するための第一のリールを備えてもよい。これは、効率的な「リールツーリール」プロセス配置の使用をさらに促進し得る。
例において、カートリッジは、基板及び/又は少なくとも一つのスパッタターゲットをカートリッジの外へ輸送するように配置される輸送アセンブリを備えてもよい。これは、ターゲット材料を基板上にスパッタ堆積した後及び/又は少なくとも一つのターゲットの材料が使い果たされた後に、基板及び/又は少なくとも一つのスパッタターゲットを、容易にカートリッジから取り外すことを可能にし得る。場合によっては、これは、カートリッジの外部でスパッタ堆積が起こるのを可能にし得る。それゆえ、スパッタ堆積をカートリッジ内で行う場合よりも、カートリッジがコンパクトになり得る。
例において、ターゲット材料は、エネルギー貯蔵デバイスの電極層又は電解質層のための材料を含む。それゆえ、これらの例において、エネルギー貯蔵デバイスを製造するためにカートリッジを使用してもよい。
本発明の第三の態様によると、スパッタ堆積装置が提供され、該装置は、
カートリッジがスパッタ堆積装置から取り外し可能なように、スパッタ堆積装置を使用する基板へのターゲット材料のスパッタ堆積で用いる基板及び少なくとも一つのスパッタターゲットを備えるカートリッジを支持するように配置されるカートリッジ支持アセンブリと、
前記スパッタ堆積のために、プラズマを供給するように配置されるプラズマ生成配列と、を備える。
この配置を有すると、堆積させたターゲット材料を有する基板を、基板を処理した後にカートリッジ内でスパッタ堆積装置から取り外すことができる。カートリッジは、基板を汚染から防ぎ、他のものよりも簡単に処理後の基板の操作及び/又は貯蔵を可能にする。例えばカートリッジを、クリーンルーム又はドライルーム内ではなく、従来の棚で大気感受性の基板を貯蔵するために使用してもよい。第三の例によるスパッタ堆積装置は、そのようなスパッタ堆積プロセスを促進し得る。
例において、プラズマ生成配列は、スパッタ堆積装置の堆積領域内での前記スパッタ堆積のために、プラズマを供給するように配置され、カートリッジは堆積領域を備える。これは、スパッタ堆積をカートリッジ内で実行することを可能にする。これは、デブリがカートリッジ内に含まれ得るときに、堆積領域内のデブリ(少なくとも一つのスパッタターゲットから放出された材料及び/又はプラズマイオンなど)とスパッタ堆積装置の接触を減らし得る。これは、スパッタ堆積を停止させる必要があり得るスパッタ堆積装置の清掃の必要性を減らし得るか又は未然に防ぎ得る。それゆえ、スパッタ堆積の効率が向上し得る。
例において、スパッタ堆積装置は、堆積領域がカートリッジの外部に存在し、堆積領域内で前記スパッタ堆積をもたらすために、カートリッジからスパッタ堆積装置の堆積領域に基板の少なくとも一部を輸送するように、及びスパッタ堆積後に、基板の少なくとも一部をカートリッジ中に輸送するように配置される輸送アセンブリを備える。これは、例えば堆積領域がカートリッジ内に存在する他のものよりも、コンパクトにカートリッジを供給することを可能にし得る。それゆえ、他のものよりもカートリッジを効率的に貯蔵及び/又は輸送することができる。例えば輸送アセンブリを、スパッタ堆積装置内の堆積領域に及びスパッタ堆積装置内の堆積領域から外に、基板を適切に供給するために使用してもよく、該堆積領域は、カートリッジ自体より大きくてもよい。
堆積領域内で前記スパッタ堆積をもたらすために、輸送アセンブリが、カートリッジから堆積領域に少なくとも一つのスパッタターゲットを輸送するようにさらに配置されてもよい。これは、少なくとも一つのスパッタターゲットと共に処理する基板を供給することにより、スパッタ堆積プロセスの効率を向上させ得、一方でカートリッジのコンパクトさも向上させ、該カートリッジは、スパッタ堆積装置内の堆積領域よりも小さくなり得る。
さらなる特徴が、単に例として与えられ、添付の図面を参照して作成した以下の説明から明らかになるだろう。
基板にターゲット材料を堆積させる前の例によるスパッタ堆積装置に挿入するカートリッジの概略図である。
基板にターゲット材料を堆積させる間の図1aのカートリッジの概略図である。
基板にターゲット材料を堆積させた後の図1a及び1bのカートリッジの概略図である。
基板にターゲット材料を堆積させた後のさらなる例によるスパッタ堆積装置に挿入するカートリッジの概略図である。
中にカートリッジが挿入されている、例によるスパッタ堆積装置の概略図である。
中にカートリッジが挿入されていない、図3aによるスパッタ堆積装置の概略図である。
中にカートリッジが挿入されている、さらなる例によるスパッタ堆積装置の概略図である。
中にカートリッジが挿入されていない、図4aによるスパッタ堆積装置の概略図である。
他のさらなる例によるスパッタ堆積装置の概略図である。
例による装置及び方法の詳細が、図を参照して、以下の説明から明らかになるだろう。この説明では、説明の目的で、特定の例の多くの具体的な詳細を示す。明細書中の「例」又は類似の用語への言及は、例に関連して説明する特定の特徴、構造又は特性が少なくとも一つの例に含まれるが、必ずしも他の例に含まれるとは限らないことを意味する。さらに、例の根底にある概念の説明及び理解を容易にするために、特定の例を、特定の特徴を省略及び/又は必然的に簡略化して概略的に説明することに注意されたい。
本明細書の例は、基板にターゲット材料をスパッタ堆積した後に、堆積させたターゲット材料を有する基板を収容するように配置されるカートリッジに関する。そのようなカートリッジは、スパッタ堆積後の基板を受け取るために、スパッタ堆積装置に挿入され得、続いてスパッタ堆積装置から取り外され得る。カートリッジは、基板を汚染から防ぎ、容易に操作及び貯蔵することができる。
カートリッジを、周辺大気に敏感な基板(又はその一部)、或いは有害な基板(又はその一部)を貯蔵するために使用してもよい。例えば、基板の一部にスパッタ堆積したターゲット材料の層は、層と接触する分子と反応し、層の表面の性質に過度に影響を及ぼし得る。しかしながら、カートリッジ内で基板を貯蔵することにより、層がそのような分子に接触することを防ぐことができる。カートリッジ内の環境条件は、より大きい空間内よりも簡単に制御できる。例えば、圧力、温度、ガス組成などのカートリッジ内の環境条件を、基板の望ましくない劣化を避けるために又は制限するために調整できる。それゆえ、クリーンルーム内又はドライルーム内ではなく、従来の棚で大気感受性の基板を貯蔵するためにカートリッジを使用してもよい。加えて、基板が、汚染物質と接触することなく又は基板若しくは基板にスパッタ堆積させたターゲット材料の層を損傷若しくは劣化させ得る大気条件と接触することなく、後続処理のための所望の位置に基板を輸送するために、カートリッジを使用してもよい。
場合によっては、カートリッジをスパッタ堆積装置に挿入していても、基板へのターゲット材料のスパッタ堆積は、カートリッジ内で起こってもよい。これは、ターゲット材料及び/又はプラズマとスパッタ堆積装置の接触を減らし得る。それゆえ、スパッタ堆積装置の清掃頻度が少なくなり得、スパッタ堆積の効率が向上する。
最初にカートリッジの例を説明し、続いて、そのようなカートリッジが挿入され得るスパッタ堆積装置の例を説明する。本明細書で説明するカートリッジ及びスパッタ堆積装置を、光学コーティング、磁気記録媒体、電子半導体デバイス、発光ダイオード(LED)、薄膜太陽電池などのエネルギー発電デバイス、及び例えば薄膜電池といった電池等のエネルギー貯蔵デバイスなどの、薄膜堆積の有用性を有する幅広い産業アプリケーション用のプラズマベースのスパッタ堆積のために使用してもよい。それゆえ、本開示の内容が、エネルギー貯蔵デバイス又はそれらの一部の製造に関連する場合があるかもしれないが、本明細書で説明する装置及び方法は、それらの製造に限定されないことを理解されたい。
図1aから1c(まとめて図1と称する)は、例によるスパッタ堆積装置に挿入するためのカートリッジ100を示す概略図である。図1aはスパッタ堆積前のカートリッジ100を示しており、図1bはスパッタ堆積中のカートリッジ100を示しており、図1cはスパッタ堆積後のカートリッジ100を示している。
図1において、カートリッジ100は、基板102、スパッタ堆積装置を使用する基板102へのターゲット材料のスパッタ堆積で用いる少なくとも一つのスパッタターゲット104、及びチャンバー106を具備する。この場合において、チャンバー106は、基板へのターゲット材料のスパッタ堆積の前及び後に、基板102及び少なくとも一つのスパッタターゲット104を具備する。しかしながら他の場合においては(図2の場合など)、チャンバーを、スパッタ堆積後に、堆積させたターゲット材料を有する基板を貯蔵するように配置してもよい。そのような場合において、チャンバーは、堆積前に基板も、少なくとも一つのスパッタターゲットも具備する必要がない。
カートリッジ100は、例えば堆積後に基板を収容するための任意の適切な容器であり、該容器は、スパッタ堆積装置に挿入するように設計される。例えばカートリッジ100は、スパッタ堆積装置によって処理する構成要素(基板102など)を具備し、該構成要素はスパッタ堆積プロセスで使い果たされ得るか又はそうでなければ取り換えられ得る。例えば、スパッタターゲットの材料は、スパッタ堆積プロセスで徐々に消耗し、基板102は、基板102の表面上にターゲット材料の層を堆積することによって取り換えられ得る。カートリッジ100は、カセットとも称され得る。図1のカートリッジ100の形状は、直方体であり、断面が長方形である(図1で示される)。この場合において、カートリッジ100は、立方体状の外郭構造を有し、中は中空である。そうであるがこれは単なる例であり、他の例において、カートリッジ100が他の形状であってもよい。カートリッジ100内の中空領域はチャンバー106に対応し、この例においてカートリッジ100のキャビティーである。チャンバー106の少なくとも一つの壁は、カートリッジ100の壁(外郭構造、ケーシング又はハウジングとも称され得る)であってもよい。これは図1で示されており、図1で、カートリッジ100のケーシングは、チャンバー106の境界と一致する。そうであるが他の場合において、チャンバーは、カートリッジ100内の別個のチャンバーであってもよく、該別個のチャンバーは、例えばカートリッジのケーシングの一部を形成しない少なくとも一つの壁を有する。
チャンバー106は、真空を閉じ込めるために、密封可能なチャンバーであってもよい。例えば、必要に応じてチャンバー106内に真空条件を作るために、チャンバー106内の圧力を適切に調節してもよい。その後、チャンバーを密封し、所望の圧力を維持してもよい。
図1において、チャンバー106は真空チャンバーであり、それゆえ、チャンバー106は、スパッタ堆積前、スパッタ堆積中及びスパッタ堆積後に真空条件下である。これは、例えば、チャンバー106内での基板102と気体などの分子との反応に起因するチャンバー106内の基板102の汚染を減らし得る。本明細書で言及する真空は、必ずしも完全真空ではないが、代わりに基板102と他の材料の望ましくない相互作用を防ぐか、又は少なくともかなり減らす十分低い圧力、或いはスパッタ堆積に適した圧力などの、圧力が大気圧よりも低い環境を指す。例えば、スパッタ堆積に適した低圧は、3×10―3torr以下であり得る。チャンバー106は、ポンプシステム(図示せず)によって、適した圧力(例えば1×10-5torr未満)に排気され得、使用中に、ガス供給システム(図示せず)を使用して、スパッタ堆積に適した圧力が達成される程度(例えば3×10―3torr)まで、アルゴンや窒素などのプロセスガス又はスパッタガスがチャンバー106に導入され得る。そのような場合においては、チャンバー106を、基板102がチャンバー106に装填される前又はその後に排気してもよい。
他の場合において、チャンバー106は、真空条件下でなくてもよく、その代わりに、例えば大気圧であってもよい。真空の使用か又は他の使用かは、基板102及び基板102上に堆積させるターゲット材料に依存し得る。例えば場合によっては、基板102及び/又は基板上102に堆積させるターゲット材料が、不活性又は周辺環境の部品と反応する可能性が低いとき、真空は必要とされ得ない。例えばスパッタ堆積が非反応性スパッタ堆積である場合、ターゲット材料は、スパッタターゲットの材料であってもよいし、又はスパッタターゲットを含んでもよい。そうであるが他の場合においては、ターゲット材料を、スパッタターゲット104から放出された材料と反応性ガスなどの反応性材料との反応又は他の相互作用によって得てもよい。これらの場合、堆積は反応性スパッタ堆積と考えてよく、ターゲット材料は、少なくとも一つのスパッタターゲットの材料から生じ得る。
図1の例において、基板102は、基板のウェブであるが、他の場合においては、基板が異なる形状であってもよい。例えば基板のウェブは、柔軟な基板又はそうでなければ曲げられる基板若しくは曲げやすい基板を指す。そのような基板は、例えばロールツーロール供給システムの一部として、ローラーの周りで基板を曲げられるほど十分柔軟であり得る。そうであるが他の場合においては、基板が、比較的堅くてもよいし又は柔軟でなくてもよい。そのような場合においては、基板を曲げることなく又は基板をほとんど曲げることなく、コンベアシステムにより基板が運搬され得る。
基板102は、シリコン又はポリマーであってもよいし、或いはシリコン又はポリマーを含んでもよい。いくつかの例においては、例えばエネルギー貯蔵デバイスの製造のために、基板102が、ニッケル箔であってもよいし又はニッケル箔を含んでもよいが、ニッケルの代わりにアルミニウム、銅若しくは鋼、又はポリエチレンテレフタレート(PET)上のアルミニウムのような金属化プラスチックなどの金属化材料等の任意の適した金属を使用できることを理解されたい。
基板102は、基板支持システムによって支持され、該基板支持システムは、この場合において、スパッタ堆積前の基板102を支持する第一のリール108(図1aで示されている)及びスパッタ堆積後の基板102を支持する第二のリール110(図1b及び1cで示されている)を具備する。そうであるがこれは単なる例であり、他の場合においては、基板102が、異なる形状の基板支持システムによって支持されてもよい。リールは、例えば基板102が巻きつけられ得る円筒状の構成要素であり、スプールとも称され得る。
チャンバー106は、コンベアシステムも具備し、該コンベアシステムは、この場合において、基板支持システムの一部を形成する。コンベアシステムは、スパッタ堆積中に、少なくとも一つのスパッタターゲット104に対して基板102を運搬するように配置される。コンベアシステムは、ローラーなどの湾曲部材を備えてもよい。図1はそのような例を示す。図1において、コンベアシステムは、ドラム114、第一のリール108からドラム114に基板102を供給するように又はそうでなければ導くように配置される第一のローラー112、及びドラム114から第二のリール110に基板102を供給するように又はそうでなければ導くように配置される第二のローラー116を備える。この場合におけるコンベアシステム110は、「リールツーリール」プロセス配置の一部を形成し、基板102は、第一のリール108から供給され、スパッタ堆積を経た後、第二のリール110に供給され、処理後の基板を積層したリールを形成する(図1cで示されている)。
基板102の端部は、最初に、供給機構(図示せず)により、第一のリール108からコンベアシステムに向かって導かれてもよく、場合によっては、コンベアシステムを通って導かれてもよい。例えば供給機構は、コンベアシステムを通って、第二のリール110に基板102の端部を導く。第一のリール108から第二のリール110に基板102を徐々に輸送するために、例えば第一のリール108の回転と第二のリール110の回転を連動させて、コンベアシステムにより基板102のその後の移動を実行してもよい。そうであるが他の場合においては、基板102の端部又は基板102の端部に結合したリーダー若しくは他の材料が、すでに少なくとも部分的に第二のリール110に巻き付けられていてもよいし又は第二のリール110により支持されていてもよい。そのような場合において、カートリッジ100は、供給機構を具備しなくてもよい。代わりに、基板102を、コンベアシステム及び第一のリール108と第二のリール110の回転によって、第一のリール108からほどき、第二のリール110に徐々に巻き付けてもよい。
例えば少なくとも一つのターゲット104の材料を含むか又は少なくとも一つのターゲット104の材料から生じるターゲット材料のスパッタ堆積を、基板102にもたらすために、コンベアシステムは、少なくとも一つのスパッタターゲット104に対して運搬方向D(図1bで示されている)に基板102を運搬するように配置される。運搬方向Dは、第一のリール108から第二のリール110に基板102が移動する一般的な方向と一致すると考えてよく、基板102の移動の総方向と考えてよい。コンベアシステムがローラー(ドラム114など)を具備する場合、運搬方向Dは、ローラーの最高点の接線で取られ得るローラーの回転方向と一致し得る。そのような場合においては、コンベアシステムが、運搬方向Dに基板114を運搬するように配置されてもよく、該運搬方向Dは、ローラー(この場合においてドラム114)の回転軸に垂直である。
図1において、カートリッジ100は、四つのターゲット104a-104d(まとめて参照数字104で参照される)を具備するが、これは単なる例である。スパッタターゲット104は、互いに同一の材料を含んでもよいし、又はスパッタターゲット104の一以上が、スパッタターゲット104のうちの他の一つと異なる材料を含んでもよい。
スパッタターゲット104は、一以上のターゲット支持アセンブリ118によって支持される。いくつかの例においては、ターゲット支持アセンブリ118が、スパッタターゲット104を支持又は保持する少なくとも一つのプレート又は他の支持構造を具備してもよい。図1においては、スパッタターゲットごとに一つのターゲット支持アセンブリが存在する。しかしながら他の場合においては、スパッタターゲットにつき、より多い又はより少ないターゲット支持アセンブリが存在してもよい。例えば単一のターゲット支持アセンブリは、一以上のスパッタターゲットを支持してもよく、例えばチャンバー内の全てのスパッタターゲットを支持してもよい。
基板102に堆積させるターゲット材料は、スパッタターゲット104の材料であってもよいし又はこれを含んでもよく、或いはスパッタターゲット104の材料とさらなる材料の相互作用により形成される材料であってもよいし又はこれを含んでもよい。いくつかの例において、ターゲット材料は、エネルギー貯蔵デバイスの電極層又は電解質層の材料を含む。例えばエネルギー貯蔵デバイスの製造のために、ターゲット材料は、エネルギー貯蔵デバイスのカソード層であるコバルト酸リチウム、リン酸鉄リチウム若しくは多硫化アルカリ金属塩などのリチウムイオンの貯蔵に適した材料であってもよいし又はこれらを含んでもよく、或いはそれらの前駆体物質であってもよいし又はそれらの前駆体物質を含んでもよい。加えて又は代わりに、ターゲット材料は、エネルギー貯蔵デバイスのアノード層であるリチウム金属、グラファイト、シリコン若しくは酸化インジウムスズなどであってもよいし又はこれらを含んでもよく、或いはそれらの前駆体物質であってもよいし又はそれらの前駆体物質を含んでもよい。加えて又は代わりに、ターゲット材料は、エネルギー貯蔵デバイスの電解質層であるオキシ窒化リン酸リチウム(LiPON)などのイオン電導性であるが、電気絶縁体でもある材料であってもよいし又はこれらを含んでもよく、或いはそれらの前駆体物質であってもよいし又はそれらの前駆体物質を含んでもよい。例えばスパッタターゲットの少なくとも一つの材料は、例えばスパッタ堆積中に、チャンバー106に供給され得るガス(窒素ガスなど)との反応を経て、基板102にLiPONを堆積するための前駆体物質としてのLiPOであってもよいし又はこれを含んでもよい。
この場合のカートリッジ100は、スパッタターゲット104及び基板102を貯蔵するために使用してもよい。スパッタターゲット104は、大気条件に敏感であってもよい。例えば、大気圧及び大気温度で空気中に保存する場合、スパッタターゲット104の材料は、空気中の特定の分子と反応してもよいし、又は望ましくない相転移を経てもよい。例えばいくつかの材料(リチウムを含む材料など)は、比較的低い昇華点を有する。それゆえ、そのような材料は、(スパッタ堆積向けの)固相のままではなく室温で昇華し得る。しかしながら、カートリッジ100内の条件を、反応及び/又は相転移などのカートリッジ100内でのスパッタターゲット104の材料の性質の望ましくない変化を避け、又は制限するように設計してもよい。カートリッジ100内の条件の制御は、スパッタ堆積装置全体の空間のようなより広い空間内の環境条件を制御するよりも簡単であり得る。
カートリッジ100を、エネルギー貯蔵デバイスの基板102上に層を堆積させるために使用する場合、例えば層の堆積で欠陥があると、堆積した層が短絡する危険があり得る。例えば電解質層の堆積における欠陥は、カソード層とアノード層の短絡を引き起こし得る。大きい表面積の層を積み重ねると、電池の容量は大きくなる。それゆえ、短絡は熱暴走を引き起こし得、材料の自然発火を引き起こし得る。しかしながら、カートリッジ100は、基板102上に層を堆積させた後、欠陥が存在したとしても、積み重ねた層の容量が熱暴走の危険を低減するほど十分小さくなるように、十分小さい表面積を有する基板102を貯蔵してもよい。それゆえ、スパッタ堆積プロセスの安全性が向上し得る。
図1の例において、スパッタ堆積は、外部ではなくカートリッジ内(この場合ではチャンバー106内)で起こる。それゆえ、カートリッジ100は、スパッタ堆積中に放出される材料を含み、該材料は、カートリッジ100が挿入されるスパッタ堆積装置をコーティングせずにカートリッジ100内に残り得る。それゆえ、これは、スパッタ堆積装置の清掃の必要性を未然に防ぎ又は減少させ得、スパッタ堆積装置の操作を停止させる必要性を減少させる。これはスパッタ堆積の効率を向上させることができる。
この場合において、プラズマ120は、スパッタ堆積中にカートリッジ100内に閉じ込められる(図1bで示している)。プラズマ120のイオンがスパッタターゲット104に衝突し、スパッタターゲット104から材料を放出させる。放出された材料を、基板102が第一のリール108から第二のリール110まで、コンベアシステムによって運搬されるときに、基板102の表面上にターゲット材料として堆積させてもよい。他の場合において、放出された材料は、ターゲット材料として基板102の表面上に堆積する前に、ガスなどのさらなる材料と相互作用し得る。プラズマ120を、スパッタ堆積中にカートリッジ100内で発生させてもよいし、或いはカートリッジ100の外部で発生させ、続いてカートリッジ100内に閉じ込めてもよい。
この場合において、カートリッジ100は、スパッタ堆積装置によって発生させたプラズマが入るためのアパーチャー122を備える。図1の例において、アパーチャー122はドアであり、例えばカートリッジ100の入り口で移動可能な障壁である。そうであるが他の場合において、アパーチャーは、穴又は他の開口部などの異なる形状であってもよい。そのようなアパーチャーは、密封可能であってもよい。アパーチャーの密封は、例えば所与の材料(プラズマ120など)がカートリッジ100に入ること又はカートリッジ100から出ることを防ぐ様式で、アパーチャーを閉じることをいう。例えば穴を栓で塞いでもよいし、或いはドアを閉位置に移動させ、例えば適切な密封剤又は接着剤を使用して密封してもよい。カートリッジ100を再び開けられるように、カートリッジ100の密封を可逆的に行ってもよい。場合によっては、アパーチャー122を、スパッタ堆積後にアパーチャー122を経由して、カートリッジ100から基板102を取り外すことができるように構成してもよい。そうであるが他の場合において、カートリッジ100は、カートリッジ100から基板102が取り外され得るさらなるアパーチャー又は他の開口部を備えてもよい。
例においては、アパーチャー122を、スパッタ堆積装置へのカートリッジ100の挿入時又はスパッタ堆積装置へのカートリッジ100の挿入後に開ける。アパーチャー122が開いていると、カートリッジ100中で基板102上にターゲット材料をスパッタ堆積するために、カートリッジ100から離れて発生させたプラズマが、続いてカートリッジ100に入り、カートリッジ内に閉じ込められ得る。スパッタ堆積の停止後、例えば第一のリール108から第二のリール110まで基板102が移動した後、アパーチャー122を閉じて密封してもよい。それゆえ、これは、他の材料がその後にカートリッジ100に入るのを防ぎ得る。例えば、カートリッジ100をスパッタ堆積装置から取り出す前に、アパーチャー122を閉じてもよいし及び/又は密封してもよい。図1a及び1cは、閉位置におけるアパーチャー122を示しており、図1bは開位置におけるアパーチャー122を示している。
アパーチャー122を閉じた後、カートリッジ100の圧力を、適切に調整し、汚染を低減してもよい。例えば、アパーチャー122を閉じた後、スパッタ堆積装置からカートリッジ100を取り出す前に、カートリッジ100(又はカートリッジ100のチャンバー106)を排気してもよい。それゆえ、カートリッジ100は、スパッタ堆積中、真空下で密封され得る。例えばさらなる処理のために、アパーチャーを再度開き、カートリッジ100から基板102を取り出してもよい。そうであるが、スパッタ堆積後すぐに、基板102をカートリッジ100から取り出さなくてもよい。代わりに、取り出す前に一定の時間、基板102をカートリッジ100内で貯蔵してもよい。カートリッジ100を、基板102を輸送するためにさらに使用してもよい。例えば、(カートリッジ100のチャンバー106又はカートリッジ100自体が真空下のままである場合)カートリッジ100内の真空条件下で、基板102を簡単に輸送することができる。カートリッジ100及び/又はスパッタ堆積装置は、スパッタ堆積装置内にある間又はそうでなければスパッタ堆積が起こった前又は後に、カートリッジ100を加圧及び/又は減圧するために使用できる適切なガスカップリング機構を具備してもよい。
図2は、さらなる例によるスパッタ堆積装置に挿入するカートリッジ200の概略図である。図1の対応する特徴に類似する図2の特徴は、100を足しているが同一の参照数字で表示している。対応する説明が適用される。図2は、基板202にターゲット材料をスパッタ堆積した後のカートリッジ200を示している。
図2のカートリッジ200は、図2のカートリッジ200がスパッタ堆積後の基板202を貯蔵するための別個のチャンバー206を具備する以外は、図1のカートリッジ100と同一である。それゆえ、図2のカートリッジ200のキャビティー124は、チャンバー206を具備するが、チャンバー206はキャビティー124の全体を満たすわけではない。この場合において、チャンバー206は取り外し可能なチャンバーであってもよく、堆積後の基板202(大きな基板の一部であってもよいし又は基板202全体であってもよい)を中に貯蔵した後、カートリッジ200から取り除いてもよい。
チャンバー206は、真空を封じ込めるために、密封可能なチャンバーであってもよい。例えばスパッタ堆積後に基板202を入れるために、及び/又はチャンバー206内の過剰なガスなどの望ましくない材料を取り除くために、例えばチャンバー206は、少なくとも一つのアパーチャーを有してもよい。アパーチャーは、図1のカートリッジ100のアパーチャー122と同一であってもよいし、類似であってもよく、又は異なってもよい。例えば基板202及び/又はガスをチャンバー206に入れること及び/又はチャンバー206から出すことを可能にするために、アパーチャーは異なるサイズ及び/又は形状を有してもよい。例えば、堆積後、チャンバー206内に真空を作るために、基板202をチャンバー206に入れた後、ガスをチャンバー206から排気してもよい。このようにして、基板202を真空条件で貯蔵してもよく、例えば大気圧での層と気体分子の間の相互作用によって起こり得る基板202上に堆積させた層の劣化を低減し得る。他の場合においては、スパッタ堆積前又はスパッタ堆積中に、チャンバー206内に真空を作ってもよい。チャンバー206内の条件は、カートリッジ200の他の領域と異なってもよい。例えばチャンバー206が真空から成るのに対し、カートリッジ200の他の領域は大気圧であってもよい。そうであるが他の場合においては、カートリッジ200内の条件が均一であってもよい。例えばカートリッジ200のキャビティー124(チャンバー206を含む)は真空下であってもよい。
図3aは、中にカートリッジ300が挿入されている例によるスパッタ堆積装置126の概略図である。図3aのカートリッジ300は、カートリッジ300のケーシングが、アパーチャー122ではなく透過領域128を備えることを除いて、図1のカートリッジ100と同一である。図1のカートリッジ100の対応する特徴に類似する図3aのカートリッジ300の特徴は、200を足しているが、同一の参照で表示され、対応する説明が適用される。
図3aのスパッタ堆積装置126は、基板302上にターゲット材料をスパッタ堆積するためのプラズマ320を供給するように配置されるプラズマ生成配列130を備える。プラズマ生成配列130は、一以上のアンテナを具備してもよく、該アンテナを通じて、適切な無線周波数電力が無線周波数電力供給システムにより送られ得る。このようにして、プロセスガス又はスパッタガスから誘導結合プラズマ320を発生させてもよい。この場合においては、プロセスガス又はスパッタガスが、カートリッジ300内に存在してもよい。例えばカートリッジ300は、プロセスガス又はスパッタガスを、カートリッジ300内、例えばチャンバー306内に供給する適切なガス供給システムを備えてもよいし、該ガス供給システムに接続可能であってもよい。しかしながら、他の場合においては(図1の場合など)、プロセスガス又はスパッタガスが、カートリッジの外部に存在してもよく、例えばスパッタ堆積装置126の他の領域内に存在してもよい。そのような場合のプラズマは、カートリッジの外部で発生させ、続いて、例えばアパーチャーを経由してカートリッジに入れてもよい。このようにして、プラズマ生成配列130を、スパッタ堆積装置126の堆積領域内でスパッタ堆積するために、プラズマ320を供給するように配置してもよく、該堆積領域で、スパッタターゲット304の材料を含むターゲット材料又はそうでなければスパッタターゲット304の材料から生じるターゲット材料の基板302へのスパッタ堆積が起こる。この場合において、カートリッジ300は堆積領域を含む。しかしながら、図4などの他の場合においては、堆積領域がカートリッジの外部に存在してもよい。
いくつかの例においては、例えば1MHzと1GHzの間の周波数、1MHzと100MHzの間の周波数、10MHzと40MHzの間の周波数、又はおおよそ13.56MHz若しくはその倍数の周波数で、一以上のアンテナを通して無線周波数電流を送ることにより、プラズマ320を発生させてもよい。無線周波数電力は、プロセスガス又はスパッタガスのイオン化を引き起こし、プラズマ320を生成させる。
プラズマ生成配列130の一以上のアンテナは、細長いアンテナであってもよく、該細長いアンテナは、スパッタ堆積中に基板302が運搬される運搬方向Dに垂直に細長くてもよい。そのような場合においては、細長いアンテナが、ドラム314の回転軸に平行な方向に延在してもよく、該ドラム314は、スパッタ堆積中にスパッタターゲット304に対して基板302を運搬するために使用される。場合によっては、アンテナが直線状であってもよいが、他の場合においては、アンテナが湾曲していてもよい。例えばアンテナは半月形であってもよい。
図3aの例において、プラズマ生成配列130は、カートリッジ300をスパッタ堆積装置126に挿入した状態で、カートリッジ300の片側に位置する。そうであるが他の場合においては、プラズマ生成配列が、例えばカートリッジ300の反対側で、互いに横方向に配置される少なくとも二つのアンテナを具備してもよい。例えばそのようなアンテナは、それぞれ平行に延びていてもよい。例えばこれは、カートリッジ300の近くでのプラズマ320の正確な発生を可能にする。
図3のような例のスパッタ堆積装置126は、閉じ込め配列(図示せず)をさらに具備してもよい。閉じ込め配列は、プラズマ320を適切な領域に少なくとも一部閉じ込める閉じ込め磁場を供給するように配置される一以上の磁性素子を具備してもよく、使用中に基板302にターゲット材料のスパッタ堆積をもたらす。例えば、プラズマをカートリッジの外部で発生させ、続いてカートリッジ内に存在させる例においては、カートリッジ内にプラズマを少なくとも部分的に閉じ込めるために、閉じ込め配列を使用してもよい。
図3aにおいては、カートリッジ300がスパッタ堆積装置126に挿入されている様態で、スパッタ堆積装置126は、カートリッジ300を具備する。カートリッジ300は、基板302上にターゲット材料をスパッタ堆積した後に、堆積させたターゲット材料を有する基板302を収容するように配置される。カートリッジ300は、スパッタ堆積装置126から取り外し可能である。取り外し可能なカートリッジ300は、例えば、スパッタ堆積装置を損傷させることなく、カートリッジ300をスパッタ堆積装置126から取り出せること、又はそうでなければ抜き出せることを意味する。例えばスパッタ堆積装置126は、スパッタ堆積装置126からカートリッジ300を取り出すための取り出し構造を具備してもよい。
この場合においては、カートリッジ300のケーシングが、透過領域128を具備してもよく、該透過領域128は、カートリッジ300内でプラズマ320を発生させるために、スパッタ堆積装置126により生成され、伝搬される電場及び/又は磁場を少なくとも部分的に透過する。透過領域128は、例えば石英を含むか、或いは石英で形成される。この場合においては、プラズマ320を発生させるために、電場及び/又は磁場をプラズマ生成配列130により発生させ、伝搬させてもよい。この場合において、プラズマ生成配列130は、カートリッジの外部に存在する。しかしながら、電場及び/又は磁場を、透過領域128を経由してカートリッジ300内に伝搬させてもよい。このようにして、プラズマ320をカートリッジ300内、すなわちカートリッジ300の堆積領域とみなされ得るカートリッジ内でプラズマを発生させてもよく、該堆積領域で、基板302へのターゲット材料のスパッタ堆積が起こる。
このような例においては、気体(空気など)を、スパッタ堆積前にカートリッジ300から排気してもよく、場合によっては、カートリッジ300に基板302を装填する前に排気してもよい。そうであるが、スパッタ堆積中、カートリッジ300内でプラズマ320を発生させるために、アルゴンや窒素などの適切なプロセスガス又はスパッタガスを、カートリッジ300にポンプで送り込んでもよい。例えば、窒素、酸素、アンモニア、窒素酸化物及び/又はヘリウムのような反応性気体を、適切な注入口を経由してカートリッジ300に入れてもよく、基板302上でターゲット材料の反応性堆積を実行するプラズマ320により、スパッタターゲット304から放出された材料と相互作用させてもよい。反応性堆積中に、少なくとも一つの非反応性気体(アルゴンなど)を、カートリッジ300に注入してもよい。反応性堆積において、堆積領域に注入され得る堆積領域内(この場合においてカートリッジ300内)の気体は、スパッタターゲット304の放出された材料と化学的に反応し得る一以上の化学元素及び/又は分子を含んでもよい。結果として、放出された材料と反応性気体中の元素及び/又は分子が化学的に反応し、基板302上にターゲット材料として堆積する一以上の材料をもたらす。
この例において、透過領域128は、カートリッジ300のケーシング全体に満たない領域にわたって延在する。例えば透過領域128は、カートリッジ300の片側の透過窓と考えてもよい。そうであるが他の場合においては、カートリッジ300のケーシングの全体又は大部分が、そのような電場及び/又は磁場を透過してもよい。
図3aのスパッタ堆積装置126は、基板302へのターゲット材料のスパッタ堆積に用いる、基板302を支持するように配置される基板支持アセンブリ及び少なくとも一つのスパッタターゲット304を支持するように配置されるターゲット支持アセンブリ318をさらに具備する。図3aのターゲット支持アセンブリ318は、電極132に電気的に接続され(図3aにおいて、破線で概略的に示している)、該電極を経由して、電圧がスパッタターゲット304に関係する電磁石に印加され得る。電磁石に印加される電圧は、適切なコントローラー134により制御される。そのようなコントローラー134は、電磁石を通して電流を制御するように配置されるマイクロプロセッサーなどのプロセッサーを具備してもよく、結果として電磁石により供給される磁場強度を制御する。本明細書における磁場の制御の言及は、磁場強度を含む磁場の任意の特徴を制御することをいうと考えてもよい。
電磁石を、ターゲットごとのバイアスを供給するために制御してもよく、例えば要望通りに、異なるスパッタターゲットに隣接する領域にプラズマ320を閉じ込めるために、異なるそれぞれのスパッタターゲットに関係する磁場を制御することを可能にする。異なるスパッタターゲットに関係する磁場を制御することにより、結果として、例えば一方のスパッタターゲットの材料を他方よりも多く堆積させ、又は一方のスパッタターゲットより生じる材料を他方より多く堆積させるために、異なるスパッタターゲットの材料の堆積を制御できる。
この例においては、カートリッジ300自体が基板支持アセンブリを具備し、該基板支持アセンブリは、第一のリール308及び第二のリール310、第一のローラー312及び第二のローラー316、並びにドラム314を備える。また、カートリッジ300は、ターゲット支持アセンブリ318及びターゲット支持アセンブリ318により支持される少なくとも一つのスパッタターゲット304を具備する。しかしながら他の場合においては、カートリッジの外部のスパッタ堆積装置の領域で、基板支持アセンブリ及び/又はターゲット支持アセンブリを備えてもよい。図1に関して説明したように、基板支持アセンブリは、スパッタ堆積中に、少なくとも一つのスパッタターゲット304に対して基板を運搬するように配置されるコンベアシステムを具備してもよい。
図3aの例において、スパッタ堆積プロセスの間、基板302はカートリッジ300内に存在する。このような例において、カートリッジ300を、スパッタ堆積中に真空下で密封してもよい。これは、スパッタ堆積中に放出された材料又はプラズマ320自体によるスパッタ堆積装置126の汚染をさらに減少させ得る。
第一のリール308から第二のリール310まで基板302を移動させた後、スパッタ堆積プロセスを停止してもよい。例えばプラズマ生成配列130の電源を切ってもよい。次に、カートリッジ300を、スパッタ堆積装置126から取り出し、さらなる処理又は貯蔵のために移動させてもよい。スパッタ堆積装置126からカートリッジ300を取り出した後、図3aのカートリッジ300と同様であり得るさらなるカートリッジをスパッタ堆積装置126に挿入してもよい。その後、さらなるカートリッジを使用してスパッタ堆積プロセスを再び実行してもよい。それぞれ異なるカートリッジにそれぞれ貯蔵される複数の基板上にターゲット材料を堆積させるために、このプロセスを繰り返し実行してもよい。スパッタ堆積装置126を、カートリッジの取り出しから次のカートリッジの挿入までの間に清掃してもよい。しかしながら、カートリッジ300が、スパッタ堆積プロセスの汚れた部品(スパッタターゲット304から放出された材料やプラズマ320など)とスパッタ堆積装置126の構成要素(スパッタ堆積装置126のハウジング、プラズマ生成配列130、コントローラー134及び電極132などのスパッタターゲットバイアス若しくはプラズマの発生を制御するための電子回路、並びに/或いはプラズマを閉じ込める閉じ込め素子等)の接触を制限し得るため、スパッタ堆積装置126は、カートリッジがないスパッタ堆積装置よりも低頻度で清掃され得る。
基板302にターゲット材料をスパッタ堆積した後、及びその上に堆積させたターゲット材料を有する基板302を含むカートリッジ300をスパッタ堆積装置126から取り外した後、続いて、基板302をカートリッジ300から取り外してもよい。例えば基板302を取り外し、続いてエネルギー貯蔵デバイスに組み込んでもよい。その後、カートリッジ300は、ターゲット材料を堆積させる新しい基板を第一のリール308に装填する補充プロセスを経てもよい。スパッタターゲット304のうち少なくとも一つを使い果たした場合又は消耗した場合、少なくとも一つのスパッタターゲットを、補充したスパッタターゲットと取り換えてもよい。場合によっては、スパッタターゲットのうち少なくとも一つを、異なる材料を含むスパッタターゲットと取り換えてもよく、これにより、異なるターゲット材料を基板に堆積させるために、カートリッジ300を再利用することが可能になる。スパッタターゲットが大気条件に敏感な場合、例えばスパッタターゲットがリチウムを含む場合、少なくとも一つのスパッタターゲットの補充を真空条件下で実行してもよい。補充プロセスの間、カートリッジ300の内部を清掃し、前のスパッタ堆積プロセスからのデブリを取り除いてもよい。しかしながら、スパッタ堆積装置126を他のカートリッジを処理するために使用する間に、これを実行してもよく、これは他のものよりも効率的にスパッタ堆積プロセスを続けられることを意味する。
他の場合において、基板302を取り換えること又は取り外すことなく、カートリッジ300内のスパッタターゲット304のうち少なくとも一つを取り換えてもよい。例えば、最初、カートリッジ300は、基板302にアノード層を堆積させるのに適したスパッタターゲットを具備してもよい。基板302上にアノード層を堆積させた後、スパッタターゲット304のうち少なくとも一つを、電解質層の材料を含むさらなるスパッタターゲットと取り換えてもよい。その後、カートリッジ300を、スパッタ堆積装置126に再び挿入し、アノード層の上に電解質層を堆積させてもよい。固体電池などのエネルギー貯蔵デバイスの多数の層を製造するために、同様のプロセスを実行し、電解質層上にカソード層を堆積させてもよい。そのような場合においては、基板302にアノード層を堆積させる間に、第一のリール308から第二のリール310まで基板302を移動させてもよい。続いて、基板302の運搬方向Dを逆にし、アノード層上に電解質層を堆積する間に、第二のリール310から第一のリール308に基板302を移動させて戻してもよい。運搬方向Dを再度逆にし、電解質層上にカソード層を堆積する間に、第一のリール308から第二のリール310に基板を移動させてもよい。そうであるが、これは単なる例である。そうであるが他の場合においては、運搬方向を変えないままでもよい。そのような場合においては、各層の堆積後に、第一のリール310から第二のリール308に基板302を移動させて戻してもよい。
図3aの例においては、カートリッジ300のケーシングが、透過領域128を具備してもよい。しかしながら、図3aのスパッタ堆積装置と同様のスパッタ堆積装置を、透過領域128ではなくカートリッジの堆積領域にプラズマが入るためのアパーチャー122を具備する図1及び2のカートリッジ100、200と共に使用してもよい。そのような場合においては、スパッタ堆積装置にカートリッジを挿入した後、且つカートリッジのアパーチャー122を開ける前に、スパッタ堆積プロセス中に真空をスパッタ堆積装置126内で作ってもよい。基板上にターゲット材料を堆積させた後、カートリッジのアパーチャー122を閉じてもよく、次にスパッタ堆積装置を大気圧に戻してもよい。その後、スパッタ堆積装置からカートリッジを取り出してもよい。必要ではないが、カートリッジ300と共に使用する場合は、プラズマ320を、カートリッジ300の外部ではなく、カートリッジ300内で発生させる際、図3aのスパッタ堆積装置126内で真空を作ってもよい。
図3bは、カートリッジを挿入していない図3aのスパッタ堆積装置126を概略的に示している。スパッタ堆積装置126は、カートリッジをスパッタ堆積装置126から取り外し可能なように、上記で説明したカートリッジなどのカートリッジを支持するように配置されるカートリッジ支持アセンブリ136を具備する。例えば、カートリッジは、基板上へのターゲット材料のスパッタ堆積に用いる基板及び少なくとも一つのスパッタターゲットを備えてもよい。スパッタ堆積装置126は、基板上にターゲット材料をスパッタ堆積するためのプラズマを供給するプラズマ生成配列130をさらに具備する。
図3bの例において、スパッタターゲットに対して基板を運搬するために、スパッタ堆積装置126は、(一度スパッタ堆積装置126に挿入した)カートリッジ300のコンベアシステムを駆動する駆動機構をさらに具備する。この例において、駆動機構は、駆動ローラー138a-138eを具備しており、該駆動ローラーは、それぞれ第一のリール108、第一のローラー112、ドラム114、第二のローラー116及び第二のリール110と係合し、カートリッジ300のリール、ローラー及びドラムを回転させる。例えば、駆動ローラーが、例えば歯を介してカートリッジ300のリール、ローラー及びドラムに収まって、一緒になるように、駆動ローラーは、カートリッジ300のリール、ローラー及びドラムより直径が小さくてもよい。駆動ローラー138a-138eのうち一以上は、スピンドルであってもよく、該スピンドルは、例えば使用中にカートリッジ300のリール、ローラー及び/又はドラムが回転する軸として機能する棒又はピンである。
図3a及び図3bのスパッタ堆積装置126において、スパッタ堆積は、カートリッジ300内で起こる。図4a及び4bは、スパッタ堆積装置426のさらなる例の概略図であり、該スパッタ堆積装置426において、スパッタ堆積は、カートリッジ内ではなくカートリッジの外部で起こる。図3a及び図3bのスパッタ堆積装置126の対応する特徴に類似する図4a及び図4bのスパッタ堆積装置426の特徴は、前に4を付けているが同一の参照数字で表示している。対応する説明が適用される。
スパッタ堆積中にカートリッジ400を挿入したスパッタ堆積装置426が、図4aで示されている。スパッタ堆積装置426は、図4a及び図4bにおいて平面図で示されているが、図3a及び図3bは、異なるスパッタ堆積装置126の断面図を示している。
図4aにおいて、スパッタ堆積装置426にカートリッジ400を挿入する前に、カートリッジ400は基板402を具備する。基板402は、第一のリール408から徐々にほどかれ、カートリッジ400からスパッタ堆積装置426の堆積領域に入り、該堆積領域でスパッタ堆積が起こる。この場合において、スパッタ堆積装置426は、プラズマ生成配列430を具備し、該プラズマ生成配列430は、堆積領域内で、基板402の少なくとも一部の上に、スパッタターゲット404の材料を含むターゲット材料のスパッタ堆積又はそうでなければスパッタターゲット404の材料から生じたターゲット材料のスパッタ堆積をもたらすように配置される。この場合において、堆積領域は、カートリッジ400の外部に存在する。
基板402上にターゲット材料をスパッタ堆積した後、基板402は、カートリッジ402に巻き戻され、第二のリール410に巻き付けられる。基板402の処理後、処理後の基板402を中に入れたままカートリッジ400を密封してもよい。場合によっては、カートリッジ400を真空下で密封してもよい。その後、カートリッジ400を、スパッタ堆積装置426から取り外してもよい。
このような例において、スパッタ堆積装置426は、基板402が中に配置されているカートリッジ400を受け取るように配置されてもよく、堆積領域(この場合ではカートリッジ400の外部)内でスパッタ堆積をもたらすために、カートリッジ400から堆積領域に基板402の少なくとも一部を輸送する輸送アセンブリ140を備えてもよい。輸送アセンブリ140は、スパッタ堆積後に、ターゲット材料が上に堆積している基板402の少なくとも一部を、カートリッジ400中に輸送するようにさらに配置される。図4a及び図4bの例において、輸送アセンブリ140は、複数のローラー140a-140g(合わせて輸送アセンブリ140と称する)を備える。しかしながら、これは単なる例である。
それゆえ、これらの例のカートリッジ400は、基板402をカートリッジ400から出し、その後、カートリッジ400に再び入れることを可能にする少なくとも一つの適切なアパーチャーを具備してもよい。
図4bは、カートリッジが中に挿入されていない図4aのスパッタ堆積装置426を示している。図4bのスパッタ堆積装置426は、カートリッジ支持アセンブリ436及び輸送アセンブリ140を駆動する駆動機構438を具備する。この場合において、駆動機構438は、第一のリール408及び第二のリール410も駆動する。しかしながら他の場合においては、第一のリール408及び/又は第二のリール410を個別に駆動してもよい。
図4a及び4bの例において、ターゲット支持アセンブリ404及びスパッタターゲット404は、カートリッジ400の外部に示されている。ターゲット支持アセンブリ404及び/又はスパッタターゲット404は、カートリッジ400をスパッタ堆積装置426に挿入する前であっても、カートリッジ400の外部に存在してもよい。そうであるが他の場合において、ターゲット支持アセンブリ404及び/又はスパッタターゲット404は、カートリッジ400をスパッタ堆積装置426に挿入するときに、カートリッジ400内にあってもよい。次に、ターゲット支持アセンブリ404及び/又はスパッタターゲット404を、カートリッジ400からスパッタ堆積装置426の異なる部分に輸送してもよい。図5は、そのような例を概略的に示している。図4の対応する特徴に類似する図5の特徴は、前に5を付けているが、同一の参照で表示している。対応する説明が適用される。
スパッタ堆積を開始する前の図5のスパッタ堆積装置526が示されている。この例において、スパッタ堆積装置526は、少なくとも一つのスパッタターゲット504が中に配置されているカートリッジ500を受け取るように配置される。堆積領域(カートリッジ500の外部)内でスパッタ堆積をもたらすために、スパッタ堆積装置526は、カートリッジ500から堆積領域に少なくとも一つのスパッタターゲット504を輸送するように配置される輸送アセンブリ142をさらに備える。輸送アセンブリ142は、カートリッジ500の外に基板502を輸送するように配置される輸送アセンブリ540と別のアセンブリであってもよいし、或いは同一の輸送アセンブリの一部を形成してもよい。輸送アセンブリ142は、図5で概略的に示されているが、任意の適切な形状を取ってもよい。例えば輸送アセンブリ142は、少なくとも一つのさらなるローラーを備えてもよい。
図5において、少なくとも一つのスパッタターゲット504は、カートリッジ500からターゲット支持アセンブリ518に輸送される。しかしながら他の例においては、カートリッジ500が、少なくとも一つのスパッタターゲット504とターゲット支持アセンブリ518の両方を具備してもよい。そのような場合においては、少なくとも一つのスパッタターゲット504及びターゲット支持アセンブリ518の両方を、カートリッジ500の外に輸送してもよい。
少なくとも一つのスパッタターゲット504をカートリッジ500の外に輸送した後、図5のスパッタ堆積装置526は、図4のスパッタ堆積装置426と同様に配置されてもよい。それゆえ、スパッタ堆積は、図4により説明したように起こり得る。
スパッタ堆積を停止した後に、少なくとも一つのスパッタターゲット504及び/又はターゲット支持アセンブリ518を、例えば輸送アセンブリ142により輸送してカートリッジ500に戻してもよいし、或いはスパッタ堆積装置526に残してもよい。それゆえ、これらの例のカートリッジ500は、少なくとも一つのスパッタターゲット504及び/又はターゲット支持アセンブリ518を、カートリッジ500から出し、(少なくとも一つのスパッタターゲット504及び/又はターゲット支持アセンブリ518をカートリッジ500に再び戻したい場合に)続いてカートリッジ500に再び戻すことを可能にする少なくとも一つの適切なアパーチャーを具備してもよい。
上記の例は、例示的な例として理解されたい。さらなる例が予想される。例えば図1から3において、カートリッジは、第一のローラー、第二のローラー、及びドラムを具備し、これらはスパッタ堆積中に基板を運搬するコンベアシステムを共に形成する。しかしながら他の例においては、コンベアシステムの少なくとも一部(及び場合によっては、コンベアシステムの全体)が、カートリッジの外部に存在してもよい。例えばスパッタ堆積装置は、第一のローラー、第二のローラー及び/又はドラムを具備してもよく、カートリッジをスパッタ堆積装置に挿入するときに、それらをカートリッジに挿入してもよい。
上記の例においては、カートリッジのチャンバーを、真空下で保持してもよい。場合によっては、カートリッジが複数のチャンバーを有してもよく、該複数のチャンバーのうち少なくとも一つが真空下であってもよいし、スパッタ堆積中に開いていてもよく、そうでなければスパッタ堆積中に互いにつながれていてもよい。例えばカートリッジは、スパッタターゲットを収容するためのチャンバー、並びにスパッタ堆積の前及び/又は後に基板を収容するための少なくとも一つのさらなるチャンバーを有してもよい。
任意の一つの例に関連して説明した任意の特徴を単独で使用してもよいし、又は説明した他の特徴と組み合わせて使用してもよく、また、任意の他の例の一以上の特徴と組み合わせて使用してもよいし、又は任意の他の例の任意の組み合わせと組み合わせて使用してもよいことを理解されたい。さらに、上記で説明していない均等物及び改良物も、添付の特許請求の範囲から外れないで使用してもよい。