JP2023165476A - 耐火ケーブルおよびその製造方法 - Google Patents

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諒 中川
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Abstract

【課題】燃焼時に導電性炭化物が耐火層の内側に入り込み難く、かつ少ない工程数で製造可能な耐火ケーブルの提供を目的とする。【解決手段】上記課題を解決する耐火ケーブルは、導体が耐火層および絶縁体層で被覆された耐火絶縁線心を有し、前記耐火層が、前記導体の周囲に縦添え巻きされた耐火テープを含み、前記耐火テープが、一方の側縁部と他方の側縁部側とが重なった重なり部を有し、前記重なり部の幅が、前記耐火テープの内包体の外周長に対して、50%以上である。【選択図】図1

Description

本発明は耐火ケーブルおよびその製造方法に関する。
ビルや地下街等の防災設備の電気配線として使用される耐火ケーブルは、その耐火性能が消防庁告示により規定されている。
このような基準を満たす耐火ケーブルとして、導体の周囲に耐火層や絶縁体層、シース等を配置したケーブルが知られている(例えば特許文献1)。当該文献では、導体にマイカテープ(耐火テープ)を縦添えし、その上にガラスマイカテープを巻き付けることで、耐火層を形成している。また近年、耐火テープの周囲にガラスヤーンを巻き付けた耐火層も知られている。耐火テープは、ケーブル燃焼時に発生する導電性炭化物や、その生成ガス等から導体を保護し、導体の周囲の絶縁性を維持する役割を果たす。
実開平7-41876号公報
耐火テープを導体の周囲に縦添えする場合、その両側縁部が重なるように巻き付けることがある。耐火テープの両側縁部を重ねると、導電性炭化物が、耐火テープと導体との間に入り難くなると考えられる。しかしながら、従来の耐火ケーブルでは、燃焼によって生じる導電性炭化物の質や量、耐火層への堆積時間によって、導電性炭化物が耐火層の内側に侵入することがあった。また近年、より耐火性能の高い耐火ケーブルが求められている。
そこで、導体の周囲に巻き付ける耐火テープの枚数を増やすこと等が検討されている。耐火テープを複数枚巻き付けた耐火ケーブルでは、耐火テープの内側に導電性炭化物が入り込んだとしても、当該導電性炭化物が導体に到達するまでに時間がかかり、耐火性能が高まると考えられる。しかしながら、当該方法では、導電性炭化物が耐火テープの内側に入り込んでしまうという課題を根本的に解決することができない。また、耐火テープの枚数を増やすと、製造時の工程数が増える、という課題も生じる。
本発明の主な目的は、燃焼時に導電性炭化物が耐火層の内側に入り込み難く、かつ少ない工程数で製造可能な耐火ケーブル、およびその製造方法の提供にある。
本発明者らは、上記課題を解決するための技術的検討を重ね、耐火テープを、一方の側縁部と他方の側縁部側とが重なるように縦添え巻きし、かつその重なり部の幅を、当該耐火テープの内包体の外周長に対して50%以上とすることで、導電性炭化物が耐火層内部に各段に入り込み難くなること、さらには少ない工程数で、耐火ケーブルを製造できること、を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明の一態様によれば、
導体が耐火層および絶縁体層で被覆された耐火絶縁線心を有する耐火ケーブルであり、
前記耐火層が、前記導体の周囲に縦添え巻きされた耐火テープを含み、
前記耐火テープが、一方の側縁部と他方の側縁部側とが重なった重なり部を有し、
前記重なり部の幅が、前記耐火テープの内包体の外周長に対して、50%以上である、
耐火ケーブルが提供される。
また、本発明の他の態様によれば、
導体の周囲に、一方の側縁部と他方の側縁部側とが重なった重なり部が生じるように、耐火テープを縦添え巻きする工程を有し、
前記重なり部の幅を、前記耐火テープの内包体の外周長に対して50%以上とする、
耐火ケーブルの製造方法が提供される。
本発明によれば、燃焼時に導電性炭化物が耐火層の内側に入り込み難く、かつ少ない工程数で製造可能である。
耐火ケーブルの概略断面図である。 耐火層における各耐火テープの巻き付け方法を示す斜視図である。 耐火テープの巻き付け状態を示す概略断面図である。 耐火テープの重なり部の幅を特定する方法を説明する概略図である。 耐火試験(露出試験)の概要を示す図である。 耐火試験(電線管試験)の概要を示す図である。
以下、本発明の好ましい実施形態にかかる耐火ケーブルについて説明し、その後、耐火ケーブルの製造方法について説明する。
本明細書において数値範囲を示す「~」は下限値および上限値を当該数値範囲に含む意味を有している。
(耐火ケーブル)
図1は本実施形態の耐火ケーブル1の概略的な構成を示す断面図である。
図1に示すとおり、本実施形態の耐火ケーブル1は、導体10を、耐火層20と絶縁体層30とで順に被覆した耐火絶縁線心40を含む。耐火ケーブル1は、耐火絶縁線心40を1本のみ含む構造であってもよく、図1に示すように、耐火絶縁線心40を複数本(図1では4本)撚り合わせ、その外周をシース50で被覆した構造であってもよい。
導体10は、電気を導通可能な材料で構成されていればよく、例えば銅から構成される線状の部材である。また、その径は、耐火ケーブルの用途に応じて適宜選択される。
耐火層20は、導体10の外周を被覆する層であり、高温環境下でも導体10を絶縁するための層である。本実施形態の耐火層20は、導体10に縦添えされた、少なくとも1枚の耐火テープ22を含む層であり、図2に示すように、耐火テープ22の周囲には、ガラスヤーン24が巻き付けられている。なお、耐火テープ22を複数有する場合には、耐火テープ22ごとにガラスヤーン24が巻き付けられていてもよく、複数の耐火テープ22を巻き付け後、その外側に1本のガラスヤーン24が巻き付けられていてもよい。
耐火層20が含む耐火テープ22の枚数は1枚であってもよく、2枚以上であってもよいが、2枚が好ましい。耐火テープ22の枚数が2枚であると、耐火ケーブル1の耐火性能が良好になる。その一方で、製造時の工程数を低減できるという利点がある。以下、図3を例に、耐火層20が、2枚の耐火テープ(1枚目の耐火テープ221、および2枚目の耐火テープ222)を含む場合について説明する。ただし、本実施形態の耐火層20の構成は、これに限定されない。なお、図3では、ガラスヤーン24や、絶縁体層30を省略している。
当該耐火層20において、1枚目の耐火テープ221は、一方の側縁部221aと他方の側縁部221b側とが重なるように、すなわち同一の耐火テープ221どうしが重なる部分(本明細書では「重なり部」とも称する)221cが生じるように、導体10の周囲に縦添え巻きされている。一方、2枚目の耐火テープ222は、一方の側縁部222aと、他方の側縁部222b側とが重なるように、すなわち重なり部222cが生じるように、1枚目の耐火テープ221の周囲に巻き付けられている。
各耐火テープ221、222の重なり部221c、222cの幅は、それぞれの耐火テープ221、222の内包体の外周長の50%以上(好ましくは50~100%)に調整されている。重なり部221c、222cの幅が上記範囲であると、耐火ケーブル1の燃焼時に、耐火テープ221、222の内側に導電性炭化物が格段に入り込み難くなる。本明細書における「内包体」とは、各耐火テープ221、222の内側に隣接して配置される部材をいう。例えば、1枚目の耐火テープ221の内包体は導体10であり、2枚目の耐火テープ222の内包体は導体10に巻き付けられた1枚目の耐火テープ221である。また、「重なり部の幅」とは、同一の耐火テープ221、222どうしが重なっている部分の長さであり、図3において、一点鎖線で示す長さである。
ここで、内包体の外周長は実測値であってもよく、内包体の径を測定し、当該径に基づき算出した値であってもよい。一方、重なり部の幅は、耐火ケーブル1の断面を観察し、実測してもよい。一方で、図4に示すように、巻き付けられた状態の耐火テープ22の周囲にマーク250を形成し(図4A)、当該耐火テープ22を巻き戻して、マーク250が形成されなかった領域の幅(長さ)Lを測定してもよい(図4B)。
また、耐火ケーブル1を断面視したときに、1枚目の耐火テープ221の重なり部221cの位置、および2枚目の耐火テープ222の重なり部222cの位置がずれていることが好ましい。本明細書において、「重なり部の位置がずれている」とは、耐火ケーブル1の断面を観察したときに、2つの重なり部221c、222cの少なくとも一部が重なっていない状態をいう。本実施形態では、導体10を囲む耐火テープの枚数が略均等になるように、1枚目の耐火テープ221の重なり部221c、および2枚目の耐火テープ222の重なり部222cの位置が調整されていることがより好ましい。
例えば、図3に示すように、各重なり部221c、222cの幅が、内包体の外周長に対して略50%であり、1枚目の耐火テープ221の重なり部221bと、2枚目の耐火テープ222の重なり部222cとが、略半周ずれていると、導体10を囲む耐火テープ22の枚数が、いずれの位置でも3枚となる。このように1枚目の耐火テープ221および2枚目の耐火テープ222を配置すると、2枚の耐火テープで3枚の耐火テープを巻き付けた場合と同等の厚みを持たせることができる。さらに、耐火テープを3枚巻き付けた場合より、導電性炭化物が格段に耐火層20(耐火テープ221、222)の内側に侵入し難くなる。
なお、複数の耐火テープ221、222の巻き付け方向は、同一であってもよく異なっていてもよいが、上述のように、耐火ケーブル1の断面において、導体10の周囲の耐火テープ22の枚数にばらつきが生じ難いように調整されていることが好ましい。
ここで、上記耐火テープ22は、高温でも絶縁性を発揮する層であればよく、一般的にマイカテープである。マイカは暗緑色を呈する天然鉱物であり(「雲母」とも称される)、電気絶縁性、耐熱性に優れる物質である。マイカそのものは鉱物であるが、テープ状に加工されると、良好な可撓性を示し、ケーブルに好適な材料となる。マイカテープは、ガラスクロスにマイカを接着したガラスマイカテープであってもよく、ポリエチレン等のプラスチックフィルムにマイカを接着したプラスチックマイカテープであってもよい。なお、耐火テープ22は、マイカテープ以外のテープであってもよい。
また、ガラスヤーン24は、特に制限されず、公知のガラスヤーンとすることができる。また、ガラスヤーン24の巻き付けピッチは、導体10の径等に応じて適宜選択される。
絶縁体層30は、上述の耐火層20を被覆する層である。
絶縁体層30は、塩化ビニル樹脂、ポリオレフィン等を押出して形成される。ポリオレフィンの例には、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン・アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン・アクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・プロピレン・ジエン三元共重合体、エチレン・ブテン共重合体等が含まれる。また、ポリオレフィンの例には、メタロセン触媒によりエチレンにプロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、オクテン等のα-オレフィンや環状オレフィン等を一種または二種以上共重合させた共重合体も含まれる。これらは単独または混合して使用される。
耐火性能、環境保全性などの観点から、絶縁体層30の材料として、低密度ポリエチレン(LDPE)を含むことが好ましく、低密度ポリエチレン(LDPE)単独がより好ましい。
絶縁体層30は、上記塩化ビニル樹脂やポリオレフィン等の絶縁性の樹脂以外に、酸化防止剤、紫外線安定剤等の添加剤を必要に応じて含んでいてもよい。
ただし、難燃剤を含むと、絶縁体層30の電気特性や耐水性等が低下する場合があるため、難燃剤は含まないことが好ましい。
ここで、耐火ケーブル1では、上述の導体10、耐火層20および絶縁体層30を有する耐火絶縁線心40が、複数本(図1の例では4本)撚り合わせられていてもよい。耐火絶縁線心40の撚りピッチは電気用品安全法に基づいた値を有している。耐火絶縁線心40の撚り合わせ方向は、特に制限されないが、上述のガラスヤーン24の巻き付け方向と同一であると、導体10と耐火層20との間に隙間が生じ難くなるため好ましい。
シース50は、上述の撚り合わせた耐火絶縁線心40を被覆する層であり、例えば、塩化ビニル樹脂やポリオレフィン、もしくはこれらの樹脂に難燃剤を配合した難燃性ポリマー等を押出して形成される。ポリオレフィンの種類は、上述の絶縁体層30で挙げたポリオレフィンと同様である。当該ポリオレフィンは、単独または混合して使用される。
シース50の材料としては、上記の中でも、塩化ビニル樹脂;難燃性ポリエチレン;ポリエチレンと、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン・アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン・アクリル酸メチル共重合体(EMA)等のエチレン系コポリマーとの混合ポリマーに難燃剤を配合した組成物;が、難燃性、耐火性能、耐外傷性、耐候性等の観点で好ましい。また、端末処理の際の被覆(シース)除去性の観点からは、難燃性ポリエチレンが特に好ましい。
シース50が含む難燃剤の例には、酸化アンチモン、酸化モリブデン等の金属酸化物;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の金属水和物;ハロゲン系難燃剤;赤リン等のリン系難燃剤等が含まれる。
これらの中でも、環境保全性の観点から、ノンハロゲン系の難燃剤が好ましく、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の金属水和物が好ましい。
また、シース50は、必要に応じて、架橋剤、架橋助剤、酸化防止剤、滑材等をさらに含んでいてもよい。また、シース50は、電子線や有機過酸化物等で架橋されてもよい。
(耐火ケーブルの製造方法)
次に、耐火ケーブル1の製造方法について説明する。以下では、耐火層20が2枚の耐火テープ221、222を有する場合を例に説明するが、当該製造方法に限定されない。
まず、導体10に、1枚目の耐火テープ221を縦添え巻きする。このとき、一方の側縁部221aと他方の側縁部221b側とが重なるように、すなわち重なり部221cが生じるように、巻き付ける。次に、1枚目の耐火テープ221の周囲に、2枚目の耐火テープ222を縦添え巻きする。このときも、一方の側縁部222aと他方の側縁部222b側とが重なるように、すなわち重なり部222cが生じるように、巻き付ける。また2枚目の耐火テープ222を巻き付ける際には、1枚目の耐火テープ221の重なり部221cと、2枚目の重なり部222cとがずれるように、2枚目の耐火テープ221の巻き始めの位置や、巻きつけ方向を調整する。例えば、2枚目の耐火テープ222の巻き始めの位置(一方の側縁部222aの位置)を、1枚目の耐火テープ221の巻き終わり位置(他方の側縁部221bの位置)の近傍に設定し、1枚目の耐火テープ221および2枚目の耐火テープ222の巻きつけ方向を同一にすると、図3に示すように、2つの重なり部221c、222cを大きくずらすことができる。その結果、導体10の全周に亘って、耐火テープ22の枚数が均一になりやすくなる。
その後、2枚目の耐火テープ222の外周にガラスヤーン24をらせん状に巻き付け(ガラスヤーン24で押え巻きし)、耐火層20を形成する。ガラスヤーン24の巻き付け方向は、2枚の耐火テープ221、222の巻き付け方向と同一であってもよく、異なっていてもよい。
続いて、耐火層20の外側に絶縁材料を押し出し被覆し、絶縁体層30(耐火絶縁線心40)を形成する。得られた耐火絶縁線心40を複数本撚り合わせる。
当該工程では、耐火層20のガラスヤーン24の巻き付け方向Aに合わせて耐火絶縁線心40の撚り合わせ方向を設定することが好ましい。本実施形態では、ガラスヤーン24の巻き付け方向が右巻きであるため、耐火絶縁線心40の撚り合わせ方向も右撚りとしている。
その後、耐火絶縁線心40の当該撚り合わせ体を押出機に送り出し、その外周にシース材料を押し出し被覆してシース50を形成する。このような工程の処理を実行することにより耐火ケーブル1を製造することができる。
(本発明の効果)
上述のように、本発明の耐火ケーブル、もしくは本発明の耐火ケーブルの製造方法で得られる耐火ケーブルは、一方の側縁部と他方の側縁部側とが重なった重なり部を有し、各耐火テープの重なり部の幅が、当該耐火テープの内包体の外周長に対して、50%以上である。そのため、耐火ケーブルが燃焼したときに、導電性炭化物が耐火層(耐火テープ)の周囲に生じたとしても、耐火テープの側縁部側から、非常に入り込み難い。また、当該耐火ケーブルは、耐火テープの巻き付け工程数が少ないにも関わらず、巻き付け枚数を増やしたときと同様の耐燃焼性が得られる。
(その他)
上述の説明では、主に耐火テープが2枚である場合を例に説明したが、耐火テープの数は1枚であってもよく、さらに3枚以上であってもよい。いずれの場合においても、耐火テープの重なり部から導電性炭化物が耐火テープの内側に入り込み難く、上述の効果が得られる。
なお、耐火層が耐火テープを2枚以上含む場合、いずれか1つの耐火テープの重なり部の幅が、上述の特定を満たしていればよく、一部の耐火テープの重なり部の幅が、上述の特定を満たしていなくてもよい。ただし、全ての耐火テープの重なり部の幅が、上述の特定を満たすことが、耐火ケーブルの耐燃焼性等の観点で好ましい。
(1)実施例1
[比較例用サンプル]
直径1.0mm(外周長3.1mm)の銅導体を準備した。
幅6mmのマイカテープ(耐火テープ、1枚目)を準備した。そして、当該マイカテープを、上記銅導体の周囲に、重なり部が生じるように巻き付けた。重なり部の幅は、1.2mmであり、銅導体の外周長に対して38%であった。重なり部の幅は、図4に示す方法で特定した。具体的には、巻き付け後のマイカテープ22の外周面に、一周に亘ってマーク250を形成した(図4A)。そして、当該マイカテープ22をはがし、マーク250が形成されていない部分の幅Lをノギス等で確認した(図4B)。
また、1枚目のマイカテープ巻き付け後のサンプルの外径をノギスで測定したところ、約2mmであり、その外周長は、約5mmであった。続いて、幅8mmのマイカテープ(耐火テープ、2枚目)を準備し、上記1枚目のマイカテープの外側に、重なり部が生じるように縦添え巻きし、ガラスヤーンをさらに巻き付けた。2枚目のマイカテープの重なり部の幅は、1.8mmであり、1枚目のマイカテープ巻き付け後のサンプルの外周長に対して35%であった。重なり部の幅は、上記と同様に特定した。これにより、導体の全周囲に、少なくとも2枚のマイカテープが配置された。
上記耐火層(2枚目のマイカテープ)の外側に、低密度ポリエチレン(LDPE)を押し出し被覆し、外径約4mmの絶縁体層を形成し、耐火絶縁線心を得た。そして、耐火絶縁線心を30本撚り合わせた。30本の耐火絶縁線心を互いに識別するため、絶縁体層に1~30のナンバリングをそれぞれ印字した。
その後、耐火絶縁線心の撚り合わせ体を押出機に送り出し、その外周に難燃性ポリエチレン(酸素指数(JIS K7201)27)を押し出し被覆して、外径約28mmのシースを形成した。
[実施例用サンプル]
直径1.0mm(外周長3.1mm)の銅導体を準備した。
幅8mmのマイカテープ(1枚目)を準備し、当該マイカテープを、上記銅導体の周囲に、重なり部が生じるように巻き付けた。重なり部の幅は約2.5mmであり、銅導体の外周長に対して90%であった。重なり部の幅は、上記と同様に特定した。
また、1枚目のマイカテープ巻き付け後のサンプルの外径は、約2mmであり、その外周長は、約5mmであった。続いて、幅10mmのマイカテープ(2枚目)を準備し、上記1枚目のマイカテープの外側に、重なり部が生じるように縦添え巻きし、ガラスヤーンをさらに巻き付けた。2枚目のマイカテープの重なり部の幅は3.0mmであり、1枚目のマイカテープ巻き付け後のサンプルの外周長に対して54%であった。2枚目のマイカテープの重なり部の幅も、上記と同様に特定した。なお、2枚目のマイカテープを巻き付ける際、1枚目のマイカテープの重なり部と、2枚目のマイカテープの重なり部とがずれるように、1枚目のマイカテープと、2枚目のマイカテープとを、同じ方向に巻き付けるとともに、2枚目のマイカテープの巻き始めの位置を、1枚目のマイカテープの巻き終わりの位置近傍とした。これにより、導体の全周囲に、少なくとも3枚のマイカテープが配置された。
上記耐火層(2枚目のマイカテープ)の外側に、低密度ポリエチレン(LDPE)を押し出し被覆し、外径約3.9mmの絶縁体層を形成し、耐火絶縁線心を得た。そして、耐火絶縁線心を30本撚り合わせた。30本の耐火絶縁線心を互いに識別するため、絶縁体層に1~30のナンバリングをそれぞれ印字した。その後、耐火絶縁線心の撚り合わせ体を押出機に送り出し、その外周に難燃性ポリエチレン(酸素指数(JIS K7201)27)を押し出し被覆して、外径約28mmのシースを形成した。
[サンプルの絶縁性能評価]
上記サンプルに対し、JCS 7502 ケーブル耐火試験方法(小型加熱炉)に順じ、以下の耐火試験を行った。
本試験では、図5および図6に示すように、露出試験と電線管試験との2種の試験を実施した。露出試験(図5)では1.3mのケーブルを被試験体として使用し、ケーブル自重の2倍の荷重をかけながら耐火試験を実施した。電線管試験(図6)では1.3mのケーブルを被試験体として使用し、これを長さ400mmの金属製電線管に挿入して電線管の両端をロックウールで充填し、耐火試験を実施した。
当該耐火試験に際し、その耐火試験前後および耐火試験中の絶縁耐力や絶縁抵抗を観察し測定した。観察結果および測定結果を表1に示す。絶縁耐力は表1に記載の一定電圧を一定時間印加し、絶縁破壊が起こったかどうかを評価しており、絶縁破壊が生じなかった場合を「良」としている。絶縁抵抗は測定装置から読み取った値に対し心数(30心)を乗じた結果を示している。
併せて、耐火試験終了後に、各サンプルに対し電圧を印加していき、当該サンプルが絶縁破壊を起こす電圧値(破壊電圧)および燃焼性も測定した。燃焼性は、試験後のケーブルの炭化長さ(燃焼距離)を金属製の定規で測定した。測定結果を表1に示す。
Figure 2023165476000002
[結果]
露出試験における燃焼終了時(30分経過後)に、比較例用サンプルの絶縁抵抗値は約10.5~13.5MΩであったが、実施例用サンプルの絶縁抵抗値は75~100MΩであり、実施例用サンプルのほうが、非常に優れた値を示していた。また、燃焼終了後の1500V/1分耐電圧試験においても、比較用サンプルは、2つとも不合格であったのに対して、実施例用サンプルは8つ全てにおいて合格であった。各耐火テープの重なり部の幅を、内包体の外周の50%以上としたことで、燃焼時に生じた導電性炭化物が重なり部を通り抜け難くなり、絶縁抵抗値が低くなり難かったと推察される。また、マイカテープの最小巻き数が、3枚となったことで、導体と耐火ケーブル表面(アース)との間に物理的な距離が確保され、耐電圧試験の結果が良好になったと考えられる。
(2)実施例2
上記の実施例1の比較例用サンプルおよび実施例用サンプルと同様に、導体の周囲に2枚のマイカテープを含む耐火層を形成した。そして、当該耐火層(2枚目のマイカテープ)の外側に、低密度ポリエチレン(LDPE)を押し出し被覆し、外径約20mmの絶縁体層を形成して耐火絶縁線心を得た。そしてその外周に難燃性ポリエチレン(酸素指数(JIS K7201)27)を押し出し被覆した後、線心を3本撚り合わせた。当該撚り合わせ体は外径が49mmであった。
上記評価1と同様の絶縁耐力、破壊電圧、および燃焼性について、60分行ったときの結果を表2に示す。
Figure 2023165476000003
[結果]
露出試験における燃焼終了時(60分経過後)に、比較例用サンプルの絶縁抵抗値は規格値を満たさなかったが、実施例用サンプルの絶縁抵抗値は3~30MΩであり規格値を満たすだけでなく、非常に優れた値を示していた。また、燃焼終了後の1500V/1分耐電圧試験においても、比較用サンプルは、2つとも不合格であったのに対して、実施例用サンプルは6つ全てにおいて合格であった。また、燃焼終了後の耐圧試験においても、実施例用サンプルでは、全て良好な結果であった。各耐火テープの重なり部の幅を、内包体の外周長の50%以上としたことで、燃焼時に生じた導電性炭化物が重なり部分を通り抜け難くなり、絶縁抵抗値が低くなり難かったと推察される。また、マイカテープの最小巻き数が、3枚となったことで、導体と耐火ケーブル表面(アース)との間に物理的な距離が確保され、耐電圧試験の結果が良好であったと考えられる。
本願発明の耐火ケーブルは、燃焼時に導電性炭化物が耐火層の内側に入り込み難く、かつ少ない工程数で製造可能である。したがって、当該耐火ケーブルは、高い耐燃焼性が要求される用途にも使用可能である。
1 耐火ケーブル
10 導体
20 耐火層
22 耐火テープ
24 ガラスヤーン
30 絶縁体層
40 耐火絶縁線心
50 シース
221 1枚目の耐火層
221a、222a 一方の側縁部
221b、222b 他方の側縁部
221c、222c 重なり部
222 2枚目の耐火層

Claims (4)

  1. 導体が耐火層および絶縁体層で被覆された耐火絶縁線心を有する耐火ケーブルであり、
    前記耐火層が、前記導体の周囲に縦添え巻きされた耐火テープを含み、
    前記耐火テープが、一方の側縁部と他方の側縁部側とが重なった重なり部を有し、
    前記重なり部の幅が、前記耐火テープの内包体の外周長に対して、50%以上である、
    耐火ケーブル。
  2. 請求項1の耐火ケーブルにおいて、
    前記導体の周囲に、2枚の耐火テープが、それぞれ前記重なり部を有するように縦添え巻きされており、
    前記耐火ケーブルを断面視した場合に、先に縦添え巻きされた耐火テープの前記重なり部と、後に縦添え巻きされた耐火テープの前記重なり部とがずれている、
    耐火ケーブル。
  3. 導体の周囲に、一方の側縁部と他方の側縁部側とが重なった重なり部が生じるように、耐火テープを縦添え巻きする工程を有し、
    前記重なり部の幅を、前記耐火テープの内包体の外周長に対して50%以上とする、
    耐火ケーブルの製造方法。
  4. 請求項3に記載の耐火ケーブルの製造方法において、
    前記耐火テープを縦添え巻きする工程を2回行い
    先に縦添え巻きする耐火テープの前記重なり部と、後に縦添え巻きする耐火テープの前記重なり部とをずらして配置する、
    耐火ケーブルの製造方法。
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