JP2023502319A - アルカリ金属電池用セパレーターとしてのセミ相互侵入高分子網目 - Google Patents

アルカリ金属電池用セパレーターとしてのセミ相互侵入高分子網目 Download PDF

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Abstract

Figure 2023502319000001
本発明は、アルカリ金属導電性塩、および架橋ポリマーと非架橋ポリマーとのセミ相互侵入高分子網目(sIPN)を含むアルカリ金属固体電池用無溶媒固体電解質に関し、セミ相互侵入高分子網目は、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリカーボネート(PC)、ポリカプロラクトン(PCL)、これらのポリマーの鎖末端修飾誘導体、またはこれらの少なくとも2成分の混合物からなる群より選択される非架橋ポリマーを備え、かつ、架橋ポリマーは、ポリエチレングリコールジメタクリレート(PEGdMA)である。さらに、本発明は、固体電解質の製造方法、および本発明に係る固体電解質を含むアルカリ金属電池に関するものである。
【選択図】 図4

Description

本発明は、アルカリ金属導電性塩、および架橋ポリマーと非架橋ポリマーとのセミ相互侵入高分子網目(sIPN)を含むアルカリ金属固体電池用無溶媒固体電解質に関するものであり、セミ相互侵入高分子網目は、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリカーボネート(PC)、ポリカプロラクトン(PCL)、これらのポリマーの鎖末端修飾誘導体(chain end modified derivatives)、またはこれらの少なくとも2成分の混合物からなる群より選択される非架橋ポリマーから選択され、かつ、架橋ポリマーは、ポリエチレングリコールジメタクリレート(PEGdMA)である。さらに、本発明は、固体電解質の製造方法、および本発明に係る固体電解質を含むアルカリ金属電池に関するものである。
持続可能性とモビリティに対するユーザーの要求の高まりは、ここ数十年で分散型エネルギー貯蔵の風景を大きく変えた。従来、電池のサイズ、重量、および非常に限られていた電気容量により、電池の技術的利用可能性はかなり限られていたが、アルカリ金属ベースのエネルギー貯蔵システム、例えばリチウム二次電池の形態で使用されて以来、可能な用途が大幅に増加した。リチウムイオン電池は、1990年代初頭に市場に投入されて以来、スマートフォンおよびノートパソコンなどのモバイル用途を大量使用に適したものにした。また、さらに継続的な開発により、エネルギー密度およびアプリケーションの信頼性も向上している。まさにこうした最適化のステップは、例えば、リチウムイオン電池が現在、民間および産業界において分散型発電の定置用蓄電デバイス(stationary energy storage devices for decentrally generated electricity)として考えられている、という事実に寄与している。さらに、これらの革新的な蓄電システムは、エレクトロモビリティの分野において、気候変動に配慮した新しい輸送コンセプトの基礎となるものである。
アルカリ金属電池の分野では、使いやすさと蓄電能力を向上させるために、種々の技術的コンセプトが追求されている。例えば、Li金属電池の安全性とエネルギー密度を最適化する方法の一つとして、固体電解質を用いることが挙げられる。高分子電解質は、酸化物系および硫化物系(sulfid-based)の固体電解質と比べて重量密度が低いため、この電池形態は、原理的には、重量エネルギー密度および出力密度の向上を比較的容易に実現することが可能である。加えて、ポリマーベースの設計は、硫化物系または酸化物系の複合電極の加工のしやすさおよび良好な濡れ性を示し得る。ここでは、基本要件は、高分子電解質が、アルカリ金属と正極材料の両方に適合し、両電極の均一な濡れ性を示し、かつ、負極にアルカリ金属を析出させることである。
また、特許文献にも、ポリマー系固体電解質を用いたアルカリ金属電池の設計例がいくつか示されている。
例えば、国際公開公報第2014 147648 A1号には、高イオン伝導性電解質組成物が開示されている。具体的には、同文献には、発電、蓄電および送電デバイス、特にハイブリッド太陽電池、蓄電器、キャパシタ、電気化学システム、およびフレキシブルデバイス用の準固体/固体電解質マトリックスとしてのセミ相互侵入高分子網目とそのナノコンポジットとの高イオン伝導性電解質組成物が開示されている。セミ相互侵入高分子網目電解質組成物の2成分または3成分は、(a)ポリエーテル骨格を有する高分子網目(成分I)と、(b)低分子量の直鎖状、分岐状、超分岐状ポリマー、または、好ましくは非反応性末端基を有する、このようなポリマーのあらゆる二元組み合わせ(binary combination)(三元セミIPN系を形成する成分IIおよび/または成分III)と、(c)電解質塩および/またはレドックス対と、場合により、(d)ナノコンポジットを形成する、純粋なナノ構造材料または表面改質ナノ構造材料と、を含む。
国際公開公報第2015 043 564 A1号には、混合導電性アノードと、混合導電性カソードと、アノードとカソードとの間に配置された電解質層とを含む固体電池の少なくとも1つの電気化学電池の製造方法が開示されており、同方法は、
混合導電性アノードを製造または用意する工程と、
混合導電性カソードを製造または用意する工程と、
2つの電極のうちの少なくとも1つの表面を、追加の製造工程によって、電極の表面近くの層において電気化学電池に対して垂直方向の電子伝導率が108S/cm未満に低下するように改質する工程と、その後、アノードとカソードとを、少なくとも一方の電極の表面改質層を電解質層としてアノードとカソードとの境界に配置し、これによって、混合導電性電極を電気的に分離するように組み立てて固体電池を形成する工程と、
を含む。
国際公開第2014/147648号 国際公開第2015/043564号
先行技術から知られている、このような解決策には、具体的には充放電プロセスの再現性の向上に関して、特に二次電池の低温挙動において、さらなる改良の余地があり得る。
本発明の課題は、先行技術から知られている欠点を少なくとも部分的に克服することである。具体的には、繰り返しサイクルした場合でも、充放電の安定性を向上させるとともに、低温での導電性を向上させる解決策を提供することが、本発明の課題である。
本発明によれば、課題は、請求項1の特徴を有する固体電解質によって解決される。本発明によれば、さらに、課題は、請求項6の特徴を有する方法、および請求項9に記載の電池によって解決される。本発明の好適な実施形態は、従属請求項、明細書または図に示されており、これによって、従属請求項または明細書または図に記載されているまたは示されているさらなる特徴は、文脈が反することを明示していない限り、個別にまたはあらゆる組み合わせにより、本発明の対象となる。
本発明によれば、アルカリ金属固体電池用の固体電解質が提案され、前述の固体電解質は、少なくとも、アルカリ金属導電性塩、および架橋ポリマーと非架橋ポリマーとのセミ相互侵入高分子網目(sIPN)を含み、前述のセミ相互侵入高分子網目は、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリカーボネート(PC)、ポリカプロラクトン(PCL)、これらのポリマーの鎖末端修飾誘導体、またはこれらの少なくとも2成分の混合物からなる群より選択される非架橋ポリマーを50重量%以上80重量%以下、および架橋ポリマーとしてポリエチレングリコールジメタクリレート(PEGdMA)を20重量%以上50重量%以下含み、固体電解質は、90重量%以上100重量%以下の、アルカリ金属導電性塩およびsIPNから構成され、かつ、固体電解質は、無溶媒である。驚くべきことに、sIPN構造と上述の組成とを有する無溶媒固体電解質は、予想外に良好な電気特性および機械特性を有することが分かった。これらの固体電解質を用いた電池は、特に安定した充放電特性を示し、このことは、サイクル時のアルカリ金属の挿入および除去が高分子網目に深刻な損傷を与えることなく達成されることが示唆される。さらに、特にデンドライトの成長を抑えることができ、これによって、繰り返しのサイクルでも安定した電気特性を得ることができると考えられる。このことは、特にアルカリ金属電池の安定した挙動、全体として、電池寿命の延伸と電気性能の向上とに同時に寄与し得る。別の利点は、非常に低い温度でもアルカリ金属電池の電気性能を再現可能に提供できる、というものである。このため、アルカリ金属電池の温度動作領域(thermal operating window)が広がり、特に低温側にシフトすることにより、使いやすさを向上させることができる。また、このような固体電解質では、固体電解質を介することにより、より高い電圧および電流を安全に扱うことができるため、アルカリ金属電池をより困難な電気条件下でも確実に安全に動作させることができる、という別の利点もある。理論にとらわれることなく、本発明の高分子電解質は、高アモルファス型アルカリイオン導電相(highly amorphous alkali ion conductive phase)と機械的安定性の向上とを両立させると考えられる。両方の要素により、動作信頼性が高くなり、充放電挙動の再現性が高くなり、また適用温度範囲が拡大する。
図1は、純粋なPEO固体電解質を用いた電池の平均容量と標準偏差を示す図である。 図2は、PEO/PEGdMA固体電解質(PEOを基準としてPEGdMA 45重量%)を用いた電池の平均容量と標準偏差を示す図である。 図3は、本発明に係る固体電解質(PEO/PEGdMA)の正規化された比容量と、本発明に係る固体電解質ではない固体電解質(PEO)の正規化された比容量とを示す図である。 図4は、充放電サイクルの相関的要素としての、本発明に係る固体電解質を用いた電池の40℃(△)および60℃(●)における正規化された比容量を示す図である。 図5は、EO:Li比率が異なる本発明に係る固体電解質(45重量% PEGdMA)のDSCサーモグラム(温度範囲-100℃100℃、10K/分)を示す図である。 図6は、EO:Li比率の相関的要素および温度の相関的要素としての、本発明に係る固体電解質(45重量% PEGdMA)の伝導率を示す図である。 図7は、異なる数のLi導電性塩の相関的要素としての、NMC622//PEO+PEGdMA//Liの構成(arrangement)、60℃、比充電電流15mA g-1における、本発明に係る固体電解質(45重量% PEGdMA)を用いた電池の経時的な電圧挙動を示す図である。 図8は、アノードとしてNMC622//PEO+PEGdMA//グラファイトを用いた電池の経時的な電圧挙動を示す図である。 図9は、アノードとしてNMC622//PEO+PEGdMA//LTOを用いた電池の経時的な電圧挙動を示す図である。 図10は、NMC622//ポリカプロラクトン+PEGdMA//Liの構成、60℃における、ポリカプロラクトンとPEGdMAとのsIPN(PCLを基準として45重量%)を用いた電池の電気特性を示し、比容量の相関的要素としての電圧を示す図である。 図11は、NMC622//ポリカプロラクトン+PEGdMA//Liの構成、60℃における、ポリカプロラクトンとPEGdMAとのsIPN(PCLを基準として45重量%)を用いた電池の電気特性を示し、時間の相関的要素としての、比充電電流15mA g-1における電圧曲線を示す図である。
本発明に係る固体電解質は、アルカリ金属固体電池用の無溶媒固体電解質である。固体電解質(solid electrolyte)は、固体状態電解質(solid-state electrolyte)、固体電解質(solid body electrolyte)、または固体イオン伝導体とも呼ばれる。固体電解質は、コヒーレントな高分子支持構造体と、そこに埋め込まれたアルカリ金属イオンとを有し、固体電解質の高分子マトリックス内で移動可能である。固体電解質中のイオンの移動度によって電流を流すことができる。固体電解質は導電性であるが、金属と比べて低い電子伝導率を示す。アルカリ金属固体電池は、少なくとも2つの電極と、電極間に配置された固体、具体的には非流動性の電解質とを有する。これらの構成要素に加えて、固体電池は、他の層またはシートを有していてもよい。例えば、固体電池は、固体電解質と電極との間に他の層を有していてもよい。アルカリ金属固体電池の電気特性は、アルカリ金属、すなわち、周期表第1主族の金属の酸化還元反応に基づくものである。具体的には、アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウムおよびカリウムを用いることができる。
固体電解質は、少なくとも1種のアルカリ金属導電性塩、および架橋ポリマーと非架橋ポリマーとのセミ相互侵入高分子網目(sIPN)を含む。固体電解質の機械的骨格は、2種の異なるポリマーの網目によって形成されており、また、これらから強度も得ている。セミ相互侵入高分子網目は、2種の異なるポリマー種から構成される網目である。一方のポリマーは、モノマー間に共有結合を形成することにより架橋して3次元網目を形成することができるのに対し、もう一方のポリマーは、官能基がない状態で、純粋にイオン相互作用またはファンデルワールス相互作用によって結合している。両ポリマー成分は、少なくとも原理的には、洗浄工程によって互いに分離することができる。非架橋性ポリマーとの物理的な混合工程の後にのみ、架橋性ポリマーが官能基によって架橋される、という事実により、両成分は物理的に相互侵入し、ともにセミ相互侵入網目を形成する。固体電解質の他の成分はアルカリ金属導電性塩であり、網目内に「溶解」しているか、または網目に結合しているが、本発明によれば、これは、高分子網目の成分とは見なされず、固体電解質の成分と見なされる。
セミ相互侵入高分子網目は、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリカーボネート(PC)、ポリカプロラクトン(PCL)、これらのポリマーの鎖末端修飾誘導体、またはこれらの少なくとも2成分の混合物からなる群より選択される非架橋ポリマーを50重量%以上80重量%以下含む。このように、2種のポリマー成分から構成されるセミ相互侵入高分子網目は、PEO、PC、PCLまたはこれらの成分の混合物を主な重量成分とする。非架橋性ポリマーはそれぞれ、鎖末端が置換されていてもよい。
PEOとは、次の構造式を有するモノマーを指す。
Figure 2023502319000002
式中、指数nは、好適には10-120000に選択され得る。ラジカルRは、それぞれ互いに独立して、水素、または置換もしくは非置換のアルキルもしくはアリールラジカルであってもよい。置換または非置換のアルキルまたはアリールラジカルは、C1からC20までのC数を有していてもよく、さらに、ハロゲン、NH3、NO2などの非架橋性の官能性置換基を有していてもよい。
ポリカーボネートは、次の構造式を有する化合物である。
Figure 2023502319000003

式中、指数nは、好適には3-120000に選択され得る。鎖末端のラジカルRは、上述の定義に対応する。R1基は、芳香族または脂肪族のC1-C15基を表す。
ポリカプロラクトンとは、次の構造式を有する化合物を指す。
Figure 2023502319000004

式中、指数nは、好適には3-120000に選択され得る。鎖末端のR残基は、上述の定義に対応する。
非架橋性ポリマーに加えて、セミ相互侵入高分子網目は、架橋ポリマーとしてポリエチレングリコールジメタクリレート(PEGdMA)を20重量%以上50重量%以下含有する。ここでの重量データは、2種のポリマー成分を指し、この点において、高分子網目中のPEGdMAの重量割合は、最大でも非架橋性成分の割合と等しいにすぎない。重量分率を算出する際には、セミ相互侵入高分子網目の形成は基本的にポリマー成分によって決まるため、アルカリ金属導電性塩の重量分率は考慮しない。PEGdMAは、次の構造を有するモノマーであると理解される。
Figure 2023502319000005

式中、指数nは、好適には5から1000までの値とすることができる。モノマーは2個のメタクリル官能基を有し、これらは種々のモノマーを架橋させる役割を担っている。
sIPN中の架橋ポリマーと非架橋ポリマーとの重量分率は、合計100重量%になり得る。本発明によれば、セミ相互侵入高分子網目が、記載されているポリマー構成成分に加えて、より多い量の他のモノマー/ポリマー構成成分を有さないことが可能である。より多い量とは、例えば、上述の架橋ポリマーおよび非架橋ポリマーを基準として5重量%を超える量である。好適な実施形態では、アルカリ金属導電性塩ならびに特定の架橋ポリマーおよび非架橋ポリマーに加えてさらに、固体電解質の構造中にモノマーまたはポリマーが含まれることはない。
本発明によれば、固体電解質は、90重量%以上100重量%以下の、アルカリ導電性塩およびsIPNから構成される。本発明に係る固体電解質を含む電池において、可能な限り最も均一で再現性の高い充放電特性を得るために、固体電解質は、架橋ポリマー、非架橋ポリマーおよび導電性塩以外のいかなる成分からも構成されないことが特に効果的であることが分かっている。具体的には、固体電解質は、無溶媒であり得る。さらに、固体電解質は、アルカリ金属導電性塩の溶解度を高めることを目的とするさらなる構成成分、またはセミ相互侵入高分子網目にさらに機械的安定性を付与することを目的とするさらなる構成成分を含まない場合がある。この設計は、特に、セミ相互侵入高分子網目のアモルファス構造を維持するのに役立ち、これによって、低温でも可能な限り最も安定した導電性にも寄与し得る。
固体電解質の別の好適な実施形態では、非架橋ポリマーは、ポリエチレンオキシドであってもよく、固体電解質の、EO/Li比率により表されるエチレンオキシド単位とアルカリイオンとのモル比は、5以上15以下であってもよい。比較的低い温度でも可能な限り最も高い導電性を得るためには、固体電解質中のエチレンオキシド単位とアルカリイオンとの上述した比率が特に適していることが分かっている。この比率により、イオンの比較的高い移動度が可能となり、セミ相互侵入高分子網目の機械的構造をわずかに乱すだけであるため、導電性の向上に加えて、非常に再現性の高い充放電プロセスも得ることができる。この比率の算出には、架橋ポリマーのEO単位と非架橋ポリマーのEO単位とが考慮される。これにより、当業者に知られている方法によってそれぞれの量を決定することができる。例えば、イオン濃度は、網目を溶解してICPにより測定することができる。EO単位の数は、必要に応じて、架橋ポリマーの共有結合を切断した後、例えばHPLC法またはGC法によって測定することができる。好ましくは、比率を8以上13以下とすることもでき、さらに好ましくは、9以上12以下とすることができる。
さらに、固体電解質の好適な態様では、固体電解質の厚さは、20μm以上60μm以下であってもよい。驚くべきことに、本発明に係る固体電解質は、非常に薄い膜厚でも優れた機械的安定性を示すことが示されている。これらの層の厚さは、多くの充放電サイクルにおいて非常に再現性の高い電気挙動を提供するのに十分である。このため、非常にコンパクトで耐久性の高い設計を実現することができる。全体として、最大250μm、好ましくは最大200μm、さらに好ましくは最大150μmの層の厚さが生じ得る。
固体電解質の好適な態様では、PN/PV比率により表される、sIPN中の非架橋ポリマーPNと架橋ポリマーPVとの重量比は、2以上2.5以下であってもよい。このような非架橋ポリマーと架橋ポリマーとの重量比は、特に機械的に安定であり、好ましいアモルファス構造とし、これによって、低温でも固体電解質の十分な導電性を可能にすることが示されている。
固体電解質の好適な実施形態では、PEGdMAの平均分子量は、300g/mol以上1000g/mol以下であってもよい。この範囲の架橋性ポリマーの鎖長により、得られるセミ相互侵入高分子網目が優先的に安定化される。PEGdMAの鎖を長くすると、機械的強度が低下する場合がある。鎖を短くしても機械的強度が低下するが、これは、比較的短い鎖の架橋が不十分であることによる可能性が高い。さらに好適な実施形態では、PEGdMAの平均分子量は、4500g/mol以上900g/mol以下、さらに600g/mol以上850g/mol以下であってもよい。
固体電解質のさらに好適な実施形態では、固体電解質は、Li固体電池用の固体電解質であってもよく、アルカリ金属導電性塩は、少なくとも2種の異なるリチウム塩の混合物であってもよい。異なる導電性塩の混合物を用いることにより、本発明に係る固体電解質の電気特性を向上させることができる。Li構造の適切な組み合わせは、例えば、LiTFSI+LiFTFSI、LiTFSI+LiFSI、LiTFSI+LiBF4、LiTFSI+LiBOB、LiTFSI+LiDFOB、LiDFOB+LiBF4、またはこれらの適切な組み合わせから選択することができる。さらに、固体電解質は、他の電池成分のアルミニウム溶解を抑制することが可能なフッ素系添加物、またはアノード境界層を安定させるのに用いることができるSEI添加物などの他の添加物を含有し得る。
さらに、本発明によれば、セミ相互侵入高分子網目を含むアルカリ金属電池固体電解質を無溶媒により製造する方法であり、前述の方法は、
a)アルカリ導電性塩、重合開始剤、および少なくとも2個の架橋性基を有する架橋性ポリマーの均質な溶液を調製する工程と、
b)工程a)から得られた溶液を非架橋性ポリマーと混合して、均質な混合物を得る工程と、
c)製造工程b)から得られた均質な混合物を圧縮して、非架橋のシート状膜を形成する工程と、
d)製造工程c)において得られた膜を架橋して、固体電解質を得る工程と、
を含む。驚くべきことに、無溶媒により純粋に機械的に調製することによって均質な固体電解質を得ることができ、また、非常に優れた機械特性および電気特性も示すことが分かった。理論にとらわれることなく、機械的で無溶媒による調製は、結晶分率の低いアモルファスセミ相互侵入網目を提供するのに非常に適していると考えられ、これは、固体電解質の導電性と温度依存性に良い影響を及ぼす。
製造工程a)は、アルカリ導電性塩、重合開始剤および架橋性ポリマーの均質な溶液を調製することを含む。均質な溶液は、3成分を純粋に機械的に混合または撹拌することによって形成され得る。考え得る導電性塩と架橋性ポリマーの定義は、既に上述している。適切な重合開始剤は、環境変数の変化により、例えばラジカルに分解し、これによって架橋性ポリマーを架橋することが可能な、当業者に知られている化学物質である。考え得る環境変数としては、例えば、温度、または種々の波長の光の照射によるエネルギー入力が挙げられる。したがって、考え得る開始剤は、熱または照射のいずれかによってラジカルに分解する化合物である。この製造工程a)は、開始剤が反応しないように実行される。
製造工程b)は、工程a)から得られた溶液を非架橋性ポリマーと混合することを含む。この製造工程は、例えば、混合物を純粋に機械的に混合または混練することによっても、実行することができる。均質な混合物が得られるまでの通常の時間は、例えば1時間-2時間の範囲とすることができる。
製造工程c)は、製造工程b)から得られた混合物を圧縮することを含む。圧縮は、プレス機によって実行することができ、これによって、圧縮は、例えば、0.1-200MPaの圧力範囲で、30分から3時間までの時間にわたって実行することができる。通常、圧縮工程を経て、混合物の厚さを、10%-100%、好ましくは20%-80%という割合で薄くことができる。このように厚さを薄くすることにより、重合後に機械的に非常に安定でありながら多孔性が十分な網目をもたらすことができ、これによって、非常に優れた機械特性および電気特性を示す。これは、理論にとらわれることなく、このようにして得られた網目が溶媒の痕跡を示さないことに起因しているとも考えられる。このことは、充放電プロセスの再現性を高めることに寄与し得る。
製造工程d)は、製造工程c)において得られた膜を架橋して、固体電解質を得ることを含む。膜の架橋は、開始剤を刺激してラジカルを形成させる環境条件を変えることによって、実現することができる。例えば、加熱炉内で膜を高温にさらしてもよい。場合により、架橋された膜は、常圧下または真空中でさらに温度処理して微量の水分を除去することにより、乾燥させてもよい。
方法の好適な実施形態では、製造工程a)において、無溶媒アルカリ金属導電性塩としてLi-TFSIを用いることができ、重合開始剤としてアゾイソブチロニトリル(AIBN)を用いることができ、かつ、少なくとも2個の架橋性基を有する架橋性ポリマーとして、PEGdMAを用いることができ、また、製造工程b)においては、PEOを用いることができる。これらの成分により、本発明に係る方法は、特に、再現性のある充放電キネティクス(charge/discharge kinetics)を有する長寿命電池用の固体電解質の製造に寄与し得る。加えて、電池は、特に効果的な電気特性が実現できる、より広い温度範囲を示す。具体的には、この温度範囲は、より低温側にシフトする。
方法のさらなる実施形態では、重合開始剤を、製造工程a)の代わりに製造工程b)において混和することができる。製造工程a)において混和することに加えて、重合開始剤を、製造工程b)において混合物に混和することも可能である。これにより、製造工程a)における開始剤の望ましくない反応を弱め、工程の温度範囲を高温にシフトさせることができる。
さらに、本発明によれば、本発明に係る方法によって製造された高分子固体電解質である。本発明に係る固体電解質の利点については、本発明に係る方法の利点に明示的に言及されている。理論にとらわれることなく、無溶媒製造により、アモルファス領域の割合を変更することが可能であり、その結果、本発明に係る高分子固体電解質を有する電池の導電性が向上し得るまたは寿命が長くなり得ると考えられる。
さらに、本発明によれば、アノードと、カソードと、アノードとカソードとの間に配置された固体電解質とを含むアルカリ金属電池であり、固体電解質は、本発明に係る固体電解質である。本発明に係るアルカリ金属電池の利点については、本発明に係る方法および本発明に係る高分子固体電解質の利点に明示的に言及されている。電池は、全体として、記載されている構成要素に加えて、他の層を有していてもよい。
Li金属電池としての実施形態におけるアルカリ金属電池の正極には、全固体リチウムイオン電池の材料またはリチウム金属電池の材料を用いることができる。この点において、電極層には、LiNixMnyCozO2(NMC)、LiCoO2(LCO)、LiFePO4(LFP)またはLNixMnyO4(LNMO)などの活物質が含まれる。加えて、正極は、さらに、バインダー、電子伝導率を高める電子伝導性材料、例えばアセチレンブラック、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維とカーボンナノチューブ、およびイオン伝導率を高める電解質材料、特にポリマーまたは固体電解質、ならびに他の添加物を含んでいてもよい。
全固体リチウム電池の材料は、Li金属電池としての一実施形態におけるアルカリ金属電池の負極として用いることができる。電極層は、遷移金属複合酸化物、アモルファスカーボンまたはグラファイトなど、負極に適した活物質を含んでいてもよい。加えて、負極は、さらに、バインダー、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリエチレングリコール(PEG)またはアルギン酸塩と微細化ケイ素との組み合わせ、電子伝導率を高める電子伝導性材料、およびイオン伝導率を高める電解質材料、特にポリマーまたは固体電解質、ならびに他の添加物を含んでいてもよい。ただし、好適には、例えばLi箔の形態のような純粋なリチウム、またはリチウムとインジウムもしくは金、亜鉛、マグネシウムもしくはアルミニウムとの合金も、負極として用いることができる。全固体リチウムイオン電池の他の適切な負極としては、グラファイト電極、シリコン系電極、シリコン‐炭素複合体、酸化チタン、およびリチウム金属電極が挙げられる。
電池の好適な実施形態では、電池は、Li金属電池であってもよく、電池は、少なくとも1つの大電流または高電圧の電極を有していてもよい。固体電解質の機械特性および電気特性の向上により、本発明に係る固体電解質は、上述の電気的に高度に要求される用途に特に適している。大電流電極とは、100mAhg-1を超える比容量を、15時間以下の充電時間で供給できる電極である。高電圧電極は、4V以上の最終充電電圧を供給することができる。
さらに好適な実施形態では、本発明に係る固体電解質は、電気化学デバイスに用いることができる。電気化学デバイスには、一次電池および二次電池に加えて、燃料電池またはキャパシタが含まれていてもよい。さらに、本発明に係る固体電解質は、電気化学デバイスにおいて、電極の電気接触(「濡れ性」)を改善する層として用いることができる。
実施例:
I. 固体電解質の調製
I.a. Li固体電解質の例を用いた溶媒プロセス(技術水準)
ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム[Lithium bis(trifluoromethanesulfonyl)imide](LiTFSI、0.878g)を、PEGdMA(0.450g)およびラジカル開始剤アゾイソブチロニトリル(AIBN、0.047g、2重量%)とともに、アセトニトリル(6g)中に溶解させる。溶液を、ポリエチレンオキシド(PEO、1g、300kg/mol)の入った容器に加え、室温で4時間撹拌する。混合物を、ドクターブレード法を用いてマイラー(Mylar)樹脂フィルムに塗布する。膜を、少なくとも30分、フュームフード内で乾燥させる。フィルムを、窒素気流下、80℃で1時間重合させた後、真空中で少なくとも12時間乾燥させる。約150μmの厚さのポリマー層を作るのに、約1.5mmの湿潤膜厚が必要である。
I.b. Li固体電解質の例を用いた無溶媒プロセス‐変形例A
導電性塩LiTFSI(0.878g)を、PEGdMA(0.450g)およびラジカル開始剤AIBN(0.047g、2重量%)とともに、透明な溶液が形成されるまで1時間撹拌する。溶液をPEO粉末(1g、300kg/mol)の上に広げ、マグネチックスターラーを用いて1000rpmで10分間混合する。これらの成分を凝集させる。混合物を、100μmスペーサーを用いて2枚のマイラーフィルムの間に挟み、ラボラトリープレスを用いて25kNの力で30分間、繰り返し圧縮し折り重ねる。混合物を最終的に所望の膜厚に圧縮し、窒素フロー下、80℃で1時間、マイラーフィルム間で重合させる。場合により、その後、膜を真空中で12時間乾燥させてもよい。
I.c. Li固体電解質の例を用いた無溶媒プロセス‐変形例B
導電性塩LiTFSI(0.878g)を、PEO粉末(1g、300kg/mol)とともに乳鉢に加え、10分間均質化させる。得られたガム状物をパウチバッグフィルム内に封入し、60℃で2日間保存する。PEGdMA(0.450g)とラジカル開始剤AIBN(0.047g、2重量%)の溶液を、1時間撹拌しながら調製する。溶液を、先に調製したPEO-LiTFSI材料とともにパウチバッグ内に真空封入し、24時間保存する。混合物を、100μmスペーサーを用いて2枚のマイラーフィルムの間に挟み、ラボラトリープレスを用いて30分間、繰り返し圧縮し折り重ねる。混合物を最終的に所望の膜厚に圧縮し、窒素フロー下、80℃で1時間、マイラーフィルム間で重合させる。場合により、その後、膜を真空中で12時間乾燥させてもよい。
I.d. Li固体電解質の例を用いた無溶媒プロセス‐変形例C
導電性塩LiTFSI(0.878g)を、PEO粉末(1g、300kg/mol)とともに乳鉢に入れ、10分間均質化させる。PEGdMA(0.450g)とラジカル開始剤AIBN(0.047g、2重量%)の溶液を、1時間撹拌しながら調製する。また、溶液も乳鉢に入れ、少なくとも10分間均質化させる。混合物を、100μmスペーサーを用いて2枚のマイラーフィルムの間に挟み、ラボラトリープレスを用いて30分間、繰り返し圧縮し折り重ねる。混合物を最終的に所望の膜厚に圧縮し、窒素フロー下、80℃で1時間、マイラーフィルム間で重合させる。
II. 電池(battery cell)の構造
特に明記しない限り、本発明に係る電池種の測定は、溶媒プロセスによって製造された固体電解質において実行した。無溶媒プロセスによって製造された本発明に係る固体電解質の電気特性では、アモルファス含有量が高い場合がある。リチウム金属電池に用いるために、セパレーターに類似するように、層の厚さが100μmの円形のポリマーフィルム片を打ち抜き、これを、リチウム金属電極と正極との間に差し込む。このようにして製造されたリチウム金属電池の電気特性を、異なる温度(60℃、40℃)において試験した。
III. 電気特性
IIIa. 充放電サイクルの相関的要素としての比容量
図1および2は、充放電サイクルの相関的要素としての、本発明に係るリチウム金属電池の正規化された比容量と、本発明に係るリチウム金属電池ではないリチウム金属電池の正規化された比容量とを示している。理論容量176mAh/gに正規化されている。電池の構造は、次のとおりである。正極:NMC622;負極:Li;充電電流(それぞれ3倍):7.5mA g-1、15mA g-1、30mA g-1、75mA g-1、150mA g-1、300mA g-1、750mA g-1、7.5mA g-1、電圧範囲3.0~4.3V、EO:Li比率15:1の規定固体電解質;温度60℃。
図1は、純粋なPEO固体電解質を用いた電池の平均容量と標準偏差を示し、図2は、PEO/PEGdMA固体電解質(PEOを基準としてPEGdMA 45重量%)を用いた電池の平均容量と標準偏差を示している。それぞれの事例では、5種の異なる電池における測定値の平均値と標準偏差を示している。図1と図2との比較から、本発明に係る電池の比容量の標準偏差は、純粋なPEO固体電解質を用いた電池と比較して、有意に小さいことが明らかである。このことは、本発明に係る電池の充放電プロセスが再現性の高いものであることを示唆している。金属イオンのカレーション(calation)/インターカレーションプロセスは、純粋なPEO固体電解質の構造よりも、本発明による固体電解質の機械的構造を乱すことが少ない可能性が高い。理論にとらわれることなく、本発明による固体電解質の電気的安定性の向上は、機械的に安定化された本発明の固体電解質における充放電プロセス時のデンドライト成長の抑制に寄与し得る。
IIIb. 定電流充放電
図3は、本発明に係る固体電解質(PEO/PEGdMA)の正規化された比容量と、本発明に係る固体電解質ではない固体電解質(PEO)の正規化された比容量とを示している。実験セットアップの仕様は、次のとおりである。電池種:2032ボタン電池、電極:NMC622(Targray社)Li(Albemarle社);電解質は示されているとおり;EO:Li比率:15:1;試験手順:1×C/20、100×C/10;電圧範囲:3.0-4.3V;温度:60℃;活物質≒4mg。
本発明に係る固体電解質のデータと本発明に係る固体電解質ではない固体電解質のデータの比較では、本発明に係る固体電解質は、純粋なPEO固体電解質と比較して、耐用年数が有意に延びていることが示されている。特に、本発明に係る固体電解質を用いることにより、充放電特性および再現性が向上する。
IIIc. 充放電サイクルの相関的要素としての正規化された比容量の温度依存性
図4は、充放電サイクルの相関的要素としての、本発明に係る固体電解質を用いた電池の40℃(△)および60℃(●)における正規化された比容量を示している。比静電容量の曲線から、本発明に係る固体電解質は、特に低温において、非常に優れた安定性を有し、比静電容量が非常に小さい程度にしか減少しないことが分かる。
IIId. アモルファス相
図5は、EO:Li比率が異なる本発明に係る固体電解質(45重量% PEGdMA)のDSCサーモグラム(温度範囲-100℃-100℃、10K/分)を示している。固体電解質中のLi塩濃度を10:1に上昇させることにより、固体電解質上の結晶部分を抑制することができる。したがって、電気特性が向上した高アモルファス固体電解質が得られる。
IIIe. 伝導率
図6は、EO:Li比率の相関的要素および温度の相関的要素としての、本発明に係る固体電解質(45重量% PEGdMA)の伝導率を示している。装置のセットアップは、次のとおりである。EIS;周波数範囲:1MHz~1Hz;温度範囲:0℃~70℃;電池:ボタン電池2032;試料高さ:100μm;試料径:15mm(円形);ブロッキング電極:ステンレス鋼。
図6から、本発明に係る固体電解質を用いた本発明に係る電池は、40℃、EO:Li比率1:10で、60℃に匹敵するイオン伝導率を有していることが分かる。このように、本発明に係る固体電解質の低温挙動は、純粋なPEO固体電解質の電気挙動よりも有意に良好である。
IIIf. 2種の異なるLi導電性塩の使用
図7は、異なる数のLi導電性塩の相関的要素としての、NMC622//PEO+PEGdMA//Liの構成(arrangement)、60℃、比充電電流15mA g-1における、本発明に係る固体電解質(45重量% PEGdMA)を用いた電池の経時的な電圧挙動を示している。この図は、2種のLi塩(LiTFSIとLiFTFSI)を用いることにより、1種の導電性塩のみを用いた固体電解質と比較して、経時的な電圧上昇が改善されることを示している。この図から、2種のLi塩(LiTFSIとLiFTFSI)を用いることにより、1種の導電性塩(LiTFSI)のみを用いた固体電解質と比較して、経時的な電圧上昇が改善されることが分かる。
IIIg. 電極
図8および9は、時間の相関的要素としての、異なるアノードを用いた電池電圧を示している。図8では、NMC622//PEO+PEGdMA//グラファイトの構成を用い、図9では、NMC622//PEO+PEGdMA//LTOの構成を用いた。順序(orders)から、NMC622と、金属リチウムとは異なる負極とを用いた電池では、故障のない動作が可能であることが分かる。
IIIh. ポリカプロラクトンを含むsIPN
図10および11は、NMC622//ポリカプロラクトン+PEGdMA//Liの構成、60℃における、ポリカプロラクトンとPEGdMAとのsIPN(PCLを基準として45重量%)を用いた電池の電気特性を示している。図10は、比容量の相関的要素としての電圧を示し、図11は、時間の相関的要素としての、比充電電流15mA g-1における電圧曲線を示している。
これらの図から、PCLをsIPNの成分とした場合でも、安定して電気的に適した固体電解質が得られ、電池への利用に適していることが分かる。

Claims (10)

  1. アルカリ金属固体電池用の固体電解質であって、
    前記固体電解質は、少なくとも1種のアルカリ金属導電性塩、および架橋ポリマーと非架橋ポリマーとのセミ相互侵入高分子網目(sIPN)を含み、前記セミ相互侵入高分子網目は、
    ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリカーボネート(PC)、ポリカプロラクトン(PCL)、これらのポリマーの鎖末端修飾誘導体、またはこれらの少なくとも2成分の混合物からなる群より選択される前記非架橋ポリマーを50重量%以上80重量%以下とし、且つ、
    前記架橋ポリマーとしてポリエチレングリコールジメタクリレート(PEGdMA)を20重量%以上50重量%以下とし、
    前記固体電解質は、90重量%以上100重量%以下の前記アルカリ金属導電性塩および前記sIPNから構成され、かつ、前記固体電解質は、無溶媒であることを特徴とする固体電解質。
  2. 前記非架橋ポリマーは、ポリエチレンオキシドであり、前記固体電解質の、EO/Li比率により表されるエチレンオキシド単位とアルカリイオンとのモル比が、5以上15以下である、請求項1に記載の固体電解質。
  3. 前記固体電解質の厚さが、20μm以上60μm以下である、請求項1乃至2のいずれかに記載の固体電解質。
  4. 前記PEGdMAの平均分子量が、300g/mol以上1000g/mol以下である、請求項1乃至3のいずれかに記載の固体電解質。
  5. 前記固体電解質は、Li固体電池用の固体電解質であり、前記アルカリ金属導電性塩は、少なくとも2種の異なるリチウム塩の混合物である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の固体電解質。
  6. セミ相互侵入高分子網目を含むアルカリ金属電池固体電解質を無溶媒により製造する方法であって、
    a)アルカリ導電性塩、重合開始剤、および少なくとも2個の架橋性基を有する架橋性ポリマーの均質な溶液を調製する製造工程と、
    b)工程a)から得られた溶液を非架橋性ポリマーと混合して、均質な混合物を得る製造工程と、
    c)製造工程b)から得られた均質な混合物を圧縮して、非架橋のシート状膜を形成する製造工程と、
    d)製造工程c)において得られた膜を架橋して、固体電解質を得る製造工程と、
    を含む固体電解質の製造方法。
  7. 製造工程a)において、無溶媒アルカリ金属導電性塩としてLi-TFSIが用いられ、重合開始剤としてアゾイソブチロニトリル(AIBN)が用いられ、かつ、少なくとも2個の架橋性基を有する架橋性ポリマーとして、PEGdMAが用いられ、また、製造工程b)においては、PEOが用いられる、請求項6に記載の固体電解質の製造方法。
  8. 前記重合開始剤を、製造工程a)の代わりに製造工程b)において混和する、請求項6または7に記載の固体電解質の製造方法。
  9. アノードと、カソードと、アノードとカソードとの間に配置された固体電解質とを含むアルカリ金属電池であって、前記固体電解質が、請求項1から5のうちのいずれか1項に記載の無溶媒固体電解質であることを特徴とする電池。
  10. 前記電池が、Li金属電池であり、前記電池には、少なくとも1つの大電流または高電圧の電極が含まれる、請求項9に記載の電池。

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