JP2023161257A - 電気化学反応セルスタック - Google Patents

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Abstract

【課題】電気化学反応セルスタックを構成する電気化学反応単セルのセル本体部と金属支持体との密着性を向上させる。【解決手段】電気化学反応セルスタックは、セル本体部と、セル本体部を支持する金属支持体と、金属支持体の表面に形成された酸化被膜と、を含む電気化学反応単セルを備える。酸化被膜は、金属支持体のうち、貫通孔を画定する表面である孔内表面に位置する孔内被膜部と、金属支持体のうち、セル本体部に対向する表面と孔内表面とがなす角部に位置する突起被膜部と、を有する。突起被膜部の膜厚は、孔内被膜部の膜厚よりも厚い。突起被膜部は、金属支持体の角部からセル本体部の内部まで突出している。【選択図】図6

Description

本明細書によって開示される技術は、電気化学反応セルスタックに関する。
水素と酸素との電気化学反応を利用して発電を行う燃料電池の種類の1つとして、固体酸化物形の燃料電池(以下、「SOFC」という。)が知られている。SOFCは、一般に、複数の燃料電池単セル(以下、「単セル」という。)を備える燃料電池スタックの形態で利用される。単セルは、固体酸化物を含む電解質層と、燃料極および空気極とを備える。
単セルの一形態として、金属支持型(メタルサポート型)の単セルが知られている(例えば、特許文献1参照)。金属支持型の単セルは、電解質層と燃料極と空気極とを備えるセル本体部と、セル本体部等を支持する金属支持体とを含む。一般に、金属支持型の単セルは、他のタイプ(例えば燃料極支持型)の単セルと比較して、熱衝撃による割れが生じにくく、また起動性が高い。
金属支持型の単セルでは、金属支持体に、発電に供される反応ガスを通過させるために、貫通孔が形成されている。金属支持体の表面には、金属支持体の耐酸化性等を向上させるための酸化被膜が形成されている。
金属支持体は、セル本体部に対向する表面と、上記貫通孔を画定する表面とがなす角部から突出する突起部を有する。当該突起部は、セル本体部の内部(燃料極の内部)まで突出している。当該突起部によるアンカー効果により、セル本体部と金属支持体との密着性が確保され、ひいてはセル本体部と金属支持体との剥離が抑制される。
特許第6757434号公報
上記従来の燃料電池スタックでは、金属支持体の上記突起部は主として金属により形成されている。そのため、金属支持体の上記突起部の変形により、当該突起部によるアンカー効果が低下することがあり、これにより金属支持体とセル本体部との剥離が生じるおそれがある。そのため、セル本体部と金属支持体との密着性を更に向上させることが望まれている。
なお、このような課題は、水の電気分解反応を利用して水素の生成を行う固体酸化物形の電解セル(以下、「SOEC」という。)の構成単位である電解セル単位を複数備える電解セルスタックにも共通の問題である。また、このような課題は、SOFCやSOECに限らず、他のタイプの電気化学反応セルスタックにも共通の課題である。なお、本明細書では、燃料電池単セルと電解単セルとをまとめて電気化学反応単セルと呼び、発電単位と電解セル単位とをまとめて電気化学反応単位と呼び、燃料電池スタックと電解セルスタックとをまとめて電気化学反応セルスタックと呼ぶ。
本明細書では、上述した課題を解決することが可能な技術を開示する。
本明細書に開示される技術は、例えば、以下の形態として実現することが可能である。
(1)本明細書に開示される電気化学反応セルスタックは、電解質層と燃料極と空気極とを備えるセル本体部と、前記セル本体部を支持し、貫通孔が形成された金属支持体と、前記金属支持体の表面の少なくとも一部に形成された酸化被膜と、を備える電気化学反応セルスタックにおいて、前記酸化被膜は、前記金属支持体のうち、前記貫通孔を画定する表面である孔内表面に位置する孔内被膜部と、前記金属支持体のうち、前記セル本体部に対向する表面と前記孔内表面とがなす角部に位置する突起被膜部であって、膜厚が前記孔内被膜部の膜厚よりも厚く、かつ、前記角部から前記セル本体部の内部まで突出している突起被膜部と、を有する。
本電気化学反応セルスタックによれば、膜厚が孔内被膜部の膜厚よりも厚く、かつ、セル本体部の内部まで突出している突起被膜部によるアンカー効果により、セル本体部と金属支持体との密着性を向上させることができる(これにより、セル本体部と金属支持体との剥離を抑制することができる)。更に言えば、上述した従来技術のように金属支持体が突起部(角部から突出する突起部)を有する構成(以下、「比較構成」という。)と比較したときに、突起被膜部(金属酸化物)は金属支持体の当該突起部(金属)よりも変形しにくいため、突起被膜部の変形により(突起被膜部による)アンカー効果が低下することが生じにくい。また、比較構成(の金属支持体の突起部(金属))と比較したときに、電気化学反応セルスタックの運転による温度変化が生じた際等における突起被膜部の体積変化(膨張または収縮)が抑制される。そのため、突起被膜部によるアンカー効果(ひいては、セル本体部と金属支持体との密着性)は特に優れたものとなる。
(2)上記電気化学反応セルスタックにおいて、前記セル本体部のうち、前記突起被膜部に接する部分の少なくとも一部は、金属酸化物である構成としてもよい。本電気化学反応セルスタックにおいては、上述した従来技術のように金属支持体が上記突起部(角部から突出する突起部)を有する構成と比較すると、突起被膜部(金属酸化物)の熱膨張係数とセル本体部(のうち、突起被膜部と接する部分)(金属酸化物)の熱膨張係数との差は、金属支持体の上記突起部(金属)の熱膨張係数とセル本体部(金属酸化物)の熱膨張係数との差よりも小さい。そのため、本電気化学反応セルスタックによれば、上述したように突起被膜部のアンカー効果によりセル本体部と金属支持体との密着性が向上する効果を奏するものでありながら、電気化学反応セルスタックの運転による温度変化が生じた際等における金属支持体の上記突起部とセル本体部との間の体積変化(膨張または収縮)の差を低減することができる。そのため、突起被膜部によるアンカー効果(ひいては、セル本体部と金属支持体との密着性)を更に向上させることができる。
(3)上記電気化学反応セルスタックにおいて、前記セル本体部は、前記貫通孔内に位置すると共に前記孔内表面に接合する部分である孔内セル部を有する構成としてもよい。本電気化学反応セルスタックによれば、突起被膜部によるアンカー効果(ひいては、セル本体部と金属支持体との密着性)を更に向上させることができる。
(4)上記電気化学反応セルスタックにおいて、前記突起被膜部は、前記貫通孔の内側に向かって突出している構成としてもよい。
突起被膜部は、酸化被膜であり、金属酸化物を含むため、電気抵抗が大きい。そのため、電流路であるセル本体部と金属支持体との間に突起被膜部が位置すると、セル本体部と金属支持体との間における導電性が低下し、ひいては電気化学反応セルスタックの性能が低下する。また、セル本体部と金属支持体との間に位置する突起被膜部の部分が大きいほど、セル本体部と金属支持体との間における導電性が低下し、ひいては電気化学反応セルスタックの性能が低下する。
これに対し、本電気化学反応セルスタックにおいては、突起被膜部は、金属支持体の貫通孔の内側に向かって突出している。そのため、突起被膜部が金属支持体の角部から金属支持体の貫通孔の開口方向に突出している構成等と比較して、セル本体部と金属支持体との間に位置する突起被膜部の部分を大きくせずに、突起被膜部の膜厚を大きくすることができる。従って、本電気化学反応セルスタックによれば、効率的に、セル本体部と金属支持体との間における導電性の低下(ひいては、電気化学反応セルスタックの性能の低下)を抑制しつつ、突起被膜部によるアンカー効果により、セル本体部と金属支持体との密着性を向上させる(ひいては、セル本体部と金属支持体との剥離を抑制する)ことができる。
(5)上記電気化学反応セルスタックにおいて、前記突起被膜部を構成する金属酸化物は、Cr,Fe,Mn,Co,Ni,Cuのうちの1つ以上の元素を含む構成としてもよい。これらの元素(Cr,Fe,Mn,Co,Ni,Cu)は導電性が高い。そのため、このような構成を採用した本電気化学反応セルスタックによれば、突起被膜部における導電性が向上することにより、電気化学反応セルスタックの性能を特に向上させることができる。
(6)上記電気化学反応セルスタックにおいて、前記突起被膜部を構成する金属酸化物は、Ti,Alのうちの1つ以上の元素を含む構成としてもよい。これらの元素(Ti,Al)はレドックス(酸化還元)時の体積変化が小さい。そのため、このような構成を採用した本電気化学反応セルスタックによれば、電気化学反応セルスタックの運転時(例えば、燃料電池スタックの高燃料利用率での運転時)や起動停止時に突起被膜部がレドックスされたとしても突起被膜部の体積変化(膨張または収縮)が抑制されるため、突起被膜部によるアンカー効果が特に優れたものとなり、ひいては、電気化学反応セルスタックの性能を特に向上させることができる。
なお、本明細書に開示される技術は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、電気化学反応セルスタック(燃料電池スタックまたは電解セルスタック)、電気化学反応セルスタックの製造方法等の形態で実現することが可能である。
本実施形態における燃料電池スタック100の外観構成を示す斜視図 図1のII-IIの位置における燃料電池スタック100のXZ断面構成を示す説明図 図1のIII-IIIの位置における燃料電池スタック100のYZ断面構成を示す説明図 図2に示す断面と同一の位置における互いに隣接する2つの発電単位102のXZ断面構成を示す説明図 図3に示す断面と同一の位置における互いに隣接する2つの発電単位102のYZ断面構成を示す説明図 単セル110の一部分(図4のX1部)のXZ断面構成を拡大して示す説明図 性能評価結果を示す説明図 変形例における燃料電池スタック100Aの断面構成を示す説明図
A.実施形態:
A-1.燃料電池スタック100の構成:
図1は、本実施形態における燃料電池スタック100の外観構成を示す斜視図であり、図2は、図1のII-IIの位置における燃料電池スタック100のXZ断面構成を示す説明図であり、図3は、図1のIII-IIIの位置における燃料電池スタック100のYZ断面構成を示す説明図である。各図には、方向を特定するための互いに直交するXYZ軸が示されている。本明細書では、便宜的に、Z軸正方向を上方向と呼び、Z軸負方向を下方向と呼ぶものとするが、燃料電池スタック100は実際にはそのような向きとは異なる向きで設置されてもよい。図4以降についても同様である。
燃料電池スタック100は、複数の(本実施形態では7つの)燃料電池発電単位(以下、「発電単位」という。)102と、一対のエンドプレート104,106とを備える。7つの発電単位102は、所定の配列方向(本実施形態ではZ軸方向)に並べて配置されている。一対のエンドプレート104,106は、7つの発電単位102から構成される集合体を上下から挟むように配置されている。
燃料電池スタック100を構成する各層(発電単位102、エンドプレート104,106)のZ軸方向回りの周縁部には、Z軸方向に貫通する複数の(本実施形態では8つの)孔が形成されており、各層に形成され互いに対応する孔同士がZ軸方向に連通して、一方のエンドプレート104から他方のエンドプレート106にわたってZ軸方向に延びる貫通孔108を構成している。以下の説明では、貫通孔108を構成するために燃料電池スタック100の各層に形成された孔も、貫通孔108と呼ぶ場合がある。
各貫通孔108にはZ軸方向に延びるボルト22が挿通されており、ボルト22とボルト22の両側に嵌められたナット24とによって、燃料電池スタック100は締結されている。なお、図2および図3に示すように、ナット24と各エンドプレート104,106(または後述するガス通路部材27)との間には、絶縁シート26が介在している。
各ボルト22の軸部の外周面と各貫通孔108の内周面との間には、空間が確保されている。図1および図2に示すように、1つのボルト22(ボルト22A)と当該ボルト22Aが挿通された貫通孔108とにより形成された空間は、燃料電池スタック100の外部から酸化剤ガスOG(例えば空気)が導入され、その酸化剤ガスOGを各発電単位102の空気室166に供給するガス流路である空気極側ガス供給マニホールド161として機能し、他の1つのボルト22(ボルト22B)と当該ボルト22Bが挿通された貫通孔108とにより形成された空間は、各発電単位102の空気室166から排出されたガスである酸化剤オフガスOOGを燃料電池スタック100の外部へと排出する空気極側ガス排出マニホールド162として機能する。また、図1および図3に示すように、他の1つのボルト22(ボルト22D)と当該ボルト22Dが挿通された貫通孔108とにより形成された空間は、燃料電池スタック100の外部から燃料ガスFG(例えば水素リッチなガス)が導入され、その燃料ガスFGを各発電単位102の燃料室176に供給する燃料極側ガス供給マニホールド171として機能し、他の1つのボルト22(ボルト22E)と当該ボルト22Eが挿通された貫通孔108とにより形成された空間は、各発電単位102の燃料室176から排出されたガスである燃料オフガスFOGを燃料電池スタック100の外部へと排出する燃料極側ガス排出マニホールド172として機能する。
燃料電池スタック100には、4つのガス通路部材27が設けられている。各ガス通路部材27は、中空筒状の本体部28と、本体部28の側面から分岐した中空筒状の分岐部29とを有している。分岐部29の孔は本体部28の孔と連通している。各ガス通路部材27の本体部28の孔は、各ガス通路部材27の設置位置に設けられた各マニホールド161,162,171,172に連通している。
(エンドプレート104,106の構成)
一対のエンドプレート104,106は、Z軸方向に略直交する平板形状の導電性部材であり、例えばステンレスにより形成されている。一方のエンドプレート104は、最も上に位置する発電単位102の上側に配置され、当該発電単位102と電気的に接続されている。他方のエンドプレート106は、最も下に位置する発電単位102の下側に配置され、当該発電単位102と電気的に接続されている。上側のエンドプレート104は、燃料電池スタック100のプラス側の出力端子として機能し、下側のエンドプレート106は、燃料電池スタック100のマイナス側の出力端子として機能する。
(発電単位102の構成)
図4は、図2に示す断面と同一の位置における互いに隣接する2つの発電単位102のXZ断面構成を示す説明図であり、図5は、図3に示す断面と同一の位置における互いに隣接する2つの発電単位102のYZ断面構成を示す説明図である。
図4および図5に示すように、発電単位102は、燃料電池単セル(以下、「単セル」という。)110と、セパレータ120と、空気極側フレーム部材130と、空気極側集電体134と、燃料極側フレーム部材140と、燃料極側集電体144と、一対のインターコネクタ150と、金属支持体180とを備えている。セパレータ120、空気極側フレーム部材130、燃料極側フレーム部材140、インターコネクタ150の周縁部には、上述したボルト22が挿通される貫通孔108に対応する孔が形成されている。なお、単セル110は、特許請求の範囲におけるセル本体部の一例である。
インターコネクタ150は、Z軸方向に略直交する平板形状の導電性部材であり、例えばステンレスにより形成されている。インターコネクタ150は、発電単位102間の電気的導通を確保すると共に、発電単位102間での反応ガスの混合を防止する。なお、本実施形態では、2つの発電単位102が隣接して配置されている場合、1つのインターコネクタ150は、隣接する2つの発電単位102に共有されている。すなわち、ある発電単位102における上側のインターコネクタ150は、その発電単位102の上側に隣接する他の発電単位102における下側のインターコネクタ150と同一部材である。また、燃料電池スタック100において最も上に位置する発電単位102は上側のインターコネクタ150を備えておらず、最も下に位置する発電単位102は下側のインターコネクタ150を備えていない(図2および図3参照)。
単セル110は、電解質層112と、電解質層112を挟んでZ軸方向に互いに対向する空気極114および燃料極116とを備える。
電解質層112は、Z軸方向に略直交する平板形状部材であり、緻密な層である。本実施形態では、電解質層112は、燃料極116における上側の表面と、金属支持体180における上側の表面S1の内、燃料極116に覆われていない領域とを連続的に覆うように形成されている。電解質層112は、例えば、YSZ(イットリア安定化ジルコニア)等の固体酸化物により形成されている。このように、本実施形態の単セル110は、電解質として固体酸化物を用いる固体酸化物形燃料電池(SOFC)である。空気極114は、Z軸方向に略直交する平板形状部材であり、多孔質な層である。空気極114は、例えば、ペロブスカイト型酸化物(例えばLSCF(ランタンストロンチウムコバルト鉄酸化物))により形成されている。燃料極116は、Z軸方向に略直交する平板形状部材であり、多孔質な層である。燃料極116は、例えば、Niと酸化物イオン伝導性セラミックス粒子(例えば、YSZ)とからなるサーメットにより形成されている。金属酸化物である酸化物イオン導電性セラミックスとしては、YSZやスカンジア安定化ジルコニア等のジルコニア系酸化物やガドリニウムドープセリア等の希土類ドープセリアを用いることができる。
金属支持体180は、Z軸方向に略直交する平板形状の導電性部材であり、金属(例えばCrを含むステンレス)により形成されている。金属支持体180は、燃料極116(より詳細には、後述する燃料極116の基部117)に対して電解質層112とは反対側(下側)(Z軸負方向側)に配置されている。金属支持体180は、単セル110を支持している。このように、本実施形態の単セル110と金属支持体180とからなる複合体は、金属支持体180によって単セル110の機械的強度を確保する、いわゆる金属支持型(メタルサポート型)の単セル構造物である。金属支持型の単セル構造物は、他のタイプ(例えば燃料極支持型)の単セル構造物と比較して、熱衝撃による割れが生じにくく、また起動性が高い。金属支持体180には、燃料ガスFGを通過させるための複数の貫通孔50が形成されている(図6参照)。この複数の貫通孔50は、金属支持体180の上面S1から下面S2までZ軸方向に貫通している。各貫通孔50は、Z軸方向視で燃料極116と重なるように位置している。なお、貫通孔50は、金属支持体180の材料である金属部材に、例えばレーザーまたはエッチングを施すことにより形成することができる。
セパレータ120は、中央付近にZ軸方向に貫通する略矩形の孔121が形成されたフレーム状の部材であり、例えばステンレスにより形成されている。セパレータ120における孔121を取り囲む部分は、例えばロウ材を含む接合部124により、単セル110(電解質層112)の周縁部と接合されている。セパレータ120により、空気極114に面する空気室166と燃料極116に面する燃料室176とが区画される。
空気極側フレーム部材130は、中央付近にZ軸方向に貫通する略矩形の孔131が形成されたフレーム状の部材であり、例えばマイカ等の絶縁体により形成されている。空気極側フレーム部材130の孔131は、空気極114に面する空気室166を構成する。空気極側フレーム部材130によって、発電単位102に含まれる一対のインターコネクタ150間が電気的に絶縁される。空気極側フレーム部材130には、空気極側ガス供給マニホールド161と空気室166とを連通する空気極側ガス供給連通流路132と、空気室166と空気極側ガス排出マニホールド162とを連通する空気極側ガス排出連通流路133とが形成されている。
燃料極側フレーム部材140は、中央付近にZ軸方向に貫通する略矩形の孔141が形成されたフレーム状の部材であり、例えばステンレスにより形成されている。燃料極側フレーム部材140の孔141は、燃料極116に面する燃料室176を構成する。燃料極側フレーム部材140には、燃料極側ガス供給マニホールド171と燃料室176とを連通する燃料極側ガス供給連通流路142と、燃料室176と燃料極側ガス排出マニホールド172とを連通する燃料極側ガス排出連通流路143とが形成されている。
空気極側集電体134は、空気室166内に配置された複数の略四角柱状の集電体要素135から構成されており、例えばステンレスにより形成されている。空気極側集電体134は、空気極114とインターコネクタ150とを電気的に接続する。ただし、燃料電池スタック100において最も上に位置する発電単位102は上側のインターコネクタ150を備えていないため、当該発電単位102における空気極側集電体134は、空気極114と上側のエンドプレート104とを電気的に接続する(図2および図3参照)。なお、空気極側集電体134とインターコネクタ150とが一体の部材として構成されていてもよい。
燃料極側集電体144は、燃料室176内に配置された複数の略四角柱状の集電体要素145から構成されており、例えばステンレスにより形成されている。燃料極側集電体144は、金属支持体180とインターコネクタ150とを電気的に接続する。ただし、燃料電池スタック100において最も下に位置する発電単位102は下側のインターコネクタ150を備えていないため、当該発電単位102における燃料極側集電体144は、金属支持体180と下側のエンドプレート106とを電気的に接続する(図2および図3参照)。なお、燃料極側集電体144とインターコネクタ150とが一体の部材として構成されていてもよい。
A-2.燃料電池スタック100の動作:
図2および図4に示すように、酸化剤ガスOGは、空気極側ガス供給マニホールド161の位置に設けられたガス通路部材27の分岐部29に接続されたガス配管(図示せず)から、当該ガス通路部材27の分岐部29および本体部28の孔を介して空気極側ガス供給マニホールド161に供給され、空気極側ガス供給マニホールド161から各発電単位102の空気極側ガス供給連通流路132を介して、空気室166に供給される。また、図3および図5に示すように、燃料ガスFGは、燃料極側ガス供給マニホールド171の位置に設けられたガス通路部材27の分岐部29に接続されたガス配管(図示せず)から、当該ガス通路部材27の分岐部29および本体部28の孔を介して燃料極側ガス供給マニホールド171に供給され、燃料極側ガス供給マニホールド171から各発電単位102の燃料極側ガス供給連通流路142を介して、燃料室176に供給される。
各発電単位102において、空気室166に供給された酸化剤ガスOGが多孔質な空気極114内に進入し、かつ、燃料室176に供給された燃料ガスFGが金属支持体180に形成された複数の貫通孔50を通って多孔質な燃料極116内に進入すると、単セル110において酸化剤ガスOGに含まれる酸素と燃料ガスFGに含まれる水素との電気化学反応による発電が行われる。この発電反応は発熱反応である。各発電単位102において、単セル110の空気極114は、空気極側集電体134を介して一方のインターコネクタ150に電気的に接続され、燃料極116は、金属支持体180および燃料極側集電体144を介して他方のインターコネクタ150に電気的に接続されている。また、燃料電池スタック100に含まれる複数の発電単位102は、電気的に直列に接続されている。そのため、燃料電池スタック100の出力端子として機能するエンドプレート104,106から、各発電単位102において生成された電気エネルギーが取り出される。なお、SOFCは、比較的高温(例えば700℃から1000℃)で発電が行われることから、起動後、発電により発生する熱で高温が維持できる状態になるまで、燃料電池スタック100が加熱器(図示せず)により加熱されてもよい。
図2および図4に示すように、各発電単位102の空気室166から空気極側ガス排出連通流路133を介して空気極側ガス排出マニホールド162に排出された酸化剤オフガスOOGは、空気極側ガス排出マニホールド162の位置に設けられたガス通路部材27の本体部28および分岐部29を経て、当該分岐部29に接続されたガス配管(図示せず)から燃料電池スタック100の外部に排出される。また、図3および図5に示すように、各発電単位102の燃料室176から燃料極側ガス排出連通流路143を介して燃料極側ガス排出マニホールド172に排出された燃料オフガスFOGは、燃料極側ガス排出マニホールド172の位置に設けられたガス通路部材27の本体部28および分岐部29を経て、当該分岐部29に接続されたガス配管(図示しない)から燃料電池スタック100の外部に排出される。
A-3.発電単位102の詳細構成:
上述したように、発電単位102は、単セル110と、金属支持体180とを含む。発電単位102は、更に、金属支持体180の表面に形成された酸化被膜OFを含む。
図6は、発電単位102の一部分(図4のX1部)のXZ断面構成を拡大して示す説明図である。
(金属支持体180)
上述したように、金属支持体180には、燃料ガスFGを通過させるための複数の貫通孔50が形成されている。
本実施形態では、複数の貫通孔50は、Z軸方向視において金属支持体180と燃料極116とが重なる範囲の略全体にわたって配置されている。また、発電単位102のXY断面における各貫通孔50の形状は、円形である。各貫通孔50の径は、金属支持体180の上面(対向面)S1における開口の位置から下面S2における開口の位置にわたって略一定である。また、複数の貫通孔50の径は、互いに略同一である。
燃料室176に供給された反応ガス(燃料ガスFG)は、各貫通孔50内を進行し、更に燃料極116の空隙内を進行して、反応場に供給される。
(酸化被膜OFとその周辺)
酸化被膜OFは、後述の突起被膜部OFPと同様の金属酸化物等から形成される。このような酸化被膜OFは、例えば、金属支持体180の材料である金属部材の表面に熱処理(例えば、大気中1000℃で加熱)を施すことにより形成することができる。
本実施形態では、酸化被膜OFは、金属支持体180の表面の全体(S1、…、S3)に形成されている。酸化被膜OFは、金属支持体180に対してZ軸正方向側(表面S1)に位置する部分OFFと、金属支持体180に対してZ軸負方向側(表面S2)に位置する部分(不図示)と、金属支持体180のうち、貫通孔50を画定する表面(以下、「孔内表面」という。)S3に位置する部分OFHと、を有する。
酸化被膜OFは、膜厚が孔内被膜部OFHの膜厚よりも厚い突起部(以下、「突起被膜部」という。)OFPを有する。突起被膜部OFPは、金属支持体180のうち、単セル110に対向する表面S10と孔内表面S3とがなす角部Cに位置している。なお、図では、金属支持体180のZ軸方向に沿う断面において、金属支持体180の角部Cにおける当該表面S10と孔内表面S3とがなす角度は90°となっているが、その数値は特に限定されるものではなく、例えば70°以上かつ110°以下であってもよい。また、金属支持体180の角部Cの表面が曲面であってもよい。本実施形態では、図6に示すように、金属支持体180の貫通孔50間に挟まれた部分に現れる一対の角部C(当該部分のX軸方向の両端)のそれぞれに、突起被膜部OFPが形成されている。
突起被膜部OFPの膜厚は、突起被膜部OFPのうち、金属支持体180から最も離れた点Pから突起被膜部OFP内を通り金属支持体180に到達するまでの最短距離である。孔内被膜部OFHの膜厚は、孔内被膜部OFHのうち、膜厚(金属支持体180の表面S3に直交する方向(例えばY軸方向)の厚さ)が最小である部分の厚さである。また、孔内被膜部OFHの膜厚は、金属支持体180の貫通孔50をその深さ方向(Z軸方向)に2等分したときの孔内被膜部OFH側の領域(Z軸正方向側の領域)を、更に当該深さ方向(Z軸方向)に10等分する各直線が通る部分の(孔内被膜部OFHの)膜厚の平均値である、としてもよい。
上記のような突起被膜部OFPは、例えば、金属支持体180の材料である金属部材の表面に均一な膜厚の酸化被膜(孔内被膜部OFH等)を形成した後に、更に角部C付近にスクリーン印刷等を施すことにより形成することができる。また、金属支持体180の材料である金属部材の角部Cとなる部分にプレス加工等を施すことにより適切な形状(例えば、角度が90°である、もしくは90°未満である)の角部Cを形成し、その後に、大気中で熱処理(加熱)を施すことにより、酸化被膜(突起被膜部OFP)を形成してもよい。
突起被膜部OFPは、Cr,Fe,Mn,Co,Ni,Cuのうちの1つ以上の元素を含む金属酸化物、Ti,Alのうちの1つ以上の元素を含む金属酸化物により形成されている。
本実施形態では、図6に示すように、突起被膜部OFPは、突出方向の先端に向かうほど先細る形状をなしているが、突起被膜部OFPの形状は、特に限定されるものではなく、突出方向の先端に向かうほど先太る形状や、突出方向に直交する幅径が略一律である形状等であってもよい。また、突起被膜部OFPは、突出方向の先端に向かう途中で屈曲していてもよい。
突起被膜部OFPは、金属支持体180のうち、単セル110に対向する表面S10と孔内表面S3とがなす角部Cに位置している。なお、図では、金属支持体180のZ軸方向に沿う断面において、金属支持体180の角部Cにおける当該表面S10と孔内表面S3とがなす角度は90°となっているが、その数値は特に限定されるものではなく、例えば70°以上かつ110°以下であってもよい。
突起被膜部OFPは、金属支持体180の角部Cから単セル110の内部(より詳細には、燃料極116の内部)まで突出している。突起被膜部OFPは、(Z軸方向視において)金属支持体180の貫通孔50の内側に向かって突出している。本実施形態では、図6に示すように、突起被膜部OFPは、Z軸正方向のベクトル成分(およびX軸方向のベクトル成分)を有する方向に突出している。
突起被膜部OFPが接する単セル110部分である燃料極116は、上述したように、金属酸化物(例えば、YSZ)を含んでいる。燃料極116(単セル110)は、金属支持体180に対してZ軸正方向側に位置する基部117と、金属支持体180の貫通孔50内に位置すると共に孔内表面S3に接合する部分(以下、「孔内セル部」という。)118と、を有する。
A-4.本実施形態の効果:
以上説明したように、本実施形態の燃料電池スタック100(が備える各発電単位102)は、単セル(セル本体部)110と、金属支持体180と、酸化被膜OFと、を備える。単セル110は、電解質層112と燃料極116と空気極114とを備える。金属支持体180は、単セル110を支持する金属部材である。金属支持体180には、貫通孔50が形成されている。酸化被膜OFは、金属支持体180の表面の少なくとも一部(本実施形態では全体)に形成されている。酸化被膜OFは、金属支持体180のうち、貫通孔50を画定する表面である孔内表面S3に位置する孔内被膜部OFHと、金属支持体180のうち、単セル110に対向する表面S10と孔内表面S3とがなす角部Cに位置する突起被膜部OFPとを有する。突起被膜部OFPの膜厚は、孔内被膜部OFHの膜厚よりも厚い。突起被膜部OFPは、金属支持体180の角部Cから単セル110(が備える燃料極116)の内部まで突出している。
本実施形態の燃料電池スタック100によれば、膜厚が孔内被膜部OFHの膜厚よりも厚く、かつ、単セル110の内部まで突出している突起被膜部OFPによるアンカー効果により、単セル110と金属支持体180との密着性を向上させることができる(これにより、単セル110と金属支持体180との剥離を抑制することができる)。更に言えば、上述した従来技術のように金属支持体180が突起部(角部Cから突出する突起部)を有する構成(以下、「比較構成」という。)と比較すると、突起被膜部OFP(金属酸化物)は金属支持体180の当該突起部(金属)よりも変形しにくいため、突起被膜部OFPの変形により(突起被膜部OFPによる)アンカー効果が低下することが生じにくい。また、比較構成(の金属支持体180の突起部)と比較したときに、燃料電池スタック100の運転による温度変化が生じた際等における突起被膜部OFPの体積変化(膨張または収縮)が抑制される。そのため、突起被膜部OFPによるアンカー効果(ひいては、単セル110と金属支持体180との密着性)は特に優れたものとなる。
なお、突起被膜部OFPがその突出方向の先端に向かうほど先細る形状をなしている構成(図6参照)においては、突起被膜部OFPによるアンカー効果が更に優れたものとなる。
また、本実施形態の燃料電池スタック100では、単セル110のうち、突起被膜部OFPに接する部分の少なくとも一部は、金属酸化物である。そのため、本実施形態の燃料電池スタック100においては、上述した従来技術のように金属支持体180が上記突起部(角部Cから突出する突起部)を有する構成と比較すると、突起被膜部OFP(金属酸化物)の熱膨張係数と単セル110(のうち、突起被膜部OFPと接する部分(燃料極116))(金属酸化物)の熱膨張係数との差は、金属支持体180の上記突起部(金属)の熱膨張係数と単セル110(金属酸化物)の熱膨張係数との差よりも小さい。そのため、本実施形態の燃料電池スタック100によれば、上述したように突起被膜部OFPのアンカー効果により単セル110と金属支持体180との密着性が向上する効果を奏するものでありながら、燃料電池スタック100の運転による温度変化が生じた際等における金属支持体180の上記突起部と単セル110との間の体積変化(膨張または収縮)の差を低減することができる。そのため、突起被膜部OFPによるアンカー効果(ひいては、単セル110と金属支持体180との密着性)を更に向上させることができる。
また、本実施形態の燃料電池スタック100では、単セル110(燃料極116)は、金属支持体180の貫通孔50内に位置すると共に孔内表面S3に接合する部分である孔内セル部118を有する。本実施形態の燃料電池スタック100によれば、突起被膜部OFPによるアンカー効果(ひいては、単セル110と金属支持体180との密着性)を更に向上させることができる。
また、本実施形態の燃料電池スタック100では、突起被膜部OFPは、金属支持体180の貫通孔50の内側に向かって突出している。
突起被膜部OFPは、酸化被膜であり、金属酸化物を含むため、電気抵抗が大きい。そのため、電流路である単セル110(が備える燃料極116の基部117)と金属支持体180との間に突起被膜部OFPが位置すると、単セル110と金属支持体180との間における導電性が低下し、ひいては燃料電池スタック100の発電性能が低下する。また、単セル110(が備える燃料極116の基部117)と金属支持体180との間に位置する突起被膜部OFPの部分が大きいほど、単セル110と金属支持体180との間における導電性が低下し、ひいては燃料電池スタック100の発電性能が低下する。
これに対し、本実施形態の燃料電池スタック100においては、突起被膜部OFPは、金属支持体180の貫通孔50の内側に向かって突出している。そのため、突起被膜部OFPが金属支持体180の角部Cから金属支持体180の貫通孔50の開口方向(Z軸方向)に突出している構成等と比較して、単セル110(が備える燃料極116の基部117)と金属支持体180との間に位置する突起被膜部OFPの部分を大きくせずに、突起被膜部OFPの膜厚を大きくすることができる。従って、本実施形態の燃料電池スタック100によれば、効率的に、単セル110と金属支持体180との間における導電性の低下(ひいては、燃料電池スタック100の発電性能の低下)を抑制しつつ、突起被膜部OFPによるアンカー効果により、単セル110と金属支持体180との密着性を向上させる(ひいては、単セル110と金属支持体180との剥離を抑制する)ことができる。
また、本実施形態の燃料電池スタック100では、突起被膜部OFPを構成する金属酸化物は、Cr,Fe,Mn,Co,Ni,Cuのうちの1つ以上の元素を含む構成を採用しうる。これらの元素(Cr,Fe,Mn,Co,Ni,Cu)は導電性が高い。そのため、このような構成を採用した本実施形態の燃料電池スタック100によれば、突起被膜部OFPにおける導電性が向上することにより、燃料電池スタック100の発電性能を特に向上させることができる。
また、本実施形態の燃料電池スタック100では、突起被膜部OFPを構成する金属酸化物は、Ti,Alのうちの1つ以上の元素を含む構成を採用しうる。これらの元素(Ti,Al)はレドックス時の体積変化が小さい。そのため、このような構成を採用した本実施形態の燃料電池スタック100によれば、燃料電池スタック100の運転時(例えば、高燃料利用率での運転時)や起動停止時に、突起被膜部OFPがレドックスされたとしても突起被膜部OFPの体積変化(膨張または収縮)が抑制されるため、突起被膜部OFPによるアンカー効果が特に優れたものとなり、ひいては、燃料電池スタック100の発電性能を特に向上させることができる。
A-5.性能評価:
以下、複数のサンプル(単セル110と金属支持体180とからなる複合物)を用いて行った性能評価について説明する。図7は、性能評価結果を示す説明図である。
(サンプルについて)
図7に示すように、3つのサンプル(SA1~SA3)は、基本的な構成は互いに共通している(上述の通り)が、金属支持体180の表面に形成された酸化被膜OFの構成等が互いに異なっている。
サンプルSA1では、酸化被膜OFは、突起被膜部(膜厚が孔内被膜部OFHの膜厚よりも厚い突起部)OFPを有する。一方、サンプルSA2,SA3では、酸化被膜OFの略全体(孔内被膜部OFHを含む)において膜厚が均一であり、すなわち、酸化被膜OFが突起被膜部OFPを有していない。
サンプルSA1,SA2では、金属支持体180の角部Cにおける表面(単セル110に対向する表面)S10と孔内表面S3とがなす角度は90°であり、すなわち、金属支持体180は特許文献1(特許6757434号公報)のような突起部(角部Cから突出する突起部)を有していない。一方、サンプルSA3では、金属支持体180は特許文献1(特許6757434号公報)のような突起部(角部Cから突出する突起部)を有している。金属支持体180の角部Cにおける表面(単セル110に対向する表面)S10と孔内表面S3とがなす角度は45°である。
(評価方法)
各サンプル(SA1,…,SA3)のレドックス耐性(酸化還元に対する耐久性能)を測定した。具体的には、まず、初期評価として、各サンプル(SA1,…,SA3)について、温度:700℃、雰囲気:水素320ml、露点温度30℃の条件で、0.55A/cmの電流密度でIR抵抗を測定した。IR抵抗が低いほど、単セル110と金属支持体180との密着性が高いことを意味する。次に、当該初期評価後の各サンプル(SA1,…,SA3)に対して、1.0Vの電圧と-0.1Vの電圧とを10秒間隔で交互に印加することにより、電気化学的に酸化と還元とを繰り返した。この過程で、1.0Vの電圧と-0.1Vの電圧との印加を1セットとして、1セットの実施回数をカウントしつつ、単セル110のIR抵抗を定期的に測定し、その測定結果が、初期評価時のIR抵抗の3倍の値を超えた時点で試験終了し、試験終了時の実施回数を記録した。当該実施回数が多いほど、単セル110のレドックス耐性が高いことを意味する。単セル110のレドックス耐性は、単セル110と金属支持体180との密着性が低下することに応じて低下するものと推察される。
本評価では、上記実施回数が所定の判定閾値(以下、単に「判定閾値」という。)以上であったサンプルを「合格(passed)」と評価し、上記実施回数が判定閾値より低かったサンプルを「不合格(failed)」と評価した。
(評価結果)
図7に示すように、サンプルSA1については、上記実施回数が判定閾値以上であったため、「合格(passed)」と評価した。サンプルSA2,SA3については、上記実施回数が判定閾値より低かったため、「不合格(failed)」と評価した。なお、サンプルSA3については、金属支持体180の金属からなる上記突起部に変形が見られた。
上述したように、サンプルSA1は「合格(passed)」という評価結果であったのに対し、サンプルSA2,SA3は「不合格(failed)」という評価結果であった。ここで、サンプルSA1では、酸化被膜OFが突起被膜部OFPを有するのに対し、サンプルSA2,SA3では、酸化被膜OFが突起被膜部OFPを有していない。この結果から、酸化被膜OFが突起被膜部OFPを有する構成においては、単セル110と金属支持体180との密着性が向上することにより、単セル110のレドックス耐性が向上することが確認された。
B.変形例:
本明細書で開示される技術は、上述の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態に変形することができ、例えば次のような変形も可能である。
上記実施形態における燃料電池スタック100や単セル110の構成は、あくまで一例であり、種々変形可能である。
上記実施形態では、突起被膜部OFPは、燃料極116の内部まで突出しているが、突起被膜部OFPは、単セル110のうち、燃料極116以外の部分(であって、金属酸化物により形成された部分)の内部まで突出していてもよい。
上記実施形態では、突起被膜部OFPは、(Z軸方向視において)金属支持体180の貫通孔50の内側に向かって突出し、かつ、Z軸正方向のベクトル成分(およびX軸方向のベクトル成分)を有する方向に突出しているが、突起被膜部OFPの突出方向は、これら以外であってもよい。すなわち、突起被膜部OFPは、(Z軸方向視において)金属支持体180の貫通孔50の内側に向かって突出していてもよく、Z軸負方向のベクトル成分を有する方向に突出していてもよい。
上記実施形態では、金属支持体180の貫通孔50間に挟まれた部分に現れる一対の角部C(当該部分のX軸方向の両端)のそれぞれに、突起被膜部OFPが形成されているが、突起被膜部OFPの個数や配置は特に限定されるものではなく、種々変更可能である。
上記実施形態では、金属支持体180の表面の全体に酸化被膜OFが形成されているが、金属支持体180の表面の一部のみに酸化被膜OFが形成されていてもよい。例えば、酸化被膜OFが孔内被膜部OFHを備えていなくてもよい(換言すれば、孔内被膜部OFHの膜厚がゼロである)。
上記実施形態では、各発電単位102が共通の構成であるが、一部の発電単位102が異なる構成であってもよい。例えば、上記実施形態では、各発電単位102において突起被膜部OFPを備えるが、一部の発電単位102において突起被膜部OFPを備えていなくてもよい。
図8は、変形例における燃料電池スタック100Aの断面構成を示す説明図である。この変形例における燃料電池スタック100Aは、複数の単セル110Aおよびシール部材(例えば、セラミックス、ガラス等)200Aからなるセル本体部190Aと、金属支持体180Aと、酸化被膜OFPAとを備える。複数の単セル110Aは、所定方向(X軸方向)に間隔を空けつつ並んでいる。単セル110Aは、電解質層と燃料極と空気極とを備える。金属支持体180Aは、セル本体部190Aに対してZ軸負方向側に位置している。金属支持体180Aは、セル本体部190Aを支持する金属部材であり、ガスマニホールドである。金属支持体180Aには、貫通孔50Aが形成されている。貫通孔50Aに、複数の単セル110A(のZ軸負方向側の端部)が挿入されている。複数の単セル110Aと金属支持体180Aとの間、各単セル110A間に、金属酸化物を含むシール部材200Aが配置され、これにより、これらは互いに固定されている。金属支持体180Aには、燃料ガスを供給する供給管210Aが接続されている。燃料ガスは、供給管210Aおよび金属支持体180A(の貫通孔50A)を介して各セル本体部190Aに供給される。酸化被膜OFPAは、金属支持体180Aの表面に形成されている。酸化被膜OFPAは、金属支持体180Aのうち、セル本体部190Aに対向する表面S10Aと孔内表面S3Aとがなす角部CAに位置している突起被膜部に相当する。この変形例では、酸化被膜OFPAは、金属支持体180Aのうち、貫通孔50Aを画定する表面(孔内表面)には形成されていない。すなわち、酸化被膜OFPAは孔内被膜部を備えていない(換言すれば、酸化被膜OFPAの膜厚はゼロである)。従って、この変形例においても、酸化被膜OFA(突起被膜部)の膜厚は、孔内被膜部の膜厚よりも厚い。酸化被膜OFPA(突起被膜部)は、金属支持体180Aの角部CAからセル本体部190Aの内部まで突出している。酸化被膜OFPA(突起被膜部)は、Z軸正方向のベクトル成分(およびX軸方向のベクトル成分)を有する方向に突出している。この変形例においても、膜厚が孔内被膜部の膜厚よりも厚く、かつ、セル本体部190A(シール部材200A)の内部まで突出している酸化被膜OFPA(突起被膜部)によるアンカー効果により、単セル110Aと金属支持体180Aとの密着性を向上させることができる(これにより、単セル110Aと金属支持体180Aとの剥離を抑制することができる)。
上記実施形態における各部材を構成する材料は、あくまで例示であり、各部材が他の材料により構成されていてもよい。また、上記実施形態における単セル110の製造方法は、あくまで一例であり、種々変形可能である。
上記実施形態では、燃料ガスに含まれる水素と酸化剤ガスに含まれる酸素との電気化学反応を利用して発電を行う固体酸化物形燃料電池(SOFC)を対象としているが、本明細書に開示される技術は、水の電気分解反応を利用して水素の生成を行う固体酸化物形電解セル(SOEC)の構成単位である電解単セルおよび複数の電解単セルを備える電解セルスタックにも同様に適用可能である。なお、電解セルスタックの構成は、例えば特開2016-81813号に記載されているように公知であるためここでは詳述しないが、概略的には上述した実施形態における燃料電池スタック100と同様の構成である。すなわち、上述した実施形態における燃料電池スタック100を電解セルスタックと読み替え、発電単位102を電解セル単位と読み替え、単セル110を電解単セルと読み替えればよい。ただし、電解セルスタックの運転の際には、空気極114がプラス(陽極)で燃料極116がマイナス(陰極)となるように両電極間に電圧が印加されると共に、貫通孔108を介して原料ガスとしての水蒸気が供給される。これにより、各電解セル単位において水の電気分解反応が起こり、燃料室176で水素ガスが発生し、貫通孔108を介して電解セルスタックの外部に水素が取り出される。このような構成の電解単セルにおいても、上記実施形態と同様の構成を採用することにより、上記実施形態と同様の作用効果を奏する。
上記実施形態では、固体酸化物形燃料電池(SOFC)を例に説明したが、本明細書に開示される技術は、溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC)といった他のタイプの燃料電池(または電解セル)にも適用可能である。
22(22A~22E):ボルト 24:ナット 26:絶縁シート 27:ガス通路部材 28:(ガス通路部材の)本体部 29:(ガス通路部材の)分岐部 50:(金属支持体の)貫通孔 50A:(金属支持体の)貫通孔 100:燃料電池スタック 100A:燃料電池スタック 102:発電単位 104,106:エンドプレート 108:貫通孔 110:単セル(セル本体部) 110A:単セル 112:電解質層 112A:電解質層 114:空気極 114A:空気極 116:燃料極 116A:燃料極 117:(燃料極の)基部 118:(燃料極の)孔内セル部 120:セパレータ 121:孔 124:接合部 130:空気極側フレーム部材 131:孔 132:空気極側ガス供給連通流路 133:空気極側ガス排出連通流路 134:空気極側集電体 135:集電体要素 140:燃料極側フレーム部材 141:孔 142:燃料極側ガス供給連通流路 143:燃料極側ガス排出連通流路 144:燃料極側集電体 145:集電体要素 150:インターコネクタ 161:空気極側ガス供給マニホールド 162:空気極側ガス排出マニホールド 166:空気室 171:燃料極側ガス供給マニホールド 172:燃料極側ガス排出マニホールド 176:燃料室 180:金属支持体 180A:金属支持体 190A:セル本体部 200A:シール部材 210A:供給管 C:(金属支持体の)角部 CA:(金属支持体の)角部 FG:燃料ガス FOG:燃料オフガス OF:酸化被膜 OFH:孔内被膜部 OFP:突起被膜部 OG:酸化剤ガス OOG:酸化剤オフガス P:突起被膜部のうち、金属支持体から最も離れた点 S10:(金属支持体の)表面 S10A:(金属支持体のうち、)セル本体部に対向する表面 S1:(金属支持体の)上面 S2:(金属支持体の)下面 S3:(金属支持体の)孔内表面 S3A:(金属支持体の)孔内表面

Claims (6)

  1. 電解質層と燃料極と空気極とを備えるセル本体部と、
    前記セル本体部を支持し、貫通孔が形成された金属支持体と、
    前記金属支持体の表面の少なくとも一部に形成された酸化被膜と、を備える電気化学反応セルスタックにおいて、
    前記酸化被膜は、
    前記金属支持体のうち、前記貫通孔を画定する表面である孔内表面に位置する孔内被膜部と、
    前記金属支持体のうち、前記セル本体部に対向する表面と前記孔内表面とがなす角部に位置する突起被膜部であって、膜厚が前記孔内被膜部の膜厚よりも厚く、かつ、前記角部から前記セル本体部の内部まで突出している突起被膜部と、を有する、
    電気化学反応セルスタック。
  2. 請求項1に記載の電気化学反応セルスタックであって、
    前記セル本体部のうち、前記突起被膜部に接する部分の少なくとも一部は、金属酸化物である、
    電気化学反応セルスタック。
  3. 請求項1または請求項2に記載の電気化学反応セルスタックであって、
    前記セル本体部は、前記貫通孔内に位置すると共に前記孔内表面に接合する部分である孔内セル部を有する、
    電気化学反応セルスタック。
  4. 請求項3に記載の電気化学反応セルスタックであって、
    前記突起被膜部は、前記貫通孔の内側に向かって突出している、
    電気化学反応セルスタック。
  5. 請求項1に記載の電気化学反応セルスタックであって、
    前記突起被膜部を構成する金属酸化物は、Cr,Fe,Mn,Co,Ni,Cuのうちの1つ以上の元素を含む、
    電気化学反応セルスタック。
  6. 請求項1に記載の電気化学反応セルスタックであって、
    前記突起被膜部を構成する金属酸化物は、Ti,Alのうちの1つ以上の元素を含む、
    電気化学反応セルスタック。
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