JP2023184070A - 冷菓及びその製造方法 - Google Patents

冷菓及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2023184070A
JP2023184070A JP2022097988A JP2022097988A JP2023184070A JP 2023184070 A JP2023184070 A JP 2023184070A JP 2022097988 A JP2022097988 A JP 2022097988A JP 2022097988 A JP2022097988 A JP 2022097988A JP 2023184070 A JP2023184070 A JP 2023184070A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mass
content
fat
protein
total
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2022097988A
Other languages
English (en)
Inventor
紗智 鯉谷
Sachi KOITANI
大 岩井
Masaru Iwai
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Morinaga Milk Industry Co Ltd
Original Assignee
Morinaga Milk Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Morinaga Milk Industry Co Ltd filed Critical Morinaga Milk Industry Co Ltd
Priority to JP2022097988A priority Critical patent/JP2023184070A/ja
Publication of JP2023184070A publication Critical patent/JP2023184070A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Confectionery (AREA)

Abstract

【課題】植物性脂肪を含み、脂肪の凝集が抑制された冷菓の提供。【解決手段】植物性脂肪及び植物性タンパク質を含む冷菓であって、前記冷菓の100gに対して、分子量が0~15kDaであるタンパク質の含有量が0.45g/100g以下、かつ分子量が25~100kDaであるタンパク質の含有量が0.53g/100g以上である、冷菓。【選択図】なし

Description

本発明は冷菓及びその製造方法に関する。
アイスクリーム等の冷菓は、一般的に、原料混合物を必要に応じて殺菌し、フリージングし、所望の形状に成形し、硬化する方法で製造される。
原料混合物が乳脂肪を含む場合、フリージング工程で乳化状態が破壊され、脂肪が凝集して脂肪粒が生じることがある。脂肪粒は冷菓の組織や風味を損なう一因となりやすい。
かかる問題に対して、原料混合物に乳化安定作用を有する食品添加物を含有させる方法がある。例えば特許文献1には、特定の澱粉分解物からなる乳化安定剤が記載されている。
特開2017-131177号公報
近年、冷菓に対する嗜好は多様化しており、乳製品を含まないアイスクリームの需要も増しつつある。本発明者等の知見によれば、乳脂肪に代えて植物性脂肪を用いた場合にも、同様に脂肪粒が生じることがある。しかし、健康志向の高まりもあり、食品添加物の使用を控えることが好まれる傾向がある。
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、植物性脂肪を含み、脂肪の凝集が抑制された冷菓の提供を目的とする。
本発明は以下の態様を有する。
[1] 植物性脂肪及び植物性タンパク質を含む冷菓であって、前記冷菓の100gに対して、分子量が0~15kDaであるタンパク質の含有量が0.45g/100g以下、かつ分子量が25~100kDaであるタンパク質の含有量が0.53g/100g以上である、冷菓。
[2]総脂肪含有量が8~20質量%である、[1]に記載の冷菓。
[3]総タンパク質含有量が0.7~8.0質量%である、[1]に記載の冷菓。
[4]総脂肪含有量が8~20質量%であり、かつ総タンパク質含有量が0.7~8.0質量%であり、前記総タンパク質含有量に対する前記総脂肪含有量の質量比を表す、総脂肪含有量/総タンパク質含有量が1~10である、[1]に記載の冷菓。
[5] 乳化剤を実質的に含まない、[1]~[4]のいずれか一項に記載の冷菓。
[6] 植物性脂肪及び植物性タンパク質を含む原料混合物をフリージングする工程を有し、前記原料混合物の100gに対して、分子量が0~15kDaであるタンパク質の含有量が0.45g/100g以下、かつ分子量が25~100kDaであるタンパク質の含有量が0.53g/100g以上となるように前記原料混合物を調製する、冷菓の製造方法。
[7] 前記原料混合物の総質量に対して、総脂肪含有量が8~20質量%となるように前記原料混合物を調製する、[6]に記載の製造方法。
[8] 前記原料混合物の総質量に対して、総タンパク質含有量が0.7~8.0質量%となるように前記原料混合物を調製する、[6]に記載の製造方法。
[9] 前記原料混合物の総質量に対して、総脂肪含有量が8~20質量%、かつ総タンパク質含有量が0.7~8.0質量%となり、前記総タンパク質含有量に対する前記総脂肪含有量の質量比を表す、総脂肪含有量/総タンパク質含有量が1~10となるように前記原料混合物を調製する、[6]に記載の製造方法。
[10] 原料として乳化剤を使用しない、[6]~[9]のいずれか一項に記載の製造方法。
本発明によれば、植物性脂肪を含み、脂肪の凝集が抑制された冷菓が得られる。
以下の用語の定義は、本明細書および特許請求の範囲にわたって適用される。
「凍結点」は、特に断りのない限り、液状にした試料を雰囲気温度-25℃で冷却しながら品温を経時的に測定し、液体が固体になる際の発熱反応により温度が下降しないポイント(凝固点)における温度である。
「硬化」とは、水分が凍結し流動性を失った状態になることを意味する。
「フリージング」とは、低温で撹拌しながら氷結晶を増加させる操作を意味する。
「部分凍結物」は、氷結晶を含み、流動性を有するものを意味する。
「オーバーラン(以下、「OR」とも記載する。)」は、空気を含有させる前の容量に対する、含有空気容量の百分率の値である。例えばオーバーランが100%の場合、空気を含有させる前と同容量の空気を含むことを意味する。
「~」で表される数値範囲は、特に断りのない限り、~の前後の数値を下限値及び上限値とする数値範囲を意味する。
本明細書において、以下の測定方法を用いる。
タンパク質の含有量(質量%)は、燃焼法により測定する。
脂肪の含有量(質量%)は、レーゼ・ゴットリーブ法により測定する。
固形分は、水分以外の成分である。固形分の含有量(質量%)は、常圧加熱乾燥法により測定された水分の含有量(質量%)から算出する(算出式:100-水分の含有量(質量%)=固形分の含有量)。
タンパク質の分子量分布は、SDS-PAGE法(ドデシル硫酸ナトリウム-ポリアクリルアミドゲル電気泳動法)による分子量分布であり、以下の測定方法(A)で求める。
<測定方法(A)>
測定対象の試料を変性剤溶液に溶解した溶液と、サンプルバッファーとを体積比1:1で混合し、沸騰浴中で5分間加熱し、放冷して、タンパク質濃度が1.5mg/mLの測定用サンプルを調製する。
ゲル濃度勾配が5~14%のSDS-PAGE測定用ゲルを用い、上記で得た測定用サンプルの電気泳動を、1mm厚ゲル1枚あたり40mAの定電流、電圧260V、通電時間60分間の条件で行う。この後、ゲルを染色し、脱色して、電気泳動パターンを得る。
電気泳動パターンを撮像し、画像を解析して、タンパク質の分子量の測定及び定量を行い、分子量分布を得る。
脂肪粒の粒度分布は、レーザー回折散乱式粒子径分布測定装置で測定される、体積基準の粒度分布である。
氷結晶の直径は、光学顕微鏡の観察画像における氷結晶の円相当径である。
<冷菓>
本実施形態の冷菓(以下、本冷菓ともいう。)は、植物性脂肪及び植物性タンパク質を含む。その他の成分を含んでもよい。
本実施形態の冷菓は、植物性脂肪、植物性タンパク質及び水を含む原料組成物が冷却されて氷晶が生成した冷菓組成物のほかに、具材やコーティング層を有してもよいが、本明細書における各成分の含有量は、具材やコーティング層を除いた冷菓組成物の質量を基準(本冷菓の総質量)とする。
本冷菓の総質量に対して、総脂肪含有量は8~20質量%が好ましく、8~15質量%がより好ましく、8~10質量%がさらに好ましい。上記範囲の下限値以上であると氷晶感が少なく、ボディ感と滑らかな組織が得られやすい。上限値以下であると脂肪由来のくどさを感じにくく、冷菓特有の適度な冷涼感を付与し、口どけの良さを感じやすい。
本冷菓の総質量に対して、総タンパク質含有量は0.7~8.0質量%が好ましく、0.7~6.0質量%がより好ましく、2.0~6.0質量%がさらに好ましい。上記範囲の下限値以上であると氷晶感が少なく、組織が滑らかになりやすい。上限値以下であるとたんぱく質由来のざらつきを感じにくく、組織が滑らかになりやすい。加えて、上限値以下にすることにより、相対的に糖類の配合量を多くすることができ、その結果凍結点が低くなり、さじ通りの良いアイスとなりやすい。
本冷菓において、総タンパク質含有量に対する総脂肪含有量の質量比を表す、総脂肪含有量/総タンパク質含有量は1~10が好ましく、1~8がより好ましく、1~4がさらに好ましい。上記範囲の下限値以上であると、たんぱく質由来のざらつきを感じにくく、組織が滑らかになりやすい。加えて、相対的に糖類の配合量を多くすることができ、その結果、凍結点が低くなり、さじ通りの良いアイスとなりやすい。一方、上記範囲の上限値以下であると脂肪由来のくどさを感じにくく、冷菓特有の適度な冷涼感を付与し、口どけの良さを感じやすい。
[植物性脂肪]
植物性脂肪としては、植物油脂が挙げられる。植物油脂以外の植物性脂肪としては、豆類由来の脂肪、穀類由来の脂肪、種子由来の脂肪等が挙げられる。
植物油脂は、植物から採取した油脂及びその加工品であり、植物性脂肪の含有量は100質量%である。植物油脂の具体例は後述する。
豆類由来の脂肪としては大豆由来の脂肪、エンドウ豆由来の脂肪等が挙げられる。
種子由来の脂肪としてカカオ豆由来の脂肪、ナッツ類由来の脂肪等が挙げられる。
植物性脂肪が、植物油脂及び大豆由来の脂肪を含むことが好ましい。例えば、植物性脂肪の総質量に対して、植物油脂と大豆由来の脂肪の含有量の合計が、30質量%以上であることが好ましく、50質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましい。100質量%でもよい。
植物性脂肪が、植物油脂のほかに大豆由来の脂肪を含む場合、植物油脂と大豆由来の脂肪との合計に対する植物油脂の割合は、下限値としては65質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、75質量%以上がさらに好ましい。上限値としては100質量%以下、100質量%未満、95質量%以下、90質量%以下が好ましい。上記範囲内であると、冷菓の食感、口どけ、風味等をバランス良く調整しやすい。
総脂肪含有量に対して、植物性脂肪の含有量は、10質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましく、50質量%以上、60質量%以上、65質量%以上、70質量%以上、75質量%以上、80質量%以上、90質量%以上がさらに好ましい。100質量%でもよい。
冷菓の製造において、乳脂肪は植物性脂肪に比べて脂肪粒を生じやすい傾向がある。本冷菓は乳脂肪を含まないか、又は含む場合は少量であることが好ましい。冷菓の総質量に対して、乳脂肪の含有量は、8質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、3質量%以下がさらに好ましく、ゼロが最も好ましい。
[植物性タンパク質]
植物性タンパク質としては、豆類由来のタンパク質、穀物由来のタンパク質が挙げられる。豆類としては大豆、エンドウ豆、カロブ豆等が挙げられる。穀物としては、米、小麦、大麦、オーツ麦、あわ、そば等が挙げられる。
植物性タンパク質が大豆タンパク質を含むことが好ましい。例えば、植物性タンパク質の総質量に対して、大豆由来のタンパク質の含有量が10質量%以上であることが好ましく、30質量%以上がより好ましく、50質量%以上、60質量%以上、65質量%以上、70質量%以上、75質量%以上、80質量%以上、90質量%以上がさらに好ましい。100質量%でもよい。
総タンパク質含有量に対して、植物性タンパク質の含有量は、10質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましく、50質量%以上、60質量%以上、65質量%以上、70質量%以上、75質量%以上、80質量%以上、90質量%以上がさらに好ましい。100質量%でもよい。
本冷菓は乳タンパク質を含まないか、又は含む場合は少量であることが好ましい。冷菓の総質量に対して、乳タンパク質の含有量は、6質量%以下が好ましく、3質量%以下がより好ましく、1質量%以下がさらに好ましく、ゼロが最も好ましい。
原料に含まれるアレルゲンを減らすという観点からは、冷菓は、乳脂肪及び乳タンパクを実質的に含有しないことが好ましい。例えば、冷菓の総質量に対して乳原料の含有量は0.001質量%以下が好ましく、0.0005質量%以下がより好ましく、ゼロが最も好ましい。
[固形分]
本冷菓は水分を含む。冷菓の総質量に対する総固形分(水分以外の総質量)は33~45質量%が好ましく、35~43質量%がより好ましく、37~41質量%がさらに好ましい。上記範囲の下限値以上であると氷晶感の少ない冷菓が得られ、上限値以下であると製造中に冷菓が溶融しにくく製造適性が高い。また、植物性タンパク質は、乳タンパク質に比べて水に溶解しにくいため、総固形分が上記範囲の上限値以下であると良好な溶解性が得られやすく、タンパク質のざらつきが残り難い。
[その他の成分]
本冷菓は植物性脂肪及び植物性タンパク質以外に、冷菓において公知の成分を含んでもよい。例えば、甘味原料、卵原料、呈味原料等のその他の原料に由来する成分等が挙げられる。その他の原料の具体例は後述する。
本冷菓は、乳成分を含まないことが好ましい。
本冷菓は乳化剤を実質的に含有しないことが好ましい。前記乳化剤は「食品衛生法施行規則」等において、乳化剤として表示が義務付けられている成分を意味する。例えばレシチン、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリソルベート等が挙げられる。
本発明において「乳化剤を実質的に含有しない」とは、乳化剤に該当する成分が、冷菓中に存在しない場合、及び乳化剤の機能を発揮しない程度の量で存在する場合を包含する。乳化剤の機能を発揮しない程度の量で存在するとは、冷菓の総質量に対して、乳化剤に該当する成分の含有量が0.01質量%未満である場合が例示できる。消費者嗜好の観点からは0.005質量%未満が好ましく、0.003質量%未満がより好ましく、0.001質量%未満がさらに好ましい。
冷菓は安定剤を実質的に含有しないことが好ましい。前記安定剤は「食品衛生法施行規則」等において、安定剤として表示が義務付けられている成分を意味する。例えばペクチン、ローカストビーンガム、グアーガム、ジェランガム、アラビアガム、キサンタンガム、タマリンドシードガム、カラヤガム、カラギナン、大豆多糖類、グルコマンナン、微小繊維状セルロース、タラガム、発酵セルロース、カルボキシメチルセルロース、サイリウムシードガム、こんにゃく粉、ゼラチン、寒天、加工でん粉等が挙げられる。
本発明において「安定剤を実質的に含有しない」とは、安定剤に該当する成分が、冷菓中に存在しない場合、及び安定剤の機能を発揮しない程度の量で存在する場合を包含する。安定剤の機能を発揮しない程度の量で存在するとは、冷菓の総質量に対して、安定剤に該当する成分の含有量が0.01質量%未満である場合が例示できる。消費者嗜好の観点からは0.005質量%未満が好ましく、0.003質量%未満がより好ましく、0.001質量%未満がさらに好ましい 。
[タンパク質の分子量分布]
本冷菓は、冷菓の100gに対して、上記測定方法(A)で求められる、分子量が0~15kDaであるタンパク質の含有量(以下、「0~15kDaタンパク質含有量」ともいう。)が0.45g/100g以下、かつ分子量が25~100kDaであるタンパク質の含有量(以下、「25~100kDaタンパク質含有量」ともいう。)が0.53g/100g以上である。
0~15kDaタンパク質含有量は、0.01~0.45g/100gが好ましく、0.02~0.45g/100gがより好ましく、0.1~0.45g/100gがさらに好ましい。
25~100kDaタンパク質含有量は、0.53~6g/100gが好ましく、0.6~5g/100gがより好ましく、1.3~4.5g/100gがさらに好ましい。
0~15kDaタンパク質含有量及び25~100kDaタンパク質含有量が上記の範囲であると、脂肪の凝集を抑制する効果に優れる。
脂肪の凝集を抑制することによって、冷菓中に存在する脂肪粒の含有量を低下させることができる。脂肪粒の含有量が低下すると、滑らかな食感や口当たりの良さが得られやすい。
また、脂肪の凝集を抑制することによって、冷菓中に存在する脂肪粒の粒子径を小さくすることができる。脂肪粒の粒子径が小さくなると、滑らかな食感や口当たりの良さが得られやすい。
例えば、総脂肪含有量/総タンパク質含有量の質量比が1以上6未満であるときに、脂肪粒の粒度分布における10%径が1.1μm以下、50%径が1.7μm以下、かつ90%径が4.3μm以下である、冷菓が得られる。
又は、総脂肪含有量/総タンパク質含有量の質量比が6~10であるときに、脂肪粒の粒度分布における10%径が1.35μm以下、50%径が3.0μm以下、かつ90%径が14μm以下である、冷菓が得られる。
また後述するように、フリージング工程における温度条件(例えば、後述の充填温度)を低くすると、冷菓の氷結晶が小さくなりやすい一方で脂肪粒が生成しやすい。これに対して本冷菓は、特定の分子量分布を有するタンパク質を含むことによって脂肪の凝集を抑制できるため、氷結晶が小さくて脂肪粒の生成が抑えられた冷菓を得ることができる。
本冷菓の氷結晶の直径の平均値は、なめらかな食感に優れる点で、100μm以下が好ましく、70μm以下がより好ましく、60μm以下がさらに好ましく、50μm以下が特に好ましい。下限は特に限定されないが、冷菓特有の冷涼感に優れる点からは、15μm以上が好ましく、30μm以上がより好ましい。
<冷菓の製造方法>
本冷菓は、植物性脂肪及び植物性タンパク質を含む原料混合物をフリージングする工程を経て製造される。原料混合物をフリージングすると流動性を有する部分凍結物が得られる。部分凍結物をそのまま冷菓としてもよく、さらに冷却して硬化させた硬化物を冷菓としてもよい。
原料混合物、部分凍結物、及び部分凍結物の硬化物において、質量基準の組成は同じであり、タンパク質の分子量分布も同じである。
部分凍結物、及び部分凍結物の硬化物において、オーバーランの値は同じである。
[原料混合物の調製工程]
原料は、冷菓の原料として使用可能なものであればよい。少なくとも、植物性脂肪及び植物性タンパク質の一方又は両方を含む植物性原料を用い、所望の組成及び所望のタンパク質の分子量分布が得られるように原料を組み合わせる。
すなわち、原料混合物の総質量に対して、原料混合物の100gに対して、上記測定方法(A)で求められる、0~15kDaタンパク質含有量が0.45g/100g以下、かつ分子量が25~100kDaタンパク質含有量が0.53g/100g以上となるように原料混合物を調製する。
好ましくは、原料混合物の総質量に対して、総脂肪含有量が8~20質量%となるように原料混合物を調製する。
好ましくは、原料混合物の総質量に対して、総タンパク質含有量が0.7~8.0質量%となるように原料混合物を調製する。
好ましくは、前記原料混合物の総質量に対して、総脂肪含有量が8~20質量%、かつ総タンパク質含有量が0.7~8.0質量%となり、総脂肪含有量/総タンパク質含有量が1~10となるように原料混合物を調製する。
植物性脂肪及び植物性タンパク質の一方又は両方を含む植物性原料としては、植物油脂、豆乳、豆乳クリーム、植物性の風味原料、豆類タンパク、穀物タンパク等が挙げられる。
植物油脂としては、融点が50℃以下のものが好ましい。例えばパーム油、ヤシ油、大豆油、菜種油、ゴマ油、パーム核油、ココアバター、及びこれらの加工品等が挙げられる。加工品としては、植物から採取した油脂に分画、水素添加等の処理を施して融点を調整した植物油脂等が挙げられる。
豆乳クリームは、豆乳から脂肪分を分離し取り出して得られる組成物であり、原料とした豆乳より脂肪含有量が高い。豆乳クリームの組成は、例えば総質量に対して脂肪含有量12~14質量%、タンパク質含有量5~6質量%、水分78~82質量%が好ましい。
植物性の風味原料としては、カカオマス、ココア、チョコレート、ナッツ類(ピーナッツ、アーモンド、ピスタチオ、ヘーゼルナッツ)由来の原料等が挙げられる。
豆類タンパクは、豆類由来のタンパク質抽出物又はその加工処理物を含む組成物である。加工処理物としては、タンパク質分解物、タンパク質の化学修飾物、又はタンパク質分解物の化学修飾物等が挙げられる。豆類タンパクとして、大豆タンパク、エンドウ豆タンパク等を用いることができる。大豆タンパクが好ましい。豆類タンパクの固形分の総質量に対してタンパク質含有量は70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましい。
植物性タンパク質を含む原料として、豆乳、豆乳クリーム及び大豆タンパクから選ばれる1種以上を用いることが好ましい。
植物性タンパク質を含む原料は、冷菓中のタンパク質の分子量分布が所望の分布となるように、タンパク質の分子量分布が互いに異なる2種以上の原料を組み合わせることが好ましい。
前記植物性原料以外のその他の原料の例として、上白糖、グラニュー糖、三温糖、黒砂糖、ぶどう糖、果糖、水あめ、粉飴、蜂蜜等の甘味原料;卵黄等の卵原料;塩、酒類、果汁、コーヒー抽出液、紅茶抽出液、カラメルシロップ等の呈味原料等が挙げられる。
原料として、乳化剤及び安定剤のいずれも使用しないことが好ましい。
卵黄は、乳化剤ではないが乳化効果を有する原料として使用してもよい。一方、原料に含まれるアレルゲンを減らすという観点からは、卵原料は使用しないか、又は使用する場合は少量とすることが望ましい。例えば、冷菓の総質量に対して卵原料の含有量は3質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましく、0.1質量%以下がより好ましく、ゼロが最も好ましい。
原料混合物の凍結点は、例えば-5.0~-1.0℃が好ましく、-4.0~-1.5℃がより好ましく、-3.0~-2.0℃がさらに好ましい。凍結点が上記範囲の下限値以上であると保存性に優れ、上限値以下であると滑らかな食感が得られやすい。
原料混合物の凍結点は、固形分の含有量等によって調整できる。
原料混合物の調製工程では、原料を水に溶解又は分散させて、水中油型エマルションとする。
例えば、原料を水(または温水)に加えて混合する。原料が変質しない範囲(例えば80℃以下)で加温してもよい。原料混合物は常法により加熱殺菌することが好ましい。必要に応じて原料混合物をろ過、均質化してもよい。
原料として粉末状の豆類タンパクを用いる場合は、原料の混合時に凝集物(ダマ)が発生しやすいため、ホモミキサーを用いて予備乳化工程を行い、その後に均質機(ホモジナイザー)を用いて均質化工程を行うことが好ましい。
予備乳化工程において、液温は50~85℃が好ましく、65~85℃がより好ましい。
均質化工程において、液温は50~90℃が好ましく、80~85℃がより好ましい。
[フリージング工程]
次に、原料混合物をフリージングする。フリージング工程では、原料混合物を流動させながら凍結点よりも低い温度で凍結させて、流動性を有する部分凍結物を得る。このとき空気を含有させつつ凍結させてもよい。フリージングは公知の方法で行うことができる。
部分凍結物のオーバーランは、例えば10~100%が好ましく、30~70%がより好ましい。上記範囲の下限値以上であると軟らかい食感が得られやすい。上限値以下であると原料自体の風味を感じやすい冷菓となる。加えて、保存中に温度や気圧が変化してもシュリンクが生じ難い。
フリージング工程で得られた部分凍結品の温度(充填温度ともいう)は、原料液の凍結点をT℃とすると、(T-6.0)℃~T℃が好ましく、(T-3.0)℃~T℃がより好ましい。上記範囲の下限値以上であると脂肪粒が発生し難く、上限値以下であると、粗大な氷結晶の形成を抑制でき、なめらかな食感に優れる。
[成形工程・硬化工程]
フリージング工程で得られた部分凍結物を用いて冷菓を製造する方法は特に限定されない。
例えば、部分凍結物を所望の製品形態に成形して成形品とし、成形品を冷却し硬化させて、硬化物からなる冷菓を製造してもよい。
成形工程は公知の方法を用いて行うことができる。例えば、部分凍結物をカップやモールド等に充填して成形する方法、部分凍結物を押出成形する方法等を用いることができる。
硬化工程では、成形品を、例えば雰囲気温度-30℃以下の冷凍庫内で凍結させて硬化させる。
部分凍結物に具材を加えたものを成形し硬化させて、部分凍結物の硬化物(冷菓)と具材とからなる複合冷菓を製造してもよい。
部分凍結物の硬化物(冷菓)は、均一な水中油型エマルションが硬化した均質な連続相からなることが好ましい。
本実施形態によれば、原料混合物中のタンパク質の分子量分布が所定の条件を満たすように調整することにより、植物性脂肪を多く含みながら、原料混合物をフリージングする工程における脂肪の凝集を抑制できる。
例えば、原料混合液について後述の脂肪凝集試験を行ったときに、100メッシュ(目開き150μm)の篩を通過しない脂肪粒の含有量を、原料混合液100gあたり8.0g以下、好ましくは4.5g以下に低減できる。
100メッシュの篩を通過しない脂肪粒の含有量は、冷菓の滑らかさの指標となる値であり、少ないほど滑らかな食感に優れる。
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。以下において含有量の単位である「%」は特に断りのない限り「質量%」である。
<測定方法・評価方法>
[タンパク質の分子量分布]
(測定用サンプルの調製)
(1)測定対象の試料を、タンパク質濃度が3mg/mLとなるように、変性剤溶液に溶解した。
変性剤溶液としては8Mの尿素水溶液を用いた。
(2)前記(1)で得た溶液100μL/本と、サンプルバッファー100μL/本とをエッペンチューブに収容して混合した。
サンプルバッファーとしては、Tris-BESサンプルバッファー(2X)(テフコ社カタログ番号06-383)の2mLと、DTT(ジチオスレイトール)還元剤(テフコ社カタログ番号06-385、DTT濃度0.6M、pH5.2)の0.4mLとの混合物を用いた。
(3)前記(2)で得たエッペンチューブを沸騰浴中で5分間加熱した後、放冷して、測定用サンプルを得た。放冷後の液が懸濁している場合は、遠心力10,000×g、5分間の条件で遠心分離した。
(電気泳動)
上記で得た測定用サンプルについて下記の条件で電気泳動を行い、染色し、脱色して、タンパク質の分子量に応じて移動度(移動距離)が異なる複数のバンドから構成される電気泳動パターンを得た。
・ゲル:ゲル濃度勾配が5~14%のSDS-PAGE測定用ゲル(テフコ社カタログ番号09-175)を用いた。
・泳動バッファー:Tris-BES泳動バッファー(10X)(テフコ社カタログ番号06-384)を用いた。
・通電条件:1mm厚ゲル1枚あたり40mAの定電流、電圧260V、通電時間60分間。
・染色:CBB-R250(SIGMA社製)の100mgをメタノール10mLに溶解し、酢酸7mLと超純水83mLを加えて混合した後、フィルターろ過した染色液を用いた。泳動後のゲルを、染色液で40~50分間振とうして染色した。
・脱色:メタノール100mLと、酢酸70mLと、超純水830mLとを混合した脱色液を用いた。染色した後のゲルを、脱色液で振とうしてバックグラウンドが透明になるまで脱色した。
(画像解析)
Gel Doc EZ(BIO RAD社製)を用いて電気泳動パターンを撮像し、得られた画像を、画像解析ソフトImage Lab(BIO RAD社製)を用いて解析し、タンパク質の分子量の測定及び定量を行って、各バンドの百分率を算出し、分子量分布を得た。
[脂肪凝集試験]
(試料の調製)
各例で得た原料混合液に、脂肪の凝集を促進する操作を加えて試料を調製した。
具体的には、冷菓の原料混合液を均質化、殺菌し、エージングした液状アイスミックスを調製し、バッチ式フリーザー(富繁産業社製、製品名:TBF-5LS(5Lバッチ式アイスクリームフリーザー))を用いてフリージングした。具体的には、予め、シリンダー内を所定の温度範囲(シリンダー内の温度が-24℃~-20℃になるように制御)に冷却し、ここに液状アイスミックス(5℃標準)を2kg投入し、フリージングした。フリーザーの冷却はONのまま、1時間フリージングし続け、1時間経過後に出口より部分凍結物を取り出して試料とした。
(脂肪粒の含有量の測定)
得られた200gの試料に500gの水を加えて測定用試料(0~10℃)とし、測定試料中に分散している脂肪粒を溶かさないようにしながら100メッシュ(目開き150μm)の篩に通した。篩を通過しなかった未通過量の質量について、脂肪粒に付着した水分を除去した後の質量を測定し、脂肪粒の質量とした。この測定を4回行い、原料混合液100gあたりの脂肪粒の質量(単位:g)の平均値を算出し、脂肪粒の含有量(単位:g/100g)とした。
得られた脂肪粒の含有量が少ないほど、脂肪の凝集抑制効果が高い。
[脂肪粒の粒度分布の測定方法]
測定対象の冷菓を庫内設定温度5℃の冷蔵庫にて24時間融解した液体画分をサンプルとした。
得られたサンプルについて、レーザー回折散乱式粒子径分布測定装置(HORIBA社製品名:Partica LA-950V2)を用い、下記の測定条件で粒度分布を測定した。
詳細には、まず、装置に付属のフローセルを接続し、循環している分散媒にサンプルを滴下し、循環、撹拌を行って試料を調製した。試料透過率が所定の値に達した段階で、装置を稼働させてレーザー回折/散乱データをキャッチした。キャッチしたデータに基づいて体積基準の粒度分布を得た。得られた粒度分布における、10%径、50%径(メジアン径)及び90%径を記録した。
(測定条件:湿式)
分散媒:水
サンプル屈折率:1.600-0.000i
分散方法:超音波照射なし、界面活性剤及び分散剤は使用しない。
循環速度:5 (流量2.3L/min、モーター回転数1160rpm)
撹拌速度:1 (900rpm)
試料透過率:85.2%
[脂肪凝集率の測定方法]
測定対象の冷菓を庫内設定温度5℃の冷蔵庫にて24時間融解した液体画分の粒度分布、及びフリージング前の原料混合物の粒度分布を、上記[脂肪粒の粒度分布の測定方法]と同じ方法で、それぞれ測定した。
フリージング前の原料混合物の粒度分布における90%径を測定し、D90(単位:μm)とした。冷菓を融解した液体画分の粒度分布において、前記D90(単位:μm)以上の累積体積頻度(単位:%)を求めてVFrezとした。下記式により脂肪凝集率(FAT)を求めた。
FAT(単位:%)=(VFrez-10)/90×100
上記脂肪凝集率(FAT)の値は、フリージング前の原料混合物において90%径以下であった脂肪球のうち、フリージング後に凝集して90%径以上の大きさになったものの割合を表している。
上記脂肪凝集率(FAT)はアイスクリームの官能特性と相関を有する指標であり、FATの値が小さいほど、フリージング時の充填温度やオーバーランの影響により、脂肪粒子が合一して大きくなることを防ぐことが知られている。そのため、製造条件による品質や官能のコントロールやオーバーランを自由に選択できるため製品設計の幅を広げる点で優れる(小久保貞之、「アイスクリームの脂肪凝集率と製品特性について、MilkScience、1999年、Vol.48、No.1)。
[氷結晶の直径の測定方法]
測定対象の冷菓の一部を採取して光学顕微鏡で観察し、観察画像における氷結晶の円相当径を直径として求めた。
測定装置は、光学顕微鏡(Nikon Co. Ltd.製品名Nikon Eclipse E400)、プレパラート(Matsunami Glass Ind., Ltd.製品名S1225型)を使用した。
具体的には、温度調節可能な冷凍グローブボックスの庫内を-15℃に設定し、光学顕微鏡及び使用する実験器具を庫内に収容した。庫内が十分に冷えた後、測定対象の冷菓を庫内に移送し、4時時間以上保管して温度調節した。薬さじを用いて、冷菓の中心部から少量程度の試料を採取した。
試料をプレパラートの中央に乗せ、その上にイソブタノールを数滴滴下して脂肪分を除去した。この上にもう一枚のプレパラートを、気泡を追い出すようにかぶせた。プレパラートの、試料から離れた位置を持ち、前後左右にゆっくり動かして試料中の氷結晶が重ならないように分散させた。その状態でプレパラートを観察ステージに乗せ、倍率350倍で試料中の氷結晶を観察した。
得られた視野の画像について、画像解析ソフトウェア(Media Cybernetics社製品名Image Pro Plus ver7.0)を用い、氷結晶を上から2次元的に観測した面積を測定した。測定した面積(A)を円と想定したときの直径(R、円相当径)を、以下の数式で算出した。
R=2×√(A/π)
視野内に確認した全ての氷結晶の数を計測し、全ての氷結晶の直径の算術平均を氷結晶の直径の平均値として記録した。
1つの視野内で確認される氷結晶の数が100未満である場合は、前記氷結晶の総数が100を超えるまで視野の数を増やした。
<原料>
下記の原料を用いた。下記の豆乳クリーム及び大豆タンパクA~Cについて、上記測定方法(A)で求めたタンパク質の分子量分布を表1に示す。
豆乳クリーム:植物性脂肪13.3%、植物性タンパク質5.5%、炭水化物0.9%、灰分0.4%、水分79.9%、固形分20.1%。
大豆タンパクA:不二製油社製、粉末状大豆たん白、固形分94.5%、植物性タンパク質(固形分換算)90.5%。
大豆タンパクB:Solae,LLC社製、粉末状大豆たん白、固形分95.7%、植物性タンパク質(固形分換算)90.0%。
大豆タンパクC:不二製油社製、粉末状大豆たん白、固形分94.5%、植物性タンパク質(固形分換算)91.3%。
植物油脂:植物性脂肪100%。
蔗糖型液糖:固形分68%。
水あめ:固形分65%。
精製塩:固形分100%。
Figure 2023184070000001
<例1~9>
例1~6は実施例、例7~9は比較例である。
表2に示す配合で原料混合物を調製した。
まず、80~100℃に加温した水(溶解水)に、水以外の全原料に加え、70~75℃で25~35分間保持して加熱保持した。この後、85℃に昇温し、ホモミキサー(田島化学機械社製品名「ロボミックス」)に投入し5000rpmで3分間撹拌して予備乳化した。予備乳化後、均質機(三丸機械工業社製)に通液し、全圧15MPaで均質化した後、10℃に冷却して原料混合物を得た。
冷却した原料混合物は18~36時間エージングして、次のフリージング工程に用いた。
原料混合物の凍結点、総固形分、総脂肪含有量、総タンパク質含有量、及び総脂肪/総タンパク質の質量比を表2に示す。
エージング後の原料混合物について、上記の方法で脂肪凝集試験を行い、脂肪の凝集抑制効果を評価した。結果を表2に示す。
得られた原料混合物を、バッチ式フリーザー(Carpigiani社製品名:アイスクリームフリーザーSED L12)を用いてフリージングした。
具体的には、予めバッチ式フリーザーのシリンダー内を-20℃(設定温度)に冷却し、そこへ原料混合物を約1kg投入し、ダッシャー回転数140rpmでフリージングし、原料混合物が部分的に凍結した部分凍結品を出口から取り出した。
予め、フリーザーに投入してから取り出すまでのフリージング時間に対するORの変化を測定し、所望のORが得られるようにフリージング時間を設定した。
フリーザーの出口から取り出した部分凍結品のORの測定値を表に示す。フリーザーの出口から取り出した直後の、部分凍結品の温度(充填温度)はいずれの例も-5℃~-3℃の範囲内であった。
得られた部分凍結品を、容量90mLのカップに入れ、-35℃の冷凍庫内で冷却し、硬化させて冷菓を得た。
冷菓100gあたりに含まれる、分子量が0~15kDaであるタンパク質の含有量、及び分子量が25~100kDaであるタンパク質の含有量を、原料に含まれるタンパク質の分子量分布及び原料の配合比に基づいて算出した。結果を表2に示す。
得られた冷菓について、脂肪粒の粒度分布を上記の方法で測定した。また、例3~5で得られた冷菓について脂肪凝集率を上記の方法で測定した。これらの結果を表2に示す。
Figure 2023184070000002
例1~9はいずれも、原料として乳化剤及び安定剤をいずれも使用しなかった例である。
表2の結果に示されるように、0~15kDaタンパク質含有量が0.45g/100g以下、かつ25~100kDaタンパク質含有量が0.53g/100g以上である例1~6の冷菓は、例7~9に比べて、脂肪凝集試験において脂肪粒の含有量が少なく、脂肪の凝集が抑制された。
総脂肪含有量が互いに同じである例1~5を比べると、総タンパク質含有量が多いほど、脂肪凝集試験において脂肪粒の含有量がより少なかった。例3~5を比べると総タンパク質含有量が多いほど、脂肪凝集率がより低かった。
例3、8及び9は、総脂肪含有量及び総タンパク質含有量が互いに同じであるが、例3は、例8、9に比べて、脂肪凝集試験において脂肪粒の含有量が大幅に少なく、冷菓中の脂肪粒の粒度分布において10%径、50%径(メジアン径)及び90%のいずれも小さかった。
<氷結晶の大きさの測定>
例1~9と同じ配合、同じ手順で冷菓を製造した。得られた冷菓について、上記の方法で氷結晶の直径を測定した。
フリーザーの出口から取り出した直後の部分凍結品の温度(充填温度)、及び氷結晶の直径の測定結果を表3に示す。
Figure 2023184070000003
例1~9のいずれにおいても、氷結晶の直径は50μm以下であった。
表2、3の結果より、例1~6の冷菓は、氷結晶の直径が小さく、かつ脂肪粒の生成抑制効果にも優れるのに対し、例7~9ではこれらを十分に両立できなかった。

Claims (10)

  1. 植物性脂肪及び植物性タンパク質を含む冷菓であって、
    前記冷菓の100gに対して、分子量が0~15kDaであるタンパク質の含有量が0.45g/100g以下、かつ分子量が25~100kDaであるタンパク質の含有量が0.53g/100g以上である、冷菓。
  2. 総脂肪含有量が8~20質量%である、請求項1に記載の冷菓。
  3. 総タンパク質含有量が0.7~8.0質量%である、請求項1に記載の冷菓。
  4. 総脂肪含有量が8~20質量%であり、かつ総タンパク質含有量が0.7~8.0質量%であり、前記総タンパク質含有量に対する前記総脂肪含有量の質量比を表す、総脂肪含有量/総タンパク質含有量が1~10である、請求項1に記載の冷菓。
  5. 乳化剤を実質的に含まない、請求項1~4のいずれか一項に記載の冷菓。
  6. 植物性脂肪及び植物性タンパク質を含む原料混合物をフリージングする工程を有し、
    前記原料混合物の100gに対して、分子量が0~15kDaであるタンパク質の含有量が0.45g/100g以下、かつ分子量が25~100kDaであるタンパク質の含有量が0.53g/100g以上となるように前記原料混合物を調製する、冷菓の製造方法。
  7. 前記原料混合物の総質量に対して、総脂肪含有量が8~20質量%となるように前記原料混合物を調製する、請求項6に記載の製造方法。
  8. 前記原料混合物の総質量に対して、総タンパク質含有量が0.7~8.0質量%となるように前記原料混合物を調製する、請求項6に記載の製造方法。
  9. 前記原料混合物の総質量に対して、総脂肪含有量が8~20質量%、かつ総タンパク質含有量が0.7~8.0質量%となり、前記総タンパク質含有量に対する前記総脂肪含有量の質量比を表す、総脂肪含有量/総タンパク質含有量が1~10となるように前記原料混合物を調製する、請求項6に記載の製造方法。
  10. 原料として乳化剤を使用しない、請求項6~9のいずれか一項に記載の製造方法。
JP2022097988A 2022-06-17 2022-06-17 冷菓及びその製造方法 Pending JP2023184070A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022097988A JP2023184070A (ja) 2022-06-17 2022-06-17 冷菓及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022097988A JP2023184070A (ja) 2022-06-17 2022-06-17 冷菓及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023184070A true JP2023184070A (ja) 2023-12-28

Family

ID=89333347

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022097988A Pending JP2023184070A (ja) 2022-06-17 2022-06-17 冷菓及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2023184070A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5133698B2 (ja) チョコレート製品及び材料並びに新規な水中油型懸濁物の製造方法
US4855156A (en) Frozen dessert
EP2938208B1 (en) Emulsifier system
US8840945B2 (en) Method for preparing aggregated protein particles
TWI613970B (zh) 低脂肪或無脂肪之含有氣泡的乳化物
CN104023554A (zh) 具有改善的泡沫稳定性的充气食物产品
EP3648620A1 (en) Emulsion in foods
KR20070095346A (ko) 아이스크림의 식물성 단백질 성분 제조 방법 및 단백질성분을 포함하는 아이스크림
BR112014010828B1 (pt) Uso de partículas de cacau, produto de confeitaria e seu processo de preparação
WO2021157455A1 (ja) アイスクリーム様含気乳化組成物
JP6871466B2 (ja) アイスクリーム様乳化組成物
JP2023184070A (ja) 冷菓及びその製造方法
JP2021052700A (ja) 植物ベースのクリーム代替物の製造法
BR112015024864B1 (pt) processo para a produção de uma emulsão água-em-óleo estável, processo para fabricação de um produto de chocolate e produto de chocolate
JP2021122273A (ja) 冷菓及びその製造方法
WO2013027700A1 (ja) 食品組成物及びその製造方法
BR112017013656B1 (pt) Emulsão de uma fase aquosa em uma fase lipídica, produto alimentício e processo para produzir uma emulsão
JP7295606B1 (ja) アイスミックス及び冷菓
JP5185673B2 (ja) 冷菓の製造方法
US20230061484A1 (en) Method of making low-sugar caramels
JP2002017267A (ja) ソフトクリーム及びその製造方法
JP2021129560A (ja) ホイップクリーム用乳化組成物、ホイップクリーム及び菓子
JP2023001009A (ja) 冷菓、冷菓用液状組成物、及び冷菓の製造方法
JP2020150931A (ja) 冷菓、及び冷菓の製造方法
WO2021145192A1 (ja) 酸性水中油型乳化食品及びその製造法