JP6111448B2 - 耐火ケーブル - Google Patents

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本発明は、ビルや地下街などの防災設備の電気配線に使用される耐火ケーブルに関する。
ビルや地下街などの防災設備の電気配線に使用する耐火ケーブルとして、例えば、導体上にマイカ箔を主体とする耐火テープを巻き付けて耐火層を形成し、その上にポリエチレン、架橋ポリエチレンなどからなる絶縁体層を設け、さらに、その上に塩化ビニル樹脂や難燃化ポリエチレンなどからなるシースを設けたもの、あるいは、導体上に耐火テープを巻き付けて耐火層を形成し、その上にポリエチレン、架橋ポリエチレンなどからなる絶縁体層を設けて耐火絶縁線心とし、これを複数本、例えば3本撚り合わせ、その外周に塩化ビニル樹脂や難燃化ポリエチレンなどからなるシースを設けたものなどが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
しかしながら、このような耐火ケーブルにおいては、「消防庁告示第10号」に規定された耐火性の基準(JIS A 1304に定める火災曲線(840℃−30分)の温度条件下でも給電が可能である)を満たすまでの耐火性能は得られるものの、それより高い耐火性能を得ようとすると、耐火テープの巻回数を増やすなどの対策が必要であった。これは、主として、耐火テープを構成するマイカ箔が、燃焼時に耐火ケーブルの絶縁体層やシースから発生するイオン性ガスによって浸食される結果、耐火テープの性能が低下することによるものと考えられ、したがって、3心ケーブルなど、絶縁体層やシースの量が多くなればなるほど、耐火ケーブルの性能は低下した。そして、耐火テープの巻回数を増加させた場合には、作業性を低下させるだけでなく、製造コストを増大させ、また、耐火ケーブルの外径や重量を増大させるという問題を生じる。
このため、耐火テープの巻回数を増やすことなく、耐火性能をより向上させることができる耐火ケーブルが求められている。
特開2001−202833号公報
本発明は、上記従来技術の課題を解決するためになされたものであり、耐火テープの巻回数を増加させることなく、耐火性能を向上させることができる耐火ケーブルを提供することを目的としている。
本発明は、以下の[1]〜[6]の構成を有する耐火ケーブルを提供する。
[1]導体上に耐火層および絶縁体層を順に備えた耐火ケーブルであって、前記耐火層は、マイカ箔上にシリカ粉末含有層および補強層を順に備える耐火テープで構成され、前記シリカ粉末含有層は、平均粒径1〜100nmのシリカ粉末が混合された絶縁性接着剤によって形成されており、かつ前記耐火テープは、前記マイカ箔側を前記導体側に向けて巻かれていることを特徴とする耐火ケーブル。
[2]前記マイカ箔に対する前記シリカ粉末の付着量が、1〜6g/mの範囲であることを特徴とする[1]の耐火ケーブル。
[3]前記シリカ粉末は、平均粒径が5〜50nmであることを特徴とする[1]または[2]の耐火ケーブル。
[4]前記絶縁性接着剤は、シリコーン系接着剤であることを特徴とする[1]乃至[3]のいずれかの耐火ケーブル。
[5]前記マイカ箔は表面に微細な凹凸があり、前記シリカ粉末は、前記微細な凹凸内に入り込んでいることを特徴とする[1]乃至[4]のいずれかの耐火ケーブル。
[6]前記シリカ粉末は、前記マイカ箔の表面に層を形成するように付着していることを特徴とする[1]乃至[5]のいずれかの耐火ケーブル。
本発明によれば、耐火テープの巻回数を増加させることなく、耐火性能を向上させることができる耐火ケーブルを提供することができる。
本発明の一実施形態の耐火ケーブルを示す横断面図である。 本発明の一実施形態に使用される耐火テープの一例を示す断面図である。 実施例2および比較例の耐火ケーブルについて測定した絶縁抵抗の経時変化を示す図であり、(a)は露出試験、(b)は電線管試験の結果を示す。
以下、本発明の実施の形態について説明する。説明は図面に基づいて行うが、図面は単に図解のために提供されるものであって、本発明はそれらの図面により何ら限定されるものではない。また、以下の説明において、同一もしくは略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複する説明は省略する。
図1は、本発明の一実施形態の耐火ケーブルを示す横断面図である。
図1に示すように、本実施形態の耐火ケーブル10は、銅などからなる導体11上に、耐火層12、絶縁体層13およびシース14を順に被覆した構造を有する。
耐火層12は、図2に示すように、厚さ約0.15mmの集成マイカ箔(例えば、軟質の無焼成集成マイカ箔)21の片面に、シリカ粉末22aを混合させた絶縁性接着剤(例えば、シリコーン系接着剤)を塗布して、例えば、厚さ約19μmのシリカ粉末含有層22を形成し、その上に、補強層23として、厚さ約25μmのポリエチレン、ポリエステルなどのプラスチックフィルム、あるいはガラスクロステープを積層して作製した耐火テープ20を、導体11上に、マイカ箔21側を導体11側に向けて巻き(例えば、重ね巻きまたは縦添えなど)、その上をガラスヤーン(図示なし)で押え巻きすることにより形成されている。
集成マイカ箔21の片面に、シリカ粉末22aを混合させた絶縁性接着剤を、塗布し、その上に、ポリエチレン、ポリエステルなどのプラスチックフィルムを積層して作製した耐火テープ20は、作製過程で、シリカ粉末22aが集成マイカ箔21上に沈降し、図2に示すように、集成マイカ箔21の表面に層を形成するように付着するため、耐火層12は、集成マイカ箔21上にシリカ粉末22aからなる層を備えた構造となる。
なお、耐火テープ20として、補強層23を構成するポリエチレン、ポリエステルなどのプラスチックフィルム上に、シリカ粉末22aを混合させたシリコーン系接着剤を塗布し、その上に集成マイカ箔21を積層して作製したものを用いることもできるが、この場合には、プラスチックフィルム側にシリカ粉末22aが沈降するため、燃焼時、場合により、多くのシリカ粉末22aが集成マイカ箔21から剥がれて、十分にその機能を発揮できないおそれがある。したがって、シリカ粉末22aの機能を確実に発揮させる観点からは、集成マイカ箔21の片面に、シリカ粉末22aを混合させたシリコーン系接着剤を塗布し、その上に、ポリエチレン、ポリエステルなどのプラスチックフィルムを積層して作製した耐火テープ20を用いることが好ましい。
耐火テープ20に含有させるシリカ粉末22aは、一次粒子の平均粒径が1〜100nmのものであり、好ましくは5〜50nmのものである。平均粒径が1nm未満では、取り扱いが非常に困難となり、逆に平均粒径が100nmを超えると、マイカ箔上への沈降効果が抑制されるため、燃焼時、絶縁体層やシースから発生するイオン性ガスを吸着し分解する機能が低下し、耐火性能を向上させることが困難になる。なお、このシリカ粉末の平均粒径は、例えばレーザ回折式粒度分布測定装置を用いて測定することができる。
また、シリカ粉末22aの付着量(含有量)は、1〜6g/mの範囲が好ましく、2〜5g/mの範囲がより好ましく、3〜4g/mの範囲がより一層好ましい。付着量が1g/m未満では、燃焼時、絶縁体層やシースから発生するイオン性ガスを十分に吸着し分解することができず、耐火性能を十分に向上させることができないおそれがある。また、付着量(含有量)が6g/mを超えると、マイカ箔上への沈降効果が低下し、耐火性能を向上させることが困難になる。また、製造コストも上昇する。さらに、集成マイカ箔21の内部に入り込んだ場合、マイカの積層構造を破壊し、耐火性能をさらに低下させるおそれがある。
シリカ粉末含有層22には、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの水酸化物や、アルミナ、炭酸カルシウムなどの酸化物など、シリカ粉末以外の無機粉末を含有させてもよいが、シリカ粉末以外の無機粉末を含有させることで、耐火性能を向上させる効果が小さくなる。このため、シリカ粉末のみを使用することが好ましい。なお、このようにシリカ粉末以外の無機粉末の使用により、耐火性能を向上させる効果が低下するのは、シリカ粉末以外の無機粉末を併用すると、マイカ箔に直接付着するシリカ粉末の量が相対的に減少することになり、その結果、燃焼時、絶縁体層やシースから発生するイオン性ガスがマイカ箔に到達する量が増えるからと考えられる。
絶縁体層13は、塩化ビニル樹脂、ポリオレフィンなどの押出しにより形成される。ポリオレフィンとしては、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン・アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン・アクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・プロピレン・ジエン三元共重合体、エチレン・ブテン共重合体などが挙げられる。また、メタロセン触媒によりエチレンにプロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、オクテンなどのα‐オレフィンや環状オレフィンなどを共重合させたものなども使用することができる。これらは単独または混合して使用される。耐火性能、環境保全性などの観点からは、なかでも、低密度ポリエチレン(LDPE)の使用が好ましく、低密度ポリエチレン(LDPE)の単独使用が特に好ましい。
絶縁体層13を形成するポリエチレンなどの絶縁材料には、酸化防止剤、紫外線安定剤、難燃剤などの添加剤が必要に応じて添加されていてもよい。絶縁体層13は耐火層12の外周に断面ドーナツ(円環)形状に形成され、その厚さは、通常、0.8〜2.5mmの範囲である。
シース14は、塩化ビニル樹脂、ポリオレフィン、これらの樹脂に難燃剤を配合することにより難燃性を付与した難燃性ポリマーなどの押出しにより形成される。ポリオレフィンとしては、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン・アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン・アクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・プロピレン・ジエン三元共重合体、エチレン・ブテン共重合体などが挙げられる。また、メタロセン触媒によりエチレンにプロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、オクテンなどのα‐オレフィンや環状オレフィンなどを共重合させたものなども使用することができる。これらは単独または混合して使用される。また、難燃性ポリマーに配合される難燃剤としては、酸化アンチモン、酸化モリブデンなどの金属酸化物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの金属水和物、ハロゲン系難燃剤、赤リンなどのリン系難燃剤などが挙げられる。
シース14を形成する材料(シース材料)としては、なかでも、塩化ビニル樹脂、難燃性ポリエチレン、ポリエチレンとエチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン・アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン・アクリル酸メチル共重合体(EMA)などのエチレン系コポリマーとの混合ポリマーに難燃剤を配合したものが、難燃性、耐火性能、耐外傷性、耐候性などの観点から、好ましい。また、環境保全性の観点からは、ノンハロゲン系難燃剤、例えば、水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウムなどの金属水和物により難燃化したポリエチレンまたはポリエチレンとエチレン系コポリマーとの混合ポリマーがより好ましい。さらに、端末処理の際の被覆(シース)除去性の観点からは、難燃性ポリエチレンが好ましい。
シース材料には、必要に応じて、架橋剤、架橋助剤、酸化防止剤、滑材などが添加されていてもよい。また、シース材料は、電子線や有機過酸化物などで架橋してもよい。シース14は絶縁体層13の外周に断面ドーナツ(円環)形状に形成され、その厚さは、通常、1.5〜3.5mmの範囲である。
このように構成される耐火ケーブル10においては、マイカ箔21上に平均粒径1〜100nmのシリカ粉末22aが付着した耐火テープ20を、マイカ箔21側を導体11側に向けて巻く(例えば、重ね巻きまたは縦添えなど)ことにより、耐火層12が形成されているので、燃焼時、絶縁体層やシースから発生するイオン性ガスは、マイカ箔21に到達する前に、マイカ箔21上の平均粒径1〜100nmのシリカ粉末22aにより吸着・分解されるため、マイカ箔21の絶縁性能低下が抑制される。したがって、耐火テープの巻回数を増加させることなく、耐火性能を向上させることができる。
なお、平均粒径1〜100nmのシリカ粉末による吸着は、シリカ粉末表面に存在するシラノール基、特に孤立したシラノール基とイオン性ガスの分子との化学反応による、いわゆる化学的吸着であり、例えば、細孔構造を有するシリカゲルのような、毛細管現象によってイオン性ガス分子を細孔に取り込む、いわゆる物理的吸着ではないため、マイカ箔のイオン性ガスによる絶縁抵抗の低下を大きく抑制することができる。すなわち、物理的吸着では、イオン性ガスの分子は吸着後もそのままイオンとして存在するため、マイカ箔の絶縁性能は低下するが、化学的吸着では、イオン性ガス分子は分解されてしまうため、絶縁抵抗の低下が抑制される。
また、シリカ粉末は、このようなイオン性ガスの吸着分解効果に加え、燃焼時、表面で水が生成され、この水による冷却効果によっても、耐火性能が向上すると考えられる。
なお、以上説明した実施形態は、本発明を単心型の耐火ケーブルに適用した例であるが、本発明はこのような実施形態に限定されるものではなく、多心型の耐火ケーブルをはじめ、各種耐火ケーブルに広く適用できることはいうまでもない。
多心型耐火ケーブルとしては、例えば、図1に示す耐火ケーブル10を複数本(例えば、3本)撚り合わせた構造のものや、導体上に、耐火層および絶縁体層を順に設けて耐火絶縁線心とし、これを複数本(例えば、2本)引き揃え、その外周に、シースを設けた構造のもの、さらには、導体上に、耐火層および絶縁体層を設けた耐火絶縁線心を複数本(例えば、3本)、介在とともに撚り合わせ、押えテープで押え巻きし、その外側にシースを施した構造のものなどが挙げられる。介在には、例えば、ジュートや紙、ポリプロピレンヤーンなどが使用される。また、押えテープには、プラスチックテープなどが使用される。
これらの多心型耐火ケーブルにおいても、マイカ箔上に平均粒径1〜100nmのシリカ粉末を付着させた耐火テープを、マイカ箔側を導体側に向けて巻く(例えば、重ね巻きまたは縦添えなど)ことにより、耐火層が形成されているので、燃焼時、絶縁体層やシースから発生するイオン性ガスは、マイカ箔に到達する前に、マイカ箔に付着させた、平均粒径1〜100nmのシリカ粉末により吸着・分解されるため、マイカ箔の絶縁性能低下が抑制される。したがって、耐火テープの巻回数を増加させることなく、耐火性能を向上させることができる。多心型耐火ケーブルは、単心型の耐火ケーブルに比べ、燃焼時、イオン性ガスを発生する絶縁体層やシースを構成する有機材料が多いため、より顕著な効果が得られる。
次に、本発明の実施例を具体的に記載するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
実施例1〜3
0.15mm厚の軟質の無焼成集成マイカ箔の表面に、表1に示す量のヒュームドシリカ粉末(平均粒径16nm、粒径5〜50nm)を混合させたシリコーンワニスを、その付着量が1.8g/m(実施例1)、3.6g/m(実施例2)または5.4g/m(実施例3)となるように塗布し、さらに、その上に約25μm厚のポリエチレンフィルムを積層して、約0.19mmの耐火テープを製造した。
次いで、得られた耐火テープを、直径2.0mmの銅導体上に、マイカ箔側を導体側に向けて重ね巻きして耐火層を形成した。この耐火層上に、低密度ポリエチレン(密度0.919g/cm、MFR=0.9g/10分)、および、同低密度ポリエチレンに難燃剤を添加した難燃化ポリエチレンを押出しにより順に被覆して、約0.8mm厚の絶縁体層および約1.5mm厚のシースを形成し、単心型耐火ケーブルを製造した。
実施例4
実施例2で得られた単心型耐火ケーブル3本をより合わせて、3心型耐火ケーブルを製造した。
比較例1
約0.15mm厚の軟質の無焼成集成マイカ箔の表面に、シリカ粉末未配合のシリコーンワニスを塗布し、その上に約25μm厚のポリエチレンフィルムを積層して、従来型の 約0.19mmの耐火テープを製造した。
得られた耐火テープを用いて、実施例と同様に、耐火層を形成し、さらに、この耐火層上に、絶縁体層およびシースを形成して、単心型耐火ケーブルを製造した。
比較例2
比較例1で得られた単心型耐火ケーブル3本をより合わせて、3心型耐火ケーブルを製造した。
上記各実施例および各比較例で得られた単心型または3心型耐火ケーブルについて、消防庁告示第10号に基づく耐火試験(840℃−30分間)を行い、耐火性を評価した。また、消防庁告示第10号に基づく耐火試験(840℃−30分間)直後、および加熱条件を925℃、60分に延長した耐火試験直後の絶縁抵抗および絶縁破壊電圧を測定した。これらの結果を表1に併せ示す。
なお、表1には、各実施例および比較例で作製した耐火テープについて測定した耐火試験(925℃−60分間)後の絶縁破壊電圧を併せ示した。この測定は、各耐火テープから切り出した2枚の試験片を塩化ビニル樹脂からなるシートを介して重ね合わせ、925℃−60分間の雰囲気で加熱し、その直後、重ね合わせた2枚の試験片の両面に電極を配置して行ったものである。
さらに、実施例2および比較例1について、加熱開始からの絶縁抵抗の経時変化を調べた。これらの結果を図3に示す。図3(a)は露出試験による結果、また、図3(b)は電線管試験による結果を示している。
Figure 0006111448
表1からも明らかなように、シリカ粉末をマイカ箔上に付着させた耐火テープを用いた実施例では、いずれも従来型の耐火ケーブルに比べて耐火性能、特に耐火試験後の絶縁破壊電圧が向上しており、なかでも、シリカ粉末の付着量が2〜5g/mmの範囲にある実施例2で、耐火試験後の絶縁破壊電圧が大きく増大した。また、その効果は、単心型よりイオン性ガスの発生量の多い多心型耐火ケーブルで大きく、このことから、シリカ粉末によるイオン性ガスの吸着・分解が耐火性の向上に大きく寄与したと推定される。
また、耐火試験の加熱終了後の絶縁抵抗については、特に、単心型耐火ケーブルの例で比較例と実施例でさほど大きな相違は認められないものの、図3から明らかなように、加熱開始10〜20分後における絶縁抵抗の落ち込みが比較例で大きく、さらに、その落ち込みが、電線管試験で大きくなっていることから、シリカ粉末が、絶縁体層やシースから発生したイオン性ガスを吸着・分解していることがわかる。
10…耐火ケーブル、11…導体、12…耐火層、13…絶縁体層、14…シース、20…耐火テープ、21…マイカ箔、22…シリカ粉末含有層、22a…シリカ粉末、23…補強層。

Claims (6)

  1. 導体上に耐火層および絶縁体層を順に備えた耐火ケーブルであって、
    前記耐火層は、マイカ箔上にシリカ粉末含有層および補強層を順に備える耐火テープで構成され、
    前記シリカ粉末含有層は、平均粒径1〜100nmのシリカ粉末が混合された絶縁性接着剤によって形成されており、かつ
    前記耐火テープは、前記マイカ箔側を前記導体側に向けて巻かれていることを特徴とする耐火ケーブル。
  2. 前記マイカ箔に対する前記シリカ粉末の付着量が、1〜6g/mの範囲であることを特徴とする請求項1記載の耐火ケーブル。
  3. 前記シリカ粉末は、平均粒径が5〜50nmであることを特徴とする請求項1または2記載の耐火ケーブル。
  4. 前記絶縁性接着剤は、シリコーン系接着剤であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の耐火ケーブル。
  5. 前記マイカ箔は表面に微細な凹凸を有し、前記シリカ粉末は、前記微細な凹凸内に入り込んでいることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の耐火ケーブル。
  6. 前記シリカ粉末は、前記マイカ箔の表面に層を形成するように付着していることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の耐火ケーブル。
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