JP2023182433A - 難水溶性物質の水性溶媒中への分散方法、及び水生生物に対する難水溶性物質の曝露方法 - Google Patents

難水溶性物質の水性溶媒中への分散方法、及び水生生物に対する難水溶性物質の曝露方法 Download PDF

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Abstract

【課題】難水溶性物質を、分散又は水生生物に曝露させる新規な技術を提供すること。【解決手段】本技術では、(A)HLB10~15のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油から選ばれる1種又は2種以上と、(B)HLB10~15のポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステルから選ばれる1種又は2種以上と、(C)難水溶性物質と、を含有する水中油型乳化組成物を調製する調製工程と、前記水中油型乳化組成物を水性溶媒中に分散させる分散工程と、を行う、難水溶性物質の水性溶媒中への分散方法、及び水生生物に対する難水溶性物質の曝露方法を提供する。【選択図】なし

Description

本技術は、難水溶性物質の水性溶媒中への分散方法、及び水生生物に対する難水溶性物質の曝露方法に関する。
現在、新規に開発される化粧料等には、水性溶媒への溶解性が極めて乏しい難水溶性物質が配合されることがある。化粧料等の開発過程において、難水溶性物質を水性溶媒中に分散させ、水生生物等に対する影響について検討することは、環境問題などにアプローチする上で求められている。
ここで、難水溶性物質を分散させる技術としては、例えば、特許文献1に、サイクロデキストリンならびにサイクロデキストランおよびそれらの誘導体から選ばれる1種または2種以上と、水難溶性物質を、粉砕メディアを用いて粉砕処理することを特徴とする水難溶性物質の可溶化方法が開示されている。また、特許文献2に、難水溶性化合物を含有する溶液を、前記難水溶性化合物を可溶化する可溶化剤を、難水溶性化合物の質量に対し50倍以下の質量で含有する水相に添加する工程を含むことを特徴とする難水溶性化合物の可溶化物の製造方法が開示されている。更に、特許文献3に、(A)炭素数が18の不飽和及び/又は分岐鎖脂肪酸で構成され、構成するポリグリセリンの重合度が5~20であり、HLB値が13以上のポリグリセリン脂肪酸エステル、(B)炭素数が10~14の脂肪酸で構成され、構成するポリグリセリンの重合度が5~20であり、HLB値が13以上のポリグリセリン脂肪酸エステル、(C)炭素数が10以下の脂肪酸と炭素数が9以下のアルコールから構成されるエステル油、及び(D)多価アルコールを含有し、これらを所定の重量比で配合させた難水溶性物質用可溶化組成物が開示されている。
また、特に、水生生物であるサンゴに対して難水溶性物質を曝露するに当たり、非特許文献1に、メタノールを溶剤(可溶化剤)として用いて難水溶性物質を分散させることが開示され、非特許文献2に、ジメチルスルホキシド(DMSO)を溶剤(可溶化剤)として用いて難水溶性物質を分散させることが開示されている。
特開2021-123554号公報 特開2020-152674号公報 特開2022-60041号公報
Photochemical response of the scleractinian coral Stylophora pistillata to some sunscreen ingredients, Coral Reefs, volume 38, pp.109-122 (2019) Toxicopathological Effects of the Sunscreen UV Filter, Oxybenzone (Benzophenone-3), on Coral Planulae and Cultured Primary Cells and Its Environmental Contamination in Hawaii and the U.S. Virgin Islands, Archives of Environmental Contamination and Toxicology, volume 70, pp.265-288 (2016)
しかしながら、難水溶性物質を分散させる技術の開発は未だ十分でなく、メタノールやDMSOといった極性溶媒に対して溶解度が低い難水溶性物質は、多量の溶媒を用いる必要があり、また、溶媒への可溶化力が低いために、水性溶媒中への難水溶性物質の均一な分散が困難であるという課題があった。
そこで、本技術では、難水溶性物質を、分散又は水生生物に曝露させる新規な技術を提供することを主目的とする。
本願発明者らは、難水溶性物質を、分散又は水生生物に曝露させる技術について鋭意実験検討を行ったところ、特定の成分を含有する水中油型乳化組成物を調製した上で分散させることで、水性溶媒中への分散性が向上することを見出し、本技術を完成させるに至った。
すなわち、本技術では、まず、(A)HLB10~15のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油から選ばれる1種又は2種以上と、(B)HLB10~15のポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステルから選ばれる1種又は2種以上と、(C)難水溶性物質と、を含有する水中油型乳化組成物を調製する調製工程と、前記水中油型乳化組成物を水性溶媒中に分散させる分散工程と、を行う、難水溶性物質の水性溶媒中への分散方法を提供する。
また、本技術では、(A)HLB10~15のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油から選ばれる1種又は2種以上と、(B)HLB10~15のポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステルから選ばれる1種又は2種以上と、(C)難水溶性物質と、を含有する水中油型乳化組成物を調製する調製工程と、前記水中油型乳化組成物を水生生物が生息する水性溶媒中に分散させる分散工程と、を行う、水生生物に対する難水溶性物質の曝露方法も提供する。
本技術では、前記成分(C)が、紫外線吸収剤、酸化亜鉛、及び酸化チタンから選ばれる1種又は2種以上であってもよい。
本技術では、前記成分(C)に対する前記成分(A)及び前記成分(B)の含有質量比が、A:B:C=0.1~5:0.01~5:1であってもよい。
本技術では、前記成分(C)が固形油及び/又は粉体を含む場合、前記水中油型乳化組成物は、更に成分(D)25℃で液状のエステル油(但し、前記成分(C)を除く。)を含有していてもよい。この場合、本技術では、前記成分(D)の分子量が200~500であってもよい。また、この場合、前記成分(D)の含有量が、前記成分(C)に対して1~20質量%であってもよい。
本技術では、前記分散工程において、水性溶媒中の前記成分(C)の理論濃度が0.0001~20ppmになるよう水性溶媒中に分散してもよい。
本技術では、前記水性溶媒の塩分濃度が、質量パーセント濃度で1.0~5.0%であってもよい。
本技術では、前記成分(C)が液状油である場合、前記水中油型乳化組成物が、前記成分(A)~(C)、及び水からなっていてもよい。
本技術では、前記成分(C)が固形油及び/又は粉体を含む場合、前記水中油型乳化組成物が、前記成分(A)~(D)、及び水からなっていてもよい。
本技術では、前記分散工程において、前記水性溶媒の温度を15~30℃とし、更に前記水性溶媒中に水流が施されていてもよい。
本技術に係る分散方法は、水生生物への影響を評価するために用いられてもよい。
本技術に係る曝露方法は、更に水生生物に与える影響を評価する評価工程を行ってもよい。
本技術によれば、難水溶性物質を、分散又は水生生物に曝露させる新規な技術を提供することができる。なお、本技術の効果は、ここに記載された効果に限定されず、本明細書内に記載されたいずれかの効果であってもよい。
以下、本技術を実施するための好適な形態について説明する。以下に説明する実施形態は、本技術の代表的な実施形態を示したものであり、本技術の範囲がこれらの実施形態のみに限定されることはない。なお、本明細書において、範囲を示す「X~Y」は、X及びYを含み、「X以上Y以下」を意味する。
1.難水溶性物質の水性溶媒中への分散方法
本技術に係る分散方法は、調製工程と、分散工程と、を少なくとも行う。また、必要に応じて、本技術の効果を損なわない範囲で、他の工程を行ってもよい。以下、各工程について詳細に説明する。
(1)調製工程
調製工程とは、(A)HLB10~15のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油から選ばれる1種又は2種以上と、(B)HLB10~15のポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステルから選ばれる1種又は2種以上と、(C)難水溶性物質と、を含有する水中油型乳化組成物を調製する工程である。
(1-1)成分(A)
成分(A)は、成分(C)の乳化に寄与する。成分(A)としては、ヒマシ油に水素添加して得られる硬化ヒマシ油に酸化エチレンを付加して得られたものであって、HLBが10~15であれば、いずれのものも使用することができる。中でも主として硬化ヒマシ油に付加される酸化エチレンが20~80のものが好ましい。具体的には、例えば、PEG-20水添ヒマシ油(HLB:10.5)、PEG-30水添ヒマシ油(HLB:11.0)、PEG-40水添ヒマシ油(HLB:12.5)、PEG-50水添ヒマシ油(HLB:13.5)、PEG-60水添ヒマシ油(HLB:14.0)、PEG-80水添ヒマシ油(HLB:15.0)等が挙げられ、必要に応じて、その1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、本技術では、成分(A)として市販品を用いることも可能であり、例えば、NIKKOL HCO-20、30、40、50、60、80(以上、日光ケミカルズ社製)等が挙げられる。
水中油型乳化組成物に対する成分(A)の含有量は、下限として、0.001質量%以上が好ましく、0.01質量%以上がより好ましく、0.1質量%以上が更に好ましく、上限として、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、3質量%以下が更に好ましい。また、水中油型乳化組成物に対する成分(A)の含有量は、0.001~10質量%であることが好ましく、0.01~5質量%であることがより好ましく、0.1~3質量%であることが更に好ましい。
(1-2)成分(B)
成分(B)は、成分(A)と共に、成分(C)の乳化に寄与する。成分(B)としては、ソルビトールに酸化エチレンを付加したものを脂肪酸でエステル化したものであって、HLBが10~15であれば、いずれのものも使用することができる。中でも主としてソルビトールに酸化エチレンを付加したものをオレイン酸でエステル化したテトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビットが好ましい。具体的には、例えば、テトラオレイン酸ソルベス-30(HLB:11.5)、テトラオレイン酸ソルベス-40(HLB:12.5)、テトラオレイン酸ソルベス-60(HLB:14.0)等が挙げられ、必要に応じて、その1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、本技術では、成分(B)として市販品を用いることも可能であり、例えば、NIKKOL GO-430NV、440V、460V(以上、日光ケミカルズ社製)等が挙げられる。
水中油型乳化組成物に対する成分(B)の含有量は、下限として、0.001質量%以上が好ましく、0.01質量%以上がより好ましく、0.1質量%以上が更に好ましく、上限として、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、3質量%以下が更に好ましい。また、水中油型乳化組成物に対する成分(B)の含有量は、0.001~10質量%であることが好ましく、0.01~5質量%であることがより好ましく、0.1~3質量%であることが更に好ましい。
水中油型乳化組成物において、成分(A)/成分(B)の含有質量割合は、0.2~100であることが好ましく、0.2~50であることがより好ましく、0.2~10であることが更に好ましい。
(1-3)成分(C)
成分(C)は、水性溶媒に対する溶解度が低い物質を意味し、具体的には、25℃での水性溶媒に対する溶解性が「やや溶けにくい」(溶質1g又は1mLを溶かすに要する水性溶媒量が30mL以上100mL未満)、「溶けにくい」(同溶媒量が100mL以上1000mL未満)、「極めて溶けにくい」(同溶媒量が1000mL以上10000mL未満)、又は「ほとんど溶けない」(同溶媒量が10000mL以上又は溶解しない)である物質を意味する。
成分(C)は、具体的には、化粧料に一般に用いられる難水溶性物質とすることができる。より具体的には、例えば、25℃で固形の固形油及び25℃で液状の液状油を含む紫外線吸収剤、粉体等が挙げられる。なお、本発明における液状とは、常温(25℃)、常圧下で流動性を有するものを、固形とは、常温(25℃)、常圧下で半固体~固体の性状を示し、融点が25℃以上のものをいう。なお、半固体とは、融点が25℃以上であるが、25℃で完全に固化していないもの、また、固体とは、融点が25℃以上であり、25℃で完全に固化しているものをいう。
紫外線吸収剤としては、例えば、ケイヒ酸系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾイルメタン系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、安息香酸系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、スルホン酸基を有する紫外線吸収剤、その他の有機紫外線吸収剤等が挙げられ、必要に応じて、その1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ケイヒ酸系紫外線吸収剤としては、例えば、パラメトキシケイヒ酸2-エチルヘキシル(OMC)、ジパラメトキシケイヒ酸モノ-2-エチルヘキサン酸グリセリル、2,5-ジイソプロピルケイヒ酸メチル、パラメトキシケイヒ酸2-エトキシエチル、トリメトキシケイヒ酸メチルビス(トリメチルシロキシ)シリルイソペンチル、パラメトキシケイヒ酸イソプロピル・ジイソプロピルケイヒ酸エステル混合物等が挙げられる。
トリアジン系紫外線吸収剤としては、例えば、2,4,6-トリス[4-(2-エチルへキシルオキシカルボニル)アニリノ]-1,3,5-トリアジン、ビス(エチルヘキシルオキシフェノール)メトキシフェニルトリアジン(BEMT)等が挙げられる。
ベンゾイルメタン系紫外線吸収剤としては、例えば、4-イソプロピルジベンゾイルメタン、4-tert-ブチル-4'-メトキシジベンゾイルメタン等が挙げられる。
サリチル酸系紫外線吸収剤としては、例えば、サリチル酸エチレングリコール、サリチル酸2-エチルヘキシル、サリチル酸ブチルオクチル、サリチル酸ベンジル、サリチル酸ホモメンチル(ホモサレート)等が挙げられる。
安息香酸系紫外線吸収剤としては、例えば、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(DHHB)、パラアミノ安息香酸、エチルジヒドロキシプロピルパラアミノ安息香酸、オクチルジメチルパラアミノ安息香酸、パラジメチルアミノ安息香酸アミル、パラジメチルアミノ安息香酸2-エチルヘキシル、パラアミノ安息香酸グリセリル等が挙げられる。
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、例えば、4-(2-β-グルコピラノシロキシ)プロポキシ-2-ヒドロキシベンゾフェノン、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノン、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノンジスルホン酸ナトリウム、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン(オキシベンゾン-3)(BP-3)、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-硫酸、2,2'-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2',4,4'-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2'-ジヒドロキシ-4,4'-ジメトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-N-オクトキシベンゾフェノン等が挙げられる。
スルホン酸基を有する紫外線吸収剤としては、例えば、ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸、フェニルジベンズイミダゾールテトラスルホン酸、テレフタリリデンジカンフルスルホン酸等が挙げられる。
他の紫外線吸収剤としては、例えば、オクトクリレン;ジメチコジエチルベンザルマロネート(ポリシリコーン-15)(PS-15);ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリジンプロピオン酸2-エチルヘキシル;アジピン酸とネオペンチルグリコールとの共重合体の末端をオクチルドデカノール又はシアノジフェニルプロペン酸で封鎖したコポリマー(ポリエステル-8);1-(3,4-ジメトキシフェニル)-4,4-ジメチル-1,3-ペンタンジオン;シノキサート;メチル-o-アミノベンゾエート、3-(4-メチルベンジリデン)カンフル;メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール;ドロメトリゾールトリシロキサン等が挙げられる。
粉体としては、例えば、化粧料に一般に使用される粉体であれば、形状、粒子径、粒子構造などにより特に限定されない。具体的には、例えば、無機粉末(例えば、タルク、カオリン、雲母、絹雲母(セリサイト)、白雲母、金雲母、合成雲母、紅雲母、黒雲母、リチア雲母、焼成雲母、焼成タルク、バーミキュライト、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、マグネシウム、シリカ、煙霧状シリカ、ゼオライト、ガラス、硫酸バリウム、焼成硫酸カルシウム(焼セッコウ)、リン酸カルシウム、フッ素アパタイト、ヒドロキシアパタイト、セラミックパウダー、金属石鹸(例えば、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム等)、窒化ホウ素等);有機粉末(例えば、ポリアミド樹脂粉末(ナイロン粉末)、ポリエチレン粉末、ポリメタクリル酸メチル粉末、ポリスチレン粉末、スチレンとアクリル酸の共重合体樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、ポリ四フッ化エチレン粉末、セルロース粉末、シリコーン樹脂粉末、シルクパウダー、ウールパウダー、ウレタンパウダー等);無機白色顔料(例えば、酸化チタン、酸化亜鉛等);無機赤色系顔料(例えば、酸化鉄(ベンガラ)、チタン酸鉄等);無機褐色系顔料(例えば、γ-酸化鉄等)、無機黄色系顔料(例えば、黄酸化鉄、黄土等)、無機黒色系顔料(例えば、黒酸化鉄、カーボンブラック、低次酸化チタン等)、無機紫色系顔料(例えば、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット等);無機緑色系顔料(例えば、酸化クロム、水酸化クロム、チタン酸コバルト等);無機青色系顔料(例えば、群青、紺青等);パール顔料(例えば、酸化チタンコーテッドマイカ、酸化チタンコーテッドオキシ塩化ビスマス、酸化チタンコーテッドタルク、着色酸化チタンコーテッドマイカ、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔等);金属粉末顔料(例えば、アルミニウムパウダー、カッパーパウダー等);ジルコニウム、バリウム又はアルミニウムレーキ等の有機顔料(例えば、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色228号、赤色405号、橙色203号、橙色204号、黄色205号、黄色401号、及び青色404号などの有機顔料、赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色227号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、緑色3号及び青色1号等);天然色素(例えば、クロロフィル、β-カロチン等);ワックス粉末(例えば、カルナバワックス粉末等);デンプン粉末(例えば、トウモロコシデンプン粉末、コメデンプン粉末等)等が挙げられ、必要に応じて、その1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、粉体は、必要に応じて、シリコーン化合物、シラン処理、フッ素化合物、金属石鹸、コラーゲン、炭化水素、高級脂肪酸、レシチン、高級アルコール、エステル、ワックス、ロウ、アミノ酸、界面活性剤等を用いて、従来公知の方法により表面処理を施したり、更にこれらを複合化したりしたものを用いてもよい。このような表面処理剤としては、化粧料、医薬部外品、医薬品等に通常用いられるものであれば、特に限定されないが、例えば、シリコーン処理剤、シランカップリング剤、フッ素処理剤、有機チタネート処理剤、脂肪酸処理剤、レシチン処理剤、アミノ酸処理剤、アシル化アミノ酸処理剤等が挙げられる。
シリコーン処理剤としては、例えば、低重合度ジメチルポリシロキサン、高重合度ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等の鎖状シリコーン類、アミノ変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン等の変性シリコーン類、トリメチルシロキシケイ酸やアクリル-シリコーングラフト共重合体等のシリコーン樹脂類、シリコーンゴム類、部分又は全架橋オルガノポリシロキサン類、シリル化剤類、シランカップリング剤類等が挙げられ、必要に応じて、その1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
シランカップリング剤としては、特に限定されないが、トリアルコキシアルキルシランが好ましい。トリアルコキシアルキルシランは、ケイ素原子に三つのアルコキシ基と一つのアルキル基が結合した化合物であり、該アルコキシ基が粉体表面の水酸基等と反応することにより、粉体表面を化学的に修飾する化合物である。該トリアルコキシアルキルシランにおける、アルコキシ基は、炭素数1~3のアルコキシ基である、メトキシ、エトキシ、プロポキシ等が好ましい。また、該トリアルコキシアルキルシランにおける、アルキル基は、炭素数6~18のアルキル基である、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、オクタデシル基等が好ましい。このようなトリアルコキシアルキルシランとしては、例えば、トリメトキシヘキシルシラン、トリメトキシオクチルシラン、トリメトキシデシルシラン、トリメトキシオクタデシルシラン、トリエトキシヘキシルシラン、トリエトキシオクチルシラン(OTS)、トリエトキシデシルシラン、トリエトキシオクタデシルシラン等が挙げられる。
有機チタネート処理剤としては、例えば、長鎖カルボン酸型、ピロリン酸型、亜リン酸型、アミノ酸型等のアルキルチタネート等が挙げられ、炭素数8~24のアルキル基を有するアルキルチタネートが好ましい。このようなアルキルチタネートとしては、例えば、長鎖カルボン酸型のアルキルチタネートとして、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート(ITT)、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、ジイソステアロイルエチレンチタネート等が挙げられ、ピロリン酸型アルキルチタネートとして、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2-ジアリルオキシメチル-1-ブチル)ビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート等が挙げられ、亜リン酸型アルキルチタネートとして、イソプロピルトリ(ジオクチルピロホスフェート)チタネート、ビス(ジオクチルピロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルピロホスフェート)エチレンチタネート等が挙げられ、アミノ酸型アルキルチタネートとして、イソプロピルトリ(N-アミドエチル・アミノエチル)チタネート等が挙げられる。
脂肪酸処理剤としては、脂肪酸やその金属塩等が挙げられ、これらの中でも、成分(A)等の再分散性等の点から、脂肪酸の炭素数が12~18のものが好ましく、またそれらの塩としては、例えば、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、アルミニウム等が挙げられる。
アミノ酸処理剤としては、例えば、プロリン、ヒドロキシプロリン、アラニン、グリシン、サルコシン、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸等が挙げられ、これらの塩が含まれる。
アシル化アミノ酸処理剤としては、特に制限されないが、アシル基を構成する脂肪酸が炭素数6~23の脂肪酸が好ましく、炭素数8~20の脂肪酸がより好ましく、これらの中でも、ステアロイルグルタミン酸、ラウロイルアスパラギン酸、ジラウロイルグルタミン酸リシン、ラウロイルリジンが特に好ましい。
本技術では、これらの中でも、成分(C)として、紫外線吸収剤、酸化亜鉛、及び酸化チタンから選ばれる1種又は2種以上を用いることが好ましい。また、本技術では、成分(C)として市販品を用いることも可能である。
成分(C)に対する成分(A)及び成分(B)の含有質量比は特に限定されないが、A:B:C=0.1~5:0.01~5:1であることが好ましく、A:B:C=0.3~3:0.05~3:1であることがより好ましく、A:B:C=0.5~2:0.1~2:1であることが更に好ましい。本技術に係る分散方法は、メタノールやDMSOを可溶化剤として用いて分散させる場合と比較して、成分(C)に対する成分(A)及び成分(B)の含有量が少量で済むため、水生生物への曝露のために水性溶媒中に分散させる際に、可溶化剤が水生生物へ与える影響を小さくすることができ、また、コストの低減や実験操作の煩雑化を防ぐことができる。
(1-4)水
なお、本工程で調製される水中油型乳化組成物は、必須の成分として水を含有する。水は、化粧料に一般に用いられる水であれば、特に制限はない。具体的には、例えば、精製水、温泉水、深層水、植物の水蒸気蒸留水等が挙げられ、必要に応じて、その1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
成分(C)が25℃で液状の液状油である場合において、本工程で調製される水中油型乳化組成物は、前記成分(A)~(C)、及び水からなることが好ましい。
(1-5)成分(D)
本技術では、成分(C)が固形油及び/又は粉体を含む場合、水中油型乳化組成物は、更に成分(D)25℃で液状のエステル油(但し、前記成分(C)を除く。)を含有することが好ましい。成分(D)を含有することで、成分(D)が成分(C)の溶剤或いは分散媒として機能し、成分(C)の溶解性或いは分散性が向上する。
成分(D)としては、直鎖又は分岐鎖の脂肪酸と、直鎖又は分岐鎖の1価又は多価アルコールからなるエステルである。具体的には、例えば、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸イソセチル、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル(トリエチルヘキサノン)、トリイソステアリン酸グリセリル、イソステアリン酸プロピレングリコール、セバシン酸ジエチルヘキシル、トリ2-エチルヘキサン酸トリメチルプロパン、コハク酸ジ2-エチルヘキシル、ジ(カプリル・カプリン酸)プロピレングリコール、2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリル酸2-エチルヘキシル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、トリオクタン酸トリメチロールプロパン、トリカプリル酸グリセリル、ジオクタン酸エチレングリコール、ジミリスチン酸グリセリル、ジラウリン酸ジエチレングリコール、テトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリット、ジ酢酸モノステアリン酸グリセリル、リンゴ酸ジイソステアリル、安息香酸アルキル(C12~C15)、乳酸オクチルドデシル、モノステアリン酸プロピレングリコール、オレイン酸プロピレングリコール、乳酸オレイル、ジカプリン酸プロピレングリコール、セバシン酸ジイソプロピル、モノステアリン酸エチレングリコール、ジカプリン酸ジエチレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ2-エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、ジヤシ油脂肪酸グリセリル、ジラウリン酸グリセリル、セスキオレイン酸グリセリル、モノオレイン酸エチレングリコール、乳酸セチル、セバシン酸ジエチル、ヒマシ油脂肪酸メチル、パルミチン酸エチレングリコール、ジラウリン酸ポリエチレングリコール、ジピバリン酸トリプロピレングリコール等が挙げられ、必要に応じて、その1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本技術では、これらの中でも、成分(D)として、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、ジ(カプリル・カプリン酸)プロピレングリコール、ジカプリン酸プロピレングリコール、セバシン酸ジイソプロピル、コハク酸ジ2-エチルヘキシル、及び安息香酸アルキル(C12~C15)から選ばれる1種又は2種以上が好ましく、ジカプリン酸プロピレングリコール及び/又は安息香酸アルキル(C12~C15)がより好ましい。また、本技術では、成分(D)として市販品を用いることも可能である。
成分(D)の分子量は、200~500であることが好ましい。分子量を200~500とすることで、成分(C)の溶解性或いは分散性をより向上させることができる。
成分(D)のIОB値は、0.1~0.5であることが好ましく、0.14~0.4であることがより好ましい。IОB値を0.1~0.5とすることで、成分(C)の溶解性或いは分散性をより向上させることができる。なお、本明細書において、IOB値とは、有機性値に対する無機性値の比、すなわち、「無機性値/有機性値」をいう。
成分(D)の含有量は、成分(C)に対して1~20質量%であることが好ましく、1.5~15質量%であることがより好ましい。成分(C)に対して1~20質量%含有させることで、成分(D)を成分(C)の溶剤或いは分散媒として効率的に機能させることができる。
成分(C)が25℃で固体の固形油及び/又は粉体を含む場合において、本工程で調製される水中油型乳化組成物は、前記成分(A)~(D)、及び水からなることが好ましい。
(1-6)その他
本工程において、水中油型乳化組成物は、本技術の効果を損なわない限り、その他の成分として、成分(A)~成分(D)以外の、保湿剤、褪色防止剤、酸化防止剤、消泡剤、美容成分、防腐剤、香料、清涼剤等を含むことができる。
本発明の水中油型乳化組成物の製造方法は、特に限定されるものではないが、一例は、以下の通りである。
成分(A)~(C)又は成分(A)~(D)を均一に混合する。所望により加熱してもよい。加熱は65~75℃程度にするのが好ましい。
次に、上記混合物に水の一部を添加し、乳化させる。この際も所望により加熱してもよい。加熱は65~75℃程度にするのが好ましい。この工程で乳化に用いられる水の量は、成分(A)~(C)又は成分(A)~(D)の合計質量に対して、5~60倍程度の質量であるのが好ましい。水の残部及び所望により添加されるその他成分を、更に上記乳化物に混合する。
本発明の水中油型乳化組成物の乳化滴の平均粒径は、10~500nmが好ましく、50~300nmがより好ましく、60~150nmが更に好ましい。乳化滴の平均粒径を前記範囲とすることで、後述する水性溶媒の過酷条件下(塩分濃度)での経時安定性が良好となり、水性溶媒中において均一に成分(C)を分散させることができる。更に、後述する水生生物への影響を評価するために用いた場合に、水生生物の生息環境下においても経時安定性が良好となり、均一に成分(C)を分散させることができるため、水生生物への影響を適切に評価することができる。なお、乳化滴の平均粒径は、レーザー回折・散乱法による粒度分布測定装置(例えば、サブミクロン粒子アナライザー N5 BECKMAN COULTER社製)を用いて測定することができる。
(2)分散工程
分散工程とは、調製工程で調製した水中油型乳化組成物を、水性溶媒中に分散させる工程である。本技術では、一旦、難水溶性物質である成分(C)を乳化させた水中油型乳化組成物を調製した上で水性溶媒中に分散させるため、多量の溶剤(可溶化剤)を用いる必要がなく、且つ、水性溶媒中において均一に成分(C)を分散させることができる。
分散方法としては特に限定されず、例えば、水性溶媒を保持した容器に対して、水中油型乳化組成物が所望の濃度となるように滴下すればよい。水性溶媒を保持した容器としては、例えば、水槽、タンク等が挙げられる。
水性溶媒としては、例えば、水、食塩水、海水、緩衝水溶液(例えば、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)等)等が挙げられる。水性溶媒の塩分濃度は特に限定されないが、質量パーセント濃度で1.0~5.0%としてもよく、2.0~4.0%としてもよく、3.1~3.8%程度としてもよい。本技術に係る分散方法は、塩分濃度が質量パーセント濃度で1.0~5.0%という過酷条件下においても、水中油型乳化組成物の経時安定性に優れ、成分(C)を均一に分散させることができ、すなわち、海水の塩分濃度に近い条件下でも実施することが可能である。
本工程では、水性溶媒中の成分(C)の理論濃度は、目的に応じて適宜設定することができる。なお、本明細書において、理論濃度とは、水中油型乳化組成物の滴下量(分散量)から推定される濃度であり、成分(C)の理論濃度は、0.0001~20ppmであることが好ましく、0.001~15ppmであることがより好ましい。水性溶媒中の成分(C)の理論濃度を0.0001~20ppmとすることで、本技術に係る分散方法を後述する水生生物への影響を評価するために用いた場合に、適切な濃度範囲、すなわち、水生生物の生息環境において曝露され得る濃度範囲で評価することができるため、より好ましい。
水溶性溶媒の温度は特に限定されないが、15~30℃とすることが好ましい。また、水溶性溶媒には、スクリュー等の従来公知の方法で水流が施されることが好ましい。これにより、本技術に係る分散方法を後述する水生生物への影響を評価するために用いた場合に、水生生物の生息環境に近づけることができ、より適切に評価することができる。なお、水流を施した場合の流量は、例えば、容器の大きさを50~55Lとすると、1000~3000L/h(時間)とすることができる。
(3)難水溶性物質の水性溶媒中への分散方法の用途
本技術に係る分散方法は、あらゆる用途に用いることができるが、特に、水生生物への影響を評価するために用いることが可能である。本明細書において、水生生物とは、水中、水面、水辺等に生息する生物をいう。具体的には、例えば、メダカ等の魚類、カメ等の爬虫類、カエル・イモリ等の両生類を含む脊椎動物;ホヤ等の原索動物;ウニ・ナマコ等の棘皮動物;エビ・カニ・昆虫等の節足動物;ゴカイ・イソメ等の環形動物;貝類・イカ・タコ等の軟体動物;クラゲ・イソギンチャク・サンゴ等の腔腸動物;カイメン等の海綿動物;らん藻、緑藻類、渇藻類、紅藻類等の海藻;アマモ等の海草;イネ等の植物;ゾウリムシ・ワムシ等の単細胞生物等が挙げられる。
本技術では、これらの中でも、水生生物として、腔腸動物が好ましく、腔腸動物の中でも特に、近年、環境ストレスによる影響が問題となっているサンゴが好ましい。サンゴは非常に繊細な動物であり、海中に流出した難水溶性物質の種類によっては、サンゴに深刻なダメージを与えているという報告もある。
2.水生生物に対する難水溶性物質の曝露方法
本技術に係る曝露方法は、調製工程と、分散工程と、を少なくとも行う。また、必要に応じて、本技術の効果を損なわない範囲で、評価工程等の他の工程を行ってもよい。以下、各工程について詳細に説明する。
(1)調製工程
本技術に係る曝露方法において、調製工程は上述したものと同様であるため、ここでは説明を割愛する。
(2)分散工程
分散工程とは、上述した調製工程で調製した水中油型乳化組成物を水生生物が生息する水性溶媒中に分散させる工程である。
分散方法としては特に限定されず、例えば、水生生物及び水性溶媒を保持した容器に対して、水中油型乳化組成物を所望の濃度となるように滴下し、必要に応じて攪拌すればよい。水生生物及び水性溶媒を保持した容器としては、例えば、水槽等が挙げられる。なお、水性溶媒中に水生生物が生息する以外の事項は上述したものと同様であるため、ここでは説明を割愛する。
(3)評価工程
本技術に係る曝露方法では、必要に応じて、水生生物に与える影響を評価する工程を行ってもよい。
評価方法としては特に限定されず、対象となる水生生物の特性等に応じて、評価基準を適宜作成し、水性溶媒中に分散した成分(C)が水生生物に対して、良い影響を与えているのか、悪い影響を与えているのか、又は影響を与えないのかなどを判断する。
具体的には、例えば、水生生物としてサンゴを選択した場合、サンゴはストレス(例えば、水温、光、紫外線、水質等)が原因で、サンゴ内に共生している褐虫藻(外観色の発現物質)が流失し、白化が起こることが知られており、サンゴの白化現象が生じたか否かを目視にて確認することで評価することができる。また、白化現象以外にも、成長阻害、幼生不足、破壊、減少、死滅、黒帯病、ホワイトシンドローム、腫瘍(骨格形成異常)等を目視にて確認することで評価してもよい。更に、目視検査以外にも、従来公知の測定機器を用いて、重量測定、光合成活性測定等を行うことにより、評価してもよい。
また、本発明は、以下の構成を採用することも可能である。
〈1〉
(A)HLB10~15のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油から選ばれる1種又は2種以上と、(B)HLB10~15のポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステルから選ばれる1種又は2種以上と、(C)難水溶性物質と、を含有する水中油型乳化組成物を調製する調製工程と、
前記水中油型乳化組成物を水性溶媒中に分散させる分散工程と、
を行う、難水溶性物質の水性溶媒中への分散方法である。
〈2〉
(A)HLB10~15のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油から選ばれる1種又は2種以上と、(B)HLB10~15のポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステルから選ばれる1種又は2種以上と、(C)難水溶性物質と、を含有する水中油型乳化組成物を調製する調製工程と、
前記水中油型乳化組成物を水生生物が生息する水性溶媒中に分散させる分散工程と、
を行う、水生生物に対する難水溶性物質の曝露方法である。
〈3〉
前記成分(C)が、紫外線吸収剤、酸化亜鉛、及び酸化チタンから選ばれる1種又は2種以上である、〈1〉又は〈2〉に記載の方法である。
〈4〉
前記成分(C)に対する前記成分(A)及び前記成分(B)の含有質量比が、A:B:C=0.1~5:0.01~5:1である、〈1〉~〈3〉のいずれか1つに記載の方法である。
〈5〉
前記成分(C)が固形油及び/又は粉体を含む場合、前記水中油型乳化組成物は、更に成分(D)25℃で液状のエステル油(但し、前記成分(C)を除く。)を含有する、〈1〉~〈4〉のいずれか1つに記載の方法である。
〈6〉
前記成分(D)の分子量が200~500である、〈5〉に記載の方法である。
〈7〉
前記成分(D)の含有量が、前記成分(C)に対して1~20質量%である、〈5〉又は〈6〉に記載の方法である。
〈8〉
前記分散工程において、水性溶媒中の前記成分(C)の理論濃度が0.0001~20ppmになるよう水性溶媒中に分散する、〈1〉~〈7〉のいずれか1つに記載の方法である。
〈9〉
前記水性溶媒の塩分濃度が、質量パーセント濃度で1.0~5.0%である、〈1〉~〈8〉のいずれか1つに記載の方法である。
〈10〉
前記成分(C)が液状油である場合、前記水中油型乳化組成物が、前記成分(A)~(C)、及び水からなる、〈1〉~〈4〉、〈8〉、及び〈9〉のいずれか1つに記載の方法である。
〈11〉
前記成分(C)が固形油及び/又は粉体を含む場合、前記水中油型乳化組成物が、前記成分(A)~(D)、及び水からなる、〈5〉~〈7〉のいずれか1つに記載の方法である。
〈12〉
前記分散工程において、前記水性溶媒の温度を15~30℃とし、更に前記水性溶媒中に水流が施される、〈1〉~〈11〉のいずれか1つに記載の方法である。
以下、実施例に基づいて本技術を更に詳細に説明する。なお、以下に説明する実施例は、本技術の代表的な実施例の一例を示したものであり、これにより本技術の範囲が狭く解釈されることはない。なお、下記表1~3において、単位の記載がないものは、全て「質量%」が単位である。
<実験例1>
実験例1では、下記表1に示す各成分(C)の分散性について評価した。
(1)実験方法
まず、各成分を下記表1に示す含有量で配合し、下記調製方法により水中油型乳化組成物を調製した。次いで、下記表1に示す成分(C)の水性溶媒中での理論濃度となるように水中油型乳化組成物を海水(約52L)中に滴下し、スクリューを用いて流量が1000~3000L/h(時間)となるように水流を発生させ分散させた。そして、一時間経過後の海水中の成分(C)の濃度を、J.Soc.Cosmet.Chem.Jpn., Vol.47, No.1 33-37 (2013)を参照し、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)にて下記条件で測定した。
試料溶液調製:採取海水から油相を抽出後、HPLC用テトラヒドロフラン(THF)に溶解
HPLC機器:Waters Alliance 2695
検出器 :Photo Diode Array(PDA)検出器2996
カラム :Develosil C30-UG-5
移動相 :THF/1%リン酸溶液=70/30
検出波長:310nm
(2)水中油型乳化組成物の調製方法の詳細
I:成分(A)~(C)又は成分(A)~(D)を70℃にて混合攪拌した。
II:70℃にて上記Iに精製水を添加し、均一に混合し乳化することで水中油型乳化組成物を得た。
(3)実験結果
実験結果を、下記表1に示す。なお、「難水溶性物質の分散性」の評価では、水性溶媒中の成分(C)の理論濃度に対する一時間後の水性溶媒中の成分(C)の検出濃度の割合(=回収率)が50%以上のものを合格(〇)とし、回収率が50%未満のものを不合格(×)として判断した。
※1:未測定であるが、成分(C)の理論濃度が0.01ppmの場合でも、50%以上の回収率であることを確認した。また、成分(C)の理論濃度が10ppmの場合では、90%以上の回収率であることを確認したため、成分(C)の理論濃度が、0.01ppm及び10ppmの範囲内である1ppmにおいても50%以上の回収率であることが推察される。
※2:未測定であるが、他の実施例と同様に、滴下一時間経過後であっても、均一に白濁していることが目視にて確認されており、良好な分散性を示すと推察される。
※3:成分(C)が粉体であるため、HPLCでは測定不可能であったが、滴下一時間経過後であっても、粉体の沈降は認められず、他の実施例と同様に均一に白濁していることが目視にて確認された。
(4)考察
(A)HLB10~15のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油から選ばれる1種又は2種以上と、(B)HLB10~15のポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステルから選ばれる1種又は2種以上と、(C)難水溶性物質と、を含有する水中油型乳化組成物を調製する調製工程と、前記水中油型乳化組成物を水性溶媒中に分散させる分散工程と、を行うことで、滴下一時間経過後においても、難水溶性物質が良好に分散していることが確認された。また、水生生物が生息する水性溶媒中に分散させることで、水生生物への影響を評価するために用いることが可能であることが推察された。
<実験例2>
実験例2では、下記表2に示す各成分(C)の水生生物に対する影響について評価した。
(1)実験方法
まず、実験例1と同様に、各成分を下記表2に示す含有量で配合し、水中油型乳化組成物を調製した。次いで、下記表2に示す成分(C)の水性溶媒中での理論濃度となるように水中油型乳化組成物を、ウスエダミドリイシ Acropora tenuisの群体から長さ5cm程に揃えた群体片が生息する海水で満たされた水槽(約52L)中に滴下し、分散させた。水槽中の温度は、15~30℃とし、スクリューで流量が1000~3000L/h(時間)となるように水流を施した。そして、一週間経過後のサンゴの状態を評価した。なお、水中油型乳化組成物の調製方法の詳細については、実験例1と同様であるため、ここでは説明を割愛する。
(2)実験結果
実験結果を、下記表2に示す。なお、「一週間経過後のサンゴの状態」の評価では、n=6の群体片を評価し、一週間経過後にサンゴの白化現象が全く観察されない場合を合格(〇)とし、一週間経過後にサンゴの白化現象が一部でも観察された場合を不合格(×)として判断した。
(3)考察
(A)HLB10~15のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油から選ばれる1種又は2種以上と、(B)HLB10~15のポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステルから選ばれる1種又は2種以上と、(C)難水溶性物質と、を含有する水中油型乳化組成物を調製する調製工程と、前記水中油型乳化組成物を水生生物が生息する水性溶媒中に分散させる分散工程と、を行うことで、水生生物に対する難水溶性物質の曝露が行えることが確認された。また、水生生物に対して難水溶性物質を曝露した結果、水生生物に与える影響を適切に評価することができることが確認された。
<実験例3>
実験例3では、従来技術であるメタノールとDMSOを溶媒(可溶化剤)に用いた場合の分散性について評価した。
(1)実験方法
まず、各成分(C)を下記表3に示す各溶媒(可溶化剤)に溶かし、海水(約52L)中に滴下し、スクリューを用いて流量が1000~3000L/h(時間)となるように水流を発生させ分散させた。そして、一時間経過後の海水中の成分(C)の濃度を、J.Soc.Cosmet.Chem.Jpn., Vol.47, No.1 33-37 (2013)を参照し、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)にて下記条件で測定した。
試料溶液調製:採取海水から油相を抽出後、HPLC用テトラヒドロフラン(THF)に溶解
HPLC機器:Waters Alliance 2695
検出器 :Photo Diode Array(PDA)検出器2996
カラム :Develosil C30-UG-5
移動相 :THF/1%リン酸溶液=70/30
検出波長:310nm
(2)結果
実験結果を、下記表3に示す。なお、「難水溶性物質の分散性」の評価では、水性溶媒中の成分(C)の理論濃度に対する一時間後の水性溶媒中の成分(C)の検出濃度の割合(=回収率)が50%以上のものを合格(〇)とし、回収率が50%未満のものを不合格(×)として判断した。
※4:難水溶性物質に対して可溶化剤の量が過剰に必要であることが確認された。
※5:成分(C)が粉体であるため、HPLCでは測定不可能であったが、難水溶性物質が水槽下部に沈降し、上澄みの海水が透明であることが確認された。
(3)考察
比較例1~4は、上述した実施例1~8と比較して、難水溶性物質に対する可溶化剤の量が過剰となり、また、溶媒の可溶化力が低いため、水性溶媒中への難水溶性物質の均一な分散が困難であり、同様に、粉体についても分散が不可能であることが確認された。これに対し、本技術は、水性溶媒中への難水溶性物質の分散性に優れるため、水生生物への曝露実験の結果における信頼性を高めることができ、また、難水溶性物質である成分(C)に対する成分(A)及び成分(B)の含有量が少なくて済むため、水生生物へ与える可溶化剤の影響を小さくすることができ、更にはコストの低減や実験操作の煩雑化を防ぐことができることが分かった。また、従来技術では不可能であった粉体も、分散又は水生生物に曝露させることが可能であることが分かった。

Claims (14)

  1. (A)HLB10~15のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油から選ばれる1種又は2種以上と、(B)HLB10~15のポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステルから選ばれる1種又は2種以上と、(C)難水溶性物質と、を含有する水中油型乳化組成物を調製する調製工程と、
    前記水中油型乳化組成物を水性溶媒中に分散させる分散工程と、
    を行う、難水溶性物質の水性溶媒中への分散方法。
  2. (A)HLB10~15のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油から選ばれる1種又は2種以上と、(B)HLB10~15のポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステルから選ばれる1種又は2種以上と、(C)難水溶性物質と、を含有する水中油型乳化組成物を調製する調製工程と、
    前記水中油型乳化組成物を水生生物が生息する水性溶媒中に分散させる分散工程と、
    を行う、水生生物に対する難水溶性物質の曝露方法。
  3. 前記成分(C)が、紫外線吸収剤、酸化亜鉛、及び酸化チタンから選ばれる1種又は2種以上である、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記成分(C)に対する前記成分(A)及び前記成分(B)の含有質量比が、A:B:C=0.1~5:0.01~5:1である、請求項1又は2に記載の方法。
  5. 前記成分(C)が固形油及び/又は粉体を含む場合、前記水中油型乳化組成物は、更に成分(D)25℃で液状のエステル油(但し、前記成分(C)を除く。)を含有する、請求項1又は2に記載の方法。
  6. 前記成分(D)の分子量が200~500である、請求項5に記載の方法。
  7. 前記成分(D)の含有量が、前記成分(C)に対して1~20質量%である、請求項5に記載の方法。
  8. 前記分散工程において、水性溶媒中の前記成分(C)の理論濃度が0.0001~20ppmになるよう水性溶媒中に分散する、請求項1又は2に記載の方法。
  9. 前記水性溶媒の塩分濃度が、質量パーセント濃度で1.0~5.0%である、請求項1又は2に記載の方法。
  10. 前記成分(C)が液状油である場合、前記水中油型乳化組成物が、前記成分(A)~(C)、及び水からなる、請求項1又は2に記載の方法。
  11. 前記成分(C)が固形油及び/又は粉体を含む場合、前記水中油型乳化組成物が、前記成分(A)~(D)、及び水からなる、請求項5に記載の方法。
  12. 前記分散工程において、前記水性溶媒の温度を15~30℃とし、更に前記水性溶媒中に水流が施される、請求項1又は2に記載の方法。
  13. 水生生物への影響を評価するために用いられる、請求項1に記載の方法。
  14. 更に水生生物に与える影響を評価する評価工程を行う、請求項2に記載の方法。
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