JP2023162005A - 短鎖脂肪酸低減剤 - Google Patents

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Chikako Ishihara
大輔 綿井
Daisuke WATAI
康太 堤
Kota Tsutsumi
美里 迫
Misato Sako
由貴 丸山
Yuki Maruyama
愛実 藤井
Manami Fujii
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Abstract

【課題】本発明は、口腔内の短鎖脂肪酸低減剤を提供することを目的とする。【解決手段】本発明は、トラネキサム酸、塩化ベンゼトニウム、トコフェロール酢酸エステル、ピリドキシン塩酸塩、アラントイン、ε-アミノカプロン酸、β-グリチルレチン酸、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、塩化リゾチーム、銅クロロフィリンナトリウム、及びオウバクエキスからなる群より選ばれる1種以上を含有する口腔内の短鎖脂肪酸低減剤を提供する。【選択図】なし

Description

本発明は、口腔内の短鎖脂肪酸低減剤に関する。
短鎖脂肪酸は、多くの菌が生成する代謝物として知られ、嫌気性細菌の多い腸内や口腔にて大量に産生されている。特に腸内において生体に有益に働くことが知られており、腸内における産生促進技術が開発されている(特許文献1)。一方で、短鎖脂肪酸は、歯周病患者から多く検出され、症状が緩和すると濃度低下することや(非特許文献1、4)、ヒト口腔細胞に対してアポトーシスを引き起こしサイトカインの産生を阻害すること(非特許文献2、5)も報告されている。高濃度の酪酸は免疫担当細胞のアポトーシスやエピジェネティック制御作用によるAIDSウィルス、EBウィルスの活性化など生体に有害な作用を持つことや(非特許文献3、4)、口腔内の歯周病関連細菌からも産生され、T細胞、B細胞の増殖を抑制すること(非特許文献4、5)が明らかになっている。
特開2021-20871号公報
Katarzyna Gawron et al.,In Vivo July 2019, 33 (4) 1165-1174 Evans M et al.,J. Periodontal Res. 2017, 52, 522-531. 落合 邦康 静脈経腸栄養 28,4,39~46(2013) 落合 邦康ら 日薬理誌 144,81~87(2014) Magrin EG et al.,Int J Mol Sci.2020 Jul;21(14):4895
しかし、口腔内の短鎖脂肪酸の制御に関与する成分の探索は行われていない。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、口腔内の短鎖脂肪酸低減剤を提供することを目的とする。
本発明は、以下の〔1〕~〔5〕を提供する。
〔1〕トラネキサム酸、塩化ベンゼトニウム、トコフェロール酢酸エステル、ピリドキシン塩酸塩、アラントイン、ε-アミノカプロン酸、β-グリチルレチン酸、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、塩化リゾチーム、銅クロロフィリンナトリウム、及びオウバクエキスからなる群より選ばれる1種以上を含有する口腔内の短鎖脂肪酸低減剤。
〔2〕口腔内細菌の短鎖脂肪酸産生及び/又は分泌を抑制する〔1〕に記載の短鎖脂肪酸低減剤。
〔3〕口腔内細菌が、フソバクテリウム属細菌、プレボテラ属細菌、ベイヨネラ属細菌、ポルフィロモナス属細菌、トレポネーマ属細菌、ストレプトコッカス属細菌から選ばれる1種以上である、〔2〕に記載の短鎖脂肪酸低減剤。
〔4〕短鎖脂肪酸がプロピオン酸及び/又は酪酸を含む、〔1〕~〔3〕のいずれか1項に記載の短鎖脂肪酸低減剤。
〔5〕歯周病予防又は歯周病リスク低減剤である、〔1〕~〔4〕のいずれか1項に記載の短鎖脂肪酸低減剤。
本発明によれば、口腔内の短鎖脂肪酸を低減することができ、歯周病リスクの低減、歯周病の予防等、口腔内環境の向上につなげることが期待できる。
〔1.短鎖脂肪酸低減剤〕
本発明の剤は後述する各成分からなる群より選ばれる1種以上を含有する。これにより、口腔内の短鎖脂肪酸を低減できる。
〔1.1 有効成分〕
剤の有効成分は、トラネキサム酸、塩化ベンゼトニウム、トコフェロール酢酸エステル、ピリドキシン塩酸塩、アラントイン、ε-アミノカプロン酸、β-グリチルレチン酸、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、塩化リゾチーム、銅クロロフィリンナトリウム、及びオウバクエキスからなる群より選ばれる1種以上であり、単独でも2種以上の組み合わせでもよい。
-トラネキサム酸-
トラネキサム酸は、アミノ酸の一種である。トラネキサム酸は、第十八改正日本薬局方の規格に合致するものでもよいし、一般試薬でもよい。中でも、第十八改正日本薬局方「トラネキサム酸」に合致するものが好ましい。
トラネキサム酸の含有量は、剤100質量%に対し、通常、0.001質量%以上であり、0.005質量%以上が好ましく、0.01質量%以上がより好ましい。これにより、口腔内の短鎖脂肪酸量をより効率的に低減できる。上限は、通常、1.0質量%以下である。したがって、トラネキサム酸の含有量は、通常、0.001~1.0質量%であり、0.005~1.0質量%が好ましく、0.01~1.0質量%がより好ましい。
-塩化ベンゼトニウム-
塩化ベンゼトニウム(ベンゼトニウム塩化物)は第十八改正日本薬局方、医薬部外品原料規格2021に合致するものでもよく、一般試薬でもよい。
塩化ベンゼトニウムの含有量は、剤100質量%に対し、通常、0.0001質量%以上である。これにより、口腔内の短鎖脂肪酸量をより効率的に低減できる。上限は、通常、4.0質量%以下であり、0.001質量%以下が好ましい。したがって、塩化ベンゼトニウムの含有量は、通常、0.0001~4.0質量%であり、0.0001~0.001質量%が好ましい。
-トコフェロール酢酸エステル-
トコフェロール酢酸エステルは、ビタミンEの一種であり、D体、L体、DL体のいずれでもよいが、DL体が好ましい。トコフェロール酢酸エステルとしては、酢酸DL-α-トコフェロール、酢酸D-α-トコフェロールが好ましく、酢酸DL-α-トコフェロールがさらに好ましい。トコフェロール酢酸エステルは、第十八改正日本薬局方、医薬部外品原料規格2021、第9版食品添加物公定書(好ましくは、第十八改正日本薬局方、医薬部外品原料規格2021)に合致するものでもよいし、一般試薬でもよい。中でも、第十八改正日本薬局方に合致するものが好ましい。
トコフェロール酢酸エステルの含有量は、剤100質量%に対し、0.005質量%以上が好ましく、0.01質量%以上がより好ましい。これにより、口腔内の短鎖脂肪酸量をより効率的に低減できる。上限は、通常、1.0質量%以下である。したがって、トコフェロール酢酸エステルの含有量は、0.005~1.0質量%が好ましく、0.01~1.0質量%がより好ましい。
-ピリドキシン塩酸塩-
ピリドキシン塩酸塩(塩酸ピリドキシン)は、ピリドキシンの塩酸エステルであり、ビタミンB6の一種である。ピリドキシン塩酸塩は、第十八改正日本薬局方、医薬部外品原料規格2021、第9版食品添加物公定書の規格(好ましくは、第十八改正日本薬局方、医薬部外品原料規格2021)に合致するものでもよいし、一般試薬でもよい。中でも、第十八改正日本薬局方に合致するものが好ましい。
ピリドキシン塩酸塩の含有量は、剤100質量%に対し、通常、0.001質量%以上であり、0.005質量%以上が好ましく、0.01質量%以上がより好ましい。これにより、口腔内の短鎖脂肪酸量をより効率的に低減できる。上限は、通常、1.0質量%以下である。したがって、ピリドキシン塩酸塩の含有量は、通常、0.001~1.0質量%であり、0.005~1.0質量%が好ましく、0.01~1.0質量%がより好ましい。
-アラントイン-
アラントインは、5-ウレイドヒダントインとも呼ばれ、ジウレイド化合物の1種である。アラントインは、日本薬局方外医薬品成分規格、医薬部外品原料規格2021に合致するものでもよいし、一般試薬でもよい。
アラントインの含有量は、剤100質量%に対し、通常、0.001質量%以上であり、0.005質量%以上が好ましく、0.01質量%以上がより好ましい。これにより、口腔内の短鎖脂肪酸量をより効率的に低減できる。上限は、通常、1.0質量%である。したがって、アラントインの含有量は、通常、0.001~1.0質量%であり、0.005~1.0質量%が好ましく、0.01~1.0質量%がより好ましい。
-ε-アミノカプロン酸-
ε-アミノカプロン酸は、アミノ酸の一種である。ε-アミノカプロン酸は、日本薬局方外医薬品成分規格、医薬部外品原料規格2021に記載された規格に合致するものでもよいし、一般試薬でもよい。中でも、医薬部外品原料規格2021に合致するものが好ましい。
ε-アミノカプロン酸の含有量は、剤100質量%に対し、通常、0.005質量%以上であり、0.01質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましい。これにより、口腔内の短鎖脂肪酸量をより効率的に低減できる。上限は、通常、3.0質量%以下であり、2.0質量%以下が好ましく、1.0質量%以下がより好ましい。したがって、ε-アミノカプロン酸の含有量は、通常、0.005~3.0質量%であり、0.01~2.0質量%が好ましく、0.5~1.0質量%がより好ましい。
-β-グリチルレチン酸-
β-グリチルレチン酸は、環式トリテルペンの1種である。β-グリチルレチン酸は、日本薬局方外医薬品成分規格、医薬部外品原料規格2021に記載された規格に合致するものでもよく、一般試薬でもよい。中でも、医薬部外品原料規格2021に合致するものが好ましい。
β-グリチルレチン酸の含有量は、剤100質量%に対し、通常、0.005質量%以上であり、0.01質量%以上が好ましい。これにより、口腔内の短鎖脂肪酸量をより効率的に低減できる。上限は、通常、1.0質量%以下であり、0.2質量%以下が好ましい。したがって、β-グリチルレチン酸の含有量は、通常、0.005~1.0質量%であり、0.01~1.0質量%が好ましく、0.01~0.2質量%がより好ましい。
-ポリオキシエチレンラウリルエーテル-
ポリオキシエチレンラウリルエーテル(ラウロマクロゴール)は医薬部外品原料規格2021(「ポリオキシエチレンラウリルエーテル」、「ポリオキシエチレンラウリルエーテル(8~10E.O.)」)、第十八改正日本薬局方に記載された規格に合致するものを用いることができ、一般試薬を用いてもよい。中でも、医薬部外品原料規格2021に合致するものが好ましい。
ポリオキシエチレンラウリルエーテルのエチレンオキサイドの平均付加モル数は、通常、4以上、好ましくは8以上である。上限は、通常25以下、好ましくは20以下、より好ましくは15以下、更に好ましくは10以下である。従って、平均付加モル数は、通常、4~25、好ましくは、4~20、より好ましくは、4~15、更に好ましくは、8~10である。
ポリオキエチレンラウリルエーテルは、エチレンオキサイドの平均付加モル数の異なる2種以上のポリオキエチレンラウリルエーテルの組み合わせでもよい。
ポリオキエチレンラウリルエーテルの含有量は、剤100質量%に対し、通常、0.001質量%以上であり、0.01質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましい。これにより、口腔内の短鎖脂肪酸量をより効率的に低減できる。上限は、通常、2.0質量%以下であり、1.5質量%以下が好ましく、1.0質量%以下がより好ましい。したがって、ピリドキシン塩酸塩の含有量は、通常、0.001~2.0質量%であり、0.01~1.5質量%が好ましく、0.1~1.0質量%がより好ましい。
-塩化リゾチーム-
塩化リゾチーム(リゾチーム塩酸塩)は塩基性ポリペプチドであり、主に鶏卵に含まれる。塩化リゾチームは、例えば、第十八改正日本薬局方、医薬部外品原料規格2021、医薬部外品原料規格2021(リゾチーム(卵白リゾチーム))に合致するもの用いることができ、一般試薬を用いてもよい。
塩化リゾチームの含有量は、剤100質量%に対し、通常、0.005質量%以上であり、0.01質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましい。これにより、口腔内の短鎖脂肪酸量をより効率的に低減できる。上限は、通常、1.0質量%である。したがって、塩化リゾチームの含有量は、通常、0.005~1.0質量%であり、0.01~1.0質量%が好ましく、0.1~1.0質量%がより好ましい。
-銅クロロフィリンナトリウム-
銅クロロフィリンナトリウムは、クロロフィルより得たクロロフィリンを銅に置換し、ナトリウム塩にしたものである。銅クロロフィリンナトリウムは、第9版食品添加物公定書、医薬部外品原料規格2021(好ましくは、第9版食品添加物公定書)に合致するものでもよいし、一般試薬でもよい。
銅クロロフィリンナトリウムの含有量は、剤100質量%に対し、通常、0.001質量%以上であり、0.005質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましい。これにより、口腔内の短鎖脂肪酸量をより効率的に低減できる。上限は、通常、1.0質量%以下である。したがって、銅クロロフィリンナトリウムの含有量は、通常、0.001~1.0質量%であり、0.005~1.0質量%が好ましく、0.1~1.0質量%がより好ましい。
-オウバクエキス-
オウバクエキスは、オウバク(黄柏)を含む植物の溶媒抽出物であり、公知の方法によって得られたものを用いることができる。オウバクエキスは、液状でもよいが、乾燥させた固体状のものでもよく、粉末状にした粉末エキスを用いることもできる。具体的に原料は、キハダ等のミカン科植物の樹皮等を使用し得る。抽出溶媒は親水性溶媒が使用でき、水や、エタノール、プロパノール等の低級1価アルコール、1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール等の多価アルコールといった親水性溶媒が挙げられ、これらから選ばれる1種の単独溶媒又は2種以上の混合溶媒を使用できる。水、エタノールが好ましく、水がより好ましく、熱水がさらに好ましい。抽出条件、後処理は通常の方法を採用できる。
オウバクエキスは、第十八改正日本薬局方に収載されているオウバク末、医薬部外品原料規格2021に収載されているオウバクエキスの規格に合致するものでもよいし、一般に入手できるものでもよい。一般に入手できるものとしては、キハダの樹皮を熱水抽出し、噴霧乾燥して粉末エキスとしたものとして、小城製薬(株)製のオウバクエキスS等が挙げられる。また、エタノールを含有する液状エキスとして、丸善製薬(株)製のオウバク抽出液-J等が挙げられる。
なお、第十八改正日本薬局方に収載されているオウバク、オウバク末は、それぞれ、キハダのPhellodendron amurense Ruprecht 又はPhellodendron chinense Schneider(Rutaceae)の周皮を除いた樹皮、及びその粉末であり、定量した際、換算した生薬の乾燥物に対し、ベルベリン(ベルベリン塩化物(C2018ClNO:371.81)として)1.2%以上を含むと記載されるものである。
また、医薬部外品原料規格2021でのオウバクエキスは、キハダ Phellodendron amurense Rupr.(Rutaceae)又はその他同属植物の周皮を除いた樹皮から水、エタノール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール又はこれらの混液で抽出して得られるエキスであると記載されるものである。
オウバクエキスの含有量は、剤100質量%に対し、通常、0.001質量%以上であり、0.01質量%以上が好ましく、0.05質量%以上がより好ましい。これにより、口腔内の短鎖脂肪酸量をより効率的に低減できる。上限は、通常、1.0質量%以下である。したがって、オウバクエキスの含有量は、通常、0.001~1.0質量%であり、0.01~1.0質量%が好ましく、0.05~1.0質量%がより好ましい。
オウバクエキスは、オウバクエキスに含まれる成分でもよい。オウバクエキスに含まれる成分としては、例えば、ベルベリン又はその塩が挙げられる。ベルベリン又はその塩は、抗炎症作用、抗菌作用等を有する歯周病予防等の有効成分である。ベルベリンの塩としては、塩化ベルベリン、硫酸ベルベリン、タンニン酸ベルベリン等を例示することができる。ベルベリンまたはその塩は、オウバク以外の生物(例えば、オウレン、オレゴングレープ、ヒドラスチス、ヒイラギナンテンモドキ)由来でもよいし、人工合成品でもよい。
〔1.2 短鎖脂肪酸低減効果〕
上記各成分は、口腔内において短鎖脂肪酸低減効果を有する。本明細書において、短鎖脂肪酸低減効果とは、口腔内の短鎖脂肪酸の量を低減させることを意味し、歯周病等疾患リスクをはじめとする悪影響がない程度に低減させることが好ましい。口腔内において短鎖脂肪酸低減効果を発揮することにより、歯周病リスクを低減し、歯周病を予防することができる。
〔短鎖脂肪酸〕
本明細書において短鎖脂肪酸とは、炭素原子数の短い(例えば6以下、好ましくは1~6、より好ましくは2~5、更に好ましくは3~5)の脂肪酸を意味する。短鎖脂肪酸が有するアルキル基は、直鎖でも分岐鎖でもよく、二重結合を有していてもよい。短鎖脂肪酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸(酪酸)、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、2-メチル酪酸が挙げられる。口腔内で主に検出される単鎖脂肪酸は、プロピオン酸、酪酸である。
短鎖脂肪酸の低減効果は、25%以上又は30%以上であることが好ましく、50%以上、60%以上又は70%以上であることがより好ましく、75%以上又は90%以上であることがさらに好ましい。短鎖脂肪酸低減効果は、各剤を適用した際の被験者の口腔内より採取した試料(例えば、唾液、歯肉溝浸出液)から短鎖脂肪酸量の対照(適用なしの場合の短鎖脂肪酸量)に対する比率を1から差し引いた値の百分率として求めることができる。
〔口腔内細菌〕
口腔内の短鎖脂肪酸は、口腔内細菌、又は食品中の成分(例えば、乳製品等の発酵食品に含まれる単鎖脂肪酸)に由来するが、大部分は口腔内細菌に由来するものである。各有効成分は、口腔内細菌の短鎖脂肪酸産生及び/又は分泌を抑制することが好ましい。本明細書において口腔内細菌は、口腔内に存在する細菌であり、病原性の有無は問わない。短鎖脂肪酸を産生する口腔内細菌としては、例えば、フソバクテリウム(Fusobacterium)属細菌、プレボテラ(Prevotella)属細菌、ベイヨネラ(Veillonella)属細菌、ポルフィロモナス(Porphyromonas)属細菌、トレポネーマ(Treponema)属細菌、ストレプトコッカス(Streptococcus)属細菌が挙げられる。
-フソバクテリウム属細菌-
フソバクテリウム属細菌としては、例えば、フソバクテリウム・ヌクレアタム(Fusobacterium nucleatum)、フソバクテリウム・ゴニディアフォーマンス(Fusobacterium gonidiaformans)が挙げられる。これらのうち、フソバクテリウム・ヌクレアタムが好ましい。対象とするフソバクテリウム属細菌は、1種単独でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。
-プレボテラ属細菌-
プレボテラ属細菌としては、例えば、プレボテラ・インターメディア(Prevotella intermedia)、プレボテラ・ブカエ(Prevotella buccae)、プレボテラ・デンタリス(Prevotella dentalis)、プレボテラ・ヘパリノリティカ(Prevotella heparinolytica)、プレボテラ・オラリス(Prevotella oralis)、プレボテラ・オリス(Prevotella oris)、プレボテラ・オウロラム(Prevotella oulorum)、プレボテラ・ベロラリス(Prevotella veroralis)が挙げられる。対象とするプレボテラ属細菌は、1種単独でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。
-ベイヨネラ属細菌-
ベイヨネラ属細菌としては、例えば、ベイヨネラ・パルビュラ(Veillonella parvula)、ベイヨネラ・ディスパー(Veillonella dispar)が挙げられる。対象とするベイヨネラ属細菌は、1種単独でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。
-ポルフィロモナス属細菌-
ポルフィロモナス属細菌としては、例えば、ポルフィロモナス ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)が挙げられる。対象とするポルフィロモナス属細菌は、1種単独でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。
-トレポネーマ属細菌-
トレポネーマ属細菌としては、例えば、トレポネーマ デンティコラ(Treponema denticola)、トレポネーマ ソクランスキ(Treponema socranskii)が挙げられる。対象とするトレポネーマ属細菌は、1種単独でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。
-ストレプトコッカス属細菌-
ストレプトコッカス属細菌としては、例えば、ストレプトコッカス ゴルドニアイ(Streptococcus gordonii)、ストレプトコッカス オラリス(Streptococcus oralis)、ストレプトコッカス ミティス(Streptococcus mitis)、ストレプトコッカス サリバリウス(Streptococcus salivarius)、ストレプトコッカス パーオリス(Streptococcus peroris)、ストレプトコッカス インファンティス(Streptococcus infantis)、ストレプトコッカス サングイニス(Streptococcus sanguinis)が挙げられる。対象とするストレプトコッカス属細菌は、1種単独でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。
〔1.3 任意成分〕
本発明の剤が、他の任意成分を含むいわゆる組成物の形態である場合、他の成分としては、例えば、殺菌剤、防腐剤、薬効成分、界面活性剤、研磨剤、湿潤剤、粘結剤、緩衝剤、溶解補助剤、等張化剤、安定化剤、キレート剤、保湿剤、矯味剤(甘味剤、香料、酸味料)、油性成分、着色剤、pH調整剤、溶媒、賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、発色剤、酸化防止剤、強化剤、膨張剤、増粘剤、清涼剤、収斂剤、紫外線吸収剤、水性溶媒、調味料、食品原料(食品添加物を含む)等の、本発明の剤における有効成分以外の成分が挙げられる。任意成分の種類、含有量は、医薬品、医薬部外品、食品組成物、化粧料の各用途、及び/又は剤形、投与方法等に応じて選択すればよく、1種でもよいし2種以上の組み合わせでもよい。
-殺菌剤-
殺菌剤としては、例えば、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、クロルヘキシジン又はその塩、トリクロサン、イソプロピルメチルフェノール、ヒノキチオール、グルコン酸クロルヘキシジン、塩化デカリニウム、ヨウ素、ヨウ化カリウム、スルファメトキサゾール、スルファメトキサゾールナトリウム、スルフイソキサゾール、スルフイソミジンナトリウムが挙げられる。
-防腐剤-
防腐剤としては、例えばメチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン等のパラオキシ安息香酸エステル、安息香酸又はその塩、デヒドロ酢酸又はその塩、ソルビン酸又はその塩(ソルビン酸カリウム等)、ホウ酸、ホウ砂、フェニルエチルアルコール、ベンジルアルコール、フェノール、アクリノール等のアルコール、アルキルポリアミノエチルグリシンが挙げられる。
本発明においては、本発明の効果を妨げない範囲であれば殺菌剤及び/又は防腐剤を含有させてもよい。含有させる場合は、通常、殺菌剤及び/又は防腐剤は合計で、剤組成物全体の0.1質量%以下、好ましくは0.05質量%以下、より好ましくは0.03質量%以下、更に好ましくは0.01質量%以下、更により好ましくは0.005質量%以下である。これにより、病原性細菌及び常在菌に対する非選択的な殺菌を抑制し、口腔内の菌バランスの崩壊による菌交代症のリスクを低下させることができる。
-薬効成分-
薬効成分としては、例えば、デキストラナーゼ、ムタナーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ、リテックエンザイム等の酵素;フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化スズ等のフッ化物;グリチルリチン酸塩(例えば、グリチルリチン2カリウム塩)、アズレン、ジヒドロコレステロール等の抗炎症剤;亜鉛塩、銅塩、スズ塩等の金属塩;縮合リン酸塩、エタンヒドロキシジホスフォネート等の歯石予防剤;ビタミンE(例えば、トコフェロール)等の血流促進剤;塩化ストロンチウム等の知覚過敏抑制剤;ヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウムクロリド等のコーティング剤;ビタミンC(例えば、アスコルビン酸又はその塩)、塩化ナトリウム等の収斂剤;銅クロロフィル等の水溶性銅化合物;歯石予防剤;アラニン、グリシン、プロリン等のアミノ酸類;タイム、オウゴン、チョウジ、ハマメリス等の植物エキス;カロペプタイド;ポリビニルピロリドン等を挙げることができる。他の例としては、充血除去剤、消炎剤、収斂剤、抗ヒスタミン剤、ビタミン類、アミノ酸類、殺菌剤、局所麻酔剤、上記本発明における有効成分以外の短鎖脂肪酸低減効果を有する成分、これらから選ばれる2以上の組み合わせも挙げられる。充血除去剤としては、例えば、塩酸ナファゾリン、塩酸テトラヒドロゾリン、塩酸フェニレフリン、エピネフリン、塩酸エピネフリン、塩酸エフェドリン、dl-塩酸メチルエフェドリン、硝酸テトラヒドロゾリン、硝酸ナファゾリンが挙げられる。消炎、収斂剤としては、例えば、メチル硫酸ネオスチグミン、硫酸ベルベリン、硫酸亜鉛、乳酸亜鉛、ブロメライン、グリチルリチン酸二カリウム、グリチルリチン酸アンモニウム、サリチル酸メチル、アズレンスルホン酸ナトリウム、カミツレ、クロモグリク酸ナトリウムが挙げられる。抗ヒスタミン剤としては、例えば、塩酸イプロヘプチン、塩酸ジフェンヒドラミン、ジフェンヒドラミン、塩酸イソチペンジル、マレイン酸クロルフェニラミンが挙げられる。ビタミン類としては、例えば、フラビンアデニンジヌクレオチドナトリウム、塩酸ピリドキシン、シアノコバラミン、ビタミンA類(例えば、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール)、ビタミンE類(コハク酸トコフェロール(例えば、d-α-コハク酸トコフェロール))が挙げられる。アミノ酸類としては、例えば、L-アスパラギン酸カリウム、L-アスパラギン酸マグネシウム、アミノエチルスルホン酸、コンドロイチン硫酸ナトリウムが挙げられる。局所麻酔剤としては、例えば、リドカイン、塩酸リドカイン、塩酸ジブカイン、クロロブタノールが挙げられる。それぞれの薬効成分は、1つ又は2以上を組み合わせて用いてもよい。薬効成分の含有量は、常法に従って有効量を適宜設定できる。
-界面活性剤-
界面活性剤は、例えば、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤が挙げられる。
非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(例、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート)、アルキロールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル(例、ショ糖パルミチン酸モノエステル、マルトース脂肪酸エステル)、糖アルコール脂肪酸エステル(例、マルチトール脂肪酸エステル、ラクチトール脂肪酸エステル)、脂肪酸ジエタノールアミド(例、ラウリル酸モノ又はジエタノールアミド)、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンフィトステロール及びフィトスタノール、ポリオキシエチレンラノリン及びラノリンアルコール、ポリオキシエチレンアルキルアミン及び脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルフェニルホルムアルデヒド縮合物、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルが挙げられる。これらのうち、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油が好ましく、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油がより好ましい。
-ポリオキシエチレンアルキルエーテルの例-
ポリオキシエチレンアルキルエーテルのアルキル鎖の炭素原子数は、通常、12以上、好ましくは14以上である。上限は、通常、26以下、好ましくは24以下、より好ましくは22以下である。従って、炭素原子数は、通常12~26、好ましくは14~24、より好ましくは14~22である。アルキル鎖は、不飽和結合を有していてもよく、その数は少なくとも1つであればよく、好ましくは1つである。アルキル鎖は、直鎖、分岐鎖のいずれでもよいが、直鎖が好ましい。エチレンオキサイド平均付加モル数は、通常、5以上、好ましくは10以上である。上限は、通常100以下、好ましくは60以下である。従って、エチレンオキサイド平均付加モル数は、5~100、好ましくは10~60である。
ポリオキシエチレンアルキルエーテルとしては、例えば、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテルが挙げられる。
-ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油の例-
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油のエチレンオキサイド平均付加モル数は、通常5以上、好ましくは20以上、より好ましくは40以上である。上限は、通常150以下、好ましくは100以下である。従って、通常5~150、好ましくは5~100、より好ましくは20~100、さらにより好ましくは40~100である。
-他の非イオン性界面活性剤の例-
ソルビタン脂肪酸エステルの脂肪酸の炭素原子数は、通常12~18である。ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの脂肪酸の炭素原子数は、通常16~18であり、エチレンオキサイド平均付加モル数は、通常10~40モルである。アルキロールアミドのアルキル鎖の炭素原子数は、通常12~14である。
非イオン性界面活性剤は、1種単独でもよいし、異なる2種以上の非イオン性界面活性剤の組み合わせでもよい。
アニオン性界面活性剤としては、例えば、アルキル硫酸塩、アシルアミノ酸塩、アシルタウリン塩、α-オレフィンスルホン酸塩、水素添加ココナッツ脂肪酸モノグリセリドモノ硫酸塩、ラウリルスルホ酢酸塩が挙げられる。アルキル基、アシル基は直鎖及び分岐鎖のいずれでもよく、飽和及び不飽和のいずれでもよく、その炭素原子数は通常10~20であり、好ましくは12~18であり、より好ましくは12~14である。塩は、薬理学的に許容される塩から選択され得る。薬理学的に許容される塩としては、例えば、塩基付加塩及びアミノ酸塩が挙げられる。その具体例としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩等の無機塩基塩;トリエチルアンモニウム塩、トリエタノールアンモニウム塩、ピリジニウム塩、ジイソプロピルアンモニウム塩等の有機塩基塩;アルギニン塩等の塩基性アミノ酸塩が挙げられる。中でも、無機塩基塩が好ましく、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩)又はアンモニウム塩がより好ましく、ナトリウム塩が更に好ましい。アルキル硫酸塩としては、例えば、ラウリル硫酸塩、ミリスチル硫酸塩が挙げられる。アシルアミノ酸塩としては、例えば、ラウロイルグルタミン酸塩、ミリストイルグルタミン酸塩、パルミトイルグルタミン酸塩等のアシルグルタミン酸塩;N-ラウロイル-N-メチルグリシン塩、ココイルグリシン塩等のアシルグリシン塩;N-ラウロイル-β-アラニン塩、N-ミリスチル-β-アラニン塩、N-ココイル-β-アラニン塩、N-ラウロイル-N-メチル-β-アラニン塩、N-ミリストイル-N-メチル-β-アラニン塩、N-メチル-N-アシルアラニン塩等のアシルアラニン塩;ラウロイルアスパラギン酸塩等のアシルアスパラギン酸塩が挙げられる。アシルタウリン塩としては、例えば、N-メチル-N-アシルタウリン塩、N-ココイルメチルタウリン塩が挙げられる。アニオン性界面活性剤の他の例としては、水素添加ココナッツ脂肪酸モノグリセリドモノ硫酸ナトリウム、ラウリルスルホ酢酸ナトリウムも挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えば、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン(例えば、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン)、脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のベタイン型両性界面活性剤;N-脂肪酸アシル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルエチレンジアミン塩、ヤシ油脂肪酸イミダゾリニウムベタイン等のイミダゾリン型両性界面活性剤;ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のアルキルベタインが挙げられる。
界面活性剤を含む場合、アニオン性、ノニオン性、両性界面活性剤それぞれの含有量は、通常、剤全体の0.01~10質量%、好ましくは0.1~5質量%、より好ましくは0.2~3質量%である。
-研磨剤-
研磨剤としては、例えば、無機研磨剤及び有機研磨剤のいずれでもよい。無機研磨剤としては、例えば、沈降性シリカ、アルミノシリケート、ジルコノシリケート、結晶性ジルコニウムシリケート、チタン結合性シリカ等の研磨性シリカ;第2リン酸カルシウム・2水和塩又は無水和物、第1リン酸カルシウム、第3リン酸カルシウム、ピロリン酸カルシウム等のリン酸カルシウム系化合物;炭酸カルシウム等の炭酸カルシウム系研磨剤;水酸化カルシウム、硫酸カルシウム等の、炭酸/リン酸以外のカルシウム系研磨剤;酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、アルミナ等のアルミニウム系材料;無水ケイ酸、ゼオライト、ケイ酸ジルコニウム等のケイ酸系材料;炭酸マグネシウム、第3リン酸マグネシウム等のマグネシウム系材料;ハイドロキシアパタイト、フルオロアパタイト、カルシウム欠損アパタイト等のアパタイト系材料;二酸化チタン、雲母チタン、酸化チタン等のチタン系材料;ベントナイト等の鉱物が挙げられる。有機研磨剤としては、例えば、ポリメチルメタアクリレート、合成樹脂系研磨剤が挙げられる。これらのうち、研磨性シリカ、リン酸カルシウム系化合物が好ましく、無水ケイ酸がより好ましい。研磨剤の量は、剤全体に対し、50質量%以下が好ましく、8~50質量%がより好ましい。
-湿潤剤-
湿潤剤としては、例えば、糖アルコール、糖アルコール以外の多価アルコールが挙げられる。糖アルコールとしては、例えば、ソルビトール(ソルビット)、エリスリトール、マルチトール、ラクチトール、キシリトール等が挙げられる。糖アルコール以外の多価アルコールとしては、グリセリン;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ポリエチレングリコール(PEG)等のグリコール;還元でんぷん糖化物が挙げられる。ポリエチレングリコールとしては、例えば、平均分子量150~6000のポリエチレングリコールが好ましく、平均分子量190~630のポリエチレングリコール(PEG200、PEG300、PEG400、PEG600)が好ましい。平均分子量は、医薬部外品原料規格2006記載の平均分子量である。湿潤剤の含有量は、剤全体に対し、通常、40質量%以下であり、好ましくは1~30質量%である。
-粘結剤-
粘結剤としては、従来公知の任意好適な有機粘結剤、例えば、多糖類、セルロース系粘結剤(例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、カチオン化セルロース)、その他の多糖系増粘剤(例、キサンタンガム、グアガム、ジェランガム、トラガントガム、カラヤガム、アラビヤガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム)、合成水溶性高分子(例、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、アルギン酸プロピレングリコール)が挙げられる。さらには増粘性シリカ、ケイ酸アルミニウム等の無機粘結剤を含有させることもできる。有機粘結剤の含有量は、剤全体に対し、0~3質量%が好ましく、0.1~2質量%がより好ましい。無機粘結剤の含有量は、0~10質量%が好ましく、1~8質量%がより好ましい。
-緩衝剤-
緩衝剤としては、例えば、クエン酸又はその塩(例えば、クエン酸ナトリウム)、リン酸又はその塩(例えば、リン酸水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二カリウム、リン酸二水素カリウム)、酒石酸又はその塩(例えば、酒石酸ナトリウム)、グルコン酸又はその塩(例えば、グルコン酸ナトリウム)、酢酸又はその塩(例えば、酢酸ナトリウム)、炭酸又はその塩(例えば、炭酸水素ナトリウム)、トロメタモール、アミノ酸類(例えば、アスパラギン酸カリウム、アミノエチルスルホン酸、グルタミン酸、グルタミン酸ナトリウム)、これらの2以上の組み合わせが挙げられる。
-溶解補助剤-
溶解補助剤としては、例えば、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、これらの2以上の組み合わせが挙げられる。
-等張化剤-
等張化剤としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、グリセリン、これらの2以上の組み合わせが挙げられる。
-安定化剤-
安定化剤としては、例えば、エデト酸ナトリウム、シクロデキストリン、亜硫酸塩、クエン酸又はその塩、ジブチルヒドロキシトルエン、アスコルビン酸、これらの2以上の組み合わせが挙げられる。
-キレート剤-
キレート剤としては、例えば、エデト酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、これらの組み合わせが挙げられる。
-保湿剤-
保湿剤としては、例えば、グリセリン、濃グリセリン、糖アルコール類(例えば、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、マンニトール、還元水飴、還元パラチノース、エリスリトール、ラクチトール、イソマルト)、これらの2以上の組み合わせが挙げられる。
-矯味剤-
矯味剤としては、例えば、甘味剤(例、サッカリンナトリウム、グリチルリチン酸二カリウム、アスパルテーム、ステビア、ステビオサイド、パラメトキシシンナミックアルデヒド、ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、ペリラルチン、アスパラチルフェニルアラニンメチルエステル、ソーマチン、アセスルファムカリウム、スクラロース、マルチトール、ソルビトール、マンニトール、還元水飴、還元パラチノース、キシリトール、エリスリトール、ラクチトールなどの人工甘味料など);香料(例、アニス油、カシア油、ウィンターグリーン油、マスチック油、ネロリ油(オレンジフラワー油)、レモングラス油、ジャスミン油、ローズ油、イリス油、クローブ油、セージ油、カルダモン油、ローズマリー油、ローレル油、カモミル油、バジル油、マジョラム油、レモン油、オレンジ油、ライム油、柚子油、ナツメグ油、ラベンダー油、パラクレス油、バニラ油、桂皮油、ピメント油、桂葉油、シソ油、冬緑油、ハッカ油、ライチ油等の天然精油);メントール、カルボン、シンナミックアルデヒド、アネトール、メチルサリシレート、オイゲノール、リナロール、リモネン、メントン、メンチルアセテート、シトラール、デカナール、カンファー、ボルネオール、ピネン、スピラントール、n-デシルアルコール、シトロネロール、α-テルピネオール、シトロネリルアセテート、エチルリナロール、ワニリン等の上記天然精油中に含まれる香料成分;エチルアセテート、エチルブチレート、イソアミルアセテート、ヘキサナール、ヘキセナール、メチルアンスラニレート、エチルメチルフェニルグリシデート、ベンズアルデヒド、バニリン、エチルバニリン、フラネオール、N-エチル-p-メンタン-3-カルボキサミド、メンチルラクテート、エチレングリコール-l-メンチルカーボネート等の香料成分;及びいくつかの香料成分や天然精油を組み合わせてなるミント系、フルーツ系、ハーブ系等の各種調合フレーバー(例えば、ペパーミントミクロンX-8277-T、ドライコート抹茶#421)、酸味料(例、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸)、緑茶末が挙げられる。
-油性成分-
油性成分としては、例えば、脂肪酸エステル(例えば、グリセリン脂肪酸エステル)、炭化水素(例、パラフィン、流動パラフィン、セレシン、スクワラン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス)、高級脂肪酸(例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、オレイン酸、イソステアリン酸等の炭素原子数8~22の脂肪酸)、高級アルコール(例えば、ラウリルアルコール、セチルアルコール、セトステアリルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール等の炭素原子数8~22のアルコール)、植物油脂(例えば、オリーブ油、ヒマシ油、やし油等の植物油;ミリスチン酸イソプロピル等の脂肪酸エステル)、蜜蝋、これらの2以上の組み合わせが挙げられる。
-湿潤剤-
湿潤剤としては、例えば、糖アルコール、糖アルコール以外の多価アルコールが挙げられる。糖アルコールとしては、例えば、ソルビトール(ソルビット)、エリスリトール、マルチトール、ラクチトール、キシリトールが挙げられる。糖アルコール以外の多価アルコールとしては、グリセリン;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ポリエチレングリコール(PEG)等のグリコール;還元でんぷん糖化物が挙げられる。ポリエチレングリコールとしては、例えば、平均分子量150~6000のポリエチレングリコールが好ましく、平均分子量190~630のポリエチレングリコール(PEG200、PEG300、PEG400、PEG600)が好ましい。平均分子量は、医薬部外品原料規格2006記載の平均分子量である。湿潤剤の量は、剤全体に対し、通常、40質量%以下であり、好ましくは1~30質量%である。
-着色剤-
着色剤としては例えば、ベニバナ赤色素、クチナシ黄色素、クチナシ青色素、シソ色素、紅麹色素、赤キャベツ色素、ニンジン色素、ハイビスカス色素、カカオ色素、スピルリナ青色素、タマリンド色素等の天然色素や、赤色2号、赤色3号、赤色104号、赤色105号、赤色106号、赤色227号、黄色4号、黄色5号、緑色3号、青色1号等の法定色素、リボフラビン、銅クロロフィリンナトリウム、二酸化チタンが挙げられる。着色剤を含む場合、その含有量は、剤全体に対し0.00001~3質量%とすることが好ましい。
-pH調整剤-
pH調整剤としては、例えば、フタル酸、クエン酸、コハク酸、酢酸、フマル酸、リンゴ酸、及び乳酸等の有機酸又はそれらの塩(クエン酸ナトリウム)、リン酸(オルトリン酸)等の無機酸又はそれらの塩(例えば、カリウム塩、ナトリウム塩、及びアンモニウム塩)、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化物が挙げられる。無機酸塩としては、例えば、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウムが挙げられる。pH調整剤の含有量は、通常、添加後の剤のpHが5~9、好ましくは6~8.5となる量とすることができる。本明細書において、pH値は、通常、測定開始から25℃、3分後の値をいう。pH値は、例えば、東亜電波工業社製のpHメーター(型番Hm-30S)を用いて測定することができる。
-溶媒-
溶媒としては、例えば、水(精製水)、エタノールが挙げられ、水が好ましい。溶媒は1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
-賦形剤-
賦形剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、結晶セルロース、エチルセルロース、メチルエチルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース、及びその薬理学的に許容される誘導体;ポリビニルピロリドン、部分けん化ポリビニルアルコール等の合成高分子;ゼラチン、アラビアゴム末、プルラン、寒天、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、キタンサンガム等の多糖類;トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、α化デンプン、ヒドロキシプロピルスターチ等のスターチ、及びその薬理学的に許容される誘導体;乳糖、乳糖造粒物、果糖、ブドウ糖、白糖、グラニュウ糖、含水ブドウ糖、トレハロース、パラチノース、マンニトール、ソルビトール、エリスリトール、キシリトール、マルトテトラオース、ラクチトール、イソマルト、還元パラチノース、還元水飴、粉末還元麦芽糖水飴、マルチトール;炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、軽質無水ケイ酸、二酸化ケイ素(別名:無水ケイ酸、微粒二酸化ケイ素)、酸化チタン、水酸化アルミニウムゲル等の無機賦形剤;これらの2以上の組み合わせが挙げられる。
-崩壊剤-
崩壊剤としては、例えば、クロスポビドン、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスリンクドインソルブルポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルスターチ、部分α化デンプン、トウモロコシデンプン、これらの2以上の組み合わせが挙げられる。
-結合剤-
結合剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、デキストリン(澱粉分解物)、デンプン、アルファー化デンプン、これらの2以上の組み合わせが挙げられる。
-滑沢剤-
滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ショ糖脂肪酸エステル、軽質無水ケイ酸、フマル酸ステアリルナトリウム、ポリエチレングリコール、タルク、ステアリン酸、これらの2以上の組み合わせが挙げられる。
-他の任意成分-
上記以外の任意成分の例としては、ガムベース、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ウレタン、シリコン、天然ゴムが挙げられる。これら他の任意成分の含有量は、本発明の効果を妨げない範囲で適宜設定できる。
〔1.4 剤形〕
剤形としては、例えば、液状(液剤)、シロップ状(シロップ剤)、クリーム状、ペースト状、錠剤(錠剤、タブレット)、カプセル状(カプセル剤)、粉末状(顆粒、細粒)、ソフトカプセル状(ゼラチン基剤等のソフトカプセル剤)、ハードカプセル状(ハードカプセル剤)、が挙げられ、投与形態に応じて適宜選択すればよい。
〔1.5 製剤としての利用〕
本発明の剤は、医薬、医薬部外品、口腔用の化粧料、食品として利用できる。剤型は、例えば、液剤、スプレー剤、固形剤、半固形剤、液剤、粉剤、顆粒剤が挙げられ、特に限定されない。医薬、医薬部外品の場合の適用部位は、例えば、口腔が挙げられる。口腔用としては、例えば、歯磨剤(例えば、練歯磨、ゲル状歯磨、潤製歯磨、液体歯磨)、洗口剤、舌磨剤、口腔内スプレー、口腔内タブレット、ガム、口中清涼剤、うがい用錠剤、口腔用パスタ、ゲル剤、軟膏剤が挙げられる。
口腔用の化粧料としては、例えば、クリーム剤、乳液、パック剤、ジェル剤、エアゾール、シート剤等の剤形で利用できる。
食品(食品組成物)としては例えば、健康食品、機能性食品、健康補助食品(サプリメント)、栄養補助食品、特定保健用食品、栄養機能食品、医療用食品、病者用食品、乳児用食品、介護用食品、高齢者用食品等の用途を付した食品組成物が挙げられる。食品組成物の種類は特に限定されず、例えば、飲料(清涼飲料、炭酸飲料、栄養飲料、粉末飲料、果実飲料、乳飲料、ゼリー飲料など)、菓子類(クッキー、ケーキ、ガム(チューインガム)、キャンディー、ソフトキャンディー、タブレット、グミ、錠菓、饅頭、羊羹、プリン、ゼリー、アイスクリーム、シャーベットなど)、水産加工品(かまぼこ、ちくわ、はんぺんなど)、畜産加工品(ハンバーグ、ハム、ソーセージ、ウィンナー、チーズ、バター、ヨーグルト、生クリーム、チーズ、マーガリン、発酵乳など)、スープ(粉末状スープ、液状スープなど)、主食類(ご飯類、麺(乾麺、生麺)、パン、シリアルなど)、調味料(マヨネーズ、ショートニング、ドレッシング、ソース、たれ、しょうゆなど)等の加工食品が挙げられる。これらのうち、菓子が好ましく、ガム、キャンディー、ソフトキャンディー、グミ、錠菓がより好ましい。
〔1.6 投与方法・対象〕
短鎖脂肪酸低減剤の投与方法としては、例えば、経口投与(内服;例えば、口腔内投与、舌下投与)が挙げられる。
投与対象は、ヒトを含む動物であればよく、通常はヒトである。投与対象は健常者でもよいが、口腔内の細菌感染症(例えば、歯周病、う蝕、口臭)の感染者又は感染が疑われる者でもよい。ヒト以外の動物としては、例えば、マウス、ラット、ハムスター、イヌ、ネコ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、ブタ、サル等の哺乳類が挙げられる。
〔1.7 製造方法〕
本発明の剤の製造方法は、剤型、用途、適用部位に応じて定めればよい。例えば、練歯磨剤として利用する場合、溶媒に溶解する成分を調製した後、それ以外の不溶性成分を混合し、必要に応じて脱泡(例えば、減圧等)を行う方法が挙げられる。また他の例としては、有効成分及び必要に応じて用いる他の成分を水性溶媒(例えば、精製水、滅菌水等の水)に分散し、溶解することにより組成物を調製し、適切な容器(例えば、ガラス製、樹脂製)に充てんする方法が挙げられる。容器は、口腔用剤の容器としては、例えば、ラミネートチューブが挙げられ、材質は例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン等の樹脂が用いられ得る。スプレー剤の場合には、噴霧手段を備える容器(例えば、トリガー式、ポンプ式、エアゾール式容器)を選択すればよい。得られる練歯磨剤は、容器に収容して製品とすることができる。容器は、形状、材質は特に限定されず、通常の口腔用組成物に使用される容器を使用できる。
〔1.8 使用方法〕
本発明の短鎖脂肪酸低減剤の使用方法は、例えば、適用部位に剤を投与すればよい。1日あたり投与回数は特に限定されないが、例えば1~6回、それ以上でもよい。口腔用剤の場合例えば、適量の剤を歯ブラシに載せ歯の表面をブラッシングし、使用後水ですすぐ方法(歯磨剤)、適量の剤を口に含みうがいをした後吐き出す方法(洗口剤)、適量の剤を噛み砕いて飲み込む方法(口腔内タブレット)、適量の剤を口腔内に吹きかける方法(口腔内スプレー)によればよい。
以下、本発明を実施例により説明する。以下の実施例は、本発明を限定するものではない。
実施例1~20<有効成分の添加による菌培養液中のプロピオン酸及びブタン酸(酪酸)の濃度変化検証試験>
[菌の培養]
Fusobacterium nucleotum subsp.nucleatum.(ATCC23726)を最終濃度OD(450nm)=0.1になるようにTryptic Soy Broth (Becton Dickinson)+0.5% Yeast Extract (Becton Dickinson)+5μg/mL ヘミン(Sigma)+1μg/ml メナジオン(Sigma)培地を用いて培養し、1wellにつき0.25mlを96well plateに播種、評価サンプルをそれぞれ終濃度が表1及び表2に示す濃度になるように調製し、菌培養液中に添加した。18時間後、菌液200μlを回収し、菌培養液中のプロピオン酸及び酪酸濃度分析に供した。尚、評価はn=3で実施した。
[菌培養液中の短鎖脂肪酸濃度分析]
回収した菌液に800μlのアセトニトリルを添加し、17750g、3min、室温で遠心分離し、上清をGC-MS/MS用バイアルに移した。0.1N NaOH aq. 10μLを添加し、固相カートリッジFlash-SPE ACXを用いて誘導体化後、GC-MS/MS分析を行った。プロピオン酸及びブタン酸(酪酸)の濃度の算出は、標準溶液のピーク面積から換算し、算出した。
[評価方法]
評価サンプルによる短鎖脂肪酸低減効果(%)は、式(1)で算出した。
式(1):
短鎖脂肪酸低減効果(%)=(1-サンプル処置群の短鎖脂肪酸濃度/無添加群の短鎖脂肪酸濃度)×100
プロピオン酸低減効果(%)の結果を表1及び表2に、ブタン酸(酪酸)低減効果(%)の結果を表5及び表6に示す。
[判定方法]
下記の判定基準によって評価サンプルの低減効果を判定した。B、C、Dに該当するものを低減効果ありと判断した。プロピオン酸低減効果の結果を表3及び表4に、ブタン酸(酪酸)低減効果(%)の結果を表7及び表8に示す。
A:低減効果が25%未満
B:低減効果が25%以上50%未満
C:低減効果が50%以上75%未満
D:低減効果が75%以上
Figure 2023162005000001
Figure 2023162005000002
Figure 2023162005000003
Figure 2023162005000004
ε-アミノカプロン酸、トラネキサム酸、アラントイン、β―グリチルレチン酸、POEラウリルエーテル、ピリドキシン塩酸塩、塩化リゾチーム、オウバクエキス、塩化ベンゼトニウム、トコフェロール酢酸エステルはプロピオン酸低減効果を有することを確認した。これらの成分のうち、トラネキサム酸、アラントイン、β-グリチルレチン酸、ピリドキシン塩酸塩、塩化リゾチーム、オウバクエキス、塩化ベンゼトニウム、トコフェロール酢酸エステルは、低濃度でも高いプロピオン酸低減効果を示した。
Figure 2023162005000005
Figure 2023162005000006
Figure 2023162005000007
Figure 2023162005000008
ε-アミノカプロン酸、トラネキサム酸、アラントイン、β-グリチルレチン酸、POEラウリルエーテル、ピリドキシン塩酸塩、塩化リゾチーム、オウバクエキス、塩化ベンゼトニウムはプロピオン酸低減効果を有することを確認した。これらの成分のうち、β-グリチルレチン酸、ピリドキシン塩酸塩、オウバクエキス、塩化ベンゼトニウムは、低濃度でも高いプロピオン酸低減効果を示した。
以上の結果より、ε-アミノカプロン酸、トラネキサム酸、アラントイン、β―グリチルレチン酸、POEラウリルエーテル、ピリドキシン塩酸塩、塩化リゾチーム、オウバクエキス、塩化ベンゼトニウム、トコフェロール酢酸エステルはプロピオン酸及びブタン酸(酪酸)の低減効果を示すことが分かった。
実施例で使用した評価サンプルは下記の通りである。外原規は医薬部外品原料規格2021を示し、日局は第十八改正日本薬局方を示す。
ニコチン酸DL-α-トコフェロール:(富士フイルム和光純薬株式会社、生化学用)
ε-アミノカプロン酸:(日本理化学薬品株式会社、外原規)
トラネキサム酸:(協和ファーマケミカル株式会社、日局)
アラントイン:(富士フイルム和光純薬株式会社、試薬特級)
β-グリチルレチン酸:(丸善製薬株式会社、外原規)
POEラウリルエーテル:(エチレンオキサイド平均付加モル数:8-10;日本エマルジョン株式会社、外原規)
ピリドキシン塩酸塩:(DSMニュートリションジャパン株式会社、日局)
塩化リゾチーム:(富士フイルム和光純薬株式会社、生化学用)
銅クロロフィリンナトリウム:(タマ生化学株式会社、食品添加物グレード)
オウバクエキス:オウバクエキスS(ベルベリン含有率5%)(小城製薬株式会社、食品添加物)
塩化ベンゼトニウム:(富士フイルム和光純薬株式会社、試薬一級)
トコフェロール酢酸エステル:(DSMニュートリションジャパン株式会社、日局)
以下に本発明の代表的な処方例を示す。表1と同様の成分を配合し、下記組成の口腔用組成物を調製した。組成中の%は、質量%である。
処方例1:チューインガム
砂糖 50.0%
ガムベース 20.0%
グルコース 14.0%
水飴 15.0%
香料 0.5%
トラネキサム酸 0.5%
水 バランス
計 100.0%
処方例2:グミ
還元水飴 40.0%
グラニュー糖 20.0%
ブドウ糖 20.0%
ゼラチン 5.0%
色素 0.02%
香料 0.5%
β-グリチルレチン酸 0.1%
水 バランス
計 100.0%
処方例3:キャンディー
砂糖 50.0%
水飴 33.0%
有機酸 2.0%
香料 0.5%
アラントイン 1.0%
水 バランス
計 100.0%
処方例4:錠菓(タブレット)
砂糖 76.0%
グルコース 20.0%
ショ糖脂肪酸エステル 0.2%
ピリドキシン塩酸塩 0.001%
水 バランス
計 100.0%
処方例5:錠剤
乳糖 55.0%
結晶セルロース 25.0%
澱粉分解物 10.0%
グリセリン脂肪酸エステル 5.0%
塩化ベンゼトニウム 0.002%
水 バランス
計 100.0%
処方例6:歯磨剤
無水ケイ酸 20.0%
ラウリル硫酸Na 1.0%
プロピレングリコール 3.0%
ソルビット(AI=100) 30.0%
キサンタンガム 1.0%
サッカリンNa 0.1%
香料 1.0%
オウバクエキス 0.005%
水 バランス
計 100.0%
処方例7:洗口剤
キシリトール 3.0%
グリセリン(AI=100) 5.0%
POE(60)硬化ヒマシ油 0.5%
クエン酸Na 0.3%
クエン酸 0.1%
香料 0.2%
エタノール 8.0%
プロピレングリコール 3.0%
POEラウリルエーテル 0.0001%
水 バランス
計 100.0%
処方例8:口腔用パスタ
ヒドロキシエチルセルロース 3.0%
カラギーナン 1.0%
ソルビット(70%水溶液) 40.0%
ショ糖パルミチン酸モノエステル 2.0%
ラウロイルサルコシンナトリウム 0.3%
乳酸アルミニウム 0.8%
サッカリンナトリウム 0.1%
酒石酸ナトリウム 1.0%
塩化リゾチーム 1.0%
香料 1.0%
塩酸又は水酸化ナトリウム 適量
水 バランス
計 100.0%

Claims (5)

  1. トラネキサム酸、塩化ベンゼトニウム、トコフェロール酢酸エステル、ピリドキシン塩酸塩、アラントイン、ε-アミノカプロン酸、β-グリチルレチン酸、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、塩化リゾチーム、銅クロロフィリンナトリウム、及びオウバクエキスからなる群より選ばれる1種以上を含有する口腔内の短鎖脂肪酸低減剤。
  2. 口腔内細菌の短鎖脂肪酸産生及び/又は分泌を抑制する請求項1に記載の短鎖脂肪酸低減剤。
  3. 口腔内細菌が、フソバクテリウム属細菌、プレボテラ属細菌、ベイヨネラ属細菌、ポルフィロモナス属細菌、トレポネーマ属細菌、ストレプトコッカス属細菌から選ばれる1種以上である、請求項2に記載の短鎖脂肪酸低減剤。
  4. 短鎖脂肪酸がプロピオン酸及び/又は酪酸を含む、請求項1又は2に記載の短鎖脂肪酸低減剤。
  5. 歯周病予防又は歯周病リスク低減剤である、請求項1又は2に記載の短鎖脂肪酸低減剤。
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