JP2023162520A - 水性インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法 - Google Patents

水性インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法 Download PDF

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Abstract

【課題】加熱及び乾燥機構や反応液を用いずに、耐擦過性が良好な画像を難吸収性記録媒体に記録することが可能な水性インクを提供する。【解決手段】ブリストー法において接触開始から30msec1/2までの水吸収量が3mL/m2以上10mL/m2以下である記録媒体へのインクジェット方式による記録に用いられる水性インクである。この水性インクは、顔料、非プロトン性の含硫黄環状有機溶剤、及び樹脂粒子を含有し、前記樹脂粒子のガラス転移温度が、30℃以上であることを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、水性インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法に関する。
近年、印刷本紙などの、インクの吸収性が低い記録媒体(以下、「難吸収性記録媒体」とも記す。)においても小ロット生産が求められている。インクジェット記録方法は小ロット多品種の記録物を生産するのに適するため注目されている。難吸収性記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法として、有機溶剤を主成分とした溶剤系インクや、重合性モノマーを含有する紫外線硬化型インクを用いた記録方法が知られている。しかし、溶剤系インクは揮発性の有機溶剤を使用するため、多量のVOCが発生すること、UVインクに関しては重合性モノマーの使用や定着時にUV照射が必要となることから、これらの記録方法は環境負荷や安全性の観点で課題が多い。このような理由から、水性インクを使用して難吸収性記録媒体に記録できる記録方法の検討が行われている。
しかし、揮発性の有機溶剤を使用する溶剤系インクと比べて水性インクは乾燥し難く、また、難吸収性記録媒体はインクの吸収性をほぼ持たないためにインクが浸透しにくいことから、定着が遅いことや画像剥がれが発生し易いなどの課題がある。そこで、反応液を用いる方法や、熱を加えることで、乾燥を促進させ、さらにインク中の樹脂をより高分子化させて高い堅牢性を得る方法がよく知られている。反応液を用いる場合は、着色に寄与しない無色のインクを別に準備する必要がある。また、記録媒体以外の箇所での反応液とインクとの接触による、意図せぬ反応に起因した吐出特性への影響を避けるための手厚いメンテナンスが必要になる。加熱工程を用いる場合は、大がかりな装置が必要になる上、省エネルギーや安全性の観点から課題が多い。
印刷本紙などの難吸収性記録媒体は非多孔性表面を有し、液体が浸透するのにより時間を要する。このため、インクの吸収性を持つ記録媒体と比較して、より多くの乾燥時間が要求される。特許文献1には、分子量40~1500の分子からなる非プロトン性極性溶媒を含有する水性インクジェットインクを用いることで、インクの乾燥時間を短縮できることが開示されている。
また、特許文献2には、塩化ビニルに対しての浸透性を有する環状スルホン系、環状ラクタム系、環状イミダゾリジノン系又は環状ラクトン系からなる環状構造を有する溶剤と、バインダーとして機能する樹脂とを含有するインクが開示されている。このインクを用い、かつ、記録の際に記録媒体(塩化ビニル)の裏面より加温することで、非吸収性記録媒体である塩化ビニルに記録する画像の耐擦性を向上できることが開示されている。
他方、インクジェット捺染分野においても湿潤耐擦性及び耐洗濯性といった課題がある。特許文献3には、安全性の観点から所定のスルホキシド又はスルホン化合物群から選ばれる1種以上の化合物と、ジエチレングリコールジエチルエーテルやエチレングリコールジアセテートなどの非水系溶媒と、定着樹脂を含有する非水性インクが開示されている。この非水性インクを用い、かつ、記録時に記録媒体を裏面から加温することで、布帛に記録する画像の湿潤耐擦性及び耐洗濯性を向上できることが開示されている。
特開2003-268279号公報 特開2013-151593号公報 特開2009-249747号公報
特許文献1や特許文献2に開示されたインクを用いたインクジェット記録方法により、印刷本紙などの難吸収性記録媒体に記録を行うと、画像の耐擦過性はある程度改善することができる。しかし、記録直後の耐擦過性や、加熱や乾燥機構がない場合での耐擦過性は改善すべきレベルであることがわかった。
特許文献3のインクジェットインクは布帛に対する耐擦過性を向上させる技術である。定着樹脂が溶媒に溶解しているため、このインクを印刷本紙などの難吸収性記録媒体に記録する用途に転用しても、定着樹脂が溶媒とともに浸透してしまい、耐擦過性が発現しない。
したがって、本発明の目的は、加熱及び乾燥機構や反応液を用いずに、耐擦過性が良好な画像を難吸収性記録媒体に記録することが可能な水性インクを提供することにある。また、本発明の別の目的は、この水性インクを用いたインクカートリッジ、及びインクジェット記録方法を提供することにある。
すなわち、本発明によれば、ブリストー法において接触開始から30msec1/2までの水吸収量が3mL/m以上10mL/m以下である記録媒体へのインクジェット方式による記録に用いられる水性インクであって、顔料、非プロトン性の含硫黄環状有機溶剤、及び樹脂粒子を含有し、前記樹脂粒子のガラス転移温度が、30℃以上であることを特徴とする水性インクが提供される。
本発明によれば、加熱及び乾燥機構や反応液を用いずに、耐擦過性が良好な画像を難吸収性記録媒体に記録することが可能な水性インクを提供することができる。また、本発明によれば、この水性インクを用いたインクカートリッジ、及びインクジェット記録方法を提供することができる。
本発明のインクカートリッジの一実施形態を模式的に示す断面図である。 本発明のインクジェット記録方法に用いられるインクジェット記録装置の一例を模式的に示す図であり、(a)はインクジェット記録装置の主要部の斜視図、(b)はヘッドカートリッジの斜視図である。
以下に、好ましい実施の形態を挙げて、さらに本発明を詳細に説明する。本発明においては、化合物が塩である場合は、インク中では塩はイオンに解離して存在しているが、便宜上、「塩を含有する」と表現する。また、インクジェット用の水性インクのことを、単に「インク」と記載することがある。物性値は、特に断りのない限り、常温(25℃)における値である。
本発明者らは、難吸収性記録媒体に耐擦過性が良好な画像を記録することが可能なインクジェット用の水性インクを提供するために検討を行った。本明細書においては、インクの吸収性が低い記録媒体である「難吸収性記録媒体」を、ブリストー法において接触開始から30msec1/2までの水吸収量が3mL/m以上10mL/m以下の記録媒体であると定義する。
一般に、印刷本紙などの難吸収性記録媒体は、非多孔性表面を有し、その非多孔性表面は、液体が浸透するのに、インクの吸収性を持つ記録媒体と比較して、より時間を要するコーティングによって形成される。そのため、インクが難吸収性記録媒体に付与された後、インク中の顔料や樹脂だけでなく水や有機溶剤も、しばらく難吸収性記録媒体の表面上に残留する。したがって、インクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出して、難吸収性記録媒体に画像を記録する場合、インク中の顔料などの定着に時間を要し、記録される画像の耐擦過性も低くなりやすい。
本発明者らの検討によると、難吸収性記録媒体に耐擦過性が良好な画像を記録するためには、少なくとも、顔料と、非プロトン性の含硫黄環状有機溶剤と、ガラス転移温度が30℃以上である樹脂粒子を含有する水性インクを用いることが必要である。その理由については以下のように推測される。樹脂粒子をインクに含有させることで、難吸収性記録媒体の表面上に樹脂が付着する。さらに、非プロトン性の含硫黄環状有機溶剤をインクに含有させることで、難吸収性記録媒体の表面上に付着した樹脂粒子のガラス転移温度を、当該有機溶剤によって実質的に低下させることができる。これにより、樹脂粒子がその組成によって決まる本来のガラス転移温度よりも低い温度(見かけのガラス転移温度)で軟化する。これに加えて、非プロトン性の含硫黄環状有機溶剤が樹脂粒子をほどよく溶解するため、樹脂粒子がさらに容易に膜化し、記録直後から耐擦過性を向上することができる。また、樹脂粒子のガラス転移温度を30℃以上とすることで、記録して少し時間が経った後であっても樹脂膜が軟化することなく、記録後長期間での耐擦過性も向上すると推測される。したがって、本発明のインクを用いることによって、加熱及び乾燥機構や反応液を用いずに、難吸収性記録媒体に耐擦過性が良好な画像を記録することが可能となる。
<インク>
本発明のインクは、ブリストー法において接触開始から30msec1/2までの水吸収量が3mL/m以上10mL/m以下である記録媒体へのインクジェット方式による記録に用いられる。また、このインクは、顔料、非プロトン性の含硫黄環状有機溶剤、及びガラス転移温度が30℃以上である樹脂粒子を含有する。
(記録媒体)
インクは、難吸収性記録媒体用である。難吸収性記録媒体とは、JAPAN TAPPI紙パルプ試験方法No.51の『紙及び板紙の液体吸収性試験方法』に記載されたブリストー法による接触開始から30msec1/2までの水吸収量が3mL/m以上10mL/m以下である記録媒体である。本明細書においては、上記水吸収量の条件を満たす記録媒体を「難吸収性記録媒体」と定義する。上記水吸収量が3mL/m未満の記録媒体を用いる場合、その記録媒体に液体成分が殆ど吸収されず、有機溶剤が記録媒体の表面上に残ってしまうため、得られる画像の耐擦過性が不十分となる。一方、上記水吸収量が10mL/m超である記録媒体を用いる場合、その記録媒体に液体成分が吸収されやすい。このため、記録媒体へのインクの付与後すぐに非プロトン性の含硫黄環状有機溶剤も浸透してしまうため、上記の作用が発現されず、画像の耐擦過性が不十分となる。
上述のような難吸収性記録媒体の定義を満たす印刷本紙としては、商品名で「イメージコートグロス」(キヤノン製)、「OKトップコート」(王子製紙製)、及び「LXグロスコート157 LXGC54」(桜井製)などが挙げられる。勿論、本発明はこれらの記録媒体に限られない。
(非プロトン性の含硫黄環状有機溶剤)
インクは、非プロトン性の含硫黄環状有機溶剤を含有する。インクが非プロトン性の含硫黄環状有機溶剤を含有することで、難吸収性記録媒体の表面上に付着し樹脂粒子の見かけのガラス転移温度を低下させることができる。これにより、樹脂粒子がその組成によって決まる本来のガラス転移温度よりも低い温度で軟化するのに加え、非プロトン性の含硫黄環状有機溶剤が樹脂粒子をほどよく溶解するため、樹脂粒子がさらに容易に膜化し、耐擦過性が向上すると推測される。
非プロトン性の含硫黄環状有機溶剤としては、例えば、スルホラン、2-メチルスルホラン、3-メチルスルホラン、2,4-ジメチルスルホラン、スルホレン、及び3-メチルスルホレンなどの環状スルホン;並びにチオフェン=1-オキシドなどを挙げることができる。インクには、1種又は2種以上の非プロトン性の含硫黄環状有機溶剤を含有させることができる。非プロトン性の含硫黄環状有機溶剤としては、環状スルホンが好ましい。環状スルホンは、硫黄原子を含む環構造とその環構造中の硫黄原子を含むスルホニル基とを有する化合物である。それらのなかでも、スルホラン及び3-メチルスルホランの少なくとも一方がさらに好ましい。
インク中の、非プロトン性の含硫黄環状有機溶剤の含有量(質量%)は、後述する樹脂粒子の含有量(質量%)に対する質量比率で、1.0倍以上10.0倍以下であることが好ましく、1.0倍以上5.0倍以下であることがさらに好ましい。非プロトン性の含硫黄環状有機溶剤の含有量が樹脂粒子の含有量に対して1.0倍以上であることにより、樹脂粒子の見かけのガラス転移温度を低下する効果が得られやすい。一方、非プロトン性の含硫黄環状有機溶剤の含有量が樹脂粒子の含有量に対して10.0倍以下であることにより、インク中の有機溶剤が適量となり、浸透に要する時間も適度となるため、画像の耐擦過性を高めやすくなる。
また、インク中の非プロトン性の含硫黄環状有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、1.0質量%以上40.0質量%以下であることが好ましい。非プロトン性の含硫黄環状有機溶剤の上記含有量(質量%)は、2.0質量%以上30.0質量%以下であることがより好ましく、5.0質量%以上25.0質量%以下であることがさらに好ましい。
(樹脂粒子)
インクは、樹脂粒子を含有する。本明細書における「樹脂粒子」とは、インクを構成する水性媒体に溶解しない状態で存在する樹脂を指し、具体的には、動的光散乱法により粒子径を測定可能な粒子を形成した状態で水性媒体中に存在し得る樹脂を意味する。一方、「水溶性樹脂」とは、インクを構成する水性媒体に溶解した状態で存在する樹脂を指し、具体的には、動的光散乱法により粒子径を測定可能な粒子を形成しない状態で水性媒体中に存在し得る樹脂を意味する。樹脂粒子を「水溶性樹脂」の対となるように表現すると「水分散性樹脂(水不溶性樹脂)」と言い換えることもできる。樹脂として水溶性樹脂のみを含有する水性インクの場合、樹脂が水に溶解しているため、その水性インクを難吸収性記録媒体に記録した場合に樹脂が水とともに浸透しやすく、十分な効果が発現しない。なお、樹脂粒子と水溶性樹脂を併用してもよい。
ある樹脂が上記定義の「樹脂粒子」に該当するか否かについては、以下に示す方法にしたがって判断することができる。まず、判断対象の樹脂を含む液体(樹脂の含有量:10質量%)を用意する。次いで、この液体を純水で10倍(体積基準)に希釈して試料を調製する。そして、試料中の樹脂の粒子径を動的光散乱法により測定した場合に、粒子径を有する粒子が測定されれば、その樹脂は「樹脂粒子」である(すなわち「水分散性樹脂」である)と判断することができる。一方、粒子径を有する粒子が測定されなければ、その樹脂は「樹脂粒子」ではない(すなわち「水溶性樹脂」である)と判断することができる。動的光散乱法による粒度分布測定装置としては、粒子径分析装置(例えば、商品名「UPA-EX150」、日機装製)などを使用することができる。この際の測定条件は、例えば、SetZero:30秒、測定回数:3回、測定時間:180秒、形状:真球形、屈折率:1.59、とすることができる。勿論、粒子径分析装置や測定条件などは上記に限られるものではない。
樹脂粒子は、公知の方法にしたがって製造することができる。樹脂粒子の製造方法としては、例えば、乳化重合法、プレエマルション重合法、シード重合法、及び転相乳化法などを挙げることができる。
樹脂粒子の樹脂の材質としては、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、オレフィン系樹脂、及びスチレン系樹脂などを挙げることができる。これらの1種又は2種以上をインクに含有させることができる。これらのなかでも、アクリル系樹脂が好ましい。また、アクリル系樹脂が、構成ユニットとして、(メタ)アクリロニトリルに由来するユニットを有すると、インク膜のべたつきが軽減されるため、さらに好ましい。本明細書における「(メタ)アクリロニトリル」とは、「アクリロニトリル」及び「メタクリロニトリル」を意味する。
樹脂粒子を形成するアクリル系樹脂は、親水性ユニット及び疎水性ユニットを構成ユニットとして有することが好ましい。親水性ユニット及び疎水性ユニットを有するアクリル樹脂で形成された樹脂粒子は、立体障害による反発で、その分散性が安定化する。このため、親水性ユニット及び疎水性ユニットを有するアクリル系樹脂で形成された樹脂粒子を用いることで、それらユニットを有しないアクリル系樹脂で形成された樹脂粒子を用いる場合に比べて、インクの吐出安定性を向上させることができる。
親水性ユニットとしては、ヒドロキシ基、イオン性基、メチレンオキサイド基、及びエチレンオキサイド基などを有するユニットを挙げることができる。疎水性ユニットとしては、アルキル基、アリール基、及び炭素数3以上のアルキレンオキサイド基などを有するユニットを挙げることができる。また、樹脂粒子を形成するアクリル系樹脂は、反応性界面活性剤に由来するユニットをさらに有することが好ましい。
樹脂粒子のガラス転移温度Tgは30℃以上である。樹脂粒子のガラス転移温度Tgが30℃以上であることにより、インクを難吸収性記録媒体に記録して少し時間が経った後であっても樹脂膜が軟化することなく、記録後長期間での耐擦過性が得られると推測される。樹脂粒子のガラス転移温度Tgは、30℃以上140℃以下であることが好ましく、30℃以上110℃以下であることがより好ましく、30℃以上60℃以下であることがさらに好ましい。樹脂粒子のガラス転移温度は、示差走査熱量計により測定することができる。インクから適宜取り出した後、水で洗浄して乾燥させた樹脂粒子を測定試料とすることが好ましい。
インク中の樹脂粒子の体積基準の累積50%粒子径(D50;以下、平均粒子径と記載することがある。)は、20nm以上300nm以下であることが好ましく、50nm以上250nm以下であることがさらに好ましい。インク中の樹脂粒子の平均粒子径が20nm以上であることにより、樹脂粒子が難吸収性記録媒体の表面上にとどまりやすく、また、そのとどまった樹脂粒子に非プロトン性の含硫黄環状有機溶剤が前述のように作用しやすいことで、耐擦過性が向上しやすくなる。一方、インク中の樹脂粒子の平均粒子径が300nm以下であることにより、インクの吐出安定性が高まりやすい。樹脂粒子の平均粒子径(D50)は、上述した動的光散乱法による粒度分布測定装置を用いて測定することができる。インクから適宜取り出した後、水で洗浄した樹脂粒子を水に分散したものを測定試料とすることが好ましい。
インク中の樹脂粒子の含有量(質量%)は、前述した非プロトン性の含硫黄環状有機溶剤の含有量(質量%)がインク中の樹脂粒子の含有量(質量%)に対する質量比率で1.0倍以上10.0倍以下となる量であることが好ましい。その範囲内において、インク中の樹脂粒子の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、1.0質量%以上20.0質量%以下であることが好ましい。樹脂粒子の上記含有量は、2.0質量%以上15.0質量%以下であることがより好ましく、2.0質量%以上10.0質量%以下であることがさらに好ましい。
(SP値)
前述した非プロトン性の含硫黄環状有機溶剤及び樹脂粒子のそれぞれのSP値に関して以下に述べるような関係を満たすことがより好ましい。本明細書におけるSP値(δ:溶解度パラメータ)は、下記式(A)に基づき、Fedors法により算出される値(単位:(cal/cm1/2)である。SI単位系に換算する際には、「(cal/cm1/2=2.046×10(J/m1/2」の関係を利用すればよい。以下の記載においては、SP値の単位((cal/cm1/2)は省略することがある。
δ=(ΔEvap/V)1/2 ・・・(A)
(式(A)中、ΔEvapは化合物のモル蒸発熱(cal/mol)を表し、Vは25℃における化合物のモル体積(cm/mol)を表す。)
非プロトン性の含硫黄環状有機溶剤のSP値と樹脂粒子のSP値との差の絶対値は、4.0(cal/cm1/2以下であることが好ましく、1.0(cal/cm1/2以上4.0(cal/cm1/2以下であることがさらに好ましい。一般的にSP値は溶解性パラメータとも呼ばれ、2つの成分のSP値の差の絶対値が小さいほど溶解度が大となることが経験的に知られている。非プロトン性の含硫黄環状有機溶剤と樹脂粒子のSP値の差の絶対値が1.0以上4.0以下であることにより、非プロトン性の含硫黄環状有機溶剤が樹脂粒子をほどよく溶解する。これにより、加熱工程のない系であっても難吸収性記録媒体の表面上での樹脂粒子の膜化が促進され、記録直後から難吸収性記録媒体における耐擦過性が向上すると推測される。非プロトン性の含硫黄環状有機溶剤のSP値と樹脂粒子のSP値の差の絶対値は、非プロトン性の含硫黄環状有機溶剤のSP値から、樹脂粒子のSP値を引いた値の絶対値で求めることができる。
非プロトン性の含硫黄環状有機溶剤のSP値は12.0以上15.0以下であることが好ましい。また、樹脂粒子のSP値は10.0以上12.0以下であることが好ましい。樹脂粒子のSP値は、樹脂粒子を形成する樹脂の構成ユニットの種類及び当該構成ユニットの割合(質量%)を分析し、構成ユニットのSP値及びその割合から算出することができる。
(顔料)
インクは顔料を含有する。インク中の顔料の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上15.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以上10.0質量%以下であることがさらに好ましい。
顔料の種類は特に限定されない。顔料の具体例としては、カーボンブラック、及び酸化チタンなどの無機顔料;アゾ、フタロシアニン、キナクリドン、イソインドリノン、イミダゾロン、ジケトピロロピロール、及びジオキサジンなどの有機顔料などを挙げることができる。インクには、1種又は2種以上の顔料を含有させることができる。
顔料の分散方式としては、分散剤として樹脂(樹脂分散剤)を用いた樹脂分散顔料や、顔料の粒子表面に親水性基が結合している自己分散顔料などを用いることができる。また、顔料の粒子表面に樹脂を含む有機基を化学的に結合させた樹脂結合型顔料や、顔料の粒子表面を樹脂などで被覆したマイクロカプセル顔料などを用いることができる。分散方法の異なる顔料を組み合わせて使用することも可能である。
(分散剤)
インクには、顔料を水中に安定に分散させるための分散剤を含有させてもよい。分散剤は特に限定されるものではなく、水性インクに使用可能なものであれば、どのような構造のものであってもよい。一般的には樹脂が用いられる。樹脂分散剤としては、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、及びポリオレフィン樹脂などが挙げられる。なかでも、アクリル系樹脂が好ましい。これらの樹脂は酸基を有する水溶性樹脂であることが好ましい。なお、本明細書において「樹脂が水溶性であること」とは、前記樹脂を酸価と当量のアルカリで中和した場合に、その粒子径を測定し得る粒子を形成しないものであることを意味する。このような条件を満たす樹脂を、本明細書においては水溶性の樹脂として記載する。
樹脂分散剤として使用し得るアクリル系樹脂としては、親水性ユニット及び疎水性ユニットを構成ユニットとして有するものが好ましい。なかでも、(メタ)アクリル酸に由来する親水性ユニットと、芳香環を有する単量体及び(メタ)アクリル酸エステルの少なくとも一方に由来する疎水性ユニットと、を有する樹脂が好ましい。本明細書における「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸」及び「メタクリル酸」を意味する。
(水性媒体)
インクは、水性媒体として少なくとも水を含有する水性のインクである。インクには、水、又は水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を含有させることができる。水としては、脱イオン水(イオン交換水)を用いることが好ましい。インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、10.0質量%以上90.0質量%以下であることが好ましい。水の上記含有量は、20.0質量%以上90.0質量%以下であることがより好ましく、30.0質量%以上85.0質量%以下であることがさらに好ましい。
水溶性有機溶剤としては、アルコール類、(ポリ)アルキレングリコール類、グリコールエーテル類、含窒素化合物類、含硫黄化合物類などのインクジェット用のインクに使用可能なものをいずれも用いることができる。インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、3.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。水溶性有機溶剤の上記含有量は、5.0質量%以上45.0質量%以下であることがより好ましく、5.0質量%以上40.0質量%以下であることがさらに好ましい。水溶性有機溶剤の上記含有量は、非プロトン性の含硫黄環状有機溶剤を含む含有量である。
(その他の添加剤)
インクには、上記成分の他に、必要に応じて、トリメチロールプロパン、及びトリメチロールエタンなどの多価アルコール類や、尿素及びその誘導体などの常温で固体の水溶性有機化合物を含有させてもよい。さらに、インクには、必要に応じて、界面活性剤、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤、キレート化剤、及び水溶性樹脂などの種々の添加剤を含有させてもよい。
(インクの物性)
インクの温度25℃における粘度(mPa・s)は、1.0mPa・s以上10.0mPa・s以下であることが好ましく、1.0mPa・s以上5.0mPa・s以下であることがより好ましい。また、インクの温度25℃における表面張力(mN/m)は、10mN/m以上60mN/m以下であることが好ましく、20mN/m以上60mN/m以下であることがより好ましい。さらに、インクの温度25℃におけるpHは、5.0以上10.0以下であることが好ましく、7.0以上9.5以下であることがさらに好ましい。
<インクカートリッジ>
本発明のインクカートリッジは、インクと、このインクを収容するインク収容部とを備える。そして、このインク収容部に収容されているインクが、上記で説明した本発明の水性インクである。図1は、本発明のインクカートリッジの一実施形態を模式的に示す断面図である。図1に示すように、インクカートリッジの底面には、記録ヘッドにインクを供給するためのインク供給口12が設けられている。インクカートリッジの内部はインクを収容するためのインク収容部となっている。インク収容部は、インク収容室14と、吸収体収容室16とで構成されており、これらは連通口18を介して連通している。また、吸収体収容室16はインク供給口12に連通している。インク収容室14には液体のインク20が収容されており、吸収体収容室16には、インクを含浸状態で保持する吸収体22及び24が収容されている。インク収容部は、液体のインクを収容するインク収容室を持たず、収容されるインク全量を吸収体により保持する形態であってもよい。また、インク収容部は、吸収体を持たず、インクの全量を液体の状態で収容する形態であってもよい。さらには、インク収容部と記録ヘッドとを有するように構成された形態のインクカートリッジとしてもよい。
<インクジェット記録方法>
本発明のインクジェット記録方法は、上記で説明した本発明の水性インクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出して記録媒体に画像を記録する方法である。インクを吐出する方式としては、インクに力学的エネルギーを付与する方式や、インクに熱エネルギーを付与する方式が挙げられる。本発明のインクを用いること以外、インクジェット記録方法の工程は公知のものとすればよい。
図2は、本発明のインクジェット記録方法に用いられるインクジェット記録装置の一例を模式的に示す図であり、(a)はインクジェット記録装置の主要部の斜視図、(b)はヘッドカートリッジの斜視図である。インクジェット記録装置には、記録媒体32を搬送する搬送手段(不図示)、及びキャリッジシャフト34が設けられている。キャリッジシャフト34にはヘッドカートリッジ36が搭載可能となっている。ヘッドカートリッジ36は記録ヘッド38及び40を具備しており、インクカートリッジ42がセットされるように構成されている。ヘッドカートリッジ36がキャリッジシャフト34に沿って主走査方向に搬送される間に、記録ヘッド38及び40から記録媒体32に向かってインク(不図示)が吐出される。そして、記録媒体32が搬送手段(不図示)により副走査方向に搬送されることによって、記録媒体32に画像が記録される。記録媒体32としてはブリストー法において接触開始から30msec1/2までの水吸収量が3mL/m以上10mL/m以下であるものを用いる。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。成分量に関して「部」及び「%」と記載しているものは特に断らない限り質量基準である。
<顔料分散液の調製>
(顔料分散液1)
水5.5gに濃塩酸5.0gを溶かして得た溶液を5℃に冷却した状態とし、この状態で4-アミノフタル酸1.6gを加えた。この溶液の入った容器をアイスバスに入れ、撹拌して溶液の温度を10℃以下に保持しながら、5℃のイオン交換水9.0gに亜硝酸ナトリウム1.8gを溶かして得た溶液を加えた。15分間撹拌後、カーボンブラック6.0gを撹拌下で加え、さらに15分間撹拌してスラリーを得た。得られたスラリーをろ紙(商品名「標準用濾紙No.2」、アドバンテック製)でろ過した後、粒子を十分に水洗し、110℃のオーブンで乾燥させた。イオン交換法によりカウンターイオンをナトリウムイオンからカリウムイオンに置換した後、適量のイオン交換水を添加して顔料の含有量を調整した。このようにして、顔料の含有量が20.0%である顔料分散液1を得た。
(顔料分散液2)
カーボンブラックを20.0部、樹脂分散剤の水溶液を30.0部、及びイオン交換水50.0部を混合した。樹脂分散剤の水溶液としては、スチレン-アクリル酸共重合体を、酸価の0.85倍(モル比)の水酸化カリウムで中和し、適量のイオン交換水を加えて得た、水溶性樹脂の含有量が20.0%である水溶液を用いた。この混合物を、バッチ式縦型サンドミルを用いて10時間分散させた。得られた分散液を遠心分離することで粗大粒子を除去した後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧ろ過した。適量の水を加え、顔料の含有量が20.0%である顔料分散液2を得た。
<樹脂粒子の調製>
(樹脂粒子のガラス転移温度Tgの測定)
以下に述べる樹脂粒子の水分散液を25℃で乾燥固化させて測定試料を調製し、示差走査熱量計(商品名「DSC-Q1000」、TAインスツルメントジャパン製)を使用して、以下に示す温度プログラムにしたがって熱分析して昇温曲線を作成した。作成した昇温曲線(横軸:温度、縦軸:熱量)における、低温側の曲線中の2点を通って高温側まで延長した直線と、曲線中の階段状の変化部分の勾配が最大になる点で引いた接線との交点における温度を樹脂粒子のガラス転移温度Tg(℃)とした。各樹脂粒子のガラス転移温度Tgの測定結果は表1に示す。
(樹脂粒子1~7)
表1に示す種類及び量のモノマーとアニオン系反応性界面活性剤(商品名「アクアロンKH-05」、第一工業製薬製)3.0部を加えて混合して乳化し、モノマー乳化物を得た。次いで、イオン交換水43.9部、及び過硫酸カリウム0.1部を混合して調整した重合開始剤の水溶液に、上記のモノマー乳化物を3時間かけて滴下しながら、窒素雰囲気化、80℃で撹拌しながら重合反応を行った。その後、室温まで冷却してイオン交換水及び水酸化カリウム水溶液を添加し、樹脂粒子の含有量が20.0%である樹脂粒子の水分散液を得た。表1中のモノマーの略称の意味を以下に示す。
・St:スチレン
・AN:アクリロニトリル
・2EHA:アクリル酸2-エチルヘキシル
・MAA:メタクリル酸
・AA:アクリル酸
(樹脂粒子8)
撹拌機及び加熱器を備えた反応装置に、ポリテトラメチレングリコール23.0部、2,2-ジメチロールプロピオン酸1.0部、及びイソホロンジイソシアネート7.0部を、ジブチル錫ジラウリレート0.2部の存在下で、温度90℃で7時間反応させた。この反応は、窒素雰囲気下で行った。得られた液体を温度80℃まで冷却し、これにトリエタノールアミン1.0部を添加して混合した。この液体を撹拌しながら、水48.0部に加えた。次に、35.0%のジエチレントリアミン水溶液2.0部、及び35.0%の1,6-ヘキサメチレンジアミン水溶液4.0部を加えて鎖延長させ、樹脂粒子8を含む液体を得た。これに適量のイオン交換水を添加して、樹脂粒子の含有量が20.0%である樹脂粒子8の水分散液を得た。
(樹脂粒子9)
重量平均分子量39,000の塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体分散液に適量のイオン交換水を添加して、樹脂粒子の含有量が20.0%である樹脂粒子9の水分散液を得た。
(水溶性樹脂1)
酸価120mgKOH/g、重量平均分子量8,000のスチレン-アクリル酸共重合体を水酸化ナトリウム水溶液で中和することにより水溶性樹脂1を得た。
表1に樹脂粒子1~9、及び水溶性樹脂1の特性を示す。
Figure 2023162520000001
<インクの調製>
(インク1~27)
表2(表2-1~2-4)の上段に示す各成分(単位:%)を混合し、充分に撹拌した後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧ろ過を行い、各インクを調製した。表中、アセチレノールE100は川研ファインケミカル製の界面活性剤である。表2には、非プロトン性の含硫黄環状有機溶剤及びその他の溶剤について、括弧書きにてSP値(単位:(cal/cm1/2は省略。)も合わせて示した。また、表2には、インク全質量を基準とした、樹脂粒子の含有量R(%)、非プロトン性の含硫黄環状有機溶剤の含有量S(%)、及びS/Rの値(倍)を示した。さらに、表2には、非プロトン性の含硫黄環状有機溶剤及び樹脂粒子の両方を含有するインクについて、非プロトン性の含硫黄環状有機溶剤のSP値と、樹脂粒子のSP値(表1参照)との差の絶対値を「ΔSP値((cal/cm1/2)」として示した。
Figure 2023162520000002
Figure 2023162520000003
Figure 2023162520000004
Figure 2023162520000005
(インク28)
特開2009-249747号公報(特許文献3)に記載された「本発明」の「試料No.24」に使用したインクにしたがって、樹脂及びスルホランを含む、非水性のインク28を調製した。
<評価>
調製した各インクをそれぞれインクカートリッジに充填し、力学的エネルギーの作用によりインクを吐出する記録ヘッドを搭載するインクジェット記録装置(商品名「PX-V630」、エプソン製)にセットした。このインクジェット記録装置を用いて、表3の評価条件欄に示すインクと記録媒体の組み合わせで、インクの付与量を20g/mとしたベタ画像を記録した。使用した記録媒体は以下の通りである。
記録媒体1:難吸収性記録媒体(ブリストー法による接触開始から30msec1/2までの水吸収量:7mL/m、商品名「イメージコートグロス」、キヤノン製)
記録媒体2:非吸収性記録媒体(上記水吸収量:2.5mL/m、商品名「IJ1220」、3M製)
記録媒体3:吸収性記録媒体(上記水吸収量:33mL/m、商品名「GL-101」、キヤノン製)
記録の10秒後、1時間後、1週間後に各ベタ画像上にシルボン紙を乗せ、その上に3.5cm×3.5cmの分銅を乗せて、40g/cmの圧力をかけながら、20cm/秒の速度でシルボン紙を引っ張って、ベタ画像とシルボン紙とをこすり合わせた。その後、ベタ画像のインク層の剥がれ状態、及びベタ画像から非記録部(白地部)に移ったインクの汚れの状態を目視で確認し、以下に示す評価基準にしたがって耐擦過性を評価した。本発明においては、以下に示す評価基準において、AA、A、及びBを許容できるレベル、Cを許容できないレベルとした。評価結果を表3に示す。
AA:ベタ画像に擦過痕がなく、白地部の汚れもない。
A:ベタ画像に記録媒体の白地が見えない程度の擦過痕はあるが、白地部の汚れはない。
B:ベタ画像に記録媒体の白地が見える擦過痕か、白地部の汚れのどちらかがあった。
C:ベタ画像に記録媒体の白地が見える擦過痕があり、かつ白地部の汚れがあった。
Figure 2023162520000006
なお、本実施形態の開示は、以下の構成及び方法を含む。
[構成1]ブリストー法において接触開始から30msec1/2までの水吸収量が3mL/m以上10mL/m以下である記録媒体へのインクジェット方式による記録に用いられる水性インクであって、顔料、非プロトン性の含硫黄環状有機溶剤、及び樹脂粒子を含有し、前記樹脂粒子のガラス転移温度が、30℃以上であることを特徴とする水性インク。
[構成2]前記水性インク中の、前記非プロトン性の含硫黄環状有機溶剤の含有量(質量%)が、前記樹脂粒子の含有量(質量%)に対する質量比率で、1.0倍以上10.0倍以下である構成1に記載の水性インク。
[構成3]前記非プロトン性の含硫黄環状有機溶剤のSP値((cal/cm1/2)と、前記樹脂粒子のSP値((cal/cm1/2)との差の絶対値が、1.0(cal/cm1/2以上4.0(cal/cm1/2以下である構成1又は2に記載の水性インク。
[構成4]前記非プロトン性の含硫黄環状有機溶剤が、硫黄原子を含む環構造と前記環構造中の前記硫黄原子を含むスルホニル基とを有する化合物である構成1乃至3のいずれか1項に記載の水性インク。
[構成5]前記化合物が、スルホラン及び3-メチルスルホランの少なくとも一方である構成4に記載の水性インク。
[構成6]前記樹脂粒子が、アクリル系樹脂で形成される構成1乃至5のいずれか1項に記載の水性インク。
[構成7]前記アクリル系樹脂が、(メタ)アクリロニトリルに由来するユニットを有する構成6に記載の水性インク。
[構成8]インクと、前記インクを収容するインク収容部とを備えたインクカートリッジであって、前記インクが、構成1乃至7のいずれか1項に記載の水性インクであることを特徴とするインクカートリッジ。
[方法1]インクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出して、記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、前記記録媒体は、ブリストー法において接触開始から30msec1/2までの水吸収量が3mL/m以上10mL/m以下であり、前記インクが、顔料、非プロトン性の含硫黄環状有機溶剤、及び樹脂粒子を含有する水性インクであり、前記樹脂粒子のガラス転移温度が、30℃以上であることを特徴とするインクジェット記録方法。

Claims (9)

  1. ブリストー法において接触開始から30msec1/2までの水吸収量が3mL/m以上10mL/m以下である記録媒体へのインクジェット方式による記録に用いられる水性インクであって、
    顔料、非プロトン性の含硫黄環状有機溶剤、及び樹脂粒子を含有し、
    前記樹脂粒子のガラス転移温度が、30℃以上であることを特徴とする水性インク。
  2. 前記水性インク中の、前記非プロトン性の含硫黄環状有機溶剤の含有量(質量%)が、前記樹脂粒子の含有量(質量%)に対する質量比率で、1.0倍以上10.0倍以下である請求項1に記載の水性インク。
  3. 前記非プロトン性の含硫黄環状有機溶剤のSP値((cal/cm1/2)と、前記樹脂粒子のSP値((cal/cm1/2)との差の絶対値が、1.0(cal/cm1/2以上4.0(cal/cm1/2以下である請求項1に記載の水性インク。
  4. 前記非プロトン性の含硫黄環状有機溶剤が、硫黄原子を含む環構造と前記環構造中の前記硫黄原子を含むスルホニル基とを有する化合物である請求項1に記載の水性インク。
  5. 前記化合物が、スルホラン及び3-メチルスルホランの少なくとも一方である請求項4に記載の水性インク。
  6. 前記樹脂粒子が、アクリル系樹脂で形成される請求項1に記載の水性インク。
  7. 前記アクリル系樹脂が、(メタ)アクリロニトリルに由来するユニットを有する請求項6に記載の水性インク。
  8. インクと、前記インクを収容するインク収容部とを備えたインクカートリッジであって、
    前記インクが、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の水性インクであることを特徴とするインクカートリッジ。
  9. インクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出して、記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、
    前記記録媒体は、ブリストー法において接触開始から30msec1/2までの水吸収量が3mL/m以上10mL/m以下であり、
    前記インクが、顔料、非プロトン性の含硫黄環状有機溶剤、及び樹脂粒子を含有する水性インクであり、
    前記樹脂粒子のガラス転移温度が、30℃以上であることを特徴とするインクジェット記録方法。

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