JP2023169438A - 金属部材 - Google Patents

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Abstract

Figure 2023169438000001
【課題】他の部材と摺動する金属部材について、摺動面の耐久性をより向上させる。
【解決手段】金属部材1は、アルミニウム製の金属基材10と、金属基材10の表面のうち、他の部材と摺動する摺動面12に施されたチタン酸アルミニウムALTiOの皮膜20と、を有する。金属部材1は、チタン酸塩を主成分とする電解液L中に、金属基材10を陽極122とした一対の電極120を浸し、一対の電極120間に電圧を印加して、プラズマ電解酸化処理により、金属基材10の表面のうち他の部材と摺動する摺動面12にALTiOの皮膜を施すことによって製造される。
【選択図】図1

Description

本発明は、金属部材に関する。
従来、金属部材の表面に皮膜を施す技術が知られている。例えば、特許文献1には、転がり軸受において、電食が発生することを抑制するために、起動輪の軌道面以外の面にチタン酸アルミニウムが分散した電融アルミナを溶射した溶射被膜を形成することが記載されている。
特開2015-230058号公報
金属部材への皮膜は、上記特許文献1に記載のような電食防止以外にも、種々の目的で施される。特に、他の部材の摺動する面を有する金属部材について、例えば耐摩耗性、耐焼付き性、疲労強度といった観点から、摺動面の耐久性を良好に確保することが求められる。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、他の部材と摺動する金属部材について、摺動面の耐久性をより向上させることを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる金属部材は、アルミニウム製の金属基材と、前記金属基材の表面のうち、他の部材と摺動する摺動面に施されたチタン酸アルミニウムAlTiOの皮膜と、を有する。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる金属部材の製造方法は、チタン化合物を含む水溶液を用いた電解液中に、金属基材を陽極とした一対の電極を浸し、前記一対の電極間に電圧を印加して、プラズマ電解酸化処理により、前記金属基材の表面のうち他の部材と摺動する摺動面にチタン酸化合物の皮膜を施す。
を特徴とする。
本発明にかかる金属部材および金属部材の製造方法は、他の部材と摺動する金属部材について、摺動面の耐久性をより向上させることができる、という効果を奏する。
図1は、実施形態にかかる金属部材の一例を示す断面図である。 図2は、実施形態にかかる金属部材の製造方法に用いるプラズマ電解酸化処理装置の一例を示す模式図である。 図3は、金属部材について耐摩耗性試験を実施する様子を示す模式図である。 図4は、耐摩耗性試験の試験結果を示す説明図である。 図5は、金属部材について耐焼付き性試験を実施する様子を示す模式図である。 図6は、耐焼付き性試験の試験結果を示す説明図である。 図7は、金属部材について摩擦特性試験を実施する様子を示す模式図である。 図8は、摩擦特性試験の試験結果を示す説明図である。 図9は、疲労強度試験の試験結果を示す説明図である。 図10は、X線回折法による分析結果の一例を示す説明図である。
以下に、本発明にかかる金属部材の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
図1は、実施形態にかかる金属部材の一例を示す断面図である。実施形態にかかる金属部材1は、図1に示すように、金属基材10と、皮膜20とを有する。金属部材1は、なんらかの装置に組み込まれて使用されるときに、装置の他の部材と摺動する部材である。金属部材1は、例えばショックアブソーバーのシリンダ、ポンプ等の部品に用いられる。なお、図1では、金属部材1として板形状の例を示しているが、金属部材1は、他の部材と摺動する面を有するものであれば板形状に限られるものではない。例えば、後述する焼付き試験の様子を模式的に記載した図5に示すように、円盤状の部材等であってもよい。
金属基材10は、金属材料により形成される。金属基材10は、その表面の一部に他の部材と摺動する摺動面12を有している。本実施形態において、金属基材10は、アルミニウム製である。金属基材10は、JIS規格A7075が好ましい。金属基材10は、JIS規格A2014、A6061、A7050、A7075ADC12、ADC14等であってもよい。また、金属基材10は、例えばSiC、Alといった強化材を含むアルミニウム基複合材料であってもよい。
皮膜20は、金属基材10の上記摺動面12に施される。皮膜20は、後述するプラズマ電解酸化処理(PEO:Plasma Electrolytic Oxidation)によって金属基材10に形成され、金属基材10の金属材料と電解液との酸化反応によって形成される膜である。本実施形態において、皮膜20は、チタン酸アルミニウムALTiO(以下、適宜、単に「AlTiO」と称する)の膜である。つまり、皮膜20は、AlTiOの結晶構造を主成分として形成される膜である。例えば、金属基材10をJIS規格ADC14(18%Si,5%Cu)とし、合金元素の25%が皮膜20に含有された場合において、皮膜20は、AlTiOを75質量%以上100質量%以下の範囲で含む。なお、ここでのAlTiOの含有率は、X線回折法を用いて測定した。X線回折法では、X線源(X線管球)としてCuを用い、出力は40kV/40mAとした。また、測定方法は、2θ-θ法(集中法)とした。
また、皮膜20の厚さt(図1参照)は、1μm以上50μm未満が好ましく、3μm以上15μm未満がより好ましく、5μm以上13μm未満がさらに好ましい。
皮膜20は、複数の孔部30を含む多孔質状に形成された膜である。複数の孔部30は、図1に示すように、皮膜20の表面で開口し、金属基材10側に延びる微細孔である。孔部30は、後述するプラズマ電解酸化処理において金属基材10に皮膜20を施す際に、アーク放電に伴い発生したガスが排出される噴出孔である。なお、図1では、記載の簡略化のために、複数の孔部30を均一な形状、配置で記載しているが、実際には、孔部30は、皮膜20の表層に不均一な窪みとして形成される。また、孔部30は、いわゆる陽極酸化処理で形成される孔部よりも小さなサイズであり、陽極酸化処理で形成された皮膜において行われることがある封孔処理は実施しない。
各孔部30は、孔径が1μm以上100μm未満であることが好ましく、2μm以上50μm未満であることがより好ましく、3μm以上20μm未満であることがさらに好ましい。また、各孔部30は、孔の深さが1μm以上であることが好ましい。なお、ここでの孔径は、皮膜20の表面における開口径であり、孔の深さは、皮膜20の表面から孔部30の底部までの距離である。
次に、実施形態にかかる金属部材の製造方法について説明する。図2は、実施形態にかかる金属部材の製造方法に用いるプラズマ電解酸化処理装置の一例を示す模式図である。プラズマ電解酸化処理装置100は、図示するように、電源110と、一対の電極120と、電解液槽130とを有する。プラズマ電解酸化処理装置100は、電解液槽130中の電解液に浸漬された一対の電極120間に電源110から電圧を印加し、プラズマ電解酸化処理を行う装置である。プラズマ電解酸化処理は、従来の陽極酸化処理よりも高い電圧を一対の電極120間に印加することで、基材としての電極表面にアーク放電を断続的に発生させる。それにより、基材表面の溶融、酸化、凝固を連続的に行い、プラズマ状態での酸化によって緻密で高強度な皮膜を形成する処理である。
電源110は、一対の電極120に接続され、一対の電極120間に電圧を印加する。一対の電極120は、陽極(正極)122と、陰極(負極)124とを有する。陽極122は、本実施形態の金属基材10であり、電源110の正極側端子に接続される。陰極124は、電源110の陰極側端子に接続される。陰極124は、陽極122との間に印加される電圧によって、還元反応を起こすものであればよい。電解液槽130の内部には、電解液Lが含まれる。本実施形態において、電解液Lは、チタン化合物を含む水溶液を用いる。
プラズマ電解酸化処理装置100を用いてプラズマ電解酸化処理を行うとき、作業者は、電解液Lが含まれた電解液槽130内に一対の電極120の一部を浸漬させる。金属基材10である陽極122については、摺動面12に相当する部分が電解液L内に浸漬させる。そして、作業者は、所定時間にわたって、電源110から一対の電極120間に所定電圧を印加させる。所定電圧は、基材としての陽極122の表面においてアーク放電を発生させることができる程度の電圧であり、通常の陽極酸化処理に比べて高電圧である。所定電圧は、例えば50(V)以上600(V)以下である。これにより、電解液L中に含まれるチタン酸塩がプラズマ電解酸化処理における反応によって陽極122の表面でAlTiOの化合物が形成される。本実施形態では、陽極122である金属部材1の摺動面12に、AlTiOの皮膜20が施される。また、所定時間は、陽極122の表面に皮膜20が十分に施される時間であればよく、例えば1分から10分程度である。以上の処理により、金属基材10の摺動面12に皮膜20が施された金属部材1が形成される。
[実施例]
次に、実施例としての金属部材1の性能評価について、比較例との比較に基づいて説明する。
[耐摩耗性試験]
まず、耐摩耗性試験について説明する。図3は、金属部材について耐摩耗性試験を実施する様子を示す模式図である。図4は、耐摩耗性試験の試験結果を示す説明図である。
耐摩耗性試験に用いた実施例1の金属部材1Aは、JIS規格A7075で形成された板状の金属基材10の摺動面12に、上記のプラズマ電解酸化処理によってALTiOの皮膜20を施したものである。実施例1における皮膜20の厚さ、孔部30の孔径は、表1に示す通りである。また、耐摩耗性試験では、実施例1の金属部材1Aの皮膜20を施した摺動面12に研磨処理を行っている。
耐摩耗性試験に用いた比較例は、JIS規格A7075で形成された板状の金属基材10に、陽極酸化処理によって皮膜を形成した金属部材である。比較例では、陽極酸化処理の電解液として硫酸またはしゅう酸を用いた。つまり、硫酸浴またはしゅう酸浴により陽極酸化処理を行った。また、比較例では、陽極酸化処理で形成された皮膜に生じる複数の孔部を塞ぐ封孔処理を実施したものと、封孔処理を未実施のものと用いた。図4に示す“比較例1”は、硫酸浴で封孔処理あり、“比較例2”は、硫酸浴で封孔処理なし、“比較例3”は、しゅう酸浴で封孔処理あり、“比較例4”は、しゅう酸浴で封孔処理なしである。比較例1~4においても、陽極酸化処理によって皮膜は多孔質状に形成される。比較例1~4における皮膜の厚さは、表1に示す通りである。なお、比較例1~4の孔部の孔径は、nmサイズであり、実施例1との比較において、その大きさによる影響はごく小さいため、記載を省略する。以下、すべての試験において同様である。また、耐摩耗性試験では、比較例1~4には研磨処理を行っていない。
Figure 2023169438000002
耐摩耗性試験では、ブロックオンリング試験を実施した。図3に示すように、ブロックオンリング試験では、試験片52をリング54上に載置し、試験片52をリング54に第1所定荷重N1(例えば、98N以上196N以下で設定した荷重)で押圧しつつリング54をで回転させる。試験片52は、金属部材1Aまたは比較例の金属部材であり、皮膜が施された摺動面12がリング54に当接する。リング54は、クロムモリブデン鋼に塩浴軟窒化処理を施したものを用いた。また、潤滑剤として、酸化防止剤を含む鉱物油系潤滑油を用いた。このような条件で、境界から混合潤滑条件になるようにして、耐摩耗試験を行った。所定時間にわたって試験を継続した前後で、皮膜20の比摩耗量Wを測定した。比摩耗量Wは、次式(1)で算出される。式(1)中の“m”は、試験前後における試験片52の摩耗量であり、“N1”は、上記の所定荷重であり、“L”は、摺動距離(例えば約2000m)である。摺動距離Lは、試験片52およびリング54の接触距離とリング54の回転距離に基づいて算出される。
W=m/(N1・L)…(1)
ここでは、実施例1および比較例1~4について、N1=196Nで2回ずつ試験を行い、2つの測定値を得た。図4に示す測定結果は、実施例1および比較例1~4の比摩耗量の2つの測定値と、当該2つの測定値の平均値である。図示するように、実施例1の金属部材1Aは、比較例1~4の金属部材に比べて、比摩耗量Wが少ないことがわかる。実施例1の金属部材1Aは、ブロックリングオン試験において、皮膜20の比摩耗量Wが10.0×10-9(mm/Nm)以下である。したがって、実施例の皮膜20によれば、従来の陽極酸化処理により形成された皮膜に比べて、耐摩耗性を向上させることができる。
[耐焼付き性試験]
次に、耐焼付き性試験について説明する。図5は、金属部材について耐焼付き性試験を実施する様子を示す模式図である。図6は、耐焼付き性試験の試験結果を示す説明図である。
耐焼付き性試験に用いた実施例2の金属部材1Bは、JIS規格A7075で形成された円盤状の金属基材10の摺動面12に、上記のプラズマ電解酸化処理によってAlTiOの皮膜20を施したものである。実施例2における皮膜20の厚さ、孔部30の孔径は、表2に示す通りである。また、耐焼付き性試験では、金属部材1Bの皮膜20を施した摺動面12に研磨処理を行った場合と、研磨処理を行わなかった場合との双方について試験を実施した。
耐焼付き性試験に用いた比較例5~6の金属部材は、金属基材が円盤状であることを除き、耐摩耗性試験と同様である。比較例5~6においても、陽極酸化処理によって皮膜は多孔質状に形成される。比較例5~6における皮膜の厚さは、表2に示す通りである。また、比較例5~6においては、金属部材の皮膜を施した摺動面に研磨処理を行った。
Figure 2023169438000003
耐焼付き性試験では、スラスト焼付き試験を実施した。図5に示すように、スラスト焼付き試験では、回転片としての試験片62を固定片64に当接させ、固定片64を試験片62に対して第2所定荷重N2で押圧しつつ、試験片62を所定回転数(例えば、3000(rpm)程度)で回転させる。試験片62は、金属部材1Bまたは比較例の金属部材である。第2所定荷重N2は、例えば20(N/s)で時間経過と共に増加する。試験片62は、金属部材1Bまたは比較例の金属部材であり、皮膜が施された摺動面12が固定片64に当接する。固定片64は、クロムモリブデン鋼に塩浴軟窒化処理を施したものを用いた。所定時間にわたって試験を継続し、試験片62に焼付きが発生したタイミングの第2所定荷重N2である焼付き荷重N2bを測定した。より詳細には、試験中の第2所定荷重N2の値と、試験片62に作用するトルクの値との関係である荷重-トルク特性を監視しておき、トルクが急変したときの第2所定荷重N2を焼付き荷重N2bとする。
ここでは、実施例2の金属部材1Bについて、摺動面12の研磨を行った場合について3回試験を行った。また、実施例2の金属部材1Bについて、摺動面12の研磨を行なわなかった場合については、1回試験を行った。比較例5~6の金属部材については、2回ずつ試験を行った。図6に示す測定結果は、実施例2および比較例5~6の焼付き荷重N2bの各測定値と、当該各測定値の平均値を示す(実施例2の平均値は、研磨有りの場合)。図示するように、実施例2の金属部材1Bは、比較例5~6の金属部材に比べて、焼付き荷重N2bが大きいことがわかる。さらに、実施例2の金属部材1Bでは、摺動面12に研磨を行わなかった場合に、研磨を行った場合よりも焼付き荷重N2bが大きく、研磨なしでも耐焼付き性を良好に向上させることができる。
[摩擦特性試験]
次に、摩擦特性試験について説明する。図7は、金属部材について摩擦特性試験を実施する様子を示す模式図である。図8は、摩擦特性試験の試験結果を示す説明図である。
摩擦特性試験に用いた実施例3の金属部材1Cは、耐摩耗性試験と同様に、JIS規格A7075で形成された円盤状の金属基材10の摺動面12に、上記のプラズマ電解酸化処理によってAlTiOの皮膜20を施したものである。実施例3における皮膜20の厚さ、孔部30の孔径は、表3に示す通りである。摩擦特性試験では、実施例3の金属部材1Cに研磨処理は行わないものとした。
摩擦特性試験に用いた比較例7~8は、耐摩耗性試験と同様である。比較例7、8においても、陽極酸化処理によって皮膜は多孔質状に形成される。比較例7、8における皮膜の厚さは、表3に示す通りである。摩擦特性試験では、比較例7~8の金属部材に研磨処理は行わないものとした。
Figure 2023169438000004
摩擦特性試験では、バウデンレーベン型往復摺動摩擦試験(以下、単に「バウデン試験」と称する)を実施した。図7に示すように、バウデン試験では、台座76上に試験片72を載置し、試験片72に相手材74を第3所定荷重N3(例えば40(N))で押圧しつつ、台座76と共に試験片72を所定速度(例えば2(mm/s))で平行移動させる。試験片72は、金属部材1Cまたは比較例の金属部材であり、皮膜が施された摺動面12が相手材74に当接する。相手材74は、クロムモリブデン鋼に塩浴軟窒化処理を施したものを用いた。これにより、試験片72と相手材74とを摺動させ、試験片72の静摩擦係数μを測定した。静摩擦係数μは、試験片72を相手材74に対して摺動させたときの摩擦力を測定し、測定した摩擦力のうち最大となる最大静止摩擦力と第3所定荷重N3とに基づいて算出される。
ここでは、実施例3の金属部材1Cについて、2回試験を行った。また、比較例7~8について、1回ずつ試験を行った。図8に示すように、実施例の金属部材1Cは、比較例7~8の金属部材に比べて、静摩擦係数μが小さいことがわかる。したがって、実施例の皮膜20によれば、従来の陽極酸化処理により形成された皮膜に比べて、摩擦特性を向上させることができる。
[疲労強度試験]
次に、疲労強度試験について説明する。図9は、疲労強度試験の試験結果を示す説明図である。疲労強度試験では、金属部材1に回転曲げ疲労試験を施した。図9の横軸は、実施例および比較例の金属部材に繰り返し応力を付与した回数であり、縦軸は、実施形態および比較例の金属部材に発生した応力の値である。
疲労強度試験に用いた実施例4の金属部材1は、JIS規格A7075で形成された棒状の金属基材10の評価面12に、上記のプラズマ電解酸化処理によってAlTiOの皮膜20を施したものである。実施例4における皮膜20の厚さ、孔部30の孔径は、表4に示す通りである。また、疲労強度試験では、皮膜20を施した評価面12に研磨処理を行った。
疲労強度試験に用いた比較例は、JIS規格A7075で形成された棒状の金属基材に、陽極酸化処理によって皮膜を形成した金属部材である。比較例では、陽極酸化処理の電解液として、硫酸浴を用いた。比較例9においても、陽極酸化処理によって皮膜は多孔質状に形成される。比較例9における皮膜の厚さは、表4に示す通りである。また、比較例においても、実施例4と同様に、金属部材の皮膜を施した摺動面に研磨処理を行った。
Figure 2023169438000005
図9に示すように、実施例4の金属部材1は、比較例の金属部材よりも全体として応力の値が高く、疲労強度を良好に維持できていることが分かる。したがって、実施例4の皮膜20によれば、従来の陽極酸化処理により形成された皮膜に比べて、疲労強度を向上させることができる。以上の性能評価試験に示すように、各実施例の金属部材1は、耐摩耗性、耐焼付き性、摩擦特性といった摺動性および疲労強度を向上させることができる。
[X線回折分析]
次に、実施例5の金属部材1の皮膜20をX線回折法により分析した結果について説明する。図10は、X線回折法による分析結果を示す説明図である。なお、ここでのX線回折法では、X線源(X線管球)としてCuを用い、出力は40kV/40mAとした。また、測定方法は、2θ-θ法(集中法)とした。
X線回折分析に用いた実施例5の金属部材1は、JIS規格A7075で形成された金属基材10の摺動面12に、上記のプラズマ電解酸化処理によってALTiOの皮膜20を施したものである。実施例5における皮膜20の厚さは、表5に示す通りである。図10に示すように、実施例の皮膜20のX線回折分析結果では、ALTiOのピークが多く見られる。
Figure 2023169438000006
以上説明したように、実施形態にかかる金属部材1は、アルミニウム製の金属基材10と、金属基材10の表面のうち、他の部材と摺動する摺動面12に施されたチタン酸アルミニウムAlTiOの皮膜20と、を有する。金属部材1は、チタン酸塩を主成分とする電解液L中に、金属基材10を陽極122とした一対の電極120を浸し、一対の電極120間に電圧を印加して、プラズマ電解酸化処理により、金属基材10の表面のうち他の部材と摺動する摺動面12にAlTiOの皮膜を施すことによって製造される。
この構成により、アルミニウム製の金属部材1の摺動面12に施されたAlTiOの皮膜20によって、耐摩耗性、耐焼付き性、疲労強度といった摺動面12の耐久性をより向上させることが可能となる。
また、皮膜20は、厚さが1μm以上50μm未満であることが好ましい。この構成により、摺動面12の耐久性を適切に向上させることができる。
また、皮膜20は、複数の孔部30を含む多孔質状に形成され、孔部30は、孔径が1μm以上100μm未満であることが好ましい。この構成により、摺動面12の耐久性を適切に向上させることができる。
また、孔部30は、深さが1μm以上であることが好ましい。この構成により、摺動面12の耐久性を適切に向上させることができる。
また、金属部材1(1A)の皮膜20が施された摺動面12をリング54に当接させ、金属部材1(1A)をリング54に対して第1所定荷重N1(98N以上196N以下)で押圧しながら、リング54を回転させるブロックオンリング試験において、皮膜20の比摩耗量Wが10.0×10-9(mm/Nm)以下であることが好ましい。この構成により、摺動面12の耐久性を適切に向上させることができる。
1 金属部材
10 金属基材
12 摺動面
20 皮膜
30 孔部
100 プラズマ電解酸化処理装置
110 電源
120 電極
122 陽極(正極)
124 陰極(負極)
130 電解液槽
L 電解液

Claims (5)

  1. アルミニウム製の金属基材と、
    前記金属基材の表面のうち、他の部材と摺動する摺動面に施されたチタン酸アルミニウムAlTiOの皮膜と、を有する金属部材。
  2. 前記皮膜は、厚さが1μm以上50μm未満である請求項1に記載の金属部材。
  3. 前記皮膜は、複数の孔部を含む多孔質状に形成され、
    前記孔部は、孔径が1μm以上100μm未満である請求項1または請求項2に記載の金属部材。
  4. 前記孔部は、深さが1μm以上である請求項3に記載の金属部材。
  5. 前記金属部材の前記皮膜が施された前記摺動面をリングに当接させ、前記金属部材を前記リングに対して96N以上196N以下で押圧しながら、前記リングを回転させるブロックオンリング試験において、前記皮膜の比摩耗量が10.0×10-9(mm/Nm)以下である請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の金属部材。
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