JP2023502317A - 変異体植物の調製方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、1個または複数のNOI中に特異的な所定の変異を有する植物を調製する方法を提供する。特異的な所定の変異は好ましくは、所望の形質を有する植物の特定をもたらし得る。【選択図】図1

Description

発明の分野
本発明の方法は、1個または複数の目的のヌクレオチド(NOI)中に特異的な所定の変異を有する植物を調製する方法を提供する。特異的な所定の変異は好ましくは、所望の形質を有する植物の特定をもたらし得る。
遺伝的変異は、育種集団におけるほとんど全ての表現型および遺伝子型の差異の原因である。遺伝的変異は通常、日射に対する増大した曝露、極端な土壌状態または他の非生物的または生物的ストレスによるなどの、生物に対し作用する環境ストレスにより天然に発生する。このストレス誘発性の変異は、生物の天然の多様性、適応および進化の促進要因の1つである。
従来の育種は、この遺伝的変異を利用して、その土地に適合した作物を発達させる。育種集団中で既に存在するものを超える遺伝的変異を増やす1つの方法は、ストレスに対する曝露のレベルを高めて追加の遺伝的変異を積極的に誘発することである。これは、変異育種により過去90年間にわたりうまく行われており、それは、誘発された遺伝的変異に基づく有益な形質を有する数千種の市販の作物栽培品種をもたらした。このタイプの変異誘発は通常、変異誘発生殖質からなるユニークな育種集団の確立を通して利用され、これはその後、形質の特定のための供給源として機能し、既存のエリート育種系統との遺伝的交雑のための親生物をさらに提供する。変異誘発育種集団の注目すべき特徴は、この集団が、天然の集団に比べて、大きく増大された遺伝的変異を包含することである。高い変異頻度を達成するために、有害な表現型効果を有する多過ぎる変異の蓄積の結果として大きな比率の処理材料の死滅を引き起こす変異誘発処理が選択される場合が多い。最適変異誘発処理を選択するために、通常、一連の変異処理物を調製し、正常条件下で発芽する処理した生物の能力を比較する。これは通常、死滅曲線と呼ばれる。死滅曲線は、変異誘発された材料の50%が死滅する濃度および処理期間を決定するためのツールとして使用される。この処理はその後、例えば、穀物粒の変異誘発された育種集団を生成するために使用される。
変異処理は、種々の化学薬品または照射量により実施される。変異誘発物質に対する暴露の時間および変異誘発物質の相対濃度の両方が、生物に対する最終的効果を決定する。この処理は、生物に大きく依存する。
変異誘発物質の選択は、ある変異誘発物質は他の物質よりいくつかの生物中で良好に機能するので、変異導入される生物の性質に依存し得る。暴露の時間はまた、わずかな時間~数時間の範囲であり得、化学薬品濃度負荷は、暴露時間、生物の性質、組織および化学的変異誘発物質に応じて異なり得る。
誘発変異は典型的には、ヘテロ接合であり、初期変異誘発作物においてキメラ植物遺伝子型を引き起こす。これは、変異誘発種子、M1再生部分などの、植物の変異誘発再生部分から収穫された穀物は、高度の遺伝的多様性を有することを意味する。従って、変異誘発された育種集団は通常、M2再生部分またはさらに後の世代由来の再生部分(例えば、種子)により表される。このように、ある植物由来のほとんどの子孫は、2つのアレルのみ(変異体および野生型)についてメンデル遺伝学に従って分離して、ホモ接合劣性変異が表現型レベルで発現される(目視可能)ことを可能にする。これはまた、ブリーダーが、低感度を特徴とするスクリーニング技術を使用することを可能にする。スクリーニング技術がさらに発達したので、ブリーダーは、スクリーニング用の種子または植物などのいくつかのM2再生部分のDNAを組み合わせることによる、感度の高められたスクリーニングツールを利用し始めた。変異誘発集団における遺伝的変異のスクリーニングの既知の手段は、5~10種の植物のプールのスクリーニングに限定された(ヘテロ二本鎖分析、サンガーシークエンシング、高解像度融解曲線分析)が、今日では、これらのプールのいくつかは、先進的シークエンシング技術により解析される場合、100種のDNA試料ほどにも大きくできる。しかし、注目すべき進展にもかかわらず、課題は、多数の別々のDNA試料の調製に関してだけでなく、多数の背景変異、すなわち、目的の形質に無関係であるが、作物収率および繁殖特性などの、追加の作物特性におそらく影響を与えるもの、を有して育種プログラムに入り得る潜在的変異体植物の特定に関しても、残っている。
飽和作物変異ライブラリーの明確な定義は存在しないが、変異誘発育種集団についての基本的概念は、各遺伝子についていくつかの変異されたアレルが、集団全体において表されることである。ライブラリーサイズを小さく保つために、集団の各メンバーは、いくつかの遺伝子中に変異を保持しなければならない。典型的大麦ライブラリーでは、集団の各メンバーは、コード領域中に100~200個の変異を保持する。これらの追加のコーディング変異は、所望の形質の特定後に、ブリーダーにとって一番の関心事である。真に飽和された変異ライブラリーは、各遺伝子における各アミノ酸について変異アレルを含むはずである。それを達成するために、変異頻度または変異密度がより高く、または集団がより大きくなければならないであろう。しかし、顕著に低い植物の適応度が、増大された変異量で調製されたライブラリーの利用に関連する制約要因のままである。さらに、数千の個体のライブラリーの構築に伴う労力および時間ならびにこのようなライブラリーをスクリーニングするコストが、ライブラリーを拡大する可能性を制限している。前述の障害を克服する一つの手法は、変異体のライブラリーが確立される際の高レベルの変異誘発物質の適用と関連する。この点では、植物の適応度のさらなる減少が、それぞれの個体についての変異量の増大を制限している。従って、真に飽和した変異誘発ライブラリーは存在しない。
高い変異密度または高い変異頻度を付与する処理による変異誘発の後に、野性型または親作物への変異体作物の戻し交雑が通常、ゲノムの他の部分で発生した変異を除去するために実施される。これは、望ましくないオフターゲット変異により生ずる「副作用」を除くのを助け得る。
従来、特異的形質を保持する植物を特定する確率を高めるために、可能な限り高い変異率または頻度を有する育種集団を使用することが植物ブリーダーの目標であった。対照的に、本発明は、変異誘発育種集団中の個体当たりのコーディング変異数を減らす方法を提供する。換言すれば、本発明は、低い変異誘発の割合を有する植物集団またはその再生集団の使用を可能にする方法を提供する。
高い変異密度または高い変異頻度を付与する処理による変異誘発の後で、変異体作物の野性型または親作物への戻し交雑が通常、ゲノムの他の部分で発生した変異を除去するために実施される。これは、望ましくないオフターゲット変異により生ずる「副作用」を除くのを助け得る。実際の状況では、本明細書で記載の育種の問題の改善は、育種集団の生物における根本的により少ない表現型という不利な状況につながる。それらの誘発変異がより少なくなり、これは、時間と共に、すなわち、実際の変異体特定工程の後で、困難な、あるいは、さらに不都合な表現型-特に、温度および降水量の諸課題に関連する環境ストレスに応答して表現型の不利益を付与する変異、をもたらす。加えて、本方法で特定される変異体は、変異体が得られた長時間後にのみ明らかになるまたは該当する、変異の生成を回避し得るので、高められた生存率を有することが予測できる。多くの変異を有する植物は、最初は親植物と同等に生存可能であると思われるが、特定の条件、例えば、干ばつ、低温、過剰降雨、など、ある条件下では、追加の、まだ認識されていない、生存率に対し困難である変異を含むことが明らかになる場合がある。
変異誘発の低い割合は、コード領域中の非同義変異の少ない数として表され得る。個体当たりのコーディング変異の少ない数は、変異誘発育種集団中の追加の変異の有害な作用を減らす。化学的変異誘発物質の場合、植物当りの変異密度は、変異誘発物質への暴露時間、作物、組織、化学的変異誘発物質の性質および濃度に依存する。特定の植物に対し、低変異密度の個体を含むライブラリーを、「死滅曲線」試験を用いて、特定の化学的変異誘発物質に対する最適濃度および/または暴露時間を決定することにより開発できる。本発明の方法の場合、所与の変異誘発物質に対し、変異誘発植物集団の適応度の低下または生存率の低下を生じない濃度および/または暴露時間を使用することが好ましい。理想的には、本発明の方法で使用される変異誘発植物集団の各植物は、1~30個の非同義変異、すなわち、翻訳タンパク質中のアミノ酸交換をもたらすコード領域の変異を有する。
非同義変異の数から見るのではなく、変異誘発の低い割合はまた、非同義変異を含まない遺伝子の高い比率として表すことができる。従って、いくつかの実施形態では、低い変異誘発の割合は、少なくとも99%、例えば少なくとも99.8%、例えば少なくとも99.9%の、例えば、世代M1の再生部分におけるその植物の遺伝子が、非同義変異を含まないことであってよい。
何が特に変異誘発の低い割合と見なされるかは、特に、植物の倍数性を基準にして、植物毎に異なり得る。従って、高い倍数性を有する植物は通常、変異誘発のより高い割合に耐えることができ、従って、このような植物における「変異誘発の低い割合」は、二倍体植物における「変異誘発の低い割合」よりも遙かに高い可能性がある。一般に、二倍体植物における変異誘発の低い割合は、M1において全ての遺伝子の、少なくとも99.8%、好ましくは少なくとも99.9%が、非同義変異を含まないことであってよい。一般に、二倍体より高い倍数性を有する植物、例えば、四倍体または六倍体植物における変異誘発の低い割合は、M1において全ての遺伝子の、少なくとも98.0%、好ましくは少なくとも99.0%が、非同義変異を含まないことであってよい。
変異誘発の低い割合は、低い変異頻度としても表され得る。例えば、二倍体植物において、変異誘発の低い割合は、少なくとも500,000個中の1個、例えば750,000個中の1個、例えば1,000,000個中の1個の変異頻度であってよい。例えば、四倍体植物において、変異誘発の低い割合は、少なくとも70,000個中の1個、例えば、100,000個中の1個、例えば、300,000個中の1個の変異頻度であってよい。例えば、六倍体植物において、変異誘発の低い割合は、少なくとも40,000個中の1個、例えば、80,000個中の1個、例えば、200,000個中の1個の変異頻度であってよい。
変異誘発の低い割合は、穏やかな変異誘発条件を用いることにより得ることができる。例えば、一定数の遺伝子を有する所与の種の植物を含むライブラリーは、実施例3~5および12に記載されるように、特定の条件下で、例えば特定の変異誘発物質濃度で特定の継続時間の間、ランダム変異誘発に供される。変異体は、例えば、本明細書に記載のような、所与の長さの所与の領域で特定される。その領域で特定された変異体の数を用いて、使用された所与の変異誘発条件(濃度および時間)について、変異密度を計算できる。
変異密度はまた、全ての変異誘発植物またはその再生部分中の少なくとも全てのオープンリーディングフレームをシークエンシングすること、および得られた変異体を計数することにより決定できる。従って、ゲノムのサイズを知っていると、変異密度をまた計算できる。
使われるライブラリーのサイズは通常、所与の植物の遺伝子の数に依存する。例えば、大麦は、約30000個の遺伝子を有し、これは、コード領域中にそれぞれ1個のみの非同義変異を含む個体からなる変異体ライブラリーは、各遺伝子について変異アレルを与えるために、少なくとも30000個の個体を含む必要があることを意味する。しかし、ランダム変異誘発により調製されたライブラリーでは、変異は統計的に、完全に均等に分配されておらず、従って、30,000個を大きく超えてランダムに変異誘発された個体が、各遺伝子について1個の変異アレルを含むライブラリーを確実にするために必要とされる。大麦遺伝子が平均で1,000コドンを含むことを考えると、少なくとも3千万個の個体のライブラリーが、各遺伝子の各コドン中の1個の変異を特定するために必要とされる。本発明の方法は、大きなライブラリーをスクリーンするために実施でき、同時に、戻し交雑時間を大きく減らす、または戻し交雑の必要性を軽減する。
あるいは、最適なライブラリーサイズが、本明細書に記載のように、変異頻度およびスクリーニングされる変異の数に基づいて計算できる。最適なライブラリーサイズを得るために、所与の数の再生部分(N)を変異誘発に供する必要がある。最適Nは、最適なライブラリーサイズ、GECN数および変異誘発後の植物種の収穫率を基準にして計算し得る。
このような大きなライブラリーをスクリーニングするために、本発明は、変異誘発育種集団の植物をプールする方法、続いて、高感度検出法の使用、例えば、希なDNA、例えば、循環腫瘍DNA(ctDNA)の検出に依存する、現在診断法で使用される方法を提供する。このような方法としては、例えば、デジタルPCR(dPCR)および/または超特異的で、DNAの複雑な混合物中の非常に希なPCRフラグメントを特定し増幅できる高性能のオリゴヌクレオチド化学の使用が挙げられる。従って、植物のプールは、スクリーニングのためにサブプールに分割され得る。最適なサブプールサイズは、GECN数および採用される検出手段の検出感度を基準に計算し得る。
本明細書に記載の方法は、エリート品種または進化した育種系統から生成できる、非常に大きな変異体ライブラリーのスクリーニングに適用可能なハイスループットスクリーニング法のための、および全育種集団または生殖質コレクションのスクリーニングのための基盤を表す。方法はまた、遺伝子改変および遺伝子編集手順に適していない形質転換できない作物種において遺伝子バリアントを特定するためにも使用できる。
従って、本発明は、所定の標的配列中の、目的のヌクレオチド[NOI]中に1個または複数の変異を有する予め定義された種の変異体植物を特定するための方法を提供し、方法は、
a)種の親植物の再生部分を用意するステップであって、少なくとも5,000、例えば少なくとも10,000、例えば少なくとも15,000、例えば少なくとも20,000、例えば少なくとも25,000、例えば少なくとも30,000個の再生部分を用意する、ステップ;
b)再生部分を変異誘発、好ましくは、ランダム変異誘発のステップに供し、それにより、複数の遺伝子型を表す世代M0の再生部分のプールを生成するステップ;
c)世代M0の再生部分を世代M1の成熟植物に生育させ、成熟植物から世代M1の再生部分を得るステップ;
d)任意選択で、前のステップをX回繰り返して、世代M(1+X)の再生部分を含む世代M(1+X)の植物を得るステップ;
e)複数の世代M1またはM(1+X)植物の再生部分をサブプールに分割するステップであって、各サブプールが、複数の遺伝子型を表す再生部分を含み、1個の所与の成熟植物由来の全ての再生部分が同じサブプール中に配置される、ステップ;
f)各サブプール由来のmRNA試料から得られるgDNA試料またはcDNA試料などの、DNA試料を調製するステップ;
g)高感度検出手段を用いて、変異を含むDNAを含むサブプールを特定するステップ;
h)変異を含むサブプール内の再生部分を特定し、それにより変異体植物を特定するステップ、
を含み、変異誘発のステップが、世代M1の再生部分の細胞当り1~30個の非同義変異の変異誘発の割合をもたらし、好ましくは再生部分が、栄養組織、種子、子実、種子中の生殖系列細胞、植物の穀物または胚芽、花粉または胚芽であり、好ましくは再生部分が、種子である。
スクリーニング手順の例。(a)変異誘発再生部分、ここでは種子(M0)が、圃場で成熟まで生育され、(b)300個の植物のサブプールに収穫され、(c)種子が、各プールを表すバルクサンプルとして収集される。バルクサンプルが複数画分に分割され、1個の画分(d)がDNA抽出に使用され、他の画分は、さらなる分析のための種子バンクとして保持される。バルクサンプル由来のDNA(d)が、高感度検出手段(e)を用いて分析される。目的の変異を保持した300個の植物の元のプールが、特定され(f)、単一種子分析(g)のために使用される。(h)変異体植物が、特定された種子から発芽され得る。 変異体大麦粒の繁殖。この図は、変異体穀物、ここではアジ化ナトリウムで変異誘発された大麦、の繁殖を例示する。世代M0の変異体種子は、世代M1の植物を発生させる。M1世代の植物の種子は、世代M2の植物を発生させる。M2の植物の種子は、世代M3の植物を発生させ、これは、スクリーニングおよび交雑に使用できる。 サブプールへのプールの分割。プールをサブプールに分割する方法の一例が提供される。
定義
用語「サイレント変異」は、生物の配列、例えばゲノム配列中で発生する、アミノ酸配列の変化を生じない変異を指す。従って、サイレント変異は、ゲノムのノンコーディング領域中の任意の変異であり得る、またはそれは、ゲノムのコード領域中の、翻訳産物のアミノ酸配列を変化させない変異であり得る。同義変異は、翻訳産物のアミノ酸配列を変えず、従って一種のサイレント変異である、ヌクレオチド置換を指す。
本明細書で使用される場合、用語「非同義変異」は、生物の配列、例えばゲノム配列中で発生する、アミノ酸配列の変化を生じる変異を指す。従って、コード領域中の非同義変異は、例えば異なるアミノ酸をコードすることにより(例えばミスセンス変異、リードスルー変異)、未成熟停止コドンの導入により(ナンセンス変異)、および/またはフレームシフトの導入により、ゲノムのコーディング領域中の翻訳産物のアミノ酸配列を変化させる、任意の変異であり得る。この用語は、本明細書では、「コーディング変異」と同じ意味で用いられる。
本明細書で使用される場合、用語「軽度の変異誘発」または「低い変異誘発」は、好ましくは、例えば世代M1の再生部分の細胞中で測定される、1~30個の非同義変異(イントロンを除く、コード領域中で)を生じる変異誘発処理を指す。変異密度は、ゲノムの全オープンリーディングフレームのシークエンシングにより測定できる。何が「低い変異誘発」と見なされるかは、植物のタイプに依存し得る。従って、用語「低い変異誘発」は、二倍体植物では、世代M1の再生部分中に、平均して、全遺伝子の少なくとも99.8%、好ましくは少なくとも99.9%が非同義変異を含まないことを意味し、より高い倍数性の植物については、「低い変異誘発」は、平均して、全遺伝子の少なくとも98.0%、好ましくは少なくとも99.0%が、世代M1の再生部分中に非同義変異を含まないことを意味し得る。
用語「変異頻度」-「Mf」と省略される-は、所与の長さの核酸内の変異の数、例えば全ゲノム中で得られる変異の数を指す。特に、変異頻度は、以下のように計算でき:
Figure 2023502317000002
式中、
ncは、ヌクレオチド変化の総数であり、
naは、分析されたヌクレオチドの数である。
換言すれば、下式で表される:
Figure 2023502317000003
正確な変異頻度が不明である、本発明のいくつかの実施形態では、推定された変異頻度を使用し得る。従って、変異頻度(Mf)は、実際の変異頻度または推定された変異頻度であり得る。
本明細書で使用される場合、用語「変異誘発の割合」は、変異密度または変異頻度を指し得る。
用語「アレル」は、遺伝子の特定のバージョンまたは状態を指す。本明細書で使用される場合、用語「変異アレル」は、NOI中に1個または複数の所定の変異を有する遺伝子を指す。変異が全遺伝子の欠失である場合、変異アレルは遺伝子を欠くアレルでもあり得る。
数値に関連して本明細書で使用される場合、「約」という用語は、±10%、好ましくは±5%、例えば±1%を指す。
本明細書で使用される場合、用語「ブロッキングプローブ」は、DNAポリメラーゼにより3’末端で伸長され得ない、オリゴヌクレオチドを指す。ブロッキングプローブは一般に、ブロッキング剤に連結された参照NOIを含む、標的配列と同一のまたは相補的である、オリゴヌクレオチドであり、それはDNAポリメラーゼによるブロッキングプローブの伸長を阻害する。
本明細書で使用される場合、用語「コード領域」または「コード配列(CDS)」は、イントロンを除くDNAまたはRNAの一部を指し、それは翻訳時にタンパク質を生じる。
本明細書で使用される場合、用語「遺伝子型」は、特定の遺伝子セットを含む生物を指す。これにより、同一のゲノムを含む2種の生物は、同じ遺伝子型のものである。特定の遺伝子に関係する生物の遺伝子型は、その生物により保有されるアレルにより決定される。二倍体生物では、所与の遺伝子の遺伝子型は、AA(ホモ接合型、優性型)またはAa(ヘテロ接合型)あるいはaa(ホモ接合型、劣性型)であり得る。
本明細書で使用される場合、用語「表現型」は、生物の観察可能な特性または形質の複合物である。
用語「遺伝的に有効な細胞数」-「GECN」と省略される-は、最終的に配偶子を形成する植物の細胞の数を指す。このような細胞は、本明細書では「生殖系列細胞」とも呼ばれる。それは、ここでは、子孫において独立した遺伝子型を発生させるイベントの数と見なされる。GECNは、変異体集団中の予測される多様性を計算するために重要である。なぜなら、それぞれの遺伝的に有効な細胞は、ライブラリーに対する異なる変異イベントに寄与するためである。GECNは、例えば、本明細書で下記の実施例12に記載のように計算され得る。本発明の方法の場合、実際のGECNを使用する必要はない。従って、GECNは、実際のGECNまたは予測されたGECNであり得る。最も頻繁には、GECNは、少なくとも2であり、従って、予測されるGECNは、例えば、2であり得る。いくつかの選択された植物のGECNを、下表1に提供する。
Figure 2023502317000004
用語「核酸配列を検出するための検出手段」は、特定の核酸配列を検出可能にする任意の検出手段を指す。従って、検出手段は、目的のヌクレオチド中の変異を検出でき、野生型配列から識別できる。多くの検出手段はPCRに基づく。
用語「発芽比率」-「Gr」と省略される-は、変異誘発後の所与の植物種の平均発芽比率を指す。発芽比率を決定するために、多数の再生部分が、生育を可能にする条件下でインキュベートされ、生育を開始する再生部分の%が、決定される。例えば、再生部分が種子の場合、所与の数の種子が、発芽を可能にする条件下でインキュベートされ、発芽種子のパーセンテージが、適切なインキュベーション後に決定される。他に指示がなければ、発芽比率は%で与えられる。本発明の方法の場合、実際の発芽比率(Gr)を使用する必要はない。従って、発芽比率(Gr)は、実際の発芽比率または予測された発芽比率であり得る。
用語「収穫率」-「Hr」と省略される-は、変異誘発に供された再生部分当りの収穫された植物の平均数を指す。いくつかの植物の場合、収穫率は、発芽比率にほぼ等しい。しかし、他の植物種では、実際に収穫される植物の数に比べて、遙かに多い数の再生部分が播種される。他に指示がなければ、収穫率は%で与えられる。本発明の方法の場合、実際の収穫率(Hr)を使用する必要はない。従って、収穫率(Hr)は、実際の収穫率または予測された発収穫率であり得る。
用語「生殖系列細胞」は、それらの染色体または遺伝性遺伝物質をそれらの後代、それらの子孫または次の世代に伝える、細胞を指す。
用語「高感度検出手段」は、変異体生物の遺伝子型が非変異体生物の遺伝子型と多くて1個のヌクレオチドだけ異なるような場合であっても、少なくとも300個の生物のライブラリー中の1個の変異体生物の検出を可能にするような検出手段を指す。好ましくは、それらは、300個のゲノムのライブラリー中の1個の変異体ゲノムの検出を可能にする。
本明細書で使用される場合、用語「変異体検出プローブ」は、検出可能な手段に任意に連結されたオリゴヌクレオチドを指し、オリゴヌクレオチドは、NOIの所定の変異を含む、標的配列と同一であるか、または相補的である。
本明細書で使用される場合、用語「PCR」は、ポリメラーゼ連鎖反応を指す。PCRは、核酸の増幅のための反応である。本方法は、熱サイクルに依存し、DNAの逐次的な融解および酵素的複製を得るための反応の加熱および冷却を繰り返すサイクルからなる。第1のステップでは、DNA二重らせんを形成する2本鎖は、DNA融解としても知られるプロセスにおいて、高温で物理的に分離される。第2のステップでは、温度を下げDNAの酵素的複製を可能にする。PCRはまた、プライマーのアニーリングを強化するためおよび/または複製のための温度を最適化するために、追加の温度でのインキュベーションを含む場合がある。PCRにおいて、温度は通常、様々な温度の間で、多数のサイクルにわたり循環する。
本明細書で使用される場合、用語「PCR試薬」は、試料および1セットのプライマーに加えてPCRに添加される、試薬を指す。PCR試薬は、少なくともヌクレオチドおよび核酸ポリメラーゼを含む。加えて、PCR試薬は、塩および緩衝液などの他の化合物を含み得る。
用語「dPCR」は、デジタルポリメラーゼ連鎖反応を指す。それは、DNA、cDNAまたはRNAを含む核酸鎖を直接定量化およびクローン増幅するために使用できる。dPCRは、PCRより正確に核酸量を測定する。従来のPCRでは、単一試料毎に、1つの反応が実施される。dPCRも、試料内の単一反応に依存するが、試料は区分化される、すなわち、試料は多数の区画に分離され、反応は各区画中で個別に実施される。
用語「ddPCR」は、液滴デジタルポリメラーゼ連鎖反応を指す。ddPCRでは、1回または複数のPCR増幅が行われ、各反応は、標的配列のPCR増幅がそれぞれ個別の液滴で起こり得るように、複数の水-油エマルション液滴に分離される。ddPCRは、区分化PCRの一例である。
用語「成功の確率」-「PS」と省略される-は、所望の変異が、ランダム変異誘発に供された所与の再生部分のライブラリーから特定される可能性を指す。当業者は、適切な成功の確率を選択し得る。一般に、成功の確率は、少なくとも85%、好ましくは、少なくとも90%、より好ましくは、少なくとも95%、例えば、少なくとも98%であることが好ましい。
本明細書で使用される場合、用語「生殖」は、有性生殖および無性生殖の両方を指す。従って、生殖は、クローン様式で生物を繁殖させる得る(「無性生殖」としても知られる)。生殖はまた、生物の子孫を生成し得、子孫は親生物からのアレルを含む。従って、変異アレルを含む生物の生殖は、その生物の子孫を生成することを指す場合があり、この子孫は変異アレルを含む。好ましくは、変異アレルは、NOI中の1個または複数の変異を保持する。
本明細書で使用される場合、用語「生物の再生部分」は、適切な条件下で完全な生物体に成長し得る生物の任意の部分を指す。例えば、生物が植物の場合、この用語は、完全な植物に再生し得る植物の任意の部分を指す。従って、植物の再生部分は、この植物の任意の「繁殖する材料」であり得る。植物の再生部分は、例えば、種子、子実、種子中の生殖系列細胞、植物の穀物または胚芽、栄養組織、外食物の花粉または胚芽であり得る。この用語は、本明細書では、「生殖部分」と同じ意味で用いられる。用語「生殖系列細胞」は、それらの染色体または遺伝性遺伝物質をそれらの後代、それらの子孫または次の世代に伝える、細胞を指す。
本明細書で使用される場合、用語「標的配列に隣接するプライマーのセット」は、1つのプライマーが標的配列の5’末端と同一の配列(「フォワードプライマー」とも称される)を含み、かつ1つのプライマーが標的配列の3’末端に相補的な配列(「リバースプライマー」とも称される)を含むように、標的配列に隣接する2つのプライマーのセットを指す。「プライマーのセット」は、標的配列の増幅を可能にする条件下で、標的配列を含む核酸およびPCR試薬が一緒にPCRに添加されると、標的配列を増幅できる。
本明細書で使用される場合、用語「標的配列」は、その中で変異を生成または特定することが望ましい、任意の核酸配列を指す。さらに、標的配列は好ましくは、標的配列に隣接するプライマーを用いるPCR技術により増幅できる、核酸配列である。加えて、標的配列は通常、1個または複数のNOIを含む。本発明は、NOIに変異を保持する生物を産生および/または同定するための方法を提供する。標的配列は、例えば、特定の形質に関連する核酸配列であってよい。
本明細書で使用される場合、「参照検出プローブ」という用語は、検出可能な手段に任意に連結されたオリゴヌクレオチドを指し、オリゴヌクレオチドは、参照NOIを含む標的配列と同一または相補的である。一般に、参照NOIを含む標的配列は、変異誘発の前の標的配列に対応する。「参照検出プローブ」はまた、「野生型プローブ」とも称され得る。
ビールなどの大麦ベース飲料の製造工程、特に、製麦工程を言い表すのに使用される工程に関連する用語の「大麦」は、大麦粒を意味する。他のすべての場合では、別段の指定がない限り、「大麦」は、大麦植物(Hordeum vulgare,L.)を意味し、任意の育種系統または栽培品種または変種を含み、一方で大麦植物の一部は、大麦植物の任意の部分、例えば、植物器官として知られる、葉、茎、根、花および子実などの外部植物構造であり得る。それはまた、任意の組織または細胞も含み得る。
本明細書で定義の「穀類」植物は、主にそれらのデンプン含有種子または穀粒を目的として栽培されるイネ科植物ファミリーのメンバーである。穀類植物は、限定されないが、大麦(Hordeum)、小麦(Triticum)、米(Oryza)、トウモロコシ(Zea)、ライ麦(Secale)、オート麦(Avena)、サトウモロコシ(Sorghum)、およびライ小麦、ライ麦-小麦交配種を含む。
用語「穀物品質」は、本明細書では、変異体植物などの植物から得られた穀物の特性を指す。従って、この用語は、穀物の含水量、穀物重量、変色、破壊または損傷穀物のパーセンテージ、穀物の壊れやすさ、粉砕品質、タンパク質含量、油含量および/または穀物の生存率を指し得る。他の固有の因子としては、色、組成、かさ密度、匂いおよび芳香、サイズおよび形状が挙げられる。
用語「%不稔性」は、本明細書では、種子を産生しない所与の遺伝子型の植物集団中の花のパーセンテージを指す。
変異体植物を特定する方法
本発明は、所定の標的配列の目的のヌクレオチド[NOI]中に1個または複数の変異を有する予め定義された種の変異体植物を特定するための方法を提供し、方法は、
a)種の親植物のN個の再生部分を用意するステップであって、Nが、少なくとも5000の整数である、ステップ;
b)再生部分を変異誘発、好ましくは、ランダム変異誘発のステップに供し、それにより複数の遺伝子型を表す世代M0の再生部分のプールを生成するステップ;
c)世代M0の再生部分を成熟植物に生育させ、それにより成熟植物から世代M1の再生部分を得るステップ;
d)任意選択で、前のステップをX回繰り返して、世代M(1+X)の再生部分を含む世代M(1+X)の植物を得るステップ;
e)複数の世代M1またはM(1+X)植物の再生部分をサブプールに分割するステップであって、各サブプールが、複数の遺伝子型を表す再生部分を含み、1個の所与の成熟植物由来の全ての再生部分が、同じサブプール中に配置される、ステップ;
f)各サブプール由来の、mRNA試料またはgDNA試料から調製されるcDNA試料などの、DNA試料を調製するステップ;
g)高感度検出手段を用いて、変異を含むDNAを含むサブプールを特定するステップ;
h)変異を含むサブプール内の再生部分および/または再生部分の子孫を特定し、それにより変異体植物を特定するステップ、
を含み、変異誘発のステップが、世代M1の再生部分の細胞当り1~30個の非同義変異の変異誘発率をもたらす。
本方法は、好ましい実施形態では、種子を用いて実施され得ることを理解されたい。しかし、本方法は、いくつかの実施形態では、親植物の種子以外の他の再生部分を用いて実施されてもよく、例えば、親植物の胚芽を使用し得る。植物が穀類である本発明のいくつかの実施形態では、種子は、上記の穀類の穀物である。
目的の変異体植物は、例えば、好適なPCR試薬を使用して、下記実施例3~5に記載のように特定できる。PCR試薬は、一般に、少なくともヌクレオチドおよび核酸ポリメラーゼを含む。加えて、PCR試薬は好ましくは、1個または複数の検出プローブ、例えば、本明細書の「PCR産物の検出」のセクションで上述したように変異検出プローブおよび/または参照検出プローブも含み得る。
あるいは、目的の変異体は、当該技術分野において既知のように、変異誘発植物の全ゲノムまたはその再生部分をシークエンシングすることにより特定し得る。従って、変異密度もまた、一部または全ての変異誘発植物またはその再生部分中の少なくとも全てのオープンリーディングフレームをシークエンシングし、得られた変異体を計数することにより決定できる。従って、ゲノムのサイズを知ると、変異密度も計算できる。
上に概説したステップに加えて、本発明の方法は、1つまたは複数の追加のステップを含み得る。本方法は、例えば、種子などの再生部分のプールを、例えば、変異誘発により調製するステップを含み得る。生物のプールを調製するための方法は、本明細書中の以下の「プール」のセクションに記載される。
本方法はまた、植物もしくは再生部分のプール内またはサブプール内の、1個または複数の植物または再生部分の生殖ステップを含み得る。このステップは、植物、または再生部分を、1回または複数のサイクルにより培養することを含んでよい。
以下では、「種子」、「作物」または「植物」についてのみ言及することが多い。しかし、同じ考察は、作物または植物の他の再生部分を用いる方法にも当てはまる。培養の各ステップは、元の植物、種子または他の再生部分と同一ではない子孫をもたらし得る。例えば、多倍数体植物のランダム変異誘発の後で、大部分の植物は1つのアレルのみにいずれかのランダム変異を保持し、これによりその変異に対して遺伝的にヘテロ接合型である。自家受粉植物の場合、通常、子孫生物は、下記を含む:(1)変異のない生物、(2)変異について遺伝的にヘテロ接合型の子孫生物、および(3)変異について遺伝的にホモ接合型の子孫生物。これにより、元のプールまたは植物もしくは種子などの再生部分のプールの子孫は、元のプールと必ずしも同一ではないが、一般に、元のプールに存在するNOI中の、少なくともヘテロ接合型および/またはホモ接合型生物として存在するいずれかの変異を表すであろう。従って、子孫の少なくともいくつかは、変異アレルを含むであろう。同様に、サブプールの子孫は、元のサブプールと同一ではない場合があるが、一般的に、少なくとも、元のサブプール中に存在するNOI中の、ヘテロ接合体またはホモ接合体の形態のいずれかの変異を表すであろう。
再生部分のプールをもう1つのサブプールに分割するステップe)は従って、植物またはその再生部分を生殖するステップを含み得る。これは、例えば、プールのサブプールへの分割と同時に実行され得る。あるいは、これは、プールをサブプールに分割した後に実行されてもよい。従って、本発明の方法は、ステップe)に続いて、サブプール内で植物またはその再生部分を生殖するステップを含み得る。
同様に、本発明の方法は、ステップf)に続いて、サブプールの画分内で植物または種子などのその再生部分を生殖するステップを含み得る。しかしながら、本発明のいくつかの実施形態、特に、植物が穀類である本発明の実施形態では、方法は、ステップf)とg)の間で、植物またはその再生部分の生殖のステップを含まないことが好ましい場合がある。
本発明のいくつかの実施形態では、方法は、NOI中に変異を含むサブプールまたはその分画に含まれる、植物または種子などのその再生部分の生殖ステップを含む。このステップは、任意の有用な時間、例えば、上に概説したようなステップh)とi)の間で実施されてもよい。
本方法はまた、NOI中に変異を含むサブプールの群を特定するステップも含み得る。このステップは、任意の有用な時間に実行できるが、上記の方法のステップc)の後に実行されることが多く、例えば、以下の本明細書の「スーパープール」のセクションに記載されるように実施されてよい。
目的のヌクレオチド(NOI)
本発明は、1個または複数の目的ヌクレオチド中に変異を保持する1種または複数の植物を特定するための方法に関する。特に、本方法は、NOI中に1個または複数の所定の変異を保有する植物の特定を可能にする。NOIは、コード領域の内側またはコード領域の外側に存在し得る。従って、本方法は、従来の育種法になお依拠しながら、特定の変異を有する生物の特定を可能にする。変異は好ましくは、所定の標的配列中にある。
変異は、任意の変異であってよく、1個または複数の目的のNOIは、参照配列中の対応するNOIとは異なる。参照配列は野生型配列であることが多い。しかしながら、参照配列は任意の他の配列であってもよい。従って、参照配列は、野性型配列に比べて、既にいくつかの変異を含み得、変異は、天然に発生し得るか、または、例えば変異誘発により誘発されている。
変異は、任意の種類の変異、例えば欠失、挿入、置換または上記の混合であり得る。変異は、同義変異または非同義変異であり得る。例えば、変異は、(1)未成熟停止コドンを導入する変異、(2)フレームシフトを導入する変異または(3)翻訳されたタンパク質中のアミノ酸の置換を生じる変異、であり得る。
NOIは、単一のヌクレオチドであってもいくつかのヌクレオチドであってもよく、従って、NOIは、少なくとも1個、1個などの、例えば2個、3個などの、例えば4個、5個などの、例えば6個、7個などの、例えば8個、9個などの、例えば10個、10~20個などの、例えば20~50個、50個超などのヌクレオチドからなってよい。
本発明の好ましい実施形態では、NOIは単一ヌクレオチドからなり、この場合、変異は、例えば、単一のヌクレオチドの置換であり得る。このような変異は点変異としても知られている。
本発明の他の実施形態では、変異はNOIの欠失であり得る。他の実施形態では、変異は、2個の目的のヌクレオチド間の1個または複数のヌクレオチドの挿入であり得る。
一実施形態では、参照配列は野生型配列、すなわち、最も高頻度に天然に起こる配列であり、変異はしたがって、野生型配列と比較した変異である。他の実施形態では、参照配列はすでに変異を含み、変異は、参照配列に比べて、追加の変異である。
一実施形態では、変異は、その種内の望ましい形質と関連し得る。種の種類に応じて、望ましい形質は、多数の異なる形質から選択できる。種が栽培植物である本発明のいくつかの実施形態では、形質は、例えば、高められた生存率、様々な環境因子に対する高められた耐性、高められた生育、高められた穀物品質またはより高い収率であり得る。種が食品、飼料または飲料製造のために使用される植物である本発明のいくつかの実施形態では、形質は、高められた栄養価、高められた風味特性、高められた貯蔵特性、またはその食品、飼料または飲料の製造のために高められた有用性にも関係し得る。
NOIは、任意の核酸のいずれかの標的配列中に位置し得る。多くの場合、標的配列はゲノムDNA(gDNA)配列の一部である。より好ましくは、標的配列はgDNA配列の一部である。従って、変異はその生物のgDNAの変異であり得る。NOIは、コード領域およびノンコーディング領域の両方のgDNAの任意の部分に位置し得る。多くの場合、NOIは、遺伝子の任意の部分、例えば、コード領域(例えば、エキソン内)、イントロンまたは遺伝子の調節領域、例えば、プロモーター、ターミネーターおよび/またはイントロン中に位置し得る。好ましくは、変異は、コーディング変異または非同義変異である。
ゲノムDNAの代わりに、mRNA試料から調製されたcDNAがまた、所望の変異を特定するために使用され得る。
植物
本発明の好ましい実施形態では、植物は、緑色植物、例えば、顕花植物、針葉樹、裸子植物、シダ、ヒカゲノカズラ、マツモ、苔類、コケおよび緑藻からなる群から選択される植物であり得る。植物は、例えば、単子葉植物または双子葉植物であり得る。
特に、植物は、栽培植物であり得る。栽培植物は、例えば食品、飼料の供給源として、または物品の生産のための、または審美的目的のための原材料として、ヒトにより栽培される任意の植物であり得る。
本発明の好ましい一実施形態では、種は穀類である。本明細書で定義される「穀類」は、主としてそのデンプン含有種子または穀粒のために栽培されるイネ科(Gramineae)植物ファミリーのメンバーである。穀類は、限定されないが、オオムギ(Hordeum属)、コムギ(Triticum属)、コメ(Oryza属)、トウモロコシ(Zea属)、ライムギ(Secale属)、エンバク(Avena属)、モロコシ(Sorghum)およびコムギ-ライの交配種のライコムギを含む。
植物はまた、トマトを含む、他の栽培植物であってもよい。
親植物は、アブラナ科、マメ科、イネ科、ヒユ科、キク科、ナス科、アカネ科またはラン科に属する植物などの、作物植物または顕花植物である。特定の実施形態では、植物は大麦である。本発明の方法は、例えば形質転換により、容易に遺伝子編集できない植物に対し特に有利であり得る。
親植物はまた、樹木または低木であり得る。用語「樹木」はここでは、その最も広い意味で、ほとんどの種の枝および葉を支える細長い幹または樹幹を有する多年生植物の意味で使用される。従って、この用語は、バナナの木またはココヤシの木などの植物を包含する。低木は、小さいサイズ~中程度のサイズの多年生の木本である。本発明の方法は、樹木または低木の変異体の特定に有利である。樹木および低木は、緩慢な成長を有し、そのため、目的の変異体を特定するための戻し交雑の必要性を回避することは特に有利である。理由は、これは、そのような変異体を特定するために必要とされる時間のかなりの短縮をもたらすためである。一般に、本方法は、長い生殖サイクルを有する任意の植物に対し特に有利である。
プール
本発明の方法は、所与の植物のN個の再生部分を提供すること、および植物の再生部分を変異誘発して、複数の遺伝子型を発現する再生部分のプールを得ることを含む。植物は、例えば、「植物」のセクションで記された植物のいずれかであり得る。従って、再生部分のプールは、本方法のステップa)で提供された再生部分から得られる変異誘発された再生部分を指す。従って、再生部分のプールは、ステップa)で提供された再生部分の数と同じ再生部分の数からなる。例えば、30,000個の再生部分がステップa)で提供される場合、(変異誘発された)再生部分のプールは、30,000個の変異誘発再生部分になる。
従って、再生部分のプールは、複数の再生部分を含み、これらは全て、同じ種に属するが、それらは植物の異なる遺伝子型を表す。プールは、各遺伝子型の2個以上の再生部分を含み得る。しかしながら、プールは、異なる遺伝子型の複数の再生部分を含まなければならない。
下の実施例6および7に記載されるように、特定の成功確率を得るために、特定の最適ライブラリーサイズ(OLS)が好ましくは、使用され得る。最適なは、この文脈では、所望の成功確率を得るための最適ライブラリーサイズを意味する。ライブラリーサイズは、世代M1またはM(1+x)の再生部分で現れる異なる遺伝子型の総数である。OLSは、変異頻度およびスクリーニングされる変異の数に依存する。好ましい実施形態では、OLSは、以下の実施例6で記載のように決定される。
OLSに基づき、変異誘発される再生部分の数(N)の最適な値が決定され得る。最適なNは、特定の植物の生殖系列細胞の数、ならびに変異誘発後の収穫率に依存する。
特に、最適N(ON)は、下記の実施例7に記載のように決定し得る。
好ましい実施形態では、Nは、0.7*ON~1.3*ONの範囲であり、式中、
Figure 2023502317000005
であり、Hrは、変異誘発後の植物種の予測平均収穫率(%)であり、
OLSは、下式による最適ライブラリーサイズであり、
Figure 2023502317000006
式中、PSは成功確率(%)であり、
Mfは変異頻度であり、
nはスクリーニングされる変異の数であり、
ステップb)は、Mの変異誘発頻度をもたらすランダム変異誘発のステップを含む。
いくつかの植物種、例えば穀類の場合、収穫率は、発芽比率とほぼ同じであり、このような植物種では、発芽比率Grを、ONを計算するために、収穫率の代わりに使用し得る。
好ましくは、変異頻度は、変異誘発の低い割合に相当する。非同義変異不含遺伝子%を単位とする変異誘発の割合は、特定の植物中の変異頻度、遺伝子の数および遺伝子の平均の長さに基づき、下記の式を用いて計算できる:
Figure 2023502317000007
式中、GFoNSMは、非同義変異のない遺伝子の数(%)であり、
Gnは特定の植物中の遺伝子の数であり、Glは遺伝子の平均長(bp)であり(Tiessen et al.,2012)、Mfは変異頻度であり、Nsnmは変異誘発による非同義変異の平均数(%)である。
通常、Nsnmは、60~70%の範囲、例えば66%である。正確なNsnmがわからない場合、66%のNsnmを使用できる。
先行技術では、変異誘発の割合は、変異頻度で記載されることが多い。例えば、シロイヌナズナ植物の世代M2で、500,000中1の変異頻度が記載されることもある。それは、シロイヌナズナ植物の世代M1におけるコーディング変異を有する約57遺伝子に相当し、またはシロイヌナズナ植物の世代M1における全遺伝子の99.79%の非同義変異を含まない遺伝子に相当する。さらに、シロイヌナズナ植物の世代M2で、10,000中1の変異頻度が記載されることもある。それは、シロイヌナズナ植物の世代M1におけるコーディング変異を有する約2862遺伝子に相当し、またはシロイヌナズナ植物の世代M1における全遺伝子の89.65%の非同義変異を含まない遺伝子に相当する。
一実施形態では、Nは、0.9*ON~1.1*ONの範囲、好ましくは、Nは、0.9*ON~1.1*ONの範囲である。
ONの計算に必要とされる1つまたは複数のパラメーターの実際の値がわからない場合もある。このような場合には、実際の値ではなく予測された値を採用し得る。従って、変異誘発後の収穫率がわからない場合、予測された収穫率を使用し得る。予測収穫率は、類似の変異誘発処置からの当業者の知識に基づいてよい。同様に、正確な変異頻度がわからない場合、予測された変異頻度を使用し得る。予測された変異頻度は、類似の変異誘発処置からの当業者の知識に基づいてよい。
本発明の方法を実施する人は、好適な成功の確率を選択し得る。通常、成功の確率は、少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、例えば少なくとも98%である。
いくつかの実施形態では、プール(すなわち、N)は、異なる遺伝子型を有する、植物の少なくとも5,000個の再生部分、例えば少なくとも10,000個の再生部分、例えば少なくとも15,000個の再生部分、例えば少なくとも20,000個の再生部分、例えば少なくとも25,000個の再生部分、例えば少なくとも30,000個の再生部分、例えば少なくとも40,000個の再生部分、例えば少なくとも50,000個の再生部分、例えば少なくとも60,000個の再生部分、例えば少なくとも70,000個の再生部分、例えば少なくとも80,000個の再生部分、例えば少なくとも90,000個の再生部分、例えば少なくとも100,000個の再生部分、例えば少なくとも200,000個の再生部分、例えば少なくとも300,000個の再生部分、例えば少なくとも400,000個の再生部分、例えば少なくとも500,000個の再生部分、例えば少なくとも600,000個の再生部分、例えば少なくとも700,000個の再生部分、例えば少なくとも800,000個の再生部分、例えば少なくとも900,000個の再生部分、例えば少なくとも10個の再生部分、例え少なくとも2.10個の再生部分、例えば少なくとも3.10個の再生部分、例えば、少なくとも4.10個の再生部分、例えば少なくとも5.10個の再生部分、例え少なくとも6.10個の再生部分、例えば少なくとも7.10個の再生部分、例えば、少なくとも8.10個の再生部分、例えば少なくとも9.10個の再生部分、例えば少なくとも10個のまたはそれを超える再生部分を含む。いくつかの実施形態では、プールは、5,000~100,000個の再生部分、例えば10,000~90,000個の再生部分、例えば15,000~85,000個の再生部分、例えば20,000~80,000個の再生部分、例えば25,000~90,000個の再生部分、例えば30,000~100,000個の再生部分、例えば30,000~75,000個の再生部分、例えば50,000~75,000個の再生部分、例えば、50,000~1,000,000個の再生部分、例えば100,000~500,000個の再生部分、または500,000~1,000,000個の再生部分、または600,000~900,000個の再生部分、または900,000~1,500,000個の再生部分を含む。いくつかの実施形態では、再生部分は種子である。
生物のプールは、プールが理論的にその植物の全ての遺伝子の全ての可能な変異を含み得るように、異なる遺伝子型を有する十分な数の再生部分を含むことが好ましい。例えば、種が大麦である本発明のいくつかの実施形態では、約1,500,000個のランダムに変異誘発された大麦粒を含むプールは理論的には、ゲノムDNAの1,500kbp中の1変異の変異密度の場合、その大麦の全遺伝子中の全ての可能な変異を含む。本発明の方法の効率を向上させるために、プールは、可能な全ての変異を含むと理論的に予測されるより少なくとも3xなどの、少なくとも2x多くの異なる遺伝子型を有する植物再生部分を含み得る。従って、プールは、異なる遺伝子型を有する少なくとも5,000個の再生部分、例えば少なくとも10,000個の再生部分、例えば少なくとも15,000個の再生部分、例えば少なくとも20,000個の再生部分、例えば少なくとも25,000個の再生部分、例えば少なくとも30,000個の再生部分、例えば少なくとも40,000個の再生部分、例えば少なくとも50,000個の再生部分、例えば少なくとも60,000個の再生部分、例えば少なくとも70,000個の再生部分、例えば少なくとも80,000個の再生部分、例えば少なくとも90,000個の再生部分、例えば少なくとも100,000個の再生部分、例えば少なくとも200,000個の再生部分、例えば少なくとも300,000個の再生部分、例えば少なくとも400,000個の再生部分、例えば少なくとも500,000個の再生部分、例えば少なくとも600,000個の再生部分、例えば少なくとも700,000個の再生部分、例えば少なくとも800,000個の再生部分、例えば少なくとも900,000個の再生部分、例えば少なくとも10個の再生部分、例えば少なくとも2.10個の再生部分、例えば少なくとも3.10個の再生部分、例えば少なくとも4.10個の再生部分、例えば少なくとも5.10個の再生部分、例えば少なくとも6.10個の再生部分、例えば少なくとも7.10個の再生部分、例えば少なくとも8.10個の再生部分、例えば少なくとも9.10個の再生部分、例えば少なくとも10個のまたはそれを超える再生部分を含み得る。いくつかの実施形態では、プールは、5,000~100,000個の再生部分、例えば10,000~90,000個の再生部分、例えば15,000~85,000個の再生部分、例えば20,000~80,000個の再生部分、例えば25,000~90,000個の再生部分、例えば30,000~100,000個の再生部分、例えば30,000~75,000個の再生部分、例えば50,000~75,000個の再生部分、例えば50,000~1,000,000個の再生部分、例えば100,000~500,000個の再生部分、または500,000~1,000,000個の再生部分、または600,000~900,000個の再生部分、または900,000~1,500,000個の再生部分を含む。いくつかの実施形態では、再生部分は種子である。これは、例えば、問題の種が大麦である実施形態の場合であり得る。
いくつかの実施形態では、再生部分のプールは、異なる遺伝子型を有する、例えば1,000,000~100,000,000個の範囲などの、少なくとも5,000,000個の植物の再生部分を含み得る。いくつかの実施形態では、再生部分のプールは、少なくとも5,000個の異なる遺伝子型、例えば少なくとも10,000個の異なる遺伝子型、例えば少なくとも15,000個の異なる遺伝子型、例えば少なくとも20,000個の異なる遺伝子型、例えば少なくとも25,000個の異なる遺伝子型、例えば少なくとも30,000個の異なる遺伝子型、例えば少なくとも40,000個の異なる遺伝子型、例えば少なくとも50,000個の異なる遺伝子型、例えば少なくとも60,000個の異なる遺伝子型、例えば少なくとも70,000個の異なる遺伝子型、例えば少なくとも80,000個の異なる遺伝子型、例えば少なくとも90,000個の異なる遺伝子型、例えば少なくとも100,000個の異なる遺伝子型、例えば少なくとも200,000個の異なる遺伝子型、例えば少なくとも300,000個の異なる遺伝子型、例えば少なくとも400,000個の異なる遺伝子型、例えば少なくとも500,000個の異なる遺伝子型、例えば少なくとも600,000個の異なる遺伝子型、例えば少なくとも700,000個の異なる遺伝子型、例えば少なくとも800,000個の異なる遺伝子型、例えば少なくとも900,000個の異なる遺伝子型、例えば少なくとも10個の異なる遺伝子型、例えば少なくとも2.10個の異なる遺伝子型、例えば少なくとも3.10個の異なる遺伝子型、例えば少なくとも4.10個の異なる遺伝子型、例えば少なくとも5.10個の異なる遺伝子型、例えば少なくとも6.10個の異なる遺伝子型、例えば少なくとも7.10個の異なる遺伝子型、例えば少なくとも8.10個の異なる遺伝子型、例えば少なくとも9.10個の異なる遺伝子型、例えば少なくとも10個のまたはそれを超える異なる遺伝子型を表す。いくつかの実施形態では、プールは、5,000~100,000個の異なる遺伝子型、例えば10,000~90,000個の異なる遺伝子型、例えば15,000~85,000個の異なる遺伝子型、例えば20,000~80,000個の異なる遺伝子型、例えば25,000~90,000個の異なる遺伝子型、例えば30,000~100,000、例えば30,000~75,000個の異なる遺伝子型、例えば50,000~75,000個の異なる遺伝子型、例えば50,000~1,000,000個の異なる遺伝子型、例えば100,000~500,000個の異なる遺伝子型、または500,000~1,000,000個の異なる遺伝子型、または600,000~900,000個の異なる遺伝子型、または900,000~1,500,000個の異なる遺伝子型を表す。
本発明の方法の1つの利点は、方法が、異なる遺伝子型の多数の植物の再生部分(種子など)のスクリーニングを可能にするということである。これにより、プールは、異なる遺伝子型の非常に多数の再生部分を含み得る。さらに、本発明の方法は、任意のNOI中に所定の変異を有する生物を特定することを可能にし得る。任意のNOI中に変異を有する生物を特定することが可能であるためには、これは、プールが前述の数の異なる遺伝子型などの、多数の異なる遺伝子型を含むことを必要とする場合がある。
本発明の好ましい実施形態では、植物の再生部分(種子など)のプールは、変異誘発により、特にランダム変異誘発により調製される。従って、複数の再生部分が、再生部分のプールを得るために変異誘発に供され得る。上記の変異誘発は特に、例えば、以下に記載されるように実施し得る、ランダム変異誘発であってよい。
多細胞生物の再生部分をランダム変異誘発に供することが十分である可能性がある。このような実施形態では、植物の複数の種子などの植物の複数の再生部分、またはそれらの混合物のいずれかを、ランダム変異誘発に供する。
プールは、複数の遺伝子型を表す複数の再生部分を含み得る。従って、プールは、変異誘発に供された複数の再生部分を含み得る。しかしながら、プールは、変異誘発に供された、再生部分の子孫も含み得る。
本明細書では、変異誘発に供された再生部分(例えば、穀物粒などの種子)は、世代M0と称され得る。上記の再生部分、例えば穀物粒などの種子は、播種され、成熟植物に発達させられ、その再生部分(例えば、穀物粒などの種子)は世代M1とみなされる。世代M1の再生部分、例えば種子を播種し、成熟植物に育成させ、その再生部分(種子など)は世代M2と見なされる、等々。まだ変異誘発に供されていない、ライブラリーの形成に使用される変種の植物は、「親植物」とも呼ばれる。これは図2に示される。
再生部分のプールは、上述の世代のいずれかの、種子、例えば穀物粒などの再生部分を含み得る。再生部分のプールはまた、世代M1、M2またはM3の再生部分、例えば穀物粒などの種子を含み得る。再生部分のプールは、世代M1の再生部分を含み、好ましくは再生部分のプール中の全ての再生部分は、世代M1のものである。
ランダム変異誘発
従来から、効率的な変異誘発プロトコルは、育種プログラムの成功にとって非常に重要な基本的要件であると考えられている。
しかし、本発明は、「軽度の」変異誘発の使用を含む方法を提供し、植物毎のコード領域中に1~30個の範囲の非同義変異を生成する。
ランダム変異誘発は現時点では、化学的変異誘発物質または放射線の使用に基づく。歴史的には、変異誘発物質の有効性は、生物学的作用の観点から測定されている。しかし、効果を付与する放射線または化学的変異誘発物質の量を特徴付ける明確で容易に測定可能な物理的量に対する観察される生物学的作用の関連性を確立することが望ましい。
ランダム変異誘発は、任意の有用な方式、例えば放射線または化学的処理により実施されてよい。照射は、UV照射、X線照射または放射性照射であり得る。化学的変異誘発は、任意の変異誘発性化学物質、例えばアジ化ナトリウム(NaN)、N-エチル-N-ニトロソ尿素(ENU)、メチルニトロソグアニジン(MNNG)およびエチルメタンスルホネート(EMS)または下記のアルキル化剤などのアルキル化剤からなる群から選択される化学物質による処理を含み得る。NaN、ENUおよびEMSは、ランダムに変異体を生成するために使用されることが多い。
植物のDNA、特にゲノムDNAにおいてランダム変異を誘発するために、穀粒または再生可能栄養組織は、限定されないが、エチルメタンスルホネート(EMS)、ジエチルスルホネート(DES)などのスルホネート;硫黄マスタード、例えばエチル-2-クロロエチルスルフィド;ナイトロジェンマスタード、例えば、2-クロロエチル-ジメチルアミン;および、エポキシド、例えば、エチレンオキシドなどのアルキル化剤を含む、変異誘発物質、または変異誘発物質の混合物で処理され得る。他には、エチレンイミン、ヒドロキシルアミン(NHOH)、N-メチル-N'-ニトロ-N-ニトロソグアニジン(MNNG)、NaNおよびジアゾメタンが挙げられる。処理された組織または穀粒を次に、繁殖させて子孫生物を生成できる。このようなランダム変異誘発は、作物植物などの植物、またはセクション「植物」で記載のいずれかの植物で使用され得る。
本発明の方法は、それが「軽度の」または「低い」変異誘発である限り、いずれか特定の種類の変異誘発に限定されない。低い変異誘発は、植物毎のコード領域中1~30個の非同義変異の変異誘発の割合をもたらす変異誘発であり得る。いくつかの実施形態では、これは、ゲノムDNAの1.5個の塩基当り1個の変異に相当する頻度で発生する目的の変異に対応する。いくつかの実施形態では、二倍体植物における低い変異誘発は、全ての遺伝子の99.8%超、好ましくは99.9%超がM1中で、非同義変異を含まないことであり、二より高い倍数性を有する植物における低い変異誘発は、全ての遺伝子の98.0%超、好ましくは99.0%超がM1中で、非同義変異を含まないことであり得る。
変異率は、多くのタイプの変異誘発について知られており、当業者は、それぞれの変異誘発タイプに対する最適な変異誘発物質量、濃度および/または暴露時間を容易に計算し、所望の変異密度または変異頻度を得ることができる。あるいは、当業者は、変異誘発を試験して、最適な変異誘発物質量、濃度および/または暴露時間を特定して、その植物種について所望の低い変異誘発の割合を得ることができる。本発明の方法は、低い変異誘発の割合を得るために本明細書で記載のいずれかの方法での変異誘発を実施することに基づく。低い変異誘発の割合は特に、植物毎のコード領域中の1~30個の非同義変異をもたらす変異誘発の割合であり得る。あるいは、低い変異誘発の割合は、全ての遺伝子の99.8%超、例えば、99.9%がM1で二倍体植物中で非同義変異を含まないことであり、および低い変異誘発の割合は、全ての遺伝子の少なくとも98.0%、好ましくは少なくとも99.0%がM1で二より高い倍数性を有する植物中で、非同義変異を含まないことであり得る。
例えば、一定数の遺伝子を有する所与の種の植物を含むライブラリーは、実施例3~5に記載のような特定の条件下で、例えば特定の変異誘発物質濃度で特定の継続時間の間、ランダム変異誘発に供される。変異体は、例えば本明細書に記載のような所与の長さの所与の領域で特定される。その領域で特定された変異体の数を用いて、使用された所与の変異誘発条件(濃度および時間)について変異密度を計算できる。例えば、1,000bpのフラグメントが10,000の個体について分析され、分析された塩基対中で合計10個の変異が特定される場合、これらの条件下での変異率は、10/(1,000x10,000)=1.10-6である。換言すれば、下記に示すように、これらの条件下での変異密度は、スクリーニングされた要素(再生部分)の数とスクリーニングされた領域の長さの積で除算された、特定された変異体の数に等しいと見なすことができる:
変異密度=(特定された変異体の数)/((変異誘発された個体の数)x(分析された領域の長さ))。
いくつかの実施形態では、変異誘発は、植物あたりコード領域中1個の非同義変異を生じる。他の実施形態では、変異誘発は、植物当たりコード領域中2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29または30個の非同義変異を生じる。コード領域中の非同義変異に加えて、植物は、例えば、ノンコーディング領域中に、サイレント変異をさらに含み得る。
好ましい実施形態では、変異誘発ステップは、変異誘発率が、1,000個の遺伝子毎に多くて1個の非同義変異、例えば5,000個の遺伝子毎に多くて1個の非同義変異、例えば10,000個の遺伝子毎に多くて1個の非同義変異、例えば20,000個の遺伝子毎に多くて1個の非同義変異、例えば30,000個の遺伝子毎に多くて1個の非同義変異、例えば5,000個の遺伝子毎に多くて1個の非同義変異であるようなものである。1000個の遺伝子毎に1個の非同義変異は、植物が6000個の遺伝子を有する場合コード領域中に6個の遺伝子が非同義変異を保持すると予測され、同時に5994個の遺伝子は、非同義変異を欠くことが予測されるが、コード領域の外側に、他の変異、例えば同義変異を依然として含み得ることを意味する。他の好ましい実施形態では、変異誘発ステップは、変異誘発の割合が、全ての遺伝子の少なくとも99.8%、好ましくは少なくとも99.9%がM1の二倍体植物中で非同義変異を含まず、および低い変異誘発の割合が、全ての遺伝子の少なくとも98.0%、好ましくは少なくとも99.0%が、M1の二より高い倍数性を有する植物において非同義変異を含まないようなものである。
いくつかの実施形態では、変異誘発ステップは、世代M1またはM(1+X)の植物のコード領域で多くて30個の非同義変異に、例えばコード領域で多くて25個の非同義変異に、例えばコード領域で多くて20個の非同義変異に、例えばコード領域で多くて15個の非同義変異に、例えばコード領域で多くて10個の非同義変異に、例えばコード領域で多くて5個の非同義変異に、例えばコード領域で多くて4個の非同義変異に、例えばコード領域で多くて3個の非同義変異に、例えばコード領域で多くて2個の非同義変異に変え、例えばコード領域で1個のサイレント変異に変える。
変異誘発を伴う方法は多くの場合、変異誘発生物のかなりの部分(最大で50%)が生存可能でなく死滅するような条件下で実施されてきた。対照的に、本方法は多数の植物またはその再生部分に対して実施できるので、ほとんどの植物が生き残るような条件下でランダム変異誘発を実施することが有利である。好ましくは、変異誘発は、90%の再生部分が変異誘発のステップで生き残る、例えば少なくとも91%の再生部分、例えば少なくとも92%の再生部分、例えば少なくとも93%の再生部分、例えば少なくとも94%の再生部分、例えば少なくとも95%の再生部分、例えば少なくとも96%の再生部分、例えば少なくとも97%の再生部分、例えば少なくとも98%の再生部分、例えば少なくとも99%の再生部分が変異誘発のステップで生き残るような条件で実施される。
ほとんどの作物の場合、エチルメタンスルホネート(EMS)が最適の変異誘発物質である場合が多い。しかし、大麦の変異誘発は通常、アジ化ナトリウム(NaN)ベース変異誘発処理を用いて実施される。
アジ化ナトリウム(1.5mMで2時間)による大麦の処理は通常、500,000bp毎に1個の変異密度をもたらす(Szurman-Zubrzycka et al.,2018)。この数は、通常、集団内の種々の遺伝子由来のシークエンシングデータを解析することにより決定される。1:500,000bpの変異密度、および5.3GBの大麦ゲノムでは、各大麦植物は、約10,000個の変異を保持する。大麦のコード配列は、約65Mbであり、これは総ゲノムの1~2%である。それに基づき、10,000個の誘発された変異の約100~200個がコード領域中にあると想定できる。
コード領域中のアジ化ナトリウム変異の約1/3は、サイレントヌクレオチド置換をもたらす。従って、変異誘発がアジ化ナトリウムを用いて実施される場合、Nsnmは通常66%である。従って10,000個の誘発された変異の50~100個の変異が、コード領域での非同義変異をもたらすと想定できる。変異はゲノム全体にわたりランダムに発生するので、コード領域中の50~100個のアミノ酸置換が異なるコード領域、またはゲノム全体の遺伝子中に存在すると想定できる。変異密度は、作物および処理依存性である。他の作物では、典型的なTILLINGライブラリー中の変異密度は、総ゲノムDNAの20,000bp毎に1個~1,000,000bp毎に1個の範囲であり得る。
いくつかの実施形態では、変異誘発物質はNaNである。このような実施形態では、NaNは好ましくは、1mM以下より少ない濃度で、2時間以下、例えば0.9mM以下、例えば0.8mM以下、例えば0.7mM以下、例えば0.6mM以下、例えば0.5mM以下、例えば0.4mM以下、例えば0.3mM以下の濃度で2時間以下使用される。一実施形態では、NaNは、好ましくは約0.3mMの濃度で、1.5~2.5時間の範囲で使用される。
ランダム変異誘発のステップはまた、EMSで、好ましくは4%以下の濃度で2時間以下、例えば3%以下、例えば2%以下、例えば1.5%以下、例えば1%以下、例えば0.75%以下、例えば0.5%以下、例えば0.4%以下、例えば0.3%以下、例えば0.2%以下で2時間以下、例えば0.1%で24時間以下実施され得る。
ランダム変異誘発はまた、特異的CRISPRアレイを用いて植物の集団をランダムに変異誘発する、ランダムCRISPR変異誘発(Lu et al.,2017)などの当該技術分野において既知の他の方法により実施され得る。例えば、CRISPRガイドRNAのアレイが合成され、植物にランダムに転換され、それにより、それぞれがゲノム中にCRISPR誘発変異を保持する植物のライブラリーを生成する。
再生部分のプールのサブプールへの分割
本発明の方法は、1個または複数のサブプールへと世代M1またはM(1+X)の、種子などの植物の再生部分のプールを分割するステップを含み、各サブプールは、種子などの植物の複数の再生部分を含む。各サブプールは、複数の遺伝子型を表す再生部分を含み、重要なことに、各サブプールは、1個の所与の成熟植物由来の全ての再生部分を含む。
再生部分が世代M(1+X)のものであるいくつかの実施形態では、所与のM0世代植物の全ての子孫の全ての再生部分が同じサブプール中に配置されることが、好ましいであろう。
実際には、再生部分が圃場で生育された植物の種子である場合を例に取ると、変異誘発された種子(世代M0)のプールが得られると、全プールが圃場に播種される。全圃場は、世代M1の種子の別のプールであり、世代M0の種子のプールから生じた植物の全種子を含む。世代M1の種子の総プールは、本明細書では、「ライブラリー」と呼ばれる。ライブラリーのサイズは、Nとは異なり、GECN数および収穫率に基づく。世代M1の種子のライブラリーは、例えば次記のようにサブプールに分割される:圃場が異なる領域に分割され、1つの領域からの種子が1つのサブプールである。そうすると、これらの種子は、世代M1のこの例中に存在していることになる。種子のサブプールはその後、本明細書の別のところで詳述したように、複数画分に分割される。
世代M2またはさらに後の世代の種子が使用さる場合、さらに後の世代の種子を得るための植物は、いくつかの実施形態では、同じM0の子孫植物の全種子を同じサブプール中に配置するのを可能にする様式で生育され得る。
当業者は、温室中、別の鉢中などの、異なる条件下で生育された植物に上記例を移行できる。
本明細書の実施例8で記されるように、サブプールの最適なサイズは、採用された(高感度)検出手段の検出感度およびGECN数に基づき決定し得る。従って、好ましい実施形態では、最適なサブプールサイズは、以下の実施例8で記載のように決定される。
従って、最大サブプールサイズ(SPm)は、下記のように計算され得る:
Figure 2023502317000008
式中、検出感度は、Y個中の1個である。
一実施形態では、各サブプールは、多数の成熟植物からの再生部分を含み、数は、0.5*SPm~SPmの範囲であり、1個の所与の成熟植物由来の全ての再生部分は、同じサブプール中に配置される。一実施形態では、各サブプールは、0.7*SPm~SPmの範囲の成熟植物からの再生部分を含む。
通常、プールは複数のサブプールに分割され、好ましくは少なくとも2個のサブプールに、例えば少なくとも50個のサブプールに、例えば少なくとも100個のサブプールに、好ましくは少なくとも200個のサブプールに、より好ましくは少なくとも300個のサブプールに、さらにより好ましくは少なくとも400個のサブプールに、さらにより好ましくは500個のサブプールに、さらにより好ましくは少なくとも1000個のサブプールに、さらにより好ましくは少なくとも1500個のサブプールに分割される。
いくつかの実施形態では、プールは、少なくとも500個、例えば少なくとも1000個、例えば少なくとも1500個のサブプールに分割される。これは、特に、プールが異なる遺伝子型の多数の生物を含む本発明のいくつかの実施形態の場合であり得る。
原理的には、サブプールの数の上限はない。しかしながら、典型的には、プールは、最大50,000個、例えば最大25,000個、例えば最大10,000個のサブプールに分割される。
いくつかの実施形態では、プールは90~1000個のサブプールの範囲に分割される。
各サブプールは好ましくは、複数の遺伝子型を発現する複数の植物の再生部分を含む。好ましくは、各サブプールは、異なる遺伝子型を有する、少なくとも10個、より好ましくは少なくとも100個、さらにより好ましくは少なくとも200個、さらにより好ましくは少なくとも300個、さらにより好ましくは少なくとも400個、さらにより好ましくは少なくとも500個、またさらにより好ましくは少なくとも1,000個、さらにより好ましくは少なくとも5,000個の植物の再生部分を含む。いくつかの実施形態では、各サブプールは、異なる遺伝子型を有する、500~5,000個の範囲、例えば600~2,000個の範囲の再生部分を含む。
いくつかの実施形態では、各サブプールは、1,000~2,000個の範囲の異なる遺伝子型を表す再生部分を含む。
各サブプールが各遺伝子型の2個以上の再生部分を含むこともまた、好ましい。これは、任意の所与の成熟植物の全ての再生部分が同じサブプール中に配置されることを確実にすることにより、達成され得る。特に、サブプールを2、3、または4個の画分にランダムに分割するために、各画分が理論的に、サブプールの各遺伝子型を表す再生部分を含むような様式で、各サブプールが十分な量の各遺伝子型の再生部分を含むことが好ましい。従って、各サブプールが、少なくとも5個、好ましくは少なくとも10個、さらに好ましくは少なくとも15個の各遺伝子型を表す再生部分を含むことが好ましい。これは、特に、種が穀類である本発明のいくつかの実施形態の場合であり得る。
プールをサブプールに分割する方法の一例を、図3に提供する。
一般に、サブプールは、1個の特定の植物の全ての再生部分が1つのサブプール内に含有されるような様式で、調製され得る。これにより、本発明の一実施形態では、本方法は、下記のステップを含む:
-植物、例えば、穀物粒の種子などの複数の再生部分を用意するステップ;
-種子を変異誘発し、それによりM0世代の種子などの再生部分を得るステップ;
-世代M0の種子などの再生部分を成熟植物へと生育し、成熟植物からの種子などの再生部分を得るステップであって、種子などの再生部分が世代M1の種子である、ステップ;
-任意選択で先のステップをX回繰り返して、世代M(1+X)の種子などの再生部分を含む植物を得るステップ;
-成熟植物から世代M1またはM(1+X)の種子などの再生部分を取得し、それにより種子などの再生部分のプール(例えば、穀物粒のプール)を得るステップ;
-プールをサブプールに分割するステップであって、所与の成熟植物からの種子などの全ての再生部分(例えば、穀物粒)が、同じサブプールに配置される、ステップ。
これらのステップは、一例として大麦を用いて図2に示される。本方法は、図2に示すステップを含み得る。当業者は、類似の原理が他の植物にもあてはまることを理解するであろう。従って、図2に図示されるステップは、任意の顕花植物を使用して実施し得、従って大麦に限定されない。他の変異誘発プロトコルを使用してもよく、これらは、アジ化ナトリウムを用いる変異に限定されない。また、図2に示されるステップは、任意の数の変異された植物を用いて実施し得る。
従って、本方法は、次のステップを含み得る:
-植物、例えば、穀物粒の種子などの複数の植物の再生部分を用意するステップ;
-再生部分を変異誘発し、それにより世代M0の再生部分を得るステップ;
-任意選択で世代M0の再生部分を培養し、成熟植物から種子などの再生部分を得るステップであって、再生部分が世代M1の再生部分である、ステップ;
-任意選択で先のステップをX回繰り返して、世代M(1+X)の再生部分を含む植物を得るステップ;
-世代M0、M1またはM(1+X)の種子などの再生部分を別々の圃場区画で成熟植物へと培養するステップであって、成熟植物の再生部分が再生部分のプールを構成する、ステップ;
-領域を圃場サブ区画に分割するステップ;
-1個の圃場サブ区画の全ての植物の全ての種子などの再生部分を収穫し、それにより「穀物トータル(Grain total)」と呼ばれることもある、再生部分のサブプール(例えば、穀物粒などの種子のサブプール)を得るステップ。
圃場区画で種子などの再生部分を栽培する代わりに、これらは、植物をサブグループに分け、したがってサブプールを得ることができる任意の有用な方法で栽培されてもよい。例えば、再生部分は、それぞれが1種または複数の植物を含む、別々の容器で栽培され得る。種子は温室で栽培されてもよい。
再生部分のプールをサブプールに分割する方法の例は、国際出願PCT/EP2017/065516、特に「WS2:変異された穀類植物由来の穀物の順序付きライブラリーの調製」と題するセクションで提供される。
サブプールの特定
本発明の方法は、種子などの再生部分のプールをサブプールに分割するステップを含む。各サブプールからのDNA試料を次に、調製し、変異を含むDNAを含むサブプールを特定するために使用する。
好ましくは、DNA試料は、(1)各サブプールを複数画分に分割するステップ;(2)全画分からDNA試料を調製するステップ、を含む方法により調製される。
好ましくは各サブプールの画分は、少なくとも2つの画分が理論的に、サブプール中で発現される全ての遺伝子型の植物の再生部分を含むような様式で、調製される。好ましくは、全ての画分が理論上、サブプール中で発現される全ての遺伝子型の再生部分を含む。これは、例えば、サブプールの全ての再生部分を十分に混合し、サブプールを2~10個の範囲の画分、例えば2~6個の範囲の画分、例えば2~4個の範囲の画分にランダムに分割することにより、実現され得る。少なくとも2つの画分がそれぞれ、サブプールの再生部分の、10~50%の範囲、例えば15~50%の範囲、例えば20~50%の範囲を含むことが好ましい。
従って、サブプールは、少なくとも2つの画分、例えば少なくとも3個の画分、例えば少なくとも4個の画分、またはそれを超える画分に分割され得、各画分は理論上、サブプール中で発現される全ての遺伝子型の再生部分を含む。
i.実施例10に記載のように、最適な画分サイズは、植物当りの再生部分の平均数およびGECN数に基づいて計算し得る。従って、一実施形態では、DNA試料がサブプールの再生部分の分画から次のように調製されることが好ましい:各サブプールをランダムに分割し、第1の画分がサブプールの再生部分の(GECN*100/RP)%~(GECN*500/RP)%の範囲を含み;第1の画分が再生部分の多くて50%を含む;
ii.各サブプールの第1の画分全体のDNA試料を調製するステップであって、
RPが成熟植物当りの再生部分の数である、ステップ。
画分の分析、および従って、サブプールの特定は、次のステップを含む:
a)それぞれが1個の画分内の各遺伝子型からのDNAを含む、DNA試料を調製するステップであって、これは、例えば、以下の「DNA試料の調製」のセクションで本明細書に記載されるように実施され得る、ステップ;
b)目的のNOI中の変異の存在を検出するために高感度検出手段を使用するステップ。
ステップa)は特に、DNA(またはRNA)が画分全体から抽出されることを含み得る。
高感度検出手段を用いるステップは、それぞれが複数の区画化PCR増幅を含む、複数のPCR増幅を実施するステップであって、例えば、以下の「複数の区画化PCR増幅を含むPCR増幅」のセクションで本明細書に記載されるように行われる、ステップ;および目的のNOI中に変異を含むPCR増幅産物を検出し、それにより以下の「PCR増幅産物の検出」セクションで本明細書に記載のように実施される、目的の画分、および従って、目的のサブプールを特定するステップを含み得る。
サブプールは、例えば、PCR増幅産物が、PCR増幅の後または増幅中に直接検出され得るNOI中の変異を含む限り、直接的に特定され得る。これは、例えば、PCR増幅産物がNOI中に変異を含む標的配列を含む限り、PCR増幅産物が1つまたは複数の検出可能なシグナルを生じる検出手段を含む場合に行われ得る。そのような検出手段は、以下の「PCR産物の検出」のセクションで本明細書に詳細に記載され、例えば、変異検出プローブであり得る。
1個または複数の特定の変異を含む画分を特定するための方法の一例は、以下のステップを含む:
-サブプールを用意し、各サブプールを複数画分に分割するステップ;
-各サブプールの全画分から試料を調製するステップ;
-試料から、ゲノムDNAまたはmRNAなどの、DNA試料を調製するステップ;
-例えばマイクロタイタープレートで、例えばプレートの個々のウェルで、サブプールの全てからの個々のDNA試料の全てでPCR増幅を行うステップ;
-NOI中に変異を含む試料を選択するステップ。
DNA試料の調製
本発明の方法は、DNA試料を、1個の画分内に含まれる再生部分のそれぞれに対し、個別に調製する必要はない。実際に、全画分がDNA試料を得るために使用されることが好ましく、DNA試料は実際には、画分内に含まれる全ての遺伝子型からのDNAを含むプールされたDNA試料である。DNA試料は、gDNA試料であり得る、またはそれはcDNA、例えば、mRNA試料から当該技術分野において既知のようにして作製されたcDNA試料であり得る。従って、好ましくは方法は、各植物または1個の画分またはサブプールの再生部分について個別のDNA試料を調製するステップを含まない。
本発明の方法は、DNA試料、特にmRNA試料、好ましくはgDNA試料から調製されたgDNAまたはcDNA試料を調製する1つまたは複数のステップを含む。特に、本方法は、全画分からのDNA試料を調製する1つのステップを含み得る。
本発明の方法はまた、二次サブプールからDNA試料を調製するステップも含み得る。
一般に、サブプールのDNA試料は、DNA試料が理論上サブプール内の各遺伝子型からのDNAを含むような様式で調製される。DNA試料は、全画分から調製され得、一方で各遺伝子型の再生部分の生殖の潜在能力は、サブプールの他の画分中で維持される。
従って、各サブプールは一般に、各遺伝子型の2個以上の個別の種子、または再生部分を含み、それにより画分に分割された場合、各画分は、各遺伝子型の2個以上の個別の再生部分を含む。特に、各部分が理論的に、サブプールまたはスーパープールの各遺伝子型を表す再生部分を含むような様式で、サブプールまたはスーパープールを、2~10個の範囲の画分、例えば2~6個の範囲の画分、例えば2、3、または4個の画分にランダムに分割できるために、各サブプールが、各遺伝子型の再生部分の十分な量を含むことが好ましいであろう。
このようにして、サブプールからの再生部分の一部、例えば各サブプールの再生部分の、10~90%の範囲、好ましくは10~50%の範囲、例えば15~50%の範囲、例えば20~50%の範囲を、DNA試料の調製に用い得る。再生部分の一部は、本明細書では「再生部分の試料」とも呼ばれる。サブプールの再生部分の残りは、再生部分の生殖能を維持する条件下で貯蔵されてよい。それは、植物の種子を保存するのに十分であり得る。種子、例えば穀物粒は、任意の乾燥した暗所に貯蔵される場合が多い。
サブプールは好ましくは、本明細書の他の箇所に記載されるような各遺伝子型のいくつかの個々の再生部分を含み、そのため、往々にして、二次サブプールは、ほんのわずかの、場合により1個のみの、個々の各遺伝子型の再生部分を含むことがある。
上記で説明したように、サブプールからDNAを得る場合、通常DNAは、サブプールの全画分から抽出される。しかし、二次サブプールからDNAを得る場合、DNAは、個別の再生部分から得てもよい。試料が個別の再生部分から得られる場合、再生部分の生殖の潜在能力を大きく損なわない様式で試料を得ることが好ましい。従って、DNA試料は、生殖に不可欠ではない、種子などの再生部分の一部を含むまたはそれからなる試料から調製され得る。試料は、種に応じて、例えば生検、切断、穿孔、すりおろし、断裂を使用することによって、または針を備えた注射器を適用することによって、任意の有用な様式で得ることができる。例えば、種が穀類であるいくつかの実施形態では、試料は好ましくは、穀物粒の一部を含み、これは、生殖に不可欠ではない。試料は、例えば、ナイフ、メス、はさみなどの任意の鋭利な器具を使用して穀物の部分を切り取ること、穀粒の一部をすりおろして採取することによる、などの、異なる方法で得ることができ、または穀物に穿孔することにより、得ることができる。後者の場合、試料は、穿孔後に得られる粉末であり得る。
再生部分の画分、または再生部分から得られた試料、またはそれらの一部が利用可能になると(本明細書では集合的に「試料」とも称される)、DNA試料は、任意の有用な方法で試料から調製され得る。上記試料が大きな構造、例えば、種子全体を含有する場合、gDNA試料などのDNA試料を調製するための第1のステップは通常、例えば、圧潰または粉砕などの物理的手段により、試料の含有物をより小さな部分に分割することを含む。DNA試料を調製する方法は通常、細胞および/または組織を、例えば、洗浄剤により、酵素(例えば、リチカーゼ)により、超音波により、またはそれらの組み合わせにより、破壊し、それにより粗溶解物を生成するステップを含む。上記溶解物は、任意の有用な手段により、いずれかの残存する壊死組織片から分離され得る。粗溶解物は、gDNA試料を含むDNA試料を構成し得る。あるいは、DNA、例えばcDNA試料を得るために使用されるgDNAまたはmRNAは、例えば選択的マトリックスへの結合、遠心分離、勾配遠心分離および/または沈殿(例えば、塩、アルコールまたは磁気ビーズなどの沈殿剤を使用すること)によりDNAを溶解物の残りから分離することにより、さらに精製され得る。このような分離の前に、タンパク質および/または核タンパク質を含む溶解物の他の成分は、例えば酵素および/または変性剤の使用により、変性または破壊され得る。他のRNA含有分子は、例えば酵素の助けにより除去され得る。cDNA試料またはgDNA試料などのDNA試料を調製するための有用な方法は、例えば、Sambrook et al.,Molecular Cloning-Laboratory Manual,ISBN 978-1-936113-42-2に記載される。
高感度検出手段
本発明の方法は、核酸配列を検出する手段、好ましくは高感度検出手段を用いて、サブプールの画分を特定する、および従って対応する目的のサブプールを特定するステップを含む。用語「高感度検出手段」は、変異体生物の遺伝子型が非変異体生物の遺伝子型と多くて1個のヌクレオチドだけ異なるような場合であっても、少なくとも300個の生物のライブラリー中の1個の変異体生物の検出を可能にするような検出手段を指す。好ましくは、検出手段は、変異体ゲノムが299個の他のゲノムとは1個のみのヌクレオチドだけ異なる場合であっても、300個のゲノムのライブラリー中の1個の変異体ゲノムの検出を可能にするのに十分に好感度である。いくつかの実施形態では、検出手段は、少なくとも300個の植物などの生物のライブラリー中の1個の植物などの変異体生物、例えば少なくとも400個の生物のライブラリー中の1個の変異、例えば少なくとも500個の生物のライブラリー中の1個の変異、例えば少なくとも600個の生物のライブラリー中の1個の変異、例えば少なくとも700個の生物のライブラリー中の1個の変異、例えば少なくとも800個の生物のライブラリー中の1個の変異、例えば少なくとも900個の生物のライブラリー中の1個の変異、例えば少なくとも1,000個の生物のライブラリー中の1個の変異、例えば少なくとも1,100個の生物のライブラリー中の1個の変異、例えば少なくとも1,200個の生物のライブラリー中の1個の変異、例えば少なくとも1,300個の生物のライブラリー中の1個の変異、例えば少なくとも1,400個の生物のライブラリー中の1個の変異、例えば少なくとも1,500個の生物のライブラリー中の1個の変異、例えば少なくとも1,600個の生物のライブラリー中の1個の変異、例えば少なくとも1,700個の生物のライブラリー中の1個の変異、例えば少なくとも1,800個の生物のライブラリー中の1個の変異、例えば少なくとも1,900個の生物のライブラリー中の1個の変異、例えば少なくとも2,000個の生物のライブラリー中の1個の変異、例えば少なくとも2,500個の生物のライブラリー中の1個の変異、例えば少なくとも3,000個の生物のライブラリー中の1個の変異、例えば少なくとも4,000個の生物のライブラリー中の1個の変異、例えば少なくとも5,000個のまたはそれを超える生物のライブラリー中の1個の変異の検出を可能にする。
例えば、高感度検出手段は、少なくとも1,000個中の1個の検出感度、例えば1,000~10,000個の範囲中の1個の検出感度、例えば1,000~5,000個の範囲中の1個の検出感度を有する。
例えば、本発明の方法は、それぞれが1個の画分からの、すなわち1個の画分中に存在する全ての再生部分からのDNA試料を含み(例えば、上記のセクションに記載されるように調製される)、それにより標的配列を増幅するステップを含み得る。各PCR増幅は、それぞれが、DNA試料の一部、標的配列に隣接する1つまたは複数のプライマーセット、およびPCR試薬を含む複数の区画化PCR増幅を含み得る。
RNアーゼH2依存性PCR(rhPCR)は、酵素切断により活性化される単一リボヌクレオチド残基を含むブロックプライマーを組み込むことによりPCRの特異性を改善し得る。特に、rhPCRのためのブロックプライマーは、標的に完全ハイブリダイゼーション後にRNアーゼH2により切断を誘導する単一リボヌクレオチド残基を含む。切断は、RNA塩基の5’側で起こり、このため3’ブロッキング部分と一緒にRNA塩基を放出し、標的DNAフラグメントの選択的増幅を可能にする。テール配列は、アンプリコンに組み込まれて、5’ヌクレアーゼアッセイベースレポーター系の使用をrhPCRと組み合わせることができる。いくつかの実施形態では、PCR反応は、例えば実施例2に記載のように、rhPCR反応である。
別の例では、Cas12aのようなトランス切断活性を有するCasヌクレアーゼを、高感度検出手段として利用できる(Chen et al.,2018)。近年、複合試料中のヌクレオチド置換を検出できる、いくつかのトランス切断活性を有するCasヌクレアーゼが報告された。この方法は、分子(このケースではCas12aヌクレアーゼ)をDNAまたはRNAの特異的ストレッチに誘導するCRISPRの能力を利用する。CRISPR分子は、NOIを含む標的配列に特異的であるように設計できる。NOIを含む標的配列への結合時に、Cas12aは、特異的RNAまたはDNA鎖を切断する。Cas9のような従来のCRISPR結合ヌクレアーゼとは異なり、Cas12aはまた、そのヌクレアーゼに近接する単鎖DNAまたはRNA分子の切断を開始する。ここでは、単鎖DNAまたはRNA鎖、蛍光マーカーで標識されたレポーター分子およびクエンチャーが、Cas12aトランス切断のための基質として利用される。この実施例では、CRISPR-Cas12aは、NOIのみを含むDNAまたはRNA配列に特異的に結合し、近接するレポーター分子の切断を開始する。レポーター分子の切断は、フルオロフォアを放出し、NOIを含むDNAまたはRNA分子の存在を知らせる。反応がNOI不含の標的配列を含むのみである場合、CRISPR-Cas12a複合体は、標的に結合せず、従ってレポーター分子のトランス切断を開始せず、それは消光されたままである。
複数の区画化PCR増幅を含む全PCR反応は、多数の異なる方法で調製され得る。一実施形態では、複数の区画化PCR増幅を含むPCR増幅は、デジタルPCR(dPCR)増幅として行うことができる。当業者に既知のいずれかのdPCR増幅を、本発明で使用し得る。一般に、複数の区画化PCR増幅を含む少なくとも1回のdPCR増幅が、調製された各DNA試料について行われる。従って、複数の区画化dPCR増幅を含む少なくとも1回のdPCR増幅が、各サブプールの画分毎に行われる。
一般に、区画化dPCR増幅は、下記のステップを含む方法で行われる:
-DNA試料、標的配列に隣接するプライマーセットおよびPCR試薬を含むdPCR増幅を準備するステップ;
-試料中の核酸分子が局在化され複数の空間的に分離された区画内に濃縮されるように、dPCR増幅を区画化するステップ;
-dPCR増幅を実施するステップ;
-dPCRベースの増幅産物を検出するステップ。
DNA試料は、mRNA試料から得られたgDNA試料またはcDNAであり得る。いくつかの実施形態では、試料はgDNA試料である。
上記の分離された区画は、そこでPCR増幅を実施できる任意の別個の区画であり得る。例えば、それはプレートのウェル、例えば、マイクロウェルプレートまたはマイクロタイタープレートのウェルであってよく、それはマイクロ流体チャンバであってよく、それは毛細管であってよく、エマルションの分散相であってよく、またはそれは液滴もしくは小型化チャンバアレイの小型化チャンバであってよい。分離された区画はまた、固体支持体上の別々のスポット、例えば別々の核酸結合表面であってもよい。
DNA試料が区画化dPCR増幅のために試料中にランダムに分布されることが、一般的には好ましい。各区画化dPCR増幅が標的配列を含む少数の核酸のみを含むことも、好ましい。ランダム分布の性質により、各区画化dPCR増幅に含まれる核酸分子の数にある程度の変化があり得る。一実施形態では、各区画化dPCR増幅は、平均して、標的配列を含む最大で10個の、例えば最大で5個の核酸分子を含む。
本発明の1つの好ましい実施形態では、複数の区画化PCR増幅を含むdPCR増幅は、液滴デジタルポリメラーゼ連鎖反応(ddPCR)である。ddPCRは、水-油エマルション液滴技術に基づくdPCRを実施する方法である。PCR増幅は複数の微小液滴に分画され、標的配列のPCR増幅がそれぞれ個々の液滴で起こる。一般に、ddPCR技術は、従来のPCRを実施するために使用されるものと類似のPCR試薬およびワークフローを使用する。これにより、PCR増幅の区画化は、ddPCR技術の重要な側面である。
したがって、区画化ddPCR増幅は、例えば、エマルション組成物、または2種以上の非混和性流体の混合物(例えば、米国特許第7,622,280号に記載される、または以下の本明細書の実施例に記載されるようなもの)を含み得る、液滴中に含有され得る。液滴は、国際公開第2010/036352号に記載されるデバイスにより生成できる。特に、液滴は、液滴発生器、例えば、Bio-Rad Laboratories、USA(以下、Bio-Radと略記する)から入手可能なQX200 Droplet Generatorを用いて調製できる。エマルションという用語は、本明細書で使用される場合、不混和性液体(油と水など)の混合物を指し得る。エマルションは、例えばHindson et al.(2011)に記載のような、例えば、油液滴中の水であり得る。エマルションは従って、連続油相内に水性液滴を含み得る。エマルションはまた、水中油エマルションであり得、液滴は、連続水性相中の油滴である。本明細書で使用される液滴は通常、区画間の混合を防止するように設計され、個々の区画の含有物の蒸発を防ぐだけではなく、他の区画の含有物との混合を防ぐ。従って、各液滴は、空間的に分離された区画とみなすことができる。
ddPCR用の各液滴は、任意の有用な体積を有し得る。しかしながら、好ましくは、液滴は、nL範囲の体積を有する。従って、液滴体積は平均して0.1~10nLの範囲であることが好ましい。
マイクロチャネルクロスフロー集束または物理的攪拌を使用してエマルション液滴を製造するマイクロ流体法は、単分散または多分散エマルションのいずれかを生成することが知られている。液滴は、単分散液滴であってよい。また、液滴は、それらのサイズが液滴の平均サイズの±5%を超えて変化しないように、生成できる。場合によっては、液滴は、液滴のサイズが液滴の平均サイズの±2%だけ変化するように、生成される。
より高い機械的安定性は、マイクロ流体操作および高剪断流体処理(例えば、マイクロ流体毛細管中または流体経路の弁などの90°旋回部を通る処理)において、有用であり得る。熱処理前後の液滴またはカプセルは、標準的なピペット操作および遠心分離に対して機械的に安定であり得る。
液滴は、水性試料を通して油相を流すことにより形成できる。水相は、PCR増幅、例えばDNA試料、標的配列に隣接するプライマーのセットおよび以下の本明細書で「PCR試薬」のセクションに記載される任意のPCR試薬などの、PCR試薬を含むPCR増幅における成分を含むか、またはそれからなり得る。
油相は、過フッ素化ポリエーテルなどのフッ素化界面活性剤と組み合わせることにより追加的に安定化され得る、フッ素化基油を含み得る。場合によっては、基油は、HFE7500、FC-40、FC-43、FC-70、または他の一般的なフッ素化油の1種または複数であってよい。場合によっては、陰イオン性界面活性剤は、Ammonium Krytox(Krytox-AM)、Krytox FSHのアンモニウム塩、またはKrytox-FSHのモルホリノ誘導体である。
油相は、蒸気圧、粘度または表面張力などの油特性を調整するための添加剤をさらに含んでよい。非限定的な例としては、ペルフルオロオクタノールおよび1H、1H、2H、2H-ペルフルオロデカノールが挙げられる。油相は、液滴生成油、例えば、Bio-Radから入手可能なDroplet Generation Oilであり得る。
エマルションは、加熱することにより固体様の界面フィルムを有するマイクロカプセルに変換できる液体様の界面フィルムを有する高度に単分散の液滴を生成するように配合でき、そのようなマイクロカプセルは、PCR増幅などの、反応プロセスを通してその内容物を保持するバイオリアクターとして挙動し得る。マイクロカプセル型への変換は、加熱の際に起こり得る。例えば、このような変換は、50、60、70、80、90、または95℃を超える温度で起こり得る。場合によっては、この加熱はサーモサイクラーを用いて起こる。加熱プロセスの間に、蒸発を防ぐために流体または鉱物油オーバーレイを使用できる。
場合によっては、液滴は、Bio-Rad QX100(商標)Droplet GeneratorまたはBio-Rad QX200(商標)Droplet Generatorなどの、市販の液滴発生器を使用して生成される。ddPCRおよびその後の検出は、Bio-Rad QX100またはQX200(商標)Droplet Readerなどの、市販の液滴リーダーを用いて実行され得る。
各PCR増幅は、任意の適切な数の区画に区画化できる。しかしながら、好ましい一実施形態では、各PCR増幅は、1,000~100,000個の範囲の区画(例えば液滴)に区画化される。例えば、各PCR増幅は、10,000~50,000個の区画(例えば液滴)の範囲に区画化され得る。例えば、各PCR増幅は、15,000~25,000個の区画(例えば液滴)の範囲に区画化され得る。さらに、各PCR増幅は、約20,000個の区画(例えば液滴)に区画化され得る。
サブプールの組織化
サブプールの特定のステップの前に、本発明の方法はまた、目的の変異を含む種子などの再生部分を含むサブプールの特定を容易にする、サブプールを組織化するステップを含み得る。
例えば、いくつかのサブプールからのDNA試料の画分は、「スーパープール」に組み合わされ得る。目的の変異を含むDNAを含むスーパープールはその後、極めて高感度の検出手段を用いて特定され得る。後で、目的の変異を有するDNAを含む、スーパープール中に含まれるサブプールのみが、試験されることになる。スーパープールの調製および試験のための有用な方法は、国際公開第2018/001884号に記載される。
別の例では、サブプールは多次元的なグリッド中に配置され、サブプールのスーパープールは各次元で調製される。これは、例として2次元グリッドを用いて、最も容易に説明される。各サブプールのグリッド中の座標を(x,y)とする。座標Xを有する全てのサブプールのDNA試料の画分がプールされ、目的の変異を含むDNAの存在が試験される。同様に、座標Yを有する全てのサブプールのDNA試料の画分がプールされ、目的の変異を含むDNAの存在が試験される。与えられた座標Xおよび与えられた座標Y由来のDNA試料を含むスーパープールが目的の変異を有するDNAを含むと特定されると、上記のDNAを含むサブプールは、その座標XおよびYを基準にして特定できる。当業者は、類似の系を、2次元だけでなく、複数の次元を用いて作製できることを理解するであろう。
従って、各サブプールの目的の変異を含むDNAの存在を試験するのではなく、サブプール群が一緒に試験できるようにサブプールが構成されることも、本発明の方法に含まれる。試験は、例えば、本明細書で記載のいずれかの高感度検出手段を用いて実施され得る。
PCR試薬
いくつかの実施形態では、本方法は、数回のPCR増幅を実施することを包含し、これらのPCRの少なくともいくつかは、複数の区画化PCR増幅を含み得る。
上記PCRが区画化PCR増幅を含むか否かにかかわらず、PCR増幅は一般に、DNA試料、標的配列に隣接するプライマーのセットおよびPCR試薬を含む。上記PCR試薬は、本明細書のこのセクションで記載されるPCR試薬のいずれかであり得る。
PCR試薬は、一般に、少なくともヌクレオチドおよび核酸ポリメラーゼを含む。ヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド三リン酸分子であってよく、好ましくはPCR試薬は、少なくともdATP、dCTP、dGTPおよびdTTPを含む。場合によっては、PCR試薬はまた、dUTPも含む。
核酸ポリメラーゼは、ヌクレオチドの鋳型依存性重合、すなわち複製を触媒できる任意の酵素であり得る。核酸ポリメラーゼ、はPCR増幅に使用される温度に耐える必要があり、かつそれは伸長温度で触媒活性を有する必要がある。いくつかの熱安定性核酸ポリメラーゼが、当業者に既知である。
本発明のいくつかの実施形態では、核酸ポリメラーゼは、5'-3'ヌクレアーゼ活性を有し、これによりTaqMan(登録商標)プローブによる増幅反応に使用できる。
核酸ポリメラーゼは、大腸菌(Escherichia coli)のDNAポリメラーゼIであり得る。核酸ポリメラーゼはまた、5'-3'エキソヌクレアーゼ活性に代わるDNA合成依存性鎖を有するTaq DNAポリメラーゼであり得る。5'-3'ヌクレアーゼ活性を有する他のポリメラーゼは、限定されないが、rTth DNAポリメラーゼを含む。例えば、New England Biolabsから入手されるTaq DNAポリメラーゼとしては、Crimon LongAmp(登録商標)Taq DNAポリメラーゼ、Crimson Taq DNAポリメラーゼ、Hemo KlenTaq(商標)、またはLongAmp(登録商標)Taqを挙げることができる。
場合によっては、核酸ポリメラーゼは、例えば、E.coli DNAポリメラーゼ、E.coli DNAポリメラーゼIのクレノーフラグメント、T7 DNAポリメラーゼ、T4 DNAポリメラーゼ、Taqポリメラーゼ、Pfu DNAポリメラーゼ、Vent DNAポリメラーゼ、バクテリオファージ29、REDTaq(商標)、ゲノムDNAポリメラーゼ、またはシーケナーゼであってよい。DNAポリメラーゼは、例えば、米国特許出願公開第20120258501号に記載される。
加えて、PCR試薬は、塩、緩衝液および検出手段を含み得る。緩衝液は、任意の有用な緩衝液、例えば、TRISであってよい。塩は、任意の有用な塩は、例えば、塩化カリウム、塩化マグネシウムまたは酢酸マグネシウムもしくは硫酸マグネシウムであってよい。
PCR試薬は、BSA、ウシの皮膚由来のゼラチン、β-ラクトグロブリン、カゼイン、ドライミルク、サケ精子DNAまたは他の一般的なブロッキング剤などの、非特異的ブロッキング剤を含み得る。
PCR試薬はまた、バイオ防腐剤(例えば、NaN)、PCRエンハンサー(例えばベタイン、トレハロースなど)および阻害剤(例えば、RNase阻害剤)も含み得る。他の添加剤は、ジメチルスルホキシド(DMSO)、グリセロール、ベタイン(モノ)-水和物、トレハロース、7-デアザ-2'-デオキシグアノシン三リン酸(7-デアザ-2'-dGTP)、ウシ血清アルブミン(BSA)、ホルムアミド(メタンアミド)、塩化テトラメチルアンモニウム(TMAC)、他のテトラアルキルアンモニウム誘導体[例えば、テトラエチルアンモニウムクロリド(TEA-Cl)];テトラプロピルアンモニウムクロリド(TPrA-Cl)または非イオン洗浄剤,例えばトリトンX-100、ツイーン20、ノニデットP-40(NP-40)またはPREXCEL-Qを含み得る。
さらに、PCR試薬はまた、NOI中に変異を含むPCR増幅産物の検出のための1つまたは複数の手段も含み得る。上記手段は任意の検出可能な手段であってよく、それらは個々の化合物として添加されてよく、またはプライマーの1つに組み込まれても、あるいは共有結合されてもよい。検出可能な手段は、限定されないが、染料、放射性化合物、生物発光化合物および蛍光化合物を含む。好ましい実施形態では、検出手段は、1個または複数のプローブである。従って、PCR試薬は、1個または複数の検出プローブ、例えば、以下の本明細書の「PCR増幅産物の検出」のセクションに記載されるプローブのいずれかを含むことが好ましい。
標的配列に隣接するプライマー
本発明の方法は、標的配列に隣接する1つまたは複数のプライマーセットの使用を含む。標的配列に隣接する別個の「プライマーのセット」は、標的配列の5'末端と同一の配列を含む1つのプライマー(「フォワードプライマー」とも称される)、および標的配列の3'末端に相補的な配列を含む1つのプライマー(「リバースプライマー」とも称される)を含む。プライマーセットは、標的配列の増幅を可能にする条件下で、標的配列およびPCR試薬を含む核酸と共にPCRに添加されると標的配列を増幅できる。異なるプライマーのセットが本発明の異なるステップのPCR増幅のために使用されることも可能であるが、同じプライマーセットを、本発明による方法の全てのPCR増幅に使用し得る。
標的配列の5'末端と同一の配列に加えて、フォワードプライマーは、追加の配列を含み得る。同様に、標的配列の3'末端に相補的な配列に加えて、リバースプライマーは、追加の配列を含み得る。例えば、プライマーは5'末端に、標的核酸とハイブリダイズしないが、プライマーまたはPCR増幅産物の取り扱い、例えば、産物の検出を容易にする、追加の核酸配列を含有できる。
フォワードプライマーおよびリバースプライマーの長さは、標的配列の配列に依存し得る。例えば、プライマーの長さは、プライマーの望ましい融解温度Tを達成するように調節できる。これにより、フォワードプライマーおよびリバースプライマーの長さは、個々に、10~100個のヌクレオチドの範囲、例えば10~50個のヌクレオチドの範囲、15~20個のヌクレオチドの範囲など、15~25個のヌクレオチドの範囲など、15~30個のヌクレオチドの範囲など、15~40個のヌクレオチドの範囲など、15~45個のヌクレオチドの範囲などの、15~50個のヌクレオチドの範囲の長さであってよい。フォワードプライマーおよびリバースプライマーのTは典型的には、40~70℃の範囲に調整される。
PCR増幅の水相中のプライマー濃度は、例えば、0.05~2.0μMの範囲、0.1~1.0μMの範囲など、0.2~1.0μMの範囲など、0.3~1.0μMの範囲など、0.4~1.0μMの範囲など、または0.5~1.0μMの範囲であってよい。
フォワードプライマーおよびリバースプライマーは一般に、オリゴヌクレオチドを含むか、あるいはオリゴヌクレオチドからなる。しかしながら、場合によっては、プライマーは、ヌクレオチド類似体を含み得る。多数のヌクレオチド類似体が当業者に既知であり、誘導体を含み、糖が、2'-O-メチル、2'-デオキシ-2'-フルオロおよび2',3'-ジデオキシヌクレオシド誘導体、スレオース、ロックト核酸(LNA)、LNA誘導体、ペプチド核酸(PNA)、グリコール核酸(GNA)、トレオース核酸(TNA)、ビシクロ糖、またはヘキソース、グリセロールおよびグリコール糖、非イオン主鎖に基づく核酸類似体、もしくはデンドリマー、くし型構造、およびナノ構造などの非線形トポロジーにおける核酸およびその類似体などの他の糖主鎖に基づく核酸類似体でのように、修飾される。
プライマーはまた、任意にそれらの末端、糖、または核酸塩基に結合できる、様々なタグ(例えば、蛍光タグ、官能化タグまたは結合タグ)に連結され得る。
プライマーは、限定されないが、適切な配列のクローニングおよび当該分野で周知の方法[Narang et al.,Methods Enzymol.68:90(1979)、Brown et al.,Methods Enzymol.68:109(1979)]を用いた直接化学合成を含む、様々な方法により調製できる。プライマーはまた、市販品入手源から入手することもできる。
フォワードプライマーおよびリバースプライマーは、同一の融解温度または類似の融解温度、例えば、±5℃の融解温度を有してよい。プライマーの長さは、所望の融解温度を有するプライマーセットを作製するために、5'および/または3'末端で延伸また短縮できる。したがって、プライマー対のプライマーの一方は、他方のプライマーよりも長くてよい。
プライマーは、融解温度に基づいて設計され得る。25bpより小さいプライマーの融解温度を決定するための式は、Wallace則[T=2x(A+T)+4x(G+C)]として知られている。ここで、Tは、50%のオリゴヌクレオチドおよびその完全なフィルター結合補体が二本鎖構造である、特定の塩濃度での温度である。典型的には、Tは0.9MのNaCl中で測定される。しかしながら、他の考慮すべきこと、例えばその予測される二次構造、もまた、プライマーを設計するとき重量である。いくつかのコンピュータプログラムおよびオンラインサービスが、プライマーの設計のために利用可能である。
一実施形態では、プライマーのセットは、プライマーがNOI中に変異を含む標的配列を特異的に増幅できるが、参照NOIを含む標的配列を増幅することができない様式で設計できる。これは、例えば、変異を含むNOIと同一の配列を含むようにフォワードプライマーを設計することによって、達成でき、および/またはそれは、変異を含むNOIに相補的な1個または複数の配列を含むようにリバースプライマーを設計することにより行うことができる。
他の実施形態では、プライマーのセットは、プライマーが参照NOIを含む標的配列を特異的に増幅できるが、NOI中に変異を含む標的配列を増幅することができない様式で設計できる。これは、例えば、参照NOIと同一の配列を含むようにフォワードプライマーを設計することにより、および/または参照NOIに相補的な配列を含むリバースプライマーを設計することにより達成できる。
しかしながら、本発明のいくつかの実施形態では、プライマーのセットは、NOI中に変異を含む標的配列および参照NOIを含む標的配列の両方を増幅できる。
本発明の方法が、2つ以上のプライマーのセット、例えば2つのプライマーのセット、例えば3つのプライマーのセット、例えば2~10個のプライマーのセットを有するPCR増幅を含むことは、注目に値する。これにより、各PCR増幅は、異なる標的配列に隣接するいくつかのプライマーセットを含み得る。これは、1回のPCR増幅の間に2個以上の異なる変異の検出を可能にする。
PCRがrhPCRであるいくつかの実施形態では、PCR反応は好ましくは、単一リボヌクレオチド残基を含むブロックプライマーの存在下で実施される。このようなブロックプライマーは、標的DNAに対する完全なハイブリダイゼーション後にRNアーゼHE2による酵素切断により活性化される。切断は、RNA塩基の5’側で起こり、このため3’ブロッキング部分と一緒にRNA塩基を放出し、標的DNAフラグメントの選択的増幅を可能にする。テール配列は、アンプリコンに組み込まれて、5’ヌクレアーゼアッセイベースレポーター系の使用をrhPCRと組み合わせることができる。
PCR産物の検出
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、対象のNOI中に変異を含む標的配列を含むPCR増幅産物を検出するステップを含む。PCR増幅産物は、任意の有用な手段により検出され得る。
上記のように、変異は、1個のみまたは少数のヌクレオチド~多数のヌクレオチドを含む、置換、欠失および/または挿入であり得る。従って、検出は、NOIにより特定される特定の変異に適合され得る。
いくつかの実施形態では、プライマーのセットは、プライマーが、NOI中の変異を含む標的配列を特異的に増幅できるが、参照NOIを含む標的配列を増幅できない様式で設計される。他の実施形態では、プライマーのセットは、これらが特異的に参照NOIを含む標的配列を増幅できるが、NOI中に変異を含む標的配列を増幅できない様式で設計できる。そのような実施形態では、検出は単に、PCR増幅産物の存在または不在の検出に基づき得る。これは、特に、変異がより多数のNOIの変異である、本発明の実施形態の場合であり得る。
好ましい実施形態では、PCR増幅産物は、検出プローブの助けを借りて検出される。これは、特に、変異が、より少数のNOIの変異、例えば1個または複数の点変異である場合であり得る。
検出プローブは、変異を含むNOIと同一の配列を含むオリゴヌクレオチドであり得る。加えて、プローブは通常、NOIに隣接する標的配列の領域と同一の配列も含む。同様に、検出プローブは、変異を含むNOIに相補的な配列を含むオリゴヌクレオチドであってよく、加えてプローブは、NOIに隣接する標的配列の領域に相補的な配列を含んでもよい。NOIに隣接する領域は、それぞれ、NOIの5'および/または3'にすぐ近くの配列であってよい。そのようなプローブは好ましくは、NOI中に変異を含むPCR増幅産物にアニールするが、参照NOIを含むPCR増幅産物にはアニールしない。そのような検出プローブは、本明細書で「変異体検出プローブ」とも呼ばれる。変異体検出プローブは典型的には、10~30個の範囲のヌクレオチドを含む。特に、変異体検出プローブは、NOI中に変異を含む標的配列と同一のまたは相補的な、10~30個のヌクレオチドの範囲の連続した配列を含み得る。
検出プローブはまた、参照NOIと同一の配列を含むオリゴヌクレオチドであってもよい。加えて、プローブはまた、NOIに隣接する標的配列の領域と同一の配列も含む。同様に、検出プローブは、参照NOIに相補的な配列を含むオリゴヌクレオチドであってよく、加えてプローブはまた、NOIに隣接する標的配列の領域に相補的な配列を含んでもよい。そのようなプローブは好ましくは、参照NOIを含むPCR増幅産物にアニールするが、NOI中に変異を含むこれらの増幅産物にはアニールしない。そのような検出プローブは、本明細書で「参照検出プローブ」とも呼ばれる。参照検出プローブは典型的には、10~30個の範囲のヌクレオチドを含む。特に、参照検出プローブは、参照NOIを含む標的配列と同一であるかまたは相補的である10~30個のヌクレオチドの範囲の連続した配列を含み得る。
いくつかの実施形態では、PCR試薬は、変異体検出プローブおよび参照検出プローブからなるプローブのセットを含む。「プローブのセット」は好ましくは、標的配列の増幅を可能にする条件下で、標的配列、PCR試薬およびプライマーのセットを含む核酸とともにPCR増幅に添加されるとNOIにおける結合部位について競合できる。上記のように、検出プローブは典型的には、オリゴヌクレオチドである。特に、それらは、一本鎖DNAの短いヌクレオチドストレッチであり得る。検出プローブは、限定されないが、レポーター、色素、放射性化合物、生物発光化合物、蛍光化合物およびフルオロフォア/クエンチャー対を含む、検出可能な手段に組み込まれてよく、あるいはさらに共有結合されてよい。
いくつかの実施形態では、検出プローブの最も5'側のヌクレオチドは、Gではない。これにより、変異検出プローブは、オリゴヌクレオチドを含んでよく、最も5'側のヌクレオチドは、Gではない。同様に、参照検出プローブはオリゴヌクレオチドを含んでよく、最も5'側のヌクレオチドは、Gではない。
本発明の方法は、変異体検出プローブおよび参照検出プローブの両方の使用を含み得る。このような場合、好ましくは、プローブは、例えば、プローブの1つが検出可能な手段に組み込まれているか、または共有結合されており、一方で他方のプローブが会合または共有結合されないように、差次的に標識される。両方のプローブが検出可能な手段に組み込まれる、または共有結合され、検出可能な手段が異なる、ということも可能である。
一実施形態では、参照検出プローブは、5'末端でフルオロフォアにより標識され、3'末端でクエンチャーにより標識される。フルオロフォアおよびクエンチャーは、例えば、それぞれ、HEXおよびブラックホールクエンチャーであり得る。一実施形態では、変異体検出プローブは、5'末端でフルオロフォアにより標識され、3'末端でクエンチャーにより標識される。フルオロフォアおよびクエンチャーは、例えば、それぞれ、FAMおよびブラックホールクエンチャーであり得る。
PCR反応は、類似の量の変異体検出プローブおよび野生型検出プローブを含み得る。しかしながら、いくつかの実施形態では、過剰の変異体検出プローブを用いることが好ましい場合がある。これは、特に、スーパープールでのPCR増幅後のPCR産物を検出する場合であり得る。このような場合、PCR反応は、参照検出プローブと比較して少なくとも2倍、より好ましくは少なくとも4倍過剰の変異体検出プローブを含み得る。
いくつかの実施形態では、検出プローブは、核酸ポリメラーゼの5’エキソヌクレアーゼ活性を利用する、TaqMan(登録商標)プローブである(Heid et.al、1996)。これが、PCR試薬が5'エキソヌクレアーゼ活性を有する核酸ポリメラーゼ(例えば、Taqポリメラーゼ)を含むのが好ましい理由である。典型的には、TaqMan(登録商標)プローブは、上記のような変異体検出プローブ、または上記のような、フルオロフォア/クエンチャー対に共有結合した参照検出プローブのいずれかであり得る。これにより、プローブは、通常5'塩基またはその近くにフルオロフォアを含有し得る。加えて、TaqMan(登録商標)プローブは、3'塩基またはその近くにあり得、フルオロフォアの蛍光を消光できる、クエンチャーを含み得る[Tyagi et al.,(1998)を参照されたい]。照射されると、励起されたフルオロフォアは、蛍光発光[フォルスター共鳴エネルギー転移または蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)]ではなく、近くのクエンチャーにエネルギーを伝達する。従って、フルオロフォアおよびクエンチャーの近接は、プローブが無傷である間、何らかの蛍光の放出を防ぐことができる。しかしながら、TaqMan(登録商標)プローブが標的配列の内部領域にアニールし、かつポリメラーゼが、その上にTaqMan(登録商標)プローブが結合された鋳型を複製するとき、その5’エキソヌクレアーゼ活性は、プローブを切断できる。この一連のイベントは、消光(すなわち、FRET無し)の機能性を廃止し、フルオロフォアは、任意の有用な手段により測定できる、蛍光を放出し始める。
注目すべきことに、上記で強調したように、本発明には、2個以上の異なる変異を特定するために本方法が使用され得ることもまた、含まれる。これは、上記のようなプライマーの複数のセットを使用することにより達成され得る。しかしながら、これは、いくつかの異なる検出プローブを使用することによっても達成され得る。これにより、一実施形態では、本方法は、標的配列中のNOI内の2個以上の異なる変異を特定するために使用され得る。そのような実施形態では、PCR試薬は、参照検出プローブおよびいくつかの変異検出プローブを含んでよく、各変異検出プローブは、変異の1個と同一のまたは相補的な配列を有するオリゴヌクレオチドを含む。好ましくは、参照検出プローブおよび変異検出プローブは、異なる検出手段に連結される。全ての変異検出プローブは、同じ検出手段に、または類似の検出手段にまたは異なる検出手段に連結されてよい。
場合によっては、検出プローブは分子標識(MB)、すなわち、自己ハイブリッド形成(「ステム」とも呼ばれる)が可能な相補配列を含むプローブであり、「ヘアピンループ」構造を生じる。MBのループは、変異体または参照NOIのいずれかであるNOIに相補的な配列、または同一である配列を含有し得る。さらに、MBは典型的には、プローブがそれ自身にハイブリダイズしたとき、それらが互いに近位になるように、MBのいずれかの末端に位置するフルオロフォアおよびクエンチャーを含む。MBは、上記のような変異体検出プローブまたはフルオロフォア/クエンチャー対およびMBの相補領域を提供するステム配列に共有結合された上記の参照検出プローブのいずれかであってよい。MBを作成し使用する標準的な方法に関するさらなる詳細は、文献中に十分に確立されており、MBは、多数の市販試薬源から入手可能である。
場合によっては、プライマー/プローブが使用され、場合によっては、プライマー/プローブは、Scorpions(商標)プローブであり、これは、プローブがフォワードプライマーまたはリバースプライマーのいずれかとして機能する付着されたセグメントも有することを除き、MBに類似のFRETベースのステムループ検出機構を提供できる(Whitcombe et al.,(1999);米国特許第6,326,145号)。 Scorpions(商標)プローブは、フルオロフォアが消光された非ハイブリダイズ状態でステムループ構造を維持できる。Scorpions(商標)プローブは、長い多成分構造、例えば5'フルオロフォア、次いで標的特異的ステムループ部分、次いでクエンチャー、次いでブロッカー[例えば、ヘキセレングリコール(HEG)]、および最終的に3’プライマー配列を有し得る。ブロッカーは、プローブ上への産物の逆方向伸長を防ぐことができる。
場合によっては、プライマー/プローブは、増幅中に伸長されるヘアピンプローブに付着されたプライマーを含む、Sunrise(商標)プローブである。この配置は、内部クエンチャーを5’末端フルオロフォアから分離できる(Nazarenko et al.,(1997))。
検出プローブは、任意の有用な長さ、例えば、長さが10~60個のヌクレオチドの範囲であってよい。オリゴヌクレオチドプローブはまた、10~30個ヌクレオチド長の範囲であってよい。オリゴヌクレオチドプローブの正確な配列および長さは、それが結合する標的ポリヌクレオチドの性質に一部は依存し得る。結合位置および長さは、特定の状況に対して適切なアニーリングおよび溶融特性を達成するように変更できる。例えば、検出プローブは、フォワードプライマーおよび/またはリバースプライマーと同じ範囲、例えば±5℃以内などの、±10℃以内の融解温度を有するように設計されてよい。
検出プローブの3'末端ヌクレオチドは、核酸ポリメラーゼにより、ブロックされるか、または伸長不能にされ得る。このようなブロッキングは、連結部分によりオリゴヌクレオチドプローブの末端3'塩基へフルオロフォアまたはクエンチャーのいずれかを通して、検出可能な手段を付着することにより、都合よく実行できる。
以下に例示されるように、フルオロフォア-クエンチャー対を選択するための方法を含む、有用なフルオロフォア-クエンチャー対を記載している文献中に実用的なガイダンスが多数存在する:
-Clegg,Meth.Enzymol.,211:353-388(1992);Wo et al.,Anal.Biochem.,218:1-13 (1994);Pesce et al.,editors,Fluorescence Spectroscopy(Marcel Dekker,New York,1971);White et al.,Fluorescence Analysis:A Practical Approach(Marcel Dekker,New York,1970);など、
-文献はまた、蛍光および発色性分子の包括的リストおよびレポーター-クエンチャー対を選択するためのそれらの関連する光学特性を提供する文献を含む(例えば、Berlman,Handbook of Fluorescence Spectra of Aromatic Molecules,2nd Edition(Academic Press,New York,1971);Griffiths,Colour and Constitution of Organic Molecules(Academic Press,New York,1976);Bishop,editor,Indicators(Pergamon Press,Oxford,1972);Haugland,Handbook of Fluorescent Probes and Research Chemicals(Molecular Probes,Eugene,1992)Pringsheim,Fluorescence and Phosphorescence(Interscience Publishers,New York,1949);など)。
-さらに、以下の参考文献に例示されるように、オリゴヌクレオチドに添加できる共通の反応基を介した共有結合のためのレポーター分子およびクエンチャー分子を誘導体化するための文献中に広範な指針がある:Haugland(上記引用)、Ullman et al.,米国特許第3,996,345号、Khanna et al.,米国特許第4,351,760号、など。
フルオロフォアおよびクエンチャーは、例えば、フルオレセインおよびローダミン染料から選択できる。これらの染料は、オリゴヌクレオチドへの結合のための適切な結合方法と組み合わせて、多くの参考文献、例えば、Khanna et al.,(上記引用)、Marshall,Histochemical J.,7:299-303(1975)、Menchen et al.,米国特許第5,188,934号、Menchen et al.,欧州特許出願第87310256.0号、およびBergot et al.,国際出願第PCT/US90/05565号に記載されている。後者の4つの文献は、参照により本明細書に組み込まれる。
フルオロフォア/クエンチャー対は、例えば5'末端にEDANSまたはフルオレセインなどのフルオロフォアを、例えば3'末端にDabcylなどのクエンチャーを使用できる。
PCR増幅産物の検出は、所与のDNA試料を含むPCR増幅で得られたシグナルを、対照PCR増幅で得られたシグナルと比較するステップを含み得る。このシグナルは典型的には、変異体検出プローブおよび/または野生型検出プローブに結合される検出可能手段に関連し得る。従って、プローブがフルオロフォアと結合される場合、シグナルは、蛍光であり得る。対照PCR増幅は、同じ条件下で実施されるが、DNA試料を欠く、PCR増幅であってよく、すなわち、対照PCR増幅はDNA鋳型を欠いてよく、またはそれは、参照標的配列、例えば野生型DNAのみを含む対照DNAのみを含有してよい。いくつかの実施形態では、対照PCR増幅からのシグナルよりも強いなんらかのシグナルは、陽性シグナル、すなわち、NOI中に1個または複数の変異を含む標的配列の存在を示すシグナルと考えられ得る。
一実施形態では、所定の閾値を上回る任意のシグナルは、陽性シグナルとみなされ得る。閾値は、任意の有用な方法、典型的には適切なソフトウェア、例えば、Bioradから入手可能なQX200(商標)Droplet ReaderおよびQuantasoft(商標)ソフトウェアを使用することによって、決定できる。
変異検出参照プローブを使用する本発明の実施形態では、変異検出プローブから得られたシグナルと参照検出プローブのシグナルとの間の存在比率を決定し、PCR産物の存在を評価するために使用できる。存在比率は、[(「参照検出プローブ」+「変異体検出プローブ」)のシグナル]で除算した[(「変異体検出プローブ」)のシグナル]として決定できる。
試料は、例えば、対照PCR増幅との比較で、
1)存在比率の増加、および/または、
2)変異体液滴の濃度の増加、および/または、
3)平均よりも50%以上のスケールでの変異体イベントの数の増加、
により特徴付けられる場合に、NOI中に変異を含む標的DNAを含有すると見なされ得る。
変異体液滴は、変異体検出プローブから陽性シグナルを与える液滴であり得る。本明細書では、「変異体イベント」は、変異体液滴の数に等しい。
サブプール内の再生部分の特定
目的の変異を含むDNAを有する再生部分を含むサブプールが特定されると、本方法は一般的に、変異を含むサブプール内の再生部分を特定するステップを含む。
これは、いずれの従来の方法で実施されてもよい。サブプールが充分に小さい場合、これは単に、サブプール内の各種子またはその子孫における変異の存在を試験することにより行い得る。例えば、試料を各再生部分から採取してよく、または再生部分を植物へと生育し、その植物由来の試料を、食物が変異を保持するかどうかを検出するために使用してもよい。
しかしながら、変異を保持するサブプール内の再生部分を特定するための労力の少ない方法が採用される場合が多い。例えば、サブプールは、二次サブプールに分割され、目的の変異を含むDNAを有する再生部分を含む二次サブプールが、特定され得る。これは実質的に、目的の再生部分を含むサブプールの特定のために本明細書の上で記載されるものと同じ様式で実施され得る。しかしながら、サブプールは通常、初期プールよりかなり小さいので、より感受性の少ない方法も採用し得る。
一実施形態では、目的の再生部分は、次のステップを含む方法により特定される:
-植物の複数の再生部分を含むサブプールを用意するステップであって、サブプールが、NOIの1個またはいくつかの変異を含む再生部分を含む、ステップ;
-サブプールの再生部分を、二次サブプールに分割するステップ;
-植物に生育させるのに十分に無傷の状態で再生部分を保つ様式で二次サブプールの各再生部分から試料を取得し、各二次サブプールの全ての再生部分からの全ての試料を混合するステップ;
-DNA試料を混合試料から調製するステップ;
-変異を含むDNAを含む二次サブプールを特定するステップ;
-変異を含む二次サブプール内の再生部分特定するステップ。
一実施形態では、変異を含む二次サブプール内の再生部分を特定するステップは、変異の存在について二次サブプール内の各種子またはその子孫などの各再生部分を試験することを含む。例えば、各再生部分を植物へと生育し、植物由来の試料を、食物が変異を保持するかどうか検出するためにに使用し得る。
植物表現型および改変形質
本発明の方法は、ライブラリー構築のために、最良の栽培品種および最高度育種系統を用いることを可能にする。これは、所望形質が、例えば領域適合、高収率、気候変動に強いおよび/または病気に強い育種ストックの望ましい基礎環境に持ち込まれることを確実にする。上で説明したように、本方法は、戻し交雑の必要性を低減または除去する。本発明の方法は、ランダム変異誘発に基づく。対照的に、GMまたは遺伝子編集技術は通常、形質転換ステップを必要とし、従って形質転換できる種、または組織培養で活発に成長するが局所環境に十分に適合しない非エリートの形質転換性品種に限定される。
植物の表現型という用語は、植物の高さ、収率、穀物サイズ、葉形状、生物量などの観察上の特性を表現するために使用される用語である。植物の表現型は通常、植物観察上の特性に与える環境影響と組み合わせて、植物の遺伝子型の集合的表現として決定される。
場合によっては、環境と相互作用する同じ遺伝子型の植物は、異なる表現型を示す場合がある。他の事例では、植物は、同じ表現型を有するが、異なる遺伝子型を有する場合がある。
特定の所望変異を有する植物の変異誘発および選択後に、本発明の変異体植物は、親植物と比べて、異なる遺伝子型を有する。特に、変異体植物は、本明細書の上で詳述したようにコード領域中に1~30個の非同義変異を含む。
一実施形態では、変異体植物および親植物は、同じ表現型を有する。別の実施形態では、植物は、異なる表現型を有する。変異体植物は、NOI中の変異に起因する特性/形質を除き、親植物と同じ観察上の特性を有することが、好ましい。換言すれば、変異体植物は、所望の変異誘発される形質を除き、親植物と同じ表現型を有することが好ましい。
従って、変異は、1種または複数の特定の形質を生じ、これは好ましくは、変異体植物と世代M0(すなわち、変異誘発前)の植物の間で異なる唯一の形質である。これは、本方法で使用される低い変異誘発の割合のため可能である。
いくつかの実施形態では、変異体植物の外観、高さ、生物量、葉形状および味覚の1つまたは複数は、親植物と同じであり、好ましくは、変異体植物の外観、高さ、生物量、収率、粒径、葉形状および味覚の全ては、親植物と同じである。
収率、穀物品質、不稔性および他の形質
高い変異誘発率は、収率の不利益をもたらすことが多い。本方法は、本明細書で上記のように、低い変異誘発率に基づくので、親植物と類似の収率を有する変異誘発された植物を得ることができる。変異体植物は、特に、親植物の総(作物)収率の、少なくとも90%、例えば少なくとも91%、例えば少なくとも92%、例えば少なくとも93%、例えば少なくとも94%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも96%、例えば少なくとも97%、例えば少なくとも98%、例えば少なくとも99%、または例えば100%のまたはそれを超える収率を生じ得る。いくつかの実施形態では、変異体植物は、親植物の総収率より高い収率を有する場合がある。従って、いくつかの実施形態では、変異体植物は、親植物の総収率の105%以上、例えば110%以上、例えば120%以上、例えば130%以上、例えば140%以上、例えば150%以上、例えば175%以上、例えば200%以上である収率を生じ得る。
本発明の別の実施形態では、NOIは、変異体植物の収率に影響を及ぼすようにあらかじめ決められており、したがってこの実施形態では、変異体植物の収率は、親植物の収率に比べて変わるであろう。好ましい実施形態では、変異体植物の収率は、親植物の収率と少なくとも同じであるか、またはそれより大きい。収率は生育条件または土壌の性質に応じて変わり得るので、変異体植物および親植物の収率は好ましくは、類似の条件下で生育される植物に対して比較されるべきである。
本方法により得られる変異体植物は好ましくは、親植物の穀物品質と実質的に同じまたはそれより高い穀物品質を有する。
従って、いくつかの実施形態では、目的の変異は、穀物品質に害を及ぼさない。従って、穀物の1種または複数の含水量、試験重量、変色、破壊または損傷穀粒のパーセンテージ、穀物の粉砕品質、タンパク質および油含量は、親植物の対応する特性と同じであるまたはそれより高い。また、穀物色、組成、かさ密度、匂いおよび芳香、サイズおよび形状の1種または複数は好ましくは、親植物の対応する特性と同じであるまたはそれより良好である。
好ましくは、所望変異は、植物の不稔性を高めないか、または僅かに高めるのみである。従って、いくつかの実施形態では、本方法により得られる変異体植物の不稔性、すなわち、穂当りの不稔花の割合は、30%未満である。
実施例
実施例1-低変異密度プロトコル
変異を誘発するために、大麦植物から収集した穀粒を、Kleinhofs et al.,(1978)により提供された詳細、および米国特許第7,838,053号で提供されたものに従って、変異誘発物質アジ化ナトリウム(NaN)を含む溶液中でインキュベートした。変異誘発のために使用したアジ化ナトリウムの濃度は、2時間で0.3mMに減らした。
この手順は、大麦粒のゲノムDNA(gDNA)中に点変異を誘発し、アミノ酸置換またはタンパク質をコードするDNAの翻訳停止のためのランダムに分布されるコドンを典型的に付与する、すなわちそれぞれ、変異誘発されたDNAによりコードされるタンパク質変化およびタンパク質における短縮化をもたらす。しかしながら、本発明の方法は、非タンパク質コード領域、例えばプロモーター、ターミネーターおよびイントロンのgDNAにおける点変異を有する穀類植物の産生にも有用である。
15kgの穀物を、変異誘発し、それぞれ7.5mの30区画に播種した。区画をその後、それぞれがサブプールに対応する17サブ区画に分割し、これ由来の種子バンクおよびDNA試料を、生成した。
実施例2-変異体ライブラリー中の変異体を検出するためのRNアーゼH2依存性PCR(rhPCR)
RNアーゼH2依存性PCR(rhPCR)(Dobosy et al.,2011)は、いわゆる「ブロックプライマー」を利用することにより、PCR増幅の特異度を改善できる。これらのプライマーは、単一リボヌクレオチド残基および3’ブロッキング部分を含み、これは、PCR中のプライマーの伸長を防止する。しかし、プライマーは、RNアーゼH2により活性化され得、これはその後、それらがPCR増幅中に伸長されることを可能にする。RNアーゼH2切断は、ブロックプライマーが完全一致に結合する場合にのみ起こる。たとえ1個のみのヌクレオチドが変化しているミスマッチでも、切断を著しく抑制できる。これは、ブロックプライマーが、非特異的なまたは望ましくないアンプリコンの増幅を特異的に阻止するように設計でき、従って、希な特定のヌクレオチド置換を検出するための極めて敏感なツールを提供することを意味する。rhPCRプライマーの5’-末端の相補的な、フルオロフォア標識プローブは、特定のアンプリコンのrhPCR中に良好なプライマー伸長の定量を可能にする。
ユニークなrhPCRアッセイは、Hordeum vulgare(オオムギ)遺伝子の変異アレルと野性型アレルの間で識別するように設計される(rhAmp(登録商標)SNP Genotyping System,Integrated DNA Technologies)。rhPCR変異体検出プライマーは、NOIを含むコード配列に相補的である。rhPCR参照検出プライマーは、コード配列に相補的である。rhPCR参照および変異検出プライマーは、それぞれ、例えばフルオロフォアFAMおよびYakima Yellowで追加的に標識される。
このアッセイは、M2個体のプール由来のサブプールのライブラリーをスクリーンするために使用される。精製gDNAは、必要な試薬を含むPCR混合物に添加される。試料は、標準PCR条件を用いて熱サイクルされる。反応生成物は、蛍光リーダーで定量される。
蛍光リーダーからのデータは、全てのスクリーニングしたサブプールの平均蛍光シグナルを、個別のサブプールの蛍光と比較することにより解析される。陽性サブプールは、個別の蛍光シグナルが全てのサブプールの平均蛍光シグナルより少なくとも2倍高い場合に候補と見なされる。
平均蛍光シグナルより高い蛍光を示すサブプールは、変異体を含むと見なされる。サブプール中の変異体の存在を確認するために、サブプールの一部が非破壊的DNA単離に供される。ここで、個別の大麦粒由来の組織試料が、取り出され、プール中のDNA分析に供される。これらのDNAプールのそれぞれは、上述と同じrhPCRアッセイで分析される。残りのDNAプールの平均蛍光シグナルより少なくとも2倍高い蛍光シグナルを有するDNAプールが、特定される。それらのプールにおける変異シグナルは、所望の変異体の存在を確証する。
実施例3-低変異誘発大麦植物の直接シークエンシング
我々は、6000個の大麦植物(栽培品種Quench)のライブラリーの配列を決定した。穀物は、2時間0.3mMのアジ化ナトリウムを用いて変異させた。6000個の個別のM3穂からなるライブラリーを構築した。穂当り1つの穀物をDNA抽出に利用した。
我々は、目的の遺伝子の790bpフラグメントを増幅し、その遺伝子のエクソン3の645bpを分析した。全6000個の株に対するアンプリコンを、多型について分析した。我々は、6000個の株について645bp内の3個の個別の変異体を特定した。それは、コード領域中の約24個の非同義変異に相当する3/(645x6000)=1.29百万bp毎に1個の変異に相当する。
3個の変異体は、次の変異部位に対応する:
1.アミノ酸変化S330>N(タンパク質)に対応するヌクレオチドG989>A(cDNA)
2.アミノ酸変化P364>L(タンパク質)に対応するヌクレオチドC1091>T(cDNA)
3.アミノ酸変化を与えなかったヌクレオチドC858>T(cDNA)
我々は、遺伝子AAP3(HvAAP3)の860bpフラグメントを増幅し、その遺伝子のエクソン6の648bpを分析した。全6000個の株に対するアンプリコンを、多型について分析した。我々は、6000個の株について648bp内の3個の個別の変異体を特定した。それは、コード領域中の約24個の非同義変異に相当する1.296百万bp毎に1個の変異に相当し、これは、非同義変異を含まない99.94%の遺伝子に相当する。
3個の変異体は、次の変異部位に対応する:
4.アミノ酸変化H328>Y(タンパク質)に対応するヌクレオチドC982>T(cDNA)
5.アミノ酸変化A274>T(タンパク質)に対応するヌクレオチドG820>A(cDNA)
6.アミノ酸変化A284>V(タンパク質)に対応するヌクレオチドC851>T(cDNA)
実施例4-アミノ酸パーミアーゼ3(HvAAP3)中に未成熟終止を有する大麦変異体のスクリーニング
大麦栽培品種Planetの変異誘発を、1.3百万bp中約1変異の変異密度(コード領域中約24個の非同義変異に相当し、非同義変異を含まない99.94%の遺伝子に相当する)を得るために、実施例1に記載のように実施した。
下記実施例6を参照して、成功確率が94%より大きく、かつ7個の異なる変異を検索する場合、最適ライブラリーサイズは約520,000個である。従って、培養する再生部分の最適な数は、下記実施例7に従って計算すると、99,640個である。
スクリーニングを、2000個中1個の検出感度を有するddPCRプロトコルを用いて実施した。大麦は、5~6個のGECN数を有する。これに基づき、下記実施例8で概要を示したように計算された理論的最大サブプールサイズは、363個であった。
従って、110,000個の植物のプール由来の374個のサブプールのライブラリーをスクリーニングして、1つの陽性サブプールを特定した。従って、各サブプールは、約294個の植物からの世代M1の穀物を含んだ。陽性サブプールの一部はその後、再度スクリーニングされて、変異体穀物を特定した。スクリーニングを、国際出願PCT/EP2017/065516に記載のようにddPCRにより実施した。検索された変異は、停止コドンであり、従って、7個の異なる変異が許容可能であった。所望の変異体の1個は、International Barley Sequencing Consortium(29 September 2019)によるIPK Barley Blast Server上のHORVU.MOREX.r2.7HG0553990.1で入手可能である、コード配列HvAAP3のグアニンからアデニンへの位置820でのヌクレオチド変化を有し、これは、タンパク質配列中のアラニンからトレオニンへのアミノ酸変化に繋がる位置274でのアミノ酸変化をもたらし、これは、International Barley Sequencing Consortium(29 September 2019)によるIPK Barley Blast Server上のHORVU.MOREX.r2.7HG0553990.1で入手可能である。変異体を特定するために、標的特異的フォワードプライマー(CCGGCCGAGAACAAG)、標的特異的リバースプライマー(CGTGGTGGTGGAGAC)、6-カルボキシフルオレセイン(FAM)で標識された変異体特異的検出プローブ(AGGAAGACAAACCTACTGG)およびヘキサクロロフルオレセイン(HEX)で標識された参照特異的検出プローブ(AGGAAGGCAAACCTACTG)を、設計した。
実施例5-グリシンリッチ結合タンパク質(HvGR-RBP1)中に未成熟終止を有する大麦変異体のスクリーニング
大麦栽培品種Paustianの変異誘発を、実施例1で記載のように実施して、コード領域中の25個の非同義変異に相当する、約1.3百万bp中約1個の変異率を得た。我々は、110,000個のM1個体のプール由来の374個のサブプールのライブラリーをスクリーニングして、1つの陽性サブプールを特定した。陽性サブプールの亜画分をその後、再度スクリーニングして、変異体穀物を特定した。スクリーニングを、HvGR-RBP1座位での所望の変異を特定するために特に設計したプライマーおよびプローブを用いて、国際公開第2018/001884号に記載のようにddPCRにより実施した。
変異は、次の変異部位に対応する:アミノ酸変化W18(タンパク質)に対応するヌクレオチドG54>A(cDNA)。
大麦栽培品種Planetの変異誘発を、実施例1に記載のように実施して、1.3百万bp中約1個の変異の変異密度(コード領域中の約24個の非同義変異に相当し、非同義変異を含まない99.94%の遺伝子に相当する)を得た。
下記実施例6を参照して、33%より大きい成功確率が望まれ、かつ1個の変異が検索される場合、最適なライブラリーサイズは約520,620個である。従って、開始する再生部分の最適な数は、下記実施例7に従って計算する場合、99,640個である。
スクリーニングを、2000個中1個の検出感度を有するddPCRプロトコルを用いて実施した。大麦は5~6個のGECN数を有する。これに基づき、下記実施例8で概要を示したように計算された理論的最大サブプールサイズは、363個であった。
従って、110,000個の植物のプール由来の374個のサブプールのライブラリーをスクリーニングして、1つの陽性サブプールを特定した。従って、各サブプールは、約294個のM1植物からの世代M1の穀物を含んだ。陽性サブプールの一部はその後、再度スクリーニングされて、変異体穀物を特定した。スクリーニングを、国際出願PCT/EP2017/065516に記載のようにddPCRにより実施した。所望の変異体は、International Barley Sequencing Consortium(29 September 2019)によるIPK Barley Blast Server上のHORVU.MOREX.r2.6HG0491380.1で入手可能である、コード配列HvGR-RBP1のグアニンからアデニンへの位置54でのヌクレオチド変化を有し、これは、タンパク質配列中の未成熟終止に繋がる位置18のアミノ酸変化をもたらし、これは、International Barley Sequencing Consortium(29 September 2019)によるIPK Barley Blast Server上のHORVU.MOREX.r2.6HG0491380.1で入手可能である。変異体を特定するために、標的特異的フォワードプライマー(CGCTGCTTCGTCGG)、標的特異的リバースプライマー(GAGCTAAAAGCAGCCTC)、6-カルボキシフルオレセイン(FAM)で標識された変異体特異的検出プローブ(CTGTCCTGAAACACCGA)およびヘキサクロロフルオレセイン(HEX)で標識された参照特異的検出プローブ(CTGTCCTGGAACACCG)を、設計した。
実施例6-最適なライブラリーサイズの決定
目的の変異体の特定における成功の確率を高めるために、各種要因が考慮され得る。まず第1に、ライブラリーサイズが最適化され得る。最適なライブラリーサイズ(OLS)は、いくつかの因子に依存する。所望の変異が翻訳停止変異である場合、いくつかの可能なコドンを標的化できる。これは、より小さいライブラリーがより高い成功の確率につながり得ることを意味する。所望の変異がアミノ酸変化のための特定のヌクレオチド変化またはコドンである場合、ただ1つの、ときには少数のイベントが、所望の結果を与え、より大きなライブラリーが成功の確率を高めるために好ましい。
一般に、最適なライブラリーサイズは好ましくは、少なくとも1種の所望の変異体を特定するためにスクリーニングされる必要がある変異導入ゲノムの総数を表す。変異されたゲノムの特定のライブラリー中の特定の変異を特定する確率は、変異頻度(Mf)を使って計算できる。いくつかの変異が同時にスクリーニングされる場合(例えば、いくつかの可能な停止コドンが存在する場合、これらは等しく望ましい)、確率は高まる。スクリーニングされる変異の数は、本明細書ではnとも呼ばれる。
ライブラリーサイズLSおよび変異頻度Mfのライブラリーを用いて少なくとも1個の所望の変異を特定する確率は従って、下記のように計算できる:
PS=1-MfLS
例えば、1,000,000個の変異誘発された菜種植物(それぞれが1/500kbpの変異頻度を有する)由来のM1種子のライブラリーでは、以下のように計算される標的化座位で少なくとも1個の特定のヌクレオチドを特定する0.86の確率がある:
PS=1-(499999/500000)1000000=0.86
この式は、特定の確率を達成するために必要とされるライブラリーの最適なサイズを決定するためにも使用できる。最適なライブラリーサイズは、ライブラリーの最大サイズに等しく、これは、上記例では、1,000,000個のユニークなゲノムに等しい。
従って、最適なライブラリーサイズは、以下のように計算できる:
Figure 2023502317000009
式中、
OLSは、最適なライブラリーサイズであり;
PSは成功確率(%)であり;
Mfは変異頻度であり、および
nはスクリーニングされる変異の数である。
例えば、それぞれが1/500kbpの変異頻度を有する植物のライブラリー中の少なくとも1個の特定のヌクレオチド変化は、ライブラリーが1,497,864個の変異されたゲノムに等しい場合、95%の確率で特定できる。
Figure 2023502317000010
変異頻度は、ゲノム中のスクリーニングされたヌクレオチドの総数およびスクリーニングされたヌクレオチドの数中の特定された遺伝子バリアントの総数を用いて決定できる。従って、変異頻度は、以下のように計算でき:
Figure 2023502317000011
式中、
ncは、ヌクレオチド変化の総数であり、
naは、分析されたヌクレオチドの数である。
例えば、変異されたゲノムおよび変異されないゲノム中の1,000,000個のヌクレオチドを解析し、それらの中で異なる2個のヌクレオチドを特定する場合、変異頻度は、500,000個中1個である。
Mf=2/(1,000,000)=1/(500,000)
実施例7-再生部分(N)の開始最適数の決定
最適なライブラリーサイズは、実施例1に記載のように決定し得る。
本発明の方法のためにランダム変異誘発に供される最適な数の再生部分(ON)が次に、決定され得る。換言すれば、ONは、成功の確率を達成するために変異される再生部分(例えば、種子)の最適な数に等しい。最適なONは、最適なライブラリーサイズ、生殖系列細胞数(GECN)および材料の発芽比率を利用して下記のように計算される;
Figure 2023502317000012
式中、
OLSは、実施例6で記載のように計算される最適なライブラリーサイズであり;
Grは、ランダム変異誘発後の予測発芽比率(%)であり;
GECNは、生殖系列細胞数である。
大麦の場合、収穫率および発芽比率は、ほぼ同じであり、従って、発芽比率を、ONを計算するために収穫率の代わりに使用できる。
例えば、95%の平均発芽比率および2個のGECN数を仮定すると、526,315個の種子が、1,000,000個のゲノムのライブラリーを確立するために変異される必要がある。
Figure 2023502317000013
実施例8-サブプールの数およびサイズの決定
大きなライブラリーを最も効率的な方法でスクリーニングするために、本発明は、少なくとも初期プールをサブプールに分割するステップ、スクリーンされる変異を含む再生部分を含むサブプールをスクリーニングするステップ、その後続いて、特定されたサブプール内でスクリーンされる変異を含む特定の再生部分を特定するステップを含む多段法を提唱する。本発明の方法は、合理的な時間と作業努力の範囲内で、極めて多数の再生部分のスクリーニングを可能にする。
サブプールのサイズの決定に関する1つの大きな制約要因は、用いられるスクリーニング法の検出限界である。検出感度が無限である場合、ライブラリーの総サイズは、可能な最大のサブプールである。しかし、このシナリオでも、総ライブラリー(総プール)をサブプールに分割することはより有益なはずであり、さもなければ総プールの各スクリーニングは、陽性結果を生じ、陽性結果の原因である個別の再生部分を特定することは、通常極めて困難で、時間を浪費することであろう。
検出感度が、Y個のゲノム中1個のゲノムである場合、最大サブプールサイズは、原理的にはYである。例えば、検出感度が、2000個のゲノム中1個である場合、最大サブプールサイズは、原理的には2000個の異なるゲノムを含むサブプールである。サブプール当りの総数の異なるゲノムが検出感度と同じである場合、全てのゲノムは、サブプール内で、大凡等しい量で表される必要がある。これは、試料が好ましくは、プールされたDNAの抽出が全ての遺伝子型の等しいDNA寄与をもたらすように収集されることを意味する。任意の所与の植物の全ての再生部分を同じサブプール中に配置することにより、サブプールは、大凡同じ量の各植物由来の再生部分を含む。
最大サブプールサイズ(スクリーニング技術の検出感度に基づいて決定される)より小さいサブプールは、それがそれほど均一でなくてよいという利点を有し、これは、サブプールの調製を大きく単純化する。例えば、各個体が10個の種子を与える200個の個体のプールが確立されると、総プールは、2000個の種子から構成される。1/2000の検出感度は、1999個の種子が野生型であり、1個の種子が変異型であることを可能にし、それを識別する。従って、このプールを用いて、1個の個体の90%少ない材料を収穫できたであろうが、一方で残りの199の個体について同じまたはより多くの種子を収穫して、最終プール中で変異体をさらに検出できる。
従って、サブプールは、特定の検出感度のために、適切なサイズである必要がある。最終のサブプール数は、検出感度および不均一なDNAプールに対し必要とされる適応性の大きさに基づき、サブプール当りの植物の数で除算された総プールのサイズ(すなわち、N)により決定され得る。
本発明の方法は通常、再生部分を成熟植物へと生育し、1個の成熟植物由来の全ての再生部分が同じサブプール内に配置されるような様式で、成熟植物由来の再生部分をサブプールに分割するステップを含む。このようなサブプールの調製は、サブプールが大凡同じ数の各遺伝子型の再生部分を含むことを確実にする。植物が植物当りいくつかの生殖系列細胞を含む場合、各成熟植物は、複数の異なる遺伝子型の再生部分に寄与する。
従って、所与のサブプール(本明細書では、最大サブプールサイズ(SP)と呼ばれる)に再生部分を提供する成熟植物の最大数は、下記のように計算できる:
Figure 2023502317000014
式中、
式中、検出感度は、Y個中の1個であり;および
GECNは、生殖系列細胞数である。
例えば、検出感度が、2000個中1個である場合、5のGECN数を仮定すると、最大サブプールサイズは、下記である。
Figure 2023502317000015
ランダム変異誘発に供される再生部分の数が、526,315個であり、最大サブプールサイズが400個である場合、M1の再生部分のプールは、少なくとも526,315/400=1315個のサブプールに分割される必要があり、各サブプールは、400個の植物由来の再生部分を含む。サブプールのサイズを減らすことが好ましい場合があり、従って実際のサブプールサイズ(N)は、最適なサブプールサイズ(ON)より小さい場合がある。
実施例9-再生部分(N)の開始最適数および最適なサブプールサイズの決定
スクリーニング用のプールのサイズを制限する多くの植物特異的因子が存在する。これらの因子は、下記であり得る:
-特定サイズのプールを貯蔵するコスト
-単一植物またはその再生部分を特定のプールサイズから特定できる容易さ
-単一植物を特定のプールサイズから特定できる速度
-単一植物を特定するコスト。
全てのこれらの因子は、大きく変動し、植物特異的である。例えば、いくつかの作物の個々の植物の繁殖は、スクリーニングより高価であり、他の植物の場合は、逆である。特定の作物に精通した人は、全ての因子を判定でき、総プールの快適なサイズを決定できるだろう。このサイズは、技術的な理由でなく、実用的なプールの最大サイズである。
例えば、大きな植物(例えば、バナナ植物または樹木)または大きな果実を有する植物(例えば、スイカ)は、多くのスペースを取り、律速因子は、従って、生育され得る植物の総数である。従って、植物がスイカの場合、たとえ最適なライブラリーサイズに達する種子の数が多くても、より少ない量が、この方法に対して使用され得る。
植物が圃場で生育される場合、通常は大量の植物を、低コストで生育させ得る。従って、増殖される種子の数は、制約要因ではない。
注目すべき制約要因は、植物当り収穫できる穀物の数に関する。植物が10種のみの穀物を生成し、かつ生殖系列細胞数が5の場合、各生殖系列細胞は、2種の穀物のみにより表される。自家受粉作物では、1つの生殖系列から75%の穀物のみが、所望の変異を保持し、他家受粉作物では50%のみである。プールをいずれかの段階で分割することが必要である場合、この数は重要になる。
実施例10-DNA試料の調製
サブプールが生成されると、本発明の方法は、DNA試料を調製するステップを含む。一般に、DNA試料は、全サブプールをランダム数の画分に分割し、次に全画分からDNAを調製することにより調製される。植物に応じて、各サブプールは、同じ遺伝子型を有する多数の再生部分を含む。数は、成熟植物(RP)当りの再生部分の総数、ならびにGECN数に依存する。GECN数が1の場合、サブプールは、同じ遺伝子型を有するRP個の再生部分を含む。
最適な画分サイズは、理論的には、各遺伝子型が1個の再生部分で表される、画分サイズである。従って、最適な画分サイズは、下記のように計算され得る:
Figure 2023502317000016
例えば、次記は、大麦変種に適用され、これは、平均で植物当たり20個の種子を含み、GECN数は5である。従って、各M1大麦植物は、各遺伝子型の20個の種子を含む。サブプールは、成熟大麦植物の全ての種子を含む。従って、原理的には、所与のサブプールの大麦種子のランダム画分の最適な画分サイズ(=25%)は、各遺伝子型を表す1個の種子を含む。
Figure 2023502317000017
実施例11-低い変異誘発の割合
「低い変異誘発の割合」は、作物間で変わる。特に、作物の倍数性は、作物が特定の変異処理に対しどのように厳密に反応するかにおいて、重要な役割を果たす(Tsai et al 2013)。これはまた、六倍体、四倍体または二倍体ゲノムで耐えられる変異の数(変異頻度)に基づき観察できる(Kurowska et al 2013)。上で説明されるように、変異頻度は下記で提供される:
Figure 2023502317000018
Figure 2023502317000019
M2植物の変異当りのヌクレオチドの数は一般に、全てのヘテロ接合型変異の25%の減少を通常もたらす自家受粉イベントに起因して、対応するM1植物の変異当りのヌクレオチドより25%少ない。
低いおよび高い変異誘発の割合を決定するために、我々は、M1植物において、いかなるコーディング変異も含まない遺伝子の数を比較した。いかなるコーディング変異も含まない遺伝子の数は、所与のゲノム中の遺伝子の数、変異頻度および植物タンパク質の平均長さに基づく(Tiessen et al.,2012)。二倍体作物では、数百個の遺伝子が、従来の高い変異量による処理後にコーディング変異を含み得る。対照的に、数千個の遺伝子が典型的には、従来法で変異誘発された六倍体ゲノムにおいてコーディング変異を含む。低い変異誘発ライブラリーを構築するために、二倍体作物における低い変異誘発の割合は、0.1%未満の、世代M1中に非同義変異を有する遺伝子に相当する。多倍数体作物では、六倍体小麦のように、低い変異頻度は、世代M1で非同義変異を有する0.1%未満の遺伝子と見なされる。
非同義変異を含まない遺伝子(GFoNSM)の%は、次の式に従って計算できる:
Figure 2023502317000020
Gnは遺伝子の数であり、Glは遺伝子の平均長であり、Mfは変異頻度であり、Nsnmは変異誘発により生じる非同義変異の平均数(%)である。
この例では、Nsnmは、66%である。
Figure 2023502317000021
実施例12-変異誘発されたセイヨウアブラナ(Brassica napus)集団の生育およびシナピルアルデヒド脱水素酵素/コニフェルアルデヒド脱水素酵素(REF1)に対する遺伝子中に特定の変異を有する変異体のスクリーニング
植物の最適なライブラリーサイズおよび最適な数
REF1遺伝子は、菜種中の主な抗栄養化合物であるシナピンの生合成に関与する(Emrani et al.,2015)。我々は、軽度に変異誘発された(すなわち、低い変異誘発の割合)セイヨウアブラナ植物のライブラリー中のREF1ノックアウトを特定することを目的とした。この四倍体作物の従来の変異誘発されたライブラリーでは、全遺伝子の3.5%超がコーディング変異を含む。軽度に変異誘発されたライブラリーでは、全遺伝子の1%未満が、コード領域に変異を含む。我々は、GBSシークエンシング手法を用いて、我々の集団中の変異の数および変異起源の数を特定した。商業的に入手できるGBSシークエンシング手法を用いて、変異されたセイヨウアブラナ個体由来の12種の植物の配列を決定した。我々は、データ分析のために下記のフィルターを利用した:
-全分析試料中で少なくとも8回の配列リードによりカバーされない分析からの座位の除去。
-参照ゲノム上で解釈される50塩基対距離以内の追加の変化を有する分析からの変化を有する座位の除去。
-外れ値であると決定される、分析からの試料の除去。
-その座位がいくつかの対照試料中で変化を示す場合、分析における座位変化を無視する。
-配列リードの25%以上の変化を示さない座位からの分析における座位変化を無視する。
-試料群でならびに対照試料で変化を示す座位について分析における座位変化を無視する。
-試料群で2個以上の試料で変化を示さない座位について分析における座位変化を無視する。
合計6,018,138個の座位を、分析に含めた。植物当り平均65.75個の変異を特定し、これは、86,607個の塩基対中1個の変異の平均変異頻度に相当する。我々は、この植物群中で4個の変異起源、または遺伝的に有効な細胞を特定した。すなわち、GECN数は4である。この数は、以下のように計算できる。全12個の試料セット中で特定されたユニークな変異は全て、全試料の起源である親植物中で起こる変異イベントを表す。試料セット中のユニークな変異の合計は、ゲノムの検査領域中の親植物中に存在した特定された遺伝性変異の合計(Sumpar)に相当する。
全ての変異が親植物の単一遺伝性起源中で起こる場合、合計変異が全ての試料中で特定され、全試料セット中のユニークな変異の合計と、単一試料中の平均変異(avg.sam)の間の比率は、1であろう。試料セット中の全12個の試料が異なる変異起源から生じるとすると、この比率は、全ての特定された変異はユニークであるはずなので、12であろう。
親植物中の異なる変異起源の数は、従って、ユニークな親変異の合計と単一試料中の変異の平均数の比率として推定できる。
Figure 2023502317000022
我々は、試料当たり平均変異数65.8個を有する、12個の試料中の272個のユニークな変異を特定した。これは、変異起源数(またはGECN)4.14に相当する。
この情報を用いて最適なライブラリーサイズを決定でき、これは、REF1中の未成熟終止に至る少なくとも1個のヌクレオチド置換を特定する95%の確率をもたらす。
Figure 2023502317000023
REF1中の2個の停止コドンから1個を特定する95%の確率を得るために、129,724個の個体のライブラリーが必要とされる。129,724個の遺伝子型のライブラリーを得るためにどのくらい多くの再生部分が必要とされるかを計算するために、我々は、次の式を使用できる:
Figure 2023502317000024
菜種を培養する場合、通常は、収穫されるよりさらに多くの植物が播種され、菜種の収穫率は従って、かなり低く、約17%である。17%の収穫率および4,190.771のGECN数は、REF1中の未成熟終止をもたらす少なくとも1個のヌクレオチド置換を特定する95%の確率を有するライブラリーを構築するために変異誘発される種子の最適な数である。
ライブラリー構築および変異体特定
セイヨウアブラナ栽培品種Epureの変異誘発ライブラリーを調製した。ライブラリーを、国際出願PCT/EP2017/065516に記載のプーリングおよび分割方法を用いて整理した。200,000個の種子のプールを、0.25%のEMSで16時間、室温で処理し、標準的手順を用いて圃場で繁殖させた。34,992個の植物を、約300個の植物のプール中で収穫した。DNAを、収穫した材料の25%から抽出し、ライブラリースクリーニングに利用した。
変異体特定を、国際出願PCT/EP2017/065516に記載のddPCRスクリーニング方法に従い実施した。プライマーおよびプローブを、REF1座位の特定の変異体の特定のために設計した。所望の変異体は、ジェンバンク受入番号NCBI:FN995990.1で入手可能な、REF-1のコード配列のグアニンからアデニンへの位置504でのヌクレオチド変化を有し、これは、タンパク質配列中の未成熟終止に繋がる位置168でのアミノ酸変化をもたらし、これは、ジェンバンク受入番号NCBI:FN995990.1で入手可能である。変異体を特定するために、標的特異的フォワードプライマー(TATTGGAGTGGTCGGTC)、標的特異的リバースプライマー(CACTTTCATGGCAAACATAAT)、6-カルボキシフルオレセイン(FAM)で標識された変異体特異的検出プローブ(ATAATCCCTTGAAATTTTCCAAG)およびヘキサクロロフルオレセイン(HEX)で標識された参照特異的検出プローブ(ATAATCCCTTGGAATTTTCCAA)を設計した。
項目
1.所定の標的配列中の、目的のヌクレオチド[NOI]中に1個または複数の変異を有する予め定義された種の変異体植物を特定するための方法であって、
a)上記の種の親植物のN個の再生部分を用意するステップであって、Nが5,000超、例えば10,000超、例えば15,000超、例えば20,000超、例えば25,000超、例えば30,000超の整数である、ステップ;
b)上記の再生部分を変異誘発、好ましくはランダム変異誘発に供し、それにより、複数の遺伝子型を表す世代M0の再生部分のプールを生成する、ステップ;
c)世代M0の上記の再生部分を世代M1の成熟植物に生育させ、上記の成熟植物から世代M1の再生部分を得るステップ;
d)任意選択で前のステップをX回繰り返して、世代M(1+X)の再生部分を含む世代M(1+X)の植物を得るステップ;
e)複数の世代M1またはM(1+X)植物の再生部分をサブプールに分割するステップであって、各サブプールが複数の遺伝子型を表す再生部分を含み、1個の所与の成熟植物由来の全ての再生部分が、同じサブプール中に配置される、ステップ;
f)各サブプール由来のmRNA試料から得られるgDNA試料またはcDNA試料などの、DNA試料を調製するステップ;
g)高感度検出手段を用いて、変異を含むDNAを含むサブプールを特定するステップ;
h)上記の変異を含む上記のサブプール内の再生部分を特定し、それにより上記の変異体植物を特定するステップ、
を含み、上記の変異誘発のステップが、世代M1の再生部分の細胞当り1~30個の非同義変異の変異誘発の割合をもたらす、方法。
2.所定の標的配列の目的のヌクレオチド[NOI]中の1個または複数の変異を有する予め定義された種の変異体植物を特定するための方法であって、
a)上記の種の親植物のN個の再生部分を用意するステップであって、Nが、少なくとも5,000、例えば少なくとも10,000、例えば少なくとも15,000、例えば少なくとも20,000、例えば少なくとも25,000、例えば少なくとも30,000の整数である、ステップ;
b)上記の再生部分を、低い変異誘発の割合をもたらす変異誘発、好ましくはランダム変異誘発に供し、それにより複数の遺伝子型を表す世代M0の再生部分のプールを生成するステップ;
c)世代M0の上記の再生部分を世代M1の成熟植物に生育させ、上記の成熟植物から世代M1の再生部分を得るステップ;
d)任意選択で前のステップをX回繰り返して、世代M(1+X)の再生部分を含む世代M(1+X)の植物を得るステップ;
e)複数の世代M1またはM(1+X)植物の再生部分をサブプールに分割するステップであって、各サブプールが複数の遺伝子型を表す再生部分を含み、1個の所与の成熟植物由来の全ての再生部分が、同じサブプール中に配置される、ステップ;
f)各サブプール由来のmRNA試料から得られるgDNA試料またはcDNA試料などの、DNA試料を調製するステップ;
g)高感度検出手段を用いて、変異を含むDNAを含むサブプールを特定するステップ;
h)上記の変異を含む上記のサブプール内の再生部分を特定し、それにより上記の変異体植物を特定するステップ、
を含み、二倍体植物での低い変異誘発の割合が、平均で全ての遺伝子の少なくとも99.8%、好ましくは少なくとも99.9%が、非同義変異を含まないことであり、より高い倍数性の植物では、平均で全ての遺伝子の少なくとも98.0%、好ましくは少なくとも99.0%が、世代M1の再生部分中に非同義変異を含まないことであり、好ましくは再生部分が、栄養組織、種子、子実、種子中の生殖系列細胞、上記の植物の穀物または胚芽、花粉または胚芽であり、好ましくは再生部分が、種子である、方法。
3.ステップe)が、
i.サブプールの最適サイズを決定するステップであって、最大サブプールサイズ(SPm)が下記である、ステップ;
Figure 2023502317000025
ii.上記の再生部分をサブプールに分割するステップであって、各サブプールが、多数の成熟植物からの再生部分を含み、上記の数は0.5*SPm~1.1*SPmの範囲であり、1個の所与の成熟植物由来の全ての再生部分が、同じサブプール中に配置される、ステップ、
を含み、高感度検出手段の検出感度が、Y個中1個であり、植物が、GECNの遺伝的に有効な細胞数を有する、方法により実施される、項目1または2に記載の方法。
4.遺伝的に有効な細胞数(GECN)を有する予め定義された植物種の植物、またはその再生部分を特定する方法であって、植物が、標的配列中の、目的のヌクレオチド[NOI]中にn個の所定の変異の少なくとも1個を有し、Y個中1個の検出感度で核酸配列を検出するための検出手段を採用し、
a)上記の種の親植物のN個の再生部分を用意するステップであって、Nが、1,000超の整数、例えば少なくとも5,000、例えば少なくとも10,000、例えば少なくとも15,000、例えば少なくとも20,000、例えば少なくとも25,000、例えば少なくとも30,000の整数である、ステップ;
b)上記の再生部分を変異誘発、好ましくはランダム変異誘発のステップに供し、それにより複数の遺伝子型を表す世代M0の再生部分のプールを生成するステップ;
c)世代M0の上記の再生部分を成熟植物に生育させ、上記の成熟植物から世代M1の再生部分を得るステップ;
d)任意選択で、先のステップをX回繰り返して、世代M(1+X)の再生部分を含む植物を得るステップ;
e)世代M1またはM(1+X)の上記の再生部分を:
i)サブプールの最適サイズを決定するステップであって、最大サブプールサイズ(SPm)が、下記である、ステップ;
Figure 2023502317000026
ii)上記の再生部分をサブプールに分割するステップであって、各サブプールが、多数の成熟植物からの再生部分を含み、上記の数は0.5*SPm~1.1*SPmの範囲であり、1個の所与の成熟植物由来の全ての再生部分が、同じサブプール中に配置される、ステップ、
を含む方法によりサブプールに分割するステップ;
f)各サブプールから、gDNA試料またはcDNA試料などの、DNA試料を調製するステップ;
g)上記の検出手段を用いて、変異を含む再生部分を含むサブプールを特定するステップ;
h)上記の変異を含む上記のサブプール内で再生部分を特定し、それにより上記の変異体植物を特定するステップ、
を含む、方法。
5.核酸配列を検出するための検出手段が、高感度検出手段である、項目3または4に記載の方法。
6.各サブプールが、0.5*SPm~SPmの範囲の成熟植物からの再生部分を含む、項目1~5のいずれか1項に記載の方法。
7.各サブプールが、0.7*SPm~SPmの範囲の成熟植物からの再生部分を含む、項目1~6のいずれか1項に記載の方法。
8.Nが、0.7*ON~1.3*ONの範囲であり、
Figure 2023502317000027
であり、式中、Hrは、変異誘発後の上記の植物種の予測平均収穫率(%)であり、
OLSは、下式による最適ライブラリーサイズであり、
Figure 2023502317000028
式中、PSは成功確率(%)であり、
Mfは変異頻度であり、
nはスクリーニングされる変異の数であり、
ステップb)が、Mfの変異誘発頻度をもたらすランダム変異誘発のステップを含む、項目1~7のいずれか1項に記載の方法。
9.収穫率が、変異誘発後の上記の植物種の発芽比率(%)である、項目8に記載の方法。
10.Nが、0.8*ON~1.2*ONの範囲である、項目1~9のいずれか1項に記載の方法。
11.Nが、0.9*ON~1.1*ONの範囲である、項目1~10のいずれか1項に記載の方法。
12.再生部分が、種子である、項目1~11のいずれか1項に記載の方法。
13.成功確率が、少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、例えば少なくとも98%である、項目1~12のいずれか1項に記載の方法。
14.少なくとも30,000個の再生部分が、ステップa)で用意され、例えば少なくとも40,000個の再生部分、例えば少なくとも50,000個の再生部分、例えば少なくとも60,000個の再生部分、例えば少なくとも70,000個の再生部分、例えば少なくとも80,000個の再生部分、例えば少なくとも90,000個の再生部分、例えば少なくとも100,000個の再生部分、例えば少なくとも200,000個の再生部分、例えば少なくとも300,000個の再生部分、例えば少なくとも400,000個の再生部分、例えば少なくとも500,000個の再生部分、例えば少なくとも600,000個の再生部分、例えば少なくとも700,000個の再生部分、例えば少なくとも800,000個の再生部分、例えば少なくとも900,000個の再生部分、例えば少なくとも10個の再生部分、例えば少なくとも2.10個の再生部分、例えば少なくとも3.10個の再生部分、例えば少なくとも4.10個の再生部分、例えば少なくとも5.10個の再生部分、例えば少なくとも6.10個の再生部分、例えば少なくとも7.10個の再生部分、例えば少なくとも8.10個の再生部分、例えば少なくとも9.10個の再生部分、例えば少なくとも10個のまたはそれを超える再生部分が、ステップa)で用意される、項目1~13のいずれか1項に記載の方法。。
15.変異誘発の割合が、1,000個の遺伝子毎に多くて1個の変異、例えば5,000個の遺伝子毎に多くて1個の変異、例えば10,000個の遺伝子毎に多くて1個の変異、例えば20,000個の遺伝子毎に多くて1個の変異、例えば30,000個の遺伝子毎に多くて1個の変異である、項目1~14のいずれか1項に記載の方法。
16.上記の変異誘発が、コード領域で多くて25個の非同義変異をもたらす、例えばコード領域で多くて20個の非同義変異、例えばコード領域で多くて15個の非同義変異、例えばコード領域で多くて10個の非同義変異、例えばコード領域で多くて5個の非同義変異、例えば世代M1の植物のコード領域で1個のサイレント変異をもたらす、項目1~15のいずれか1項に記載の方法。
17.植物が、二倍体植物であり、上記の低い変異誘発の割合が、少なくとも500,000個中1個の変異頻度、例えば少なくとも750,000個中1個、例えば少なくとも1,000,000個中1個の変異頻度である、項目1~16のいずれか1項に記載の方法。
18.植物が、四倍体植物であり、上記の低い変異誘発の割合が、少なくとも70,000個中1個の変異頻度、例えば少なくとも100,000個中1個、例えば少なくとも300,000個中1個の変異頻度である、項目1~17のいずれか1項に記載の方法。
19.植物が、六倍体植物であり、上記の低い変異誘発の割合が、少なくとも40,000個中1個の変異頻度、例えば少なくとも80,000個中1個、例えば少なくとも200,000個中1個の変異頻度である、項目1~18のいずれか1項に記載の方法。
20.変異誘発が、化学的変異誘発または放射線変異誘発である、項目1~19のいずれか1項に記載の方法。
21.変異誘発が、アジ化ナトリウム(NaN)、エチレンイミン、ヒドロキシルアミン(NHOH)、N-メチル-N’-ニトロ-N-ニトロソソグアニジン(MNNG)、ジアゾメタン、メチルニトロソグアニジン(MNNG)およびエチルメタンスルホネート(EMS)、ならびにエチルメタンスルホネート(EMS)、ジエチルスルホネート(DES)もしくはN-エチル-N-ニトロソウレア(ENU)などのスルホネート、またはエチル-2-クロロエチルスルフィドなどの硫黄マスタードなど、または2-クロロエチルジメチルアミンなどのナイトロジェンマスタードなど、またはエチレンオキシドなどのエポキシドなどのアルキル化剤からなる群より選択される変異誘発化学薬品などの変異誘発化学薬品により実施される化学的変異誘発である、項目1~20のいずれか1項に記載の方法。
22.ランダム変異誘発のステップが、アジ化ナトリウムを用いて、好ましくは1mM以下で2時間以下、例えば0.9mM以下、例えば0.8mM以下、例えば0.7mM以下、例えば0.6mM以下、例えば0.5mM以下、例えば0.4mM以下、例えば0.3mM以下の濃度で2時間以下実施される、項目1~21のいずれか1項に記載の方法。
ランダム変異誘発のステップが、EMSを用いて、好ましくは4%以下の濃度で2時間以下、例えば3%以下、例えば2%以下、例えば1.5%以下、例えば1%以下、例えば0.75%以下、例えば0.5%以下、例えば0.4%以下、例えば0.3%以下、例えば0.2%以下、例えば0.1%以下、例えば0.1%で24時間実施される、項目1~21のいずれか1項に記載の方法。
24.変異誘発が、少なくとも90%の再生部分が変異誘発のステップで生き残る、例えば少なくとも91%の再生部分、例えば少なくとも92%の再生部分、例えば少なくとも93%の再生部分、例えば少なくとも94%の再生部分、例えば少なくとも95%の再生部分、例えば少なくとも96%の再生部分、例えば少なくとも97%の再生部分、例えば少なくとも98%の再生部分、または例えば少なくとも99%の再生部分が変異誘発のステップで生き残るような条件で実施される、項目1~23のいずれか1項に記載の方法。
25.上記の変異体植物が、標的配列中の変異に起因する表現型の形質を除き、親植物と同じ表現型を有する、項目1~24のいずれか1項に記載の方法。
26.上記の変異体植物の外観、高さ、生物量、収率、粒径、適応度、葉形状および味覚の1つまたは複数が、親植物と同じであり、好ましくは上記の変異体植物の外観、高さ、生物量、葉形状および味覚の全てが、親植物と同じである、項目1~25のいずれか1項に記載の方法。
27.上記の変異体植物の(作物)収率が、親植物の総(作物)収率の、少なくとも90%、例えば少なくとも91%、例えば少なくとも92%、例えば少なくとも93%、例えば少なくとも94%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも96%、例えば少なくとも97%、例えば少なくとも98%、例えば少なくとも99%、例えば少なくとも100%、例えば少なくとも105%、例えば少なくとも110%、例えば少なくとも125%、例えば少なくとも150%、例えば少なくとも175%、例えば少なくとも200%、またはそれより多くに相当する、項目1~26のいずれか1項に記載の方法。
28.上記の変異体植物の穀物品質が、親植物の穀物品質と実質的に同じ、またはそれより高い穀物品質である、項目1~27のいずれか1項に記載の方法。
29.目的の変異が、1.5百万個の植物当り1個の変異に相当する頻度で起こる、項目1~28のいずれか1項に記載の方法。
30.少なくとも5,000個の再生部分、例えば少なくとも10,000個の再生部分、例えば少なくとも15,000個の再生部分、例えば少なくとも20,000個の再生部分、例えば少なくとも25,000個の再生部分、例えば少なくとも30,000個の再生部分、例えば少なくとも40,000個の再生部分、例えば少なくとも50,000個の再生部分、例えば少なくとも60,000個の再生部分、例えば少なくとも70,000個の再生部分、例えば少なくとも80,000個の再生部分、例え少なくとも90,000個の再生部分、例えば少なくとも100,000個の再生部分、例えば少なくとも200,000個の再生部分、例えば少なくとも300,000個の再生部分、例えば少なくとも400,000個の再生部分、例えば少なくとも500,000個の再生部分、例えば少なくとも600,000個の再生部分、例えば少なくとも700,000個の再生部分、例えば少なくとも800,000個の再生部分、例えば少なくとも900,000個の再生部分、例えば少なくとも10個の再生部分、例えば少なくとも10個の成熟植物、例えば少なくとも2.10個の成熟植物、例えば少なくとも3.10個の成熟植物、例えば少なくとも4.10個の成熟植物、例えば少なくとも5.10個の成熟植物、例えば少なくとも6.10個の成熟植物、例えば少なくとも7.10個の成熟植物、例えば少なくとも8.10個の成熟植物、例えば少なくとも9.10個の成熟植物、例えば少なくとも10個の成熟植物が、ステップc)で得られる、項目1~29のいずれか1項に記載の方法。
31.世代M0の再生部分の生存率が、ステップa)で用意される再生部分の生存率と同じ、またはそれより大きい、項目1~30のいずれか1項に記載の方法。
32.上記の変異体植物の不稔性が、30%未満である、項目1~31のいずれか1項に記載の方法。
33.植物が、アブラナ科、マメ科、イネ科、ヒユ科、キク科、ナス科、アカネ科またはラン科に属する植物などの、作物植物または顕花植物である、項目1~32のいずれか1項に記載の方法。
34.植物が、穀類、豆果およびアブラナ科からなる群より選択される、項目1~33のいずれか1項に記載の方法。
35.植物が、大麦である、項目1~34のいずれか1項に記載の方法。
36.植物種が、平均数のRPの植物当りの再生部分を有し、ステップf)が、
i.各サブプールをランダムに分割するステップであって、第1の画分がサブプールの再生部分の(GECN*100/RP)%~(GECN*500/RP)%の範囲を含み;上記の第1の画分が上記の再生部分の多くて50%を含む、ステップ;
ii.各サブプールの第1の画分全体のDNA試料の調製ステップ;
を含む、項目1~35のいずれか1項に記載の方法。
37.ステップf)が:
-各サブプールを複数画分に分割するステップ;
-各サブプールの全画分のmRNA試料から得られるgDNA試料またはcDNA試料などのDNA試料を調製するステップ;
を含む、項目1~36のいずれか1項に記載の方法。
38.ステップf)が、各サブプールを少なくとも2つの画分、例えば少なくとも3つの画分、例えば少なくとも4つの画分に分割し、各サブプールの全画分からDNA試料を調製するステップにより実施される、項目1~37のいずれか1項に記載の方法。
39.ステップf)が、各サブプールの再生部分の10~50%の範囲を含む画分を得、各サブプールの全画分からDNA試料を調製するステップを含む、項目1~38のいずれか1項に記載の方法。
40.検出手段または高感度検出手段が、少なくとも1,000個中1個の検出感度、例えば1,000~10,000個の範囲の個数中1個の検出感度、例えば1,000~5,000個の範囲の個数中1個の検出感度を有する、項目1~39のいずれか1項に記載の方法。
41.各サブプールに対するステップg)が:
-サブプールの画分由来のDNA試料、それぞれ標的配列に隣接する1つまたは複数のプライマーセットおよびPCR試薬を含む、1回または複数のPCR増幅を実施し、それにより標的配列を増幅するステップ;
-NOI中1個または複数の変異を含む標的配列を含むPCR増幅産物を検出するステップ;
を含む、項目1~40のいずれか1項に記載の方法。
42.1回または複数のPCR増幅が、複数の空間的に分離された区画に分割される、項目41に記載の方法。
43.空間的に分離された区画が、水-油エマルション液滴などの液滴である、項目42に記載の方法。
44.各液滴が、0.1~10nLの範囲の平均体積を有する、項目43に記載の方法。
45.各PCRが、1,000~100,000個の範囲の空間的に分離された区画に区画化される、項目42~44のいずれか1項に記載の方法。
46.PCR試薬が、1個または複数の変異検出プローブを含み、各変異検出プローブが、検出可能な手段に任意に連結されたオリゴヌクレオチドを含み、オリゴヌクレオチドが、NOIの所定の変異を含む、標的配列に同一であるか、または相補的である、項目41~45のいずれか1項に記載の方法。
47.PCR試薬が、1個または複数の参照検出プローブを含み、各参照検出プローブが、検出可能な手段に任意に連結されたオリゴヌクレオチドを含み、オリゴヌクレオチドが、参照NOIを含む、標的配列に同一であるか、または相補的である、項目41~46のいずれか1項に記載の方法。
48.変異体検出プローブが、フルオロフォアおよびクエンチャーに連結され、参照検出プローブが、異なるフルオロフォアおよびクエンチャーに連結される、項目47に記載の方法。
49.PCR試薬が、参照検出プローブと比較して、少なくとも2倍過剰の変異体検出プローブを含む、請求項47または48に記載の方法。
50.PCRが、RNアーゼH依存性PCRである、項目40~49のいずれか1項に記載の方法。
51.ステップa)の変異誘発が、ランダム変異誘発である、項目1~50のいずれか1項に記載の方法。
52.異なる遺伝子型を有する世代M0の10個の再生部分、例えば少なくとも2.10個の再生部分、例えば少なくとも3.10個の再生部分、例えば少なくとも4.10個の再生部分、例えば少なくとも5.10個の再生部分、例えば少なくとも6.10個の再生部分、例えば少なくとも7.10個の再生部分、例えば少なくとも8.10個の再生部分、例えば少なくとも9.10個の再生部分、例えば少なくとも10個のまたはそれより多い再生部分が、ステップb)で得られる、項目1~51のいずれか1項に記載の方法。
53.方法が、プール内の生物、またはその再生部分の生殖のステップを含み、生殖のステップが、生物をサブプールに分割するステップe)と同時に、またはその後に実施され得る、項目1~52のいずれか1項に記載の方法。
54.世代M(1+X)の植物を得るステップを含み、所与のM0世代植物の全ての子孫の全ての再生部分が、同じサブプール中に配置される、項目1~53のいずれか1項に記載の方法。
55.特定されたサブプール内の再生部分を特定するステップが:
i)再生部分を植物に生育させるステップ;
ii)植物のそれぞれからDNA試料を調製するステップ;
iii)変異を含む植物を特定するステップ、
を含む、項目1~54のいずれか1項に記載の方法。
56.ステップe)の再生部分が、世代M2である、項目1~55のいずれか1項に記載の方法。
57.ステップh)が、下記のステップを含む、項目1~56のいずれか1項に記載の方法:
-植物の複数の再生部分を含むサブプールを用意するステップであって、サブプールが、NOIの1個またはいくつかの変異を含む再生部分を含む、ステップ;
-サブプールの再生部分を、二次サブプールに分割するステップ;
-植物に生育させるのに十分に無傷の状態で再生部分を保つ方法により二次サブプールの各再生部分から試料を取得し、各二次サブプールの全ての再生部分からの全ての試料を混合するステップ;
-DNA試料を混合試料から調製するステップ;
-変異を含むDNAを含む二次サブプールを特定するステップ。
58.試料が、再生部分、好ましくは種子に穿孔し、その後得られた粉末を収集することにより得られる、項目57に記載の方法。
59.下記ステップをさらに含む、項目57または58に記載の方法:
-NOI中に変異を含む再生部分を含む特定された二次サブプールを用意するステップであって、再生部分が、種子である、ステップ;
-二次サブプール内の全ての種子を栽培して発芽させ、任意に各種子から植物を発育させるステップ;
-各発芽した種子から試料を得るステップ;
-試料について、NOI中の変異の存在を試験し、それによりNOI中に変異を保持する植物を特定するステップ;
-任意選択で、植物を成熟まで生育させるステップ。
60.ステップf)の後で実施される以下のステップをさらに含む、項目59に記載の方法:
-各サブプールから各DNA試料の画分を得るステップ;
-複数の画分をスーパープールへと組み合わせ、それにより複数のサブプールからのDNA試料を含むDNAスーパープールを得るステップであって、各サブプールからのDNAが、1つのスーパープール中にのみ存在する、ステップ;
-それぞれがDNA試料のスーパープールを含む複数のPCR増幅を実施するステップであって、各PCR増幅が、それぞれがDNA試料の一部、それぞれ標的配列に隣接する1つまたは複数のプライマーセットおよびPCR試薬を含む、複数の区画化PCR増幅を含み、それにより標的配列を増幅する、ステップ;
-NOI中に変異を含む1個または複数の標的配列を含むPCR増幅産物を検出し、それにより変異を含むスーパープールを特定するステップ。
61.PCR増幅が、1個の変異を含むサブプールからのDNAの試料でのみ実施される、項目60に記載の方法。
62.5~100個の範囲のスーパープールが、調製される、項目60または61に記載の方法。
63.DNA試料のスーパープールを含むPCR増幅が、以下のステップを含む方法により実施される、項目60~62のいずれか1項に記載の方法:
-DNA試料、標的配列に隣接する1つまたは複数のプライマーセットおよびPCR試薬を含むPCR増幅を準備するステップ;
-PCR増幅を複数の空間的に分離された区画に分割するステップであって、各区画が、0.1~10pLの範囲の平均体積を有する、ステップ;
-PCR増幅を実施するステップ;
-PCR増幅産物を検出するステップ。
64.PCRが、RNアーゼH依存性PCRである、項目60~63のいずれか1項に記載の方法。
65.各PCRが、空間的に分離された区画などの少なくとも1,000,000個の区画に区画化される、項目60~64のいずれか1項に記載の方法。
66.空間的に分離された区画が、水-油エマルション液滴などの液滴である、項目60~65のいずれか1項に記載の方法。
67.変異が、所定のポリペプチド中の予測された機能喪失型変異であり、予測されたスクリーニング変異数が、ポリペプチドのアミノ酸数の5%である、項目1~66のいずれか1項に記載の方法。
68.スクリーニングされる変異の数が、1である、項目1~67のいずれか1項に記載の方法。
69.変異が、単一ヌクレオチドの置換である、項目1~68のいずれか1項に記載の方法。
70.標的配列中の1個の所定の変異を特定する方法であり、標的配列に隣接する1つのみのプライマーセットを用いる、請求項1~69のいずれか1項に記載の方法。
71.PCR試薬が、ただ1つの変異検出プローブを含む、項目41~70のいずれか1項に記載の方法。
72.再生部分が、栄養組織、種子、子実、種子中の生殖系列細胞、植物の穀物または胚芽、花粉または胚芽であり、好ましくは再生部分が、種子である、項目1~71のいずれか1項に記載の方法。
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WO 2018/001884

Claims (19)

  1. 所定の標的配列中で、目的のヌクレオチド[NOI]中に1個または複数の変異を有する予め定義された種の変異体植物を特定するための方法であって、
    a)前記種の親植物のN個の再生部分を用意するステップであって、Nが、少なくとも5,000、少なくとも10,000など、少なくとも15,000など、少なくとも20,000など、少なくとも25,000など、少なくとも30,000などの整数である、ステップ;
    b)低い割合の変異誘発をもたらす、変異誘発、好ましくはランダム変異誘発のステップに前記再生部分を供する、それにより複数の遺伝子型を表す世代M0の再生部分のプールを生成するステップ;
    c)世代M1の成熟植物へと世代M0の前記再生部分を生育させるおよび前記成熟植物から世代M1の再生部分を得るステップ;
    d)世代M(1+X)の再生部分を含む世代M(1+X)の植物を得るために前のステップをX回任意選択で繰り返すステップ;
    e)各サブプールが複数の遺伝子型を表す再生部分を含む、サブプールへと複数の世代M1またはM(1+X)植物の再生部分を分割するステップであって、1個の所与の成熟植物由来の全ての再生部分が、同じサブプール中に配置される、ステップ;
    f)各サブプールから、mRNA試料から得られるgDNA試料またはcDNA試料などの、DNA試料を調製するステップ;
    g)高感度検出手段を用いて前記変異を含むDNAを含むサブプールを特定するステップ;
    h)前記変異を含む前記サブプール内の再生部分を特定する、それにより前記変異体植物を特定するステップ;
    を含み、
    二倍体植物における低い割合の変異誘発が、平均で全ての遺伝子の少なくとも99.8%、好ましくは少なくとも99.9%が、非同義変異を含まないことかつより高い倍数性の植物において平均で全ての遺伝子の少なくとも98.0%、好ましくは少なくとも99.0%が、世代M1の再生部分中に非同義変異を含まないことであり、好ましくは前記再生部分が、栄養組織、種子、子実、種子中の生殖系列細胞、前記植物の穀物または胚芽、花粉または胚芽であり、好ましくは前記再生部分が、種子である、方法。
  2. 前記変異誘発の割合が、1,000個の遺伝子毎に多くて1個の変異、5,000個の遺伝子毎に多くて1個の変異など、10,000個の遺伝子毎に多くて1個の変異など、20,000個の遺伝子毎に多くて1個の変異など、30,000個の遺伝子毎に多くて1個の変異などである、請求項1に記載の方法。
  3. 前記変異誘発が、世代M1の植物においてコード領域中で多くて25個の非同義変異をもたらす、コード領域中で多くて20個の非同義変異など、コード領域中で多くて15個の非同義変異など、コード領域中で多くて10個の非同義変異など、コード領域中で多くて5個の非同義変異など、コード領域中で1個のサイレント変異などをもたらす、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記変異誘発が、放射線誘導変異誘発またはアジ化ナトリウム(NaN)、エチレンイミン、ヒドロキシルアミン(NHOH)、N-メチル-N’-ニトロ-N-ニトロソソグアニジン(MNNG)、ジアゾメタン、メチルニトロソグアニジン(MNNG)およびエチルメタンスルホネート(EMS)ならびにエチルメタンスルホネート(EMS)、ジエチルスルホネート(DES)もしくはN-エチル-N-ニトロソウレア(ENU)などのスルホネート、またはエチル-2-クロロエチルスルフィドなどの、硫黄マスタードなど、または2-クロロエチルジメチルアミンなどのナイトロジェンマスタードなど、またはエチレンオキシドなどの、エポキシドなどのアルキル化剤からなる群より選択される変異誘発化学薬品などの変異誘発化学薬品を用いて実施される化学的変異誘発であり、好ましくは前記ランダム変異誘発のステップが、好ましくは2時間以下の間1mM以下、0.9mM以下など、0.8mM以下など、0.7mM以下など、0.6mM以下など、0.5mM以下など、0.4mM以下など、0.3mM以下などの濃度で、アジ化ナトリウムを用いて実施される、または前記ランダム変異誘発ステップが、好ましくは2時間以下の間4%以下、3%以下など、2%以下など、1.5%以下など、1%以下など、0.75%以下など、0.5%以下など、0.4%以下など、0.3%以下など、0.2%以下など、0.1%以下など、24時間以下の間0.1%などの濃度で、EMSを用いて実施される、請求項1~3のいずれ1項に記載の方法。
  5. 前記変異体植物が、前記標的配列中の変異に起因する表現型の形質を除き、前記親植物と同じ表現型を有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 目的の変異が、1.5百万個の植物当り1個の変異に相当する頻度で起こる、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
  7. が、0.8*ON~1.2*ONの範囲などの、0.7*ON~1.3*ONの範囲であり、式中、
    Figure 2023502317000029
    でありかつHrが、変異誘発後の前記植物種の予測される平均収穫率(%)であり、かつ
    OLSが、最適なライブラリーサイズであり、
    Figure 2023502317000030
    式中、PSは、成功確率(%)であり、かつ
    Mfは、変異頻度であり、かつ
    nは、スクリーニングされる変異の数であり、かつ
    ステップb)が、Mfの変異誘発頻度をもたらすランダム変異誘発のステップを含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記成功の確率が、少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、少なくとも98%などである、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 少なくとも5,000個の再生部分、少なくとも10,000個の再生部分など、少なくとも15,000個の再生部分など、少なくとも20,000個の再生部分など、少なくとも25,000個の再生部分など、少なくとも30,000個の再生部分など、少なくとも40,000個の再生部分など、少なくとも50,000個の再生部分など、少なくとも60,000個の再生部分など、少なくとも70,000個の再生部分など、少なくとも80,000個の再生部分など、少なくとも90,000個の再生部分など、少なくとも100,000個の再生部分など、少なくとも200,000個の再生部分など、少なくとも300,000個の再生部分など、少なくとも400,000個の再生部分など、少なくとも500,000個の再生部分など、少なくとも600,000個の再生部分など、少なくとも700,000個の再生部分など、少なくとも800,000個の再生部分など、少なくとも900,000個の再生部分など、少なくとも10個の再生部分など、少なくとも10個の成熟植物など、少なくとも2.10個の成熟植物など、少なくとも3.10個の成熟植物など、少なくとも4.10個の成熟植物など、少なくとも5.10個の成熟植物など、少なくとも6.10個の成熟植物など、少なくとも7.10個の成熟植物など、少なくとも8.10個の成熟植物など、少なくとも9.10個の成熟植物など、少なくとも10個の成熟植物などが、ステップc)で得られる、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 前記植物が、アブラナ科、マメ科、イネ科、ヒユ科、キク科、ナス科、アカネ科またはラン科に属する植物などの、作物植物または顕花植物であり、好ましくは前記植物が、大麦である、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
  11. ステップe)が、
    i.前記サブプールの最適なサイズを決定するステップであって、最大サブプールサイズ(SPm)が、下記である、ステップ;
    Figure 2023502317000031
    ii)サブプールへと前記再生部分を分割するステップであって、各サブプールが、多数の成熟植物由来の再生部分を含み、前記数が、0.5*SPm~1.1*SPmの範囲であり、1個の所与の成熟植物由来の全ての再生部分が、同じサブプール中に配置される、ステップ;
    を含む方法により実施され、
    前記高感度検出手段の検出感度が、Y個中の1個であり、かつ前記植物が、GECNの遺伝的に有効な細胞数を有する、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
  12. ステップf)が:
    -複数画分へと各サブプールを分割するステップ;
    -各サブプールの全画分の、mRNA試料から得られるgDNA試料またはcDNA試料などの、DNA試料を調製するステップ;
    を含む、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 前記植物種が、RPの植物当りの再生部分の平均数を有し、かつステップf)が、
    i.複数画分へと各サブプールをランダムに分割するステップであって、第1の画分が、前記サブプールの再生部分の(GECN*100/RP)%~(GECN*500/RP)%の範囲を含み;かつ前記第1の画分が、前記再生部分の多くて50%を含む、ステップ;
    ii.各サブプールの全第1の画分のDNA試料を調製するステップ;
    を含む、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
  14. ステップf)が、少なくとも2つの画分、少なくとも3つの画分など、少なくとも4つの画分などへと各サブプールを分割する、および各サブプールの全画分からDNA試料を調製するステップにより実施され、および/またはステップf)が、10~50%の範囲の各サブプールの再生部分を含む画分を得るおよび各サブプールの全画分からDNA試料を調製するステップを含み、および/または
    各サブプールに対するステップg)が:
    -サブプールの前記画分由来の前記DNA試料、それぞれ標的配列に隣接する1つまたは複数のプライマーセットおよびPCR試薬を含む、1回または複数のPCR増幅を実施する、それにより前記標的配列を増幅するステップ;
    -前記NOI中に1個または複数の変異を含む前記標的配列を含むPCR増幅産物を検出するステップ;
    を含む、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
  15. 異なる遺伝子型を有する世代M0の10個の再生部分、少なくとも2.10個の再生部分など、少なくとも3.10個の再生部分など、少なくとも4.10個の再生部分など、少なくとも5.10個の再生部分など、少なくとも6.10個の再生部分など、少なくとも7.10個の再生部分など、少なくとも8.10個の再生部分など、少なくとも9.10個の再生部分など、少なくとも10個のまたはそれを超える再生部分などが、ステップb)で得られる、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
  16. 前記方法が、プール内の、前記生物、またはその再生部分の生殖のステップを含み、かつ前記生殖のステップが、サブプールへと前記生物を分割するステップe)と同時に、またはその後に実施され得、および/またはステップe)の前記再生部分が、世代M2のものである、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法。
  17. ステップh)が:
    -植物の複数の再生部分を含むサブプールを用意するステップであって、前記サブプールが、前記NOIの1個またはいくつかの変異を含む再生部分を含む、ステップ;
    -二次サブプールへと前記サブプールの再生部分を分割するステップ;
    -植物へと発育させるのに十分に無傷で再生部分を残す様式で、前記二次サブプールの再生部分から試料を取得する、かつ各二次サブプールの全ての再生部分由来の全試料を組み合わせるステップ;
    -前記組み合わせた試料からDNA試料を調製するステップ;
    -前記変異を含むDNAを含む二次サブプールを特定するステップ;
    を含む、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
  18. -前記NOI中に変異を含む再生部分を含む前記特定された二次サブプールを用意するステップであって、前記再生部分が、種子である、ステップ;
    -発芽させるために前記二次サブプール内の全ての種子を栽培する、および任意選択で各種子から植物を発育させるステップ;
    -各発芽した種子から試料を得るステップ;
    -NOI中の前記変異の存在について前記試料を試験する、それによりNOI中に変異を保持する植物を特定するステップ;
    -任意選択で前記植物を成熟まで生育させるステップ;
    をさらに含む、請求項17に記載の方法。
  19. ステップf)の後に実施される次のステップ:
    -各サブプールから各DNA試料の画分を得るステップ;
    -スーパープールへと複数の画分を組み合わせる、それにより複数のサブプールからのDNA試料を含むDNAスーパープールを得るステップであって、各サブプールからのDNAが、1つのスーパープール中にのみ存在する、ステップ;
    -それぞれがDNA試料のスーパープールを含む、複数のPCR増幅を実施するステップであって、各PCR増幅が、それぞれが前記DNA試料の一部、それぞれ標的配列に隣接する1つまたは複数のプライマーセットおよびPCR試薬を含む、複数の区画化PCR増幅を含み、それにより前記標的配列を増幅する、ステップ;
    -前記NOI中に変異を含む1個または複数の標的配列を含むPCR増幅産物を検出する、それにより前記変異を含むスーパープールを特定するステップ、
    をさらに含み、好ましくはPCR増幅が、1個の前記変異を含むサブプールからのDNAの試料に対してのみ実施される、請求項18に記載の方法。
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