JP2023173442A - トナー、二成分系現像剤及びトナーの製造方法 - Google Patents

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【課題】長期に渡って高温高湿環境下及び常温低湿環境下で画像を出力する場合においても帯電安定性を有し、画像濃度、画質が良好であるトナー、二成分系現像剤及びトナーの製造方法を提供するものである。【解決手段】結着樹脂を含有するトナー粒子、および前記トナー粒子表面にシリカ粒子を有するトナーであって、前記シリカ粒子を前記トナー粒子100質量部あたり0.40質量部以上3.50質量部以下含有し、前記シリカ粒子の比重が1.7g/cm3以上であり、前記シリカ粒子のX線光電子分光装置(ESCA)により求めた炭素原子の割合が18atom%以上であることを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真方式、静電記録方式、静電印刷方式、トナージェット方式に用いられるトナー及び二成分系現像剤に関する。
近年、電子写真方式のフルカラー複写機が広く普及するに従って、更なる高速化、高画質化、省エネルギー化、高寿命化等が要求されている。トナーに用いられる外添剤としては一般的にシリカが広く知られている。一般に、乾式又は湿式(ゾルゲル法)により得られたシリカに表面処理を施し、疎水性を高めた例が報告されている。例えば特許文献1では、高疎水性球状ゾルゲルシリカ微粒子をトナー母粒子に添加し、トナーの帯電安定性を向上させた例がある。
しかし、長期に渡って高温高湿環境下で画像を出力する場合においては、トナー表面に存在しているシリカが水分の影響を受け、トナーの帯電量が低下し、画像濃度や画像濃度均一性が低下する場合があった。長期に渡って常温低湿環境下で画像を出力する場合においても、トナー表面に存在しているシリカが湿度の影響を受け、トナーが過剰に帯電することがある。その場合、現像部からトナーが飛翔し難くなり、画像濃度や画像濃度均一性が低下する場合や、高画質な画像が得られない場合があった。このように、画像出力環境が異なる場合においてのトナーの帯電安定性に起因する画像濃度、及び画質の観点ではまだ改善の余地があった。
一方で、特許文献2では、ポリアルキルシルセスキオキサン微粒子をトナー母粒子に添加し、トナーの帯電安定性を向上させた例がある。
特開2007-099582公報 国際公開第2015/107961号
本発明者らが検討したところ、特許文献2に記載の上記微粒子は比重が小さいため、トナー母粒子に対する固着性が不十分となり、感光体表面に上記微粒子が移行しすぎてしまうことにより、二重移り(以下、ゴーストと称す)などの画像弊害を起こすことがあった。
本発明の目的は、上記の課題を解決したトナーを提供することにある。具体的には、長期に渡って高温高湿環境下及び常温低湿環境下で画像を出力する場合においても帯電安定性を有し、ゴーストを抑制しつつ、画質に優れたトナー、二成分系現像剤及びトナーの製造方法を提供することにある。
本発明は、結着樹脂を含有するトナー粒子、および前記トナー粒子表面にシリカ粒子を有するトナーであって、
前記シリカ粒子を前記トナー粒子100質量部あたり0.40質量部以上3.50質量部以下含有し、
前記シリカ粒子の比重が1.7g/cm3以上であり、
前記シリカ粒子のX線光電子分光装置(ESCA)により求めた炭素原子のatom%が18%以上であることを特徴とするトナーに関する。
また、本発明は、結着樹脂を含有するトナー粒子とシリカ粒子とを混合し、トナー粒子混合物を得る混合工程、および前記トナー粒子混合物を熱風により熱処理する熱処理工程を有するトナーの製造方法であって、
前記トナーが、前記シリカ粒子を前記トナー粒子100質量部あたり0.40質量部以上3.50質量部以下含有し、
前記シリカ粒子の比重が1.7g/cm3以上であり、
前記シリカ粒子のX線光電子分光装置(ESCA)により求めた炭素原子のatom%が18%以上であることを特徴とするトナーの製造方法に関する。
さらに、本発明は、トナー、および磁性キャリアを有する二成分系現像剤であって、
前記トナーが上記構成のトナーであることを特徴とする二成分系現像剤に関する。
本発明によれば、長期に渡って高温高湿環境下及び常温低湿環境下で画像を出力する場合においても帯電安定性を有し、ゴーストを抑制しつつ、画質に優れたトナー、二成分系現像剤及びトナーの製造方法を提供することができる。
本発明に用いられる熱球形化処理装置の図である。 ゴーストの評価に用いるテストチャートの説明図である。
本発明のトナーは、結着樹脂を含有するトナー粒子、および前記トナー粒子表面にシリカ粒子を有するトナーであって、
前記シリカ粒子を前記トナー粒子100質量部あたり0.40質量部以上3.50質量部以下含有し、
前記シリカ粒子の比重が1.7g/cm3以上であり、
前記シリカ粒子のX線光電子分光装置(ESCA)により求めた炭素原子の割合が18atom%以上であることを特徴とするものである。
このような構成を有する本発明のトナーを用いることによる作用効果について、本発明者らは以下のように考える。
従来、トナー用外添剤として用いられてきたシリカ粒子は、末端に存在するシラノール基をシラン化合物などによりカップリング反応させる、あるいはシリコーンオイルで表面処理することで疎水化して使用される。しかし、表面処理後も残存シラノール基量が多く、最表層の炭素原子の割合は低い状態であり、帯電安定性が低下していた。対して、本発明のシリカ粒子は、ESCAにより求められる炭素原子の割合が18atom%以上という大きいものである。これにより、最表層のシラノール基の量が少なくなり、水分の影響を受けづらくなることで帯電安定性が良化する。さらに表面の元素の均一性が上がることで、粒子毎の帯電ムラが抑制され、様々な状況下での画像濃度安定性や画質が向上する。
また、本発明のシリカ粒子は比重が1.7g/cm3以上であることを特徴とする。これにより、トナー母粒子にシリカ粒子を固着させる際に力が加わりやすくなり、固着性が向上し、ゴースト発生を抑制している。
さらにこのシリカ粒子の含有量が一定範囲内(トナー粒子100質量部あたり0.40質量部以上3.50質量部以下)にあることで、トナーの帯電性を十分に付与しつつ、過剰なシリカ粒子によるゴースト発生を抑制している。
シリカ粒子の個数平均粒径は40nm以上200nm以下であることが好ましい。上記範囲にあることでトナーがストレスを受けた際の埋没や脱離を抑制し、帯電安定性を良化しつつ、ゴースト発生を抑制している。
シリカ粒子のX線光電子分光装置(ESCA)により測定されるSi2Pスペクトルのピーク分離により求められるシリカ由来のピーク比率が、Si全体の40%以下であることが好ましい。これは、本発明のシリカ粒子の最表層のケイ素の四官能性シランの割合が少ないことを示しており、この範囲にあることで粒子の帯電の均一性が向上し、帯電安定性、画質が向上する。
シリカ粒子のトナー表面への固着率は80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。シリカ粒子のトナー粒子表面への固着率が小さいと、トナーが磁性キャリアからストレスを受けた際のトナー粒子表面からのシリカ粒子の脱離により帯電能が低下するだけでなく、感光体表面にシリカ粒子が移行することによりゴーストが発生する場合がある。シリカ粒子の水洗法による、トナー粒子に対する固着率の測定方法は後述する。
シリカ粒子はジメチルジメトキシシランによって処理されていることが好ましい。ジメチルジメトキシシランは反応性が高い二官能のモノマーであり、これがシリカ表面に吸着しながら重合することで、シリカ粒子の表面を覆い隠すような状態になっている。これにより、シラノール基を内側に有しつつ、最表層はシラノール基の露出が少ない状態を形成することで、シラノール基由来の過剰な帯電抑制効果を有しつつも水分吸着を抑制し、帯電を安定化している。
以下、本発明のトナーの構成について詳細に説明する。
<シリカ粒子>
シリカ粒子としては、比重が1.7g/cm3以上であって、X線光電子分光装置(ESCA)により求めた炭素原子の割合が18atom%以上であれば特に制限されず、公知のシリカ粒子を用いることができる。具体的には、例えば、ゾルゲルシリカ粒子、水性コロイダルシリカ粒子、アルコール性シリカ粒子、気相法により得られるフュームドシリカ粒子、溶融シリカ粒子、爆燃シリカ粒子が挙げられる。その中でもシリカ粒子がゾルゲルシリカ粒子であることが帯電安定性の観点で好ましい。
シリカ粒子は疎水化処理により、X線光電子分光装置(ESCA)により求めた炭素原子の割合が18atom%以上となる。疎水化処理剤の例としてはジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシランなどがある。その中でもジメチルジメトキシシランが処理剤の反応性の観点で好ましい。
さらにシリカ粒子は、ジメチルジメトキシシランで処理した後にトリメチルシリル化処理がされていることが好ましい。これにより、ジメチルジメトキシシランで処理後のわずかな残存シラノールを処理することができ、帯電安定性が良化する。
トリメチルシリル化剤の例としては、トリメチルシラノール、トリメチルメトキシシラン、トリメチルクロロシラン、ヘキサメチルジシラザンなどがある。
シリカ粒子のX線光電子分光装置(ESCA)により求めた炭素原子の割合および比重は、これらの処理剤の量や反応時間などの反応条件で調整することができる。表面処理剤は、シリカ原体100質量部に対して30質量部以上80質量部以下で使用することが好ましい。この範囲にあることで適度に表面を処理しつつ、重合による比重の低下を抑制し、帯電安定性を良化しつつ、ゴースト発生を抑制できる。
以下に、本発明に用いられるシリカ粒子の製造例を説明する。
水と有機溶媒の混合溶媒に四官能性のシラン化合物を滴下し、触媒により加水分解、縮合反応させた後、アルコールを留去し、得られた懸濁液を濾過、乾燥し得ることができる。四官能性シランとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソシアネートシランなどが挙げられる。
触媒の種類、配合比、反応開始温度、滴下時間などにより粒径をコントロールすることができる。触媒として酸性触媒は塩酸、フッ化水素酸、硫酸、硝酸などが挙げられ、塩基性触媒はアンモニア水、水酸ナトリウム、水酸化カリウムなどが挙げられるが、これらに限定はされない。
塩基性水系媒体を調製するために、塩基成分及び水に加えて、さらに有機溶媒を使用してもよい。有機溶媒は水に対して相溶性を有するものであれば、特に制限されないが、常温、常圧下で100g当たり10g以上の水を溶解する有機溶媒が好適である。
具体的には、メタノール、エタノール、n-プロパノール、2-プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、エチレングリコールモノエチルエーテル、アセトン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジアセトンアルコール、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等の化合物が挙げられる。
以上に挙げた有機溶媒の中でも、メタノール、エタノール、2-プロパノール、ブタノール等のアルコール系溶媒が好ましい。さらには、加水分解、脱水縮合反応の観点から、脱離生成するアルコールと同一のアルコールを有機溶媒として選択するのがより好ましい。
本発明に用いられるシリカ粒子は、こうして得られた粒子に前述の処理剤を用いて疎水化処理する。処理する方法には公知の技術が用いられる。例えば、未処理のシリカ微粒子の原体を含む溶液を処理槽に投入し、処理槽の温度を調整しつつ、撹拌混合しながら、シラン系化合物を所定量、時間をかけて滴下して反応させる(第一の疎水化処理)。この際、シリカ原体との反応性と自己縮合反応のバランスの観点から処理槽内の温度は60~80℃であることが好ましく、滴下時間は20分以上であることが好ましく、処理時間は4時間以上であることが好ましい。次いで、トリメチルシリル化剤を添加して第二の疎水化処理を実施したのち、十分に反応させる。その後、分散液中の粉体を吸引濾過で回収し、100~150℃で減圧乾燥させることでシリカ粒子を得る。
<その他の無機微粒子>
トナーには、必要に応じてさらに無機微粒子を含有させることもできる。無機微粒子は、トナー粒子に内添してもよいし外添剤としてトナー粒子と混合してもよい。外添剤としては、酸化チタン、酸化アルミニウム、チタン酸ストロンチウムのような無機微粉体が好ましい。無機微粉体は、シラン化合物、シリコーンオイル又はそれらの混合物のような疎水化剤で疎水化されていることが好ましい。
流動性向上のための外添剤としては、比表面積が50m2/g以上400m2/g以下の無機微粉体が好ましい。耐久性安定化のためには、比表面積が10m2/g以上50m2/g以下の無機微粉体が好ましい。流動性向上や耐久性安定化を両立させるためには、比表面積が上記範囲の無機微粉体を併用してもよい。
外添剤は、トナー粒子100質量部に対して0.1質量部以上10.0質量部以下使用されることが好ましい。
外添剤を外添処理する方法としては、トナー粒子と公知の各種外添剤を所定量配合し、ダブルコン・ミキサー、V型ミキサー、ドラム型ミキサー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウタミキサ、メカノハイブリッド(日本コークス工業株式会社製)、ノビルタ(ホソカワミクロン株式会社製)等の混合装置を外添機として用いて、撹拌・混合する方法が挙げられる。
<結着樹脂>
(非晶性樹脂)
本発明におけるトナー粒子の結着樹脂は、非晶性樹脂として、下記の重合体などを用いることが可能である。ポリスチレン、ポリ-p-クロルスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン-p-クロルスチレン共重合体、スチレン-ビニルトルエン共重合体、スチレン-ビニルナフタリン共重合体、スチレン-アクリル酸エステル共重合体、スチレン-メタクリル酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体;スチレン系共重合樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステル樹脂とビニル系樹脂が混合、または両者が一部反応したハイブリッド樹脂;ポリ塩化ビニル、フェノール樹脂、天然変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂などが挙げられる。
ポリエステル樹脂のポリエステルユニットに用いられるモノマーとしては、多価アルコール(2価もしくは3価以上のアルコール)と、多価カルボン酸(2価もしくは3価以上のカルボン酸)、その酸無水物又はその低級アルキルエステルとが用いられる。ここで、分岐ポリマーを作成するためには、非晶性樹脂の分子内において部分架橋することが有効であり、そのためには、3価以上の多官能化合物を使用することが好ましい。従って、ポリエステルユニットの原料モノマーとして、3価以上のカルボン酸、その酸無水物又はその低級アルキルエステル、及び/又は3価以上のアルコールを含むことが好ましい。
ポリエステル樹脂のポリエステルユニットに用いられる多価アルコールモノマーとしては、以下の多価アルコールモノマーを使用することができる。
2価のアルコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、また式(A)で表わされるビスフェノール及びその誘導体;
Figure 2023173442000001
(式中、Rはエチレンまたはプロピレン基であり、x及びyはそれぞれ0以上の整数であり、かつ、x+yの平均値は0以上10以下である。)
式(B)で示されるジオール類;
Figure 2023173442000002
3価以上のアルコール成分としては、例えば、ソルビトール、1,2,3,6-ヘキサンテトロール、1,4-ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4-ブタントリオール、1,2,5-ペンタントリオール、グリセロール、2-メチルプロパントリオール、2-メチル-1,2,4-ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5-トリヒドロキシメチルベンゼンが挙げられる。これらのうち、好ましくはグリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールが用いられる。これらの2価のアルコール及び3価以上のアルコールは、単独であるいは複数を併用して用いることができる。
ポリエステル樹脂のポリエステルユニットに用いられる多価カルボン酸モノマーとしては、以下の多価カルボン酸モノマーを使用することができる。
2価のカルボン酸成分としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、マロン酸、n-ドデセニルコハク酸、イソドデセニルコハク酸、n-ドデシルコハク酸、イソドデシルコハク酸、n-オクテニルコハク酸、n-オクチルコハク酸、イソオクテニルコハク酸、イソオクチルコハク酸、これらの酸の無水物及びこれらの低級アルキルエステルが挙げられる。これらのうち、マレイン酸、フマル酸、テレフタル酸、n-ドデセニルコハク酸が好ましく用いられる。
3価以上のカルボン酸、その酸無水物又はその低級アルキルエステルとしては、例えば、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸、2,5,7-ナフタレントリカルボン酸、1,2,4-ナフタレントリカルボン酸、1,2,4-ブタントリカルボン酸、1,2,5-ヘキサントリカルボン酸、1,3-ジカルボキシル-2-メチル-2-メチレンカルボキシプロパン、1,2,4-シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8-オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、エンポール三量体酸、これらの酸無水物又はこれらの低級アルキルエステルが挙げられる。これらのうち、特に1,2,4-ベンゼントリカルボン酸、すなわちトリメリット酸又はその誘導体が安価で、反応制御が容易であるため、好ましく用いられる。これらの2価のカルボン酸等及び3価以上のカルボン酸は、単独であるいは複数を併用して用いることができる。
本発明のポリエステルユニットの製造方法については、特に制限されるものではなく、公知の方法を用いることができる。例えば、前述のアルコールモノマー及びカルボン酸モノマーを同時に仕込み、エステル化反応またはエステル交換反応、及び縮合反応を経て重合し、ポリエステル樹脂を製造する。また、重合温度は、特に制限されないが、180℃以上290℃以下の範囲が好ましい。ポリエステルユニットの重合に際しては、例えば、チタン系触媒、スズ系触媒、酢酸亜鉛、三酸化アンチモン、二酸化ゲルマニウム等の重合触媒を用いることができる。特に、本発明の結着樹脂は、スズ系触媒を使用して重合されたポリエステルユニットがより好ましい。
また、ポリエステル樹脂の酸価は5mgKOH/g以上20mgKOH/g以下であり、水酸基価は20mgKOH/g以上70mgKOH/g以下であることが、高温高湿環境下における水分吸着量が抑えることができるため、画像濃度安定性の観点から好ましい。
また、結着樹脂は、低分子量の樹脂と高分子量の樹脂を混ぜ合わせて使用しても良い。高分子量の樹脂と低分子量の樹脂の含有比率は質量基準で40/60以上85/15以下であることが、低温定着性と耐ホットオフセット性の観点から好ましい。
(結晶性樹脂)
トナー粒子には、結晶性樹脂を用いてもよい。結晶性樹脂とは、示差走査熱量測定(DSC)において吸熱ピークが観測される樹脂である。
結晶性樹脂は、特に限定されないが、低温定着性の観点で、ポリエステル樹脂を主成分とすることが好ましい。
結晶性ポリエステルは、炭素数2以上22以下の脂肪族ジオールと、炭素数2以上22以下の脂肪族ジカルボン酸とを主成分として含む単量体組成物を重縮合反応させることにより得られるものが好ましい。
炭素数2以上22以下(より好ましくは炭素数6以上12以下)の脂肪族ジオールとしては、特に限定されないが、鎖状(より好ましくは直鎖状)の脂肪族ジオールであることが好ましい。
例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,4-ブタジエングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、オクタメチレングリコール、ノナメチレングリコール、デカメチレングリコール、ネオペンチルグリコールが挙げられる。
これらの中でも、特にエチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、及び1,6-ヘキサンジオールのような直鎖脂肪族、α,ω-ジオールが好ましく例示される。
上記アルコール成分のうち、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上が、炭素数2以上22以下の脂肪族ジオールから選ばれるアルコールである。
上記脂肪族ジオール以外の多価アルコール単量体を用いることもできる。該多価アルコール単量体のうち2価アルコール単量体としては、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、ポリオキシプロピレン化ビスフェノールA等の芳香族アルコール;1,4-シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。また、該多価アルコール単量体のうち3価以上の多価アルコール単量体としては、1,3,5-トリヒドロキシメチルベンゼン等の芳香族アルコール;ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4-ブタントリオール、1,2,5-ペンタントリオール、グリセリン、2-メチルプロパントリオール、2-メチル-1,2,4-ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等の脂肪族アルコール等が挙げられる。
さらに、結晶性ポリエステルの特性を損なわない程度に1価のアルコ-ルを用いてもよい。該1価のアルコールとしては、例えばn-ブタノール、イソブタノール、sec-ブタノール、n-ヘキサノール、n-オクタノール、2-エチルヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等のモノアルコールなどが挙げられる。
一方、炭素数2以上22以下(より好ましくは炭素数6以上12以下)の脂肪族ジカルボン酸としては、特に限定されないが、鎖状(より好ましくは直鎖状)の脂肪族ジカルボン酸であることが好ましい。
具体例としてはシュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スペリン酸、グルタコン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、メサコン酸、シトラコン酸、イタコン酸が挙げられ、これらの酸無水物または低級アルキルエステルを加水分解したものなども含まれる。
上記カルボン酸成分のうち、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上が、炭素数2以上22以下の脂肪族ジカルボン酸から選ばれるカルボン酸である。
上記炭素数2以上22以下の脂肪族ジカルボン酸以外の多価カルボン酸を用いることもできる。その他の多価カルボン酸単量体のうち、2価のカルボン酸としては、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族カルボン酸;n-ドデシルコハク酸、n-ドデセニルコハク酸の脂肪族カルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式カルボン酸が挙げられ、これらの酸無水物または低級アルキルエステルなども含まれる。
また、その他のカルボン酸単量体のうち、3価以上の多価カルボン酸としては、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、2,5,7-ナフタレントリカルボン酸、1,2,4-ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸等の芳香族カルボン酸、1,2,4-ブタントリカルボン酸、1,2,5-ヘキサントリカルボン酸、1,3-ジカルボキシル-2-メチル-2-メチレンカルボキシプロパン、等の脂肪族カルボン酸が挙げられ、これらの酸無水物又は低級アルキルエステル等の誘導体等も含まれる。
さらに、結晶性ポリエステルの特性を損なわない程度に1価のカルボン酸を含有していてもよい。1価のカルボン酸としては、例えば安息香酸、ナフタレンカルボン酸、サリチル酸、4-メチル安息香酸、3-メチル安息香酸、フェノキシ酢酸、ビフェニルカルボン酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、オクタン酸等のモノカルボン酸が挙げられる。
また、結晶性ポリエステル樹脂は、炭素数10以上20以下の脂肪族モノカルボン酸及び脂肪族モノアルコールからなる群より選ばれた一種以上の脂肪族化合物が分子鎖の末端に縮合した結晶性ポリエステル樹脂であることが、低温定着性と保存性の観点から好ましい。
一般的に、結晶性ポリエステルの再結晶化では、結晶核を起点として、結晶が成長していく。そこで、分子鎖の末端に炭素数10以上20以下の脂肪族モノカルボン酸及び脂肪族モノアルコールからなる群より選ばれた一種以上の脂肪族化合物を縮合させることで、そこが結晶核となり再結晶化を促進することができるため、保存性が良化する。
さらに、炭素数が上記の範囲であると、分子鎖の末端に縮合させることも容易であり、遊離モノマーとして存在することはなくなるため、保存性の観点から好ましい。また、炭素数が上記の範囲であると、結晶性ポリエステルと非晶性樹脂の相溶性を損なうことがないため、低温定着性の観点から好ましい。
さらに、炭素数10以上20以下の脂肪族モノカルボン酸及び脂肪族モノアルコールからなる群より選ばれた一種以上の脂肪族化合物の使用量は、結晶性ポリエステル樹脂の原料モノマー中、1.0mol%以上10.0mol%以下であることが好ましく、4.0mol%以上8.0mol%以下であることがより好ましい。脂肪族化合物が上記範囲の量であると、低温定着性を阻害することなく、適量の結晶核を存在させることができるため好ましい。
炭素数10以上20以下の脂肪族モノカルボン酸としては、カプリン酸(デカン酸)、ウンデシル酸、ラウリン酸(ドデカン酸)、トリデシル酸、ミリスチル酸(テトラデカン酸)、ペンタデシル酸、パルミチン酸(ヘキサデカン酸)、マルガリン酸(ヘプタデカン酸)、ステアリン酸(オクタデカン酸)、ノナデシル酸、アラキジン酸(イコサン酸)が挙げられる。
炭素数10以上20以下の脂肪族モノアルコールとしては、カプリルアルコール(デカノール)、ウンデカノール、ラウリルアルコール(ドデカノール)、トリデカノール、ミリスチルアルコール(テトラデカノール)、ペンタデカノール、パルミチルアルコール(ヘキサデカノール)、マルガリルアルコール(ヘプタデカノール)、ステアリルアルコール(オクタデカノール)、ノナデカノール、アラキジルアルコール(イコサノール)が挙げられる。
結晶性ポリエステル樹脂の含有量は、非晶性樹脂100質量部に対し、3質量部以上20質量部以下であることが、低温定着性や高温高湿環境下における帯電性の観点から好ましい。
結晶性ポリエステルは、通常のポリエステル合成法に従って製造することができる。例えば、前記したカルボン酸単量体とアルコール単量体とをエステル化反応、又はエステル交換反応せしめた後、減圧下又は窒素ガスを導入して常法に従って重縮合反応させることで結晶性ポリエステルを得ることができる。その後、さらに、上記の脂肪族化合物を加え、エステル化反応を行うことで、所望の結晶性ポリエステルを得ることができる。
上記エステル化又はエステル交換反応は、必要に応じて硫酸、チタンブトキサイド、ジブチルスズオキサイド、酢酸マンガン、酢酸マグネシウムなどの通常のエステル化触媒又はエステル交換触媒を用いて行うことができる。
また、上記重縮合反応は、通常の重合触媒、例えばチタンブトキサイド、ジブチルスズオキサイド、酢酸スズ、酢酸亜鉛、二硫化スズ、三酸化アンチモン、二酸化ゲルマニウムなど公知の触媒を使用して行うことができる。重合温度、触媒量は特に限定されるものではなく、適宜に決めればよい。
エステル化若しくはエステル交換反応又は重縮合反応において、得られる結晶性ポリエステルの強度を上げるために全単量体を一括仕込みしたり、低分子量成分を少なくするために2価の単量体を先ず反応させた後、3価以上の単量体を添加して反応させたりする等の方法を用いてもよい。
<離型剤>
本発明のトナーに使用できる離型剤としては、例えば以下のものが挙げられる。低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、アルキレン共重合体、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスのような炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスのような炭化水素系ワックスの酸化物又はそれらのブロック共重合物;カルナバワックスのような脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスのような脂肪酸エステル類を一部又は全部を脱酸化したもの。
さらに、以下のものが挙げられる。パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸のような飽和直鎖脂肪酸類;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸のような不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールのような飽和アルコール類;ソルビトールのような多価アルコール類;パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸のような脂肪酸類と、ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールのようなアルコール類とのエステル類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドのような脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドのような飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’ジオレイルセバシン酸アミドのような不飽和脂肪酸アミド類;m-キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’ジステアリルイソフタル酸アミドのような芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムのような脂肪族金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸のようなビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドのような脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加によって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物。
これらのワックスの中でも、低温定着性、定着分離性を向上させるという観点で、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスの如き炭化水素系ワックス、もしくはカルナバワックスの如き脂肪酸エステル系ワックスが好ましい。
本発明では、ワックスは、結着樹脂100質量部あたり3質量部以上8質量部以下で使用されることが好ましい。
また、示差走査熱量測定(DSC)装置で測定される昇温時の吸熱曲線において、ワックスの最大吸熱ピークのピーク温度としては60℃以上110℃以下であることが好ましい。ワックスの最大吸熱ピークのピーク温度が上記範囲内であるとトナーの保存性と耐ホットオフセット性を両立できるため好ましい。
<ワックス分散剤>
本発明のトナーにはワックス分散剤を含有させてもよい。ワックス分散剤は、特に限定されないが、ワックス分散性の観点で、ポリオレフィンにスチレンアクリル系ポリマーがグラフト重合している重合体(以下、グラフト重合体ともいう)であることが好ましい。グラフト重合体に用いるポリオレフィンは、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定される最大級熱ピークのピーク温度が60℃以上110℃以下であることが好ましい。また、ポリオレフィンは、重量平均分子量(Mw)が900以上50000以下であることが好ましい。
ポリオレフィンは、二重結合を一つ有する不飽和炭化水素の重合体又は共重合体であれば特に限定されず、様々なポリオレフィンを用いることができる。特にポリエチレン、ポリプロピレンが好ましく用いられる。また、グラフト重合体の製造時の反応性の観点から、ポリプロピレンのように枝分かれ構造を持つことがより好ましい。
ポリオレフィンの含有割合は、ポリオレフィンにスチレンアクリル系ポリマーがグラフト重合している重合体中に、5.0質量%以上20.0質量%以下であることが好ましく、8.0質量%以上12.0質量%以下であることがより好ましい。
なお、本発明において、ポリオレフィンにスチレンアクリル系ポリマーをグラフト重合させる方法は、特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。好ましくは、スチレンアクリル系ポリマーは、シクロアルキル(メタ)アクリレート由来のモノマーユニットを有する。ここで、モノマーユニットとは、ポリマー中のモノマー物質の反応した形態をいう。
シクロアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、以下のシクロアルキル(メタ)アクリレートモノマー(a)を用いることができる。
シクロプロピルアクリレート、シクロブチルアクリレート、シクロペンチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘプチルアクリレート、シクロオクチルアクリレート、シクロプロピルメタクリレート、シクロブチルメタクリレート、シクロペンチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、シクロヘプチルメタクリレート、シクロオクチルメタクリレート、ジヒドロシクロペンタジエチルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンタニルメタクリレートなどが挙げられる。
これらの中でも、疎水性の観点から、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘプチルアクリレート、シクロオクチルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、シクロヘプチルメタクリレート、シクロオクチルメタクリレートからなる群から選択される少なくとも一種が好ましい。これらは、単独で用いても複数を併用してもよい。
スチレンアクリル系ポリマーには、シクロアルキル(メタ)アクリレートモノマー(a)以外にも、その他のモノマー(b)を用いてもよい。例えば、スチレン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メトキシスチレン、p-ヒドロキシスチレン、p-アセトキシスチレン、ビニルトルエン、エチルスチレン、フェニルスチレン、ベンジルスチレンなどのスチレン系モノマー;メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレートなどの不飽和カルボン酸のアルキルエステル(該アルキルの炭素数が1以上18以下);酢酸ビニルなどのビニルエステル系モノマー;ビニルメチルエーテルのようなビニルエーテル系モノマー;塩化ビニルのようなハロゲン元素含有ビニル系モノマー;ブタジエン、イソブチレンなどのジエン系モノマーが挙げられる。これらは複数用いてもよい。
<着色剤>
本発明のトナーに含有できる着色剤としては、以下のものが挙げられる。
黒色着色剤としては、カーボンブラック;イエロー着色剤とマゼンタ着色剤及びシアン着色剤とを用いて黒色に調色したものが挙げられる。着色剤には、顔料を単独で使用してもかまわないが、染料と顔料とを併用してその鮮明度を向上させた方がフルカラー画像の画質の点からより好ましい。
マゼンタトナー用顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、41、48:2、48:3,48:4、49、50、51、52、53、54、55、57:1、58、60、63、64、68、81:1、83、87、88、89、90、112、114、122、123、146、147、150、163、184、202、206、207、209、238、269、282;C.I.ピグメントバイオレット19;C.I.バットレッド1、2、10、13、15、23、29、35。
マゼンタトナー用染料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ソルベントレッド1、3、8、23、24、25、27、30、49、81、82、83、84、100、109、121;C.I.ディスパースレッド9;C.I.ソルベントバイオレット8、13、14、21、27;C.I.ディスパーバイオレット1のような油溶染料、C.I.ベーシックレッド1、2、9、12、13、14、15、17、18、22、23、24、27、29、32、34、35、36、37、38、39、40;C.I.ベーシックバイオレット1、3、7、10、14、15、21、25、26、27、28のような塩基性染料。
シアントナー用顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントブルー2、3、15:2、15:3、15:4、16、17;C.I.バットブルー6;C.I.アシッドブルー45、フタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1個以上5個以下置換した銅フタロシアニン顔料。
シアントナー用染料としては、C.I.ソルベントブルー70がある。
イエロートナー用顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、16、17、23、62、65、73、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、151、154、155、168、174、175、176、180、181、185;C.I.バットイエロー1、3、20。
イエロートナー用染料としては、C.I.ソルベントイエロー162がある。
着色剤の使用量は、結着樹脂100質量部に対して0.1質量部以上30質量部以下が好ましい。
<荷電制御剤>
本発明のトナーには、必要に応じて荷電制御剤を含有させることもできる。トナーに含有される荷電制御剤としては、公知のものが利用できるが、特に、無色でトナーの帯電スピードが速く且つ一定の帯電量を安定して保持できる芳香族カルボン酸の金属化合物が好ましい。
ネガ系荷電制御剤としては、サリチル酸金属化合物、ナフトエ酸金属化合物、ジカルボン酸金属化合物、スルホン酸又はカルボン酸を側鎖に持つ高分子型化合物、スルホン酸塩又はスルホン酸エステル化物を側鎖に持つ高分子型化合物、カルボン酸塩又はカルボン酸エステル化物を側鎖に持つ高分子型化合物、ホウ素化合物、尿素化合物、ケイ素化合物、カリックスアレーンが挙げられる。ポジ系荷電制御剤としては、四級アンモニウム塩、前記四級アンモニウム塩を側鎖に有する高分子型化合物、グアニジン化合物、イミダゾール化合物が挙げられる。荷電制御剤はトナー粒子に対して内添してもよいし外添してもよい。荷電制御剤の添加量は、結着樹脂100質量部に対し0.05質量部以上10質量部以下が好ましい。
<現像剤>
本発明のトナーは、一成分系現像剤としても使用できるが、ドット再現性をより向上させるために、磁性キャリアと混合して、二成分系現像剤として用いることが、また長期にわたり安定した画像が得られるという点で好ましい。
磁性キャリアとしては、例えば、表面を酸化した鉄粉、又は未酸化の鉄粉や、鉄、リチウム、カルシウム、マグネシウム、ニッケル、銅、亜鉛、コバルト、マンガン、クロム、希土類のような金属粒子、それらの合金粒子、酸化物粒子、フェライト等の磁性体や、磁性体と、この磁性体を分散した状態で保持するバインダー樹脂とを含有する磁性体分散樹脂キャリア(いわゆる樹脂キャリア)等、一般に公知のものを使用できる。
本発明のトナーを磁性キャリアと混合して二成分系現像剤として使用する場合、その際のキャリア混合比率は、二成分系現像剤中のトナー濃度として、好ましくは2質量%以上15質量%以下、より好ましくは4質量%以上13質量%以下にすると通常良好な結果が得られる。
<製造方法>
本発明のトナー粒子を製造する方法としては、粉砕法などの乾式法、乳化凝集法、溶解懸濁法などの湿式法など、公知の方法で得ることができる。
以下、粉砕法でのトナー製造手順の一例について説明する。
原料混合工程では、トナー粒子を構成する材料として、例えば、結着樹脂(非晶性樹脂、必要に応じて結晶性樹脂)、ワックス、着色剤、及び荷電制御剤等の他の成分を所定量秤量して配合し、混合する。混合装置の一例としては、ダブルコン・ミキサー、V型ミキサー、ドラム型ミキサー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウタミキサ、メカノハイブリッド(日本コークス工業株式会社製)などが挙げられる。
次に、混合した材料を溶融混練して、結着樹脂中にワックス等を分散させる。混練吐出温度は、使用する結着樹脂、着色剤によって適宜調整可能であるが一般的には100~180℃が好ましい。その溶融混練工程では、加圧ニーダー、バンバリィミキサーなどのバッチ式練り機や、連続式の練り機を用いることができ、連続生産できる優位性から、1軸又は2軸押出機が主流となっている。例えば、KTK型2軸押出機(神戸製鋼所社製)、TEM型2軸押出機(東芝機械社製)、PCM混練機(池貝鉄工社製)、2軸押出機(ケイ・シー・ケイ社製)、コ・ニーダー(ブス社製)、ニーデックス(日本コークス工業株式会社製)などが挙げられる。さらに、溶融混練することによって得られる樹脂組成物は、2本ロール等で圧延され、冷却工程で水などによって冷却してもよい。
ついで、樹脂組成物の冷却物は、粉砕工程で所望の粒径にまで粉砕される。粉砕工程では、例えば、クラッシャー、ハンマーミル、フェザーミルなどの粉砕機で粗粉砕した後、さらに、例えば、クリプトロンシステム(川崎重工業社製)、スーパーローター(日清エンジニアリング社製)、ターボ・ミル(フロイントターボ社製)やエアージェット方式による微粉砕機で微粉砕する。
その後、必要に応じて慣性分級方式のエルボージェット(日鉄鉱業社製)、遠心力分級方式のターボプレックス(ホソカワミクロン社製)、TSPセパレータ(ホソカワミクロン社製)、ファカルティ(ホソカワミクロン社製)などの分級機や篩分機を用いて分級し、分級品(トナー粒子)を得る。中でも、ファカルティ(ホソカワミクロン社製)は、分級と同時にトナー粒子の球形化処理を行うことができ、転写効率の向上という点で好ましい。
本発明においては、前記シリカ粒子の水洗法における、前記トナー母粒子に対する固着率を制御するため、シリカ粒子をトナー母粒子と混合し、トナー粒子混合物を得た後に熱処理を行うことが好ましい。例えば、図1で表される熱処理装置を用いて、熱風により熱処理を行うことができる。
原料定量供給手段1により定量供給された混合物は、圧縮気体調整手段2により調整された圧縮気体によって、原料供給手段の鉛直線上に設置された導入管3に導かれる。導入管を通過した混合物は、原料供給手段の中央部に設けられた円錐状の突起状部材4により均一に分散され、放射状に広がる8方向の供給管5に導かれ熱処理が行われる処理室6に導かれる。
このとき、処理室に供給された混合物は、処理室内に設けられた混合物の流れを規制するための規制手段9によって、その流れが規制される。このため処理室に供給された混合物は、処理室内を旋回しながら熱処理された後、冷却される。
供給された混合物を熱処理するための熱風は、熱風供給手段7から供給され、熱風を旋回させるための旋回部材13により、処理室内に熱風を螺旋状に旋回させて導入される。その構成としては、熱風を旋回させるための旋回部材13が、複数のブレードを有しており、その枚数や角度により、熱風の旋回を制御することができる。処理室内に供給される熱風は、熱風供給手段7の出口部における温度が110℃~300℃であることが好ましい。熱風供給手段の出口部における温度が上記の範囲内であれば、混合物を加熱しすぎることによるトナー粒子の融着や合一を防止しつつ、トナー粒子を均一に球形化処理することが可能となる。
さらに熱処理された熱処理トナー粒子は冷風供給手段8から供給される冷風によって冷却される。冷風供給手段8から供給される冷風の温度は-20℃~30℃であることが好ましい。冷風の温度が上記の範囲内であれば、熱処理トナー粒子を効率的に冷却することができ、混合物の均一な球形化処理を阻害することなく、熱処理トナー粒子の融着や合一を防止することができる。冷風の絶対水分量は、0.5g/m3以上15.0g/m3以下であることが好ましい。
次に、冷却された熱処理トナー粒子は、処理室の下端にある回収手段10によって回収される。なお、回収手段の先にはブロワー(不図示)が設けられ、それにより吸引搬送される構成となっている。
また、粉体粒子供給口14は、供給された混合物の旋回方向と熱風の旋回方向が同方向になるように設けられており、表面処理装置の回収手段10は、旋回された粉体粒子の旋回方向を維持するように、処理室の外周部に設けられている。さらに、冷風供給手段8から供給される冷風は、装置外周部から処理室内周面に、水平かつ接線方向から供給されるよう構成されている。粉体供給口から供給されるトナー粒子の旋回方向、冷風供給手段から供給された冷風の旋回方向、熱風供給手段から供給された熱風の旋回方向がすべて同方向である。そのため、処理室内で乱流が起こらず、装置内の旋回流が強化され、トナー粒子に強力な遠心力がかかり、トナー粒子の分散性が更に向上するため、合一粒子の少ない、形状の揃ったトナー粒子を得ることができる。
トナー粒子の平均円形度は、好ましくは0.950以上0.980以下、より好ましくは0.960以上0.980以下である。上記範囲であると、転写性が向上し、かつクリーニング性を両立できるため好ましい。
次に、本発明に関わる各物性の測定方法について記載する。
<トナーからのシリカ粒子とトナー母粒子の分離>
トナーから、以下の方法により分離した外添剤を用いて各物性を測定することもできる。イオン交換水100mLにスクロース(キシダ化学製)200gを加え、湯せんをしながら溶解させショ糖濃厚液を調製する。遠心分離用チューブに該ショ糖濃厚液31gと、6mLのコンタミノンN(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)を入れ、分散液を作製する。この分散液にトナー1gを添加し、スパチュラなどでトナーのかたまりをほぐす。
遠心分離用チューブをシェイカー(いわき産業社製「KM Shaker」(model: V.SX))にて1分当たり350往復の条件で20分間振盪する。振盪後、溶液をスイングローター用ガラスチューブ(50mL)に入れ替えて、遠心分離機にて、3500rpm、30分の条件で遠心分離を行う。
遠心分離後のガラスチューブ内においては、最上層にはトナー母粒子が存在し、下層の水溶液側にはシリカ粒子が存在する。下層の水溶液を採取して、遠心分離を行い、ショ糖とシリカ粒子とを分離し、シリカ粒子を採集する。必要に応じて、遠心分離を繰り返し行い、分離を十分に行った後、分散液を乾燥し、シリカ粒子を採集する。複数の粒子が添加されている場合には、遠心分離法などを利用して、シリカ粒子を選別することができる。
<シリカ粒子の比重の測定方法>
シリカ粒子の比重は、乾式密度計アキュピック1330(島津製作所製)を用いて測定する。
<シリカ粒子の個数平均粒径の測定方法>
シリカ粒子の個数平均粒径は、透過型電子顕微鏡(TEM)「JEM2800」(日本電子製)を用いて測定する。
まず、測定サンプルの調整を行う。シリカ粒子約5mgに対し、イソプロパノール1mlを加え、超音波分散機(超音波洗浄機)で5分間分散させる。次に、TEM用の支持膜付きマイクログリッド(150メッシュ)に上記分散液を1滴たらし、乾燥させることで測定サンプルを準備した。
次に、透過型電子顕微鏡(TEM)により、加速電圧200kVの条件のもと、視野中のシリカ粒子が十分に測長できる倍率(例えば200k~1M倍)にて画像を取得し、ランダムに100個のシリカ粒子の粒径を測定して個数平均粒径を求める。粒径の測定は手動、または計測ツールを用いても良い。
<X線光電子分光装置(XPS;ESCA)による炭素原子のatom%およびシリカ由来のピーク比率の測定>
シリカ粒子の粉末を、XPS装置の試料台にインジウムシートを用いて固定し、以下の条件で測定する。
使用装置:アルバック・ファイ社製 PHI 5000VersaProbe II
照射線:Al-Kα線
出力:100μm、25W、15kV
光電子取り込み角度:45°
PassEnergy:58.70eV
Stepsize:0.125eV
測定対象元素:検出される全元素
測定範囲:紛体300μm×200μm
上記条件で得られたピークに対して、アルバック-ファイ社提供の相対感度因子を用いることで、構成元素の総量に対する炭素原子のatom%を算出する。
シリカ由来のピーク比率は、ケイ素2p軌道に由来するピークをピーク分離し、シリカと帰属されるピーク面積を全ケイ素2p軌道に由来するピーク面積で割ることで算出する。
<シリカ粒子の水洗法による、トナー粒子に対する固着率の測定方法>
(水洗工程)
30mLのガラスバイアルに、イオン交換水10.3gにショ糖20.7g(キシダ化学社製)を溶解させたショ糖水溶液と、界面活性剤であるコンタミノンN(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤)6mLを入れて十分混合し、分散液を作製する。またガラスバイアルとしては、例えば、日電理化硝子株式会社製、VCV-30、外径:35mm、高さ:70mmを使用することができる。この分散液にトナー1.0gを添加し、トナーが自然に沈降するまで静置して処理前分散液を作製する。この処理前分散液を、振とう機(YS-8D型:(株)ヤヨイ製)にて、振とう速度:200rpmで5分間振とうし、弱く付着していた微粒子(シリカ粒子)をトナー粒子表面から離脱させた。強く付着する微粒子が残存したトナーと脱離した微粒子との分離は遠心分離機を用いて行う。遠心分離工程は3700rpmで30min行った。微粒子が残存したトナーを吸引濾過することで採取し、乾燥させ水洗後のトナーを得る。
(固着率の測定方法)
まず水洗処理前のトナー粒子に含まれるシリカ粒子の定量を行う。これは波長分散型蛍光X線分析装置Axios advanced(PANalytical社製)を用いて、トナー粒子中のSi元素強度を測定する。次に同様にして水洗処理後のトナー粒子中のSi元素強度を測定する。固着率(%)は、
(水洗処理後のトナー粒子中のSi元素強度/水洗処理前のトナー粒子中のSi元素強度)×100で求められる。
<トナー粒子またはトナーの重量平均粒径(D4)の測定方法>
トナー粒子またはトナーの重量平均粒径(D4)は、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いて、実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで測定し、測定データの解析を行い、算出する。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
尚、測定、解析を行う前に、以下のように前記専用ソフトの設定を行う。
前記専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更画面」において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。閾値/ノイズレベルの測定ボタンを押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、測定後のアパーチャーチューブのフラッシュにチェックを入れる。
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定画面」において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μm以上60μm以下に設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、解析ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れ、この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispension System Tetora150」(日科機バイオス社製)の水槽内に所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2ml添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)を算出する。尚、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、分析/体積統計値(算術平均)画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。
<トナーの平均円形度の測定方法>
トナーの平均円形度は、フロー式粒子像分析装置「FPIA-3000」(シスメックス社製)によって、校正作業時の測定及び解析条件で測定する。
フロー式粒子像分析装置「FPIA-3000」(シスメックス社製)の測定原理は、流れている粒子を静止画像として撮像し、画像解析を行うというものである。試料チャンバーへ加えられた試料は、試料吸引シリンジによって、フラットシースフローセルに送り込まれる。フラットシースフローに送り込まれた試料は、シース液に挟まれて扁平な流れを形成する。フラットシースフローセル内を通過する試料に対しては、1/60秒間隔でストロボ光が照射されており、流れている粒子を静止画像として撮影することが可能である。また、扁平な流れであるため、焦点の合った状態で撮像される。粒子像はCCDカメラで撮像され、撮像された画像は512×512画素の画像処理解像度(一画素あたり0.37×0.37μm)で画像処理され、各粒子像の輪郭抽出を行い、粒子像の投影面積Sや周囲長L等が計測される。
次に、上記面積Sと周囲長Lを用いて円相当径と円形度を求める。円相当径とは、粒子像の投影面積と同じ面積を持つ円の直径のことであり、円形度Cは、円相当径から求めた円の周囲長を粒子投影像の周囲長で割った値として定義され、次式で算出される。
円形度C=2×(π×S)1/2/L
粒子像が円形の時に円形度は1.000になり、粒子像外周の凹凸の程度が大きくなればなるほど円形度は小さい値になる。各粒子の円形度を算出後、円形度0.200乃至1.000の範囲を800分割し、得られた円形度の相加平均値を算出し、その値を平均円形度とする。
具体的な測定方法は、以下の通りである。まず、ガラス製の容器中に予め不純固形物などを除去したイオン交換水約20mlを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.2ml加える。更に測定試料を約0.02g加え、超音波分散器を用いて2分間分散処理を行い、測定用の分散液とする。その際、分散液の温度が10℃以上40℃以下となる様に適宜冷却する。超音波分散器としては、発振周波数50kHz、電気的出力150Wの卓上型の超音波洗浄器分散器(例えば「VS-150」(ヴェルヴォクリーア社製))を用い、水槽内には所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に該コンタミノンNを約2ml添加する。
測定には、標準対物レンズ(10倍)を搭載した該フロー式粒子像分析装置を用い、シース液にはパーティクルシース「PSE-900A」(シスメックス社製)を使用した。該手順に従い調整した分散液を該フロー式粒子像分析装置に導入し、HPF測定モードで、トータルカウントモードにて3000個のトナー粒子を計測する。そして、粒子解析時の2値化閾値を85%とし、解析粒子径を指定することにより、その範囲の粒子の個数割合(%)、平均円形度を算出することができる。トナーの平均円形度は、円相当径1.98μm以上39.96μm以下とし、トナーの平均円形度を求めた。
測定にあたっては、測定開始前に標準ラテックス粒子(例えば、Duke Scientific社製の「RESEARCH AND TEST PARTICLES Latex Microsphere Suspensions 5200A」をイオン交換水で希釈)を用いて自動焦点調整を行う。その後、測定開始から2時間毎に焦点調整を実施することが好ましい。
なお、本願実施例では、シスメックス社による校正作業が行われた、シスメックス社が発行する校正証明書の発行を受けたフロー式粒子像分析装置を使用した。解析粒子径を円相当径1.98μm以上39.69μm未満に限定した以外は、校正証明を受けた時の測定及び解析条件で測定を行った。
〔本発明の実施形態に含まれる構成〕
本実施形態の開示は、以下の構成を含む。
(構成1)結着樹脂を含有するトナー粒子、および前記トナー粒子表面にシリカ粒子を有するトナーであって、
前記シリカ粒子を前記トナー粒子100質量部あたり0.40質量部以上3.50質量部以下含有し、
前記シリカ粒子の比重が1.7g/cm3以上であり、
前記シリカ粒子のX線光電子分光装置(ESCA)により求めた炭素原子の割合が18atom%以上であることを特徴とするトナー。
(構成2)前記シリカ粒子の個数平均粒径が40nm以上200nm以下である構成1に記載のトナー。
(構成3)前記シリカ粒子のX線光電子分光装置(ESCA)により測定されるSi2Pスペクトルのピーク分離により求められるシリカ由来のピーク比率が、Si全体の40%以下である構成1または2に記載のトナー。
(構成4)前記シリカ粒子の前記トナー粒子に対する固着率が90%以上である構成1~3のいずれかに記載のトナー。
(構成5)前記シリカ粒子が、ジメチルジメトキシシランによる疎水化処理シリカ粒子である構成1~4のいずれかに記載のトナー。
(構成6)結着樹脂を含有するトナー粒子とシリカ粒子とを混合し、トナー粒子混合物を得る混合工程、および前記トナー粒子混合物を熱風により熱処理する熱処理工程を有するトナーの製造方法であって、
前記トナーが、前記シリカ粒子を前記トナー粒子100質量部あたり0.40質量部以上3.50質量部以下含有し、
前記シリカ粒子の比重が1.7g/cm3以上であり、
前記シリカ粒子のX線光電子分光装置(ESCA)により求めた炭素原子の割合が18atom%以上であることを特徴とするトナーの製造方法。
(構成7)前記シリカ粒子が、ジメチルジメトキシシランによって処理されている構成6に記載のトナーの製造方法。
(構成8)前記シリカ粒子が、シリカ原体100質量部に対して30質量部以上80質量部以下のジメチルジメトキシシランによって処理されている構成6に記載のトナーの製造方法。
(構成9)前記シリカ粒子が、ジメチルジメトキシシランによって処理されたのちにトリメチルシリル化処理されている構成6~8のいずれかに記載のトナーの製造方法。
(構成10)トナー、および磁性キャリアを有する二成分系現像剤であって、
前記トナーが構成1~5のいずれかに記載のトナーであることを特徴とする二成分系現像剤。
以下、実施例等により本発明を説明する。ただし、この実施例に関する記載は、この発明の技術的範囲を限定するものではない。なお、実施例中及び比較例中で記載されている「部」は特に断りがない場合、全て質量基準である。
<シリカ粒子A1の製造例>
撹拌機、滴下ノズル、温度計を具備した1.5Lのガラス製反応容器にメタノール500部、10質量%塩酸で用いてpHを5.4に調整した水70部を添加して混合し、触媒溶液を得た。この触媒溶液を30℃に調整した後、撹拌しながら、テトラメトキシシラン100部と8.0質量%アンモニア水20部とを同時に25分かけ滴下したのち、30分間撹拌を継続した。その後、得られたシリカ粒子分散液をロータリーフィルターR-ファイン(寿工業社製)で固形分濃度40質量%まで濃縮してシリカ粒子分散液を得た。このシリカ粒子原体の粒径は10nmであった。
シリカ粒子分散液250部を70℃に調整したのち、ジメチルジメトキシシラン60部を30分かけて滴下したのち、70℃で5時間反応させ、次いで、トリメチルシラノール5部を10分かけて添加してさらに2時間反応させた。その後、分散液中の粉体を吸引濾過で回収し、120℃で24時間減圧乾燥して、シリカ粒子A1を得た。得られたシリカ粒子A1の物性を表1に示す。
<シリカ粒子A2~A14の製造例>
シリカ粒子A1の製造例において、テトラメトキシシランとアンモニア水の添加部数、滴下時間、反応時間を調整して原体の粒径を下記表1に示す値になるように調整し、表面処理剤とその質量部を表1に示す値に変更する以外は同様に調整し、シリカ粒子A2~A14を得た。得られたシリカ粒子A2~A14の物性も表1に示した。
<シリカ粒子A15の製造例>
シリカ粒子A8の製造例において、ジメチルジメトキシシランの滴下時間を5分に、処理温度を100℃に変更した以外は同様に調整し、シリカ粒子A15を得た。得られたシリカ粒子A15の物性を表1に示した。
Figure 2023173442000003
<その他の無機微粒子A16の製造例>
比表面積が200g/m2である酸化チタン粒子をi-ブチルトリメトキシシランで表面処理することにより、無機微粒子A16を得た。
<非晶性樹脂Bの製造例>
・ポリオキシプロピレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン:76.3部(0.19モル;多価アルコール総モル数に対して100.0mol%)
・テレフタル酸:16.1部(0.10モル;多価カルボン酸総モル数に対して60.0mol%)
・コハク酸:7.6部(0.06モル;多価カルボン酸総モル数に対して40.0mol%)
・チタンテトラブトキシド(エステル化触媒):0.5部
冷却管、撹拌機、窒素導入管、及び、熱電対のついた反応槽に、上記材料を秤量した。次にフラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、200℃の温度で撹拌しつつ、4時間反応させた。
さらに、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、1時間維持した後、160まで冷却し、大気圧に戻した(第1反応工程)。
・tert-ブチルカテコール(重合禁止剤):0.1部
その後、上記材料を加え、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、温度180℃に維持したまま、1時間反応させ、ASTM D36-86に従って測定した軟化点が90℃の温度に達したのを確認してから温度を下げて反応を止め(第2反応工程)、非晶性樹脂Bを得た。
<非晶性樹脂Cの製造例>
・ポリオキシプロピレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン:73.8部
・テレフタル酸:12.5部
・アジピン酸:7.8部
・チタンテトラブトキシド(エステル化触媒):0.5部
冷却管、撹拌機、窒素導入管、及び、熱電対のついた反応槽に、上記材料を秤量した。次にフラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、200℃の温度で撹拌しつつ、2時間反応させた。
さらに、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、1時間維持した後、160℃まで冷却し、大気圧に戻した(第1反応工程)。
・トリメリット酸:5.9部
・tert-ブチルカテコール(重合禁止剤):0.1部
その後、上記材料を加え、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、温度200℃に維持したまま、15時間反応させ、ASTM D36-86に従って測定した軟化点が140℃の温度に達したのを確認してから温度を下げて反応を止め(第2反応工程)、非晶性樹脂Cを得た。
<結晶性樹脂Dの製造例>
・ヘキサンジオール:33.9部
・ドデカン二酸:66.1部
冷却管、撹拌機、窒素導入管、及び、熱電対のついた反応槽に、上記材料を秤量した。次にフラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、140℃の温度で撹拌しつつ、3時間反応させた。
・2-エチルヘキサン酸錫:0.5部
その後、上記材料を加え、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、温度200℃に維持したまま、4時間反応させることにより結晶性樹脂Dを得た。
<ワックス分散剤Eの製造例>
・低分子量ポリプロピレン(三洋化成工業(株)製ビスコール660P):
10.0部(構成モノマーの総モル数に対して0.4mol%)
・キシレン:25.0部
冷却管、撹拌機、窒素導入管、及び、熱電対のついた反応槽に、上記材料を秤量した。次にフラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に175℃の温度まで昇温した。
・スチレン:68.0部(構成モノマーの総モル数に対して78.5mol%)
・アクリル酸シクロヘキシル:5.0部(構成モノマーの総モル数に対して3.9mol%)
・アクリル酸ブチル:12.0部(構成モノマーの総モル数に対して11.2mol%)
・メタクリル酸:5.0部(構成モノマーの総モル数に対して6.0mol%)
・キシレン:10.0部
・ジ-t-ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート:0.5部
その後、上記材料を3時間かけて滴下し、さらに30分間撹拌した。次いで、溶剤を留去して、ワックス分散剤Eを得た。
<トナー母粒子1の製造例>
・非晶性樹脂B 60部
・非晶性樹脂C 30部
・結晶性樹脂D 10部
・ワックス分散剤E 4部
・フィッシャートロプシュワックス(最大吸熱ピークのピーク温度90℃)
4部
・C.I.ピグメントブルー15:3 7部
上記材料をヘンシェルミキサー(FM-75型、三井鉱山(株)製)を用いて、回転数20s-1、回転時間5minで混合した後、温度130℃に設定した二軸混練機(PCM-30型、株式会社池貝製)にて混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、粗砕物を得た。得られた粗砕物を、機械式粉砕機(T-250、ターボ工業(株)製)にて微粉砕した。さらにファカルティF-300(ホソカワミクロン社製)を用い、分級を行い、トナー母粒子1を得た。運転条件は、分級ローター回転数を130s-1、分散ローター回転数を120s-1とした。得られたトナー母粒子1は、重量平均粒径(D4)が5.6μmであった。
<トナー1の製造例>
・トナー母粒子1 100部
・シリカ粒子A1 1.0部
・無機微粒子A16 0.5部
上記の材料をヘンシェルミキサー(FM-75型、三井三池化工機(株)製)で回転数30s-1、回転時間5minで混合して、熱処理前トナー粒子1を得た。
得られた熱処理前トナー粒子1を用い、図1で示す表面処理装置によって熱処理を行い、熱処理後トナー粒子1を得た。運転条件はフィード量=5kg/hrとし、また、熱風温度=160℃、熱風流量=6m3/min.、冷風温度=-5℃、冷風流量=4m3/min.、ブロワー風量=20m3/min.、インジェクションエア流量=1m3/min.とした。
・熱処理後トナー粒子1 100部
・無機微粒子A16 0.4部
上記の材料をヘンシェルミキサー(FM-75型、三井三池化工機(株)製)で回転数30s-1、回転時間10minで混合したのち、目開き55μmのメッシュで篩い、トナー1を得た。トナー1の重量平均粒径(D4)は5.8μmであり、平均円形度は0.970であった。
<トナー2~18の製造例>
トナー1の製造例において、シリカ粒子、その他の無機微粒子、その質量部、及び熱処理の有無を表2-1に記載したように変更したこと以外は同様にして、トナー2~18を得た。
また、トナー1~18それぞれのシリカ粒子のトナー粒子に対する固着率と、トナーの重量平均粒径及び平均円形度の値を、表2-2に示す。
Figure 2023173442000004
Figure 2023173442000005
<磁性コア粒子1の製造例>
・工程1(秤量・混合工程):
Fe23 62.7部
MnCO3 29.5部
Mg(OH)2 6.8部
SrCO3 1.0部
上記材料を上記組成比となるようにフェライト原材料を秤量した。その後、直径1/8インチのステンレスビーズを用いた乾式振動ミルで5時間粉砕・混合した。
・工程2(仮焼成工程):
得られた粉砕物をローラーコンパクターにて、約1mm角のペレットにした。このペレットを目開き3mmの振動篩にて粗粉を除去し、次いで目開き0.5mmの振動篩にて微粉を除去した後、バーナー式焼成炉を用いて、窒素雰囲気下(酸素濃度0.01体積%)で、温度1000℃で4時間焼成し、仮焼フェライトを作製した。得られた仮焼フェライトの組成は、下記の通りである。
(MnO)a(MgO)b(SrO)c(Fe23)d
上記式において、a=0.257、b=0.117、c=0.007、d=0.393
・工程3(粉砕工程):
クラッシャーで0.3mm程度に粉砕した後に、直径1/8インチのジルコニアビーズを用い、仮焼フェライト100部に対し、水を30部加え、湿式ボールミルで1時間粉砕した。そのスラリーを、直径1/16インチのアルミナビーズを用いた湿式ボールミルで4時間粉砕し、フェライトスラリー(仮焼フェライトの微粉砕品)を得た。
・工程4(造粒工程):
フェライトスラリーに、仮焼フェライト100部に対して分散剤としてポリカルボン酸アンモニウム1.0部、バインダーとしてポリビニルアルコール2.0部を添加し、スプレードライヤー(製造元:大川原化工機)で、球状粒子に造粒した。得られた粒子を粒度調整した後、ロータリーキルンを用いて、650℃で2時間加熱し、分散剤やバインダーの有機成分を除去した。
・工程5(焼成工程):
焼成雰囲気をコントロールするために、電気炉にて窒素雰囲気下(酸素濃度1.00体積%)で、室温から温度1300℃まで2時間で昇温し、その後、温度1150℃で4時間焼成した。その後、4時間をかけて、温度60℃まで降温し、窒素雰囲気から大気に戻し、温度40℃以下で取り出した。
・工程6(選別工程):
凝集した粒子を解砕した後に、磁力選鉱により低磁力品をカットし、目開き250μmの篩で篩分して粗大粒子を除去し、体積分布基準の50%粒径(D50)37.0μmの磁性コア粒子1を得た。
<被覆樹脂1の調製>
シクロヘキシルメタクリレートモノマー 26.8質量%
メチルメタクリレートモノマー 0.2質量%
メチルメタクリレートマクロモノマー 8.4質量%
(片末端にメタクリロイル基を有する重量平均分子量5000のマクロモノマー)
トルエン 31.3質量%
メチルエチルケトン 31.3質量%
アゾビスイソブチロニトリル 2.0質量%
上記材料のうち、シクロヘキシルメタクリレート、メチルメタクリレート、メチルメタクリレートマクロモノマー、トルエン、メチルエチルケトンを、還流冷却器、温度計、窒素導入管及び撹拌装置を取り付けた四つ口のセパラブルフラスコに添加し、窒素ガスを導入して充分に窒素雰囲気にした後、80℃まで加温し、アゾビスイソブチロニトリルを添加して5時間還流し重合させた。得られた反応物にヘキサンを注入して共重合体を沈殿析出させ、沈殿物を濾別後、真空乾燥して被覆樹脂1を得た。得られた被覆樹脂1を30部、トルエン40部、メチルエチルケトン30部に溶解させて、重合体溶液1(固形分30質量%)を得た。
<被覆樹脂溶液1の調製>
重合体溶液1(樹脂固形分濃度30%) 33.3質量%
トルエン 66.4質量%
カーボンブラック(Regal330;キャボット社製) 0.3質量%
(一次粒径25nm、窒素吸着比表面積94m2/g、DBP吸油量75ml/100g)
を、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、ペイントシェーカーで1時間分散をおこなった。得られた分散液を、5.0μmのメンブランフィルターで濾過をおこない、被覆樹脂溶液1を得た。
<磁性キャリア1の製造例>
(樹脂被覆工程):
常温で維持されている真空脱気型ニーダーに、被覆樹脂溶液1を充填コア粒子1の100部に対して樹脂成分として2.5部になるように投入した。投入後、回転速度30rpmで15分間撹拌し、溶媒が一定以上(80質量%)揮発した後、減圧混合しながら80℃まで昇温し、2時間かけてトルエンを留去した後冷却した。得られた磁性キャリアを、磁力選鉱により低磁力品を分別し、開口70μmの篩を通した後、風力分級器で分級し、体積分布基準の50%粒径(D50)38.2μmの磁性キャリア1を得た。
<二成分系現像剤および補給用現像剤の製造例>
トナー1~18と磁性キャリア1で、トナー濃度が8.0質量%になるようにV型混合機(V-10型:株式会社徳寿製作所)で0.5s-1、回転時間5minで混合し、表3に記載の二成分系現像剤1~18を得た。
トナー1~18と磁性キャリア1で、トナー濃度が95.0質量%になるようにV型混合機(V-10型:株式会社徳寿製作所)で0.5s-1、回転時間5minで混合し、表3に記載の補給用現像剤1~18を得た。
Figure 2023173442000006
[評価]
以下の評価方法に基づいて評価した。評価結果を表4に示す。
〔実施例1〕
二成分系現像剤1及びこの補給用現像剤1を用いて以下の評価を行った。
画像形成装置として、キヤノン(株)製のフルカラーの複写機(商品名:imageRUNNER ADVANCE C9075 PRO)の改造機を用いた。
各色の現像器にシアントナーの二成分系現像剤を入れ、シアントナーの補給用現像剤を入れた補給用現像剤容器を各色のユニットにセットし、画像を形成し、耐久試験を行いながら各種評価を行った。
なお、耐久試験は、Step1とStep2まで、合計150000枚の画像出力で、環境と画像比率を以下のように変化させて行った。
・Step1(1枚目から100000枚目まで)
温度30℃/湿度80%RH(以下「H/H環境」)
画像比率60%のFFH出力チャート
・Step2(100001枚目から150000枚目まで)
温度23℃/湿度5%RH(以下「N/L環境」)
画像比率3%のFFH出力チャート
ここで、FFHとは、256階調を16進数で表示した値であり、00Hが256階調の1階調目(白地部)であり、FFHが256階調の256階調目(ベタ部)である。
その他の条件は、以下のとおりである。
紙:レーザービームプリンター用紙CS-814(商品名)(81.4g/m2)(キヤノンマーケティングジャパン(株))
画像形成速度:A4サイズ、フルカラーで、80枚/分で出力できるように改造した。
現像条件:現像コントラストを任意値で調整可能にし、本体による自動補正が作動しないように改造した。
交番電界のピーク間の電圧(Vpp)は、周波数:2.0kHz、Vpp:0.7kVから1.8kVまで0.1kV刻みで変えられるように改造した。
各色のユニットにおいて、単色で画像が出力できるように改造した。
各評価項目を以下に示す。
(1)ゴースト
Step1の終了後に幅5cmのベタ黒の縦帯画像を中心に有し、それ以外の部分がベタ白である出力チャートを10枚流したのちに全面ハーフトーン画像を一枚出力した。通紙方向を図2に示す。ハーフトーン画像上において、図2におけるベタ黒の縦帯を通紙していたドラム一周分の領域における画像濃度とベタ白を通紙していたドラム一周分の領域の画像濃度を分光濃度計500シリーズ(X-Rite社製)により測定し、その差分を下記基準で判定した。本発明の効果が得られているレベルはA~Dであると判断した。
A:0.00以上0.02未満
B:0.02以上0.03未満
C:0.03以上0.04未満
D:0.04以上0.06未満
E:0.06以上
(2)各Stepの耐久前後の画像濃度差
Step1とStep2において、各Stepの最初と最後に、画像比率100%のFFH出力チャート(A4全面ベタ画像)を1枚出力した。分光濃度計500シリーズ(X-Rite社製)により画像濃度を測定し、判断した。
測定部位は、画像の先端(先に画像形成された方)から0.5cmの位置で、画像の左端(先に画像形成された方を上側とする。)から5.0cm、15.0cm、25.0cmの3点、
画像の先端から7.0cmの位置で、画像の左端から5.0cm、15.0cm、25.0cmの3点、
画像の先端から14.0cmの位置で、画像の左端から5.0cm、15.0cm、25.0cmの3点、
画像の先端から20.0cmの位置で、画像の左端から5.0cm、15.0cm、25.0cmの3点
の合計12点とし、12点の平均値を算出した。
評価は、各Stepの最初と最後の12点平均値の差分を下記基準で判定した。本発明の効果が得られているレベルはA~Dであると判断した。
A:0.00以上0.05未満
B:0.05以上0.10未満
C:0.10以上0.15未満
D:0.15以上0.20未満
E:0.20以上
(3)Step1とStep2の画像濃度差
Step1の最後とStep2の最後に画像比率100%のFFH出力チャート(A4全面ベタ画像)を1枚出力した。出力した画像は、上記濃度差と同様にして反射濃度を測定し、12点の平均値を算出した。
評価は、Step1とStep2の12点平均値の差分を下記基準で判定した。本発明の効果が得られているレベルはA~Dであると判断した。
A:0.00以上0.05未満
B:0.05以上0.10未満
C:0.10以上0.15未満
D:0.15以上0.20未満
E:0.20以上
(4)画質
Step2の最後に、1ドット、1スペースの縦線画像を出力した。Blur(ISO13660で定義されたラインのぼやけ方を表す数値)の値を画質性の評価指標とした。パーソナルIAS(イメージ・アナリシス・システム)(QEA社製)を用いて測定した。得られたBlurの値を下記の評価基準に従って評価した。D以上を本発明の効果が得られていると判断した。
A:Blurの値35μm未満
B:Blurの値35μm以上38μm未満
C:Blurの値38μm以上41μm未満
D:Blurの値41μm以上44μm未満
E:Blurの値44μm以上
(5)総合判定
上記評価の評価ランクを数値化し(A=5、B=4、C=3、D=2、E=1)、合計値を以下の基準により判定を行った。本発明の効果が得られているレベルはA~Cであると判断した。
A:22以上25以下
B:18以上21以下
C:14以上17以下
D:10以上13以下
E:9以下
〔実施例2~11、及び比較例1~7〕
実施例1において、評価に用いる二成分系現像剤および補給用現像剤を表3に記載の二成分系現像剤と補給用現像剤に変更する以外は同様にして、評価を行った。評価結果を表4に示す。
Figure 2023173442000007
1.原料定量供給手段、2.圧縮気体流量調整手段、3.導入管、4.突起状部材、5.供給管、6.処理室、7.熱風供給手段、8.冷風供給手段、9.規制手段、10.回収手段、11.熱風供給手段出口、12.分配部材、13.旋回部材、14.粉体粒子供給口

Claims (10)

  1. 結着樹脂を含有するトナー粒子、および前記トナー粒子表面にシリカ粒子を有するトナーであって、
    前記シリカ粒子を前記トナー粒子100質量部あたり0.40質量部以上3.50質量部以下含有し、
    前記シリカ粒子の比重が1.7g/cm3以上であり、
    前記シリカ粒子のX線光電子分光装置(ESCA)により求めた炭素原子の割合が18atom%以上であることを特徴とするトナー。
  2. 前記シリカ粒子の個数平均粒径が40nm以上200nm以下である請求項1に記載のトナー。
  3. 前記シリカ粒子のX線光電子分光装置(ESCA)により測定されるSi2Pスペクトルのピーク分離により求められるシリカ由来のピーク比率が、Si全体の40%以下である請求項1または2に記載のトナー。
  4. 前記シリカ粒子の前記トナー粒子に対する固着率が90%以上である請求項1または2に記載のトナー。
  5. 前記シリカ粒子が、ジメチルジメトキシシランによる疎水化処理シリカ粒子である請求項1または2に記載のトナー。
  6. 結着樹脂を含有するトナー粒子とシリカ粒子とを混合し、トナー粒子混合物を得る混合工程、および前記トナー粒子混合物を熱風により熱処理する熱処理工程を有するトナーの製造方法であって、
    前記トナーが、前記シリカ粒子を前記トナー粒子100質量部あたり0.40質量部以上3.50質量部以下含有し、
    前記シリカ粒子の比重が1.7g/cm3以上であり、
    前記シリカ粒子のX線光電子分光装置(ESCA)により求めた炭素原子の割合が18atom%以上であることを特徴とするトナーの製造方法。
  7. 前記シリカ粒子が、ジメチルジメトキシシランによって処理されている請求項6に記載のトナーの製造方法。
  8. 前記シリカ粒子が、シリカ原体100質量部に対して30質量部以上80質量部以下のジメチルジメトキシシランによって処理されている請求項6に記載のトナーの製造方法。
  9. 前記シリカ粒子が、ジメチルジメトキシシランによって処理されたのちにトリメチルシリル化処理されている請求項6または8に記載のトナーの製造方法。
  10. トナー、および磁性キャリアを有する二成分系現像剤であって、
    前記トナーが請求項1に記載のトナーであることを特徴とする二成分系現像剤。
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