JP2023168888A - 発声障害治療具 - Google Patents

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Abstract

【課題】 破断を抑制可能であり、耐久性に優れる発声障害治療具を提供する。【解決手段】本発明の発声障害治療具は、切開された甲状軟骨の前面に配される前面片と;切開された甲状軟骨の後面に配される後面片と;前面片及び後面片を連結し、切開された甲状軟骨の切開端面に当接される端面片と;を有し、切開された甲状軟骨の互いに対向する切開端のそれぞれに嵌合させる一対の挟持部と、一対の挟持部を架橋する架橋部と、を含む、発声障害治療具であって、端面片の当接面と反対側の面において、端面片が前面片と結合している側を一端側とし、端面片が後面片と結合している側を他端側とするとき、架橋部は、端面片の当接面と反対側の面において、一端側から、他端側までの領域で、又は、一端側から、一端側から多端側の途中に至る側までの領域で架橋している。【選択図】 図1

Description

本発明は、発声障害治療具に関する。
声門が閉じすぎて声帯が振動しない痙攣性発声障害を改善するための発声障害治療具が提案されている(特許文献1)。
特許文献1に示す発声障害治療具は、切開された甲状軟骨の前面に配される前面片と、切開された甲状軟骨の後面に配される後面片と、前面片及び後面片を連結し、切開された甲状軟骨の切開端面に当接される端面片とを有し、切開された甲状軟骨の互いに対抗する切開端のそれぞれに篏合させる一対の挟持部と、この一対の挟持部を架橋する架橋部と、を含んでいる。
特許第6564862号公報
特許文献1の発声障害治療具では、前面片の幅方向に延びる仮想線を中心に変形させる折り曲げ領域を有しており、折り曲げ領域には、総合糸を挿通させる孔が形成されている。特許文献1の発声障害治療具では、折り曲げ領域に形成される孔を所定の孔とすることにより、折り曲げ領域に掛かる応力を緩和でき、挟持部の破断を抑制できることが開示されている。
しかしながら、特許文献1のような発声障害治療具に、さらに挟持部の破断を抑制することが求められている。
そこで、本発明の目的は、破断を抑制可能であり、耐久性に優れる発声障害治療具を提供することにある。
本発明者は、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、切開された甲状軟骨の前面に配される前面片と、切開された甲状軟骨の後面に配される後面片と、前面片及び後面片を連結し、切開された甲状軟骨の切開端面に当接される端面片とを有し、切開された甲状軟骨の互いに対向する切開端のそれぞれに嵌合させる一対の挟持部と、一対の挟持部を架橋する架橋部と、を含む、発声障害治療具において、架橋部を所定の構造とすることにより、驚くべきことに上記課題が達成させることを見出し、本発明をなすに至った。
すなわち、本発明の発声障害治療具は、切開された甲状軟骨の前面に配される前面片と;切開された甲状軟骨の後面に配される後面片と;前面片及び後面片を連結し、切開された甲状軟骨の切開端面に当接される端面片と;を有し、切開された甲状軟骨の互いに対向する切開端のそれぞれに嵌合させる一対の挟持部と、一対の挟持部を架橋する架橋部と、を含む、発声障害治療具であって、端面片の当接面と反対側の面において、端面片が前面片と結合している側を一端側とし、端面片が後面片と結合している側を他端側とするとき、架橋部は、端面片の当接面と反対側の面において、一端側から、他端側までの領域で、又は、一端側から、一端側から多端側の途中に至る側までの領域で架橋している。
本発明では、破断を抑制可能であり、耐久性に優れる発声障害治療具を提供である。
図1は、本実施形態の発声障害治療具の斜視図(図1(A))と、発声障害治療具の挟持部を構成する、切開端と当接される端面片の当接面の正面図(図1(B))を示す。 図2は、本実施形態の発声障害治療具の使用形態を説明する説明図を示す。 図3は、本実施形態の発声障害治療具の使用方法を説明する説明図を示す。 図4は、従来の発声障害治療具及びその使用方法を説明する説明図を示す。 図5は、本実施形態の別の発声障害治療具の斜視図(図5(A))と、発声障害治療具の挟持部を構成する、切開端と当接される端面片の当接面の正面図(図5(B))を示す。 図6は、本実施形態の別の発声障害治療具の斜視図(図6(A))と、発声障害治療具の挟持部を構成する、切開端と当接される端面片の当接面の正面図(図6(B))を示す。
本実施形態の発声障害治療具を、図1及び図2を用いて以下に説明する。図1は、本実施形態の発声障害治療具の斜視図(図1(A)と、後述する発声障害治療具の挟持部を構成する、切開端105と当接される端面片5の当接面Sの正面図(図1(B))を示し、図2は、本実施形態の発声障害治療具の使用時の説明図を示す。
(発声障害治療具1)
図1及び図2に示す発声障害治療具1は、一対の挟持部2及び架橋部6を含んでいる。
(挟持部2)
一対の挟持部2は、図1及び図2に示すように、切開された甲状軟骨101の前面102に配される前面片3と、切開された甲状軟骨101の後面103に配される後面片4と、前面片2及び後面片3を連結し、切開された甲状軟骨101の切開端面104に当接される端面片5と、を有している。一対の挟持部2は、図1及び図2に示すように、正面視において、コ字状の形状を有しており、前面片3、後面片4、及び端面片5が一体成形されており、各挟持部2は左右対称である。
一対の挟持部2は、切開された甲状軟骨101の互いに対向する切開端105のそれぞれに篏合させる役割を有する。より詳細には、図2に示すように、前面片3には、折り曲げ領域を有しており、図2に示すように、使用時において一対の挟持部2のそれぞれの前面片3を折り曲げることにより、一対の挟持部2は、各切開端105と篏合できる。図2に示すように、使用時においては、一対の挟持部2は、J字状の形状を有している。
以下、切開端105と当接される端面片5の当接面Sと反対側の面Tにおいて、端面片5が前面片3と結合している側を一端側Pとし、端面片5が後面片4と結合している側を他端側Qとする。
以下、切開端105と当接される端面片5の当接面Sと反対側の面Tにおいて、一端側Pから他端側Qに向かう方向を縦方向Xとし、上記反対側の面Tにおいて、縦方向Xと直交する方向を横方向Yとする。
以下、切開端105と当接される端面片5の当接面Sと反対側の面Tにおいて、縦方向X全体を1としたとき、縦方向Xの一端側(線分)Pから、例えば、0.3~0.45離れた距離(本例では0.4)にある側を線分P’とし、縦方向Xの一端側(線分)Pから0.55~0.7離れた距離にある側(本例では0.6)を線分Q‘としたとき、線分P’と線分Q’との間に囲まれる横方向Y全体の領域を中央領域Cとする。
以下、切開端105と当接される端面片5の当接面Sと反対側の面Tにおいて、横方向Y全体の距離を1としたとき、一端側(線分)Pにおける、紙面手前側の頂点pから0.3~0.45離れた距離(本例では0.4)にある点を点p’とし、紙面手前側の頂点pから0.55~0.7離れた距離にある点(本例では0.6)を点q’とする。点p’と点q’との間の線分pqを、一端側Pから線分P‘に向かって縦方向Xに縦断する領域を領域Rとする。
(架橋部6)
架橋部6は、上記反対側の面Tにおける、中央領域C及び領域Rの領域にて、一対の挟持部2を架橋している。
(挟持部2及び架橋部6の長さ)
各挟持部2の長さは、切開された甲状軟骨の切開端を篏合可能であれば特に限定されないが、例えば、前面片3の長さは8~12mm程度であってもよく、端面片4の長さは1~4mm程度であってもよく、後面片5の長さは1~5mm程度であってもよい。また、架橋部6の長さ(連結方向の長さ)も、切開した甲状軟骨の切開端の間隔に応じて適宜決定すればよく、例えば、1~4mm程度であってもよい。
(挟持部2及び架橋部6の材質)
挟持部2及び架橋部6の材質としては、通常、チタンが用いられる。ここでいう、チタンとは、純金属としてのチタンに限定されず、チタン合金を包含する概念である。より具体的なチタンとしては、Ti-6Al-4Vなどが挙げられる。
(発声障害治療具1の使用方法)
次に、発声障害治療具1の使用方法について図3を用いて説明する。図3は、本実施形態の発声障害治療具1の使用方法を説明する説明図である。
(1.篏合方法)
まずは、甲状軟骨101の正中部を切開し、発声が良くなる切開端105どうしの間隔を決定する。上記間隔を決定したあと、挟持部2の前面片3が甲状軟骨101の前面102に接するように、前面片3の折り曲げ領域を変形し、後面片4が甲状軟骨101の後面103に、端面片5が甲状軟骨101の切開端面104にそれぞれ接するようにして挟持部2を切開端105に篏合させる。
(2.縫合方法)
ここで、発声障害治療具1の挟持部2の切開端105への篏合をより強固にするために、糸(例えばナイロン糸)110を用いて縫合固定する。より具体的には、図3に示すように各挟持部2の前面片3と甲状軟骨101の前面102側とを圧着させるように糸110で縫合固定する。
(発声障害治療具1と従来の発声障害治療具との対比)
次に、発声障害治療具1の作用効果について、従来の発声障害治療具と対比しながら説明する。まず、従来の発声障害治療具について、図4を用いて説明する。図4は、従来の発声障害治療具201(例えば、特許文献1で開示された発声障害治療具)の斜視図を示している。
発声障害治療具201は、本実施形態の発声障害治療具1と同様に、一対の挟持部202及び架橋部206を含んでいる。各挟持部202は、図4に示すように前面片203に、前面片203と甲状軟骨101の前面102側とを、糸(例えばナイロン糸)110を用いて縫合させるための孔210が設けられていること以外は、発声障害治療具1の各挟持部2と同一である。架橋部206は、図1に示す中央領域Cのみの領域にて、一対の挟持部202を架橋していること以外は、発声障害治療具1の架橋部6と同一である。
次に、従来の発声障害治療具201の使用方法について図4を用いて説明する。図4は、従来の発声障害治療具201及びその使用方法を説明する説明図を示す。まずは、甲状軟骨101の正中部を切開し、発声が良くなる切開端105どうしの間隔を決定する。上記間隔を決定したあと、篏合方法については、本実施形態の発声障害治療具1と同様に行う。次に、縫合方法については、図4に示すように、各挟持部202の前面片203に形成された孔210を通して、前面片203、と甲状軟骨101の前面102側とを糸110で縫合固定する。
このように、図4に示す発声障害治療具201は、甲状軟骨と強固に固定可能であり、痙攣性発声障害を改善するという機能を果たしうるように思われる。ところが、図4に示す発声障害治療具201を使用する場合、発声障害治療具201の特に挟持部202が破断しやすく、耐久性が十分ではないという問題がある。ここで、特許文献1では、甲状軟骨が閉じる方向に働く弾性復帰力又は発声嚥下時の振動により生じる応力を分散させるように、前面片203の孔210を所定の設計とすることが開示されている。ところが本発明者らは、特許文献1に開示された発声障害治療具201であっても、挟持部が破断しやすいという問題を解決することはいまだに十分ではなく、改善の余地があることを見出した。
そこで、本発明者は、鋭意検討したところ、図4に示すような発声障害治療具201の挟持部202が破断しやすい原因は、架橋部206の架橋構造にあることを見出した。すなわち、図4に示すような発声障害治療具201の架橋部206に補強構造として、さらに図1に示すように、端面片5の上記反対側の面Tにおいて、領域Rにて、一対の挟持部2を架橋することにより、挟持部202の破断を効果的に抑制でき、長期にわたって耐久性に優れることを本発明者は見出した。
なお、本発明の発声障害治療具は、必ずしも図1に示す発声障害治療具1に限定されるものではない。
一対の挟持部は、切開された甲状軟骨の前面に配される前面片と、切開された甲状軟骨の後面に配される後面片と、前面片及び後面片を連結し、切開された甲状軟骨の切開端面に当接される端面片と、を有し、切開された甲状軟骨の互いに対向する切開端のそれぞれに嵌合させれば特に限定されない。
図1及び図2に示す一対の挟持部2の各形状は、正面視においてコ字状であるが、切開された甲状軟骨の互いに対抗する切開端のそれぞれを篏合可能であれば、挟持部の形状は適宜変更してもよい。ただし、切開された甲状軟骨とより確実に篏合しやすい観点から、一対の挟持部2の各形状は、正面視においてコ字状であることが好ましい。
また、図1及び図2に示す挟持部2の前面片3、後面片4及び端面片5の形状は、それぞれ短冊形状の板状であるが、上記形状は、これに限定されず、例えば、特許文献1に開示された形状であってもよい。
また、図1及び図2に示す挟持部2では、前面片3、後面片4及び端面片5が一体成形されているが、それぞれが別部材で構成されてもよい。ただし、前面片3、後面片4及び端面片5が一体成形されていることにより、挟持部2が破断しにくいという観点から有利である。
また、図1及び図2に示す一対の挟持部2は、左右対称であるが、必ずしも対称的である必要はなく、上述した、切開された甲状軟骨の互いに対抗する切開端のそれぞれを篏合可能であれば、非対称であってもよい。
また、図1及び図2に示す一対の挟持部2は、前面片5に甲状軟骨の切開端の前面と縫合させるための孔が設けられていないが、従来の挟持部2のように上記孔を設けても本発明の効果を奏することができる。ただし、上記孔を設けないとより耐久性に優れるため有利である。
図1及び図2に示す架橋部6は、上記反対側の面Tにおける、中央領域C及び領域Rの領域にて、一対の挟持部2を架橋しているが、本発明の発声障害治療具では、架橋部は、以下の構成(1)及び(2)のいずれかであればよい。以下の構成(1)及び(2)のいずれかであっても本発明の効果を奏する。
(1)端面片の当接面と反対側の面において、上記一端側(端面片の当接面と反対側の面において、前記端面片が前記前面片と結合している側)から、上記他端側(端面片の当接面と反対側の面において、端面片が前面片と結合している側)までの領域で架橋している。
(2)端面片の当接面と反対側の面において、上記一端側(端面片の当接面と反対側の面において、前記端面片が前記前面片と結合している側)から、一端側から他端側の途中に至る側(端面片の当接面と反対側の面において、端面片が前面片と結合している側)までの領域で架橋している。
ただし、本発明の発声障害治療具の架橋部は、図1及び図2に示す発声障害治療具のように、端面の当接面と反対側の面において、一端側から他端側に向かう方向を縦方向とするとき、架橋部は、端面片の当接面と反対側の面において、一端側から、縦方向の中央部までの領域で架橋していることが好ましい。これにより、切開された甲状軟骨の互いに対向する切開端のそれぞれへの篏合をより強固とするとともに、各挟持部の破断をより抑制することができる。
本発明の発声障害治療具の架橋部の変形例を図5及び図6に示す。
図5は、本実施形態の別の発声障害治療具の斜視図(図5(A))と、発声障害治療具の挟持部を構成する、切開端と当接される端面片の当接面の正面図を示している。図5(A)及び図5(B)に示すように、発声障害治療具501は、架橋部506が、上記反対側のTにおける、中央領域C及び領域R’(反対側の面Tにおいて、前面片502の長手方向の端面と対向する面)にて、一対の挟持部502を架橋していること以外は、図1及び図2に示す発声障害治療具1と同一ある。
図6は本実施形態の発声障害治療具の斜視図(図6(A))と、発声障害治療具の挟持部を構成する、切開端と右折される端面片の正面図を示している。図6(A)及び図6(B)に示すように、発声障害治療具601は、架橋部606が、上記反対側のTにおける、中央領域C、並びにR、R2、R3(領域R2及びR3は横方向Yにおいて所定間隔をおいて設けられた領域)にて、一対の挟持部602を架橋していると以外は、図1及び図2に示す発声障害治療具1と同一ある。
図5及び図6のような発声障害治療具においても、本発明の効果を奏することができる。
本発明の発声障害治療具は、特に痙攣性発声障害として知られる障害に対する治療に好適に適用できる。
発声障害治療具…1、挟持部…2、前面片…3、後面片…4、端面片…5、架橋部…6

Claims (5)

  1. 切開された甲状軟骨の前面に配される前面片と;前記切開された甲状軟骨の後面に配される後面片と;前記前面片及び前記後面片を連結し、前記切開された甲状軟骨の切開端面に当接される端面片と;を有し、前記切開された甲状軟骨の互いに対向する切開端のそれぞれに篏合させる一対の挟持部と、
    前記一対の挟持部を架橋する架橋部と、を含む、発声障害治療具であって、
    前記端面片の当接面と反対側の面において、前記端面片が前記前面片と結合している側を一端側とし、前記端面片が前記後面片と結合している側を他端側とするとき、
    前記架橋部は、前記端面片の当接面と反対側の面において、前記一端側から、前記他端側までの領域で、又は、前記一端側から、前記一端側から前記他端側の途中に至る側までの領域で架橋している、発声障害治療具。
  2. 前記端面片の当接面と反対側の面において、前記一端側から前記他端側に向かう方向を縦方向とするとき、
    前記架橋部は、前記端面片の当接面と反対側の面において、前記一端側から、前記縦方向の中央部までの領域で架橋している、請求項1記載の発声障害治療具。
  3. 前記端面片の当接面と反対側の面において、前記縦方向と直交する方向を横方向とするとき、
    前記架橋部は、
    前記端面片の当接面と反対側の面において、前記一端側から、前記一端側から前記中央部に至る側までは、前記横方向の中央部で架橋しており、
    前記中央部では、前記横方向の全部で架橋している、請求項2記載の発声障害治療具。
  4. 前記前面片と、前記端面片と、前記後面片とが一体成形されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の発声障害治療具。
  5. 前記各挟持部の形状は、正面視において、コ字状である請求項1~4のいずれか一向に記載の発声障害治療具。
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