JP2023161982A - Cu系又はCuを含むNi系金属粉末 - Google Patents

Cu系又はCuを含むNi系金属粉末 Download PDF

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Abstract

【課題】過焼結になり難いため、高温で焼結したり、高成形密度であっても、結晶粒が粗大化したり、焼結組織に閉気孔が生成したりし難いので、強度が高いCu系又はNi系合金の焼結部品を製造でき、該焼結部品は熱に晒されても強度が低下し難い焼結部品であるCu系又はNi系金属粉末を提供する。【解決手段】物質Aを含有するCu系又はNi系金属粉末であって、前記Ni系金属粉末はCuを含有し、前記金属粉末の焼結体は、Cuの融点よりも低い温度域でCuを含む母相を有し、前記物質Aは、前記母相の融点よりも低い温度域において、相変化せず、かつ、物質Aを除く前記金属粉末中の物質と反応しない物質であり、前記物質Aの平均粒子径は、物質Aを除く前記金属粉末の平均粒子径の1/100以下であり、物質Aを除く前記金属粉末に対する前記物質Aの割合が0.02out質量%以上かつ1.5out質量%以下であるCu系又はNi系金属粉末。【選択図】なし

Description

本発明はCu系又はCuを含むNi系金属粉末に関する。詳しくは、該金属粉末は、過焼結になり難いから、高温で焼結しても、また、高成形密度であっても、結晶粒が粗大化したり、焼結組織に閉気孔が生成したりし難いので、強度が高いCu系合金又はNi系合金の焼結部品を製造でき、しかも、製造した焼結部品は使用中に熱に晒されたとしても結晶粒が粗大化し難いので、強度が低下し難い焼結部品になるCu系又はCuを含むNi系金属粉末に関する。
Cu系金属粉末や、Cuを含むNi系金属粉末を焼結して製造されるCu系合金又はNi系合金焼結部品は、含油軸受、バルブシートやバルブガイド等のエンジン部品、ブラシ、摩擦材等多くの用途で使用されている。
近年の粉末冶金技術の発展により、焼結部品の用途拡大が著しく、Cu系合金又はNi系合金の焼結部品の適用範囲も広がり、高強度化や耐熱性向上等の性能改善が求められている。
Cu系合金又はNi系合金の焼結部品において強度や耐熱性を向上させるために、Cu-Cr合金等の析出硬化型合金やNi-Cu合金等の固溶強化型合金からなるCu系合金又はNi系合金を使用する方法がある。
しかし、Crのような、易酸化性元素を含む合金は、原料粉末粒子表面に焼結を阻害する強固な酸化被膜が形成され易いため、粉末冶金で焼結部品を製造するには高温で焼結したり、焼結助剤を添加したりする必要がある。
しかし、高温で焼結したり、焼結助剤を添加すると過焼結になり易く、結晶粒が粗大化して強度が低下したり、閉気孔内のガスの膨張により焼結密度が低下したりするという問題がある。
また、Ni-Cu合金のような、易酸化性元素を含まないCu系又はCuを含むNi系金属粉末の場合でも、高温で焼結すれば過焼結になるだけではなく、焼結部品の使用中に熱に晒されることで徐々に結晶粒が粗大化して、強度が低下する虞がある。
このような問題の解決策として、Cu-Cr合金やNi-Cu合金の鋳造材や圧延材を使用する方法がある。
鋳造材や圧延材であれば、冷却速度や強加工等で結晶粒径を制御することが可能であるから、結晶粒の粗大化を抑制して、高強度を維持することができる。
しかし、鋳造材や圧延材では複雑な形状の部品を製造することが困難であるという問題がある。
また、大量生産すれば粉末冶金法に比べて部品の製造コストが増加するという問題がある。
そこで、上記の問題点から、高温で焼結しても過焼結になり難くて、結晶粒が粗大化したり、焼結組織に閉気孔が生成したりし難く、強度が高い、複雑な形状の焼結部品であって、使用中も強度が低下しない焼結部品を製造できるCu系金属粉末やNi系金属粉末の開発が望まれている。
特開2016-125102 特開2017-179407 特開2009-203543
特許文献1には、Fe系の粉末冶金用金属粉末が記載されており、過焼結を抑制するために、焼成工程において焼成温度と時間を制限し、結晶組織が粗大化するのを防止する方法が開示されている。
Fe系の粉末冶金用金属粉末は焼成温度と時間を制限しても、後工程で炭化物量等の組織制御を行うことで強度を確保できる。
しかし、Cu系又はNi系金属粉末においては後工程での組織制御がFe系のように容易に行えないため、強度が不足する虞がある。
特許文献2には、NiやSi等を含有するCu系合金からなる板材中に分散物として直径が0.1μm~3.0μmの晶出物又は析出物、溶解および鋳造の工程で生じる介在物及び第二相粒子を含有させ、高温で保持しても結晶粒の成長を抑制する方法が開示されている。
しかし、特許文献2に開示される方法を粉末に適用しようとすると、分散物の粒径制御のための冷却速度の制御が困難になる。
また、電解法等の溶解を伴わずに製造された粉末を含むと、分散物を特許文献2に開示されるように分布させることが困難である。
特許文献3では、流動性を改善させる目的で平均粒子径40nm以下の疎水化処理されたSiO、Al、TiO、MgO及びこれらの混合物から選ばれたものが添加されているが、過焼結を抑制することについては記載されていない。
本発明者は、前記諸問題を解決することを技術的課題とし、試行錯誤的な数多くの試作・実験を重ねた結果、物質AとCu又はNiを50質量%以上含有するCu系又はNi系金属粉末であって、前記Ni系金属粉末はCuを含有し、前記金属粉末の焼結体は、Cuの融点よりも低い温度域でCu相、Cuを含む合金相、Cuを含む部分合金相から選択される1の母相を有し、前記物質Aは、前記母相の融点よりも低い温度域において、相変化せず、かつ、物質A同士又は物質Aと物質Aを除く前記金属粉末中の物質と反応しない物質であり、前記物質Aの平均粒子径は、物質Aを除く前記金属粉末の平均粒子径の1/100以下であり、物質Aを除く前記金属粉末に対する前記物質Aの割合が0.02out質量%以上かつ1.5out質量%以下であるCu系又はNi系金属粉末であれば過焼結になり難いから、高温で焼結しても、また、高成形密度であっても、結晶粒が粗大化したり、焼結組織に閉気孔が生成したりしないので強度が高い焼結部品を製造できる金属粉末になるという刮目すべき知見を得て前記技術的課題を達成したものである。
前記技術的課題は次のとおりの本発明によって解決できる。
本発明は、物質AとCu又はNiを50質量%以上含有するCu系又はNi系金属粉末であって、前記Ni系金属粉末はCuを含有し、前記金属粉末の焼結体は、Cuの融点よりも低い温度域でCu相、Cu合金相、Cuを含む部分合金相から選択される1の母相を有し、前記物質Aは、前記母相の融点よりも低い温度域において、相変化せず、かつ、物質A同士又は物質Aと物質Aを除く前記金属粉末中の物質と反応しない物質であり、前記物質Aの平均粒子径は、物質Aを除く前記金属粉末の平均粒子径の1/100以下であり、物質Aを除く前記金属粉末に対する前記物質Aの割合が0.02out質量%以上かつ1.5out質量%以下であるCu系又はNi系金属粉末である。
また本発明は、明度L値が40以上である前記のCu系又はNi系金属粉末である。
また本発明は、前記Cu系金属粉末又は前記Ni系金属粉末の一部又は全部が表面処理されてなる前記のCu系又はNi系金属粉末である。
また本発明は、粉末冶金用である前記のCu系又はNi系金属粉末である。
また本発明は、硬質粒子及び/又は固体潤滑剤を30質量%以下含有する前記のCu系又はNi系金属粉末である。
また本発明は、圧粉成形用潤滑剤を0.1out質量%以上1.0out質量%以下添加してなる前記のCu系又はNi系金属粉末である。
また本発明は、前記のCu系又はNi系金属粉末の製造方法である。
また本発明は、前記のCu系又はNi系金属粉末の圧粉成形体を焼結してなる焼結体である。
本発明におけるCu系又はNi系金属粉末(以下「金属粉末」ということがある)は、物質Aを含有し、過焼結になり難いから、高温で焼結しても、また、高成形密度であっても、結晶粒が粗大化したり、焼結組織に閉気孔が生成したりし難いので、強度が高い焼結部品を製造できる。
本発明における金属粉末で製造した焼結部品は、使用中に熱に晒されても結晶粒が粗大化し難いので強度が低下し難い焼結部品になる。
また、粉末の明度L値が40以上である金属粉末であれば、酸素量が低いと推定できるから、母相の酸素量が測定できなくても、物質A以外の物質の影響による焼結性の低下を抑制することができる。
また、一部又は全部が表面処理された金属粉末であれば、物質Aが分散し易くなるため、Cu系又はNi系母相の過焼結や結晶粒の粗大化をより均一に抑制することができる。
また、硬質粒子及び/又は固体潤滑剤を30質量%以下含有する金属粉末であれば、耐摩耗性や耐焼き付き性に優れるCu系合金又はNi系合金の焼結部品を製造できる。
また、圧粉成形用潤滑剤を0.1out質量%以上かつ1.0out質量%以下添加した金属粉末であれば、潤滑性が向上するので圧粉成形体を成形し易い金属粉末になる。
また、本発明における金属粉末の圧粉成形体を焼結してなる焼結体は、熱に晒されても結晶粒が粗大化し難いので強度の高い焼結体になる。
一般に「過焼結」とは、高温、高成形密度、焼結助剤等により焼結が過度に進行することを言う。
過焼結になると、結晶粒が粗大化したり、焼結組織に閉気孔が生成したりするので、焼結体の強度が低下したり、焼結密度が低下したりする。
本発明は過焼結を抑制することによって、焼結密度や焼結体の強度を過焼結の状態よりも向上させることを目的とする。
即ち、過焼結の状態よりも焼結密度が低く、圧環強度が高い、又は、過焼結の状態と焼結密度は同程度でも圧環強度が高い、又は、過焼結の状態と圧環強度は同程度でも焼結密度が低い状態の焼結体を製造できる金属粉末である。
本発明は、物質AとCuを50質量%以上含有するCu系金属粉末、又は、物質AとNiを50質量%以上とCuを含有するNi系金属粉末である。
Cu系金属粉末はCuを50質量%以上含有していることが好ましく、さらに好ましくは、60質量%以上である。
Ni系金属粉末は、Niを50質量%以上含有していることが好ましく、さらに好ましくは、60質量%以上である。
Ni系金属粉末は、Cuを含有する。
Ni系金属粉末はCuを含有していればよいが、20質量%以上含有することが好ましい。
本発明における金属粉末の焼結体は、Cuの融点(1083℃)よりも低い温度域でCu相又はCuを含む合金相又はCuを含む部分合金相から選択される1の母相を有する。
母相の例として、純Cu、Cu-Ni、Ni-Cu、Cu-Cr、Cu-Snを例示する。
Cuを含む合金相又はCuを含む部分合金相は粉末の状態で合金又は部分合金になっている必要はなく、焼結過程において、Cuの融点よりも低い温度域において合金又は部分合金になる構成であればよい。
Cuの融点よりも低い温度域において合金又は部分合金になる構成として、純Cuと純Niの混合粉末を例示する。
母相はCu相、Cuを含む合金相、Cuを含む部分合金相から選択される1の母相から析出した第二相を含んでもよい。
第二相としてCu-CrにおけるCr及びCu-FeにおけるFeを例示する。
第二相の析出は粉末の段階でも焼結過程でも、焼結後の熱処理の過程であってもよい。
本発明におけるCu系又はNi系金属粉末は、物質Aを含有する。
物質Aは母相の融点よりも低い温度域において相変化しない物質である。
また物質Aは、通常の焼結雰囲気、例えば、水素を含む露点-30℃程度の焼結雰囲気で、物質A同士が化学反応したり、原子が拡散したりしない、いわゆる反応しない物質であり、また、物質Aと金属粉末中に含まれる他の物質とも化学反応したり、原子が拡散したりしない、いわゆる反応しない物質である。
母相が純Cuの場合の物質Aとして、シリカ(SiO)、アルミナ(Al)、チタニア(TiO)、黒鉛(C)を例示する。
物質Aの平均粒子径は、物質Aを除く金属粉末の平均粒子径の1/100以下が好ましく、さらに好ましくは1/500以下である。
1/100より大きいと、焼結性を低下させたり、焼結体の強度を低下させたりする虞があるからである。
なお、1/500以下であれば、生成する気孔が微細化するので含油軸受に好適な焼結体を製造できる。
本発明における金属粉末における物質Aの含有量は、物質Aを除く金属粉末に対して、0.02out質量%以上かつ1.5out質量%以下が好ましく、さらに好ましくは0.04out質量%以上かつ0.9out質量%以下である。
0.02out質量%未満では、過焼結や結晶粒の粗大化の抑制効果が低くなる虞があり、また、1.5out質量%を超えると焼結性を低下させたり、焼結体の強度を低下させたりする虞があるからである。
物質Aは、1種以上であればよく、複数種でも良いが、物質Aが複数種の場合は、各物質の平均粒子径が同程度であることが好ましい。
なお、本発明者は、本発明における金属粉末が過焼結を抑制する原因として、物質AはCu又はNi系母相の融点よりも低い温度域において相変化せず、かつ、同温度域において金属粉末中の物質Aとも、他の物質とも反応しないため、Cu系又はNi系母相が拡散する際に粒子間に留まり拡散を阻害するが、物質Aの平均粒子径は物質A以外の粉末の平均粒子径の1/100以下、かつ、物質Aを除く金属粉末における物質Aの割合が0.02out質量%以上、かつ、1.5out質量%以下であるから、物質Aが粒子間に介在しない場所においてはCu系又はNi系母相の拡散が進行するため、適度な焼結性となり、結晶粒の粗大化や閉気孔の生成を抑制すると推測している。
また、同様の機構により、使用中に熱に晒される場合も結晶粒の粗大化を抑制すると推測している。
本発明におけるCu系又はNi系粉末は明度L値が40以上であることが好ましい。
物質Aは金属粉末の焼結性を低下させるため、母相を構成する金属粉末の酸素量が経時的に増加したりして、物質A以外の影響で焼結性が低下するようなことがあると、焼結部品の強度が設計よりも低下する虞がある。
しかし、明度L値が40以上であれば、物質Aとして酸化物を選択する場合等に母相の酸素量が測定できない場合でも金属粉末の酸素量が低いと推定できるため、物質A以外の物質の影響による焼結性の低下を最小限にできる。
本発明における金属粉末は、物質Aの分散性を向上させるために一部又は全部に表面処理を施してもよい。
物質Aの平均粒子径は微細で、かつ、物質Aを除く金属粉末との粒度差が大きいため偏析し易いからである。
表面処理は物質Aの分散性が向上すれば特に限定されない。
表面処理として、粉末の造粒による比表面積の減少や酸化物を含む粉末の還元によるポーラス化等の流動性を低下させる表面改質処理や、有機化合物との化学的反応や物理吸着等による各種官能基の付加を例示する。
また、表面処理は偏析防止処理であってもよい。
物質Aの分散性、即ち偏析度合いは粉末の表面状態によって変化する場合があるからである。
偏析防止処理は特に限定されず、ベンゾトリアゾール等、Cuに配位する元素を1分子当たり1つ以上含む有機化合物を使用することができ、好ましくは炭素数が3~30の前記有機化合物を使用することができる。
また、機械油を使用することもできる。
表面処理は物質Aに施してもよい。
本発明における金属粉末は、硬質粒子及び/又は固体潤滑剤を含有してもよい。
耐摩耗性や耐焼き付き性や機械的特性が高いCu系合金又はNi系合金の焼結部品を製造できるからである。
硬質粒子及び/又は固体潤滑剤の含有量は合計30質量%以下が好ましく、さらに好ましくは、合計25質量%以下である。
合計30質量%より多いと焼結性が著しく低下する虞があるからである。
本発明における金属粉末は圧粉成形用潤滑剤を添加することができる。
潤滑性が向上し、粉末冶金において圧粉成形体を成形し易くなるからである。
圧粉成形用潤滑剤の添加量は0.1out質量%以上かつ1.0out質量%以下が好ましく、さらに好ましくは、0.2out質量%以上かつ0.8out質量%以下である。
0.1out質量%未満であると潤滑性の向上が不十分であり、また、1.0out質量%を超えて添加した場合は焼結性が低下する虞があるからである。
また、圧粉成形用潤滑剤の蒸発量が多いと焼結炉を汚損する虞もあるからである。
本発明における圧粉成形用潤滑剤は特に限定されるものではないが、ステアリン酸亜鉛等の金属セッケンやEBS系ワックスを好適に使用することができる。
本発明における原料粉末の製造方法は特に限定されず、公知のアトマイズ法や電解法、化学還元法、粉砕法で製造すればよい。
公知のアトマイズ法として、水アトマイズ法、ガスアトマイズ法及び遠心アトマイズ法を例示する。
本発明の実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(Cu及びNi粉の製造)
イ:(電解法)
硫酸酸性浴中においてCu地金に直流電流を通電することで陰極板上に析出させたCuを回収し、洗浄乾燥することで99%以上の高純度のCu粉を作製した。
ロ:(水アトマイズ法)
表1記載の通りの組成になるように調整された溶融状態の合金成分を落下させながら約15MPaの高圧水と接触させることで急冷凝固させてCu又はNi系合金粉末を作製した。
なお、表においてCu-0.6Cr(実施例2)は質量比でCu:Cr=99.4:0.6を表す。
他の実施例及び比較例の表記も同様である。
実施例1~4と比較例1、5~8と参考例では(イ)のみ、実施例7と比較例4では(ロ)のみを用いた。
また、実施例5と比較例2,9ではCu粉末(イ)とCu-Cr合金粉末(ロ)を、実施例6と比較例3ではCu粉末(イ)とSn粉末(ロ)を用いた。
全体が表1記載の組成となるようにロッキングミキサーで混合した。
母相の融点はASM Alloy Phase Diagram Databaseを参照した。
物質Aは、市販の物を用いた。
(平均粒子径)
平均粒子径はレーザ回折式粒子径分布測定装置SALD-2300(株式会社島津製作所製)を使用して測定した。
物質Aを除く実施例及び比較例の各粉末の平均粒子径(表1及び2において「平均粒径(除:A)」と表した)に対し物質Aの平均粒子径が1/100以下であるかを下記(式1)を元に確認した(表1及び2において「物質A平均粒子径」と表した)。
(式1)1/(物質Aを除く粉末の平均粒子径/物質Aの平均粒子径)
明度L値は分光色彩計SE 6000(日本電色工業株式会社製)を使用して測定した。
(粉末の焼結性)
実施例及び比較例の各Cu系又はCuを含むNi系粉末に、圧粉成形用潤滑剤としてステアリン酸亜鉛を0.3out質量%加え、ロッキングミキサーで混合した。
前記の各粉末を外径14mm×内径7mm×高さ8mmのリング状で、成形密度が6.3g/cmとなるように成形し、水素又は水素窒素混合雰囲気中(H=75~100体積%,残部はN)、表1及び表2記載の温度で20分~30分保持して焼結させ、各焼結体を得た。
(密度)
焼結体の焼結前及び後の密度は電子天秤で重量を測定し、マイクロメーターで測定した体積を除することで得た。
各焼結体の焼結前後の密度変化は下記(式2)を元に算出した。
(式2)(焼結密度-成形密度)/成形密度×100
(圧環強度)
各焼結体の圧環強度はJIS Z 2507規格の測定法に従い求めた。
(母相)
母相の構成相は焼結体断面を電子顕微鏡SU3500(株式会社日立ハイテクノロジーズ製)を用いて500倍で2視野観察し、エネルギー分散型X線分光装置OCTANE PRIME(AMETEK、Inc.製)で同視野の元素マッピングを行い、Cu相、Cuを含む合金相、Cuを含む部分合金相のいずれか1の母相を有していることを確認した。
前記電子顕微鏡とエネルギー分散型X線分光装置を用いて焼結体断面の物質Aとその周囲の母相を観察し、母相から物質Aの成分が測定誤差以上検出されず、かつ、物質Aの組成が焼結前と同じである場合、物質Aが相変化又は反応していないとして評価した(表1及び表2において「相変化・反応」の欄に「×」と表した)。
(過焼結)
同一組成の物質Aを含有していない粉末の密度変化(誤差±3%以内)と圧環強度(誤差±5%以内)を参照し、その値よりも焼結密度が低く圧環強度が高い、焼結密度は同程度(誤差範囲内)でも圧環強度が高い、もしくは圧環強度は同程度(誤差範囲内)で焼結密度が低い場合は「〇」とし、それ以外を「×」として評価した。
結果を表1及び表2に示す。
Figure 2023161982000001
Figure 2023161982000002
実施例1~7に示すように、本発明のCu系又はNi系粉末は、比較例1~4に示す同一組成の物質Aを含有していない粉末よりも過焼結が抑制されていることが示された。
比較例5では物質Aが0.02out質量%未満であるため、過焼結抑制効果は見られなかった。
比較例6では物質Aが1.5out質量%よりも多く、焼結体を作製できなかった。
比較例7では物質Aの平均粒子径が、物質A以外の粉末の平均粒子径の1/100よりも大きく、過焼結抑制効果は見られなかった。
比較例8では物質Aとして選択したZnOが焼結中に分解したため、粒子間に介在し続けることができず、過焼結抑制効果は見られなかった。
比較例9では物質Aとして選択したCが焼結中に母相中のCrと化合物を生成したため、粒子間に介在し続けることができず、過焼結抑制効果は見られなかった。
本発明におけるCu系又はNi系金属粉末は、過焼結になり難いから、高温で焼結しても、また、高成形密度であっても、結晶粒が粗大化したり、焼結組織に閉気孔が生成したりし難いので、強度が高く、また、複雑形状や多孔質のCu系合金又はNi系合金の焼結部品を製造できる。
また、製造された焼結部品は使用中に熱に晒されても、結晶粒が粗大化し難いので、強度が低下し難い焼結部品になる。
したがって、本発明は産業上の利用可能性の高い発明である。

Claims (8)

  1. 物質AとCu又はNiを50質量%以上含有するCu系又はNi系金属粉末であって、
    前記Ni系金属粉末はCuを含有し、
    前記金属粉末の焼結体は、Cuの融点よりも低い温度域でCu相、Cuを含む合金相、Cuを含む部分合金相から選択される1の母相を有し、
    前記物質Aは、前記母相の融点よりも低い温度域において、相変化せず、かつ、物質A同士又は物質Aと物質Aを除く前記金属粉末中の物質と反応しない物質であり、
    前記物質Aの平均粒子径は、物質Aを除く前記金属粉末の平均粒子径の1/100以下であり、物質Aを除く前記金属粉末に対する前記物質Aの割合が0.02out質量%以上かつ1.5out質量%以下であるCu系又はNi系金属粉末。
  2. 明度L値が40以上である請求項1記載のCu系又はNi系金属粉末。
  3. 前記Cu系金属粉末又は前記Ni系金属粉末の一部又は全部が表面処理されてなる請求項1又は2記載のCu系又はNi系金属粉末。
  4. 粉末冶金用である請求項1又は2記載のCu系又はNi系金属粉末。
  5. 硬質粒子及び/又は固体潤滑剤を30質量%以下含有する請求項1又は2記載のCu系又はNi系金属粉末。
  6. 圧粉成形用潤滑剤を0.1out質量%以上かつ1.0out質量%以下添加してなる請求項1又は2記載のCu系又はNi系金属粉末。
  7. 請求項1又は2記載のCu系又はNi系金属粉末の製造方法。
  8. 請求項1又は2記載のCu系又はNi系金属粉末の圧粉成形体を焼結してなる焼結体。
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