JP2023174017A - ヤーンパッケージ - Google Patents

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Munekiyo Uranaka
雄亮 田口
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Abstract

【課題】製織時の作業性及び生産性を向上させるヤーンパッケージを提供すること。【解決手段】巻取部を有するボビンと、該巻取部に巻き取られたヤーンとを具備し、前記ボビンが、前記巻取部の下端部に該下端部の外周より外側に突出するように設けられた円盤状の鍔部を有し、前記鍔部が、その側面に周方向に沿って形成された溝部を有し、前記ヤーンが、前記鍔部の溝部に沿って少なくとも1周巻かれた部分を前記巻き取られたヤーンのうちの最内層のヤーンと繋がる位置に有しているとともに、前記ボビンの巻取部の下部から上部へ巻き取られた部分と、前記巻取部の上部から下部へ巻き取られた部分とを交互に有するヤーンパッケージ。【選択図】図1

Description

本発明は、ヤーンパッケージに関し、さらに詳述すると、製織時の作業性に優れたヤーンパッケージに関する。
ガラスクロスを製織する際には、ガラスヤーンに綾を掛けてボビンに巻き取ったガラスヤーンパッケージを用いるのが一般的である。ヤーンパッケージの巻き形状としては、一般的に、ボビンの巻取部下部から任意の高さまでが円筒形状であり、残りの高さの部分を円錐台形状としたものが知られている。
ガラスクロスをエアジェット織機等で製織する際に、ヤーンパッケージに巻かれたヤーンが少なくなると、織機を停止し、作業者が手作業でヤーンパッケージの交換を行う必要がある。ヤーンパッケージの巻き量を増やすことで交換頻度は低減できるが、交換時の織機停止時間の短縮化が課題となっている。
複数のガラスヤーンを連続して使用するためのガラスヤーンパッケージとして、特許文献1には、ボビン巻取部に捨て巻き層を形成し、続けてボビン底部の鍔部にヤーンを少なくとも1周巻いて尾端を形成した後に本巻きしたガラスヤーンパッケージが提案されている。特許文献1によれば、捨て巻き層は、通常除去されるガラスヤーンの先端部分で形成されているが、パッケージを交換する際は、尾端部分でヤーンを切断して次のヤーンと連結することで、捨て巻き層を使用せずにガラスクロスを製織することができ、作業効率を改善できる。
特開2004-83235号公報
しかし、特許文献1記載のガラスヤーンパッケージでは、外部からの衝撃などが加わったときに尾端に巻きずれが発生し、製織時の作業性が損なわれるという問題点があった。
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、製織時の作業性及び生産性を向上させるヤーンパッケージを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、ボビン巻取部の下端部にこの下端部外周より外側に突出するように設けられた円盤状の鍔部の側面部に形成された溝部に、ヤーンパッケージ最内部となるヤーンに繋がる部分のヤーンを少なくとも1周巻いてから、残りのヤーンを巻取部に巻き取ることにより、外部からの衝撃などによって溝部に巻いたヤーンに巻きずれが発生することを防止できることを見出した。また、本発明のヤーンパッケージをクロスの製造に用いることで、ヤーンパッケージの交換時に、残量が少なくなったヤーンパッケージの鍔部に巻いたヤーンと、次に使用するヤーンパッケージの最外層のヤーンの先端とを連結させることができ、織機を停止することなく製織することができることを見出し、本発明をなすに至った。なお、本明細書では、ヤーンをボビンに綾掛けして巻き取ったものをヤーンパッケージと定義する。
従って、本発明は、
1. 巻取部を有するボビンと、該巻取部に巻き取られたヤーンとを具備し、
前記ボビンが、前記巻取部の下端部に該下端部の外周より外側に突出するように設けられた円盤状の鍔部を有し、
前記鍔部が、その側面に周方向に沿って形成された溝部を有し、
前記ヤーンが、前記鍔部の溝部に沿って少なくとも1周巻かれた部分を前記巻き取られたヤーンのうちの最内層のヤーンと繋がる位置に有しているとともに、前記ボビンの巻取部の下部から上部へ巻き取られた部分と、前記巻取部の上部から下部へ巻き取られた部分とを交互に有するヤーンパッケージ、
2. ヤーンがガラスヤーンである1記載のヤーンパッケージ、
3. 1又は2記載のヤーンパッケージを複数個準備する準備工程、
複数個のヤーンパッケージのうちの第一のヤーンパッケージの鍔部の溝部に沿って巻かれたヤーンと、第二のヤーンパッケージの最外層のヤーンの先端部分とを連結し、必要により、連結した第二のヤーンパッケージの鍔部の溝部に沿って巻かれたヤーンと、第三のヤーンパッケージの最外層のヤーンの先端部分とを連結する連結作業を残りのヤーンパッケージを用いて行い、複数個のヤーンパッケージを順次連結する連結工程、及び
連結した複数個のヤーンパッケージを用いてガラスクロスを製織する製織工程
を含むガラスクロスの製造方法、
4. 3記載の方法によって製造されたガラスクロス
を提供する。
本発明によれば、製織時の作業性及び生産性に優れ、品質の安定したクロスを製造できるヤーンパッケージを提供できる。
本発明のヤーンパッケージの一実施形態に係る概略正面図である。
[ヤーンパッケージ]
本発明のヤーンパッケージは、巻取部を有するボビンと、この巻取部に巻き取られたヤーンとを具備し、前記ボビンが、前記巻取部の下端部にこの下端部の外周より外側に突出するように設けられた円盤状の鍔部を有し、前記鍔部が、その側面に周方向に沿って形成された溝部を有し、前記ヤーンが、巻取部に巻き取られる前に前記鍔部の溝部に沿って少なくとも1周巻かれてから、前記巻取部の下部から上部へと上部から下部へと交互に繰り返し巻き取られたものである。
(1)ボビン
本発明で用いられるボビンは、ヤーンを巻き取る巻取部と、この巻取部の下端部にこの下端部の外周より外側に突出するように設けられた円盤状の鍔部とを有するものであり、この鍔部には、その側面に周方向に沿って溝部が形成されているものである。
本発明で用いられるボビンの巻取部(胴部)の形状は特に限定されず、従来公知の形状から適宜選択することができ、例えば、円筒形、円柱形、円錐形、円錐台形等が挙げられるが、円筒形または円柱形が好ましい。
巻取部の長さ(高さ)および太さ(胴径)も特に限定されず、ヤーンパッケージに用いられる従来公知の範囲から適宜選定することができる。
また、巻取部には、その側面に、長さ(高さ)方向に沿って所定の間隔をおいて、断面台形状の凸部(節部)が環状に複数形成されていてもよい。
鍔部の形状は、円盤状であるが、本発明において、円盤状とは、円錐台形状、円盤状と円錐台形状を組み合せた形状等も包含するものとする。鍔部は、巻取部の外周より外側に突出するように設けられている限り、突出部分の長さ(巻取部下端部から鍔部端部までの距離)は特に限定されないが、例えば、15~100mmが好ましい。また、鍔部の厚さ(高さ)は、溝部を形成することができる程度であれば特に限定されないが、例えば、1.5~3.0mmが好ましい。
また、鍔部の側面に沿って形成された溝部の形状は、この溝部に巻き付けたヤーンを1本以上、好ましくは1~5本保持可能であれば特に限定されず、例えば、断面コ字状、断面横U字状等の形状が挙げられる。
なお、本発明で用いられるボビンの向きは、巻き取り時、製織時等の条件に応じて、縦置き、横置き等することができ、使用用途により適宜選択することができる。
本発明で用いられるボビンの材質は特に限定されないが、例えば、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)樹脂、6ナイロン(PA6)樹脂、66ナイロン(PA66)樹脂、ポリオキシメチレン(POM)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂等が挙げられる。
ボビンの製造方法は、溝部を有する鍔部を形成することができれば特に限定されず、公知の製造方法を用いることができる。
ボビンの帯電防止加工の有無は特に限定されない。帯電防止加工を行う場合の加工方法は特に限定されないが、例えば、ボビン表面に帯電防止剤をスプレーで塗布する方法、成型前の樹脂組成物に帯電防止剤を添加する方法等、公知の帯電防止加工方法を用いることができる。帯電防止剤の種類も特に制限されず、例えば、界面活性剤タイプ、アイオノマー系のもの等が挙げられる。
(2)ヤーン
本発明で用いられるヤーンの種類としては、特に限定されないが、ガラスヤーンが好ましい。なお、本明細書では、ガラスを引き伸ばして得られる細い糸状の単繊維をガラスフィラメント、ガラスフィラメントを束ねたものをガラスストランド、ガラスストランドに撚りをかけたものをガラスヤーンと定義する。
(2-1)ガラスヤーンの組成
本発明で用いられるガラスヤーンのガラス組成は特に限定されず、例えば、Eガラス、Dガラス、Cガラス、Sガラス、NEガラス、Tガラス、Qガラス(石英ガラス)等が挙げられ、使用用途に応じて適宜選定すればよい。
(2-2)ガラスフィラメント
ガラスフィラメントは、ガラスを引き伸ばして得られる細い糸状の単繊維である。
本発明のガラスヤーンを構成するフィラメントの平均径は特に限定されないが、例えば、3~20μmが好ましく、3.5~14μmがより好ましい。
(2-3)ストランド
ストランドは、ガラスフィラメントを束ねたものである。
本発明では、上記フィラメントを30~400本束ねてストランドにすることが好ましく、35~300本がより好ましい。
(2-4)ガラスヤーン
ガラスヤーンは、ガラスストランドに撚りをかけたものである。
本発明において、ガラスヤーンの撚り数は、0.1~5.0回/25mmが好ましく、0.2~4.0回/25mmがより好ましく、0.5~2.0回/25mmがさらに好ましい。撚り数が0.1回/25mm未満の場合は、撚り数が少なく、集束性が損なわれ、糸切れや毛羽が発生しやすくなる場合がある。また、5.0回/25mmを超える場合は、飛走性が損なわれ、製織性が損なわれる場合がある。
次に、図面を参照しつつ、本発明のヤーンパッケージの一実施形態を説明する。
図1には、本発明の一実施形態に係るヤーンパッケージ100が示されており、このヤーンパッケージ100は、ボビン1と、ボビン1に巻き取られたヤーン2とを具備している。本実施形態では、ボビン1は、巻取部11と、円盤状の鍔部12とを有しており、鍔部12には、その側面に周方向に沿って断面コ字状の溝部121が形成されている。ヤーン2は、溝部121に1周以上、好ましくは1~5周巻かれてから、ボビン1の巻取部11の下部から上部へと上部から下部へと交互に繰り返して巻き取られており、その結果、石英ガラスヤーン2は、ボビン1の巻取部11の下部から上部へ巻き取られた部分21と、上部から下部へ巻き取られた部分22とを交互に有するとともに、溝部121に巻かれたヤーン23とを有している。
ここで、ボビンの巻取部下部から上部へ又は上部から下部へヤーンを巻き取ることで一つの糸層が形成されるが、本発明では、ボビン巻取部の同一層に巻かれた隣接するヤーン間の距離を巻きピッチという。本発明のヤーンパッケージでは、ボビン巻取部の下部から上部への巻きピッチaも、上部から下部への巻きピッチbも特に限定されないが、ボビン巻取部の下部から上部への巻きピッチaは、0.05~0.5mmが好ましく、0.1~0.4mmがより好ましい。また、ボビン巻取部の上部から下部への巻きピッチbは、0.1~0.8mmが好ましく、0.2~0.7mmがより好ましい。
巻きピッチa,bが上記範囲より狭い場合は、糸出し性が損なわれ、整経時に糸切れや毛羽が発生しやすくなる場合がある。また、上記範囲より広い場合は、石英ガラスヤーンがボビンから滑り落ちるため、均一なテンションを保つことができない場合がある。
ボビンに巻き取られたヤーンの巻き形状は特に限定されず、従来公知の形状から適宜選択すればよく、例えば、円筒形(円柱形)、円錐形、円錐台形、紡錘形、円筒形(円柱形)と円錐台形を組み合せた形状等が挙げられる。
なお、本発明のヤーンパッケージの向きは、製織時等の条件に応じて、縦置き、横置き等することができ、使用用途により適宜選択することができる。
[ヤーンパッケージの製造方法]
本発明のヤーンパッケージがガラスヤーンパッケージである場合、例えば、下記工程を含む方法により製造することができる。
(1)ガラスインゴットを所望の形状に成型した後、加熱延伸してガラスフィラメントを形成するフィラメント形成工
(2)得られたフィラメントを所定本数束ねてガラスストランドを形成する集束工程
(3)得られたストランドに撚りをかけてガラスヤーンを形成しながらボビンに巻き取る巻取工程
(1)フィラメント形成工程
フィラメント形成工程は、原料となるガラスインゴットを所望の形状に成型し、必要によりアニール処理した後、加熱延伸してガラスフィラメントを形成する工程である。
本発明で用いられるガラスフィラメントの原料インゴットの製造方法としては、水晶を原料とした電気溶融法、火炎溶融法;四酸化ケイ素を原料とした直接合成法、プラズマ合成法、スート法;アルキルシリケートを原料としたゾルゲル法等が挙げられるが、これらの製造方法に限定されるものではない。これらの中でも、水晶を原料とした電気溶融法;四酸化ケイ素を原料としたプラズマ合成法、スート法、又はアルキルシリケートを原料としたゾルゲル法が不純物としてOH基を含みにくいとされているため、好ましい。
本発明で用いられるガラスフィラメントの製造方法は特に制限されず、公知の紡糸方法を用いることができ、例えば、電気溶融、酸水素火炎による延伸法等が挙げられる。例えば、Qガラスを用いたシリカガラスフィラメントを製造する場合、シリカガラスのインゴット原料から電気炉延伸した150~350μmのシリカガラスの糸を、酸水素バーナーにより紡糸する方法等が挙げられる。
また、ガラスインゴットまたはガラスロッドの直径と、延伸されるガラスインゴットまたはガラスロッドの送り速度と、ガラスフィラメントの線引き速度の制御を行うことにより、所望のフィラメント径を得ることができる。
(2)集束工程
集束工程は、得られたフィラメントを所定本数束ねてガラスストランドを形成する工程である。
本発明で用いられるガラスストランドの形成方法は特に限定されず、従来公知の方法を採用することができる。この場合、ガラスフィラメントを束ねる際に、集束剤を塗布することが好ましい。
本発明で用いられる集束剤としては、ガラスフィラメントに用いられるものであれば特に限定されず、例えば、澱粉を主原料とした組成物が挙げられ、機能性付与のため、柔軟剤、潤滑剤、帯電防止剤等を配合することができる。澱粉としては、例えば、コーン、馬鈴薯、米、小麦、タピオカ、さつまいも等を原料とするものが挙げられる。
また、本発明で用いられるガラスストランドは、複数のフィラメントをサイズ剤により集束して調製することもできる。このサイズ剤は、通常、ガラスフィラメントの収束性や、ガラスヤーン製織時の保護や飛走性を向上させる目的で使用されるものであり、本発明では、被膜形成剤成分として、でんぷん系又はポリビニルアルコール(PVA)系のものを含むサイズ剤が好ましい。
(3)巻取工程
巻取工程は、得られたガラスストランドを撚糸機を用いて撚糸しガラスヤーンを形成しながらボビンに巻き取る工程である。
ここで、本発明で用いられる撚糸機は特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。具体例としては、例えば、複数本の回転可能なスピンドルが、列をなして直立して取り付けられており、各スピンドル上には着脱可能なボビンが嵌着され、さらに、各スピンドルの上方には、紡糸工程で得られたケーキを装着するクリールがスピンドルと同数設けられているものが挙げられる。
スピンドルの周囲には、トラベラーが係合されたリングレールが設置されており、撚糸機を稼働させると、スピンドルが一定の速度で回転し、これに伴ってリングレールも一定の速度で上下に反復移動し、ボビンへのガラスヤーンの巻き付け位置が変化することで、ガラスヤーンが、ボビン巻取部の下部から上部へと上部から下部へと交互に所定の巻きピッチで巻き取られて、ガラスヤーンパッケージが得られる。なお、巻きピッチは、スピンドル回転速度とリングレール速度に依存する。
本発明では、ガラスヤーンをボビンに巻き取る際の巻き取り方は、上述した本発明のヤーンパッケージが得られる限り特に限定されないが、例えば、まず、ガラスストランドの先端をボビン巻取部の任意の位置に少なくとも1回巻いて固定し、続いて、ボビン鍔部の側面に周方向に沿って形成された溝部にガラスストランドを少なくとも1周、好ましくは1~5周巻いてから、撚糸機を稼働させ、ガラスストランドに撚りをかけて得られたガラスヤーンを所定の巻きピッチでボビン巻取部に巻き取る方法を挙げることができる。ガラスストランドの先端は、大きなずれが生じなければ、必ずしも巻取部に巻く必要はなく、例えば、巻取部、鍔部、鍔部の溝部等の任意の位置にストランドの先端を手で押さえる等の任意の方法で固定しておき、続いて、鍔部の溝部に巻くようにすることもできる。
[ガラスクロス]
本発明のガラスクロスは、上記ガラスヤーンパッケージを用いて製造される。
本発明のガラスクロスの織組織、織密度等は特に限定されないが、織組織としては、例えば、平織、朱子織、ななこ織、綾織等が挙げられる。また、織密度としては、例えば、10~130本/25mmが好ましい。
[ガラスクロスの製造方法]
本発明のガラスクロスの製造方法は特に制限されず、公知の方法により製造することができるが、例えば、下記工程を含む方法により製造することができる。
(11)本発明のガラスヤーンパッケージを1個又は複数個準備する準備工程
(12)ガラスヤーンパッケージが複数個ある場合、そのうちの第一のヤーンパッケージの鍔部の溝部に沿って巻かれたヤーンと、第二のヤーンパッケージの最外層のヤーンの先端部分とを連結し、必要により、連結した第二のヤーンパッケージの鍔部の溝部に沿って巻かれたヤーンと、第三のヤーンパッケージの最外層のヤーンの先端部分とを連結する連結作業を残りのヤーンパッケージを用いて行い、複数個のヤーンパッケージを順次連結する連結工程
(13)1個又は連結した複数個のガラスヤーンパッケージを用いてガラスクロスを製造する製織工程
(14)必要により、ガラスクロスのガラスヤーンを開繊する開繊工程
(15)必要により、ガラスストランドを製造する際に用いたサイズ剤を除去する脱サイズ工程
(16)必要により、ガラスクロスを表面処理剤で処理する表面処理工程
(11)準備工程
準備工程は、本発明のガラスヤーンパッケージを1個又は複数個準備する工程である。
ガラスヤーンパッケージを複数個準備する場合、その個数は、製織するクロスの製織長、ヤーンパッケージのヤーンの長さ等によるため特に限定されず、従来公知の範囲で適宜調整することができる。
(12)連結工程
連結工程は、ガラスヤーンパッケージを複数個用いて次の製織工程を行う場合、製織工程の前に、これら複数個のガラスヤーンパッケージを連結する工程である。
ガラスヤーンパッケージが2個の場合は、いずれか一方のガラスヤーンパッケージの鍔部の溝部に沿って巻かれたヤーンと、他方のガラスヤーンパッケージの最外層のヤーンの先端部分とを連結する。3個以上の場合は、すでに連結した2個のガラスヤーンパッケージのうち、最外層のヤーンを連結したガラスヤーンパッケージの鍔部の溝部に沿って巻かれたヤーンと、3個目のヤーンパッケージの最外層のヤーンの先端部分とを連結する。この連結作業を残りのヤーンパッケージについても行うことで、複数個のガラスヤーンパッケージを順次連結することができる。
連結方法は特に限定されず、ガラスヤーンの連結に従来用いられている公知の方法を採用することができる。
(13)製織工程
製織工程は、1個又は連結した複数個の本発明のガラスヤーンパッケージを用いてガラスクロスを製造する工程である。
製織方法は特に制限されず、従来公知の方法から適宜選択して行うことができ、例えば、レピア織機によるもの、シャトル織機によるもの、エアジェットルームによるもの等が挙げられる。連結した複数個のガラスヤーンパッケージを用いる場合も、従来公知の方法に従って、ヤーンパッケージを設置することができる。
(14)開繊工程
開繊工程は、必要により、ガラスクロスのガラスヤーンを開繊する工程である。
製織工程で得られたガラスクロスはそのまま使用することもできるが、必要に応じて、ガラスクロスをプリプレグ等に用いたときの樹脂溶液等の含侵性及び表面平滑性を向上させるため、開繊処理することができる。開繊処理方法は特に限定されないが、例えば、超音波、高圧水、拡散スプレー、気液混合ミスト等を用いる方法が挙げられる。
(15)脱サイズ工程
脱サイズ工程は、必要により、ガラスストランドを製造する際に用いたサイズ剤を除去する工程である。
脱サイズ処理方法としては特に限定されないが、例えば、加熱、水洗、エッチング等が挙げられる。
(16)表面処理工程
表面処理工程は、必要により、ガラスクロスを表面処理剤で処理する工程である。
本発明のガラスクロスをプリプレグ等に用いる場合、樹脂組成物の含浸性や樹脂組成物とガラスクロスとの界面の接着性を発現させるために、必要に応じて、ガラスクロスをシランカップリング剤等の表面処理剤で処理することができる。
表面処理剤としては特に限定されないが、例えば、ビニル基、スチリル基、メタクリル基、アクリル基等の官能基を有するシランカップリング剤等が挙げられる。シランカップリング剤の具体例としては、γ-(メタ)アクリロキシプロピルジメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルジエトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β-メトキシエトキシ)シラン、p-スチリルトリメトキシシラン等が挙げられる。特に、処理表面が安定で、有機樹脂と化学的に結合可能な官能基を有する不飽和基含有官能基が好ましく、例えば、ビニル系や(メタ)アクリル系、スチリル系のシランカップリング剤が好ましく用いられる。
シランカップリング剤は、表面処理するガラスクロスや、プリプレグに用いる際の樹脂に応じて選択すればよく、単独で用いても2種以上のシランカップリング剤を併せて用いてもよい。例えば、従来使用されているエポキシ樹脂用のシランカップリング剤としては、エポキシ系シランカップリング剤、カチオン系シランカップリング剤等が挙げられる。
表面処理剤の量は、特に限定されないが、ガラスクロス100質量部に対して0.05~1.0質量部が好ましい。
以下、実施例および比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
[1]ガラスヤーンパッケージの作製
[実施例1]
ボビン巻取部底部の鍔部の側面部に周方向に沿って溝部を有するボビンを用い、平均フィラメント径5μm×100本のガラスストランド先端をボビン巻取部の任意の位置に複数回巻いて固定した後、ボビン巻取部底部の鍔部の溝部に1周巻いた。
リング撚糸機を用いて撚り数0.6回/25mm、ボビン巻取部の下部から上部への巻きピッチaが0.2mm、ボビン上部から下部への巻きピッチbが0.5mmとなるように撚糸し、ガラスヤーンパッケージを作製した。
[実施例2]
ボビン巻取部底部の鍔部の側面部に周方向に沿って溝部を有するボビンを用い、平均フィラメント径5μm×100本のガラスストランド先端をボビン巻取部の任意の位置に複数回巻いて固定した後、ボビン巻取部底部の鍔部の溝部に3周巻いた。
リング撚糸機を用いて撚り数0.6回/25mm、ボビン巻取部の下部から上部への巻きピッチaが0.2mm、ボビン巻取部の上部から下部への巻きピッチbが0.5mmとなるように撚糸し、ガラスヤーンパッケージを作製した。
[実施例3]
ボビン巻取部底部の鍔部の側面部に周方向に沿って溝部を有するボビンを用い、平均フィラメント径5μm×100本のガラスストランド先端をボビン巻取部の任意の位置に複数回巻いて固定した後、ボビン巻取部底部の鍔部の溝部に1周巻いた。
リング撚糸機を用いて撚り数0.5回/25mm、ボビン巻取部の下部から上部への巻きピッチaが0.1mm、ボビン巻取部の上部から下部への巻きピッチbが0.6mmとなるように撚糸し、ガラスヤーンパッケージを作製した。
[実施例4]
ボビン巻取部底部の鍔部の側面部に周方向に沿って溝部を有するボビンを用い、平均フィラメント径5μm×100本のガラスストランド先端をボビン巻取部の任意の位置に複数回巻いて固定した後、ボビン巻取部底部の鍔部の溝部に5周巻いた。
リング撚糸機を用いて撚り数1.0回/25mm、ボビン巻取部の下部から上部への巻きピッチaが0.3mm、ボビン巻取部の上部から下部への巻きピッチbが0.2mmとなるように撚糸し、ガラスヤーンパッケージを作製した。
[実施例5]
ボビン巻取部底部の鍔部の側面部に周方向に沿って溝部を有するボビンを用い、平均フィラメント径3.6μm×38本のガラスストランド先端をボビン巻取部の任意の位置に複数回巻いて固定した後、ボビン巻取部底部の鍔部の溝部に1周巻いた。
リング撚糸機を用いて撚り数0.6回/25mm、ボビン巻取部の下部から上部への巻きピッチaが0.2mm、ボビン巻取部の上部から下部への巻きピッチbが0.5mmとなるように撚糸し、ガラスヤーンパッケージを作製した。
[実施例6]
ボビン巻取部底部の鍔部の側面部に周方向に沿って溝部を有するボビンを用い、平均フィラメント径14μm×300本のガラスストランド先端をボビン巻取部の任意の位置に複数回巻いて固定した後、ボビン巻取部底部の鍔部の溝部に1周巻いた。
リング撚糸機を用いて撚り数1.0回/25mm、ボビン巻取部の下部から上部への巻きピッチaが0.2mm、ボビン巻取部の上部から下部への巻きピッチbが0.5mmとなるように撚糸し、ヤーンパッケージを作製した。
[比較例1]
ボビン巻取部底部の鍔部に溝部を有しないボビンを用い、平均フィラメント径5μm×100本のガラスストランド先端をボビン巻取部の任意の位置に複数回巻いて固定した後、ボビン底部の鍔部に1周巻いた。
リング撚糸機を用いて撚り数0.6回/25mm、ボビン巻取部の下部から上部への巻きピッチaが0.2mm、ボビン巻取部の上部から下部への巻きピッチbが0.5mmとなるように撚糸し、ガラスヤーンパッケージを作製した。
[比較例2]
ボビン巻取部底部の鍔部の側面部に沿って溝部を有するボビンを用い、平均フィラメント径5μm×100本のガラスストランド先端をボビン巻取部の任意の位置に複数回巻いて固定し、リング撚糸機を用いて撚り数0.6回/25mm、ボビン巻取部の下部から上部への巻きピッチaが0.2mm、ボビン巻取部の上部から下部への巻きピッチbが0.5mmとなるように撚糸し、ガラスヤーンパッケージを作製した。
[2]特性評価
各実施例及び比較例で得られたガラスストランド及びガラスヤーンパッケージについて下記評価を行った。結果を表1に示す。
1.撚糸時の糸切れ
68kmのガラスストランドを撚糸し、糸切れしなかったものを「〇」、途中で糸切れしたものを「×」とした。
2.衝撃による巻きずれ評価
得られたガラスヤーンパッケージを段ボールに梱包し、高さ90cmの位置から10回落下させた後、目視により鍔部に巻いたヤーンの巻きずれの有無を下記基準に従って確認した。
・巻きずれなし:〇
・巻きずれが発生した:×
3.製織作業性評価
ガラスヤーンパッケージを10本作製し、ヤーンパッケージの最外層先端のヤーンを他のガラスヤーンパッケージの鍔部に巻いたヤーンに連結させ、これを繰り返して10本のパッケージを順次連結させた。次いで、連結させたパッケージを用いて製織を行い、下記基準に従って評価した。
また、衝撃による巻きずれ評価を行った後のガラスヤーンパッケージを用いて、同様に評価した。
・織機停止回数がボビン交換本数より少ない:〇
・織機停止回数がボビン交換本数と同じ又はボビン交換本数より多い:×
Figure 2023174017000002
鍔部に溝部を有するボビンを用いてこの溝部にヤーンを巻いた実施例1~6では、落下による衝撃が加わっても巻きずれの発生が抑制され、製織作業性も良好であった。
鍔部に溝部を有しないボビンを用いた比較例1では、落下による衝撃で巻きずれが発生し、巻きずれしたヤーンパッケージでは、製織作業性が損なわれた。
このように、本発明によれば、ボビン巻取部底部の鍔部に溝部を有し、この溝部にヤーンを少なくとも1周巻くことで、製織時の作業性及び生産性に優れ、品質の安定したガラスクロスを提供できるという著大な効果を奏する。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に含有される。
1 ボビン
11 巻取部
12 鍔部
121 溝部
2 ヤーン
21 巻取部下部から上部へ巻き取られたヤーン
22 巻取部上部から下部へ巻き取られたヤーン
23 溝部に巻かれたヤーン
100 ヤーンパッケージ
a 巻取部下部から上部への巻きピッチ
b 巻取部上部から下部への巻きピッチ

Claims (4)

  1. 巻取部を有するボビンと、該巻取部に巻き取られたヤーンとを具備し、
    前記ボビンが、前記巻取部の下端部に該下端部の外周より外側に突出するように設けられた円盤状の鍔部を有し、
    前記鍔部が、その側面に周方向に沿って形成された溝部を有し、
    前記ヤーンが、前記鍔部の溝部に沿って少なくとも1周巻かれた部分を前記巻き取られたヤーンのうちの最内層のヤーンと繋がる位置に有しているとともに、前記ボビンの巻取部の下部から上部へ巻き取られた部分と、前記巻取部の上部から下部へ巻き取られた部分とを交互に有するヤーンパッケージ。
  2. ヤーンがガラスヤーンである請求項1記載のヤーンパッケージ。
  3. 請求項1又は2記載のヤーンパッケージを複数個準備する準備工程、
    複数個のヤーンパッケージのうちの第一のヤーンパッケージの鍔部の溝部に沿って巻かれたヤーンと、第二のヤーンパッケージの最外層のヤーンの先端部分とを連結し、必要により、連結した第二のヤーンパッケージの鍔部の溝部に沿って巻かれたヤーンと、第三のヤーンパッケージの最外層のヤーンの先端部分とを連結する連結作業を残りのヤーンパッケージを用いて行い、複数個のヤーンパッケージを順次連結する連結工程、及び
    連結した複数個のヤーンパッケージを用いてガラスクロスを製織する製織工程
    を含むガラスクロスの製造方法。
  4. 請求項3記載の方法によって製造されたガラスクロス。
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