JP2023177001A - 照明装置、車両用灯具システム - Google Patents

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Abstract

【課題】配光パターン中の暗領域の発生を抑えること。【解決手段】光源と、集光部と、前記集光部によって集光される前記光の焦点位置に配置される液晶素子15と、前記光源と液晶素子15との間に配置される偏光ビームスプリッタと、液晶素子15を透過する前記光が入射し得る位置に配置される投影レンズと、液晶素子15と前記投影レンズとの間に配置される偏光素子と、を含み、前記光源から放出される前記光は、最大光度の発光ピークを450nm以下の波長域に有する白色光であり、液晶素子15は、前記光が入射することによる放射エネルギーが36000J/mm2以上となる被照射領域を有しており、液晶素子15の第1基板51及び/又は第2基板52は、液晶層57から遠い側の面において前記被照射領域を含む第1領域における第1基板厚が当該第1領域以外の第2領域における第2基板厚の1/3以下である、照明装置である。【選択図】図13

Description

本開示は、照明装置、車両用灯具システムに関する。
特開2019-128449号公報(特許文献1)には、液晶素子を用いて配光パターンを可変に制御する車両用前照灯(照明装置)が記載されている。この車両用前照灯では、光源から出射する光を集光して液晶素子へ入射させ、液晶素子において明暗の像を形成し、その像をレンズによって拡大投影することで車両前方に照射される光の配光パターンを可変に設定している。この車両用前照灯では、光源として出射光が広角に広がるLED素子を用いるため、レンズやリフレクタなどの集光手段で集光した光を液晶素子へ入射させている。しかし、累積使用時間が長くなると、光の照度が相対的に高くなる焦点付近に対応して、配光パターン中の一部で暗領域(相対的に明るさの低い領域)を生じる場合がある。
特開2019-128449号公報
本開示に係る具体的態様は、配光パターン中の暗領域の発生を抑えることが可能な技術を提供することを目的の1つとする。
[1]本開示に係る一態様の照明装置は、(a)発光ダイオードを用いて構成されており光を放出する光源と、(b)前記光源から放出される前記光を集光する集光部と、(c)各々がガラスからなる第1基板及び第2基板と、当該第1基板と第2基板との間に配置される液晶層を有しており、前記集光部によって集光される前記光の焦点位置に配置される液晶素子と、(d)前記光源と前記液晶素子との間に配置される偏光ビームスプリッタと、(e)前記液晶素子を透過する前記光が入射し得る位置に配置される投影レンズと、(f)前記偏光ビームスプリッタの透過軸と略直交する方向に配置された透過軸を有しており前記液晶素子と前記投影レンズとの間に配置される偏光素子と、を含み、(g)前記光源から放出される前記光は、最大光度の発光ピークを450nm以下の波長域に有する白色光であり、(h)前記液晶素子は、前記光が入射することによる放射エネルギーが36000J/mm以上となる被照射領域を有しており、(i)前記第1基板及び/又は前記第2基板は、前記液晶層から遠い側の面において前記被照射領域を含む第1領域における第1基板厚が当該第1領域以外の第2領域における第2基板厚の1/3以下である、照明装置である。
[2]本開示に係る一態様の車両用前照灯システムは、(a)前記[1]に記載の照明装置を用いて構成される車両用灯具と、(b)車両周辺を撮影するカメラと、(c)前記カメラにより撮影される画像に基づいて前記液晶素子の動作を制御するコントローラと、を含む、車両用前照灯システムである。
上記構成によれば、照明装置ないしこれを用いる車両用灯具システムにおける配光パターン中の暗領域の発生を抑えることが可能となる。
図1は、検証に用いた液晶素子の構成を模式的に示す断面図である。 図2は、検証に用いる光源から出射される光の発光スペクトル(分光放射強度)を示す図である。 図3は、検証用光源の点灯時における検証用液晶素子の光入射面内における放射照度分布とその計算値を示す図である。 図4は、検証用液晶素子の図3に示した原点に相当する位置を中心にY軸に沿って正面観察時の透過率分布を測定した結果を示すグラフである。 図5は、ガラス基板を単体で用いた場合における光照射前(0H)の初期状態と光照射を500時間連続で行った後の状態のそれぞれにおける透過率分布の相対値を示す図である。 図6は、ガラス基板単体での相対透過率変化の連続照射時間依存を示すグラフである。 図7は、検証用液晶素子とガラス基板単体における透過率の経過時間依存性を示したグラフである。 図8は、紫外発光LEDランプによる紫外光照射を行う前後のソーダライムガラスの透過分光スペクトルを示すグラフである。 図9は、ソーダライムガラスに対して白色LED光源の光を集光して500時間照射した際の最大放射照度が照射された領域における照射前後における透過分光スペクトルを示す図である。 図10は、ガラス基板の試験材料の成分表を示す図である。 図11は、一実施形態のガラス基板の構造を模式的に示す平面図である。 図12(A)~図12(C)は、ガラス基板の構造例を示す模式的な断面図である。図12(D)~図12(E)は、ガラス基板の構造例を示す模式的な断面図である。 図13は、上記した実施形態のガラス基板を用いて構成される液晶素子の模式的な断面図である。 図14(A)は、上記した実施形態の液晶素子を用いて構成される一実施形態の車両用灯具システムの構成を示す図である。図14(B)は、変形実施例の車両用灯具システムの構成を示す図である。 図15は、液晶素子の実施例を示す平面図である。
本願発明者は、LED(発光ダイオード)から広角に広がって出射する光をレンズ等によって集光して液晶素子へ入射させて配光パターンを形成する照明装置等において、累積使用時間が長くなった際に配光パターン中の一部で暗領域を生じる場合についてその原因を検証した。以下では、まず検証内容について説明し、次いでその検証により得られた知見に基づく液晶素子並びにこれを用いる照明装置、車両用前照灯システムについて説明する。
図1は、検証に用いた液晶素子の構成を模式的に示す断面図である。図示の検証用液晶素子100は、対向配置される第1基板101と第2基板102、第1基板101の第2基板102と対向する面に設けられた複数の画素電極103、第2基板102の第1基板101と対向する面に設けられた共通電極(対向電極)104、第1基板101の第2基板102と対向する面において各画素電極103を覆って設けられた配向膜105、第2基板102の第1基板101と対向する面において共通電極104を覆って設けられた配向膜106、第1基板101と第2基板102の間において各配向膜105、106に接して設けられた液晶層107、第1基板101と第2基板102の間において液晶層107を囲んで設けられた封止材108を含んで構成されている。
第1基板101及び第2基板102としては、ソーダライムガラスからなるガラス基板が用いられている。図示を省略するが、第1基板101には各画素電極103の下層側に約20nm厚のSiOアンダーコート膜が設けられており、第2基板102には共通電極104の下層側に約20nm厚のSiOアンダーコート膜が設けられている。各画素電極103、共通電極104は、それぞれインジウム錫酸化物膜(ITO膜)をパターニングすることによって形成されている。各配向膜105、106は、例えばシロキサン系垂直配向膜をフレキソ印刷法にて塗布し、200℃で焼成した後、ラビング処理によって一軸配向処理が施されており、それぞれが一軸配向規制力を有する。各配向膜105、106は、それぞれへの一軸配向処理の方向が逆平行(アンチパラレル)となるように配置されている。液晶層107は、各配向膜105、106による一軸配向規制力を受けて、89°程度のプレティルト角を有して一様に配向している。また、第1基板101と第2基板102の間には図示しない粒径4μmの樹脂スペーサーが均一に配置されている。それにより、液晶層107の層厚は約4μmとなっている。液晶層107は、誘電率異方性が負の値であり、屈折率異方性が約0.11の液晶材料を用いて構成されている。封止材108はエポキシ系接着剤を用いて形成されている。
図2は、検証に用いる光源から出射される光の発光スペクトル(分光放射強度)を示す図である。検証用光源は、青色LEDと青色LEDの発光が入射する位置に配置された黄色蛍光体とを備えた白色LEDであり、青色LEDにて黄色蛍光体を励起し、青色と黄色の混色によって白色光を得るものである。図示のように、光源の出射光は、最大光度を示す波長ピークの波長が440nmである。2番目の光度を示す発光ピークの波長は545nm付近である。
後述する図14(A)又は図14(B)に示すような照明光学系において、液晶素子15に代えて検証用液晶素子100を配置するとともに光源10に代えて検証用光源を配置し、検証用液晶素子100に対して各画素電極103と共通電極104の間に液晶層107の閾値以上の電圧を印加して透過光が明状態となるようにし、検証用光源を点灯させて液晶素子100へ連続的に光照射を行った。
図3は、検証用光源の点灯時における検証用液晶素子の光入射面内における放射照度分布とその計算値を示す図である。ここでは、検証用液晶素子100の第1基板101の外側面(第2基板102と対向しない側の面)を光入射面とする。図中の左右方向軸(X軸)及び上下方向軸(Y軸)の各座標は検証用液晶素子100の光入射面内での位置を示している。両座標の原点は、最大照度が得られる位置に対応付けられている。また、X軸上及びY軸上の放射照度分布についてのグラフも示している。原点における放射照度は0.181W/mmであり、X軸方向で放射照度が半分になる位置は原点より±2.7mmの位置、Y軸方向で放射照度が半分になる位置は-1.1mm及び+1.5mmの各位置である。Y軸方向において原点より-3.5mmとなる位置での放射照度は0.020W/mmであった。
図4は、検証用液晶素子の図3に示した原点に相当する位置を中心にY軸に沿って正面観察時の透過率分布を測定した結果を示すグラフである。透過率分布の測定には大塚電子製LCD5200を用いた。検証用光源からの光照射を500時間行った後に、透過率分布を測定した。1スポットの測定エリアを0.7mmΦとして、そのスポット位置を一定ステップで移動させることにより透過率分布を測定した。この測定においては、偏光素子などは用いずに検証用液晶素子100を単体で用いて透過率分布を測定している。
図4では、検証用光源からの光照射が500時間経過した後の検証用液晶素子100単体での透過率分布の相対値が示されている。ここでは、透過率の低下が最も大きいY軸原点での透過率を相対透過率1として規格値して透過率がプロットされている。なお、Y軸の測定範囲は±2.5mm、測定ステップは0.5mm間隔とした。図示のように、Y軸のマイナス側において透過率低下の度合いが小さく、Y軸のプラス側において透過率低下の度合いが大きい傾向がみられる。
次に、検証用液晶素子100において使用するガラス基板と同じガラス基板を単体で用いて上記と同様な光照射を行った場合の透過率変化を測定した。なお、測定範囲としてはY軸に対して±3.5mm、測定ステップは0.7mm間隔とした。
図5は、ガラス基板を単体で用いた場合における光照射前(0H)の初期状態と光照射を500時間連続で行った後の状態(以後「500H経過後の状態」という。)のそれぞれにおける透過率分布の相対値を示す図である。図5では、初期状態での原点における相対透過率を1として透過率を規格化して示している。初期状態においてはY軸方向の位置が+3.5mmから-3.5mmの間で変化しても測定誤差によると考えられるバラツキはみられるものの、透過率は均一であると考えられる。
一方、500H経過後の状態では、Y軸の原点に相当する位置で相対透過率が最も低くなっており、原点から+3.5mmの位置及び原点から-3.5mmの位置では多少バラツキはみられるものの初期状態との間での透過率差は観察されないことが分かった。すなわち、上記図3に示した放射照度分布によって透過率分布が生じていると考えられる。Y軸の-3.5mmの位置においては初期状態と500H経過後の状態で透過率に差異が観察されないことから、この位置における放射照度である0.020W/mmによる積算光量である0.02×180000s=36000J/mm以下であれば透過率の変化が生じないと考えられる。換言すれば、上記した値を超える放射照度になると透過率の低下が観察されることが分かった。したがって、透過率の低下には一定以上の積算光量が必要であることが明らかとなった。
図6は、ガラス基板単体での相対透過率変化の連続照射時間依存を示すグラフである。この測定の場合には、測定スポットは3mmΦ、測定位置はX軸及びY軸の原点(図3参照)とした。初期状態での相対透過率を1とすると、約250時間経過後に最大透過率比が0.98程度まで急激に低下し、その後1500時間経過までは透過率変化の傾斜は緩やかだが確実に低下する傾向がある。その後1500時間よりもさらに時間が経過すると透過率の変化がほとんどなく推移する傾向がみられる。
図7は、検証用液晶素子とガラス基板単体における透過率の経過時間依存性を示したグラフである。上記したガラス基板単体での検証と同様に検証用液晶素子100に対して連続的に光照射を行い、透過率の変化を測定した。図中の特性線aはガラス基板単体での特性を示し、特性線bはガラス基板を2枚重ねた場合の特性をガラス基板単体での特性(特性線a)から試算して得られた特性を示し、特性線cは検証用液晶素子100における特性を示す。
図示のように、250時間経過より以前の範囲では検証用液晶素子100とガラス基板単体での測定時が異なっているため差異が生じているが、250時間経過以降では2つのガラス基板(検証用液晶素子100における第1基板101と第2基板102に相当)を想定して求められた特性線bと検証用液晶素子100の特性線cとの一致性が高い傾向が観察された。これらの結果によれば、連続的な光照射による透過率低下はほぼガラス基板によって生じるものと考えられる。
ここで、一般にソーダライムガラスには、アルカリ金属であるNaOとKOが含まれており、一例として、NaOと13.1%、KOが0.72%含まれている(特開2000-143284号公報参照)。また、遷移金属であるFeはイオン化する際に2価と3価に陽イオン化する。2価のFe2+は赤外域の光吸収特性を有し、3価のFe3+は短波長可視域の光吸収特性を示す。価数が異なるFeのソーダライムガラス内での比率は、320nm以下の紫外線を照射することにより変化させることができ、その結果として可視領域の透過率が変化する現象が観察される。この現象はソラリゼーションと呼ばれている(例えば特開平03-170344号公報参照)。
図8は、紫外発光LEDランプによる紫外光照射を行う前後のソーダライムガラスの透過分光スペクトルを示すグラフである。紫外発光LEDランプの照射強度は、185nmにて17.9W/cm、254nmにて60.4W/cmであり、照射時間は45秒間である。図8の特性線aは照射前、特性線bは照射後の透過分光スペクトルを示している。図示のように、紫外光照射の前後にて明らかに透過率変化が観察され、短波長側の透過率が減少し、長波長側の赤外域はほぼ変化ないか、または上昇する傾向が観察された。
図9は、ソーダライムガラスに対して白色LED光源の光を集光して500時間照射した際の最大放射照度が照射された領域における照射前後における透過分光スペクトルを示す図である。上記図8にて示した紫外光照射によるFeの価数変化にて組成割合が変化したときの透過分光スペクトルとは全く異なる傾向が見られ、短波長における透過率変化は小さく、460nm以上の可視波長における透過率変化が著しいことが分かる。従って、白色LED光源の光を長時間照射した場合には、上記したFe還元による価数変化とは異なる反応により透過率変化が生じていると考えられる。
Feなどの遷移金属と同様に反応性が高い材料としてはアルカリ金属が考えらえる。以下ではアルカリ金属に着目した組成の異なるガラス基板に対し上記と同様な連続光照射を行った結果を示す。試験材料の成分表を図10に示す。図中のサンプルAは上記したソーダライムガラスである。サンプルBは、アルカリ金属を含有せずにアルミナとホウ酸を含有する無アルカリガラス(日本電気硝子株式会社製)であり、サンプルCは低アルカリガラス(日本電気硝子株式会社製)である。
サンプルBは、NaOやKO等のアルカリ金属を含まない代わりに、アルミナ、ホウ酸及びアルカリ土類金属がその減少を補う組成となっており、遷移金属のFeも含有していない。なお、実際は完全にアルカリ金属を含有していないわけではなく、僅かながらソラリゼーションを生じる可能性がある。
サンプルCは、アルカリ金属であるNaOを6.3%、KOを0.9%含有している。ソーダライムガラスであるサンプルAに比較すると、KOは0.18%増加し、NaOは6.8%に半減している。また、アルカリ土類金属の含有率もサンプルA、Cより低く抑制されており、遷移金属のFeも含有してない。
無アルカリガラスであるサンプルBについては、2000時間の連続光照射を行った後でも透過率変化は確認されなかった。また、低アルカリガラスであるサンプルCにおいても、2000時間の連続光照射を行った後の透過率変化は認められなかった。以上の結果、白色LED光源を照射した場合、ソーダライムガラスに含有されるアルカリ金属であるナトリウムイオンの含有量が透過率変化に影響を与えていると推察される。NaOを6.3%以下にすることで着色(透過率低下)が抑制される。
以上のような検証結果から、ソーダライムガラスからなるガラス基板を用いた液晶素子において、白色LED光源からの光照射による光入射面内の高照度帯における透過率低下を軽減して面内透過率のムラを抑制するには、ガラス基板自体の透過率低下を抑制する必要があると考えられる。上記した図7に示したように、2枚のソーダライムガラス基板を積層した際の透過率の計算値が検証用液晶素子100の透過率に一致または近い値を示すためである。そこで、本願発明者は、ガラス基板自体の透過率低下を抑制するには、ガラス基板の光入射面に照射される光の放射照度に応じて基板厚を調整すること、より具体的には高照度帯ほど基板厚を小さくすることが有効であることを見いだした。
上記した図3に示したガラス基板表面における白色LED光の放射照度分布によれば、Y軸方向の原点から±3.5mmの範囲内における放射照度は0.020W/mmである。この位置では上記した図5に示した500時間後の透過率低下は誤差範囲内と考えられる。原点(中心部)の放射照度は0.181W/mmであることから、ガラス基板が元の基板厚である0.7mmの1/9の厚さになれば、原点においても500時間経過後における透過率変化が生じなくなると考えられる。例えば、透過率変化の許容値をガラス基板単体で1%以内とすれば、図5にて、Y軸位置の中心を基準にして規格化透過率が99%になるのは-2.5mmの位置であり、この位置における放射照度は図3から0.0442W/mmであることから、0.0442/0.02=2.21倍となる。このため、元のガラス基板の基板厚0.7mmに1/2.2を乗算した値である0.3167mm以下が基板厚として好ましく、余裕度を考慮すると0.3mm以下が好ましいといえる。更に余裕を持たせるには、基板厚(第1基板厚)を元の基板厚(第2基板厚)の1/3以下、すなわち0.23mm以下とすればよい。このような基板厚を実現するには、例えば以下に詳述するようにガラス基板に対して凹部を設ければよい。
図11は、一実施形態のガラス基板の構造を模式的に示す平面図である。図示の実施形態のソーダライムガラスからなるガラス基板40は、図3に示した放射照度分布に基づいて放射照度0.02W/mm(照射エネルギー36000J/mm)以上の領域を含む領域(被照射領域)の基板厚が当該領域の中心に向かうほど薄くなるように凹部41が設けられている。
図12(A)~図12(C)は、ガラス基板の構造例を示す模式的な断面図である。ガラス基板40の凹部41は、例えば図12(A)に示すような半球状の凹部であってもよい。また、ガラス基板40の凹部41は、例えば図12(B)に示すような四角錐状(断面三角形状)の凹部であってもよい。また、ガラス基板40の凹部41は、例えば図12(C)に示すように底面を有する断面台形状の凹部であってもよい。
図12(D)~図12(E)は、ガラス基板の構造例を示す模式的な断面図である。ガラス基板40は、例えば図12(D)に示すように凹部41の設けられる面と反対側の面にイオン交換層42が設けられていてもよい。ここでは断面台形状の凹部41を有するガラス基板40を例示しているが凹部41の形状は限定されない。イオン交換層42を設けることで、ガラス基板40の表層から一定深さまでのナトリウムイオンをカリウムイオンに置換することができる。透過率低下の主要因はナトリウムイオンであると考えられるので、カリウムイオンに置換されることで透過率低下がさらに抑制されると考えられる。また、イオン交換層42により、ガラス基板40の基板厚が薄くなった分を補強する機能も得られる。また、イオン交換時に薬液を浸漬するマスク(金属膜など)を部分的に形成することにより部分的なイオン交換が可能になり、ガラス基板を分断する際のしやすさを維持することができる。
また、ガラス基板40は、例えば図12(E)に示すように凹部41に埋設するようにして光学マッチング材43が設けられていてもよい。更に、例えば図12(F)に示すように、凹部41の内部の充填のみならずガラス基板40の凹部41が設けられる側の面を覆うように光学マッチング材43aを設けてもよい。ここでは半球状の凹部41を有するガラス基板40を例示しているが凹部41の形状は限定されない。光学マッチング材43、43aとしては、ガラス基板40の屈折率に近いものを充填することが望ましく、例えばシロキサン系樹脂を用いることができる。
ガラス基板40に凹部41を設ける方法としては、例えばガラス基板上に金属膜を設け、その上にフォトレジストを配置した状態で金属をエッチングし、その状態でHF薬液によるガラスエッチングを行う方法を用いることができる(一例として特開平3-232743号公報参照)。また、ガラス基板に対するマスク処理及びサンドブラスト処理にて凹部を形成した後、HF薬液に浸漬することにより、凹部のフロスト状外観を透明化する処理を行うという方法を用いることもできる(一例として特開平10-275556号公報参照)。なお、大判のガラス基板に複数の液晶素子を多面付けし、その後に個々の液晶素子に分割して個片化するという製造方法を採用する場合には、個々の液晶素子へ個片化するより以前の段階で各液晶素子に対応するガラス基板の所定位置に各凹部41を形成することが好ましい。
図13は、上記した実施形態のガラス基板を用いて構成される液晶素子の模式的な断面図である。ここではセグメント表示型の液晶素子を例示する。具体的には、例示の液晶素子15は、対向配置された第1基板51および第2基板52、複数の画素電極53、共通電極(対向電極)54、配向膜55、56、液晶層57、封止材58を含んで構成されている。第1基板51及び第2基板52として上記したガラス基板40と同構造のガラス基板が用いられている。ここでは代表例として図12(A)に示した態様のガラス基板40と同構造の第1基板51及び第2基板52を示すが、他の構造例が採用されてもよい。
第1基板51および第2基板52は、それぞれ、例えば平面視において矩形状の基板であり、互いに対向して配置されている。第1基板51の第2基板52と対向しない側の面には凹部59が設けられている。同様に、第2基板52の第1基板51と対向しない側の面には凹部60が設けられている。第1基板51と第2基板52の間には、例えば樹脂膜などからなる球状スペーサー(図示省略)が分散配置されており、それら球状スペーサーによって基板間隙が所望の大きさ(例えば数μm程度)に保たれている。
なお、球状スペーサーに代えて、樹脂等からなる柱状体を第1基板51側若しくは第2基板52側に設け、それらをスペーサーとして用いてもよい。本実施形態では、第1基板51が偏光ビームスプリッタ12と対向し、第2基板52が偏光板17と対向するように各基板が配置されているものとする。すなわち、第2基板52側が液晶素子15としての光出射側となり、第1基板51側が液晶素子15としての光入射側となるように各基板が配置されているものとする。
複数の画素電極53は、第1基板51の一面側に設けられている。これらの画素電極53は、例えばインジウム錫酸化物(ITO)などの透明導電膜を適宜パターニングすることによって構成されている。本実施形態では、各画素電極53と共通電極54とが向かい合う部分において画素部が構成される。
共通電極54は、第2基板52の一面側に設けられている。この共通電極54は、第1基板51の各画素電極53と対向するようにして一体に設けられている。共通電極54は、例えばインジウム錫酸化物(ITO)などの透明導電膜を適宜パターニングすることによって構成されている。
配向膜55は、第1基板51の一面側において各画素電極53を覆うようにしてそれらの上側に配置されている。配向膜56は、第2基板52の一面側において共通電極54を覆うようにしてその上側に配置されている。これらの配向膜55、56は、液晶層57の配向状態を規制するためのものである。各配向膜55、56は、例えばラビング処理等の一軸配向処理が施されており、その方向に沿って液晶層57の液晶分子の配向を規定する一軸配向規制力を有している。各配向膜55、56への配向処理の方向は、例えば互い違い(アンチパラレル)となるように設定される。各配向膜55、56と液晶層57との界面近傍におけるプレティルト角は例えば89°程度である。一例として本実施形態では、脂環式ポリイミド又は脂環式ポリアミック酸による配向膜を用いる。
液晶層57は、第1基板51と第2基板52の間に設けられている。液晶層57は、例えば、流動性を有するネマティック液晶材料を用いて構成される。液晶層57は、例えば、負の誘電率異方性を有し、屈折率異方性が約0.13の液晶材料を用いて構成される。液晶層57の層厚は、例えば4μm程度とすることができる。
封止材58は、第1基板51と第2基板52の間において液晶層57を囲むように設けられており、液晶層57を封止する。
なお、液晶素子15の内部構造や駆動方法については、透過光を自在に変調して所望の像を形成し得る限りにおいて特に限定がない。例えば、各画素部に対して薄膜トランジスタを対応づけて構成されるアクティブマトリクス型の液晶素子として構成してもよいし、複数のストライプ状の透明電極を対向配置してそれら透明電極同士の重なる各領域を画素部として用いる単純マトリクス型の液晶素子として構成してもよい。さらに、液晶素子15としては、一方基板に設けられた任意形状の複数の画素電極と、他方基板に設けられた1つ(または複数)の対向電極を有するセグメント表示型の液晶素子を用いてもよく、その場合の駆動方法についてはマルチプレックス駆動を採用してもよいし、スタティック駆動を採用してもよい。
図14(A)は、上記した実施形態の液晶素子を用いて構成される一実施形態の車両用灯具システムの構成を示す図である。図14(A)に示す車両用灯具システムは、車両用灯具(照明装置)1と、コントローラ2と、カメラ3を含んで構成されている。この車両用前照灯システムは、カメラ3によって撮影される車両周辺の画像に基づいて車両の周囲に存在する前方車両や歩行者の顔等の位置を検出し、前方車両等の位置を含む一定範囲を減光範囲(ないし非照射範囲)に設定し、それ以外の範囲を光照射範囲に設定して選択的な光照射を行うとともに、路面上へ種々形状の光照射を行うものである。
車両用灯具1は、例えば車両前部の所定位置に配置されており、車両前方を照明するための照射光を形成する。なお、車両用灯具1は車両の左右それぞれに1つずつ設けられるがここでは1つのみ図示する。
コントローラ2は、車両用灯具1の光源10や液晶素子15の動作制御を行うものである。このコントローラ2は、例えばCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を有するコンピュータシステムを用い、このコンピュータシステムにおいて所定の動作プログラムを実行させることによって実現される。本実施形態のコントローラ2は、運転席に設置されたライトスイッチ(図示せず)の操作状態に応じて光源10を点灯させるとともに、カメラ3によって検出される前方車両(対向車両、先行車両)、歩行者、道路標識、路上白線などの対象体に応じた配光パターンを設定し、この配光パターンに対応する像を形成するための制御信号を液晶素子15へ供給する。
カメラ3は、車両の前方空間を撮影して画像を生成し、この画像に対して所定の画像認識処理を行って上記した前方車両等の対象体の位置、範囲、大きさ、種別などを検出する。画像認識処理による検出結果は、カメラ3と接続されているコントローラ2へ供給される。カメラ3は、車両の車室内の所定位置(例えば、フロントガラス上部)に設置されるか、または車両の車室外の所定位置(例えば、フロントバンパー内)に設置される。車両に他の用途(例えば、自動ブレーキシステム等)のためのカメラが備わっている場合にはそのカメラを共用してもよい。
なお、カメラ3における画像認識処理の機能をコントローラ2にて代替してもよい。その場合には、カメラ3は、生成した画像をコントローラ2へ出力、この画像に基づいてコントローラ2側で画像認識処理が行われる。あるいは、カメラ3から画像とそれに基づく画像認処理の結果の双方がコントローラ2へ供給されてもよい。その場合に、コントローラ2は、カメラ3から得た画像を用いてさらに独自の画像認識処理を行ってもよい。
図14(A)に示す車両用灯具1は、光源10、リフレクタ(反射部材)11、13、偏光ビームスプリッタ(第1偏光素子)12、1/4波長板14、液晶素子15、光学補償板16、偏光板(第2偏光素子)17、投影レンズ18を含んで構成されている。これらの各要素は、例えば1つのハウジング(筐体)に収容されて一体化されている。また、光源10と液晶素子15は、それぞれコントローラ2と接続されている。
光源10は、駆動回路を含んでおり、コントローラ2による制御を受けて光を放出する。この光源10は、上記した検証用光源と同様に、青色LEDと青色LEDの発光が入射する位置に配置された黄色蛍光体とを備えた白色LEDであり、青色LEDにて黄色蛍光体を励起し、青色と黄色の混色によって白色を得るものである。図2に示したように、光源10の出射光は、最大強度を示す波長ピークのピーク波長が440nmである。第2の発光ピークのピーク波長は545nm付近である。つまり、光源10から放出される白色光は、青色光ピークと黄色光ピークを含んでいる。
リフレクタ11は、光源10に対応づけて配置されており、光源10から放出される光が液晶素子15の位置(一例として液晶素子15の厚さ方向の略中央)で焦点を結ぶように反射および集光して偏光ビームスプリッタ12の方向へ導き、液晶素子15へ入射させる。リフレクタ11は、例えば楕円面状の反射面を有する反射鏡である。この場合、光源10は、リフレクタ11の反射面の焦点付近に配置することができる。なお、リフレクタ11に代えて集光部としてレンズを用いてもよい。
偏光ビームスプリッタ12は、入射光のうち特定方向の偏光を透過し、これと直交方向の偏光を反射させる透過反射型偏光素子であり、液晶素子15の光入射面側においてこの光入射面に対して斜めに配置されている。このような偏光ビームスプリッタ12としては、例えばワイヤーグリッド型偏光素子や多層膜偏光素子などを用いることができる。
リフレクタ13は、偏光ビームスプリッタ12によって反射される光が入射し得る位置に設けられており、入射した光が液晶素子15の位置で焦点を結ぶように反射および集光して偏光ビームスプリッタ12へ入射させる。
1/4波長板14は、偏光ビームスプリッタ12とリフレクタ13の間の光経路上に配置されており、入射する光に位相差を与える。本実施形態では、偏光ビームスプリッタ12によって反射された光は、1/4波長板14を透過し、リフレクタ13で反射されて再度1/4波長板14を透過することで偏光方向が90°回転して偏光ビームスプリッタ12へ再入射する。それにより、再入射した光は偏光ビームスプリッタ12をより透過しやすい状態となるので光の利用効率が向上する。
なお、図14(B)に示す変形実施例の車両用灯具1aのように、1/4波長板14に代えて、1/2波長板14aを用いることもできる。この場合には、1/2波長板14aは、偏光ビームスプリッタ12によって反射された光は入射せず、この光がリフレクタ13で反射された光が入射する位置に配置される。
液晶素子15は、リフレクタ11、13のそれぞれにより反射および集光された光の焦点を含む位置に配置され、当該光が入射するように配置されている。液晶素子15は、互いに独立に制御可能な複数の画素部(光変調部)を備えている。本実施形態では、液晶素子15は、各画素部に駆動電圧を与えるためのドライバ(図示せず)を有している。ドライバは、コントローラ2から供給される制御信号に基づいて、液晶素子15に対して、各画素部を個別に駆動するための駆動電圧を与える。図示のように液晶素子15に入射する光は、液晶素子15の光入射面に対して広角に入射する。具体的には、光入射面の法線方向に対して40°~60°くらいの広角に光が入射する。
光学補償板16は、液晶素子15を透過した光の位相差を補償し、偏光度を高めるためのものであり、液晶素子15の光出射面側に配置されている。具体的には、光学補償板16は、液晶層15の位相差と合算した位相差が0またはそれに近い値となるようにその位相差が設定される。なお、光学補償板16は省略されてもよい。
偏光板17は、液晶素子15の光出射面側に配置されている。偏光ビームスプリッタ12、偏光板17とこれらの間に配置された液晶素子15によって、車両の前方へ照射する光の配光パターンに対応した像が形成される。偏光板17の透過軸は、偏光ビームスプリッタ12の透過軸に対して略直交する方向となるように配置される。また、偏光板17と偏光ビームスプリッタ12の各透過軸は、液晶素子15の液晶層57の層厚方向の略中央における電圧無印加時の配向方向に対して平面視で略45°の角度をなす方向となるようにそれぞれ配置される。
投影レンズ18は、リフレクタ11、13により反射および集光され、液晶素子15を透過した光が入射し得る位置に配置されており、この入射した光を車両の前方へ投影する。投影レンズ18は、その焦点が液晶素子15の液晶層に結ばれるように配置されている。投影レンズ18の光軸は図中において一点鎖線で示されるように、図中の左右方向に沿っている。
図15は、車両用灯具に用いる液晶素子の実施例を説明するための模式的な平面図である。図示の実施例の液晶素子15は、複数の画素部(セグメント領域)を備えており、これらは平面視において封止材58に囲まれた内側領域である有効表示領域内に配置されている。図示の液晶素子15において種々のサイズの矩形状領域や三角形状領域で表された各々が画素に対応する。図中、例示的にいくつかの画素部に符号を付して示す。この実施例では、各画素を構成する画素電極(後述)は各画素部の形状と略同一な形状に設けられている。
例えば、画素部70aは、x方向長さ、y方向長さともに小さい小面積の正方形状の画素部である。画素部70bは、x方向長さが画素部70aよりは大きく、y方向長さも画素部70aよりは少し大きい台形状の画素部である。画素部70cは、x方向長さが小さく、y方向長さは比較的大きい縦長の長方形状の画素部である。画素部70dは、画素部70bよりはx方向長さの小さい縦長の長方形状の画素部である。画素部70eは、x方向長さ、y方向長さ(一辺の長さ)ともに比較的大きい三角形状の画素部である。画素部70fは、x方向長さが非常に大きい横長の大面積の画素部である。画素部70gは、縦長の長方形状の画素部である。画素部70hは、x方向長さが非常に大きい横長の画素部である。なお、図示のように、液晶素子15には例示したもの以外にも種々のサイズ、形状の画素部が備えられている。各画素部70a等は、それぞれ個別に光の透過/非透過を制御可能であり、これらを適宜制御することによって、車両の前方状況に応じた種々の配光パターンの照射光を形成することが可能となる。
この実施例の液晶素子15においては、第1基板51と第2基板52のそれぞれにおいて、例えば各画素部70a、70b、70c、70d、70eを包含する領域71(図中に太い点線で示す領域)と重なる領域に上記した凹部59、69を設けることが望ましい。この領域71は、広角に入射する光が焦点を結ぶように集光する領域であり、偏光ビームスプリッタ12からの反射光をさらに反射させて集光した光も入射する領域であるため、入射光の強度がより高くなり積算光量が高くなりやすいが、各凹部59、60を用いることで当該領域71での透過率低下を防ぐことができる。この実施例の液晶素子15における各凹部59、60の断面形状について特段に限定はないが、例えば上記した図12(C)、図12(D)に示したような断面台形状とすることが望ましい。その際には、各凹部59、60のテーパー状の側壁については上記した領域71の外側に配置されるようにすることがより望ましい。また、各凹部の外側領域には、凹部よりも厚い基板厚の領域が設けられている。例えば、封止材58と重なる領域、及びその外側領域を相対的に基板厚の厚い領域とすることができる。このように、凹部の設けられた領域を囲むようにして相対的に基板厚の厚い領域を設けることにより、基板厚が全面で薄い場合と比較して基板の撓みやこの撓みによる焦点位置のずれを抑制することができる。基板厚の相対的に厚い領域は、例えば0.5mm以上1.1mm以下であることが好ましい。
以上のような各実施形態並びに実施例によれば、液晶素子のガラス基板における透過率低下を防ぐことができるので、照明装置における配光パターン中の暗領域の発生を抑えることが可能となる。
詳細には、本願発明者によれば、400nm~450nmに発光強度が存在する白色LED光源の光を集光することにより36000J/mm以上の光エネルギーが照射されると、主にガラス基板内に分散するナトリウムイオンが光エネルギーを得ることにより酸化(NaがNaに変化)して金属化することによって透過率が低下すると推察される現象が見いだされた。この現象に対して、ガラス基板のうち36000J/mmの光エネルギーが照射される高照度帯の部分の基板厚を相対的に薄くすることにより、高照度帯における透過率低下を抑制することができる。従って、液晶素子の透過率ムラを低減し、配光パターン中の暗領域の発生を抑えることができる。
なお、本開示は上記した実施形態の内容に限定されるものではなく、本開示の要旨の範囲内において種々に変形して実施をすることが可能である。例えば、上記した実施形態では液晶素子の第1基板と第2基板の各々に凹部を設けていたがこれに限定されず、いずれか一方の基板のみに凹部を設けてもよい。この場合でも、凹部を設けない場合に比較すれば透過率低下を軽減することができる。また、車両用前照灯システムにおける光学系の構成は図14(A)、図14(B)に示した構成例に限定されない。また、上記した実施形態では照明装置の一例として車両用灯具を例示していたがこれに限定されず、例えば路面上、街路灯、踏切信号、方向案内など種々の画像描画を行うための照明装置に本開示の内容を適用することが可能である。
本開示は、以下に付記する特徴を有する。
(付記1)
発光ダイオードを用いて構成されており光を放出する光源と、
前記光源から放出される前記光を集光する集光部と、
各々がガラスからなる第1基板及び第2基板と、当該第1基板と第2基板との間に配置される液晶層を有しており、前記集光部によって集光される前記光の焦点位置に配置される液晶素子と、
前記光源と前記液晶素子との間に配置される偏光ビームスプリッタと、
前記液晶素子を透過する前記光が入射し得る位置に配置される投影レンズと、
前記偏光ビームスプリッタの透過軸と略直交する方向に配置された透過軸を有しており前記液晶素子と前記投影レンズとの間に配置される偏光素子と、
を含み、
前記光源から放出される前記光は、最大光度の発光ピークを450nm以下の波長域に有する白色光であり、
前記液晶素子は、前記光が入射することによる放射エネルギーが36000J/mm以上となる被照射領域を有しており、
前記第1基板及び/又は前記第2基板は、前記液晶層から遠い側の面において前記被照射領域を含む第1領域における第1基板厚が当該第1領域以外の第2領域における第2基板厚の1/3以下である、
照明装置。
(付記2)
前記第1基板及び/又は前記第2基板は、前記第1基板厚の部分において前記液晶層から遠い側の面に凹部を有する、
付記1に記載の照明装置。
(付記3)
前記凹部に埋設された光学マッチング材を更に有する、
付記2に記載の照明装置。
(付記4)
前記凹部における前記第1基板厚は、前記第2領域に至るまでの間で連続的に変化する、
付記2に記載の照明装置。
(付記5)
前記第1基板及び前記第2基板のうち前記凹部を有するものは、前記液晶層から近い側の面にイオン交換層を有する、
付記2~4の何れか1つに記載の照明装置。
(付記6)
前記ガラスがソーダライムガラスである、
付記1~5の何れか1つに記載の照明装置。
(付記7)
前記集光部は、レンズ又はリフレクタである、
付記1~6の何れか1つに記載の照明装置。
(付記8)
前記偏光ビームスプリッタによって生じる反射光を更に反射して前記液晶素子へ入射させる反射板を更に含む、
付記1~7の何れか1つに記載の照明装置。
(付記9)
付記1~8の何れか1つに記載の照明装置を用いて構成される車両用灯具と、
車両周辺を撮影するカメラと、
前記カメラにより撮影される画像に基づいて前記液晶素子の動作を制御するコントローラと、
を含む、車両用前照灯システム。
1:車両用灯具、2:コントローラ、3:カメラ、10:光源、11:リフレクタ(反射部材)、13:偏光ビームスプリッタ、14:1/4波長板、15:液晶素子、16:光学補償板、17:偏光板、18:投影レンズ、40:ガラス基板、41:凹部、42:イオン交換層、43、43a:光学マッチング材、51:第1基板、52:第2基板、53:画素電極、54:共通電極、55、56:配向膜、57:液晶層、58:封止材、59、60:凹部

Claims (9)

  1. 発光ダイオードを用いて構成されており光を放出する光源と、
    前記光源から放出される前記光を集光する集光部と、
    各々がガラスからなる第1基板及び第2基板と、当該第1基板と第2基板との間に配置される液晶層を有しており、前記集光部によって集光される前記光の焦点位置に配置される液晶素子と、
    前記光源と前記液晶素子との間に配置される偏光ビームスプリッタと、
    前記液晶素子を透過する前記光が入射し得る位置に配置される投影レンズと、
    前記偏光ビームスプリッタの透過軸と略直交する方向に配置された透過軸を有しており前記液晶素子と前記投影レンズとの間に配置される偏光素子と、
    を含み、
    前記光源から放出される前記光は、最大光度の発光ピークを450nm以下の波長域に有する白色光であり、
    前記液晶素子は、前記光が入射することによる放射エネルギーが36000J/mm以上となる被照射領域を有しており、
    前記第1基板及び/又は前記第2基板は、前記液晶層から遠い側の面において前記被照射領域を含む第1領域における第1基板厚が当該第1領域以外の第2領域における第2基板厚の1/3以下である、
    照明装置。
  2. 前記第1基板及び/又は前記第2基板は、前記第1基板厚の部分において前記液晶層から遠い側の面に凹部を有する、
    請求項1に記載の照明装置。
  3. 前記凹部に埋設された光学マッチング材を更に有する、
    請求項2に記載の照明装置。
  4. 前記凹部における前記第1基板厚は、前記第2領域に至るまでの間で連続的に変化する、
    請求項2に記載の照明装置。
  5. 前記第1基板及び前記第2基板のうち前記凹部を有するものは、前記液晶層から近い側の面にイオン交換層を有する、
    請求項2に記載の照明装置。
  6. 前記ガラスがソーダライムガラスである、
    請求項1に記載の照明装置。
  7. 前記集光部は、レンズ又はリフレクタである、
    請求項1に記載の照明装置。
  8. 前記偏光ビームスプリッタによって生じる反射光を更に反射して前記液晶素子へ入射させる反射板を更に含む、
    請求項1に記載の照明装置。
  9. 請求項1に記載の照明装置を用いて構成される車両用灯具と、
    車両周辺を撮影するカメラと、
    前記カメラにより撮影される画像に基づいて前記液晶素子の動作を制御するコントローラと、
    を含む、車両用前照灯システム。
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