JP2023171019A - 2次電池用シリコーンゴム部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】緩衝性能と難燃性と断熱性を同時に達成できる2次電池用シリコーンゴム部材を提供する。【解決手段】2次電池用シリコーンゴム部材は、(A)1分子中に平均2個以上のアルケニル基を有し、アルケニル基の含有量がメチルアルケニルシロキシ単位として0.05~0.80モル%であるオルガノポリシロキサン 100重量部、(B)中空フィラー 10~50重量部、(C)難燃剤、および(D)硬化剤、を含む過酸化物架橋型シリコーンゴム組成物を熱硬化させたものである。【選択図】なし

Description

本発明は、2次電池を含む例えば2次電池モジュールなどの機器や組立体で使用可能な2次電池用シリコーンゴム部材に関する。
リチウムイオンバッテリーなどの2次電池は、電気自動車やハイブリッド自動車などの輸送機器、家庭用電子機器、携帯型通信機器などにおいて、あるいは電力貯蔵用途においいて、主要部を構成するものとして広く使用されている。2次電池は、所望の出力電圧や容量となるように、複数の2次電池セルをケーシング内に収容した2次電池モジュールの形態で使用されることが多い。電池セルはその充放電に応じて膨張と収縮を繰り返すが、膨張と収縮を繰り返すことによって、電池セル内での電極間距離が徐々に広がり、それによって電池性能が低下することがある。そこで2次電池モジュールでは、ゴムなどの弾性材料からなる緩衝部材を電池セル間に配置して電池セルを押圧し、電池セル内の電極間距離が初期状態に戻るようにしている。緩衝部材を設けることにより、ケーシング内で電池セルが本来の位置からずれてしまったとしても、本来の位置に電池セルを戻すことができ、車両の走行によって生じる振動や衝撃から電池セルを保護することができる。
また、2次電池モジュールでは充放電時に熱が発生し、リチウムイオンバッテリーではこの発熱が大きい。1つの電池セルが異常発熱してこの熱が他の電池セルに伝播するとその電池セルも熱暴走し、ケーシング内の複数の電池セルが熱暴走することがある。熱暴走が発生すると発火事故が引き起こされることもある。そこで2次電池モジュールに用いられる緩衝部材には断熱性と難燃性も要求される。自動車などに搭載される2次電池モジュールでは、大容量であって大電流での充放電が可能であることが要求されるので充放電に伴う発熱量も大きく、そこに用いられる緩衝部材に対しても断熱性や難燃性についても高い水準のものが要求される。
特許文献1は、2次電池モジュール用のシリコーンゴム材料として、脆化点および吸湿性が低い過酸化物硬化型または縮合型のシリコーンゴムに対して真密度が0.10~0.65g/cmである中空ガラスビーズを分散させた断熱材料を開示している。この断熱材料は、2次電池モジュールのケーシング内の空間において上述した緩衝部材として使用することができ、また、ケーシングの全体を覆うように使用することができる。このような断熱材料を使用することにより、1つの電池セルあるいは1つの2次電池モジュールでの異常発熱によって生じた熱が隣接する電池セルあるいは2次電池モジュールに伝播することを防ぐことができ、2次電池システム全体の熱暴走を回避することができる。また特許文献1は、この断熱材料にウォラストナイトやアルミニウム三水和物(ATH)などを添加することによって難燃性を付与できることも開示している。
特開2021-82600号公報
しかしながら、特許文献1に開示されたシリコーンゴムからなる断熱材料は、長期間にわたって圧縮されたときの永久歪みが大きく、2次電池モジュールにおいて電池セル間の緩衝部材として用いたときに電池セルに適切な押圧を与え続けることができず、十分な緩衝機能を維持できない、という課題を有する。また特許文献1に開示される断熱材料にウォラストナイトやアルミニウム三水和物を添加したときも、炎が上がっているような状態の電池セルからの類焼を防ぐほどの難燃性を実現することはできない。
本発明の目的は、緩衝性能と難燃性と断熱性を同時に達成できる2次電池用シリコーンゴム部材を提供することにある。
本発明に基づく2次電池用シリコーンゴム部材は、
(A)1分子中に平均2個以上のアルケニル基を有し、前記アルケニル基の含有量がメチルアルケニルシロキシ単位として0.05~0.80モル%であるオルガノポリシロキサン 100重量部、
(B)中空フィラー 10~50重量部、
(C)難燃剤、および
(D)硬化剤、
を含む過酸化物架橋型シリコーンゴム組成物を熱硬化させた2次電池用シリコーンゴム部材である。
本発明によれば、緩衝性能と難燃性と断熱性を同時に達成できる2次電池用シリコーンゴム部材を得ることができる。
二次電池モジュールを説明する図である。
次に、本発明を実施するための形態について説明する。本発明に基づくシリコーンゴム部材は、後述するシリコーンゴム組成物を熱硬化して得られるものであって、リチウムイオンバッテリーなどの2次電池を含む機器や組立体において好ましく用いられるものである。そのような機器や組立体の例として、複数の2次電池セルをケーシング内に収容した2次電池モジュールがあり、以下、2次電池モジュールを説明することにより、本発明に基づく2次電池用シリコーンゴム部材に要求される性能について説明する。
図1は、2次電池モジュールを示す概略正面図である。2次電池モジュールは、ケーシング31内に複数の電池セル15を収容したものである。電池セル15は、例えばリチウムイオンバッテリーの単位セルである。図1(a)は、各電池セル15が初期状態にあるときの2次電池モジュールを示し、図1(b)は、各電池セル15が満充電状態にある2次電池モジュールを示している。図1(a)および図1(b)に示す2次電池モジュールでは、ケーシング31内に5個の電池セル15が収容されており、これらの電池セル15のうち左から2番目の電池セル15については、電池セル15の内部構造を示す。電池セル15は、例えば金属製の筐体15aの内部に電極体15bを封入したものである。電極体15bは、正極と負極とをセパレータで挟んで渦巻き状に巻回したものである。
ケーシング31内において、隣接する電池セル15の間には、2次電池用シリコーンゴム部材からなる緩衝部材10が配置されている。ケーシング31は、第1拘束部材31aと、第2拘束部材31bと、第1拘束部材31aと第2拘束部材31bを連結する連結部材31cとを備えており、第1拘束部材31aと第2拘束部材31bとによって、複数の電池セル15を挟みつける構造となっている。第1拘束部材31aとそれに隣接する電池セル15の間にも緩衝部材10が配置され、第2拘束部材31bとそれに隣接する電池セル15の間にも緩衝部材10が配置されている。
電池セル15では、充電に伴って電極体15b内の負極がイオンを吸蔵して膨張するので、電極体15bも膨張する。その結果、電池セル15も全体として一定方向(例えば図1(b)での左右方向)に膨張する。電池セル15が満充電となれば、電池セル15の膨張も最大となる。充電された電池セル15が放電すると電池セル15の膨張も解消され、理想的には図1(a)に示した初期状態に復帰する。しかしながら充放電に伴って電極体15bの膨張と収縮とが繰り返されると、電池セル15の内部で電極間の距離が徐々に広がって電池性能が低下する。そのため、緩衝部材10には、電池セル15の膨張による変位を吸収しつつ、電池セル15の収縮時に電池セル15を押圧して電極間の距離を初期状態に戻すことが要求される。また、緩衝部材10は、電池セル15が膨張と収縮を繰り返してもケーシング31内で電池セル15が最適な位置に保持されるようにする必要がある。2次電池モジュールが車載用のものであれば、緩衝部材10は、車両の走行時に発生する振動や衝撃から電池セル15を保護しなければならい。したがって、緩衝部材10を構成する2次電池用シリコーンゴム部材には、適切な緩衝性能を備えている必要がある。
2次電池、特にリチウムイオンバッテリーでは、充放電時に電池セル15内で起こる化学反応による発熱が大きい。電池セル15の1つが異常発熱を起こしたときにその熱が他の電池セル15に伝播すると熱が伝播した電池セル15も異常発熱を起こし、ケーシング31内の複数の電池セル15が熱暴走する恐れがある。熱暴走の連鎖を断ち切るためには、緩衝部材10を構成するシリコーンゴム部材には断熱性が要求される。また、電池セル15の異常発熱は電池セル15の発火の原因ともなる。複数の電池セル15のうち1つの電池セル15が発火することで、ケーシング31内の他の複数の電池セル15に燃え広がる恐れがある。したがって、緩衝部材10を構成するシリコーンゴム部材には、難燃性も要求される。緩衝部材10が断熱性と難燃性とを備えていれば、異常発熱した電池セル15から他の電池セル15への熱の伝播を防ぐことができ、複数の電池セル15の連鎖的な熱暴走や、それに起因する発火事故を回避することができる。
以上、2次電池用シリコーンゴム部材には、適切な緩衝性能、適切な断熱性および適切な難燃性が必要であることを説明した。以下、2次電池モジュールの緩衝部材10などとして使用される本発明に基づく2次電池用シリコーンゴム部材に要求される具体的な性能について説明する。
[硬さ]
リチウムイオンバッテリーに代表される2次電池に用いられる緩衝部材10に要求される緩衝機能を考慮すると、本発明に基づく2次電池用シリコーンゴム部材に要求される硬さ(JIS K6253準拠のデュロメータタイプAで測定)は、40~80であり、好ましくは50~80であり、より好ましくは60~75である。硬さが40より小さいと、電池セル15の位置を十分に保持することや適切な押し圧を電池セル15に与えることができなくなることがある。一方で、硬さが80より大きいと、外部から加えられる衝撃に対する十分な緩衝効果が得られず、電池セル15の物理的な破損などをもたらす恐れがある。
[断熱性]
2次電池用シリコーンゴム部材に要求される断熱性の指標として熱伝導率がある。熱伝導率が大きすぎると、ひとつの電池セル15が異常発熱を起こした際に隣の電池セル15への熱伝達を十分に抑制することができず、ケーシング31内全体の熱暴走を防ぐことができないことがある。そのため、リチウムイオンバッテリーに代表される2次電池の熱暴走を防止するために、本発明のシリコーンゴム部材の熱伝導率を小さくする必要があり、0.200W/m・K以下であることが必要であり、0.190W/m・K以下であることがより好ましい。
[圧縮永久歪み]
リチウムイオンバッテリーに代表される2次電池用の緩衝部材10に要求される緩衝機能を考慮すると、本発明のシリコーンゴム部材では、JIS K6262のA法に従って、試験温度150℃、試験時間280時間、圧縮率25%の条件で測定した圧縮永久歪みが29%以下である必要があり、20%以下であることがより好ましい。圧縮永久歪みの値が29%を超えると、長期的に電池セル15に対して適切な押し圧を加え続けることができなくなり、電池セル15における充電容量の低下が避けられなくなることがある。さらに、外部から加えられる振動から電池セル15を十分に保護することができなくなって電池セル15に異常をきたすおそれがあり。さらに、ケーシング31内での電池セル15の位置を保持することができなくなることがある。
[難燃性]
難燃性の評価には一般的にUL94規格が使用されており、本発明に基づくシリコーンゴム部材の難燃性の評価にも、UL94で定められているクラスを使用することができる。リチウムイオンバッテリーに代表される2次電池での類焼の防止を考慮すると、本発明に基づく2次電池用シリコーンゴム部材は、UL94 V-1クラス以上の難燃性を有することが必要であり、好ましくはUL94 V-0クラスの難燃性を満たす必要がある。難燃性がUL94のV-1クラスを下回る場合には、発火した電池セル15からの炎を他の電池セル15に燃え移らせてしまい、ケーシング31内の全体での発火事故を防ぐことができなくなるおそれがある。
[繰り返し圧縮時の圧縮応力の変化]
リチウムイオンバッテリーに代表される2次電池に対して用いられる緩衝部材10は、充放電に伴って膨張収縮する電池セル15から繰り返し応力を受ける。また、緩衝部材10は、電池セル15が初期状態(充放電開始する前の状態)において個々の電池セル15を保持し、充放電が繰り返された後もその性能を維持する必要があるため、繰り返し圧縮による変化は小さい方がよい。本発明に基づく2次電池用シリコーンゴム部材では、一定の圧縮速度で圧縮率が25%まで圧縮した後、直ちに同じ速度で圧縮率0%になるまで解放する操作を10回繰り返したときの、1回目圧縮時の圧縮応力と10回目圧縮時の圧縮応力の比が、84%以上であることが好ましい。
ところで、本発明のシリコーンゴム部材に圧縮応力を繰り返し印加した際に生じる圧縮応力変化は、(1)圧縮によるポリマー分子鎖同士の相対位置のずれ、(2)圧縮によるポリマー分子鎖と充填剤(中空フィラーや補強性充填剤など)との相対位置のずれ、(3)圧縮による中空フィラーの破壊(割れおよび潰れ)により起こると考えられる。これらのうち、上記(1)および(2)は、中空フィラーを含まない一般的なシリコーンゴム部材でも見られるものであり、圧縮の繰り返し回数が5回程度までに起こるがそれ以降は変化の程度が小さくなり、2次電池の緩衝のために用いるゴム部材としては十分実用に耐えるレベルのものである。しかしながら、中空フィラーを含むシリコーンゴム部材においては、上記(3)による圧縮応力の変化が収束するまでに8~10回程度の繰り返し圧縮応力の印加を要する。これは、中空フィラーの粒子径が数十~数百μmと大きいことで、一度の圧縮応力により中空フィラーが破壊され、シリコーンゴム部材のマトリックス構造の中での局所的な応力のかかり方が変化しやすいためである。なお、10回目以降の圧縮では、それまでの圧縮応力で中空フィラーが破壊されるためにシリコーンゴム部材自体の変化が小さくなるため、変化が収束する。これらの理由により、本実施形態では、1回目圧縮時の圧縮応力と10回目圧縮時の圧縮応力とを比較している。
[2次電池用シリコーンゴム部材の成分および構成]
上述したような要求性能を満たすための本発明に基づく2次電池用シリコーンゴム部材は、
(A) 1分子中に平均2個以上のアルケニル基を有し、そのアルケニル基の含有量がメチルアルケニルシロキシ単位として0.05~0.80モル%であるオルガノポリシロキサン:100重量部
(B) 中空フィラー:10~50重量部、
(C) 難燃剤、および
(D) 硬化剤、
を含む過酸化物架橋型シリコーンゴム組成物を熱硬化させたものである。以下、リコーンゴム組成物を構成する各成分の役割と効果について説明する。
(A) オルガノポリシロキサン:
本発明では、1分子中に平均2個以上のアルケニル基を有し、そのアルケニル基の含有量がメチルアルケニルシロキシ単位として0.05~0.80モル%であるオルガノポリシロキサンを使用する。このアルケニル基を有するオルガノポリシロキサンは、本発明に基づく2次電池用シリコーンゴム部材の主成分となるものである。適切な熱による架橋により優れたゴム弾性を発現させるためには、アルケニル基は1分子中に平均2個以上存在する必要がある。アルケニル基は、分子末端および側鎖のいずれに存在していてもよい。このような要件を満たすポリシロキサンとしては、具体的に言えば、平均分子量1.0×10~1.0×10のアルケニル末端ポリジメチルシロキサンが挙げられる。優れた圧縮永久歪みを発現させるためには、アルケニル基の含有量がメチルアルケニルシロキシ単位として0.05~0.80モル%である必要があり、この範囲外では架橋密度が低すぎる、または高すぎることで圧縮永久歪みが大きくなる。なお、アルケニル基の含有量がメチルアルケニルシロキシ単位として0.05~0.50モル%であるオルガノポリシロキサンは、より優れた圧縮永久歪みを示すシリコーンゴム部材が得られるため、本発明においてより好ましい。
(B) 中空フィラー:
本発明に基づく2次電池用シリコーンゴム部材は、中空フィラーを含む。中空フィラーの役割は、シリコーンゴム部材の熱伝導率を低くすることである。中空フィラーは、殻がガラスやセラミックなどの素材でできた内部に空気層を含むフィラーである。中空フィラーをシリコーンゴム組成物中に添加することで、熱伝導率の低い空気層がシリコーンゴム部材中に存在するため、ゴム部材の熱伝導率を下げる(=断熱性を確保する)ことができる。本発明において使用できる中空フィラーとしては、例えば、ガラス製の中空フィラーであるグラスバブルズK25、K37、S38、S42XHS、K46、iM16K、S60J、S60HS、iM30K(以上、スリーエムジャパン社製)、セラミック製の中空フィラーであるE-SPHERES(登録商標) SL75 SL125、SL150、SL300、SLG(以上、太平洋セメント社製)などが挙げられる。優れた断熱効果を得るためには、オルガノポリシロキサン100重量部に対して中空フィラーを10重量部以上添加する必要がある。同時に、優れた圧縮応力緩和性を得るために、中空フィラーの添加量は、オルガノポリシロキサン100重量部に対して55重量部未満とする必要がある。55重量部以上では、ポリマーマトリックス中の中空フィラーの体積割合が大きくなりすぎるため、ゴム弾性(形状回復性)を有するオルガノポリシロキサンの体積割合が相対的に低くなり、圧縮永久歪が大きくなる(=応力緩和性の悪化)。さらに、ポリマー分子鎖と中空フィラー間の界面(接触)面積も増加するため、ゴム部材に印加される圧縮応力により、ポリマー分子鎖と充填剤(中空フィラー)との相対位置にずれが生ずるためゴム部材の応力緩和性が劣る。本発明で使用される中空フィラーは、シリコーンゴム組成物の混練時に受けるせん断力や電池セルから受ける圧縮応力に耐える必要がある。この観点から、中空フィラーの破壊強度は、JIS Z8844に準拠した測定値で10MPa以上であることが好ましい。中空フィラーの破壊強度が低すぎる場合、ゴムの混練工程で受けるせん断力により中空フィラーが割れてしまい、十分な断熱効果が得られなくなる。さらに、電池セル15から受ける圧縮応力によって中空フィラーが割れることで、シリコーン部材に必要な応力緩和性が得られない。すなわち、シリコーンゴム部材の物性値である圧縮永久歪みが大きくなってしまう。
(C) 難燃剤:
2次電池用シリコーンゴム部材に優れた難燃性を発現させるために添加される難燃剤としては、例えば、白金単体および白金化合物の少なくとも一方を含むものを用いることができる。白金単体には、白金の粉末や微粉末、白金黒が含まれる。白金化合物には、例えば、塩化白金酸、白金―ビニルシロキサン錯体、白金―オレフィン錯体などが含まれる。塩化白金酸はその水和物を含んでいる。上記難燃剤の中で特に、白金粉末、白金―ビニルシロキサン錯体、白金―オレフィン錯体、塩化白金酸または白金黒を使用することが好ましい。また、塩化白金酸として塩化白金酸六水和物、白金―ビニルシロキサン錯体として白金(0)―1,3ジビニルテトラメチルジシロキサン、白金―オレフィン錯体としてジメチル白金(II)シクロオクタジエン錯体を用いることがより好ましい。なお、白金単体または白金化合物を含む難燃剤を第1の難燃剤とし、カーボンブラックや酸化鉄、トリアゾール化合物、酸化チタンなどを第2の難燃剤とし、第1および第2の難燃剤を併用してもよい。さらに、添加する難燃剤が固体状の場合は、平均粒子径10μm以下の微粉末状態で添加することが好ましい。
(D) 硬化剤(架橋剤):
硬化剤は、架橋反応により上記(A)~(C)の成分を含むシリコーンゴム組成物に適切な弾性を付与するために添加される。硬化剤として使用できる商品としては、有機過酸化物系硬化剤であるパーヘキサ(登録商標)HC、パーヘキサ(登録商標)C、パーヘキサ(登録商標)V、パーヘキサ(登録商標)25B、パーブチル(登録商標)P、パーブチル(登録商標)C、パークミル(登録商標)D、ナイパー(登録商標)BMT-M、パーヘキサ(登録商標)25Z、パーヘキシル(登録商標)Z、パーブチル(登録商標)ZT、パーブチル(登録商標)Z(以上、日油社製)などが挙げられる。なお、これらは、作業性向上のため、シリカや炭酸カルシウムなどの不活性希釈剤やオルガノポリシロキサンなどで希釈されていてもよい。
[その他の成分]
本発明に基づく2次電池用シリコーンゴム部材には、本発明によって得られる効果を阻害しない範囲で、任意の成分を配合することができる。このような成分としては、例えば、カーボンブラックなどの着色剤、シリカなどの充填材(あるいは補強材)、硬化遅延剤、耐熱添加剤、軟化剤などが挙げられる。
以下、本発明の実施例および比較例を説明するが、本発明は以下の実施例および比較例に限定されるものではない。
<シリコーンゴム部材の製造方法>
上述した(A)~(C)の成分および補強材となるシリカを配合した混合物をラボプラストミル(登録商標)10C100-B600ミキサー(東洋精機社製)に投入し、回転速度20rpmで均一になるまで混練した。その後、混練された混合物をミキサーから取り出し、LABOLATORY MILL(関西ロール社製)に、上記(D)成分および着色剤を添加・混練してシリコーンゴム組成物を得た。その後、得られたシリコーンゴム組成物を170℃に加熱したコンプレッション金型に入れ、十分な成型圧を加え、そのまま10分間加熱硬化させて硬化物を得た。さらに、この硬化物を200℃の熱風オーブン内で4時間熱処理し、シリコーンゴム部材を得た。
得られたシリコーンゴム部材について、硬さ、熱伝導率、圧縮永久歪み、難燃性、繰り返し圧縮時の圧縮応力の変化について評価を行った。以下、上記各種の特性値の測定方法あるいは評価方法を詳細に説明する。
<各種特性値の測定方法あるいは評価方法>
(1)硬さ:
JIS K6253に従い、デュロメータタイプAにより測定した。なお、測定に使用したシリコーンゴム部材の寸法は150×150×10mmである。
(2)断熱性の指標となる熱伝導率:
迅速熱伝導率計QTM-500(京都電子工業社製)を用い熱線法により測定した。測定に使用したシリコーンゴム部材の寸法は150×150×10mmである。
(3)圧縮永久歪み:
JIS K6262のA法に従い、温度:150℃、時間:280時間、圧縮率:25%の条件で測定した。算出方法は以下の通りである。
圧縮永久歪み率(%)={(t-t)/(t-t)}×100
:試験片の初期厚み(mm)
:スペーサーの厚み(mm)
:圧縮装置から取り外し、30分放置した後の試験片の厚み(mm)
(4)難燃性:
UL94規格に定める20mm垂直燃焼試験に規定する方法に従い、UL94での難燃性区分であるクラスV-0またはV-1のどちらを満たすかを判定した。シリコーンゴム部材を厚さ1mmの試験シートとし、5枚の試験シート(すなわちn=5)を用いて燃焼試験を実行した。垂直に保持した試験シートの下端に10秒間ガスバーナーで接炎(第1回接炎)し、炎が消えた後さらに10秒間接炎(第2回接炎)した。第1回接炎後の残炎時間をtとし、第2回接炎後の残炎時間をtとし、第2回接炎後の赤熱時間をtとして、残炎時間tおよびtの最大値、赤熱時間tの最大値、および全ての処理による各組の残炎時間の合計(5枚のシートのt+tの合計)を測定し、下の表に従って材料の難燃性区分を行った。
Figure 2023171019000001
表1に記載されている規格以外の各項目(残炎または赤熱が保持クランプまで到達しないこと、発炎物質または滴下物による標識用綿の着火が起こらないこと)については、ここでは示さないが、難燃剤を添加していない比較例5を除き、全ての実施例および比較例が各項目を満足していた。
(5)繰り返し圧縮時の圧縮応力の変化:
繰り返し圧縮時の圧縮応力の変化を調べるために、直径が29mm、厚さが10mmである円柱状試験片を使用した。試験機としてオートグラフ(登録商標)AGX-V 10kN(島津製作所製)を用いた。試験機に取り付けた治具によって試験片を挟み込み、50mm/分の圧縮速度で圧縮率25%になるまで試験片を圧縮した。その後、すぐに同じ速度で圧縮率0%になるまで試験片に印加していた圧縮応力を解放した。この操作を計10回繰り返し、1回目の試験片が圧縮率25%となるときの圧縮応力をσ、10回目の試験片が圧縮率25%となるときの圧縮応力をσ10として、1回目と10回目の圧縮応力の比K(%)を以下の式から算出した。
K(%)=σ10/σ×100
なお、試験片の圧縮方向は試験片の厚み方向である。
以下、<表2>の実施例1~14および比較例1~5について詳細に説明する。
[実施例1]
アルケニル量0.15モル%のアルケニル末端ポリジメチルシロキサン:100重量部、ガラス製の中空フィラーとしてグラスバブルズK46(スリーエムジャパン社製):10重量部、難燃剤として白金(0)-1,3-ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体(東京化成社製):0.005重量部、硬化剤として有機過酸化物硬化剤であるパーヘキサ(登録商標)25B(日油社製):0.3重量部を使用し、さらにシリカである補強材としてAEROSIL(登録商標) R972(日本アエロジル社製):20重量部、カーボンブラックである着色剤としてME-41B(モメンティブ社製):0.5重量部を用いてシリコーンゴム部材を得た。実施例および比較例を通じ、アルケニル量は、オルガノポリシロキサンに含まれるアルケニル基の含有量をメチルアルケニルシロキシ単位で示したものである。また、アルケニル末端ポリジメチルシロキサンは、末端にアルケニル基が存在するので、1分子中に平均2個以上のアルケニル基を含んでいる。白金(0)-1,3-ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体は、白金-ビニルシロキサン錯体に分類される。
[実施例2]
アルケニル量0.15モル%のアルケニル末端ポリジメチルシロキサン:100重量部、グラスバブルズK46:20重量部、白金(0)-1,3-ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体:0.005重量部、パーヘキサ(登録商標)25B:0.3重量部、AEROSIL(登録商標) R972:20重量部、ME-41B:0.5重量部を用いてシリコーンゴム部材を得た。
[実施例3]
アルケニル量0.15モル%のアルケニル末端ポリジメチルシロキサン:100重量部、グラスバブルズK46:30重量部、白金(0)-1,3-ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体:0.005重量部、パーヘキサ(登録商標)25B:0.3重量部、AEROSIL(登録商標) R972:20重量部、ME-41B:0.5重量部を用いてシリコーンゴム部材を得た。
[実施例4]
アルケニル量0.15モル%のアルケニル末端ポリジメチルシロキサン:100重量部、グラスバブルズK46:40重量部、白金(0)-1,3-ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体:0.005重量部、パーヘキサ(登録商標)25B:0.3重量部、AEROSIL(登録商標) R972:20重量部、ME-41B:0.5重量部を用いてシリコーンゴム部材を得た。
[実施例5]
アルケニル量0.15モル%のアルケニル末端ポリジメチルシロキサン:100重量部、グラスバブルズK46:50重量部、白金(0)-1,3-ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体:0.005重量部、パーヘキサ(登録商標)25B:0.3重量部、AEROSIL(登録商標) R972:20重量部、ME-41B:0.5重量部を用いてシリコーンゴム部材を得た。実施例2~5は、実施例1と比べて中空フィラーの配合量を変化させたものである。
[実施例6]
アルケニル量0.05モル%のアルケニル末端ポリジメチルシロキサン:100重量部、グラスバブルズK46:30重量部、白金(0)-1,3-ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体:0.005重量部、パーヘキサ(登録商標)25B:0.3重量部、AEROSIL(登録商標) R972:20重量部、ME-41B:0.5重量部を用いてシリコーンゴム部材を得た。
[実施例7]
アルケニル量0.07モル%のアルケニル末端ポリジメチルシロキサン:100重量部、グラスバブルズK46:30重量部、白金(0)-1,3-ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体:0.005重量部、パーヘキサ(登録商標)25B:0.3重量部、AEROSIL(登録商標) R972:20重量部、ME-41B:0.5重量部を用いてシリコーンゴム部材を得た。
[実施例8]
アルケニル量0.50モル%のアルケニル末端ポリジメチルシロキサン:100重量部、グラスバブルズK46:30重量部、白金(0)-1,3-ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体:0.005重量部、パーヘキサ(登録商標)25B:0.3重量部、AEROSIL(登録商標) R972:20重量部、ME-41B:0.5重量部を用いてシリコーンゴム部材を得た。
[実施例9]
アルケニル量0.80モル%のアルケニル末端ポリジメチルシロキサン:100重量部、グラスバブルズK46:30重量部、白金(0)-1,3-ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体:0.005重量部、パーヘキサ(登録商標)25B:0.3重量部、AEROSIL(登録商標) R972:20重量部、ME-41B:0.5重量部を用いてシリコーンゴム部材を得た。実施例6~9は、実施例3と比べてポリジメチルシロキサンにおけるアルケニル量を変化させたものである。
[実施例10]
アルケニル量0.15モル%のアルケニル末端ポリジメチルシロキサン:100重量部、グラスバブルズK46:30重量部、難燃剤として白金粉末(富士フイルム和光純薬社製):0.005重量部、パーヘキサ(登録商標)25B:0.3重量部、AEROSIL(登録商標) R972:20重量部、ME-41B:0.5重量部を用いてシリコーンゴム部材を得た。
[実施例11]
アルケニル量0.15モル%のアルケニル末端ポリジメチルシロキサン:100重量部、グラスバブルズK46:30重量部、難燃剤としてジメチル白金(II)シクロオクタジエン錯体(Gelest社製):0.005重量部、パーヘキサ(登録商標)25B:0.3重量部、AEROSIL(登録商標) R972:20重量部、ME-41B:0.5重量部を用いてシリコーンゴム部材を得た。
[実施例12]
アルケニル量0.15モル%のアルケニル末端ポリジメチルシロキサン:100重量部、グラスバブルズK46:30重量部、塩化白金酸六水和物(東京化成社製):0.005重量部、パーヘキサ(登録商標)25B:0.3重量部、AEROSIL(登録商標) R972:20重量部、ME-41B:0.5重量部を用いてシリコーンゴム部材を得た。
[実施例13]
アルケニル量0.15モル%のアルケニル末端ポリジメチルシロキサン:100重量部、グラスバブルズK46:30重量部、難燃剤として白金黒である白金(黒色)(富士フイルム和光純薬社製):0.005重量部、パーヘキサ(登録商標)25B:0.3重量部、AEROSIL(登録商標) R972:20重量部、ME-41B:0.5重量部を用いてシリコーンゴム部材を得た。実施例10~13は、実施例3と比べて難燃剤の種類を変えたものである。
[実施例14]
アルケニル量0.15モル%のアルケニル末端ポリジメチルシロキサン:100重量部、中空フィラーとしてセラミック製のE-SPHERES(登録商標) SL75(太平洋セメント社製):30重量部、白金(0)-1,3-ジアルケニルテトラメチルジシロキサン錯体:0.005重量部、パーヘキサ(登録商標)25B:0.3重量部、ME-41B:0.5重量部を用いてシリコーンゴム部材を得た。実施例14は、実施例3と比べて中空フィラーの種類を変えたものであり、シリカである補強材は添加されていない。
[比較例1]
アルケニル量0.90モル%のアルケニル末端ポリジメチルシロキサン:100重量部、グラスバブルズK46:30重量部、白金(0)-1,3-ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体:0.005重量部、パーヘキサ(登録商標)25B:0.3重量部、AEROSIL(登録商標) R972:20重量部、ME-41B:0.5重量部を用いてシリコーンゴム部材を得た。
[比較例2]
アルケニル量0.03モル%のアルケニル末端ポリジメチルシロキサン:100重量部、グラスバブルズK46:30重量部、白金(0)-1,3-ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体:0.005重量部、パーヘキサ(登録商標)25B:0.3重量部、AEROSIL(登録商標) R972:20重量部、ME-41B:0.5重量部を用いてシリコーンゴム部材を得た。比較例1,2は、実施例3と比べてポリジメチルシロキサンにおけるアルケニル量を変化させたものである。
[比較例3]
アルケニル量0.15モル%のアルケニル末端ポリジメチルシロキサン:100重量部、グラスバブルズK46:5重量部、白金(0)-1,3-ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体:0.005重量部、パーヘキサ(登録商標)25B:0.3重量部、AEROSIL(登録商標) R972:20重量部、ME-41B:0.5重量部を用いてシリコーンゴム部材を得た。
[比較例4]
アルケニル量0.15モル%のアルケニル末端ポリジメチルシロキサン:100重量部、グラスバブルズK46:55重量部、白金(0)-1,3-ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体:0.005重量部、パーヘキサ(登録商標)25B:0.3重量部、AEROSIL(登録商標) R972:20重量部、ME-41B:0.5重量部を用いてシリコーンゴム部材を得た。比較例3,4は、実施例1と比べて中空フィラーの配合量を変化させたものである。
[比較例5]
アルケニル量0.15モル%のアルケニル末端ポリジメチルシロキサン:100重量部、グラスバブルズK46:30重量部、パーヘキサ(登録商標)25B:0.3重量部、AEROSIL(登録商標) R972:20重量部、ME-41B:0.5重量部を用いてシリコーンゴム部材を得た。比較例5は、実施例3と比べて難燃剤を含まないものである。
実施例1~14および比較例1~5で得られた結果を表2に示す。表2において、組成情報は上述の各実施例および各比較例のシリコーンゴム部材を得るときの各成分の配合を示しており、白金-ビニルシロキサン錯体は、白金(0)-1,3-ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体であり、白金-オレフィン錯体はジメチル白金(II)シクロオクタジエン錯体である。<表2>中の物性情報は、硬さ、熱伝導率(=断熱性能)、永久圧縮歪み、繰り返し圧縮時の圧縮応力の変化、および難燃性を示す。なお、繰り返し圧縮時の圧縮応力の変化は、前述したように圧縮応力の比率K(%)で示す。比較例2では、測定のために圧縮しているときに試料片が破損したため、圧縮永久歪みと繰り返し圧縮時の圧縮応力の変化を求めることができなかった。比較例5では垂直接炎試験の際に試料片が全焼したため、難燃性としては、UL94のクラスV-0にもV-1にも該当しなかった。
Figure 2023171019000002
Figure 2023171019000003
実施例1~5および比較例3,4のシリコーンゴム部材では、(B)成分である中空フィラーの添加量が異なっている。中空フィラーの添加量がオルガノポリシロキサン100重量部に対して10~50重量部である実施例1~5のシリコーンゴム部材は、熱伝導率の値が低く優れた断熱性を有するとともに、優れた圧縮永久歪みを示している。ただし、中空フィラーの添加量が少なくなると熱伝導率が徐々に大きくなり、その一方で中空フィラーの添加量が多くなると圧縮永久歪みが徐々に悪化する傾向がみられる。これらのことを考慮すると、実施例1~5の中でも実施例2~4のシリコーンゴム部材、すなわち中空フィラーの添加量が20~40重量部であるものが、高い断熱性(熱伝導率が小さい)と小さな圧縮永久歪み(=ゴム部材の復元性である緩衝機能)の両方をバランスよく成り立たせるシリコーンゴム部材である。中空フィラーの添加量が9重量%である比較例3は、熱伝導率が高く、断熱性に劣る。また、中空フィラーの添加量が55重量%である比較例4は、圧縮永久歪みの値が大きい。したがって、ゴム部材として緩衝機能が十分でない。また、実施例1~4のシリコーンゴム部材は、1回目と10回目の圧縮応力の比が高く、初期の緩衝性能維持の観点から、本発明に基づく2次電池用シリコーンゴム部材としてより好ましいものである。
実施例3,6~9および比較例1,2のシリコーンゴム部材は、(A)成分である1分子中に平均2個以上のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサンにおいて、メチルアルケニルシロキシ単位としたアルケニル基の含有量すなわちアルケニル量を異ならせたものである。実施例3,6~9に比べて、オルガノポリシロキサンでのアルケニル量が少ない比較例1、および、オルガノポリシロキサンでのアルケニル量が多い比較例2では、いずれも圧縮永久歪みの値が大きくなっており、ゴム部材としての緩衝機能が十分でない。本発明の効果を得るためには、(A)成分のアルケニル量は0.05~0.80モル%である必要がある。なお、実施例3,6~9の中でもアルケニル量が0.07~0.50モル%である実施例3,7,8のシリコーンゴム部材は、より優れた圧縮永久歪みを示している。また、比較例1,2に比べて実施例3,6~9のシリコーンゴム部材は、1回目と10回目の圧縮応力の比が大きく、初期の緩衝性能維持の観点より、本発明に基づく2次電池用シリコーンゴム部材としてより好ましい。
実施例3,10~13では(C)成分である難燃剤の種類が異なり、比較例5では難燃剤を添加していない。難燃剤が添加されていない比較例5のシリコーンゴム部材は難燃性を示さないのに対し、難燃剤の添加されている実施例3、10~13のシリコーンゴム部材は優れた難燃性を示している。したがって、本発明の効果を得るためには、(C)成分である難燃剤の添加が必須である。なお、これらの実施例の中で、実施例3,10,11,13のシリコーンゴム部材はより優れた難燃性を示し、実施例3,10,11のシリコーンゴム部材は、圧縮永久歪みがより良好であった。
(B)成分である中空フィラーとして、実施例1~13ではガラス製のものを使用し、実施例14ではセラミック製のものを使用している。セラミック製の中空フィラーを用いた実施例14のシリコーンゴム部材でも、他の実施例のものと同様に、良好な断熱性と難燃性が得られた。また、実施例14のシリコーンゴム部材は、圧縮永久歪みにも優れ、かつ1回目に対する10回目の圧縮応力の比が大きく、本発明に基づく2次電池用シリコーンゴム部材として優れている。
10 緩衝部材
15 電池セル
31 ケーシング

Claims (4)

  1. (A)1分子中に平均2個以上のアルケニル基を有し、前記アルケニル基の含有量がメチルアルケニルシロキシ単位として0.05~0.80モル%であるオルガノポリシロキサン 100重量部、
    (B)中空フィラー 10~50重量部、
    (C)難燃剤、および
    (D)硬化剤、
    を含む過酸化物硬化型シリコーンゴム組成物を熱硬化させた2次電池用シリコーンゴム部材。
  2. 前記難燃剤が、白金粉末、白金―ビニルシロキサン錯体、白金―オレフィン錯体、塩化白金酸あるいは白金黒の少なくとも1つを含む、請求項1に記載の2次電池用シリコーンゴム部材。
  3. 熱伝導率が0.200W/m・K以下であり、
    JIS K6262に準拠した方法により、試験温度150℃、試験時間280時間、圧縮率25%の条件下における圧縮永久歪みが29%以下であり、かつ、
    難燃性がUL94 V-0クラスまたはV-1クラスである、請求項1または2に記載の2次電池用シリコーンゴム部材。
  4. 直径29mm、厚さ10mmである前記シリコーンゴム部材からなる円柱状試験片の厚み方向に一定の速度で前記試験片の圧縮率が25%となるまで圧縮したのち前記速度で前記試験片の圧縮率が0%となるまで開放する操作を繰り返したときに、10回目における前記試験片の圧縮率が25%となるときの圧縮応力(σ10)と、1回目における前記試験片の圧縮率が25%のときの圧縮圧縮応力(σ)との比(K)が下記式(1)を満足する、
    K(%)=σ10/σ×100≧84 (1)
    請求項3に記載の2次電池用シリコーンゴム部材。
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