JP2023165540A - オープンマイクロ流路装置の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の目的は、供給口と排出口とをつなぐマイクロ流路が外部からアクセス可能な構造である、オープンマイクロ流路装置を効率よく製造する方法を提供することにある。【解決手段】本発明のオープンマイクロ流路装置の製造方法は、上方に開放面を有するオープンマイクロ流路溝が形成された疎水性樹脂基板に、前記オープンマイクロ流路溝の前記開放面を覆うように板を接合する接合工程と、前記接合工程の後に、前記オープンマイクロ流路溝内を親水化する親水化工程と、前記親水化工程の後に、前記板を剥がす剥がし工程と、を含むことを特徴としている。【選択図】図2

Description

本発明は、オープンマイクロ流路装置の製造方法に関する。
細胞の混合液から、特定の細胞集団を分離したり、究極的には単一細胞を捕捉・分離したりするために、マイクロ流体デバイスが広く利用されている。従来のマイクロ流体デバイス(マイクロ流路)としては、細胞の混合液等の試料の供給口と、試料の排出口とが形成され、供給口と排出口とを連通する閉じたマイクロ流路を有するデバイスが多く用いられている(特許文献1)。
国際公開第2009/016842号
しかしながら、従来のマイクロ流路は、供給口及び排出口を除き、単一細胞を捕捉・分離する部位やその前後の流路が外部から閉じた空間となっているため、捕捉した細胞を外部から採取することができない等の問題があった。また、閉じた流路内で細胞を捕捉した後に流路を開く場合であっても、ふたを外すことが困難で手間がかかることや、外す操作で補足した細胞がはずれてしまうことなどの問題があった。
従って、本発明の目的は、供給口と排出口とをつなぐマイクロ流路が外部からアクセス可能な構造(オープンマイクロ流路構造)である、オープンマイクロ流路装置を効率よく製造する方法を提供することにある。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]
上方に開放面を有するオープンマイクロ流路溝が形成された疎水性樹脂基板に、前記オープンマイクロ流路溝の前記開放面を覆うように板を接合する接合工程と、
前記接合工程の後に、前記オープンマイクロ流路溝内を親水化する親水化工程と、
前記親水化工程の後に、前記接合工程で接合した前記板を剥がす剥がし工程と、
を含む、オープンマイクロ流路装置の製造方法。
[2]
前記親水化工程において、前記オープンマイクロ流路溝内に親水化溶液を流して親水化する、[1]に記載のオープンマイクロ流路装置の製造方法。
[3]
前記親水化溶液が非イオン性界面活性剤を含む、[2]に記載のオープンマイクロ流路装置の製造方法。
[4]
前記疎水性樹脂基板のオープンマイクロ流路溝が形成される面を表面改質処理した後に、前記接合工程を行う、[1]~[3]のいずれかに記載のオープンマイクロ流路装置の製造方法。
[5]
前記剥がし工程で前記板を剥がした後、前記疎水性樹脂基板を、温度100~140℃で0分超60分以内加熱処理をする、[1]~[3]のいずれかに記載のオープンマイクロ流路装置の製造方法。
[6]
前記剥がし工程で前記板を剥がした後、前記溝を有する疎水性樹脂基板を、温度100~140℃で0分超60分以内加熱処理をする、[4]に記載のオープンマイクロ流路装置の製造方法。
本発明のオープンマイクロ流路装置の製造方法は、上記構成を有するため、オープンマイクロ流路装置を効率よく製造することができる。
接合工程に用いる疎水性樹脂基板の一例を示す概略図である。(A)は全体の斜視図、(B)は(A)のX-X断面図、(C)は(A)のY-Y断面図である。 本実施形態のオープンマイクロ流路装置の製造方法を説明する図である。 疎水性樹脂基板又はオープンマイクロ流路装置のトラップ部周辺を拡大する概略図である。 (A)はオープンマイクロ流路装置の一例である。(B)(C)は実施例1を説明する図である。 実施例3の結果を示すグラフである。 実施例4の結果を示す写真である。図6中の黒色バーは、100μmのスケールバーである。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
[オープンマイクロ流路装置の製造方法]
本実施形態のオープンマイクロ流路装置の製造方法は、上方に開放面を有するオープンマイクロ流路溝が形成された疎水性樹脂基板に、上記オープンマイクロ流路溝の上記開放面を覆うように板を接合する接合工程と、上記接合工程後に上記オープンマイクロ流路溝内を親水化する親水化工程と、上記親水化工程後に上記接合工程で接合した上記板を剥がす剥がし工程と、を含む。
本実施形態のオープンマイクロ流路装置の製造方法は、さらに他の工程を含んでいてもよい。
なお、本明細書において、オープンマイクロ流路装置の製造方法を、単に「製造方法」と称する場合がある。
マイクロ流路が閉じた空間である装置である場合、捕捉後の単一細胞を採取したり、捕捉した各単一細胞に対して異なる薬剤刺激を行ったりすることが困難であった。
本実施形態の製造方法により製造されるオープンマイクロ流路装置は、外部からアクセス可能なオープンマイクロ流路を有するため、オープンマイクロ流路内で捕捉したもの(例えば細胞等)を容易に採取して別容器に移すことができる。そのため、上記オープンマイクロ流路装置を用いることにより、捕捉した単一細胞を用いた培養や解析が可能となる。
また、流路の外側が疎水性であり、流路内が親水性であるため、捕捉するものを含む溶液(例えば、細胞液)は、流路表面の濡れ性によって流路内を流動することができる。例えば、オープンマイクロ流路内を自然毛細管流動(Spontaneous Capillary Flows、SCF)により流動することができる。そのため、ポンプ等により加圧や吸引する従来の方法に比べ、捕捉時に、捕捉するもの(例えば、細胞)へのダメージを著しく低減することができる。
<接合工程>
(疎水性樹脂基板)
図1を用いて、疎水性樹脂基板を説明する。なお、説明のため、図1ではオープンマイクロ流路溝21を直線の溝として記載しているが、本発明の効果が得られる範囲で任意に設計可能であり、オープンマイクロ流路溝の一例の形状は後述の通りである。
疎水性樹脂基板2は、オープンマイクロ流路溝21を有する。オープンマイクロ流路21は、表から裏まで厚さ方向に貫通する供給口26と排出口27とを連通する。図1の例では、供給口26と排出口27との間が、オープンマイクロ流路溝21である。オープンマイクロ流路溝21は、上方に開放面22を有する(図1(B))。
供給口26、排出口27は複数個あってもよい。また、オープンマイクロ流路溝は途中で分岐していてもよい。
上記疎水性樹脂基板を構成する材料としては、例えば、PDMS、PMMA、PC、硬質ポリエチレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリエステル、COP(シクロオレフィンポリマー)、ポリ乳酸等の疎水性樹脂が挙げられる。中でも、親水化処理のしやすさの観点から、PDMSが好ましい。
オープンマイクロ流路溝21の厚さ方向断面形状としては、U字状(図1(B))、V字状、四角形等の多角形状、半円状等が挙げられる。自然毛細管流動が起こりやすい観点から、流路断面のアスペクト比が大きい形状(流路断面の幅に対して深さが大きい形状)が好ましい。
厚さ方向断面形状は、オープンマイクロ流路溝の延在方向に同じであってもよいし異なっていてもよいが、自然毛細管流動が起こりやすい観点から同じであることが好ましい。なお、後述のトラップ部では、厚さ方向断面形状が異なっていてよい。
本明細書において、オープンマイクロ流路溝21の供給口26側を「上流」、排出口27側を「下流」、供給口26から排出口27に向かう方向を「流動方向」と称する場合がある。
オープンマイクロ流路溝21は、供給口26と排出口27との間で、流動方向上流側から下流側に、給液部23、トラップ部24、排液部25をこの順に有する(図3)。トラップ部24は1つであってもよいし、複数であってもよい。
オープンマイクロ流路溝21は、延在方向に供給口26から排出口27まで連続して、上方に開放面22を有することが好ましい。
(板)
上記板3の大きさは、上記疎水性樹脂基板2のオープンマイクロ流路溝21を覆うことができる大きさであれば特に限定されないが、製造の容易さ及び接合の容易さの観点から、疎水性樹脂基板と厚さ方向を除き、同じ大きさであることが好ましい。
上記板3の形状は、上記疎水性樹脂基板2のオープンマイクロ流路溝21を覆うことができる大きさであれば特に限定されないが、平板であることが好ましい。
ここで、オープンマイクロ流路溝21を覆うとは、疎水性樹脂基板2と板3とを接合して開放面22を一時的に密閉すること(即ち、供給口26と排出口27とを除き、オープンマイクロ流路溝21を密閉すること)をいう。
上記板3は、樹脂、ガラス、金属等からなっていてよいが、樹脂からなることが好ましく、上記疎水性樹脂基板2と同じ材質からなることがより好ましい。中でも、一時的な接合時の密着性に優れる観点から、上記疎水性樹脂基板と上記板とがともにPDMSからなることが好ましい。
(接合)
上記接合により、疎水性樹脂基板2と板3とが接合した複合体を形成する(図2(b)-(d))。上記複合体はオープンマイクロ流路溝21が密閉されているため、供給口26から溶液を添加しても上記オープンマイクロ流路溝21以外に溶液が流れこまない。
なお、上記接合とは、接合工程で疎水性樹脂基板2と板3とを一時的に接合し、剥がし工程で一時的に接合した疎水性樹脂基板2と板3とを剥がすことをいう。
上記接合では、疎水性樹脂基板2のオープンマイクロ流路溝21が設けられる面と、板3の一方の面とを対向させ、接合する。
上記疎水性樹脂基板2と上記板3とを接合する方法は、後の親水化工程でオープンマイクロ流路溝内を親水化できる程度に接合できる方法であれば特に限定されない。例えば、圧力をかけて圧着する方法、剥がせる接着剤を用いて接合する方法、剥がせる粘着テープを用いて接合する方法、複合体をゴム等でしばる方法等が挙げられる。
接合後の疎水性樹脂基板2と板3との複合体は、少なくとも上記オープンマイクロ流路溝21の開放面22の周囲において、上記疎水性樹脂基板2と上記板3とが接合していることが好ましく、オープンマイクロ流路溝21以外の全面で接合していてもよい。
図1、2では、疎水性樹脂基板2に供給口26及び排出口27が設けられる例を記載しているが、例えば、供給口及び排出口を設けずに、一方の表面にオープンマイクロ流路溝21だけを設けた疎水性樹脂基板2と、接合時に上記オープンマイクロ流路溝21と対向する位置に貫通孔が設けられた板3と、を用いてもよい。
<親水化工程>
上記親水化工程でオープンマイクロ流路溝21内を親水化する方法としては、オープンマイクロ流路溝内に親水化溶液を流す方法等が挙げられる。上記親水化工程では、オープンマイクロ流路溝21内のみを親水化することが好ましい。
親水化溶液を流す上記方法としては、接合後の疎水性樹脂基板2と板3との上記複合体の供給口26から親水化溶液4を流しこみ、マイクロ流路溝内を親水化溶液4で満たした状態で一定時間放置した後、排出口27から親水化溶液4を吸引排出する方法が挙げられる(図2(b)-(d))。
上記親水化溶液4としては、非イオン性界面活性剤を含むことが好ましい。
非イオン性界面活性剤としては、ブロックポリマー型エーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ショ糖脂肪酸エステル(シュガーエステル)、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルが挙げられる。
上記ブロックポリマ型エーテルとしては、ポリオキシエチレン(196)ポリオキシプロピレン(67)グリコール(プルロニックF127)、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール(プルロニックF68)、ポリオキシエチレン(42)ポリオキシプロピレン(67)グリコール(プルロニックP123)、ポリオキシエチレンオキシプロピレンセチルエーテル(20E.O4P.O)を挙げることができる。
上記ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油としては、水素添加ヒマシ油ポリオキシエチレンエーテル、ポリオキシエチレン水素添加ヒマシ油等を挙げることができる。
上記ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルとしては、ポリソルベート40(ツイーン40)、ポリソルベート60(ツイーン60)、ポリソルベート65、ポリソルベート80(ツイーン80)、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O)を挙げることができる。
中でも、オープンマイクロ流路溝への細胞等の付着を抑え、自然毛細管流動が一層起こりやすくなる観点から、ブロックポリマー型エーテルが好ましく、より好ましくはポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、さらに好ましくはプルロニックF68である。
上記親水化溶液100質量%に対する、上記非イオン性界面活性剤の質量割合としては、0.1~10質量%であることが好ましく、より好ましくは0.3~5質量%、さらに好ましくは0.5~3質量%である。上記質量割合が0.1質量%未満であると、オープンマイクロ流路溝内の親水化の効果が小さく、好ましくない。また、10質量%超であると、親水化溶液の粘度が高くオープンマイクロ流路溝内に親水化溶液が流れにくくなったり、オープンマイクロ流路溝内に親水化溶液中の成分がたまって均一な親水化ができなくなったりするため、好ましくない。
上記親水化溶液は、上記非イオン性界面活性剤を含み、さらに他の成分を含んでいてもよい。中でも、上記親水化溶液は、水と上記非イオン性界面活性剤のみからなることが好ましい。
オープンマイクロ流路溝21内を親水化溶液4で満たした状態で放置する時間としては、10~200分であってよく、20~100分であってよい。
また、放置する際の温度としては、5~40℃であってよく、15~30℃であってよい。なお、オープンマイクロ流路溝内に流し込む際の親水化溶液4の温度は、放置する際の上記温度と同じであることが好ましい。
オープンマイクロ流路溝21内を親水化溶液4で満たした状態で放置する際、親水化溶液の蒸発を低減させる観点から、供給口26及び/又は排出口27をふさぐことが好ましい。供給口等をふさぐ方法としては、例えば、剥がせる粘着テープで供給口等をふさぐ方法等があげられる。
オープンマイクロ流路溝内から上記親水化溶液4を排出する方法としては、バキューム等で負圧をかけて排出口27から除去する方法が挙げられる(図2(d))。
<剥がし工程>
上記親水化工程の後に、上記接合工程で接合した上記疎水性樹脂基板2と上記板3とを剥がし、オープンマイクロ流路溝21内が親水化されたオープンマイクロ流路装置1が得られる。
剥がした後の上記疎水性樹脂基板2を加熱処理してよい(図2(e))。上記加熱処理により、オープンマイクロ流路内に残る上記親水化溶液を乾燥させることができ、また、オープンマイクロ流路溝の親水化成分をより強固に定着させることができる。
上記加熱処理の温度としては、上記疎水性樹脂基板が変性、変形しない温度であり、例えば、100~140℃であってよい。
上記加熱処理の時間としては、上記疎水性樹脂基板が変性、変形しない時間であり、例えば、0分超60分以内であってよい。
<他の工程>
(表面改質処理工程)
本実施形態のオープンマイクロ流路装置の製造方法は、親水化工程でオープンマイクロ流路溝内のみを、流路溝外の表面と区別して親水化できるため、上記接合工程の前に表面改質処理工程を含むことが好ましい(図2(a))。
上記表面改質処理工程では、疎水性樹脂基板2のオープンマイクロ流路溝21が形成される面を表面改質処理する。疎水性樹脂基板2のオープンマイクロ流路溝21が形成される面全体に対して表面改質処理を行ってもよいし、オープンマイクロ流路溝21にのみ表面改質処理を行ってもよい。
上記表面改質処理工程で表面を親水化することができる。しかしながら、表面改質処理工程の親水化では、表面の親水化が一定時間経過後に失われてしまい、また、捕捉効率の高い自然毛細管流動を起こす濡れ性が得られないことがある。そのため、捕捉効率の高いオープンマイクロ流路装置が得られる観点から、表面改質処理工程後連続して接合工程、親水化工程を行うことが好ましい。
上記表面改質処理工程としては、紫外線照射処理、コロナ放電処理、酸素プラズマ処理等のプラズマ処理等が挙げられる。中でも、容易に処理ができる観点から、紫外線照射処理が好ましい。上記紫外線照射処理は、波長10~200nmの真空紫外域の光(好ましくは、波長150~180nmの光)を、10~30mm離れた位置から、5~20分間照射する処理が好ましい。
[オープンマイクロ流路装置]
上述の本実施形態のオープンマイクロ流路装置の製造方法により、オープンマイクロ流路溝21内が親水化されたオープンマイクロ流路装置1を製造することができる。上記オープンマイクロ流路装置は、オープンマイクロ流路溝21以外の全ての部分が疎水性であることが好ましい。なお、供給口26及び排出口27は、親水化工程時に親水化溶液を流す際等に使用するものの、自然毛細管流動で溶液を流動させる際には使用しなくてもよいため、親水性であっても疎水性であってもよい。
上記オープンマイクロ流路装置1は、オープンマイクロ流路溝内が親水化された疎水性樹脂基板2である。
上記オープンマイクロ流路装置1は、上流側に貫通孔を有する場合(例えば、供給口26を有する場合)、貫通孔の鉛直下側に蓋6をして使用することが好ましい(図2(f))。上記蓋6としては、親水性であっても疎水性であってもよく、上記疎水性樹脂基板2と同じ材料からなることが好ましい。
上記オープンマイクロ流路装置1は、流路上面が開放面であるため、バキューム等を用いて溶液を吸引することができない。上記オープンマイクロ流路装置1は、オープンマイクロ流路に捕捉するものを含む溶液(例えば細胞液)を滴下し、流路表面の濡れ性で流体を流動させることができる。例えば、自然毛細管流動で溶液を流動させることができる。
上記オープンマイクロ流路装置1は、自然毛細管流動で溶液を流動させることができるオープンマイクロ流路を有する装置である。
上記オープンマイクロ流路装置1のオープンマイクロ流路溝21は、流動方向上流側から下流側に向かって、給液部23、トラップ部24、排液部25をこの順に有する。捕捉するものを含む溶液(例えば細胞液)を、給液部23の上流に滴下し、溶液が流動して給液部23に到達する。ここで、トラップ部付近の溶液の流速は、トラップ部24の幅が狭いことで、トラップ部24の流速Q1が、トラップ部を迂回する流速Q2より速い(図3、Q1>Q2)。そのため、最初に流れてきた捕捉するもの(例えば細胞)は、トラップ部24で捕捉される。その後、トラップ部24の流速は低下し、Q2>Q1となることで、溶液はトラップ部24を迂回して流れる。そのため、トラップ部24では、1つの捕捉するもの(例えば、単一細胞)を捕捉することができる。
トラップ部24を直接及び/又は並列に複数設けることで、単一細胞等を複数か所で捕捉することができる。複数個のトラップ部24が直列に設けられる場合、1つのトラップ部24の排液部25が、続くトラップ部24の給液部23に相当する。
また、上記オープンマイクロ流路溝21は、上方が開放面22であるため、トラップ部24で捕捉したものをピペット等で回収することができる。例えば、捕捉した単一細胞を、ピペットで吸引し、培養液を入れたディッシュに移して、細胞培養をすることができる。上記オープンマイクロ流路溝21で捕捉した細胞等は、自然毛細管流動の流速で捕捉するためにダメージが著しく少なく、例えば樹状突起や細胞表面構造等を維持したまま細胞を捕捉することができ、より生体に近い状態で細胞を捕捉することができる。
上記オープンマイクロ流路溝21の幅、深さ及び溝表面の接触角を調整することにより、自然毛細管流動の効率を高めることができ、捕捉効率を一層向上させ、細胞へのダメージを一層軽減することができる。
オープンマイクロ流路溝21の幅は、自然毛細管流動で溶液が一層流動しすくなる観点から、500μm以下であることが好ましく、より好ましくは100μm以下、さらに好ましくは50μm以下である。また、上記幅は、1μm以上であってよい。ここで、オープンマイクロ流路溝の幅とは、トラップ部24の上流50μmの流路の幅の平均としてもよい。また、流路の幅とは、流動方向に直交する断面における幅をいい、液体が複数方向に流れる分岐箇所は除いて測定するものとする。
オープンマイクロ流路溝21の深さは、自然毛細管流動で溶液が一層流動しやすくなる観点から、500μm以下であることが好ましく、より好ましくは100μm以下、さらに好ましくは50μm以下である。ここで、オープンマイクロ流路溝の深さとは、トラップ部24の上流50μmの流路の深さの平均としてもよい。また、流路の深さとは、流動方向に直交する断面における深さをいう。
オープンマイクロ流路溝表面は、濡れやすいことが好ましい。オープンマイクロ流路溝表面の接触角θは、90°未満であることが好ましく、より好ましくは50°以下、さらに好ましくは30°以下である。なお、接触角θは、トラップ部24の上流50μmの流路のいずれかの箇所で、接線法により測定した値をいう。
上記オープンマイクロ流路溝21の、幅W(μm)、深さH(μm)、接触角θの関係は、SCFを生じやすくする観点から、W/(2H+W)<cosθを満たすことが好ましく、W/(2H+W)<0.8を満たすことがより好ましく、W/(2H+W)<0.6を満たすことがさらに好ましい。
上記トラップ部24で捕捉するものは、哺乳動物細胞、昆虫細胞、植物細胞等の細胞、細菌、ビーズ、これらの混合物等が挙げられ、細胞が好ましい。
上記トラップ部24の幅としては、捕捉するものが捕捉できる狭さであれば特に限定されず、捕捉するものの種類によって適宜変更できるが、例えば、0.1~20μmであることが好ましく、より好ましくは0.5~15μm、さらに好ましくは1~10μmである。
上記トラップ部24の幅は、トラップ部での捕捉効率の観点から、上記オープンマイクロ流路溝21の幅より狭いことが好ましく、捕捉するものの直径に対して、10~80%であることが好ましく、より好ましくは20~60%、さらに好ましくは30~50%である。
上記オープンマイクロ流路溝21は、複数の分岐、複数のトラップ部を有していてよい(図4)。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
(実施例1)
鋳型にPDMSを流し込み、硬化させて図4(A)に示すオープンマイクロ流路溝を有する疎水性樹脂基板を製造した。疎水性樹脂基板の厚さは16μm、オープンマイクロ流路溝の幅は30μm、深さ16μm、トラップ部の幅は8μmであった。オープンマイクロ流路溝が形成された面を上にして、SamcoコンパクトエッチャーFA-1a(サムコ株式会社性)に入れ、5秒間酸素プラズマ処理(空気の供給量:20ml/min、LEV:75W、FWD:75、REV:0)を行った。
また、別途PDMSの平板を作製した。
酸素プラズマ処理後の疎水性樹脂基板のオープンマイクロ流路溝が形成された面と、平板の一方の面とを対向させ、指で押して圧着して接合させた。そして、オープンマイクロ流路溝の上流側にある供給口から、1%PluronicF68水溶液を流し込み、オープンマイクロ流路溝を満たし、室温で30分静置した。その後、排出口にチューブを挿し、負圧をかけてオープンマイクロ流路溝内の1%PluronicF68水溶液を除去した。その後、平板を剥がし、オープンマイクロ流路溝が形成された面を下向きにしてホットプレートにのせ、疎水性樹脂基板を120℃で20分間加熱した。同様の親水化処理を行なったPDMS平板上での、接線法で測定した水の接触角θは約20°であった。
そして、供給口の一方の穴にPDMS平板で蓋をして、オープンマイクロ流路装置を製造した。
得られたオープンマイクロ流路の上流から、10.2μm径のビーズ(数濃度5×10beads/ml)水溶液を滴下し、自然毛細管流動によって流動させた。
10箇所設けたトラップ部の全てで1個のビーズを捕捉できた。
同様の試験を更に2回行ったところ、いずれの試験においても、10箇所設けたトラップ部の全てで1個のビーズを捕捉できた。
図4(B)はビーズ5を捕捉する前のトラップ部周辺の拡大図であり、図4(C)はビーズ5を捕捉し、以降のビーズが排液部へ流れるトラップ部周辺の拡大図である。
(実施例2)
実施例1と同様にしてオープンマイクロ流路装置を製造した。
オープンマイクロ流路装置を直径2インチのディッシュ内に設置し、オープンマイクロ流路の上流から、Jurkat細胞液(数濃度1×10~1×10)cells/ml、培地(RPMI1640+10%FBS)で希釈)を滴下し、自然毛細管流動によって流動させた。トラップ部に1個の細胞が捕捉され、捕捉した細胞をピペットで吸引して、RPMI1640+10%FBSを入れた試験管に吐出した。
(比較例1)
疎水性樹脂基板を実施例1と同様にして製造し、疎水性樹脂基板全体に酸素プラズマ処理を行った。そして、供給口の一方の穴にPDMS平板で蓋をして、オープンマイクロ流路装置を製造した。
得られたオープンマイクロ流路の上流から、10.2μm径のビーズ(数濃度 5×10beads/ml)水溶液を滴下したところ、溶液は溝内のみに流動せず全面に濡れ広がった。また、一部のビーズ水溶液は溝内に流れるため、トラップ部でビーズを補足することができたものの、効率が著しく悪かった。
(実施例3)
鋳型にPDMSを流し込み、硬化させて、厚さ方向断面形状が矩形であるオープンマイクロ流路溝を有する疎水性樹脂基板を製造した。オープンマイクロ流路溝は、厚さ方向断面の形状が延在方向で同じ形状である長い一本の流路であり、厚さ方向断面の矩形状が幅50μmであり、深さが16、42、78μmと異なる3種類のものを2枚ずつ、合計6枚の疎水性樹脂基板を用意した。なお、いずれの疎水性樹脂基板も、オープンマイクロ流路溝が長い一本の流路であり、厚さ方向断面の形状が延在方向で同じ形状となるようにした。
また、別途PDMSの平板を6枚作製した。
各疎水性樹脂基板のオープンマイクロ流路溝が形成された面と、各平板の一方の面とを対向させ、指で押して圧着して接合させた。そして、オープンマイクロ流路溝の上流側にある供給口から、1%PluronicF68水溶液又は1%PVA水溶液を流し込み、オープンマイクロ流路溝を満たし、室温で30分静置した。その後、排出口にチューブを挿し、負圧をかけてオープンマイクロ流路溝内の1%PluronicF68水溶液又は1%PVA水溶液を除去した。
そして、板を剥がし、供給口の一方の穴にPDMS平板で蓋をして、1%PluronicF68水溶液又は1%PVA水溶液で親水化された、厚さ方向断面の矩形深さが16、42又は78μmであるオープンマイクロ流路装置を製造した。
得られたオープンマイクロ流路の上流から、水を滴下し、自然毛細管流動によって流動させた。
図5は、横軸に時間(秒)の1/2乗、縦軸に自然毛細管流動によって水が進んだ距離(mm)のグラフである。溝の深さ16、42、78μmのいずれの流路装置でも、1%PVA水溶液で親水化した装置よりも、1%PluronicF68水溶液で親水化した装置のほうが水の流れが速かった。なお、溝の深さ16μmの流路装置を1%PVA水溶液で親水化した流路装置は、自然毛細管流動が起きなかった。
(実施例4)
実施例1と同様にして製造したオープンマイクロ流路と、平板を剥がした後に加熱処理を行わなかったこと以外は実施例1と同様にして製造したオープンマイクロ流路装置とを用意した。
なお、実施例4の流路装置のオープンマイクロ流路溝は、図6に示す形状のものとした。
製造した2種のオープンマイクロ流路装置に水を滴下し、水滴の広がりを観察した。
加熱処理を行ったオープンマイクロ流路装置(図6右)では、親水性を適度に制御できるためか、滴下した水滴が盛り上がっている部分が広がりすぎず、オープンマイクロ流路溝内のみに自然毛細管流動が生じる領域の範囲を制御することができた。
一方、加熱処理を行わなかったオープンマイクロ流路装置(図6左)では、親水性が高いためか、滴下した水が広範囲に広がり、オープンマイクロ流路溝内のみに自然毛細管流動が生じる領域の範囲の制御が困難であった。
本実施形態のオープンマイクロ流路装置の製造方法は、自然毛細管流動で溶液を流動させて、混合物中に含まれる目的物を個別に分離し、捕捉することができる。
1 オープンマイクロ流路装置
2 疎水性樹脂基板
21 オープンマイクロ流路溝
22 開放面
23 給液部
24 トラップ部
25 排液部
26 供給口
27 排出口
3 板
4 親水化溶液
5 ビーズ
6 蓋

Claims (6)

  1. 上方に開放面を有するオープンマイクロ流路溝が形成された疎水性樹脂基板に、前記オープンマイクロ流路溝の前記開放面を覆うように板を接合する接合工程と、
    前記接合工程の後に、前記オープンマイクロ流路溝内を親水化する親水化工程と、
    前記親水化工程の後に、前記接合工程で接合した前記板を剥がす剥がし工程と、
    を含む、オープンマイクロ流路装置の製造方法。
  2. 前記親水化工程において、前記オープンマイクロ流路溝内に親水化溶液を流して親水化する、請求項1に記載のオープンマイクロ流路装置の製造方法。
  3. 前記親水化溶液が非イオン性界面活性剤を含む、請求項2に記載のオープンマイクロ流路装置の製造方法。
  4. 前記疎水性樹脂基板のオープンマイクロ流路溝が形成される面を表面改質処理した後に、前記接合工程を行う、請求項1~3のいずれか一項に記載のオープンマイクロ流路装置の製造方法。
  5. 前記剥がし工程で前記板を剥がした後、前記疎水性樹脂基板を、温度100~140℃で0分超60分以内加熱処理をする、請求項1~3のいずれか一項に記載のオープンマイクロ流路装置の製造方法。
  6. 前記剥がし工程で前記板を剥がした後、前記疎水性樹脂基板を、温度100~140℃で0分超60分以内加熱処理をする、請求項4に記載のオープンマイクロ流路装置の製造方法。
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