JP2023184402A - 虚像表示装置 - Google Patents

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健太郎 梶田
Kentaro Kajita
洋一 成瀬
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Abstract

【課題】虚像の表示域を変位可能な構成であっても、異常の発生に伴うユーザへの影響を抑制可能な虚像表示装置の提供。【解決手段】HUD100は、車両Amにおいて用いられる虚像表示装置であって、前景に重畳される虚像Viを表示する。HUD100は、虚像Viが表示される表示域VAの位置を、車両Amの上下方向USに沿って変位させる変位機構63と、虚像Viとして表示されるコンテンツの内容に応じて表示域VAの位置を制御するヘッドアップECU70とを備えている。ヘッドアップECU70は、表示域VAの変位の異常として、表示域VAの固着を少なくとも検知する。ヘッドアップECU70は、表示域VAの固着を検知した場合、表示域VAの固着した位置に応じた内容のフェールセーフ制御を行う。【選択図】図1

Description

この明細書における開示は、虚像を表示する虚像表示装置に関する。
特許文献1には、映像表示装置に表示された映像をミラーによって反射させ、車両のウィンドシールドに投射することにより、投射された映像を運転者に視認させるヘッドアップディスプレイ装置が開示されている。ヘッドアップディスプレイ装置は、装置異常が発生した場合、運転の妨げとならないように虚像の表示を制御する。
特許第6953539号公報
近年、虚像が表示される表示域の位置を、虚像として表示されるコンテンツの内容に応じて上下方向に変位させる虚像表示装置が構想されている。こうした虚像表示装置では、表示域を変位させる変位機構に異常が発生し得る。しかし、変位機構に異常が発生した場合の制御は、特許文献1には何ら開示されていない。その結果、異常の発生に伴うユーザへの影響が過大になる虞があった。
本開示は、虚像の表示域を変位可能な構成であっても、異常の発生に伴うユーザへの影響を抑制可能な虚像表示装置の提供を目的とする。
上記目的を達成するため、開示された一つの態様は、車両(Am)において用いられ、前景に重畳される虚像(Vi)を表示する虚像表示装置であって、虚像が表示される表示域(VA)の位置を、車両の上下方向(US)に沿って変位させる変位機構(63)と、虚像として表示されるコンテンツ(CT)の内容に応じて表示域の位置を制御する表示制御部(72)と、表示域の変位の異常として、表示域の固着を少なくとも検知する異常検知部(73)と、を備え、表示制御部は、異常検知部にて表示域の固着が検知された場合、表示域の固着した位置に応じた内容のフェールセーフ制御を行う、虚像表示装置とされる。
この態様では、表示域の変位の異常として表示域の固着が検知された場合、表示域の固着した位置に応じた内容のフェールセーフ制御が行われる。故に、虚像表示装置は、虚像の表示域を変位可能な構成であっても、異常の発生に伴うユーザへの影響を抑制できる。
尚、上記及び特許請求の範囲における括弧内の参照番号は、後述する実施形態における具体的な構成との対応関係の一例を示すものにすぎず、技術的範囲を何ら制限するものではない。また、特に組み合わせに支障が生じなければ、特許請求の範囲において明示していない請求項同士の組み合せも可能である。
本開示の一実施形態によるヘッドアップディスプレイの虚像表示機能を説明するための図である。 表示システムの電気的な構成を示すブロック図である。 表示域の通常位置及び上方位置の位置関係を示す図である。 通常位置及び上方位置にて虚像表示されるコンテンツの一例を示す図である。 ヘッドアップECUにて実施されるフェールセーフ移行処理の詳細を示すフローチャートである。 異常タイプ1でのフェールセーフ制御の詳細を説明するための図である。 所定のタイミングの一例を示すタイミングチャートである。 異常タイプ2でのフェールセーフ制御の詳細を説明するための図である。 異常タイプ3でのフェールセーフ制御の詳細を説明するための図である。 異常タイプ4でのフェールセーフ制御の詳細を説明するための図である。 異常タイプ5でのフェールセーフ制御の詳細を説明するための図である。 異常タイプ6でのフェールセーフ制御の詳細を説明するための図である。
図1及び図2に示す本開示の一実施形態によるヘッドアップディスプレイ(以下、HUD)100は、虚像Viを表示する虚像表示装置である。HUD100は、メータ表示装置30等と共に表示システム110を構成している。表示システム110は、車両Amにおいて用いられ、HUD100による虚像表示と、メータ表示装置30による画面表示等とを連携させて、車両Amに関連する種々の情報をドライバに提示する。
メータ表示装置30及びHUD100は、車両Amに搭載された車載ネットワークの通信バスに通信可能に接続されている。車載ネットワークの通信バスには、ナビゲーションECU(Electronic Control Unit)21及び運転支援ECU22等の他の車載ECUがさらに接続されている。通信バスにノードとして接続されたこれらの構成は、相互に通信可能である。これらECU等のうちの特定のノード同士は、相互に直接的に電気接続され、通信バスを介することなく通信可能であってもよい。
メータ表示装置30は、車両Amに搭載される複数の表示デバイスのうちの一つであり、表示画面への画像の表示によってドライバに情報を提示する。メータ表示装置30は、コンビネーションメータに相当する構成であり、表示画面を運転席へ向けた姿勢で、インスツルメントパネル9に収容されている。メータ表示装置30は、メータディスプレイ31及びメータECU32を備えている。
メータディスプレイ31は、例えば液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイ等である。メータディスプレイ31は、メータECU32から取得する映像データに基づき、スピードメータ画像、タコメータ画像、ナビ地図画像及び運転支援画像等を、表示画面に表示する。
メータECU32は、車両Amのユーザインターフェース機能を統括する電子制御装置である。メータECU32は、メータディスプレイ31、HUD100及びセンターディスプレイ等の表示デバイスによる表示を統合的に制御する。メータECU32は、処理部、RAM、ストレージ、入出力インターフェース、及びこれらを接続するバス等を備えたコンピュータを主体として含む構成である。メータECU32は、通信バスに出力される種々の情報に基づき、メータディスプレイ31に提供する映像データを生成する。メータECU32は、後述するヘッドアップECU70と連携し、虚像表示のための演算処理を実行する。メータECU32は、虚像Viの表示に用いられる画像データを生成し、生成した画像データを、HUD100に逐次出力する。
HUD100は、車両Amに搭載される複数の表示デバイスのうちの一つであり、ドライバ前方の空間中に結像される虚像Viにより、ドライバに情報を提示する。HUD100は、インスツルメントパネル9の内部に設けられた収容空間に収容されている。HUD100は、虚像Viとして結像される光(以下、表示光Lvi)を、ウィンドシールドWSの投影範囲PAへ向けて投影する。ウィンドシールドWSに投影された表示光Lviは、投影範囲PAにおいて運転席側へ反射され、ドライバによって知覚される。ドライバは、投影範囲PAを通して見える前景に、虚像Viが重畳された表示を視認する。
HUD100は、PGU(Picture Generation Unit)61、拡大光学系62、変位機構63、ポジションセンサ64及びヘッドアップECU70を備えている。
PGU61は、LCD(Liquid Crystal Display)パネル及びバックライトを有している。PGU61は、LCDパネルの表示面を拡大光学系62(後述の平面鏡)へ向けた姿勢にて、HUD100の筐体に固定されている。PGU61は、映像データの各フレーム画像をLCDパネルの表示面に表示し、当該表示面をバックライトによって透過照明することで、虚像Viとして結像される表示光Lviを拡大光学系62へ向けて射出する。
拡大光学系62は、合成樹脂又はガラス等からなる基材の表面にアルミニウム等の金属を蒸着させた平面鏡及び凹面鏡62aを少なくとも含む構成である。平面鏡は、PGU61から射出された表示光Lviを凹面鏡62aへ向けて反射する。凹面鏡62aは、平面鏡から入射する表示光Lviを反射によって広げつつ、上方の投影範囲PAに投影する。
変位機構63は、ウィンドシールドWSのうちで投影範囲PAとなる領域を機械的に移動させる機構である。投影範囲PAは、表示光Lviが投影される範囲であり、ドライバからの見た目上で虚像Viが表示される範囲である。変位機構63は、アクチュエータ63a及びギヤユニット等によって構成されている。変位機構63は、アクチュエータ63aの駆動力を、ギヤユニットを介して凹面鏡62aのハウジングに伝達する作動により、左右方向Yoに沿って規定された回転軸まわりに凹面鏡62aを回動させる。変位機構63は、凹面鏡62aのチルト角を増減させ、凹面鏡62aからウィンドシールドWSへ向かう表示光Lviの射出方向を変化させる。こうした凹面鏡62aの姿勢変化により、表示光Lviの投影範囲PA、ひいてはドライバによって視認される表示域VAの位置が、少なくとも上下方向USに移動する。
さらに詳記すると、虚像Viを結像可能な空間中の仮想範囲を結像面ISと定義したとき、表示域VAは、ドライバのアイポイントEPと結像面ISの外縁とを結ぶ仮想線に基づき規定される。表示域VAは、アイポイントEPから見て、虚像Viが表示される画角範囲となる。HUD100では、垂直方向における垂直画角(例えば2°程度)よりも、水平方向における水平画角(例えば6°程度)の方が大きくされている。
変位機構63は、表示域VAの位置を車両Amの上下方向USに沿って変位させ、表示域VAと重なる前方範囲を前後方向ZGに移動させる。一例として、変位機構63が表示域VAを下方(例えば俯角4°程度)に位置させた場合、10数m~20数mの前方範囲が、表示域VA内の範囲となる。対して、変位機構63が表示域VAを上方(例えば俯角2°程度)に位置させた場合、20m~60m程度の前方範囲が、表示域VA内の範囲となる。
ここで、前後方向ZG及び左右方向Yoは、水平面上に静止させた車両Amを基準として規定される。具体的に、前後方向ZGは、車両Amの長手方向(進行方向)に沿って規定される。また左右方向Yoは、車両Amの幅方向に沿って規定される。さらに、上下方向USは、前後方向ZG及び左右方向Yoを規定した水平面の鉛直方向に沿って規定される。尚、記載の簡略化のため、各方向を示す符号の記載を適宜省略する場合がある。
ポジションセンサ64は、アクチュエータ63a又はギヤユニットと一体的に設けられている。ポジションセンサ64は、変位機構63によって調整される凹面鏡62aのチルト角を、電気的又は磁気的に検出する。ポジションセンサ64は、凹面鏡62aの現在のチルト角を示す出力信号をヘッドアップECU70へ向けて逐次出力する。
ヘッドアップECU70は、PGU61及びアクチュエータ63aを統合制御するHUD100の制御回路である。ヘッドアップECU70は、処理部51、RAM52、ストレージ53、入出力インターフェース、及びこれらを接続するバス等を備えたコンピュータを主体として含む構成である。ヘッドアップECU70には、LCDパネル、バックライト及びアクチュエータ63aを駆動するための駆動回路と、ポジションセンサ64の出力信号を取得する検出回路とがさらに設けられている。
ヘッドアップECU70は、表示域VAの位置に関連付けて、虚像Viとして表示するコンテンツCT(図3及び図4参照)を変更する。具体的に、ヘッドアップECU70は、アクチュエータ63aの駆動制御により、変位機構63と連携して、虚像Viが表示される表示域VAの位置を、通常位置VP1及び上方位置VP2を含む複数の位置間で切り替える。ヘッドアップECU70は、アクチュエータ63aによる表示域VAの位置の切り替えに応じて、通常位置VP1及び上方位置VP2のそれぞれに紐づく虚像Viを表示させる(図4参照)。
通常位置VP1は、ドライバの周辺視野PVF(図3参照)内に虚像Viを表示させる表示域VAの位置である。通常位置VP1は、上方位置VP2よりも下方に規定される。通常位置VP1は、表示域VAの基準位置であり、上方位置VP2よりも使用される期間の長い常時位置に相当する。通常位置VP1の表示域VA内には、例えばスピードメータCTv(図4上段参照)等の車両情報を示すコンテンツCTが表示される。以下の説明では、通常位置VP1に紐づくコンテンツCTを、第1コンテンツCT1と記載する。ドライバは、情報を入手したいタイミングで、通常位置VP1の表示域VA内に表示された第1コンテンツCT1の虚像Viを認識できる。
上方位置VP2は、ドライバの中心視野CVF(図3参照)にかかるように虚像Viを表示させる表示域VAの位置である。上方位置VP2は、通常位置VP1と重ならないように、通常位置VP1よりも上方に規定される。通常位置VP1から上方位置VP2への表示域VAの移動は、ドライバに通知すべき特定のイベントが発生した場合に実施される。上方位置VP2の表示域VA内には、例えば経路案内コンテンツCTrg(図4下段参照)、及び歩行者報知コンテンツ等のイベントに関連するコンテンツCTが表示される。以下の説明では、上方位置VP2に紐づくコンテンツCTを、第2コンテンツCT2と記載する。ドライバは、イベントが発生したタイミングで、前方から視線を大きく外すことなく、上方位置VP2の表示域VA内に表示された第2コンテンツCT2の虚像Viを認識できる。
尚、通常位置VP1及び上方位置VP2の相対的な位置関係は、適宜変更されてよい。例えば、上方位置VP2の下縁は、通常位置VP1の上縁と接していてもよく、又は通常位置VP1の上縁から僅かに離れていてもよい。さらに、上方位置VP2の表示域VAと通常位置VP1の表示域VAとは、部分的に重なっていてもよい。
ここまで説明した画角位置とコンテンツCTとを連携させる虚像表示制御を実現するため、ヘッドアップECU70は、ストレージ53に記憶されたプログラム(虚像表示プログラム)を処理部51によって実行し、複数の機能部を備える。具体的に、ヘッドアップECU70は、情報取得部71、表示制御部72及び異常検知部73等の機能部を備える。
情報取得部71は、通信バス及びメータECU32と接続されている。情報取得部71は、ナビゲーションECU21により提供される経路情報、並びに運転支援ECU22により提供される自車周囲の物標情報及び制御ステータス情報等を、通信バスから取得する。情報取得部71には、メータECU32によって生成される虚像表示のための画像データが逐次入力される。
情報取得部71は、操作部68と電気的に接続されている。操作部68は、ドライバによる表示域VAの位置調整と、虚像Viの表示のオン及びオフの切り替えとを行うためのスイッチである。インスツルメントパネル9に設けられた専用のスイッチ、ステアリングホイールに設けられたステアスイッチ、タッチパネル機能を有するセンターディスプレイ、及びドライバの発話を検出する音声入力装置等が、操作部68として利用可能である。
情報取得部71は、ドライバ等によって操作部68が操作された場合に、操作部68への入力情報を取得する。入力情報は、情報取得部71から表示制御部72に提供され、ドライバの操作に応じた表示域VAの位置調整及び虚像表示のオンオフ切り替えが実施される。表示域VAの位置調整は、表示域VAの位置を個々のドライバに適合させるためのユーザキャリブレーションに相当する。ユーザキャリブレーションは、個々のドライバが最初にHUD100(車両Am)を使用する際に実施される。ユーザキャリブレーションにて、ドライバは、操作部68を操作し、アイポイントEPを上下方向US、左右方向Yo及び前後方向ZGに僅かに移動させても虚像Viが見切れることのないように、通常位置VP1及び上方位置VP2を調整する。こうしたユーザキャリブレーションにより、個々のドライバに紐づく表示域VAの位置の設定値がストレージ53に記憶される。
表示制御部72は、PGU61及びアクチュエータ63aを統合制御する制御部である。表示制御部72は、PGU61へ向けて出力する映像データ及び制御信号と、アクチュエータ63aへ向けて出力する駆動信号とを生成する。表示制御部72は、虚像Viとして表示させるコンテンツCTを選択すると共に、表示されるコンテンツCTの内容に応じて表示域VAの位置を制御する。
表示制御部72は、情報取得部71にて取得される情報に基づき、予め設定されたデータテーブルを参照し、虚像表示させるコンテンツCTと表示域VAの位置とを選択する。表示制御部72は、コンテンツCTの選択結果に基づき、映像データの生成に使用する画像の素材データを、RAM52又はストレージ53から抽出する。表示制御部72は、素材データから生成した画像データと、メータECU32より提供される画像データとを適宜組み合わせ、映像データの各フレーム画像を生成する。表示制御部72は、連続した多数のフレーム画像よりなる映像データを、PGU61に逐次出力する。
表示制御部72は、表示域VAの移動実施を決定した場合、アクチュエータ63aの駆動開始又は駆動終了に関連させて、虚像表示するコンテンツCTの内容を切り替える。一例として、表示制御部72は、通常位置VP1から上方位置VP2へと表示域VAを移動させる場合、表示域VAの移動を開始させる直前に、虚像表示するコンテンツCTを切り替える。反対に、上方位置VP2から通常位置VP1へと表示域VAを移動させる場合、表示制御部72は、表示域VAの移動を完了した直後に、虚像表示するコンテンツCTを切り替える。また表示制御部72は、上述のユーザキャリブレーションにおいて、例えば表示域VAの四隅、四辺、及び中央の各位置を示す虚像Viを、位置調整用のコンテンツCTとして表示する。
異常検知部73は、PGU61、アクチュエータ63a及びポジションセンサ64と接続されており、表示域VAの変位の異常及び映像の異常等、HUD100に生じた種々の異常を検知する。具体的に、異常検知部73は、PGU61の異常、アクチュエータ63aの異常、ギヤユニットの動作不良に加えて、ヘッドアップECU70の回路異常、及び虚像表示プログラムのソフトウェア異常等も検知可能である。異常検知部73は、同一内容の異常の検知が複数回(例えば、3回程度)継続した場合に、当該異常が発生していると判定する。異常検知部73は、HUD100の異常を検知した場合及び異常判定を行った場合、異常検知を示す情報(以下、異常検知情報)と、検知した異常の種別を示す情報(以下、異常種別情報)とを、表示制御部72に提供する。
表示制御部72は、HUD100による虚像表示に異常が発生した場合、ドライバによる正常な運転を阻害しないように、フェールセーフ制御を実施する。表示制御部72は、異常検知部73からの異常検知情報の取得に基づき、フェールセーフ移行処理(図5参照)を開始する。表示制御部72は、異常検知情報に付属する異常種別情報を取得し(S11)、異常種別情報に基づき、後述する異常のタイプを把握する(S12)。表示制御部72は、把握した異常のタイプに予め紐づけられた異常対応を選択し(S13)、フェールセーフモードへの移行により(S14)、実施を決定したフェールセーフ制御を開始する。以下、表示制御部72によって実施される異常タイプ毎のフェールセーフ制御の詳細を、図6~図12に基づき、図1及び図2を参照しつつ説明する。
<異常タイプ1:表示域VAの上がり過ぎ>
異常検知部73は、表示域VAの変位の異常として、図6に示す通常位置VP1H及び上方位置VP2Hのように、正常な位置(下基準線RBL参照)から表示域VAが上がり過ぎる異常を検知する。異常検知部73は、ポジションセンサ64の出力信号を参照し、現在位置とあるべき位置との比較を行い、これらの差分(矢印参照)が閾値を超えた状態を複数回(例えば3回程度)継続して検知した場合に、上がり過ぎの異常と判定する(図7 異常発生を参照)。表示域VAが上がり過ぎる現象は、走行中における上下方向USの変位の繰り返しにより、凹面鏡62aのチルト角が振動等によって正規の位置からずれることで引き起こされる。表示域VAが上がり過ぎた場合、上方位置VP2Hに虚像表示されるコンテンツCTは、中心視野CVFに位置してドライバの前方視界を遮ることで、正常な運転を阻害する可能性がある。異常検知部73は、表示域VAの上がり過ぎを検知した場合、異常検知情報に加えて、表示域VAが上がり過ぎていることを示す異常種別情報を表示制御部72に提供する。
表示制御部72は、異常検知部73にて表示域VAの上がり過ぎが検知された場合でも、虚像Viの表示を継続する。表示制御部72は、異常検知部73にて表示域VAの上がり過ぎが検知された場合、表示域VAの変位が可能な状態を継続してもよく、又は表示域VAの変位を制限(禁止)してもよい。表示制御部72は、フェールセーフ制御として、所定のタイミングで変位機構63の復帰処理を実施する。所定のタイミングは、例えばHUD100の次回の起動時、具体的には車両Amのイグニッションの状態が、オフ状態からオン状態に切り替わるタイミング等である(図7 IG ON参照)。尚、車両Amのイグニッションのオン状態は、ドライブレンジへのシフト切り替えによって車両Amが走行可能な状態を示している。
表示制御部72は、復帰処理において、ポジションセンサ64の出力信号を参照しつつ、アクチュエータ63aの駆動制御を実施し、凹面鏡62aのチルト角の基準位置(ゼロ点)をリセットする(図7 ZPD参照)。表示制御部72は、基準位置のリセット後、ユーザキャリブレーションにおいて設定された値を読み込むことで、表示域VAを再び正常な位置に復帰させることができる。尚、表示制御部72は、異常発生の有無に関わらず、言い替えれば、正常時及び異常時のいずれにおいても、HUD100の「enable」がオフ状態に切り替えられたことに基づき、基準位置のリセットを実施する(図7 EN OFF参照)。表示制御部72は、異常時のみ、イグニッション電源のオン切り替えに基づく基準位置のリセットを復帰処理として行うことにより、正常時よりも早いタイミングで、表示域VAを正常な位置に戻すことができる。
表示制御部72は、表示域VAの上がり過ぎ異常発生が判定された後、表示域VAの変位及び虚像Viの表示を共に継続してもよい。この場合、表示制御部72は、HUD100がオフ状態となるまで、操作部68への操作入力によって表示域VAの位置を変更できる状態を維持する。即ち、表示制御部72は、フェールセーフ制御として、表示域VAの位置を変更できる状態としたうえで、所定のタイミングにて復帰処理を実施する。表示制御部72は、上がり過ぎた表示域VAを戻す位置調整がドライバによって行われていた場合でも、上述の復帰処理にて、初回のユーザキャリブレーションによって設定された初期値に、表示域VAの位置を復帰させる。
以上のフェールセーフ制御によれば、ドライバは、上がり過ぎた上方位置VP2H及び通常位置VP1Hを、車両Amが一時的に停車した期間等において、操作部68への操作の入力により適切な位置まで下げる調整を実施できる。加えて、次回起動時等の復帰処理によれば、虚像Viの見切れを生じさせることなく、正常な可動範囲での表示域VAの上下移動が再開される。尚、復帰処理が実施された場合、上がり過ぎの検知後に実施された画角位置の調整結果は、破棄されてよい。
<異常タイプ2:上方位置VP2での表示域VAの固着>
異常検知部73は、表示域VAの変位の異常として、表示域VAの固着を検知する。異常検知部73は、アクチュエータ63aを駆動しているにも関わらず、凹面鏡62aのチルト角、即ち、ポジションセンサ64の出力信号が変化しない状態が継続した場合に、固着が発生したと判定する。表示域VAの固着は、アクチュエータ63aの動作不良、ギヤユニットの不具合、制御回路又はソフトウェアの不具合等によって生じ得る。異常検知部73は、表示域VAの固着を検知した場合、ポジションセンサ64の出力信号を参照し、固着が発生した位置をさらに特定する。異常検知部73は、表示域VAの固着を検知した場合、異常検知情報に加えて、固着が発生したこと及びその発生位置を示す異常種別情報を表示制御部72に提供する。
図8に示すように、上方位置VP2にて表示域VAが固着した場合、中心視野CVFの内側又はその近傍に、通常位置VP1に表示されるべき第1コンテンツCT1が表示されてしまう。通常位置VP1にて表示される第1コンテンツCT1は、動きの速い表示、又は情報量の多い表示である場合が多い。故に、表示域VAが下がらずに、上方位置VP2の表示域VA内に第1コンテンツCT1が表示されてしまうと、ドライバの前方視界が遮られ、正常な運転を阻害する可能性がある。
表示制御部72は、表示域VAが上方位置VP2で固着した場合、表示域VAが通常位置VP1で固着した場合よりも、フェールセーフ制御による異常対応を早く開始する。具体的に、表示制御部72は、上方位置VP2で表示域VAが固着した場合、表示中のコンテンツCTがドライバの視界を妨げるか否かを判定する。表示制御部72は、表示中のコンテンツCTの表示サイズ、表示変化の速さ、画角内での表示位置等を基準とし、チラツキ等の現象を伴うか否かを推定する。表示制御部72は、予め規定された特定のコンテンツCTを表示している場合に、チラツキ等の現象を伴うと推定してもよく、又は表示中のコンテンツCTの表示状態を把握して、チラツキ等の現象を伴うか否かを推定してもよい。表示制御部72は、チラツキ等の現象を伴うと推定した場合、表示中のコンテンツCTが視界を妨げると判定する。
表示制御部72は、表示中のコンテンツCTが視界を妨げると判定した場合、上述の復帰処理を行わず、第2コンテンツCT2(図4参照)の表示を継続し、第1コンテンツCT1の表示を中止する。以上により、例えばスピードメータCTvの数字の変化等に起因した虚像Viのチラツキが防止される。表示制御部72は、第1コンテンツCT1等の虚像Viの表示を中止した後、車両Amのイグニッションがオフ状態からオン状態になる次回起動時等の所定のタイミング(図7 IG ON参照)にて、変位機構63の復帰処理を実施する。タイプ2の固着異常が発生した場合でも、表示制御部72は、異常発生時のみ、イグニッション状態のオン切り替えに基づき、復帰処理としての基準位置のリセットを実施する(図7 異常時のZPD参照)。表示制御部72は、復帰処理によって固着が解消した場合、第1コンテンツCT1の表示を再開する。一方、復帰処理によっても固着が解消しない場合、表示制御部72は、第1コンテンツCT1の表示を中止した状態を継続する。
表示制御部72は、表示中のコンテンツCTが視界を妨げないと判定した場合、フェールセーフ制御として、上述の復帰処理を即時開始する。表示制御部72は、復帰処理によって固着が解消した場合、虚像Viの表示を再開する。一方、復帰処理によっても固着が解消しない場合、表示制御部72は、第2コンテンツCT2の表示を継続し、第1コンテンツCT1の表示を中止する。
<異常タイプ3:中間位置での表示域VAの固着>
図9に示すように、表示域VAが遷移しきらず、通常位置VP1及び上方位置VP2の間(以下、中間位置VPM)で固着した場合も、中心視野CVFの近傍にスピードメータCTv等の第1コンテンツCT1が表示されてしまう。この場合、上方位置VP2で固着した場合と同様に、ドライバの前方視界が遮られ、正常な運転を阻害する可能性がある。
表示制御部72は、異常検知部73にて中間位置VPMでの固着が検知された場合、上方位置VP2での固着が検知された場合と同様のフェールセーフ制御を実施する。具体的に、表示制御部72は、表示中のコンテンツCTがドライバの視界を妨げるか否かを判定し、表示中のコンテンツCTが視界を妨げると判定した場合、第2コンテンツCT2(図4参照)の表示を継続し、第1コンテンツCT1の表示を中止する。表示制御部72は、第1コンテンツCT1の表示を中止した後、車両Amのイグニッションがオフ状態からオン状態になる次回起動時等の所定のタイミング(図7 IG ON参照)にて、上述の復帰処理を実施する。タイプ3の固着異常が発生した場合でも、表示制御部72は、異常発生時のみ、イグニッション状態のオン切り替えに基づき、復帰処理としての基準位置のリセットを実施する(図7 異常時のZPD参照)。一方、表示中のコンテンツCTが視界を妨げないと判定した場合、表示制御部72は、フェールセーフ制御として、上述の復帰処理を即時開始する。
<異常タイプ4:変位の不円滑>
異常検知部73は、表示域VAの変位の異常として、図10に示すような変位の不円滑を検知する。正常時において、通常位置VP1及び上方位置VP2の間での表示域VAの移動は、概ね一定の速度で実施される(図10 破線参照)。対して、アクチュエータ63a、駆動回路又はギヤユニット等に何らかの異常が生じた場合、表示域VAの移動速度は変動する(図10 実線参照)。異常検知部73は、ポジションセンサ64の出力信号を参照し、移動速度の変動が閾値を超えている場合、変位の不円滑が発生していると判定する。
表示制御部72は、異常検知部73にて変位の不円滑が検知及び判定された場合でも、虚像Viの表示を継続する。この場合、スムーズ性を欠くことでドライバに煩わしさを生じさせるものの、コンテンツCTの表示位置は、正常時と同じであり、ドライバの前方視界を妨げる位置とはなり難い。故に、表示制御部72は、ドライバの利便性を優先し、虚像Viによる情報提示を継続する。表示制御部72は、フェールセーフ制御として、車両Amのイグニッションがオン状態となる次回起動時等の所定のタイミング(図7 IG ON参照)にて、上述の復帰処理を実施する。タイプ4の不円滑異常が発生した場合でも、表示制御部72は、異常発生時のみ、イグニッション状態のオン切り替えに基づき、復帰処理としての基準位置のリセットを実施する(図7 異常時のZPD参照)。復帰処理によって不円滑が解消しない場合でも、表示制御部72は、虚像Viの表示を継続する。
<異常タイプ5:通常位置VP1での表示域VAの固着>
異常検知部73は、表示域VAの変位の異常として、図11に示すような通常位置VP1での表示域VAの固着を検知する。通常位置VP1にて表示域VAが固着した場合、上方位置VP2に表示されるべき第2コンテンツCT2が通常位置VP1に表示される。この場合、第2コンテンツCT2は、正常時よりも下方に表示されるだけであり、ドライバの前方視界を妨げる表示物とはなり難い。故に、表示制御部72は、通常位置VP1で表示域VAが固着した場合、虚像Viの表示を継続する。表示制御部72は、フェールセーフ制御として、車両Amのイグニッションがオフ状態からオン状態になる次回起動時等の所定のタイミング(図7 IG ON参照)にて、上述の復帰処理を実施する。タイプ5の固着異常が発生した場合でも、表示制御部72は、異常発生時のみ、イグニッション状態のオン切り替えに基づき、復帰処理としての基準位置のリセットを実施する(図7 異常時のZPD参照)。復帰処理によって固着が解消しないでも、表示制御部72は、虚像Viの表示を継続する。
<異常タイプ6:表示域VAの下がり過ぎ>
異常検知部73は、表示域VAの変位の異常として、図12に示す通常位置VP1L及び上方位置VP2Lのように、正常な位置(上基準線RTL参照)から表示域VAが下がり過ぎる異常を検知する。異常検知部73は、ポジションセンサ64の出力信号を参照し、現在位置とあるべき位置との比較を行い、これらの差分(矢印参照)が閾値を超えた場合に、下がり過ぎの異常と判定する。表示域VAが下がり過ぎる現象は、上述の上がり過ぎの異常と同様に、走行中における表示域VAの変位の繰り返しで、凹面鏡62aのチルト角が正規の位置からずれることで引き起こされる。
表示域VAが下がり過ぎた場合、第1コンテンツCT1及び第2コンテンツCT2の各表示位置が正常時より中心視野CVFから遠のくものの、前方視界を遮る事態は発生しない。故に、表示制御部72は、異常検知部73にて表示域VAの下がり過ぎが検知された場合でも、虚像Viの表示を継続する。表示制御部72は、異常検知部73にて表示域VAの下がり過ぎが検知された場合、表示域VAの変位が可能な状態を継続してもよく、又は表示域VAの変位を制限(禁止)してもよい。表示制御部72は、フェールセーフ制御として、車両Amのイグニッションがオフ状態からオン状態になる次回起動時等の所定のタイミング(図7 IG ON参照)にて復帰処理を実施する。タイプ6の下がり過ぎ異常が発生した場合でも、表示制御部72は、異常発生時のみ、イグニッション状態のオン切り替えに基づき、復帰処理としての基準位置のリセットを実施する(図7 異常時のZPD参照)。
表示制御部72は、表示域VAの下がり過ぎ異常発生が判定された後、表示域VAの変位及び虚像Viの表示を共に継続してもよい。この場合、表示制御部72は、HUD100がオフ状態となるまで、操作部68への操作入力によって表示域VAの位置を変更できる状態を維持する。即ち、表示制御部72は、フェールセーフ制御として、表示域VAの位置を変更できる状態としたうえで、所定のタイミングにて復帰処理を実施する。表示制御部72は、下がり過ぎた表示域VAを戻す位置調整がドライバによって行われていた場合でも、上述の復帰処理にて、初回のユーザキャリブレーションによって設定された初期値に、表示域VAの位置を復帰させる。
以上のフェールセーフ制御によれば、ドライバは、下がり過ぎた上方位置VP2L及び通常位置VP1Lを、例えば車両Amが一時的に停車した期間等において、操作部68への操作の入力により適切な位置まで上げる調整を実施できる。加えて、次回起動時等の復帰処理によれば、虚像Viの見切れを生じさせることなく、正常な可動範囲での表示域VAの上下移動が再開される。
<異常タイプ7:表示域VAが上下に揺れ続ける>
異常検知部73は、表示域VAの変位の異常として、表示域VAが特定位置で固定されずに上下方向USに揺れ続ける(動き続ける)異常を検知する。例えば、アクチュエータ63a、駆動回路又はギヤユニット等に異常が生じた場合、表示域VAが小さく上下方向USに動き続ける現象、言い替えれば、表示域VAの位置が安定しない現象が発生する。異常検知部73は、ポジションセンサ64の出力信号を参照し、表示域VAの位置について、閾値を超える継続的な変動を観測した場合、表示域VAが上下に揺れ続けていると判定する。
表示制御部72は、異常検知部73にて表示域VAの揺れ続けが検知された場合、表示中のコンテンツCTがドライバの視界を妨げるか否かを判定する。表示制御部72は、表示中のコンテンツCTが視界を妨げると判定した場合、復帰処理を行うことなく、フェールセーフ制御として、虚像Viの表示を即時中止する。これにより、ドライバの視界内で虚像Viが動き続けることで、周囲への注意が疎かになり、正常運転が阻害される事態は回避される。この場合、表示制御部72は、車両Amのイグニッションがオフ状態からオン状態になる次回起動時等の所定のタイミング(図7 IG ON参照)にて、上述の復帰処理を実施する。タイプ7の動き続ける異常が発生した場合でも、表示制御部72は、異常発生時のみ、イグニッション状態のオン切り替えに基づき、復帰処理としての基準位置のリセットを実施する(図7 異常時のZPD参照)。一方、表示中のコンテンツCTが視界を妨げないと判定した場合、表示制御部72は、フェールセーフ制御として、上述の復帰処理を即時開始する。
<異常タイプ8:映像とアクチュエータ63aの動作が不一致>
異常検知部73は、表示域VAの変位の異常として、コンテンツCTを切り替えるタイミングと表示域VAを変位させるタイミングとがずれる異常を検知する。異常検知部73は、表示制御部72から取得する表示制御情報に基づき、コンテンツCT(映像)の切り替えタイミングを把握する。さらに、異常検知部73は、ポジションセンサ64の出力信号を参照し、画角移動の開始タイミングを把握する。異常検知部73は、把握した各タイミングに基づき、アクチュエータ63aの動作が規定のタイミングより遅い、及び映像の切り替わりが規定のタイミングより遅い等の事象の発生を検知する。
表示制御部72は、異常検知部73にてタイミングのずれが検知された場合でも、虚像Viの表示を継続する。この場合、表示域VAの位置の切り替え時にドライバに違和感を与える可能性があるものの、コンテンツCTが前方視野を妨げる事態は発生し難い。故に、虚像Viの表示継続により、ドライバの利便性の確保が優先されてよい。
<異常タイプ9:変位に伴う異音及び振動の発生>
表示域VAの変位の異常として、表示域VAの位置の上下に伴う異音又は振動の発生が想定される。こうした異常は、異常検知部73による検知が困難となる。そのため、HUD100には、表示のオン及びオフを切り替え可能な操作部68が設けられている。異音及び振動が煩わしいと感じたドライバは、表示をオフにする操作を操作部68に入力できる。表示制御部72は、操作部68から取得する入力情報に基づき、虚像Viの表示を中止する。このように、表示域VAの変位に伴う異音及び振動は、ドライバに煩わしさを感じさせ得るものの、前方視界を妨げる要因とはなり難い。故に、虚像Viの表示継続により、ドライバの利便性の確保が優先されてよい。
<異常タイプ10:白画>
異常検知部73は、表示域VAの変位の異常に加えて、表示光Lviを射出するPGU61の異常をさらに検知する。具体的に、異常検知部73は、PGU61の異常として、バックライトの光がそのまま射出される異常(以下、白画異常)を検知する。白画異常は、LCDパネル又は駆動回路等の異常によって発生する。白画異常が発生すると、ドライバは、前方から目を逸らさざるを得ない状況となり、正常な運転を継続できなくなる。故に、表示制御部72は、異常検知部73にてPGU61の白画異常が検知された場合、フェールセーフ制御として、復帰処理を行うことなく、虚像Viの表示を即時中止する。これにより、白画の眩しさによって前方の視認が困難となり、正常運転が阻害される事態は回避される。
<実施形態まとめ>
ここまで説明した本実施形態では、表示域VAの変位の異常として、表示域VAの固着が検知された場合、表示域VAの固着した位置に応じた内容のフェールセーフ制御が行われる。故に、HUD100は、虚像Viの表示域VAを変位可能な構成であっても、異常の発生に伴うドライバ等のユーザへの影響を抑制できる。
詳記すると、表示域VAが固着した位置に応じて、虚像Viの表示を継続するか否かが適切に判断され得る。その結果、虚像Viがドライバの視界を妨げ易いシーンでは、虚像Viの表示が中止され、虚像Viがドライバの視界を妨げ難いシーンでは、虚像Viの表示の継続が許可される。したがって、異常が発生しても、ドライバへの影響は、最小に抑制可能となる。
加えて本実施形態では、通常位置VP1と、通常位置VP1よりも上方の上方位置VP2とを少なくとも含む複数の位置間で、表示域VAの位置が切り替えられる。そして、表示域VAが上方位置VP2で固着した場合、表示域VAが通常位置VP1で固着した場合よりも、フェールセーフ制御による異常対応が早く開始される。上方位置VP2で表示域VAが固着した場合、煩わしい態様のコンテンツCTが、中心視野CVFの内側又は近傍に表示される虞がある。しかし、上方位置VP2での固着に対し、早期に異常対応が開始されれば、虚像Viがドライバの視界を妨げる事態が生じても、早急の解消が可能となる。
また本実施形態では、上方位置VP2で表示域VAが固着した場合、表示中のコンテンツCTについて、ドライバの視界を妨げるか否かが判定される。そして、表示中のコンテンツCTが視界を妨げる場合、上方位置VP2に紐づく第2コンテンツCT2の表示が継続される一方で、通常位置VP1に紐づく第1コンテンツCT1の表示は中止される。以上によれば、中心視野CVFと重なる上方位置VP2の表示域VA内に表示変化の激しい第1コンテンツCT1が表示されて、ドライバの視界を妨げる事態は、生じ難くなる。さらに、上方位置VP2に紐づくコンテンツCTの表示が継続されるため、ドライバの利便性は、損なわれ難くなる。
さらに本実施形態では、上方位置VP2で表示域VAが固着したとき、表示中のコンテンツCTが視界を妨げない場合、フェールセーフ制御としての復帰処理が実施される。こうした復帰処理の即時実施によれば、表示域VAの固着が解消され得る。その結果、一時的な中断のみで虚像表示が再開され得るため、ドライバの利便性は、損なわれ難くなる。
加えて本実施形態では、通常位置VP1で表示域VAが固着した場合、虚像Viの表示が継続される。そして、所定のタイミングにて復帰処理がフェールセーフ制御として実施される。上方位置VP2に表示されるはずの第2コンテンツCT2、固着した通常位置VP1に表示されても、ドライバの視界は妨げられ難い。さらに、復帰処理が所定のタイミングで実施されるため、表示域VAの固着が解消され得る。以上のように、虚像Viの表示を継続させるための処理が実施されることで、固着の発生に伴うドライバへの影響は、最小に抑制可能となる。
また本実施形態では、表示域VAが通常位置VP1及び上方位置VP2の間の中間位置VPMで固着した場合、表示中のコンテンツCTについて、ドライバの視界を妨げるか否かが判定される。そして、表示中のコンテンツCTが視界を妨げる場合、上方位置VP2に紐づく第2コンテンツCT2の表示が継続される一方で、通常位置VP1に紐づく第1コンテンツCT1の表示が中止される。以上によれば、表示変化の激しい第1コンテンツCT1が中心視野CVFの近傍に表示されて、ドライバの視界を妨げる事態は、生じ難くなる。加えて、表示中のコンテンツCTが視界を妨げない場合、復帰処理が即時実施されることで、一時的な中断のみで虚像表示を再開させることが可能になる。その結果、ドライバの利便性は、損なわれ難くなる。
さらに本実施形態では、表示域VAの変位の異常として、変位の不円滑が検知される。そして、不円滑が検知された場合、虚像Viの表示が継続される。このように、変位が不円滑となった場合でも、各コンテンツCTは、適切な表示位置に表示され得るため、ドライバの前方視界を妨げ難い。さらに、所定のタイミングにて復帰処理が実施され、不円滑の解消が図られることによれば、異常の発生に伴うドライバへの影響が抑制され得る。
加えて本実施形態では、表示域VAの変位の異常として、表示域VAの上がり過ぎが検知される。そして、表示域VAの上がり過ぎが検知された場合、虚像Viの表示が継続され、所定のタイミングにて復帰処理が実施される。こうして表示域VAの位置がリセットされることにより、表示域VAの可動範囲は、正常な範囲に戻り得る。その結果、上がり過ぎの異常が発生しても、ドライバへの影響は、最小に抑制可能となる。
さらに、異常検知部73にて表示域VAの上がり過ぎが検知された場合、表示制御部72は、ドライバによる表示域VAの位置調整を可能な状態としつつ虚像Viの表示を継続し、所定のタイミングにて変位機構63の復帰処理をフェールセーフ制御として実施する。故に、ドライバは、上がり過ぎた表示域VAの位置を、例えば停車時等に下方へ調整し、適切な位置に戻し得る。その結果、上がり過ぎの異常発生によるドライバへの影響は、いっそう抑制可能となる。
また本実施形態では、表示域VAの変位の異常として、表示域VAの下がり過ぎが検知される。そして、表示域VAの下がり過ぎが検知された場合、虚像Viの表示が継続され、所定のタイミングにて復帰処理が実施される。こうして表示域VAの位置がリセットされることにより、表示域VAの可動範囲は、正常な範囲に戻り得る。その結果、下がり過ぎの異常が発生しても、ドライバへの影響は、最小に抑制可能となる。
さらに、異常検知部73にて表示域VAの下がり過ぎが検知された場合、表示制御部72は、ドライバによる表示域VAの位置調整を可能な状態としつつ虚像Viの表示を継続し、所定のタイミングにて変位機構63の復帰処理をフェールセーフ制御として実施する。故に、ドライバは、下がり過ぎた表示域VAの位置を、例えば停車時等に下方へ調整し、適切な位置に戻し得る。その結果、下がり過ぎの異常発生によるドライバへの影響は、いっそう抑制可能となる。
さらに本実施形態では、表示域VAの変位の異常として、表示域VAが上下方向USに揺れ続ける異常が検知される。そして、表示域VAの揺れ続けが検知された場合、表示中のコンテンツCTについて、ドライバの視界を妨げるか否かが判定される。表示中のコンテンツCTが視界を妨げる場合、フェールセーフ制御として虚像Viの表示が即時中止される。また、表示中のコンテンツCTが視界を妨げない場合、フェールセーフ制御としての復帰処理が実施され、表示域VAの位置がリセットされる。その結果、表示域VAの可動範囲は、正常な範囲に戻り得る。以上の異常対応によれば、表示域VAが揺れ続ける異常が発生しても、ドライバへの影響は、最小に抑制可能となる。
加えて本実施形態では、表示域VAの変位の異常として、コンテンツCTを切り替えるタイミングと表示域VAを変位させるタイミングとがずれる異常が検知される。そして、タイミングのずれが検知された場合でも、虚像Viの表示が継続される。このように、映像とアクチュエータ63aの動作とが不一致となった場合、表示域VAの切り替わり時にドライバに違和感を与え得る一方で、前方視野を妨げる事態は生じ難い。故に、虚像Viの表示を継続させる異常対応を行うことで、タイミングがずれる異常が発生した場合でも、ドライバへの影響を抑制することが可能となる。
また本実施形態では、虚像Viの表示のオン及びオフを切り替える操作部68への入力情報に基づき、虚像Viの表示が中止される。故に、表示域VAの移動に伴う異音及び振動が発生した場合、違和感を覚えたドライバは、自らの判断で虚像Viの表示を中止させることができる。故に、操作部68を準備しておくことで、異常検知部73が検知できない異常が発生しても、ドライバへの影響を抑制することが可能となる。
さらに本実施形態では、虚像Viとして結像される表示光Lviを射出するPGU61の異常が検知される。そして、PGU61の異常が検知された場合、虚像Viの表示が中止される。PGU61の作動不良によって白画異常が発生した場合、ドライバは、前方から目を逸らさざるを得ない状況となる。故に、復帰処理を実施せず、虚像Viの表示を即時中止することによれば、ドライバの正常な運転が阻害される期間は短くなる。その結果、PGU61の異常によるドライバへの影響は、最小に抑制可能となる。
尚、上記実施形態において、通常位置VP1が「第1位置」に相当し、上方位置VP2が「第2位置」に相当し、PGU61が「表示ユニット」に相当し、情報取得部71が「入力把握部」に相当し、HUD100が「虚像表示装置」に相当する。
(他の実施形態)
以上、本開示の一実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定して解釈されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態及び組み合わせに適用できる。
上記実施形態のタイプ1の異常(表示域VAの上がり過ぎ)が発生した場合のフェールセーフ制御は、適宜変更されてよい。具体的に、上記実施形態の変形例1では、表示域VAの上がり過ぎが検知された場合、表示制御部72は、虚像Viの表示を全て中止する。また、上記実施形態の変形例2の表示制御部72は、表示域VAを変位させる機能を停止し、表示域VAの位置を通常位置VP1に固定する。表示制御部72は、第1コンテンツCT1に加えて、第2コンテンツCT2を通常位置VP1に表示させる。
上記実施形態の変形例3の表示制御部72は、表示域VAの上がり過ぎの異常検知にもとづき、上方位置VP2を自動調整する。言い替えれば、表示制御部72は、通常位置VP1からの上方への変位量を減少させ、より低い位置に上方位置VP2を設定する。また、上記実施形態の変形例4の表示制御部72は、表示域VAの上がり過ぎの異常検知に基づき、復帰処理を即時実施する。
上記実施形態の変形例5の表示制御部72は、表示域VAの上がり過ぎの異常検知に基づき、予め準備された異常対応用のコンテンツCTであって、前方視界を遮らない態様のコンテンツCTに変更する。異常対応用のコンテンツCTは、正常時用のコンテンツCTよりも、表示サイズが小さい、表示位置が下方寄り、及び表示変化が遅い等の特性を有している。
上記実施形態の変形例6では、ドライバモニタによるアイポイントEPのリアルタイムでの検出情報が、ヘッドアップECU70に提供される。表示制御部72は、ドライバモニタとの連携により、検出情報に基づき、アイポイントEPの現在位置に合わせて、上がり過ぎた上方位置VP2及び通常位置VP1を調整する。
上記実施形態の変形例7では、運転席のシートポジションを示す情報(以下、シートポジション情報)が、ヘッドアップECU70に提供される。表示制御部72は、シートポジション情報に基づき、アイポイントEPの現在位置を推定し、推定したアイポイントEPに合わせて、上がり過ぎた上方位置VP2及び通常位置VP1を調整する。
上記実施形態のタイプ1,6の異常(表示域VAの上がり過ぎ又は下がり過ぎ)が発生した場合のフェールセーフ制御は、適宜変更されてよい。具体的に、上記実施形態の変形例8では、表示域VAの上がり過ぎ又は下がり過ぎが検知された場合、虚像Viの表示が継続される一方で、ドライバによる表示域VAの位置調整は、制限(禁止)される。故に、異常発生に伴う緊急の位置調整により、見切れを生じ易い状態で虚像Viの表示が継続される事態は、回避され得る。
上記実施形態のタイプ2,3の異常(上方位置VP2又は中間位置VPMでの固着)が発生した場合のフェールセーフ制御は、適宜変更されてよい。具体的に、上記実施形態の変形例9では、コンテンツCTによる視界の妨げを回避するため、表示制御部72は、復帰処理を行わずに、虚像Viの表示を即時中止する。そして、表示制御部72は、次回起動時にて、復帰処理を実施する。
上記実施形態の変形例10,11では、表示中のコンテンツCTがドライバの視界を妨げるか否かの判定が省略される。変形例10の表示制御部72は、上方位置VP2又は中間位置VPMで表示域VAが固着した場合、フェールセーフ制御として、第2コンテンツCT2の表示を継続し、第1コンテンツCT1の表示を中止する。また、変形例11の表示制御部72は、上方位置VP2又は中間位置VPMで表示域VAが固着した場合、フェールセーフ制御として、復帰処理を即時実施する。
上記実施形態の変形例12の表示制御部72は、上方位置VP2又は中間位置VPMで表示域VAが固着した場合、フェールセーフ制御として、虚像Viとして表示するコンテンツCTの態様を変更する。表示制御部72は、上記の変形例5と同様に、予め準備された異常対応用のコンテンツCTであって、前方視界を遮らない態様のコンテンツCTに変更する。変形例12にて、表示態様を変更されるコンテンツCTは、第1コンテンツCT1のみであってもよい。
上記実施形態のタイプ4の異常(変位の不円滑)が発生した場合のフェールセーフ制御は、適宜変更されてよい。具体的に、上記実施形態の変形例13では、変位が不円滑となる異常が検知された場合、表示制御部72は、虚像Viの表示を全て中止する。また、上記実施形態の変形例14の表示制御部72は、表示域VAを変位させる機能を停止し、表示域VAの位置を通常位置VP1に固定する。さらに、上記実施形態の変形例15の表示制御部72は、復帰処理を即時実施する。
上記実施形態のタイプ7の異常(表示域VAが上下に揺れ続ける)が発生した場合のフェールセーフ制御は、適宜変更されてよい。具体的に、上記実施形態の変形例16では、異常検知部73にて表示域VAの揺れ続けが検知された場合でも、表示制御部72は、虚像Viの表示を継続する。タイプ7の異常が発生した場合、動き続ける虚像Viがドライバに違和感を与える可能性がある。しかし、タイプ7の異常発生が極めて発生し難い構造であれば、表示制御部72は、虚像Viの表示を継続する仕様とされてよい。
さらに、上記実施形態の変形例17では、上下に動き続ける異常が検知された場合、表示制御部72は、表示域VAを変位させる機能を停止し、表示域VAの位置を通常位置VP1に固定する。また、上記実施形態の変形例18の表示制御部72は、復帰処理を行うことなく、虚像Viの表示を全て中止する。
上記実施形態のタイプ8の異常(動作の不一致)が発生した場合のフェールセーフ制御は、適宜変更されてよい。具体的に、上記実施形態の変形例19では、動作が不一致となる異常が検知された場合、表示制御部72は、表示域VAを変位させる機能を停止し、表示域VAの位置を通常位置VP1に固定する。
上記実施形態のタイプ10の異常(白画)が発生した場合のフェールセーフ制御は、適宜変更されてよい。具体的に、上記実施形態の変形例20では、異常検知部73にてPGU61の異常が検知された場合でも、表示制御部72は、虚像Viの表示を継続する。タイプ10の異常が発生した場合、ドライバは、前方から目を逸らさざるを得ない状況となるため、正常な運転を阻害されてしまう。しかし、タイプ10の異常発生が極めて発生し難い構造であれば、表示制御部72は、虚像Viの表示を継続する仕様とされてよい。
上記実施形態の変形例21の変位機構63は、上下方向USに加えて、左右方向Yoにも表示域VAを変位させることができる。さらに、変位機構63は、通常位置VP1及び上方位置VP2とは異なる位置に、表示域VAを位置させてもよい。また、変位機構63は、PGU61及び拡大光学系62を含む光学ユニット全体を、HUD100の筐体に対して変位させてもよい。さらに、変位機構63は、HUD100の筐体を車両Amに対して変位させてもよい。
上記実施形態の変形例22では、ヘッドアップECU70の処理機能の一部又は全てが、メータECU32又は他の車載ECUに実施されている。こうした変形例22では、メータECU32又は他の車載ECUを含むシステムが、「虚像表示装置」となっていてもよい。
上記実施形態のPGU61には、LCDパネル及びバックライトに替えて、EL(Electro Luminescence)パネルが設けられていてもよい。また、ELパネルに替えて、プラズマディスプレイパネル、ブラウン管及びLED等の表示器を用いたPGU61が採用されてもよい。さらに、LCDパネル及びバックライトに替えて、レーザプロジェクタ又はDLP(Digital Light Processing,登録商標)とスクリーンとが設けられていてもよい。こうした構成を採用したPGU61では、スクリーンに描画された表示像が、拡大光学系62によってウィンドシールドWSに投影され、虚像Viとして結像される。加えて、拡大光学系62に採用される光学要素は、凹面鏡に限定されず、種々のミラー、レンズ及びホログラフィック光学素子等、適宜変更されてよい。
上記実施形態のヘッドアップECU70及びメータECU32に設けられる処理部は、RAMと結合された演算処理のためのハードウェアである。処理部は、CPU(Central Processing Unit)及びGPU(Graphics Processing Unit)等の演算コアを少なくとも一つ含む構成である。処理部は、例えばFPGA(Field-Programmable Gate Array)及び他の専用機能を備えたIPコア等をさらに含む構成であってよい。一方、RAMは、映像生成のためのビデオRAMを含む構成であってよい。処理部は、RAMへのアクセスにより、本開示の虚像表示方法を実現するための種々の処理を実行する。
ストレージは、不揮発性の記憶媒体(持続的有形コンピュータ読み取り媒体,non-transitory tangible storage medium)を含む構成である。各ECU32,70のストレージには、処理部によって実行される種々のプログラム(表示制御プログラム等)が格納されている。こうした記憶媒体は、回路基板上に設けられた構成に限定されず、メモリカード等の形態で提供され、スロット部に挿入されて、各ECU32,70の制御回路に電気的に接続される構成であってよい。さらに、記憶媒体は、各ECU32,70へのプログラムのコピー基となる光学ディスク及びのハードディスクドライブ等であってもよい。
上記実施形態にて、ヘッドアップECU70及びメータECU32によって提供されていた各機能は、ソフトウェア及びそれを実行するハードウェア、ソフトウェアのみ、ハードウェアのみ、あるいはそれらの複合的な組合せによっても提供可能である。さらに、こうした機能がハードウェアとしての電子回路によって提供される場合、各機能は、多数の論理回路を含むデジタル回路、又はアナログ回路によっても提供可能である。
上記の表示システムを搭載する車両は、一般的な自家用の乗用車に限定されず、レンタカー用の車両、有人タクシー用の車両、ライドシェア用の車両、貨物車両及びバス等であってもよい。また、表示システムを搭載する車両は、右ハンドル車両であってもよく、又は左ハンドル車両であってもよい。さらに、車両が走行する交通環境は、左側通行を前提とした交通環境であってもよく、右側通行を前提とした交通環境であってもよい。本開示による表示制御は、それぞれの国及び地域の道路交通法、さらに車両のハンドル位置等に応じて適宜最適化されてよい。
本開示に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサを構成する専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の装置及びその手法は、専用ハードウェア論理回路により、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の装置及びその手法は、コンピュータプログラムを実行するプロセッサと一つ以上のハードウェア論理回路との組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
(技術的思想の開示)
この明細書は、以下に列挙する複数の項に記載された複数の技術的思想を開示している。いくつかの項は、後続の項において先行する項を択一的に引用する多項従属形式(a multiple dependent form)により記載されている場合がある。さらに、いくつかの項は、他の多項従属形式の項を引用する多項従属形式(a multiple dependent form referring to another multiple dependent form)により記載されている場合がある。これらの多項従属形式で記載された項は、複数の技術的思想を定義している。
(技術的思想1)
車両(Am)において用いられ、前景に重畳される虚像(Vi)を表示する虚像表示装置であって、
前記虚像が表示される表示域(VA)の位置を、前記車両の上下方向に沿って変位させる変位機構(63)と、
前記虚像として表示されるコンテンツ(CT)の内容に応じて前記表示域の位置を制御する表示制御部(72)と、
前記表示域の変位の異常として、前記表示域の固着を少なくとも検知する異常検知部(73)と、を備え、
前記表示制御部は、前記異常検知部にて前記表示域の固着が検知された場合、前記表示域の固着した位置に応じた内容のフェールセーフ制御を行う、虚像表示装置。
(技術的思想2)
前記変位機構は、第1位置(VP1)と、前記第1位置よりも上方の第2位置(VP2)とを少なくとも含む複数の位置間で、前記表示域の位置を切り替え、
前記表示制御部は、前記表示域が前記第2位置で固着した場合、前記表示域が前記第1位置で固着した場合よりも、前記フェールセーフ制御による異常対応を早く開始する技術的思想1に記載の虚像表示装置。
(技術的思想3)
前記表示制御部は、前記第2位置で前記表示域が固着した場合、前記第2位置に紐づく第2コンテンツ(CTrg)の表示を継続し、前記第1位置に紐づく第1コンテンツ(CTv)の表示を中止する前記フェールセーフ制御を実施する技術的思想2に記載の虚像表示装置。
(技術的思想4)
前記表示制御部は、前記第2位置で前記表示域が固着した場合、前記フェールセーフ制御として前記変位機構の復帰処理を実施する技術的思想2に記載の虚像表示装置。
(技術的思想5)
前記表示制御部は、
前記第2位置で前記表示域が固着した場合、表示中の前記コンテンツがドライバの視界を妨げるか否かを判定し、
表示中の前記コンテンツが視界を妨げる場合、前記第2位置に紐づく第2コンテンツ(CT2)の表示を継続し、前記第1位置に紐づく第1コンテンツ(CT1)の表示を中止し、
表示中の前記コンテンツが視界を妨げない場合、前記フェールセーフ制御として前記変位機構の復帰処理を実施する技術的思想2に記載の虚像表示装置。
(技術的思想6)
前記表示制御部は、前記第2位置で前記表示域が固着した場合、前記フェールセーフ制御として、前記虚像として表示する前記コンテンツの態様を変更する技術的思想2に記載の虚像表示装置。
(技術的思想7)
前記表示制御部は、前記第1位置で前記表示域が固着した場合、前記虚像の表示を継続し、所定のタイミングにて前記変位機構の復帰処理を前記フェールセーフ制御として実施する技術的思想2~6のいずれか一項に記載の虚像表示装置。
(技術的思想8)
前記表示制御部は、
前記表示域が前記第1位置及び前記第2位置の間で固着した場合、表示中の前記コンテンツがドライバの視界を妨げるか否かを判定し、
表示中の前記コンテンツが視界を妨げる場合、前記第2位置に紐づく第2コンテンツ(CT2)の表示を継続し、前記第1位置に紐づく第1コンテンツ(CT1)の表示を中止し、
表示中の前記コンテンツが視界を妨げない場合、前記フェールセーフ制御として前記変位機構の復帰処理を実施する技術的思想2~7のいずれか一項に記載の虚像表示装置。
(技術的思想9)
前記異常検知部は、前記表示域の変位の異常として、変位の不円滑をさらに検知し、
前記表示制御部は、前記異常検知部にて前記不円滑が検知された場合、前記虚像の表示を継続し、所定のタイミングにて前記変位機構の復帰処理を前記フェールセーフ制御として実施する技術的思想2~8のいずれか一項に記載の虚像表示装置。
(技術的思想10)
前記異常検知部は、前記表示域の変位の異常として、前記表示域の上がり過ぎをさらに検知し、
前記表示制御部は、前記異常検知部にて前記表示域の上がり過ぎが検知された場合、所定のタイミングにて前記変位機構の復帰処理を前記フェールセーフ制御として実施する技術的思想1~9のいずれか一項に記載の虚像表示装置。
(技術的思想11)
前記異常検知部は、前記表示域の変位の異常として、前記表示域の下がり過ぎをさらに検知し、
前記表示制御部は、前記異常検知部にて前記表示域の下がり過ぎが検知された場合、所定のタイミングにて前記変位機構の復帰処理を前記フェールセーフ制御として実施する技術的思想1~10のいずれか一項に記載の虚像表示装置。
(技術的思想12)
前記異常検知部は、前記表示域の変位の異常として、前記表示域が前記上下方向に揺れ続ける異常をさらに検知し、
前記表示制御部は、
前記異常検知部にて前記表示域の揺れ続けが検知された場合、表示中の前記コンテンツがドライバの視界を妨げるか否かを判定し、
表示中の前記コンテンツが視界を妨げる場合、前記フェールセーフ制御として前記虚像の表示を中止し、
表示中の前記コンテンツが視界を妨げない場合、前記フェールセーフ制御として前記変位機構の復帰処理を実施する技術的思想1~11のいずれか一項に記載の虚像表示装置。
(技術的思想13)
前記異常検知部は、前記表示域の変位の異常として、前記表示域が前記上下方向に揺れ続ける異常をさらに検知し、
前記表示制御部は、前記異常検知部にて前記表示域の揺れ続けが検知された場合でも、前記虚像の表示を継続する技術的思想1~11のいずれか一項に記載の虚像表示装置。
(技術的思想14)
前記異常検知部は、前記表示域の変位の異常として、前記コンテンツを切り替えるタイミングと前記表示域を変位させるタイミングとがずれる異常をさらに検知し、
前記表示制御部は、前記異常検知部にてタイミングのずれが検知された場合でも、前記虚像の表示を継続する技術的思想1~13のいずれか一項に記載の虚像表示装置。
(技術的思想15)
前記虚像の表示のオン及びオフを切り替える操作部(68)への入力情報を取得する入力把握部(71)、をさらに備え、
前記表示制御部は、前記入力情報に基づき、前記虚像の表示を中止する技術的思想1~14のいずれか一項に記載の虚像表示装置。
(技術的思想16)
前記異常検知部は、前記虚像として結像される表示光(Lvi)を射出する表示ユニット(61)の異常をさらに検知し、
前記表示制御部は、前記異常検知部にて前記表示ユニットの異常が検知された場合、前記フェールセーフ制御として前記虚像の表示を中止する技術的思想1~15のいずれか一項に記載の虚像表示装置。
(技術的思想17)
前記異常検知部は、前記虚像として結像される表示光(Lvi)を射出する表示ユニット(61)の異常をさらに検知し、
前記表示制御部は、前記異常検知部にて前記表示ユニットの異常が検知された場合でも、前記虚像の表示を継続する技術的思想1~15のいずれか一項に記載の虚像表示装置。
Am 車両、CT コンテンツ、CT1 第1コンテンツ、CT2 第2コンテンツ、Lvi 表示光、US 上下方向、VA 表示域、VP1 通常位置(第1位置)、VP2 上方位置(第2位置)、Vi 虚像、61 PGU(表示ユニット)、63 変位機構、68 操作部、71 情報取得部(入力把握部)、72 表示制御部、73 異常検知部、100 HUD(虚像表示装置)

Claims (17)

  1. 車両(Am)において用いられ、前景に重畳される虚像(Vi)を表示する虚像表示装置であって、
    前記虚像が表示される表示域(VA)の位置を、前記車両の上下方向(US)に沿って変位させる変位機構(63)と、
    前記虚像として表示されるコンテンツ(CT)の内容に応じて前記表示域の位置を制御する表示制御部(72)と、
    前記表示域の変位の異常として、前記表示域の固着を少なくとも検知する異常検知部(73)と、を備え、
    前記表示制御部は、前記異常検知部にて前記表示域の固着が検知された場合、前記表示域の固着した位置に応じた内容のフェールセーフ制御を行う、虚像表示装置。
  2. 前記変位機構は、第1位置(VP1)と、前記第1位置よりも上方の第2位置(VP2)とを少なくとも含む複数の位置間で、前記表示域の位置を切り替え、
    前記表示制御部は、前記表示域が前記第2位置で固着した場合、前記表示域が前記第1位置で固着した場合よりも、前記フェールセーフ制御による異常対応を早く開始する請求項1に記載の虚像表示装置。
  3. 前記表示制御部は、前記第2位置で前記表示域が固着した場合、前記第2位置に紐づく第2コンテンツ(CT2)の表示を継続し、前記第1位置に紐づく第1コンテンツ(CT1)の表示を中止する前記フェールセーフ制御を実施する請求項2に記載の虚像表示装置。
  4. 前記表示制御部は、前記第2位置で前記表示域が固着した場合、前記フェールセーフ制御として前記変位機構の復帰処理を実施する請求項2に記載の虚像表示装置。
  5. 前記表示制御部は、
    前記第2位置で前記表示域が固着した場合、表示中の前記コンテンツがドライバの視界を妨げるか否かを判定し、
    表示中の前記コンテンツが視界を妨げる場合、前記第2位置に紐づく第2コンテンツ(CT2)の表示を継続し、前記第1位置に紐づく第1コンテンツ(CT1)の表示を中止し、
    表示中の前記コンテンツが視界を妨げない場合、前記フェールセーフ制御として前記変位機構の復帰処理を実施する請求項2に記載の虚像表示装置。
  6. 前記表示制御部は、前記第2位置で前記表示域が固着した場合、前記フェールセーフ制御として、前記虚像として表示する前記コンテンツの態様を変更する請求項2に記載の虚像表示装置。
  7. 前記表示制御部は、前記第1位置で前記表示域が固着した場合、前記虚像の表示を継続し、所定のタイミングにて前記変位機構の復帰処理を前記フェールセーフ制御として実施する請求項2~6のいずれか一項に記載の虚像表示装置。
  8. 前記表示制御部は、
    前記表示域が前記第1位置及び前記第2位置の間で固着した場合、表示中の前記コンテンツがドライバの視界を妨げるか否かを判定し、
    表示中の前記コンテンツが視界を妨げる場合、前記第2位置に紐づく第2コンテンツ(CT2)の表示を継続し、前記第1位置に紐づく第1コンテンツ(CT1)の表示を中止し、
    表示中の前記コンテンツが視界を妨げない場合、前記フェールセーフ制御として前記変位機構の復帰処理を実施する請求項2~6のいずれか一項に記載の虚像表示装置。
  9. 前記異常検知部は、前記表示域の変位の異常として、変位の不円滑をさらに検知し、
    前記表示制御部は、前記異常検知部にて前記不円滑が検知された場合、前記虚像の表示を継続し、所定のタイミングにて前記変位機構の復帰処理を前記フェールセーフ制御として実施する請求項2~5のいずれか一項に記載の虚像表示装置。
  10. 前記異常検知部は、前記表示域の変位の異常として、前記表示域の上がり過ぎをさらに検知し、
    前記表示制御部は、前記異常検知部にて前記表示域の上がり過ぎが検知された場合、所定のタイミングにて前記変位機構の復帰処理を前記フェールセーフ制御として実施する請求項1~6のいずれか一項に記載の虚像表示装置。
  11. 前記異常検知部は、前記表示域の変位の異常として、前記表示域の下がり過ぎをさらに検知し、
    前記表示制御部は、前記異常検知部にて前記表示域の下がり過ぎが検知された場合、所定のタイミングにて前記変位機構の復帰処理を前記フェールセーフ制御として実施する請求項1~6のいずれか一項に記載の虚像表示装置。
  12. 前記異常検知部は、前記表示域の変位の異常として、前記表示域が前記上下方向に揺れ続ける異常をさらに検知し、
    前記表示制御部は、
    前記異常検知部にて前記表示域の揺れ続けが検知された場合、表示中の前記コンテンツがドライバの視界を妨げるか否かを判定し、
    表示中の前記コンテンツが視界を妨げる場合、前記フェールセーフ制御として前記虚像の表示を中止し、
    表示中の前記コンテンツが視界を妨げない場合、前記フェールセーフ制御として前記変位機構の復帰処理を実施する請求項1~6のいずれか一項に記載の虚像表示装置。
  13. 前記異常検知部は、前記表示域の変位の異常として、前記表示域が前記上下方向に揺れ続ける異常をさらに検知し、
    前記表示制御部は、前記異常検知部にて前記表示域の揺れ続けが検知された場合でも、前記虚像の表示を継続する請求項1~6のいずれか一項に記載の虚像表示装置。
  14. 前記異常検知部は、前記表示域の変位の異常として、前記コンテンツを切り替えるタイミングと前記表示域を変位させるタイミングとがずれる異常をさらに検知し、
    前記表示制御部は、前記異常検知部にてタイミングのずれが検知された場合でも、前記虚像の表示を継続する請求項1~6のいずれか一項に記載の虚像表示装置。
  15. 前記虚像の表示のオン及びオフを切り替える操作部(68)への入力情報を取得する入力把握部(71)、をさらに備え、
    前記表示制御部は、前記入力情報に基づき、前記虚像の表示を中止する請求項1~6のいずれか一項に記載の虚像表示装置。
  16. 前記異常検知部は、前記虚像として結像される表示光(Lvi)を射出する表示ユニット(61)の異常をさらに検知し、
    前記表示制御部は、前記異常検知部にて前記表示ユニットの異常が検知された場合、前記フェールセーフ制御として前記虚像の表示を中止する請求項1~6のいずれか一項に記載の虚像表示装置。
  17. 前記異常検知部は、前記虚像として結像される表示光(Lvi)を射出する表示ユニット(61)の異常をさらに検知し、
    前記表示制御部は、前記異常検知部にて前記表示ユニットの異常が検知された場合でも、前記虚像の表示を継続する請求項1~6のいずれか一項に記載の虚像表示装置。
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