JP2023183297A - トーションバー用鋼材 - Google Patents

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大輔 渡辺
Daisuke Watanabe
暁宇 劉
Xiaoyu Liu
琢哉 高知
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Abstract

【課題】高強度を有しつつ、時効硬化後も低温延性に優れたトーションバー用鋼材を提供する。【解決手段】所定の化学成分組成を有し、以下の式(1)および式(2)を満たす、トーションバー用鋼材。[Ti]/[N]≦4.0 (1)ここで[Ti]および[N]は、それぞれ質量%で示したTiおよびNの含有量を示す。ΔHV<2.0HV (2)ここでΔHVは以下の式(3)で定義される。ΔHV=HV2-HV1 (3)ここで、HV1、HV2はそれぞれ、時効処理前および時効処理後のトーションバー用鋼材のビッカース硬さである。【選択図】図1

Description

本開示は、時効硬化後の低温延性に優れたシートベルトトーションバー用鋼材に関する。
シートベルト装置には乗員への衝撃緩和の目的で、ロードリミッタ機構を備えた巻取装置が備わっている。この巻取装置に使用されるトーションバーは、車体減速時にねじれ部がねじれながら回転することで、乗員の衝撃を吸収する仕組みとなっているため、高い変形能(延性)及び、高い鋼材強度が要求されている。
特許文献1は、金属組織がフェライトまたはフェライトパーライトからなり、セメンタイト長の割合を一定量以下とすることを特徴としたトーションバー用鋼材が開示されている。鋼のマトリックスと粒界の金属組織の制御により、高速変形において優れた延性を有する鋼が得られる。
特許文献2は、トーションバーに使用できる棒状鋼として、圧延材の表層と内部のフェライト結晶粒径をあまり微細化させずに均一に制御することを特徴とした棒状鋼が開示されている。特許文献2に開示された棒状鋼は、熱間圧延ままでも変形能に優れ、高い強度、捻回特性が得られるとされている。
特開2006-022397号公報 特開2003-105495号公報
自動車は寒冷地でも使用されるため、氷点下の低温環境でも十分な延性(低温延性)を有するトーションバー用鋼材が望まれている。また、時効硬化による悪影響が示唆されており、製造時に高い機械的特性が得られたとしても、経年劣化によって延性が低下して、十分な衝撃エネルギーを吸収できなくなるおそれがある。
特許文献1では、低温延性についても、時効硬化による延性低下について考慮されていない。
特許文献2では、鋼材中のNが、冷間加工時における歪時効発生の原因になることに着目し、N含有量を制御している。しかしながら、低温延性については考慮されておらず、また、時効硬化による延性低下についての詳細な検討まではされていない。
そこで、本発明の実施形態では、高強度を有しつつ、時効硬化後も低温延性に優れたトーションバー用鋼材を提供することを目的とする。
本発明の態様1は、
C :0.010~0.030質量%
Si:0.10~0.40質量%
Mn:0.20~0.50質量%
Al:0.010~0.060質量%
Nb:0.020~0.030質量%
Ti:0.005~0.025質量%
P :0.020質量%以下(0質量%を含む)
S :0.020質量%以下(0質量%を含む)
N :0.0050質量%以下(0質量%を含む)
残部:残部がFeおよび不可避的不純物からなり、
以下の式(1)および式(2)を満たす、トーションバー用鋼材である。

[Ti]/[N]≦4.0 (1)
ここで、[Ti]および[N]は、それぞれ質量%で示したTiおよびNの含有量を示す。
ΔHV<2.0HV (2)
ここでΔHVは以下の式(3)で定義される。

ΔHV=HV2-HV1 (3)
ここで、HV1、HV2はそれぞれ、時効処理前および時効処理後のトーションバー用鋼材のビッカース硬さである。
本発明の態様2は、
-196℃における絞り値が50%超である、態様1に記載のトーションバー用鋼材である。
本発明の実施形態によれば、高強度を有しつつ、時効硬化後の低温延性に優れたトーションバー用鋼材を提供することができる。
図1は、時効前後の鋼材の硬度差ΔHVと、絞り値との関係を示すグラフである。
発明者らは、時効硬化後の低温延性に優れたシートベルトトーションバー用鋼材を得るために鋭意検討を行った。特定の成分組成を有する鋼材において、Nの含有量に対するTiの含有量の比を4.0以下に制御し、さらに、時効処理前後の硬さの差ΔHVを2.0HV以下に制御することにより、高強度を有しつつ、時効硬化後の優れた低温延性を達成できることを初めて見出し、本発明を完成するに至った。
なお、時効硬化後の低温延性が優れている鋼材は、時効硬化前の低温延性も優れていると推測される。
以下、本発明の実施形態に係るトーションバー用鋼材について説明する。
なお、本明細書において、「トーションバー用鋼材」とは冷間加工を受けた鋼材であり、熱間圧延ままの鋼材は含まれない。
<1.化学成分組成>
本発明の実施形態に係るトーションバー用鋼は、C:0.010~0.030質量%、Si:0.10~0.40質量%、Mn:0.20~0.50質量%、Al:0.010~0.060質量%、Nb:0.020~0.030質量%、Ti:0.005~0.025質量%、P:0.020質量%以下(0質量%を含む)、S:0.020質量%以下(0質量%を含む)、N:0.0050質量%以下(0質量%を含む)を含有する。
なお、元素の含有量において「0質量%を含む」とは、0質量%であってもよく、不純物として不可避的に含まれる量(不純物レベルの量)を含んでいてもよく、かつ意図的に添加を行ってもよいことを意味する。
以下、各元素について詳述する。
(C:0.010~0.030質量%)
Cは、鋼材の強度を付与するために必須の元素である。
0.010質量%未満では、たとえ、TiやNbの析出強化元素を添加したり圧延条件を制御したとしても、所望の圧延材強度(350MPa以上)は得られない。好ましくは0.013質量%以上、より好ましくは0.015質量%以上である。一方、0.030質量%超になると所望の変形能が得られない。好ましくは0.027質量%以下、より好ましくは0.025質量%以下である。
(Si:0.10~0.40質量%)
Siは脱酸剤、及び所望の強度を確保するのに有用な元素である。この様な作用を有効に発揮させる為に、0.10質量%以上添加する。好ましくは0.15質量%以上、より好ましくは0.20質量%以上である。但し、過剰に添加すると、所望のフェライト粒径が得られず、また、フェライトが固溶強化する為、たとえ、圧延条件等を制御しても所望の変形能を確保することができない。そのため、上限を0.40質量%に定めた。好ましくは0.35質量%以下、より好ましくは0.30質量%以下である。
(Mn:0.20~0.50質量%)
MnはCと同様、鋼の強度を高めるのに有用な元素である。この様な作用を有効に発揮させるには、0.20質量%以上添加する。好ましくは0.25質量%以上、より好ましくは0.30質量%以上である。但し、過剰に添加すると、偏析が顕著になり、強度のばらつきが大きくなるため、その上限を0.50質量%に定めた。好ましくは0.45質量%以下、より好ましくは0.40質量%以下である。
(Al:0.010~0.060質量%)
Alは脱酸に有用な元素であり、且つ、AlNを析出することにより、フェライト結晶粒が安定化する(所望の平均粒径を有するフェライトを、安定して生成させることができる)という作用もある。この様な作用を有効に発揮させる為には0.010質量%以上添加する。好ましくは0.015質量%以上、より好ましくは0.020質量%以上である。但し、過剰に添加すると、非金属介在物が増加し変形能の低下を招くため、その上限を0.060質量%に定めた。好ましくは0.050質量%以下、より好ましくは0.040質量%以下である。
(Nb:0.020~0.030質量%、およびTi:0.005~0.025質量%)
これらの元素は、いずれも窒化物/炭窒化物生成元素であり、フリーのC及びNを固定してオーステナイト中にTiNを析出させたり、或いは、Nb(C,N)を析出させる等して、熱間圧延割れを抑制する作用がある。また、TiNの析出に寄与しない残りのTiは、TiC、またはTi,Nb,Crの複合炭化物等として、フェライト中またはフェライト粒界に析出し、強度向上に寄与する。
この様な作用を有効に発揮させる為には、Nbを0.020質量%以上0.030質量%以下に制御し、Tiを0.005質量%以上、好ましくは0.008質量%以上、および0.025質量%以下、好ましくは0.020質量%以下に制御する。
(P:0.020質量%以下(0質量%を含む))
Pは粒界に偏析して変形能を低下させるため、その上限を0.020質量%とする。好ましくは0.015質量%以下、より好ましくは0.010質量%以下である。Pの含有量は少ない程好ましいが、通常、最低でも0.001質量%程度含まれ得る。
(S:0.020質量%以下(0質量%を含む))
Sは、主にMnSの硫化物系介在物を形成し、変形能が低下することから、その上限を0.020質量%とする。好ましくは0.015質量%以下、より好ましくは0.010質量%以下である。Sの含有量は少ない程好ましいが、通常、最低でも0.001質量%程度含まれ得る。
(N:0.0050質量%以下(0質量%を含む))
Nは、フェライト中にNが固溶し、冷間加工時における歪時効発生の原因となるので、その上限を0.0050質量%に定めた。好ましくは0.0045質量%以下、より好ましくは0.0040質量%以下である。
(TiとNの含有量の関係)
上述したように、TiはフリーのNを固定してオーステナイト中にTiNを析出させ得る。過剰なTiNが析出すると鋼材の変形能の低下を招くため、TiとNの含有量は以下の式(1)を満たすように制御する。

[Ti]/[N]≦4.0 (1)
ここで、[Ti]および[N]は、それぞれ質量%で示したTiおよびNの含有量を示す。
(残部)
基本成分は上記のとおりであり、好ましい実施形態の1つでは、残部は鉄および不可避的不純物である。不可避的不純物としては、原料、資材、製造設備等の状況によって持ち込まれる元素が例示される。
なお、例えば、PおよびSのように、通常、含有量が少ないほど好ましく、従って不可避的不純物であるが、その組成範囲について上記のように別途規定している元素がある。このため、本明細書において、残部を構成する「不可避的不純物」という場合は、別途その組成範囲が規定されている元素を除いた概念である。
<2.機械的特性>
本発明の実施形態に係るトーションバー用鋼材は、以下の機械的特性を有する。
(時効前後の硬さの差ΔHV)
本実施形態のトーションバー用鋼材は、以下の式(3)で定義される硬さの差ΔHVが式(2)を満たす。

ΔHV<2.0HV (2)
ΔHV=HV2-HV1 (3)

ここで、HV1、HV2はそれぞれ、時効処理前および時効処理後のトーションバー用鋼材のビッカース硬さである。
本発明者らが新たに見出した知見によれば、時効処理前後の硬さの差ΔHVは、低温延性と相関性を有する。図1は、液体窒素温度で測定したトーションバー用鋼材の絞り値を、ΔHVに対してプロットしたグラフである。図1から分かるように、ΔHVを2.0HV未満に制御すること(つまり、式(2)を満たすこと)により、時効硬化後も優れた低温延性を有することができる。
本実施の形態において、「時効硬化」は、室温で1年時効した場合の時効硬化を意味している。実際にHV2を測定する際は、加速試験(例えば、75℃×24hrの時効処理)により、室温で1年時効した場合と同等の時効硬化を発現させている。
本発明の実施形態に係るトーションバー用鋼材は、式(2)を満たすことにより、室温で1年時効した後も、優れた低温延性を有することができる。
(絞り(RA))
絞り(RA)は材料の延性を表す指標である。本実施形態のトーションバー用鋼材は、液体窒素温度(-196℃)での低温引張試験から取得した絞り値が50%を超えていることが好ましく、優れた低温延性を有する。
硬さの差ΔHVを2HV未満に制御することにより、時効硬化後のトーションバー用鋼材は、低温での絞り値が50%を超え得、優れた低温延性を達成できる。
(引張強度(TS))
シートベルトトーションバーに必要な強度を得るには、圧延材の引張強度(TS)が350MPa以上であることが好ましい。
350MPa以上の引張強度は、鋼材の化学成分組成のうち、C:0.010~0.030質量%、Nb:0.020~0.030質量%、およびTi:0.005~0.025質量%を満たすことにより達成しうる。
<3.製造方法>
次に本発明の実施形態に係るトーションバー用鋼材の製造方法について説明する。
上記の化学成分組成を満足する鋼片を960~1050℃の温度範囲まで加熱した後、その温度範囲において、所定の線径まで圧延し、920~1030℃で仕上圧延する。次いで、主に水流を調整する等して600~6000℃/分の冷却速度で調整冷却開始温度が870~950℃となるまで急冷した後、10℃/秒以下の平均冷却速度で、250~500℃の調整冷却終了温度まで冷却する。
以下、各工程につき、詳細に説明する。
(鋼片の加熱温度:960~1050℃)
この加熱温度は、鋼中に析出したTiC、およびNb(C、N)等の炭窒化物をできる限り固溶させ、析出強化による強度向上を得る為に設定されたものである。ここで、「鋼片の加熱温度」とは、放射温度計によって測定されたものであり、厳密には、「鋼片の表面温度」を意味する。1050℃を超えて加熱すると、フェライト結晶粒径が粗大化してしまい、所望の変形能が得られない。一方、加熱温度が960℃未満になると、上記析出物が固溶せず、たとえ、その後の熱処理を制御したとしても、所望の強度が得られない。
(圧延温度:900~1150℃)
この温度は、粗圧延→中間圧延→仕上圧延に至る一連の圧延工程において、鋼中のTiやNbをTiC/Nb(C、N)等の炭窒化物等として析出させ、所望の強度を得る為に設定されたものである。ここで、「圧延温度」とは、放射温度計によって測定されたものであり、厳密には、「鋼片の表面温度」を意味する。1150℃を超えて圧延すると、窒炭化物析出によるピンニング効果が得られず、圧延後のフェライト結晶粒径が粗大化してしまい、変形能が低下する。一方、圧延温度が900℃未満になると、フェライト変態域の圧延となるため、圧延中にフェライトとオーステナイトの界面で割れが発生してしまう。
より詳細には、一連の圧延工程において、粗圧延を900~1150℃、中間圧延を925~1150℃、仕上圧延を920~1030℃に、夫々、制御することにより、本発明による作用を一層効率よく発揮させることが可能になる。
ここで、本発明において「粗圧延」とは、7~10台の圧延機を用い、115~200mm角の鋼片に、減面率75~95%の圧延を施して、角型に圧延する工程を意味する。「中間圧延」とは、上記の粗圧延に引続き、4~12台の圧延機を用い、減面率70~98%の圧延を施して、丸型に圧延する工程を意味する。「仕上圧延」とは、上記「中間圧延」の後に、水冷により圧延温度を調整した後、ブロックミルを1~2台用い、減面率5~95%の圧延を施す工程を意味する。
(調整冷却開始温度:870~950℃)
上記の仕上圧延後、主に水を媒体として、600~6000℃/分の平均冷却速度で、最表面温度が最低500~900℃になるまで急速に冷却した後、冷却帯(冷却コンベア)に巻取る。その際、鋼片の保有する熱(復熱)によって温度が回復するが、本明細書では、この回復温度を「調整冷却開始温度」(巻取温度と同義)と呼び、870~950℃とする。950℃よりも高くなると、冷却後のスケールが厚くなり、冷却中にスケールが剥離して更に二次スケールが生成し、その後の脱スケール工程でトラブルが発生し易くなる他、得られた線材等にはコシがなく、リング状の所望形状に巻くことが困難となる。一方、870℃よりも低くなるとフェライト結晶粒が異常粒成長し、伸線時の断線要因となる。
(調整冷却終了温度(250~500℃)までの平均冷却速度:10℃/秒以下)
上記の調整冷却開始温度(870~950℃)に達してから、250~500℃(調整冷却終了温度)の温度まで冷却するときの平均冷却速度を定めたものである。上記平均冷却速度は、所望の強度を確保する為に設定されたものであり、上記範囲に制御することにより、強度向上に寄与するTiやNbの炭窒化物を効率良く析出させることができる。好ましくは3℃/秒以上8℃/秒以下、より好ましくは4℃/秒以上6℃/秒以下である。
(冷間加工)
冷却後、冷間加工を行う。本明細書における「冷間加工」は、伸線加工、引き抜き加工、押し出し加工、および矯正のいずれかを含むものとする。
冷間加工の方法、程度(加工度)によって、時効処理前後のビッカース硬さの差ΔHVを制御できる。例えば、冷間加工率を5.0%以下にすることにより、所望のΔHVを達成しうる。
本明細書において、伸線加工における「冷間加工率」は、冷間加工前後での鋼材の断面積の差(減少量)を、冷間加工前の鋼材の断面積で割った百分率(%)として求める(減面率)。矯正加工における「冷間加工率」は、冷間加工前後での鋼材の長さの差を、冷間加工前の鋼材の長さで割った百分率(%)として求める。
なお、鋼材内の加工率が一定ではない場合(例えば、曲げ矯正)は、加工率が最大となる部分(曲げ矯正では、内周面側)で測定を行う。
冷間加工を複数回行う場合(例えば、伸線加工と矯正を行う場合)は、それぞれの冷間加工での冷間加工率(これを、それぞれの冷間加工における「加工率」と称する)を求め、それらの加工率を合計した値(合計の加工率)を「冷間加工率」として扱う。
なお、鋼材を、酸(塩酸、硫酸等)の浴槽に浸漬したり、機械的に歪みを付与する等してスケールを除去した後、燐酸亜鉛皮膜、燐酸カルシウム皮膜、石灰等の伸線前処理を行い、金属石鹸などを潤滑剤として用いて伸線,冷間圧延などを施してもよい。
以上に説明した本発明の実施形態に係るトーションバー用鋼材の製造方法に接した当業者であれば、試行錯誤により、上述した製造方法と異なる製造方法により本発明に係るトーションバー用鋼材を得ることができる可能性がある。
(1)試験用鋼材の作製
表1に示す化学成分組成を有する2t鋼塊を転炉溶製した。その後、鋼塊を加工した鋼片を表2に示す条件にて、加熱、熱間圧延、調整冷却を施してφ9.7mmの圧延材(試料No.1~6)を得た。
圧延材を切削加工して、引張試験片(JIS2241、14A号)を作製した。JIS Z 2241:2011に準拠して引張強度(TS)を測定した結果、395MPaであった。
コイル状の圧延材を用いたため、ガイドローラを通過させて直線矯正を実施した。冷間加工時の割れ発生を防止するため、伸線加工前に焼鈍処理を実施し鋼材を軟化した後冷間加工する方法が汎用されていることから、本実施例においても、一部の鋼材は焼鈍を実施し、低温延性への影響を確認した。表2で線(-)を記載したものは、その処理を行わなかったことを意味する。結果的に本実施例の範囲内では、延性に及ぼす焼鈍の影響は小さかった。
以下に、各試料について、圧延から評価(各種測定)までに行う処理の概要をまとめた。
試料No.1、3:上記圧延材を矯正(曲げ矯正)し、500℃または700℃で90分焼鈍した鋼材を評価した(圧延→曲げ矯正→焼鈍→評価)。
試料No.2:上記圧延材を矯正(曲げ矯正)した鋼材を、焼鈍せずに評価した(圧延→曲げ矯正→評価)。
試料No.4:上記圧延材を矯正(曲げ矯正)し、700℃で90分焼鈍し、その後、酸洗・皮膜処理を施した後、冷間伸線加工し、さらに矯正した鋼材を用いて評価した(圧延→曲げ矯正→酸洗→皮膜→伸線→評価)。
試料No.5、6:上記圧延材を矯正(曲げ矯正)し、700℃で90分焼鈍し、その後、酸洗・皮膜処理を施した後、冷間伸線加工し、さらに矯正した鋼材を用いて評価した(圧延→曲げ矯正→焼鈍→酸洗→皮膜→伸線→評価)。
さらに、各試料に対して時効処理を行い、時効処理後の鋼材を用いた評価も行った。
十分に時効硬化した状態を再現するため、Larson-Miller パラメータ(LMP=T×(20+log t))(丸山公一:鉄と鋼,105(2019),767.)において、室温で1年時効した場合と同程度と考えられる「75℃×24hr」の時効処理を実施した。
なお、LMPが同程度となる条件であればよく、時効処理条件は75℃×24hrに限定されない。
(2)冷間加工率の測定
以下の手順で、冷間加工率を求めた。実施例では、冷間加工として、曲げ矯正及び伸線を行っているので、「曲げ矯正による加工率R1」(後述する式(4))と、「伸線による加工率R2」(後述する式(5))とを、それぞれ計算した。そして、後述する式(6)に示すように、加工率R1、R2を合計して冷間加工率Rを計算して、表3に記載した。
式(4)について、曲げ矯正は鋼材中の加工率が均一ではないため、加工率が最大となる内周面側(曲げ矯正時に引張応力を受ける側)において、矯正前の長さLと矯正後の長さ(L+ΔLに相当)を測定した。
式(5)について、伸線では断面内の加工率が一定であると見なせるため、伸線前後の鋼材の断面積を測定して、加工率を計算した。
R1(%)=100×ΔL/L (4)

ここで、Lは、曲げ矯正前の試料の長さ(mm)であり、ΔLは、曲げ矯正による試料の長さの変化量(mm)である。

R2(%)=100×ΔA/A (5)

ここで、Aは、伸線前の試料の断面積(mm2)、ΔAは伸線による断面積の変化量(mm2)である。

R(%)=R1+R2 (6)
(3)ビッカース硬さの測定
試料No.1~6の鋼材(丸棒)の横断面のD/4部(Dは鋼材の直径)で2点、D/2部で1点の合計3点のビッカース硬さを、荷重10kgfで測定し、その平均値を求めた。時効処理前の鋼材と、時効処理後の鋼材の各々で、ビッカース硬さを測定した。時効処理前および時効処理後の測定結果(平均値)を、それぞれHV1、HV2として、表3に示す。
(4)低温引張試験
試料No.1~6の鋼材(丸棒)について時効処理を行った後、引張試験片(JIS2241、14A号)を作製した。その後、液体窒素中(-196℃)で、0.25mm/分の試験速度で引張試験を実施し、JIS Z 2241:2011に準拠して絞りRAを測定した。測定結果を表3に示す。
Figure 2023183297000002
Figure 2023183297000003
Figure 2023183297000004
試料No.1~3は、本実施形態の要件を満たす実施例であり、圧延材の引張強度TSが350MPaを超えており、十分な引張強度を有していた。製造時の鋼材の冷間加工率Rが5.0%以下であった。また、ΔHVが2.0HV未満であったため、低温環境下で測定した時効処理後の鋼材の絞りRAは50%を超えていた。よって、試料No.1~3は、時効硬化後も優れた低温延性を有していることが分かった。
試料No.4~6は、本実施形態の要件を満たさない比較例であった。製造時の鋼材の冷間加工率Rが5.0%を超えており、圧延材の引張強度TSが350MPaを超えており、十分な引張強度を有していたが、ΔHVが2.0HV以上であったため、低温環境下で測定した時効処理後の鋼材の絞りRAは50%以下であった。

Claims (2)

  1. C :0.010~0.030質量%
    Si:0.10~0.40質量%
    Mn:0.20~0.50質量%
    Al:0.010~0.060質量%
    Nb:0.020~0.030質量%
    Ti:0.005~0.025質量%
    P :0.020質量%以下(0質量%を含む)
    S :0.020質量%以下(0質量%を含む)
    N :0.0050質量%以下(0質量%を含む)
    残部:残部がFeおよび不可避的不純物からなり、
    以下の式(1)および式(2)を満たす、トーションバー用鋼材。

    [Ti]/[N]≦4.0 (1)
    ここで、[Ti]および[N]は、それぞれ質量%で示したTiおよびNの含有量を示す。
    ΔHV<2.0HV (2)
    ここでΔHVは以下の式(3)で定義される。

    ΔHV=HV2-HV1 (3)
    ここで、HV1、HV2はそれぞれ、時効処理前および時効処理後のトーションバー用鋼材のビッカース硬さである。
  2. -196℃における絞り値が50%超である、請求項1に記載のトーションバー用鋼材。
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