JP2023168060A - 半導体装置およびその製造方法 - Google Patents

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靖士 加藤
Yasushi Kato
知生 岩出
Tomoo Iwade
久志 高須
Hisashi Takasu
哲人 山岸
Tetsuto Yamagishi
幸雄 児玉
Yukio Kodama
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Abstract

【課題】ボンディングワイヤに作用する応力を低減できる半導体装置を提供すること。【解決手段】半導体装置は、半導体基板41の一面上に主電極およびパッド44が配置された半導体素子40と、パッド44に接続されたボンディングワイヤと、封止樹脂体を備える。半導体基板41は、アクティブ領域45および外周領域46を有する。外周領域46は、高温領域461と、素子駆動時において高温領域461よりも温度が低い低温領域462を有する。パッド44は、低温領域462上に配置されている。【選択図】図5

Description

この明細書における開示は、半導体装置およびその製造方法に関する。
特許文献1は、半導体素子を備えた半導体装置を開示している。半導体素子は、一面に第1主電極およびパッドを有し、裏面に第2主電極を有している。先行技術文献の記載内容は、この明細書における技術的要素の説明として、参照により援用される。
特開2007-27183号公報
パッドには、ボンディングワイヤが接続されている。半導体素子やボンディングワイヤは、封止樹脂体により封止されている。このような構成において、たとえばパワーサイクルや冷熱サイクル等の熱応力が、ボンディングワイヤに作用する。上述の観点において、または言及されていない他の観点において、半導体装置にはさらなる改良が求められている。
本開示はこのような課題に鑑みてなされたものであり、ボンディングワイヤに作用する応力を低減できる半導体装置を提供することを目的とする。
ここに開示された半導体装置は、
素子形成領域であるアクティブ領域(45)およびアクティブ領域を取り囲む外周領域(46)を有する半導体基板(41)と、アクティブ領域と重なるように半導体基板の一面上に配置され、アクティブ領域と電気的に接続された主電極(42)と、外周領域と重なるように一面上に配置された信号用の電極であるパッド(44)と、を有する半導体素子(40)と、
パッドに接続されたボンディングワイヤ(90)と
半導体素子およびボンディングワイヤを封止する封止樹脂体(30)と、
を備え、
外周領域は、高温領域(461)と、素子駆動時において高温領域よりも温度が低い低温領域(462)と、を有し、
パッドは、低温領域上に配置されている。
開示された半導体装置によれば、パッドを低温領域上に配置するため、パッドを高温領域上に配置する構成に較べて、ボンディングワイヤの受熱量を低減することができる。これにより、ボンディングワイヤに作用する応力を低減することができる。
この明細書における開示された複数の態様は、それぞれの目的を達成するために、互いに異なる技術的手段を採用する。請求の範囲およびこの項に記載した括弧内の符号は、後述する実施形態の部分との対応関係を例示的に示すものであって、技術的範囲を限定することを意図するものではない。この明細書に開示される目的、特徴、および効果は、後続の詳細な説明、および添付の図面を参照することによってより明確になる。
第1実施形態に係る半導体装置が適用される車両の駆動システムの概略構成を示す図である。 第1実施形態に係る半導体装置を示す平面図である。 図2のIII-III線に沿う断面図である。 図2のIV-IV線に沿う断面図である。 半導体素子を示す平面図である。 半導体素子の温度分布を示す図である。 変形例を示す図である。 変形例を示す図である。 第2実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。 変形例を示す図である。 変形例を示す図である。 変形例を示す図である。 変形例を示す図である。 第3実施形態に係る半導体装置において、ボンディングワイヤにおけるパッドとの接合部周辺を示す断面図である。 第4実施形態に係る半導体装置において、ボンディングワイヤにおけるパッドとの接合部周辺を示す断面図である。 第5実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。 半導体素子と導電スペーサとの接続構造を示す平面図である。 非粗化部の有無と相当塑性ひずみ振幅との関係を示す図である。
以下、図面に基づいて複数の実施形態を説明する。なお、各実施形態において対応する構成要素には同一の符号を付すことにより、重複する説明を省略する場合がある。各実施形態において構成の一部分のみを説明している場合、当該構成の他の部分については、先行して説明した他の実施形態の構成を適用することができる。また、各実施形態の説明において明示している構成の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても複数の実施形態の構成同士を部分的に組み合せることができる。
本実施形態の半導体装置は、たとえば、回転電機を駆動源とする移動体の電力変換装置に適用される。移動体は、たとえば、電気自動車(BEV)、ハイブリッド自動車(HEV)、プラグインハイブリッド自動車(PHEV)などの電動車両、電動垂直離着陸機やドローンなどの飛行体、船舶、建設機械、農業機械である。以下では、車両に適用される例について説明する。
(第1実施形態)
先ず、図1に基づき、車両の駆動システムの概略構成について説明する。
<車両の駆動システム>
図1に示すように、車両の駆動システム1は、直流電源2と、モータジェネレータ3と、電力変換装置4を備えている。
直流電源2は、充放電可能な二次電池で構成された直流電圧源である。二次電池は、たとえばリチウムイオン電池、ニッケル水素電池である。モータジェネレータ3は、三相交流方式の回転電機である。モータジェネレータ3は、車両の走行駆動源、すなわち電動機として機能する。モータジェネレータ3は、回生時に発電機として機能する。電力変換装置4は、直流電源2とモータジェネレータ3との間で電力変換を行う。
<電力変換装置>
図1に示すように、電力変換装置4は、平滑コンデンサ5と、インバータ6を備えている。
平滑コンデンサ5は、主として、直流電源2から供給される直流電圧を平滑化する。平滑コンデンサ5は、高電位側の電力ラインであるPライン7と低電位側の電力ラインであるNライン8とに接続されている。Pライン7は直流電源2の正極に接続され、Nライン8は直流電源2の負極に接続されている。平滑コンデンサ5の正極は、直流電源2とインバータ6との間において、Pライン7に接続されている。同じく負極は、直流電源2とインバータ6との間において、Nライン8に接続されている。平滑コンデンサ5は、直流電源2に並列に接続されている。
インバータ6は、DC-AC変換回路である。インバータ6は、図示しない制御回路によるスイッチング制御にしたがって、直流電圧を三相交流電圧に変換し、モータジェネレータ3へ出力する。これにより、モータジェネレータ3は、所定のトルクを発生するように駆動する。インバータ6は、車両の回生制動時、車輪からの回転力を受けてモータジェネレータ3が発電した三相交流電圧を、制御回路によるスイッチング制御にしたがって直流電圧に変換し、Pライン7へ出力する。このように、インバータ6は、直流電源2とモータジェネレータ3との間で双方向の電力変換を行う。
インバータ6は、三相分の上下アーム回路9を備えて構成されている。上下アーム回路9は、レグと称されることがある。上下アーム回路9は、上アーム9Hと、下アーム9Lをそれぞれ有している。上アーム9Hと下アーム9Lは、上アーム9HをPライン7側として、Pライン7とNライン8との間で直列接続されている。上アーム9Hと下アーム9Lとの接続点は、出力ライン10を介して、モータジェネレータ3における対応する相の巻線3aに接続されている。インバータ6は、6つのアームを有している。Pライン7、Nライン8、および出力ライン10それぞれの少なくとも一部は、たとえばバスバーなどの導電部材により構成されている。
各アームを構成する素子は、スイッチング素子である絶縁ゲートバイポーラトランジスタ11(以下、IGBT11と示す)と、還流用のダイオード12を備えている。IGBTは、Insulated Gate Bipolar Transistorの略称である。本実施形態では、nチャネル型のIGBT11を採用している。ダイオード12は、対応するIGBT11に対して逆並列に接続されている。上アーム9Hにおいて、IGBT11のコレクタが、Pライン7に接続されている。下アーム9Lにおいて、IGBT11のエミッタが、Nライン8に接続されている。そして、上アーム9HにおけるIGBT11のエミッタと、下アーム9LにおけるIGBT11のコレクタが相互に接続されている。ダイオード12のアノードは対応するIGBT11のエミッタに接続され、カソードはコレクタに接続されている。
電力変換装置4は、電力変換回路として、コンバータをさらに備えてもよい。コンバータは、直流電圧を異なる値の直流電圧に変換するDC-DC変換回路である。コンバータは、直流電源2と平滑コンデンサ5との間に設けられる。コンバータは、たとえばリアクトルと、上記した上下アーム回路9を備えて構成される。この構成によれば、昇降圧が可能である。電力変換装置4は、直流電源2からの電源ノイズを除去するフィルタコンデンサを備えてもよい。フィルタコンデンサは、直流電源2とコンバータとの間に設けられる。
電力変換装置4は、インバータ6などを構成するスイッチング素子の駆動回路を備えてもよい。駆動回路は、制御回路の駆動指令に基づいて、対応するアームのIGBT11のゲートに駆動電圧を供給する。駆動回路は、駆動電圧の印加により、対応するIGBT11を駆動、すなわちオン駆動、オフ駆動させる。駆動回路は、ドライバと称されることがある。
電力変換装置4は、スイッチング素子の制御回路を備えてもよい。制御回路は、IGBT11を動作させるための駆動指令を生成し、駆動回路に出力する。制御回路は、図示しない上位ECUから入力されるトルク要求、各種センサにて検出された信号に基づいて、駆動指令を生成する。各種センサとして、たとえば電流センサ、回転角センサ、電圧センサがある。電流センサは、各相の巻線3aに流れる相電流を検出する。回転角センサは、モータジェネレータ3の回転子の回転角を検出する。電圧センサは、平滑コンデンサ5の両端電圧を検出する。制御回路は、駆動指令として、たとえばPWM信号を出力する。制御回路は、たとえばプロセッサとメモリを備えて構成されている。ECUは、Electronic Control Unitの略称である。PWMは、Pulse Width Modulationの略称である。
<半導体装置>
図2は、半導体装置を示す平面図である。図2は、半導体装置の上面視平面図である。図3は、図2のIII-III線に沿う断面図である。図4は、図2のIV-IV線に沿う断面図である。
以下において、半導体素子(半導体基板)の板厚方向をZ方向とする。Z方向に直交する一方向をX方向とする。Z方向およびX方向の両方向に直交する方向をY方向とする。特に断わりのない限り、Z方向から平面視した形状、換言すればX方向およびY方向により規定されるXY面に沿う形状を平面形状とする。また、Z方向からの平面視を、単に平面視と示すことがある。
図2~図4に示すように、半導体装置20は、封止樹脂体30と、半導体素子40と、配線部材50、60と、導電スペーサ70と、外部接続端子80と、ボンディングワイヤ90を備えている。半導体装置20は、さらに接合材100~102を備えている。半導体装置20は、上記したアームのひとつを構成する。よって、2つの半導体装置20により、一相分の上下アーム回路9が構成される。
封止樹脂体30は、半導体装置20を構成する他の要素の一部を封止している。他の要素の残りの部分は、封止樹脂体30の外に露出している。封止樹脂体を構成する樹脂の一例は、エポキシ系樹脂である。封止樹脂体30は、たとえばトランスファモールド法により成形されている。封止樹脂体30は、モールド樹脂、樹脂成形体などと称されることがある。
図2~図4に示すように、封止樹脂体30は平面略矩形状をなしている。封止樹脂体30は、外郭をなす表面として、一面30aと、Z方向において一面30aとは反対の面である裏面30bを有している。一面30aおよび裏面30bは、たとえば略平坦な面である。また、一面30aおよび裏面30bに連なる側面30c、30d、30e、30fを有している。側面30cは、外部接続端子80のうち、主端子81、82が突出する面である。側面30dは、Y方向において側面30cとは反対の面である。側面30dは、信号端子83が突出する面である。側面30e、30fは、外部接続端子80が突出していない面である。側面30eは、X方向において側面30fとは反対の面である。
半導体素子40は、半導体基板41と、エミッタ電極42と、コレクタ電極43と、パッド44を備えている。半導体素子40は、半導体チップと称されることがある。半導体基板41は、シリコン(Si)、シリコンよりもバンドギャップが広いワイドバンドギャップ半導体などを材料とし、縦型素子が形成されてなる。ワイドバンドギャップ半導体としては、たとえばシリコンカーバイド(SiC)、窒化ガリウム(GaN)、酸化ガリウム(Ga)、ダイヤモンドがある。
縦型素子は、半導体基板41(半導体素子40)の板厚方向、すなわちZ方向に主電流を流すように構成されている。本実施形態の縦型素子は、ひとつのアームを構成するIGBT11およびダイオード12である。縦型素子は、ダイオード12が逆並列に接続されたIGBT、つまりRC(Reverse Conducting)-IGBTである。縦型素子は、通電により発熱する発熱素子である。半導体基板41には、図示しないゲート電極が形成されている。ゲート電極は、たとえばトレンチ構造をなしている。
半導体基板41は、主電極が設けられる板面として、一面41aおよび裏面41bを有している。一面41aは、半導体基板41において封止樹脂体30の一面30a側の面である。裏面41bは、一面41aとは板厚方向において反対の面である。主電極のひとつであるエミッタ電極42は、半導体基板41の一面41a上に配置されている。主電極の他のひとつであるコレクタ電極43は、半導体基板41の裏面41b上に配置されている。
IGBT11がオンすることで、主電極(第1主電極)であるエミッタ電極42と主電極(第2主電極)であるコレクタ電極43との間に、電流(主電流)が流れる。エミッタ電極42は、ダイオード12のアノード電極を兼ねている。コレクタ電極43は、ダイオード12のカソード電極を兼ねている。コレクタ電極43は、半導体基板41の裏面41bのほぼ全体に形成されている。エミッタ電極42は、半導体基板41の一面41aの一部分に形成されている。
パッド44は、信号用の電極である。パッド44は、半導体基板41の一面41aにおいて、エミッタ電極42の形成領域とは異なる領域に形成されている。パッド44は、Y方向において、エミッタ電極42の形成領域とは反対側の端部に形成されている。パッド44は、Y方向においてエミッタ電極42と並んで設けられている。パッド44の個数は、特に限定されない。パッド44は、ゲート電極用のパッドを少なくとも含む。半導体素子40の詳細については、後述する。
なお、半導体素子40は、半導体基板41の一面41a上に配置された図示しない保護膜を有している。保護膜は、半導体基板41の一面41a上に設けられた絶縁膜である。保護膜の材料として、たとえばポリイミド、シリコン窒化膜などを採用することができる。保護膜56は、エミッタ電極42、パッド44それぞれの接合領域を規定する開口部を有している。
配線部材50は、エミッタ電極42に電気的に接続され、配線機能を提供する。同様に、配線部材60は、コレクタ電極43に電気的に接続され、配線機能を提供する。配線部材50、60は、Z方向において、半導体素子40を挟むように配置されている。配線部材50、60は、Z方向において互いに少なくとも一部が対向するように配置されている。配線部材50、60は、平面視において半導体素子40を内包している。配線部材50は第1配線部材と称され、配線部材60は第2配線部材と称されることがある。
配線部材50、60は、半導体素子40の生じた熱を放熱する放熱機能を提供する。配線部材50、60は、放熱板、ヒートシンクなどと称されることがある。本実施形態の配線部材50、60は、Cu、Cu合金などの導電性が良好な金属を材料とする金属板である。金属板は、たとえばリードフレームの一部として提供される。金属板に代えて、絶縁基材の表面に金属体が配置された基板を採用してもよい。配線部材50、60は、表面に、NiやAuなどのめっき膜を備えてもよい。
配線部材50は、半導体素子40側の面である対向面50aと、対向面50aとは反対の面である裏面50bを有している。同様に、配線部材60も、対向面60aと裏面60bを有している。配線部材50、60は、たとえば平面略矩形状をなしている。配線部材50、60それぞれの裏面50b、60bは、封止樹脂体30から露出している。裏面50b、60bは、放熱面、露出面などと称されることがある。配線部材50の裏面50bは、封止樹脂体30の一面30aと略面一である。配線部材60の裏面60bは、封止樹脂体30の裏面30bと略面一である。
導電スペーサ70は、半導体素子40と配線部材50の間に介在している。導電スペーサ70は、半導体素子40と配線部材50との間に所定の間隔を確保するスペーサ機能を提供する。たとえば導電スペーサ70は、半導体素子40のパッド44に、対応する信号端子83を電気的に接続するための高さを確保する。導電スペーサ70は、半導体素子40のエミッタ電極42と配線部材50との電気伝導、熱伝導経路の途中に位置し、配線機能および放熱機能を提供する。
導電スペーサ70は、Cuなどの導電性、熱伝導性が良好な金属材料を含んでいる。導電スペーサ70は、表面にめっき膜を備えてもよい。導電スペーサ70は、ターミナル、ターミナルブロック、金属ブロック体などと称されることがある。本実施形態の導電スペーサ70は、平面略矩形状をなす柱状体である。
外部接続端子80は、半導体装置20を外部機器と電気的に接続するための端子である。外部接続端子80は、銅などの導電性が良好な金属材料を用いて形成されている。外部接続端子80は、たとえば板材である。外部接続端子80は、リードと称されることがある。外部接続端子80は、主端子81、82と、信号端子83を備えている。主端子81、82は、半導体素子40の主電極に電気的に接続された外部接続端子80である。
主端子81は、エミッタ電極42に電気的に接続されている。主端子81は、エミッタ端子と称されることがある。主端子81は、配線部材50を介して、エミッタ電極42に接続されている。主端子81は、配線部材50におけるY方向の一端に連なっている。主端子81の厚みは、配線部材50よりも薄い。主端子81は、たとえば対向面50aと略面一となるように、配線部材50に連なっている。主端子81は、配線部材50に対して連続して一体的に設けられることで連なってもよいし、別部材として設けられ、接合により連なってもよい。
本実施形態の主端子81は、リードフレームの一部として、配線部材50と一体的に設けられている。主端子81は、配線部材50からY方向に延び、封止樹脂体30の側面30cから外部に突出している。主端子81は、封止樹脂体30により覆われる部分の途中に屈曲部を有し、側面30cにおいてZ方向の中央付近から突出している。
主端子82は、コレクタ電極43に電気的に接続されている。主端子82は、コレクタ端子と称されることがある。主端子82は、配線部材60を介して、コレクタ電極43に接続されている。主端子82は、配線部材60におけるY方向の一端に連なっている。主端子82の厚みは、配線部材60よりも薄い。主端子82は、たとえば、対向面60aと略面一となるように配線部材60に連なっている。主端子82は、配線部材60に対して連続して一体的に設けられることで連なってもよいし、別部材として設けられ、接合により連なってもよい。
本実施形態の主端子82は、主端子81とは別のリードフレームの一部として、配線部材60と一体的に設けられている。主端子82は、配線部材60からY方向に延び、主端子81と同じ側面30cから外部に突出している。主端子82も、封止樹脂体30により覆われる部分の途中に屈曲部を有し、側面30cにおいてZ方向の中央付近から突出している。2本の主端子81、82は、側面が互いに対向するようにX方向に並んで配置されている。
信号端子83は、半導体素子40の対応するパッド44に電気的に接続されている。信号端子83は、ボンディングワイヤ90を介してパッド44に電気的に接続されている。信号端子83は、Y方向に延び、封止樹脂体30の側面30dから外部に突出している。本実施形態の半導体装置20は、パッド44に対応して5本の信号端子83を備えている。5本の信号端子83は、X方向に並んで配置されている。信号端子83は、たとえば配線部材60および主端子82と共通のリードフレームに構成されている。複数の信号端子83は、図示しないタイバーをカットすることで、互いに電気的に分離されている。
半導体素子40のエミッタ電極42は、接合材100を介して導電スペーサ70に接合されている。導電スペーサ70は、接合材101を介して配線部材50に接合されている。半導体素子40のコレクタ電極43は、接合材102を介して配線部材60に接合されている。接合材100~102は、導電性を有する接合材である。たとえば、接合材100~102として、はんだを採用することができる。はんだの一例は、Snの他に、Cu、Niなどを含む多元系の鉛フリーはんだである。はんだに代えて、焼結銀などのシンター系の接合材を用いてもよい。接合材100~102として互いに共通の材料を用いてもよいし、互いに異なる材料を用いてもよい。本実施形態では、接合材100、101、102として、はんだを用いている。
上記したように、半導体装置20では、封止樹脂体30によってひとつのアームを構成する半導体素子40が封止されている。封止樹脂体30は、半導体素子40、配線部材50の一部、配線部材60の一部、導電スペーサ70、外部接続端子80それぞれの一部、ボンディングワイヤ90、および接合材100~102を、一体的に封止している。
Z方向において、配線部材50、60の間に半導体素子40が配置されている。半導体素子40は、対向配置された配線部材50、60によって挟まれている。これにより、半導体素子40の熱を、Z方向において両側に放熱することができる。半導体装置20は、両面放熱構造をなしている。配線部材50の裏面50bは、封止樹脂体30の一面30aと略面一となっている。配線部材60の裏面60bは、封止樹脂体30の裏面30bと略面一となっている。裏面50b、60bが露出面であるため、放熱性を高めることができる。
<半導体素子>
図5は、半導体素子40の一面側を示す平面図である。便宜上、図5では、IGBT領域およびダイオード領域を含むアクティブ領域を実線で示している。また、エミッタ電極42を省略して図示している。以下において、「内側」、「外側」とは、半導体素子のアクティブ領域の中心を基準位置とする相対的な位置関係を示す。中心に近い側が内側、遠い側が外側である。
図5に示すように、半導体基板41は、平面略矩形状をなしている。半導体基板41は、アクティブ領域45を有している。アクティブ領域45は、素子(縦型素子)の形成領域である。アクティブ領域45は、メイン領域、メインセル領域、セル領域、素子領域などと称されることがある。アクティブ領域45は、たとえば平面略矩形状をなしている。
アクティブ領域45は、RC-IGBTのうち、IGBTの形成領域であるIGBT領域45iと、ダイオードの形成領域であるダイオード領域45dを有している。IGBT領域45iとダイオード領域45dは、X方向において交互に設けられている。アクティブ領域45には、複数のセル(単位構造部)が設けられている。複数のセルが互いに並列接続されて、RC-IGBTが構成されている。
半導体基板41は、アクティブ領域45を取り囲む外周領域46を有している。外周領域46は、平面視において、アクティブ領域45の外周端よりも外側の領域である。図示を省略するが、外周領域46には、たとえばガードリングなどの耐圧構造部が形成されている。
エミッタ電極42は、平面視においてアクティブ領域45と重なるように一面41a上に配置されている。エミッタ電極42は、たとえば平面視においてアクティブ領域45にほぼ一致する。エミッタ電極42は、アクティブ領域45に電気的に接続されている。エミッタ電極42は、IGBT領域45i(エミッタ領域)とダイオード領域45d(アノード領域)に電気的に接続されている。エミッタ電極42は、ゲート電極に対して電気的に分離されている。
パッド44は、上記したようにY方向においてエミッタ電極42と並んで設けられている。つまりパッド44は、Y方向においてアクティブ領域45の外周端と半導体基板41の端部41cとの間に配置されている。本実施形態の半導体素子40は、5つのパッド44を有している。
5つのパッド44は、ゲート電極用、IGBT11のエミッタ電位を検出するケルビンエミッタ用、電流センス用、半導体素子40の温度を検出する感温ダイオード(感温素子)のアノード電位用、同じくカソード電位用を含む。ケルビンエミッタ用のパッド44は、エミッタ電極42に電気的に接続されている。その他のパッド44は、エミッタ電極42と電気的に分離されている。
<半導体素子の温度>
図6は、半導体素子40の温度分布を示す図である。図6は、素子駆動時の温度に関するシミュレーション結果を示している。ここでは、パッド44を省略している。半導体素子40の構成は、パッド44を除けば、図5と同様である。
図6に示すように、アクティブ領域45の中心45c付近において最も温度が高く、中心45cから離れるほど温度が低くなる。中心45cは、平面視における中心であり、素子中心と称されることがある。アクティブ領域45の温度は、外周領域46の温度よりも高い。アクティブ領域45において、IGBT領域45iの温度が、ダイオード領域45dの温度よりも高い。外周領域46の温度は、アクティブ領域45の温度よりも低い。外周領域46のうち、中心45cに近い部分の温度は、中心45cから離れた部分の温度よりも高い。
よって、図5に示すように半導体基板41の外周領域46は、高温領域461と、素子駆動時において高温領域461よりも温度が低い低温領域462を有する。高温領域461は、X方向において半導体基板41の中央付近であってアクティブ領域45に隣接する部分である。図5では、高温領域461を破線で示している。アクティブ領域45の外周端と半導体基板41の端部41cとの間のうち、上記した高温領域461を除く部分が、低温領域462である。図5では、高温領域461のうち、アクティブ領域45の外周端と半導体基板41の端部41cとの間の高温領域のみを図示している。
<パッドの配置>
図5に示すように、5つのパッド44は、平面略矩形状の半導体基板41において、Y方向の一端側にまとめて形成されている。5つのパッド44は、外周領域46のうち、アクティブ領域45と端部41cとの間に配置されている。5つのパッド44は、X方向に並んでいる。5つのパッド44は、半導体基板41の端部41cに沿って配置されている。5つのパッド44は、Y方向において端部41c側に偏って配置されている。つまりアクティブ領域45との間隔よりも、端部41cとの間隔のほうが小さい。5つのパッド44は、低温領域462に配置されている。
<第1実施形態のまとめ>
本実施形態の半導体装置20によれば、パッド44を、外周領域46のうちの低温領域462上に配置する。低温領域462は、高温領域461に較べて素子駆動時における温度が低い。よって、高温領域461上にパッド44を配置する構成に較べて、ボンディングワイヤ90の受熱量を低減することができる。これにより、ボンディングワイヤ90に作用する応力、具体的には半導体素子40とボンディングワイヤ90との線膨張係数差に基づく熱応力、を低減することができる。ボンディングワイヤ90におけるパッド44との接合部に作用する応力を低減できるため、接合部にクラックが生じたり、ボンディングワイヤ90が破断するのを抑制することができる。
<変形例>
パッド44の配置は、上記した例に限定されない。たとえば図7に示すように、アクティブ領域45と端部41cとの間であってX方向の端部付近に、パッド44を配置してもよい。5つのパッド44のうち、3つが一旦側に配置され、残りの2つが他端側に配置されている。加えて、各パッド44は、長手方向がY方向となるように配置されている。以上により、中央付近の高温領域461を避けて5つのパッド44を配置することができる。つまり、すべてのパッド44を低温領域462に配置することができる。図7では、図5同様、アクティブ領域45の外周端と半導体基板41の端部41cとの間の高温領域461のみを図示している。
図8に示すように、IGBT領域45iおよびダイオード領域45dの配置を、図5、図7に示す例とは異ならせてもよい。図8では、IGBT領域45iとダイオード領域45dが、Y方向において交互に設けられている。加えて、交互に並ぶ方向において、端部にダイオード領域45dが設けられている。これにより、端部41cに対向するアクティブ領域45の外周端を、ダイオード領域45dがなす。上記したように、ダイオード領域45dの温度は、IGBT領域45iの温度よりも低い。これにより、アクティブ領域45と端部41cとの間の全域が、低温領域462となる。アクティブ領域45と端部41cとの間に高温領域461が存在しないため、パッド44の配置自由度を向上することができる。
(第2実施形態)
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例であり、先行実施形態の記載を援用できる。
図9は、本実施形態の半導体装置20を示す断面図である。図9は、図3に対応している。図9に示すように、本実施形態の半導体装置20は、保護部35をさらに備えている。
保護部35は、封止樹脂体30の膨張収縮からボンディングワイヤ90を保護する。保護部35は、たとえば封止樹脂体30が膨張したときに、膨張した封止樹脂体30によってボンディングワイヤ90が押されて、ボンディングワイヤ90に応力が生じるのを抑制する。保護部35は、ボンディングワイヤ90におけるパッド44との接合部の周囲に設けられ、接合部の周囲において封止樹脂体30とボンディングワイヤ90との間に介在している。非導電性の保護部35の場合、ボンディングワイヤ90に対して個別に設けてもよいし、複数のボンディングワイヤ90に対して一体的に設けてもよい。
一例として本実施形態の保護部35は、封止樹脂体30よりも線膨張係数が小さい保護部351である。保護部351は、たとえばエポキシ樹脂中のフィラーを調整することにより、封止樹脂体30よりも線膨張係数が小さい。これに代えて、封止樹脂体30とは異なる樹脂材料であって線膨張係数の小さいものを採用してもよい。
保護部351は、たとえばポッティングなどの方法により、ボンディングワイヤ90におけるパッド44との接合部の周囲に塗布(充填)される。そして、保護部351を設けた後に、封止樹脂体30が成形される。保護部351は一次成形部、封止樹脂体30は二次成形部である。その他の構成については、第1実施形態に記載の構成と同様である。つまりパッド44の配置は、第1実施形態と同様である。
<第2実施形態のまとめ>
本実施形態の半導体装置20によれば、保護部351の線膨張係数が封止樹脂体30の線膨張係数に較べて小さい。これにより、ボンディングワイヤ90におけるパッド44との接合部の周囲において、樹脂の膨張量を低減することができる。たとえば接合部の近傍において、ボンディングワイヤ90の下部に位置する樹脂の膨張による押上げ力が小さくなる。パッド44の配置による効果と、保護部351による効果により、ボンディングワイヤ90に作用する応力を効果的に低減することができる。
<変形例>
保護部35は、上記した例に限定されない。たとえば保護部35の剛性を、封止樹脂体30より低くしてもよい。つまり封止樹脂体30よりも柔らかい保護部35を採用してもよい。
たとえば図10に示す保護部352は、ゲルを材料としている。この保護部352は、封止樹脂体30よりも柔らかい。よって、ボンディングワイヤ90に作用する応力を低減することができる。
図11に示す保護部353は、ポリアミドイミド(PAI)を材料としている。この保護部353は、封止樹脂体30よりも柔らかい。よって、ボンディングワイヤ90に作用する応力を低減することができる。なお、図11は、図10に一点鎖線で示す領域XIを拡大した図である。図11では、便宜上、封止樹脂体30を省略している。
図11において、保護部353は、半導体基板41の一面41a上に配置された保護膜47と重なっている。保護部353は、保護膜47のうち、パッド44を規定する開口部471の周囲部分と重なっている。保護膜47がポリイミドを材料とする場合、ポリイミド系の膜が重なるため、保護部353と保護膜47とを強固に密着することができる。保護部353は、保護膜47に対して、封止樹脂体30よりも剥離し難い。
図12に示す保護部354は、はんだを材料としている。保護部354は、開口部471から露出するパッド44上にはんだを塗布することで形成できる。保護部354は、封止樹脂体30よりも柔らかい。よって、ボンディングワイヤ90に作用する応力を低減することができる。図12は、図11に対応している。保護部354のように導電性を有する場合には、ボンディングワイヤ90に対して個別に設ければよい。
図13に示す保護部355は、空洞部である。保護部355は、成形型のゲート位置、温度、注入圧等により樹脂の流動を制御し、ボンディングワイヤ90におけるパッド44との接合部の周囲に樹脂が回り込まない条件を設定する。これにより、意図的に空洞部を形成することができる。保護部355を備えることで、ボンディングワイヤ90におけるパッド44との接合部の周囲には、膨張収縮する封止樹脂体30が存在しない。よって、ボンディングワイヤ90に作用する応力を低減することができる。
保護部35を、先行実施形態に記載のパッド44の配置と組み合わせる例を示したが、これに限定されない。高温領域461にパッド44が配置される構成との組み合わせも可能である。
(第3実施形態)
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例であり、先行実施形態の記載を援用できる。
図14は、本実施形態の半導体装置20において、ボンディングワイヤ90におけるパッド44との接合部周辺を示す断面図である。図14は、図11に対応している。図14に示すように、ボンディングワイヤ90は、接合部91と、先端部92と、連結部93を有している。
接合部91は、ボンディングワイヤ90の延設方向において、先端部92と連結部93の間に位置する。接合部91は、パッド44に接合された部分である。接合部91は、ボンド部と称されることがある。接合部91は、超音波接合時にツールからの荷重を受けて潰れている。接合部91は、YZ断面において略台形状をなしている。ボンディングワイヤ90の上面90aおよび下面90bのうち、接合部91の部分は、パッド44の表面に略平行である。接合部91における上面90aの部分は、略平坦である。接合部91における下面90bは、パッド44に接している。
先端部92は、ボンディングワイヤ90の先端側において、接合部91に連なっている。先端部92は、パッド44に接合されていない部分である。先端部92は、フィード部と称されることがある。先端部92は、接合部91との境界から斜め上方に延びている。下面90bのうち、先端部92の部分は、パッド44に非接触である。先端部92において接合部91とは反対側の端部は、カット端92aである。
連結部93は、先端部92とは反対側で、接合部91に連なっている。連結部93も、パッド44に接合されていない部分である。連結部93は、パッド44との接合部91と、信号端子83との接合部との間の部分であり、接合部同士を連結している。連結部93は、1stボンド部である接合部91と、2ndボンド部である信号端子83との接合部とをつなぐ部分である。下面90bのうち、連結部93の部分は、パッド44に非接触である。
ボンディングワイヤ90は、さらに切り欠き94を有している。切り欠き94は、ボンディングワイヤ90の上面90aに開口し、上面90aから所定深さを有している。切り欠き94は、接合部91よりも先端側に設けられている。切り欠き94は、接合部91の端部のひとつ、つまり接合部91と先端部92との境界から、先端部92のカット端92aまでの範囲に設けられればよい。
切り欠き94の位置は、接合部91の下端91aからの距離が短いほうが好ましい。下端91aは、接合部91におけるパッド44との接合界面のうち、先端部92側の端部である。下端91aは、下面90bのうち、接合部91において先端部92側の端部である。本実施形態では、接合部91と先端部92との境界に、切り欠き94が設けられている。切り欠き94は、下端91aに向けて延びている。ボンディングワイヤ90の幅方向において、切り欠き94の長さは特に限定されない。切り欠き94は、幅方向において一部分に設けられてもよいし、一端から他端にわたって設けられてもよい。その他の構成については、第1実施形態に記載の構成と同様である。つまりパッド44の配置は、第1実施形態と同様である。
<第3実施形態のまとめ>
本実施形態の半導体装置20によれば、ボンディングワイヤ90において接合部91よりも先端側に、切り欠き94を設けている。つまり、機械的に弱い部分を意図的に設けている。このため、ボンディングワイヤ90に応力が作用して、封止樹脂体30との境界部分である下端91aからクラックが進展する際に、クラックは、切り欠き94に向けて伸展する。クラックは、接合部91よりも先端側に進展する。よって、クラックがパッド44とボンディングワイヤ90との接合界面を延設方向に進展するのを抑制することができる。つまり、パッド44とボンディングワイヤ90との電気的な接続状態を確保することができる。
上記したように、パッド44の配置は、先行実施形態と同様である。このため、ボンディングワイヤ90に作用する応力を低減することができる。仮に応力が作用してクラックが生じる場合にも、クラックの進展方向を制御することができる。
本実施形態では、接合部91と先端部92との境界に、切り欠き94を設けている。このため、切り欠き94と下端91aとの距離が短く、図14に破線矢印で示すように切り欠き94に向けてクラックが進展しやすい。よって、クラックがパッド44とボンディングワイヤ90との接合界面を延設方向に進展するのを、より確実に抑制することができる。
切り欠き94を、先行実施形態に記載のパッド44の配置と組み合わせる例を示したが、これに限定されない。高温領域461にパッド44が配置される構成との組み合わせも可能である。
(第4実施形態)
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例であり、先行実施形態の記載を援用できる。
図15は、本実施形態の半導体装置20において、ボンディングワイヤ90におけるパッド44との接合部周辺を示す断面図である。図15は、図11に対応している。半導体装置20は、図15に示すようにボンディングワイヤ90の表面を覆う密着阻害膜95を備えている。密着阻害膜95は、ボンディングワイヤ90と封止樹脂体30との密着を阻害する。
密着阻害膜95は、ボンディングワイヤ90をパッド44に接合した後、封止樹脂体30を成形する前に、封止樹脂体30が密着し難い有機溶剤を塗布することが形成される。有機溶剤の一例は、グリセリンである。グリセリンは、比較的粘性が高く、線材への塗布性が良好である。密着阻害膜95は、ボンディングワイヤ90の表面(外表面)のうち、少なくとも封止樹脂体30によって覆われる部分に形成される。
図示を省略するが、封止樹脂体30は、密着阻害膜95に覆われたボンディングワイヤ90に密着しない。半導体装置20において、封止樹脂体30と密着阻害膜95に覆われたボンディングワイヤ90との間には、空隙が存在する。その他の構成については、第1実施形態に記載の構成と同様である。つまりパッド44の配置は、第1実施形態と同様である。
<第4実施形態のまとめ>
本実施形態の半導体装置20によれば、ボンディングワイヤ90の表面に密着阻害膜95を設けている。これにより、封止樹脂体30と密着阻害膜95に覆われたボンディングワイヤ90との間には、空隙が存在する。よって、封止樹脂体30の膨張収縮にともなってボンディングワイヤ90に応力が生じるのを抑制することができる。パッド44の配置による効果と、密着阻害膜95による効果により、ボンディングワイヤ90に作用する応力を効果的に低減することができる。
密着阻害膜95を、先行実施形態に記載のパッド44の配置と組み合わせる例を示したが、これに限定されない。高温領域461にパッド44が配置される構成との組み合わせも可能である。
(第5実施形態)
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例であり、先行実施形態の記載を援用できる。
図16は、本実施形態の半導体装置20を示す断面図である。図16は、図3に対応している。図17は、半導体装置20のうち、半導体素子40と導電スペーサ70との接続構造を示す平面図である。
図16および図17に示すように、導電スペーサ70は、平面略矩形状をなしている。導電スペーサ70は、外郭をなす表面として、端面70a、70bと、側面70c、70d、70e、70fを有している。端面70aは、Z方向において端面70bとは反対の面である。Z方向において、端面70aはエミッタ電極42に対向し、端面70bは配線部材50に対向している。端面70aはエミッタ電極42に接続され、端面70bは配線部材50に接続されている。
側面70c、70d、70e、70fは、端面70a、70bに連なる面である。側面70cは、Y方向において側面70dとは反対の面である。Y方向において、側面70cはパッド44側、つまり半導体基板41の端部41c側に位置している。側面70cは、封止樹脂体30の側面30c側に位置し、側面70dは側面30d側に位置している。側面70eは、X方向において側面70fとは反対の面である。X方向において、側面70eは封止樹脂体30の側面30e側に位置し、側面70fは側面30f側に位置している。
導電スペーサ70は、粗化部71と、非粗化部72を有している。粗化部71は、側面70c、70d、70e、70fのうち、平面視においてパッド44との対向面を除く面に設けられている。非粗化部72は、側面70c、70d、70e、70fのうち、平面視においてパッド44との対向面に設けられている。本実施形態では、側面70c、70e、70fに粗化部71が設けられ、側面70dに非粗化部72が設けられている。
粗化部71を形成する粗化処理としては、粗化めっき、サンドブラスト、薬液処理、レーザ粗化などが可能である。本実施形態では、レーザ粗化を採用している。導電スペーサ70は、銅を含む母材の表面に、Niを含むめっき膜を設けてなる。導電スペーサ表面のめっき膜にレーザ光を照射することで、表面が連続して凹凸をなすニッケル酸化物の膜が形成される。側面70c、70d、70e、70fのうち、レーザ光の照射により凹凸酸化膜が形成された部分が粗化部71であり、凹凸酸化膜が形成されていない部分が非粗化部72である。
<第5実施形態のまとめ>
本実施形態の半導体装置20によれば、導電スペーサ70の側面70c、70e、70fに粗化部71を設け、側面70dに非粗化部72を設けている。つまり側面70c、70d、70e、70fのうち、平面視においてパッド44との対向面に非粗化部72を設け、対向面を除く残りの面に粗化部71を設けている。封止樹脂体30は、側面70c、70e、70fに対して密着し、側面70dに対して密着し難い。このため、封止樹脂体30と導電スペーサ70の側面70dとの間には、空隙が存在する。よって、封止樹脂体30の膨張収縮にともなってボンディングワイヤ90に応力が生じるのを抑制することができる。パッド44の配置による効果と、局所的に非粗化部72を設ける効果により、ボンディングワイヤ90に作用する応力を効果的に低減することができる。
図18は、非粗化部72の有無と相当塑性ひずみ振幅との関係を示している。縦軸は、アルミワイヤ相当塑性ひずみ振幅の平均値である。図18に示すように、非粗化部72を設けると、側面全域に粗化部71を設ける構成、つまり非粗化部なしの構成に較べて、相当塑性ひずみ振幅を40%低減することができる。この結果からも、非粗化部72を設けることで、ボンディングワイヤ90に作用する応力を低減できることが明らかである。
粗化部71および非粗化部72を、先行実施形態に記載のパッド44の配置と組み合わせる例を示したが、これに限定されない。高温領域461にパッド44が配置される構成との組み合わせも可能である。
(他の実施形態)
この明細書および図面等における開示は、例示された実施形態に制限されない。開示は、例示された実施形態と、それらに基づく当業者による変形態様を包含する。たとえば、開示は、実施形態において示された部品および/または要素の組み合わせに限定されない。開示は、多様な組み合わせによって実施可能である。開示は、実施形態に追加可能な追加的な部分をもつことができる。開示は、実施形態の部品および/または要素が省略されたものを包含する。開示は、ひとつの実施形態と他の実施形態との間における部品および/または要素の置き換え、または組み合わせを包含する。開示される技術的範囲は、実施形態の記載に限定されない。開示されるいくつかの技術的範囲は、請求の範囲の記載によって示され、さらに請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものと解されるべきである。
明細書および図面等における開示は、請求の範囲の記載によって限定されない。明細書および図面等における開示は、請求の範囲に記載された技術的思想を包含し、さらに請求の範囲に記載された技術的思想より多様で広範な技術的思想に及んでいる。よって、請求の範囲の記載に拘束されることなく、明細書および図面等の開示から、多様な技術的思想を抽出することができる。
ある要素または層が「上にある」、「連結されている」、「接続されている」または「結合されている」と言及されている場合、それは、他の要素、または他の層に対して、直接的に上に、連結され、接続され、または結合されていることがあり、さらに、介在要素または介在層が存在していることがある。対照的に、ある要素が別の要素または層に「直接的に上に」、「直接的に連結されている」、「直接的に接続されている」または「直接的に結合されている」と言及されている場合、介在要素または介在層は存在しない。要素間の関係を説明するために使用される他の言葉は、同様のやり方で(例えば、「間に」対「直接的に間に」、「隣接する」対「直接的に隣接する」など)解釈されるべきである。この明細書で使用される場合、用語「および/または」は、関連する列挙されたひとつまたは複数の項目に関する任意の組み合わせ、およびすべての組み合わせを含む。
空間的に相対的な用語「内」、「外」、「裏」、「下」、「低」、「上」、「高」などは、図示されているような、ひとつの要素または特徴の他の要素または特徴に対する関係を説明する記載を容易にするためにここでは利用されている。空間的に相対的な用語は、図面に描かれている向きに加えて、使用または操作中の装置の異なる向きを包含することを意図することができる。例えば、図中の装置をひっくり返すと、他の要素または特徴の「下」または「真下」として説明されている要素は、他の要素または特徴の「上」に向けられる。したがって、用語「下」は、上と下の両方の向きを包含することができる。この装置は、他の方向に向いていてもよく(90度または他の向きに回転されてもよい)、この明細書で使用される空間的に相対的な記述子はそれに応じて解釈される。
車両の駆動システム1は、上記した構成に限定されない。たとえば、モータジェネレータ3をひとつ備える例を示したが、これに限定されない。複数のモータジェネレータを備えてもよい。電力変換装置4が、電力変換部としてインバータ6を備える例を示したが、これに限定されない。たとえば、複数のインバータを備える構成としてもよい。すくなくともひとつのインバータと、コンバータを備える構成としてもよい。コンバータのみを備えてもよい。
半導体基板41のアクティブ領域45に構成される縦型素子として、RC-IGBTの例を示したが、これに限定されない。半導体基板41にIGBTが構成され、ダイオード12については外付けとしてもよい。
スイッチング素子は、IGBT11に限定されない。たとえばMOSFETを採用してもよい。MOSFETは、Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistorの略称である。
配線部材50、60の裏面50b、60bが、封止樹脂体30から露出する例を示したが、これに限定されない。裏面50b、60bの少なくとも一方が、封止樹脂体30によって覆われた構成としてもよい。裏面50b、60bの少なくとも一方が、封止樹脂体30とは別の図示しない絶縁部材によって覆われた構成としてもよい。半導体装置20が封止樹脂体30を備える例を示したが、これに限定されない。封止樹脂体30を備えない構成としてもよい。
半導体装置20が、ひとつのアームを構成する半導体素子40をひとつのみ備える例を示したが、これに限定されない。半導体装置20が、ひとつのアームを構成する複数の半導体素子40を備えてもよい。つまり、複数の半導体素子40が互いに並列接続されてひとつのアームを構成してもよい。この場合、導電スペーサ70は、半導体素子40に対して個別に設けられる。また、半導体装置20が、一相分の上下アーム回路9を構成する複数の半導体素子40を備えてもよい。複数相の上下アーム回路9を構成する複数の半導体素子40を備えてもよい。
1…駆動システム、2…直流電源、3…モータジェネレータ、3a…巻線、4…電力変換装置、5…平滑コンデンサ、6…インバータ、7…Pライン、8…Nライン、9…上下アーム回路、9H…上アーム、9L…下アーム、10…出力ライン、11…IGBT、12…ダイオード、20…半導体装置、30…封止樹脂体、30a…一面、30b…裏面、30c、30d、30e、30f…側面、35、351、352,353、354、355…保護部、40…半導体素子、41…半導体基板、41a…一面、41b…裏面、41c…端部、42…エミッタ電極、43…コレクタ電極、44…パッド、45…アクティブ領域、45c…中心、45d…ダイオード領域、45i…IGBT領域、46…外周領域、461…高温領域、462…低温領域、47…保護膜、471…開口部、50…配線部材、50a…対向面、50b…裏面、60…配線部材、60a…対向面、60b…裏面、70…導電スペーサ、70a、70b…端面、70c、70d、70e、70f…側面、71…粗化部、72…非粗化部、80…外部接続端子、81、82…主端子、83…信号端子、90…ボンディングワイヤ、90a…上面、90b…下面、91…接合部、91a…下端、92…先端部、92a…カット端、93…連結部、94…切り欠き、95…密着阻害膜、100、101、102…接合材

Claims (8)

  1. 素子形成領域であるアクティブ領域(45)および前記アクティブ領域を取り囲む外周領域(46)を有する半導体基板(41)と、前記アクティブ領域と重なるように前記半導体基板の一面上に配置され、前記アクティブ領域と電気的に接続された主電極(42)と、前記外周領域と重なるように前記一面上に配置された信号用の電極であるパッド(44)と、を有する半導体素子(40)と、
    前記パッドに接続されたボンディングワイヤ(90)と
    前記半導体素子および前記ボンディングワイヤを封止する封止樹脂体(30)と、
    を備え、
    前記外周領域は、高温領域(461)と、素子駆動時において前記高温領域よりも温度が低い低温領域(462)と、を有し、
    前記パッドは、前記低温領域上に配置されている、半導体装置。
  2. 前記ボンディングワイヤにおける前記パッドとの接合部の周囲に設けられて、前記封止樹脂体と前記ボンディングワイヤとの間に介在し、前記封止樹脂体の膨張収縮から前記ボンディングワイヤを保護する保護部(35)を備える、請求項1に記載の半導体装置。
  3. 前記保護部は、前記封止樹脂体よりも線膨張係数が小さい、請求項2に記載の半導体装置。
  4. 前記保護部は、前記封止樹脂体よりも剛性が低い、請求項2に記載の半導体装置。
  5. 前記保護部は、空洞部である、請求項2に記載の半導体装置。
  6. 前記ボンディングワイヤは、前記パッドとの接合部よりも先端側に設けられ、上面に開口する切り欠き(94)を有する、請求項1に記載の半導体装置。
  7. 前記ボンディングワイヤの表面を覆い、前記ボンディングワイヤと前記封止樹脂体との密着を阻害する密着阻害膜(95)を備える、請求項1に記載の半導体装置。
  8. 前記半導体素子は、前記一面上に配置された前記主電極である第1主電極と、前記一面とは反対の面である裏面上に配置された第2主電極(43)を有しており、
    前記第1主電極に電気的に接続された第1配線部材(50)と、
    前記第2主電極に電気的に接続された第2配線部材(60)と、
    前記第1主電極と前記第1配線部材との間に介在し、端面のひとつが前記第1主電極に接続され、前記端面の他のひとつが前記第1配線部材に接続された導電スペーサ(70)と、を備え、
    前記導電スペーサは、前記端面に連なる側面のうち、前記パッドとの対向面を除く面に設けられた粗化部(71)と、前記パッドとの対向面に設けられた非粗化部(72)を有している、請求項1に記載の半導体装置。
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