JP2023501002A - 生化学反応方法及び天然変性領域を含む試薬 - Google Patents

生化学反応方法及び天然変性領域を含む試薬 Download PDF

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Abstract

本発明は、水性インビトロ反応系などで生化学反応を行う方法に関する。この方法は、1つ以上の機能的天然変性領域(IDR)を含む巨大分子、特にポリペプチドを含む。本発明はまた、1つ以上の機能的IDRを含むか又はこれからなるタグ付きアミノ酸配列を含む巨大分子又はポリペプチドを含む、IDR-ポリペプチドを含むIDR-巨大分子に関する。そのような機能的IDRは、生化学反応の効率を高めることができる。本発明は、任意のそのような巨大分子及びポリペプチドを含むキットに関する。本発明はさらに、多価金属イオンとの組み合わせを含む、任意のそのような巨大分子及びポリペプチドを使用して溶液中の液体-液体脱混合を刺激又は増強し、それによって生化学反応の効率を高めることができる試薬を提供するための方法に関する。

Description

本発明は、水性インビトロ反応系などで生化学反応を行う方法に関する。この方法は、1つ以上の機能的天然変性領域(intrinsically disordered regions)(IDR)を含む巨大分子、特にポリペプチドを含む。本発明はまた、1つ以上の機能的IDRを含むか又はこれからなるタグ付きアミノ酸配列を含む巨大分子又はポリペプチドを含む、IDR-ポリペプチドを含むIDR-巨大分子に関する。そのような機能的IDRは、生化学反応の効率を高めることができる。本発明は、任意のそのような巨大分子及びポリペプチドを含むキットに関する。本発明はさらに、多価金属イオンとの組み合わせを含む、任意のそのような巨大分子及びポリペプチドを使用して溶液中の液体-液体脱混合を刺激又は増強し、それによって生化学反応の効率を高めることができる試薬を提供するための方法に関する。
生化学反応、特にインビトロ生化学反応の実施は、生物科学において根本的に重要である。多くの生化学反応は、研究室の外で、例えばポイントオブケア又は現場で行う必要があり得る。これらの状況では、実験室環境によってもたらされる正確な方法で生化学反応を制御することは不可能であり得る。これらの状況で行われる生化学反応の効率を改善することは価値があるであろう。実際、インビトロ及びインビボ生化学反応を含む正確な設定に関係なく、生化学反応の効率を高めることが望ましい場合がある。本発明は、これらの問題に対処する。
多くの生化学反応は、実施効率を高めるのを助けるために補助因子の使用を必要とする。そのような補助因子の1つの特定の例は、巨大分子クラウディング剤である。クラウディング剤は、多くの生化学反応の実施に不可欠である。注目すべき例は、核酸を増幅するためのリコンビナーゼポリメラーゼ増幅(RPA)系である。クラウディング剤の使用は、RPA実施効率を高めるのに不可欠であると考えられてきた。しかしながら、クラウディング剤には欠点があり得る。したがって、RPAを含む生化学反応の実施効率を高めるための代替手段、及び添加された/外因性のクラウディング剤の必要性を排除する代替手段が有用であろう。さらに、生化学反応の実施効率を高める際に、クラウディング剤の機能的効果を加えるか、又はこれと相乗作用する試薬が有用であろう。本発明はまた、これらの問題に対処する。
本発明は、水性インビトロ反応系において生化学反応を行う方法であって、生化学反応が、少なくとも1つの反応巨大分子、任意に少なくとも1つの反応ポリペプチドの機能に依存し、方法が、反応を行うために適した条件下で、少なくとも1つのIDR-巨大分子をインビトロ反応系に導入することを含み、少なくとも1つのIDR-巨大分子が、1つ以上の機能的天然変性領域(IDR)を含み、少なくとも1つのIDR-巨大分子をインビトロ反応系へ導入すると、生化学反応の効率が、少なくとも1つのIDR-巨大分子によって高められ、好ましくは、少なくとも1つのIDR-巨大分子が、少なくとも1種類のIDR-ポリペプチドである、方法を提供する。
上記の方法では、生化学反応は、少なくとも1つのIDR-巨大分子、任意に少なくとも1つのIDR-ポリペプチドの機能に依存してもよく、インビトロ反応系に導入されると、少なくとも1つのIDR-巨大分子又は少なくとも1つのIDR-ポリペプチドは、生化学反応においてその反応機能を果たし、反応の効率を高める。
本明細書に記載の方法のいずれかは、IDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドを系内に維持して、液体-液体脱混合及びIDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドによる系内の複数の相分離した水性区画の形成を引き起こし、それによって系内の生化学反応の効率を高めることをさらに含み得る。
本明細書に記載の方法のいずれかは、反応の実施に必要な分子を複数の相分離した水性区画内でIDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドと共局在させるために、又は複数の相分離した水性区画内でIDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドとの反応の実施に必要な分子の共局在化をさらに刺激又は増強するために、IDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドを系内に維持し、それによって系内の生化学反応の効率を高め得ることをさらに含み得る。
本明細書に記載の方法のいずれにおいても、複数の相分離した水性区画は、複数の検出可能な相分離した水性粒子であり得る。
さらなる態様では、本発明は、水性インビトロ反応系において生化学反応を行う方法であって、生化学反応が、少なくとも1つの反応巨大分子、任意に少なくとも1つの反応ポリペプチドの機能に依存し、方法が、1つ以上の機能的天然変性領域(IDR)(IDR-ポリペプチド)を含むか又はこれからなるアミノ酸配列でタグ付けされた少なくとも1つのポリペプチドを、反応を行うために適した条件下でインビトロ反応系に導入することと、IDR-ポリペプチドによって系内で液体-液体脱混合及び複数の相分離した水性区画、好ましくは検出可能な相分離した水性粒子の形成を引き起こし、反応の実施に必要な分子を区画内でIDR-ポリペプチドと共局在させ、それによって系内の生化学反応の効率を高めるために、系内でIDR-ポリペプチドを維持することとを含む、方法を提供する。
任意に、この追加の態様による方法では、生化学反応は、少なくとも1つの反応ポリペプチドの機能に依存し、反応ポリペプチドは、少なくとも1つのIDR-ポリペプチドであり、系に導入すると、少なくとも1つのIDR-ポリペプチドは、生化学反応においてその反応機能を果たし、系における反応の効率を高める。
この追加の態様による方法のいずれかでは、反応を行うのに適した条件は、IDR-ポリペプチドに多価金属イオンを提供し、それによって液体-液体脱混合及びIDR-ポリペプチドによって引き起こされる複数の相分離した水性区画の形成をさらに刺激又は増強し、それによって系内の生化学反応の効率をさらに高めることをさらに含んでよく、任意に、多価金属イオンが約22mM以上の濃度で提供され、好ましくは多価金属イオンが約22mM~50mMの濃度で提供される。多価金属イオンは、二価金属イオンであってもよく、任意にMg2+、Mn2+、Ca2+、Co2+又はNi2+、好ましくはMg2+、Mn2+又はCa2+、より好ましくはMg2+であってもよい。
この追加の態様による方法のいずれかでは、反応を行うのに適した条件は、インビトロ反応系においてIDR-ポリペプチドにATPを提供し、それによって、IDR-ポリペプチドによって引き起こされる液体-液体脱混合及び複数の相分離した水性区画の形成をさらにシミュレート又は増強し、それによって、系における生化学反応の効率をさらに高めることを含んでよく、ATPは、1mM~3.5mM、任意に1mM~2mM、好ましくは1mMの濃度で系内に提供される。
この追加の態様による方法のいずれかでは、反応を行うのに適した条件は、多価金属イオンをIDR-ポリペプチドに提供し、それによって、反応の実施に必要な分子をさらに刺激又は増強して、複数の相分離した水性区画内でIDR-ポリペプチドと共局在させ、それによって、系内の生化学反応の効率をさらに高めることをさらに含んでよく、任意に、多価金属イオンが約22mM以上の濃度で提供され、好ましくは多価金属イオンが約22mM~50mMの濃度で提供される。多価金属イオンは、二価金属イオンであってもよく、任意にMg2+、Mn2+、Ca2+、Co2+又はNi2+、好ましくはMg2+、Mn2+又はCa2+、より好ましくはMg2+であってもよい。
この追加の態様による方法のいずれかでは、反応を行うのに適した条件は、インビトロ反応系においてIDR-ポリペプチドにATPを提供し、それによって、反応の実施に必要な分子をさらに刺激又は増強して、複数の相分離した水性区画内でIDR-ポリペプチドと共局在させ、それによって、系内の生化学反応の効率をさらに高めることをさらに含んでよく、ATPは、1mM~3.5mM、任意に1mM~2mM、好ましくは1mMの濃度で系内に提供される。
この追加の態様による方法のいずれかでは、系における反応の効率は、少なくとも1つのポリペプチドが1つ以上の機能的IDRを含むか又はこれからなるアミノ酸配列でタグ付けされていないことを除いて、同じ反応条件下で少なくとも1つのポリペプチドの導入後の系における反応の効率と比較して、IDR-ポリペプチドによって高められ得る。
本発明はまた、水性インビトロ反応系において生化学反応を行う方法を提供し、生化学反応が、少なくとも1つの反応巨大分子、任意に少なくとも1つの反応ポリペプチドの機能に依存し、方法が、
i.少なくとも1つのIDR-巨大分子を含む分子を、反応を行うために適した条件下で系に導入することであって、少なくとも1つのIDR-巨大分子が1つ以上の機能的天然変性領域(IDR)を含み、好ましくは、少なくとも1つのIDR-巨大分子が少なくとも1つのIDR-ポリペプチドである、導入することと、
ii.IDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドを系内に維持して、系内で液体-液体脱混合を引き起こすことであって、液体-液体脱混合がIDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドによって引き起こされ、系内の複数の相分離した水性区画を形成する、維持することと、
iii.反応の実施に必要な分子が区画内でIDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドと共局在するように、IDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドを系内に維持することと、
iv.生化学反応を区画内で進行させることであって、系における生化学反応の効率が、少なくとも1つのIDR-巨大分子の存在によって高められることと、を含む。
上記の方法では、生化学反応は、少なくとも1つのIDR-巨大分子、任意に少なくとも1つのIDR-ポリペプチドの機能に依存してもよく、インビトロ反応系に導入されると、少なくとも1つのIDR-巨大分子又は少なくとも1つのIDR-ポリペプチドは、生化学反応においてその反応機能を果たし、反応の効率を高める。複数の相分離した水性区画は、複数の検出可能な相分離した水性粒子であり得る。
さらなる態様では、本発明は、水性インビトロ反応系において生化学反応を行う方法を提供し、生化学反応が、少なくとも1つの反応巨大分子、任意に少なくとも1つの反応ポリペプチドの機能に依存し、方法が、
i.1つ以上の機能的天然変性領域(IDR)(IDR-ポリペプチド)を含むか又はこれからなるアミノ酸配列でタグ付けされた少なくとも1つのポリペプチドを含む分子を、反応を行うために適した条件下で系に導入することと、
ii.IDR-ポリペプチドを系内に維持して、系内で液体-液体脱混合及び複数の相分離した水性区画、好ましくは検出可能な相分離した水性粒子の形成を引き起こすことであって、液体-液体脱混合がIDR-ポリペプチドによって引き起こされる、維持することと、
iii.反応の実施に必要な分子が区画内でIDR-ポリペプチドと共局在するように、IDR-ポリペプチドを系内に維持することと、
iv.生化学反応を区画内で進行させることであって、系における生化学反応の効率が、少なくとも1つのIDR-ポリペプチドの存在によって高められることと、を含む。
任意に、このさらなる態様による方法では、生化学反応は、少なくとも1つの反応ポリペプチドの機能に依存し、反応ポリペプチドは、少なくとも1つのIDR-ポリペプチドであり、系に導入すると、少なくとも1つのIDR-ポリペプチドは、生化学反応においてその反応機能を果たし、系における反応の効率を高める。
このさらなる態様による方法のいずれかでは、反応を行うのに適した条件は、IDR-ポリペプチドに多価金属イオンを提供し、それによって液体-液体脱混合及びIDR-ポリペプチドによって引き起こされる複数の相分離した水性区画の形成をさらに刺激又は増強し、それによって系内の生化学反応の効率をさらに高めることをさらに含んでよく、任意に、多価金属イオンが約22mM以上の濃度で提供され、好ましくは多価金属イオンが約22mM~50mMの濃度で提供される。多価金属イオンは、二価金属イオンであってもよく、任意にMg2+、Mn2+、Ca2+、Co2+又はNi2+、好ましくはMg2+、Mn2+又はCa2+、より好ましくはMg2+であってもよい。
このさらなる態様による方法のいずれかでは、反応を行うのに適した条件は、インビトロ反応系においてIDR-ポリペプチドにATPを提供し、それによって、IDR-ポリペプチドによって引き起こされる液体-液体脱混合及び複数の相分離した水性区画の形成をさらに刺激又は増強し、それによって、系における生化学反応の効率をさらに高めることを含んでよく、ATPは、1mM~3.5mM、任意に1mM~2mM、好ましくは1mMの濃度で系内に提供される。
このさらなる態様による方法のいずれかでは、反応を行うのに適した条件は、多価金属イオンをIDR-ポリペプチドに提供し、それによって、反応の実施に必要な分子をさらに刺激又は増強して、複数の相分離した水性区画内でIDR-ポリペプチドと共局在させ、それによって、系内の生化学反応の効率をさらに高めることをさらに含んでよく、任意に、多価金属イオンが約22mM以上の濃度で提供され、好ましくは多価金属イオンが約22mM~50mMの濃度で提供される。多価金属イオンは、二価金属イオンであってもよく、任意にMg2+、Mn2+、Ca2+、Co2+又はNi2+、好ましくはMg2+、Mn2+又はCa2+、より好ましくはMg2+であってもよい。
このさらなる態様による方法のいずれかでは、反応を行うのに適した条件は、インビトロ反応系においてIDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドにATPを提供し、それによって、反応の実施に必要な分子をさらに刺激又は増強して、複数の相分離した水性区画内でIDR-ポリペプチドと共局在させ、それによって、系内の生化学反応の効率をさらに高めることをさらに含んでよく、ATPは、1mM~3.5mM、任意に1mM~2mM、好ましくは1mMの濃度で系内に提供される。
このさらなる態様による方法のいずれかでは、反応を行うのに適した条件は、多価金属イオンをIDR-ポリペプチドに提供し、それによって、反応の実施に必要な分子をさらに刺激又は増強して、複数の相分離した水性区画内でIDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドと共局在させ、それによって、系内の生化学反応の効率をさらに高めることをさらに含んでよく、任意に、多価金属イオンが約22mM以上の濃度で提供され、好ましくは多価金属イオンが約22mM~50mMの濃度で提供される。多価金属イオンは、二価金属イオンであってもよく、任意にMg2+、Mn2+、Ca2+、Co2+又はNi2+、好ましくはMg2+、Mn2+又はCa2+、より好ましくはMg2+であってもよい。
このさらなる態様による方法のいずれかでは、系における反応の効率は、少なくとも1つのポリペプチドが1つ以上の機能的IDRを含むか又はこれからなるアミノ酸配列でタグ付けされていないことを除いて、同じ反応条件下で少なくとも1つのポリペプチドの導入後の系における反応の効率と比較して、IDR-ポリペプチドによって高められ得る。
上記の方法のいずれかでは、方法は、インビトロ反応系において核酸分子を合成するための生化学反応であってよく、
(a)少なくとも1つの核酸プライマーを提供することと、
(b)少なくとも1つの標的鎖を含む標的核酸分子を提供し、少なくとも1つの核酸プライマーを標的鎖と接触させ、それによって二本鎖構造を形成することと、
(c)IDR-巨大分子をIDR-ポリペプチドとして提供することであって、IDR-ポリペプチドがポリメラーゼ又は1つ以上のポリペプチド補助因子である、提供することと、
(d)反応を進行させ、それによって、ポリメラーゼ及びdNTPを用いて、任意に1つ以上のポリペプチド補助因子の存在下で、少なくとも1つの核酸プライマーの3’末端を伸長させて、二本鎖核酸を生成させることであって、第1の鎖は標的鎖の配列を含み、第2の鎖はそれに相補的である配列を含む、進行させることと、を含む。
あるいは、上記の方法のいずれかにおいて、方法は、インビトロ反応系において一本鎖標的核酸分子又は二本鎖標的核酸分子を増幅するための生化学的であってよく、好ましくは標的核酸分子がDNA分子である。
方法は、インビトロ反応系において二本鎖標的核酸分子を増幅するための生化学反応であってもよく、
(a)第1及び第2の核酸プライマーを提供することと、
(b)第1の鎖及び第2の鎖を含む二本鎖標的核酸分子を提供し、第1及び第2の核酸プライマーを標的核酸分子と接触させ、それによって第1の鎖を有する第1の二本鎖構造及び第2の鎖を有する第2の二本鎖構造を形成することと、
(c)IDR-巨大分子をIDR-ポリペプチドとして提供することであって、IDR-ポリペプチドがポリメラーゼ又は1つ以上のタンパク質補助因子である、提供することと、
(d)反応を進行させ、それによって、ポリメラーゼ及びdNTPを用いて、任意に1つ以上のタンパク質補助因子の存在下で、第1及び第2の核酸プライマーの3’末端を伸長させて、第1及び第2の二本鎖核酸を生成させることと、
(e)所望の増幅度に達するまで工程(b)~(d)を繰り返すことと、を含む。
インビトロ反応系において二本鎖標的核酸分子を増幅するための上記の方法では、方法は、インビトロ反応系において二本鎖標的核酸分子を増幅するリコンビナーゼポリメラーゼ増幅(RPA)プロセスであってよく、
(a)リコンビナーゼ剤、任意にリコンビナーゼ負荷タンパク質、一本鎖安定化剤、ポリメラーゼ、第1及び第2の核酸プライマー、第1の鎖及び第2の鎖を含む二本鎖標的核酸、並びに任意にエキソヌクレアーゼ、例えばエキソヌクレアーゼIIIを提供することと、
(b)リコンビナーゼ剤を第1及び第2の核酸プライマー並びに任意にリコンビナーゼ負荷タンパク質と接触させて、それらの3’末端に一本鎖領域を含む第1及び第2の核タンパク質プライマーを形成することと、
(c)第1及び第2の核タンパク質プライマーを標的核酸分子と接触させ、それによって、第1の鎖を有する第1の二本鎖構造及び第2の鎖を有する第2の二本鎖構造を形成することと、
(d)反応を進行させ、それによって、ポリメラーゼ及びdNTPを用いて第1及び第2の核タンパク質プライマーの3’末端を伸長させて、第1及び第2の二本鎖核酸並びに第1及び第2の置換された核酸鎖を生成させることであって、一本鎖安定化剤が、第1及び第2の置換された鎖を安定化させる、進行させることと、
(e)所望の増幅度に達するまで工程(b)~(d)を繰り返すことによって反応を継続することと、を含み、
リコンビナーゼ剤、及び/又はリコンビナーゼ負荷タンパク質、及び/又は一本鎖安定化剤、及び/又はポリメラーゼが、IDR-ポリペプチドとして提供される。
インビトロ反応系において二本鎖標的核酸分子を増幅する上記RPAプロセスでは、リコンビナーゼ剤は、UvsX、T4 UvsX、T6 UvsX、RB18 UvsX、大腸菌(E.coli)ファージwV7 UvsX、赤痢菌(Shigella)ファージCB8 UvsX、赤痢菌(Shigella)ファージShfl2 UvsX、大腸菌(E.coli)ファージAR1 UvsX、ファージvB_EcoM_G4507 UvsX、赤痢菌(Shigella)ファージSHFML-11 UvsX、エシェリキア(Escherichia)ファージvB_EcoM_DalCa UvsX、大腸菌(E.coli)RecA、大腸菌(E.coli)RadA、大腸菌(E.coli)RadB、大腸菌(E.coli)Rad51又はそれらの任意の機能的類似体、ホモログ若しくは誘導体、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択され、好ましくはリコンビナーゼ剤が、UvsX、より好ましくはエシェリキア(Escherichia)ファージvB_EcoM_DalCa UvsXであってよい。
インビトロ反応系において二本鎖標的核酸分子を増幅する上記RPAプロセスのいずれか1つでは、方法はリコンビナーゼ負荷タンパク質を含むことができ、リコンビナーゼ負荷タンパク質が、UvsY、大腸菌(E.coli)RecO、大腸菌(E.coli)RecR又はその任意の機能的類似体、ホモログ若しくは誘導体、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択され、好ましくは、リコンビナーゼ負荷タンパク質がUvsY、より好ましくはエシェリキア(Escherichia)ファージSTO UvsYである。
インビトロ反応系において二本鎖標的核酸分子を増幅する上記RPAプロセスのいずれか1つでは、ポリメラーゼは、pol-α、pol-β、pol-δ、pol-ε又はそれらの任意の機能的類似体、ホモログ若しくは誘導体、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される真核生物ポリメラーゼであり得る。ポリメラーゼは、バチルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus)ポリメラーゼIラージ断片、バチルス・スブチリス(Bacillus subtilis)Pol Iラージ断片(Bsuポリメラーゼ)、リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)DNAポリメラーゼI、黄色ブドウ球菌(S.aureus)DNAポリメラーゼI(ソーポリメラーゼ)、大腸菌(E.coli)DNAポリメラーゼI Klenow断片、大腸菌(E.coli)DNAポリメラーゼI、大腸菌(E.coli)DNAポリメラーゼII、大腸菌(E.coli)DNAポリメラーゼIII、大腸菌(E.coli)DNAポリメラーゼIV、大腸菌(E.coli)DNAポリメラーゼV、又はそれらの任意の機能的類似体、ホモログ若しくは誘導体、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される原核生物ポリメラーゼであり、好ましくは、ポリメラーゼが黄色ブドウ球菌(S.aureus)DNAポリメラーゼI(ソーポリメラーゼ)又はバチルス・スブチリス(Bacillus subtilis)Pol Iラージ断片(Bsuポリメラーゼ)であってよい。ポリメラーゼは、バクテリオファージT4 gp43 DNAポリメラーゼ、T7 DNAポリメラーゼ及びPhi-29 DNAポリメラーゼ、又はそれらの任意の機能的類似体、ホモログ若しくは誘導体、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択されるバクテリオファージポリメラーゼであり得る。
インビトロ反応系において二本鎖標的核酸分子を増幅する上記のRPAプロセスのいずれか1つでは、一本鎖安定化剤は、Gp32、大腸菌(E.coli)SSBタンパク質、ファージT4 Gp32タンパク質、ファージRb69 Gp32、ファージvB_EcoM_NBG1 Gp32、又はそれらの任意の機能的類似体、ホモログ若しくは誘導体、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択されてよく、好ましくは一本鎖安定化剤が、Gp32又はファージvB_EcoM_NBG1 Gp32である。
インビトロ反応系において二本鎖標的核酸分子を増幅する上記RPAプロセスのいずれか1つでは、リコンビナーゼ剤のみがIDR-ポリペプチドとして提供されてもよく、又はリコンビナーゼ負荷タンパク質のみがIDR-ポリペプチドとして提供されてもよく、又は一本鎖安定化剤のみがIDR-ポリペプチドとして提供されてもよく、又はポリメラーゼのみがIDR-ポリペプチドとして提供されてもよく、又はエキソヌクレアーゼのみがIDR-ポリペプチドとして提供されてもよい。
インビトロ反応系で二本鎖標的核酸分子を増幅する上記RPAプロセスのいずれか1つでは、IDR-ポリペプチドの1つ以上の機能的IDRが、IDR-ポリペプチドが遺伝子操作された融合タンパク質であるように、1つ以上のIDRを含むアミノ酸配列又はこれからなるアミノ酸配列としてIDR-ポリペプチドにタグ付けされてよく、1つ以上の機能的IDRが、IDR-ポリペプチドのC末端、IDR-ポリペプチドのN末端、又はIDR-ポリペプチドのC末端とIDR-ポリペプチドのN末端の両方、又はポリペプチドの長さに沿った任意のアミノ酸位置に位置する。
上記の方法のいずれか1つでは、IDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドの1つ以上の機能的IDRは、アルゴリズムMetaDisorderによって分析した場合に0.5を超えるスコアを示すアミノ酸の配列として特徴付けられ得る。
上記の方法のいずれか1つでは、IDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドの1つ以上の機能的IDRが、トリペプチド配列RGGの1つ以上のリピートを含むアミノ酸配列を含むか又はこれからなり得る。任意のそのような方法では、IDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドの1つ以上の機能的IDRは、ジペプチド配列FGの1つ以上のリピートをさらに含むアミノ酸配列を含むか又はこれからなり得る。任意のそのような方法では、IDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドの1つ以上の機能的IDRは、チロシン又はフェニルアラニンからなる少なくとも1つの芳香族アミノ酸残基をさらに含むアミノ酸配列を含むか又はこれからなり得る。
上記の方法のいずれか1つでは、IDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドの1つ以上の機能的IDRは、
i.(YNPQGGYQQ)(配列番号19)、(式中、nは、1~と10の正の整数であり、任意に、n=1、2、又は3である)、又は
ii.(YSPTSPS)(配列番号124)、(式中、nは、1~10の正の整数であり、任意に、n=1、2、又は3である)、又は
iii.(FSPTSPT)(配列番号125)、(式中、nは、1~10の正の整数であり、任意に、n=1、2、又は3である)、又は
iv.(YSPTSP-A/N/G)(配列番号126)、(式中、nは1~10の正の整数であり、任意に、n=1、2、又は3である)、又は
v.(YSPGSPA)(配列番号127)、(式中、nは1~10の正の整数であり、任意に、n=1、2、又は3である)のアミノ酸配列を含むか又はこれからなってよい。
上記の方法のいずれか1つでは、IDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドの1つ以上の機能的IDRは、グルタミンリッチなアミノ酸配列を含むか又はこれからなってよく、任意に、アミノ酸配列は、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、又は少なくとも10個の連続するグルタミン残基を含む。任意のそのような方法では、IDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドの1つ以上の機能的IDRは、トリペプチド配列QQQの1つ以上のリピートを含むアミノ酸配列を含むか又はこれからなり得る。任意のこのような方法では、IDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドの1つ以上の機能的IDRは、(QQQPQY)(配列番号128)のアミノ酸配列を含むか又はこれからなり、式中、nは1~10の正の整数であり、任意にn=1、2、又は3である。
上記の方法のいずれか1つでは、IDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドの1つ以上の機能的IDRは、配列番号1の少なくとも5個の連続するアミノ酸の配列を含むか又はこれからなり得る。
上記の方法のいずれか1つでは、IDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドの1つ以上の機能的IDRは、配列番号9の少なくとも5個の連続アミノ酸のアミノ酸配列を含むか又はこれからなり得る。
上記の方法のいずれか1つでは、IDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドの1つ以上の機能的IDRは、1つ以上の芳香族チロシン残基及び多価金属イオン、好ましくは二価金属イオンとの芳香族カチオン-π相互作用に関与することができる1つ以上のフェニルアラニン残基を含むアミノ酸配列を含み得る。
上記の方法のいずれか1つでは、IDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドの1つ以上の機能的IDRは、多価金属イオン、好ましくは二価金属イオンとのグアニジン-金属相互作用に関与することができる1つ以上のアルギニン残基を含むアミノ酸配列を含み得る。
上記の方法のいずれか1つでは、IDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドは、配列番号1~43のいずれか1つのアミノ酸配列を含むか若しくはこれからなる、又は配列番号1~43の機能的バリアントアミノ酸配列を含むか若しくはこれからなる、例えば配列番号1~43のいずれか1つと80%以上の同一性を有するアミノ酸配列でタグ付けされた巨大分子又はポリペプチドを含むか又はこれからなり得る。
インビトロ反応系において二本鎖標的核酸分子を増幅する上記RPAプロセスのいずれか1つでは、IDR-ポリペプチドは、Gp32であり、配列番号65~88のいずれか1つのアミノ酸配列を有する一本鎖安定化剤であり得るか、又はIDR-ポリペプチドが、その機能的バリアント、例えば配列番号65~88のいずれか1つと80%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有するIDR-ポリペプチドである。
インビトロ反応系で二本鎖標的核酸分子を増幅する上記RPAプロセスのいずれか1つでは、IDR-ポリペプチドは、UvsXであり、配列番号44~59のいずれか1つのアミノ酸配列を有するリコンビナーゼ剤であり得るか、又はIDR-ポリペプチドがその機能的バリアント、例えば配列番号44~59のいずれか1つと80%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有するIDR-ポリペプチドである。
インビトロ反応系で二本鎖標的核酸分子を増幅する上記RPAプロセスのいずれか1つでは、IDR-ポリペプチドは、UvsYであり、配列番号60~64のいずれか1つのアミノ酸配列を有するリコンビナーゼ負荷タンパク質であり得るか、又はIDR-ポリペプチドがその機能的バリアント、例えば配列番号60~64のいずれか1つと80%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有するIDR-ポリペプチドである。
上記の方法のいずれか1つでは、方法は、インビトロ反応系でIDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドに多価金属イオンを提供し、それによってインビトロ反応系での液体-液体脱混合をさらに刺激又は増強し、それによって系内の生化学反応の効率をさらに高めることをさらに含んでよく、多価金属イオンは、系内の複数の相分離した水性区画の形成をさらに刺激又は増強し、それによって系内の生化学反応の効率をさらに高め、好ましくは多価金属イオンは、複数の検出可能な相分離した水性粒子の形成をさらに刺激又は増強し、任意に、多価金属イオンが約22mM以上の濃度で提供され、好ましくは多価金属イオンが約22mM~50mMの濃度で提供される。任意のそのような方法では、多価金属イオンは、二価金属イオン、任意にMg2+、Mn2+、Ca2+、Co2+又はNi2+、好ましくはMg2+、Mn2+又はCa2+、より好ましくはMg2+であり得る。
上記の方法のいずれか1つでは、反応を行うのに適した条件は、インビトロ反応系でIDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドにATPを提供し、それによって、IDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドによって引き起こされる液体-液体脱混合及び複数の相分離した水性区画の形成をさらに刺激又は増強し、それによって、系内の生化学反応の効率をさらに高めることをさらに含んでよく、ATPは、1mM~3.5mM、任意に1mM~2mM、好ましくは1mMの濃度で系内に提供される。
上記の方法のいずれか1つでは、反応を行うのに適した条件は、多価金属イオンをIDR-ポリペプチドに提供し、それによって、反応の実施に必要な分子をさらに刺激又は増強して、複数の相分離した水性区画内でIDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドと共局在させ、それによって、系内の生化学反応の効率をさらに高めることをさらに含んでよく、任意に、多価金属イオンが約22mM以上の濃度で提供され、好ましくは多価金属イオンが約22mM~50mMの濃度で提供される。多価金属イオンは、二価金属イオンであってもよく、任意にMg2+、Mn2+、Ca2+、Co2+又はNi2+、好ましくはMg2+、Mn2+又はCa2+、より好ましくはMg2+であってもよい。
上記の方法のいずれか1つでは、反応を行うのに適した条件は、インビトロ反応系においてIDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドにATPを提供し、それによって、反応の実施に必要な分子をさらに刺激又は増強して、複数の相分離した水性区画内でIDR-ポリペプチドと共局在させ、それによって、系内の生化学反応の効率をさらに高めることをさらに含んでよく、ATPは、1mM~3.5mM、任意に1mM~2mM、好ましくは1mMの濃度で系内に提供される。
上記の方法のいずれか1つでは、生化学反応は、表面を含む固相反応系で行われてもよい。任意のそのような方法では、生化学反応は、上記のインビトロ反応系で一本鎖標的核酸分子又は二本鎖標的核酸分子を増幅する方法であってよく、少なくとも1つの核酸プライマー及び/又はIDR-巨大分子及び/又は1つ以上のポリペプチド補助因子が表面に結合している。
インビトロ反応系で二本鎖標的核酸分子を増幅する上記RPAプロセスのいずれか1つでは、反応は、表面を含む固相反応系において行われてよく、リコンビナーゼ剤及び/又はリコンビナーゼ負荷タンパク質及び/又は一本鎖安定化剤及び/又はポリメラーゼ及び/又はエキソヌクレアーゼ及び/又は第1の核酸プライマー及び/又は第2の核酸プライマーが表面に結合しており、好ましくは、(i)第1の核酸プライマー又は第2の核酸プライマーが表面に結合している、又は(ii)第1及び第2の核酸プライマーの両方が表面に結合している。
表面を含む固相反応系で実施される上記の方法のいずれかでは、表面は平面であってもよく、又はマイクロビーズであってもよく、好ましくは表面はシリコン、ガラス、ゲルベースの材料及び/又はポリスチレンなどのポリマー材料を含み、より好ましくは表面はポリスチレンなどのポリマー材料を含むマイクロビーズである。任意のそのような方法では、表面は基質に結合されてもよく、好ましくは表面は平面であり、及び/又は基質はガラスを含む。表面、例えば平坦な表面及び/又は基質は、フローセルとして提供されてもよい。
本発明は、培養された宿主細胞内の生化学反応の効率を高めるために、培養された宿主細胞に上記のIDR-巨大分子のいずれかの少なくとも1つ又は上記のIDR-ポリペプチドのいずれかの少なくとも1つを導入することによって、又は培養された宿主細胞内で上記のIDR-ポリペプチドのいずれかの少なくとも1つを発現させることによって、培養中の細胞内で生化学反応を行うための方法を提供する。
インビトロ生化学反応を行うための上記の方法のいずれかは、培養された宿主細胞内での生化学反応の効率を高めるために、培養された宿主細胞に少なくとも1つのIDR-巨大分子又は少なくとも1つのIDR-ポリペプチドを導入することによって、又は培養された宿主細胞で少なくとも1つのIDR-ポリペプチドを発現させることによってなど、培養中の細胞内で行われる生化学反応を含み得る。
生化学反応は、培養された宿主細胞内で核酸分子の操作をもたらす、又は培養された宿主細胞内での核酸分子の変化、例えば核酸分子の構造の変化、例えば核酸分子のヌクレオチド配列の変化をもたらす任意の反応であり得る。生化学反応は、培養された宿主細胞において核酸分子の合成をもたらす任意の反応であり得る。生化学反応は、核酸分子からポリペプチドの発現をもたらす任意の反応であり得る。生化学反応は、培養された宿主細胞内の核酸配列の編集をもたらす任意の反応であってもよく、例えば、IDR-ポリペプチドは、Cas9ポリペプチドを含むCasポリペプチドなどのCRISPRポリペプチドである。生化学反応は、培養された宿主細胞内の核酸の切断をもたらす任意の反応であり得る。生化学反応は、培養された宿主細胞内の核酸の相同組換えをもたらす任意の反応であり得る。生化学反応は、培養された宿主細胞内で1つ以上の目的の生物学的産物を産生するための、又は培養された宿主細胞から分泌されるか、そうでなければ培養された宿主細胞から培地中に放出される1つ以上の目的の生物学的産物を産生するための培養された宿主細胞内の代謝反応であり得る。
上記の方法のいずれか1つでは、生化学反応の効率を高めることは、同じ条件下で反応を行うことによって得られる反応の効率と比較して、少なくとも1つのIDR-巨大分子又は少なくとも1つのIDR-ポリペプチドを使用する反応の効率を高めることを含み得るが、関連する少なくとも1つの巨大分子又は少なくとも1つのポリペプチドが、1つ以上の機能的天然変性領域ポリペプチド配列を含まないか、又はこれでタグ付けされておらず、任意に、反応は外因的に添加されたクラウディング剤の非存在下で行われる。
上記のRPAプロセスのいずれか1つでは、RPA生化学反応の効率又は性能を増加又は増強することは、同じ条件下で反応を行うことによって得られる増幅産物の量と比較して、少なくとも1つのIDR-ポリペプチドを使用するRPA反応で得られる増幅産物の量を増加させることを含み得るが、関連する少なくとも1つのポリペプチドは、1つ以上の機能的天然変性領域ポリペプチド配列でタグ付けされておらず、任意に、反応は、外因的に添加されたクラウディング剤の非存在下で行われる。
少なくとも1つのIDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドをインビトロ反応系に導入することを含む上記の方法のいずれか1つでは、系における反応の効率は、少なくとも1つの巨大分子又はポリペプチドが1つ以上の機能的天然変性領域(IDR)を含まないことを除いて、同じ反応条件下で少なくとも1つの巨大分子又はポリペプチドの導入後の系における反応の効率と比較して、IDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドによって高められる。
少なくとも1つの機能的天然変性領域(IDR)を含むか又はこれからなるアミノ酸配列でタグ付けされた少なくとも1つのポリペプチド(IDR-ポリペプチド)をインビトロ反応系に導入することを含む上記の方法のいずれか1つでは、系における反応の効率は、少なくとも1つのポリペプチドが1つ以上の機能的IDRを含むか又はこれからなるアミノ酸配列でタグ付けされていないことを除いて、同じ反応条件下で少なくとも1つのポリペプチドの導入後の系における反応の効率と比較して、IDR-ポリペプチドによって高められる。
本発明はまた、巨大分子及びタグアミノ酸配列を含む天然起源でないIDR-巨大分子を提供し、タグアミノ酸配列は、1つ以上の機能的天然変性領域(IDR)を含むか又はこれからなり、IDR-巨大分子は、水性インビトロ反応系において液体-液体脱混合を引き起こすことができる。任意のそのようなIDR-巨大分子は、液体-液体脱混合及び系内の複数の相分離した水性区画、好ましくは複数の検出可能な相分離した水性粒子の形成を引き起こすことができ得る。インビトロ反応系における任意のそのような天然起源でないIDR-巨大分子によって引き起こされる任意のそのような液体-液体脱混合は、それによって生化学反応の効率を高め得る。
上記のIDR-巨大分子のいずれか1つは、巨大分子又はポリペプチド及びタグアミノ酸配列を含む、天然起源でない人工の又は遺伝子操作されたIDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドであり得る。IDR-ポリペプチドの場合、タグアミノ酸配列は、ポリペプチドのC末端、ポリペプチドのN末端、又はポリペプチドのC末端とポリペプチドのN末端の両方、又はポリペプチドの長さに沿った任意のアミノ酸位置に位置し得る。
上記のIDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドのいずれか1つでは、タグアミノ酸配列の1つ以上の機能的IDRは、上記の方法のいずれか1つに記載の機能的IDRである。
上記のIDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドのいずれか1つでは、タグ配列は、多価金属カチオン、好ましくは二価金属カチオン、より好ましくはMg2+、Mn2+、Ca2+、Co2+又はNi2+イオン、さらにより好ましくはMg2+、Mn2+又はCa2+、さらにより好ましくはMg2+との芳香族カチオン-π相互作用に関与することができるアミノ酸残基を含む。
上記のIDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドのいずれか1つでは、IDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドは、配列番号1~43のいずれか1つのアミノ酸配列を含むか若しくはこれからなる、又は配列番号1~43の機能的バリアントアミノ酸配列を含むか若しくはこれからなる、例えば配列番号1~43のいずれか1つと80%以上の同一性を有するアミノ酸配列でタグ付けされた巨大分子又はポリペプチドを含むか又はこれからなる。
上記のIDR-ポリペプチドのいずれか1つでは、1つ以上の機能的IDRを含むか又はこれからなる配列がタグ付けされているポリペプチドは、酵素、例えばヘリカーゼ、ジャイレース、リコンビナーゼ、例えばRPAリコンビナーゼ剤、ヌクレアーゼ、例えばエキソヌクレアーゼ及びエンドヌクレアーゼ、リガーゼ、グリコリアーゼ(glycolyase)、メチラーゼ、メチルトランスフェラーゼ、グルコシルトランスフェラーゼ、ポリメラーゼ、キナーゼ、ホスファターゼ、CRISPR酵素などの遺伝子編集酵素、例えばCas9酵素;補助因子、例えばRPAリコンビナーゼ負荷タンパク質及びRPA一本鎖安定化剤として、であり得る。1つ以上の機能的IDRを含む配列又はこれからなる配列がタグ付けされるポリペプチドは、リガーゼ、任意にRB69リガーゼ、例えばRB69リガーゼ-His2(配列番号112)であり得る。1つ以上の機能的IDRを含む配列又はこれからなる配列がタグ付けされるポリペプチドは、RPA一本鎖安定化剤、好ましくはGp32であってよく、任意に、IDR-ポリペプチドが、配列番号65~88及び配列番号120のいずれか1つのアミノ酸配列を有するか、又はIDR-ポリペプチドが、その機能的バリアント、例えば、配列番号65~88及び配列番号120のいずれか1つと80%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有するIDR-ポリペプチドであり得る。1つ以上の機能的IDRを含む配列又はこれからなる配列がタグ付けされるポリペプチドは、RPAリコンビナーゼ剤、好ましくはUvsXであってよく、任意に、IDR-ポリペプチドが、配列番号44~59のいずれか1つのアミノ酸配列を有するか、又はIDR-ポリペプチドがその機能的バリアント、例えば、配列番号44~59のいずれか1つと80%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有するIDR-ポリペプチドである。1つ以上の機能的IDRを含む配列又はこれからなる配列がタグ付けされるポリペプチドは、RPAリコンビナーゼ負荷タンパク質、好ましくはUvsYであってよく、任意に、IDR-ポリペプチドが、配列番号60~64のいずれか1つのアミノ酸配列を有するか、又はIDR-ポリペプチドがその機能的バリアント、例えば、配列番号60~64のいずれか1つと80%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有するIDR-ポリペプチドである。
本発明はまた、上記のIDR-ポリペプチドのいずれかをコードする第1の核酸配列を含む単離された核酸分子を提供し、任意に、プロモーターをコードする第2の核酸配列を含み、第1の核酸配列が第2の核酸配列に作動可能に連結されている。本発明はまた、任意のそのような核酸分子を含む組換えポリヌクレオチド発現ベクターを提供する。本発明はまた、任意のそのような核酸分子又は任意のそのような組換えポリヌクレオチド発現ベクターを含む宿主細胞を提供する。本発明はまた、増殖培地及び任意のそのような宿主細胞の集団を含む細胞培養物を提供する。
本発明はまた、上記の天然起源でないIDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドのいずれかを含むキットを提供する。任意のそのようなキットは、RPAリコンビナーゼ剤、及び/又はRPAリコンビナーゼ負荷タンパク質、及び/又はポリメラーゼ、及び/又は第1及び第2の核酸プライマー、及び/又はエキソヌクレアーゼ、及び/又は緩衝液、及び/又は多価金属イオン源、好ましくは二価金属カチオンを含む追加のRPA成分をさらに含み得る。任意のそのようなキットでは、すべての成分は凍結乾燥形態で提供され得る。
本発明はまた、溶液中の液体-液体脱混合を刺激又は増強する方法であって、方法が、上記のIDR-巨大分子のいずれか又は上記のIDR-ポリペプチドのいずれかを含む溶液を提供することと、溶液中のIDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドを多価金属イオンと接触させることとを含み、その後、溶液中の液体-液体脱混合が刺激又は増強される方法を提供する。本発明はまた、水性インビトロ反応系においてIDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドによって引き起こされる液体-液体脱混合を刺激又は増強するさらなる方法であって、上記のIDR-巨大分子のいずれか1つ又は上記のIDR-ポリペプチドのいずれか1つを系に提供することと、系に多価金属イオンを提供することと、IDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドが多価金属イオンと接触することを可能にすることとを含み、その後、溶液中のIDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドによって引き起こされる液体-液体脱混合が刺激又は増強される方法を提供する。任意のそのような方法では、液体-液体脱混合は、溶液中に複数の相分離した水性区画、好ましくは複数の検出可能な相分離した水性粒子の形成をもたらし得る。任意のそのような方法では、多価金属イオンは、二価金属イオン、任意にMg2+、Mn2+、Ca2+、Co2+又はNi2+、好ましくはMg2+、Mn2+又はCa2+、より好ましくはMg2+であり得る。任意のそのようなさらなる方法では、多価金属イオンは、1つ以上の機能的IDRアミノ酸配列中のアミノ酸残基との芳香族カチオン-π相互作用に関与し、それによって液体-液体脱混合を促進し得る。
任意のそのようなさらなる方法では、反応を行うのに適した条件は、インビトロ反応系でIDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドにATPを提供し、それによって、IDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドによって引き起こされる液体-液体脱混合及び複数の相分離した水性区画の形成をさらに刺激又は増強し、それによって、系内の生化学反応の効率をさらに高めることをさらに含んでよく、ATPは、1mM~3.5mM、任意に1mM~2mM、好ましくは1mMの濃度で系内に提供される。
任意のそのようなさらなる方法では、反応を行うのに適した条件は、多価金属イオンをIDR-ポリペプチドに提供し、それによって、反応の実施に必要な分子をさらに刺激又は増強して、複数の相分離した水性区画内でIDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドと共局在させ、それによって、系内の生化学反応の効率をさらに高めることをさらに含んでよく、任意に、多価金属イオンが約22mM以上の濃度で提供され、好ましくは多価金属イオンが約22mM~50mMの濃度で提供される。多価金属イオンは、二価金属イオンであってもよく、任意にMg2+、Mn2+、Ca2+、Co2+又はNi2+、好ましくはMg2+、Mn2+又はCa2+、より好ましくはMg2+であってもよい。
任意のそのようなさらなる方法では、反応を行うのに適した条件は、インビトロ反応系においてIDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドにATPを提供し、それによって、反応の実施に必要な分子をさらに刺激又は増強して、複数の相分離した水性区画内でIDR-ポリペプチドと共局在させ、それによって、系内の生化学反応の効率をさらに高めることをさらに含んでよく、ATPは、1mM~3.5mM、任意に1mM~2mM、好ましくは1mMの濃度で系内に提供される。
本発明はまた、溶液中の液体-液体脱混合を刺激又は増強する際の多価金属イオンの使用を提供し、上記脱混合は、上記IDR-巨大分子のいずれか1つ又は上記IDR-ポリペプチドのいずれか1つによって媒介される。本発明はまた、系に導入されたIDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドによって引き起こされる水性インビトロ反応系での液体-液体脱混合を刺激又は増強する際の多価金属イオンの使用を提供し、上記IDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドは、上記のIDR-巨大分子のいずれか1つ又は上記のIDR-ポリペプチドのいずれか1つである。任意のそのような使用では、上記液体-液体脱混合は、IDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドによって引き起こされる複数の相分離した水性区画、好ましくは溶液中の複数の検出可能な相分離した水性粒子の形成をもたらし得る。任意のそのような使用では、多価金属イオンは、二価金属イオン、任意にMg2+、Mn2+、Ca2+、Co2+又はNi2+、好ましくはMg2+、Mn2+又はCa2+、より好ましくはMg2+であり得る。任意のそのような使用では、多価金属イオンは、1つ以上の機能的IDRアミノ酸配列中のアミノ酸残基との芳香族カチオン-π相互作用に関与し、それによって液体-液体脱混合を促進し得る。
任意のそのような使用では、反応を行うのに適した条件は、インビトロ反応系でIDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドにATPを提供し、それによって、IDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドによって引き起こされる液体-液体脱混合及び複数の相分離した水性区画の形成をさらに刺激又は増強し、それによって、系内の生化学反応の効率をさらに高めることをさらに含んでよく、ATPは、1mM~3.5mM、任意に1mM~2mM、好ましくは1mMの濃度で系内に提供される。
任意のそのような使用では、反応を行うのに適した条件は、多価金属イオンをIDR-ポリペプチドに提供し、それによって、反応の実施に必要な分子をさらに刺激又は増強して、複数の相分離した水性区画内でIDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドと共局在させ、それによって、系内の生化学反応の効率をさらに高めることをさらに含んでよく、任意に、多価金属イオンが約22mM以上の濃度で提供され、好ましくは多価金属イオンが約22mM~50mMの濃度で提供される。多価金属イオンは、二価金属イオンであってもよく、任意にMg2+、Mn2+、Ca2+、Co2+又はNi2+、好ましくはMg2+、Mn2+又はCa2+、より好ましくはMg2+であってもよい。
任意のそのような使用では、反応を行うのに適した条件は、インビトロ反応系においてIDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドにATPを提供し、それによって、反応の実施に必要な分子をさらに刺激又は増強して、複数の相分離した水性区画内でIDR-ポリペプチドと共局在させ、それによって、系内の生化学反応の効率をさらに高めることをさらに含んでよく、ATPは、1mM~3.5mM、任意に1mM~2mM、好ましくは1mMの濃度で系内に提供される。
本発明はまた、治療での使用のための、薬物として使用するための、医薬品として使用するための、診断方法で使用するための、又は診断剤として使用のための、上述の天然起源でないIDR-巨大分子のいずれか1つ又は上述のIDR-ポリペプチドのいずれか1つを提供する。
本発明はまた、上記の天然起源でないIDR-巨大分子のいずれか1つ又は上記IDR-ポリペプチドのいずれか1つを作製する方法であって、巨大分子、任意にポリペプチドを提供することと、1つ以上の機能的天然変性領域ポリペプチド配列で巨大分子又はポリペプチドをタグ付けすることとを含む方法を提供する。上記タグ付けは、本明細書に記載及び定義された任意の手段によって実行され得る。上記1つ以上の機能的天然変性領域ポリペプチド配列は、本明細書に記載及び定義されるものと同じもののいずれかであり得る。上記巨大分子又はポリペプチドは、本明細書に記載及び定義される任意の巨大分子又はポリペプチドを含む、任意の適切な巨大分子又はポリペプチドであり得る。
上記のIDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドのいずれか1つは、生化学反応の効率を高め得る。生化学反応の効率を高めることは、同じ条件下で反応を行うことによって得られる反応の効率と比較して、IDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドを使用する反応の効率を高めることを含み得るが、関連する巨大分子又は関連するポリペプチドは、1つ以上の機能的天然変性領域ポリペプチド配列を含まないか、又はこれでタグ付けされておらず、任意に、反応は外因的に添加されたクラウディング剤の非存在下で行われる。
上記IDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドのいずれか1つは、リコンビナーゼポリメラーゼ増幅(RPA)反応における生化学反応の効率を高め得る。RPA生化学反応の効率又は性能を増加させることは、同じ条件下で反応を行うことによって得られる増幅産物の量と比較して、IDR-ポリペプチドを使用するRPA反応で得られる増幅産物の量を増加させることを含み得るが、関連ポリペプチドは、1つ以上の機能的天然変性領域ポリペプチド配列を含まないか、又はこれでタグ付けされておらず、任意に、RPA反応は、外因的に添加されたクラウディング剤の非存在下で行われる。
本発明はまた、1つ以上の標的ポリヌクレオチド分子のヌクレオチド配列を決定するための方法であって、
(i)1つ以上の標的ポリヌクレオチド分子を増幅し、それによって、1つ以上の標的ポリヌクレオチド分子の複数のコピーを含む集団を得るための上記方法を行う工程と、
(ii)標的ポリヌクレオチド分子の複数のコピーを含む集団に対して1つ以上の核酸配列決定反応を行う工程であって、
好ましくは、方法が、表面を含む固相反応系で実施される、行う工程と、を含む方法を提供する。
本発明はまた、1つ以上の標的ポリヌクレオチド分子のヌクレオチド配列を決定するための方法における上記IDR-巨大分子のいずれか1つ又は上記IDR-ポリペプチドのいずれか1つの使用を提供し、好ましくは方法は上記の通りである。
本発明はまた、配列番号1~43のいずれか1つのアミノ酸配列を含むか若しくはこれからなる、又は配列番号1~43のいずれか1つの機能的バリアントアミノ酸配列を含むか若しくはこれからなる、例えば配列番号1~43のいずれか1つと80%以上の同一性を有するポリペプチド又は単離されたポリペプチドを提供する。任意のそのようなポリペプチドは、本明細書にさらに記載されるIDR-タグ付き巨大分子又はIDR-タグ付きポリペプチドを形成するために、巨大分子又はポリペプチドに結合/タグ付けすることができる。タグ付けされた巨大分子又はポリペプチドは、水性反応系における生化学反応の実施に必要な巨大分子又はポリペプチドであり得る。生化学反応を行うための条件下で水性反応系内に維持される場合、任意のそのようなIDR-タグ付き巨大分子又はIDR-タグ付きポリペプチドは、配列番号1~43のいずれか1つのアミノ酸配列又はその任意の機能的バリアントによって引き起こされる液体-液体脱混合、及び系内の複数の相分離した水性区画、好ましくは複数の検出可能な相分離した水性粒子の形成を引き起こし、それによって系内の生化学反応の効率を高めることができる。生化学反応を行うための条件下で水性反応系内に維持される場合、任意のそのようなIDR-タグ付き巨大分子又はIDR-タグ付きポリペプチドは、反応の実施に必要な分子を複数の相分離した水性区画内でIDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドと共局在させ、それによって系内の生化学反応の効率を高める。
水性反応系は、水性インビトロ反応系であり得る。
本発明はまた、配列番号1~43のいずれか1つのアミノ酸配列を含むか若しくはこれからなる、又は配列番号1~43の機能的バリアントアミノ酸配列を含むか若しくはこれからなる、例えば配列番号1~43のいずれか1つと80%以上の同一性を有するポリペプチドをコードする核酸配列を含む単離された核酸分子を提供する。
本発明はまた、IDR部分が巨大分子又はポリペプチドに結合/タグ付けされているIDR-タグ付き巨大分子又はIDR-タグ付きポリペプチドを製造する際の、1つ以上の機能的天然変性領域(IDR)を含むか又はこれからなるポリペプチドであるIDR部分の使用を提供し、タグ付けされた巨大分子又はポリペプチドが、水性反応系における生化学反応の実施に必要な巨大分子又はポリペプチドであり、生化学反応を実施するための条件下で水性反応系内に維持される場合、IDR-タグ付き巨大分子又はIDR-タグ付きポリペプチドが、IDR部分によって引き起こされる液体-液体脱混合を引き起こし、系内で複数の相分離した水性区画、好ましくは複数の検出可能な相分離した水性粒子の形成を引き起こし、それによって、系内の生化学反応の効率を高める。生化学反応を行うための条件下で水性反応系内に維持される場合、任意のそのようなIDR-タグ付き巨大分子又はIDR-タグ付きポリペプチドは、反応の実施に必要な分子を複数の相分離した水性区画内でIDR-タグ付き巨大分子又はIDR-タグ付きポリペプチドと共局在させ、それによって系内の生化学反応の効率を高める。
好ましくは、IDR部分は、ポリペプチドに結合/タグ付けされ、それによって、好ましくは組換え遺伝子融合タンパク質として産生されるIDR-タグ付きポリペプチドを産生する。
好ましくは、IDR部分は、配列番号1~43のいずれか1つのアミノ酸配列を含むか若しくはこれからなるポリペプチド、又は配列番号1~43のいずれか1つの機能的バリアントアミノ酸配列を含むか若しくはこれからなる、例えば配列番号1~43のいずれか1つと80%以上の同一性を有するポリペプチドである。
上記のIDR-タグ付き巨大分子又はIDR-タグ付きポリペプチドのいずれも、天然起源でない、人工の、又は遺伝子操作された巨大分子又はポリペプチドとして定義され得る。
上記のIDR-タグ付き巨大分子又はIDR-タグ付きポリペプチドのいずれかは、本明細書に記載及び定義されるIDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドのいずれか1つ以上の特徴的な特性をさらに有し得る。
水性反応系は、水性インビトロ反応系であり得る。
本発明はさらに、上記の使用のいずれかに従って得られるIDR-タグ付き巨大分子又はIDR-タグ付きポリペプチドを提供する。
本発明はまた、IDR-タグ付き巨大分子又はIDR-タグ付きポリペプチドを製造するための方法であって、巨大分子又はポリペプチドを提供することと、そこにIDR部分を結合/タグ付けすることとを含み、IDR部分が、1つ以上の機能的天然変性領域(IDR)を含むか又はこれからなるポリペプチドである、方法を提供し、タグ付けされた巨大分子又はポリペプチドが、水性反応系における生化学反応の実施に必要な巨大分子又はポリペプチドであり、生化学反応を行うための条件下で水性反応系内に維持されると、IDR-タグ付き巨大分子又はIDR-タグ付きポリペプチドが、IDR部分によって引き起こされる液体-液体脱混合を引き起こし、系内で複数の相分離した水性区画、好ましくは複数の検出可能な相分離した水性粒子の形成を引き起こし、それによって、系内の生化学反応の効率を高める、方法を提供する。生化学反応を行うための条件下で水性反応系内に維持される場合、任意のそのようなIDR-タグ付き巨大分子又はIDR-タグ付きポリペプチドは、反応の実施に必要な分子を複数の相分離した水性区画内でIDR-タグ付き巨大分子又はIDR-タグ付きポリペプチドと共局在させ、それによって系内の生化学反応の効率を高める。
好ましくは、本方法は、ポリペプチドを提供し、それにIDR部分を結合/タグ付けして、好ましくは組換え遺伝子融合タンパク質として産生されるIDR-タグ付きポリペプチドを産生することを含む。
好ましくは、IDR部分は、配列番号1~43のいずれか1つのアミノ酸配列を含むか若しくはこれからなるポリペプチド、又は配列番号1~43のいずれか1つの機能的バリアントアミノ酸配列を含むか若しくはこれからなる、例えば配列番号1~43のいずれか1つと80%以上の同一性を有するポリペプチドである。
上記のIDR-タグ付き巨大分子又はIDR-タグ付きポリペプチドのいずれも、天然起源でない、人工の、又は遺伝子操作された巨大分子又はポリペプチドとして定義され得る。
上記のIDR-タグ付き巨大分子又はIDR-タグ付きポリペプチドのいずれかは、本明細書に記載及び定義されるIDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドのいずれか1つ以上の特徴的な特性をさらに有し得る。
水性反応系は、水性インビトロ反応系であり得る。
本発明はさらに、上記方法のいずれかによって得られるIDR-タグ付き巨大分子又はIDR-タグ付きポリペプチドを提供する。
様々な鋳型核酸濃度でIDR-タグ付きGp32融合タンパク質(Gp32-HIS2)を使用したリアルタイムリコンビナーゼポリメラーゼ増幅トレースを示す。 様々な鋳型核酸濃度でIDR-タグ付きGp32融合タンパク質(Gp32-HIS5)を使用したリアルタイムリコンビナーゼポリメラーゼ増幅トレースを示す。 様々な鋳型核酸濃度でIDR-タグ付きGp32融合タンパク質(Gp32-HRP1)を使用したリアルタイムリコンビナーゼポリメラーゼ増幅トレースを示す。 様々な鋳型核酸濃度でIDR-タグ付きGp32融合タンパク質(Gp32-Sup1)を使用したリアルタイムリコンビナーゼポリメラーゼ増幅トレースを示す。 様々な鋳型核酸濃度でIDR-タグ付きGp32融合タンパク質(Gp32-Sup2)を使用したリアルタイムリコンビナーゼポリメラーゼ増幅トレースを示す。図5A、図5B、図5C及び図5Dに示される実験は、1回、2回、3回及び4回のSup2 IDRリピートを有するGp32融合タンパク質をそれぞれ使用する。 様々なMgOAc濃度でIDR-タグ付きGp32融合タンパク質(Gp32-HIS5)を使用したリアルタイムリコンビナーゼポリメラーゼ増幅トレースを示す。 様々なホスホクレアチン濃度でIDR-タグ付きGp32融合タンパク質(Gp32-HIS2)を使用したリアルタイムリコンビナーゼポリメラーゼ増幅トレースを示す。 様々なKOAc濃度でIDR-タグ付きGp32融合タンパク質(Gp32-HRP1)を使用したリアルタイムリコンビナーゼポリメラーゼ増幅トレースを示す。 クラウディング剤(PEG)の存在下又は非存在下のいずれかで、IDR-タグ付きGp32融合タンパク質(Gp32-Sup1)と比較した、7つのヒスチジン残基(タンパク質精製目的のため、すなわちIDRタグなし)でタグ付けされたGp32を使用したリアルタイムリコンビナーゼポリメラーゼ増幅トレースを示す。 クラウディング剤の非存在下でのIDRアミノ酸配列タグによって媒介される相分離(粒子形成)の促進に対する多価金属カチオンの効果を示す。IDRアミノ酸配列をGp32タンパク質にタグ付けして、Gp32-HIS2融合タンパク質(図10A)、Gp32-HRP1融合タンパク質(図10B)、Gp32-Sup1融合タンパク質(図10C)及びGp32-Fib融合タンパク質(図10D)を作製した。いずれの場合も、代表的な濃度の二価金属カチオン、すなわちマグネシウム(MgOAc)、マンガン(MgCl)及びカルシウム(CaCl)の効果を試験した。 クラウディング剤の非存在下でのIDRアミノ酸配列タグによって媒介される相分離(粒子形成)の促進に対する多価金属カチオンの効果を示す。IDRアミノ酸配列をGp32タンパク質にタグ付けして、Gp32-Fib融合タンパク質(図11A)、Gp32-Sup1融合タンパク質(図11B)、Gp32-HIS2融合タンパク質(図11C)、Gp32-HRP1融合タンパク質(図11D)、Gp32-HIS5融合タンパク質(図11E)を作製した。いずれの場合も、代表的な濃度の二価金属カチオン、すなわちマグネシウム(MgOAc)、マンガン(MgCl)及びカルシウム(CaCl)の効果を試験した。 クラウディング剤の非存在下での例示的なインビトロ生化学反応環境における、IDR-タグ付きGp32融合タンパク質(Gp32-HRP1)の相分離(粒子形成)を促進する能力に対する二価金属カチオン、すなわちマグネシウム(MgOAc)の効果を示す。 クラウディング剤の非存在下での例示的なインビトロ生化学反応環境における、IDR-タグ付きGp32融合タンパク質(Gp32-HIS2)の相分離(粒子形成)を促進する能力に対する二価金属カチオン、すなわちマグネシウム(MgOAc)の効果を示す。 クラウディング剤の非存在下での例示的なインビトロ生化学反応環境において、IDR-タグ付きGp32融合タンパク質(Gp32-HRP1)が相分離(粒子形成)を促進する能力に対する、様々な濃度の二価金属カチオン、すなわちマグネシウム(MgOAc)の効果を示す。 クラウディング剤の非存在下での例示的なインビトロ生化学反応環境において、IDR-タグ付きGp32融合タンパク質(Gp32-HIS2)が相分離(粒子形成)を促進する能力に対する、様々な濃度の二価金属カチオン、すなわちマグネシウム(MgOAc)の効果を示す。 クラウディング剤の非存在下での例示的なインビトロ生化学反応環境において、IDR-タグ付きGp32融合タンパク質(Gp32-HRP1)が相分離を促進する能力に対する二価金属カチオン、すなわちマグネシウム(MgOAc)の添加の効果を示す。相分離は、粒子形成によるMgOAcの添加後の不透明溶液の形成によって実証され(図16A)、粒子形成は、粒子のペレット化によってさらに実証される(図16B)。RPAタンパク質成分は、ペレット化材料のSDS-PAGE分析によって明らかにされるように、粒子と会合することが実証されている。 クラウディング剤の存在下又は非存在下のいずれかで、天然Gp32融合タンパク質を使用したリアルタイムリコンビナーゼポリメラーゼ増幅トレースを示す。実験は、天然変性領域(IDR)を含むアミノ酸配列でタグ付けされていないGp32が、クラウディング剤の非存在下で増幅を媒介することができないことを明らかにする。 デュアルプライマービーズを使用したリアルタイム増幅のために設定された反応混合物を描いた模式図である。 リアルタイム反応における増幅産物を描いた模式図である。 終点反応における増幅特性評価を描いた模式図である。 固体表面に結合したプライマーを使用した、又は溶液中に遊離したプライマーを使用した、IDR-タグ付きGp32融合タンパク質(Gp32-HIS2)を使用したリアルタイムリコンビナーゼポリメラーゼ増幅トレースを示す。 固体表面に結合したプライマーを使用したIDR-タグ付きGp32融合タンパク質(Gp32-HIS2)を使用した終点リコンビナーゼポリメラーゼ増幅トレースを示す。 固体表面に結合したプライマーを使用したIDR-タグ付きGp32融合タンパク質(Gp32-HIS2)を使用した終点リコンビナーゼポリメラーゼ増幅トレースを示す。 Gp32(図19A)、UvsY(図19B)及びUvsX(図19C)のためのMetaDisorderソフトウェアプログラムを使用して生成された障害プロファイルを示す。 クラウディング剤の非存在下での例示的なインビトロ生化学反応環境において、IDR-タグ付きRB69リガーゼ融合タンパク質(RB69リガーゼ-HIS2)が相分離(粒子形成)を促進する能力に対する、様々な濃度の二価金属カチオン、すなわちマグネシウム(MgCl)の効果を示す。 クラウディング剤の非存在下での例示的なインビトロ生化学反応環境において、IDR-タグ付きRB69リガーゼ融合タンパク質(RB69リガーゼ-HIS2)のリガーゼ活性性能を示す。 タグなしのRB69リガーゼ及びT4 DNAリガーゼと比較した、クラウディング剤の非存在下での例示的なインビトロ生化学反応環境におけるIDR-タグ付きRB69リガーゼ融合タンパク質(RB69リガーゼ-HIS2)のリガーゼ活性性能を示す図である。 NEBNext Ultra II連結マスターミックスと比較した、クラウディング剤の非存在下での例示的なインビトロ生化学反応環境におけるIDR-タグ付きRB69リガーゼ融合タンパク質(RB69リガーゼ-HIS2)のリガーゼ活性性能を示す図である。 クラウディング剤の非存在下での例示的なインビトロ生化学反応環境において、IDR-タグ付きRB69リガーゼ融合タンパク質(RB69リガーゼ-HIS2)が相分離(粒子形成)を促進する能力に対するATPの効果を示す。 ビーズあたり一本鎖UP1-UP2’-TF1L鋳型の0、5、10、20、40又は80コピーを50℃で1時間アニーリングし、次いで、PEGなどのクラウディング剤の非存在下で固体表面に結合したプライマーを使用して、IDR-タグ付きGp32融合タンパク質(Gp32-Hrp1)を使用したリコンビナーゼポリメラーゼ増幅によって増幅したFlexWell(商標)チャンバーの代表的な切片の明視野及び蛍光画像を示す。Ntでアンプリコンをニッキングすることによって増幅を検出した。BbvCI及びアミノアリル-dUTP-XX-ATTO-594によるニックの伸長。鋳型が添加されていないビーズでは蛍光は観察されず、漸増量の鋳型がアニーリングされたビーズでは漸増量の蛍光が観察された。これは、クラウディング剤の非存在下でビーズの固体表面上で増幅が生じたことを示す。 IDR-タグ付きGp32融合タンパク質(Gp32-Hrp1)によって媒介される相分離した水性粒子の形成を実証する明視野及び蛍光画像を示す。 Gp32-Hrp1によって媒介される相分離した水性粒子の形成時の反応の効率(Cas12aによる核酸切断速度)の向上を実証するプロットを示す。
リコンビナーゼポリメラーゼ増幅は、核酸分子を増幅するための技術である。この系は、とりわけ、リコンビナーゼ酵素、好ましくはリコンビナーゼ負荷タンパク質を利用する。これらのタンパク質成分は、増幅プライマーと複合体を形成する。増幅される標的核酸分子への結合後、複合体は標的核酸分子を「スキャン」し、標的とプライマー配列との間の相補性領域を「検索」する。相補的領域が見出されると、複合体はプライマーの標的配列への結合を促進する。次いで、ポリメラーゼ酵素がプライマーを伸長させて標的配列のコピーを生成することができる。リコンビナーゼ複合体の使用は、PCRなどの他の核酸増幅方法との重要な違いを提供する。RPAでは、リコンビナーゼ複合体がプライマー結合の問題に対して完全に酵素ベースの解決策を提供するので、熱サイクルによって駆動される融解及びアニーリング工程は必要ない。したがって、RPAは等温技術である。極端な熱サイクルの必要性がないことは、RPAがPCRなどの技術よりも多くの明らかな利点を有することを意味する。
RPA法における十分に文書化された要件は、当技術分野で「巨大分子クラウディング剤」とも呼ばれる「クラウディング剤」の存在である。これらの薬剤は、当技術分野において周知であり、当技術分野において理解されている意味を有する。クラウディング剤は、本明細書でより詳細に論じられる。RPA法で最も一般的に使用されるクラウディング剤の1つはポリエチレングリコール(PEG)であるが、他のクラウディング剤を使用することもできる。本発明の前には、クラウディング剤の使用は、RPA法における必須要件であると考えられていた。
本発明者らは、驚くべきことに、RPA法におけるクラウディング剤に対してこれまで認められてきた重要な要件を回避することが可能であることを発見した。本発明は、この発見に基づいている。
本発明者らは、驚くべきことに、1つ以上の機能的「天然変性領域」(IDR)を含むか又はこれからなるアミノ酸配列で、RPA法で必要とされるタンパク質成分などの巨大分子を「タグ付け」することによって、IDRアミノ酸配列タグが、クラウディング剤の完全な非存在下で効率的なRPAを促進することができることを発見した。このように、RPA系では、クラウディング剤に依存することなく効率的な増幅を達成することができ、したがってRPA反応の複雑さを低減することができる。
本発明者らはまた、驚くべきことに、クラウディング剤の非存在下でのIDR-タグ付き巨大分子成分を含むRPA法における増幅の効率が、生化学反応系における相分離をもたらす液体-液体脱混合を促進するIDRアミノ酸タグ配列の機能的能力と相関し得ることを発見した。相分離は、本明細書でさらに説明するように、顕微鏡観察を含む標準的な方法による検出に適した、相分離した水性区画、特に球状様水性球状フォーカス又は相分離した水性粒子の生化学反応環境における形成によって評価することができる。
さらに、本発明者らはまた、驚くべきことに、IDR-タグ付き巨大分子成分及びクラウディング剤の提供が、RPA法における増幅の効率に関して相加的及びさらには相乗効果を提供し得ることを発見した。
さらに、本発明者らは、驚くべきことに、クラウディング剤の非存在下でのIDRアミノ酸-タグ付き巨大分子成分を含むRPA法における増幅の効率が、生化学反応環境に導入された多価金属カチオンの濃度と相関し得ることを発見した。したがって、多価金属カチオンは、IDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドによって引き起こされる液体-液体脱混合をさらに刺激又は増強し、それによって反応効率をさらに高めることができる。
本発明者らはまた、驚くべきことに、本明細書にさらに記載されるように、特定の濃度のATPが、IDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドによって引き起こされる液体-液体脱混合をさらに刺激又は増強し、それによって反応効率をさらに高めることができることを発見した。
これらの驚くべき発見に基づいて、本発明は、本明細書にさらに記載されるように、RPA反応を含む酵素ベースのインビトロ生化学反応の効率を高める方法及び試薬を提供する。
本明細書に記載及び定義されるIDRアミノ酸配列及びIDR試薬は、ポリペプチドなどの生化学反応の任意の適切な巨大分子成分に適用される有用な試薬として広範な適用性を有し、それによって、特にIDRアミノ酸配列が多価金属カチオンと一緒に使用される場合、巨大分子クラウディング剤に依存することなく、生化学反応環境における液体-液体脱混合及び相分離の促進を促進する。本発明は、巨大分子クラウディング剤に依存することなく、生化学反応環境におけるIDRアミノ酸配列媒介相分離を促進する際の、二価金属カチオンなどの多価金属カチオン又はその任意の機能的等価物均等物の使用をさらに包含する。
したがって、本発明は、本明細書に記載及び定義されるIDRベースの方法、巨大分子、ポリペプチド、核酸、ベクター、宿主細胞及び使用を提供する。
本発明の要素を以下に順に説明する。
生化学反応
上記で説明したように、本発明者らは、驚くべきことに、以前にRPA及び他の反応の必須成分であると考えられていたクラウディング剤の必要性を回避することが可能であることを発見した。本明細書に詳細に記載されるように、これは、RPA反応に必要なタンパク質成分に、1つ以上の機能的天然変性領域(IDR)を含むアミノ酸配列を結合/繋ぎ止め/タグ付けすることによって達成され得る。本発明者らはまた、驚くべきことに、リガーゼ酵素に結合した機能的天然変性領域がリガーゼ反応の効率を高めることができることを示した。本発明者らは、IDRアミノ酸配列によって誘導される相分離の程度が、クラウディング剤の非存在下での反応、例えば増幅の効率と相関し得る、かつ多価金属カチオンで増強され得ることを示した。これらの驚くべき観察に基づいて、生化学反応の巨大分子又はタンパク質成分に関連するそのようなIDRアミノ酸配列は、インビトロ又はインビボ生化学反応環境、特に添加/外因性クラウディング剤の非存在下での反応の効率を改善することがもっともらしいと予想される。
したがって、本発明は、インビトロ又はインビボ生化学反応の任意の適切な巨大分子又はポリペプチド成分に適用される、本明細書に記載及び定義されるIDRアミノ酸配列のいずれかの使用を包含し、したがって、生化学反応環境における液体-液体脱混合を促進し、生化学反応の効率を高めることができるIDR試薬を提供する。生化学反応環境におけるそのような液体-液体脱混合は、生化学反応環境の相分離をもたらし得る。生化学反応環境におけるそのような液体-液体脱混合は、本明細書にさらに記載されるように、生化学反応環境における検出可能な相分離した水性粒子を含む、相分離した水性区画の形成をもたらす、引き起こす、又は促進する相分離をもたらし得る。本明細書にさらに記載及び定義されるそのようなIDR試薬又はIDRベースの試薬は、IDR-巨大分子若しくはIDR-タグ付き巨大分子、又はIDR-ポリペプチド若しくはIDR-タグ付きポリペプチドのいずれか1つ以上を記載するために交換可能に言及され得る。
方法(method)、方法(process)及び使用のいずれか1つでは、又は本明細書に記載及び定義される、天然起源でないIDR-巨大分子、IDR融合巨大分子若しくはそれをコードする単離された核酸分子、組換えポリヌクレオチド発現ベクター若しくは宿主細胞のいずれか1つでは、生化学反応の効率又は性能を高めるか又は増強することは、同じ条件下で反応を行うことによって得られる効率と比較して、本明細書に記載されるIDRベースの巨大分子又はポリペプチドのいずれか1つ以上を使用して反応の効率を高めることを含み得るが、関連する巨大分子又はポリペプチドは、1つ以上の機能的天然変性領域ポリペプチド配列を含まないか、又はそれでタグ付けされておらず、任意に、反応は外因的に添加されたクラウディング剤の非存在下で行われる。
生化学反応の効率又は性能を高める又は増強することは、一般に受け入れられている概念に従って理解されるべきである。例えば、RPA反応又は任意の他の核酸増幅反応における反応効率は、比較的少ない出発標的核酸を使用してアンプリコンの等価の総集団を提供すること、又は同じ量の出発標的核酸を使用して比較的速い検出時間又は比較的速い増幅速度を提供することとして理解され得る。
RPA生化学反応の効率又は性能を高める又は増強することは、同じ条件下で反応を行うことによって得られる増幅産物の量と比較して、本明細書に記載のIDRベースの巨大分子又はポリペプチドのいずれか1つ以上を使用するRPA反応で得られる増幅産物の量を、増加させることを含み得るが、関連する巨大分子又はポリペプチドは、1つ以上の機能的天然変性領域ポリペプチド配列を含まないか、又はそれでタグ付けされておらず、任意に、反応は外因的に添加されたクラウディング剤の非存在下で行われる。
インビトロ反応系などの反応系における生化学反応の効率を高めることは、一定期間にわたる反応の速度、一定期間にわたって消費された基質の量、一定期間にわたって生成された生成物の量など、指定された期間にわたる系における反応の任意の測定可能なパラメータを増加させることを含み得る。
インビトロ反応系などの反応系における生化学反応の効率を高めることは、検出可能な相分離した区画、例えば検出可能な相分離した水性粒子内の反応のパラメータを増加させることを含み得る。これは、例えば、反応のパラメータを測定し、検出可能な相分離した水性粒子の形成及び/又は検出可能な相分離した水性粒子への反応分子の検出可能な共局在化と増加を相関させることによって間接的に推測することができる。
所与の巨大分子又はタンパク質と共に使用され、所望のインビトロ生化学反応環境に含まれる場合、任意のIDRアミノ酸配列が所望の生化学反応環境において液体-液体脱混合及び相分離を促進する必要な様式で機能することができるかどうかを立証するために使用することができる簡単なバイオインフォマティクス方法及び相分離アッセイが、本明細書に記載される。さらに、任意の所与の補助因子、特に多価、例えば二価の金属カチオンの適合性は、これらのアッセイにおいて非常に簡単な方法で立証され得る。
したがって、本発明は、任意の所与の所望のインビトロ又はインビボ生化学反応環境に有用に適用され得る本明細書に記載及び定義されるIDR試薬を提供する。
本明細書に記載及び定義されるIDRアミノ酸配列のいずれも、本明細書に記載される任意の反応などのインビトロ又はインビボ生化学反応の実施に必要な任意の巨大分子又はタンパク質成分と共に使用することができる。
本明細書に記載及び定義されるIDRアミノ酸配列のいずれも、核酸合成反応の実施に必要な任意の巨大分子又はタンパク質成分と共に使用することができる。
本明細書に記載及び定義されるIDRアミノ酸配列のいずれも、ポリメラーゼを使用してプライマー核酸分子を伸長することによって新たな核酸分子を合成する核酸合成反応の実施に必要な任意の巨大分子又はタンパク質成分と共に使用することができる。
本明細書に記載及び定義されるIDRアミノ酸配列のいずれも、核酸増幅反応の実施に必要な任意の巨大分子又はタンパク質成分と共に使用することができる。核酸増幅反応は、熱サイクルを伴う反応であり得る。核酸増幅反応は、等温増幅反応であってもよい。核酸増幅反応は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、ポリメラーゼスパイラル反応(PSR)、ループ媒介等温増幅(LAMP)、核酸配列ベース増幅(NASBA)、自立配列複製(3 SR)、ローリングサークル増幅(RCA)、鎖置換増幅(SDA)、多置換増幅(MDA)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、ヘリカーゼ依存性増幅(HDA)、分岐増幅法(RAM)、リコンビナーゼポリメラーゼ増幅(RPA)、転写媒介増幅(TMA)又はニッキング酵素増幅反応(NEAR)であり得る。
本明細書に記載及び定義されるIDRアミノ酸配列のいずれも、遺伝子編集反応の実施に必要な任意の巨大分子又はタンパク質成分と共に使用することができる。
本明細書に記載及び定義されるIDRアミノ酸配列のいずれも、CRISPR反応の実施に必要な任意の巨大分子又はタンパク質成分と共に使用することができる。
本明細書に記載及び定義されるIDRアミノ酸配列のいずれかは、プライム編集遺伝子編集反応の実施に必要な任意の巨大分子又はタンパク質成分と共に使用することができ、Cas酵素、例えばCas9などのCRISPR酵素は、少なくとも逆転写酵素との複合体において提供され、任意にさらにプライム編集ガイドRNA(pegRNA)との複合体において提供され、プライム編集複合体の任意の成分は、1つ以上の機能的天然変性領域(IDR)ポリペプチド配列でタグ付けされて提供することができ、例えばCRISPR酵素は1つ以上の機能的IDRポリペプチド配列でタグ付けされているか、又は逆転写酵素は1つ以上の機能的IDRポリペプチド配列でタグ付けされている。
本明細書に記載及び定義されるIDRアミノ酸配列のいずれも、連結反応の実施に必要な任意の巨大分子又はタンパク質成分と共に使用することができる。
本明細書に記載及び定義されるIDRアミノ酸配列のいずれも、エキソヌクレアーゼ反応の実施に必要な任意の巨大分子又はタンパク質成分と共に使用することができる。
本明細書に記載及び定義されるIDRアミノ酸配列のいずれも、エンドヌクレアーゼ反応、転写反応、DNAメチル化反応、DNAグリコシル化反応、抗体-抗原反応、薬物-標的反応の実施に必要な任意の巨大分子又はタンパク質成分と共に使用することができる。
本明細書に記載及び定義されるIDRアミノ酸配列のいずれも、タンパク質:タンパク質相互作用を含む反応の実施に必要な任意の巨大分子又はタンパク質成分と共に使用することができる。
本明細書で使用されるインビトロ生化学反応を行うための方法は、反応容器内の溶液中で直接行われる生化学反応、例えば本明細書にさらに記載されるRPA反応を包含することが意図される。
本明細書で使用されるインビトロ生化学反応を行うための方法はまた、培養された宿主細胞内で生化学反応の効率を高めるために、培養された宿主細胞内で本明細書に記載のIDR試薬を発現させることなどによって、培養中の細胞内で行われる生化学反応を含む。
本明細書で使用されるインビトロ生化学反応を行うための方法は、培養された宿主細胞内の生化学反応の効率を高めるために、培養された宿主細胞に本明細書に記載のIDR試薬を導入するか、又は培養された宿主細胞で本明細書に記載のIDR試薬を発現させることによって培養中の宿主細胞内で行われる生化学反応を含み、生化学反応は、培養された宿主細胞内の核酸分子の操作をもたらす、又は核酸分子のヌクレオチド配列の変化などの核酸分子の構造の変化などの培養された宿主細胞内の核酸分子の変化をもたらす任意の反応である。
本明細書で使用されるインビトロ生化学反応を行うための方法は、培養された宿主細胞内の生化学反応の効率を高めるために、培養された宿主細胞に本明細書に記載のIDR試薬を導入するか、又は培養された宿主細胞に本明細書に記載のIDR試薬を発現させることによって培養中の細胞内で実行される生化学反応を含み、生化学反応は、培養された宿主細胞内で核酸分子の合成をもたらす任意の反応である。
本明細書で使用されるインビトロ生化学反応を行うための方法は、培養された宿主細胞内の生化学反応の効率を高めるために、培養された宿主細胞に本明細書に記載のIDR試薬を導入するか、又は培養された宿主細胞で本明細書に記載のIDR試薬を発現させることによって培養中の細胞内で行われる生化学反応を含み、生化学反応は、核酸分子からポリペプチドの発現をもたらす任意の反応である。
本明細書で使用されるインビトロ生化学反応を行うための方法は、培養された宿主細胞内の生化学反応の効率を高めるために、培養された宿主細胞に本明細書に記載のIDR試薬を導入するか、又は培養された宿主細胞で本明細書に記載のIDR試薬を発現させることによって培養中の細胞内で行われる生化学反応を含み、生化学反応は、培養された宿主細胞内の核酸配列の編集(例えば、IDR-ポリペプチドがCas9ポリペプチドを含むCasポリペプチドなどのCRISPRポリペプチドであるか、又はIDR-ポリペプチドがCRISPRポリペプチドと複合体を形成しているポリペプチドであり、例えばIDR-ポリペプチドが逆転写酵素である)、培養された宿主細胞内の核酸の切断、及び培養された宿主細胞内の核酸の相同組換えをもたらす任意の反応である。
本明細書で使用されるインビトロ生化学反応を行うための方法は、培養された宿主細胞内の生化学反応の効率を高めるために、培養された宿主細胞に本明細書に記載のIDR試薬を導入するか、又は培養された宿主細胞に本明細書に記載のIDR試薬を発現させることによって培養中の細胞内で行われる生化学反応を含み、生化学反応は、培養された宿主細胞内で1つ以上の目的の生物学的産物を産生するための、又は培養された宿主細胞から分泌されるか、そうでなければ培養された宿主細胞から培地に放出される1つ以上の目的の生物学的産物を産生するための培養された宿主細胞内の代謝反応である。
本発明はまた、例えば、組織培養物又は体外で開発された任意の他の適切な複雑な生物学的系の細胞中で本明細書で定義されるIDR試薬を発現させることによって、エクスビボで行われる生化学反応を包含することを意図する。したがって、本明細書に記載のIDR試薬のいずれかを使用して本明細書で使用される水性インビトロ反応系で生化学反応を行うための方法への任意の言及は、代替的に、本明細書に記載のIDR試薬のいずれかを使用して水性エクスビボ反応系で生化学反応を行うための方法として定義され得る。
本発明はまた、インビボで生化学反応の効率を高めるための方法、試薬及び方法を提供する。したがって、本明細書に記載のIDR試薬のいずれかを使用して本明細書で使用される水性インビトロ反応系で生化学反応を行うための方法への任意の言及は、代替的に、本明細書に記載のIDR試薬のいずれかを使用して水性インビボ反応系で生化学反応を行うための方法として定義され得る。
本発明は、治療での使用のため、治療薬として使用するため、薬物として使用するため、医薬品として使用するため、又は診断剤として使用するための、本明細書に記載又は定義される任意の天然起源でないIDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドを提供する。
本発明は、治療によるヒト又は動物の身体の治療方法に使用するための、本明細書に記載又は定義される任意の天然起源でないIDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドを提供する。
本発明は、ヒト又は動物の身体で実施される診断方法で使用するための、本明細書に記載又は定義される任意の天然起源でないIDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドを提供する。
本発明は、治療によってヒト又は動物の身体を治療するための薬物の製造に使用するための、本明細書に記載又は定義される任意の天然起源でないIDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドを提供する。
本発明は、ヒト又は動物の身体に実施される診断方法のための診断剤の製造に使用するための、本明細書に記載又は定義される任意の天然起源でないIDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドを提供する。
本発明は、治療的有効量の本明細書に記載又は定義される任意の天然起源でないIDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドを、それを必要とするヒト又は動物に投与することを含む、ヒト又は動物の治療方法を提供する。
生化学反応の効率を高めるための上記方法、試薬及び方法のいずれか1つでは、天然起源でないIDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドは、液体-液体脱混合を促進することができる。上記液体-液体脱混合は、溶液中の検出可能な相分離した水性粒子を含む、溶液中の相分離した水性区画の形成を促進することができ得る。それによって、上記液体-液体脱混合又は上記検出可能な相分離区画若しくは粒子の形成は、IDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドによって引き起こされる生化学反応の効率を高める。
本明細書で使用されるインビトロ生化学反応を行うための方法は、本明細書に記載のIDR試薬を溶液に導入するか、培養された宿主細胞にIDR試薬を導入又は発現させて、溶液中又は培養された宿主細胞中の液体-液体脱混合を促進することによって、反応容器内又は培養された宿主細胞内で溶液中でインビトロで行われる任意の生化学反応を含む。任意のそのような生化学反応では、本明細書に記載及び定義されるように、溶液中又は培養された宿主細胞中の液体-液体脱混合は、溶液中又は培養された宿主細胞中の相分離を促進する。
任意のそのような生化学反応は、溶液中若しくは培養された宿主細胞中の液体-液体脱混合の促進及び/又は溶液中若しくは培養された宿主細胞中の相分離の促進において、本明細書に記載及び定義される任意のIDRアミノ酸配列の有効性を評価するために行われ得る。
任意のそのような生化学反応は、溶液中若しくは培養された宿主細胞中のIDRアミノ酸配列によって媒介される液体-液体脱混合の刺激若しくは増強、及び/又は溶液中若しくは培養された宿主細胞中のIDRアミノ酸配列によって媒介される相分離の刺激若しくは増強において、好ましくは試験薬剤がIDRアミノ酸配列と相互作用する、薬物、ポリペプチド又は任意の他の分子などの試験薬剤の有効性を評価するために行われ得る。
任意のそのような生化学反応は、溶液中若しくは培養された宿主細胞中のIDRアミノ酸配列によって媒介される液体-液体脱混合の阻害及び/又は溶液中若しくは培養された宿主細胞中のIDRアミノ酸配列によって媒介される相分離の阻害における、好ましくは試験薬剤がIDRアミノ酸配列と相互作用する、薬物、ポリペプチド又は任意の他の分子などの試験薬剤の有効性を評価するために行われ得る。
インビトロ、インビボ又はエクスビボ生化学反応を行うための本明細書に記載される方法のいずれも、ヒトをクローニングするための方法を除外し得る。
インビトロ、インビボ又はエクスビボの生化学反応を行うための本明細書中に記載される方法のいずれかは、ヒトの生殖系列の遺伝的同一性を改変するための方法を排除し得る。
インビトロ、インビボ又はエクスビボ生化学反応を行うための本明細書に記載される方法のいずれも、ヒト胚の使用又は全能性ヒト細胞の使用を含む方法を排除し得る。
本明細書に記載される任意の宿主細胞は、ヒト胚、又は全能性ヒト細胞、又はヒト生殖系列細胞を排除し得る。
いくつかの態様ではインビボ使用を包含するが、本発明はいくつかの態様ではインビボ使用の排除を包含する。したがって、水性反応系において生化学反応を行うための本明細書に記載の方法、使用又は方法などのいずれかは、インビボ水性反応系を排除し得る。
いくつかの態様ではエクスビボ使用を包含するが、本発明はいくつかの態様ではエクスビボ使用の排除を包含する。したがって、水性反応系において生化学反応を行うための本明細書に記載の方法、使用又は方法などのいずれかは、エクスビボ水性反応系を排除し得る。
本明細書に記載の方法、方法、使用又はIDR試薬のいずれかでは、系内の反応の効率は、同じ反応条件下で少なくとも1つの巨大分子又はポリペプチドの導入後の系内の反応の効率と比較して、少なくとも1つの巨大分子又はポリペプチドが1つ以上の機能的天然変性領域(IDR)を含まないことを除いて、IDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドによって高められ得る。
少なくとも1つの巨大分子又は少なくとも1つのポリペプチドが、1つ以上の機能的天然変性領域(IDR)(IDR-タグ付き巨大分子又はIDR-タグ付きポリペプチド)を含むか又はこれからなるアミノ酸配列でタグ付けされている、本明細書に記載の方法、方法、使用又はIDR試薬のいずれかでは、系における反応の効率は、同じ反応条件下で少なくとも1つの巨大分子又はポリペプチドの導入後の系における反応の効率と比較して、少なくとも1つの巨大分子又はポリペプチドが、1つ以上の機能的IDRを含むか又はこれからなるアミノ酸配列でタグ付けされていないことを除いて、IDR-タグ付き巨大分子又はIDR-タグ付きポリペプチドによって高められ得る。
したがって、IDR-巨大分子若しくはIDR-ポリペプチド、又はIDR-タグ付き巨大分子若しくはIDR-タグ付きポリペプチドが系内の反応の効率を高めることができるかどうかは、1つ以上の機能的IDRの有無にかかわらず、巨大分子又はポリペプチドの反応効率を比較することによって非常に簡単に立証することができる。当業者は、関連する機能的能力を立証するために単純な比較試験を実行することができる。例示的な試験アッセイを本明細書中にさらに記載する。
同様に、IDR-巨大分子若しくはIDR-ポリペプチド、又はIDR-タグ付き巨大分子若しくはIDR-タグ付きポリペプチドが、反応の実施に必要な分子を、複数の相分離した水性区画内で、IDR-巨大分子若しくはIDR-ポリペプチド、又はIDR-タグ付き巨大分子若しくはIDR-タグ付きポリペプチドと共局在させることができるかどうか、又は複数の相分離した水性区画内での反応の実施に必要な分子の共局在化をさらに刺激又は増強し、それによって系内の生化学反応の効率を高めることができるかどうかは、1つ以上の機能的IDRの有無にかかわらず共局在化を比較することによって非常に簡単に立証することもできる。ふたたび、当業者は、関連する機能的能力を立証するために単純な比較試験を実行することができる。例示的な試験アッセイを本明細書中にさらに記載する。
同様に、多価金属イオンをIDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドに、又はIDR-タグ付き巨大分子又はIDR-タグ付きポリペプチドに提供し、それによって液体-液体脱混合及び複数の相分離した水性区画の形成をさらに刺激又は増強し、それによって系内の生化学反応の効率をさらに高めるかどうかは、多価金属イオンを提供するか又は提供しないかにかかわらず液体-液体脱混合を比較することによって非常に簡単に立証することもできる。ふたたび、当業者は、関連する機能的能力を立証するために単純な比較試験を実行することができる。例示的な試験アッセイを本明細書中にさらに記載する。
同様に、ATPをIDR-巨大分子若しくはIDR-ポリペプチド、又はIDR-タグ付き巨大分子又はIDR-タグ付きポリペプチドに提供することで、液体-液体脱混合及び複数の相分離した水性区画の形成をさらに刺激又は増強してよく、それによって系における生化学反応の効率をさらに高めるかどうかは、ATPを提供するかしないかにかかわらず液体-液体脱混合を比較することによって非常に簡単に立証することができる。IDR-巨大分子若しくはIDR-ポリペプチド、又はIDR-タグ付き巨大分子若しくはIDR-タグ付きポリペプチドにATPを提供し、複数の相分離した水性区画内での反応の実施に必要な分子の共局在化をさらに刺激又は増強し、それによって系内の生化学反応の効率を高めるかどうかは、ATPを提供するか提供しないかにかかわらず共局在化を比較することによって非常に簡単に立証することもできる。ふたたび、当業者は、関連する機能的能力を立証するために単純な比較試験を実行することができる。例示的な試験アッセイを本明細書中にさらに記載する。
相分離した水性粒子の形成を引き起こす能力を参照して、液体-液体脱混合を引き起こす能力を立証するためのアッセイを本明細書中に記載する(例えば、本明細書に記載されるような「相分離アッセイ法」を参照のこと)。同じアッセイを使用して、相分離した水性区画(粒子)内での反応の実施のために必要な分子の共局在化を引き起こす能力を立証することができる。本明細書では、RPA法の効率を高める能力を参照して、反応の効率を高める能力を立証するためのアッセイを記載する(例えば、本明細書中に記載されるような「RPAアッセイ法」を参照のこと)。そのようなアッセイを使用して、反応の効率を高めるために1つ以上の機能的天然変性領域(IDR)からなるか又はこれを含むアミノ酸配列の能力を評価することができ、及び/又は二価金属イオンが反応の効率をさらに高める能力を評価することができ、及び/又はATPが反応の効率をさらに高める能力を評価することができる。
本明細書中に記載されるような単純なアッセイを使用して、当業者は、5%以上の反応効率の向上を決定することができ、反応効率の向上は、10%以上、15%以上、20%以上、25%以上、30%以上、35%以上、40%以上、45%以上、50%以上、55%以上、60%以上、65%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上又は100%以上であり得る。
クラウディング剤
クラウディング剤は、典型的には、タンパク質又は合成ブロックポリマーなどの高分子量の巨大分子である。クラウディング剤は、本質的に生化学的に不活性であると考えられ、すなわち、特定の相互作用又は触媒作用に寄与しない。
クラウディング剤は、インビトロ系であれインビボ系であれ、溶液中の体積の物理的占有の影響を介して、生物学的/生化学的系に影響を及ぼし、したがって立体障害及び利用可能な開放溶媒空間の減少を引き起こすと広く仮定されている。この排除された体積機構により、クラウディング剤は他の巨大分子の有効濃度を増加させるようであり、解離定数の変化に特に影響を及ぼし、特定の組織化複合体に集まる複数のタンパク質などの相互作用巨大分子の会合を促進する。込み合い効果の大きさは、特に、関与する分子の分子量に依存し、一般に、より大きな分子ではるかに強くなる。したがって、一般に、巨大分子の込み合いは、大きな分子が他の大きな分子の特性に及ぼす影響である。
さらに、クラウディング剤は、反応物がそれ自体をミクロンサイズの相分離粒子に分離する好ましい相を有する生物学的/生化学的な系の形成を促進することができると広く記載されている。この効果は、大部分が体積で占められているバルク溶媒中に容易に拡散することができないために比較的「閉じ込められる」ようになる巨大分子複合体の解離定数に対する体積排除の効果から実質的に生じる。追加的及び/又は代替的に、ポリエチレングリコールのようなブロック鎖ポリマーなどのいくつかのクラウディング剤は、バルク水の構造に全体的な変化を及ぼし、典型的には水密度を低下させることをもたらす共変性特性を示し得る。バルク溶媒特性のこのような変化はまた、表面が水と相互作用しなければならない他の巨大分子及びそれらの集合体に複雑な効果を及ぼし得る。これはまた、これらの他の巨大分子の別の相への分離を促進し、生物学的成分が著しく濃縮され、付随して、主にバルク溶媒相を占めるクラウディング剤が枯渇し得る。
いずれのシナリオにおいても、単純な体積占有又は溶媒修飾のいずれかによって、巨大分子の相が異なる凝縮物への縮合を刺激する際の個々の又はクラウディング剤の組み合わせの効果は、凝縮物成分の観点から「引力的」機構ではなく「反発的な」機構によって作用するように見える。換言すれば、凝縮物が高度に濃縮された成分の観点から、クラウディング剤は、拡散によって容易に浸透することができないバルク相環境を作り出すように作用し、及び/又はそのバルク溶媒特性は、分散するための正味のエンタルピー的欠点を呈するように変更される。このようにして、本明細書では、典型的には1% w/vを超える高濃度のクラウディング剤の効果が、クラウディング剤の非存在下ではそうであるように凝縮物成分が容易に分散することができないためにこの現象が生じる場合に限り、「妨害的」又は「反発的」機構を介して機能することによって相分離を刺激する際に言及される。しかしながら、同時に、その一般的に不活性な特性を考慮すると、例えば、クラウディング剤は特定の分子側鎖と直接に著しく相互作用しないか、又は直接的な様式で効果を発揮しないため、クラウディング剤は系内の他の特定の分子に対して直接的な弱体化作用をほとんど又は全く有さない。
標準的なRPA反応では、ポリエチレングリコール(PEG)は、組換え/DNA合成に大きな影響を及ぼし得る。PEGは、例えば、RecAがGp32と組み合わされるときに生じる複数の侵入/伸長サイクルの数に影響を及ぼし得る。PEGは、いくつかの異なる方法で構成された増幅反応を刺激することができる。PEG及び他の同様のクラウディング剤は、Gp32及びリコンビナーゼの協同性に影響を及ぼしてよく、ポリメラーゼの処理能力に影響を及ぼしてよく、溶液中のオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーション速度及び挙動に影響を及ぼし得る。ポリエチレングリコールの鎖長は、結果に影響を及ぼし得る。PEGはまた、リコンビナーゼ負荷フィラメントの安定性を高めてよく、向上した持続性はRPAの有効性高め得る。
インビトロ生化学反応環境においてその効果を発揮するために、添加されたクラウディング剤は、典型的には、立体排除/閉じ込め効果が生じると予測される濃度で存在し、典型的には、反応物の体積又は重量で約1%を超えて存在する。
標準的なRPA反応では、クラウディング剤は、反応物の体積又は重量で約1%~12%の濃度で存在する。
「巨大分子クラウディング剤」又はより単純に「クラウディング剤」という用語は、非常によく認識され、当技術分野で理解されている用語である。これは、これらの用語が広く使用されている文献から明らかである。例えば、Kuznetsova,I.,M.ら(Macromolecular Crowding Can Do to a Protein,2014,Int.J.Mol.Sci.、15、pp 23090-23140)は、320を超える論文を網羅することを主張し、当分野における現在の知識の最も包括的な要約の1つを表すことが提案されている総説を提供している。用語「クラウディング剤」は、その遍在的な使用を強調する本文全体にわたって広く使用されている(Mixed Macromolecular Crowding:A Protein and Solvent Perspective,Biswas,S.ら、2018,ACS Omega,3(4)、pp4316-4330及びCommon Crowding Agents Have Only a Small Effect on Protein-Protein Interactions,Phillip Y.ら、2009,Biophysical Journal,97 pp875-885 875も参照のこと)。
化合物又は巨大分子は、当技術分野で公知の手段によってクラウディング剤として同定することができる。例えば、クラウディング剤は、その実験的に決定され計算された流体力学的半径によってそのようなものとして同定することができる(上記のKuznetsovaら)。クラウディング剤は、ゾル-ゲルガラス封入分析によってそのようなものとして同定することができる(上記のKuznetsovaら)。
以下の化合物は、公知のクラウディング剤の例である。合成ブロックポリマー、ポリエチレングリコール(PEG)、PEG1450、PEG2050、PEG3000、PEG4600、PEG6000、PEG8000、PEG10000、PEG20000、PEG35000、PEG化合物分子量15,000~20,000(Carbowax 20Mとしても知られる)、デキストラン、デキストラン6、デキストラン40、デキストラン70、デキストラン670、デキストランスルファート10、デキストランスルファート500、Ficoll、Ficoll70、Ficoll400、ポリ(4-スチレンスルホン酸ナトリウム)(PSS)、ウシ膵臓トリプシンインヒビター(BPTI)、リボヌクレアーゼA、リゾチーム、β-ラクトグロブリン、ヘモグロビン、ウシ血清アルブミン(BSA)。
本発明の方法、プロセス及び使用のいずれか1つ(本発明のRPA法、方法及び使用のいずれか1つを含む)では、方法、プロセス及び使用は、クラウディング剤の非存在下で実施され得る。
本発明の方法、プロセス及び使用のいずれか1つ(本発明のRPA法、方法及び使用のいずれか1つを含む)では、方法、プロセス及び使用は、クラウディング剤の存在下で実施され得る。
本発明の方法、プロセス及び使用のいずれか1つ(本発明のRPA法、方法及び使用のいずれか1つを含む)では、方法、プロセス及び使用は、クラウディング剤の存在下で行われてもよく、クラウディング剤は、IDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドによって提供される生化学反応の効率の向上の増進を提供する濃度で提供される。
本発明の方法、プロセス及び使用のいずれか1つ(本発明のRPA法、方法及び使用を含む)では、方法、プロセス及び使用は、クラウディング剤の存在下で行われてもよく、クラウディング剤は、IDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドによって提供される生化学反応の効率に付加的な効果を提供する濃度で提供される。
本発明の方法、プロセス及び使用のいずれか1つ(本発明のRPA法、方法及び使用のいずれか1つを含む)では、方法、プロセス及び使用は、クラウディング剤の存在下で行われてもよく、クラウディング剤は、IDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドによって提供される生化学反応の効率に相乗効果を提供する濃度で提供される。
本発明の方法、プロセス及び使用のいずれか1つ(本発明のRPA法、方法及び使用のいずれか1つを含む)では、方法、プロセス及び使用は、クラウディング剤の存在下で行われてもよく、生化学反応系へのIDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドの導入は、IDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドの生化学反応系への導入の非存在下で生化学反応の効率において同じ向上を達成するために必要とされるであろうクラウディング剤の濃度を低下させる。
クラウディング剤の存在下で行われ得る上記の方法、プロセス及び使用のいずれか1つでは、クラウディング剤は、その通常の生物学的効果(立体排除/閉じ込め効果)が生じる濃度より低い濃度で存在し得る。
クラウディング剤の存在下で行われ得る上記の方法、プロセス及び使用のいずれか1つでは、クラウディング剤は、反応物の体積又は重量で約3%、反応物の体積又は重量で約2%、反応物の体積又は重量で約1%、反応物の体積又は重量で約0.9%、0.8%、0.7%、0.6%、0.5%、0.4%、0.3%、0.2%又は0.1%の濃度で存在し得る。
RPA反応方法を含む本発明の方法、プロセス及び使用のいずれか1つで使用される場合、任意の適切なクラウディング剤が使用され得る。好適なクラウディング剤の例を本明細書で提供する。
天然変性領域(IDR)を含む巨大分子又はポリペプチド
本発明の方法、プロセス及び試薬は、本明細書に記載されるように、「IDR-タグ付き巨大分子」を含む「IDR-巨大分子」を含む。本発明の方法、プロセス及び試薬は、本明細書に記載されるように、「IDR-タグ付きポリペプチド」を含む「IDR-ポリペプチド」を含む。任意のそのようなIDR-巨大分子、IDR-タグ付き巨大分子、IDR-ポリペプチド又はIDR-タグ付きポリペプチドは、本明細書ではIDR試薬又はIDRベースの試薬と互換的に呼ばれ得る。
本明細書で使用されるIDR-巨大分子若しくはIDR-ポリペプチド又はIDR-タグ付き巨大分子若しくはIDR-タグ付きポリペプチドは、1つ以上の機能的天然変性領域(IDR)を含む任意の巨大分子又はポリペプチド若しくはタンパク質である。
本明細書で使用されるIDR-巨大分子若しくはIDR-ポリペプチド又はIDR-タグ付き巨大分子若しくはIDR-タグ付きポリペプチドは、1つ以上の機能的天然変性領域(IDR)からなるか又はこれを含むアミノ酸配列を含む任意の巨大分子又はポリペプチド若しくはタンパク質である。
したがって、IDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドは、本明細書で言及されるように、結果として、1つ以上の機能的天然変性領域からなるアミノ酸配列を含む巨大分子又はポリペプチドを指す場合があり、又は1つ以上の機能的天然変性領域を含むアミノ酸配列を含む巨大分子又はポリペプチドを指す場合がある。
さらに、1つ以上の機能的天然変性領域(IDR)を含むIDR-巨大分子は、本明細書で言及されるように、1つ以上の機能的天然変性領域(IDR)からなるか又はこれを含むアミノ酸配列でタグ付けされた目的の巨大分子であり得る。そのようなIDR-タグ付き巨大分子も、本明細書に記載のIDR試薬である。1つ以上の機能的天然変性領域(IDR)を含むIDR-タグ付きポリペプチドは、本明細書で言及されるように、1つ以上の機能的天然変性領域(IDR)からなるか又はこれを含むアミノ酸配列でタグ付けされた目的のポリペプチドであり得る。そのようなIDR-タグ付きポリペプチドは、本明細書に記載のIDR試薬でもある。
IDR-タグ付き巨大分子又はIDR-タグ付きポリペプチドは、本明細書で使用されるように、1つ以上の機能的天然変性領域(IDR)からなるか又はこれを含むアミノ酸配列で「タグ付け」されている任意の巨大分子又はポリペプチド若しくはタンパク質である。
したがって、IDR-タグ付き巨大分子又はIDR-タグ付きポリペプチドは、本明細書で言及されるように、結果として、1つ以上の機能的天然変性領域からなるアミノ酸配列でタグ付けされた巨大分子又はポリペプチドを指す場合があり、又は1つ以上の機能的天然変性領域を含むアミノ酸配列でタグ付けされた巨大分子又はポリペプチドを指す場合がある。
1つ以上の機能的天然変性領域(IDR)からなる又はこれを含むタグ付きアミノ酸配列は、タグ付き位置でタグ付けされている巨大分子又はポリペプチド若しくはタンパク質中に天然に又は通常は見られない。したがって、1つ以上の機能的天然変性領域(IDR)からなる又はこれを含むタグ付きアミノ酸配列は、それがタグ付けされている巨大分子又はポリペプチド若しくはタンパク質と比較して外因性アミノ酸配列であると見なすことができる。したがって、タグ付けされた巨大分子又はポリペプチド若しくはタンパク質は、天然起源でない、人工の又は遺伝子操作された巨大分子、ポリペプチド又はタンパク質であると見なすことができる。
アミノ酸配列がポリペプチド及び他の巨大分子に「タグ付け」され得る機構は、本明細書でさらに説明される。
本明細書に開示される特定のIDRアミノ酸タグ配列のいずれか1つ以上、又はこのいずれか1つ以上の機能的バリアント、類似体、ホモログ若しくは誘導体を含む、任意の1つ以上の機能的天然変性領域(IDR)を巨大分子又はポリペプチド若しくはタンパク質にタグ付けすることができる。
本発明で使用するためには、天然変性領域ポリペプチド配列及びそのドメインの両方が、「機能的」でなければならない。「機能的」という用語は、任意のIDRアミノ酸配列が、本明細書でさらに概説される機能特性の1つを有さなければならないことを意味する。
「天然変性領域」という用語は、当技術分野で一般的に使用される技術的に理解されている用語である。包括的な総説については、Classification of Intrinsically Disordered Regions and Proteins,van der Leeら、2014,Chem.Rev.114、pp 6589-6631を参照のこと。
本発明は、とりわけ、水性インビトロ反応系において生化学反応を行う方法であって、生化学反応が、少なくとも1つの反応巨大分子、任意に少なくとも1つの反応ポリペプチドの機能に依存し、方法が、反応を行うために適した条件下で、少なくとも1つのIDR-巨大分子をインビトロ反応系に導入することを含み、少なくとも1つのIDR-巨大分子が、1つ以上の機能的天然変性領域(IDR)を含み、少なくとも1つのIDR-巨大分子をインビトロ反応系へ導入すると、生化学反応の効率が、少なくとも1つのIDR-巨大分子によって高められる、方法を提供する。生化学反応の効率は、IDR-巨大分子の1つ以上の機能的IDRによって高められる。任意のそのような方法では、少なくとも1つのIDR-巨大分子は少なくとも1つのIDR-ポリペプチドであり得る。任意のそのような方法では、1つ以上の機能的天然変性領域(IDR)を含むIDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドは、生化学反応がその機能に依存する「反応巨大分子」又は「反応ポリペプチド」でなくてもよい。したがって、任意のそのような方法において、IDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドは、生化学反応自体に固有の生化学的役割を有さない場合がある。それにもかかわらず、反応系へのその導入は、生化学反応の効率の向上をもたらす。
インビトロ反応系で生化学反応を行う方法は、生化学反応が少なくとも1つのIDR-巨大分子の機能に依存する方法であってよく、インビトロ反応系へのその導入時に、少なくとも1つのIDR-巨大分子が生化学反応でその反応機能を実施し、反応の効率を高める。任意のそのような方法では、少なくとも1つのIDR-巨大分子は少なくとも1つのIDR-ポリペプチドであり得る。任意のそのような方法では、IDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドは、生化学反応自体において固有の生化学的役割を有する。したがって、1つ以上の機能的天然変性領域(IDR)を含む少なくとも1つのIDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドは、生化学反応がその機能に依存する「反応巨大分子」又は「反応ポリペプチド」である。
少なくとも1つのIDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドは、1つ以上の機能的天然変性領域を含むか又はこれからなるアミノ酸配列を含む。IDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドは、生化学反応を行うのに適した条件下で生化学反応系に導入される。1つ以上の機能的天然変性領域が存在するため、IDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドは反応の効率を高める。
反応の効率を高めることにより、IDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドが、1つ以上の機能的天然変性領域を含むか又はこれからなるアミノ酸配列なしで提供された場合に観察されるであろう反応の効率と比較して、反応の効率が改善されることを意味する。そのような改善は、IDRアミノ酸配列を含む及び含まない反応巨大分子又はポリペプチドの比較試験によって容易に立証することができる。
本発明の方法のいずれか1つでは、IDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドの1つ以上の機能的天然変性領域は、反応系における液体-液体脱混合を促進/引き起こし、相分離をもたらす。反応系において相分離をもたらす液体-液体脱混合を促進する機能的能力は、例えば、本明細書に記載の相分離アッセイを行うことによって容易に立証することができる。そのような液体-液体脱混合は相分離を促進し、これは、本明細書でさらに詳述するように、例えば顕微鏡観察下で検出可能な粒子などの反応系内の相分離区画の形成をもたらし得る。
IDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドは、触媒活性を有していてもよく、又は有していなくてもよい。例えば、IDR-ポリペプチドは、本明細書にさらに記載されるように、リコンビナーゼポリメラーゼ増幅反応で使用されるポリメラーゼ酵素などの触媒活性を有し得る。IDR-ポリペプチドは、リコンビナーゼポリメラーゼ増幅反応で使用される一本鎖安定化剤、例えば本明細書にさらに記載されるGp32などの触媒活性を有さなくてもよい。
本明細書でさらに論じるように、IDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドが触媒活性を有するか否かにかかわらず、IDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドは、生化学反応系にIDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドが存在しない場合、生化学反応が進行できないか、又は効率が低下して進行するように、生化学反応に必要とされるか、又は生化学反応に影響を及ぼす機能を有し得る。あるいは、本明細書でさらに論じるように、IDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドは、生化学反応自体に必要とされるか、又は生化学反応自体に影響を及ぼす機能を有さなくてもよい。それにもかかわらず、IDRアミノ酸配列のために、生化学反応系へのIDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドの導入は、IDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドの非存在下、又はIDRアミノ酸配列を有しない同じ巨大分子又はポリペプチドの存在下で、観察される効率と比較して、生化学反応の効率の向上をもたらす。
IDRポリペプチドの構造特性
アミノ酸配列中のIDRの存在は、構造分析によって容易に決定され得る。ポリペプチド及びタンパク質内のIDRの存在を予測するために、多数のバイオインフォマティクスベースのプラットフォームが利用可能である。これらには、ELM、MiniMotif、SLiMPrints、phylo-HMM、DiliMot、SLiMFinder、Phospho.ELM、PhosphoSite、PHOSIDA、ScanSite、NetPhorest、NetworKIN、PhosphoNET、IDEAL、MoRFpred、ANCHOR、Pfam、FFPred、DisProt、D、及びMetaDisorderが含まれる。これらの方法のいずれも、IDRアミノ酸配列を同定するために使用され得る。必要であれば、そのようなIDRアミノ酸配列は、本明細書中でさらに記載されるように、それらの機能特性を評価するために試験され得る。
IDRアミノ酸配列同定のための好ましい生物情報学ベースのプラットフォームは、MetaDisorderソフトウェアプログラム(MetaDisorder:タンパク質の天然変性を予測するためのメタサーバー、Kozlowski,L.P.ら、BMC Bioinformatics,2012,13(1):111)である。
MetaDisorderプログラムは、オンライン(http://genesilico.pl/metadisorder/)で自由に入手可能である。このプログラムを使用して、目的のアミノ酸配列をインターネットブラウザウィンドウに単に貼り付けて、プログラムが開始される。オンライン文書が説明するように、ソフトウェアパッケージにおいて0.5を超えるスコアを有する任意のアミノ酸領域は、天然変性領域を含むと考えられる。
MetaDisorderソフトウェアプラットフォームを使用して、本発明者らは、1つ以上の天然変性領域を含むいくつかのアミノ酸配列を同定した。これらをTable 1に示す。
したがって、方法、プロセス及び使用のいずれか1つにおいて、又は天然起源でないIDR-巨大分子、IDR融合巨大分子若しくはそれをコードする単離された核酸分子、組換えポリヌクレオチド発現ベクター若しくは宿主細胞のいずれか1つにおいて、IDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドの1つ以上の機能的IDRは、アルゴリズムMetaDisorderによって分析した場合に0.5を超えるスコアを有するアミノ酸の配列として特徴付けることができる。アミノ酸の配列は、アルゴリズムMetaDisorderアコーディオンによってKozlowski,L.P.ら、BMC Bioinformatics,2012,13(1):111の方法で分析した場合に0.5を超えるスコアを示すアミノ酸の配列であり得る。
本発明は、配列番号1~43(Table 1)のいずれか1つのアミノ酸配列及びそのバリアントを含むか又はからなる好ましいIDRアミノ酸配列を提供し、関連する。すべての場合において、配列番号1~43のいずれか1つのアミノ酸配列のバリアントは、本明細書にさらに記載されるように、IDR機能特性を保持する機能的バリアントである。
さらに、本明細書にさらに記載されるように、IDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドは、配列番号1~43のいずれか1つのアミノ酸配列を含むか若しくはこれからなる、又は配列番号1~43の機能的バリアントアミノ酸配列を含むか若しくはこれからなるアミノ酸配列でタグ付けされた巨大分子又はポリペプチドを含むか又はこれからなり得る。
機能的バリアントは、本明細書に記載のIDRアミノ酸配列(Table 1)と比較して少なくとも80%の配列同一性を有し得る。機能的バリアントは、本明細書に記載のIDRアミノ酸配列(Table 1)と比較して少なくとも81%の配列同一性、又は82%の配列同一性、又は83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有し得る。
本発明の目的のために、例えば配列番号1~43のいずれか1つのアミノ酸配列と配列番号1~43のいずれか1つのアミノ酸配列の機能的バリアントとの間の同一性パーセントを決定するために、2つのそれぞれのアミノ酸配列を最適な比較目的のために整列させる(例えば、第2の配列との最適なアラインメントのために第1の配列にギャップを導入することができる)。次いで、ヌクレオチド位置のヌクレオチド残基を比較する。第1の配列中の位置が第2の配列中の対応する位置と同じヌクレオチド残基によって占められている場合、ヌクレオチドはその位置で同一である。2つの配列間の同一性パーセントは、配列によって共有される同一の位置の数の関数である(すなわち、同一性%=同一の位置の数/参照配列中の位置の総数×100)。
典型的には、配列比較は、参照配列の全長にわたって行われる。例えば、当業者が、所与の(「バリアント」)配列が配列番号2と80%同一であるかどうかを決定したい場合、配列番号2は参照配列であろう。例えば、バリアント配列が配列番号2(参照配列の一例)と少なくとも80%同一であるかどうかを評価するために、当業者は配列番号2の長さにわたってアラインメントを行い、試験配列中のいくつの位置が配列番号2の位置と同一であったかを同定するであろう。位置の少なくとも80%が同一である場合、試験配列は配列番号2と少なくとも80%同一である。配列が配列番号2より短い場合、ギャップ又は欠落した位置は、非同一の位置であると見なされるべきである。
当業者は、2つの配列間の相同性又は同一性を決定するために利用可能な異なるコンピュータプログラムを知っている。例えば、配列の比較及び2つの配列間の同一性パーセントの決定は、数学的アルゴリズムを使用して達成することができる。2つのアミノ酸又は核酸配列間の同一性パーセントは、例えば、Blosum 62マトリックス又はPAM 250マトリックスのいずれか、並びに16、14、12、10、8、6、又は4のギャップ重み及び1、2、3、4、5、又は6の長さ重みを使用して、Accelrys GCGソフトウェアパッケージ(http://www.accelrys.com/products/gcg/で入手可能)においてGAPプログラムに組み込まれているNeedleman and Wunsch(1970)アルゴリズムを使用して決定することができる。
配列番号1~43のいずれか1つのアミノ酸配列の機能的バリアントは、それぞれ配列番号1~43のいずれか1つのアミノ酸配列と比較して少ないアミノ酸数を有することによって異なる(すなわち、機能的バリアントはより短い)か、又はそれぞれ配列番号1~43のいずれか1つのアミノ酸配列と比較して多いアミノ酸数を有することによって異なる(すなわち、機能的バリアントはより長い)アミノ酸配列であり得る。したがって、機能的バリアントは、参照アミノ酸配列と比較して1つ以上のアミノ酸欠失及び/又は1つ以上の挿入を含み得る。バリアントが参照配列と異なる機能的バリアントアミノ酸配列中のアミノ酸の数は、1以上、2以上、3以上、4以上、5以上、6以上、7以上、8以上、9以上、10以上、11以上、12以上、13以上、14以上、15以上、16以上、17以上、18以上、19以上又は20以上であり得る。
配列番号1~43のいずれか1つのアミノ酸配列の機能的バリアントは、例えば、Table 1に列挙された配列に示されるアミノ酸残基の保存的アミノ酸置換を含み得る。保存的置換は、例えば、一般に受け入れられているアミノ酸のグループ分けを記載する以下の表に従って行うことができる。したがって、機能的バリアントは、参照アミノ酸配列と比較して保存的アミノ酸置換を含み得る。参照配列と比較して保存的アミノ酸置換である機能的バリアントアミノ酸配列中のアミノ酸の数は、1以上、2以上、3以上、4以上、5以上、6以上、7以上、8以上、9以上、10以上、11以上、12以上、13以上、14以上、15以上、16以上、17以上、18以上、19以上又は20以上であり得る。
Figure 2023501002000002
所与のバリアントがIDR機能特性を保持するかどうかは、例えば本明細書にさらに記載の方法によって容易に立証することができる。
Table 1
Figure 2023501002000003

Figure 2023501002000004

Figure 2023501002000005

Figure 2023501002000006

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Figure 2023501002000012
同様の置換が、塩基性の場合は塩基性、酸性の場合は酸性、極性の場合は極性などのアミノ酸の場合に行われ得る。非相同置換もまた、すなわち、あるクラスの残基から別のクラスの残基まで、又は代替的に、オルニチン、ジアミノ酪酸オルニチン、ノルロイシンオルニチン、ピリイルアラニン、チエニルアラニン、ナフチルアラニン及びフェニルグリシンなどの非天然アミノ酸の包含を伴って起こり得る。
本明細書に開示される特定のIDRアミノ酸配列(Table 1参照)は、4つのグループに大別することができる。いくつかのIDR配列は、2つ以上のグループに分類することができる。RGG/RGグループは、FG/YGリッチであるIDR配列を含む。このグループは、fib、hnrpnA1、DDX、HRP1及びSupを含む。Poly Qグループは、Q/NリッチであるIDR配列を含む。このグループは、PCF11、Ent-1、HRP1、Sup、His4、His8及びHis10を含む。Poly Pグループは、Pリッチである配列を含む。このグループは、His4、His9及びHis10を含む。Poly Hグループは、Hリッチである配列を含む。このグループは、His1-11を含む。IDRアミノ酸配列のいくつかの重要な特徴は、それらがカチオン-π相互作用及びπ-π相互作用を示し、アミド架橋及び塩架橋を形成することができることである。好ましいIDRアミノ酸配列の重要な特徴及び重要な分子間/分子内相互作用を以下のTable 2~Table 20に示す。

Table 2
Figure 2023501002000013


Table 3
Figure 2023501002000014


Table 4
Figure 2023501002000015


Table 5
Figure 2023501002000016


Table 6
Figure 2023501002000017


Table 7
Figure 2023501002000018


Table 8
Figure 2023501002000019


Table 9
Figure 2023501002000020


Table 10
Figure 2023501002000021


Table 11
Figure 2023501002000022


Table 12
Figure 2023501002000023


Table 13
Figure 2023501002000024


Table 14
Figure 2023501002000025


Table 15
Figure 2023501002000026


Table 16
Figure 2023501002000027


Table 17
Figure 2023501002000028


Table 18
Figure 2023501002000029


Table 19
Figure 2023501002000030


Table 20
Figure 2023501002000031
IDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドの機能特性
本明細書に記載のIDR-タグ付き巨大分子若しくはポリペプチド、又はIDR-巨大分子若しくはIDR-ポリペプチドは、本発明の方法で使用される1つ以上の機能的IDRからなるか又はこれを含むアミノ酸配列を有しなければならない。そのようなIDRアミノ酸配列又はドメインが機能的であるか否かは、本明細書に記載される方法などの日常的な方法によって立証することができる。
粒子形成
本発明者らは、驚くべきことに、IDR-タグ付きポリペプチド又はIDR-ポリペプチドが適切な溶液中で粒子を形成することができることを発見した。これは、IDRアミノ酸配列によって媒介される溶液混合物内の流体の相分離をもたらす液体-液体脱混合によって起こると考えられる。
IDRアミノ酸配列によって媒介される粒子の形成は、以下の例にさらに記載される。粒子は回転楕円形の外観を示し、「小球」、「球状フォーカス」又は「粒子」と記載することができる。
本明細書で言及される「粒子」、「小球」又は「球状フォーカス」という用語は、同義語であることを意図しており、互換的に使用することができる。粒子の観察及び検出を可能にする条件及び方法は、以下の例を含む本明細書に記載されている。
本明細書に記載の例では、IDR-タグ付きポリペプチド及び二価金属カチオンの溶液のみを含む単純な系で粒子形成が起こることが観察された。粒子形成はまた、RPAタンパク質成分の1つ(Gp32)がIDR-タグ付きであったRPAに必要な成分を含む混合物を含むより複雑な混合物中で起こることが見出された。これらの状況では、反応成分は粒子と強く共局在することがわかり、例えば、粒子は、それに結合した蛍光標識プローブによって検出されるようにオリゴヌクレオチド中で高密度であり、他のすべてのRPA反応タンパク質成分を含むことがわかった。
粒子の検出及びモニタリングは、任意の適切な方法、並びに以下の例に記載の方法を使用して行うことができる。例示的な方法としては、顕微鏡法、光散乱法、フローサイトメトリー法及びマイクロ流体法が挙げられる。
粒子は、顕微鏡法、例えば微分干渉コントラスト又は蛍光顕微鏡法を使用して検出して、粒子を高倍率で直接観察することができる。コンピュータの助けを借りて、顕微鏡画像を自動的に取得及び分析することができる。さらに、顕微鏡法は、粒子を含有する混合物の少なくとも一部の継続的又は頻繁なモニタリングを可能にすることができる。
粒子は、フローサイトメトリーを使用して検出することができる。フローサイトメトリーでは、1つ以上の光ビーム、例えば単一波長のそれぞれは、流体の流体力学的に集束された流れに向けられる。ビームを通過する懸濁粒子は光を散乱し、粒子内に見出されるか又は粒子に結合した蛍光化学物質が励起され得る。散乱光及び/又は蛍光は、装置内の検出器によって分析され、そこから粒径及び蛍光に関する情報を決定することができる。最新のフローサイトメーターは、「リアルタイム」で毎秒数千個の粒子を分析することができ、特定の特性を有する粒子を能動的に分離及び単離することができる。
粒子は、例えば、米国特許出願公開第2009/0079963号明細書及び米国特許出願公開第2010/0179068号明細書並びに国際特許出願公開第WO2009/112594号明細書に開示されているような、サイトメトリー法、デバイス及びシステムを使用して検出することができる。
粒子は、マイクロ流体法、デバイス、及びシステムを使用して検出することができる。例えば、ラブオンチップデバイス又はシステムなどを使用して粒子を検出することができる(例えば、米国特許出願公開第2009/0326903号明細書及び米国特許出願公開第2009/0297733号明細書を参照のこと)。
粒子は、約0.5~20μmのサイズ、例えば、0.5、1、1.5、2、2.5、3、4、5、6、7、8、9、10、12、15、18、及び20μm(例えば、約1~10μmのサイズ)から選択されるほぼ任意の2つのサイズの間であり得る。
粒子の濃度は、約10~5000粒子/nlであってよく、例えば、10、20、50、100、200、500、1000、2000、及び5000粒子/nlから選択される任意の2つの数の粒子の間で検出され得る(例えば、約100~500粒子/nl)。粒子の濃度は、ナノリットル当たり約200~400粒子であり得る。
そのような相分離粒子は、サイズが約0.5μmより小さくてもよい。サイズが約0.5μmより小さいものを含む相分離粒子は、溶液の濁度の変化によって検出することができる。溶液の濁度の変化は、標準的な手段によって測定することができ、典型的にはホルマジン濁度単位(FTU)又はホルマジン比濁法単位(FNU)に従って定量することができる。他の方法としては、多角度光散乱(SEC-MALS)を含むサイズ排除クロマトグラフィーが挙げられる。
IDR機能の実験的決定
本明細書に記載のIDR-巨大分子若しくはIDR-ポリペプチド、又はIDR-タグ付き巨大分子若しくはIDR-タグ付きポリペプチドは、機能的天然変性領域(IDR)アミノ酸配列及び/又はそのドメインを有すると決定することができ、したがって、例えば以下に記載される相分離アッセイ法又はRPAアッセイ法を使用することによって、本発明の方法及び試薬に使用することができる。
したがって、IDR-巨大分子、IDR-ポリペプチド又はIDR-タグ付き巨大分子若しくはIDR-タグ付きポリペプチドは、1つ以上の機能的天然変性領域からなるアミノ酸配列を含むか、又はそれでタグ付けされた巨大分子又はポリペプチドであるか、又は、1つ若しくはそれを超える機能的天然変性領域を含むアミノ酸配列でタグ付けされた巨大分子若しくはポリペプチドである。すべての場合において、機能的天然変性領域は、下記に記載される相分離アッセイ法及び/又は下記に記載されるようなRPAアッセイ法において機能的であると決定され得るものである。
相分離アッセイ法
相分離アッセイ法は、
1.IDR-ポリペプチド融合タンパク質を作製するために1つ以上の天然変性領域アミノ酸配列をポリペプチドにタグ付けすること、好ましくは、Gp32-IDR融合タンパク質を作製するために組換えファージvB EcoM NBG1 Gp32タンパク質にタグ付けすること、及び精製IDR-ポリペプチド融合タンパク質を提供することと、
2.IDR-ポリペプチド融合タンパク質をある体積の水に1000ng/μlの最終濃度まで添加することであって、混合物の最終体積は50μlであり、好ましくは二価金属カチオンを2mM以上の最終濃度まで添加し、より好ましくは二価金属カチオンはMg2+、Mn2+、Ca2+、Co2+又はNi2+である、添加することと、
3.混合物をボルテックスし、続いて混合物をパルス遠心分離することと、
4.混合物の上清の10μlの試料を血球計スライドに移すことと、
5.顕微鏡下で倍率400倍で血球計スライドを見ることと、
6.混合物中の粒子の形成を観察することと、
7.混合物中に粒子が存在しない場合、工程1~6を繰り返し、混合物中の粒子の形成が観察されるまで二価金属カチオンの濃度を漸増的に増加させることと、
8.218μm×175μmの拡大領域に形成される粒子の数を倍率400倍でカウントすることと、
9.(i)拡大領域内で10個以上の粒子をカウントした場合、好ましくは拡大領域内で50個以上の粒子をカウントした場合、より好ましくは拡大領域内で100個以上の粒子をカウントした場合に、1つ以上の天然変性領域(IDR)からなるか又はこれを含むアミノ酸配列が機能的であることを立証することと、又は
(ii)二価金属カチオンの濃度が100mM以上に増大し、拡大領域内に形成する粒子が観察されない場合、又は拡大領域内で10個未満の粒子がカウントされる場合、1つ以上の天然変性領域(IDR)からなるか、又はこれを含むアミノ酸配列が非機能的であることを立証することと、
を含む方法である。
上記の方法では、粒子形成に対する二価金属カチオンの提供の効果を調べることが望ましい場合、工程2は、任意の所望の最終濃度まで二価金属カチオンを添加することを含み得る。したがって、異なる濃度の二価金属カチオンの効果を調べることができる。
上記の方法では、粒子形成に対するATPの提供の効果を調べることが望ましい場合、工程2は、ATPを任意の所望の最終濃度に添加することを含み得る。したがって、異なる濃度のATPの効果を調べることができる。ATPは、例えば1mM~3.5mM、例えば1mM~2mMの濃度で提供され得る。
工程2は、検出可能な核酸分子を添加することを含んでよく、工程8は、検出手段によって粒子の数をカウントすることを含む。例えば、工程2は、FAM(フルオレセイン)で標識された配列番号104に設定された核酸配列を有するプローブを添加することを含んでよく、工程8は、蛍光によって粒子を検出することを含み得る。検出可能な核酸分子は、0.5μMなどの任意の適切な最終濃度に添加することができる。
したがって、上記のアッセイを使用して、反応効率、液体-液体脱混合を引き起こす能力、及び分子を複数の相分離した水性区画(粒子)内に共局在させる能力を調べることができる。
上記方法において、二価金属カチオンがMg2+である場合、カチオン源はMgOAcであることが好ましい。二価金属カチオンがCa2+である場合、カチオン源はCaClであることが好ましい。二価金属カチオンがMn2+である場合、カチオン源はMnClであることが好ましい。
RPAアッセイ法
RPAアッセイ法は、
1.Gp32-IDR融合タンパク質を作製するために、1つ以上の天然変性領域ポリペプチド配列をGp32タンパク質、好ましくは組換えファージvB EcoM NBG1 Gp32タンパク質にタグ付けし、精製されたGp32-IDR融合タンパク質を提供することと、
2.以下を含む反応混合物を生成することと、
a.トリスHCl pH8.3、25mM、
b.KOAc、7.5mM、
c.DTT、1mM、
d.ATP、2.5mM、
e.ホスホクレアチン、20mM、
f.クレアチンキナーゼ、1μM、
g.dNTPs、1mM、
h.精製Gp32-IDR融合タンパク質、20μM、
i.精製UvsX、4.8μM
j.精製UvsY、8.6μM
k.黄色ブドウ球菌(S.aureus)DNAポリメラーゼ1(SAU)、0.135μM
l.エキソヌクレアーゼIII、0.27μM
m.フォワードプライマー、0.4μM
n.リバースプライマー、0.4μM
o.プローブ、0.12μM
3.反応混合物に33mM MgOAc及び鋳型核酸の10コピーを添加することによってリコンビナーゼポリメラーゼ増幅反応を開始することと、
4.ベアリングボールを使用して磁気混合しながら蛍光光度計で39℃で反応混合物をインキュベートすることと、
5.(i)増幅産物の2倍以上の増加が、鋳型依存的様式でベースラインと比較して蛍光の測定可能な増加によって15分以内に検出可能である場合、1つ以上の天然変性領域ポリペプチド配列が機能的であることを立証することと、又は
(ii)15分後に蛍光によって増幅産物が検出されない場合、1つ以上の天然変性領域ポリペプチド配列が非機能的であることを立証することと、
を含む、方法である。
上記方法において、フォワードプライマー配列は、CGCCTGCAAGTCCTAAGACGCCAATCGAAAAGAAAC(配列番号98)であり、リバースプライマー配列は、CTGCATCTCCGTGGTATACTAATACATTGTTTTTA(配列番号99)であり、プローブ配列は、CGAAAAGAAACACGCGGATGAAATCGATAAG[FAM] [THF][BHQ-1]ATACAAGGATTGGA(配列番号100)であり、式中、FAMはフルオレセインであり、THFはテトラヒドロフランであり、BHQはブラックホールクエンチャーであり、鋳型は、リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)ゲノムDNAである。
あるいは、上記RPAアッセイ法の工程5は、増幅産物の5倍以上の増加が、鋳型依存的様式でベースラインと比較して蛍光の測定可能な増加によって15分以内に検出可能である場合、又は10倍以上の増加が検出可能である場合、又は20倍以上の増加、又は30倍以上の増加、又は40倍以上の増加、又は50倍以上の増加、又は100倍以上の増加、又は150倍以上の増加、又は200倍以上の増加、又は250倍以上の増加、又は300倍以上の増加、又は350倍以上の増加、又は400倍以上の増加、又は450倍以上の増加、又は500倍以上、1000倍以上、2000倍以上、3000倍以上、4000倍以上、5000倍以上の増加が検出可能である場合、1つ以上の天然変性領域ポリペプチド配列が機能的であることを立証することを含み得る。ベースラインを超える増幅産物の増加とは、Gp32タンパク質が1つ以上の天然変性領域ポリペプチド配列でタグ付けされていないことを除いて、同じ条件下で反応を行うことによって得られた増幅産物の量と比較した増幅産物の増加を意味する。
上記の方法では、反応効率に対する二価金属カチオンの提供の効果を調べることが望ましい場合、工程3は、任意の所望の最終濃度まで二価金属カチオンを添加することを含み得る。したがって、異なる濃度の二価金属カチオンの効果を調べることができる。
上記の方法では、反応効率に対するATPを提供する効果を調べることが望ましい場合、工程2は、ATPを任意の所望の最終濃度に添加することを含み得る。したがって、異なる濃度のATPの効果を調べることができる。ATPは、例えば1mM~3.5mM、例えば1mM~2mMの濃度で提供され得る。
巨大分子及びポリペプチドへのIDRアミノ酸配列のタグ付け
本発明の方法、方法及び試薬は、とりわけ、IDR-タグ付き巨大分子及びIDR-タグ付きポリペプチドを含み、IDR-タグ付き巨大分子又はIDR-タグ付きポリペプチドは、1つ以上の天然変性領域(IDR)(本明細書ではIDR部分と呼ばれ得る)からなるか又はこれを含むアミノ酸配列でタグ付けされた目的の巨大分子又はポリペプチドである。
「タグ」又は「タグ付け」という用語は、その最も広い意味で理解されるべきである。これらの用語は、IDR部分、すなわち、1つ以上の機能的IDRからなるか又はこれを含むアミノ酸配列が、任意の適切な方法で目的の巨大分子又はポリペプチドに結合しているか、繋ぎ止められているか、結合しているか、そうでなければ会合していることを意味すると理解されるべきである。
IDR部分を目的のポリペプチドにタグ付けする最も好ましい手段は、組換え遺伝子融合タンパク質を作製することによるものであり、目的のポリペプチドは、転写及び翻訳されたときに発現されたタンパク質がIDR部分と共に目的のポリペプチドを含むようにヌクレオチドレベルで遺伝子操作される。
所望であれば、目的のポリペプチドとIDR部分との間にリンカーを配置してもよい。例えば、柔軟で、強固で、かつ切断可能なリンカーは当技術分野で周知であり、融合タンパク質の製造に広く使用されている(例えば:Fusion Protein Linkers:Property,Design and Functionality,Chen,X.,et al.2013,Adv.Drug Deliv.Rev.,15,65(10)、pp1357-1369を参照のこと)。
遺伝子操作のための標準的な方法は、タンパク質発現及び精製のための方法と同様に、当技術分野で周知である(例えば、Sambrookら、2001、Molecular Cloning:a Laboratory Manual、3rd edition、Cold Spring Harbour Laboratory Press及びCurrent Protocols in Molecular Biology,Greene Publishing and Wiley-lnterscience,New York(1995)を参照のこと)。
IDR部分を目的の巨大分子又はポリペプチドにタグ付けすることができる他の手段は、1つ以上の共有結合又は親和性相互作用によるものである。
IDR部分は、目的のポリペプチドのN末端、目的のポリペプチドのC末端などの任意の適切な配向でポリペプチドにタグ付けすることができ、又は目的のポリペプチドは、そのN末端及びC末端の両方に、又はポリペプチドの長さに沿った任意のアミノ酸位置にIDR部分を含み得る。
ペプチド/オリゴペプチド/ポリペプチド/タンパク質は、この技術分野で非常に知られている方法を使用することによって、他のペプチド/オリゴペプチド/ポリペプチド/タンパク質を含む他の巨大分子に結合される/繋ぎ止められてコンジュゲートされ得る。
そのような方法の1つは、「クリックケミストリー」である。「クリックケミストリー」という用語は、典型的には、銅触媒の存在下で1,5-二置換1,2,3トリアゾールをもたらすアジドとアルキンとの反応を説明するために使用される。クリックケミストリーは、ペプチド/オリゴペプチド/ポリペプチド/タンパク質を、他のペプチド/オリゴペプチド/ポリペプチド/タンパク質、並びに例えば炭水化物、核酸、ポリマー、薬物、アプタマー、ヒドロゲルなどを含む広範囲の他の巨大分子にコンジュゲートさせることを可能にする。この方法は、「CuAAC」(Cu触媒アルキンアジド環化付加)(例えば、「クリック」反応:ペプチドコンジュゲートの合成のための汎用ツールボックス、Tang,W.ら、2014,Chem.Soc.Rev.,43、pp7013-7039を参照のこと)とも呼ばれる。
ペプチド/オリゴペプチド/ポリペプチド/タンパク質を、アミンと反応するマレイミド、スルフヒドリル反応性基又はスクシンイミジルエステル(しばしばNHSエステルと呼ばれる)を含有する架橋剤などの他の巨大分子にコンジュゲートするために、多くの他のリンカー/架橋剤化学が利用可能である。例えば、スクシンイミドは、タンパク質又はペプチドとプラスチック材料との間に共有結合を形成するために使用することができる。
ポリペプチドと非ポリペプチド分子との間のコンジュゲートを作製するために一般的に用いられる標準的な化学物質、例えば抗体-薬物コンジュゲートを作製するための化学物質を使用することができる。このような技術の多くは、この技術分野において周知である。
親和性に基づく相互作用も使用することができる。例えば、1つ以上の機能的天然変性領域からなるか又はこれを含むアミノ酸配列は、ストレプトアビジン-ビオチン、受容体-リガンド相互作用などの親和性に基づく相互作用によって、目的の巨大分子又はポリペプチドに結合され/繋ぎ止められ得る。
IDRアミノ酸配列機能のための多価金属カチオン
本明細書に記載及び定義されるIDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドがインビトロ生化学反応で使用される場合、インビトロ生化学反応緩衝液は、好ましくは多価金属カチオン、好ましくは二価金属カチオンを含有する。
反応緩衝液中の多価/二価金属カチオンの存在は、IDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドによって媒介される/引き起こされるインビトロ生化学反応環境における相分離をもたらす液体-液体脱混合を促進及び増強するのに役立つ。
IDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドによって媒介される/引き起こされるインビトロ生化学反応環境において相分離を増強する二価金属カチオンの機能的能力は、本明細書に開示及び定義される技術などによって容易に立証することができる。特に、そのような機能的能力は、本明細書にさらに記載及び定義されるように、例えば本明細書に記載のアッセイによって決定されるように、IDR依存的な方法でインビトロ生化学反応環境において球状フォーカス又は粒子の形成を誘導する多価/二価金属カチオンの能力によって立証することができる。
相分離をもたらすIDR依存性液体-液体脱混合の促進/増強における二価金属カチオンの使用が好ましい。しかしながら、任意の多価又は任意の二価金属カチオンの機能的等価物が想定される。本明細書に記載の多価/二価金属カチオンの機能的等価物は、例えば本明細書に記載のアッセイによって決定されるように、インビトロ生化学反応環境での相分離をもたらすIDR依存性液体-液体脱混合の促進において二価金属カチオンの代わりになり得る任意の薬剤である。
任意の適切な多価/二価金属カチオンを、単剤又は薬剤の組み合わせとして、任意にキレート剤、例えばエチレンジアミン四酢酸(EDTA)、エチレングリコール-ビス(β-アミノエチルエーテル)-N,N,N’,N’-四酢酸(EGTA)又はニトロ酢酸(NTA)の存在下で使用することができる。
二価金属カチオンは、Mg2+、Mn2+、Ca2+、Co2+、Ni2+又はCu2+であり得る。これらのカチオンは、いずれも単剤で用いてもよく、又は、カチオンの組み合わせを用いてもよい。好ましくは、それらは単剤として使用される。好ましい二価金属カチオンは、Mg2+、Mn2+及びCa2+である。
インビトロ生化学反応環境におけるIDR媒介相分離の促進において最適な結果を達成する特定の多価/二価金属カチオン、並びに使用される多価/二価金属カチオンの特定の濃度は、目的の巨大分子又はポリペプチドをタグ付けするために使用される特定の天然変性領域アミノ酸配列に依存し得る。最適な多価/二価金属カチオン及び最適な濃度は、日常的な試験を用いて経験的に立証することができる。本明細書にさらに記載される相分離アッセイは、この目的のために使用され得る。
多価/二価金属カチオンの好ましい濃度範囲は、約300μM~約100mM、約300μM~約50mM、約400μM~約50mM、約400μM~約20mM、約400μM~約30mM、約500μM~約10mM、約500μM~約25mM及び約1mM~約35mMである。
インビトロ生化学反応緩衝液は、Mg2+イオンを含有し得る。好ましい濃度範囲は、約300μM~約100mM、より好ましくは約400μM~約50mM、さらにより好ましくは約500μM~約40mM、さらにより好ましくは約25mM~約35mM、例えば33mMである。好ましくは、緩衝液は、示された濃度でMgOAcを含有する。
インビトロ生化学反応緩衝液は、Ca2+イオンを含有し得る。好ましい濃度範囲は、約300μM~約100mM、より好ましくは約400μM~約50mM、さらにより好ましくは約1mM~約40mM、さらにより好ましくは約25mM~約35mM、例えば33mMである。好ましくは、緩衝液は、示された濃度でCaClを含有する。
インビトロ生化学反応緩衝液緩衝液は、Mn2+イオンを含有し得る。好ましい濃度範囲は、約300μM~約50mM、より好ましくは約400μM~約50mM、さらにより好ましくは約500μM~約40mM、さらにより好ましくは約25mM~約35mM、例えば33mMである。好ましくは、緩衝液は、示された濃度でMnClを含有する。
リコンビナーゼポリメラーゼ増幅(RPA)
リコンビナーゼポリメラーゼ増幅(RPA)は、核酸の等温増幅のための方法である。一般に、RPAの第1の工程では、リコンビナーゼ剤を第1及び第2の核酸プライマー並びにリコンビナーゼ負荷タンパク質と接触させて、第1及び第2の核タンパク質プライマーを形成する。一般に、第2の工程では、第1及び第2の核タンパク質プライマーを二本鎖鋳型核酸と接触させて、鋳型核酸の第1の鎖の第1の部分に第1の二本鎖構造を形成し、鋳型核酸の第2の鎖の第2の部分に第2の二本鎖構造を形成して、第1の核酸プライマー及び第2の核酸プライマーの3’末端が所与の核酸分子上で互いに向かって配向されるようにする。一般に、第3の工程では、第1及び第2の核タンパク質プライマーの3’末端がポリメラーゼによって伸長されて、第1及び第2の二本鎖核酸、並びに核酸の第1及び第2の置換一本鎖が生成される。一本鎖安定化剤は、核酸の第1及び第2の置換された一本鎖を安定化するために使用される。一般に、第2及び第3の工程は、所望の増幅度に達するまで繰り返すことができる。
RPA法は、例えば米国特許第7,270,981号明細書、米国特許第7,399,590号明細書、米国特許第7,666,598号明細書、米国特許第7,435,561号及び国際特許出願公開第WO2010/141940号明細書に広く開示されている。さらに、包括的な最近の総説については、Review:a comprehensive summary of a decade development of the recombinase polymerase amplification,Li,J.ら、2019,Analyst,144,pp31-67)を参照のこと。
リコンビナーゼ剤
本発明の方法を含むRPA法は、リコンビナーゼ剤を使用する。
本発明の1つ以上のIDR-ポリペプチドのいずれも、任意のリコンビナーゼ剤に結合され/繋ぎ止められ/タグ付けされ得る。
リコンビナーゼ剤は、一本鎖核酸、典型的にはDNA(ssDNA)をコーティングして核タンパク質フィラメントを形成することができる分子、典型的には酵素である。次いで、そのようなフィラメントは、配列相同性/相補性の領域について二本鎖核酸分子、典型的にはDNA(dsDNA)を「スキャン」することができる。相補的配列が位置する場合、(リコンビナーゼ剤を含む)核タンパク質フィラメント鎖は、二本鎖核酸分子に侵入して、Dループとして知られる短いハイブリッド及び置換鎖バブルを形成する。
任意の適切なリコンビナーゼ剤を本明細書に記載のRPA法で使用することができ、本明細書に記載のIDRアミノ酸配列のいずれかでタグ付けすることができる。
リコンビナーゼ剤は、原核生物、真核生物又はウイルス生物に由来し得る。
リコンビナーゼ剤は、RecA、UvsX、RadA、RadB、Rad51、又はこれらのタンパク質のいずれかの任意の機能的バリアント、類似体、ホモログ若しくは誘導体であり得る。
これらのタンパク質の任意の組み合わせが、使用され得る。
適切なリコンビナーゼ剤には、大腸菌(E.coli)RecAタンパク質、T4 UvsXタンパク質、又は任意の門からの任意の相同タンパク質若しくはタンパク質複合体が含まれる。
真核生物RecAホモログは、一般に、同定されるこのグループの最初のメンバーの後にRad51と命名される。他の非相同リコンビナーゼ剤、例えばRecT又はRecOを、RecAの代わりに利用してもよい。
例示的なリコンビナーゼ剤には、RecA及びUvsX、並びにそれらの断片又は変異体及びそれらの組み合わせが含まれる。RecA及びUvsXタンパク質は、任意の種から得ることができる。利用可能なRecA及びUvsSタンパク質及び核酸配列、並びに分子生物学技術を使用して、RecA及びUvsX断片又は変異タンパク質を産生することもできる。例示的なUvsXタンパク質には、T4、T2、T6、Rb69、Aeh1、KVP40、アシネトバクター(Acinetobacter)ファージ133、エロモナス(Aeromonas)ファージ65、シアノファージP-SSM2、シアノファージPSSM4、シアノファージS-PM2、Rb14、Rb32、エロモナス(Aeromonas)ファージ25、ビブリオ(Vibrio)ファージnt-1、phi-1、Rb16、Rb43、ファージ31、ファージ44RR2.81、RB49、ファージRb3、及びファージLZ2などのミオウイルス科ファージに由来するものが含まれる。さらなる例示的なリコンビナーゼ剤には、古細菌RADA及びRADBタンパク質並びに真核生物(例えば、植物、哺乳動物及び真菌)Rad51タンパク質(例えば、RAD51、RAD51B、RAD51C、RAD51D、DMC1、XRCC2、XRCC3及びrecA)が含まれる。
リコンビナーゼ剤は、好ましくは、UvsX、T4 UvsX、T6 UvsX、RB18 UvsX、大腸菌(E.coli)ファージwV7 UvsX、赤痢菌(Shigella)ファージCB8 UvsX、赤痢菌(Shigella)ファージShfl2 UvsX、大腸菌(E.coli)ファージAR1 UvsX、エシェリキア(Escherichia)ファージvB_EcoM_G4507 UvsX、赤痢菌(Shigella)ファージSHFML-11 UvsX、大腸菌(E.coli)ファージvB_EcoM_DalCa UvsX、大腸菌(E.coli)RecA、大腸菌(E.coli)RadA、大腸菌(E.coli)RadB、大腸菌(E.coli)Rad51、又はそれらの任意の機能的バリアント、類似体、ホモログ若しくは誘導体、又はそれらの任意の組み合わせである。特に好ましいリコンビナーゼ剤は、エシェリキア(Escherichia)ファージvB_EcoM_DalCa UvsXである。
リコンビナーゼ剤はまた、その活性を改善するために酸性残基のC末端欠失を含み得る。
上記のリコンビナーゼ剤の任意の機能的バリアント、類似体、ホモログ又は誘導体は、それ自体もリコンビナーゼ剤として機能してもよく、これらの機能的バリアント、類似体、ホモログ又は誘導体は、本明細書に記載及び定義される方法で使用されるリコンビナーゼ剤としても企図される。
例えば、RecAからの小さなペプチドは、RecAの組換え特性のいくつかの態様を保持することが示されている。このペプチドは、大腸菌(E.coli)RecAの残基193~212を含み、一本鎖オリゴヌクレオチドの対合を媒介することができる。
リコンビナーゼ剤(例えば、UvsX)は、変異リコンビナーゼ剤又はハイブリッドリコンビナーゼ剤であり得る。UvsXの変異型は、米国特許第8,071,308号明細書に記載されている。変異体UvsXは、Rb69 UvsXアミノ酸配列に少なくとも1つの変異を含むRb69 UvsXであってよく、変異は、(a)位置64でヒスチジンではないアミノ酸、位置64でセリン、C末端での1つ以上のグルタミン酸残基の付加、C末端での1つ以上のアスパラギン酸残基の付加、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
変異体UvsXは、T6 UvsXアミノ酸配列に少なくとも1つの変異を有するT6 UvsXであってよく、変異は、(a)位置66のヒスチジンではないアミノ酸、(b)位置66のセリン、(c)C末端における1つ以上のグルタミン酸残基の付加、(d)C末端における1つ以上のアスパラギン酸残基の付加、及び(e)それらの組み合わせからなる群から選択される。ハイブリッドリコンビナーゼ剤が使用される場合、ハイブリッドタンパク質は、例えば、異なるUvsX種に由来するアミノ酸配列を含む少なくとも1つの領域を含むUvsXタンパク質であり得る。領域は、例えば、UvsXのDNA結合ループ-2領域であり得る。
所望であれば、リコンビナーゼ剤は、温度感受性(本明細書では「ts」と呼ばれる)リコンビナーゼ剤であってもよい。tsリコンビナーゼ剤を使用する場合、RPA反応は、ある温度(許容温度)で開始し、別の温度(非許容温度)で終了することができる。許容温度の組み合わせは、例えば、25℃/30℃、30℃/37℃、37℃/42℃などであり得る。tsタンパク質は可逆的であり得る。可逆的なtsタンパク質の活性は、非許容温度から許容温度に移行すると回復する。
任意のリコンビナーゼ剤濃度を使用することができるが、好ましいリコンビナーゼ濃度は、例えば、0.2~12μM、6~12μM、4~12μM及び4~6μM、好ましくは約5μM、より好ましくは約4.8μMの範囲であり得る。
リコンビナーゼ剤は、一般に、ATP、ATPγS、又は他のヌクレオシド三リン酸若しくはそれらの類似体の存在を必要とする。リコンビナーゼ剤は、Dループ刺激合成のラウンドの直後に標的部位の再生が起こり得る反応環境で使用されることが好ましい。リコンビナーゼ分解を伴う完了した組換えイベントは、一方の末端から他方の末端への振動片側合成によって引き起こされるssDNAの増幅の失速又は非常に非効率的な線形増幅を回避する。
天然変性領域を含むアミノ酸タグ配列でタグ付けされた例示的なUvsXリコンビナーゼ剤を下記のTable 21に示す。

Table 21
Figure 2023501002000032

Figure 2023501002000033

Figure 2023501002000034

Figure 2023501002000035

Figure 2023501002000036

Figure 2023501002000037

Figure 2023501002000038

Figure 2023501002000039
リコンビナーゼ負荷タンパク質
本発明の方法を含むRPA法は、リコンビナーゼ負荷タンパク質をさらに含み得る/使用し得る。
任意の適切なリコンビナーゼ負荷タンパク質が、本明細書中に記載されるRPA法において使用される場合がある。
本発明の1つ以上のIDR-ポリペプチドのいずれかは、任意のリコンビナーゼ負荷タンパク質に結合され/繋ぎ止められ/タグ付けされ得る。
リコンビナーゼ負荷タンパク質は、原核生物、ウイルス生物又は真核生物に由来し得る。例示的なリコンビナーゼ負荷タンパク質としては、大腸菌(E.coli)RecO、大腸菌(E.coli)RecR、UvsY、及びそれらの変異体若しくは断片、又はそれらの組み合わせが挙げられる。例示的なUvsYタンパク質には、T4、T2、T6、Rb69、Aeh1、KVP40、アシネトバクター(Acinetobacter)ファージ133、エロモナス(Aeromonas)ファージ65、シアノファージP-SSM2、シアノファージPSSM4、シアノファージS-PM2、Rb14、Rb32、エロモナス(Aeromonas)ファージ25、ビブリオ(Vibrio)ファージnt-1、phi-1、Rb16、Rb43、ファージ31、ファージ44RR2.8t、Rb49、ファージRb3、及びファージLZ2などのミオウイルス科ファージに由来するものが含まれる。
好ましいリコンビナーゼ負荷タンパク質は、UvsY、大腸菌(E.coli)RecO、大腸菌(E.coli)RecR、又はこれらのタンパク質のいずれかの任意の機能的バリアント、類似体、ホモログ若しくは誘導体である。特に好ましいUvsYリコンビナーゼ負荷タンパク質は、エシェリキア(Escherichia)ファージSTO UvsYである。
これらのタンパク質のいずれかの任意の組み合わせを使用してもよい。
これらのタンパク質の好ましい濃度は、0.1~24μM、6~24μM、4~24μM及び4~12μM、好ましくは約10μM、より好ましくは約8.6μMである。リコンビナーゼ負荷タンパク質は、リコンビナーゼ剤のマイクロモル濃度の約0.5~約2倍で存在し得る。
天然変性領域を含むアミノ酸タグ配列でタグ付けされた例示的なUvsYリコンビナーゼ負荷タンパク質を以下のTable 22に示す。

Table 22
Figure 2023501002000040
一本鎖安定化剤
本発明の方法を含むRPA法は、一本鎖安定化剤を使用する。
任意の適切な一本鎖安定化剤(一本鎖DNA結合タンパク質)が、本明細書中に記載されるRPA法において使用される場合がある。
本発明の1つ以上のIDR-ポリペプチドのいずれも、任意の一本鎖安定化剤に結合され/繋ぎ止められ/タグ付けされ得る。
一本鎖安定化剤は、RPA反応中に起こる様々な交換反応中に核酸を安定化するために使用される。特に、リコンビナーゼ/ssDNA核タンパク質フィラメントを安定化するために、一本鎖安定化剤が使用される。
一本鎖安定化剤は、任意の種、例えば原核生物種、ウイルス種又は真核生物種から誘導される又は得ることができる。
一本鎖安定化剤には、大腸菌(E.coli)由来の一本鎖DNA結合タンパク質、並びにT4、T2、T6、Rb69、Aeh1、KVP40、アシネトバクター(Acinetobacter)ファージ133、エロモナス(Aeromonas)ファージ65、シアノファージP-SSM2、シアノファージPSSM4、シアノファージS-PM2、Rb14、Rb32、エロモナス(Aeromonas)ファージ25、ビブリオ(Vibrio)ファージnt-1、phi-1、Rb16、Rb43、ファージ31、ファージ44RR2.81、Rb49、ファージRb3、及びファージLZ2などのミオウイルス科ファージに由来するものが含まれる。一本鎖安定化剤のさらなる例としては、A.denitrificans Alide_2047、Burkholderia thailandensis BthaB_33951、Prevotella pollens HMPREF 9144_0124、及び真核生物一本鎖DNA結合タンパク質複製タンパク質Aが挙げられる。
好ましい一本鎖安定化剤は、Gp32、大腸菌(E.coli)SSBタンパク質、ファージT4 Gp32タンパク質、ファージRb69 Gp32、ファージvB_EcoM_NBG1 Gp32、若しくはそれらの誘導体、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。特に好ましい一本鎖安定化剤は、Gp32であり、特にファージvB_EcoM_NBG1 Gp32である。
これらのタンパク質のいずれかの任意の組み合わせを使用してもよい。
一本鎖安定化剤の1つの好ましい濃度は、約5~30μM、例えば約8.6μM、好ましくは約15~25μM、より好ましくは約20μMである。
天然変性領域を含むアミノ酸タグ配列でタグ付けされた例示的なGp32一本鎖安定化剤を以下のTable 23に示す。

Table 23
Figure 2023501002000041

Figure 2023501002000042

Figure 2023501002000043

Figure 2023501002000044

Figure 2023501002000045

Figure 2023501002000046

Figure 2023501002000047

Figure 2023501002000048

Figure 2023501002000049

Figure 2023501002000050
ポリメラーゼ
本発明のものを含むRPA法は、ポリメラーゼを使用する。
本明細書に記載の方法では、任意の適切なポリメラーゼを使用することができる。
本発明の1つ以上のIDR-ポリペプチドのいずれかは、任意の適切なポリメラーゼに結合され/繋ぎ止められ/タグ付けされ得る。
DNAの合成又は増幅には、DNAポリメラーゼが好ましく用いられる。
RPA反応の1つの利点は、使用できるポリメラーゼのタイプにおける制限がないことである。例えば、真核生物、原核生物及びバクテリオファージポリメラーゼを使用することができる。
DNAポリメラーゼは、真核生物ポリメラーゼであり得る。使用され得る真核生物ポリメラーゼの例としては、pol-α、pol-β、pol-δ、pol-ε又はその任意の機能的バリアント、類似体、ホモログ若しくは誘導体、及びそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
DNAポリメラーゼは、原核生物ポリメラーゼであり得る。使用され得る原核生物ポリメラーゼの例としては、大腸菌(E.coli)DNA、ポリメラーゼIクレノウ断片、大腸菌(E.coli)DNAポリメラーゼI、大腸菌(E.coli)DNAポリメラーゼII、大腸菌(E.coli)DNAポリメラーゼIII、大腸菌(E.coli)DNAポリメラーゼIV、大腸菌(E.coli)DNAポリメラーゼV、バチルス・ステアロテノフィラス(Bacillus stearothennophilus)ポリメラーゼI大断片、バチルス・スブチリス(Bacillus subtilis)Pol I大断片(Bsuポリメラーゼ)、リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)DNAポリメラーゼI、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)DNAポリメラーゼ1(Sau)又はそれらの任意の機能的バリアント、類似体、ホモログ若しくは誘導体、及びそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
DNAポリメラーゼは、バクテリオファージポリメラーゼであり得る。本明細書に記載の方法で使用され得るバクテリオファージポリメラーゼの例には、Phi-29 DNAポリメラーゼ、T7 DNAポリメラーゼ、バクテリオファージT4 gp43 DNAポリメラーゼ、又はその任意の機能的バリアント、類似体、ホモログ若しくは誘導体、及びそれらの任意の組み合わせが含まれる。
DNAポリメラーゼは、典型的には鎖置換特性を含む。
DNAポリメラーゼは、侵入鎖の遊離3’-ヒドロキシルを使用して、新しいヌクレオチドの取り込みによるDNA合成を触媒することができる。いくつかのポリメラーゼは、侵入鎖の3’-ヒドロキシルを使用して合成を触媒し、同時に合成が起こるにつれて他方の鎖を置換することができる。例えば、大腸菌(E.coli)ポリメラーゼII又はIIIを使用して、侵入したDループを伸長させることができる。さらに、大腸菌(E.coli)のSOS病変標的変異で通常使用される大腸菌(E.coli)ポリメラーゼVを使用することができる。これらのポリメラーゼはすべて、β二量体クランプ並びに一本鎖DNA結合タンパク質(SSB)及び他の成分との相互作用及び協働によって高度にプロセッシブにすることができる。原核生物、ウイルス及び真核生物由来の他のポリメラーゼもまた、侵入鎖を伸長するために使用することができる。
多くのDNAポリメラーゼは3’-5’エキソヌクレアーゼ活性を有し、一部は5’-3’エキソヌクレアーゼ活性も有し、これはポリメラーゼが置換ではなく前進するにつれて一方のDNA鎖の消化を徐々にもたらすため、RPA反応では望ましくない。
3’-5’エキソヌクレアーゼには、潜在的な利点及び明らかな欠点がある。一方では、3’-5’エキソヌクレアーゼ活性は、複製反応の忠実度を高め、誤取り込み点でのポリメラーゼの失速も防ぐことができる。高忠実度増幅は、多くのDNA用途に望ましい。3’-5’エキソヌクレアーゼ活性はまた、誤取り込みによる失速が効果的な増幅を阻害し得るより大きなDNA断片の増幅のために適切であり得る。
3’-5’エキソヌクレアーゼ活性のこれらの明らかな利点にもかかわらず、いくつかの欠点がある。遊離オリゴヌクレオチドは、3’-5’エキソヌクレアーゼを有するポリメラーゼが使用される場合、末端依存性分解を受け得る。
反応ノイズは、3’-5’エキソヌクレアーゼ活性を欠くポリメラーゼを利用することによって低減することができる。これは、誤プライミングが、ポリメラーゼの3’-5’エキソヌクレアーゼ活性によって短縮されたオリゴヌクレオチドに起因し得ることを示唆している。その結果、3’-5’エキソヌクレアーゼ編集活性、ピロリン酸化、又は任意の他の同様の編集活性がノイズ源となり得る。これは、飽和量の比較的協同的なGp32タンパク質をクレノウ断片などのいくつかのポリメラーゼと共に使用することによって大幅に抑制することができる。それにもかかわらず、3’-5’エキソヌクレアーゼ活性を欠く、本明細書に記載の方法で使用するためのポリメラーゼが提供され得る。
DNAポリメラーゼは、10,000単位/ml~10単位/ml、例えば5000単位/ml~500単位/mlの濃度で存在し得る。
補助剤
本発明のものを含むRPA反応は、補助剤をさらに利用し得る。
本発明の1つ以上のIDR-ポリペプチドのいずれも、任意の補助剤に結合され/繋ぎ止められ/タグ付けされ得る。
これらの補助剤には、一本鎖結合タンパク質、ヘリカーゼ、トポイソメラーゼ、リゾルベース及びそれらの任意の組み合わせが含まれる。そのような薬剤は、核酸に対してそれぞれ巻き戻し、弛緩及び分離活性を有し得る。
補助剤はまた、RuvA、RuvB、RuvC、RecG、PriA、PriB、PriC、DnaT、DnaB、DnaC、DnaG、DnaXクランプローダ、ポリメラーゼコア複合体、DNAリガーゼ及びスライディングクランプ並びにそれらの任意の組み合わせを含み得る。スライディングクランプは、大腸菌(E.coli)β-二量体スライディングクランプ、真核生物PCNAスライディングクランプ、又はT4スライディングクランプgp45及びそれらの組み合わせであり得る。補助剤としては、さらに、β-Clamp、DnaX Clamp Loader、及びPolymerase Core ComplexからなるDNAポリメラーゼIIIホロ酵素複合体が挙げられ得る。これらの後者の補助剤は、先行するRPA及び後行するRPAの実施を可能にする。
RPA反応は、DNA合成の開始後にリコンビナーゼ剤/dsDNA複合体の効率的な分解を促進することができる1つ以上の追加の酵素を用いて実施することができる。これらの酵素には、3’から5’への分解を刺激することができるもの及び5’から3’への分解を支持することができるものが含まれる。
そのような追加の酵素には、RecAを3’から5’方向に置換することができ、リコンビナーゼ剤/dsDNA複合体の3’から5’への分解を刺激することができるいくつかのポリメラーゼが含まれる。これらのDNAポリメラーゼには、大腸菌(E.coli)PolV及び他の種の相同ポリメラーゼが含まれる。大腸菌(E.coli)PolV又はその任意の機能的バリアント、類似体、ホモログ若しくは誘導体を含めることにより、増幅効率を改善することができる。
他の酵素には、dsDNAからのRecAの分解を促進するために使用することができるヘリカーゼと呼ばれる酵素のクラスが含まれる。これらは、5’から3’及び3’から5’方向の両方で分解を促進する。中間体からのRecAの分解を刺激するための理想的なヘリカーゼ複合体は、大腸菌(E.coli)タンパク質RuvA及びRuvBからなる。RuvAB複合体は分枝移動を促進し、RecAタンパク質を解離させ、RecAをリサイクルすることを可能にする。RuvABのRPA混合物への組み込みは、鎖交換及び置換後のdsDNAからのRecAの解離を促進することができ、同じ部位からの複製鋳型の新たな合成を可能にする。さらに、RuvAB複合体は、RuvCと協調して作用し、最終的にホリデイジャンクションを切断及び分解することができる。RuvCをRPA反応混合物に添加することにより、侵入部位に形成されたホリデイジャンクションなどの複雑な構造を分解することができる。
さらに他の酵素には、大腸菌(E.coli)RecGタンパク質が含まれる。RecGは、分岐構造の分解を刺激することができる。
RPA反応混合物に有用な他の酵素は、ATP及び一本鎖安定化剤の存在下で、RecA核タンパク質フィラメントの連続的な生成を可能にするものである。したがって、RecO及びRecR、並びに任意にRecFタンパク質を使用することができる。
エキソヌクレアーゼ酵素は、RPA反応混合物に含まれることが多い。これらは、切断可能なプローブの効率的な操作のために含まれる。一般的に使用されるエキソヌクレアーゼ酵素の一例は、エキソヌクレアーゼIIIである。本発明のIDRポリペプチドのいずれも、任意のエキソヌクレアーゼに結合され/繋ぎ止められ/タグ付けされ得る。
プライマー
RPA法は、ポリメラーゼを使用して鋳型核酸分子のコピーを生成する。したがって、本発明の方法を含むRPA法は、ポリメラーゼによる伸長を開始するためにプライマーを使用する。
ほとんどの核酸ポリメラーゼは、組み込みが、新しい合成部位に隣接する短いストレッチの二本鎖核酸の末端糖上の遊離3’-ヒドロキシル部分を必要とすることが必要である。この二本鎖核酸のストレッチは、典型的には、ポリメラーゼ合成反応の開始部位として働くプライマーと呼ばれる相補的配列を典型的に有する短いオリゴヌクレオチドによって鋳型上に形成される。場合によっては、合成反応を刺激するために、スルフィドリルなどの3’修飾を利用することができる。鋳型と塩基対合し、ポリメラーゼによって伸長されるプライマー核酸は、RNA又はDNAであり得る。典型的には、インビトロ反応のために、プライマーは、短い、しばしば化学合成される一本鎖DNA(又は修飾DNA若しくはRNA)として供給され、通常、オリゴヌクレオチドプライマーと呼ばれる。プライマーは、特定の配列であることが多いが、ランダムプライマーも使用することができる。プライマーは、その特異的な塩基対合能によって相補的配列を標的とする。オリゴヌクレオチドプライマーと標的核酸との間のハイブリッドの形成は、典型的には、自発的アニーリングを可能にする塩、pH及び温度の条件下での溶液中での2つのインキュベーションによって形成される。
RPAにおいて使用されるプライマーは、リコンビナーゼ剤の存在下で標的DNAへのハイブリダイゼーションのための一本鎖領域を有し得る。一本鎖領域は、例えば、約10塩基、約15塩基、約20塩基、約25塩基、約30塩基、約40塩基及び約50塩基であり得る。さらにより長い領域、例えば、約75塩基、約100塩基、約150塩基又はそれを超えるものが、理論的には使用され得る。一本鎖領域の選択は、例えば、ヒトゲノムはより長いプライマーを必要とし得るが、プラスミドははるかに短いプライマーを必要とし得るように、出発核酸の複雑さに依存する。
好ましいプライマー長は、約30~約50塩基である。例えば、30塩基~45塩基、30塩基~40塩基、30塩基~35塩基、35塩基~40塩基、40塩基~45塩基及び45塩基~50塩基である。上に表記されたプライマー長が示されている一方で、30塩基未満の最適プライマー長を有するリコンビナーゼ及び/又は一本鎖結合タンパク質も可能であり、想定される。
RPAで使用されるプライマーは、好ましくはDNAであるが、PNA及びRNAもプライマーとしての使用に適している。実際、天然のDNA複製では、DNAポリメラーゼはRNAプライマーからの伸長によってゲノムDNAを伸長させることに留意されたい。
プライマーは、標準的な技術に従って合成され得る。修飾塩基及び/又はリンカー骨格の化学が望ましい場合があり、場合によっては機能的であり得る。さらに、オリゴヌクレオチドは、様々な目的に役立つ基、例えば、蛍光基、クエンチャー、保護(ブロッキング)基(可逆的又は非可逆的)、磁気タグ、タンパク質などで5’又は3’のいずれかの末端で修飾され得る。場合によっては、一本鎖オリゴヌクレオチドを鎖侵入に使用してもよく、他の場合では部分的に一本鎖核酸のみを使用してもよく、侵入核酸の5’ストレッチの配列は、オリゴヌクレオチドに既にハイブリダイズしている。
プライマーは、標的核酸と相同でない5’領域を含み得る。プライマーが標的核酸に完全に相補的でなくても、増幅が達成され得ることに留意されたい。プライマーは、それらの5’末端に追加の配列を有することによって非相補的であり得る。これらの追加の配列は、例えば、制限エンドヌクレアーゼ認識部位のための配列又は配列決定プライマーに相補的である配列であり得る。制限エンドヌクレアーゼ認識部位は、増幅された配列のその後の切断に有用であり得る。制限エンドヌクレアーゼ認識部位の外側で核酸を切断する制限エンドヌクレアーゼの使用も考えられる。配列決定プライマーに相補的である配列は、市販のプライマー又は市販の配列決定装置を使用して、増幅産物の迅速なDNA配列決定を可能にし得る。
インビトロDNA合成反応で使用するためのオリゴヌクレオチドを設計するためのソフトウェアは、特にPCRで使用するために十分に立証されている。RPA法の考慮事項は同様であり、オリゴヌクレオチドの融解温度の最適化、オリゴヌクレオチド内のヘアピン形成の回避、及び所与の反応に存在する他のオリゴヌクレオチドとの相補性に対する選択が含まれる。したがって、望ましくない副反応を避けるためにオリゴヌクレオチドプライマー対を設計することが重要である。
オリゴヌクレオチド配列設計の最適化に加えて、プライマーダイマー形成を低減又は排除するためのさらなるアプローチがある。本明細書の他の箇所で述べられるように、3’-5’エキソヌクレアーゼ活性を欠くポリメラーゼを利用することによって、反応ノイズを低減することができる。これは、誤プライミングが、ポリメラーゼの3’-5’エキソヌクレアーゼ活性によって短縮されたオリゴヌクレオチドに起因し得ることを示唆している。その結果、3’-5’エキソヌクレアーゼ編集活性、ピロリン酸化、又は任意の他の同様の編集活性がノイズ源となり得る。エキソヌクレアーゼ活性を欠くポリメラーゼの使用及びピロホスファターゼによるピロリン酸の除去に加えて、最終及び/又は最後から2番目の結合に非加水分解性骨格を有する合成オリゴヌクレオチドの使用は、反応ノイズを低減するのに有益であり得る。代替の骨格は、ホスホロチオアート、モルホリノ、ロックド核酸又はペプチド核酸などの利用可能なかなりの範囲の化学から選択することができる。
RPA反応に使用するための試薬
本発明のものを含む、RPA法で使用するための試薬を以下に概説する。
dNTPs
dNTP、例えばdATP、dGTP、dCTP及びdTTP、並びにそれらの誘導体及び類似体を、RPA反応に添加することができる。リーディング鎖及びラギング鎖では、RNAプライマーの合成のために、RPA、ATP、GTP、CTP及びUTPも含まれ得る。さらに、ddNTP(ddATP、ddTTP、ddGTP及びddGTP並びにそれらの誘導体及び類似体)を使用して、断片ラダーを生成することができる。
dNTPは、各NTP種の1mM~200mMの濃度で使用され得る。
dNTPとddNTPとの混合物を、dNTPの濃度の1/100~1/1000のddNTP濃度(1mM~200mM)で使用してもよい。
RPAは、ATP、加水分解性ATP類似体、又は別のヌクレオシド三リン酸の存在下で実施され得る。ATP類似体は、例えば、dATP、ddATP、又はUTPなどの別のヌクレオシド三リン酸類似体であり得る。
還元剤
RPA反応に使用され得る還元剤としては、DTTが挙げられる。DTT濃度は、1mM~10mM、好ましくは1mMであり得る。
ATP
ATP又はATP類似体は、RPA反応に使用され得る。
ATP又はATP類似体は、ATP、ATP-γ-S、ATP-β-S、ddATP又はそれらの組み合わせのいずれかであり得る。好ましいATP又はATP類似体濃度は、1mM~10mM、好ましくは2.5mMである。
ATP再生のための系
RPA反応の他の成分は、ATP再生のための系(すなわち、ADPをATPに変換する系)を含み得る。そのような系は、例えば、ホスホクレアチン及びクレアチンキナーゼであり得る。
リコンビナーゼは核酸に結合したときに極めて高いATP加水分解速度を有するので、ATP再生系は持続的な組換え反応を可能にする。特に、UvsXタンパク質は、RecAよりも10~20倍高い加水分解速度を有し、モノマーあたり毎分200分子のATPを消費することができる。多数の系が利用可能である。クレアチンキナーゼ/ホスホクレアチン系が好ましい。UvsXが使用される場合、産生されたAMPはATPに変換され得る。ニワトリのミオキナーゼをさらに使用してもよく、これはAMPの分子及びATPの1つを2分子のADPに変換する。次いで、クレアチンキナーゼ/ホスホクレアチン系を使用してADPをATPに変換することができる。ATPの再生不良は、反応速度を低下させ得る。
本明細書に記載のRPA法では、ホスホクレアチンは、好ましくは15~25mM、より好ましくは20mMの濃度で使用される。クレアチンキナーゼは、好ましくは約0.25~5.0μM、より好ましくは1μMの濃度で使用される。
多価金属カチオン
RPA反応における緩衝液は、多価金属カチオンを含むことが好ましい。緩衝液は、多価金属カチオンの機能的等価物を含み得る。
RPA反応における緩衝液は、二価金属カチオンを含むことがより好ましい。緩衝液は、二価金属カチオンの機能的等価物を含み得る。
任意の適切な多価若しくは二価金属カチオン又はその機能的等価物を、単剤又は薬剤の組み合わせとして使用することができる。
RPA反応におけるIDR媒介相分離の促進/増強において最適な結果を達成する特定の多価若しくは二価金属カチオン又はその機能的等価物、及び使用される多価/二価金属カチオンの特定の濃度は、使用される特定のIDRポリペプチドに依存し得る。最適な多価/二価金属カチオン又はその機能的等価物、及びその最適な濃度は、RPA反応自体及び/又は本明細書にさらに記載される相分離アッセイを含む日常的な試験を使用して経験的に立証することができる。
二価金属カチオンは、Mg2+、Mn2+、Ca2+、Co2+、Ni2+又はCu2+であり得る。これらのカチオンは、いずれも単剤で用いてもよく、又は、カチオンの組み合わせを用いてもよい。好ましくは、それらは単剤として使用される。好ましい二価金属カチオンは、Mg2+、Mn2+及びCa2+である。特に好ましい二価金属カチオンは、Mg2+である。
好ましい濃度範囲は、30~40mM、より好ましくは33~39mMである。
緩衝液は、好ましくは示された濃度でMg2+イオンを含有し得る。より好ましくは、緩衝液は、示された濃度でMgOAcを含有する。
緩衝液は、好ましくは示された濃度でCa2+イオンを含有し得る。より好ましくは、緩衝液は、示された濃度でCaClを含有する。
緩衝液は、好ましくは示された濃度でMn2+イオンを含有し得る。より好ましくは、緩衝液は、表示濃度のMnClを含有する。
緩衝液
RPA反応における緩衝液は、トリス-HCl緩衝液、トリス-酢酸塩緩衝液、又はそれらの組み合わせであり得る。緩衝液は、約10mM~約100mMの濃度で存在し得る。好ましい緩衝液は、約20mM~約30mM、最も好ましくは25mMの濃度で使用されるトリス-HCl緩衝液である。緩衝化したpHは、6.5~9.0の間、好ましくはpH8.3であり得る。
緩衝液は、約5mM~約50mM、好ましくは約10mM~約40mMの酢酸カリウムを含有し得る。
反応成分
RPA反応のための反応成分の好ましいが限定されないセットは以下の通りである。
トリスHCl pH8.3 25mM
KOAc 7.5mM
DTT 1mM
ATP 2.5mM
ホスホクレアチン 20mM
クレアチンキナーゼ 1μM
dNTPs 1mM
Gp32 20μM
UvsX 4.8μM
UvsY 8.6μM
黄色ブドウ球菌(S.aureus)DNAポリメラーゼ1(Sau)0.135μM
又はB.スブチリス(B.subtilis)DNAポリメラーゼ1(Bsu)
エキソヌクレアーゼIII 0.27μM
MgOAc 33mM
フォワードプライマー 0.4μM
リバースプライマー 0.4μM
エキソプローブ 0.12μM
RPA反応条件
本発明の反応物を含むRPA反応物は、任意の適切な長さの時間インキュベートすることができる。
RPA反応物のいずれも、5分~16時間又はそれ以上、例えば15分~3時間又は30分~2時間インキュベートすることができる。
インキュベーションは、所望の増幅度が達成されるまで行われ得る。所望の増幅度は、10倍、100倍、1000倍、1万倍、10万倍又は100万倍の増幅であり得る。
RPAの1つの利点は、PCRなどの熱サイクルを必要とする技術と比較して、反応を低温で行うことができることである。RPAのさらなる利点は、温度が重要ではなく、正確な制御が好ましいが、絶対的に必要ではないことである。例えば、現場環境では、室温又は体温に近い温度(35℃~38℃)で、例えば試料を身体の隙間に置くことによって、RPA反応をインキュベートすれば十分である。また、RPA反応は、鋳型核酸の温度誘導融解を伴わずに行ってもよい。
したがって、RPA反応のいずれも、任意の適切な温度で行うことができる。
RPA反応は、45℃未満で行われてもよい。RPA反応は、40℃未満で行われてもよい。RPA反応は、35℃未満で行われてもよい。RPA反応は、30℃未満で行われてもよい。
RPA反応は、20℃~50℃、20℃~40℃、例えば20℃~30℃で行うことができる。
RPA反応成分の凍結乾燥
RPA反応の1つの利点は、クラウディング剤(使用される場合)及び緩衝液を除いて、使用前に試薬を凍結乾燥する(すなわち、凍結乾燥される)ことができることである。凍結乾燥試薬は、活性を維持するために冷蔵を必要としないという利点を提供する。例えば、RPA試薬のチューブを室温で保存することができる。この利点は、冷蔵へのアクセスが制限される現場条件において特に有用である。
RPA試薬は、チューブの底部、又はビーズ若しくは任意の他の適切なタイプの固体支持体上で凍結乾燥させることができる。RPA反応を行うために、凍結乾燥試薬は、凍結乾燥試薬の組成に応じて、緩衝化した溶液中及びクラウディング剤(使用される場合)、又は単に緩衝液若しくは水で再構成される。次いで、標的核酸、又は標的核酸を含むと疑われる試料を添加する。再構成液は、試料核酸を含んでいてもよい。再構成された反応物を一定期間インキュベートし、増幅された核酸(存在する場合)を検出する。
本明細書中に記載されるRPA法のいずれか1つでは、使用前に凍結乾燥され得る試薬としては、リコンビナーゼ剤、リコンビナーゼ負荷タンパク質、一本鎖安定化剤、DNAポリメラーゼ、dNTP又はdNTPとddNTPとの混合物、還元剤、ATP又はATP類似体、プライマー及びプローブが、少なくとも挙げられる。
凍結乾燥混合物は、凍結乾燥性能及び貯蔵寿命を改善するために、例えば再構成反応において20mM~200mM、最適には40mM~80mMのトレハロース糖などの安定化剤を含んでよい。必要に応じて、凍結乾燥された試薬は、使用前に1日、1週間、1ヶ月又は1年以上保存されてもよい。
RPA試薬などの生化学反応試薬は、クラウディング剤と共に凍結乾燥されてもよい。しかしながら、凍結乾燥混合物中のクラウディング剤の省略を正当化し得る複雑な相互に関連する問題が存在し得る。例えば、ユーザは、凍結乾燥クラウディング剤の効果的な再水和において困難を経験することがあり、又はユーザは、より大きな凍結乾燥ペレットの必要性を含む他の有害な影響を経験することがある。したがって、とりわけ、ペレットサイズの縮小、より短いサイクル時間、及びより容易な再水和を含む凍結乾燥材料からクラウディング剤の一部又は全部を除外することができるという利点があり得る。しかしながら、これは、使用される場合には、生化学反応混合物を再水和して使用のために調製した後に、使用前に新鮮なクラウディング剤を添加する必要があるという結果として生じる欠点を有する。これは、ポイントオブケア使用又は現場使用などの特定の状況で問題となる可能性がある。本発明のIDRベースの試薬の利点は、凍結乾燥設定ではクラウディング剤と同じ欠点を示すことが予想されず、したがって他の生化学反応成分で容易に凍結乾燥することができ、したがって使用前に新鮮な追加の試薬を添加する必要がなくなることである。
RPA反応生成物の検出
RPA反応生成物の検出は、任意の適切な方法を使用して実施され得る。
例えば、検出は、アガロース又はPAGEゲルでの電気泳動とそれに続く臭化エチジウム染色を用いて行われ得る。
RPA反応のモニタリングは、例えば、RPAの画分の除去、反応、組み込まれていない画分の単離、及び組み込まれていないプライマーの検出を含み得る。組み込まれていないプライマーのサイズは、50bp未満、40bp未満、30bp未満又は25bp未満であってよく、増幅産物のサイズは、1Kb超、2Kb超、5Kb超又は10Kb超であり得るので、組み込まれたプライマーと組み込まれていないプライマーとの間に大きなサイズ差がある。組み込まれていないプライマーの単離は、例えば、スピンカラムなどのサイズ排除クロマトグラフィーを使用して迅速に行われ得る。プライマーが標識されている場合、スピンカラム及び測定(例えば、蛍光又は放射能)を含むモニター手順を1分未満で行うことができる。
伸長したプライマーを伸長していないプライマーから分離するための別の代替法は、PAGEの使用を含む。例えば、伸長したプライマーは、ゲル電気泳動によって5分未満で伸長していないプライマーから分離され得る。
伸長したプライマーを分離するためのさらに別の代替法は、固定化されたオリゴヌクレオチドの使用を含む。例えば、増幅されたDNA配列内に固有に見られる配列に相同なオリゴヌクレオチドを使用して、プライマー伸長によって生成された核酸を特異的に捕捉することができる。これらの捕捉オリゴヌクレオチドは、チップ又は他の基質上に固定化することができる。捕捉オリゴヌクレオチドによる伸長オリゴヌクレオチドの捕捉は、RecAタンパク質媒介法によって、又は必要に応じて従来の溶液ハイブリダイゼーションによって行うことができる。
蛍光プローブの使用は、最も一般的に使用され、RPA増幅産物の検出に好ましく、リアルタイム検出を提供するという利点を有する。
これらのプローブは、フルオロフォア(例えば、フルオレセイン(FAM))及びクエンチャー(例えば、ブラックホールクエンチャー)で、フルオロフォアに近接して標識される。プローブは、ポリメラーゼによるプローブからの伸長を防止するために3’末端にブロッキング基を有する。プローブが切断され、クエンチャーとフルオロフォアが分離されると、蛍光シグナルが検出され、リアルタイム検出が可能になる。プローブは脱塩基部位、典型的にはテトラヒドロフラン(THF)又はdR基を含有し、切断は脱塩基部位で、典型的には大腸菌(E.coli)エキソヌクレアーゼIII(THFで切断)又は大腸菌(E.coli)fpg(グリコリアーゼ/リアーゼ)(dR基で切断)によって起こる。
RPA反応成分を含むキット
本発明はまた、RPA反応を行うためのキットを提供する。
キットは、上記の濃度のいずれか1つのRPAにおいて本明細書に記載される試薬のいずれかを含み得る。
キットは、本明細書に記載及び定義されるIDR-タグ付き巨大分子及び/又はIDR-タグ付きポリペプチドのいずれかを含み得る。好ましくは、キットは、RPAリコンビナーゼ剤、及び/又はRPAリコンビナーゼ負荷タンパク質、及び/又はポリメラーゼ、及び/又は第1及び第2の核酸プライマー、及び/又はエキソヌクレアーゼ、及び/又は緩衝液、及び/又は多価金属イオン、好ましくはMg2+、Mn2+、Ca2+、Co2+又はNi2+などの二価金属カチオン源から選択される追加のRPA成分をさらに含む。
キットの試薬は凍結乾燥されてもよく、その場合、試薬は、再構成されたときに適切な試薬濃度が達成されるような任意の適切な量で提供されてもよい。
ポリメラーゼ
上記のように、本明細書に記載及び定義されるIDRアミノ酸配列のいずれかは、核酸合成反応の実施に必要な任意のタンパク質成分にタグ付けされ得る。
本明細書に記載及び定義されるIDRアミノ酸配列のいずれかは、プライマー核酸分子を伸長することによって新しい核酸分子を合成するためにポリメラーゼが使用される核酸合成反応の実施に必要な任意のタンパク質成分にタグ付けされ得る。
したがって、任意の適切なポリメラーゼは、本明細書に記載及び定義されるIDRアミノ酸配列でタグ付けされ得る。ポリメラーゼは、プライマー核酸分子を伸長することによって新たな核酸分子を合成するために使用される任意の反応に適合し、使用され得るものであり得る。
ポリメラーゼは、任意の核酸増幅反応に適合し、任意の核酸増幅反応に使用され得るものであり得る。核酸増幅反応は、熱サイクルを伴う反応であり得る。核酸増幅反応は、等温増幅反応であってもよい。核酸増幅反応は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、ポリメラーゼスパイラル反応(PSR)、ループ媒介等温増幅(LAMP)、核酸配列ベース増幅(NASBA)、自立配列複製(3 SR)、ローリングサークル増幅(RCA)、鎖置換増幅(SDA)、多置換増幅(MDA)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、ヘリカーゼ依存性増幅(HDA)、分岐増幅法(RAM)、リコンビナーゼポリメラーゼ増幅(RPA)、転写媒介増幅(TMA)又はニッキング酵素増幅反応(NEAR)であり得る。
配列タグ
RPA反応に関与するものを含む、本明細書に記載の生化学反応に関与するIDR-巨大分子のいずれか又はIDR-ポリペプチドのいずれかは、1つ以上の配列タグを含み得る。使用される場合、任意のそのような配列タグは、本明細書に記載されるように、融合タンパク質としてポリペプチドに結合することが好ましい。配列タグ及び配列タグをポリペプチドに付加する手段は、当技術分野で周知である。
配列タグは、短いアミノ酸配列又はタンパク質を含むより大きなポリペプチドであり得る。
配列タグは、ポリペプチドのC末端、ポリペプチドタグのN末端、ポリペプチドのC末端及びN末端の両方、又は任意の組み合わせでポリペプチドの長さに沿った任意のアミノ酸位置に結合され得る。
適切なアミノ酸配列タグの非限定的な例としては、6-ヒスチジン(6X-His、HHHHHH、配列番号89)、c-mycエピトープ(EQKLISEEDL、配列番号90)、FLAG(登録商標)オクタペプチド(DYKDDDDK、配列番号91)、タンパク質C(EDQVDPRLIDGK、配列番号92)、Tag-100(EETARFQPGYRS、配列番号93)、V5エピトープ(GKPIPNPLLGLDST、配列番号94)、VSV-G(YTDIEMNRLGK、配列番号95)、Xpress(DLYDDDDK、配列番号96)、及びヘマグルチニン(YPY-DVPDYA、配列番号97)が挙げられる。
適切なタンパク質タグの非限定的な例としては、β-ガラクトシダーゼ、チオレドキシン、His-パッチチオレドキシン、IgG結合ドメイン、インテインキチン結合ドメイン、T7遺伝子10、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)、緑色蛍光タンパク質(GFP)及びマルトース結合タンパク質(MBP)が挙げられる。
配列タグ及びタンパク質タグは、例えば精製及び/又は同定目的のために、交換可能に使用することができることが当業者によって理解されるであろう。
固相生化学反応
本発明による方法で行われる生化学反応は、固相又は可逆的固相技術を用いて行われ得る。本明細書に記載のプロセス、使用及び方法を実施するのに適した固相反応系は、表面を含み得る。任意の適切な表面を使用することができる。
本明細書に記載のデータは、クラウディング剤の非存在下で固相技術を使用して、本発明によるIDRベースの試薬を用いて生化学反応が実施され得ることを実証している。1つの特定の例は、プライマーが固体表面に結合している核酸のリコンビナーゼポリメラーゼ増幅である。固相法を使用した実施に適した任意の適切な生化学反応は、本明細書に記載及び定義されるIDRベースの試薬のいずれかを含む本発明による方法を使用したそのような方法を使用して実施することができる。
様々なこのような固相技術は、当技術分野で公知であり、使用され得る。
核酸増幅プライマー、ペプチド、ハプテン、ホルモン、薬物などを含むポリヌクレオチドなどの巨大分子を表面に固定化することができる。
本明細書に記載及び定義されるIDRベースの試薬を含む、生化学反応の任意の適切な巨大分子成分を表面に固定化することができる。
ポリヌクレオチドなどの巨大分子、例えば増幅反応に使用するためのプライマーは、直接的又は間接的に表面に固定化され得る。例えば、それらは化学結合によって表面に直接結合されてもよい。それらは、中間面を介して表面に間接的に結合されてもよい。
表面は、例えば、ガラスなどの平面、ゲルベースの材料、又はビーズ若しくは官能性量子ドットなどの微粒子の表面であり得る。表面を含む材料は、それ自体が基質に結合されてもよい。基質は、ガラス、プラスチック又はポリマー材料などの任意の適切な材料を含んでもよい。
本発明の方法による生化学反応に関与する巨大分子は、例えばポリアクリルアミド又はヒドロゲルなどのゲルベースの材料に固定化されてもよく、ゲルベースの材料自体は、ガラス又はプラスチック又はポリマー材料などの支持基質に結合している。
例えば、予め形成されたポリヌクレオチドは、核酸マイクロアレイを作製するために一般的に用いられる方法によって表面に固定化することができる。例えば、ポリヌクレオチドを合成し、次いで表面、典型的には平面上にスポット又は印刷することができる。ポリヌクレオチドは、接触印刷技術を使用して表面上に堆積させることができる。例えば、固体又は中空の先端又はピンを、予め形成されたポリヌクレオチドを含む溶液に浸漬し、表面と接触させることができる。あるいは、ポリヌクレオチドをマイクロスタンプに吸着させ、次いで物理的接触によって表面に転写することができる。非接触印刷技術には、インクジェット及びバブルジェット印刷で使用される方法と同様の方法を使用して、予め形成されたポリヌクレオチドを含むナノリットル以下のサイズの微小液滴を印刷チップから吐出することができる熱印刷又は圧電印刷が含まれる。
ポリヌクレオチドは、核酸マイクロアレイを作製するために使用されるいわゆる「オンチップ」法を使用するなどして、表面上で直接合成され得る。ポリヌクレオチドを作製するためのオンチップ技術には、保護されたヌクレオチドを選択的に活性化し、その後の新たな保護されたヌクレオチドの取り込みを可能にするために、フォトリソグラフィマスクを介して誘導されたUV光の使用を含むフォトリソグラフィが含まれる。UV媒介脱保護及び予め決定されたヌクレオチドのカップリングのサイクルは、所望の配列を有するポリヌクレオチドのインサイツ生成を可能にする。フォトリソグラフィマスクを使用する代わりに、インクジェット印刷技術を使用した核酸塩基の連続堆積、並びにカップリング、酸化及び脱保護のサイクルを使用して、所望の配列(総説については、Kosuri and Church,Nature Methods,2014,11,499-507を参照のこと)を有するオリゴヌクレオチドを生成することによって、ポリヌクレオチドを表面上に作製することができる。
ポリヌクレオチド、ペプチド、ハプテン、ホルモン、薬物などを含む巨大分子の結合ための表面は、任意の適切な材料で作製することができる。典型的には、表面は、シリコン、ガラス、又はポリスチレンなどの任意の適切なポリマー材料を含むことができる。表面は、ゲル表面、例えばポリアクリルアミド表面又はヒドロゲル表面を含み得る。次いで、ゲル表面は、固体支持体又は基質に結合又は結合されてもよく、支持体又は基質は、シリコン、ガラス又は任意の適切なポリマー材料などの任意の適切な材料を含んでもよい。表面は、ポリスチレン材料に結合されたヒドロゲル材料を含み得る。
表面は、しばしばミクロスフェア若しくはマイクロビーズ、又は単にビーズと呼ばれる微粒子の表面であり得る。
表面は、マイクロビーズの形態のポリスチレン材料に結合されたヒドロゲル材料を含み得る。
マイクロビーズなどの表面へのポリヌクレオチドなどの巨大分子の固定化には、様々な表面結合方法及び化学が利用可能である。表面は、結合を容易にするために官能化又は誘導体化され得る。このような官能化は当技術分野で公知である。例えば、表面は、ポリヒスチジンタグ(hexaヒスチジンタグ、6xHis-タグ、His6タグ又はHisタグ(登録商標))、Ni-NTA、ストレプトアビジン、ビオチン、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド(例えば、DNA、RNA、PNA、GNA、TNA又はLNAなど)、カルボキシル基、第四級アミン基、チオール基、アジド基、アルキン基、DIBO、脂質、FLAGタグ(FLAGオクタペプチド)、ポリヌクレオチド結合タンパク質、ペプチド、タンパク質、抗体又は抗体断片で官能化され得る。表面は、固定化されるべき巨大分子又は固定化されるべき巨大分子に結合した別の部分に特異的に結合する分子又は基で官能化されてもよい。表面への巨大分子の共有結合固定化が一般的に用いられる。純粋に例として、カルボキシラート修飾ポリスチレンラテックス表面は、例えばアミン末端タンパク質、DNA又は他の分子の、例えばEDAC媒介カップリングによる共有結合に適している。他の技術も利用可能である。巨大分子は、典型的には化学的に結合するであろうが、親和性相互作用などの間接的手段によって表面に結合することもできる。例えば、固定化される巨大分子は、ビオチンで官能化され、アビジン又はストレプトアビジンでコーティングされた表面に結合されてもよく、又はその逆であってもよい。
本明細書に記載及び定義されるプロセス、使用及び方法のいずれにおいても、巨大分子は、1つ以上の共有結合を介して表面に結合され得る。1つ以上の共有結合は、表面上の官能基と巨大分子上の官能基との間に形成され得る。巨大分子上の官能基は、例えば、アミン基、チオール基、チオホスファート基又はチオアミド基であり得る。表面上の官能基は、例えばブロモアセチル基であってもよく、任意に、ブロモアセチル基は、N-(5-ブロモアセトアミジルペンチル)アクリルアミド(BRAPA)を使用して誘導されたポリアクリルアミド表面上に提供される。
本明細書に記載及び定義されるプロセス、使用及び方法のいずれにおいても、巨大分子は、リンカーを介して直接的又は間接的に表面に結合され得る。自然界で生体適合性である任意の適切なリンカーを使用することができる。
リンカーは、直鎖リンカー又は分岐リンカーであり得る。
リンカーは、炭化水素鎖を含み得る。炭化水素鎖は、2~約2000個以上の炭素原子を含み得る。炭化水素鎖は、アルキレン基、例えばC2~約2000個以上のアルキレン基を含み得る。炭化水素鎖は、一般式-(CH-(式中、nは2~約2000以上である)を有してもよい。炭化水素鎖は、任意に1つ以上のエステル基(すなわち、-C(O)-O-)又は1つ以上のアミド基(すなわち、-C(O)-N(H)-)によって中断されていてもよい。
任意のリンカーは、ポリアクリルアミド、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリラート)、ポリ-2-メチル-2-オキサゾリン(PMOXA)、双性イオンポリマー、例えばポリ(カルボキシベタインメタクリラート)(PCBMA)、ポリ[N-(3-スルホプロピル)-N-メタクリロキシエチル-N,Nジメチルアンモニウムベタイン](PSBMA)、グリコポリマー及びポリペプチドを含む群から選択され得る。
リンカーは、一般式-[(CH-CH-O)-PO -O]-(式中、nは1~約600以上であり、mは1~200以上であり得る)を有するオリゴエチレングリコール-リン酸単位を含み得る。
上述のリンカーのいずれかは、リンカーの一端で本明細書に記載の巨大分子に結合し、リンカーの他端で第1の官能基に結合してもよく、第1の官能基は表面に共有結合を提供してもよい。第1の官能基は、例えば、本明細書にさらに記載されるアミン基、チオール基、チオホスファート基又はチオアミド基であり得る。表面は、第1の官能基との共有結合を提供するために、さらなる官能基で官能化されてもよい。さらなる官能基は、例えば、本明細書中にさらに記載されるような2-ブロモアセトアミド基であり得る。任意に、N-(5-ブロモアセトアミジルペンチル)アクリルアミド(BRAPA)を使用して誘導されたポリアクリルアミド表面にブロモアセチル基が提供される。表面上のさらなる官能基は、ブロモアセチル基であってもよく、任意に、ブロモアセチル基は、N-(5-ブロモアセトアミジルペンチル)アクリルアミド(BRAPA)を使用して誘導されるポリアクリルアミド表面上に提供され、第1の官能基は、例えば、必要に応じて、アミン基、チオール基、チオホスファート基又はチオアミド基であってもよい。ポリヌクレオチドが結合される表面は、ゲルを含み得る。表面は、約2%のポリアクリルアミドなどのポリアクリルアミド表面を含んでもよく、好ましくは、ポリアクリルアミド表面は、ガラスなどの固体支持体に結合される。
可逆的な固定化を容易にする微粒子及びビーズを使用することができる。固相可逆的固定化(SPRI)法又は改変された方法は当技術分野で公知であり、使用され得る(例えば、DeAngelis M.M.ら(1995)Solid-Phase Reversible Immobilization for the Isolation of PCR Products,Nucleic Acids Research,23(22):4742-4743を参照のこと)。
表面は、例えば常磁性ビーズの形態で提供され得る。常磁性ビーズは、磁場の影響下で凝集する可能性がある。例えば、常磁性表面は、適切な結合条件で核酸を含む巨大分子の結合部分として作用する化学基、例えばカルボキシル基を提供され得る。巨大分子は、適切な溶出条件でそのような表面から溶出することができる。微粒子及びビーズの表面は、UV感受性ポリカーボネートを提供され得る。核酸は、例えば、適切な固定化緩衝液の存在下で活性化表面に結合することができる。
微粒子及びビーズは、反応溶液内で自由に移動させ、次いで、例えば表面にエッチングされたマイクロウェル又はピット内にビーズを保持することによって可逆的に固定化することができる。ビーズは、例えばビーズに結合した固有の核酸「バーコード」の使用によって、又は色分けの使用によって、アレイの一部として局在化することができる。
表面は、誘電体上のエレクトロウェッティング(electrowetting-on-dielectric)系(EWOD)の一部であってもよい。EWOD系は、微小液滴(例えば、Chou,W-L.ら(2015)Recent Advances in Applications of Droplet Microfluidics,Micromachines,6:1249-1271を参照されたい)の形態の非常に小さな液体体積のマイクロ流体操作を容易にする誘電コーティングされた表面を提供する。液滴体積は、エレクトロウェッティング技術によってオンチップでプログラム可能に作成、移動、分配、及び結合することができる。したがって、エレクトロウェッティング系は、巨大分子を表面に可逆的に固定化し、及び/又は表面に固定化された巨大分子を操作するための代替手段を提供する。
したがって、本明細書に記載又は定義される本発明による方法又は使用のいずれか1つでは、生化学反応は、表面を含む固相反応系で行われ得る。
生化学反応が表面を含む固相反応系で行われる、本明細書に記載又は定義される本発明による方法又は使用のいずれか1つでは、反応の実施に必要な任意の巨大分子が表面に結合していてもよい。例えば、生化学反応が一本鎖標的核酸分子又は二本鎖標的核酸分子を本明細書に記載のインビトロ反応系で増幅する方法である1つのそのような方法では、少なくとも1つの核酸プライマー及び/又は反応巨大分子、及び/又はIDR-巨大分子及び/又は1つ以上のポリペプチド補助因子が表面に結合していてもよい。
生化学反応が表面を含む固相反応系で行われる、本明細書に記載又は定義される本発明による方法又は使用のいずれか1つでは、反応の実施に必要なIDR-巨大分子は、表面に結合していてもよい。
本明細書に記載又は定義される本発明による方法又は使用のいずれか1つでは、生化学反応は、インビトロ反応系において二本鎖標的核酸分子を増幅するリコンビナーゼポリメラーゼ増幅プロセスであり、反応は、表面を含む固相反応系で行われ、リコンビナーゼ剤及び/又はリコンビナーゼ負荷タンパク質及び/又は一本鎖安定化剤及び/又はポリメラーゼ及び/又はエキソヌクレアーゼ及び/又は第1の核酸プライマー及び/又は第2の核酸プライマーは、表面に結合され得る。1つのそのような方法又は使用において、第1の核酸プライマー又は第2の核酸プライマーは、表面に結合され得る。あるいは、他のそのような方法又は使用では、第1の核酸プライマー及び第2の核酸プライマーの両方が表面に結合され得る。
生化学反応が固相反応系で行われる、本明細書に記載又は定義される本発明による方法又は使用のいずれか1つでは、巨大分子が結合している表面はマイクロビーズであってよく、好ましくはマイクロビーズは、シリコン、ガラス、ゲル、又はポリスチレンなどのポリマー材料、又はそれらの任意の組み合わせを含む。
生化学反応が表面及び/又は基質を含む固相反応系で行われる、本明細書に記載の方法又は使用のいずれか1つでは、表面及び/又は基質はフローセルとして提供され得る。行われる生化学反応に適合する任意の適切なフローセルを使用してもよい。適切なフローセルは、生化学反応を行うために使用される試薬が流れることができる複数の流体チャネルを含むことができる。生化学反応を行うために使用される任意の1つ以上の巨大分子は、流体チャネルを裏打ちする表面に結合され得る。適切なフローセルを使用して、一本鎖又は二本鎖標的核酸分子の増幅のための生化学反応を行うことができる。本明細書中に記載されるプロセス、使用及び方法を使用して行われる配列決定反応はまた、好適なフローセルを使用して行われ得る。

以下の例は、本発明を説明するために提供されるが、本発明を限定するものではない。
例1.ヒトOtx1由来のIDRタグを有するGp32を使用したリステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)遺伝子hlyのリコンビナーゼポリメラーゼ増幅。
実験の目的及び概要
この実験は、ヒトホメオボックスタンパク質Otx1の天然変性領域(IDR)に見出されるヒスチジンリッチアミノ酸ドメイン配列を含むタグを含むGp32融合タンパク質調製物の性能を評価するために行われた。
この例は、クラウディング剤の非存在下でヒスチジンリッチ天然変性領域(IDR)ドメイン(Otx1)でC末端にタグ付けされたGp32を使用して、ある範囲の鋳型濃度にわたってリステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)遺伝子hlyのリコンビナーゼポリメラーゼ増幅(RPA)を実証する。
材料及び方法
使用したIDRドメインタグの具体的なアミノ酸配列は、AGHHHHHPHAHHPLSQSSGHHHHHHHHHHQGYGGSG(配列番号24)であった。これをファージvB EcoM NBG1 Gp32のC末端に結合させた。組換え融合タンパク質を、試験中の融合タンパク質のIDRドメインタグに天然に存在するヒスチジンに依存する標準的な1段階固定化金属(ニッケル)親和性クロマトグラフィーを使用して精製した。融合タンパク質をGp32-HIS2と命名した。融合タンパク質の完全なアミノ酸配列を配列番号82として示す(表23)。
次いで、リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)ゲノムDNAに由来するDNA鋳型の示されたコピーを使用して、組換えファージvB EcoM NBG1 Gp32融合タンパク質をPEG非含有増幅で、すなわち、クラウディング剤の非存在下で試験した。図1に示すように、試験鋳型をコピー数で滴定した。
25mM トリスHCl pH8.3、7.5mM KOAc、1mM DTT、2.5mM ATP、20mMホスホクレアチン、1μMクレアチンキナーゼ、1mM dNTP、0.4μMフォワードプライマー、0.4μMリバースプライマー、0.12μMプローブ、20μM Gp32融合物、4.8μM UvsX、8.6μM UvsY、0.135μM 黄色ブドウ球菌(S.aureus)DNAポリメラーゼ、及び0.27μMエキソヌクレアーゼIIIを混合することによって反応を設定した。所与の濃度及び33mM MgOAcを含む鋳型の添加によって反応を開始した。
関連するプライマー及びプローブを以下に示す。
フォワードプライマー:CGCCTGCAAGTCCTAAGACGCCAATCGAAAAGAAAC(配列番号98)。
リバースプライマー:CTGCATCTCCGTGGTATACTAATACATTGTTTTTA(配列番号99)。
プローブ:CGAAAAGAAACACGCGGATGAAATCGATAAG[FAM] [THF][BHQ-1]ATACAAGGATTGGA(配列番号100)、式中、FAMはフルオレセインであり、THFはテトラヒドロフランであり、BHQはブラックホールクエンチャーである。
次いで、反応物を39℃でインキュベートし、ベアリングボールを使用して磁気混合しながら蛍光光度計に入れた。
結果及び結論
図1に示すように、試験鋳型は、RPA反応の開始から7分以内に高感度で容易に検出された。アンプリコンは、わずか10コピーの標的で検出された。
したがって、このGp32 IDR-タグ付き融合タンパク質を使用すると、PEGなどのクラウディング剤の非存在下での増幅が効率的に起こることが見出された。
例2.ヒトMafA由来のIDRタグを有するGp32を使用したリステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)遺伝子hlyのリコンビナーゼポリメラーゼ増幅。
実験の目的及び概要
この実験は、ヒト転写因子MafAの天然変性領域(IDR)に見出されるヒスチジンリッチのドメイン配列を含むタグを含むGp32融合タンパク質調製物の性能を評価するために行われた。
この例は、クラウディング剤の非存在下でヒスチジンリッチ天然変性領域(IDR)ドメイン(MafA)でC末端にタグ付けされたGp32を使用して、ある範囲の鋳型濃度にわたってリステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)遺伝子hlyのリコンビナーゼポリメラーゼ増幅(RPA)を実証する。
材料及び方法
使用したIDRドメインタグの具体的なアミノ酸配列は、SGHHGAHHGAHHPAAAAAYEAFRGPGFAGGGGADDMGAGHHHGAHHAAHHHHAAHHHHHHHHHHGGAGHGGGAGHH(配列番号27)であった。これをファージvB EcoM NBG1 Gp32のC末端に結合させた。組換え融合タンパク質を、試験中の融合タンパク質のIDRドメインタグに天然に存在するヒスチジンに依存する標準的な1段階固定化金属(ニッケル)親和性クロマトグラフィーを使用して精製した。融合タンパク質をGp32-HIS5と命名した。融合タンパク質の完全なアミノ酸配列を配列番号85として示す(表23)。
次いで、リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)ゲノムDNAに由来するDNA鋳型の示されたコピーを使用して、組換えファージvB EcoM NBG1 Gp32融合タンパク質をPEG非含有増幅で、すなわち、クラウディング剤の非存在下で試験した。図2に示すように、試験鋳型をコピー数で滴定した。
25mM トリスHCl pH8.3、7.5mM KOAc、1mM DTT、2.5mM ATP、20mMホスホクレアチン、1μMクレアチンキナーゼ、1mM dNTP、0.4μMフォワードプライマー、0.4μMリバースプライマー、0.12μMプローブ、20μM Gp32融合物、4.8μM UvsX、8.6μM UvsY、0.135μM 黄色ブドウ球菌(S.aureus)DNAポリメラーゼ、及び0.27μMエキソヌクレアーゼIIIを混合することによって反応を設定した。所与の濃度及び33mM MgOAcを含む鋳型の添加によって反応を開始した。
関連するプライマー及びプローブを以下に示す。
フォワードプライマー:CGCCTGCAAGTCCTAAGACGCCAATCGAAAAGAAAC(配列番号98)。
リバースプライマー:CTGCATCTCCGTGGTATACTAATACATTGTTTTTA(配列番号99)。
プローブ:CGAAAAGAAACACGCGGATGAAATCGATAAG[FAM] [THF][BHQ-1]ATACAAGGATTGGA(配列番号100)、式中、FAMはフルオレセインであり、THFはテトラヒドロフランであり、BHQはブラックホールクエンチャーである。
次いで、反応物を39℃でインキュベートし、ベアリングボールを使用して磁気混合しながら蛍光光度計に入れた。
結果及び結論
図2に示すように、試験鋳型は、RPA反応の開始から10分以内に高感度で容易に検出された。アンプリコンは、わずか10コピーの標的で検出された。
したがって、このGp32 IDR-タグ付き融合タンパク質を使用すると、PEGなどのクラウディング剤の非存在下での増幅が効率的に起こることが見出された。
例3.サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)Hrp1由来のIDRタグを有するGp32を使用したリステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)遺伝子hlyのリコンビナーゼポリメラーゼ増幅。
実験の目的及び概要
この実験は、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)Hrp1タンパク質の天然変性領域(IDR)を含むタグを含むGp32融合タンパク質調製物の性能を評価するために行われた。
この例は、クラウディング剤の非存在下で酵母Hrp1タンパク質の天然変性領域(IDR)を含む配列でC末端にタグ付けされたGp32を使用して、ある範囲の鋳型濃度にわたってリステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)遺伝子hlyのリコンビナーゼポリメラーゼ増幅(RPA)を実証する。
材料及び方法
使用したIDRドメインタグの具体的なアミノ酸配列は、GGNNGGNNMNRRGGNFGNQGDFNQMYQNPMMGGYNPMMNPQAMTDYYQKMQEYYQQMQ(配列番号9)であった。これをファージvB EcoM NBG1 Gp32のC末端に結合させた。組換え融合タンパク質を、試験中の融合タンパク質のまさにC末端に配置された、すなわち融合タンパク質のC末端のIDRタグの後に配置された追加のヘプタヒスチジンタグに依存する標準的な1段階固定化金属(ニッケル)親和性クロマトグラフィーを使用して精製した。融合タンパク質をGp32-HRP1と命名した。融合タンパク質の完全なアミノ酸配列を配列番号79として示す(表23)。
次いで、リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)ゲノムDNAに由来するDNA鋳型の示されたコピーを使用して、組換えファージvB EcoM NBG1 Gp32融合タンパク質をPEG非含有増幅で、すなわち、クラウディング剤の非存在下で試験した。図3に示すように、試験鋳型をコピー数で滴定した。
25mM トリスHCl pH8.3、7.5mM KOAc、1mM DTT、2.5mM ATP、20mMホスホクレアチン、1μMクレアチンキナーゼ、1mM dNTP、0.4μMフォワードプライマー、0.4μMリバースプライマー、0.12μMプローブ、20μM Gp32融合物、4.8μM UvsX、8.6μM UvsY、0.135μM 黄色ブドウ球菌(S.aureus)DNAポリメラーゼ、及び0.27μMエキソヌクレアーゼIIIを混合することによって反応を設定した。所与の濃度及び33mM MgOAcを含む鋳型の添加によって反応を開始した。
関連するプライマー及びプローブを以下に示す。
フォワードプライマー:CGCCTGCAAGTCCTAAGACGCCAATCGAAAAGAAAC(配列番号98)。
リバースプライマー:CTGCATCTCCGTGGTATACTAATACATTGTTTTTA(配列番号99)。
プローブ:CGAAAAGAAACACGCGGATGAAATCGATAAG[FAM] [THF][BHQ-1]ATACAAGGATTGGA(配列番号100)、式中、FAMはフルオレセインであり、THFはテトラヒドロフランであり、BHQはブラックホールクエンチャーである。
次いで、反応物を39℃でインキュベートし、ベアリングボールを使用して磁気混合しながら蛍光光度計に入れた。
結果及び結論
図3に示すように、試験鋳型は、RPA反応の開始から7分以内に高感度で容易に検出された。アンプリコンは、わずか10コピーの標的で検出された。
したがって、このGp32 IDR-タグ付き融合タンパク質を使用すると、PEGなどのクラウディング剤の非存在下での増幅が効率的に起こることが見出された。
例4.サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)Sup2由来のIDRタグを有するGp32を使用したリステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)遺伝子hlyのリコンビナーゼポリメラーゼ増幅。
実験の目的及び概要
サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)Sup2タンパク質の天然変性領域(IDR)ドメインを含むタグを含むGp32融合タンパク質調製物の性能を評価するために、この実験を行った。
この例は、クラウディング剤の非存在下における酵母Sup2タンパク質の天然変性領域(IDR)ドメインを含む配列でC末端にタグ付けされたGp32を使用した、ある範囲の鋳型濃度にわたるリステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)遺伝子hlyのリコンビナーゼポリメラーゼ増幅(RPA)を実証する。
材料及び方法
使用したIDRドメインタグの具体的なアミノ酸配列は、YNPQGGYQQ(配列番号19)であった。これをファージvB EcoM NBG1 Gp32のC末端に結合させた。組換え融合タンパク質を、試験中の融合タンパク質のまさにC末端に配置された、すなわち融合タンパク質のC末端のIDRドメインタグの後に配置された追加のヘプタヒスチジンタグに依存する標準的な1段階固定化金属(ニッケル)親和性クロマトグラフィーを使用して精製した。融合タンパク質をGp32-Sup1と命名した。融合タンパク質の完全なアミノ酸配列を配列番号72として示す(表23)。
次いで、リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)ゲノムDNAに由来するDNA鋳型の示されたコピーを使用して、組換えファージvB EcoM NBG1 Gp32融合タンパク質をPEG非含有増幅で、すなわち、クラウディング剤の非存在下で試験した。図Cに示すように、試験鋳型をコピー数で滴定した。
25mM トリスHCl pH8.3、7.5mM KOAc、1mM DTT、2.5mM ATP、20mMホスホクレアチン、1μMクレアチンキナーゼ、1mM dNTP、0.4μMフォワードプライマー、0.4μMリバースプライマー、0.12μMプローブ、20μM Gp32融合物、4.8μM UvsX、8.6μM UvsY、0.135μM 黄色ブドウ球菌(S.aureus)DNAポリメラーゼ、及び0.27μMエキソヌクレアーゼIIIを混合することによって反応を設定した。所与の濃度及び33mM MgOAcを含む鋳型の添加によって反応を開始した。
関連するプライマー及びプローブを以下に示す。
フォワードプライマー:CGCCTGCAAGTCCTAAGACGCCAATCGAAAAGAAAC(配列番号98)。
リバースプライマー:CTGCATCTCCGTGGTATACTAATACATTGTTTTTA(配列番号99)。
プローブ:CGAAAAGAAACACGCGGATGAAATCGATAAG[FAM] [THF][BHQ-1]ATACAAGGATTGGA(配列番号100)、式中、FAMはフルオレセインであり、THFはテトラヒドロフランであり、BHQはブラックホールクエンチャーである。
次いで、反応物を39℃でインキュベートし、ベアリングボールを使用して磁気混合しながら蛍光光度計に入れた。
結果及び結論
図4に示すように、試験鋳型は、RPA反応の開始から7分以内に高感度で容易に検出された。アンプリコンは、わずか10コピーの標的で検出された。
したがって、このGp32 IDR-タグ付き融合タンパク質を使用すると、PEGなどのクラウディング剤の非存在下での増幅が効率的に起こることが見出された。
例5.サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)Sup2由来のIDRタグを有するGp32を使用したヒトapoB遺伝子のリコンビナーゼポリメラーゼ増幅。
実験の目的及び概要
この実験は、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)Sup2タンパク質の天然変性領域(IDR)ドメインアミノ酸配列を含むタグを含む多くのGp32融合タンパク質調製物の性能を評価するために行われた。IDRドメインリピート単位の可変数を評価し、融合タンパク質の濃度の範囲を調べた。
この例は、クラウディング剤の非存在下における酵母Sup2タンパク質の天然変性領域(IDR)ドメインを含む配列でC末端にタグ付けされたGp32を使用したヒトアポリポタンパク質B(apoB)遺伝子のリコンビナーゼポリメラーゼ増幅(RPA)を実証する。
材料及び方法
使用したIDRドメインタグの具体的なアミノ酸配列は、YNPQGGYQQ(配列番号19)であった。これをファージvB EcoM NBG1 Gp32のC末端に結合させた。単一のYNPQGGYQQ単位が結合しているか、又は2回、3回又は4回のリピートが結合していた。組換え融合タンパク質を、試験中の融合タンパク質のまさにC末端に配置された、すなわち融合タンパク質のC末端のIDRドメインタグの後に配置された追加のヘプタヒスチジンタグに依存する標準的な1段階固定化金属(ニッケル)親和性クロマトグラフィーを使用して精製した。融合タンパク質をGp32-Sup2(2回のリピート、配列番号20)、Gp32-Sup3(3回リピート、配列番号21)及びGp32-Sup4(4回リピート、配列番号22)と命名した。融合タンパク質の完全なアミノ酸配列は、それぞれ配列番号73、配列番号74及び配列番号75として示されている(表23)。
次いで、組換えファージvB EcoM NBG1 Gp32融合タンパク質を、Gp32-Sup1と共に、PEG非含有増幅において、すなわち、クラウディング剤の非存在下で、ヒトゲノムDNAに由来するDNA鋳型を用いて試験した。
25mM トリスHCl pH8.3、7.5mM KOAc、1mM DTT、2.5mM ATP、20mMホスホクレアチン、1μMクレアチンキナーゼ、1mM dNTP、0.4μMフォワードプライマー、0.4μMリバースプライマー、0.12μMプローブ、図5A~図5Dに示される濃度のGp32融合タンパク質、4.8μM UvsX、8.6μM UvsY、0.135μM 黄色ブドウ球菌(S.aureus)DNAポリメラーゼ、及び0.27μMエキソヌクレアーゼIIIを混合することによって反応を設定した。鋳型の添加及び33mM MgOAcによって反応を開始した。それぞれの場合に使用された試験鋳型コピー数は1万であった。
関連するプライマー及びプローブを以下に示す。
フォワードプライマー:GCAGCTGTATAGCAAATTCCTGTTGAAAGCAG(配列番号101)。
リバースプライマー:TCCTGGCTGTATTCATTGTTGTTAAATTGG(配列番号102)。
プローブ:CACTGATGCT TTTCCTAGACACGAGATGA[FAM-dT]G[THF]C[BHQ1-dT]TGTGGAGCCTTTGT(配列番号103)、式中、FAMはフルオレセインであり、THFはテトラヒドロフランであり、BHQはブラックホールクエンチャーである。
次いで、反応物を39℃でインキュベートし、ベアリングボールを使用して磁気混合しながら蛍光光度計に入れた。
結果及び結論
結果を図5に示す。図5Aは、単一のIDRドメインタグ単位を使用した結果を示す。図5B~図5Dは、それぞれ2回、3回及び4回のIDRドメインタグ単位リピートを使用した結果を示す。試験鋳型は、RPA反応の開始の約10分後に検出された。
PEGなどのクラウディング剤の非存在下での増幅が、これらのGp32-IDRタグ付き融合タンパク質を使用して効率的に起こることが見出された。単一のIDRドメインタグユニット及び2つのIDRドメインタグ単位で最良の性能が見られた。3つのIDRドメインタグ単位も良好な性能を与えた。
例6.ヒトMafA由来のIDRタグを有するGp32を使用したリステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)遺伝子hlyのリコンビナーゼポリメラーゼ増幅-マグネシウムイオン濃度の比較。
実験の目的
この実験は、ヒト転写因子MafAの天然変性領域(IDR)に見出されるヒスチジンリッチのドメイン配列を含むタグを含むGp32融合タンパク質調製物の性能を評価するために行われた。実験は、ある範囲のマグネシウム濃度にわたって性能を評価した。
この例は、クラウディング剤の非存在下でヒスチジンリッチ天然変性領域(IDR)ドメイン(MafA)でC末端にタグ付けされたGp32を使用して、マグネシウム濃度の範囲にわたるリステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)遺伝子hlyのリコンビナーゼポリメラーゼ増幅(RPA)を実証する。
材料及び方法
使用したIDRドメインタグの具体的なアミノ酸配列は、SGHHGAHHGAHHPAAAAAYEAFRGPGFAGGGGADDMGAGHHHGAHHAAHHHHAAHHHHHHHHHHGGAGHGGGAGHH(配列番号27)であった。これをファージvB EcoM NBG1 Gp32のC末端に結合させた。組換え融合タンパク質を、試験中の融合タンパク質のIDRドメインタグに天然に存在するヒスチジンに依存する標準的な1段階固定化金属(ニッケル)親和性クロマトグラフィーを使用して精製した。融合タンパク質をGp32-HIS5と命名した。融合タンパク質の完全なアミノ酸配列を配列番号85として示す(表23)。
次いで、リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)ゲノムDNAに由来するDNA鋳型の示されたコピーを使用して、組換えファージvB EcoM NBG1 Gp32融合タンパク質をPEG非含有増幅で、すなわち、クラウディング剤の非存在下で試験した。試験鋳型を反応あたり1万コピーで提供し、マグネシウムイオン濃度を5.6mMから44.8mMまで変化させた。
25mM トリスHCl pH8.3、7.5mM KOAc、1mM DTT、2.5mM ATP、20mMホスホクレアチン、1μMクレアチンキナーゼ、1mM dNTP、0.4μMフォワードプライマー、0.4μMリバースプライマー、0.12μMプローブ、20μM Gp32融合物、4.8μM UvsX、8.6μM UvsY、0.135μM 黄色ブドウ球菌(S.aureus)DNAポリメラーゼ、及び0.27μMエキソヌクレアーゼIIIを混合することによって反応を設定した。反応は、鋳型の添加及び5.6mM~44.8mMのMgOAcの指示濃度によって開始された。
関連するプライマー及びプローブを以下に示す。
フォワードプライマー:CGCCTGCAAGTCCTAAGACGCCAATCGAAAAGAAAC(配列番号98)。
リバースプライマー:CTGCATCTCCGTGGTATACTAATACATTGTTTTTA(配列番号99)。
プローブ:CGAAAAGAAACACGCGGATGAAATCGATAAG[FAM] [THF][BHQ-1]ATACAAGGATTGGA(配列番号100)、式中、FAMはフルオレセインであり、THFはテトラヒドロフランであり、BHQはブラックホールクエンチャーである。
次いで、反応物を39℃でインキュベートし、ベアリングボールを使用して磁気混合しながら蛍光光度計に入れた。
結果及び結論
PEGなどのクラウディング剤の非存在下での増幅が、このGp32 IDR-タグ付き融合タンパク質を使用して効率的に起こることが見出された。
図6に示すように、28mM以上のマグネシウムが存在する場合、このGp32 IDR-タグ付き融合タンパク質を使用して良好な増幅が起こることが見出された。この実験における最適濃度は33.6mMであるように見え、44.8mMまでさらに増加すると、検出まで同様の時間が得られた。
例7.ヒトApoB遺伝子断片のリコンビナーゼポリメラーゼ増幅に対するホスホクレアチンレベルの影響。
実験の目的及び概要
この実験は、ヒトホメオボックスタンパク質Otx1の天然変性領域(IDR)に見られるヒスチジンリッチのドメイン配列を含むタグを含むGp32融合タンパク質調製物の性能に対するホスホクレアチンレベルの変動の影響を評価するために行われた。
この例は、クラウディング剤の非存在下でヒスチジンリッチ天然変性領域(IDR)ドメイン(Otx1)でC末端にタグ付けされたGp32を使用したヒトアポリポタンパク質(apoB)遺伝子の断片のリコンビナーゼポリメラーゼ増幅(RPA)を実証する。
材料及び方法
使用したIDRドメインタグの具体的なアミノ酸配列は、AGHHHHHPHAHHPLSQSSGHHHHHHHHHHQGYGGSG(配列番号24)であった。これをファージvB EcoM NBG1 Gp32のC末端に結合させた。組換え融合タンパク質を、試験中の融合タンパク質のIDRドメインタグに天然に存在するヒスチジンに依存する標準的な1段階固定化金属(ニッケル)親和性クロマトグラフィーを使用して精製した。融合タンパク質をGp32-HIS2と命名した。融合タンパク質の完全なアミノ酸配列を配列番号82として示す(表23)。
次いで、組換えファージvB EcoM NBG1 Gp32融合タンパク質を、PEG非含有増幅において、すなわちクラウディング剤の非存在下で試験した。ヒトapoBアッセイを使用してホスホクレアチン滴定を行った。試験鋳型は10コピーの濃度で提供された。
25mM トリスHCl pH8.3、7.5mM KOAc、1mM DTT、2.5mM ATP、図に示すホスホクレアチンのレベル、1μMクレアチンキナーゼ、1mM dNTP、0.4μMフォワードプライマー、0.4μMリバースプライマー、0.12μMプローブ、20μM Gp32融合物、4.8μM UvsX、8.6μM UvsY、0.135μM 黄色ブドウ球菌(S.aureus)DNAポリメラーゼ、及び0.27μMエキソヌクレアーゼIIIを混合することによって反応を設定した。反応ごとに10コピーの鋳型を添加し、33mM MgOAcを用いて反応を開始した。
フォワードプライマー:GCAGCTGTATAGCAAATTCCTGTTGAAAGCAG(配列番号101)。
リバースプライマー:TCCTGGCTGTATTCATTGTTGTTAAATTGG(配列番号102)。
プローブ:CACTGATGCT TTTCCTAGACACGAGATGA[FAM-dT]G[THF]C[BHQ1-dT]TGTGGAGCCTTTGT(配列番号103)、式中、FAMはフルオレセインであり、THFはテトラヒドロフランであり、BHQはブラックホールクエンチャーである。
次いで、反応物を39℃でインキュベートし、ベアリングボールを使用して磁気混合しながら蛍光光度計に入れた。
結果及び結論
PEGなどのクラウディング剤の非存在下で増幅が、このGp32 IDR-タグ付き融合タンパク質を使用して起こることが見出された。図7A、図7B及び図7Cに示すように、PEGベースのRPA(50mM)で使用される標準的なホスホクレアチン濃度では、20分以内に増幅活性はほとんど見られなかった。ホスホクレアチンを20mMに減少させると最適な性能が得られたが、15~25mMの間で良好な性能も観察され、30~35mMで20分以内のより低いレベルの増幅も観察された。
例8.サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)Hrp1由来のIDRタグを有するGp32を使用したリステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)遺伝子hlyのリコンビナーゼポリメラーゼ増幅-塩濃度の比較。
実験の目的及び概要
この実験は、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)Hrp1タンパク質の天然変性領域(IDR)を含むタグを含むGp32融合タンパク質調製物の性能を評価するために行われた。この実験では、酢酸カリウムを使用して、ある範囲の塩濃度にわたって性能を評価した。
この例は、リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)遺伝子hlyのリコンビナーゼポリメラーゼ増幅(RPA)を、クラウディング剤の非存在下でサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)Hrp1タンパク質の天然変性領域(IDR)でC末端にタグ付けされたGp32を使用して、ある範囲の塩濃度にわたって最適化することができることを実証する。
材料及び方法
使用したIDRドメインタグの具体的なアミノ酸配列は、GGNNGGNNMNRRGGNFGNQGDFNQMYQNPMMGGYNPMMNPQAMTDYYQKMQEYYQQMQ(配列番号9)であった。これをファージvB EcoM NBG1 Gp32のC末端に結合させた。組換え融合タンパク質を、試験中の融合タンパク質のまさにC末端に配置された、すなわち融合タンパク質のC末端のIDRタグの後に配置された追加のヘプタヒスチジンタグに依存する標準的な1段階固定化金属(ニッケル)親和性クロマトグラフィーを使用して精製した。融合タンパク質をGp32-HRP1と命名した。融合タンパク質の完全なアミノ酸配列を配列番号79として示す(表23)。
次いで、リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)ゲノムDNAに由来する100コピーのDNA鋳型を使用して、組換えファージvB EcoM NBG1 Gp32融合タンパク質をPEG非含有増幅で、すなわちクラウディング剤の非存在下で試験した。酢酸カリウム濃度を10mMから100mMまで変化させた。
25mM トリスHCl pH8.3、7.5mM KOAc、1mM DTT、2.5mM ATP、20mMホスホクレアチン、1μMクレアチンキナーゼ、1mM dNTP、0.4μMフォワードプライマー、0.4μMリバースプライマー、0.12μMプローブ、20μM Gp32融合物、4.8μM UvsX、8.6μM UvsY、0.135μM 黄色ブドウ球菌(S.aureus)DNAポリメラーゼ、及び0.27μMエキソヌクレアーゼIIIを混合することによって反応を設定した。鋳型及び33mM MgOAcの添加によって反応を開始した。
関連するプライマー及びプローブを以下に示す。
フォワードプライマー:CGCCTGCAAGTCCTAAGACGCCAATCGAAAAGAAAC(配列番号98)。
リバースプライマー:CTGCATCTCCGTGGTATACTAATACATTGTTTTTA(配列番号99)。
プローブ:CGAAAAGAAACACGCGGATGAAATCGATAAG[FAM] [THF][BHQ-1]ATACAAGGATTGGA(配列番号100)、式中、FAMはフルオレセインであり、THFはテトラヒドロフランであり、BHQはブラックホールクエンチャーである。
次いで、反応物を39℃でインキュベートし、ベアリングボールを使用して磁気混合しながら蛍光光度計に入れた。
結果及び結論
PEGなどのクラウディング剤の非存在下での増幅が、このGp32 IDR-タグ付き融合タンパク質を使用して効率的に起こることが見出された。
また、このGp32 IDR-タグ付き融合タンパク質を用いたクラウディング剤の非存在下での増幅は、酢酸カリウムが代表例である塩濃度の範囲にわたって最適化され得ることも見出された。
図8に示すように、10mM以上の酢酸カリウムが存在する場合、このGp32 IDR-タグ付き融合タンパク質を使用すると良好な増幅が起こることが見出された。この実験における最適な濃度範囲は、10~40mMの間であるようであった。40mMを超える濃度では、より低い効率の増幅が観察された。
例9.サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)Sup2由来のIDRタグを有するGp32を使用したヒトApoB遺伝子断片のリコンビナーゼポリメラーゼ増幅-クラウディング剤との相乗効果。
実験の目的及び概要
この実験は、ファージvB EcoM NBG1 Gp32のC末端に結合した酵母SUP2遺伝子の天然変性領域に見られるヒスチジンリッチ配列、具体的にはSup1配列YNPQGGYQQ(配列番号19)を含有するGp32融合タンパク質調製物の反応効率に対する低濃度のクラウディング剤、この場合はPEGの効果を評価するために行われた。この融合タンパク質の性能を、ヒトアポリポタンパク質(apoB)遺伝子の断片のリコンビナーゼポリメラーゼ増幅においてSup1 IDRタグを欠くGp32タンパク質と比較した。
低濃度のクロウイング剤は、Sup1 IDR-タグ付きGp32の反応効率を高めることができ、相乗効果が観察され得る条件を達成することができることが見出された。
材料及び方法
Gp32-Sup1
使用したIDRドメインタグの具体的なアミノ酸配列は、YNPQGGYQQ(配列番号19)であった。これをファージvB EcoM NBG1 Gp32のC末端に結合させた。組換え融合タンパク質を、試験中の融合タンパク質のまさにC末端に配置された、すなわち融合タンパク質のC末端のIDRドメインタグの後に配置された追加のヘプタヒスチジンタグに依存する標準的な1段階固定化金属(ニッケル)親和性クロマトグラフィーを使用して精製した。融合タンパク質をGp32-Sup1と命名した。融合タンパク質の完全なアミノ酸配列を配列番号72として示す(表23)。
Gp32(7His)
ファージvB EcoM NBG1 Gp32を、試験対象のタンパク質のまさにC末端に配置されたヘプタヒスチジンタグに依存する標準的な1段階固定化金属(ニッケル)親和性クロマトグラフィーを使用して精製した。融合タンパク質をGp32(7His)と命名した。融合タンパク質の完全なアミノ酸配列を配列番号65として示す(表23)。
組換えファージvB EcoM NBG1 Gp32融合タンパク質を、ヒトアポリポタンパク質(apoB)遺伝子の断片を含むDNA鋳型を使用して、クラウディング剤の存在下又は非存在下のいずれかで、RPA反応で試験した。
25mM トリスHCl pH8.3、7.5mM KOAc、1mM DTT、2.5mM ATP、50mMホスホクレアチン、1μMクレアチンキナーゼ、1mM dNTP、0.4μMフォワードプライマー、0.4μMリバースプライマー、0.12μMプローブ、20μM Gp32融合タンパク質、4.8μM UvsX、8.6μM UvsY、0.135μM 黄色ブドウ球菌(S.aureus)DNAポリメラーゼ、及び0.27μMエキソヌクレアーゼIIIを混合することによって反応を設定した。鋳型の添加及び33mM MgOAcによって反応を開始した。それぞれの場合に使用された試験鋳型コピー数は1万であった。関連する図に示される最終濃度までPEGを添加した。使用したPEGの種は、PEG分子量35,000であった。
関連するプライマー及びプローブを以下に示す。
フォワードプライマー:GCAGCTGTATAGCAAATTCCTGTTGAAAGCAG(配列番号101)。
リバースプライマー:TCCTGGCTGTATTCATTGTTGTTAAATTGG(配列番号102)。
プローブ:CACTGATGCT TTTCCTAGACACGAGATGA[FAM-dT]G[THF]C[BHQ1-dT]TGTGGAGCCTTTGT(配列番号103)、式中、FAMはフルオレセインであり、THFはテトラヒドロフランであり、BHQはブラックホールクエンチャーである。
次いで、反応物を39℃でインキュベートし、ベアリングボールを使用して磁気混合しながら蛍光光度計に入れた。
結果及び結論
結果を図9に示す。図9は、Gp32-Sup1 IDR-タグ付き融合タンパク質をクラウディング剤PEGの非存在下で試験した場合、試験鋳型が効率的に検出されたことを示す。
Sup1 IDRタグを含まないGp32-7His融合タンパク質を、0.5%~2%の間のクラウディング剤PEGの存在下で試験した場合、少量であるが検出可能な量の増幅産物が観察された。
Gp32-Sup1 IDR-タグ付き融合タンパク質を、クラウディング剤PEGの存在下で試験した場合、試験鋳型が効率的に検出された。この場合、(i)PEGの非存在下でのGp32-Sup1 IDR-タグ付き融合タンパク質及び(ii)PEGの非存在下でのSup1 IDRタグなしのGp32-7His融合タンパク質で観察された量を比較した場合、増幅産物の量が合計量を超える相乗効果を観察することができた(例えば、図9を参照し、Sup1 1% PEGをSup1 0% PEG+正常GP32 1% PEGと比較する)。
これらの結果は、反応のIDR-タグ付き巨大分子成分を低濃度のクラウディング剤と組み合わせると、生化学反応の実施効率に対する増強された効果が観察され得ること、及び反応のIDR-タグ付き巨大分子成分を低濃度のクラウディング剤と組み合わせると、反応効率に対する相乗効果を促進する条件が達成され得ることを実証する。
例10.多価金属カチオンの存在下でのIDRタグによる相分離の促進。
実験の目的及び概要
この実験は、水性インビトロ生化学系において、天然変性領域(IDR)ドメインアミノ酸配列を含むタグをそれぞれ有するいくつかのGp32融合タンパク質によって駆動される/引き起こされる相分離の促進における多価金属カチオンの影響を評価するために行われた。
例は、IDRドメインアミノ酸配列を含むタグが驚くべきことに相分離を促進することができ、より驚くべきことに、この効果が多価金属カチオンの存在によって増強されることを実証する。
材料及び方法
Gp32-HIS2融合タンパク質
使用したIDRドメインタグの具体的なアミノ酸配列は、AGHHHHHPHAHHPLSQSSGHHHHHHHHHHQGYGGSG(配列番号24)であった。これをファージvB EcoM NBG1 Gp32のC末端に結合させた。組換え融合タンパク質を、試験中の融合タンパク質のIDRドメインタグに天然に存在するヒスチジンに依存する標準的な1段階固定化金属(ニッケル)親和性クロマトグラフィーを使用して精製した。Gp32-HIS2融合タンパク質の完全なアミノ酸配列は、配列番号82として提供される(表23)。
Gp32-HRP1融合タンパク質
使用したIDRドメインタグの具体的なアミノ酸配列は、GGNNGGNNMNRRGGNFGNQGDFNQMYQNPMMGGYNPMMNPQAMTDYYQKMQEYYQQMQ(配列番号9)であった。これをファージvB EcoM NBG1 Gp32のC末端に結合させた。組換え融合タンパク質を、試験中の融合タンパク質のまさにC末端に配置された、すなわち融合タンパク質のC末端のIDRタグの後に配置された追加のヘプタヒスチジンタグに依存する標準的な1段階固定化金属(ニッケル)親和性クロマトグラフィーを使用して精製した。Gp32-HRP1融合タンパク質の完全なアミノ酸配列は、配列番号79として提供される(表23)。
Gp32-Sup1融合タンパク質
使用したIDRドメインタグの具体的なアミノ酸配列は、YNPQGGYQQ(配列番号19)であった。これをファージvB EcoM NBG1 Gp32のC末端に結合させた。組換え融合タンパク質を、試験中の融合タンパク質のまさにC末端に配置された、すなわち融合タンパク質のC末端のIDRドメインタグの後に配置された追加のヘプタヒスチジンタグに依存する標準的な1段階固定化金属(ニッケル)親和性クロマトグラフィーを使用して精製した。Gp32-Sup1融合タンパク質の完全なアミノ酸配列は、配列番号72(表23)として提供される。
Gp32-Fib融合タンパク質
使用したIDRドメインタグの具体的なアミノ酸配列は、PGFSPRGGGFGGRGGFGDRGGRGGRGGFGGGRGRGGGFRGRGR(配列番号1)であった。これをファージvB EcoM NBG1 Gp32のC末端に結合させた。組換え融合タンパク質を、試験中の融合タンパク質のまさにC末端に配置された、すなわち融合タンパク質のC末端のIDRドメインタグの後に配置された追加のヘプタヒスチジンタグに依存する標準的な1段階固定化金属(ニッケル)親和性クロマトグラフィーを使用して精製した。Gp32-Fib融合タンパク質の完全なアミノ酸配列は、配列番号69として提供される(表23)。
相分離アッセイ
以下に概説する方法は、試験したすべての融合タンパク質に適用される。使用した融合タンパク質溶液の体積は、精製後のタンパク質濃度に依存した。
それぞれの場合において、1000ng/μlの最終濃度のタグ付け融合タンパク質と、酢酸塩又は塩化物の形態のいずれかの金属イオンとを、以下に示され、本明細書に提示される関連する図に示される標的濃度で含む50μlの溶液を作製した。
Gp32-HIS2融合物については、精製後のタンパク質濃度は48mg/mlであった。1.04μlのこの融合タンパク質を各50μlの反応に使用して、溶液中1000ng/μlの最終濃度を達成した。Gp32-HRP1融合物については、精製後のタンパク質濃度は39mg/mlであった。1.28μlのこの融合タンパク質を各50μlの反応に使用して、溶液中1000ng/μlの最終濃度を達成した。Gp32-Sup1融合物については、精製後のタンパク質濃度は36mg/mlであった。1.4μlのこの融合タンパク質を各50μlの反応に使用して、溶液中1000ng/μlの最終濃度を達成した。Gp32-Fib融合物について、精製後のタンパク質濃度は20.2mg/mlであった。2.48μlのこの融合タンパク質を各50μlの反応に使用して、溶液中1000ng/μlの最終濃度を達成した。
これらの実験では、検出可能な相分離増進が起こるために必要な二価金属カチオン濃度を、代表的な二価金属カチオン:マグネシウム(MgOAc)、マンガン(MgCl)及びカルシウム(CaCl)で試験した。マンガン及びカルシウムの酢酸塩形態は、単に溶液中でのそれらの不安定性が知られているために使用されなかった。マンガンは酢酸塩溶液中で経時的に酸化し、酢酸カルシウムは溶液中の一部の細菌の増殖を支持するようであるが、塩化カルシウムは支持しない。
水、IDR-タグ付きタンパク質及び二価金属カチオンを含む混合物の構成後、混合物をボルテックスし、スピンダウンし、混合物の10μlの試料をDHC-B01 C-Chip血球計スライドに移した。次いで、スライドを顕微鏡下で倍率400倍で画像化した。検出相分離は、倍率を介して視覚的に同定し、血球計を使用してカウントすることができる球状様球状フォーカス/粒子の形成によって評価した。次いで、単位体積当たりの球状フォーカスカウントを行うことができる。球状フォーカスカウントは、218μm×175μmの拡大領域に形成された球状フォーカスの数を倍率400倍でカウントすることによって行った。これは、拡大画像を20個の正方形セグメント(画像の4×5)に分割し、これらのセグメントのうちの1つで球状フォーカスをカウントし、次いでこの数に20を掛けることによって行った。
結果及び結論
このアッセイにおける最小の検出可能な相分離濃度(MPSC)のすぐ下とMPSCのすぐ上との間で起こる移行が、行われたすべての反応において非常に突然起こることが観察された。MPSCのすぐ下では、検出可能な相分離した水性粒子は全く観察されず、溶液は視覚的に検出可能な粒子(球状フォーカス)が空であることが見出された。MPSCを超えると、移行が非常に明白であり、数百の視覚的に検出可能な粒子(球状フォーカス)が突然形成された。
球状フォーカスのサイズは変化し、IDRタグ及び使用した二価金属カチオンと相互に関連していることが見出された。球状フォーカスの特定のサイズは重要ではないと判断された。
球状フォーカスは、形状が広く球形の粒子状構造として存在していた。任意の所与のIDRタグ及び任意の所与の二価金属イオンの組み合わせについて、球状フォーカスの集団の平均直径は、標準的な方法を使用して容易に決定することができる。
個々の融合タンパク質を使用した結果を以下に概説する。
Gp32-HIS2融合タンパク質
これらの条件で検出可能な相分離した水性粒子の形成を増強するのに必要なマグネシウムの最小濃度は10mMであると決定され、約600個の粒子(球状フォーカス)が視野内でカウントされた。
これらの条件で検出可能な相分離した水性粒子の形成を増強するのに必要なカルシウムイオンの最小濃度は12mMであると決定され、約500個の粒子(球状フォーカス)が視野内でカウントされた。
これらの条件で検出可能な相分離した水性粒子の形成を増強するのに必要なマンガンイオンの最小濃度は2mMであると決定され、約180個の粒子(球状フォーカス)が視野内でカウントされた。
代表的な拡大画像を図10Aに示す。
Gp32-HRP1融合タンパク質
これらの条件において、検出可能な相分離した水性粒子の形成を増強するために必要なマグネシウムイオンの最小濃度は、16mMであると決定された。この濃度で、約580個の粒子(球状フォーカス)が視野内でカウントされた。
これらの条件で検出可能な相分離した水性粒子の形成を増強するのに必要なカルシウムイオンの最小濃度は、24mMであると決定された。この濃度で、約240個の粒子(球状フォーカス)が視野内でカウントされた。
これらの条件で検出可能な相分離した水性粒子の形成を増強するのに必要なマンガンイオンの最小濃度は6mMであると決定された。この濃度で、約260個の粒子(球状フォーカス)が視野内でカウントされた。
代表的な拡大画像を図10Bに示す。
Gp32-Sup1融合タンパク質
これらの条件において、検出可能な相分離した水性粒子の形成を増強するために必要なマグネシウムイオンの最小濃度は、24mMであると決定された。この濃度で、約280個の粒子(球状フォーカス)が視野内でカウントされた。
これらの条件で検出可能な相分離した水性粒子の形成を増強するのに必要なカルシウムイオンの最小濃度は、32mMであると決定された。この濃度で、約460個の粒子(球状フォーカス)が視野内でカウントされた。
これらの条件で検出可能な相分離した水性粒子の形成を増強するのに必要なマンガンイオンの最小濃度は4mMであると決定された。この濃度で、約220個の粒子(球状フォーカス)が視野内でカウントされた。
代表的な拡大画像を図10Cに示す。
Gp32-Fib融合タンパク質
これらの条件で検出可能な相分離した水性粒子の形成を増強するのに必要なマグネシウムイオンの最小濃度は、500μMであると決定された。この濃度で、約340個の粒子(球状フォーカス)が視野内でカウントされた。
これらの条件で検出可能な相分離した水性粒子の形成を増強するのに必要なカルシウムイオンの最小濃度は、1mMであると決定された。この濃度で、約500個の粒子(球状フォーカス)が視野内でカウントされた。
これらの条件で検出可能な相分離した水性粒子の形成を増強するのに必要なマンガンイオンの最小濃度は、500μMであると決定された。この濃度で、約360個の粒子(球状フォーカス)が視野内でカウントされた。
代表的な拡大画像を図10Dに示す。
これらのアッセイを使用して、タンパク質にタグ付けされたときのインビトロ生化学環境における検出可能な相分離した水性粒子の形成を増強するIDR又はIDRドメインの機能的能力は、10個以上の粒子(球状フォーカス)が218μm×175μmの拡大領域において倍率400倍で形成されたときに立証され得ることが決定された。タンパク質にタグ付けされた場合にインビトロ生化学環境において相分離を誘導するIDR又はIDRドメインの機能的能力は、好ましくは50個以上の粒子(球状フォーカス)が218μm×175μmの拡大領域内で倍率400倍で形成された場合、より好ましくは100個以上の粒子(球状フォーカス)が形成された場合に立証され得る。
本明細書で使用される「球状フォーカス」という用語は、「小球」、「粒子」又は「球状粒子」と同義であり、これらの用語は互換的に使用することができる。
例11.多価金属カチオンの存在下でのIDRタグによる球状フォーカスの形成。
実験の目的及び概要
この実験は、インビトロ生化学反応系において、多価金属カチオンが、それぞれが天然変性領域(IDR)ドメインアミノ酸配列を含むタグを有するいくつかのGp32融合タンパク質によって駆動される/引き起こされる相分離の促進に及ぼす影響を評価するために行われた。
例は、IDRドメインアミノ酸配列を含むタグが相分離を促進/増強することができ、この効果が様々な多価金属カチオンの存在下で起こることを実証する。
材料及び方法
Gp32-Fib融合タンパク質
使用したIDRドメインタグの具体的なアミノ酸配列は、PGFSPRGGGFGGRGGFGDRGGRGGRGGFGGGRGRGGGFRGRGR(配列番号1)であった。これをファージvB EcoM NBG1 Gp32のC末端に結合させた。組換え融合タンパク質を、試験中の融合タンパク質のまさにC末端に配置された、すなわち融合タンパク質のC末端のIDRドメインタグの後に配置された追加のヘプタヒスチジンタグに依存する標準的な1段階固定化金属(ニッケル)親和性クロマトグラフィーを使用して精製した。Gp32-Fib融合タンパク質の完全なアミノ酸配列は、配列番号69として提供される(表23)。
Gp32-Sup1融合タンパク質
使用したIDRドメインタグの具体的なアミノ酸配列は、YNPQGGYQQ(配列番号19)であった。これをファージvB EcoM NBG1 Gp32のC末端に結合させた。組換え融合タンパク質を、試験中の融合タンパク質のまさにC末端に配置された、すなわち融合タンパク質のC末端のIDRドメインタグの後に配置された追加のヘプタヒスチジンタグに依存する標準的な1段階固定化金属(ニッケル)親和性クロマトグラフィーを使用して精製した。Gp32-Sup1融合タンパク質の完全なアミノ酸配列は、配列番号72(表23)として提供される。
Gp32-HIS2融合タンパク質
使用したIDRドメインタグの具体的なアミノ酸配列は、AGHHHHHPHAHHPLSQSSGHHHHHHHHHHQGYGGSG(配列番号24)であった。これをファージvB EcoM NBG1 Gp32のC末端に結合させた。組換え融合タンパク質を、試験中の融合タンパク質のIDRドメインタグに天然に存在するヒスチジンに依存する標準的な1段階固定化金属(ニッケル)親和性クロマトグラフィーを使用して精製した。Gp32-HIS2融合タンパク質の完全なアミノ酸配列は、配列番号82として提供される(表23)。
Gp32-HRP1融合タンパク質
使用したIDRドメインタグの具体的なアミノ酸配列は、GGNNGGNNMNRRGGNFGNQGDFNQMYQNPMMGGYNPMMNPQAMTDYYQKMQEYYQQMQ(配列番号9)であった。これをファージvB EcoM NBG1 Gp32のC末端に結合させた。組換え融合タンパク質を、試験中の融合タンパク質のまさにC末端に配置された、すなわち融合タンパク質のC末端のIDRタグの後に配置された追加のヘプタヒスチジンタグに依存する標準的な1段階固定化金属(ニッケル)親和性クロマトグラフィーを使用して精製した。Gp32-HRP1融合タンパク質の完全なアミノ酸配列は、配列番号79として提供される(表23)。
Gp32-HIS5融合タンパク質
使用したIDRドメインタグの具体的なアミノ酸配列は、SGHHGAHHGAHHPAAAAAYEAFRGPGFAGGGGADDMGAGHHHGAHHAAHHHHAAHHHHHHHHHHGGAGHGGGAGHH(配列番号27)であった。これをファージvB EcoM NBG1 Gp32のC末端に結合させた。組換え融合タンパク質を、試験中の融合タンパク質のIDRドメインタグに天然に存在するヒスチジンに依存する標準的な1段階固定化金属(ニッケル)親和性クロマトグラフィーを使用して精製した。Gp32-HIS5融合タンパク質の完全なアミノ酸配列は、配列番号85として示されている。
相分離アッセイ
以下に概説する方法は、試験したすべての融合タンパク質に適用される。使用した融合タンパク質溶液の体積は、精製後のタンパク質濃度に依存した。
それぞれの場合において、1000ng/μl(29.4μM)の最終濃度のタグ付き融合タンパク質及び二価金属カチオンを含む50μlの溶液を作製した。試験した金属イオンは、Mg2+(MgOAc)、Mn2+(MnCl)及びCa2+(CaCl)であり、いずれの場合もこれらを20mMの最終濃度で使用した。
水、IDR-タグ付きタンパク質及び多価金属カチオンを含む混合物の構成後、混合物をボルテックスし、スピンダウンし、混合物の10μlの試料をDHC-B01 C-Chip血球計スライドに移した。次いで、スライドを、明視野顕微鏡を使用して倍率400倍で画像化した。相分離を、倍率によって視覚的に同定することができ、血球計を使用してカウントすることができる球状様の球状フォーカス(粒子)の形成によって評価した。
結果及び結論
代表的な拡大画像を図11A~図11Eに示す。
試験したIDR-タグ付きGp32融合タンパク質のそれぞれについて、検出可能な球状様相分離粒子(球状フォーカス)の形成によって決定されるような検出可能な相分離が観察された。いずれの場合も、Mg2+、Mn2+及びCa2+二価金属イオンの存在下で効果が観察された。
したがって、多価金属イオンが相分離を誘導/増強する能力は、全く異なるアミノ酸配列を有する広範囲の異なるIDRタグに適用可能な一般的特性であると思われる。
例12.サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)Hrp1由来のIDRタグを有するGp32による球状フォーカスの形成。
実験の目的及び概要
この実験は、クラウディング剤の非存在下での例示的なインビトロ生化学反応環境において球状フォーカスを形成する際の、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)Hrp1タンパク質の天然変性領域(IDR)を含むタグを含むGp32融合タンパク質調製物の能力を評価するために行われた。
例は、IDRドメインアミノ酸配列を含むタグが、例示的なインビトロ生化学反応環境及びクラウディング剤の非存在下で、検出可能な相分離した水性粒子の形成によって決定されるように、相分離を促進/増強することができたことを実証する。
材料及び方法
使用したIDRドメインタグの具体的なアミノ酸配列は、GGNNGGNNMNRRGGNFGNQGDFNQMYQNPMMGGYNPMMNPQAMTDYYQKMQEYYQQMQ(配列番号9)であった。これをファージvB EcoM NBG1 Gp32のC末端に結合させた。組換え融合タンパク質を、試験中の融合タンパク質のまさにC末端に配置された、すなわち融合タンパク質のC末端のIDRタグの後に配置された追加のヘプタヒスチジンタグに依存する標準的な1段階固定化金属(ニッケル)親和性クロマトグラフィーを使用して精製した。融合タンパク質をGp32-HRP1と命名した。融合タンパク質の完全なアミノ酸配列を配列番号79として示す(表23)。
IDRドメイン配列タグの効果を試験するために、例示的なインビトロ生化学反応環境を作製した。この場合、環境は、リコンビナーゼポリメラーゼ増幅反応を特徴とする環境であった。
以下のプロトコルに従って反応を設定した。以下の成分:25mM トリスHCl pH8.3、7.5mM KOAc、1mM DTT、2.5mM ATP、20mMホスホクレアチン、1μMクレアチンキナーゼ、1mM dNTP、0.2μMフォワードプライマー、0.2μMリバースプライマー、0.516μMプローブ、22.6μM Gp32-HRP融合物、8.4μM UvsX、15.3μM UvsY、0.135μM 黄色ブドウ球菌(S.aureus)DNAポリメラーゼ(大サブユニット)、及び0.27μMエキソヌクレアーゼIIIを用いて反応混合物を作製した。Gp32、UvsX、UvsY、ポリメラーゼ及びエキソヌクレアーゼIIIをプレミックスとして調製した後、プライマー、緩衝液、ヌクレオチド及びクレアチンキナーゼの混合物に一段階で添加した。総体積は44μlであった。合わせたら、6μlの280mM MgOAcを混合物に添加して、33mMの最終濃度を達成した。次いで、10μlの反応混合物を、39℃に設定した加熱ステージに置いたCチップ血球計スライドに移した後、顕微鏡下で観察し、明視野光条件下及び蛍光条件下で画像を撮影した。
関連するプライマー及びプローブを以下に示す。
フォワードプライマー:CGCCTGCAAGTCCTAAGACGCCAATCGAAAAGAAAC(配列番号98)。
リバースプライマー:CTGCATCTCCGTGGTATACTAATACATTGTTTTTA(配列番号99)。
プローブ:FAM(フルオレセイン)で標識したCCGCAATGGTGCACTCTCAGTACAATCTGCTCTGATG(配列番号104)。
結果及び結論
図12に示すように、Gp32に結合したHRPタグは、(蛍光標識プローブによって検出されるように)オリゴヌクレオチド中で高密度であると見られた多くの検出可能な相分離した水性粒子(球状フォーカス)の形成を促進した。
Gp32タンパク質をヘプタヒスチジン配列のみでタグ化し、HRP IDRタグでタグ付けしなかったことを除いて、同一の材料及び条件で別個の実験を行った。これらの実験では、球状フォーカスは形成されず(データは示さず)、球状フォーカスの形成がIDRタグによって特異的に駆動されたこと、及びその結果、ヘプタヒスチジン配列が本明細書に記載の機能的IDRではないことを示している。
結果は、インビトロ生化学反応環境、この場合はリコンビナーゼポリメラーゼ増幅反応を特徴とする反応混合物環境、及びクラウディング剤の非存在下で、IDRドメインタグ、この場合は上記のサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)HRP1アミノ酸配列タグによって表されるIDRドメインタグが、検出可能な相分離を促進する機能的能力を実証する。
例13.ヒトOtx1由来のIDRタグを有するGp32による球状フォーカスの形成。
実験の目的及び概要
この実験は、クラウディング剤の非存在下での例示的なインビトロ生化学反応環境において球状フォーカスを形成する際の、ヒトOtx1タンパク質の天然変性領域(IDR)を含むタグを含むGp32融合タンパク質調製物の能力を評価するために行われた。
例は、IDRドメインアミノ酸配列を含むタグが、例示的なインビトロ生化学反応環境及びクラウディング剤の非存在下で検出可能な相分離を促進することができたことを実証する。
材料及び方法
使用したIDRドメインタグの具体的なアミノ酸配列は、AGHHHHHPHAHHPLSQSSGHHHHHHHHHHQGYGGSG(配列番号24)であった。これをファージvB EcoM NBG1 Gp32のC末端に結合させた。組換え融合タンパク質を、試験中の融合タンパク質のIDRドメインタグに天然に存在するヒスチジンに依存する標準的な1段階固定化金属(ニッケル)親和性クロマトグラフィーを使用して精製した。融合タンパク質をGp32-HIS2と命名した。融合タンパク質の完全なアミノ酸配列を配列番号82として示す(表23)。
IDRドメイン配列タグの効果を試験するために、例示的なインビトロ生化学反応環境を作製した。この場合、環境は、リコンビナーゼポリメラーゼ増幅反応を特徴とする環境であった。
以下のプロトコルに従って反応を設定した。以下の成分:25mM トリスHCl pH8.3、7.5mM KOAc、1mM DTT、2.5mM ATP、20mMホスホクレアチン、1μMクレアチンキナーゼ、1mM dNTP、0.2μMフォワードプライマー、0.2μMリバースプライマー、0.516μMプローブ、22.6μM Gp32-HIS2融合物、8.4μM UvsX、15.3μM UvsY、0.135μM 黄色ブドウ球菌(S.aureus)DNAポリメラーゼ(大サブユニット)、及び0.27μMエキソヌクレアーゼIIIを用いて反応混合物を作製した。Gp32-His2、UvsX、UvsY、ポリメラーゼ及びエキソヌクレアーゼIIIをプレミックスとして調製した後、プライマー、緩衝液、ヌクレオチド及びクレアチンキナーゼの混合物に一段階で添加した。総体積は44μlであった。合わせたら、6μlの280mM MgOAcを混合物に添加して、33mMの最終濃度を達成した。次いで、10μlの反応混合物を、39℃に設定した加熱ステージに置いたCチップ血球計スライドに移した後、顕微鏡下で観察し、明視野光条件下及び蛍光条件下で画像を撮影した。
関連するプライマー及びプローブを以下に示す。
フォワードプライマー:CGCCTGCAAGTCCTAAGACGCCAATCGAAAAGAAAC(配列番号98)。
リバースプライマー:CTGCATCTCCGTGGTATACTAATACATTGTTTTTA(配列番号99)。
プローブ:FAM(フルオレセイン)で標識したCCGCAATGGTGCACTCTCAGTACAATCTGCTCTGATG(配列番号104)。
結果及び結論
図13に示すように、Gp32に結合したHIS2 IDRタグは、(蛍光標識プローブによって検出されるように)オリゴヌクレオチド中で高密度であると見られた多くの検出可能な相分離した水性粒子(球状フォーカス)の形成を促進した。本明細書中にさらに記載されるように、HRP IDRタグがGp32に結合したときに形成されるものと比較して、小球のサイズがより小さく見えることに留意されたい。
結果は、インビトロ生化学反応環境、この場合はリコンビナーゼポリメラーゼ増幅反応を特徴とする反応混合物環境、及びクラウディング剤の非存在下で、IDRドメインタグ、この場合は上記のHIS2アミノ酸配列タグによって表されるIDRドメインタグが、検出可能な相分離を促進する機能的能力を実証する。
例14.サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)Hrp1由来のIDRタグを有するGp32による球状フォーカスの形成に対する多価金属カチオンの効果。
実験の目的及び概要
この実験を、クラウディング剤の非存在下での例示的なインビトロ生化学反応環境において球状フォーカスを形成する際の、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)Hrp1タンパク質の天然変性領域(IDR)を含むタグを含むGp32融合タンパク質調製物の能力に対する多価金属カチオンの効果を評価するために行った。
例は、IDRドメインアミノ酸配列を含むタグが、検出可能な相分離した水性粒子の形成によって決定されるように、クラウディング剤の非存在下で相分離を促進/増強することができ、多価金属カチオンの存在下で相分離が増強され、相分離を促進するための最適化された濃度を決定することができることを実証する。
材料及び方法
使用したIDRドメインタグの具体的なアミノ酸配列は、GGNNGGNNMNRRGGNFGNQGDFNQMYQNPMMGGYNPMMNPQAMTDYYQKMQEYYQQMQ(配列番号9)であった。これをファージvB EcoM NBG1 Gp32のC末端に結合させた。組換え融合タンパク質を、試験中の融合タンパク質のまさにC末端に配置された、すなわち融合タンパク質のC末端のIDRタグの後に配置された追加のヘプタヒスチジンタグに依存する標準的な1段階固定化金属(ニッケル)親和性クロマトグラフィーを使用して精製した。融合タンパク質をGp32-HRP1と命名した。融合タンパク質の完全なアミノ酸配列を配列番号79として示す(表23)。
様々な濃度の二価金属カチオンの存在下でIDRドメイン配列タグの効果を試験するために、例示的なインビトロ生化学反応環境を作製した。この場合、環境は、リコンビナーゼポリメラーゼ増幅反応を特徴とする環境であった。
以下のプロトコルに従って反応を設定した。以下の成分:25mM トリスHCl pH8.3、7.5mM KOAc、1mM DTT、2.5mM ATP、20mMホスホクレアチン、1μMクレアチンキナーゼ、1mM dNTP、0.26μMフォワードプライマー、0.26μMリバースプライマー、0.4μMプローブ、22.6μM Gp32-HRP融合物、8.4μM UvsX及び15.3μM UvsYを用いて反応混合物を作製した。Gp32、UvsX及びUvsYをプレミックスとして調製した後、プライマー、緩衝液、ヌクレオチド及びクレアチンキナーゼの混合物に一段階で添加した。MgOAcを混合物に添加して、関連する図に示す最終濃度を達成した。次いで、10μlの反応混合物を、39℃に設定した加熱ステージに置いたCチップ血球計スライドに移した後、顕微鏡下で観察し、明視野光条件下及び蛍光条件下で画像を撮影した。
関連するプライマー及びプローブを以下に示す。
フォワードプライマー:CGCCTGCAAGTCCTAAGACGCCAATCGAAAAGAAAC(配列番号98)。
リバースプライマー:CTGCATCTCCGTGGTATACTAATACATTGTTTTTA(配列番号99)。
プローブ:FAM(フルオレセイン)で標識したCCGCAATGGTGCACTCTCAGTACAATCTGCTCTGATG(配列番号104)。
結果及び結論
図14A及び図14Bに示すように、Gp32に結合したHRP IDRタグは、(蛍光標識プローブによって検出されるように)オリゴヌクレオチド中で高密度であると見られた多くの検出可能な相分離した水性粒子(球状フォーカス)の形成を促進した。
球状フォーカスは、22.4mM MgOAcで明確に見えた。球状フォーカスの最適な形成は、33mM MgOAcで生じた。33mMを超える濃度で、小球のいくらかの凝集塊が観察され始めた。
注目すべきことに、33mM MgOAcは、本明細書中に記載されるように、クラウディング剤の非存在下でIDR-タグ付きGp32を使用するリコンビナーゼポリメラーゼ増幅(RPA)反応において最適な増幅効率が観察されるマグネシウムの濃度である。したがって、球状フォーカスのIDRタグ媒介形成の効率は、驚くべきことに、クラウディング剤の非存在下でのインビトロ系における例示的な生化学反応、この場合、試験生化学系の一例としてIDR-タグ付きタンパク質を使用したRPA反応における増幅の効率と相関する。
結果は、クラウディング剤の非存在下での生化学反応の効率を駆動/増加させる際のIDRドメイン配列タグの性能が相分離の効率と相関することができ、これが次に、天然変性領域又はドメインの機能に影響を及ぼす系に含まれる多価金属カチオン又はその機能的等価物の濃度によって強化されるように見えるという驚くべき結論を裏付けている。
例15.ヒトOtx1由来のIDRタグを有するGp32による球状フォーカスの形成に対する多価金属カチオンの効果。
実験の目的及び概要
この実験を、クラウディング剤の非存在下での例示的なインビトロ生化学反応環境において粒子/球状フォーカスを形成する際の、ヒトOtx1タンパク質の天然変性領域(IDR)を含むタグを有するGp32融合タンパク質の能力に対する多価金属カチオンの効果を評価するために行った。
例は、IDRドメインアミノ酸配列を含むタグが、例示的なインビトロ生化学反応環境及びクラウディング剤の非存在下で検出可能な相分離を促進することができ、検出可能な相分離が多価金属カチオンの存在によって増強され、検出可能な相分離を促進するための最適化された濃度を決定することができることを実証する。
材料及び方法
使用したIDRドメインタグの具体的なアミノ酸配列は、AGHHHHHPHAHHPLSQSSGHHHHHHHHHHQGYGGSG(配列番号24)であった。これをファージvB EcoM NBG1 Gp32のC末端に結合させた。組換え融合タンパク質を、試験中の融合タンパク質のIDRドメインタグに天然に存在するヒスチジンに依存する標準的な1段階固定化金属(ニッケル)親和性クロマトグラフィーを使用して精製した。融合タンパク質をGp32-HIS2と命名した。融合タンパク質の完全なアミノ酸配列を配列番号82として示す(表23)。
様々な濃度の二価金属カチオンの存在下でIDRドメイン配列タグの効果を試験するために、例示的なインビトロ生化学反応環境を作製した。この場合、環境は、リコンビナーゼポリメラーゼ増幅反応を特徴とする環境であった。
以下のプロトコルに従って反応を設定した。以下の成分:25mM トリスHCl pH8.3、7.5mM KOAc、1mM DTT、2.5mM ATP、20mMホスホクレアチン、1μMクレアチンキナーゼ、1mM dNTP、0.26μMフォワードプライマー、0.26μMリバースプライマー、0.4μMプローブ、20μM Gp32-HIS2融合物、8.4μM UvsX及び8.6μM UvsYを用いて反応混合物を作製した。Gp32、UvsX及びUvsYをプレミックスとして調製した後、プライマー、緩衝液、ヌクレオチド及びクレアチンキナーゼの混合物に一段階で添加した。MgOAcを混合物に添加して、関連する図に示す最終濃度を達成した。次いで、10μlの反応混合物を、39℃に設定した加熱ステージに置いたCチップ血球計スライドに移した後、顕微鏡下で観察し、明視野光条件下及び蛍光条件下で画像を撮影した。
関連するプライマー及びプローブを以下に示す。
フォワードプライマー:CGCCTGCAAGTCCTAAGACGCCAATCGAAAAGAAAC(配列番号98)。
リバースプライマー:CTGCATCTCCGTGGTATACTAATACATTGTTTTTA(配列番号99)。
プローブ:FAM(フルオレセイン)で標識したCCGCAATGGTGCACTCTCAGTACAATCTGCTCTGATG(配列番号104)。
結果及び結論
図15A及び図15Bに示されるように、Gp32に結合したHIS2タグは、(蛍光標識プローブによって検出されるように)オリゴヌクレオチドにおいて高密度であると見られた多くの球状フォーカスの形成を促進した。
球状フォーカスは、22.4mM MgOAcで明確に見えた。球状フォーカスの最適な形成は、33~39mM MgOAcの間で生じた。39mMを超える濃度で、小球のいくらかの凝集塊が観察され始めた。
注目すべきことに、33mM~39mMのMgOAcは、本明細書中に記載されるように、クラウディング剤の非存在下でIDR-タグ付きGp32を使用するリコンビナーゼポリメラーゼ増幅(RPA)反応において最適な増幅効率が観察されるマグネシウムの濃度である。したがって、球状フォーカスのIDRタグ媒介形成の効率は、驚くべきことに、クラウディング剤の非存在下でのインビトロ系における例示的な生化学反応、この場合、試験生化学系の一例としてIDR-タグ付きタンパク質を使用したRPA反応における増幅の効率と相関する。
結果は、クラウディング剤の非存在下での生化学反応の効率を駆動/増加させる際のIDRドメイン配列タグの性能が相分離の効率と相関することができ、これが次に、天然変性領域又はドメインの機能に影響を及ぼす系に含まれる多価金属カチオン又はその機能的等価物の濃度によって強化されるように見えるという驚くべき結論を裏付けている。
例16.サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)Hrp1由来のIDRタグを有するGp32による球状フォーカスの形成に対するマグネシウム濃度の効果。
実験の目的及び概要
この実験は、クラウディング剤の非存在下での例示的なインビトロ生化学反応環境において球状フォーカスを形成する際の、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)Hrp1タンパク質の天然変性領域(IDR)を含むタグを含むGp32融合タンパク質調製物の能力に対するマグネシウムイオンの効果を評価するために行われた。
例は、IDRドメインアミノ酸配列を含むタグが、検出可能な相分離した水性粒子の形成によって決定されるように、例示的なインビトロ生化学反応環境及びクラウディング剤の非存在下で相分離を促進/増強することができたこと、相分離がマグネシウムイオンの存在に依存すること、及び反応混合物のすべてのタンパク質成分が、バルク相ではなく相分離粒子と会合していることが見出されたことを実証する。
材料及び方法
使用したIDRドメインタグの具体的なアミノ酸配列は、GGNNGGNNMNRRGGNFGNQGDFNQMYQNPMMGGYNPMMNPQAMTDYYQKMQEYYQQMQ(配列番号9)であった。これをファージvB EcoM NBG1 Gp32のC末端に結合させた。組換え融合タンパク質を、試験中の融合タンパク質のまさにC末端に配置された、すなわち融合タンパク質のC末端のIDRタグの後に配置された追加のヘプタヒスチジンタグに依存する標準的な1段階固定化金属(ニッケル)親和性クロマトグラフィーを使用して精製した。融合タンパク質をGp32-HRP1と命名した。融合タンパク質の完全なアミノ酸配列を配列番号79として示す(表23)。
マグネシウムイオンの存在下又は非存在下のいずれかでIDRドメイン配列タグの効果を試験するために、例示的なインビトロ生化学反応環境を作製した。
以下のプロトコルに従って反応を設定した。以下の成分:25mM トリスHCl pH8.3、7.5mM KOAc、1mM DTT、2.5mM ATP、20mMホスホクレアチン、1μMクレアチンキナーゼ、0.4μMフォワードプライマー、0.4μMリバースプライマー、0.4μMプローブ、20.26μM Gp32-HRP融合物、5μM UvsX、8.67μM UvsY、0.127μM 黄色ブドウ球菌(S.aureus)DNAポリメラーゼ(大サブユニット)及び0mM又は33.6mMのいずれかのMgOAcを含む1mlの反応混合物を作製した。
関連するプライマー及びプローブを以下に示す。
フォワードプライマー:CGCCTGCAAGTCCTAAGACGCCAATCGAAAAGAAAC(配列番号98)。
リバースプライマー:CTGCATCTCCGTGGTATACTAATACATTGTTTTTA(配列番号99)。
プローブ:FAM(フルオレセイン)で標識したCCGCAATGGTGCACTCTCAGTACAATCTGCTCTGATG(配列番号104)。
完成した混合物の写真を撮影した。
混合物を2,000rcfで1分間回転させた。上清をMgOAc混合物から除去した。33.6mM MgOAcとの混合物には、相分離した小球/粒子で構成されていると考えられる小さなペレットが残っていた。MgOAcを含まない混合物では、同様のペレットは見られなかった。10μlの1% SDS溶液を可溶化のためにペレットに添加した。ペレットの体積は4.5μlと推定され、推定総体積は14.5μlであった。各試料1μlをSDS-PAGEで分析した。
結果及び結論
図16Aに示すように、1mlのRPA混合物に酢酸マグネシウムを添加すると、混合物が不透明になった。これは、酢酸マグネシウムの非存在下では観察されなかった。この不透明な効果は、同等のより小さな反応で見られるのと同じ効果であり、顕微鏡法によって2~3ミクロンの範囲、典型的にはナノリットル当たり約200~400粒子であると推定される典型的な直径を有する球状フォーカス/相分離粒子が形成されることが観察された場合であった。遠心分離に供した場合、これらの不透明な混合物は清澄化され、ペレット又は下相がチューブの底部に形成されるのが見られ、これは、一緒になって単一の体積にされた粒子の塊であると仮定された(図16B)。このペレット画分の推定体積は約4μlであり、これは、3μmの平均粒径(したがって、約13フェムトリットルの体積)及びナノリットル当たり約400個の粒子の存在量を仮定して形成されると予想される粒子の予測総体積であり、血球計/顕微鏡視野計算に基づいて40万個粒子/マイクロリットルであり、混合物1マイクロリットル当たり約5nlの粒子、したがって混合物ml当たり約5マイクロリットルの推定体積を生成する。
酢酸マグネシウムの添加前後の1マイクロリットルのバルク混合物(又は清澄相)の分析は、添加前に様々なタンパク質が清澄な液体で予想されるように同定され得ることを示し、Gp32は質量で最も突出したタンパク質である。凝縮及び清澄の後、微量のタンパク質のみが上清中に見出すことができるが、ペレットはRPA混合物に添加されたすべてのタンパク質が非常に豊富である(図16C)。推定により、およそ200倍の濃度の反応物が達成され、総タンパク質がおよそ200μg/μlの濃度であったと仮定することができる。
結果は、RPA反応混合物のすべてのタンパク質成分、すなわちクレアチンキナーゼ、Gp32-HRP融合物、UvsX、UvsY及びポリメラーゼが、バルク相ではなく相分離粒子に会合することを実証している。
例17.生化学反応の効率を高めることにおける天然変性領域を含むアミノ酸配列の本質的な性質の実証。
実験の目的及び概要
この実験は、クラウディング剤の存在下又は非存在下のいずれかでの例示的なインビトロ生化学反応環境において、天然変性領域(IDR)を含むアミノ酸配列を含むタグを欠くGp32タンパク質の性能を評価するために行われた。
この例は、IDRドメインアミノ酸配列を含むタグの非存在下では、Gp32は、クラウディング剤の非存在下ではリコンビナーゼポリメラーゼ増幅を効率的に、かつ分析期間内にこのアッセイ系で検出が行われた時点まで媒介することができなかったことを実証する。例1~5などの上記の他の例と比較すると、これらのデータは、IDRドメインアミノ酸配列を含むタグが、クラウディング剤の非存在下での生化学反応の効率を高めるのに必須であることを立証する。
材料及び方法
ファージvB EcoM NBG1 Gp32タンパク質を、外因性IDRタグ又はヒスチジンタグのいずれの形態も欠くその天然形態で精製した。ヘパリン樹脂を用いてタンパク質を精製し、NaCl工程勾配で溶出した。400mM NaCl画分からの天然Gp32タンパク質を試験に供した。
クラウディング剤の存在下又は非存在下のいずれかでネイティブGp32タンパク質の効果を試験するために、例示的なインビトロ生化学反応環境を作製した。
以下のプロトコルに従って反応を設定した。
以下の成分:25mM トリスHCl pH8.3、7.5mM KOAc、1mM DTT、2.5mM ATP、20mMホスホクレアチン、1μMクレアチンキナーゼ、1mM dNTP、0.4μMフォワードプライマー、0.4μMリバースプライマー、0.12μMプローブ、20μM天然Gp32タンパク質、4.8μM UvsX、8.6μM UvsY、0.135μM 黄色ブドウ球菌(S.aureus)DNAポリメラーゼ(大サブユニット)及び0.27μMエキソヌクレアーゼIIIを含むPEG非含有反応混合物を作製した。
PEGベースの反応混合物を、以下の成分:50mM トリスHCl pH8.3、100mM KOAc、1mM DTT、2.5mM ATP、50mMホスホクレアチン、1μMクレアチンキナーゼ、1mM dNTP、0.4μMフォワードプライマー、0.4μMリバースプライマー、0.12μMプローブ、20μM天然Gp32タンパク質、4.8μM UvsX、8.6μM UvsY、0.27μM 黄色ブドウ球菌(S.aureus)DNAポリメラーゼ(大サブユニット)、0.27μMエキソヌクレアーゼIII及び関連する図に示す最終濃度のPEGを用いて作製した。使用したPEGの種は、PEG分子量35,000であった。
すべての反応において、関連するプライマー及びプローブを以下に示す。
フォワードプライマー:CGCCTGCAAGTCCTAAGACGCCAATCGAAAAGAAAC(配列番号98)。
リバースプライマー:CTGCATCTCCGTGGTATACTAATACATTGTTTTTA(配列番号99)。
プローブ:CGAAAAGAAACACGCGGATGAAATCGATAAG[FAM] [THF][BHQ-1]ATACAAGGATTGGA(配列番号100)、式中、FAMはフルオレセインであり、THFはテトラヒドロフランであり、BHQはブラックホールクエンチャーである。
すべての反応を、33mM MgOAc及び100コピーのリステリア(Listeria)ゲノムDNA由来のDNA鋳型の添加によって開始した。次いで、反応物を39℃でインキュベートし、ベアリングボールを使用して磁気混合しながら蛍光光度計に入れた。
結果及び結論
図17に示すように、5.5% PEGの存在下で天然Gp32タンパク質による迅速な増幅が観察された。しかし、PEGの非存在下での天然Gp32タンパク質では増幅は観察されなかった。
上記の他の例、例えば例1~5では、Gp32タンパク質が天然変性領域(IDR)を含むアミノ酸配列でタグ付けされた場合にのみ、PEGの非存在下でGp32媒介増幅が観察された。
したがって、本明細書に記載される他の例に提示されるデータと合わせて、これらのデータは、インビトロ生化学反応の機能に不可欠なタンパク質成分に適用される天然変性領域(IDR)を含むアミノ酸配列を含むタグが、反応におけるクラウディング剤の必要性を回避することができ、IDRタグ配列の非存在下で観察される効率と比較して生化学反応の効率を高めることを立証する。
例18.ヒトOtx1由来のIDRタグを有するGp32を使用した固体表面でのリコンビナーゼポリメラーゼ増幅。
実験の目的及び概要
この実験は、ヒトホメオボックスタンパク質Otx1の天然変性領域(IDR)に見出されるヒスチジンリッチアミノ酸ドメイン配列を含むタグを含むGp32融合タンパク質調製物の性能を評価するために行われた。
この例は、リアルタイム及び終点アッセイの両方において、クラウディング剤の非存在下でヒスチジンリッチ天然変性領域(IDR)ドメイン(Otx1)でC末端にタグ付けされたGp32を使用した固体表面上の人工核酸鋳型のリコンビナーゼポリメラーゼ増幅(RPA)を実証する。
材料及び方法
使用したIDRドメインタグの具体的なアミノ酸配列は、AGHHHHHPHAHHPLSQSSGHHHHHHHHHHQGYGGSG(配列番号24)であった。これをファージvB EcoM NBG1 Gp32のC末端に結合させた。組換え融合タンパク質を、試験中の融合タンパク質のIDRドメインタグに天然に存在するヒスチジンに依存する標準的な1段階固定化金属(ニッケル)親和性クロマトグラフィーを使用して精製した。融合タンパク質をGp32-HIS2と命名した。融合タンパク質の完全なアミノ酸配列を配列番号82として示す(表23)。
次いで、組換えファージvB EcoM NBG1 Gp32融合タンパク質を、PEG非含有増幅において、すなわちクラウディング剤の非存在下で、固体表面上で試験した。試験は、異なる割合でビーズの表面に結合した2つのオリゴヌクレオチドプライマーを使用して実施した。増幅は、切断可能なクエンチされた蛍光プローブを使用してリアルタイムで、又はアニーリングされた蛍光プローブの終点検出によって、蛍光によって検出された。リアルタイム及び終点RPA反応の両方において、ビーズは同じであった。ビーズは、Bangs Laboratories,Inc.(https://www.bangslabs.com/)から供給され、カルボキシル化されたポリスチレンコアを有し、その上にヒドロゲルが成長し、オリゴヌクレオチドが共有結合していた。
リアルタイムRPA反応
25mM トリスHCl pH8.3、7.5mM KOAc、1mM DTT、2.5mM ATP、20mMホスホクレアチン、1μMクレアチンキナーゼ、1mM dNTP、120nMプローブ、20μM Gp32融合物、4.9μM UvsX、7.6μM UvsY、0.146μM 黄色ブドウ球菌(S.aureus)DNAポリメラーゼ及び0.34μMエキソヌクレアーゼIIIを混合することによって反応を設定した。反応混合物はまた、80万個のビーズ/μlを含み、各ビーズは、PA30フォワードプライマーとPB30リバースプライマーの混合物からなるビーズあたり約75万個のオリゴヌクレオチドプライマーを有する。
反応は、33.6mM MgOAc及びTF1Lと呼ばれる人工DNA鋳型を、反応混合物1μl当たり80万鋳型コピーの最終濃度で添加することによって開始した。
関連するプライマー、プローブ及び鋳型を以下に示す。
PA30フォワードプライマー:CCATCTCATCCCTGCGTGTCTCCGACTCAG(配列番号105)。
PB30リバースプライマー:CCTATCCCCTGTGTGCCTTGGCAGTCTCAG(配列番号106)。
プローブ:AGCAGAAGCAATACCGCCAGCAATAGCA[dT-FAM]G[THF]G[dT-クエンチャー]AGAGCGAGCTGCC(配列番号107)、式中、FAMはフルオレセインであり、THFはテトラヒドロフランであり、クエンチャーはブラックホールクエンチャーである。
TF1L鋳型配列:CCATCTCATCCCTGCGTGTCTCCGACTCAGTGTTTTAGGGTCCCCGGGGTTAAAAGGTTTCGAACTCAACAGCTGTCTGGCAGCTCGCTCTACGCATGCTATTGCTGGCGGTATTGCTTCTGCTCTTGCTGGTGGCGCCATGTCTAAATTGTTTGGAGCTGAGACTGCCAAGGCACACAGGGGATAGG(配列番号108)。
次いで、反応物をT8蛍光光度計において39℃で30分間インキュベートし、FAMチャネルにおける蛍光を記録した。
図18Aは、デュアルプライマービーズを使用したリアルタイム増幅のために設定された反応混合物を描いた模式図である。図18Bは、リアルタイム反応における増幅産物を描いた模式図である。
終点RPA反応
25mM トリスHCl pH8.3、7.5mM KOAc、1mM DTT、2.5mM ATP、20mMホスホクレアチン、1μMクレアチンキナーゼ、1mM dNTP、20μM Gp32融合物、4.9μM UvsX、7.6μM UvsY及び0.146μM 黄色ブドウ球菌(S.aureus)DNAポリメラーゼを混合することによって反応を設定した。反応混合物はまた、80万個のビーズ/μlを含み、各ビーズは、PA30フォワードプライマーとPB30リバースプライマーの混合物からなるビーズあたり約75万個のオリゴヌクレオチドプライマーを有する。
反応は、33.6mM MgOAc及びTF1Lと呼ばれる人工DNA鋳型を、反応混合物1μl当たり80万鋳型コピーの最終濃度で添加することによって開始した。
関連するプライマー及び鋳型を以下に示す。
PA30フォワードプライマー:CCATCTCATCCCTGCGTGTCTCCGACTCAG(配列番号105)。
PB30リバースプライマー:CCTATCCCCTGTGTGCCTTGGCAGTCTCAG(配列番号106)。
TF1L鋳型配列:CCATCTCATCCCTGCGTGTCTCCGACTCAGTGTTTTAGGGTCCCCGGGGTTAAAAGGTTTCGAACTCAACAGCTGTCTGGCAGCTCGCTCTACGCATGCTATTGCTGGCGGTATTGCTTCTGCTCTTGCTGGTGGCGCCATGTCTAAATTGTTTGGAGCTGAGACTGCCAAGGCACACAGGGGATAGG(配列番号108)。
次いで、反応物を39℃で30分間インキュベートし、次いで、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を1%最終濃度まで添加し、65℃に10分間加熱してタンパク質を変性させることによって停止させた。
SDSを、水で10倍に希釈し、ボルテックスし、約18,000gで15分間遠心分離し、次いで上清を除去することによって除去した。ビーズをTE pH8.0、0.05% Triton X-100緩衝液に再懸濁して、約80万ビーズ/μlを得た。
2つの蛍光オリゴヌクレオチドプローブ(ROXがカルボキシローダミンであり、FAMがフルオレセインであるPB30’プローブ(ROX-5’-CTGAGACTGCCAAGGCACACAGGGGATAGG;配列番号109)及びTF1Lプローブ(FAM-5’-GGTTTCGAACTCAACAGCTG;配列番号110))を、TE pH8.0、0.05% Triton X-100、100mM NaCl緩衝液中で、両方のプローブを1μM及び8万ビーズ/μlの最終濃度で、ビーズにハイブリダイズさせた。95℃まで2分間加熱した後、25℃まで0.1℃/秒で冷却してハイブリダイゼーションを行った。陽性対照は、既にTF1Lアンプリコンが結合しているビーズを使用して実行した。次いで、ビーズを洗浄して、ハイブリダイゼーション混合物をTE pH8.0、0.05% Triton X-100緩衝液で6倍希釈し、約18,000gで15分間遠心分離することによって未ハイブリダイズのプローブを除去し、次いで可能な限り多くの上清を除去した。ビーズをTE pH8.0、0.05% Triton X-100緩衝液に再懸濁した。次いで、反応物をT8蛍光光度計(FAMレベルを17%に設定、ROXレベルを8%に設定)において39℃で5分間インキュベートし、FAM及びROXチャネルにおける蛍光を記録した。
図18Cは、終点反応における増幅特性評価を描いた模式図である。
結果
リアルタイムRPA反応
図18Dは、特異的エキソヌクレアーゼ切断プローブを用いたTF1Lアンプリコンのリアルタイム蛍光検出を示す。図中に特定されるPA30プライマーのパーセンテージは、PA30オリゴヌクレオチドであるビーズ結合オリゴヌクレオチドのパーセンテージを示し、ビーズ結合オリゴヌクレオチドの残りはPB30オリゴヌクレオチドである。増幅は、すべてのPA30及びPB30オリゴヌクレオチドプライマーがビーズに結合している場合、並びにPA30及びPB30オリゴヌクレオチドプライマーが液相にある場合、又はPB30がビーズに結合しておりPA30が液相にある場合に検出される。ビーズ上にPB30のみが存在する場合、及びPA30が存在しない場合、増幅は検出されなかった。
終点RPA反応
TF1Lアンプリコンの終点蛍光検出を、PB30オリゴヌクレオチドプライマー(ROX標識、図18E)及びTF1Lアンプリコン(FAM標識、図18F)に特異的なプローブを使用して観察した。図中に指定されるパーセンテージは、PA30オリゴヌクレオチドであるビーズ結合オリゴヌクレオチドのパーセンテージを示し、ビーズ結合オリゴヌクレオチドの残りはPB30オリゴヌクレオチドである。以下の表は、各ビーズタイプの蛍光レベル、TF1Lプローブ蛍光対PB30’プローブ蛍光の比、及び不完全な洗浄によって引き起こされるバックグラウンド蛍光を説明するためにTF1Lアンプリコンが直接結合した未増幅対照ビーズに対して正規化された同じ比を示す。
Figure 2023501002000051
結論
リアルタイム及び終点アッセイの両方において、Gp32-HIS2融合タンパク質を使用して、PEGなどのクラウディング剤の非存在下での核酸増幅が効率的に起こることが見出された。
例19.天然変性領域を含むアミノ酸配列の同定。
ファージvB EcoM NBG1 Gp32、T4 UvsY及びT4 UvsXのアミノ酸配列を、MetaDisorderソフトウェアプログラム(MetaDisorder:タンパク質の天然変性を予測するためのメタサーバー。Kozlowshi,L.P.ら、BMC Bioinformatics,2012,13(1):111)によって調べた。
図19A、図19B及び図19Cにそれぞれ示すように、ファージvB EcoM NBG1 Gp32、T4 UvsY及びT4 UvsXの全長アミノ酸配列は、アルゴリズムによって分析した場合に0.5を超えるスコアを有するアミノ酸配列ストレッチを含み、したがって天然変性領域配列を含む。
この例は、天然変性領域配列又はそのドメインが、標準的な分析方法を用いて容易に同定され得ることを実証する。
例20.ヒトOtx1由来のIDRタグを有するRB69リガーゼとRB69リガーゼの相分離促進活性の比較
実験の目的及び概要
この実験は、ヒトホメオボックスタンパク質Otx1(His2タグ)の天然変性領域(IDR)に見出されるヒスチジンリッチアミノ酸ドメイン配列を含むタグを含むリガーゼ酵素融合タンパク質調製物の相分離促進活性を評価するめに行われた。
実験は、クラウディング剤の非存在下でのRB69リガーゼ-His2による相分離した水性粒子(球状フォーカス)の形成がMg2+濃度によって増強されたが、RB69リガーゼによる球状フォーカスの形成は、Mg2+濃度とほとんど又は全く相関しなかったことを実証した。
材料及び方法
使用したIDRドメインタグの具体的なアミノ酸配列は、AGHHHHHPHAHHPLSQSSGHHHHHHHHHHQGYGGSG(配列番号24、表1)であった。これをRB69 DNAリガーゼのC末端に結合させた。組換え融合タンパク質及びIDR非含有タンパク質を、試験中の融合タンパク質のIDRドメインタグに天然に存在するヒスチジン及びIDR非含有タンパク質のC末端のポリヒスチジンタグに依存する標準的な1段階固定化金属(ニッケル)親和性クロマトグラフィーを用いて精製した。融合タンパク質をRB69リガーゼ-His2と命名し、IDR非含有タンパク質をRB69リガーゼと命名した。タンパク質の完全なアミノ酸配列を、下記のTable 24にそれぞれ配列番号111及び配列番号112として示されている。

Table 24
Figure 2023501002000052
実験で使用したプローブオリゴは、FAM(フルオレセイン)で標識したCCGCAATGGTGCACTCTCAGTACAATCTGCTCTGATG(配列番号104)であった。
1mg/mlの最終濃度のリガーゼ、50mMのNaCl、0.4μMのFAM-オリゴ及び関連する図に示される標的濃度のMgClを含む50μl溶液を作製した。次いで、10μlの反応混合物をCチップ血球計スライドに移し、明視野光条件下及び蛍光条件下で画像を撮影した。
結果及び結論
図20に示すように、RB69リガーゼ-His2は、Mg2+の存在下で(蛍光標識によって検出されるように)オリゴヌクレオチドプローブにおいて高密度であると見られた多くの相分離した水性粒子(球状フォーカス)の形成を増強した。タグなしRB69リガーゼは、20mM Mg2+でさえ、球状フォーカス形成の増強にほとんど効果がなかった。
例21.ヒトOtx1由来のIDRタグを有するRB69リガーゼのリガーゼ活性性能の評価。
実験の目的及び概要
この実験は、ヒトホメオボックスタンパク質Otx1(His2タグ)の天然変性領域(IDR)に見られるヒスチジンリッチアミノ酸ドメイン配列を含むタグを含むリガーゼ酵素融合タンパク質調製物のリガーゼ活性性能を評価するめに行われた。
この実験は、RB69リガーゼ-His2の濃度を増加させると、二重連結産物が増加することを実証した。
材料及び方法
使用したIDRドメインタグの具体的なアミノ酸配列は、AGHHHHHPHAHHPLSQSSGHHHHHHHHHHQGYGGSG(配列番号24、表1)であった。これをRB69 DNAリガーゼのC末端に結合させた。組換えIDR融合タンパク質を、試験中の融合タンパク質のIDRドメインタグに天然に存在するヒスチジンに依存する標準的な1段階固定化金属(ニッケル)親和性クロマトグラフィーを使用して精製した。融合タンパク質をRB69リガーゼ-His2と命名した。タンパク質の完全なアミノ酸配列を上記の表24に示す。
連結鋳型は、pUC19ベクター(New England Biolabs)から増幅された170bp断片(Lig170)であった。25μlのDreamTaq Green Master Mix(Thermo Fisher Scientific)、0.2μMのLig170_FWプライマー、0.2μMのLig170_RVプライマー、1pgのpUC19を混合することによって、50μlの増幅反応を設定した。PCR反応は、95℃で2分間、95℃で30秒、55℃で30秒、72℃で1分を35サイクル、続いて72℃で5分間の最終伸長を行った。増幅産物を2%アガロースゲルで泳動した。標的DNAのバンドを切除し、Monarch DNA Gel Extraction Kit(New England Biolabs)によって精製した。DNAを、T4ポリヌクレオチドキナーゼ(T4 PNK,Thermo Fisher Scientific)によって5’末端でさらにリン酸化した。1x反応緩衝液A、1mM ATP、1U T4 PNK及び前の工程からのDNAを混合することによって、50μlのリン酸化反応を設定した。リン酸化反応物を37℃で30分間インキュベートした。5’-リン酸化二本鎖DNAをMonarch PCR&DNA Cleanup Kit(New England Biolabs)によって精製し、Qubit dsDNA HSアッセイキット(Thermo Fisher Scientific)によって定量した。
関連するプライマー及び鋳型配列を以下に示す。
Lig170_FWプライマー:5’-GAGCGCAACGCAATTAA-3’(配列番号113)。
Lig170_RVプライマー:5’-ATCCGCTCACAATTCCACAC-3’(配列番号114)。
Lig170鋳型:5’-GAGCGCAACGCAATTAATGTGAGTTAGCTCACTCATT
AGGCACCCCAGGCTTTACACTTTATGCTTCCGGCTCGTATGTTGTGTGGAATTGTGAGCGGAT-3’(配列番号115)。
Illuminaアダプターは、1.5μMのILMN_AD_P5及び1.5μMのILMN_AD_P7rc_IDX01の2つのオリゴをアニーリングすることによって調製した。アニーリングプロセスは、オリゴ混合物を95℃に加熱し、0.1℃/分の速度で14℃に冷却した。
ILMN_AD_P5:5’-AATGATACGGCGACCACCGAGATCTACACTCTTTCCCTACACGACGCTCTTCCGATCT-3’(配列番号116)。
ILMN_AD_P7rc_IDX01:5’-PO-GATCGGAAGAGCACACGTCTGAACTCCAGTCACATCACGATCTCGTATGCCGTCTTCTGCTTG-3’(配列番号117)。
RB69リガーゼ-His2は35mg/mlであり、作業用ストックとして1mg/mlに希釈した。1ng/μlの最終濃度でT4 PNK処理Lig170、187.5nM Illuminaアダプター、5% PEG35000、1x T4 DNA Ligase Reaction Buffer(New England Biolabs)及び最終濃度0.1/0.2/0.3/0.4mg/mlのRB69リガーゼ-His2を含む20μl溶液を作製した。連結反応を16℃で20分間及び65℃で15分間行った。アガロースゲルで可視化するために、各反応条件に対して8つの並行反応を設定し、2%アガロースゲルに充填する前に合わせた。ゲル画像をImageJ(National Institutes of Health)によって分析し、バンドの光学密度をExcel(Microsoft)によってプロットした。
結果及び結論
図21に示すように、RB69リガーゼ-His2の濃度が増加すると、二重連結産物が増加した。0.4mg/mlのRB69リガーゼ-His2を20μlの反応物(図中0.8μg)に使用した場合、93.5%の鋳型をIlluminaアダプターによって両末端で連結することができた。
例22.ヒトOtx1由来のIDRタグを有するRB69リガーゼとRB69リガーゼのリガーゼ活性性能の比較。
実験の目的及び概要
この実験は、ヒトホメオボックスタンパク質Otx1(His2タグ)の天然変性領域(IDR)に見られるヒスチジンリッチアミノ酸ドメイン配列を含むタグを含むリガーゼ酵素融合タンパク質調製物の活性性能を評価するめに行われた。
実験は、His2タグが、タグなしRB69リガーゼの効率と比較して、RB69リガーゼのTA連結効率を有意に増加させ得ることを実証した。
材料及び方法
使用したIDRドメインタグの具体的なアミノ酸配列は、AGHHHHHPHAHHPLSQSSGHHHHHHHHHHQGYGGSG(配列番号24、表1)であった。これをRB69 DNAリガーゼのC末端に結合させた。組換え融合タンパク質及びIDR非含有タンパク質を、試験中の融合タンパク質のIDRドメインタグに天然に存在するヒスチジン及びIDR非含有タンパク質のC末端のポリヒスチジンタグに依存する標準的な1段階固定化金属(ニッケル)親和性クロマトグラフィーを用いて精製した。融合タンパク質をRB69リガーゼ-His2と命名し、IDR非含有タンパク質をRB69リガーゼと命名した。タンパク質の完全なアミノ酸配列を上記の表24に示す。
連結鋳型は、pUC19ベクター(New England Biolabs)から増幅された170bp断片(Lig170)であった。25μlのDreamTaq Green Master Mix(Thermo Fisher Scientific)、0.2μMのLig170_FWプライマー、0.2μMのLig170_RVプライマー、1pgのpUC19を混合することによって、50μlの増幅反応を設定した。PCR反応は、95℃で2分間、95℃で30秒、55℃で30秒、72℃で1分を35サイクル、続いて72℃で5分間の最終伸長を行った。増幅産物を2%アガロースゲルで泳動した。標的DNAのバンドを切除し、Monarch DNA Gel Extraction Kit(New England Biolabs)によって精製した。DNAを、T4ポリヌクレオチドキナーゼ(T4 PNK,Thermo Fisher Scientific)によって5’末端でさらにリン酸化した。1x反応緩衝液A、1mM ATP、1U T4 PNK及び前の工程からのDNAを混合することによって、50μlのリン酸化反応を設定した。リン酸化反応物を37℃で30分間インキュベートした。5’-リン酸化二本鎖DNAをMonarch PCR&DNA Cleanup Kit(New England Biolabs)によって精製し、Qubit dsDNA HSアッセイキット(Thermo Fisher Scientific)によって定量した。
関連するプライマー及び鋳型配列を以下に示す。
Lig170_FWプライマー:5’-GAGCGCAACGCAATTAA-3’(配列番号113)。
Lig170_RVプライマー:5’-ATCCGCTCACAATTCCACAC-3’(配列番号114)。
Lig170鋳型:5’-GAGCGCAACGCAATTAATGTGAGTTAGCTCACTCATT
AGGCACCCCAGGCTTTACACTTTATGCTTCCGGCTCGTATGTTGTGTGGAATTGTGAGCGGAT-3’(配列番号115)。
Illuminaアダプターは、1.5μMのILMN_AD_P5及び1.5μMのILMN_AD_P7rc_IDX01の2つのオリゴをアニーリングすることによって調製した。アニーリングプロセスは、オリゴ混合物を95℃に加熱し、0.1℃/分の速度で14℃に冷却した。
ILMN_AD_P5:5’-AATGATACGGCGACCACCGAGATCTACACTCTTTCCCTACACGACGCTCTTCCGATCT-3’(配列番号116)。
ILMN_AD_P7rc_IDX01:5’-PO-GATCGGAAGAGCACACGTCTGAACTCCAGTCACATCACGATCTCGTATGCCGTCTTCTGCTTG-3’(配列番号117)。
RB69リガーゼ-His2は35mg/mlであり、RB69リガーゼは27.75mg/mlであった。それらを作業用ストックとして1mg/mlに希釈した。T4 DNAリガーゼをPierce BCAタンパク質アッセイキット(Thermo Fisher Scientific)によって定量し、作業用ストックとして1mg/mlに希釈した。1ng/ulの最終濃度でT4 PNK処理Lig170、187.5nM Illuminaアダプター、5% PEG35000、1x T4 DNA Ligase Reaction Buffer(New England Biolabs)及び最終濃度0.075mg/mlのT4 DNAリガーゼ/RB69リガーゼ/RB69リガーゼ-His2を含む20μl溶液を作製した。連結反応を16℃で20分間及び65℃で15分間行った。DNAを、製造元の指示に従って、PCRビーズ用の0.8x AMPure XP(Beckman Coulter)によって精製した。精製したDNAを25μlのDreamTaq Green Master Mix(Thermo Fisher Scientific)、0.2μMのILMN_P5プライマー、0.2μMのILMN_P7プライマーと混合した。PCR反応は、95℃で2分間、95℃で30秒、55℃で30秒、72℃で1分を10サイクル、続いて72℃で5分間の最終伸長を行った。増幅産物をPCRビーズ用の1x AMPure XPによって精製した。精製したDNAをQubit dsDNA HSアッセイキットによって定量し、DNAの量をExcel(Microsoft)によってプロットした。
ILMN_P5:5’-AATGATACGGCGACCACCGA-3’(配列番号118)
ILMN_P7:5’-CAAGCAGAAGACGGCATACG-3’(配列番号119)
結果及び結論
図22に示すように、二重連結産物のみを増幅することができた。RB69リガーゼ及びRB69リガーゼ-His2の両方が、有意に増加した連結効率を示した。特に、RB69リガーゼ-His2は、連結効率の最大3.1倍の増進を有することができた。
例23.ヒトOtx1由来のIDRタグを有するNEBNext Ultra IIリガーゼとRB69リガーゼのリガーゼ活性性能の比較
実験の目的及び概要
この実験は、ヒトホメオボックスタンパク質Otx1(His2タグ)の天然変性領域(IDR)に見られるヒスチジンリッチアミノ酸ドメイン配列を含むタグを含有するリガーゼ酵素融合タンパク質調製物と比較して、NEBNext Ultra II Ligation Master Mixの活性性能を評価するために行われた。
実験は、RB69リガーゼ-His2が、NEBNext Ultra II Ligation Master Mixと比較して有意に増強された連結効率を有することを実証した。
材料及び方法
使用したIDRドメインタグの具体的なアミノ酸配列は、AGHHHHHPHAHHPLSQSSGHHHHHHHHHHQGYGGSG(配列番号24)であった。これをRB69 DNAリガーゼのC末端に結合させた。組換え融合タンパク質を、試験中の融合タンパク質のIDRドメインタグに天然に存在するヒスチジンに依存する標準的な1段階固定化金属(ニッケル)親和性クロマトグラフィーを使用して精製した。融合タンパク質をRB69リガーゼ-His2と命名した。タンパク質の完全なアミノ酸配列を上記の表24に示す。
連結鋳型は、pUC19ベクター(New England Biolabs)から増幅された170bp断片(Lig170)であった。25μlのDreamTaq Green Master Mix(Thermo Fisher Scientific)、0.2μMのLig170_FWプライマー、0.2μMのLig170_RVプライマー、1pgのpUC19を混合することによって、50μlの増幅反応を設定した。PCR反応は、95℃で2分間、95℃で30秒、55℃で30秒、72℃で1分を35サイクル、続いて72℃で5分間の最終伸長を行った。増幅産物を2%アガロースゲルで泳動した。標的DNAのバンドを切除し、Monarch DNA Gel Extraction Kit(New England Biolabs)によって精製した。DNAを、T4ポリヌクレオチドキナーゼ(T4 PNK,Thermo Fisher Scientific)によって5’末端でさらにリン酸化した。1x反応緩衝液A、1mM ATP、1U T4 PNK及び前の工程からのDNAを混合することによって、50μlのリン酸化反応を設定した。リン酸化反応物を37℃で30分間インキュベートした。5’-リン酸化二本鎖DNAをMonarch PCR&DNA Cleanup Kit(New England Biolabs)によって精製し、Qubit dsDNA HSアッセイキット(Thermo Fisher Scientific)によって定量した。
関連するプライマー及び鋳型配列を以下に示す。
Lig170_FWプライマー:5’-GAGCGCAACGCAATTAA-3’(配列番号113)。
Lig170_RVプライマー:5’-ATCCGCTCACAATTCCACAC-3’(配列番号114)。
Lig170鋳型:5’-GAGCGCAACGCAATTAATGTGAGTTAGCTCACTCATT
AGGCACCCCAGGCTTTACACTTTATGCTTCCGGCTCGTATGTTGTGTGGAATTGTGAGCGGAT-3’(配列番号115)。
Illuminaアダプターは、1.5μMのILMN_AD_P5及び1.5μMのILMN_AD_P7rc_IDX01の2つのオリゴをアニーリングすることによって調製した。アニーリングプロセスは、オリゴ混合物を95℃に加熱し、0.1℃/分の速度で14℃に冷却した。
ILMN_AD_P5:5’-AATGATACGGCGACCACCGAGATCTACACTCTTTCCCTACACGACGCTCTTCCGATCT-3’(配列番号116)。
ILMN_AD_P7rc_IDX01:5’-PO-GATCGGAAGAGCACACGTCTGAACTCCAGTCACATCACGATCTCGTATGCCGTCTTCTGCTTG-3’(配列番号117)。
RB69リガーゼ-His2は35mg/mlであり、作業用ストックとして1mg/mlに希釈した。
10ngのT4 PNK処理Lig170、187.5nMのIlluminaアダプター、30μlのNEBNext Ultra II Ligation Master Mix及び1μlのNEBNext Ligation Enhancerを含む93.5μlの溶液を作製した。連結反応を20℃で15分間行った。6.5μlの0.5M EDTAを添加することによって連結反応を終了させ、DNAを、製造業者の指示に従ってPCRビーズ用0.8x AMPure XP(Beckman Coulter)によって精製した。10ngのT4 PNK処理Lig170、187.5nMのIlluminaアダプター、5%/7% PEG35000、1x T4 DNAリガーゼ反応緩衝液(New England Biolabs)及びRB69リガーゼ-His2を0.2/0.3/0.4mg/mlの最終濃度で含む93.5μl溶液を作製した。連結反応を16℃で20分間行った。4.5μlの0.5M EDTA及び2ulプロテアーゼK(New England Biolabs)を添加することによって連結反応を終了させ、40℃で30分間インキュベートした。DNAを、製造元の指示に従って、PCRビーズ用の0.8x AMPure XP(Beckman Coulter)によって精製した。精製したDNAを25μlのDreamTaq Green Master Mix(Thermo Fisher Scientific)、0.2μMのILMN_P5プライマー、0.2μMのILMN_P7プライマーと混合した。PCR反応は、95℃で2分間、95℃で30秒、55℃で30秒、72℃で1分を10サイクル、続いて72℃で5分間の最終伸長を行った。増幅産物をPCRビーズ用の1x AMPure XPによって精製した。精製したDNAをQubit dsDNA HSアッセイキットによって定量し、DNAの量をExcel(Microsoft)によってプロットした。DNAも2%アガロースゲルによって分析した。
ILMN_P5:5’-AATGATACGGCGACCACCGA-3’(配列番号118)。
ILMN_P7:5’-CAAGCAGAAGACGGCATACG-3’(配列番号119)。
結果及び結論
二重連結産物のみを増幅することができた。図23に示されるように、RB69リガーゼ-His2は、NEBNext Ultra II Ligation Master Mixと比較して、連結効率の最大2.8倍の増進を有することができた。
例24.ヒトOtx1由来のIDRタグを有するRB69リガーゼの相分離性能に対するATPの効果の分析。
実験の目的及び概要
この実験の目的は、リガーゼ酵素融合タンパク質調製物が相分離を引き起こす能力に対するATPの効果を分析することであった。リガーゼ酵素融合タンパク質は、ヒトホメオボックスタンパク質Otx1(His2タグ)の天然変性領域(IDR)に見られるヒスチジンリッチアミノ酸ドメイン配列を含むタグを有する。
実験は、ATPがHis2タグによって媒介される相分離を有意に増強することを実証した。
材料及び方法
使用したIDRドメインタグの具体的なアミノ酸配列は、AGHHHHHPHAHHPLSQSSGHHHHHHHHHHQGYGGSG(配列番号24)であった。これをRB69 DNAリガーゼのC末端に結合させた。組換えIDR融合タンパク質及びIDR非含有タンパク質を、試験中の融合タンパク質のIDRドメインタグに天然に存在するヒスチジン及びIDR非含有タンパク質のC末端のポリヒスチジンタグに依存する標準的な1段階固定化金属(ニッケル)親和性クロマトグラフィーを用いて精製した。融合タンパク質をRB69リガーゼ-His2と命名し、IDR非含有タンパク質をRB69リガーゼと命名した。タンパク質の完全なアミノ酸配列を上記の表24に示す。FAM-オリゴは、FAM(フルオレセイン)で標識されたCCGCAATGGTGCACTCTCAGTACAATCTGCTCTGATG(配列番号104)である。
1mg/mlの最終濃度でのリガーゼ、0.4μM FAM-オリゴ及び0/20mM MgCl及び0/1mM ATPを含む50μl溶液を作製した。次いで、10μlの反応混合物をCチップ血球計スライドに移し、明視野光条件下及び蛍光条件下で画像を撮影した。
結果及び結論
図24に示すように、IDR非含有RB69リガーゼを用いた場合、相分離した水性粒子(球状フォーカス)はほとんど観察されなかった。RB69リガーゼ-His2は、1mM ATPの存在下で多くの球状フォーカスの形成を有意に促進した。20mM Mg2+の添加後、球状フォーカスのより明るい蛍光が観察され、球状フォーカス形成のさらなる増進及び/又はより多くのDNAが球状フォーカスに共局在することを示した。
例25.サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)Hrp1由来のIDRタグを有するGp32を使用した固体表面でのリコンビナーゼポリメラーゼ増幅。
実験の目的及び概要
この実験は、固体表面上での増幅におけるサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)Hrp1タンパク質の天然変性領域(IDR)を含むタグを含むGp32融合タンパク質調製物の能力を評価するために行われた。
この例は、リアルタイム及び終点アッセイの両方において、クラウディング剤の非存在下で、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)Hrp1タンパク質の天然変性領域(IDR)でC末端にタグ付けGp32を使用した、固体表面上の人工核酸鋳型のリコンビナーゼポリメラーゼ増幅(RPA)を実証する。
材料及び方法
使用したIDRドメインタグの具体的なアミノ酸配列は、GGNNGGNNMNRRGGNFGNQGDFNQMYQNPMMGGYNPMMNPQAMTDYYQKMQEYYQQMQ(配列番号9)であった。これをT4ファージGp32のC末端に結合させた。組換え融合タンパク質を、試験中の融合タンパク質のまさにC末端に配置された、すなわち融合タンパク質のC末端のIDRタグの後に配置された追加のヘプタヒスチジンタグに依存する標準的な1段階固定化金属(ニッケル)親和性クロマトグラフィーを使用して精製した。融合タンパク質をT4-Gp32-HRP1と命名した。融合タンパク質の完全なアミノ酸配列を以下の配列番号120として示す。
MFKRKSTAELAAQMAKLNGNKGFSSEDKGEWKLKLDNAGNGQAVIRFLPSKNDEQAPFAILVNHGFKKNGKWYIETCSSTHGDYDSCPVCQYISKNDLYNTDNKEYSLVKRKTSYWANILVVKDPAAPENEGKVFKYRFGKKIWDKINAMIAVDVEMGETPVDVTCPWEGANFVLKVKQVSGFSNYDESKFLNQSAIPNIDDESFQKELFEQMVDLSEMTSKDKFKSFEELNTKFGQVMGTAVMGGAAATAAKKADKVADDLDAFNVDDFNTKTEDDFMSSSSGSSSSADDTDLDDLLNDLGGNNGGNNMNRRGGNFGNQGDFNQMYQNPMMGGYNPMMNPQAMTDYYQKMQEYYQQMQHHHHHHH
(配列番号120)
次いで、組換えT4ファージGp32融合タンパク質を、PEG非含有増幅において、すなわちクラウディング剤の非存在下で、固体表面上で試験した。試験は、ビーズの表面に結合した2つのオリゴヌクレオチドプライマーを使用して行った。増幅は、終点反応を用いてアンプリコンに見出されるニッカーゼ部位に蛍光ヌクレオチドを組み込むことによって検出した。ビーズは、Bangs Laboratories,Inc.(https://www.bangslabs.com/)から供給され、カルボキシル化されたポリスチレンコアを有し、オリゴヌクレオチドが共有結合したコポリマーがグラフトされていた。フォトリソグラフィ、ソフトリソグラフィ、エッチングなどの標準的な微細加工技術を使用して個別の領域にパターニングされたガラス基質上にビーズを堆積させた。得られた領域は、疎水性又は親水性などの特性を有し、分析される試料を引き付けるか又ははじくことができる。Grace Bio-Labs FlexWell(商標)取り外し可能インキュベーションチャンバーを使用して、パターン化ガラスの単一のピースを、それぞれが表面上に1225万個のビーズを規則的な配列で含有すると推定される6.5mm×6.5mmの8つの反応チャンバーに分割した。すべての鋳型がビーズ上のプライマーにハイブリッド形成された場合、反応チャンバーがビーズあたり0、5、10、20、40又は80コピーの鋳型を有するように、異なる量の増幅鋳型を異なる反応チャンバーに添加し、ハイブリッド形成は100%未満の効率であると仮定した。一本鎖DNA鋳型(UP1-UP2’_TF1L鋳型配列:AATGATACGGCGACCACCGTGATCTACACTGTTTTACAACCTCAGCATGGAAAAAGGTTTCGAACTCAACAGCTGTCTGGCAGCTCGCTCTACGCATGCTATTGCTGGCGGTATTGCTTCTGCTCTTGCTGGTGGCGCCATGTCTAAATTGTCGATACATCTCGTATGCCGTCTTCTGCTTG(配列番号121)を50μlの緩衝液(10mM トリスHCl pH8.0、1mM EDTA、0.05% Triton X-100、100mM NaCl)の反応チャンバーに加え、FlexWell(登録商標)SealStrips(登録商標)で覆い、50℃で1時間加熱し、鋳型をビーズ上の相補的オリゴヌクレオチドにアニーリングさせた。次いで、過剰な緩衝液を除去し、ビーズをTTM緩衝液(10mM トリスHCl pH8.0、10mM MgCl、0.05% Triton X-100)で2回、次いで反応緩衝液(25mM トリスHCl pH8.3、7.5mM KOAc、1mM DTT)で2回洗浄して、アニーリングしていない鋳型を除去した。
25mM トリスHCl pH8.3、7.5mM KOAc、1mM DTT、2.5mM ATP、20mMホスホクレアチン、1.7μMクレアチンキナーゼ、1mM dNTP、6.6μM Gp32融合物、2.7μM UvsX、2.7μM UvsY、0.22μM 黄色ブドウ球菌(S.aureus)DNAポリメラーゼ及び23mM MgOAcを混合することによって反応を設定した。反応混合物はまた、29万個のビーズ/mmを含み、0.59μlの反応混合物/mmの各ビーズは、以下の配列を有するUP1フォワードプライマーとUP2-18リバースプライマーの混合物からなるビーズあたり約60万個のオリゴヌクレオチドプライマーを有する。
UP1フォワードプライマー:AATGATACGGCGACCACCGAGATCTACAC(配列番号122)。
UP2-18リバースプライマー:CAAGCAGAAGACGGCATA(配列番号123)。
次いで、反応物を43℃で60分間インキュベートし、次いでSTTM緩衝液(10mM トリスHCl pH8.0、10mM MgCl、0.05% Triton X-100及びドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を最終濃度1%まで)で2回洗浄(添加/除去)して停止させ、タンパク質を変性させた。次いで、TTM緩衝液(10mM トリスHCl pH8.0、1mM EDTA、0.05% Triton X-100)を添加/除去することによってビーズを2回洗浄してSDSを除去した。
次いで、ビーズを、2.5UニッカーゼNt.BbvCIを含む25μlの1x CutSmart緩衝液(NEB-50mM KOAc、20mM トリス-酢酸塩、10mM MgOAc、100μg/ml BSA、pH7.9)で覆った。UP1-UP2’_TF1L鋳型は、DNAの一方の鎖にニックを導入するNt.BbvCI(CC/TCAGC)の認識部位の単一コピーを含む。ビーズを37℃に45分間加熱して、アンプリコンが確実にニックを入れられるようにした。ニッカーゼを変性させるために、STTM緩衝液(10mM トリスHCl pH8.0、1mM EDTA、0.05% Triton X-100及びドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を最終濃度1%まで)で2回洗浄(添加/除去)することによってニッキングを停止した。次いで、TTM緩衝液(10mM トリスHCl pH8.0、1mM EDTA、0.05% Triton X-100)を添加/除去することによってビーズを2回洗浄してSDSを除去し、反応緩衝液(25mM トリスHCl pH8.3、7.5mM KOAc、1mM DTT)で2回洗浄した。
プロトコルの最後の工程は、蛍光標識dUTPをアンプリコンに組み込むことであった。これは、ビーズを0.11μM黄色ブドウ球菌(S.aureus)DNAポリメラーゼ、160pMアミノアリル-dUTP-XX-ATTO-594(Jena Bioscience)及び23mM MgOAcを含む反応緩衝液(25mM トリスHCl pH8.3、7.5mM KOAc、1mM DTT)に浸し、45分間43℃に加熱することによって行った。伸長をSTTM緩衝液(10mM トリスHCl pH8.0、1mM EDTA、0.05% Triton X-100及びドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を最終濃度1%まで)で2回洗浄(添加/除去)することによって停止させて、ニッカーゼを変性させた。次いで、TTM緩衝液(10mM トリスHCl pH8.0、1mM EDTA、0.05% Triton X-100)を添加/除去することによってビーズを2回洗浄してSDSを除去した。次いで、Flexwellを除去し、ガラスカバースリップ及び少量のTTM緩衝液をガラスウェハ上に置いた。蛍光顕微鏡を使用して、同じ場所の明視野及び蛍光写真を撮影してウェハを検査した。
結果
アンプリコンのNt.Bbv CIニッキング部位へのATTO-594標識dUTPの組み込みを使用して、UP1-UP2’-TF1Lアンプリコンの終点蛍光検出を観察した。図25は、鋳型を添加しなかった場合、ビーズは暗色のままであったが、鋳型が増加するにつれて、ビーズの割合が増加し、蛍光のレベルが増加したことを示す。
結論
表面上のT4 Gp32-Hrp1融合タンパク質を使用すると、PEGなどのクラウディング剤の非存在下での核酸増幅が効率的に起こることが見出された。
例26.Cas12aタンパク質の性能に対する関連する相分離を伴うGp32-HRP1 ssDNA結合タンパク質の効果の分析。
実験の目的及び概要
この実験の目的は、ガイドRNAと会合したCas12aヌクレアーゼタンパク質の活性に対する相分離を促進する条件下でポリエチレングリコール(PEG)35Kの存在下でIDR-タグ付きGp32 ssDNA結合タンパク質の効果を分析して、蛍光読み出しによってモニターされる二本鎖DNA標的に結合して切断することであった。使用されるGp32 ssDNA結合タンパク質は、酵母HRPタンパク質(Gp32-HRP1)の天然変性領域(IDR)に見られるアミノ酸ドメイン配列を含むタグを有する。このタグ及びPEGの存在下では、相分離は、低濃度のタンパク質であっても他の因子が実質的に存在しない状態で起こる。
この場合のCas12aに対する二重鎖核酸標的は、切断されると、アニーリングされたハイブリッドから本質的に直ちに融解して測定可能な蛍光増加をもたらすべき6-FAM標識を含有するヌクレオチド断片を生成する6-FAM/BHQ1対合を有する。この鋳型を、引っ掛かるためのさらなる一本鎖領域によってGp32-HRP1と相互作用するようにさらに操作した。
実験は、PEG35Kの存在下でGp32-HRP1 ssDNA結合タンパク質を使用すると、相分離した水性粒子(小球又は球状フォーカス)の形成がもたらされ、同時に、Cas12aがインビトロ系においてそのDNA標的を切断する速度が有意に増強されることを実証している。
材料及び方法
使用したIDRドメインタグの具体的なアミノ酸配列は、GGNNGGNNMNRRGGFGNQGDFNQMYQNPMMGGYNPMMNPQAMTDYYQKMQYYQQMQ(配列番号9)であった。これをT4 Gp32 ssDNA結合タンパク質のC末端に結合させた。組換えIDR融合タンパク質を、IDRタグのC末端に付加された7個の追加のヒスチジンに依存する標準的な1段階固定化金属(ニッケル)親和性クロマトグラフィーを使用して、精製した。融合タンパク質をT4 GP32-HRP1と命名した。タンパク質の完全なアミノ酸配列を配列番号120として示す。
ガイドRNA配列は、5’-UAAUUUCUACUGUUGUAGAUAAAGUGCUCAUCAUUGGAAAACG-3’(配列番号134)である。
二本鎖/一本鎖DNA標的は、5’末端がFAM(フルオレセイン)で標識されたトップオリゴ5’-GAACGTTTTCCAATGATGAGCACTTTTAAAGTTCTATGTATCAAAGCGGCCATTTGCGG-3’(配列番号135)及び3’末端がBHQ-1(クエンチャー)で標識されたボトムオリゴ5’-AGAACTTTAAAAGTGCTCATCATTGGAAAACGTTC-3’(配列番号136)をアニーリングすることによって調製した。アニーリングプロセスは、1μMオリゴ混合物を95℃に加熱し、0.1℃/分の速度で14℃に冷却した。これは、供給されたガイドRNAを有するcas12aヌクレアーゼの二重鎖標的部位を提供するだけでなく、約3個のタンパク質モノマーの予想される結合でGp32-HRP1と相互作用し得る追加の24個の一本鎖残基も提供する。このようにして、アニーリングされた標的の多くは、相分離したGp32-HRP1小球が生じた場合に、その中に位置するように強制されるだろうことが予想された。さらに、アニーリング時には近接しているはずであるが、切断後に分散する(得られたハイブリッドはわずか数ヌクレオチド長であるため)いずれかの鎖上のフルオロフォア及びクエンチャーの存在は、切断速度を評価するための便利な機構を提供する。予想されるように、Cas12a依存的様式では、蛍光は一般に低レベルから変化し、経時的に増加する。
EnGen Lba Cas12aタンパク質は、New England Biolabsから購入した。
Cas12aタンパク質、PEG35K又はT4 GP32 HRP1タンパク質を含むか又は含まない溶液を構成した。溶液は、30mM NaCl、10mM酢酸トリスpH8.3、20mM酢酸Mg、0.1mg/ml BSA、33.3nMガイドRNA、50nM dsDNA、5% PEG35Kで構成された。反応に含めると、以下の成分が以下の濃度:33.3nM Cas12aタンパク質、333ng/μl T4 GP32 HRP1タンパク質で存在した。反応速度挙動を評価するために、30μlの反応溶液を0.2mlチューブに移し、42℃の実行温度を使用して、Axxin T16蛍光リーダを使用してアッセイした。独立して、20μlの反応溶液を42℃で約1分間加温し、次いでCチップ血球計スライドに移し、明視野光条件下及び蛍光条件下で画像を撮影した。したがって、これらの画像は、反応の最初の数分以内の系の顕微鏡状態のスナップショットを表した。
結果及び結論
図26Aに示すように、Cas12aタンパク質を含まないが、Gp32-HRP1及びPEGの存在下では、相分離した水性粒子(球状フォーカス)が観察されたが、標識されているが、大きくクエンチされた標的DNAがGp32-HRP1及びPEGの存在下で存在した場合(反応を顕微鏡で分析した初期時点で)、弱い蛍光のみを示した。当然のことながら、おそらくフルオロフォア/クエンチャープローブの不完全なアニーリング及び結果としてのバックグラウンドに起因して、いくらかの蛍光が観察されるにもかかわらず、蛍光プロットの平坦な特徴(図26B)に示されるように、経時的な蛍光変化の最小変化によって支持されるように、Cas12aタンパク質が存在しなければ、切断は予想されない。
Cas12aタンパク質が存在したが、T4 Gp32 HRP1の非存在下では、球状フォーカスは観察されず、これは、小球形成を可能にするためのT4 Gp32 HRP1の予想通りの必要性を示している。動力学的分析は、最大10分まで評価したときに、標的切断が経時的に着実に増加したことを示した。顕微鏡的には、全体的な蛍光は、Cas12aを差し引いた試料よりもわずかに高く見え、数分以内にいくつかのアニーリングされたプローブが速度論的研究と一致して処理されたことを示している。
しかしながら、際立って顕著なコントラストでは、Cas12a及びT4 Gp32-HRP1(及びPEG)の存在下では、多くの球状フォーカスが観察され、一般的にはるかに強い蛍光が顕微鏡画像全体にわたって観察され、これは、小球形成のためのT4 Gp32-HRP1の必要性の両方を示唆しているが、これに加えて、より多くの処理をもたらす(いったん処理されると、小さな放出された産物は必ずしももはや小球に局在するとは予想されないことに留意されたい)。動態グラフは、これらの条件下でも顕著かつ驚くほど異なっており、1分前後又はその前(試料をリーダに入れた直後)のピークまでの非常に急速な蛍光蓄積、次いで分析時間の残りの間のプラトーを示した。T4 Gp32-HRP1の存在下で観察されたDNA切断速度のこの有意な増進は、相分離粒子が特異的切断を著しく促進したという考えと一致しており、これはおそらく球状フォーカス内部のCas12aタンパク質及びそのdsDNA標的の共局在化によって引き起こされ、反応速度の大幅な増加を可能にする。本明細書で実証された増幅系と同様に、これは、単一の系成分のみが相分離を促進するように作用する場合でも、他の仲間がその相に引き寄せられ、局所的な高濃度及び大規模に加速された動態をもたらす可能性があることを示している。
開示されたIDRベースの方法、方法、巨大分子、ポリペプチド及び使用の異なる用途は、当技術分野における特定のニーズに合わせて調整され得ることを理解されたい。本明細書で使用される用語は、本発明の特定の実施形態を説明することのみを目的としており、限定することを意図していないことも理解されたい。
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、内容が明らかにそうでないことを指示しない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「巨大分子」、「ポリペプチド」、「ポリヌクレオチド」、「細胞」、「宿主細胞」などの実体への言及は、2つ以上のそのような実体を含む。
「約(about)」及び「およそ(approximately)」などの用語は、内容が明らかに他のことを指示しない限り、関連する図を包含するものとして理解されるべきであり、図の値の+/-10%、又は図の値の+/-5%である。
数値の範囲が下の値と上の値との「間」にあると提示される場合、その範囲は上の値と下の値とを含むと解釈されるべきである。例えば、22mM~50mM、又は約22mM~約50mMの範囲は、22mM及び50mMの値又は約22mM及び約50mMの値を含むと解釈されるべきである。
本明細書で引用されるすべての刊行物、特許及び特許出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
配列表4 <223>fib-2(clipper1)-fib1のC末端の7アミノ酸欠失
配列表5 <223>fib-3(clipper2)-fib1のC末端の16アミノ酸欠失
配列表6 <223>fib-4(clipper3)-fib1のC末端の28アミノ酸欠失
配列表15 <223>mimic1-RNAポリメラーゼIIのC末端を模倣するYDPTSPSモチーフの7つのリピート
配列表16 <223>mimic2-RNAポリメラーゼIIのC末端を模倣するYSPTDPSモチーフの7つのリピート
配列表19 <223>Sup1-YNPQGGYQQの1つのリピート
配列表20 <223>Sup2-YNPQGGYQQの2つのリピート
配列表21 <223>Sup3-YNPQGGYQQの3つのリピート
配列表22 <223>Sup4-YNPQGGYQQの4つのリピート
配列表56 <223>超陽性
配列表57 <223>超陰性
配列表65 <223>ファージvBからのGp32(7His)
配列表89 <223>6-ヒスチジン
配列表90 <223>c-mycエピトープ
配列表91 <223>FLAGオクタペプチド
配列表92 <223>タンパク質C
配列表94 <223>V5エピトープ
配列表97 <223>ヘマグルチニン
配列表98 <223>実施例1-フォワードプライマー
配列表99 <223>実施例1-リバースプライマー
配列表100 <223>実施例1-プローブ
配列表100 <223>FAM-フルオレセイン
配列表100 <223>THF-テトラヒドロフラン
配列表100 <223>BHQ-ブラックホールクエンチャー
配列表101 <223>実施例5-フォワードプライマー
配列表102 <223>実施例5-リバースプライマー
配列表103 <223>実施例5-プローブ
配列表103 <223>FAM-フルオレセイン
配列表103 <223>THF-テトラヒドロフラン
配列表103 <223>BHQ-ブラックホールクエンチャー
配列表104 <223>実施例12-プローブ
配列表105 <223>実施例18-PA30フォワードプライマー
配列表106 <223>実施例18-PB30リバースプライマー
配列表107 <223>実施例18-プローブ
配列表107 <223>FAM-フルオレセイン
配列表107 <223>THF-テトラヒドロフラン
配列表107 <223>Quencher-ブラックホールクエンチャー
配列表108 <223>実施例18-TF1L鋳型配列
配列表109 <223>実施例18-PB30’プローブ
配列表110 <223>実施例18-TF1Lプローブ
配列表111 <223>実施例20-RB69リガーゼ
配列表112 <223>実施例20-RB69リガーゼ-His2
配列表113 <223>実施例21-Lig170フォワードプライマー
配列表114 <223>実施例21-Lig170リバースプライマー
配列表115 <223>実施例21-Lig170鋳型
配列表116 <223>実施例21-ILMN_AD_P5
配列表117 <223>実施例21-ILMN_AD_P7rc_IDX01
配列表118 <223>実施例22-ILMN_P5
配列表119 <223>実施例22-ILMN_P7
配列表120 <223>実施例24-T4-Gp32-HRP1
配列表121 <223>実施例24-UP1-UP2’_TF1L鋳型配列
配列表122 <223>実施例24-UP1フォワードプライマー
配列表123 <223>実施例24-UP2-18リバースプライマー
配列表124 <223>機能的IDRに含まれるアミノ酸配列
配列表125 <223>機能的IDRに含まれるアミノ酸配列
配列表126 <223>機能的IDRに含まれるアミノ酸配列
配列表126 <223>XaaはA,N又はGである
配列表127 <223>機能的IDRに含まれるアミノ酸配列
配列表128 <223>機能的IDRに含まれるアミノ酸配列
配列表129 <223>YDPTSPSモチーフ
配列表130 <223>YSPTDPSモチーフ
配列表131 <223>MEAFSSAKTEDDFMSSSSSDDSDLDDLLAGLの自己設計二重配列
配列表132 <223>EIVEAEVDELINSKVEKFKSPESKSKSAADLETDLEQLSDMEEFNの自己設計二重配列
配列表133 <223>DDVASEFの自己設計リンカー
配列表134 <223>実施例26―ガイドRNA配列
配列表135 <223>実施例26―トップオリゴ
配列表136 <223>実施例26―ボトムオリゴ
配列表137 <223>ヘマグルチニンC末端

Claims (68)

  1. 水性インビトロ反応系において生化学反応を行う方法であって、前記生化学反応は、少なくとも1つの反応巨大分子に依存し、任意に少なくとも1つの反応ポリペプチドの機能に依存し、以下を含む方法:
    前記反応を行うために適した条件下で、少なくとも1つのIDR-巨大分子を前記インビトロ反応系に導入すること、
    ただし、前記少なくとも1つのIDR-巨大分子は、1つ以上の機能的天然変性領域(IDR)を含み、
    また、前記少なくとも1つのIDR-巨大分子を前記インビトロ反応系へ導入すると、前記生化学反応の効率は、前記少なくとも1つのIDR-巨大分子によって高められ、
    前記少なくとも1つのIDR-巨大分子は、好ましくは少なくとも1つのIDR-ポリペプチドである。
  2. 生化学反応が、少なくとも1つのIDR-巨大分子の機能に依存し、任意に少なくとも1つのIDR-ポリペプチドの機能に依存し、系に導入されると、前記少なくとも1つのIDR-巨大分子又は前記少なくとも1つのIDR-ポリペプチドが、前記生化学反応においてその反応機能を果たし、前記系における前記反応の効率を高める、請求項1に記載の方法。
  3. IDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドを系内に維持して、液体-液体脱混合及び前記IDR-巨大分子又は前記IDR-ポリペプチドによる前記系内の複数の相分離した水性区画の形成を引き起こし、それによって前記系内の生化学反応の効率を高めることをさらに含む、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 反応の実施に必要な分子を複数の相分離した水性区画内でIDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドと共局在させるために、前記IDR-巨大分子又は前記IDR-ポリペプチドを系内に維持し、それによって前記系内の生化学反応の効率を高めることをさらに含む、請求項3に記載の方法。
  5. 複数の相分離した水性区画が、複数の検出可能な相分離した水性粒子である、請求項3又は請求項4に記載の方法。
  6. インビトロ反応系において核酸分子を合成するための生化学反応であり、以下を含む、請求項1~5のいずれかに記載の方法:
    (a)少なくとも1つの核酸プライマーを提供すること、
    (b)少なくとも1つの標的鎖を含む標的核酸分子を提供し、前記少なくとも1つの核酸プライマーを前記標的鎖と接触させ、それによって二本鎖構造を形成すること、
    (c)IDR-巨大分子をIDR-ポリペプチドとして提供すること、ただし、前記IDR-ポリペプチドは、ポリメラーゼ又は1つ以上のポリペプチド補助因子である、
    (d)前記反応を進行させ、それによって、ポリメラーゼ及びdNTPを用いて、任意に1つ以上のポリペプチド補助因子の存在下で、前記少なくとも1つの核酸プライマーの3’末端を伸長させて、二本鎖核酸を生成させること、ただし、第1の鎖は前記標的鎖の配列を含み、第2の鎖はそれに相補的である配列を含む、
  7. インビトロ反応系において一本鎖標的核酸分子又は二本鎖標的核酸分子を増幅するための生化学反応であり、好ましくは前記標的核酸分子がDNA分子である、請求項6に記載の方法。
  8. インビトロ反応系において二本鎖標的核酸分子を増幅するための生化学反応であり、以下を含む、請求項1~5のいずれかに記載の方法:
    (a)第1及び第2の核酸プライマーを提供すること、
    (b)第1の鎖及び第2の鎖を含む二本鎖標的核酸分子を提供し、前記第1及び第2の核酸プライマーを前記標的核酸分子と接触させ、それによって前記第1の鎖を有する第1の二本鎖構造及び前記第2の鎖を有する第2の二本鎖構造を形成すること、
    (c)IDR-巨大分子をIDR-ポリペプチドとして提供すること、ただし、前記IDR-ポリペプチドは、ポリメラーゼ又は1つ以上のタンパク質補助因子である、
    (d)前記反応を進行させ、それによって、ポリメラーゼ及びdNTPを用いて、任意に前記1つ以上のタンパク質補助因子の存在下で、前記第1及び第2の核酸プライマーの3’末端を伸長させて、第1及び第2の二本鎖核酸を生成させること、
    (e)所望の増幅度に達するまで工程(b)~(d)を繰り返すこと。
  9. インビトロ反応系において二本鎖標的核酸分子を増幅するリコンビナーゼポリメラーゼ増幅方法であり、以下を含む請求項8に記載の方法:
    (a)リコンビナーゼ剤、任意にリコンビナーゼ負荷タンパク質、一本鎖安定化剤、ポリメラーゼ、第1及び第2の核酸プライマー、第1の鎖及び第2の鎖を含む二本鎖標的核酸、並びに任意にエキソヌクレアーゼ、例えばエキソヌクレアーゼIIIを提供すること、
    (b)前記リコンビナーゼ剤を前記第1及び第2の核酸プライマー並びに任意に前記リコンビナーゼ負荷タンパク質と接触させて、それらの3’末端に一本鎖領域を含む第1及び第2の核タンパク質プライマーを形成すること、
    (c)前記第1及び第2の核タンパク質プライマーを前記標的核酸分子と接触させ、それによって、前記第1の鎖を有する第1の二本鎖構造及び前記第2の鎖を有する第2の二本鎖構造を形成すること、
    (d)前記反応を進行させ、それによって、ポリメラーゼ及びdNTPを用いて前記第1及び第2の核タンパク質プライマーの3’末端を伸長させて、第1及び第2の二本鎖核酸並びに第1及び第2の置換された核酸鎖を生成させること、ただし、前記一本鎖安定化剤は、前記第1及び第2の置換された鎖を安定化させる、
    (e)所望の増幅度に達するまで工程(b)~(d)を繰り返すことによって反応を継続すること、
    ただし、前記リコンビナーゼ剤、及び/又は前記リコンビナーゼ負荷タンパク質、及び/又は前記一本鎖安定化剤、及び/又は前記ポリメラーゼは、IDR-ポリペプチドとして提供される。
  10. リコンビナーゼ剤が、UvsX、T4 UvsX、T6 UvsX、RB18 UvsX、大腸菌(E.coli)ファージwV7 UvsX、赤痢菌(Shigella)ファージCB8 UvsX、赤痢菌(Shigella)ファージShfl2 UvsX、大腸菌(E.coli)ファージAR1 UvsX、ファージvB_EcoM_G4507 UvsX、赤痢菌(Shigella)ファージSHFML-11 UvsX、エシェリキア(Escherichia)ファージvB_EcoM_DalCa UvsX、大腸菌(E.coli)RecA、大腸菌(E.coli)RadA、大腸菌(E.coli)RadB、大腸菌(E.coli)Rad 51又はそれらの任意の機能的類似体、ホモログ若しくは誘導体、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択され、好ましくは前記リコンビナーゼ剤が、UvsX、より好ましくはエシェリキア(Escherichia)ファージvB_EcoM_DalCa UvsXである、請求項9に記載の方法。
  11. リコンビナーゼ負荷タンパク質を含み、前記リコンビナーゼ負荷タンパク質が、UvsY、大腸菌(E.coli)RecO、大腸菌(E.coli)RecR又はその任意の機能的類似体、ホモログ若しくは誘導体、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択され、好ましくは、前記リコンビナーゼ負荷タンパク質がUvsY、より好ましくはエシェリキア(Escherichia)ファージSTO UvsYである、請求項9又は請求項10に記載の方法。
  12. ポリメラーゼが、pol-α、pol-β、pol-δ、pol-ε又はそれらの任意の機能的類似体、ホモログ若しくは誘導体、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される真核生物ポリメラーゼである、請求項6~11のいずれかに記載の方法。
  13. ポリメラーゼが、バチルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus)ポリメラーゼIラージ断片、バチルス・スブチリス(Bacillus subtilis)Pol Iラージ断片(Bsuポリメラーゼ)、リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)DNAポリメラーゼI、黄色ブドウ球菌(S.aureus)DNAポリメラーゼI(ソーポリメラーゼ)、大腸菌(E.coli)DNAポリメラーゼI Klenow断片、大腸菌(E.coli)DNAポリメラーゼI、大腸菌(E.coli)DNAポリメラーゼII、大腸菌(E.coli)DNAポリメラーゼIII、大腸菌(E.coli)DNAポリメラーゼIV、大腸菌(E.coli)DNAポリメラーゼV、又はそれらの任意の機能的類似体、ホモログ若しくは誘導体、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される原核生物ポリメラーゼであり、好ましくは、前記ポリメラーゼが黄色ブドウ球菌(S.aureus)DNAポリメラーゼI(ソーポリメラーゼ)又はバチルス・スブチリス(Bacillus subtilis)Pol Iラージ断片(Bsuポリメラーゼ)である、請求項6~11のいずれかに記載の方法。
  14. ポリメラーゼが、バクテリオファージT4 gp43 DNAポリメラーゼ、T7 DNAポリメラーゼ及びPhi-29 DNAポリメラーゼ、又はそれらの任意の機能的類似体、ホモログ若しくは誘導体、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択されるバクテリオファージポリメラーゼである、請求項6~11のいずれかに記載の方法。
  15. 一本鎖安定化剤が、Gp32、大腸菌(E.coli)SSBタンパク質、ファージT4 Gp32タンパク質、ファージRb69 Gp32、ファージvB_EcoM_NBG1 Gp32、又はそれらの任意の機能的類似体、ホモログ若しくは誘導体、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択され、好ましくは前記一本鎖安定化剤が、Gp32又はファージvB_EcoM_NBG1 Gp32である、請求項9~14のいずれかに記載の方法。
  16. リコンビナーゼ剤のみがIDR-ポリペプチドとして提供されるか、又はリコンビナーゼ負荷タンパク質のみが前記IDR-ポリペプチドとして提供されるか、又は一本鎖安定化剤のみが前記IDR-ポリペプチドとして提供されるか、又は前記ポリメラーゼのみが前記IDR-ポリペプチドとして提供されるか、又はエキソヌクレアーゼのみが前記IDR-ポリペプチドとして提供される、請求項9~15のいずれかに記載の方法。
  17. IDR-ポリペプチドの1つ以上の機能的IDRが、前記IDR-ポリペプチドが遺伝子操作された融合タンパク質であるように、前記1つ以上のIDRを含むアミノ酸配列又はこれからなるアミノ酸配列として前記IDR-ポリペプチドにタグ付けされ、前記1つ以上の機能的IDRが、前記IDR-ポリペプチドのC末端、前記IDR-ポリペプチドのN末端、又は前記IDR-ポリペプチドのC末端と前記IDR-ポリペプチドのN末端の両方、又は前記ポリペプチドの長さに沿った任意のアミノ酸位置に位置する、先行請求項のいずれかに記載の方法。
  18. IDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドの1つ以上の機能的IDRが、アルゴリズムMetaDisorderによって分析した場合に0.5を超えるスコアを示すアミノ酸の配列として特徴付けられる、先行請求項のいずれかに記載の方法。
  19. IDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドの1つ以上の機能的IDRが、前記トリペプチド配列RGGの1つ以上のリピートを含むアミノ酸配列を含むか、又はこれからなる、先行請求項のいずれかに記載の方法。
  20. IDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドの1つ以上の機能的IDRが、ジペプチド配列FGの1つ以上のリピートをさらに含むアミノ酸配列を含むか、又はこれからなる、請求項19に記載の方法。
  21. IDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドの1つ以上の機能的IDRが、チロシン又はフェニルアラニンからなる少なくとも1つの芳香族アミノ酸残基をさらに含むアミノ酸配列を含むか又はこれからなる、請求項19又は請求項20に記載の方法。
  22. IDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドの1つ以上の機能的IDRが、
    i.(YNPQGGYQQ)、(式中、nは1~10の正の整数であり、任意にn=1、2、又は3である)、又は
    ii.(YSPTSPS)、(式中、nは1~10の正の整数であり、任意にn=1、2、又は3である)、又は
    iii.(FSPTSPT)、(式中、nは1~10の正の整数であり、任意にn=1、2、又は3である)、又は
    iv.(YSPTSP-A/N/G)、式中、nは1~10の正の整数であり、任意にn=1、2、又は3である)、又は
    v.(YSPGSPA)、(式中、nは1~10の正の整数であり、任意にn=1、2、又は3である)
    の前記アミノ酸配列を含むか又はこれからなる、先行請求項のいずれかに記載の方法。
  23. IDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドの1つ以上の機能的IDRが、グルタミンリッチなアミノ酸配列を含むか又はこれからなり、任意に前記アミノ酸配列が、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、又は少なくとも10個の連続するグルタミン残基を含む、先行請求項のいずれかに記載の方法。
  24. IDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドの1つ以上の機能的IDRが、トリペプチド配列QQQの1つ以上のリピートを含むアミノ酸配列を含むか、又はこれからなる、請求項23に記載の方法。
  25. IDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドの1つ以上の機能的IDRが、(QQQPQY)のアミノ酸配列を含むか又はこれからなり、式中、nは1~10の正の整数であり、任意にn=1、2、又は3である、請求項23又は請求項24に記載の方法。
  26. IDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドの1つ以上の機能的IDRが、配列番号1の少なくとも5個の連続するアミノ酸の配列を含むか又はこれからなる、先行請求項のいずれかに記載の方法。
  27. IDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドの1つ以上の機能的IDRが、配列番号9の少なくとも5個の連続するアミノ酸のアミノ酸配列を含むか、又はこれからなる、先行請求項のいずれかに記載の方法。
  28. IDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドの1つ以上の機能的IDRが、1つ以上の芳香族チロシン残基及び多価金属イオン、好ましくは二価金属イオンとの芳香族カチオン-π相互作用に関与することができる1つ以上のフェニルアラニン残基を含有するアミノ酸配列を含む、先行請求項のいずれかに記載の方法。
  29. IDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドの1つ以上の機能的IDRが、多価金属イオン、好ましくは二価金属イオンとのグアニジン-金属相互作用に関与することができる1つ以上のアルギニン残基を含むアミノ酸配列を含む、先行請求項のいずれかに記載の方法。
  30. IDR-ポリペプチドが、配列番号1~43のいずれか1つのアミノ酸配列を含むか若しくはこれからなる、又は配列番号1~43の機能的バリアントアミノ酸配列を含むか若しくはこれからなる、例えば配列番号1~43のいずれか1つと80%以上の同一性を有するアミノ酸配列で、タグ付けされたポリペプチドを含むか若しくはそれからなる、先行請求項のいずれかに記載の方法。
  31. IDR-ポリペプチドが、Gp32であり、配列番号65~88のいずれか1つの前記アミノ酸配列を有する一本鎖安定化剤であるか、又は前記IDR-ポリペプチドが、その機能的バリアント、例えば配列番号65~88のいずれか1つと80%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有するIDR-ポリペプチドである、請求項9~30のいずれかに記載の方法。
  32. IDR-ポリペプチドが、UvsXであり、配列番号44~59のいずれか1つのアミノ酸配列を有するリコンビナーゼ剤であるか、又は前記IDR-ポリペプチドがその機能的バリアント、例えば配列番号44~59のいずれか1つと80%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有するIDR-ポリペプチドである、請求項9~30のいずれかに記載の方法。
  33. IDR-ポリペプチドが、UvsYであり、配列番号60~64のいずれか1つのアミノ酸配列を有するリコンビナーゼ負荷タンパク質であるか、又は前記IDR-ポリペプチドが、その機能的バリアント、例えば配列番号60~64のいずれか1つと80%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有するIDR-ポリペプチドである、請求項9~30のいずれかに記載の方法。
  34. インビトロ反応系においてIDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドに多価金属イオンを提供し、それによって前記インビトロ反応系における前記液体-液体脱混合を刺激又は増強し、それによって生化学反応の効率を高めることをさらに含み、好ましくは前記液体-液体脱混合が前記インビトロ反応系における検出可能な相分離粒子の形成を促進し、それによって前記生化学反応の前記効率を高め、任意に、前記多価金属イオンが約22mM以上の濃度で提供され、好ましくは前記多価金属イオンが約22mM~50mMの濃度で提供される、先行請求項のいずれかに記載の方法。
  35. 多価金属イオンが、二価金属イオン、任意にMg2+、Mn2+、Ca2+、Co2+又はNi2+、好ましくはMg2+、Mn2+又はCa2+、より好ましくはMg2+である、請求項34に記載の方法。
  36. 生化学反応が、表面を含む固相反応系で行われる、先行請求項のいずれかに記載の方法。
  37. 生化学反応が、請求項3又は請求項4に記載のインビトロ反応系において一本鎖標的核酸分子又は二本鎖標的核酸分子を増幅する方法であり、少なくとも1つの核酸プライマー及び/又はIDR-巨大分子及び/又は前記1つ以上のポリペプチド補助因子が前記表面に結合している、請求項36に記載の方法。
  38. 生化学反応が、インビトロ反応系において二本鎖標的核酸分子を増幅するリコンビナーゼポリメラーゼ増幅方法であり、前記反応が、表面を含む固相反応系において行われ、前記リコンビナーゼ剤及び/又は前記リコンビナーゼ負荷タンパク質及び/又は前記一本鎖安定化剤及び/又は前記ポリメラーゼ及び/又は前記エキソヌクレアーゼ及び/又は前記第1の核酸プライマー及び/又は前記第2の核酸プライマーが前記表面に結合しており、好ましくは、(i)前記第1の核酸プライマー又は前記第2の核酸プライマーが前記表面に結合している、又は(ii)第1及び第2の核酸プライマーの両方が表面に結合している、請求項9~34のいずれかに記載の方法。
  39. 表面が平面であるか又はマイクロビーズであり、好ましくは、前記表面がシリコン、ガラス、ゲルベースの材料及び/又はポリスチレンなどのポリマー材料を含み、より好ましくは、前記表面がポリスチレンなどのポリマー材料を含むマイクロビーズである、請求項36~38のいずれかに記載の方法。
  40. 表面が基質に結合され、好ましくは前記表面が平面であり、及び/又は前記基質がガラスを含み、任意に前記表面及び/又は前記基質がフローセルとして提供される、請求項39に記載の方法。
  41. 巨大分子及びタグアミノ酸配列を含む天然起源でないIDR-巨大分子であって、前記タグ配列が、1つ以上の機能的天然変性領域(IDR)を含むか又はこれからなり、前記IDR-巨大分子が溶液中での液体-液体脱混合を促進することができる、IDR-巨大分子。
  42. 液体-液体脱混合が、インビトロ反応系における検出可能な相分離粒子の形成を促進する、請求項41に記載のIDR-巨大分子。
  43. 液体-液体脱混合及び相分離した水性区画の形成が、それによって系内の生化学反応の効率を高めるか、又は検出可能な相分離した水性粒子の形成が、それによって前記系内の生化学反応の前記効率を高める、請求項41又は請求項42に記載のIDR-巨大分子。
  44. ポリペプチド及びタグアミノ酸配列を含む天然起源でない、人工の又は遺伝子操作されたIDR-ポリペプチドである、請求項41~43のいずれかに記載のIDR-巨大分子。
  45. タグアミノ酸配列が、ポリペプチドのC末端、前記ポリペプチドのN末端、又は前記ポリペプチドのC末端と前記ポリペプチドのN末端の両方、又は前記ポリペプチドの長さに沿った任意のアミノ酸位置に位置する、請求項44に記載のIDR-ポリペプチド。
  46. タグアミノ酸配列の1つ以上の機能的IDRが、請求項14~28のいずれか一項に記載の機能的IDRである、請求項45に記載のIDR-ポリペプチド。
  47. タグ配列が、多価金属カチオン、好ましくは二価金属カチオン、より好ましくはMg2+、Mn2+、Ca2+、Co2+又はNi2+イオン、さらにより好ましくはMg2+、Mn2+又はCa2+、さらにより好ましくはMg2+との芳香族カチオン-π相互作用に関与することができるアミノ酸残基を含む、請求項41~46のいずれかに記載のIDR-巨大分子又はポリペプチド。
  48. 1つ以上の機能的IDRを含むか又はこれからなる配列がタグ付けされているポリペプチドが、酵素、例えばヘリカーゼ、ジャイレース、リコンビナーゼ、例えばRPAリコンビナーゼ剤、ヌクレアーゼ、例えばエキソヌクレアーゼ及びエンドヌクレアーゼ、リガーゼ、グリコリアーゼ(glycolyase)、メチラーゼ、メチルトランスフェラーゼ、グルコシルトランスフェラーゼ、ポリメラーゼ、キナーゼ、ホスファターゼ、CRISPR酵素などの遺伝子編集酵素、例えばCas9酵素;補助因子、例えばRPAリコンビナーゼ負荷タンパク質及びRPA一本鎖安定化剤として、である請求項44~47のいずれかに記載のIDR-ポリペプチド。
  49. 1つ以上の機能的IDRを含むか又はこれからなる配列がタグ付けされたポリペプチドが、RPA一本鎖安定化剤、好ましくはGp32であり、任意に、IDR-ポリペプチドが、配列番号65~88のいずれか1つのアミノ酸配列を有するか、又は前記IDR-ポリペプチドがその機能的バリアント、例えば、配列番号65~88のいずれか1つと80%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有するIDR-ポリペプチドである、請求項48に記載のIDR-ポリペプチド。
  50. 1つ以上の機能的IDRを含むか又はからなる配列がタグ付けされたポリペプチドが、RPAリコンビナーゼ剤、好ましくはUvsXであり、任意に、IDR-ポリペプチドが、配列番号44~59のいずれか1つのアミノ酸配列を有するか、又は前記IDR-ポリペプチドがその機能的バリアント、例えば、配列番号44~59のいずれか1つと80%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有するIDR-ポリペプチドである、請求項48に記載のIDR-ポリペプチド。
  51. 1つ以上の機能的IDRを含むか又はからなる配列がタグ付けされたポリペプチドが、RPAリコンビナーゼ負荷タンパク質、好ましくはUvsYであり、任意に、IDR-ポリペプチドが、配列番号60~64のいずれか1つのアミノ酸配列を有するか、又は前記IDR-ポリペプチドがその機能的バリアント、例えば、配列番号60~64のいずれか1つと80%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有するIDR-ポリペプチドである、請求項48に記載のIDR-ポリペプチド。
  52. 請求項41~51のいずれか一項に記載のIDR-ポリペプチドをコードする第1の核酸配列を含み、任意に、プロモーターをコードする第2の核酸配列を含み、前記第1の核酸配列が前記第2の核酸配列に作動可能に連結されている、単離された核酸分子。
  53. 請求項52に記載の核酸分子を含む組換えポリヌクレオチド発現ベクター。
  54. 請求項52に記載の核酸分子又は請求項53に記載の組換えポリヌクレオチド発現ベクターを含む宿主細胞。
  55. 増殖培地及び宿主細胞の集団を含む細胞培養物であって、前記集団が請求項54に記載の宿主細胞を含む、細胞培養物。
  56. 請求項41~51のいずれか一項に記載の天然起源でないIDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドを含むキット。
  57. RPAリコンビナーゼ剤、及び/又はRPAリコンビナーゼ負荷タンパク質、及び/又はポリメラーゼ、及び/又は第1及び第2の核酸プライマー、及び/又はエキソヌクレアーゼ、及び/又は緩衝液、及び/又は多価金属イオン源、好ましくは二価金属カチオンを含む追加のRPA成分をさらに含む、請求項56に記載のキット。
  58. すべての成分が凍結乾燥形態で提供される、請求項56又は請求項57に記載のキット。
  59. 溶液中の液体-液体脱混合を刺激又は増強する方法であって、前記方法が、請求項41~51のいずれか一項に記載のIDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドを含む溶液を提供することと、前記溶液中で前記IDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドを多価金属イオンと接触させることとを含み、前記溶液中の液体-液体脱混合が刺激又は増強される、方法。
  60. 液体-液体脱混合が、溶液中で検出可能な相分離粒子の形成をもたらす、請求項59に記載の方法。
  61. 前記多価金属イオンが、二価金属イオン、任意にMg2+、Mn2+、Ca2+、Co2+又はNi2+、好ましくはMg2+、Mn2+又はCa2+、より好ましくはMg2+である、請求項59又は請求項60に記載の方法。
  62. 溶液中で液体-液体脱混合を刺激又は増強する際の多価金属イオンの使用であって、前記脱混合が、請求項41~51のいずれかに記載のIDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドによって媒介される、使用。
  63. 液体-液体脱混合が、溶液中で検出可能な相分離粒子の形成をもたらす、請求項62に記載の使用。
  64. 前記多価金属イオンが、二価金属イオン、任意にMg2+、Mn2+、Ca2+、Co2+又はNi2+、好ましくはMg2+、Mn2+又はCa2+、より好ましくはMg2+である、請求項62又は請求項63に記載の使用。
  65. 多価金属イオンが、1つ以上の機能的IDRアミノ酸配列中のアミノ酸残基との芳香族カチオン-π相互作用に関与し、それによって液体-液体脱混合を促進する、請求項62~64のいずれかに記載の使用。
  66. 治療での使用のための、又は診断剤としての使用のための、請求項41~48のいずれかに記載の天然起源でないIDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチド。
  67. 1つ以上の標的ポリヌクレオチド分子のヌクレオチド配列を決定するための、以下を含む方法:
    (i)請求項1~40のいずれかに記載の方法を行い、1つ以上の標的ポリヌクレオチド分子を増幅し、それによって、前記1つ以上の標的ポリヌクレオチド分子の複数のコピーを含む集団を得る工程、
    (ii)前記標的ポリヌクレオチド分子の前記複数のコピーを含む前記集団に対して1つ又は2つ以上の核酸配列決定反応を行う工程、
    好ましくは、前記方法は、表面を含む固相反応系において行われる。
  68. 1つ以上の標的ポリヌクレオチド分子、好ましくはDNA分子のヌクレオチド配列を決定する方法における、請求項41~51のいずれかに記載のIDR-巨大分子又はIDR-ポリペプチドの使用、ただし、該方法は、好ましくは請求項67に記載の方法である。
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