JP2023177702A - 離型フィルムおよびフィルム積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】被着体に凹凸形状を転写する用途に好適な離型フィルムおよびフィルム積層体を提供すること。【解決手段】基材フィルム(A)の片面に離型層を備え、前記離型層は、凹凸構造を有し、前記離型層表面の算術平均高さ(Sa)が0.5μm以上であり、下記条件により算出した底部面積率が27%以下である離型フィルム。[底部面積率:高さのヒストグラムにおいて、低い側から最初に300画素を超えた高さ+1.5μmの高さより低い高さの画素数を全画素数で割って百分率にした値]【選択図】なし

Description

本発明は、離型フィルムおよびフィルム積層体に関するものである。
従来、ポリエステルフィルム、特にポリエチレンテレフタレートフィルムやポリエチレンナフタレートフィルムは、優れた機械的性質、耐熱性、耐薬品性を有しており、包装用、電子部品用、電気絶縁用、金属ラミネート用、フォルダブルディスプレイ、ベンダブルディスプレイ、ローラブルディスプレイなどのディスプレイ構成部材用などの光学用、タッチパネル用、反射防止用、ガラス飛散防止用など、各種用途に用いられている。
これら幅広い用途で用いられているポリエステルフィルムは、建物、自動車、電車、飛行機など、主に屋外で使用されるガラス、鋼板等の粘着層保護に用いることができる。
粘着層付き基材フィルムをガラスあるいは自動車の車体などの被着体に貼合する際、貼り合わせた後、粘着層と被着体との界面に空気あるいは水分が残留することにより、目視で確認できる程度の数百ミクロンサイズの気泡が発生することによる外観不良、あるいは水分の残留による、粘着力の低下が発生する場合があった。
そのため、対応策として、予め粘着層表面に水あるいは界面活性剤入りの水溶液等を噴霧し、スキージを用いて、水抜きあるいは泡抜き処理を行う、いわゆる「水貼り」により、前記不具合の発生を抑えている状況にあった。
このような状況下、接着界面で流体を流出させるための微細溝を接着剤表面に形成することを目的に、相互に接続している多数の線状隆起部により構成される微細エンボスパターンを一表面に有する剥離ライナーが提案されている(特許文献1)。また、被着体を貼付した際に、生じ得る空気溜まりを容易に除去することができる優れたエア抜け性を有すると共に粘着性も良好な粘着シートとして、基材又は剥離材上に樹脂層を有し、基材又は剥離材とは反対側の樹脂層の表面が粘着性を有し、該表面上に不定形形状の凹部が存在する粘着シートが提案されている(特許文献2)。さらに、車体表面側に感圧再剥離型粘着剤層、外側にプラスチックフィルムを有し、表面の中心線平均粗さ(Ra)を0.1~100μmとした自動車用塗膜保護フィルムが提案されている(特許文献3)。
特開2006-70273号公報 国際公開2015/152352号 特開平7-89468号公報
上述の「水貼り」による方法について、スキージを用いて、水抜きあるいは泡抜きする処理には熟練の技術が必要であり、近年、自動車、トラック、電車、飛行機などに印刷を施した粘着フィルムをラッピングする用途、あるいは自動車の塗装保護を目的とした、PPF(ペイントプロテクションフィルム)用途の市場拡大に伴い、例えば、1m以上の大面積の粘着フィルムを被着体に貼合する場合、均一に貼合するのがさらに困難になりつつあった。また、水貼りによる貼り付けの際にも、被着体の貼付時に生じ得る空気溜まりを抑制する必要がある。
また、上記特許文献1~3に開示される技術では、水分又は泡残り、あるいは被着体との貼付け時に発生する「空気溜まり」の除去(エア抜き)の点で不十分であった。
また、基材フィルムの表面を粗面化してマット調に形成した場合は、当該基材フィルムの表面を対象物表面に当接してプレス圧着し、その後、当該基材フィルムを剥離することで、当該対象物表面に前記粗面化した表面状態を転写してマット調の外観に仕上げることができる。
しかしながら、従来提案されている転写用フィルムは、その離型層に離型性能を与えるため、離型層中に離型剤を多量に加える必要があった。しかし、そのような離型層を用いた場合、転写した樹脂表面に離型成分が転着することにより、転写した樹脂層表面の特性が変化したり、該樹脂層表面上に保護層や粘着層を設けるなどの二次加工が困難になる虞があった。
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであって、その解決課題は、被着体に凹凸形状を転写する用途に好適な離型フィルムおよびフィルム積層体を提供することにある。
本発明者らは、上記実状に鑑み鋭意検討した結果、特定の構成からなる離型フィルムによれば、上記課題を容易に解決できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨は、以下の[1]~[19]を提供するものである。
[1]基材フィルム(A)の片面に離型層(B)を備え、前記離型層(B)は、凹凸構造を有し、前記離型層表面の算術平均高さ(Sa)が0.5μm以上であり、下記条件により算出した底部面積率が27%以下である離型フィルム。
[底部面積率:高さのヒストグラムにおいて、低い側から最初に300画素を超えた高さ+1.5μmの高さより低い高さの画素数を全画素数で割って百分率にした値]
[2]前記離型層表面の最短の自己相間距離(Sal)が25μm以下である、上記[1]に記載の離型フィルム
[3]前記離型層表面の表面性状のアスペクト比(Str)が0.5以上である、上記[1]に記載の離型フィルム
[4]前記基材フィルム(A)がポリエステルフィルムである、上記[1]に記載の離型フィルム。
[5]前記離型層(B)が離型性を有する硬化樹脂層である、上記[1]に記載の離型フィルム。
[6]前記離型層が硬化樹脂層(x)と離型層(y)とを備えた二層構成である、上記[1]に記載の離型フィルム。
[7]前記硬化樹脂層が、(メタ)アクリレートを含む硬化性樹脂組成物の硬化物である、上記[5]に記載の離型フィルム。
[8]前記硬化樹脂層(x)が、(メタ)アクリレートを含む硬化性樹脂組成物の硬化物である、上記[6]に記載の離型フィルム。
[9]前記離型層がシリコーン化合物、メラミン化合物、フッ素化合物、ワックス及び長鎖アルキル基含有化合物からなる群から選択される少なくとも1種の離型剤を含む、上記[1]に記載の離型フィルム。
[10]フィルムヘーズが78%以上である、上記[1]に記載の離型フィルム。
[11]透明度が3%以下である、上記[1]に記載の離型フィルム。
[12]エキシマランプ照射および/または紫外線(UV)照射により、硬化樹脂層を形成する工程を含む、上記[1]~[11]のいずれかに記載の離型フィルムの製造方法。
[13]上記[1]~[11]のいずれかに記載の離型フィルムと、該離型フィルムの離型層表面に粘着層とを有する、フィルム積層体。
[14]上記[1]~[11]のいずれかに記載の離型フィルムが備える前記離型層表面の凹凸が転写された、転写物。
[15]前記粘着層がアクリル系粘着層、ウレタン系粘着層及びシリコーン系粘着層からなる群から選択される少なくとも1種である、上記[13]に記載のフィルム積層体。
[16]粘着層保護用である、上記[1]~[11]のいずれか1つに記載の離型フィルム。
[17]粘着層保護用である、上記[13]に記載のフィルム積層体。
[18]自動車塗装保護用またはラッピングフィルム用である、上記[1]~[11]のいずれかに記載の離型フィルム。
[19]自動車塗装保護用またはラッピングフィルム用である、上記[13]に記載のフィルム積層体。
本発明によれば、被着体に凹凸形状を転写する用途に好適である、離型フィルム及びフィルム積層体を提供することができる。
実施例1で得られた離型フィルムの離型層表面の表面写真。 実施例2で得られた離型フィルムの離型層表面の表面写真。 実施例3で得られた離型フィルムの離型層表面の表面写真。 比較例1で得られた離型フィルムの離型層表面の表面写真。 比較例2で得られた離型フィルムの離型層表面の表面写真。 比較例3で得られた離型フィルムの離型層表面の表面写真。 底部面積率の算出方法を示すグラフ。
[離型フィルム]
本発明の離型フィルムは、基材フィルム(A)の片面に凹凸構造を有する離型層(B)を備える。離型層(B)は離型性を有する硬化樹脂層であってもよく、また硬化樹脂層(x)と離型層(y)とを備えた二層構成であってもよい。後者の場合は、硬化樹脂層(x)は離型性を有していなくてもよく、離型層(y)によって離型性が発揮される。
以下、各構成要件について詳細に説明する。
[基材フィルム(A)]
基材フィルム(A)としては、樹脂フィルムが例示される。
例えばポリエチレン、ポリプロピレン、シクロオレフィンポリマー(COP)、ポリエステル、ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリウレタン、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリ塩化ビニル、ポリエーテルスルホン、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミドなどの高分子を膜状に形成した樹脂フィルムを挙げることができる。フィルム化が可能であれば、これらの材料を混合したもの(ポリマーブレンド)や構成単位を複合化したもの(共重合体)であってもよい。
上記例示したフィルムの中でも、ポリエステルフィルムは、耐熱性、平面性、光学特性、強度などの物性が優れており、特に好ましい。ポリエステルフィルムは単層構成であっても多層構成であってもよく、2層、3層構成以外にも本発明の要旨を越えない限り、4層またはそれ以上の多層であってもよく、特に限定されるものではない。少なくとも2層以上の多層構成とし、それぞれの層に特徴を持たせ、多機能化を図ることが好ましい。
ポリエステルフィルムに使用するポリエステルは、ジカルボン酸とジオールとを重縮合させて得ることができ、中でも、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを重縮合させて得られるものが好ましい。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸などが挙げられる。脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール等が挙げられる。脂肪族グリコールは、1,4-シクロヘキサンジメタノール等の脂環式グリコールであってもよい。
代表的なポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン-2,6-ナフタレンジカルボキシレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等が例示される。かかるポリエステルは、共重合されないホモポリマーであってもよい。あるいは、ジカルボン酸成分の30モル%以下が主成分以外のジカルボン酸成分であり、および/またはジオール成分の30モル%以下が主成分以外のジオール成分であるような共重合ポリエステルであってもよい。例えば、ポリエチレンテレフタレートは、ジカルボン酸単位100モル%のうち、30モル%以下程度でテレフタル酸以外のジカルボン酸単位を有し、また、ジオール単位100モル%のうち、30モル%以下程度でエチレングリコール以外のジオール単位を有する共重合ポリエステルであってもよい。
また、ポリエステルは、ホモポリマー及び共重合ポリエステルの混合物であってもよい。
ポリエステルの固有粘度は、特に限定されないが、製膜性、生産性などの観点から、0.45~1.0dL/gが好ましく、0.5~0.9dL/gがより好ましい。
ポリエステルは、従来公知の方法、例えばジカルボン酸とジオールとの反応にて、直接低重合度ポリエステルを得る方法や、ジカルボン酸の低級アルキルエステルとジオールとを従来公知のエステル交換触媒で反応させた後、重合触媒の存在下で重合反応を行う方法にて得ることができる。
重合触媒としては、アンチモン化合物、ゲルマニウム化合物、チタン化合物等公知の触媒を使用してよいが、アンチモン化合物以外の触媒を使用することが好ましい。あるいは、アンチモン化合物を用いる場合には、アンチモン化合物の量をアンチモン元素として100ppm以下とすることが、フィルムのくすみをより低減することができるため、好ましい。
また、チタン化合物を触媒とする場合には、チタンの高い活性のため、その使用量を抑えることができる。したがって、フィルム中に残留する金属量を少なくすることができ、フィルムの透明性や異物の発生低減の観点から好ましい。
基材として樹脂フィルムを用いる場合、易滑性の付与を主たる目的として、粒子を含有させることも可能である。
配合する粒子の種類は、上記特性を付与可能な粒子であれば特に限定されず、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、カオリン、酸化アルミニウム、酸化チタン等の無機粒子、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、尿素系樹脂、フェノール系樹脂、エポキシ系樹脂、ベンゾグアナミン系樹脂等の有機粒子等が挙げられる。
さらに、基材フィルムがポリエステルフィルムである場合には、ポリエステル製造工程中、触媒等の金属化合物の一部を沈殿、微分散させた析出粒子を用いることもできる。
これらの中でも、特に少量で効果が出やすいという点で、シリカ粒子や炭酸カルシウム粒子、アクリル系樹脂粒子が好ましい。
使用する粒子の形状に関しても特に限定されず、球状、塊状、棒状、扁平状等のいずれを用いてもよい。その硬度、比重、色等についても特に制限はない。これら一連の粒子は、1種を単独で用いてもよいし、必要に応じて2種類以上を併用してもよい。
用いる粒子の平均粒径は、1~10μmの範囲であることが好ましく、1~8μmの範囲であることがより好ましく、2~6μmの範囲であることがさらに好ましく、2~5μmの範囲であることが特に好ましい。上記粒子の平均粒径が当該範囲であれば、基材に適度な表面粗度を与えることができ、良好な滑り性と平滑性を付与することができる。
基材フィルム中の粒子含有量は、単層フィルムの場合は、フィルムを構成する全ポリエステルに対して、好ましくは0.1~10質量%の範囲であることが好ましい。粒子の含有量が0.1質量%以上であると、良好な滑り性が得られ、10質量%以下であると、基材フィルムの生産性が担保される。以上の観点から、基材フィルム中の粒子の含有量は、より好ましくは0.3~10質量%、さらに好ましくは0.4~10質量%、よりさらに好ましくは0.4~8質量%、特に好ましくは3~6質量%の範囲である。
また、基材フィルムが多層フィルムの場合は、表層に所定の含有量及び粒径の粒子を含有させればよい。例えば、基材フィルムがポリエステルフィルムである場合に、表層にのみ、粒子を含有するポリエステル層を備えたポリエステルフィルムとすることで、十分な凹凸形成を可能とし、かつ粒子の添加による生産性の低下を回避することが可能となる。以上の観点から、表層を構成する全ポリエステルに対して、好ましくは0.1~10質量%であり、より好ましくは1~10質量%、さらに好ましくは2~8質量%、特に好ましくは3~6質量%の範囲である。
なお、粒子の平均粒径は、上述の単層の場合の粒子と同様である。
基材フィルムに粒子を添加する方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を採用し得る。例えば、基材フィルムがポリエステルフィルムである場合には、ポリエステルを製造する任意の段階において添加することができるが、好ましくはエステル化の段階、またはエステル交換反応終了後、粒子を添加して重縮合反応を進めてもよい。
また、ベント付き混練押出機を用い、エチレングリコールまたは水などに粒子を分散させたスラリーと、ポリエステル原料とをブレンドする方法、または、混練押出機を用い、乾燥させた粒子と、ポリエステル原料とをブレンドする方法などによって行われる。
基材フィルム中には、上述の粒子以外に必要に応じて、従来公知の酸化防止剤、熱安定剤、潤滑剤、帯電防止剤、蛍光増白剤、染料、充填剤(無機充填剤または有機充填剤)、顔料等を添加することができる。また、紫外線保護フィルム基材、保護対象であるガラス用途、鋼板等のボディーの塗装膜の劣化防止などの目的によっては、紫外線吸収剤、特にベンゾオキサジノン系紫外線吸収剤等を含有させてもよい。
基材フィルムの厚みは、離型フィルムとして用いる場合に賦型性を付与する観点から、好ましくは20~350μmの範囲であり、より好ましくは20~250μm、さらに好ましくは25~125μm、特に好ましくは25~100μm、とりわけ好ましくは25~60μmの範囲である。
ポリエステルフィルムは、共押出法など従来公知の種々の方法を用いて、積層構造とすることができる。その際、最外層の厚みは、片側のみの厚みで、好ましくは2μm以上、より好ましくは3μm以上であり、かつ総厚みの1/8以下であることが好ましい。上記範囲とすることで、上述のように、表層にのみ粒子を含有するポリエステル層を備えたポリエステルフィルムを製造し、十分な凹凸形成を可能とし、かつ粒子による生産性の低下を回避することが可能となる。
本発明の離型フィルムには、必要に応じて各種機能を備えた層(以下、「機能層」と称する。)を設けることができる。例えば、上記基材フィルムの片面又は両面に設けることができる。例えば、上記基材フィルムと上記離型層の間に機能層を設けることができる。或いは、上記基材フィルムに対し、上記離型層とは反対面に機能層を設けることもできる。当該機能層としては、例えば易接着層、帯電防止層、易滑層、水蒸気等の気体バリア層、基材フィルム含有物の析出防止層、紫外線吸収層、傷つき防止層、防汚層、抗菌層、反射防止層、光沢層、マット層、インク受容層、着色層、印刷層等の各種機能を備えた層を挙げることができる。
<易接着層>
本発明の離型フィルムは、基材フィルムの表面に易接着層を有してもよい。易接着層は、上記した離型層が設けられる基材フィルムの一方の面に設けられるとよく、易接着層の表面に上記した離型層が形成されるとよい。
易接着層を設けることで、基材フィルムに離型層を接着させやすくなる。易接着層は、バインダー樹脂及び架橋剤を含む易接着層組成物から形成される。
バインダー樹脂としては、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリビニルアルコール等のポリビニル系樹脂、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレンイミン、メチルセルロース、ヒドロキシセルロース、でんぷん類等が挙げられる。これらの中でも、離型層との密着性向上の観点からは、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂を使用することが好ましく、より好ましくはポリエステル樹脂、アクリル樹脂である。これらバインダー樹脂は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。易接着層組成物において、バインダー樹脂の含有量は、固形分基準で、例えば20~90質量%、好ましくは30~80質量%である。
架橋剤としては、種々公知の架橋剤が使用でき、例えば、オキサゾリン化合物、メラミン化合物、エポキシ化合物、イソシアネート系化合物、カルボジイミド系化合物、シランカップリング化合物等が挙げられる。なお、オキサゾリン化合物としては、オキサゾリン基を有するアクリルポリマーなどであってよい。
これらの中でも、メラミン化合物、オキサゾリン化合物、及びエポキシ化合物が好ましい。これら架橋剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
易接着層組成物における架橋剤の含有量は、固形分基準で、例えば、5~50質量%、好ましくは10~40質量%である。
易接着層組成物には、耐ブロッキング性、滑り性改良を目的として粒子を配合してもよい。粒子としては、後述する易滑層で示したものを適宜使用できる。ただし、易接着層組成物(すなわち、易接着層)は、実質的に粒子を含有しないことが好ましい。粒子を実質的に含有しないことで、離型層表面の平滑性を高めることができる。
また、易接着層組成物には、架橋を促進するための成分、例えば架橋触媒などが配合されていてもよい。さらに、消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、有機系潤滑剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、発泡剤、染料、顔料等を併用することも可能である。
易接着層組成物は、一般的に、水、有機溶剤、又はこれらの混合液により希釈されていることが好ましく、易接着層は、易接着層組成物の希釈液を、基材フィルムの表面に塗布液としてコーティングして、乾燥することにより形成するとよい。コーティングは、従来公知の方法で行うとよい。
易接着層の厚さは、通常0.003~1μmの範囲であり、好ましくは0.005~0.6μm、さらに好ましくは0.01~0.4μmの範囲である。厚さを0.003μm以上とすることで、十分な接着性を確保できる。また1μm以下とすることで、外観の悪化や、ブロッキングなどを生じにくくする。
<易滑層>
本発明の離型フィルムは、易滑層を有してもよい。易滑層は、基材フィルムの離型層が設けられる一方の面とは反対側の面に設けられるとよい。また、易滑層は、基材フィルムの表面に設けられるとよい。離型フィルムは、易滑層を有することで、滑り性が良好となる。そのため、上記の通り、離型フィルムの離型層が設けられる側の面の平滑性を高めても、積層フィルムのロール巻き取り性及び取り扱い性が良好になる。
易滑層は、例えば、バインダー樹脂、架橋剤及び粒子を含む易滑層組成物から形成される。なお、バインダー樹脂、及び架橋剤に使用できる化合物は、上記易接着層に使用されるバインダー樹脂、架橋剤で説明したとおりである。
また、易滑層組成物におけるバインダー樹脂の含有量は、固形分基準で、例えば、20~90質量%、好ましくは30~80質量%である。易滑層組成物における架橋剤の含有量は、固形分基準で、例えば、5~50質量%、好ましくは10~40質量%である。
易滑層に使用される粒子の具体例としてはシリカ、アルミナ、カオリン、炭酸カルシウム、有機高分子粒子等が挙げられる。その中でも透明性の観点からシリカが好ましい。粒子の平均粒径は、ポリエステルフィルムの表面平滑性を損なうことなく、滑り性を良好にする観点から、好ましくは0.005~1.0μm、より好ましくは0.01~0.8μm、さらに好ましくは0.01~0.6μmの範囲である。易滑層組成物における粒子の含有量は、固形分基準で、例えば、1~20質量%、好ましくは3~15質量%である。易滑層に使用される粒子は1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
易滑層組成物は、一般的に、水、有機溶剤、又はこれらの混合液により希釈されていることが好ましく、易滑層は、易滑層組成物の希釈液を、基材フィルムの表面に塗布液としてコーティングして、乾燥することにより形成するとよい。コーティングは、従来公知の方法で行うとよい。
易滑層の厚さは、通常0.003~1μmの範囲であり、好ましくは0.005~0.6μm、さらに好ましくは0.01~0.4μmの範囲である。厚さを0.003μm以上とすることで、易滑層に含有される粒子を十分に保持でき、滑り性を付与できる。また1μm以下とすることで、外観の悪化や、ブロッキングなどを生じにくくする。
<帯電防止層>
上記の帯電防止層は、帯電防止剤を含有する層であればよい。
該帯電防止剤としては、従来公知の帯電防止剤を使用することが可能である。例えば第4級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、第1~3級アミノ基等のカチオン性基を有する各種のカチオン性帯電防止剤、スルホン酸塩基、硫酸エステル塩基、リン酸エステル塩基、ホスホン酸塩基等のアニオン性基を有するアニオン系帯電防止剤、アミノ酸系、アミノ硫酸エステル系等の両性帯電防止剤、アミノアルコール系、グリセリン系、ポリエチレングリコール系等のノニオン性の帯電防止剤等の各種界面活性剤型帯電防止剤などを挙げることができる。
また、帯電防止層からのブリードアウトを防ぐ観点から、アンモニウム基含有化合物、ポリエーテル化合物、スルホン酸化合物、ベタイン化合物等のイオン導電性の高分子化合物、又は、ポリアセチレン、ポリフェニレン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリイソチアナフテン、ポリチオフェンなどのπ電子共役系の高分子化合物などの高分子化合物である帯電防止剤を挙げることができる。
塗布液化の観点および帯電防止層からのブリードアウトを防ぐ観点から、帯電防止剤としては、カチオン性の高分子化合物、特にアンモニウム基含有化合物が好ましい。
当該帯電防止層は、帯電防止剤と共に、バインダーポリマーを含有するのが好ましい。
このバインダーポリマーとしては、帯電防止剤と相溶又は混合分散可能であれば、硬化性樹脂でも、熱可塑性樹脂であってもよい。
熱可塑性樹脂としては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂、又は、ポリイミド、ポリアミドイミド等のポリイミド樹脂、又は、ポリアミド6、ポリアミド6,6、ポリアミド12、ポリアミド11等のポリアミド樹脂、又は、ポリフッ化ビニリデン、又は、アクリル樹脂、又は、ポリビニルアルコール等のビニル樹脂、又は、ウレタン樹脂などを挙げることができる。
なお、帯電防止剤が高分子化合物である場合は、バインダーポリマーを用いずに帯電防止剤のみで帯電防止層を構成してもよい。
独立した層として存在する場合の帯電防止層の厚みは、帯電(剥離帯電や摩擦帯電)を防止する観点から、通常1nm~5μm、好ましくは1nm~1μm程度である。
帯電防止層中の帯電防止剤の含有量は、帯電防止層全体に対して、1質量%以上、90質量%以下が好ましく、10質量%以上、80質量%以下がより好ましく、20質量%以上、60質量%以下が好ましい。上記含有量であれば、本離型フィルムについて適当な帯電防止性を付与することが出来る。
上記機能層は上述のように、基材フィルムの表面にコーティングにより形成するとよい。コーティングは、インラインあるいはオフラインあるいはそれらを両方組み合わせて行うことができるが、インラインで行うことが好ましい。インラインで行うコーティングは、基材フィルムの製造ラインにおいて基材フィルムにコーティングを施すとよい。例えば、基材フィルムが二軸延伸フィルムである場合には、縦延伸が終了した段階で、易接着層、易滑層等の機能層を形成するための塗布液を塗布した後、その後の基材フィルムの製造工程で塗布液を乾燥、硬化などさせるとよい。
以下、基材フィルム(A)がポリエステルフィルムである場合の製造方法に関して具体的に説明するが、本発明の要旨を満たす限り、本発明は以下の例示に特に限定されるものではない。
一般的には、まず、公知の手法により、未乾燥または乾燥ポリエステルチップを溶融押出装置に供給し、それぞれのポリマーの融点以上である温度に加熱し溶融する。次いで、溶融したポリマーをダイから押出し、回転冷却ドラム上でガラス転移温度以下の温度になるように急冷固化し、実質的に非晶状態の未配向シートを得る。この場合、シートの平面性を向上させるため、シートと回転冷却ドラムとの密着性を高めることが好ましく、本発明においては静電印加密着法および/または液体塗布密着法が好ましく採用される。
上述のようにして得られたシートを二軸方向に延伸してフィルム化することがフィルムの強度の観点から好ましい。延伸条件について具体的に述べると、前記未延伸シートを、好ましくは縦方向(機械方向)に70~145℃、より好ましくは80~120℃で2.0~4.5倍、好ましくは3.0~4.0倍の延伸倍率にて延伸し、一軸延伸フィルムとする。
次いで、縦方向(機械方向)と直交する方向である横方向(幅方向)に、90~160℃で3.0~6.5倍、好ましくは3.5~6.0倍の延伸倍率にて延伸を行い、二軸延伸フィルムとする。
引き続き、210~260℃で、緊張下又は30%以内の弛緩下にて10~600秒間熱処理(熱固定)を行うことが好ましい。そして、熱処理の最高温度ゾーンおよび/または熱処理出口のクーリングゾーンにおいて、縦方向および/または横方向に1~10%弛緩する方法が好ましい。
なお、フィルムの縦方向(機械方向)とは、フィルムの製造工程でフィルムが進行する方向、すなわちフィルムロールの巻き方向をいう。横方向(幅方向)とは、フィルム面に平行かつ長手方向と直交する方向をいい、すなわち、フィルムロール状としたときロールの中心軸と平行な方向である。
特に、加熱収縮率を小さく抑えたい用途に用いる場合には、上述の熱処理温度は好ましくは215~250℃、より好ましくは220~245℃、さらに好ましくは230~245℃にする。熱処理温度を上記温度範囲にすることで、極力、加熱収縮率を抑えることが可能となる。
本発明の離型フィルムは、上述のように、基材フィルム(A)の片面に離型層(B)を備える。離型層(B)は離型性を有する硬化樹脂層であってもよく、また硬化樹脂層(x)と離型層(y)とを備えた二層構成であってもよい。
より具体的には、上記基材フィルム(A)の片面に、硬化樹脂層(x)を備え、該硬化樹脂層(x)中に後述する離型剤を含有させて離型層(B)としてもよいし、硬化樹脂層(x)上に離型層(y)を積層させ、二層構成とした離型層(B)であってもよく、用途に応じて適宜選択することができる。
なお、以下単に「離型層」と記載するときは、「離型層(B)」および「離型層(y)」のいずれをも含む意図である。
硬化樹脂層(x)を形成する硬化性樹脂組成物は、活性エネルギー線硬化性の化合物を含むものが好ましい。
活性エネルギー線硬化性の化合物を含む硬化樹脂層(x)は、硬化性樹脂組成物に活性エネルギー線を照射することにより、硬化樹脂層(塗布により硬化樹脂層を形成する場合には塗膜)の表面側が先に硬化して硬化被膜が形成される。その後、硬化樹脂層(塗膜)の内部が硬化すると、表面側の硬化樹脂層(硬化塗膜)が座屈することで、表面に凹凸を有する硬化膜が形成される。
なお、硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、有機溶剤をさらに含むことができる。
また、硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、上記以外の他の成分をさらに含むことができる。
(活性エネルギー線硬化性の化合物)
活性エネルギー線硬化性の化合物としては、(メタ)アクリレートが好適である。すなわち、本発明の一態様においては、硬化樹脂層が、(メタ)アクリレートを含む硬化性樹脂組成物の硬化物であることが好ましい。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリレート」という記載を用いる場合、「アクリレート」及び「メタクリレート」の一方又は両方を意味するものとする。同様に「(メタ)アクリル酸」との記載は、「アクリル酸」及び「メタクリル酸」の一方又は両方を意味し、「(メタ)アクリロイル」との記載は、「アクリロイル」及び「メタクリロイル」の一方又は両方を意味するものとする。
(メタ)アクリレートとしては特に限定はなく、単官能(メタ)アクリレート、二官能(メタ)アクリレート、多官能(メタ)アクリレートのうちの1種、またはこれらを2種類以上混合したもの、硬化性樹脂材として市販されているもの、あるいは本実施形態の目的を損なわない範囲において、その他の成分をさらに添加したものを用いることができる。
これらの中でも、急峻な凹凸構造を形成しやすいという観点から、単官能または二官能(メタ)アクリレートが好ましい。また耐擦傷性が必要な用途には、二官能(メタ)アクリレートがより好ましい。多官能(メタ)アクリレートを使用すると、耐擦傷性や硬度が向上するという点では好ましいが、使用する化合物によっては、凹凸構造が形成しにくくなる場合があるため、使用する化合物種や配合割合には注意を要する。
例えば、多官能(メタ)アクリレートとして、ウレタン系(メタ)アクリレートを用いる場合には、硬化樹脂層に含まれる(メタ)アクリレート樹脂100質量%のうち、該ウレタン系(メタ)アクリレート量は、硬化樹脂層の樹脂構成によっても異なるが、好ましくは50質量%以下、より好ましくは30質量%以下であると、硬化樹脂層表面が変形しやすく、目的の凹凸構造を適切に形成することができる。
さらに前記ウレタン系(メタ)アクリレートを除く、3官能以上の多官能(メタ)アクリレート量を50質量%以下、より好ましくは30質量%以下、その中でも特に20質量%以下で併用することにより、適度に硬化樹脂層表面に硬い領域を存在させることができ、目的の凹凸構造を適切に形成することもできる。
二官能(メタ)アクリレートとしては、特に限定されないが、例えば、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、イソボルニルジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジオールジ(メタ)アクリレート、アダマンチルジオールジ(メタ)アクリレート等のアルキルジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート等のビスフェノールAアルキレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAカプロラクトン変性ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAグリシジルエーテル変性ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFカプロラクトン変性ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFエチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート等のビスフェノールFアルキレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFグリシジルエーテル変性ジ(メタ)アクリレート等のビスフェノール変性ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFエチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールAアルキレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールAカプロラクトン変性ジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールAグリシジルエーテル変性ジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールFカプロラクトン変性ジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールFアルキレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールFグリシジルエーテル変性ジ(メタ)アクリレート等の水添ビスフェノール変性ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ウレタンジ(メタ)アクリレート、エポキシジ(メタ)アクリレート、フルオレンジ(メタ)アクリレート、フルオレンアルキレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、ジオキサングリコールジ(メタ)アクリレート、イソソルバイドジ(メタ)アクリレート、イソソルバイドアルキレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらの中でも凹凸構造の形成のしやすさを考慮すると分岐のない構造であることが好ましく、アルキルジオールジ(メタ)アクリレートまたはグリセリンジ(メタ)アクリレートがより好ましく、炭素数が4~18であるアルキルジオールジ(メタ)アクリレートがさらに好ましい。
単官能(メタ)アクリレートとしては、特に限定されないが、例えばメチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、1-メチルシクロペンチル(メタ)アクリレート、1-エチルシクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、1-メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、1-エチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、4-tert-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2-シクロヘキシルプロパニル(メタ)アクレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、2-メチルアダマンチル(メタ)アクリレート、2-エチルアダマンチル(メタ)アクリレート、2-イソプロピルアダマンチル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシプロピル(メタ)アクリレート、エトキシプロピル(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の芳香族基含有(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリール(メタ)アクリレート、フェニルフェノールエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート等のエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、フェニルアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、ノニルフェノール(メタ)アクリレート、ノニルフェノールアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、フェノキシベンジル(メタ)アクリレート、フェニルベンジル(メタ)アクリレート、ビフェニル(メタ)アクリレート、ビフェニルアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレ-ト、ジシクロペンタニルアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレ-ト、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレ-ト、ジシクロペンテニルオキシ(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレ-ト、(3-エチルオキセタン-3-イル)メチル(メタ)アクリレート、(2-オキソ-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル(メタ)アクリレート、メバロン酸ラクトン(メタ)アクリレート、(2-メチル-2-エチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル(メタ)アクリレート、環状トリメチルロールプロパンホルマール(メタ)アクリレート、(3,4-エポキシシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレ-ト等が挙げられる。これらの中でも急峻な凹凸構造の形成のしやすさを考慮すると環状構造であることが好ましい。
三官能以上の多官能(メタ)アクリレートとしては、特に限定されないが、例えばジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等のエチレンオキサイド変性ポリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、ε-カプロラクトン変性トリス(アクロキシエチル)イソシアヌレート等のイソシアヌル酸変性トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ペンタエリスリトールトリアクリレートトルエンジイソシアネートウレタンプレポリマー、イソホロンジイソシアネートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートの縮合物、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー等のウレタンアクリレート等が挙げられる。これらの中でも、凹凸構造の形成のしやすさを考慮すると、エチレンオキサイド変性タイプや、三官能(メタ)アクリレートが好ましい。
硬化性樹脂組成物には、(メタ)アクリレート以外の活性エネルギー線硬化性化合物を使用することも可能である。例えば、スチレン、ハロゲン化ビニル、酢酸ビニル等のビニル化合物、ハロゲン化ビニリデン、アクリルアミド、ビニルアミド、(メタ)アクリロニトリル、1,3-ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等のジエン化合物等が挙げられる。
硬化樹脂層の形成において、活性エネルギー線硬化性の化合物を使用する場合、硬化性樹脂組成物におけるその含有量は、硬化性樹脂組成物の不揮発分中、好ましくは5質量%以上、より好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは40質量%以上、特に好ましくは50質量%以上、最も好ましくは60質量%以上である。上限は特になく100質量%でもよいが、好ましくは99質量%以下、より好ましくは98質量%以下である。硬化性樹脂組成物における、活性エネルギー線硬化性化合物の含有量が上記範囲の場合、凹凸構造が形成しやすくなるとともに、硬度や傷付き防止性にも優れる硬化膜を形成することができ、適切な凹凸構造を得ることができる。
硬化樹脂層と、基材フィルム(A)との密着性の向上などを目的に、硬化性樹脂組成物には、さらに各種の樹脂を添加することも可能である。樹脂としては従来公知の各種の樹脂を使用することができ、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリビニル樹脂等が挙げられる。これらの中でも、特に透明性や、(メタ)アクリレートとの親和性及び屈折率の近さに優れるという点において、アクリル樹脂が好ましい。
(活性エネルギー線硬化性の官能基を有する樹脂)
硬化樹脂層の凹凸転写を行う場合、耐擦傷性や硬度の向上を考慮すると、炭素-炭素二重結合等の活性エネルギー線硬化性の官能基を有する樹脂を含むことが好ましい。活性エネルギー線硬化性の官能基としては、(メタ)アクリロイル基や、ビニルエーテル基が挙げられる。これらの中でも導入のしやすさや反応性を考慮すると(メタ)アクリロイル基、特にアクリロイル基が好ましい。
さらに検討を進める中で、硬化性樹脂組成物が、活性エネルギー線硬化性の官能基を有する樹脂をさらに含む場合、耐擦傷性や硬度の向上といった、活性エネルギー線硬化性の官能基が直接関与する特性の向上のみならず、硬化樹脂層表面の凹凸形状が小さくなることを見出した。すなわち、凹凸中の隣接する凸部と凸部の中心間距離(Rsm)が小さくなり、凹凸構造の面粗さの指標の1つである算術平均高さ(Sa)も大きくなることが判明した。加えて、ヘーズが高くなる場合や、グロスが低くなる場合も見られた。これらの特性は、艶消し性に対して相乗的に効果を発揮することができ、特にディスプレイ用途など視認性が重視される用途においては、重要な特性である。
炭素-炭素二重結合等の活性エネルギー線硬化性の官能基を有するアクリル樹脂に二重結合を導入する方法としては、例えば、エポキシ基を有するアクリル樹脂に二重結合及びカルボキシル基を有する化合物を反応させる方法(方法1)、カルボキシル基を有するアクリル樹脂に二重結合及びエポキシ基を有する化合物を反応させる方法(方法2)、水酸基を有するアクリル樹脂に二重結合及びカルボキシル基を有する化合物を反応させる方法(方法3)、カルボキシル基を有するアクリル樹脂に二重結合及び水酸基を有する化合物を反応させる方法(方法4)、イソシアネート基を有するアクリル樹脂に二重結合及び水酸基を有する化合物を反応させる方法(方法5)、水酸基を有するアクリル樹脂に二重結合及びイソシアネート基を有する化合物を反応させる方法(方法6)等が挙げられる。また、これらの方法は複数組み合わせて使用してもよい。
なお、以下において、炭素-炭素二重結合を有するラジカル重合可能なモノマーをビニルモノマーと称することがある。
前記方法1において、エポキシ基を有するアクリル樹脂を得るために用いられるエポキシ基を有するビニルモノマーとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中でも、特に良好な反応性、材料の使用のしやすさを考慮すると、グリシジル(メタ)アクリレートが好ましく、グリシジルメタクリレートが特に好ましい。これらは1種のみを用いてもよいし、2種以上を組み合わせてもよい。
前記方法1における二重結合及びカルボキシル基を有する化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレートと無水コハク酸の付加物、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートと無水コハク酸の付加物、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートと無水フタル酸の付加物等が挙げられる。
これらの中でも、(メタ)アクリル酸、またはペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートと無水コハク酸の付加物が好ましく、(メタ)アクリル酸がより好ましく、アクリル酸がさらに好ましい。なお、二重結合及びカルボキシル基を有する化合物は1種のみを用いてもよいし、2種以上を組み合わせてもよい。
前記方法2において、カルボキシル基を有するアクリル樹脂を得るために用いられるカルボキシル基を有するビニルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、多塩基酸変性(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中でも(メタ)アクリル酸が好ましく、アクリル酸がより好ましい。これらは1種のみを用いてもよいし、2種以上を組み合わせてもよい。
前記方法2において、二重結合及びエポキシ基を有する化合物としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル等が挙げられる。これらの中でもグリシジル(メタ)アクリレートが好ましい。これらは1種のみを用いてもよいし、2種以上を組み合わせてもよい。
前記方法3において、水酸基を有するアクリル樹脂を得るために用いられる、水酸基を有するビニルモノマーとしては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよいし、2種以上を組み合わせてもよい。
前記方法3において、二重結合及びカルボキシル基を有する化合物としては、前記方法1における化合物と同様のものを用いることができる。
前記方法4において、カルボキシル基を有するアクリル樹脂としては、前記方法2と同様のものを用いることができる。
前記方法4において、二重結合及び水酸基を有する化合物としては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよいし、2種以上を組み合わせてもよい。
前記方法5において、イソシアネート基を有するアクリル樹脂を得るために用いられる、イソシアネート基を有するビニルモノマーとしては、例えば、イソシアネートエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
前記方法5において、二重結合及び水酸基を有する化合物としては、例えば、前記方法4において挙げた化合物と同様のものを用いることができる。
前記方法6において、水酸基を有するアクリル樹脂としては、前記方法3における化合物と同様のものを用いることができる。
前記方法6において、二重結合及びイソシアネート基を有する化合物としては、例えば、イソシアネートエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよいし、2種以上を組み合わせてもよい。
以上の方法の中でも、反応を制御しやすいため、方法1が好ましい。方法1では、二重結合は、エポキシ基を有するアクリル樹脂のエポキシ基と、二重結合及びカルボキシル基を有する化合物におけるカルボキシル基との間の開環・付加反応により導入される。
前記方法1において、エポキシ基を有するアクリル樹脂中の、エポキシ基を有するモノマーは、エポキシ基を有するアクリル樹脂を構成するモノマー全量のうち、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは15質量%以上である。また上限としては特に制限はないが、好ましくは99.9質量%以下、より好ましくは80質量%以下、さらに好ましくは70質量%以下、特に好ましくは50質量%以下、最も好ましくは40質量%以下である。
エポキシ基を有するアクリル樹脂中の、エポキシ基を有するモノマーの量が当該範囲であると硬化樹脂層(硬化樹脂膜)と基材との密着性、耐擦傷性、および硬度の向上のみならず、凹凸形状を細かくすることができる傾向にあり、Rsmの低下、Saの向上や、場合によってはヘーズの増加や、グロスの低下を達成することができる。
また、前記方法1において、二重結合及びカルボキシル基を有する化合物は、エポキシ基を有するアクリル樹脂のエポキシ基に対する、二重結合及びカルボキシル基の割合として、好ましくは10~150モル%であり、より好ましくは30~130モル%、さらに好ましくは50~110モル%である。二重結合及びカルボキシル基を有する化合物を、当該範囲で使用することで、反応を過不足なく進行させ、また原料の残渣を少なくすることができる。
さらに、上述したエポキシ基を有するアクリル樹脂などのアクリル樹脂は、上述した以外の(メタ)アクリレートや、その他のビニルモノマーを共重合したものであってもよい。なお、これらの原料の重合反応は通常、ラジカル重合であり、従来公知の条件で重合することができる。
原料として併用することのできるモノマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、メトキシ(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシ(ポリ)プロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシ(ポリ)エチレングリコール(ポリ)プロピレングリコール(メタ)アクリレート、オクトキシ(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレート、オクトキシ(ポリ)プロピレングリコール(メタ)アクリレート、オクトキシテトラメチレングリコール(メタ)アクリレート、ラウロキシ(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレート、ステアロキシ(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート;エチル(メタ)アクリルアミド、n-ブチル(メタ)アクリルアミド、i-ブチル(メタ)アクリルアミド、t-ブチル(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド等のアクリルアミド;スチレン、p-クロロスチレン、p-ブロモスチレン等のスチレン系モノマー等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよいし、2種以上を組み合わせてもよい。
アクリル樹脂は、上記の原料ビニルモノマーを用いてラジカル重合反応により製造することができる。ラジカル重合反応は、有機溶媒中でラジカル重合開始剤の存在下で実施することが好ましい。
ラジカル重合に用いる有機溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)等のケトン系溶媒;エタノール、メタノール、イソプロピルアルコール(IPA)、イソブタノール等のアルコール系溶媒;エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル系溶媒;酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、2-エトキシエチルアセタート等のエステル系溶媒;トルエン等の芳香族炭化水素溶媒等が挙げられる。
これらの有機溶媒は1種のみを用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ラジカル重合に用いるラジカル重合開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド等の有機過酸化物;2,2’-アゾビスブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物が挙げられる。
これらのラジカル重合開始剤は1種のみを用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、ラジカル重合開始剤は原料のビニルモノマーの合計100質量部に対して、0.01~5質量部の範囲で用いることが好ましい。
ラジカル重合の際には、アクリル樹脂の重量平均分子量を制御するなどの目的で、連鎖移動剤を用いることができる。連鎖移動剤としては、例えば、ブタンチオール、オクタンチオール、デカンチオール、ドデカンチオール、ヘキサデカンチオール、オクタデカンチオール、シクロヘキシルメルカプタン、チオフェノール、チオグリコール酸オクチル、2-メルカプトプロピオン酸オクチル、3-メルカプトプロピオン酸オクチル、3-メルカプトプロピオン酸2-エチルヘキシル、チオグリコール酸2-エチルへキシル、ブチル-3-メルカプトプロピオネート、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メチル-3-メルカプトプロピオネート、2,2-(エチレンジオキシ)ジエタンチオール、エタンチオール、4-メチルベンゼンチオール、オクタン酸2-メルカプトエチル、1,8-ジメルカプト-3,6-ジオキサオクタン、デカントリチオール、ドデシルメルカプタン、ジフェニルスルホキシド、ジベンジルスルフィド、2,3-ジメルカプト-1-プロパノ-ル、メルカプトエタノール、チオサリチル酸、チオグリセロール、チオグリコール酸、3-メルカプトプロピオン酸、チオリンゴ酸、メルカプト酢酸、メルカプトコハク酸、2-メルカプトエタンスルホン酸等のチオール系化合物等が挙げられる。これらは、1種のみを用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
連鎖移動剤の使用量は、原料のビニルモノマーの合計100質量部に対して、0.1~25質量部が好ましく、0.5~20質量部がより好ましく、1.0~15質量部がさらに好ましい。
ラジカル重合の反応時間は、1~20時間が好ましく、3~12時間がより好ましい。また、反応温度は、40~120℃が好ましく、50~100℃がより好ましい。
アクリル樹脂に二重結合及びカルボキシル基を有する化合物等を反応させるには、上記のようにして得られたアクリル樹脂に、二重結合及びカルボキシル基を有する化合物等を添加して、トリフェニルホスフィン、テトラブチルアンモニウムブロマイド、テトラメチルアンモニウムクロライド、トリエチルアミン等の触媒の1種又は2種以上の存在下に通常90~140℃、好ましくは100~120℃の温度で、通常3~9時間程度反応させればよい。
ここで、触媒は、原料の(メタ)アクリル酸エステル系重合体と二重結合及びカルボキシル基を有する化合物等の化合物との合計100質量部に対して、0.5~3質量部程度の割合で用いることが好ましい。この反応は、アクリル樹脂を重合反応で製造した後、引き続き行ってもよく、反応系からアクリル樹脂を一旦分取した後、二重結合及びカルボキシル基を有する化合物等の化合物等を添加して行ってもよい。
アクリル樹脂における二重結合量は、好ましくは0.1~10mmol/g、より好ましくは0.2~7.0mmol/g、さらに好ましくは0.5~5.0mmol/g、特に好ましくは0.8~4.0mmol/g、最も好ましくは1.0~3.0mmol/gの範囲である。
アクリル樹脂における二重結合量が、当該範囲にあることで、硬化樹脂層と基材との密着性、耐擦傷性、硬度の向上に加えて、凹凸形状をより精密に制御できる傾向にあり、Rsmの低下、Saの向上や、場合によってはヘーズの増加や、グロスの低下を達成することができる。なお、二重結合量とは、アクリル樹脂中の(メタ)アクリロイル基濃度、すなわち(メタ)アクリロイル基の導入量を意味する。
樹脂の重量平均分子量(Mw)は、硬化性樹脂組成物の用途に応じて適宜選択されるべきであるが、通常、5000以上であり、好ましくは7000以上であり、より好ましくは9000以上であり、通常200000以下であり、好ましくは100000以下であり、より好ましくは70000以下であり、更に好ましくは50000以下である。上記範囲内であると、表面凹凸を形成し易くなる。なお、樹脂の重量平均分子量(Mw)は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)を用いて、ポリスチレン標準による換算値として決定することができる。具体的な測定条件は、後掲の実施例に示す。
硬化性樹脂組成物中に、活性エネルギー線硬化性の化合物以外の上記樹脂を含有する場合、その含有量は、硬化膜(硬化樹脂層)の外観や密着性の観点から、硬化性樹脂組成物の不揮発分中、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下である。樹脂の含有量が多すぎると硬化膜の硬度が低下する懸念がある。
(粒子)
本発明の離型フィルムにおいて、離型層(B)は、その表面粗さについて特定のパラメータを満たす必要がある。特定のパラメータを満たす方法は特に限定されないが、例えば、離型層(B)が硬化樹脂層(x)と離型層(y)の二層構成の場合は、硬化樹脂層に粒子を含有させることも挙げることができる。硬化樹脂層に粒子を含有させることにより、艶消し性をさらに向上させることもできる。
粒子は、特に限定されず、従来公知のものを使用することができる。具体例としては、シリカ、中空シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、カオリン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン等の無機粒子、アクリル樹脂、スチレン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等の有機粒子等が挙げられる。
無機粒子は(メタ)アクリロイル基等の反応性基を有するシランカップリング剤で表面修飾された粒子であってもよい。有機粒子は形状維持のために架橋タイプが好ましく、架橋アクリル樹脂粒子、架橋スチレン樹脂粒子がより好ましい。
これらの粒子は2種以上を併用してもよい。
粒子の平均一次粒子径としては、好ましくは0.01~30μm、より好ましくは0.05~10μm、さらに好ましくは0.1~5μm、特に好ましくは0.5~3μmの範囲である。粒子の平均一次粒子径が当該範囲の場合、艶消し性の向上に優れる。
硬化樹脂層中における粒子の含有量は、艶消し性の向上の観点から、不揮発分中、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下、特に好ましくは20質量%以下である。下限は特に限定されないが、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上である。
(光重合開始剤)
硬化樹脂層を活性エネルギー線硬化性の化合物を用いて形成する場合、光重合開始剤を使用してもよい。当該光重合開始剤の分子量は1000以下が好ましい。
光重合開始剤の具体例としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン-n-ブチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル、ベンジルジフェニルジスルフィド、ジベンジル、ジアセチル、アントラキノン、ナフトキノン、3,3’-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン、ベンゾフェノン、p,p’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、ピバロイルエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1,1-ジクロロアセトフェノン、p-t-ブチルジクロロアセトフェノン、2-クロロチオキサントン、2-メチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,2-ジエトキシアセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2,2-ジクロロ-4-フェノキシアセトフェノン、フェニルグリオキシレート、α-ヒドロキシイソブチルフェノン、ジベンゾスベロン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパノン、2-メチル-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノ-1-プロパノン、トリブロモフェニルスルホン、トリブロモメチルフェニルスルホン等が挙げられる。
これらの光重合開始剤は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
硬化性樹脂組成物における光重合開始剤の含有量は、硬化性促進や硬化樹脂層の硬度の観点から、硬化性樹脂組成物の不揮発成分中、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは8質量%以下、特に好ましくは6質量%以下である。
(活性エネルギー線の照射によりラジカルを発生する活性基を有する重合体)
硬化樹脂層を形成する場合、活性エネルギー線の照射によりラジカルを発生する活性基を有する重合体(以下、単に「重合体」と記載する。)を使用しても良い。活性エネルギー線の照射によりラジカルを発生する活性基(以下、活性基という)とは、活性エネルギー線の照射によりラジカルを発生する構造、言い換えると光重合開始性を有する構造を有する基である。光重合開始性を有する構造としては、例えば、水素引き抜き型、電子移動型、分子内開裂型が挙げられる。本発明においては、活性基から発生したラジカルは重合体自身や、活性エネルギー線硬化性の化合物と反応して架橋構造を形成する。
(活性基)
活性基としては、例えば、ベンゾフェノン基、アセトフェノン基、ベンゾイン基、α-ヒドロキシケトン基(例えば、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-メチルプロパノンの「2-ヒドロキシエトキシ中の水酸基」から水素原子を1つ除いた基)、α-アミノケトン基、α-ジケトン基、α-ジケトンジアルキルアセタール基、アントラキノン基、チオキサントン基及びホスフィンオキシド基が挙げられる。これらの中でも、硬化時に酸素阻害を受けにくく、凹凸層を形成する際の表面硬化性が良好となる点で、ベンゾフェノン基、アセトフェノン基、α-ヒドロキシケトン基が好ましい。
上記活性基は、重合体の主鎖の末端に存在してもよく、重合体を構成する単量体由来の構成単位中に存在してもよい。
重合体は、塗膜表面付近の活性基の濃度を高くすることができること、酸素阻害を受け難くなるので硬化性が向上したり、硬化後の表面に凹凸構造が発現しやすくなることから、分子中に複数の活性基を有することが好ましい。
複数の活性基を有する重合体としては、活性基を有する単量体(a)由来の構成単位を有する重合体が好ましい。
(単量体(a))
単量体(a)としては、活性基とラジカル重合性基とを有する化合物が挙げられる。ラジカル重合性基としては、炭素-炭素二重結合等のラジカル重合性不飽和結合を含む官能基が挙げられる。
単量体(a)としては、重合体の合成のしやすさ、活性基の導入量の調整のしやすさの観点から、(メタ)アクリル酸エステルが好ましい。このような(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、4-メタクリロイルオキシベンゾフェノン、2-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-1-オキソプロピル)フェノキシ]エチルメタクリレートが挙げられる。
重合体を構成する全単位の合計質量に対する、単量体(a)由来の構成単位の割合は、好ましくは1~90質量%、より好ましくは5~80質量%、さらに好ましくは15~70質量%、特に好ましくは30~60質量%の範囲である。この割合が上記範囲内であれば、硬化性を向上でき、また効果的に凹凸構造を形成できる。
(単量体(b))
重合体は、活性基を有する単量体(a)由来の構成単位に加えて、鎖状構造を有する単量体(b)由来の構成単位を有することが好ましい。単量体(b)には炭素数4以上のアルキル基、フルオロアルキル基、及びポリジメチルシロキサン鎖からなる群から選ばれる少なくとも1種の鎖状構造とラジカル重合性基とを有する化合物が挙げられる。ラジカル重合性基としては、炭素-炭素二重結合等のラジカル重合性不飽和結合を含む官能基が挙げられる。
単量体(b)としては、重合体の合成のしやすさ、鎖状構造の導入量の調整のしやすさの観点から、(メタ)アクリル酸エステルが好ましい。重合体がこの単位を有していれば、硬化性組成物の塗膜を形成したときに、重合体が塗膜の表面側に偏析しやすくなる。このような偏析により、塗膜の内部(基材フィルム側)での硬化反応が酸素阻害を受けにくくなり、硬化性が向上する。例えば、低露光量で硬化することができ、酸素阻害を受けやすい傾向のある薄い塗膜でも良好に硬化することができる。
炭素数4以上のアルキル基は、直鎖状、分岐状のいずれであってもよく、単環式や多環式の環状構造を含んでいてもよい。重合体をより効果的に塗膜の表面に偏析させる観点から、アルキル基は直鎖状であることが好ましい。
炭素数4以上のアルキル基の炭素数は、重合体をより効果的に塗膜の表面に偏析させる観点から、好ましくは4~30の範囲、より好ましくは6~20の範囲、さらに好ましくは8~18の範囲である。
炭素数4以上のアルキル基を有する単量体としては、炭素数4以上のアルキル基とラジカル重合性基とを有する化合物が挙げられる。このような化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、フマル酸ジアルキルエステル、マレイン酸ジアルキルエステル、脂肪族オレフィンが挙げられる。合成のしやすさと炭素数4以上のアルキル基の導入量の調整のしやすさの観点から、(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましい。
このような(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ミリスチル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、トリシクロデカン(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらの中でも、直鎖状又は分岐状の炭素数4以上のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含むことが好ましい。直鎖状又は分岐状の炭素数4以上のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、アルキル基の炭素数が上述の好ましい範囲にあるものが好ましく、製造のしやすさ等も考慮すると、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートがより好ましく、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートが特に好ましい。
これらの(メタ)アクリル酸アルキルエステルは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
重合体は、重合体をより効果的に塗膜の表面に偏析させる観点から、炭素数4以上のアルキル基を有する単量体由来の構成単位に加えて、又は炭素数4以上のアルキル基を有する単量体由来の構成単位の代わりに、フルオロアルキル基又はポリジメチルシロキサン鎖を含有する単量体由来の構成単位を有していてもよい。
フルオロアルキル基を含有する単量体としては、フルオロアルキル基を含有する(メタ)アクリル酸エステルが好ましく、パーフルオロアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルがより好ましい。
パーフルオロアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルは、例えば、2,2,2-トリフルオロエチルアクリレート(大阪有機化学工業株式会社製,ビスコート3F)、2,2,3,3-テトラフルオロプロピルアクリレート(大阪有機化学工業株式会社製,ビスコート4F)、1H,1H,5H-オクタフルオロペンチルアクリレート(大阪有機化学工業株式会社製,ビスコート8F)、1H,1H,5H-オクタフルオロペンチルメタクリレート(大阪有機化学工業株式会社製,ビスコート8FM)、1H,1H,2H,2H-トリデカフルオロオクチルアクリレート(大阪有機化学工業株式会社製,ビスコート13F)、1H,1H,2H,2H-ノナフルオロヘキシルアクリレート(ユニマテック株式会社,CHEMINOX FAAC-4)、1H,1H,2H,2H-ノナフルオロヘキシルメタアクリレート(ユニマテック株式会社,CHEMINOX FAMAC-4)、1H,1H,2H,2H-トリデカフルオロオクチルメタアクリレート(ユニマテック株式会社,CHEMINOX FAMAC-6)、2-(パーフルオロヘキシル)エチルメタクリレート(ダイキン工業社製、商品名:C6SFMAモノマー)などが商業的に入手できる。パーフルオロアルキル基の炭素数は3以上が好ましい。
ポリジメチルシロキサン鎖を含有する単量体は、ポリジメチルシロキサン鎖を含有する(メタ)アクリル酸エステルが好ましい。ポリジメチルシロキサン鎖を有する(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、分子量が500~50,000の片末端(メタ)アクリロイル基置換ポリジメチルシロキサンが挙げられる。前記分子量は1,000~30,000が好ましく、1,500~20,000がより好ましい。ポリジメチルシロキサン鎖を有する(メタ)アクリル酸エステルは、例えば、「FM-0711」、「FM-0721」、「FM-0725」(いずれもJNC株式会社製)や、「X-24-8201」、「X-22-174DX」、「X-22-2426」(いずれも信越化学工業株式会社)などが商業的に入手できる。
重合体を構成する全単位の合計質量に対する、単量体(b)の割合は、好ましくは80質量%以下、より好ましくは1~55質量%、さらに好ましくは5~50質量%、特に好ましくは8~40質量%の範囲である。単量体(b)の割合が上記範囲内であれば、硬化性を向上でき、また、効果的に凹凸構造を形成できる。
(水素供与性官能基を有する単量体)
重合体は、必要に応じて、水素供与性官能基を有する単量体由来の構成単位を有していてもよい。特に活性基として水素引き抜き型のものを含む場合には、水素供与性官能基を有する単量体由来の構成単位を含むことが好ましい。重合体がこの単位を有していれば、硬化性組成物の塗膜が表面から効果的に硬化するので、硬化性が向上し、また凹凸構造を形成しやすくなる。
水素供与性官能基としては、例えば、水酸基、アミノ基、メルカプト基、アミド基が挙げられる。これらの中でも、特に効率的に硬化反応が進行し、硬化性が向上する、あるいは凹凸構造が形成しやすくなるという観点から、水酸基、アミノ基又はアミド基が好ましい。
水素供与性官能基を有する単量体としては、水素供与性官能基とラジカル重合性基とを有する化合物が挙げられ、化合物の合成のしやすさと水素供与性官能基の導入量の調整のしやすさの観点から、水素供与性官能基を有する(メタ)アクリル酸エステルが好ましい。
水素供与性官能基を有する単量体としては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8-ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、10-ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、12-ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレート、モノブチルヒドロキルフマレート、モノブチルヒドロキシイタコネート等の水酸基含有単量体;N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N-ビニルカプロラクタム、N-ビニルピロリドン、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2-[(ブチルアミノ)カルボニル]オキシ]エチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、ビニルアセトアミド等のアミノ基又はアミド基含有単量体が挙げられる。
これらの中でも、活性基との併用において硬化促進効果に優れる点で、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートが好ましく、凹凸構造を大きくしやすいという点で、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートがより好ましい。これらの化合物は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
(他の単量体)
重合体は、必要に応じて、上記以外の他の単量体由来の構成単位をさらに有していてもよい。他の単量体としては、ラジカル重合性基を有し、活性基、炭素数4以上のアルキル基、フッ素原子、ケイ素原子、又は水素供与性官能基を有さない化合物が挙げられる。
他の単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸等のカルボキシル基含有単量体及びそれらの塩;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート;グリシジル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリロイルオキシベンゾフェノン;(メタ)アクリロニトリル等の窒素含有単量体;スチレン、α-メチルスチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエン等のスチレン系化合物;プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル等のビニルエステル;γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等の珪素含有単量体;燐含有ビニル系単量体;塩化ビニル、塩化ビリデン等のハロゲン化ビニル;ブタジエン等の共役ジエンが挙げられる。
重合体を構成する全単位の合計質量に対する、水素供与性官能基を有する単量体由来の構成単位の割合は、好ましくは80質量%以下、より好ましくは1~40質量%、さらに好ましくは3~35質量%、特に好ましくは5~34質量%の範囲である。この割合が上記範囲内であれば、硬化性を向上でき、また効果的に凹凸構造を形成できる。
(重量平均分子量)
重合体の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは1000~500000、より好ましくは3000~300000、さらに好ましくは5000~200000、特に好ましくは10000~150000の範囲である。Mwが上記範囲内であれば、硬化性組成物の塗布性、硬化性がより向上し、また凹凸構造の形成のしやすさがより向上する傾向がある。
重合体のMwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される標準ポリスチレン換算の値である。詳しい測定条件は後述する実施例に記載のとおりである。
重合体の1g当たりの活性基の含有量は、好ましくは0.1~3.5mmol/g、より好ましくは0.3~3.0mmol/g、さらに好ましくは0.5~2.7mmol/g、特に好ましくは1.0~2.5mmol/gの範囲である。活性基の含有量が上記範囲内であれば、硬化性がより優れ、より効果的に凹凸を形成できる。
(ガラス転移温度)
重合体のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは-30~150℃、より好ましくは0~120℃、さらに好ましくは25~100℃の範囲である。重合体のTgが上記範囲内であれば、硬化性がより向上し、また凹凸構造の形成のしやすさがより向上する傾向がある。
(重合体の製造)
重合体は、典型的には、原料となる単量体を重合開始剤の存在下で重合して製造できる。重合の際、必要に応じて、連鎖移動剤を併用してもよい。重合方法としては、例えば、溶液重合、懸濁重合、塊状重合、乳化重合が挙げられ、その中でも操作が簡便で生産性が高い点で、溶液重合が好ましい。
(重合体の含有量)
本発明の硬化性組成物の不揮発分中の重合体の含有量は、硬化物の表面への凹凸構造の付与及び活性エネルギー線硬化性を良好とする点で、0.5質量%以上25.0質量%以下が好ましく、0.7質量%以上20.0質量%以下がより好ましく、1.0質量%以上15.0質量%以下がさらに好ましく、2.0質量%以上12.0質量%以下が特に好ましく、3.0質量%以上12.0質量%以下が最も好ましい範囲である。
なお、硬化性組成物の不揮発分とは、有機溶剤等の溶媒以外の成分の合計質量である。硬化性組成物中の不揮発分の割合は、従来公知の方法で測定することができ、例えば、1gの組成物をフィルム上に広げて、100℃で1時間加熱して有機溶剤を揮発させたときの重さの変化から算出できる。
硬化樹脂層の外観向上の観点から、硬化性樹脂組成物はレベリング剤を含んでいてもよい。
レベリング剤としては、アクリル系レベリング剤、シリコーン系レベリング剤、フッ素系レベリング剤等が挙げられる。これらのレベリング剤は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
硬化性樹脂組成物中のレベリング剤の含有量は、硬化膜の外観向上の観点から、不揮発分に対して、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下である。
(離型剤)
硬化樹脂層自体に離型性を付与するために後述する離型剤組成物を硬化性樹脂組成物に配合してもよい。
硬化樹脂層には、本発明の効果を損なわない範囲で、チオール基を含有する化合物等を重合促進剤、可塑剤、界面活性剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等として使用してもよい。
(有機溶剤)
硬化樹脂層は、例えば、硬化性樹脂組成物を基材フィルム上に塗布することにより形成することができる。その際、硬化樹脂組成物を基材フィルム上に塗布する際の作業性向上のため、有機溶剤を必要に応じて使用してもよい。
有機溶剤としてはトルエン、キシレン等の芳香族系溶剤;メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、アニソール、フェネトール等のエーテル系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル、エチレングリコールジアセテー等のエステル系溶剤;ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、N-メチルピロリドン等のアミド系溶剤;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ系溶剤;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール系溶剤;ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン系溶剤等が挙げられる。中でも、塗布における作業性を向上させやすい点で、エステル系溶剤、エーテル系溶剤、アルコール系溶剤及びケトン系溶剤が好ましい。
これらの有機溶剤は1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
硬化性樹脂組成物の不揮発分100質量部に対する有機溶剤の割合は、作業性向上の観点から、10質量部以上1900質量部以下が好ましく、40質量部以上400質量部以下がより好ましい。
なお、硬化性樹脂組成物の不揮発分とは、有機溶剤等の溶媒以外の成分の合計質量である。硬化樹脂組成物の不揮発分は、従来公知の方法で測定することができ、例えば、1gの組成物をフィルム上に広げて、100℃で1時間加熱して有機溶剤を揮発させたときの重さの変化により測定される。
(硬化樹脂層の形成方法)
硬化樹脂層は、硬化性樹脂組成物を基材フィルム上に塗布して塗膜を形成し、必要に応じて乾燥した後、塗膜に活性エネルギー線を照射することにより形成できる。
硬化性樹脂組成物の塗布方法は特に限定されない。例えば、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、スピンコート法、ローラーコート法、バーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、スプレーコート法等の公知の方法により塗布することができる。
硬化性樹脂組成物が有機溶剤を含む場合、活性エネルギー線を照射する前に予め加熱乾燥することが好ましい。予め加熱乾燥することにより、塗膜中の溶媒を効果的に除去することができる。
加熱乾燥の乾燥温度は、30℃以上200℃以下が好ましく、40℃以上150℃以下がより好ましい。乾燥時間は、0.01分以上30分以下が好ましく、0.1分以上10分以下がより好ましい。
(活性エネルギー線の照射)
活性エネルギー線としては、塗膜の表面を効果的に硬化させる観点から、紫外線、真空紫外線、電子線、及び電離放射線からなる群から選択される少なくとも1種が挙げられる。本発明の一態様における硬化樹脂層の形成方法においては、エキシマランプ照射または紫外線(UV)照射により、前記硬化樹脂層を形成する工程を含むことが好ましい。
紫外線とは、放射スペクトルが200nm~600nmに極大値を持つ活性エネルギー線を指す。例えば、紫外線の発光ランプとしては、高圧水銀灯、中圧水銀灯、低圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、LED、キセノンフラッシュ、無電極ランプなどが挙げられる。
照射する紫外線の積算光量は、好ましくは1~5000mJ/cm、より好ましくは50~3000mJ/cm、さらに好ましくは100~1000mJ/cm、特に好ましくは200~700mJ/cmの範囲である。また、照度は、好ましくは1~1000mW/cm、より好ましくは50~500mW/cm、さらに好ましくは80~300mW/cmの範囲である。
真空紫外線(波長200nm以下の紫外線)とは、半値幅が50nm以下であるエキシマ光が最適であり、例えば、アルゴン(126nm)、クリプトン(146nm)、キセノン(172nm)、アルゴン・フッ素(193nm)が挙げられる。これらの中でも、使用のしやすさや、効果的な凹凸形成、硬化樹脂層の硬化性等を考慮すると、キセノンエキシマ光が好適である。
真空紫外線を用いる場合、照射の積算光量は、好ましくは1~3000mJ/cm、より好ましくは3~1000mJ/cm、さらに好ましくは5~500mJ/cm、特に好ましくは10~100mJ/cmの範囲である。また、照度は、好ましくは1~500mW/cm、より好ましくは2~300mW/cm、さらに好ましくは3~100mW/cmの範囲である。
真空紫外線照射時の雰囲気としては、窒素雰囲気下など酸素が少ない環境で行うことが好ましい。酸素濃度としては、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下、さらに好ましくは3%以下、特に好ましくは1%以下の範囲である。
上記の真空紫外線照射後、硬化樹脂層を深部まで硬化させるために、真空紫外線以外の活性エネルギー線を照射することが好ましい。真空紫外線以外の活性エネルギー線としては紫外線、電子線等が挙げられ、これらの中でも硬化膜の硬化性を考慮すると紫外線がより好ましい。
(硬化樹脂層の厚み)
硬化樹脂層の厚みとしては、好ましくは1~100μm、より好ましくは2~80μm、さらに好ましくは3~50μm、特に好ましくは3~30μmの範囲である。硬化樹脂層の厚みが上記範囲内であれば、所望の艶消し性を実現しやすく、また硬度の調整がしやすくなる。
また、本発明の一形態においては、該硬化樹脂層の凹凸構造が転写された、転写物が提供される。その際、硬化樹脂層の凹凸転写により得られる該転写物の厚みは、凹凸層の最大厚みを示し、電子顕微鏡による断面観察により求められる。
[離型層]
本発明の離型フィルムは、離型層(B)が、硬化樹脂層(x)上に離型層(y)を備える二層構成であってもよい。
以下、本発明の離型フィルムが、硬化樹脂層(x)上に離型層(y)を備える二層構成の場合の態様を記載する。
離型層(y)の役割としては、各種の保護対象物の保護や、保護フィルムの汚染防止などの効果ばかりではなく、本発明の離型フィルムの取扱い性向上にも寄与している。例えば、本発明の離型フィルムを枚葉で重ねた場合、あるいはロール状に巻いた場合など、離型層は、離型フィルムの裏面側の粘着層との貼りつき防止や剥離の容易性等の効果のほかに、滑り性を良くして離型フィルムを製造しやすくする、離型フィルムの取扱い性を良くする、離型フィルムへの粘着層の加工性を良くするなどの効果もある。
離型層(y)の厚みとしては、本発明の効果を奏する範囲であれば特に限定されないが、好ましくは0.001~5μm、より好ましくは0.01~3μm、さらに好ましくは0.1~2μmの範囲である。離型層の膜厚を上記範囲とすることにより、外観、撥水性、離型性(粘着層との貼り付き防止性)を良好にすることができる。
なお、本発明の一形態において、当該離型フィルムの離型層表面の凹凸が転写された、転写物も提供される。その際、離型層(B)の凹凸転写により得られる該転写物の厚みは、凹凸層の最大厚みを示し、電子顕微鏡による断面観察により求められる。
<離型剤>
離型層を形成する離型剤としては、特に制限はなく、従来公知の離型剤を使用することが可能である。例えば、長鎖アルキル基含有化合物、フッ素化合物、シリコーン化合物、ポリオレフィン、ワックス等が挙げられる。
これらの中でも保護対象側への転着という意味での汚染性が少なく、撥水性に優れるという点から、長鎖アルキル基含有化合物やフッ素化合物が好ましい。あるいは、特に、粘着層に対する離型性を良好とする点からは、シリコーン化合物が好ましい。
これらの離型剤は単独で用いてもよいし、複数種を併用してもよい。
(長鎖アルキル基含有化合物)
長鎖アルキル基含有化合物とは、炭素数が通常6以上、好ましくは8以上、さらに好ましくは12以上の直鎖または分岐のアルキル基を有する化合物のことである。炭素数の上限は、特に限定されないが、例えば30である。
アルキル基としては、例えば、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ラウリル基、オクタデシル基、ベヘニル基等が挙げられる。
アルキル基を有する化合物としては、例えば、各種の長鎖アルキル基含有高分子化合物、長鎖アルキル基含有アミン化合物、長鎖アルキル基含有エーテル化合物、長鎖アルキル基含有4級アンモニウム塩等が挙げられる。耐熱性、耐汚染性を考慮すると、長鎖アルキル基含有高分子化合物であることが好ましい。また、効果的に離型性を得られるという観点から、長鎖アルキル基を側鎖に有する高分子化合物であることがより好ましい。
長鎖アルキル基を側鎖に有する高分子化合物は、反応性基を有する高分子と、当該反応性基と反応可能なアルキル基を有する化合物とを反応させて得ることができる。上記反応性基としては、例えば、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、酸無水物等が挙げられる。これらの反応性基を有する化合物としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリエチレンイミン、ポリエチレンアミン、反応性基含有ポリエステル樹脂、反応性基含有ポリ(メタ)アクリル樹脂等が挙げられる。これらの中でも離型性や取り扱い易さを考慮するとポリビニルアルコールであることが好ましい。
上記の反応性基と反応可能なアルキル基を有する化合物とは、例えば、ヘキシルイソシアネート、オクチルイソシアネート、デシルイソシアネート、ラウリルイソシアネート、オクタデシルイソシアネート、ベヘニルイソシアネート等の長鎖アルキル基含有イソシアネート、ヘキシルクロライド、オクチルクロライド、デシルクロライド、ラウリルクロライド、オクタデシルクロライド、ベヘニルクロライド等の長鎖アルキル基含有クロライド、長鎖アルキル基含有アミン、長鎖アルキル基含有アルコール等が挙げられる。これらの中でも離型性や取り扱い易さを考慮すると、長鎖アルキル基含有イソシアネートが好ましく、オクタデシルイソシアネートが特に好ましい。
長鎖アルキル基を側鎖に持つ高分子化合物は、長鎖アルキル(メタ)アクリレートの重合物や、長鎖アルキル(メタ)アクリレートと他のビニル基含有モノマーとの共重合物であってもよい。長鎖アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(フッ素化合物)
フッ素化合物は、化合物中にフッ素原子を含有している化合物であれば特に限定されない。インラインコーティングによる塗布外観の点から、有機系フッ素化合物が好適に用いられ、例えば、パーフルオロアルキル基含有化合物、フッ素原子を含有するオレフィン化合物の重合体、フルオロベンゼン等の芳香族フッ素化合物等が挙げられる。離型性の観点から、パーフルオロアルキル基を有する化合物であることが好ましい。さらにフッ素化合物として、後述するような長鎖アルキル基含有化合物を含有している化合物も使用することができる。
パーフルオロアルキル基を有する化合物としては、例えば、パーフルオロアルキル(メタ)アクリレート、パーフルオロアルキルメチル(メタ)アクリレート、2-パーフルオロアルキルエチル(メタ)アクリレート、3-パーフルオロアルキルプロピル(メタ)アクリレート、3-パーフルオロアルキル-1-メチルプロピル(メタ)アクリレート、3-パーフルオロアルキル-2-プロペニル(メタ)アクリレート等のパーフルオロアルキル基含有(メタ)アクリレートやその重合物、パーフルオロアルキルメチルビニルエーテル、2-パーフルオロアルキルエチルビニルエーテル、3-パーフルオロプロピルビニルエーテル、3-パーフルオロアルキル-1-メチルプロピルビニルエーテル、3-パーフルオロアルキル-2-プロペニルビニルエーテル等のパーフルオロアルキル基含有ビニルエーテルやその重合物などが挙げられる。
上記した中でも、耐熱性、耐汚染性を考慮すると、重合物であることが好ましい。重合物は単一化合物の重合物でも、複数化合物の重合物でもよい。また、離型性の観点から、パーフルオロアルキル基は炭素原子数が3~11であることが好ましい。さらに後述するような、長鎖アルキル基含有化合物を含有している化合物との重合物であってもよい。基材との密着性の観点から、塩化ビニルとの重合物であることも好ましい。
(シリコーン化合物)
シリコーン化合物とは、分子内にシリコーン構造を有する化合物のことである。例えば、ジメチルシリコーン、ジエチルシリコーン等のアルキルシリコーン、フェニル基を有するフェニルシリコーン、メチルフェニルシリコーン等が挙げられる。シリコーン構造中に各種の官能基を有するシリコーン化合物も使用することができ、例えば、ポリエーテル基、水酸基、アミノ基、エポキシ基、カルボン酸基、フッ素等のハロゲン基、パーフルオロアルキル基、各種アルキル基や各種芳香族基等の炭化水素基等をシリコーン構造中に有するシリコーン化合物が挙げられる。ビニル基を有するシリコーンや水素原子が直接ケイ素原子に結合したハイドロゲンシリコーンも一般的であり、両者を併用して、付加型(ビニル基とハイドロゲンシランの付加反応による型)のシリコーンを使用することも可能である。
また、シリコーン化合物として、アクリルグラフトシリコーン、シリコーングラフトアクリル、アミノ変性シリコーン、パーフルオロアルキル変性シリコーン等の変性シリコーンを使用することも可能である。
耐熱性、耐汚染性を考慮すると、硬化型シリコーン樹脂を使用することが好ましく、硬化型の種類としては、付加型、活性エネルギー線硬化型等いずれの硬化反応タイプでも用いることができる。硬化型シリコーン樹脂に関しては、後に詳述する。
((ポリエーテル基含有シリコーン化合物))
シリコーン化合物としては、裏面転写が少なく、水系溶媒への分散性が良く、インラインコーティングへの適性が高いという観点において、ポリエーテル基含有シリコーン化合物が好ましい。シリコーン構造におけるポリエーテル基の位置は特に限定されず、シリコーンの側鎖や末端にポリエーテル基を有していてもよいし、主鎖にポリエーテル基を有していてもよい。水系溶媒への分散性の観点から、側鎖や末端にポリエーテル基を有していることが好ましい。
ポリエーテル基としては、従来公知の構造のポリエーテル基であってよい。
水系溶媒への分散性の観点から、芳香族ポリエーテル基より、脂肪族ポリエーテル基が好ましく、脂肪族ポリエーテル基の中でも、アルキルポリエーテル基が好ましい。また、立体障害による合成上の観点から、分岐アルキルポリエーテル基よりも、直鎖アルキルポリエーテル基が好ましく、中でも、炭素数が8以下の直鎖アルキルからなるポリエーテル基が好ましい。さらに、溶媒が水の場合は、水への分散性を考慮し、ポリエチレングリコール基またはポリプロピレングリコール基が好ましく、特に最適なのは、ポリエチレングリコール基である。
ポリエーテル基のエーテル結合の個数は、水系溶媒への分散性と離型層の耐久性向上の観点から、通常1~30個の範囲、好ましくは2~20個の範囲、より好ましくは3~15個の範囲である。エーテル結合が上記下限値以上であれば、十分な分散性が確保でき、上記上限値以下であれば、耐久性や離型性能に悪影響を与えない。
ポリエーテル基をシリコーン構造の側鎖あるいは末端に有する場合、ポリエーテル基の末端は特に限定するものではなく、水酸基、アミノ基、チオール基、アルキル基やフェニル基等の炭化水素基、カルボン酸基、スルホン酸基、アルデヒド基、アセタール基等の各種の官能基を使用することができる。中でも、水への分散性や離型層の強度向上のための架橋性を考慮すると、水酸基、アミノ基、カルボン酸基、及びスルホン酸基からなる群から選択される少なくとも1種が好ましく、特に、水酸基が最適である。
ポリエーテル基含有シリコーン化合物におけるポリエーテル基の含有量は、シリコーンのシロキサン結合を1として、モル比の割合で、好ましくは0.001~0.30の範囲、より好ましくは0.01~0.20の範囲、さらに好ましくは0.03~0.15の範囲、特に好ましくは0.05~0.12の範囲である。ポリエーテル基の含有量をこの範囲内とすることで、水への分散性と離型層の耐久性や良好な離型性を保持することができる。
ポリエーテル基含有シリコーン化合物の分子量は、水系溶媒への分散性を考慮するとあまり大きくない方が好ましく、また、離型層の耐久性や離型性能を考慮するとある程度大きい方が好ましい。この両者の特性をバランスさせることが求められており、数平均分子量として、好ましくは1000~100000の範囲、より好ましくは3000~30000の範囲、さらに好ましくは、5000~10000の範囲である。
離型層の経時変化や離型性能、また、各種工程における汚染性を考慮すると、シリコーン化合物の低分子成分(数平均分子量で500以下)はできる限り少ない方が好ましく、その量としては、シリコーン化合物全体に対する割合として、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下である。
また、縮合型シリコーンをシリコーン化合物として使用する場合に、ケイ素に結合したビニル基(ビニルシラン)、水素基(ハイドロゲンシラン)は、未反応のまま離型層に残ると、各種性能の経時劣化の原因となる。そのため、シリコーン中の官能基量として、上記未反応官能基の含有量は0.1モル%以下が好ましく、さらには含有しないことがより好ましい。
((界面活性剤))
ポリエーテル基含有シリコーンは、単独では塗布することが難しいため、水に分散して使用することが好ましい。分散のために、従来公知の各種の界面活性剤を使用することが可能である。例えば、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤が挙げられる。
これらの中でも、ポリエーテル基含有シリコーンの分散性、および離型層の形成に用いられ得るポリエーテル基含有シリコーン以外のポリマーとの相溶性を考慮した場合、アニオン性界面活性剤やノニオン性界面活性剤が好ましい。
これらの界面活性剤に代えて、フッ素化合物を使用することも可能である。
アニオン性界面活性剤としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸アンモニウム塩等のスルホン酸塩系や硫酸エステル塩系、ラウリル酸ナトリウム、オレイン酸カリウム等のカルボン酸塩系、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸塩等のリン酸塩系が挙げられる。
これらの中でも、分散性が良好であるという観点から、スルホン酸塩系が好ましい。
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、高級アルコールやアルキルフェノールなどの水酸基をもつ化合物に、エチレンオキサイドやプロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加させたエーテル型、グリセリンや糖類などの多価アルコールと脂肪酸とがエステル結合したエステル型、脂肪酸や多価アルコール脂肪酸エステルにアルキレンオキサイドを付加させたエステル・エーテル型、疎水基と親水基がアミド結合を介しているアミド型等が挙げられる。
これらの中でも水への溶解性、安定性を考慮するとエーテル型が好ましく、取扱い性も考慮するとエチレンオキサイドを付加させたエーテル型がより好ましい。
使用するポリエーテル基含有シリコーン化合物の分子量や構造に依存し、また、使用する界面活性剤の種類にも依存するため一概にはいえないが、目安としての界面活性剤の量は、ポリエーテル基含有シリコーン化合物を1として、質量比で、好ましくは0.01~0.5、より好ましくは0.05~0.4、さらに好ましくは0.1~0.3の範囲である。
<硬化型シリコーン樹脂>
離型層を構成する離型剤としてシリコーン化合物を用いる際に、上記したとおり、硬化型シリコーン樹脂を使用することができる。硬化型シリコーン樹脂は、硬化型シリコーン樹脂を主成分とする樹脂でもよいし、硬化型シリコーン樹脂と、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂等の有機樹脂とのグラフト重合等による変性シリコーンであってもよい。また、粘着層がシリコーン粘着剤である場合は、フルオロシリコーン樹脂等を含有することが好ましい。
硬化型シリコーン樹脂の種類としては、付加型・縮合型等の熱硬化型や、紫外線硬化型、電子線硬化型等の、既存の何れの硬化反応タイプを用いることができる。硬化型シリコーン樹脂は、1種を単独で用いてもよいし、複数種の硬化型シリコーン樹脂を併用しても良い。
さらに離型層を形成する際の、硬化型シリコーン樹脂の塗工形態にも特に制限は無く、有機溶剤に溶解している形態、水系エマルジョンの形態、無溶剤の形態の何れであっても良い。水系エマルジョンにおいては、界面活性剤を用いることが好ましい。
界面活性剤については、上記ポリエーテル基含有シリコーン化合物において用いられるものと同様のものを用いることができる。中でも、硬化型シリコーン樹脂の分散性の点から、アニオン性界面活性剤やノニオン性界面活性剤が好ましい。
本発明で用いる硬化型シリコーン樹脂の種類には制限はないが、軽剥離性等、優れた離型特性の観点から、アルケニル基を含む硬化型シリコーン樹脂の使用が好ましい。アルケニル基を含む硬化型シリコーン樹脂は、ジオルガノポリシロキサンとして、下記一般式(1)で示されるものが例示できる。
(3-a)SiO-(RXSiO)m-(R2SiO)n-SiX(3-a)・・・(1)
一般式(1)において、Rは炭素数1~10の1価の炭化水素基であり、Xはアルケニル基含有の有機基である。aは0~3の整数で1が好ましく、mは0以上であるが、a=0の場合には、mは2以上である。mおよびnは、それぞれ100≦m+n≦20000を満たす数である。なお、上記式はブロック共重合体を意味している訳ではない。
Rは炭素数1~10の1価の炭化水素基であり、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などのアルキル基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基、フェニル基、トリル基などのアリール基などが挙げられるが、特にメチル基、フェニル基が好ましい。
Xはアルケニル基含有の有機基であり、炭素数2~10のものが好ましく、具体的にはビニル基、アリル基、ヘキセニル基、オクテニル基、アクリロイルプロピル基、アクリロイルメチル基、メタクリロイルプロピル基、シクロヘキセニルエチル基、ビニルオキシプロピル基等が挙げられるが、特にビニル基、ヘキセニル基などが好ましい。
アルケニル基を含む硬化型シリコーン樹脂を具体的に例示すると、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルヘキセニルシロキサン共重合体(ジメチルシロキサン単位96モル%、メチルヘキセニルシロキサン単位4モル%)、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルヘキセニルシロキサン共重合体(ジメチルシロキサン単位97モル%、メチルヘキセニルシロキサン単位3モル%)、分子鎖両末端ジメチルヘキセニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルヘキセニルシロキサン共重合体(ジメチルシロキサン単位95モル%、メチルヘキセニルシロキサン単位5モル%)が挙げられる。
硬化型シリコーン樹脂の数平均分子量は、50000以上が好ましく、中でも80000以上がより好ましく、100000以上がさらにより好ましく、150000以上が特に好ましい。他方、上記数平均分子量は、600000以下が好ましく、550000以下がより好ましく、500000以下がさらに好ましい。
離型層は、上記硬化型シリコーン樹脂と、硬化型シリコーン樹脂を硬化させる硬化剤とを含むシリコーン樹脂組成物を硬化してなる層であることが好ましい。硬化剤としては、SiH基を含有するポリオルガノシロキサンが挙げられる。
SiH基を含有するポリオルガノシロキサンは、アルケニル基を含む硬化型シリコーン樹脂と反応し、より強固なシリコーン離型層を形成することができる。SiH基を含有するポリオルガノシロキサンとして、1分子中にケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも2個、好ましくは3個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンであって、直鎖状、分岐状、環状のものなどを使用することができ、下記一般式(2)で表される化合物を挙げることができるが、これらには限定されない。
b1 (3-b)SiO-(HR1SiO)x-(R1 2SiO)y-SiR1 (3-b)b ・・・(2)
一般式(2)において、Rは炭素数1~6の脂肪族不飽和結合を含有しない、1価の炭化水素基である。bは0~3の整数、x,yはそれぞれ整数である。
具体的に例示すると、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体が挙げられる。
上記シリコーン樹脂組成物における、アルケニル基に対するSi-H基のモル比(Si-H基/アルケニル基)は、0.1~2.0であることが好ましく、0.3~2.0であることがより好ましく、0.3~1.8であることがさらに好ましい。
本発明に用いることが可能である、市販の様々なタイプのシリコーン樹脂の具体例を挙げると、信越化学工業(株)製として、KS-774、KS-775、KS-778、KS-779H、KS-847H、KS-856、X-62-2422、X-62-2461、X-62-1387、X-62-5039、X-62-5040、KNS-3051、X-62-1496、KNS320A、KNS316、X-62-1574A/B、X-62-7052、X-62-7028A/B、X-62-7619、X-62-7213、X-41-3035、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ製として、YSR-3022、TPR-6700、TPR-6720、TPR-6721、TPR6500、TPR6501、UV9300、UV9425、XS56-A2775、XS56-A2982、UV9430、TPR6600、TPR6604、TPR6605、東レ・ダウコ-ニング(株)製として、SRX357、SRX211、SD7220、SD7292、LTC750A、LTC760A、LTC303E、LTC856、LTC761、SP7259、BY24-468C、SP7248S、BY24-452、DKQ3-202、DKQ3-203、DKQ3-204、DKQ3-205、DKQ3-210、旭化成ワッカーシリコーン(株)製のDEHESIVEシリーズのうち、DEHESIVE 636、919、920、921、924、929等が例示される。
離型層は、付加型の反応を促進する白金系触媒を含むことが好ましい。したがって、上記シリコーン樹脂組成物は、さらに白金系触媒を含有することが好ましい。
白金系触媒としては、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール溶液、塩化白金酸とオレフィンとの錯体、塩化白金酸とアルケニルシロキサンとの錯体等の白金系化合物、白金黒、白金担持シリカ、白金担持活性炭を例示することができる。
離型層中の白金系触媒の含有量は特に限定されないが、例えば、0.01~10.0質量%、好ましくは0.01~5.0質量%の範囲が良い。
離型層中の白金系触媒含有量が0.01質量%以上であると、十分な剥離力が得られ、硬化反応が十分に進み、面状悪化などの不具合を生じることがない。一方、離型層中の白金系触媒含有量が3.0質量%以下であれば、コスト的に有利であることに加え、反応性が高まりゲル異物が発生する等の工程不具合が生じない。
付加型のシリコーン化合物は、非常に反応性が高いため、場合によっては、付加反応抑制剤として、アセチレンアルコールを添加してもよい。付加反応抑制剤としては、炭素-炭素3重結合と水酸基を有する有機化合物を例示することができ、好ましくは、3-メチル-1-ブチン-3-オール、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オールおよびフェニルブチノールからなる群から選択される少なくとも1種の化合物である。
離型層の剥離性等を調整するため、各種剥離コントロール剤を併用してもよい。剥離力を重剥離化させる場合は、一般的にオルガノポリシロキサンレジンやシリカ粒子、重剥離タイプのシリコーン種等を、所望の剥離力を得るために離型層に適当な含有量で加えて、調整を行うことができる。
市販されている重剥離化剤の具体例を挙げると、信越化学工業(株)製KS-3800、X-92-183、東レダウコーニング(株)製SDY7292、BY24-843、BY24-4980が例示される。
剥離力を軽剥離化させる場合は、低分子シロキサン化合物を種々選択し、離型層に対して、適当な含有量調整を行い、シロキサン移行成分が離型性能を発揮する様にする。
低分子シロキサン化合物の例としては、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等の低分子環状シロキサンが挙げられる。また、前記低分子環状シロキサンの他の化合物としては、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサンオリゴマー;分子鎖両末端ジメチルヒドロキシシロキシ基封鎖ジメチルシロキサンオリゴマー等を挙げることができる。これらの低分子シロキサン化合物は、必要に応じて混合して使用してもよい。
これら低分子シロキサン化合物は、移行成分としてシリコーン樹脂中に通常0.1~15.0質量%、好ましくは0.1~10.0質量%、より好ましくは0.1~5質量%含有させることで、所望の軽剥離を達成することができる。低分子シロキサン化合物の含有量が0.1質量%以上であると、移行性成分が十分であり、十分な離型性が発揮される。一方、低分子シロキサン化合物の含有量が15.0質量%以下であれば、移行性成分が過剰に析出することがなく、工程汚染の問題がない。
離型層には、本発明の離型フィルムとの塗膜密着性を良好とするために、下記一般式(3)で表される有機ケイ素化合物を併用することが好ましい。
Si(X)(Y)(R ・・・(3)
[上記式中、Xはエポキシ基、メルカプト基、(メタ)アクリロイル基、アルケニル基、ハロアルキル基およびアミノ基からなる群から選ばれる少なくとも1種を有する有機基であり、複数のXは同一であっても異なっていてもよく、Rは、炭素数1~10の一価の炭化水素基であり、Yは加水分解性基であり、複数のYは同一であっても異なっていてもよく、dは1または2の整数、eは2または3の整数、fは0または1の整数であり、d+e+f=4である。]
前記一般式(3)で表される有機ケイ素化合物としては、加水分解・縮合反応によりシロキサン結合を形成しうる加水分解性基Yを2個有するもの(D単位源)あるいは3個有するもの(T単位源)を使用することができる。
一般式(3)において、炭素数1~10の一価炭化水素基Rは、特にメチル基、エチル基、プロピル基が好ましい。
一般式(3)において、加水分解性基Yとしては、以下のものを例示できる。すなわち、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、イソプロペノキシ基、アセトキシ基、ブタノキシム基およびアミノ基等である。これらの加水分解性基は、単独で用いてもよいし、複数種を併用してもよい。中でも、コーティング材に良好な保存安定性を付与でき、また、適当な加水分解性を有するため、メトキシ基あるいはエトキシ基が特に好ましい。
離型層に含有する有機ケイ素化合物の具体例としては、ビニルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、5-ヘキセニルトリメトキシシラン、p-スチリルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジイソプロペノキシシラン等を例示することができる。
離型層における、有機ケイ素化合物の含有量は、硬化型シリコーン樹脂100質量部に対して、0.5~5.0質量部であるのがよく、好ましくは0.5~2.0質量部である。有機ケイ素化合物の含有量が0.5質量部以上であると、所望する密着性を確保することが容易にでき、一方、5.0質量部以下であると、貼り合わせる相手方樹脂層に対する接着性が強すぎることがなく、本来剥離する必要がある場面において、容易に剥離が可能である。
(ポリオレフィン)
離型層は剥離剤として、オレフィン樹脂系剥離剤を含有していてもよい。オレフィン樹脂系剥離剤としては、結晶性オレフィン系樹脂を用いることができる。この結晶性オレフィン系樹脂としては、ポリエチレンや結晶性ポリプロピレン系樹脂などが好適である。ポリエチレンとしては、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンなどを挙げることができる。結晶性ポリプロピレン系樹脂としては、アイソタクチック構造又はシンジオタクチック構造を有するプロピレン単独重合体や、プロピレン-α-オレフィン共重合体などを挙げることができる。これらの結晶性オレフィン系樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(ワックス)
離型層は、ワックスをさらに含んでいてもよい。
ワックスとは、天然ワックス、合成ワックス、それらの配合したワックスの中から選ばれたワックスである。
天然ワックスとは、植物系ワックス、動物系ワックス、鉱物系ワックス、石油ワックスである。植物系ワックスとしては、キャンデリラワックス、カルナバワックス、ライスワックス、木ロウ、ホホバ油等が挙げられる。動物系ワックスとしては、みつろう、ラノリン、鯨ロウ等が挙げられる。鉱物系ワックスとしてはモンタンワックス、オゾケライト、セレシン等が挙げられる。石油ワックスとしてはパラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタム等が挙げられる。
合成ワックスとしては、合成炭化水素、変性ワックス、水素化ワックス、脂肪酸、酸アミド、アミン、イミド、エステル、ケトン等が挙げられる。合成炭化水素としては、例えば、フィッシャー・トロプシュワックス(別名サゾールワックス)、ポリエチレンワックスが挙げられ、このほかに低分子量の高分子(具体的には数平均分子量500から20000の高分子)である以下のポリマー、すなわち、ポリプロピレン、エチレン・アクリル酸共重合体、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールのブロックまたはグラフト結合体等が挙げられる。変性ワックスとしてはモンタンワックス誘導体、パラフィンワックス誘導体、マイクロクリスタリンワックス誘導体等が挙げられる。ここでの誘導体とは、精製、酸化、エステル化、ケン化のいずれかの処理、またはそれらの組み合わせによって得られる化合物である。水素化ワックスとしては硬化ひまし油、および硬化ひまし油誘導体が挙げられる。
上記の中でも、特性が安定するという観点においては、合成ワックスが好ましく、中でもポリエチレンワックスがより好ましく、酸化ポリエチレンワックスがさらに好ましい。
合成ワックスの数平均分子量としては、ブロッキング等の特性の安定性、取扱い性の観点から、好ましくは500~30000、より好ましくは1000~15000、さらに好ましくは2000~8000の範囲である。
<架橋剤>
離型層の形成に際して、離型層を強固にする、及び撥水性などの性能を安定化させるために、各種の架橋剤を併用することが好ましい。特にポリエーテル基含有シリコーン化合物などと併用することが好ましい。
架橋剤としては、従来公知の材料を使用することができる。例えば、メラミン化合物、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、イソシアネート系化合物、カルボジイミド系化合物、シランカップリング化合物、ヒドラジド化合物、アジリジン化合物等が挙げられる。中でも、メラミン化合物、エポキシ化合物、イソシアネート系化合物、オキサゾリン化合物、カルボジイミド系化合物、シランカップリング化合物が好ましく、さらに、撥水性を適度に維持でき、離型層を強固にできるという観点からは、メラミン化合物、オキサゾリン化合物やイソシアネート系化合物が好ましく、特にメラミン化合物が好ましい。
これらの架橋剤は1種類でも良いし、2種類以上を併用しても良い。
メラミン化合物とは、化合物中にメラミン骨格を有する化合物のことであり、例えば、アルキロール化メラミン誘導体、アルキロール化メラミン誘導体にアルコールを反応させて部分的あるいは完全にエーテル化した化合物、およびこれらの混合物を用いることができる。エーテル化に用いるアルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブタノール、イソブタノール等が好適に用いられる。また、メラミン化合物としては、単量体、あるいは2量体以上の多量体のいずれであってもよく、あるいはこれらの混合物を用いてもよい。各種化合物との反応性を考慮すると、メラミン化合物中に水酸基を含有していることが好ましい。
さらに、メラミンの一部に尿素等を共縮合したものも使用できるし、メラミン化合物の反応性を上げるために触媒を使用することも可能である。
オキサゾリン化合物とは、分子内にオキサゾリン基を有する化合物であり、特にオキサゾリン基を含有する重合体が好ましく、付加重合性オキサゾリン基含有モノマー単独もしくは他のモノマーとの重合によって得ることができる。
付加重合性オキサゾリン基含有モノマーとしては、2-ビニル-2-オキサゾリン、2-ビニル-4-メチル-2-オキサゾリン、2-ビニル-5-メチル-2-オキサゾリン、2-イソプロペニル-2-オキサゾリン、2-イソプロペニル-4-メチル-2-オキサゾリン、2-イソプロペニル-5-エチル-2-オキサゾリン等を挙げることができ、これらのうちの1種を単独で、または2種以上を併用することができる。中でも2-イソプロペニル-2-オキサゾリンが工業的にも入手しやすく好適である。
他のモノマーは、付加重合性オキサゾリン基含有モノマーと共重合可能なモノマーであれば制限はない。例えばアルキル(メタ)アクリレート(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、2-エチルヘキシル基、シクロヘキシル基)等の(メタ)アクリル酸エステル類;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸、スチレンスルホン酸およびその塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、第三級アミン塩等)等の不飽和カルボン酸類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル類;(メタ)アクリルアミド、N-アルキル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジアルキル(メタ)アクリルアミド、(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、2-エチルヘキシル基、シクロヘキシル基等)等の不飽和アミド類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;エチレン、プロピレン等のα-オレフィン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル等の含ハロゲンα,β-不飽和モノマー類;スチレン、α-メチルスチレン、等のα,β-不飽和芳香族モノマー等を挙げることができ、これらのうちの1種を単独で、または2種以上のモノマーを併用することができる。
オキサゾリン化合物のオキサゾリン基量は、好ましくは0.5~10mmol/g、より好ましくは1~9mmol/g、さらに好ましくは3~8mmol/g、特に好ましくは4~6mmol/gの範囲である。上記範囲で使用することで、撥水性能の調整がしやすくなる。
イソシアネート系化合物とは、イソシアネート、あるいはブロックイソシアネートに代表されるイソシアネート誘導体構造を有する化合物のことである。
イソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、メチレンジフェニルジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート、α,α,α’,α’-テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香環を有する脂肪族イソシアネート、メチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族イソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、メチレンビス(4-シクロヘキシルイソシアネート)、イソプロピリデンジシクロヘキシルジイソシアネート等の脂環式イソシアネート等が例示される。また、これらイソシアネートのビュレット化物、イソシアヌレート化物、ウレトジオン化物、カルボジイミド変性体等の重合体や誘導体も挙げられる。これらは単独で用いても、複数種を併用してもよい。
上記イソシアネートの中でも、紫外線による黄変を避けるために、芳香族イソシアネートよりも脂肪族イソシアネートまたは脂環式イソシアネートがより好ましい。
ブロックイソシアネートの状態で使用する場合、そのブロック剤としては、例えば重亜硫酸塩類、フェノール、クレゾール、エチルフェノールなどのフェノール系化合物、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコール、ベンジルアルコール、メタノール、エタノールなどのアルコール系化合物、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、イソブタノイル酢酸メチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセチルアセトンなどの活性メチレン系化合物、ブチルメルカプタン、ドデシルメルカプタンなどのメルカプタン系化合物、ε‐カプロラクタム、δ‐バレロラクタムなどのラクタム系化合物、ジフェニルアニリン、アニリン、エチレンイミンなどのアミン系化合物、アセトアニリド、酢酸アミドなどの酸アミド化合物、ホルムアルデヒド、アセトアルドオキシム、アセトンオキシム、メチルエチルケトンオキシム、シクロヘキサノンオキシムなどのオキシム系化合物を挙げることができる。これらは単独で用いても、2種以上の併用であってもよい。中でも、特に粘着層の被着体への移行性の低減に効果的であるという観点から、活性メチレン系化合物によりブロックされたイソシアネート化合物であることが好ましい。
イソシアネート系化合物は単独で用いてもよいし、各種ポリマーとの混合物や結合物として用いてもよい。イソシアネート系化合物の分散性や架橋性を向上させるため、ポリエステル樹脂やウレタン樹脂との混合物や結合物を使用することが好ましい。
エポキシ化合物とは、分子内にエポキシ基を有する化合物であり、例えば、エピクロロヒドリンと、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、ビスフェノールA等の水酸基やアミノ基との縮合物が挙げられ、ポリエポキシ化合物、ジエポキシ化合物、モノエポキシ化合物、グリシジルアミン化合物等がある。
ポリエポキシ化合物としては、例えば、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、トリグリシジルトリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアネート、グリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテルが挙げられる。ジエポキシ化合物としては、例えば、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテルが挙げられる。モノエポキシ化合物としては、例えば、アリルグリシジルエーテル、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、グリシジルアミン化合物としてはN,N,N’,N’-テトラグリシジル-m-キシリレンジアミン、1,3-ビス(N,N-ジグリシジルアミノ)シクロヘキサン等が挙げられる。
中でも、種々の特性が良好であるという観点において、ポリエーテル系のエポキシ化合物が好ましい。またエポキシ基の量としては、2官能より、3官能以上の多官能であるポリエポキシ化合物が好ましい。
カルボジイミド系化合物とは、分子内にカルボジイミド、あるいはカルボジイミド誘導体構造を1つ以上有する化合物である。より良好な離型層の強度等のために、分子内に2つ以上有するポリカルボジイミド系化合物がより好ましい。
カルボジイミド系化合物は、従来公知の技術で合成することができ、一般的には、ジイソシアネート化合物の縮合反応により合成される。
ジイソシアネート化合物は特に限定されず、芳香族系、脂肪族系いずれも使用することができる。具体的には、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキサンジイルジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートなどが挙げられる。
さらに本発明の効果を損なわない範囲において、ポリカルボジイミド系化合物の水溶性や水分散性を向上させるために、界面活性剤や、ポリアルキレンオキシド、ジアルキルアミノアルコールの四級アンモニウム塩、ヒドロキシアルキルスルホン酸塩などの親水性モノマーを添加して用いてもよい。
シランカップリング化合物とは、1つの分子中に有機官能基とアルコキシ基などの加水分解基を有する有機ケイ素化合物である。例えば、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキシ基含有化合物、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランなどのビニル基含有化合物、p-スチリルトリメトキシシラン、p-スチリルトリエトキシシランなどのスチリル基含有化合物、3-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシランなどの(メタ)アクリル基含有化合物、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチルブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリエトキシシランなどのアミノ基含有化合物、トリス(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、トリス(トリエトキシシリルプロピル)イソシアヌレートなどのイソシアヌレート基含有化合物、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジエトキシシランなどのメルカプト基含有化合物などが挙げられる。
上記化合物の中でも離型層の強度の観点から、エポキシ基含有シランカップリング化合物、ビニル基や(メタ)アクリル基などの二重結合含有シランカップリング化合物、アミノ基含有シランカップリング化合物がより好ましい。
なお、これら架橋剤は、乾燥過程や、製膜過程において、反応させて離型層の性能を向上させる設計で用いられるため、形成された離型層中には、これら架橋剤の未反応物、反応後の化合物、あるいはそれらの混合物が存在しているものと推測できる。
<各種ポリマー>
離型層の形成には、塗布外観や透明性の向上、撥水性や滑り性のコントロールのために、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ビニル樹脂等の各種のポリマーを使用することも可能である。各種のポリマーの中でも撥水性をコントロールしやすいという観点からポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ビニル樹脂が好ましく、ポリエステル樹脂やアクリル樹脂がより好ましい。
ポリエステル樹脂とは、主な構成成分として例えば、下記のような多価カルボン酸および多価ヒドロキシ化合物からなるものが挙げられる。すなわち、多価カルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、フタル酸、4,4’-ジフェニルジカルボン酸、2,5-ナフタレンジカルボン酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸および、2,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、2-カリウムスルホテレフタル酸、5-ソジウムスルホイソフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、グルタル酸、コハク酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、無水トリメリット酸、無水フタル酸、p-ヒドロキシ安息香酸、トリメリット酸モノカリウム塩およびそれらのエステル形成性誘導体などを用いることができ、多価ヒドロキシ化合物としては、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,3-プロパンジオ-ル、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオ-ル、2-メチル-1,5-ペンタンジオ-ル、ネオペンチルグリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノ-ル、p-キシリレングリコ-ル、ビスフェノ-ルA-エチレングリコ-ル付加物、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコ-ル、ポリプロピレングリコ-ル、ポリテトラメチレングリコ-ル、ポリテトラメチレンオキシドグリコ-ル、ジメチロ-ルプロピオン酸、グリセリン、トリメチロ-ルプロパン、ジメチロ-ルエチルスルホン酸ナトリウム、ジメチロ-ルプロピオン酸カリウムなどを用いることができる。これらの化合物の中から、それぞれ適宜1つ以上を選択し、常法の重縮合反応によりポリエステル樹脂を合成すればよい。
アクリル樹脂とは、アクリル系、メタクリル系のモノマーを含む重合性モノマーからなる重合体である(以下、アクリルおよびメタクリルを合わせて(メタ)アクリルと略記する場合がある)。これらは、単独重合体あるいは共重合体、さらにはアクリル系、メタクリル系のモノマー以外の重合性モノマーとの共重合体のいずれでも差し支えない。
また、上記重合体と他のポリマー(例えばポリエステル、ポリウレタン等)との共重合体も含まれる。例えば、ブロック共重合体、グラフト共重合体である。あるいは、ポリエステル溶液、またはポリエステル分散液中で重合性モノマーを重合して得られたポリマー(場合によってはポリマーの混合物)も含まれる。同様にポリウレタン溶液、ポリウレタン分散液中で重合性モノマーを重合して得られたポリマー(場合によってはポリマーの混合物)も含まれる。同様に、他のポリマー溶液、または分散液中で重合性モノマーを重合して得られたポリマー(場合によってはポリマー混合物)も含まれる。
上記重合性モノマーとしては、特に限定はしないが、代表的な化合物としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸のような各種カルボキシル基含有モノマー類、およびそれらの塩;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、モノブチルヒドロキルフマレート、モノブチルヒドロキシイタコネートのような各種の水酸基含有モノマー類;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルへキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレートのような各種の(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N-メチロールアクリルアミドまたは(メタ)アクリロニトリル等のような種々の窒素含有化合物;スチレン、α-メチルスチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエンのような各種スチレン誘導体、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニルのような各種のビニルエステル類;γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のような種々の珪素含有重合性モノマー類;燐含有ビニル系モノマー類;塩化ビニル、塩化ビリデンのような各種のハロゲン化ビニル類;ブタジエンのような各種共役ジエン類が挙げられる。
ウレタン樹脂とは、ウレタン結合を分子内に有する高分子化合物のことである。通常ウレタン樹脂は、ポリオールとイソシアネートの反応により得ることができる。
ポリオールとしては、ポリカーボネートポリオール類、ポリエステルポリオール類、ポリエーテルポリオール類、ポリオレフィンポリオール類、アクリルポリオール類が挙げられ、これらの化合物は単独で用いても、複数種用いてもよい。
ポリカーボネートポリオール類は、多価アルコール類とカーボネート化合物とから、脱アルコール反応によって得られる。多価アルコール類としては、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、ネオペンチルグリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、3,3-ジメチロールヘプタン等が挙げられる。カーボネート化合物としては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネート等が挙げられる。
これらの反応から得られるポリカーボネート系ポリオール類としては、例えば、ポリ(1,6-ヘキシレン)カーボネート、ポリ(3-メチル-1,5-ペンチレン)カーボネート等が挙げられる。
ポリエステルポリオール類としては、多価カルボン酸(マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等)またはそれらの酸無水物と多価アルコール(エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、2-メチル-2-プロピル-1,3-プロパンジオール、1,8-オクタンジオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、2,5-ジメチル-2,5-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、2-ブチル-2-ヘキシル-1,3-プロパンジオール、シクロヘキサンジオール、ビスヒドロキシメチルシクロヘキサン、ジメタノールベンゼン、ビスヒドロキシエトキシベンゼン、アルキルジアルカノールアミン、ラクトンジオール等)の反応から得られるものが挙げられる。
ポリエーテルポリオール類としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレンプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリヘキサメチレンエーテルグリコール等が挙げられる。
ウレタン樹脂を得るために使用されるポリイソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、メチレンジフェニルジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、α,α,α’,α’-テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香環を有する脂肪族ジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソプロピリデンジシクロヘキシルジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート等が例示される。これらは単独で用いても、複数種を併用してもよい。
ウレタン樹脂を合成する際に鎖延長剤を使用しても良く、鎖延長剤としては、イソシアネート基と反応する活性基を2個以上有するものであれば特に制限はなく、一般的には、水酸基またはアミノ基を2個有する鎖延長剤を主に用いることができる。
水酸基を2個有する鎖延長剤としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール等の脂肪族グリコール、キシリレングリコール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン等の芳香族グリコール、ネオペンチルグリコールヒドロキシピバレート等のエステルグリコールといったグリコール類を挙げることができる。また、アミノ基を2個有する鎖延長剤としては、例えば、トリレンジアミン、キシリレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン等の芳香族ジアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサンジアミン、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジアミン、2-メチル-1,5-ペンタンジアミン、トリメチルヘキサンジアミン、2-ブチル-2-エチル-1,5-ペンタンジアミン、1,8-オクタンジアミン、1,9-ノナンジアミン、1,10-デカンジアミン等の脂肪族ジアミン、1-アミノ-3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタンジアミン、イソプロピリデンシクロヘキシル-4,4’-ジアミン、1,4-ジアミノシクロヘキサン、1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサン等の脂環式ジアミン等が挙げられる。
ウレタン樹脂は、有機溶剤を媒体とするものであってもよいが、好ましくは水を媒体とするものである。ウレタン樹脂を水に分散または溶解させるには、乳化剤を用いる強制乳化型、ウレタン樹脂中に親水性基を導入する自己乳化型あるいは水溶型等がある。特に、ウレタン樹脂の構造中にイオン基を導入し、アイオノマー化した自己乳化タイプが、液の貯蔵安定性や得られる離型層の耐水性、透明性に優れており好ましい。
導入するイオン基としては、カルボキシル基、スルホン酸、リン酸、ホスホン酸、第4級アンモニウム塩等、種々のものが挙げられるが、カルボキシル基が好ましい。
ウレタン樹脂にカルボキシル基を導入する方法としては、重合反応の各段階の中で種々の方法が取り得る。例えば、プレポリマー合成時に、カルボキシル基を持つ樹脂を共重合成分として用いる方法や、ポリオールやポリイソシアネート、鎖延長剤などの一成分としてカルボキシル基を持つ成分を用いる方法がある。特に、カルボキシル基含有ジオールを用いて、この成分の仕込み量によって、所望の量のカルボキシル基を導入する方法が好ましい。
例えば、ウレタン樹脂の重合に用いるジオールに対して、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、ビス-(2-ヒドロキシエチル)プロピオン酸、ビス-(2-ヒドロキシエチル)ブタン酸等を共重合させることができる。また、上記のカルボキシル基はアンモニア、アミン、アルカリ金属類、無機アルカリ類等で中和した塩の形にするのが好ましい。特に好ましいものは、アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミンである。
かかるポリウレタン樹脂は、塗布後の乾燥工程において中和剤が外れたカルボキシル基を、他の架橋剤による架橋反応点として用いることができる。そのため、塗布前の液の状態での安定性に優れる上、得られる離型層の耐久性、耐溶剤性、耐水性、耐ブロッキング性等をさらに改善することが可能となる。
<帯電防止剤>
離型層中に帯電防止剤を含有させ、帯電防止離型層として、フィルムの剥離帯電や摩擦帯電による周囲のゴミなどの付着等による欠陥を防止することも好ましい形態である。
離型層に含有する帯電防止剤としては、特に制限はなく、従来公知の帯電防止剤を使用することが可能である。耐熱性、耐湿熱性が良好であることから、高分子タイプの帯電防止剤を使用することが好ましい。
高分子タイプの帯電防止剤としては、例えば、アンモニウム基を有する化合物、ポリエーテル化合物、スルホン酸基を有する化合物、ベタイン化合物、導電ポリマー等が挙げられる。
アンモニウム基を有する化合物とは、分子内にアンモニウム基を有する化合物であり、脂肪族アミン、脂環式アミンや芳香族アミンのアンモニウム化物等が挙げられる。アンモニウム基を有する化合物は、アンモニウム基を有する高分子化合物であることが好ましく、当該アンモニウム基は、カウンターイオンとしてではなく、高分子の主鎖や側鎖中に組み込まれている構造であることが好ましい。例えば、付加重合性のアンモニウム基またはアミン等のアンモニウム基の前駆体を含有するモノマーを重合することにより得られる、アンモニウム基を有する高分子化合物が挙げられ、好適に用いられる。重合体は、付加重合性のアンモニウム基またはアミン等のアンモニウム基の前駆体を含有するモノマーを単独で重合してもよいし、これらを含有するモノマーと他のモノマーとの共重合体であってもよい。
アンモニウム基を有する高分子化合物の中でも、帯電防止性、耐熱安定性が優れているという点で、ピロリジニウム環を有する高分子化合物も好ましい。
ピロリジニウム環を有する高分子化合物の、窒素原子に結合している2つの置換基は、特に限定されないが、それぞれ独立してアルキル基、フェニル基等であり、これらのアルキル基、フェニル基が以下に示す基で置換されていてもよい。置換可能な基は、例えば、ヒドロキシル基、アミド基、エステル基、アルコキシ基、フェノキシ基、ナフトキシ基、チオアルコキシ、チオフェノキシ基、シクロアルキル基、トリアルキルアンモニウムアルキル基、シアノ基、ハロゲンである。また、窒素原子に結合している2つの置換基は化学的に結合していてもよく、例えば、-(CH2m-(m=2~5の整数)、-CH(CH3)CH(CH3)-、-CH=CH-CH=CH-、-CH=CH-CH=N-、-CH=CH-N=CH-、-CH2OCH2-、-(CH22O(CH22-などが挙げられる。
ピロリジニウム環を有するポリマーは、ジアリルアミン誘導体を、ラジカル重合触媒を用いて環化重合させることにより得られる。重合は、溶媒として水あるいはメタノール、エタノール、イソプロパノール、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジオキサン、アセトニトリルなどの極性溶媒中で、過酸化水素、ベンゾイルパーオキサイド、第3級ブチルパーオキサイド等の重合開始剤を用いて、公知の方法で実施できるが、これらに限定されない。
本発明においては、ジアリルアミン誘導体と、重合性を有する炭素-炭素不飽和結合を有する化合物とを共重合成分としてもよい。
アンモニウム基を有する高分子化合物は、帯電防止性および耐湿熱安定性に優れるという点で、下記一般式(4)の構造を有する高分子であることも好ましい。単独の重合体や共重合体、さらには、その他の複数の成分を共重合していてもよい。
例えば、上記式(4)中において、Rは水素原子または炭素数が1~20のアルキル基、フェニル基等の炭化水素基を示し、Rは-O-、-NH-または-S-を示し、Rは炭素数1~20のアルキレン基または一般式(4)の構造を成立しうるその他の構造を示し、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~20のアルキル基、フェニル基等の炭化水素基、またはヒドロキシアルキル基等の官能基が付与された炭化水素基、X-は各種のカウンターイオンを示す。
上記の中でも、特に帯電防止性や耐湿熱安定性に優れるという観点において、一般式(4)中で、Rは水素原子または炭素数が1~6のアルキル基であることが好ましく、Rは炭素数が1~6のアルキレン基であることが好ましく、R、R、Rはそれぞれ独立して、水素原子または炭素数1~6のアルキル基であることが好ましく、R、R、Rのいずれか1つは水素原子であり、他の置換基が炭素数1~4のアルキル基であることがより好ましい。
上述したアンモニウム基を有する高分子化合物のアンモニウム基の、対イオン(カウンターイオン)となるアニオンとしては例えば、ハロゲンイオン、スルホナート、ホスファート、ニトラート、アルキルスルホナート、カルボキシラート等のイオンが挙げられる。
アンモニウム基を有する高分子化合物の数平均分子量は、特に限定されないが、通常1000~500000、好ましくは2000~350000、より好ましくは5000~200000である。上記分子量が1000以上であると、塗膜の強度が十分となり、耐熱安定性が維持される。また、分子量が500000以下であると、塗布液の粘度が低くなり、取扱い性や塗布性が良好である。
ポリエーテル化合物としては、例えば、ポリエチレンオキシド、ポリエーテルエステルアミド、ポリエチレングリコールを側鎖に有するアクリル樹脂等が挙げられる。
スルホン酸基を有する化合物とは、分子内にスルホン酸あるいはスルホン酸塩を含有する化合物のことであり、例えば、ポリスチレンスルホン酸等、スルホン酸あるいはスルホン酸塩が多量に存在する化合物が好適に用いられる。
ベタイン化合物としては、4級アンモニウム塩を挙げることができる。例えば、アルキルカルボベタイン、アルキルスルホベタイン、アルキルアミドヒドロキシスルホベタイン、アルキルアミドアミン型ベタイン、アルキルイミダゾリン型ベタイン等が挙げられる。中でも、アルキルスルホベタインが好ましい。
導電ポリマーとしては、例えば、ポリチオフェン系、ポリアニリン系、ポリピロール系、ポリアセチレン系等が挙げられる。中でも、例えば、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)をポリスチレンスルホン酸と併用するような、ポリチオフェン系が好適に用いられる。
導電ポリマーは抵抗値が低くなるという点において、上述の他の帯電防止剤に比べて好適である。しかしながらその一方で、着色やコストが気になる用途では使用量を低減するなどの工夫が必要となってくる。
さらに本発明の主旨を損なわない範囲において、離型層には必要に応じて消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、有機系潤滑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、発泡剤、染料、顔料等を併用することも可能である。
<離型剤の割合>
離型層中、離型剤の割合は特に限定されず、かつ、離型剤の種類により適量が異なるが、好ましくは3質量%以上、より好ましくは15質量%以上であり、上限は特に限定されないが、100質量%である。中でも、離型剤の割合は、好ましくは25~99質量%の範囲である。離型剤の割合が3質量%以上であると、十分な撥水性が得られる。
離型剤として、長鎖アルキル基含有化合物やフッ素化合物を使用する場合、離型層中での割合は、好ましくは5質量%以上であり、より好ましくは15~99質量%、さらに好ましくは20~95質量%、特に好ましくは25~90質量%の範囲である。上記離型剤の割合が上記範囲となることで、撥水性や粘着層との剥離性が効果的なものとなる。
また、離型層における架橋剤の割合は、好ましくは95質量%以下、より好ましくは1~80質量%、さらに好ましくは5~70質量%、特に好ましくは10~50質量%の範囲である。架橋剤としては、メラミン化合物やオキサゾリン化合物やイソシアネート系化合物が好ましく、特にメラミン化合物が撥水性や離型層の強度の観点から好ましい。
離型剤として、付加型のシリコーン化合物を使用する場合、離型層中での割合は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは25質量%以上、さらに好ましくは50質量%以上、特に好ましくは70質量%以上である。好ましい範囲の上限としては、99質量%、より好ましい上限は90質量%である。上記離型剤の割合が上記範囲となることで、撥水性や粘着層との剥離性が効果的なものとなり、また、離型層の外観も良好なものとなる。
離型剤として、ポリエーテル基含有シリコーンを使用する場合、離型層中での割合は、好ましくは、5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは25質量%以上、特に好ましくは40質量%以上である。好ましい範囲の上限としては、99質量%、より好ましい上限は80質量%であり、さらに好ましい上限としては70質量%である。上記離型剤の割合が上記範囲となることで、撥水性や粘着層との剥離性が効果的なものとなり、また離型層の外観も良好なものとなる。
架橋剤の割合は、好ましくは90質量%以下、より好ましくは10~70質量%、さらに好ましくは20~40質量%の範囲である。
離型剤として、ワックスを使用する場合、離型層中での割合は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10~90質量%、さらに好ましくは20~80質量%、特に好ましくは25~70質量%の範囲である。上記範囲で使用することで、撥水性が良好なものとなる。
架橋剤の割合は、好ましくは90質量%以下、より好ましくは10~70質量%、さらに好ましくは20~50質量%の範囲である。また、架橋剤としては、メラミン化合物が撥水性や離型層の強度の観点から好ましい。
<帯電防止剤の割合>
離型層として帯電防止性能を有する帯電防止離型層を設ける場合、帯電防止剤の割合は、帯電防止剤の種類により適量が異なるが、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは3~90質量%、さらに好ましくは5~70質量%の範囲、特に好ましくは8~60質量%の範囲である。
帯電防止剤として、導電ポリマー以外の帯電防止剤を使用する場合、帯電防止離型層中での割合は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10~90質量%、さらに好ましくは20~70質量%の範囲、特に好ましくは25~60質量%の範囲である。
帯電防止剤として、導電ポリマーを使用する場合、帯電防止離型層中での割合は、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは3~70質量%、さらに好ましくは5~50質量%、特に好ましくは8~30質量%の範囲である。
離型層中の各成分の分析は、例えば、TOF-SIMS、ESCA、蛍光X線、IR等の分析によって行うことができる。
一方、オフラインコートにより離型層を設ける場合の一例として、硬化型シリコーン樹脂を用いた場合について説明する。
硬化型シリコーン樹脂の種類としては、上述のように、付加型・縮合型等の熱硬化型や紫外線硬化型等の電子線硬化型等、既存の何れの硬化反応タイプでも用いることができ、これらは単独で用いても、複数種の硬化型シリコーン樹脂を併用して使用しても良い。離型層を形成する際の硬化型シリコーン樹脂の塗工形態にも特に制限は無く、有機溶剤に溶解している形態、水系エマルジョンの形態、無溶剤の形態の何れであっても良い。
離型層の形成に関して、上述の一連の化合物を溶液または溶媒の分散体として、固形分濃度が0.1~80質量%程度を目安に調整した液をフィルム上にコーティングする要領にて製造することが好ましい。
<離型層の形成方法>
離型層の形成方法としては、例えば、コーティング、転写、ラミネート等の方法が挙げられる。離型層の形成のしやすさを考慮するとコーティングにより形成することが好ましい。
コーティングは、インラインで行ってもよいし、一旦製造したフィルムに系外でコーティングする、オフラインで行ってもよく、また、これらを両方組み合わせてコーティングをおこなってもよい。
コーティング方法としては、例えば、グラビアコート、リバースロールコート、ダイコート、エアドクターコート、ブレードコート、ロッドコート、バーコート、カーテンコート、ナイフコート、トランスファロールコート、スクイズコート、含浸コート、キスコート、スプレーコート、カレンダコート、押出コート等、従来公知のコーティング方式を用いることができる。
フィルム上に離型層を形成する際の乾燥および硬化条件に関しては特に限定されない。コーティングによる方法の場合、コーティング液に使用している水等の溶媒の乾燥に関しては、好ましくは70~150℃、より好ましくは80~130℃、さらに好ましくは90~120℃の範囲である。乾燥の時間としては、目安として3~200秒、好ましくは5~120秒の範囲である。
必要に応じて熱処理と紫外線照射等の活性エネルギー線照射とを併用してもよい。離型層を形成する離型フィルムの面にはあらかじめ、コロナ処理、プラズマ処理等の表面処理を施してもよい。
本発明の離型フィルムは、離型層表面に粘着層を有するものであってもよい。かかる粘着層の設け方としては特に制限はないが、離型性の基材の上に設けた粘着層を、離型層に貼り合わせる方法や、粘着層成分を含有する塗布液を直接離型層に塗布する方法等がある。
離型性の基材から貼りあわせる方法では、貼りあわせる際に気泡やシワが入る点に注意が必要であるが、最終製品である粘着フィルムに対して、熱などの工程が加わらないという利点がある。直接に塗布する方法は、粘着層を設ける際に、乾燥や硬化のためにフィルムに熱がかかるため、フィルムの収縮率の変化などを考慮する必要がある場合があるが、得られる粘着層に離型フィルムの表面形状が転写しやすい利点もある。一般的には、最終製品の構成や目的に応じ、適宜選び得る。
[離型層表面の平均表面粗さ(算術平均高さ;Sa)]
本発明の離型フィルムの離型層表面の算術平均高さ(Sa)は、0.5μm以上であることを要する。算術平均高さ(Sa)が0.5μm未満であると、被着体に貼り合わせる際に、水抜き又は泡抜き、あるいは本発明の離型フィルムが粘着層を備える態様における、被着体との貼合わせ時のエア抜きが不十分となる。
以上の観点から、離型層表面の算術平均高さ(Sa)は、1.0μm以上であることがさらに好ましい。一方、凹凸部破損・脱落の観点から、算術平均高さ(Sa)は、6.0μm以下であることが好ましい。
なお、算術平均高さ(Sa、ISO 25178表面性状)は、Ra(線の算術平均高さ)を面に拡張したパラメータであり、表面の平均面に対して、各点の高さの差の絶対値の平均を表す数値である。
[底部面積率]
底部面積率について、図7を用いて詳細に説明する。
底部面積率は、図7に示すように高さのヒストグラムにおいて、低い側から最初に300画素を超えた高さ(図7のA地点)、これに+1.5μmした高さ(図7のB地点)より低い高さの画素数を全画素数で割って百分率にした指標である。離型フィルムの底部は転写した粘着剤の接地面積となるため、小さい方が空気抜けに有利と考えられる。
底部面積率は離型フィルムの凹凸を粘着剤層表面に転写した後の平坦部の接触面積と相関があり、本発明の離型フィルムにおいては、27%以下であることが特徴である。底部面積率が27%を超えると空気抜け効果が得られない。以上の観点から、底部面積率は、好ましくは20%以下、さらに好ましくは15%以下、その中でも特に10%以下がよい。底部面積率の下限値については、特に制限はないが、凹凸賦型の観点から、1%以上であることが好ましい。
底部面積率は、レーザー顕微鏡により得られた645μm×646μmの領域の高さ画像の画素の高さのヒストグラムを0.050μm刻み(例えば高さ0.000μmの画素数は-0.025μm以上、+0.025μm未満の画素数の和を意味する。)で作成し、ヒストグラムにおける、高さの低い側から最初に300画素(全画素数の0.02861%)を超えた高さに1.5μmを足した高さより低い領域の高さの画素数の和を全画素数で割って百分率にした指標である。離型フィルムの底部は転写した粘着剤の接地面積となるため、小さい方が空気抜けに有利と考えられる。
[最短の自己相間距離(Sal)]
最短の自己相間距離(Sal)とは、画像処理においては、画像それ自身の座標をずらした画像とどれだけ良く整合するかを測る尺度であり、Sal値が大きい場合には、表面が緩やかな形状であり、小さい場合には急峻な表面形状を有することを示す指標である。Salが大きいと、表面形状のサイズが大きくなり、表面形状を目視で視認できるようになるため、外観が悪くなる。以上の観点から、Salは25μm以下が好ましくは、さらに好ましくは20μm以下、特に好ましくは15μm以下がよい。Salの下限値については、特に制限はないが、きめ細かい表面形状を得る観点から、1μm以上であることが好ましい。
なお、自己相間距離(Sal)はISO25178に準拠して測定することができる。
[表面性状のアスペクト比(Str)]
表面性状のアスペクト比(Str)は、自己相間距離(Sal)が0.2に減衰する横方向の最短距離と最長距離の比率を示す。Strは0~1の値を示し、表面形状の異方性を表す指標である。異方性が強いと、剥離特性に異方性が発生したり、表面形状を視認しやすくなる。
Strが0.5を超える場合には、強い等方性を示す。一方、Strが0.3未満の場合には強い異方性を示す。Strは、表面形状に関して、規則性の有無を評価する指標である。
Strは0.5以上が好ましくは、さらに好ましくは0.7以上、その中でも特に0.9以上がよい。
[透明度]
透明度は3%以下が好ましく、さらに好ましくは2%以下、その中でも特に好ましくは1%以下である。透明度が前記上限値以下であることにより、きめ細やかでムラの少ない均一な外観となり、また単枚で見たときにフィルムの反対側の物体を視認できなくなる(遮蔽性)。
[フィルムヘーズ]
フィルムヘーズは78%以上が好ましく、さらに好ましくは80%以上である。前記下限値以上であることにより、外観による離型フィルムの識別が可能となる。従来のように、着色のために多量の粒子を練り込む必要もないので粒子脱落のリスクもなく、また、着色層を別に設ける必要もないので、自動車塗装保護用、ラッピング用、加飾用、光学用に加えて、食品用途など、識別あるいは外観を重視する用途への適用範囲もさらに広がる利点を有する。
本離型フィルムは前述の透明度とフィルムヘーズとを両立することにより、遠くから離型フィルムを視認すると白濁したフィルムに見えながら、それでいて、粘着層と貼合すると適度な透明性を有するという、異質な作用効果(光学特性)を有することが特徴でもある。身近な素材で例えるならば、製図に使用するトレーシングペーパーの特性に近い状態をフィルムで再現したものと言える。
[空気抜け指数]
本離型フィルムの形状を転写したレプリカフィルム表面の空気抜け指数は、好ましくは5000秒以下、より好ましくは3000秒以下、さらに好ましくは2000秒以下、特に好ましくは700秒以下である。
空気抜け指数が上限値以下を示すことは、被着体への貼り付け時、隙間からすばやく空気が抜ける形状であることを示している。
本発明においては、上記空気抜け指数の下限は特に限定されないが、例えば、20秒以上、好ましくは30秒以上である。空気抜け指数の下限が上記下限値以上となることで、例えば、加工工程中に、凹凸部破損・脱落を抑制することができる。
なお、空気抜け指数は、実施例に記載の方法により測定することができる。
<粘着層>
本発明の離型フィルムは粘着層を保護するためのフィルムとして好適に用いることができる。該粘着層としては、シリコーン系粘着層、アクリル系粘着層、及びウレタン系粘着層の何れかであることが好ましい。
(シリコーン系粘着層)
シリコーン系粘着層は、以下に記載するシリコーン系粘着剤を用いて、形成することができる。
シリコーン系粘着層を構成するシリコーン系粘着剤は、シリコーンを主成分樹脂とする粘着剤であればよい。
ここで、「主成分樹脂」とは、粘着剤を構成する樹脂の中で最も含有割合(質量)の大きな樹脂の意味である。特に限定されないが、例えば粘着剤を構成する樹脂のうちの50質量%以上、特に70質量%以上、中でも80質量%以上(100質量%を含む)を占める樹脂である。
シリコーン系粘着剤としては、例えば付加反応型、過酸化物硬化型又は縮合反応型のシリコーン粘着剤等を挙げることができる。中でも、低温かつ短時間で硬化可能という観点から、付加反応型シリコーン粘着剤が好ましい。なお、付加反応型シリコーン粘着剤は、支持体上に粘着層を形成する際に硬化するものである。シリコーン系粘着剤として、付加反応型シリコーン粘着剤を用いる場合、前記シリコーン系粘着剤は白金触媒等の触媒を含んでいてもよい。
例えば、付加反応型シリコーン粘着剤は、必要に応じて、トルエン等の溶剤で希釈したシリコーン樹脂溶液に、白金触媒等の触媒を添加して均一になるよう撹拌した後、支持体上に塗布し、100~130℃にて1~5分で硬化させることができる。また、必要に応じて、付加反応型シリコーン粘着剤に、架橋剤や、粘着力を制御するための添加剤を加えてもよい。あるいは、粘着層の形成前に基材フィルムにプライマー処理を施してもよい。
付加反応型シリコーン粘着剤に用いるシリコーン樹脂の市販品としては、例えば、SD4580PSA、SD4584PSA、SD4585PSA、SD4587LPSA、SD4560PSA、SD4570PSA、SD4600FCPSA、SD4593PSA、DC7651ADHESIVE、DC7652ADHESIVE、LTC-755、LTC-310(いずれも東レ・ダウコーニング社製)、KR-3700、KR-3701、KR-3704、X-40-3237-1、X-40-3240、X-40-3291-1、X-40-3229、X-40-3323、X-40-3306、X-40-3270-1(いずれも信越化学工業株式会社製)、AS-PSA001、AS-PSA002、AS-PSA003、AS-PSA004、AS-PSA005、AS-PSA012、AS-PSA014、PSA-7465(いずれも荒川化学工業株式会社製)、TSR1512、TSR1516、TSR1521(いずれもモメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)等を挙げることができる。
(アクリル系粘着層)
アクリル系粘着層は、以下に記載するアクリル系粘着剤を用いて、形成することができる。
アクリル系粘着層を構成するアクリル系粘着剤は、(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体を主成分樹脂として含む粘着剤であればよい。「主成分樹脂」の意味は上記した通りである。
上記アクリル系粘着剤は、(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体の他に、必要に応じて、光重合開始剤、架橋剤、シランカップリング剤、及びその他の材料をさらに含有する粘着剤組成物から形成することができる。
アクリル系粘着層は、従来公知の粘着剤組成物から形成することができ、例えば、特開2019-210446号公報等に記載された粘着剤組成物を用いてもよい。
(ウレタン系粘着層)
ウレタン系粘着層は、以下に記載するウレタン系粘着剤を用いて、形成することができる。
ウレタン系粘着層を構成するウレタン系粘着剤は、ウレタン系ベースポリマーを主成分樹脂として含む粘着剤であればよい。「主成分樹脂」の意味は上記した通りである。
ウレタン系粘着剤のウレタン系ベースポリマーとしては、ポリオールとポリイソシアネート化合物との反応物を用いることができる。
ポリオール成分としては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、カプロラクトンポリオール等の高分子タイプのポリオールが例示される。これらのポリオール成分は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
ポリイソシアネート化合物としては、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、および芳香族ポリイソシアネートが例示される。これらのポリイソシアネート化合物は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
(粘着層の厚み)
粘着層の厚み(乾燥後)は、好ましくは1~100μm、より好ましくは5~80μm、更に好ましくは10~60μm、特に好ましくは20~50μmである。
上記下限値以上であると、十分な粘着力が得られ、上記上限値以下であると、取り扱いが容易である。
(粘着層付き離型フィルムの総厚み)
本発明において、粘着層付き離型フィルムの総厚みは、取り扱い性の観点から、好ましくは500μm以下、より好ましくは40μm以上350μm以下、更に好ましくは40μm以上200μm以下、更に好ましくは50μm以上150μm以下である。
[フィルム積層体]
本発明の一態様においては、上記離型フィルム表面に粘着層を備えるフィルム積層体を提供する。該フィルム積層体は、基材フィルム(A)/硬化性樹脂層(x)/離型層(y)/粘着層の構成を基本的に有する。基材フィルム、硬化樹脂層、離型層および粘着層に関しては、上述の通りである。
<フィルム積層体の製造方法>
本発明のフィルム積層体の製造方法は特に限定されないが、例えば、本発明の離型フィルムの離型層上に粘着層を形成後、基材フィルム(B)を貼合することで、フィルム積層体を製造することができる。その際、離型フィルム表面の凹凸形状を粘着層表面に転写させることができる。
<用途>
本発明の離型フィルムおよびフィルム積層体は、離型層が有する凹凸形状を利用して、加飾用、光学用、食品用など、各種転写用途に好適に用いることができる。例えば、自動車塗装保護を目的とした、PPF(ペイントプロテクションフィルム)として有用である。また、自動車、トラック、電車、飛行機などに印刷を施した粘着フィルムをラッピングする用途であるラッピングフィルムとしても有用である。本発明の離型フィルムおよびフィルム積層体によれば、上述のような大面積の粘着フィルムを被着体に貼合する場合であっても、施工性が良好であり、被着体に容易にかつ均一に貼合することが可能である。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。また、本発明で用いた測定法および評価方法は次のとおりである。
(1)ポリエステルの固有粘度の測定方法
ポリエステルに非相溶な成分を除去したポリエステル1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(質量比)の混合溶媒100mlを加えて溶解させ、30℃で測定した。
(2)粒子の平均粒径(d50:μm)の測定方法
遠心沈降式粒度分布測定装置(株式会社島津製作所製SA-CP3型)を使用して測定した等価球形分布における積算(質量基準)50%の値を平均粒径とした。
(3)数平均分子量及び重量平均分子量の測定方法
GPC(東ソー株式会社製 HLC-8120GPC)を用いて、以下の条件にて測定した。
測定条件:TOSOH TSK-GEL GHXL-L,G4000HXL,G2000HXL
溶媒:テトラヒドロフラン(THF)
カラム温度:40℃
流速:1.0ml/分
検出器:RI(示差屈折率検出器)
注入濃度:0.2w/v%
注入量:0.1ml
数平均分子量及び重量平均分子量はポリスチレン換算で算出した。
(4)表面粗さ(Sa)、(Sal)、(Str)の測定
レーザー顕微鏡(オリンパス株式会社 OLS4000)を用いて、離型フィルム(サンプル)表面において、対物レンズ20倍で645μm×646μm(1024×1024画素)の領域における表面の凹凸形状を測定した。測定した高さ画像は付属ソフトにより補正および解析を行った。「傾き補正(自動)」を実施し、Sa、Sal、Strを算出した。
なお、該表面粗さの測定方法として一般に用いられる白色干渉計を用いた測定では急峻な斜面を十分に測定できないことがあり、本測定には適さない。
(5)底部面積率
レーザー顕微鏡(オリンパス社製「OLS4000」)により645μm×646μmの領域の高さ画像の画素の高さのヒストグラムを得た(図7参照)。当該ヒストグラムは0.0050μm刻みで作成したものである。ヒストグラムにおける、高さの低い側から最初に300画素(全画素数の0.02861%)を超えた高さ(図7のA地点)に+1.5μmした高さ(図7のB地点)より低い高さの画素数を全画素数で割って百分率にした。離型フィルムの底部は転写した粘着剤の接地面積となるため、小さい方が空気抜けに有利と考えられる。
(6)透明度
透明度計(株式会社村上色彩技術研究所「透明度測定器 TM-1D」)を用いて、離型フィルム(サンプル)の透明度を測定した。
(7)遮蔽性
サンプルを30cm離し、サンプルの1cm先にある文字が判読できるか否かを判定した。
(判定基準)
○:判読可能
×:判読困難
(8)フィルムヘーズ
JIS K 7136に準拠し、ヘーズメーター(株式会社村上色彩技術研究所「HM-150」)を用いて、離型フィルム(サンプル)のヘーズを測定した。
(9)60°光沢度
光沢度計(日本電色工業株式会社「VG7000」)を用いて、離型フィルム(サンプル)の60°光沢度を測定した。
(10)空気抜け指数
離型フィルム(サンプル)の離型面すなわち凹凸面に、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを60質量部、1,9-ノナンジオールアクリレートを40質量部、光架橋開始剤として2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オンを3質量部混合して得られた光硬化性樹脂組成物を塗布し、さらにその上にポリエステルフィルムを重ねて、ローラーにより当該光硬化性樹脂組成物を均一に引き伸ばし、紫外線照射装置から紫外線を照射し、該樹脂組成物を硬化させて粘着層を形成した。次いで、離型フィルム(サンプル)をポリエステルフィルムから剥がし、前記粘着層に凹凸構造を転写したレプリカフィルムを得た。
得られたレプリカフィルムを70mm四方のサイズに裁断し、該レプリカフィルムと、中央に直径5mmの穴を開けたポリエステルフィルムとを、レプリカフィルムの凹凸面がポリエステルフィルムと接するように積層し、空気抜け指数を測定した。
空気抜け指数の測定は、デジベック平滑度試験機(東洋精機株式会社製「DB-2」)を用いて、温度23℃、湿度50%RHの雰囲気下で測定した。この際、加圧装置の圧力は100kPa、真空容器は容積38mlの小真空容器を使用し、1mLの空気が流れる時間、すなわち容器内の圧力が50.7kPaから48.0kPaに変化するまでの時間(秒)を計測し、得られた秒数の10倍を空気抜け指数とした。
この空気抜け指数の値が小さいほど、隙間からすばやく空気が抜けており、空気が良く抜ける形状であることを示している。
(11)凹凸形状
目視により、下記判定基準により、判定を行った。
(判定基準)
○:きめ細かい形状あるいはざらざらした形状
×:輪郭が明瞭である(丸い、格子状)
以下に実施例および比較例を示すが、実施例及び比較例に用いたポリエステルフィルムを製造する際に使用したポリエステル樹脂、及び離型フィルムを作製するために使用した硬化性樹脂組成物は次のとおりである。
<ポリエステル樹脂A>
ポリエチレンテレフタレートからなるポリエステル樹脂(極限粘度:0.85dl/g)
<ポリエステル樹脂B>
ポリエチレンテレフタレートに、平均粒径が2.7μmの球状シリカ粒子を配合したポリエステル樹脂組成物(極限粘度:0.6dl/g)
<易接着層組成物>
下記化合物をX1:X2:Y1:Y2:Y3=60:10:10:10:10(固形分の質量%)で混合した。
(バインダー樹脂)
(X1):下記の組成で共重合した、縮合多環構造を有するポリエステル樹脂の水分散体
モノマー組成:(酸成分)2,6-ナフタレンジカルボン酸/5-ソジウムスルホイソフタル酸//(ジオール成分)エチレングリコール/ジエチレングリコール=92/8//80/20(mol%)
(X2):下記の組成で重合した、アクリル樹脂水分散体
エチルアクリレート/n-ブチルアクリレート/メチルメタクリレート/N-メチロールアクリルアミド/アクリル酸=65/21/10/2/2(質量%)の乳化重合体(乳化剤:アニオン系界面活性剤)
(架橋剤)
(Y1):ヘキサメトキシメチロール化メラミン
(Y2):水溶性ポリグリセロールポリグリシジルエーテル
(Y3):オキサゾリン基含有アクリルポリマー(エポクロス(登録商標)、オキサゾリン基量4.5mmol/g、株式会社日本触媒製)
<硬化性樹脂組成物>
以下に示すアクリレート(A)、アクリレート(B)、アクリレート(C)、アクリレート(D)、アクリレート(E)、重合体(F)、粒子(G)、光重合開始剤(H)、剥離剤(I)の各材料を、表1及び表2に示す量(質量部、不揮発分換算)で混合した(アクリレート(A)~(E)以外の成分については、上記アクリレート樹脂の合計100質量部に対する量である)。ついで、プロピレングリコールモノメチルエーテル(以下、PGM)とメチルエチルケトン(以下、MEK)の混合溶剤(PGM:MEK(質量比)が7:3)を固形分濃度が30質量%になるように添加し、均一になるまで撹拌して各実施例及び比較例で使用する硬化性組成物(塗布液)を得た。
・アクリレート(A):ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレ-ト(昭和電工マテリアルズ社製 ファンクリルFA-512AS)
・アクリレート(B):1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(新中村化学工業社製 A-HD-N)
・アクリレート(C):ペンタエリスリトールトリアクリレートとペンタエリスリトールテトラアクリレートとの混合物(大阪有機化学工業社製 ビスコート♯300)
・アクリレート(D):ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとの混合物(日本化薬社製 KAYARAD DPHA)
・アクリレート(E):エトキシ化ジペンタエリスリトールポリアクリレート(新中村化学工業社製 A-DPH-12E)
〔活性エネルギー線の照射によりラジカルを発生する活性基を有する重合体〕
・重合体(F)
撹拌機、冷却管及び温度計を備えたフラスコ中に、メチルイソブチルケトン(以下、MIBKという)75.0質量部を入れて撹拌した。次いで、フラスコ内を窒素置換し、65℃に昇温して4-メタクリロイルオキシベンゾフェノン(新菱社製)40.0質量部、ステアリルメタクリレート(三菱ケミカル社製、商品名:アクリルエステルS)10.0質量部、N,N-ジエチルアミノエチルメタクリレート(三菱ケミカル社製、商品名:アクリエステルDE)10.0質量部、2-エチルヘキシルメタクリレート(三菱ケミカル社製、商品名:アクリエステルEH)30.0質量部、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(三菱ケミカル社製、商品名:アクリエステルHO)30.0質量部、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業社製、商品名:V-65)0.8質量部、MIBK75.9質量部の混合溶液を2時間かけて滴下した。さらに2時間後、重合率を上げるため、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業社製、商品名:V-65)0.5質量部、MIBK1.0質量部の混合液を投入し、5時間保持した。その後、反応液を40℃に冷却することで活性エネルギー線の照射によりラジカルを発生する活性基を有する重合体(F)を重合した。重合体(F)の不揮発分は40質量%であり、重量平均分子量(Mw)は16700であった。組成、評価結果を表1に記載した。
・粒子(G):平均粒子径1.8μmの架橋アクリル粒子(綜研化学社製 MX-180TA)
・光重合開始剤(H):Omnirad 184(IGM Resins B.V.社製)
・剥離剤(I):KY-1203(信越化学工業社製)
実施例1
上記ポリエステル樹脂Aと、粒子の添加量が0.4質量%となる量の上記ポリエステル樹脂Bとをそれぞれ、ベント式二軸押出機に供給した。それぞれ285℃で溶融し、共押出して口金から押出し静電印加密着法を用いて表面温度を22℃に設定した冷却ロール上で冷却固化して未延伸シートを得た。次いで、ロール周速差を利用して、当該フィルムを、温度85℃で縦方向に3.3倍に延伸した後、テンターに導き、横方向に140℃で4.0倍に延伸し、主結晶化ゾーン温度を235℃にて熱処理を行った。その後、横方向に10%弛緩し、厚み50μmの二軸延伸ポリエステルフィルムAを得た。
さらに、表1に示す組成を有する硬化性樹脂組成物を、厚み(乾燥後)が5g/mになるように塗布し、70℃、60秒で乾燥した。ついで、キセノン(波長172nm)によるエキシマ光(半値幅14nm)を積算光量15mJ/cm、照度5mW/cm(ウシオ電機社製 キセノンエキシマ172nm光照射機、ランプユニット型式:SUS05(ランプハウス型式:H0011、点灯電源型式:B0005)、窒素フロー(酸素濃度1%以下))で乾燥塗膜に照射した。さらに大気中にて高圧水銀灯で積算光量400mJ/cm、照度200mW/cm(アイグラフィックス社製 高出力UV装置(型式:US5-X1802-X1202)のUVコンベア)にて紫外線を照射し、基材フィルム上に、厚み(乾燥後)が8μmの硬化性樹脂層を備えた積層体を得た。
剥離層に用いる塗布液として、硬化型シリコーン樹脂(信越化学社製、KS-847H)100質量部及び硬化剤(信越化学社製、PL-50T)1質量部を、メチルエチルケトン/トルエン混合溶媒(混合比率は1:1)で希釈して、シリコーン樹脂濃度が4質量%である剥離層用塗布液を作製した。
前記硬化性樹脂層を備えた積層体の硬化性樹脂層の表面に、前記剥離層用塗布液をマイヤーバーにより塗布し、120℃に加熱して乾燥及び硬化させることで剥離層を設け、離型フィルムを作製した。
実施例2
硬化性樹脂層を表1の通りに変更した以外は実施例1と同様にして離型フィルムを作成した。
実施例3
硬化性樹脂層を表1の通りに変更し、厚みを5μmとし、離型層を設けないこと以外は実施例1と同様にして離型フィルムを作成した。
実施例4
硬化性樹脂層を表1の通りに変更し、厚みを4μmとし、エキシマ光を照射しないこと以外は実施例1と同様にして離型フィルムを作成した。
比較例1
硬化性樹脂層を、ポリジメチルシロキサンを枝ポリマーとし、アクリル系モノマーを幹ポリマーとするグラフト共重合体A(質量平均分子量(Mw):16,000、SP値:10.9)65質量部と、としてアクリル系ポリマーB(質量平均分子量(Mw):95,000、SP値:9.9)35質量部と、光架橋開始剤(IGM resin社製、Ominirad127)5質量部とを含むアクリル系モノマー混合物を、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトンを、35:65の質量割合で混合して得た混合溶媒Zに溶解させて、前記アクリル系ポリマー混合物濃度が21質量%である硬化性コート組成物を調製し、マイヤーバー#24で塗布し、80℃のオーブンで乾燥後、紫外線照射装置で紫外線を照射して光硬化させて設けた以外は実施例1と同様にして、離型フィルムを作成した。
上記アクリル系モノマーを幹ポリマーとするグラフト共重合体Aは、メチルメタクリレートと、ステアリルメタクリレートと、分子量5000の末端メタアクリロイル基を有するシリコンマクロマーと、グリシジルメタクリレートとを、10:10:20:60のモル比率で共重合してなるアクリル酸変性物であり、アクリル系ポリマーBはメチルメタクリレート及びメチルアクリレートを99:1のモル比率で共重合してなる共重合体であった。
比較例2
硬化性樹脂層を表1の通りに変更し、離型層を設けないこと以外は実施例1と同様にして離型フィルムを作成した。
比較例3
紙表面にポリエチレンがラミネートされ、該ポリエチレン層表面にシリコーン剥離層が設けられている離型紙であって、該シリコーン剥離層側表面に、最大高低差が8.2μm、凸部幅が40μm、ピッチが310μm周期の直線からなる格子形状の凸部を有する離型紙を、離型フィルムとした。
これらのフィルムの特性を下記表1、表2に示す。
実施例1~実施例3の結果から、本発明の離型フィルムは、適度に粗面化させた表面粗さを有するため、離型層表面の凹凸形状を、相手方の被着体表面へ転写する用途に好適に利用できる。また、従来のエンボスタイプの離型フィルムでは再現困難な凹凸形状を有する特徴がある。
なお、図1~図3に、実施例1~3で得られた離型フィルムの離型層表面の表面写真をそれぞれ示す。これらの図からも本発明の離型フィルムの離型層表面の粗さが細かいことが視認され、比較例1および3のフィルム表面(図4および図6)とは異なることが明らかである。
また、実施例1~3と比較例1、2においては凹凸形成後のフィルムの透明度および遮蔽性が異なる。
透明度が3%以下であることにより、凹凸形状が視認しづらく、粘着層と貼合した後では、離型フィルムを貼合したままの状態で粘着層表面の目視観察が可能であるのに対して、比較例1および2は目視観察が困難な状況にある。
一方で実施例1~3はフィルム自体の透明性(ヘーズ)はいずれも80%を超えて高いという特徴を有する。従来のように、多量の粒子を練り込む必要もなく、また、着色層を別に設ける必要もないので、識別あるいは外観を重視する用途への適用も可能となる。さらに実施例1~3は凹凸の形状が目視で視認しにくい利点を有し、凹凸形状の輪郭を視認することを嫌う用途への適用も可能である。
本発明の離型フィルムは、凹凸形状を転写する用途(例えば、自動車塗装保護用またはラッピングフィルム用など)に好適である。

Claims (19)

  1. 基材フィルム(A)の片面に離型層(B)を備え、前記離型層(B)は、凹凸構造を有し、前記離型層表面の算術平均高さ(Sa)が0.5μm以上であり、下記条件により算出した底部面積率が27%以下である離型フィルム。
    [底部面積率:高さのヒストグラムにおいて、低い側から最初に300画素を超えた高さ+1.5μmの高さより低い高さの画素数を全画素数で割って百分率にした値]
  2. 前記離型層表面の最短の自己相間距離(Sal)が25μm以下である、請求項1に記載の離型フィルム。
  3. 前記離型層表面の表面性状のアスペクト比(Str)が0.5以上である、請求項1に記載の離型フィルム
  4. 前記基材フィルム(A)がポリエステルフィルムである、請求項1に記載の離型フィルム。
  5. 前記離型層(B)が離型性を有する硬化樹脂層である、請求項1に記載の離型フィルム。
  6. 前記離型層(B)が硬化樹脂層(x)と離型層(y)とを備えた二層構成である、請求項1に記載の離型フィルム。
  7. 前記硬化樹脂層が、(メタ)アクリレートを含む硬化性樹脂組成物の硬化物である、請求項5に記載の離型フィルム。
  8. 前記硬化樹脂層(x)が、(メタ)アクリレートを含む硬化性樹脂組成物の硬化物である、請求項6に記載の離型フィルム。
  9. 前記離型層がシリコーン化合物、メラミン化合物、フッ素化合物、ワックス及び長鎖アルキル基含有化合物からなる群から選択される少なくとも1種の離型剤を含む、請求項1に記載の離型フィルム。
  10. フィルムヘーズが78%以上である、請求項1に記載の離型フィルム。
  11. 透明度が3%以下である、請求項1に記載の離型フィルム。
  12. エキシマランプ照射および/または紫外線(UV)照射により、硬化樹脂層を形成する工程を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の離型フィルムの製造方法。
  13. 請求項1~11のいずれか一項に記載の離型フィルムと、該離型フィルムの離型層表面に粘着層とを有する、フィルム積層体。
  14. 請求項1~11のいずれか一項に記載の離型フィルムが備える前記離型層表面の凹凸が転写された、転写物。
  15. 前記粘着層がアクリル系粘着層、ウレタン系粘着層及びシリコーン系粘着層からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項13に記載のフィルム積層体。
  16. 粘着層保護用である、請求項1~11のいずれか一項に記載の離型フィルム。
  17. 粘着層保護用である、請求項13に記載のフィルム積層体。
  18. 自動車塗装保護用またはラッピングフィルム用である、請求項1~11のいずれか一項に記載の離型フィルム。
  19. 自動車塗装保護用またはラッピングフィルム用である、請求項13に記載のフィルム積層体。
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