JP2023161313A - 減速機 - Google Patents

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Abstract

【課題】回転時における静粛性の向上を図ることができる減速機を提供する。【解決手段】減速機は、入力軸および入力軸と共に回転する偏心した第1内輪を有する第1軸受を含む入力ユニットと、サイクロイド歯車と、複数の内周ピンと、内周ピンホルダと、第2軸受と、複数の外周ピンと、を備える。第2内輪の内周面には、軸方向に見て外径側へ凹み、周方向に沿って配置され、外周ピンを収容する複数の外周ピン収容溝が設けられている。外周ピン収容溝を構成する周方向の壁面には、外周ピンの外周ピン収容溝からの内径側への移動を規制する爪部が設けられている。【選択図】図28

Description

本開示は、減速機に関するものである。
従来から、移動用装置における車輪の駆動制御部、ロボットまたは工作機械等において減速機が用いられている。この種の技術が、例えば特許文献1に記載されている。
特許文献1に記載された減速機は、一対の偏心部を備えた入力軸と、一対の偏心部に接触する一対のサイクロイド歯車と、出力軸を構成するハブと、出力軸ピンホルダと、複数の外周ピンと、外周ピンを保持する外周ピンホルダと、ハブに支持された内周ピンと、を備えている。ハブは、クロスローラベアリングを介して外周ピンホルダに支持されている。クロスローラベアリングは、外周ピンホルダに固定された外輪と、ハブに固定された内輪と、外輪と内輪との間に配置された複数のローラと、を含む。
特開2017-48852号公報
減速機においては、回転時における静粛性が求められる。上記した特許文献1に開示の技術では、十分な静粛性を得ることができない。
そこで、回転時における静粛性の向上を図ることができる減速機を提供することを目的の1つとする。
本開示に従った減速機は、入力軸および入力軸と共に回転する偏心した第1内輪を有する第1軸受を含む入力ユニットと、第1軸受の外径側に配置され、外周面に周方向に沿って並ぶ複数の外歯を有し、入力ユニットが貫通する第1貫通孔および第1貫通孔の外径側において周方向に間隔をあけて配置される複数の第2貫通孔が設けられているサイクロイド歯車と、第2貫通孔を軸方向に貫通する複数の内周ピンと、複数の内周ピンの軸方向の両端部を保持し、入力ユニットの外周面を取り囲む内周ピンホルダと、サイクロイド歯車の外径側に配置され、出力軸である第2内輪、第2内輪の外径側に配置される第2外輪および第2内輪と第2外輪との間に配置される転動体を含む第2軸受と、第2内輪の内径側に配置され、サイクロイド歯車の外歯と噛み合う複数の外周ピンと、を備える。第2内輪の内周面には、軸方向に見て外径側へ凹み、周方向に沿って配置され、外周ピンを収容する複数の外周ピン収容溝が設けられている。外周ピン収容溝を構成する周方向の壁面には、外周ピンの外周ピン収容溝からの内径側への移動を規制する爪部が設けられている。
上記減速機によれば、回転時における静粛性の向上を図ることができる。
図1は、本開示の実施の形態1における減速機を示す概略斜視図である。 図2は、図1に示す減速機の概略正面図である。 図3は、図1に示す減速機の概略側面図である。 図4は、図1に示す減速機の概略背面図である。 図5は、図2中の線分V-Vで示す断面で切断した場合の概略断面図である。 図6は、図5に示す減速機の断面の一部を拡大して示す図である。 図7は、図5に示す減速機の断面の一部を拡大して示す図である。 図8は、図5中の線分VIII-VIIIで示す断面で切断した場合の概略断面図である。 図9は、図5中の線分IX-IXで示す断面で切断した場合の概略断面図である。 図10は、減速機に含まれる入力ユニットの一部を示す概略斜視図である。 図11は、図10に示す入力ユニットの一部を分解して示す分解斜視図である。 図12は、図10に示す入力ユニットの一部の図示を破線で省略した概略斜視図である。 図13は、入力ユニットに含まれる第1軸受の一部を示す概略斜視図である。 図14は、図10に示す入力ユニットの一部を示す概略断面図である。 図15は、図10に示す入力ユニットの一部を示す概略断面図である。 図16は、内周ピンの一部を破線で示した概略斜視図である。 図17は、第1ホルダ部と第2ホルダ部とを組み合わせて内周ピンを保持した状態を示す内周ピンホルダの概略斜視図である。 図18は、第1ホルダ部の概略斜視図である。 図19は、第2ホルダ部の概略斜視図である。 図20は、サイクロイド歯車を軸方向から見た図である。 図21は、第2外輪の概略斜視図である。 図22は、図5に示す減速機の一部を拡大して示す概略断面図である。 図23は、第2外輪の一部を拡大して示す概略断面図である。 図24および図25は、第2内輪の概略斜視図である。 図24および図25は、第2内輪の概略斜視図である。 図26は、第2内輪を含む減速機の一部を拡大して示す概略断面図である。 図27は、第2内輪の一部および1つの外周ピンを拡大して示す概略断面図である。 図28は、図27に示す第2内輪の一部および1つの外周ピンをさらに拡大して示す概略図である。 図29は、第2内輪の研削加工を行う際に用いられる円筒研削盤の一例を示す概略図である。
[実施形態の概要]
本開示の減速機は、入力軸および入力軸と共に回転する偏心した第1内輪を有する第1軸受を含む入力ユニットと、第1軸受の外径側に配置され、外周面に周方向に沿って並ぶ複数の外歯を有し、入力ユニットが貫通する第1貫通孔および第1貫通孔の外径側において周方向に間隔をあけて配置される複数の第2貫通孔が設けられているサイクロイド歯車と、第2貫通孔を軸方向に貫通する複数の内周ピンと、複数の内周ピンの軸方向の両端部を保持し、入力ユニットの外周面を取り囲む内周ピンホルダと、サイクロイド歯車の外径側に配置され、出力軸である第2内輪、第2内輪の外径側に配置される第2外輪および第2内輪と第2外輪との間に配置される転動体を含む第2軸受と、第2内輪の内径側に配置され、サイクロイド歯車の外歯と噛み合う複数の外周ピンと、を備える。第2内輪の内周面には、軸方向に見て外径側へ凹み、周方向に沿って配置され、外周ピンを収容する複数の外周ピン収容溝が設けられている。外周ピン収容溝を構成する周方向の壁面には、外周ピンの外周ピン収容溝からの内径側への移動を規制する爪部が設けられている。
減速機の動作時において、回転音の発生をできるだけ抑制して、静粛性を向上することが求められる。本発明者は、サイクロイド歯車を含む減速機において回転音が発生するメカニズムについて、以下のように考えた。減速機の動作時において、サイクロイド歯車が回転する際に、サイクロイド歯車の外歯と外周ピンとが噛み合う。サイクロイド歯車と外周ピンの間には、ある程度の隙間が設けられており、サイクロイド歯車の回転時においてこの隙間が大きくなったり小さくなったりする。サイクロイド歯車と外周ピンとの隙間が大きくなった時に外周ピンががたつき、外周ピンが内径側に倒れ込む状態となる。この時に生ずる外周ピンと回転するサイクロイド歯車との引っ掛かりにより回転音が大きくなり、静粛性が損なわれていることを見出した。一方、サイクロイド歯車と外周ピンとの隙間を小さくするにも限界がある。そこで、本発明者は鋭意検討し、本願発明の着想を得るに至った。
本開示の減速機によると、第2内輪の内周面には、軸方向に見て外径側へ凹み、周方向に沿って配置され、外周ピンを収容する複数の外周ピン収容溝が設けられている。そして、外周ピン収容溝を構成する周方向の壁面には、外周ピンの外周ピン収容溝からの内径側への移動を規制する爪部が設けられている。このような構成によれば、減速機の動作時においてサイクロイド歯車が回転する際に、サイクロイド歯車と外周ピンとの隙間が大きくなった時でも、外周ピンの内径側への倒れ込みを爪部によって規制することができる。そうすると、外周ピン収容溝内における外周ピンの姿勢を安定させて外周ピンのがたつきを低減することができる。したがって、サイクロイド歯車と外周ピンとの隙間が大きくなった時においても、サイクロイド歯車と外周ピンとの引っ掛かりを抑制して、外周ピン収容溝内に収容された外周ピンの回転およびサイクロイド歯車の回転をより円滑にすることができる。その結果、減速機の動作時における回転音の発生を抑制し、静粛性の向上を図ることができる。この場合、減速機の固定された部分に対する回転部分の回転調子の向上を図ることもできる。
なお、このような爪部が設けられた第2内輪については、予め外周ピンを外周ピン収容溝内に収容させ、保持させておくことができる。そうすると、外周ピン収容溝内に外周ピンを収容させた状態で後述する正面側を上向きにして第2内輪を傾けても、外周ピン収容溝内の外周ピンが後述する背面側から脱落することを防止することができる。したがって、予め外周ピンを外周ピン収容溝内に配置させた状態で第2内輪を傾けて組み立てることができ、減速機を組み立てる際の作業性の向上を図ることができる。
上記減速機において、外周ピン収容溝を構成しない周方向の壁面には、肉厚を減ずるよう外径側に凹む逃げ部が設けられていてもよい。このようにすることにより、サイクロイド歯車が回転した際のサイクロイド歯車の外歯と第2内輪の内周面とが干渉するおそれを低減することができる。したがって、より円滑にサイクロイド歯車を回転させることができ、静粛性の向上を図ることができる。
上記減速機において、軸方向に見て、外周ピンのピッチ円直径は、爪部が設けられた位置を周方向に結んで形成される仮想円の直径よりも大きくてもよい。このようにすることにより、より確実に爪部による外周ピンの内径側の移動を規制することができる。
上記減速機において、第2内輪の内周面は、軸方向両端部よりも軸方向中央部が内径側に突出していてもよい。軸方向中央部に爪部が設けられていてもよい。このようにすることにより、爪部と外周ピンとの接触面積を小さくして、外周ピンの円滑な回転を確保することができる。また、軸方向中央部において、爪部により外周ピンが案内されることになるため、外周ピンが軸方向に傾くおそれを低減することができ、より安定した回転を確保することができる。
上記減速機において、爪部の内周面は、爪部が設けられた位置を周方向に結んで形成される仮想円の中心から単一の曲率半径で曲面形状に形成されてもよい。このようにすることにより、サイクロイド歯車が回転する際に、爪部が設けられた位置をサイクロイド歯車の外歯が容易に乗り越えることができる。したがって、より円滑にサイクロイド歯車を回転させることができ、静粛性の向上を図ることができる。
上記減速機において、第2軸受は、軸方向に転動体が複列に配置される複列のクロスローラベアリングを含んでもよい。このようにすることにより、コンパクトな構成を実現しながら、種々の方向から負荷される荷重を適切に第2軸受によって受けることができる。したがって、減速機の小型化を実現しやすい。また、クロスローラベアリングの回転中心軸と減速機構を構成する部品の回転中心軸とを同じ平面に配置しやすくなり、負荷トルクによる入力軸と出力軸のねじれを抑制することができる。
上記減速機において、第2内輪の内周面は、複列の転動体のそれぞれに対して、軸方向両端部よりも軸方向中央部が内径側に突出していてもよい。軸方向中央部に爪部が設けられていてもよい。このようにすることにより、各列の転動体に対応して軸方向中央部に設けられた爪部と外周ピンとを接触させることができる。そうすると、軸方向において複数の爪部で外周ピンを案内することができるため、外周ピンが軸方向に傾くおそれをより低減することができる。したがって、さらに安定した回転を確保することができる。
[実施形態の具体例]
次に、本開示の減速機の具体的な実施の形態の一例を、図面を参照しつつ説明する。以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付しその説明は繰返さない。
(実施の形態1)
まず、本開示の実施の形態である実施の形態1について説明する。図1は、本開示の実施の形態1における減速機を示す概略斜視図である。図2は、図1に示す減速機の概略正面図である。図3は、図1に示す減速機の概略側面図である。図4は、図1に示す減速機の概略背面図である。図5は、図2中の線分V-Vで示す断面で切断した場合の概略断面図である。図6および図7は、図5に示す減速機の断面の一部を拡大して示す図である。図6は、後述する蓋部を含まない周方向の位置で切断した場合の断面図である。図7は、後述する蓋部を含む周方向の位置で切断した場合の断面図である。図8は、図5中の線分VIII-VIIIで示す断面で切断した場合の概略断面図である。図9は、図5中の線分IX-IXで示す断面で切断した場合の概略断面図である。なお、図5等に示す矢印D1で軸方向を示し、矢印D2で径方向を示す。また、破線R1により、減速機10aの回転中心軸を示す。
図1~図9を参照して、本開示の実施の形態1における減速機10aは、高速で回転する入力軸11aの回転速度を減速して後述する出力軸から出力する。本実施形態においては、減速比は、1/36である。すなわち、例えば入力軸の回転数が3000rpm(revolutions per minute)であった時、出力軸の回転数は、約83.3rpmとなる。なお、減速比についてはもちろん要求に応じて、いずれも後述するサイクロイド歯車の歯数や外周ピンの数、第1内輪の偏心度合い等に応じて任意に定められる。
減速機10aは、入力軸11aおよび入力軸11aと共に回転する偏心した第1内輪32a,32bをそれぞれ有する第1軸受31a,31bを含む入力ユニット12aと、サイクロイド歯車13a,13bと、複数の内周ピン14aと、内周ピンホルダ15aと、第2内輪81aおよび第2外輪81bを含む第2軸受16aと、複数の外周ピン17aと、を含む。第1軸受31a,31bおよびサイクロイド歯車13a,13bはそれぞれ、軸方向に並べて一対配置されている。以下、各構成要素について説明する。
入力軸11aは、中空円筒状の形状を有する。具体的には、入力軸11aには、軸方向の一方の端部である第1軸端部21aから軸方向の他方の端部である第2軸端部21bに至るまで軸方向に貫通する軸貫通孔23aが設けられている。軸貫通孔23aを構成する入力軸11aの内周面25aには、軸内周面キー溝24aが設けられている。軸内周面キー溝24aは、内周面25aの周方向の一部を外径側に凹ませるようにして設けられている。このような軸内周面キー溝24aを利用して、入力軸11aにモータの回転軸(図示せず)を連結した際に、回転軸に対して入力軸11aが回転方向に滑ることを抑制することができる。入力軸11aの外周面25bは、軸方向に真っ直ぐに延びるよう構成されている。なお、入力軸11aの内周面25aは、軸内周面キー溝24aが設けられている領域を除き、軸方向に真っ直ぐに延びるよう構成されている。このような入力軸11aは、比較的単純な構成であるため、コストダウンを図ることができる。なお、必要に応じて、入力軸11aは、中実円筒状としてもよい。
入力軸11aの材質としては、例えば金属が挙げられる。本実施形態においては、入力軸11aの材質として、アルミニウムが採用されている。なお、入力軸11aの材質としては、モータのトルクを受けることができる材質であればよく、例えば、樹脂であってもよい。
入力軸11aには、入力軸11aを支持する2つの軸受である第1入力軸用軸受29aおよび第2入力軸用軸受29bが取り付けられている。第1入力軸用軸受29aは、第1軸端部21a側に取り付けられ、第2入力軸用軸受29bは、第2軸端部21b側に取り付けられている。第1入力軸用軸受29aと第2入力軸用軸受29bとは、軸方向に間隔をあけて配置されている。第1入力軸用軸受29aの内輪および第2入力軸用軸受29bの内輪は共に、入力軸11aに固定されている。第1入力軸用軸受29aの外輪および第2入力軸用軸受29bの外輪は共に、固定部である後述する内周ピンホルダ15aに固定されている。第1入力軸用軸受29aおよび第2入力軸用軸受29bはそれぞれ、例えば深溝玉軸受である。このような第1入力軸用軸受29aおよび第2入力軸用軸受29bによって、入力軸11aは、回転可能に支持されている。なお、第1入力軸用軸受29aは、後述する内周ピンホルダ15aに含まれる第1ホルダ部71aの段部78aと軸方向において接触しており、軸方向の移動が規制されている。また、第2入力軸用軸受29bは、後述する内周ピンホルダ15aに含まれる第2ホルダ部71bの段部78bと軸方向において接触しており、軸方向の移動が規制されている。
次に、入力ユニット12aの詳細な構成について説明する。図10は、減速機10aに含まれる入力ユニット12aの一部を示す概略斜視図である。図11は、図10に示す入力ユニット12aの一部を分解して示す分解斜視図である。図12は、図10に示す入力ユニット12aの一部の図示を破線で省略した概略斜視図である。図13は、入力ユニット12aに含まれる第1軸受31aの一部を示す概略斜視図である。図14は、図10に示す入力ユニット12aの一部を示す概略断面図である。図14は、第1軸受31aの回転中心軸を含む平面で切断した場合の断面図である。図15は、図10に示す入力ユニット12aの一部を示す概略断面図である。図15は、第1軸受31aを含み、軸方向に垂直な平面で切断した場合の断面図である。
図10~図15を併せて参照して、上記したように入力ユニット12aは、入力軸11aと、第1軸受31aと、第1軸受31bと、を含む。第1軸受31aは、入力軸11aと共に回転する偏心した第1内輪32aと、第1内輪32aの外径側に配置される第1外輪33aと、ニードルケージ36aと、を含む。ニードルケージ36aは、第1内輪32aと第1外輪33aとの径方向の間に配置される複数の転動体としての針状ころ34aおよび複数の針状ころ34aを保持する保持器35aから構成される。針状ころ34aおよび針状ころ34aを保持する保持器35aによって構成されるニードルケージ36aに含まれる針状ころ34aは、第1内輪32aの外周面を軌道面として転動する。第1軸受31bは、入力軸11aと共に回転する偏心した第1内輪32bと、第1内輪32bの外径側に配置される第1外輪33bと、ニードルケージ36bと、を含む。ニードルケージ36bは、第1内輪32bと第1外輪33bとの径方向の間に配置される複数の転動体としての針状ころ34bおよび複数の針状ころ34bを保持する保持器35bから構成される。針状ころ34bおよび針状ころ34bを保持する保持器35bによって構成されるニードルケージ36bに含まれる針状ころ34bは、第1内輪32bの外周面を軌道面として転動する。第1内輪32a,32bは、しまり嵌めにより入力軸11aに固定されている。第1軸受31a,31bはそれぞれ、軸方向において第1入力軸用軸受29aと第2入力軸用軸受29bとの間に配置される。第1入力軸用軸受29aと第1軸受31aとが軸方向に隣り合うように配置され、第2入力軸用軸受29bと第1軸受31bとが軸方向に隣り合うように配置される。
本開示の減速機10aにおいては、第1軸受31aに含まれる第1内輪32a、第1軸受31bに含まれる第1内輪32bはそれぞれ、入力軸11aと別体で設けられている。入力ユニット12aは、入力軸11aに対する第1内輪32a,32bの移動を規制する移動規制部40a,40bを含む。入力ユニット12aに含まれる移動規制部40a,40bは、第1キー溝41a,41bと、第2キー溝42a,42bと、キー部材43a,43bと、を含む。第1キー溝41a,41bはそれぞれ、入力軸11aの外周面25bから凹むように設けられている。本実施形態においては、第1キー溝41a,41bはそれぞれ、入力軸11aの外周面25bの周方向の一部において軸方向に延びるように設けられている。第1キー溝41a,41bはそれぞれ、軸方向および周方向の異なる位置に設けられている。具体的には、軸方向において、案内リング49aが配置される位置と第1軸端部21aとの間に第1キー溝41aが形成され、案内リング49aが配置される位置と第2軸端部21bとの間に第1キー溝41bが形成される。周方向においては、第1キー溝41aは、第1キー溝41bを180度回転させた位置に設けられている。また、第1キー溝41a,41bはそれぞれ、周方向において軸内周面キー溝24aが設けられた位置からそれぞれ90度回転させた位置に設けられている。
第2キー溝42a,42bはそれぞれ、第1内輪32a,32bの内周面から凹むように設けられている。本実施形態においては、第2キー溝42a,42bはそれぞれ、第1内輪32a,32bの周方向の一部において軸方向に溝状に貫通するように設けられている。第2キー溝42a,42bはそれぞれ、周方向において第1内輪32a,32bのうちの偏心量が最も大きい領域に設けられる。第2キー溝42a,42bはそれぞれ、入力軸11aに第1内輪32a,32bを取り付け、入力軸11aの外周面に第1内輪32a,32bの内周面を対向させるようにして配置させた時に、第1キー溝41a,41bに対応する位置に設けられている。
キー部材43a,43bはそれぞれ、棒状であって、断面が矩形状である。キー部材43a,43bはそれぞれ、第1キー溝41a,41bのそれぞれに第2キー溝42a,42bを対向させて配置させた際に、第1キー溝41a,41bおよび第2キー溝42a,42bによって形成される空間に嵌め込まれる形状である。すなわち、キー部材43a,43bはそれぞれ、第1キー溝41a,41bおよび第2キー溝42a,42bに嵌合する形状である。なお、キー部材43a,43bの両端部の角部はそれぞれ丸められて形成されている。
第1内輪32a,32bの軸方向の端部には、外径側に延びる鍔部37a,37bが設けられている。また、入力ユニット12aは、円板状であって、第1内輪32a,32bの軸方向の一方側に配置され、第1内輪32aの軌道面よりも外径側に突出する案内リング49aを含む。案内リング49aは、第1内輪32a,32bのそれぞれの軸方向の他方側に配置される。すなわち、第1軸受31aと第1軸受31bとは、軸方向において、案内リング49aを挟んで配置される。第1内輪32aの軌道面の軸方向の一方側の端部には、鍔部37aが配置され、第1内輪32aの軌道面の軸方向の他方側の端部には、案内リング49aが配置される。なお、第1内輪32aの軸方向の一方側には、第1内輪32aの取り付け時における軸方向の隙間を調整するリング状のカラー48aが配置される。第1内輪32bの軌道面の軸方向の一方側の端部には、鍔部37bが配置され、第1内輪32bの軌道面の軸方向の他方側の端部には、案内リング49aが配置される。第1内輪32bの軸方向の一方側には、第1内輪32bの取り付け時における軸方向の隙間を調整するリング状のカラー48bが配置される。なお、上記した案内リング49aは、本実施形態においては金属製であり、熱処理および研削仕上げされていてもよい。具体的には、案内リング49aは、ジュラルミン製であり、アルマイト処理等が施されていてもよい。
次に、入力ユニット12aの組み立てについて簡単に説明する。まず、入力軸11aを準備する。そして、案内リング49aを軸方向の一方側から挿入した後、第1キー溝41a,41bにキー部材43a,43bをそれぞれ嵌め込む。案内リング49aは、対向する2つのキー部材43a,43bのそれぞれの軸方向の端部によって挟まれ、軸方向に固定される。このようにして、案内リング49aは、軸方向に位置決めされる。そして、鍔部37aが配置されない側からニードルケージ36aを外径側に取り付けた第1内輪32aを軸方向の一方側から挿入する。この時、第2キー溝42aの周方向の位置がキー部材43aの位置となるように嵌め込む。そして、第1内輪32aの鍔部37aが配置されない側の端面が案内リング49aに接触するまで第1内輪32aを軸方向に押し込む。このようにして第1内輪32aを入力軸11aに嵌め込む。ニードルケージ36aの保持器35aは、案内リング49aと第1内輪32aの鍔部37aによって挟まれ、軸方向に規制される。また、鍔部37bが配置されない側からニードルケージ36bを外径側に取り付けた第1内輪32bを軸方向の他方側から挿入する。そして、第1内輪32bの鍔部37bが配置されない側の端面が案内リング49aに接触するまで第1内輪32bを軸方向に押し込む。この時も第1内輪32aの場合と同様に、第2キー溝42bの周方向の位置がキー部材43bの位置となるように嵌め込む。ニードルケージ36bの保持器35bは、案内リング49aと第1内輪32bの鍔部37bによって挟まれ、軸方向に規制される。このようにして第1内輪32a,32bを入力軸11aに嵌め込む。なお、第1内輪32a,32bと入力軸11aとの嵌め合いは、しまり嵌めである。具体的には、例えば、第1内輪32a,32bはそれぞれ入力軸11aに圧入され、また、焼き嵌めによっても組み立てられる。その後、カラー48a,48bをそれぞれ軸方向から挿入する。このようにして、入力ユニット12aは、組み立てられる。
次に、内周ピン14aの構成について説明する。図16は、内周ピン14aの一部を破線で示した概略斜視図である。図16を併せて参照して、内周ピン14aは、中空円筒状の軸部61aと、それぞれ軸部61aの外径よりも大きい内径を有する円環状の2つの内周ピン外輪62a,62bと、軸部61aの外周面と内周ピン外輪62a,62bの内周面との間にそれぞれ配置される複数の転動体としてのローラ63aと、スラスト方向に配置される複数のスラストワッシャ64a,64b,64c,64dと、を含む。すなわち、内周ピン14aは、複数のローラ63aを転動体とした転がり軸受で構成されている。内周ピン外輪62a,62bは、スラストワッシャ64b,64cを挟んで軸方向に並べて配置されている。スラストワッシャ64a,64b,64c,64dはそれぞれ、例えばPEEK(Polyetheretherketone)等の熱可塑性樹脂から構成されるが、これに限定されない。内周ピン14aは、いわゆる保持器を含まず、総ころ形式である。なお、内周ピン14aは、滑り軸受で構成されていてもよい。内周ピン14aは、いわゆる遊星軸として機能する。本実施形態においては、内周ピン14aは、合計8つ設けられている。
次に、内周ピンホルダ15aの構成について説明する。内周ピンホルダ15aは、第1ホルダ部71aと、第2ホルダ部71bと、を含む。内周ピンホルダ15aは、内周ピン14a、具体的には、内周ピン14aに含まれる軸部61aの両端を支持する。内周ピンホルダ15aは、内周ピン14aの軸部61aを遊星軸とした場合において、遊星軸を支持する遊星軸支持部として機能する。図17は、第1ホルダ部71aと第2ホルダ部71bとを組み合わせて内周ピン14aを保持した状態を示す内周ピンホルダ15aの概略斜視図である。図18は、第1ホルダ部71aの概略斜視図である。図19は、第2ホルダ部71bの概略斜視図である。図17においては、スラストワッシャ65a,65b,65c,65dも併せて図示している。
図17、図18および図19を併せて参照して、第1ホルダ部71aは、厚さ方向に貫通する貫通孔が径方向の中央に設けられた円板状の板状部72aと、板状部72aの厚さ方向の一方の面から厚さ方向に突出する複数の支持柱73aと、を含む。板状部72aと複数の支持柱73aは、一体で成形されている。本実施形態においては、支持柱73aは、90度間隔で4つ設けられている。板状部72aには、内周ピン14aの軸部61aの一方端部を圧入可能な圧入穴74aが周方向に間隔をあけて複数設けられている。圧入穴74aは、板状部72aの厚さ方向に貫通しており、内周ピン14aの数に合わせて合計8つ設けられている。また、板状部72aの外周面には、軽量化の観点から、内径側に凹んだ環状の凹溝75aが設けられている。
支持柱73aは、第1ホルダ部71aの板状部72aと第2ホルダ部71bとを繋ぐ部分である。支持柱73aは、合計4つ設けられている。支持柱73aはそれぞれ、減速機10aに組み込まれた際に、後述するサイクロイド歯車13a,13bのそれぞれの第2貫通孔52a,52b内に配置される。支持柱73aの周方向の両側面は、内周ピン14aに含まれる内周ピン外輪62a,62bの外形形状に沿うよう、軸方向に見て周方向に円弧状に凹んだ形状である。支持柱73aの径方向の両側面は、軸方向に見て円弧状である。支持柱73aにはそれぞれ、板状部72aの厚さ方向に凹み、第2ホルダ部71bに第1ホルダ部71aを取り付ける際に利用されるネジ穴76aが設けられている。本実施形態においては、ネジ穴76aは、周方向に90度の間隔をあけて4つ設けられている。なお、軽量化の観点から、板状部72aの厚さ方向において、支持柱73aが突出する面と逆の面には、径方向の中央に設けられた貫通孔の外径側において、厚さ方向に凹む環状の凹溝77aが設けられている。
第2ホルダ部71bは、厚さ方向に貫通する貫通孔が径方向の中央に設けられた円板状である。第2ホルダ部71bは、径方向の中央側に配置される第1部分72bと、第1部分72bの外径側に配置され、第1部分72bよりも薄い第2部分73bと、を含む。第1部分72bには、内周ピン14aの軸部61aの他方端部を圧入可能な圧入穴74bが周方向に間隔をあけて複数設けられている。圧入穴74bは、第2ホルダ部71bの厚さ方向に貫通しており、内周ピン14aの数に合わせて合計8つ設けられている。第1部分72bの外周面には、軽量化の観点から内径側に凹んだ環状の凹溝75bが設けられている。第1部分72bには、第1部分72bの厚さ方向に貫通し、第2ホルダ部71bに第1ホルダ部71aを取り付ける際に利用される貫通孔76bが周方向に間隔をあけて複数設けられている。本実施形態においては、ネジ穴76aの数および配置に応じて、貫通孔76bは90度間隔で4つ設けられている。また、第2ホルダ部71bの第2部分73bには、外周面に沿って周方向に間隔をあけて肉厚を減ずるように切り欠き79bが設けられている。また、切り欠き79bが設けられた領域に、軸方向に貫通する貫通孔が設けられている。この切り欠き79bおよび貫通孔は、後述する第2外輪81bのボルト穴89bに対応する位置に設けられており、ボルト27aを介して第2外輪81bは、第2ホルダ部71bに固定される。
内周ピンホルダ15aの組み立て方法の一例について簡単に説明すると、以下の通りである。まず、第1ホルダ部71aの8つの圧入穴74aに、8つの内周ピン14aの軸部61aの一方端部をそれぞれ圧入する。第2ホルダ部71bの8つの圧入穴74bに内周ピン14aの軸部61aの他方端部をそれぞれ圧入する。その後、準備した4つのボルト26aを用いて、ボルト26aの胴部のそれぞれを4つの貫通孔76bに貫通させ、4つのネジ穴76aを利用して締結することにより、内周ピンホルダ15aが組み立てられる。なお、2つの内周ピン14aおよび2つの内周ピン14aの周方向の間に配置される支持柱73aは、後述するサイクロイド歯車13a,13bのそれぞれの第2貫通孔52a内に配置される。
次に、サイクロイド歯車13bの構成について説明する。図20は、サイクロイド歯車13bを軸方向から見た図である。図20を併せて参照して、サイクロイド歯車13bは、第1軸受31aの外径側に配置される。サイクロイド歯車13bは、外周面に周方向に沿って並ぶ複数の外歯50bを有する。本実施形態においては、外歯50bは、エピトロコイド平行曲線の形状を有している。外歯50bの数は、本実施形態においては、35である。サイクロイド歯車13bには、入力ユニット12aが貫通する丸孔状の第1貫通孔51bおよび第1貫通孔51bの外径側において周方向に間隔をあけて配置される複数の第2貫通孔52bが設けられている。サイクロイド歯車13bには、減速機10aの軽量化の観点から、さらに第1貫通孔51bの外径側であって、周方向に間隔をあけて配置される複数の第2貫通孔52bのそれぞれの間に配置される丸孔状の第3貫通孔53bが複数設けられている。複数の第3貫通孔53bはそれぞれ、隣り合う第2貫通孔52bの周方向の間に設けられている。本実施形態においては、複数の第2貫通孔52bおよび複数の第3貫通孔53bはそれぞれ、4つずつ設けられている。サイクロイド歯車13bの第1貫通孔51bには、第1軸受31bの第1外輪33bが嵌め込まれている。第2貫通孔52bは、周方向に沿って延びる長孔状であり、径方向に位置する壁面が円弧状の部分を有する。第2貫通孔52bと、第2貫通孔52b内に配置される2つの内周ピン14aとの間には、周方向の隙間を有する。また、サイクロイド歯車13bと後述する外周ピン17aとの間にも、隙間を有する。
サイクロイド歯車13aは、サイクロイド歯車13bと同様に、外周面に周方向に沿って並ぶ複数の外歯50aを有する。また、サイクロイド歯車13aには、サイクロイド歯車13bと同様に、第1貫通孔51aと、複数の第2貫通孔52aと、複数の第3貫通孔53aと、が設けられている。サイクロイド歯車13aの構成は、サイクロイド歯車13bの構成と同様であるため、その詳細な説明を省略する。
次に、外周ピン17aの構成について簡単に説明する。外周ピン17aは、中実円筒状である。外周ピン17aの軸方向の両端には、面取りが施されている。外周ピン17aは、軸方向が矢印D1で示す方向となるように、減速機10a内において配置される。本実施形態においては、外周ピン17aの数は、36である。すなわち、上記したサイクロイド歯車13a、13bのそれぞれの外歯50a,50bの歯数よりも1つ多い構成となっている。なお、外周ピン17aの軸方向の移動を規制するために、外周ピン17aの軸方向の一方端部側に環状の外周ピン案内板66aと、止め輪67aと、が設けられている。止め輪67aは、環状部材の一部を切り欠いた形状であり、内径側に縮径させた状態で、第2内輪81aの内径側に配置させることができる。配置後、止め輪67aは、弾性変形により元の形状に戻る。
次に、主軸受である第2軸受16aの構成について説明する。本実施形態においては、減速機10aの主軸受である第2軸受16aは、軌道面82a,82bを有する第2内輪81aと、軌道面83a,83bを有する第2外輪81bと、複数の円筒ころ84a,84bと、を含む。本開示の実施の形態1の減速機10aについては、第2軸受16aの第2内輪81aが、入力軸11aの回転を減速させて出力する出力軸となっている。
第2軸受16aは、クロスローラベアリングである。すなわち、主軸受に含まれる円筒ころ84a,84bはそれぞれ、第2内輪81aと第2外輪81bとの径方向の間に設けられた空間において、交互に直交させるようにして配置されている。すなわち、周方向に隣り合う2つの円筒ころ84a,84bの転動軸は、それぞれ互いに直交している。本実施形態においては、第2軸受16aは、複列のクロスローラベアリングである。具体的には、円筒ころ84aが配置される列と円筒ころ84bが配置される列とが、軸方向に隣り合うように配置されている。第2軸受16aは、総ローラ形式を採用する。すなわち、第2軸受16aは、複数の円筒ころ84a,84bを保持する保持器を含まない構成である。
次に、第2軸受16aの構成部材である第2内輪81aおよび第2外輪81bの具体的な構成について説明する。まず、第2外輪81bの構成について説明する。図21は、第2外輪81bの概略斜視図である。図22は、図5に示す減速機10aの一部を拡大して示す概略断面図である。図23は、第2外輪81bの一部を拡大して示す概略断面図である。図21、図22および図23を併せて参照して、第2外輪81bは、円環状であって、内周面に円筒ころ84a,84bが転動する軌道面83a,83bが複列で設けられている。軌道面83a,83bはそれぞれ、軸方向に隣り合うように配置されている。軌道面83a,83bはそれぞれ軸方向に並んで一対設けられており、それぞれ断面V字状に外径側に凹むように設けられている。一対の軌道面83a,83bは、軸方向に対してそれぞれ45度傾斜している。軌道面83a,83bの軸方向の間には、断面V字状に外径側に凹む油溝85aが環状に設けられている。また、第2外輪81bの外周面にも、断面V字状に内径側に凹む油溝85bが環状に設けられている。軸方向において、油溝85aが設けられている位置と油溝85bが設けられている位置とは同じである。また、油溝85aと油溝85bとを繋ぐように径方向に貫通する油孔86aが設けられている。なお、軸方向において後述するボルト穴89bが設けられている側と反対側の第2外輪81bの開口部には、外径側に凹む環状溝87aが設けられている。この環状溝87aを利用して、密封性を高めるためのシールを取り付けることができる。本実施形態においては、シールは使用しておらず、図示していない。
第2外輪81bには、外周面から円筒ころ84a,84bが配置される領域に至るまで貫通し、円筒ころ84a,84bを挿入する挿入穴44a,44bが設けられている。挿入穴44a,44bから複数の円筒ころ84a,84bが順次挿入される。全ての円筒ころ84a,84bが挿入された後に、円筒ころ84a,84b間の周方向の隙間を調整するスペーサ45aが挿入される。全ての部材を挿入した後、挿入穴44a,44bは蓋部46a,46bによって塞がれる。蓋部46a,46bは、軸方向において蓋部46a,46bおよび第2外輪81bの一部を貫通する蓋固定ピン47bにより固定される。なお、軽量化の観点から、第2外輪81bには、周方向を長手方向とし、径方向に貫通する長孔55aが、周方向に等間隔をあけて複数設けられている。また、第2外輪81bには、周方向に間隔をあけて複数のボルト穴89bが設けられている。このボルト穴89bを利用して、内周ピンホルダ15a、具体的には、第2ホルダ部71bにボルト27aを介して第2外輪81bを取り付けることができる。すなわち、第2外輪81bについても固定部となり、内周ピンホルダ15aと同様に自転および公転しない部材となっている。
次に、第2内輪81aの構成について説明する。図24および図25は、第2内輪81aの概略斜視図である。図24と図25とは、第2内輪81aをそれぞれ異なる方向から見た図である。図26は、第2内輪81aを含む減速機10aの一部を拡大して示す概略断面図である。図26において、一部の部材の図示を省略している。図27は、第2内輪81aの一部および1つの外周ピン17aを拡大して示す概略断面図である。図28は、図27に示す第2内輪81aの一部および1つの外周ピン17aをさらに拡大して示す概略図である。なお、理解を容易にする観点から、図24~図28においては、外周ピン17aも併せて図示している。
図24、図25、図26、図27および図28を併せて参照して、第2内輪81aは、円環状の部材であって、外周面に円筒ころ84a,84bが転動する軌道面82a,82aが設けられている。なお、軽量化の観点から、第2内輪81aには、周方向を長手方向とし、径方向に貫通する長孔54aが、周方向に等間隔をあけて複数設けられている。また、第2内輪81aには、周方向を長手方向とし、径方向に貫通する油孔58aが、周方向に等間隔をあけて複数設けられている。
軌道面82a,82bはそれぞれ、軸方向に隣り合うように配置されている。軌道面82a,82bはそれぞれ軸方向に並んで一対設けられており、それぞれ断面V字状に内径側に凹むように設けられている。一対の軌道面82a,82bは、軸方向に対してそれぞれ45度傾斜している。軌道面82a,82bはそれぞれ対向する第2外輪81bの軌道面83a,83bとの径方向の間に形成される空間内において、円筒ころ84a,84bを収容可能な構成である。円筒ころ84a,84bはそれぞれ、軌道面82a,82b,83a,83b間において、クロスローラベアリングの形態、すなわち、交互に円筒ころ84a,84bの転動軸心が直交するように配置されている。
ここで、第2内輪81aの内周面には、軸方向に見て外径側へ凹み、周方向に沿って配置され、外周ピン17aを収容する複数の外周ピン収容溝90aが設けられている。外周ピン収容溝90aを構成する壁面91aは、軸方向に見て円弧面の一部を構成する曲面を含む。外周ピン収容溝90aを構成する壁面91aは、軸方向に見て、いわゆるR面から構成されている。第2内輪81aの内周面には、軸方向に見て単に外径側へ凹む溝部90bも設けられている。外周ピン収容溝90aと溝部90bとは、周方向に沿って1つおきに並んで配置される。すなわち、外周ピン17aは、第2内輪81aの内径側の溝状に凹んだ部分において、周方向に1つおきに配置される。
外周ピン収容溝90aを構成する周方向の壁面91aには、外周ピン17aの外周ピン収容溝90aからの内径側への移動を規制する爪部92a,92bが設けられている。本実施形態においては、第2軸受16aは、複列、具体的には軸方向に2列並べられたクロスローラベアリングである。そして、第2内輪81aの内周面は、複列の円筒ころ84a,84bのそれぞれに対して、軸方向両端部93a,93b,94a,94bよりも軸方向中央部95a,95bが内径側に突出している(特に、図22参照)。このように軸方向中央部95a,95bを内径側に突出した構成を採用すると、第2内輪81aの軌道面82a,82bが構成される部分の肉厚を、他の部分、例えば軸方向両端部93a,93b,94a,94bと同等とすることができる。したがって、この爪部92a,92bが設けられる部分の剛性の低下を抑制することができる。そして、それぞれの軸方向中央部95a,95bに爪部92a,92bが設けられている。なお、軸方向中央部95a,95bの軸方向の間には、潤滑油が溜まる油溜まり97aが形成されることとなる。
また、軸方向に見て、外周ピン17aのピッチ円直径(PCD(Pitch Circle Diameter))は、爪部92aが設けられた位置を周方向に結んで形成される仮想円の直径よりも大きい。具体的には、軸方向に見て外周ピン17aの回転中心を結ぶ仮想円に相当するピッチ円直径を直径P1とし、爪部92aが設けられた位置を周方向に結んで形成される仮想円の直径を直径P2とすると、直径P1は、直径P2よりも大きい。また、爪部92aの内径面は、爪部92aが設けられた位置を周方向に結んで形成される仮想円の中心から単一の曲率半径で曲面形状に形成される。この場合の曲率半径Rは、直径P2/2で示される。
また、外周ピン収容溝90aを構成しない周方向の壁面91bには、肉厚を減ずるよう外径側に凹む逃げ部96bが設けられている。逃げ部96bは、サイクロイド歯車13a,13bのそれぞれの外歯50a,50bが干渉しないように設けられている。逃げ部96bを構成する壁面は、軸方向に見て円弧状である。
次に、上記した減速機10aの組み立て方法の一例について説明する。まず、上記したように入力軸11aおよび第1軸受31a,31bを準備して、入力ユニット12aを組み立てる。この時、予めサイクロイド歯車13a,13bの第1貫通孔51a,51bにそれぞれ第1外輪33a,33bを圧入しておき、入力ユニット12aにサイクロイド歯車13a,13bが取り付けられた状態のものを組み立てる。その後、内周ピン14aをサイクロイド歯車13a,13bの第2貫通孔52a,52b内に配置して、内周ピンホルダ15aを軸方向から取り付ける。また、第2内輪81aの内周面に設けられた外周ピン収容溝90aに、外周ピン17aを収容する。この時、第2内輪81aの背面側(後に外周ピン案内板66aおよび止め輪67aが配置される側)から外周ピン17aを外周ピン収容溝90aに嵌め込んでいく。次に、外周ピン案内板66aおよび止め輪67aを第2内輪81aに取り付ける。そして、第2内輪81aの外径側に第2外輪81bを取り付ける。次に、挿入穴44a,44bから複数の円筒ころ84a,84bを、それぞれ転動軸心が直交するように交互に挿入していき、全ての円筒ころ84a,84bを挿入した後にスペーサ45aを挿入する。そして、挿入穴44a,44bに蓋部46a,46bを嵌め込み、蓋部46a,46bを固定するように蓋固定ピン47bを取り付ける。その後、外周ピン17aを収容した第2内輪81aの内径側に、サイクロイド歯車13a,13b、内周ピン14aおよび内周ピンホルダ15aを取り付けた入力ユニット12aを取り付ける。この時、正面側(背面側と軸方向において逆側)を上向きにして第2内輪81aを傾けても、外周ピン収容溝90aを構成する壁面には、爪部92aが設けられているため、外周ピン収容溝90a内の外周ピン17aが背面側から脱落することを防止することができる。このようにして、第2内輪81aの内径側にサイクロイド歯車13a,13bおよび入力ユニット12aを取り付け、減速機10aが組み立てられる。
次に、上記した本開示の実施の形態1における減速機10aの動作について説明する。入力軸11aが高速で回転(自転)すると、これに伴って第1軸受31a,31bの偏心した第1内輪32a,32bが回転(自転)する。ここで、第1軸受31a,31bの第1外輪33a,33bが第1貫通孔51a,51bに圧入されたサイクロイド歯車13a,13bについては、第2貫通孔52a,52b内に、内周ピン14aが配置されている。内周ピン14aの軸部61aは、固定部である内周ピンホルダ15aに圧入されているため、内周ピン14a自体は回転しない。よって、サイクロイド歯車13a,13bは、公転せず、入力軸11aが1回転する時に1ピッチ分だけ偏心しながら自転することになる。サイクロイド歯車13a,13bの1ピッチ分の自転により、サイクロイド歯車13a,13bの外歯50a,50bと噛み合う外周ピン17aは、第2内輪81aの内周面に設けられた外周ピン収容溝90a内で自転しながら公転する。外周ピン収容溝90aに収容された外周ピン17aの公転に伴い、外周ピン収容溝90aを構成する第2内輪81aの内周側に設けられた壁面が回転方向(自転方向)に押されて、第2内輪81aが低速で、すなわち、1ピッチ分だけ自転する。このようにして、入力軸11aから入力された回転速度が減速されて、第2内輪81aから出力される。この場合、入力軸11aの回転する向きと第2内輪81aの回転する向きとは同じになる。本実施形態においては、外周ピン17aの本数は36であり、サイクロイド歯車13a,13bの外歯50a,50bの数は35であるため、入力軸11aの回転速度に対して、出力軸である第2内輪81aの回転速度は、1/36となる。すなわち、本実施形態においては、1ピッチ分は、円周の1/36に相当する。
本開示の減速機10aによると、第2内輪81aの内周面には、軸方向に見て外径側へ凹み、周方向に沿って配置され、外周ピン17aを収容する複数の外周ピン収容溝90aが設けられている。そして、外周ピン収容溝90aを構成する周方向の壁面91aには、外周ピン17aの外周ピン収容溝90aからの内径側への移動を規制する爪部92a,92bが設けられている。このような構成によれば、減速機10aの動作時においてサイクロイド歯車13a,13bが回転する際に、サイクロイド歯車13a,13bと外周ピン17aとの隙間が大きくなった時でも、外周ピン17aの内径側への倒れ込みを爪部92a,92bによって規制することができる。そうすると、外周ピン収容溝90a内における外周ピン17aの姿勢を安定させて外周ピン17aのがたつきを低減することができる。したがって、サイクロイド歯車13a,13bと外周ピン17aとの隙間が大きくなった時においても、サイクロイド歯車13a,13bと外周ピン17aとの引っ掛かりを抑制して、外周ピン収容溝90a内に収容された外周ピン17aの回転およびサイクロイド歯車13a,13bの回転をより円滑にすることができる。その結果、減速機10aの動作時における回転音の発生を抑制し、静粛性の向上を図ることができる。この場合、減速機10aの固定された部分に対する回転部分の回転調子の向上を図ることもできる。
なお、このような爪部92a,92bが設けられた第2内輪81aについては、予め外周ピン17aを外周ピン収容溝90a内に収容させ、保持させておくことができる。そうすると、外周ピン収容溝90a内に外周ピン17aを収容させた状態で正面側を上向きにして第2内輪81aを傾けても、外周ピン収容溝90a内の外周ピン17aが背面側から脱落することを防止することができる。したがって、予め外周ピン17aを外周ピン収容溝90a内に配置させた状態で第2内輪81aを傾けて組み立てることができ、減速機10aを組み立てる際の作業性の向上を図ることができる。
本実施形態においては、外周ピン収容溝90aを構成しない周方向の壁面91bには、肉厚を減ずるよう外径側に凹む逃げ部96bが設けられている。よって、サイクロイド歯車13a,13bが回転した際のサイクロイド歯車13a,13bの外歯50a,50bと第2内輪81aの内周面とが干渉するおそれを低減することができる。したがって、より円滑にサイクロイド歯車13a,13bを回転させることができ、静粛性の向上を図ることができる。
本実施形態においては、軸方向に見て、外周ピン17aのピッチ円直径は、爪部92a,92bが設けられた位置を周方向に結んで形成される仮想円の直径よりも大きい。よって、より確実に爪部92a,92bによる外周ピン17aの内径側の移動を規制することができる。
本実施形態においては、第2内輪81aの内周面は、軸方向両端部93a,93b,94a,94bよりも軸方向中央部95a,95bが内径側に突出している。軸方向中央部95a,95bに爪部92a,92bが設けられている。よって、爪部92a,92bと外周ピン17aとの接触面積を小さくして、外周ピン17aの円滑な回転を確保することができる。また、軸方向中央部95a,95bにおいて、爪部92a,92bにより外周ピン17aが案内されることになるため、外周ピン17aが軸方向に傾くおそれを低減することができ、より安定した回転を確保することができる。
本実施形態においては、爪部92a,92bの内周面98a,98bは、爪部92a,92bが設けられた位置を周方向に結んで形成される仮想円の中心から単一の曲率半径で曲面形状に形成されている。よって、サイクロイド歯車13a,13bが回転する際に、爪部92a,92bが設けられた位置をサイクロイド歯車13a,13bの外歯50a,50bが容易に乗り越えることができる。したがって、より円滑にサイクロイド歯車13a,13bを回転させることができ、静粛性の向上を図ることができる。
本実施形態においては、第2軸受16aは、軸方向に円筒ころ84a,84bが複列に配置される複列のクロスローラベアリングを含む。よって、コンパクトな構成を実現しながら、種々の方向から負荷される荷重を適切に第2軸受16aによって受けることができる。したがって、減速機10aの小型化を実現しやすい。また、クロスローラベアリングの回転中心軸と減速機構を構成する部品の回転中心軸とを同じ平面に配置しやすくなり、負荷トルクによる入力軸11aと出力軸である第2内輪81aのねじれを抑制することができる。
本実施形態においては、第2内輪81aの内周面は、複列の円筒ころ84a,84bのそれぞれに対して、軸方向両端部93a,93b,94a,94bよりも軸方向中央部95a,95bが内径側に突出している。軸方向中央部95a,95bに爪部92a,92bが設けられている。よって、各列の円筒ころ84a,84bに対応して軸方向中央部95a,95bに設けられた爪部92a,92bと外周ピン17aとを接触させることができる。そうすると、軸方向において複数の爪部92a,92bで外周ピン17aを案内することができるため、外周ピン17aが軸方向に傾くおそれをより低減することができる。したがって、さらに安定した回転を確保することができる。
ここで、入力ユニット12aに含まれる入力軸11aと第1軸受31a,31b、具体的には、入力軸11aと第1軸受31a,31bにそれぞれ含まれる偏心した第1内輪32a,32bについては、入力軸11aと共に第1内輪32aおよび第1内輪32bを回転させる必要があるため、入力軸11aと一体で形成することが考えられる。この場合、例えば、入力軸11aと、第1内輪32a,32bとを同じ材料の金属製の棒状の部材から削り出し等によって製造することが考えられる。しかし、このような構成とすると、それぞれの構成要素、具体的には入力軸11aや第1内輪32a,32bに対して求められる機能を相違させることができない。このような構成は好ましくない。
本開示の減速機10aによると、第1内輪32a,32bは、入力軸11aと別体で設けられている。入力ユニット12aは、入力軸11aに対する第1内輪32a,32bの周方向の移動を規制する移動規制部40a,40bを含む。このような構成によると、入力ユニット12aの各構成要素である入力軸11a、第1内輪32a,32bのそれぞれについて、材質を変更して構成することができる。そうすると、それぞれの構成部材について求められる機能に適した材質を選択して、入力ユニット12aを組み立てることができる。この場合、入力軸11aに対する第1内輪32a,32bの周方向の移動を規制する移動規制部40aを含むため、周方向における第1内輪32a,32bの位置決めを確実に行うことができ、入力軸11aと共に第1内輪32a,32bを確実に回転させることができる。したがって、安定した減速機10aの動作を確保することができる。また、それぞれが別部材で構成されているため、例えば偏心した第1内輪32a,32bの研削加工の精度を高めやすくなり、生産性の向上を図ることができる。さらに、第1内輪32a,32bが別部材であるため、一体型の入力ユニット12aでは困難であった第1内輪32a,32bの偏心量の変更や精度の選別も容易に行うことができる。すなわち、求められる要求に応じて製造された第1内輪32a,32bを選別して、別途製造された入力軸11aに組み合わせて、要求に応じた入力ユニット12aを製造することができる。もちろん、入力軸11aも別部材であるため、入力軸11aに対して追加工を施したり、用途に応じた設計変更を反映させることがより容易になる。具体的には、入力ユニット12aを構成する各構成要素である入力軸11aの材質としては、高速で回転することや軽量化、耐トルク性を考慮して、アルミニウムといった軽金属製や樹脂製を採用しながら、第1内輪32a,32bの材質については、耐久性の向上の観点から軸受鋼を採用することができる。以上より、このような減速機10aによると、生産性の向上を図りつつ、安定した動作を確保することができる。
本実施形態においては、移動規制部40a,40bは、入力軸11aに対する第1内輪32a,32bの軸方向の移動を規制する。したがって、軸方向における第1内輪32a,32bの位置決めを確実に行うことができ、より安定した減速機10aの動作を確保することができる。
本実施形態においては、移動規制部40a,40bは、入力軸11aの外周面から凹むように設けられた第1キー溝41a,41bと、第1内輪32a,32bの内周面から凹むように設けられた第2キー溝42a,42bと、第1キー溝41a,41bおよび第2キー溝42a,42bの双方に嵌合するキー部材43a,43bと、を含む。よって、第1キー溝41a,41bと第2キー溝42a,42bにキー部材43a,43bを嵌合させることにより、第1内輪32a,32bの周方向の位置決めを確実に実現することができる。
本実施形態においては、第1キー溝41a,41bは、入力軸11aの外周面の周方向の一部において軸方向に延びるように設けられている。第2キー溝42a,42bは、第1キー溝41a,41bに対向する位置に設けられている。キー部材43a,43bは、軸方向に延びる棒状である。よって、比較的簡単な構造で、より確実に第1内輪32a,32bの周方向の位置決めを実現することができる。
本実施形態においては、第1内輪32a,32bの軸方向の少なくとも一方側の端部には、外径側に突出する鍔部37a,37bが設けられている。よって、ニードルケージ36a,36bに含まれる保持器35a,35bの軸方向の移動を、鍔部37a,37bを利用して規制することができる。したがって、より安定した減速機10aの動作を確保することができる。
本実施形態においては、入力ユニット12aは、入力軸11aおよび第1内輪32a,32bと別体で設けられており、円板状であって、第1内輪32a,32bの軸方向の少なくとも一方側に配置され、第1内輪32a,32bの軌道面よりも外径側に突出する案内リング49aを含む。よって、ニードルケージ36a,36bに含まれる保持器35a,35bの軸方向の移動を案内リング49aにより規制することもできる。したがって、さらに安定した減速機10aの動作を確保することができる。なお、入力ユニット12aに含まれる案内リング49aについても同様に、他の構成要素の材質に関わらずに選択することができ、例えばファイバーを含有したPEEK等の樹脂製としたり、アルミニウムといった軽金属製とすることができる。
本実施形態においては、第1軸受31a,31bは、軸方向に並んで一対設けられている。一対の第1軸受31a,31bにそれぞれ含まれる一対の第1内輪32a,32bは、周方向に180度位相をずらして配置されている。よって、入力軸11aの回転時における偏心した第1内輪32a,32bの影響を低減して、より安定した入力軸11aの回転を確保することができる。
本実施形態においては、第1内輪32a,32bは、しまり嵌めにより入力軸11aに固定されている。よって、入力軸11aに対して第1内輪32a,32bの軸方向の移動も規制することができる。
なお、上記した減速機10aを構成する部材のうち、第2内輪81aの製造方法の一例について、簡単に説明する。まず、円環状の金属部材を準備し、おおよその第2内輪81aの外径形状となるように削り出し加工等を行う。そして、平滑性が求められる軌道面82a,82bの研削加工を行う。図29は、第2内輪81aの研削加工を行う際に用いられる円筒研削盤の一例を示す概略図である。図29を参照して、円筒研削盤101aは、砥石部102aと、ロータリードレッサ103aと、を含む。そして、相手部材を研削する円筒状の砥石部102aは、第2内輪81aの軌道面82a,82bに対応して、外径側に突出する突起部104a,104bを含む。突起部104a,104bの間隔は、軌道面82a,82bの間隔と同等である。円筒部を有するロータリードレッサ103aには、第2内輪81aの内周面に対応して内径側に凹む凹部105a,105bが設けられている。
このような円筒研削盤101aを用いて、第2内輪81aの軌道面82a,82bを研削する。具体的には、ロータリードレッサ103aの外径側に、図示はしないが第2内輪81aを取り付ける。そして、第2内輪81aの外径側から、突起部104a,104bを軌道面82a,82bに押し当てた状態として、スピンドル106aに取り付けられた砥石部102aを回転させ、軌道面82a,82bを研削する。
このようにすることにより、研削時においてスピンドル106aが熱膨張しても、軌道面82a,82bの間隔がずれるおそれを大きく低減することができる。すなわち、軌道面82a,82bを一か所ずつ研削すると、スピンドル106aの研削時における熱膨張や円筒研削盤101aの加工誤差等により、軌道面82a,82bの間隔がずれた状態で研削することになり、寸法精度が悪化する。しかし、上記製造方法を採用することにより、軌道面82a,82bの間隔や深さのずれを大きく低減することができる。したがって、精度よく第2内輪81aを製造することができる。また、一度に軌道面82a,82bを研削することができるため、軌道面82a,82bを一か所ずつ研削するよりも、リードタイムの短縮を図ることができる。なお、第2外輪81bの軌道面83a,83bについても同様の構成も用いて、一度に研削することにより、寸法精度の向上およびリードタイムの短縮を図ることができる。
(他の実施の形態)
なお、上記の実施の形態においては、サイクロイド歯車を軸方向に並んで一対設けることとしたが、これに限らず、減速機は、サイクロイド歯車を一つ含む構成としてもよい。
また、上記の実施の形態においては、複列のクロスローラベアリングについて、蓋部を周方向の同じ位置に設けることとしたが、これに限らず、周方向の位置をずらして蓋部を設けることとしてもよい。
なお、上記の実施の形態においては、複列のクロスローラベアリングを採用することとしたが、これに限らず、複列のアンギュラベアリングを採用することにしてもよい。また、第1軸受および第2軸受の少なくともいずれか一方は、他の軸受、例えばラジアル軸受とアキシャル軸受を組み合わせたものを採用することにしてもよい。また、滑り軸受であってもよい。
なお、上記の実施の形態においては、クロスローラベアリングについて、スペーサにより円筒ころの隙間を調整することにしたが、これに限らず、クロスローラベアリングは、円筒ころを保持する保持器を含むこととしてもよいし、円筒ころ間に配置されるセパレータを含むこととしてもよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、どのような面からも制限的なものではないと理解されるべきである。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって規定され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
10a 減速機、11a 入力軸、12a 入力ユニット、13a,13b サイクロイド歯車、14a 内周ピン、15a 内周ピンホルダ、16a 第2軸受、17a 外周ピン、21a 第1軸端部、21b 第2軸端部、23a 軸貫通孔、24a 軸内周面キー溝、25a,98a 内周面、25b 外周面、26a,27a ボルト、29a 第1入力軸用軸受、29b 第2入力軸用軸受、31a,31b 第1軸受、32a,32b 第1内輪、33a,33b 第1外輪、34a,34b 針状ころ、35a,35b 保持器、36a,36b ニードルケージ、37a,37b 鍔部、40a,40b 移動規制部、41a,41b 第1キー溝、42a,42b 第2キー溝、43a,43b キー部材、44a,44b 挿入穴、45a スペーサ、46a,46b 蓋部、47b 蓋固定ピン、48a,48b カラー、49a 案内リング、50a,50b 外歯、51a,51b 第1貫通孔、52a,52b 第2貫通孔、53a,53b 第3貫通孔、54a,55a 長孔、58a,86a 油孔、61a 軸部、62a,62b 内周ピン外輪、63a ローラ、64a,64b,64c,64d,65a,65b,65c,65d スラストワッシャ、66a 外周ピン案内板、67a 止め輪、71a 第1ホルダ部、71b 第2ホルダ部、72a 板状部、72b 第1部分、73a 支持柱、73b 第2部分、74a,74b 圧入穴、75a,75b,77a 凹溝、76a ネジ穴、76b 貫通孔、78a,78b 段部、79b 切り欠き、81a 第2内輪、81b 第2外輪、82a,82b,83a,83b 軌道面、84a,84b 円筒ころ、85a,85b 油溝、87a 環状溝、89b ボルト穴、90a 外周ピン収容溝、90b 溝部、91a,91b 壁面、92a,92b 爪部、93a,93b,94a,94b 端部、95a,95b 中央部、96b 逃げ部、97a 油溜まり、101a 円筒研削盤、102a 砥石部、103a ロータリードレッサ、104a,104b 突起部、105a,105b 凹部、106a スピンドル。

Claims (7)

  1. 入力軸および前記入力軸と共に回転する偏心した第1内輪を有する第1軸受を含む入力ユニットと、
    前記第1軸受の外径側に配置され、外周面に周方向に沿って並ぶ複数の外歯を有し、前記入力ユニットが貫通する第1貫通孔および前記第1貫通孔の外径側において周方向に間隔をあけて配置される複数の第2貫通孔が設けられているサイクロイド歯車と、
    前記第2貫通孔を軸方向に貫通する複数の内周ピンと、
    前記複数の内周ピンの軸方向の両端部を保持し、前記入力ユニットの外周面を取り囲む内周ピンホルダと、
    前記サイクロイド歯車の外径側に配置され、出力軸である第2内輪、前記第2内輪の外径側に配置される第2外輪および前記第2内輪と前記第2外輪との間に配置される転動体を含む第2軸受と、
    前記第2内輪の内径側に配置され、前記サイクロイド歯車の前記外歯と噛み合う複数の外周ピンと、を備え、
    前記第2内輪の内周面には、
    軸方向に見て外径側へ凹み、周方向に沿って配置され、前記外周ピンを収容する複数の外周ピン収容溝が設けられており、
    前記外周ピン収容溝を構成する周方向の壁面には、軸方向に見て円弧状であって、前記外周ピンの前記外周ピン収容溝からの内径側への移動を規制する爪部が設けられている、減速機。
  2. 前記外周ピン収容溝を構成しない周方向の壁面には、肉厚を減ずるよう外径側に凹む逃げ部が設けられている、請求項1に記載の減速機。
  3. 軸方向に見て、前記外周ピンのピッチ円直径は、前記爪部が設けられた位置を周方向に結んで形成される仮想円の直径よりも大きい、請求項1または請求項2に記載の減速機。
  4. 前記第2内輪の内周面は、軸方向両端部よりも軸方向中央部が内径側に突出しており、
    前記軸方向中央部に前記爪部が設けられている、請求項1または請求項2に記載の減速機。
  5. 前記爪部の内周面は、前記爪部が設けられた位置を周方向に結んで形成される仮想円の中心から単一の曲率半径で曲面形状に形成される、請求項4に記載の減速機。
  6. 前記第2軸受は、軸方向に転動体が複列に配置される複列のクロスローラベアリングを含む、請求項1または請求項2に記載の減速機。
  7. 前記第2内輪の内周面は、複列の前記転動体のそれぞれに対して、軸方向両端部よりも軸方向中央部が内径側に突出しており、
    それぞれの前記軸方向中央部に前記爪部が設けられている、請求項6に記載の減速機。
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