JP2023162902A - 操舵装置 - Google Patents

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Abstract

Figure 2023162902000001
【課題】操作性を向上させることができる操舵装置を提供する。
【解決手段】操舵装置は、操舵ユニットと、転舵ユニットと、制御装置とを有する。操舵ユニットは、車両の転舵輪との間の動力伝達が分離されている。操舵ユニットは、車両を旋回させる際に操作されるレバーと、レバーの操作量を検出するように構成される傾斜角センサと、を有する。転舵ユニットは、転舵輪を転舵させるための力を発生する転舵モータを有する。制御装置は、レバーの操作量に応じて転舵モータを制御するように構成される。制御装置は、傾斜角センサを通じて検出されるレバーの操作量に対して、平滑化処理を実行するように構成される(ステップS102)。
【選択図】図3

Description

本発明は、操舵装置に関する。
従来、ステアリングホイールと転舵輪との間の動力伝達を分離した、いわゆるステアバイワイヤ方式の操舵装置が存在する。操舵装置は、ステアリングホイールを有する操舵ユニットと、転舵輪を転舵させるための力を発生する転舵ユニットとを有している。ステアリングホイールは、運転者の操作対象である操作子である。近年では、操舵ユニットと転舵ユニットとが機械的に繋がっていないことを利用して、ステアリングホイール以外にも様々な操作子が提案されている。たとえば、特許文献1,2には、操作子として、ジョイスティックを使用した操舵装置が記載されている。
米国特許第5086870号明細書 特開平8-34353号公報
一般に、ステアリングホイールの回転角度範囲は360°以上である。また、ジョイスティックの傾動角度には、たとえば、10°~15°程度である。すなわち、ジョイスティックの傾動角度範囲は、ステアリングホイールの回転角度範囲よりも、遥かに狭い。このため、転舵輪を同一の角度だけ転舵させるために必要とされるジョイスティックの操作量は、ステアリングホイールの操作量に比べて、遥かに少なくてよい。
ジョイスティックを使用することにより、操作者の操作負担を軽減することが可能である。しかし、その反面、ジョイスティックの操作量に対する転舵角の変化量は、ステアリングホイールの操作量に対する転舵角の変化量に比べて、遥かに大きくなる。すなわち、ジョイスティックを少し傾けるだけで、転舵角が大きく変化する。このため、たとえば、転舵輪の切れ過ぎに起因して、操作性が低下するおそれがある。
上記課題を解決し得る操舵装置は、車両の転舵輪との間の動力伝達が分離された操舵ユニットであって、前記車両を旋回させる際に操作される操作子と、前記操作子の操作量を検出するように構成されるセンサと、を有する操舵ユニットと、前記転舵輪を転舵させるための力を発生するモータを有する転舵ユニットと、前記操作子の操作量に応じて前記モータを制御するように構成される制御装置と、を有している。前記制御装置は、前記センサを通じて検出される前記操作子の操作量に対して、平滑化処理を実行するように構成される。
たとえば車両挙動の影響により、操作子が、意図せずに、わずかに位置を変えるおそれがある。この点、上記の操舵装置によれば、操作子の微少な位置変化に起因する操作量の微少な変化が除去される。このため、操作者の意図しない操作子の位置変化が転舵輪の転舵角に反映されることが抑制される。したがって、転舵輪を、操作者の意図する通りに転舵させることができる。
上記の操舵装置において、前記制御装置は、車速に応じて、前記転舵輪の転舵角を調節するための処理を実行するように構成されてもよい。
この構成によれば、転舵輪を車速に応じて、適切に転舵させることができる。
上記の操舵装置において、前記操作子は、前記車両の進行方向に対して、左右方向および前後方向に操作可能に構成されてもよい。前記センサは、前記操作子の左右方向の操作量、および前記操作子の前後方向の操作量を検出可能に構成されてもよい。前記制御装置は、前記操作子の左右方向の操作量に応じて前記転舵輪が転舵するように、前記モータを制御するように構成されてもよい。また、前記制御装置は、前記操作子の前後方向の操作量に応じて、前記操作子の左右方向の操作量を補正するための処理を実行するように構成されてもよい。
操作子が車両の進行方向に対して左右方向および前後方向に操作可能に構成される場合、操作者は、無意識のうちに操作子を前方または後方に操作した状態で、操作子を左右方向に操作するおそれがある。このため、操作者が意図する方向の操作子の操作量が、操作者の意図する本来の操作量と異なるおそれがある。
この点、上記の構成によれば、操作子の前後方向の操作量に応じて、操作子の左右方向の操作量が補正される。この補正処理により、左右方向の操作量を、操作者の意図する本来の操作量に応じた操作量に近づけることができる。したがって、操作者は、意図した通りに車両を操舵することができる。
上記の操舵装置において、前記制御装置は、車速に応じて前記転舵輪の転舵角速度を制限するための処理を実行するように構成されてもよい。
この構成によれば、車速に応じた適切な転舵角速度で転舵輪を転舵させることができる。
上記の操舵装置において、前記制御装置は、前記転舵輪の転舵状態に基づき、前記車両の旋回状態が反映される車両状態量の目標値を演算するとともに、前記目標値に前記車両状態量の実際の値を追従させるフィードバック制御の実行を通じて前記転舵輪の転舵角に反映させるべき補正量を演算し、前記補正量を前記転舵角に反映させるための処理を実行するように構成されてもよい。
この構成によれば、転舵輪の転舵状態に応じた車両の旋回状態が維持される。このため、たとえばカント路を走行する際、いわゆる車両流れの発生を抑制することができる。カント路は、車両の進行方向に直交する車幅方向に傾斜する直線状の傾斜路である。車両流れは、車両がカント路の傾斜の影響を受けることにより、車両が前進するにつれてカント路の高さが低い側へ向かって徐々に下っていくことである。
上記の操舵装置において、前記制御装置は、前記操作子の操作量に応じて、前記転舵輪に連動して回転するシャフトの目標回転角を演算し、前記目標回転角に前記シャフトの実角度が追従するように、前記モータを制御するように構成される。
この構成によれば、転舵輪に連動して回転するシャフトの回転角を制御することにより、転舵輪の転舵角を制御することができる。
上記の操舵装置において、前記制御装置は、前記操作子の操作量が、定められた第1の更新値だけ増加するごとに、前記目標回転角を、定められた第2の更新値だけ増加させるように構成されてもよい。
この構成によれば、操作子の微少な操作に対して、転舵輪の転舵角が過敏に変化することを抑制することができる。
上記の操舵装置において、前記制御装置は、前記目標回転角が変化した場合、前記目標回転角と前記シャフトの実角度との偏差が、定められた徐変期間だけ時間をかけて零になるように、前記モータを制御するように構成されてもよい。
この構成によれば、目標回転角の変化に対して、シャフトの実角度がより滑らかに変化する。このため、より滑らかに転舵輪を転舵させることができる。また、操作子の操作に対して、車両挙動が過敏に変化することが抑えられる。
上記の操舵装置において、前記制御装置は、車速に応じて、前記徐変期間を調節するように構成されてもよい。
この構成によれば、徐変期間を車速Vに応じた適切な時間に設定することができる。
上記の操舵装置において、前記制御装置は、前記操作子を通じて切り込み操作および切り戻し操作が行われる際、前記操作子の操作量の変化に対して、前記目標回転角の絶対値がヒステリシス特性を有するように、前記目標回転角を演算するように構成されてもよい。
この構成によれば、操作子の操作状態に応じて、より適切な目標回転角を設定することができる。このため、操作子の操作状態に応じて、転舵輪をより適切に転舵させることができる。
上記の操舵装置において、前記制御装置は、前記操作子の操作量が増加するにつれて、前記操作子の操作量の変化に対する前記目標回転角の変化の割合がより大きくなるように、前記目標回転角を演算するように構成されてもよい。
この構成によれば、操作子の操作量がより少ない領域においては、操作者の意図しない微少な操作量の変化に起因する車両挙動の変化を抑えることができる。また、操作子の操作量がより多い領域においては、操作子の操作に対する転舵角の応答性を向上させることができる。車両の操縦性も向上する。
上記の操舵装置において、前記操作子は、レバーであってもよい。
レバーは、操作位置の微調整が困難である。上記の操舵装置は、レバーに好適である。
本発明の操舵装置によれば、操作性を向上させることができる。
操舵装置の第1の実施の形態の構成図である。 第1の実施の形態にかかる制御装置のブロック図である。 第1の実施の形態にかかる制御装置の処理手順を示すフローチャートである。 第1の実施の形態にかかるレバー傾角と目標ピニオン角との関係を規定する第1のマップを示すグラフである。 第1の実施の形態にかかる車速と第1のゲインとの関係を規定する第2のマップを示すグラフである。 第1の実施の形態にかかる報知態様の一例を示す表示装置の正面図である。 (a),(b)は、第1の実施の形態にかかる報知態様の一例を示す表示装置の正面図である。 第1の実施の形態にかかる報知態様の一例を示す表示装置の正面図である。 第2の実施の形態にかかる制御装置の処理手順を示すフローチャートである。 第2の実施の形態にかかる前後方向のレバー傾角と第2のゲインとの関係を規定する第3のマップを示すグラフである。 第2の実施の形態にかかる車速とピニオン角速度に対する制限値との関係を規定する第4のマップを示すグラフである。 第2の実施の形態にかかる補正処理部のブロック図である。 第3の実施の形態にかかる制御装置の処理手順を示すフローチャートである。 第3の実施の形態にかかるレバー傾角と目標ピニオン角との関係を規定する第5のマップを示すグラフである。 第3の実施の形態にかかる目標ピニオン角と実ピニオン角との経時的変化を示すグラフである。 第4の実施の形態にかかる車速と設定時間Tの関係を規定する第6のマップを示すグラフである。 第5の実施の形態にかかるレバー傾角と目標ピニオン角との関係を規定する第7のマップを示すグラフである。 第5の実施の形態にかかる制御装置の処理手順を示すフローチャートである。 第5の実施の形態にかかる切り戻し操作時のピニオン角と第7のマップの出力値との大小関係を示すグラフである。 第5の実施の形態にかかる切り込み操作時のピニオン角と第7のマップの出力値との大小関係を示すグラフである。
<第1の実施の形態>
以下、操舵装置の第1の実施の形態を説明する。
<全体構成>
図1に示すように、操舵装置1は、ステアバイワイヤ式の操舵装置である。操舵装置1は、操舵ユニット2、転舵ユニット3、および制御装置4を有している。操舵ユニット2は、車両の進行方向を変更する際、運転者により操作される機構部分である。転舵ユニット3は、車両の転舵輪5を転舵させるための機構部分である。操舵ユニット2と転舵ユニット3との間の機械的な動力伝達は分離されている。制御装置4は、操舵ユニット2の操作状態に応じて、転舵ユニット3の動作を制御する。
操舵ユニット2は、基台2A、およびレバー2Bを有している。基台2Aは、レバー2Bを傾動可能に支持する。レバー2Bは、操作者により操作される操作子である。操作者は、車両の運転者を含む。レバー2Bは、たとえば、車両の進行方向に対する左右方向に傾動可能である。レバー2Bに操作力が加えられていないとき、レバー2Bは中立位置に維持される。中立位置は、車両の直進状態に対応するレバー2Bの位置である。操作者は、車両を進行方向に対して左へ旋回させる場合、レバー2Bを中立位置から左へ傾ける。操作者は、車両を進行方向に対して右へ旋回させる場合、レバー2Bを中立位置から右へ傾ける。レバー2Bに加えられた操作力が解除されると、レバー2Bは、原位置である中立位置に自動復帰する。
操舵ユニット2は、傾斜角センサ2Cを有している。傾斜角センサ2Cは、レバー2Bの傾角θlrを検出する。傾斜角センサ2Cは、レバー2Bの傾角θlrに応じた電気信号を生成する。傾角θlrは、レバー2Bの中立位置を基準とする傾斜角であって、レバー2Bの操作量を示す。レバー2Bが中立位置に対して右へ傾いたとき、傾角θlrは正の値となる。レバー2Bが中立位置に対して左へ傾いたとき、傾角θlrは負の値となる。ただし、レバー2Bの傾動方向と、正負の符号との対応関係は、逆であってもよい。
操舵ユニット2は、たとえば電線であるハーネスを介して、制御装置4に接続される。傾斜角センサ2Cにより検出される傾角θlrは、たとえばハーネスを介して、制御装置4へ送信される。ちなみに、操舵ユニット2は、無線通信によって、傾角θlrを制御装置4へ送信するようにしてもよい。この場合、操舵ユニット2および制御装置4には、通信回路を設ける。通信回路は、無線信号を送信する送信回路、および、無線信号を受信する受信回路を含む。
転舵ユニット3は、ピニオンシャフト21と、転舵シャフト22と、ハウジング23と、を有している。ハウジング23は、ピニオンシャフト21を回転可能に支持する。また、ハウジング23は、転舵シャフト22を往復動可能に収容する。ピニオンシャフト21は、転舵シャフト22に対して交わるように設けられている。ピニオンシャフト21のピニオン歯21aは、転舵シャフト22のラック歯22aと噛み合う。転舵シャフト22の両端には、ボールジョイントからなるラックエンド24を介して、タイロッド25が連結されている。タイロッド25の先端は、転舵輪5が組み付けられた図示しないナックルに連結される。
転舵ユニット3は、転舵モータ31と、伝動機構32と、変換機構33とを備えている。転舵モータ31は、転舵シャフト22に付与する転舵力の発生源である。転舵力は、転舵輪5を転舵させるための力である。転舵モータ31は、たとえば三相のブラシレスモータである。伝動機構32は、たとえばベルト伝動機構である。伝動機構32は、転舵モータ31の回転を変換機構33に伝達する。変換機構33は、たとえばボールねじ機構である。変換機構33は、伝動機構32を介して伝達される回転を、転舵シャフト22の軸方向の運動に変換する。
転舵シャフト22が軸方向に移動することによって、転舵輪5の転舵角θが変更される。ピニオンシャフト21のピニオン歯21aは、転舵シャフト22のラック歯22aと噛み合っている。このため、ピニオンシャフト21は、転舵シャフト22の移動に連動して回転する。ピニオンシャフト21は、転舵輪5の転舵動作に連動して回転するシャフトである。転舵輪5は、車両の直進状態に対応する中立位置を基準として、車両の進行方向に対する左方向または右方向に転舵する。転舵角θの符号は、たとえば、中立位置を基準とする左転舵方向では負であり、右転舵方向では正である。
制御装置4は、転舵モータ31の動作を制御する。制御装置4は、つぎの3つの構成A1,A2,A3のうちいずれか一を含む処理回路を有している。
A1.ソフトウェアであるコンピュータプログラムに従って動作する1つ以上のプロセッサ。プロセッサは、CPU(Central Processing Unit)およびメモリを含む。
A2.各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する特定用途向け集積回路(ASIC)などの1つ以上の専用のハードウェア回路。ASICは、CPUおよびメモリを含む。
A3.構成A1,A2を組み合わせたハードウェア回路。
メモリは、コンピュータで読み取り可能とされた媒体であって、コンピュータに対する処理あるいは命令を記述したプログラムを記憶している。本実施の形態では、コンピュータは、CPUである。メモリは、RAM(Random Access Memory)およびROM(Read Only Memory)を含む。CPUは、メモリに記憶されたプログラムを定められた演算周期で実行することによって各種の制御を実行する。
制御装置4は、車載されるセンサの検出結果を取り込む。センサは、車速センサ41、回転角センサ42、およびヨーレートセンサ43を含む。車速センサ41は、車速Vを検出する。回転角センサ42は、転舵モータ31に設けられている。回転角センサ42は、転舵モータ31の回転角θを検出する。ヨーレートセンサ43は、車両のヨーレートを検出する。制御装置4は、操舵ユニット2の操作状態、および各種のセンサの検出結果に基づき、転舵モータ31の動作を制御する。制御装置4は、操舵ユニット2の操作状態に応じて転舵輪5が転舵されるように、転舵モータ31に対する給電を制御する。
制御装置4は、レバー2Bが中立位置に位置しているとき、転舵輪5が転舵中立位置に維持されるように、転舵モータ31を制御する。転舵中立位置は、車両の直進状態に対応する転舵輪5の位置である。制御装置4は、レバー2Bが中立位置を基準として左に傾いているとき、転舵輪5が車両の進行方向に対して左方向へ転舵するように、転舵モータ31を制御する。制御装置4は、レバー2Bが中立位置を基準として右に傾いているとき、転舵輪5が車両の進行方向に対して右方向へ転舵するように、転舵モータ31を制御する。
制御装置4は、レバー2Bが中立位置を基準として左または右に傾いているとき、傾斜角センサ2Cを通じて検出される傾角θlrに応じた転舵角が実現されるように、転舵モータ31を制御する。また、制御装置4は、レバー2Bが中立位置を基準として左または右に傾いているとき、転舵輪5が、定められた転舵角速度で転舵するように、転舵モータ31を制御する。転舵角速度は、転舵角θの時間変化率である。
制御装置4は、車載される報知装置6の動作を制御する。報知装置6は、情報を運転者の視覚に訴えて報知する表示装置、情報を運転者の聴覚に訴えて報知する警報装置、あるいは情報を運転者に対して体感的に報知する体感発生装置を含んでいてもよい。表示装置は、HUD(Head Up Display)、メーターパネル、ナビゲーションシステムのディスプレイ、LED(Light Emitting Diode)を含む。警報装置は、スピーカあるいはブザーを含む。体感発生装置は、シートなどの運転者に接触する車両装備品を振動させる振動装置を含む。制御装置4は、報知装置6に対する報知制御信号S3を生成する。
<制御装置4の構成>
つぎに、制御装置4の構成について説明する。
図2に示すように、制御装置4は、ピニオン角演算部61、目標ピニオン角演算部62、ピニオン角フィードバック制御部63、通電制御部64、および報知制御部65を有している。
ピニオン角演算部61は、回転角センサ42を通じて検出される転舵モータ31の回転角θに基づき、ピニオン角θを演算する。ピニオン角θは、ピニオンシャフト21の回転角である。転舵モータ31とピニオンシャフト21とは、伝動機構32、変換機構33、および転舵シャフト22を介して連動する。このため、転舵モータ31の回転角θとピニオン角θとの間には相関関係がある。この相関関係を利用して、転舵モータ31の回転角θからピニオン角θを求めることができる。ピニオンシャフト21は、転舵シャフト22と噛み合っている。このため、ピニオン角θと転舵シャフト22の移動量との間にも相関関係がある。すなわち、ピニオン角θは、転舵輪5の転舵角θを反映する値である。回転角センサ42は、ピニオン角θを検出するためのセンサでもある。
目標ピニオン角演算部62は、操舵ユニット2の操作状態、および車両の走行状態に応じて、目標ピニオン角θ を演算する。目標ピニオン角θ は、ピニオン角θの目標値である。目標ピニオン角演算部62は、傾斜角センサ2Cを通じて検出されるレバー2Bの傾角θlr、および、車速センサ41を通じて検出される車速Vを取り込む。目標ピニオン角演算部62は、レバー2Bの傾角θlr、および車速Vを使用して、目標ピニオン角θ を演算する。目標ピニオン角θ は、転舵輪5の転舵動作に連動して回転するシャフトの目標回転角に相当する。
ピニオン角フィードバック制御部63は、目標ピニオン角演算部62により演算される目標ピニオン角θ 、およびピニオン角演算部61により演算されるピニオン角θを取り込む。ピニオン角フィードバック制御部63は、ピニオン角θが目標ピニオン角θ に追従するように、ピニオン角θのフィードバック制御を通じて、転舵トルク指令値T を演算する。転舵トルク指令値T は、転舵力の目標値である。
通電制御部64は、転舵トルク指令値T に応じた電力を転舵モータ31へ供給する。具体的には、通電制御部64は、転舵トルク指令値T に基づき、転舵モータ31に対する電流指令値を演算する。通電制御部64は、転舵モータ31に対する給電経路に設けられた電流センサ66を通じて、給電経路に生じる電流Iの値を検出する。電流Iの値は、転舵モータ31に供給される電流の値である。通電制御部64は、電流指令値と電流Iの値との偏差を求め、当該偏差を無くすように転舵モータ31に対する給電を制御する。これにより、転舵モータ31は転舵トルク指令値T に応じたトルクを発生する。
報知制御部65は、報知装置6の動作を制御する。報知制御部65は、報知装置6に各種の報知動作を実行させるための指令である報知制御信号S3を生成する。報知装置6は、報知制御信号S3に基づき、各種の報知動作を実行する。
報知制御部65は、目標ピニオン角演算部62により演算される目標ピニオン角θ 、およびピニオン角演算部61により演算されるピニオン角θを取り込む。報知制御部65は、目標ピニオン角θ あるいはピニオン角θに基づき、たとえば転舵輪5の転舵状態を表示装置に表示させる。また、報知制御部65は、車両の進路を予測する機能を有することがある。この場合、報知制御部65は、たとえば車速Vおよびピニオン角θに基づき車両の進路を予測し、予測される進路を表示装置に表示させる。また、報知制御部65は、予測される車両の進路に対して、転舵輪5の転舵角θが大きくなり過ぎる場合、その旨報知装置6を通じて運転者に報知する。報知制御部65は、たとえば表示装置に警告を表示させる。報知制御部65は、たとえば警報装置に警報音を発生させる。報知制御部65は、たとえば体感発生装置に振動を発生させる。
<目標ピニオン角の演算処理手順>
つぎに、目標ピニオン角θ の演算処理の手順を図3のフローチャートに従って説明する。フローチャートの処理は、定められた演算周期で実行される。
図3のフローチャートに示すように、制御装置4は、傾斜角センサ2Cを通じて検出されるレバー2Bの傾角θlrを読み込む(ステップS101)。傾角θlrは、傾斜角センサ2Cにより生成される電気信号である。
つぎに、制御装置4は、ステップS101で読み込んだ傾角θlrに対して、フィルタ処理を行う(ステップS102)。フィルタ処理は、たとえば1次遅れフィルタによる処理であって、傾斜角センサ2Cにより生成される電気信号に対する平滑化処理である。傾角θlrは、フィルタ処理を通じて平滑化される。たとえば、車両の走行に伴う微少な振動に起因して、レバー2Bが振動することが想定される。フィルタ処理を通じて、レバー2Bの振動に伴う微少な位置変化に起因する傾角θlrの微少な変化が除去される。振動に伴う微少な位置変化は、操作者が意図しないレバー2Bの位置変化である。
つぎに、制御装置4は、目標ピニオン角θ を演算する(ステップS103)。制御装置4は、第1のマップM1を使用して、目標ピニオン角θ を演算する。
図4のグラフに示すように、第1のマップM1は、レバー2Bの傾角θlrの絶対値と、目標ピニオン角θ の絶対値との関係を規定する二次元マップである。第1のマップM1は、つぎのような特性を有している。すなわち、傾角θlrの絶対値が増加するほど、目標ピニオン角θ の絶対値は、より大きな値となる。目標ピニオン角θ の絶対値は、傾角θlrの絶対値の変化に対して、線形的に変化する。
つぎに、制御装置4は、車速Vを読み込み(ステップS104)、読み込まれる車速Vに基づき第1のゲインGを演算する(ステップS105)。
制御装置4は、第2のマップM2を使用して、第1のゲインGを演算する。第1のゲインGは、ステップS103で演算される目標ピニオン角θ の値を調節するために使用される。第2のマップM2は、車速Vにかかわらず、ヨーレートゲインの値を一定にする観点に基づき設定される。ヨーレートゲインは、レバー2Bの傾角θlr当たりのヨー角速度の大きさである。たとえば、より小さい傾角θlrで転舵輪5の向きを変えるときほど、ヨーレートゲインの値は大きくなる。ヨーレートゲインは、レバー2Bの操作に対する車両応答を反映する値である。
図5のグラフに示すように、第2のマップM2は、車速Vと、第1のゲインGとの関係を規定する二次元マップである。第2のマップM2は、つぎのような特性を有している。すなわち、車速Vの値が第1の車速しきい値V未満の値である場合、第1のゲインGの値は、最大値G11に維持される。最大値G11は、たとえば「1.0」である。車速Vの値が第1の車速しきい値Vに達した以降、車速Vの値が増加するにつれて、第1のゲインGの値は最小値G112へ向けて徐々に減少する。ただし、車速Vの値が増加するほど、車速Vに対する第1のゲインGの変化の割合である傾きは徐々に小さくなる。車速Vの値が第2の車速しきい値Vに達した以降、第1のゲインGの値は、最小値G112に維持される。
つぎに、制御装置4は、最終的な目標ピニオン角θ を演算する(ステップS106)。制御装置4は、次式(1)で示されるように、ステップS103で演算される目標ピニオン角θ に対して、ステップS105で演算される第1のゲインGを乗算することにより、最終的な目標ピニオン角θ を演算する。
θp(n) =θ ・G …(1)
ただし、「θp(n) 」の添字「(n)」は自然数であって、最終的な目標ピニオン角θ の今回値であることを示す。「・」は乗算を示す。
つぎに、制御装置4は、ステップS106で演算される最終的な目標ピニオン角θ に対して、フィルタ処理を行う(ステップS107)。フィルタ処理は、たとえば1次遅れフィルタによる処理である。最終的な目標ピニオン角θ は、フィルタ処理を通じて平滑化される。フィルタ処理によって、たとえば、最終的な目標ピニオン角θ の不連続な変化が平滑化される。また、フィルタ処理によって、たとえば、通常走行で必要とされる車両応答よりも速い周波数成分が除去される。
以上で、目標ピニオン角θ の演算処理が完了となる。
なお、制御装置4は、先のステップS105で演算される第1のゲインGに対して、フィルタ処理を行うようにしてもよい。フィルタ処理は、たとえば1次遅れフィルタによる処理である。第1のゲインGは、フィルタ処理を通じて平滑化される。
<報知の態様>
つぎに、報知装置6を通じた報知態様の一例を説明する。
図6に示すように、制御装置4は、報知装置6を通じて、転舵輪5の転舵状態を報知するようにしてもよい。制御装置4は、表示装置の画面に、たとえばバーインジケータ81を表示させる。制御装置4は、バーインジケータ81を通じて、転舵輪5の転舵状態を視覚に訴えて報知する。バーインジケータ81は、たとえば運転席に着座した運転者からみて、左右方向に延びている。バーインジケータ81は、複数の表示領域に区画されている。中央の表示領域81Aは、転舵輪5の中立位置に対応する。最も左の表示領域81Bは、左方へ転舵する転舵輪5の物理的な限界位置に対応する。最も右の表示領域81Cは、右方へ転舵する転舵輪5の物理的な限界位置に対応する。制御装置4は、目標ピニオン角θ あるいはピニオン角θに基づき転舵輪5の転舵量を認識し、転舵量に応じて各表示領域を点灯させる。各表示領域は、中央の表示領域81Aを基準として、転舵輪5の転舵量に応じて左方または右方に向かって1つずつ順番に点灯する。バーインジケータ81は、表示装置の画面上にソフトウェアで実現したものではなく、ハードウェアとしての表示器であってもよい。
図7(a)に示すように、制御装置4は、報知装置6を通じて、転舵輪5の向きを報知するようにしてもよい。制御装置4は、表示装置の画面に、たとえば仮想的な2本の車線82A、および仮想的な転舵輪82Bを表示させる。制御装置4は、目標ピニオン角θ あるいはピニオン角θに基づき転舵輪5の転舵量を認識し、転舵量に応じて仮想的な転舵輪82Bの向きを変化させる。
図7(b)に示すように、制御装置4は、報知装置6を通じて、転舵輪5の向きを報知するようにしてもよい。制御装置4は、表示装置の画面に、たとえば仮想的なステアリングホイール82Cを表示させる。制御装置4は、目標ピニオン角θ あるいはピニオン角θに基づき転舵輪5の転舵量を認識し、転舵量に応じて仮想的なステアリングホイール82Cの回転位置を変化させる。仮想的なステアリングホイール82Cの回転位置から、転舵輪5の向きを認識することが可能である。
図8に示すように、車両の進路を予測する機能を有する場合、制御装置4は、報知装置6を通じて車両の予測進路を報知するようにしてもよい。制御装置4は、たとえば車速Vおよびピニオン角θに基づき車両の進路を予測し、予測進路83を表示装置に表示させる。表示装置は、HUD(Head-Up Display)であってもよい。HUDは、たとえば車両のフロントウインドウに画像を表示させるディスプレイである。
<第1の実施の形態の効果>
第1の実施の形態によれば、レバー2Bの操作に対する車両挙動の追従性は保ちつつも、操作者が意図していないレバー2Bの操作による車両挙動の変化を抑制することができる。具体的には、以下の通りである。
(1-1)レバー2Bの操作に対する転舵角θの感度は、従来のステアリングホイールの操作に対する転舵角θの感度よりも高い。このため、レバー2Bの微少な操作に対して、車両挙動が過敏に変化するおそれがある。また、レバー2Bは、車両挙動の影響により、意図せずに、わずかに位置を変えるおそれがある。車両挙動の影響は、たとえば、横加速度およびロールの影響による車両挙動の変化を含む。横加速度は、車両が旋回するときの車両の前後方向の垂直面に直交する方向の加速度である。ロールは、車両の重心を前後に貫く軸を中心として、車体を左右に回転あるいは傾斜させる力である。
そこで、制御装置4は、傾斜角センサ2Cを通じて検出されるレバー2Bの傾角θlrに対して、フィルタ処理を行う。フィルタ処理は、傾角θlrに対する平滑化処理である。フィルタ処理によって、たとえば、車両が走行しているときのレバー2Bの振動などに伴う微少な位置変化に起因する、傾角θlrの微少な変化が除去される。このため、操作者の意図しないレバー2Bの位置変化が、目標ピニオン角θ に反映されることを抑制することができる。すなわち、操作者によるレバー2Bの操作に応じた傾角θlrが、目標ピニオン角θ に適切に反映される。したがって、転舵輪5は、操作者の意図する通りに転舵する。また、レバー2Bの振動に伴う微少な位置変化に起因する不安定な車両挙動の発生を抑制することができる。
(1-2)制御装置4は、レバー2Bの操作に対する車両応答、すなわちヨーレートゲインを車速Vによらず一定とするために、つぎの処理を実行する。すなわち、制御装置4は、レバー2Bの傾角θlrに基づき演算される目標ピニオン角θ に第1のゲインGを乗算することにより、最終的な目標ピニオン角θ を演算する。すなわち、車速Vに応じて、目標ピニオン角θ 、ひいては転舵角θが調節される。ステップS105およびステップ106の処理は、転舵輪5の転舵角θを調節するための処理である。
第1のゲインGは、車速Vが速くなるにつれて、より小さい値に設定される。たとえば、低速域の車速Vの場合、レバー2Bの傾角θlrに対する転舵角θの比の値がより大きくなるように、第1のゲインGの値が設定される。中速域および高速域の車速Vの場合、レバー2Bの傾角θlrに対する転舵角θの比の値がより小さくなるように、第1のゲインGの値が設定される。
このため、低速域から高速域までの全車速域において、レバー2Bの操作に対するヨーレートゲインの値を略一定にすることができる。また、レバー2Bの操作に対する車両挙動の変化を略一定にすることができる。したがって、車両の走行安定性、特に中速域および高速域における車両の走行安定性が向上する。レバー2Bの操作に対する車両挙動の過剰な変化を抑制することもできる。ただし、必要とされる車両の応答性は確保される。
低速域は、たとえば「0km/h以上、かつ40km/h未満」の速度域である。中速域は、たとえば「40km/h以上、かつ60km/h未満」の速度域である。高速域は、たとえば「60km/h以上」の速度域である。
(1-3)制御装置4は、最終的な目標ピニオン角θ に対して、フィルタ処理を行う。フィルタ処理によって、たとえば、最終的な目標ピニオン角θ の不連続な変化が平滑化される。また、フィルタ処理によって、たとえば、通常走行で必要とされる車両応答よりも速い周波数成分が除去される。このため、転舵輪5を、より円滑に、かつより適切に転舵させることができる。
(1-4)制御装置4は、レバー2Bの操作量に応じて、ピニオンシャフト21の目標ピニオン角θ を演算する。制御装置4は、目標ピニオン角θ にピニオンシャフト21の実角度が追従するように、転舵モータ31を制御する。この構成によれば、ピニオン角θを制御することにより、転舵輪5の転舵角θを制御することができる。
(1-5)制御装置4は、転舵輪5の転舵状態を視覚に訴えて報知するための処理を実行する。この処理は、報知装置6に、図6~図8に示される表示内容を表示させるための表示制御を含む。このため、車両の運転者は、視覚を通じて転舵輪5の転舵状態を認識することができる。また、操縦性を向上させることができる。
<第2の実施の形態>
つぎに、操舵装置の第2の実施の形態を説明する。本実施の形態は、基本的には、先の図1~図8に示される第1の実施の形態と同様の構成を有する。このため、第1の実施の形態と同様の部材および構成については、その詳細な説明を割愛する。本実施の形態は、レバー2Bの傾動方向、制御装置4の構成、および目標ピニオン角θ の演算処理手順の点で、第1の実施の形態と異なる。
レバー2Bは、車両の進行方向に対して、左右方向だけでなく、前後方向にも傾動可能である。また、レバー2Bは、車両の進行方向に対して、前方または後方に傾けた状態で、左方または右方へ傾けることも可能である。
傾斜角センサ2Cは、レバー2Bの左右方向の傾角θlrを検出する。また、傾斜角センサ2Cは、レバー2Bの前後方向の傾角θfbを検出する。傾角θfbは、レバー2Bの中立位置を基準とする傾斜角である。レバー2Bが中立位置に対して前方へ傾いたとき、傾角θfbは正の値となる。レバー2Bが中立位置に対して後方へ傾いたとき、傾角θfbは負の値となる。ただし、レバー2Bの傾動方向と、正負の符号との対応関係は、逆であってもよい。
図12に示すように、制御装置4は、補正処理部70を有している。補正処理部70は、目標ピニオン角演算部62により演算される目標ピニオン角θ に対して、補正処理を行う。
補正処理部70は、車速センサ41を通じて検出される車速V、目標ピニオン角演算部62により演算される目標ピニオン角θ 、およびヨーレートセンサ43を通じて検出されるヨーレートYRを取り込む。補正処理部70は、目標ヨーレート演算部71、減算器72、フィードバック制御部73、および加算器74を有している。
目標ヨーレート演算部71は、目標ピニオン角θ および車速Vに基づき、目標ヨーレートYRを演算する。目標ヨーレートYRは、ヨーレートYRの目標値である。
減算器72は、目標ヨーレートYRからヨーレートYRを減算することにより、ヨーレート偏差ΔYRを演算する。
フィードバック制御部73は、ヨーレートセンサ43を通じて検出されるヨーレートYRを目標ヨーレートYRに追従させるフィードバック制御の実行を通じて、目標ピニオン角θ に対する補正量θpcを演算する。フィードバック制御部73は、減算器72により演算されるヨーレート偏差ΔYRに対して、比例演算、積分演算および微分演算を実行することにより、補正量θpcを演算する。すなわち、補正量θpcは、ヨーレート偏差ΔYRを入力とする比例要素の出力値、積分要素の出力値、および微分要素の出力値の和である。
加算器74は、フィードバック制御部73により演算される補正量θpcを、目標ピニオン角演算部62により演算される目標ピニオン角θ に加算することにより、最終的な目標ピニオン角θ を演算する。
ピニオン角フィードバック制御部63が、最終的な目標ピニオン角θ に実際のピニオン角θを追従させるフィードバック制御を実行することにより、補正量θpcが反映された転舵角θが実現される。
<目標ピニオン角の演算処理手順>
つぎに、目標ピニオン角θ の演算処理の手順を図9のフローチャートに従って説明する。フローチャートの処理は、定められた演算周期で実行される。
図9のフローチャートに示すように、制御装置4は、傾斜角センサ2Cを通じて検出されるレバー2Bの左右方向の傾角θlrを、および前後方向の傾角θfbを読み込む(ステップS201)。傾角θlr,θfbは、傾斜角センサ2Cにより生成される電気信号である。
つぎに、制御装置4は、第2のゲインGを演算する(ステップS202)。制御装置4は、第3のマップM3を使用して、第2のゲインGを演算する。第2のゲインGは、傾斜角センサ2Cを通じて検出される左右方向の傾角θlrの値を調節するために使用される。これは、レバー2Bが前後左右に傾動可能である場合、操作者は、無意識のうちにレバー2Bを前方または後方に傾けた状態で、レバー2Bを左右方向に操作するおそれがあるからである。たとえば、操作者はレバー2Bを左に傾けているつもりでも、実際には左斜め前へレバー2Bが傾いていることがある。この場合、レバー2Bが前方へ操作される分だけ、左方向のレバー2Bの操作量が、操作者の意図する本来の操作量と異なるおそれがある。このため、レバー2Bの前後方向の操作量に応じて、レバー2Bの左右方向の操作量を調節することが好ましい。右斜め前、左斜め後ろ、および右斜め後ろにレバー2Bが操作されるときも、左斜め前にレバー2Bが操作されるときと同様である。
図10のグラフに示すように、第3のマップM3は、前後方向の傾角θfbと、第2のゲインGとの関係を規定する二次元マップである。第3のマップM3は、つぎのような特性を有している。すなわち、傾角θfbが正の値であるとき、傾角θfbの絶対値が増加するにつれて、第2のゲインGの値が増加する。傾角θfbが負の値であるとき、傾角θfbの絶対値が増加するにつれて、第2のゲインGの値が減少する。第2のゲインGは、傾角θfbの変化に対して、線形的に変化する。傾角θfbの値が「0」であるとき、第2のゲインGの値は「1」である。第2のゲインGは、正の値である。
なお、製品仕様によっては、第3のマップM3の特性を、つぎのように変更してもよい。
図10のグラフに破線で示すように、前後方向の傾角θfbが正の値である場合、傾角θfbが、定められたしきい値θth未満の値であるとき、傾角θfbの値にかかわらず、第2のゲインGの値は「1」に設定される。前後方向の傾角θfbが正の値である場合、傾角θfbが、定められたしきい値θth以上の値であるとき、第2のゲインGの値は「1」よりも小さい値G21に設定される。前後方向の傾角θfbが負の値である場合、傾角θfbの値にかかわらず、第2のゲインGの値は「1」に設定される。
つぎに、制御装置4は、最終的なレバー2Bの傾角θlrを演算する(ステップS203)。制御装置4は、次式(2)で示されるように、ステップS201で読み込まれる左右方向の傾角θlrに対して、ステップS201で演算される第2のゲインGを乗算することにより、最終的なレバー2Bの傾角θlrを演算する。
θlr(n)=θlr・G …(2)
ただし、「θlr(n)」の添字「(n)」は自然数であって、最終的なレバー2Bの傾角θlrの今回値であることを示す。「・」は乗算を示す。
つぎに、制御装置4は、ステップS203で演算されるレバー2Bの傾角θlrに対して、フィルタ処理を行う(ステップS204)。フィルタ処理は、たとえば1次遅れフィルタによる処理である。最終的なレバー2Bの傾角θlr、フィルタ処理を通じて平滑化される。
つぎに、制御装置4は、目標ピニオン角θ を演算する(ステップS205)。制御装置4は、先の図4のグラフに示される第1のマップM1を使用して、目標ピニオン角θ を演算する。
つぎに、制御装置4は、車速Vを読み込み(ステップS206)、読み込まれる車速Vに基づき第1のゲインGを演算する(ステップS207)。制御装置4は、先の図5に示される第2のマップM2を使用して、第1のゲインGを演算する。
つぎに、制御装置4は、最終的な目標ピニオン角θ を演算する(ステップS208)。制御装置4は、先の式(1)で示されるように、ステップS205で演算される目標ピニオン角θ に対して、ステップS207で演算される第1のゲインGを乗算することにより、最終的な目標ピニオン角θ を演算する。
つぎに、制御装置4は、ステップS106で演算される最終的な目標ピニオン角θ に対して、フィルタ処理を行う(ステップS209)。フィルタ処理は、たとえば1次遅れフィルタによる処理である。最終的な目標ピニオン角θ は、フィルタ処理を通じて平滑化される。
つぎに、制御装置4は、転舵角速度の制限処理を実行する(ステップS210)。制御装置4は、車速Vに応じて、ピニオン角速度に対する制限値ωthを演算する。ピニオン角速度は、ピニオン角θの時間変化率であって、転舵角速度を反映する値である。ピニオン角速度は、たとえば、ピニオン角演算部61により演算されるピニオン角θを時間で微分することにより得られる。制御装置4は、第4のマップM4を使用して、制限値ωthを演算する。
図11のグラフに示すように、第4のマップM4は、車速Vと、制限値ωthの絶対値との関係を規定する二次元マップである。第4のマップM4は、つぎのような特性を有している。すなわち、車速Vの値が第3の車速しきい値V未満の値である場合、制限値ωthの絶対値は、最大値ωに維持される。最大値ωは、たとえば「360deg/s」である。車速Vの値が第3の車速しきい値Vに達した以降、車速Vの値が増加するにつれて、制限値ωthの絶対値は最小値ωへ向けて徐々に減少する。ただし、制限値ωthの絶対値は、車速Vの変化に対して線形的に変化する。車速Vの値が第4の車速しきい値Vに達した以降、制限値ωthの絶対値は、最小値ωに維持される。
制御装置4は、制限値ωthの絶対値と、実際のピニオン角速度の絶対値とを比較する。制御装置4は、実際のピニオン角速度の絶対値が制限値ωthの絶対値よりも大きい場合、ピニオン角速度の絶対値を制限する処理を実行する。制御装置4は、実際のピニオン角速度の絶対値が制限値ωthの絶対値以下となるように、転舵モータ31を制御する。制御装置4は、実際のピニオン角速度の絶対値が制限値ωthの絶対値未満である場合、ピニオン角速度の絶対値を制限する処理を実行しない。
つぎに、制御装置4は、目標ピニオン角θ の補正処理を実行する(ステップS211)。制御装置4は、先のステップS208で演算される目標ピニオン角θ 、および車速センサ41を通じて検出される車速Vに基づき目標ヨーレートYRを演算する。制御装置4は、ヨーレートセンサ43を通じて検出されるヨーレートYRを目標ヨーレートYRに追従させるフィードバック制御の実行を通じて、目標ピニオン角θ に対する補正量θpcを演算する。制御装置4は、目標ピニオン角θ に補正量θpcを反映させることにより、目標ピニオン角θ を補正する。
以上で、目標ピニオン角θ の演算処理が完了となる。
<第2の実施の形態の効果>
第2の実施の形態は、先の(1-1)~(1-5)に記載される第1の実施の形態の効果と同様の効果に加え、以下の効果を奏する。
(2-1)レバー2Bは、前後左右の4方向に傾動可能である。この場合、操作者は、無意識のうちにレバー2Bを前方または後方に傾けた状態で、レバー2Bを左右方向に操作するおそれがある。このため、操作者が意図する方向のレバー2Bの操作量が、操作者の意図する本来の操作量と異なるおそれがある。
そこで、制御装置4は、レバー2Bの前後方向の傾角θfbに応じて、左右方向の傾角θlrの値を補正するための処理を実行する。この処理は、ステップS202,S203の処理を含む。
前後方向の傾角θfbに応じて演算される第2のゲインG2を左右方向の傾角θlrに乗算することにより、左右方向の傾角θlrの値が補正される。この補正処理により、左右方向の傾角θlrの値を、操作者の意図する本来の操作量に応じた傾角θlrの値に近づけることができる。したがって、操作者は、意図した通りに車両を操舵することができる。
(2-2)制御装置4は、転舵角速度を車速Vに応じて制限するための処理を実行する。この処理は、ステップS210の処理を含む。この制限処理により、ピニオン角速度は、車速Vに応じて演算される制限値ωthに制限される。制限値ωthの絶対値は、車速Vが速くなるほど、より小さい値に設定される。すなわち、車速Vが速くなるほど、転舵角速度が、より小さい値に制限される。このため、車速Vに応じた適切な転舵角速度で転舵輪5を転舵させることができる。
(2-3)制御装置4は、ステップS208で演算される目標ピニオン角θ に基づき、目標ヨーレートYRを演算する。目標ピニオン角θ は、転舵輪5の転舵状態を反映する車両状態量である。目標ヨーレートYRは、車両の旋回状態が反映される車両状態量であるヨーレートYRの目標値である。制御装置4は、目標ヨーレートYRにヨーレートYRの実際の値を追従させるフィードバック制御の実行を通じて、転舵輪5の転舵角θに反映させるべき補正量θpcを演算する。制御装置4は、補正量θpcを転舵角θに反映させるための処理を実行する。この処理は、ステップS208で演算される目標ピニオン角θ に補正量θpcを加算する処理を含む。
この構成によれば、転舵輪5の転舵状態に応じた車両の旋回状態が維持される。このため、たとえばカント路を走行する際、いわゆる車両流れの発生を抑制することができる。カント路は、車両の進行方向に直交する車幅方向に傾斜する直線状の傾斜路である。車両流れは、車両がカント路の傾斜の影響を受けることにより、車両が前進するにつれてカント路の高さが低い側へ向かって徐々に下っていくことである。
<第3の実施の形態>
つぎに、操舵装置の第3の実施の形態を説明する。本実施の形態は、基本的には、先の図1~図8に示される第1の実施の形態と同様の構成を有する。このため、第1の実施の形態と同様の部材および構成については、その詳細な説明を割愛する。本実施の形態は、目標ピニオン角θ の演算処理手順の点で、第1の実施の形態と異なる。
図13のフローチャートに示すように、制御装置4は、傾斜角センサ2Cを通じて検出されるレバー2Bの傾角θlrを読み込む(ステップS301)。傾角θlrは、傾斜角センサ2Cにより生成される電気信号である。
つぎに、制御装置4は、目標ピニオン角θ を演算する(ステップS103)。制御装置4は、第5のマップM5を使用して、目標ピニオン角θ を演算する。
図14のグラフに示すように、第5のマップM5は、レバー2Bの傾角θlrの絶対値と、目標ピニオン角θ の絶対値との関係を規定する二次元マップである。第5のマップM5は、つぎのような特性を有している。すなわち、レバー2Bの傾角θlrの変化に対して、目標ピニオン角θ の絶対値が階段状に変化する。レバー2Bの傾角θlrの絶対値が、定められた更新値Δθlrだけ増加するごとに、目標ピニオン角θ の絶対値が、定められた更新値Δθ だけ増加する。なお、更新値Δθlrは、第1の更新値である。更新値Δθ は、第2の更新値である。
たとえば、レバー2Bの傾角θlrの絶対値が、中立位置に対応する値である「0」を起点として、第1の傾角しきい値θth1に達するまでの期間、目標ピニオン角θ の絶対値は「0」に維持される。傾角θlrの絶対値が、第1の傾角しきい値θth1に達したとき、目標ピニオン角θ の絶対値は、「0」から第1の値θp1に増加する。なお、第1の傾角しきい値θth1は、「0」よりも更新値Δθlrだけ大きい値である。第1の値θp1は、「0」よりも更新値Δθ だけ大きい値である。
レバー2Bの傾角θlrの絶対値が、第1の傾角しきい値θth1に達してから第2の傾角しきい値θth2に達するまでの期間、目標ピニオン角θ の絶対値は第1の値θp1に維持される。傾角θlrの絶対値が、第2の傾角しきい値θth2に達したとき、目標ピニオン角θ の絶対値は、第1の値θp1から第2の値θp2に増加する。なお、第2の傾角しきい値θth2は、第1の傾角しきい値θth1よりも更新値Δθlrだけ大きい値である。第2の値θp2は、第1の値θp1よりも更新値Δθ だけ大きい値である。
以後、同様に、レバー2Bの傾角θlrの絶対値が更新値Δθlrだけ増加するたびに、目標ピニオン角θ の絶対値が更新値Δθ だけ増加する。
なお、レバー2Bの傾角θlrの絶対値が減少する場合については、レバー2Bの傾角θlrの絶対値が増加する場合と同様である。すなわち、レバー2Bの傾角θlrの絶対値が、定められた更新値Δθlrだけ減少するごとに、目標ピニオン角θ の絶対値が、定められた更新値Δθ だけ減少する。
つぎに、制御装置4は、目標ピニオン角θ が変化したかどうかを判定する(ステップS303)。
制御装置4は、目標ピニオン角θ が変化したと判定されるとき(ステップS303でYES)、次式(3)で示されるように、ステップS302で演算される目標ピニオン角θ と、ピニオン角演算部61により演算されるピニオン角θとの偏差Δθを演算する(ステップS304)。
Δθ=θ -θ …(3)
つぎに、制御装置4は、ピニオン角速度を決定する(ステップS305)。
制御装置4は、ステップS304で演算される偏差Δθが、定められた徐変期間ΔTだけ時間をかけて「0」になるように、ピニオン角θの更新値θp_adを演算する。更新値θp_adは、徐変期間ΔTにおける単位時間当たりのピニオン角θの変化量である。制御装置4は、徐変期間ΔTにおいて、ピニオン角θの値が単位時間ごとに更新値θp_adだけ増加するように、転舵モータ31を制御する。ピニオン角θは、徐変期間ΔTだけ時間をかけて、偏差Δθが「0」になるように補間される。ピニオン角速度は、ピニオン角θの時間変化率である。このため、更新値θp_ad を決めることは、ピニオン角速度を決めることでもある。
制御装置4は、次式(4)を使用して、更新値θp_adを演算する。
θp_ad=Δθ/ΔT …(4)
ただし、「Δθ」は、目標ピニオン角θ とピニオン角θとの偏差である。「ΔT」は、徐変期間である。「/」は、除算を示す。
なお、制御装置4は、先のステップS303において、目標ピニオン角θ が変化したと判定されないとき(ステップS303でNO)、ピニオン角速度を保持し(ステップS306)、処理を終了する。
<目標ピニオン角とピニオン角との経時的変化>
つぎに、目標ピニオン角θ と実際のピニオン角θとの経時的変化の一例について説明する。
図15のグラフに示すように、目標ピニオン角θ が、たとえば車両の直進状態に対応する「0」から第1の目標値θに変化したとき(時刻t1)、第1の偏差Δθが徐変期間ΔTだけ時間をかけて「0」になるように、ピニオン角θが補間される。ピニオン角θは、時刻t1を起点として、第1の目標値θへ向けて徐々に増加する。ピニオン角θは、時刻t1の時点で「0」である。ピニオン角θは、時刻t1を起点として、徐変期間ΔTが経過するタイミングで、第1の目標値θに達する。
第1の偏差Δθは、次式(5)で表される。第1の偏差Δθは、定められた更新値Δθ と同じ値である。
Δθ=θ-θ …(5)
ただし、「θ」はピニオン角であって、ここでは「0」である。
つぎに、ピニオン角θが第1の目標値θに達した後、目標ピニオン角θ が第1の目標値θから第2の目標値θに変化したとき(時刻t2)、第2の偏差Δθが徐変期間ΔTだけ時間をかけて「0」になるように、ピニオン角θが補間される。第2の目標値θは、第1の目標値θよりも大きい値である。ピニオン角θは、時刻t2を起点として、第2の目標値θへ向けて徐々に増加する。ピニオン角θは、時刻t2の時点で第1の目標値θと同じ値である。ピニオン角θは、時刻t2を起点として、徐変期間ΔTが経過するタイミングで、第2の目標値θに達する。
第2の偏差Δθは、次式(6)で表される。第2の偏差Δθは、定められた更新値Δθ と同じ値である。
Δθ=θ-θ …(6)
ただし、「θ」はピニオン角であって、ここでは第1の目標値θと同じ値である。
つぎに、ピニオン角θが第2の目標値θに達した後、目標ピニオン角θ が、第2の目標値θから第3の目標値θに変化したとき(時刻t3)、第3の偏差Δθが徐変期間ΔTだけ時間をかけて「0」になるように、ピニオン角θが補間される。第3の目標値θは、第2の目標値θよりも大きい値である。ピニオン角θは、時刻t3を起点として、第3の目標値θへ向けて徐々に増加する。ピニオン角θは、時刻t3の時点で第2の目標値θと同じ値である。ピニオン角θは、時刻t3を起点として、徐変期間ΔTが経過するタイミングで、第3の目標値θに達する。
第3の偏差Δθは、次式(7)で表される。第3の偏差Δθは、定められた更新値Δθ と同じ値である。
Δθ=θ-θ …(7)
ただし、「θ」はピニオン角であって、ここでは第2の目標値θと同じ値である。
徐変期間ΔTが経過する前に、目標ピニオン角θ の値が変化することもある。たとえば、時刻t3を起点として、徐変期間ΔTが経過する前に、目標ピニオン角θ が、第3の目標値θから第4の目標値θに変化したとき(時刻t4)、第4の目標値θと、時刻t4時点のピニオン角θとの偏差である第4の偏差Δθが徐変期間ΔTだけ時間をかけて「0」になるように、ピニオン角θが補間される。第4の目標値θは、第3の目標値θよりも大きい値である。ピニオン角θは、時刻t4を起点として、第4の目標値θへ向けて徐々に増加する。時刻t4時点のピニオン角θ′は、第2の目標値θよりも大きく、かつ第4の目標値θよりも小さい値である。ピニオン角θは、時刻t4を起点として、徐変期間ΔTが経過するタイミングで、第4の目標値θに達する。
第4の偏差Δθは、次式(8)で表される。第4の偏差Δθは、定められた更新値Δθ よりも大きい値である。第4の偏差Δθは、第3の目標値θと時刻t4時点のピニオン角θ′との差の分だけ、定められた更新値Δθ よりも大きい。
Δθ=θ-θ′ …(8)
目標ピニオン角θ の値が変化するたびに、その変化した時点での偏差Δθが徐変期間ΔTだけ時間をかけて「0」になるように、ピニオン角θが補間される。
目標ピニオン角θ の値が減少する場合についても、目標ピニオン角θ の値が増加する場合と同様である。
図15のグラフに示すように、ピニオン角θが第4の目標値θに達した後、目標ピニオン角θ が第4の目標値θから第3の目標値θに変化したとき(時刻t5)、第5の偏差Δθが徐変期間ΔTだけ時間をかけて「0」になるように、ピニオン角θが補間される。第3の目標値θは、第4の目標値θよりも小さい値である。ピニオン角θは、時刻t5を起点として、第3の目標値θへ向けて徐々に減少する。ピニオン角θは、時刻t5の時点で第4の目標値θと同じ値である。ピニオン角θは、時刻t5を起点として、徐変期間ΔTが経過するタイミングで、第3の目標値θに達する。
第5の偏差Δθは、次式(9)で表される。第5の偏差Δθは、定められた更新値Δθ と同じ値である。
Δθ=θ-θ …(9)
ただし、「θ」はピニオン角であって、ここでは第4の目標値θと同じ値である。
つぎに、ピニオン角θが第3の目標値θに達した後、目標ピニオン角θ が、第3の目標値θから第2の目標値θに変化したとき(時刻t6)、第6の偏差Δθが徐変期間ΔTだけ時間をかけて「0」になるように、ピニオン角θが補間される。第2の目標値θは、第3の目標値θよりも小さい値である。ピニオン角θは、時刻t6を起点として、第2の目標値θへ向けて徐々に減少する。ピニオン角θは、時刻t6の時点で第3の目標値θと同じ値である。ピニオン角θは、時刻t6を起点として、徐変期間ΔTが経過するタイミングで、第2の目標値θに達する。
第6の偏差Δθは、次式(10)で表される。第6の偏差Δθは、定められた更新値Δθ と同じ値である。
Δθ=θ-θ …(10)
ただし、「θ」はピニオン角であって、ここでは第3の目標値θと同じ値である。
徐変期間ΔTが経過する前に、目標ピニオン角θ の値が変化することもある。たとえば、時刻t6を起点として、徐変期間ΔTが経過する前に、目標ピニオン角θ が、第2の目標値θから第1の目標値θに変化したとき(時刻t7)、第4の目標値θと、時刻t7時点のピニオン角θとの偏差である第7の偏差Δθが徐変期間ΔTだけ時間をかけて「0」になるように、ピニオン角θが補間される。第1の目標値θは、第2の目標値θよりも小さい値である。ピニオン角θは、時刻t7を起点として、第1の目標値θへ向けて徐々に減少する。時刻t7時点のピニオン角θ′は、第2の目標値θよりも大きい値である。ピニオン角θは、時刻t7を起点として、徐変期間ΔTが経過するタイミングで、第1の目標値θに達する。
第7の偏差Δθは、次式(11)で表される。第7の偏差Δθは、定められた更新値Δθ よりも大きい値である。第7の偏差Δθは、第2の目標値θと時刻t7時点のピニオン角θ′との差の分だけ、定められた更新値Δθ よりも大きい。
Δθ=θ-θ′ …(11)
目標ピニオン角θ の値が変化するたびに、その変化した時点での偏差Δθが徐変期間ΔTだけ時間をかけて「0」になるように、ピニオン角θが補間される。
<第3の実施の形態の効果>
第3の実施の形態は、先の(1-5)に記載される第1の実施の形態の効果と同様の効果に加え、以下の効果を奏する。
(3-1)レバー2Bの傾角θlrの変化に対して、目標ピニオン角θ の絶対値が階段状に変化する。すなわち、レバー2Bの傾角θlrの絶対値が、定められた更新値Δθlrだけ増加するごとに、目標ピニオン角θ の絶対値が、定められた更新値Δθ だけ増加する。また、レバー2Bの傾角θlrの絶対値が、定められた更新値Δθlrだけ減少するごとに、目標ピニオン角θ の絶対値が、定められた更新値Δθ だけ減少する。このため、レバー2Bの微少な操作に対して、転舵輪5の転舵角θが過敏に変化することを抑制することができる。
(3-2)制御装置4は、目標ピニオン角θ の値が変化したとき、目標ピニオン角θ と実際のピニオン角θとの偏差Δθを、定められた徐変期間ΔTだけ時間をかけて「0」にするように、転舵モータ31を制御する。すなわち、ピニオン角θは、目標ピニオン角θ の値が変化した時点を基準として、徐変期間ΔTだけ経過するタイミングで、目標ピニオン角θ に達する。目標ピニオン角θ の変化に対して、ピニオン角θがより滑らかに変化する。このため、より滑らかに転舵輪5を転舵させることができる。また、操作者がレバー2Bを大まかに操作しても、転舵輪5は滑らかに転舵する。このため、操作者の姿勢を乱すような車両挙動の変化を抑制することができる。レバー2Bの操作に対して、車両挙動が過敏に変化することが抑えられる。
(3-3)ピニオン角θが目標ピニオン角θ に向けて変化している期間において、レバー2Bの操作により目標ピニオン角θ の値が変化した場合、その時点のピニオン角θと目標ピニオン角θ との偏差Δθと、定められた徐変期間ΔTとから、ピニオン角θの新たな更新値θp_adを演算する。すなわち、目標ピニオン角θ の値が変化した時点のピニオン角θと目標ピニオン角θ との偏差Δθが徐変期間ΔTだけ時間をかけて「0」になるように、ピニオン角θが補間される。このため、その時々の状況に応じて、適切なピニオン角速度、ひいては転舵角速度が得られる。応答性を確保しつつ、転舵角θの過敏な変化を抑えることができる。
<第4の実施の形態>
つぎに、操舵装置の第4の実施の形態を説明する。本実施の形態は、基本的には、先の図12~図15に示される第3の実施の形態と同様の構成を有する。このため、第3の実施の形態と同様の部材および構成については、その詳細な説明を割愛する。本実施の形態は、徐変期間ΔTの設定方法の点で、第3の実施の形態と異なる。
制御装置4は、徐変期間ΔTを、車速Vに応じて変化させる。制御装置4は、第6のマップM6を使用して、徐変期間ΔTを演算する。
図16のグラフに示すように、第6のマップM6は、車速Vと、徐変期間ΔTとの関係を規定する二次元マップである。第6のマップM6は、つぎのような特性を有している。すなわち、車速Vが速くなるほど、徐変期間ΔTは、より長い時間となる。徐変期間ΔTは、車速Vの変化に対して、線形的に変化する。
<第4の実施の形態の効果>
第4の実施の形態は、先の(3-1)~(3-3)に記載される第3の実施の形態の効果と同様の効果に加え、以下の効果を奏する。
(4-1)制御装置4は、車速Vに応じて、徐変期間ΔTを調節する。これにより、徐変期間ΔTを、車速Vに応じたより適切な時間に設定することができる。たとえば、車速Vが速くなるほど、徐変期間ΔTは、より長い時間となる。中速域あるいは高速域の車速Vで走行する場合、ピニオン角速度、ひいては転舵角速度の増加が抑えられるため、車両の走行安定性が向上する。また、車速Vが遅くなるほど、徐変期間ΔTは、より短い時間となる。低速域の車速Vで走行する場合、ピニオン角速度、ひいては転舵角速度がより速くなるため、応答性が確保される。
<第5の実施の形態>
つぎに、操舵装置の第5の実施の形態を説明する。本実施の形態は、基本的には、先の図1~図8に示される第1の実施の形態と同様の構成を有する。このため、第1の実施の形態と同様の部材および構成については、その詳細な説明を割愛する。本実施の形態は、レバー2Bの傾動方向、制御装置4の構成、および目標ピニオン角θ の演算処理手順の点で、第1の実施の形態と異なる。
制御装置4は、先の図3のフローチャートの各処理を実行することにより、目標ピニオン角θ を演算する。ただし、制御装置4は、ステップS103において、第7のマップM7を使用して、目標ピニオン角θ を演算する。
図17のグラフに示すように、第7のマップM7は、レバー2Bの傾角θlrの絶対値と、目標ピニオン角θ の絶対値との関係を規定する二次元マップである。第7のマップM7は、切り込み操作時用の特性を示す第1の特性線LAと、切り戻し操作用の特性を示す第2の特性線LBとを有している。目標ピニオン角θ の絶対値は、レバー2Bの傾角θlrの変化に対して、所定のヒステリシス特性を有する。
なお、切り込み操作は、中立位置を基準として、転舵輪5を転舵角θの絶対値が増加する方向へ転舵させようとするレバー2Bの操作である。切り戻し操作は、転舵輪5を中立位置へ戻す方向へ転舵させようとするレバー2Bの操作である。
レバー2Bの中立位置(θlr=0)を基準とする切り込み操作が行われる場合、第1の特性線LAで示されるように、傾角θlrの絶対値が「0」を基準として増加するにつれて、目標ピニオン角θ の絶対値は徐々に増加する。ただし、傾角θlrの絶対値が増加するにつれて、第1の特性線LAの傾きは徐々に大きくなる。傾きは、傾角θlrの絶対値の変化に対する目標ピニオン角θ の絶対値の変化の割合である。
その後、切り戻し操作が行われる場合、目標ピニオン角θ の絶対値は、所定の期間だけ、切り戻し操作が開始された時点の目標ピニオン角θ の絶対値に維持される。所定の期間は、切り戻し操作の開始時点から、傾角θlrの絶対値が第2の特性線LB上の値に達するまでの期間である。
傾角θlrの絶対値が第2の特性線LB上の値に達した以降、第2の特性線LBで示されるように、傾角θlrの絶対値が減少するにつれて、目標ピニオン角θ の絶対値は徐々に減少する。ただし、傾角θlrの絶対値が減少するにつれて、第2の特性線LBの傾きは徐々に小さくなる。また、第2の特性線LBの傾きは、全体的に第1の特性線LAの傾きよりも大きい。
切り戻し操作を行っている途中で、再度、切り込み操作が行われる場合、目標ピニオン角θ の絶対値は、所定の期間だけ、切り込み操作が開始された時点の目標ピニオン角θ の絶対値に維持される。所定の期間は、切り込み操作の開始時点から、傾角θlrの絶対値が第1の特性線LA上の値に達するまでの期間である。傾角θlrの絶対値が第1の特性線LA上の値に達した以降、第1の特性線LAを使用して目標ピニオン角θ が演算される。
<目標ピニオン角の演算処理手順>
つぎに、目標ピニオン角θ の演算処理の手順を図18のフローチャートに従って説明する。フローチャートの処理は、定められた演算周期で実行される。
図18のフローチャートに示すように、制御装置4は、傾斜角センサ2Cを通じて検出されるレバー2Bの傾角θlrを読み込む(ステップS401)。傾角θlrは、傾斜角センサ2Cにより生成される電気信号である。
つぎに、制御装置4は、レバー2Bの状態が保舵された状態であるかどうかを判定する(ステップS402)。
制御装置4は、レバー2Bの状態が保舵された状態であると判定されるとき(ステップS402でYES)、目標ピニオン角θ の今回値θp(n) を、目標ピニオン角θ の前回値θp(n-1) に設定し(ステップS403)、処理を終了する。
先のステップS402において、制御装置4は、レバー2Bの状態が保舵された状態であると判定されないとき(ステップS402でNO)、傾角θlrの今回値θlr(n)の絶対値が、傾角θlrの前回値θlr(n-1)の絶対値よりも大きいかどうかを判定する(ステップS404)。
制御装置4は、傾角θlrの今回値θlr(n)の絶対値が、傾角θlrの前回値θlr(n-1)の絶対値よりも大きいと判定されるとき(ステップS404でYES)、切り込み操作が行われているとして、ステップS405へ処理を移行する。
制御装置4は、ステップS405において、傾角θlrの今回値θlr(n)に基づき第1の特性線LAから得られる目標ピニオン角θpa と、目標ピニオン角θ の前回値θp(n-1) とを比較する。
図19のグラフに示すように、制御装置4は、第1の特性線LAから得られる目標ピニオン角θpa の値が、目標ピニオン角θ の前回値θp(n-1) 以上の値ではないとき(ステップS405でNO)、先のステップS403へ処理を移行する。
制御装置4は、第1の特性線LAから得られる目標ピニオン角θpa の値が、目標ピニオン角θ の前回値θp(n-1) 以上の値であるとき(ステップS405でYES)、目標ピニオン角θ の今回値θp(n) を、第1の特性線LAから得られる目標ピニオン角θpa に設定し(ステップS406)、処理を終了する。
先のステップS404において、制御装置4は、傾角θlrの今回値θlr(n)の絶対値が、傾角θlrの前回値θlr(n-1)の絶対値よりも大きいと判定されないとき(ステップS404でNO)、切り戻し操作が行われているとして、ステップS407へ処理を移行する。
制御装置4は、ステップS407において、傾角θlrの今回値θlr(n)に基づき第2の特性線LBから得られる目標ピニオン角θpb と、目標ピニオン角θ の前回値θp(n-1) とを比較する。
図20のグラフに示すように、制御装置4は、第2の特性線LBから得られる目標ピニオン角θpb の値が、目標ピニオン角θ の前回値θp(n-1) 以下の値でないとき(ステップS407でNO)、先のステップS403へ処理を移行する。
制御装置4は、第2の特性線LBから得られる目標ピニオン角θpb の値が、目標ピニオン角θ の前回値θp(n-1) 以下の値であるとき(ステップS407でYES)、目標ピニオン角θ の今回値θp(n) を、第2の特性線LBから得られる目標ピニオン角θpb に設定し(ステップS408)、処理を終了する。
<第5の実施の形態の効果>
第5の実施の形態は、先の(1-1)~(1-5)に記載される第1の実施の形態の効果と同様の効果に加え、以下の効果を奏する。
(5-1)制御装置4は、レバー2Bを通じて切り込み操作および切り戻し操作が行われる際、レバー2Bのθlrの絶対値の変化に対して、目標ピニオン角θpb の絶対値がヒステリシス特性を有するように、目標ピニオン角θpb を演算する。たとえば、制御装置4は、第7のマップM7を使用して、目標ピニオン角θpb を演算する。第7のマップM7は、切り込み操作時用の特性を示す第1の特性線LAと、切り戻し操作用の特性を示す第2の特性線LBとを有している。
このため、レバー2Bの操作状態が、切り込み操作状態であるか、切り戻し操作状態であるかに応じて、より適切な目標ピニオン角θ を設定することができる。したがって、レバー2Bの操作状態に応じて、転舵輪5をより適切に転舵させることができる。
(5-2)切り込み操作が行われている途中で切り戻し操作が行われる場合、目標ピニオン角θ の絶対値は、所定の期間だけ、切り戻し操作が開始された時点の目標ピニオン角θ の値に維持される(ステップS405でNO→ステップS403)。また、切り戻し操作を行っている途中で切り込み操作が行われる場合、目標ピニオン角θ の絶対値は、所定の期間だけ、切り込み操作が開始された時点の目標ピニオン角θ の値に維持される(ステップS407でNO→ステップS403)。
このため、切り込み操作時、あるいは切り戻し操作時において、操作者の意図しない微少な傾角θlrの変化に起因する車両挙動の変化を抑えることができる。レバー2Bの操作性、および運転の快適性も向上する。
(5-3)レバー2Bの操作量が減少するにつれて、傾角θlrの変化に対する目標ピニオン角θ の変化の割合がより小さくなる。また、レバー2Bの操作量が増加するにつれて、傾角θlrの変化に対する目標ピニオン角θ の変化の割合がより大きくなる。
このため、レバー2Bの操作量が少ないほど、レバー2Bの操作に対して転舵角θがより緩慢に転舵する。また、レバー2Bの操作量が多いほど、レバー2Bの操作に対して転舵角θがより機敏に転舵する。したがって、レバー2Bの操作量がより少ない領域においては、操作者の意図しない微少な傾角θlrの変化に起因する車両挙動の変化を抑えることができる。また、レバー2Bの操作量がより多い領域においては、レバー2Bの操作に対する転舵角θの応答性を向上させることができる。車両の操縦性も向上する。
<他の実施の形態>
なお、各実施の形態は、つぎのように変更して実施してもよい。
・第1および第2の実施の形態において、図4に示される第1のマップM1は、レバー2Bの傾角θlrの絶対値の変化に対して目標ピニオン角θ の絶対値が非線形に変化するように設定してもよい。
・第1および第2の実施の形態において、図5に示される第2のマップM2を、車速Vの変化に対して第1のゲインGが線形的に変化するように設定してもよい。
・第1および第2の実施の形態において、図4に示される第1のマップM1と、図5に示される第2のマップM2とを、単一のマップとして統合してもよい。マップは、2入力1出力のマップであって、レバー2Bの傾角θlrおよび車速Vに基づき、目標ピニオン角θ を演算する。この場合、入力信号であるレバー2Bの傾角θlrおよび車速V、ならびに、出力信号である目標ピニオン角θ のすべてに対して、フィルタ処理を行ってもよい。また、入力信号であるレバー2Bの傾角θlrおよび車速Vのみにフィルタ処理を行ってもよいし、出力信号である目標ピニオン角θ のみにフィルタ処理を行ってもよい。
・第2の実施の形態において、図9のステップS210で実行される転舵角速度の制限処理は、つぎのように変更してもよい。すなわち、目標ピニオン角θ から車両挙動が反映される車両状態量を推定し、推定される車両状態量を制限するようにしてもよい。車両状態量は、たとえば、ヨーレートおよび横加速度を含む。このようにしても、過大な車両挙動を抑制することができる。
・第3および第4の実施の形態において、制御装置4は、ステップS301で読み込んだ傾角θlrに対して、フィルタ処理を行うようにしてもよい。このようにすれば、先の(1-1)に記載の効果と同様の効果を得ることができる。
・第3および第4の実施の形態において、制御装置4は、図5に示される第2のマップM2を使用して、第1のゲインGを演算するようにしてもよい。制御装置4は、図13のフローチャートのステップS302で演算される目標ピニオン角θ に対して、第1のゲインGを乗算することにより、最終的な目標ピニオン角θ を演算する。このようにすれば、先の(1-2)に記載の効果と同様の効果を得ることができる。
・第3および第4の実施の形態において、第5のマップM5の特性は、適宜変更してもよい。たとえば、レバー2Bの傾角θlrに対する更新値Δθlrを、レバー2Bの操作量に応じて異なる値に設定してもよい。たとえば、傾角θlrの値がより小さい領域の更新値Δθlrを、傾角θlrの値がより大きい領域の更新値Δθlrよりも大きい値に設定する。また、目標ピニオン角θ に対する更新値Δθ も、製品仕様などに応じて適宜の値に設定すればよい。
・第4の実施の形態において、図16に示される第6のマップM6は、車速Vの変化に対して徐変期間ΔTが非線形に変化するように設定してもよい。
・第5の実施の形態において、制御装置4は、ステップS401で読み込んだ傾角θlrに対して、フィルタ処理を行うようにしてもよい。このようにすれば、先の(1-1)に記載の効果と同様の効果を得ることができる。
・第5の実施の形態において、制御装置4は、図5に示される第2のマップM2を使用して、第1のゲインGを演算するようにしてもよい。制御装置4は、図18のフローチャートのステップS403、ステップS406またはステップS408で演算される目標ピニオン角θ に対して、第1のゲインGを乗算することにより、最終的な目標ピニオン角θ を演算する。このようにすれば、先の(1-2)に記載の効果と同様の効果を得ることができる。
・第5の実施の形態において、図17に示される第7のマップM7を、つぎのように変更してもよい。たとえば、第1の特性線LAおよび第2の特性線LBは、レバー2Bの傾角θlrの変化に対して目標ピニオン角θ が線形的に変化するように設定してもよい。また、第1の特性線LAのみを線形的に変化するように設定してもよいし、第2の特性線LBのみを線形的に変化するように設定してもよい。また、第7のマップM7は、関数で表すことができない多点情報を有するものであってもよい。
・第1、第3~第5の実施の形態において、制御装置4は、第2の実施の形態と同様に、補正処理部70を有していてもよい。補正処理部70は、目標ピニオン角演算部62により演算される目標ピニオン角θ に対して、補正処理を行う。
・第1~第5の実施の形態では、レバー2Bの傾角θlrに応じて転舵輪5を転舵させるようにしたが、レバー2Bに加えられる操作力に応じて転舵輪5を転舵させるようにしてもよい。操作力は、レバー2Bを操作するために必要とされる力である。この場合、操舵ユニット2には、圧力センサを設ける。圧力センサは、レバー2Bに加わる操作力を検出する。制御装置4は、圧力センサの検出結果に応じて、目標ピニオン角θ を演算する。たとえば、レバー2Bに加わる操作力が増加するにつれて、目標ピニオン角θ の絶対値が増加する。
・第1~第5の実施の形態において、レバー2Bに代えて、ダイヤルを操舵ユニット2の操作子として採用してもよい。ダイヤルは、中立位置を基準として、時計方向または反時計方向へ回転可能である。車両を進行方向に対して右へ旋回させる場合、ダイヤルを時計方向へ回転させる。車両を進行方向に対して左へ旋回させる場合、ダイヤルを反時計方向へ回転させる。この場合、操舵ユニット2には、回転角センサを設ける。回転角センサは、ダイヤルの回転角を検出する。制御装置4は、回転角センサの検出結果に応じて、目標ピニオン角θ を演算する。たとえば、ダイヤルの中立位置を基準とする回転角が増加するにつれて、目標ピニオン角θ の絶対値が増加する。
・操舵装置1は、ステアリングホイールを有していてもよい。操舵ユニット2とステアリングホイールとが共存する場合、たとえば、運転席に設けられるスイッチの操作を通じて、操舵ユニット2とステアリングホイールとの間で、使用する操作子を切り替える。この場合、操舵装置1は、ステアリングホイールに操舵反力を付与する反力機構を有していてもよい。
1…操舵装置
2…操舵ユニット
2B…レバー(操作子)
2C…傾斜角センサ
3…転舵ユニット
4…制御装置
5…転舵輪
21…ピニオンシャフト(シャフト)
31…転舵モータ

Claims (12)

  1. 車両の転舵輪との間の動力伝達が分離された操舵ユニットであって、前記車両を旋回させる際に操作される操作子と、前記操作子の操作量を検出するように構成されるセンサと、を有する操舵ユニットと、
    前記転舵輪を転舵させるための力を発生するモータを有する転舵ユニットと、
    前記操作子の操作量に応じて前記モータを制御するように構成される制御装置と、を有し、
    前記制御装置は、前記センサを通じて検出される前記操作子の操作量に対して、平滑化処理を実行するように構成される操舵装置。
  2. 前記制御装置は、車速に応じて、前記転舵輪の転舵角を調節するための処理を実行するように構成される請求項1に記載の操舵装置。
  3. 前記操作子は、前記車両の進行方向に対して、左右方向および前後方向に操作可能に構成され、
    前記センサは、前記操作子の左右方向の操作量、および前記操作子の前後方向の操作量を検出可能に構成され、
    前記制御装置は、前記操作子の左右方向の操作量に応じて前記転舵輪が転舵するように、前記モータを制御するように構成されるとともに、
    前記操作子の前後方向の操作量に応じて、前記操作子の左右方向の操作量を補正するための処理を実行するように構成される請求項1または請求項2に記載の操舵装置。
  4. 前記制御装置は、車速に応じて前記転舵輪の転舵角速度を制限するための処理を実行するように構成される請求項1または請求項2に記載の操舵装置。
  5. 前記制御装置は、前記転舵輪の転舵状態に基づき、前記車両の旋回状態が反映される車両状態量の目標値を演算するとともに、前記目標値に前記車両状態量の実際の値を追従させるフィードバック制御の実行を通じて前記転舵輪の転舵角に反映させるべき補正量を演算し、前記補正量を前記転舵角に反映させるための処理を実行するように構成される請求項1または請求項2に記載の操舵装置。
  6. 前記制御装置は、前記操作子の操作量に応じて、前記転舵輪に連動して回転するシャフトの目標回転角を演算し、前記目標回転角に前記シャフトの実角度が追従するように、前記モータを制御するように構成される請求項1または請求項2に記載の操舵装置。
  7. 前記制御装置は、前記操作子の操作量が、定められた第1の更新値だけ増加するごとに、前記目標回転角を、定められた第2の更新値だけ増加させるように構成される請求項6に記載の操舵装置。
  8. 前記制御装置は、前記目標回転角が変化した場合、前記目標回転角と前記シャフトの実角度との偏差が、定められた徐変期間だけ時間をかけて零になるように、前記モータを制御するように構成される請求項7に記載の操舵装置。
  9. 前記制御装置は、車速に応じて、前記徐変期間を調節するように構成される請求項8に記載の操舵装置。
  10. 前記制御装置は、前記操作子を通じて切り込み操作および切り戻し操作が行われる際、前記操作子の操作量の変化に対して、前記目標回転角の絶対値がヒステリシス特性を有するように、前記目標回転角を演算するように構成される請求項6に記載の操舵装置。
  11. 前記制御装置は、前記操作子の操作量が増加するにつれて、前記操作子の操作量の変化に対する前記目標回転角の変化の割合がより大きくなるように、前記目標回転角を演算するように構成される請求項10に記載の操舵装置。
  12. 前記操作子は、レバーである請求項1または請求項2に記載の操舵装置。
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